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福招きの冥画

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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●浮世に流るる美人画
「ほぉ~、これが……自慢の美人画かぁ!」
 恰幅の良い男は太鼓腹を揺らし、一枚の浮世絵を手に取る。
 銀糸の頭髪に栄える、まなじりに差した紅。
 ツンと突き立つ狐耳に、ふっくらとした豊満な女体を包む薄衣と、誘うような妖しい微笑を浮かべた美貌。
 男ならば一度はお目にかかりたいと願うだろう、仙女のごとき絶世の美女が描かれていた。
「うふ、お気に召して頂けて恐悦至極に存じまする」
「渡りの画商がいかほどの物を……と思うたが、なかなかの逸品を持っているではないか」
 男の対面に座するのは、浮世絵の美女にも負けず劣らずの麗しき妖狐の乙女。
 花を綻ばせたような可憐な微笑に、男は鼻の下を伸ばしきりである。

 ――だが、女の目元は微かに変化する。
「地主様、実はお耳に入れて頂きたい噂がもうひとつ……静聴なさいますか?」
「申してみよ」
「そちらの浮世絵に写された美女にお逢いできた方には、あらゆる幸運がもたらされるとか。なんでも浮世絵を持っている方の前にしか現れないそうで……」
 しっとり語る女妖狐の噂は眉唾ものだった。
 かといって、真偽を確かめる術は、この美人画を手元に置いておく他ない。
 ……なんとも商売上手だと、地主と呼ばれた男は、溜め息を漏らす。
「よかろう。これは儂が買いつける……誰かおらんか!?」
 男が数度、手を打つと音を聞きつけた従者が言付けを預かる。

 ――その晩、地主は庭先で変わり果てた姿で見つかった。
 両目と舌が焼け爛れ、苦悶に満ちた死に顔を晒して。

●美人画変死体事件
「狐とは人を化かすものの象徴、どうやらサムライエンパイアでも同様のようですね」
 事件を察知した李・蘭玲(サイボーグのグールドライバー・f07136)は、猟兵達に今回のあらましを伝える。
「事件現場はサムライエンパイアにある宿場町です。『幸運をもたらす美人画』が渦中にあるようですが……実際には持ち主が謎の死を遂げた、いわく付きの品です」
 地主の一人が、問題の浮世絵を買いつけた晩に変死体となって発見された。
 太平の世に相応しくない、怪談話に使用人達も恐れおののいて、蔵に放り込んでしまったという。
「家光公が発行された『天下自在符』がありますので、お屋敷へは快く招き入れてくれるでしょう。まずは『売りさばいた下手人』について調査してください……相手はオブリビオンに通じています。接触の際は充分気をつけてくださいね」

 しかしそれだけでは情報が少ない。
 猟兵達は下手人について詳しい情報を蘭玲に尋ねる。
「外見は妖狐の女性。自らを『渡りの女画商』と称し、裕福な家々を訪ねているそうです。そのため『特定の場所で待ち伏せる』など、受動的な行動はかえって相手の逃げ道を作るかもしれません」
 相手も動き回っている以上、宿場町から脱出してしまう恐れがある。
 逃さないためにも宿場町の中で、動き回ることは意味があるだろう。
「ちなみに宿場町の規模は、地方都市にしては栄えています。土地を治める地主以外にも、宿を仕切る組合長、商人を束ねる豪商、治安維持に努める火消し隊もいるようですね。必要なら協力を仰いでみてもいいかもしれません」
 謎の浮世絵を巡り、サムライエンパイアに暗雲が立ちこめようとしている。
 猟兵達は騒動を解決すべく、彼の地へ旅立つ――。


木乃
 木乃です。
 今回はサムライエンパイアの浮世絵を巡る事件になります。

●事件現場
 江戸から遠く離れた宿場町にある、地主のお屋敷で発生。
 被害者の地主は庭先で倒れているところを使用人に発見されましたが、
 そのとき既に死亡していたようです。

 この地主は事件の日、『渡りの女画商』から浮世絵を一枚買い付けています。
 どうも胡散臭い噂話が決め手となったようで……。

●下手人について
 幸せの浮世絵を持ってきたのは、女性の妖狐で、
 オブリビオンと繋がっている可能性が非常に高いです。
 ターゲットは金持ちや、裕福そうな相手のようです。

 以上です、それでは皆様のご参加をお待ちしております!
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第1章 冒険 『幸運の浮世絵』

POW   :    歩き回って手がかりを探す

SPD   :    関係者に聞いて回る

WIZ   :    絵の出所を調べる

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

高宮・朝燈
まずは人相書かなぁ。地主さんが対応してたその妖狐の顔を、タブレットでモンタージュ写真を作りながら聞いてまわってみよう。
作り終わったらプリントアウト…って、ここプリンターないじゃん!
「んー…バール先生、プロットお願い」
バール先生のガジェットアームを筆ペンに変更、タブレットをバール先生にセットして、写真の写しと特徴の箇条書きをたくさんの和紙に描いて、地主さんの部下にも協力して貰って各所に張り出すよ。
見つけた人は、声をかけたりしないで番所か自在符持ちまで!
勿論、他の猟兵にも配るからね。
バール先生は紙がなくなるまで自動で人相書を書いておくとして、私はタブレット見て探しにいこーっと。



●女画商を追え
 慌ただしく出入りする火消し印の法被姿。
 野次馬がチラチラと向ける視線を受け、居心地悪そうにする門番に猟兵達は声をかけた。
「その紋所は、幕府の御紋!? ど、どうぞお通りくださいっ」
 始めは鬱陶しそうな表情をされたが、天下自在符を見せればヒラッと手のひら返し。
 徳川の紋所の影響力を改めて実感しつつ、猟兵は被害者である地主の屋敷へと足を踏み入れた――。

