●埋もれた炎
「不死の怪物がくべられし絶えることなき炎……まさに我らにはうってつけよ」
ヒーローズアースの文字通りの中心部、センターオブジアース。そこに堂々たる体躯を分厚い鎧に包んだ巨漢がいた。
鋼神ウルカヌス……ジェネシス・エイトの一人であり、レディ・オーシャンが倒れた今その最後の生き残りである。
「私は鋼と炎の神。お前たちには既に炎はある。故に私が鋼を授けよう」
ウルカヌスは目の前に侍る配下にそう告げる。その言葉と共に、配下の体が鎧に包まれた。
「いざ、消えぬ炎の如く何度でも立ち上がり、捲土重来せん!」
重く、太い声が地球の中心に響き渡った。
●火の元用心
「みんな! 集まってくれてありがとね!」
幼女ボディである花園・ぺしぇに憑依したミルケン・ピーチ(魔法少女ミルケンピーチ・f15261)が元気よく声を上げた。ちなみに今日は自分で戦うわけではないはずなのに、なぜかユーベルコードで召喚した小型恐竜にまたがっている。
「あのね、鋼神ウルカヌスって覚えてる? アースクライシスで戦った鎧のおじちゃんだよ。そのウルカヌスが手下を集めて、『神鋼兵団』って言うのを作ろうとしてるの」
アースクライシス決着から4カ月以上経つもウルカヌスは未だ健在。このまま放置すればその神鋼兵団の結成も現実味を帯びた話となってくるだろう。
「場所はセンターオブジアース、パンゲア大空洞とか神殿とかあった所だよ。そこでウルカヌスが炎繋がりの仲間を揃えてるから、全部まとめてやっつけちゃって欲しいんだ!」
そう言ってミルケンは、敵の細かい説明を始めた。
「まず最初に出てくるのは蝋燭のお化けみたいな敵だよ。蝋を飛ばしてこっちを固めてきちゃうの。強くはないけど足止めされないようにしてね。頭の火が弱点らしいから、そこを狙ってやっつけちゃってね!」
いわば前哨戦に当たる敵である。彼らは鎧も与えられておらず個々の能力も低いが、とにかく拘束、足止めに特化した能力を持つ。侵入者を止めるための生きた罠とも言えるような存在かもしれない。
「で、蝋燭をやっつけたらここからが本番。炎を自由に操る女の人が出てくるんだけど、この人は元々強いうえにウルカヌスに鎧を貰ってるの。さすがにアースクライシスの時ほど無敵じゃないけど、それでも普通の攻撃はもちろん、悪口や幻惑まで軽減しちゃうのは変わってないから気を付けてね。でも、鎧の隙間は守れないのも変わってないから、そこを突っついてやっつけちゃおう!」
炎を飛ばす、纏う、操るといった多様な攻撃に加え鎧による圧倒的な防御力。無策で勝てる相手ではないだろう。
予知によれば鎧の隙間は眉間の部分にあるらしい。狙いやすいが守りやすいこの部位を如何にして攻めるか、それが鍵となるだろう。
「この人をやっつけたらウルカヌスの登場! ウルカヌスはすっごく強くて、必ず先制攻撃をしてくるよ。まずこの攻撃をどうにかしないと戦うこともできないから、頑張ってなんとかしてね!」
ジェネシス・エイトが共通で行ってきた猟兵の能力に対応した先制攻撃。これを躱さねば土俵に立つことすら出来ない相手である。もちろん初撃を躱したから楽勝というような甘い相手ではない。持てる力を全て出し切って挑まねばならないだろう。
「センターオブジアースには昔の神様とか、恐竜さんたちがいっぱいいるんだ。そんなところに悪い人がいちゃだめだよね」
そう言ってミルケンは自分が乗っている恐竜を撫で、恐竜も応えるように鳴き声を上げる。わざわざ恐竜を召喚しているのはこれが理由だろう。
「大変な戦いになると思うけど、他のジェネシス・エイトはみんなやっつけたんだもん、きっと勝てるよ! それじゃあ、いってらっしゃーい!」
ミルケンと恐竜の力強い声を受け、猟兵たちはセンターオブジアースへと向かうのであった。
鳴声海矢
こんにちは、鳴声海矢です。
今回はヒーローズアースでジェネシス・エイト最後の生き残り『鋼神ウルカヌス』率いる火属性軍団を退治していただきます。
まず注意として、このシナリオは『やや難』です。
相手の行動を予測しきちんと対策を立て、持てる技能を活用していかないと苦戦は免れないでしょう。場合によっては苦戦・失敗判定が出るかもしれません。
第2章では『鎧の隙間を狙うこと』でプレイングボーナスが付きます。
鎧の隙間は眉間にありますが、もちろん無策で打ち抜くことは出来ません。
鎧は挑発や精神攻撃も防ぎますが無効化するわけではなく、また直用者の地の性格や攻撃面は変えられないので、その辺りが付け目になるかもしれません。
第3章では敵が猟兵の使用能力に合わせたユーベルコードで『必ず』先制攻撃してきます。これに何らかの手段で対処することでプレイングボーナスが付きます。
攻撃そのものを潰すことは出来ないので、撃たれた上でどう対応するかが鍵となります。また対応できてもそれだけで勝てるわけではありませんので、その後の戦闘もきっちり行ってください。
手強い相手ですが、敵の炎を飲み込むくらいのアツいプレイングお待ちしています!
第1章 集団戦
『蝋燭兵士『キャンドルソルジャー』』
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POW : 広域蝋散布
【身体中の溶けた蝋】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : 抱擁蝋漬け
【抱き着き】が命中した対象に対し、高威力高命中の【対象の全身が見えなくなるほどの大量の蝋液】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 集中蝋液散布
【両手】から【溶けた蝋】を放ち、【ドロドロ蝋固め】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:黒川 祐衣
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●火
センターオブジアースに降り立った猟兵を、白に赤の浮かんだ海が出迎えた。
それは眼前を埋め尽くすほどに大量の、蝋燭兵士『キャンドルソルジャー』の群れであった。
キャンドルソルジャーたちは侵入者を見つけると、自身の体を溶かしてその蝋を一斉に浴びせかけてくる。蝋は何かに付着すると見る間に固まり、そのまま対象を蝋漬けにして固めてしまった。
ここで止められているようでは鋼神ウルカヌスの前に立つ資格などないということか。
猟兵たちよ、この無数の灯を残らず消してしまうのだ!
御狐・稲見之守
【同行:無銘・飯綱丸】
のう、鈍刀や。神様をぶっ殺しに行かんか? 無論オブリビオンじゃよ。
そんなこんなでやって来たセンターオブジアースであるが、なんじゃいこの蝋燭お化けは。蝋が毛に付くと面倒じゃ、鈍刀は前衛ナ。
……鈍刀が前、OK?
