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Dead the Deadhead

#グリードオーシャン

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#グリードオーシャン


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 広大なる海に数多浮かぶ島々、そのうちの一つ。
 島の中心には荒れ果てたコンクリート造りの建造物。元は白亜であったのだろう外壁を覆う蔦が、こうなってより経た年月を物語る。
 しかし、その入口周辺は外縁の荒れ具合に比べれば驚くほど整っており。この建造物に、未だ知性あるもの達の出入りがあることを窺わせる。
 それを証明するかの如く、入口の奥から歩み出てくるのは、十数人の少女。いずれも美しく整った、何処か人形めいた美貌の少女達だ。
 そして、それを出迎える人間が一人。白と黒の衣装を身につけた髭面の男。頭に被った海賊帽からすれば、恐らくは海賊であろうか。
「よぉう、娘っ子共!お誕生日おめでとう、ってトコだなぁ」
 驚くほどに下劣さを感じさせるダミ声で男が呼ばわる。ぼんやりとした表情のまま、少女達は一様に男に視線を注ぐ。
「……あなたは……?」
 彼女達が共通して抱く疑問。代表するかのように、少女の一人が問いかける。
「俺かぁ?俺はこの島の『王』だ!この島の全てを好き勝手する権利を持つ男よぉ」
 胸を張り断言する男。あたかも、それが世界の定めた掟である、と主張するかの如く。
「お前らには今日から死ぬまで、俺の為に働いてもらう!それがこの島の掟だ!逆らう奴に生きる資格は無ぇ!よぉく覚えておけや!」
 ゲハハハハ!
 あからさまなまでの下卑た笑い声を上げる男にも、未だ生まれたばかりの少女達は、黙って頷くのであった。



「猟兵諸君、よく集まってくれた。そして、サムライエンパイアよりの外洋航海、お疲れ様である」
 グリモアベースに集った猟兵達を、グリモア猟兵、ギージスレーヴ・メーベルナッハ(AlleineBataillon・f21866)、通称ギジィが迎える。
「貴殿らの活躍により、かの外洋より新たな世界への道が開かれた。グリードオーシャン、果てなく広がる海の世界だ」
 広大なる海と、その各所に点在する島々が形作る世界。それが、長らく謎に包まれていたグリードオーシャンの正体であったのだ。
「しかしこの世界、どうにもこれまでの世界と比しても特異な点が色々とあってな…この場で語るのは長くなる故、後々各自で確認願う」
 今この場で語るべきは、余の見た予知である、ギジィは本題へと進む。

「此度、貴殿らに向かってもらうのは『ヴァンデルム島』という島だ」
 その島は、かつてアポカリプスヘルから落ちてきたらしき島であり、中心にフラスコチャイルドの生産プラントが存在しているのが最大の特徴である。
 この世界ではUDCアースで言う処の大航海時代、その頃より高度なテクノロジーは機能しなくなるという性質があるので、このプラントも普段は機能を停止している。しかし、ごく稀に機能が回復し稼動することもあり、その都度何人かのフラスコチャイルドが生まれてきているのだとか。
「が、この島はコンキスタドール…この世界のオブリビオンによって制圧され、支配されている。生まれてくるフラスコチャイルド達も、全員が彼奴に従属させられているのが現状だ」
 生まれて間もなく、かのコンキスタドールを王として奉仕するよう教えられ、そのまま一生を捧げさせられる。流石にフラスコチャイルド達もそれに疑問は抱いているようだが、それを知られれば殺されたり奴隷として売り飛ばされるため、ただただ大人しく従うより他にない、という状況である。
「故に、我ら猟兵の手でこの島を解放せねばならぬ。それは同時に、かの世界への予知の目をより遠くまで届かせる為の活動でもある」
 如何なる原理か、この世界では現状グリモアの力が阻害され、あまり広い範囲へ予知や転移を届かせることができない。多くの島を探索し行動範囲を広げることで、グリモアの力もまた、より広い範囲へ届かせることが可能となるのだ。

「ともあれ作戦だ。まず貴殿らには、島の港で開かれるマーケットへ向かってもらう」
 ここでは周辺海域で活動する海賊が各々の手に入れた品々を取引しているのだが、その中に奴隷として売り飛ばされることになったフラスコチャイルド達が何人かいるという。
 彼女達を買い上げるなり何なりして救出し、敵の本拠たるプラント施設への道を聞き出す。それが第一の目的だ。
「尚、ここの海賊達はコンキスタドールではないが、決して善人でもない。ちょっとしたことで因縁をつけられる可能性もあろう。注意せよ」

 プラント施設への道が分かれば、後はそこへ乗り込みコンキスタドールを殲滅するのみだ。
 ただしコンキスタドールは少なからぬ数の配下を抱えている。まずはその配下を殲滅し、然る後戦うこととなるだろう。

「作戦については以上だ。それでは、転送を開始する」
 ギジィの掌を差し上げれば、その上に浮かぶは彼女の率いる『黄昏大隊』の紋章を模したグリモア。そこから光が発せられ、輝きは徐々に強くなって猟兵達を包み込んでいき。
「厳しくも慎ましく生きる者に、安寧と平穏を。――征くがよい、猟兵諸君」
 猟兵達を、かの大海の世界へと、送り届けてゆくのであった。


五条新一郎
 無知シチュというやつですが猥褻は一切無い。
 五条です。

 ついにやって参りました新世界グリードオーシャン。
 当方よりも早速シナリオをお届けさせて頂くことと致します。
 アポカリプスヘルから落ちてきた島に住むフラスコチャイルド達を、圧制から解放してあげましょう。

●目的
『ヴァンデルム島』を支配するコンキスタドールの殲滅。

●作戦領域
 グリードオーシャン、ヴァンデルム島。
 元はアポカリプスヘルにあった島で、フラスコチャイルドの調整・生産を行っていたプラントが中心に存在していました。
 現在はそのプラント周辺と、マーケットが開かれる港以外は全て密林に覆われています。

●第一章
 海賊マーケットにて、奴隷として売り飛ばされようとしているフラスコチャイルド達を保護する「冒険」です。
 取引を行っている海賊達は、多少は痛めつけても良いですが極力殺さないようにしてあげてください。

●第二章
 プラント施設付近にて、配下コンキスタドールとの「集団戦」です。詳細は第二章移行時に。

●第三章
 支配者であるコンキスタドールとの「ボス戦」です。これも詳細は第三章移行時に。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行後に断章を投稿しますのでその後からプレイングを受け付けます。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『潜入・海賊マーケット』

POW   :    荒くれ者の雰囲気を出して、堂々と盗品のやりとりをする

SPD   :    店舗に忍び込んで探索したり、目的の物を盗み出す

WIZ   :    海賊マーケットの関係者を買収するなどして、必要な情報を集めていく

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ニトロ・トリニィ
POWを選択

ここが海賊達のマーケットか…
活気があるのは良い事なんだろうけど人身売買は許せないね…
何としても救い出さないと!

行動
殴り込みや潜入、色々考えたけど…
この後も戦いが待っている事だし、なるべくリスクは負いたく無い…
あまり気乗りはしないけれど、彼らのルールに従ってフラスコチャイルド達を保護した方が安全かな?

怪しまれない様に《バウンドボディ》で海賊っぽい格好に姿を変えて行動しつつ、売られているフラスコチャイルドを見つけたら買い取って安全な所に連れて行こう!
怖がられる可能性もあるし、〈優しさ〉を持って接してあげないとね。


アマニア・イェーガー
【POW】

おっかいっものー♪おっかいっものー♪
ということでわたしはマーケットでめぼしいものを買い漁りつつ、≪過去視の魔眼≫で目当てのフラスコチャイルド達を探して買い占めるよ!
こういうことはホントは良くないんだけど、これも人々の為。正義という大義名分を片手に大手を振ってお買い物するよー
まあ別にわたし悪事にはなんの抵抗もないんだけど、それはそれ。正義の猟兵というスタンスは重要だからね

お金は沢山あるから基本的に言い値で買うけど、悪意を向けられればそれなりに武力を行使するよ
多少荒っぽいほうが融通が利きやすいかな?
その時は、周囲の物体を【ハッキング】で操ってちょっと痛い目見てもらおうかな



 マーケットが立ち賑わうヴァンデルム島の港。その一角に、猟兵達の乗る鉄甲船『第七天へ渡る鴉』号が停泊する。
 渡し板から港へ降り立ったのは二人の猟兵。一人は全てが黒き青年、一人は長身細身の女性。
「おっかいっものー♪おっかいっものー♪掘っり出っしもーのはっあーるっかなー♪」
 テンション高く即興の歌を口ずさみながら歩くのはアマニア・イェーガー(謎の美女ヴィンテージコレクター・f00589)。時積み重ねたものの蒐集を趣味とする彼女、任務に並行して己の求める品を探すつもりの様子。
「ここが海賊達のマーケットか…活気があるのは良い事なんだろうけど」
 歩みを進めるにつれ聞こえてくる喧騒。黒き青年、ニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)は思案げに呟く。マーケットの風景は雑然とし混沌を呈してはいるが、人の営みには違いない。とはいえ。
(人身売買を許すわけにはいかない、何としても救い出さないと)
 心中で改めて決意を固める。売り飛ばされるのが生まれたばかりの子供の如き存在となれば尚更。
(しかし、どんな手段を取ったものか)
 正面からの殴りこみ、潜入しての解放。取れる手段は様々だが、どれもリスクはある。検討しながらマーケットの通りを歩き、商品を物色するように視線を巡らせる。と。
「へえ、まだ動くんだね、これは良いかも。いくら?」
「そいつはそうだな、金貨2枚でどうだ」
「買った!」
 アマニアが露店の一つで普通に買い物をしていた。見れば、他にも既に購入した品物が何点か。
「君は何をしているんだ…」
 呆れ気味に声をかけたニトロ。しかし当のアマニアは気にした風もなく。
「んー?マーケットならお買い物するのが当然じゃない?それに、純粋にお客さんと思わせておいた方がやり易いと思うしね」
 そんな彼女の答えに一瞬呆れかけたニトロだが、ふと考える。成程、穏便に済ますならばその手もあるか。正直を言えばあまり気乗りはしないが、この後にはコンキスタドールとの戦いがあると予知されている以上、消耗は避けられるならば避けたい。
 ニトロの着衣――ブラックタールである彼の身体の一部――が形を変え、海賊服風の意匠へと装いが変わる。丁度アマニアも海賊と見える装い、怪しまれぬようにするならば己もこうするが一番であろう。
「――おっと。あの子達は向こうかな。行ってみようか」
 一頻り買い物を終えたアマニアが、不意に言いながらマーケットの一角を見据える。三角形の瞳孔が特徴的な彼女の瞳は、あらゆる過去を見通す魔眼。その眼に、マーケットへ連れて来られたフラスコチャイルド達を見たのだろうか。

 果たして、向かった先の露店には、鎖で拘束された数人のフラスコチャイルド達と、彼らを商品として店を出しているのだろう海賊の姿。
 ニトロの胸中に怒りが込み上げるが、今は押し殺し、声をかける。
「やあ、どうも。ここの商品はあの子達かい?」
「おうよぉ!生まれたてほやほや、この島特産の奴隷共だ!」
 品性皆無の笑みを浮かべ、およそ人間に対する形容とは思えぬ表現で彼らを紹介する海賊。ニトロ、思わず拳に力が入る。
「…そうか。それじゃあ早速だがあの子達を…」
「あの子達全員わたし達が買わせてもらうよ!」
 そんなニトロが続けた言葉に被せる形で、アマニアが購入を宣言する。彼女としては助け舟という意識はなかったろうが、結果としてはそのような形である。
「…な、ぜ、全員だと…!?か、構わねぇが、金貨200枚だぞ!?」
 流石にそこまで豪快な買い方をする客が現れるとは思わず、海賊の声が震える。
「いいよ、ほら」
 対するアマニア、平然と金貨の詰まった袋を差し出す。元より金銭には困っていない彼女、この程度の買い物は然程苦ではない。本来ヴィランという身もあって人身売買そのものにも――良くないことと理解してはいるが――抵抗は無く、まして目的が正義とあれば尚更。
「…た、確かに…。…いいぜ、持っていきな」
 代金を検め終えた海賊が言えば、早速ニトロは彼らを繋ぐ鎖を外し、歩くよう促す。そこまで悪い扱いは受けていなかったのか、足取りはしっかりとしていた。
「さて…この島で安全そうな場所といえば」
「やっぱり船じゃないかな?わたしも買ったモノ置いときたいし、一度戻ろうか」
 アマニアの答えにニトロは頷き、船着場へと引き返す途につく。その様子はまさしく、奴隷を買い上げ船へ戻る海賊と見えたが。
「…大丈夫かい?もう暫くの辛抱だ、君達を自由にするために僕達は来たんだ」
 その途上。『奴隷』達が新たな『ご主人様』からかけられた、予想だにしない優しい声。驚きの表情でフラスコチャイルド達がニトロを見上げる。
「君達にこんなことを強いる奴らを、僕達は倒しにきた。そのために教えて欲しい、この島のことを」
 真摯なる蒼い瞳。絶対的存在と思っていたかのコンキスタドール、彼らならば打ち倒せるかもしれない。フラスコチャイルド達にそう思わせるには、十分であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

夢ヶ枝・るこる
■方針
・【POW】使用
・アド/絡◎

■行動
世界ごとに様々な事情が有る以上、こういう文化も否定はしませんが。
予知が出ている以上対処は必要ですねぇ。

因縁をつけられる可能性があるなら、それを利用しましょう。
【豊饒現界】で[誘惑][怪力]を強化、敢えて蠱惑的な格好で会場へ行きますぅ。
相手が絡んで来たら何度でも冷たくあしらい、逆ギレして襲って来るのを待ちますねぇ。
襲ってきたら[怪力]を生かした格闘で返り討ちにし「慰謝料」として「購入した奴隷」を差し出させますぅ。

後はFチャイルドさんを『船』に連れて行き保護、落ち着いたら事情を説明し協力を求めますぅ。
『船』の環境や状況を見れば、或る程度信用いただけるかとぉ。


アレクサンドラ・クリソベリル
ヒャハハハハ!!生まれてすぐに自由を奪って物扱いしてマーケットを築いたってかァ?アタシが言えたことじゃねえが中々に外道だな!嫌いじゃないぜ?
テメェらのすることを否定はしないが仕事だからな。ちょっとばかし痛い目見てもらうとするか。まずUCで姿を消す、後は後ろから一人ずつ急所を外しながらダガーで一刺しってな!
ハーハハハハ!卑怯だと思うか!?下衆だと思うか!?上等!テメェらが三下だってことが露呈しただけだったな!ヒャハハハハ!
あ?フラスコチャイルドはどうするかって?アタシは興味ねえからプラントの場所だけ教えろ。その後はとっとと何処へでも消えな



「おい…あれ見ろよ」
「…おお…なんて美人、なんてエロい身体してんだ…」
 マーケットの人々、特に男達の視線が、通りを歩む一人の女性に釘付けとなる。艶やかな黒髪、端麗なる顔立ち。豊饒を体現するが如き肉感的な肢体と、其を存分に引き立てる高露出な和装。蠱惑的な魅力を惜しげもなく振りまく美女。
「よーぉ。随分と目立ってんじゃねぇか姉ちゃん」
 そんな彼女に声をかけたのは、透き通る緑の肌を持つ、クリスタリアンの女性。アレクサンドラ・クリソベリル(突然変異種・f22521)。
「そ、そのようですねえ…正直、予想以上かもですぅ」
 声をかけられた美女――夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)はぷるぷると小さく身を震わせながら答える。基本的に己の容姿に恥じらいを覚えている彼女、しかし此度はユーベルコードまで用いて己の身の持つ魅力を最大限に引き出している。何ゆえかといえば言うまでもなく任務遂行の為だが。
「そんだけエロい格好してりゃ、気にしねぇ男の方がおかしいってもんだろうよ。男どもに群がられて目的地まで行けねぇまであるぜ、これ」
 感心しているのか呆れているのか、肩を竦ませつつアレクサンドラ。実際、見れば何人もの男達がるこるに声をかける隙を窺っているように見受けられる。
「おお…それはよろしくないですねぇ…。せめて奴隷の売買をしている区画までは行きませんと」
「そういうこった。そこまではアタシが面倒見てやるから、行くぜ」
 実は面倒見の良い処のあるアレクサンドラ。やたら人目を引くるこるの様子が気になって声をかけたようである。
 進行に障りが生じない程度に、言い寄らんとする男をアレクサンドラが牽制しつつ、二人はマーケットの奥、奴隷を扱う者達の集まっている区画へ向かう。

「よし、ここまで来りゃ大丈夫だろ。後は勝手にやりな」
 暫く歩き、奴隷を連れた海賊達が行き交う通りに足を踏み入れた二人。アレクサンドラはるこるに言い残し、人々の間をすり抜け離れていく。彼女には彼女の行動指針があるということだろう。るこるは納得する。
「よお姉ちゃん、今夜のお相手でも探してんのか?なんならオレが相手してやろうか?ひひっ」
 その直後にるこるへかかる声。見れば、如何にも無頼といった風情の海賊が一人。後ろに連れているのは――フラスコチャイルドの少年だ。二人いる。
「結構ですぅ。私にも選ぶ権利はございますので」
 あんまりにも直接的な海賊の誘い文句。るこるはすげなく断る。
「なんだとぉ…?オレじゃ不足だってのか!お高く止まりやがって!」
 そのような誘い文句でも断られるなどと思っていなかったのか海賊は激昂、るこるへと掴みかかろうとする、が。
「ええ、不足も不足、あなたみたいな人ではダメ過ぎますからぁ」
 ユーベルコードで魅力のみならず筋力も強化していたるこる。海賊の手首を掴み止めれば、流れるように拳を腹へと叩き込む。
「ぐほぉぉ…っ!?て、てめぇぇ!?」
 蹲りながらもるこるを睨む海賊。このまま痛めつけ、奴隷を差し出させて手打ちとする。そう算段していたが。
「た、ただで済むと思うんじゃ、がはっ!?」
 未だ敵意失っていない様子の彼。これは骨が折れるか――と考えた矢先。突如彼が呻きを上げて崩れ落ちる。
「…おお?」
 見れば、背中に刺されたような傷跡。そして目の前の空間に、鮮血に濡れた何か。
「――ヒャハハハハ!!全く絵に描いたみてぇな三下だったなぁ!まぁ何も知らねぇガキ共を物扱いするような奴らだし当然か!ハハハハ!」
 哄笑が上がると共に、空間に浮かび上がる金緑石の姿。アレクサンドラだ。血濡れた空間には抜き身のダガーが浮かび上がる。
「…あ?殺しちゃいねぇよ、急所は外したからな」
 何か言いたげなるこるの様子に、哄笑を止め答えれば、背後のフラスコチャイルド達に視線を向ける。びくり、と驚き震える少年達。怯えているか。
「ご心配には及びませんよぉ。私達は、皆様をお助けに参った者ですのでぇ。詳しいことは、私達の船でお話しましょうかぁ」
 その様子を察した、穏やかなるこるの言葉に、少年達は暫し顔を見合わせ…やがて頷いた。――その視線は、るこるの顔より少し下を向いていたとか。

 そして戻ってきた『第七天へ渡る鴉』号の船内。海賊とは異なる船乗り達が行き交う様子と、他の猟兵達が救助した仲間の姿を見て、少年達は漸く安心したようだ。
「私達は、この島を支配するコンキスタドールを倒し、島を解放する為に来た猟兵ですぅ」
「あ、あいつを…?でも、あいつは凄く強くて…」
 るこるの宣言に少年達は驚き、しかしすぐに俯く。絶対的なかの存在を、倒し得る存在があるなどとは思えないのだろう。
「ハッ、アタシ達はもっと強ぇんだぜ。まあどうなろうが今より悪いコトにはならねぇよ、一つ賭けてみてもいいんじゃねぇか?」
 アレクサンドラの凄みある笑みに、先程の仕事ぶりを思い出したか、やや怯え気味に頷く少年達。しかしその力は理解されたようだ。少なくとも、かのコンキスタドールを倒し得る可能性がある、というところまで。
「う、うん…お姉さん達なら、もしかしたら…。…えっと、どうすればいい…のかな」
 そうして、少年達の口から、この島の様々な事項についての情報が得られる。無論、プラントの場所も。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

シャルロット・クリスティア
WIZ

ふむ……他の猟兵さんがどう動くかは知りませんが、あまり大騒ぎにすると他が動きづらくなると面倒ですね。
と、なれば……内密に、かつ後腐れの無い方法を取りましょうか。

正式に出品の手続きが済んでいない……あるいは、まだ出品キャンセルの効く『商品』が望ましいですね。
そういった品のオーナーを探しましょう。

人気のないところで……あるいは声をかけて誘い出し、相場以上の大量の金貨をどんと握らせ、出品前に極秘裏に買い取っちゃいましょう。
……出所?猟兵の給料から天引きです。まぁ貯金はあるので問題ありません。

この手の無法者は稼げれば手続きなぞ関係ないでしょう。欲に眩めばこっちのもんです。



 雑然たる賑わいを見せるマーケットを歩みながら、シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)は思案する。
 他の猟兵達が如何なる手段を以て、奴隷となっているフラスコチャイルドを解放するのか。それは知り得えないが。
(あまり大騒ぎにすると、他の方が動きづらくなるかもしれませんね)
 それで成果が少なくなってはよろしくない。内密に、且つ後腐れのない方法が良いだろう。
(であれば。この手段が最適でしょうか)