 ちびっ子妖狐の高宮・朝燈(蒸気塗れの子狐・f03207)は屋敷の使用人に、下手人である女画商について聞き込みを開始した。
「当然だけどお嬢ちゃんより背は高くて、髪も長かったなぁ……こう、キツそうなツリ目の別嬪さんでよ」
「ふむふむ。目とか髪の色とか解るかな、おじいさん?」
 白髪交じりの男性から調書をとり、朝燈はタブレットにまとめた聞き込み情報を精査する。

 狐色の耳と尻尾、それと長い髪。赤い瞳がキュッと釣り上がった、20代くらいの女性。
 ――胸やら尻やらについて覚えていたのは、深くは突っ込まないようにしよう。
「モンタージュ写真はこれでいいかな? これをプリントアウト……って」
(「ここプリンターないじゃん!?」)
 サムライエンパイアはまだ電子技術が発展していない。交通手段は馬や籠が主流だ。
 弱り顔の朝燈は愛用のガジェットスーツに手を伸ばす。
「んー……バール先生、お願い」
 ガジェットアームに筆ペンと和紙を、内部にタブレットを装着し――ピ・ポ・パ。
 細かい動作設定を完了すると、女画商の人相書きと特徴を一定速度でしたためていく。
「面白いカラクリを使うねぇ、うちの火消し隊も預かりたいもんだ」
「これは私専用なので……そうだ、火消しのお兄さん。この人相書きを張りだしてもらえるかな? 見つけた人は声をかけたりしないで、番所か自在符を持ってる人まで!」
 幼い狐少女の要請にも嫌な顔せず、火消し隊の男は数枚の人相書きを預かると、ひとっ走り駆けだした。
「……さて、あと何枚描いたら良いかなー」
 事務的に作業を進めるバール先生を撫でつつ、他の猟兵達へ渡す人相書きを刷り続ける。

成功 🔵​🔵​🔴​

大神・しおん
「なるほど……まずは情報収集と整理からですね」
大事なのは兎にも角にも情報である。
まずはその被害者である地主の従者や使用人達から商談から事件発生までの話を聞いてみる。
その次に人相書きを持って組合長と豪商のところへ。
『渡りの女画商』と名乗っているなら、宿に泊まっている可能性も考えられるし、商人の噂なら本職が商人の方が詳しいはず。
必要なら天下自在符をこっそりと見せて協力を仰ぐ。

「このような風貌の女性を見たことはありませんか?」
「何か情報があれば番所か自在符を持った人にお願いしますね」

聞き込みと情報提供の念押しをする。
その後は護身用の仕込み竹箒を持ちながら、宿場町を歩き回ってみる。


ドアクローザ・バックチェック
朝燈の人相書きは、ありがたく使わせてもらおう。
……これだけ妖艶な美人なら、町を歩くだけで噂になりそうだな。それとも、妖狐の女子はこれくらい普通、なのか……?

さて、
画商の情報は同業者が耳聡いだろう。
この町の画商を訪ねて、人相書きの妖狐について何か知らないか訊ねてみようと思う。
彼女と面識はなくとも、商談や顧客の話は聞きつけているかもしれない。
妖狐の次の取引相手が分かれば一番良い。
そうでなくとも、美人画に興味があるようなお金持ちが分かれば、先んじて手を打てるかも、だ。
噂話程度の手がかりでも良いから、よく聞き込みをしよう。

協力してくれた画商には、忘れずにお礼を言っておくぞ。



「まずは情報収集と整理からですね。町中を回る前に、屋敷にいた皆さんの話をまとめましょうか」
 調書を時系列順に並び替えつつ、大神・しおん(霹靂神・f01306)は事件までのあらましを再確認する。
「被害者は当初、画商の話を聞いて追い返すつもりだったようですが、最終的に商談は成立したと……その決め手が『あらゆる幸運を招く美人妖狐の噂』だそうです」
 美人画の持ち主の前に現れる美女。その美女と出会えばあらゆる幸運がもたらされる――地主は『眉唾ものの噂』と口にする反面、浮世絵の妖狐との邂逅に微かな期待を抱いていたという。
 商談後の落ち着きない様子からも伺えた……複数の使用人が証言していたことから、態度を隠しきれていなかったのだろう。
「使用人の皆さんも『胡散臭い話』『悪徳商法』と信じておらず、事件当日は警備を強化するでもなく。夜中、不審な音を聞きつけた使用人の一人が、庭先に倒れていた地主を発見したと……不審者の目撃者はいなかったため、犯人は逃走した後だったのでしょう」
 ここまでが事件発覚までの流れですと、しおんは話を区切る。
『美女に遭遇するだけで幸運が得られる』のだ。信じろ、というほうが難しい。
 結果的に不用心だったとはいえ、屋敷に勤める者達を責めるには、少々気の毒な話だ。

 その場に居合わせたドアクローザ・バックチェック(ケーキナイフ・f11864)は、画商の人相書きを見つめ、唸り声を漏らす。
「女画商もこれだけ妖艶な美人なら、地主も言いくるめられてしまうかもな……町の噂にはなっていないのだろうか?」
 それとも、妖狐の女子はこれくらい『普通』なのか。
 百聞は一見にしかず、確かめる為にも市中を見て回る必要がある。
「商人の情報は同業者が耳聡いだろうな」
「私も宿の組合長と豪商の方へ話を聞こうと思っていました、手分けしましょうか」
 しおんとドアクローザは、宿屋を取り仕切る組合長と、商人達をまとめる豪商の住まいについて確かめると、それぞれ屋敷を後にする。

