「いくら倒されても、関係が深い者が手を差し伸べるまで骸の海から無限に復活し続けるオブリビオンみたいになるんですかねぇ……この薬を飲んだら」
ルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)はUDCアースで出版されている「かぐや姫」というお話について書かれた本を閉じた。
昔々のこと、とある翁が光る竹を切ってみると小さな女の子がいるのを見つけた。
連れて帰って育てると、僅か3ヶ月で輝く美しい姫となった。
その美貌を一目見ようと京の男性は毎日のように翁の家に押しかけ、帝自らも翁の家まで来て、連れて行こうとしましたが、姫はいずれも断った。
それから数日後、姫は毎晩泣くようになり、数週間後、月に帰らなければならないことを明かしました。
その身を守ろうと帝が送り込んだ護衛が大勢で守ろうとしましたが、天人の前ではなす術なく、姫を月に連れ帰ってしまいました。
姫が帝に遺した「不死の薬」は「姫がいないのに不死になっても意味がない」と飲まれることはなく、ある山の頂で燃やされた。
この時、その薬が何者かに奪われないように警護する武士が一度に大勢登ったことと、焼かれた薬の効能からその山は「ふじの山」と呼ばれ、転じて「富士山」となりました。……おしまい。
これが大体の竹取物語……かぐや姫とも呼ばれる読み物の大筋である。
「このお話では、姫が求婚を断る際、求婚者達にとんでもない品を要求したことでも有名です」
石作皇子には『仏の御石の鉢』。
車持皇子には『蓬莱の玉の枝』。
右大臣阿倍御主人には『火鼠の皮衣』。
大納言大伴御行には『龍の首の珠』。
中納言石上麻呂には『燕の産んだ子安貝』。
他世界ならゴロゴロ転がっていそうな物でも、グリモアの力で飛べない彼らには酷な代物だったであろう。
「で、サムライエンパイアの食事処にそれを模った料理を出す所が出来るそうです」
ルウはプレオープン時に配られていたというお品書きを話を聞いていた猟兵達に見せた。
確かにそこには「仏の御石の預鉢」「蓬莱の玉の枝豆」「火鼠の皮衣揚げ」「龍の首の玉子焼き」「燕の子安貝汁」という文言が書かれている。
「料理好きな奥さんのために、竹取物語の研究をしている学者さんが竹林の中に作ったお店だそうです。この他にも竹取物語のエピソードにちなんだ料理があるそうなのでぜひ行ってみてください」
そうにこやかに言ってルウは話を締めようとしたが、猟兵達は胡散臭そうな目で見つめる。食べに行くだけならばわざわざこんな形で呼び出す必要がないからだ。
無言で圧力をかけてくる猟兵達に向けてルウは小首を傾げて口を開いた。
「……このお店にオブリビオンの大群が攻めてくることが分かりました。それらは全て竹取物語に出てくる求婚者の妄執に起因して生じた存在で、求めていた品がそこにある、と勘違いを起こして攻めてくるようです」
UDCアースなどで言うところの『コンセプトカフェ』を作っただけで血祭りにあげられるのは理不尽の極みでしかない。さらにその品が無いことが分かった後、八つ当たりで周辺に被害を及ぼす可能性も十分に考えられる。
「このお店がある町を守るために、皆様の力をお借りしたいのです。どうかよろしくお願いします」
平岡祐樹
実際、アックス&ウィザーズ辺りで龍の首の珠は簡単に手に入りそうな気がする。お疲れ様です、平岡祐樹です。
今回は竹林の中に建てられた食事処を巡る戦闘シナリオとなりますが、第1章はのんびり皆様で打ち上げでも開いてもらえたら……と思っております。
OPで紹介した5つの品だけでなく、竹取物語のエピソードに関われる品であれば、6品目以降のメニューとして登場させますので、「こんなメニューもあるはずだ!」とどんどんプレイング内で提案していただければ嬉しいです。
第1章 日常
『竹林にある食事処』
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POW : 不思議な懐石料理を食べる
SPD : 珍しい郷土料理を食べる
WIZ : 見たことのない和菓子を食べる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
紬雁・紅葉
まぁまぁ♪
準え御飯処とは小粋な…
しかも竹取物語…何と雅やかな☆
頗る上機嫌
先ずは、堪能させていただきます
UCで招来した精霊は懐炉代わりに懐に。店がお断りならばお還り願う
メニューを見てやはり、と微笑み
ほぼ全ての品に竹の添え物がある
そしてこの立地…となれば
筍尽しの「なよ竹」という揃い膳(コース)がある筈
味わい舌鼓を打ちつつ
弱竹輝姫(なよたけのかぐやひめ)
様々な解釈がありますね…
恋と血筋の間に悩んだ悲恋の姫
月に帰るを望み続けた異邦の君
並み居る貴族を翻弄した傾国、と捉える向きも
襲い来る災魔業邪は、さしずめ月闇の魔物か…
無粋者は斬り祓いましょう♪(微笑)
