「うむ、緊急連絡だ! ブリーフィングを始める」
グリモアベースに響き渡る警報音。赤文字で強調表示される『WARNING!!』の立体文字!
(自称)レイリス・ミィ・リヴァーレ・輝・スカーレット(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)がホログラム表示された豪華な執務卓に偉そうに手を組んで語り始める。
「帝竜カダスフィアを捕捉した。ありとあらゆる手段を使いこれを討ち取れ」
ベースに表示される帝竜カダスフィアの立体映像! 映像ですら威圧的な邪悪の化身たるドラゴンの巨体。特徴的なのは頭部の角の位置にチェスのキングとクイーンが立っている事。
「奴自身が最強の駒であるクイーン、そして討ち取るべきキングである、という事だろう。恐らくは……所で諸君、チェスのルールは知ってるか? 私もコマの動かし方を知っている程度なのだが」
続けてその足元から巨大なチェス盤が現れる。
「奴はチェスに由来するUCを使うようだ。ポーン、ナイト、ビショップ、ルーク。これらの形状をしたゴーレムを製造し使役してくる。恐らくは形だけではない、性質もまた駒と同様だ」
帝竜の表示を縮小し、一つづつ駒の解説を始めるレイリス。最初に表示したのは馬を象ったナイト。
「ナイトは騎士、将棋で言えば桂馬に近いが上下左右に2マス、そこから左右に1マス動き、計8か所に移動できる。それに由来するのは奇襲能力だろう。ナイトの動きは読みにくい。熟練者であれば猶更に」
次に古代戦車、車輪の付いた塔の形状をしているルーク。
「ルークは戦車だ。上下左右に制限なく動ける、将棋で言えば飛車か。それに由来するのは突破力。真っ直ぐ突っ込んでくるが正面から討ち取るのは厳しい。何かで足止めできればいいかもしれん」
続けて聖職者の帽子を象ったビショップ。
「ビショップは聖職者だ。斜め方向に制限なく動ける、将棋で言えば角だな。こちらは高機動型と予測される。ただ、ビショップは同じ色のマスにしか動けん。少なくとも、チェスのルール上はな」
ポーン、最もシンプルな形をした駒。
「ポーンは兵隊だ。歩のような物だな、数が多い。将棋と違ってチェスには取った相手の駒を使えるルールは無い……が、ポーンが一番警戒すべきかもしれん。基本的には正面に1マス、最初だけ2マス進めるだけだ。地味に斜め前方も取れたりするが、射程も移動力もは短いとみていいだろう。問題はプロモーション、昇格ルールだ。ポーンは盤の端まで到達すると別な駒に成る事が出来る……最初に言ったな、クイーンは帝竜自身と予測できる、と」
ポーンの駒が、帝竜の姿に変貌する。
「これは私の予測だ、予知ではない……だが、ポーンが一番危険である、という事は理解して貰えたと思う。他にもアンパッサンやらキャスリングやらの特殊ルールはあるがよく分からんし使ってこないだろう、特殊過ぎる」
最後にキングとクイーン。
「キングは全方向に一マス、クイーンは全方向に何マスでも進める最強の駒だ。盤面でも奴は縦横無尽に襲撃してくるだろう」
チェスの駒を退け、再び帝竜を表示する。
「盤上で追いつめる事が出来れば奴はチェス盤と合体し巨大ロボとなって襲ってくる……が、特撮の怪人巨大化のような物だ。サイズ相応の実力はあるだろうがそれだけだ。奴の本質は策士……策を弄せぬ程に追い詰めろ。盤上では奴に勝つ事は難しいかもしれんが、奴の遊びに付き合う義理も無い」
レイリスは全ての表示物を消すと、執務卓の前にゲートを開く。
「以上だ。私は見えた事件を解説するだけ……実際の対応は諸君に任せる。健闘を祈る」
Chirs
初の強敵戦です。緊張しますね。新人マスターChirs(クリス)です。
帝竜カダスフィアは必ず先制攻撃をします。このシナリオのカダスフィアは躊躇なく全部使います。怖いですね。基本的には選択されたUCを主体として扱いますが、皆さんも一つのUCに拘らずに自由に対処してみてください。
ある程度人数がまとまってから書き始めようと思いますのでご容赦を。皆さんのやりたいボス戦のお手伝いが出来れば良いなと思う所存でございます。