 ――宿場町は旅行者が道中に立ち寄る為の施設が充実していた。
 問屋場の馬を引く者、次の町を目指して飛脚が駆け抜ける姿。茶屋の店先は一服する旅行客で賑わっている。
 まずはドアクローザが豪商の屋敷を訪ねた。
 商売の取締役なら、商談の噂を耳にしていてもおかしくはない……ドアクローザが通された先には、キセルを燻らす老婆の姿が。
「この女妖狐が『渡りの画商』を名乗り、この町を騒がせているのだが……なにか話を耳にしているだろうか?」
 人相書きを渡したドアクローザは用件を尋ねると、老婆はしわくちゃの顔をゆがめた。
 咥えたキセルを置くと、口の端から煙を漏らして一呼吸おく。
「渡り……旅の商人かい。不義理なこって、アタシの耳には来ちゃいないよ。なんの断りもなく商いするたぁ図太い奴だね」
「この画商は裕福な者を狙っている、先んじて手を打ちたい……顧客になりそうな者に心当たりは」
「地主は他にもいるからねぇ。あの爺さんと同等ってなると……アタシの心当たりじゃ五人か」
 老婆の心当たり――宿場の組合長、問屋場の大将、被害者以外の地主が三人で、計五人。
 無許可での商いとあって、事件や問題の絵画商談については初耳だった。
(「悪巧みする奴が義理を通すハズないか……しかし、この情報は使えるかもしれない」)
 豪商に一言礼を述べ、ドアクローザは席を立った。

 一方、しおんも宿場の組合長の元で話を聞いていた。
 下男に天下自在符を見せるや、地主の屋敷同様にあっさり門戸を開かれる。
「このような風貌の女性を見たことはありませんか? 泊まり客として、宿を利用しているかもしれないのですが」
 宿場の組合長である、ひょろっこい男は顎をなでなで。穴があきそうなほど人相書きを凝視する。
「旅の女商人ですか。そういった方が利用なさる為のお宿ですからねぇ……ふむふむ。まず店の若衆に聞いてみないことには、私めからはなんとも」
 組合の長とはいえ、全ての現場や顧客を把握している訳ではない。
 男の言葉に、しおんが眉間のシワを指で伸ばしていると「まあお待ちくださいな」と話を続ける。
「私どもがお力になれるなら協力は惜しみませんとも。組合の者に人相書きの女がいるか確かめますので、ご連絡先を頂戴しても宜しいですかな?」
 揉み手で顔色を窺うような組合長の態度に、しおんは微かに眉を寄せて思案する。
(「確かに、従業員の目撃情報をまとめてくれるなら好都合です……徳川の紋所、凄まじい影響力ですね」)
「では、なにか情報があれば番所か自在符を持った人にお願いします」
 ――門をくぐり、再び通りに出ると護身用の仕込み竹箒を握りしめ。
 しおんは警戒しながら町中を歩きだす。

 溢れかえる人の波は山河のごとき。
 姿が見えぬ怪しき者はいずこかに潜んでいる。
 ――しかし、捜査が進むにつれ包囲網は着実に狭まっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

神城・澪
【WIZ】
まずは現場百篇ともいうしお屋敷を訪ねてみましょうか。
旦那さんがどんなふうに倒れていたか、つまり倒れ方でどこに向かっていたかはなんとなくわかると思うんだよね。
ざっくり話しを使用人さんに聞いたら次は本命。
絵の出所を調べるために絵を直接拝見。
こういうのって普通は描き手のサイン、つまり号が入ってるもんなのよね。
それから絵師を訪ねてみる。

絵師が健在ならこの絵をどういった経緯で描くことになったのか、それと似顔絵を見せて知ってる知ってるかどうか聞いてみましょう。

最悪号がない、絵師が存在しないってなったら…まぁ、その時はその時で考えましょ。
念のために絵は燃やしてしまってもいいかも。



 さて、場所は再び地主の屋敷。
「現場百篇、とも言うしね」
 事件現場まで足を運び、神城・澪(妖狐の戦巫女・f06764)は火消し隊が右往左往する庭を見渡す。
 土塀で囲まれた庭は縁側に面しており、縁側から見て横長い形になっている。
 その端に物置である蔵があるのだが――そちらは後ほど手をつけるとして、だ。

 「旦那さんがどんな風に倒れていたか覚えてるかな? 例えばどっちに向かっていた、とか」
 第一発見者の青年に澪が尋ねると、青年は複雑そうな表情で、その晩の記憶をたぐり寄せる。
「旦那様は……塀に向いてうずくまっており……こう、喉元に両手を当て」
 そのときの体勢を真似てか、青年が両手を喉に添える――まるで息苦しさに悶えているようなポーズだ。
(「塀のほう、っていうことは……庭に出てきた? 確か、両目と舌が焼け爛れてたんだよね……もしかして舌が焼けてたのは『喉を潰された』のかな」)
 喉を潰す――考えられる理由はいくつもある。
 助けを呼ばせないため。悲鳴をあげさせないため。遺言を残させないため。
 いずれにしても、悪質で残虐極まりない。手の込んだ殺害方法に澪は顔をしかめる。
「……ありがとう。あと、例の浮世絵も見せてもらえる?」
 澪の要望に青年はギョッと顔を強ばらせ……澪は安心するよう笑顔を返した。

 ――蔵に入ると、問題の絵画は布の上から何重にも御札を貼り付けられ、床板に転がっていた。
 屋敷の主人が惨たらしい死に方をしたのだ、怖がるのも当然だろう。
「こういうのって、普通は描き手のサイン……称号か雅号が入ってるもんなのよね」
 丁寧に札を剥がし、遂に澪は問題の美人画を開く。
「……うーん、絵に詳しい訳じゃないけど…………うーん?」
 号は案の定というべきか、それらしい印は見当たらない。
 見当たらないのだが――澪にはハッとするほど、秀逸な作品と思えなかった。
 可もなく、不可もなく。
 題材がよかっただけ――という気がしないでもない。
「なんか意味があるのかなぁ、この絵……燃やすのは待った方が良いかな」
 女画商と地主を結ぶ唯一の接点でもある、美人画。
 立ちはだかる謎に足を止めた澪を、美しき浮世絵の女はただ微笑みを浮かべるのみ……。

成功 🔵​🔵​🔴​

アム・ファール
WIZ
浮世絵を持っている人の前にだけ現れる絶世の美女、ですか。
なるほど、つまるところは地主様、その絶世の美女によってその様な姿にされてしまった訳ですね。
そうなると、美人画にはパッと見ただけでは分からない召喚の術式や御札が仕込まれているかもしれませんね…。カンテラで絵を透かす等して、もっと詳しく調べてみます。

……うーん、この仮説が正しいとしたら、権力や財力のある方が絵を買い付けただけで容易く懐に入り込まれてしまうのですね。
そんな事が重なっては国が乱れて上様さんの気苦労が絶えなくなってしまいます…!
それはよろしくないです。微力ながら私も事件の解決に助力します!