な゛ぉーぅ(小さく精霊の鳴き声)
※アドリブ歓迎※
竹林に囲まれた道を行った先にポツンと立つ離れ。
「まぁまぁ♪ 準え御飯処とは小粋な……しかも竹取物語……何と雅やかな☆」
食事処の周りを紬雁・紅葉(剣樹の貴女・f03588)は上機嫌な様子で見回っていた。
女将とみられる女性が出て来て、暖簾をかける。そして紅葉の方を見ると笑顔で呼びかけてきた。
中に通されれば、民家を改装したとみられる素朴な風景がみられる。宮廷のような華やかさはないが、かぐや姫の生家と考えれば何の問題も無いだろう。
紅葉は緑色の装丁が成されたお品書きを開く。そして中を流し見、やはり、と微笑んだ。
「ご注文の品、お決まりになられましたか?」
「はい、こちらを」
女将に見えるように指差されたのは「なよ竹」という名前だった。
かぐや姫、正式には弱竹輝姫と書いて「なよたけのかぐやひめ」と読む。竹取物語を語るなら彼女の名前を模した品があるはず、という予想に間違いはなかった。
「かしこまりました、以上でよろしいですか?」
「はい、お願いします」
女将が厨房に注文を告げに行ったところで懐から黒猫が顔を出し、欠伸を浮かべる。
そこからほのかに感じる温もりに当たらぬように、紅葉は出されたお茶に口をつけた。
かぐや姫は研究者からも一般の人々からも様々な解釈で捉えられている。
恋と血筋の間に悩んだ悲恋の姫。月に帰ることを望み続けた異邦の君。そして並み居る貴族を翻弄した傾国。
しかし顔も名も残らぬ筆者が描きたかった物がどれであろうと、月からの使者によって連れ戻されたという事実は変わらない。
「襲い来る災魔業邪は、さしずめ月闇の魔物か……無粋者は斬り祓いましょう♪」
「な゛ぉーぅ」
湯呑みを置いた紅葉に呼応するかのように鳴いた黒猫が顔を潜らせる。少しはだけた服を直していると、暖簾の中から女将がお膳を持って戻ってきた。
「お待たせいたしました、なよ竹のお膳でございます」
目の前に置かれた品は季節が秋なだけあってか、筍だけでなく旬の茸も織り交ぜた物となっていた。
茸の炊き込みご飯に椎茸と豆腐の味噌汁、筍と蛤の木の芽味噌和え、筍の土佐煮、そして筍と茸と銀杏の天ぷら盛り合わせ。しかし記憶にある物よりも、それは全体的に細く長かった。
「こちらの筍は……?」
「ええ。この時期はここで取れないので、土佐の四方竹、という筍を取り寄せて使っております」
「なるほど、だから土佐煮なのですね」
「春になりましたら、大きな筍の姿焼きなどもご用意しておりますので、またお越し下さい」
「ありがとうございます」
納得した紅葉は女将に会釈をしてからお膳に向けて手を合わせた。
「では先ずは、堪能させていただきます」
大成功
🔵🔵🔵
城田・紗希
【wiz】和菓子が食べ放題と聞いて?
あ、事前に領収書を申請しておくよ?
…(グリモア猟兵の名前が出てこない)……「うえさま」で、あとでくださーい。
竹取物語と言えば、アレでしょ…きび団子と、光る竹と、投げ飛ばされた熊(色々混じった)
(かぐや姫由来のものだけ受け取りつつ)…勿体ないけど、いただきまーす。(手を合わせてから頬張る)
ん、んん!(食レポしたいけど頬張ってるので喋れない)
「……『うえさま』で、あとでくださーい」
店に入って早々、城田・紗希(人間の探索者・f01927)は領収書の宛名をそう書くように告げた。
その言葉に女将は顔色を悪くする。
紗希は申請先であるルウの名前を覚えていなかったため万能名である「上様」を使おうとしたが、この世界で「うえさま」と言えば某城に住む赤髪の青年を指す。
彼が緊急で島原に住む者達に疎開命令を出したのは記憶に新しい。
かつて彼がおふれを出した数日後に大きな内乱が三方ヶ原を起点にして全国で起きたこと、そしてこの店は江戸から島原へ向かう道中にあること。そもそもの距離が大きいので大体の場所は道中になってしまうのだが。
ひょっとしたら彼女はその関係者かもしれない、と判断した女将が緊張するのは仕方がないことだった。
「竹取物語と言えば、アレでしょ……きび団子と、光る竹と、投げ飛ばされた熊」
自分の一言でそんな事態になっているとは思っていないUDCアース現役女子高生はすっとんきょうなことを言いながらお品書きをめくっていた。この分では古文の学期末テストが大変なことになりそうである。
「とりあえずー……ここの甘味全部お願いしまーす」
「は、はい! ただ今!」
お金を支払わなくていいから、と豪快に注文した紗希の言葉に、慌てるようにして女将は厨房へ消えていく。
そして温かいお茶と謎の竹が置かれたお膳を持って戻ってきた。
「こちら、竹羊羹でございます」
「たけよーかん?」
顔を動かして断面を覗いてみれば確かに竹の中に小豆色の物体がギュウギュウに詰まっている。傍には竹を削って作られたフォークみたいな何かと食卓に似つかわしくない錐があるが、これでほじくり返して食べろとでもいうのか?
