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【Q】過去に捧げる唄~虚飾を冠するモノ~

#アルダワ魔法学園 #【Q】 #戦後 #ダンジョンメーカー

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●虚飾の白翼
 アルダワ魔法学園の地下迷宮。大魔王の復活による地下迷宮の改変により何処ともしれない場所へと移動した封印の間に声と何かを打ち付ける音が響き。

『暇……ですね。こんな味気ないとこに封印するとは酷いものです』
【で、その名状しがたき彫刻は今度は何だ? 我が契約者殿】

 落ち着いた聞き心地の良い声を響かせる白い翼を背負ったかろうじて四肢を備えたように見える造形の崩れ切った何かの彫刻の前でわかりませんか?と首を傾げる。その様子に溜息のような羽搏きの音を刻んだ魔導具が正解を応え変わらない時間が流れ続ける。

●迷宮造りPart2
 グリモアベースの用意された一室で茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)が、姿勢を正して貴方達を出迎える。
「ようこそ、御足労いただきありがとうございます。さて、もうご存知の方も多いと思いますので、手短に説明させていただきます。現在、アルダワ魔法学園の始まりの迷宮で発見されたダンジョンメイカーという魔法装置を用いて強力な災魔を呼び出し、討伐するということがおこなわれております」
 アルダワ魔法学園の地下迷宮を造りあげたダンジョンメイカーが、大魔王の封印という役割から解放されたことで可能となった、迷宮の創造と強大な災魔を1体強制召喚という機能を利用している現状を語った七曜が猟兵達にこれから目的について話を繋げてゆく。
「現在のアルダワ魔法学園に関しましては重篤な危機は起きておりません。しかし、地下迷宮にはまだ強力な災魔が残っており魔法学園の生徒では対処の難しい存在がいるのは変わりありません。なので、ダンジョンメイカーを利用し、その危険を減らしていくのが今回の依頼となります」
「迷宮の創造に関しましては、皆さんがダンジョンメイカーで創りたいと考えた迷宮が様々に混ざった形で顕現するようです。例えば、数多くの美術品や骨董品から最も価値のある物を探す迷宮を望めばそのような要素を含み、敵の哨戒や罠を予測し回避して展示された何かを奪取する迷宮を望めばそのように。知識や経験をもって散らばった物品の歴史考察を重ねて正しい場所に戻すような迷宮を望めばそのような構造が組み込まれることになります」
 それと今回の目的である災魔に関しましては旧校舎にいる蒸気幽霊のエイルマー殿に確認いただければと思いますと話を締めくくり七曜が深く頭を下げる。

●過去の英雄と災魔
 アルダワ魔法学園の旧校舎で猟兵達を出迎えた蒸気幽霊のエイルマーが転移で現れた猟兵達に深く頭を下げる。
「この度は災魔の強制召喚と討伐に協力いただけることに感謝を。もう説明はされていると思うから単刀直入に進めさせてもらうよ。まず呼びだす災魔はアーラ・イリュティム。虚飾の名前を冠する少女と天使の翼にも見える白翼型の魔導具。もしかしたらちょっと聞き覚えのある人もいるかもしれないけれど、魔導実験の被験者が災魔になったそんな相手になる」
 私がこんな状態になる前に縁のあった災魔になるから気になることがあれば聞いてもらえれば出来るだけこたえたいと思うからよろしくお願いするよ、と締めくくり迷宮を想像する区画へと向けて道案内を始める。


カタリツヅル
 当依頼に興味を持っていただきありがとうございます。初めてお会いする方も、再びご覧になっていただけた方もよろしくお願いいたします。カタリツヅルと申します。ご縁ありましたら、皆さんの活躍を描かせていただければと思っております。

 舞台はアルダワ魔法学園となります。ダンジョンメイカーにより新たな迷宮を創造し、そこへ災魔を呼び込むことにより、学園迷宮に潜む災魔の討伐を行う流れとなります。

 一章は、攻略したい迷宮を考えていただきます。必ずしも美術品にこだわる必要はなくゴーレムのような魔導機械との1対1の戦闘をする迷宮、トラップが行く手を阻む迷宮、先に進むために謎を解いたりギミックを動かしたりする迷宮等…皆さんの考えた何かが反映されるので自由に発想していただければと思います。
※召喚されるアーラ・イリュティムの影響により魔鏡に関する要素が盛り込まれます。

 二章は、出来上がった迷宮の探索となります。どのような迷宮が出来上がったかは間幕で記載いたしますのでそちらを参考にしてみてください。アーラ・イリュティムの影響により設置された魔鏡に皆様の理想の姿、過去の姿、秘めた姿が映し込まれ何らかの干渉が発生する可能性があります。

 三章はボス戦です。迷宮の最奥で待ち受ける? アーラ・イリュティムとの戦いとなります。特徴は間幕等で差し込んでゆきますので参考にしてください。
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第1章 冒険 『ダンジョンメーカー』

POW   :    肉体や気合で突破するタイプのダンジョンを創造してみる

SPD   :    速さや技量で突破するタイプのダンジョンを創造してみる

WIZ   :    魔力や賢さで突破するタイプのダンジョンを想像してみる

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●過去の英雄の想い出
 それぞれに迷宮の創造に向き合う猟兵達にエイルマーからの声が届く。過去を思い出すように紡がれていくのは呼び寄せる災魔の概要と印象。
「さて、軽く聞き流してもらえると嬉しい。呼びだそうとしているのはアーラ・イリュティム。白い翼の魔導具がアーラで、少女がイリュティムになる」
 出会うのは先になると思うけど、覚えておいてもらえると助かる。
「特徴としては心の中に在るその人の姿を現実へと映し込む能力がある。あとは…、美術品を好むという所かな。正確に言えば個人や多くの人に執着される品を好むという感じになるよ」
 古い武具や絢爛な美術品に思い出の品……贅沢なものから武骨なものまで幅広い感じでね、と価値の感じ方は人それぞれと補足しながら話が続き。
「戦いに関しては積極的ではないけれど、自衛の能力は高い感じだね。これ以外にももし…興味があるようなら出来る範囲で範囲で答えるから、質問してもらえればうれしい。彼女たちを呼び寄せたことで出来上がった迷宮へどんな影響が出たかは別途、説明するから迷宮作りは気軽な感じで問題ないよ」
 それじゃ…邪魔して悪かったね、と話を締めくくったエイルマーが猟兵達の邪魔にならないように身を引いてゆく。
紫洲川・珠璃(サポート)
キャラの雰囲気は落ち着いたお姉さんの感じ
口数はどちらかというと少なく物静か

戦闘は速度を生かした撹乱を主として手数重視の攻撃で戦います
足は止めず常に動き回ります
武器は主に一振りの刀を両手持ちで使い、まれに脇差として所持している二本目を抜きます。



 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●ダンジョンメイク
 幾つかの旧校舎を横切り進み開けた場所へと辿り着いた猟兵達が、新たな迷宮を創造するために割り当てられた場所で思い思い行動してゆく。

●ダンジョンメイカー
 金彩の華模様が艶やかな黒染めの着物を纏った紫洲川・珠璃(夜を追う者・f00262)が、案内された人気のない旧校舎群の端のあたりでこれまで受けた説明を思い返しながら言葉を零す。
「迷宮を造るって……聞き間違えじゃなかったのね。実際そういうものみたいだし、細かいことは気にしても仕方ないのだろうけど、魔法装置ってすごいのね」
 地下に巨大な構造体を構築する魔法装置の機能に夜空のように独特な色彩を見せる深蒼の瞳を瞬かせた珠璃が、依頼された内容を果たすために緩やかに歩きだす。

●新たな迷宮
 九尾の血を引く銀麗の剣士が髪飾りをゆらゆらと揺らしながら考えを纏めるように周囲をゆっくりと散策してゆく。

●迷宮想像
 静かに流れる空気に僅かな足音が刻まれる。落ち着いた様子で銀色の髪に僅かに風をはらませながら進む珠璃が、転送される前に聞いた内容と自身の知識を鑑みながら始まりの魔法装置が創り上げる迷宮の内容を思い浮かべてゆく。
「美術品に芸術品、ねぇ。審美眼を問われる迷宮になりそうだけど、武具関連であれば大丈夫かしら? 普通の迷宮でもいいみたいだけど…。まぁ、呼び出される災魔にあわせておきましょうか」
 腰に佩いた刀としては比較的長く、飾り気の少ない頑丈な緋拵えの鞘に納まった愛刀の柄に手を置いた珠璃が、一つの指針を決めてふとグリモア猟兵が語っていた言葉を思い出し。
「…そういえば、最も価値のある物を探すとも言われていましたね。何をもって最も価値があるのかというのは難しい問題だと思うのですけど」
 頤に手を当て首を傾げながら幾つかの価値という言葉にから考えられる評価の方法を羅列してゆく。

 一つ、質実剛健な実用品……実用性の点で価値の高いもの
 一つ、希少な材料が使われている等……金銭的に価値が高いもの
 一つ、現在では遺失した技術が使われている等……考古学的に価値が高いもの
 一つ、歴史の考察や時代の流れで役割を果たしている等……学術的に価値が高いもの
 一つ、―――個人や一族にとって意義や意味を持っている等……特殊的な価値を持つもの

 指折り数える珠璃が穏やかな雰囲気を瞬刻、冷たく冷徹なものに変え……その雰囲気が幻だったかのように穏やかな雰囲気を取り戻す。
「迷宮自体が創造されるならその中にある美術品も、ダンジョンメイカーが創り上げた何かか……もしくは、召喚された災魔によって骸の海から拾い上げられたものでしょう」
 脳裏に浮かんだ自身の探し求める一族の家宝の事から意識を引き戻した珠璃が、迷宮の攻略に必要となる価値への考えに試行を戻し言葉を重ねていく。
「歴史的価値のある実用品……と言うのもあるでしょうけど、刀剣類であれば私でも判断は出来そうですね」

●新たな迷宮
 散策するように旧校舎の一角を歩いていた九尾の血を引く銀麗の剣士が元の場所へと戻り蒸気幽霊に出迎えられる。

●迷宮創造
 足元を僅かな揺れが奔り抜けてゆく。魔法学園の旧校舎群のさらに下にある何かへと繋がった感覚に珠璃が、エイルマーへと視線を向けて確認するように言葉を紡ぐ。
「今のがダンジョンメイカーかしら? 少し不思議な感覚がした気がしたわ」
『それで間違いないと思うよ。ただ、迷宮が出来るまでにはもう少し時間がかかるようだ』
 肯定の言葉と現状を語ったエイルマーに珠璃が頷きを返し、再び散策を始めようと別の方角へと去ってゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 アルダワ魔法学園の地下迷宮。微かな音の響く封印の間に変化が訪れ、穏やかな声が響く。

『おや、これは何でしょうね。……ん、別の封印でしょうか?』
【そのようだな。我らを呼ぶ存在がいるらしい。我が契約者殿】

 柔らかな金髪を揺らす少女がそれならば身嗜みを整えなければなりませんね、と言葉を零し白翼を模した魔導具から同意の声が響く。
ジャスティス・ボトムズ(サポート)
★アドリブ大歓迎

正義を執行することに全力を注ぐぜ。
敵と認識した相手は叩き潰す。
それが俺の正義だ。

俺は闘争や探索などあらゆるものをシンプルに考えて行動するのを好む。
戦い方は武器での攻撃と素手での格闘を敵を見て使い分けている。

物事はシンプルに考えて動いた方が白黒ついて分かりやすくなるってもんさ。

正義を執行するという意志は俺にとって絶対だ。
何があっても絶対にこれだけは曲げないぜ。

やること決めたら後は全力で突っ込んでいくだけだぜ。

技能は怪力、鎧砕き、存在感を使って力で問題解決を目指す。
正義を執行するのにはパワーをフルで発揮するのが俺好みだぜ。

正義の力で敵を叩き潰して、優しさを持って民間人に接するぜ。



●ダンジョンメイク
 蒸気機械の動作音を響かせる旧校舎群を見上げていた猟兵が、依頼された内容を確認するために案内をしてきた蒸気幽霊の元へと足を向ける。

●ダンジョンメイカー
 身体の要所を保護する赤色が印象的な不死の怪物の毛皮をあしらった衣装を纏ったジャスティス・ボトムズ(正義の執行者・f22965)が、今はまだ何もない迷宮が出来上がる場所を視界に入れながら単刀直入にエイルマーへと問いかける。
「よぅ、俺はジャスティス・ボトムズだ。あんたがエイルマーだよな? いや、細かいことはいいか。敵を呼び寄せる迷宮を創り上げて……その迷宮を踏破して敵を倒すってことでいいんだよな?」
『あぁ、それであっているよ。とはいっても、幾つものイメージが混ざった迷宮になってしまうけど』
 大きく覇気のある声で現状を確認したジャスティスに、エイルマーが頷きを返しながら肯定を示し……その様子にじゃぁ…とっとと始めるか、とジャスティスが周囲を見渡す。
「まぁ、件の魔法装置がそういうもんならしかたねぇな。……おっ、ちょうどいいな。悪いがちょっと場所を借りるぜ。あと、暇なら少し付き合ってくれよ」

●新たな迷宮
 曲がらぬ正義を掲げる男が旧校舎への入口に近い場所に置かれていた頑丈そうな石塊へと背中を預け頭上を仰ぎ見る。

●迷宮想像
 遠く響く蒸気魔導機関のたてる音が空気を微かに揺らす。腕を組み意識を呼吸を落ち着けてゆくジャスティスが、自身の在り方を迷うことなく言葉にのせ、旧校舎群の地下の奥深くにある始まりの魔法装置へと繋げてゆく。
「正義を執行することに全力を注ぐ。敵と認識した相手は叩き潰す。それが俺の正義だ。なに、物事はシンプルに考えて動いた方が白黒ついて分かりやすくなるってもんさ」
 自身の言葉を黙ったままエイルマーが聞いていることを、視界の端で確認するジャスティスが異世界で起こった戦争の記憶や新たな世界での出来事も織り交ぜ続けて言葉へと変え。
「だから、俺は闘争や探索…猟兵として依頼も含めてあらゆるものをシンプルに考えて行動するのを好む。今度の迷宮も俺らしく動ける迷宮がいい」
『それなら、今回だと…障害を突破して進む迷宮が好みかも知れないね』
 転移される前にグリモア猟兵が予知から提示していた迷宮と重ねるならば、と言葉を返したエイルマーにジャスティスが得意とする方法を加味したやり方を模索してゆく。
「罠の類なら無策に突っ込む気はないが、どんな内容かわかったならそのまま正面突破だな。わからなかったとしても正面突破だ。なに、やること決めたら後は全力で突っ込んでいくだけだぜ」
 潔いほどに明快な方法にエイルマーが僅かに苦笑し、ふと気が付いたようにジャスティスが以前同じような迷宮が作られたのかを問いかける。
『あぁ、あるよ。その時は守護者という立ち塞がる存在もいたね』
「俺的にはそっちの方がいいな。こいつを使って戦って突破する方がシンプルでいい」
 問いかけに応えたエイルマーへと腰に吊るした正義を執行するために作られた剣の柄を叩き獰猛に笑ったジャスティスが足元に奔った揺れに警戒する様に気配を鋭くする。

●新たな迷宮
 微細に奔る振動に紛れて曲がらぬ正義を掲げる男が引かれるような押されるような不思議な感覚を感じ取る。

●迷宮創造
 微かな揺れが収まり元の空気がもどってくる。周囲にそれ以上の変化が起きないことを理解したジャスティスがエイルマーに確認を取り。
「さっきのでここに来た目的は終わりだよな? 他にないなら一度戻るぜ」
 自身の問いかけに肯定の言葉が返ったことを聞いたジャスティスが別の世界へと戻るために踵を返す。

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 アルダワ魔法学園の地下迷宮。緩やかに響く羽搏きと、パタパタと布を叩く微かな音が響き……困ったような穏やかな声が響く。

『ん~、どうしましょうか? あまり派手な服は印象が悪いでしょうし…』
【残念ながら一張羅以外持っていないだろう……、我が契約者殿】

 そこは…努力で何とか、と優しく響く金髪の少女の声に白翼を模した魔導具から困ったような声が返り……浸食する黒い広がりへとその声が吸い込まれてゆく。
天翳・緋雨
【詳細はお任せです】【SPD対応】
うーん。そうだなあ。
生死に関わる深刻な危険は無いけれど自身を鍛え上げて行かないと踏破出来ない様な試練場があるといいのかな。最初は無理でも少しずつ乗り越えて、いつかクリア出来たら自分の成長を実感できる様な。
そんなダンジョンが有ってもいいよね。ここは学園の迷宮なのだから。

