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帝竜戦役②〜龍翼負い、龍鱗纏い、龍角生え出る

#アックス&ウィザーズ #戦争 #帝竜戦役 #群竜大陸

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●龍化忍者
「帝竜ヴァルギリオスよ、我らがニンポーをご覧あれ!」
 かつてはエルフのくノ一であった者たちの姿は今や竜の翼と鱗、角の生えた異形のエルフへと姿を変えていた。
 皆殺しの平野、風吹く荒野にて、オブリビオンの群体は例にもれず、必ずドラゴン化する。
 それはドラゴン化を促す風によって、より強力なオブリビオンへと変化するのだ。
 以前はなかった翼を得て、空からの強襲攻撃を可能とし、固い鱗に覆われた皮膚は急所を除いてはあらゆる攻撃を弾き返す。生えた角はクナイにさらなる力を付与するのだ。

 それもこれも帝竜ヴァルギリオスのためである。
 アックス&ウィザーズのオブリビオン・フォーミュラである帝竜ヴァルギリオス。
 彼がエルフのクノイチたちに与えた使命は、この皆殺しの平野にて猟兵の進撃を食い止めること。
 食い止めることが叶わなくとも、その進撃を遅延させること。それを成せ、というのが主であるヴァルギリオスの命。

「この生命を駒にして捨てよとおっしゃられるのであれば、我らクノイチ喜んで!」
 歪んだ使命感に囚われた、ドラゴン化を果たしたエルフのクノイチたちは、一斉に皆殺しの平野を駆ける。
 それは目の前に迫る猟兵達を見据え、彼らに空からの強襲という一撃を与えようとしていた―――。

●帝竜戦役
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを出迎えたのは、ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)だった。
 彼女は頭を下げてから、この帝竜戦役と呼ばれる戦いに赴く猟兵たちに敬意を払ったのだ。
「お集まり頂きありがとうございます。帝竜戦役……もう皆様もご存知のことかと思われますが、オブリビオン・フォーミュラ、帝竜「ヴァルギリオス」が出現し、計画の前倒しを行ってでもアックス&ウィザーズ世界を滅ぼそうとしています」

 現時点で蘇生した配下である「帝竜」たちを伴って、猟兵たちに対しての迎撃の準備を行っている彼らに対して先制し、迎撃の出鼻をくじかねばならない。
 初戦の大切さは言うまでもない。迅速にヴァルギリオスを滅ぼし、アックス&ウィザーズを救わねばならない。
「はい、この皆殺しの平野と呼ばれるオブリビオンをドラゴン化する風吹く平野を切り抜けていただかなければなりません」
 この平野に吹く風はオブリビオンをドラゴン化し、強化してしまう。それも一体ではなく、群体としてのオブリビオンもまた全てドラゴン化してしまうのだ。
 その驚異は計り知れない。群体全体が強化されるということは、平野を突破するのにも困難がつきまとうということだ。

「かつてはエルフのクノイチと呼ばれた群体オブリビオンが空から襲撃してきます。彼女たちは一様に竜の翼と鱗、それに角を得た姿をしています。群体としての強みを残しつつ、個々の能力が強化されているので、以前戦ったことが在る方も注意が必要でしょう」
 この空中からの攻撃に如何に対処するか。そして、硬い鱗に覆われた「急所」をどのように攻撃するか。
 その両方を満たし戦いながら、平野を突き進まなければならないのだ。

「皆さんのユーベルコードを駆使し、彼女たちを蹴散らして進んで頂きたいのです。ここで時間を取られてしまうと、帝竜たちに猟兵迎撃の準備を済まされてしまう可能性があります。そうならないためにも迅速な撃破が求められています」
 説明は簡潔に済ませた。
 緊急であるため、いつものように余裕を持って送り出す時間がない。けれど、ナイアルテは猟兵たちがきっと無事に成し遂げてくるであろうことを確信していた。
 いつだって彼らは自分の想像以上の戦果を上げてくるのだから―――。


