凍る森を蹂躙する海の怪物達
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海と戦乱の世界、グリードオーシャン。
この世界には、様々な世界から切り取られて落ちてきた島が無数に存在する。
中には、キマイラフューチャー、スペースシップワールドといった文明の発達した世界にあった島も存在する。
島には元いた世界の末裔が住み、キマイラやウォーマシンといった種族が存在することも珍しくはないが、文明は落下時にほぼ失われてしまっており、オーパーツの如くその片鱗を残すのみだ。
この地における強者は、世界に眠る呪いの秘宝「メガリス」を所持している。
これを手にした者は生きてユーベルコードに覚醒するか、死んでオブリビオン……この世界ではコンキスタドールとなってしまう。
覚醒者は海賊を名乗って島々を統治するが、コンキスタドールは全てを蹂躙し、殺戮をしようと活動する。
これらの島をコンキスタドールの支配から解放することが当面の猟兵達の活動だ。
しかしながら、島間は異常気象のせいか、飛行、航行技術などは使うことができない。
この為、猟兵達は鉄甲船に乗ってこの世界の海を航海していくのである。
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グリモアベース。
新世界グリードオーシャンの発見によって、猟兵達が活気づく状況の中、セレイン・オランケット(エルフの聖者・f00242)もこんな依頼を持ちかける。
「島全体が氷に閉ざされたエンルーン島を、コンキスタドールの支配から救い出してほしいの」
その島はどうやらアックス&ウィザーズから落ちてきた島らしく、エルフ、フェアリーといった種族が今なお住んでいる。
残念ながら、魔力はこの世界ではほとんど失われ、かすかにその残滓らしきものを末裔達は残すのみだ。
さて、この島を支配しているのは、巨大海竜のコンキスタドール、シーサーペントだ。
そいつはこの島を統治していた海賊達を異形化させ、この島を丸ごと自らの支配下とおいたのだ。
「海神として信仰されていた過去もあるようだけれど、今のなっては人々を苦しめる怪物でしかないわ」
この海竜が島民に強いる理不尽な「悪の掟」。
それは、森を中心として島を凍てつかせ、森の恵みを奪い取ったこと。
コンキスタドール達は生活の糧を奪うことで島に住むエルフやフェアリーの反逆心を砕き、自分達の快楽の為だけにメガリスを使っているのだ。
「島を凍らせているメガリス『凍れる秘宝』は、島にある森の中心に設置されているわ」
凍った木々の間に設置されたそのメガリスは直径15cm程度の球体で、高さ1m程度の台座に安置されている。
この為、まずは森へと向かってメガリスの破壊を目指したい。
地面はメガリスの影響で凍り付いており、台座に近づこうとしても滑って通り過ぎてしまう。
「滑らないようにしながら破壊を行うか、滑りながら攻撃する手段があればと思うわ」
また、猟兵であれば、飛行も可能だろう。
その場合は多少の凍てつく風が吹きつけるかもしれないが、これまた猟兵なら対処は十分可能なレベルと思われる。
メガリスを破壊すれば、凍った森は元の生気を取り戻すはずだ。
こうなれば、コンキスタドール達も黙ってはおらず、エルフ達の住む集落を襲おうとするはずなので、その前に敵を迎撃したい。
「敵は砂浜付近の洞窟を根城としているから、丁度浜辺で戦う形になると思うわ」
敵情報についてはまた改めて情報を更新したいと語り、セレインは説明を区切る。
一呼吸おいたセレインは、理不尽な「悪の掟」に苦しめられる同胞の姿を黙って見てはいられなかったと言う。
「どうか、コンキスタドールの支配から、人々に森の恵みを返してあげて」
セレインは改めてエンルーン島の解放を猟兵達へと願い、彼女の依頼によってこの世界へと到達した鉄甲船「魔術丸」へと参加メンバーを転移させていくのである。
なちゅい
猟兵の皆様、こんにちは。なちゅいです。
当シナリオを目にしていただき、ありがとうございます。
新世界、グリードオーシャンのシナリオOPをお送りいたします!
こちらのシナリオは、アックス&ウィザーズをベースとした「エンルーン島」で、コンキスタドールの強いる「悪の掟」に住民であるエルフやフェアリー達が苦しめられていますので、救出を願います。
こちらのシナリオは、
第1章:悪の掟によって全てが凍り付いた氷の森を進み、森の中心に設置されているメガリス「凍れる秘宝」を破壊してください。
第2章:ボスの影響によって異形化した「異形の海賊」の集団の討伐を願います。
第3章:島を支配するボス、シーサーペントの討伐を願います。
まずは、メガリス破壊の為、氷の森を進んでください。
メガリス「凍れる秘宝」は氷結の嵐を生み出し、恵みをもたらすエンルーンの森全体を凍らせ、地面を滑らせるようにして自らに近づけぬようにしています。
この為、滑らない工夫、もしくは移動しながら攻撃できる手段で、メガリスの破壊を願います。
飛行は低空であればOKとしますが、その場合は凍てつく風の対処が多少必要となります。
第1章は23日朝からの執筆を予定しています。23日朝8時半までにプレイングを頂けますと幸いです。その後はできる範囲で採用させていただきます。
章間はプレイングの幅を広げる為の情報を加筆します。
その最後に、次の締め切りに関しまして記述させていただきますので、ご確認の上でプレイングを頂けますと幸いです。
なお、第1章に断章執筆の予定はありません。
シナリオの運営状況はマイページ、またはツイッターでお知らせいたします。
それでは、行ってらっしゃいませ。
第1章 冒険
『凍てついた道』
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POW : 滑らない工夫をして着実に進む
SPD : あえて滑ることで高速で進む
WIZ : 魔法で宙に浮かびながら進む
👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「どうせ滑るのなら、いっそのことソリを作って制御してしまえばいいのよ」
ということで即席の木のソリを作って氷の上を移動するわ。
木にぶつからないようなコースを選んでスタートしたら、10秒間の集中の後にユーベルコード【千里眼射ち】。
木々の隙間からメガリスを狙い打つわね。
ミルディア・ディスティン(サポート)
『全速全開!ともかくやってみるのにゃ!』
人間のシャーマン×UDCメカニック、17歳の女です。
普段の口調は「女性的(あたし、あなた、~さん、にゃ、にゃん、にゃあ、にょ?)」、
真剣な時は「無口(あたい、あなた、呼び捨て、にゃ、にゃん、にゃあ、にょ?)」です。
ユーベルコードはシナリオで必要としたものをどれでも使用します。
痛いことに対する忌避感はかなり低く、また痛みに性的興奮を覚えるタイプなので、命に関わらなければ積極的に行動します。
公序良俗は理解しており、他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。
記載の無い箇所はお任せします。よろしくおねがいします。
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新たな世界、グリードオーシャン。
オブリビオン……コンキスタドールが幅を利かせる海。そこに浮かぶ異世界から落ちてきた島々の解放を、猟兵達は目指す。
彼らを乗せた鉄甲船「魔術丸」がやってきたのは、アックス&ウィザーズから切り取られ、落下してきたエンルーン島である。
この島は、巨大海竜のコンキスタドール「シーサーペント」によって支配されている。
そいつはメガリス『凍れる秘宝』によって島を氷漬けにしてしまい、森の恵みを奪うという『悪の掟』を島の住民であるエルフやフェアリー達に強いていたのだ。
「森は……あちらね」
メガリスは島の森中央にある台座に設置されているとのこと。
その破壊の為、状況を聞いた金髪オッドアイのヤドリガミの少女、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は真っ先に森へと向かう。
「ええっと、どうしたらいいのかにゃ?」
サポーターとしてこの島へとやってきた猫耳ヘアの少女、ミルディア・ディスティン(人間のシャーマン・f04581)もまた、島の状況を確認する。
メガリス破壊はいいが、森の地面は凍っていて非常に滑る為、対策は必須とのこと。
「全速全開! ともかくやってみるのにゃ!」
ミルディアも呼ばれたからにはチャレンジをと力強く叫び、まずは森に向かってみるのである。
エンルーンの森は木々や草木、元いた動物まで至るもの全てが凍り付いていた。
地面も例外ではなく、まるでスケートリンクのようになっており、対策をしないと歩くことすらままならない。
どう移動するか考えていた彼女は、何やら作業を行うヴィオレッタを発見して。
「何してるのかにゃ?」
彼女は滑る地面の対策にと早めに到着し、凍った木々を斬っていたのだ。
「どうせ滑るのなら、いっそのことソリを作って制御してしまえばいいのよ」
ということで、彼女は即席のソリをこの場でこしらえていく。
「あたしも手伝うにゃ!」
できることをと、ミルディアも手伝ったこともあり、ソリは思ったよりも早く完成する。
凍った木々を使って作った為、ソリもまた凍った一品となっていたが、乗る分には問題ないと判断して2人は乗り込んでいく。
「行くわ、チャンスは一度きりよ」
凍ったソリは衝撃に弱そうだ。どこかにぶつかれば、それだけで壊れてしまう。
それもあって、ヴィオレッタはできる限り木にぶつからないコースを見定めてからソリを発進させた。
森の中、ヴィオレッタ達が【騎乗】するソリは凍った地面を滑って徐々に加速していき、高速で進む。
いくら木に当たらないコースを選んだとはいえ、ソリはやがて木にぶつかり、即席かつ凍ったソリは砕けてしまうだろう。
たった一度のチャンスを不意にしない為、2人は前方から見えてくるメガリスの乗った台座を見据えて。
「お願いするのにゃ!」
まず、シャーマンであるミルディアが【サモンガイスト】で古代戦士の霊を呼び出す。
霊が炎を飛ばしてメガリスへと命中させると、その間集中していたヴィオレッタが『射貫き打ち抜く鋒矢』に矢を射かけて。
「……捉えたわ」
木々の隙間から、ヴィオレッタはメガリスを狙い撃つ。
こちらもうまく矢を命中させ、球体へと突き刺すことはできたものの。
ブレーキを考えずに発進したソリは森の出口に近いところで凍った木に掠る形で横転し、2人が投げ出される間に大破してしまったのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
黒玻璃・ミコ
※スライム形態
◆心情