「こちらの錐で底に穴を開けますと羊羹が出てきますので、気をつけてお召し上がりください」
紗希は手の中で錐を遊ばせた後、竹の底面に突き立てる。するとまるでプリンのように羊羹がニュルリと綺麗にお皿の上へ滑り出た。
「おお……勿体ないけど、いただきまーす」
手を合わせてから口いっぱいに頬張ると滑らかな口触りの羊羹が歯と舌に押され、濃厚な小豆の味をもたらす。
「ん、んん!」
この感動を口に出したかったが、言うよりも手が動く方が速く、とろけるような顔で唸り声をあげることしか出来なかった。
「お待たせしました、竹のどら焼きでございます」
続いて出されたのは焼き目が鮮やかなどら焼き。しかし普通のとは違い、その生地は緑がかっていた。
「ほほう、こちらは?」
「は、はい! こちらは生地に竹の粉を混ぜ込みまして……美味しくも竹の風味を感じられる一品となっております!」
なるほど、故郷にも炭を混ぜた料理があったがそれと同じような物だろう。何より先程の羊羹のクオリティからして間違いは無さそうだ。
紗希は両手でどら焼きを持つと大きく口を開けてかぶりついた。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『魍魎に憑かれし女忍』
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POW : 魍魎呪術・狂化
【魍魎に狂わされて狂戦士】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 魍魎呪術・降魔化身法【偽】
【魍魎におぞましき呪いを流し込まれ】【全身の傷口から血を噴き苦しみ悶えながら】【恐るべき力】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。
WIZ : 魍魎呪術・殺戮変化
【魍魎によって強制的に高速殺戮形態】に変形し、自身の【只でさえ消耗しきっている気力・体力】を代償に、自身の【攻撃力と敏捷性即ち殺戮効率】を強化する。
👑7
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ふふふ、あそこにあるのか……」
竹林の中で男がほくそ笑みながら呟く。
「ふざけるな……あんな所に目当ての品なんて、あるわけがないだろ……!」
「そうだ、そもそも物語の中の話だろ。本当にそれがあるわけが……!」
その後ろでボロボロになった妖狐達のうちの何匹かが息絶え絶えになりながら声をあげるが、男に殴られて吹っ飛ばされた。
「たわけが。あそこの物は我が望んだ品がここにあると大々的に宣伝していたのだ。……我が大金を出して買うと言った物を安価で提供するなど……許し難い、断じて許し難い! 全て我の物とし、輝姫への捧げ物としてくれる!」
そう叫ぶと同時に妖狐達の周りを黒いモヤが包み込み、強引に立ち上がらせる。
「行け、我が配下達! 我の命令に従わなかった馬鹿者に鉄槌を下すのだ!」
城田・紗希
いっぱい食べた!という訳で、食後の運動にオブリビオンを退治するよ!
…どんなオブリビオンかは知らないけど!(お菓子に釣られて、グリモア猟兵の名前も聞いたはずのオブリビオンも消し飛んだ)
とりあえず、店にオブリビオンが入らないよう、店の外で迎撃するよ!
相手は透明化ができないし、「店に入りたければ私を倒してから」みたいな事を言っておけば勝手に来るよね!
という訳で、カウンター気味に「狙いすました斬撃」を撃ち込みます!
ついでに吹き飛ばせば、トドメは同士討ちでやってくれるはず!
食べてすぐ動くと、お腹痛くなるもんね!(食後の運動と速攻で矛盾した)
とりあえず店の中にオブリビオンが入らないよう、紗希は外の玄関に仁王立ちで構えていた。
「いっぱい食べた!という訳で、食後の運動にオブリビオンを退治するよ! ……どんなオブリビオンかは知らないけど!」
説明を聞いていたにも関わらず、お菓子のことだけで一杯だったのか紗希の頭からはあらゆる事柄が抜け落ちていた。
「店に入りたければ私を倒してから行けーい!」
ノリノリで噛ませ役が良く言うセリフを吐いていると、ボロボロの妖狐が2人こちらに歩いてくるのが見えた。
今にも倒れそうな足取りに心配になりつつもその場を動かずにいると、紗希の姿に気付いた妖狐が苦しそうに声をあげた。
「は、離れろ……」
「へ?」
「そうじゃなきゃ、私が、私があああああっ!」
涙を流しながら、肩を借りていた妖狐が突然錫杖の中の仕込み刀を抜き、紗希に向かって振りかぶる。
紗希は目を丸くしながらも素早く腰に差していた刀を振った。
切り離された刃が弧を描き、地面に突き刺さる。しかし妖狐は刃が失われた錫杖でそのまま殴りかかってきた。
「なんだい、油断させるにしても別のセリフがあるんじゃないの?」
妖狐を一刀の元に斬り伏せ、その影から奇声をあげて飛びかかってきたもう一人も蹴り飛ばす。
しかし妖狐は2人とも数歩下がったところで持ち堪えると再び紗希に襲いかかってきた。
「まったく、食べてすぐ動くとお腹痛くなるのに!」
先程までと正反対のことを言って憤る紗希はその場でしゃがみ込む。すると妖狐達は相方が放った斬撃を互いに受けてしまい、その場に倒れてしまった。
「ふっ、どんなもんよ!」
立ち上がり勝ち誇っていると、妖狐の体から赤い触手のような物が生え出したかと思えば、黒い霧と化して空気中に溶け消えていく。
オブリビオンが消失していく兆候だと判断して紗希は眺めていたが、触手が消滅しても妖狐の体が消える様子はない。
「え、ちょっと待って? ひょっとして、この人達、まだ生きてる……?」
放置してれば間違いなく命に関わる大怪我をしている妖狐達に困惑してれば、甲高い音が幾重にも背中越しに響いてくる。
崩れるように鳴り響いたそれに、紗希は心当たりがあった。
「竹藪の壁……!?」
反射的に店の中に戻ろうとした紗希の視界に地面にまだ染み込みきれてない赤い液体が目に入る。
とんでもない板挟みにあってしまった形になってしまった紗希の喉から形容し難い呻き声が漏れた。
苦戦
🔵🔴🔴
バラバ・バルディ(サポート)
飄々として、いつも笑顔で陽気な好々爺。
そうあろうとして、そうなった。
過去に色々あったので、並大抵のことでは挫けない。
落ち込んでいる人がいれば励まし、怒っている人がいれば宥め、嬉しそうな人がいれば共に喜ぶ。
戦闘では主に術や人形を用いた援護(救助者がいれば救助優先)を行うが、前線で戦うこともある。
他者を庇う、囮になるなど、必要だと思えば自己犠牲のようなこともする。
ギャグでもシリアスでもお色気でも、好意的に書いてくださるなら歓迎です!