「浮世絵を持っている人の前にだけ現れる……なるほど。地主様はこの美女によって、あのような姿にされてしまった訳ですね」
 本体のカンテラを揺らしながら、アム・ファール(淡き光で見る夢は・f06514)は、問題の浮世絵を覗きこむ。
 権力、財力を有する者が絵を買いつけたことで、不幸に見舞われる。
 そのような惨事が続けば、幕府が治める、泰平の世が乱れるというもの。
 『事件解決に繋がるならば』 アムは少しでも力になれるなら、と意気込んでいた。
(「パッと見ただけでは解らない召喚の術式とか、御札は仕込まれていないでしょうか? どれどれ」)
 炙り出しの要領で、なにか刻まれているのではないか。
 どこか透けて見えないかと、アムはカンテラの灯りを浮世絵の背面に近づける。

 ……塗料で陰になる部分はあるが、不自然な陰はなく、裏面を手でなぞってみてもおかしなところはない。
 ――ただの絵画であることには違いないようだ。
「予想とは違ったようです? ……でも地主様は自ら外に出てきたみたいですし」
 被害者を確実に襲う為の浮世絵ではないのか?
 ならば、この浮世絵はどのような意図があって――アムはハッと息を呑んだ。
「……もしかして『浮世絵を持っているから狙われる』のではなく、『浮世絵を買ったから標的にされた』とか……?」
 思えば女画商と絶世の美女に繋がりはないのだろうか。
 買い付けた人間を確実に判別できる手段――その方法が解れば。

成功 🔵​🔵​🔴​

時雨・零士
犠牲者と同じ規模の地主を順番に回って、既に画商が商いに訪れてないか確認するぜ。順番は【第六感】で画商が訪れてそうな順。天下自在符がある以上、邪険にはされねぇだろ。

通されたら、地主や使用人に犠牲者の話と画商が何らかの形で事件に関わってる可能性がある事を伝えて、画商が訪れた場合は猟兵へすぐに報せる事を告げて周るぜ。
もし、訪れた時にちょうど商談の最中とかであれば、敢えて泳がせて後を着ければ根城がわかるかもしれないな。
着ける際は【見切り】【第六感】で動きに注意して着けるぜ。

ちなみに…手早く周りたいが、アクセラレイターは使わない方が良いのか…?いや、馬とかも乗れるけどさ…。空も飛べるし、便利なんだが…。



(「犠牲者と同じ規模の地主が狙われているなら……既に訪れた可能性はあるよな」)
 寄せられた情報から時雨・零士(仮面ライダーデオルム・f04112)は、他の地主や問屋場の大将について一考する。
「宿場の組合長の元には来てないなら、残るは四件だな。とにかく近場の屋敷から行ってみるか」
 天下自在符がある以上、零士の協力を惜しむことはない。
 ひとまず、最寄りの地域を治める主人の屋敷へ、零士は足を運んだ。

 ――零士が門戸を叩き、下男に天下自在符と人相書きを見せた。
「このお方が事件に関わっていると?」
「ああ、もし来たら猟兵にすぐに知らせてくれ」
「……いま旦那様と面会されている方に似てるんですよねぇ」
 使用人の一言に零士は表情を強張らせた――オブリビオンと通じる相手、猟兵が訪れたと知れば、二度と現れない可能性がある。
「……そいつとの面会は中断させてくれ。悪いが急ぎなんでな」
 幕府からの使いが来たと言って、その商人を表に出してほしい。
 零士の要請に使用人も恐々しながら、主人の元へ向かう――数分後、一人の女が出てきた。

 釣り目の赤い瞳、狐色の長い髪。豊満な肢体を着物で包んだ、妖狐の女。
 人相書きの特徴とも酷似している。間違いない、あの女が例の画商だ!
(「このまま後をつければ根城が解るかもしれないな」)
 人通りに紛れていく女を追って、零士は尾行を開始する。
 何度も細い路地を曲がる女妖狐の身のこなしは、明らかに手慣れたもの。
 見失わぬよう距離を保っていた零士だが――町の外れまで来たところで、女の姿が消えた。
「……どこに行った?」
 零士が周囲を見渡すと、土塀に寄せられた木箱が不自然に放置されている。
 こっそり塀の中を覗き込むと、
『――強欲な愚か者は不必要に幸を求め……まこと愚かし……』
『白仙狐様の美貌あればこそ、いま一度――』
 例の妖狐が、座敷でくつろぐ白い毛並みの女妖狐にこうべを垂れていた。
 会話の内容は途切れ途切れだが、穏やかな雑談とは言い難いものだ。
(「あれが黒幕か……さすがに一人で乗り込むのは無謀だな」)
 急ぎ援軍を要請すべく、零士は被害者の屋敷へ向かう――!

