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暴力が支配する島

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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 ブラッドバス島、その島はそう呼ばれていた。海上に建てられたあばら家の家々、そこに住む人々の血で赤く赤く海が染められる――そんな暴力に支配される島、それが名の由来であった。

 しかし、そこから逃げようという島民はいない。より正確には逃げられない、か。この街以外は海から出るか、島の奥――魔物達がうごめく、遺跡の森へ逃げ込むかしかないからだ。だからこそ弱い者ほど、この暴力で支配された島の、この街で生きていくしかない。

「ち、くしょう……何だって、こんな……」
「うるせぇ、ここでは弱いもんが悪い! そうだろうが!」

 ブラッドバス島にある唯一の掟は、諍いは暴力の勝敗で決める事――敗者には、死あるのみ。その掟に従わぬ者には、この街を根城にする海賊が制裁を加える……この街で生きていたければ、腕力を示し続けなければならないのだ。

 だからこそ、一度争いが起これば血を見ずにはいられない。この日も、商人と島民が小麦の値段で争いとなり、乱闘で決着をつける事となってしまった。

 どちらが生き残るにせよ、流血は避けられない。ブラッドバス島が、新たな血に染まろうとしていた……。



「新たな世界、グリードオーシャンにたどり着いたようじゃな」

 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はそう切り出すと、三日月型の島の地図を猟兵達の目の前で広げた。

「これがブラッドバス島。三日月型の湾内の海上にいくつか街があっての、その中の一つを開放してほしいのじゃ」

 この島を支配するのは、暴力が全てという血の掟だ。敗者には死あるのみ、この掟を敗れば街を支配している海賊が制裁に現れるのだという。

「その中のひとつの街で、大規模な乱闘が始まる。おぬしらにはこれに干渉して、双方を叩きのめしてほしいのじゃ」

 この乱闘で敗者――双方を殺さずに終わらせれば、街の人々も協力してくれるだろう。その協力を得て、海賊を倒してほしいのだ。

「何にせよ、この島を開放する足がかりじゃ。しっかりと頼むぞ」


波多野志郎
新しい世界ですよ! どうも、波多野志郎です。
今回はブラッドバス島と呼ばれる暴力に支配された島、その街のひとつを開放していただきます!

まずは乱闘をどうにかしていただきます! この乱闘をおさめ、次の戦いに備えていただきます!

それでは血塗られた島でお待ちいたしております!
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第1章 冒険 『街角大乱闘』

POW   :    真正面から乱闘に飛び込み、次々に相手をぶっ飛ばす

SPD   :    素早く相手の急所を突き、戦闘不能に追い込む

WIZ   :    簡潔かつわかりやすい言葉で、乱闘を止めるように説得する

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

山理・多貫
弱いものがわ、るい……。
なる、ほど。シンプルでいいです、ね。

ここなら今いる世界に居場所をなくしても生きていけるかも。
そんなことを考えて遊びに来ました。

SPD
適当に対象者を見つけ(お任せ)
素早く愛用のポイズンダガーで相手を行動不能にし
ユベコ 許されざる部屋を使用。

邪魔が入らない状況にして吸血をしようとします。
掟に従い相手が受け入れるならばそのまま吸い殺します。
覚悟がない場合には興味を無くし解放します

は、ぁ。もういいで、す。

他、基本的に戦闘内容はお任せ、負傷描写歓迎、ズタボロ、グロNGなし
(マントは破損不可)

(アレンジお任せ/NGなし/他の方との絡み大歓迎です)


鬼桐・相馬
郷に入っては郷に従えというが「相手が死ぬまで」……これには賛同し兼ねる。

【POW】
最初は乱闘には加わらず静観。
只の憂さ晴らしやお祭り騒ぎの奴は好きにやればいい。問題は殺意・悪意を持つ奴らだ。

[冥府の槍]は悪意に反応する。少しでも反応した方向へ急ぎ、槍の胴体部分による[なぎ払い]で行き過ぎた暴力に走る奴らを蹴散らそう。
俺への攻撃は[カウンター]で槍の柄による突きを。加減してみぞおちを狙えば動けなくなるだろう。
殴り合いで解決するのはいいが、生死まで賭けるな。

激化した乱戦地域ではUC発動。手近な遮蔽物を槍で破壊、黒竜を真っ只中へ突っ込ませる。
こいつがお前達を焼き払う前に、熱くなり過ぎた頭を冷やせ。


御剣・刀也
POW行動

力が全てね
シンプルで分かりやすい。権力とか金が絡んでくるとそういうのは途端に難しくなる
が、だからって殺すまでやるのはやりすぎだ。力はさらに強い力で叩きのめされるということを、教えてやるか

乱闘の中に悠然と進んでいてグラップルで鳩尾や首に一撃を入れて昏倒させる。武器を持っていたからって勇気で恐れはしない。もっと恐ろしい相手と戦ったことがあるから。合気や柔の技で投げ飛ばしたりもしつつ、面倒になってきたら殺気を開放してビビらせてまだやるのか?と目で問う
「たく、相手が死ぬまでやる必要はないだろう。ここまでやれば、勝負は明らかなんだからよ」



●暴力が決める場所

 グリードオーシャン、ブラッドバス島。その日、海上の建てられた一つの街で乱闘による決着がつけられようとしていた。

「郷に入っては郷に従えというが「相手が死ぬまで」……これには賛同し兼ねる」

 鬼桐・相馬(一角鬼の黒騎士・f23529)は、そう乱闘騒ぎを前に静かにこぼす。この乱闘はお互いの不満の限界に至って起きた事だろう。法らしく法のない場所だ、揉めに揉めて収まりがつかなくなる事に、相馬は一定の理解を示した。

 だが、どんな理由にせよ命が失われる必要はないはずだ、そうとも思う。

「只の憂さ晴らしやお祭り騒ぎの奴は好きにやればいい。問題は殺意・悪意を持つ奴らだ」

 相馬の手にある青黒い冥府の炎に焼かれ続ける黒槍は、悪意に反応する。冥府の槍、その切っ先の炎が揺らいだ方向へ相馬は視線を向けた。

 そこにいたのは、一人の男性に背後から刃物を持って忍び寄る小男だ。その視線にある暗い殺意を感じ取り、即座に相馬は動く。槍の柄頭で小男のみぞおちを正確に強打した。

「ガ、ハッ……!?」
「殴り合いで解決するのはいいが、生死まで賭けるな」

 多くの者が抱く怒りや不満ではない、憎悪を滲ませた小男の殺意を相馬は感じ取る。なるほど、恨み辛みの復讐にも利用されている訳か、と納得した。

「おい、出番だ。行ってこい」
「――は?」

 相馬の槍が波止場を貫いた直後、黒竜が飛んだ。ゴォ! と木材と海水が柱のように立ち上るのを見て、周囲の動きが完全に止まる。

「こいつがお前達を焼き払う前に、熱くなり過ぎた頭を冷やせ」

 黒竜の視線にさらされ、乱闘していた者達がブンブンと首を縦に振った。命のやり取りではなく、一方的な虐殺にしかならないと察したからだ。

 それを見届け、砕いた波止場から冥府の槍を引き抜いて相馬は移動した。

●修羅の理屈

「力が全てね、シンプルで分かりやすい」

 指を鳴らし、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は悠々と乱闘の中心へ歩き出す。

「権力とか金が絡んでくるとそういうのは途端に難しくなる。が、だからって殺すまでやるのはやりすぎだ。力はさらに強い力で叩きのめされるということを、教えてやるか」

 刀を抜くまでもない。馬乗りになって気絶した相手に拳を振り下ろそうとした男の首筋へ、刀也は手刀を落とした。

「が!?」

 ガクン、と後ろからの手刀に男が崩れ落ちる。一瞬で意識を刈り取る。フィクションではよくあるが、実際に意識だけを奪うとなると細心の注意と圧倒的な力量差が必要な行為だ。

 ようするに、刀也と乱闘している者達にはそれほどの差があるのだ。

「てめぇ! 商人側か!」

 よく日焼けした大男が、刀也に殴りかかる。当たればそれなりの威力はありそうだが、刀也から見れば遅くてとても当たるものではない。素人が腕力に任せた拳を、後から繰り出したショートアッパーの一撃をみぞおちに叩き込み、空振りさせた。