「おやおや、竹壁を突き破って来るなんてヤンチャなお嬢さん達じゃのう」
竹藪が見える先で茶を啜っていたバラバ・バルディ(奇妙で愉快な曲者爺さん・f12139)は湯呑みを置くと腰かけていた席に手を置いて立ち上がった。
「じゃが……したくてしたわけでは無いようじゃな」
ガラスの無いサムライエンパイアの建物と竹藪は一繋がりになっている。目だけでなく全身についた切り傷からもおびただしい量の血を流す妖狐達は翻訳することのできない悲痛な雄叫びをあげて店内に押し入ろうと進み出した。
『我が友よ、力を貸してくれるかの?』
長椅子の上に置いていた帽子をひっくり返せば、小さな空間から大きな人形が転がり出てくる。
その四肢から伸びる糸がバラバの十本ある指とつながると、人形はまるで命を吹き込まれたかのようにいきいきと動き出した。
「左に突きの一撃と見せかけて足払い」
前に突き出しながら横に払われた錫杖を跳び避けた人形は殴ろうとした手を止め、防御のために上げられた腕の下で丸見えになった脇腹に回し蹴りを入れる。
人間だったらバランスを崩しているだろうおかしな格好になっても、指の動きが追いつく限り倒れることがないのが人形の良い所である。
「そこをついて、他の女子が切りかかってくるから素早く下がる」
バラバが腕を後ろに下げると、蹴った体勢のまま人形は並行に滑り、上段から振り下ろしてきた別の妖狐の攻撃が空振りする。
「下がれば好機と見た女子が突っ込んでくるから、逆にこちらも突っ込んで」
急停止した人形が逃げてきたばかりの道を勢いよく戻ると距離を一気に詰めていた妖狐の顔面に激突する。
「ごっつんこじゃな。相変わらず凄いの、お主の観察眼は」
感心した様子でバラバは空に語りかける。しかしその先には何もいなかった。
「さて、そろそろ王手じゃ」
バラバが地面を杖で叩くと妖狐達の血や人形によって刻まれた地面がほのかな光を放ち始める。
そして光の束を噴き上げると妖狐達の傷から黒いモヤがまるで膿みのように浮かび上がった。
「女子を操る邪な念にはお引き取りしてもらおうかの」
まるで洗剤の中に突っ込まれた泥汚れのように、黒いモヤが妖狐の体から離れながらその形を崩していく。
そして血を流し続けていた妖狐達はホッとした表情を浮かべてその場に崩れ落ちた。
成功
🔵🔵🔴
紬雁・紅葉
全く、無粋の極み…
なれど我が本領なれば
御鎮めしますね♪
羅刹紋を顕わに微笑み
クイックドロウで手名椎・足名椎を支度
残像忍び足で正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔光属性衝撃波除霊UCを以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う
敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
そうでなければ破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で受ける
いずれもカウンター破魔光属性衝撃波除霊UCを以て範囲ごと薙ぎ払う
窮地の仲間は積極的にかばい援護射撃
怨霊悪霊魑魅魍魎
斬り祓い給う討ち清め給う
世に仇為す穢れ業邪
疾く速く去り罷りませ
治った者に
関わり無き者は伏せ、また去れ!
さもなくば…斬り祓う!
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
「こんな場所で騒ぎとは。全く、無粋の極み……」
羅刹紋を顕わにしながら微笑んだ紅葉は慣れた手つきで、神木から鍛刀した二振りの妖刀を素早く支度すると席から立つとゆるりと動き出す。
「なれど我が本領なれば御鎮めしますね♪」
縁側から出てきたその姿に飛びかかってきた妖狐が振るう錫杖を体を回して避けた紅葉は神威霊力を二刀に込めた。
『手長足長八耳を以て、祓い賜う清め賜う希い奉る…!』
そう呟き、まるで剣舞のように体を回しながら両腕を激しく振り回す。
すると二刀から漏れ出た霊力が衝撃波となって放たれた。それらは虚空に光の筋を描きながらも、受けてしまった者に傷をつけることは無い。
しかし黒いモヤを全身から発する妖狐だけは跪くことはなくとも、まるで全速力で走った後のように舌を出して荒い呼吸を発するようになった。
「怨霊悪霊魑魅魍魎、斬り祓い給う討ち清め給う」
負けじと錫杖を突き出した妖狐の攻撃により、紅葉の姿が揺らいで消える。
庭にあった巨岩に片足で着地してみせた紅葉の姿を見つけた妖狐の体が痙攣すると、口の中から赤い触手がまるで破砕槌のように放たれた。
「世に仇為す穢れ業邪、疾く速く去り罷りませ」
しかしその圧に負けることなく、一瞥しただけで真っ二つに切り裂いた。
断面から黒いモヤを発しながらのたうちまわり、消失していった触手から解放された妖狐が力を失って崩れ落ちようとする。
顔面から落ちることを恐れた紅葉はすぐに駆け寄り、その体を抱き抱えた。
しかし虚だった目が赤い光を取り戻すと、その首を絞めようと突然手を伸ばす。
「治った者に関わり無き者は伏せ、また去れ! さもなくば……斬り祓う!」
だが紅葉は驚きで目を開きながらも落ち着いて、すでに妖狐の肌に刻まれた切り傷に刃を添わせる。すると傷口から血を通して流し込まされた霊力が心臓を介して妖狐の体を巣食う魍魎へ行き渡る。
赤と白の光を交互に放ちながら痙攣する妖狐の口から黒い液体が漏れ出てきた。その先端に刃を突き刺すと、それは一瞬で根元まで霧散した。
「あれだけ払っても残っているとは……中々に根深い呪いのようですね」
点滅していた目の動きが止まり、今度こそ意識を失った妖狐の体を抱っこしながら紅葉は一旦店の中へと引き返す。他の妖狐達から魍魎の贈与があれば、また戦線に復帰してきてしまうからだ。
「申し訳ありません、この方の手当てをお願い出来ますでしょうか? 簡単な処置は済ませてあるので」
竹壁を壊されたものの明らかに様子がおかしい妖狐に同情したのか、女将は拒絶することなく、それを受け入れた。
成功
🔵🔵🔴
ユーゴ・メルフィード(サポート)
のんびりマイペース、食べることが大好きなシャーマンズゴーストのコックさんなのですじゃ!
