緋色の欲望が映る桜海
異なる世界それぞれの一部が落ちてきた『島』がグリードオーシャンの世界に浮かぶ。
サクラミラージュから落ちてきたその島はオーカ島と呼ばれ、幻朧桜によく似た桜の木々が潮風に吹かれながら絶えず咲く。
島の北外れの船着き場、朽ちた船が折り重なり瓦礫で塞がれている『船の墓場』にも桜の花びらが舞っていた。
水面に桃色が触れる前に広がるのは鮮血。
切り捨てられた人間を前に、白い衣服をまとった女は表情を変えず水面をぼんやりと眺めていた。
「あーあーあー……いい加減にして欲しいんだけどなあ。なあ?」
下卑た声、大げさに振るった刃を弄ぶのは海賊。
「このグレゴア様にお姫様をよこす。そして花が咲いている木を切って渡す。単純明快な話なのによう。邪魔ばっかりだなあ。おう」
返り血が手についたまま海賊は女を抱き寄せた。
「なあ、なあ、チェイリ。綺麗なもんは俺の物、だからよう。欲しいんだよう」
お姫様を開放して欲しければ今以上に花を咲かせる木を切って献上しろ。
こと切れた死体を蹴り飛ばしながら海賊は笑う。
簡単な取引も会話も出来ないなんて馬鹿ばっかりで困るんだよなあと道化のように、しかし殺意は隠さず笑い続ける。
「とにかくよう、ひらひらした花がよお。欲しいんだよう! なあ! ガハハハハッ!」
酒臭い息を浴びせ、面白おかしいといったばかりの様子でグレゴア──『略奪船長』と謳われる海賊のコンキスタドールは嗤い声を響かせる。
「……貴方にはこれ以上渡さない」
オーカ島の人々の暮らしを見守ってきたあの木の花──サクラ、という名で呼ばれてきた薄桃色を渡してなる物か。
私を犠牲にしても、と女の小さな声が折り重なる船の死の中に溶け、桜の花びらが舞い落ちる。
歪に切られた桜の木々からしおれた花びらが零れていた。
●グリモアベース
「新たなる世界グリードオーシャンが見つかったのじゃ。そしてピンチなのじゃー!」
グリモア猟兵氷長・霰(角型宝石人形、なわけないのじゃ角娘じゃ・f13150)が海図を持って猟兵達を手招く。
「皆にはサムライエンパイアを経由し鉄甲船に乗ってオーカ島に乗り込んで貰いたいのじゃ……少しばかり問題があってのう」
グリードオーシャンの気候のせいか、グリモアの予知やテレポート、そして島間の飛行が阻害されている。
「この世界ではグリモアの届く範囲が限られているのかのう。しかし起きる事件は予知できておるぞ!」
舞台はサクラミラージュから落ちた『オーカ島』。
幻朧桜によく似た桜は潮風を浴びながらも年中咲き誇り島の人々の笑顔の傍にある。
「オーカ島の人々の前に現れたのは海賊のコンキスタドール──オブリビオン『略奪船長』なる存在。奴はオーカ島を乗っ取り酷い掟で人々を苦しめている」
島を治める一族の娘チェイリを人質に突きつけられた掟、島の桜の木を切って献上する。それは島の人々の心と反逆の意思を砕き、美しい物を泥まみれの手で穢す下品な快楽を与える為にか。
「略奪船長は島の北はずれにある船着き場、といっても今は『船の墓場』など呼ばれる難破した船が集まった場所にチェイリを監禁しておる。まずは彼女を助け出してもらいたい」
コンキスタドールとの戦いが始まれば島民も猟兵を支援、或いは協力してくれるだろうと霰は付け足す。
「チェイリが監禁されている場所は瓦礫の中。真正面から、或いはこっそり忍び込んで助け出すかは任せる。島民から『船の墓場』の詳細などを聞き情報収集するのもいいかのう」
悪の掟に縛られ蹂躙されているオーカ島の人々を助けてほしい。
手を振りながら霰は猟兵を送り出した。
硅孔雀
ここまで読んでいただきましてありがとうございます。
硅孔雀です。
グリードオーシャンでの依頼になります。
●目標
コンキスタドール『略奪船長』の撃破。
●構成
1章:花嫁を奪え。
オープニングにありました通り、花嫁?チェイリを船の墓場と呼ばれる瓦礫の山から助け出してください。
2章:集団戦。
3章:ボス戦。
となります。
●舞台
サクラミラージュの面影が残るオーカ島。
島中には幻朧桜によく似た桜の木が所々に咲いています。年中咲いているようです。
コンキスタドール『略奪船長』ことグレゴアが島の娘チェイリを花嫁候補だと誘拐、監禁しているため島の人々は表立って行動が出来ません。
猟兵の皆様の行動についてはある程度は黙認、あるいはこっそり支援してもらえるかも?な状態からスタートです。
第1章 冒険
『花嫁を奪え』
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POW : 正面から障害を乗り越えて、花嫁を助け出す
SPD : こっそり忍び込んで、花嫁を助け出す準備をする
WIZ : 必要な情報を集め、花嫁奪還の為の計画を練る
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●オーカ島の海の色。
青空を溶かし込んだような澄んだ青がゆらゆらゆらめく。
水玉模様のように波で海岸に色を付けるのは桜の花びらの薄桃色。
潮風が熱気を纏いオーカ島を吹き抜ける。
島民達はその手に古い大工道具をとり、桜の木の根元に当てる。
「ごめんな、これもあいつの……」
「チェイリ様を助けに行ったあいつは」
「……さっき浜に打ち上げられていた。くそ、くそ……!」
島民の間で何度も試みられた船の墓場に囚われているチェイリの救出。
その度に、青と薄桃色を映していた海に緋色は広がる。
神代・凶津
ここが新世界『グリードオーシャン』か。
だがのんびり観光って場合じゃ無さそうだな、相棒。
「・・・早く助け出さないとね。」
先ずは情報収集だな。
何でもいいから島の連中から『船の墓場』とやらの情報を得られればいいんだがな。
まあ、俺達が来たからには花嫁は救出してやるから安心しとけって伝えるか、相棒。
「・・・チェイリさんは、必ず助けます。」
情報収集して船の墓場に着いたら【捜し鼠】で花嫁の居場所を探って出来るだけこっそり救出にいくぜッ!
