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賭けは1日1時間~アイランドコードKGW~

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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●Bet Yourself
 島民は1日1時間、遊興場にて賭博すべし。
 それは、いつの頃からかこの島を統べるオブリビオン――コンキスタドールである女賞金稼ぎ『コウガワ』が科した掟の1つであった。
 麻雀、ポーカー、ブラックジャック、ちんちろりん……ありとあらゆる賭け事が用意されたその場所で賭け金として用いられるのは各島民の資産。
「と、通らばリーチ……」
 卓の1つで動きが生じる。
 勝利を目指しての島民の動きには、しかしどうしようもない怯えが滲んでいた。
「ハッ、残念だがそれは通らねぇぜ」
 島民の1人がおずおずと差し出した麻雀牌に応え、ぱたりと手牌を倒すのは1卓ごとに1人ずつ配された粗野な格好をしたコンキスタドール。
「惜しかったなァ、アがれてたら助かったかもしれねぇのに」
「くそ、くそぉ……」
 コンキスタドールが告げる支払い点数に、しかし島民の持ち点は不足していた。
 箱割れでゲームが終わり、賭け金の清算が始まる。
 敗者の資産が次々と勝者の元へと集められ、それで足りぬ分を補填するのは。
「うぅん? 支払いが不足してるな……大変だなァ、むしられる側ってのは」
「やめろ、やめてくれ――」
「じゃあな」
 次の瞬間、血飛沫と共に島民の頭が床に転がった。

●掟を砕け
 グリードオーシャン世界地図の一角を指し、結は説明を始める。
「今回、私が君たちを送り出すのは元アポカリプスヘルと目される島だ」
 荒涼とした島には一面の小麦畑、計画的に配置された建造物は食品加工を目的とした工場でありコンキスタドールと現地民の双方を支える主食を生産しているという。
「まぁ、発電施設が無いから工場はほぼ人力。島民はそこで強制労働させられている」
 コンキスタドールの治める島ではよくあることだ。
「1つ、変わってるのはコンキスタドールが島民に1日1時間の賭博を強いていることかな。この掟に逆らえばもちろん死、賭博の最中に資産が尽きれば死」
 運よく賭博で勝ってオブリビオンから資産を奪い返しても、待っているのは更なる高レートの場への招待状だ。
「コンキスタドールたち自身が賭博を楽しんでいるからか、島民の減りはすごく遅いけど……それでも、放置できるような状況じゃない」
 言葉を区切り、結は転移先となる賭博場を示す。
「だからまずは、ここでコンキスタドールを相手に一芝居打ってほしい。賭け事で勝ちまくれば、痺れをきらしたコンキスタドールたちが仕掛けてくるはずだ」
 現地にあるのは麻雀、トランプ、サイコロの3種。
 それらを使う事のできるゲームなら猟兵側が指定するもので挑むことが出来る。
「最終目標はコンキスタドールの頭領、コウガワの撃破。よろしくね」
 説明を終え、結は改めて出撃する猟兵を募るのであった。


Reyo
 はじめましての方ははじめまして、そうでない方はいつもありがとうございます。
 今回は最近流行りのグリードオーシャンのとある島へと皆さんをお送りします。

 早速ですが本シナリオの補足です。

●各章について
・第1章:賭博場(冒険)
 島に点在する賭博場の1つに転移により乗り込み、現地の『掟』に従い勝負を挑みます。
 麻雀、トランプ、サイコロの3種が備えられており、それらを使うことのできるゲームであれば猟兵の指定するゲームでコンキスタドールに挑むことが出来ます。
 賭け金は金目のものや命などが最適です、勝てれば取られませんからね!

・第2章:ウールヴ戦士団(集団戦)
 猟兵が目立てば、コンキスタドールたちは実力行使に出るでしょう。
 この島を治める『コウガワ』を引きずり出すため、ぶちのめしてやりましょう。

・第3章:女賞金稼ぎ(ボス戦)
 この島を治める『コウガワ』という名のコンキスタドールです。
 好物はうどんだそうですが、特に戦闘には関係しません。

 以上です。
 皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 冒険 『賭博場』

POW   :    ハイリスク・ハイリターンの賭けを行う。

SPD   :    テクニックやイカサマで勝利を引き寄せる。

WIZ   :    計算やカウンティングで確率を読む。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

イデアール・モラクス
@
ほぅ、ここが新たな世界…果てなき海か…なかなか混沌としていて私好みじゃないか。
賭け勝負なら任せよ、我が魔術を使えば造作もない。

・トランプ勝負
今日の私は腹の淫紋を露わにした特注バニーガールスタイルだ、賭けの正装ならこれだろう?
「さぁ注目だ男ども、滾る賭け勝負の時間だぞ」
卓に足をかけ、下腹部を撫でる仕草でUC【淫魔のギアス】を発動し男達を魅了して賭けに乗せる。
「カード勝負だ、1度勝ったら私の尻でも胸でも触っていい、3連勝で私を好きに出来る…どうだ?」
煽って乗せたら後はゲームをしながら『多重詠唱・高速詠唱』を用いてイカサマを仕掛け勝つのみ…更に適度に負けて判断力を奪いながら掌の上で転がしてやろう。



●魔の賭博
 突如として開かれた賭博場のドアが軋んだ音を立てる。
「あァ? 誰だ……?」
 島民がドアを開ける動作にしては荒々しすぎ、しかしコンキスタドールである益荒男たちが力いっぱいドアを開けばこの程度では済まない。
 その事実が賭博場を預かるコンキスタドールに胡乱な声を上げさせたが、乗り込んで来た者の姿を見て誰何の問いかけは途切れた。
「なかなか私好みの混沌だな。ところで、嫌に静かだが……どうかしたか?」
 敵地へ乗り込んだ際の言葉にしては威風堂々が過ぎ、傲岸不遜ともいえる名乗りが賭博場を席巻した。
 だがその名乗りに答える声はなく、代わりに返るのは生唾を呑む音の連鎖である。
「さぁ、一勝負打たせてもらえるかな?」
 ほぼ全ての視線を独占するイデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)の姿はバニーガール、確かに賭博場にはうってつけの盛装であった。
 そう、少しでもズレれば乳房を支える任務を放棄しそうな胸の覆いに、紋章付きの下腹部をハナから隠そうとすらしない挑発的な深さのスリットを備えた特注バニー服を賭博場の正装と認めて良いのなら。
「チップは?」
「此処では身命も賭せるのだろう? この胸に尻、触りたくはないか? 私に3連勝したヤツとはベッドにも行ってやろう」
 辛うじて賭博場の主として威厳を保ったコンキスタドールの問いに、イデアールが挙げる代価は貞操。
 これでイデアールが十人並の女であれば鼻で笑われて終わりだったろう。
 しかし、イデアールの持つ生来の美貌はその提案を躊躇わせるのに十分なもの。
 さらに、そこに加わるのは魔女の十八番である魅惑の魔術。
 ユーベルコードの域へ到達したそれは、イデアールを悪魔的な色香で彩っている。
「――良いだろう。今からお前に俺たちの『形』を覚え込ませるのが楽しみだ」
 十重二十重に脚色された「女」という餌は見事にコンキスタドールを挑発し、下卑た笑みと共にイデアールを卓へと導いた。
「ゲームは……まぁ、無難にポーカーと行こうか」
 着席にはわざとらしい程の勢いがあり、イデアールの豊満な胸をゆさりと揺らした。
 対面したコンキスタドールが鼻の下を伸ばしながら口笛を吹き、同卓した島民たちもまたチラチラと視線を奪われている。
「さぁ……愉しもうじゃないか」
 ディーラーは島民も含めた持ち回り制、イカサマを仕込むには絶好のルール。
 イカサマを仕込みやすいディーラーが絶対的に有利な条件は、けれども万事を魔術で見通す魔女の前では無意味も同然。
 カードを偽装する幻影は配られた手札にまで及び、時としてカードそのものを作り出すという荒業まで披露し、イデアールは卓上でコンキスタドールを弄ぶのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

玉ノ井・狐狛

WIZ

よぅ、ジャマするぜぃ。

ちぃと現金を切らしちゃいるが、光りモノなら捌くのも手間じゃないだろ? 適当にチップに換えてくれ。
►パワーストーン▻取引

ゲームは……麻雀のテーブルに混ざろう。島民も含めて四人の卓がイイ。

島のルールのひとつ――“賭博の最中に資産が尽きれば死”。
これのせいで、こういう多人数での、つまり島民がふたり以上絡むゲームには、それぞれの島民に独特のプレッシャーがかかるハズだ。
それは打ち筋を歪める。だからこそ島民が不利じゃああるんだが。