UC荒魂顕現、雨雲を呼びバケツをひっくり返したような雨を振らせて彼奴らの火を消してしまおう。雨乞いは得意なんじゃよ、職業柄な。残ったのは袖から薙刀を取り出してすぱすぱざくざく。
鈍刀、お前やっぱり帰れ。
無銘・飯綱丸
【同行:御狐・稲見之守】
ほぅ、面白い。女狐、付き合うてやる。神だろうがなんだろうが叩き斬ってやろう。
最初は蝋燭の化生か、さっさと片付けてしまおう。……たしか女狐は火炎耐性があったはずだな、火の化生相手ゆえ女狐が前衛だ。
……もう一度云う、女狐が前だ。
UC天狗団扇、女狐の術で火の消えた連中を竜巻で巻き上げ粉々にしてやる。鴉天狗の加護を授かりしこの身、風起こしなど造作もない。残った連中は我が刀身で切り刻んで行こう。
女狐がなんぞか云って来るが無視とす。
「のう、鈍刀や。神様をぶっ殺しに行かんか? 無論オブリビオンじゃよ」
「ほぅ、面白い。女狐、付き合うてやる。神だろうがなんだろうが叩き斬ってやろう」
センターオブジアースへ来る前の御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)と無銘・飯綱丸(天狗刀・f16355)の会話である。
神の名とそれに恥じぬ実力を持つ敵と戦うことに対し何の気負いもなく、まるで近所に買い物にでも行くようなノリでやってきた二人。そんな彼らが蝋燭の軍団を前にして、怖気づくはずもなかった。
「なんじゃいこの蝋燭お化けは。蝋が毛に付くと面倒じゃ、鈍刀は前衛ナ」
「最初は蝋燭の化生か、さっさと片付けてしまおう……たしか女狐は火炎耐性があったはずだな、火の化生相手ゆえ女狐が前衛だ」
互いに同時に発した全く同じ内容の軽口。お互いの耳にそれが届き、二人の間にピキッという音が聞こえそうな空気が走る。
「……鈍刀が前、OK?」
「……もう一度云う、女狐が前だ」
再度同じ内容の言葉を交わし、空気を張り詰めさせる二人。
そんな二人の言い合いの前で、放置されていたキャンドルソルジャーたちは自身の存在をアピールするかの如く溶けた蝋を二人に向かって浴びせかけた。
お互いにばかり意識の言っていた二人はその蝋を足に受け、その場に縫い留められてしまう。さらにそこから全身を固めるべく、キャンドルソルジャーがその身を溶かし、さらなる蝋を作る。
「ほう、化生風情が身の程を知らぬ……我為す一切是神事也、天裂き地割る神業畏み畏み奉願祈るべし」
稲見之守はそのキャンドルソルジャーをまるで下賤なものを見るように見下し、天に向かって祝詞を唱えた。
次の瞬間、空を真っ黒な雲が突如負い、雷が鳴り響いた。ここはセンターオブジアース、地下の大空洞であるにもかかわらずである。
そしてすぐさまその雲からは滝のような雨が降り始める。ユーベルコード【荒魂顕現】、属性と自然現象を合わせた技で呼び寄せられた水属性の嵐はキャンドルソルジャーたちの頭上にも降りかかり、その生命の元ともいえる火を消していった。元より制御の難しい技ではあるが、雨乞いは稲見之守が職業柄得意とするところ。さらに今回に限れば制御の必要もない。荒れれば荒れる程、火は消え蝋は流れ、自身にとって有利になるのだ。
「贋作なれど侮ることなかれ」
そして飯綱丸もまた、【天狗団扇】を振るい属性を荒れ狂わせる。鴉天狗の加護を受けた身から巻き起こされるのは嵐のもう一つの側面である暴風。それは竜巻となって火が消えたキャンドルソルジャーたちを襲い、弱り切ったその身を次々特注へ巻き上げては砕いていった。
そのまま地表で叩きつけられほとんどのキャンドルソルジャーは粉々になるが、形を残していた何体かは起き上がり、二人へと迫ろうとする。
しかしその白い手は、二人から伸びた白刃……稲見之守が袖より出した薙刀と、飯綱丸の本体である霊刀によって造作もなく切り捨てられた。それは先刻まで言い争いしていたとは思えぬ、一糸乱れぬ無言の連携であった。
結局このわずかの間に二人の前にいたキャンドルソルジャーは全て切り伏せられ、砕け散ったものと混ざりあっておびただしい量の泥交じりの蝋の山へと姿を変えた。
「鈍刀、お前やっぱり帰れ」
再びの軽口に飯綱丸が無視で答え、蝋の山を踏み越え進んでいく。まるで何も起こらなかったかのような二人のその姿は、化け物風情では止めること能わぬ『カミ』の威容であった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ミケ・ナーハ
自慢の爆乳をはじめ
抜群のスタイルが強調された
色っぽい忍装束姿です♪
「あぁんっ♪蝋燭がこんなに♪」
えっちな妄想をして色っぽい声が♪
「でも、だーめ♪」
敵の攻撃を【見切り】回避♪
【敵を盾にする】事で防御も♪
激しい動きで、豊満な胸が
ぷるんぷるん揺れます♪
「んんっ……あふれちゃうぅ♪」
私に群がっていた敵を
『セクシーバースト』の
ピンク色の爆発でまとめて攻撃♪
色気パワーを爆発に変える
私の奥の手です♪
何度も爆発を起こし、近くの敵を一掃♪
「はぁっ……こんな所でしょうか……」
色気パワーを使い過ぎた反動で
幼い少女の姿に。
ぺたんこになってしまった自慢の爆乳を
ぶかぶかになった忍装束で
恥ずかしそうに隠し、一時撤退します。
豊満なスタイルを強調するくノ一衣装に身を包んだミケ・ナーハ(にゃんにゃんくノ一・f08989)は、目の前に現れた蝋燭の大群に思わず声を上げた。
「あぁんっ♪蝋燭がこんなに♪」
蝋燭たちに何を思ったか、色っぽい声を上げて体をくねらせる。
その声を聞きつけたキャンドルソルジャーたちは、新たな敵を迎え撃たんと両手を伸ばし、一斉にミケへと襲い掛かった。その両手からは溶けた蝋がどろどろと滴り、獲物を固めようとしている。前方から伸びる無数の蝋の手が、ミケへと届こうとしていた。
「でも、だーめ♪」
その手が触れる瞬間、ミケはキャンドルソルジャーたちに向かってそう言うと、高く跳躍して一段の裏側へと回り込んだ。キャンドルソルジャーたちは反転して再びミケを捕らえようとするが、ミケはそれより早く、ぷるるんと胸を揺らしながら一番近くにいた敵を突き飛ばし、他の蝋燭へとぶつけた。蝋燭同士で抱き合う形となった敵はそのままお互いの炎で溶けあい、どろどろに混ざり合って崩れていく。
残ったキャンドルソルジャーたちは仲間が倒れていくにも構わずなおもミケに追いすがり、その体を固めようとまたも手を伸ばす。ミケはその動きを見切りながらも、避けることなくあえて敵の一団の中へと飛び込んでいった。そのままミケは蝋燭の群れの中、まるで観客に見せつけるかのように胸を揺らして敵を待ち受ける。それはまるで舞台の上で煽情的に踊るダンサーの様でもあり、ミケの色気が蝋燭たち相手にこれでもかとふりまかれていた。
「んんっ……あふれちゃうぅ♪」
ミケが堪え切れないと言わんばかりの甘い声を出す。その瞬間、ピンク色のエネルギーがミケを中心に溢れ出し、大爆発を起こした。
色気を力に変えるミケの奥の手【セクシーバースト】、ここまで胸を揺らし、性別があるかもわからない蝋燭相手に色気を振りまいていたのは決して遊んでいたわけではなく、自らの色気の力を高めるためであったのだ。激しく揺れる胸から溢れ出す色気は一度の爆発では収まらず、何度もピンクの爆発が巻き起こっては蝋燭たちを巻き込んでいく。小型のキャンドルソルジャーたちはその勢いに耐えることもできず、次々と体を砕かれ、蝋の破片となって地面へと散らばっていった。
「はぁっ……こんな所でしょうか……」
顔を上気させ、果てたかのように息をつくミケ。だが爆発の収まった後に現れたその姿は、あれだけ揺れていた胸はぺったんこになり、背も縮んだ幼女と化していた。それは色気の力を噴出しきった代償であろうか。あるいはこの姿にこそ色気を感じる者もいないでもないのかもしれないが、少なくとも豊満さという点においては完全に失われている姿になってしまったのは間違いなかった。
「やっぱりこうなっちゃいましたか……ちょっとお休みしましょうか」
自慢の爆乳に引き伸ばされていた布は余り、消え失せた胸が露にならないようぶかぶかな布を押し当てるミケ。
その胸が豊満さを取り戻し、再びぷるんぷるんと揺らせるようになるまでインターバルを取るべく、ミケは一旦この場から立ち去るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
御狐・稲見之守
【同行:無銘・飯綱丸】
ふむ、その鼻っ柱、刀身ごとぽっきりイッてやろうか鈍刀。
UC荒魂顕現、先程と同じように蝋燭お化けに大雨をお見舞いした後、次に竜巻を起こして奴らを粉々に砕いてやろう。ついでに鈍刀の頭上にも滝のような雨を降らせておく。
すまんな、手が滑った。
……。
よしよし、あいつの天狗鼻ぼっきぼきに折ってやろうではないか。
無銘・飯綱丸
【同行:御狐・稲見之守】
そのお喋りなクチを頸ごと打ち落として黙らせても良いのだがな、女狐。
UC錬成カミヤドリ、蝋燭どもを我が分身で切り刻んで行くこととす。ついでに女狐の頸を目掛けて一本ほど撃ち込んで置く。どうせあの女狐が頸を落とされたところでくたばることはない。
悪いな、手が滑った。
……。
あの女狐の頸を落として獄門台に晒してくれよう。
「ふむ、その鼻っ柱、刀身ごとぽっきりイッてやろうか鈍刀」
「そのお喋りなクチを頸ごと打ち落として黙らせても良いのだがな、女狐」
御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)と無銘・飯綱丸(天狗刀・f16355)の言い合いは未だに続いていた。その言葉は剣呑で、本当にその言葉を実行できるくらいの力がある二人故に傍から聞けば洒落にならないが、言っている当人たちは本当にただの軽口程度のつもりでしかない。
そしてそんな軽口の横では、その言葉以上に余人では成し得ぬ凄まじい光景が栗比遂げられていた。
稲見之守が呼んだ嵐がキャンドルソルジャーたちの蝋燭を消し、さらに竜巻が荒れ狂って弱ったその身を巻き上げる。弱り切ったキャンドルソルジャーが風圧でバキバキと砕け、破片となって地面に降り注いだ。
その破片は、なぜか一際強烈な雨の降り注いでいる飯綱丸の頭上に集中的に降りかかる。飯綱丸は一瞬真顔になると、周囲に光放つ霊刀を50本複製、その全てを駆使し自らに注ぐ蝋の破片を切り飛ばした。
さらに刀は竜巻の中へと踊り込み、その風に乗るように、あるいは逆らうように中を舞い、巻き上げられたキャンドルソルジャーたちをさらに微塵に切り刻み、破片を超えで塵のようになるまで五分刻みに刻みつくした。
まるで集中力を欠くように見える言い合いの横、圧倒的な力で敵の軍団が蹂躙されていく。それは二人の『息の合わぬ』コンビネーションであり、灯火程度では到底立ち向かえぬ圧倒的力の差の現れであった。
そして竜巻の中で舞う49本の刀が、この戦いの勝利を決定的なものにする……49本?
