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君のためのバプテスマ

#アポカリプスヘル

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#アポカリプスヘル


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●洗礼
「ふんふんふーん♪ふんふーん♪」
 その声は上機嫌そのものであった。それは喜びの歌と言っても良い。祝いの歌だと言っても良い。
 誰しもがそれを喜び、尊ぶものである。それは誕生の歌。
 赤子が可能性の塊であるのだとすれば、それは未来の化身とも言うべき存在だろう。これからどのように育ち、何を見て、何を聞き、何を思い、何を成すのか。
 その生命に祝福を与える歌。

 だが、その歌を歌うのは過去の化身。
「ふんふんふーん、んふー……♪ふふ、男に女に老人に若者に、色んな人間に服を着せてきたけど……」
 その声の主はにこやかに笑う。その笑顔に生み出された生命に対する祝福はない。ただただ、己の喜悦のための笑顔。

「ああ、赤ん坊に私の服を着せるのは初めてだなぁ……ああ、どんな風に弱って、死んでいくのかなぁ?試したことがないから、試したくなるのは仕方のないことだよねぇ」
 彼女の手には、赤子を包んだ布。血に塗れた布を大きく掲げて笑う。ああ、楽しい。新しいことを知るのは楽しい。とても!
 赤子の泣き声は聞こえない。
 そこは嘗ての拠点(ベース)。アポカリプスヘルにおいて、荒廃した世界の片隅で生きる者たちの集落であった。
 オブリビオンストームに巻き込まれ、世界の文明は衰退の一途をたどった。それ故に、人類にとって新たな生命の誕生は何物にも変えがたい大切なもの。

「あぁ……でもそうだよねぇ。大の大人でも私の作った殺戮繊維に一時間も耐えられないんだから、赤ん坊が耐えられるわけないよねぇ。私としたことが。想像くらいできたかもしれないのになぁ……あはは、でも楽しいねぇ。未来を食いつぶすってこんな気分?」
 殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』は狂気に満ちた笑顔で彼女の作った殺戮繊維で出来た布に包まれた赤子であったものを無造作に投げ捨てた。
 もはや興味は失せたと言わんばかりに―――。

●祝福
 アポカリプスヘル。それは荒廃した世界である。
 あらゆる文明がオブリビオンストームによって崩壊し、喪われた世界。だが、その世界の片隅でオブリビオンストームの惨禍から逃れて生きる者たちがいた。
 それを拠点(ベース)と呼ぶ。

 だが、いつの時代、世界であっても、生きようとする者たちを執拗に追い回す者たちもまた存在するのである。
 それはレイダー。オブリビオンストームによってオブリビオンへと変じた過去の化身。未来を喰らい、今をすり潰す怪物である。

「生命とは、祝福されて生まれてくるものです。消して、憎悪と悲しみによって生まれてくるものではありません」
 ナイアルテ・ブーゾヴァ(フラスコチャイルドのゴッドハンド・f25860)がグリモアベースへと集まってきた猟兵たちに頭を下げて迎える。
 その瞳は強く輝いていた。

「今回の事件は、アポカリプスヘルです。ご存知かと思われますが、アポカリプスヘルはオブリビオンストームによって文明らしい文明は崩壊しています。そんな世界であっても人々は身を寄せ合って生きているのです。拠点(ベース)と呼ばれる集落……そこに今回、野盗(レイダー)たちが襲撃を仕掛けるのです」
 よくある話である。崩壊した文明の廃墟から奪還者(ブリンガー)たちは物資を運び出し、拠点で生活する。
 その溜め込んだ物資を横取りしようとして横行しているのが野盗たちの集団である。殆どがオブリビオンストームによってオブリビオンと化した者たちであるのだが、彼らはオブリビオン故に物資の必要がない。
 だが、物資が必要なくても彼ら自身の欲望は満たされることがない。他者から奪う、他者を虐げたい。そんな浅ましくもおぞましい欲望に彼らは忠実であるのだ。

「はい……ですが、今回野盗(レイダー)たちに襲われる拠点には出産を控えた妊婦の方がいらっしゃるのです。ちょうど、野盗が襲撃を掛ける直前に新たな生命が生まれるのですが……」
 ナイアルテが予知した事件……つまりは猟兵に寄る介入がなかった場合。その赤子はオブリビオンによって殺されてしまうのだという。
 通常の野盗程度であれば、拠点の奪還者たちで防衛くらいはできよう。だが、野盗を率いるオブリビオンは話が別だ。奪還者たちが如何に強く、工夫を凝らしていようとも、オブリビオンの相手をできるのは猟兵だけである。

「ですので、皆さんにはまず出産において不測の事態がないように備えていただきたいのです。拠点が襲撃されるまで時間はあります。拠点の防備を固めたり、妊婦の方……母親を励ましたり……他にも出来ることはたくさんあると思うのです」
 ぎゅ、と手を小さく握って頭を再び下げるナイアルテ。
 彼女自身フラスコチャイルドであるがゆえに、生命に関することには強く思うところがあるのだろう。

「どうか……新たな生命に祝福を……!これより先にどれだけの苦難が待っていようとも、誕生の瞬間だけは喜びに満ちて迎えて上げてほしいのです。そして、その祝福を汚そうとするオブリビオンをどうか打倒してください!」
 今回、猟兵たちが行うことは多い。
 拠点の防備、妊婦のケア、その他諸々の医療、衛生に関する知識や技術の提供。
 それに野盗の襲撃を迎え撃つこと。最後に野盗の集団のトップであるオブリビオンの撃破。
 そのどれもがこれからのアポカリプスヘルに置いて、確実に世界を良くしていくための小さな積み重ねの一つになることだろう。
 衰退し、崩壊した文明に囲まれていたとしても、人々の希望は、未来は……新しい生命は守らなければならない。

 故にナイアルテはもういとど深々と頭を下げる。
 どうか新たな生命に祝福をと―――。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はアポカリプスヘルの事件になります。新しい生命の誕生を狙うオブリビオンの襲撃を退けていただくシナリオになります。

●第一章
 拠点に訪れた皆さんは、拠点に対する様々な備えを行っていただきます。妊婦さんに対するケアや、お手伝い。襲撃に備えた防備。また今後の医療や衛生に関する知識や技術の伝授など。
 皆様のキャラクターの思うアポカリプスヘルに必要な小さな積み重ねをして頂けたらと思います。

●第二章
 集団戦になります。
 野盗ですが、もちろんオブリビオンです。彼らもまたボス戦において現れるオブリビオンの犠牲者とも言えるであろう存在ですが、救う術はありません。
 戦って打ち払うほかないです。

●第三章
 ボス戦です。狂気の殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』との戦闘になります。ボスらしい強敵です。
 彼女の生み出した特殊な繊維を使っての戦闘に長けています。状態異常や、特殊繊維を生かした攻撃を仕掛けてきます。

 それでは、荒廃した世界での猟兵の戦いを綴る一片となれるように、いっぱいがんばります!
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第1章 日常 『あなたの産声』

POW   :    母親に付き添い、支え、勇気づける

SPD   :    出産の準備を手伝ったり、周辺の脅威に対処する

WIZ   :    医療や衛生に関する知識、技術を提供する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 その拠点(ベース)は慌ただしさの真っ只中にあった。
 オブリビオストームによって荒廃した世界といえど、人々は生き、営みを続けている。それ故に、手の回らない場所というのは往々にして存在するものである。
 野盗の襲来に対抗する備え、奪還者たちが持ち帰る物資の管理補完……それに、衛生や医療の問題などなど……枚挙にいとまがない。

 この拠点に置いて今、最も最優先とされているのが、新生児の誕生である。
 予定日としては、今日なのだが何せ人手が足りない。あまりにも、だ。
 猟兵たちは、人手の足りない拠点に対して一体何ができるであろうか?

