「クラーケン焼き一丁あーがりっ!」
「おねえちゃーん!イセヴィーのソルト焼き、お客さん待っとるで!」
「あいよォ!」
グリードオーシャンには、異界から切り取られ落ちてきた『島』が存在する。
スペースシップワールドから世界を渡りここにたどり着いた『島』——かつてスペースシップ・オッサカーと呼ばれていた宇宙船を礎とし、現在では様々な海産物を加工する食文化が独自の発展を遂げるこのドートゥンヴォリは、永らく平和な時代を過ごしていた。
「……く、はは。随分と『美味そう』な島だねぇ?」
だが、その平和を狙う邪悪なコンキスタドールが、この島へと近づきつつある。
「さあ、お前たち。……遠慮することはないさ。何もかも奪ってしまえ。おっと、だがぬかるんじゃないよ。料理は下ごしらえが肝心……お楽しみの時間まで、じっくりと事を進めようじゃないか!」
邪悪な号令が島に響き渡る。これから始められるのは邪悪な陰謀と、そして遠くない未来に訪れる一方的な略奪と蹂躙だ。戦う術を持たぬ人々は、このままでは何一つ残さず徹底的に奪い尽くされるだろう。
「……というわけで、汝らには今から海に行ってもらう」
グリモア猟兵、ロア・メギドレクス(f00398)は切り出した。
「うむ。新たな世界への船出であるぞ。グリードオーシャンだ。汝らは今からそこに行くのだ」
曰く。
新世界グリードオーシャンにある島々のうちひとつ、スペースシップワールドを祖とする島『ドートゥンヴォリ』(スペースシップワールドの一部の惑星圏をベースとする土着の民族の言葉で『母なる故郷』を意味する単語)が、コンキスタドール……すなわちオブリビオンに狙われているのだという。
「連中は島の人々を皆殺しにし、新たな自分たちの拠点をここに作り上げようとしているのだ。そのために密かな潜入活動なども既に開始している。汝らはその悪逆を止めるため、島に入り込み敵を叩いてもらいたい」
ロアはモニターに島の情報を表示し、猟兵たちへと示す。
「敵は島の中に密かに斥候を送り込み、島を制圧するタイミングを見計らっている。……連中は行動を起こす際に嘘の情報を流すなどして島の人々を混乱させ、自分たちの略奪をやりやすくすることを目論んでいるのだ。そうならぬよう、汝らはまず島に入り込んだら島の人々と交流をするがよい。……そうだな、この島は海産物を用いた食文化が進んでおる故、ここの郷土料理を食べたり教わったりなどして人々と交流を深めるのが上策であろ」
その中で、斥候に気づくなどして敵の情報を調べることができれば、敵の拠点に攻め込むこともできるだろう。そうでなくても敵は行動を起こす。どの道戦いになるのは間違いない。
「……というわけで、敵が動き出したならあとは叩け。そしてやっつけろ。余からの指令は以上だ」
すなわち。
まず、島へと潜入し、島の人々と交流を深めながら敵の情報を探る。
次に、敵の拠点に攻め込むか、あるいは敵が高度を起こすので迎撃する。そしてやっつける。
やるべきことは以上である。こう言ってまとめてしまえば、存外にシンプルだ。
「では、話は理解したな。……新たな世界であるゆえ、汝らが戸惑うこともあるであろ。しかし、余は汝らが必ずやこの仕事をやり遂げ人々を救うと確信しておる」
というわけで。
説明を終えたロアは猟兵たちの顔を見渡して、がんばれ、と一言付け加えてからグリモアを輝かせた。
無限宇宙人 カノー星人
ごきげんよう、イェーガー。カノー星人です。
新世界ですね。我々カノー星人も機を逃すことなく侵略作戦を進めてまいります。
よろしくお願いいたします。
第1章 日常
『郷土料理は異世界の味』
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POW : 郷土料理は別腹、全部食う。
SPD : 島のあちこちを歩き回って、面白い郷土料理を探してみたい
WIZ : 食べるだけでなく、レシピを教えて貰ったり、実際に料理もしてみよう
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「らっしゃいらっしゃーい!」
「おッ!そこのアンちゃん、なかなかイカしとるやないか!どや?せっかくやからウチのクラーケン焼き食べてかん?イカだけに!」
「今ならブラックホール焼きもできたてだよーゥ!」
「さァさァいらっしゃいいらっしゃい!今ならコナモン3割引だァ!ショーチュ・アルコオルも一杯無料!」
――ドートゥンヴォリのメインストリートは、島の労働者階級の人々の憩いの場である飲み屋が軒を連ねる街並みである。元気な呼び込みの声はストリートに響き渡り、今日も活気に満ち溢れている。ドートゥンヴォリはスペースシップワールドの船を礎にするが故に時折気まぐれに仕事をしてくれることもあるコアマシンの恩恵に支えられて漁業と農業の両面で安定した食糧供給を得ているほか、島を訪れるメガリス適合者相手に商魂たくましく交渉で稼ぐ立派な経済圏でもあった。島全体がエネルギッシュに活動し続けているが故に、そこで働く人々を癒す繁華街もまた栄えているのだ。
「……お隣さんも元気やね。それじゃ、うちも負けずに営業してくで!」
「せやな!おれも頑張って呼び込みするけ、今日も頑張って稼いでこ!」
その中には、まだ成人も迎えていない姉弟たちが切り盛りしているような店も見受けられる。彼らは不幸な事故で親を失った子供たちだ。そうした子たちを庇護する人々はこの島には不在であったが、子どもであっても気力を失うことさえなければ自分たちでできる商売で生計を立てることができる、という希望もまた存在しているのである。生きる力さえ失わなければ元気に暮らしていける島。それがこのドートゥンヴォリであった。
君たちはこの島で人々と交流を試みながら、自由に過ごしてよい。ただ穏やかな時間を過ごしてもいいし、島に紛れ込んだ敵の斥候の姿を探ってもよいのだ。
白鳥・深菜
「見渡す限り海ばかり。つまり、キマフューには無い物ばかりなのね」
そういうわけで、先ずは魚系の料理を狙うわ。
本当は陸の獣の肉の方が好みなんだけど、
流石にこの世界なら、海の幸を選ぶのが礼儀ってもんでしょう?
でも肉分が欲しい、だから魚肉!イカ、タコ、貝の類は優先度低で!
ところでこういう場所ならでは魚の調理法って、どういう物なのかしら。
色々ありそうだけど、これだけ海が近いなら、
生――刺身で頂く事も多いのかしらね?
とりあえず、投稿用に食べる料理は撮っておきましょ……
仇死原・アンナ
黄色と黒の縞模様に虎の図…ここの信仰なのかな
元気な人達だ…いい匂い…お腹すいたね…
あちこち巡っていろいろ食べつつ
敵の斥候を[視力]で追いつつ[目立たないよう忍び足]で後を付けよう
クシカッって奴、美味しい…ソースをもう少し…二度漬けタブー?
斥候が逃げ出そうとしたら【シュバルツァ・リッター】で[騎乗]し
後を付けて鎖の鞭を振るい[ロープワーク、マヒ攻撃]で縛り上げて
拷問具を見せつけて[恫喝]し[情報収集]しよう…
さてと…少し飲み直すとするか…
…ギンベロ?…1シルバー(千円)でこんなに頼めるんだ…
凄いなぁドートゥンヴォリ…
白斑・物九郎
ニャるほど、ココがグリードオーシャンっスか
この世界での『慣らし』ついでに色々見て回るとしましょっかや
●買い食いしまくりながら見て回る
『ドートゥンヴォリ』……
そういやスペースシップワールドに出入りしてた時に聞いたコトがあるような気がしまさ
なんでもこの文化圏にゃだいぶ独自の習俗があるとかないとか
……ちょいと探り入れとくかァ(野生の勘・ON)
今いきなり事を構える気こそありませんけどもな
・そこらの店の人に「モウカリマッカー」って言ってみる
・「ボチボチデンナー」って返してこなかったやつは怪しい。多分敵だ
・道行く人をバーンって指鉄砲で撃つフリをしてみる
・胸を押さえて苦しみ出さなかったやつは怪しい。多分敵だ
「ニャるほど、ココがグリードオーシャンっスか」
海風が頬を撫ぜて通り抜けるのを感じながら、『慣らし』ついでに色々見て回るとしましょっかや――、と白斑・物九郎(f04631)は呟く。
猟兵たちが新たに至った世界、グリードオーシャン。無限に続く空と海の青を遠く見つめて、物九郎は歩き出した。
「見渡す限り海ばかり。つまり、キマフューには無い物ばかりなのね」
同じタイミングでドートゥンヴォリの地に降り立った白鳥・深菜(f04881)もまた歩き出す。
かくしてキマイラフューチャーにその名を轟かす“ワイルドハント”の2人は、かつて宇宙船を受け入れるスペース・ポートとして機能し、現在は本来の意味の港として使用されている島の入り口、すなわち港湾区画からドートゥンヴォリの全容を見上げた。
グリードオーシャンに浮かぶ島、ドートゥンヴォリはスペースシップワールドから流れ着いた移民船オッサカーを中心とし、漂着する物資を用いてグリードオーシャンの環境に適応しながら拡張されてきた歴史をもつ。
全長およそ1.5キロメートル。メインストリートとして用いられる甲板区画や港湾区画、食糧生産プラント跡を利用した農耕区画などいくつかのエリアに分かれ、数千人ほどの人口が様々な役割に分かれて生活圏を築いているのだ。
「まァ、ズイブンとメカメカしいトコじゃニャーッスか」
「島っていうか、むしろ大きい船って感じね」
グリードオーシャンの島々は他の世界から流れ着いてきたものだ。その島の文化や環境は、元の世界の在り方におおきく依存する。深菜はパイプラインの走る金属製の通路を進みながら、かつて星の海にあったであろうこの島の姿を想像した。
「……このあたりッスかね?」
そして階段を上り切り、2人は甲板区域にたどり着く。ドートゥンヴォリのメインストリートである繁華街だ。賑やかな喧騒が通りに満ちている。
「らっしゃァい!」
「おッ!おねえさんベッピンやねぇ!どうだい安くするよ!坊ちゃんもどや?ウチの銀河焼き喰ってってぇな!」
「カニ!カニ!ドートゥンヴォリに来たならやっぱりカニやでぇ!」
喧しい呼び込みの声が飛び交い、小麦粉ベースの記事が焼ける香ばしい香りや華やかなソースの匂いが猟兵たちを包み込む。通りの上部では万国旗めいて張り渡された紐に、黄色と黒の旗が翻っていた。
「何かしら、あの旗」
「……ここの信仰、みたい」
見上げた旗に疑問を口にした深菜に、仇死原・アンナ(f09978)が横から答えた。
「繁神、タイガス……っていう神様の旗、なんだって」
繁神(はんしん)タイガス――コーシェン=R(ロッコーロッシ)=タイガスとは、グリードオーシャンに転移したばかりのスペースシップ・オッサカーで生じた混乱期を収め人々の生活の基盤を支えるに至るまでを指導した偉大な人物である。没後、その功績を称えたドートゥンヴォリの人々によって繁栄を司る神、すなわち繁神として祀られているのだ。
……という旨の話を、一足先にメインストリートに到着して食べ歩きしていたアンナが2人に伝える。袖すりあうも猟兵の縁。アンナはそのままなし崩し的に2人に合流する。――島の人々との交流も必要だが、その裏に潜んでいる敵の斥候を追うことも重要だ。猟兵として協力体制を組んでおくことは自然な流れであった。
「で、なにかおすすめはある?」
深菜は店頭で売られるメテオ焼きや銀河焼きといったテイクアウト可能な『コナモン』と呼ばれるファストフードを眺めながらアンナに問うた。
「クシカッ・フライ……って奴、美味しい」
アンナのすすめたクシカッ・フライは食材を串に通して衣をつけ、高温の油で揚げる食品だ。ソースをつけて食べる。主に魚介類が食材として供されるこの世界において、多くは魚の切り身を利用したフィッシュフライ風の料理といて提供され、ドートゥンヴォリの客にとっては酒のアテとして人気が高い。
「しかも、あっちのお店はギンベロ」
「ギンベロ?」
「……1シルバーでたくさん頼めて、いっぱい飲める」
ギンベロとは、グリードオーシャン世界における通貨にして1シルバー。わかりやすくUDCアースなどの世界の価値観になおせば『およそ1000円程度の支払い程度の料金で、べろべろになるほど酔える』。すなわちコストパフォーマンスに優れた酒場であることを意味するグリードオーシャン・スラングだ。
「いいわね。肉っ気が欲しいところだけど……流石にこの世界なら、海の幸を選ぶのが礼儀ってもんでしょう」
「……私が見た限り、ここには肉がない……」
「……そうなの」
畜産には放牧用の広い敷地が必要とされる。ドートゥンヴォリの生活圏に食肉用の放牧を行う敷地的な余裕は少なく、その僅かな余裕はスペースシップワールド産の鳥類家畜ワーリニットの生育による鶏卵生産に充てられていた。
「そうしたら……やっぱり魚肉料理が中心なのね。こういう場所ならでは魚の調理法って、どういう物なのかしら。これだけ海が近いなら、刺身でいただくことも――あら。どうしたの猟団長?」
「……ふうん」
深菜とアンナが食い倒れ計画を練り始めた一方、物九郎は目を細めながらストリートの風景を見渡す。
「『ドートゥンヴォリ』……そういやスペースシップワールドに出入りしてた時に聞いたコトがあるような気がしまさ」
思い出したように物九郎が呟き、そして通りがかりの店頭で銀河焼きを焼き上げる中年男性に視線を向けた。
「モウカリマッカー」
「ボチボチデンナー」
店からすぐさま明るい返事が返る。声をかけた義理で物九郎はそのまま銀河焼きをひとつ購入した。銀河焼きとは、出汁を混ぜた小麦粉ベースの記事に様々な具材を混ぜ込み円盤状にして鉄板で焼き上げ、アオサと呼ばれる海藻粉末と味の濃いソースを塗り上げて食べるドートゥンヴォリのファストフードである。UDCアースなどの文化圏でみられるお好み焼きに類似した食品だ。尚、これの変形で同じように鉄板で焼くものとしてやや不定形の星雲焼きというものも存在する。こちらはアース世界文化圏におけるもんじゃに類似する。
「……なに?」
今の不可思議なやり取りにアンナは首を傾ぐ。
「なんでもこの文化圏にゃだいぶ独自の習俗があるとかないとか」
――今のは、『探り』だったのだ。この文化圏の習俗に通じていない者――つまり、余所者を炙り出すための策である。すなわち、島に潜んでいる敵の斥候を。
「なるほど、もう『狩り』を始めてるのね」
抜け目のないこと。深菜は得心のいった様子で頷きながら鋭く視線を雑踏の中に向けた。
「……じゃあ、見つけて、捕まえておく?」
「今いきなり事を構える気はありゃあせんけど――やるなら静かに手短に、ッスわ」
3人は食べ歩きと情報収集を並行して続ける。深菜が時折『モウカリマッカ』の声をかけ、あるいは物九郎が指鉄砲で撃つフリをする。ドートゥンヴォリの文化圏はノリよくジョークを好み、芝居がかった大仰な動作も日常的なコミュニケーションとして生きている。撃たれたら死んだふりをするのもそのひとつだ。物九郎に撃たれた通行人たちはバタバタと倒れていった。
「……?」
「……」
その中に、アンナはそうしたアクションに反応を起こさず怪訝な顔をする者を見つけた。視線に気づいたその男は、慌ただしく踵を返す。あからさまに怪しい。3人はアイコンタクトで通じ合い、そして追跡を開始した。捕り物は静かに執り行われる。
「ンじゃ、一仕事済ませてから食い倒れの続きとしまさァ」
平和そのものの街の裏側で、猟兵たちの戦いは密かに始まっていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ウーラ・エベッサ
※アドリブ、他PCとの絡みも歓迎
POW判定
たった今海から上がって来たばかりといった風体で
自身の身の丈ほどもある馬鹿でかい魚(4~5mぐらい?)を降ろし
メインストリートの屋台街で
この魚を支払いの代わりにするから飯を食わせてもらえないか聞く
了承されたらメニューの端から端まで全部注文して
片っ端から酒で流し込むように食べつくし堪能する
セリフ
すまないね、今持ち合わせがないんで
こいつで支払うことはできないかねぇ(釣り上げた魚を差し出す)
よっし!そんじゃあメニューの此処から此処まで持ってきておくれ!
(端から端まで全品指さしながら)
かーっうまい!この一杯のために生きてるねぇ!
(封を切った樽ごと酒を飲み)
「あらよぉっと!」
どぉん!