・魔法や物理攻撃でダンジョン内の構造物は破壊できない
・タイムアタックや正確性を取られるアトラクションが多数存在する
・咄嗟の判断力を問われる様なものもある
・空間内では破魔の力が作用して挑戦者の魔力等は半減する
・機械系やサイキック等の能力もジャミングで集中力を削ぐ

成績が記録される仕組みがあるといいかも



●ダンジョンメイク
 旧校舎群から戻る道を歩く猟兵とすれ違った猟兵が、無事に目的地に着いたことを安堵しつつ、この場所を管理する蒸気幽霊へと近づいてゆく。

●アルダワ魔法学園の旧校舎
 特殊繊維で出来たスーツを魔法学園で目立たないように彩色を調整して纏った天翳・緋雨(時の迷い人・f12072)が、緋雨に気が付き頭を下げ迎え入れるエイルマーの周囲に先行したであろう猟兵達がいないことに僅かに足を速め。
「ごめんなさい! もしかして遅れましたか? っと、ボクは天翳・緋雨。あなたがエイルマーさんで…いいんですよね?」
『初めましてかな、天翳さん。あぁ、エイルマーであっている』
 それと…特に時間指定がある訳ではないから遅刻ではないよ、と続いた言葉に緋雨が胸をなでおろし、初めてとなる迷宮の創造に関して考えを纏めるのに過去の英雄にして此処周辺の管理者でもある目の前の存在に協力を願えないかと声を掛ける。
「もしよければ、ダンジョンメイカーへのどんな迷宮を創るか伝えるのを手伝ってもらえませんか? 助言とか気になる点があれば教えてほしいのです」

●新たな迷宮
 首肯した蒸気幽霊が僅かに場所を移動し緋瞳を象嵌した異能者の目の前で蒸気と歯車の奏でる音と共に周囲の様子が変化してゆく。

●トライアルダンジョン
 金属と金属が組み上がってゆく機械的な音が周囲に響き溶けてゆく。僅かな時間で組み上がった椅子とテーブルのセットに少しの間、目を丸くした緋雨に硬くて申し訳ないけどね、とエイルマーが席を勧め。感謝の言葉と共に席に着いた緋雨の前にエイルマーが腰を下ろすような様子で漂う。
「…それじゃ、お言葉に甘えて。ボクとしては生死に関わる深刻な危険は無いけれど自身を鍛え上げて行かないと踏破出来ない様な試練場があるといいのかな……と思うのです」
 頷きながら促すように聞く姿勢を取るエイルマーに、魔法学園という場所と役割として大切なものになればいいと緋雨が話を繋ぎ。
「そう、最初は無理でも少しずつ乗り越えて、いつかクリア出来たら自分の成長を実感できる様な。そんなダンジョンが有ってもいいですよね。ここは学園の迷宮なのだから」
『……なるほど。魔法学園としては、確かにそうかもしれないね』
 緋雨が語る創造する迷宮の在り方についてエイルマーの雰囲気が少しの悲しみと寂寥に彩られ、その様子に緋雨が何かおかしなことがあっただろうかと疑問符を浮かべ周囲を見渡し……蒸気魔導機関の立てる音しか響いていない状況に思考が加速する。
(……あれ? すれ違った猟兵の人以外…誰も見ていない? 人の気配も全くしないし、まるで廃墟……?)
「エイルマーさん。答えにくかったらいいのですけど、ここってもしかして誰もいないのですか?」
『恥ずかしながら、そうなる。でも、天翳さんの考えは面白いと思うよ』
 ここまで辿り着く生徒達もいつかは増えるだろう、と心配させないように表情を戻したエイルマーにそれじゃあ…先に繋がりそうな内容を考えてみるのです、と緋雨が気を取り直し考えを纏めてゆき。

一つ、知識を身に着けるために魔法や物理攻撃でダンジョン内の構造を破壊して不正規に攻略できない。
一つ、技術を身に着けるために動作の正確性を問われるようなアトラクションが存在する。
一つ、経験を重ねるために咄嗟の判断力が必要になるを内容の変化するギミックがある。

 つらつらと語られる緋雨の言葉が旧校舎の近くに誂えられた仮設の休息所へと響いて消えてゆく。

●新たな迷宮
 緋瞳を象嵌した異能者の言葉は周囲に溶ける度に僅かな振動が旧校舎群を揺らし、蒸気幽霊がそれを静かに見守る。

●迷宮創造
 震えるような微かな振動に落ち着いた声が重なり消えてゆく。数えるように創り出す迷宮の特徴を考えてゆく緋雨が、負荷トレーニングを模した能力を向上させる内容を考えつき言葉へと変え。
「それと、迷宮内では破魔の力…のようなものが作用して迷宮に挑戦する人の能力が半減したり、蒸気魔導機械やその他の機械……それに超能力やサイキック等の能力も何かしらのジャミングで十全に扱えないというのも良さそうなのです」
『向上心は素晴らしいと思うけれど…それだけの不利を背負って迷宮主に対峙するのは危険ではないかな?』
 あくまで…目的は呼び出した強力な災魔の討伐だからね、と申し訳なさそうにエイルマーが緋雨へと言葉を掛け。
「なら、せめてタイムアタックみたいに成績が記録されたりする仕組みがあるといいかも」
 それなら、と成長のために有用なシステムを緋雨が願ってゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 アルダワ魔法学園の地下迷宮。徐々に大きさを増してゆく漆黒の浸食を覗き込んでいた金髪の少女の前で、ぐにゃりと黒穴が波打つ。

『あら…? …なるほど、悪くないですね』
【この頃はこういう追い求め方もあるのか】

『虚飾は憧憬。飾る姿は、憧れる明日の自分自身』
【目指すのならば望みを叶えよう】

『未来の姿を望むのならばそれを現在に映しましょう』
【いつか届きうるその姿を現在に。標としよう】

『とても、楽しみね。私のアーラ』
【同意しよう。我がイリュティム】

 ぐにゃりぐにゃりと歪む漆黒へと手を浸すように楽しげな金髪の少女と緩やかに力強く羽搏く白翼を模した魔導具の声が吸い込まれるように消えてゆく。
ワズラ・ウルスラグナ
翼と虚飾か。成程、皮肉が効いている。
意図せずそうなっただけかも知れんが、ならば益々面白い。
さて、折角の縁だ。虚ろに消えぬ様、紡ぎに往こう。

心象を現実に映し込む、か
ダンジョンメイカ―然り、心を読む物ばかりだな
思い返せば魔導具と契約者達は『願い』に反応していたな
まあ相手が何であれ、俺が願う事は変わらん
求め得る最高の戦いを

創る迷宮は天井が高く、広い物を
大聖堂の様なのが洒落てるか
何処までが迷宮主の間に影響するかは分からんが、どうせなら空中戦を意識したいのでな
アーラ自体が虚飾なら飛べんかも知れんが、何方にせよ何を映し出されても見切れない程度の広さは必要だろう?

さあ鬼が出るか蛇が出るか
願わくば、善き闘争を


クララ・リンドヴァル
※アドリブ連携OK
※以降の参加は未定です

魔法学園……久々に戻って来ました。
災魔を此方から引きずり出せるようになったのですね。大魔王を封印していただけあって、すごい機能ですね。

【WIZ】
知識や経験を使って突破するタイプの迷宮を作ります。
見渡す限り立ち並ぶ書架。
当面の手掛かりは目の前にある物品。
美術品の類かも知れませんし、質の高い本そのものかも知れません。
周りの本に書いてある内容や物品そのものから推理を重ねて、
最終的に物品を正しい場所に戻せば道が開かれるのです。

え?他の要素が混ざる……ですか?
まぁ……それも面白いでしょう。
蒸気幽霊のエイルマーさんにもお話をうかがって見ましょう



●ダンジョンメイク
 始まりの魔法装置へと何度かの干渉が行われた少し後。アルダワ魔法学園と地下深くの旧校舎群に到着した猟兵達がそれぞれに行動してゆく。

●アルダワ魔法学園の新校舎と旧校舎
 柔らかな白を基調としたローブを纏いゆったりとした歩調で歩くクララ・リンドヴァル(白魔女・f17817)が、以前よりも穏やかな雰囲気の魔法学園の廊下を歩きながら抱えた本に視線を落とす。
「……ふぅ。魔法学園……久々に戻って来ました。図書館も普通に開いていて……よかったです。お借りした本は帰りに……返却に行きましょう」 依頼の内容から役に立てば、と借用した数冊の本の重みとインクと紙の匂いに僅かに口元が笑む。そして、ゆらりと沸き上がった昏い光に包まれたクララが旧校舎へと転送されてゆく。
「しかし、……災魔を此方から引きずり出せるようになったのですね。ダンジョンメイカーと呼ぶらしいですが……、大魔王を封印していただけあって、すごい機能です」
 時を同じくして、地下迷宮の奥の旧校舎群。左腕の欠けた古傷だらけの龍躯を誇るワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)が、慣れた様子で旧校舎群を抜けてエイルマーの待つ一角へと危なげなくたどり着く。
「……ふむ。また別の場所か、ここもなかなか広いな。この場所の探索も面白そうだが、今回は別件だな」
『あぁ、今回もよろしく頼む。質問があれば答えるし、必要な物があれば言ってくれ』
「では、折角の機会だ。落ち着いて話せる場所を用意してもらえるか?」
 あと…少し大きめに頼む、と苦笑交じりに付け加えたワズラにエイルマーが任せておいてくれ、と答え案内を始める。
「さて、今度の迷宮はどうなるか…。なかなかに楽しみだな」

●新たな迷宮
 蒸気幽霊に案内された戦獄龍の目の前で歯車と発条の噛み合う音が響き椅子と机を模した構造体が組み上がり、近くに昏い光が灯りそのなかから魔に捧げられし本の魔女が姿を顕し驚いた表情を見せ……それぞれが自己紹介を行ってゆく。

●迷宮大聖堂
 ギシリと軋む音と重ねられた本が机に置かれる独特の音が響く。丸形のテーブルに等間隔で配置された椅子のような物の一つ、特に大きく作られたそれにそのまま腰を落ち着けたワズラが、エイルマーが用意したクッションを使いつつ隣席に当たる場所へと座るクララの様子をみやり。
「さて、よろしく頼む。そちらからでも構わんが、俺が先の方が良さそうだな。しかし、今回は翼と虚飾か。成程、皮肉が効いている」
「あっ、は…はい。お先にどうぞ」
 初対面の男性二人と同席し、少しばかり気後れするクララが、注目されることに微かに恥ずかしそうに身を縮めつつも声を返し。
「でも、確かに。諷刺と言うのか……興味深い名付けですね。魔導具が翼の飾りなのに虚飾というのは面白い……です」「だろう? もしかすると意図せずそうなっただけかも知れんが、ならば益々面白い。これに関してエイルマーは何か知っているか?」
 ワズラとクララの会話を興味深そうに聞いていたエイルマーへとワズラが水を向け、問われた内容にエイルマーが答えてゆく。
『そうだね。そう振舞ってる感じはあったかな。イリュティムが愛用してるのは修道女のような服に派手な孔雀が刺繍されたものだからね』
 その言葉に脳裏に過った印象そのままの存在がありますね、と持参した本の中から似通ったテーマで描かれた絵画を見つけたクララが暖橙色の双眸を瞬かせながら、ポツリポツリとそのタイトルを零しながらその意味を考え思考に沈んでゆく。
「純白の翼に修道女の服…、穏やかに微笑む金髪の少女ですか。天の御使い、希望の運び手、秩序の守護者……えぇ、まさに天使ですよね」
「だな。アーラとイリュティムもいい性格をしていそうだ。いや、もしかすると魔導具の製作者の趣味かも知れんがな」
 どちらにしろ面白い、とワズラの口元から黒焔と共に笑い声が零れる。
 そうして、その空想を紡ぐように新たに知った情報を整理するクララの邪魔をしないようにワズラがイリュティム達へと揶揄するように牙を剥きながら、エイルマーへと迷宮の構想を語り紡ぐ。
「善いな、実に善い。ならば、もてなしてやろう。創る迷宮は天井が高く、広い物を。光降り注ぎ、万華鏡のように飾り硝子の影の落ちる大聖堂の様なのが洒落てるか」
『まぁ、あの二人なら喜ぶだろう。飾ることが好きだからね』
 ならば…外に出たくなくなるほど飾ってやろう、と悪戯げさらに想像を加速させていくワズラにエイルマーが真意を問うような冷静な瞳を向け。
「まぁ、なんだ、何処までが迷宮主の間に影響するかは分からんが、どうせなら空中戦を意識したいのでな。もしかするとアーラ自体が虚飾なら飛べんかも知れんが、何方にせよ何を映し出されても見切れない程度の広さは必要だろう?」
 造られた椅子や机…目の前で考え事に耽るクララとエイルマーに配慮しながらも徐々にパチリパチリと火勢を上げてゆく戦獄に載せるようにワズラが期待に目を輝かせる。
「まぁ、相手が何であれ、俺が願う事は変わらん。求め得る最高の戦いを。折角の縁だ。虚ろに消えぬ様、紡ぎに往こう」

●新たな迷宮
 旧校舎群に弾ける黒焔に己の願いを乗せ、変化を期待するように話を止めた戦獄龍に頷いた蒸気幽霊が、近くに控えていた魔導蒸気機械を呼び寄せる。そうして、僅か後。柔らかな香りが周囲に漂いその匂いに瞳を瞬かせた魔に捧げられし本の魔女が小首をかしげ…僅かに頬を染め下を向く。

●迷宮大図書館あるいは迷宮大美術館
 陶器がこすれ合う儚く繊細な音が周囲へと響く。つい考え込んでしまったことに気恥ずかしげに視線を下げたクララが、目の前に出された飲み物に暖橙色も双眸をぱちくりとし……勧められるままに一口、口を付ける。
「…あ、……不思議な味ですけど、とても美味しいです。これ、ハーブティーでしょうか?」
『あぁ、近頃は猟兵さん達にはお世話になってるからね。用意してみたよ』
「すまんな。ありがたく頂こう。…ふむ、気が張るならば俺は席を外しておくか? ひとまず、伝えるべきことは終えたし…そちらの考えに興味はあるが邪魔をしては本末転倒だろうからな」
 器用にハーブティーを飲むワズラが昂る気持ちを落ち着けるようにゆっくりと言葉を紡ぎ、黒焔を抑えてゆき。厳つい見た目と違い穏やかなワズラの様子にクララが呼吸を落ち着けつつ言葉を繋ぎ。
「いえ、大丈夫です。折角ですし、聞いていただければと思います。はい」
 そこで一度、話を区切ったクララがこれまでの間に纏めていた内容を口にしてゆく。
「最初の区分けでは、知識や経験を使って突破するタイプの迷宮を作りたいです。イメージとしては見渡す限り立ち並ぶ書架と書物を読むための閲覧室を備えた図書館や、数多もの美術品や芸術品を展示した美術館でしょうか」
『なるほど、骸の海から引き揚げられたそれらはきっと素晴らしいだろうね』
 瞳を閉じて聞くワズラがその様子を想像するように首を傾け、話を先へと促すようにエイルマーの相槌が響く。
「突破するための当面の手掛かりは目の前にある物品。美術品の類かも知れませんし、質の高い本そのものかも知れません。もしかすると、古い蒸気魔導機械等の歴史的な物品の可能性もあるでしょう」
「ふむ…。面白そうだな。で、どうやって攻略してゆくつもりだ? 価値の見出し方は人それぞれになるかもしれん」
 だが…先人の残した軌跡に触れるのも悪くない、と隻眼を開き肯定的な意見を零したワズラがエイルマーと共にクララを興味深げに見つめ。
「そうですね。はい、例えば周りの本に書いてある内容や物品そのものから推理を重ねて、最終的に物品を正しい場所に戻せば道が開かれるとかでしょうか?」
『その攻略方法は素晴らしいね。失われたものを正しく学べるのも……ね。ただ、他の猟兵さんの考えとイリュティム達の趣向でどう変化するかが気になるところかな』
 語られた内容にどこか嬉しそうに表情を緩めたエイルマーがダンジョンメイカーによる影響をクララへと語り、先日の光景を思い返しながらワズラが言葉を繋ぐ。
「確かに以前、創り上げた迷宮はそれぞれの考えたことが混ざり合っていたな。となると、イリュティムを象徴するものというのは何なのだろうな?」
「え? 他の要素が混ざる……ですか? まぁ……それも面白いでしょう。あ…でも、よければどんな影響がでそうかお伺いしてもいいでしょうか? 知り合いなんですよね…?」
『あぁ、随分と古い知り合いになるよ。あと、影響に関しては予測混じりだけど精度は高いと思うよ』