なお、特に指定が無くてもアドリブと連携は増し増しでお送りする予定です。
第1章 ボス戦
『帝竜カダスフィア』
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POW : ビルド・カダスフィア
無機物と合体し、自身の身長の2倍のロボに変形する。特に【チェス盤化した、半径100m以上の大地】と合体した時に最大の効果を発揮する。
SPD : ミリティア・カダスフィア
【チェス型ゴーレムの大群】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ : 形成するもの
自身からレベルm半径内の無機物を【チェス盤やチェスの駒を模した怪物】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:あなQ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
中村・裕美
「……チェスね。……ゲームくらいならやったことはあるけど」
とりあえず自分のできることを少しずつやっていこう
まずはカダスフィアに対して直角に逃げる
「……中央は……激戦区」
逃げつつも【早業】でチェス盤に電脳魔術で【ハッキング】し、【罠使い】でトラバサミや投網等のトラップを具現化。ポーンを足止めするとともに後続が前へ出るのを邪魔する。あとは前を轢き潰してルークが出るか、飛び越えてナイトが出るかあたりだが、その辺りには移動先を【見切り】落とし穴設置
UCを使う隙ができれば【ステルスボム】を早業で複数設置し雑魚を一掃、ついでにカダスフィアのクイーンもボムで【部位破壊】
「……尻尾のポーンでも……使えば?」
カグヤ・アルトニウス
○チェックメイト
本当にチェスをやってくれればそれはそれでいいんでしょうけど
ゴーレムと怪物の群れでお迎えですか
…密度が高いので纏めて始末するのが吉ですね
アドリブ歓迎
(行動:WIZ)
Eeternalblue realizationで攻撃力を強化
春吹雪・舞想麗桜を盾に突入して前衛(ポーン)を一掃
閃嵐飛奏・烈夏天雷(【鎧無視攻撃】付)でキングを唐竹割りにして牽制
瞬閃裂影・月下秋宴(【範囲攻撃】+【衝撃波】付)で残りの周囲のゴーレムや怪物ごと粉砕
白銀河・無明絶冬(【暗殺】付)でカダスフィアを討つ
という塩梅ですね
とにかく、自在に動き回られるとしんどいですから、UCのコンボを使って速攻でいきます
雨音・玲
SPD・アドリブ大歓迎
Q貴方はチェスを知っていますか?
Aそんなもん知らん!!
へぇアレが帝竜か―
およそ5.5k離れた地点から巨体を眺め
まぁ『魂喰らいの森』での師匠の地獄の特訓に比べれば楽勝
方角と風向きを確認
ぐぐぐっ~っと打身だからけの身体を伸ばしながら
こちらに気が付き目前に迫りくる「チェス型ゴーレムの大群」を
ニヤリと邪悪な笑みを浮かべながら歓迎します
新UC【月炎】―魔女との戦闘で編み出したソレは
およそ5.4kmまでの【視認】している対象を、74㎞の彼方まで【吹き飛ばす】
そう問答無用で吹き飛ばす!目標『帝竜カダスフィア』!
迫るゴーレムはすべて砲弾!
さぁ好きなだけ生み出しな全部たたき返してやるよ!!
シャルロッテ・ヴェイロン
とんでもない力ですね。最初のでこれだとすると、ラスボスはどうなるでしょうね。
〇対策
バイオリュウグウノツカイを【操縦】して、敵の攻撃を【見切り】つつ【時間稼ぎ】。ダメージは【オーラ防御】【激痛耐性】でしのぐ。その間【PROGRISE:INSTALL】で能力解析+強化(攻撃力重点。【世界知識】【戦闘知識】も加味しておく)。
〇攻撃
敵陣からある程度距離を置き、まずは「爆裂」属性付与で配下を攻撃(【2回攻撃】【乱れ撃ち】【制圧射撃】)。そして本体には「竜殺し」属性付与で攻撃(【一斉発射】【鎧無視攻撃】)。
※アドリブ・連携歓迎
ニィエン・バハムート
先制攻撃は翼のメガリスで【空中浮遊】、そして【空中戦】技能で飛ぶことで躱します。チェス駒が、ゴーレムが簡単に飛べますか?