ドートゥンヴォリの中央に近い広場めいた場所である。
ウーラ・エベッサ(f26246)。巨人族の女性である。身長460センチ。巨人族特有の巨躯が広場にそびえたっていた。
「巨人や……」
「巨人やで……」
ドートゥンヴォリの人々の中に微妙な空気が生まれる。――ドートゥンヴォリの文化において巨人とは昔話における悪者なのだ。この島で祀られる繁神タイガスはかつて巨人海賊団ジャイアンツと幾度も戦いを繰り広げたと語られているのである。
今となってはとるに足らないおとぎ話ではあろうが、ドートゥンヴォリの人々が巨人に対して若干の苦手意識を抱いているのは否定しきれない事実でもあった。
「なんだいなんだい。人のこと海賊か幽霊みたいに見てさ。……飯を食わせてもらいたいんだけど、どうだい?」
しかしてウーラはそんな空気をものともせず、快活に笑いながら屈みこんで人々の姿を見渡す。
「そこの海に潜ってせっかくこいつを獲ってきたんだ。残念ながら今は持ち合わせがないんだけど、かわりにこいつで支払いってことでさ」
ずしん。
地響きめいた音をたてて、広場に馬鹿でかいサイズの巨大魚が置かれる。白い鱗が全身を覆うふっくらとしたその躯体が、床の上で跳ねた。
「お、おお!ありゃネルサンダスやないか!」
「あの幻の!?」
「しかも海に潜って!?」
ネルサンダスとは、ドートゥンヴォリ近海に棲む巨大魚である。美味であるが狂暴で危険とされ、漁獲が困難なことから滅多にあがることはない一尾だ。また、この魚の存在によりドートゥンヴォリ近海に素潜りを行うことは非常に危険な行為とされており、度胸試しや酔った勢いでなければ準備もなしにドートゥンヴォリの海に飛び込む者はいない。
それを捕らえて運んできた、というのは驚嘆すべきことであり、更にドートゥンヴォリの人々の多くは現金で合理的だ。得になる、と思えばすぱっと掌を返す。
「なんやなんや、巨人のねえさん、ええモン持っとるやないか!」
「どうだい、これで食わせてもらえるかね?」
「十分十分!おい、台車持ってこい!はよ氷室に運ぶんや!あの巨人のネエさんは丁重にもてなし!」
「おお!」
広場を包む空気から緊張感がほどけていく。もはや彼女はドートゥンヴォリの人々にとって『おそろしい巨人』ではなく『お客様』である。ウーラは呵々と笑いながら広場に腰を下ろし、並ぶ屋台を指して「そっからそこまで!」と注文をつけた。瞬く間に、屋台からウーラのもとへと様々な食品が運び込まれる。クシカッ・フライ。イカを串に刺して焼いたクラーケン焼き。海産物の身をひとくちサイズの丸い生地に閉じ込めて焼き上げたメテオ焼き。ウーラは大皿に盛られた様々な食品を、少しずつ指先でちょこんとつまんで口に放り込んでいった。
「美味い!ここの島の料理は味がしっかりしてるねぇ!」
「おっ、わかるかい巨人のねえさん。うちのクシカッ・フライは最高やからね!衣とソースのマリアージュやで!」
グリードオーシャンに点在する島々は、元となった世界に応じてその食文化も様々だ。メガリスの力の恩恵でウーラはいくつかの島を知っていたが、ドートゥンヴォリの食文化は彼女の知る島々の中でも上位の完成度であろう。巨人族へのもてなしを想定していない分、一品ごとの量は彼女にとって少々物足りないものだったが。それは種類と注文量でカバーだ。
「うんうん。アタシ好みの味だよ。もうちょっと食いでがあったら最高なんだけど……とはいえ、これは酒がうまそうじゃないか!」
島の男たちが3人がかりで樽を運ぶ。ウーラはそれを受け取って、封を開けた。ドートゥンヴォリにおいて主に供される酒類はビールである。揚げ油の味が残る舌の上に、ウーラはビールを流し込んだ。ごくりと喉が音をたて、飲み下す。はじける炭酸と酒精の風味が苦みとともに喉奥に爽やかな清涼感をもたらす。揚げ物とビールは文字通りゴールデンコンビだ。
「かーっ……うまい!この一杯のために生きてるねぇ!」
「巨人のねえさん、俺もご相伴あずかってええですか!」
「うちも一緒に乾杯したいです!」
「いいとも!」
重ねて述べるが、味の濃いドートゥンヴォリの食文化とビールは最高の相性なのである。それを美味そうに飲み食いするウーラの様子につられて、ドートゥンヴォリの人々は広場に集まり共に一杯やりはじめた。もはや即席の宴会である。ウーラを中心に乾杯の声が重なり合い、一番星の見え始めた空に響いていた。
成功
🔵🔵🔴
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
グリードオーシャン…名前から海に関係あるんだろうなーとは思ってたけど。
…まさか世界ぜーんぶ海なんてねぇ…流石に予想外。
で、こんな世界だもの。あたしの知らない魚介類ーとか、見たことない調理法ーとかたくさんあるんでしょうねぇ。
あたしもお店やってる身だもの、やっぱり気になるわぁ。しばらく自由にしてていいって話だし、ちょっとぶらり食い倒れの旅でもしてみましょうか。
(実はこの女、細い見た目に似合わず中々の健啖である)
ついで…と言ったらなんだけど。●絞殺で○情報収集もしてみましょうか。
この世界の事何にも知らないし、この際玉石混交でも問題なし。噂でもなんでも片っ端から集めましょ。
メルノ・ネッケル
【POW】
海と島の世界、グリードオーシャン。
ここでは初仕事やし、この島に来るのも初めてなんやけど……。
なんでやろな、このドートゥンヴォリ滅茶苦茶居心地がええ!!雰囲気が性に合っとるというか。
こんなええ所来て、買い食いせんのは嘘やなぁ……クラーケン焼きにブラックホール焼き、他の粉もんも買ってまお!
ついでに情報収集や、この島がどんなとこなのか店の人らに色々教えてもらうでー。
さて、こんなええ所の被害は抑えたい。
探りを入れたいとこやけど……細かい情報がある訳やなし、出来そうなんは怪しげな奴に目星付けとく位やな。「トオミドローン」を飛ばして空撮や!
これで食べたり話したりしながら偵察出来るって寸法よ!
「まさか世界ぜーんぶ海なんてねぇ……流石に予想外」
「せやね。うちもここでは初仕事やし、この島に来るのも初めてなんやけど……」
ティオレンシア・シーディア(f04145)とメルノ・ネッケル(f09332)は幾度か同じ仕事で顔を合わせた縁がある2人である。彼女たちはまたしても今回の仕事でばったり会ったが故、今回もなし崩し的に同行してドートゥンヴォリのメインストリートを目指していた。
「ラッシャイ―!」
「オッ!ベッピンさん!うち寄ってかん?うちんとこの海鮮は最高やでぇ!」
「ねぇさん、こっちも見たってや!うちのクラーケン焼きは絶品やよ!」
足を踏み入れた途端、喧騒が勢いよく2人を包み込む。活気にあふれた空気が満ちる街並みが、来訪者を歓迎していた。
「なんでやろな、このドートゥンヴォリっちゅー島……滅茶苦茶居心地がええ!!」
「……そうねぇ。ひょっとしてここの出身だったのぉ?」
「いやぜんぜんちゃうねんけど……雰囲気が性に合っとるというか」
メルノは島の空気にハナから馴染んでいた。このドートゥンヴォリはどことなく彼女の故郷である町に雰囲気が似ている――ような気がするのだ。どことなく。
「そうねぇ、あたしから見ても違和感ないわ。……じゃ、道案内頼んじゃおうかしらぁ?」
「だからジモティーちゃうねんて!」
2人は冗談めいたやり取りを交わしながら通りの中へと進んでいく。せっかくの新世界。しかもここは折よく食堂や居酒屋、ファストフードや屋台村の並ぶグルメスポットだ。情報収集がてら、食べ歩きもしないのは損というものだろう。
「いらっしゃーい!どうぞどうぞー!」
「……あらぁ。ずいぶん可愛いお店番ねぇ?」
その中で、呼び込みの声がかかる。ティオレンシアに声をかけたのは、年の頃10を過ぎたばかりの頃の少女である。ぱちりとしたおおきな瞳が印象的であった。
「えっへっへー。うちのブラックホール焼きは天下一品、ドートゥンヴォリでも一番星や!ウチはこいつでぜぜこぎょうさん稼ぐねん。つことでベッピンさん、買うてーな!」
元気いっぱいに薄い胸を張り、ブラックホール焼き屋さんの少女は鉄板の上の生地を返す。ブラックホール焼きとは、いかすみを練りこんだ生地を用いて黒くした銀河焼きである。ソースを惜しげなく濃い目に塗り付け、見た目にもインパクトのある黒い円盤状に焼きあがったかたちはまるでブラックホール。近海でイカもよく獲れるドートゥンヴォリではポピュラーなファストフードだ。
「ええよええよ、銅貨4枚?それじゃ2枚もらおか」
「おおきにー。ありゃ、もしかしておねえさんノジャロ星人のひと?」
「前にも言われたことあるけどちゃうねんでー」
ノジャロ星人とは、スペースシップワールドに存在するヒューマノイド型人類の一種だ。キトゥーネと呼ばれる哺乳類に類似した動物の耳と尾を足したような外見をしている。
「そういえば、ここの島はスペースシップワールド由来だったわねぇ」
いきなり飛び出した『星人』なるワードにティオレンシアは驚いた。
「……そう、そうそう。そうなんよ。うち、いつかそのスペースシップワールドってーとこに行くねん。だからその世界の勉強もしとるんや」
ブラックホール焼きを皿に載せ、店番の少女が店内の手狭なイートインスペースに運ぶ。せっかくだからここで食べてき、と促した。それに従って2人は店内に入ってゆく。
「あらぁ。大きな夢ねぇ」
外に出たい、という夢は、狭い島で暮らす子供であえば誰もが考えることだろう。『島の外』をすっとばして別の世界とは。
「せや。でーっかい夢やろ?……この島がほんとは星の海を泳ぐ船だったっちゅーこと、うち知っとんねん。それってつまり、うちらの故郷ってあの星空ってことやろ?」
少女は新たな生地を用意し、鉄板に油をひきながら少女は続ける。
「いつか。いつかな、うちもあっこに行くんや。……きっとこの島のみんな、そう思っとるねん。せやからこんなコナモン風情に『銀河』やの『ブラックホール』やの、けったいな名前つけとるんよ」
「そうなんや……ええね。いつか行けたらええな」
メルノは今しがたしれっとディスられたブラックホール焼きを、苦笑しながら箸で切り分け口に運ぶ。ぴりっとしたソースの味わいが舌先を刺激した。
「……で、ドリンクセットなら銅貨プラス2枚や」
「ハナから飲み物買わす気やったな?」
「ふふふ、商売上手じゃない」
2人と店番の少女はにやと笑みを交わしあった。
さて。
この間、メルノは密かにドローンを起動し、ドートゥンヴォリの街に飛ばしていた。トオミドローンを通じた視覚が雑踏を見下ろし、不審な人物はいないかと探る。
また、ティオレンシアもドリンクセットで出てきたやけに氷の多いお茶を飲みつつ店番の少女へと密かに探りを入れる。
「せやね、ここ数日なーんか急に知らん『お客さん』増えとる気がするわ。ここ、人の往来は多い方やけど、たしかになー。なんぞ愛想の悪いおっさんもおって嫌やわー」
――とのこと。
いくらか当たりはつけられた。最後に挨拶を交わして、2人は少女のブラックホール焼き屋さんをあとにする。
「……それじゃ、次のお店探しましょうか。あたしの知らない魚介類ー、とか、見たことない調理法ー、とか。さっきのお店のほかにもたくさんあるんでしょうねぇ」
「そんならもちろんうちも付き合うで。こういうところに来たなら、やっぱ食い倒れなな!」
かくして2人の食べ歩きは続くのだ。――しかして、その旅の最中であっても彼女たちの視線は鋭く、戦いに備え油断なく敵の姿を追い続けているのである。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
【WIZ】
ここが新世界か。
みんなどんな料理食べてるのかな。
やっぱ海鮮系かな。
環境や文化によっても調理法も味付けも変わってくるし。
そんな訳で、シャーリーと一緒に食べ歩き開始!
メインストリートのお店を回って郷土料理を食べたり、海岸に出て漁師たちの賄い飯を教えてもらったり。
出来ればレシピも教えてもらいたいところだけど、まずは【料理】で自分の舌で味を盗み、その上でわからない事があったら尋ねる事にする。
お返しにこっちも色んな世界の調理法を教えたいな。
そして実際にグリードオーシャン料理を作り、シャーリーや島の人達に味見を頼む。
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
(POW)
ここの人たちって元はといえばボクと同じ世界から来たんだよね
住む環境や言葉は違っても、何となく親近感?
ウィーリィくんと一緒に食べ歩きっ
二人で分け合えば色んな味を楽しめるよねっ
初めての食べ物はここの人に聞いたりして話のきっかけにする
あとウィーリィくんに後で作れないか聞いてみたり
「ねぇねぇ、これ作れそう?」
そうやってここの人たちと親睦を深めながら、噂話についても聞いてみる
すでに敵が動いているならニセの情報も出回ってるだろうから
「わ、ほんとにスペースシップだ……」
シャーリー・ネィド(f02673)は上陸したドートゥンヴォリの風景を見上げ、見覚えのある壁面の建造様式に懐かしさを覚える。現代のスペースシップワールドにおいてはもはや旧式もいいところだ。もしこれがそのまま星の海を渡っていたなら、とんでもない骨董品だと驚かれることだろう。
「新世界とはいうけど、島はほかの世界からきたらしいからな」
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)は隣を歩きながらドートゥンヴォリの簡易的な地図を手に移動ルートを検討する。
「ここ……ドートゥンヴォリだっけ。ここの人たちって元はといえばボクと同じスペースシップワールドから来たんだよね」
住む環境や言葉は違っても、シャーリーは何となく親近感をおぼえる。よく見てみれば、港湾区域を行き交う人々の中にはブラックタールやクリスタリアンといったスペースシップワールド由来の種族が混じっているのもまた見受けられた。
ドートゥンヴォリは活気溢れるメインストリートが目立つが、その一方で漁港の役割を果たす港湾区域には客商売のためのものではない家庭料理が息づいている。メインストリートのコナモンはドートゥンヴォリのグルメを楽しむ上での王道だが、港湾区域の漁師たち向け大衆食堂の味もまたひとつの文化として成熟していることだろう。
「ごめんくださーい」
「いらっしゃーい。……おやー、珍しい。うちに地元の連中以外が来るのなんか久しぶりやねぇ」
というわけで、2人はドートゥンヴォリ下層エリア、漁業を生業としている島民の多くが住む区画へと向かっていた。『大衆食堂サーカイー』の看板を掲げる店舗に入ると、クリスタリアンのおばさまが彼らを迎える。
「上の大通りの方でなくてええのん?」
「ああ、こういうところの食事も見てみたくってさ。シャーリー、なにか食べてみたいのある?」
「なんでも大丈夫だよ。そしたら、いちばん人気のあるのはなんですか?」
「そしたら海鮮煮やねぇ。今作るから待っとってえな」
クリスタリアンのおばさまが注文を取り、厨房へと注文を伝える。ウィーリィは食卓から厨房へと視線を投げかけた。調理の手際を見たいのだ。環境や文化によっても調理法も味付けも変わってくる。ドートゥンヴォリは小麦粉が中心の食文化圏だ。コナモンやパン粉に由来する揚げ物が多く供されることから、ウィーリィはパンに似た主食があるだろうと考えていた。
「ウィーリィくんは料理のことになると本当にいつも一生懸命だね」
シャーリーはその横顔を微笑ましく見守り、笑みをこぼす。視線に気づいたウィーリィがちょっと照れるように笑った。
「はいお待ちー」
「来た来た」
そうこうしているうちに、料理が提供される。この店の海鮮煮はタラに似た白味魚の切り身、貝類やイカなどを塩と食用油、それからスパイスで似たものだ。アヒージョに近い。付け合わせはバケットに似た固めのパン。
「ついでにおまけもつけとくな。2人で仲良うお食べ」
気前よく提供されたのはイカと香草のマリネである。海鮮煮のオイルの重さと対比的なさわやかな風味。箸休めには丁度いいだろう。
「味噌煮か何かかと思ってたけど、こうくるとは」
想定していたよりもだいぶ洋風だ。アース世界線におけるフランスの田舎料理などに近い。
「予想と違った感じ?でも美味しそうだよ。はやく食べよう!」
ふわりと広がる香りにシャーリーは顔を綻ばせていただきます。ウィーリィもそれに倣って箸を手に取った。塩気の効いた魚介の味わいを口に運び、堪能する。労働者向けの料理であるがゆえ、濃いめの味付け。酒のアテにも良いかもしれない。
「シンプルだけどけっこうパワーあるな……」
「でも美味しいね。ウィーリィくん、これ作れそう?」
「スパイスの配分がわかればいけるかもな。食べ終わったら聞いてみるよ」
シャーリーはバケットを割ってオイルに浸し、白身魚をすこしほぐして一緒に口に運んだ。染み込んだオイルがパンをやわらかにしながら、強めの塩気を生地が包み込む。噛みしめた白身から魚介の味が染み出した。箸休めにマリネをつまむ。さっぱりした酢にレモンと香草の風味が混ざり合った味わいが舌の上に爽やかな波を起こした。
「ごちそうさま。美味しかったね」
「グリードオーシャンの郷土料理っていうのは、基本はこんな感じなんだろうな」
まったく別の生き物でも、類似した環境で過ごせば似たフォルムの体型に進化する。例えばサメとイルカが全く別種の生き物であるにも関わらず同じ流線型の身体と三角形の背鰭を持つように。収斂進化の法則だ。それと同じく、島々で文化は違えど海産物を中心にした食文化は似通う部分が出てくるだろう。実際、ここの料理がアース世界線の漁師町の家庭料理に似ていたように。ウィーリィの舌はグリードオーシャンの味をしっかりと刻み込む。
「……よし」
「どうするの?」
席を立ったウィーリィを視線で追って、シャーリーが尋ねる。
「せっかくだから、厨房貸してもらえないかと思ってさ。美味いもの食わしてもらったお礼、ってね」
ウィーリィはそのまま食堂のおばさまのもとへ駆け寄ると、交渉を開始する。
「ウィーリィくんらしいね」
シャーリーはその姿を見守りながら、緩やかに微笑んだ。
かくして厨房を借りたウィーリィは、ここで使える食材を用いた別の文化圏の料理を披露。それと同時にこの島のレシピを盗み取るように記憶した。そして見慣れぬ料理に釣られて集まった下層エリアの人々を交え、小宴会めいた試食会を開催する。
一方シャーリーは集まった島の人々と親睦を深めつつ、敵の斥候の動向を探ったのであった――結論から言えば、人々の間には襲撃を予期するような不穏な噂が密やかに流れ始めている。敵は既に動き始めているに違いない。猟兵たちの暗闘は、現在進行形で進んでいるのだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アーデルハイド・ルナアーラ
POW
ここがグリードオーシャンなのね。まずは腹ごしらえから始めましょう。
サムライエンパイヤの海老天蕎麦(大好物)を超える料理は出てくるかしら?
大変!ショタが!ショタがお店番をしているわ!半ズボンから覗く日焼けした生足......。あの陰のある表情......。たまらないわ!(よだれを垂らす)
ここは大人の魅力で逆ナンを......はっ。しまった!私は今6才児まで若返ってしまっているのだったわ!おのれアルダワの大魔王!もうちょっと融通効かせなさいよ!モテないと若返った意味がないじゃないの!
仕方がないので美少年の売り子さんのプライベート根ほり葉ほり探りつつ、ご当地料理をヤケ食いするわ。
月守・咲凛
アドリブ他諸々OK
とても少食であまり食べられません、だいたいコンビニのパン2個くらいでお腹いっぱいになります。
みんなが楽しそうにしているのです。自分もニコニコしながら、とりあえず現地のお金を手に入れようとその辺の海で空中から大きな魚を撃ち抜いてお金に換えようとしますが、子供が経営しているお店を見かけ、そこの子供にお魚を全部あげて、代わりにお料理をお願いするのです。
私の手料理も見たいのですか?良いですよ!腕によりをかけるのです!
