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Idiot's Ideal

#サクラミラージュ #幻朧戦線 #影朧甲冑

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 流れる事忘れれば、水はただ濁るのみ。
 人の世とて、また然り。
 この世界は、腐っている――。



 サクラミラージュのとある地方都市。
 その地方の中心都市として繁栄するこの都市の郊外には、国立の大学が存在している。
 才気ある若者達が集い、帝都の、世界の未来担う学徒として勉学に励むための、また人生で最も活力ある時期を多様なる活動に費やし、青春を謳歌するための学び舎だ。

 大学の正門を通ってすぐの広場は、一日を通して学生達で賑わう。
「もうすぐ試験…正直自信無いな…」
「君が気になってた作家の新作、手に入ったんだが読むかい?」
「今度の新作演劇、私にはちょっと合わなかったな」
「あそこの式がああなって…ぶつぶつ…」
 行き交う学生達が向かう先は様々、交わす会話の話題もまた様々。
 だが直後、その意識は一点に向けられることとなる。

 突如正門から駆け込んできた軍服めいた装いの一団。その首には一様に黒鉄の環。
 何事かと怪訝な視線を向ける学生達に対し、その中心に立つ男が大音声で呼ばわった。
「我らは幻朧戦線!700年にも及ぶ世界の停滞を憂い、その変革を促さんとする壮士の集いである!」
 幻朧戦線。その名に覚えのある学生も少なからず居たらしい。
 大正の世を終わらせ、世界に変化を齎すという題目の元にテロルを繰り返す過激派集団…ざわめきが広がる。
「この大学こそは、変化と成長を否定し停滞と怠惰を是とする思想を広める世界腐敗の病巣也!よって、我らはこれを破壊するものである!」
 男の宣言に続き、随う一団が一斉に銃を構える。
「諸君らにより善き未来を望む志あるなら、我らの後に続くべし!拒むならば致し方なし、この場にて未来への礎となってもらう!」
 向けられた銃口が、その意味を無言のうちに物語る。悲鳴が上がる。
「総員、状況を開始せよ!腐敗撒き散らす害虫共の巣に、正義の鉄槌を下すのだ!」
 号令と共に走り出す一団。軍靴が地を踏み鳴らす音が広がり、銃声と悲鳴がそれに続く。
 油断なく周囲を見渡す男。その姿が一瞬揺らぎ、巨大なる甲冑の姿が垣間見えた。



「幻朧戦線の人達、また派手になんかやらかそうとしてるねー」
 予知を語り終えたグリモア猟兵、メリヲ・テフルヴイ(フリヰダムスヲウド・f22520)は呆れ気味に肩を竦めてみせる。しかしその目は笑っていない。
「そういうわけで、皆にはこの大学へのテロルを鎮圧して欲しいんだ」
 今から転送を行えば、予知で語った状況の直後の現場へ急行できる。幸い、その時点ではまだ一般人の死者は出ていない。
「幻朧戦線の人達は拳銃で武装してるよ。それも例の『グラッジ弾』を込めたヤツをね」
 グラッジ弾といえば、撃たれた相手を影朧を誘き寄せる体質にしてしまう影朧兵器だ。そんなもので一般人を撃たれてはたまったものではない。
「あの人達も影朧じゃない普通の人間だから、出来れば殺さず捕まえて欲しいところではあるけど…それに拘って一般の人達に被害が出るくらいなら、ね?」
 両者の命が天秤に乗るなら、優先すべきは無論のこと一般人。メリヲは言外に告げる。
「ともあれ、これを鎮圧すればお仕事はおしまい…じゃないんだよねぇ、これが」

 メリヲ曰く。
「あの人達、グラッジ弾よりもっとタチの悪い影朧兵器を持ち出してきたんだよ。『影朧甲冑』ってヤツをね」
 それは影朧を動力として稼動する鋼鉄の甲冑。人間が乗り込み操縦することで性能を発揮する兵器であるが、ここにこの兵器の最たる問題がある。
「これに一度乗り込んだ人は、影朧の呪いで『もう二度と甲冑から降りられなくなる』んだ」
 甲冑を降りない限りは決して死なないが、降りれば途端に死ぬ。即ち一度乗り込めば甲冑が壊れるまで戦い続けるより他にない。あまりにも不退転を極めすぎ非人道の領域に踏み込んでしまった、禁断の兵器である。
「こんなモノをどこから持ち出してきたのか知らないけど、放置しておけるモノじゃないのは確かだよ。これもテロルの目的を果たすために行動しているからね」
 即ち一般構成員の鎮圧後は、この影朧甲冑を破壊しないといけないということだ。
「影朧甲冑は、最初は別の影朧の姿を纏ってるから、甲冑を攻撃する前にまずこの影朧を剥がさないといけないんだ」
 おまけに影朧の姿を纏っている間は、その影朧のユーベルコヲドを使ってくるという。面倒だよねぇ、とメリヲは再び肩を竦ませる。

「ともあれ、テロルなんかじゃ世の中変わらないってコト、あの人達に思い知らせてやってあげてね。それじゃ、転送始めるよっ」
 メリヲの手に、刀を模したグリモアが浮かび上がる。其が空間を切り裂くかのように振るわれれば、その向こうには桜花舞い散るサクラミラージュの風景が広がっていた。


五条新一郎
 角材の用意はよろしいか。
 五条です。

 さてサクラミラージュにて幻朧戦線の更なる活動が報告されました。
 重要施設…今回は大学へのテロ行為の鎮圧でございます。
 シナリオ傾向としては、やや心情込みの戦闘、というところになりましょうか。

●目的
 大学を襲撃した幻朧戦線の鎮圧。

●戦場
 サクラミラージュ、とある地方都市の郊外にある大学の敷地内。
 主に中庭ですが、一部の幻朧戦線構成員は建物の中に入った可能性があります。

●第一章
 幻朧戦線の一般構成員を制圧します。
 生かして捕縛することが推奨されますが、一般人の命を守るためなどやむを得ない場合に限り殺害も許可されます。

●第二章
 影朧甲冑が纏う影朧との「ボス戦」です。詳細は第二章移行時に。

●第三章
 影朧甲冑との「ボス戦」です。
 甲冑の搭乗者(詳細は第三章移行時に)を説得することも可能ですが、どちらにせよ甲冑が破壊されるか甲冑から降りた時点で死亡します。

●プレイングについて
 第一章はOP公開直後から、第二章以降は章移行時に断章を投稿しますのでそれ以降からのプレイング受付となります。

 それでは、皆様のプレイングお待ちしております。
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第1章 冒険 『幻朧戦線の襲撃』

POW   :    襲い来る幻朧戦線の一般兵を肉壁となって阻止し、重要施設や一般人の安全を守ります

SPD   :    混乱する戦場を駆けまわり、幻朧戦線の一般兵を各個撃破して無力化していきます

WIZ   :    敵の襲撃計画を看破し、適切な避難計画をたてて一般人を誘導し安全を確保します

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アリソン・リンドベルイ
【WIZ 庭園迷宮・四季彩の匣】
上空から失墜し、中庭に飛び込みます。『空中浮遊、コミュ力、礼儀作法、覚悟、おびき寄せ、時間稼ぎ』…猟兵の、アリソン・リンドベルイと申します。幻朧戦線の皆々様…どうか、ご自制いただけませんか。 杖を置いて、身一つで相対します…会話を試みている最中に他の方を撃つとは思いたくないですが…動きがあれば、『庭園迷宮』を展開。花の迷路に閉じ込めます。 樹木が実をつけるまでに、何年もかかる事をご存知かしら? 土を作り、虫から守り、地道に手入れをして…ようやく実がなるの。数十年に一度しか咲かない花もありますし、何百年をかけて成長する樹もあるの。急いだら、きっと枯らしてしまうわ?



 響く銃声、上がる悲鳴。阿鼻叫喚の様相呈する、大学の中庭。
 逃げ惑う学生達、追い駆ける鉄輪の若者達――幻朧戦線の壮士達。
 冷徹に、或いは冷酷に事を為さんとする者にとり、混乱のまま動く者を追い詰めるは易い。その距離が、次第に縮まって――

「お待ちください」

 不意に、空から降ってくる声。続いて、降ってくる影。それは地表間際で軽やかに翻り、地より僅かに浮遊した位置に留まる。ちょうど、逃げる学生と追う幻朧戦線とを分かつ位置。
 見れば現れたる影の正体は少女。背に白き翼、三つ編みとした胡桃色の髪には白きガーデニアの花が咲く。常ならば茫洋と光たゆたう若草色の瞳に、今は決意の光を宿して。
「お前…何者だ!?我らの邪魔をするというのか!」
 銃口を伴う誰何の声に、少女は名乗り上げる。アリソン・リンドベルイ(貪婪なる植物相・f21599)、猟兵であると。
「…猟兵だと…!?」
 幻朧戦線とてサクラミラージュの住人、猟兵が如何なる存在かは知っている。近年、影朧事件解決に目覚ましき活躍を見せる超弩級戦力、と。それが今、己らの前に立ちはだかっているという事実が、壮士達の間に動揺の波を広げる。
 その動揺は少なからず彼らの戦意を挫いた。そう見たアリソンは杖――林檎の枝を地に置く。己が力に頼らず彼らの鎮圧へ臨む意思を示すべく。
「…幻朧戦線の皆々様。どうか、ご自制頂けませんか。皆々様のやり方は、些か早急に過ぎます」
 そして語りかける。柔らかな、しかし確かなる強き意思を感じさせる声音で。
「…樹木が実をつけるまでに、何年もかかる事をご存知かしら」
 それも、ただ待つばかりではない。土を作り、虫から守り。風雨を凌ぎ、時には剪定も行い。地道な手入れを続けた末に、漸く実りを得られるの――果実の収穫に喩えて、彼らの早急な行いを戒めんとする。
「草花自体についてもそう。数十年に一度しか咲かない花もありますし、何百年もかけて成長する樹もあるの」
 世界とて同じ――成果を急げば、枯らしてしまうだけではないか。そう説くアリソンであったが。
「…何を言うか!悠長に待てば世界はただ腐るのみだ!」
「そうだ!収穫の時は今をおいて他にない!」
 彼女の言葉を理解できぬか、或いは狭窄した思考が理解を拒んだか。戦線の壮士達は口々にがなり返す。再び燃え上がる闘志、銃口が一斉にアリソンを狙う。
「…そう。であれば」
 瞑目は刹那。再度開かれた瞳が、壮士達を真っ直ぐと見つめれば。
「…季節の巡りに、閉じ込めてあげる」
 一斉に放たれる銃弾、然しアリソンの眼前へ飛び出した煉瓦壁が其を妨げる。否、彼女の前のみではない。幻朧戦線を包囲するかの如く迫り出した煉瓦壁、その壁や床へ咲き乱れる四季折々の花々。これらの形作る迷宮が、彼らを完全に閉じ込めたのである。
 この迷宮の出口は一つ。脱出してきたところを捕らえ、官憲に引き渡すがよかろう。
「…変化を求めるのなら、まずは小さなところから…ね?」