 そして、彼ら拠点の者たちに新たな希望となる生命の誕生。
 それらを見届けなければならない。
レパイア・グラスボトル
ワタシが守る側に、なんてなぁ。猟兵ってのは中々因果な仕事ことだ。
まぁ、医者がいるならどこだって関係ないけどな。

レパイアは医療用フラスコチャイルドとして製造された。
こんな世界のどんな相手であっても命をつなげることが自身の仕様。
故に、必要な知識も揃っているし、その為には何者でも使う。
暴力を使ってでも。

【WIZ】
自身の拠点(ベース)に住む家族からガキ達を呼び、出産準備の手伝いをさせる。【団体行動】【医療】
ここの住人には出産前後の母子についての注意事項を教える。

放置も過保護も良くないぞ。特にこの世界じゃな。

うちのガキ共は、ほれ、こんなに元気だしな。
こら、オマエら、今日は略奪は無しだ。良い子にしてろ。



 因果は巡るものである。
 それは如何なる運命の律によるものなのか、わかるものではない。だが、撚り糸のように束ねられた因果は常に一つの結果へと辿り着くのだ。
 ただ、それが太いか細いか……丈夫かそうでないか。それだけの違いである。
 如何なる道程を歩んできたとしても、彼女の―――レパイア・グラスボトル(勝利期限切れアリス・f25718)の成すべきことは変わらない。

 白衣を翻して拠点を訪れたのは何の運命か。
 彼女は小さく呟く。ワタシが守る側に、なんてなぁ。小さなつぶやきは荒廃した世界の風にのって消えてしまう。猟兵というのは中々に因果な仕事なことだ。
 レイダーの集団に育てられた彼女。元は医療用フラスコチャイルドであるがゆえに、彼女には知識も技術も持っている。
 件の拠点において、最も必要とされている人材であった。
「まぁ、医者がいるならどこだって関係ないけどな」

 ふぅ、とまた一息付く。この拠点はお粗末だ。
 そう思うほどに拠点としての防備は薄い。それに医療機器も少ない。こればかりは崩壊した文明の残滓からでしか得ることはできないのだから仕方ない。
 だが、知識はどうだろうか。知識とは人から人へと連綿と紡がれてきたものだ。ちぎれて途絶えてしまったというのなら、自らが鎹となってつなぎ直せばいい。

「こういうのには腕が鳴るってもんだね。さぁ……容赦はいらないよ!ワタシらの教えたことをやってみな!!」
 レパイアの声が響く。彼女のユーベルコードによって自身の拠点から呼び出したレイダーの子供らに指示を飛ばす。
 彼らはレパイアの知識と技術がしっかりと紡がれている。言ってしまえば、小さな自分と同じである。
 いや、庇護すべき対象ではあるが、それ以上に彼らにはレパイアの荒野で生きる術を持つ者でもあるのだ。

「ワタシは……と、この拠点の妊婦さんはアンタかい」
 レパイアは妊婦の元を訪れる。住人たちには出産後の母子についての注意事項を教えておいた。
 どうすればいいのか。どのような症状に気をつければ良いのか。その場合の対処。様々な知識は砂に水を染み込ませるようにすぐさまに住民たちの間で共有されていく。
 そのように仕向けたのもレパイアだ。吸収させるだけでは意味がない。それらを共有し、応用し、何かを掴むきっかけにしなければならない。

「赤ん坊っていうのは手がかかるものさ。だからといって放置もよくない。過保護すぎてもよくないぞ。特にこの世界じゃな」
 そう、荒廃し野盗跋扈するアポカリプスヘルにおいて力とは絶対不可欠なものである。だが、それだけでもいけないのだ。
 出産への心配はあるのだろう。母親となる女性は不安げな表情を見せる。
 それを見て、ふ、と笑う。

「なぁに。心配いらないさ。うちのガキ共は、ほれ、こんなに元気出しな……こら、オマエら、今日は略奪は無しだ。良い子にしてろ」
 そういってレパイアは子どもたちを叱りつける。
 その一挙手一投足が、きっとこの世界に新たに芽吹く生命に新たな強さを生み出すことだろう。
 子を育てるということは、きっとそういうことなのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

月守・咲凛
アドリブ他諸々OK。
コンビニ袋程度のおやつを持ち込んでおきましょう。
はわわわわわ!どう、どうすれば良いのでしょうか?どうすれば良いのでしょうか!?
命を守りたいのですが何をすれば良いのかはさっぱりわかりません。
とりあえず武装ユニットは動きにくくなりそうなので外しておきましょう。
お湯を、お湯を沸かすのです。えっと、人肌の温度で良いのでしょうか?ぬるまゆ?
わからないなりに色々手伝おうと頑張って走り回り、お湯を沸かしたり包帯を作ったりとりあえず何か役に立ちそうな事を考えたり何をすれば良いかその辺の人に聞いたり、あわあわと大騒ぎします。
あとは、甘い物が欲しそうな人が居ればお菓子を手渡していきましょう。



 何事にも最初はある。それが如何に困難なものであろうとも、紡がれていく連綿たるものには起点があるのだ。
 それ故に、最初の一歩を踏み出す者には、勇気が。続くものには根気が必要とされるのだ。
 だが連綿と紡がれた物は、時として一人ではない大勢を救うものを生み出すこともある。それが経験であり、知識であり、文化なのである。
 アポカリプスヘルは、文明の崩壊した世界故に喪われた知識もまた数多くあることだろう。月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)の訪れた拠点(ベース)もまたその一つである。

 慌ただしい拠点の光景を見て、彼女は何を思っただろう。薄い防備。衛生的とは言いづらい環境。そして、何よりもお産を控えた妊婦がいるというのに準備が滞っているという事実。
「はわわわわわ!どう、どうすれば良いのでしょうか?どうすれば良いのでしょうか!?」
 彼女もまた出産に立ち会うというのは、初めての経験故に慌てふためいていた。
 知識はなくとも、出産の大変さというものは直感的にわかってしまうものである。何をどうすればよいのか、わからずに慌てふためいてしまっても仕方のないことである。
 生命を守りたい。
 その想いは彼女に常に抱いているものなのであろう。だが、彼女に出来ることは戦うこと。武装ユニットはあまりにも物騒であるし、動きにくいので外しているのだが、そうなると自分は何が出来るのだろうかと考えてしまう。
 手に持ったコンビニ袋程度のおやつもまた、その一つである。
 何をどうすれば良いのかわからないがゆえに、甘いものがあれば人々の荒んだ心はほぐれるのではないか。そう思ったのだ。

 だが、今の彼女にそんな余裕はなかったのかもしれない。
「お湯を、お湯を沸かすのです。えっと、人肌の温度で良いのでしょうか?ぬるまゆ?」
 あわあわと色々と駆け回って手伝っているのだが、拠点の人間たち以上に大慌てになってしまっているのが現状である。
 大騒ぎしてもいけないと思うのだが、何せ必死なのだ。ひとしきり大慌てしてから、漸く落ち着いたのか、はぁ、と腰を下ろす。

 そうすると、彼女の様子を傍から見ている幼子たちの姿が目に入った。彼女もまた幼子と言っていい年頃なのだが、彼女の手にもったコンビニ袋を物珍しそうに見ている。
 アポカリプスヘルは常に慢性的な物資不足である。あ、と咲凛が気がついて笑いかける。
「よかったら、一緒に食べましょう。みんなにあげますよ。甘くって美味しくて、にっこりできます!」
 お産の準備をしているときは、じゃまになっていそうな気すらしていたが、咲凛は漸く余裕を取り戻して笑顔になることができたのかもしれない。
 だって、お菓子を配ってあげた子どもたちの笑顔をきっと彼女は忘れることはないだろう。
 ありがとう!と笑って美味しそうに食べる顔。その笑顔を、オブリビオンから守らなければならない。
 そう決意を新たにする咲凛。

「生命を守らないといけないのです、私は……!そうなのです!」
 これより襲来するであろうオブリビオン。彼らに、この笑顔を壊す権利はない。必ず守ってみせる。
 その決意が、また彼女を一つ強くするのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

