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魅せるは奇天烈怪奇兵

#サクラミラージュ #幻朧戦線 #グラッジ弾

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●幻朧イントリィグ!
「うーん文恵ちゃんは失敗しちゃったねぇ。まあ彼女はアレでもよかったんだろうけど」
 つまらなそうに己の白髪をいじりながら、男は黄昏る。ぶらぶらと揺れるもう一方の手には無造作に黒色の拳銃が握られていた。
 グラッジ弾―――失われたはずの兵器を持つ彼の元へ、ひょろりとした影が訪れる。やってきたのはどこにでもいそうな若い男……否、チャラそうな、という形容詞がぴったりの男だった。
「文恵ちゃんのやりたいこと、最期までよくわかんなかったなー☆ 一応英霊サマは呼べたけど、チョー地味だったんでしょ? 派手じゃなきゃ意味なくない?」
「ははは、僕としては君の派手好きもなかなかだと思うけどね。まあいいや、今度は確実に観客の目に入るところで暴れてくれよ。君はそういうの得意だろう?」
 お小遣いでも渡すように、はい、とその拳銃をチャラ男へと手渡す。一見すれば友人同士が軽くおもちゃでも貸し合っているように見えるが、これは、れっきとしたテロの指示だった。
「かしこまり☆ 俺、呼んでみたい英霊サマがいんだよね~だからできれば怪奇人間とか見つかるといいんだけど……レアだからな~」
「怪奇……ああ、あの英霊か。グラッジ弾は影朧を引き寄せるだけだから、そこは君の運次第だなぁ」
「代わりに出来るだけ派手にして確率あげてみるね☆ ま、俺に任せとけば大丈夫だよ~。じゃ、さっそく面白そうなこと探してきちゃいまーっす!」
 出来るだけ派手に魅せるためには、観客もより多い方がいい。山奥で行われる花見の場なんて全然足りない。求めるのは、老若男女が集って熱狂するような、そんな場所。
「街中でグラッジ弾乱射! うーん、やっぱりなんか地味ぃ~。これは最終手段だなぁ。なーんか面白いことやらないかな。できれば近くだとサイコーなんだけど」
 ぶつくさと呟きながらチャラ男は歩く。白髪の男がいる部屋を、建物をあとにして街へとブラ歩きを開始した。なにか面白そうな―――暴れ甲斐のありそうなものはないかと、目を光らせて。
 彼の忍耐力はあまり強くない。ある程度歩き回って飽きてしまえばその銃を街行く一般人へと向けてしまうことだろう。その前に彼好みの「面白いこと」がない限り―――。

●奇天烈サァカス!
「諸君、一度サァカス体験をしてみる気はないかな?」
 グリモア猟兵アメーラ・ソロモンは開口一番、猟兵たちにそんなことを告げた。映像魔法を展開し、チャラ男の姿を映し出しつつ、彼女は補足説明を始める。
「以前起きた“幻朧戦線”によるテロ。それに関する予知を得てね。なんでも、まぁたやらかす気らしい。今回は厄介なことに、首謀者がどこに向かうか予測不可能と来た。しかも、放っておけば街中で被害が出かねない」
 予知を見る限り、首謀者であるチャラ男は「面白いこと」を探してぶらついている。帝都は広いため彼の足取りを完全に追うのは不可能だ。しかし、下手に大捜索でもしようものなら確実に逃げられてしまうだろう。
「それなら、飛んで火に入ってもらおうかと思ってね。“楽しいこと”を君たちに作り出してほしいんだ。具体的には即席で一夜限りのサァカスを開催しようと思って。現地のユーベルコヲド使いたちも協力してくれるけど、流石に戦力に不安が残るからね……。ああもちろん、大至急だから演目は問わないよ」
 笑顔で告げるにはいささか無茶ぶりだが、なんと既に帝都の許可はとってあるのだという。帝都公式の看板は観客を呼ぶのに一役買ってくれることだろう。
「サァカスの開演は夜だ。君たちにはまず、昼間の街で大々的に客引きをしてほしい。チラシを配ったりサァカスの噂を広めたり。ああもちろん往来で芸を披露して呼び込んでも構わないよ。首謀者の耳に届けるためでもあるが、そもそも観客を集めないと敵はやってきてくれないからねぇ」
 演目は本当になんでもいい。なんでもいいが、できればサクラミラージュでは目に出来ない真新しいものだとより良いだろう。特に客引きでは、サァカスであることにこだわる必要はない。なにか目を引くようなことをして人だかりを作った上で、サァカスへ誘導してしまえばいいのだ。
「さぁてどんな奇天烈サァカスになることやら。実に楽しみ……いや、テロリストをサァカスで捕えるのが一番の目的だとも。ふふふ」
 少し含みがあるのは気になるが、これもサクラミラージュの平穏を護るためである。己のユーベルコードや技能をどう芸に活かせるか。それを考えながら猟兵たちはサクラミラージュの街へとテレポートするのだった。


夜団子
 こんにちは、夜団子です。サァカスのお時間です! 残念ながら演じる側ですが。

●今回の構成
 第一章 即席サァカスを盛り上げるため客引きをしよう。
 テロの首謀者を捕える罠のために用意されたサァカスですが、流石にぽっと出すぎてあまり知られていません。ここに観客と面白いこと捜しをしている首謀者に知らせるため大々的な客引きをしてください。主催側からは「場所と開演時間、帝都公式であるということが記されたチラシ」が用意されています。こちらの使用は自由です。
 よほどの流血沙汰や喧嘩などに発展しない限り、自由にUCや技能を使っていただいて構いません。むしろ使ってど派手に盛り上げてください! サァカスっぽくないことでも、人を呼べるのならば問題ありません。
 サクラミラージュでは見ることができないことであればあるほど、人の集まりは良くなります。もちろん、人前に出ないやり方でサァカスのことを広めるのもアリです。
 また、OPに登場する首謀者(チャラ男)を現時点で捕えることはできません。相手も警戒をしながら街を歩いているので。注意深く探していたら、ちらっと姿を見ることはできるかもしれませんが。
 ※フラグメントのPOW、SPD、WIZは参考程度に考えていただいて大丈夫です。

 第二章 演者となってサァカスを盛り上げよう!
 猟兵の皆さんにはサァカスの演者となっていただきます。人々をあっと驚かせるような技を披露して、サァカスを盛り上げましょう。第二章に進んだ段階でまた追加OPを挟みますので、詳しいことはそちらを参考にしていただけたらと思います。

 第三章 呼び出された影朧を倒そう!

●備考
 このシナリオは一応『散るは造花の桜吹雪』の続きとなりますが、前作を読む必要は大してありません。単なるフレーバーです。参加も完全に自由です。

 また、複数人での参加も大歓迎です。人数上限はありません。(もちろんおひとりさまも!)その場合は、『相手の名前(呼称可)とfから始まるID』か、『グループ名』をしっかりと記載願います。送信タイミングが大きくずれますと対応しかねることがありますので、できるだけ合わせて送っていただけると幸いです。

 それでは、皆様のプレイングをお待ちしております!
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第1章 日常 『新たな流行をつくりだせ』

POW   :    こんなスポーツも競技になるんだ。やってみない?

SPD   :    料理は技能の集大成。こんな味のアレンジや、調理法もあるよ。

WIZ   :    好きなカードゲームやボードゲームを流行らせたい!