貪欲なる海と海賊の世界にも竜種は居るのですねー
最近怠けていて新種を狩って無いので張り切っちゃいますよー
◆行動
【POW】で判定です
第三を変形させたフック付きワイヤーを
【念動力】で樹々の幹や枝に引っ掛けて進んでいきましょう
ぽよよんとしたボディ全体による【怪力】で
【気合い】を入れてがっしりと掴み
メガリスの近くまで進んで行けば
滑らず尚且つ凍て付く風の影響も少なく済むでしょう
目的地近くまで辿り着けたなら簡単です
残りの八剣を蛇腹剣へと戻し
【範囲攻撃】の要領でざっくりと攻撃すれば
狙いが多少甘くとも例のメガリスに充分なダメージを与えられるでしょう
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK
ベイメリア・ミハイロフ
新しい世界、なんだかわくっとしてしまいます
しかしながら、こちらの世界も
オブリビオンに苦しめられているのでございますね…
これは見過ごす訳には参りませんね
防具改造で靴をスケート靴に改造し
足場習熟・地形の利用にてダンスをするかのように
滑りながらメガリスに近づきます
風への対処は氷結耐性、環境耐性を活用しつつ
メガリスを見つけたなら、距離や位置を見切り
Dance with ...を打ち込み自分とメガリスを繋げ
通り過ぎても鎖を伝って戻って攻撃できるようにします
メガリスに当たらなかった場合は、凍り付いた木々に鎖を打ち込んで
メガリスへの攻撃は早業・高速詠唱からの2回攻撃も試し
なるべく早急に破壊できるよう努めます
アリス・フェアリィハート
アドリブや連携も歓迎です
ここが
グリードオーシャン…
『この島や住んでる方々を
助ける為にも…まずは森の中の凍れる秘宝を何とかしなきゃですね…』
【WIZ】
自身のオラトリオの翼を
用いての
【空中戦】【空中浮遊】の
『低空飛行』で
氷の森を進みます
凍てつく風への対処は
『炎熱』の【属性攻撃】を
のせたUCを
自身を包みこむ様に
発動しながら飛行
凍てつく風にUCをぶつけて
相殺します
森の中心にある
凍れる秘宝に
辿り着いたら
そのままの状態で
低空飛行しつつ
自身の魔鍵
『クイーンオブハートキー』で
『炎熱』の【属性攻撃】
【衝撃波】【誘導弾】【全力魔法】で
凍れる秘宝を攻撃
『これが…メガリスの「凍れる秘宝」ですね…これを破壊すれば…!』
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
島を凍てつかせるとはメガリスはすごい物なのじゃのう。
それにしてもちと寒すぎはせぬか?足元も凍っておるし対処しておくとするか。
まずは【精霊石】の力を借りて風の精霊を呼び出し冷気を遮るのかの。
それから周囲の環境を故郷の草原と同じものに変化させておくのじゃ。
うむ、これでよいじゃろう。
後は【巨狼マニトゥ】に【騎乗】して一気に駆け抜けるのじゃ。
わしの【野生の勘】があちらにメガリスがあると囁いておるわい。
マニトゥや、メガリスの元まで行くのじゃ、見つけたらお主の力で破壊してしまえ。
メガリスがなくなればこの森も生命に満ち溢れるじゃろう。
事が終わったら少しのんびりしていくかの?
愛久山・清綱
たまげた……本当にかつての文明の跡が存在するのか。
これは面白い……様々な島を巡りたくなってきたぞ。
だが、今はこの島を救うのが先決でござるな。
■行
【WIZ】
こんなときこそ、此の身の出番だな。
【空中戦】技能で低空飛行し、氷を無視しつつ移動しよう。
問題の風だが……強さが分からない以上闇雲に速度を出して
飛ぶのは危険やもしれん。
【野生の勘】で吹く風を感じ取りつつ、安全な場所を探しつつ
メガリスへ接近を図るとしよう。
冷気による痛みは【激痛耐性】で我慢するか。
例のレガリスを見つけたら風を感じ取りつつ空中【ダッシュ】し
『空薙』を抜刀、【怪力】を込めた【剣刃一閃】で断ち切るのだ。
※アドリブ・連携歓迎
クネウス・ウィギンシティ
アドリブ&絡み歓迎
「「魔術丸」ですか、懐かしいですね」
【POW】滑らない工夫をして着実に進む
●行動
UCを発動し、ブースター展開。飛行(【空中戦】)することで滑らない様に突破します。
「GEAR:CLOTHO。背面ブースター開放、ブースト!」
凍った森である以上、木々や枝で視界不全が予想されるので『ガンブレード』で近くのモノは切り払いつつ進みます。
凍てつく風が吹き荒ぶ様ですが、『スチームアーマー』を着用しているのでUCの攻撃でも無い限り耐えてみる方針です。
「目標確認、射撃開始」
風で動く分に関しては、UCで姿勢制御を行い射角をズラす(【スナイパー】)ことで対応します。
リズ・ルシーズ
アドリブ・連携歓迎だよ!
【SPD】
さ、ボクも遅れてなければ良いんだけど
【指定UC】を使って、氷を複製しボード状にし【地形を利用】して氷の上を滑っていくよ。進路上の障害物になる氷は疑似刻印のレーザーで粉砕し、近くを通るメンバーの【援護射撃】だね
こんな氷の世界に閉じ込められたら森も可哀想だよね
光学【迷彩】を展開し、周囲の風景に溶け込んだまま独り言を呟く
こんな現象を生み出す、メガリスって一体何なんだろう
●
少し時間を遡って。
一面に海が広がる海洋世界、グリードオーシャン。
その海を行く鉄甲船「魔術丸」をサイボーグの青年、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)が懐かしそうに見回す。
クネウスはサムライエンパイアの地からこの船を運んでくる際に尽力してくれており、所々彼が改造した跡が甲板に存在していた。
さて、改めてこの世界へとやってきた猟兵達。
「ここがグリードオーシャン……」
水色のエプロンドレスに、金髪に大きな青のリボンを付けたアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)は色々と確かめるようにこの世界を眺める。
「新しい世界、なんだかわくっとしてしまいます」
金髪のシスター、ベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)も緑色の瞳でこの世界を見回し、何が待ち受けているのかと考えて思わず身震いしてしまう。
そんなメンバー達がやってきたのは、島全体が凍り付いたエンルーン島だ。
この島の実状に、蛇、猛禽、牛の特徴を併せ持つキマイラの少年、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は驚きを隠せない。
「たまげた……本当にかつての文明の跡が存在するのか」
清綱もまた、この世界の在り方に興味を抱き、多数の島を見て回りたいと希望を口にするが。
「だが、今はこの島を救うのが先決でござるな」
「こちらの世界も、オブリビオンに苦しめられているのでございますね……」
ベイメリアが清綱の言葉に同意し、見過ごすことはできないと表情を険しくしていた。
「貪欲なる海と海賊の世界にも、竜種は居るのですねー」
黒く丸い形状のスライムの姿をした黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)がこの島の支配者の情報を思い出すように語る。
巨大海竜シーサーペント。
島の海賊をも自身の戦力として取り込み、さらにメガリス「凍れる秘宝」を持ち込んで島の住民から森の恵みを奪い取った元凶だ。
「島を凍てつかせるとは、メガリスはすごい物なのじゃのう」
民族衣装を着用した猫耳巫女姫、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)はその強大な力に唸ってしまう。
「この島や住んでる方々を助ける為にも……まずは森の中の凍れる秘宝を何とかしなきゃですね……」
「最近怠けていて新種を狩って無いので、張り切っちゃいますよー」
アリスもこのエンルーン島の解放の為、尽力する構え。ミコが続いて意気込みを見せると、同意するメンバー達は幻想種の集落を遠目に見ながら、メガリスが設置されているという森に向かう。
それから遅れて、この島へと到着したサイボーグ女性、綺麗な銀の長髪を揺らすリズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)が凍り付いた島を仰いで。
「さ、ボクも遅れてなければ良いんだけど」
先に向かった猟兵達を追いかけ、リズは森へと急ぐのだった。
●
エンルーンの森は元々、この島の住民に多数の果実や山菜など恵みをもたらす場所だったと集落に住むエルフ達は語っていたそうだ。
しかしながら、今この森は生命の全てだけでなく、大地までも凍り付いてしまっている。
地面は一面氷で覆われており、進もうとしてもつるつると滑って思ったように歩くことすらできない。
この為、森中央の台座を目指す為、猟兵達は各自で対策しながら進むことになる……のだが。
「それにしても、ちと寒すぎはせぬか?」
普段からお腹を大きく出すほど薄着の民族衣装姿のエウトティアには、この寒さがかなり堪えた様子。
それもあり、エウトティアは『精霊石』の力を借りて風の精霊を呼び出し、冷たい空気を遮っていたようだ。
さて、凍った地面を滑らぬように、そのほとんどが滑る床を避ける形で進むようだ。
ミコは黒竜剣・第三圏『貪食者之地獄』をフック付きワイヤーへと変形させ、【念動力】を使って木々の幹や枝に引っかけて進み出す。
地面から離れた場所を進む分には、凍てつく風が吹きつけてくる為、ブラックタールであるミコもぽよよんとした全身を使い、【気合い】を入れて【怪力】でがっしりとワイヤーを掴む。
「メガリスの近くまで進んで行けば、滑らず尚且つ凍て付く風の影響も少なく済むでしょう」
そう考えるミコはできる限り早く、森を進むことにしていたようだ。
また、何らかの手段で空を飛ぶメンバーも。
「GEAR:CLOTHO。背面ブースター開放、ブースト!」
クネウスはユーベルコードを使って背面のブースターを展開し、飛行して進むことにする。
【空中戦】の適応も低くはないクネウスだが、凍った森を飛び回る分には障害は大きいと彼も見ている。
「やはり、視界はよくありませんね」
それでも、クネウスにとっては想定内のレベルであり、彼はガンブレード『カレドヴルフ』で行く手を遮る木々や枝を切り払いながら先へと進む。
視界を確保すれば、吹きつけてくる凍てつく風を浴びることとなるが、着用していたスチームアーマー『R.F.Power Armor「BLITZ」』で耐え、飛んでいく。
オラトリオのアリスは自らの翼を使い、できる限り地面に近い場所を【空中浮遊】して氷の森を進んでいた。
それでも、向かい来る凍てつく風がアリスを苛む。
「この力で打ち消すことができれば……」
アリスは【炎熱の属性】を込めた花びらで自らの周囲を覆うことで凍てつく風を相殺し、メガリスの安置された台座を目指す。
