帝竜戦役①~魂を喰らう双竜を打ち砕け!~
●アックス&ウィザーズ・群竜大陸「魂喰らいの森」
群竜大陸・第一の領域「魂喰らいの森」。大地を覆い茂る深き森は、帝竜ヴァルギリオスが支配する群竜大陸を試す門の役割を果たしている。
この森の動植物は「生物の魂」を喰らうという特性を持ち合わせている。その危険地帯を踏破しなければ群竜大陸の奥に進めない上に、森の番人という強者もいるのだ。
「蜺、また美味しそうな魂は来るぞ」
「そうね。虹、二人で美味しく頂きましょう」
この黄金と漆黒の頭を持つ双頭の竜もその森の番人の一体だ。黄金の竜が光を操り、漆黒の竜が雨を操ると言われる。その名を「虹蜺」。
そして魂喰らいの森の番人だけあって、魂を好み喰らう性質を持つ。強大な竜の力を行使しつつ、その性質を存分に使って侵入者を狩りつくすのだ。
「愚かにも群竜大陸に足を踏み入れる者は贄だ。そうだろう、蜺」
「ええ、虹。わたくし達の大切な贄を歓迎しましょう」
この双頭の竜はお互いを信頼している。だが他者はたとえドラゴンであっても信用しない。故に侵入者に対し、一切の情をかけずに無残に殺し尽くし、魂すら逃さない。
その残虐なる竜が群竜大陸の行く手を阻んでいるのだ。
●グリモアベース・ブリーフィングルーム
「ということで、群竜大陸の第一歩じゃけど、まずは敵戦力を減らしていかんとのー」
そういって電脳ウインドウで「魂喰らいの森」の様子を映しながらメイスン・ドットハック(ウィザード級ハッカー(引き籠り)・f03092)は説明を始める。そこに映し出されたのは金色と漆黒の蛇竜が融合したようなドラゴンであった。
「魂喰らいの森の侵入者を狩る森の番人で、その一体の『虹蜺』と呼ばれるドラゴンじゃのー。群竜大陸で動きやすくするためにこいつの撃破を頼みたいのー」
とても仲がよく息の合ったコンビネーションを得意とする双頭の竜らしい。そして虹と呼ばれる黄金のドラゴンが光を、蜺と呼ばれる漆黒のドラゴンが雨を使った攻撃をしてくらしい。
魂喰らいの森は群竜大陸の入り口に位置する。ここを安全圏として組み込むことでより群竜大陸侵攻をスムーズに運びたいとのことだ。
だが魂喰らいの森の番人は、ユーベルコードに魂を啜るという効果を付与する。故にいつものままでは魂を攻撃されて肉体が無事でも精神が殺される可能性もある。
「それに関しては、楽しい思い出を強く心に念じるとかかのー。とにかく強く心を持つことじゃのー」
そう言ってメイスンは転移術式を開始する。群竜大陸侵攻の橋頭保を確保するために、脅威の森に立ち塞がる番人を退治する戦いが始まる。
ライラ.hack
それぞれが意志を多頭のドラゴンは何か厄介そうですね。
どうも皆様、こんばんわ。ライラ.hackです。
このたびは魂喰らいの森にて森の番人を務める双頭のドラゴン打倒が目的となります。
なお以下シナリオの留意点になります。
楽しい思い出を強く心に念じ、魂すすりに対抗する。
以上となります。この群竜大陸における橋頭保確保の戦、皆様の奮戦を期待します。
それでは素晴らしいプレイングをお待ちしております。
第1章 ボス戦
『虹蜺』
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POW : 幻日の竜
【一時的に現出させた新たな竜の頭】を巨大化し、自身からレベルm半径内の敵全員を攻撃する。敵味方の区別をしないなら3回攻撃できる。
SPD : 影落とす不雨
【黒き雨】が命中した対象を爆破し、更に互いを【疑心の感情】で繋ぐ。
WIZ : 神秘の根源
命中した【天から降り注ぐ光線】の【先端】が【虹の根本】に変形し、対象に突き刺さって抜けなくなる。
イラスト:小日向 マキナ
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠ナイツ・ディン」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ナァト・イガル
【POW・アドリブ/連携歓迎】
雨と光で虹をつくる竜、ねぇ。それだけ聞けばとても美しい歌が書けそうな題材なのに、もったいないわね。
虹といえば、私の猟兵としての初仕事は虹色のマーケットが開かれる街を守ることだったのよね。
あの美しく染まった街並み、目移りするような品物の数々、そして仲間との打ち上げ!