●新たな迷宮
 蒸気幽霊の言葉に重なるように僅かな揺れが周囲を揺らし、戦獄龍が龍躯に奔る古傷から黒焔が零れないように気持ちを落ち着け……振動の元を探るように魔に捧げられし本の魔女が幾重にも波紋を浮かべる白磁の茶器に入れられた香茶へと視線を落とす。

●迷宮創造
 旧校舎群を揺らした振動が収まり僅か後。エイルマーがアーラとイリュティムのことを語り終り、その内容を噛み砕く様にクララが整理してゆき。
「影響は魔鏡……。迷宮に創り上げられた魔境は映された人の望む未来を封じた過去を秘める現在を映し込み現実に浮かび上がらせる……ですか。妨害はしないとのことですけど気になりますね」
「同意だ、心象を映し込む魔境とはな。しかし、ダンジョンメイカ―然り、心を読むものばかりだな。思い返せば魔導具と契約者達は『願い』に反応していた…このあたりも興味深いが本人に聞くのが吉かもしれんな」
 幾度かの縁を持った大罪の名を騙る魔導具と契約者達を思い返し…これから始まる戦いという交わりにワズラが牙を剥き笑う。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​


●虚飾の白翼
 アルダワ魔法学園の地下迷宮。人が十分に飲み込めるほどに拡がった漆黒の浸食の前に佇む金髪の少女が迷いなく足を踏み出し、ずぶりと何処かに沈んでゆく。

『なるほど、私も少し興味がありますね』
【過ぎ去った過去も未知の一つと言えるからな】

『虚飾は憧憬。飾る姿は、朧に霞む過去の自分自身』
【識りたいのならば望みを叶えよう】

『過去の姿を識りたいのならばそれを現在に映しましょう』
【今を築いたその姿を現在に。楔としよう】

『さて、向かう先はどうなっているのかしらね?』
【なに、悪い場所ではないだろう。我が契約者殿】

 ずぶりずぶりと波打つ漆黒の何かに飲み込まれていくイリュティムが変らぬ調子でアーラに話しかけ、僅か後。誰もいなくなった封印の間をゆっくりと残された漆黒が浸食し続けてゆく。


第2章 冒険 『『ダンジョンメーカー』ダンジョンの探索』

POW   :    肉体や気合でダンジョンを探索、突破する

SPD   :    速さや技量でダンジョンを探索、突破する

WIZ   :    魔力や賢さでダンジョンを探索、突破する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●嫉妬あるいは渇望の迷宮
 始まりの魔法装置たるダンジョンメイカーが幾つのも願いを受けてその機能を動作させる。
 地下深くに巨大で荘厳な迷宮主の間が作り出され…その部屋を護るように幾本もの通路が生まれ、迷宮主の間を飾り付けるかのように侵入者が深層に辿り着くのを遮るかのように幾つもの部屋が創り出され、それぞれを繋ぐ通路がさらに形成されてゆく。

 ある部屋では広く幾つもの区画に区切られた部屋に様々な美術品、芸術品が置かれ…
 ある部屋では様々なギミックと複雑な回廊が組み合わされた空間が創り出され…
 ある部屋では幾体かの巨大な蒸気魔導機械の人型が造られ出番も待つように控える…

 始まりの魔法装置に伝わった想像が様々な形で混ざり合い迷宮が創り出されてゆき……出来上がった迷宮の通路に部屋に天井に……豪奢な装飾をされた縁に納まった魔境が顕れる。鈍く曇ったように鏡面を濁らせる幾多もの魔鏡が、朧に美術品や芸術品を映し、鈍く動作音を響かせる蒸気魔導機械を照らし出す。

●状況確認
 迷宮の入口へと集まった猟兵達に蒸気幽霊のエイルマーが感謝と共に状況の説明を始める。
『迷宮の創造から協力してくれた皆さんも攻略に名乗り出てくれた皆さんもありがとう。アーラとイリュティムを迷宮に呼び寄せるのは成功している。出来上がった迷宮は幾つかの特徴的な区画が連なった形で出来がっていてそれぞれの区画を攻略して迷宮主の間へと繋がる場所を探していくこととなるよ』
 迷宮の構造を概要図で簡略に説明した後、猟兵達へとエイルマーが確認した内容を伝えていく。

【一つ目は、様々な美術品、本…武具まで置かれている区画】
『美術館と図書館が合わさった区画…と言うべきかな? 整然と並んだ書架に豪勢な展示棚…そんな感じで本や美術品に古い蒸気魔導機械や武具まで置かれている。ここ一帯にはトラップの類はなく、一応警護用のゴーレムが要所に立っているけど内部の物を故意に壊さない限り動かないよ。本題になるけど、ここで先に進むには人それぞれになるようだけど、例えばこの場所に入った時点で書物に興味を持っていたら書架の前に数冊の本が出されている状態になっているからその中で最も価値のあると思うものを元の場所へ戻すと先に進める。戻す場所は本を手に取れば感覚的にわかるらしいから心配はいらない。あと、武具だと試し斬りするような場所も用意されるみたいだね。総じて最も価値があると思うものを選ぶ場所と思ってもらえれば構わない。もちろん、残りの物ももとの場所に戻してもらって大丈夫だし情報を入手したければ書架や展示棚を巡ってもらえればと思う』

【二つ目は、ギミックや罠の満ちた迷宮のような区画】
『こちらは幾つかのギミックや罠が仕掛けられているちょっとした迷宮のような感じだ。特徴としてはギミックや罠を含めて破壊が不可能ということかな。罠はオーソドックスに矢が撃ちだされたりする射出系からトラバサミなどの足止め系に…落とし穴など罠らしい罠になるかな。ギミックに関しては、正しい順序で押さないといけないボタンや一つずつしか開けられない扉をくぐり抜けて先に進む扉の間だったりする。罠やギミックが解けなくなって進めない状況になれば強制的に元の場所に戻ることになる。あと、一番の特徴は前回攻略した自身の姿が投影されるということかな。攻略のヒントや自身の能力向上に使えるかなと感じるよ』

【三つ目は、守護者がいるタイプの部屋】
『これに関しては、正面突破の区画になるね。一人一体…部屋に入った人数と同じだけの巨大な蒸気魔導機械が動き出してそれを撃破してもらうことになる。武装は遠距離用の実弾兵器に近距離は蒸気魔導機械自体が武器だね。特殊なものとしては腹部についた鏡面。皆さんが使ったユーベルコードを映し込むようにそれを相殺する何かを行ってくる。わかりやすく戦う区画になるね』

『それと、共通して注意…と言うほどでもないのだけど通路や部屋には魔鏡が飾られていて、皆さんの望む未来の姿や後悔する過去の姿……心の奥に秘めた姿が映り込む。迷宮の攻略の邪魔にはならないけど、どんなものが映るか心を定めておいた方がいいかもしれないね。あと、魔境はアーラとイリュティムがに繋がりがあるから識られてしまうのは、留意しておいてほしいかな。最後になるけど、アーラとイリュティムの特性は転写。形のあるものからないものまで、映し出し結実させる……そんな、能力になるから覚えておいてほしい』

●虚飾の白翼
 荘厳に煌びやかな迷宮主の中心で降り注ぐ光に照らされ神秘的に輝く金髪の少女がその背にある白翼を羽ばたかせながら、………実に俗な言葉が零れる。

『うっわー、高そう。戦いで壊すのもったいなくない? にまにましちゃうわぁ』
【化けの皮剥がれてるぞ? 相棒。しかし、どこのだれかは知らないが悪くないセンスだな】

『ごめんあそばせ。これまでが味気ない場所でしたのでつい本音が漏れてしまいましたわ』
【失礼ながら、我が契約者殿。メッキを盛りすぎではないでしょうか?】

 クルクルと姿勢を変える金髪の少女に合わせて純白の翼が揺れ、一枚の絵画に相応しい雰囲気を醸し出しながら楽しげな会話が紡がれ……その眼前に巨大な魔鏡が揺らぐように顕れる。
天翳・緋雨
【SPD】
【真の姿】
身体の各所に施された呪印による身体強化がより顕在化し
雷光を纏った幻影を常時纏う様に

あー。そっかあ。鍛錬面を重視しすぎると今回クリアするのが難しくなってしまうのか…。でもクリア後には鍛錬用のツールとなって欲しいなあ。
まずはボクがクリアしないとね!


第六感をフル稼働
ギミックを読み解いて最適解を探しつつ道程を走破していこう

UCは【浮雲】を
我が身と秘めた異能を以って全力で挑む
自身のイメージを超えていけ
スピードの向こう側へと……!

培った様々な経験がきっと答えを教えてくれる
解法に迷ったなら心行く迄試せばよい
息が上がったら一休み
なんだかルーキーの頃を思い出すね
さあ、今の自分を再確認しよう



●虚飾あるいは羨望の迷宮
 説明を聞き終えた猟兵達が迷宮へと消えてゆくなか、迷宮の傍で佇む蒸気幽霊の元へと一人の猟兵が移動してゆく。

●鍛錬の迷宮
 用意された椅子に腰かけ足元を鎧う幾つもの動輪を覗かせた機動靴の調整を終えた天翳・緋雨(時の迷い人・f12072)が、新たに出来上がった迷宮の入口を瞳に映し込みながら隣に佇むエイルマーへと声を掛ける。
「信じていなかったわけじゃないけど、本当に出来上がるんだね。まさに魔法装置ってことなのかもしれないけど、どういうことなんだろう?」
『かの装置の由来に関しては、長い話になってしまうから気が向いたら旧校舎の図書館にもで行ってもらうといいかもしれないね』
 緋雨の言葉に懐かし気に目を細めたエイルマーが生きていた時代を思い出すかのように言葉を零す。
「あー、そっか。昔の資料も始まりの迷宮の中や旧校舎に残っているんだね。っと、それと鍛錬面を重視しすぎると今回クリアするのが難しくなってしまうのは盲点だったよ」
 エイルマーの様子に複雑なものを感じた緋雨がダンジョンメーカーの生い立ちは後にして…と、気合を入れるように立ち上がり感謝の言葉を残しつつ迷宮の暗がりへと消えてゆく。

●仕掛けと魔鏡
 微かな駆動音を響かせながら駆ける緋瞳を象嵌した異能者の身体の周囲に雷光が奔り出し、並ぶ魔鏡に輝きが映りこんでゆく。

●歩んできた道
 奔る白雷の輝きが高く弾ける反響と共に迷宮の中へと拡散してゆく。身体の各所に施された呪印――ナノマシンの制御チップ――を淡く輝がやかせ、柔光を幻影のように纏った緋雨が目の前に迫った大扉に僅かに速度を緩めながら、押し開けるように部屋の中へと飛び込む。
「無事、ギミック部屋についた……のかな? さて、どうしよう? あぁ、でもクリア後には鍛錬用のツールとなって欲しいなぁ。そのためにもまずはボクがクリアしないとね!」
 見渡すほどに広々とした部屋の見上げるほどに高い場所に設置された次の場所へと繋がる扉。背後の壁に全てを映し込むような巨大な魔鏡が飾られているのを確認した緋雨が、肌に感じる緩やかな圧迫感にも似た独特の雰囲気に額に巻いたバンダナを解き第三の瞳を露する。
 そうして、一度大きく息を吸った緋雨の足元から響く駆動音を徐々に高まってゆく。

―――キィッッッッ!!
 ―――ガゴンッ! ガガガッ!

 甲高い音と共に弾かれるように飛び出した緋雨の目の前で、床に壁そして天井から幾重にもブロック状の構造物が飛び出し即席の迷宮を創り上げ、合わせて現れた射出機がガキリと音を立てる。
(なるほど、毎回同じトラップだと鍛錬にならないよね。事前に攻略方法を確認するズルは出来ないってことだね)
「でも、きっと培った様々な経験がきっと道を示してくれる!」
 連続した射出音と共に進路を妨害するように飛来する幾本もの矢を沈み込むように姿勢を低くした緋雨が潜り抜け……そのまま地面を滑るように進む緋雨へと新たに発射された矢が弾幕のように迫る。

―――トッッ! キュッッ!
  ―――ガガッ……ガンッ!

 地面を蹴り中空へと身を躍らせた緋雨が、さらに虚空を蹴りつけ…クルリと捻られた身体が天井に届き天地を逆に瞬刻、疾走する。
「空というには狭いけどこの瞬間から、ここはボクの領域さ…」
 肌で、予感で、経験で感じるままに造られた試練を超えるイメージを緋雨が描きだす。その理想の動きのさらに先を目指す緋雨が、目標を外し壁や床に弾かれた矢が立てる硬い音を置き去りに、重力に引かれた再び虚空を蹴り、複雑な軌跡を迷宮を刻んでゆく。
「さぁ、スピードの向こう側へ……! どこまでもっ!」

 それから、しばし後。部屋の入口へと戻された緋雨が頭上の魔鏡に映されている先ほどの自身が挑戦している姿を見上げながら攻略の手順を脳裏へと描いてゆく。
「流石に一発じゃ突破は無理だったみたいだね……罠のある所に追い詰められたのが敗因かな…? まぁ、解法に迷ったなら心行く迄試せばいいよね」

●仕掛けと魔鏡
 積み上げるように繰り返す緋瞳を象嵌した異能者が弾かれるように駆け出し迷宮を創り出した試練を鮮やかな動きで乗り越えてゆく。

●積み上げてゆくモノ
 幾度もの挑戦の後……迷宮に背中を預け熱を持った身体が冷やされる心地よさに頭上を仰いでいた緋雨が、落ち着いてきた呼吸に次の挑戦の準備を整えながら言葉を零す。
「ふぅ、こういうのも楽しくていいね。なんだかルーキーの頃を思い出すよ。さぁ、休憩はここまでにして今の自分を再確認に……目指す自分を見つけに行こうか」

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 新たに生まれた地下迷宮の最奥。絢爛な迷宮主の間にて金髪の少女が目の前に創り出した魔鏡を虚空に散らしながら口元を緩める。

『一人突破ですね。まっすぐに突破してくるところは好感がもてますね』
【願ったままによい攻略だったな。次も期待しておこう】

 白翼を模した魔導具の声に頷いた金髪の少女の頭上でステンドクラスが銀煌を湛え新たな魔鏡に変わり…、大きく翼を羽ばたかせた金髪の少女の視線がそれを捉える。
霧崎・蛇駆(サポート)
『あーあーヤダヤダ、めんどくさいったらありゃしねぇ』
『やるからにはやるさ、給料分はな』
『いいじゃんいいじゃん!楽しくなってきた』
口では面倒くさいと言いつつも仕事はこなす猟兵で、戦闘だとやる気を最初から見せる戦闘バカです。
捜索系ではハッキングを駆使して情報を集めたり、演技で騙したり脅したりします。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使います。正面きって無数のテンタクルによる物量戦も好きですが、触手による立体的な移動からの相手の死角から攻撃も別格です。弱い相手だといたぶる傾向があります。
メインの武器は『テンタクル』です。
基本的な口調は『オレ』です。
あとはおまかせします。よろしくお願いいたします。



●虚飾あるいは羨望の迷宮
 幾人かの猟兵達が迷宮に消えた後。遅れて転送されてきた猟兵が蒸気幽霊の元へと近づいてゆく。

●欲望の迷宮
 それ自身が知性を持つ呪われた緑色のフード付きコートを羽織った霧崎・蛇駆(ヴィリジアンモンスター・f20261)が、めんどくさそうな雰囲気を纏いながらも油断ない足取りで迷宮の入口へと歩みを進め。

「あーあー…ヤダヤダ、めんどくさいったらありゃしねぇ。なんか面倒なことになってんだろう?」
『わざわざ来てもらって申し訳ないね。あぁ、出来上がった迷宮は少しばかり特殊な状況だよ』

 来訪者を迎えるように佇むエイルマーへと蛇駆の雰囲気に違わないやる気の薄い声が掛かり、その様子を気にすることなく軽く頭を下げ感謝を示したエイルマーが迷宮の状況を語りだす。
 そうして僅か後。雰囲気を一変させた蛇駆がやる気に満ちた声を残し、ひらひらと手を振りながら迷宮の入口へと消えてゆく。

「なんだよ。そうならそうと先に言えよなぁ。面白そうじゃねぇか。骨董品をパクれんならもっと面白かったんだがまぁ、そこはしかたねぇ」

●蒸気魔導機械と魔鏡
 周囲の魔鏡に自身の姿が映り込むことを気にすることなく進む緑色の怪物が通路の先に見える扉に笑みを深め足を速める。

●テンタクル・マキシマム
 軋る音と共に解放された扉の奥から蒸気機関の唸る音が響いてくる。蛇駆を迎え撃つように各所に仕込まれた遠距離武器を稼働を始めた蒸気魔導機械の様子に、ずるりと羽織ったローブに仕込まれた隙間からナノマシン内蔵型脳波制御式液体金属――テンタクルス――を触手状に操り揺らめかせ駆け出す。

「準備が整ってねぇーんなら、そのまま潰してやるぜっ!」

 踏み込みを補うように叩きつけられたテンタクルスの一つが迷宮を震わせながら蛇駆を打ち上げるように中空へと飛ばし……、グルリと生物的に蠢いた幾本もの触手が叩きつけるように突き刺すように蒸気魔導機械へと襲い掛かる。

 ガガガガガガッ!

