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人間達磨落とし

#UDCアース #感染型UDC

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●だるまおとし
 何かが崩れる音。それは歓楽街の奥から聞こえてきていた。普段ならば聞き逃してしまうような音だった。
 そう、工事現場でよく聞く音だった。建物を解体する音だ。瓦礫が地面に落ちる音であったり、鉄骨をきしませる音であったり。そんな音が歓楽街の奥から聞こえてくることに違和感を覚えるのは仕方のないことだった。
 いつものゲームセンターに立ち寄るついでだったのだ。何かSNS映えしそうな解体現場であれば、スマートフォンで写真を取ってアップしよう。
 それくらいの気安さで音のする方角へと歩いていく。

 ―――ガシャン!

 また音がする。近い。こっちでいいんだ。何を壊しているんだろう?この奥に取り壊すほど老朽化の進んだ建物はないはずだ。
 それでも音が響いている。大きな音は人間的本能故だろうか、響くたびに身が竦む思いだった。けれど、引き寄せられるように足をすすめる。

 ―――ガシャン!ゴン!

 こっちだろうか?音が反響している。
 そして、見た。見てしまった。

 ―――あああああああっ!!!!

 これまでとは違う人の声。悲鳴。そして、直後。

 ―――ゴチャッ!

 何かがひしゃげる音。生々しい音。生命が本能的に理解を拒んだ音だった。
 見てしまったのは高く重ねられた廃車や廃材が根本から崩れる様子。そして、その塔のように高く積み上げられた塔の上から放り出されるようにして落下する―――人。
 目が合ってしまった。恐怖に歪み、涙を浮かべながら落ちる人の姿を。

「あー、達磨落としって難しいなぁ。また『頭』落っことしちゃった。コツがあるのかな」
 少年がいた。廃車と廃材が積み上げられた塔がいくつも乱立する敷地。その今しがた崩れ落ちた塔の真下。
 身の丈ほどもあるような冗談のような、ファンタジー小説でしか見たこと無いような大きな剣を肩に掛けて笑っているのだ。

 そして、気がついてしまった。
 未だぐらつきながらも屹立している塔の真上。最上にいたのは、人間。達磨落としといったのは、最上に居る人間を『頭』にたとえていたのだ。
 下段から木槌で叩いて飛ばして頭を最後まで残す玩具。それを、実際の人間と廃材で行っているのだ。
 ひ、と思わず声が出る。

「―――ん?あぁ、君も遊ぶ?楽しいよ、達磨落とし!」
 無邪気な笑顔の奥底に狂気を感じ、もつれる足のまま駆け出す。自分の体が悲鳴を上げている。アレに関わってはいけない。アレに関わったら、確実に。そう、確実に自分も「ああなる」!

「あらー……遊んでくれないんだ。対戦プレイって楽しそうだって思っていたのだけど。でもまあ、いっか。しっかり噂を広めてねー」
 そんな言葉が背中に刺さったかどうかはわからない。だが、確実に、その「噂」は瞬く間に広まってしまうのだった。

 ―――人間達磨落とし。そう呼ばれる都市伝説として。

●パンデミック阻止
 グリモアベースに集まってきた猟兵たちを迎えるのは、宝龍印・ヂュイン(バオロン・f26469)だった。
 やあ、といつもなら気さくな微笑みを浮かべているのだが、今回は様子が違った。
「至急集まってくれてありがとうね。時間がないから簡潔に言わせてもらうよ」
 焦ったように言葉を紡ぎ始めるヂュイン。どうやら事態は刻一刻を争う事態のようだった。
 今回の事件はUDCアース。現代の地球そのものであるが、太古から蘇った邪神と眷属達が支配を目論む世界である。
 そんな世界で起こったのは人間の「噂」で増殖する、驚くべき新種のUDCが引き起こす事件である。
 感染型UDCと名付けられたそれは、それを見た人間、それを噂話やSNSで広めた人間、その広まった噂を知った人間全ての「精神エネルギー」を餌にして大量の配下を生み出すのだ。

「今回広まった噂は……人間達磨落とし。達磨落としって知ってるかな?円筒状の木片を何個か重ねた上にだるま人形を追いて、それが落ちないように木槌を横から叩いて遊ぶものなんだけど……」
 人間、と頭のついているのはまさか……。
 猟兵達も察してしまう。そうことなのかと。

「そう、お察しの通りさ。高く積み上げた廃車や廃材の上に人を置いてね。そのUDCが下から廃材とかを叩くわけだ。上手く行けば下まで無事に降りられるよ?でも大概は途中で崩れてそのまま……ってわけさ」
 そういう都市伝説じみた怪談のように噂が広まってしまうのだという。
 ヂュインが予知したのは、そんな事件である。第一発見者はまだ無事であるが、彼が人々に見た人間達磨落としの様子を語ってしまうと、精神エネルギーが溢れて、大量のオブリビオンが発生してしまうのだ。

「まずは、第一発見者の人が他人に喋ると大量発生につながってしまうんだ。悪いことに繁華街に飛び出してしまって……よほど怖い思いをしたんだろうね。そこら中の人達に叫んでしまうんだ。こんな恐ろしいものを見てしまった!ってね」
 だが、これはただの前兆にしか過ぎない。このまま放っておくと世界規模のパンデミックになってしまいかねない。そうなると手がつけられなくなってしまう。
 初動を見誤ってしまうと、取り返しのつかないことになってしまうのだ。

「だから、まずは第一発見者の人の周りに大量発生するオブリビオンを倒して欲しい。そして、彼が見たっていう人間だるま落としの現場に向かって。でも、そこはもう怪奇現象の坩堝さ。歓楽街で事件現場にいたっていう少年を探し出して欲しいんだ」
 そう、感染型UDCは歓楽街……ゲームセンターのどこかに潜んでいる。
 少年の姿をしているのだが、ゲームセンターには同じような少年たちがいることだろう。速やかに探し出して追い詰めなければならない。

「追い詰めたのなら、後は感染型UDCを倒すだけさ。至急の対応が必要になる事件で、ろくに構えなくってごめんね。でも、君たちしかできないし、頼ることができないんだ。どうか、この事件を解決して欲しい」
 そう言ってヂュインは頭を下げる。

 どうか、と集まった猟兵たちを送り届ける。彼らの身を案じることしかできないのだが、彼らならばと思い直して、笑顔で送り出すのだった。


海鶴
 マスターの海鶴です。どうぞよろしくお願いいたします。
 今回はUDCアースでの事件になります。都市伝説と言いますか、感染型UDCの日起こす事件を解決していただくシナリオになります。
 見た目は無邪気な少年のようですが、油断ならぬ相手です。

●第一章
 第一発見者が恐怖のあまり逃げ出して、繁華街に飛び出してきて、大声で助けを求める声によって大量に発生するオブリビオンとの集団戦になります。
 まずはこれらを撃破することが最優先事項です。第一発見者は、まず生かして噂を広めてもらわないといけないので、彼に危害を加えようとはしません。
 オブリビオン撃破に集中していただいて大丈夫です。

●第二章
 件の感染型UDCは、どうやら歓楽街のゲームセンターによく出没する少年のような姿をしていることがわかります。第一発見者もどこかで見たことがある……程度のようです。
 なので、まずは皆さんによる歓楽街にいくつかあるゲームセンターでの調査をしていただきます。
 ただし、感染型UDCによってゲームセンターは迷路のようになっていたり、従業員が正気を失っていたりと、すでに怪奇現象に飲み込まれていますので、ご注意を。

●第三章
 ボス戦です。感染型UDCを追い詰め、彼を撃破してください。
 手強い敵ですし、ゲーム感覚で決戦の場の状況を匠に利用してくることが考えられます。

 それでは、邪神復活を目論む邪教徒や眷属がはびこるUDCアースにおける事件解決のシナリオとなりますので、どうか皆さんのキャラクターの活躍を綴らせていただきますので、よろしくお願いいたします!
 いっぱいがんばります!
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第1章 集団戦 『灰色の軍勢』

POW   :    ときは はやく すぎる
【腕時計】を向けた対象に、【時間の奪取による急激な疲労】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD   :    ひかる ほしは きえる
【触れたものを塵に変える手のひら】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
WIZ   :    たとえ だれもが のぞんでも
【奪った時間を煙草に変えて吸うこと】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【老化・劣化をもたらす煙】で攻撃する。

イラスト:すねいる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 夕暮れの繁華街……そこに転がり出るようにして現れたのは、人間達磨落としの惨劇を目の当たりにした第一発見者。
 恐怖に染まった形相に道行く人々は、一瞬視線を向ける。だが、ここは都会の喧騒のさなかである。
 すぐに興味を失ったように人々が歩みを再開しようとして……
「た、助けてくれ……!あっ、あっ、あっちで、ひ、ひ、ひとが……!」
 恐怖にもつれた舌が上手く回らない。だが、道行く人々に縋るようにして、第一発見者は絶叫する。

「人が、達磨落としみたいにっ、お、落ちて、死んでるっ……!」
 そう、その言葉。その言葉を待っていたかのように、それを聞いた人々が興味を抱くと抱かざるとに関わらず発生する精神エネルギー。
 それが呼び水となって、一瞬の内にその場に溢れ出るはオブリビオン!