 シャルロットがやってきたのは、マーケットの出品手続きを行っている広場。奥の建物が手続きを行う場らしく、広場は順番を待つ海賊や冒険商人でごった返している。
 そんな人々の居並ぶ様子を見回しているうち、目的の人物が見つかった。妙齢の女海賊。その後ろに三名程のフラスコチャイルドの少年少女を伴っている。
「――もし。少々、宜しいですか?」

 マーケットから少し離れた路地裏にて対峙する、シャルロットと女海賊。その後ろにフラスコチャイルド達。
「こんな処まで呼び出して、何のつもりだい?アタシに何かしようってんなら――」
 路地裏に複数の気配。手下達か。荒事で生きている以上、人気のない場所まで誘い込んで話をしようという者に警戒するのは無理からぬ事だ。
「いえ、其方が事に及ばぬ限り、此方も手荒な手段を取るつもりはありません。私はあくまで、取引をしたいだけです」
 それも承知の上、あくまで冷静にシャルロットは応える。
「こっちも同じつもりさね。で、取引ってのは、もしかしてあいつらの事かい」
 背後の少年少女を親指で示しながら女海賊。頷くシャルロット。
「その通り。話が早くて助かります」
「分かってると思うが、あれはアタシらが売りに出そうと思ってる商品でね。値切りにゃ基本応じないよ?」
 豪快に見えてその実油断なき笑みを見せる女海賊の目は、欲望にギラギラとした輝きを放つ。やはりこの手の輩はそういうものか。小さな、本当に小さな嘆息を一つ、シャルロットは切り出す。
「ええ、承知しております。――200で、どうですか?」
「――何だって?…金貨だよな?」
 提示された金額に、思わず目を瞬かせた女海賊。その金額は値切りどころか、相場より随分と高額だ。
「無論ですとも。代金は此処へ確かに」
 詐欺の類でないことを示すかのように、金貨の詰まった袋を差し出してみせるシャルロット。因みに、後々の報酬からの天引きという形でこの世界の貨幣を調達してきたものである。
「…よし、分かった。取引成立としようじゃないか。こいつらを連れていきな」
 女海賊は頷き、手枷で戒められたフラスコチャイルド達を顎で示す。シャルロットは礼を述べ、彼女に金貨袋を渡すと、少年少女達の前へと歩み寄って。
「もう暫しのご辛抱です。もう間もなく、皆様を自由にして差し上げられます――ご協力、願えますか?」
 女海賊やその手下に聞こえないように。シャルロットの囁いた言葉に、少年も少女も驚き、彼女を見た。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウィーリィ・チゥシャン
【かにかま】
この世界にもオブリビオンの手が伸びてるのか。
何としてでもフラスコチャイルド達を解放しないとな。

マーケットの屋台で食べ歩きをしながら周囲の地形を把握。【地形の利用】で奴隷達が身を隠せる場所とそこまでの逃走ルートを調べ上げる。
そして仲間達と相談してプランを練って、作戦開始。
シャーリーに騒ぎを起こしてもらって海賊の注意を惹き、その間にチェルノが奴隷を解放、そして俺が予め調べ上げた逃走ルートで身を隠せる場所まで誘導する流れだ。
海賊達が追ってきたら【厨火三昧】の【フェイント】で攪乱し、足止めする。

逃げ切ったら、奴隷達に屋台で買ってきた食べ物を振る舞う。
「腹減ってるだろ?話は腹ごしらえの後だ」


在原・チェルノ
【かにかま】
無垢なフラスコチャイルドを隷属させるなんて許せません!
流星忍姫チェルノ、参ります!

シャーリーちゃんが海賊の相手をしてる間に【迷彩】+【忍び足】で捕まっているフラスコチャイルド達に近づきあたしたちが味方である事を伝えて【念動力】で鍵を外して彼女たちを解放
隠れ場所までの案内はウィーリィくんに任せてあたしは追手を【目潰し】や【雷刃無尽】で牽制して足止め

助け出した彼女たちからコンキスタドールたちの情報と敵の本拠地の位置を聞き出す
「大丈夫。あたし達は正義の味方だから」


シャーリー・ネィド
【かにかま】
宇宙でも海でも、海賊は自由の味方だよ
そしてそれを束縛するものは海賊の敵
たとえそれが同じ海賊であってもね

マーケットで奴隷を売買している海賊に接触して彼女達の出どころを聞き、この島を支配するコンキスタドールについての情報や居場所について聞き出す
で、わざと海賊に因縁をつけさせて騒ぎを起こし、チェルノさんが奴隷を助け出すチャンスを作る
その後でボクも宇宙バイクを呼び出して【ゴッドスピードライド】で海賊を振り切って逃走

ウィーリィくんと合流したら奴隷の一人と【手をつなぐ】事で【鼓舞】し、【勇気】づける
「ボクたちはキミたちを助け出しに来たんだよ。だからボクたちに協力してくれないかな」



 マーケットの片隅の休憩スペースのような場所で、三人の猟兵が集まっていた。
「美味いなこれ!味付けはシンプルだけど身が凄く引き締まってて食べ応え抜群だぜ!」
 マーケットには食べ物を売る屋台も出ている。ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)はそこで購入した串焼き肉を齧り舌鼓を打つ。新天地を訪れたらまずその地の料理を口にする彼。早速グリードオーシャンの料理を食べることとした次第である。
「この木の実ジュースも美味しいよー。何もしてなくてもとっても甘いの」
 在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)も購入した木の実ジュースを堪能中。
「これ、UDCアースにもあったタコ焼きかな?味は違うけど、こっちも美味しいかもっ」
 シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)が食べているのは、穀物系のボール状生地の中にタコの足の一部が入ったタコ焼きのようなもの。生地自体の材料が違うのか、UDCアースのタコ焼きとは随分異なる味わいだが、これも美味なようだ。
 尚、彼らは本来の目的を忘れて食べ歩きに興じていたわけではない。それぞれにマーケットを巡って内部構造を把握、その情報を基に、奴隷とされているフラスコチャイルド達の救出作戦の相談をしているのだ。
 また彼らが食している料理も、単純にウィーリィの趣向だけで買ったわけではないようだが…その辺りは後程分かるものと思われる。

「ひひっ、毎度ぉ!存分に使い倒してやってくんねぇ!」
 奴隷を購入し去っていく客の背へ声をかける海賊。彼もまた奴隷売買を行っている者であり、背後には商品たる奴隷の少年少女を入れた檻。フラスコチャイルドだ。
(…宇宙でも海でも、海賊は自由の味方。それなのに、自由を奪って束縛するなんて)
 その様を見るシャーリーは、怒りを覚えていた。海賊を名乗る彼女が思う、海賊の在るべき姿。あの海賊の姿は、そこからまるでかけ離れた――海賊にとっての敵以外の何者ではないものだ。
 だが一先ずはその怒りに蓋をして。かの海賊の露店へと歩を進める。
「おう、いらっしゃ…」
「あの子達、何処から仕入れてきたのか教えてくれないかな?」
 反応した海賊に、出し抜けの質問をぶつけるシャーリー。示すのは勿論、奥の檻のフラスコチャイルド達。
「な、何だ?お前、何を…」
「あの子達、他の島では見ない珍しい子達だから気になってね。で、何処から?」
 たじろぐ海賊に笑顔で詰め寄るシャーリー。その目は笑っていない。
「こ、この島の海賊から買ってんだよ…珍しいから高く売れるし」
「その海賊ってどんな人?どこに住んでるのかな?」
 矢継ぎ早に質問をぶつけるシャーリーに、とうとう海賊が痺れを切らした。
「て…めぇ!いい加減にしろこのクソガキ!大体何でそんなこと教えてやらなきゃならねぇんだ!」
「決まってんでしょ!海賊のくせにこんな商売してるのが許せないから潰したいのっ!」
 そしてシャーリーもずっと抑えていた怒りを爆発させれば、最早止まることはない。そして騒ぎに反応してか、何処からかやってくる別の海賊達。この海賊の手下か。
「お前ら!このガキに痛い目見せてやれ!ここのルールってヤツを身体に教え込んでやらぁ!」

 そして始まったシャーリーと海賊達の大乱闘。
 その騒ぎを不安そうに見つめる檻の中のフラスコチャイルド達に、不意に声がかかった。
「みんな、大丈夫?助けに来たよっ」
 何処からの声かと顔を見合わせ、辺りを見回す少年少女達。
「こっちこっちっ」
 再度の声と共に、檻の外へ見出された人影。チェルノである。シャーリーが起こした騒ぎに乗じつつ、その身を置物や什器に擬してここまでやって来たのだ。
「…あなたは…?」
 おずおずといった様子で問いかける少女に、チェルノは笑顔をもって答えた。
「あたしは流星忍姫チェルノ、正義の味方よ」
 その間にも己の念動力を駆使し、檻の鍵を外しにかかる。程なく、錠の外れる音が響いた。
「詳しい話は後でね。今はとにかくここから逃げましょ」
 フラスコチャイルド達の互いに顔を見合わせること数秒。彼らは一様に、決意を込めて、頷いた。

「ウィーリィくーん!」
 そしてチェルノは付近の路地裏で待っていたウィーリィと合流を果たした。
「上手くいったな!よし、後は逃げるだけだ」
「あ、あなた達は…どうして私達を…?」
 チェルノに続いて逃げてきたフラスコチャイルド達。先頭の少女が疑問を呈すれば。
「ああ、俺達は…」
「待ちやがれぇぇ!!」
 ウィーリィが疑問に答えるより早く、此方へ向かってくる海賊達の声が響く。
「ちっ、気付かれたか!話は後だ、逃げるぞ!ついてこい!」
「ここはあたしに任せて先に行って!大丈夫、すぐに追いつくから!」
 路地の奥を示しながら、ウィーリィが先導するように駆け出す。一瞬顔を見合わせた後、彼を追って走り出すフラスコチャイルド達。
 チェルノはその場に残り、迫りくる海賊達に対峙する。
「な、なんだてめぇは!」
「無垢なフラスコチャイルド達を隷属させようなんて許さないんだから!」
 海賊達への怒りが、背後の空間に紫電を走らせ、手裏剣が如き電刃を無数に生み出す。
「悪を斬り裂け、雷の刃っ!!」
「うわあぁぁぁぁぁ!?」
 迸る無数の雷光が、海賊達の目を眩ませ怯ませた。

「よし、ここまで来れば大丈夫だな」
 マーケットの敷地の片隅、かつてアポカリプスヘルにこの島があった頃から存在していたのだろう廃建築物。予め決めておいた潜伏地点だ。
 その二階へフラスコチャイルド達が全員上がってきたのを見届け、ウィーリィは一息ついた。
「あ、あの…ありがとうございます。でも、どうして…」
 改めて疑問を口にしようとした少女に、ずいっと突き出されたのは串焼き肉。先程ウィーリィが食べていたものだ。
「腹減っただろ?まず飯にしよう。話はそれからだ」
 一瞬躊躇したフラスコチャイルド達だが、不意に腹の虫が音を上げた。実際空腹であったのだ。故に、彼らが串焼き肉を受け取るまで、長い時間はかからなかった。

 彼らが腹拵えを終える頃には、シャーリーとチェルノも合流。全員揃った処で、ウィーリィが話を始める。
「さて、何で助けた、って話だったな。それは勿論、奴隷にされる人間なんているべきじゃないからだ」
 フラスコチャイルド達が驚きに目を見開き、しかし直後に俯く。
「助けて頂いたのは有難いですが、でも…」
「ああ、この島を支配するコンキスタドールがいる限り、どのみち同じこと、だろ?」
 だがウィーリィは彼らの懸念にも自信を以て応える。
「そのコンキスタドールを倒すのも、俺達の目的だ」
「!?」
 先程以上の驚きがフラスコチャイルド達の間に走る。それは彼らにとって、確かに待ち望んでいたことであるが。しかし。
「で、でも、あいつは凄く強くて…他の海賊も、誰も勝てなくて…」
 幼き魂にも深く刻み込まれた、恐怖すら伴うその強さ。かの存在に勝てるものなど存在しない、と思い込ませるに十二分な。
 その恐怖を思い出したか、震える手。そこへ不意に、柔らかな感触が重ねられるのが感じられる。シャーリーの手だ。
「大丈夫、ボク達は強いから。それに、他にも仲間はいるしねっ」
 垣間見た先程までの大立ち回りと、安心させるような笑顔。…この人達なら、もしかしたら。
「でも、そのためには敵について知る必要があるの。だから、あたし達に教えてほしいんだ。コンキスタドールについて、知ってることを」
 チェルノの願いに、逡巡すること暫し。
「…わかった。私達に分かること、できること。協力するよ」
 小さく、しかし確かに。少年少女達は頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
海の略奪者である海賊ですか
面白い
一つ色々物色しますか

【情報収集】でマーケットについて細かく調べておく
事前知識があるだけでイロイロ動きは変わりますからね
特に構造とフラスコチャイルドの捕まってる場所の把握
ユベコ発動
上着を脱いで加速能力強化
【属性攻撃】で光属性を全身に付与
その上で光学迷彩で透明化
更に【迷彩】で強化
そのうえで気づかれないように【盗み】で鍵などの強奪を行
牢屋周囲の海賊は殴って気絶させる

さて
助けに来ましたよ?
お前たちの疑問はもっともです
お前達はここで使い潰されるために生まれたわけではありません
まぁとりあえず
お前達はついてきなさい
ああ、こういう時は…ぎゅーってするんですよ?(ふふん



 マーケットを巡るカシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)は、油断なき視線でその各所に目を光らせていた。盗賊である彼にとって、海賊とは己と同じく略奪する者。活動範囲は違えど同業者みたいなもの。その手並みを拝見するべく、マーケットの各所を物色しているのだ。
 この世界は様々な世界から落ちてきた島々で構成されている、という情報を裏付けるかの如く、並ぶ品物には様々な世界を思わせる文物が散見される。
「なんだか、雑然としていますねえ。海賊らしいといえばらしい、ですが」
 それらにも興味を惹かれるところではあるが、此度の目的は別である。一通りマーケットを巡りその構造を把握した彼は、マーケットの奥まった一角へと歩みを向けた。

 そこには奴隷を扱う海賊が露店を構えていた。奥に商品と思しきフラスコチャイルドの少女が二人。手枷で鎖に繋がれ、見張りとして海賊の手下らしき男がついている。
「商品を奪われる可能性は想定外、という感じですね。ではいきましょうか」
 ユーベルコードを発動する。上着を脱げば、徐々にその身が背後の風景と同化を開始する。全身に光の属性を付与することによる擬似的な光学迷彩だ。
 行動を開始。ユーベルコードによって身軽になった身は、あっという間に少女達の前まで移動する。それは物音一つ立てずしての挙動。すぐ傍の手下にも気付かれていない。
 手枷を検める。鍵で着脱するタイプのようだ。手下の腰にそれっぽい鍵を見つける。紐で結ばれただけのそれ。盗み取るは容易い。
 腕を一振りすれば、瞬く間に鍵はカシムの手の中に。後は逃がす経路の確保。やはりこの海賊達が邪魔だ。
 まずは手刀で傍らの手下に一撃。崩れ落ちる手下。突然の出来事に、フラスコチャイルド達が驚いた顔を見せるが声は出さない。
 海賊は此方に背を向けているのでまだ気付かない。今のうちだ。一瞬の踏み込みで彼の背後まで移動。再び手刀一発。倒れた海賊を、手近な荷物の影まで引きずる。
 不思議そうに目を瞬かせるフラスコチャイルド達の前で、光学迷彩を解除。彼女達の前に、上半身裸のカシムが現れた。
「…あなた…は…?」
 少女の一人が問えば、カシムは笑顔で助けに来たと答える。
「どうして…?」
「その疑問は尤もです。お前達は、ここで使い潰される為に生まれてきたわけではない。それがため、ですよ」
 更なる疑問に答えながら、少女達の手枷を鍵で外していく。少女達は立ち上がるも、どうすれば良いのか分からないという風に辺りをきょろきょろと見回している。
「まあとりあえず。お前達はついてきなさい。安全な処へ連れて行ってあげますから」
 カシムに対し少女達は従順に頷き、ついていこうとする。
「…あぁ、その前に」
「…何か…?」
 思い出したようにカシム。疑問を呈する少女に向き直って。
「こういう時は…ぎゅーってするんですよ?」
 ドヤ顔で言い放つカシム。だが少女達は小首を傾げたまま動かず。どうやら、理解できなかったらしい。
「……。と、とりあえず行きましょう…」
 がっくりと肩を落としながらも、彼女達を安全圏へと先導していくカシムであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
殺さぬようにとなれば、多少手間を掛けるか

永劫を用いて海賊を協力させる
相応に難易度は高かろうが、試みることもできない「不可能な」行為ではない
必要なだけ『超克』で汲み上げれば代償は問題なく確保
この島の支配者は今日陥落する、と教え此方に付かせるか

解放しようとすれば向こうから絡んでくるだろう
来る端から協力者として効率よく進める

少女らの居場所がなければ保護も並行して実行
回廊でギージスレーヴの元へ送れればそちらへ
この転移も阻害されるなら、異空間内で待機するよう言っておき後ほど安全な場へ

全体を『天光』で把握し少女らを害する動きがあれば即介入
『刻真』で自身を無限加速し「間に合わせる」

※アドリブ歓迎



 マーケットに、蒼き燐光が漂う。真昼間ゆえそこまで目立つものでもないが、見れば相応の印象は残すだろう。其を纏うはアルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)、原理の力扱う異能者。
(殺さぬように、との要項だったな)
 此度の作戦に関して求められた要項を思い出す。このマーケットの海賊達は善悪いずれかと言えば紛いなき悪。されど過去には非ず、今を生きる人には変わり無し。故に殺害は極力避けるが望ましい。
(なれば、多少手間はかけるか)
 その為の算段は調えてある。アルトリウスの前に、一人の海賊が歩いてきた。
「其処のお前。俺に、協力してもらおう」
 出し抜けの要求。初対面の人間の第一声としては有り得ない要求。それを受けた海賊は。
「…ああ、構わないぜ。俺に何をしろって?」
 しかし、すんなりと要求を呑んだ。果たして如何なる原理の作用か。
「この地で生まれたフラスコチャイルドを、奴隷として取引している者がいるだろう。その者の元へ、案内しろ」
 更なる要求にも海賊は特に拒絶を見せず。ついてきな、と歩き出す。謀りの可能性はなかろう。後を追うアルトリウス。

 そして行き着いた先はマーケットの奥の建物。大きな檻の中に、何人ものフラスコチャイルドの少年少女が囚われている。
「ここが奴隷の卸売場だ。みんなここで奴隷を買って、自分で使うか誰かに更に売るか…ってやってるのさ」
 解説を聞き流しつつ、アルトリウスは檻の前へ。部外者のあまりにも堂々とした行動に、場内の海賊達が一斉に集まってくる。
「おいお前、何のつもりだ?俺らの商品に何を…」
「この奴隷達は全員俺が連れて行く。協力しろ」
 誰何の声を遮りながらアルトリウス。彼の有する無限の魔力を注いだその要求は、あらゆる理屈をねじ伏せ成就する。承諾した海賊達が、檻を開け、中の少年少女達に出ろと促す。戸惑う彼らにアルトリウスは告げる。
「心配するな、俺はお前達を助けに来た。この島の支配者は、今日陥落する」
 その宣言に、フラスコチャイルド達のみならず海賊達もざわめいた。この男は一体何者なのか。
「一先ず、安全な場所へ案内する。説明はその後に。ついて来れるか」
 逡巡すること数秒、頷くフラスコチャイルド達。目の前の男の纏う蒼き光は、彼らには闇の中の一条の光じみて見えていたかもしれない。

成功 🔵​🔵​🔴​

月宮・ユイ
この世界の謎も気になる所ではあるけれど。
折角生まれたのに隷属ではつまらないでしょう

[衣装]女海賊風に変え<コミュ力:取引+誘惑>駆使
一応は市場が成立、現地の貨幣は無い故支払いは[倉庫]内の
貴金属(宝石や金銀財宝)や武器類(現物支給)で行い、
穏便に奴隷買い取り予定
「さて、此処ではどの支払いが良いかしら?