 響き渡る轟音は蒸気の力により撃ちだされた無数の弾丸と幾本もの液体金属の触手が互いを弾き合う音。
 テンタクルスの重量ごと自身を吹き飛ばすような衝撃に蛇駆が笑みを深め、その身体が宙を舞う。
 迷宮の壁に天井にいつの間にか突き刺さっていた液体金属の細触手が蛇駆を重力の軛から解き放ち、蒸気魔導機械の放った弾丸の衝撃を飲み込むようにベクトルを変え、緑の尾を引く変則軌道の終端は蒸気魔導機械の正面。

「アハハハハハ! アーハハハハハハハハハ!!!」
『……………』

 狂ったように楽しそうに笑う蛇駆の身体から100を優に超える液体金属の触手が爆発するように飛び出し、それに無言で応じた蒸気魔導機械に備えられた魔境から歯車と発条を軋ませる金属触手が顕れ迎え撃つ。

 ドッッ………ッッ!!!

 重なりあい連続する衝突音が一つの衝撃として迷宮を震わせ周囲へと放射線状の深い亀裂を刻みつけながら、交錯した影が二つに分かれる。

「悪くはねぇが……まぁ、オレをとめるにゃ足りねぇなぁ」

 そう言って立ち上がったのは蛇駆。速度と質量を持って蒸気魔導機械を潰した蛇駆が、幾つもの鉤裂きの出来た愛用のコートが修復されていくのを確認しながら奥に見える扉へと向かって歩き出す。

●蒸気魔導機械と魔鏡
 扉の先に拡がる回廊を戦闘の余韻に上機嫌そうに進んでゆく緑の怪物が幾つもの通路が繋がった部屋へと辿り着き足を止める。

●迷宮攻略
 更なる下層へと続く階段を備えた迷宮の中継地点……迷宮主の間へと続くと思しき部屋へと辿り着いた蛇駆が一度周囲を見渡し言葉を零す。

「さて、そろそろ帰るとするか。なぁに、ここまで進めば給料分は十分に働いただろうしよ」

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 カツリカツリと絢爛な迷宮主の間に足音が響く。足音を響かせる金髪の少女の頭上では色とりどりのステンドグラスの一部が迷宮の様子を映しこみ煌めいてゆく。

『お金もいいものですよね。使うのも貯めるのもとても良いものですし』
【稼ぐが意図的に抜けていないか? 我が契約者殿】

 さらりと髪を揺らしながら視線を上げ、その様子を楽しんでいた金髪の少女が溢した言葉に白翼を模した魔導具のあきれた声が繋げられ……、一人と一つの会話が穏やかに続けられてゆく。
ハルピュイア・フォスター(サポート)
絶望を与えるのがわたしの仕事…。
無表情で口調は事実を淡々と告げます

【暗殺】が得意
また【迷彩】【目立たない】【闇に紛れる】【地形の利用】など使用して隠密にまた撹乱しながらサポート行動

Lost memory…ユーベルコードの弱点を指摘し封じ込む

回避は【残像】で、怪我は厭わず積極的に行動

武器;首にマフラーの様に巻いてある武器『零刀(未完)』は基本は両手ナイフだが鞭や大鎌など状況に合わせて形を変貌させ使用

他猟兵に迷惑をかける行為はしないが、デザートは別問題…奪います

後はおまかせでよろしくおねがいします



●虚飾あるいは羨望の迷宮
 猟兵達による迷宮攻略が進んでゆく最中。新たに転送されてきた猟兵がぽっかりと口を開ける迷宮へと進める足を止める。

●迷宮攻略
 どこか翼のような雰囲気をさせる黒と白のツートンカラーの衣装を纏ったハルピュイア・フォスター(天獄の凶鳥・f01741)が、ふと何かに気が付いたように迷宮の入り口を監視するように佇む蒸気幽霊の元へと行く先を変更する。

「わたしは、ハルピュイア・フォスター……あなたがここの管理をしている人?」
『あぁ、それで間違いない。苗字はなくてね、エイルマーと名乗っているよ』

 長い金色の髪を揺らし無表情にエイルマーを見上げたハルピュイアが、無表情のままに淡々と事実を確認しエイルマーが感謝の言葉と共に肯定を示す。
 そのエイルマーの反応に赤と青の双眸……炎と氷を思わせるオッドアイをゆっくりと瞬かせ、ハルピュイアが呼び出された迷宮主に関して言葉を重ねる。

「絶望を与えるのがわたしの仕事…。その為に来た。……どうすれば効果的?」
『……ふむ、なるほど。何を嫌うかと何を嫌がるか…か。時間をもらっても構わないかな?』

 ハルピュイアの端的な言葉をかみ砕き、求められていることを整理したエイルマーの言葉に……構わない、とハルピュイアが答え……、周囲に歯車と発条が噛合い起こす微細な振動が奔り始める。
 その変化に警戒するように雰囲気を変えたハルピュイアに驚かせたことを謝罪するエイルマーの声がかかり…僅か後。歯車と発条で形づくられた大きめの円卓と椅子が姿を見せる。

『立ち話もなんだからね。腰を落ち着けてくれると嬉しいよ。あと、少しなら甘味もあるけどどうかな?』
「ありがとう。あと、甘いものは……もちろん、もらう。……何がある?」

●羨望の迷宮と災魔
 蒸気機関の奏でる重たい音と共に小型の蒸気魔導機械が現れ、天獄の凶鳥と蒸気幽霊の座る円卓にお茶会の準備が整う

●虚飾と羨望
 遠ざかる蒸気と歯車が奏でる音へと陶器のなる音が重なる。さりげなくクッキーが盛られた皿を自身の近くへと移動させたハルピュイアが、エイルマーの口元と手元を微かに警戒するように眺め……、薄く微笑んだエイルマーが安心させるように言葉を紡ぐ。

『私は名前の通り幽霊だからね。用意したお菓子はフォスターさんが食べるといい』
「…………ッ…………ッ……」

 エイルマーの言葉にはサクサクと軽い咀嚼音が重なり、言われなくとも遠慮なく頂くつもりだったハルピュイアが口の中に広がる甘味を楽しみながら話の本題を促すようにエイルマーへと視線を合わせる。

『ふむ…、ならこのまましゃべらせてもらおうかな? 気になった部分は改めて聞いてくれば答えるよ』
「……っ……………っっ……」

 口の中に広がる小麦の上質な香りや砂糖の溶ける甘み……それを彩る乾燥させた果物の酸味や柔らかさ等、地下迷宮の先に存在する旧校舎らしからぬ丁寧な仕事のお菓子に意識を大きく裂きながらも、ハルピュイアがエイルマーの語る迷宮主の嫌がりそうな内容を聞き取ってゆく。

●羨望の迷宮と災魔
 出された焼き菓子をすべて食べ終えた天獄の凶鳥がお代わりの紅茶を飲み終え席を立ち……蒸気幽霊に見送られて迷宮へと向かってゆく。

●迷宮挑戦?
 迷宮の暗がりに足音が消え……瞬刻の後。再び足音が響き始めほどなくしてハルピュイアが戻ってくる。無表情ながらもどこか釈然としないようなそんな雰囲気を纏ったハルピュイアが言葉を零す。

「……もどった。 あとは任せていい? でも、これで本当に効果があるの?」
『おそらくは。何度もやって効果のあることではないだろうけどね』

 その言葉に首を僅かにかしげながらもハルピュイアが、エイルマーへと軽く手を振り昏い光に包まれて迷宮の外へと転送される。

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 バサリと翼が震える音に重なり…壁に掛けられた魔境を素手で叩く音が響き渡る。プルプルと身を震わせる金髪の少女が魔境に身を預けるように屈めていた身体をガバリと起こして声を上げる。

『帰る…帰るって……なしでしょ!? 呼んでおいてひどくない!?』
【確かにひどいが…。まぁ、効率的ではあるな。我が契約者殿】

 口調を乱して悔しがる金髪の少女に、その熱を冷ますように白翼を模した魔道具が羽搏き落ち着かせるように声を掛け続ける。
ワズラ・ウルスラグナ
ふむ。善い迷宮が出来たな。
思えばこれも迷宮としては無駄だらけだな。
虚飾とは、さて、何処からを指すのだろうな。

さて攻略だ
正面突破も良いが、ここは一つ目の区画を探そう
知りたい事が多いのでな

俺にとっての価値とは戦いそのもの
価値有る物とは戦いの痕跡が色濃く残った物だ
葛藤、迷走、研鑽、覚悟と、所謂魂の籠った物が良い
勝敗は、さておきな

加えてもう一つ、今の俺の興味は迷宮主達に向いている
アーラとイリュティムの戦いの、即ち生涯の痕跡を辿りたい
既に終わった者、これから還す者の過去など、本来最も要らぬ物だろうが、
俺はそれが何よりも欲しい
来たる決戦に無関係であろうともな

時間が許す限り探索し続ける
最後には全て元に戻そう



●虚飾あるいは羨望の迷宮
 魔女と過去の英雄に見送られた猟兵が軽い別れの言葉を残し、黒焔を纏い始めた龍躯を出来上がったばかりの迷宮へと進めてゆく。

●想望の迷宮
 左腕の欠けた龍躯に黒焔を纏わせながら重く足音を響かせるワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)が、次第に煌びやかに荘厳な様相を見せ始めた迷宮の様子を黄金色の隻眼に映し込み。

「ふむ。善い迷宮が出来たな。こちらがそう望んだことではあるが…思えばこれも迷宮としては無駄だらけで面白い」

 侵入者を迎え入れるのに不必要な精緻な彫刻と不思議と明るく照らされた迷宮の通路に、迷宮の奥で待つ迷宮主の呼名を思い起こし言葉が零れる。

「それはさておき、攻略だな。試練の迷宮を正面突破も良いが…、ここは一つ目の区画を探すとしよう。知りたい事が多いのでな」

●在りし日の遺物と魔鏡
 武骨な足音が響き方を変え数々の展示台と…墓標のように突き立てられた数多の武具が姿を見せ呼応するかのように黒焔が左腕を創り上げる。

●闘争の歴史
 肌を刺すような重く深い空気が炙られるように熱を帯びてゆく。荘厳でありながら寂寥とした迷宮の一角に活力を孕んだ黒焔を振り撒くワズラが呼び出した少女と魔導具…一人と一つのことを思い返しながら足を止める。

「虚飾とは、さて、何処からを指すのだろうな。在り方か、生き様か、それともそれ以外か楽しみにさせてもらおう」

 零した言葉と共に無造作に突き出された右腕が漆黒の柄を掴みバキリと床材の砕ける音が響く。
 形容しがたい何かを纏い引き抜かれた昏い刀身が周囲を陰らすようにその存在感を主張し…、沈むような重圧が周囲を圧迫する。

――――ッッ!!
        ――――オォォ!
  ――――!!!!!!!

 苦痛、愉悦、願い、後悔、絶望、安堵。
 ……殺めた者、殺められた者
 ………奪った者、奪われた者
 ………遺した者、遺された者

 混ざり合い、絡み合った執念とも情念とも言うべき想いが過去から溢れだす。
 あたかも骸の海から零れだし現実を浸食する災魔の如く絡む想いに龍の咢が笑みを刻み込む。

「うむ、善いな。善い経歴だ。なるほど、俺にとっての価値のある物が用意されたか。確かにこれほど戦いの痕跡が色濃く残った物は、なかなか在るものではない」

 さて…戻すべき場所は、と周囲に視線を彷徨わせたワズラの視界に白銀の甲冑が映り、誘われるようにそちらへと足を進めてゆく。

「葛藤、迷走、研鑽、覚悟……あぁ、魂の籠った物は善い。うむ、勝敗以上に心を震わせてくれるものばかりだな」

●在りし日の遺物と魔鏡
 朽ち果てた大斧…砕け散った武具だった何か……積み重ねた戦いの果てを感じさせる数々を戦獄龍が手に取りあるべき場所へと戻してゆく。

●願いの裏に積み上がったもの
 深く響く音が静かな空気へと沁み込んでゆく。幾つか目の武具をあるべき場所に戻したワズラが、何かを探すように今一度、周囲を見渡し飾られた魔鏡へと視線を止める。

「このままでも善いのだが、もう一つ気になっていることがある。エイルマーからも少々聞いたがお前たちの戦いの、即ち生涯の痕跡と言うものにな」

「確かに既に終わった者、これから還す者の過去など、本来最も要らぬ物だろうが、俺はそれが何よりも欲しい。来たる決戦に無関係であろうともな」

 鏡越しではアーラとイリュティムに声は届かんかもしれんが…まぁそれもよし、といまだに散らばったままの美術品に向け踵を返そうとしたときガコンと何かが外れる音が響く。
 誘うように暗がりを見せる魔境の飾られた壁面に迷うことなくワズラが足を進め、沈むように潜り抜けた先には飾られたかのように並べられた多くの人型に僅かな異形。

「ふむ……? 魔法学園の生徒が多いな。しかし、生徒達は一部、災魔はすべて止めを刺しているようだが。違いは何だろうな?」

 並ぶ生徒達に呆然とした表情を見せる者が多いことにさらにワズラが首を傾げつつも奥へと進み最奥に刻まれた言葉を見つける。

「虚飾は憧憬…か、それにしては相対した者の表情は対照的なもののようだな。それと、武器らしきものがなかったのも気になるところか。しかし、わざわざ俺の為に用意したとは思えないことを考えると隠していたのか?」

●喪失の歴史
 一際大きな音が響き迷宮の最奥へと繋がる通路への扉が開かれる。周囲の展示台へと正しく武具を戻したワズラが振り返り多くの歴史を刻んだ数々の僅かに黙礼し、近づく戦いの気配に黒焔を弾けさせてゆく。

「善い時間だった。幾らが疑問も残りはしたが、それは直接尋ねればよいだろう」

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 いつからか静寂に満ちていた迷宮主の間にポツリと言葉が零れる。懐かしむような穏やかな声にゆっくりと羽搏いた白翼の羽根の擦れる音が重なる。

『こうなってからも……こうなって終わってからもいろいろあったわね』
【今となっては懐かしいと言ってもいいのかもしれないな。我が契約者殿】

 とはいえ…どういう心境の変化だ?と問う白翼を模した魔道具に金髪の少女が、鍍金の下もたまにはさらさないと忘れてしまうじゃないと気楽そうに返す。


第3章 ボス戦 『『罪の影姫』アーラ・イリュティム』

POW   :    虚飾の白翼(その姿はきっと素晴らしいわ)
【相対者が想像する理想の姿】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
SPD   :    虚飾の白翼(その姿から目を逸らさないで)
【相対者が後悔するかつての姿】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
WIZ   :    虚飾の白翼(その姿を誇ってもいいのです)
【相対者が心の奥に秘めた姿】が現れ、協力してくれる。それは、自身からレベルの二乗m半径の範囲を移動できる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠茲乃摘・七曜です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『罪の影姫』アーラ・イリュティム
 荘厳な迷宮を深層に向けて進む猟兵達や新たに訪れた猟兵達にエイルマーの声が届く。地下迷宮に潜り攻略を進めることに関する感謝の言葉に続き判明した迷宮主の間の位置と迷宮主に関しての様々なことが伝えられていく。

 迷宮主の間に居るのは、アーラ・イリュティム。虚飾の名前を冠する少女と白翼型の魔導具……魔導実験の被験者が災魔になったそんな相手になる。迷宮の創造から関わって貰った人には重複する部分もあるかもしれないけれどよければ聞いてほしい。
 見た目は清楚な雰囲気の修道女。口調もそれに似あった落ち着いた上品なもの……だが、虚飾の名前の通り本来の口調とは違うものになる。本来の口調は、普通というとあれだけど気負いのない女性口調というのかな? まぁ、普通な感じだよ。