「ぐ……」
「おい! 見ない顔だがこっちについてくれるなら――」
「うるさい」

 味方と勘違いして近づいてきた痩躯の男に、刀也は振り返らずに裏拳を放つ。鼻っ柱に受けて、痩躯の男が膝からその場に崩れ落ちた。

「どっちの味方だ、お前は!?」
「どっちでもない」

 迫る男達の足を払い海の中へと投げ飛ばしながら、刀也は殺気を開放した。

「たく、相手が死ぬまでやる必要はないだろう。ここまでやれば、勝負は明らかなんだからよ」

 まだやるか? と殺気を込めた視線に周囲の足が止まる。首根っこを押さえていた男を刀也は放り投げ――ふと、気づいた。

「……やれやれ」

 投げ飛ばしたはずの男が、落ちた水音がしない。確かなユーベルコードの気配を感じ取ったが、刀也はすぐに思い直した。

「やり過ぎるなよ」

 それだけ言い残し、次の場所へと刀也は歩き出した……。

●覚悟を問う

「この人、次第……です……」

 答えを期待していないだろう言葉にそう呟き返し、山理・多貫(吸血猟兵・f02329)はマントをひるがえした。クルリ、と慣れた手付きでポイズンダガー・グーをしまい、多貫は毒によって体が動けなくなった男と向き合った。

「な、あ……が、あ……」

 相手の行動を奪う毒が、男の口の回りさえ奪っている。何者だ、あるいは何のつもりだ、か。どちらにせよ、この場では意味のある問いかけとは多貫には思えなかった。

「弱いものがわ、るい……。なる、ほど。シンプルでいいです、ね」

 ここなら今いる世界に居場所をなくしても生きていけるかも。そんなことを考えて遊びに来たが――男の首を手で掴み、多貫は静かに告げた。

「声は出さないで……ね?」

 そう囁き、多貫は牙を突き立てる。男がもがき、苦しみながら多貫へと不自由な手足で抵抗した。弱々しい、そう思っていたその時、不意に腹部に熱いものを感じた――男が、震える手で多貫の腹部を刺したのだ。

 だが、男の表情が恐怖に変わる。多貫の力が、緩まなかったからだ。普通なら致命傷のはずだ、普通なら――だが、逆に多貫の手に力がこもった。

 ――覚悟の上……です、よね……?

 殺そうとしたのだ、殺される覚悟があるのだろう。多貫がそう最後の一線を踏み越えようとした時、男がこぼした。

「ば、け、もの……!」

 そこに込められた恐怖に、多貫の熱が冷めていく。この男に死ぬ覚悟も殺す覚悟もない。その事を、悟ってしまったからだ。

「は、ぁ。もういいで、す」

 多貫の手が離され、男が海に落ちる。男が木の破片に掴まったのを確認すると、多貫は興味を失ってその場から姿を消した……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
彼方此方で、怒号が飛び交わっている。
一刻も早く止めねば、辺りは血の海……
よし、此処は俺の出番だ。
■行
【WIZ】
戦わずして人を屈するは、善の善。
可能な限り島民を傷つけずに場の鎮静化を図るぞ。

先ずは乱闘を割り込み、周囲の者に【威厳】を見せて威圧し、
『其方達に俺は倒せん。命が惜しくば負けを認めて去れ』と通告。
言うと同時に空中回し蹴りで【衝撃波】を放ち、【恐怖を与える】
ことで戦意を削ぐ。
衝撃波を放つ際は一時的に飛び、何もない場所に向けて放つ。

攻撃された場合は攻撃を【グラップル】で止めつつ【怪力】で
軽く投げ、笑みを浮かべて『来るか?』と告げて更に威圧。

むむ、戦うよりも荒くなった気が。

※アドリブ・連携歓迎


オリヴィア・ローゼンタール
弱肉強食……自然の摂理と言ってしまえばそこまでですが、獣も必ずしも命を奪うとは限りません
それを掟とし、他者へ強要するなど、獣にも劣る!

白き中華服の姿に変身
素手格闘、特に蹴り技に特化した姿
四肢に風と稲妻を纏い(トリニティ・エンハンス・属性攻撃)、乱闘の真っ只中に吶喊
双方、矛を収めなさい!
それ以上の流血に意味はありません!

恐慌して襲い掛かってきた者には、腕に纏った風で攻撃を逸らし(オーラ防御)、手加減をしつつ反撃の蹴りを加える(カウンター)
バックチョークで絞め落とし(グラップル・気絶攻撃)
【スライディング】や【ジャンプ】を活用したアクロバティックな格闘で力の差を見せつけ(威厳・覇気)、気勢を挫く



●騒動の渦中へ

「彼方此方で、怒号が飛び交わっている。一刻も早く止めねば、辺りは血の海……よし、此処は俺の出番だ」

 愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は、乱闘の始まっている街中を見回した。序盤はただ目の前の相手を殴るのに終始して、命を奪うまではいっていない。問題は勝敗が見えた頃、敗者に余裕がなくなり勝者も勝利が見え始めた頃、失われる命が雪だるま式に増えていってしまう……それは人の心理というものだろう。

 ならば、そうなる前に止めるまでの事。清綱は迷わず、目の前の殴り合いの場へと踏み込んだ。

「其方達に俺は倒せん。命が惜しくば負けを認めて去れ」
「ああ!?」

 低く威厳に満ちたその声に、止められた側が激昂する。しかし、清綱の威圧は確かなものだ。彼等の表情からも、気圧された気配が確かにしていた。

 戦わずして人を屈するは、善の善。清綱の考えは最上とも言うべき勝利だ。何も失わず、何も奪わない――だから誤ちを犯す前に踏みとどまれるのだから。

「ふざ――」

 けるな、と気圧された自分を鼓舞するように男が前に出ようとした時だ。告げたと同時に清綱は翼を広げて跳躍、回し蹴りで空を蹴った。

 空振りではない。文字通り、空気を蹴ったのだ。鋭く重い蹴りは大気を乱し、衝撃波を生み出す。衝撃波はそのまま海面を打ち――ドォ! と盛大な水柱を立ち上げさせた。

「来るか?」

 ふわり、と音もなく降り立った清綱の笑みに、海水を頭からかぶった男達は首を左右に振った。殺し合いと一方的な虐殺は違う、少なくともその力量を把握できる冷静さを男達に呼び起こすのには十分なインパクトだった。

「むむ、戦うよりも荒くなった気が……」
「はは、そうかもしれませんね」

 唸る清綱は、頭上からした声に視線を向ける。そこには一条の電光が駆け抜けていった……。

●雷光のごとく、鮮烈に

 街の人々の数名が、その電光に気づいた。それは白き中華服姿のオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)だった。

 ドン! と木製の橋に、雷が降り立つ。血を流し激しく殴り合っていた者達が、その衝撃に一斉に動きを止めた。

「双方、矛を収めなさい! それ以上の流血に意味はありません!」

 凛としたオリヴィアの声に、男達はギラついた視線を向ける。溜めに溜めた不満と怒り、それを爆発させている最中だ。加えて流した血に酔っているこの状況では、聞く耳を持つ者はいなかった。

「邪魔をするな!」

 一人の青年が、オリヴィアへ殴りかかる。その拳を風をまとった回し受けでそらすと、腹部へと突き刺さるようなカウンターの膝を叩きつけた。

「が、あ!」
「テメェ!」

 手加減したからこそ悶絶ですんでいる、そんな事は露とも思わないだろう。体の大きい荒くれどもたちにとって、オリヴィアはそれなりの身長をした女性に過ぎない。偶然の結果、としか見なかった。

 まとめて襲いかかってくる男達に、オリヴィアは素早く身を沈める。先頭の男が、不意に大きくのけぞった。オリヴィアのサマーソルトキックの爪先が、顎を蹴り上げたのだ。

「――!?」

 気勢を削がれたたらを踏んだ男達に、すぐさまオリヴィアの蹴りが放たれていく。首筋、頭上、胸部、腹部、脚部。蹴り技に特化したその動きは流麗で、淀みがない。次々に男達は薙ぎ払われ、その場に最後に残った男も背後からのチョークスリーパーに瞬く間に落とされた。

「続けますか?」
「ひっ!?」

 遠巻きに伺っていた者達が、一目散に逃げ出す。その後姿を視線で追って、オリヴィアは次の騒ぎの場へと雷をまとって駆け出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

雛菊・璃奈
支配者が暴力で支配している、っていう点ではダークセイヴァーとかと同じ感じだね…。
海賊さえ倒せば少しは平和になるのかな…?