仇死原・アンナ
アドリブOK

新しい命が生まれる…
私は処刑人…命を刈り取る者…だが…
今だけは産みだそうとする母と生まれ来る子の守護者となろう

【オキビ・ファイア】を使用
[暗視、視力、情報収集]を用いて[闇に紛れ目立たない]ように
休まずに周囲を見張り警戒しよう

火が必要な場合は【オキビ・ファイア】で身体から生ずる熾火を
利用する

妊産婦には[優しく慰め]ながら[勇気]を与えて励まそう…

命を奪うのは容易い…だけど…命を生み出すのは容易い事じゃない…

どうかお産が軽く済むように[祈り]を捧げよう…

命を産む…
私が処刑人として育てられず…この呪われた力がなければ…
こういう風に子を産み落とし…母になっていたのかな…

私は……



 新たな生命が生まれる時、それは常に祝福に囲まれて生まれなければならない。
 どんな生命であっても、それは変わることのない世界からの祝福であるはずだ。己がそうであったかどうかはわからない。それでも、新たに生まれる生命は尊いもののはずだ。
 故に彼女は、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)は、荒涼たる世界、アポカリプスヘルへと降り立つのだ。自身が処刑人……生命を刈り取る者であるが、今だけは生み出そうとする母と生まれ来る子の守護者たらんとするのである。
 彼女の出自が如何なるものであれ、その想いは正しいものである。誰がなんと言おうと、それだけは変えようのない事実である。

「……私は……」
 アンナのユーベルコード、オキビ・ファイア。彼女は拠点(ベース)の防備に努めている。オブリビオンの襲来が予見されている以上、周囲を警戒することに越したことはない。
 万が一に襲撃されたとしても、即座に対応できれば拠点の人々を守ることに繋がるからだ。
 ユーベルコードによって疲労は感じない。煌々と体の節々が燃え盛る。それは彼女自身の持つ熱量のようにも思えたかも知れない。
 母と子を守る。その決意の現れのように、彼女の纏う炎は揺らめき拠点の守り手として警戒を怠らないのだった。

 だが、そんな彼女が拠点の人間たちに呼ばれる。なんでも湯を沸かすのに火が足りないのだという。確かにお産には煮沸された湯が大量に必要となってくるだろう。
「……構わないよ。行こう」
 アンナは短く応えて、歩き出す。
 自身に何ができるであろうか。何をするべきなのだろうか。お産が行われている拠点の部屋へと通される。
 お産の苦しみは、経験したものでなければわからないだろう。辛いのか、苦しいのか、それ以上の苦痛が伴うのか。それすらわからない。
 だが、自身の炎が身ごもった母親を少しでも和らげるのであれば……

 そう思った瞬間にアンナの口から溢れるようにして出た言葉は、まさに祈りであった。
「生命を奪うのは容易い……だけど……生命を生み出すのは容易いことじゃない。どうか、お産が軽く済むように、祈りを捧げよう」
 その声色はひどく優しかったかもしれない。
 もしも、と思ってしまう。

 もしも、自身が処刑人として育てられず、この呪われた力がなければ。
 たら、れば、その言葉を紡ぐことに意味があるのかはわからない。わからないが、思わずにはいられないのだ。
 自身もまた女性の身であれば、今正に目の前で行われる生命の誕生に立ち会うことで思うこともある。
 彼女の祈りは、祝福である。彼女自身が己の身をどのように思っていたとしても、それは、生まれ出る子にとっては、最大限の祝福であるのだ。

 産声があがる。
 は、とアンナは我に返った。想っていた。もしも、と。こういう風に子を産み落とし、母になっていたのだろうかと。
 数多の祝福に包まれて、赤子の産声は拠点中に響き渡っていた。
 その産声は、確かに。
 アンナ自身をも祝福していた。それが何を意味するのか、どのような意味を見出すのか。 
 それはアンナ自身でしかわからないことだ。

「私は……」
 祝福溢れる拠点で、彼女は何を想ったのだろうか―――。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『各実験用消耗品』

POW   :    未完成な兵器
【生身の体を壊しながら、搭載された兵器で】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    慈悲を乞う者たち
【救いを求める掴みかかり】が命中した対象に対し、高威力高命中の【のし掛かりや無意識的な近接武器での攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ   :    お前も俺になれ
【攻撃】が命中した対象を爆破し、更に互いを【自らの情報を送受信する配線】で繋ぐ。

イラスト:あなQ

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


「あー……生まれたみたいだねぇ」
 拠点の外より聞こえる声。その主の姿は未だ見えない。ただ、忌々しい錆びついた音が拠点に近づいて着ていた。
 その音は、祝福に包まれた産声を疎むような響きすらあった。
 妬ましい。
 生まれることが祝福であるというのならば、己たちはなんなのだと。

「じゃー、先鋒は君たちに任せるよー。精々、消耗品らしく、実験の成果を見せてちょいだねー」
 命令が体を突き動かす。だが、それ以上に憎しみが体を突き動かすのだ。
 自身たちは祝福とともに生まれていない。
 呪詛と共に生まれた体。
 一度目は祝福であったのかもしれない。
 だが、二度目は違う。苦痛と怨嗟に塗れた体であった。それ故に、許せない。祝福溢れる生など、許せない。

 拠点に迫るは、狂気の科学者によって生み出された各実験用消耗品と名付けられたレイダーたち。
 あまりも禍々しい実験の残滓。

 それが今、新たな生命の産声上がった拠点へと殺到するのだっった!
月守・咲凛
生まれて来た赤ちゃんと、それを抱くお母さんや子供達をニコニコと眺めながら武装ユニットをよいしょよいしょ、と身に付けて行動開始。
大丈夫ですよ、あなた達は私達が守ります。

守るための戦いなのでテンションがとても高いです。最高速で飛んでいきますよ。
ここから先へは一歩も通しません!
敵を視認したらUCで全弾発射です!ガトリングの壁を叩き付けて敵を一気に殲滅です。
流石にガトリングに使う魔力弾の魔力の消費が激しくてソラノナミダがパリンと割れていきますけど、気にせず撃ちまくって、辺りが舞い散るソラノナミダの破片でキラキラと光ります。
近づかれてしまった場合、救いを求める攻撃には怯んでしまい攻撃を受けてしまいます。



 その生命に祝福を。産声が上がる拠点(ベース)でそれを聞いた者たちは須らく歓喜の声を上げたことだろう。
 新たな生命の誕生は、新たな可能性が生まれたということである。荒廃した文明を食いつなぐアポカリプスヘルにおいては、それはさらに重要な意味を持つ。
 かの拠点においてのお産は無事に終わった。母子ともに健康状態に不備はなく、猟兵達の知識や祈りもあって万事順調であった。
 だが、その祝福のムードを一変させる者たちの到来は、拠点に住む者たちにとっては凶報以外の何者でもない。
 拠点に迫るのは、歪な機械と融合したレイダーたち。
 彼らの瞳は例外なく、祝福されし生命への憎悪に染まっていた。
 
 子を抱く母の姿は、彼女にとってどのような意味を見出したことだろうか。
 その笑顔はレイダーの襲来の最中にあってもなお曇ることはなかった。
「大丈夫ですよ、あなた達は私達が守ります」
 月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)の笑顔は、レイダー襲来に不安を隠せない彼らの表情を拭うに値するものであったことだろう。
 よかった。本当に。そう思える光景。母子のつながりを絶たせてはならない。咲凛は決意を新たに武装ユニットを装備していく。
 告げた言葉に偽りはない。なぜなら、自分たち猟兵は守るために戦うのだから。気持ちが高ぶる。これほどまでに誇らしい気持ちで戦いに赴くことができるのが嬉しいのだ。

「ここから先へは一歩も通しません!」
 彼女が飛び出した先には、各実験用消耗品と呼ばれるレイダーの群体。
 機械と肉体を融合させられた哀れな実験体たちである。その醜悪な姿に目をそらすことはできない。
 彼らとて被害者なのかも知れない。けれど、新たな被害者を生み出す理由にはならないのだ。
 彼女のユーベルコード、アウターコード・セルディヴィジョンが発動する。彼女の装備するガトリング砲が次々と複製され、宙に浮かぶ。
 その様子は正に銃火器の壁である。魔力が充填されていくのを感じる。彼女の髪に生えるようにして飾られたソラノナミダ……魔力を込められた宝石が次々と割れては再生されるのを繰り返す。

「武装ユニットに魔力を集中……。アウターコード、発動です!」
 魔力の残滓となった結晶体の破片が舞い散る中、ガトリングから放たれたるは魔力弾!弾幕と言うにはあまりにも生易しい砲撃。
 次々と各実験用消耗品と呼ばれたレイダー群体が散っていく。だが、それほどまでの弾幕であっても尚、こちらに向かってくるレイダーたち。
 それは通常であれば散り散りになって霧散するであろう群体としての習性を越えた執念。弾幕の前に散った同胞を踏み越え、倒れても尚進んでくるその様子は、咲凛を捉える。

「―――っ!あなた達……!」
 彼女に掴みかかる。もはや、ただの自動的な機械のようだった。救いを求める声。
「―――して。―――ろして」
 その悲哀に満ちた声は慈悲を求める声。オブリビオンと成り果てたとしても、なお苦痛に苛まれる声は慈悲を求めていた。
 咲凛は歯噛みする。どうあっても、彼らは救えない。
 そして、彼女に取れる択は一つしかなかった。ガトリングが回転する音。魔力弾が放たれる音。
 悲哀に満ちた声がかき消されるようにして、荒野にその音がいつまで響くのであった―――。

成功 🔵​🔵​🔴​

レパイア・グラスボトル
死んでも馬鹿が治らないうちの連中と違って、アンタらは治っちまったんだね。

ただ人体を玩具にするのは趣味じゃないんだよな。
実験は別だけど。

好きに生きて好きに死ぬようなワタシらの様な物好きが祝福なんて求めるのがお門違いじゃないか?
まぁ、なんだ死ぬなら笑って嗤って哂って死ねないか?