さあ、花嫁をかっさらいにいこうかッ!
【技能・情報収集】
【アドリブ歓迎】
木常野・都月
◎
略奪自体は…自然界じゃよくある事。
生きるために行われる普通の行為だけど、今回は食べ物じゃない。
パートナーの話だろう?
発情期の野生の狐だって、求愛ダンスして相手に断られたら諦める。
それを略奪って…野生の獣以下だな。
雄の俺でさえ、こんなやり方、いい気はしない。
ヒトの女性…チェイリさんは、たまったもんじゃないだろう。
早く解放してあげないと。
まずは風の精霊様に[情報収集]を頼みたい。
[野生の勘、第六感]を使って、チェイリさんの居場所を特定したい。
大体の場所が分かれば、後はヒトの匂いを探せばいけるかな。
であれば、狐の姿で匂いを辿りたい。
中に入れなさそうな場所まで来たらUC【狐の追跡】を使用したい。
数宮・多喜
◎
さぁてやってきました新世界!
桜の花も綺麗だってのに、
いけ好かない野郎もいたもんだねぇ。
ここはアタシも、ちょいと一肌脱ぎますか!
まずは島の住人に接触し、『コミュ力』でそれとなく
船の墓場について『情報収集』する。
もちろん、助けに行くって事は伏せとくよ。
ただただ怖がる感じで、
海じゃなく島の山側から越えるルートがないか聞いてみる。
無理なら海路を行くしかないだろうけどねぇ……
ともあれ首尾よく抜け道が分かったら、
島の娘ぽく『変装』して船の墓場に潜入さ。
グリモアでの長距離転移は無理だって話だけど、
島内でなら大丈夫だろ?
チェイリさんを一目でも見かけたなら、
そのまま【縁手繰る掌】で一緒に皆の所へ転移するよ!
「さぁて、やってきました新世界!」
船からジャンプし、砂浜に両足を付ける数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)の焦茶色の髪を潮風が揺らす。
「ここが新世界グリードオーシャンか」
「……ええ」
「だが、のんびり観光って場合じゃ無さそうだな、相棒」
ヒーローマスクの神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)が相棒の神代・桜の頭の上から見える島の姿を見渡す。
「桜の花も綺麗だってのにいけ好かない野郎がいたもんだねえ」
二人の会話を聞いていた数宮も海岸から見える景色を眺める。
「ここはアタシもちょいと一肌脱ぎますか!」
「……早く助け出さないとね」
ああそうだ、行こうぜと凶津が力を込めた声を上げ、桜が砂浜に足跡を残していく。
(略奪自体は……自然界じゃよくある事だ。生きるために行われる普通の行為だけど、今回は食べ物じゃない。パートナーの話だろう?)
潮風と鴎の鳴く声が木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)の狐の耳を揺らす。
(発情期の野生の狐だって、求愛ダンスして相手に断られたら諦める。それを略奪って……野生の獣以下だな)
雄の俺でさえこんなやり方いい気はしない──どこまでも青い空の向こうへと視線を向ける。
人の女性、チェイリが捕らえられているという船の墓場。
(たまったもんじゃないだろう)
「早く解放してあげないと」
木常野の声に答えたのか海鳥が鳴いた。
オーカ島の中心部、人々の顔はどこか暗い。
「先ずは情報収集だな。何でもいいから島の連中から『船の墓場』とやらの情報を得られればいいんだがな」
「とりあえず、アタシらを……歓迎はしているのかな」
数宮が見る限り島民が拒絶している様には見えない。
「……風の精霊様も俺達を拒否していない」
潮風に揺られる桜──サクラミラージュの名残を木常野は見上げる。
「……ありがとう。綺麗な花が無くなることはない。俺達がさせない」
びゅうと風が吹き、風の精霊との会話が終わった木常野は二人の元へ駆け寄る。
「『島の北に不吉がいる。みんな悲しい顔をしている』……それに、」
血と爛れを含んだ風を運ぶのはもう嫌だ、と嘆いていた。
「船の墓場って所は危険みたいだな。血の匂いとなると何人も」
犠牲が出ているのかと凶津が改めて島人達の顔を見回す。視線があった壮年の男性が話しかけてきた。
「貴方達がお客様ですか。オーカ島へようこそ」
「ちょいと少し船の調子が悪くてね、立ち寄らせてもらった。船を寄せられる船着き場に着けたほうがいいかな」
船着き場。男性が一瞬顔をこわばらせる。
「船着き場は林を抜けて、山道を行った先にあります。ですがその。難破船の残骸が打ち寄せて塞がってしまいまして、早く片づけたいのですが……」
数宮は少し怯えた顔を見せる。
「腐敗したものやら何やらが多くて、人手を集めてる所なのですが。しかし船が直せない分には皆さんも大変でしょう」
「お気遣いありがとう。海から船を回すには難しそうなら、山側から様子を見に行ってみようかな……」
怖がりながらも船の墓場の話を聞きだす数宮の策は上手くいき、男性からオーカ島の案内を熱心に聞きこんでいる。
「花嫁の話をしないってのはそんだけ皆恐れている、か」
少し離れた場所にいた凶津と桜。鬼の仮面が喋っていると顔色の悪い女性が飲み物を手渡した。
「おお、ありがとな!」
桜がぺこりと頭を下げ飲み物を手に取る。
「何とかしてあげたいんですけどね……あの船着き場は……」
凶津は僅かに震える女性の手。
(なあ、相棒)
小さな声で桜に話しかける。彼女は飛び切り具合が悪そうだ。
自分達猟兵に声をかける島の女性、となると、彼女は恐らく。
(だったら、俺のかける言葉はこれだ……!)