そして敵が『形成するもの』で逃げる私のメガリスを怪物に変換してきたらUC『ナマズシャーク・トルネード』で竜を呼び出しその内の1体に【動物と話す】ことで指示を出し私を銜えさせて空に逃げます。
屈辱に打ち震えながらも【激痛耐性】で痛みに耐え、カダスフィアの遥か頭上まで私を運ばせます。チェス盤化した大地と合体しているなら帝竜は飛べないはず。
そして帝竜に向かって私を落とさせ、無様な姿なまま帝竜に接触して選択UC発動。
100mの大地と合体した程度で大地震を防げるものか、試して見なさい!
ロラン・ヒュッテンブレナー
合言葉は【ファランビー】!なの
あれが帝竜…
でも、ハロちゃんチェリカちゃんと一緒ならこわくないよ
まず出方を見るの
駒の動きをよく見て【情報収集】
駒の役割【世界知識】に合わせて反撃、今なの!
UC【魔狼解放】で人狼の潜在魔力を引き出すよ
ハロちゃん、チェリカちゃん、お願いね
【ダッシュ】で近づきながら相手の戦法を【ハッキング】【学習力】で分析
二人に指示を出すよ
盤面に【封印を解く】で操作の妨害も試みるの
カダスフィアに近づけたら人狼の走力【残像】で巨体の死角に入り込むよ
【多重詠唱】でUC【捕え抱き締める虚無の手】を【高速詠唱】【全力魔法】で発動
魔狼状態のぼくの魔術、味わってね
離脱したら反動で気絶しちゃうかも…
ハロ・シエラ
【ファランビー】!
とは言うものの、相手の力は厄介ですね。
ロランさんの指示を軸に対処していきましょう。
私の役目は陸上でのロランさんのガード。
彼の一歩先を【ダッシュ】し、無機物から生まれた怪物やゴーレムに対処しましょう。
主に私の方に敵を【おびき寄せ】、動きを【見切り】、【カウンター】で攻撃していく事になるでしょうね。
しかし、この敵の多さではその内囲まれるでしょうし、ポーンもプロモーションの為に動くはず。
一度剣を置き、ユーベルコードで敵を凍らせて【マヒ攻撃】とします。
【全力魔法】で撃てば、巨大になったとは言え、カダスフィアの一部でも凍らせ、鈍らせる事ができるでしょう。
後はロランさん、お願いします!
チェリカ・ロンド
【ファランビー】!
見て見て!ドラゴンだわ!でかいわね!
ええと、チェスの駒が動いてて、その奥にいるのがドラゴンで、そいつがキングとクイーンで……?
……つまり、邪魔な駒は全部ぶっ壊せばOKよね!
キングの竜を狙うロランの援護に徹するわ。【魔神化】でいくわよ!
地上はハロに任せて、魔力の翼で空を飛んで、高機動の駒から潰していくわ!
急降下からの【光聖剣バルムンク】と【魔剣ルーンソード改】で叩き切る!離れてる奴は【連続チェリカ砲】で粉砕よ!
どっちがナイトで、どっちがビショップかしら……?まぁ砕ければみんな同じね!
カダスフィアに肉薄したら、【生まれながらの光フルバースト】で目潰し!
決めちゃえ、ロラン!
ルネ・プロスト
人形達は死霊憑依&自律行動
ポーン8体で前線構築、制圧射撃&乱れ撃ちで正面牽制しつつ敵UC圏外まで後退
突っ込んでくる駒はルーク2体の盾受けで受け止める
キングは武器受け&カウンター&なぎ払いで懐まで入ってきた駒の迎撃
敵ナイトは『慟哭』から鈍化の呪詛を込めた誘導弾で狙撃して時間稼ぎ
クイーンは高速詠唱&範囲攻撃で敵陣爆撃して敵の数を削る
先制攻撃凌いだらUC使用
飛翔させたポーン達で敵ポーン掃討後、帝竜本体を空中から魔法弾の一斉発射で攻撃
空いた前線はビショップ2体のオーラ防御で補完
プロモーションを警戒すべきなのは重々承知してるよ
同じチェス駒使いだしね
あぁ、だから。こちらが先にプロモーションをさせてもらうよ
ナイ・デス
将棋……チェスでは、持ち駒がぽんと現れる、というようなことは、ですよね
……それをしましょうか
私の一手で詰み(チェックメイト)とはならなくても
繋がるような、王手(チェック)を
【怪力ダッシュ】で盤面を突き進む
迫る敵を【見切り、念動力】で自身【吹き飛ばし】急加速回避や
すれ違い【カウンター】鎧からの刃で斬って進み
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】とったと思わせても、止まらない
