アルダワ魔王戦争9-B〜それは戦争の幕間にて
●それはどこかで見た……?
アルダワ魔王戦争の『9-B』区画において。
予知(み)えたのは、巨大なハンマーを手にした女のオブリビオン。
「おいババア! 見ろよ、大ピンチだぜ!」
その表情はどこかしら楽しげで。
『知らないよ。あたしゃ今トンカチになっちまってるから、感覚は鈍ってるさね』
返ってきた言葉は、どこかしら悟っているようなそんな口調。
「トンカチwww言い方がもうババアwww」
『いいから宝石なんかほっといて逃げな、こらもう負け戦だろ』
ハンマーが女に促す。『利の無いことはするな』と。『生き延びることこそが大事だ』と。
対して、女は叫ぶ。
「やだね! 大魔王サマを持ち帰るだけの仕事だったら、ハナから受けてねーよ!
隠し部屋で作ってた宝石災魔が、もうすぐ完成しそうなんだ! 万能宝石の力であいつらに植え付けた、世界移動能力が完成したら……」
女の言葉にハンマーが唸る。
『相手がこちらの正体を知る前に、相手の本拠地を探せるかも知れないって訳か……どうやら、死線を潜るだけの価値はありそうだね』
それは『二人』の利害が一致した瞬間。
「そーゆーこった! それにババア、あたしらの得意なことは?」
『相手がイヤな事だけを一生やり続ける。ったく黙って働けないのかあんたは』
「そうは言っても楽しみだろ? 猟兵との殺し合い! いやーまじで楽しくなってきたぞ……!」
『相変わらず頭の悪い目的だね。これだから最近の若い者は……』
そう言って、オブリビオン『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』は猟兵たちを待ち構えるのであった。
●レミちゃんインフォメーション
「というわけで、なんか『ヤバい』っす!!」
鈴木・レミ(ハイカラインフォメーション・f22429)が予知の内容を猟兵たちに語る。予知した内容は先に述べた通り。その予知の中に出てきた単語や雰囲気に、明示できなくとも『危険な香り』を感じたのだ。
「このまま放っておいても、アルダワ魔王戦争にはほぼ影響しない感じなんすけど……」
レミの情報屋としての直感が、あるいは何故か感じる既視感が明滅して。『放置は悪手』と強く告げている。
「皆さんお願いっす。このオブリビオン、『グラン・ギニョール』を倒してきてほしいっす!」
●改めて情報を整理しよう
敵オブリビオンの名前は『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』。巨大なハンマーを操る、異世界の殺人鬼だ。
非常に高い戦闘力を持っている彼女の名が示すのは『戦略級=存在自体が世界の危機』。
「そして戦争になった時に出て来る、『何かを持ち帰る』目的のオブリビオンっす」
そう言いながらレミは少し困った顔をする。
「でもこのグラン・ギニョール、大魔王のために働くつもりはまったく無いみたいなんすすよ」
そのグラン・ギニョールがファーストダンジョンの『9-B』区画で『猟兵たちを待ち構えている』。
「それは、ひとえに『自分が楽しむため』っす」
会話からして別の目的もあるだろう。しかしグラン・ギニョールは猟兵たちとの戦いを望んでいるのだ。
「こっちにとっても逃げないっていうのは好都合っす。一気に畳み掛けるっすよ!」
レミがぐっと拳を握って、猟兵たちにさらなる情報を話し出す。
戦場となるのはもちろん9-B区画。ここには噴火する地底火山が存在する。噴火に伴う噴煙はもちろんのこと、飛んでくる噴石や流れてくる火砕流、間欠泉のように噴き出る溶岩、降れば視界を遮る火山灰など、危険度はファーストダンジョン内でも屈指のフロア。
グラン・ギニョールの戦闘力も加味すれば、この区画はファーストダンジョンで最も危険な区画かもしれない。
ただ、悪いことばかりではない。真正面からグラン・ギニョールと戦えば、瘴気は有れどもこちらも多大な損害を免れない。しかし。
「戦闘に地底火山の噴火を利用することができれば、戦闘を有利に運ぶことができるかもしれないっす」
噴火に伴う様々な現象を利用して、グラン・ギニョールの攻撃をかわす、隙を突く、死角を取るなどして欲しい。そうすれば、グラン・ギニョールがいかな強力な存在といえど、十二分に渡り合える。
「それでも敵は強大っす。十分に注意してほしいっすよ」
そう言いながらレミはグリモアを取り出す。
「それでは皆さん、ご武運を!」
そして猟兵たちを戦場へ転送していくのであった。
ところでレミさん、この予知を見ている間、ずっとグラン・ギニョールの胸を見ていたように思うのですが……?
「あ、ついでにあのデカ乳をもいできてもいいっすよ?」
にっこり笑ったレミの笑顔は何故か黒かったのです。
るちる
はじめまして、あるいはこんにちは、るちるです。
アルダワ魔王戦争も終盤に……今回『?』は見送ろうかなーとか思っていたのですが、見覚えのあるデカ乳様に誘惑されてしまい(訳:とっても好きなキャラだったので)。
そんなわけで、グラン・ギニョール戦、参ります! こちらは1章構成の『アルダワ魔王戦争』のシナリオフレームです。
当シナリオの補足をします。
このシナリオには、特別な『プレイングボーナス』があります。
(=============================)
プレイングボーナス……地底火山の噴火を戦闘に利用する。
(=============================)
ということで、グラン・ギニョールとの戦闘において、地底火山の噴火、またはそれに伴う現象を戦闘に利用するプレイングをお書きください。
例えば、溶岩の間欠泉におびき寄せて溶岩に飲みこまれた瞬間に攻撃を叩き込むとか。あるいは火山灰で視界を完全に奪うとか。技能を加えることでさらに戦況を有利に運ぶことができるかも知れません。
なお、火山と聞いて、起こり得るであろう現象はほぼ起こると考えてもらって大丈夫です(皆さんの戦闘時、ないしは指定したタイミングで現象が発生します)
リプレイに関しては、戦闘は真面目に、雰囲気は軽快に書くつもりです。どシリアスである必要はありませんので、お気軽にご参加くださいませ。
それでは皆さんのプレイングをお待ちしております!