「こんなときこそ、此の身の出番だな」
キマイラである清綱も猛禽の翼を羽ばたかせ、他のメンバーと同様に自らの【空中戦】技能を活用して低空飛行し、地面の氷を無視して移動する。
ただ、凍てつく風は激痛を伴い、清綱も持ち前の【耐性】で堪えていた。
「闇雲に速度を出して飛ぶのは危険だな」
清綱は【野生の勘】を働かせて吹き付けてくる風を感じ取り、安全な場所に身を隠しながらメガリスへと接近をはかるのである。
一方で、浮遊はせずに、滑る地面を攻略するメンバー達。
ベイメリアは【防具改造】の技能を使い、靴をスケート靴へと改造していた。
準備ができた彼女は【足場習熟】で状況を確かめつつ氷上を滑りだす。
この【氷の森という状況を最大限に利用】し、ベイメリアはまるでダンスを踊るかのように軽やかに滑る。
少し遅れて森に到着したリズは、ユーベルコードで対処に当たる。
「『接続、解析、再構築』全てのものは在るべき形にだよ!」
ボード状に複製した氷を利用することで、リズは勢いをつけて凍った地面を軽やかに滑っていく。
また、リズは障害物となる倒木などは、身体の『擬似刻印』を浮かび上がらせてレーザーを発して粉砕し、その跡を通過していた。
凍てつく風は、地面にいる分には直接の影響は軽微だったこともあり、ベイメリアとリズの2人は比較的余裕をもって森の中央へと向かっていたようだ。
そして、寒さ対策を行っていたエウトティアは遅れて、ユーベルコードによって恵みの雨を降らせていく。
そうして、彼女は自身の周囲を故郷と同じような草原地帯へと変化させながら進む。
「うむ、これでよいじゃろう」
準備を整えたエウトティアは呼び出した『巨狼マニトゥ』に【騎乗】し、草原となった森を駆けていく。
「わしの【野生の勘】があちらにメガリスがあると囁いておるわい」
少しばかり準備に時間はかかったが、エウトティアはその遅れを巻き返すかのように仲間達を追いかけていくのである。
●
凍てついた森の凍った地面を進み、猟兵達は森の中央にある球体のメガリス「凍れる秘宝」の破壊を目指す。
すでに、エルディアが炎の一撃を、ヴィオレッタが矢を突き刺している状態。
まだ、メガリスの機能は衰えてはおらず、凍てつく風を島全体へと送り出している。
「これが……メガリスの「凍れる秘宝」ですね……これを破壊すれば……!」
「目標確認、射撃開始」
宙を飛ぶアリス、クネウスが視認して確認する。
クネウスはすぐさま攻撃を開始し、自身のユーベルコードを行使して姿勢制御しながら、射角をずらしつつアームドフォートでメガリスを狙い撃っていく。
アリスもまた低空飛行したまま、魔鍵『クイーンオブハートキー』を振りかざし、身に纏う炎熱の花びらを攻撃へと転化する形で放出する。
【全力】で放ったその一撃は【衝撃波】となり、【ホーミング】性能を伴ってメガリスへと浴びせかかっていった。
さらに、猟兵達の攻撃は続く。
仲間達が攻撃を行う間、氷上をスケートのように滑るベイメリアはメガリスの位置と距離を【見切って】。
「捉えました。これなら……」
ベイメリアは【高速詠唱】して【早業】で光のオーラを発して、メガリスを直接爆破していく。
続いて、彼女は戻ってこられるようにと光の鎖で自身とメガリスを載せた台座を縛り付け、この場を通り過ぎていった。
入れ替わるように、木々の枝や幹に『黒竜剣』の一圏をワイヤーとして引っかけて、飛んできていたスライム形態の巫女が飛び込む。
「後は簡単ですね」
残る『黒竜剣』の八圏を蛇腹剣に戻し、ミコは【広範囲】をざっくりと薙ぎ払うことで、少なからずメガリスにもダメージを与えられると踏んでいたのだ。
確かにミコはメガリスにダメージは入れていたが、亀裂を入れた程度のもの。思った以上に頑丈な秘宝である。
メガリスは自衛の為か周囲に凍てつく空気を発し、この場の猟兵達をも凍り付かせようとしてくる。
猛禽の翼を羽ばたかせ、物陰で風を直接浴びぬようにしていた清綱はその風の流れを感じ取る。
こちらが風上となったタイミングを察した彼は、空中【ダッシュ】しながら『空薙』を抜刀して。
「…………」
清綱は黙したままで刃を一閃させた。
手応えは十分。彼の刀はメガリスへと食い込んではいたが、完全に切り裂くとは至らず。
反撃に噴き出す氷の風に、清綱は突き飛ばされてしまう。
だが、ボード状にした氷に乗るリズがレーザーで【援護射撃】し、清綱が凍るのを阻止する。
「こんな氷の世界に閉じ込められたら、森も可哀想だよね」
そこに、地上を草原と化しながら巨狼マニトゥとエウトティアが迫る。
「マニトゥや、お主の力で破壊してしまえ」
エウトティアの呼びかけに答え、マニトゥは数度メガリスへと殴り掛かり、さらに噛みつこうとする。
続く攻撃を察したマニトゥが飛び退くと、先程打ち込んだ鎖を利用してベイメリアが戻ってきた。
「今度こそ、破壊させていただきます……」
彼女は再び、【高速詠唱】して光のオーラを【早業】で発するが、今度は【連撃】として爆破していった。
猟兵達が入れていた亀裂と合わさり、メガリス「凍れる秘宝」は爆ぜ飛び、四散してしまう。
すると、周囲を覆っていた氷が溶けていく。
みるみるうちに周囲は緑を取り戻し、青々とした生気を感じさせる恵みをもたらす森へと変わっていった。
生命に満ち溢れる森で鳥がさえずり始め、動物達も活動を始める。
それらを見ながら、エウトティアはしばしのんびりとすることにしていたようだ。
光学【迷彩】を展開し、元に戻る森の風景へと溶け込んでいたリズは先程までの凍り付いた森を思い返して。
「こんな現象を生み出す、メガリスって一体何なんだろう」
砕け散ったその破片を見下ろし、彼女はこの世界に存在する呪いの秘宝について考察するのである。
大成功
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第2章 集団戦
『異形の海賊』
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POW : 欲シイモノハ何時ダッテ早イ者勝チサ
レベル分の1秒で【防御が極めて困難なマスケット銃による魔弾】を発射できる。
SPD : 早速オ宝拝見サセテ貰オウカイ
【回避が極めて困難なカトラスの斬撃】による素早い一撃を放つ。また、【戦場の空気や褒美を約束された高揚感】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 残念ダケドアンタノ攻撃ハ効カナイヨ
全身を【物理攻撃を無効化する魔性の鱗】で覆い、共に戦う仲間全員が敵から受けた【負の感情と負傷】の合計に比例し、自身の攻撃回数を増加する。
イラスト:らぬき
👑11
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
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エンルーンの森に設置されていたメガリス「凍れる秘宝」を破壊した猟兵達。
それによって、凍り付いた森が生気を取り戻して緑色に色づいていき、小鳥や小動物など生命の鼓動が蘇っていく。
この森はまた以前のように、エルフやフェアリー達に恵みをもたらしてくれるはず。
……だが、この状況を面白く思わぬモノがすぐ動き始めていたようだ。
森から出てきた一行へと近づいてきたのは、数名の女海賊達。
猟兵達は警戒して身構えるが、彼女達に敵意はないと両手をあげる。
「どうか、あたいらに力を貸してほしい」
彼女達は女性だけで編成された「カウニス海賊団」の団員で、元々このエンルーン島を中心にその周辺を縄張りとしていた義賊だったという。
しかしながら、巨大海竜がこの島に攻め込んできた際、団長を始めとしてほとんどの団員がトカゲを思わせるような姿に異形化させられたのだそうだ。
「……もう、あたいらの海賊団は終わりさ」
壊滅状態となったカワニス海賊団はもう活動は困難だと、彼女達は語る。
だが、怪物となり果てたかつての仲間を……そして、自分達を慕ってくれたエルフやフェアリーを見捨てては置けないと考え、この島で身を潜めていたという。
「あの海竜に一矢報いることができりゃ、あたい達は本望さ」
そんな彼女達のかつての同胞は、島の砂浜付近にある洞窟……かつての自分達のアジトにいる。
新たな島の主となった巨大海竜もそこにおり、倒しに行くならこちらから出向いていくべきだと猟兵達は考えていた。
しかしながら、敵もまたメガリスが破壊された状況に黙ってはいなかった。
巨大海竜は島の氷が溶けたことで、配下とした「異形の海賊」達に島の住民の住む集落を侵攻させることにしたらしい。
よりによって、かつては自分達の支配を受け入れてくれたエルフやフェアリー達を、だ。
「「おおおおおおおお!!」」
島の住民達を始末しようと異形の海賊達が怒号を響かせる砂浜へと猟兵達は急行し、コンキスタドールとなり果てたその海賊達の討伐へと向かう。
異形の海賊達はマスケット銃やカトラスを使いこなし、荒くれ者の海賊さえ恐れる腕を持つ。
さらに、物理攻撃を無効化する魔性の鱗は負の感情を生み出し、攻撃回数を増してしまうので、物理でない手段で速やかに撃破したいところ。
浜辺へと向かう猟兵達が討伐方法について考えていると、後ろから海賊団の残党が声をかけてくる。
女海賊達にとっては、かつての仲間に手をかけることとなるが……。
「いいさ。あれはもうあたいらの知っている仲間じゃない」
――彼女達だって、人間として死にたいはず。だから、自分達がこの手で始末をつける。
女海賊達はそう覚悟を決め、対する相手と同じカトラス、マスケット銃を構えるのだった。
(※今回は、3月29日8時30分までの予定で受付を行っております。その後の受付分は間に合う分のみ対応致します)
黒玻璃・ミコ
※スライム形態
◆心情
ふーむ、竜種の気配を感じて赴けば
其処にはメガリスの影響により異形化した海賊
『災厄』の配下では無さそうですが
放置と言う選択肢はありませんよねー
◆行動
防御困難な魔弾が撃たれるならば
敢えて受けた後に【カウンター】すれば良いのです
【黒竜の恩寵】により防御力をUPした上で
頭部や心臓等の重要な臓器は遍在させて致命傷は避けますよ
銃撃により黒い体液が飛び散れば好都合です
秀でた【毒使い】である私が精製した
腐食毒そのもののな体液を【念動力】で操り
【範囲攻撃】の要領で【蹂躙】しましょう
後は弱った所で順番に【捕食】しながら
【生命力吸収】すれば問題ないですね
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK
ベイメリア・ミハイロフ
なんと…こちらのコンキスタドール達は
元は海賊団のメンバーだったと
元の皆さまに戻す事は叶わないのでございましょうか
ああ、主よ、お憐みください…!