【SPD】
元より慈悲など持っていない。
呼び出したレイダーはオブリビオンも混じっている。
好きに生きて死んで黄泉返っても生前と変わらない。
再会であっても馬鹿ばかり。
即ち死んでも馬鹿は治っていない。
呼び出したレイダー(家族)に足止めと機械部分の【部位破壊】を行い、【医術】で痛みを和らげ殺す。

次は馬鹿のまま会えると良いな。



 不変という言葉は、あまりにも儚いものであろう。この世に変わらないものはなく、変わらないと思うものは、常に変化に富んでいるだけなのだ。
 変わったということすらも知覚させぬほどに、変化し続ける。
 だが、彼女はそう思わない。変わらないものもある。きっと。そう思えるだけの確信が彼女―――レパイア・グラスボトル(勝利期限切れアリス・f25718)にはあるのだ。

「死んでも馬鹿が治らないうちの連中と違って、アンタらは治っちまったんだね」
 レパイアの視線の先にあるのは、レイダー群体……各実験用消耗品と呼ばれたレイダーの成れの果てたち。
 機械と肉体が融合したような醜悪な実験の過程によって生み出された者たちの姿は、彼女の瞳にどのように映っただろうか。
 治す、ということに関して彼女は病的であったかもしれない。だが、目の前の者たちの姿はどうだろうか。
 実験は別だとしても、人体を玩具にするのは趣味ではないのだ。

「ア―――、ぁ―――しゅく―――ふくを―――」
 各実験用消耗品と呼ばれたレイダー群体の口から漏れ出るのは、救いを求める声か、それとも祝福を憎む声か。
 その言葉にレパイアは頭を振る。そうじゃない。そうではない。
「好きに生きて好きに死ぬようなワタシらのような物好きが祝福なんて求めるのがお門違いじゃないか?」
 そうとっくに祝福を受けるには遅すぎるのだ。他者を羨むことに意味はない。自分たちは自分たちの流儀で持って生きて、そして、死ぬのだ。そこに他者の存在は関係がない。
 故に―――
「まぁ、なんだ。死ぬなら笑って、嗤って哂って死ねないか?」
 その言葉に偽りはない。

 レパイアの手が挙がる。彼女のユーベルコード、レイダーズ・マーチによって呼び出されたレイダーの群体が彼女の指示に従うように一斉に各実験用消耗品へと殺到する。
 ある者は足止めを、ある者は彼らの機械化された部位を破壊する。
 その様子はまるで煉獄そのものである。その様子を尻目にレパイアは歩みだす。ゆっくりと、だがしかし、確実に戦場となった荒野に踏み出す。
「もとより慈悲など無いんだけれど……」
 だが、それでもやらねばならないことがある。
 彼女の足元に各実験用消耗品の残骸とも言うべき瀕死のレイダーが転がり出る。苦痛に喘ぐ表情は、実験によって喪われてしまったのだろう……あまりにも平坦すぎる表情だった。
 膝を折る。彼女は静かにその個体に手を伸ばす。苦痛に苛まれた人生であったことだろう。今までもこれからもきっと。
 ならば、今際の際において、彼女が施す『医術』とは、たった一つしかない。

 各実験用消耗品の濁った瞳が光を失って、骸の海へと返っていく。それを見届け、レパイアはまた歩き出す。その繰り返しだ。何が救いで、何が断罪なのかはわからない。
 だが、彼女のやることは変わらない。それ故に彼女の贈る言葉は一つしかない。

「次は馬鹿のまま会えると良いな」

成功 🔵​🔵​🔴​

仇死原・アンナ
アドリブOK

産まれた…
そして…来たか…行こうか…!
私は…処刑人だ!

[オーラ防御]を身に纏い
鉄塊剣を振るい[鎧砕き、怪力、重量攻撃]で敵群を叩き潰そう
[なぎ払い、2回攻撃]でぶった切り
[串刺し、傷口をえぐり]止めを刺そう
鉄塊剣で[武器受け]での防御、[ダッシュ、ジャンプ]で回避

敵群を[おびき寄せ]たら
[範囲攻撃、吹き飛ばし、属性攻撃]を用いた
【火車八つ裂きの刑】を振り放ち殲滅して[拠点を防御]しよう

地獄の炎でその身体と魂も浄化してやる…!

命を踏みにじるモノも…命を弄ぶようなモノも…
許してはなるまい…生かしてもなるまい!



 産声は、この世に生を受けたことに対する答えであるのかもしれない。
 世界に対する自己の咆哮。
 その産声に祝福を与えるのであれば、その赤子の未来に幸あらんことを。その産声に災厄を与えるのであれば、その赤子の未来に絶望あらんことを。
 今まさにこの拠点には、その二つを与えんとする者たちが集結していた。
 猟兵が幸をもたらすのであれば、オブリビオンであるレイダーたちは災厄を与えんとする者たちである。

「産まれた……」
 その言葉は安堵から来るものか。仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)の言葉は拠点を包み込む騒然とした雰囲気にかき消された。
「そして……来たか……」
 祝福のときは僅かであった。新たな生命が世界に宿ったこと、その意味を噛みしめる時間すら与えられなかったことだろう。だが、その僅かな時間でも彼女にとっては永遠であったのかもしれない。
 その瞳に少しも後ろ髪を引かれる想いはなかった。なぜならば、自身は。この身は。
「私は……処刑人だ!」
 彼女の育ての親。その出自がなんであろうと己の生に変わりはない。あの日、あの時、哀れみの中で取り上げられたことに意味があるのだとすれば。それは、無辜の民を救うことにこそ、あの日の意味がある。

 拠点の外へと走り出す。敵のレイダー群体は、その絶望に染まった瞳を彼女に向けた。祝福溢れんとする拠点をすりつぶし、新たに芽吹いた生命を蹂躙してこそ、自身達の存在意義であると言わんばかりに。
 だが、それは叶わない。
「そう、お前たちの望みは叶わない―――!」
 アンナの鉄塊剣が薙ぎ払われ、レイダー群体が吹き飛ぶ。様々な攻撃が彼女を襲うも、彼女のオーラに阻まれ届かない。
 荒野を駆け、鉄塊が宙を舞う度に、一つまたレイダーが骸の海へと返される。
 その姿はまさに戦場を蹂躙する暴風のような様相であった。次々と引き込まれるように、巻き込まれるようにしてレイダー群体が彼女に殺到する。
 鉄塊剣で受け、流し、まるで重量など感じさせないかのように宙を舞い、レイダーたちを引きつける。
 宙を舞う彼女の姿は、あまりにも美麗で見上げるレイダーたちの瞳にその姿が映し出される。
 自壊しながらの攻撃も遠く届かない空に舞うアンナ。彼女のユーベルコードが放たれる。

「地獄の炎は焼くだけでなく、お前の身体を切り刻む…!」
 火車八つ裂きの刑に処す。鉄塊剣に宿った地獄の炎が空中で舞う彼女から放たれ、レイダー群体を貫き燃やしていく。放たれた斬撃は過たず。
 怨嗟とも悲哀とも取れぬ叫び声を上げながら、レイダーたちが崩れ落ちていく。
 その魂に救いがあるのだとすれば、煉獄の炎によって浄化されることだけであろう。