海鶴
 マスターの海鶴です。

 ※これは1章構成の『帝竜戦役』の戦争シナリオとなります。

 皆殺しの平野へと進撃し、待ち受けるドラゴン化した群体オブリビオン、エルフのクノイチを撃破しましょう。

 ※このシナリオには特別なプレイングボーナスがあります。これに基づく行動をすると有利になります。

 プレイングボーナス……空中からの攻撃に対処し、硬いうろこに覆われた「急所」を攻撃する。

●この戦場で手に入れられる財宝
 財宝「竜胆石(りんどうせき)」……ドラゴン化した敵の体内から1匹につき1個取れる美しい宝石。金貨40枚(40万円)の価値。

 アイテムとして発行するものではありません。ロールプレイのエッセンスとして扱ってください。

 それでは、帝竜戦役を戦い抜く皆さんのキャラクターの物語の一片となれますよう、いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『エルフのクノイチ』

POW   :    ニンポー・クナイ分身の術
レベル×5本の【の数に分身する毒】属性の【毒の塗られたクナイ】を放つ。
SPD   :    ニンポー・変わり身の術
完全な脱力状態でユーベルコードを受けると、それを無効化して【身代わりにした物】から排出する。失敗すると被害は2倍。
WIZ   :    ニンポー・房中術
【色仕掛け】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:仲村くさた

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ドラゴン化したエルフのクノイチたちが、皆殺しの平野を駆ける。
 以前であれば、荒野を土煙を上げて走っていたことだろう。だが、今は違う。
 ドラゴン化したことにより得た竜翼は、空を自由に舞い、眼下に迫る猟兵たちを睨めつける。
 硬い龍鱗で覆われた体は、急所以外の攻撃を受け付けず、その防御を鉄壁と成す。

「これがドラゴン化!帝竜ヴァルギリオス様の御下命とあれば、この生命如何様にも使ってでも、猟兵の進撃を止められずとも遅々として遅らせてくれようぞ!」
 彼女たちの使命感は歪みきり、己の生命など無いに等しい任務であろうとも喜んで生命を捨てることだろう。

 同情する時間など猟兵には残されていない。
 一刻も早く迎撃準備の不完全な帝竜たちへと向かい、滅ぼさなければアックス&ウィザーズ世界が滅んでしまう。
 それだけはなんとしても阻止しなければならない―――!
亜儀流野・珠
ほう、エルフのクノイチ!
そういう者もいるのか!
興味があるが……もうクノイチなのか竜なのかわからん奴らになってしまってるな。
まあいいどちらにしろ倒すのみだ!

さて急所とはどこだ?
よくわからんが鱗が最も厚そうな部分があったら
そこを狙ってみるとするか!
攻撃手段は「焔弾」……超圧縮した狐火!
空のクノイチ達を貫き、爆破し、燃やしてやる!
爆発により敵が落ちてきた、もしくは攻撃の為に近付いてきた時には脇差「夕桜」で斬る!

色仕掛け? 効くと思うか?
進行を阻む壁が何か仕掛けてきても何も感じん。
ただ壊し先へ行くのみだ!

美味いプリンでも有ったら食いつくかもしれんがな。
勿論お前達を倒した後でゆっくりとな!



 かつて別の世界より迷い込みしエルフの忍者たち。
 その弟子たちの成れの果てが、今アックス&ウィザーズにおいて、帝竜ヴァルギリオスの配下として猟兵たちに襲いかかる。
 ドラゴン化を促す風によって、竜翼と龍鱗、それに龍角を得て変じた姿は最早エルフと呼ぶには、あまりにも異形の姿をしていた。