同時に、“歪んだ打ち筋に慣れてしまった”のも弱点になり得る。

そこを突く。
島民の点も遠慮なく削る。先に賊どもをトばせば問題ないからな。
▻略奪



●歪みを狩る宝石
 じゃらり、という音の軽さとは正反対に、それらの輝きが持つ価値は高い。
「光りモノなら捌くのも手間じゃないだろう? テキトーにチップに換えてくれ……足りなければ『コレ』をそのまま賭けてもいいぜ?」
 麻雀卓の角に積み上げた中から玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)が軽い口調で摘まむのは、軽々と触れるにはいささか価値の過ぎるパワーストンの1つ。
 小山のように積まれたそれらは、一掴みもあれば数年は遊んで暮らせるだろう。
「勝負ごとに何粒か出しな。俺の方も同じくらいになるように金貨を積んでやるよ」
「おう、そういうルールかい」
 なら、と狐狛が3粒を積めばコンキスタドールもまた5枚の金貨で応じた。
「ああ、お前らはいつも通りでいいぞ? いや、もう命しか賭ける物が無かったか?」
 ゲラゲラと下品な笑い声を上げながらの声掛けは、コンキスタドールと狐狛の間に座った2人の島民へのもの。
 同卓した狐狛の持つ鉱石類を羨ましそうに見る目線には生への執着がありありと浮かんでいた。
「さぁて、洗牌を済ませたら手積みだ。気を付けて積んでくれよ、嬢ちゃん」
「言われなくとも。アンタこそ、いきなりトんでも文句は言うなよ」
 がらがらと独特な音を立て、4人分の掌で牌が洗われる。
 何度も使われて傷も入った牌は所謂ガン牌として申し分ないものだが、この場が初めての狐狛が利用するには何局分かは打つ必要がある。
 故に。
「(アタシが新参者だから、コンキスタドールは絶対狙ってくるだろうねぇ。けれど、だからこそ動きやすいってもんだよ)」
 狐狛が『視る』のはコンキスタドール本人ではなく、場の半数を成す島民。
 狐狛の想定通りであれば、資産が尽きれば死という理不尽な掟を科された島民たちには必然的に『生き残るための歪み』がある。
 東場が終わるまでの間、打ち手を『視る』ことに徹した狐狛が得たのは、島民たちは少しでも負けのリスクを減らすために己の手牌を小さく纏めがちであるという事。
 加えて、同士討ちのプレッシャーが不自然なまでに島民たちの打ち筋を歪めていた。
 そして、そういった特異な打ち筋から零れるのは『美味しい』牌たちだ。
「鳴いてばかりで済まないねぇ。その上安手だけれど、この局は貰ったよ」
「ぬぅ……」
 南場から動き出した狐狛の戦法は鳴きを多用しての速攻。
 上がる際にコンキスタドールも島民も区別しないその打ち方故に、島民から恨みがましい目線を受けても琥珀は止まることなく――。
「う、嘘だろ……?」
「現実を認めなよ。ほら、次だ」
 積み上げた8本場で見事にコンキスタドールをハコ下へと突き落とした。
 金貨の小山が狐狛の前に出来上がるのに、そう長い時間は必要なさそうだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
麻雀で行ってみましょうか。
とはいっても、私は別に強いわけでも詳しいわけでもなく、大まかなルールを知っている程度。
ですから牌捌きも拙く、私の手の内など簡単に読まれてしまうでしょう。

……ふふ、だからいいのです。
あら、私の捨て牌でロンですか?……本当に?本当にそれでいいのですか?
ではあなたのチョンボです。ふふ、それではアガリ形が完成していませんよ。
種明かしは私のUC。因果律を改変して捨て牌を変えたのです。

今度は仲間同士で通しのイカサマを使う気ですか?
でも無駄ですよ。同じく因果律改変により……
あら、私、配牌時点でもう上がっていますね、しかも字牌だらけ。
天和・字一色・四暗刻、でいいのでしたっけ?ふふ…。



●因果を捻じ曲げる打牌
 2人の島民が安堵の表情と共に座席を立つ。
 掟に定められた『1日1時間』を生き延び、参加中のゲームに区切りが着いたことで彼らの苦役が終わったのだ。
「クソ、お前さえ来なければアイツらをかっぱげてたのによォ!」
 何をしやがった、とコンキスタドールが睨みつけるのは荒んだ賭博場に似合わない瀟洒な装いをした黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)だ。
「これは異なことを。私はただ麻雀を打っているだけ。あなた方の運命を嘲弄しているのは、他でもない136枚の牌たちです」
 涼やかに笑い、コンキスタドールの視線を受け流す魅夜。
 魅夜の言う通り、彼女自身は特に麻雀に秀でているわけではない。
 では、何がコンキスタドールを負けさせたのかというと。
「あなた方は私ではなく……麻雀らしく言えば『死神牌』に負けたのです」
「減らず口を……!」
 死神札、改め死神牌。
 魅夜のユーベルコードの付加された麻雀牌は、魅夜の敵を弄ぶ存在だ。
 先の対局でコンキスタドールの手牌は乱れに乱れ、鳴き上がりを試みた際には『捨て牌の過去』を歪められてチョンボを押し付けられている。
 自信満々で手牌を倒した後に魅夜にチョンボを指摘され、コンキスタドールは怒髪天を突く怒りに呼吸困難を起こしたほどだ。
「だが、だとしてもだ。おい、頼むぞ!」
「任せろよ兄弟。この女の尻の毛まで毟ってやるよ」
「死神牌だか何だか知らねぇが、要はお前に上がらせなきゃいいんだろう?」
 抜けた島民の代わりに席に着くのは2人のコンキスタドール。
 じゃらじゃらと洗牌を始める彼らは目配せを欠かさず、この時点で何らかのイカサマを仕込み始めていることを隠そうともしない。
「あら、今度はお仲間同士でイカサマを使うおつもりですか?」
「はっ、だとしたら? それを指摘したところで止める奴なんざこの場に居ないぜ」
 使い込まれて傷の付いた麻雀牌だ、長くにわたってこの賭博場を仕切っているコンキスタドールたちにとって特定の牌を纏めて積む程度訳もない。
「さぁ、親決めだ。もちろんダイスを振るのは俺。一局目でハコ割れさせてやるよ」
「ええ、やれるものなら」
「んだと、このクソアマァ!」
 魅夜の挑発とすら言えない一言にすらこの過剰反応、先の対局で手も足も出なかったことを相当腹に据えかねているらしい。
 しかし、ダイスロールとは如何に技術があろうと『運』が絡む。
 少しでも因果へ介入できる機会があるのなら、そこはもう魅夜の独壇場だ。
「テメェ、この大事な局面でなんて出目出してやがる!?」
「ち、違う! 俺はいつも通り、きちんと振ったぜ兄弟!?」
 喚きたてるコンキスタドールたちを後目に、魅夜はそそくさと配牌を整える。
 そして。
「あら……配牌時点で上がっていますね。しかも字牌だらけ」
 コンキスタドールが仕込んだ天和、字一色、四暗刻のトリプル役満をかっさらい、魅夜は鈴の鳴るような声で笑うのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィオナ・ウンベカント
困った事に記憶もないけど手持ちもない
そんなぼくが賭けられるものはこの命だけだ、不足はないだろ?
ついでにナントカ院の魂も賭けよう
…おいおい、こっちは命を賭けたのにそっちはそれっぽっちかい?
どうやら股間にぶら下げてるみっともないものは飾りのようだね?
などと煽って乗り気にさせ、向こうにも高額を賭けさせよう