刀の一本は竜巻を離れ、稲見之守の首に突き立たんとしていた。稲見之守は高速で飛来するそれを掴んで止める。
「悪いな、手が滑った」
飯綱丸が目も合わさず、全く悪びれずに言う。
「ほう? 貴様の念動力は手から出るのか鈍刀」
「どうせ頸を落とされたところでくたばることはないだろう女狐。それにやたらと雨が俺に向かって降るものだから集中力を欠いてな」
「すまんな、手が滑った」
その言い合いとともに再び流れる緊迫した空気。その空気を纏ったまま、二人はどちらからともなく先に進み始める。まるでそれが二人にとっての正常な状態であり、ある種の信頼の証だとでもいうかのように。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アテナ・カナメ
【心情】炎を操る敵の集団…私好みね!ここは行くしかないわよね宛那!(宛那(身体の元の持ち主):マスクさん…なかなかに手強い相手のようです。お気をつけて…あと、私の身体だということ忘れないでくださいね…?)はいはい、大丈夫。前みたいに傷つけはしないわ!
【心情】 敵の攻撃は【見切り】で回避よ!そして敵はファイアボールをレベルの数だけ使ってたくさんの敵に一斉にぶつけていくわ!後はバーニングパンチや火の玉アタックで攻撃していくのもいいかもね!「蝋燭はさらに熱い炎で溶かしていけばいいのよ!」 (絡み・アドリブOK)
「炎を操る敵の集団…私好みね!ここは行くしかないわよね宛那!」
そう宣言してセンターオブジアースに立ったのは、深紅の髪に炎の柄の入った仮面とマント、深紅のコスチュームに身を包んだまさに炎の化身の如き女性、アテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)であった。
まさに戦いに燃える彼女の心に、心配するような声が直接響く。
(マスクさん……なかなかに手強い相手のようです。お気をつけて…あと、私の身体だということ忘れないでくださいね……?)
その声はヒーローマスクであるアテナの依り代である少女、要・宛那。同じ名前と望みを持つ彼女はもちろんアテナを信頼してはいるが、危険な戦いに向かう以上やはり不安は付きまとう。
「はいはい、大丈夫。前みたいに傷つけはしないわ!」
アテナが張り切った様子でそう答えると、宛那もそれ以上は言うのをやめた。
そんな二人の前に、キャンドルソルジャーの最後の一団が立ちはだかった。せめて一人でも足止めせんと、蝋燭たちは一斉に手を伸ばし、そこから蝋を放つ。アテナはその動きに対し飛距離を見切ってそこから離れると、逆にそれ以上の射程を持った技で一気に反撃を試みた。
「炎の玉達よ! 敵を焼き討て!」
アテナの掛け声とともに、57個の【ファイアボール】が一斉に敵に襲い掛かる。それらはキャンドルソルジャーたちが放った蝋を溶かしながら敵にぶち当たり、その体さえドロドロに融解させていく。本来は合体させてより威力を高めることもできる技だが、蝋に炎という圧倒的な優位性の上ではその必要もなく、火の玉は一撃一殺で見る間に敵の数を減らしていった。
さらに討ち漏らしたものにはアテナ自身が踏み込み、全身に炎を纏いながら襲い掛かる。
「火の玉アタック! からの、バーニングパンチ!」
燃える体当たりからの炎の拳、正義の炎を操るアテナの面目躍如というが如く、その燃える肉体はキャンドルソルジャー最後の生き残りを一気に焼き、溶かしつくしていった。
「蝋燭はさらに熱い炎で溶かしていけばいいのよ!」
その炎はまさに燃える正義、女神の業火。小さな蝋燭如きがいくら寄り集まろうとも物の数ではない。荒れ狂う炎の攻撃によって、キャンドルソルジャーたちは全てが跡形もなく溶け崩れ、物言わぬ蝋の塊と成り果てた。
「さて、次に行くわよ!」
その蝋を踏み越え、アテナマスクは進んでいく。その先にさらに大きな炎が待ち受けるのを予感しながら……
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『フレイア』
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POW : カモーン!マイアミーゴ!
自身の身長の2倍の【炎の巨人 】を召喚する。それは自身の動きをトレースし、自身の装備武器の巨大版で戦う。
SPD : あはははははは!避けてみなよ!
【無数の炎の弾 】を放ち、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ : 僕に近づくと火傷するよー?
【自身の周囲に発生する炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【紅蓮の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
イラスト:えんご
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アテナ・カナメ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●炎
キャンドルソルジャーの群れを越え、センターオブジアースのさらなる深部へとたどり着いた猟兵たち。そこに待ち受けていたのは、一人の赤髪の少女であった。
「レディース、アンド、ジェントルマン! お待たせしました、フレイア参上!」
ハイテンションな名乗りと共に周囲に炎が巻き上がる。その炎が彼女にまるで意思があるかのように巻き付き、軽装に包まれたその体に鎧となって纏われる。
彼女の動きを妨げず急所だけを覆う軽鎧のようなものであったが、その露出が防御力と何の関係もないことは、アースクライシスで既に何度となく証明されていることであった。
「完成、無敵アーマー! ただし一点を除く!」
そう言ってフレイアは指を立て、自分の眉間をとんとんと叩く。
「はい、僕の弱点はここ! ここだけ鎧がありません! だから頑張って、必死に狙ってね! どこか分からない総当たりじゃ地味だもんね、教えとくよ!」
大声で自分の弱点を宣言するフレイア。それはショーマンシップ故かそれとも自信の表れか……恐らくは両方なのだろう。
「まぁ……狙えればだけどね!」
その言葉と共に周囲の温度が一段と上昇し、当たりに業火が巻き起こる。
この荒れ狂う炎を乗り越え、鎧の隙間を狙い撃つのだ!