とっても楽しかったし、世界を守るという行為に改めて猟兵としての原点を感じたわ。
これからも、ありふれた楽しい日々を続けていきたいものよね。
聖痕の魔法陣による【盾受け】からUC『聖者の決意』を発動
敵UCを吸収し、攻撃力を重視のうえで【祈り・破魔・多重詠唱】をのせて攻撃を返すわ。
せめて、仲の良いまま還りなさい
備傘・剱
ほほぅ、俺が美味しそう、そう言ったんだな?
そいつは、つまり、覚悟してるって事だよな?
さぁ、どっちが捕食者か、決めようじゃないか
調理開始、発動
衝撃波、呪殺弾、誘導弾、全弾発射して、弾幕を用意
それに紛れて、暗殺風味に近づいて、串打ち
鎧無視攻撃と鎧砕きを重ねたナイフで鱗を切り裂きつつ料理を使って解体していこう
オーラ防御で、攻撃をはじきつつ、念動力で動きを阻害して活きのいい獲物を少しづつ、食肉に加工していってみよう
早業で二人仲良く、少しづつ解体すれば、その内、食べやすくなるだろう
…所で、お前らって、動くと血が巡って不味くなるタイプ?
どっちでも美味しく頂くから、安心してくれ
アドリブ、絡み、好きにしてくれ
亞東・霧亥
【SPD】
・楽しい事+【UC】
「魂喰らいの森と言えば、以前依頼で手に入れた森の核。また食べたい。昔の記憶にあるドラゴンの肉、絶品だった。目の前にある。」
『死霊の竜の首、消えて手元に残らなかった。でもワクワクした。双頭の竜の首、二つもある。此度も激闘の予感!』
「『いただきまーす!』」
竜にまっしぐら。
黒い雨の大爆発も物ともせず、只管に切り刻む。
疑心の感情?
「肉肉肉、核核核!」
『首首首、首首首!』
耳も貸しません。
欲望に忠実なんです。
御馳走様です。(晴々愉快)
その黄金の竜「虹」と漆黒の竜「蜺」はこれまで群竜大陸に侵入してきた数多の勇者達をこの魂喰らいの森で狩り殺してきた。自身が強大なるドラゴンという個体。恵まれた身体能力はさることながら、強大なな力をも行使することができる存在。
さらにこの魂喰らいの森という存在がその双頭の竜にさらなる力を与えていた。魂を啜るという恐るべき能力。その前には群竜大陸へ渡るという猛者であっても困難な相手であったと言える。
「さっそく来たぞ、蜺。哀れなる存在が、無謀にも来たぞ」
「ええ、虹。哀れで美味しそうな魂が来たわ」
仲睦まじい双頭の竜の視線に先に現れたのは、猟兵達の一団。その圧倒的なる存在感を放つドラゴンの視線にも、鮮やかなる民族衣装を纏ったブラックタール、ナァト・イガル(さまよえる小夜啼鳥・f26029)は不敵に笑う。
「雨と光で虹をつくる竜、ねぇ。それだけ聞けばとても美しい歌が書けそうな題材なのに、もったいないわね」
そう言って自身の興味である歌の題材にならないか思案しているナァト。そしてその後に続いてくる備傘・剱(絶路・f01759)と亞東・霧亥(峻刻・f05789)の目はドラゴンの身体を見てギラついている。
「ほほぅ、俺が美味しそう、そう言ったんだな? そいつは、つまり、覚悟してるって事だよな?」
「魂喰らいの森と言えば、以前依頼で手に入れた森の核。また食べたい。昔の記憶にあるドラゴンの肉、絶品だった。目の前にある」