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『妖狐忍』

POW   :    魅了の術
【全身】から【魅了の術】を放ち、【幻惑】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    小刀一閃
【小刀】が命中した対象を切断する。
WIZ   :    狐火
レベル×1個の【狐火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●傾城傾国の悪女
 女画商と黒幕の隠れ家が発見され、猟兵達は急ぎ根城へと向かう。
 画商が抜け道代わりに利用する土塀を飛び越え、一斉に奇襲をかける。
「お前らだな、この町で悪さしてる連中は!?」
 庭先に降り立つ猟兵らに、『白仙狐様』と呼ばれていた女狐は赤い眦を細めた。
 薄く笑う相貌から、蠱惑的な艶やかさと、背筋をピリッとさせる殺気が滲みだす。
「なんじゃ、不躾な物言いをしおって。少しばかり戯れてやっただけじゃろう?」
「人死にを出しておいて『戯れ』ね……だったら、私達ともお戯れを興じてもいいわよね?」
 挑発的な物言いに噛みつき返すと、愉快だとばかりに、白仙狐は肩を揺らす。
「妾と戯れたいと申すか。ほほ、そう急くな。まずは妾のもてなしを存分に堪能するがよい――出でよ!」
 白仙狐の一声に、忍び装束を纏う女妖狐たちが姿を現す。
 両手に携えた小太刀を構え、妖狐の忍び達は猟兵に飛び掛かる!
アム・ファール
なるほど、現状に満足せず欲をかいて更なる幸運を求める人を狙っていたわけですか!
私はそんな人間の欲深いところも大好きですので、その考えはちょっと思いつかなかったです。
残念ですが、きっとこの先もわかり会えそうにないですね。
この国を荒らした以上、あなた方は敵です。ここで成敗されて下さい!

杖を振り、空間から喚び出した【黒き天然の刃】を『全力魔法』で攻撃。広範囲に攻撃し、複数敵の注意を惹きたいですね。
一瞬でも隙が生まれれば、他の猟兵さん達も戦いやすくなるはずです!

大体、強欲で愚かで幸が不必要って、とっても上から目線で失礼ですよね!
確かに妖狐の皆様は見た目は綺麗ですけど、その思考は美しくないと思います!


時雨・零士
もてなしねぇ…俺は半端なもてなしじゃ満足できねぇぜ?

言いつつ、ポーズを取って戦闘形態へ「変身」!

まぁ、オブリビオンとはいえ、女性を痛めつけるのは趣味じゃねぇ…。降伏しねぇなら、さっさと終わらさせて貰うぜ!

バーストのブラスターを【クイックドロウ】【2回攻撃】で素早く連射。狐火を連射で撃ち落としつつ【ダッシュ】で接近。【グラップル】【2回攻撃】格闘術で急所に叩き込む!攻撃は【見切り】と【第六感】で回避。
更に【ハスターフォーム】発動。魅了術や狐火等を風の力で迎撃・吹き飛ばし、力の差を見せた上でまだ降伏しない様なら、高速移動と【力溜め】から風の力を圧縮したライダーキック(【捨て身の一撃】)を叩き込むぜ



 零士は自らの腰元に手を当てる。
「もてなしねぇ……俺は半端なもてなしじゃ、満足できねぇぜ?」
 デオルム・ドライバーを起動すると、腰に提げた愛銃をバーストモードに切り替え、零士は速射で応戦する。
 観客気分で最奥から眺める白仙狐に、アムは鋭い視線を向けた。
「さらなる幸運を求めた人を狙っていた訳ですか……その考えは、ちょっと思いつかなかったです」
 欲深い故に、欲深いからこそ。人間を『ヒト』たらしめるのではないのか!?
 貪欲さを罪深いことだと、一方的に決めつけて――アムの杖を握る手に力が入る。
「この国を荒らした以上、あなた方は敵です」
「では、どうするかえ小娘?」
「ここで成敗されてください! ――おいで、オブシディアン!」
 せせら笑う首魁を守護する取り巻きへ向け、空間から黒曜の礫が現るる。
「白仙狐様に気安く触れられると思うな、あの娘を潰せ!」
 くノ一が石刃を打ち消すべく、狐火を舞わす。
 火炎と黒曜石が衝突して火花を散らすが――先に尽きたのは狐火だった。
 虚空を突き破る石群は、家屋をも貫き、妖狐忍軍の視界ごと潰していく。

 「大体、強欲で愚かで幸が不必要って……とっても上から目線で、失礼ですよね! その思考だけは美しくないと思います!」
 アムの言葉に白仙狐は、堪えきれなくなった様子で笑い声をあげた。
「な、なにがおかしいんですか!?」
「く、ふふ……財も権力も持ちながら、幸を求めた強欲。身の程をわきまえぬ故に自滅したというのに、強欲さを愛すと? ――ふははははっ!」
 これを笑わずして、なんとするか?
 嘲笑する白仙狐を護ろうと、駆けつけた妖狐忍が畳の下やら天井裏から次々に湧いて出る。
 小太刀の一撃を鼻先でやり過ごし、零士がエネルギー弾で反撃すると、飛び退く忍びが波のように引いていく。
「オブリビオンとはいえ、女性を痛めつけるのは趣味じゃねぇが」
 ユーベルコード、ハスターフォーム発動――混沌を帯びた漆黒の風が、零士を包み込む。
「……降伏しねぇなら、さっさと終わらせて貰うぜ!」
 動脈の内側からめくれるような激痛、魂を削られていく漠然とした焦燥感を振り払い、零士が石の雨の中を駆け抜ける。
 応戦しようと再び小太刀を構える妖狐忍。
 囲うように周囲から飛びかかるが、零士にはスローモーションに映った。
「まとめていくぜ、これが……風の神だ……!」
 最速、最短距離をすりぬけ、回り込み。
 向こう側に壁があろうと零士はかまわず一足飛び。
「な!?」
 まとめて串刺すように跳び蹴りを決め、妖狐らを土壁にぶちこんだ。
 建物が激しく揺れて屋根瓦が数枚、地べたで砕け散った。
「……ふふふ」
 騒然とする場を前にしてなお、白仙狐は高見の見物を決め込む。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