ミケ・ナーハ
「コスプレ変身♪」
私が光に包まれ
着ていた、くノ一衣装が消え
豊満な胸をはじめ
スタイル抜群の裸体が露わに♪
次の瞬間、カウガール衣装に♪
豊満な胸の谷間、くびれのあるお腹
すらりとした美脚が露出した
セクシーな衣装です♪
腰には二丁のリボルバー銃が♪
「骸の海に還る用意はできましたか?」
挑発し、敵の動きを【見切り】
舞うような美しい動きで、攻撃を回避♪
少し焦げるくらいは仕方ないですが
大ダメージは受けないように♪
激しい動きで、私の爆乳が
ぷるんぷるん揺れます♪
敵が攻撃に夢中な隙に
眉間を二丁のリボルバー銃で撃ち抜きます♪
舞うような動きや、揺れる爆乳で
注意をそらし、早撃ちしたので
私が銃をいつ抜いたかすら判らないのでは♪
ハイテンションで猟兵を迎え撃たんとするフレイアの前にまず立ったのは、大胆なくノ一衣装に身を包んだミケ・ナーハ(にゃんにゃんくノ一・f08989)。ミケは戦いが始まる前、敵が動くのに先んじて自らの衣装に手をかけた。
「コスプレ変身♪」
掛け声とともにミケの体が光に包まれ、衣装が消え失せてその豊満な裸体が一瞬露になり、そして次の瞬間その体は別の衣装に包まれる。
豊かな胸やくびれた腹、すらりとした足が露出したセクシースタイルなのは変わらずだが、その腰には二丁の拳銃が下げられたカウガール衣装。新衣装となったミケは胸を揺らして堂々と敵の前に立った。
「骸の海に還る用意はできましたか?」
変身完了、と言わんばかりにポーズを取って言うミケ。
「いいねいいね! 新衣装なんて盛り上がるよ!」
その派手なパフォーマンスに気分が上がったか、フレイアは笑いながら拳を握り、その手に炎を纏わせた。
「あはははははは! 避けてみなよ!」
上がったテンションを発散するように、フレイアが炎の弾を連続して放つ。ミケは舞うように体を翻し、その炎を避けた。ミケの軌道を追うように次々と炎が地面に着弾し、爆炎を上げていく。
「綺麗に避けるね、でもまだまだぁ!」
避けられたことに怒るどころかむしろ楽しむように、炎弾の連射速度が上がる。その攻撃は徐々にミケを捕らえつつあり、直撃こそしないものの肌を掠めるものが増え始めていった。
「あんっ、もぉ、あっつぅい♪」
胸を揺らし、艶っぽい声を出すミケ。その甘えるような声と動作は、例えいようがいまいが観客を楽しませるような戦いを好むフレイアにとっては攻撃意欲をより掻き立てられる好ましいものであった。
より楽しく鳴かせ、その上で焼き尽くしてやろう……そのような意図か、さらに炎を激しく燃え滾らせるフレイア。そして徐々に命中率が上がっていった炎がついにミケを捕らえた……そう思われたときであった。
「あがっ!?」
突然フレイアが頭をのけ反らせ、大きく後退る。ゆっくり顔を前に戻すと、その眉間からは、血がだらりと垂れ落ちていた。
「私が銃をいつ抜いたか、判らなかったのでは♪」
二丁の拳銃を構えたミケが笑いながら言う。フレイアのショーマンシップを利用し、あえてパフォーマンス的な行動を取ることで攻撃を見切り抜き打ちで攻撃する、ミケの作戦は見事に鎧の隙間を狙い撃つことに成功していた。
「あちゃー……なんかやっぱそういう気はしてたんだよねー……ま、でもこれくらいの方が盛り上がるし? それじゃ第一ラウンド終了ってことで!」
そう言ってフレイアは額の血をぬぐう。鎧の隙間を撃たれなお流血で済むのは元々の強さと、ミケの挑発に対しても鎧の効果が発揮し、狙い撃たれることをある程度予期できたからか。
フレイアは言葉通りその場から去り、仕切り直しを図ろうとする。ミケはすぐにそれを追おうとするが、ミケ自身も何度となく炎に肌を炙られ、最後には半ば直撃に近い状態で当てられていたため、そのダメージの蓄積は侮れるものではない。
結局彼女の言葉通り、この場はミケの第一ラウンド優勢で終了、という形となったのだ。
成功
🔵🔵🔴
御狐・稲見之守
【同行:無銘・飯綱丸】
おい鈍刀、その刃を我に突き立てたらマジへし折るからな。
[火炎耐性]真姿、炎の大狐姿となって彼奴に喰らいつこうか。そして[UC化生顕現]――大狐から不定の獣姿へと、例え牙が通らんでも動きを封じるぐらいはできよう。
喰らう頭が一つかと思えば二つとなり、いや三つか四つか。切り裂く腕爪も二つかと思えば三つ、四つ、五つ…幾つやら。奔る尾はどこまでも伸びて追いかける。
彼奴を掴まえたなら、体の一部をヒト姿にして眉間を捉えるように頭を手で鷲掴み。[生命力吸収]――掌からその精気をいただいてやる。
……おぉい鈍刀ァ? 今のは少ぅし痛かったぞぉ?
無銘・飯綱丸
【同行:御狐・稲見之守】
知らんな、我が剣の巻き添えにならんよう気をつけるがいい。
UC錬成カミヤドリ、我が分身を操り彼奴の眉間を狙うこととす。動き回るようであれば、分身の何振りかを彼奴の動きを制するように操り、誘導や行く手を阻むなどする。
女狐が彼奴を掴まえたならその眉間に分身をお見舞いしてやる。女狐に当たるかもしれないが構わん、彼奴の頭を掴んでいる女狐の手ごと眉間を刺し貫いてやろう。
悪いな、唾でも付けておけ。
第一ラウンドを劣勢で終えたフレイアの前に、次は二人の猟兵が立ちふさがる。御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)と無銘・飯綱丸(天狗刀・f16355)だ。
「お、次はタッグでくる? こっちも援軍呼んでもいいけど……一人でやった方が盛り上がる感じかな?」
二人を前にし、フレイアは笑いながらそう言い放つ。巨人を召喚するユーベルコードを持ちながら、あえてそれを使わず二対一を演出する腹積もりのようだ。そのフレイアの自信を前に稲見之守と飯綱丸は、変わらず敵ではなく味方に向けた緊張感を崩さない。
「おい鈍刀、その刃を我に突き立てたらマジへし折るからな」
「知らんな、我が剣の巻き添えにならんよう気をつけるがいい」
言い合いながら、まずは稲見之守が前に進み出た。一歩、二歩、進むごとに稲見之守の人としての形が崩れていく。そしてフレイアの間合いに入った時、その姿は真の姿、炎の大狐へと変じていた。
炎の狐と化した稲見之守は獣の如くフレイアに飛び掛かり、その牙を突き立てる。
「お、すごいの来たねー。でも僕に近づくと火傷するよー? 例え炎でもね!」
鎧の防御力に任せ、フレイアは稲見之守を噛みつくがままにさせていく。その上で自らも周囲に炎を発生させ、自身に食らいつく炎の狐を焼き尽くさんとした。二つの炎がまじりあい、互いの境界をうやむやに焼き尽くしていく。
その混ざり合った炎に、52の鋼が襲い掛かった。その全ては一斉にフレイアの眉間目掛けて飛び掛かるも、炎を断ち切るばかりで本体には一つとして届くことはなかった。
「んー、いい連携だけどね、なんとなく読めてたかな!」
「ほう、大したものだ。俺が女狐を狙ったのを読んでいたとは」
フレイアの挑発じみた言葉に、飯綱丸が冗談に聞こえない口調で答える。あるいは初撃で決まるとはそもそも思っていなかったか、眉間から外れた刃は軌道を変えてフレイアの周囲を飛び交い、その動きを制限する方向へと動きを変えた。
飯綱丸の言葉に抗議するかのように、稲見之守が変じた炎の狐がゆらりと揺らぐ。そしてその炎の渦から声が聞こえた。
「姿形不定なるこそ真なり、夢と現つの狭間に巣食う神にしてモノノ怪来たれり」
祝詞のような詠唱と共に、稲見之守の体がさらに変化を遂げる。燃え広がる炎のように揺らぎ、分かれ、喰らう頭が一つかと思えば二つとなり、いや三つか四つか。
引き裂く爪も二つが三つ、四つ、五つ。最早獣の形すら成さぬほどに分かれ、尾は伸び走り、フレイアの全身をまさに食らうように包み込んだ。
「うおお、すごいすごい、第三形態ってやつ!? こりゃこっちも……ちょっと本気出さなきゃね!」
凄絶な笑みを浮かべ、フレイアが手足の自由になる部分に炎を灯して振り回す。そこから放たれる炎弾は、無数に分かれた稲見之守の体や周囲を飛び交う飯綱丸の刀に広く撒き散らされ、その全てを焼き落とさんとした。
実際いくつかの炎や刀が炎弾に撃ち落とされる中、フレイアの顔の間近に合った炎が五つの細い揺らめきに別れた。否、それは揺らめきではなく、炎より人の体に戻った稲見之守の手。開かれたその五指が、フレイアの顔面をしっかととらえた。
「好き放題やってくれたのう……出した分は返してもらうぞ?」
鎧のない眉間より命を啜る稲見之守。炎が人に戻るところまではさすがに予想できなかったフレイアは、急所を掴まれたことに一瞬驚き吸われるがままになるも、すぐに燃える手で稲見之守の手を掴んだ。
「こりゃさすがに予想外かな……でも、グラップリングだって負けないよ!」
「そんなものに付き合う気はないがな」
稲見之守の手を焼き切らんとするフレイアだが、それよりも早く男の声が聞こえ、大量の刀がその手を貫いた。焼かれずに残った飯綱丸の分体、それが一斉にフレイアの眉間に殺到、掴む稲見之守の手もろともそこを刺し貫いたのだ。
二人は言い争うような言葉を何度も交わしていたが、それは言わばパフォーマンス、ある種の馴れ合い……そう言った演出があることを知っているフレイアだから、二人が連携を取ってくること自体は予測できていた。だがこれほどの、示し合わせもなく味方の手を刺し貫くまでのものだとは。挑発や舌戦さえ防ぐ鎧さえ上回る苛烈な連携に、フレイアは完全に虚を突かれていた。
予想外の深手に魅せる戦いを続けることも難しくなったフレイアは、顔面を血に濡らしながら自身を炎で包む。それは稲見之守の体と飯綱丸の刀をも吹き飛ばすほどの爆発力を持って燃え広がり、一瞬後それが収まった時には、もうそこにフレイアの姿はなかった。
「……おぉい鈍刀ァ? 今のは少ぅし痛かったぞぉ?」
「悪いな、唾でも付けておけ」
少し、唾でも、手を貫かれたものと貫いたものが交わすとは思えぬ言葉は、しかし今日二人が交わした言葉の中で特に明るく聞こえるのは恐らく聞き間違いではあるまい。
大成功
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ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロNG
POW
弱点を教えてくれて有難う。
眉間を貫く気は無いから安心して?