依頼達成のため、皆さまのため、わしも頑張りますのじゃー
メイン武器は、星空のシルバーフォークなのですじゃ
美味しそうなものを前にすると、テンション上がってしまいますのじゃが、
戦闘時はきちんと空気を読んで、しっかり戦いに専念しますぞー!
前に出るよりも皆さまのサポートに回ることが多いのじゃが、
複数相手には『サモニング・パティシエ』『天翔・小籠砲』を、
単体の敵には『メギド・フレイム』か『本日のシェフのお薦めシチュー』を使いますのじゃ!
アドリブ歓迎なのですじゃ、好きに遊んで欲しいのじゃ!
宜しくお願いしますのじゃー
「こんな美味しい料理を出してくださる場所を破壊するなど……万死に値しますぞ!」
出された料理を堪能し終え、その余韻に浸っていたユーゴ・メルフィード(シャーマンズゴースト・コック・f12064)は、至福のひと時を邪魔されたことにお冠だった。
周りの環境も合わせて、初めて料理という物は完成するのである。今回の妖狐の所業は完全にユーゴの地雷を踏み抜いていた。
だからこそ、この一帯をこれ以上破壊することなく妖狐達を無力化させる必要がある。そこでユーゴが取り出したのは大きな蒸し器であった。
その蓋を開いた瞬間、辺りが白いモヤに包まれて温度が上がる。
汗が吹き出しかねない熱風に妖狐の足が鈍る中、それは唐突に放たれた。
口の中に入ってしまったそれを反射的に噛むと同時に火傷してしまいそうな熱さの液体が口全体に弾け出た。
しかしそれはとても美味であった。口から漏らすのも冷ますのも勿体無いと、乗っ取られて思考が曖昧になってしまっている脳でも感じられてしまうほどに。
妖狐は涙目になりながらも、一滴も無駄にしたくないと口を押さえて咀嚼し続けた。
「本当は自分のペースで召し上がって欲しいところじゃが……」
蒸し器の中に入っていたのはユーゴお手製の小籠包であった。
戦いのための品だから、と手を抜くこともユーゴのこだわりに反する。人に食べさせる物であれば、常に最良の物を提供するべきである。
熱々の肉汁とスープを含んだジューシーな味わいが最大の特徴であるそれは冷めてしまうと味わえない。
そのため本来は火傷しないように、蒸したてのそれをレンゲの上で箸でつまんで皮を破り、受け止めたスープを空気や息で冷まさせてからいただくのが主だ。
だがそんなことを教えようとしてもこの妖狐達は一切聞いてくれそうな気配はない。
「動き出せば破壊活動に勤しんでしまうのじゃろう? ならば我慢して頬張り続けてもらおうではないか!」
ユーゴは湯気の奥にある小籠包を掬い取ると、食べ終わったばかりの妖狐に向けて再び撃ち出す。飛んでくる物は美味しい物だと脳に刻み込まれてしまった妖狐は自ら口を開けて突っ込み、その熱さに悶絶していた。
しばらくして、妖狐は操られているだけで今回の襲撃は本意では無かったことを知ったものの時すでに遅し。爛れてしまった口内はもうどうしようもなかった。
「治ったら美味しい料理をご馳走してあげることでおあいこに出来ないかのぉ……」
魍魎から解放されたものの、別の意味で口を押さえて涙目になっている妖狐達を見たユーゴは申し訳なさそうに、その大きな体を縮こまらせるのであった。
成功
🔵🔵🔴
赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
人間のパラディン×シーフの女の子です。
普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。
ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。
性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
あとはおまかせ。よろしくおねがいします!