そう【存在感】発し、注目させて
倒される。終わったと思わせて、その瞬間
王手(チェック)
『フェイタルムーブ』
死角からの【鎧無視攻撃】で刃刺して【生命力吸収】
不意打ちと虚脱感で、仲間が詰める、チャンスをつくります
●さあ、ゲームを始めよう
「来たな、猟兵」
帝竜『カダスフィア』。
巨大なチェス盤のキングとクイーンが置かれるべき位置で堂々と待ち構える姿は正しく帝竜と呼ばれるべき脅威である。盤上には既に巨大なチェスの駒、ポーンが8体、ナイト、ビショップ、ルークが2体ずつ配置済みだ。
相対するは九人の猟兵。
「あれが帝竜……でも、ハロちゃんチェリカちゃんと一緒ならこわくないよ」
「見て見て! ドラゴンだわ! でかいわね! ええと、チェスの駒が動いてて、その奥にいるのがドラゴンで、そいつがキングとクイーンで……? つまり、邪魔な駒は全部ぶっ壊せばOKよね!」
「とは言うものの、相手の力は厄介ですね。ロランさんの指示を軸に対処していきましょう」
ロラン・ヒュッテンブレナー(人狼の電脳魔術士・f04258)チェリカ・ロンド(聖なる光のバーゲンセール・f05395)ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)の少年少女達は既に策は決まっているようだ。
「とんでもない力ですね。最初のでこれだとすると、ラスボスはどうなるでしょうね」
シャルロッテ・ヴェイロン(お嬢様ゲーマーAliceCV・f22917)もそれに同調するように言った。
「……チェスね……ゲームくらいならやったことはあるけど」
中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)が小声でぼやくと、同調するように。
「チェスだぁ? そんなもん知らん!!」
雨音・玲(路地裏のカラス・f16697)が堂々と宣言する。
「本当にチェスをやってくれれたりします?」
カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)が試しとばかりに帝竜に問いかけてみると、
「貴様らが一手ずつ動くのであれば構わないが?」
挑発するように帝竜が返してくる。
「人間チェスって何かにあったね。あれは駒を取られても気絶する程度で済んだけど、コレは本当に殺してくるだろうね」
この中で最もチェスに精通しているであろうルネ・プロスト(人形王国・f21741)がその提案に疑問を呈すると、
「当然だろう? これは遊戯では無ない故にな」
帝竜は律義にもそう答える。
「それで、いつまでこうして睨み合っているお積もりですの?」
ニィエン・バハムート(竜王のドラゴニアン(自称)・f26511)が不満げに漏らすと裕美が、
「……大体、枝は付け終えた。時間稼ぎ、もういい……」
その一言を機に猟兵達は一気に動き出す!
●ポーンVSポーン
ルネが駒盤遊戯(ドールズナイト)16体を展開する!
「小娘、貴様もか」
「あなたほどルールに則ってはいないけど、ね!」
軽装歩兵(ポーン)が一糸乱れぬ動きで構えた長銃から一斉に散弾の弾幕が展開される!
「散弾ではなぁ!」
だが帝竜ポーンは意に介さず! ずん、と一斉に2マス前進!
「現れよ! 竜の群勢! バハムート・レギオン!」
ニィエンが大量のバハムート・レギオンが次々とポーンに食らい付くが、
「ナマズではないか!」
手に持った槍を振り回すだけで蹴散らされてしまう。
「その程度か猟兵。ポーンすら越えられぬとは些か期待外れであるぞ?」
ずしん、と地響きを立てて更に1マス前進するポーン! 下半身はチェスの駒その物だが、上半身は槍を持った兵士を模しているそれは一つ一つが巨大! 雑兵ですらこの強さなのだ。
「ポーンは任せな!」
二人の前に出た玲がぐぐぐっ~っと打身だからけの身体を伸ばしながら、律義にも1マスずつ前進してくるポーンを、ニヤリと邪悪な笑みを浮かべて見つめる!
「まだまだ師匠見たいには行かないけどな――吹き飛べ!!!」
裂帛の気合と共に放たれた魔力波動がポーンの一体を帝竜に向ってふっ飛ばした!
「それがどうした」
帝竜はぞんざいに腕を一振りするとそれを弾き落とし粉々に砕く!