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

タリアルド・キャバルステッド
微力ながら集客に協力致しましょう。

チラシをなるべく多くの方に配りつつ、目を引くように……
UC「SILVER GHOST」でスーツ達をコピーし、透明人間のように操り街でチラシを配ります。
帝都の街を歩く華やかな紳士淑女の皆様ならばきっと興味を持って頂けるはず。

しかし、敵を欺くためとはいえ集まった人々を危険に晒しかねない作戦です。
油断せず、いざとなったら観客を迅速に退避させるつもりで望むとしましょう。



 常に桜舞い散る幻想の都。サクラミラージュのとある街はいつものように活気にあふれ、人々が行き交っていた。華やかだがいつも通りの光景。しかしそこに、“いつも通り”でない存在が現れる。
「お母さん! 見て!」
「まあっ!」
 チラシを行き交う人々に手渡すスーツの紳士。糊の効いたダークネイビーのスーツにきっちり締められたネクタイ。覗くドレスシャツにはひとつの皺もなく、履きならされた革靴はピカピカに磨き上げられている。上品なその着こなしの中でシルバーのネクタイピンが時折キラリと光を放った。
 これだけであれば、洗練された紳士が現れただけでお終いだったであろう。ハイカラで目こそ引くが、サクラミラージュを歩き回っていれば見かけられる程度の存在だ。しかし、そのスーツの紳士を―――紳士“たち”を見た者は誰しもが足を止め、大きく口を開けた。チラシを受け取ったまま固まってしまった者や、わざわざその姿を見るために体を乗り出す者さえいる。
 しかし紳士はにこりともせず―――否、できなかった。なぜなら彼に、顔はないからだ。
「どうなっているんだ!?」
「ブラボォ! 透明人間か!? それとも奇術か!?」
 囃し立てる観客たちに、紳士は胸に手を当てキッチリとしたお辞儀を見せ、そしてまたチラシを差し出す。受け取った観客たちはその中身を検め―――時折紳士へ握手を求める者もいたが―――また歓声をあげた。
「サァカス! 君はサァカスの団員なのか!」
「見て見て、帝都公認サァカスですって! 昨日まで噂にもなっていなかったのに……」
「それも含めてサプライズなんだろう? 最高の余興じゃァないか!」
 ワイワイ、ガヤガヤと。“帝都公認サァカス”の話が人々に伝わっていく。集まる人々にチラシを渡していくスーツの紳士たち。それを少々離れたところから、ひとりの女が眺めていた。

「帝都の街を歩く華やかな紳士淑女の皆様ならばきっと興味を持って頂けるはず……と思いましたが。少々人を集めすぎてしまいましたね」
 右腕のない少々独特なデザインのスーツを纏う女性、タリアルド・キャバルステッド(紳士服のヤドリガミ・f25640)は街の一角で紳士たちに集う観客たちを見ながらそう呟いた。
 彼女はその身に着ける紳士服のヤドリガミだ。器物であるスーツ、そしてそれに合わせる装飾品すべてをコピーし操るユーベルコード、『SILVER GHOST』。その力を用い彼女は、コピーしたそれらを人間のように見せていた。念動力でスーツ上下に靴、手袋を上手く動かせば、その肌は見えないのに目の前でチラシを配る透明人間の出来上がりだ。サァカスの団員にふさわしい、奇天烈で目を引く存在だろう。
「しかし、敵を欺くためとはいえ集まった人々を危険に晒しかねない作戦です。……油断せず、いざとなったら観客を迅速に退避させるつもりで望むとしましょう」
 目を輝かせ「絶対に観に行くよ!」とはしゃぐ人々を見ながらタリアルドは改めて決意を固める。純粋にサァカスへやってくる彼らに被害を与えるわけにはいかない。速やかに敵を捕らえ、彼らに危険が及ばぬよう事を運ばなくては。
 紳士たちと同じく皺ひとつない、手入れされたスーツ。それに恥じぬ凛々しさを見せながら、タリアルドはそっと街の影へとその身を隠した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パトリシア・パープル
サァカス?
要するに、盛り上げて人を呼べばいいのね
オーケー、わかったわ
リッキー、ミュージックスタンバイ!

相棒のリッキー・ジョーと一緒に、ヨーヨーの【パフォーマンス】を見せるわね
DJに扮したリッキーは、タブレットでバックミュージックを担当
わたしは【ロープワーク】と【念動力】を駆使して、ありえない軌道でヨーヨーを操ってみせるわ
「まだまだ、このくらいは序の口よ

調子が出て来たら、ここから先はちょっとデンジャーなパフォーマンスね
UCを使って切断力を強化したヨーヨーで、放り投げた大根を斬る!
ついでにリンゴと、オレンジも斬る!
「どう? これが舶来のパフォーマンスよ!
「輪切りで良ければ、誰か食べるかしら?



 ―――一方で。また別の地区にてキマイラの少女が街を歩いていた。すれ違う人々は彼女を気に留めることなく、いつも通りの日々を過ごしている。
「えっと、要するに、盛り上げて人を呼べばいいのよね。オーケー、わかったわ」
 少女、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は程よく広い道端を見つけ、そこで立ち止まった。彼女のはつらつとした声に一瞬意識を傾ける者もいたが、彼女を注視する人はまだいない。そんな彼女の懐から、小さな毛玉が飛び出した。
「リッキー、ミュージックスタンバイ! さあ、やるわよ!」
 DJに扮したスカンク、相棒のリッキー・ジョーはその手に持ったタブレットでノリノリのバックミュージックを奏で始めた。それに合わせて、パトリシアはヨーヨーを取り出し、ド派手なパフォーマンスを披露する。
 蒸気が噴き出す不思議なヨーヨー。それの予測できない動きに通りがかりの人々の目が奪われる。
「あら、なにかしら?」
「わぁ、可愛い! 動物が演奏してるよ!」
「なんだあの動き!?」
「ヨーヨーってあんな動きができるのか!?」
 蒸気だけではない。パトリシアは自身の持てるロープワークの技術と、念動力を駆使し、変幻自在の動きをヨーヨーで表現してみせた。カラフルなヨーヨーが宙を飛び回る様は、実に派手で目を惹かれることだろう。ひとり、またひとりとパトリシアの前で足を止め、彼女のパフォーマンスに目を輝かせる。
「まだまだ、このくらいは序の口よ。ここから先はちょっとデンジャーなパフォーマンスだから、手を出しちゃダメだからね!」
 ジャキン、と音を立ててヨーヨーから回転鋸の刃が飛び出す。しかしそれに臆することはもちろんなく、パトリシアはヨーヨーを操り続けた。ヒュンヒュンッと空を切りながらヨーヨーは宙を舞う。
「それッ!」
 ぽんぽんぽんっと大根とリンゴ、そしてオレンジがヨーヨーの舞う空へと放り出された。投げ込まれ、重力に従って落下するそれらは、ヨーヨーの軌道上へと落ちていき……スパッと見事な輪切りとなる。ばらばらにされた大根たちは、リッキー・ジョーがすかさず飛び出してそれぞれを皿でキャッチした。
「どう? これが舶来のパフォーマンスよ!」
「おおお!」
「素晴らしい! こんな芸は初めて見たよ!」
 拍手喝采を浴びてパトリシアはふふんと胸を張る。刃を収めたヨーヨーをその手に収めれば、観客たちは我先にとパトリシアへ近づいた。パトリシアがどこから来た誰なのか、期待の新人スタァというやつなのか、などなど気になることがたくさんあるらしい。
「わたしは今夜開かれるサァカスの団員なのよ! 本番ではもっとすごいこともしちゃうからぜひ見に来てよね! ……あ、これ、輪切りで良ければ、誰か食べるかしら?」
 鋭利な刃で切り裂かれた大根たちは実に綺麗な断面をしていて。皿を差し出すと観客たちは皆揃ってその欠片たちを引き取った。リンゴとオレンジはあっという間になくなったが、流石に大根は少し減りが悪い。
「サァカスか。最近催しも少なくて退屈していたんだ。行くよ!」
 人気者気分にちょっと調子に乗りながらも、パトリシアはしっかりと勧誘を済ませ人々にチラシを手渡した。そして囃し立てられるまま、もう一度ヨーヨーを手に取る。