「つまり、あの触手だか黒いモヤだかのせいであの妖狐の皆さんは操られているんだよね? なら一緒くたには出来ないね」
そう呟く赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)は全身の傷口から血を噴き苦しみ悶える妖狐を睨み付けていた。
「私たちは正義の味方。人々を傷つける悪い奴は成敗するけど、操られて無理矢理戦わされている人は倒さない、倒せるわけがないね」
「ガァァァァァァァッ!!」
痛みを紛らわすためか、そう叫べと強要されているのか、妖狐は血の涙を流しながら錫杖を振り回して突進してくる。
愛は空気さえも切り裂くかの様な鋭い刃を持つ短剣を手の中でクルリと一回転させると打って出た。
打ち合うことなく、2人の姿が交差する。すると妖狐の握る錫杖の先が輪切りになって地面に転がった。
しかし愛が狙っていたのは別のことだった。
「上手くいった、よね?」
先程の打ち合いで上を向かされていた妖狐が口の中に入った何かを飲み込んでしまう。
すると妖狐の身体中にあった傷が少しずつかさぶたになり、漏れ出ていた黒いモヤの量も少なくなり始めた。
「傷口を媒介として苦しめるなら、それ自体をなくせばいい。簡単なことだよね?」
それを肯定するかのように、妖狐は錫杖を自らの膝でへし折ると鋭利になった断面を自分の太腿に突き刺そうとする。
しかし新たな傷口が開く前に錫杖は細切れにされ、その背面を愛が取っていた。
「ダメだよ。あなたの思い通りにはさせない」
あくまで愛が目指すのは平和的な解決。力技でどうにかするのは最終手段でしかない。しかしこのままでは傷つこうとする相手と、それを阻止するだけのイタチごっこである。
だがそれは1人で戦っていれば、の話である。
庭に刻まれた破魔の魔力が込められた魔法陣から光が発せられる。
愛は苦し紛れに飛びかかってきた妖狐の体を受け止めつつ足を払って体勢を崩させ、魔法陣にその体を放り投げた。
尻餅をついた妖狐の体内に聖なる力が注ぎ込まれ、反発するように全身を使った変な動きをし始める。
そして大きく開かれた口の中から赤い触手が這い出てきた。
妖狐の体を動かすために全体力を使い果たしてしまったのか、触手は大した動きも見せずに光の中へ溶け込んで消えた。
「すごい威力ね。……でも、これだけの妖狐を一人で操っている親玉みたいな奴がまだ残っているのよね」
愛は息を吐きながらも、手下が全滅してしまったことに対する行動がいつ来るか警戒し、周囲を見回していた。
成功
🔵🔵🔴
第3章 ボス戦
『戦狂・災火の将』
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POW : 炎刃一刀
【炎を纏った太刀】が命中した対象を切断する。
SPD : 嵐風炎雨
【命中すると燃え拡がる大量の火矢】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : 炎兵招来
【自身が引連れた武士達】の霊を召喚する。これは【炎を纏った刀剣】や【火矢】で攻撃する能力を持つ。
👑7
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
大成功 | 🔵🔵🔵 |
成功 | 🔵🔵🔴 |
苦戦 | 🔵🔴🔴 |
失敗 | 🔴🔴🔴 |
大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「織座・このみ」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「ちっ……妖狐どもめ簡単にやられおって……。やはり我自身が行かねばならぬようだな」
妖狐によって切り拓かれた道に1人の鎧武者が歩いてくる。
「ようよう考えてみれば皇子も右大臣も他人に任せたことが仇となって失敗した。やはり、姫への貢物は自らの力で勝ち取らねばな……!」
そう自らに言い聞かす盲嫉によって形作られた武者は気づいていない。
残りの3人は自らの手で採取しようとし、失敗したことを。
そして自分が向かおうとしている場所に、お目当ての一切無いことを。
「ふはははは、もう少し、もう少しで姫は我が手の物に……!」
あらゆる事柄が抜け落ちていることにも気づけていない鎧武者の体からは、黒いモヤが漏れ出ていた。
城田・紗希
私のおやつを狙う、泥棒はきさまかー!(誤解ながらも怒り心頭)
火鼠の皮衣?あれ個々は小さすぎて、服にしようとしても縫い糸が燃えて、結局使い物にならないよ?
龍の玉?鉱物にしては硬いってだけで、魔力もないし金属に負けるよ?
子安貝?あれなんて、ただ「かいなし」って言わせるだけの小道具だよ??
玉の枝って…あんな成金趣味が好きなの?それとも取りに行くほど金欠なの?
(異世界知識と、子安貝は授業の知識で否定)
ともあれ、私のおやつを横取りするような不埒者は許さないよ!
火事を起こさないためにも炎の太刀を叩き伏せて地面しか切らせないよ!
(右手に刀、左手に杖の変則二刀流で迎撃、隙あらば店内ないし敷地から排除しようと)
「私のおやつを狙う、泥棒はきさまかー!」
大怪我をした妖狐を店員に任せ、右手に刀、左手に杖の変則二刀流で庭に飛び出してきた紗希は問答無用で鎧武者に斬りかかった。
「泥棒だと、この我が!?」
「そーだよ! 私のおやつを横取りするような不埒者は許さないよ!」
怒り心頭でも、火事を起こさないようにするためか鎧武者が持つ炎を纏った太刀を叩き落とすべく、手や腕を集中的に攻撃してくる紗希に鎧武者は苛立ちながら叫んだ。
「貴様の菓子など知るものか! 我はここに隠されている5つの宝をいただきにきたのだ!」
「え、そうなの?」
勘違いであることが分かったからか、紗希の攻勢が鈍る。その隙をついて鎧武者は距離をとって一息ついた。
「ふん、そうとも。ここには火鼠の皮衣」
「あー、火鼠の皮衣? あれ個々は小さすぎて、服にしようとしても縫い糸が燃えて、結局使い物にならないよ?」
「龍の首の珠」
「龍の玉? 鉱物にしては硬いってだけで、魔力もないし金属に負けるよ?」
「燕の産んだ子安貝」
「子安貝?あれなんて、ただ『かいなし』って言わせるだけの小道具だよ?」
打てば返る鐘のように、鎧武者が意気揚々と諳んじる品々に異世界や学校の授業で学んだ知識を茶々で入れていく。しかし自分の世界に入り込んでいるのか、鎧武者は何の反応も示さない。
「蓬莱の玉の枝」
「玉の枝って……あんな成金趣味が好きなの? それとも取りに行くほど金欠なの?」
「仏の御石の鉢」
「……ちょっとは反応しなさいよ!」
完全にスルーされ続けたことに堪忍袋の尾が切れる。心なし大きくなった体格で殴りかかってきた紗希の杖を鎧武者は火が消えていた太刀で受け止めた。
「黙って聞くくらいの堪え性がないのか、女子よ!」
「るさい! こっちの話も聞け!」
杖が焦げる前に引っ込め、刀で斬りかかる。しかし鎧武者は一切身動ぎしなかった。
「良いこと教えてあげる、ここにあなたが探している品は一つもないよ!」
「はっ、そんな虚言信じると思うか! ここの主人は5つの宝があることを下の町で大々的に宣伝していたことの調べはついておる!」
防御から攻撃に回るため、力を込めて紗希の体を突き飛ばす。紗希は地面の上を滑りながら苛立ち混じりに叫んだ。
「だーかーら、それは料理の名前のことだよ! あなたに分かるように言うから偽物?」
「笑止! 木を隠すには森の中、本物を隠すには偽物の中、という算段だろう!」
お互いの意見を押し付けるだけの争いは平行線を辿ろうとしていた。
成功
🔵🔵🔴
ニノン・トラゲット(サポート)
『容赦なんてしませんから!』
『アレ、試してみちゃいますね!』
未知とロマンとお祭りごとを愛してやまない、アルダワ魔法学園のいち学生です。
学生かつ魔法使いではありますが、どちらかと言えば猪突猛進でちょっと脳筋っぽいタイプ、「まとめてぶっ飛ばせばなんとかなります!」の心で広範囲への攻撃魔法を好んでぶっ放します。
一人称はひらがな表記の「わたし」、口調は誰に対しても「です、ます、ですよね?」といった感じのあまり堅苦しくない丁寧語です。
基本的にはいつも前向きで、ネガティブなことやセンチメンタルっぽいことはあまり口にしません。
その他の部分はマスターさんにお任せします!