本当に嘆かわしい事でございますが
覚悟を決めて、討伐を図ります
このお力を拝見いたしますに
きっと、元の姿であった頃は
とてもお強い方々だったのでございましょう
海賊団の皆さま方をかばいつつ
お相手の攻撃を第六感で見切り、可能であれば絶望の福音にて予見し
激痛耐性も活用しつつ敢えて受け
(可能であればオーラ防御・武器受けにて受けたい所でございますが)
カウンターを仕掛けたく
範囲攻撃、早業・高速詠唱からの2回攻撃も狙って
Judgment arrowにてダメージ付与を図ります
アリス・フェアリィハート
アドリブや連携も歓迎です
あの異形の海賊さん達は
女海賊さんの…
かつてのお仲間さんだったんですね…
『せめて…私達の手で…異形の怪物さんに成り果てた苦しみから…解放してさしあげましょう…』
【WIZ】
敵に
囲まれない様に布陣
攻撃は
自身の魔鍵
『クイーンオブハートキー』
による非物理の魔法攻撃で
行います
【精神攻撃】を基本に
【破魔】を込めた
【属性攻撃】【衝撃波】
【誘導弾】【全力魔法】等の
魔法及び
UCでの精神攻撃で
外傷等を与えない様に
攻撃します
『どうかせめて…苦しまない様に…安らかに…』
祈る様に
クイーンオブハートキーを
奮い
精神魔法等での攻撃を行います
敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】【オーラ防御】で
回避・防御
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
覚悟はしても元同胞と戦うのは辛かろう、下がっていてもよいのじゃよ?
さて、あの鱗は厄介じゃな物理攻撃以外の方法で対処するか。
【精霊石】の力を借りて氷の精霊を呼び出し、【氷縛の鎖】で『異形の海賊』を絡めとり凍結させるのじゃ。
爬虫類のような姿じゃ低温に効果があるやもしれぬ。束縛だけでなく凍結で動きが鈍れば儲けものじゃ。
束縛されている間に仕留めるとするかの。
【手製の短弓】を引き絞り、鏃に【風】の刃を纏わせ連射して射掛けるとするか。
矢の軌道を操作して複数の矢を一箇所に【誘導】し、1体ずつ風の刃で切り裂くのじゃ。
精霊力の篭った攻撃じゃ。その鱗も貫けるじゃろう。
●
メガリス「凍れる秘宝」を破壊したことで、氷の溶けたエンルーンの森。
理不尽な悪の掟から解放されたことで森だけでなく島全体が生命の息吹を取り戻し、自然豊かなアックス&ウィザーズを思わせる雰囲気を取り戻しつつある。
だが、メガリスの破壊を受け、この島の支配者は動き出していた。
少しだけ他の猟兵に先行していた、黒く丸っこいスライム形態をとる黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は事情を聴く前に砂浜へと向かっていたのだが……。
「ふーむ、竜種の気配を感じて赴けば……」
洞窟から出てきた集団を見れば、それはまるでトカゲのように異形化してしまった女海賊達の姿だった。
「「おおおおおおおお!!」」
彼女達は怒号を発しながら、巨大海竜の力を借りて。
「『災厄』の配下では無さそうですが、放置という選択肢はありませんよねー」
この場で確実に異形の海賊達を止めるべく、ミコは身構える。
続いて、「カウニス海賊団」の残党である女海賊達の話を聞いたメンバー達がこの島の住民の集落を襲うというコンキスタドールの集団の討伐の為、島の砂浜へと駆けつけてくる。
「邪魔ヲスルナ、人間ドモ……!」
異形の海賊達がカトラスやマスケット銃を突きつけながら叫んでくるのに、同行する女海賊達が愕然として。
「あの異形の海賊さん達は女海賊さんの……かつてのお仲間さんだったんですね……」
まるで童話の登場人物を思わせる姿をしたアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)が目の前の海賊達の姿を目にして、確認を取る。
「なんと……、こちらのコンキスタドール達は元々海賊団のメンバーだったと」
その事実に、紅の修道服を纏うシスターのベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)が祈りを捧げて。
「元の皆さまに戻す事は叶わないのでございましょうか。ああ、主よ、お憐みください……!」
金髪猫耳巫女姫のエウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)は悲痛な表情をする海賊達の姿に、こう告げる。
「覚悟はしても、元同胞と戦うのは辛かろう。下がっていてもよいのじゃよ?」
「いえ、やらせてください……」
もはや、自分達を仲間とも認識せぬ異形と化したかつての仲間達を、倒さねばならないと海賊達もまたカトラスやマスケット銃を握る手を強める。
「来ナイノカ。ナラバ、コチラカラ行クヨ……!」
仕掛けてくる異形の群れに対し、アリスは魔鍵を握って。
「せめて……私達の手で……異形の怪物さんに成り果てた苦しみから……解放してさしあげましょう……」
「本当に嘆かわしい事でございますが……」
ベイメリアもまた覚悟を決め、異形の海賊達の討伐をはかるのである。
●
手始めにと異形と化した海賊達は銃弾を発射してくる。
「欲シイモノハ何時ダッテ早イ者勝チサ」
彼女達が放ってくるのは、防御が困難な魔弾。ミコはそれを認識して。
「……ならば、敢えて受けた後に【カウンター】すれば良いのです」
仲間の猟兵達から事情を聴いたミコは手早くユーベルコード【黒竜の恩寵】を使い、黒竜の鱗を主に纏って自らの防御力を高め、頭部、心臓など重要な臓器を偏在させることで致命傷を避ける。
そんなミコを穿ってくる異形が放つマスケット銃の魔弾。
ミコの身体の黒い体液が飛び散ったのは、彼女にとって好都合だった。
「やりましたね。お返しですよ」
非常に秀でた【毒使い】であるミコだ。
腐食毒そのものである自らの体液を【念動力】で操るミコは【広範囲】に放って異形どもを【蹂躙】していく。
また、こちらから攻撃を仕掛けようとすると、異形どもは自分達の体を包む魔性の鱗を見せつけて。
「残念ダケド、アンタノ攻撃ハ効カナイヨ」
その鱗は物理攻撃をシャットアウトするだけでなく、敵から受けた攻撃による負の感情と負傷の度合いによって自分達の攻撃回数を増やしてしまう効果がある。
そんな敵に囲まれぬよう、アリスは仲間や女海賊達と連携を取って布陣する。
そして、カトラスで切りかかってくる敵の攻撃を、アリスは【直感】を活かしつつ【見切り】、【残像】を使いつつ躱していく。
「このお力を拝見いたしますに、きっと、元の姿であった頃はとてもお強い方々だったのでございましょう」
ベイメリアは女海賊達を庇いながら、相手の攻撃を【第六感】で【見切って】避けていた。
「さて、あの鱗は厄介じゃな。物理攻撃以外の方法で対処するか」
エウトティアは『精霊石』の力を借り、この場に氷の精霊を呼び出して。
「あの異形の海賊を絡めとるのじゃ」
指示通りに精霊に氷瀑の鎖で束縛した海賊達を、エウトティアは凍結させていく。
エウトティアが思った通り、爬虫類のような姿となったことで低温には効果があったようで、動きを鈍らせていたようだった。
また、アリスは【オーラ防御】で身を包み、多少の傷は覚悟の上で『魔鍵クイーンオブハートキー』で切りかかっていく。
ただ、彼女が行うのは非物理の魔法攻撃であり、【精神攻撃】を主体として【破魔】の斬撃を異形達の邪な心、魂、精神を切り裂いていく。
「貴方に憑いた……邪な心魂や因果事象等を……祓ってさしあげます……」
不思議な桜の花々とオラトリオの力を込め、アリスが魔鍵で切りつけることで異形となった海賊達に外傷すら与えず滅していくのである。
●
砂浜で猟兵&女海賊と異形の海賊の交戦が続くが、予め対策を講じていた猟兵達に分があり、徐々に異形の数を減らすこととなる。
【絶望の福音】も織り交ぜ、相手の攻撃を予見していたベイメリア。
だが、何を思ったか、ベイメリアは敢えて【激痛】を覚悟した上で【オーラ防御】に【メイス『† curtana †』で相手のカトラスを受け止めて】。
「お覚悟を……」
【カウンター】として、ベイメリアは【素早く】【高速詠唱】して、炎、氷、雷とあらゆる装甲や防御をも貫く光の矢を放つ。
「グアッ……」
ベイメリアの放つ『Judgment arrow』は次々に、異形達の体を撃ち抜いていった。
「わしも畳みかけるとするかの」
『手製の短弓』を引き絞るエウトティアは手にする矢の鏃に【風属性】の刃を纏わせて連射して射かけていく。
矢の軌道を操作したエウトティアは複数の矢を一ヵ所に【誘導】することで、風の刃で切り裂いていく。
精霊力の籠ったエウトティアの矢は異形の海賊の鱗を貫き、1体ずつ仕留めていった。
弱った敵はミコが順番に【捕食】し、【生命力吸収】して倒してしまう。
「どうかせめて……苦しまない様に……安らかに……」
アリスもまた祈るように『クイーンオブハートキー』を握り、【精神攻撃】を行って向かい来る異形の海賊を倒してしまうのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
SPDだから高速の斬撃で襲ってくるのかしら。
こちらは銃を構えて敵を待ち構える。
忍び足、迷彩、目立たないで敵に囲まれないような位置に移動して、一人ずつ狙うわ。
「さあお相手していただくわね」
直接の戦闘になったらユーベルコード【因果応報の鏡】
【自分の銃】で受け止めた敵の斬撃をコピーして、レベル秒=約1分後まで、自分の銃から何度でも発動するわ。
「お宝を見たいなら、見せてあげる。遠慮なく受け取りなさい!」
せっかくだから青い斬撃とかできないかしら?