自分の作ったお料理を自分で食べるのはダメなので、遠慮なく召し上がれ、です。(ニッコリ)
食べてくれないと悲しそうな顔をしますが、後で食べる、とかで誤魔化されます。
アルフレッド・モトロ
POW
ワンダレイの皆と出発!
「うおー!なんだこの懐かしい雰囲気!?もしかして俺の故郷ってこの世界なんじゃないか!?」
かつて思い付きで故郷を飛び出してしまったせいで
自分の出身世界が一体どこだったのか
分からないままでいたんだが…
この料理、この味、この空気!
俺はこの世界で生まれ育ったのかも知れん!
と、大興奮気味にドンドン進んで
郷土料理とやらを片っ端からむしゃむしゃするぞ!
ちょっと落ち着いたらみんなの所へ戻ろう。
ん?なんだ?夜野(f05352)どうした…?
へえ!咲凛(f06652)が料理を作ったのか!
え?も、もちろん食べるぞ!
き、【気合い】で、なんとか…なるはず…なるはずだ……!
(アドリブ連携歓迎)
尾守・夜野
■WIZ
■ワンダレイ
「ほう…色んな店があるな」
割りと情報収集の為という建前で店やってたりするから郷土料理に興味あるな
「へぇ船長(アルフレッド)の故郷ってこんなのなのな」
色々レシピとか聞いたり食べてる間に
「…って月守?それは一体」
不穏すぎる気配の物作り出そうとしてるのに戦々恐々
危ないのには近寄らせないに限る
「…おいガキ共すまんがこれ買ってきてくれねぇか?
店にねぇ飲み物なんだが…どうしても欲しくてなぁ
留守は見ててやるよ
(必死に月守の料理の方と出口を交互に見てのアイコンタクト&口パクでの逃げろコール)
…冷めると悪いからな
この料理貰っても?」
覚悟決め…轟沈
俺が死のうとも!
ギリで別の人格代わり留守守る
ジェイ・ランス
【POW】■ワンダレイ ※アドリブ歓迎
新世界! いいよなこういうの、わくわくするぜ!
お、さくりん(咲凛)発見!……なにこの粘土みたいの。まあ食べたらおいしいかm無理!?(バタン)
あ、船長(アルフレッド)とおがみん(夜野)じゃん。え、食べるの?……食っとけ食っとけ!!(邪悪な笑み)
じゃオレは他のも食うかー(お口直しに色々食べては舌鼓)。
ここが船長の故郷かもしれないのかー。見つかるといいな、いろいろ……
お、コナモンひとつおくれー!
「うおー!なんだこの懐かしい雰囲気!?」
飛空戦艦ワンダレイ船長、アルフレッド・モトロ(f03702)は、驚きと喜びがない交ぜになったような声をあげた。
見上げる空に吹き抜ける、潮の香りをはらんだ海風。振り返ればどこまでも続く海の青。水平の境界を挟んで眩しく光る空の青。どこまでも続く青の世界の姿にアルフレッドはつよく馴染みをおぼえた。
「もしかして俺の故郷ってこの世界なんじゃないか!?」
どう思う?とばかりに振り返るアルフレッド。
「へぇ……船長の故郷ってこんなのなのな」
尾守・夜野(f05352)は冷静にその様子を眺めつつ、興奮気味のアルフレッドへ相槌を打ちながらドートゥンヴォリのメインストリートを歩む。活気ある商店の並びに呼び込みの声がそこかしこから聞こえてくる元気な街並みだ。
「じゃあ見つかるといいな、いろいろ……。っつか、それ抜きにしても新世界!いいよなこういうの。わくわくするぜー!」
ジェイ・ランス(f24255)は2人に追随するように通りをゆく。
「ああ、なんつーかこう、胸が躍るし空気が肌に合うな……。よし、せっかく来たんだ。ぶらつくだけじゃなく飯も食ってみようじゃないか!」
2人を引き連れたアルフレッドは上機嫌でストリートを歩いた。通りがかりに覗ける多くの店の店頭から見えるカウンターの中では、鉄板を用いた様々な『コナモン』と呼ばれる主に小麦粉に由来したファストフードなどが焼かれる様子が見える。
「おっ。そこのイカしたあんちゃんたち、食い倒れしとるん?」
そんな中、とある一軒の店の前を通りがかったところで店の中から声がかかった。年若い少年の声だ。
「うちのメテオ焼き、めっちゃ美味いで。寄ってったってやー!」
「……なんだ、ガキが店番してんのか?」
夜野はやや怪訝そうな顔でそれを見る。
「へえ、子供も店をやってるの……」
つられて立ち止まったジェイが店の様子を覗き込もうとした――そのときである。
「大変!ショタが!ショタがお店番をしているわ!」
――ストリートを駆けてカッ飛んできた元気な声とちっちゃな体躯が3人の横をすり抜けてお店の前へと飛び込んだ!
アーデルハイド・ルナアーラ(f12623)である。身体はちびっこのあーでるはいどちゃん6歳であるが、その魂は美少年に目がないちょっとあぶないおねえさんなのである。
「……お、おう」
「あっ船長。きぐうね、わたしもちょうどきてたのよ」
ものすごい勢いでやってきたアーデルハイドのパワーの前に一歩引くワンダレイ男性陣であったが、あーでるはいどちゃん6歳は笑顔でそれをスルーして呼び込みの男の子へと向き直る。
「それはともかくー……」
「……?」
じろっ。アーデルハイドはメテオ焼き屋さんの男の子を見た。すこし日に焼けた健康的な色の肌。半ズボンから覗くのはすらりと伸びた少年期特有のしなやかな肉付きをした生足。なまりのある言葉を繰りながらも、その表情の目端に僅かに見え隠れする愁いのような色……合格点だ。アーデルハイド好みの美少年である。
「たまらないわ!」
あーでるはいどちゃん6歳はよだれをたらしながら叫んだ。
「せやろ、たまらんやろ。ええで、ちっこいお嬢ちゃん。うちがサービスしたるさかい、おにいちゃんに買うてもろてや」
店番の美少年はピックでくるりと生地を返した。メテオ焼きとは丸い窪みを配した鉄板に小麦粉を溶いた生地を注ぎ、中心にタコ足の切り身や魚肉加工品などを入れて一口大のボール状に焼き上げるドートゥンヴォリのファストフードである。そのかたちはアース世界における「たこ焼き」と呼ばれる食品に酷似している。スペースシップワールド由来の文化を持つこの島では、ボール状のかたちを隕石や小惑星にたとえてメテオ焼きと呼んでいるのだ。
話を戻そう。『たまらないわ!』を商品に対する台詞と解釈した店番の美少年は、買うてってやー、とワンダレイ男性陣に笑いかける。あーでるはいどちゃん6歳が振り返って、ねだるように見つめた。
「……どうすんだ、船長」
「とはいえ、オレもこれ食ってみたいな」
「いいじゃないか!よし、少年。そのメテオ焼きっていうやつを3人前くれ!」
とはいえ、もともと彼らもドートゥンヴォリでの食べ歩きを期待していたのである。事前準備としてこの世界における通貨はいくら分か確保してきている。代表してアルフレッドが代金を支払えば、店番の少年が手際よく容器にメテオ焼きを詰める。
「まいどーおーきに!イートインできるけ、よかったらそこのスペース使ったってや」
「いいわね。それじゃ中でたべてきましょ。美しょ……おみせのひとのおはなしも聞きたいし――」
「あー!見つけたのです!」
――ここで更に、人波をかき分けて元気な声が響いた。月守・咲凛(f06652)である。彼女もまたワンダレイのメンバーだ。
「お、さくりんじゃん。来てたんだー」
「あっ、ジェイさんに夜野さんもいたのです!」
ひょいと飛ぶように通りを駆け抜け、咲凛はアルフレッドたちに合流。その手に紙袋を抱えつつ、先に集まっていた4人とともに店内のスペースへと入ってゆく。
「おきゃくさんは歓迎やで。せっかく人数も増えたんやし、追加注文はせえへん?」
咲凛が合流したことで5名になったワンダレイ一行へと、店番の美少年が品書きを指す。銀河焼きなどのコナモンのほか、海鮮を豪快に塩で焼き上げた串焼き。更にドリンクメニューもあるんやで、と店番の美少年は商魂たくましく迫った。
「なるほど、たしかにそれも道理だな。なら俺は海鮮串焼きを適当に何か見繕ってもらおうか」
「へぇ、よく見たらけっこう色んなメニューがあるんだな。んじゃ、なんか適当にコナモンひとつおくれー!」
「あいよー!」
アルフレッドとジェイがイートインスペースの席につきながら追加注文。それに続いてワンダレイのメンバーたちは店内のイートインスペースに腰を落ち着けた。
「そういえば月守、それは一体?」
夜野は咲凛を横目で見ると、彼女が手に持っている袋の存在に気付く。
「私も料理をつくってきたのですよ!」
椅子に腰かけた咲凛が、袋を掲げてみせた。
「えー、お客さん、持ち込みは困……」
「――あー!おい、俺、急にあの、アレが飲みたくなってきちまった。あのー……アレだ、向こうの通りで売ってた『ヒヤシャーメ』とかいうやつ!」
口を開きかけた店番の美少年の言葉を、夜野が声をあげて遮る。
なお、ヒヤシャーメとは水あめにジンジャーシロップを溶かしたドリンクだ。水あめの甘みとジンジャーのさわやかな風味がのど越しよく、ドートゥンヴォリでは定番の飲み物として親しまれている。
「なあ、すまんが買ってきてくれねぇか。どうしても、どうしても欲しくてなぁ」
「ええー、お客さんの頼み言うても店開けるんは……」
「頼むよ。――持込料と迷惑料だ。だから頼む。な。留守は見てるからよ」
夜野は財布から取り出した銀貨数枚を店番の美少年に握らせ、ささやく。
「それじゃあわたしもいっしょにいってくるわ!」
思いもがけず美少年とお買い物デートね。目を輝かせたあーでるはいどちゃん6歳が困惑する店番の美少年の手を引いて外へと飛び出していく。
「……なんだ?夜野、急にどうした……?」
ここまでのやり取りを見て、メテオ焼きをつついていたアルフレッドが怪訝な顔をする。
「……」
夜野は無言でテーブルの上を指した。そこでは既に地獄が蓋を開けている。咲凛の生成した毒物もとい手料理のお披露目だ。
「なにこの粘土みたいの」
ジェイは率直な感想を素直に述べた。
「へ、え…………咲凛が料理を作ったのか!」
想像を絶する光景にアルフレッドは「おお」と呻き、微妙な表情を浮かべる。
「え、料理なのこれ」
ジェイが微妙な表情をした。
「料理ですよ?」
腕によりをかけたのです!咲凛は自信満々に胸を張ってみせる。
「……食べてくれないのですか?」
「お、おう!もちろん食べるぞ!なあ、夜野!」
「あ、ああ……」
男気!ワンダレイ男性陣がぐっと拳を握り、粘土のような毒物もとい咲凛の手料理に対峙する。
「ところでこれ、味見はしてんの?」
「してないですよ」
「ナンデ?」
「自分の作ったお料理を自分で食べるのはダメなのです」
「アッハイ」
どうしてこのテの毒物生成者は味見の概念をもたないのだろう。ジェイは遠い目になりながら箸を手に取った。
「……まあ、食べたらおいしいかもしれないしな」
「はいですよ!さあ、遠慮なく召し上がれ、です!」
一番槍はなし崩し的にジェイが務めることになった。あまり考えることなく箸を伸ばし、口に入れ、咀嚼する。
「グアーッ無理!!」
ジェイは頭上に赤丸3つを浮かべながら転倒した。
「ジェイーッ!」
倒れたジェイにアルフレッドと夜野が駆け寄り、介抱する。青ざめた顔で震えるジェイはグッと親指を立てながら「美味かったぞ」とやさしい嘘をついてダウンした。
「……」
「……」
「……食べてくれないのですか?」
咲凛が続きを促す!
「え?も、もちろん食べるぞ!」
プレッシャー!圧力に押し切られたアルフレッドは席に着き、恐る恐る粘土めいた殺人劇物もとい手料理へと箸を伸ばす!
「き、気合いで、なんとか……なるはず……なるはずだ……!」
実食!
「グアーッ苦戦判定!!」
「船長ーッ!」
アルフレッドは頭上に赤丸2つと青丸1つを浮かべながら転倒!せめて肉体強化系のユーベルコードを用いていれば!無念!
「…………」
既に2人抜きを果たした猛毒もとい手料理の圧力の前に、夜野は攻めあぐねる。
「……食べてくれないのですか?」
再び咲凛が続きを促す!!
「……あ、ああ。食べるさ」
そして最後の挑戦者である夜野もまた席につき、箸を手に取る。深呼吸一つ。眼前に敵の姿を見据え、覚悟を決めた。
そっと箸で粘土めいた猛毒を取る。――これ一体原材料なんなんだ。何をどう調理したらこれができるんだ。ひょっとしてこれは厚意を装った嫌がらせ、否、船長を含めたメンバーをこの猛毒で密かに葬り去ることで船長の座を乗っ取ろうと画策しているのでは――?夜野の脳裏を様々な憶測がよぎった。そして、その舌の上を毒物もとい手料理が侵す。
「グアーッ轟沈!!」
夜野は頭上に赤丸3つを浮かべて撃沈!最後の犠牲者となり床へと転がる!見事な3人抜きであった!
――数分後。
人格交代によって致死ダメージを回避した夜野と、かろうじてダメージから回復したジェイはドタバタやった分の片づけを済ませ、ヒヤシャーメの買い物を終えて戻ってきた店番の美少年とあーでるはいどちゃん6歳を迎える。
その後復帰したアルフレッドを交え、ワンダレイの5人はあらためて店に注文を通す。数分前の悪夢を忘れようとするかのように、彼らは気前よく注文を重ね店の売り上げに貢献したのであった。
一方。
人々や猟兵たちが平和な日常を過ごす傍らで、島に迫りつつある脅威は密かに活動を開始していた。
間もなく、それは牙を剥く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
第2章 集団戦
『呪われた船首像』
|
POW : まとわりつく触腕
【下半身の触腕】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : 掻き毟る爪
【水かきのついた指先の爪】による素早い一撃を放つ。また、【自らの肉を削ぎ落す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 呪われた舟唄
【恨みのこもった悲し気な歌声】を聞いて共感した対象全てを治療する。
イラスト:Kirsche
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
星の輝く夜であった。
「――斥候の連中、連絡がないねぇ?」
ドートゥンヴォリ近海。海賊船『リリィ・マルレーン』。
船上に佇む女海賊、キャプテン・ブラッディ・リリーは眉間に僅か皺を寄せた。
――間もなく予定していた時刻だ。本来であれば島に潜入させていた斥候から連絡があるはずだった。先行させていた海賊構成員たちで騒ぎを起こし、それを合図に一気に島へと攻め入る手筈だったのである。
「う、うー……あー……」
「よしよし。おまえたちも随分腹を空かせちまったものねぇ。……何をやってるんだい、あのグズども」
ブラッディ・リリーは僅かな苛立ちとともに懐中時計を見ながら吐き捨てる。水面では彼女の『ペット』である異形たちが呻いた。
――一方。
ドートゥンヴォリ下層。港湾区画。
人気のない港には、縛り上げられた海賊どもが転がされている。
ここに至るまでに、何人かの猟兵たちが敵の斥候の存在を探り、そして対策を打っていた。その結果として島に潜入していた敵はほぼすべてが密かに猟兵たちの手で捕えられ無力化されていたのである。更に、今宵の襲撃計画の情報までもを猟兵たちは得ることができていた。
港から望む夜の海には、望遠鏡があれば目視できる程度の距離に停泊する海賊船『リリィ・マルレーン』の姿を捉えることができる。
即ち、これは敵に奇襲をかける好機なのだ。――船へと至るまでには、水面に顔を出す異形の『船首像』たちの襲撃があるが。
猟兵たちよ。海を渡り、敵の潜む海賊船を目指して進め!
白斑・物九郎
【ワイルドハント】
●WIZ
俺めの新コード、解禁と行きましょっかや
続け白鳥
足掛かりになる船は今から揃えてやりまさァ
(モザイク状の空間を一潜り。海賊ルックにチェンジ)
“天国では狩りが出来ない”
成仏したって退屈なだけっスよ?