「命を踏みにじるモノも……命を弄ぶようなモノも……」
 彼女の鉄塊剣が振るわれる。救われぬ生命を、せめて浄化せしめんとする。それだけが処刑人たる彼女の唯一の方法である。
 疾く。速やかに苦痛を与えずに、一瞬の瞬きの内に絶命せしめる。それが処刑人たる彼女の技巧。神の名のもとに鋳造されし至高の技巧である。
 故に、このような生命を生み出したものを。

「許してはなるまい……生かしてもなるまい……!」
 遥か向こう。この惨状を高見で見ているものを睨めつける。
 彼女は許さない。かような暴虐など許されていいものではないのだから―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ローズ・ベルシュタイン(サポート)
『さぁ、楽しませて下さいますわよね。』
 人間のマジックナイト×電脳魔術士、16歳の女です。
 普段の口調は「高飛車なお嬢様(私、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」、宿敵には「薔薇の棘(私、あなた、呼び捨て、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は高飛車なお嬢様風の偉そうな感じ
花が好きで、特に薔薇が大好き
武器は、主にルーンソードや精霊銃で戦う。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



 アポカリプスヘル、それは文明の荒廃した世界。度重なるオブリビオンストームによって、明日の生活もままならぬ人類の文明が衰退した世界である。
 その世界であっても人の営みは途切れず続いている。今回の事件が起こった拠点(ベース)もまたその一つである。
 拠点に上がった産声は、新たな生命の誕生。どんな時であっても、新たな生命は祝福されるべきである。
 だが、そんな祝福に満ちた誕生に湧く拠点に不穏なる影……野盗(レイダー)の集団が襲来する。
 新たに産声上げた生命を蹂躙せんと襲い来るのは、各実験用消耗品と呼ばれるオブリビオンの群体。
 機械と肉体とが醜悪に融合したのその姿は、まさに禍々しい実験の惨禍を思わせる。
 それを放っておいては、拠点は蹂躙され尽くし、誕生した生命もまた脅かさんとしているのだ。

 そんなことをさせまいとローズ・ベルシュタイン(夕焼けの薔薇騎士・f04715)が立ち塞がる。夕焼けの空のような橙色の髪をなびかせ、薔薇の飾られた髪飾りが荒廃した世界に咲く。
「赤子は世界の宝……アポカリプスヘルにおいては、なおさらのこと。それを己の欲望のために蹂躙せんとする者に容赦する理はありません」
 その手にはルーンソードと精霊銃。
 対するは、機械と融合した実験体のオブリビオン群体。オブリビオンと言えど、過去に何があったのかを推察するには十分すぎるほどの姿。
 彼らもまた救済を求める者なのかもしれない。
 だからといって、生ある今を生きる者たちを脅かしていいはずなどない。一斉にローズへと襲いかかる有線コード!
 それは彼らとローズをつなぎ、情報を共有し互いの情報を送受信する攻撃。それを受けては、ローズもまた操られてしまうかも知れない。

 だが、その有線コードは、たった一輪の薔薇によって防がれる。
「薔薇よ、私を守ってくださいませ」
 彼女のユーベルコード、それは儚き不壊の薔薇(インヴァルネラブル・ローズ)が発動する。
 一本のオレンジ色の薔薇が、彼女に向けられた攻撃全てを相殺したのだ。オレンジの薔薇の花弁が荒野に散る。
 その姿は荒野にはあまりにも似つかわしくない優雅さを持っていた。薔薇の花弁はローズを守るように渦巻き、その合間からローズの精霊銃が哀れなる半機械のオブリビオンたちを打ち貫いていく。

「如何なる理由があれど、弱者をいたぶって良いという律にはなりえません……どうぞ、疾くと骸の海へとおかえりなさい……」
 荒野にバラの花弁が舞い散り、銃声が鳴り響くのだった―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

ルナリリス・シュヴァリエ(サポート)
何かお困りですか? 私は旅の聖剣使いです
誰かの力になりたい、そんな思いから猟兵活動をしています
私で良ければ力になりましょう。

お人好しな性格で、並みいる敵を聖剣でなぎ払い、罠やトラブルは体当たりで乗り越えていく
そんな突撃隊長的なキャラクターです。
そして古今東西のゲームに登場する神器や宝具を具現化(所持アイテム)して、その力(技能)を生かした活躍をします。

あとはお任せで、よろしくおねがいします。



 アポカリプスヘルにおいて、オブリビオンストームは災害以上の意味を持つ。
 それは文明を崩壊させた災害である。それ故に、それに抗うすべをアポカリプスヘルに生きる者たちは持たない。
 それに抗う事ができるのは、世界に選ばれた猟兵のみ。
 数多存在する拠点(ベース)において、明日を生きる物資以上に大切なもの。それは次代へ繋がる新たな生命である。
 猟兵たちが訪れた拠点もまた、新たな生命が産まれ、その祝福に包まれていた。その祝福を絶望へと叩き落さんと現れたのが、野盗(レイダー)と呼ばれるオブリビオンである。

 各実験用消耗品と呼ばれた群体オブリビオンたちの襲撃は、祝福に包まれるはずであった拠点を混乱へ引きずり込んでいた。
 だが、そのオブリビオン群体の暴虐を止めんと立ち塞がるのもまた猟兵である。
 ルナリリス・シュヴァリエ(変態殺しの聖剣使い・f25397)もまたその一人。金色眩しい長い髪を結った見目麗しい女性の猟兵。
 荒廃した世界において、その姿はまさに女神のように人々の目に映ったことだろう。
「正義を成すのに理由は要りません」
 アポカリプスヘルに舞い降りたルナリリス。旅の聖剣使いとして拠点を訪れたところにオブリビオンの襲撃を受けたのである。
 誰かのために力になりたい。そんな思いから猟兵活動をしている彼女にとって、この状況は喜んで力を貸す事件であった。

「その姿……あなた方も哀れむべき存在なのかも知れません……ですが、新たな生命の誕生を祝う場において、あなた方は立ち入ることを許されません」
 彼女の持つ聖剣アストライアが輝きを放つ。正義を司る女神を宿した聖剣。
 彼女の持つ正義の意思を受けて、輝きを放つのは主であるルナリリスを守護せんがため。

 彼女のユーベルコード、聖域(サンクチュアリ)が発動する。
「災厄よ、退きなさい!」
 神聖なる魔力障壁が展開される。各実験用消耗品の肉体と機械が融合した歪な体から放たれる未完成の兵器群。
 それは尽くルナリリスの周囲に張り巡らされた魔力障壁にぶつかって消滅していく。如何なる攻撃であっても、彼女の正義を執行する意思に陰りはない。主を守護線とする障壁は益々力を強めていく。

 なぜならば、彼女の背後には拠点がある。
 新たに誕生した生命を守らんとする意思が、彼女に力を与えるのだ。
「此処より先は一歩も通しません……!邪なる者、歪なる者、他者を害する者!その全ては、此処より先に行けぬものと思いなさい!」
 ルナリリスの言葉は声高らかに宣言される。
 オブリビオン群体は、その攻撃が放たれれば放たれるほどに肉体を崩壊へと導いていく。自壊していくのだ。それは未完成であり、消耗品と言われたる所以。
 あまりにも悲しい定めであるが、今を生きる者たちが過去の化身に傷つけられて良い理由など無いのだ。

「さあ、骸の海へと還るのです……!次なる生の輪廻があるのだとしたら、まばゆいばかりの祝福を授からんことを!」
 拠点を守る彼女の姿は、後に語り継がれることだろう。
 新たな生命の守護者として、聖剣使いルナリリスの名を―――!