 さあ、仕込みは済んだ。本番はこのあと、陽が落ち夜のとばりが落ちてから、だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『イザ参ル奇天烈サアカス』

POW   :    派手な技で観客を盛り上げる

SPD   :    器用な技で観客を盛り上げる

WIZ   :    不思議な技で観客を盛り上げる

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ポン、ポン、ポン。
 夜のとばりが落ちたころ、軽快な音楽が街中の広場に響く。
 「帝都公認」の看板を掲げ、「超弩級な団員勢ぞろい!」の襷をたなびかせ。一夜漬けで作り出されたとは到底思えない豪華なサァカステントが広場にでかでかと建っていた。
 今日突然開幕したというのに観客は波のように押し寄せ、チケット売り場が人であふれかえる。チラシを目にした者はもちろん、街中で派手な芸を見た者たちがこぞって集まっていた。もっとすごいものを見れるのだろうと、期待に目を輝かせて。
「ヒュー! こんなもん見つけられるなんて、やっぱ俺ってツイてる♪ ここでいっちばん盛り上がったときに飛び出せば……ふふふ」
 その懐に黒い拳銃を仕込んだ男も、観客の中に交じりチケットを手にしていた。虫は、火に飛び込んできてくれたようだ。

「紳士淑女の皆さま、お集まりいただき誠にありがとうございます。今宵始まりますのは一夜限りの特別ショウ! 超弩級な団員たちによる奇想天外なパフォーマンスにございます! 種も仕掛けもカラクリもありはしません。どうぞ心行くまでお楽しみください!」
 団長服に身を包んだ女の盛大な挨拶で舞台は開演する。降り注がれる視線の中、一人目の演者が舞台へ躍り出た。
 魅せるのはその見た目でも、芸でも、技巧でも良い。観客をあっと驚かせ、その好奇心を満たすものであるのならばなんでも、だ。
 さあ、既に幕は上げられた。奇天烈サァカスの始まりだ。

~~~
【PL情報】
 サァカス本番です。基本的には一人ずつ(共にパフォーマンスを行うのならば一グループずつ)演技を行います。観客席にはぐるりと囲まれているものと考えてください。
 観客席に被害が及ぶようなことがない限り、基本的になんでもありです。もちろん公共良俗に反するものはNGですが……。
 チャラ男は最も盛り上がったタイミング(第二章終了後)に飛び出してくるのでこの章で乱入してくることはありません。

 連携リプレイ大歓迎ですので、その際は【名前(呼称可)とfから始まるID】もしくはグループ名を記載ください!
パトリシア・パープル
さて、いよいよ本番ってことで、新技を見せるわよ!

UCで超能力スカンクを召喚し、それを全身に纏ってアーマー化!
奇天烈な見た目だけど、これでもパワーアップしてるんだからね

超能力スカンクの【念動力】を使って、ありえない量のナイフを物理法則無視した起動でジャグリングしたり、【空中浮遊】から音速ぎりぎりの速度で飛び回ったり
最後は【怪力】で大岩をブチ砕いてみせるわ

それぞれの技能は大したことなくても、UCで強化された状態なら、いつもよりパワーアップして使えるはずよね?

その一方で、「リッキー・ジョー」に観客席を探らせて、チャラそうな男がいたらマーク
観客の避難経路なんかも、しっかり確保させておかないとね



 ファンファーレと共に派手にサァカスは始まった。観客の期待の眼差しを一身に受けながら舞台へと躍り出るのはパトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)だ。スカンクのキマイラたる彼女は周囲にたくさんのスカンクを連れ、華やかに登場する。街中で彼女の芸を見た者たちは一様に盛り上がりを見せ、次は何を見せてくれるのかと目を輝かせていた。
「さて、いよいよ本番ってことで、新技を見せるわよ!」
 彼女の一声に、周囲のスカンクたちが一斉にパトリシアの元へ集っていく。わらわらとその体に上り、覆い、埋め尽くし。パトリシアは、わさわさもふもふの甲冑を着たような奇妙な姿へ変貌していった。
「な、なんだありゃ……」
「あの嬢ちゃん獣使いなのか……?」
「あれモフモフで気持ちよさそー!」
 観客の反応は様々だが全体的に戸惑っている人が多い。一見するとスカンクに群がられているだけに見えるので「これが芸なのか?」と肩透かしを食らっている者もいるようだ。だがしかし、もちろんここで終わるはずがない。本番はここからだ。
「奇天烈な見た目だけど、これでもパワーアップしてるんだからね。わたしたちのヒーロースーツの力、たくさん見ていってよね!」
 MOFアーマーを纏ったパトリシアは、どこからともなく無数のナイフを取り出し、それを宙に投げつけた。ばらばらに散っていくナイフはその鋭い刃を観客席の方に向けかけ……そこで停止する。ナイフの軌道を見て悲鳴をあげかけていた観客たちは、ぴたりと止まったナイフを唖然と見上げた。
「カモン! こっちよ!」
 パトリシアがぱちんと指を鳴らすとナイフは一斉にパトリシアへ刃を向け、弾かれたように飛来する。それをひょいひょいとジャグリングしながら、最後は用意されたリンゴへ全て投げつけた。
「ハリネズミみたいになっちゃったわね。でもまだまだこんなものじゃないわよ!」
 舞台の奈落がせりあがり、パトリシアよりも大きな岩が舞台へ現れた。今度はどうする気なのか。わくわくと観客が見守る中パトリシアは意識を集中させ……。
「お、おい! あの嬢ちゃん浮いてるぞ!」
「ほんとだ! 飛んでる!」
 ふわりと浮き上がったパトリシアはカッと目を見開き、そのまま自由自在に飛び回った。観客が直視できる、音速ギリギリのスピードで。歓声が上がる中、その体をくるりと回し、大岩を狙う。
「MOF・キーック!!」
 見事な踵落としが決まり、大岩は派手な音を立てて砕け散った。大岩を一撃でブチ砕いたパトリシアに盛大な拍手と歓声が投げかけられる。それに手を大きく振ってこたえながら、パトリシアは舞台を降りていくのだった。

「うわーマジすっげェ! そうそうこういうの求めてたんだよね!」
 歓声を上げる客の一人。どこかチャラそうなその男は楽しそうに手を打ちながらニヤニヤと笑みを浮かべていた。その首には黒い鉄の首輪。膨らんだポケットには拳銃が仕込まれているのだろう。
 観客の足元に隠れながら、その男を監視する者がいた。彼はリッキー・ジョー。パトリシアの相棒だ。
 『標的発見。引き続き監視を続ける』。賢いスカンクはメッセージを送信しながら、湧く観客席に身をひそめ続けるのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

神楽・鈴音
幻朧戦線……また、碌でもないこと考えてるみたいね

とりあえず、何か芸やって盛り上げればいいのよね?
大道芸の心得はないし、やれることといえば、賽銭箱降らすくらいね

UC使って賽銭箱を大量に召喚
それら全てを操り、浮遊させながら連結させることで、様々な形にしてみせるわ

山積みにした社の形から、それを崩して細長く連結させて竜へ