大成功 🔵​🔵​🔵​

ハロ・シエラ
あまりいい状況では無さそうですね。
人が多いなら、狙わず撃っても当たる可能性は高いですし。
となると、銃の方をどうにかしてみるのが良いでしょうか。

まずは剣を抜いて【気合い】の入った【大声】で注意を引き、敵を【おびき寄せ】ます。
やめなさい!とかでいいでしょうか。
大層な事を言う相手なので、私ももっと大袈裟でも良いのかも知れませんが。
こっちを撃ってきたなら【オーラ防御】などで受けて一般人を【かばう】必要があるでしょう。

ここで教えてもらった術を使います。
敵の持つ銃が何か【恐怖を与える】物……蛇などになって噛み付いてくる幻などどうでしょうか。
軽く【呪詛】を込め、少し痛い目にあってもらうのもいいでしょう。



 断続的に聞こえてくる悲鳴と怒号、右へ左へ逃げ回る学生達。ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)はそんな大学内の光景に眉根を寄せる。
(あまり良い状況では無さそうですね…)
 学生達の数は決して少なくない。この場へ銃を撃ち込めば、特に狙わずとも誰かには当たるだろう。そして彼らの銃弾は『誰かに当たれば』役目を果たす代物。ならばどうするか。
「覚悟も持てず逃げ回るか!なればその命、世界の未来へ捧げるが良し!」
 聞こえた怒号に振り向けば。まさにそこには揃いの黒首輪の一団。幻朧戦線の壮士達が銃を構え、逃げ惑う学生達を狙っていた。止めねば。
「お止めなさい!」
 思うが早く、ハロは声を上げていた。喧騒の中にあってもはっきりと通る、幼くも凛とした声音。果たして、壮士達は彼女に意識を振り向け銃声は阻止される。
「小娘…我らの大儀を為すべく戦っておるのだ!邪魔をするな!」
「ご大層な事を言うようですが、無辜の人々に犠牲を強いるなど悪逆の極み!今すぐ投降なさい!」
 腰より抜いたレイピアを突き付けながら降伏を勧告する。彼らの物言いに影響されたか、少々大仰な物言いとなっているかもしれない…内心そのような心配を抱きつつも。
「犠牲なくして変革なし!何より彼奴らは腐敗思想に染まりきった愚物よ!これは粛清でもある!」
「我らの大儀に邪魔立てせんとするなら、小娘!貴様に犠牲となってもらう!」
 だがやはりこれだけで止まる者達ではない。身勝手な論理を喚きながら、今度はハロへと銃口を向け。そして躊躇なく引き金を引いた。銃声、迫り来る弾丸は着弾を以て影朧を引き寄せるグラッジ弾。
「その程度!」
 ハロの裂帛の叫び、同時に立ち上るオーラの奔流が障壁を成す。飛来した弾丸はその流れによって押し留められ、何者をも傷つけることなく地に落ちた。
「な…っ!く、貴様…!」
 グラッジ弾を無力化され、歯噛みする壮士達にハロは動く。繰り出すのは、憧れる狐神より教わった幻の術。
「夢と現の水面より出でよ…」
 果たすべき目的に、脳裏のイメージを重ね合わせ。結びつけて現実へと導き出す。それが齎した効果とは。
「う、うわぁぁ!?」
「じ、銃が…!?や、やめろぉ!?」
 突如、戦線壮士達が悲鳴を上げる。浮かぶ表情は、嫌悪、或いは恐怖。視線と意識は、己が握っていた拳銃へ。あたかも、それが毒蛇や毒虫といった危険な生物と変じたかのように。
 否、実際に彼らの意識の中ではそうなっているのだ。それがハロの行使した幻術の作用である。
 更に。
「ぐわぁぁ!!毒っ、毒が…!」
「死、死ぬぅぅ!誰か、誰か医者を…!」
 悲鳴を上げていた壮士達の何名かがその場で倒れ、悶絶し始める。これは単なる幻の効果だけではない。幻に微弱な呪詛を混ぜ、絶命に至らぬ程度の苦痛を与えているのだ。あたかも、毒蛇に噛まれ、その毒が全身に回ったかのように。
 程なく、ハロの前にいた壮士達は最早彼らの作戦行動を続行できぬ状態となっていた。
「ここは制圧完了ですね。さて、次は…」
 彼らの手から拳銃を回収しつつ、ハロは未だ怒号響く学内の一角へと意識を向けていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

彩波・いちご
【恋華荘】
何を言おうと、やってることは完全にテロですしね
それを認めるわけにはいきません

【異界の抱擁】で触手を無限に召喚
出来る限り殺さないように、という事で、触手で手あたり次第に絡めてきますよっ
絡まっても暴れるようなら、キュッと絞めて気絶させてやって
あるいはまゆさんやしらべさんの攻撃で大人しくしてもらいましょ

…ってまゆさん、どこ行くの?
突出し過ぎたらダメっ
ああ、よかった、しらべさんが止めてくれた

…って、そちらに気を取られてたら、触手の制御がっ
私も含めて、まゆさんとしらべさんも巻き込んで触手に絡まれてっ?!
うっ、すみません…
手の感触とか(ふにふに)誰のどこ触ってるのかは考えないようにしましょう…


琴代・しらべ
【恋華荘】
周り全てを敵に回すやり方をしても
反発されるだけ…
どれだけ正義と名乗っても、誰もそうだとは思ってくれない…
って、どうして気づかないのかしら…

エレクトロレギオンを呼び出し
幻朧戦線の兵士達を取り押さえていくわ
一般の人も含め、出来るだけ怪我をさせないようにはしていくけど
一般の人への危機が迫っていたら
やむを得ず攻撃させるわ

…って、まゆさん!?
今はそっちに向かう必要は!?
と、思わずタブレットの角でまゆさんの頭にツッコミを入れちゃう事に!?

思わず手が出ちゃった事を謝り
戦闘再開…
していこうとしたら、何かが絡みついて!?
いちごさんの召還触手にまゆさん共々絡まれた上に
いけない所を掴まれる感触が…!?


白雪・まゆ
【恋華荘】

どんなことも無理やりはダメなのです。
納得してもらわなければいけないと思うのですよ。

わたしも殴りにいくので、
説得にはならないかもですが、そこは緊急ということで!

【Centrifugal Hammer】で、地形ごと破壊して相手の行動を制しつつ、
潰しきっちゃわないように気をつけて戦いますですね。
「あたると潰れちゃうので、気をつけてくださいですよっ!」

戦いに集中してきて、影朧の中に突っ込んでいきそうになると、
しらべさんから強力なツッコミが!?
「ご、ごめんなさいなのです!?」
と、頭にこぶを作って、急停止。

って、え?なんで触手?おねーちゃーん!?
あれ?このうねうねじゃないあったかい感触は……?



「学生共はあちらに集まってるぞ、追え!」
「応!」
「世界を腐らせる病巣、纏めて排除してくれる!」
 大学校舎内の一角にて。幻朧戦線の壮士、その一団が何事か話し合っている。どうやら学生達が纏まって隠れている場所を見つけたらしい。その様子を、傍の物陰から見ている三人の猟兵達がいた。
『周り全てを敵に回すやり方をしても、反発されるだけ…』
 その一人、琴代・しらべ(The Glitcher・f25711)の手にするタブレットから発される電子音声が、彼女の心境を語る。さる事情により自らの口では言葉を発せぬが故の、意思表示手段。
「何を言おうと、やってることは完全にテロですしね。それを認めるわけにはいきません」
 彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)も頷き同意を示す。
「どんなことも無理やりはダメなのです!止めないとです!」
 小さな手を拳と握り力説する白雪・まゆ(月のように太陽のように・f25357)の言葉を合図とし、三人は一団の前へと駆け出していく。
「待ちなさいっ!」
「何者だ貴様ら!」
 いちごが声を上げれば、壮士達はすぐさま反応し銃口を向けてくる。
『そんなやり方で正義を名乗っても、誰も理解してくれない…って、どうして気付かないの…?』
「しっかり話し合って納得してもらわなければいけないと思うのです!」
 しらべとまゆが説得を試みんと、声――しらべの場合は電子音声――を上げるが。
「否!腐敗し尽くした頭に我らの正義は理解できぬ!故に粛清あるのみ!」
「邪魔立てするならば小娘とて容赦はせん!覚悟!」
 熱狂的とすら言える様相にて彼女達の言葉を突っぱねる壮士達。向けた銃口から、炸音と共に次々と弾丸が放たれる。被弾した者に影朧を呼び寄せる恨みの弾丸。
「させませんっ!」
 いちごの声に応え、その影から飛び出した触手が弾丸を弾き飛ばす。そのまま溢れ出した触手の群れが、お返しとばかりに壮士達へと襲い掛かる。
「うわぁっ!?な、なんだこいつは…!?」
「て、転進だ!こんな奴の相手は…ぐわっ!?」
 影朧と呼ぶにもあまりに異様な触手に壮士達は戦慄し逃げ出そうとするが、先頭に立とうとした一人が突然崩れ落ちる。
『逃がさない。少し痛い目は、覚悟して』
 その傍らに浮かぶのは、電光迸らせる無人飛行機械。しらべが呼び出したエレクトロレギオンだ。触手を左右から迂回するように飛来した二群が、壮士達を包囲にかかる。
「くっ、このままでは囲まれる!突破を…うおぉっ!?」
「おおっと、当たると潰れちゃうので気をつけてくださいですよっ!」
 包囲からの脱出を試みる壮士の眼前に、巨大な鉄塊が振り下ろされ床を砕く。まゆである。華奢な肢体からは想像のつかぬ豪腕を以て巨大な鉄鎚を叩きつければ、床には大穴が開き逃走を阻害する。こんなものが人体に直撃すればどうなるか、壮士達とて想像はつく。
 進退窮まった壮士達。そのまま、触手に締め上げられ飛行機械の電流を浴びせられ、次々と抵抗力を奪われてゆく。
 このままいけば制圧も時間の問題か。見回すまゆの視線が、窓の向こうの中庭に立つ人影を捉える…あれは、影朧であろうか。
「あれは…やっつけないとですね!」
 言うが早いか、その場より駆け出さんとするまゆ。
「え、まゆさん何処行くの!?」
 いちごの声も距離がありすぎて届かない。だがしかし。
「きゃう!?」
 その時、まゆの脳天に衝撃走る。見れば、何処か申し訳なさげな表情をしたしらべの姿。
『ごめんなさい。でも、今はそっちに向かう必要はないわ』
 どうやら、その電子音声を発するタブレットを以てまゆの脳天を一撃したらしい。その音声を、謝罪しながらも制止の意思を示す。
「ああ、良かった。ありがとうございます、しらべさん。もう、まゆさん一人で突出しすぎちゃダメですよ?」
 追いついてきたいちごからも、まゆに対してお叱りの言葉。
「ご、ごめんなさいなのです。そうでした」
 今は制圧と救援が最優先。脳天にできたたんこぶを手で擦りつつ、二人の言に従うまゆ。だが、その時である。
「「「…きゃーっ!?」」」
 いちごが呼び出した触手が、三人にまで襲い掛かってきたのだ。いちごがまゆの行動に気をとられたことで、制御を失ってしまったらしい。そのまま、密着するような形で拘束されていってしまう三人。
「ちょ、お、おねーちゃーん!?」
「す、すみませーん!?」
 まゆの驚き混じりの声としらべの視線に、ただただ謝るしかないいちごであった。
(え、そ、そんなところまで…!?)
(あ、この感じってもしかして…)
 触手のぬめる感触に混じって感じられる柔らかな感触に、恥ずかしがりつつも何処か満更でもなさげなしらべとまゆ。一方のいちごは、ひたすら無心であり続けようとしていたとか。

 尚、幻朧戦線の一団はしらべの飛行機械が制圧。三人も最終的には別の猟兵達に救助されたらしい。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鈴木・レミ
まーた、影朧戦線は過激なことをー
荒事はレミちゃんの得意分野じゃないっすけど
サクミラの平和を乱すなら容赦はしないっすよ!

