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ディープブルー・ウォーゲーム

#ダークセイヴァー #人類砦 #闇の救済者

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●ジェスラント山の人類砦
 常夜の世界ダークセイヴァーの山岳地帯に、ジェスラントという名の古城がある。百年前の戦火によって失陥し、荒れるがままになっていたそこは、今や「闇の救済者達」の拠点――人類砦として生まれ変わっていた。
 ジェスラント人類砦。かつての戦乱で築かれた城塞跡を修復したそこには、ある大きな特徴があった。
 この近辺の山々は休火山であり、城塞の地下には湧き出す温泉を利用した浴場が備えられている。そしてその温泉では「闇の救済者達」によって、各地で保護された傷病者の療養が行われているのだ。
 ヴァンパイアの支配下では満足な治療を受けられなかった人々が集うジェスラント砦は、暗黒の世界における貴重な安息の場となっていた。

●Bringer of warfare
「こんにちは、みなさん。今回は、ダークセイヴァーへ『闇の救済者達』の救援へ向かっていただきます」
 グリモアベースに集まった猟兵達にそう言って、神楽火・夢瑪(シャイニングナイト・f02079)は指先で眼鏡を押し上げた。
 百年余りの間オブリビオンに虐げられてきたダークセイヴァーに生まれた小さな希望、それが「闇の救済者達」と称する反抗組織である。彼らはヴァンパイアの支配下にない土地に拠点を築き、ひっそりと、しかし確実に人々を救うために活動している。
「そういったアジトは『人類砦』と呼ばれています。みなさんに向かっていただくのはその内のひとつ、ジェスラント城と呼ばれる山の中のお城です」
 城といっても大規模なものではなく、そこを拠点とする人々は百人にも満たない。だが、ジェスラントには兵力よりも多くの傷病者が暮らしているのだ。
「今から向かえば、夢瑪が予知したヴァンパイア軍の襲来よりも先にジェスラントへ到着できます。戦う力を持たない人たちを、守ってください」

●戦狂いのブルーローズ
 ジェスラント砦に迫るヴァンパイア軍の主力は、闇色の騎馬にまたがり長大な槍を携えた騎兵隊であった。
「山城を攻めるのに騎兵は不利では?」
 そう問う副官に『決闘姫』ブルーローズ・エリクシアは頷いてみせる。
「確かにそうですね。しかし、叛逆者共の意気を挫き、立場をわからせるには騎兵による圧迫が有効だと判断しました」
 それに、とエリクシアは唇の端から真珠色の牙を覗かせた。
「簡単に勝ててしまっては面白くないでしょう? ただでさえ、叛逆者共があの城を建て直すのを待ってやったのですから。できる限り面白みのある戦場にしなければ」
 副官は戦慄した。此度の遠征も、青薔薇の姫にとっては遊戯の一環でしかないらしい。それもそのはず、彼女がその気になればたったひとりでジェスラントを陥落させることも容易いのだ。
「だって、あまりにも歯応えのない叛逆者ばかりなんですもの。相手が弱いなら弱いなりに工夫しないと」
 稚気と無慈悲が同居する深紅の瞳を細めて、ブルーローズ・エリクシアは小さく笑った。
「今度の戦場に、わたしの血と心を沸かせてくれる勇者はいるでしょうか?」


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
 今回はダークセイヴァーを舞台に、防衛戦を描くシナリオをお届けしたいと思います。

●第1章
「集団戦」のフラグメントです。この章では、下記のような役割分担ギミックを用意しています。お好みの担当をプレイングでご指定いただきますと、それぞれの場所に応じた条件でボーナスが入ります。
 A.城門を守る:門に攻めてくる敵との乱戦になります。味方や城を守るような行動にボーナスが入ります。
 B.城壁の上から攻撃する:遠距離から敵を攻撃します。味方を巻きこまない・より多くの敵を倒せるような工夫があるとボーナスが入ります。
 C.城壁内で支援する:城の中で怪我人の治療などの活動をします。攻撃以外で戦況を有利に運ぶような行動にボーナスが入ります。

●第2章
「ボス戦」フラグメントです。この章では役割分担によるボーナスは発生しません。ヴァンパイアとの正面決戦をお楽しみください。

●第3章
「日常」フラグメントです。ヴァンパイア軍を無事撃退できたら、ジェスラント砦にある温泉を借りて戦いの疲れや傷を癒すことになります。
 この章では例によって、グリモア猟兵をお誘いいただくことが可能です。プレイングに『神楽火・夢瑪を誘う』旨を明記してください。

 それでは、今回も皆様と良い物語を作れることを楽しみにしております。
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第1章 集団戦 『闇に誓いし騎士』

POW   :    生ける破城鎚
単純で重い【怪物じみた馬の脚力を載せたランスチャージ】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    屠殺旋風
自身の【兜の奥の邪悪なる瞳】が輝く間、【鈍器として振るわれる巨大な突撃槍】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    闇の恩寵
全身を【漆黒の霞】で覆い、自身が敵から受けた【負傷】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

クラリス・シドルヴァニス
ここが人類砦…古いけど、立派な建物ね。
工夫して防御を固めれば、しっかりと防衛できそうだけど。
でも人手が足りないのね。

方針は【A】
城門の守備隊に志願するわ。
相手は騎兵だから、こちらも馬に乗って出撃するわよ。
ペンダントに祈りを込め、ユニコーンを召喚。
愛馬に<騎乗>し、<存在感>を示しながら敵陣に<切り込み>開始よ。
相手の突撃はかなりの威力だけど、こちらも負けないわ。
<動物と話す>でユニコーンと心を通わせ、<重量攻撃>で
大剣を振り回す。敵を押し返して隊列を崩し、
後続の味方が攻めやすい状況を作りましょう。
落馬した敵は蹄で<踏みつけ>て追撃しとくわ。
遊び半分で蹂躙できるほど、私たちはヤワじゃなくてよ?