竜の形を空中で崩したら、それを再び連結させて人型へ
他にも、色々な形にくっつけたり離したりして、最後は再び社の形に戻すわね

「さあ、この奇跡のご利益に授かりたい人は、帰りにお賽銭入れて帰るのよ!

御布施を求めるのも忘れておかないわよ
当然でしょ?



 興奮冷めやらない舞台に、また一人の少女が躍り出る。小柄な体躯に可憐な巫女服。巫女自体はサクラミラージュでもまま見かけるものの、その少女が纏う空気は普通の巫女とは違うものだった。そんな彼女が何を披露してくれるのか―――観客たちは期待を胸に神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)へ視線を集中させていく。
「幻朧戦線……また、碌でもないこと考えてるみたいね」
 ぽつり、と観客には聞こえない声で鈴音はつぶやく。この観客席のどこにそれが潜んでいるかは定かではないが、おびき寄せることはできているはずだ。
 それならば、今はド派手な見世物で大捕り物の前座と行こう。ついでに、お賽銭で軽く懐を温めることができれば、もはや言うことなしだ。
「さあ、出でよ! 賽銭箱!!」
 少し演技がかった、大仰なしぐさに合わせて鈴音は自分の本体、つまり賽銭箱を大量に複製する。観客たちからみれば、突然虚空から賽銭箱が大量に降り注いだように見えただろう。そのこと自体には驚くものの、生み出されたものが賽銭箱だったために、どう反応していいものか、という戸惑いも広がっていた。
「……なんで賽銭箱?」
 怪訝なつぶやきは誰の口から漏れたものか。しかしその困惑も、次の瞬間には歓声へと変わる。無造作に降り注ぎ積みあがっていたように見えた賽銭箱は『社の形』を作っていたのである。
「うちの祭神様の奇跡はこんなものじゃないわよ!」
 鈴音のその言葉に呼応するように、賽銭箱の社がぐらりと傾く。ぼろぼろと崩れていく社に観客席から悲鳴が上がるが、それもパフォーマンスのひとつ。崩れていった賽銭箱は決して床へと打ち付けられることなく、ふわりと浮き上がった。
「お、おい、違うぞ。壊れたんじゃない!!」
「竜だ! 次は竜になったぞ!!」
 浮き上がった賽銭箱たちは細長く連結し竜の形をかたどっていく。それに気が付いた者から歓声があがり、そしてその興奮は伝播していった。賽銭箱で竜ができあがると、観客たちは手を叩いて感嘆の声をあげる。
 ぐるりぐるりとその体をねじり、舞台の空中を飛び回る賽銭箱の竜に、誰もが釘付けになった。
「ハイ次!」
 鈴音の次の一声にまた竜の姿がぼろぼろと崩れていく。しかし先ほどのような悲鳴は上がらなかった。次はなにが現れるのか。それを期待する囃しばかりがサァカス内に響く。
 次に現れるのは巨大な人型。その大きな腕をゆっくりと振り回し、賽銭箱の鈴の音を響かせながら舞台上をノシノシと歩き回る。ひとしきりアピールをし終えた賽銭箱の巨人は、その頭の頂点からまたぼろぼろと崩れていった。
 形を成しては崩れ、崩れてはなにかの形になりを繰り返し、宙に浮かぶ賽銭箱たちはパフォーマンスを続けた。最後にその場で大きく散らばったあと、賽銭箱は一斉に鈴音の元へと集まっていく。始めに鈴音が賽銭箱を召喚した時のように降り注いだそれは、元の社の形へと積みあがっていった。
「どうだったかしら? さあ、この奇跡のご利益に授かりたい人は、帰りにお賽銭入れて帰るのよ!」
 爆発のような拍手の中、鈴音は意気揚々と両腕を広げ恭しくお辞儀をしてみせる。いくつかの賽銭箱は社に組み込まれずに観客席の方へ飛び回っており、ちゃっかりとお賽銭を回収していた。
「神様の奇跡を見たんだからお布施はもらわなくちゃね。当然でしょ?」
 にひひと重くなった賽銭箱を覗き込みつつ、鈴音は軽やかに舞台を降りていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日紫樹・蒼
「凄い芸?
「う~ん、とりあえずネタもないし、悪魔に頼るしかないかな……

もっとも、蒼の実力が低いので、こんな願いでも言うことを聞いてくれません
「あの……派手な演目で、お客さんを楽しませられないかな?
『そうねぇ……だったら、串刺しショーとかどうかしら?

蒼を閉じ込めた箱に刀を突き刺す水の悪魔
「ね、ねぇ! これ、ちゃんと種も仕掛けもあるんだよね!?
『勿論よ。ちゃんと梅干しの【種】を箱の中に入れておいたわ♪

中で避けようとするも、全身串刺し状態に
ただし、刺さった傷口は悪魔が呪いで水に変えるので、痛みはあっても死にません
最後は服だけボロボロの状態で箱の中から出て来ます
「うぅ……な、なんで僕が、こんな目に……



「凄い芸? ……う~ん、とりあえずネタもないし、悪魔に頼るしかないかな……」
 会場が大盛り上がりを見せる中、舞台裏で日紫樹・蒼(呪われた受難体質・f22709)は腕を組みながら唸り声をあげた。できることと言えば、己に憑いた悪魔『ウェパル』の力を借りることくらいである。
「あの……派手な演目で、お客さんを楽しませられないかな?」
 その腕に光る黄金の腕輪、水影の腕輪より召喚された悪魔はおずおずとそう頼む蒼に対し小さく首を傾げた。指を唇にあてなにか考えるような動作をしてから、麗しい女悪魔はその口元を歪める。
『そうねぇ……だったら、串刺しショーとかどうかしら?』
「く、串刺しショー!? 僕そんなのできないよ!?」
『大丈夫よ、私に任せておけば。ちゃんと種は用意しておくから♪』
 任せなさい、と言わんばかりにウインクするウェパルに蒼はうなずくことしかできなかった。もう登場のときはそこまで迫っているのだ、考えている時間はない。その判断を深く後悔することになるとも知らず、蒼はウェパルを一度腕輪に宿し直して舞台へと踏み出でた。

「おお! 悪魔召喚士か!」
 蒼の水影の腕輪から飛び出す悪魔『ウェパル』。頭に翼を生やした美しい女性の人魚の姿に、観客は釘付けになる。くるりと宙で体を翻したウェパルはその視線の中を泳ぎながら恭しく蒼の元へ降り立って見せた。はたから見れば、蒼がウェパルを完全に従えているようにしか見えないだろう。
「今宵ご覧に居れるのは摩訶不思議な串刺しショー! さあ、この少年は無事箱の中から生きて帰れるだろうか!?」
 司会の言葉がさらに観客の興味を煽り、ウェパルに集まっていた視線が一斉に蒼へと移ろった。突き刺さるたくさんの視線にパーラーメイドの服装も相まって蒼の羞恥心が高まっていく。
 あれやこれやのうちに箱の中に閉じ込められた蒼は、自分に「大丈夫……大丈夫……」と言い聞かせながらぎゅっと目をつぶった。
 ジャキンッ!!
 そんな蒼の目の前に、青く輝く刀が突き刺さった。
「ヒッ!? ね、ねぇ! これ、ちゃんと種も仕掛けもあるんだよね!?」
『勿論よ。ちゃんと種は入れたもの』
 蒼とウェパルにしか聞こえない会話。そのウェパルの楽しそうな声色に蒼はいやな予感しかしなかった。
『ちゃんと梅干しの【種】を箱の中に入れておいたわ♪』

 水の悪魔によってハリセンボンのように串刺しにされた箱。蒼が入ったその箱の惨状に、観客たちはもはや悲鳴をあげることもできずに舞台を眺めていた。「あれ生きてんの?」などといたるところから不安そうな声が聞こえてくる。それほどに容赦なく、ウェパルは蒼入りの箱をグサグサに突き刺していた。