第1章 ボス戦
『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』
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POW : 殺しの鉄槌
【巨大ハンマー】が命中した対象に対し、高威力高命中の【必殺の二撃目】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 弾幕オペレッタ
【ハンマーが無数の拳銃に分解し、一斉射撃】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
WIZ : グラン・ギニョール劇場
【不愉快さ、嫌悪感といった負】の感情を与える事に成功した対象に、召喚した【サンシャイン60】から、高命中力の【亡霊殺人鬼の軍団】を飛ばす。
イラスト:こっこ
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
虚偽・うつろぎ
アドリブ連携等ご自由にどぞ
あははははははは!
六六六!六六六だ!
僕は知っている覚えている!
この執念を!
ならば蒐集しよう!
六六六だった僕が!
六三の残滓たるこの僕が!
登場即自爆
とにかく速攻で自爆する
火山の近くで自爆して噴火をグレードアップだね
もちろん自爆に巻き込むことを狙いたいけど
自爆の射程範囲内に敵がいなくても自爆する
噴火と自爆でこちらに注意を引き付けるくらいはしよう
自爆後に少しお話
最初に書いてあることを叫んでおくね
異常なまでな執着を見せるさ
技能:捨て身の一撃を用いてのオウサツモードによる広範囲自爆
対象は範囲内の敵全て
強化は攻撃力重視
捨て身の一撃なので自爆は1回のみ
自爆後のお話後は爆発四散して退場
●
それは一瞬の閃光のごとく。
『とにかく速攻で自爆する習性』を持つ虚偽・うつろぎ(名状しやすきもの・f01139)が成した、この戦いの『強烈過ぎるファンファーレ』であった。
●
ファーストダンジョン『9-B』区画。その中を鼻歌混じりに歩く『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』。今も噴火している火山のすぐ横を通り過ぎようとしたその時であった。
「……!」
グラン・ギニョールが察知したのは紛れも無く敵の気配。それを迎撃しようと、グラン・ギニョールがハンマーをにぎ……るまえに、それは爆発した。
「なんだぁぁ?!」
振り向くことすら許されず、広範囲かつ強烈な爆発に巻き込まれるグラン・ギニョール。それは自然ののもの、あるいは道具に頼ったものではなく、明らかに『意思を持った攻撃』の類であった。
「ちっ!」
爆風に吹き飛ばされたグラン・ギニョール。その態勢を立て直す前に、爆発の影響で噴火の勢いが激しくなった。降り注ぐ火山岩。足元から噴き出る溶岩流。
「おいおい、さすがにこれはやべーって!」
『こら! ババアは大事に扱えって言ってるだろ!?』
自分の足元に押し寄せる溶岩流をハンマーで遮り、足場を確保した後、その場から跳んで離脱するグラン・ギニョール。
致命的とは言わずとも、不意を打たれてダメージを負ったことには違いなく。その『相手が嫌がりそうな』やり方に再度舌打ちするグラン・ギニョール。
「あははははははは!」
そこに降ってきたのは笑い声。そして黒い、小さな欠片たち。それは爆発……否、自爆の首謀者であるうつろぎの残滓であった。
ユーベルコード『ウツロギ』。うつろぎが持つ『捨て身の一撃』の技能に全てをかけた必殺にして、鏖殺の領域である。『ウツロギ』には興奮効果もあり、さらには自身をも爆散させるが、それは『今』重要ではない。
「六六六! 六六六だ! 僕は知っている覚えている! この執念を!」
「あ? ……ああ、お前……」
異世界の殺人鬼であるグラン・ギニョール。そしてうつろぎは『異世界からの転生した殺人鬼』という出自を持つ。
その異世界は『同じ世界だったのか』、あるいは『とても似て近しい世界』なのか。ただ言えるのは、『今』両者はお互いの『根底にある本質』を感じ取ったのみ。
それは『この世界』において『必然な邂逅』だったのかもしれない。
だからこそうつろぎは叫ぶ。
「ならば蒐集しよう! 六六六だった僕が! 六三の残滓たるこの僕が!」
そう叫びながらグラン・ギニョールに纏わりつくように空から降るうつろぎ。
「ごちゃごちゃうるせーぞ。殺し合うならさっさとやろーぜ!」
それに対してグラン・ギニョールがハンマーを振るう。『殺しの鉄槌』が空中を漂う欠片たちをひとつ残さず捉えて。
しかし、次の瞬間、欠片たちはさらに爆発する。
「ふふふふ……」
そして四散。うつろぎは風とともに去りぬ。
「だから、なんなんだよ!!」
残されたグラン・ギニョールは怒りにハンマーを地面に叩き付ける。
殺人鬼たちの邂逅と派手にまき散らした爆発が、この戦いのファンファーレとなったのである。
大成功
🔵🔵🔵
アーノルド・スカーヴァティー
あいつは…!!
知らない、知らないのに…!!
なんで殺意が溢れて仕方ねぇんだよ…!!
黒鍵・小町草で罠を張って(【罠使い】)ちまちま攻撃していくか
本音を言えば【暗殺】したいけどそんなことができる相手じゃないのは百も承知!
何せ……あれ?なんだった、け…?
とにかく強いのはわかるんだが…
と、とにかく!溶岩が噴出しそうな場所まで誘導したいけど、俺が持つかな…
溶岩に関しては【聖盾顕現】で防御するか
溶けるんじゃねぇぞ…!!