「古いけど、立派な建物ね」
 岩山の黒い斜面を背負うようにして聳えるジェスラントの城を見上げ、クラリス・シドルヴァニス(人間のパラディン・f27359)は呟いた。
 百年以上前の記録を紐解くことが能えば、精鋭の戦士達を擁する鉄壁の山岳国の記述を見つけられたかもしれない。だが、人類とヴァンパイアが覇権を賭けて争っていた時代と同じような防備は、たとえ「闇の救済者達」の懸命な努力があったとしても望むべくもない。
「人手が足りないのね」
 そう、何より足りないのは数だ。戦える者よりも戦えない者――傷つき、病み、治療を受けている人々のほうが圧倒的に多い。
 だが、否、だからこそ誰かが前に立たねばならない。クラリスはジェスラントの城門を背に、迫りくるヴァンパイア軍の前に立った。首から下げたペンダントを両手で覆い、無辜の人々を護るための力が与えられんことを祈る。
「いでよ、我が眷属よ」
 果たして、その願いは聞き届けられた。闇夜の下でも清らなる白色に覆われた一角獣が、クラリスの呼び声に応え高くいななく。
「こちらも負けないわ。……行くわよ!」
 一声かけるや、ユニコーンは地を蹴り駆け出した。たちまち迫る敵軍の第一陣。夜の空より黒い鋼の槍を構え、突進してくる。
 疾走の勢いを乗せて、クラリスは十字を象った剣を横に薙いだ。馬上槍の穂先やくろがねの鎧に剣身が激突するが、構わず振り抜く。大剣に打ち飛ばされて転げ落ちる騎士を、一角獣がすかさず金剛石の蹄で踏みつける。
「遊び半分で蹂躙できるほど、私たちはヤワじゃなくてよ?」
 守るべき数多の命を背に堂々と宣うクラリスの姿に、ヴァンパイア軍の兵士達は知らずの内に一歩後退ってしまっていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
A.城門を守る

基本的にヒトを守りたいと思う俺だけれど
傷病者の療養地である此処は在り方からして守らなきゃと思わせるよ

門手前の広場に位置取る
ここは絶対に突破させない
俺の身が持たないようなら中のヒト達だとひとたまりもない、だから自分の安全なんて考えない

胸鎧と一体化、全身黒甲冑姿に変身
魔力を高め、いつでもオーラ展開し城を守れるよう準備
攻め込まれるまではこの魔力も活かしてUCを駆使しよう
俺の体はひとつしかないから敵を減らすのも立派な防衛術のはず

解放・夜陰を発動
敵の体に突き刺し増殖させて食い潰したり
地面に突き刺して進路を阻みながら
近寄れないならなにもできないね?など言って敵の気を引き
俺以外から気を逸らせる



 サンディ・ノックス(調和する白と黒・f03274)の全身を、闇色の鋼が覆っていく。溢れ出す魔力が転換され、ジェスラントの城を護るもうひとつの城壁をなした。
 ヒトを守りたい。それは彼の胸中に常にある想いだ。だがそうでなくとも、サンディはジェスラントを守りたいと思っただろう。この城の中では、傷つき癒しを求める人々が集まっているのだ。
「ここは絶対に突破させない」
 両手で構えた暗夜の剣の切っ先がゆらりと円を描く。それが終点に達した瞬間、サンディの魔力は再びその姿を変えた。
 昼のないこの世界の空よりもなお黒い、漆黒の水晶。刃の如く鋭い先端を並べる、その数実に三百九十五。
「近寄れないならなにもできないね?」
 優しげにさえ聞こえる囁きと共に黒水晶の群れが地面に突き立ち、あるいは宙を舞って横列を組み上げた。騎兵の天敵、槍衾にも似た光景だが、対するのはヴァンパイアの騎兵である。恐れを知らぬ怪物馬を駆って、オブリビオン達は真正面からサンディの防衛線に激突した。
(そうだ――俺を狙って来い)
 刺柵とした黒水晶を伸長させて迎撃。矢として降り注がせ追撃。装甲を貫き肉に食いこんだ漆黒の水晶は、たちまち同化を渇望する悪意の本性を現してヴァンパイアを貪り尽くす。
 奮戦するサンディに対し、騎士達は全身を漆黒の霞で包むユーベルコードで対抗する。負傷を力に変える『闇の恩寵』を受けた黒騎士達を食い止めるのは、独りでは難しい。
(俺の身が持たないようなら中のヒト達だとひとたまりもない、だから――)
 だが、己が半ば包囲されることさえもサンディの策の内であった。漆黒の水晶を操るサンディを倒すことに傾倒するあまり、本来の攻撃目標に近づけていないことにヴァンパイア軍はまだ気づいていない。

成功 🔵​🔵​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…どうやら既に乱戦が発生しているみたいね
猟兵ならばこの程度の敵、単騎でも問題無いでしょうけど…

…折角だから横槍を入れさせてもらうわ。盛大に…ね

【B】を選択
戦闘知識を頼りに城壁の上から敵味方の配置を見切り、
吸血鬼化した自身の生命力を吸収してUCを二重発動(2回攻撃)

…来たれ。世界を調律する大いなる力よ

其は時を喰らい、未来を導く……過去を断罪する闇の裁き…!

大鎌に“過去を世界の外側に排出する闇”属性攻撃の魔力を溜め、
怪力任せに限界突破した闇を纏う大鎌をなぎ払い、
闇のオーラで防御を無視し過去の存在のみを消滅させる“闇の奔流”を放つ

…この世界は今を生きる生命のものよ
骸の海に還るがいい、オブリビオン



 城壁の上、黒いドレスが翻る。
「……どうやら既に乱戦が発生しているみたいね」
 リーヴァルディ・カーライル(ダンピールの黒騎士・f01841)は呟いた。食い止められていた先陣集団と進軍してきた後続とが合流した結果、ヴァンパイアの軍勢は数人の奮戦では押さえこめない程の数となっている。
 もはや城壁に取りつかれるのは免れないだろう。だが、本来「闇の救済者達」が想定していた作戦であれば籠城して時間を稼ぎ、一人でも多くの傷病者を脱出させるしかなかったのだから戦況は好転していると言える。事実、猟兵の到着によってジェスラントの人々は逃亡ではなく抗戦を――闇の支配者達に一矢報いることを決断していた。
「……折角だから横槍を入れさせてもらうわ。盛大に……ね」
 その決断を勝利への希望へと繋ぐための一撃が、今放たれようとしている。
「……限定解放。テンカウント。吸血鬼のオドと精霊のマナ。それを今、一つに……!」
 リーヴァルディの両手が大鎌の柄をしっかりと握り締め、振りかぶった。半魔半人の心臓から湧き出す生命の力が「闇」に変換される。
「……来たれ。世界を調律する大いなる力よ。其は時を喰らい、未来を導く……過去を断罪する闇の裁き……!」
 永遠の夜を裂いて、大鎌が振るわれる。その刃の軌跡から、夜よりもなお暗い「闇」が溢れ出し、乱戦を突破し城門目掛けて疾駆する騎兵の一団へと殺到する。
「……この世界は今を生きる生命のものよ。骸の海に還るがいい、オブリビオン……!」
 それは過去を呑みこみ滅する闇の奔流。オブリビオンが食らい尽くされた後に残るのは虚無のみ。その空隙はやがて、未来によって埋められるだろう。
 一撃目の着弾を待たず、再び黒色の鎌が空を薙ぐ。リーヴァルディの放ったユーベルコードが黒騎士共を粉砕し、乱戦続く前線と城門とを分断した。