もはや二人の興味は目の前のドラゴンの肉という珍味に注がれている。ドラゴンという恐るべき生命体への畏怖は全く感じ取ることはできない。全く気負いがない三人に対し、双頭のドラゴンは不愉快に目尻を歪ませる。
「不敬で不遜。まったくもって不愉快だな、蜺」
「そうですね、虹。愚かなる人間共よ、我が雨にひれ伏しなさい」
そう言って漆黒の竜頭「蜺」が咆哮するとする、影の如き雨が降り注ぐ。雨ではあるが触れた瞬間、炸裂し疑心を植え付ける魔の雨。それも魂啜りの効果も付与しているという厄介な代物だ。
ナァトはもちろん、劔や霧亥も避けることができずにその雨を受けてしまう。その様子に双頭のドラゴンは口を歪める。
「……虹といえば、私の猟兵としての初仕事は虹色のマーケットが開かれる街を守ることだったのよね」
そう言ってナァトはかつての依頼でのことを思い出している。あの美しく染まった街並み、目移りするような品物の数々、そして仲間との打ち上げ……そんな美しい思い出がナァトの邪悪なる疑心を追い払う温かさに包まれる。
「これからも、ありふれた楽しい日々を続けていきたいものよね」
自身の原点を思い出し、楽しい記憶が世界を守るという行為を執行する猟兵の原点を改めてナァトに教えてくれる。それが魂啜りを寄せ付けず、さらに聖痕の魔法陣を展開し、黒き雨を防ぐと共に能力「聖者の決意」を発動させる。
「光よ、抗いの手をここに」
光の魔法陣が黒竜の黒き雨を吸収し、分解・無効化していく。そしてその純然たる力はナァトの力となり、体内で敵の反属性に魔力転換し、そのまま魔力弾として黒竜に撃ち返す。
「せめて、仲の良いまま還りなさい」
攻撃力に特化した黒竜半属性魔力弾が黒い雨を貫き、黒竜の身体に撃ち込まれていく。反発する属性と共に体内に爆裂し、黒竜の身体がよろめく。
「ガハァ! わ、わたくしの身体に……!」
「蜺! おのれ、下等生物如きがァ!」
怒りに満ち溢れた黄金の竜は咆哮と共に、新たなる虹の竜頭を出現させる。それは巨大化して自身の片割れを傷つけたナァトを喰らわんと迫る。
だがその虹色の竜の背後を取るように劔と霧亥が身体に猛烈な勢いで迫ってくる。そして霧亥の隣にはいつの間にか発動した「首狩武者(ヨウカイクビオイテケ)」の武者が嬉しそうに追従してきている。
「さぁ、どっちが捕食者か、決めようじゃないか」
「さて、いただくとしようかねぇ」
『死霊の竜の首、消えて手元に残らなかった。でもワクワクした。双頭の竜の首、二つもある。此度も激闘の予感!』
まずは劔が手持ちの武器から呪殺弾、誘導弾、全弾発射し、衝撃波も放ちながら、視界を覆う弾幕を形成。その弾幕は双頭のドラゴンはもちろん、虹色の竜にもたいしたダメージを与えることができなかったが、これはあくまでも目くらまし。
その隙に劔は死角へと回り込んで、そのまま虹色の竜の身体に串打ちを敢行する。その際に能力「調理開始」を発動し、料理という名の解体スキルを極限まで高める。
「オブリ飯の神髄見せてやるぜ。調理開始、だ」
強力であろう虹色の竜の抵抗とも呼べる俊敏な動きにも対応して劔のリアルクッキングが開始される。卓越したナイフ捌きで竜鱗の間に刃を入れ、鱗を剥がしていく。さらに念動力で拘束の度合いを高めながら動きを鈍らせ、その肉を切り裂いて食肉に加工していく。
その料理人魂は生粋であり、あらゆる邪念や魂啜りの効果すらはねのけるほどの集中力をしている劔に徐々に虹色の竜はドラゴン料理へと化していく。