 皆殺しの平野を進む猟兵、亜儀流野・珠(狐の恩返し・f01686)の真紅の瞳に映ったのは、空を舞い、こちらへと急降下を仕掛けようとしているエルフのクノイチの群体。
「ほう、エルフのクノイチ!そういう者いるのか!」
 感嘆の声を上げたのは、彼女が妖狐故であろうか。エルフと忍者……つまりはクノイチというのはどうにもむず美つきにくいものであったがゆえに、その組み合わせに驚きを示したのだ。
「興味はあるが……もうクノイチなのか、竜なのかわからん奴らになってしまってるな。まあいい。どちらにしろ倒すのみだ!」
 急降下を仕掛けるエルフのクノイチたちに珠は迎え撃つ構えを取る。
 空を飛ぶものは、地を征くものに対してアドバンテージを得ている。それは、空から一方的に攻撃ができる、という点である。こちらの攻撃jは届かないが、あちらの攻撃は一方的に攻撃できる。

 それに龍鱗に覆われた肌は強固であり、どこに急所があるかわからない。それに群体である以上、全てが一律に同じ場所に急所があるということすら定かではないのだ。
 しかし、珠にはわかっている。弱いものほど、弱点は固く庇おうとするのだ。

「さて、急所は何処だ?よくわからんが鱗が分厚そうな……そこを狙ってみるとするか!」
 いや、ほぼ直感であっただけだった。
 彼女のユーベルコード、焔弾(ホムラダマ)が発動する。
 空を飛び、急降下してくるエルフのクノイチに拳を向ける。それは空を飛ぶエルフのクノイチにとってはリーチの足りぬ、対策するに値しない拳であった。
 だが、彼女は猟兵である。世の理の埒外にある者である。ならば、その拳によって超圧縮された狐火が弾丸のようになって打ち出されてもなんら不思議ではないのだ。
「貫き通せ!」
 珠の放った超圧縮された狐火の弾丸は、空のエルフのクノイチの龍鱗分厚く覆われていた急所を見事に貫く。
 内部に食い込んだ狐火は内側から爆破され、一瞬でエルフのクノイチは焔のまかれ骸の海へと返っていく。

「なるほど!当たりだな!おっ―――と!」
 さらに急降下してきたエルフのクノイチを脇差「夕桜」の刀身がひらめき、切り裂く。扱いやすく頑丈さを兼ね備えた脇差は小回りを聞かせて剣閃でもってエルフのクノイチの急所を刺し貫いていた。

 そして、エルフのクノイチたちはニンポー・房中術を使おうとして、それが無駄であることを悟った。
 性別が同じでも……そう思ったのが間違いであった。珠にはそんな色仕掛け、何一つ響かないのだ。
「色仕掛け?効くと思うか?進行を阻む壁が何か仕掛けてきても何も感じん。ただ壊して先へ行くのみだ!」
 まあ、美味いプリンでもあったら食いつくかもしれんがな!と珠は快活に笑う。そう、甘味であれば珠も釣られてニンポーに掛かったやもしれない。
 だが、それももう遅い。
 彼女の頭の中にある絶品プリンは、この帝竜戦役を終えた後でじっくりと頂くことになっているのだ。

「さあ、美味いプリンのため!征くぞ!」
 お楽しみはいつだって、あとに取っておくのだ。そのほうがゆっくりじっくりと楽しめるのだから!

 珠は皆殺しの平野を駆け抜ける。エルフのクノイチたちは、主命である猟兵の進撃を遅らせることを果たせず、尽くが地に落ちた。
 未だ帝竜戦役は始まったばかりだが、珠の先駆けは、猟兵達の士気を大いに上げたのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

トリテレイア・ゼロナイン
(UCを装着し敵に対抗し飛行)
くノ一はサムライエンパイアの職業では…
いえ、シーフの亜種なのかもしれませんね

疑問はさて置き
帝竜に捧ぐ忠誠心は敵ながら見事
ですがA&Wの人々の平穏の為、押し通らせていただきます

放たれる苦無をセンサーでの●情報収集で検知
実体を探知し分身を●見切った攻撃を慣性制御による翼では不可能な鋭い切り替えしの機動と頭部、肩部格納銃器での●スナイパー●武器落としで迎撃