後はこれの繰り返し。
一人ずつ着実に倒していくわね。
リズ・ルシーズ
【全世界サイボーグ連盟】で参加。アドリブ・連携歓迎だよ!
【SPD】
コンキスタドール初めて見るけど、人の成れの果てって意味だと経緯は違ってもボク達サイボーグと同じようなものなのかもね
【指定UC】で60余りの量産型を召喚、その手にはクネウスが現地調達した武器。女海賊には悪いけど、容赦なくいかせてもらおうかな
この弾幕抜けれるかな!
量産型の【集団戦術】として一斉に【制圧射撃】、クネウス達のために【援護射撃】と【時間稼ぎ】だね
避けるのが難しくても、一撃でやられなければ!
回避の困難化カトラスの斬撃は、量産型が受け止め活動停止までに【リミッター解除】した自爆装置による爆発【属性攻撃】で死なばもろともだね
クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
※アドリブ&絡み歓迎
「ヒトに拘らないという点では同類ですね」
【WIZ】
●【メカニック】
「ここはバックアップに回りますか」
自分で攻撃しないので物理攻撃も敵意も負傷も関係ないです。
To:リズさん(f11009)
「量産型向けの武器63個以上ですね。GEAR:BUILD TO ORDER。そのオーダー、承りました」
技術力を支持してくれる人々:自分+リズさん+ルシーズ(63人)+女海賊、願いは具体的には「戦うチカラが欲しい」と。
自前のアームドフォート、マシンガン、マシンガン、セントリーガン、戦車etc……を提供。ついでに予備パーツを【武器改造】、只管増産して提供します。
愛久山・清綱
追いつめられても、人々と仲間を見捨てなかったのか……
御免!先程の無礼を深く御詫び申し上げる。
貴方達は、誠の『兵(つわもの)』にござる。
必ずやかの海竜を討ち果たそうぞ!
■闘
相手の早撃ちは極めて速い。
なれば、銃を持つ腕の動きを【見切り】つつ銃撃に合わせて
【衝撃波】を放ち威力の減衰を狙い、弱った弾丸を【破魔】の
力を宿した【オーラ防御】で防ぎ切る。
受け止めたら次の射撃が来る前に敵の集団に向かって全力で
【ダッシュ】し急接近。
辿り着いたら『心切』に【破魔】の力を最大限に込めて
【夜見・改】を放ち、魂を斬り祓ってやろう。
攻撃の際は一気に斬らず、一人ずつ斬り伏せる。
さらばだ、かつての兵達……
※アドリブ・連携歓迎
●
エンルーンの森を出た猟兵はもう1組。
先行した4人からやや遅れる形で、別の猟兵4人が別の女海賊と接触していた。
かつて、「カワニス海賊団」に所属していた女性達。
異形化したかつての仲間の状況を憂い、縄張りとしていたこの島のエルフやフェアリーの身を案じていた女海賊達はどうすることもできずに森の近くに留まっていた。
「追いつめられても、人々と仲間を見捨てなかったのか……」
別世界で『兵(つわもの)』の道を歩むキマイラの少年、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は巨大海神によってこの島を、仲間を奪われた女海賊達へと首を垂れて。
「御免! 先程の無礼を深く御詫び申し上げる」
出会い頭の無礼を謝罪した清綱は告げる。彼女達こそが誠の『兵』であると。
「必ずや、かの海竜を討ち果たそうぞ!」
そんな彼の呼びかけに、女海賊達は大きく頷くのだった。
すでに、砂浜では先行の猟兵達と女海賊が交戦に入っていた。
相手にしていたのは、巨大海竜の手下となり果ててしまった異形の海賊達。
「マタ、人間ドモガ……」
半数近くがカトラスやマスケット銃を手に、こちらへと近づいてくる。
「カトラス……高速の斬撃に注意ね」
金髪オッドアイのアーチャー、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)は距離を取り、『騎兵の友たる銃』を抜く。
「コンキスタドール、初めて見るけど……」
銀髪のサイボーグ女性、リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)が目の前の異形の海賊を前に、首元までの長さの銀髪を腰ほどまでに長く伸ばして。
「人の成れの果てって意味だと経緯は違っても、ボク達サイボーグと同じようなものなのかもね」
「ヒトに拘らないという点では同類ですね」
そう自分の考えを口にするリズの傍で、旅団【全世界サイボーグ連盟】から共に参加の黒い短髪に眼鏡着用のサイボーグ男性、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)が頷き、向かい来る異形の海賊達に対する応戦準備を整えるのである。
●
コンキスタドールと成り果て、まるでトカゲを思わせる姿の鱗に全身を包んでいた女海賊達はそれぞれの方法で猟兵達へと攻めてくる。
「欲シイモノハ何時ダッテ早イ者勝チサ」
そう言い放つ清綱には、敵は早業でマスケット銃を撃ち放ってきた。
その動きを清綱は【見切り】、銃撃と同時に【衝撃波】を放ってぶつけることで威力を減衰させる。
女海賊達の攻撃を【オーラ防御】で防ぎきった清綱は反撃の一撃をと全力で【ダッシュ】して急接近していた。
ヴィオレッタはカトラスで切りかかってくる敵を迎え撃つ態勢を取り、【忍び足】、【迷彩】、【目立たない】といった隠密技能を働かせ、敵に囲まれないよう位置取っていく。
「さあ、お相手頂くわね」
「早速オ宝拝見サセテ貰オウカイ」
交戦に当たって、ヴィオレッタは1体ずつ相手取った敵の斬撃を、愛用の小銃『騎兵の友たる銃』で受け止める。
後は、ユーベルコード【因果応報の鏡】を働かせて。
「お宝を見たいなら、見せてあげる。遠慮なく受け取りなさい!」
ヴィオレッタが放つ銃弾は、こちらに攻撃してくる異形の海賊達が振るう斬撃と同様の攻撃を返すこととなる。
なお、青い斬撃など期待したヴィオレッタだったが、さすがにそううまく奇抜な攻撃を返すことはなかったようだ。
【全世界サイボーグ連盟】の2人にも女海賊達は襲い掛かってきていたが、その前にクネウスが少し身を引いて。
「ここはバックアップに回りますか」
自らは攻撃せず、同行のリズの為にユーベルコードを使って武器を生成することとなる。
「『アーカイブ接続、ブループリント読込、圧縮展開』ボクはルシーズ、ボク達はルシーズ。ボク達の本質、見せてあげるよ!」
そのリズは【R-Series】を展開させ、60体余りの量産型をこの場へと展開していく。
「量産型向けの武器63個以上ですね。GEAR:BUILD TO ORDER。そのオーダー、承りました」
後はそれだけの数のメンバーに技術力を支持してもらい、クネウスは己の【メカニック】技能を生かして戦う力を創り出す。
対価はクネウス自身が持つアームドフォート、マシンガン2丁、セントリーガン、戦車など。
ついでに予備パーツまで使って【武器改造】し、ただひたすら武器を増産して提供していく。
「女海賊には悪いけど、容赦なくいかせてもらおうかな」
それらをルシーズ達が受け取り、リズ自身の武装と共に、敵陣目がけて一斉に【制圧射撃】を開始する。
「この弾幕、抜けられるかな!」
量産型には【集団戦術】として攻撃させるリズは、ほぼ無防備となっているクネウスや女海賊達の為に【援護射撃】を行わせ、【時間稼ぎ】。
「避けるのが難しくても、一撃でやられなければ!」
出来る限り敵を接近させず、リズは女海賊達を攻め続けるのである。
●
先に攻め込んでいた猟兵達と共に戦う女海賊含め、「カウニス海賊団」の残党となってしまったメンバーはかつての仲間達へと刃を、弾丸を叩き込む。
もう自分達を仲間だとは認識せぬまま、倒れていくかつての同志達の姿に心を痛めながらも、彼女達はこんな事態を引き起こした巨大海竜討伐の為、視力を尽くして戦っていた。
「残念ダケド、アンタノ攻撃ハ効カナイヨ」
魔性の鱗で攻撃を防ぎ、回避困難な斬撃を見舞ってくる異形の海賊達。
それらからクネウスを守るためにと、リズはルシーズ……量産型に攻撃を受け止めさせて。
「死なばもろともだね」