私の見た目が少女で、資金を見せており、奴隷持ち。
無事取引が終了しても油断はしない。
絡まれたなら
<怪力:グラップル>打撃や絞め落としにUCのせ昏倒させ対処
「残念。私は貴方達に食い物にされる程弱くはありませんよ。
併せ強さを見せる事で奴隷の子からの<情報収集>に役立てる

アドリブ絡み◎
呪宿し操るヤドリガミ


エメラ・アーヴェスピア
グリードオーシャン、まだまだ分からない事が多い所にこの機会…
これは幸運かもしれないわね、ちょっと色々調べてみましょうか
勿論、仕事の方も忘れずにね

とりあえず、機械が使われていなさそうだし、聞き込みで【情報収集】するしかないかしら…
今回の事件の事から、この周辺の事までいろいろと聞きこんでみましょうか
ただ、私だけだと馬鹿にされるのは見えているから…『出撃の時だ我が精兵達よ』
全機合体で一機にした大柄な精兵に、トレンチコートとハットで猟兵に偽装させる装備も付けるわ
この装備も久しぶりだけれど…一番屈強な護衛に見えそうなのはこれなのよね…
実際に強くもある…実力行使になっても安心ね

※アドリブ・絡み歓迎



「ふぅん、この近くの島で手に入れた品物なのね」
「おう、一年中桜の咲いてる島でな。何のための道具かは分かんねぇが、見た目が何か洒落てるだろ?」
 マーケットの露店の一つにて、アンティーク調のランプらしき道具を前に店主たる海賊と言葉を交わす金髪の少女。エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)だ。傍らには、トレンチコートとハットに身を包んだ鉄面の大男。
 未だ猟兵達にとっては謎多き世界であるグリードオーシャン。この世界についてより多くを知る良い機会であると今回の任務に参加したエメラだが、機械はほぼ稼動していないこの世界。彼女の本領を発揮し得る電子的手段がほぼ使えないため、こうして地道な聞き込みによる情報収集に徹していた。
 此度の任務に必要な情報以外にも、こうしてこの世界の諸々についての情報を収集するべく会話を重ねるエメラ。それは結果として、会話相手の海賊の警戒心を緩める成果を得ていた。
「…ところで。この島では奴隷売買も行っている、と聞きましたが。何方で扱っているのでしょう?」
 会話がひと段落したところで、傍らの、ロングコートに髑髏帽子という如何にもな女海賊風の少女――月宮・ユイ(月城:紫音・f02933)が本題を問う。
「あん?何だ嬢ちゃん達、奴隷が欲しいのか?それならあっちの区画だぜ」
 意外そうな表情を見せつつも、マーケットのやや奥まった一画を示してみせる海賊。
「あちらでしたか…分かりました。ありがとうございます」
 丁重に礼を述べ、その場を離れるユイ。エメラと大男も続く。
「悪かったわ、つい話に興が乗っちゃって」
 ユイに並びながらエメラが詫びる。割と長い時間、先の海賊との会話を続けていたらしい。
「構いませんよ。お陰であまり不審がられず必要な情報を得られましたし、私としても興味のある話ではありました」
 応えるユイ。彼女にも、この世界の謎について知りたい気持ちは確かにある。
「それなら幸いね。――ただ、根本的な部分は聞き込みじゃどうしようもないわね」
 異世界から落ちてくる島々。グリモアの力が阻害される環境。そうした根源的な謎については、聞き込みで暴くのはどうにも無理があった。
「特にグリモアについては、そもそも現地の人達の知り得ぬ情報ですしね…さて」
 そうして会話を交わすうち、件の区画までやって来た二人。見れば確かに、数名のフラスコチャイルドを鎖に繋いだ露店がある。
「では、買い付けといきましょう」

「――もし。奴隷を買いたいのですが宜しいでしょうか」
「…うん?」
 丁重に話しかけるユイに、店主の海賊は一瞬怪訝な顔をするが。彼女の悩ましげな所作を見れば、思わず頷いてしまう。
「…おう、一人50だ!んで何人買う?」
「あの五人を全員貰うわ」
 ユイの横から進み出たエメラが言い放つのに、海賊は再び怪訝な顔をする。彼女の見た目は年の頃十に届くかどうかの幼い少女。単独であれば背伸びした子供としか見られなかったろうが、傍らの女海賊、背後の護衛と思しき屈強な機械人――噂に聞くウォーマシンと思しき存在、彼らと共にある事実が、エメラの振る舞いに説得力を与えていた。
「…五人全員か。全員合わせて250になるが、金は大丈夫か?」
「そうですね、金貨の持ち合わせはありませんが…」
 応えたユイが着衣から取り出すのは、煌びやかな宝石やら見るからに業物の武装やらの数々。己の核たるコアと接続した電脳空間倉庫から取り出しているため、傍目には異次元から取り出しているようにしか見えない。驚きに目を見開く海賊。
「この辺りの品々なら、同等の価値があるはず。どの支払いが良いかしら?」

 購入を終え、引き上げる二人。その後に、倒れ伏す海賊達が数名。少女二人に奴隷持ち、屈強そうな護衛がいるとは言え多勢でかかればどうとでもなる、との浅慮の代償を払った者達。
「――何者かと思ったら、貴女の兵でしたか」
「ええ、見た目に強そうな護衛がいれば子供の姿でも馬鹿にはされないと思って」
 大男の正体はエメラの魔導蒸気兵。70機以上召喚したそれらを一機に合一すれば、コンキスタドールならぬ海賊など相手にもならぬ。蹴散らしたところをユイがユーベルコードで眠らせ、襲撃はものの十秒とかからず鎮圧された。
 一瞬の大立ち回り、そしてそれを終えた後も平然と会話を交わす二人。奴隷とされていたフラスコチャイルド達にとって、彼女達なら、と思わせるには十分な力であった。
「…さて」
 そしてエメラが彼らを振り向けば。
「落ち着いたら、色々話を聞かせてもらいましょうか。この世界のこと、この島のこと。…そして、この島の支配者のことをね」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アイ・リスパー
【恋華荘】
「フラスコチャイルドの皆さんを奴隷として売り払うなんて、そんな非道させませんっ!」

取引をおこなっている海賊たちの目の前に飛び出し啖呵を切ります。

「もし、彼女たちを取引するというのなら、この私が相手です!」

ホロキーボードを展開し【マックスウェルの悪魔】の起動準備をしたところで、はたと気づきます。
相手は普通の海賊なので電脳魔術では威力が強すぎることに。

「あっ、えっと……
皆さん、落ち着いて話し合いませんか……?
って、きゃああっ!」

電脳魔術を封じられたら非力な少女でしかない私は
海賊たちに無理やり捕まえられて服を脱がされ
奴隷として商品の列に加えられるのでした。

「ああっ、いちごさん、ヘルプー!」


彩波・いちご
【恋華荘】
さすがに生まれたての子たちを奴隷売買とか非道すぎますね
マーケット自体をつぶしたいところですが…まずは少女たちの保護からですね
って、理緒さん、何言ってるんですか?!
誤解されるからそういう事言わないで
アイさんにも変な風に思われてしまいます…って、あれ?
アイさんどこに行きましたー?!

不味いです、アイさんがはぐれてしまって…まさか捕まったのでは…
って、売り物奴隷の中にいますー?!
あわわ、アイさんは買い戻さないと、言い値で出します!アイさんは私専用ですからっ!他の人に使わせたりなんかっ!
…ごほん
すみません、取り乱しました

とにかくアイさん最優先で、他の少女たちも出来ればセットで買いましょう


菫宮・理緒
【恋華荘】

奴隷とか売り買いとか、人にするのは好きじゃないな。
買われたいっていうなら止めないけど。
わたしもいちごさんになら、飼われてもいいし。
え?字が違う?そこはほらツッコまない方向で!

冗談はさておき、
フラスコチャイルドさんを穏便に助けるなら、買うのがいいよね。
【偽装錬金】で金貨っぽいのを作って買えないかな?。

あ、今回はちゃんと試作品作ってからにするよ!

購入できそうならそのままげっと。
ちょっと高いくらいならおっけーにしよう。

って、あれ?アイさん!?なんで並んでるの!?
慌ててアイさんも購入希望-! 
なにか聞き捨てならないこと聞こえた気もしたけど、あえてスルー。
セットだと安くなるか交渉はしてみよう。


セナ・レッドスピア
【恋華荘】
新しい世界にやって来れたと思ったら、こんなところでも奴隷売買が…
奴隷にされちゃうのって、すっごく辛い事ですから
助けてあげないとですね…!
って、理緒さん!? そういう事は私も誘って…
じゃなくて、そこでそういう事言っちゃうのですか!?

私もお金になりそうな品を用意して、奴隷にされてる子たちを助け…
って、アイさーん!?
いつの間に捕まっちゃってるのですか!?

ともあれ、アイさんも一緒に助けないとですっ!
…って、いちごさん!? 
驚きのあまりいけない想いが漏れちゃってませんか!?

…ここは落ち着いて
いちごさんの溢れた想いも忘れておいて

いちごさんや理緒さんと一緒にアイさん達をお買い上げして助けますっ



 ヴァンデルム島に降り立った、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)ら恋華荘の面々。
「流石に、生まれたての子たちを奴隷売買とか非道すぎますね」
 その事実に憤りを隠さぬいちご。マーケット自体を潰したい、という程であったが、流石にそれでは事が大きくなりすぎる、と自重。
「新しい世界にやって来れたと思ったら、こんなところでも奴隷売買が…」
 人が人として扱われぬその所業、セナ・レッドスピア(blood to blood・f03195)も胸を痛めている様子。何としても件のフラスコチャイルド達を助けねば、と決意を固める。
「奴隷とか売り買いとか、人にするのは好きじゃないな…買われたいっていうなら止めないけど」
 一方、菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)は少々異なる見解を持っているようで。
「わたしもいちごさんになら、飼われてもいいし…」
 などと宣った。
「って理緒さん何言ってるんですか!?」
 勿論名指しされたいちごは大慌てである。
「そ、そういう事は私も誘って…じゃなくて、そこでそういう事言っちゃうのですか!?」
 大胆どころでないその発言に、セナも顔を赤らめ慌て…るあまり本音らしきものが零れた。
「セナさんもなんか漏れてますから!?」
「え、字が違う?そこはほら突っ込まない方向で!」
 突っ込みに対する理緒のリアクションはまた何処かズレていた。
「そういうことじゃないですから!アイさんにも変な風に思われてしまいま…」
 更なる突っ込みを入れながら、背後を振り返るいちご…であったが。
「…って、あれ?アイさんどこに行きましたー!?」
 そこにいるはずの、もう一人の同行者の姿がない。慌てて探し始める三人であった。

 その同行者、アイ・リスパー(電脳の天使・f07909)は、一人海賊達と対峙していた。
「フラスコチャイルドの皆さんを奴隷として売り払うなんて、そんな非道させません!」
 いちご達について歩いている最中、偶然にも奴隷を扱う海賊の露店を発見。思わず誰にも言わずここまで来てしまったのである。
「あん?なんだ嬢ちゃん、こっちは商売の最中なんだ、邪魔だからあっち行ってな」
 ちょうどその場では、別の海賊が奴隷を購入しようとしている処であった。店主の海賊がアイを追い出そうと手を払ってみせるが。
「もし彼女達を取引するというのなら、この私が相手です!」
 無論、その程度で退くアイではない。ホロキーボードを展開し電脳魔術の駆動を準備。エントロピー操作プログラムを立ち上げ…たところで、はたと気付く。
(…これだと、威力が強すぎるのでは…?)
 アイの扱う電脳魔術は非常に強力だが、それ故に加減があまり利かない。コンキスタドールではない目の前の海賊達へ撃ち込めば、勢い余って死に至らしめてしまう可能性も十分に考えられた。いくら悪党とはいえ殺すのは避けたい。
「…なんか物騒なことしようとしてやがるな。おい、お前ら!」
 その葛藤からアイが手を止めてしまっている間に、危機感を感じた海賊が手下を呼びつけてきた。あっという間に手下達に囲まれるアイ。
「あっ、えっと…皆さん、落ち着いて話し合いませんか…?」
 電脳魔術が使えないなら、と話し合いを試みるアイだが。
「そっちの方から仕掛けてきてそれは無ぇだろ!お前ら、あいつをとっ捕まえろ!」
 尤もな反論と共に、海賊は手下達に命令を下した。
「って、きゃぁぁぁっ!」
 凄腕の猟兵といえど、それは電脳魔術を十全に扱える状況での話。それを封じられたアイは、極々普通の非力な少女と何ら変わりない。そのまま、為す術なくとっ捕まえられてしまった。

 そこにアイを探していちご達がやってきたのは、半刻程後のことであった。
「あぁっ、いちごさんヘルプー!!」
 いちご達の姿を見つけたアイが助けを求める。裸に剥かれた上に手枷足枷で拘束されているという完全な奴隷スタイル。幸い、先程捕まえられた際以上の狼藉は受けていない模様。商品に傷をつけるわけにはいかないということだろう。
「アイさん何で並んでるのー!?」
「いつの間に捕まっちゃってるのですか!?」
 理緒もセナも驚きと焦りを禁じ得ない。まさか海賊に捕まったのかも、とのいちごの危惧が見事に的中してしまった形だ。
「あわわ、アイさんは買い戻さないと…!」
 焦るいちご。フラスコチャイルドの少女達を買う為に、セナが用意した品と理緒のユーベルコードで作り出した偽金貨を持参したが、果たして足りるかどうか。
「あぁん?なんだお前ら、このアマと知り合いか。返して欲しけりゃ…分かってるよな?」
 そんな彼らの様子に察したか、店主の海賊が下卑た笑みを浮かべていちごに迫る。
「勿論です!言い値で出します!アイさんは私専用ですから!他の人に使わせたりなんかっ!」
 察したいちごはすぐさま答える…が、焦りのあまりとんでもないことを口走ってしまっていた。
「…あと、こっちの子達も買いたいんだけど、セットで割引ってできる?」
 海賊に本来の目的を伝えつつ値切り交渉を行う理緒。いちごの発言はスルー…しておらず、その声は非常に冷たく淡々としていた。彼女的に聞き捨てならぬ発言故、致し方なきことである。
(…こ、ここは落ち着きましょう…素数…じゃなくてお金を数えましょう…)
 改めて所持金を確認しつつ、セナは頑張って平常心を取り戻そうとしていた。いちごの思わず漏れた発言も頑張って忘れようとしていた。
(い、いちごさんってばそんな大胆な…!)
 そしてアイは顔を朱に染めて悶えていた。戸惑いの方が強そうではあるが、その顔には明かな歓喜の色が滲んでいた。
「…そうだな、一緒に買うってんなら250まではまけてやる」
 理緒の値切り交渉に対し海賊が提示した金額を受け、セナが今の所持金では僅かに足りないと言おうとするより先に。
「買います!!アイさんと、あと残りの手持ちで買えるだけの子を!!」
 いちごの気合の入りすぎた購入宣言であった。

 …結局、理緒が急遽追加の偽金貨を作ったことで何とか全員の購入に成功。
 気まずそうな表情のいちごと、彼の上着を借りて恥ずかしげながらも満更ではなさそうなアイ。後ろからいちごに妬けた視線を突き刺す理緒、おろおろするセナ。
 四者四様の表情で、フラスコチャイルドの少女達を連れて鉄甲船へ戻っていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

玉ノ井・狐狛
※アドリブや連携などお任せ

ちょいとそこのお兄サンや。おたくの“商品”を見せてくれねぇかい?
上物がいるって聞いてなァ。ほら、ほかのヤツに買われちまう前によぅ。

って具合に、客を装って話しかけてみよう。
▻言いくるめ▻コミュ力

手応えがありゃあ、追加のひと押し。
いくらか握らせる……いや、そこらの海賊からスってきたカネだが。
▻盗み▻早業▻取引

“商品”まで案内されたら、物色(のフリを)した上で購入を打診。
ま、その手続きの途中で、「不幸にも小火騒ぎが起こる」んだけどな――いや、アタシはただの客だぜ。火ィなんか持ってないだろ?
◈狐火▻焼却▻破壊工作

あとはパニックのうちに、フラスコチャイルドたちをつれてずらかる。


アシェラ・ヘリオース
宇宙海賊相手の潜入任務以来だな
この手の雰囲気は世界を跨いでも変らないものだ

高級スーツに黒の外套を袖を通さず羽織り、腰にはサーベル姿でマーケットに入る
荒くれ相手でも【礼儀作法】は通じる。かって荒くれ騎士達を束ねた、人の上に立つ指揮官の【威厳】で接しよう

「奴隷を見せてもらいたい。噂に聞くフラスコ者とやらをな」
見せ金の金貨を一袋テーブルに置いて笑む

外套の下には【メカニック】で光学【迷彩】を施した黒騎を潜ませている
表情を変えず悪趣味な奴隷鑑賞を行いながら、部下達を密やかに展開を試みたい。【戦闘知識】で荒事の際の彼女達の居場所や脱出路、防衛機能等は重点的に【情報収集】を行っておく

「十分だ。良く分った」



 喧騒に満たされたマーケット内部。露店が並ぶ通りを征くは、高級スーツに黒の外套を羽織り、サーベルを帯びた、眼光鋭き軍人然の女性。アシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)、事実軍人――スペースシップワールドにて、未だ過去ならざりし頃の銀河帝国の近衛であった女性だ。
(この手の雰囲気は、世界を跨いでも変わらぬものだ)
 行き交う荒くれ者共、飛び交う野太い声。かつて宇宙海賊の拠点へ潜入した時を思い出す。荒らすのが星の海でも本物の海でも、海賊というものの在り方は同じなのかもしれない。
(奴隷を扱っているという店は…あちらだったか)
 先程話を聞いた海賊の話では、マーケットの奥まった区画であるという。十字路を曲がり、マーケットの奥へと向かってゆく。

「ありゃりゃ?あの姐さんは確かァ――」
 そのアシェラの横顔を、琥珀色の眼で追う妖狐あり。玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)だ。アシェラの背を見送りながら思案する。確かあの軍人の姐さん、鉄甲船の中で見かけた覚えがあるが…ならば彼女も猟兵か。つまり目的は己と同じ。
「――そんなら、一丁乗らせてもらおうかねェ」
 早速とばかり、アシェラを追って早足歩き。

 そしてマーケットの奥、奴隷を売買する海賊達の集まった区域にやってきたアシェラ。
「そこな御仁。奴隷を扱う店というのは、ここで良いか?」
 遠目に、フラスコチャイルドと思しき少年少女を囚えた檻が見えた。その傍にいた痩せ身の海賊に話しかける。居上高にならず、さりとて卑屈でもなく。海賊に負けず劣らずの荒くれ騎士達を率いていた指揮官の威厳を漂わせて。
「あん?…その通りだが、何か用か」
 応えた海賊は、やや警戒気味にアシェラへ値踏みするような視線を向ける。それも予測の内。アシェラは微笑んでみせつつ。
「奴隷を見せてもらいたい。噂に聞くフラスコ者とやらをな」
 用件を告げると共に、傍らのテーブルへ袋を置く。明らかに金貨であろう金属の擦れ音と、それがたっぷり詰まっていることを窺わせる重たげな載せ音。
「…いいだろう、こっちだ」
 海賊は頷き、奥へアシェラを案内する。その数秒後。
「ちょいとそこのお兄サンや、おたくの“商品"をみせてくれねぇかい?」
 その隣の出店スペース。狐狛が、肥満体の海賊に絡み気味に話しかけていた。彼も奴隷を売っている海賊だ。
「な、何なんだお前…商品ってぇと…」
「上物がいるって聞いてなァ?ちょいと一人貰いてぇなァって思ったワケよ。ほら、他のヤツに買われちまう前によぅ」
 その手を取る。柔らかな手の中に、硬い感触。これはもしや。
「…わ、分かった。こっちへ来な」
「おぉ、話が早くて助かるねェ。ささ、早くしておくれな」
 頷く肥えた海賊、踵を返して奥へ。ひょこひょこ歩きながら後を追う狐狛。――その際一瞬、垣間見えたアシェラの背中に視線を振って。

 アシェラは奴隷を入れた檻を眺める。格子の向こうには、線の細く色素も薄い少年少女達が数名。これがフラスコチャイルド達か。怯えた様子で、アシェラを見ている。彼らの顔を、四肢を巡る視線は、値踏みするかのように見えてその実は。
(健康状態は悪くないか。…切欠があれば、すぐ走れるな)
 ここまでの道程、周囲に見える海賊達。事が起こった後の算段を組み立ててゆく。
「…どうだ、もう良いか」
 痩せ身の海賊が話しかけてくる。そろそろ頃合か。
「――十分だ。良く分かった」
 直後。隣の露店から火の手が上がった。

 時間は少し遡る。
「ほぅほぅほぅ、こいつァ誰も彼も甲乙つけ難い別嬪さんだ。選り取り見取りで迷っちまうねェ」
 通された露店の奥、鎖に繋がれたフラスコチャイルド達を眺めて狐狛は楽しげな様子を見せていた。実際、全員がかなりの美少年美少女揃いである。
「だろ?何だったら、何人か纏めて買っていってもいいぜ。勿論出すモノは出してもらうがよ」
 その食いつきの良さに、太った海賊は気分良さそうに言葉を返す。これなら何人かは売れそうだ、と。
「いやー、けどまぁ流石に何人かは無茶なんで一人に――」
 あくまで購入自体は大前提、といった体で、悩んでみせるかの如く視線を露店の一角へ向けると。…そこから、火の手が上がった。
「――火事だァ!?」
「何ぃ!?」
 素っ頓狂な声を上げてみせる狐狛。肥満体の海賊が驚き見れば確かに、燃え盛る炎が木箱を燃やしているのではないか。火の気は一切無かったのに何故。
「…お前、何をした!?」
「いや、アタシはただの客だぜ!?火ィなんか持ってないだろ!」
 両手を広げ己の無実を主張してみせる狐狛。
「ちっ、となるとあいつらの仕業か…!?ともかく消火、消火だ!お前ら水持ってこい!!」
 何やら対立する海賊団を思い浮かべたか、それよりまずは消火だ。肥えた海賊が声をかければ、バケツを抱えた手下達が次々と出てきた。
 俄かにパニックの度を増す露店内。その間に狐狛がフラスコチャイルドのもとへ舞い戻れば、その鎖を手早く外してしまう。
「…え?お、お姉さん…?」
 先程まで自分を買おうとしていた者の行動に理解が追いつかず、呆然と彼女を見上げるフラスコチャイルド達。そんな彼らに微笑みながら狐狛は。
「アタシはアンタ達を買い戻しに来たのさ。アンタ達を売り飛ばしてぬくぬく儲けようとしてるコンキスタドールからね」
 その言葉の意図を完全に悟りきれず戸惑う彼らに、続けて狐狛。
「ま、詳しい話は後だ。さっさとずらかろうぜ」
 そこには同意した彼ら、頷き狐狛へとついていく。と、そこに。
「な、てめぇ!?何をどさくさ紛れに俺らの売りモン、うおっ!?」
 その動きに気付いた肥満海賊、怒鳴り詰め寄ろうとしたが――不意に振るわれた刃に驚き身を震わせた。そこに居たのは、闇鋼にその身を形作られた、小さな騎士――

「な…何なんだ、てめぇら…!?」
 その騎士達複数に囲まれ、痩せ身の海賊は身動き一つ取れなかった。彼の手下達もまた然り。
「私か?私はこの島を解放に来た物だ」
 檻の鍵を壊し、フラスコチャイルド達に脱出を促しながら、アシェラは言う。今展開している騎士達は皆、彼女のユーベルコードで呼ばれた存在。密かにアシェラの外套の下から現れ、光学迷彩を以て潜んでいたのだ。
「彼女達を解放し、この島を支配するコンキスタドールを打ち倒し。奴隷として売られる身に自由を。それだけだ」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミヤコ・グリードマン
何も知らないフラスコチャイルドを売り飛ばすなんて、ひどいやつねー
実に気に入らないけど売ってるなら、買うのが一番面倒が起こらないわね
お金はコンキスタドールから取り返せば良いんだし景気よくいきましょ

用心棒代わりに、覆面をさせたアバタールを連れて堂々とマーケットへ
奴隷を扱ってる海賊を見つけて値段交渉
労働用と愛玩用で3人くらい、可愛い子がいいんだけど、いる?