「迫るゴーレムはすべて砲弾! さぁ好きなだけ生み出しな、全部たたき返してやるよ!!」
続け様に第二波を放とうとしたその時、カクカク軌道で空中を進む二体のビショップが玲を押し潰さんと迫り来る。玲は瞬時にそちらに標的を切り替えようとするが動きが不規則過ぎて掴めない!
「まさか、チェス盤のゴーレムがいとも容易く空を飛ぶとは予想外だったけど」
メガリスの力で飛行したニィエンが再びバハムート・レギオンを放つ。二体のビショップに大量のバハムート・レギオンが群がり嚙り付く!
「ポーンすら倒せぬナマズに何が出来る?」
「足止めだろうが!」
玲の放った魔力波動が一体のビショップを捕え、もう一体のビショッブにぶつけて粉砕した!
「ほう?」
帝竜は感心したように腕を振り、新たに二体のビショップを作り出す。
「キリがねぇ!」
「大体分かった」
ルネの宣言と共に駒盤遊戯(ドールズナイト)16体が身構える。
「ポーンの相手はルネに任せて。玲とニィエンはさっきみたいな奇襲を防いで」
ずん、とまた1マス前進するポーン。
「分かった、乗るぜ」
「私も乗りますわ」
玲はいつでも撃てるように発動待機、ニィエンはバハムート・レギオンを従えて空中哨戒!
再び、軽装歩兵(ポーン)が長銃を一糸乱れぬ動きで長銃を構えて一斉射撃で弾幕を張る。同時に遊撃騎兵(ナイト)が騎兵槍突撃! ポーン二体にヒビが入る! そこに女帝人形(クイーン/ママ)の炸裂魔法が直撃し、ポーン2体粉砕! 前線に進んだ重装歩兵(ルーク)が1マス前進しようとするポーンを盾で弾き飛ばし、戻って来た遊撃騎兵(ナイト)が貫き砕く! 残りのポーンがすかさず前進。しかし、そのマスに仕掛けられていた巨大虎ハサミが発動! 足の止まったポーンを皇帝人形(キング/パパ)の斧槍が粉々に砕く! ポーン全滅!
「流石にポーンでは止まらんな」
帝竜は腕を振り……16体のポーンが出現!
「戯れは終わりだ」
1マスずつではない、どんどんと地響きを立てながら迫り来るポーン!
「遊ばれてたってか? 舐めやがって」
「あの帝竜は策士。盤上で勝ち目は無い」
ルネが迫り来るポーンを見据えて言った。
「今、帝竜は盤上から下りた。自らの遺志で、盤上を放棄した」
「抜かすか小娘ぇ!」
「もうポーンは大丈夫、二人も好きに動いて」
「わかりましたわ!」
ニィエンはバハムート・レギオンを引き連れて空に上がる。だが玲は動かない。
「俺はここでいい。砲弾がいくらでも来るからな」
新たに生み出されたポーンの一体を帝竜に向けて飛ばしながら言った。ルネも二度は言わなかった。
「雑兵、散弾と言ったね? ……真の姿を見せることを許すよ、軽装歩兵(ポーン)。君達を侮ったこと、存分に後悔させてあげよう。さぁ、変身(プロモーション)だ!」
長銃を構えていた8体のポーンが、それぞれ麗しい姫騎士の姿へと変身する! 剣と銃が一体化したような魔法銃剣を構え、溢れ出る膨大な魔力によって飛翔し、巨大なポーンに襲い掛かった! 他の駒盤遊戯(ドールズナイト)もそれに負けじと続く!
「ヒュウ、どうして最初からやらなかったんだ?」
「変身(プロモーション)はそう簡単にやっちゃいけない物でしょ?」
「そりゃそうだけど、な!」
玲も一体のポーンを叩きつけながら言った。
●騎士と聖職者と戦車と
後方で駒の動きを観察していたロランとシャルロッテ、それを守る様に布陣したハロとチェリカ。
ハロは突っ込んでくるルークの轢殺行進を見切ってギリギリで躱し、カウンターでコールド・ブラッドを叩き付け凍結させて動きを鈍らせる。更に、魔神化(デモニゼーション)したチェリカが光聖剣バルムンクと魔剣ルーンソード改による二刀十字斬り。今度はチェリカに向って突進してきたルークをチェリカが躱し、ハロの左手に呼び寄せた魔銃の弾丸、ディール・ウィズ・ザ・デヴィルが穴を穿ち、右手の窮地を穿つ秘匿の雷剣が穿った穴を貫く。そこにチェリカ砲の追撃を受けてルークはバラバラに粉砕された。
「大した連携だが駒の一つを屠るのに二手も三手も使って良いのか?」
破壊されたルークを再生成しながら帝竜が煽る。
「独裁者(ソロプレイヤー)と違ってこっちは手数が多いんでね」
「もう全部、見えたの」
戦場を俯瞰するように見ていたロランが動き出す。
「月光魔素、生成式展開」
それは、人狼病を強制的に覚醒させる危険なユーベルコード。
「月夜の獣、我が命によりて、この身に現れよ。我が銘によりて、汝縛されるべし。汝の名は、音狼!」
魔術回路の首輪と鎖で縛られた狼へと変貌し、巨大な盤面を走り始める!