成功 🔵​🔵​🔴​

サエ・キルフィバオム
アドリブ絡み歓迎です
A.城門を守る

「騎兵かぁ……、酔狂な事をしてくるけど、それを利用させてもらおうか」
策を練って待ち構えます

「騎兵相手は足を潰す、もしくは、そのスピードを利用する。鉄則だよね!」
【絡みつく金縛】で【だまし討ち】【暗殺】【罠使い】【ロープワーク】【地形の利用】【体勢を崩す】を狙い、敵の突進してくるルート上にワイヤー状のユーベルコードを仕掛けて、馬の脚、もしくは騎士の首を狙います
自身は【闇に紛れる】ことで攻撃を避けたり、門に向かう相手には【挑発】【おびき寄せ】【パフォーマンス】で引きつけて罠にかけようとしたりします
また、けが人がいる場合はワイヤーで【救助活動】もします


寺内・美月
アドリブ・連携歓迎(A)
・【真鋭騎兵】を指揮し、自らも【銀龍覚醒(一次)】により騎乗。武器は〖司霊〗と〖OTs-33〗。
・敵集団左翼(敵から見て左手側)に展開。擬装しつつ敵集団が正門に再度突撃を始めたら此方も側面より突撃。
※左から突撃する理由は突撃槍を右手に持つことが理由。
・敵の左翼より突撃し、中央と右翼を貫く。突破したら馬上射撃を駆使し安全距離から乗馬中の敵を集中的に攻撃。
・突撃中に【屠殺旋風】の兆候を確認したならば、直ちに進路を変えて敵後方へ突破。馬上射撃を行いつつ、再度突撃準備。
・敵(重騎兵)の特質上、下馬時は鎧の重量により動きが緩慢になるため、無理に撃破せず叩き落とすことを優先。


メリー・スペルティナ
わ、わたくし遠距離攻撃も後方支援も出来な
え、Aの城門守備で!

集団での城攻め、この城がかつて経験した過去の再演というところですかしら……だったら……!

UC【偽・死の先を行く者よ】!
この地に眠る無念や未練、心残りを抱えた死者達へと、この血を元に形成した仮初の体を与え今一度この地へと再生させます!

貴方達がかつて攻守どちらの側だったかはわかりませんわ
でも、吸血鬼の軍勢が敵であった事は、変わりませんわよね?

そして「闇に紛れ」つつ敵馬の脚へ「生命力吸収+呪詛+傷口を抉る+吸血」上乗せの剣をみまい落馬や行動不能を狙いますわ
騎兵の攻防機動力は馬ありきのもの、ならその馬を使えなくしてしまえばよいのですわ!



 闇夜を揺るがす一撃に、おお、と歓声が上がる。今こそ好機と奮い立つ「闇の救済者達」はヴァンパイア軍の攻勢が途切れた隙に城門を開き、生き延びるためではなく勝利を掴むために出撃しようとしていた。
「騎兵かぁ……、酔狂な事をしてくるけど、それを利用させてもらおうか」
 サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)が口の端を吊り上げる。彼女が用意した罠が効果を発揮するには、敵の目を引いてくれる隠れ蓑があるに越したことはない。サエは手早く「闇の救済者達」部隊の指揮官に自らの策を開陳し、協力を取りつけた。
 指揮官の視線は次いで、その場に居合わせた他の猟兵にも注がれる。メリー・スペルティナ(暗澹たる慈雨の淑女(自称)・f26478)は、期待のこもった目で見つめられて内心慌てた。
(わ、わたくし遠距離攻撃も後方支援も出来な――)
 だが、ここであからさまに動揺するわけにはいかない。メリーは自信ありげに頷いてみせる。
「わたくし達にお任せくださいませ。騎兵の攻防機動力は馬ありきのもの、ならその馬を使えなくしてしまえばよいのですわ!」
 それを実現するための手段が自分にはある。己がなすべきことを見定めたメリーが拳を握る。それと同時に、開門準備が整ったことを知らせる喇叭が鳴った。
「よし、では往こう」
 言って、寺内・美月(霊軍統べし黒衣の帥・f02790)が召喚した竜馬の背に跨がる。彼らが見つめる先で、分厚い木の城門が軋みながら開かれていく。

「この血を糧に、その遺志を遂げるための刃を与えます。その想い、果たして見せなさい!!」
 自らの血をジェスラントの大地に捧げメリーが唱えるや、かつてこの地で命を落とした人々が仮初の体を与えられ、再び立ち上がった。
「貴方達がかつて攻守どちらの側だったかはわかりませんわ。でも、吸血鬼の軍勢が敵であった事は、変わりませんわよね?」
 死者の軍勢は答えない。が、無言のままに武器を構え、縦を並べて迫り来る黒騎士に向き合ったその姿こそ、メリーの問いに対する何よりの答えであった。
 城門が閉ざされる。打って出た「闇の救済者達」の兵士が死者の軍勢の後ろで隊列を組み、最終防衛線を築く。それを突破し百年前と同じにジェスラントを陥落させるべく、ヴァンパイアの騎兵は加速した。
「騎兵相手は足を潰す、もしくは、そのスピードを利用する。鉄則だよね!」
 どこからともなく、悪戯っぽく告げるサエの声。次の瞬間、先頭の騎馬が何かに脚を取られて転倒した。疾走の勢いのままに吹き飛び、黒鎧の騎士が地面に叩きつけられる。
『絡みつく金縛(ワールドワイドワイヤー)』による罠。鋼線を水平に張っただけの単純な仕掛けだったが、城門前に展開した軍勢に気を取られていたオブリビオン達は次々と引っ掛かっていく。
 駻馬を巧みに操り、障害物と化した味方を跳び越える騎士もいないではなかったが、着地直後の回避しようのないタイミングを狙って振るわれるメリーの黒剣の餌食となる。
「総員突撃用意。目標、前方敵主力……突撃!」
 そこに、美月の指揮する騎兵隊が突入した。罠によって勢いを殺されたヴァンパイア軍はその猛撃に耐えられず、たちまち戦隊を崩壊させていく。
 鬨の声が響く。復讐の念をたぎらせる死者の軍勢と、逆転を目前にして燃える「闇の救済者達」の兵士達が前進し、駄目押しの追撃。
 数えきれぬ人々を虐殺してきた黒騎士達は、今や狩られる側となって敗走せざるを得なかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ナターシャ・フォーサイス
WIZ/A
騎兵をもって城を落とす…
非効率ではありますが、思惑があるのでしょう。
…それより先に、彼等もまた過去より蘇りし哀れな魂であるのなら。
使徒として、楽園へと導いて差し上げねばなりません。

城を守らねばなりませんから、まずは守護結界を張りましょう。
天使達を呼び、彼らの力を封じるのです。
闇の救済者の方々へは、反射の加護を授けましょう。
現世に生ける者は、己が足で楽園を目指すために。
ここで倒れてしまっては、志も果たせぬままですから。