【情報収集、呪詛、高速詠唱】による探知術式で乱闘騒ぎを起こしてる人達の位置を把握し、【呪詛、高速詠唱、全力魔法】による呪力の縛鎖(呪詛の捕縛術)で全員捕縛するよ…。
後は動きを封じたまま乱闘の原因を聞いて宥めて乱闘を治めるかな…。
特に血の気が多い人は、場合によっては当て身や峰打ちで叩きのめしたりした方が良いかな…?
弱い者には従わないとか力を見せろというなら…身動き取れない彼等に当るスレスレに【狐九屠雛】を当てて力を見せつけるとか、多少手荒な真似も取らせて貰おうかな…。


上野・修介
※アドリブ、連携歓迎

「気に喰わねぇな」

暴力を以て他者を従わせること。
それを他者にも強いること。

「そんなに暴れたいなら相手になってやる」

UCは防御重視

調息、脱力、周囲の状況を観【視力+第六感+情報収集】据える。

まず真っ只中に飛び込んで、怒号と共に地面を殴り周囲を牽制。
座して様子を伺う。

それで収まれば良し。

収まらないようなら、座した姿勢のまま【挑発】
「どうした。ただ座っている男が怖いのか?」
こちらを攻撃してくるように仕向け、所謂『居捕り』【グラップル+戦闘知識+カウンター】にて迎撃。
捕縛し動きを止める。

多少無茶をしてでも島民は極力傷付けない。
ダメージを恐れず【勇気+激痛耐性】推して参る。


アニカ・エドフェルト
島の人同士で、争ってる、場合では、ありません、のに…。
いえ、中から、見てるだけだと、気が付きにくいもの、ですよね。
わたしたちが、外から、引っ掻き回して、しまいましょうっ

と、いうわけで、殴り合い直前になってそうな、2人の間に、ふんわり、降り立ちます。
左右から、同時に来る攻撃を、〈オーラ防御〉〈怪力〉などで、受け止めて…
〈グラップル〉《転投天使》その他で、無力化を、狙ってみます。

無力化した人は、少し離れたところに、担いで、いきます。流れ弾とかも、あるかも、しれませんし。
落ち着いてから、話を聞いて、もらいますから、少しそこで、おとなしく、していてくださいっ
(次の乱闘を鎮めに行く)

(アドリブ連携歓迎)



●動かぬ男

 街のあちこちで、戦いの火種が叩き潰されていく。それでも全てを消し終わった訳ではない。

「気に喰わねぇな」

 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)の声色には、憤りがあった。暴力を以て他者を従わせること。それを他者にも強いること。路地裏の賭け喧嘩で稼いでいた修介にとって、それは違うと心が訴えるのだ。

「そんなに暴れたいなら相手になってやる」

「……なんだ、お前」

 一人の男が、修介の肩を掴んだ。知らない相手なら敵だという理論だ。拳を男が振り下ろすより先に――修介の拳が足場を殴打した。

「な、あ!?」

 ドン! という衝撃が木製の足場に伝わっていく。地震のようにその一角が揺れると、殴り合っていた男達が手を止めた。
 どっかと座り込んだ修介に、誰も動けない。ここでは誰かが誰かを殴っている――無防備な姿を晒すなど、自殺行為だ。

「……何のつもりだ?」
「どうした。ただ座っている男が怖いのか?」

 男の怒気を受け止めるように、修介が真っ直ぐに言い返す。その挑発に男の回し蹴りが、修介の首元を狙った。

「ッ!?」

 だが、修介は同時に前に倒れると男の軸足を押す。一本足で体勢が不安定な時に押されたのだ、体勢を崩した男の蹴りを肩で受けて修介は軸足の足首を取って引っ張った。体制が崩れていた所の強引な力に、男の体が宙を浮き――空中で後ろ手に関節を取ると、うつ伏せにして床に叩きつけた。

 その間、二秒にも満たない早業であった。怯む男達に、動きを封じたまま修介は言った。

「やるのか? やらないのか? どっちだ?」

●九尾の縛鎖

 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)は、その熱に浮かされた空気に身に覚えがあった。

「支配者が暴力で支配している、っていう点ではダークセイヴァーとかと同じ感じだね……海賊さえ倒せば少しは平和になるのかな……?」

 吸血鬼によって支配されたダークセイヴァー世界でも感じた閉塞感が、ここにもあった。力に従わされている、だからこそ彼等は自ら熱狂する――その間だけ、支配の恐怖を忘れられるからだ。

「どうかな……?」

 璃奈の探知術式が、乱闘の気配を読み取っていく。街中の広範囲に広がっていた乱闘は、段々とその数を減らしていっている――仲間達が、解決しているのだ。
 それでも足りない分を補う必要がある。璃奈は呼吸を整え、唱えた。

「魂をも凍てつかせる地獄の霊火……」

 九尾炎・最終地獄【狐九屠雛】(キュウビエン・サイシュウジゴク・コキュートス)――その触れるモノ全てを凍てつかせる絶対零度の炎と呪詛の縛鎖が広がっていく。炎は暴れる者達の周囲を氷によって囲み、呪詛が身動きを封じる。その中を歩きながら、璃奈は告げた。

「これ以上、手荒な真似も取らせないでほしいかな……」

 そこに威圧も凄みも存在しない。ただ、思った事を伝わるように告げただけ。しかし、それで十分だった。璃奈の見せた圧倒的な力量差に、乱闘していた者達の心が簡単に砕け散ったのだから。

(「そうだね……正気に戻った感じかな……」)

 璃奈のインパクトが、自分達が恐怖と暴力によって支配されている事実を思い出させたのだ。だからこそ、圧倒的かつ得体のしれない力を見せるのは彼等には有効だ。
 彼等の目を覚まさせるために、無数の炎を従えて璃奈は進んでいった……。

●道を託される者

「島の人同士で、争ってる、場合では、ありません、のに……」

 建物の屋根から街の様子を眺め、アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)は憂いの表情で呟く。ダークセイヴァーの地下にあったある集落で育ったアニカにとって、目の前の光景は決して他人事とは思えなかった。

「いえ、中から、見てるだけだと、気が付きにくいもの、ですよね。わたしたちが、外から、引っ掻き回して、しまいましょうっ」

 今にも殴り合おうとしていた二人の男の間に、アニカは踏み出す。散歩のように気負う事無く、ふわりと二人の間に降り立ったアニカはオーラの輝きを宿した両手を広げた。

「そこで、寝ていて、くださいっ」

 突き出される途中であった二人の拳、その両手首を掴んだアニカはわずかにひねりを加える。アニカの転投天使(スロゥイングエンジェル)によって二人が仲良く中に飛ばされ、木の床に背中から叩きつけられた。

「がは!?」

 肺の空気を一気に吐き出し、男達は悶絶した。しかし、衝撃が強かっただけで痛みはさほどではない。アニカが正確に背中から落とし、受け身を取らせたからだ。だが、衝撃の強さが勘違いさせる。床に転がっていた二人をアニカは見た目からは想像できない怪力で抱えると、女子供の逃げ込んでいた建物へと運び入れた。

「落ち着いてから、話を聞いて、もらいますから、少しそこで、おとなしく、していてくださいっ」

 まだまだ乱闘が続いている。それを沈めなければならない。アニカは二人の男にそう告げると踵を返して、人混みの中へと消えていった。

「……やるか?」

 どこか気の抜けた声で、男が敵だった男に問いかける。まったく同じ毒の抜けた表情で、こちらも答えた。

「いや、もういいわ……」
「そうか」

 いつ以来だろう、あんな風に誰かに叱られたのは。憎しみや不満を吐き出すはずだった男達は、その全てをアニカの言葉で失った事に気付き……ため息混じりに笑みを交わした。

 ――こうして、猟兵達の介入で戦いは収束していく。誰一人死ぬ事無く収束した乱闘は、しかし、島の掟に反するものだった。

 だから、これは終わりではなく始まりだ。本当の元凶、島を暴力で支配する者を討つ戦いは始まったばかりだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『呪われた船首像』