 灰色の軍勢と呼ばれる、グレースーツに身を包んだオブリビオンたちが一斉に、それも大量に発生する。
 突如として現れたグレースーツの集団に、まるで白昼夢でも見たのかように通行人たちが悲鳴を上げる。その悲鳴がまた連鎖するように次々に広がっていく。
 悲鳴とともにオブリビオンの数が爆発的に増えていくのだ!

「ときは はやく すぎる」
「ひかる ほしは きえる」
「とえ だれもが のぞんでも」

 グレースーツのオブリビオン……灰色の軍勢は次々に人々に襲いかかる。混乱が混乱を呼び、恐慌のように世界を蝕んでいく。
 それを止めるのは猟兵しかいないのだ―――!
神代・凶津
すでに繁華街は大混乱って状況だな。
「・・・オブリビオンに襲われている人達を助けないと。」
おうよ、相棒。

と言ってもこの混乱の中で武器を振り回したら一般人にも当たりそうだぜ。
「・・・なら千刃桜花でなぎ払います。」
名案だな、相棒。
こいつなら切り刻む対象を指定できるから周りの一般人を気にせず思う存分力を振るえるぜ。
おら、破魔の桜吹雪を存分に味わいなッ!

余裕があったら第一発見者が安心できるよう声を掛けとくか。
助けに来てやったぜ、ここは俺達専門家に任せなッ!


【技能・なぎ払い、破魔】
【アドリブ歓迎】



 感染型UDCの最大の強みは、その認識した、という精神エネルギーを強制的に利用することが出来る、という点だろう。
 その噂の全容を正しく理解しなくても、一端を耳にしただけでも発生してしまう精神エネルギーを媒介にして加速度的に広がっていく。一つ一つのエネルギーが少なくても、何十、何百、何千、何万と瞬時に膨れ上がっていく。
 恐怖の連鎖というものは想像を絶するスピードで人々に感染っていくものなのだ。

 グレースーツのオブリビオンたち……灰色の軍勢たちは即座に行動を開始する。人々の時間を奪い、己の力に変え、その悲鳴を連鎖にして己達の軍勢の数を増やしていく。
 悲鳴が繁華街に響き渡り、何が起こっているのかもわからぬままに逃げ惑う人々。
 その人の波に逆らうように神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)……巫女装束の少女が歩みを進める。

『既に繁華街は大混乱って状況だな』
 彼女の手にした赤い面……凶津の生え揃った白い歯が動く。その空洞のはずの口から声が発せられているのだ。
 見るものが見れば気がつく。猟兵であれば誰であって、それがヒーローマスクであると。
「……オブリビオンに襲われている人達を助けないと」
 神代・桜……ヒーローマスクである凶津のパートーナーである巫女装束の少女がうなずきを返す。赤い面を顔にかぶせると、一体感を得て駆け出す。
『おうよ、相棒。といってもこの混乱の中で武器を振り回したら一般人にも当たりそうだぜ』

 そう、凶津の危惧するとおりだ。混乱にひしめいている群衆の中というだけでも悪条件である。人々が数多く逃げ惑っているのであれば、不意に自らが振るう武器の切っ先が一般人を巻き込む可能性は大きいのだ。
 ならば、と桜が答える。お互いをパートナーとして信頼しているからこそ、思考の共有は一瞬。
「……なら千刃桜花でなぎ払います」
「名案だな、相棒」

 彼らのユーベルコード、千刃桜花(センジンオウカ)!彼らの武器が一瞬で無数の花弁へと姿を変える。
 神々しいまでの桜吹雪。その姿に神聖を見出すこともあったかもしれない。舞い散る花弁の中心に立つのは、巫女装束の赤き鬼面。
「……いけ、千刃桜花」
『細切れになっちまいなッ!』
 これならば切り刻む対象を指定できる。周りの一般人に刃が及ぶことはなく、存分に力を振るえるのだ!
 猛烈な勢いで桜色が灰色の軍勢を取り囲んでいく。花吹雪、花の嵐となった刃が灰色の軍勢たるオブリビオンを切り刻んでいく!
 そして、桜の花吹雪が舞い散り風にのって消える頃には、灰色は一片たりともその場に残っていないのだ。

『っと!アレが第一発見者か!おい、相棒、なんて声かけっか?』
「もちろん。混乱を鎮めるには第一発見者が落ち着きを取り戻す必要がある」
 じゃあ、いっちょ格好良く決めておくか!と鬼面……凶津が声を張り上げる。
 第一発見者の確保も急務であるから、彼が落ち着かなければ話も聞けないのだ。それには安心させる声掛けが必要であると考えたのだ。

『助けに来てやったぜ、ここは俺達専門家に任せなッ!』
 第一発見者が彼らを見やる。そこには桜の嵐を身に纏う巫女装束の鬼面。

 そう、鬼面のヒーローのお出ましだ!

成功 🔵​🔵​🔴​

漆島・昂一
人だかりで増えるとか、向こうは何の気苦労も無えらしいなァ゛!?
こいつらといい達磨野郎といい、UDCはふざけやがって…!

〈大声〉で恐慌状態の人々の感情を驚きに変える
「――落ち着けェ!!!!」
のち、〈狂気耐性〉の知識として第一発見者の錯乱を鎮める
「…大丈夫だ、落ち着け。な」
UDCの増殖を防ぐ目的もあるが、これで敵の注意はこっちに向く

時計を向け、疲労した俺に近づいて来た瞬間、【纏神】!
黒い鬼の装甲、【シャドウフレーム】を装着して疲労を強化保護!
…その直前に。妨害対象確認、黒水による吹き飛ばしで数体は撃破してやる!

〈一般人の前で派手にやるわね…〉
「どーせ膨大な後始末は確定なんだ…全力で派手に行く!」



 恐怖と混乱に飲まれた群衆の最も恐ろしいところは、容易に収拾が着けられないということだろう。
 恐怖と不安は伝播する。それも見えないものであれば尚更である。誰も彼もが疑心暗鬼になる。自分だけが助ければいい。自分だけは大丈夫であればいい。
 そう思えば思うほどに、どつぼである。それこそが感染型UDCの狙いであろう。
 人の心はもろく弱い。他者を思えるのは、余裕のあるものだけだ。余裕がなければどうなるか。どんどん人の心は悪しきものへと染まっていく。
 一度染まってしまえば、容易には拭えないのだ。

「――落ち着けェ!!!!」
 混乱に陥った群衆を一喝する声。裂帛の気合を持ってして、そのよく通る声は混乱の極みにあり熱暴走を起こしたような群衆の頭に冷水をぶっかけるが如く。
 その声の主は、漆島・昂一(/邪神結合外殻システム『ABYSS』・f12856)。大柄な男性の一喝に群衆は心臓を掴まれたように一瞬ではあるが冷静さを取り戻す。
 昂一は動きの止まった群衆の中をかき分けて進む。

 彼の心中はまさに見た目とは裏腹の激情に燃え盛っていた。
 人だかりで増えるとか、向こうは何の気苦労も無えらしい。
「こいつらといい達磨野郎といい、UDCはふざけやがって……!」
 怒り狂う内心は、ただそれだけでUDCを焼き尽くさんばかりの激情となって燃え盛る。許せない。許せない。許せない。
 だが、彼が今すべきことはわかっている。

「……大丈夫だ、落ち着け。な」
 彼の目の前には錯乱仕掛けていた第一発見者。彼の肩を軽く叩き、錯乱を鎮める。大丈夫だから、安全なとこにいな。そう声をかけてから、灰色の軍勢に相対する昂一。彼の一喝は群衆のパニックを抑えただけでなく、灰色の軍勢の視線をも集める。
 一斉に灰色の軍勢が腕時計を構え、昂一に殺到する圧倒的な疲労感。
 これがやつらの攻撃か、とめまいを引き起こしそうなほどの疲労感に膝を折りそうになる……だが、彼を誰だと思っている。

「やるぞ、ニミュエ!」〈Mark on…〉
 彼の変身ベルトに差し込まれるアビスシーカー!
 黒き水がドライバーから溢れ、彼の体を覆う。それは灰色の軍勢の放つ疲労感を遮断する!
「…纏神ッ!」〈Face up, to SHADOW/DEEPS/CURSE〉
 纏った黒水が昂一の体を覆う装甲を形成していく。その姿は正に黒き神。彼の肉体全てを覆った瞬間、周囲の灰色の軍勢たちが衝撃波によって吹き飛ばされる。
 その中心に立つのは、邪神結合外殻システム『ABYSS』……漆島・昂一である!