あの世行きを拒絶しろ
集え、者共
――俺めのコトは、キャプテンと呼べ
・【砂嵐の王・死霊大隊】発動、召喚した船の船首にエラそうに陣取る
・集団敵に感知されるギリまで無灯火で接近
・暗中の視界は【野生の勘】で代替、乗組員の幽霊達に操船指示
・会敵次第、船を突き進ませるままに衝角と竜骨で敵群を【蹂躙】
・船体側面の砲列、幽霊達のラッパ銃、己の先込め拳銃で周囲をやかましく【なぎ払い】、歌を響かせない
白鳥・深菜
【ワイルドハント】
「委細承知。じゃあ、乗っていくわよ」
さて。おそらく戦力自体は猟団長のものだけで事足りそうね。
――であれば。私の役割はその戦力を十二分に生かす事。
会敵した幽霊船が生み出す暴力と喧騒の中、独り空に飛びだす。
これだけ騒がしければ、そうそうこちらには気付けまい。
この戦力を死角として、反撃や離脱を計る敵を優先して
『追跡』し【青天白日の暗殺剣】で刺していく。
ダメージはそれなりだろうけど、果たしてこの足止めが致命的な隙になる。
一つたりとも逃がしはしない。そのまま狩られて行くがいい。
「おーおー、居やがりますわ」
白斑・物九郎(f04631)は、ドートゥンヴォリの港より夜の海に浮かぶ海賊船の姿を捉えた。
「それじゃ、始めていきましょうか。よろしく頼むわよ、猟団長」
白鳥・深菜(f04881)はその傍らに立ち、これより始まる戦の気配に表情を引き締める。
「アア。――ガチの海戦は初めてでしたニャ。然らば、俺めの新コード……解禁と行きましょっかや」
物九郎は周囲の空間に自己領域を展開した。揺らめく空間。異界門めいたモザイク状のそれを潜り抜け、物九郎の姿は変じる。海風にたなびくコート。ジョリーロジャーを掲げる海賊帽。それは即ち、海賊船長の様相である。
「続け白鳥。足掛かりになる船は今から揃えてくれまさァ」
「委細承知」
――かくして。
水面に、飛沫が上がった。水底より浮かび上がるようにその船は浮かび上がる――【砂嵐の王・死霊大隊/ワイルドハント・ネクロトライブ】。死霊の海賊どもを満載した海賊船が、夜の海に帆を張った。けたけたと笑うように下顎の骨を鳴らし、甲板に並ぶ白骨の群れが揺れた。
「――起きろ、お前ら。寝ぼけてんじゃねえっスよ」」
『…………』
船の甲板に居並ぶ空洞の眼窩が、一斉に物九郎を見る。
「“天国では狩りが出来ない”――でやしょう」
その声に反応するように、亡霊たちは揺れる。
「あの世行きを拒絶しろ。掠奪の味を思い出せ。成仏したって退屈なだけっスよ?」
『…………』
けた、けた、けた。顎骨が小刻みに揺れて、死霊の群れが笑う。
「よし――集え、者共。配置につけ。錨を上げて弾を込めろ。さァ、“狩り”の時間でさァ。俺めのことは、キャプテンと呼べ」
船へと飛び乗った物九郎は死霊の群れに操船を命じながら、船首へと陣取る。死霊共はこれから始まる狩猟に期待と熱情を込めるように、手にした銃とカトラスを掲げときの声をあげるように顎を鳴らした。
目標、海賊船リリィ・マルレーン。狩猟船は抜錨し、港を発つ。
「じゃあ、こっちも乗っていくわよ」
深菜は出港する船を追って宙を舞うように跳び、甲板へと着地する。ワイルドハントはかくして戦いの海へと漕ぎ出した。
「――おかしいねぇ」
「う、うー……あー。あー」
海賊船リリィ・マルレーン船上にて、ブラッディ・リリーは訝しむ。
よもや、作戦が失敗したのではないか。――そう疑いを持った、その瞬間であった。
「ンニャあ、いくとしやしょうか――者共、“狩り”の時間だ!容赦なく、徹底的に蹂躙しろ!」
砲撃、ッ!!着弾した砲弾が火薬を炸裂され、爆発する!着弾の衝撃にオブリビオンの海賊船が揺らいだ!
「なに……!?奇襲だと!?一体、どこから――」
「こっからっスわ!」
『…………』
更に発砲音!海賊船リリィ・マルレーンの目の前に現れた物九郎の狩猟船は、すでに至近距離まで詰めている!甲板でけたけたと音をたてて骸骨の群れが笑い、その手に握るフリントロックピストルやラッパ銃が火を噴いた!夜を切り裂く火薬の音に、敵船は対応が遅れる!
「ぐあ……ッ!この距離まで気づけなかった!?……明かりもなしにここまで来たっていうのかい!」
無灯火!物九郎の狩猟船は、その船上に一切の照明を焚いていなかったのである。本来ならば非常に危険な行為だ。明かりのない船舶の中での活動は、転落のリスクが大きく高まることや船内の機材の取り扱いに大きな事故の可能性が生じることに直結する非常に危険な行いだ。だが、物九郎率いる死霊海賊の群れはそのリスクをものともせず、攻撃を仕掛けるこの瞬間まで敵に気取られぬために敢えてその危険を越えてきたのだ。
「お前たち……何者だい!」
「――猟兵団ワイルドハント。猟団長とはこの俺めのことでさァ!」
「ふざけやがってェ!」
名乗り上げながら再び砲撃!敵船の至近の海面に着弾し、爆発!水面を大きく揺らす!
「う、うー……う、あ……」
「あー……あ、あう、ううう」
ここで水面の『船首像』たちが反応した。奇襲に驚き身動きをとれていなかったところからようやく態勢を立て直した彼女たちは、目の前の狩猟船ワイルドハントを敵と見定めて反撃を開始する。群がる異形たちが、船底にまとわりついた。
「あー…………?」
しかして、その中の一体が突然に動きを止める。見開いた瞳孔で虚空を見上げ、そして声が途切れたかと思えばそのまま水底へと沈んでゆく。
「――役割はわかってるわ」
深菜である。深菜はレイピアを濡らす返り血を拭いながら、空中を蹴るように飛んだ。
彼女は狩猟船が砲撃を開始したと同時、その暴力と喧騒に紛れて甲板から飛び出したのだ。その背の翼で宙を舞い、あるいは夜闇と波間に紛れて。反撃や妨害を行ってくる敵の排除を自らの役割として定め、手にしたその刃を振るう。【青天白日の暗殺剣/フェア・アサシネイション】。星明りの下に閃く刃が、船底に群がる異形の『船首像』にまた突き立った。
「あ、うー…………あ……」
「哀れとは思わないわ。一つたりとも逃がしはしない。そのまま狩られて行くがいい」
返り血を払い、次の獲物へと向かいながら深菜は上方を仰ぎ見る。物九郎率いる亡霊海賊どもとオブリビオンの海賊船の海戦は正面からの撃ち合いに転向しつつあった。奇襲めいた初撃をぶち込んでやれた分、物九郎たちの方がやや優勢にあるように見える。
「戦力自体は猟団長のものだけで事足りそうね――であれば。私の役割はその戦力を十二分に生かす事」
例えば罠や伏兵といった不測の事態がなければ、この勝負はこのまま押し切れるだろう、と深菜は推測する。故に、自分の仕事はその『不測の事態』になりうる要素を潰しておくことだ。
「ええ、仕事はきっちり果たさなくちゃね」
そして、またひとつ刃が閃く。
「ちぃ、ッ……なめやがって!お前ら、やられっぱなしでいるんじゃないよ!片っ端から弾を込めて撃ちまくれ!あのこまっしゃくれた小僧の船を絶対に沈めるんだよ!」
「へい、姐御ッ!」
号令とともに火を噴くカルバリン砲!かくして、夜の海を舞台として決戦の火ぶたは切って落とされた。
猟兵たちは大きく優勢を取ったが、だからと言って敵が容易に押し切れる相手というわけではない。――星明りの下に、戦いは続く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ウーラ・エベッサ
※アドリブ歓迎、共闘希望
POW判定
・行動
海上への足の無い猟兵たちを誘い合わせて
自身の「タートルサーペント『ゲンブ』」で海賊船に近づく
船の周りの『船首像』たちは「ラーンの網」を投げて
複数体を一纏めに捕らえ
UC使用して水中からひっこ抜いて海面に叩きつける
(陸上の方が威力の出せる)猟兵たちに
動きの鈍った敵のトドメを任せて、自分はどんどん引き上げ続ける
・セリフ
「一度でも宴をして酒を酌み交わした兄弟たちの島を狙うたぁ
許せないね、一丁派手に懲らしめてやろうじゃないか!」
「水中の敵をアタシがこいつで纏めて引きずり上げてやる!
その代わりアンタらにとどめを任せてもいいかい?」
仇死原・アンナ
…あれが敵の船か
船に乗り込みたいけど…あの魚モドキを倒さないと
[暗視、視力]で視界を確保
[早着替え]で水着に着替え、海に飛び込もう
【凄惨解体人間】でドロドロに溶けながら
[環境耐性、水中機動、水泳]で移動し
[闇に紛れながら目立たぬ]ように船へ近づこう
血肉で敵を[おびき寄せ]たら妖刀を抜いて
[水中戦、早業、串刺し、暗殺]で仕留め口封じしよう
触腕での攻撃はドロドロに溶けた肉体でするりと抜けて回避
次々に始末してある程度船に近づいたら
鎖の鞭の[ロープワーク]で船に引っ掛けて乗船しよう…!
こういう場合、ドートゥンヴォリの言葉ではこう言うそうだな…
…邪魔するでぇっ!
ミスト・ペルメオス
【SPD】
すみませんね。直接戦う方が性に合っているものですから。
愛機たる機械鎧を駆って戦域に到る。
マシンヘルム等を介して念動力を活用、機体をフルコントロールしつつ。
水中では不利も否めないだろうが、水上や空中ならば話は別。
スラスターを駆使して低空を飛翔、奇怪な船首像の群れを感知すると同時に【ハイマニューバ】起動。
鋭さと複雑さ、何より速度を増した戦闘機動を行いながら、複数の射撃武装による火力を積極的に投射。
近接攻撃を受ければビームシールドで防御、直後にブレードに切り替えてのカウンターも狙う。
敵船からの迎撃が来るならば応射する。
主兵装たる可変速ビームキャノンで盛大に、と。
※他の方との共闘等、歓迎です
「一度でも宴をして酒を酌み交わしゃ、アタシにとっちゃ兄弟同然。……その兄弟たちの島を狙うたぁ許せないね」
『ぐおおん』
亀めいた甲羅をもつライドサーペント、『ゲンブ』が唸る。その上に仁王立ち、ウーラ・エベッサ(f26246)は水面へと漕ぎ出した。
「一丁派手に懲らしめてやろうじゃないか!」
「……そうね。あの店を失うのは……私も惜しい」
仇死原・アンナ(f09978)はその甲羅に同乗し、戦闘準備を整える。梟めいてその瞳孔を開き、闇に浮かぶ敵船の姿を見据えた。
「……あれが敵の船か」
「みたいだねぇ。いくよゲンブ!スピード上げな!」
『ぐろろろろ』
ライドサーペントが唸りながら、水面で速度を上げる。間も無く敵の間合いに入るだろう。既に猟兵たちの襲撃を受け交戦状態にある敵船のざわめきが聞こえた。
「う……うー?あー……あ、あー」
「あー……」
しかして、ここで敵の群れもまた猟兵たちの存在を気取る。『船首像』たちが呻くように声をあげながら、波間に揺れてゲンブを目指し動き出したのだ。
「そっちからもかッ!」
砲撃!リリィ・マルレーン号のカルバリン砲が吠えて砲弾を撃ち出す!水面で炸裂!大きく水柱があがった。
「連中、派手にやるじゃないか!」
「……ここは任せる。私は……船に取り付くから」
「陽動役をやれってことかい?いいよ、任されようじゃないか!」
2人は短くやり取りをすませると、アンナは甲羅から飛び出す。空中でその身を赤黒く変じながら海面へと飛び込んだ。【凄惨解体人間】。どろどろに溶解した肉体で水中へと潜り込み、密かに敵船を目指す。
「……引き受けたはいいけど、捌き切れるかねぇ!」
再び砲撃!ゲンブは海面を流れるようにして機動し、爆ぜる砲弾を回避する。
「う、うー……」
「こっちもか!」
『船首像』がゲンブの身体を絡め取るように纏わった。ウーラはその触腕を叩き、甲羅からひっぺがす。だが、その瞬間にまたも砲声が響く!危うし!
「ニューロリンク……ハイマニューバ・プログラム始動!疾れ、ブラックバード!」
だが、放たれた砲弾はウーラのもとに届くより遥かに手前で爆発する。一拍遅れて戦場に飛び込む漆黒の翼。その姿こそブラックバード。即ちミスト・ペルメオス(f05377)の駆る鎧装である!
「こちらブラックバード。遅くなりました。これより戦列に加わります」
「……へえ、あんな奴もいるのかい。助かったよ。アンタも巨人族かい?」
ウーラはゲンブの甲羅から引っぺがした異形を海へ投げ返しながら、宙を舞う全高9メートルのブラックバードの機影へと声を投げかけた。
「いえ、違います。これは鎧装で……っと!」
ブラックバードの機体は空中で身を翻し、カルバリン砲の次弾を躱す。同時に携行火器を引き抜きターゲッティング。トリガー!迸る光弾が敵船の砲手を吹き飛ばし船体の横っ腹を爆発させた。
「いい腕じゃないか!それなら、こいつも頼めるかい!」
「う、ううううううー、っ!」
ウーラの手元から伸びる釣竿が風を切る音を鳴らす。ワダツミの竿より奔るトツカの針は『船首像』の身体に引っ掛かる。そのまま力を込めて、ウーラは竿を引いた!Fish!ざばと音を立てて釣り上げられた『船首像』が悲鳴めいた甲高い声をあげながら宙に放り出される!
「引き受けます!」
ブラックバードは反転して加速!海面に近づく低空飛行から急上昇しつつ前腕部のエネルギーを変換。落下を始めるオブリビオンの躯体とすれ違うように交差し、形成したビームブレードで両断する!水中での戦闘では光学兵器やエネルギー兵器は屈折や水の抵抗力により威力の減衰が懸念される。海上に釣り上げてくれるのであれば好都合だ。オブリビオンを一太刀で爆散させ、更に機動する。
「いいねぇ、それじゃあじゃんじゃん釣るからトドメを頼むよ!」
「了解しました。対応します!」
再び鉤針が疾る。同じく海面から釣り上げられ、響くオブリビオンの悲鳴。ミストは機体をもう一度反転させ、ブラックバードが水面を駆けた。
「……」
一方、アンナは海中を静かに進んでゆく。……血肉の匂いに釣られてか、何匹かの『船首像』が彼女に寄ってきたが、『餌をつまみにきた』程度にしか警戒していないのであれば、返り討ちにするのも難しいことではない。身の内に忍ばせた首斬り刀で油断しているその脳天を貫く。声をあげるまもなく絶命する『船首像』は水底に落ちて骸の海へと還る。海上で目立つ動きをしている2人のお陰で、アンナの存在に気づいている敵は少ない。アンナは海中を素早くすり抜け、敵船の船底へと至った。へばりつくように突起を掴み、更に鎖の鞭を放って船壁に食い込ませる。そこを起点としてアンナは船内へと忍び込んだ!
「な……なんだ、こいつは!?」
船室では、突如入り込んできた肉片と髪の束に海賊クルーが慄く!アンナは融解した身体を再構成しなおしながら、その手に拷問具を握った。
「こういう場合、ドートゥンヴォリの言葉ではこう言うそうだな……」
「ひ……ッ!」
過去の亡霊であるはずのオブリビオンよりも怪物らしく、幽霊めいて。アンナは揺らめきながら立ち上がり――処刑具を、振った。
「……邪魔するでぇっ!」
海賊の頭が、爆ぜた。
かくして猟兵たちの攻め手は進み、棋譜は更に詰められてゆく。ドートゥンヴォリ近海において繰り広げられる海戦は、猟兵たちが優位性を保ったままに続いてゆく!
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
海賊は自由に生き、自由を守るために戦うもの
それが、ボクの海賊道(かいぞくウェイ)
だから罪のない島の人たちを傷つけ、奪うような人たちが海賊を名乗るなんて許さない!
行くよ、ウィーリィくん!
【エクストリームミッション】で宇宙バイクが変形したパワードスーツを纏い、ウィーリィくんを背中に乗せて【水上歩行】で水上をホバー移動で滑走
邪魔する船首像たちを【クイックドロウ】+【乱れ撃ち】で蹴散らしながら反対側から迂回する形で海賊船を目指し、注意を分散させる事で他の猟兵が攻め込む隙を作る
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
ここの料理をご馳走になってわかった。
ドートゥンヴォリの人達は精いっぱいこの島で今日を生き、それぞれの夢を導に明日に向かって生きているんだって。
だから、お前らなんかにあの人達の『今』も『未来』も奪わせるもんかよ!
パワードスーツを装着したシャーリーの背中に乗り、海賊船に接近。
その中で戦場を見渡して敵の配置と味方の位置、そして潮の流れなどを【見切り】、【地形の利用】で手薄なところを探してシャーリーに指示してそこから攻め込む。
目の前の敵群を【飢龍炎牙】で一掃して一気に肉薄し、ボスの注意を惹きつけて仲間の猟兵への攻撃の手を鈍らせ、攻撃のチャンスを作る。
メルノ・ネッケル
街への侵攻を阻止しつつ、仕掛けるチャンスを得られた……油断は禁物やけど、状況は大分こっちに傾いとる。この機を逃す手はないな!
水中戦は得手やないし、海に引き摺り込まれたらマズい。ここは距離を取って港で戦うで。
……うへぇ、奴ら中々エグい手段で身軽さを確保するみたいやな。
そんならこっちにも考えがあるで……『九秒の狐』カウントスタートや。
9秒間で奴の動きを【見切り】、後に繋げる!
自傷してまで高めた身軽さ、下手な射撃は躱されかねん。けれど、タイミングをズラした【2回攻撃】ならどうや?
まずはリボルバーの一発!避けてもええんやで?
九秒間で掴んだ動きを基に、回避方向を【見切り】……本命の一発、R&Bの熱線や!
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
さぁて、潜入してた連中は粗方ふん縛ったし。ここから逆襲といきましょうか。
多少慣れてはきたけれど、さすがにまだ足場なしで海戦はしたくないわねぇ。
ミッドナイトレースに○騎乗してグレネードの〇投擲による○爆撃と●轢殺で機動戦仕掛けるわぁ。
飛行は制限されてるって話だけど、ジェットスキーとかホバークラフトみたいに使えば問題ないでしょ。
触腕は軌道を〇見切って回避。くぐるなりジャンプ台なりにしちゃいましょ。これでも多少はスピードに自信あるもの。数を頼む程度でそう易々と捉えられるなんて思わないでねぇ?
はぁい、キャプテンさん。お邪魔するわよぉ?