大神・しおん
「戯れで人の命を奪うのは看過できませんね……まずは障害を排除します」

内に秘める感情を滾らせて戦闘へ

手に持っている仕込み竹箒を接近して引き抜き、仕掛けます
適宜、風迅雷塵を使用して雷を放つなどして蹴散らしましょう

「私、人狼ですから……狐を食べてしまってもよろしいですよね?」

温厚な表情を消して糸目を開き、獲物を見るように言い放つ
視線と笑みで【恐怖を与える】

「お掃除、させていただきますね?」


ドアクローザ・バックチェック
お前が妖狐の女画商、白仙狐か。
ずいぶんと余裕だな。だが、『戯れ』と言って笑っていられるのも今の内だぞ。

さて、まずは手下どもを片付けるとしよう。

私は何もない空中でさえ足場にできる。その機動力を活かして、敵の隙を突くぞ。

スカイステッパーで敵の予想外の方向から移動し、敵の死角に回り込もう。
そして死角から蹴りを食らわせたり、機械太刀で斬りつけたりして攻撃していく。
攻撃後は別の妖狐忍を標的にし、再度移動する、といった作戦だ。

とにかく私は止まらない。動き続けることで、多少は敵も狙いをつけづらくなるだろう。



(「戯れで人の命を奪うのは看過できませんね」)
「……まずは、障害を排除します」
 しおんは竹箒の先端を握る。
 するりと引けば、軸は冷たく研ぎ澄まされた刀身がギラリと光る。
 飛びかかった忍びの剣閃をそらし、しおんの足下に火花が弾けだす。
「狼なり、大神なり、大雷鳴……!!」
 荒ぶる獣性を呼び覚ます言霊が神威を、大神の力を呼び覚ましていく――!
 疾駆するしおんは無影のごとく跳び、次々と落雷の餌食に。
「私、人狼ですから……狐を食べてしまっても、よろしいですよね? ――お掃除、させていただきますね」
 薄くまぶたを開く彼女は口元を歪め、凄んでみせると「怯むな!」と一人の妖狐が檄を飛ばす。
 場慣れしているだけあって、動揺しかけた者達もすぐに気を取り直した。
(「このくらいでは恐怖しませんか、闇に生きてきただけのことはありますね」)

「お前が黒幕の白仙狐か、随分と余裕だな」
 機構太刀を抜くドアクローザにも、どこ吹く風。
「……くあぁ」
 欠伸を隠そうともせず、白仙狐は騒動も他人事のように眺めるのみ。
 ――くノ一達は『接近させまい』と壁を作り、ドアクローザの接見を許さない。
「まあいい、まずは手下どもを片付けるとしよう――いざ!」
 一斉に飛びかかる忍びの頭上をドアクローザは飛び越え、空を蹴る勢いで背を斬り裂く。
 円筒部分が赤熱し始め、白煙を噴きだしながら振るわれれば、別の忍びを焼き焦がす。
「くぅ、面妖な術を!?」
「どうした? 不意を突かねばなにも出来ないか!」
 かく乱するドアクローザに翻弄され、妖狐忍は一体、また一体と着実に斬り伏せられていく。

 くノ一達の数は目に見えて減少し、最後の一人が霧散する。
「……致し方あるまいて、妾の相手が勤まるか……試してやろうぞ」
 大袈裟に溜息をついて、傾国の妖狐は重い腰をあげた。
 ――妖狐忍とは比べものにならぬ、圧倒的な気迫。
 段違いの妖気が、場の雰囲気を一気に塗り潰していく――!!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『傾国の白仙狐』

POW   :    その精、喰ろうてやろうぞ
【全身】から【魅了の術】を放ち、【幻惑】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    出でよ我が僕、死ぬまで遊んでおやり
【自身に従属する妖狐】の霊を召喚する。これは【剣】や【電撃】で攻撃する能力を持つ。
WIZ   :    妾の炎に焼かれて死ぬがよい
レベル×1個の【狐火】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は御狐・稲見之守です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●浮世絵の真相
「全く、この程度で目くじらを立てるとは……気の短い者達よなぁ」
 白仙狐はたわわな胸を揺らし、自慢の髪を肩口から払う。
「地位も、資産も約束されながら、さらなる幸を独り占めしようという欲深さが身を滅ぼしたというのに。あの者が、妾を見てなんと申したと思う?」
 侮蔑をこめた笑みを浮かべ、白仙狐は地主が最期に残した言葉を口にする。
 ――『屋敷に閉じ込めれば、儂の幸福は約束されたも同然』と。
「ちょっとした遊び心だったとはいえ、さすがの妾も呆れてしもうたぞ」
「焚きつけたのはお前だろ! 人間の強欲さに漬けこんで、そそのかした事実は覆せないぞ!?」
 猟兵の反論にも白仙狐は高笑いをあげた。
「目が眩まなかった者もおるというのにかえ? ただ妾を悪と断ずるのは、いささか短慮であろうぞ」
 羽衣がヒラリと舞い上がる。
 金眼は妖しく光を放ち、輝く虹彩が背筋を凍えさせる。
「呪いたくば、あの者の心根の弱さを呪うがよい――」
 一歩、一歩と優雅にあゆむと共に、狐火と従僕を顕現させていく。
 ……猟兵よ、幕引きの時間だ!
時雨・零士
「流石に口だけは達者だな。人を誑かした者と誑かされた者、どちらが悪いかなんて自明の理だろう。テメェが何と言おうとテメェは罪を犯した、それに変わりはねぇ…さぁ、オマエの罪を数えろ…!」

狐火と従僕はバーストのブラスターを【2回攻撃】連射し迎撃。本体にはマグナからブラストを叩き込み、爆風に紛れて【ダッシュ】で接近。【グラップル】【2回攻撃】での蹴り、拳での連撃から、素早くマグナモードのブラスターを抜き放ち【クイックドロウ】【零距離射撃】の接射で吹き飛ばす!
更に吹き飛ばした敵を【ダッシュ】で追撃。【力溜め】【捨て身の一撃】による必殺の【カオス・ストライク】発動。全力の一撃で眠らせてやる…!