守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
夜魔の翼で【空中戦】
炎の巨人の攻撃に【見切り・残像】での回避と
【オーラ防御・激痛耐性・火炎耐性・気合い】で耐えつつ
【迷彩】魔法で透明化した包帯を
【念動力】でフレイアの足に巻き付けて転倒させる。
巨人も彼女の動きを真似て倒れるわ
フレイアへと急降下しつつ『芳しき熱愛』で汚泥化。
眉間から鎧の内側に侵入し
体の隅々まで【慰め・生命力吸収】
悪臭を感じないよう【催眠術】で嗅覚を狂わせ
汚泥の体に宿る猛毒と【呪詛】で快楽を増幅
火炎耐性で沸騰させられる心配も無い。
私の身を焦がせるのは愛の炎だけよ♥
「おっと、休む間もなく次ってことかな? 人気者は辛いねー」
次に現れた猟兵を前に、フレイアは臆することなく笑って言った。彼女の前に立つドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)は、そんな彼女に笑みを返す。
「弱点を教えてくれて有難う。眉間を貫く気は無いから安心して?」
言うが早いか、ドゥルールはオブリビオンの霊をその身に宿し、羽織ったマント『夜魔の翼』をその名の通りのコウモリの翼に変化させ宙を舞った。
「お? あえての弱点無視ってやつ? それってハマれば面白いけど、うまくやらないと白けちゃうからさぁ、ちゃんとやってよね! それ、カモーン! マイアミーゴ!」
ドゥルールのその発言を挑戦かパフォーマンスの一つと取ったか、炎の巨人を召喚し迎え撃つフレイア。地上でフレイアが拳を突き上げると、巨人がその動きをトレースし、宙を舞うドゥルールに向けて強烈なアッパーカットを仕掛ける。
ドゥルールはそれを残像を残す早さで避けるが、追撃の蹴りがその移動先に襲い掛かった。軌道を変えてそれも躱すが、全身が炎でできている巨人、その熱気に炙られるだけで空中でもバランスは崩れ、肌が焼かれる。
「でかいから遅いとでも思った? 残念! 僕と同じ速さで動けるんだよね!」
地上で演舞のように攻撃を繰り返すフレイアに合わせ、巨人は空中のドゥルールを叩き落とさんばかりに早く、重い攻撃を繰り返した。ドゥルールはその動きを紙一重で見切って避け、自身を炙る熱気は炎への耐性と身に纏うオーラで防ぐ。直撃すらしないものの、それは防戦一方、眉間どころかそれ以外の部位さえ狙えず攻めあぐねているようにも見えた。だが。
「嬉しいわ、こんなに私に注目してくれて」
「何……うわっ!?」
ドゥルールの言葉を訝しむ間もなく、突然フレイアの足が前に引き上げられた。そこには一本の包帯が絡まり、その足を前に向けて協力に引っ張っている。
ドゥルールは攻め込めずに飛び回っていたわけではなかった。空中を舞う自分に注意を向けさせ、足元から包帯を念動力で動かし巻き付ける、自らを囮とした策でフレイアの動きを止めようと狙っていたのだ。
鎧の防御能力のおかげか派手に転倒することこそ免れたが、踏ん張るように重心を落とし、意識をそちらに集中させるフレイア。その一瞬の隙を突き、ドゥルールがフレイアに向けて急降下した。
「愛の言葉はクサいくらいが丁度いいの」
その言葉通りの悪臭を放つ汚泥へと身を変じさせたドゥルールの体が、フレイアの顔面を直撃した。その体は鎧の隙間からその内側へ入り込み、生のその体を包み込む。
「なんだよ、結局狙ってんじゃないか……!」
「貫かない、と言っただけよ? それに私はこっちの『弱点』の方が好みなの♥」
泥となった体のどこからか声を発し、ドゥルールは鎧の中の体から生命力を吸い上げる。フレイアは炎の熱以外の何かで顔を赤くしながら自身の体を叩くが、奇しくも鎧が阻んで中に有効打を与えられず、巨人もその動きを真似し、自分の体をぽこぽこと叩くだけであった。
ならば泥らしく乾燥でもさせてくれようと自身の体に炎を走らせるが、ドゥルールのもつ火炎耐性がそれも阻む。
「今のこの身は愛しあったあの二人の泥……私の身を焦がせるのは愛の炎だけよ♥」
ドゥルールはその王の如き悪臭を嗅覚に働きかけごまかしながら、フレイアから生命と愛を啜り続けるのであった。
大成功
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アテナ・カナメ
【心情】前に映画撮影で役者がやってた奴ね…あれには偽物って事で参加しなかったけどまさか本物と会えるなんてね…!炎を操る者としてパフォーマンスで炎で人を殺すあなたは許せない…!
【心情】攻撃はなかなか当てさせてはくれないでしょうね…くっ挑発までしてきて…本当に腹立つ相手だわ!なので一計を案じるわ!色々攻撃しつつ苦戦する振りをして
わざと敵の攻撃を食らって苦しむ振りをしてその場に留まって敵を【おびき寄せる】わ!【火炎耐性】で火には強いからね!そして近づいた所をサイキックブラストを眉間に使って動きを止めて冒頭の攻撃を眉間に叩き込むわ!
「やっば、さっきから負けっぱなしだし……ここらで一人くらい派手に燃やしとかないと飽きられちゃうよ……」
劣勢に焦るフレイアだが、その意識はやはり自分の戦いがどう見えるか、パフォーマンスとしてうまくいっているかに向けられていた。彼女にとっては炎はパフォーマンスの道具、人はそのための焚き付けでしかないのだ。
そんな彼女の考えを真っ向から否定する猟兵が、今ここに立ちふさがった。
「前に映画撮影で役者がやってた奴ね……あれには偽物って事で参加しなかったけどまさか本物と会えるなんてね……!」
炎の模様を持った赤いヒーローマスクのアテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)。彼女はオブリビオンによって両親を亡くした少女要・宛那の体を借り、その願いを叶えるべく炎の力で戦うスーパーヒロインである。そんな彼女にとって同質の力で真逆の行為をするフレイアは、断じて許せる存在ではなかった。
「炎を操る者としてパフォーマンスで炎で人を殺すあなたは許せない……!」
「え、何々、知らない間に僕ってば映画デビューしてたの? やだなぁ、ちゃんと呼んでくれれば思いっきり燃やして盛り上げてあげたのにさ!」
そう言ってフレイアは炎の巨人を召喚する。もう、語る必要などない。炎を操るものとして、人を守るものとして、この女は倒さねば。アテナの怒りの炎もまた燃え上がった。
「燃える正義の炎! アテナマスク見参!」
燃える拳を振りかざし、フレイアへと猛然と殴り掛かるアテナ。殴る、蹴る、掴みかかると連続で攻撃を仕掛けるが、その全てが悉く躱される。
「おー、やるねー、当たればかなり痛そうじゃない! 当たればね!」
ひらひらと踊るように動きながら挑発するフレイア。それに乗ったようにさらに激しく攻勢に出るアテナの前で、フレイアは拳を握り、それを振り下ろした。その拳はアテナの前で空を切るが、それと同時に同じ動きで打ち下ろされた巨人の拳が、アテナを強かにとらえた。
「あぐっ!」
炎でできているとは思えぬほどの重量がアテナにのしかかり、その膝を折らせ地につかせる。さらにフレイアが足を振り上げ、踏みつけるような動作でそれを振り下ろすと、巨人が同じ動きでアテナを踏みつけた。
「ぐっ……この、くらいで……!」
気丈に耐えるアテナだが、反撃に転じる余裕もないかのように見える。ただそれでも戦う気力だけは消えていないのか、少しずつフレイアの方へ向かい、這いずるように動いていた。
そんなアテナに、フレイアは巨人を下がらせ自分から近づいていく。
「そうそう、これこれ! こういうのがやっぱり僕の持ち味なんだよ! それじゃ最後は僕の手で、派手にいっちゃおうか!」
とどめは自らの手で刺そうと、アテナの髪をつかもうとするフレイア。
だがこの瞬間こそ、アテナが待ち望んだ一瞬であった。
「攻撃を受けて苦戦を演出するのは魅せの基本のはずよ……!」
一瞬早く、アテナの手がフレイアの眉間にかざされた。そこから放たれた高圧電流がフレイアの鎧の隙間から全身に行き渡り、その動きを止める。
フレイアが魅せたかったのは自分であり、相手は派手に燃やされて自分を引き立てるための存在でしかない。そんなフレイアだから、相手が攻撃を受けているときの意図など考えるはずがなかった。例え精神まで守る鎧であろうとも、元々ない思考を補強することは出来ない。独りよがりなフレイアの『魅せ』が敗北した瞬間でもあった。
「なっ……ぐ、動けない……!」
「これで終わりよ! 燃える拳を受けなさい! バーニングパァンチ!!」
逆の手を引き、炎に拳を纏わせる。30cmの射程しかない技だが、そこには相手自ら踏み込んできてくれた。炎の拳が、鎧の隙間諸共フレイアの眉間を撃ちぬいた。
「僕より魅せる炎なんて……! 認めたくないけど、認めるよ……!」
魅せるという点でも敗北を認めながら、フレイアの全身が炎に包まれていく。その炎はアテナの起こした正義の炎。そして爆発の如く炎が爆ぜ、後には静寂だけが残された。
「邪悪な炎……このアテナマスクの正義の炎が焼き払った!」
高らかな勝利宣言が、センターオブジアースに響き渡った。
大成功
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第3章 ボス戦
『鋼神ウルカヌス』
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POW : 超鋼神装
無敵の【金色に輝く『神の鎧』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD : 鋼と炎の神
自身の身体部位ひとつを【自在に液体化も可能な超高熱の金属】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ : 原初の神炎
自身からレベルm半径内の無機物を【使用者以外の全てを焼き尽くす原初の炎】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:あなQ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●焱
「あの者ならあるいは、とも思ったが、やはり来たか、猟兵よ」
センターオブジアースの最奥、消えぬ無限の炎の前で鎧の巨漢が重々しく言う。
鋼神ウルカヌス。ジェネシス・エイト最後の一人であり、この戦いの最後に聳えたつ巨大な壁である。
「最早多くは語るまい。火よ、炎よ、我が鋼の剛槌にて猟兵を討ち、神鋼打つことでお前たちに報いよう!」
炎を纏った拳を猟兵へ向けるウルカヌス。
猟兵たちの成すべきことは一つ。鋼を切り裂き炎を越え、神に引導を渡すのだ!