〈一般人の前で派手にやるわね…〉
「どーせ膨大な後始末は確定なんだ…全力で派手に行く!」
 AIニミュエのどこか呆れた声が響きも、昂一は意に介さない。
 どちらにしたってもうこれだけの混乱が起こってしまったのだ。後始末が面倒なのであれば、一気呵成にオブリビオンを滅するが先決。
 黒き神の如き外殻に身を包んだ昂一が駆ける。

 灰色より昏き黒色が、有象無象の灰色に劣る理由など何処にもないのだから―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
人間達磨落としって聞いて人体でやるのかおのれ…って考えてたから俺はUDCに染まり過ぎてるかもしれない。…いや、まあこっちもこっちで狂ってますが。

さて、こんな自分の話は後で。今は繁華街の対処ですね。周りに被害はあんまり出せませんし…化け堕としな、ミミック。行動される前に引き釣り落として這いつくばって貰いましょうか。
…疲労って鎖にも効くんですかね。まあ、再召喚すりゃ元通りですけど。

自分は衝撃波込めた弾で腕時計狙って部位破壊したり、這いつくばって奴に向けて止めさしたりしましょうか。
地形の利用、第六感、戦闘知識、視力で周囲の情報収集をして一般人に被害いかないように立ち回ろう。
(アドリブ絡み歓迎)



 その噂話を聞いた時、その名を聞いて連想するものは人それぞれだろう。
 「人間」という文字に不穏さを感じる者もあるだろう。「達磨落とし」という本来玩具であるものへの無防備な感覚に付け込むような印象を持つ者もあるだろう。
 ただの言葉であるならば、それは言葉以上の意味を持たない。
 だが、感じる心があれば、言葉は力となり、力を伴った言葉は時に人に害を成す存在にまで引き上げられる。
 感染型UDCとはそういうモノである。噂話の真贋は問わず、ただその言葉を耳にしただけで、噂の一端を聞いただけで精神エネルギーとして顕現するのだ。
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は、「人間達磨落とし」の言葉から連想したイメージが自身の想像したものよりも幾分マシなものであるように感じたのだ。

 だからといって感染型UDCの怪異現象が弱いかと言えばそういうわけでもない。自身の想像したものを思えば、自身が如何にUDCに染まっているのかと自己嫌悪に陥りそうになるも、今はしなければならないことがあると気を取り直す。
 このスイッチの切り替えこそが、彼を猟兵足らしめているのだ。

「自己嫌悪は後でたっぷりするとして……今は繁華街の対処をしないと。周りに被害はあんまり出せませんし……」
 そう、この灰色の軍勢と呼ばれるグレースーツのオブリビオンによって被害が拡大すれば、それだけで感染型UDCの噂は連鎖反応を起こして加速度的に広がっていく。
 それだけはなんとしても阻止しなければならない。

「さあ、化け堕としなミミック…!神も人も…全ての存在を今に堕としましょう」
 彼のユーベルコード、偽正・崩翔鎖線(モメント・チェーン)が発動する。
 召喚したミミックが化けた白熱した鎖は、灰色の軍勢を捕らえて、行動を起こす前に引きずり倒されてしまう。
 灰色の軍勢の腕時計が鎖にかざされれば、鎖が金属疲労を起こしたかのようにボロボロと崩れ落ちていく。

「ときは はやく すぎる」
 さらに数体の灰色の軍勢が腕時計を拓哉に向ける。
 だが、それよりも早く再召喚したミミックの鎖が腕時計を掲げた手に絡みつき、そのまま地面に引きずり倒す。

「おっと!疲労って鎖にも効くんですね……まあ、再召喚すりゃ元通りですけど」
 拓哉がカラフルな二丁拳銃を構える。モデルガンなのだが放たれる衝撃波の弾丸はモデルガンのものではない。
 地面に引きずり倒された灰色の軍勢のグレースーツを貫く衝撃波。

「被害は最小限に、それでいて増え続けるオブリビオンを片っ端から片付けていかないとならない……思った以上にしんどいですが……ここでやめるわけにもいかないんですよね!」
 数が多すぎる。なぜなら、混乱の陥る群衆たちの目には、グレースーツの男たちが無限に湧き出るようなおぞましさが映っているからだ。
 その光景を目の当たりにした精神エネルギーは、あまりにも多い。
 だからと言って諦めるわけにはいかない。一般人への被害をまずは抑える!

 ミミックの鎖が放射状に伸び、一般人へと襲いかかるグレースーツを的確に捕らえて拓哉の目の前へと引きずり出す。
 未来予知でもしているのかと思うほどに、カンの冴えどころだ。被害が及ぶ前に尽く拓哉とミミックの連携によって灰色の軍勢たちは数を増やす速度を落としていく。
 遂には、灰色の軍勢を撃ち抜くスピードと伝播していく恐怖のスピードが逆転する。
「さあ、ミミック。まだまだこれからですよ!」
 これならば、残った灰色の軍勢を押し切れる―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

響納・リズ(サポート)
「ごきげんよう、皆様。どうぞ、よろしくお願いいたしますわ」
おしとやかな雰囲気で、敵であろうとも相手を想い、寄り添うような考えを持っています(ただし、相手が極悪人であれば、問答無用で倒します)。
基本、判定や戦いにおいてはWIZを使用し、その時の状況によって、スキルを使用します。
戦いでは、主に白薔薇の嵐を使い、救援がメインの時は回復系のUCを使用します。
自分よりも年下の子や可愛らしい動物には、保護したい意欲が高く、綺麗なモノやぬいぐるみを見ると、ついつい、そっちに向かってしまうことも。
どちらかというと、そっと陰で皆さんを支える立場を取ろうとします。
アドリブ、絡みは大歓迎で、エッチなのはNGです



 感染型UDC。
 それは人間の「噂」によって増殖する恐るべき新種のUDC。
 その最大の長所は、それを見た人間、それを噂話やSNSで広めた人間、その広まった噂を知った人間全ての「精神エネルギー」を餌として大量の配下を生み出すことだ。
 今回の「噂」は「人間達磨落とし」……達磨落としに見立てた廃材や廃車の上に人間を起き、それを玩具と同じように突き崩していく遊びに興じるUDCの存在が確認されている。
 達磨落としの遊戯は大概、崩れ落ちて上に乗っていた人間もまた落下死してしまう。
 その現場を運悪く見てしまった一般人の錯乱した言葉によって、繁華街にいる人々に伝播してしまったのだ。
 それによって大量に生み出されたオブリビオン……灰色の軍勢と呼ばれるグレースーツの男たちが、さらなる精神エネルギーを奪おうと繁華街に行き交う人々に襲いかかっているのだ。

 そんな混乱の極みに達したであろう繁華街に降り立ったのは、天使を思わせるような姿のオラトリオ……響納・リズ(オルテンシアの貴婦人・f13175)であった。
 グレースーツのオブリビオンたち……灰色の軍勢が視線を一気にリズへと向ける。
 当然だろう、オブリビオンである以上、彼女が何者であるかは瞬時にわかる。猟兵、過去の化身たるオブリビオンの宿敵であると。
「ごきげんよう、皆様。どうかご心配なさらずに」
 リズの声がよく響く。周囲の状況を即座に判断し、混乱と恐怖に飲まれる群衆を、その美麗な声によって鎮めたのだ。
 この混乱と恐怖が感染型UDCの力の源であるというのなら、それを断つのが城跡であるとリズは考えていた。
 彼女の声色は正にその狙いを成すのに最適なものであったことだろう。それに加えて彼女の容姿はまさに天使そのもの。その姿に救いを見た人々の心には「人間達磨落とし」の噂以上に深く刻まれたはずだ。

「感染型UDC……人々の心をかき乱して力を得ようとするなど……私が許すことはありません。―――参ります」
彼女のユーベルコード、白薔薇の嵐(シロバラノアラシ)が発動する。彼女の武器が無数の白薔薇の花弁へと姿を変える。

「この薔薇のように綺麗に滅して差し上げますわ」
 灰色の軍勢……彼らのグレースーツを圧倒的な数によって切り裂いていく。
 一対多数の戦いであるのであれば、彼女の白薔薇の敵ではない。何より、純白の白薔薇が灰色に負ける道理などないのだ!
 一瞬にして駆逐されていく灰色の軍勢たち。
 その老化、劣化をもたらす煙でリズを攻撃しようとしても、それらを阻むのは純白の薔薇の花弁。
 時に盾に。時に剣となって白薔薇の嵐は止むこと無く。