「なあ。花嫁は、必ず助け出すから安心しとけ」
「……ッ! あ、あの」
「……チェイリさんは、必ず助けます」
女性は目元に涙を浮かべ凶津へと顔を向けた。
「ありがとうございます。娘は、船の墓場に一人で……!」
一人娘だと女性が泣き崩れた背を桜がさすり凶津は島の北を睨む。
「絶対に、絶対に助け出してやるからなッ! さあ、花嫁をかっさらいにいこうかッ!」
桜と数宮は島民から借りた衣服を上に羽織り、島の娘のように身を整えて変装をし北へと歩む。
狐へと姿を変えた木常野はヒトの匂いを嗅ぎ道をかける。
匂いの中に塩が混じり、どろりとした不快な風が吹き抜け──。
「……ついた」
船の墓場。
数隻の船がその体を崩壊させながら不出来な砦のように水上に浮かんでいる。
「ひでぇな。ここに一人はやばそうだ」
凶津が苦々しく呟き。
「……式、召喚【捜し鼠】」
ユーベルコード:式神【捜し鼠】(シキガミ・サガシネズミ)が発動し、式神の鼠達が砦へと駆けあがった。
「桜、道はあったか……?」
「……ええ」
「よし、救出にいくぜッ!」
息をひそめ鼠の後をが追いかける。
腐った床を避け不気味な声で鳴く鳥をやり過ごす。
船から船へと飛び移り、カビと赤黒い染みが目立つ行き止まりの前に猟兵達は立っていた。
「中に入れなさそうなら。分身の俺、追跡頼む」
木常野の声と共にユーベルコード:狐の追跡(キツネノツイセキ)が発動した。
妖気で出来た自分の分身となる狐が式神の鼠を追うように瓦礫の合間から潜り込む。
「中は……灯りはある。人の息の音もある」
チェイリが生きていることを確かめながら木常野の探索は続く。
式神の鼠達が壊れた船と船との間を利用するように作られた空間を抜け、五感が繋がった狐が静かに追跡し──。
「……ネズミ?」
瓦礫越しに小さな女性の声が聞こえ、数宮が顔を上げた。
「島内でユーベルコードが使えるならアタシの力で転移できる」
チェイリの姿を見ることが出来たらという数宮の声に凶津が桜に呼び掛ける。
「相棒、ここまできたらやってやろうじゃねえかッ!」
「……はいっ!」
式神へと想いを伝え、式神達を操り、チェイリを誘導する。
猟兵達とチェイリのいる場所、それぞれの位置の把握は木常野の分身となる狐が行う。
何度か船が軋み、白い服が潮風に揺らめいているのを数宮の瞳が捉えた。
「捕まえた、そこっ!」
数宮のユーベルコード:縁手繰る掌(アポート・アンド・テレポート)は認識した対象と共に、任意の味方の元へとテレポートが可能である。
風が吹き、周囲の空気が揺れ、そして数宮が消えたと思えば。
「……きゃっ!」
「おっ、と!」
そこには白いワンピースに装飾品──悪趣味な金飾りがまるで囚人の足かせをも思わせる品々を身に着けた女性が倒れ込んでいた。
「貴方、達は?」
桜が羽織っていた服をそっとかけ、凶津が様子を確かめる。
顔にうっすらと残る赤い痣にぎりと鬼の仮面の表情が変わった。
「俺は、俺達は花嫁をかっさらいに来たんだ」
「この島に……獣以下の存在がいることは知っている」
木常野は周囲を見渡し、脱出劇の出口を探る。まだ『略奪船長』らしき悪意は感じられない。
「アタシ達は、チェイリさんを……いけすかない野郎をぶん殴ってやるのさ」
チェイリは瞬きしながら猟兵達を見回し──小さく息を吐き、立ち上がる。
「ありがとうございます。でも……ここは略奪者の根城。グレゴアは、船の墓場全てを」
ぐらり、と地面、船体の寄せ集めが傾く。酒瓶が叩きつけられる音。
「──ああ、どうにか、船の墓場から、逃げださないと」
泥や赤黒い染みに覆われた不安定な足場、尖った材木は槍のように鋭く地面や壁から生え。
侵入者を逃がさない檻の如く猟兵達を船の残骸が取り囲む。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
※状況変化
【チェイリはグレゴアの近くから離れ現在中心部に】
【船の墓場は腐った材木等が散乱し迷路のよう。中心部からの脱出には要工夫】
【コンキスタドールがチェイリがいなくなった事に気が付いているかは不明】
綿津・甕星
ふむ、ふむふむ。美女を無法な海賊から救い出す、と。はっはっはぁ!そりゃあ楽しそうだ。
とはいえ、だ。これだけ瓦礫まみれだとたどり着くのも一苦労。仮にたどり着いても連れて逃げるのも一苦労って訳だ。
仕方ねぇ、あんまり派手じゃ気づかれて困るだろうし、壊しながら進むか!
甕星流喧嘩術・土竜。拳を当てつつ、邪魔なもんを退かしつつ進路と退路を確保していく。
せっかく綺麗な花が咲いてるんだ、花見酒のために気合い入れようかねぇ!
数宮・多喜
◎
大丈夫さ、チェイリさん。
奴がここをくまなく把握してるってなら、
アタシらのやり方でずらかるだけさ。
ひとまず「手をつなぐ」事でぬくもりを伝えて安心させる。
そして早速脱出行のスタートさ!
この不安定な足場、寄せ集めの瓦礫。
ここの『地形の利用』法を見出さないと簡単には抜けられないか。
【熱線銃作成】の応用で適当に分厚い板を錬成し、
艀のように瓦礫の上を渡して足場にする。
材料を尖った木材とかにすれば危険も排除できるだろ!
それでも道を塞ぐ材木類が出てきたらそうだね、
改めて作った熱線銃の『属性攻撃』で焼き切るよ!
なるべく大きな音は立てたくないから、最終手段だけどね。
鬼の…船長の居ぬ間に逃げ出すよ!
薄桃色の花びらがひらりと舞い、海面に触れる。
穏やかな潮の流れとは僅かに異なる揺らめきを綿津・甕星(まるでダメなオーシャンハンター・f26170)の赤い瞳が映した。
無数の傷、ツギハギだらけの己の姿もまた揺らめき。
「ふむ、ふむふむ。美女を無法な海賊から救い出す、と」
ひらひらと薄桃色が舞う。
「はっはっはぁ! そりゃあ楽しそうだ」
せっかく綺麗な花が咲いてるんだ、花見酒のために気合い入れようかねぇ!
ニヤリと口元で笑みを浮かべ、しかし心の中では冷静に状況を分析する。
瓦礫が折り重なった船の墓場の入り口から推測するにたどり着くのも、そしてもし辿り着いたとしても連れて逃げるのには一苦労しそうだ。
(それに、あんまり派手じゃ気づかれて困るだろうし──仕方ねぇ、壊しながら進むか!)