 それはさておき、戦闘に関わることに関して話していこう。まず、イリュティムもアーラも戦闘はかなり得意な部類になる。とはいっても直接、矛を交える可能性はそう高くないと思う。まぁ、そのあたりはこの後、詳しく説明させてもらうよ。
 まず、アーラ・イリュティムの能力はあらゆるものを転写する。効果範囲は白翼型の魔導具を中心に拡がっていて、迷宮の最下層すべてを覆うほどには広い感じだ。あとわずかばかりだけど近いほど効果が強力になる。転写に関しては名前の通り認識した物体を再現して実体化する能力でもあるのだけど、そういう使い方はあまりしてこない…と思われる。
 基本的にアーラとイリュティムが転写の対象としてくるのは主に相対した人物の心の中にあるその人自身になる。ただ、映し身を創り出した後、アーラとイリュティムは積極的に攻撃は仕掛けてこないから2対1での戦闘を考慮する必要はあまりないよ。それと、人一人を現実世界に映し出すというのは、イリュティムとアーラにとっても負担が大きいようだから、映し身さえ撃破できれば二人を無理に攻撃して打ち破る必要がないことも覚えていてほしいと思う。

 続けて、アーラ・イリュティムの戦闘方法……こちらへの対応は主に三つになる。
 一つ目は、理想の転写。語弊を恐れずにいえば未来の転写といえるかもしれない。相対した人物の努力の先、こうありたいという姿を映し出してくる。理想の在り方は人それぞれ違うと思うからどんな自分が顕れるかは人それぞれになる。
 二つ目は、後悔の転写。こちらはある意味過去の転写ともいえるのかもしれない。相対した人物の……そう、こうあれたのならばよかったという後悔を元にした姿を映し込んでくる。後悔と言っても色んな形があるかもしれないけれどその場合は、より心に深く根付いている事象の姿が顕れることになる。
 三つ目は、秘密の転写。これは、少々特殊な転写になる。善悪好悪に関わらずその人が心に秘めている姿が映し出される。その人自身が気が付いていない姿になることもあるけど、多くは隠しておきたいと願っている姿が顕れると思う。これに関しては、その人が秘密にしておきたいと感じていることが重要みたいだね。

 それと、転写されて現れる映し身に関して重要なことが一つ。映し身はイリュティムとアーラに協力的ではあるけれどイリュティム達の命令に絶対服従というわけではないから映し身と協力してイリュティム達と戦うことも可能かもしれない。ただし、その場合はイリュティムとアーラが本気で抵抗してくるから容易な戦いにはならないと思って覚悟してほしい。

●虚飾の白翼
 絢爛な迷宮主の間に踊るような足音が刻まれる。何処からともなく降り注ぐ光に照らされる白翼が煌きを中空に刻み、讃美歌を模すような歌声が涼やかに響き溶ける。何かを隠すかのように飾り立てるように紡がれる光輝が薄絹のように帳を降ろし……一際大きく羽搏いた白翼から零れる羽根を美しく微笑んだ金髪の少女が瞳へと映し込む。
天翳・緋雨
【真の姿】第三の瞳が煌々と光り、両眼が深紅に。身体の各所の呪印が輝きを増し、フル稼働。

【秘密の転写】それは機械仕掛けの緋雨。幾多の戦いに勝ち続け、その対価として生身の部分を次第に失った戦闘人形。自分は今でもヒトなのかという疑問を抱きつつ世界と向き合う、少年の可能性の一つ。

【対峙】その対峙は、不安・懸念の具現化。「姉」である璃闇が危ぶんだ終着点。「最悪」ではないけれど、相対すれば心が締め上げられる様な。

【UC】は【陽炎】を。己の全てを賭して立ち向かい、乗り越えよう。
憐れまずに、超えていく。
けれどその姿、忘れまい…。

念動力による重力操作と属性攻撃による雷撃を中心に
予測と体術を軸に一撃離脱で仕留める



●絢爛豪華に飾られた迷宮
 飾られた魔鏡を意匠に組み込んだ回廊が途切れ、広大な地下空間に作り上げられた聖堂の如き迷宮主の間が猟兵を迎える。

●映し出されるもの
 額に象嵌された第三の瞳を煌々と輝かせた天翳・緋雨(時の迷い人・f12072)が、深紅に染まった瞳に清楚に佇む迷宮主達を映し込み……問いかけた言葉にその口元が笑むように綻ぶ。

「キミ達がここの迷宮主……、みたいだね」
『ようこそ。過去を紡ぎ、未来を目指し進む姿……とても素晴らしいものでした』
【我もその在り方を眩しく輝かしく思う。それ故に………危うくもある】

 響く言葉の真意を問おうと緋雨が口を開くのを制するようにばさりと広げられた白翼の魔導具が空気をかき乱し、イリュティムが祈るように両手を組む。

「それは、どういう意味か…な…!!? …………っ!!」

 ぐにゃりと緋雨の目の前で空間が揺らぎ、言いしれない感覚に緋雨の身体に刻み込まれたナノマシンを制御するための呪印が淡く輝き稼働率を上げてゆく。

●璃闇が危ぶんだ終着点
 緋瞳を象嵌した異能者が戸惑いを見せるなか、歪んだ空間が収縮するように人型を創り出し一つの可能性が結実する。

●………或いは歩みゆく道
 創り出された虚像の白亜の床を踏む音が重く響く。顕れたのは緋雨とよく似つつも僅かばかり年嵩の青年。
 緋雨の深紅に輝く双眸と青年の藍色と緋色……片目が機械化されたオッドアイが交わる。丁寧に修繕された緋雨と同じ多目的スーツを纏ったその姿に緋雨が目の前の青年が誰であるかを悟り……。

「キミは……? いや、……ボクだね」

 どこか達観したような、されど嘆くような姿。
 どこか迷うような、されど誇るような姿。

 その姿を見ているだけで不安に押しつぶされるような、心を締め上げられるような……そんな戦い進む中で心の片隅で感じていた懸念を浮き彫りにされる心境に言葉が詰まる。
 交わる視線をさきに逸らしたのは虚像の青年。自身を顕現させた迷宮主達に視線を送り立場を問い。

〔……。もしも、手出しをするつもりなら〕
『いいえ、思うままにどうぞ』
【決して邪魔はせぬと約そう】

 返された言葉に改めて緋雨へと向き直り、その身体からくぐもった稼働音が響き始める。
 それに引っ張られるように、あるいは焦燥感に後押しされるように緋雨の呪印の稼働率も引き上げられ、鋭い音と共に帯電し光を放つ。

「……。なんて言うべきかは分からないけど、ボクはキミを倒さないと…いや、乗り越えなければいけないんだと思う」
〔どうだろうね? キミはボクに関わるべきではないかもしれないよ。だけれど……いや、なんでもない〕

●歩みゆく者と歩み続ける者
 交わされた言葉が空気に溶け……お互いを見据える緋瞳を象嵌した異能者と緋瞳の危惧した戦闘人形の第三の瞳が輝きを強くしてゆく。

●………或いは交わりゆく道
 白亜の床が踏み鳴らされる音に戦いの火蓋が切って落とされる。力強く滑らかに白亜の床を踏み動きを見せたのは緋雨の虚像。
 蛇の如く意識を絡めとるような身体捌きから繰り出された蹴撃が空気を引き裂き鋭く撓る。

…………ゴゥッ!!

 ただの蹴撃とは思えない音を響かせ迫る虚像の一撃に緋雨の緋瞳が周囲の変化を演算し……、これまでにない稼働率を見せる呪印から雷光が溢れると共に揺らぐようにその姿が掻き消える。

 ――――ザッッン!

 身体を逆袈裟に両断しかねない上段蹴りを短距離転移で緋雨が虚像の死角に跳び躱す。
 そうしてそのまま、自身にかかる重力を捻じ曲げ水平に落ちるように体重を乗せた雷光を纏った一撃放ち……虚像へと突き刺さったその一撃から光が散る。

   …………ゴッ!!!

 異常なほどに重い手応えとその光景に驚愕した緋雨の動きが僅かに鈍る。

(き…機械の身体っ! いや、それよりも誘い込まれた?)

 そこへ飛燕の動きで巻き戻った蹴撃が、再び襲い掛かり鈍い音と共に緋雨の姿が薄れながら吹き飛ぶ。

(………っっ!)

 転移寸前に届いた衝撃に揺さぶられながらも態勢を立て直した緋雨へと、どこに転移するか予測したかのように――否、失った片眼と置き換えた義眼に備わった機構で正に予測した虚像が迫り、重い一撃がさらに緋雨を吹き飛ばす。

…………ガッッ!
  ―――ドッ!!

(ぐぅっっ! キミはやっぱり…。それでもっ!)

●機械仕掛けの心
 幾度かの交錯の果てに二人の緋雨が向かい合う。身体のいたるところに激戦の名残を刻んだ緋雨が、破損した個所から火花を散らしつつも悠然と佇む自身の虚像を見据える。

(あぁ……なるほど。キミがなにを積み重ねてきたのかよくわかる。だから……)

 戦いの初めから動きに陰りを見せることのない緋雨の虚像が放った一撃を、第三の瞳に赫光を宿らせその場に転移した緋雨がすり抜けるように凌ぎ…。

「だからこそ……ボクのすべてで超えてみせる!」

 緋雨の一撃が虚像の身体を突き破り火花を散らし……、その程度では死ねないと笑った緋雨の虚像の両腕が緋雨の首へと添えられ、その意識が闇へと沈みゆく。

〔ありがとう。でも、今それを決める必要はないよ〕
「っ!? …な、なにを………?」

●今は未だ定まらぬ道
 ふいに奔った微かな衝撃と共に瞳を差す光がぼんやりとしていた意識を覚醒させる。

「あれ? ここは、迷宮の外だよね。ボクは、依頼でここに来て……」

 微かな違和感の残る思考で緋雨が手繰るように訪れた迷宮で起きたことを思い起こしてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 時計の針がわずか戻り激戦の後。戦いの痕跡が残る迷宮主の間にバチリバチリと火花が儚く音を立てるなか、壊れかけの機械の身体で為すべきことが為されたのを見た未来の虚像が言葉を零す。

〔我儘を聞いてくれてありがとう。……ボクには後悔はないけど迷いはあるんだ〕
『……未来から現在への老婆心ですか? まぁ、満足されているなら重畳です』
【望んだとおり、ここでの記憶も経験も虚飾で塗り固めて隠しておいたが……保証はできない】
〔それで充分。あのボクが自身の意思で思い出して追いかけてくるならそれでいい〕
『そうですか。なら、……いえ、お疲れ様でした』
【我からは感謝を。我らが果てるまではその姿を思えておくことを約そう】

 金髪の少女が纏う服に恥じない真摯な表情で両膝をつき祈りをささげ、白翼型の魔導具が羽根を零すように大きく広げられるなか、機械の身体を持った虚像が穏やかに消えてゆく。



 そうして僅か後。虚像を見送り裾を払い立ち上がった金髪の少女が言葉を零し、白翼型の魔導具が応じる。

『………だけど、やっぱり私たちだけが覚えているのは寂しいわね』
【なに虚飾は真実で祓われるものだ、なくなったわけではないさ】
オックスマン・ポジクラーシャ(サポート)
『遅れてすまない。状況は理解した。俺の立ち位置は破壊者だ』
黒い鎧と兜を常に纏ったダンピールの男。
本人はいたって真面目だが何故か行動や発言を不安がられる。
遅れてやってくるのは呪いのようなもの。
彼はすまないと思っているし状況も理解しているのだ。たぶん。

真面目さゆえのボケをかますこともあるが善良かつ誠実。
俺には破壊することしか出来ないと語り、実際その通りだが破壊力とそれを活かすための知力は侮れない。
何かを作る事ができる人を高く評価する。

戦闘では漆黒の剣『エタルゾ』や破壊の魔法を駆使して戦う。
自称知性派なので魔力もすごい。
たまにマンホールを投げたりもする。威力や重さ重視。

口調は『~だ。~なのだな。』



●アルダワ魔法学園『旧校舎』
 人気のないアルダワ地下迷宮へと転送された猟兵が、無人の周囲に足音を響かせながら新たに造られた迷宮へと急ぎ……姿を透けさせる蒸気幽霊を瞳に映す。

●虚飾の迷宮
 重厚感のある漆黒の鎧の重さを感じさせない動きで迷宮の入口へと辿り着いたオックスマン・ポジクラーシャ(遅れてきた破壊者・f12872)が、息を切らせることなく開口一番に謝罪を口にする。

「遅れてすまない。状況は理解している。俺の立ち位置は破壊者で行く」
『あ、あぁ。よろしくお願いするよ。それで、迷宮主に関わることや新しい迷宮に関することも大丈夫かい……?』

 オックスマンの雰囲気になぜか不安を刺激された蒸気幽霊――エイルマーが状況の説明を申し出でるが問題ない、と安心させるようにオックスマンが言葉を返す。

「問題ない。まず、迷宮主の名前はイリュティムとアーラだ。他の猟兵によって創造された迷宮部分は踏破済みで迷宮主の間を残すのみ。迷宮主達の能力に関しては………」

 オックスマンからすらすらと語られる内容に誤解や間違いがないことをエイルマーが聞き取り、頭を下げながら謝罪を伝え。

『疑ってしまって申し訳ない。その認識で間違いないよ。せっかく来てもらったというのにすまないね』
「いや、謝罪は不要だ。この状況に遅れてきた俺に原因がある。では、進ませてもらうぞ」

 そうエイルマーへと言葉を返したオックスマンが迷宮の入口へと姿を消してゆく。

●絢爛豪華に飾られた迷宮
 綺麗に整えられた魔境が飾られ要所要所に精緻な彫刻が刻まれた迷宮を遅参の宿命をもつ破壊者がゆっくりと進んでゆく。

●遅参する破壊者
 荘厳に煌びやかな大聖堂の如き迷宮主の間に足音が近づいてくる。響く足音が明確に響き始め僅か後。天使が彫り込まれた迷宮主の間の大扉が勢いよく…しかし丁寧に開かれ、オックスマンがその姿を見せる。

「遅れてすまない。なかなかに素晴らしい迷宮だった。いや、ここも素晴らしい出来なのだな」
『待ち合わせているわけではありませんから、どうぞお気になさらず』
【こちらも歓迎の準備などできているわけではないからな。謝罪は不要だ】

 淡く微笑むようにオックスマンを迎え入れたイリュティムが穏やかに言葉を紡ぎ、アーラの言葉が重ねられ……ばさりと翼が羽ばたく音と共に影が盛り上がるように人型を成してゆく。
 曇りが取れるように光沢を増して表れたのは漆黒の鎧。オックスマンの纏うそれと瓜二つでありながらどこか違うようにも感じるそれから声が響く。

〔遅れてすまない。作戦は了解した。ポジションはクラッシャーで頼む〕
『……はい? 遅れてないけど?』
【作戦? 我らも加勢する前提か?】

 突然の台詞に混乱し微かな不安を滲ませた素の口調を露にしたイリュティムとアーラを置き去りにオックスマンが自身の未来……もしくは過去であろう存在に大きく頷きを返し漆黒の剣を構える。

「〔お互い作戦要綱は提出してあるようだな。ならばいくぞ!〕」

●虚飾を冠するモノ
 轟音と共に衝突する漆黒剣が弾かれ合い遅参の宿命をもつ破壊者達がその役割に恥じない威力で迷宮を震わせる。

●『影の罪姫』アーラ・イリュティム
 一際激しい音と共に漆黒の鎧が弾き飛ばされ……影に沈むようにその姿が溶けてゆく。その様子を戦いの余波で幾つもの彫刻や装飾が破壊された迷宮主の間で見送ったオックスマンが、周囲の惨状に溜息をつく様に言葉を零し……その目の前で巻き戻るように迷宮主の間が復元されてゆく。

「そうか直せるのだな。敵同士ではあるがその力は素晴らしいものなのだろう」
『戻しているだけですので直しているのとは違いますが、壊したことはお気になさらず』
【虚飾を打ち払う姿は見事だった。次は我らと戦うつもりかな?】

 迷宮主の間を復元したイリュティムとアーラから投げかけられた言葉に、オックスマンが背を見せ入ってきた扉へと歩みを進め。

「すまないが今回の予定はここまでだ。次の場所に遅れてしまうからな」

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 地下でありながら明るく照らされた大聖堂に静寂が訪れ、純白の翼を緩やかに羽搏かせた金髪の少女が零した言葉に背負う白翼から声が返る。