POW   :    まとわりつく触腕
【下半身の触腕】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    掻き毟る爪
【水かきのついた指先の爪】による素早い一撃を放つ。また、【自らの肉を削ぎ落す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ   :    呪われた舟唄
【恨みのこもった悲し気な歌声】を聞いて共感した対象全てを治療する。

イラスト:Kirsche

👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●海賊の住む場所

「……銀髪ジョン。オレたちは、あの海賊をそう呼んでいる」

 どこか疲れた表情で、問われた男は語り始めた。

「あいつはこの街から少し離れた、船の墓場って場所にいる。何隻もの海賊船が乗り上げた浅瀬でな? そこを根城にしてるんだ」

 銀髪ジョンは、ただの海賊ではない。海賊船達の船首像を従え、この島に君臨しているのだ。

「船の小城、その奥に銀髪ジョンがいるが呪われた船首像達を倒せなきゃそこにもたどり着けない。オレたちは無理だった、暴力が支配するこの島じゃ、一番強いあいつが法だ……従う以外に、生き残る術はない」

 それでも、と男は頭を下げる。深く、心の底からの願いを言う。

「それでも、あいつを倒してくれるっていうなら……頼む。どうか、あいつを倒してこの島を開放してくれ……!」
メディウム・シャルフリヒター
どうやら、乱闘騒ぎは終わってしまっているようですね。亡くなった方がいないのも私の役目としては果たせなくなりますが、より勇猛に戦っていた時にヴァルキュリアとして迎えに行くとしましょう。

さて、その前に亡くなられても困ります。勇敢なる者に成長するには時が必要。私はこの世の外にいる敵の掃除を行います。巨人の獄炎剣の持ち主である巨人スルトをユーベルコードにて召還します。剣を超え、燃え盛る巨体を持って敵を浄化しなさい!

私も翼で空を飛び、聖剣にて敵を打ち貫いて見せましょう。(串刺し)
敵の攻撃は(残像)を残した回避を行います。

スルトは巨体故に鈍重ですがその死角を無くすようにサポートしながら戦いましょう。


御剣・刀也
呪われた船首像か
人間でないとわかってても女の姿をした奴を斬るのは気分が悪い
海賊の頭領にこの苛立ちをぶつけさせてもらおうか
来いよ。今の俺は気分が悪いんだ

まとわりつく触椀は自分の間合いに入ったものから、第六感で斬り捨てて接近し、本体を斬り捨てる
数が多い場合は第六感、見切り、残像で避けてカウンターで斬り捨てながら隙を見つけたら勇気で恐れずダッシュで一気に接近して捨て身の一撃で斬り捨てる
「女の姿をしてる奴を斬るのは気分が悪い。この胸糞の悪さは頭領にぶつけさせてもらう。八つ当たりだとしてもな」


雛菊・璃奈
船首像にしては気味が悪いね…。

【unlimited】を周囲に展開し【呪詛】で更に強化して魔剣の群れを敵集団へ一斉斉射…。
特に狙いは急所になり得る頭部や喉、胴体部に集中して仕掛けるかな…。
歌声も封じられるしね…。
後は魔剣の斉射に併せて黒桜の呪力解放【呪詛、衝撃波、なぎ払い、早業】を放ち、吹き飛ばすと共に敵を呪力で侵食するよ…。

後は一斉攻撃で生き残った敵もダメージと呪力の侵食を受けてを弱ってるだろうから、残った敵を神太刀で回復力を封じつつ、黒桜の呪力で残った敵を一気に呪力で呑み込み、仕留めるよ…。


この島の平和を取り戻す為…悪いけど、容赦はしないよ…。
この島を縛り付ける暴力の鎖、今ここで断ち切る…。


上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
この拳で幾つもの命を奪ってきた。
その対象が何であれ、正義であると思った事は一度もない。

だが、しかし
――押し付けられた理不尽によって、傷付き、奪われる命があるのに
「それを黙って見ていられるほど、達観しちゃいねぇ」

調息、脱力、戦場を観【視力+第六感+情報収集】る。
目付は広く、敵の総数と配置、周囲の地形、遮蔽物を把握。

得物は素手格闘【グラップル+戦闘知識】
UCは攻撃力重視。

懐に飛び込み間合いを殺す、狙いを付けられないよう常に動き回る、近くの敵、或いは周囲の遮蔽物を盾にするとしてダメージを軽減。【ダッシュ+フェイント+逃げ足+地形の利用】

腹を据えて【勇気+激痛耐性】推して参る。


オリヴィア・ローゼンタール
太陽に恵まれた明るい世界でも、このような妖物が跋扈しているのですね

白き中華服のままを維持
格闘に特化したとはいえ、槍を全く使えないというわけではありません
例えばこのように……【怪力】【投擲】【槍投げ】!

高速で飛翔する聖槍に【偽槍展開】を発動
73本に分裂させ、着弾地点はさながら刀山剣樹の如し
直撃で倒せたのならそれで良し
生き残った者も、槍の牢獄で満足に腕を振るうことができなければ、鋭い爪も意味をなさない

更にダメ押し、【属性攻撃】【全力魔法】で四肢に纏っていた稲妻を解放
避雷針と化した槍たちに吸い寄せられ、稲妻の牢獄で焼き尽くす


鬼桐・相馬
暴力以外にも統治する方法がある事を示さないとな。

【POW】
足場がかなり悪そうだ。座礁した海賊船を足場として使えるか・戦闘の負荷に耐えられるか等を[情報収集]しながら戦闘。

素早く[ダッシュ][ジャンプ]を交えて足場から足場を移動し、触腕の攻撃を[見切り]回避しつつ敵集団を海賊船の1つに集める。下に更に海賊船の残骸があったり砂浜に近いもの――底が海面でないものがいい。[冥府の槍]に触腕を巻き付かせ[怪力]で件の海賊船へ投げ込むのもありだ。

頃合いを見て槍で甲板を破壊、敵集団をその中に落とす。俺も追って内部に飛び降りUC発動。冥府の炎を最大火力にして焼き尽くそう。
――まとめて墓場から冥府に送ってやる。


愛久山・清綱
ふむ、あれが例の船首像でござるか。
どこか、異様な気配を感じる。
気を引き締めねばやられるな……
■闘
ここは、一気に斬り伏せる作戦で行こう……
だが先ずは敵と距離を取らねばならんな。

触腕による攻撃を【野生の勘】で何を重視するか予測しつつ、
その動きを【見切り】ながら回避を狙う。
命中率を重視してきたときは【武器受け】で押し返すぞ。
振り切ったら後方へ【ダッシュ】し、距離を取る。

敵から離れたら居合の構えを取り、刀に【破魔】の力を籠める。
そこから【早業】の抜刀で【空薙】を放ち、敵の集団目がけて
【範囲攻撃】を仕掛けてやるのだ。
硬い身体のみならず、呪いそのものも斬り伏せてやろう。

※アドリブ・連携歓迎


アニカ・エドフェルト
さて、と…
島のみなさんに、制裁が、来ちゃう前に、
しっかりと、海賊さんを、とっちめちゃいませんと。
あなたたちに、かまってる、暇は、ありません、
道を、あけて、もらいます、ねっ

と、いうわけで、思いっきり、蹴り飛ばしに、行くわけ、ですが…
そのまま、触腕で、受け止められて、そのまま掴まれて、攻撃、されちゃいます。
なるほど、これが、あなたの、技、ですか…
でも、1回、受けてしまえば、怖いものでは、ありませんっ
《死闘天使》、〈怪力〉も、合わせて、強引に、外して、後は、捕まらない、ように、《舞踏天使》的な、蹴り技で、制圧、狙っちゃいます。

あらかた、片付きました、でしょうか?
あとは、海賊さんの元へ、一直線、ですっ



●船の城

ブラッドバス島の一角に、それはある。無数の海賊船を敢えて座礁させて作られた船の城だ。

「ふむ、あれが例の船首像でござるか。どこか、異様な気配を感じる。気を引き締めねばやられるな……」

 愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)がその目を凝らし、呟く。猟兵達――敵の接近に気づいてか、船達の船首に飾られていた像達が動き出す。上半身は人の女、下半身はドス黒い烏賊に似た異形だ。

「船首像にしては気味が悪いね……」

 雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)が小さくこぼす。あのような異形では、航海の無事を祈る女神ではなくただの悪魔だ。海賊の船としては、ふさわしいのかもしれないが。