外の喧騒をよそに、竹取物語の読解書を閉じたニノン・トラゲット(ケットシーの精霊術士・f02473)はふーっと息を吐いた。
「確かにどの品も、一度はお目にかかりたい物ですね」
仏陀が初めて悟りを完成させた時、四天王が仏に奉り、他の者では持ち上げることすら出来なかった石鉢。
不老不死の地とされる霊山にあるという、銀の根、黄金の茎、白き玉の実を持つ植物の枝。
火にくべても決して燃えず、汚れだけが焼け落ちて炎の中で輝きを放つ皮衣。
九重の淵にいる竜の首にかかる、五色に光る千金の珠。
安産の御守りとして、燕が巣の中に隠し持つ子安貝。
未知とロマンを愛してやまないニノンに、まだ見ぬお宝を追い求めたくなる気持ちは理解できる。
「ですが……無関係な人を巻き込むのは間違っていると思います!」
だがこの鎧武者は妖狐達を傷つけながら無理矢理、よく似た名前の品を提供しているだけの食事処を襲わせた。到底許されることではない。
「お宝探しは自己責任、かつ他人に迷惑をかけないこと! それが分かっていないあなたに振り向いてくれる女の子などいませんよ!」
「黙れ、彼の者は宝さえ差し出せば我が妃になると申したのだ! あの極上の女体は我が戴く! いけ、我が私兵よ! 邪魔立てする者は全員切り捨ててかまわん!」
その言葉に、鎧武者が通ってきた後を埋め尽くすように進軍してきていた大量の武士の霊が反応する。
彼らは弓矢を構える者と刀片手に突入する者とで分かれ、ここら一帯を焼き尽くすつもりなのかそれぞれ得物に炎を灯そうとしていた。
「そうですか。なら……」
ロマンもへったくれもない、欲望100%の雄叫びに眉を顰めたニノンはゆっくりと指を空へ突き上げる。
「あの世で天使さんとかによしよしでもしてもらっていればいいですよ」
そして勢いよく鎧武者に向けると太陽が煌めいて、わざわざ別行動をとった武士達を嘲笑うかのごとくその体を太い光線がまとめて飲み込んだ。
「がああああああっ!?」
突然視界を塗り潰した光と同時に襲いかかる熱と破魔の力が鎧武者達の体を蝕む。
「……中々溶けませんね」
お供の体は早々に消えたのに対して想いがよっぽど根深いのか、光の柱の中心でいつまで経っても体の形を崩さない鎧武者の姿を見て、ニノンは攻撃を取りやめる。
光の拘束から解放された鎧武者は荒く息を吐きながら、その場に片膝をついた。
成功
🔵🔵🔴
火土金水・明
「やれやれ、他人に迷惑を掛ける存在は倒さないといけませんね。」「しかし、どの品物を手に入れようとしているのかが気になりますね。」
【WIZ】で攻撃です。
攻撃は、【高速詠唱】で【破魔】と【継続ダメージ】と【鎧無視攻撃】を付け【フェイント】を絡めた【全力魔法】の【コキュートス・ブリザード】を【範囲攻撃】にして、『戦狂・災火の将』と召喚された者たちを纏めて【2回攻撃】します。相手の攻撃に関しては【見切り】【残像】【オーラ防御】【火炎耐性】で、ダメージの軽減を試みます。
「(攻撃を回避したら)残念、それは残像です。」「少しでもダメージを与えて次の方に。」
アドリブや他の方との絡み等はお任せします。
紬雁・紅葉
まぁ…無粋な殿方
羅刹紋を顕わに戦笑み
真の姿開放、先制UC最大範囲発動
クイックドロウで羅刹紋より都牟刈を顕現
雲闇に紛れ残像忍び足で正面からゆるゆると接敵
射程に入り次第破魔水属性衝撃波を以て回数に任せ範囲を薙ぎ払う
敵の攻撃は躱せるか見切り
躱せるなら残像などで躱し
さもなくば破魔衝撃波オーラ防御武器受け等で防ぐ
窮地の仲間は積極的にかばう
見識の狭い御方
乙女心も見えますまい
現れた殿が好ましきなら
そも貢物など求めませぬ
無理難題を示されたなら
それは疎まれている証左
闇に乗じ周囲を廻り言弄
こちらに斬りつけるを受け
カウンター破魔雷属性衝撃波を以て斬る
門前、去り罷りませ
※アドリブ、緊急連携、とっさの絡み、大歓迎です※
鎧武者の戯言を不愉快に思えど、それを表情や動きには出さずに紅葉は笑顔を保っていた。
「お宝を持って来さえすればかぐや姫が我が物になるなんて、まぁ……なんて無粋な殿方」
自分の体に刻まれた印に手を添えると、そこから黒曜石で出来ているように見える古風な拵の剣が浮かび上がってくる。
その柄をしっかり握りしめると一気に引き抜きながら紅葉は目を見開いた。
『参れ八龍!我が雲を龍の巣と成せ!!』