持ち込めるなら艦の修理用の装甲板とか簡単な武器(スペースシップ基準)で取引き
ダメっぽいなら、普通に金とか宝石で
多少の上乗せなら眼をつぶるけど、明らかなボッタクリにはサイコバレットをお見舞いするからね



 マーケットの奴隷を扱う海賊達の集う一角に、二人の海賊が足を踏み入れてきた。見た目幼い少女と、背格好は似ているが四腕と触手の如き髪を有した異形。覆面で顔を隠しているのもあり、只ならぬ雰囲気を漂わせている。
(何も知らないフラスコチャイルドを売り飛ばすなんて、ひどいやつねー)
 少女、ミヤコ・グリードマン(海賊王女・f06677)は売り物として繋がれているフラスコチャイルド達を認め心中独りごちる。彼女もまた海賊を名乗る者ではあるが、このような行いは彼女の流儀に反する。
(実に気に入らないけど…売ってるなら、買うのが一番面倒が起こらないわね)
 とはいえ、必要以上に事を荒立てるのも良くない。金はコンキスタドールから奪えばいい。そう判断し、彼女はフラスコチャイルド達を売っている海賊に声をかける。
「どーも。奴隷、買いたいんだけど良いかしら?」
「あん?…まあ良いだろう。で、どんなのが欲しい」
 応対する海賊はミヤコの幼い姿に一瞬怪訝な顔をするも、背後の異形――ミヤコがユーベルコードで呼び出した己の真の姿のアバタール――の只ならぬ雰囲気もあり、交渉に応じる。
「労働用と愛玩用で合わせて三人くらい。可愛い子がいいんだけど、いる?」
「ふん、そうなりゃ…あいつらだろうな」
 ミヤコの答えに、海賊は奥のフラスコチャイルド達を示す。自分達が示されていると気付いた彼女達、怯えたようにミヤコを見る。
「へぇ、良いじゃない。いくら?」
 満足げに…というよりは優しげに微笑みながらミヤコ、視線はフラスコチャイルド達に。彼女達の怯えを可能な限り緩和できぬかと試みる。
「三人で300だな。言っておくが銅貨一枚分もまけてやらんぞ」
 海賊はニヤリと笑みながら値段を提示する。尚、相場のほぼ倍額である。
「へぇ、流石に結構するのね。それじゃあ…」
 己の手持ちを確かめるミヤコ。物々交換のつもりでいたが、装甲板は持ち込むには大きすぎ、スペースシップワールド由来の武器はこの世界だと――ミヤコ自身が扱う分には問題ないものの――うまく動作しない。やはりこの世界の通貨で支払うしかなさそうだ。
「そうね、じゃあ…これで!」
 徐に手を突き出す。その手に一瞬で集束したサイキックエナジーが弾丸となって、海賊のどてっ腹に叩き込まれた。尚、出力は拳で殴ったぐらいまで加減している。
「ぐほぁ!?」
 それでも痛いものは痛い。身体をくの字に曲げて悶絶する海賊に、ミヤコは言い放つ。
「私が奴隷の相場の一つも知らないと思った?悪いけど、その金額が明らかにボッタクリと分かるくらいには把握してるのよ」
「うぐぐ…わ、悪かった。120だ、120でいい」
 更に、彼女の背後で四臂を広げる護衛のアバタール。それを見て海賊は悟る。下手に欲を掻けば殺される。観念し、詫びのつもりか相場より安めの値段を提示した。
「ん、素直で結構。じゃ、これお代ね」
 ミヤコは頷き、金貨を詰めた袋を差し出して奴隷達のもとへ。
「さ、あんた達は今からわたしのモノよ。――この島のコンキスタドールが斃れるまでの間ね」
 予想外の宣言に、フラスコチャイルド達は驚き、顔を見合わせた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『殺戮オウムガイ』

POW   :    念動衝撃波
見えない【衝撃波】を放ち、遠距離の対象を攻撃する。遠隔地の物を掴んで動かしたり、精密に操作する事も可能。
SPD   :    賢者の触手
質問と共に【無数の触手】を放ち、命中した対象が真実を言えば解除、それ以外はダメージ。簡単な質問ほど威力上昇。
WIZ   :    オウムガイ粘液
【粘液】が命中した対象を捕縛し、ユーベルコードを封じる。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。

イラスト:りょうま

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 購入、救出、強奪。猟兵達が各々の手段を以てマーケットから保護してきたフラスコチャイルド達は、鉄甲船『第七天へ渡る鴉』号に集められていた。
 彼らの情報から、コンキスタドールの居場所であるフラスコチャイルド生産プラントの位置と、そこに至る道のりが明らかとなる。
 礼を述べ、船を降りんとする猟兵達に、フラスコチャイルドの一人が声をかけた。
「出来れば…仲間達のことも、よろしく、お願いします」
 それは恐らく、コンキスタドールのもとでの隷属を強いられている彼らの仲間のことだろう。

 プラントへと続く道は、この島がアポカリプスヘルにあった頃の名残か、アスファルト舗装がされていた。尤も、年月の経過もあってひび割れた箇所や穴の開いた箇所も少なからず見受けられるが。
 進むこと暫し。不意に、道の左右の茂みが揺れたかと思えば、そこから複数の影が飛び出してきた!

「ヒャッハー!ココハ通サナイゼー!」
「女ダ!女モイルゾ!」
「トッツカマエテ、タップリ楽シンデカラ頭ニ差シ出スゾ!」

 現れたのは半透明の肉体を持つオウムガイの群れ。しかも不明瞭ながら人間の言葉を話す存在。何故だか妙に下卑た言動だが。ともあれ間違いない、こいつらはコンキスタドール、恐らくこの島を支配するものの配下だ。
 その下卑た意思を示すかのように、触手がざわめき粘液が滴る。下手に捕まると少々大変なことになるかもしれない。一匹あたりの力はそれほどでもなさそうなのが幸いか。
 ともあれ、奴らを蹴散らしプラントへの道を切り開くのだ。
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
これはまた、悪い意味で主の方の教育が行き届いておりますねぇ。
それでは、対処させていただきますぅ。

【紘器】を使用、『F●S』3種のコピーを大量に生み出しますねぇ。
『FRS』は出来るだけ「上」に展開し[一斉発射]&[範囲攻撃]、熱線の雨を降らせましょう。
『FSS』は周囲を覆い『衝撃波』を防御、多少ずらされても通らないよう、積層させてガードしつつ、射撃に加えますねぇ。
『FBS』の「コピー」は横合いからの攻撃、『FRS』の雨を建造物等で防いだ個体を中心に斬り、「本体」は四肢に嵌め飛行能力を確保、此処で可能であれば飛行して上を取り、難しければ「移動時の推進力」に回しましょうかぁ。



 プラントへの道を遮る殺戮オウムガイを排除するべく、戦闘体制に入る猟兵達。そのうちの一人を前にし、オウムガイ達が俄かに騒ぎ出した。
「オオッ、コイツァスッゲェデカチチノ姉チャン!」
「タマンネェナァ!タップリジックリ相手シテ欲シイモンダゼ!」
 何しろ、彼らの前に立つ猟兵というのは…顔は童顔、背丈は小柄、しかしながらその体型は凄まじいまでに発育しまくった少女――夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)であったからだ。
「…これはまた、悪い意味で主の方の教育が行き届いておりますねぇ…」
 その体型を恥ずかしがっているるこる。容赦なくそこに言及するオウムガイ達の下世話な言葉に、ぷるぷると身震いせずにはいられなかった。
「…これは、きっちりと対処させて頂きませんとぉ」
 が、身震いしているばかりでもない。その身を囲い、守るように、フローティングシステム――彼女が脳波で操縦する浮遊装備群が浮かび上がり構えられ。
「大いなる豊饒の女神、その『祭器』の真実の姿を此処に…」
 るこるの詠唱に応えるかの如く、それら浮遊装備が次々に複製され、るこるの周囲を、その上空を囲み、覆ってゆく。
「ナ…ナンダコリャァ!?アイツノ武器増エスギダロ!?」
「空ガサッパリ見エネェ!空ガ三デ敵ガ七ッテカァ!?」
 上空を覆うあまりの物量――何しろ合計4000基を超えているのだ――に、半ばパニックになりかけながら大騒ぎするオウムガイ達。その、空を覆う浮揚砲台の砲口全てが、オウムガイ達に狙いを定める。
「エエイ落チ着ケ!アンナノハコケオドシダ!ヤラレル前ニヤッチマ――」
 怖気付く仲間を鼓舞せんと声を上げたオウムガイの一匹が、一瞬で蒸発した。いや、そいつだけではない。4000条以上の熱線は、一瞬で十数匹のオウムガイを焼き尽くし骸の海へと還していった。
「…フ、フザケンナァ!?コンナノ反則ジャネェカァ!!」
「俺達ガナニヤッタッテンダヨォ、コンナ仕打チハヨォォォ!!」
 あまりの殲滅力に完全に心折れたと見える彼ら。その行動は二つ。自分達の無法を棚上げして逃げ出す者、自分達の行状を棚上げして自棄を起こしるこるへ特攻する者。
「ご自身のお心に聞かれては如何でしょうかぁ。どのみちコンキスタドールですから、逃がしはしませんけどもぉ」
 そのいずれも許さぬとばかり、迸る熱線が逃げるオウムガイを焼き焦がし。向かい来たオウムガイが念動衝撃波を放つも、十重二十重と重ねられた光盾層に遮られ届かず、直後に飛び来た戦輪の嵐に巻き込まれ、為す術なく切り刻まれてゆく。
 その場にあったオウムガイ達が全滅するまで、長い時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャルロット・クリスティア
見た目はただの海生物なのにずいぶん生々しい思考してますね……。
こんなのにとっ捕まるのはご勘弁と行きたいところですが……いや人間相手でも嫌ですけど。
ともかくも、お引き取り頂くとしましょうかね!

粘液で動きを封じてくるようですが、であれば対処は簡単です。
粘性が厄介なわけですから、それを封じる……つまり極低温で固めてしまえばいい。
飛来する粘液を氷結弾で撃墜してみせましょう。
ついでにその身体も凍らせて頂きますよ!
動きさえ封じられなければ、そう易々と捕まることは無いでしょう。
銃のアドバンテージを活かして、距離を取りつつ慎重に立ち回っていきたいですね。間違っても囲まれないようにしないと。


ニトロ・トリニィ
アドリブ・協力歓迎です!

あの触手…
あれでどれだけの悪行をして来たのだろうか…
ねぇ君達、覚悟は出来たかい?
砕かれ、潰され、喰われて焼かれる覚悟さ。

行動
あの喋るオウムガイ達も念力を操る事が出来るみたいだね。
それなら僕も《念動力》を使って敵UCの相殺を狙ってみよう。
上手くいったら、攻撃を〈盾受け/激痛耐性〉で防ぎつつ、蒼鬼の大金棒で〈鎧砕き〉で壊し、〈捕食〉からの〈焼却〉かな。
余裕があれば味方を〈かばう〉で守っても良さそうだね。

少し感情的になり過ぎたかな?
まぁ、たまにはこういうのも良いよね?



「コッチノネーチャンハホッソリシテンナ。デモ俺ハコッチノ方ガ好ミダヒャッハー!」
「…見た目はただの海生物なのに、随分生々しい思考してますね…」
 己が身を這い回る視線への嫌悪も露に、シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)は呟く。
「あの言動に触手と粘液。一体、どれだけの悪行をしてきたのだろうね…」
 女性への異様な執着も合わせれば、その悪行の仔細は最早語るに及ばぬ。ニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)の言葉にも怒りが滲む。
「こんなのにとっ捕まるのはご勘弁と行きたいところ。…いや人間相手でも嫌でけど」
「そうだろうとも。あんなのに捕まって喜ぶ女性など…普通はいない」
 シャルロットの言を受け、一歩前に出るニトロ。前方のオウムガイ達を見据え、告げる。
「…ねぇ君達、覚悟は出来たかい?」
「アア?何ノ覚悟ダッテェ?」
「砕かれ、潰され、喰われて焼かれる覚悟さ」
 ニトロの宣戦布告。だがオウムガイ達の答えは皆一様に。
「…ギャハハハハハ!!ソリャテメェガスルベキ覚悟ダロ!男ハオ呼ビジャネェンダヨォ!」
 自分達の敗北の可能性など全く考えていないかの如き、全力の嘲笑であった。
「潰レチマイナァ!!」
 だがただ嘲笑するのみではない。オウムガイ達のその瞳が一様に怪しい光を帯びたかと思えば、見えざる力が衝撃波となって二人へ襲い掛かる。ニトロへ対しては圧殺、シャルロットへ対しては捕獲を狙って。
「やら…せるかっ!!」
 対してニトロも動く。右腕を正面へ、左腕を正面やや右へ。突き出した掌の前方の空間に、一瞬歪みが生じたかと思えば。直後に戦場へ響き渡る重い衝突音。見えない力同士の激突した音だ。
「ナ、何ダトォ!?」
「…念動力を使えるのが、君達だけだとは思わないことだね」
 鋭くオウムガイ達を睨むニトロ。オウムガイ達の放った念動衝撃波を、ニトロの念動力で相殺した形だ。
「チキショウ、スカシヤガッテ!ナラコレハドウダァ!!」
 宙を滑り二人へ迫らんとするオウムガイ達。その触手の合間から粘液が噴出し、四方八方から二人へ迫る。これは念動力では厳しい。
「ならば私に任せてください。粘液、つまり粘性が厄介となれば対処は簡単です」
 シャルロットの声。構えた愛銃マギテック・マシンガンには、それまでと異なるマガジンボックス。なれば任せたと一歩下がるニトロ。
「即ち…凍らせてしまえば良い!ついでにその身体もね!」
 シャルロットがトリガーを引けば、次々と吐き出される弾丸。それらは硝煙と異なる白煙を棚引かせ飛翔し、飛び来たる粘液を貫いて――それら全てを瞬く間に凝固、凍結せしめ地に叩き落して。
「ナ…ギャァッ!?ウ、動ケネェ!?」
「グエェ!?ッヒィ、身体ガ凍ルゥゥ!?」
 更に勢い失わなかった弾丸がオウムガイ達に命中。柔軟なその身が、瞬く間に満ちる冷気で凍てつき固まってゆく。
「…なるほど、冷気」
 ニトロが感嘆げに頷く。液体には冷気、思えばシンプルな解法であった。
「ともあれ、これは好機だね」
 なれば攻めるのみ。得物たる大金棒を構えて駆け、動けぬオウムガイへと一気に振り下ろす。その身を鎧う堅固な甲殻も、金棒の硬度と質量が生み出す打撃力の前には容易く砕け。
「ギャアアアア!?熱イ、熱イィィィィ!!?」
 そして花弁が如く展開した金棒の身が、オウムガイへ食らいつき。噴出す蒼炎で焼きながら捕食していった。
「良い感じですね、ではこのまま蹴散らしていきましょう!」
 その様子を見届けたシャルロットは、そのまま氷結弾頭による射撃を継続。己を包囲せんとするものを優先に、オウムガイ達を次々凍結させてゆく。そして凍ったものはニトロが片端から金棒で叩き砕き、瞬く間に敵の数は減ってゆく。
「もう少しです…っ!?」
 動けるオウムガイは最早後僅か。このままいけるか――そう思った矢先。横合いの茂みの揺れる音に続き飛び出す影!
「ヒャッハー!モラッタァー!!」
 現れたのは、迂回して射線を回避した一匹のオウムガイ。触手を広げ、今まさにシャルロットへ飛び掛らんとし…
「させるか!そのまま燃え尽きろ!」
「ァギャアァァァァァァ!!?」
 割り込んだニトロの構えた盾に衝突。そのまま、盾の纏う超高温によって焼かれ、触手に切り刻まれていった。
「…っふぅ、大丈夫かい」
「あ、ありがとうございます。迂回しての奇襲は想定外でした…」
 礼を述べるシャルロットに頷き、残るオウムガイ達に向き直って――何処か照れ臭げに頬を掻くニトロ。
(…少し感情的になり過ぎたかな。まあ、たまにはこういうのも良いよね)
 そのまま、二人は相対したオウムガイ達を全滅させていったのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

エメラ・アーヴェスピア
突入に救出、やる事が多くて大変ね
それでいて監視系の装置はダメそうだし…こういう場面だと取れる手段が少なくなって嫌ね

とりあえず今回とる手段は…これがいいかしら
『出撃の時だ我が精兵達よ』
ある程度合体させることで機数を調整して突入用、護衛用と班分け
【集団戦術】で運用し、射撃戦を中心にしっかりと探索、制圧していきましょう
後の救出の為の人員としての意味もあるから、動ける位には壊さない方向で行きたいわね
決め手にはならないとは思うけれど、同僚さん達への支援と考えておきましょう

※アドリブ・絡み歓迎


アシェラ・ヘリオース
「まぁ、躊躇いなくぶちのめせる点ではとても有難いな」
【メカニック】で先行させた【迷彩】ドローンの【情報収集】結果に小さく息を吐いて、頭を切り替える

「三手だな」
一つ呟くと、【早着替え】で水着姿となり身一つで前に出る
「話合いがしたい。代表の者と会わせて欲しい。この通り、私は戦闘は望まない」
武器が無いことをアピールし、【礼儀作法と威厳】を持って問いたい
これが無法者連中にとって格好の【誘惑】となるのは経験で知っている
十分に誘き寄せ、或いは肌に触れる事も許して間合いを測って頃合いを待ち

「では、死ね」
一瞬で展開した【黒王刃】で横薙ぎ
更に【二回攻撃】でもう一度薙いで周囲の一掃を謀る

【アドリブ連携歓迎】



 猟兵達がオウムガイの群れに遭遇する数分前。
「突入に救出、やる事が多くて大変ね」
 アスファルトの路面を歩みつつエメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は思案する。この島を支配するコンキスタドールは単独ではなく配下を抱えている。且つ、プラントには未だ隷属を強いられているフラスコチャイルド達がいるだろう。把握すべき情報は多いが。
「それでいて監視系の装置はダメそうだし…こういう場面だと、取れる手段が少なくなって嫌ね」
 情報収集の手段には限りがある状況。この島がアポカリプスヘルにあった頃であれば、監視システムをハッキングして内情を暴くことも可能であったろうが。
「致し方なかろう。我々に取りうる手段で何とかするより他にない…と」
 隣を歩くアシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)が応えたところで、彼女の手の中からノーティス音。先行させたドローンから、前方に潜伏する敵を発見したとの報告だ。
「…道中にまで戦力を伏せてるなんてね…面倒な」
「まあ、遠慮なくぶちのめせる点ではとても有難いがな」
 嘆息するエメラに、アシェラは不敵な笑みと共に応えた。

 そして現れたオウムガイの群れ。その数と集まり具合を確かめ、アシェラは一言。
「三手だな」
「ふぅん?」
 その呟きにエメラが反応すると、首だけを振り向け。
「三手目は貴方に頼む」
 とだけ言って再度前へ。オウムガイの群れへと歩きだす。
「…成程」
 意図を察したか。エメラの唇に、小さく笑みが漏れた。