量産型はリミッター解除した自爆装置によって、大きな爆発を【属性攻撃】として浴びせかけ、次々に女海賊達を爆破四散させていく。
傍では、ヴィオレッタが銃で受け止めた斬撃をそのままコピーして返し、逆に敵へと見舞って打ち倒すのを繰り返し、異形の海賊の数を減らしていた。
清綱もまた『心切』の刀身に【破魔】の力を込めていて。
「秘伝……夜見」
その刀身を非物質化し、彼はマスケット銃を発砲してくる敵の魂を1人ずつ切り祓っていく。
「さらばだ、かつての兵達……」
清綱は祈るように言葉をかけ、全てを狂わされた魂を解放していくのだった。
異形の海賊達はかなりの数がいたはずだったが、8人の猟兵と同行する女海賊達の力でその全てが地に伏していく。
消えゆく彼女達は最後の一瞬でも、人間として……義賊として活動していた自分のことを思い出してくれたことを、猟兵も、女海賊達も願ってやまないのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『シーサーペント』
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POW : 海神の咆哮
自身の【霊力】を代償に、【邪悪の咆哮】を籠めた一撃を放つ。自分にとって霊力を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD : 大渦大回転
【体を高速回転させ、強力な水竜巻】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : 深海の王者
【海竜の血】を降らせる事で、戦場全体が【グリードオーシャンの深海】と同じ環境に変化する。[グリードオーシャンの深海]に適応した者の行動成功率が上昇する。
イラスト:ハギワラ キョウヘイ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●
メガリス「凍れる秘宝」が破壊されたことで、生命の息吹が戻ったエンルーン島。
だが、この島を実効支配する巨大水竜シーサーペントは黙っておらず、従える異形の海賊達へとエルフやフェアリーの住む集落の壊滅を命じたらしい。
その海賊達は元々この島を縄張りとしていた女性ばかりの「カワニス海賊団」の団員達のなれの果てだ。
巨大水竜の襲撃時に、なすすべなくコンキスタドールとなってしまった異形の海賊達。
彼女達は自分達が人間であった認識すらなくし、巨大水竜の意のままに島の集落へと攻め込もうとしていた。
一方で、猟兵達は「カワニス海賊団」の生き残りと接触する。
島の人々に理不尽な悪の掟を強いた上、自分達の仲間のほとんどを奪った巨大水竜シーサーペント。
どうか、そいつを倒してほしいという彼女達の願いもあり、猟兵達は元々海賊団のアジトがあった砂浜の洞窟を目指す。
集落へと攻め込もうとしていた異形の海賊達と遭遇した猟兵達はその撃破に成功。共闘した女海賊達の傷心が言えぬまま、アジトへと向かう。
●
砂浜の洞窟内は波の音が聞こえるほどに閑散としていた。
元々、カワニス海賊団のアジトだったこの場所だが、異形となり果てた海賊達はまるで獣のような暮らしをしていたらしい。
衣服はことごとく破かれ、日用品もほぼほぼ破壊されてしまっている。
あちらこちらに転がる肉からは腐った臭いが立ち上っている。いったい何の肉だろうか。
そんなアジトの惨状に、生き残りの女海賊達は悲痛な表情を浮かべるのみ。
いくら海賊とはいえ女性だ。元々は清潔感を感じさせる場所だったと女海賊達は語る。
猟兵達がそんな会話をしていると……。
グアオオオオオオォォォ……!!
アジトの奥にある船着き場から、洞窟中に響き渡る低い唸り声。
海賊船がどこかに移動されたその場所には、巨大な海竜……シーサーペントが鎮座していた。
「よくも、メガリスを破壊しおったな……」
異形化した海賊以上に、その海竜は流暢な言葉遣いで呼びかけてくる。
そいつは自身の根城を好き勝手にされたことで、相当に怒りを覚えていたようだった。
だが、怒りを覚えていたのは海賊達も同じ。
「皆の……カワニス海賊団の仲間達の敵だ……!」
「何を言う。倒してきたお前たちが言うことか」
自ら人ならざる存在にしておいて、海竜は全く悪びれる様子もなく言い放つ。
この場でそのまま戦いたいのはやまやまだが、狭すぎるからか海竜は洞窟から出ようとして。
「砂浜で待つ。来なければ、島民の命はないと思え」
グアアオオオオオオオォォォ……!!
その咆哮を残し、洞窟から出ていった海竜。
意気込みながらもアジトに戻ったはずの女海賊達だったが、その咆哮だけでも身を竦めて地面にへたり込んでしまう。
「く、くそっ、身体が……」
「あたいらがあいつらの敵を取ってやらねばならないのに……!」
彼女は悔しそうに、猟兵達へと訴えかける。
――どうか、仲間の敵を……!
――島のエルフやフェアリー達を助けてあげてほしい。
そんな女海賊達の願いを受け、猟兵達はこのエンルーン島を解放する為に巨大海竜シーサーペントの討伐の為、砂浜へと戻っていくのである。
(※今回は、4月3日8時30分までの予定で受付を行っております。その後の受付分は間に合う分のみ対応致します)
ベイメリア・ミハイロフ
散る事を余儀なくされた海賊の方々の魂の救済のため
また、島に残る方々をお救いするべく
尽力したく存じます
カワニス海賊団の皆さま、わたくし達にお任せくださいませ
お相手の攻撃は絶望の福音、又は第六感にて先見し回避を試みます
万一の場合を考え、激痛耐性も活用を
WIZ攻撃対策には、情報収集にて深海の環境を見切り
オーラ防御のオーラで防ぐ事が可能であればそれを用い
不可であれば防具改造にて呼吸を補う防具を急いで作成
環境耐性・水中戦・水泳・暗視も活用して行動いたします
こちらからの攻撃は破魔を込めたジャッジメント・クルセイドにて
但し傷ついたお仲間さまがいらっしゃる際は最優先で
医術又は生まれながらの光にて治癒を施します
エウトティア・ナトゥア
※アドリブ・連携歓迎
うむ、この島の者達の願いを聞き届けた
さて、早よう砂浜に行かぬとまたぞろ悪さをしそうじゃな
【巨狼マニトゥ】に【騎乗】し砂浜まで一気に駆け抜けるのじゃ
砂浜へ着いたら駆けつけた勢いのまま『シーサーペント』へ騎乗突撃するかの。
マニトゥ、あの痴れ者にお灸をすえてやるのじゃ
わしはマニトゥの攻撃の傍ら【風術】を篭めた【追尾】する矢を放ち目や口内等の軟らかい部分を射抜いて【援護射撃】するか
(『深海の王者』に対して)
これは血の雨か?戦場を自分の領域に変える術のようじゃな
面倒じゃ、風の精霊にお願いして術の効力を吹き払うのじゃ
これで有利は無くなるじゃろう。後は矢とマニトゥの攻撃で削り続けるかの
アリス・フェアリィハート
アドリブや連携も歓迎です
この島を支配している
シーサーペントさん…
遂に直々のお出ましですね…
【WIZ】
敵UCは
発動時の海竜の血を
【第六感】【早業】【見切り】をフルに使い
こちらもUC発動し相殺して
戦場を
深海に変化させない様に
試みます
念の為
【深海適応】【水中機動】
【水中戦】等の
水中技能も用意
自身の剣
『ヴォーパルソード』に
【破魔】を込め
『炎熱』の【属性攻撃】や【なぎ払い】等の剣戟や
剣からの【衝撃波】や【誘導弾】等の遠距離攻撃で
攻撃
敵の攻撃は
【第六感】【見切り】【残像】【オーラ防御】で
回避・防御
『島の方々を恐怖に陥れるだけでなく…女海賊さんのお仲間さん達にもひどい事を…必ず貴方を倒し島を解放します…!』
黒玻璃・ミコ
※スライム形態
◆心情
元はA&W世界に連なる竜種ですかね
とは言え新天地でも暴虐の限りを尽くすならば
屠竜の魔女たる私がお仕置きしちゃいますよー
◆行動
足場が悪い砂浜とは言え【念動力】で
浮遊可能な私に隙はありません
身体をやや涙滴型に変化させて抵抗を減らし
【空中戦】や【水中戦】の要領で
荒れ狂う風や水流に乗って数を増やしたマイハンドで
九振りの黒剣を操り討伐しましょうか?