たまには派手にやりますか!
中庭、建物への侵入を防ぐポイントに陣取って
軽機関銃からの制圧射撃!
「そこまでっす!」
もちろん足元狙った真面目な制圧射撃で
足止めしつつ、浮き足立ってきたら
作戦段階その2!
軽機関銃を影朧戦線にぶん投げて目眩しにしつつ
走りながら武器を小太刀風の退魔刀にチェンジ
懐に踏み込んでの【強制改心刀】で
ばっさばっさいくっすよ!(心を斬って気絶させるイメージ!)

まあ、テロしてるからって悪党と断定するつもりはないっすけど
はた迷惑なその心根、レミちゃんは見逃さないっすよ!



 幻朧戦線の壮士達は駆ける。目指す先は講堂。この建物に、多くの学生達が逃げ込んでいるのが認められたためだ。
 仮に彼らが講堂への突入を果たし、携えるグラッジ弾が学生達の中へ撃ち込まれれば、忽ちのうちに大惨事が巻き起こることは想像に難くない。
 それでこそ幻朧戦線の意思を世界に知らしめることができる。壮士達は高揚と共に、拳銃の撃鉄を起こす。
 だが、講堂の扉まで後10m程まで迫ったその時。
「そこまでっす!」
 明朗な少女の声に続いて、響くは軽やかなる発砲音。
「うおっ!?」
「な、何者!?」
 それは彼らの足元目掛け火線の雨となって降り注ぐ。思わず足を止める一団。見上げれば、講堂の入口の屋根上に人影がある。黒の着物を身に纏った少女。鈴木・レミ(ハイカラインフォメーション・f22429)である。
「…まーた幻朧戦線は過激なことをー」
 呆れたように肩を竦めながらレミは言う。携えた軽機関銃の銃口を彼らへと突き付け宣言する。
「この世界の平和を乱すってんなら、容赦はしないっすよ!」
「何を!この偽りの平和に何の意味があると、うおおっ!?」
 そして幻朧戦線側の反論は軽機関銃の掃射で封じる。足元を狙った制圧射撃であるが、ともすれば当たりかねない絶妙な位置。思わず浮き足立つ壮士達。
「平和にホントもウソもあるもんっすか!それじゃ、派手にやるっすよ!」
 最後に軽機関銃自体を彼らに投げつけつつ、屋根から飛び降りる。その手には、何処から抜いたのか小太刀風の退魔刀。着地から踏み込めば、瞬く間に最前の壮士の懐へ。
「テロしてるからって悪党と断定するつもりは無いっすけど!」
 一閃。声もなく崩れ落ちる壮士。強制改心刀。その刃は、肉体ではなく悪しき心を斬り裂く。故に退魔刀には一滴の血も脂も無く、壮士の身にも着衣にも一筋の傷も無し。
「はた迷惑なその心根、レミちゃんは見逃さないっすよ!」
 二、三歩ごとに刃が閃き、壮士達が次々と倒れてゆく。本来は後方支援が主であり荒事は不得手と自認するレミだが、こうした大立ち回りを十全に為し得る身体能力もまた有しているのだ。
 そうして、その場に集った幻朧戦線の一団が全員倒れるまで、長い時間はかからなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

サエ・キルフィバオム
アドリブ、絡み歓迎です

「さぁて、軽くかき回してやろっか……!」
強大なオブリビオン相手ならともかく、こういった相手の無力化なら十八番といった感じで、気合十分です

「悪いけど、好きなようにはさせないよ!」
【暗殺】【忍び足】【目立たない】で敵の中に潜り込み、【終焉の凶音】で周囲の相手をまとめて無力化していきます
敵から狙われた場合は【敵を盾にする】【闇に紛れる】で攻撃を避けていきます

「なんだろ、”変革には傷みが必要”とか言う連中に限って、自分じゃない誰かを痛めつけてる気がするんだけど、そこんところどう考えてるの?」
一般人をターゲットにしようとしている相手には【挑発】【おびき寄せ】で狙いを引きつけます



「…静かになってきたな。早すぎる」
「同志達がしくじったと…?」
 中庭の先の道を歩みつつ言葉を交わす幻朧戦線の壮士達。気付けば、先程まで断続的に響き渡ってきた悲鳴も怒号も聞こえてこない。グラッジ弾が僅かでも効果を発揮していれば、今ここまで静かなはずはないのだが。
「そう考えるより他に無い。故にこそ我らが使命を引き継ぎ、果たさねば」
「ああ。誰が邪魔だてしているのか知らぬが、我らを止めることなど叶わぬ」
「そうだね、でも止められちゃうんだなぁ、これが」
「うむ、止められてしまって…なっ!?」
 歩みながら交わす会話の中に、突如混じった異質な声音と言葉。気付いた壮士達の視線が、一斉に集団の只中を見る。
「どーも。ちょっと軽くかき回しに来たよ」
 視線の中心に在るのは、桃色の髪とその頂に狐耳を具えた少女。揃いの鉄輪をしていない時点で、戦線の者でないことは明らか。当然である。彼女は猟兵――サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)だ。
「貴様、いつの間に入り込んでいた!?」
「いや、それはどうでも良い!我らの邪魔だてに来たか!」
 一歩距離を取り、銃口を一斉にサエへと向ける。一方のサエ、不敵に笑みながら、至って冷静に何かを――紐のついた小さな装置を取り出す。それが果たして何なのか、壮士達には知る由も無いが。
「それは勿論…悪いけど、好きなようにはさせないよ!」
 装置の紐を引っ張れば、その場に響き渡るは凄まじいまでの甲高い爆音。それは所謂防犯ブザー、しかしてユーベルコヲドの産物たるが故に爆音はただ単にうるさいだけではない。聞く者の頭の脳を揺さぶり、気絶にすら追い込む強烈な音波攻撃だ。事実、彼女の間近にいた壮士達はその全員が気絶してしまっていた。
「うぐ…っく、貴様…!」
 どうにか気絶を免れた壮士が、震える腕でサエへと銃口を向ける。足元に倒れる壮士を盾にしようとしたサエだが、即座に取りやめ駆け出す。幻朧戦線は目的の為なら仲間や自身の命すら躊躇なく捨てる組織である、と思い出したからだ。
 そのまま、狙いをつけ直そうとした手を蹴り上げて銃を落とさせると、こめかみに一撃。意識を刈り取られ倒れる壮士。
「…なんだろ、変革には痛みが必要とか言う連中に限って、自分じゃない誰かを痛めつけてる気がするんだけど」
 そうでなくとも、斯様な痛みを強制する行為は許されない。倒れる壮士達を眺め渡して意識の無いことを確かめ、サエは次の一団を制圧するべく走り出した。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『幻朧将校』

POW   :    影朧兵器『グラッジ弾』
【任意の対象へグラッジ弾を撃ち影朧】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
SPD   :    影朧兵器『ラプラスの悪魔』
自身に【影朧の入った薬物を射ち、瘴気】をまとい、高速移動と【未来余地によって放つ衝撃波】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    影朧兵器『黙示録の軍団』
自身が【怒りや恐怖心】を感じると、レベル×1体の【名も無き影朧】が召喚される。名も無き影朧は怒りや恐怖心を与えた対象を追跡し、攻撃する。

イラスト:石川優雅

👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠氏家・禄郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍により、大学を蹂躙せんとしていた幻朧戦線の勢力は大方が鎮圧されつつあった。
 だが、猟兵達は理解している。事態はまだ終わっていないと。
 それを証明するかの如く、中庭の中心へと歩み出てきた一人の男。

 装いは軍装、首には幻朧戦線の者達と同じ黒鉄の首輪。此度の勢力の隊長格かとも見えるが、それは正確ではない。
 かつて帝都を守る軍の将校でありながら、幻朧戦線に内通し軍の情報を流していた男。その咎で処刑された後、影朧として甦ってきた者。それがこの男だ。

「我が同胞達がこうも容易く制圧されようとは。…猟兵達か」
 油断なき視線を中庭に巡らせながら男は言う。それは独り言ではなく、その場に猟兵達がいることを確信しているかの如く、語りかけるような声音。
「帝都を騒がす怪異を鎮める超弩級戦力。その力あらば、この世界に変革齎すも決して不可能ではないはずだ。何故だ?何故その力を変革でなく、停滞の為にしか行使せぬ?」
 やがて声音には力が籠もり、演説じみた語り調子となってゆく。
「七百年にも及んだ大正の世。平穏は停滞を生み、停滞は閉塞を生み、そして腐敗していく。待つのは唯、壊死するのみの未来だ」
 故に、と。決然たる表情で上方を睨み男は宣う。
「死に至る平穏を破壊し!世界に再びの戦乱を!世界に、人類に変革を齎し、より良き未来への道を切り開く!我ら幻朧戦線はその先陣である!」
 纏う外套を翻し、拳銃を抜く。間違いなく、そこに込められているのはグラッジ弾。
「この学府の破壊は完遂する、必ずだ!猟兵達よ、貴様らが己の正しきを信ずるならば、私を止めてみるが良い!」
 飽くまでもテロルの継続を宣言する男――幻朧将校。これと戦い、打ち倒すべし。
サエ・キルフィバオム
アドリブ、絡み歓迎

「あーやだやだ。”我々が一番未来を考えてる”っていう体の思考停止。真正面からは付き合えないね。本当に裏で地道に動いてる人の事を考えたら、普通はこんなことはできないよ」
演説を聞いて、やれやれと言ったような態度を見せます

「あの~、あたしはあんまりそういう暴力的な事に走るのは、良くないと思うんですよ~」
【誘惑】【演技】【コミュ力】で猫を被って、相手の感情を高ぶらせないように接近して、相手の攻撃力の減衰を狙います