…邪魔だって言われても帰らないけど。
「ここの料理をご馳走になってわかった――ドートゥンヴォリの人達は精いっぱいこの島で今日を生き、それぞれの夢を導に明日に向かって生きているんだって」
「うん。いい人たちだったね」
ウィーリィ・チゥシャン(f04298)とシャーリー・ネィド(f02673)は港湾区域より戦場と化した海を遠く見据える。
「……海賊は自由に生き、自由を守るために戦うも。それが、ボクの海賊道(かいぞくウェイ)」
そして、シャーリーは無辜の人々を蹂躙しようという海賊たちの行いに怒る。その傍らで駆動音。愛機ハイメガシャークは唸りながら号令を待つ。
「罪のない島の人たちを傷つけ、奪うような人たちが海賊を名乗るなんて許さない!行くよ、ウィーリィくん!」
「ああ!あいつらなんかにあの人達の『今』も『未来』も奪わせるもんかよ!」
【エクストリームミッション】!ハイメガシャークが咆哮し、その機体がばらばらに分かたれた。――そうして、分離したパーツはシャーリーの身体に纏わりながら再構成し、サメに似たフォルムをもつパワードスーツの姿として海に立つ。
「乗って、ウィーリィくん!」
「頼むぜ、シャーリー!」
ウィーリィはその躯体の背に飛び乗る。パワードスーツ躯体の脚部ホバー機構が機体を水面に浮かべながら、背負ったスラスターに火を入れる。推進剤の光が尾を引いて、2人が夜の海を翔けた。
「向こうはええなー。青春って感じや」
メルノ・ネッケル(f09332)は先行した2人の様子を見やりながら、ホルスターより銃を抜き放つ。――水中戦は得手やないし、海に引き摺り込まれたらマズい。メルノは不利な状況に陥るリスクを避け、港からの遠距離戦を検討した。
「いいじゃないのぉ。こっちはこっちで楽しみましょぉ?」
ティオレンシア・シーディア(f04145)はバイクのエンジン音を鳴らす。正確には、それはバイクではない。自動二輪に似た形をしたヒーローズアース宇宙文明製のUFO、ミッドナイトレースである。ティオレンシアはそれに跨り、静かに夜の海へと視線を投げかけた。
「で、乗ってく?今なら送ってあげるわよぉ」
スロットルを握りながら、振り返ってティオレンシアが尋ねる。
「ええね。初乗りいくらや?」
メルノは冗談めいて返しながら、リアシートにタンデムした。――近接戦闘で海に引き込まれるリスクは、これで帳消しだろう。それに、どの道敵の船までのアシは必要なのだ。文字通りの『渡りに船』である。
「いいわよぉ。お代はあっちからもらうわぁ。――潜入してた連中は粗方ふん縛ったし。ここから逆襲といきましょうか」
「せやな。街への侵攻を阻止しつつ、仕掛けるチャンスを得られた……油断は禁物やけど、状況は大分こっちに傾いとる。この機を逃す手はないな!」
「Alright.それじゃ、行きましょぉ」
ヴォン。唸るように機体が吠えて、夜を切り裂くようにミッドナイトレースは走り出した。
「う、うー……あ、あー、う」
「あー、あー。うう……」
水面に影が揺れる。『船首像』たちは海面に半身を浮かべて視線を巡らせた。海を渡る二台のマシンのエンジン音へと反応し、触腕をうごめかせ始める。
「シャーリー、右に進もう。あっちの方が手薄だ!」
「了解!」
先行したシャーリーとウィーリィは、パワードスーツ・ハイメガシャークの躯体を駆って水面を駆ける。シャーリーはその手の中にビームマスケット銃シューティングスターを構えた。ジェネレイター接続。右眼の照準の中に敵の姿を捉え、ばら撒くように乱れ撃つ!
「う、あー……!」
弾幕めいた熱線の雨を浴び、近寄ろうと水面を泳いで集まりつつあった『船首像』たちが悲鳴をあげる。
「あー、あ、あー!う、ううーっ!」
だが、傷を負い焼け爛れたような姿になりながらも致命傷に至らなかった『船首像』たちが反撃すべくパワードスーツ・ハイメガシャークへと押し寄せる!
「ウィーリィくん!」
「任せろ!」
ウィーリィはパワードスーツの背の上で大包丁を引き抜いた。
「その足まとめて叩き切ってゲソ焼きにしてやろうじゃないか!喰らい尽くせ、炎の顎!」
その刃先に熱を灯す。揺れる炎が弧を描き、そして水面に生まれた火が膨れ上がりながら龍のカタチを成す!【飢龍炎牙/グリード・ブレイズ】!ユーベルコードの炎が咆哮しながら、群がる『船首像』たちを飲み込み灼き焦がす!
「ああああああああ」
「う、ううーっ!うううー……っ!」
奔る炎が展開した『船首像』たちを灼いてゆく!更に再び唸るビームマスケットの乱れ撃ち。膨れ上がる炎と光が次々に『船首像』たちを屠ってゆく。
「――あっちもかい!応戦しな、お前たち!あれも沈めるんだよ!」
派手に爆ぜ散るその光に目を引かれ、戦場で敵の首魁は攻撃指示!火砲の筒先をウィーリィたちへと向ける!
「よし……シャーリー、このまま暴れるぞ!」
「うん!ボクたちで敵を引き付けるんだ!」
ハイメガシャーク・パワードスーツが水面を蹴って宙を舞う。2人が2秒前までいた場所に砲撃が着弾し、彼らの後ろで水柱をあげた。
「派手にやってるわねぇ」
「こっちも負けてられんな――接敵まであとどんくらいや?」
一拍遅れてメルノとティオレンシアは敵群へと向かう。2人を乗せたミッドナイトレースは海の上を滑るように走ってゆく。
「あと10秒ってところねぇ。用意はいいかしらぁ?」
「ちょっと待ってや。心の準備するわ」
メルノは冗談めかして返しながら、手の中に握った銃把の感触を確かめる。そうして、接敵までの時間を静かに数え始めた。――カウントアップ。1、2、3……
「うううううううー、っ!」
「あ、あーっ!ああ、あうー!」
駆け抜けるミッドナイトレースの駆動音に反応し、その機体ごと2人を捕らえようと『船首像』たちが集まり始めた。水面から触腕が顔を出し、機体へと伸ばされる。
「――来たわよぉ?」
ティオレンシアはハンドルを握り、機体の出力を上げながら海面を跳ぶ。
「うあぶぎゅ」
がく、と機体が揺れる感覚。――【轢殺/ガンパレード】。海面に出た『船首像』の頭をジャンプ台がわりに踏み、機体が水面を離れる。わずかな浮遊感。宙に浮かんだミッドナイトレースの機体が触腕の群れを躱し、2人は眼下に水面を見下ろした。
「ああ、ととのってるで」
メルノの双眸が輝き、瞳孔がきゅ、と細まった。カウントナイン。【九秒の狐】。9秒間のカウントを心的スイッチとして集中力を極限にまで高めるメルノのユーベルコードである。眼下に顔を出す『船首像』の群れへと照準。そしてトリガー。アサルトリボルバーの銃口が火を噴いた。
「う、ううー、っ!」
「あー、あーっ!」
数匹が弾頭に撃ち抜かれ悲鳴を上げる。だが、一部は海に身を沈め、水の抵抗で弾丸の威力を削いで致命傷を避けたのだ。
「うううううっ!」
ぶづ、っ。水中に身を沈めた『船首像』たちはそれと同時に自らの触腕を引きちぎり始める。
「自傷……?……いえ、『身軽に』してるのかしらねぇ?」
「……うへぇ、中々エグいことしよるやないか」
重力に従って、跳んだミッドナイトレースが再び水面に着く。その瞬間を狙って、海面から再び顔を出した『船首像』が2人を襲った!鋭く光る爪が2人を狙う!
「けど、もう見切っとるで――こっちが本命や!」
「えぇ、そう易々と捉えられるなんて思わないでねぇ?」
機動!ティオレンシアがマシンを繰る。素早いターンでミッドナイトレースは襲い来る爪を躱した。メルノは素早く反射し、腰から銃を引き抜く!熱線銃R&B!銃口から放つ熱線がすれ違いざまに『船首像』たちを撃ち抜き沈めていく!
「2人とも!そのまま突っ切ってくれ!」
「ここはボクとウィーリィくんに任せて!」
更に迸る炎!そして熱線!周囲の『船首像』たちをウィーリィとシャーリーがきれいさっぱり灼き尽くし、尚も集まりつつある『船首像』たちを牽制した。
「わかった!そんなら先にいくで!」
「パーティーには遅れず来るのよぉ?」
「ああ!遅れちゃ料理人失格だからな!」
「ボクたちもすぐに行くよ!」
2人を乗せたミッドナイトレースを阻む手はもはや無い。ティオレンシアは本来のUFOとしての機構を起動してミッドナイトレースの機体を空中へと昇らせた。更にグレネードのピンを抜く。挨拶代わりの一発!ティオレンシアは爆弾を放り投げた。――海賊たちを吹き飛ばしながら、船上で炸裂!開かれた甲板へと、ミッドナイトレースの機体が滑り込む!
「こ、こいつら……!」
「はぁい、キャプテンさん。お邪魔するわよぉ?」
「年貢の納め時やで。もう観念せや!」
「くそ……猟兵どもだな、お前たち……!邪魔ァすんじゃないよ!あの島とお前らは何にも関係ないだろうが!」
「あらぁ。つれないこと言わないでちょうだい?……邪魔だって言われても帰らないけど」
船上において、猟兵たちは対峙する。――海上での戦いも、もはや終局を迎えつつあった。間もなく戦いは詰めに移るだろう。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴
月守・咲凛
【ワンダレイ】の艦長と尾守さんとジェイさんとアーデルハイドさんと参加。
水は……危険なのです。
泳げないのであまり水面には近付きたがりません。
スラスターで飛び回りながら、ガトリングと誘導ミサイルで敵の数を減らしていき、特に味方を死角から狙っている敵は優先的に攻撃していきます。
アターック!
艦長がトスした敵はキャノン砲の徹甲弾でスナイピングして撃ち抜いて対処していきます。
しまりすさん可愛いのです!
サイズは気にせずニッコリしますが、ちょっと怖いので近くには寄れません。
こちらもいきますよー!
UCで武装シマエナガ先輩を呼び出して一斉攻撃です。
ジェイ・ランス
【SPD】■ワンダレイ ※アドリブ歓迎
ほー、海賊ねえ。いかにもって感じだねえ。じゃあまあ、チャチャっと行っちゃいますかね。
―――感情演算停止、戦闘機動、ターゲット確認、排除開始。
『Ubel:Code Edler_Löwe Dame.』
"重力制御術式"で進行方向に「落下」し、UCで加速、【空中戦】を行います。武器は主に"機関砲"、迎撃に"牙"を使用します。"事象観測術式"で【情報収集】し、水面下の敵に対しては【地形耐性】と【鎧無視攻撃】を付与して攻撃します。
尾守さんにも"重力制御術式"を付与、【空中戦】に対応させます。
奇襲は早さが鮮度。疾く行きましょう。
アーデルハイド・ルナアーラ
【ワンダレイ】で参加 ふう。美少年とのデート、堪能したわ(満ち足りた顔)。さて、お仕事がんばりますか!あれがコンキスタドール......。下半身はタコかしら。可愛くはないわね......。数が多いし、私は水泳があまり得意ではないので、ここはお友達のシマリスさんに頑張ってもらいましょう!キングオブシマリスさん!お願い!あいつらを蹴散らして!私が縮んでるのは気にしないでね★
尾守・夜野
■ワンダレイ
「…ひどい目にあった…」
げっそりしつつこの鬱憤は敵にぶつける
…味見ぐらいはどうにか教えられないかこう…思考巡らせつつ愕然
船遠…っ!
俺はこのままだと泳げぬ
かつ飛ぶだけならスレイに乗れば行けるが…
遠距離攻撃手段ねぇから…たくさんいられると…
「あー…有りがたいんだが」
その旨ジェイに伝えつつ派手にやってる船長達眺め準備運動
無理だとしても男には行かねばならぬ時がある
UCでシロクマという名の黒い熊(伸ばした黒纏覆い済)で海へGO!
一回り大きめに纏っておけば空気少しはあるからな
そして適当に暴れつつ船長の渦に向かって追い込みしてく
鍵爪には爪で、牙で抵抗
なお、全身変えてると喋れない
アルフレッド・モトロ
【ワンダレイ】の皆と一緒に戦うぞ!
「うっしゃーッ!今日は大漁だァーッ!フハハハハ!!」
海と【水泳】は俺の得意分野!!
と、真っ先に駆け出し水中に飛び込んでUC発動!
渦を海面から立ち上げて敵を上空へトス。
空中と海上にいる仲間達に次々パスしていくぜ!
オラオラオラーッ水揚げだァーッ!
敵の攻撃も、己の周りに渦を形成して反らして対処。
へっへへ、食べ歩きでブチ上がったテンションがまだ元の位置に戻ってないもんでな。
うるさかったらごめんな!!
(アドリブ連携歓迎です)
「よォし、いくぞお前たち!」
港に立つアルフレッド・モトロ(f03702)の羽織るコートの裾が、海風に揺れる。
アルフレッドの振り返った先に居並ぶのは、彼が船長を務める戦艦ワンダレイのメンバーだ。
「ほー……今回の敵は海賊?いかにもって感じだねえ」
「……おーう」
ジェイ・ランス(f24255)は指先でデバイスを繰り戦闘態勢に移行しつつあった。一方、尾守・夜野(f05352)はひどく元気のない様子で声を返す。
「お、おう。どうしたんだ……?」
「……ひどい目にあったので……」
心配してアルフレッドが尋ねる。夜野はげっそりした表情で緩く首を振った。――先に喰らった毒物もとい月守・咲凛(f06652)の殺人手料理のダメージが残っているのである。――味見くらいはどうにか教えられないだろうか、と思いながら、夜野は横目でちらと咲凛を見た。
「どうしたのです?」
一方の咲凛は元気な様子で空中機動戦闘用の装備を調整し、スラスターに火を入れる。夜野は「なんでもない」と短く首を横に振った。
「よーし!気合はじゅうぶんよ。さあ、お仕事がんばりますか!」
そして戦列に並ぶアーデルハイド・ルナアーラ(f12623)はアルフレッドに次ぐ勢いで元気よく拳を振り上げた。幸運に恵まれ先ほど彼女好みの美少年との買い物デートを堪能できたのが効いている。今日の彼女はやる気十分だ。
以上5名。アルフレッドは仲間たちの顔を見回して頷いた。1名ほどぐったりしている奴がいるが、なに。問題はないだろう。彼もまた信頼のおける仲間だ。このくらいでへこたれる男ではあるまい。
「さあ、準備はいいな!――いくぞ!ワンダレイ出動だ!」
まずは俺が切り込む!アルフレッドは桟橋を踏み切って海へと飛び込んだ。水中戦はアルフレッドの得意とするところだ。魚雷めいた高速の泳法でアルフレッドは海中を進む!
「はいはい。じゃあまあ、チャチャっと行っちゃいますかね」
「お先に行くですよ!」
ごう、っ。スラスターから推進剤の光が伸びた。港を飛び立ち、咲凛は水面を翔ける。
「それじゃあこっちもいくわよ!」
それに続いてアーデルハイドが飛び出した。術式杖をくるりと廻し、光で空中に召喚円を描く。
『きゅ――』
ざば、ッ!津波めいた巨大な水柱が立った!そこに召喚されたのは体長40メートル。怪獣サイズの巨大なリスである!【踏み鳴らせ森の盟友/グレーター・チップマンク】!アーデルハイドはそれにしがみつく。
『きゅ……?』
だが戸惑う巨大シマリス。本来シマリスは森の生き物なのだ!突如放り出された海の上で困惑する!
「あ、ちょっとちょっと!頑張ってシマリスさん!ほら、お願い!あいつらを蹴散らして!」
アーデルハイドはシマリスの耳元によじのぼって声を張り上げる。縮んでるのは気にしないでね★と更に言い添えて。巨大シマリスはしばらく考えて微妙な表情をしながらも、水面に漕ぎ出した。
「ああ、それじゃあ……って、船、遠ッ……」
ここで夜野が出遅れる。彼は水上での戦闘は不得手なのだ。愛馬スレイプニールに騎乗すれば行けることは行ける、のだが。水上での戦闘機動には少々難がある。
「―――感情演算停止、戦闘機動、ターゲット確認、排除開……」
「……ちょっと待ってくれ」
「どうしました」
戦闘状態へと移行し、今にも飛び出そうというタイミングだったジェイを夜野は呼び止めた。
「あー……ちょっと、手を貸してくれると、ありがたいんだが……」
猟兵たちが複数名でもって事件に当たる際は、助け合いが基本である。重力制御機構、すなわち飛翔能力に応用できる技術をもつジェイを夜野は頼ることにしたのだ。
「貸しにしておきます」
ジェイは短くうなずいてから空中に端末の制御パネルを投影し、素早くキーを叩いた。重力制御術式起動。権限の一部を分割し対象に付与。空中機動戦闘を行うための機能を、一部夜野へと貸与する。
「よし……これならなんとかいけるか……助かった」
「では、行きますよ。奇襲は早さが鮮度。疾く行きましょう。――『Ubel:Code Edler_Löwe Dame.』」
ジェイは虚空を蹴ってその身を宙へ浮かべる。重力制御。落下方向の転換。ベクトルを『下』から『前』へ。【慣性制御術式『高貴なる獅子』/イドラーローヴェ】。その身体が海面を前方へ“落下”する。
「ああ――行くぞ!」
続けて飛び出す夜野は空中でその姿を変じる。【変異式【零壱】/メルト・オールタレイション】。夜野は自身の身体を獣のそれへと変え、沖に展開する敵の姿を目指した。
「うおおおーッ!」
一方、先行したアルフレッドは敵の群れの中に飛び込み、血気盛んに暴れまわっていた。
「う…?」
「うーっ、うー……あー!」
凄まじい速度で海中を駆け抜けるアルフレッドの姿に反応して『船首像』たちが集まり出す。
「ハハハ!熱烈な歓迎じゃないか!だがすまんな、お前ら好みのタイプじゃないんだ!」
アルフレッドは群がる『船首像』たちを迎え撃つ。彼にとって水中戦は得意中の得意。素早く回転を始めたアルフレッドは、自身を中心とした渦を海の中に作り出す!
「う、うーっ!?」
「ううー、っ!あー、あー!」
【狂騒海域/ライオット・イン・ブルー】!高速回転を続けるアルフレッドが生み出す渦は不用意に群がってきていたオブリビオンの群れを飲み込んでゆく!渦の中に巻き込まれた『船首像』の中から一匹を掴むと、アルフレッドはそれを海上へと向けて放り投げた!
「オラオラオラーッ水揚げだァーッ!――料理はそっちで頼むぜ、お前たち!」
「待っていたのです!」
駆動音。そこに待ち受けていたのはスラスターの火を吹かし、火砲を構えた咲凛だ。ぎゅるる、と音をたてて腕部兵装ユニットのガトリング機構が回転しながらリズミカルに弾を吐く。水面から空中へと投げ出されたオブリビオンの身体が瞬く間に蜂の巣と化し、ばらばらの破片になって海面にぶちまけられた。
「いいですよー!船長さん、どんどんやっちゃってください!」
「うっしゃーッ!任せたぜ!今日は大漁だァーッ!フハハハハ!!」
ざばと音を立てて再び『船首像』が海面から投げ出された。咲凛はスラスターを吹かして姿勢制御しながら照準。更に腕部搭載の大口径火器で砲撃する――命中!爆散!