腕をぐるりと回し、空気が揺らめく。
すうと息を吸い、集中する。
「甕星流喧嘩術・土竜ァ!」
ギシ、ギシ。
「……!」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)と、彼女の傍にいたチェイリが顔を上げる。
船の墓場が揺れ、チェイリの顔が曇り──その手に数宮の手が重ねられた。
「あ、あの」
「大丈夫さ。奴がここを把握しているってのなら、アタシらのやり方でずらかるだけさ」
不安定な足場と寄せ集めの瓦礫。
(ここの『地形の利用』法を考えないとねぇ……なら!)
数宮はユーベルコード:熱線銃作成(メーザークラフト)を発動させた。
メーザー銃を錬成するそれを応用して作り上げられるのは。
「よし! これで瓦礫の上に足場は出来た。さて、いこうかチェイリさん。鬼の…船長の居ぬ間に逃げ出すよ!」
艀のように船の墓場を移動する足場。材料は尖った木材。
(危ないもんはこれで排除できるだろ!)
「さあ、脱出行のスタートさ!」
数宮と繋がれた手は温かく、チェイリはしっかりと力を籠め、足場へと昇った。
大きな音を極力立てないようにしながら滑るように、波に乗る海人のように数宮は足場を動かす。
ギシギシと音は続く。
風の音が、風に混じるそれは段々と大きくなり──不意に、目の前に材木の塊が飛び出す。
「くっ……仕方ないねえ!」
咄嗟に数宮が取り出した熱線銃、改めて作り出したそれを構えようとした刹那。
「……邪魔なもんは! こうだ!」
船の墓場に響く破壊音。木材が、足場が、船の墓場が抉り取られ削り取られ残るのは螺旋状の破壊跡。
「……! 猟兵!?」
大丈夫、仲間だ、と数宮は笑う。
「美女を助けに来た、といったところだ!」
綿津のユーベルコード:甕星流喧嘩術・土竜(ミカボシリュウケンカジュツ・モグラ)、拳が当てられた場所から広がる一撃は螺旋状に広がる。
破壊により船の墓場が崩れていく。
「邪魔はこれでなし! 退路は確保してある、さて」
休憩するように腕を振るい、崩壊し裂けた足場から覗く海面に映るのは綿津の姿。
「美味い酒を花の下で飲むにはここは危ない……いくぜ!」
ひょいと数宮が作った足場に飛び移り、再び拳を突き出す。
破壊によって作り出された退路を花嫁と猟兵が進み、進み──。
船の墓場がバキバキと音を立てて沈み始める。
船着き場に降りた二人の猟兵と花嫁、チェイリの瞳に映るのは、雷雲。
「おい、おいおい! 客人か! 客人かぁ!」
狂気の声、コンキスタドールのそれも交じり。
船の墓場から、声が、音が、中から複数交じりで響く。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『呪われた船首像』
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POW : まとわりつく触腕
【下半身の触腕】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 掻き毟る爪
【水かきのついた指先の爪】による素早い一撃を放つ。また、【自らの肉を削ぎ落す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 呪われた舟唄
【恨みのこもった悲し気な歌声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
イラスト:Kirsche
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●変色する海の色。
オーカ島の海の色、澄み切った空の靑が深く姿を変える。
雷雲立ち込める難破船が眠る地からそれは蠢く。
航海よ良きものに、良き略奪を、喧騒を、そして金銀財宝と名声を我に与えよ。
祈りが込められたはずの船首像が魔物化したコンキスタドール『呪われた船首像』。
「おい、おい、おい! 俺様の花嫁になにしてくれんだよお!」
崩壊する船の墓場から猟兵達を睨みつけグレゴアこと『略奪船長』が怒声を放つ。
「お前ら、お前ら憎いだろう! 沈んじまったお前らと違ってあいつらは生きてるんだしよ?」
祈りの果てに過去の海から這いだしたそれはずるずると触腕を這わせ、互いに絡みつき合いながら爪を伸ばす。
「ォ……ォ、ォオオオォオオオオォオオオ!!」
「ぶっ殺してやれぇ!!」
海に漆黒が混じる。
※NPCチェイリは安全な場所に避難しています。
略奪船長の号令で一斉に襲い掛かってくる呪われた船首像との集団戦です。
神代・凶津
漸く敵のお出ましって訳か。
いいぜ、纏めて掛かってきやがれッ!
と、言ったもののちと数が多いか。
ちょうどいいな、相棒の新しい式神を試してみようぜ。
「・・・式、召喚【鬼乗せ船】」
さあ、数はこちらも揃った。
派手に集団戦闘と洒落混もうかッ!
鬼の霊達が大砲を撃ちまくっている戦場を着弾地点を見切りながら駆け抜けて、敵を破魔の力を纏った薙刀でなぎ払ってやるぜ。
そのまま、混戦の中を駆けまくって敵共を斬り捨てまくってやるッ!
「・・・その憎しみを祓います。」
おうよ、相棒。
コイツらを祓って親玉を引き摺りだしてやるぜッ!
【技能・集団戦術、見切り、破魔、なぎ払い】
【アドリブ歓迎】
木常野・都月
◎
海賊っていうのは、皆求愛ダンスも出来ない獣以下のやつらなのか?
少なくとも、この略奪船長とやらを野放しに出来ない。
容赦なく骸の海に戻って貰いたい。
とはいえ、まずは銅像の破壊からだな。
手っ取り早く倒していきたい。
UC【精霊召喚】を使用、呼び出した精霊様には、敵に縋り付いて攻撃、もしくは妨害をお願いしたい。
加えて[範囲攻撃]を乗せた[属性攻撃]で追撃をしたい。
敵の攻撃は[高速詠唱、属性攻撃(2回攻撃)]の[カウンター]で迎撃したい。
船の墓場から這い上がるように蠢く『呪われた船首像』を前に猟兵達は身構える。
(海賊っていうのは、皆求愛ダンスも出来ない獣以下のやつらなのか?)