 突き刺さっていた刀たちが一斉に引き抜かれる。青く霧散したそれに観客が湧くことはなく、彼らは皆固唾を飲みながら開かれる扉に注目していた。ギィ、と開いたその扉から現れるのは死体ではなく―――
「うぅ……な、なんで僕が、こんな目に……」
 服がぼろぼろになりつつも、無傷な蒼であった。
 全身を串刺しにはされたが、ウェパルの呪いにより傷口は水へと変わり蒼の肌には残っていない。痛みは確かに感じたので蒼の精神は服と同じようにズタボロだが。
「すげぇ!! 本当に生きて帰って来た!」
「なんで服はぼろぼろなんだ……?」
 そんな言葉と共に静まっていた観客席から割れんばかりの歓声があがった。それに弱々しく手を振って応えることしか蒼にはできなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

終夜・還
さぁさ、ラスト間近になりました
もう暫らくのサァカス、お愉しみくださいねぇ?

両手を広げ、手元に靄が集まりいつの間にか本の形に

本をポンと投げればアラ不思議、勝手に浮いて勝手に頁が捲れ出す♪

そこから出は皆さんご存知影朧達だ

死者達の奇怪なダンス、アナタも一緒に如何でしょ?大丈夫、悪いモノではないからね

観客席に喚んだ死霊を飛ばし、観客の周りをくるくるくるくる
振りまく瘴気も今宵は花や蜜蜂、蝶々やハート
可愛い色じゃ無いけどね?愉快を好む死者のダンスは見てて楽しいものさ


……ねぇ、そうでしょう?

この中に紛れているであろうお仕事の本命に見せつけられたらイイナーなんて

ラスト死霊達を俺の後ろに並ばせ紳士的な礼で〆よう



 パンパン! と良く響く手拍子の音が、沸く観客たちの声を静めた。彼らの視線を一身に受けながら、舞台に上がってきた男はニコリと笑う。その紳士的で仰々しい素振りに、普段の彼を知る者ならそれだけで目を引かれてしまうだろう。
「さぁさ、ラスト間近になりました。もう暫らくのサァカス、お愉しみくださいねぇ?」
 終夜・還(終の狼・f02594)がその両手を広げると、どこからともなく現れた靄がその手元に集まり、収縮していく。ただの靄だったものが形を成していき、いつの間にやら一冊の本に変わっていた。まばたきもせずに注目していた観客たちもこれには驚き、声をあげる。しかし、彼のショーはまだまだ始まったばかり。
「こちらの本をポンと投げればアラ不思議!」
 おどけたように言葉を操りながら、その通りにポンと本を投げる。投げ出された勢いに従って宙を舞ったそれは、還の手元に落ちてくることなくその場に留まった。
「勝手に浮いて、勝手に頁が捲れ出す♪」
 表紙が開かれ、パラララララッと勢いよく頁が捲れていく。まるで本や頁そのものに意思があるかのようなその勢いは、ある頁で突然失速した。開かれた頁は仄暗い光を放ち、死者の国へとつながる扉となる。
「そこから出るは——————そう、皆さんご存知影朧達だ」
 それが、まるで鍵であったかのように。還の言葉を契機に本から勢いよく“骸骨の手”が飛び出した。ズズ……と冷たい霊気を纏いながら、手が、頭が、躰が、姿を現していく。一人の死霊が飛び出せば、それに続いて次々と死霊たちが舞台へ乗り出し現れる!
 死霊に恐怖し叫ぶ者、この世ならぬモノに好奇心を煽られ乗り出す者、物珍しさに手を打ち歓声をあげる者。多様な反応に囲まれながら還はその笑顔をいっそう深めた。
 本を中心に絶え間なく現れる死霊たち。彼らは皆それぞればらばらに、観客席へと散っていく。無論彼らが観客たちに牙を剥くことはなく、むしろどこかぎこちなく、観客たちへと礼さえしてみせた。その姿はどこか滑稽で、おびえていた者さえ思わず笑いをこぼす。
 パンパン! ショーの始まりと同じように還が手を打てば、舞台に残った死霊たちがそれぞれに楽器を持った。まるで指揮者を気取るように、少々大げさに還が手を振り下ろす。
「死者達の奇怪なダンス、アナタも一緒に如何でしょ? 大丈夫、そう悪いモノではないからね」
 流れる音楽は愉快な調べ。くるくるくるくる、くるくるり。滑稽なリズムで死霊たちが踊り出す。おぞましき瘴気も今宵は花や蜜蜂、蝶々やハートの形をとって。愛嬌たっぷりで舞う彼らに、もう怯える者など居はしなかった。死霊の手をとり、共に踊る者さえ現れる。
「流石に、可愛い色じゃ無いけどね? 愉快を好む死者のダンスは見てて楽しいものさ」
 くすりと笑って還はつぶやく。そして不意に、その口端をついと吊り上げ。
「……ねぇ、そうでしょう?」
 その鋭い眼光を、“本命”へと向けた。視線の先の“本命”——————どこかチャラい雰囲気の男は、その手を叩いて死者のダンスを楽しんでいる。そんな彼に死霊が、ポン、と黒い薔薇の瘴気を手渡せば、その顔は喜色と興奮に満ちた。間違いなく、彼の中のテンションは今、最高潮に昇ったことだろう。
「さァ! 愉しい愉しい死者のショーも今宵はここまで! お楽しみいただけましたか?」
 敢えて、ここで切り上げてしまい還は死霊たちを自分の背後に呼び集めた。堪え性のない相手が、思わず行動を起こしてしまうように。
 ずらりと並んだ死霊たちは全員がゆっくりと紳士的な礼をとる。割れるような拍手の中、貼りつけた笑顔を崩さぬまま、還は本命へ視線を向け続けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『旧帝都軍突撃隊・旭日組隊員』

POW   :    怪奇「豹人間」の力
【怪奇「豹人間」の力】に覚醒して【豹の如き外見と俊敏性を持った姿】に変身し、戦闘能力が爆発的に増大する。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
SPD   :    怪奇「猛毒人間」三重奏
【怪奇「ヘドロ人間」の力】【怪奇「疫病人間」の力】【怪奇「硫酸人間」の力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ   :    怪奇「砂塵人間」の力
対象の攻撃を軽減する【砂状の肉体】に変身しつつ、【猛烈な砂嵐を伴う衝撃波】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「ブラボォ、ブラボォー!!」
 ヒュウーッと口笛を鳴らして観客席からひとりの男が立ち上がった。興奮に顔を赤らめ、目を輝かせながら彼は一歩進み出る。同じく興奮しきった観客たちは彼に違和感を抱くことなく、ただ歓声を上げていた。
「こんなサイコーに盛り上がるサァカスってある!? ホントイイとこ見つけたなぁ。ここならきっと、英霊サマも暴れやすいでしょ☆」
 観客たちに止められることもなく、その群衆に紛れてチャラ男はその懐に手を差し込んだ。握るは宵闇のように黒い拳銃。舞台をキロリと見渡し、演戯を終えて礼をするひとりの怪奇人間を見て笑みを歪めた。
 確実に当てるべく、観客席のぎりぎりまで歩み寄った彼は、懐の中の拳銃の感触を確かめながら息を吐ききり——————舞台へ飛び出して、その拳銃を、抜いた。