『何だったのかしら? 立ち位置に破壊者? ……やっぱり、何かの符号?』
【彼らの間では伝わっていたことを鑑みると何かしらの意味はあるのだろう】
『あと、遅れてすまないって言葉は新鮮でしたね』
【改めてお思えば我らは常に待ち続けているとも言えたからな、そういう意図ではないのかもしれないが】

 漆黒の破壊者が残した言葉で楽し気に遊ぶ金髪の少女に白翼が己の考えを返し……再び、迷宮主の間の扉が開かれるのを一人と一つが穏やかな空気の中で待つ。
叢雲・雨幻(サポート)
真正面から、と言うよりは掠め手で相手を惑わせて
攪乱しながらのらりくらりと追い詰める戦い方を好むよ。
ただし共闘者がいて危ない時は飛び出して守りに行くかな。

使う武器は【黒雲】【黒霧【対】】の二刀流での戦闘が主。
使うUC次第では連結してダブルセイバーにしたり、
そもそも剣を【武器受け】用として使い、影を操る攻撃で戦ったりするよ。

基本的に相手の攻撃を【見切り】、【早業】で【武器受け】をしながら動きを観察し、隙を見つけて【切り込み】もしくは【カウンター】を決めて離れる飄々とした動きのヒット&アウェイスタイル。
戦闘中も仲間やボスにも冗談を交えて話しかけたりする。
ただしあまりにも非道な相手の場合は別だがね。



●アルダワ魔法学園『旧校舎』
 昏い光と共にアルダワ魔法学園の地下深くに転送されてきた猟兵が、飄々とした雰囲気で周囲を見渡し転送前に告げられた目的の場所へと向けて歩き出してゆく。

●虚飾の迷宮
 使い込まれた時間を感じさせる年代物のハットを被った叢雲・雨幻(色褪せた根無し草・f29537)が、咥えた煙草を燻らせながら迷宮の傍で佇む蒸気幽霊――エイルマーへと視線を向ける。

「迷わず着けたみたいだねぇ。いやぁ、よかったよかった」
『迎えも出さずに申し訳ない。あまりここを離れられなくてね』
「あぁ、気にしなくてもいいとも。オジサンはお金をちゃんともらえればいいしね」

 掴みどころなく冗談交じりに笑う雨幻にエイルマーがそれでも感謝するよと声を返しつつ、改めて迷宮の状況を説明してゆく。

「ふぅむ。正面から部屋に入らないといけないかぁ。……ちょいと面倒だけど何とかなるかねぇ」
(しっかし、実験の被験体ねぇ。まっ、やることはやるんだけどさ)

●絢爛豪華に飾られた迷宮
 遥か過去から動作する魔法装置に生み出された迷宮を進む紫煙を烟らせる根無し草が豪奢で巨大な扉へと辿り着く。

●放浪する自由人
 迷宮主の間に満ちた清廉な空気に熱を混ぜ込むように紫煙が立ち上ってゆく。自身が押し開いた迷宮主の間の大扉が閉ざされたのを気にすることなく雨幻が、聞いていたとおりの容姿を持つ迷宮主へと声を掛ける。

「あ~、悪いね。ここは禁煙だったかな? まぁ、オジサンを創り出すんだったらそっちも吸ってる気がするけどね」
『いいえ? 構いません。それにこういうことも出来たりしますので……』
【なに、気にすることはない。自身のパフォーマンスを維持することは重要だ】

 意外と肯定的な言葉がイリュティムとアーラから返ったことに僅かに目を眇めた雨幻の目の前で空気が変わる。立ち上っていた紫煙が消え去り、零れる灰が形を無くす。その様子に警戒心を強めながらも飄々と雨幻が言葉を紡ぐ。

「おや、悪いねぇ。なかなか、便利な能力を持ってるみたいで羨ましいよ」
(ん~、どんな種があるんだか。聞いていたよりも厄介なんじゃないかね? 彼女たち)

 その雨幻の様子にイリュティムの表情が笑むように変わり、アーラがこのまま話していても構わないのだがと紡ぎながらも白翼を震わせ影が蠢く。
 そうして、瞬きの間に人型を成したそれに色が付き……雨幻の似姿が形作られる。

「へぇ、未来のオジサンもいい男だねぇ。趣味も悪くない……って、さぁ」

 顕れた自身の姿を軽口を叩くように褒めた雨幻の言葉を流すように身を翻した虚飾の雨幻がイリュティムへと振り返り。

〔やぁ、過去のオジサンにはすぐ帰ってもらうから、お茶でもどうかな?〕

 軽い調子でナンパを敢行し……雨幻と虚飾の影の思考が重なる。

((こりゃ、無理かな? いや、二人掛かりならいいとこいけそうだけどさ。そのリスクを負うくらいなら適当にそれっぽくオジサン達で戦った方がましだわ))

 その雨幻達の思考に気が付いているのか気が付いていないのか感じさせない様子のままイリュティムが言葉を返し…。

『ありがとうございます。ただ、残念ながらここには飲み物も食べ物もありませんので』
【…………】

 僅か憮然とした雰囲気を醸し出すアーラの前で示し合わせたかのように深く腰を落とした雨幻と鏡写しに構える虚飾の影が腰に佩いた片刃剣の柄へと手を掛ける。

●虚飾を冠するモノ
 居合の姿勢で互いを見据える紫煙を烟らせる根無し草と虚飾の鏡像に満ちる空気が張りつめるように緊張感を増してゆく。

●『影の罪姫』アーラ・イリュティム
 静まり返った迷宮主の間に鞘鳴りと共に二閃の残光が刻まれる。虚飾の影が解れ溶けていくのを背に役目を果たした黒い刀身を鞘へと戻した雨幻が、戦いを演出したことをおくびにも見せずイリュティムとアーラに背を向け、軽い調子で手を振り別れを告げる。

「さぁて、デートのお誘いは断られたようだし……帰ることにするよ」

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 幾度目かの静寂が絢爛豪華な大聖堂に訪れる。金髪の少女が苦笑するように零した吐息を純白の翼の羽搏きが撫でるように流し。

『もしかしたら、担がれたのでしょうか? ……なんというか、こう胡散臭い雰囲気がなかった?』
【その意見には同意するところだが……。化けの皮が剥がれかけてるぞ?】
『まぁ、たまにはいいじゃない? しかしなんとも、面白い人だったわ』
【ああいうたぐいの人間が確かに面白いのは同意するが……な】

 紫煙を烟らせ去った根無し草の後姿を思い出しつつ金髪の少女と白翼との間で交わされる言葉が、迷宮主の間に戦いの余韻として響いてゆく。
クレア・フォースフェンサー
理想の未来のわしか

わしは、おぬしらを骸の海に還すためにこの身体を貸し与えられているだけの存在
本来の生は、おぬしらと同じように既に終えておる
こうありたいという願いなどないと思っておるが、果たしてどのようなわしが出てくることやら

それにしても、理想を、後悔を、秘密を映し出すか
その力、わしと同じように他より与えられたものなのかもしれぬが、人の心にずけずけと入り、突きつけてくるのは感心せぬのう
かてて加えて、そこにいるわしは、わしと戦うためだけに生み出されたのであろう
随分とむごいことをするものじゃな

さて、この身体が持つユーベルコードはおぬしらには効くが、わしには効果がない
どう戦うのか、見せてもらおうかの



●絢爛豪華に飾られた迷宮
 純白の麗壁に飾られた魔鏡へと姿を映し込みながら進む猟兵が、巡礼者を迎えるかのように荘厳に佇む大聖堂を模した迷宮主の間への大扉をその瞳に映し込む。

●現在に連なる未来
 純白に真紅を挿す軍靴で傷一つない迷宮主の間に黄金色の軌跡を刻むクレア・フォースフェンサー(UDCのエージェント・f09175)が、薄く笑む迷宮主の姿に老成された雰囲気で語りかける。

「さて、理想の未来のわしか。しかし、わしはおぬしらを骸の海に還すためにこの身体を貸し与えられているだけの存在。本来の生は、おぬしらと同じように既に終えておる」
『いいえ、未来は常に今の願いの賜物です。ですから、ありたいという願いがないのではなく』
【そうありたいという願いが、一度絶えた想いが果たされている。現在が理想。なれば未来はおのずと知れよう】

 ばさりと羽根を舞わせ羽搏いた白翼に合わせるようにイリュティムとアーラの声が返り、自身の境遇を僅か振り返ったクレアが言葉を紡ぐ。

「確かにまたこうして戦えておることに感謝はしておるがの。それが理想となるかの?」
『えぇ。虚飾は憧憬。すべてが流れる中で変わらぬことを想うのも願いでしょう』
【今を理想とすることは、変化に逆らい未来の自身を願うことに他ならない】

 そうして、クレアと迷宮主達が言葉を交わす間にも揺らぐように滲むように変化を続けていた空間に……、色と輪郭が生まれ、寸分たがわぬ容姿に僅かに異なる雰囲気を纏ったクレアの似姿が結像する。

●未来へと流れる現在
 鏡合わせのようで何かが異なる怪異を断ち貫く作られし人型達が視線を交わし、その様子を微笑み、嗤う虚飾を冠する少女が黄金色の瞳に映し白翼の魔導具を震わせる。

●武芸の極技
 色とりどりの輝きをみせる光が大聖堂に煌きと共に影を落とす。光刃を顕現させてない黄金の柄へと軽く手を置き動く様子のない虚飾の影――自身の未来の姿――から視線を逸らしたクレアが、嬉しそうに在るイリュティムへと咎めるかのように言葉を紡ぐ。

「それにしても、理想を、後悔を、秘密を映し出すか。その力、わしと同じように他より与えられたものなのかもしれぬが、人の心にずけずけと入り、突きつけてくるのは感心せぬのう」
『それはごめんなさいね。でも、綺麗なものを見たくはありませんか? 輝ける未来、昏い過去、失われた秘密。飾るそれらは本当に美しいのです』
【求めるなら謝罪はしよう。だが、美麗なものを求めたくはならないか? 積み重ねたもの、後ろに遺したもの。虚ろなそれらは本当に尊い】

 クレアから伝えられた自身の所業についての言葉を迷いなく認めながらそれだからこそとイリュティムとアーラが在り方を返し、ならと虚飾の影に視線を戻し。

「それに加えて、そこにいるわしは、わしと戦うためだけに生み出されたのであろう。随分とむごいことをするものじゃな」
『それに関しては誤解もありそうですけど、否定はしません』
【非道と称されることではあるだろうが…最大限の敬意は払っているつもりだ】

 二人の反応に何か見落としたことでもあったかの、と首を捻ったクレアの瞳に虚飾の影がゆるりと光剣を構える様子が映り込み、同じ動きをなぞるかのようにクレア自身も光剣を構える。

「さて、この身体が持つユーベルコードはおぬしらには効くが、わしには効果がないどう戦うのか、見せてもらおうかの」

 そう零して様子を窺った隙とも呼べない刹那の間。虚飾の影が間合いを消すかのような縮地の踏み込みでクレアの至近へと現われ、振るわれた光剣がその首元でピタリと止まる。

〔らしくないの。オブリビオンを還すのにあれらの機能が必要なだけであって、この身に修めた剣技にとってはむしろ余剰なものであろう〕
「確かに、そうじゃのう。さて、わざわざ刃を止めたと意図を聞こうかの?」

 甲冑や玉鋼、霊魂や概念すらも一刀両断しうる一撃が確実に己の頸を跳ねる威力を秘めていたことを認めたクレアが、虚飾の影に先を促すように視線を向け。

〔なに、単純なことじゃ。イリュティムとアーラと戦うのはわしに譲ってもらう。それだけじゃな〕

 光剣を引いた虚飾の影が、迷宮主達へと歩を進めてゆく。

●交わり別れる現在と未来
 大聖堂を模した迷宮主の間から怪異を断ち貫く作られし人型がその姿を消し、残された理想の虚飾が自身を造りだした迷宮主達の元へと歩みを進めてゆく。

●『罪の影姫』アーラ・イリュティム
 荘厳な大聖堂に刻まれる足音が美しく響いて消えてゆく。光刃を油断なく携えた虚飾のクレアがその行動を咎めることなく微笑むイリュティムに対して口を開く。

〔わしを退けるのには協力したからの。残りの時間は好きにさせてもらって構わんじゃろう?〕
『はい、問題ありません。もちろん、お相手させていただきます』
【まずは賞賛を。しかし、大丈夫なのか? ……いや、失礼した】

 白翼を拡げ微笑を消したイリュティムの周囲の空間に陽炎の様な揺らぎが幾つも生まれ、アーラが称賛と共に虚飾のクレアがその身に秘めたユーベルコードを使用することに対しての懸念を問おうとし口を閉じる。

〔心配は無用じゃ。どうなるかなど百も承知じゃからな。なに、現在が望む未来であり続けるというのもおつなものじゃろう?〕

 そう呟いた虚飾のクレアの中でオブリビオンを骸の海に還す力が満ち、ユーベルコードすら分解するその力が虚飾のクレア自身を蝕み始め……応じるようにイリュティムアーラが力の行使に身を構える。

〔では、始めさせてもらうとするかの〕

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 幾重にも深い斬撃痕が刻まれ、幾本もの柱が断ち切られた粉塵の舞う大聖堂が時間を巻き戻すように修復されてゆく。どこか寂し気に息を吐き出した金髪の少女に刻まれた傷が消えると共に純白の翼が打ち震える。

『さようなら。私が消えてなくなるまできっと覚えておきましょう』
【よき未来があらんことを。……まぁ、すぐに後を追うことになるかもしれないが】
『だったら、最低限恥ずかしい話をしなくていいようにはしなくちゃね。でも珍しいわね?』
【はっはっ、消滅する瞬間まで変わらない姿を見せられたなら少々思う所もあるさ】

 虚飾の未来が消えた先に瞳を向けて零れた金髪の少女の言葉に白翼の魔導具が想いを返し、沈むように静寂が訪れてゆく。
キャロル・キャロライン
○●
未来の私の姿を写し出す――。
つまりその者達は、神より授かりしこの剣の、この盾の、この鎧の、この翼の、そして、この身体の紛い物を作り出すというのですね。
そのような存在を認めるわけにはいきません。

この身は神がこの世界に御業を振るうための扉に過ぎません。
たとえあの紛い物が今の私を超える力や技を有していたとしても、神の御業の前には何ら意味はありません。
神の御業を騙る者達に神の御業をもって永遠の無を与えます。

剣を掲げ、神の使徒たる幾多の天使を【召喚】します。
この階層を覆う敵の力を[浄化]しながら、一斉に攻撃を仕掛けます。

想像の力に酔った塵芥。
自らが生み出した紛い物とともにこの地より消えなさい。



●アルダワ魔法学園『旧校舎』
 学園地下迷宮のさらに奥……旧校舎の立ち並ぶ一角へと転送された猟兵が、昏い転送光の残滓を散らしながら目的地である新たなる迷宮を目指して進んでゆく。

●神を頂く者
 神の鍛えた白銀の鎧を纏い三つ編みに編み込んだ金髪を揺らしながら進むキャロル・キャロライン(聖騎士・f27877)が、出迎える蒸気幽霊――エイルマーへと一礼し、そのまま先を急ぐように虚飾の迷宮へと足を進めてゆく。

『っと、挨拶は不要みたいだね。こちらに来る前に説明は受けているかと思うが……』
「心配は無用です。私は神から授かった武具と力とをもって世界を浄化するだけですので。えぇ、骸の海から湧き出た塵芥なぞ、世界を汚す不純物として抹消するだけです」

 エイルマーの心配するような問いかけに、神への信仰を感じさせる力強い返答で応じたキャロルが暗がりの中に消えてゆく。
 そうして、その背中を見送ったエイルマーが不安げに零した言葉が空気に溶けるように消えてゆく。

『彼女……イリュティムとアーラに攻撃を仕掛けなければいいけれど。もしも、仕掛けるにしても彼女の影と共闘してくれていることを願おう』

●虚飾と魔鏡に彩られた迷宮
 白銀を纏う神に仕える聖騎士が神の威光を示すべく迷いなく歩みを進め、僅かな傷もなく輝きを示す大聖堂の如き迷宮主の間へと大扉を開き足を踏み入れる。

●浄化の聖騎士
 降り注ぐ光を拒絶するように白銀がはじき返してゆく。迷宮主の間に佇む部屋の主――イリュティムとアーラを見定めたキャロルが、白銀に輝く≪神剣≫を抜き放つ。その様子に僅かに目元を伏せたイリュティムの影が起き上がる様に厚みを増してキャロルの虚飾が姿を顕してゆく。