空気の中にどくどくと瘴気、隠し切れない悪意が滲んできたと木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は周囲を警戒する。
(──少なくとも、あの略奪船長やらは、野放しに出来ない)
「……容赦なく骸の海に戻って貰いたい」
「ああそうだな! いいぜ、纏めて掛かってきやがれッ!」
漸く敵のお出ましという訳か、神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)──神代・桜の頭上でなだれ込もうとする敵を冷静に観察していた彼の口がニヤリと歪む。
「と、言ったもののちと数が多いか……ちょうどいいな、相棒の新しい式神を試してみようぜ」
凶津の声に桜が頷く。
桜が走り出した。船の墓場が音を立てて崩れ、船着き場から離れていく中。
海面へと、桜の体が跳ね、飛び出る。
「な……!」
慌てて桜の背を追いかける木常野、その視線に気が付いた凶津、ヒーローマスクがぐるんと、後ろを向いた。
「ちと数が多い──なら、数を揃えてやろうってね!」
「……!」
空気が震える。桜が、重力に引かれ海面へと落下しそうなったその刹那。
「……式、召喚【鬼乗せ船】」
ユーベルコード:式神【鬼乗せ船】(シキガミ・オニノセブネ)の発動。
海面に投げ出されることなく桜と凶津、そして木常野が着地した場所。
ガチャガチャと金属がこすれあう音、武者震いに叫ぶ彼らの咆哮、そして大砲に込めるための砲弾と火薬の匂い。
「野郎ども、俺と相棒の動きに合わせて援護は任せたぜ!」
応えるのは鬼達。妖刀を掲げるもの、大砲へと駆けだすもの。
幽霊船の式神の式神とその乗組員──鬼の幽霊達は船長たる凶津の一声に合わせ、歓びの声を上げた。
船の墓場の上に立つ幽霊船──召喚された式神。
「成程。これで足場は確保されたのか、なら」
木常野は銅像の破壊のため、幽霊船の甲板へと這ってきたそれをしっかりと見つめる。
(手っ取り早く倒していきたいのだけど……なら)
『精霊様、ご助力下さい』
船の上、海風が吹きつける中木常野の声が空気を震わせる。
『……カゼ、フキアレル』
「……! 来てくれた! 精霊様!」
ユーベルコード:精霊召喚(セイレイショウカン)で召喚されたのは風の精霊。
彼らの使い方、即ち彼らの心を理解できれば尚強くなる。
「ォ……ォオオオ……ォ……」
恨みのこもった、悲し気な歌声のような呻き声が呪われた船首像達の間から響く。
風、声、木常野の脳裏に浮かぶ彼らへの対策。
「精霊様、彼らの喉を塞いでください。彼らを祓うのは俺がやります……!」
木常野の呼びかけに反応し、風が吹き荒れる。
風の精霊が放つ衝撃波が船首像達の間を吹き抜け。
「ガ、ガァァァッ!」
あるものは首が飛び、あるものはひゅうひゅうと漏れる息を両手で塞ぐ。
そのまま敵陣の懐に飛び込んだ木常野が炎を纏った魔法を周囲に展開させる。
バキバキと像が砕け、一瞬元の銅像に戻り──塵となって消える。
「野郎共! 一気に畳みかけろ!」
木常野が攻撃を仕掛け、崩壊が始まった場所を示しながら凶津が叫ぶ。
鬼の霊達が一斉に大砲での砲撃を始め、着弾した球に船首像が砕ける。
「ありがたい」
「おお、俺と相棒もいくぜ!」
砕けた欠片と煙のなか右往左往する船首像達の群れを効率的に木常野が魔法で追い詰める。
破魔の力を纏った薙刀を手にした桜、その頭上で着弾地点を伝えながら駆け抜けるよう叫ぶ凶津。
追い詰められながら水かきのついた指先の爪を伸ばし、猟兵達を掻きむしろうとしたそれは、薙ぎ払われる。
「……その憎しみを祓います」
海上に砕け、溶け、消えていくオブリビオンの顔は空虚でいて──悲しみに満ちていた気がする。
桜の絞り出した声に、おうよ相棒、と凶津が応え。
「コイツらを祓って親玉を引き摺りだしてやるぜッ!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
数宮・多喜
◎
おーおー、湧いて来やがった。
どんだけの船が沈んでるんだよ。
これだけの怨嗟の量、一人一人で受けるのは勘弁だな。
だから……アタシらも集団で対抗するかぁね!
周りのみんなに軽く説明し、【超感覚網】のネットワークを広げる。
そうすりゃ守りはこっちのもんだ、
襲い来る船首像の攻撃の意思に
『カウンター』を合わせるように、
電撃の『属性攻撃』をお見舞いしてやるよ!
『マヒ攻撃』も仕込んでおくから、
思う存分反撃に移ってくんな!
ほらほら略奪船長さんよ、
ご自慢の綺麗どころがピンチじゃねーの?
早く援軍に来た方が良いんじゃねぇか?
と『コミュ力』で煽るのも忘れないよ!
綿津・甕星
勝手に死んどいて生者を恨むんじゃねぇよ情けねぇ。
いやまあ?俺は死んでから生き返ったんで、お前らよりラッキーだってことは間違いねぇか悪いな!!
とまあ、軽く煽った所でぶっ飛ばすか。まだるっこしいのはめんどくせぇ、真正面からぶちのめす。
甕星流喧嘩術・電気鯰ぅ!!!
傷つけば傷つくほど、身に纏う電流と、我が肉体は活性化する。
さあ、道を開けろや死人共。悪いが、てめぇらはお呼びじゃねぇんだよ!!!