 そうして白薔薇の嵐が収まる頃、灰色の軍勢は彼女の言葉のとおりに骸の海へと返される。
「これで多少はきれいになったことでしょう……感染型UDC……人々の心に潜むそれもまた同じようにしなければなりませんね……」
 そう、まだまだ前哨戦なのだ。感染型UDC「人間達磨落とし」その諸悪の根源たるオブリビオンを滅しない限り、犠牲になる者たちがいなくなることはない。

 決意を新たにしたリズの白薔薇が繁華街を包んでいくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

セプリオギナ・ユーラス
UCで召喚したスタッフで速やかに情報封鎖を行う。見聞きしてしまった人が他にいないか、よく探す。無論第一発見者のケアもそちらに任せる。
パンデミックでは、初動での封じ込めが重要だ。

それとは別にひとつ、転がり出る正六面体


正六面体は己の纏う霧を一段と濃くし、そこから現れる──

白衣の男。
「邪魔だ」
助けてくれという悲鳴と、灰色のオブリビオンたち両方に向けて言い放つ。

莫迦らしい。俺は正義の味方でもなんでもない。そこに病があれば治療する。そういう生き方をしているだけだ。
悲鳴を上げている者は“感染源”、眼前の灰色もただの“症状”と見なす。
灰色にメスを投げつける。治療せねばならない。その思いが胸を支配していた。



 嘗ての誰かが言った。
「疾病とは疾くに処置すべきである」
 まったくもってそのとおりである。感染型UDCともなれば、その重要さは言うまでもない。ただの噂の断片を見たり聞いたりするだけで、この有様なのだ。そのUDCの恐ろしさたるや語るまでもない。
 そう疾くに。疾くに。処置を完遂しなければならない。手遅れとなる前に、手の施しようが無くなる前に。

 ごろりと転がり出る正六面体。
 それは漆黒をさらに塗り込めたような色をしていた。混乱と不安の真っ直中にある群衆の誰の目にも止まることはなかった。
 それが何であるのかわかる者もいなかった、というのが正しいだろうか。
 正六面体は、それが纏う霧を一段と濃くし、それに気がついた群衆が目を向けた時にはすでにそこに佇む一人の白衣の男性。
 そう、セプリオギナ・ユーラス(賽は投げられた・f25430)である。
 白衣を身にまとってはいるが、尋常ならざる者の雰囲気は、この混乱最中にあっては何か煌めくものもあったのかもしれない。
 グレースーツの灰色の軍勢に襲われ逃げる人々が口々に彼に向かっていう。
「助けてくれ!」
 猟兵であれば、その救いを求める声に答えたであろう。
 だが、彼の放つ言葉は違う。その言葉は、助けを乞う者と灰色のオブリビオン……灰色の軍勢の両者に向かって放たれていた。

「邪魔だ」
 短く。それ故に的確に。灰色の軍勢たちの眉間に突き刺さる銀色の金属片―――メスだ!メス投げ放ったのだ。
 いらつくように、本当に腹立たしそうに彼は、セプリオギナは舌打ちする。
「莫迦らしい。俺は正義の味方でもなんでもない。そこに病があれば治療する。そういう生き方をしているだけだ」
 そう、目の前の一般人は“感染源”、眼前の灰色の軍勢はただの“症状”である。それ以上でも以下でもない。
 疾く。疾く。疾く!治療せねばならない。処置しなければならない。正しく、素早く、間違いなく。その思いだけが彼の胸中を支配している。

「猫の手よりはマシというものだな」
 彼のユーベルコード、救急招集(エマージェンシー・コール)によって召喚された正六面体の医療スタッフが速やかなる情報封鎖を行う。
 コミュニティサイトの封鎖、該当ワードのNG化。様々な感染型UDCの蔓延に繋がりそうなものを尽く遮断していく。
 それに加えて、第一発見者の確保。彼の確保は確実に行わなければならない。
 現状では彼の人命が脅かされることは少ない。だが、もしも、こちらの初動を封じるために頭を働かせるオブリビオンがいたとしたら……
 次なるオブリビオンの一手として、感染型UDCへと繋がるピースをみすみす逃してしまうことになる。
 だからこそ、第一発見者は厳重に確保して置かなければならないのだ。

「素人判断をすることは許さん。トリアージは俺が決める」
 次々と骸の海へと返されていく灰色の軍勢。
 白衣が翻り、彼の言葉通り、灰色の軍勢という“症状”は正しく処置されたのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『歓楽街に潜む影』

POW   :    客に扮して調査する。

SPD   :    従業員に扮して調査する。

WIZ   :    記者などに扮して調査する。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 感染型UDCの先鋒たる灰色の軍勢は全て骸の海へと返された。
 周囲の混乱は徐々に収まりつつあるようであるが、まだ事件は終わったわけではない。感染型UDCの第一発見者……彼から得た情報を元に感染型UDCの本拠を探し出せねばならない。

 猟兵達の活躍によって第一発見者は無事に確保されている。元々噂を広めるための切っ掛け故に彼の生命は保証されてはいたが、オブリビオンの大量発生後の生命は保証されていなかった。
 故に彼の証言は猟兵たちにとっては値千金である。

「何処かで見たことのある顔だって思っていたんだ!ほ、本当なんだ!歓楽街の中の……そう!ゲーセン!ゲームセンターで見た顔なんだ!信じてくれ!」

 第一発見者である彼の言葉を信じないわけではない。無論、これから猟兵たちは歓楽街に赴き、彼の証言にあるゲームセンターを調査しなければならない。
 だが、この歓楽街にはいくつかゲームセンターがある上に……

 すでにもう感染型UDCの本拠となっているゲームセンターは怪異に飲まれている。そこを突破して、感染型UDCへと辿り着くのは難しいことであろう。
 だが、逆に考えれば、怪異に飲まれているゲームセンターが当たりなのだ。
 最近おかしなことが起こるゲームセンターはなかったか、という問に第一発見者の彼は答える。

「あ、ある……!トイレのあった場所が、従業員用の部屋になっていたり、両替機がバグっていたり……て、店員の様子もなにかおかしかったり……」

 当たりである。そのゲームセンターに潜入し、猟兵たちは感染型UDCを追い詰めなければならない。
 相手は子供の人相である。ゲームセンターに出入りする子供も少なくはないだろう。
 だが、一刻も早く感染型UDCの所在を特定しなければ、また今回のような惨禍に見舞われてしまう。それだけは阻止せねばならないのだ!
神代・凶津
さてと、次は第一発見者から最近おかしなことが起こるゲームセンターとやら場所を聞いて潜入だな。
気合い入れていこうぜ、相棒。

まずは、情報収集だな。
店に妙な子供が来ていないか聞き込みしないとな。
敵に勘づかれないように飽くまでさりげなくな。
ある程度情報を集めたなら相棒の式神【捜し鼠】で感染型UDCを人海戦術ならぬ鼠海戦術で捜しだしてやるぜッ!

「・・・凶行を一刻も早く止めないと。」
だな、相棒。
さっさと見つけだしてぶちのめしてやるぜッ!


【技能・情報収集】
【アドリブ歓迎】



 感染型UDCの生み出した精神エネルギーによるオブリビオンの大量発生を凌ぎ切った猟兵達。
 今回は凌ぎきれたが、いつまた噂の第一発見者が生まれてもおかしくない。幸いにも今回の第一発見者の確保は成功し、感染型UDCの大元に迫る情報を得ることが出来た。
 だが、まだ足りない。もう一歩。
 この踏み込みを誤ってしまえば、感染型UDCをまたのに解き放ってしまうことと同義である。
 保護した第一発見者から得られた情報によると、感染型UDCは少年の姿をしているということ。歓楽街にあるゲームセンターで出入りしていること。そのゲームセンターはすでに怪異現象に飲み込まれているということ。

 ならば、まずは件のゲームセンターで感染型UDCと目される少年の所在を掴まなければならない。
 これより猟兵が向かうのは怪異渦巻く敵の本拠……!神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)、そして彼のパートナーである桜はゲームセンターへと足を踏みれいたのだった。

『さてと、第一発見者が言うには最近おかしなことが起こるゲームセンターとやらに来てみたんだが……』
「外観からはわからない」
 そう、彼らが訪れたゲームセンターは間違いなく情報の通りの場所にある。外観は普通のゲームセンターだ。何も変わったものがあるような気配はない。
 しかし踏み出してみないことはわからないこともあるだろう。彼らはゲームセンターの自動ドアをくぐる。そこで一瞬でわかってしまう。
 ここはもはや異界である。空気が淀んでいる。明滅するような明かり、妖しい空気が天井に張り付くようでもあり、床に沈殿していくようでもあり……正直に行って気分が悪い。