しかし霊力を注ぎ込んだ咆哮は脅威です
空気の振動を【聞き耳】して攻撃の予兆を感じ取り
【黒竜の恩寵】により防御力をUPさせて
最悪は【第六感】を信じて緊急回避し
重要な臓器は遍在させて致命傷は避けますよ
◆補足
他の猟兵さんとの連携、アドリブOK
ヴィオレッタ・エーデルシュタイン
「砂浜は自分のホームグラウンド、とでも言いたいのかしら?」
砂浜ならすぐそばは海よね。
他の皆に敵が気を取られている間に水泳、水上歩行技能であえて水中へ移動。
敵から100メートルも離れればいいわね。
素潜り、息止めをしつつ顔だけ出して相手を確認。
10秒集中したら、ユーベルコード【千里眼射ち】で撃ち抜いてあげるわ。
そしてまた潜って位置を変えては射撃、の繰り返しよ。
もしこっちに来るようなら水泳か水上歩行で他の皆の方に引きずり出してあげる。
「洞窟の方が地の利があったんじゃない?」
リズ・ルシーズ
【全世界サイボーグ連盟】で参加。アドリブ・連携歓迎だよ!
【SPD】
相手が竜なら、こっちは蜘蛛で!
【指定UC】で蜘蛛型の外部兵装を纏い、【リミッター解除】し高速起動による【空中戦】で水竜巻を回避を試みるよ
避けちゃえば、途中で攻撃を止めることはできないよね!クネウス、妨害は任せて!
光【属性攻撃】のレーザーを竜に射ち、【援護射撃・制圧射撃】として攻撃力の減少とUCの封印を狙うよ。
今だよ、これはおまけ!
クネウスのヘッドショットにあわせて、光学【迷彩】を発動しそのまま外部兵装をパージ、高速起動の勢いのまま外部兵装を見えない弾丸として【重量攻撃】だね
クネウス・ウィギンシティ
【全世界サイボーグ連盟】で参加
アドリブ&絡み歓迎
「無差別広範囲攻撃ですか、ならば……」
【POW】
●戦闘
事前に相手が海賊に攻撃した結果を生かし、戦う狙いです(【偵察&情報収集】)。
「GEAR:ATROPOS。強化生成完了、行きます」
自ら【メカニック】として武装を作成(【武器改造】)した経験を元に想像した無敵の強化外骨格を着込んで敵のUCに対抗します。
「海竜と云えど頭は弱いでしょう」
リズ(f11009)さんと攻撃のタイミングを合わせて生成したアームドフォートで狙い撃つ(【スナイパー】)のは頭。
倒しにくい敵が目なり脳なりの急所ばかり狙ってくる、相手の気こちらに引ければ御の字です。
愛久山・清綱
心得た!後は拙者達にお任せあれ。
かの悪しき竜は、必ずや討ち果たしてみせる。
拙者、愛久山清綱……我が【霊剣】を以て、エンルーン島の厄災を斬り祓おう!!
■闘
『心切』に【破魔】の力を宿し、戦闘に入る。
敵には可能な限り接近せず、一定の距離を維持しよう。
咆哮を放ってきたら全身に【破魔】の力を宿した
【オーラ防御】を纏い、悪しき力を振り払って見せる。
咆哮が止まったら【早業】の居合から放たれる、【マヒ攻撃】を
絡めた【山蛛・喰】で敵の動きを封じ込める。
命中したら斬撃波を心身共に喰らいつくす【鎧無視攻撃】の
霊刃に変化させ、更なるダメージを与えてやろう。
其方の悪事も、最早これまでだ……
※アドリブ・連携歓迎
●
砂浜傍の洞窟、海賊アジト跡でメガリスによって島を凍らせた元凶、巨大海竜シーサーペントと遭遇した猟兵達。
グアオオオオオォォォ……!!
砂浜で待つと告げた海竜は咆哮を残し、洞窟から出ていく。
今来た道を戻って砂浜に向かおうとする猟兵達だったが、先程の水竜の咆哮に、「カワニス海賊団」の生き残り達が腰を抜かしてへたり込んでしまう。
「どうか、仲間の敵を……!」
「島のエルフやフェアリー達を助けてあげてほしい」
そんな女海賊達の頼みに、猟兵達が頷く。
「うむ、この島の者達の願い、聞き届けた」
金髪猫耳巫女姫、エウトティア・ナトゥア(緋色線条の巫女姫・f04161)はすぐさま『巨狼マニトゥ』へと跨って。
「さて、早よう砂浜に行かぬとまたぞろ悪さをしそうじゃな」
彼女は真っ先に、外へと駆け出していく。
紅の修道服を纏ったベイメリア・ミハイロフ(紅い羊・f01781)は、散ることを余儀なくされた海賊達に小さく祈りを捧げて。
ベイメリアは彼女達の魂の救済の為、また、島に残る方々を救う為に尽力を誓う。
「カワニス海賊団の皆さま、わたくし達にお任せくださいませ」
「心得た! 後は拙者達にお任せあれ」
精悍さを感じさせるキマイラの少年、愛久山・清綱(飛真蛇・f16956)は、かの悪しき竜を必ずや討ち果たしてみせると女海賊達へと約束する。
「拙者、愛久山・清綱……我が『霊剣』を以て、エンルーン島の厄災を斬り祓おう!!」
「「あ、ああ、頼んだよ……」」
元気づけられる女海賊達も、まさか清綱が自分達よりも年下の少年だとは思わなかっただろう。
さて、猟兵達は海賊達を残して砂浜へと戻っていく。
そこには裏手から砂浜まで回ってきた巨躯の海竜シーサーペントが待ち構えていた。
「来たか。しばし島民をどう苦しめようかと考えていたところだ」
強大なる力を持つ水竜目がけ、巨狼マニトゥに【騎乗】して疾走するエウトティアが真っ先に攻めていく。
「マニトゥ、あの痴れ者にお灸をすえてやるのじゃ」
いきなり仕掛けてきたエウトティアに警戒してとぐろを巻く海竜に対し、マニトゥが鋭い爪でひっかき、牙を剥いて食らいついていく。
エウトティアも『手製の短弓』で海竜の目、口内などを狙って【風術】を込めた追尾する矢を射放ち、【援護射撃】していく。
少しして、空色のエプロンドレスに同じ色のリボンで金髪を飾ったアリス・フェアリィハート(不思議の国の天司姫アリス・f01939)が砂浜に現れ、神妙な面持ちで海竜を見つめて。
「この島を支配しているシーサーペントさん……」
改めて、遂に直々のお出ましとなった敵に対し、アリスは構えを取る。
「元はアックス&ウィザーズ世界に連なる竜種ですかね」
黒いスライム状の姿をしたブラックタールの黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)がそんな想像も巡らす。
「とは言え、新天地でも暴虐の限りを尽くすならば、屠竜の魔女たる私がお仕置きしちゃいますよー」
相手は自らの存在について語ろうはしなかったが、お仕置きという言葉に、シーサーペントが高笑いする。
「我に仕置きだと? 片腹痛いわ!」
グアアオオオオオオォォォォ……!!
咆哮を放って威嚇してくる敵に、一度下がるエウトティアとマニトゥ。
その間、【全世界サイボーグ連盟】から参戦の2人は全く別の動きをしていて。
「ひとまずは直に、敵の力を見定めさせていただきましょうか」
『技術者』兼『狙撃手』であるサイボーグの青年、クネウス・ウィギンシティ(鋼鉄のエンジニア・f02209)は眼鏡を手にかけながらも後方に回る。
「相手が竜なら、こっちは蜘蛛で!」
今回はそのクネウスの相方として参戦する形の天真爛漫なサイボーグ女性、リズ・ルシーズ(Re-Z・f11009)は何やら策を講じるべくユーベルコードを使うべく身構えていた。
臆せず立ち向かう様子の猟兵達に、巨大海竜はかなりご機嫌斜めなようで。
「大海を統べる我に叶うと本気で思っておるのか」
威嚇してくる敵は波打ち際まで近づいてきており、実質戦いの舞台は砂浜となるように見えるが……。
「砂浜は自分のホームグラウンド、とでも言いたいのかしら?」
誰にともなく、皮肉めいた言葉を呟いていたのは、金髪ヤドリガミの少女、ヴィオレッタ・エーデルシュタイン(幸福証明・f03706)だ。
砂浜は海と隣接しており、敵も地の利を生かして攻撃してくることだろう。
そんな状況にあって、ヴィオレッタは仲間達が海竜を引き付けている間に、敢えて海へと入り、【水泳】スキルを活かして水中へと移動していくのである。
●
巨躯を持つ海竜シーサーペントだが、その動きは想像するよりも素早い。
「我こそは、深海の王者なるぞ……!」
既に傷ついたその体を大きく回転させる海竜は、自らの血を砂浜へと降らしていく。
そうして、砂浜は瞬く間にこの世界グリードオーシャンの深海と同じような状況へと変化してしまう。
「人間は水中に適応した生物ではない。呼吸すらもままならぬだろう」
一旦、身構えていたエウトティアも冷静に状況を見定めて。
「これは血の雨か? 戦場を自分の領域に変える術のようじゃな」
すでに【第六感】と合わせ、ユーベルコード【絶望の福音】でこの状況を予見していたベイメリア。
彼女はまず、素早くこの場の状況を【情報収集】して現状の環境を【見切り】、対策に動く。
自らの体を【オーラ防御】で覆うことでベイメリアは【環境耐性】で水圧に耐えながらも、急いで【防具改造】にて呼吸を補う為の防具を作成していった。
そして、状況が整えば、薄暗くなった周囲を【暗視】で確認する。
(「すぐには動けないのかしら?」)
ベイメリアは海竜が仕掛けてこないのを見て、【水中戦】、【水泳】といった技能を頼りに自力で海底のようになった戦場を移動していく。
アリスもまた深海に沈む砂浜において、素早く手を打つ。
予め、彼女は【深海適応】、【水中機動】、【水中戦】といった技能を用意はしていたが、その前に。
【素早く】【直感】で相手の【深海の王者】を【見切った】アリスは、鏡に映したかのようにそのユーベルコードを再現してみせて。
「【白の女王の鏡】に、映らないものはありません……!」
彼女はシーサーペントが作り出した海底の環境を同じように再現させようとして相殺しようとする。
「面倒じゃ。……遍く精霊よ」
精霊術士であるエウトティアもこの状況を打破すべく風の精霊を呼び、世の理に外れたこの深海の環境を吹き飛ばそうとする。
気づけば、そこは元のエンルーン島の砂浜。無対策のメンバー達は多少むせていたが、事なきを得たようだ。
「これで有利は無くなるじゃろう」
「あなたのユーベルコードは通用しません」
エウトティア、アリスにあっさりとユーベルコードを無効化された海竜の表情が歪む。
「やるな……。だが、これは対処できまい……!」
海竜はそこで大きく息を吸い込んで咆哮するが、今度は霊力を込めたユーベルコード……邪悪の咆哮として発して。
グアアオオオオオオオオォォォォォォ……!!