「チェリカちゃん、カクカクしてるのビショップ。空を飛んでくる、唯一の航空戦力。落とせば制空権はこっちのもの!」
「分かった! チェ、リ、カ、砲ぅぅぅぅッ!」
ビショップに向けて放たれた聖なる光を無理矢理破壊の力に変えた魔法! しかしビショップはカクカクした不規則な動きで空へと退避!
「攻撃プログラム展開。敵に直接コマンド入力といきますよ!」
そこにシャルロッテの爆裂属性の実体化した攻撃用プログラムが次々と襲い掛かる! しかし、先の読めないカクカクした動きでビショップはこれも回避。だが!
「そこだぁーッ!」
それを先読みしたチェリカの光聖剣バルムンクがビショップを貫き、魔剣ルーンソード改が叩き落す!
「出し惜しみは無しです。封印を解きます……この剣は、痛いですよ!」
呪いの力を利用して身を守る軽鎧を纏った姿に変身したハロが大剣へと変化させたサーペントベインで切り砕く!
「魔術式構築演算開始……キープロトコル設定……設置空間検索……確定。魔術陣展開……スリープ。トラップ設置完了」
走りながらAIめいて囁くロランの頭上からナイトが押し潰しにかかる!
「先に頭を潰さんと面倒なようだ」
「将を射るとするなら馬から、だよ」
ただ指令を出すだけのロラン自身は弱敵、その驕りは確かに存在した。ロランの頭上に展開した重力場を構築する複数の魔術陣から敵を捕縛する重力の鎖がナイトを縛り付ける。そこにシャルロッテの攻勢プログラムが突き刺さりナイトは爆発四散!
「調子に乗るのはそこまでだ」
しかし行く先にはもう一体のビショップ、ルーク、ナイトが待ち構えるキルゾーンが!
「お前がな」
しかしロランを潰しにかかった三つの駒は突如爆発!
「何だと?」
「ワンパ乙。雑魚過ぎ」
仕掛けたのは未だ後方に居る裕美!
「この盤面は既に頂いたから。NDK」
「ぬぅぅー……」
自身が追い詰められつつある。最早帝竜もそれを認めざるを得ない。
●キングを討て
「わが魂は剣、わが意志は刃、今ここに『エクストラ・ブルー』より再臨せよ、『永遠なる青』の刃よ!」
最初に帝竜にその刃を届かせたのはカグヤだった。創造した大太刀を構え、
「剣なりし花吹雪の舞をその身に受けなさい」
春吹雪・舞想麗桜で自身に迫る駒をやり過ごし、
「始まりは突然に、終わりは気まぐれに訪れる……あなたはここでその定めを知るといいでしょう」
空間跳躍の踏み込みで雷撃の如き鋭い斬撃で帝竜の頭のキングの駒を狙う! しかし!
「させぬわ!」
それを呼んだ帝竜は剛腕で頭上を薙ぎ払い、カグヤを弾き飛ばす! それでもカグヤは止まらない!
「時間と空間の理を超えし者の力、例えそれが真をなぞらえし偽物だとしても……今、ここに示しましょう」
擬似神霊体化によって剛腕の薙ぎ払いを軽減し、そのまま連続短距離テレポート! 自らの寿命を犠牲にした死角からの連続攻撃!
「ぬぅぅぅー、こそばゆいわ!」
帝竜はが吼える! それはユーベルコードではないただの咆哮。にも拘らずあまりのプレッシャーにカグヤは攻撃を中断せざるを得なかった。
「速攻勝負とはいきませんでしたか」
そして、足元のチェス盤がバラバラに砕かれた!