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』』

POW   :    ポリエスティア・スプラッシュ
【30メートル四方に広がる特殊繊維の生地】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を高濃度の薬物で汚染し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD   :    ナイロニック・ショウタイム
【特殊繊維で編まれた、着た者を洗脳し操る服】を披露した指定の全対象に【「今見た服を着たい」という】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    人造絹糸の妖しき光
自身に【膂力を最大限強化する特殊繊維の白衣】をまとい、高速移動と【相手の服飾品を汚染し有害物質に変える薬品】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。

イラスト:麻風

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はタリアルド・キャバルステッドです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 各実験用消耗品と呼ばれた群体オブリビオンの襲撃を退けた猟兵達。
 だが、彼らをさらなるオブリビオンが襲う。そう、この拠点へとやってきたのは、殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』。

 狂気の科学者であり、彼女の生み出した殺戮繊維によって生命を弄ぶ者!
「あーあ……やっぱり、あんな間に合せの失敗作たちばっかりじゃ、こんなもんだよねー」
 心底がっかりしたように、嘗ての群体オブリビオンの機械化されていたパーツを蹴り飛ばすドクター・ドミレイオン。
 ふぅ、とため息をつき、猟兵たちに語りかける様子は余裕すら感じられたことだろう。

「ねね、赤ん坊産まれたんでしょ?ねぇ、この拠点は見逃してあげるからさ、赤ん坊頂戴よ。実験に使いたいんだよね」
 ね、と手を差し出すドクター・ドミレイオン。
 何を、と猟兵たちが訝しむのも無理なからぬこと。この期に及んで取引を持ちかけてきたのだ。それも産まれたばかりの赤子を。

「いいでしょ?君たちは楽ができるし、私は実験できてハッピーだし。拠点の人間たちも自分たちは助かるから、万々歳だと思うなー?違う?」
 そう言葉を告げる彼女に何を思うだろうか。
 にやにやと笑う彼女の瞳は狂気に彩られている。赤子を渡せば、「実験」することはわかりきっているし、その「実験」とやらで赤子がどうなるか……

 それはもはや生命への冒涜である。
 猟兵である以上、いや、人である以上、そんなことは認められない。

「あらー……やっぱそうなるよね。時間の無駄だったね。ごめんね。じゃ、無理矢理もらっていくからいいよー!」
 凄絶な狂気を孕んだ笑顔を浮かべながら、ドクター・ドミレイオンは拠点に向かって足を踏み出すのだった―――!
レパイア・グラスボトル
残るのはボスだけでこっちには病人も怪我人も少ない拠点―狩場。
つまり、あいつを殺れば後はワタシらは仕事をし放題ってことだな。

良い子にする?大人は臨機応変なのだ。この世界なら。
医者がいらなくなったのでレイダー面が露出。

ここはワタシらがもらうからアンタにはお引き取り願おうか。
ワタシとアンタの趣味は合いそうでないからね。

オマエら、あの頭のオカシイ白衣のヤツをやっつけるぞ。

【POW】
悪い事を考えていたレパイアと馬鹿な仲間達が吹き飛ぶ。
吹き飛んだ先は汚染された地面。何故か綺麗に敷き詰められる。
地形を踏めない程に。
その上で救世主とオブリビオンが戦う。

踏み台にされ略奪する元気は無くなる。

むぎゅ

アレンジ歓迎



 悪意を隠さぬ者、狂気を隠さぬ者。ひた隠し、巧妙にして精緻なる仮面にて悪意を成す者。
 そのどれもが荒野に跋扈する者であり、あるいは時として人の側面を映し出す合わせ鏡のようなものである。他者は自身の鏡であり、相対する者にとって他者とは敵対者である以上に、己の裏面を見出すものであるのかもしれない。
 このアプカリプスヘルにおいて荒野に点在する拠点(ベース)とは、野盗(レイダー)にとって狩場である。縄張りと言っても良いだろう。
 レパイア・グラスボトル(勝利期限切れアリス・f25718)にとって、殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』は、猟兵とオブリビオンという間柄以上に、狩場を奪い合う縄張り争いの敵同士でもある。

「残るのはボスだけでこっちには病人もけが人も好き無い拠点……狩場。つまりあいつを殺れば後はワタシらは仕事をし放題ってことだな」
 レパイアは葉をむいて笑う。その凄絶な笑みは、医者として、猟兵として以前にある彼女自身のレイダーとしての一側面であった。
 今までの拠点に対する行為はなんだったのだろう。そう問う者がいたとして、彼女はこう応えるだろう。

「良い子にする?ワタシは大人だからな。大人は臨機応変なのだ。この世界なら尚更だろう?悪人が善人に見えるだろうし、善人が悪人に見えることだってある。そういうことさ」
 善悪が二面生をはらむものであるというのなら、それは表裏一体である。何処に境界線を設けるかは、本人だけが知り得るものであり、他者から引かれる境界線ではないのだ。
 乖離はしない。剥離もしない。ただ、背中合わせの善悪が人間誰しもの心のなかにあるからこそ、人は人らしく生きるのだ。
 レパイアはそれ故に、オブリビオンであるドクター・ドミレイオンと対峙する。

「ここはワタシらがもらうからアンタにはお引取り願おうか。ワタシとアンタの趣味は合いそうでないからね」
 ドクター・ドミレオインはカラカラと快活に哂った。歯を向くように笑うレパイアとは対称的だった。きっとこれからもお互いが相容れることなどないかのように。
「わたしもー。そう思うよ。そこだけは奇遇だね。気が合うのかも」
 ドクター・ドミレイオンの白衣がレパイアへと放出されるように飛び出す。それは彼女の開発した特殊繊維!当たれば人体を切り刻むが、当たらなくても付着した地面を強力な薬物で汚染し、その上で戦う彼女の能力を強化するのだ。

「おっ、と!そんな見え透いた攻撃に当たるアタシらじゃあない。さあ、オマエら、あの頭のオカシイ白衣のやつをやっつけるぞ!そしたら、あの拠点は……ワタシらの狩場―――」
 ドクター・ドミレイオンの攻撃を躱した彼女の言葉が途中で途切れる。ぞわりと嫌な予感が彼女の背中を駆け上がる。
 それは対峙するドクター・ドミレイオンに対してではない。次の瞬間、ゴッ、とレパイアたちの背中から衝撃が走る。体が宙に浮き、ぞわぞわとした嫌な予感が確かに近づいてくる。
 なんで―――!ワタシたちはさっき迄良い子でいただろう!レイダーとしての側面をしっかりと覆い隠していたのに、なんでこんなに早く―――!

 そう、レパイア達諸共吹き飛ばしたのは、レジェンド・オブ・アポカリプス・ヒーロー(ショウリノキゲンハスギサッテイル)。神話の再来たる世紀末救世主の姿。
 その姿はあまりにも神々しく、差し込む後光によってシルエットしかわからない。
 だが、レパイアにはわかる。
「げ!?アイツはまさか…なんでこっちにいるんだよ!!ワタシらじゃヤバイ!あっちに逃げ…じゃなくて突撃!…あ」
 ドクター・ドミレイオンはまだ何もわかっていなかった。目の前の猟兵が何故そんなに慌てているのか。
 汚染された大地に次々と敷き詰められるようにレパイア麾下のレイダーたちが敷物のように倒れ伏す。
 一瞬の出来事だった。

「むぎゅ……」
 あまりにも一瞬。世紀末救世主の姿は未だは光に包まれていてわからない。だが、それでも、その神話級の拳法は砂塵と共に現れ、ドクター・ドミレイオンをもまた瞬時の内に大地の敷物へと変えられてしまう。
 あまりにも理不尽。あまりにも圧倒的。それは一切の怨恨を断ち切る拳。荒野に生きるレイダーにとっては、この上ない災厄。

 レパイアは砂塵と共に去っていく世紀末救世主の背中をぼんやり眺めていた。
「ああ、またアイツのせいで……悪巧み始めるといつだってそうだ。なんでアイツはワタシらの邪魔ばっかり……今回は上手くいくとおもってたんだけどなァ……」
 もう略奪する気力なんてなくなってしまう。
 まあ、元気が一番だ。ワタシの仲間たちは元気だし、何度でも再起すればいいのだ。何度懲りないと言われようとも、これがレパイアの生き方なのだから―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

鴨嘴・ケンゴ(サポート)
戦闘をメインに活躍させて欲しいっす。
戦闘での行動は変形する偽神兵器を使って、カッコいい剣撃と銃撃、捕食による敵のデータ収集と偽神兵器の強化を行うっす(メタ的に言うとゲームのゴットイーターな感じ)
敵は絶対殺す又はデータ収集すると言う意思で戦う為に戦闘中は性格が変わったように攻撃的になります。
(口調 少年(おいら、~くん、~さん、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)
敵には 野生の感覚が蘇る(オレ、アンタ、言い捨て)っす。