無数の呪われた船首像が塵となって消える中、潮の流れで船着き場から離れ始めた船の墓場は段々と面積が小さくなっていた。
しかし、その中心部はなおそびえ立ち、暗雲の中から刃を突き出す略奪船長から瘴気は立ち込める。
「なあ、なあ、お前ら、なんでまだ生きてるんだよお!?」
「は、勝手に死んどいて生者を恨むんじゃねぇよ。情けねぇ」
綿津・甕星(まるでダメなオーシャンハンター・f26170)は呆れたように、しかし赤い瞳はしっかりと瘴気の中央を睨みつけながら言い放つ。
「おーおー、まだ湧いて来るなんてどんだけの船が沈んでるんだよ」
船着き場へと触腕を伸ばすように、陸へと上がっていくオブリビオンの群れを確認しながら数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)は海風になびく焦茶色の髪を撫でつけた。
「まったく。これだけ怨嗟がたまってると来たら……一人一人で受けるのは勘弁だな」
「お? とっておきのユーベルコードでもあんのか?」
綿津の声に数宮はああと頷く。
「ま、アタシを中心にちょいとネットワークを作ってね。戦場では手数が一番ってことで手数を増やすのさ、アタシラも集団で対抗だよ!」
「ほう。それじゃあ思いっきり暴れられるか?」
勿論、と二人の猟兵は暗雲立ち込める船の墓場へと視線を移す。
「それじゃあ、思いっきりあいつら──略奪船長を挑発してやるとするかね!」
ニヤリ、と数宮の発言に口の端を上げ綿津は頷く。
「まだるっこしいのはめんどくせえ。ま、真正面からぶちのめす前にいい運動になるか」
生に尚執着せし死者──オブリビオン達の怨嗟の量を感じながらも数宮と綿津の瞳に曇りは一つもなく。
「ほらほら略奪船長さんよ、ご自慢の綺麗どころがピンチじゃねーの?」
船着き場から数宮が船の墓場を根城にしているオブリビオン、コンキスタドールを煽る。
「早く援軍に来た方が良いんじゃねぇか? なあ!?」
「……殺す! てめぇらを海に沈める!」
飛んでくる略奪船長の怒声、押し寄せてくる船首像達の殺意。
死を望まれていることにツギハギだらけの体を少し見、綿津が笑う。
生きてきたことに執着し、死者は生者を妬む。
「死ぬ、か。……いやまあ? 俺は死んでから生き返ったもんで、お前らよりラッキーだってことは間違いねぇか。──悪いな!!」
二人の挑発に怒声と瘴気、戦場が黒く染まっていくのを数宮は発動させたユーベルコード:超感覚網(テレパシー・ブロードリンク)により、明確に感じ取っていた。
全身を媒介にして味方をテレパスのネットワークで覆う。
ネットワークが完治するのは害意。
「おーおー……殺意ばっちりってやつだ。全体攻撃が捗りそうだ。守りはこっちのもんだ」
カウンターの手段が出来上がったことを高らかに告げる数宮の声に、綿津が動き出す。
「おう。それじゃあぶっ飛ばすか」
足に力を籠め、真っすぐに群れ成すオブリビオンへと駆けだす。
加速する体、そして空気が震え、ぱちぱちとした音と共に生まれるそれ。
呪われた船首像が一斉に下半身の触腕を伸ばし──絶叫と共に閃光が走り、輝く。
「甕星流喧嘩術・電気鯰ぅ!!!」
何が起きたのか分からない、と声なきオブリビオンが反射的に触腕をさらに伸ばす。
「はは、はは! 俺の体はなあ。傷が増えりゃあ電流で我が肉体は活性化する、ってねえ!」
ユーベルコード:甕星流喧嘩術・電気鯰(ミカボシリュウケンカジュツ・デンキナマズ)
全身を覆うのは強力な電流。
敵との戦闘に比例してます電流はもはや稲妻──海を照らす光そのもの。
「さあ、道を開けろや死人共!」
触腕が電流にかき消される。
「おっと、こっちも電撃で攻撃……ってねえ!」
綿津の後ろから駆け付けた数宮もまた攻撃を展開する。
無尽蔵の悪意と怨嗟──船首像の攻撃の意思を返すようなカウンター攻撃を雷撃の力を籠め、叩きつける。
麻痺し、動けなくなった手足をばたつかせるオブリビオンを確認し数宮が笑う。
「奴さん達は動けない、さあ──思う存分反撃に移ってくんな!」
二人の猟兵が産み出す雷撃、生み出される光の奔流は船の墓場を包み込んでいく。
「悪いが、てめぇらはお呼びじゃねぇんだよ!!!」
一際光が全てを白く染め。
船の墓場が崩壊する音が響きわたった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『略奪船長』
|
POW : 海賊船長の長口上
自身の【敵を見下して悦に入り虚栄心を満たす欲求】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD : 海賊流戦闘術
いま戦っている対象に有効な【取り回しの良い片手武器】(形状は毎回変わる)が召喚される。使い方を理解できれば強い。
WIZ : 彷徨える海賊船
【ボロボロのカトラス】で武装した【ガリガリに痩せた奴隷戦闘員】の幽霊をレベル×5体乗せた【朽ち果てた海賊船】を召喚する。
イラスト:山庫
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●オーカ島の桜は散らない。
サクラミラージュからオーカ島が切り離され幾数年。
薄桃色のそれは、とても美しい。
美しいと讃える人がいたから、彼らは生者だから、最早死者には遠い世界だから。
だからコンキスタドールは手を伸ばした。
「あ、あぁぁぁああああああ!!! て、てめえら!!!」
コロス、ぶっ殺す、殺戮の開始だ。
死者はもはや桜の慰めでは引き返せない程に強欲に塗れた海に浸かっていた。
略奪船長グレゴア。
瘴気が折り重なった刃を振りかざす。
神代・凶津
ようやく親玉のお出ましって訳か。
「・・・島の人達の為にあなたを討滅します。」
おうよ、相棒。
さっさとぶちのめして島の平和を取り戻すとしようやッ!
お前さん、とにかくひらひらした花が欲しいんだって?
ならたっぷりくれてやるよ。
この【千刃桜花】をなッ!
破魔の桜花の刃で斬り刻んでやるぜッ!
敵が雑魚を召喚して頭数揃えようが関係ねえな。纏めてなぎ払ってやるよ。
どんだけ抵抗しようがこの桜吹雪からは逃しゃしないぜッ!
今まで散々好き勝手してきたんだろ?
そろそろこの世から退場してもらおうかッ!
【技能・破魔、なぎ払い】
【アドリブ歓迎】
鬼の仮面神代・凶津(謎の仮面と旅する巫女・f11808)と相棒の神代・桜の目の前で略奪船長が吠える。
「……は。ようやく親玉のお出ましって訳か」
仮面から言葉が発せられたことにオブリビオンたるコンキスタドールは嗤う。
「ほう。ほうほう。仮面が喋るなんておもしれえなあ! あ!」
瘴気の噴出が一段と強くなり、崩れた船の墓場から手を伸ばすように朽ち果てた海賊船が姿を現す。
(向こうの攻撃手段か……でも!)