「オオ!?ナンダナンダ、イイカラダシテンジャネェカ、ネーチャン!」
「ソンナ格好デクルナンテ、オレラヲ誘ッテンノカ、ンン?」
 アシェラが前に出れば、オウムガイ達が俄かに騒がしくなる。というのも、いつの間にかアシェラの姿は黒のビキニ水着姿、その均整の取れたプロポーションを惜しみなく晒け出す装いとなっていたからだ。
「話し合いがしたい。代表の者と会わせて欲しい。この通り、私は戦闘を望まない。」
 当のアシェラは非武装をアピールしつつ、変わらぬ威風を以て対話を持ちかける。尤も、己の今の装いが眼前のオウムガイ達に対し誘惑として機能することは百も承知だ。
「ホォ、オ頭ニ会イタイッテカ。ソレハマァ、オマエノ心ガケ次第ダナァ」
 それならどうすれば良いか、という言外の問い。意味する処は無論アシェラにも分かる。
「そ…それは…」
(まだだ…もう少し…)
 だが二手目を切るにはまだ早い。十分に、ギリギリまで引き付けて…。
「ンー?ドウシタッテンダ?オマエノ誠意ハソノ程度カー?」
 先頭のオウムガイが煽るように言いながら、アシェラの肌に触手を這わそうとして――

「…わかった。では…死ね」
「…エ?」
 アシェラの手の中に迸る赤光。それは一瞬で、常の十倍もの長さにまで伸びて――二度、振るわれる。

「…ウギャアアアアア!?痛ェ、痛ェェェェェェェ!!?」
 身体を半ば両断されかけながら悶えるオウムガイ。彼よりもアシェラに近い位置にいた者は、全員がかの赤光――アシェラのサイキックエナジーで形作られた剣により二つ、または三つに両断され骸の海へと還っていった。
 残ったものも、その多くが彼のように少なくないダメージを負っていた。
「あら痛い?それなら楽にしてあげましょうか」
 その惨状を前に、エメラは冷徹に告げる。トドメの三手目。
「さぁ出番よ、私達の勝利の為に出撃なさい」
 空間が歪み、彼女の従えし魔導蒸気兵が姿を現す。その数9体。左肩には『8』の文字。召喚と同時に合体させたものだ。
「総員、撃ち方構え」
 号令一下、一斉に携えたライフルをオウムガイ達に向け。
「…撃ぇっ!!」
 一斉発射。立て続けに放たれる銃弾がオウムガイ達を貫き、堅固なはずの甲殻をも打ち砕いてゆく。アシェラの刃を逃れられなかったものは瞬く間に骸の海へと還され、逃れた者も長くは持たない。
「一番機から五番機は攻撃継続しつつ前進。六番機から九番機は周辺警戒へ」
 指示を飛ばし、9機の蒸気兵を縦横に動かしては残るオウムガイを掃討、潜伏しての反撃を狙うものもその前に排除する。油断なき集団戦術の前に、オウムガイ達はまともな反撃もできぬまま、全滅していった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アルトリウス・セレスタイト
通過点に時間など掛けてやらんぞ

天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める
対象外へは影響皆無。よって可能な最大規模で行使

『天光』で目標を逃さず捕捉
高速詠唱を『刻真』で無限加速し即座に展開
行使の瞬間を『再帰』で無限循環し無数の迷宮を重複
自壊速度と迷宮の強度を最大化

見ることもなく終えてしまえば危険も皆無
遠慮はしない

出口は自身に設定
仮に届く個体があっても攻撃も自壊対象
まずその前に、見えず触れられぬ概念の迷宮を超える手段もあるまいが

※アドリブ歓迎



「チッ、コッチハ男カヨ」
「サッサト殺シテアッチニ混ザロウゼ」
 アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)を前にしたオウムガイ達は一様にテンションが低かった。相手が男であるが故に。
「ああ、すぐに終わる。通過点に時間をかける気はない」
 しかしアルトリウスの応えが癇に障ったか。オウムガイ達の殺気が一気に彼へと集束する。
「ダガソノスカシタ顔ハ気ニ食ワネェ!」
「真ッ白ニオ化粧シテヤルゼ、覚悟シロ!」
 そして一斉に粘液を彼目掛け吐き出した。対するアルトリウス、特に動じるでもなく平然と一言。
「惑え」
 直後、その場で爆ぜ落ちる粘液。障壁の類かとも見えたがそうではない。その場に敷かれたものは即ち。
「…ナ、ナンダコリャァ!?イツノ間ニコンナトコニ!?」
「ドウシテ俺達迷路ナンカニ!?」
 オウムガイ達は一様に恐慌を来し四方八方へと飛び回る。それは『迷宮に囚われた』という概念で形作られた論理の牢獄。存在しないが確かに存在する原理の迷宮である。更に。
「ヒィィ!カ、身体ガ崩レルゥゥ!?」
「チ、チクショウ!出セッ、出セッテンダヨォ!!」
 見る間に崩れてゆくオウムガイ達の身体。自壊の原理を付与された迷宮は、ただ其処にあるだけで囚えたものを自壊させ消滅させてゆく。
 既にアルトリウスの姿はそこには無く、先へ向かって進みだしている。彼にとって正しくここは、このオウムガイ達は通過点でしかない。

 全てのオウムガイ達が消滅しきるまで、長い時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シャーリー・ネィド
【かにかま】
悪いけど、無脊椎動物のお相手はノーサンキューだよ!
三人でお互いの死角をカバーし合いながらオウムガイをやっつける!

【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で弾幕を張って触手を寄せ付けず、【スナイパー】で本体を狙ってピンポイント攻撃!
もし触手が当たっても質問にちゃんと答えれば大丈夫だよね?

(※アドリブ大歓迎&NG無しです) 


在原・チェルノ
【かにかま】
この先に助けが必要な人たちがいる
だから、そこを通してもらうわよ!
流星忍姫チェルノ、参ります!

行くわよ、シャーリーちゃん、ウィーリィくん!
【先制攻撃】+【雷刃無尽】で敵の数を一気に減らしたら三人で協力して残りの敵を退治する
手裏剣の【範囲攻撃】でダメージを与えておいて、接近した敵は【カウンター】+【鎧無視攻撃】で殻の隙間を狙って柔らかい内側を攻撃!
粘液で動きを封じられても負けないんだから!(※フラグ)

※NGなし・アドリブOKです


ウィーリィ・チゥシャン
【かにかま】
そう言われても俺達はこの先に用があるんでな。
そして、俺の仲間もお前らに渡すつもりもない。
そんな訳で力ずくで通らせてもらうぜ!

シャーリーとチェルノとで互いにフォローし合って死角を無くし、周りの敵を片付ける。
【飢龍炎牙】を敵群に叩き込み、浮足立っているところへ炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】で片っ端から触手を斬り落とし、硬い殻を包丁の背の【鎧砕き】で罅を入れて、そこに【鎧無視攻撃】で包丁の刃を入れてこじ開けて弱点の内臓を直接攻撃する。
敵の念動力はその目の動きを【見切り】前兆を読み取る事で回避。

…で、仲間の悲鳴が聞こえたらカバーリングに入る。

(※アドリブなどはお任せします)



「この先に、助けが必要な人達がいる。だから、そこを通してもらうわよ!」
 行く手を阻むオウムガイの群れに、在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)は堂々と宣言してみせるが。
「ンー?マア通シテヤランデモナイガ、ソレハオマエ達ノ心ガケ次第ダナァ?」
 一方のオウムガイはそんなことを宣いながらチェルノや、隣のシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)の身体に無遠慮な視線を這い回す。何を考えているかは言うまでもなし。
「…悪いけど、無脊椎動物のお相手はノーサンキューだよ!」
 嫌悪感も露にシャーリーが叫べば。
「そういわれても、仲間を渡すつもりは無いんでな。力ずくで通らせてもらうぜ!」
 三人の意思を代表するかのようにウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が宣言し、抜き放った大包丁を突きつける。
「ヤカマシイ!オマエヲブチ殺シテ他ノ二人ヲ手篭メジャー!!」
 対して叫ぶオウムガイ。その目が妖しく光ったかと思えば、空間を歪め放たれた衝撃波が三人に迫る。
「そこだっ!」
 だが発動予兆を見ていたウィーリィの合図で、三人はそれぞれに跳躍し回避。
「よっし行くよウィーリィくん、シャーリーちゃん!闇を斬り裂け、雷の刃よ!」
「おう、一気に片付けるぜ!喰らい尽くせ、炎の顎!」
「えっちな触手はお断りなんだからっ!」
 そして三人一斉にユーベルコードを発動。最初に降り注いだのはチェルノの雷撃手裏剣。上空で迸る紫電が刃となって、地上のオウムガイ達へと一気に降り注いだ。
「アバババババ!?ビ、ビリビリスルゥゥゥゥゥ!?」
 続いてオウムガイ達を襲ったのはウィーリィが放った炎の龍。地へ駆け下り荒れ狂い、敵中に猛烈な炎熱の嵐を巻き起こす。
「ヒギャァァァァァ!!焼ケル、焼ケチマウゥゥゥ!!」
 更にシャーリーの放つ熱線の雨が、雷撃と炎熱で弱ったオウムガイ達に止めを刺してゆく。この一斉攻撃により一気にその数を減らしたオウムガイ達だが、この攻勢を凌いだものも少なからず。三人へ反撃を試みんと迫る。
 しかし三人も互いに死角を補い合う陣形を組み迎え撃つ。最初に動くのはチェルノだ。
「ヒャッハァァァァ!!オッパイダァァァァ!!」
「お断りだってばー!!」
 欲望丸出しで襲い来るオウムガイに対し、突剣型のフォースセイバーを一閃。割れた甲殻の隙間を見事に貫き致命の一撃を加える。
「触手はのーさんきゅーって言ったでしょっ!」
 シャーリーはマスケット銃型ブラスターから熱線を乱射、襲い来る触手を弾き。露となった口部へ、狙い澄ました射撃を撃ち込み仕留める。
「チクショウ、テメーラァ!」
「悪いが自業自得としか言えないな!」
 次々に仲間を倒され浮き足立つオウムガイに対し、ウィーリィが駆け迫る。振り上げた大包丁が炎を纏い、触手を次々に斬り落とす。
 次いで大包丁の峰を返せば、そこを以て甲殻へ一撃。鍛えられた鉄の一撃が、堅固な甲殻へ皹を入れる。
「グァ…ッ、テ、テメェ…ッ!」
「こいつで、仕上げだ!」
 生じた皹へ、包丁の切っ先を突き込む。皹を貫いた刃は透けて見えていた脳まで届き、そこを破壊せしめる。包丁の特性を最大限に活用した、料理人ならではの攻め筋である。
「…よし、そっちはどう…だ…」
 次の敵へ向かう前に仲間の様子を、と振り返ったウィーリィ。だがそこに見た光景に、言葉を失わざるを得なかった。

「ヘヘヘ、全身真ッ白デイイ格好ダナァ。モットドロドロニシテヤルゼ」
「やぁぁぁんっ、こ、こんなのやだぁぁ!」
 チェルノはオウムガイ達に浴びせられた粘液で全身を白濁に染められ、その粘りに身動きが取れなくなっていた。そこを更に触手に這い回られ、あられもない声が出てしまう。
「ひぁ、っふぁ、や、やめてってばぁぁ…!」

「ヒヒヒ、ココダナ?ココガイインダナ?ソラ、正直ニ答エテミナ」
「ひんっ、っく、き、気持ちよくなんてないんだからぁ…はひぃぃぃんっ!」
 シャーリーはオウムガイの触手に捕らわれ、ユーベルコードによる攻撃を受け続けている最中。それは質問に対し真実を答えない限りダメージを受け続ける代物であり。
「素直ジャネェナァ、認メネェト辛イダケダゼ?」
「う、嘘なんてついてないもんっ、きゃひぃぃんっ!」

「…二人とも…って、助けてやらねぇと!」
 お約束な事態に突入してしまった二人にやや呆れてしまいつつも、素早く二人の救出へ動くウィーリィであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

月宮・ユイ
保護は無事終了。
次は…なんだか不思議な生き物ね

相応の知性はあれど、碌な性格ではない様ですね。
肌覆う○オーラに○破魔宿し粘液への耐性獲得。
[ガンナイフ型ステラ]に○生命力吸収の呪詛付与
呪で刃染め強化し呪殺弾編み装填
追加で弾と刃に◇不死鳥の炎も乗せ、制御し敵のみ焼却

○第六感も駆使し動き見切り○情報収集+学習
○早業で触手を断ち、粘液躱し、時に焼き祓い浄化
呪製故に物理的防御すり抜ける弾丸織り交ぜ撃ち込み
内から焼き殺し、力喰らい炎の勢い強める。
拘束された際は耐えつつ○怪力+念動力で触手や粘液解き弾き、
UCではない属性攻撃の炎や風で焼き吹き飛ばす。
残念ながら、食い物にするのは私達の方ですよ

アドリブ絡み◎



「オウオウ、ナンダカ澄マシタ顔ノネーチャンジャネーカ」
「アアイウ女ヲヒィヒィ言ワセルノ最高ダヨナ!」
 オウムガイ達の下劣な会話の対象は月宮・ユイ(月城:紫音・f02933)。艶やかな黒髪、端麗なる顔立ち、程よき丸みを帯びた肢体。内外ともに理想を詰め込まれたその容貌、そうした感情の対象となるもまた必然と言えようか。
「…なんだか不思議な生き物ね。相応の知性はあれど、碌な性格ではなさそうですが」
 その会話はユイ自身の耳にも届いており。呆れとも嫌悪ともつかぬ――或いはその両方とも見える表情で眉を顰める。
「早急に片付けてしまいましょう。――武装形状確定、生命吸収呪詛付与、呪殺弾装填。概念兵装『不死鳥』装着。――創生」
 何より此処は未だ通過点であるが故に。躊躇う理由など無し。その手に生み出せし武装は、大型の拳銃に銃剣じみたナイフを取り付けた、所謂ガンナイフである。
「ヒャッハー!手篭メニシテヤルゼー!!」
 そこへオウムガイ達が襲い掛かり、一斉に触手を伸ばす。
「お断りです」
 刹那の見切りと直感。触手の伸び来たる順番を即座に把握。縦横に刃を振るえば、触手は迫る傍から斬り飛ばされ、切り口が浄化の炎に包まれる。その合間、時折混じる発砲音。
「ヒギィィ!?頭、頭ガァァァァ!?」
「イデェェ!!ナ、ナンナンダコレェェ!?」
 斬撃に混じって放たれた弾丸が、オウムガイ達の半透明の甲殻を透過し内側へ直接撃ち込まれたのである。弾丸は概念兵装の炎を放ち内側からオウムガイを焼き焦がすと共に、その力を吸い上げ火勢を更に強めてゆく。瞬く間に力尽き消え去ってゆくオウムガイ達。
「チ、チキショウ!コノアマァァァァ!!」
 半ばヤケ気味の攻勢。冷静に捌いていったユイだが。
「トッタゼェェェ!!」
 一匹のオウムガイが、ユイの背後からしがみつくことに成功する。
「っく!?ぁ、や、やめ…なさいっ!」
 その触手を着衣の内に潜り込ませ、敏感なその肌を一時撫で回すことに成功するも、攻勢はそこまで。膂力と念動力の限りをもって振り解かれ、直接浴びせられた炎で一瞬のうちに焼き尽くされた。
「――残念ながら。食い物にするのは私達の方です」
 息を整え、冷然たる宣言。その後は反撃の機すら与えず、オウムガイ達を殲滅していった。

成功 🔵​🔵​🔴​

アマニア・イェーガー
プラントまでの距離は……っと
んー、そこそこ距離があるね。じゃあやっぱりこれかなー

ユーベルコード【逆巻く嵐の王】を発動して乗り込みプラントに向けて出航!陸だろうとこの船の前は海だから問題なーし。
それにしても生まれたてのフラスコチャイルドを奴隷に、かぁ……

人は生きている間、時間を積み重ねていく。その積み重なった時間が形となったもの、人類の生きた証、進歩と繁栄の後に残された遺物。それこそがわたしの集めるコレクション
言うなれば人類とは金の卵を産むガチョウに等しく、それを奴隷扱いするのは気に入らないなー
今回も頑張らないとだね!

ん?今何か轢いたような……


ミヤコ・グリードマン
アポヘルから落ちてきた島にいるだけあって世紀末な喋り方する奴らねー。
ま、世紀末ザコならそれらしく一掃してあげようじゃない。

ガンビットを展開しつつ、真の姿へ変身。
さぁ、最初っから全力で行くよっ!
UCを2回攻撃でWチャージ、範囲攻撃&制圧射撃&誘導弾で発射。
ガンビットからも援護射撃&一斉発射。
この姿で粘液とか浴びたくないからね、フォースシールドでガードさせてもらうよ。
さぁ、一匹残らず焼きガイにしていこうか



「プログラム投影開始、出航の時間だよー!よーそろー!」
 プラントへ続く道の上に、突如海が現れる。そしてその上に古めかしい海賊船が現れる。アマニア・イェーガー(謎の美女ヴィンテージコレクター・f00589)の召喚したものだ。
 船のみならず、船が進むべき海までをも召喚するこのユーベルコード。それ故に、陸上であろうがこの船は問題なく航行を開始する。プラントへ向かって。
「さーて、ワイルドハントの始まりといこうじゃない」
「嵐の如くコンキスタドールからの略奪、ってね?」
 海賊船の上にはアマニアの他にもう一名、海賊を自認する猟兵が乗り込んだ。ミヤコ・グリードマン(海賊王女・f06677)である。
「そうそう。フラスコチャイルドの子達を奴隷扱いするなんて気に入らないし」
「何も知らない子を騙してアレコレなんて、まるっきり悪党だものねー」
 アマニアの言に同意するミヤコであるが、アマニアの見解は少し異なるようで。
「んー、それもあるけど、一番はやっぱり、わたしの美学に反するからかな」
「ふぅん?」
 興味を示すミヤコに、アマニアは語る。
 人は生きている間、時間を積み重ねていく。その積み重なった時間の結晶、人類の生きた証。或いは、進歩と繁栄の後に残された遺物。己の蒐集する古物というのは、そうしたものであるのだと。
「言うなれば、人類は誰もが金の卵を産むガチョウみたいなものだよ」
「となると、人を奴隷にするのはそのガチョウを殺して肉だけ奪うようなモノってトコ?」
 ミヤコの認識にアマニアは首肯する。己の意思もて生きるからこそ、人は金の卵を産めるのだ。
「ま、そんなわけで今回も頑張っていこっか」
 快活に笑うアマニア。と、その時船底の方で何かがぶつかる音と、小さな悲鳴めいた声。
「ん?今何か轢いたような…」
 訝しんだその直後。響き渡る複数の噴出音に続き、水飛沫を引き連れて、船上に飛び込んでくる複数の影。
「テメェェ!!ドコ見テ操船シテヤガル!」
「俺ラノ仲間ガ轢キ殺サレテンダ!落トシ前ツケテモラウゾ!」
 やはりというかそれらはオウムガイ達。どうやら路上に待ち構えていた何匹かを船の体当たりで仕留めたものの、生き残りがこうして飛び込んできた、という処のようだ。
「げっ、飛び込んでこられるとちょっと拙いな」
 たじろぐアマニア。というのも、現在彼女が展開しているユーベルコードの弱点――自身は攻撃を行えず、自身が傷を受けると解除される――を、結果として見事に突かれる形となったからだ。
「そういうことなら、わたしに任せときなさい」
 彼女を庇うような形でミヤコが一歩前に出る。13基のガン・ビットを展開し、その髪が触手の如く変じ、新たに二本の腕が生じた異形の姿――真の姿を露としつつ。
「アァン?ナンダ、ガキニハ用ハ――」
「イヤ、コイツナカナカ良イ尻シテルゾ!」
「ヒャッハー!デカケツダァー!」
 その戦闘体勢とは全く違う方向で俄かに騒がしくなるオウムガイ達。ミヤコの眉がぴくぴく震える。実は彼女、己の尻が年齢に比して大きいことを気にしているのだ。
「…世紀末ザコなら世紀末ザコらしく、一掃してあげようじゃない…!」
 ミヤコの周囲にサイキックエナジーが渦巻く。そそくさと帆柱の陰に隠れるアマニア。オウムガイ達も事態を察したじろぎかけるが、それを逃がすミヤコではない。
「一匹残らず焼きガイにしてやるわよ!サイコバレル、フルオープン!ファイヤー!!」
 叫びと共に、集束したサイキックエナジーがミヤコの四つの手から、13基のガン・ビットから立て続けに撃ち出される。660発に上る弾丸の嵐がオウムガイ達を飲み込み。
「「「ギャアアアアアア!!!」」」
 嵐の収まる頃には、彼らの姿は跡形もなく消し飛んでいた。
「…まったくもう。さ、航海を続けましょ」
 一息つき、進行再開を呼びかけるミヤコに、アマニアはこくこくと頷くのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

菫宮・理緒
【恋華荘】

場所も教えてもらえたし、
船の守りはアイさんにお任せしてきたし、準備おっけーかなっ。

って、えー……?
なんでヒャッハーしてるのかな? 貝なのに。
っていうか、なにを可愛がるっていうのかな? 貝のくせに。
わたしたちを可愛がれるなんて、何様なのかなー? 貝のくせに。

なんて思っていたら、なにこれ、滑るんだけど-!?