勝負はサイコロを使ったハイローでどうかな?
サイコロはそちらの用意したものでいいし、投げるのもぼくでなくてかまわないよ

相手が何をしようとも、ぼくの予想は全て的中する
何故なら投げられた賽をサイコキネシスで望みの出目になるように動かすからだ

もう賭けられるものがない?
じゃあここの島民の自由を貰おうか



●Memory of Life
 コンキスタドールの対面には少女。
 島民を介さない猟兵とコンキスタドールの直接対決、卓上に置かれたのはサイコロを振るための壺と落下防止の薄い皿。
 サイコロを用いる賭け事といえばちんちろりんが代表的だが。
「ハイローか……珍しいゲームを指定するもんだな」
 ハイロー、己の一投が相手の出目より大きいか小さいかを宣言しながら交互にダイスロールを行い宣言が外れた側が負けとなる単純なゲームだ。
「ゲームの指定は受けてくれるんだろう?」
 予想外なゲーム指定に顎をさすりながら呟いたコンキスタドールに少女――フィオナ・ウンベカント(アンノウン・f21922)はどこか挑発的に返す。
「手持ちがなくても勝負は受けてくれると聞いている。それとも、ぼくの命に見合うだけの賭け金はお持ちではないかな、コンキスタドール」
「……なんだと?」
「その股間にぶら下がってるものは飾りかって言い換えてもいい。命1つ分の財宝すら持っていないのかい、根性なしのコンキスタドール?」
 畳みかける言葉はコンキスタドールの逆鱗を丁寧に撫で上げた。
 略奪により財を貯えるコンキスタドールに、その言葉は魂の侮辱に等しく。
「5本外せば負け。お前の命、俺の財全てで押し潰してやろう」
 低く威圧する声と共にコンキスタドールが懐から取り出すのは金貨袋。
 それも、無造作に積み上げられていく数は片手に納まらない。
「そう、ようやくやる気になってくれたみたいだね」
 じゃあ、とフィオナは積み上げられた金貨に気負う様子もなくサイコロを振る。
 からから、という軽い音を立て皿の上でくるくると回った3つの立方体が10という数字を弾き出した。
 おおよそ平均値、上にも下にもほぼ等確率の振れ幅を持つその数字はハイロー勝負では純粋な運否天賦を問う魔の数字となる。
「さぁ、そっちの番だ」
「――ハイだ」
 フィオナが促せば少しの沈黙を挟んでコンキスタドールが賽を投げる。
 だが、コンキスタドールの一投が弾き出す数字は9、ただ1の差とはいえローの結果はコンキスタドールに1つ目の負けを刻んだ。
「じゃあ、ぼくの番だけれど……ロー」
「はっ、そっちは負けやすい数字だぜ?」
「いや、これで構わないんだ」
 確率に殉じるのであればコンキスタドールの言う通りハイが正しい。
 だが、サイコロが示すのは6、フィオナに負けは刻まれない。
「さぁ、続けようか。ぼくはこの勝負、一本も外すつもりはないよ」
「ぐっ……」
 フィオナの瞳が妖しく輝く。
 それはフィオナの異能、ユーベルコードへと昇華されたサイコキネシスの煌めき。
 不可視の力は宣言通りにコンキスタドールに一方的な負けを押し付け続け。
「さぁ、君の財は全てぼくのもの……そうだね、次は島民の自由を賭けてもらおうか」
 コンキスタドールから奪った金貨を種銭に、フィオナの賭けは次のステージを迎えた。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルミィ・キングフィッシャー
【徒花】伽と

久しぶりにめかし込んでいくかね
ドレスとか着るのはいつぶりだつたっけ
もちろん長手袋も忘れずに
これみよがしに相手の前で『うっかり』落とそう
拾われたらこう言うんだ
「今日は賭けるものがなくなるまでたのしみましょう」

さあアタシの打ち筋だけど、先ずは場の癖を読む所かね
伽の奴はほっとくとして、残る二人
島民の方はビビりでリスクを取らなさすぎて追い詰められれば自暴自棄にでるだろう
で、コンキスタドールは舌なめずりして大きいのを狙いそうか

なら、速上がりで役を作っていこう
あと鳴く時はコンキスタドールから優先的に

「ところであなたの賭けたものはなんでしたかしら?」

サマ噛まさないだけありがたいと思って欲しいね


九泉・伽
【徒花】アルミィと同卓
*麻雀
常に煙草
リーチなし鳴き控えめで跳満以上を組み狩り取る
流れが悪いならドールの安牌集めテンパイ気配でベタおり、ただしアルミィ島民への差し込み優先
流局時は必ずノーテン申告で打ち方隠匿

ドールを負け沼に嵌めるのが理想だけどそう簡単でもないでしょ
勝ち目ないなら島民をカモってラスを背負わせて負け分は肩代わりを申し出る
「まだまだ点棒あるからさ、遊んでよー」
(島民へ)「煙草頂戴。それでチャラ」
これは仕込み
島民も味方に絡め取って3対1のゲーム盤を作り上げる
勝ち役はついてる人で、俺は押し上げでもOK
ドールと待ち牌をお揃いにして頭ハネで虐めんのもいいね
「冷静さ失ったらこの遊びお仕舞いよ?」



●コンビ打ち
 アルミィ・キングフィッシャー(「ネフライト」・f02059)が麻雀卓の端に置いた長手袋は、コンキスタドールの手で無遠慮に摘まみ上げられていた。
「おいおい、まさかこれが賭け金って訳じゃあないだろうな」
「まさか。どうぞお気遣いなく、賭けるものが無くなるまで楽しみましょう」
 ひらひらと振られる長手袋を見て意味深な笑みを浮かべつつ、盛装に相応しい言葉遣いで返すアルミィ。
「金目のモノならそれなりに用意してきたさ。2人分ある」
 ころころとお嬢様然として振る舞うアルミィに代わり、トランクケースに適当に詰め込んだ貴金属類を見せるのは九泉・伽(Pray to my God・f11786)だ。
「ほぉん、チップには十分だな」
 見せ金を十分として、コンキスタドールは2人に着席を促す。
 続いて、雑な呼び付けで卓に引き入れられたのは1人の島民。
 じゃらりじゃらりと手洗いで山を積み、賽が示したコンキスタドールの親から東場が始まり、アルミィ、島民の並びでラス親は伽。
 場の流れを読むことから始めたアルミィを伽がサポートする形で局が進み、生き延びることを最優先する島民と隙あらば点棒略奪のために大きな手を狙うコンキスタドールの間で点差が開き始める。
「それ、ロンです」
「おや、当たっちまったか」
 だが、島民は一方的に沈んでいるわけでもなく代わりに4位へと落ち込むのは伽だ。
 島民が原点付近を保つよう適宜に差し込みながら場を回し、しかしコンキスタドールに対しては一切甘い牌を漏らさない打ち方は見る者が見れば舌を巻く高精度さ。
「おっと、それはアタシの上がり牌だよコンキスタドール」
「ふん、安手で満足するとはな」
 対して島民とコンキスタドールの打ち方を把握したアルミィは鳴きを絡めた速攻へと切り替え、少しずつコンキスタドールとの点差を縮めていく。
 コンキスタドールの大物狙いと島民の独特な臆病加減の隙を突いた戦略は南2局で連荘を呼び込み、アルミィを数百点の差で1位へと伸し上げた。
「ちっ……」
「あら、舌打ちなんてなさって。もうちょっと、楽しんでは如何かしら?」
 くすり、と笑うアルミィ。
 対して、新参者に抜かれたコンキスタドールはこれ見よがしに舌打ちを漏らし不機嫌を隠そうとせず――。
「んぐっ……!?」
「どうかいたしまして?」
「な、んでもねぇよ」
 ズキリと、唐突な痛みを得てコンキスタドールの表情が歪んだ。
「(アタシがこれ見よがしに置いた長手袋に触れた時点で、もう策の内さ。楽しまなければその痛みはどんどん強くなる……サマ噛まさないだけ有情だと思いな)」
 一方、猫を被ったままアルミィは内心でしてやったりと笑う。
 わざわざ選んだ盛装に長手袋、一目見て判る程上等なそれらはユーベルコードの発動条件を満たすための仕込みだ。
 わざとらしい罠を仕掛けることも考慮に入れていただけに、デュエリストロウを自然な会話に仕込めた事はアルミィにとって望外の成果であった。
「何でもないのでしたら、続けましょうか……楽しい楽しい賭け事を」
「おう、決まってらぁ」
 一瞬の痛みをまさかアルミィのユーベルコードだと看破できる筈もなく。
 続く南2局3本場では慎重になったコンキスタドールが流れを読み切ったこともありアルミィとコンキスタドールの2人がテンパイで流局。
「ノーテン、です」
「俺もノーテンだ」
 島民はベタオリノーテン、それを追うようにして伽も己の手牌を伏せてノーテンを宣言……実際はテンパイしている手牌を晒さないことにより、徹底的に情報を隠匿していく。
 島民の親は伽に差し込まれたアルミィが安手でさらりと流し、けれども原点付近で3位をキープしている島民は安堵の表情で溜息を漏らしていた。
 3位原点付近であれば順位ウマを含めても大したマイナスにはならないからだ。
「さて、オーラスだけど……」
 この時点で1位アルミィと2位コンキスタドールの点差は2000点。
 主に伽がアルミィとコンキスタドールに吸われている形であったが、それでも伽がコンキスタドールに満貫以上直撃で2位と4位は入れ替わる。
「そういえばさぁ、負け分の肩代わりは認められてるの?」
「妙なことを聞くな……構わんが、他人の負けは倍付だ」
 理牌しながらの伽の問いに、コンキスタドールは訝しげな声音で応える。
 島民同士が庇い合うのならともかく、十分な共同資金を持つ伽とアルミィが『負けの肩代わりをする相手』に見当がつかないのだろう。
「そりゃあ良かった。すぐに終わっちゃ興覚めだからさ」
 オーラス、親の第一打で牌が曲がる。
 力強く打たれた牌に続き雑に投げられたリー棒の音はやけに大きく響いた。
「ダブルリーチ」
「なっ……!?」
 アルミィと比べれば鳴かず飛ばずであった伽から転がり出たまさかの一手にコンキスタドールが絶句し、島民が場の点数を改めて蒼白になる。
「俺は遊びに来たんだ。日和ってつまらないゲームにはしないでよ?」
 新しい煙草に火を付けつつ、心底面白いといった口調を装い伽が眺めるのは目を白黒させているコンキスタドール。
 情報のない1手目を捌くにはセンスと勘だけが頼り。
 迂闊な打牌は直撃の引き金となりかねず、かといって手牌を崩しながら打てばノーテンだ。
 コンキスタドールの捨て牌を追えばそれなりに安全なアルミィと島民に比べ、手番ごとに安全牌を模索せなばならないプレッシャーは莫大なものだ。
 しかし、そこは練度の差。
 巡目ごとに増えていく伽の捨て牌から安全牌を切り続けるコンキスタドールに対し、島民はツモ運も悪く伽の当たり牌を掴まされ放銃した。
 結果として跳ねた伽は1位まで浮上するも、島民は4位へ。
 順位ウマと合わせ、島民の負け分は命へと及んだが――。
「別に、彼の負け分を俺が買ってもいいんでしょ?」
 斧を取り出したコンキスタドールを制し、伽が卓上に積むのは貴金属類の小山。
「煙草ちょうだい、それでチャラ」
 肩代わりの代価に煙草を求められ、島民は茫然とした表情で手巻き煙草を差し出す。
「はっ、たまたま上がれたからっていい気になるなよ小僧が……」
「何を怒ってるのさ、コンキスタドール。冷静さを失ったらお仕舞よ、このゲームは」
 ずきりと痛む頭を抑えながら怒鳴るコンキスタドールをへらへらと受け流す伽。
 そして始まった2ゲーム目は島民が猟兵側についての3対1となり、コンキスタドールの点棒が徹底的に刈り取られるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『ウールヴ戦士団』