桜が走り出す。
「野郎共! あの女も一緒に捕まえろ!」
怒声に呼応するのはボロボロのカトラスで武装したガリガリに痩せた奴隷戦闘員。
「桜、このまま突っ込め。いいな?」
「……はい。……島の人達の為にあなたを討滅します」
走り生み出される風に薄桃色の桜の花びらが混じり道のように真っすぐと伸びていく。
ひらひら、ひらひら、舞う花びらの量が増えていく中──鬼の仮面は笑う。
「おうよ、相棒。さっさとぶちのめして島の平和を取り戻すとしようやッ!」
奴隷戦闘員が手に持つカトラスの刃の数は無数。
声すら上げる手段を失ったコンキスタドールの攻撃で蘇った彼らのそれが一斉に甲板を駆けあがる桜へと向けられる。
「は。数をどんなに……召喚して頭数揃えようが関係ねえな。纏めてなぎ払ってやる!」
「……はい」
朽ちかけた砲台を蹴り、マストへと飛び移り、空高く舞い上がった桜の周囲の空気が揺れ動いた。
「……いけ、千刃桜花」
「細切れになっちまいなッ!
──お前ら、とにかくひらひらした花が欲しいんだって?」
なら、たっぷりくれてやる。
鬼の仮面がニヤリと桜吹雪の中、還すべき敵を見やる。
うろたえた顔を見せた戦闘員。彼らを吹き飛ばすような風が桜と凶津二人を中心に展開されていた。
ユーベルコード:千刃桜花(センジンオウカ)、桜が構えた武具が桜の花びらと化し。
込められた破魔の力がオーカ島の桜をも照らすように薄桃色の光となる。
光の中に渦巻く花びらが一斉に二人を包み込み──舞う花びらが、降り注ぐ
「破魔の桜花の刃で斬り刻んでやるぜッ!」
「な!? グ、ギャ、ギャアアアア!!」
「お前、お前たちが欲しかった花だっていってんだろ? どんだけ抵抗しようがこの桜吹雪からは逃しゃしないぜッ!」
桜吹雪に触れたカトラスが砕ける。
幽霊船が大きく傾き、消滅していく。
船員が切り刻まれたなら、船長──愚かなオブリビオン、コンキスタドールもまた同じく舞い散る花吹雪に刻まれる。
花吹雪はより一層輝きを増し、オーカ島の桜の花びらが一枚、鬼の仮面に添うように貼り付いた。
「今まで散々好き勝手してきたんだろ?──そろそろこの世から退場してもらおうかッ!」
凶津の言葉に略奪船長は答えることなく、花吹雪の中瘴気をまき散らしていった。
大成功
🔵🔵🔵
綿津・甕星
死ぬのはてめぇだ糞が。
いや、もうとっくに死んでるんだったなぁ。だせぇだせぇ。大人しく地獄でおねんねしとけば、2度も死ぬことにならなかったのによぉ。
甕星流喧嘩術・剛力羅。
一気に距離を詰めてぶん殴る。
2度目の生、歪められたとはいえ無様なもんだな。奪うことしか知らねぇやつは、満足しねぇ。満足しねぇってことは、得ることの喜びも知らねぇってことだ。
哀れだぜ、クソジジイ。
言葉を語りつつも殴る腕は止めない。とっとと地獄へ帰りやがれ。
綿津・甕星(まるでダメなオーシャンハンター・f26170)の赤い瞳に略奪船長の姿が映る。
「はっ」
生者へのあさましい欲の果てが瘴気を纏う姿なのだとコンキスタドールを見据える。
「死ぬのはてめぇだ。糞が──いや、もうとっくに死んでるんだったなぁ」
「……あ? 何言って」
生者──猟兵を見下し、己の空虚な心を満たそうと存在するコンキスタドール、略奪船長の口上を遮るように綿津は言葉を紡ぐ。
「だせぇだせぇ」
略奪船長は沈みゆく船の墓場から、綿津は船乗り場からそれぞれお互いの距離を縮めていく。
不安定な足場、裂けた海面に映る綿津の体に走る無数の傷。
顔に、胸に、腹部に、 左腕に、右足に── ツギハギだらけの肉体だなと不意に思い、笑う。
「大人しく地獄でおねんねしとけば、2度も死ぬことにならなかったのによぉ」
「死ぬ? 俺が死ぬ、だと?」
「そうだ。これから死ぬ……ってな!」
頭に血が上がり己の攻撃手段も忘れた略奪船長が吠える中、綿津は駆ける速度を高める。足場を蹴り、コンキスタドールをしっかりと捉え、繰り出される一撃。
「甕星流喧嘩術、剛力羅ァ!!!」
空気の揺らぎよりも早く、綿津の脳裏に浮かび上がる略奪船長の真の姿。
ユーベルコード:甕星流喧嘩術・剛力羅(ミカボシリュウケンカジュツ・ゴリラ)が見せる敵の弱点は明確、そして必中。
船の墓場、その残骸がドボンドボンと降り注ぐ中ひと際大きな音が響いた。
「……がはっ!!」
「さて、一発当たった、なら!」
必中の一撃の後に繰り出される体術。
手を、足を、武器を、コンキスタドールの体を捻じ曲げ、叩きつけ、合間に言葉を。
「2度目の生、歪められたとはいえ無様なもんだな。奪うことしか知らねぇやつは、満足しねぇ。
──満足しねぇってことは、得ることの喜びも知らねぇってことだ」
綿津の瞳の中で、怒りに満ちながら手を伸ばしてくるコンキスタドールを殴る。
「哀れだぜ、クソジジイ」
大きく構え、繰り出された拳略奪船長が宙に浮く。
「とっとと地獄へ帰りやがれ」
海に投げ出される略奪船長。
波飛沫に海面が揺れ、綿津の肉体が一瞬映りまた潮の流れに沿って消える。
大成功
🔵🔵🔵
数宮・多喜
◎
ようやく親玉のお出ましかい、
押っ取り刀ってのはこういうのを言うのかねぇ?
そんなに頭に血が上ってたら、
貰えるモンも貰えねぇよ?