アドリブ、共闘大歓迎
●
うつろぎの爆発に翻弄される『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』。
その姿を遠目から視認していた猟兵が一人。
「あいつは…!!」
アーノルド・スカーヴァティー(欠片の死神・f19324)は言葉を絞り出すようにして呟く。
「知らない、知らないのに…!! なんで殺意が溢れて仕方ねぇんだよ…!!」
少なくとも『今』のアーノルドが知る存在では無く。しかし、いつもは無意識に確実に抑え込んでいる殺意がその制御を失う程に溢れ出る。
それはアーノルドの『過去』に関係があった、のかもしれない。
●
グラン・ギニョールの存在に誘われるように、アーノルドが前に躍り出る。
「やっときたー! さー殺ろうぜ!」
アーノルドを視認したグラン・ギニョールが嬉々としてハンマーを振るう。横殴りに飛んできたハンマーのヘッドを空中に飛んでかわし、両手から『黒鍵・小町草』を放つアーノルド。鉄をも斬り裂く鋼の糸が空気を斬り裂き、グラン・ギニョールに迫る。
その鋼糸をグラン・ギニョールはハンマーの側面で弾き返していなす。そしてアーノルドに向かって突撃。
「くっ」
素早く武器を『黒鍵・黄麝香撫子』に持ち替えて魔力弾を放つアーノルド。直撃するものの、突撃を止めるほどのダメージは無いらしく、そのままグラン・ギニョールが突進してくる。
(ここだ!)
くんっ、と左手の黒鍵・小町草を『引く』アーノルド。先の黒鍵・小町草での攻撃は、この『罠』を敷くためのダミー。黒鍵・黄麝香撫子の魔力弾も誘い込むための芝居だ。
グラン・ギニョールの足元に張り巡らされていた鋼糸が彼女の脚を斬り裂いていく。
「ちっ、うっとうしいなぁ!」
脚を切断される前に、ハンマーで強引に黒鍵・小町草を引きちぎるグラン・ギニョール。だが、その大振りな動きで出来た隙へ、アーノルドが魔力弾を撃ち込む。
罠と牽制を織り交ぜた、アーノルド曰く『ちまちまと攻撃』していく作戦。
(本音を言えば暗殺したいけど……)
その一撃で以て倒せたらいかに楽か。しかし、そんなことができる相手じゃないのは百も承知だ。それは『殺人鬼』の本能が告げる……。
(何せ……あれ? なんだった、け……?)
不意に脳裏に走るノイズ。グラン・ギニョールが強いのは分かっている。分かっているのだが、それだけじゃなくて、何か……。
「殺し合いの最中にぼーっとしてんじゃねぇよ!」
思考の沼に入りかけたアーノルドを引き戻したのはグラン・ギニョールの怒号。既に回避が不可能な距離まで接近されている!
「……っ! 顕現せよ、何にも揺るがぬ信念の盾!」
咄嗟にユーベルコード『聖盾顕現』を発動させ、盾でグラン・ギニョールのハンマーを受け止めるアーノルド。
「本命はこっちだっつーの!」
嬉々としてグラン・ギニョールがハンマーを振りかぶる。『殺しの鉄槌』の必殺の『二撃目』。
「……っ!!」
グラン・ギニョールの必殺の一撃をアーノルドは信念で以て弾き返す。
「ちっ」
攻撃を受け止め切られたグラン・ギニョールが一度距離を取るべく、飛び退る。そこへ魔力弾を放ち、牽制するアーノルド。
(と、とにかく!)
真っ向の戦いでは勝負がつきそうにない。ならば、この地形を利用するほかない。
先に当たりをつけておいた溶岩が噴出しそうな場所まで、誘導を開始するアーノルド。
(俺が持つかな…)
と一抹の不安を抱きつつ、罠と牽制、そして時折不意を打った大鎌の一撃を織り交ぜて、グラン・ギニョールの注意を戦闘に集中させる。
そしてその場所へ辿り着いた直後、派手に地面から大量に噴出する溶岩流。物凄いスピードで流れてくる溶岩流の中を。
「溶けるんじゃねぇぞ……!!」
再度『聖盾顕現』を発動させて耐えるアーノルド。
「てめぇ! 覚えてろよ!」
アーノルドのすぐ後ろまで迫っていたグラン・ギニョールに溶岩流を回避する余裕は無く。溶岩流に飲みこまれたグラン・ギニョールに、アーノルドはひと息つくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
葛葉・アリス
【恋華荘】
「まゆ、準備はいい?私の指示に従える?」
まゆとの打ち合わせを終えて散開
「この地もただのチェスボード…すべては私の手の中に」
私はジャバウォックに乗って移動しつつ【戦場俯瞰遊戯】にて戦場の全情報を俯瞰して見つつ、まゆに指示を出すわ
こちらの駒は、ルークのまゆとビショップのジャバウォック
某チョコボのような脚で戦場を駆け巡りガトリングで牽制
まゆにはどこに移動して何処を叩けばいいか指示出しを
「まゆ、その場で地面をたたいて、全力で」
戦場の数値は読めていたので、噴火口とヤツの位置関係とタイミングがあった瞬間、地面をたたかせて噴火を誘発
丁度ヤツを巻き込む噴火が起きるはずよ
あとはこの隙に全力で追撃を
白雪・まゆ
【恋華荘】
アリスさんとは寮ではいっしょですが、
依頼では初ペアなのです!
「もちろん、いつでもいけますのですよっ!」
火山を利用するなら、
やっぱり噴火させるのがいいですよね。
アリスさんとの打ち合わせた場所まで相手を誘導したら、
指示にタイミングをあわせて、
【Centrifugal Hammer】を使い、地面を破壊。
噴火のトリガーになれたら、と思いますのです。
「いきますのです!」
火山の噴火に相手を巻き込んだら、
噴火と溶岩の火勢も借りて、めいっぱい追撃していきます。
その後も、アリスさんの指示の下、【Centrifugal Hammer】を叩き込んで、
もっともっと噴火に巻き込んでいけたらいいと思うのです。
●
「あー! ひどい目にあった!」
『油断するからだよ。ったく』
漫才のようなやりとりをしながら、溶岩流が這い出できたのは『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』であった。
先に戦った猟兵の策にはまったようで、ダメージを追っているものの反省した様子は無い。
まだ、『戦い足りない』。そんな様子を滲ませるグラン・ギニョールを、遠目から確認していたのは葛葉・アリス(境界を操る幼き女神・f23419)と白雪・まゆ(月のように太陽のように・f25357)であった。
「まゆ、準備はいい? 私の指示に従える?」
「もちろん、いつでもいけますのですよっ!」
既に作戦は打ち合わせ済。住まいとなっている恋華荘では同じ住人ながら、依頼でのペアは初めてという、この二人。しかし、戦闘に対して憂いは無く。
「火山を利用するなら、やっぱり噴火させるのがいいですよね」
というまゆの意見をそのまま作戦に取り入れたのだ。
後は実施あるのみ!