そして、天使達と共に【祈り】【高速詠唱】【全力攻撃】【範囲攻撃】【焼却】の聖なる光を以て、彼らを導いて差し上げましょう。
どうか貴方がたにも、楽園のご加護のあらんことを。



「まだ見ぬ楽園、その一端。我らが同胞を救い誘うため、光を以て導きましょう」
 ナターシャ・フォーサイス(楽園への導き手・f03983)の聖痕(スティグマ)から溢れた光が、ジェスラント城を包みこんだ。
「現世に生ける者は、己が足で楽園を目指すために。ここで倒れてしまっては、志も果たせぬままですから」
 光が天使の形を取る。「闇の救済者達」の兵に守りの加護を与えながら天使は飛翔し、壊走するヴァンパイア軍に向けて掌をかざした。
「彼等もまた過去より蘇りし哀れな魂であるのなら。使徒として、楽園へと導いて差し上げねばなりません」
 天使と同じように右手を黒騎士達に向けて、ナターシャが告げる。彼女らの掌中に輝きが生まれ、たちまちの内に闇を押し退け辺りを照らす炎となった。
「どうか貴方がたにも、楽園のご加護のあらんことを」
 白く燃える灼熱が、周囲を失われた昼の色に染める。その輝きが去り、再び世界が夜色を取り戻した時、闇に誓いし騎士達は一騎残らずその姿を消していた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『決闘姫ブルーローズ・エリクシア』

POW   :    凄牙惨爪斬&シェイドストリーム
【長剣と短剣による連続攻撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【暗黒魔法】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ミッドナイトブルーローズ
自身の装備武器を無数の【青い薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    魔女殺しの銀焔
自身の身体部位ひとつを【魔術や呪いを無効化する銀色の炎】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠神楽火・銀月です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●剣戟の歌こそ彼女の悦び
「素晴らしい! とてもとても素敵です!」
 旗下の軍勢を全て失ったにも関わらず、ブルーローズ・エリクシアの瞳は悦びに輝いていた。
「認めましょう。貴方がたが勇者であると。そして、わたしと剣を交えるに相応しい戦士であり――最上の獲物であると!」
 喜色から一点、紅の瞳が絶対の殺意に燃え上がる。
「では始めましょう! 互いの命を賭けた最高の闘いを!!」
火土金水・明
「相手が剣を使うのでしたら、こちらも剣で受けて立ちましょう。」銀の剣を右手に持って構えます。
【SPD】で攻撃です。
攻撃方法は、【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【銀の流れ星】で『決闘姫ブルーローズ・エリクシア』を【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【残像】【オーラ防御】【見切り】でダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



「さあ、最初に踊ってくださるのはどなたですか?」
 短剣を天、長剣を地に構え決闘姫が微笑む。いかにも余裕ありげなその姿を前に、一歩進み出たのは火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)であった。
「相手が剣を使うのでしたら、こちらも剣で受けて立ちましょう」
 ひゅん、と銀の剣が闇を裂く。じりじりと距離を詰めつつ、明は左の指先で素早く魔方陣を描いた。刃に破魔の呪文が宿り、鬼火のように光る。
「流れる星に、魔を断つ力を」
 その詠唱通り、鬼火は流星と化した。白い軌跡を描いて突進する明を、エリクシアの振り下ろす長剣が迎撃。
「残念、それは残像です」
 決闘姫の切っ先は宙を切った。激突の直前で歩調を変え、瞬間の内に回りこんだ明が横薙ぎの一撃を放つ。
「人間にしてはいい腕をしていらっしゃいますね」
 刃金が噛み合う音。隼のように翻った短剣が明の斬撃を弾く。
(少しでも、ダメージを与えて次の方に)
 一度で倒せるとは明も思っていない。エリクシアに手傷を負わせること、そして彼女の技を仲間達に見せることで勝利への布石となす。
 自分ではなく全員の勝利のために、明は再び流星の一撃を放つ。愛用の黒外套にこめられた魔術を起動。刺突の速度は一撃目よりなお速い。
「――お見事」
 切っ先はエリクシアの肩口を貫いていた。だが、決闘姫は負傷を気にするそぶりも見せず、紅の瞳に闘志を燃やす。
「それでは、わたしの全力もお見せしましょう」
 告げるや、エリクシアの持つ双剣が青い薔薇へと姿を変えた。ユーベルコードの前兆を感じ、明は跳び退く。
「この薔薇が、貴女の墓標です!」
 突如吹き荒れる烈風に、青薔薇の花弁が散る。風は瞬く間に獰猛な獣となって戦場を蹂躙した。
 エリクシアの反撃を読んで後退、そして防御呪文を唱えていなければ負傷は免れなかっただろう。オーラの盾を身代わりに、明は青薔薇の嵐から逃れることに成功した。

成功 🔵​🔵​🔴​

クラリス・シドルヴァニス
闇色の、猛烈な覇気。かなりの手練れね。指揮官としての能力には疑問を感じるけど…。

いいわ、お望み通り決闘といきましょう。
【聖戦の印】を発動、敵の怒涛の連撃に
対応するため、攻撃回数を重視するわ。
二刀流に対して、私は大剣一本。
〈武器受け〉で守りを固めて、我慢強く反撃の機会をうかがうわ。暗黒魔法が発動したら、〈オーラ防御〉で抵抗。相手の斬り込みを弾いて、〈聖属性〉と〈神罰〉の力をのせた〈重量攻撃〉を叩きつけて反撃。そのとき〈武器落とし〉で敵の技を封じられればいいけど。
戦いは惨くて、空しいもの。それでも私は神の前で、人を護るために剣を執ると誓った。個人的な闘争本能を満たすだけの、貴女には負けられない。



 夜青色の嵐が止んで、決闘姫の左右の手に剣が戻る。
「あらあら、残念です。斃せませんでしたね」
 冷たい狂気を宿す視線が、猟兵達を撫でる。次の獲物を探すように。
(闇色の、猛烈な覇気。かなりの手練れね。指揮官としての能力には疑問を感じるけど……)
 密かに眉をひそめるクラリスだが、百年もの間勝ち続けているダークセイヴァーのヴァンパイア達と彼女との間には大きな断絶がある。ブルーローズ・エリクシアにとって戦争とは勝つためのものではなく、戦うためのものなのだ。
 だからこそ、クラリス・シドルヴァニスは決闘姫の前に立つ。騎士として。
「いいわ、お望み通り決闘といきましょう」
 十字の剣を両手で構えるクラリスに、エリクシアは頷いてみせた。
「ええ、教えてあげます。どんなに力をつけようと、人は人でしかないと」
 一足跳びにエリクシアが距離を詰める。両手を大きく広げ、左右どちらか、あるいは同時に襲いかかる構え。
「この剣にかけて、あなたを討つ」
 鋼の刀身に、聖なる光が宿った。その長さからは思いもよらぬ速度で大剣が旋回。決闘姫の連撃を弾く。
「シェイドストリーム!」
 間髪を入れず、命を呑みこむ暗黒の奔流が放たれる。掲げた剣の腹で光が弾け、盾をなす。エリクシアの暗黒魔法を相殺。
 刹那の静寂の後、仕掛けたのはクラリスだった。
 剣に刻まれた紋章が一際強く輝く。聖光と剣の重量を乗せた真っ向からの一撃。エリクシアは両の刃を重ねて受けるが、勢いに押されて後退する。
「戦いは惨くて、空しいもの。それでも私は神の前で、人を護るために剣を執ると誓った。個人的な闘争本能を満たすだけの、貴女には負けられない……!」
「神? ああ、人が縋っていた神ですね。……それならずいぶん前に死にましたよ」
 キッと睨むクラリスの眼前で、再び暗黒の奔流が炸裂した。