「こっちも攻めるわよー!」
『きゅ……』
水面に大きな波がうまれる。海をかき分けやってくるのはアーデルハイドと巨大シマリスである。シマリスは振り上げた前肢を水面に叩きつける。質量とはそれだけで武器になるのだ。着水の衝撃に『船首像』たちが爆散した。
「わーっ。しまりすさん!可愛いのです!」
咲凛は戦場を泳ぐシマリスの姿に目を輝かせるが、しかして彼女はこう見えて非常に慎重で危機回避能力に優れている。かわいいシマリスとはいえ不用意に近寄ったりはしない。話を戻そう。
『きゅ』
「よし、そのままいきましょシマリスさん!」
「なんだい、あのふざけた生き物は……?お前たち!やっておしまい!」
その巨体は水面でもひどく目立つ。敵船からの砲撃だ!その矛先が巨大シマリスに向いた!
「そうはいかないのですよ!シマエナガせんぱーい!」
『ぴ』『ぴ』
虚空から白い羽毛が飛び出した。【武装型シマエナガ先輩】の支援部隊が到着したのである。戦闘機めいて装甲と火器を装備したシマエナガ先輩の群れが機銃を放ち、海賊船から放たれた砲弾を迎撃する!
「アターック!」
更に反撃!咲凛と武装シマエナガ小隊は敵海賊船を照準に捉え、一斉にミサイルを射出!夜の海に花咲くように船上で上がる爆炎が海を赤く染め上げる!
「敵残存戦力、僅少……突破します」
「あ……」
戦域を駆けるジェイはその両手を硬化し、ダガーの一撃めいた鋭い貫手で道を阻む『船首像』を屠る。すでに猟兵たちによってかなりの数のオブリビオンが排除されていた。敵の喉元ももはや目前である。
「!」
獣めいた唸りとともに、ジェイに続いて熊の姿へと形態変化を行った夜野が走る。迎撃のために飛び込んだ『船首像』を、爪と牙でばらばらに引き裂いて咆哮。更にもう一体を叩き潰し、2人は敵拠点である海賊船リリィ・マルレーン号へと飛んだ。
「――よし、そろそろ大詰めってところだな!」
ひときわ大きな水音が響いた。渦の中からトビウオめいて海上へあがるアルフレッドは、その勢いのまま海賊船の甲板へと飛び移る!
「そうね!周りを守る番犬はもういないし、船だってぼろぼろ……もう年貢のおさめどきよ!」
『きゅ』
海賊船へと接触した巨大シマリスが、そのまま逃がすまいとするように船体を掴む。アーデルハイドはその上で杖を構え、戦場で猟兵たちを睨めつけるオブリビオンの首魁へと対峙した。
「逃がさないのですよ!」
「このまま決着をつけさせてもらいましょう」
「……ああ。一気に決めさせてもらう」
次いで咲凛が、ジェイが、そして夜野が甲板へと到着する。完全に包囲をかためたかたちだ。猟兵たちはドートゥンヴォリの襲撃を企てていたコンキスタドールをとうとうここまで追い詰めたのである。
「あーあーあーあー……よくもまあこんなにやってくれたじゃないか」
――その女は、眉根を歪めながらひどく不愉快そうに吐き捨てた。
燃え盛る海賊船の甲板で、その女――キャプテン・ブラッディ・リリーは猟兵たちに対峙する。もはや彼女を守る者はおるまい。船もまた半壊し、沈むまでそう時間はかからないだろう。
「癪だねぇ。癪だねぇ――随分と好き勝手やってくれるよ。……こいつは、首の百や二百は頂かないとおさまらないねぇ!」
だが、彼女は怯えも恐れもなく視線を返す。その瞳に激しく戦意を燃え上がらせながら。
そして――膨れ上がる殺気。敵意。触れたのは逆鱗か虎の尾か。かくして、コンキスタドールは猟兵たちへと牙を剥く。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
第3章 ボス戦
『キャプテン・ブラッディ・リリー』
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POW : 『麗しの黒竜』号、出航!
【日に焼けた強靭な筋肉】で武装した【飛行可能な荒くれ海賊】の幽霊をレベル×5体乗せた【幽霊海賊船『麗しの黒竜』号】を召喚する。
SPD : 海賊式我流格闘術
【型に捕らわれない格闘技】による素早い一撃を放つ。また、【海賊服を脱ぐ】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 支配の海賊旗
【メガリス『支配の海賊旗』】から【反抗の意志を挫く威圧のオーラ】を放ち、【逆らえぬように屈服させる事】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:森乃ゴリラ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠鏡繰・くるる」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「殺してやる」
キャプテン・ブラッディ・リリーは、開口一番に殺意を剥き出しにした。
猟兵たちの奇襲により半壊した海賊船リリィ・マルレーン号の甲板において、彼女は猟兵たちに対峙する。
「まさか、もう勝ったなんて思ってたんじゃないだろうね?――出番だよ、お前たち!」
「おおっ!」
「待ちかねやしたぜ、姐さん!」
リリィ・マルレーン号の影から、一隻の海賊船がまた姿を現す――兵を残していたのだ。それこそが本来の彼女の船である『麗しの黒竜号』!
「こういう時に備えて奥の手は残しておくもんだろう?……さあ、仕切り直しだ。もう一勝負行こうじゃないか」
――かくして、オブリビオンは反撃に出る。
「甚振ってやる。悲鳴をあげさせてやる。一人残らず貶め辱め、可愛い声で『殺してください』って泣き喚くまで踏み躙ってから挽肉にして海にぶちまけてやるよ!」
白斑・物九郎
【ワイルドハント】
●POW
(甚振ってやる?)
一撃で仕留める
(悲鳴をあげさせてやる?)
悲鳴をあげる間も与えねえ
(踏み躙ってから挽肉にして海にぶちまけてやる?)
ただただ【蹂躙】してやりまさァ
――“天国では狩りが出来ない”
(【砂嵐の王・死霊大隊Ⅱ】、其は己が直接操舵するコード)
『ワイルドハント』号、出航ォ!!
・船体を全速前進させ敵船へ接近開始
・幽霊達に臼砲を矢継ぎ早に放物線軌道で敵方へ牽制目的で撃たせつつ、船首・衝角で体当たり――
・――と見せ掛け、衝突スレスレの所で【野生の勘】に任せ舵を切り、敵船と船体側面同士をピタリ寄せる狙い
・望みは船上、白兵戦狙い
・自身も幽霊達も敵船へ直接殺到し敵を【蹂躙】する
白鳥・深菜
「奥の手ねえ――言わなきゃ油断してあげたのに」
こちらの最終的な狙いは船上戦。
しかし相手がそれを拒否するように、空中戦なりを仕掛けてくる可能性を以ていれば、厳しい――
ならば私の役割は、空で真っ向勝負。
【蒼空の槍の魔神】で呼び出した魔神に乗り込み、
空から攻めようとする敵勢力に対して【白き空に舞う翼】でさらに上を取る。
そして彼らを船上へと叩き落す。蹴り落とす。空から海へと叩き返す。
「私の『空中戦』は伊達ではない。海賊として死んだなら、大人しく海の上で果てる事ね」
「帆を上げろォ!フザけた猟兵どもを皆殺しにするんだよ!」
「おおッ!」
「へへへ……楽しませてもらうぜぇ」
『麗しの黒竜号』が、波をかき分けて進む。甲板上にひしめくように並ぶ筋骨隆々の海賊たちは、下卑た笑みに表情を歪めながらその手にカトラスとフリントロックピストルを掲げた。
「さあ、こっから反撃開始といかせてもらおうじゃないか!」
そして、沈みゆくリリィ・マルレーン号甲板においてブラッディリリーは獣のように笑った。
「甚振ってやるよ」
「ッ、ハ」
だが、白斑・物九郎(f04631)は、それを鼻で笑ってみせる。
「一撃で仕留める」
「……なんだと?」
物九郎は一歩進み、真っ直ぐにその視線を女海賊へと向けた。
「――悲鳴をあげる間も与えねえ」
「こいつ……!」
紡がれるその言の葉は、つい今ほどキャプテン・ブラッディ・リリーが口にした言葉への返答であり、叩き返す挑戦状だ。
「ただただ蹂躙してやりまさァ」
「よくも吠えるじゃないか……!お前はこのアタシが手ずから念入りに血祭りにあげてやるよ。このアタシの船でねッ!」
甲板において対峙する2人のキャプテンは互いに床面を蹴った。――どちらも、向かう先は甲板の外!ブラッディ・リリーは床面を蹴って飛んだ。その先は『麗しの黒竜号』!その一方、物九郎が飛び出す先は――
「船を持ってるのが自分だけだと思ってるニャら大間違いでさァ――お前ら。帆を張り砲に火を入れろ。寝ぼけてるんじゃねエ。“天国では狩りが出来ない”――錨を上げて剣を抜け!『ワイルドハンド』号、出航ォ!」
『――!』
物九郎を迎え入れるように水面から浮上するのは一隻の幽霊船である!【砂嵐の王・死霊大隊Ⅱ/ワイルドハント・ネクロトライブ】!夜を裂いて浮かぶ船の甲板へと物九郎は仁王立ちし、そして亡霊たちを従える。白骨の姿をした海賊霊たちが、けたけたと顎骨を鳴らして笑った。
「あの船が奥の手ねえ――言わなきゃ油断してあげたのに」
白鳥・深菜(f04881)はその甲板に同乗しながら間近に迫る敵船とひしめく海賊の群れを見据える。
「それで、どうするの猟団長。……ああ、『キャプテン』の方がよかったかしら?」
「おう。――シンプルにいきやしょう。特攻(ブッコ)んで、叩きのめす。お前さんにも手ェ貸してもらいやすよ」
「ストレートね。素直でいいと思うわ。――それじゃ、ベストを尽くすわ」
深菜は翼を広げながら視線を敵船『麗しの黒竜号』へと向ける。
「ハ!アタシたちに海戦で真っ向勝負を挑もうってのかい。……面白いじゃないか!受けて立つよ!行きな、お前たち!」
「おおっ!」
その甲板に並ぶ無数の大砲!そこに海賊の男たちが次々に入り込んでゆく!砲手役の海賊たちがマッチを擦り、導火線に火をつけた!号砲!砲撃の轟音と共に大砲に詰まっていた男たちが次々に飛び出し空を飛んだ!これぞ海賊流空中殺法、人間砲弾もとい海賊砲弾である!
「ヘヘヘヘ!俺たちの空中殺法の前に度肝を抜かれるがいいぜぇ!」
「……あんな方法で飛べるとは」
「あれの迎撃はこっちでやるわ。あとはよろしくね、キャプテン?」
「委細承知」
深菜は甲板から飛び出し、羽ばたいた。同時に武装を展開。ユーベルコード出力を上昇させ、武具へと通す。構築される戦騎のカタチ。【蒼空の槍の魔神】の姿!
《命令を》
「狩るわよ」
《受諾しました。状況を開始します》
深菜は戦騎の背に乗るように身体を預けながら空中で敵の群れに相対する。下品な笑い声と共にフリントロックピストルが花火めいて火を噴いた。
「ヴェヘヘヘヘ!ブッ殺してやる!」
「侮らないでもらいたいわね?」
機動!深菜は易々とそれを躱し、敵の下側へ潜り込むように機体を沈める。そこから更に機体を足場として蹴立て、跳躍!砲弾めいて素早く跳んだ深菜は空中で舞うように蹴り足を放ち、空飛ぶ海賊に見事な足技を叩き込む!
「グアーッ墜落!!」
直撃!蹴り足によって射出の勢いを殺された海賊は悲鳴をあげながら揚力を失い落下!水面へと落ちて爆散する!
「次!」
《敵、前方に2体》
反動で宙を舞った深菜は再び槍の魔人の背へと戻り、次なる人間砲弾たちへと向かう。
「私の『空中戦』は伊達ではない。海賊として死んだなら、大人しく海の上で果てる事ね」
「このアマ……!」
「痛い目を見せてやグアーッ!!」
「――お、当たりやしたな」
一方、物九郎率いる狩猟船ワイルドハントは進む。かたかたと顎骨の揺れる音。上機嫌に拳を振り上げる骸骨たちが次々に臼砲に火をつける。砲撃、砲撃、砲撃!敵の人間砲弾が巻き込まれて爆発した。対する『麗しの黒竜号』もまた海賊砲弾に並行してカルバリン砲撃での反撃を開始している。轟音。砲撃!炎が奔る!火花が散る!火薬が爆ぜる!水面に立つ無数の水柱!
「撃て撃て!ハハハ!ブッ飛ばせ!」
「おうおう、向こうもようやりますわ――お前ら、怯んじゃいねェでやしょうな!このまま真っ直ぐ進め!」
しかし、その砲撃戦の真っ只中をワイルドハント号は走る!接触まではもはや秒読みの段階だ。かたかたと顎骨を鳴らし、骸骨の群れが意気軒高にカトラスを掲げた。
「正面からぶつかってくるつもりかい!黒竜号、全員耐衝撃防御……」
「――今だ!操舵手、取り舵ィ!」
「……なに!?」
ここでワイルドハントは針路を変える!激突するコースから路をそらし、すれ違うように位置取って横付けするかたちである!――それは即ち、互いに船上へと最も進攻をかけやすいポジショニングだ!
「おらァッ!総員突撃ッ!連中に目にものくれてやれ!」
だ、ッ!物九郎は甲板を蹴っていの一番に敵船へと乗り込んだ!遅れること数秒、カトラスを掲げた海賊霊たちが麗しの黒竜号へと殺到する!激突しにくる、とばかり思いこまされていた黒竜号の海賊たちは対応が遅れたのだ!一方的に乗り込まれるかたちとなる!
「ナめてんじゃないよ、ガキがッ!」
だが、黙って攻め込まれるだけではない。海賊霊たちが乗り込んだその瞬間に黒竜号の甲板を蹴って駆け抜ける姿!キャプテン・ブラッディ・リリーの迎撃だ!海賊霊を粉砕しながら瞬き一つの時間で物九郎へと距離を詰めたブラッディリリーは真正面からの貫手!続けてダッキングからの踏み込み。間合いを詰めて更に打撃を放つ!
「ハ、上等じゃニャーですか!」
物九郎は身を捻りバックステップを交えながら襲い来る拳打を凌ぐ。敵の格闘術は型も流派もない荒っぽいスタイルだが、それを補って余りある程に凄まじい勢いの強烈な連撃の嵐だ。型にはまらない分軌道が読みづらく、捌き切るのも容易ではない。
「どうしたどうした!アタシを蹂躙するんじゃないのかい!」
「アア、アア――撤回はしやせんよ!」
物九郎は巧みに間合いをずらし、左腕を鞭のように素早く振るいながら敵の攻め手に対応する。間隙を縫って放つカウンターの蹴り足。だが敵もそれを躱し、再び反撃の連打へと移る。一進一退、互いに有効打を打ち込めぬまま互角の撃ち合いが続く!
《ブラウランツェ――――ブリッツ!》
「グアーッ撃墜!!」
「……なに、ッ!」
だが、その均衡を崩すのは空中からの落下物である!深菜と『槍の魔神』による一撃によって叩き落された海賊砲弾の一人が高速で落下し、ブラッディリリーの直上へと叩き込まれたのだ!
「――おう。卑怯とは言わねえでしょうな?」
怯んだその一瞬は、致命的な隙だ。落下物に気を取られたその瞬間、無防備を晒したブラッディリリーの正中線めがけ叩き込む一撃!レフトハンドが唸りをあげる!
「ぐあ……ッ!」
直撃ッ!衝撃に吹き飛んだブラッディリリーの身体がきりもみ回転しながら宙を舞い、黒竜号のマストへと背中から叩きつけられた!
「げ、ほ……ッ。くそ、油断したか……!」
「……順調みたいね、キャプテン?」
『槍の魔神』とともに空中から甲板へと降り立った深菜は、物九郎に並び立ち敵の姿を見据える。
「おう、ご苦労。――このまま一気に詰めやすよ」
物九郎は油断なく構え、手傷を負わされたことに憤り睨めつけるブラッディマリーと真正面から向き合った。
――『麗しの黒竜号』船上では、ワイルドハントから乗り込んだ海賊霊たちとブラッディマリー旗下の海賊どもがカトラスをぶつけ合い火花を散らし続けていた。
その最中、猟兵たちとオブリビオンもまた対峙し続ける。ドートゥンヴォリを狙うコンキスタドールたちとの戦いは、すでに佳境へと入りつつあった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
いいね、こういうの
悪の海賊らしくってさ
だったら、ボクはこう応えるよ
「用意がいいんだね、ちゃんと墓標を用意してるなんて」
黒竜号の甲板に飛び移り、ウィーリィくんと一緒にキャプテンに戦いを挑む
【バトル・インテリジェンス】で身体を操作し、フォースカトラスの【2回攻撃】に熱線銃の【乱れ撃ち】、スピードで勝る彼女に、手数の多さで対抗する
…ように【フェイント】で見せかけて彼女に気づかれないように【ロープワーク】+【罠使い】で足元にワイヤーを張り巡らせて彼女を縛り動きを封じ、【クイックドロウ】+【零距離射撃】!
あなたにはお宝の代わりにとびっきり熱い熱線をお見舞いしてあげる!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
パーティーには間に合ったみたいだな。
さて、メインディッシュの料理に取りかかるとするか!
シャーリーと二人でリリーと対峙。
卑怯だなんて言わないよな?
【地形の利用】で手摺や柱、帆を張るロープなどを足場にしたパルクールによる三次元戦闘を行い、リリーに張り合うように上着を脱ぎ捨て身軽になって加速した【シーブズ・ギャンビット】の早業を繰り出す。
狙いは、リリーの注意を上方に向ける事でシャーリーが足元に仕掛けた罠に気づかせない事。
そして敵の動きが止まったのを狙い、シャーリーとタイミングを合わせて炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】でリリーをXの字に切り裂く!
料理されるのはお前の方だぜ!