POW   :    ウールヴヘジンそのもの
【発狂し、超瞬発力を持つ獣そのもの】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD   :    狼の咆哮
演説や説得を行い、同意した全ての対象(非戦闘員も含む)に、対象の戦闘力を増加する【視認した者を恐慌に陥らせる眼光】を与える。
WIZ   :    アースガルドの信者達
【信仰心】【獣の血】【自らの獲物に毒または属性攻撃を付与する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。

イラスト:ゆりちかお

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

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 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●恐喝の時間
 賭博場のドアが跳ね飛ぶ。
 コンキスタドールに蹴破られたドアはへしゃげて賭博場の中央に転がり、島民たちを震え上がらせた。
「……ウチの子分どもが、随分と世話になったみたいじゃないかイェーガー」
 威圧的な靴音を引き連れて賭博場に踏み込むのは1人の女海賊と彼女に率いられた十数人もの戦士たち。
 獰猛な笑みを浮かべた女海賊の名はコウガワ、この島を治めるコンキスタドールだ。
「遊びに来た程度なら身包みはがして放り出す程度で済ませてやろうと思ってたが」
 じろり、とコウガワが睨む先には猟兵たちの手で素寒貧になるまで財を巻き上げられたコウガワの手下たちの姿。
「お、親方ァ!」
「テメェらの始末は後回しだ。まずは、オイタの過ぎる猟兵どもを狩ってからだよ」
 その一言を引き金に、戦士たちが一斉に武器を抜く。
「アンタらの所為でうどんが伸びちまう、生きて帰れると思わないことだねぇ!」
 コウガワにけしかけられ、戦士たちは奪われた財を力尽くで奪還するべく咆える。
 悲鳴を上げながら賭博場から逃げ出す島民に見向きもしないことからコンキスタドールたちの怒り具合が見て取れるだろう。

 遊戯の場であった賭博場は一瞬にして力のぶつかり合う戦場へと変じた。
 ここより問われるのは、賭博ではなく戦いの腕前だ。
サジー・パルザン
ちまちました賭け事なんぞ、ヴァイキングに似合わねえ。ようやく見つけたぞ、ウールヴ戦士団よ。オーディンの加護も得られずメガリスの亡霊となり下がったか?

張り倒してやるぜ。お前たちの腐った目に俺達の生き方を覚えて貰う。
出ろ、野郎ども!その獲物で奴等を切り刻んでやれ!

奴らは獣となる特殊能力を持ってるな。俺達「熊の化身」であるバーサーカーと違ってウールヴヘジンは「狼の化身」だ。だからこそ、動きはそれなりに単純だ。

いけ、野郎ども。相手の口を狙え!噛みついてくるのも厭わないはずだ。
俺もルーンアックスを投げて相手の動きを鈍らせるぜ。凍結しやがれ!

凍結したか?このクリムゾンウルバードで叩ききり、昇華させてやる!



●氷焔のベルセルク
 鬨の声を上げる戦士たちを頭上から強襲する影がある。
「オーディンの加護もなく、メガリスの亡霊となり下がったかウールヴ戦士団!」
「テメェ、ヨームのっ!」
 大振りに振りかぶられた斧の一撃が大地を割り、数人の戦士たちを釘付けにした。
 地面にめり込んだ片刃斧を、その深さからすれば随分軽い動きで構えなおしたのは海賊然とした1人の偉丈夫……サジー・パルザン(ヴァイキングの生き様・f12550)である。
「ヴァイキングに似合わねぇちまちました賭け事なんざしてるから、ヴァルハラからも見放される! 腐ったお前らが、まさかヨーム戦士団の名を覚えてるとはなぁ!」
「ヴァイキングが、ライバルを忘れるものか!」
 その因縁はいつからか。
 サジーが胸中に抱くのは、かつての好敵手が堕落したことへの失望と探し求めた宿敵と遭遇したことへの歓喜が半々。
 戦士たちもまたサジーに対して並々ならぬ敵意と戦意を漲らせていた。
「ヨームの連中はいねぇみてぇだなぁ! お前ひとりで何が出来る!」
 サジーが単身なことに付け込み、戦士たちが一斉に躍りかかる。
 応という遠吠えにも似た一声で戦士たちが纏うのは狼の力。
 見る者を否応なしに竦ませるその眼力を受けて、しかしサジーは一歩も引かず。
「お前たちに俺の、俺たちの生き方を刻む!」
 応酬の怒声と共にサジーに並ぶのは何十ものヴァイキング。
 一瞬の後に合一しヴァイキングヘルムに刻まれた数字は9が4人に11が2人。
 剣と盾を携えた9のヴァイキングが戦士たちの斧を受け止め、サジーと横並びになった11のヴァイキングが牽制として大斧を振るい間合いを取り直した。
「なァ!? どこから……!?」
「バーサーカーは常に俺と共にある、熊の化身の剛力を味わえ!」
 一瞬にして数の優位が覆され焦る戦士たちへ、サジーとヴァイキングたちの反撃が次々と突き刺さる。
「野郎ども、口を狙え! 噛みついてくるところを、そのまま切り裂いてやれ!」
「押忍!」
 ウールヴ戦士団と比べるまでもないサジーたちの緻密な連携攻撃に、優位を失った戦士たちは仕切りなおすべく間合いを離そうと動くが――。
「クソ、立て直せェ!」
「させるか!」
 サジーの投擲したフィヨルドのルーンアックスが戦士たちを凍てつかせ逃がさない。
「緒戦はこれで貰う――燃えろ、クリムゾンウルバード!」
 追撃の一閃は片手で振るわれた焔の剣。
 凍てついた戦士たちは燃え盛る剣で一瞬にして昇華・蒸発し、サジーは宣言通り戦の始まりに猟兵の優位を呼び込むのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フィオナ・ウンベカント
やれやれ、ちょっと負けが込んだからって暴力に訴えるのかい?
こっちは「真っ当に」ルールを守っているというのに、
それを決めた側が破ってちゃあ世話がないね

まあいいや、ここからは新しいルールに則り勝負しようじゃないか
ちなみに麺類ならぼくはスパゲティ推しだ

それにしてもこの剣幕、君たちはまさに「烈火の如く」怒っているわけだ
もしくは後が無くなって「尻に火が点いた」状態かな?
……だけど気を付けた方がいい
あまり熱くなると、ほら、本当に燃えているじゃないか
まあ、それはぼくの【愚者の火】なんだけどね
未練も残らない程に、しっかり焼き尽くしてあげよう