「この地もただのチェスボード……すべては私の手の中に」
アリスがユーベルコード『電脳神の権能:戦場俯瞰遊戯』を発動させる。一帯を支配する魔力。
「……ん?」
その魔力に気付いたグラン・ギニョールの視線が遠くのアリスを捉える。
「いたいたいたいたいた!」
即座にハンマーを構えて突撃してくるグラン・ギニョールに。
(こちらの駒は、ルークのまゆとビショップのジャバウォック)
手駒を確認して、アリスが感覚を研ぎ澄ませる。自身が乗っている、人造悪魔にして自立型二足歩行魔導戦車『ジャバウォック』は、アリスの意志に従い、地面を蹴って走り出す。
「簡単に逃がすわけねーだろ!」
ジャバウォックが走った軌道に合わせて、グラン・ギニョールもまた進行方向を変更する。
「させないのです!」
そこへ割り込んだのはまゆ。……否、それはアリスが指示した初期配置だ。その場所でまゆがグラン・ギニョールを迎撃する。それはすなわち。
「こういうの、小賢しいって言うんだってな!」
『誘い込まれた』ことを笑い飛ばす勢いでグラン・ギニョールがハンマーを、『殺しの鉄槌』その初撃をまゆに向けて振り下ろす。
「てぇぇぇぇいっ!!」
対してまゆは真っ向から自分の得物を叩き付ける。それは『鋼の軍曹』と呼ばれる超鋼金属製のバトルハンマー『Feldwebel des Stahles』。ハンマーとハンマーが真っ向がぶつかりあい、反発力でお互いがはじけ飛ぶ。
「おおっ! お前、イイ趣味じゃん!」
同じ得物に対して嬉々とした声をあげるグラン・ギニョール。
「そ、そうですか? えへへ」
ハンマーを褒められて、ちょっと嬉しいまゆ。
しかし、アリスにとってはわずかに計算違い。まさか意気投合するとは。
(えー……)
動きが止まったまゆとグラン・ギニョールを見て、どうしたものかと顔をしかめるアリス。その表情にグラン・ギニョールが『気付いた』。
「たまにゃ、『こいつら』も殺りたいってさ!」
グラン・ギニョールの声に応えて召喚されるサンシャイン60。その中から飛び出したのは亡霊殺人鬼の軍団だ。
「……!」
咄嗟にジャバウォックのガトリングを斉射して亡霊殺人鬼を蹴散らすアリス。それでも残った奴らはジャバウォックを走らせて回避する。走らせながら、アリスは思考を止めない。
(強さ、スピード、反応、そして感情……)
この戦場に渦巻く様々な『数値』を確認しつつ、『修正する』アリス。それはすぐに終わって、新しい戦術がアリスの中に組まれる。
「まゆ、右に」
「はいなのです!」
アリスの指示通りにまゆが駆ける。
「どこ行くんだってーの!」
無防備に走るまゆをグラン・ギニョールが逃さないとハンマーを振りかぶる。そこへ。
「ジャバウォック、狙って」
ジャバウォックのガトリングが火を噴く。吐き出された弾丸の嵐はグラン・ギニョールのハンマーに直撃して、グラン・ギニョールの態勢を崩す。
「ちっ」
振りかぶった方向へ押し出されるように態勢を崩されたグラン・ギニョールは、態勢を立て直すべく体に力を入れる。それは『柔軟な動きが取れない』姿勢。
「まゆ、ストップ! 次は左よ」
アリスの指示に従ってまゆが方向転換。正面の延長線上に『グラン・ギニョールがいる』位置。ルークのごとく、そのラインを直進するまゆ!
「くっ、でも甘いなぁ! スイーツみたいだ!」
突撃してくるまゆに対してグラン・ギニョールが回避行動をとる。
しかし。
「まゆ、『その場で地面をたたいて』、全力で」
アリスの指示はグラン・ギニョールではなく、その前方の地面。
「いきますのです!」
まゆが『Feldwebel des Stahles』を構える。全力ダッシュから、相手の直前で一回転。
「一撃必砕! 全・力・全・開っ!」
遠心力を乗せた一撃で以て解き放つユーベルコード『Centrifugal Hammer』を叩き込むまゆ。その衝撃に地面が大きく割れ、下から『マグマが顔を見せる』。
「……! てめ……」
グラン・ギニョールの叫びは最後まで言えず。噴き出してきたマグマがグラン・ギニョールを飲み込む。
火山の噴火。それを利用した作戦。まゆの攻撃をトリガーに、グラン・ギニョールを巻き込む噴火を起こすのが二人の作戦だったのだ。
戦場の数値を読み、噴火口とヤツの位置関係とタイミングがあう瞬間を作り出すのがアリスの役目。地面を破壊して噴火を誘発するのがまゆの役目。
二つの役目がぱっちりとハマった結果。グラン・ギニョールをマグマの中に叩き込むことができた。
「あとは全力で追撃を」
そう言ってジャバウォックのガトリングを斉射するアリス。
「はいなのです!」
まゆもまた『Centrifugal Hammer』を地面に叩き込み、噴火の規模を拡大していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アマータ・プリムス
あのハンマー、中々に厄介ですね
ですがやりようはいくらでも
戦闘中はハンマーに当たらぬように回避重点
距離をとってアルジェントムから砲身を伸ばし迫撃砲で攻撃しながら周囲の情報収集
火口の位置を特定しましょう
そこへ誘導するように位置取りを
辿り着いたらわざと体勢を崩し相手の攻撃を誘います
そこでこちらもUCを発動
「貴女のそれが初撃が当たることが大前提。ならばその初撃を凌いでしまえばいいだけのこと」
アルジェントムからネロが飛び出しハンマーを受け止めていただきましょう
これで当機に必殺の2撃目は当たりません
その間に足元を迫撃砲で爆破
足場を崩し溶岩へ落ちていただきましょう
当機は宙に浮くネロに捕まれば問題なしです
フィオレッタ・アネリ
たぶんわたしたちの知らないトコで、何か企んで暗躍してるんでしょ?