そのまま高速接近し慣性を最大限乗せた●怪力●シールドバッシュで敵の態勢を崩し、晒した急所を鱗ごと怪力で振るう対艦砲の一射で撃破してゆきます

騎士の戦いぶりとはいえませんが、これも戦役勝利の為
竜胆石など考慮に入れず敵を掃討



 皆殺しの平野に吹く風はオブリビオンをドラゴン化させる。
 それは単純な能力強化と竜翼による飛翔能力、そして龍鱗による硬い防御の獲得を成すものである。
 それが群体オブリビオンに行われた場合、個々の能力は底上げされ、群体ならではの連携によって強力な障害となることは間違いなかった。

 しかし、強化を施されているのは猟兵もまた同じである。
 戦機猟兵用全環境機動型大型標的攻撃試作装備(プロトマルチアームドフォート・イェーガーカスタム)をその体に装着したトリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)は、竜翼をもつエルフのクノイチたちの領分をも遥かに超える機動力で持って圧倒する。
「くノ一はサムライエンパイアの職業では……いえ、シーフの亜種なのかもしれませんね」
 そんな疑問はさて置き。彼の今の姿は最早要塞と言っても差し支えないほどの威容であった。
どんな環境であれ、今の彼は三次元機動能力を有した猟兵なのだ。その場しのぎでドラゴン化させられ、急造で得た飛翔能力など彼の前には無意味であった。

「帝竜に捧ぐ忠誠心は敵ながら見事。ですが、アックス&ウィザーズの平穏のため、押し通らせていただきます」
 彼の飛翔能力は群体であるエルフのクノイチたちをして、圧倒するものである。
 数で押そうとクナイを投げつけるが、焼け石に水である。
 彼の各種センサーに死角はなく、瞬時に得られる情報収集能力によって検知される。その上、慣性制御では不可能な鋭い切り返しによる変幻自在の起動によって、その全てがかわされる。
 さらに放たれるクナイを頭部と肩部格納銃器によって、尽くが撃ち落とされるのだ。

「如何なる龍鱗と言えども―――圧倒的な質量の前では!」
 一気に急加速し、高速でエルフのクノイチたちの群体へと突っ込むトリテレイア。構えたシールドで持って多数のエルフのクノイチたちを巻き込みながら、空中での姿勢を崩す。
 それによってさらけ出される鱗の無い急所。
 一瞬で、トリテレイアのアイセンサーが、それらを捉える。最早逃れる術はなく、彼の怪力で振るう対艦砲の一撃が、エルフのクノイチたちの急所を貫いていく。

 断末魔の叫びを上げながら、空中から地に落ちていく途中で骸の海へと霧散していく。
「騎士の戦いぶりとはいえませんが、これも戦役勝利の為―――」
 そう、これからも帝竜戦役は続く。
 今は序盤である。ここで躓いていては、今後の戦いに影響が出ることは必死である。ならばこそ、トリテレイアは些事にかまってはいられないのだ。
 ドラゴン化したオブリビオンから得られる竜胆石など、彼の視界には言っていない。

 皆殺しの平野の空を一気に駆け抜け、トリテレイアは新たなる戦場を求め、飛び立つのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神楽・鈴音
忍者って、サムライエンパイアだけの文化じゃなかったのね

敵の襲撃に合わせてUCを発動し、迷宮を空中からの強襲を防ぐ盾とする
「私の命が欲しければ、中に入って来なさい。……ただ、お代は高くつくけどね

迷宮の効果を利用してクノイチ達の認識を歪め、互いに敵同士であると錯覚させて同士討ち狙い
その間に、相手の急所を探して六尺釘をブチ込んで行く
「鱗が堅くて歯が立たないなら、鱗で覆えない部分が弱点でしょ!