「殺してやる……殺してやるよ、お前たちッ!」
怒号!雷鳴めいてブラッディリリーの声が響き渡り、空気を震わした。
「パーティーには間に合ったみたいだな」
「だね。……いこう、ウィーリィくん!」
「ああ!メインディッシュの料理に取りかかるとするか!」
次いで黒竜号の甲板に降り立つのはウィーリィ・チゥシャン(f04298)とシャーリー・ネィド(f02673)である。
「死になッ!」
手荒い歓迎!甲板の床板を蹴って爆発的な加速力で飛び出したブラッディリリーが先手を取って襲い掛かる!
「用意がいいんだね、ちゃんと墓標を用意してるなんて」
「墓標だと……!」
「そうだよ!この船こそが、あなたの墓標になるんだッ!」
「戯言をお言いッ!」
震脚めいた踏み込み!大波のように船体が揺らぐ!だがブラッディリリーはその揺れをものともせず更に間合いを詰めに来た!放つ掌底!シャーリーは飛び退いて間合いを開き、紙一重に躱す。
「逃すかッ!」
「こっちの台詞だぜ!」
追撃の構えに移るブラッディリリーの針路を遮るように、白刃が疾った!ウィーリィのインターセプトだ。手にした包丁の刃がブラッディリリーの進撃を止める。
「2対1だからって、卑怯だなんて言わないよな?」
「ハ!丁度いいハンデだね!」
ブラッディリリーは上着を脱ぎ棄てながら黒竜号の男たちから半ば奪い取るようにカトラスを受け取った。二刀流!ブラッディリリーは獣が疾駆するように床板から跳ぶと、再び攻勢の構えを見せた。
「本気を出し始めたな……シャーリー、あのテで行くぞ!」
「任せて。一緒にやっつけよう!」
「小癪なァ!」
シャーリーは腕を掲げると、空間跳躍ゲートを開いて戦闘補助システムを搭載するドローンを呼び出した。【バトル・インテリジェンス】!ニューロリンク。シャーリーの知覚は電脳と繋がり、その戦闘技術を飛躍的に向上させる。フォースカトラスと熱線銃を抜くシャーリーはブラッディリリーのカトラス剣舞に相対!牽制の射撃。熱線銃の乱れ撃ちだ。しかしブラッディリリーは致命傷だけを避けるように躱しつつ、幾らかの熱線を敢えて受けながらシャーリーへと迫る。接近とともに閃くカトラスの乱撃!シャーリーはこれを躱すように間合いを開き、それと入れ替わるようにウィーリィが仕掛ける!船のマストから伸びるロープを掴み、ターザンめいた急降下からの急襲!
「だあッ!」
「見えてんだよ、そんなのッ!」
ガァンッ!大包丁とカトラスのかち合う音が高く響き渡る!反動で互いに後退った。だが、次の一手は速い!ウィーリィは欄干へと飛び乗り、そこから更に跳躍して黒竜号のマストへと再び飛びついた。ブラッディリリーはそこから身を翻しウィーリィを追う!ロープを掴んで上方へと飛び上がり、2人は瞬く間にマストを駆け上ると見張り台までたどり着いた。ウィーリィは更にそこから飛びのき、ヤードと呼ばれる帆の『横幅』の部分へと渡る。当然のようにそれを追うブラッディリリーも一本橋めいたその上へと走った。刃を振るい文字通りに鎬を削りあう2人は狭い足場の上で激しく切り結んだ。大包丁とカトラス二刀流の剣戟が高速で繰り広げられる!
「流石に、強い……、ッ!」
「ははは!料理人風情が調子に乗るんじゃないよッ!このままカノジョの目の前で三枚におろして晒してやろうじゃないかッ!」
「ウィーリィくん!」
「……おおお、ッ!」
だが、ここでウィーリィは決死の一撃を放つ!その斬閃は自らの立つ足場そのものを切り落とすように振るわれたのだ!
「なに……!」
足場はブラッディリリーもろとも崩れ落ちる!ウィーリィとブラッディリリーは帆の天辺から甲板の床上へと真っ逆さまに落下するかたちだ!
「でぇいッ!」
だが、そこでウィーリィはマストから甲板へと伸びるロープを掴み姿勢を制御。軽業めいて床板の上へと舞い降りる。
「ちぃ、ッ!」
一方、ブラッディリリーは衒いなくそのまま真っすぐに甲板へと降りた。だぁん、ッ!着地の衝撃に船が揺れる。ブラッディリリーはそのまま態勢を立て直し、降りてくるウィーリィを迎え撃つべくカトラスを握りなおして――気づいた。足元に張り巡らされたロープの存在に!
「――ロープだと!?」
「そうだよ。――あなたがウィーリィくんに気を取られてるうちにね!」
甲板の床面に張り巡らされたロープ!それはブラッディリリーがマスト上でウィーリィと切り結んでいる間にシャーリーが仕掛けたトラップである。シャーリーはロープを引き、ブラッディリリーの足を縛り付けた!
「クソ……!このアタシが、こんなくだらないトラップで……!」
「かかった自分を恨んでよね!――ウィーリィくん、いくよ!お宝の代わりに、とびっきり熱いやつをお見舞いしてあげよう!」
「ああ!――これが本命さ!料理されるのはお前の方だッ!」
「こ、いつ、ら……ッ!」
動きを封じられたブラッディリリーへと、ウィーリィとシャーリーはそれぞれの得物を構えて仕掛けてゆく!シューティングスター!流星めいた熱線が夜闇を裂き、ブラッディリリーへと襲い掛かった。ブラッディリリーはカトラスの刃で鏡面反射し凌ぎ、致命傷を躱す!だが、そこへ更にウィーリィが切り込んでゆく。掲げた大包丁の刃先に灯る炎!
「今だよ、ウィーリィくん!」
「うおおおおおおおおおおッ!!」
「ぐああああああああああああッ!!」
必殺の一撃、ッ!燃ゆる刃がブラッディリリーを捉える!熱線銃への対処を余儀なくされていたブラッディリリーは、それを躱すことができなかったのである。直撃であった。吼える炎が爆轟めいた火柱を船上に生み出した。
「ぐ、……がァ、ッ!く、くそ、クソクソクソクソ……ッ!猟兵どもめえ、ッ!」
その炎の塊の中から飛び退くようにブラッディリリーが逃れ出た。その身に受けたダメージは決して少なくはあるまい。叩き込まれた攻撃の苛烈さに憤り双眸へ激しく憤怒の火を灯しながら、ブラッディリリーは甲板上へと逃れた。海賊の群れがそこへ集まり、不安げに声をかける。
「姐さん!」
「どうしやす、後退は……」
「馬鹿言ってんじゃないよッ!アタシはブラッディリリーだぞッ!!ここで尻尾巻いて逃げるなんてことができるかい!!」
だが、キャプテン・ブラッディリリーは未だ消えぬ戦意を燃やし続けたままに猟兵たちへと対峙し続ける。それはすなわち、ドートゥンヴォリ沖におけるオブリビオンとの戦いが未だ続くことを示していた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
アーデルハイド・ルナアーラ
【ワンダレイ】
覚悟しなさい、ブラッディ・リリー!切り札を先に見せた方が負けるのがお約束なのよ!
みんなに頑張ってもらっている間にとっておきのファンシー大魔法の準備ををするわね! 陸でやったら大惨事だけど、海を背にしてるここなら人里を破壊してしまう憂いもないわ! 召喚の門よ開け! 約50体の鯨の幻獣を召喚!空飛ぶ鯨の背に乗って突撃!津波と鯨の物量アタックで全てを押しつぶすわ!
ジェイ・ランス
【POW】【ワンダレイ】※アドリブ歓迎
キャー美人さん。でも残念、オブリビオンじゃ倒すしかないんだよねー。
ということで、船員は過去に還ってもらおっか。
―――感情演算停止、運命変転術式『Nibelungen』起動。
咲凛さんに援護してもらいつつ、"慣性制御術式""重力制御術式"で敵艦に接近。事象破断刀にて『麗しの黒竜』号を一閃します。この船の「ここへ来る過去」と「勝利の栄光」を破断。事象辺ごと過去に還りなさい。
残った海賊の相手は致します。全武装、【一斉発射】。塵芥にして差し上げます。
と、アーデルさん、クジラですか。では私はごきげんよう……
尾守・夜野
■ワンダレイ
「…あらいってくれるじゃない?」
UC解除して人の姿に戻るに合わせ
黒纏を私の服装に変えつつ
「無様に泣きわめいて許しをこうのは貴方よ?
あらごめんなさい
もしかしてそのようにおっしゃられてたのかしら?
生憎と私…家畜の言語には詳しくないの」
カーンとどこかでゴングがなった気はするわね
私、痛め付けるのは好きだけど…
見下されるのは我慢ならなくてよ
彼を押し退けて私(女性人格)がお相手するわ
暴言には気品を持った暴言で返し
暴力には更なる暴力を返しましょう
皆が回りを退けてくれてるみたいだけどちょっと気づけないわね
血が頭に上りすぎて真の姿さらしても気づかずきゃっとふぁいと続行よ
そして流される
最後に大きな鯨が
月守・咲凛
【ワンダレイ】の艦長と尾守さんとジェイさんとアーデルハイドさんと一緒に行動。
尾守さん……尾ねえさんですね、わかりましたー、周りの敵は任せてください。カーンとゴングを鳴らしておきます。
私は黒竜号の船員を相手にするのです。こちらに気を惹くために急降下してアジサイユニットとムラサメユニットで敵をまっぷたつにして行きます。周囲の状況には常に気を配って、攻撃を受けた人が居たら追撃されないようにアジサイユニットを盾にして防ぎます。
準備が必要そうな仲間は邪魔されないように重点的に守っておくのですよ。
くじらー!いっぱいなのです!
味方の攻撃には無邪気に喜んでおきます。
アルフレッド・モトロ
引き続きワンダレイの皆と参戦
殺してやるだぁ?
船がねーと海に居られねぇ分際でナマ言うじゃねぇか!
俺の武器は…
お前の船を野望ごとこの場に繋ぎ止める錨…ッ!
ワンダレイ・アンカーだ!
ただのバトルアンカーと侮るなかれ…地獄の炎でも熔けねぇ逸品よォ!
これで1発叩き直して…って
め、目のやり場に困る女だな!?
布の面積が少なすぎる!
動揺しちまいそうだが
【気合い】で耐えて戦う。
【怪力】で錨を振り回して、寄ってくる雑魚共を【吹き飛ばし】。
ボスの攻撃を凌ぎながら【力溜め】。
地獄の炎を纏わせた錨で【捨て身の一撃】だ!
ん!?オネキ(夜野)が津波で流されたか!?助けに行かねぇと!【水泳】
オネキーッ!!
(アドリブ・連携歓迎)
「覚悟しなさい、ブラッディ・リリー!」
「クソガキがナマ言ってんじゃないよ!」
アーデルハイド・ルナアーラ(f12623)は黒竜号の船上にて、オブリビオンに対峙する。
「キャー美人さん。でも残念。そんなに怒っちゃ台無しじゃなーい?」
ジェイ・ランス(f24255)は面白がるように笑いながら、その隣に並んだ。
「なんだい、お前ら――どこの芸人さ。誰も呼んじゃいないよ。とっとと消えな!」
「……あら、いってくれるじゃない?」
尾守・夜野(f05352)――多重人格者である彼の中から表に出た女性人格が、真っ向から視線を返した。火花が散るように、ブラッディリリーとにらみ合う。
「無様に泣きわめいて許しを乞うのは貴方よ?」
「芸人風情がよくも言うじゃないか。アタシの手下どもに囲まれてるっていうのに、まだそんな余裕があるのかい?」
せせら笑うブラッディ・リリー。しかし、夜野はそれを意にも解せず口の端を吊り上げた。
「あらごめんなさい……生憎と私、家畜の言語には詳しくないの」
「――カマ野郎が。口からクソ吐いたこと後悔させてやる」
「お、おー……なんだか激しい戦いが始まっているのです」
かーん。月守・咲凛(f06652)はそのへんに転がっていた鐘をゴングがわりに叩いた。
「クソガキ、お前も一緒に死ぬんだよ!一人残らず皆殺しにしてハラワタを鮫に食わせてやる!――ブッ殺せ、野郎ども!」
「おおっ!」
黒竜号の乗組員たちが歓声をあげながら押し寄せた!数十人以上の海賊たちが一斉にワンダレイの面々を包囲し進攻する!
「ハ!殺してやる、だぁ?」
「グアーッ!!」
しかし、それを遮るように吹き荒れる鉄の旋風、ッ!襲い来る海賊軍団の群れを重たいアンカーの一撃が薙ぎ払う!十人以上の海賊どもを吹っ飛ばし、アルフレッド・モトロ(f03702)は不敵に笑った。
「船がねーと海に居られねぇ分際でナマ言うじゃねぇか!」
更にもう一撃!暴圧!圧倒する重撃に海賊どもが怯んだ。
「こいつ……深海人か!」
「いや違うんだが――とにかく、お前の悪行もこれで終わりだぜ、女海賊!」
見得を切るように凄むアルフレッドは、掲げた武具を見せつけるように構えてみせる。
「見やがれ。これが俺の武器、お前の船を野望ごとこの場に繋ぎ止める錨……ッ!ワンダレイ・アンカーだ!」
「な、なんて強さだ……!」
「姐さん!あいつやべえですぜ!」
「ビビってんじゃないよ、お前たちッ!あんな見掛け倒しの錨一本でアタシたちに勝てるわけがない!その磯臭いサカナ男もまとめて殺っちまいな!」
「お、おうッ!」
だが、ブラッディリリーの号令に応え男たちは覇気を取り戻す!不屈の精神で向かい来る海賊の群れ!
「フ。こいつをただのバトルアンカーと侮るなかれ……地獄の炎でも熔けねぇ逸品よォ!これで1発叩き直して…………って」
しかして一方、対峙するそのアルフレッドは僅かに動きを止める。
「め、目のやり場に困る女だな……!?布の面積が少なすぎる!」
「命を奪り合う鉄火場でガキみたいなこと抜かしてんじゃないよッ!――どこまでアタシを苛立たせりゃ気が済むんだい。野郎ども、こいつらだけは許すんじゃないよ!徹底的に叩くんだ!」
更に男たちの声が響き渡る。ブラッディマリーの鼓舞で更に戦意を高めた海賊団が、勢いを増して攻め来る!
「ひゃー。随分派手に歓迎してくれるもんだねー。船長、オレも手伝おうか」
「あ、ああ、頼むぞ!咲凛もいけるな!」
「わかりましたー、周りの敵は任せてください」
「よし、それじゃあ私もとっておきの大魔法を見せてあげるわ!ちょっと時間をちょうだい?」
アルフレッドはアンカーを振りかぶりながら声をあげる。応じてワンダレイの面々がそれぞれに戦闘態勢へと移行した。向かい来る海賊の群れへと向き直る!
「――じゃ、そっちは任せるわね。私は、あれの相手をするわ」
一方、夜野は溢れる敵意と戦意を燃え上がらせながら真っすぐに駆け出す。真正面に見据えるのはブラッディリリーの姿だ!
「やれるもんならやってみな、カマ野郎!」
「性根が汚い人間は言葉も汚いのよね?」
激突!間合いが至近に達した瞬間、先手を取ったのはブラッディリリーだ。鋭い貫手が夜野を襲う。夜野は身体を逸らして躱すが、頬を浅く裂かれた。
「私、痛め付けるのは好きだけど……見下されるのは我慢ならなくてよ!」
「なら死ぬほど痛めつけて徹底的に見下してやるッ!」
苛烈!ブラッディリリーの攻め手が勢いを増す。荒々しく暴れまわる腕先と蹴り足は海の荒くれどもを相手に戦い慣れした情け無用の喧嘩殺法だ。『キャットファイト』などという生易しい言葉でそれを評すことはできない。
「――その程度の腕と覚悟でアタシに“勝てる”とふんできたお前の態度が、アタシへの一番の侮辱だよ」
女海賊の凄む声は、ひどく冷徹であった。震脚めいた踏み込み!胸郭を穿つように放たれた掌打が夜野の肋骨を強かに叩いた!
「ッ……!」
夜野は衝撃に呻く。肺腑から空気が絞り出される音がした。
「今だ、殺せッ!」
その瞬間、ブラッディリリーが目配せする。側面に回り込んでいた海賊たちがカトラスを構えて突っ込んできたのだ!奇襲!刃の群れが夜野へと迫り――
「それはだめです!」
縦一文字!空から落ちる流星のように光が走った。更に燐光が輪舞する。溢れる光刃が夜野を狙っていた海賊たちを断ち、吹き飛ばした。ビーム兵装ユニットムラサメによる斬撃と円盤状の武装ユニットアジサイによる迎撃である。降り立った咲凛はムラサメの刃を構えなおし、スラスターを吹かしながら前進。更にカトラスを構えた海賊たちに激突し、次々に葬ってゆく。
「メスガキがアッ!アタシの邪魔を……」
光刃に切り伏せられる手下たちの姿にブラッディリリーが激昂した。その視線と殺気が咲凛へと向く。
「……血が上ってまわりが見えてないみたいね?」
だがその瞬間、ブラッディリリーの肩を夜野が掴んだ。その姿は今や女のそれではなく、半身を獣めいた異形と化した真なる姿だ。暴力には、さらなる暴力をもって報復を。その膂力がブラッディリリーを引き倒す。
「ぐあ……!」
「いいぞ、夜野!こっちも仕掛ける!」
更に、アンカーを構えたアルフレッドが甲板を走った。追撃の構えに入る!
「ッ、ざけ、やがって――!」
「おおおおおおおおおおッ!」
「―――感情演算停止、運命変転術式『Nibelungen』起動」
一方。
ジェイは自身のリソースを術式機構へと集中させる。その手には事象破断刀。如何なる技術に拠るものか。不可視の事象を断つ概念兵装である。
ジェイ・ランスはアニメーション作品のキャラクターである。彼自身がそう理解している。彼は物語のキャラクターである。――であるならば、逆説的に考えればこの世界こそ物語なのではないか。
ならば、運命改変や事象介入とは即ち、物語をほんのすこし書き換える程度のことである。――そう難しいことではないのだ。きっと。
「この船の、『物語』を」
そのツールを介して、ジェイはその船、『麗しの黒竜号』を。そして、その物語を切り裂いた。
「……なに?」
虚像のようにその船影が揺れて、ブレる。素人の撮った写真のように輪郭がぼやけ、その存在が不確かになり始めた。――『物語』を否定されたものが存在し続けることは、不自然なのだ。消滅することこそが当然なのだと言える。その船が消失するまで、さほど時間はかからないだろう。
「なんだ……どうなっている!?」
「よそ見してる暇があるのかよ!――おらあッ!」
「ちぃッ!」
状況を理解できないままに、ブラッディリリーは夜野とアルフレッドの追撃を躱しながら叫んだ。燃ゆる地獄の炎に肌を焦がしながら、ブラッディリリーは歯を噛み鳴らす。
「もうおしまい、っていうことですよ!」
そこへ更なる追撃が加わる!咲凛の放つ光刃の斬撃だ。振るう刃が尚もブラッディリリーを追い詰める!