成功 🔵​🔵​🔴​

麻海・リィフ
アドリブ、即興連携歓迎

決闘と嘯くか…
良いだろう!

我は青天の嵐!晴嵐騎士・麻海リィフ!
貴様の滅びの名だ!

残像空中浮遊ダッシュジャンプで即座に接敵

念動衝撃波串刺しチャージUCで一気に突撃

敵の攻撃は三種の盾を駆使して受け
念動衝撃波オーラ防御を乗せて防ぐ
カウンター念動衝撃波シールドバッシュで吹き飛ばし浮かせ
二回攻撃念動衝撃波串刺しチャージUCで追い打ち

窮地の仲間は積極的にかばう

貴様の酔狂など知らぬが、勇者とは言ってくれたものだ
貴様の脳裏には結末が描かれているようだが…
フェイントを交え瑞雲で吹き飛ばし
そんな茶番に付き合ってやるつもりはない!

わがまま放題の好き勝手もこれまでだ!



「貴方がたの力はこんなものではないでしょう? もっと楽しい決闘をわたしに教えてください」
 三度、闇色の魔力流が放たれた。破城槌の如き一撃は、しかし何をも傷つけることなく、麻海・リィフ(晴嵐騎士・f23910)が掲げた三つの盾に弾き散らされる。
「決闘と嘯くか……良いだろう!」
 暗黒魔法の残滓を払いのけ、機械魔剣を突きつけて、リィフは堂々と声を上げる。
「我は青天の嵐! 晴嵐騎士・麻海リィフ! 貴様の滅びの名だ!」
「ふふ。ではこちらも名乗りましょう。わたしはブルーローズのエリクシア。貴女を超え往く者です」
 涼しげな表情を崩さない決闘姫に向かって、リィフは跳躍。翡翠の後光が輝き、機械魔剣が咆哮する。
「貴様の脳裏には結末が描かれているようだが……そんな茶番に付き合ってやるつもりはない!」
 巻き起こる嵐が、壁となって聳え立つ。エリクシアは左右の剣を閃かせ、目にも泊まらぬ連撃で応戦。
「茶番とは心外ですね。武技を志せば、弱い者より強い者との闘いこそを望むもの。違いますか?」
 エリクシアの凄牙惨爪斬が嵐を食い破った。こじ開けられた壁の向こうへ、暗黒の濁流が流れこむ。
「ああ、茶番ではないな。訂正しよう。それはただのわがままだ!」
 リィフの姿はそこにはない。自ら敢えて嵐の中へと飛びこんで、決闘姫必殺の連携攻撃を欺いた彼女は、旋風の勢いを切っ先に乗せて突進する。
「わがまま放題の好き勝手もこれまでだ! ストヲムルゥラァ……! 応えろぉ!!」
 乾坤一擲の突きが、咄嗟の防御を貫きエリクシアの身体を吹き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔴​

サエ・キルフィバオム
アドリブ絡み歓迎です

「むぅ、戦闘狂かぁ。私には付き合いきれないよ」
この手の相手は苦手だと、ちょっと不満げです

「えーっと、今なら痛み分けくらいになりますし、退いてくれると嬉しいかなぁーって……」
【演技】【コミュ力】【言いくるめ】で下手に出て【因果速報】の条件を満たそうとします

「もう、……そっちが悪いんだからね!」
惰弱な敵だと思われ油断が見られた瞬間に、【だまし討ち】【暗殺】【地形の利用】【体勢を崩す】で強烈な一撃を狙います
攻撃した後は一撃離脱をし、なるべく時間を稼ぎます



 決闘姫ブルーローズ・エリクシアの頬を伝って、血の雫が一滴、地に落ちる。
「――ああ、やはり。貴方がたとの闘いは得難い経験です」
 額から流れる血もそのままに、エリクシアは猟兵達を歓喜と殺意が入り混じった瞳で見つめた。
「むぅ、戦闘狂かぁ。私には付き合いきれないよ」
 その視線から逃れるように身をよじり、サエはため息をつく。
「えーっと、今なら痛み分けくらいになりますし、退いてくれると嬉しいかなぁーって……」
 言いながらちらり、と横目で見れば、冷たく燃える深紅の瞳とぶつかる。
「こんなに楽しいことを、やめるはずがないでしょう?」
 エリクシアの左腕が銀色の炎へと変容する。魔女殺しの炎、剣と暗黒魔法で一気呵成に攻め立て打ち倒す構えだ。
「わたしの戦場に妥協は不要です。消えなさい」
 地面を蹴り、迫る決闘姫。だが、サエはその言葉とは反対に逃げようとはしない。
「もう、……そっちが悪いんだからね!」
 それどころか三重の猛撃を巧みに躱し、反撃さえしてみせる。
「!?」
「その慢心、付け入らせてもらうよ」
 瞬時に入れ代わった攻守に、エリクシアの対応は遅れた。その隙を貫いて、サエの蹴撃が決闘姫に突き刺さった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サンディ・ノックス
俺は自分の楽しみのためにヒトを害する奴に腹をたてるのだけど
何故かな、お前はそこまで腹立たしくない
そんなに戦いを望むなら望みどおりにしてあげようと感じる
皮肉でも、騙し討ちのための嘘でもない本心さ

真の姿解放
金眼の赤い竜人と化す
暗夜の剣をロングソード大に変形させて真っ向から挑む

UC解放・宵は当たりにくければ命中率、重い攻撃を入れるチャンスなら攻撃力と重視するものを臨機応変に変更
基本的に攻撃を【見切り】ながら剣を交えるけれど、あちらのとっておきの手が来そうなときは尾で足払いをかける
愚直に全部受けて平気と思うほど自惚れてはいないんだ