関節、アキレス腱、目玉などに情け容赦なく【串刺し】攻撃
色気で誘惑?
そんなもの、効くわけないでしょ!
私を誘惑するなら、小判一億両持って来なさい……っていうか、竜胆石と一緒に、その胸も少しは寄越しなさいよ!(逆ギレ



 くノ一。その言葉聞いてサムライエンパイアを連想する猟兵は少なくないだろう。
 よもやアックス&ウィザーズの世界で聞く単語であるとは思わなかった者もいるのである。
 元々はサムライエンパイアから神隠しによって流れ着いた忍者の弟子たち……そう言われている。
 それが何の因果かアックス&ウィザーズにおいて帝竜ヴァルギリオスの配下としてドラゴン化させられ、こうして捨て駒同然に生命を散らす覚悟で猟兵達へと立ち向かってくるのだ。
 確かにここで猟兵達の足を止めさせれば、この後に控える帝竜たちの迎撃準備を整える時間を与えてしまうことになる。
 そうなってしまえば、猟兵達にとっても苦しい戦いを強いられることになるのだ。

「忍者って、サムライエンパイアだけの文化じゃなかったのね」
 しかし、そんな事情をつゆ知らぬ神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)は、皆殺しの平野を征く。
 彼女が猟兵と分かると、空を飛んでいたドラゴン化させられたエルフのクノイチたちが群体として彼女に殺到する。
 だが、彼女は慌てない。彼女にとって群体とは何ら意味をなさぬものである。数で圧する。その利を覆すユーベルコードを保有しているからだ。

 彼女のユーベルコード、御寄進神隠しの魔窟(ゴキシンカミカクシノマクツ)が発動する。それは、戦場全体に広がる、彼女に敵対する者の思考を歪める賽銭箱の山で構成された迷路を敷く結界である。
 それは迷宮に囲い込むことによって空中からの蹴撃を封じ込め、強襲を防ぐ盾として迷路を扱うのだ。
「私の生命がほしければ、中に入ってきなさい。……ただ、お代は高くつくけどね!」
 彼女の言葉通り、エルフのクノイチたちは高い代償を払うことになる。
 迷宮を進めば進むほどに意識を歪められる。思考もままならず、何を成すべきかもおぼろげになっていく。
 そんな時に動くものがあれば反射的に攻撃を加えてしまうのも無理なからぬこと。迷宮のあちらこちらで同士討ちの声が上がる。

「鱗が固くて歯が断たないなら……」
 同士討ちで意識も混濁するエルフのクノイチたちを尻目に鈴音は手にした六尺釘を龍鱗覆われぬ場所を探して打ち込む。
 それは関節であったり、アキレス腱であったり……容赦なく串刺しによってエルフのクノイチたちは、あっという間に数を減らしていく。

「だから!そんなもの効くわけないでしょ!私を誘惑するなら、小判一億両持ってきなさい……ていうか、龍胆石と一緒に、その胸も少しは寄越しなさいよ!」
 確実に逆ギレである。彼女の声は、彼女のユーベルコードで生み出された迷路に虚しく反響する。
 だが、彼女の働きによって、ドラゴン化した多くのエルフのクノイチたちは封じ込められ、味方の猟兵たちの進撃に大きく貢献したことは間違いないであろう。

 それでも彼女の逆ギレの声は大きく皆殺しの平野に響き渡るのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
むむむ、此の手の世界で素破(忍者)が現れるとはな。
……ドラゴン化しても忠義を失わぬとは、天晴れだ。
拙者、愛久山清綱。其の首貰い受ける!
■闘
ドラゴンが相手なら、俺も鷲の翼で羽ばたき【空中戦】を挑む。
縦横無尽に飛ぶことで、相手を翻弄してやろう。

先ずは敵が苦無を投げてくる瞬間を【見切り】つつ、
刀を振るって【衝撃波】を放つことで撃ち落とす。
撃ち落とせなかったものは【毒耐性】で我慢すだ。

好機が来たら居合の構えを取り、【山蛛・縛】の構え。
初撃に敵の集団目がけて【マヒ攻撃】を絡めた空間斬撃を放ち、
命中したら瞬時に納刀し、斬撃の嵐を起こし滅多切りだ。
身体全体を攻撃すれば、弱点も見つかる筈。