お約束ってカンジだよね!
喋りつつ注意を逸らし、裏で花精を召喚
読心で常に敵の意図を察して戦うよ(情報収集)
風精の吹き飛ばしで体勢を崩し、樹精の蔦絡みで行動を妨げ、花精の精神攻撃で距離感を狂わせ攻撃を回避
ハンマーは振るう瞬間を読心と第六感で察し、軌道を見切り受け流し
グラップルで柄を掴んで体勢を崩し、怪力でひょいっと火山の方へ
そしたら風精に合図、圧縮した酸素の塊を撃ち込み、爆発を起こして噴火に巻き込むね
異世界の殺人鬼、その心を満たすのは――だったら《花神の抱擁》
殺人鬼の「破壊衝動」を浄化して弱体化
樹精の槍で撃ち抜くよ!(念動+槍投げ)
木元・祭莉
さてと。地形を利用、だっけ?
なんかよくわかんないけど、このヘンヤバそうかな?(野生の勘)
姉ちゃんの得意は近接の一撃だから。
このあたりにおびき寄せて、どっかんってさせる!(作戦完了)
姉ちゃん、なんか隠し部屋作ってるってホント?(無邪気に)
このへん?(うろちょろ土壁をコンコンして)
ね、教えて?(にぱ)
狙った位置の少し後ろで待ち。
ハンマーを打ち下ろす瞬間、UCで高速ダッシュ。
白炎を吹き上げ目晦まし、目測を狂わせる!
ハンマーが地盤の緩んだトコを叩いたら、マグマだまりが活性化するかな♪
天井で拠点防御、如意な棒で衝撃波飛ばし、マグマの応援!
あの宝石精霊ね。
願いを歪んだ形で叶えるんだってさ。
何望んじゃった?
彩瑠・理恵
リエ、そんなに喚かなくてもこれだけやったらすぐに代わりますから
さて貴女達はこれを覚えていますか?覚えていたらトラウマかもしれませんね
【模倣再現・殲術再生弾】です!
あははっ!六六六人集番外位リエが、序列2位マンチェスター・ハンマーと序列1位パラベラム・バレットに下剋上も宣言するわ!
遥か上の序列だろうとリヴァイヴァーを受けた闇落ち灼滅者ならば!
ハンマーに対して鮮血槍と鮮血の影業で迎撃して、それらと引き換えに敵にしがみ付いて二撃目を躱すわ
スレイヤーカードから理恵のバベルブレイカーを借りて、しがみ付いたまま地面に叩き込んで噴火を誘発するわ!
諸共マグマに呑まれようとボクはリヴァイヴァーで耐えてみせるわ!
木元・杏
胸(ガン見)
でも頭は悪そうって皆言ってた
ん、乳、捥ぐ(こくん)
周囲の地形と火山の状況をよく観察、地に手を当て地動を感じ取り情報収集
噴火すれば岩石が飛ぶ
そのタイミングで仕掛ける
UC発動
第六感も働かせ逃げ足とジャンプでトントンと岩場を飛び越え
お胸の攻撃を回避
ふふ、当たると思わな……、あ。(コケる)
噴火のタイミングでどじっ子力も発動
一斉射撃、来る
これが狙い
うさみん☆、飛ぶ岩石をキックでお胸に蹴り飛ばし
変形中のハンマーをぶっ潰して?
ひるんだ隙にお胸にダッシュ
発動回避や岩で相殺されず飛んできた弾丸はオーラで防御しつつ一直線
幅広の大剣にした灯る陽光に怪力も加え
横一文字に斬りにかかる
さっさと骸の海に帰って
●
ファーストダンジョン『9-B』区画に流れ出ている大量の溶岩流。周囲の地形や状況よりも新しく、そして流れに勢いもある。それに噴火活動も激しい。
「……なるほど」
恐らくこれは他の猟兵の『作戦の結果』に違いない。すなわち既に『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』との戦闘は佳境に達しているということだ、と。アマータ・プリムス(人形遣いの人形・f03768)が様々な知識を駆使して、その見解を得る。
そのすぐ横で。
「なんかよくわかんないけど、このヘンヤバそうかな?」
木元・祭莉(まつりんこ・f16554)が野生の勘で危険を察知する。この場合、『罠を仕掛けるにはどこがいいか』という話になるけれども。
「ん、大丈夫。すごく熱い……」
汗をだらだらとかきながら、木元・杏(たれあん・f16565)が呟く。周囲の地形の観察、火山との距離、そして地に手を当てて感じた地動と地熱。そういったものを組み合わせて、杏がこの地を『最適』と告げる。
側に立つ、彩瑠・理恵(灼滅者とダークネス・f11313)とフィオレッタ・アネリ(春の雛鳥・f18638)も含めて、この場にいる5人の猟兵。その作戦の方向性は同じといえよう。
すなわち、火山の噴火を利用する。
その方向性を改めて確認しあったところで、そろそろ理恵が『限界』だった。
「……リエ、そんなに喚かなくてもこれだけやったらすぐに代わりますから」
理恵が別人格の『リエ』をどうにか抑えこむ。まだリエの出番には早く、理恵の仕事も残っているのだから。
「見つけたよ!」
その声はフィオレッタから発せられた合図にして、宣言。猟兵たちの視線の先には、火山の噴火から脱出してきたグラン・ギニョールがいた。身を焼く溶岩をハンマーを振るう要領で振り払うグラン・ギニョール。
「あー熱かった! 面白かったんだけどな、あいつら……お?」