「太陽に恵まれた明るい世界でも、このような妖物が跋扈しているのですね」

 オリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)が、身構える。船の城へ踏み入った者を呪われた船首像達は決して許さない。一体、また一体と起動していくと猟兵達を取り囲んでいった。

「呪われた船首像か……人間でないとわかってても女の姿をした奴を斬るのは気分が悪い。海賊の頭領にこの苛立ちをぶつけさせてもらおうか」

 音もなく愛刀獅子吼を抜き、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)は苛立ちを隠さずに言い放った。

「来いよ。今の俺は気分が悪いんだ」

 直後、複数の船首像の触腕が猟兵達へと向けて放たれた。

●船上の戦い

 太く重い触腕の一撃を、アニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)は真っ向から受け止めた。バキン、と足元の木製の甲板に亀裂が入るほどの一撃。しかし、アニカは小揺るぎもしない。

「なるほど、これが、あなたの、技、ですか……でも、1回、受けてしまえば、怖いものでは、ありませんっ」
『――!?』

 アニカが触腕を引っ張った瞬間、船首像が軽々と宙を舞った。その女神部分の上半身へ、アニカは死闘天使(ストラグルエンジェル)のそれと怪力を合わせ、渾身の上段回し蹴りを叩き込んだ。

 ドォ! と蹴飛ばされた船首像が甲板を貫いて吹き飛ぶ。ちびれた触腕を放り捨て、アニカは言った。

「さて、と……島のみなさんに、制裁が、来ちゃう前に、しっかりと、海賊さんを、とっちめちゃいませんと。あなたたちに、かまってる、暇は、ありません、道を、あけて、もらいます、ねっ」

 一体が見るも無残に吹き飛ばされても、船首像達に怯む気配はない。ぞくぞくと迫る敵に、鬼桐・相馬(一角鬼の黒騎士・f23529)は構えた冥府の槍に青黒い炎を点して言った。

「暴力以外にも統治する方法がある事を示さないとな」

 頭上から迫る触腕を横ステップで相馬は回避。足元の感触から、決して脆くはないと察する。だが、触腕は簡単に甲板を砕く――それだけの威力があるという事だろう。

(「傾きもある、荒れて壊れた部分もあるか。足場はいいとは言えないな」)

 鋭く視線を走らせ、相馬はそう判断を下す。座礁した海賊船を足場として使えるか? どれだけの戦闘の負荷に耐えられるか? ただ戦えばいいという訳ではない。情報の把握も大切な戦術の一つだ。

「格闘に特化したとはいえ、槍を全く使えないというわけではありません。例えばこのように……」

 白いチャイナ服姿のオリヴィアが、破邪の聖槍を投擲する! それと同時に偽槍展開(ロンギヌス・オルタナティブ)によって無数に分裂した聖槍が三体の船首像を貫き、吹き飛ばしていった。

『……――』

 串刺しになった船首像が、恨みのこもった悲し気な歌声を上げる。呪われた舟唄が紡がれるそこへ、不意に一つの影が走り飛び去った――清綱だ。

「空薙……」

 破魔の力を宿した空薙の居合一閃、呪歌を紡ごうとした船首像達の首を一撃の元に清綱が断ち切っていった。

「呪われし剣達……わたしに、力を……『unlimited curse blades』……!!」

 ジャガガガガガガガガガガガガガガガ! と璃奈の周囲をunlimited curse blades(アンリミテッド・カース・ブレイド)によって生み出された魔剣・妖刀の現身が展開していく。両手を広げた璃奈は、魔剣・妖刀へ呪詛を帯びさせるとオーケストラの指揮者のように両手を振るった。

 その瞬間、呪詛の刃が猟犬のように縦横無尽に駆け抜けていく。船首像達はその刃に斬られ、貫かれようと怯まず前に出ようとする――その姿に、上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は握り拳を作った。

「この拳で幾つもの命を奪ってきた。その対象が何であれ、正義であると思った事は一度もない」

 亀裂の入った船首像が、修介に襲いかかる。水かきのついた指先の爪による鋭い一撃、それをかいくぐると修介は更に踏み込んだ。

「だが、しかし――押し付けられた理不尽によって、傷付き、奪われる命があるのにそれを黙って見ていられるほど、達観しちゃいねぇ」

 クロスカウンター気味に放たれたかぶせるような修介のフックが、船首像を粉砕する! 舞い散る欠片、それに紛れるように飛びかかる船首像の触腕ごと、横から回り込んだ刀也の獅子吼の一閃が横一文字に断ち切った。

「させるかよ」

 一撃を放った刀也へ、無数の触腕を振るって新たな船首像が襲いかかる。それを刀也は残像を残す高速機動で紙一重でかわしていった。

『――――?』

 不意に、いくつかの船首像が視線を上げた。暗い影が船の城へ落ちたからだ。その影と共に降り立ったメディウム・シャルフリヒター(ヴィランヴァルキュリア・f20877)が、凛と言い放つ。

「どうやら、乱闘騒ぎは終わってしまっているようですね。亡くなった方がいないのも私の役目としては果たせなくなりますが、より勇猛に戦っていた時にヴァルキュリアとして迎えに行くとしましょう」

 ヴァルキュリア――戦乙女が、そこにいた。メディウムは己の頭上に浮かぶ巨大な剣――影を作った巨人の獄炎剣へ手をかざし、唱えた。

「武器にふさわしい持ち手を今ここに。さぁ、戦いなさい!」

 ゴォ!! と巨大な炎がそこに召喚された。炎はやがて雄々しき炎の巨人へ。その獄炎剣の持ち主である巨人するとへメディウムは命じた。

「剣を超え、燃え盛る巨体を持って敵を浄化しなさい!」

 嵐のような衝撃の咆哮を上げ、巨人スルトが炎の剣を薙ぎ払う。それは易々と複数の船首像を断ち切り、紙切れのように燃やした。

●船の城をこじ上げて

 攻める猟兵達を、船首像達が迎撃する。しかし、数で勝ろうと質で大きく猟兵達が上回る――徐々に形勢は猟兵側へ傾いていた。

 だが、状況を大きく変える一手を持つ者がいた。相馬だ。

『……?』

 多くの船首像達が、相馬の仕掛けに気づいたのはまさに最終局面だ。船首像達が誘導され、一つの船へと集められていたのだ。

「――まとめて墓場から冥府に送ってやる」

 相馬の渾身の冥府の槍の一撃が、船の甲板へ突き刺さった。同時に燃え上がる冥府の炎が、木製の甲板を一気に燃やし船首像達を船内へと落下させる!

「顕現せよ、我が聖槍の写し身。無窮の威光で闇を斬り裂き、天地を照らせ――!」

 そして、そこへオリヴィアが偽槍展開(ロンギヌス・オルタナティブ)の聖槍の軍勢を解き放つ。ヒュガガガガガガガガガガガガガガ! と突き刺さっていく破邪の聖槍達が生み出すのは即席の槍の牢獄だ。

「行きます!」
「スルトよ!」

 オリヴィアが雷を帯びた飛び蹴りを放つのと、メディウムの号令を受けて巨人スルトが獄炎剣を突き立てるのは同時だ。槍を避雷針としてオリヴィアの電撃が荒れ狂い、巨人スルトの炎と相馬の冥府の炎が多くの船首像達を燃やしていった。

「逃しません」

 焼かれながら逃れようとするモノは、メディウムの聖剣が許さない。翼を広げ、炎と電光が荒れ狂い壊れていく船の中で縦横無尽に戦乙女は駆け巡った。

 城の一角、一つの海賊船が崩れていく。残った船首像達も体勢を立て直そうとするが、璃奈がすかさず呪槍・黒桜の黒い桜の花びらに様な呪力を放出し、薙ぎ払った。

「この島の平和を取り戻す為……悪いけど、容赦はしないよ……。この島を縛り付ける暴力の鎖、今ここで断ち切る……」

 呪力の嵐から逃れた船首像へ、刀也が迫る。捨て身の一撃一撃で仕留めていきながら、苛立った声色で吐き捨てた。

「女の姿をしてる奴を斬るのは気分が悪い。この胸糞の悪さは頭領にぶつけさせてもらう。八つ当たりだとしてもな」

 自身の視界にいた船首像を切り捨て、刀也は言い切る。まだ動いている船首像の気配はあるが――程なく終わる、その確信が彼にはあった。

「硬い身体のみならず、呪いそのものも斬り伏せてやろう」

 居合抜刀、空薙の空間さえ断ち切る一閃で清綱は船首像を断ち切っていく。逃れる船首像が何体かいたが、それは誘導した結果だ。

「――力は溜めず――息は止めず――意地は貫く」

 逃げようとする船首像の前に、修介が立ちふさがる。船首像達は叩き潰そうと触腕を振るうが、修介は構わない。

「推して参る」

 掴んだ一本の触腕で一体の船首像を引き寄せ、修介はそれを即席の盾とする。重い打撃音が響き、船首像が破壊される――次の瞬間、一気に間合いを詰めた修介は残っていた二体の船首像の首根っこを掴み、宙へと投げ飛ばした。