※アドリブ・連携歓迎



 アックス&ウィザーズは、剣と魔法と竜の世界である。
 それ故にエルフのクノイチ……今はドラゴン化して、その面影も薄れてはいるが、それでも尚、クノイチという言葉の響きに違和感を抱く猟兵も少なくはない。
 愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)もまたその一人であった。

「むむむ、此の手の世界で素破が現れるとはな」
 彼の視線は空を征くドラゴン化し、竜翼を背負い、龍鱗に鎧われた姿のエルフのクノイチ。
 そう、この皆殺しの平野に吹く風は、オブリビオンを強制的にドラゴン化してしまうのだ。群体であれば、個々の能力の底上げと飛翔能力に鱗に依る硬い防御を得ることになるのだ。
 群体である以上、連携も抜群である。そんな難敵を見上げ、清綱は感嘆するのだ。
「……ドラゴン化しても忠義を失わぬとは、天晴れだ。しかし、互いに猟兵とオブリビオン……拙者、愛久山清綱。其の首貰い受ける!」
 宣誓と共に飛翔する清綱の体。その背にあるは猛禽の翼である。ドラゴン化したエルフのクノイチたちと同様に彼もまた飛翔能力を有するのだ。
 だが、エルフのクノイチたちが彼と違うのは硬い龍鱗に覆われた体であろう。そのアドバンテージは侮れるものではない。

 それでも清綱の空中戦で動きは、急造で得た飛翔能力とはわけが違う。猛禽……鷹の翼を持つ彼にとって、飛び立ての飛翔能力を得たエルフのクノイチなど、捕食される鳥でしかない。
 縦横無尽に空を舞い飛び、彼女たちを翻弄しつくすのだ。投げつけられるクナイなど問題になろうはずもない。
 瞬時に見切り、その手にした刀によって払い落とされるのだ。
「―――まだまだ修練が足りない、と言ってやりたいところだが、先を急ぐ故!」
 清綱が空中で構える居合の型。それは彼自身のユーベルコード、山蛛・縛(ヤマグモ)が発動した証である。

 今を好機と見た清綱の放った空間斬撃は敵の集団目掛けて放たれる。それは衝撃によって一時的に身動きを止めるための初撃。つまりはジャブである。
 一瞬の流れるような動作で清綱の刀が納刀される。しかし、その瞬間現れるのは、霊魂すらも断ち切る斬撃の嵐。

 その斬撃の嵐は数多もの斬撃をあらゆる箇所へと放つ必殺の一撃。どれだけ巧妙に龍鱗で急所を隠そうが意味はない。
 なぜならば―――。
「捕らわれたが、最期……秘儀・山蛛」
 そう、彼の秘剣であるが故。

 一瞬の攻防にて、エルフのクノイチの群体を斬り伏せた清綱が見据えるは、未だ見果てぬ帝竜ヴァルギリオスの御首。
 それを目指し、清綱は大鷲の如き翼を広げ、皆殺しの平野を飛び立つのだった―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
いざ帝竜のもとへ。ここで止まることはできません

【力溜め】た、風の【属性攻撃】を込めた
【衝撃波】を宙に向け放つことで、
上空からの防御と攻撃を同時にこなしてみせましょう

【なぎ払い】、【吹き飛ばし】を駆使し
大勢から囲まれるのを防ぎますよ
そのまま【怪力】で1体1体近距離戦を挑み
倒させていただきますが……

闇雲に戦うのではなく、急所を【見切り】、
硬いうろこの間を突き、そこに【鎧砕き】の一撃を
ねじ込んでいきます
【野生の勘】でも何か閃くといいですか

相手の体勢を崩していって、至近距離戦を挑み――
めいっぱいオーラを込めた《轟鬼羅刹掌》!

見切った急所を貫き、屠ります!
これが友から授かった必殺の拳です、いかがですか!