「いや~、その~、だから……。一片頭冷やせっての」
弱敵だと判定された瞬間に、【だまし討ち】【暗殺】【フェイント】で【暗影舞踏】で蹴りつけて本性を見せます。



「あーやだやだ。『我々が一番未来を考えてる』っていう体の思考停止。真正面からは付き合えないね」
 辟易を隠すこともなくサエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)は頭を振る。世の裏側を良く知る彼女、その地道な活動を知るからこそ、彼ら幻朧戦線の真逆の行為は理解できぬししたいとも思えぬ。
「思考停止は貴様であろう、もとより理解を拒む者とは救えぬものよ」
 そう言っている間に、眼前には幻朧将校の姿。早い。いつの間に距離を詰めたのか。
「…!?…あ、あの~、あたしはあんまりそういう…暴力的なコトに走るのは良くない、と、そう思うんですよ~」
 彼のその動きに驚き…或いは慄いたか。突如しなを作り、媚びた態度を取り始めるサエ。敵を刺激せぬ為の猫被り。彼のユーベルコヲドは怒りや恐怖を引き金として発動すると見えるが故に。
「ふん、急に何を言うかと思えば。平和的な解決の齎す変化などたかが知れたもの。血と硝煙の齎す激動こそ、世界を、人類を新たな段階へと導くものだ」
 擦り寄ってくるサエを睥睨しながら応える将校。
「い、いえ、その~…そんなことしたら、死んじゃう人とか悲しむ人とか、いっぱい出て来ちゃうんじゃ…?」
「無論、そうであろう。だが、それを恐れては変化など望むべくも無し。変革とは常に痛みを伴うもの。変革に追従できぬ弱者は淘汰されるのみよ」
 精一杯の反論にも、熱の篭った声音で返す。その表情は陶酔か、愉悦か。いずれにせよ、最早サエを脅威と見ていないのは間違いない。
「い、いや~、その、だから~……」
 それを見てサエ、媚笑を深めつつ将校の懐へ。そして彼の身体へしなだれかかる…と見せかけて。
「一遍頭冷やせっての!!」
 突然の怒気を孕んだ叫声。渾身のローキックが、将校の脹脛を思い切り蹴りつける。
「ぐあっ!?き、貴様…あがっ!?」
 演技力の賜物か、受けた将校はその攻撃を全く想定していなかったようで。怒りより先に驚愕を覚えた様子。
「あんた達に!何の権利があって!世の中を変えたり!人を選別できるかってのよ!ふざけんじゃないわ!」
 尚も執拗に叩き込まれるローキック。漸く怒りが追いついてきた将校が名も無き影朧を放つまで、サエの攻勢は続いたという。

成功 🔵​🔵​🔴​

アリソン・リンドベルイ
【WIZ】
『午睡に誘う茉莉花香、範囲攻撃、破魔』で花弁を舞い散らせ、呼び出された影朧さんの動きを止めます。 無念や悔恨を抱えた方々が、影朧になると聞きおよびます。けれど、兵器として呼び出された影朧さんが、その『過去』の憂いを晴らすのは、おそらく難しく思いますから…眠ってください。桜の精のように貴方たちを上手に癒やしてはあげられませんけれど…。
攻撃されたら『オーラ防御、覚悟、呪詛耐性、時間稼ぎ』で耐えます。 そうね、別の世界から来た余所者である私は、正しくもありませんし解決策もありません。ーーーでも、だからこそ思うの。この桜の咲き誇る世界は、とても美しいわ。 それを、貴方は燃やしてしまうの?



「おのれ猟兵共!我らの邪魔をしようというならば、容赦はせぬ!」
 先の猟兵から受けた不意打ちが余程癇に障ったか、怒りの形相を隠しもせぬ幻朧将校。その前に、今一人の猟兵が立ちはだかる。
「その怒りのままに、全てを破壊しようというのね。でも、待って下さらない?」
 ガーデニア咲く胡桃色の髪を揺らし、若草色の瞳で将校を見据えるその猟兵はアリソン・リンドベルイ(貪婪なる植物相・f21599)。纏う雰囲気は茫洋としつつも、その場に在らんとする意思は確かに。
「貴様も邪魔だてしようというか!我らの大儀を!余所者風情が!」
 銃口を向けがなりたてる将校。対するアリソンはあくまで平静に。或いは、暴風に耐えつつも咲く花のように。
「――そうね、私は別の世界から来た余所者。この世界について多くを知っているわけではない。故に正しくはありませんし、この世界の抱える問題への解決策もありません」
 淡々と告げる己の事実。しかし、それでも。ならば、と声を上げる将校を遮って続ける。だからこそ思うの、と。
「この桜の咲き誇る世界は、とても美しいわ。それを、貴方は燃やしてしまうの?」
 そんな小さな、しかし強い疑問。なれど将校にとっては怒りを齎すものでしかなかったようで。
「上辺の美しさに囚われ内面の醜さを顧みれぬ!その愚昧が世界を腐敗させるのだ!」
 将校の周りを囲むが如く湧き上がってくる無数の影。一様に輪郭のみで形の無きその影達は、名も無き影朧。定まった形も確かな己も持たぬ朧な影。
 なれど敵意は紛うことなく有する者達。主たる将校の激情に随うかの如く、一斉にアリソンへと殺到してゆく。
「無理に起こされ、使われるのは、苦しいこと。せめて泡沫の果てまで、微睡むといいのよ」
 対するアリソン、彼らへ向ける瞳の色は憐憫。茉莉の花弁が舞い散り、伴って漂う、甘くしっとりとした香り。
「貴方達の過去の憂いは晴らせないけど、桜の精のような癒しは与えられないけれど。せめて、穏やかな夢と共に、眠ってください」
 満ちたる香りが影朧達へと浸透してゆけば、一体、また一体とその場に倒れて。全ての影朧が眠りに落ちるまで、長い時間はかからなかった。
「な…貴様…!あくまで我らに惰眠を貪れというか…!」
 それを当てつけと勝手に解釈したようで、歯噛みする幻朧将校。彼は眠りへ落ちるには至らなかったものの、配下を無力化されては十分には動けぬ。
「それは逃避の眠りではないわ。貴方もどうか、その熱狂を忘れて。穏やかに眠りましょう?」
 穏やかに、だが決然と。アリソンは宣告した。

成功 🔵​🔵​🔴​

彩波・いちご
【恋華荘】
まゆさんが私の代わりに言いたい事言ってくれたのでちょっとびっくり
妹が急にカッコよくなって、驚いたけど、少し誇らしいかも?
なら、私もその言葉に乗りましょう
まゆさんの頭を撫でつつ
「まゆさんの言う通りですね。貴方も所詮は今を生きる人たちの歩みを見ていない過去の亡霊。今を生きる人の邪魔はさせません」

まゆさんのダッシュにあわせて後方から援護攻撃
【異界の深焔】の生きた炎を呼び出し、しらべさんと連携していきます
狙い処はしらべさんが見つけてくれるので、そこに的確に炎を当てつつ、まゆさんを邪魔する攻撃の兆候があれば、即座に燃やしてあげます

…って、しらべさんの受け売りでしたか
まゆさんらしい…かな?(苦笑


琴代・しらべ
【恋華荘】
その変革が本当に起きたら、戦乱が世界を壊してしまうだけ…
未来そのものが…
新しい時代を築くことが出来る可能性が無くなってしまうわ…
だから、そんな変え方はさせない…!

すぐに「脆弱点」を探し、出来るだけ見つけて
名もなき影朧やグラッジ弾等
仲間への攻撃の兆候が見られたら
それを阻止するようにすかさず
Glitch:Offencive-Effectを使い迎撃!

また、隙を見つけたら
敵本体を出来るだけ様々な方向からGlitch:Offencive-Effectで
一斉に攻撃!

周りの人達を見て…貴方達の事を正義と思ってるように見える?
まゆさんだってそう思ってるし…
って、私の受け売りだったの!?


白雪・まゆ
【恋華荘】

ゆっくり進んでいるからといって、
勝手に停滞にしないで欲しいのですよ?
それに、戦乱と変革は違うのです。

わたしたちがここにいることがもう、
少しずつですけど変わっている証拠なのですよ!

それに、いくらよくないことがあるといっても、
なんの罪もな人たちを巻き込むのはいちばんダメなのです。
気に入らないことがあるなら、まずは関係者にクレームなのですよ。

【ダッシュ】から【衝撃波】をのせた【Cannonball Crush】で、
「自分たちしか正しいと思ってない正義なんて、正義ではないのです!」

あれ? おねーちゃんがびっくりしていますのです?

わたしだってたまには……なんて、
しらべさんの受け売りなのですよ



「猟兵共め、あくまで変革を、未来を拒むというか。貴様らも、そうだというのか?」
 幻朧将校の前には三人の少女…もとい、少年と二人の少女。少女の一人、琴代・しらべ(The Glitcher・f25711)が応える。タブレットより発される電子音声を以て。
『その変革が本当に起きたら、戦乱が世界を壊してしまうだけ…。未来そのものが、新しい時代を築くことのできる可能性が無くなってしまうわ…』
 故に彼の語る変革は全力を以て阻止する。しらべの意志に今一人の少女、白雪・まゆ(月のように太陽のように・f25357)も頷き同意を示す。
「戦乱と変革は違うものです。何も戦乱を起こさなくたって、変化は起こるのです」
 自分達が今ここにいること…即ち猟兵達がこの世界に現れるようになったこと。それ自体が小さいながら確かな変化の証拠。まゆは語る。
「なにより、いくら良くないことがあるといっても、何の罪もない人たちを巻き込むのはいちばんダメなのです!」
 将校を指差し宣言するまゆ。二人の一歩後ろ、少女…の如き少年、彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)はそんなまゆの様相に驚いた様子を見せていた。
「…あれ?おねーちゃん、どうしてびっくりしていますのです?」
 気付いたまゆ、不思議そうな顔でいちごを振り返り、小首を傾げる。
「いえ、私の言いたいことを殆ど全部、まゆさんが言ってくれたものですから」
 自分の台詞を取られてしまったかもしれない、と困ったような、妹的存在の少女のカッコ良い姿に誇らしさを覚えるような、そんな様子のいちごであった。
「でも、まだ言うべきことはあります」
 まゆの頭を撫でてやりつつ、改めて幻朧将校を見据えるいちご。
「貴方も所詮は今を生きる人達の歩みを見ていない過去の亡霊。今を生きる人の邪魔はさせません!」
「ハッ!貴様らがそれを言うか!この世界の歴史を知らず、今しか見ておらぬ貴様らが!」
 決然たるいちごの宣言も、然し幻朧将校は一笑と付すのみ。
「最早この世界は緩やかなる変化など待ってはおれぬ!腐りきった世界をよしとするならば、この世に罪なき人など一人とておらぬ!悉く、粛清してくれようぞ!」
 変わらず手前勝手な理屈をがなりたてつつ拳銃を抜き、即座に発砲。恨みの凝集たる影朧弾頭が、まゆを目掛け放たれて――
『Glitch!』
 そこに響くは、しらべのタブレットから発された電子音声。同時、まゆの前方の空間に亀裂が発生。0と1の数列が流れる闇の満ちるそこへ弾丸が飛び込めば、程なく消えた亀裂と共に何処かへと消え失せる。
「何…!?」
「驚いてる暇はないのです!」
 突如生じた不可思議なるその事象。驚愕の表情を浮かべる将校を目掛け、お返しとばかりにまゆが駆ける。細腕には不釣合いな程の巨大なハンマーを担いでいるとは思えぬ程の速度。反撃を試みるが、その眼前へ走るは蒼の炎。
「ふんぐるいふんぐるい…遠き星海にて燃え盛る神の炎よ…!」
 それはいちごが操る、邪神の生ける炎。眼前を掠める炎熱に怯んだ隙に、まゆは将校を射程に捉える。
「自分たちしか正しいと思ってない正義なんて、正義ではないのです!」
 振り下ろされる鉄鎚。飛び退いて回避するも、伴って走る衝撃波が将校の身を打ち据える。堪らず吹き飛んだ先は、しらべの罠の檻の中。
『周りの人達を見なさい…貴方達の事を正義などと、思っているように見える?』
 空間に浮かぶホログラフ・キーボードに指を走らせれば、将校の周囲に浮かぶ01数列の闇。彼女の能力の発生基点、『脆弱点』――アクセススポット。
『手前勝手な独善の踏みつけとされる人々の痛み、知るが良いわ…Glitch!』
 闇の中から放たれるは漆黒の弾丸。彼らの用いるグラッジ弾にも似たその弾丸が将校の身へと突き刺さり。
「ぐぉぉ…おのれ…っ!この程度で、私は…!」
 僅かによろめきながらも、その両の足は未だ確りと地を踏みしめ。その手にはいつの間に取り出したか、漆黒の液体じみた何かが入ったアンプル。
「我らの大義は折れぬ!思い知らせてくれよう…おぉぉっ!?」
 それを己の首筋へ注射しようとして――飛来した炎が其を握る手ごと包み込み、焼き焦がす。
「そんな言葉で言い訳しようとも!貴方達の行為は紛れもない悪、そのものです!」
 決然と言い放ついちご。その頭上の門扉の向こう、蒼き凶星の妖しき輝きが強まれば、炎はそのまま将校の全身を包み込む。
「ぐあぁぁっ!お、おのれ…っ!」
 全てを焼き払わんとする邪神の炎に苛まれつつも、将校は飛び退き距離を取る。仕切り直しのつもりか。
「…ふう。それにしても、まゆさん。さっきからとっても格好よかったですよ」
 これはすぐには追えぬか。異界門を閉ざしたいちごは、まゆへと優しげな笑みを向けつつその言動を称える。
「えへへ、わたしだってたまには…なんて。しらべさんの受け売りなのですよ」
 おねーちゃん、と呼び慕ういちごに褒められ、照れ臭そうにしつつもそう答えるまゆ。
『って、私の受け売りだったの!?』
 今度はしらべが照れる番であった。此方は多分に驚き混じりであったが。
「あはは…まゆさんらしいというかなんというか…」
 苦笑混じりながらも、まゆのそんな様相を微笑ましく思ういちご。緊迫する戦いの最中の、僅かな和みの一時であった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ウドンチャン・ウドンチャン(サポート)
『パンチをー、します!』
 羅刹の聖者×ビーストマスター。
 普段の口調は「男性的(ぼく、~さん、だ、だね、だろう、だよね?)」、真剣な時は「丁寧(私、あんた、言い捨て)」です。