「うわっ!? ナニ!?」
 しかし猟兵たちはサァカスで芸を披露しながらもチャラ男の居場所をしっかりと特定していた。そばで直接見張れないながらも位置を確認し、監視できていたため妙な動きをした彼を即座に取り押さえることができたのだ。動揺する観客たちを素早く誘導し避難させ、無辜の市民が巻き込まれる危険を排除する。
 そこまでの手際の良さを見て、男は笑うしかなかった。
「マジで……? じゃあもしかして、これって罠……」
 そんな震える声が言葉を紡いだ刹那。チャラ男の手から叩き落され警戒のため遠巻きにされていた黒い拳銃が突如、爆発した!
「まずい、警戒を!! 影朧が集まってくるぞ!!」
 観客の避難はほとんど済んでいる。こうしてグラッジ弾が発動するのも作戦の可能性としては読まれていた。ならば粛々と、集まって来た影朧を狩るだけだ。
「あ、あ、英霊サマ……やっぱ俺って持ってるなぁ……」
 拘束され戦場から引きずり出されながらも、黒首輪の男は笑っていた。現れた『英霊』は彼のお目当てのものだったらしい。
 照明の影から、誰もいないはずの観客席から、はたまた舞台近くの砂塵から。ヘドロが、豹が、砂塵が———人の形を成していく。それの様子は怪奇人間のようでありながら、どこかツギハギな、作り物のような違和感を持って猟兵たちの前に立ちはだかった。
 『旧帝都軍突撃隊』“人造”怪奇人間部隊、旭日組。かつて戦争で兵器として扱われた、改造人間の兵士たちだ。影朧と化し、もはや何を守るべきなのかさえ忘れてしまった彼らはただただ、目の前の猟兵たちへ敵意を向ける。
 帝都の真ん中で彼らを野放しにするわけにはいかない。蘇った英霊には、またもう一度安らかな眠りを。
 それぞれの武器を手にした猟兵たちへ、影朧たちは一斉に——————襲い掛かる!
火土金水・明
「蘇った英霊に罪はありませんが、このままだと被害が拡大してしまうので倒させてもらいます。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【新・ウィザード・ミサイル】を【範囲攻撃】にして、『旧帝都軍突撃隊・旭日組隊員』達を纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでも、ダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。



「蘇った英霊に罪はありませんが——————」
 カツ、と音を立て、宵闇のような黒を纏う魔女が戦場となった舞台へ降り立つ。火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)はその手に七色に輝く杖を携え旭日組隊員たちの前に立ちはだかった。
 彼女が相対するは砂塵から現れた者たち。その肉体は、どの属性の魔術もダメージを軽減させてしまうだろう。だがそれでもかまわない——————火力で押しきれないのならば、魔術に工夫を凝らすだけだ。
「このままだと被害が拡大してしまうので……倒させてもらいます。ご覚悟を」
 己の英知を用い、素早い挙動で詠唱を終えた明はためらいなくその杖を振り上げる。高速詠唱、それでいて注ぎ込む魔力は全力で。さらには魔を打ち破る力と、物理的障害をすり抜ける加護を付与。ゆうに四百を超える魔法の矢は、どこに回避の隙があるのかを悟らせない。
 文字通りウィザードとしての全力、砂塵でさえ逃さず蹂躙する容赦のない攻撃。明の頭上に展開した魔法の矢の照準は、砂塵人間と化した旭日組隊員たちにまとめて向けられており、それはもはや魔法の矢というより——————魔法の刃を伴う、雨と言っても過言ではなかった。
「ウ、ウ、ウ」
 それでも、隊員たちは退かない。退くという考えにすら至らない。彼らにはもはや恐怖心などないのだ。砂状の体は柔らかくこそあるが、どんな刃も柔軟に受け流してしまうのだから。
「元より、脅しのつもりはありません。ダメージの軽減も、想定の上です」
 七色の杖が振り下ろされる。同時に、その刃を向けていた魔法の矢たちが一斉に旭日組隊員たちに降り注がれた。全ての属性が収束された魔法の矢は彼らを容赦なく貫き、ぼろぼろと砕けて変化した砂ごと、滅していく。
 だがやはり、その攻撃は受け流され決め手に欠けた。砕けた砂塵は人の形を取り戻し咆哮を上げる——————砂嵐だ!
 周囲を巻き込み吹き荒れる砂嵐と衝撃波は、明の体を簡単に跳ね飛ばすように思われた。実際、その攻撃は舞台に立つ明へと直撃し……しかし、その姿は掻き消える。
「残念、それは残像です」
 明の声が響いたのは隊員たちの頭上だった。先ほど降り注いだ魔法の矢の雨。それよりももっと高く宙に、箒に乗った明はいた。攻撃を見切り、直撃を残像で避け、わずかに迫る砂嵐は己のオーラでかき消す。その肌にはひとつの傷もなかった。
「なにも一撃で全てを終わらせる必要はないわ。少しでも、ダメージを与えて次の方に」
 また、彼らの頭上を覆いつくす魔法の矢が展開される。大きなダメージを一度に与えられないのならば、時間をかけ確実に傷を与えればいい。継続してダメージを与えることができれば、いかに砂塵人間といえども限界が訪れることだろう。
「もう一度言うわ——————ご覚悟を」
 宙に浮かぶ宵闇の魔女はその七色の杖をもう一度掲げ、そして迷いなく振り下ろした。

成功 🔵​🔵​🔴​

神楽・鈴音
英霊様ねぇ……なんか、強化のし過ぎで妖怪変化になり掛けてる気もするけどね
まあ、ここで誰かに死なれたら御布施も減っちゃうし、最後の大掃除と行くわよ

とはいえ、砂になって攻撃を避ける相手に賽銭箱ハンマーでは不利
それならこっちは迷宮を召喚して、相手を囲い込んでやるわ
「さあ、これなら砂になったところで、簡単には逃げられないわよね?

その上で、迷宮の効果を利用して、相手の認識を「自分はただの砂である」と歪めてやるわ
本物の砂になっちゃったら、意識もへったくれもないから、二度と元には戻れないでしょ
後は箒で【掃除】して一カ所に集めたら、お酒でも撒いて火をつけるわ
「あの世に戻る前の一杯よ。遠慮なく飲みなさい



「英霊様ねぇ……なんか、強化のし過ぎで妖怪変化になり掛けてる気もするけどね」
 賽銭箱ハンマーを担ぎながら神楽・鈴音(歩く賽銭箱ハンマー・f11259)は小さく肩をすくめた。ざらざらとした砂の体は風によって舞台へ散らばり、歩くたびにその場所を汚している。
「まあ、ここで誰かに死なれたら御布施も減っちゃうし、最後の大掃除と行くわよ。砂が散らばってるなんてテンション下がっちゃうし」
 そう言いながら、鈴音は肩に担いでいた賽銭箱ハンマーをドンッと床に降ろしてしまった。重量のある賽銭箱ハンマーは通常の敵にならば大きなダメージを与えることができる。だが、旭日組隊員たちの今の姿は砂塵人間。ハンマーで振り抜いたところでバラバラに散らせるだけで、ダメージを期待することはできないだろう。それどころか彼らを無為に散らしてしまうことにつながり、戦場の拡大を招いてしまうかもしれない。
 それならば、と。文字通りお掃除してしまおうと、鈴音は考えた。