「……凶行を一刻も早く止めないと」
『だな、相棒』
 流石に二人もこれには焦りを見せる。ここまで淀んだ怪異に飲まれてるとは思わなかった。店員の姿が見えない……どこに。
 迷っている時間はあまりなさそうだった。彼らのユーベルコード、式神【捜し鼠】(シキガミ・サガシネズミ)によって呼び出された式神の鼠たちが一斉に駆け出す。
 これならば、敵に気取られることなく情報を集めることが出来るだろう。

「……!反応があった」
 桜が式神からの反応を感じ、歩き出す。……いや、待ておかしい。ゲームの筐体の位置がずれている。
 いや、違う。ずれていない。元からあんなものなど無かった。ぐるりと視界を回すと、そのたびにゲーム筐体の位置が変わる。ゲーム筐体の形が、色が、変わっていく。
『これは……完璧にクロじゃねぇか。相棒、式神の反応に従って走れ。視覚に頼ると引きずり込まれる』
「わかった」

 徐々に変わっていくゲームセンターの中。二人が式神の反応を頼りに走り出す。
 式神達の誘導によって迷宮と化すゲームセンターで迷うことはなかった。だが、確実にこのゲームセンターは敵の本拠であり、式神たちの反応の先に自分たちが求める敵……感染型UDCがいることを確信するのだった。

『さっさと見つけ出してぶちのめしてやるぜッ!』
 凶津の苛立たしげな声が怪異に飲まれたゲームセンターに響くのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

化野・花鵺
「せぇふく最高ぉ…ハッ?!」
巫女服を脳内再生してうっとりしていた狐、自分が盛大に出遅れたことに気付いて慌てて依頼に乗り出した

「ゲーセンで制服じゃきっと補導されちゃうよねぇ。ちぇー、でも最初が眼福だったから我慢するべきかなぁ。でもでもぉ、なんとなくまだイイコトありそうな気もするぅ」
首を捻りつつ話に聞いたゲーセンへ

少年が元凶とだけは聞いているので、それ以外の人間を探して逃がすのが主目的

顔を狐に戻し本来の聴力や嗅覚で人の気配を感じ取れるか試す
人の気配があればそちらへ
なければ瘴気がより濃くなる方へ移動

人を発見したらその手を掴み一瞬だけ「七星七縛符」
敵の影響を一瞬断ち出口まで送る
「さあ、急いで逃げるよ」



 狂気という怪異現象に巻き込まれたゲームセンター。その中は立ち入る者たちによって千差万別の様相を呈していた。
 あるものは迷宮のように入り組む店内に翻弄され、あるものは……

「せぇふく最高ぉ……ハッ?!」
 化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)のようにトリップ……いや、彼女は違うな。彼女の頭の中で再生されていたのは巫女服である。
 そう、狂気にという怪異現象に取り込まれていたわけではない。断じて。
 彼女もまたグリモア猟兵からの願いに応じて事件へと乗り込んできていたのだが、出遅れてしまった事に気がついて、慌ててゲームセンターに乗り込んだのだった。

 彼女は非常の高度な制服への執着を持つ猟兵である。それが故に、ゲームセンターに入るためには学生であれば補導されてしまうことを懸念しているのだ。
 ゲームセンターといえば、学校帰りの学生達がいてもおかしくない。ただ、時間が時間であれば、見回りの教師たちもいようものである。
 だが、このゲームセンターは違う。
 あちらこちらに遅い時間になっても学校帰りであろう学生服の青年たちが屯しているのだ。

「ゲーセンで制服じゃきっと補導されちゃうよねぇ。ちぇー、でも最初が眼福だったから我慢するべきかなぁ。でもでもぉ、なんとなくまだイイコトありそうな気もす……えぇぇー!せぇふくだぁ!」
 そう、おかしいレベルで制服姿の青年たちがビデオゲームに興じているではないか。
 え、え、と戸惑いながらも驚きを隠せない花鶴。どういうこと?こんな時間まで遊んでいたら先生たちに怒られてしまうよ!?と言いながらも、しっかり眼には制服姿を目に焼き付けている。

 だが、おかしいことに気がつく。彼女が妖狐であるがゆえに気がついた違和感。
 制服姿の青年たちの身にまとわりつくような瘴気。それがあまりに濃い。それに彼らの目。もはや正気のそれではない。
 淀んだ瞳のままビデオゲームから流れる映像を、ずっと眺めているのだ。
 確実に怪異現象に飲み込まれていると気がついた彼女は、ユーベルコード七星七縛符を発動する。護符が彼ら学生服の青年たちの体に張り付くと、淀んでいた瞳に精気が戻ってくる。

「やっぱり!なんだかおかしい気配があるって思ってたけど、この子たちを自分の目くらましに使おうってしてたんだ!」
 彼女の護符のおかげで怪異現象から切り離された青年たちの手を引く。
 ひとまず彼らを保護するにしても、このまま怪異現象に飲まれたゲームセンターに置いておくわけにはいかない。
 とにかく引き離さないといけない。

「さあ、急いで逃げるよ」
 有無を言わさず花鶴が学生服姿の青年たちをゲームセンターから引き離していく。
 猟兵としての務めでもあるが、彼女にとって制服は特別なもの。
 ―――そう、約得である!

成功 🔵​🔵​🔴​

波狼・拓哉
変なゲームセンターねぇ。まあ分かりやすくていいですわ

さーって確か廃材や廃車を積んでるんでしたっけ。ってなりますとー…外?いや駐車場辺りですかねー。ま、行ってみりゃ分かりますか。どうせ歪んでるんです。この辺はちゃんと考えるだけ無駄でしょう

視覚に頼るの大変そうなんで進む道は第六感で適当に。迷路は適当に進むに限る
従業員やお客に話聞きたいとこだけど…これ絶対まともに喋れんよなぁ………面倒ですけど置いて行くのもあれだし、当身で衝撃波通して気絶攻撃してから鍵に化けたミミックで回収していきますか
一応最初は聞き込んで見ますけど…意味ないと一瞬でも思ったらすぐさま意識を刈り取りましょう
(アドリブ絡み歓迎)



 UDCは時として特定の場所を怪異現象に飲み込むことがある。
 それはUDCの本拠を構える場合もあれば、追っ手である猟兵達の目を欺くためでもある。そのような狡猾さがあるがゆえにUDCとは油断ならぬ相手であり、一瞬の隙も見せられない難敵なのである。
 件の感染型UDCの目撃情報があるゲームセンターの場所は、第一発見者からすでに伝え聞いている。歓楽街にあるゲームセンター。時間が時間であれば、学校帰り、塾帰りなどの学生たちもいることであろう。
 少年の姿をしているという以上、このような場所を選んだことは想像に難くない。

「変なゲームセンターねぇ。まあわかりやすくていいですわ」
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)が伝え聞いたゲームセンターの前で嘆息する。
 感染型UDC「人間達磨落とし」。確か廃材や廃車を詰んで達磨落としの胴体を作る……となると外、もしくは駐車場あたりが妖しいと彼は踏んだのであるが、どうせ怪異現象で歪ませるのであるから、近道をしようとして遠回りになってしまった、ということになりかねない。
 むしろ、そういう手を好んで使ってくるのがUDCである。ならば、考えるだけ時間の無駄である。速攻で突っ込んで最大の戦果を掴み取るほうが堅実なのだ。

「あー……これまた、見事にまあ……」
 ゲームセンターに入ると、拓哉の嘆息は更に深いものとなったことだろう。
 瘴気が溢れすぎている。充満しすぎていると言っても良い。ゲーム筐体は冗談みたいに明滅し、筐体が絶えず移動していて迷路のような有様になっている。
 そうでなくても、ひどく冒涜的な内容のビデオゲームの画面にめまいがする。

「視覚に頼るのは大変そうですね、これは……しようがない」
 もうこればかりは視覚を当てにしては、にっちもさっちもいかなくなる。此処は自身の経験と第六感を当てにするほか無い。
 適当に歩くと、すぐに従業員と出くわす。ここで何か情報を……と思ったが、確実にまともにしゃべれないだろうと確信する。
 ブツブツと何か小さな声でつぶやきながら虚ろな目でゲームセンター内を徘徊しているのだ。まともに取り合っていては、時間がもったいない。

「面倒ですが……置いていくのも、ねぇ……ちょいちょい、お兄さん」
 ぐるん!と従業員が振り向いた瞬間、拓哉の当身が従業員の意識を刈り取る!がく!と体が折れ曲がり、崩れ落ちる従業員を抱える拓哉。
 はあ、とため息が出る。あんまり一般人にこういうことするのは憚れるのだ。
 彼のユーベルコード、偽正・深眠幻想(アラウザル・エスケープ)によって呼び出された箱型生命体……ミミックに気絶して抵抗できない従業員を吸収して回収していく。全てが終わった後に開放すれば、狂気からも逃れることができるだろう。