「馬鹿な! なぜ魂を喰われぬ!」
「肉肉肉、核核核!」
『首首首、首首首!』
そんな虹色の竜を相手に料理という名の解体を続ける劔に負けじと、霧亥と首狩武者が突っ込む。その思念はまさしく物欲と食欲、そして首欲のみ。魂を啜るほどの隙はなく、強固なる欲望に支配された状態ではそれを食する余裕すらない。
黒い雨にも虹色の竜の攻撃にも全く動じず両サイドから斬り込みを開始する二人。その連携はまさしく息がぴったりであり、虹色の竜を斬り刻みながら、ついに双頭のドラゴンへと到達し、その首と身体をも斬り捨てていく。
「ゴハァ!」
「な、なんて者達なの……!」
あまりの破天荒な霧亥と首狩武者の特攻に驚かざるを得ない双頭のドラゴン。そして虹色の竜はついに核を切除し終えた劔によってその存在が消えるほどになっていた。ナァトがその出来上がった料理を少し食べると、美味な味が広がっていく。そして愉快そうに霧亥も続く。
「まぁ、美味しい!」
「御馳走様です」
「ああ、食べやすいように解体したからな。所で、お前らって、動くと血が巡って不味くなるタイプ?」
どっちも美味しく頂くから安心してくれと言わんばかりに劔は笑う。その異様さ、異質さにさすがの双頭のドラゴンも後ずさりを始める。捕食者としての列気に圧された、という感じだろう。
こうして最初の戦闘は、3人の気迫と奮闘によって、猟兵達は森の門番たる双頭のドラゴンの出鼻を挫き、優勢を築き上げることに成功したのだった。
●戦闘結果・獲得物
ナァト・イガル&備傘・剱&亞東・霧亥……魂喰らいの森の核×3
財宝「魂喰らいの森の核」……最高級の牛肉の味とサボテンの果肉のような食感を持つ球形の核。半径25cm程度で金貨500枚(500万円)の価値。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
遠い昔、都を追われ傷付き倒れていたワシのことを人喰い魂呑みの外道とも知らず、お人好しの人々はワシを稲荷神の遣いだお狐様だと村に迎え入れた。宴の中で気を良くして、神などと名乗ってみれば、いつの間にやらこんなところまで来てしまったなァ……ふふっ。
さぁ、竜よ。遠い地より荒ぶる神が、外道が、魂を啜りに罷り越したゾ。
[UC化生顕現]真姿、不定の獣となり彼奴らに喰らい付いてやる。牙を向ける頭は一つかと思えば二つ、三つと増えて行き、爪立てる腕もまた三つ、二つ、五つか……その数は定かにあらず。
このワシが魂を啜られては人喰い魂呑みの外道の名が泣くというもの。牙を突き立て[生命力吸収]、精気と魂を啜ってやる。
シャーリー・クラーク
体は1つだけど2つの意思を持つ竜…
お互いに信頼し合っている事は分かるよ
まるで私とサメさん達みたいだもの
サメさん達とはいつも一緒。苦しい時もあるけれど、
観客のみんなを笑顔でいっぱいに出来た時は最高に楽しい気分♪
今だって、最高のコンビネーションで切り抜けるんだ
みんな、いくよー!
UC【シェイプ・オブ・ウォーター】で戦場を光も届かない深海にして
【深海適応】したサメさん達に有利な状況を作るよ!
状況を整理される前に鮫魔術【多重詠唱・高速詠唱】で素早くサメさん達を召喚!
水中ならこっちのものなんだから!