アドリブ歓迎



 ようやっと腰を上げた白仙狐に、零士は小さく息を吐く。
「さすがに口だけは達者だな。だが、人を誑かした者と誑かされた者、どちらが悪いかなんて――」
「欲をかいたうつけが悪いに決まっておろう?」
 ピシャリと零士の言葉を遮る。
 呆れまじりの視線を向ける白仙狐は、艶やかな唇を震わせた。
「多弁な男は好かぬ、よく言うであろう? ――弱い犬ほどなんとやら、と」
 羽衣をふわりと浮かせて、白仙狐は花蜜のごとき甘美な香りを漂わす。
 視界がぼんやりした零士は、ハッとかぶりを振る。
「幻術に易々とかかると思うなよ、テメェがなんと言おうとテメェは罪を犯した!」

 愛用のブラスター銃を構え、零士は連続射撃を見舞う。
 畳や障子を突き破るエネルギー弾を前にして、白仙狐は涼しい顔。
 ひらり、ひらりと隙間を縫い、
「どれ、濃いやつを足してやろう」
 さらに強烈な芳香を全身から放つ。
 触れることは許さぬとばかりに、魅了の術を浴びせる白仙狐。
 零士は唇を噛んで堪える。
(「一筋縄じゃ行かねぇか、だったら――!」)
 意識が澱み濁りかけるのを感じながら、零士は空を蹴る――放たれた混沌の雫は白い頬を掠めた。
「コイツを受けろ!」
 勢いを乗せて跳躍し、デオルム・ドライバーから魔力が溢れだす。
 混沌が零士を包むと同時に、一気に仕掛けていく!
「さぁ、オマエの罪を数えろ……ッ!」
 放出する魔力を推進力にし、人間砲弾となった零士が迫る――!
 ピク、と片眉を釣り上げた白仙狐だが、ほんの一瞬……零士の速度が上回った。
 頬に赤い筋が生じ、血が筋となって滴り落ちた。
「――……ほう」
 美貌を傷つけられてなお、白仙狐は愉悦の笑みを浮かべる。

成功 🔵​🔵​🔴​

ドアクローザ・バックチェック
零士の後に続いて速攻する。
魅了の術とやらを受ける前に、太刀の一撃を食らわせよう。
長話は嫌いなようだしな。

正直、魅了の術への対処法は分からん。だから出たとこ勝負、気合で乗り切るぞ。
行動を封じられたとしても、おそらくそれは一時的なものなのだろう。ならば、動けるようになった瞬間に【早業】で、また斬りつければいいはずだ。

いけすかない女だが、強いことは確かなようだからな。
何度も何度も斬りつけて、地道に体力を削っていこう。



 じりじりと靄がかかった意識を振り払い、ドアクローザは愛刀を握る。
(「厄介な術を行使する……だが」)
 対処方法が解らない以上、出たとこ勝負しかない。
 己の気力に望みを託すのみ――真っ向から飛びかかったドアクローザが、刃を引き絞る!
「いけすかない女だが、実力は確かなようだからな――!」
 仕掛けるドアクローザを、白仙狐は家屋に入り込んだ虫を見つけたように一瞥する。
(「魅了の術とやらを受ける前に一撃を――」)
 受けたところで再起した瞬間、斬りかかればいい。
 思考を見透かしたように、甘ったるい芳香がドアクローザを襲う。
「……ッ、ぅ!」
 無我夢中で振り下ろした一刀。だが、手応えは驚くほどなかった。

 ――両断したのは幻だったと気づいた直後。
「妾の妖術を単なる奇術と思うたかえ」
 白仙狐がとん、とドアクローザの額を指で小突く。
 その体は大槌で殴られたように吹き飛び、背後の襖を突き破れる。
 大きな隙が生じようと、なにも仕掛ける手立てはない――と、誰が決めただろうか。
「妾の美貌に侮りおったか? この細い首が欲しいなら、一太刀で殺すつもりでかかるが良い」
 もっと必死になるが良い――余裕たっぷりに羽衣を揺らし。
 切れた頬を指で拭い、紅を塗るように唇に這わす。
「……わざわざの忠告、痛み入る」
 強烈なインパクトに脳が揺れる。
 力の片鱗を体感しながらも、ドアクローザがゆらりと立ち上がった。
「だが、貴様のそれも油断と知れ」
 一度でダメなら二度、三度。
 散らばる木屑を踏み潰し、ドアクローザは再び攻めに転ずる。
 暖簾のようにのらりくらりと立ち回り、白仙狐はドアクローザを翻弄していく。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

大神・しおん
「さて、大将首を狙いましょうか……」

糸目を再び開いて、相手を見据える。
風迅雷塵を使用して【先制攻撃】
立ちふさがる妖狐が現れたら【殺気】で【恐怖を与える】

「あら……また美味しそうな狐ですね?」

優しく、されど威圧感のある笑みを浮かべながら仕込み竹箒を振るう。
【2回攻撃】で蹴散らすつもり。ちゃんと障害は【掃除】しませんとね。
【剣】には【刀】を、【電撃】には【雷】を。
正面からその力、叩きつぶしてあげますね。

「では……いただきますね」

アドリブ歓迎


高宮・朝燈
おかーさん(f02982)と同時行動。

「あー! 居たー!!」
おかーさんと合流してたら遅くなっちゃったよ。
「あんたみたいなのが居るから妖狐の肩身がどんどん狭くなってくんだ!」
…それにしても、みんな間違えておかーさん攻撃したりしないよね?

「うーん、それじゃこんなガジェットはどーかな?(ポチッ)」
大量に召喚されるレギオンガジェット。
「「「タコー!」」」
今回は空飛ぶタコのガジェットだよ!
「さーみんな、あの狐を狙っちゃって!」
目標は白仙狐の顔や全身に墨を塗りたくる事。
そして、魅了による幻惑を封じれば、当人への攻撃も通りやすくなるんじゃないかな?
こっちのタコは80体。妖狐の霊や炎で防ぎきれるかな?