●想念の炎
 青く燃え盛る鬼火が輪を描き、フィオナの周囲から戦士たちを排撃する。
「ちょこまかと、イカサマ小娘がっ!」
「やれやれ、何を根拠に? こっちは『真っ当に』ルールを守って遊んだだけだよ」
 自慢の髭を焼き焦がされ、怒り心頭に震えているのはハイローゲームで全財産を奪い尽くされたウールヴの戦士。
 戦士の『イカサマ』という指摘は間違いでもないのだが、フィオナの不可視かつ証拠も残さないサイコキネシスに対しては無力な言いがかりでしかない。
「それで、負けが込んだら暴力かい? 賭場のルールを胴元が破っちゃあ世話がないね」
 やれやれと溜め息を漏らすフィオナのしらばっくれ方も堂に入ったもの。
 あまりにも堂々としたフィオナの態度に戦士団はどちらの言い分を信じるべきか悩むほどで、フィオナの包囲網に加わりつつも手出しは散発的。
「よくもいけしゃあしゃあと喋る……アースガルドの神よ、我の真実に力を!」
 そして仲間からの信頼も薄いせいで余計に自棄になり暴れ回る戦士。
 獣の血を塗られた斧が燃え上がる刃と化しフィオナを目指すが――。
「まぁいいや、それが新しいルールならそれに則るだけ」
 青の鬼火、フィオナのパイロキネシスにより生み出された巨大な炎弾が斧を横殴りに強打し斬撃を歪めた。
 燃え盛る青はそのまま斧に纏わりつき、持ち主である戦士の掌をじりじりと焦がす。
「ぐっ……この程度ォ!」
「まったく、すごい剣幕だね。まさに『烈火の如く』怒っているのかな?」
「だとしたら、何だ!」
 肉の焦げる音を立てながらも得物を離そうとしない戦士にフィオナは肩を竦める。
 対する戦士はフィオナの言葉を挑発と受け止めてかさらに怒気を強め、もうあと一言二言でも煽られれば憤死しそうな勢いで斧を振りかぶり……しかし。
「あまり熱くならない方がいい。ほら、今のキミみたいに『尻に火が点く』から」
「なに、をっ!?」
 轟、という空気が弾ける音は唐突に。
 フィオナの瞳が妖しく輝くと同時に、語る言葉の通りに火の手が上がる。
 文字通り戦士の臀部から燃え上がる色は青、フィオナの瞳と言葉に従ったパイロキネシスが引き起こすは決して消えぬ念力の鬼火。
「安心するといい。キミの怒りも未練もぼくのイグニス・ファトゥスが何一つ残さずしっかり焼き尽くしてあげよう」
「ぬぉおぉぉぉ!!」
 下半身から立ち上った炎は一瞬で戦士の身体を覆い、灰と化した四肢は大地を踏みしめることも斧を構え続けることも叶わず崩れ落ちた。
「――さぁ、次の愚者は誰だい?」
 並ぶ蒼炎は40近く。
 次なる相手を求め、フィオナは首をかしげるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

玉ノ井・狐狛


信仰心? 血の供物? 毒の仕込み?
結構、結構。どこの国でも似たようなコトをするもんだが、それは相応に有効ってコトでもあらァな。

そういうバフは、使うまえに潰すのが定跡じゃァあるが。
短気なおたくらのボスとは違って、アタシは余裕があるんでな。準備が終わるまで待ってやってもいいぜ?

と、▻挑発して、たんまりバフるように誘導。
連中のおめかしが終わったら、そこで◈UC――結界を張ろう。
▻カウンター

えぇと、なんだっけな?
攻撃力や防御力が下がるんだったか?
そりゃ大変だなァ。よく見たら、毒(▻継続ダメージ)も受けてるみたいじゃねぇか。こんなところで遊んでないで、家に帰ることをオススメするぜ。



●天邪鬼、反転結界
 賭博ではなく戦により負けの帳尻を合わせようと殺気立つウールヴ戦士団に囲まれ、それでもなお狐狛は余裕を崩さず泰然としていた。
「おやおや、勝ったアタシから命を獲ろうとは……随分な仁義だねぇ」
「その余裕も、ここまでだ女狐!」
 一撃必殺で狐狛の首を落とすべく、狐狛を取り囲む戦士たちの身には十全な祝福が施されている。
 それは、戦士団たちの信仰心と獣の血を用いた鼓舞を狐狛が一切邪魔しなかったが故。
 最早、戦士たちの1人1人が容易くは止まらない重戦車と化しており、いくら手練れの猟兵であっても多数に囲まれれば逆転の目は無いように見えた。
「それで……来ないのかい?」
「ッ! 冥府でその言葉、後悔すると良い!」
 戦士たちを激発させたのはこの期に及んで余裕を見せつけた狐狛の挑発。
 数人の戦士たちが獣じみた野性の連携でそれぞれの得物を振りかぶり、琥珀の首を落とすべく猛進し――。
「まぁ、暴れなさんなよ」
 狐狛の力持つ言葉が全てを反転させた。
 ウールヴの戦士には突如として己の得物が重くなったように感じられただろう。
 振り慣れた鉄斧はまるで大木の幹に打ち込んだ時のように重く、加えて熱病に浮かされた時のように四肢は力を失う。
「おめかしは十分のようだねぇ? 信仰心に血の供物、どこの国でもありふれた有効な手段は、こうやって裏返らせるのも簡単なのさ」
 1人、また1人と倒れる戦士団の中心でニヤリと笑う狐狛。
「お前、一体、何を……」
「ゥん? ……何、アタシは短気なおたくらのボスとは違って余裕をもって準備をしただけさ。おたくらも目いっぱいめかしこんでくれたからね、時間はたっぷりあったさ」
 倒れた戦士を見下ろす狐狛の手の中で、弄ばれたパワーストーンが硬質な音を立てる。
 張り巡らされた結界の名は『虎の威を借る都落ち』……強化の祝福を弱化の呪いへと置き換える反転の封印術。
「言っただろう、ありふれた有効な手段は裏返すのも簡単だって」
「妖しげな、術をっ……!」
「そりゃ誉め言葉さ――おたくらも帳尻を合わせるのに斧を振りかぶったんだ、やり返された程度でヒンヒン咆えるんじゃあないよ」
 寸前まで戦士たちの全身に漲っていた力は狐狛によりその在り様を反転させられ、今となっては命を蝕む呪いと化していた。
 加えて、敵を害するべく斧の刃に込められた毒は反転して持ち主を苛み、ただでさえ呪いにより衰弱した戦士たちの魂を情け容赦なく磨り潰していく。
 倒れ伏した戦士の傍らにしゃがみ込み、その顔を覗き込む狐狛。
「おやおや、大変だねぇ。もう死んじまいそうじゃあないか。こんなところで遊んでないで、家に帰ることをオススメするぜ?」
 満足そうな笑みを浮かべて立ち上がる狐狛の足元、戦士たちは狐狛にかけられた声を聞き届ける間もなく既に絶命していたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

黒城・魅夜
ふふふ、なんとも可哀想な知性の持ち主であることが外見からも行動からも見て取れます。そんなことだからギャンブルに敗けるのですよ、ふふ。

そして、戦いにおいてもね。
「視認した相手」に対する攻撃であるのなら、その視線を遮ってしまえば済むだけの簡単な話です。

『早業』により我が身を斬り裂いて噴き出した血は真紅の霧となって戦場を覆い、あなたたちを包み込みます。ふふ、気づきましたか?視覚のみではなく、五感全てが薄れて行っていることに。
ただの木偶の棒となったあなたたちのむさくるしい体は、その内側から我が鎖によって引き裂かれます。

ふふ、先程の私の勝ち分、あなたたちの命で取りたてさせてもらいましょう。



●命の取り立て
 ウールヴ戦士の一撃は確かに魅夜の首を斬り飛ばした筈だった。
 だが。
「なんだ、これは……!」
「ふふふ、戦いにおいても可哀そう知性は変わらないものですね。そんなことだから、ギャンブルでも敗けるのですよ?」
 血飛沫は確かに上がった。
 だがそれは戦士の斧が魅夜を捉えたことによるものではない。
 その血は魅夜がユーベルコードを発動するために己を傷つけたことによる出血であり、空ぶった戦士の一撃を嘲笑うかのような魅夜の声だけが血煙の中に響いていた。
「どこへ行きやがったァ!」
 そう、血煙の中で戦士たちが魅夜の存在を確認する方法は聴覚のみ。
 たった1人の人間から生じたとは言えない血の霧が戦士たちの視界を遮り、戦場のを閉ざしているのだ。
「外見にも滲む知性は行動にもよく出るものですね……私を倒した、と思いましたか?」
「くそ、コソコソしてねぇで出てきやがれ!」
 血霧の中に消えた魅夜を追い、戦士たちはがなりたてながら大斧を振る。
 例え見えずとも刃の切り裂く範囲に魅夜が居れば当たるとでも言いたげな行き当たりばったりの攻撃は、まさに魅夜が笑った無知の表出であった。
「あら、随分と力のない振りですね……お疲れですか、ふふ」
「くそ、くそがッ」
 魅夜を求めて振られていた斧は既に霧を振り払い抜ける動きへと切り替わっていたが、斧を一振りするたびに戦士たちは現実感を失っていく。
 そして感覚が消えていくことへの焦りが戦士たちを余計に暴れさせる。
 例え無駄と分かっていても、戦士たちは斧を振るう以外の打開策を知らないのだ。
「この霧は視覚だけでなく五感全てを奪いますから。そろそろ、自分が生きているか死んでいるかも判らなくなる頃合いでしょうか?」
 血煙の中に響く魅夜の声に答える声はない。
 最早その声すら聞こえぬほどに聴覚を閉ざされたのか、あるいは聞こえていても怒鳴り返すだけの体力が無いのか。
「おや、お返事が聞こえませんね。では……」
 ぎゃあ、という悲鳴は死にゆく戦士の肉体が反射的に漏らした断末魔であった。
「血に霞みし世界に祝福を捧げよ硝子の心臓……鮮血の屍衣を纏いし呪いの鋼、喰らい尽くせ汚濁の魂」
 静かに唱えられた呪文が血煙の中に無数の鉄鎖を張り巡らせる。
 戦士たちの身体から生え出たそれらは、血の鉄により編まれた必滅の一撃。
「私の勝ち分、あなたたちの命により確かに支払っていただきました」
 血霧が晴れた時、その中央に立つのは傷ひとつない魅夜ただ1人であった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