みんな、お願いね!
【水中機動・高速泳法】で相手を翻弄しながら【水中戦】で一気に畳み掛けるよ!
エルシー・ナイン
「魂喰らいの森」ですか……。機械であるワタシの魂も喰らえるものか、試してみましょう。
楽しい思い出といえば、皇帝陛下を打倒してスペースシップワールドを解放した時のことでしょうか。この世界の人々を帝竜の脅威から解放して、彼らの楽しい思い出とすることができるよう、尽力させてもらいますよ。
【高火力制圧用重装形態】に変身し、高速で周囲を飛び回りながら全武装を『一斉発射』で『乱れ撃ち』ます。チームワークを封じるためにも『範囲攻撃』で二つの頭に同時攻撃です。
もし光線で動きを封じられたら、今度は足を止めてひたすら撃って撃って撃ちまくります。
敵の攻撃は、『覚悟』を決めて『オーラ防御』で耐えきってみせましょう。
アシェラ・ヘリオース
楽しかった思い出か
幸いに事欠かない
部下共との他愛ないやり取りの一つ一つ
亡き陛下との初めての謁見や、黒騎士殿に稽古をつけてもらった記憶
遠かりし黄金の日々の記憶
そして、今もまた新たな出会いと思い出がある
猟団仲間とやった海の家の記憶など楽しい思い出だ
「存外に、昔も今も果報者のようだな。私は……」
くすりと口元を綻ばせる
【念動力】で身を浮かせ、戦闘は【空中戦】だ
【戦闘知識】で新たな頭の稼動範囲を見極め、他の頭が邪魔になるように常に位置取りたい
避けえない攻撃は「黒理力盾」を展開し【盾受け、オーラ防御】
反撃は赤光の剣に膨大量のフォースを叩き込み【黒王刃】を持って【二回攻撃】。奴の新たな頭を十文字に切り裂こう
森の門番にして魂を啜るドラゴンとして君臨する双頭のドラゴン。圧倒的な力を誇る捕食者、生物の頂点に君臨するドラゴンとして、その双頭は屈辱を隠せずにいた。
黄金の竜「虹」は怒りに支配されていた。自身の片割れたるドラゴンに傷をつけられて。さらにドラゴンを喰らおうとする下等生物達の不敬に対して。
漆黒の竜「蜺」は屈辱に身を震わせていた。最強の存在たるドラゴンの身に傷をつけるという不遜の行為。それを当然という顔をして、片割れたるドラゴンに立ち向かう下等生物に対して。
「蜺よ、もはや一欠片も残すまい」
「ええ、虹よ。喰いつくしましょう、不愉快な者共を」
そう言って今度は黄金の竜が天に向かって咆哮する。すると竜の魔力に共鳴したかのように光が大地へと降り注ぐ。そしてその光は突き刺さると虹の光へと変形し、固定化する。それが徐々に魂の浸食となり、竜の供物へとなっていくのだ。
だがそんな中、虹に突き刺されても微笑するは御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)。現人神にして妖狐は妖しく笑う。
「遠い昔、都を追われ傷付き倒れていたワシのことを人喰い魂呑みの外道とも知らず、お人好しの人々はワシを稲荷神の遣いだお狐様だと村に迎え入れた」
その歩はゆっくりと進む。普通ならば虹の光に浸食されて動けないはずの身体が全く止まらない。むしろその魂は荒ぶっているかのように、燃え盛る。
「宴の中で気を良くして、神などと名乗ってみれば、いつの間にやらこんなところまで来てしまったなァ……ふふっ」
稲見之守にとって崇め奉られる日々は悪くない日々であった。魂を啜られていないということは楽しかったということだろう。そのことに新鮮味を覚えた彼女は双頭のドラゴンの前に立ち、言い放つ。
「さぁ、竜よ。遠い地より荒ぶる神が、外道が、魂を啜りに罷り越したゾ」
そして能力「化生顕現(ケショウケンゲン)」は発動される。稲見之守の身体は真の姿たる不定形の獣と化し、虹の光を猛烈な速度で突き抜けて、黄金の竜に喰らい付く。