そうか、俺も戦士のはしくれ
この気持ちは強き戦士への敬意なのかもしれないね


ナターシャ・フォーサイス
WIZ
貴女はよほどの自信家なのですね。
戦いが貴女の望みならば、使徒として応えましょう。
そして、貴女もまた哀れな魂。
楽園への道行きへと、導いて差し上げましょう。

魔女殺したる力を使うのでしたら、まずはそれを封じましょう。
これより此処は、まだ見ぬ楽園その一端。
天使達を呼び、その力を封じます。
そして皆様には加護を。仇成すなら光を。
天使達と共に、【高速詠唱】【全力魔法】【焼却】【2回攻撃】の聖なる光を以て祓うのです。

さぁ、我々と踊りましょう。
聖祓鎌無き今、されど宝杖はこの手に。
麗しき仮初の楽園で、飽くるまで奏でましょう。
そして導くのです。
どうか貴女の道行きにも、ご加護のあらんことを。



 痛烈な一撃を受けて吹き飛ばされたエリクシアだったが、彼女は猫のような身のこなしで体制を立て直し、なおも猟兵達に剣を向ける。
「この程度で……わたしはまだ斃れませんよ?」
「貴女はよほどの自信家なのですね。――わかりました。戦いが貴女の望みならば、使徒として応えましょう」
 ナターシャが杖を掲げるや、その傍らに再び天使達が降り立つ。
「貴女もまた哀れな魂。楽園への道行きへと、導いて差し上げましょう」
「ふん。貴女の狂信にわたしを巻きこまないでください。わたしが信じるものは己の剣と力のみ」
 暗闇を漂白する聖なる光と、魔女殺しの銀炎が激突。魔を祓う閃光を相殺しながら突進するエリクシアだったが、その勢いは徐々に弱まり、そして止まった。
「麗しき仮初の楽園で、飽くるまで奏でましょう。そして導くのです。どうか貴女の道行きにも、ご加護のあらんことを」
「人間達のように、わたしは神に祈らないと……!」
 ナターシャの光が押し切った。エリクシアの左腕が炎の形象を失い、急速に元の形へと戻っていく。そしてそのまま、聖なる光が決闘姫の身体を焼いた。
「……くっ! けど、まだまだ――!」
 逸らさず前を見据えた深紅の瞳に、突進するサンディが映る。長剣を手にしたその姿は黒から赤へ――装甲まとう騎士から角と尾と翼を持つ竜人へと変貌する。
「さぁ、宴の時間だよ」
 黒剣が走る。エリクシアが鋭い斬撃を短剣で受け、ぎりぎりと刃が噛み合う鍔競り合いに。金の瞳と紅の瞳が至近距離で交錯した。
 怒りは感じない――自分の楽しみのためにヒトを害する奴は嫌いなはずなのに――サンディの胸中にはただ、決闘を望むエリクシアに己の全力で応じようという闘志だけがある。何故だろう。
 サンディが押し返し、拮抗が破れる。小さく跳んで距離を取ったエリクシアが、左右の手を大きく広げる。凄牙惨爪斬の構え。
 ひゅん、と何かが風を切った。赤い鞭のようなそれは、竜人と化したサンディの尾。必殺の連撃を繰り出そうと踏みこんだエリクシアの膝を打ち、出鼻を挫く。
 たたらを踏んで体勢を立て直すエリクシア。だが、その隙を見逃すサンディではない。
(そうか、俺も戦士のはしくれ。この気持ちは強き戦士への敬意なのかもしれないね)
 その感慨をサンディが口にすることはない。彼はただ渾身の力をこめて剣を振り下ろし――エリクシアの左の肩口から胸を抜けて腹部まで、刃が走り抜けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

リーヴァルディ・カーライル
…生憎だけど、お前の望みを叶えてやるつもりはない

…獲物がどちらの方か教えてあげる
吸血鬼狩りの業を知るがいい、決闘姫

第六感に干渉する"隠れ身の呪詛"を付与し、
小石のように存在感を希薄にして闇に紛れて切り込み、
敵のUCで姿を暗視して見切らせて火属性攻撃のカウンターを誘い、
気合いと火炎耐性のオーラで防御しつつUCを発動

…一度ならず合間見えた相手だもの
これ見よがしに呪術で姿を消せば、そう来ると思っていたわ

生命力を吸収する無数の黒血糸を乱れ撃つ早業で敵を拘束
魔力を溜めた大鎌を怪力任せになぎ払い傷口を抉る2回攻撃を放つ

…血によりて生くるもの、血によりて滅びぬ

…お前の命運は尽きた。さぁ、骸の海に還るがいい!


メリー・スペルティナ
ここが、正念場ですわね……!

血を啜る剣に「生命吸収の呪詛」を帯びさせ攻撃、敵攻撃は……やっぱり反応するだけでも精一杯ですわ!
ですが、構うものですか!
集中して連続攻撃のみ第六感と武器受けで回避
それ以外の単発は致命傷だけ回避し、攻撃で流した血をも代価とし高速詠唱+多重詠唱で再度【偽・死の先を往く者よ】!
対象は先と同様、可能な限りたくさんの無念に刃と器を、「生命吸収の呪詛の力」と仮初の体を与え、総力戦ですわ!

さあ、わたくしに続きなさい!百年前の雪辱戦ですわ!
そのための器も、刃も、この血が与えてみせます!

取るに足らぬと侮った事、後悔させてやるのですわ!

※アドリブ連携歓迎です。よろしくお願いします



「さあ、わたくしに続きなさい! 百年前の雪辱戦ですわ! そのための器も、刃も、この血が与えてみせます!」
 メリーの号令一下、彼女の血によって形を与えられた死者達が突撃する。
「取るに足らぬと侮った事、後悔させてやるのですわ!」
 剣が、槍が、斧が次々と襲いかかる。エリクシアはほとんど動かない左腕を再び銀の炎に変えてなおも応戦するが、それまでのように捌くことはできず手傷が増えていく。
「……っ! 闇よ、弾けろ!」
 自らを巻きこむことも厭わず、エリクシアが暗黒魔法を放つ。闇の奔流が死者達を押しのけ、飲みこみ――。
「……対吸血鬼用拘束封印術式……B・B・B発動」
 無数の黒血糸に拘束され、動きを止めた。
「……獲物がどちらの方か教えてあげる。吸血鬼狩りの業を知るがいい、決闘姫」
 大鎌を手にしたリーヴァルディがそこにいた。八百余の黒血糸を操り、エリクシアの剣と魔法を封じる。
「……っ。わたしは、まだ――」
 黒血糸を焼き切りながら、エリクシアが銀炎の左手を伸ばす。だが。
「……生憎だけど、お前の望みを叶えてやるつもりはない。……血によりて生くるもの、血によりて滅びぬ。……お前の命運は尽きた。さぁ、骸の海に還るがいい!」
 リーヴァルディが大鎌を振るう。右の肩から袈裟斬りに。翻って、今度は左の肩から斜めに。傾いた十字の形に刻まれたその傷が、決闘姫ブルーローズ・エリクシアの致命傷となった。
「――ああ――ここまでですか――」
 囁くような声で、エリクシアが言った。銀の炎が消え、剣が地面に落ち、彼女は瞳を閉じて……骸の海へと消えた。
「……勝った……勝ちましたわ!」
 剣を掲げ、メリーが叫ぶ。死者の軍勢も己の得物を上げ、応じる。そのさざめきは城壁の上で戦いの趨勢を見守っていた『闇の救済者達』へ、そして城内で身を寄せあい祈っていた人々へと波及していき――。
 ジェスラントの城が震えた。皆が一斉に勝利の喜びを爆発させたのだ。生き残った。守りきった。様々の想いを巻きこみながら、山々に歓声がこだました。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 日常 『温泉でのんびりしよう』