イデアール・モラクス
@
クク…やはりそうだよなぁ、最後は暴力で解決しなきゃツマラナイよなぁ?
さぁ遊びは終わりだ、死のゲームを始めようぞ。

・行動
「貴様らのような獣を狩る、それもまたゲームさ…賭けるのは貴様らの命だがな」
UC【鏖殺魔剣陣】を『全力魔法』で威力を増し、『範囲攻撃』で空を埋め尽くすほどの数に増やした上で『属性攻撃』で《炎》を纏わせ、『高速詠唱』を用いる『多重詠唱』にて発動、『一斉射撃』と『乱れ撃ち』による二種の『制圧射撃』を敢行し敵勢を遠距離から一方的に『蹂躙』。
「そら、賭け金を頂こうか」
魔剣は命中したら敵を壁か地面に『串刺し』にして縫い止めた上で剣に血を『吸血』させ『生命力を奪い』嬲り尽くす。



●獣狩り
 魔性の色香というものは、時として理性を根本から破壊する。
 そこに獣の力を宿す術が加わり、イデアールを狙うウールヴ戦士たちはその悉くが本能を剥き出しに戦っていた。
「うぉおぉぉ!」
「はっ、もはや戦士というよりは獣だな!」
 肌も露わなバニー服のまま、ひらりひらりと戦士たちの斧を避けるイデアール。
 魔術的に強化された身体能力はアースガルドの祝福で獣と化した戦士たちと比べても遜色なく、むしろ余裕を残す表情からはイデアールが未だに『遊んで』いると示していた。
「何事も最後は暴力で解決する、そうでなくてはツマランよなぁ!」
 獣の咆哮と共に繰り出された戦士の斧に爪先を載せ、そのままひらりと宙へと舞い上がるイデアール。
 それと同時に中空へと展開されるのは巨大なる魔法陣。
「そろそろ遊びは終わりだ……死のゲームを始めよう!」
 展開された魔法陣の上に凛と立ち、イデアールが鏖殺を宣言する。
 其は暴虐の魔女の本気、見上げた戦士たちの視界を埋め尽くすほどに多重展開された幾つもの魔法陣ごとに呼び出される魔剣の数はもはや無尽。
「獣狩りはかつて貴種の嗜みであった――今、この場においては貴様らオブリビオンが狩られる側だがな。さぁ、賭け金は貴様らの命、悪法の報いを受けてもらう!」
「ヌァァァッ!」
 空に立つイデアールを勝ち取るべく咆え声と共に跳躍する戦士。
 1本目の魔剣を斧で振り払い、2本目の魔剣を片腕を犠牲に凌ぎ――しかしそこまで。
 両手で収まらぬ本数の魔剣が作り出す滝のような斬撃は戦士を四方八方から刺し貫き、その体から血を奪い去るとともに剣山へと仕立て上げる。
 跳躍の速度を大幅に上回る速度で大地へと突き落とされた戦士は落下中に既に絶命しており、落着と共に生命を吸う炎に焼き尽くされて灰も残さず世界から消えた。
「仇ィ、討つゥゥ!」
「はっ、やれるものなら!」
 仲間が一瞬で撃破され、しかし戦士たちの戦意は既にその程度では撃ち砕けぬほどに荒れ狂っていた。
 まるで誘蛾灯に集る虫の如く、闘争本能の赴くままにイデアールを目指す戦士たち。
 その悉くが燃え盛る魔剣の猛威を前に次々と撃ち落とされ、地上に剣山と化した骸を晒しては消える。
「さぁどうした、賭場に居た時の威勢の良さはどこへ行った」
 豊満な胸をわざとらしく揺らすイデアールの手元には愛剣ドミナンスの姿。
 戦士たちを貫いた魔剣が吸い上げた血は全てドミナンスへと集約されており、刻一刻と血の紅を濃くする刃がイデアールの暴虐を物語る。
「もうおしまいか? ――いや、賭け金が尽きたか」
 ドミナンスの刃から滴る血を妖艶な仕草で舐め上げるイデアール。
 その視線の先に、戦士たちの姿はひとつとして存在していなかった。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『女賞金稼ぎ』

POW   :    ハンタータイム
全身を【右目の義眼(メガリス)から放たれた青い光】で覆い、自身の【これまで殺した賞金首の賞金合計額】に比例した戦闘力増強と、最大でレベル×100km/hに達する飛翔能力を得る。
SPD   :    殺戮斧旋風
自身の【右目の義眼(メガリス)】が輝く間、【呪われた戦斧】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
WIZ   :    カースバウンティ
【自分が過去に殺した賞金首】の霊を召喚する。これは【手にした武器】や【怨嗟の呻き声】で攻撃する能力を持つ。

イラスト:藤乃原あきひら

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●欲望の海賊、コウガワ
 そう長い時間も必要とせず己の配下を一掃した猟兵たちに、女賞金稼ぎ――この島を賭博の悪法で治めていたコウガワは久々の高揚を隠せずにいた。
「へぇ、ウチの連中を片付ける程度の実力はあるってことかい」
 配下を失ったとは思えない余裕を見せるコウガワが右目を晒す。
 メガリス……紅の紋を帯びたそれが召喚するのはコウガワの背丈ほどもある巨大な戦斧。
「なら、ウチが直々に狩るに十分な相手ってことだ」
 重い風切り音と共に大地に打ち付けられた戦斧が土煙を巻き起こす。
 コウガワの振り回す戦斧の重量はコウガワの数倍、さらに言えばそれを悠々と振り回すだけの膂力を持つことの証。
「楽しみだねぇ、イェーガーの首はどれくらいの値が付くのか!」
 猟兵たちへと突き付けられるのは戦斧の切っ先。
 コウガワの背後に滲むのは、かつて彼女に首を狩られ眷属と化した賞金首の亡霊。
 賞金稼ぎは1人にして独りにあらず。
 猟兵数人を相手取るに十分な実力を持ったコウガワに、油断や侮りは不要だ。

 さぁ、悪の掟を定めたコンキスタドールを打倒し、今こそこの島を開放せよ!
赤嶺・愛(サポート)
『世界が平和になりますように』
 人間のパラディン×シーフ、15歳の女です。
 普段の口調は「平和を愛する(私、あなた、~さん、なの、よ、なのね、なのよね?)」、怒った時は「憤怒(私、あなた、~さん、ね、わ、~よ、~の?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、
多少の怪我は厭わず積極的に行動します。
他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
また、例え依頼の成功のためでも、
公序良俗に反する行動はしません。

性格は明るく、人と話す事が好きで
平和的な解決を望む優しい性格の女の子ですが
戦う事でしか依頼を成功出来ない時は戦う事も厭わないです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