(注意:オープニングにもありますが、ウルカヌスは猟兵の使用するユーベルコードと同じ能力値の技で『必ず』先制攻撃を行ってきます。これに対処することでプレイングボーナスが付きますので是非狙ってください)
御狐・稲見之守
【同行:無銘・飯綱丸】
原初の炎、面白い……退いているがいい鈍刀。我とて神の名を背負う狐火の織り手、易々と消し炭にはならん。さぁ、参られよ鋼と炎の神。この夢幻と火防の神、大狐稲見之守神がお相手仕る。
無限の炎、生命力に溢れる神々の祭壇……我にはおあつらえの舞台だ。その神の炎、喰ってやる。
[UC火喰らし][生命力吸収][火炎耐性]――真姿、黒き大狐姿となり、この地に溢れる生命力、無限の炎、神炎…その一切合切を平らげよう。
そして彼奴に喰らい付き、神をも喰らう我が牙を突き立て神の鎧を噛み砕く!!
……というのは[催眠術][呪詛]による幻覚だ。しかし彼奴が化かされた時、それは真となろう。
無銘・飯綱丸
【同行:御狐・稲見之守】
やれやれ、楽しそうに外道の顔をしおって。女狐が簡単にくたばるとは思うてはおらん……ここは彼奴からの攻撃を女狐に任せて下がるとしよう。こればかりは女狐の独壇場ゆえに。
女狐が攻撃を受けて炎を喰らい始めたら真姿となり行動に移す。
[UC天狗団扇]――無限の炎を操りあの女狐に喰わせてやらねばな。鴉天狗、飯綱明神の加護を授かりしこの団扇、贋作なれど侮ることなかれ。不死より出づる無限の炎よ、疾く疾く猛り唸る竜巻となれ。
炎を喰らった女狐が彼奴を化かしたならば飛翔して彼奴に斬り込みに行く。無敵なる神の鎧、その名に偽りありか。
……しかしまったく、どこまでもふざけた女だ。
猟兵と鋼神ウルカヌスの戦いは、御狐・稲見之守(モノノ怪神・f00307)が前に出るところから始まった。
「原初の炎、面白い……退いているがいい鈍刀。我とて神の名を背負う狐火の織り手、易々と消し炭にはならん」
前に出る稲見之守を、無銘・飯綱丸(天狗刀・f16355)が見送る。
「やれやれ、楽しそうに外道の顔をしおって」
見送る飯綱丸の顔は硬く、しかし彼女を止めるようなそぶりはない。あの女狐が簡単にくたばるとは思っておらず、任せて下がると決めたから。ここは女狐の独壇場だと確信しているから。
「さぁ、参られよ鋼と炎の神。この夢幻と火防の神、大狐稲見之守神がお相手仕る」
人の形をとっていた稲見之守の姿が再び崩れ、黒き大狐へと変じていく。稲見之守のその体にさらに狐火が纏われウルカヌスへと踊りかかった。
「無限の炎、生命力に溢れる神々の祭壇……我にはおあつらえの舞台だ。その神の炎、喰ってやる」
それはまさに、飯綱丸の言った通り外道であった時の姿か。神さえ食らわんとする貪欲なる牙。だが。
「……笑止!」
その牙はウルカヌスに届くことなく、より巨大な炎によって阻まれた。ウルカヌスは周囲の無機物全てを炎と変え、稲見之守を焼き尽くす。神の起こす炎は仙狐を取り巻き、その牙を押し返す。
アースクライシスでもそうだった。グリモア猟兵も忠告した。ウルカヌスの力は圧倒的であり、先制を受けることは免れぬと。それを忘れていたのか、あるいは己なら踏み越えられると奢ったか、稲見之守の体はウルカヌスの放った炎に包まれ、燃え上がった。
人の熾す炎が人を焼けるように、神の熾す炎は神を焼く。ウルカヌスの作り上げた炎の全てが、稲見之守に殺到していた。
そう、全てが。
「無限の炎を操りあの女狐に喰わせてやらねばな。鴉天狗、飯綱明神の加護を授かりしこの団扇、贋作なれど侮ることなかれ」
飯綱丸は黒い翼を背負った鴉天狗の如き姿となり、天狗団扇を振るった。それは制御に困難を極める炎の竜巻を起こし、まるでウルカヌスの炎の向こうを張るかの如く稲見之守を包み込んだ。
飯綱丸に対しウルカヌスの炎は向かわない。それは全て稲見之守の身を焼いているが故に。無防備に一人が受けることこそが、二人の取った先制への対処であった。
飯綱丸が熾すはこのセンターオブジアースにある不死の炎、それを再現したかのような炎の竜巻。それがウルカヌスの炎を払い、稲見之守を取り巻く。その炎は稲見之守の体に、まるで乾いた体に水が染み込むように吸い込まれていく。人の命の源が水ならば、神の命の源は炎だとでもいうかのように。
炎によって受けた傷を炎で癒し、稲見之守はウルカヌスへ再度牙を剥く。
「この地に溢れる生命力、無限の炎、神炎…その一切合切を平らげよう」
その牙は幻影であったが、それはいつまで幻影であり続けるのか。
そしてその噛みかかる幻影の中、飯綱丸が刃を手に切りかかる。
「無敵なる神の鎧、その名に偽りありか」
その霊刀は鋼の鎧を切り裂き、その奥にある神の体に斬撃を与えた。
ウルカヌスが先制攻撃をしてくるならば、その全てを稲見之守一人が受ければいい。一人が二人分の攻撃を受け止めれば、残る一人は自由に動ける。その自由の中に再起を組み入れれば、結果二人が自由に動ける。
軽口、口喧嘩、それ故の連携、ここまで二人が見せてきた戦いは、ここに神威となって結実した。
そして飯綱丸の刀が引き抜かれた時、稲見之守の牙はついに現実となって鋼を噛み裂いた。さんざ焼いてくれた礼と言わんばかりに、狐の炎が鋼さえ溶かし、平らげる。
「……しかしまったく、どこまでもふざけた女だ」
自ら挑発のように言った平らげるという言葉さえ真にしてしまう化かし狐。それを評す飯綱丸の言葉は、彼なればこその言葉、彼のみにしか言えぬ適評であった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
過度なグロNG
SPD
ああ、美味しかった♥
スカムキング達に感謝しないとね。
神鋼の鎧のせいで
満足に愛せなかったオブリビオンが何人いた事か……
私の救済(アイ)を妨げる者は赦さない。
覚悟しなさい、鋼神ウルガモス!!