ああっ!? ちょ、いちごさん、セナさん、なにをー!?
たすけに……って、滑る!滑る-!
あわわわわ、2人がどんどん危ない感じに!
さすがにそれ以上は放送コードに引っかかるから!?

もう氷点下の視線で八つ当たりだね。
【Nimrud lens】で焼き貝作っていこう。
美味しくはなさそうだけどね。


彩波・いちご
【恋華荘】
アイさんは船に置いてきましたが…大丈夫でしょうか?

ともあれ私達はその分も頑張りましょう
…って、なんでオウムガイまでアポカリプス的にヒャッハーですかっ?!
【異界の顕現】で三尾の依代体に変化して2人を庇うように戦います

…が、粘液で足を滑らせて【避けきれない偶然の出来事】が起こってしまい
理緒さんの見ている前で、セナさんを押し倒して思いっきりキスする格好になって…
「?!」
更に慌てた結果、粘液で手が滑って思うように動けなくて…結果、やはり理緒さんの前でセナさんの胸を思いっきり揉んでいるような事に…
理緒さん、嫉妬の視線やめてっ?!
あとセナさんなんで嬉しそうなんですかー?!
いろいろすみませんー?!


セナ・レッドスピア
【恋華荘】
奴隷にされた人達を助ける為にも…
って、捕まえていけない事しようとするのが現れました!

そんないけない敵からみんなを守る為
積極的に前に出て応戦!
攻撃からの【吸血】で得られた血で
刻印覚醒「血力励起」を発動!
さらに攻めていきます!

…が、そこに敵達が一斉に粘液を!?
流石にかわし切れず、粘液に捕らわれてしまいます…

このままいけないことされちゃう…
前にいちごさんが助けに!

でも勢い余って押し倒されちゃう!?

…そして気づいて目を開けたら…
お口とお胸にいちごさんの…

その状況に一気にドキドキたっぷりになってしまい
2人が見てるのに不思議と
このままでいたい、と思ってしまい
色んな意味でとろとろに!?



 プラントへの道を歩む【恋華荘】の三人。
 マーケットで行動していた時に比べると一人少ないが、その一人は鉄甲船の中で待機中。マーケットで色々あって消耗していたのと、いざという時に船の守りに回れるようにしておくという理由である。
「…大丈夫でしょうか」
 三人の先頭を歩む彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)。その置いてきた仲間が心配なようだ。
「そう…ですね、でも今は私達の目的を果たすとしましょう。奴隷にされた人達を助けるためにも…」
 その心配にセナ・レッドスピア(blood to blood・f03195)は同意を示しつつも、まずは自分達の役目を果たさんと前を見据える。
「大丈夫だよ、離れていても気持ちはひとつっ。準備もばっちりだしね」
 菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)も応え、いちご達の一歩前に出て振り向き笑ってみせる。頷くいちごとセナ。
 と、そこに。
「ヒャッハー!ココハ通サナイゼー!」
「女ダ!女ガ三人モイルゾ!」
「トッツカマエテ、タップリ楽シンデカラ頭ニ差シ出スゾ!」
 オウムガイ達が現れ一行の行く手を阻む。尚、ナチュラルにいちごの性別を誤認している。
「なんでオウムガイまでアポカリプス的にヒャッハーなんですかっ!?」
 そのノリに思わずツッコミを入れてしまういちご。この島が元々アポカリプスヘルにあったのと関係があるのかどうかは不明である。
「捕まえていけない事しようとするのが現れましたね…!」
 オウムガイ達の言動と、それに合わせてざわめく触手。何を為さんとしているかは火を見るより明らかだ。緊張の面持ちで、セナは愛槍『狩罰の血槍』を構える。
「って、えー…?なんでヒャッハーしてるのかな?貝のくせに」
 一方の理緒はドン引きであった。
「って言うか、なにを可愛がるっていうのかな?貝のくせに」
 いや寧ろ怒っていた。
「わたしたちを可愛がれるなんて、何様なのかなー?貝のくせに」
 タブレットを構え電脳魔術の発動準備は万全。向ける視線は絶対零度。仲間達との時間を邪魔する貝は排除あるのみ。
「貝貝ッテウルセーヨ!俺ラヲタダノ貝ト思ッテンナラ…」
 だが無論黙っているオウムガイ達ではない。早速三人を捕らえんと動き出す…が。
「いけない事する気なら許しませんよ!」
「ギャー!?」
 その前に踏み込んでいたセナの槍に貫かれる。噴出した血が槍を通し、セナの身に宿る刻印へと注がれ活性化を促す。
「身体が、熱い…血が…力が…駆け巡る…!」
 刻印の活性化がセナの血に秘められた力を励起せしめ、その戦闘力を更に高める。速度も破壊力も増したセナの槍が奔る度、オウムガイの身体が裂け鮮血が迸り、セナの力を更に高めてゆく。
「セナさん…!私も、手伝いますよ!」
 セナ一人を前で戦わせるわけにもいかぬ、といちごは己の身に眠る邪神の力を解放。尻尾を三尾と増やし、オウムガイへと殴りかかってゆく。その拳が振るわれるたび、オウムガイの甲殻が削れ、砕け散ってゆく。
「チ、チクショウ!コイツラ強イゾ!!」
「慌テルナ!コウイウ時ハアレヲ使ウゾ!」
 その攻勢に浮き足立ちかけるオウムガイ達だったが、仲間の叱咤に気を取り直すと。
「ワ、ワカッタ!オラァァァァ!!」
 一斉にその口部から白濁した粘液を噴出、一行へと浴びせかけてゆく!
「っ!?きゃぁぁぁっ!?」
「きゃー!?ちょ、何これー!?」
 突然の攻勢に、セナも理緒も粘液をかわしきれず、全身を白濁塗れとされてしまう。
「っ、セナさん!理緒さん!」
 いちごは辛うじて回避するも、そんな二人の惨状を見れば放っておくことはできず、救助に向かおうとするが…
「…って、わきゃーっ!?」
 こういう状況において必ずといっていい程ハプニングが発生するのが、彩波・いちごという猟兵である。地面に落ちた粘液を踏んづけてしまって思いっきり転倒。
「い、いちごさ、きゃぁぁっ!」
 セナを押し倒すような形で諸共に倒れ込んでしまう。
「いちごさん!セナさん!だ、大丈夫!?」
 何とか脱出しようとしていた理緒も、その光景に思わず心配そうな声を上げるが、直後にそこで展開された光景は。
「……んっ!?む、んん~っ!?」
「!?す、すみませんっ…!?」
 セナの眼前にいちごの顔、いちごの視点からも勿論セナの顔。そして唇に柔らかな弾力。そう、偶然にも両者はキスしてしまっていたのだ。ついでにいちごの手はセナの胸へ。
「ちょ、いちごさん、セナさん、なにをー!?」
 勿論理緒の表情にも驚愕が浮かぶ。何とか二人を引き剥がしに…もとい助けに行こうとするが。
「す、滑る!滑るー!」
 こびりついた粘液のせいで手足が滑り、うまく立ち上がれずもがくばかりの状態。
「と、とにかく離れませんと、って、あぁぁっ!」
 そしてそれはいちご達も同様であり。
「ふぁぁぁっ!い、いちごさんそれは激しすぎ、んぁっ」
「す、すみませんー!?」
 セナから唇は離したものの、胸から手を離し立ち上がろうとするたびに滑って再転倒、その都度セナの胸を鷲掴みにしてしまうのだ。
「いちごさん…それ以上は放送コードに引っかかるよ…」
「理緒さんその視線はやめてくださいー!?」
 なかなか脱出の果たせぬ理緒。いちごがセナに襲い掛かっているようにも見えるその光景に、思わず冷たい視線を向けてしまったり。
「ふぁぁ、はぁ、い、いちごさぁん…っ♪」
「セナさん何でそんな嬉しそうなんですかー!?」
 理緒やオウムガイ達に見られている状況であるにも関わらず、いやそれ故にかドキドキの高まってしまっているセナ。小ぶりながらも確かな膨らみを持つ胸をいちごに触られるうち、すっかり蕩けてしまっていたらしい。
「…ミ、見セツケテンジャネーヨ…!」
 その光景に暫し呆気に取られていたオウムガイ達であったが、気を取り直せば眼前で痴態繰り広げる二人へ襲いかかろうとする。
 だがしかし。
「ヒギャーーーー!?」
「ナ、何ダァ!?」
 直後にいきなり炎上するオウムガイ。見れば、そこにはどうにか粘液から抜け出した理緒の姿。
「いちごさんに触ってもらえない…わたしの八つ当たり、喰らってもらうよ…!」
 嫉妬で限界を超えた理緒の視線は、絶対零度を更に下回るという物理法則無視級の凄まじい冷気を帯びる。対して頭上に浮かぶは、空間を歪め形成した巨大レンズ。そこに光が集束していけば、生ずるは膨大な熱量。
「焼き貝に、なっちゃえ…!!」
「「ギャアアアアア!!」」
 収束した光は熱線となり、オウムガイ達を薙ぎ払う。数の減っていたオウムガイ達に、最早その攻勢を耐えることは叶わず。程なく、この場を守っていた殺戮オウムガイ達は完全に全滅したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『略奪船長』

POW   :    海賊船長の長口上
自身の【敵を見下して悦に入り虚栄心を満たす欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    海賊流戦闘術
いま戦っている対象に有効な【取り回しの良い片手武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ   :    彷徨える海賊船
【ボロボロのカトラス】で武装した【ガリガリに痩せた奴隷戦闘員】の幽霊をレベル×5体乗せた【朽ち果てた海賊船】を召喚する。

イラスト:山庫

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 殺戮オウムガイの群れを蹴散らし更に進む猟兵達。程なくして、巨大な白亜の――かつてはそうであったのだろう――建造物が見えてくる。
 広々としたアスファルト敷き――やはり所々にひび割れや陥没はあるが――の平地、その所々に見える、グリードオーシャンの文明レベルに比して極めて高度な機械の残骸。間違いない、ここが件のフラスコチャイルド生産プラントだ。
 と、そこに。
「おうお前ら、見慣れねぇ顔だな?この途中の道は手下共が張ってたはずだが」
 品性を感じさせぬダミ声。振り向けば、そこには白と黒の装いをした髭面の中年海賊。そしてその背後、彼に付き従うかのように歩むフラスコチャイルドの少年少女の姿。皆一様に、生気のない表情をしている。
 猟兵達には分かる、この男はコンキスタドールであると。即ち、この男こそが。ヴァンデルム島を牛耳るコンキスタドール…!
「…ハハァ、なるほど。俺からこの島を奪い取りにきたってところか。ちったぁ遣えるようだが…」
 どうやら、あちらは猟兵達を海賊と誤認しているらしい。フラスコチャイルド達を邪魔だとばかり手で追い払う。それに従い離れていくフラスコチャイルド達。周囲を見れば、プラントの周りに点在する建物の陰や窓から此方の様子を窺うフラスコチャイルドの姿が散見される。彼らが如何な感情をもって猟兵達を見守っているかは定かではないが。願うことは恐らくひとつ。
「この島は誰にも渡しゃしねぇ!未来永劫俺一人のモンだってこと、思い知らせてやろうじゃねぇか!!」
 海賊――略奪船長がカトラスを抜き放ち宣言する。この海賊を打ち倒し、島をコンキスタドールの手から解放するのだ!
夢ヶ枝・るこる
■方針
・アド/絡◎

■行動
此方を「海賊」と誤認してくれているのは僥倖ですねぇ。
目的を「解放&救助」と知られたら、人質を取られる可能性も有りますし。

【耀衣舞】を使用し『光速の突撃』による[2回攻撃]、相手に「勝ち誇る時間」を与えず速攻を狙いましょう。
仮に強化されても『F●S』3種で強化した『光の結界』と『光速突撃(=光速移動手段)』を捉えるのは難しい筈ですぅ。
「突撃の向きの選択」に加え相手の剣の届かない『飛行(=『FBS』)からの[砲撃]』も混ぜ、Fチャイルドさん達から引き離す方向へ追い込みますねぇ。

人質の心配がなくなれば「目的」を明かしてよく、その方がFチャイルドさん達も安心してくれるでしょう。


エメラ・アーヴェスピア
意外とまだ残っているフラスコチャイルドの子達が多いわね
それぞれがどういう反応をして来るかでどう動くか迷うのだけれど…
…正直今回の海賊には興味はないわ、元々が情報収集目的だったし

さて…再装填(リロード)、『出撃の時だ我が精兵達よ』
フラスコチャイルドの子達の相手よ、襲ってくるようならできるだけ傷つけない様にして確保
そうでない子も避難や護衛…まぁ状況によって任せるわ
その間に私は浮遊型ガトリングで同僚さんの援護射撃
兵も手が空いたのなら加わりなさい
基本的には私が一番後ろでしょうし、戦場を見渡せるはず
その時に一番やるべき事をやるとしましょうか
誰一人減る事無く、無事に帰還しましょう

※アドリブ・絡み歓迎


ニトロ・トリニィ
アドリブ・協力歓迎です!

救出対象のフラスコチャイルドがこんなに…
ねぇ君達!もう少しで自由にしてあげるから!
だから… もう少しだけ待っててね!

行動
僕は軽機関銃【rosé】で〈制圧射撃〉や〈援護射撃〉かな!
ただ撃つだけじゃ味気ないし、《蒼き噴炎》で地獄の蒼炎を吹き出させ、それを物質化して固めるってのも面白そうだね。

これなら敵の機動力を一時的にでも削ぐ事が出来るし、炎の熱による持続的なダメージと火傷を期待できるかな?
それに、味方も動きやすくなるだろうから… 一石二鳥ってやつだね。

遠くから戦う臆病者?卑怯で悪趣味?
確かにそうかもね。
でも… それらは全てあの子達と、平和の為なのさ!



 コンキスタドールたる海賊と対峙する猟兵達。その姿を、遠巻きに見守るフラスコチャイルド達。
「フラスコチャイルドの子達がまだこんなに…」
「意外と多いわね。それぞれがどういう反応をしてくるか…」
 周囲を見回しつつ戸惑うニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)。現状では見ているだけだが、戦況次第ではどう動くか――エメラ・アーヴェスピア(歩く魔導蒸気兵器庫・f03904)は眉根を寄せる。不確定要素が多い。
「敵が此方を『海賊』と誤認してくれているうちにぃ、安全を確保しちゃいましょうかぁ」
 最悪、フラスコチャイルドが此方を敵と認識する可能性もある――警戒するエメラに、夢ヶ枝・るこる(豊饒の使徒・夢・f10980)の提案。
「そうね。あの海賊には興味ないけど、フラスコチャイルドの子を巻き込むのは避けたいし」
「人質に取られる可能性は潰しておかないとね」
 同意するエメラとニトロ。コンキスタドールの殲滅と同等以上に、フラスコチャイルド達の無事は重要だ。
「フン、今更コソコソ話し合いか。まあ冴えない男と乳デカ女とガキの三匹だ、そうでもしなきゃこの俺様に勝ち目は――」
 そんな相談の様子を嘲りながら、コンキスタドールは多勢を自分単独にて蹴散らす様を夢想し悦に浸り――かけたところに。
「ぐほぁ!?な、なんだぁ!?」
 閃光と共に総身へ衝撃が走り、プラントの方へ吹き飛ばされる。今の光は一体何かと起き上がりかけた海賊に、再び閃光と衝撃。
「そうですねぇ、あなたと違って一人で十分と自惚れる気もありませんけれどぉ…」
 その正体を捉えれば、それは光ではなく。光の結界を纏い光の速度で突撃してきたるこるだ。
「一人で多数を相手取ることの本当の意味、思い知って頂きましょうかぁ」
 反撃に抜き打たれた剣を跳躍にてかわせばそのまま四肢の戦輪を以て飛翔。追いすがらんとする海賊へは浮遊宝塔よりの熱線で牽制。
「ちっ、ちょこまかと…うおぉ!?」
 此方の動きを制するかのような攻めに舌打ちする海賊へ、続けて襲来するは鉛の火線。数発が下肢へと突き刺さり傷を生む。
「三人の敵が単純に三倍止まりの戦力とは考えないことだね!」
 その声の主はニトロ、銃弾の元は彼が構える軽機関銃だ。如何なる理屈か無限の装弾を誇るそこから5.56mm弾をばら撒き海賊を制しながら、その発射音に負けぬ声を張り上げる。
「ねぇ、今僕達の戦いを見ている君達!」
 呼ばわる先は戦いを見守るフラスコチャイルド達。戦場を彷徨っていた無数の視線がニトロへと集束する。
「僕達は君達を虐げるこの男を倒し!君達を自由とするために来た!」
 己へ集束する視線へ、一瞬、己の視線を返す。見渡す表情は戸惑いながらも、そこに見える色は確かな希望。
「もう少し!自由になれるまでもう少しだ!だから…あと少しだけ、待っていてね!」
 視界に収まるフラスコチャイルド達が、一様に頷く。
「…ハッ、海賊らしくねぇ気はしてたが…ただの正義漢気取りだったか。それならこいつでどうだぁ!」
 弾幕の前に攻めあぐねていたコンキスタドールの表情が邪悪に歪む。その手にはいつの間にか、大振りの拳銃が握られていた。銃口が大きく広がった所謂ラッパ銃だ。
「お前らぁ!今すぐ俺様に加勢しろ!さもなきゃどうなるか分かってるよなぁ?」
 つい先程まで連れていたフラスコチャイルドの方へ銃口を向け、その行為と醜く濁った怒声を以て己への加勢を強要する。少なくとも、彼はそのつもりだった…が。
「やっぱりそう来たわね。でも、誰に銃を向けているのかしら、貴方?」
 呆れるような、憐れむような声音。海賊は驚きその声のする方を見る。侮るように己を見据える――その実一片の油断もない――エメラの姿。そして己の銃口の先を見れば、蒸気噴出す機械仕掛けの人形。左肩に「6」の文字。見渡せば、フラスコチャイルドへの射線を遮るように並ぶそれらが合計12体。
「な…て、てめぇ!?」
「貴方みたいな男の考えることなんてお見通しよ。何の備えもしないとでも思った?」
 唸る海賊へ冷ややかに告げ、エメラはかの人形――己の魔導蒸気兵の背に守られ震えていたフラスコチャイルドへ視線を向ける。
「――安心なさい。その子達は私の兵よ。私が…私達が此処にある限り、あの男は貴方達に何もできないわ」
 コンキスタドールに対するそれとは異なる優しい声音。かの海賊の怒声に強張っていた表情が、確かに緩む。
「貴方達は私と私の兵が守る。誰一人、欠けさせはしないわ」
 小さく笑みを見せたのは一時。再び表情を引き締め海賊を見据える。
(――これで、この子達が敵に回る可能性は潰せたかしらね)
 いざという時は蒸気兵達に、コンキスタドールへの加勢を強要されたフラスコチャイルドの制圧を命じるつもりであったが。これならば杞憂に終わりそうだ。なれば。
「各機、目標への攻撃を開始。但し、保護対象を守ることを最優先に」
 命に応え、蒸気兵が一斉にライフルを構える。狙いは一点。
「くそっ、こんなポンコツ如き…ぎゃぁっ!?」
 ラッパ銃での反撃を試みるコンキスタドールの足元から、突如蒼き炎が噴き上がりその身を焼く。炎はそれに留まらず、セメントじみて物質化しかの海賊の足元を固めてゆく。
「捉えたよ。焼き加減の希望はあるかな?まあ、どう答えてもウェルダンにするけどね」
 それはニトロが放った地獄の蒼炎。かの蒼炎を物質化した武具を備える彼、此処に放ったそれもまた物質化を為し得る。
「て、てめぇ!!悪趣味な卑怯者め!男なら正々堂々…ぐえぇ!?」
 罵声を返そうとしたコンキスタドールに、蒸気兵の放った銃弾が突き刺さる。次いでるこるの再度の突撃が、海賊をプラント内へと吹き飛ばしてゆく。
「これが『連携』というものですよぉ、お一人だけで戦う気だったあなたには想像できないでしょうけどぉ」
「全てはあの子達と平和の為に。取れる手は全て取らせてもらうとも」
 るこるの言葉に頷くニトロ。吹き飛んでいった海賊を追い、プラント内へ踏み込んでゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

カシム・ディーン
やれやれ…海賊っぽいけどコンキスタドールってもっと性質が悪そうですね

ああ
お前みたいな髭の独占欲も理解できますよ
まぁ…それでも立場上撃滅はさせていただきます

僕はギジィへ夜這いたいしね(基本性欲マックス盗賊だった

【医術】で動きを見据え
【属性攻撃】で光属性を全身に付与
そのまま属性を利用して光学迷彩で隠れ
【迷彩】で更に存在感を消す

他の人と戦ってる時に接近して

元々地力じゃ勝てませんしね
なのでずるをさせていただきます
当てられるのは一撃
ならばとびっきりの一撃を与えるまで

【溜め攻撃】で威力強化した上で
わたぬき発動
【盗み攻撃・盗み】で更に精度強化
盗み出すのは片手武器と…利き腕の腕神経叢
一部でもこの場合は…


アルトリウス・セレスタイト
渡せとは言わんぞ。言わないだけで此方が勝手に貰うがな

魔眼・封絶で拘束
行動と能力発露を封じる魔眼故、捕らえればユーベルコードも霧散する
武器も手下も船も強化も、残らず消え失せるだけだ

高速詠唱の技法に『刻真』で無限加速を重ね、目標を確認次第拘束を実行
行使の瞬間を『再帰』で無限循環させ、常に新たな拘束を掛け続け完全封殺を図る

置物になったら打撃
『解放』での魔力放出を乗せて全力で一撃
手近な猟兵のところへ吹き飛ばしておく

自身へ届く攻撃は『刻真』で異なる時間に自身を置いて影響を回避
攻撃分含め必要魔力は『超克』で“外”から汲み上げる

※アドリブ歓迎


シャルロット・クリスティア
何と思われようと構いはしませんが……。
いずれにせよ、彼に伝えるべきことはひとつです。
貴方の時代は、とうの昔に終わっている。
……海を過去の手から取り返す、『再征服(レコンキスタ)』を始めましょう。