触叢・アン(サポート)
『なんなぁ、どしたんなぁ』
 スペースノイドのスターライダー×スピリットヒーロー、20歳の女です。
 普段の口調は「方言(わし、おめー、じゃ、なぁ、じゃなぁ、じゃろか?)」、仲間には「やっぱり方言(わしゃ、おめー、じゃ、なぁ、じゃなぁ、じゃろか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。基本的に効率重視で、他人の目や評価を一切気にしません。羞恥心もありません。身も心も自由ならそれで良いのです。あと、宇宙原付ですぐ轢き逃げします。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●サドン・アタック
 まるで隙を見せないコウガワに対し、猟兵たちの攻めは慎重にならざるを得ない。
 ――ハズだった。
「おめーかぁ、島人(しまんちゅ)のゼニさ巻き上げてっちゅーなぁ!」
 その声はコウガワの背後、斜め後ろから。
 ウールヴ戦士団を一掃する際に猟兵たちがある程度固まっていたこともあり、後方の警戒を薄くしていたコウガワにとってはどうしても反応が遅れる角度からの急襲。
 原付と称しつつも修飾語として『宇宙』の2文字が付くバイク『牙―ZOOM』を駆る触叢・アン(銀河疾風・f01011)にとって、一瞬の遅れは突撃に十分な空隙だ。
「新手だと……!?」
「ビームラム展開! 一気に突っ込むけぇ、覚悟しぃなぁ!」
 コウガワがアンの突進を防ぐべく右眼の輝きと共に戦斧を振るい、一瞬九閃で己が眷属ともいえる賞金首の霊を同時に切り飛ばすことで血煙の煙幕を張るが。
「ハッハァ! このビームラムはワイパー機能付きじゃあ!」
 べちゃべちゃと、半霊体の血肉がアンの視界を塞ぐのは1秒未満のごく短い時間。
 牙に乗るアンの前面を完全に覆う形の防護シールドにもなるビームラムは付着した『汚れ』を一瞬で消し飛ばし、運転手にクリアな視界を提供した。
 故に、視界を塞ぐことで突進の進路をズラそうとしたコウガワの狙いは成らず。
「はっ、やるもんだねぇ、イェーガー! でも……」
「自由を奪うおめーの言葉なんざ聞くもんかい! 轢き逃げ、からの、ふぅらっしゅ!」
 対抗策を封じられ、しかし喜悦ともとれる戦狂いの笑みを漏らすコウガワの身体をビームラムが掠めて吹き飛ばし、加えて襲い掛かるのは、走り抜ける牙から飛び降りた……否、生み出された幾多ものアンの分身。
「数で攻めればっていうのは、間違いさ!」
 既に遠く走り去りつつあるアンへの叫びはコウガワの本心。
 再びの一瞬九閃でアンの分身を一掃し、着地はスマートに。
「いいねぇ、不意打ち上等じゃあないか。そういう相手だから首の狩り甲斐がある!」
 半身に小さくない手傷と出血を負っても、まるで揺らがない構えと気迫は流石のもの。
 走り去るアンは無視することに決めたのだろう、他の猟兵たちへと向き直るコウガワの足元へと影が1つ差す。
「いくら平和的解決を求めても、無駄のようねコンキスタドール!」
「何?」
 次なる一撃は頭上より。
 スチームエンジンを配されたバスタードソード『オーバー・ハートブレイク』を大上段に振りかぶって宙にあるのは赤嶺・愛(愛を広める騎士・f08508)の姿。
「いつの間に!? いや、まさかっ!」
「きっとご推察通りよ。さぁ――」
 愛をこの場まで送り届けたのはアンの疾走。
 走り去るに際して残した分身たちも愛の一刀を決めるための布石だとコウガワが理解するも時すでに遅し。
 オーバー・ハートブレイクの刃が加速の蒸気炎を纏った。
「悪法で島民を虐げた報い、今こそっ!」
 宙でくるくると縦回転し、重力にスチームエンジンの威力を加えた唐竹割りの一刀がコウガワの真上から振り落とされた。
「賞金稼ぎが、首を狩って金を巻き上げて何が悪いっ!」
「人を滅ぼし、平和を乱しておいてよく言うわ!」
 響く鋼の音は、コウガワの戦斧が愛の一撃を受け止めたが故に。
 本来ならば空中という踏ん張りの利かない場所にいる愛の身体を支えるのはスチームエンジンの暴威。
 ハート型の噴射炎は少しずつコウガワの脚を大地へとめり込ませていたが――。
「後ろが、お留守だねぇっ!」
「ッ!?」
 ニヤリと笑い咆えたコウガワに対し、愛が直観的に選んだのはトンボ返り。
 オーバー・ハートブレイクの柄を軸にコウガワの背後へと跳んだ愛が見たのは、一瞬前まで愛の居た場所へとカトラスを振り落としている霊の姿だった。
「チッ、仕留め損ねたか」
「なるほど、一筋縄ではいかないようね」
 傷も追わず着地を果たした愛を憎々しげに見るコウガワの額には汗、先の鍔迫り合いは確かに消耗を強いていた。
「けれど、攻撃の糸口は掴んだわよ!」
 そして、オーバー・ハートブレイクを構えなおし姿勢を低く落とした愛の言葉は猟兵たちが攻勢に出る切っ掛けには十分だった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

イデアール・モラクス
@
G(本人、召喚した配下らの手足の欠損可。お任せ)

ほぅ、自分が殺した者を死後も縛る禁呪の使い手か…奇遇だな、私もだよ!

・戦闘
「私とお前の使役する者の決定的な差…教えてやろう」
UC【愛欲の軍勢】を『全力魔法』で強化した上で『高速詠唱』にて召喚、同時に『多重詠唱』で自らを強化。
前衛たる騎士達は槍を構え突撃し敵を『串刺し』にさせ後衛たる魔術師達には『属性攻撃』で強化した攻撃魔法を『一斉発射』させ『範囲攻撃』で前衛を援護させる。
「恐怖と怨念で縛る貴様の兵は確かに強い、だが…私への愛欲で戦う我が兵はたとえ四肢が千切れても私の為に戦うぞ」
私はそんな兵達を踏み台に『切り込み』、魔剣でコウガワを『薙ぎ払う』!


玉ノ井・狐狛


こいつァおっかねぇ。
そんなデカい斧を振り回されちゃ、とてもじゃないが近寄れない。
おまけに後ろにゃ手下がわんさか。しかもキルマークの数で言うなら、そいつらだってきっとほんの一部なんだろうさ。

興味本位で訊いてみたいんだが、アンタ、これまで何人くらい殺ってきたんだ?

や、べつにそれを咎めようってんじゃない。
アタシだって裏側の住人だし……というか賞金首なら殺っても合法だよな。むしろ博奕より、よほどまともなビジネスだ。

だからただの興味本位さ。
どのくらいの威力になるのかの、な。

◈UC▻呪詛

コウガワ本人には覿面だろうし、召喚されるやつらだっていくらかは殺しをやってるハズだ。

防御は►紗▻オーラ防御▻破魔など



●バウンティハンター・ハント
 仕切り直しとも言えない程の短い間を挟み、再開の狼煙はイデアールが上げた。
「さぁ、死者を縛る禁呪の使い手同士、屍山血河を築こうかっ!」
「何が禁呪だ、気取りやがって!」
 イデアールが呼び出した十数人の愛欲の軍勢に対抗するべく、コウガワが呼び出す呪われし賞金首たちも十数人。
 コウガワの右目に宿るメガリスが本来ならば単体を召喚するユーベルコードを著しく強化し、しかしそれでようやく数の上での対等。
「頭数を揃えてきたか! だが、私とお前では使役する軍勢の質が違う!」
「使役霊に質も何もあるかよぉ!」
 ぶつかり合う軍勢の先端で死霊同士が殺し合う。
 かつてコウガワに首を獲られた恐怖で動く者とかつてイデアールに恋い焦がれたが故に死後も付き従う者、どちらも同じ過去の産物ながら全く異なる来歴から戦う2者。
 乱戦の初めこそ拮抗していたそれらが、しかし次第に猟兵優位の戦場を形成し始めるのはイデアールの言った『質の違い』によるもの。
「クソッ、死んでなおケツまくってんじゃねぇよ!」
 メガリスの輝きで強化されたユーベルコードで次々と亡霊を呼び出しても、愛故に手足の1本が千切れた程度では後退りもしないイデアールの軍勢に気迫で負けているのだ。
「はっはぁ、こいつァおっかないねぇ。あのデカい斧だけでもおっかないっていうのに、後ろで構えてるのがあんなのとありゃあ……」
 それでもなお、賞金首の霊たちを恐怖と恫喝で動かそうとするコウガワに狐狛はやれやれと肩を竦めた。
 背中を追い立てられて逃げるように戦う者と、自ずから身を捧げて戦う者。
 岡目八目とはよく言ったもので、イデアールとコウガワの軍勢がぶつかり合うのをやや後方から眺めている狐狛には軍勢の質の差が手に取るように分かった。
「おう、コウガワよ。これは興味本位なんだが、アンタ、これまで何人くらい殺ってきたんだい?」
「それを聞いてどうするっ!」
 乱戦の上から大声で問われ、コウガワの注意が狐狛へ向いた。
 視線にけしかけられた死霊を五芒星を浮かべた紗でいなし、狐狛は重ねて問いかける。
「いやなに、咎めるつもりはありはしないさ」
 むしろ、賞金稼ぎが賞金首を狩るのは合法のことで博奕と比べればずいぶんとまともなビジネスだろうと嘯いて。
「単に、このまじないがどれくらいの威力になるのか、参考にしたくてね」
「何ィ?」
「だからまぁ……ご堪能あれよ」
 狐狛の手の内で霊力を使い果たしたパワーストーンが砕け散る甲高い音は、乱戦の最中だというのにいやによく響いた。
 それと同時にばたりばたりと倒れ消えるのはコウガワの軍勢たち。
「復讐するは彼らにあり……日頃の行いには気をつけることだね」
 無数の粉塵と化して散布されたパワーストーンが狐狛のユーベルコードを強化、効率よくその効果を発揮して死者すらも黄泉送りにする生死の因果応報を適えているのだ。
 特にその効果を色濃く受けているのはコウガワ。
 かつて殺めた者の数に応じて威力を増す『復讐するは彼らにあり』が、毎日のように殺人を手掛けていたコウガワへと与えるのは万にも及ぶ死が束ねられた極大の呪詛だ。
 常人ならば触れただけで死に至る濃度の呪詛に耐え、ただ片膝を着くように姿勢を崩すのに抑えたコウガワの強さは大いに評価するべきだろう。
 だが、戦いの最中に膝を着くというのは敗北へと踏み込むことと同義であり。
「隙を晒したなァ!」
「ぐッ……」
 イデアールの呼び出した死霊たちは槍衾でコウガワを包囲し、さらにそこへと叩き込ませるのは魔術師の死霊たちによる魔弾の雨。
 コウガワの首を獲らんと魔弾の雨を道案内に、死霊たちの身体を路に駆けたイデアールが構えるは愛剣ドミナンス。
 もうもうと上がる土煙の中、ギラリとしたメガリスの輝きを目掛けて繰り出されたイデアールの一閃は、しかし。
「その程度で、アタシの首が落とせるかァ!」
 呪詛の重圧を寸でのところで跳ねのけたコウガワの反撃によって逸らされる。
 交差した斬撃は互いを歪め合い、切り落とすのはそれぞれの片腕。
「あれだけの呪詛を跳ね除けるのかい!?」
「言うだけはある、か」
 確かに効力を発揮していた呪詛を耐え抜かれたことに狐狛が目を見開き、イデアールが切り飛ばされた腕を惜しむように呟くのは同時。
「さぁ、アタシの首はまだ繋がってるよ!」
 コウガワは満身創痍に隻腕とは思えない獰猛な笑顔で猟兵たちを見返すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィオナ・ウンベカント
@
なるほど、あのやんちゃな連中を飼い慣らすだけの実力はあるって事か
だけど生憎、この首をくれてやるわけにはいかないね
……ああ首といえば、君はぼくの顔に見覚えはないかな?
こんなにイイ女なのに、誰もぼくを知らなくて難儀しているんだ