 皆殺しの平野は、アックス&ウィザーズにて勃発した帝竜戦役の初戦である。
 まずは此の地を下し、帝竜が迎撃の準備を進める暇を与えずに進撃しなければならない。
 この皆殺しの平野に配されたエルフのクノイチたちは、もはやただの捨て駒である。だが、彼女たちにとって主命は己の生命の使い所を定めたが故の采配であると、歪んだ主従に何の抵抗もなく受け入れていた。
 それ故に彼女たちはオブリビオンである。そして、この皆殺しの平野に吹く風は、彼女たちをドラゴン化させる。
 背には竜翼によって得た飛翔能力。身を覆う龍鱗は鉄壁の防御。彼女たちは何の疑いもなく己の生命を捨てるだろう。

 それはこの地において、猟兵達の進撃を足止めするためである。そのためであるのなら、喜んで生命を捨てるのである。
 しかし、そんな彼女たちを見上げ、構える猟兵が一人。ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)である。日焼けした肌に空色の大きな瞳を持つ銀髪の少女。
「いざ帝竜の元へ。ここで止まることはできません」
 ユーフィが構える。彼女の眼差しの先には飛翔能力を得たエルフのクノイチたちが急降下にして彼女を強襲しようと、その翼を大きくはためかせた。

 彼女の瞳が捉えたのは、その羽撃きだけで十分だった。
 その構えは力を溜めるためのもの。拳に宿りしは風の力。裂帛の気合と共に放たれる拳から発せられる衝撃波は上空のエルフのクノイチたちに届くには十分な威力であった。
「さあ、私が、蛮人がお相手しましょう」
 くい、と彼女の掌が挑発的に手招きする。それを見たエルフのクノイチたちが殺到する。
 これでこの当たりの群体オブリビオンであるエルフのクノイチたちは全て惹きつけられた。
 だが、むやみに惹きつけたわけではない。拳に込めた風の力でもってなぎ払い、吹き飛ばし、多数を相手にする以上、彼女は取り囲まれぬように体捌きで立ち回るのだ。

 瞬時に彼女は一体のエルフのクノイチに照準を合わせる。
「一体一体挑ませて頂きます……!これが私のやり方ですから」
 踏み込みは深く、ユーフィの体が沈む。踏み込んだ足が一瞬で間合いの内側まで入り込めば、急所を一瞬で見切る。
 それは彼女の持つ野生の勘といってもいい程の直感力に裏付けされた一撃。例え如何なる硬い龍鱗に覆われていようとも、人体である以上、その内臓までは鎧うことは敵わないだろう。
 ユーフィの拳は衝撃となって、エルフのクノイチの内蔵を破壊する一撃となる。

 ユーベルコード、轟鬼羅刹掌(オニガヒソムゴウワンノショウテイ)。それは鬼の力やどりし、如何なる防御をも貫通する拳である。
 彼女が理解した龍鱗の特性。その急所とも言うべき内蔵。それを破壊し、打倒せしめるためには、これが最も良い戦法であるのだ。
「我が振るうは鬼の力を借りし破鎧の拳…受けてみよ!」
 鬼の力が宿った拳が羅刹の如き力を発揮する。
 その一撃は尽く、一撃絶命の拳となってエルフのクノイチたちをなぎ倒していく。
 この拳は彼女一人によって得たものではない。

「これが友から授かった必殺の拳です、いかがですか!」
 そう、彼女の友から授かり、ユーフィが体得した拳。
 この拳なくば、ユーフィは思っていた以上に苦戦したであろう。今の花序を形作るのは、己だけではない。
 他者である誰か。友というかけがえのないものが彼女を形作り、支えている。

 皆殺しの平野にて、ユーフィは全てのエルフのクノイチを打倒して進む。
 彼女の道行きは未だ遠い。帝竜ヴァルギリオスへと至る道は、まだまだ始まったばかりだ。
 だからこそ、この最初の一歩は、偉大なる一歩として踏み出されたのである―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年05月02日


挿絵イラスト