「僅かに一手。僅かに数日……。ヴァルギリオス様の仰られた程、我等は後手に回った訳ではない」
砕かれた破片が帝竜『カダスフィア』の周囲に集う。
「しかし、それでも、この最速の我さえも、敵に先手を許す事となった」
形成されたそれは、あまりにも巨大な……竜のゴーレム。しかも砕かれ使われたチェス盤の大地は既に! 再生成され始めている!
「我を含む『再孵化』した帝竜に、それ以前の記憶は無い。だが、我が脳裏には、苦い敗北の悪夢が刻まれている。敵の喉元に喰らいついておきながら敗北を喫した、苦い記憶が……だが、それはつまり。どのような盤面からでも、勝利の光明は見えるという事。例え捨て駒となろうとも、勝利の栄光をヴァルギリオス様の御元に捧げん!」
刺し違えてでも貴様等を殺す。帝竜『カダスフィア』の覚悟の表れだ。
「そうなんだ」
しかし、その再生成されつつある盤面の大地を掴み、強引に投げ付ける者あり! 当然猟兵!
再生成されたビショップの突撃、ルークの轢殺を見切り、念動力で自身を吹き飛ばし急加速回避! ナイトの鎧の下に戦意喪失するほど美しい対の短剣を滑り込ませ、猛烈な勢いで強襲するナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)! 突然の乱入者に対しカダスフィアはただ、大きく脚を上げ。
「ふん!」
その大質量で踏み潰した。
「まだ伏兵が居たとは感心する周到さだ。だが、もう終わりだ」
「王手(チェック)」
ナイが、カダスフィアの逆鱗に刃を突き立て、その溢れる生命力を僅かに吸い出した。一体何が起こったのか。猟兵諸君であれば理解できたはずだ。
踏み潰されたかに見えたナイはその仮初の肉体を放棄し、巨大化した事により生じた死角に新しい肉体を再生成。その刃を突き立てたのだ! これがナイの今はあなたの後ろにいる(フェイタルムーブ)! 何という死をも恐れぬヤドリガミの一瞬の油断も許さぬ大胆不敵な奇襲攻撃か!
「巨大化は負けフラグ」
油断なく設置された裕美のステルスボムが内側から爆裂して装甲を剥がす!
「世界を揺るがす竜王の鉄槌! バハムート・デストラクション!」
はるか上空から放たれた十全のニィエンのナマズのグラグラ大地震(ナマズノグラグラダイジシン)が大地の鎧を揺さぶる!
「もう逃げ場はないよ。これで、幕引き(チェックメイト)だ!」
ルネの駒盤遊戯(ドールズナイト)16体による総攻撃!
「こいつも持ってけ!」
玲の月炎(ルナブレイク)により放たれた砕けた大地が直撃!
「電脳空間アクセス。空間パラメータ解析……局所重力作成式構築……、マナ充填、現実投影完了……。魔術陣、展開……」
AIめいて囁くロランが捕え抱き締める虚無の手(トラエダキシメルキョムノテ)を発動!
「吼え猛れ、『シルバーフォックス』!!!」
ハロが封印を解き霊力解放状態にしたレイピアの一撃!
「これが私の全力全開! ハァァァァァァァッ!!」
魔神チェリカのもはや破壊の奔流と化した極大の聖なる光!
「攻撃プログラム展開。敵に直接コマンド入力、竜殺し!」
シャルロッテのATTACK COMMAND(アタックコマンド)による竜殺し攻撃用プログラムが本体の竜を蝕む!
「剣術の妙技……それは揺蕩う空であろうとも流れる事無く切り裂く事です」
カグヤの軌道が白く輝き、切口が凍結する鋭い斬撃!
10連撃! ナイの作った僅かな隙を付いた華やかな即興連携攻撃だ!
「さし、違えてでも……」
「じゃあな、楽しかったぜ!」
玲の月炎が、遂にはカダスフィア自身をはるか上空までふっ飛ばし、帝竜カダスフィアは爆発四散! 猟兵の完全勝利だ!
今ここに恐るべき帝竜の一体が討ち取られた。しかし、数居る帝竜の内の一体が討ち取られたに過ぎない。
まだ戦いは続く。しかし、今は。疲れ切った体を休め、お高いの健闘を称え合おう。せめて、今だけは。
大成功
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