「それにしたって……数、多すぎでしょう?」
 一人の従業員をのした後、すぐさまワラワラと集まってくる狂気に飲まれた一般人達。これは、確実に聞き込みの意味はないな、と拓哉は判断する。
 下手に残して人質にでもされるよりはマシでしょ、と次々と襲いかかる一般人たちを気絶させ、ミミックの中へと回収していく。
 その過程で、まるで誘うように従業員通路への入り口がきぃきぃ音を立てて開いていた。
 さあ、蛇が出るか鬼が出るか。
 きっと、その先には感染型UDCがいる。鬼でも蛇でもどっちでもない。なら、後はやるべきことはたった一つだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​

漆島・昂一
ゲーセンの中は随分ぶっ飛んだ見取り図になってるみたいだな…
敵の目ぼしい居所は掴んだんだ

「―転神!」(黒い鬼の姿が黒水に崩れ、死神めいた姿へ変化。カースフレーム装着)
残りの人間を返す
今日のゲーセンは店仕舞いだ

【カースの特性】を使い、広範囲の人間に霧状の黒水が行き渡るよう展開
自身の〈呪詛・狂気耐性〉をもとに一般人にかけられている呪いをこちらの〈催眠術〉で塗り替える

このフレームの身体が霧散する感覚も、相対する瘴気やらの肌と精神に刺さる不快さも、大分慣れたもんだ
事務的に呪いを解析し、〈団体行動〉に則った集団退場を求める
「カ エ レ」
口から発した筈の言葉はゲーセン内にこだまする
…マジに幽霊になった気分だ



 怪異現象に飲み込まれた場所というものは、常識の埒外にあると考えるのが妥当である。つまり、何が起こるのかわからない。何が起こっても不思議ではない。
 一般人であれば正気をすぐに失ってしまうことだろう。
 だが、UDCと同じく常識の埒外ある存在……猟兵もまた同じ枠組みでくくれない存在なのである。
 件のゲームセンターを飲み込む怪異現象は、感染型UDCによって深く本拠としての機能を果たしているのだろう。
 だが、敵のめぼしい場所を掴んだことは大きい。

 漆島・昂一(/邪神結合外殻システム『ABYSS』・f12856)がゲームセンターに踏み込んだ瞬間、彼の黒い鬼の姿が黒い水のように崩れ落ちる。
 彼のユーベルコード、外殻特性『黒水霧散』(ガイカクトクセイ・ブラックミスト)。
『カースフレームは黒水に肉体を内包させ、霧となることで幽霊のように行動できる。死亡扱いの貴方とも相性は良いのではないかしら?』

 フォームチェンジ。死神めいた姿となった昴一がカースフレームを装着したのだ。
「今日のゲーセンは店仕舞だ」
 静かにつぶやく声は店内に存在していた学校帰りの学生や従業員には届かなかった。なぜなら、すでに彼らは狂気と怪異に飲み込まれているからだ。
 ちょっとやそっとのことでは彼らは動こうとしないだろう。
 何せ彼ら自身が感染型UDCの駒であり、人質であり、そして……次なる「人間達磨落とし」の犠牲者であるからだ。

 思わず舌打ちをしたくなる。
 このカースフレームの体が霧散する感覚も、相対する瘴気やらの肌と精神に刺さる不快さも、大分慣れたものだと自重する。
 早く始末をつけたい。自身は呪詛や狂気に対する耐性がある。ならば、一般人の飲み込まれた狂気や呪いを、カースフレームの特性で塗り替えてしまえばいい。
 無理に正気に戻す必要はないのだ。
 塗りつぶして、強制的にゲームセンターから追い出せばいい。事務的と言われれば、それまでではあるが、これが一番効率がいい。

「カ エ レ」
 その言葉はゲームセンター内にこだまする。死神のような姿となった昴一から発せられたそれは、ゲームセンター内にいた人間たちの狂気を上回るほどの催眠。
 まるで幽鬼か何かと同じような、そんな感覚。
 これではどっちがどっちなのだと想ってしまうが、彼の狙い通り店内に残っていた人間たちは速やかに退店したようだった。
 上手く言ったことは喜ばしいのだが……

「……マジに幽霊になった気分だ」
 ややげんなりしてしまうのは、致し方のないことだったのだろう。
 だが、これで敵であるオブリビオン、感染型UDC「人間達磨落とし」の目論見の大半は阻止したと言っていい。

「後は、感染型UDCの野郎をぶちのめすだけだ……!」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『『破壊遊戯』の大剣』

POW   :    大剣解放『破壊遊戯』
単純で重い【大剣】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    領域展開『破壊遊戯』
【大剣から地形を破壊しながら地を走る衝撃波】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    覚醒儀式『破壊遊戯』
【これまで壊してきた物の質と量に応じて、】【邪神の力が増大し、喪失感と共に、】【新たな楽しみを求める心と破壊衝動】を宿し超強化する。強力だが、自身は呪縛、流血、毒のいずれかの代償を受ける。

イラスト:こぶじめ

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はリステル・クローズエデンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 怪異に飲み込まれたゲームセンターを猟兵たちは駆け抜けた。
 怪異現象に飲み込まれた一般人たちは全て、彼らの手によってゲームセンターの外に出されたり、救出されたりするなどして全て無事だ。
 もしも、未だにゲームセンターの中に一般人が残っていた場合、きっと感染型UDCは、彼らを人質ないし、駒として扱ったことだろう。

 だが、その目論見も全て看破した猟兵たちにとって、後は感染型UDCを叩くことだけがこの事件を収束するための最後のピース。

「なぁんだ、つまんないなぁ。真っ先に此処に来るって思っていたから、色々人間を使った仕掛けを用意してたのに」
 無駄骨になっちゃったなぁ、と少年の姿をした大剣を携える姿の感染型UDCが笑う。
 鉄塔の如く廃車と廃材を組み上げた人間達磨落としの、頭のない胴が乱立している駐車場で猟兵たちを待ち構える。

 きっと猟兵たちが一般人を逃していなければ、あの鉄塔じみた達磨の天辺に一般人を置いていたのだろう。
 障害物は多い……鉄塔じみた廃車と廃材の塊が崩れ落ちれば、それだけで行動の妨げになるだろう。
 それに少年の構える大剣。あの一撃はきっと想像を絶する威力と重さを持っていることだろう。

 どちらにせよ、姿で判断するには油断ならぬ敵である。
「じゃぁ、遊戯ぼっか!僕が消えるか、君たちが死ぬか!デスマッチってやつだね!ああ、いいよね、デスマッチ!言葉の響きが最高だぁ……死、死、死っ!あはは!」
 感染型UDC『破壊遊戯』の大剣の哄笑が廃材と廃車で組まれた鉄塔乱立する駐車場に響き渡るのだった―――!
化野・花鵺
「くぁぁ、ショタ制服来たよ正に神・展・開!いーよねぇ、うっかり信者になりそうだよショタせぇらぁ!あーもう滅ぼす前に拝みたいぃ」
狐、くねくね大興奮

「あーもう、せぇふくさんの依頼最高ぉ!一生ついて行くぅ」
脳内でグリモア猟兵の巫女服姿を再生した狐、更に興奮
「さっさとショタせぇらぁ倒してせぇふくさんの信頼度を爆上げだぁ!」

「フォックスファイア」をまとめて大きくして敵を攻撃
他の猟兵の攻撃時にはまとめず高速連打して弾幕代わりに使用
敵からの攻撃は衝撃波で軌道を逸らし回避

「せぇふくさんの依頼で制服三昧制服天国ぅ!もーっと制服堪能するためにもぉ、ショタせぇらぁはさっさと海へ帰っちゃえぇ」
戦闘終了まで狐火連打



 感染型UDC、『破壊遊戯』の大剣の哄笑が廃材高く積まれた塔の乱立する駐車場に高く響いた。
 その様子は一層UDCの持つ狂気を想像させ、さらなる悲劇を産まんとする意思が感じられたかも知れない。それよりも何よりも、今この戦いですらデスマッチというゲームに見立てて、喜ぶような様子さえ見せるのだ。
 UDCとはつまりこういうものである。そう思わざるを得ない狂気に包まれた少年の姿。
「やっぱり、普通の人間はすぐ壊れちゃうからなぁ!猟兵だったらすぐには壊れないでしょう?そうじゃないと困っちゃうんだよ!まだまだ僕は遊びたりないんだからさぁ!」
 少年の姿をしていてもUDCはUDCである。
 身の丈以上もある大剣を掲げ、尽きぬ破壊衝動のままに邪神の力でもって、その戦闘力を強化していく。
 それは対峙する猟兵にとっても脅威であることは変わりない。