 ユーベルコードは何でも使用します。
大きな声で当たり前の事を言います。人の迷惑になることは基本的にしません。
パンチはします。
とても素直で、人の言うことは大体鵜呑みにしてしまいます。
戦闘時は、手足頭、大体の部位でパンチします。
まっすぐ進んで、ぶつかったらその時に考えるタイプです。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!


鈴木・レミ
ま、言い分はわからなくはないっす
長い治世の中でどこかで
世の中という川の流れが澱み、水が滞り、腐敗していく…
理屈はあなたの言う通りっすよ……でも
だからといって、川ごと破壊するやつがあるかー!!
影朧戦線のやり方は変革じゃなくて環境破壊!
それを見逃すほどレミちゃんは優しくないっすよ!

『オール・ワークス!』でエルフクロースにお着替え!
キャリバーで突撃っす!
高速移動も衝撃波もなんのその
エルフクロースの見切りを頼りにかわしつつ
前方に攻防両用のオーラ防御展開
「勝った方が正しいなら!こんな暴力だって通るっすよ!」
とキャリバーで轢き逃げアタック!
躱されたってキャリバーで追跡すれば大丈夫
逃がさないっすよ!



「まあ、言い分は分からなくはないっす」
 幻朧将校を前に、鈴木・レミ(ハイカラインフォメーション・f22429)は神妙な顔で頷く。
「長い治世の中で、どこかで。世の中という川の流れが澱み、水が滞り、腐敗していく。あなたが言いたいのはそういうことっすね?」
 サクラミラージュに生まれ育った猟兵であるレミ。彼女の口から、幻朧戦線の理念に理解を示す言葉が出たことに、将校は意外そうな顔をしつつも口元を笑みに歪め。
「貴様の言う通りだ…故に、澱みを直さねばならぬ。それが我ら幻朧戦線の使命だ。猟兵の中にも、我らの大義を理解する者がいようとはな」
「…でも、だからといって」
 だが、レミの思想はそれが全てではなかった。将校の言葉を遮り、続ける。
「だからといって、川ごと破壊するやつがあるかー!幻朧戦線のやり方は変革じゃなくて環境破壊っすよ!」
 例えるなら。彼らのやり方は川の澱んだ部分に爆弾を投げ込むに等しい行為。レミはまさしく憤慨していた。
「世の中ってのは、パンチをするだけじゃ解決できないものだよ」
 そんなレミの隣で頷く少年。ウドンチャン・ウドンチャン(羅刹の聖者・f05256)。表現は独特だが、要するに単純な暴力で世の中は変えられないという、極々当たり前の主張。
「でも、あんたがパンチをするってなら、僕もパンチをするよ!」
 将校へと拳を突き付け、ウドンチャンは宣言する。
「…貴様らも結局はそれか。破壊なくして再生は有り得ぬと何故理解できぬか!」
 一度は理解を示されていたが故に、失望もより深いようで。険しい表情の将校が取り出すは、黒い液体じみた何かが入ったアンプル。
「なれば最早粛清あるのみ!行くぞ!」
 アンプルを首筋に突き立て、中身を己が身へと注ぐ。変化は即座に。溢れ出した漆黒の瘴気が総身を覆い、禍々しき様相がいや増してゆく。
 無造作に踏み込む。その姿は一瞬でレミ達の前へ。速い。左右に跳躍し距離を取らんとする二人だが、その動きを読んだかのように両者の着地点へ左右の手を翳し向ける。直後、放たれた衝撃波が二人の着地際を捉え吹き飛ばした。
「んなっ!?何のこれしきっす!行くっすよ、キャリバー!」
 地に手をつき片手バック転気味に復帰したレミ。着地点に停めてあった愛車・キャリバーに跨り、同時にユーベルコードを行使。着物姿であったその身には、いつの間にかエルフの衣が纏われていた。
「うわっ!でもまだまだ、おいでー!」
 ウドンチャンも同様に体勢を立て直し、着地点に呼び出したライオンに跨って疾走を開始する。
「愚かな!貴様らの動きは手に取るように分かるぞ!そこだ!」
 反撃せんとする二人を嘲笑いながら、将校は衝撃波を乱れ撃つ。それは無造作に見えてその実的確に二人の機動を妨げる弾道。だが。
「未来予知が何だってんすか!見てからかわせば無問題っすよ!」
 対抗して言い放つレミ。着替えたエルフの衣は、放たれる衝撃波の軌道をある程度見切れるだけの眼力をレミへと齎していた。巧みな運転技術で高速移動する将校へ追いすがる。
「ちぃっ、速度で圧倒とはいかぬか…ぬおおっ!?」
 巧みに距離を取りつつ衝撃波を繰り出す将校。だがその頭上に影が差す。彼の未来予知能力が見出したその攻撃の正体は。
「惜しい!パンチできなかったね!でもまだまだパンチするよー!」
 飛び退いた将校と入れ替わりでそこに着地したのはウドンチャンと、彼の跨るライオンだ。その奇襲が、将校の意識を一瞬レミから外させて。
「そこ、頂くっすよ!買った方が正しいってなら!こんな暴力もアリっすよねぇ!!」
 再びレミの声が聞こえたその時には。レミの姿は将校の着地地点真正面に。再跳躍も間に合わず、フルスロットルの突撃が、将校の身を思いっきり跳ね飛ばした。
「来たね!よし、今こそ…!」
 そして着地地点にもまた、別の猟兵が待ち構えていた。ライオンの背の上で立ち上がり、拳を構える少年の姿。即ちウドンチャンである。
「き、貴様…!?」
 将校に空中制動の技術はなく、そのまま飛ばされるがままにウドンチャンの眼前まで。
「パンチをー…しますっ!!」
 構えた身体から力を解き放ち、繰り出されるは渾身の正拳突き。直撃し、将校を更に遠くまで吹き飛ばしていったのである。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

グレナディン・サンライズ(サポート)
『ここはこの年寄りに任せてもらおうかね?』
『こう見えても、まだまだ衰えちゃいないよ』
年齢3桁の婆。
スペースシップワールド出身の元宇宙海賊。
主な武装はフォースセイバーとブラスター。
戦闘スタイルは基本的には前衛遊撃。敵を翻弄するような戦いを好む。
グルメではない酒好き。
年齢なりの経験を積んでいるので、冷静さと余裕をなくすことはない。
口調(あたし、あんた、だね、だよ、~かい?)


エリカ・グランドール(サポート)
 サイボーグのシャーマン×電脳魔術士のエリカ・グランドールです。
 戦闘はあまり得意ではありませんが、周囲の状況を観察して違和感のある箇所を発見したり、敵の弱点を推測して隙を作り出すといった行動で皆さんをサポートしたいです。

※セリフ例
「今、何か光りました。ここに何かあるのでは……」
「あの敵の動きには規則性があるわ。うまく狙う事が出来れば……」

 冷静沈着と言う程ではありませんが、ビックリする事はあまりありません。
 あと、笑いのツボが良くわかっておらず「今の、どこがおもしろかったのでしょうか?」と、真面目に聞き返す事もあるようです。

 ユーベルコードは、エレクトロレギオンを好んで使います。


ハロ・シエラ
戦乱がお望みならば、我々がその相手をしましょうか。
片棒を担いでいるみたいで、あまり気分は良くないですけどね。

さて、グラッジ弾とやらで誰かを撃たせる訳には行きません。
もしかしたら自分を撃ってでも影朧を誘き寄せようとするかも知れませんね。
可能であれば【先制攻撃】を仕掛け、ダガーを【投擲】して【武器落とし】を狙い拳銃の発射を阻止したい所です。
念の為【毒使い】による【マヒ攻撃】を狙ってダガーに毒を塗っておきましょう。
そうして次の行動に入るまでの隙にレイピアによるユーベルコードで攻撃を仕掛けましょう。
阻止が上手く行かなければ【第六感】で攻撃をかわしながら【ダッシュ】し、やはり近付いて斬るしかありません。