霊力を注ぎ込んだ咆哮は脅威と予め考えていたミコは【聞き耳】によって空気の振動を感知し、敵の攻撃の予兆を感じ取る。
「いあいあはすたあ……拘束制御術式解放。黒き混沌より目覚めなさい、第壱の竜よ!」
ミコは呼び出した黒竜の鱗の力で防御を固めつつ、自身の【直感】を信じてその場から飛び退く。
「ちょっと危なかったですね……」
体内の重要な臓器をうまく偏在させ、ミコは致命傷を避けていたようだ。
また、退魔の刀『心切』を手にした清綱は刀身に【破魔】の力を宿し、ある程度の距離を保って海竜の出方を窺っていたが、咆哮が来るのを察して。
「ぬうっ……」
彼は【破魔】の力を全身に宿した【オーラ防御】を纏い、襲い来る悪しき力を振り払ってみせた。
「咆哮は無差別広範囲攻撃ですか、ならば……GEAR:ATROPOS。強化生成完了、行きます」
先程の言葉通りに【偵察】しながら、海竜の戦闘手段を注視していたクネウス。
彼はその場で【メカニック】として武装を作成【武器改造】した経験を元にし、想像した無敵の強化外骨格を着こみ、咆哮に対抗していた。
しかしながら、敵の攻撃はそれだけに留まらず、さらに身体を高速回転させて。
「くらえ、神にたてつく愚か者ども……!」
超高速回転攻撃を立て続けに放ってきた敵に対するべく、【Arachnophobia】を使うリズは大蜘蛛型の姿の自立型多脚機動砲台を召喚して。
「『外部兵装召喚、種別指定多脚自立砲台、神経接続開始』 行くよ、アラクネ!」
蜘蛛型の外部兵装を纏ったリズはリミッターを解除して、高速機動で海竜の攻撃を避けていく。
「避けちゃえば、途中で攻撃を止めることはできないよね! クネウス、妨害は任せて!」
【光属性】のレーザーを発射させながら、リズは相手の攻撃力の減少と封印を試みるが、さすがにそう簡単には止まってはくれない。
縦横無尽に暴れる巨大海神だったが、突然、そいつの胴体に深々と矢が突き刺さる。
それは、100m先の沖から顔を出していたヴィオレッタが放った矢だった。
「さすがにこれだけ離れれば対処もできないでしょう」
ヴィオレッタはユーベルコード【千里眼射ち】し、『射貫き打ち抜く鋒矢』を使って矢を放ったのだ。なお、100mと言わず、2,3キロであれば彼女にとっては余裕で射程内だ。
「小癪な真似を……」
シーサーペントは自身の攻撃に対処してくる猟兵達に対し、初めて脅威を感じたようだった。
●
海竜はその後、もう一度この場を深海へと変えようとしたが、エウトティアとアリスがすぐさま元の砂浜へと戻し、相手に有利な環境を与えない。
さらに、エウトティアがマニトゥの爪、牙による攻撃に加えて矢を突き刺す。
海竜も咆哮や水竜巻に加え、体当たり、食らいつき、這いずりと直接攻撃を織り交ぜて攻撃の手を止めず、猛攻を仕掛ける。
その体力を削る間に、アリスも自らの【直感】も合わせて海竜の攻撃をしっかりと【見切り】、【残像】を伴った動きで避けていく。
「島の方々を恐怖に陥れるだけでなく……女海賊さんのお仲間さん達にもひどい事を……」
時には敢えて【オーラ防御】で相手の食らいつきを受けながらも、強い敵意をむき出しにして。
「必ず貴方を倒し、島を解放します……!」
小さな体で握る『ヴォーパルソード』に【破魔】の力を籠めたアリスは、【炎熱属性】を込めて斬撃を見舞う。
振り下ろすだけでなく、アリスは横薙ぎにその巨体へと切りかかり、少しずつ傷を増やしていく。
足場は砂場であり、スライム状のミコにとってはその体を最大限に生かすのは難しい……と思いきや。
「【念動力】で浮遊可能な私に隙はありません」
体をやや涙滴型へと変化させることで抵抗を減らし、【空中戦】や【水中戦】といった戦法を使ってミコは荒れ狂う風や水流に乗る。
「これならどうでしょう?」
数を増やした腕でミコは『九振りの黒剣』を個別に操り、水竜の鱗を切り裂いて赤い血を流す。
この島にいた「カワニス海賊団」もユーベルコードを持ち、手練れの海賊達だったはずだが、彼女達をあっさり倒す海竜の実力は伊達ではない。
ベイメリアも指先を向け、【破魔】を込めた天からの光をシーサーペントへと浴びせかけていくが、シーサーペントはなかなか倒れてくれない。
交戦が続けば、それだけ仲間達も傷つく可能性が高くなる。
仲間の傷を確認すればベイメリアは攻撃の手を止め、すかさず【生まれながらの光】で包み込んで癒しへと当たる。
比較的安全圏とも言える距離から矢を射続けるヴィオレッタだが、シーサーペントは時折衝撃波を伴う水の弾丸で牽制を仕掛けてきて油断はならない。
そこで、ヴィオレッタは一発撃つ度にポジションを変え、攻撃を繰り返す。
彼女は水中だけでなく、敢えて【水上歩行】を行うことで、シーサーペントの注意を引く。
「洞窟の方が地の利があったんじゃない?」
そんな皮肉が100m以上離れた海竜に聞こえているかはさておき、さすがに砂浜で囲まれた状況の敵は沖のヴィオレッタの方に向かうことはなかったようだ。
何より、この島から逃げるような行為は、元々海神であったシーサーペントのプライドが許さないのだろう。
沖へと注意が向いた敵の隙を清綱が見逃さず、敵を自らの間合いに収めて。
「捕らわれたが、最期……秘儀・山蛛」
【早業】の居合で清綱は空間斬撃を行い、その体内まで衝撃波を浴びせかける。
【マヒ攻撃】を絡めた衝撃波は霊力の刃となり、肉体と霊魂へと突き刺さって放さない。
さらに、リズが仲間達を【援護】すべく妨害をと、騎乗する蜘蛛型の自立型多脚機動砲台で空中から光のレーザーで【制圧射撃】を行う。
そうして、敵の攻撃力を削ぐリズは、さらに蜘蛛の粘着質の糸を発して。
「くっ、力を……!」
一時的なものだが、力を封じされたシーサーペントが僅かに硬直する。
「今だよ、これはおまけ!」
「海竜と云えど、頭は弱いでしょう」
リズとクネウスが攻撃のタイミングを揃え、敵の頭を狙う。
まず、リズは光学【迷彩】を発動させてそのまま外部兵装をパージした。
クネウスは【武器改造】で生成したアームドフォートで頭に照準を合わせ、相手の目、脳といった部分に光線を浴びせかけていく。
そのクネウスの銃弾に合わせ、叩き込まれるリズの外部兵装。
「お、おぉっ……」
さすがのシーサーペントも、【重量感ある一撃】には目眩を起こしてしまったらしい。
「期待以上の効果が得られましたね」
気を引ければ御の字と考えていたクネウスは、想定以上のダメージを与えたと手応えがあったようだ。
実際、続く仲間達が好機とばかりに攻撃を畳みかける。
距離を取ったアリスが剣を振るって【ホーミング性能】を持つ【炎熱】の【衝撃波】を浴びせかけ、ミコも九振りの黒剣を水竜の巨体へと刻みこむ。
ベイメリアが【破魔】を込めた天からの光を浴びせかけ、ヴィオレッタが喉元へと矢を突き刺せば、さすがのシーサーペントも呻き声をあげて。
「ぐ、おお……っ」
上体が大きく揺らぐ敵へ、清綱がさらに【衝撃波】を発する。
今度は、清綱は海竜の【硬い鱗をも貫通する一撃】を心身共に食らいつくす霊刃と転じ、トドメを刺す。
「其方の悪事も、最早これまでだ……」
目から光が失われ、水飛沫を上げてシーサーペントの巨体が波打ち際に倒れていく。
それを確認した猟兵達は大きく息をつき、遅れて勝利の実感を得るのだった。
結局、エルフやフェアリーの住むエンルーン島は「カワニス海賊団」が再編される形で再び統治に当たるとのこと。
「島民が海賊に興味を持っていてね」
さすがに人数を考えれば男性も加入させざるを得ないようだが、「カワニス」……美しい海賊団は維持させたいと女海賊は語る。
また静けさ……「エンルーン」が戻ったこの島は彼女達の力によって、再び平穏な日々が続くことだろう。
大成功
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