 だが、彼女だけは。化野・花鵺(制服フェチの妖狐・f25740)は、今まで出会ってきた者の中でも特別違う気配を纏っていた。
 尋常ではない気配を感じて、『破壊遊戯』の大剣は、思わず一歩足を引いてしまった。
 なんだアレは。じり、とプレッシャーによって足が引く。あきらかに、彼女は……。

「くぁぁ、ショタ制服来たよ正に神・展・開!いーよねぇ、うっかり信者になりそうだよショタせぇらぁ!あーもう滅ぼす前に拝みたいぃ」
 ……くねくね大興奮していた。ものすごく。この現状の中でまさに自身のフェチを貫く強さ。それを持った猟兵が、UDCの前に現れたのだ。
 きっと初めて見るタイプの人間だったのだろう。少年の姿をしているUDCの着ている制服。それに目が釘付けなのだ。いや、妖狐だけど。

「なっ、なっ―――なんだお前は!?」
 少年が叫ぶ。それはそうだろう。今から破壊の限りを尽くした遊戯を始めんとしていたのに、目の前の猟兵は彼女のうちにある制服愛を叫んだのだから。

「あーもう、せぇふくさんの依頼最高ぉ!一生ついて行くぅ」
 彼女の脳内では今、巫女服姿のグリモア猟兵の姿が再生されていたのだ!話聞いてるとか聞いてないとかの次元ではない。すごい、更に興奮している……!
「さっさとショタせぇらぁ倒してせぇふくさんの信頼度を爆上げだぁ!」
 そう叫ぶ花鵺の中では一体どんな想像が働いているのだろうか!
 彼女の興奮の度合いを見る分には、とても彼女の愛する制服へのリビドーに逢ふているのだろう。
 それは彼女の放つユーベルコードの威力に比例しているような気配さえあった。
 フォックスファイア……彼女の操る狐火は次々と合わさっていき、その強大な狐火が掲げられる。あまりにも巨大な狐火。

 ごう、と巨大な狐火が廃車と廃材で組まれた塔を蒸発させるほどに打ち込まれ、UDCは防戦一方になってしまう。あれだけ能力を強化したというのに、逃げ回るほか無いほどに花鵺の攻撃は苛烈を極めたのだ。
「せぇふくさんの依頼で制服三昧制服天国ぅ!もーっと制服堪能するためにもぉ、ショタせぇらぁはさっさと海へ帰っちゃえぇ」

 彼女の欲求に忠実な叫びと共に狐火は連打され、UDCは躱すことに精一杯。
 花鵺の制服天国への道はまだまだ始まったばかりなのだ!まだ見ぬ、せぇふくさんのため彼女は狐火を連打し続けるのだった―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

神代・凶津
漸く見つけたぜ、今回の事件の元凶・・・ッ!
そんなに遊びたいなら俺達が遊んでやるよッ!

「いくぜ、相棒ッ!」
「・・・転身ッ!」
雷神霊装でいくぜッ!

あんな大剣とまともにかち合ってたら命が幾つあっても足りないな。
高速移動で縦横無尽に翻弄しながら破魔の雷撃を纏った斬撃の放射を叩き込んでやるぜ。
大剣の一撃なんか貰ったら只じゃ済まねえだろうが攻撃の直後はすぐには再行動できねえ筈だ。見切って避けて妖刀でなぎ払ってやるよ。

「・・・討滅します。」
おうよ、相棒。
今まで散々人様の命で遊んだツケ、きっちり払ってもらおうかッ!


【技能・破魔、見切り、カウンター、なぎ払い】
【アドリブ歓迎】



 破壊を遊戯と呼ぶUDC。『破壊遊戯』の大剣にとって、遊ぶということは破壊するということである。
 ただただ破壊するだけでは飽き足らなくなってしまったが故の「人間達磨落とし」。その凶行に晒されるのは、いつだって無辜の人命である。
 精神エネルギーを餌に成長する感染型UDCであるのであれば、その犠牲者はさらに増えることだろう。そして、さらなる犠牲はさらなる噂の伝播として広がりゆく。
「まだまだ全然遊び足りないんだ!壊して壊して壊しまくって!何もかも更地になるまで僕は遊びたいんだ!」
 哄笑が響く。無邪気とも取れる笑い声。その声がひどく耳障りに感じてしまうのは、己の身が猟兵であるからだろうか。
 いいや、違う。違うと思う。そう、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)と彼のパートナーである桜は思った。
 二人の気持ちは同じであった。

『漸く見つけたぜ、今回の事件の元凶……ッ!そんなに遊びたいなら俺達が遊んでやるよッ!』
 鬼面が吠えた。その激情を現すように。
『いくぜ、相棒ッ!』
「……転身ッ!」
 凶津と桜の声が重なる。彼らのユーベルコード、雷神霊装(スパークフォーム)が発動し、二人の力を一つにして顕現する雷の霊装を身に纏う。
 紫電が彼らの体から発せられる。その力の凄まじさたるや、周囲を煌々と明るく照らすほどの出力。

「あはは!そんな派手な身なりをしたって!壊すっ!壊すっ!その霊装ごと壊す!」
 『破壊遊戯』の大剣から地形を破壊しながら地を走る衝撃波が放たれる。
 それは地面を削り、瓦礫の山を崩す勢いで凶津と桜に迫る。あの無差別な攻撃は範囲も広ければ攻撃後からも強い。
 まともにかち合っては、彼らの生命がいくつあっても足りない。ならば―――。
『雷神霊装のスピードを舐めんじゃねぇ!』
 広範囲に放たれた衝撃波は、彼らを捉えることはできなかった。瞬時に攻撃範囲から逃れるほどの超スピードで躱し、即座に破魔の雷撃を纏った斬撃を放射する。
 紫電の奔流が空を走り、廃車と廃材で組まれた忌々しき人間達磨の胴をなぎ払いつつ、『破壊遊戯』の大剣へと迫る斬撃!

「ちょこまかとっ!なら、これなら!ワイドレンジで!吹き飛べ!」
 さらなる広範囲の衝撃波!一撃目よりも遥かに広い射程!
 だが、その衝撃波の一撃さえも雷神霊装を身に纏った体は捉えることが出来ない。彼らが移動するたびに空気の壁を突き破る音が響き渡る。
 それは正に雷鳴であった。

「……討滅します」
『おうよ、相棒!』
 二人の声が重なる。轟く雷鳴を引き連れて、紫電の閃光が走る。妖刀に込められた破魔の力が最大限に発揮される。
 妖刀へと霊装の力が収束していく。それは正に暗雲切り裂く紫電の剣。

『今まで散々人様の生命で遊んだツケ、きっちり払ってもらおうかッ!』
 鬼面が咆哮する。それは嘗てUDCに翻弄され、人間達磨落としの犠牲者とされた者たちへの無念を晴らすための咆哮。
 稲妻のごとき一撃。
 横薙ぎに払われるようにして、『破壊遊戯』の大剣が吹き飛ぶ。その体が廃車と廃材の塔へとぶつかり、その上へと瓦礫が次々と降り注ぐ。 
 それは正しく凶津の言う通り、人様の生命で遊んだツケ―――!

大成功 🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
囮兼駒ってまあ、頭悪いUDCがよく使う手段の一つですしねぇ。だからグリモアに捕捉されるわ、我々が手を抜く可能性なくすわなのですが。

あ?デスマッチ?やだよ死にそうじゃん。そういうわけでミミック相手しやってくださいな。…箱だと侮りましたね?化け狂いな、ミミック。
…そうですね。ミミックやられましたね。え?いやまだですが。コンテニューしますが?ミミックに再召喚制限とかないですし…ルールなんてないですよ?