「ええい!斯様な処でかかずらってはおれぬ…!今こそ一心不乱の闘争を為す時というに!」
 苛立たしげに唸る幻朧将校。既にその身は深く傷ついているが、その闘志は一向に衰えていない様子。
 そんな彼の前に立ちはだかるはハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)、凛とした声音で将校へ向かい宣言する。
「戦乱がお望みならば、我々がその相手をしましょうか!」
 片棒を担いでいるみたいであまり気分は良くないですが、と続けた呟きに、呵々、と皺がれた笑声が応える。グレナディン・サンライズ(永遠の挑戦者・f00626)。齢百を超える老婆であるが、矍鑠たるその挙動はまるで老いを感じさせぬものだ。
「何、強いモンに強いモンが当たるは当然の流れさね。そこに弱いモンを無理やり混ぜようってんなら問題だが、お嬢ちゃんにその気は無いだろう?」
 無数の皺の刻まれた顔に浮かぶ笑みは、穏やかでありながら凄みを伴う。スペースシップワールドにおいて長年銀河帝国を相手に宇宙海賊として戦ってきた、その経歴が大樹の年輪じみて刻まれ、垣間見えているのかもしれない。
「…勿論です。戦事はあくまで、力ある者の為す事ですから」
 応えるハロの貌に影が差す。己自身は幼い頃から戦う術を学ばねばならず、またそれも必要な事ではあったが。この世界は違う。そしてそれこそが望ましき事。だが。
「闘争は万人に平等である!力ある者が生き延び、新たなる時代を創るために!」
 一方の幻朧将校は、寧ろ弱者を率先して巻き込まんとする有様で。これには流石にグレナディンも嘆息を禁じ得ず。
「やれやれ、若いモンは血の気が多くあってこそだが、こいつはちと度が過ぎるというモンだねぇ」
「元より影朧です、好戦ぶりが破滅へと補正されれば、こうなるは必然と言えるでしょう」
 それに応えるは淡々とした少女の声。エリカ・グランドール(サイボーグのシャーマン・f02103)である。
「それよりも皆さん、警戒を。この影朧、間違いなくグラッジ弾を所持しています」
 配下の壮士達一人一人にまで行き渡っているのだ、指揮官と見えるこの将校が持っているのは間違いなかろう。周囲に学生も壮士も、一般人の姿は見えぬが、最悪彼自身を標的にグラッジ弾を使用する可能性も十分に有り得る。
「ええ、あれを使わせるわけにはいきませんね…!ならば!」
 エリカの言に頷き、ハロは駆け出す。至近距離での戦いに持ち込めば銃器は使いにくかろう、との判断だ。
「甘いわ!その前に我が身を以て…ぐおっ!?」
 その狙いを見た将校は己の腕へ銃口を向けるが、その拳銃握る腕に刃が突き立つ。見ればそれは短刀…ハロが投げたダガーだ。
「甘いのはそちらです!その程度の狙いは把握済みですとも!」
 駆け出したのは彼の行動を引き出す為の誘いも兼ねる。銃を動かすに先んじてダガーを投げ、引鉄が引かれるより早くそこへと着弾させてみせたのだ。刃に仕込まれた麻痺毒の影響も合わさり、堪らず拳銃を持つ腕の力が鈍る。
「ほほう!良い狙いだねぇお嬢ちゃん!あたしも負けちゃられないってもんだ!」
 その業前に感嘆の声を漏らすグレナディン。言い切る前に彼女もまた引鉄を引いていた。型は古いが信頼性は十分なハンドガン型ブラスター、その銃口から放たれる熱線が将校の手を焼き、その手の中の拳銃を取り落とさせるに至った。
「お二人ともお見事です。このまま、影朧を制圧致しましょう」
 更にエリカの放ったエレクトロレギオン達が空中から展開、光線を放って四方八方から将校を灼く。そして肉薄せんとするハロとグレナディン。このまま磐石といくかと思われたが。
「おのれ、まだだ!ふんっ!!」
 だが将校にはまだ手段があった。今しがた己が取り落とした拳銃を、自らの足で踏み砕いたのである。これにより銃の中のグラッジ弾が暴発。即ちその行為が齎すのは。
「…っきゃぁぁ!?」
「うおっ!成程、その手もあったかい!」
 グラッジ弾は暴発を以て影朧を溢れさせる。将校の足元を起点に飛び出してきた無数の影朧が、ハロとグレナディンを打ち据え、エリカのレギオンを次々と叩き落していく。
「ハハハハハ!形勢逆転というわけだ!このまま影朧の群れに喰われ、我らが大義の贄となるが良い!」
 距離を取り影朧群に対処する三人だが、影朧は次々と溢れてくる。これでは将校に攻撃できぬ。
「…グレナディンさん、私が合図しましたら、今から指定する座標へユーベルコードを撃ち込んでください」
 そんな中でも、エリカは敵群の挙動を淡々と観察し続け。不意に、グレナディンへと声をかける。
「うん?…ああ、良いだろう。そういう事だね」
 その意図を察したグレナディンもまた頷き。
「では…そこです!」
「おう!お嬢ちゃん、ちょっと下がりな!じゃないと怪我するよ!」
 直後のエリカの合図、グレナディンはハロへ呼びかけるが早く、己のユーベルコードを解き放つ。青白く輝くオーラの塊が、つい直前までハロがいたまさにその位置へと撃ち込まれ…大爆発が生じ、影朧達を飲み込み消滅せしめて。
「……そこですね!」
 咄嗟に飛び退いて爆発を回避したハロ、その意図を察して未だ光の退かぬ爆心へと飛び込んでゆく。増殖を続ける影朧は再びその数を回復させていくが、その数瞬…ハロの肉薄の間があれば十二分であった。
「な、貴様…!?」
「好き勝手やるのも、ここまでです!弱者を巻き込む戦など、認めるわけにはいきません!」
 光の向こうには驚愕に表情を固めた将校の姿。レイピアが閃き、その胸を深く、深く斬り裂いた。

「…ここまでか。私もまた、来る変革への礎となろう。後は任せたぞ、同志よ…!」
 致命の傷を受け、崩れ落ちる幻朧将校。何者かへの呼びかけを残し、その身は黒き靄と変じていき…その場へと蟠る。

「…敵影朧の殲滅を確認…ですが皆さん、ご注意を。まだ、次が来ます」
 エリカの言、そして当初のグリモア猟兵の言の通り。その黒靄の切れ間から、鈍色の装甲じみた形が垣間見えた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『影朧甲冑』

POW   :    無影兜割
【刀による大上段からの振り下ろし】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD   :    影朧飛翔弾
【甲冑の指先から、小型ミサイルの連射】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ   :    影朧蒸気
全身を【燃料とされた影朧の呪いが宿るドス黒い蒸気】で覆い、自身が敵から受けた【影朧甲冑への攻撃回数】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。

イラスト:雲間陽子

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 幻朧将校であった漆黒の瘴気。一箇所に蟠っていたそれは、次第に風に洗われて流れ去ってゆき。
 その後、そこにあったものは無ではなく。鋼鉄じみた鈍色と、真鍮じみた金色を纏う巨大な甲冑だ。
 これが此度のテロルにおける幻朧戦線の切り札『影朧甲冑』か。
 その異様なる威容を、猟兵達が警戒していたまさにその時。

「…くっ、影朧はやられたか。もう少しだったっていうのに…」
 甲冑の中から聞こえてくる若い男の声。理知的だが、何処か神経質そうな声。
「…僕の理論を認めなかったばかりか、この大学から追い出した反進歩主義者共め。奴らを一人残らず皆殺しにするまで、僕は…」
 と、そこで男は猟兵達に気付いたらしい。次いで吐き出された言葉は。
「貴様らが猟兵か…!超弩級戦力などと持て囃されながら、既存権力に阿るばかりの狗共め!」
 幻朧戦線の者達の物言いと、何処か似てはいる。だが、それとしても声音には随分と怒気の色が強い。
「僕の邪魔はさせない!僕の考えた『世界大戦理論』を危険思想などと抜かしたばかりか、テロル加担者と決め付けて学会の地位を丸ごと剥奪した輩に味方するような連中には!」
 曰く、世界大戦理論とは簡単に言えば「特定地域で戦争を起こし各地域の勢力の加担を促し、以て技術や社会の更なる成熟を期する」というもの。見ての通りの非人道理論だ。追放されるも無理からぬ話ではあるが、この男にとっては理不尽の極みとしか思えなかった模様。
 故に、己の理論を肯定する幻朧戦線と手を組み、決め付けられた通りのテロリストとなって、この大学を復讐のテロルの標的とした、というところらしい。
「ハハハハハ!!死ね、死ねぇぇぇぇ!!僕を否定する愚か者共は皆死んでしまえ!!」
 両の手指を広げれば、吐き出されるのは大量のミサイル弾。乱れ飛ぶそれらが、建物に穴を穿ち、中庭に植わる幻朧桜などの樹木を砕き折る。
 このままいけば、いずれは建物内に避難した人々が建物諸共、となりかねない。そうなる前に、彼を止めるのだ…!
中村・裕美(サポート)
副人格・シルヴァーナ
『すぐに終わってしまってはもったいないですわね』
多重人格者の殺人鬼× 竜騎士
外見 赤の瞳 白の髪
特徴 長髪 のんびり 社交的 惨殺ナイフを愛用 実は胸が大きい
口調 (わたくし、~さん、ですわ、ますの、ですわね、ですの?)

裕美のもう一つの人格で社交性と近接戦闘特化。
戦闘では【残像】が残るような優雅ステップで敵に近づき、惨殺ナイフによる【部位破壊】で急所や腱を狙い、更に【傷口をえぐる】。
槍を使うことがあれば、相手を【串刺し】にします
【瞬きの殺人鬼】使用後の昏睡状態はもう一つの人格に切り替えカバー

あと、虫が苦手


ハロ・シエラ
なるほど、それで結局はテロリストとなった訳ですか。
大学の方々の判断は正しかった様ですね……対応は甘かったかも知れませんが。
とにかくここは早急に止めましょう。

さて、敵の攻撃はミサイル。
目で捉えられない程速く、直撃しなくても爆風を受けそうです。
【第六感】で着弾地点を予測して回避し【オーラ防御】で爆風を防ぎましょう。
【残像】を用いて撹乱するのも良いでしょう。
ミサイルは暫く撃ちっ放しの様なので、回避しながら接近して剣で斬り付ける……と見せておいて、剣の間合いの外から【全力魔法】のユーベルコードで雷剣を【投擲】して【だまし討ち】します。
影朧甲冑とは言え金属部分があるはず。
雷は中の人間まで通るでしょう。