猟兵たちとグラン・ギニョールの視線が絡み合う。
「いいねぇ。ひー、ふー、みー……」
『5人だよ。それくらいさっさと数えな』
猟兵たちの数で言い合っているグラン・ギニョールに対し、理恵が一歩前に出る。突き出すは天を差す指。
「さて貴女達はこれを覚えていますか? 覚えていたらトラウマかもしれませんね?」
「は……? えっ?」
唐突に告げられた言葉に理解が追いつかず、しかし理恵は答えを聞いているわけではない。ゆえに、声とともに放つのは。
「『キリング、リヴァイヴァーっ!!』」
ユーベルコード『模倣再現・殲術再生弾』。仲間に『無敵の力と回復力を与える』その強大な力がが戦場に満ちた。
●
「あーっ! なんか見覚えがあるような無いような。何だこの悪寒!」
『油断するんじゃないよ!』
理恵の『模倣再現・殲術再生弾』に一瞬たじろいだものの、すぐに戦闘態勢に移行するグラン・ギニョール。
その僅かな間に、猟兵たちは既に駆け出していた。
「たぶんわたしたちの知らないトコで、何か企んで暗躍してるんでしょ?」
フィオレッタが『精霊魔術《ファヴォーニオ》』で呼び出した風精、それが竜巻に姿を変えてグラン・ギニョールに迫る。
「お約束ってカンジだよね!」
「そりゃあ、あたしは悪い女だからな!」
悪い笑みを浮かべながら、迫ってきた竜巻をハンマーの風圧で吹き飛ばすグラン・ギニョール。
その後ろに控えていたのはアマータ。
「あのハンマー、中々に厄介ですね。ですがやりようはいくらでも」
手にした銀色のトランク――『アルジェントム・エクス・アールカ』は伊達では無く。アマータの意志に従って、アルジェントム・エクス・アールカから迫撃砲の砲身が伸びる。間髪置かず、砲撃で牽制を仕掛けるアマータ。
「重っ!」
グラン・ギニョールは悪態をつきながら、砲弾をハンマーで弾き返す。
その攻防を、杏はじーっと見ていた。主に揺れるグラン・ギニョールの胸を。
「……胸」
「あ……?」
ガン見する杏に思わず動きを止めるグラン・ギニョール。杏がグラン・ギニョールの胸をガン見していたのは、グリモア猟兵のせいか、あるいはもっと別の思惑か。
「でも頭は悪そうって皆言ってた」
「なんだとー!? 乳がデカいからって頭悪いわけじゃないんだからなー!」
デカ乳様がお怒りじゃ。
その怒りのままにハンマーを振り下ろすグラン・ギニョール。大雑把な一撃は、杏に容易く回避される。地面が代わりに叩き付けられ、破壊された岩石の破片が宙に舞い上がる。
「ん、乳、捥ぐ」
大振りな攻撃の後の隙。その一瞬で杏が肉薄する。
「やってみな!」
杏の手がグラン・ギニョールに届くより早く、ハンマーの柄が頭上から降ってくる。
「……しってる」
そう呟いて。杏が跳び上がる。宙に浮いた岩石の破片を足場にトントンと空を駆けあがって、グラン・ギニョールのさらなる追撃をもかわす杏。ユーベルコード『絶望の福音』が杏に未来をもたらす。
「ふふ、当たると思わな……、あ」
くるり回って後方へ着地……したと思ったらコケた。今日もどじっ子力が火山のように噴火する杏である。
コケた杏を狙って突撃してきたグラン・ギニョール。その間に横合いから割り込んだのは祭莉である。
「姉ちゃん、なんか隠し部屋作ってるってホント?」
このへん? とうろちょろしながら地面や土壁をコンコンする祭莉。しかし、どうも手応えが無い。なので。
「ね、教えて?」
にぱっと無邪気に笑ってグラン・ギニョールに問いかける。対してグラン・ギニョールは。
「間抜けか。戦いってーのは『勝者が独り勝ち』するもんなんだよ!」
お返しはハンマーのひと振り。それを野生の勘でかわした祭莉はさらに言葉を投げかける。
「あの宝石精霊ね。願いを歪んだ形で叶えるんだってさ。姉ちゃん、何望んじゃった?」
「ハッ。お前こそ全然『わかっちゃあいない』んじゃあない?!」
祭莉が示唆したことは的外れだといわんばかりにハンマーを振り下ろすグラン・ギニョール。
そのハンマーを迎撃したのは『血液で作られたナイフ』。質量差で言えば圧倒的に不利なナイフがハンマーを受け止め、弾く。それを放ったのは理恵……いや、リエ。すなわち、リエの『殺人技芸』であった。
「あははっ! 六六六人集番外位リエが、序列2位と序列1位に下剋上も宣言するわ!」
狂ったような、否、嬉々とした笑いを以て、リエが言葉を叩き付ける。
「それ、勘違い……だよな? あれ? どうなんだババア?」
『私が知るか。今はしがないトンカチだよ』
「じゃー、気にせず殺っちまうか!」
グラン・ギニョールの笑みはリエの挑戦を受け取ったものとして。再びグラン・ギニョールがハンマーを振りかぶった。
●
グラン・ギニョールのハンマーがリエ目掛けて振り下ろす。『殺しの鉄槌』、グラン・ギニョールの『必殺の二撃目』に至る、その初動。
しかしリエは怯まない。
(遥か上の序列だろうと、リヴァイヴァーを受けた闇落ち灼滅者ならば!)