「未来の私の姿を写し出す――。つまり貴女達は、神より授かりしこの剣の、この盾の、この鎧の、この翼の、そして、この身体の紛い物を作り出すというのですね。そのような存在を認めるわけにはいきません」
『それは、とても残念なことです。しかしそれなら聖人の偶像はどうでしょう? 神の似姿はどうでしょう? いえ、それらもまた認めてはいただけないようですね』
【確かに我らは悪と呼ばれ害と呼ばれるものだ。だが、虚飾の偽りは必要ではないか? そう、神を知らぬものに神を伝えるのは紛い物の役目だろう】

 装うように覆うように飾られた本心を紡ぐ迷宮主達の言葉に、キャロルの言葉が重なる。
 その様子にどこか悲しげにも感じる表情を取ったイリュティムに届くのは聖騎士の宣誓。

「この身は神がこの世界に御業を振るうための扉に過ぎません。たとえあの紛い物が今の私を超える力や技を有していたとしても、神の御業の前には何ら意味はありません。神の御業を騙る者達に神の御業をもって永遠の無を与えます」
『そうですか。では、私達も抵抗させていただきましょう』
【是非もなしか。ならば、我らはそれに応えよう】

 神への信仰を掲げ曲がることのないキャロルの剣が掲げられ、その様子に応じるように虚飾の影の剣が応じる。 清浄な光と幾多の羽搏きが大聖堂の中を満たし、まるで宗教画の様な光景が描かれる。

 かたや白銀の聖騎士に率いられた白翼の天使の軍勢。
 かたや白銀の影騎士に率いられた黒翼の天使の軍勢と虚飾の天使に率いられた黒翼の天使の軍勢。

 倍する敵がいる情景にも臆することなくキャロルの掲げた剣が号令と共に振り下ろされる。

「想像の力に酔った塵芥。自らが生み出した紛い物とともにこの地より消えなさい」

●信仰と虚飾
 幾多の剣撃が迷宮主の間を震わせ白き翼が黒き翼が差し込む光を彩り、白銀を纏う神に仕える聖騎士と虚飾の聖騎士が斬り結ぶ音に虚飾を冠する少女がその白翼を震わせる

●神の扉
 静謐に拡がる清浄な光が迷宮主の間を震わせてゆく。キャロルの身体を通して導かれた浄化の神威が触れた大聖堂の如き迷宮主の間の虚飾が剥げ、その奥から顕れたの漆黒とも夜色ともつかない不気味な液体となり滴り落ちる。

 零れ落ちた『  』が迷宮主の床に撥ね、飾られた彫刻を浸し、倍する黒翼の天使に押し留められる白翼の天使を侵す。
 その様子に構うことなく新たな天使を召喚し剣を奮うキャロルに、同じく天使を呼び出しつつ戦う虚飾の影が剣を合わせ……、大きく姿勢を崩す。

 未来との差を覆すのはキャロルの掲げた神への信仰か、、神の威光を示さんとする意思か…。だが、虚飾の影を絶たんとした剣閃が黒翼の天使に遮られ届くことなく止まる。

 神の御業は確かに紛い物の未来を押し返し……、されどそれを支える虚飾が現在を塗りつぶす。
 それは、力の質ではなく力の量。無尽無限の輝きもただ一つの扉から導かれるのでは限りがある。
 そうして、虚飾の影と魔鏡が写し移し溢れだす偽りに満ちた力が元となったより強い力を押し込み導く扉の中へと押し返してゆく。

●『罪の影姫』アーラ・イリュティム
 一角が漆黒に染まった迷宮主の間に沈むような音が響く。白銀を示していた聖騎士が去るのと共に、虚飾の影が解れその身体を崩してゆく。未来を映し現在へと導いた時に使った力が再び身体の中に満ちるのを感じながらイリュティムが言葉を零す。

『私達が偽物に虚飾に酔っていることは確かですが……飾られたものにはきっと価値があると思うのです』
【同意だ。どのような理由で生み出されたものでも価値があることを願いたいものだな】

●終幕
 虚飾に彩られたの迷宮の入口がどろりと歪む。闇とも夜色ともつかない何かが晴れた後には迷宮の最奥で沈んだ猟兵がその身を横たえる。

失敗 🔴​🔴​🔴​


●虚飾の白翼
 刻まれた黒が、滴り落ちた闇が、溶けだした夜がゆっくりと元の彩を取り戻してゆく。その様子を曖昧に微笑みながら瞳へと映し込んでいた金髪の少女が純白の翼を大きく震わせる。

『…………………………………………………』
【…………………………………………………】

 そうして言葉なく交わされる少女と白翼の魔導具の会話が、誰に知られることもなく虚空へと消えてゆく。
ワズラ・ウルスラグナ
先ずは理想の俺との対峙だが、正直今と変わらんだろう
理想は戦いの中で次々と変わるし、決して満足する事も無い
強いて言うなら、迷宮主の願いを叶えられる俺であってくれ
願いを叶える者が向こうから協力を願ってくれるのだから、応えたい
だから戦うかも二人次第だな

戦いには虚飾も真実も混在する
晒すも善し、飾るも善し
俺には二人の関係が虚飾には見えんが、そこに見栄が混じろうと可愛い物だろう

交えるのが矛でも言葉でも願ったりだ
虚飾が剥がれるまで通い詰めるのも望む所よ

もし戦うのであれば、戦獄で象った左腕を捧げ、挑ませて貰う
この戦獄は特別な物、この破壊力こそ虚飾を取り払った想いの証明

鏡の向こうに立つ者よ、
さあ、俺と向かい合え



●絢爛豪華に飾られた迷宮
 漆黒の揺らめきが白く飾られた魔鏡の回廊を揺らめかせ、迷宮主の間へと向かう猟兵の刻む足音が幾重にも響き…長く落ちる影を彩ってゆく。

●嫉妬と虚飾
 揺らめくように燃え上がる戦獄の黒焔を身に纏ったワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)が、少し驚いた表情を見せるイリュティムへと牙を剥くように口を開く。

「さて、イリュティムとアーラだったか。先ずは理想の俺との対峙ということだが、正直今と変わらん気もするな」
『えぇ、初めまして。……随分と懐かしい気配をさせていますね。となると、自分自身との対峙は二番煎じでしょうか?』

「いや、理想は戦いの中で次々と変わるものだ。そして、決して満足するものでも無い。強いて言うなら、お前達の願いを叶えられる俺であってくれればいい」
【ふむ……。構成するものが同一であれ別のものではあるか。とはいえ、わざわざここまで足を運ばせたのだ少々味気ない】

 ワズラの想う理想に対する言葉にイリュティムが言葉を返し、投げかけられた言葉にアーラが同意を示しつつ先を決めてゆく。
 その様子に先に会った二人…否、二人と二つに似た部分を感じつつワズラが問うように声を継ぐ。

「では、俺はどうするか。俺にとってはどうであれ願いは叶う。その願いを叶える者が……お前達が協力を願ってくれるのだから、応えよう。どのように戦うかもお前達に任せよう」
『……なら、こうすることに致しましょうか』
【あぁ、それぐらいがちょうどよいだろう】

 どこか歌うように何かに誘うようにイリュティムとアーラの声が大聖堂を模した迷宮主の間に幾重にも反響し、言葉に籠められたものに応じるようにワズラの纏う黒焔が燃え盛り、その熱量を上回る言葉が刻まれる。

「戦獄よ、我が身を侵し…、世界を蝕め」
『虚飾よ、我が身を飾り』【世界を彩れ】

●憧憬の果て
 虚飾を冠する少女が一際大きく白翼の魔導具を羽ばたかせ周囲に大量の羽根が踊り、その様子に戦獄で創り出された戦獄龍の片腕が応じるように弾けるような音を奏でてゆく。

●虚飾を冠するモノ
 純白に彩られた大聖堂を侵すように黒が彩ってゆく。舞い踊る白の羽根が黒へと彩を変えアーラが影のように昏い龍翼へと変わり、イリュティムの纏う孔雀を刺繍した衣装が武骨な龍鎧へと変化する。
 その様子に纏う黒焔を雷霆状に変化させてゆくワズラの左腕がはげしく雷焔を轟かせ、身に纏う黒焔が周囲を焦がし咆哮の如き暴威を刻む。

「あぁ、交えるのが矛でも言葉でも願ったりだ。虚飾が剥がれるまで通い詰めるのも望む所よ」
『あら……虚飾が剥がれてしまったら何も残らないかもしれませんよ? 名前も借りものですし』
【おぅ、化粧と虚飾の剥がれた女は醜……何でもないぞ? まぁ、再来は歓迎するが】

 口調から虚飾を剥がしつつ嗤ったアーラがイリュティムの無言の圧力で言葉を留め、その様子に黒焔の欠片を牙の合間から零しながらワズラが黄金と赤光の龍眼を眇める。

「ふむ……、俺には二人の関係が虚飾には見えんが、そこに見栄が混じろうと可愛い物だろう」
【おや、むやみに若作りしているが大年増だぞ…我が契約者殿は。厚化粧も厚化粧、可愛いなんてものでは…なぁ?】
『アーラは先に毟られたいようですね? 若く見てもらえるならそれでいいでしょう? っと、話が脱線しすぎですね』

 まぁ…話していても良いとのことでしたが、とイリュティムが武骨に鎧われた黒い龍翼へと姿を変えたアーラを揺らしながら雰囲気を鋭利にし、それも望むところよ、とワズラが返す。

「戦いには虚飾も真実も混在する。晒すも善し、飾るも善し……楽しませてもらおう」
『えぇ、存分に楽しんでくださいませ。虚飾された真実を』
【心ゆくまで満喫するといい。真実を飾る虚飾を】

●虚飾と真実
 戦獄龍が振るう龍を冠した巨大な鉄塊が暴風を巻き起こし、鏡写しのように振舞う虚飾を冠した少女の一撃が暴風を掻き消すように振るわれ……衝突が迷宮主の間を震わせる。

●憂鬱と虚飾
 砕ける黒片が大聖堂を彩る様に焦がしてゆく。水平に薙がれた武骨な鉄塊剣が鏡写しの様な軌跡で薙がれた虚飾の巨剣と噛み合うようにぶつかり合い……、砕かれた影の巨剣の欠片を纏い弾け飛んだ鉄塊剣が重く床へと突き刺さる。
 戦意に失った以上に猛る戦獄を纏うワズラが握り掲げるように左腕を差し出し、武骨な龍鎧を解けさせたイリュティムが楽し気にアーラを羽搏かせる。

「うむ、見事。ならばこの左腕を捧げ、挑ませて貰おうか。鏡の向こうに立つ者よ、さあ、俺と向かい合え」
『えぇ、では打ち砕いて見せてくださいませ』

 それに応じるイリュティムらが纏う龍鎧がすべて解け……目の前に精緻な装飾のされた魔鏡が顕れる。その様子に咆哮をあげ踏み込んだワズラの左腕が奔り、魔境を正面から打ち据える。

 ―――――ッッ!!

 大聖堂を震わせる轟音に合わせ黒が弾ける。戦獄の黒焔が魔鏡の鏡面を溶かすように唸りを上げ、虚飾の魔鏡が黒焔を飲み込むように鏡面を烟らせる。

●『罪の影姫』アーラ・イリュティム
 一際、大きい衝撃が大聖堂に刻まれる。戦獄の左腕を砕け散らせ…魔鏡を砕いたワズラが誇らしげに宣言する。

「この戦獄は特別な物、この破壊力こそ虚飾を取り払う想いの証明よ」
【あぁ、懐かしく良いものを見せてもらった】

 とはいえ…今回はここまでにした方が良さそうですね、とイリュティムが呟きアーラの羽搏きの音と共にワズラの視点が切り替わり見慣れたアルダワ魔法学園の旧校舎群がその瞳に映る。

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 焼け焦げた独特の匂いが漂う迷宮の最深部に羽搏きの音が響く。少し困ったように笑う金髪の少女がカツンカツンと足音を響かせながらゆっくりと修復されていゆく大聖堂に刻まれた傷跡を撫でる。

『さて、本当の私とはいったいどんな私だったのでしょうか?』
【良家の令嬢で…、慈愛に満ちた姉妹想いの聖女様だったぞ?】
『……そんなわけないでしょう。捏造するにしてももう少しましなものにしなさいよ』
【ふっ、本当に忘れているのなら綺麗なものがいいかと思ってな】

 消えてゆく戦いの痕跡から視線を逸らした金髪の少女が身体を解すように一度大きく伸びをし、その様子を揶揄うように白翼の魔導具が小刻みに震える。
シャロン・シープホーン
理想の未来のボク?
もちろんもっと上手に羊に乗れるようになりたいけど、それとは別に背がもう少し伸びて胸ももう少しというかできればちょっと自慢できるくらいになってお酒が入ったグラスを片手で遊ばせたりしながらお姉ちゃんみたいに大人の雰囲気を醸し出せたらいーなーって思っているんだけど……ってそうだ! 今、向こうに現れるボクはボクの理想の未来の姿なんだよね? それはつまり、これから正しく頑張れば辿り着くことができる姿! よし、ボクはこれからキミを目指して頑張っていくぞ!

行くよ! 未来のボクの力、見せてもらうよ!
いつかキミに辿り着いてみせる! そして、追い抜いてみせる!
(気絶したら祖霊が救助に現れます)



●アルダワ魔法学園『旧校舎』
 軽快な音が無人の旧校舎群へと響き……一人の少女が、否。一人の少女と一匹の獣が猟兵達により創り出された新たなる迷宮へと駆けてゆく。

●もふもふの競羊と可愛らしい騎手
 首に巻いたしましまマフラーを靡かせながらもふもふの羊―型のロボット―に跨り駆けるシャロン・シープホーン(シープ・ジョッキー・f33470)が、迷宮の横に佇む不確かな存在――蒸気幽霊のエイルマーを見つけ、心地よい蹄の音を響かせながら急制動を掛ける。

「あっ、エイルマーさんだね! ボクはシャロンよろしくね! こっちはメリー君!」
≪よろしく頼むでござる! シャロン殿ともども縁あって助太刀に参った!≫
『あぁ、こちらこそ。ここに来る前に聞いているだろうけど迷宮の説明はいるかな?』

 可愛らしい姿に言葉尻を和らげながら言葉を返したエイルマーに、期待に満ちた瞳でシャロンが言葉を返す。

「迷宮主の間で理想の未来のボクに会えるんだよね! とても楽しみ!」
≪猟兵としての勤めはきちんと承知してござるから、ご安心召されよ!≫
『それじゃ、よろしくお願いするよ。気をつけて』

 はーい、と答えたシャノンの声がメリー君の蹄が迷宮の床を蹴る音に解けて消えてゆき……ぽっかりと空いた虚飾の迷宮への入口が静かに暗闇を湛える。

●虚飾と魔鏡に彩られた迷宮
 角羊の少女騎手が相棒の背中に揺られながら周囲を見渡し、迷宮の壁に等間隔に飾られた魔鏡に映り込む自身の姿を上から下までしっかりと確認し難しげに首を傾げる。

●憧れる理想のボク
 弾かれるような快音と共に大扉が豪快に開かれる。これから出会う何かに期待するように瞳を輝かせたシャロンが、迷宮主の間へと現われ……微笑を湛えて迎え入れたイリュティムとアーラへと矢継ぎ早に理想をぶつける。

「やっぱり、未来のボクにはもっと上手に羊に乗れるようになっていて欲しいな! それとは別に背も、もう少し伸びて欲しいかなぁ」
【ふむ、よい理想だ。やる気が出るような良いものが見れるといいな】

 シャロンの元気な声にどことなく微笑まし気なアーラの声が返り……少し間を開け、シャロンのトーンの落ちた気恥ずかし気な声が続く。

「……、あと胸も、もう少しというかっ…、できればちょっと自慢できるくらいになったり。こう、お酒が入ったグラスを片手で遊ばせたりしながら大人の雰囲気を醸し出せたらいーなーって思っているんだけど……」
『ふふっ、素敵な理想ですね。ちなみに身近な人にそんな大人な人がいたりするのでしょうか?』

 遺伝的には……、と聞こえないくらいの小さな声を零しつつ問いかけたイリュティムにとてもいい笑顔でシャロンが答える。

「うん、お姉ちゃん! とっても綺麗でかっこいいんだ! ねぇ、今から現れるボクはボクの理想の未来の姿なんだよね? それはつまり、これから正しく頑張れば辿り着くことができる姿ってことだよね!」
『えぇ、その通りですね。さて、私も役目を果たすことにしましょうか』
【あぁ、虚飾と言えど理想。願うならば形になるだろうとも】