 旭日組隊員たちが襲い掛かってくる瞬間、それに合わせて鈴音は迷宮を召喚した。大量の賽銭箱からなる山が迷宮の壁となり、隊員たちを包囲する。砂になったとしても、閉じ込められてしまっていては隊員たちになすすべはない。叫び声と共に衝撃波も放たれるが、迷宮の硬度にはかなわないようだ。
「さあ、これなら砂になったところで、簡単には逃げられないわよね? まあそもそも——————」
 それでもなお迷宮から抜け出そうとしていた隊員たちがぴくりと動きを止める。そして、まるで回避行動をとるように彼らはざらざらと砂になっていく。だが、攻撃らしい攻撃を受けているようには見えない。意味もなく砂になっていく姿は、勝利を諦めてしまったかのように見えた。
 ……もっとも、彼らの敗北は迷宮に閉ざされた地点で決定的になっているのだが。
「—————“ただの砂”が、意思を持って逃げるなんて、ありえないんだけどね」
 御寄進神隠しの魔窟——————この迷宮には、鈴音に敵対する者の思考を歪めてしまう力がある。その力を用い「自分たちはただの砂である」と認識を歪められた隊員たちは、“ただの砂”らしくその場で砂となってじっと微動だにしなくなった。たまに吹く風が彼らを少し転がすばかりで、それが影朧であることを忘れてしまうほど迷宮内は静まりかえっている。意識がなくなってしまえば、もう人型に戻ることもできないだろう。
 鈴音は極々普通の箒を手に、散らばった砂たちへ歩み寄った。サッサッと掃いてしまえば、それらは抵抗することなく小さな砂山に変わり、鈴音に襲い掛かることもない。
「あの世に戻る前の一杯よ。遠慮なく飲みなさい」
 懐から取り出した神酒をトットッと注ぎ、砂山を酒で浸していく。太っ腹にそれをふるまい終わったあと、鈴音は静かにマッチを擦った。
 何の変哲もないマッチが砂山に落とされる。アルコールによって燃え上がった炎は轟々と音を立てて砂山を焼いていき、“ただの砂”が“ただの灰”になるまで、その炎が消えることはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

パトリシア・パープル
現れたね、影朧
まともに相手するのも面倒だし、ここはチート技を使わせてもらうわよ!

砂になった敵に対してこちらもUCで対抗
召喚したスカンク達の持つ「波動としての性質」で、敵の内部にスカンク達そのものを「伝播」させるわ
あ、スカンクの本体は異層次元置いてあるから、量子的な攻撃以外は、この子達に通用しないわよ♪

相手の中に「伝播」させれば砂だろうとなんだろうと関係無しに情報を上書きして、同時存在として取り込んじゃうからね
ま、平たい話、量子スカンクの一部になって消えてもらおうってわけ
勝負がついた頃には、なんかスカンクっぽい砂像が、そこら中にできてるかもね
「せめてこの砂像を、墓標代わりにしてあげるわよ



「現れたね、影朧。まともに相手するのも面倒だし、ここはチート技を使わせてもらうわよ!」
 一方で、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は逆側の砂塵より現れた旭日組隊員たちを迎え撃っていた。
 相手は数が多い上に真っ向勝負が効かない相手。パトリシアのスチーム・ヨーヨーも如意フォークも、必殺の毒ガスでさえ、彼らにはあまり効果がない。パトリシアにとってはあまりに相性の悪い相手に思われたが——————彼女にはまだ切り札があった。
「見せてあげるわ……魔術と量子力学を合わせた究極奥義をね!」
 カツン、とパトリシアが靴を鳴らすとどこからともなく小さなスカンクたちが現れ、彼女の足元へとわらわらと集った。一見普通に見えるスカンクたちだが——————明らかに野生と異なり“二足歩行”している。器用にパトリシアの周囲を歩き回ったあとスカンクたちは敵に立ちはだかるように並び、旭日組隊員たちに向かって一斉に駆けだした。
 隊員たちは回避行動をとるでもなく、ただその体を砂にする。そうしてしまえばスカンクたちの爪も牙も、殺人級のガスも関係ない。あとは衝撃波と砂嵐で蹴散らしてしまえばいいだけ——————の、はずだった。
「……?」
 衝撃波で迎え撃たれたはずのスカンクたちはすり抜けるようにびくともせず、隊員たちに駆け寄った。スカンクたちも隊員たちと同じく回避行動をとらない。まるで幽霊かのように攻撃をすり抜けてみせたのだ。いや、“まるで”ではない。彼らには実体を伴う攻撃が一切無効なのだ。
 なぜなら彼らは量子スカンク——————物理法則に縛られない、量子力学の領域の存在なのだから。
「あ、スカンクの本体は異層次元置いてあるから、量子的な攻撃以外は、この子達に通用しないわよ♪ それにまだ終わりじゃないわ」
 量子スカンクの最大の特徴はそこではない。生やされた魔力核には量子の“波動”としての性質を与える力がありそれを自在に操ることができるのだ。そして波動には、空間などに対し同じような性質を“伝播”させる効果を持っている。そう、つまり——————
「——————ま、平たい話、量子スカンクの一部になって消えてもらおうってわけ」
 隊員たちを取り囲んだ量子スカンクたちがそれぞれの“波動”でもって彼らにリンクする。隊員たちの内部に“伝播”したスカンクたちは彼らの情報を上書きし、同時存在として己たちの中に取り込む——————つまり、疑似的に一体化したのだ。
「キミたちもこれで量子スカンクの一部……ってしたいところだけど。流石にスカンクそのものにはなれないわね。砂っていう物質自体はあるんだし」
 しかし、その意識はもはやスカンクたちと同調しきってしまったことだろう。取り囲んでいた量子スカンクたちの中心には、彼らを模すような、スカンクのような砂像が出来上がっていた。それを見下ろしながら、パトリシアは英霊たちの冥福をささやかに願う。
「せめて——————せめてこの砂像を、墓標代わりにしてあげるわよ」
 もはやスカンクの砂像と成り果てた彼らは、ぴくりとも動くことはなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

日紫樹・蒼
で、出た!
これ……僕も戦わないと駄目だよね……

あまり気は進みませんが、しかし戦わないわけにもいきません
悪魔に頼るのはもう嫌なので、自分の力で戦おうとしますが
「普通に魔法を使っただけじゃ……水鉄砲くらいの威力しかないや……

技能不足のため、通常の水魔法では相手を倒せないと判断
仕方ないので、自分の衣服を代償に、水魔法を細く鋭く発射して相手の急所を貫くことに賭けます
「ただの水だって、水圧と勢いを上げれば……

いわゆる、ウォータージェットというやつですね
ただ、そこまで威力を発揮するのには、エプロンだけでは代償不足
「ふぅ、終わった……って、えぇっ!? なんで全部服が消えてるの!?

泣きながら物影に隠れます



「う、うわぁ! で、出た! うう、これ……僕も戦わないと駄目だよね……」
 百戦錬磨の猟兵たちが次々と影朧たちを倒す中、怯え体を震わせる少年がいた。無理もない、少年―――日紫樹・蒼(呪われた受難体質・f22709)はうっかり禁書を開いて悪魔に取り憑かれた不幸少年なのだから。限りなく一般人に近い彼にとっては危険で見た目も危うい旭日組隊員たちは、かなり荷が重い。