「なるほど、それで結局はテロリストとなった訳ですか」
 男の主張にハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)は深く嘆息する。これ程の危険思想の持ち主、彼を追放した大学の判断は正しかったと言えよう。対応は甘かったとも言えようが、致し方なき事ではある。
「兎も角、ここは早急に止めませんと…」
「そうですわね、すぐに終わらせては勿体ないですが、そう言っていられる相手と状況ではなさそうです」
 独りごちるハロ、その背後から予想外の同意の声。それも、ハロの知る人物の声。
 振り向けばそこには、長く白い髪の女性の姿。真紅の瞳を細め、温和そうだが何処か狂気を孕んだ笑みを浮かべる彼女は中村・裕美(捻じくれクラッカー・f01705)――正確にはその別人格である『シルヴァーナ』だ。
「って裕美さ…じゃない、シルヴァーナさん!」
「奇遇ですわねハロさん。お仕事の仕上げ、手伝わせて頂きますわ」
 見知った顔――同じ旅団に属す仲間の助勢に驚きの声を上げるハロ。だが表情には確かな喜びの色も混じる。常より頼もしいと感じる彼女(達)の、この局面での参戦は正しく百人力と感じるが故に。
「ええ、シルヴァーナさんが加勢して下さるなら!この戦い、勝てますとも!」
 愛剣リトルフォックスを抜き放ち、改めて影朧甲冑へ、それに搭乗する男へと向き直る。
「勝てる、だと?如何に超弩級戦力と言えど!たかが二人でこの甲冑、壊せると思うなぁ!!」
 男のヒステリック気味な叫びと共に、影朧甲冑が十指を掲げ――無数のミサイル弾が、先端の発射口より猛烈なる勢いで撃ち出されてくる。それは二人が立っていた地点へと立て続けに着弾し、地面を抉り、土煙を巻き上げ、二人の姿を消し飛ばした――ように見えたが。
「ただの二人だと思わないことですね!」
「ええ、ええ、わたくし達二人から、逃げられるわけがございませんわ!」
 だがそれは二人の残像。ハロもシルヴァーナも既に駆け出していた。シルヴァーナはユーベルコードを発動し、速度を更に増す。その表情は鮫の如き笑み。その胸中に秘める殺戮衝動を、露とした笑み。
「な!?ぐ、おのれ…!」
 呻く男。どうやら、このミサイル攻撃はある程度の数を撃ちきるまで止まらないらしい。即ち今が好機。
「鉄の塊相手では血肉は期待できませんが。せめて悲鳴は楽しませて頂きますわよ!」
 舞踏かの如き優雅なステップはしかし、確実にミサイルの爆風を回避し。甲冑へと肉薄しながらその手に取るは、銀に輝くナイフ。命を奪う為の惨殺の刃。
「さて、この辺りですかしら!」
 その手の触れ得る距離へと迫り、装甲の継ぎ目を狙った刺突を繰り出す。確りと溶接された筈の間隙を、刃はするりと擦り抜けて。
「が…っ!?そ、そんな刃で、この装甲を…!?」
 肉を抉る確かな感触、伴い上がる男の悲鳴。シルヴァーナの表情が恍惚と蕩ける。
「な…舐めるなぁっ!」
 だがそこでミサイルの斉射が止まる。甲冑がその手に刀を――肉厚の剛刀を取れば、膂力に任せた力強い横薙ぎがシルヴァーナを襲う。
「っ!」
 身を屈め回避するシルヴァーナだが、そこへ逆手の鉄拳。重厚なる見目に似合わぬ速度。身を反らしてかわし、そのまま転がって距離を取る。
「私も続きますっ!」
 そこへハロの声。細剣を構え、影朧甲冑に肉薄せんと疾走する。
「小娘風情の剣が!通用すると思うな!」
 男は迎撃せんと甲冑に刀を構えさせる。真正面からの攻撃ならば確実に返り討ちであろう、隙無き重厚なる構え…であったが。
「そうですか!ではこの雷剣、受けきってご覧なさい!」
 不意に足を止めるハロ。掲げた手に浮かぶ魔術陣。切っ先を覗かせるは、蒼雷を帯びた魔力の剣。
「この一撃で!反撃の目を摘み取ってくれましょう!」
 叫ぶと同時に放たれる雷剣。直接の斬撃を想定していた男にその一撃は防ぎ得ず。シルヴァーナが刻んだ隙間へ突き立つ、蒼雷の刃。
「ぐわああああ!?で、電気、電気がぁぁぁぁ!?」
 迸る雷電が男の身を貫き感電せしめる。影朧甲冑とて金属の鎧、電流は十二分に通る。男は甲冑から降りぬ限り死なぬという。ならば遠慮は不要だ。ハロは更なる力を注ぎ、電流で男を苛んでゆく。
「…効いてる。けど…ここで、一度下がった方が…良い、かも…」
 そこに背後から声。振り向く先にいたのはシルヴァーナ…ではなく裕美。ユーベルコードの効果時間が尽きたことで昏睡に陥ったシルヴァーナに代わり、本来の人格である裕美が出てきたものだ。
 頷き、跳躍して距離を取らんとする二人。残された甲冑より響く、憎々しげな呻き。決戦は、未だ始まったばかり。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アリソン・リンドベルイ
【WIZ 侵略繁茂する葛蔓】
ーーー機動力を削ぎますね? 足下地面にユーベルコードを展開。成長していく植物の蔓を、甲冑の脚部に絡みつかせます。……ですが、私にとってあまり相性の良くないのは確かでしょうか。鉄の甲冑や黒い蒸気は、植物や虫たちの力では対抗しにくそうです。
周辺被害については、『オーラ防御、かばう、拠点防御、空中浮遊、おびき寄せ』で可能な限り攻撃を引き寄せ、流れ弾などの被害の漸減に努めます。 ……何か、言い遺す言葉はありますか。ご家族など、近しい方への言伝があれば、拝聴いたします。ーーー私を恨むのであれば、どうぞご随意に。私は、死んでいく貴方に、何もしてあげられませんから…。


サエ・キルフィバオム
アドリブ、絡み歓迎です

「やっぱ、自分が血を流す側になる事を考えてない口ぶりだね、こりゃ」
終始、やれやれといった態度を崩さずに相手をします

「戦争によって発展する技術ってのは、どうあれ戦争を終わらせるって目的の為なんだよ。あんたのその終わらない戦争を引き起こす理論は、根っこから狂ってんのさ」
媚びた態度を表に出さず、ぴしゃりと言い放ちます

「あんたには、自分で自分を傷付けるのがお似合いなんだよ!」
【挑発】で敵の攻撃を誘導、敵の影朧飛翔弾を誘い、攻撃動作を確認した瞬間【終焉の凶音】のブザーを鳴らして敵に投げつけます
音波で相手のミサイルを指先から発射直後に爆破して、【敵を盾にする】形でのダメージを狙います


月夜・玲(サポート)
『さてと、I.S.T起動。お仕事お仕事。』
口調 元気(私、~君、だね、だよ、だよね、なのかな? )


お仕事ついでに研究も出来るんだから、この仕事良いよねぇ
さあ、私の研究成果の実験台になってもらうよ

模造神器という独自の兵器開発を生き甲斐とする研究者
誰にでも気さくに砕けた口調で話しかける
戦いは全て研究の為、楽しみながら戦闘を行う
全ては研究の為、研究と戦闘を楽しめる猟兵生活は結構気に入っている
戦闘スタイルは4本の模造神器から2本を選び、二刀流で敵と戦う形です
UCで遠距離戦闘にも対応したSF剣士

日常ではのんびりと景色を楽しんだり風情を楽しんだり
冒険では考察しながらじっくり進む

あとはお任せ!



「ぐ、く…これ程の力を持ちながら…貴様ら…!」
 憎々しげに呻きながら、体勢を立て直す甲冑とその中の男。彼を前に、アリソン・リンドベルイ(貪婪なる植物相・f21599)の表情には憐憫の色が滲む。
「あくまで争うのね…いえ、そんな甲冑に身を任せた以上、そうせざるを得ない、とも言うのかしら」
 かの兵器の停止する時が、この男の命の尽きる時。グリモア猟兵の語る処によればそういう事だ。なれば。
「当然だ!僕には最早何も無い!奴らへの怒り!恨み!僕の理論を認めなかったことを後悔させるという望み!それだけだ!」
 答える男の声音は血走り、燃え震え。復讐心と言うにもあまりに身勝手な、逆恨みの暗い炎。甲冑の背負う影朧機関の上げる黒煙が、彼の怒りの程を示すかの如く勢いを増す。
 だが。
「――黙って聞いてれば、あんたってばさ…くっっっっっっだらない事しか言わないんだね」
「…何だと?」
 心底呆れ果てた、と言わんばかりの声音。男が意識を向けたその先から、サエ・キルフィバオム(突撃!社会の裏事情特派員・f01091)の冷ややかなる視線が見返す。普段の媚びた言動は微塵も見えぬ。
「気付いていないのかい?君の誇る世界大戦理論…だっけ、それには致命的な欠点があるというね」
 その隣から別の声。艶やかなる長い黒髪を風に靡かせ、均整の取れた長身を黒のスーツに包んだ美女。月夜・玲(頂の探究者・f01605)。鋭くも知的好奇心滲む紅瞳で男を、その乗機たる甲冑を眺めつつ。
「馬鹿な、僕の理論は完璧だ!戦争を起こせばその中で多くの技術が生まれ、発展する!それは必ず人類への貢献となると…!」
「ああ、そこは間違っていないさ。人類の生活を支える数多の技術や道具。そこには戦争をきっかけとして生まれ、発展したものも数多く存在する。それは事実だ」
 何より、玲自身が模造神器――UDCの力の限定的再現を目的とした彼女独自の兵器、その研究開発のために猟兵として活動している身ゆえに。
「だが――それはあくまで、そうするべき必要性が存在する場合だ」
「何…?」
 玲の反駁が理解できない、とでも言いたげな男の声。玲の言を引き継いだサエが、うんざりしたように続ける。
「戦争によって発展する技術ってのは、どうあれ戦争を終わらせるって目的の為のものなんだよ」
 殺傷力の高い兵器は、敵を迅速かつ確実に無力化するため。保存性と味を両立した食糧は、自軍の体力と士気を保ち作戦の完遂可能性を高めるため。性質は異なれど、目指す処は同じ。
「果たして、意図的に起こされ、続けさせられる戦争で、技術の発展が起こるものかね」
「その戦争の当事者はきっと、望まないまま戦争に駆り立てられる。殺し合いなんて、誰だって好き好んでやりたいものではないのに」
「あんたの終わらない戦争を引き起こす理論は、根っこから狂ってんのさ」
 玲、アリソン、サエ。三者それぞれの言葉で、男の理論を否定してみせる。
「…猟兵共め…超弩級戦力などと持て囃されていようと、中身は所詮凡俗の愚民と同じか!」
 だが男は己の理論の欠陥を認めない。彼女達の反論が的外れのものであるとでも言いたげに、侮蔑を隠さぬ声音で返す。
「戦いの火種など幾らでも作れる!燻る遺恨を焚きつけ煽れば、喜んで殺し合いにいくだろうよ!歴史がそれを証明してくれるとも、貴様ら程度では理解できんだろうがな!」
 嘲る哄笑が甲冑より響く。なれど三者の中に怒る者などいない。
「700年に及ぶ平穏。その中に生まれ育った貴方が、その事実を信じられないなんて」
 アリソンはあくまで憐憫を。
「どうあっても自分は血を流す側にならない、って信じ込んでる手合いだね、こりゃ」
 サエは何処までも呆れ返った様子で。
「話にならんな!貴様らもこの場で死ぬがいい!すぐにこの大学の連中に後を追わせてやる!」
 議論は終わりだと言わんばかり、両腕を掲げ指先を三人に向ける甲冑。そこから無数のミサイルが放たれようとした、まさにその時。
「あんたには!自分で自分を傷つけるのがお似合いなんだよ!」
 サエの手から影朧甲冑へ向けて、全力で投げつけられた何か。それは小さな機械装置――防犯ブザー。耳を劈かんばかりのけたたましい騒音を放つそれは、物理的な衝撃すらも伴って。
「ぐ、こ、こんな騒音程度で…ぐわぁぁっ!?」
 騒音に思考を乱されかけつつも、男はミサイルを発射しようとして――突如生じた爆発に悲鳴を上げる。両手指から発射されたミサイルが、騒音の衝撃で発射直後に爆発。その爆風の煽りを見事に受け、まさしく彼女の言葉通り己で己を傷つけることとなったのである。
「だが、未だ戦闘に障りはなさそうだね。あれだけのミサイルの連射力、堅固な装甲、何より影朧による動力機関。興味深くはある」
 玲の言葉通り、未だ甲冑の損傷は浅い。その戦闘力とそれを成立せしめた技術への興味も露に、彼女は己の装着するガジェットを起動する。
「Imitation sacred treasure起動……今こそ、その力を此処に!」
 応えてガジェットから飛び出るのは、二振りの長剣。片や再誕の為の詩、片や還りつく為の力。模造神器、彼女の研究成果の一端。それらを左右の手に確と握り締めれば、爆風に怯む甲冑へ一気に肉薄。
「な、早…っ!?」
 体勢を立て直すに必死の男に、その接近へ対処する間は無い。右手の《RE》Incarnationを振り抜けば、影朧機関から伸びるパイプの一本が斬り飛ばされる。
「ぬあっ!?ぐ、おのれ…!」
 憎々しげに呻く男。その憎悪に応えるかのように、背後の影朧機関が猛烈な蒸気を噴き上げる。それは瞬く間に甲冑と、その至近に在る玲を飲み込み。
「むっ、これはただの煙では――」
「ハハハ!そうだとも!この影朧の怨念、まともに受けて無事で済むと…ぐ、うっ?」
 異変を察知した玲に、勝ち誇ったように言い放ち。片手に抜いた太刀にて斬りつけんとして――その腕が動かぬことに気付いた。
「な、なんだこれは…葛…?」
 その腕に絡み付くのは葛の蔓。腕だけではない、脚にも絡まりその動きを阻害してくる。葛などこの中庭には生えていなかったはずだ。一体何故…?
「目を離したら、一瞬で成長しちゃうんだからっ…!」
 それはアリソンのユーベルコード。足元の小石や装甲の破片を葛蔓へと変化せしめ、甲冑の四肢を戒めんとしているのだ。その成長速度はまさしく、時に生態系をも崩すという葛に他ならぬ。
「貴方は何か…言い遺す言葉など、ありますか…?ご家族など、近しい方への…」
「馬鹿に…するなぁぁ!!」
 後は止めのみとばかり、男に遺言を求めるアリソンであったが、男の戦意はまだ衰えていなかった。叫びに応えて影朧機関が活性化、より大量の黒煙を噴き上げながら四肢の葛を引き千切ってみせる。
「僕はまだ死なん!貴様らを殺し、この大学の愚か者共を皆殺しにするまで!まずはお前だ、女狐!」
 一番癪に障ったとでも言いたいのか、サエに狙いを定める男と甲冑。太刀を振り上げ、彼女へ迫らんとした、その直後。
「影朧の怨念を蒸気の如く噴き上げ動力とする、か。欠点が致命的すぎるが、そこを除けば確かに優秀な兵器だね」
 何処からか響く玲の声。黒煙が災いし周辺の様子が分からぬ。結局、彼がその居場所を知ったのは。
「だが、救える魂を糧としてしまうその在り方はやはり良くないな。壊させてもらうよ」
 背後からの声と、背中の影朧機関に爆発が生じたのは同時。黒煙に紛れて背後へ回り込んでいた玲の二刀が、影朧機関へと攻撃を加えたのだ。
「ば、馬鹿な、影朧機関出力低下…!お、おのれ…!」
「馬鹿だ馬鹿だと舐めてかかった報いだよ!馬鹿って言う奴が一番馬鹿だ、ってね!」
 呻く男に、サエは全力の侮蔑を籠めて言い放つのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