 パキリと何かが砕ける音に重なる様に蹄が床を蹴る足音が響き、風景の裏側から意識の隙間を縫うように競羊に乗った美女が顕れる。

 健康的な色黒の肌に艶やかな銀髪。瑞々しさを感じさせる唇は穏やかな弧を描き、引き締まった身体を包むレオタードは内側から魅力的に押し上げられる。
騎乗する羊は暖かな柔らかさはそのままに、幾多の競羊を乗り越えた歴戦の傷がその角に刻まれ得も言われぬ重厚感を周囲に示す。

 その姿に一瞬、見惚れたように動きを止めていたシャロンが、同じ色を湛える綺麗な青い瞳を輝かせながら声をあげる。

「……っと! ボクはこれからキミを目指して頑張っていくぞ!」
〔簡単には追いつかせないわよ? でも、昔を思い出せるのはいいわね〕
「それじゃぁ、行くよ! 未来のボクの力、見せてもらうよ!」

●現在と理想
 大聖堂に幾重にも蹄のたてる疾走音を響かせながら、角羊の少女騎手と虚飾の美女騎手がそれぞれの相棒を操り縦横無尽に軌跡を刻んでゆく。

●いずれ辿り着く高み
 見た目からは想像もしないような重い衝撃が周囲を震わせる。交錯した衝撃を受け流したもふもふなボディが可愛らしくも強靭な4本脚で鋭く加速し、様々な芸術品――障害物の合間を縫い時には弾き飛ばしながら十分な速度に乗ったシャロンが、勢いを殺さないまま進路を変え戦う相手を見据える。

 如何なる技術の粋か…シャロンの虚影が駆けた軌跡に残る芸術品には一つの欠けもなく。すでに方向を変え終えていたシャロンの虚影が余裕の――シャロンの憧れる大人の微笑を浮かべ加速する。

 互いがメリー君へと合図を送ったのは同時。走る勢いを乗せたまっすぐに伸ばされた羊角が衝角の様に空気を切り裂き激しい音を立て衝突し……、踊る様に滑らかに繊細な挙動でシャロンの虚影に拍子をずらされたシャロンがバランスを崩しメリー君ともども吹き飛ばされる。

「……っ! まだ、まだだよ! いつかキミに辿り着くためにも、まだあきらめないよっ!」
≪それでこそ、シャロン殿! 拙者もまだまだいけるでごさるよ!≫

 迷宮主の間の床に溢れる装飾品に身体を打ち付けられながらも、落羊することなく気炎をあげたシャロン達にシャロンの虚影が微笑みながら言葉を零し……言葉を置き去りにその姿が消える。

〔なら、きっと辿り着いてね。期待してるから〕

 真正面からの強襲。速く、迷いなく……ただ速い。それだけでありながらどこまでも美しい、そんな一撃がシャロンへと叩き込まれ意識がゆっくりと暗闇に沈み始め……。
 夢と現が曖昧になるようなそんな瞬間、瞳に焼き付けたいつか辿り着く頂を垣間見せた未来の自分の動きを忘れないようと、シャロンから決意を込めた言葉が零れ落ちる。

「…ぜっ…たい、追い…抜いて……みせ…る…よ」

●『罪の影姫』アーラ・イリュティム
 ゆらりと周囲を押しつぶすような何かがシャロンを中心に拡がってゆく。シャロンの虚影とイリュティム達の目の前でギシリと黄金色のオーラを纏ったシャロンだった『誰か』身を起こし、不思議な声が響く。

「――そこな狼藉者よ。我らが娘に害をなそう……ん? 汝は何者ぞ?」
〔私はシャロンの……夢かしら? でも、なるほど私は愛されているのね〕

 祖霊とシャロンの虚影の間で交わされた言葉は短く、されど本質的にお互いがお互いにとって何なのかを感じ取り交わっていた瞳がどちらからとも逸らされ、背中合わせに別れの言葉が溶けてゆく。

「……なるほどの。ならば汝も我らが娘か。達者でな」
〔えぇ、私をお願いね。……ご先祖様〕

 シャロンの姿が迷宮主の間から消えていくのを見送ったシャロンの虚影が満足げに笑いながら揺らぐように虚空へと溶けてゆく。

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 静けさを取り戻した迷宮の最深部にさらに深い静寂が訪れる。溶けた虚影と去った少女に思いをはせながら周囲を見渡した金髪の少女が、所々に残ったままの競羊の蹄の跡にクスリと笑う。

『なかなか……不思議な競技でしたね。見た目のわりにかなり激しい感じでしたし』
【佇んでいれば牧歌的だったろうに。まぁ、綺麗な薔薇には棘があるという話か?】
『どうなんでしょうね? しかし、新しいものに触れられたのは楽しかったですね』
【……願わくば彼女にとっても良いことであったのならばいいのだがな】

 縦横無尽に大聖堂に刻まれた軌跡を思い起こすように視線を彷徨わせていた金髪の少女の言葉に白翼の魔導具が感慨深げに答え、白い羽根が舞う。
ワズラ・ウルスラグナ
理想を映す鏡
虚飾とは憧憬
中身が無いならそれらは何処から生じた夢だ
虚ろを飾る虚飾ならばそれ自体が真の姿か
そもそも真とは何なのか

真の姿を開放し、戦獄龍獄因を用いる
失った腕の戦獄を創り直すと共に虚飾を取り払った新たな虚飾と成り果てる
どんな姿かは俺にも分からん
鏡となる敵に照らして貰わねばな

戦い方はいつも通りだ
獄焔を纏い、鉄塊を振るう
何をどう飾ろうとそれは変わらん
お前達もそうだろう?

さあ、愛しき敵達よ
お前達の纏いたかった虚飾とは、憧憬とはなんだ
それを俺に見せてくれ
俺がお前達の鏡になろう
要らん世話なら砕けば善い
そうでないなら、全てを見せろ

死力と心を尽くし、お前達の有終の美を飾ってやる
こんな虚飾で良ければな



●烟る魔境の迷宮
 輝きをくすませた魔境の回廊へと転送された猟兵が、変わらぬ荘厳さに僅かな罅を入れた大聖堂の大扉を見上げ迷うことなく中へと入ってゆく。

●憧憬と虚飾
 欠けた左腕を晒したまま堂々と姿を見せたワズラ・ウルスラグナ(戦獄龍・f00245)が、頭上を見上げ何かを祈る様に瞳を閉じていたイリュティムへと声を掛ける。

「ふむ、間に合ったようだな。悪いがもう少し付き合ってもらおうか」
『随分、熱心なのですね。いえ、さもありなんというべきでしょうか?』
【なに、願うならば幾らでも付き合おう。我らはそういうものであるしな】

 先刻、魔境にて映し込んだ残滓。ワズラの在り方……戦闘狂としての在り方と現状を重ねてイリュティムが瞳を開き、アーラが羽搏きと共に幾ばくかの羽根を舞わせる。
 その様子にワズラがいい機会だと映し佇む、イリュティムとアーラに在り方を問いかける。

「お前達が理想を映す鏡であるならば、お前達が謳う虚飾が憧憬であるならば、お前達が望むものとはなんだ?」
『さぁ、何だったでしょうか? 鏡は映すものですから……まぁ、出来れば綺麗なものを映したいものですよね』
【鏡に映る鏡像に中身などないと思うぞ? まぁ、仮にあったとしても硝子と金属ぐらいなものか】

 鏡像の様に朧気に答えるイリュティムと映したモノあるいは映すモノだろうと嘯くアーラの言葉が返り、虚飾で飾られた言葉を焼くかのようにワズラの龍躯が戦獄を滾らせ始める。

「中身が無いならそれらはその言葉は……先刻の姿は何処から生じた誰の夢だ? いや、虚ろを飾る虚飾ならばそれ自体が真の姿か? そもそも何をもって真というのか」
『さてさて、昔の事ですから忘れてしまいましたね。鏡とは自分を映し込まないものですし…』
【さぁ、古い話はどうにも思い出せなくてな? だが、それが気になるなら……暴く方法は幾つかあるな】

 パキリ……バキリ……と周囲の装飾品に刻まれていた罅が拡がり、ドロリと零れた何かが、なにも映し出さない漆黒の鏡面を持つ精緻な魔鏡へと姿を変えてゆく。

『ふふっ。でも、これが一番得意でしょう?』
【なに、遠慮は不要だ。最期の機会だろうしな】
「おうとも。我が戦獄よ、真の姿を此処に現せ」

●真の姿と影の魔鏡
 戦獄龍の纏う戦獄が灼けつくような音を立てて左腕を造りだし、崩壊する大聖堂から零れる漆黒の残滓が魔鏡へと変わり幾重にも虚飾を冠する少女を囲う。

●魔境の裏側
 豪快に振るわれた戦獄の一撃に砕けた黒の破片が踊り…戦獄が割れる。ドロリ、ポタリと崩壊する大聖堂の装飾品から生み出され続ける影色の魔鏡を、ワズラが振るう暴風龍の名を冠する鉄塊の塊が砕くたび……。戦獄で造り出された右腕が砕くたび……。蝕む反動が鉄の巨剣を蝕み、戦獄の左腕に罅が奔る。

「どう飾ろうと俺は俺だ。この姿がどう変わっていこうともそれは変わらん。お前達もそうだろう?」
『いいえ? 間違ってはいませんが、虚飾の先に私達はいませんよ』
【在り方は変わらないが根幹は違う所にある。まぁ、方法を違えてないが】

 魔鏡を砕くたび、魔鏡に砕かれるたびにより鋭く、より硬く、より強靭にワズラが鍛え上げられてゆく。
 戦獄で形成された左腕は禍々しく、握る暴風の龍は右腕と一体化し目の前の虚飾を砕くべく戦闘狂そのものへと、創り変えられてゆく。

 ―――ルォォォォォォォォォォ!!!!!

 言葉さえも戦いの手段とあげた咆哮が衝撃波を伴い幾つもの魔鏡へと罅を入れる。
 そうして、押し込むように振るわれたワズラの攻撃が罅割れた魔鏡を砕き……破片に喰い破られるように龍躯へと新たな傷が幾重にも刻まれ黒焔が零れる。

『……っ! 纏いたかった虚飾などありませんよ。この役割が嫌いというわけではありませんが』
【さらに削られたか。さておき、……まぁ、あれだ。鏡の材料が鏡になりたかったわけでもないという話だ】

 漆黒の魔鏡が何も映さぬ影でありながらワズラの咆哮に響く意思を映し込み、激戦の中でも不思議とかき消されない声が響く。
 その声に魅かれるように映し込まれるようにワズラの姿が軋みを上げ、罅割れ、鍛え上げられる。

 ―――グルォァァァァァァァァ!!!!!

 前傾姿勢だった龍躯は前腕を巨大化させながらさらに傾斜し、雷霆の黒焔を纏う戦獄龍がイリュティムの操る魔鏡を噛み砕き、アーラの浮かばせる黒泥を吹き散らす。

『えぇ、どこまででもお付き合いしましょう。すべてを見たいのでしたら』
【期待している。すべてを砕くというなら砕いて見せてもらおう】

●戦いの果て
 伽藍堂に変わり果てた迷宮主の間で巨獣とかした戦獄龍の咆哮が響き渡り、最後の黒の残滓が虚飾を冠する少女と白翼の魔導具の周りから消えて虚空へと溶けてゆく。

●『罪の影姫』アーラ・イリュティム
 バキリと亀裂が入る音と共に巨大な龍躯がバランスを崩し、重い衝撃が迷宮主の間を震わせる。
 燃え盛る圧倒的熱量から解放されて意識が浮上する感覚と崩壊した左腕に引きずられるように、意識が暗転する感覚に明滅する視界に映るイリュティムとアーラにワズラが言葉を紡ぐ。

「さぁ、……愛しき……敵達…よ。こんな……虚飾で良ければ、お前達……の有終の美を……飾ってや…る」
『いえ、ここで十分です。それに、敵がいなければその姿……保てないのようですし』
【あぁ、十分だとも。まぁ、何故概念体が崩壊したかは我らからの餞別として残しておこう】

 戦い続けた反動かゴフリと血を吐いたワズラの龍躯が迷宮主の間の床へと沈み、それでもと視線を上げたワズラの意識が綺麗に笑うイリュティムの横顔を最後に漆黒に落ちる。

成功 🔵​🔵​🔴​


●虚飾の白翼
 伽藍堂となった迷宮主の間がゆっくりと崩壊を始める。崩れることなくほどける様に存在を曖昧にさせてゆく。
 胡乱な世界に響くのは柵から零れ落ちた一人と一つの気楽な言葉。

『残念ながら後は消えるだけねぇ。まぁ、長い人生というか災魔生だったけど悪くはなかったのかしらね?』
【少しだけだが同胞の状況も知れたしな。悪くないだろう。………それに、ここまで砕かれるとはな】
『完全に力尽きて映す余力もなくなるのは予想外ね。おかげで気楽に最期を迎えられるけど』
【我ら自身に戦う気が無くて最後まで付き合えなかったのは少々気が咎めるがなぁ】

 希望も拒絶も高鳴りも戦意も…あらゆるものをどこまでも受動的に映し込み相対した相手へと返していた一人と一つが、力をなくしたが故の気楽さで残された時間を楽しんでゆく。

●?????
『さて、ここから帰った彼はどうしてるのかしらねぇ? ……えぇ、ちゃんと終わるまで覚えていたわよ』
【息災だといいがな? まぁ、正しい流れに戻るだけでもある。また、縁があることもあるだろうさ】

 まっすぐ未来を見据えていた緋瞳を思い出しながら、現在を憂いた未来の姿へ向けて少女と魔導具の楽しそうな声が響く。

『なんか、不思議な既視感のあった……あの遅れてきた彼はちゃんと次には間に合ったのかしらね?』
【なんというか、我らの様にそうあるように在る……気がするから無理じゃないか?】

 慌ただしく現れ……そして去って行った漆黒の破壊者に刻まれた遅参の宿命を思い出して苦笑し、少女と魔導具の心配げな声が響く。

『……あぁ、そういえば、ナンパしてきた方もいましたね。私も捨てたものではないようで』
【ふん。社交辞令だろうさ。しかし、うまく誤魔化された気もするし胡散臭かったな】

 飄々と掴みどころなく現れて流れる様に去って行った一人の根無草をけらけらと悪意なく笑う少女と魔導具が面白げな声が響く。

『怒られたこともありましたね。でも、彼女の鍛え上げられた…曇ることのない技は素晴らしいものでした』
【まぁ、邪法ではあるからなぁ。厭われても仕方ない。虚影と対峙した時間も良いものだったな】

 凛と立つ過去を断つ人型の在り様を脳裏に描き邂逅を反芻していた、少女と魔導具の申し訳なさげな声が響く。

『神の先兵たる彼女には拒絶されてしまいましたね。私達の性格のせいもありましたが……』
【あぁ、偶像を否定する気持ちも理解はできる。すこしばかり楽しみ過ぎたことは反省すべき…だな】

 苛烈に虚飾を魔鏡を打ち砕こうとした白銀を纏う聖騎士を思い浮かべた、少女と魔導具の寂しげな声が響く。

『ねぇ? 彼女は辿り着けると思う? 高い壁は…美しい理想は……心を砕く事だってあると思うんだけど?』
【どうだろうな? だが、まぁ……一人で登る訳ではないからな。きっと登り切るのだろうよ】

 理想を追いかけた少女とそれを支える機械の羊に……僅か自分達を重ね合わせた、少女と魔導具の羨むような声が響く。

『……だいぶ、世話になってしまったわね。最後までは答えられなかったけど良い時間が過ごせていたら嬉しいわね』
【きちんと返せたかどうかは難しいところだな。まぁ、だが良い戦いは提供できていたのではないか…? たぶん】

 戦いに心血を注いだ黒龍のぶれることのない黒焔の熱さを懐かしむように、少女と魔導具の穏やかな声が響く。
 そうして僅か後、完全な静寂に満ちた迷宮主の間がひときわ大きく揺らぎ歪む。

●終幕
 幾人もの猟兵達が挑戦した迷宮の最深部が最初から存在しなかったかのように虚空へと消える。迷宮主の間へと続いていた場所はただの白塗りの壁となり……しかし、望まれて創られた残滓を残すように上層階はいつか訪れるであろう新たな挑戦者を待つかのように静かに動きを止め、朽ちることなくその姿を保ち続ける。

最終結果:成功

完成日:2021年07月30日


挿絵イラスト