 その空中で待ち受けていたのは、アニカだ。

「この動き……あなたに、見切れ、ますか?」

 空中前転から、左右の足による踵落としが放たれる! アニカの舞踏天使(ダンシングエンジェル)による蹴撃が二体の船首像を粉砕し、アニカはふわりと甲板へ降り立った。

「あらかた、片付きました、でしょうか? あとは、海賊さんの元へ、一直線、ですっ」

 アニカのその呟きに、不意に声が降ってきた。

「来るこたぁ、ねぇよ。こっちから行ってやる!!」

 怒りを抑えず叫び、甲板へ降り立ったのは一人の海賊――銀髪ジョンであった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『略奪船長』

POW   :    海賊船長の長口上
自身の【敵を見下して悦に入り虚栄心を満たす欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    海賊流戦闘術
いま戦っている対象に有効な【取り回しの良い片手武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    彷徨える海賊船
【ボロボロのカトラス】で武装した【ガリガリに痩せた奴隷戦闘員】の幽霊をレベル×5体乗せた【朽ち果てた海賊船】を召喚する。

イラスト:山庫

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●銀髪ジョン

「人のもんだと思って随分とやってくれたじゃねぇか? ああ?」

 銀髪ジョンは、そのカトラスのように鋭い視線で猟兵達を見回していく。自分の城を存分に破壊されたのだ。誰だって怒る、海賊だったらなおさらだ。

「で? この島の掟を破らせたのはお前らか。ったくよぉ、ほとんどたった一つしかねぇ掟だってのに、それも守らなきゃ本当の無法じゃねぇか」

 抜いたカトラスを肩に担ぐように構えた銀髪ジョンには、隙がない。粗野で野蛮なだけでは、海賊として三日と生き抜けない。狡猾さと強さ、それを伴うからの海賊――それが銀髪ジョンの信条だった。

「こりゃあ、許せんよなぁ。お仕置きせんとなぁ、ああ、ダルい」

 そう言いながら、ジョンの口元に浮かぶのは楽しげな笑みだ。略奪する理由が出来たのだ、実に喜ばしい事だ。

「ま、その前にお前らの始末だ。素っ首並べて、奴等を殺す前に教えてやらんとなぁ。決まりはちゃんと守りましょうってよ!!」

 銀髪ジョンが、殺気を放つ。それは力を、暴力を振るえるのが嬉しくて仕方がないという無法者らしい愉悦の混じったものだった……。
雛菊・璃奈
勝手に喚いてる掟を守る義務も無いけど…そもそも掟は「諍いは暴力の勝敗で決める事」だよね…?
コレは貴方がわたし達より弱いからこうなっただけ…
自分の掟も理解できないなんて鶏以下かな…?

【九尾化・天照】の封印解放し、挑発を掛けながら天照の光操作による光の屈折と【呪詛、高速詠唱、残像】幻影呪術を利用して自身の幻影を投影…。
狡猾さ故に別方向から攻撃するのを見抜くのを見込んで更に二重に別幻影を仕込み、自身は遠距離から【呪詛、呪殺弾、高速詠唱】と光を収束させたレーザーによる遠距離連射で攻撃…。
そこから光速で一気に踏み込み、凶太刀と神太刀の二刀による光速剣で滅多切りにし、全呪力の一刀でその首落とさせて貰うよ…



●鶏と狐

「勝手に喚いてる掟を守る義務も無いけど……そもそも掟は「諍いは暴力の勝敗で決める事」だよね……?」
「あん?」

 銀髪ジョンは、かけられた言葉に振り返る――そこには、雛菊・璃奈(魔剣の巫女・f04218)の姿があった。

「コレは貴方がわたし達より弱いからこうなっただけ……自分の掟も理解できないなんて鶏以下かな……?」
「はっはっは! 言いやがる! ――まだ、俺『とは』やってねぇだろがよ」

  銀髪ジョンが、璃奈へ右手をかざす。海賊流戦闘術によってその右手の手中に生み出されたのは、一丁のフリントロック式の銃だ。迷わず即座に、パン! と銃弾が放たれた。

「へぇ」

 銀髪ジョンが、小さく感嘆の声を漏らす。銃弾が目の前の璃奈を――九尾化・天照(キュウビカ・アマテラス)のの光操作による光の屈折と幻術呪術を利用した幻影を通過したからだ。

「こういう時は――こうかね!?」

 振り返らずに、銀髪ジョンのカトラスが背後を断ち切る。幻影を囮にして、死角から攻める――常套手段だ。事実、銀髪ジョンのカトラスは璃奈の胴を切り裂いた。

「チッ!」

 しかし、銀髪ジョンはすかさず横へ跳ぶ。手応えがない、これも幻影だ。しかも、幻影を壁に銀髪ジョンを狙ったレーザーが半瞬遅れで頭を撃ち抜こうと放たれていた。

「その首落とさせて貰うよ……」

 妖刀・九尾乃凶太刀と妖刀・九尾乃神太刀――光速で迫った璃奈の斬撃に、首が一つ宙を舞った。ゴロン、と甲板を転がる首。その首を、銀髪ジョンが踏み砕いた。

「なるほど、なるほど、なるほどねぇ。このレベルのが複数。こいつぁ、俺でもそりゃあキツい」

 銀髪ジョンは盾にした召喚した奴隷戦闘員の体を、放り捨てた。元が幽霊だ、踏み砕いた頭も残っていた体も、風にほつれるように消えていく。

「認めるぜ、そして歓迎しよう。お前の言う通り、この島は力が全てだ。だからよ、俺も全力で蹂躙してやる」

 彷徨える海賊船――黒字の帆に描かれた銀髪のかつらを被ったジョリー・ロジャー。銀髪ジョンの海賊船が、そこに現われた。銀髪ジョンは、自らの海賊船の穂先に飛び乗る。

「逃さない……」

 璃奈の追撃を迎え撃ちながら、銀髪ジョンは笑った。初手でここまで出す気になったのは、随分と久しぶりだ、と――血の匂いのする、歓喜の笑みだ。

「喜べ、そして楽しめよ。これが、海賊銀髪ジョンの『全力』だ」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ナギ・ヌドゥー(サポート)
普段はなるべく穏やかで優し気な感じで話してます。
……そう意識しておかないと自分を抑えきれなくなりそうなので。
それでも戦闘が激しくなると凶悪な自分が出てしまいますね。
オブリビオン相手なら最初から素で対峙し、手段を選ばず殺しにいきますよ。

探索行動の時は第六感や野生の勘などの知覚に頼る事が多いです。

日常的な行動は、寛ぐ事に慣れてないから浮いた存在になるかもしれません……。

武器は遠距離ではサイコパーム、近距離では歪な怨刃、
痛みや恐怖を与える時はソウルトーチャーを使います。

ぼくは所詮、殺戮の為の兵器……
でも人間的な理性を保つ為に良き猟兵を演じなければ、とも思っています。
どうぞ自由に使ってください。



●髑髏に死の祝福を

 銀髪ジョン、その海賊船の甲板に降り立つ者がいた。ガキン! と鋸の様な刃を持った鉈を構えたナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)だ。

「どうした? 敵だぞ」
『――――』

 ナギの言葉に、奴隷戦闘員達が同時にカトラスを振り下ろした。ギィン! と火花を散らして歪な怨刃でナギが無数の刃を受け止める。タタン、とナギが甲板を蹴った瞬間、奴隷戦闘員達の体勢が崩れ――横回転と共に放たれた斬撃が、奴隷戦闘員達の胴を切り裂いていった。