それはリエの出自であり、矜持。『今』ならば『戦える』と。振り下ろされるハンマーに対して、真っ向から『鮮血槍』と『鮮血の影業』を叩き付けるリエ。その衝撃でハンマーの打点が揺らぐ。
しかし、グラン・ギニョールが無理矢理放ってきた二撃目。それをハンマーに纏わりついた影業をロープワークのように利用してグラン・ギニョールに接近、しがみつくようにしてかわすリエ。
「面倒くさいなぁ!」
「殺人鬼だもの!」
ハンマーの柄でリエを叩き、無理やり引き剥がすグラン・ギニョール。リエが再び仕掛けるが、それはハンマーの一撃で吹き飛ばされる。
風精を傍らに待機させながら、フィオレッタはグラン・ギニョールの心を読む。
(彼女の心は常に変わらず……ね)
敵の意図、目的、衝動。それを探るフィオレッタだったが、常に伝わってくるのは『殺人衝動』に『破壊衝動』、そしてそれに抗わないグラン・ギニョールの本心。
裏で何かを仕込んでいたのは事実としても、ことこの戦いにおいては裏表は無さそうだ。
ならば、とフィオレッタが手をかざす。
「こんなか弱いグラン・ギニョールさんに多勢とはね!」
嘯きながら、フィオレッタの動きを察知したグラン・ギニョールがハンマーの矛先を彼女へ変更する。
「読みが甘いね!」
それに動じず、風精の吹き飛ばしを叩き付けるフィオレッタ。わずかに角度をつけて叩き付けた風がグラン・ギニョールの態勢を崩す。
「ちっ!」
舌打ちしながら踏みとどまり、強引に振りかぶったハンマーを振り下ろすグラン・ギニョール。しかし、その一撃はフィオレッタの手前の地面に突き刺さる。
「間に合ったね」
ふぅ、と息を吐くフィオレッタ。風を巻き起こしている間に、『精霊魔術《クローリス》』で呼び出した花精の精神攻撃がうまく距離感を狂わせてくれたようだ。
「ややこしいことすんなって!」
ハンマーを引き抜き、今度は体から接近しようとするグラン・ギニョール。体がぶつけてそこからなら外すことは無いからだ。その突進を阻止したのは、横合いから直撃した砲弾、アマータの迫撃砲である。
「ちくしょう! そんなにあたしのことが好きか!」
数発続けて着弾する砲弾に、標的をアマータに切り替えるグラン・ギニョール。ハンマーを振りかぶろうとした瞬間に、さらに割り込んだのは祭莉であった。
「姉ちゃんの得意は近接の一撃だからなー」
そう言いながら、祭莉が地を力強く蹴り出す。
「このナリでそうじゃなかったら困るだろ?!」
グラン・ギニョールが突進してくる祭莉目掛けてハンマーを振り下ろす。その刹那、祭莉の体が燃え上がる白炎に覆われる。ユーベルコード『風輪の疾走』。自身を強化しながら白炎を吹き上げ、グラン・ギニョールの目測を狂わせる祭莉。
(このあたりに、どっかんってさせる!)
それは事前に打ち合わせていた『火山の利用』。グラン・ギニョールの攻撃を利用して、噴火を誘発しようというのだ。
祭莉の思惑通り、目測の狂ったグラン・ギニョールの一撃が地面に突き刺さる。
「ぎゃー! また外したー!」
再びハンマーを引っこ抜くグラン・ギニョール。徐々に地盤が壊れ始めているが、まだ地下の溶岩を、マグマを呼び起こすには衝撃が足りない。
そこへアマータが告げる。これまでの戦闘の様子を観察して、得た結果を、冷静に。「貴女のそれは初撃が当たることが大前提。ならばその初撃を凌いでしまえばいいだけのこと」
「だから、やってみなって!」
アマータの『宣言』に多少イラッとしたのか、ハンマーを構え直し、アマータに向けて突撃するグラン・ギニョール。
「……!?」
その素早い態勢立て直しに、思わず後ずさり、態勢を崩すアマータ。
「そーら、凌げるかねぇ!」
アマータの様子を好機と捉えたグラン・ギニョールの強烈なハンマーの一撃。それがアマータに直撃する……その瞬間、アルジェントム・エクス・アールカから飛び出したのは、アマータの人形『ネロ・フラーテル』であった。ネロがハンマーを受け流し、ハンマーは再び地面を叩く。
「初撃は凌ぎました。これで当機に必殺の2撃目は当たりません」
ゆえに。アマータの口が小さく、呪いの言葉を紡ぎ出す。
「種も仕掛けも見破りました。誠に勝手ではありますが暫しご退場願います」
「なっ……!?」
棒立ちするアマータを横殴りしようとハンマーを持ち上げかけたグラン・ギニョールが驚愕の言葉をあげる。突如ハンマーが全く動かなくなったのは、アマータのユーベルコード『Vere ac libere loquere』が封じたため。しばし、と告げられた通り、その時間の内は殺しの鉄槌が使えない。
その様子に、悟ったような顔でグラン・ギニョールが呟く。
「あー……これは殴り合うって気がないわけだ?」
地面から離れないハンマーから手を離し、グラン・ギニョールが叫ぶ。
「ババア! 出番だ!」
『結局ババア頼りかい。ったく』
グラン・ギニョールの言葉に、ハンマーが悪態をつきながら、無数の拳銃に分解されていく。グラン・ギニョールの『弾幕オペレッタ』の発動、そのシークエンス。
(一斉射撃、来る……!)
このタイミングこそが、杏の狙っていた瞬間であった。
●
弾幕オペレッタの一斉射撃。その弾幕が放たれるその前に。まだハンマーが拳銃へと変わりつつある中で。
「うさみん☆、ぶっ潰して?」
そう告げながら、杏は両手の繰り糸を素早く操る。その意思に応じて『うさみみメイド・うさみん☆』が跳ぶ。その跳躍の先にあったのは、戦闘の最中、度重なる回避によって、破壊された地面、岩石の欠片。衝撃で宙に浮いていた欠片たちを、空中で素早く身を翻したうさみん☆がその脚で次々と蹴り飛ばしていく。目標はもちろん、お胸……じゃない、グラン・ギニョールのハンマー。
「おいぃぃぃ?!」
発動から一斉射撃までのわずかな隙。そこを狙撃されたために弾丸で迎撃することもできず。高速で飛んできた岩の欠片に叩き落とされる拳銃たち。それでも何挺かはグラン・ギニョールの制御下にあるままだ。
「あーもー! 残ってる分だけでもぶっ放せー!」
グラン・ギニョールの声に、拳銃たちが一斉射撃を放つ。それは完全ではなくとも、かわすには厳しい弾丸の嵐。それが猟兵たち目掛けて飛んでくる。
「それも、みえてる!」
杏の『絶望の福音』は既にその未来を捉え、ジャンプしてかわす杏。華麗に着地した後は、素早く動いて弾幕をかわしていく。
一方、距離を取っていたフィオレッタたちは、そのまま弾幕を浴びせられた。
「きゃぁぁっ!」
フィオレッタの悲鳴。しかしリエが声を張り上げる。
「このくらい! リヴァイヴァーがあるボクらなら!」
「え? あ、ホントだ」
祭莉が自分の体を確認する。『模倣再現・殲術再生弾』の効果、ハンパな弾丸は無敵の力に弾き返され、それを突き破って負わされた傷すらも無限の回復力が癒していく。
「これなら……チャンスは今です」
同じく『模倣再現・殲術再生弾』の恩恵の中で、アマータが告げる。
弾幕のせいで、逆に相手はこちらを把握しきれない……今なら!