POW   :    心行くまで温まる

SPD   :    全身の力を抜いてまったりと

WIZ   :    他者と交流、スキンシップする

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●勝利の後に休息を
 ジェスラントの城門が開かれた。決闘姫を打ち破った猟兵達を迎えに、人々が飛び出してくる。
 矢継ぎ早に投げ掛けられる感謝の言葉。ある老人などは、跪いてヴァンパイアに奪われた家族の名前を一人一人呼んでいた。
 興奮が興奮を呼び、誰が何を言っているのかもわからなくなりかけた頃、我に帰った『闇の救済者達』のひとりが「皆さんもお疲れだろうしほどほどに!」と五回ほど叫ぶと、ようやく騒ぎは収まった。
 それでも猟兵達を引き止める声は数多く、彼らはジェスラントでしばしの時を過ごすことになったのである。
 ジェスラント城の地下にある温泉――広く深い湯舟はなく、浅く張られた温水に体を浸す半身浴か、蒸気を利用した蒸し風呂といった程度のものだが――は猟兵達のために開放され、ゆっくりと体を休めることができる。
 だが、長く逗留するわけにはいかない。この世界には、まだオブリビオンの脅威に晒されている人々が数多くいるのだから。
サエ・キルフィバオム
アドリブ絡み歓迎
POW判定

「んー……、お湯に浸かれないのは残念だけど、好意は貰えるだけ貰っとこうか♪」
「戦闘狂相手は疲れたなぁ……」
策を講じるタイプなので、肩がずっしり来ているようです

「お湯は悪くないし、しっかりとした温泉施設が作れるといいかもねー」
案外良い気分になれたようで、今後に期待といった態度をします



 治療目的ということを差し引いても、あまり馴染みのないダークセイヴァーの入浴施設。それでも、独特の臭気と蒸気の暖かさは他の世界の温泉と同じだった。
「んー……、お湯に浸かれないのは残念だけど、好意は貰えるだけ貰っとこうか♪」
 ジェスラント城の浴場を目にしたサエは、そんなことを呟きつつ身にまとっていた衣服を脱いでいく。
 裸になると、急に今日の戦いの疲労が覆い被さってくるような気がして思わずため息が漏れた。
「戦闘狂相手は疲れたなぁ……」
 策を講じ、相手の隙を突いていくのがサエのスタイルだ。決闘姫のように正面から切りこんで力押ししてくる敵と相性が良くないことは自覚している。
 だが、勝利は勝利だ。温かいと熱いの間にある湯に浸っていると、疲れが溶けて流れ出て行くような感覚を覚える。
「お湯は悪くないし、しっかりとした温泉施設が作れるといいかもねー」
 気付けばサエの頭から疲労感は消え、この場所の今後への期待でいっぱいになっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

サンディ・ノックス
厚意は素直に受け取るほうが丸く収まる、勧められるまま温泉を楽しんでいくよ
できればひとりでゆっくり浸かっていたいけれど、話しかけてきたヒトを無下に扱ったりもしない
感謝の言葉も昔話も、どんな話でも耳を傾ける

ひとりでいられるならゆっくりしながら
他の人々のやりとりや見られる範囲でジェスラントがどういうところかを観察する

…救われた人々を眺めていると過去の罪が思い浮かぶ
俺がオブリビオンの戦闘に積極的に巻き込んだことで命を落としたヒトたちも
俺に会わなければこうやって笑えるときが来たのかな

俺は数えきれない人々の未来を奪った
それを償うことはできないけれど、それとは関係なくこれからも人々のために戦い続けようと思う



 半身を湯に沈め、サンディは深く息を吐いた。
 浴場に辿り着くまでに、多くの人が彼に話しかけてきた。その大部分は感謝の言葉で、ジェスラントの誰もがヴァンパイアを恐れながらも生きることを諦めていないことがよく伝わってきた。
 そんな中で、ひとりの少女の話がサンディの胸に引っ掛かっている。
 少女の兄――ヴァンパイアに滅ぼされた故郷を後に、彼女の手を引いてここまで連れてきてくれたたったひとりの家族――は、今はここにいない。彼はまだ見ぬ誰かを助けるべく、自らも『闇の救済者達』の戦列に加わり旅立ったのだという。少女はサンディに、もし兄に会うことがあったら「自分は元気だ」と伝えてくれと頼んできた。
 それが叶わぬ望みかもしれないことを、サンディはよく知っている。己の過去の罪故に――ただの人間がオブリビオンとの戦いに巻きこまれれば容易く命を落とす。彼がかつて、積極的にそうした時のように。
 彼らは彼女のように希望を持つことも、他の人々のように笑顔を浮かべることもない。サンディと出会わなければ、そうでなかったかもしれないのに――。
 ばしゃり! サンディは両手で掬った湯を自らの顔に叩きつけた。
「俺は数えきれない人々の未来を奪った。それを償うことはできない」
 少女は兄が生き延びていると信じている。なら、俺がそれを現実にしてみせる。
 今できることは、未来を変えようと戦い続けることだけなのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

メリー・スペルティナ
【WIZ】かも?

勝てたのは彼らと、仲間のおかげですわね
まだまだ正面切ってやり合える域じゃありませんわ……

と、そうでした
先の戦いで一時的に「再生」させた彼らを解放する前に礼を、
そして祈りとともに送りますわ
少しでも、無念は晴れまして?
それと、誰か縁者なりがいて伝えたいことがあるならサービスです
交霊陣を使えば、ひととき生前の姿で生者と話すぐらいできますわよ

……え?温泉は、って…………だ、だって他の方がいらっしゃるじゃありませんの!?
わたくし、ゼーレ(死霊騎士)やケルパー(死霊蛇竜)以外とおふろ入ったことないですのよ!?
べべべべべ別に洗ってもらったりは(最近は)してませんけれども!