ずいぶんと余裕のようですが、この手の輩を相手にする場合は……その自信をへし折ってやるに限ります。
幸い屋内、周囲に機械類となれば、跳弾させる場所には事欠きません。
正面から撃つだけでは捌かれるでしょうが……多方向からの同時射撃、捌き切れると思わないことですね。
大丈夫、子供たちには一発たりとも当てません。
すべて……一発残らず、奴の元まで運びます。



「ちっ、思ったより厄介な連中だな。だがこの島は、この島の全ては俺のモンだ…誰にも渡すものか…!」
 体勢を立て直すべく、プラント内部のホールじみた空間まで退いてきたコンキスタドール。己の身勝手な矜持で己を鼓舞しつつ。
「渡せとは言わん。此方が勝手に貰うだけだ」
「な!?」
 だがその前に立ちはだかる、蒼き燐光纏う男。アルトリウス・セレスタイト(忘却者・f01410)。悠然とした佇まいから、冷然と宣言する。
「お前みたいな髭の独占欲も理解はできますがね。立場上、殲滅はさせてもらいますよ」
 たじろぐ男の傍らの柱。その影から姿現す黒衣の少年。カシム・ディーン(小さな竜眼・f12217)。基本的に欲望で動く彼だが、その仔細は語らぬが良かろう。
「何と思おうと構いはしませんが。これだけは伝えておきましょう」
 そして今しがた男が逃げてきた道を辿り来た青と金の少女。シャルロット・クリスティア(彷徨える弾の行方・f00330)。振り向いたコンキスタドールを見据え、宣言する。
「貴方は最早過去。貴方の時代は、とうの昔に終わっている」
「――ハ、ハハハハハ!」
 それを受けたコンキスタドール、しかし思い出したが如く高笑い。
「馬鹿言ってんじゃねぇぞ?俺は今ここにいる、なら俺はまだ終わっちゃいねぇ!俺様の時代は続くんだよ、永遠になぁ!」
 傲慢に宣言すると同時に、ホールの奥――位置関係としてはアルトリウスの背後に湧き上がる闇。その中から、ボロボロながらも不気味な威圧感と威容を誇る巨大な船が音もなく進み出てくる。ここは陸上、それも屋内であるにも関わらず。
「これが俺様の海賊団!野郎共ぉ!こいつらをブチ殺せぇ!」
 号令を上げれば、応えるように船上から次々飛び出してくる、骨皮のみまで痩せ細った戦闘員達。瞬く間に三人を包囲するそれらを前にしても彼らは動じず。
「ハハハハハ、怖くて声も出ねぇか!だが今更謝っても許さねぇぞ!殺っちまえ!」
 それを都合よく解釈し、勝利を確信した高笑いと共に更なる命令を戦闘員に下す。そして。
「淀め」
 アルトリウスの一言と共に、その全員が消え去った。幽霊船も諸共に。
「な…に!?てめぇ、何をしやがった!?」
 船長は突然の事態に驚愕の声を上げる。だができるのはそれだけ。身体は動かない。一体何が起きた。
「――口を利くことだけはできるか」
 感心したかのようにアルトリウス。今かの海賊を縛っているのは、世界の根源から放たれる原理の魔眼の力。一切の行動と能力の発露を封じるそれであるが、『喋る』という『行動』が取れているのは些か予想外と言えた。
「仮にも強力なコンキスタドール。この程度の抵抗は可能ということですね」
 油断なくコンキスタドールを見据えながらシャルロット。マギテック・マシンガンを構え周囲を見渡す。何らかの理由でフラスコチャイルド達が中に連れ込まれている可能性も考えたが、その心配はなさそうか。
「てめぇら、俺を舐めんじゃねぇぞ…!俺はこの島の王!この島じゃ絶対の存在!俺に逆らえばどうなるか…」
 大声で喚き散らすコンキスタドール。その声音から傲慢さは些かも失われていない。
「その状況でも随分と余裕ですね…ならば、徹底的にやるより他になさそうですね」
 言いながらシャルロットが愛銃を向ける先はコンキスタドール…ではなく明後日の方向。動けぬ標的を撃つなど造作も無いが、それでは意味がない。
「ですので。『正面以外』へ撃ち込ませて貰いましょう」
 そして発砲。四方八方へ向けられる銃口、小刻みな連射。放たれた弾丸はホールの柱、放置された機械類で跳弾し。室内を満たす弾丸の嵐。カシムはうまく安全な位置を取り、アルトリウスは断絶と時の原理にて弾丸が透過するので問題無し。
「な…なんだこりゃ…!てめぇ…!?」
「――これは『再征服』。過去に奪われた海を、今に生きる人々の手へ取り返すレコンキスタ」
 跳ね返り続けた弾丸は、やがて一点へと集束を始める。そして。
「支配者よ、陥落の時です」
 告げると同時、コンキスタドールの全身を襲う衝撃。横から、後ろから、下から、あらゆる方向――『正面以外』から襲い来た無数の弾丸が、狙い過たずかの海賊へと突き刺さり。
「が…はぁっ!?」
「では、僕も折角なので一つ頂いておきましょうか」
 呻きが漏れた直後、カシムの声が傍から聞こえる。だが何処にいるのか。彼は装備に付与した光の魔力を用い光学迷彩を己に施していた。
「元々、地力では勝ち目がありませんので。折角棒立ちになってるのです、この機会、存分に活用させてもらいますよ」
「な…て、てめぇ何処に、ぎゃぁっ!?」
 直後、利き腕に走る凄まじい痛み。己の腕はどうなったというのか。未だ束縛続く状態では確かめることすらできない。
「腕の神経を奪わせて貰いました。もう、満足に武器を握ることはできないでしょうね」
 応えるかのようにカシムが海賊の正面に姿を現し、抜き取ったそれ…彼の腕神経叢とされる器官を示してみせる。
「な…んだと…!?」
 己の知識を超えたその攻撃に、驚愕するしかないコンキスタドール。だが。
「ぐわぁぁぁあぁぁ!!」
 その時間すらも与えぬとばかり、腹に轟く凄まじい衝撃。束縛をも振り切り、吹き飛んでゆく身体が通路の方へと消えてゆく。
「――未だ動けるか」
 其を為したるはアルトリウス。全力の魔力を注ぎ込んだ全力のストレートを放った姿勢のまま、通路の先を見据える。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アシェラ・ヘリオース
【改変連携歓迎】

「なるほど。大したものだ」
何処までも強欲で何処までも己に忠実
コンキスタドールとはこのような存在かと【情報収集】する

一歩引いた距離で長柄にした「黒刃」で応戦しながら戦況を見やる
歴戦の【戦闘知識】で、この手の悪党が追い込まれた時の行動を推測し布石を打つ
黒騎を【メカニック】で光学【迷彩】を行い戦場に広く展開し伏兵とする。フラスコチャイルドを人質に取ろうとする敵幽霊がいれば、赤光の剣と弾幕の【集団戦術】による奇襲で叩き潰す方針だ

「海賊の性根に、スペースもこの海も違いは無い物だな」
フォースを籠め「黒刃」を巨大な槌に【武器改造】
【念動力】の補助により【二回攻撃の鎧砕き】で【吹き飛ばす】


玉ノ井・狐狛
まったく、品のないヤロウだなァ。
王サマ気取りなのかもしれねぇが、どう見てもただのゴロツキだぜ。
あぁ、道理でマーケットの連中がチョロかったんだな。親玉がこれじゃ、熱心に働いてもしょうがないもんな。

と、▻挑発して言葉を引き出す。

そして召喚された戦闘員連中を、◈UCで白昼夢にご案内だ。
内容は単純――“ブラックな上司からの理不尽な要求”さ。
なにせ本物を見た後だ、リアリティは十分だろ?
▻催眠術▻恫喝▻恐怖を与える

士気は下がるだろうし、何人かはブチ切れるかもしれねぇな。
そういうヤツがいたら積極的に煽って、反乱を促そう。
態度ばかりがデカい、あのゴロツキを追い落としちまえ――ってな。
▻言いくるめ


月宮・ユイ
あれが親玉ね
私自身、良き使い手達に巡り合えてきたたからこそ
この島の全ては俺のモン、なんて気に食わない

「島も彼らも貴方の手から解放しましょう
◇永劫捕食起動、兵装成形
呪で肌覆う○オーラ染め強化、
[ガンナイフ型ステラ]刃染め○呪詛製呪殺弾編み装填
召喚による敵増加を利用し自身の強化にあてる。
奴隷戦闘員の元の境遇次第で○破魔上乗せ浄化
安らかな眠りに導く

○念動力により体飛翔させ、あえて突っ込み攻撃誘う○誘惑
脅威増やし戦闘力増強。消耗は○生命力吸収○捕食し補う
十分に力溜め後、大槍編み成形
投擲し海賊船を衝撃波伴い貫き破壊。
潜入用だが折角の海賊衣装
「貴方の全てを喰らい奪ってあげます

アドリブ絡み◎
ヤドリガミ



「ふざけんな…ふざけんな…!この島は俺のモンだ…!誰にも渡しゃしねぇ…!」
 悪態と共にコンキスタドールはプラントのもう一つの出入り口――かつては非常口として使われていたと思しき出入り口から再び外へ。そこへ追いついたのは三人の猟兵。
「なるほど、大したものだ。それだけの傷を負いながら尚、その認識が損なわれないとは」
 既に他の猟兵との交戦を経て少なからぬ傷を負っているコンキスタドール、それでありながら尚揺るがぬ認識。感心したようにアシェラ・ヘリオース(ダークフォースナイト・f13819)は言う。
「ハ、ったりめぇだろ。俺がそう決めた!この島のモンは全部俺の好きにするってなァ!!」
 凄みを見せんとする笑みと共に応えるコンキスタドール。その様を玉ノ井・狐狛(代理賭博師・f20972)は呆れ顔で眺め。
「まったく品のないヤロウだなァ…王サマ気取りなのかもしれねぇが、どう見てもただのゴロツキだぜ、こいつぁ」
「あぁん?気取りじゃねぇよ、この島の王こそ俺だ!俺こそこの島の掟――」
 耳聡く聞きつけた海賊は言い返すが、狐狛は呆れ顔を崩さぬままに肩を竦め。
「そりゃマーケットの連中がああもチョロかったのも納得ってもんサ。親玉がこれじゃあやる気出ねぇのもしょうがないもんな」
「ほぉ?そいつぁ後で仕置きが必要だな…テメェらブチ殺した後でシメに行くとするか」
 虚実織り交ぜた挑発を以て、海賊から言葉を引き出す。罵声や手下への恫喝に聞こえ得る言葉を。
 そんなやり取りが一頻りの後。それまで口を閉ざしていた今一人。月宮・ユイ(月城:シオン・f02933)が口を開く。
「――気に入りませんね。この島の全てが己のモノ、などと」
 かつて兵器として多くの使い手達の手を渡ってきた彼女。彼らが皆良き使い手であったからこそ、今の彼女は己の肉体を以てここに居る。故にこそ。
「欲望と虚栄のままに私物化を為さんとする貴方を、捨て置くことはできません。島も彼らも、貴方の手から解放します」
 決然たる宣言。然しコンキスタドールはあくまでも哂う。
「ギャハハハハハ!テメェらも分からねぇ奴らだな!そんなことは許されねぇんだよ!俺がそう決めたからな!」
 そして指を鳴らせば、彼の前に浮かび上がるは朽ち果てて尚、いや故にこそ不気味な威圧感を放つ巨大な幽霊船。そしてそこかしこから姿を現す、痩せ細った戦闘員達の亡霊。
「野郎共!奴らを叩きのめせ!この島のルールを踏み躙った罰を与えてやれ!」
 号令に応え、戦闘員達が錆び果てたカトラスを掲げ船から飛び出し三人へと殺到する。
「この数は…然し、対応できぬ程ではない。さて…」
 愛用の『黒刃』を長柄の矛の形とし、群がる戦闘員を薙ぎ払うアシェラ。その数は小さからぬ脅威であるが、三人でも対応しきれぬ数ではない。
(ならば『先』への布石を打つが得策か)
 想定しうる最悪に備え。配下たる闇鋼の騎士ユニットに光学迷彩を施し、戦場へと送り出す。来るべき時に動けるように。アシェラの視線が戦場の全域を巡り――一時、一点に留まる。

「死して尚酷使される命。速やかなる解放が必要ですね…」
 ユイは刹那の間、瞑目し。改めて。迫り来る亡霊戦闘員の群れを見据える。
「武装形状確定。破魔術式付与、呪殺弾装填、創生。永劫捕食起動、力よ巡れ――」
 生み出せし武装は先のオウムガイとの戦いでも用いたガンナイフ。向けられる戦闘員達の虚ろな敵意は、しかしその数ゆえに兵装を大きく強化せしめる。
「――おっと、お嬢ちゃん。ちょいと待っておくれな」
 奴隷戦闘員達を薙ぎ払わんと身構えるユイへ声をかけるは狐狛。
「何か」
「あれだけの数だ、素直に叩きのめすのもちょいと骨だろ?だからさ――こういうのはどうかね?」
 琥珀の瞳が仄かな光を放つ。その輝きにユイが何らかの術の発動を察した直後、戦闘員達の身体が電流を受けたかの如く震え、硬直する。
「今のは…?」
「あのゴロツキ野郎の物言い――パワハラ、って奴かね。そいつを直接脳内に叩き込んでやろうってな。」
 多くの戦闘員は放心してしまったが、中には明確な感情を瞳に宿す者もいる。その色は勿論。そんな彼らに対し、狐狛は声を張る。
「よぉよぉお前さんがた!イラついたか?ムカついたか?そうだろう、ふんぞり返って何もしねぇクセして態度だけは一丁前って野郎だ!」
 狐狛が指差す先には、突如動きを止めた手下達へ何事か怒鳴り散らすコンキスタドールの姿。狐狛を見て、次いで指差す先の召喚者を見る亡霊達。
「あんな野郎にこの島のリーダーは勤まらねぇ!皆の力で、あのゴロツキを追い落としちまおうぜ!」
 煽るように拳を掲げれば、乗せられるがまま亡霊達も携えたカトラスを掲げ。踵を返し、コンキスタドールへと向かっていく。
 亡霊兵同士、或いは亡霊兵とコンキスタドールの戦いが始まった。

「――うまくいきましたね。まさかここまでの効果を生むとは」
 コンキスタドールへの叛逆へ動いた亡霊は総数の4割程。残る亡霊戦闘員達も、相当士気は落ちているらしい。召喚当初から明らかに動きが悪い。
 なれば速やかに排除するのみ。ユイは駆け出し、ガンナイフの刃で次々と亡霊を斬り払ってゆく。破魔の力を付与された刃が、現世へ彼らを縛り付ける呪詛を砕き、ユイの力と還元する。
「く、くそっ!ふざけんじゃねぇぞお前ら…!」
 一方、奴隷戦闘員の叛逆を許したコンキスタドールだが、流石にその力は高く。襲いきた奴隷戦闘員達を瞬く間に壊滅させ。反撃のために視線を向ければ、物陰から戦場を見守る一人のフラスコチャイルドの少女。迷ってこのような場所まで来てしまったのか。
「…ヒャハハハハ!いいところに居やがったな!今すぐ俺様の役に立てや!」
 彼女を人質に取れば、正義漢ぶったこいつらはまともに動けない。その間に一人一人を嬲り殺しにしてやる――算段の上で彼女へ迫ろうとして。
「…ぐぁっ!?」
 踏み込んだ脚に激痛。見れば、脚に突き刺さる紅い刃。その出所の空間が揺らめき、黒き鎧の騎士型ユニットが現れる。
「――その行動。完全に私の掌の上だ。故に、手は打ってある」
 アシェラが告げると共に、戦場へ次々と黒騎達が姿を現す。コンキスタドールを囲むように、フラスコチャイルドを守るように。
 かの海賊が少女を見つければ、必ず人質に取ろうとする。先んじて少女に気付いていたアシェラ、彼女を守る意味も含め両者の間へ黒騎達を伏せていたのだ。
「海賊の性根に、宇宙もこの海も違いは無いものだな。――やれ」
 冷徹なる号令が下ると共に、海賊を囲む黒騎達が一斉に攻撃を開始。時に赤光の剣、時に紅き光弾。巧みな連携の前に、海賊の総身へ傷が重なり。
「ぐっ、て、てめぇ卑怯な…!」
「人質を取ろうなどと考える輩の言う言葉ではないな…砕けろ!」
 よろめく海賊へ、アシェラが駆ける。黒刃が彼女のフォースを受けて変形、巨大な鉄鎚へと形を変える。その質量を念動力で支えつつ、瞬時のかち上げと振り下ろし。何かの砕ける硬質なる音を残し、男の身体が吹き飛んでいった。

 残る幽霊海賊船へも、亡霊戦闘員を粗方浄化し終えたユイが対峙する。
「貴方の全てを喰らい、奪ってあげましょう――武装形状再形成、衝撃拡散機能付与――創生」
 ガンナイフがその形を変え、長大なる槍へと再構成される。大きく槍を振りかぶり、ここまで高めた力を注ぎ込む。
 そして投げ放たれれば、空気を裂いて衝撃波と化さしめながら飛翔するそれが幽霊船の船体を撃ち貫き。衝撃の嵐に巻き込んで粉々に砕き散らせていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

在原・チェルノ
【かにかま】
元々この島はあなたのものじゃないわよ!あなたが勝手に居座ってるだけじゃない!
フラスコチャイルド達の自由を取り戻すため、流星忍姫チェルノ、参ります!

召喚された奴隷戦闘員相手に手裏剣の【範囲攻撃】で応戦しながら、シャーリーちゃんが仕掛けるタイミングを伺い、彼女が動き出したら【目潰し】&【迷彩】で姿を消して船長の元に向かい、【暗殺】&【念動力】で気付かれないように足場を崩して転倒させたらみんなの攻撃に合わせて【雷迅無尽】をお見舞いする

「言ったでしょ?あたし達、正義の味方だって」

※NGなし・アドリブOKです


シャーリー・ネィド
【かにかま】
お初にお目にかかるね、「コソ泥」さん
ボクは宇宙海賊シャークトルネード!
あなたみたいな汚い悪党からみんなを解放しに来たよ!

目の前の敵に言い放つと共にこの戦いを見守っているフラスコチャイルドたちを【鼓舞】し、戦闘開始!
ウィーリィくんをブラスターの【援護射撃】+【乱れ撃ち】でフォローししたり、一緒に連携してフォースカトラスの【2回攻撃】で追い立てながら【罠使い】で敵をアスファルトの陥没した箇所へと誘導して、足を取られたところを狙って【スナイパー】+【クイックドロウ】で集中攻撃!

無抵抗の人たちを相手に王様気取りで島に引きこもってる時点で、あなたに海賊を名乗る資格なんてないんだよ!


ウィーリィ・チゥシャン
【かにかま】
「……なぁ、話は済んだか?」
奴の長口上が終わるまで待ってから攻撃を仕掛ける。

もちろん、俺はそんなに紳士じゃない。
奴がベラベラ喋っている間に【地形の利用】で周囲を見渡し、アスファルトの地面の脆そうな場所を探してシャーリィに知らせておく。
そして奴の攻撃を鉄鍋の【盾受け】で凌ぎながら大包丁での【二回攻撃】を繰り出し、シャーリーと連携して【フェイント】を交えながら奴をその場所へと追い込む。
バランスを崩して動きが止まった隙を突き、シャーリーとチェルノの攻撃の後で【捨て身の一撃】の【料理の鉄刃】を叩き込む!