紅葉の体を青白い雲が覆い隠すと同時に先程まで照っていた空模様が崩れて、段々と暗くなる。
そしてあっという間に地面を叩くような大粒の雨が勢いよく降り出した。
「これでよし……と」
そんな雨音を背に最後の妖狐が眠りにつき、痛々しい傷痕が塞がり始めたのを見て、立ち膝をついていた火土金水・明(夜闇のウィザード・f01561)がようやく立ち上がる。その耳にも鎧武者の主張はしっかりと聞こえてきていた。
「しかし、かぐや姫を手に出来るなら持って来る宝は何でもいいとか……やれやれ、他人に迷惑を掛ける存在は倒さないといけませんね」
視線を庭の方に向ければ、紅葉が暗闇に紛れた忍び足で鎧武者に接敵してから、破魔と水の力を込めた衝撃波を何度も放って鎧武者とその周囲に陣取る武士達を薙ぎ払っている。
鎧武者も負けじと炎の太刀を振るっていたが、緩やかに見えてその実は洗練された避け方を身につけている紅葉の体を中々捉え切れない。
縦でダメなら横薙ぎに、と攻め方を変えてもその迷いに乗じて突き飛ばされて地面を転がされていく。
そんな中、紅葉の死角を突くように現れた武士達が静かに火がついた矢を弓につがえ、引こうとしていた。その曲者の姿を認めた明は言葉を紡ぐ。
『我、求めるは、冷たき力。』
武士にとっては前触れもないほどの速さで放たれた氷の矢が胸を貫き、痙攣するその手から弓矢を落とさせる。土の上に落ちた炎は空から降り注ぐ雨によって作られた水溜りに落ち、周囲に燃え移る前に消えた。
さらに氷の矢は紅葉と鎧武者のいる鶏にも飛んでいた。
足を払われたことで宙に浮かばされた鎧武者の体を水の衝撃波が矢を巻き込んだことによって凍り、その体を拘束するオブジェへと変貌する。
「見識の狭い御方、乙女心も見えますまい」
太刀に炎を宿すことで、溶かして逃れようと鎧武者は足掻くが、溶かされた箇所からまた凍り出して元の木阿弥と化している。そんな情け無い様を紅葉は見下した。
「現れた殿が好ましきならそも貢物など求めませぬ。無理難題を示されたならそれは疎まれている証左……」
「ふ、ふざけたことを! そもそも断るのであればわざわざ敷居を跨がさなければ良いだけの話! だが姫はそれを許した! つまり気があるということ」
「敷居を跨がせなければいつまで経ってもつきまとってくると思ったからでしょう。同じようなことをしてただ断るだけしかしなかった故に殺される方もいらっしゃいますが、実現不可能な対価を求め、それが了承されれば『それが出来ない限り体を許すつもりはない』と言う大義名分が出来る」
嘆息しながら縁側から降り、歩いて来た明を鎧武者が氷の隙間から睨みつける。
「そして、あなたのような位の高い相手は世間体を考えて無茶な願い事でも絶対に断りはしないだろうと踏んだのでしょう。……そもそもかぐや姫も相手が格上の相手で無ければあなたのような暴力的な殿方はとっととお帰りいただきたかったと思いますよ?」
「女子が……我が手出ししないからと好き勝手申しおって! 舐めるな!」
怒りによって勢いを増した炎が氷の拘束を一気に昇華させ、明に向けて斬りかかる。しかし炎を纏った太刀筋は何の手応えも無く地面を叩いた。
「残念、それは残像です」
太刀のすぐ真横にいた明が自分の口に人差し指を当てながらウインクをし、離れていく。憤怒の眼差しを向けて追撃しようと刃を地面から離した鎧武者の背中から、よく通る声が聞こえた。
「門前、去り罷りませ」
咄嗟に振り返って向けられた刃を跳ね上げ、丸見えになった胴体に向け、身に纏う雲から流れ込んだ雷を帯びた剣が振るわれる。
帷子を繋ぐ紐が切れ落ち、そこから大量の血が噴き出す。同時に濡れた体中を走る高圧の電流が鎧武者の命の炎を震わせ、無理矢理消し飛ばした。
「あ……あ……」
黒焦げにならずとも、その軌道から覗いた心傷をざわつかせる視線に声にならない声をあげた鎧武者がその身を崩しながら水溜まりに沈む。
紅葉が血を払ってから印に剣を戻していると、厚い雲の間から日の光が戻り始める。
「竹取物語は雅な読み物ですが、男の思い込みによる執着はどこでも醜悪な物ですね」
虹がかかった空を、女将や従業員が店の中から顔を出して声を漏らす。それはまるで、この店の成功を願うような猟兵からの贈り物のようであった。
大成功
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