「どうした? もう終わりか」

 幽霊と言えど、その魂を削ぎ切った感触は刃を通して手に伝わる。死してなお使われる奴隷戦闘員達に、滅びの恐怖はない。ただただ、敵であるナギへと殺到した。

「オレと同じか」

 所詮、殺戮の為の兵器――ナギはそう、自嘲する。四方八方から振り下ろされ、薙ぎ払われ、切り上げられるカトラス達をナギは弾いては受け流し、かわしていく。その動きはまさに舞踏だ――死の舞踏(ダンス・マカブル)、死を招く舞。

 歪な怨刃が切り刻み、距離があけばナギの手から放たれた咎人の肉と骨で造られた拷問具ソウルトーチャーが、奴隷戦闘員達を追い立て駆逐していく。

『――――!!』

 奴隷戦闘員達が、倒れた仲間を一瞥もせずに襲いかかってくる。その死の津波に、ナギの口元に薄い笑みが浮かぶ。

 そうだ、それでいい。戦うための奴隷など、兵器など、それでこそだ、と。ならばこそ、使われている同類(コレ)に速やかに与えてやらなくてはならない。

「この世に、死に勝る祝福はない」

 祝うと呪う、その字の何と似た事か。ナギが付き従うソウルトーチャーが、奴隷戦闘員達を真っ向から打ち倒し、その役目を果たさせていった……。

成功 🔵​🔵​🔴​

御剣・刀也
お前が海賊か
まぁ、お前が何と言おうが、ありゃ法というより無法だろう
あんな無法がまかり通ることはない。お前をぶっ潰してちゃんとした法を作ってやるよ

長口上で喋ってきたら、ガン無視して勇気で攻撃を恐れず、ダッシュで突っ込んで捨て身の一撃で斬り捨てる
相手が何か言ってきたらグラップルの格闘術も交えつつ攻撃して、相手の発言なんてとことん無視する
相手が倒れたら相手を悠然と見下ろして、その程度か?と侮蔑する
「口上がなげぇんだよ。戦場でそんなこと言ってるやつは真っ先に死ぬ。それとも何か?口上が終わるまで待ってくれる奴だと思ったか?ここは戦場だぞ?対象首は狙われるってことを知らねぇのか?馬鹿が」


オリヴィア・ローゼンタール
掟だの決まりだのと白々しい
無頼の徒が手前勝手な都合を押し付けているだけだろうに!

長口上を聞く耳持たず、白き中華服を翻して吶喊(ダッシュ)
身体に纏った風を解放して滑空、飛び蹴りを叩き込む
こういった手合いのペースに巻き込まれては思う壺
一気呵成に攻め立てましょう!

破壊力よりも上手く立ち回るのが得意な手合い
武器に細工が仕組まれている可能性もあり、見た目に惑わされずに【見切る】

船を破壊されてお冠の様子
ならばこれ見よがしに欄干を蹴り砕き、【投擲】したりすることで冷静さを失わせる
怒りのまま突っ込んできたところで足場を踏み抜き、体勢を崩させる
【全力魔法】で最大強化した【天霆轟雷脚】で蹴り穿つ



●海賊船の最期

「チッ」

 銀髪ジョンが切り飛ばされていく奴隷戦闘員達に舌打ちする。その背後に降り立ったのは、御剣・刀也(真紅の荒獅子・f00225)だ。

「お前が海賊か」
「おう、それが何だ?」

 聞き返す銀髪ジョンに、刀也は小さく肩をすくめて獅子吼を抜く。

「まぁ、お前が何と言おうが、ありゃ法というより無法だろう。あんな無法がまかり通ることはない。お前をぶっ潰してちゃんとした法を作ってやるよ」
「ふん。随分な言い様だな。悪法も法なら、無法も法だろう? まさか、法の定義から始めるつもりか? ん?」

 刀也の向ける剣気に笑みを浮かべながら、銀髪ジョンは両手を広げる。船首の上にありながら、舞台に立つ役者のように滔々を語った。

「そもそも、本当に俺の掟が気に入らなきゃ大人しく殺される側に回ればいいだろ? なのに、一方的に殺されたヤツがいたか? いやしねぇよ、誰だって敗者になんざなりたくねぇのさ。だから、俺の掟に乗っかった。それの何が悪い? ええ?」
「掟だの決まりだのと白々しい。無頼の徒が手前勝手な都合を押し付けているだけだろうに!」

 長口上を聞く耳持たず、白き中華服を翻して突貫したのはオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)だ。船首の前、ヒュオン! と身体に纏った風を解放して止まったオリヴィエはすかさず回し蹴りを銀髪ジョンへと放った。

「チィ!!」

 銀髪ジョンは生み出した鋼鉄の盾で、オリヴィエの蹴りを受け止めそのまま吹き飛ばされる。踏ん張らない、威力に抵抗する事無く吹き飛ばされる事を選び――。

「――ぉおおお!!」

 甲板に降り立つ前、銀髪ジョンは生み出した投擲用ナイフをオリヴィエへと投げ放った。それを敢えてオリヴィエは、爪先で蹴り上げて破壊した船首で受け止めた。自分の海賊船が破壊され目を見張るジョンに、オリヴィエは言い捨てる。

「そんなに大事なら、お返しします」

 ダン! と後ろ回し蹴りで、オリヴィエは船首をジョンへと蹴り飛ばす。銀髪ジョンはその船首を、空中で砲撃によって粉々に破壊した。放置すれば甲板に突き刺さる、ジョンからすれば苦渋の選択だった。

「おい!? 足癖の悪い女――」

 だな、と続くはずだった銀髪ジョンの言葉が途切れる。刀也の伸びた腕がジョンの腕を掴み、そのまま甲板に叩きつけた。

「が、は!」
「口上がなげぇんだよ。戦場でそんなこと言ってるやつは真っ先に死ぬ。それとも何か?口上が終わるまで待ってくれる奴だと思ったか? ここは戦場だぞ? 大将首は狙われるってことを知らねぇのか? 馬鹿が」

 背中を打って息を吐く銀髪ジョンを見下ろし、刀也が言い捨てる。その言葉に、銀髪ジョンはニヤリと笑みを浮かべた。

「――だから、喋るのが楽しいんだろうが!」
「この切っ先に一擲をなして乾坤を賭せん!!」

 生み出したカトラスを切り上げるジョンに、刀也は渾身の雲耀の太刀の一撃で応えた。キン! と澄んだ斬撃音。刀也の獅子吼はカトラスの鋼の刃を断ち、そのまま海賊船の甲板にも切り傷を刻む――そして、オリヴィエがそれに続いた。

「偉大なる天の雷鎚よ! 我が脚に宿り、邪悪を打ち砕け!」

 天霆轟雷脚(ムジョルニア・インパクト)――オリヴィエの白き稲妻を纏った激烈な飛び蹴りを銀髪ジョンは紙一重でかわす! だが、オリヴィエの蹴り足が海賊船へ届いた刹那、一条の電光となって穿った。

「て、んめぇ!!」

 銀髪ジョンが、憤怒の表情で船の城へと飛び移る。上から下まで貫かれた銀髪ジョンの海賊船が、ゆっくりと海へと沈んでいった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

愛久山・清綱
現われたな、暗愚なる古き侯よ。其方の支配は終わり、
この島は新たな時代を歩むのだ……
だが、そうだな……最後くらいは敢えて従ってやろう。
■闘
敢えて刀を抜かず、【件鬼】で格闘戦を挑む。
異界の闘技『柔術』をお見せ致す(バキバキバキ)

まずは片手武器を振るう腕を【見切り】つつかわし、
【残像】を伴う動きを以て死角から【カウンター】の
拳を仕掛け、敵の急所と動きのクセを探る。

急所を発見したらそこを的確に狙った当身技を仕掛け、
激痛による【マヒ攻撃】で動きを阻害する。

仕上げは初撃に得た情報を元に、武器を振るう瞬間を
【グラップル】で受け止め、そこから【怪力】を込めた
投げ技で地面に叩きつけるのだ。

※アドリブ・連携歓迎


アニカ・エドフェルト
そう、ですね…。
順番は、逆に、なっちゃいますが、あなたを、その決まりに従って、倒しちゃって…新しい、決まりを作れば、何の問題も、ない、ですよね?