自分は衝撃波込めた弾で適当に。闇にまぎれる、目立たない、戦闘知識、視力、地形の利用でミミックに動き悟らない様に行動。廃車と廃材の塔を崩壊させてダメージ加速させたりしますかねー。
(アドリブ絡み歓迎)



 真に狡猾な者とは息を潜めて行動するものであるのかもしれない。
 誰にも気取られることなく、静かに湖面を揺るがさないように潜航するように画策する者こそ捉えることが難しいものである。
 故に、己の力を誇示することこそが、中途半端な力を持つ者にとっては、真なる弱点なのかもしれない。
 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)は、ただ静かにそう思うのだった。

「囮兼駒ってまあ、頭悪いUDCがよく使う手段の一つですしねぇ」
 拓哉は心底呆れたようにつぶやく。それは哄笑上げ、大剣を振りかざす少年の姿をした感染型UDC『破壊遊戯』の大剣に向けての言葉であった。
 挑発じみた言葉に少年の狂気を孕んだ瞳が見開かられる。
「猟兵がよく言ったじゃないかぁ!遊びはね!派手な方が絶対楽しいんだから!」
「だからグリモアに補足されるわ、我々が手を抜く可能性がなくすわなのですが」
 そう、感染型UDCである以上、必ず第一発見者は生きて逃される。
 本来なら逃がすことはないのだ。だが、感染させ、噂という伝播によって精神エネルギーを得る以上、噂以上の存在になる前に確実にグリモア猟兵の予知に引っかかる。
「そういうの何ていうか、天網恢恢疎にして漏らさずって言うんですよ。お勉強になりましたか?」

 減らず口を……!と『破壊遊戯』の大剣の力が開放される!
 圧倒的なプレッシャー!あれを受けては猟兵と言えどただで済むとは思えない。有り余る力。それを肌で感じる。
「さあ!デスマッチさ!潰れるか逃げるか、どっちかにしたほうがいいよ!」
「あ?デスマッチ?やだよ死にそうじゃん。そういうわけでミミック相手してやってくださいな!」
 拓哉が示すようにミミックが駆け出す。

「ハッ!高々素早い程度の箱風情が!潰れろ―――!」
 ご、しゃ―――!と凄まじい轟音と衝撃波。大剣が箱型生命体、ミミックに振り下ろされ、その余波で周囲の廃材と廃車の塔が、ガラガラと崩れ落ちていく。
 その威力は想像通りのものであった。拓哉の召喚したミミックは成すすべもなく、大剣に潰され―――……。

「……箱だと侮りましたね?化け狂いな、ミミック」
 拓哉のユーベルコード、偽正・命無月光(ゲシュペンテスト・ビースト)によって召喚された顔の無い二足歩行の獣に変化した箱型生命体が駆ける!
 明らかに超強化された能力。大剣の一撃を受けても尚健在!
 そして、高速で駆ける様子は正に獣の如く。
「手応えがあったはずなのに、こいつッ!」
「……そうですね。ミミックやられましたね……これにルールなんてないですよ?」
 だが、デメリットも有る。

 そう、ユーベルコードによって超強化された代償にミミックの理性はない。
 今のミミックは素早く動く者を対象に牙をむく獣!
 故に、拓哉は静かに潜航するように地形を巧みに利用する。時に瓦礫の影、時に廃材と廃車の塔を崩し。時に衝撃波を込めた弾丸で誘導し、ミミックをUDCへとけしかけていくのだ。
「こ、の―――!なんだこのデタラメさは―――!ルール違反じゃないかッ!」
 ギチギチと大剣とミミックが鍔迫合う。
 気を抜けばミミックの餌食に。だが、その隙を突くように拓哉が攻撃を加えてくるものだから、追い詰められていく感染型UDC。
「だから、言ったじゃないですか―――」

 そう、真に戦強者というものは、静かに。けれど確実に牙を届かせる算段を整えるである。故に、この戦場において―――。

「―――ルールなんてないですよって」

大成功 🔵​🔵​🔵​

漆島・昂一
(カースからシャドウへと変化)
ヘラヘラ笑ってんじゃねえ…!!
面倒っちいふざけたアトラクション作りやがって…
遊戯(あそび)は終わりだクソガキ…!

不愉快な怒りから沸き上がるこの膂力で、障害物を叩き壊し!押し進み!
大剣の一撃を見切り、〈グラップル、怪力〉の白羽取りで受け止める!
無謀だろうが知ったことか…
ニヤついたアイツが俺に敵うと思った力も何もかも!俺が凌駕して打ち砕く!
瓦礫に大剣でこの怒りが収まるかァ!!

俺の攻撃にはそのご自慢の大剣を、〈盗み攻撃〉で奪いカウンターにその横っ腹に叩き込む!

死とゲームが好きか…結構だ
テメェの思い上がった心をベコベコにへこまされて消えるのが好きってんならなァ!!



 怒りとはあらゆる能力の瞬発力である。それを長く持続させられるものは少ない。怒りとは力の源ではあるが、常に怒りに身を任せられる者などいないのである。
 怒りは力を生み出すが、疲弊もまた生み出す。何かを燃やし続けるようにして怒りを持続させるものであるのであれば、怒りにくべるものがなければ、自身の体を燃やすしか無いのだ。

 襤褸布を纏った死神の姿は、黒鬼へと変わる。カースフレームからシャドウフレームへと姿を変えたのは、漆島・昂一(/邪神結合外殻システム『ABYSS』・f12856)である。
 彼は苛立っていた。あまりにも単純に苛立つものであるから、一歩を踏み出すたびに胸糞悪い感情が彼の心の中を支配していく。面倒くせぇ……!彼の胸中に訪れる感情は、そのようなものばかりだった。
「ヘラヘラ笑ってんじゃねぇ……!面倒っちいふざけたアトラクション作りやがって……!」
 彼の怒りは収まらない。面倒くさい。自身を取り巻く現状全てが鬱陶しい。許せない。
 ガラガラと崩れる瓦礫。廃車と廃材で組まれた塔を軒並み拳で粉砕しながら、オブリビオン……感染型UDC『破壊遊戯』の大剣へと歩みをすすめる。

「あーあ……そんなせっかく組み上げたのにさぁ。もっと遊びたいんだよ。僕は。おにーさん、ちょっと短気すぎない?」
 UDCの少年の顔が笑う。そんなにせっかちでは、満足行くまで遊ぶことはできないと、大剣を揺らしながら、昴一と対峙する。
「遊戯(あそび)は終わりだクソガキ……!」
 不愉快極まりない醜悪な遊び。人間達磨落とし。足を一歩踏み出すたびに、指が折り曲げられていく。
 一歩近づく度に、廃材と廃車の鉄塔が崩れ落ちていく。指が折り曲げられ、拳の形になる。

「またまたそんなデタラメことばっかりやって……!どっちが化け物かわからないじゃないか!」
 知るか。知ったことか。踏み出す一歩の先に『破壊遊戯』の大剣が振り下ろされる。そんな大ぶり、見きるまでもない。
「面倒くせぇ……!いちいち避けるまでもねぇ!!」
 振り下ろされた大剣を昴一の両掌が左右から挟み込む!火花が散り、大剣の重量を抑え込んだ両掌から煙が上がる。
 白刃取りで受け止めた大剣をへし折るまでもなく横薙ぎに払うようにして、UDCから奪うと、力任せに投げ飛ばす。
 凄まじい音を立てて、瓦礫の山へと突き刺さる大剣の行く末を見るまでもなく、昴一は一歩また踏み出す。

 そう、後に彼女。彼女と言って良いのかわからないが、AIであるニミュエは、高報告書に綴る。
『特記事項:彼が『面倒』と呼ぶ特定の対象に考え無しに行動する際、彼の各種戦闘能力の向上が見られます』
 敢えて不利な行動をする。何か考えがあっての行動ではない。野性的本能に従うだけでもない。
 ただ、火中の栗を拾うが如く。炎の中に手を伸ばすからこそ得られる力があるのだとしたら。
 ニミュエは述懐する。アレに勝てる者はいないだろう。

「無謀だろうが知ったことか……ニヤつくテメェが俺に敵うと思った力もなにかも!俺が凌駕して打ち砕く!この怒りが収まるかァ!収まるわけがねェ!!」
 大剣が持ち主であるUDCの手元に飛び、戻る。
 だが、もはやそれは意味がない。無防備に迫る昴一の胴に向かって横薙ぎに振るわれる大剣。
 横薙ぎでは白刃取りはできまい。

 だが、前述した通りである。もはや、それには意味がない。
 その攻撃も何もかも、昴一の怒りの前には届かない―――。

「死とゲームが好きか……結構だ」
 静かに呟く昴一のただの裏拳でもって大剣が砕け散る。ずしん、と一歩が重く響いた。空気が振るえる。
 払う裏拳の返す腕によって、その一撃は振るわれる。

「テメェの思い上がった心をベコベコにへこまされて消えるのが好きってんならなァ!!」
 最後の一撃は、もはや拳の領域を越えていたことだろう。空気の壁を突き破る音。音速を超えた拳が感染型UDCの胴を打ち貫く!
 その衝撃波は凄まじく、瓦礫の山すら吹き飛ばすほど。ただの拳であるが、怒りのこもった拳。
 救われなかった犠牲者の弔いのため、UDCを骸の海へと返す一撃―――!

『任務完了―――おつかれさま、昴一』
 ニミュエの淡々とした言葉が、「人間達磨落とし」事件の収束を告げていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月03日


挿絵イラスト