「グオオオオオオ! おのれ、下等な狐如きがァ!」
「虹から離れなさい! うぐっ!」
黄金の竜に食らいつく稲見之守に対して、漆黒の竜が引き剥がそうとするが、その頭がもう一つ出現し、漆黒の竜へと食らいつく。そして爪立てる腕も三つ、二つ、五つに増えていく。まさしく不定形の怪物と言わんばかりに、生物すら怪しいその異形は口を開く。
「……このワシが魂を啜られては人喰い魂呑みの外道の名が泣くというもの」
そして突き立てた牙から魂啜りのお返しと言わんばかりに、精気と魂を啜り始める稲見之守。逆に生命力を、魂を吸収されそうになる屈辱に双頭のドラゴンは激怒の抵抗を始める。
「体は1つだけど2つの意思を持つ竜……お互いに信頼し合っている事は分かるよ。まるで私とサメさん達みたいだもの」
「『魂喰らいの森』ですか……。機械であるワタシの魂も喰らえるものか、試してみましょう」
だがそんな異形の稲見之守を引き剥がそうとするあまりに、追撃の猟兵の対応が間に合わない。その隙を突かんとセイレーンのシャーリー・クラーク(大空を遊泳する鮫天使・f26811)とウォーマシンのエルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)が突撃してくる。
もちろん虹の光は降り注いでいる中でもあるので、魂啜りの影響下は脱していない。だがシャーリーは大道芸人としてシャークショーの日々を思い出していた。相棒のサメ達とはいつも一緒にいた。苦しい時もあるけれど、観客を笑顔でいっぱいに出来た時は最高に楽しい気分になる。その記憶こそ、シャーリーの心を満たし、魂を強く持たせる。
そしてエルシーは、かの銀河帝国の戦争の時、今も「皇帝陛下」を呼ぶ者を打倒した時の記憶が甦る。スペースシップワールドを解放した時は機械の心にも喜びが満ちたものだ。そして今は、帝竜ヴァルギリオスを倒し、この世界の人々の脅威から解放して、彼らの楽しい思い出とすることができるよう、尽力することを望むばかりである。
「今だって、最高のコンビネーションで切り抜けるんだ! みんな、いくよー!」
そして虹の光を突破したシャーリーの能力「シェイプ・オブ・ウォーター」が発動する。広がる領域こそ、まさしく光も届かない深海。天から降り注ぐ光を遮断すると共に相棒たるサメ達の適応環境を作り出す。
深海に近い環境になった双頭のドラゴンの動揺が収まる前にシャーリーは鮫魔術により、素早くサメ達を召喚し、号令を下す。
「水中ならこっちのものなんだから! みんな、お願いね!」
水を得た鮫というのは、まさしくハンターとなる。生物の頂点であるドラゴンだろうと構わずにその肉を喰らわんと水中戦を仕掛け、その肉を削り取っていく。
「フルアーマーパーツ装着、全装備火器のリンクを確認。これより、高火力制圧モードに移行します」
そして稲見之守の異形に身体を封じられ、シャーリーのサメ達に削られる双頭のドラゴンにさらなる火力を叩き込むべく、エルシーは「高火力制圧用重装形態(フルウエポン・フルアーマーモード)」を発動。深海であろうとも飛行用ブースターユニットで高速で周囲を飛び回りながら、全武装による一斉発射・乱れ撃ちを敢行する。
ブラスターやガトリングガンが肉を抉り、ミサイルが竜鱗を吹き飛ばしていく。稲見之守の拘束を解こうとするところを絶妙に阻止し、シャーリーのサメを援護するように態勢を崩す一撃を叩き込む。まさしくチームワークを生かせない立ち回りをこなしていく。
「おのれおのれおのれェ! 図に乗るなァ!」
「この悍ましい下等生物共め! 消し飛ぶがいい!」