強い、武器を、持っていても、避けちゃえば、問題、ありません、よね。
〈見切り〉他で、しばらく、掻い潜ってみて…
(時々牽制で《舞踏天使》を入れつつ)
あなたの、技、その程度、ですか?
今度は、こちらから、行っちゃいますっ
最後の一振りを、掻い潜って、《転投天使》、お見舞い、しちゃいますっ

この島は、わたしたちが、いただい、ちゃいますっ
そして、暴力に、すぐに訴えることのない、平和な島を、島民のみなさんで、作って、いきましょうっ

(アドリブ連携歓迎)


鬼桐・相馬
暴力が全て――そういうくだらない掟はいつか破綻する。ああ、今がその時か。

【POW】
俺は正義の味方なんて柄じゃないし、同類を匂わせる相手から見下される方が奴には効くだろう。[冥府の槍]へ悪意の供給を減らしつつ[挑発]と同時に戦闘開始。

敵の攻撃は[見切り]、槍による[武器受け]を。不利な行動をされても気に留めず、淡々と攻撃を防ぎ[カウンター]で地道に削って行く。

尊大な奴は思うように事が進まないと苛立ち粗が出る。武器受けした敵のカトラスを[怪力]で押し返しながら言う。
たったそれだけの悪意……ここを治めるどころか、この槍の刹那分の燃料でしかない。
同時にUCを発動、無防備なところに悪意に満ちた一撃を。


上野・修介
※アドリブ、連携歓迎
侮っているなら、それを利用するまで。
こちらはいつも通りやるだけだ。

――恐れず、迷わず、侮らず
――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に

調息、脱力、再度戦場を観【視力+第六感+情報収集】据える。
まずは敵の戦力を把握。体格・得物・構え・視線・殺気等から拍子と間合いを量【学習力+見切り】る。

得物は素手格闘【グラップル+戦闘知識】
UCは攻撃力重視。

基本は周囲の遮蔽物を利用しつつヒット&アウェー【ダッシュ+逃げ足+地形の利用】
【フェイント】を混ぜつつサイドから回り込むように攻め、併せて【挑発】、激昂を誘う。

突っ込んで来るのに合わせ、合気柔術の『太刀取り』【戦闘知識+カウンター】を狙う。



●ただ一人の海賊として

 沈んでいく己の海賊船を見届け、銀髪ジョンは振り返る。その視線の先にいたのは、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)だ。

「暗愚なる古き侯よ。其方の支配は終わり、この島は新たな時代を歩むのだ……だが、そうだな……最後くらいは敢えて従ってやろう」

 清綱が身構える。刀は抜かない、無手だ。件鬼(ケンキ)――刃を持たぬからこそ真価を発揮する構え。

「異界の闘技『柔術』をお見せ致す」
「はん、そんなものに付き合う謂れが――」

 銀髪ジョンが拳銃を生み出した、その時だ。

「そう、ですね……。順番は、逆に、なっちゃいますが、あなたを、その決まりに従って、倒しちゃって……新しい、決まりを作れば、何の問題も、ない、ですよね?」

 死角、背後に回り込んだアニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)の回し蹴りが銀髪ジョンの首筋を狙って放たれた。それを咄嗟に、銀髪ジョンが両腕でガードし、吹き飛ばされた。

「足癖の悪い嬢ちゃんだ……ッ」

 銀髪ジョンが立ち上がる――その刹那、間合いを詰めていた清綱の右手がジョンの左手首を掴む。ジョンは、反射的に振り払おうとした。その瞬間、ぐるんと視界の上下が反転した。

「――は?」

 銀髪ジョンが、呆気にとられる。小手投げ、そう呼ばれる柔の技の応用だ。相手の動き、その力の流れを利用して最小限度の動作と力で最大限の効果を発揮する。それが柔の真髄だ。

「っらああああああああああああ!!」

 空中で、銀髪ジョンが敢えて加速した。背中から落とされれば、動きを止められる。だからうつ伏せに床に落ち、紙一重で着地に成功したのだ。

「暴力が全て――そういうくだらない掟はいつか破綻する。ああ、今がその時か」
「吠えろよ、小僧!!」

 鬼桐・相馬(一角鬼の黒騎士・f23529)の挑発を込めた物言いに、銀髪ジョンは生み出したカトラスを手に低い体勢で襲いかかった。相馬は、冥府の槍の切っ先を下げるように構え迎え撃つ。

 ギ、ギギギギギギギギギギギン!! と連続で刃と槍の切っ先が火花を散らす。廃棄された船の甲板に、青黒い炎の火の粉が踊った。

「侮っているなら、それを利用するまで。こちらはいつも通りやるだけだ」

 上野・修介(吾が拳に名は要らず・f13887)は呼吸を整え、体から力を抜いていく。

 ――恐れず、迷わず、侮らず。
 ――熱はすべて四肢に込め、心を水鏡に。

 拳は手を以て放つに非ず、それは修介の闘法であり拳の理念だ。修介は、再度戦場を『観』据える。銀髪ジョンという海賊を、見定めるそのために。

 ――略奪者、それが銀髪ジョンの本質だ。ただ奪う、奪い尽くすための暴力。ただ、そこに理屈がないのではなく理屈さえ奪ってくる、それが銀髪ジョンという男の所以だ。

「ようは、奪い合い……違うな。奪うアンタと守るこちら、そういう戦いか」

 体格・得物・構え・視線・殺気――拍子と間合いを量っていく。修介は、奪う者の前へと迷わず駆け込んだ。

●奪うという事の果てに――

 銀髪ジョンは、大きく飛び退くと迫る修介を迎撃する。拳銃では止まらない、そう判断するとカトラスを大きく振りかぶった。

(「それもいただこうか――!!」)

 呼吸、間合い、タイミング――ジョンにとっては、本能のようなものだ。見ただけで何を奪えば勝てるのか、すぐに察する。修介の動きに合わせ、銀髪ジョンはカトラスを袈裟懸けに振り下ろした。

 完璧なタイミングだ。肩に食い込み、皮膚と肉を裂き、骨を砕いて断ち切った――そのはずだ。だが、見切っていたのは修介も同じだ。

「――なっ!?」

 修介はジョンの手首を掴むと同時、カトラスの柄頭に手を伸ばす。振り下ろされた刃の勢いは止まるどころか加速、ヒュオン! と下段からカトラスが銀髪ジョンを切り上げた。

「太刀取り、そう呼ばれる技だ」

 修介が言い捨てる。ジョンは己の鮮血が舞う中、強引に後退した。理屈も何もわからない、そんな状況でも体は最善の答えを選ぶ――間合いを取れ、と。

「では、参る……」
「――チッ!」

 だが、その最善は一対一であればこそ、だ。回り込んでいた清綱の姿が、そこにはあった。振り返りざまの新たに生み出したカトラスの一撃、それを清綱は受け止め――。

「この島は、わたしたちが、いただい、ちゃいますっ。そして、暴力に、すぐに訴えることのない、平和な島を、島民のみなさんで、作って、いきましょうっ」

 ――清綱と並び、アニカの姿がそこにはあった。小柄なアニカが更に低い体勢でジョンの足元へ。清綱が体勢を崩し体重が乗ったジョンの軸足を、鋭く跳ね上げた足で払い上げた。

「ぐ、あ――!?」

 銀髪ジョンの体が、完全に宙に浮く。手首を掴んでいた清綱がジョンの喉元を、足を払ったアニカが大外刈りの要領で服を引いて加速させ――!

 ――ドン! と甲板を砕きながら、銀髪ジョンが叩きつけられた。清綱の件鬼とアニカの転投天使(スロゥイングエンジェル)の合せ技だ。

 完全に背中から落とされ、ジョンは衝撃に肺の空気を吐き出した。呼吸が止まり、身動きが取れない。そこへ、相馬が続いた。

「さあ、お前の悪意も槍に喰わせてくれ」

 槍が奪っていた嗜虐の欲求を己へ逆流させ、相馬は冥府の槍を振り下ろす! ジョンは咄嗟に鋼鉄の盾で受け止めるも、青黒い冥府の炎が悪意を燃料に燃え上がり盾を溶解させていく。

「――終わりだ」

 言い捨て、血の渇望で強化された相馬は渾身の力で冥府の槍を振り下ろしきった。槍の切っ先から伝わる銀髪ジョンの心の臓を貫く感触――それと同時に、略奪者を燃やし尽くすほどの青黒い炎が、天へ向かって吹き上げた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年04月07日


挿絵イラスト