高宮・夜宵
娘の朝燈(f3207)と一緒に行動。

ふふふ、本当の妖狐ってモノを教えてあげようかしらん♪

相手に惑わされずに妖狐の一指しをきめてあげるわぁ
余裕崩さず強気で妖艶な態度でぐいぐいいっちゃうわよぉ♪
私がオブリビオンに見られないといいけど。

「ほぉら、これが妖狐の神髄よん?」
「甘い甘い♪」

何気ないしぐさでも豊かな胸は大きく揺れます、たゆん。
アドリブ&絡み歓迎


アム・ファール
貴女の頭では強欲ならば殺しても良い理由になるんですね。
そんな思考だから、どんなに美しい身でも躯の海に捨てられてしまうんですよ。
この世界で信仰されてる"稲荷神"って、豊穣や繁盛を喜んでくれる存在のはずですもん!

技能『属性攻撃』を用いて『全力魔法』で【ウィザード・ミサイル】を一斉掃射。
「炎を操れるのは貴女だけではありません!」
妖狐の霊が出現してる場合、そちらを優先的に狙います。

仙狐といえば、自ら修行を積んでその力を手に入れた努力家であるのに。……いえ、だからこそ、努力なしに幸福を望むのが許せないんでしょうか?
それとも、怪物に変異した結果、なのでしょうか。
やっぱり、なんだか悲しいですね。
アドリブ歓迎



 剣撃を捌く白仙狐に一匹の狼が牙を剥く。
「さて、大将首を狙いましょうか……」
 刮目するしおんの眼光は刀身より鋭く、白仙狐を見据える。
 先手をとろうと、注意が逸れた一瞬をつき――崖を下る獣のごとく一気に詰めた。
「――来たれ、我が従僕よ!」
 虚空に円を描いたと思うと、輪をくぐった妖狐の霊が殺到する。
「あら、また美味しそうな狐ですね?」
 だが、塵は塵に。灰は灰に。ゴミは掃除せねば。
 竹箒から仕込み刀を抜刀し、神霊の力でもって妖霊を斬り伏せていく。
「そんな思考だから、どんなに美しい身でも……骸の海に捨てられてしまうんですよ!」
 強欲ならば殺してもかまわない。あまりに身勝手で、独りよがりな動機。
 アムは怒りを乗せた炎の矢を全力で放つ。
「炎を操れるのは貴方だけではありません!」
 狐の妖霊諸共、焼き尽くそうと鋭く伸びる火の手が屋内を飛び交う。
「この程度……!」
 新たに霊を呼び出す白仙狐だが、召喚するよりもしおんとアム達の攻撃速度は上回ろうとしていた。

 朝燈も母、高宮・夜宵(官能迷宮・f02982)と共に打って出る。
「あんたみたいなのが居るから、妖狐の肩身がどんどん狭くなってくんだ!」
「ふふふ、本当の妖狐ってモノ……教えてあげないとねぇ?」
 妖艶な立ち居振る舞いに誤解を招かないか、戦々恐々とする一人娘の心配をよそに。
 夜宵はおっとりした仕草でもって、たゆゆんと胸を揺らす。
「さあ、ぐいぐいっといっちゃうわよぉ♪ 朝燈ちゃんもいいかしらぁ」
 夜宵の道を開くべく、朝燈も自慢のガジェットをちょちょいっと操作。
「うーん、それじゃ……こんなガジェットはどーかな?」
 ポチッとやって、現れたガジェットロボは――タコ、タコ、タコ!
 大量の浮遊タコロボが独特の電子音声を発する。
「こっちは80体、防ぎきれるかな? ――さーみんな、あの狐を狙っちゃって!」
 ――朝燈が指示を飛ばし、一斉にタコ達が突撃を仕掛けた。
 飛来する面妖なタコを落とそうと、白仙狐が新たな個体を呼び出す。
 それを上回る勢いでしおんとアムが掻き消し、ついに射線が開く。

「――チィッ!」
 面妖な浮遊物の接近に美貌を歪め、白仙狐は自ら手を下そうとするが――、
「では……いただきますね」
 正面から突っ切るしおんの刃が、白絹の肌に到達する。
 大きく開いた胸元に一閃――僅かに噴いた血が畳を濡らす。
 さらにタコロボの吹き出し、墨のシャワーが羽衣ごと、黒に染めあげる。
 張りつく髪を振り払おうとして、細い指が乱暴にかきあげた。
「わ、妾の玉体に、なんたる無礼を……!」
「あらぁ、これくらいならいいの・か・し・らん?」
 射程内まで接近していた夜宵がうっとり微笑み、首筋に指先を押しつける。
「甘い甘い♪」
 その仕草に白仙狐もハッと目を見開く――吸精された疲労感に、ふらりと身体が傾いた。
「お覚悟を」
「これで、終わりです!!」
 しおんの刃、アムの炎が急所を貫く。
 女の肉体は臓腑を穿たれ。ガクリと膝をついた。
「あ、ぐぁ、あぁぁぁァァァァァ……――!!」
 苦悶の叫びがこだます。
 肉が焼け、爛れた皮膚から白い骨身が露出し……燃え尽きながら、灰燼へと変じていった。
 
「はぁ。あそこ、空家でよかったねー……中も色々焦がしちゃったし」
 騒動の始末が済んだと番所に伝えて、市中の有権者に言伝を頼んだ。
 朝燈は一仕事終えてほっと一息。
「うふ、娘の成長が見られて私も嬉しいわん♪」
 ほよんほよんと、歩くたびにバストを上下させ、夜宵もニッコリである。
 対して、アムは複雑な表情をしていた。
(「仙狐といえば、自ら修行を積んでその力を手に入れた努力家でしょうに。……いえ、だからこそでしょうか?」)
 努力なしに幸福を得ようという姿勢が許せなかったのか。
 それとも、オブリビオンに変異した結果がそうさせたのか。
 ――答えは骸の海に。
「なにをもって幸福とするか、それは人によるでしょうけど……求めることに罪はありませんよね」
 独りごちるしおんの言葉は、澄み切った冬空に流れていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年02月04日


挿絵イラスト