 文明の荒廃した世界、アポカリプスヘル。
 荒野に拠点(ベース)を構え、崩壊した文明の残滓から喪われた物資を見つけ出してくるのが奪還者(ブリンガー)だというのなら、その物資を狙い横取りを画策するのが野盗(レイダー)である。
 文明が崩壊したとしても、人間が生きている以上、人の営みは終わらない。それは生活であったり、文化であったり……もしくは、新たな生命の誕生であったり……。

 ある拠点において新たなら生命の誕生が祝われた。
 だが、その新たな生命ですら奪おうとする者がいる。―――そう、野盗(レイダー)にしてオブリビオンである。
 彼らはオブリビオンであるが故に物資を必要としない。だが、彼らは彼らの欲望のままに振る舞う。
 それがどれだけ傍若無人の振る舞いであっても何ら恥じること無く行うのだ。
「もう、邪魔しないで欲しいな!せっかく実験の材料にしてあげようっていうのにさぁ!早く赤ん坊頂戴よ」
 そう言って笑うのは、殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』。彼女の目的は新たに産まれた拠点の生命、赤子である。
 そして、それを阻止するのが猟兵たる者の務め。

「オレ、アンタのこと嫌いっすね!オブリビオンだとかなんだとかかんけーねーっす!」
 鴨嘴・ケンゴ(カモノハシのストームブレイド・f24488)が偽神兵器を構えて見据える。その姿はカモノハシそのもであり、衣服を着ている動物。
 その姿に一瞬、ドクター・ドミレイオンは興味をそそられたのだが、もとより服を着ている存在である。もう服を着ている以上、それ以上服を着せてどうするのだとおもったのだろう。

「せっかく私の作った服を着せてあげようっておもったのに、そんなツンケンする子は着せてあげないよー?」
 彼女の実験結果に寄って生み出された特殊繊維で編まれた衣服をひらりと掲げてみせる。それを見た瞬間、ケンゴはこころの内に湧き上がる不可思議な感情に戸惑った。
 あの服を着てみたい―――!
 いや、違う、これは敵のユーベルコード!
「オレは着たいんじゃなくって、食べたいっす!」
 ケンゴのユーベルコード、捕食によるデータ収集(オブリビオンテイスティング)が発動する。
 偽神兵器【骸喰】が顎をもたげる!それは飛びかかるままに、掲げられた衣服を口切り、即座にデータに変えて捕食される!
 次々と入ってくる情報の数々。敵の特殊繊維のパターン、材質、効果。その情報そのものを咀嚼し、さらに最適な行動をケンゴに与えるのだ。

「あー!私の作った服ー!」
 ドクター・ドミレイオンが叫ぶ。彼女の研究結果をずたずたにされたのと、それを捕食されたという事実が彼女を打ちのめす。
 だが、それで終わらない。ケンゴの持つ偽神兵器【骸喰】が、さらに大口を開けて襲いかかるのだ。
「自分の欲求ばかりに素直だから!他人のことにまで頭が回らないんっすよ!自分のことしかわからないやつに、オレの攻撃が避けられるわけがないっす!」
 偽神兵器【骸喰】の顎が、ドクター・ドミレイオンを食い破る!
 鋭い牙が新たにオブリビオンを取り込み、力が増していく。それは、彼女の実験の被害者に報いるように、咆哮を荒野に轟かせるのであった―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

月守・咲凛
とてもニコニコしながら、チェーンソーをブイーンブイーンと喧しく鳴り響かせて無言のまま突撃します。
この人は…バラバラにします。
アジサイが自分の脇を掠めても問題ありません、ミリ単位で動きを把握しています。アジサイを周囲から襲い掛からせながら、その間を縫うようにムラサメの斬撃で敵の回避の余裕を奪います。
敵のUCで服を見せられても全く何も感じません。何をしているのですか?私は怒っているのですよ?
敵の軽口には無視するかかなりの塩対応で応じます。



 超えてはならぬ一線というものがある。
 それは他者と自身を線引するラインであり、自己を守るためのものでもある。踏み越えてほしくない、踏み越えてはならないもの。
 誰しもそれを持っている。譲れない思いであるとか、こだわりであるとか……形や想いは様々であろう。
 殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』は易易とその一線を越えたのだ。
 激しい怒りが一定の温度まで体の熱を上げると、とたんに冷ややかになるように彼女……月守・咲凛(空戦型カラーひよこ・f06652)もまたその一人である。
 どうしようもないほどの怒りが心の内より湧き上がってきて仕方がないのである。

「そんなに怒ることかなー?いい条件だったと思うんだけれ、ど―――!」
 ドクター・ドミレイオンの頬をかすめるのは、円盤状の遠隔操作武装ユニットであるアジサイ。
 鮮血が荒野に飛ぶ。
「あはは、やる気満々じゃんー!かーわいー!」
 小さな体から発せられるプレッシャーは相当なものであろう。咲凛の怒りの深さが垣間見える。
 表情はニコニコとしたものであるが、攻撃には殺気が込められていた。彼女の持つチェーンソーが唸りを上げる。許せない。あれだけのことをさらりとなんでもないように語るドクター・ドミレイオンのことがどうしても許せない。

「おっと、っと……!まあまあ、そんなカッカしないでさ。この服でも着てリフレッシュしよ?そうしよ?」
 円盤状の遠隔操作武装アジサイで退路を絶たれていくドクター・ドミレイオン。アジサイによって、徐々に逃走経路を絞られているのだ。
 どうしようもなくなって彼女の作った特殊繊維で編まれた衣服を掲げて見せる。
 その衣服は洗脳効果もあるのだ。これを見れば、着てみたいと少しでもおもったが最後、その誘惑には抗えないはずなのだ。

 だが―――

「何をしているのですか?私は怒っているのですよ?」
 通用しない。咲凛の瞳には何も映っていない。
 あるのはただ、目の前の傍若無人の振る舞いをするオブリビオンのみ。どんな攻撃も、今の彼女を捉えることはできないだろう。
 天から落ちる雨水を躱すかのように雨の中のサーカスを踊るように、咲凛は攻撃を1ドットの隙も見せずに回避せしめるだろう。

 そう、超えてはならない一線。
 それを越えたのはオブリビオン。彼女は守るための戦いをしてきた。何を守る?決まっている。
 この拠点に産まれた新たな生命。その未来を守るためならば、咲凛は猟兵としての本分を全うするのだ。
 幼い生命を弄ぶ行為は、彼女にとって竜の逆鱗と同じなのである。

「―――だから、私はとっても―――」
 ビームチェーンソーが咆哮するように、けたたましい駆動音を響かせる。
 彼女の怒りが臨界に達するようにビームチェーンソー、ムラサメが振り下ろされた!

「―――怒っているのです!!!」

大成功 🔵​🔵​🔵​

リダン・ムグルエギ(サポート)
「餅は餅屋。後の戦いはお任せするわね
「お、今の映えるわね!ヒュー

キマフュ特有のノリの服飾師

見た人の五感を狂わす「催眠模様」の入り衣装を作って配る事で
仲間や一般人の防御底上げと敵の妨害を実施したり
依頼に即したなんらかのブームを生むことで敵に特定の行動を躊躇させたり
等を得意とし

「戦闘開始前に自分のやるべき仕事の準備を終えている」事が多い純支援キャラ

依頼本編では戦いの様子等を撮影・配信したり
キャーキャー逃げたり
合いの手を入れてたりしています
単独戦闘には不向き

ミシンや針、布等も所持
その場で他依頼参加者に合わせ衣装アレンジも

MSのセンスで自由に動かしてOK
エロだけは厳禁



 文明崩壊を引き起こしたオブリビオンストーム。その崩壊に巻き込まれ消えていった文明は数しれないことだろう。
 かつてのアポカリプスヘルにもまた、多種多様な文化があり、センスがあり、あらゆる人々がそれぞれの嗜好に基づいた服飾を楽しんでいたのかも知れない。
 もはやそれらは喪われてしまい、どのようなものであったかはわからない。
 だが、その文化の根底にある人間の本能は未だに残っているはずなのだ。

 幼子がいれば、幼子を可愛らしく着飾ってやりたいと思う。赤子であれば寒くないようにと御包みの縫製に刺繍を組み込み無病息災を祈ることもあるだろう。
 拠点(ベース)にもまた新たな生命が芽吹き、祝福に包まれていた。
 だがその祝福を許さぬとばかりにオブリビオンの襲来が起きる。その首謀者である殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』は、事もあろうに産まれたばかりの赤子を要求していた。
 猟兵にとって、拠点の人々にとって新たな生命は希望と同じである。それを奪おうとする者にこそ、猟兵に寄る鉄槌が必要なのだ!