「ッ、ざけんじゃないよ……!このアタシが、こんなことで――!」
「――みんなーッ!準備できたわよーっ!」
その時である。
存在が揺らぎ始めた黒竜号の眼前に、仁王立ちするアーデルハイドが浮かんだ。周囲の空間が揺らぐほどに収束されたきわめて強力な魔力塊が、構築された術式の規模を示す。
「このガキ……!いったい何を!」
ブラッディリリーはそこに焦りを見せた。きわめて“嫌な予感”がする。これを捨て置けば致命的な被害を被るだろう。半透明になった甲板を蹴ってアーデルハイドを撃ち落とそうと駆け出し――
「――逃がさない」
その足を、夜野の腕が掴んだ。
「召喚の門よ、開け!さあ、おいで!私の海のお友達!」
かくしてその魔法円は成る。術式が起動したのは、その瞬間である。
瀑布。
空中に描かれた巨大な魔法円から、島一つを押し流せるほどの膨大な量の水が押し出された。――そして、それに交じり現れるのは、鯨の群れだ。
「クジラですか」
このまま見ていたら間違いなく巻き込まれるだろう。ごきげんよう、とジェイは短く呟いて重力制御機構を起動。空中へと逃れた。
「わーっ!くじらー!いっぱいなのです!」
怒涛のように押し寄せる波の合間に垣間見える鯨の姿に咲凛は快哉を叫びつつ、スラスターの光を曳いて津波より逃れる。
「――!」
「この、カマ野郎……ッ!」
「「「グアーッ溺死!!!」」」
常軌を逸した量の水流と鯨の群れが黒竜号を押し流す。――そこに、夜野が巻き込まれた。しかしてただ巻き込まれるだけではない。彼が掴んでいたブラッディリリーと、その仲間の海賊たちもともに飲み込まれる。
「夜野ーッ!」
一方、アルフレッドは波にのまれた夜野の姿を見やるや否やキャプテンの責任を果たすべく救出のため水面に飛び込んでゆく。
――かくして。
ノアの箱舟の神話めいてすべてが押し流された海の上に、アーデルハイドだけが佇んでいた。
「……ちょっとやりすぎちゃったかしら?」
仲間ももろとも飲み込んでしまった。ううん、と悩むように声を漏らす。
だが、水面にひとつ波紋が生まれる。救出された仲間だろうか。アーデルハイドはそこへと視線を向けた。
「……クソ、クソ、クソクソクソクソクソクソクソクソ、クソッ!!クソ猟兵ども、クソ猟兵どもがアッ!!」
――だが、そこに響き渡るのはオブリビオンの悪罵である!ここまでの攻勢を受けてなお、キャプテン・ブラッディ・リリーは未だ健在だったのだ!
「もう、一度だ……もう一度、来い……ッ!あいつらを……あの連中を、ぶち殺してやらなけりゃア、アタシの、気が……ぐ、あ……ッ!」
もはや原形をとどめぬ木片にしがみつきながら、ブラッディリリーは呪詛めいた咆哮をあげる。その妄執と憎悪が、欲望と邪悪な意志が、オブリビオンとしての存在核を代償としながらも運命力によって否定された『麗しの黒竜号』を再び現世へと呼び戻す。吐血めいて闇を吐き出し、怨霊のようにおぞましく呻きながら、ブラッディリリーはもう一度己が船を浮上させた。
「ぐ、あ……ッ!」
ブラッディリリーは甲板の上で膝をつく。支払った代償の大きさを示すように激しく消耗した様子で、荒く息を吐きながら。しかして、もう一度立ち上がる。その双眸に怒りと憎悪を燃え上がらせて!
決着の時は近い。――ドートゥンヴォリ近海におけるオブリビオンとの戦いは、間もなく終局を迎える。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
やぁねぇ、あんまり強い言葉を使わないほうがいいんじゃない?
出来もしないことばっかり言うんだもの、ただでさえそんなに高くなかったあなたの格、どんどん下がってるわよぉ?
長々ペラ回す前に拳打の一撃、蹴撃の一閃でもかましたらどう?
…中々プライド高いタイプみたいだし、これだけ派手に○挑発かませばこっち狙ってくるかしらぁ?
○精神攻撃で読みやすくなったところに○クイックドロウから○カウンターの●明殺を叩き込むわぁ。
頭に血が上った一撃って、強力だけどすっごく○見切りやすいのよねぇ。
クロスレンジなら、自分のほうが早いと思った?
…それでもまだ、あたしのほうが早いの。残念だったわねぇ?
メルノ・ネッケル
ええ啖呵や、流石は海賊やな……けど、それで怯むようなうちらやあらへん。
悪いがドゥートゥンヴォリには行かせへんで。
悲鳴あげて海に還るんはどっちか、試してみようやないかっ!
さて、もう一隻の海賊船。見るからに幽霊海賊がぎっしりやなぁ……あれだけの戦力、確かに奥の手に相応しい。
ならば、その奥の手をぶっ潰す!一気に片付けたるで!
まずは【2回攻撃】!一歩引きつつ手数を増やし、幽霊海賊共に銃撃や。こいつで痺れを切らすのを待とか。
それだけの戦力、いずれはこっちの船に乗り込んで乱戦を仕掛けて来る筈。そこが好機になる!
十分な数が乗り込んできたら……『狐の嫁入り』の始まりや!雨に打たれて成仏しぃや、幽霊海賊共!
仇死原・アンナ
…首魁のおでましか
敵は海賊…ならば処刑人として屠ってやろう…!
[環境・地形耐性、船上戦]を発揮しつつ
鉄塊剣で攻撃を[見切り、武器受け]で防御しよう
[挑発]して敵を身軽にさせ攻撃を誘ったら拷問具を[投擲]し[補食、継続ダメージ、傷口をえぐり]致命傷を与え体勢を崩そう
【吊るし首の刑】により強化された鎖の鞭を振るい
敵の首や体に[マヒ攻撃、捕縛]で巻き付けて[怪力、ロープワーク]で敵を振り回し何度も叩きつけて[地形を利用]し敵を帆柱に吊し上げて止めを指してやろう!
…ドートゥンヴォリではこういう終の言葉があるそうだ
貴様はもう…アイチ=ナゴヤ=オワリとな!
その無惨な死に様を空の下に晒してやろう…
ウーラ・エベッサ
※アドリブ歓迎
・行動
海中に飛び込んでからUC使用して巨大化
約15メートルほどの巨体で
『麗しの黒竜号』の船体そのものを抑え込んで破壊する
頭部の触腕を巻きつけながら腹足で張り付き締め上げる感じ
(捕縛、怪力、継続ダメージ)
・UC演出
水中に飛び込み胸元の秘紋へ自身の血を擦り付けて文言を唱えると
光を放ちつつシルエットが巨大化
海が渦を巻いてその中心から
全身ヌラヌラとした皮膚に覆われた神体が現れる
・セリフ
ご先祖様は異形故に海に流され捨てられた
祀ろわぬ夷神だったって話でね
以来、一族は漂流しながら生活してきたのさ
だから流れ着いた先で大切にしてもらったら
その恩は死んでも返す
アタシらはそうやって生きて来たんだよ!
「おおおおおおッ!」
狂乱!激怒するブラッディリリーが黒竜号の甲板を走り、猟兵たちへと迫る!その身体は戦いの中で大きく疲弊していたが、しかして尚も燃え上がる敵意と憎悪はその身体を突き動かしていた!
「その二度と口を利けないようにハラワタぶち撒けて鮫の餌にしてやるッ!」
「やぁねぇ、あんまり強い言葉を使わないほうがいいんじゃない?」
「なんだと……!」
ブラッディリリーは鋭く視線を向ける。その先に佇む姿はティオレンシア・シーディア(f04145)である。
「出来もしないことばっかり言うんだもの、ただでさえそんなに高くなかったあなたの格、どんどん下がってるわよぉ?」
「このクソアマ……!この期に及んでまだそんな口を利こうっていうのかい!」
「長々ペラ回す前に拳打の一撃なり蹴撃の一閃なりかましてみたらどう?」
「……言いやがったなあばずれがッ!そのよく回るお上手な舌と寝ぼけた目玉を抉り出して握り潰してやるよ!」
「ええ啖呵切りよる。流石は海賊やな」
それと渡り合うティオレンシアの口先もなかなかのものだ。メルノ・ネッケル(f09332)は感心する。
「けど、それで怯むようなうちらやあらへん。悪いがドートゥンヴォリには行かせへんで!」
そして、銃を抜く。
「どう言ったところで……敵は、所詮海賊……」
仇死原・アンナ(f09978)はゆらりと揺れながらブラッディリリーへと対峙する。
「ならば処刑人として屠ってやろう……!」
「解体(バラ)されんのはお前らだッ!」
ブラッディリリーは怒りの咆哮とともに、宙を舞うように飛んだ。甲板べりの欄干を走りながら抜き放ったカトラスを投擲!対しアンナが前に出た!踏み込みながら鉄塊剣を振り抜いた。錆色の乙女は冷徹に咎を叩き折る。わずかな焦燥感と舌打ち。ブラッディリリーは欄干を蹴って再び跳躍した。
「野郎どもッ!」
「いつでもいくぜ、姐さんッ!」
「奴らに悲鳴をあげさせろォッ!」
咆哮めいた声が唱和する!黒竜号の海賊たちだ。これまでの戦いで既にその数を大きく減らされていたが、それにもかかわらず男たちは高らかにピストルを掲げる!そして大砲の筒の中へ身を滑り込ませた!
「上と下からの二段攻撃だぜぇ!」
「来るで!」
「迎え撃つ……」
「そっちは頼むわねぇ」
号砲!砲声とともに人間砲弾と化した海賊が空を飛んで急襲する。同時に甲板へと海賊集団が展開した。
「ブッ潰……」
大砲から飛び出した海賊たちが降下しながらカトラスをかざし、猟兵たちを襲撃する!
「させないよ、ッ!」
だが、そこで更に躍り出る巨影!ウーラ・エベッサ(f26246)である!4メートルを超す巨人族の膂力が空中の海賊どもを殴りつけ海へと叩き落とす!ウーラはそのまま黒竜号の甲板へと降り立ち、敵の前に立ちはだかった。
「なに……!?」
「巨人だと!?」
「こいつ……!巨人族はドートゥンヴォリじゃァ歓迎されないんじゃなかったのかい!」
「いいや、あの島の連中はよくしてくれたよ」
ウーラは構えた。体躯の差とはシンプルなパワーの違いを示すものだ。その巨体の前に海賊の群れは竦み、二の足を踏む。
「……よくしてもらったら、その恩義は返す。アタシらはずっとそうしてきたんだ。その恩にかけて、あの島を襲おうって連中はアタシが懲らしめてやるよ!」
「図体だけじゃなく口もデカいじゃァないか!お前たち、ビビるんじゃないよ!巨人でも鯨でも殺しゃ死ぬんだ!あのクソアマども諸共囲んで潰せ!」
号令!ブラッディリリーの声は海賊たちを統率し、カトラスを握る手に力を取り戻させる!
「お、おおッ!」
「もっとだ……!もっと数で攻めるんだよッ!アタシの『黒竜号』はこんなもんじゃないッ!」
更にブラッディリリーはユーベルコード出力を上昇させた。船室や船倉、あるいは積荷の樽を割って溢れ出すように海賊どもがその数を増す!
「あらぁ。随分大盤振る舞いねぇ」
「こら正攻法じゃ押しきれんな……」
「……頭を、潰せば……終わる」
猟兵たちは油断なく武具を構えながら視線を巡らせる。響くブラッディリリーの哄笑と海賊どもの鬨の声。高まる緊張感。
「どうせやるならもっと派手にいこうじゃないか。……アタシに策がある。任せてくれ!」
ウーラはそれを言うや否や走り出す。甲板を蹴って跳躍。水柱があがった。夜の海へと飛び込んでいく。
「……わかった」
「それじゃぁ、そっちはお願いするわねぇ」
「とか言ってる間に来るで!」
「ブッ殺せぇ!」
咆哮とともに押し寄せる海賊たち!メルノが前に飛び出して即応。カトラスの剣筋を躱しながらクロスレンジ。至近からリボルバーの弾を叩き込んで黙らせる。息つく間もなくサイドステップ。メルノが2秒前までいた空間をピストル弾が通過した。カウンターショットの熱線が走る。更に押し寄せる海賊集団へと向かってメルノは飛んだ。
「船乗りにとっちゃ、雨や嵐は船を沈める災害……せやな?」
「このアマ!何のハナシだ!」
「ならピストルの嵐をくれてやるぜぇ!」
男たちが一斉に銃を撃つ!しかしメルノは曲芸めいて空中で身を捻り、ピストル弾を躱しながらその両手に握る二挺の銃口を向けた。
「うちが降らすんは、大嵐より怖い弾の嵐!雨に打たれて成仏しぃや、幽霊海賊共!」
トリガー!【狐の嫁入り/フォクシーズ・レインスコール】!
「グアーッ成仏!!」
降り注ぐ熱線と弾丸の雨!全身で浴びる海賊たちは次々と爆ぜてゆく!
「こっちはうちが片付けたる!」
「小癪なァ!」
「あらぁ。またそんなに怒っちゃって」
激昂するブラッディリリーの元へと銃弾が飛び込んだ。身を捻り紙一重の回避。歯を嚙み鳴らし、怒れる瞳がティオレンシアを射抜く。
「こちらも……」
更に側面から鎖の音。アンナの拷問具がブラッディリリーに襲い掛かった。
「ザけんなッ!」
鞭めいて跳ねる腕先がそれを弾いた。ブラッディリリーは上着を脱ぎ捨てながらカウンターに移る。素早く跳ねた身体は一気にアンナとの間合いを詰め、強烈な拳打を打ち込む。アンナは鉄塊剣でそれを受け止めた。更なる追撃に入ろうとしたブラッディリリーに側面から襲い来る45口径弾頭!
「煩わしいッ!あばずれがッ!」
「あらあら、もうそんなに余裕がないのぉ?」
ブラッディリリーは反転し、ティオレンシアへと向けて駆けた。高速の拳舞。ティオレンシアの急所を捉えんと無数に放つ連撃!だがティオレンシアは巧みな体捌きでダメージを最小限に抑える。そして。
「……思った通り、雑ねぇ?」
「なに……!」
「頭に血が上った時ってねぇ……見切りやすいのよぉ」
かち。
交錯の末、生じた僅かな隙。ティオレンシアはそれを見逃すことなく銃口を突きつける。
「それと――あたしのほうが早いの。残念だったわねぇ?」
そして、銃声が女海賊を貫いた。
一方。
海へと飛び込んだウーラは、自らの身に刻んだ紋様に秘した力を励起する。
『祖霊の力をもって、我が身を海神と化さん』
ごぼりと浮かんだ泡に混ざって紡がれる呪の言葉が、ウーラの血に流れる力を目覚めさせる。【寄り神ヒルコ】。かつて神だった彼女の一族の血が呼び覚まされる。そこに顕現せしは、
『ご先祖様は異形故に海に流され捨てられた祀ろわぬ夷神だったって話でね』
水面から、頭足類のそれに似た巨大な腕があがった。
『以来、一族は漂流しながら生活してきたのさ』
それは、異形の神性であった。蛸に似た触手の頭髪。ぬらぬらと妖しく光る皮膚。15メートルにも届く凄まじい体躯の、巨神。それがウーラの血の姿であった。
『だから、流れ着いた先で大切にしてもらったらその恩は死んでも返す……アタシらはそうやって生きて来たんだよ!』
巨神としての姿を現したウーラは、そのまま黒竜号へと襲い掛かった。触腕と両腕と、全身を使い締め上げるように船体へ組み付き、壊す。凄まじい圧力に圧壊し始める船体が悲鳴をあげて軋んだ。
「何が……ごぼ、ッ!何が、起こって……!」
ブラッディリリーは射抜かれた腹の傷を抑えながら血を吐き、黒竜号が、そして手下たちが砕けていく様を見た。
「……おまえの負け、ということ」
その眼前に立つアンナは、処刑者として酷薄に告げる。じゃら、と音をたててアンナは鎖を振るった。鎖の鞭がブラッディリリーを縛り上げる。アンナは更に膂力でその身体を放り投げた。
「がは……、ッ!」
「ドートゥンヴォリではこういう終の言葉があるそうだ。貴様はもう……アイチ=ナゴヤ=オワリとな!」
沈みゆく黒竜号の甲板や船壁に幾度も叩きつけられたブラッディリリーは、そして帆柱へと絞首刑めいて鎖で吊り下げられる。
「その無惨な死に様を空の下に晒してやろう……」
「あ、ぐ、ッ……ち、ちくしょう……!」
かくして。
ドートゥンヴォリを狙っていたコンキスタドール、海賊キャプテン・ブラッディ・リリーは滅び、麗しの黒竜号もまた海の藻屑と消えたのである。
――その日、少女は大きな光を見た。
ドートゥンヴォリに銀河焼きの店を構える孤児の少女は、看板を下ろした後の散歩の最中に、海の方で輝く大きな光をたしかに目にしたのである。
きっと宇宙で見る星の光も、あれくらいきれいなんやろなぁ、と、彼女は思う。
そうだ、明日の準備もしなくては。銀河焼き売りの少女は踵を返して寝床へと向けて駆け出した。
この島は今日も明日も平和そのものだ。明日もたくさんお客さんが来てくれるとええなあ、と、彼女は思う。
明日も明後日もその先も、彼女は――否。彼女のみならず、ドートゥンヴォリの人々は皆、星を見上げ、星の世界に夢を馳せ、そして今日という日の営みを繰り返してゆくのだろう。彼女曰く、『銀河やらブラックホールやらけったいな名前つけたコナモン』なんかを焼きながら――遠き故郷へ、愛を込めて。
成功
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