「でも悪魔に頼ったらもう……うう」
 先ほど串刺しのハリセンボンのようにされたことを思い出し、蒼はぶるりと身震いした。できればもうウェパルの力は借りたくない。自力で扱えるのはちょっとした水魔法ぐらいだが、それでなんとか戦うしか―――
「ひ、ひぃッ!」
 ぷるぷると震えてばかりの蒼に目をつけ、隊員たちの一部が殺気を向ける。彼らは戦争に投入された人間兵器。戦争では、弱そうな相手から殺し相手の陣形を崩す作戦は定石である。簡単に倒せそうな相手として、蒼は完全に目をつけられた。
「████……!」
 ぶつぶつと、隊員たちは人語とは思えぬ言葉を唱え、蒼に向かい一歩踏み出した。足を踏みしめた場所には黒々としたヘドロが広がり、体からはタンパク質を溶かす硫酸が汗のように流れ、そしてその肌は疫病に侵されたように不気味な色に変わっていく。“ヘドロ人間”“疫病人間”“硫酸人間”、三種類の怪奇人間の要素を合わせたツギハギの“猛毒人間”。その姿に変わった隊員たちは、その血走った眼をギロリと蒼にむけた。
(む、無理だ……普通に魔法を使っただけじゃ……水鉄砲くらいの威力しかないや……!)
 せっかく着替えなおした服だけど仕方がない。蒼はメイド服のエプロンを脱いでそれを宙に投げ捨てる。サラサラと塵になって消えていくそれは、“最後の手段”の代償。その力を得て、蒼は小さく息を吸った。
「ただの水だって、水圧と勢いを上げれば……!!」
 今にも蒼に襲い掛かりそうな旭日組隊員たちに、蒼はその指を向けた。そして、意識を集中させ、生み出される水についてのイメージを細かく固めていく。
 大量でなくともいい。ただ、速く、鋭く、研ぎ澄まされたそれが、矢じりとなって彼らの急所を貫けばいいのだから!
「は、ぁぁぁぁぁッ!!」
 腹の底から声を出し、力いっぱい打ち出した水魔法は確かに蒼のイメージ通りの矢じりとなった。首に、腹に、脳髄に、それを受けた旭日組隊員たちが声を出すこともできずに消し飛ばされる。いわゆる、ウォータージェットと呼ばれる、水の弾丸だ。
「や……やった……! 倒した……!」
 自分もあの恐ろしい影朧を倒すことが出来た。そのことに安堵の息を漏らし、蒼は胸をなでおろす。そして……その胸にあったはずの布がない事に、気が付いた。
「ふぅ、終わった……って、えぇっ!? なんで全部服が消えてるの!?」
 そう、あの高威力のウォータージェットを打つには流石にあのエプロンだけでは代償不足だったのである。ここは戦場、とはいえ蒼は素っ裸で戦えるほど肝が据わってなかった。半泣きになりながら彼は舞台を駆け抜け、袖の垂れ幕を自分の体に巻き付けて縮こまるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

終夜・還
先ずは手元の本を開き、死霊を大量召喚

いやぁ、此処は故郷とは少々異なるけど呼びやすいねぇ

死霊達には俺の周りに瘴気をぶち撒けて貰うよ

向こうは代償がデカイみたいだから俺は安置で敵を目一杯挑発
技を連発して貰おう
んで、ジワジワ自滅して貰うぜ
フフ、イヤラシイ呪術師の戦い方さね

『ewige Dunkelheit』を手元に召喚し
くるんと回しながら魔力を充填
【呪殺弾】で消耗した奴を【見切り、クイックドロウでスナイパー】するよ

距離を詰めてきたのは零距離射撃
複数体なら呪殺弾を俺の背面に形成、一斉発射で範囲攻撃

あ、継続ダメージは呪術の基礎だからね♥喰らったら最期だと思って★

消える英霊達には敬意を払い、骸の海へと還そう



 コツ、コツと靴を鳴らして舞台を歩きながら、終夜・還(終の狼・f02594)はその手で記憶の書を開く。先ほどのショーと同じく、この本を扉として死霊たちを召喚するためだ。
「いやぁ、此処は故郷とは少々異なるけど呼びやすいねぇ」
 オブリビオンである影朧を、呼び寄せ癒す幻朧桜。それが世界中のどこでも、一年中常に咲き乱れているサクラミラージュは、死霊術士には実に馴染みやすい世界であった。すでに死して過去の存在となった影朧を受け入れることができる理を持つ世界。一応故郷のダークセイヴァーでは禁呪扱いなんだが―――なんて、還はくつくつと笑った。
 死霊を周囲に纏いながら、還は旭日組隊員たちへと目を向けた。兵士らしく数人で隊を組んだ彼らは数人で警戒しながら還と相対している。そんな彼らに対して、還はニヤリと口端を吊り上げて見せた。
「どうした? 死霊たちがいるとはいえ俺は今一人だぜ。お国のために戦った英霊サマが、たった一人にビビって戦えねェのか?」
 来いよ。そう言わんばかりに指でクイ、と手招く。それは露骨な挑発であったが―――露骨であるがゆえに、効果は大きかった。
「████!!!!!!」
「うおっとと、あぶね」
 巻き起こった砂嵐が衝撃波を生み、還へ放たれる。砂を巻き上げ迫る嵐に還はおどけたように数歩下がるが、彼の元にそれがたどり着く前に、嵐は霧散してしまった。砂塵人間に変身した旭日組隊員たちは砂の目を見開く。なぜ、と。生前ならば言葉にして問いかけていたかもしれない。
「それ、代償がデカいんだろ? ジワジワ自滅して貰うぜ。フフ、イヤラシイ呪術師の戦い方さね」
 カラクリは簡単だ。開幕還が喚び出し、周囲に纏わせた死霊たち。彼らは彼岸からこちらに来る際、穢れた瘴気を纏って現れる。還の周囲にばら撒かれた瘴気は敵の技を無力化し、還の戦闘力を高めるのだ。とどのつまり、この安置に居る限り還にユーベルコード任せの攻撃は通らない。
(まァ、それを教えてやる道理もないけどなァ)
 くるくる、と手元で魔銃を弄びながら還はその笑顔を変わらず隊員たちに向けた。パシ、と音を立てて銃を持ち直し、銃口を彼らへ向ける。白銀の彫刻が、銃身にキラリと輝いた。魔力は、十分だ。
「あ、そうそう継続ダメージは呪術の基礎だからね♥ 喰らったら最期だと思って★」
 自身の背後に呪殺弾を展開、隊員たちが対応する前に一斉に撃ち放つ! 弾幕に近いその銃撃は逃げ遅れた者を容赦なく貫き、回避したものや穢れの外で砂となれた者へ揺さぶりをかけた。多対一ならそのメリットを活かさせなければいい。くるりと魔銃を回して充填を完了させ、還は素早く次の標的に銃口を向けた。
「お、いーねェ詰めないと倒せないって判断できた? まァ……」
 ユーベルコードの無力化を認識しサーベルで襲い掛かって来た隊員に、一弾一弾丁寧に呪殺弾を撃ち込んでやる。見切られた彼らは脳天に銃痕を作り、撃ち殺されて倒れていった。
「俺、近接戦も得意なんだけどね★」

 弾幕に一掃され、生き残りも丁寧に撃ち殺され。戦場にはいくつもの旭日組隊員たちの体が転がった。過去の存在である彼らの骸は残らない。躰はほどけて、骸の海へ還っていくことだろう。
「……ゆっくり眠れよ。もう平和になって、戦う必要もないんだからさ」
 消えていく影朧を、敬意をこめて骸の海へと導くため。先ほどまでとは違い穏やかに、還はまた記録の書を開いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年08月11日


挿絵イラスト