■先制攻撃対策
●液状化
悲愴の剣の【呪詛・衝撃波・乱れ撃ち】で押し返しつつ蝕む
●超高熱の金属
【オーラ防御・激痛耐性・火炎耐性・気合い】で耐え
【怪力】で押し返す
守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
オーシャンお姉様の面影を見せながら『海神の戯れ』
敵は金属装備が錆びて弱体化。私は命中・攻撃力アップ
これで終わりよ。貫けぇぇーッ!!
【属性攻撃・全力魔法】の雷を
呪印の力で槍状に圧縮し【槍投げ】
一戦を終えなお意気軒昂であるウルカヌス。その前に立つのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)である。
「ああ、美味しかった♥ スカムキング達に感謝しないとね」
なれど戦闘を終えて未だ疲れを見せぬのはドゥルールも同じ。とりわけ彼女にはウルカヌスに対して一方ならぬ恨みがあった。
「神鋼の鎧のせいで満足に愛せなかったオブリビオンが何人いた事か……私の救済(アイ)を妨げる者は赦さない」
アースクライシスの頃より、ウルカヌスは部下に鎧を授けていた。それは戦うときの攻め手を限定させ、攻めたい部分を攻められず、場合によっては倒す寸前まで本懐を遂げられぬこともままあった。それは救済の為戦うドゥルールにとって、歯がゆいことこの上ない。故にその元凶と戦えるこの機会は、彼女にとってその感情を発散させるまたとない好機であった。
「覚悟しなさい、鋼神ウルなんとか!!」
ドゥルールの毅然とした声で戦いは始まる。なお今回の相手はむし/ほのおではなくどちらかというとはがね/ほのおである。いわは4倍ではなく等倍なので注意だ。諸般の事情によりこれ以上詳しい解説は出来ない。
「何を言っているかわからぬが……私はスカムキングほど甘くはないぞ!」
向かってくるドゥルールに、ウルカヌスは自身の左腕を突き出す。その腕は炎に包まれ燃える金属の拳となってドゥルールに襲い掛かった。
その拳を、ドゥルールはオーラによって勢いを削ぎながら正面から受け止める。いくばくかの軽減こそできたものの、その拳は熱く、ただ触れるだけでも肌が焼け、全身にダメージを与えてきた。ドゥルールはそれを自らの持つ耐性で強引に抑え込みながら、見た目にそぐわぬ怪力を発揮し拳を強引に抑え込む。
「面白い……ならばこうよ」
ウルカヌスは唇の端を歪め、さらに手をどろりと溶けた鉄の如き液体へと変えた。超高温の液体は戒めを潜り抜け、ドゥルールの全身を取り巻き、焼き尽くさんとする。
「熱くてドロドロのも嫌いじゃないけど、今は遠慮するわ」
ドゥルールは即座に『悲愴の剣』に持ち替え、それを振るって衝撃波を乱れ撃った。悲鳴のような風切り音が鳴り響き、それに切り裂かれるようにウルカヌスの拳であった鉄が押し返されていく。それによってできた隙間を、ドゥルールは一気に駆け抜けウルカヌスに詰め寄った。
「水遊びのお時間ですよ~☆」
ウルカヌスに取り付いたドゥルールは、彼女らしからぬ口調でそう言い、自分を中心に渦潮を呼び、ウルカヌスをその中へと巻き込んだ。そのドゥルールの背後に浮かぶ女の姿に、ウルカヌスは眉をひそめる。
「レディ・オーシャンか……」
同じくアースクライシスを生き延びたジェネシス・エイトの一人。自身に先んじて倒された彼女の姿にウルカヌスは何を思うか。
「生憎だが……私はあの女を好いておらぬでな!」
仲間の幻影に心乱されるほど感傷的ではない、と言わんばかりに放たれる気合の声。その怒号と共に右腕がドゥルールをつかみ、引きはがさんとする。だが、その動きは遅く、弱々しい。見ればウルカヌスの鋼の鎧に所々錆が浮かんでいる。
「お姉さまの水は伊達ではなくってよ。さあ、これで終わりよ。貫けぇぇーッ!!」
金属腐食を能力として持つ海水に、濡れた相手への雷による追撃強化。ウルカヌスが好かぬといったレディ・オーシャンを元にした力は、皮肉にも彼自身にメタゲームを仕掛けるかのような好相性、効果は抜群の一撃であった。雷の槍がウルカヌスを貫き、その巨体を大きく揺らがせる。彼がレディ・オーシャンを良く思わなかったのは戦いの相性ゆえではないだろうが、それでも海神の魂から受け継いだ技は、鋼神の体力を大きく削ったのであった。
成功
🔵🔵🔴
死絡・送
蝙蝠のスーツを纏いノーブルバットに変身して参戦
「その炎は害悪だ、消火してやる!」
空中浮遊1、空中戦1、ジャンプ1で空を舞い動き回り相手の攻撃を避けつつ進み相手に近づく。
火炎耐性1とオーラ防御2で相手の攻撃を防御しながら
「俺の牙は冷たいぞ!」と
傷口をえぐる1鎧無視攻撃12回攻撃1、属性攻撃3、で光の剣ワールドライトブレードに氷の属性を纏わせて強烈な連続攻撃を行う。
「お次は素手だ、熱くやり合おうぜ!」と誘惑で相手を煽り
怪力とグラップルでウルカヌスと組み合いのプロレス勝負に持って行き
ノーブルフォールでパワーボムを仕掛ける。
「その炎は害悪だ、消火してやる!」
死絡・送(ノーブルバット・f00528)は黒い蝙蝠のスーツを纏う、ノーブルバットの姿となってウルカヌスに挑みかかった。
「勇ましいことだな」
ウルカヌスは気もなくそう言うと、送に向かって拳を振る。だが大ぶりなそれは高速で飛び回る送の姿を捕らえられず、何度となく空を切った。
ようやく当てた拳も送のオーラと炎への耐性へ防がれ、致命打には至らない。送はその拳を体の横に弾き飛ばし、光の剣『ワールドライトブレード』を構え敵の懐へと踏み込んだ。
「俺の牙は冷たいぞ!」
その言葉通り、光の剣に氷が纏われ、輝きを放ちながらウルカヌスの胸部に叩きつけられた。さらに斬撃は連続で重ねられ、鎧の前面に氷の幕が形成されていく。氷の上に氷が上塗りされ、鋼神の体に永久凍土を築き上げていかんとしていた。
だが。
「ぬんっ!」
ウルカヌスは自身の胸を一撃叩き、その氷を容易く打ち砕いた。下から現れた鎧には、氷どころか斬撃の跡一つ残っていない。
「良い攻撃だ。我が鎧が『無敵』でなければ危うかったかもしれん」
そう言ってウルカヌスは送を掴み、投げ飛ばした。鎧を無視するはずの斬撃が効かないことを訝りつつも、送は空中で体勢を整え着地、剣をしまい次なる戦法へと切り替えていく。
「お次は素手だ、熱くやり合おうぜ!」
言うが早いか、素手でウルカヌスにつかみかかり、その巨体を投げ飛ばさんとした。見た目の体格差は圧倒的にもかかわらず、その腕はウルカヌスを持ち上げ、宙に浮かせていく。
「なるほど……こちらもできるな!」
楽しげに言うウルカヌス。宙に吊り上げられながらもその丸太なぞ問題にならぬほど太い脚を上げ、送を蹴りつける。その威力はすさまじく、不安定な体勢からの蹴りながら送を弾き飛ばし、その戒めを解かせた。
だが、手を離した後の行動も送は既に考えていた。素早く身を屈め、自分を蹴った足を取る。そのまま相手の下半身に潜り込むよう身を屈めてもう片方の足さえも持ち上げ転倒に持ち込み、さらに手を足から腰に移しその上半身を大きく振り上げた。
「これが貴族のフォークリフトだ!」
【ノーブルフォール】での持ち上げから、強烈なパワーボムが炸裂する。巨体に鎧をまとったウルカヌスの超重量ボディが地面に叩きつけられ、地響きのような音が響いた。剛力と重さの相乗によるダメージは最早カウントも必要ない、普通ならKO必至の一撃だろう。
そう、普通なら。
「……良い。故に惜しい。私でなければ勝ちを拾えていただろう」
そう言いながらウルカヌスは立ち上がった。その体には無数の土汚れこそあれ、やはり傷はついていなかった。
そのはずである。今ウルカヌスが纏っているのは【超鋼神装】、ただの鋼ではなくユーベルコードにて創造された無敵の鎧である。この能力はウルカヌスが信じる限り文字通りに無敵。故にその信を揺るがせぬ限り、いかに高い力と技量をもってしても破ることは出来ない。それを先制でウルカヌスは纏っていたのである。
先制『攻撃』という言葉に引きずられすぎたか、送は敵の直接攻撃こそ防いだが、守りのユーベルコードへの対策を考えていなかった。送は元々敵に理解を示す方ではないが、相手の言い分に耳を貸さないことと、相手の能力を考慮しないことは別なのである。
「お前の名誉の為に言っておこう。投げという選択は悪くない。あれは鎧のみならず中の体も攻める。その宣言を先にされていたら、あるいは我が鎧も揺らいでいたかもしれぬな。用いる技、体も申し分なし」
そう言いながらウルカヌスは送を掴み上げる。
「が、心が足りぬ! 己のみではなく敵にも心ありと心得よ!」
そう叫び、送を地面へと叩きつけた。皮肉にもここまでの苛烈な連撃が仇となり、疲労していた送はそのダメージをまともに受けてしまう。
そのまま倒れる送に背を向け、ウルカヌスは立ち去っていく。その去り際に首をごきりと鳴らし、頭を手を当てていたのは、恐らく彼の言葉通り送の投げが鎧を通し、ウルカヌス自身の体を揺さぶったからであろう。
ダメージは、間違いなく積み重なっていた。
苦戦
🔵🔴🔴
幸・桃琴
鋼神ウルカヌス!