白雪・まゆ
恋華荘】

世界大戦理論……ですか?
戦争とかしても、技術とか社会とか成熟とかしない気がするのですよ。

といいますか!
難しいことはよくわからないですが、
なにもしていない人をいじめるのはダメなのですよ!
理不尽といっていますですが、
あなたのしていることがいちばん理不尽だと思うのです!

今回は相手が甲冑ということですので、
【鎧砕き】と【衝撃波】を乗せて【Cannonball Crush】を、
叩き込んでいきたいのですよ。

おねーちゃんとしらべさんのサポートを受けて、
全力で攻撃なのです!

相手の攻撃は、
【野生の勘】と【第六感】で回避したいですね。


彩波・いちご
【恋華荘】
「立派に危険思想じゃないですか。貴方、自分でその特定地域の中に住めますか?」
さすがに人の犠牲を是とするような思想認めるわけにはいきません
…ま、オブリビオンに言っても仕方ないですけどね

……戦争で技術が進歩すること自体は心理な面はありますけど、これはまゆさんには言わないでおきましょうか

「まゆさん、ハンマー叩きこんであげてくださいな!」
私は【異界の抱擁】で触手を召喚して、絡みつかせて敵の動きを封じます
金属を凹ませるくらいまでぎゅっと締め上げて潰してやるくらいの勢いで!

しらべさんもアシストお願いします!
まゆさんへの攻撃は【異界の守り】の結界を飛ばして守り
最後のとどめはまゆさんに任せますね


琴代・しらべ
【恋華荘】
競争が発展を促す、という事実は確かにあるわ…
でもね…戦争なんかしなくても競争はできるの

そうやって、犠牲を生まない発展の仕方に気づけなかったのは
貴方の大きな失敗よ

そして、今の貴方は手段と目的が入れ替わってる
発展の可能性を摘み取り、犠牲を生もうとしてるだけ…!

すぐさま「脆弱点」を探し、見つけた所から
Glitch:One's-Boostをまゆさんに施し
強化と回復を!

続けざまにいちごさんと私にも施し
そのまま私も[KB]を刀形態に変え
まゆさんと一緒に切り込んでいく!

また、攻撃と回避の合間を縫って「脆弱点」を追加で探し
One's-Boostをすぐ再使用できるようにして素早く立て直しできるように!



 噴き上がる黒い蒸気は切れ切れに、その挙動はぎこちなく。影朧甲冑の損傷は拡大し、その動作にも支障が生じつつあった。
「くそっ…まだだ…まだだ!僕にはまだ、やるべきことが…!」
 搭乗者たる男の心に焦燥が満ちる。甲冑の動きが完全に止まれば自分も死ぬ。いや死ぬのは既に覚悟の上だ。『何もできないままに』死ぬこと、それをこそ彼は恐れていた。
「残念ですが、それを成し遂げさせるわけにはいきませんよ」
 そんな男の前に現れる三人の猟兵。先頭の彩波・いちご(ないしょの土地神様・f00301)が、その共通の意思を代表するかのように告げる。
「まだ居たか猟兵共!邪魔をするな、僕の世界大戦理論を否定した報いを受けさせるまで、僕は死ねないんだ…!」
 唸るように叫ぶ男。その様相に、白雪・まゆ(月のように太陽のように・f25357)は首を傾げる。
「世界大戦理論…ですか。戦争とかしても、技術とか社会とか成熟しない気がするのですよ」
 それは純粋な疑問。そもそも戦争を通しての技術発展が有り得るのか、と。
『…競争が発展を促す、という事実は確かにあるわ』
 その疑問に応えるかのように、琴代・しらべ(The Glitcher・f25711)のタブレットからの電子音声。競争の中で生まれ、発展した技術というのも枚挙に暇はない。だが。
「そうだろう!だからこそ僕は…」
『でもね…その手段は戦争に限らない。戦争なんかしなくたって、競争はできるの』
 同意と見えた言葉に応えんとした男を遮り、しらべのタブレットが声を上げ続ける。
『そうやって犠牲を生まない発展の仕方に気付けなかったこと、それが貴方の大きな失敗よ』
「ええ、どんな正当性があろうとも、犠牲を是とする思想を認めるわけにはいきません」
 しらべの言葉、それに続くいちごの言葉。共に、彼の理論を否定する意思を示す。
「犠牲を生まぬ発展など、とうにやり尽くしたとも!」
 跳ね除けるように、激して返す男。
「この世界はもう犠牲なくして発展できぬ処まで来た!故にこそ戦争を起こし、流血を以て発展の限界を超える!人類の未来を拓く至高の理論!完璧な理論であるとも!」
 それはやがて陶酔の色を帯びる。己の理論の完全性を信じて疑わぬ、狂気の様相。
『何故気付けないの!それは発展の可能性を摘み取り、犠牲を生もうとしているだけだと…!』
「なにもしていない人をいじめるのはダメなのですよ!そんなのは理不尽なのです!」
 しらべとまゆの訴えにも聞く耳を持つ様子は無く。
「そも、特定地域で戦争を起こすと言いますが、貴方、自分でその地域の中に住めますか?」
「愚物の発想だな!戦争を制御する人間が、自ら戦争に参加する筈が無いだろうよ!」
 いちごの疑問を嘲笑と共に切って捨て。
「戦争をするのは!貴様らのような力だけの凡暗共の仕事だ!その義務を、ここで果たしてもらおうか!」
 狂気混じりの声を共に、影朧機関が限界を超えて駆動。甲冑の全てを、黒煙が覆い隠していく。
『そうはいかない…ここで止める!Glitch!』
 しらべも対抗し、中空に浮かべたホログラフキーボードへ指を走らせれば、何処からともなく溢れ出た0と1の数列が三人を包み。各々に潜在する力が高まっていくのを、いちごとまゆは感じる。しらべの力『脆弱点』、そこより齎される力は、こうした強化も可能とする。
「ありがとうなのです、しらべさん!さあ、行くですよー!」
 礼を述べ、まゆは巨大なるハンマーを掲げて疾走する。黒煙を突っ切り、瞬く間に甲冑の前へ。
「な…速い…!」
「ええーいっ!」
 振り下ろされたハンマーを、男は咄嗟に甲冑の左腕を掲げて受け止める。強化によって威力を更に増したその衝撃が、左腕に全体に亀裂を走らせ…そして粉々に打ち砕いてみせた。
 続いて飛び込んできたのはしらべだ。ホログラフめいた模様の刃持つ刀を構え、甲冑に刺突を繰り出す。
「ぐぁ…!っぐ、き、貴様ら…!」
 鎧の間隙を縫って繰り出された刺突は、男自身の肩に突き刺さり鮮血をしぶかせる。呻きながらも刀で反撃を試みる男だが、その右腕が動かない。
「ふんぐるい…ふんぐるい…星海の館にて微睡む我が眷属よ…!」
 いちごの冒涜的な詠唱が響く。応えて彼の影から溢れ出した無数の触手が、甲冑の全身に巻きつき、その身を拘束すると共に締め上げ、押し潰しにかかっていた。
「がぁぁっ!!ぐ、う、動け、動けぇぇ!!こんなもので止まる甲冑じゃないだろう…!」
 焦りと共に操縦桿を縦横に動かすも、機体は軋み音を上げるばかりで一向に動くことなく。
「まゆさん!今です、一気に決めちゃってください!」
「分かりましたのです、おねーちゃん!」
 いちごの呼びかけに応え、まゆが跳躍する。狙うは甲冑の頭部、更にその後ろ。
「みんなの力が揃えば…砕けない物なんて、ないのです!!」
 全力を以て振り下ろす鉄鎚。その一撃は甲冑の背負った影朧機関に命中し。真鍮色のその全てへと皹が伝播してゆき――やがて、粉々に砕け散った。
 動力源を失い、停止する影朧甲冑。同時に、男の肉体も生命活動を停止。何を為す事も無いまま、男は、その生に幕を下ろしたのである。

 やがて警察が到着、猟兵によって制圧されていた幻朧戦線の者達は全員が捕縛。大学の学生にも職員にも一人の犠牲者も出すことなく、事件は終息した。
 影朧甲冑の搭乗者であった男も、程なく身元が判明。警察が踏み込んだ彼の自宅にて、一通の遺書が見つかった。そこに記された彼の遺言は――

『我、世界変革の大戦導く鏑矢とならん』

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年05月03日
宿敵 『幻朧将校』 を撃破!


挿絵イラスト