ああ、奪うつもりなんだっけか?
あんまり見すぼらしいもんだから物乞いかと思ったよ!
そうして矢継ぎ早に『コミュ力』のマシンガントークで
けちょんけちょんに貶してやる。
そもそもアイツは虚栄心を満たせなきゃ、
力を全部発揮できないだろ。
知らず知らずのうちに【理塞ぐ鍵】の条件を
満たしてるって事だぁね!
そうして舌戦を繰り広げてる間に、
海を伝って電撃の『マヒ攻撃』を仕込んでおくよ。
そうそうチェイリさんの預かり賃だ。
アンタの鼻っ柱に景気のいいストレート一発、
受け取ってくんな!
「ようやく親玉のお出ましかい、押っ取り刀ってのはこういうのを言うのかねぇ?」
無様に海に沈み、立ち上がるコンキスタドール略奪船長を前に数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)が立つ。
「……殺す、殺す!」
己の怒りを、裂けた体から漏れ出す瘴気のように止められないコンキスタドールを前に数宮が笑う。
「そんなに血が上がっていたら、貰えるモンも貰えねぇよ?
ああ、あんまり見すぼらしいもんだから物乞いかと思ったよ!」
腹に手を当て矢継ぎ早に挑発し貶す。
(これも作戦ってね。マシンガントークでアイツの虚栄心を満たさせはしないさ)
略奪船長の力を発揮させないよう、そして己のユーベルコードを発動させる条件を満たすために。
「てめえ……! この、俺に、俺に!」
「悪いけどこっちはチェイリさん、いや、島の人の分もあるからねえ──お返しはたっぷりさせて貰うよ!」
「は、何、言ってんだ……! 弱っちくて、雑魚で、宝も持ってない奴らに」
チリ、チリ、と静電気にしては大きな音が上がり始める。
数宮のユーベルコード:理塞ぐ鍵(ソリューション・ロック)、相手の動きを封じる様なテレパスが実体化した檻と錠前が浮かび上がる。
「ふん、何が宝だ。アンタの、コンキスタドールの哀れな野望はここで終わりさ」
てめえ、と略奪船長が手に構えたサーベルを振りかざし──それを包むように檻がガシャン、と音を立て封じる。
「くそっ! 離せ、離せ!」
「は、やっぱりアンタは何も見えちゃいなかったんだね。宝探しには最初っから向いていなかったってことさ!」
ばしゃばしゃと海面を無様に蹴り上げ暴れだす略奪船長に、頃合いだと数宮は拳を捻る。
軽い準備運動の後に繰り出される一撃。
海面に拳を打ち込み、電撃を纏ったオーラが波を伝う。
「ぎゃ、ぎゃああああああ!!!」
焼き焦げた匂い、絶叫、略奪船長の前に数宮が移動した。
「ああ、そうそう、チェイリさんの預り賃だ」
拳は正確に、コンキスタドールの鼻っ柱を吹き飛ばすように掲げられ。
「アンタには勿体ないくらいのストレート一発──受け取ってくんな!」
大成功
🔵🔵🔵
木常野・都月
◎
さてと。
獣以下の男を相手にするか。
略奪、監禁…こういう事をしないと、強く居られないんだな。
ご苦労な事だ。
女、子供は守る、守り抜くもの。
虐げて自分の力に酔いしれるものじゃない。
弱者にしか自尊心を誇示できないというのは、同じ雄…男として、正直情けないと思うんだけど。
まさか狐の俺が、ヒトにこんな事諭す日がくるなんてなぁ。
[野生の勘、第六感]を使用、略奪船長の挙動に注視したい。
UC【黒の狐火】を使用、精気は戦闘に支障がないギリギリまで乗せたい。
敵の攻撃は[属性攻撃]の[カウンター]で対処したい。
体が大きくなってる分、逆に当てやすくなってるはず。
加えて[属性攻撃(2回攻撃)]の追撃を行いたい
船の墓場、オーカ島に集まった船達の残骸。
難破船がたどり着いたように、オブリビオン──コンキスタドールもまたたどり着いた。
それは未来には持っていけない、押し流す。
「……さてと。獣以下の男を相手にするか」
瘴気を垂れ流し、尚立ち上がるその姿を前に木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)が呟いた。
「……く、くそ……」
ぎらぎらと目だけがやけに輝くオブリビオンだ、と木常野は思う。
「略奪、監禁……こういう事をしないと、強く居られないんだな。ご苦労な事だ」
空虚な心を満たすために行われた悪事、その果てを知らない哀れな略奪船長を前に息を吐く。
「女、子供は守る、守り抜くもの。虐げて自分の力に酔いしれるものじゃない。
弱者にしか自尊心を誇示できないというのは、同じ雄……男として、正直情けないと思うんだけど」
略奪船長の瞳に憎悪の炎が燃え上がる。
(まさか狐の俺が、ヒトにこんな事諭す日がくるなんてなぁ)
妖狐として人の営みを見てきたからこそ、目の前のオブリビオンの存在は酷く愚か。
「な、なに言ってやがる、んだ、よう……!」
略奪船長はサーベルを掲げ、木常野へと突きつける。
「俺は、俺はなあ! 手に入れるんだよ! 全てを!」
僅かに残った瘴気が練り上げられていく。略奪船長の挙動を注視していた木常野が構える。
(まだ動く気が。ならば、)
「だから、ここで、ここで終わらない、終わらねええええ!」
「……全力でいく。当たったら少し痛いぞ?」
生み出されるのは膨大な魔力と妖気を籠めたユーベルコード:黒の狐火(クロノキツネビ)。
「ぎ、ぎにゃあああ!」
「……っ」
代償として支払う己の精気──立つのもやっとになる程に、木常野が渾身の力を籠める。
略奪船長の手が吹き飛ぶ。
しかし、まだサーベルが、狂ったように輝く目は自分を睨んだまま。
「っ、なら……!」
海面を熱風が撫でた。
虚栄を埋めるように膨れた体に当てられる炎を纏った攻撃。
それはまるで、送り火のように全てを燃やす。
「これで、終わり、だ……!」
追撃の炎は、略奪船長に最期──再び骸の海に還っていくための言葉すら与えなかった。
大成功
🔵🔵🔵