だがついに追い詰められた双頭のドラゴンは怒りと底力を示すように、新たなるドラゴンの頭を生み出す。虹色のドラゴンは優位に進めていた三人の攻勢を切り崩すべく、咆哮を上げて襲い掛かろうとする。
しかしそのドラゴンを目掛けて飛翔している猟兵がいた。有り余る念動力で身体を浮かせ、空中戦を仕掛けるは、アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)だ。
「……楽しかった思い出か。幸いに事欠かない」
己が胸に去来するのは、かつて銀河帝国士官だった頃の記憶。部下共との他愛ないやり取りの一つ一つ。亡き皇帝陛下との初めての謁見や、黒騎士アンヘルに稽古をつけてもらった記憶。
遠かりし黄金の日々の記憶。そして、今もまた新たな出会いと思い出がある。猟団仲間とやった海の家の記憶などが鮮烈に記憶を支配し、歓喜が己の身体を満たす。それがある限り、魂啜りなど何するものぞ、と言わんばかりにアシェラは躊躇なく突っ込む。
「存外に、昔も今も果報者のようだな。私は……」
くすりと口元を綻ばせても、頭は非常に冷静で冷徹な判断を下す。新たな頭の稼動範囲を見極め、他の頭が邪魔になるように位置取り、うまく連携させないようにする。
そして虹色のドラゴンの牙が襲い掛かるも、それをアシェラはうまく黒理力盾を展開し、別方向へと逸らして防御する。そして出来た隙に懐に入り込み、「黒王刃(ダークセイバー)」を発動する。
「力加減は苦手でな。吹き飛ばすぞ!」
赤光の剣に膨大量のフォースを叩き込み、10倍出力の巨大なダークフォースソードとなる。そしてその極大の黒刃は虹色のドラゴンの身体を十文字に斬り裂き、一気に絶命させる。アシェラはすかさず返す刃で漆黒のドラゴンの頭にその黒刃を叩き込む。
「がァ……虹……わ、た、く、し、が……」
「蜺! ぐっおおおおおおおおおおお!」
相棒の漆黒のドラゴンの頭が真っ二つにされるのを見た黄金のドラゴンであったが、その劣勢を叩き込むようにエルシーが足を止めて持ちうる全武装を頭に集中砲火する。撃って撃って撃ちまくるそのスタイルはもはや防御など考えていない。そしてそれに便乗する形で、シャーリーのサメ達が漆黒のドラゴンに一気に襲い掛かり、致命傷となる箇所を喰い破っていく。
「ば、か、な……ドラゴン、たる、我、らが……」
「わ、たくし、達、が……」
「遺言はそれだけか? では喰らい尽くそうぞ」
そしてトドメと言わんばかりに稲見之守の異形が双頭のドラゴンの身体を掴み、生命を喰らい尽くしていく。人ならざる異形の贄となって文字通り、双頭のドラゴンの魂は消滅したのだった。
「ふう……とはいえ、中々の強敵だった。ドラゴン、やはり侮れないな」
戦闘の後、アシェラは双頭のドラゴンの死骸を見ながら、そう思う。最強の生物の名はやはり侮れるものではなく、かつての銀河帝国以上の戦闘が予想されるこれからの戦い。
だが負けるつもりはないと前を向く。帝竜という恐るべき存在もいるが、それでもこの頼もしい仲間とならば必ずや勝利できると、軍人としての確信を抱く。そして次への戦いへの想いを確たるものにしていくのだった。
●戦闘結果・獲得物
御狐・稲見之守&シャーリー・クラーク &エルシー・ナイン&アシェラ・ヘリオース ……魂喰らいの森の核×4
財宝「魂喰らいの森の核」……最高級の牛肉の味とサボテンの果肉のような食感を持つ球形の核。半径25cm程度で金貨500枚(500万円)の価値。
大成功
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