強敵そうだけど、負けないよ~!
緊張はありつつも、真っ向勝負を挑みます!
【怪力】を生かした【重量攻撃】で
攻撃を叩き込んでいきます!
ウルカヌスからの攻撃も懸命に凌いでいきたいな
痛いと思うけど、諦めなければ勝つよ!
攻撃が凌ぎきれなかったら、【吹き飛ばし】て一度距離を取る
まだ、まだ!打ち込んでいくからね!!
好機を作れれば【念動力】で、
もしくは両足で思いきり地面に踏みしめてバランスを崩させて……
そこに【力溜め】た、【ジャンプ】してからの
《幸家・桃龍/未完成》!
気をめいっぱい込めたお尻で
思いっきり強い一撃を狙うねっ、いっくよ~!!
もし力及ばず倒されても、仲間を信じてダメージを与えて倒れるよ
アテナ・カナメ
【心情】現れたわねウルカヌス!やはりあなたも炎を纏っているのね…いいわ、相手にとって不足はない!勝負よ!
【作戦】スーパー・アテナとなって飛翔力を上げて【見切り】と【第六感】で可能な限り避けるわ!当たっても【火炎耐性】で耐えて見せる!
そして上昇した戦闘力でそのままファイアボールやバーニングパンチを使って攻撃するわよ!「その程度なの!?こんな鎧、このスーパー・アテナとなった私には通用しないわ!」と鎧の効力を疑問視させるのも忘れないわ!
センターオブジアースにて燃え上がる鋼神ウルカヌス率いるオブリビオンたちと猟兵の戦いの炎。それは蝋燭が最後に大きく燃え上がるが如く、今まさに佳境を迎えんとしていた。
「現れたわねウルカヌス! やはりあなたも炎を纏っているのね……いいわ、相手にとって不足はない! 勝負よ!」
ここまで炎を操る敵との二戦をくぐってきたアテナ・カナメ(アテナマスク・f14759)は、炎を操る敵たちの大ボス、ウルカヌスを前にして闘士の炎を燃え上がらせる。
「鋼神ウルカヌス! 強敵そうだけど、負けないよ~!」
そしてもう一人、ここからの参戦となる幸・桃琴(桃龍・f26358)は、強敵を前にして臆することなく構えを取る。その体はウルカヌスをも軽く超える380cm。グリードオーシャン出身の巨人である。
「炎と巨躯か。面白い。来るがいい!」
そう言って巨体を曝すウルカヌス。その身に纏われるのは先に圧倒的な猛攻さえ防ぎ切った【超鋼神装】である。
「真っ向勝負! てやあああああ!!」
まず挑んだのは桃琴。その体の重さを乗せ、正面から拳の連打を浴びせる。怪力から繰り出される攻撃は、波の鋼であれば紙のように貫いていたことであろう。
「ぬんっ!」
しかしウルカヌスは、その攻撃を意に介さず燃える拳を突き出した。巨大なその一撃は桃琴を捕らえ、衝撃と熱気が彼女を襲う。
「うぐぐぐ……とりゃあっ!」
桃琴はその拳に自分の拳を当て、真正面へと思い切り吹き飛ばした。かち合った手には浅からぬ火傷が残るが、体への直撃は免れ、一旦攻防の仕切り直しを図る機を生み出す。
「燃えろ! 我が体! 叫べ! 悪を倒せと! その名は、スーパーアテナ!!」
続けてアテナが叫び、その身に黄金の炎を纏った。まさにスーパーという形容に相応しいその姿は、ウルカヌスが纏う黄金の超鋼神装と比べても見劣りないものであった。
「食らいなさい、ファイアボール! からの、バーニングパァンチ!!」
これまでの炎の敵すら焼き去ってきた火炎の技が、ウルカヌスに見舞われる。その黄金の炎が黄金の鎧の上で爆ぜ、激しい爆発を起こした。その爆発の勢いから、攻撃は先の二戦よりさらに威力が上がっていることが見て取れる。
しかしそれでも、ウルカヌスは揺らがなかった。
「ぬるい!」
強烈な拳がアテナを襲う。数発は避け、食らったものは己に備わる火炎耐性で耐えるアテナ。しかしやはり決してダメージは無視できるものではなく、その一撃で僅かに怯んだアテナを、ウルカヌスは蹴りで追撃せんとする。
だが、その足の動きは拳に比して遅く、あっさりとアテナに躱されてしまった。
「何……?」
疑問に思い自らの足を見るウルカヌス。だが、そこには目に見える影響は何も起こってはいなかった。
「さぁ、いっくぞー!」
上空から聞こえる声。その声にウルカヌスは反射的に上を見上げる。そこには、桃琴の気を籠めた巨大な臀部が眼前へと迫っていた。
念動力で敵の足を止め、力を込めた跳躍からの【幸家・桃龍/未完成】。全力を籠めたその一撃は強烈な衝撃をウルカヌスに与えた。
「小賢しい!」
しかしそれも鎧を貫き切ることは出来ず、ウルカヌスが繰り出した燃える拳が桃琴を直撃。先とは比較にならないダメージを与え、彼女を大きく吹き飛ばした。
そのまま地面に倒れ込む桃琴。
「悪くなかったが……衝撃が来る技は経験済みでな」
無敵の鎧によって直接のダメージを軽減したウルカヌスは、そう言って残るアテナへと一歩を踏み出す。その一歩は、しかしどこか制御できぬ風にぐらついていた。それを、アテナは見逃さなかった。
「でも、その衝撃はきっちり貰っちゃってるみたいじゃない。その程度なの!? こんな鎧、このスーパー・アテナとなった私と、仲間たちには通用しないわ!」
アテナの放った挑発。それを一笑に付し、鎧を信じればウルカヌスの勝利は揺らがなかったであろう。しかし僅かに痛む首と揺れた足が、それを許さなかった。
鎧に対策しなかったはずの者たちさえ、自らに傷を残した。それは完全無敵という言葉を否定するものではないか。ほんの一瞬よぎったその考えは、超鋼神装の輝きをわずかに曇らせた。
自らを燃やし燃やさせ、食らいつき切り刻んできた者。かつての仲間の力をぶつけてきた者。鎧頼みでこそ勝ちを奪えた者。そして仲間を信じ、倒されながらもダメージを与えてきた者。その繋がりは、今鋼神の体と心を本人すら知らぬ間に追い詰め、無敵の鎧を弱らせていた。
そこに、最後の炎が撃ち込まれる。
「これが最後よ! スーパー、バーニングパァンチ!!」
黄金に輝く拳が力をなくした超鋼神装を貫き、その下の鎧を打ち砕き、そして、ウルカヌス自身の体へと届いた。
そこから金色の炎が広がり、ウルカヌスの全身を包む。
「貴様一人に敗れたとは思わぬ。だが、その者……そして猟兵全てに……認めよう。私の、負けだ……!」
倒れる桃琴をちらりと見、ウルカヌスは天を仰ぎ自らの敗北を宣言する。同時に巨大な爆発が起こり、後には何も残ってはいなかった。
静寂の中、アテナは慌てて桃琴に駆け寄る。顔を抱き起された桃琴は僅かに目を開け、倒れても仲間に繋ぐことができたのを喜ぶように笑顔を見せた。
こうして炎の嵐が吹き荒れる熱戦は、猟兵の勝利で幕を閉じた。
だがこれで全てが終わったわけではない。いつか完全に鋼神が倒れその炎が消え去るその日まで、ヒーローズアースでの戦いは続く。
成功
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最終結果:成功
完成日:2020年04月28日
宿敵
『フレイア』
を撃破!
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