※アドリブ歓迎です



 メリーは門の前で振り返った。
(勝てたのは彼らと、仲間のおかげですわね。まだまだ正面切ってやり合える域じゃありませんわ……)
 ひとりではないからこそ勝てたのだ、ということは理解できる。だがそれでも困難を進んで背負おうとする。メリーはそういう性分だった。
「と、そうでした」
 ぽんと手を叩いて、メリーは自らが呼び出した「彼ら」に向かって深く頭を下げた。
「みなさま、ありがとうございました。少しでも、無念は晴れまして?」
 ユーベルコードによって生み出された仮初の肉体は消えかっている。まもなく、彼らは再び現世に現れた痕跡も遺さず消えるだろう。過去は現在と未来に場所を譲らねばならない。それが世界の摂理だから。
 けれども、メリーはその理にほんの少しだけ抗ってみようとした。
「誰か縁者なりがいて伝えたいことがあるならサービスです。交霊陣を使えば、ひととき生前の姿で生者と話すぐらいできますわよ」
 だが、それを希望する意思は伝わってこなかった。代わりに、それより温泉はいいのか? と声なき声がからかい混じりに告げる。
「……え? 温泉は、って……だ、だって他の方がいらっしゃるじゃありませんの!?」
 たちまち耳まで真っ赤になったメリーは、早口で反駁する。
「わたくし、ゼーレやケルパー以外とおふろ入ったことないですのよ!? べべべべべ別に洗ってもらったりは(最近は)してませんけれども!」
 ついでに余計な情報までもが口を突いてしまう。霊達が優しく笑う気配がした。
 ――そう、それでいい。いつものように、あなたらしく過ごしてくれ。
 ――われわれのまことのねがいは、現在のあなたたちが過去におしつぶされることなく、未来へとすすんでいくことなのだから。
「……わかりましたわ。それではみなさま、ごきげんよう。また、頼りにさせてくださいませ」
 頷く気配がして、彼らはあるべき場所へと帰って行った。そしてメリーもまた、無人となった城門前を後にして自分のいるべき場所へと向かうのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リーヴァルディ・カーライル
…うん。本当に良いお湯だったわ
また機会があれば依頼とは関係なく浸かりに来ようかな…?

…それはさておき、誰か怪我をしている人か具合の悪い人はいない?

…十分に骨休めはしたもの。その代金という訳ではないけど、
私に出来る範囲で、帰還する前に診てみようと思うのだけど…

半身浴を堪能した後で傷病者の元に案内してもらい、
今までの戦闘知識と問診、魔力を溜めた両眼で患部を暗視して見切り、
UCを発動して自身の生命力を吸収した一滴の血をたらし治癒を試みる

…暫くは安静にして、栄養のある物を食べておいて
傷が癒えても失った体力までは戻っていないから

後は医療の心得のある人の言うことを聞いておけば大丈夫
それじゃあ、お大事に…



「……うん。本当に良いお湯だったわ。また機会があれば依頼とは関係なく浸かりに来ようかな……?」
 浴場を後にしたリーヴァルディは、戦場へと向かう時のように表情を引き締め、歩いていく。
 それもそのはず、彼女が向かおうとしているのは剣劇の場ではないが、それと同等以上の戦いの場であるのだから。
「……誰か怪我をしている人か具合の悪い人はいない?」
 見かけた『闇の救済者達』の構成員に尋ねてみれば、そこまでしなくていい、ゆっくり休んでくれと答える。
「……十分に骨休めはしたもの。その代金という訳ではないけど、私に出来る範囲で、帰還する前に診てみようと思うのだけど……」
 押し切る形で、リーヴァルディは負傷者達に宛がわれた部屋へと向かう。
 療養所とは言っても、人手も物資も技術も不足しがちなダークセイヴァーであるから、治療の要諦はどれだけの体力が残っているか、である。必然、病気ではなく外傷による患者にあまり多くの手はかけられず、最低限の止血をした後は成り行きに任せるような状態であった。
「……限定解放。傷ついた者に救いを……血の聖杯」
 そんな負傷達を、リーヴァルディは『限定解放・血の聖杯(リミテッド・ブラッドグラール)』で治療していく。
「……暫くは安静にして。傷が癒えても失った体力までは戻っていないから」
 感謝の眼差しに小さな微笑みを返して、リーヴァルディは病室を後にする。
「それじゃあ、お大事に……」
 部屋を出て、しばらく歩いてから、リーヴァルディは壁に手を突いて重い息を吐いた。
 ユーベルコードを連続で何度も発動したことで、手足に鎖をかけられたかのような疲労感が襲いかかってくる。この姿を誰かに見られたらきっと咎められてしまうだろう。
 だが、それでいい、そうでなくてはならないと、リーヴァルディは窓から空を見上げて思う。
 彼女達の他には誰も、夜の外から手を差し伸べることはできないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​

クラリス・シドルヴァニス
オブリビオンは滅んだようね。これでこの砦もひとまず安心ね……。
感謝の言葉なんて、私にはもったいない限りです。
騎士として、人々を護るのは当然の務めなのですから。

そういえばこの辺りは火山地帯だったのね……だから温泉が
湧きだすのね。せっかくだし、少し浸かっていくとしましょう。
(ちゃぷん……)
体や髪を洗うことはできなくても、旅で疲労した体に温かいお湯が
心地いいわ。そうだ、近くで採った薬草を浮かべてみましょう。

旅立つときは砦の方角を振り返って、辺りを見渡すわ。
空が暗いけれど、こうしてみれば見晴らしがいいし、景色も意外と
悪くないかも。モンスター以外の、野生動物は
生息していないのかしら?



 薬草の葉を浮かべてみれば、ほのかな香気が湯煙に混じって立ち上る。
 クラリスは湯の中で手足を伸ばしてみた。旅と戦に強張った筋肉がほぐれていくのを感じて、思わず吐息が漏れる。
 浄水設備が整っているわけでもないので、体や髪を洗浄することはできない。だが、温かな湯の心地よさは疲労を癒すには十分だった。
 そうしてしばらく温泉を堪能した後、クラリスは湯から上がり支度を整える。
 すっかり準備を終えて城門へと向かって見れば、人々が彼女達を待っていた。『闇の救済者達』も人々も隔たりなく、皆が猟兵達に向かって感謝を述べる。
「感謝の言葉なんて、私にはもったいない限りです。騎士として、人々を護るのは当然の務めなのですから」
 尽きぬ感謝や引き止めようとする声を振り切って、クラリス達はジェスラントの人類砦を後にする。
「これでこの砦もひとまず安心ね……」
 振り返って砦を見上げ、クラリスは呟いた。
「空が暗いけれど、こうしてみれば見晴らしがいいし、景色も意外と悪くないかも。野生動物は生息していないのかしら?」
 もしも、再びこの地を訪れることがあったなら。
 蒼天の下に聳えるこの砦を見てみたいと、彼女は心の中で呟くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月22日


挿絵イラスト