ただでさえ強いのに、あの右目がそれを更に強化しているのか
こちらも切り札を切らなければやられてしまうね
それじゃあUCによって蒼き戦闘鎧を創造しよう
どんな強敵だろうと、これを纏った今のぼくを傷つける事は出来ない
攻撃を凌いだら、逆に[念動力]で一瞬でもいいから動きを封じる
そして[衝撃波]を飛ばしてあの右目を傷付け、力を削ぐ
最後にフォースセイバーの一太刀を叩き込んでやろう


黒城・魅夜
ふふ、部下にお似合いのボスというわけですか。手下たちと同等の頭の出来のようです。
あなた自身があなたの攻略法を今示唆したことに気付かないのですか?
そう、あなたの「戦斧が土煙を巻き起こ」したこと。
範囲攻撃・早業・ロープワークで鎖を振るいますが、対象はあなたではなく大地。
私もまた土煙を巻き起こし、その濛々たる土埃をあなたの顔面に浴びせかけます。
あなたの能力の限界は「義眼が輝く間」。土埃でその輝きを覆い尽くせばあなたはただの木偶の坊。
攻撃を第六感・見切りで回避しつつ、間合いに入り、UCを発動。
9回もの攻撃など意味はありません。たった一度、一撃で済むのです。
さあ、愚か者の骸を糧に――咲き誇れ鋼の血華!



●ショウダウン
 果敢に、獰猛に。
 咆えたコウガワの身体が右目のメガリスから迸った輝きに包まれる。
「アタシの首が落ちるのと、アンタらの首が落ちるのと、どっちが早いかねぇ!」
 ユーベルコードで呼び出された者たちの死骸が並ぶ戦場を足場が悪いと見てか、腰を低く落とす動きからコウガワが狙うのは飛翔と移動。
「腕を1本無くしてもその気迫。なるほど、あのやんちゃな連中を飼いならすだけのことはあるらしい」
 が、それを許しては戦闘は振り出しに戻る。
 痛手を負って下がらざるを得ない仲間に代わってコウガワに負けぬ声で咆え、飛翔をさせぬために頭上を抑えるように宙に身を躍らせていたのはフィオナだった。
「ええい、ちょこまかと! まずはアンタの首だ!」
「お生憎、この首はくれてやれない……ぼくの顔を知ってる奴を見つけるまではね!」
「はん、そんなお可愛い顔は知らないねぇ!」
 空中という動きの読みやすい場所へと躍り出てきたフィオナを、片腕で振りかぶった戦斧で両断せんと跳ぶコウガワ。
 交わされる言葉は軽口に近くとも、そこに込められた殺意は確か。
 ロクな防御の備えもないフィオナの胴体を薙ぎ払うように戦斧の刃が走り。
「お可愛いとはどうも。でも、こんなにイイ女なのに誰もぼくを知らないんだよね」
「チィ、戯言を!」
 フィオナの身体を包むように出現した蒼の鎧が刃を阻んだ。
「そっちが強いからね、ぼくも切り札を使うよ――切れるものなら、切ってみろ」
 膝と肘で戦斧を挟み込むようにしてコウガワの一撃を受け切ったフィオナ。
 己という重石でコウガワの動きを封じるというフィオナの目論見は見事に成就し。
「切れぬのならっ!」
 片手しかなく、さらには唯一の得物である戦斧を抑え込まれて苦々しい表情を晒したコウガワが選んだ次の手とは、即ち遠心力によりフィオナの拘束を振り切ることであった。
「うぉおぉお!」
「対応が早い、けど!」
 ブン、と無敵の蒼鎧ごと振り回され呻くフィオナ。
 鎧は硬く戦斧の刃を通しこそしないが、2m近い戦斧の長さに任せて振り回されれば遠心力による重圧は到底軽いと言い切れるものではなく。
「……ぼくの役目はっ!」
 蒼鎧の袖口から滑り出たのはフォースセイバーの柄。
 刃として形作られた刃は、突き刺すように繰り出されてコウガワの右目を掠め――。
「なっ!?」
 急激に軽くなった手応えにコウガワが呻くころには、戦斧は柄を両断されて武器としての形を失っていた。
「こちらの出方を見誤るのは、やはり部下とお似合いのおつむのようですね」
 戦斧の先端と共に吹き飛んだフィオナと入れ替わるようにして前に出る魅夜。
「ええい、斧がなくとも!」
 手元に残った長柄を槍に見立て、突っ込んでくる魅夜を迎え撃つコウガワ。
 使い慣れぬ武器でもメガリスにより高められた身体能力は単独で槍衾に近い面制圧を魅夜へと押し付けるが。
「おや、抗いますか? 既にあなたは詰んでいるのですよ」
「虚仮にしてぇ!」
 魅夜の踏み込みはコウガワの読みよりも浅く、刺突は空振りに終わる。
「付け入る隙を自分から晒しておいて、ふふ、滑稽なこと」
 そう、もとより魅夜が求めるのは白兵戦などではなく。
 魅夜を無手と見誤り、焦りから間合いすら読み間違えたことがコウガワの敗北を決定付ける絶対的な隙を産んだ。
「全ての力の源はその右目……まずはメガリスの輝きを」
 空気が破裂するような乾いた音と共に魅夜の指先から伸びるのは108の鋼糸。
 コウガワを取り囲むような位置で地面を叩いたそれらは濛々と土煙を巻き上げ、細かな砂塵を顔面へと浴びせかける。
「くっ!?」
 いかにメガリスが義眼といえど、それを嵌めたコウガワは生身。
 濃厚な土埃を浴びたコウガワは反射的な瞬きを堪えきれず、己の生命線ともいえるメガリスの青い輝きを瞼の裏へと仕舞いこんでしまう。
「そして、残る木偶を」
 時間にして1秒にも満たないまばたき。
 その刹那に108の鋼糸が編み上げるのは檻。
 コウガワの身体を縛り上げ、まるで粘土を削り落すような容易さで微塵へと切り刻み、その後に残されるのはまるで蕾が花開くようにして飛び散る紅の鮮血華。
「愚か者の骸を糧に咲き誇りなさい、鋼の血華。緋色の弔花は骸の海でも美しく狂い咲くことでしょう」
 葬送の言葉は静かに。
 骸の海より生まれ出たコンキスタドールの肉体は紅の華だけを残してはらりはらりと溶け落ちるように消え、猟兵たちに勝利を示すのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月14日


挿絵イラスト