「餅は餅屋。後の戦いはお任せするわね」
 リダン・ムグルエギ(宇宙山羊のデザイナー・f03694)がひらひらとてを振りながら、気だるそうに言う。
 そんな彼女を見てドクター・ドミレイオンはけたけたと笑うのだ。

「けっこー気が合いそうな猟兵もいるもんだねー!何、話通じそうだったんじゃんー!」
 彼女の出した交換条件は到底飲めるものではなかった。赤子を差し出す代わりに拠点は襲わない。だが、差し出された赤子はきっと彼女の手にかかって死ぬことだろう。
 そう、彼女の生み出した殺戮繊維は呪詛によって人間を洗脳し、衰弱させて死に至らしめるのだ。

「アタシ、言ったわ?餅は餅屋って。後の戦いは『任せる』って」
 リダンは呆れたようにドクター・ドミレイオンを見やる。言葉を理解していないのかしら?と。彼女はユーベルコード、トレンドストリーマー・GOATia(ヤギノハイシンタイム)によって、この状況を動画配信しているのだ。
 その彼女の手元には如何なる理屈か……その場で衣装を作り出しているのだ。
 まるで神業である。拠点に住まう人間たちから産まれたばかりの赤子のために布地をもらって御包みを作っているのだ。

「はーん?なにそれ、私のほうがもっと上手にできるし!」
 ドクター・ドミレイオンは、その様子にいらぬ対抗心を燃やす。ナイロニック・ショウタイムによって、彼女の生み出した特殊繊維で編まれた衣服をリダンに突き出す。
 それは洗脳効果のあるものであるのだが……リダンの瞳には映らない。
 なぜなら、リダンは彼女の編み込んでいく御包みの刺繍しか見ていない。小さな赤子のために御包みに祈りの刺繍を組み込んでいく動画は、たちまちに『いいね』の数が跳ね上がっていく。
 まさに爆発的スピードでだ!

「気にしないで。アタシは映える動画と『いいね』が欲しいだけだもの」
 そんな非戦闘行為とも取れる刺繍に没頭するリダンには、あらゆる外的な攻撃をシャットダウンされ届かない。
 ドクター・ドミレイオンの洗脳攻撃も、彼女の掲げる特殊繊維の衣服も、まるで興味の対象にもならないのだ。

 そして、出来上がったのは無病息災の祈りが込められた刺繍の入った御包み。それはこの拠点に新たに生まれた赤子のためのものである。
 きっとそれはこの先も、リダンの予想を遥かに越えてアポカリプスヘルにおいて、模倣され、広がっていく。

 同じ服飾を扱う者……ドクター・ドミレイオンにとって、それは戦いに破れる以上に敗北感を刻まれる結果となったのだ―――!

成功 🔵​🔵​🔴​

仇死原・アンナ
アドリブ歓迎

…何も言うまい

ただ貴様を屠ってやる…!

[激痛・毒耐性、オーラ防御]を身に纏い
鉄塊剣の[武器受け]で薬品を防御しつつ敵を[おびき寄せ]よう

[挑発]し膂力による攻撃を誘ったら
[怪力を用いたカウンター]で顔を殴り付けて[吹き飛ばそう]

いいだろう…処刑という洗礼を浴びせてやる…
その身に纏う物すべてを剝ぎ取ろう…

【公開処刑】を発動し
鎖の鞭で[捕縛]し妖刀と拷問具を用いた[部位破壊、継続ダメージ、鎧砕き]による皮剥ぎの刑を執行しよう…

そして腹裂きの刑を行い敵の腹を切り裂き[傷口をえぐり]臓物を引き抜き苦しめながらとどめを刺してやろう…

貴様の命を踏みにじり、絶命するまで思う存分試してやろう…



 どれだけ荒廃しようとも消せぬ灯火がある。
 それは人の営みであり、歩みでもある。その光に何を見出すかは人それぞれであろう。荒廃した世界、アポカリプスヘルにおいても、それは同じことだ。
 文明が荒廃し、物資が乏しくなり、人心がどれだけ荒んだとしても。
 それでも人の生命が続く限りに、時に礎に、時に鎹に、それは繋がる。

 それは優しさであり、怒りである。

 殺戮繊維科学者『ドクター・ドミレイオン』の凶行は、常人には理解し難いものであったことだろう。それが過去の化身たるオブリビオンたる所以でもある。
「あーあ……もう、本当に困っちゃうなー……こんなにボロボロにしてくれちゃってさぁ」
 心底うんざりしたというように白衣についた土埃を払うドクター・ドミレイオン。相当な疲弊が溜まっているであろうに、それでも尚立ち上がってくる。
 終焉は見えている。だというのに拠点に向かおうとする足は止まらない。彼女の白衣が風にはためく。
 最後に立ちふさがったのは、仇死原・アンナ(炎獄の執行人・f09978)である。

「……何も言うまい」
 もはや言葉は尽きている。これ以上言葉をかわす必要はない。ただ、やるべきことはわかっている。
 鉄塊剣に手をかける。
「えー……そんなにお話するの嫌い?私は結構好きなんだけれど」
 ドクター・ドミレイオンの白衣を構成する人造絹糸の妖しき光が白衣を包む。彼女の身体能力が上がっていくのを肌で感じる。
 次の瞬間、ドクター・ドミレイオンの顔がアンナの直ぐ側に肉薄する。
 放射される猛毒の薬品をオーラ防御によって防ぐも、態勢を崩したアンナの横腹に打ち込まれる蹴り。
「ハッ!アハハ!猟兵って言ってもこの程度だもの!私の造った殺戮繊維には敵わないよね!」

 鉄塊剣を大地に突刺し体制を整えるアンナに、さらに超スピードの乗った拳が打ち込まれる。人体から鳴ってはならぬ音が荒野に響き渡る。
「ただ、貴様を屠ってやる……!」
 交差するアンナとドクター・ドミレイオンの拳。アンナの拳がカウンターのように彼女の頬にめり込む。
 それまでの攻防はアンナの挑発である。誘い込まれたのだ。超スピードで行動する以上、彼女の動きを捉えるのは至難である。ならば、こちらへと誘い込みカウンターを狙うが定石。
 吹き飛ぶドクター・ドミレイオンの体が荒野にバウンドする。

「いいだろう……処刑という洗礼を浴びせてやる……」
 足を一歩踏み出す。怒りがこみ上げてくる。祝福を。あれほどまでに純粋無垢なる生命に対する冒涜を行おうとしたのだ。もはや怒りしか湧き上がることはない。
 掲げた掌に力が集まる。

 それは彼女のユーベルコード、公開処刑(エクスキューション)。
 賛同を問うことはするまい。あの拠点の人間たちに、この凄惨たる惨状を敢えて見せる必要はない。
 鎖の鞭がドクター・ドミレイオンに飛ぶ。四肢を雁字搦めに。
 妖刀と拷問具は徐々に彼女の理性と狂気とを剥ぎ取るように。
 あらゆる業が彼女の身に降り注ぐことだろう。それはあまりにも荒唐無稽な光景であった。
 あらゆる人間の善性とは真逆の行為。

 絶叫。絶叫。絶叫。それは、嘗てドクター・ドミレイオンが引き起こしたであろう悲鳴と同じである。その悲鳴の数だけ、彼女へと刻まれる痛み。
「貴様の生命を踏みにじり、絶命するまで思う存分試してやろう……」

 アンナの表情は見えない。
 飽きたらぬ。
 これでは、この程度では、何も晴らされぬ。

 ―――。
 オブリビオンが骸の海へと還り散るまで、その処刑は続く。
 それは、処刑という名の贖罪であり、オブリビオンのためのバプテスマ。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月07日


挿絵イラスト