どんなに欲深な奴でも手を出しちゃいけない宝物ってのはあるんだよ。
それは、「人の自由」だ。



 そして戦いの舞台は再び最初のプラント正面入口へ戻る。
「今度はてめぇらが相手ってわけか…ふん、ガキ共が俺様に勝てるなんざ、夢でも有り得ねぇよ」
 目の前に立ち塞がる猟兵達を見てコンキスタドールは一言。ここまでにも彼らの同年代以下の猟兵が何名か居たにも関わらず、この侮りようである。
「子供と舐めてかかると痛い目見るよ、『コソ泥』さん?」
 不敵な笑みと共に応えるのはシャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)。
「…あん?コソ泥だぁ?俺は海賊…」
「人のモノ勝手に横取りして居座るなんてコソ泥のやるコトだよね?ボクは宇宙海賊シャークトルネード、本当の海賊ってやつを教えてあげるよ!」
「そうよ、この島は元々あなたのモノじゃないのにね!」
 びしりとコンキスタドールを指差し宣言するシャーリーに、在原・チェルノ(流星忍姫チェルノ・f06863)も同意して。
「あたしは流星忍姫チェルノ!フラスコチャイルドの皆に自由を与えに来たわ!」
 続けてチェルノの名乗り。それを受けてコンキスタドール。
「…ギャッハハハハハハハ!!お遊戯気分で喧嘩しに来たってか!こいつぁ傑作だ!ギャハハハハハハ!!」
 可笑しくて仕方がないと言わんばかりの馬鹿笑いで応える。憤りを覚える二人だが、彼女達を制する手が前を遮る。ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)だ。
「抑えろ、今はまだ仕掛ける時じゃない。それより…」
 コンキスタドールに気取られぬよう話しつつ、戦場一面に広がるアスファルトの地面へ視線を走らせる。
「他人から奪って好き勝手使う、それこそ海賊ってモンだ!世の為人の為なんて言ってられるのは世間知らずのガキだけだ、お前らみてぇのな!」
 一方のコンキスタドールは完全に悦に入った様子で、三人への罵倒も交えつつ己の海賊論を語りだす。三人の相談にも全く気付いていない様子。
「…シャーリーちゃんが動いたら、あたしが仕込みに行くんだね」
「うん、ボクとウィーリィくんで追い立てていくから」
「それまでは俺達のフォローを…」
 三人の方も、彼の語りを聞き流しつつ作戦を話し合う。一応聞いている風を装うため、視線は彼方へ向けながら。
「…っつぅワケで、この島の全ては俺のモンだ!だから何をしたって許されるってコトだ!わかりまちたかねぇ~?」
「で、話は終わりか?」
 そしてコンキスタドールの語りが終わったところでウィーリィ達の相談も終わった様子で。煽るように問うコンキスタドールにウィーリィの叩き斬るような返答。
「…あ?」
「あなたがどれだけ自分勝手で汚い小悪党か、ってのはよーく分かった!」
「あなたをやっつけて、フラスコチャイルドの皆を解放する!それは変わらないよっ!」
 口々に答えるチェルノとシャーリー。
「…って訳だ!とっととこの島から出て行ってもらうぜ!」
 そして大包丁を抜き放ち突きつけながら、ウィーリィが宣言する。
「…これだけ行っても分からねぇか、救いようの無ぇバカガキ共だな!」
 怒るような、嘲るような声音でコンキスタドールが返せば、その上空に浮かび上がるは朽ち果てながらも不気味な威圧感を放つ海賊船。
「野郎共!このクソガキ共を教育してやれ!カラダにたっぷりとな!」
 号令に応え、ボロボロのカトラスを構えた奴隷戦闘員の亡霊が次々と船から飛び降り、三人へと迫る。
「よし二人とも!作戦通りいくぞ!」
 それらを見据えつつ、ウィーリィは駆け出す。目指すはコンキスタドールただ一人。
「うん!フォローするよ、ウィーリィくん!」
 応えたシャーリーはマスケット銃型熱線銃を抜き放ち、迫る奴隷戦闘員へ撃ち込みながら彼を追う。
「二人の邪魔はさせないんだから!」
 別方向から彼らを追わんとする奴隷戦闘員へは、チェルノが放った硝子手裏剣が突き刺さり、その身を消滅せしめてゆく。

「はぁぁっ!」
「ぐぅっ!?て、てめぇ、そいつは武器じゃ…!」
 ウィーリィが振り下ろした大包丁の一撃をカトラスでどうにか受け流すも、衝撃に呻くコンキスタドール。
「…ちぃっ、だがな!」
 だが彼も黙ってはいない。何処からともなくラッパ銃を取り出せば、至近距離からおもむろに発砲する。
「くっ!」
「へへっ、俺は海賊だからな!お行儀のいい戦い方なんざしねうぉぉっ!?」
 鉄鍋で咄嗟に防御するも、これではうまく近づけない。歯噛みするウィーリィに勝ち誇るコンキスタドールだが、そこに飛び来た熱線に思わずたじろぐ。
「それならボクもお相手するよコソ泥さん!間合いはこっちの方が長いんだから!」
「このガキ!また人をコソ泥呼ばわりしやがって!」
 シャーリーが乱れ撃つ熱線銃の射撃に、思うように攻め込めぬコンキスタドール。そこへウィーリィの大包丁が振るわれ、腕が浅く裂かれる。
「…シャーリーちゃんが動いた、よし…!」
 一方、手裏剣を乱れ放ち亡霊奴隷達と交戦していたチェルノ。シャーリーが仕掛けたことに気付けば彼女も行動を開始。ありったけの硝子手裏剣を周囲に乱れ撃った後、その場から徐に姿を消し。

「はぁぁっ!」
「ちっ!…ぇ?」
 ウィーリィの気合の一振りに身構えるコンキスタドール。だがウィーリィの斬撃は来ず。一拍遅れてウィーリィが更に動く。
「残念、こっちが本命だ!」
「ぐわぁっ!?こ、小癪なコトしやがって…!」
 もう一歩の踏み込みと共に振るわれた一撃、コンキスタドールはカトラスでどうにか受け止め、しかし衝撃で半歩後退る。そして彼は『そこ』の傍まで。
「逃がさないんだからっ!」
 そこへシャーリーの熱線による追撃。飛び退き回避を試みて…
「…ぬおぉぉっ!?」
 突如転倒。見れば、その足元。アスファルトのひび割れがより広がり、小さいながらに穴が開いていたではないか。先程まではこんな穴はなかったはず、では何故。
「引っかかったわね!こっそり穴を広げさせてもらったのよ!」
 声の方向、その空間が揺れ。チェルノの姿が露となる。その周囲に、迸る紫の雷光を引き連れて。
「そしてこの隙、逃がしはしないわ!闇を斬り裂け、雷の刃よ!」
 片手を突き出すと同時、雷光が無数の手裏剣を形作り飛翔。コンキスタドールも、海賊船も、残る奴隷戦闘員も諸共に貫き、斬り裂いてゆく。
「ぐあぁぁっ!くそっ、てめぇぇ…がはっ!」
「王様気取りで島に引きこもってるあなたに!海賊を名乗る資格なんて無いんだよ!」
 悪態と共に立ち上がろうとした彼の胸元に、熱線が立て続けに撃ち込まれ貫く。シャーリーが放った熱線の、精密集中射撃だ。そして。
「どんなに欲深な奴でも!手を出しちゃいけない宝物ってのはあるんだよ!」
 痛撃に動けぬコンキスタドールへ突撃するはウィーリィ。大包丁を振りかざし、防御を捨てた全力の攻撃姿勢。
「それは…『人の自由』だ!」
 渾身の力を以て繰り出される、袈裟懸け一閃。コンキスタドールの胸を深く斬り裂いた。
「が…はっ、てめぇら…!何の得があって、こんなこと…!」
 喀血しながらも、未だ闘志を失わぬ様子で。憎々しげに呻くコンキスタドールに、チェルノが宣言する。
「言ったでしょ?あたし達は『正義の味方』なんだって!」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

彩波・いちご
【恋華荘】
この島は、私達のものでもなければ、あなたのものでもありません
さぁ、出ていってもらいましょうかっ

理緒さんが海賊流戦闘術の武器を打ち消しあって戦っているので、そのフォローをしながら【異界の深焔】の炎を呼び出して攻めますが
それでも向こうの手数に押され、理緒さんが斬られはじめ
「あぶないっ」
咄嗟に前に出て身体を盾にして庇います

勢い余って理緒さんを押し倒してしまいましたが…
あと、ビリって何か布が破れた音、が?
【避けきれない偶然の出来事】で攻撃は打ち消しましたが、代わりに斬られた服を破いて剥いてしまって…
理緒さんの地肌が目の前に…
「ご、ごめんなさいー?!」
セナさんもそんな目で見ないでっ?!(汗


セナ・レッドスピア
【恋華荘】
島も、そこのみんなも独り占めして、ひどい事いけない事たっぷり…
これ以上そんなことはさせませんっ!

トリニティ・エンハンスの水の魔力で防御力を強化!
みんなを守りながら戦います!

でも敵はなかなか狡猾で、素早く理緒さんを狙って…!
そのため庇いきれず、私も理緒さんも服がボロボロに!?

それでもみんなの為、恥ずかしさを振り切って戦っていたら
後ろで2人の声が!?

思わず振り向いたら…
いちごさんが理緒さんにとらぶる発動してました!?

私が守ってるからってそいういう事しちゃいますー!?

そして、トリニティ・エンハンスを炎の魔力に切り替えて
もやもやハートを振り切るように敵へ攻撃します!

(2人に混ざりたかった…)


菫宮・理緒
【恋華荘】

島はいらないけど、
女の子を雑に扱ったことの責任は取ってもらおう。

と、前にでて攻撃。
【虚実置換】で相手の武器を消していく方向でいこう。
攻撃と防御いっしょにできて、一石二鳥だよね。

って、あれ?
「思ってたより攻撃早い! 間に合わないー!?」
途中で消しきれなくなって服を切り裂かれだしたら、
いちごさんとセナさんのフォローもあって、
なんとか下がれた、けど、服がぼろぼろだよー。

いちごさんに庇ってもらいながら、
なんとか攻撃しようと思ったら……あわわわっ!
バランスを崩していっしょになって、転んじゃった!?
押し倒されると、ぼろぼろのお洋服が完全に脱げちゃって、
……そ、その、まだ戦闘中だよー?(真っ赤)



「…ヘヘッ、ちょいと貧相だが上玉ばっかりじゃねぇか」
 コンキスタドールは新たに現れた三人の猟兵――【恋華荘】の面々を前に下劣に笑う。その身には既にかなり傷も増えているが、その欲望に衰えは無い。
「…一人は男か。まあ、だが悪くねぇ」
「そこは悪いって言おうよ!ってかいちごさんをそんな目で見ないで!」
 そんなコンキスタドールの感想に菫宮・理緒(バーチャルダイバー・f06437)が抗議する。このコンキスタドール、男もいけるらしい。
「男の人相手でもそんないけないことしようなんて…どれだけ欲が深いんですかっ」
 セナ・レッドスピア(blood to blood・f03195)も憤りを見せるが、少し戸惑いも見える様子で。
「そうやって何でも自分のモノ扱いして!この島だって、私達のモノでもなければあなたのモノでもないんですよ!」
 目をつけられた当人である彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)は嫌悪感も露に宣言するが。
「ギャハハハハ!この島にあるモンは全部俺のモンだ!俺がそう決めたからな!」
 変わらぬコンキスタドールの強欲ぶりである。
「ですがそれもここまでです!これ以上、島のみんなにひどい事いけない事はさせませんっ!」
「女の子を雑に扱ったことの責任、取ってもらうよ!」
「ハッハァ!俺のモンをどう扱おうが俺の勝手よぉ!当然の権利だ!寧ろそれを勝手に取り上げようっててめぇらがこの島じゃ悪者なんだよ!」
 セナと理緒の宣言にも下劣な笑みを崩すことなく。手前勝手な略奪者の論理を並べ立てるコンキスタドール。
「さぁ野郎共!ルールも守れねぇこのクソアマ共を躾けてやりな!」
 再び現れる海賊船、朽ち果てながらも威圧感衰えぬそこから飛び出してくる奴隷戦闘員達。
「それは此方の台詞です!全員この島から叩き出してあげますよ!」
 対抗していちごが呼び出すは、異界の門より溢れ出す蒼き焔。戦闘員の亡霊達を次々と巻き込み焼き払ってゆく。
「ちっ、やりやがる!だがなぁ!」
 次々と亡霊達が焼かれてゆく様に舌打ちしつつも、コンキスタドールは更なるユーベルコードを行使。ラッパ銃を作り出し発砲せんとする。
「蜂の巣に…って、何っ!?」
 が、理緒に向けて引き金を引こうとした途端、それは跡形もなく消失する。
「そんな物騒なものはしまっちゃうよ!」
 タブレットを構える理緒、その表面に指を走らせる。以て発動した彼女のユーベルコードが、コンキスタドールの手の銃を消し去ったのだ。
「ふん、一回消しただけでいい気になるな!」
 だがコンキスタドールは逆の手に再びラッパ銃を生み出す。予め理緒に向けて構えられていたそれは消されるより早く弾丸を撃ち放つ。 
「させませんっ!」
 理緒目掛けて飛翔する弾丸、その行く手を阻んだのはセナだ。己の身を包む水の魔力にて防御膜を展開、弾丸を受け流す。
「ちぃっ!鬱陶しいクソアマ共め…うぉっ!」
 その間に再び理緒に銃を消され歯噛みするコンキスタドール。そこへセナが血槍を構え突きかかり、彼の脇腹を浅く抉る。
「これが私達の連携です!偉ぶっているだけのあなたとは違うんですから!」

 セナが前衛として二人を庇いつつ攻撃、いちごが蒼焔にて援護。敵の反撃は理緒が武器を消去することで妨害。その連携を以て、コンキスタドールへ着実にダメージを積み重ねていく。
 だが、そこに一つの誤算が存在した。
「オラオラどうしたぁ!手が止まってんぞぉ!」
 左右に駆けながらコンキスタドールがラッパ銃を発砲。散弾の如くばら撒かれる弾が理緒の着衣を裂く。
「お、思ってたより攻撃早い!間に合わないー!?」
 理緒の妨害にコンキスタドールが対応、消されるのを見越した上で銃を再召喚し即座に発砲するという戦術を用いだしたのだ。更に左右への移動も合わせれば、理緒が狙いを定め画像を上書きしユーベルコードで現実に反映、という手順を踏む間にどうしても数度の発砲を許してしまう。
「くっ、なかなか狡猾な相手ですね…!」
 セナのカバーも追いつかず、十分な防御体勢を取る余裕もない。故に防御膜を貫いた弾丸が、彼女の着衣も斬り裂き。セナも理緒も、かなり素肌の見える状態となってしまっている。
「ギャハハハ!いい格好になってきたじゃねぇか!そぉら、隙だらけだぜ!」
 理緒がユーベルコードを以て銃を消すが、即座に逆手へ再召喚。セナを振り切るように走りながら、理緒を狙った銃弾を放つ。
「あぶない、理緒さんっ…!」
 この位置ではセナは間に合わない。咄嗟に駆け出したいちごが、理緒へ横合いから飛び込み抱え込もうとする。
「ぇ、いちごさ、きゃーっ!?」
 そして諸共に倒れ込む二人。その時、何やらびりっという音が聞こえた。まるで勢いよく布を裂くような…?
「だ、大丈夫ですか理緒…さ…」
 起き上がったいちご、理緒を見下ろし無事を確かめようとし…て、硬直。
「い…いちご、さん…そ、その、まだ戦闘中…だよー…?」
 頬を赤らめ、潤んだ瞳でいちごを見上げる理緒。その顔の下を見れば、滑らかなる肌、華奢な肢体が余すところなく露となっていた。コンキスタドールの攻撃でぼろぼろになっていた着衣を、いちごが飛び掛った拍子に偶然にも引き裂いてしまったのだ。最早必然と紛う程に的確な、いちごのとらぶる体質の発露である。
「ご、ごめんなさーい!?わ、わざとでは!!」
 いちごもまた顔を真っ赤にして弁解するが、視線は理緒から離せず。
「い、いちごさん…私が守ってるからって、そういう事しちゃいます…!?」
 騒がしい様子に振り向いたセナ、いちごの狼藉にじっとりとした視線を向ける。それは怒りというには少々異質な視線で。
「セナさんもそんな目で見ないでー!?」
 いつもの弁解を繰り返すいちご、満更ではなさそうな理緒。それが悪いとは思わないものの、胸中に渦巻く言い知れぬ感覚。
(…なんでしょう、ちょっと…いえ、ちょっとどころでなくもやもやします…!)
 その不快な、しかし何処か熱を帯びた感覚に、セナの槍握る手に力が篭る。直後、その身を覆っていた水の魔力が両手へ…そして握り締める槍へ集束したかと思えば。魔力は炎の属性となって、槍を包み力を与える。
「…この感情のぶつけどころが分からないので!あなたにぶつけさせてもらいます!」
 徐にコンキスタドールへ向き直ったと思えば、叫びながら突きかかっていく。突然のとらぶるに呆気に取られていたコンキスタドールは、いきなり始まった猛攻に焦り。
「な、てめぇ!?八つ当たりするんじゃねぇ!?」
 カトラスを抜き応戦するが、その攻勢は彼の力でも捌ききれるものではなく。瞬く間に傷が重なり。
「ぐぁぁ!?こ、このぉ…っ!」
 全力で突き出した槍の一撃が、右肩を深く抉り抜いた。
(…私も、二人に混ざりたかった…!)
 尚、セナのその時の感情はこうであったとか、なかったとか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミヤコ・グリードマン
あんたがこの島を牛耳ってるクソ野郎ね!
ナニも知らない可愛いフラスコチャイルド達をこれ以上好き勝手させないわよ
骸の海の藻屑にしてあげるから、覚悟しなさい!

前章の真の姿からもう1段階変身
成人したナイスバディになりつつ、UCで分身して挟み撃ちね
で、敵の武器の間合の外から、念動力でサイコバレットをキャッチボール
弾の数はどんどん増やしていくけど、どれだけ避けられるか楽しみね

ついでにガンビットの援護射撃も付け足して逃げ道は塞いでおくわね
まさかと思うけどフラスコチャイルドを人質とかされたくないし

【連携アドリブ歓迎】



「く、くそ…!どうして俺がここまでやられなきゃなんねぇ…!」
 全身に傷を負いながらも立ち上がるコンキスタドール。
「俺はこの島を見つけた、俺はこの島で一番強い、だから俺がこの島の支配者…!簡単な理屈だろうが…!」
 彼にとって、己によるこの島の支配は当然の権利であり、猟兵による支配の破壊は其を踏み躙る理不尽そのもの。己がこの島の絶対者であるという自負、虚栄心からくる妄執が、今の彼を動かしていた。
「そうね、簡単な理屈ね。それがあんたの中でしか通用しないから、私達にブッ壊されるのよ」
 そんな彼の前から声がする。見れば、そこに立つのは四腕を具え触手じみた髪を靡かせる、瑞々しく豊かな褐色の肢体の美女。原初の戦女神じみた彼女はミヤコ・グリードマン(海賊王女・f06677)、その真の姿を更に一段深めた姿。
「もう随分とボロボロじゃない。あんたみたいなクソ野郎には似合いの格好ね」
 その背丈は大柄なコンキスタドールを見下すことすら可能な程。睥睨しながら言い放つ彼女に、コンキスタドールは更に怒りを昂ぶらせ。
「ふざけんじゃねぇ!力こそ正義!強い奴は何しても許される!それがこの世界の掟だろうが!」
 ユーベルコードで生み出した鎖鞭を振るい、ミヤコを打ち据えんとする。しかし彼女は小さく背後へ飛び退くのみでそれをかわし。
「そう。それなら尚更。あんたはここで死ぬしかないってことね」
 腕の一つを掲げれば、放たれるはサイキックエナジーの弾丸。かわそうと身を捻った瞬間、逆側からも同じ弾丸が飛来。太腿へと深くめり込む。
「が…ぁっ!?」
「これで挟み撃ち。さあ、いつまで逃げられるかしら?」
 反対側にいたのもミヤコ。正確には彼女のユーベルコードで生み出された分身。二人のミヤコがコンキスタドールを挟み、エナジー弾を交互に撃ち出しているのだ。その様は二人でキャッチボールをする様にも似て。
「ぐっ、ぅ、ぐあぁ!て、てめぇ…!俺を嬲り殺しにでもするつもりか…!」
 憎々しげに唸りながら回避を繰り返すコンキスタドールだが、かわしきれず徐々に傷が重なる。脱出を試みようとすれば、いつの間にか展開されていたガン・ビットが撃ち込まれ足を止めさせる。
「ええ勿論。あんたが虐げたフラスコチャイルド達に比べれば、これでも十分優しいと思うわよ?」
 徐々に弾丸の数が増え、回避しきれぬコンキスタドールの身が次々と削れ、穿たれていく。
「ちくしょう…ちくしょう…!!俺は!俺はこの島の…!!」
「王様は今日付けで追放よ。骸の海の藻屑と消えなさい」
 最早虫の息となったコンキスタドールへ、前後のミヤコが同時に、四腕全てからエナジー弾を一斉発射。かの暴君の四肢が千切れ飛び、胴体にも穴が穿たれる。
「が…は…っ、渡さねぇ…渡すもんか…この島は…俺、の、もの……」
 四肢を失い地面に転げ落ちても尚。最期の最後まで、その妄執を抱えたままで。コンキスタドール、略奪船長は骸の海へと還っていった。

 暴君が斃れると同時、戦いを見守っていたフラスコチャイルド達が飛び出してきて猟兵達を囲む。
 これまでのかの者の暴虐の数々を訴える者、それによって死んだり奴隷として売り飛ばされていった仲間のことを嘆く者。そしてそれらの理不尽の元凶が滅びたことを喜ぶ者。彼らが一様に告げるのは、猟兵達の力への驚嘆と、為した行いへの感謝。
 長きに渡りコンキスタドールに支配されてきたヴァンデルム島は、今、ついに自由を取り戻したのである。

成功 🔵​🔵​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年04月07日


挿絵イラスト