「ここです」
確実に狙うため。宙に浮くネロに掴まった状態でアマータが迫撃砲を放つ。穿つ地面はグラン・ギニョールのわずかに前方。先の戦闘で散々グラン・ギニョールのハンマーが叩いていた箇所。既に崩壊寸前だった地面は、アマータの一撃で大きく地割れしていく。それは徐々にグラン・ギニョールの方へ広がっていき。
「マジか!」
グラン・ギニョールにしてそう叫ぶのが精一杯。地割れから盛大に、大量に噴出する溶岩がグラン・ギニョールに向けて流れてくる。
それは。
「そいやー!」
気合一閃、『如意みたいな棒』から衝撃波を飛ばし、吹き出した溶岩に当てることで流れに指向性を持たせた祭莉の仕業。
「そんなに簡単に巻き込まれるわけ……」
「では、こちらはいかがですか?」
溶岩流から退避しようとしたグラン・ギニョールの背後。そこへいつの間にか回り込んでいたフィオレッタが不意打ちでハンマーの柄を掴む。反撃の隙すら許さず。
「はぁっ!」
怪力で以て、溶岩流の方へ放り投げるフィオレッタ。おまけといわんばかりに、風精に合図、グラン・ギニョールの真上から圧縮した酸素の塊を撃ち込み、化学反応を起こさせて小規模爆発を誘発する。
「あたしは小麦色の肌には興味ないっつーの! 色白デカ乳がセクシーポイントなんだよ!」
爆発をハンマーを振り払い、溶岩流から脱出しようとするグラン・ギニョール。しかし、それを留めるのは血液の鎖、リエの殺人技芸。
「さっきの、お返しよ!!」
その声は頭上から。仰ぎ見た上から降ってくるリエの手には『スレイヤーカード』から呼び出したのは理恵の『バベルブレイカー』。その巨大な杭でグラン・ギニョールを地面に、溶岩の中に縫いとめるべく、強烈な一撃を叩き込むリエ。
「お前! お前も焼けるぞ!?」
「ボクは『日焼け止め』を使ってるからね!」
溶岩の中でもみ合うグラン・ギニョールとリエ。溶岩流から脱出しようとするグラン・ギニョールの体にリエがしがみついて拘束する。溶岩流のダメージは『模倣再現・殲術再生弾』の回復力で耐えながら、リエは仲間の追撃を待つ!
これまでの戦闘でグラン・ギニョールに蓄積されたダメージは相当なものだ。
「あぁぁぁもぉぉぉぉ!! もっと真正面から殴り合おうぜ?!」
それでもなお戦意を失わないグラン・ギニョールをみて、フィオレッタが目を細める。
(異世界の殺人鬼、その心を満たすのは――)
フィオレッタの心に読心を通じて伝わってくるのは、相も変らぬ『殺人衝動』と『破壊衝動』。それらがグラン・ギニョールの根底ならば。
「骸の海よりこぼれし雫よ――いのち満ちるとこしえの春に眠れ」
フィオレッタのユーベルコード『《花神の抱擁》』。オブリビオンの魂を浄化し『破壊の意志』のみを攻撃する、生命の花びらの渦がグラン・ギニョールを飲みこむ。
しかしそれは、浄化するには強大過ぎて消し去ることは出来なかったけれども。確実に『破壊衝動』を浄化し、削り落とし、結果グラン・ギニョールは弱体化する。
「て、め……。何した……?」
抵抗する力が弱まり、リエの拘束もあって溶岩流の中で動きを止めるグラン・ギニョール。
――そのチャンスは一瞬。
「いま……!」
杏が一直線にダッシュする。その手には幅広の大剣にした『灯る陽光』。白銀の光が杏の手の中で煌めく。跳び上がり、溶岩流の中に見えている岩石の先を蹴って、グラン・ギニョールに肉薄する杏。
「……斬る!」
怪力を斬撃に乗せて、横一文字に一閃する杏。そのままグラン・ギニョールの横を跳び抜けて、溶岩流の反対側に着地する。
「撃ち抜くよ!」
フィオレッタが叫び、追撃の樹精の槍が放たれる。念動力で制御されたそれは、溶岩流を避け、的確にグラン・ギニョールのみを貫く。
「がっ、はっ、くっ……ちくしょう……」
今、この場にいる者たちだけではない。これまでの猟兵たちの度重なる攻撃と溶岩や噴火による肌を焼くダメージ。蓄積に蓄積されたダメージが、フィオレッタと杏の攻撃をトドメへと至らせた。
「さっさと骸の海に帰って」
灯る陽光を突きつけ、杏が告げた先はグラン・ギニョール。
「お、前ら……これで終わった、と……」
「何度でも、ボクが倒す、殺すわ」
グラン・ギニョールの捨て台詞をリエが遮った。次も横暴を許すつもりは無い、と。
そして……祭莉たちの前から。この世界からグラン・ギニョールが消える。
それは猟兵たちがグラン・ギニョールに勝利した瞬間であった。
「ふぅ。わたしたちの勝利、ですね」
「皆様、お疲れ様であります」
ひと息ついたフィオレッタにアマータが言葉を紡ぐ。緊張感が解け、その場にいた一同の表情が緩む。
『戦略級殺人鬼『グラン・ギニョール』』との戦いを制した猟兵たち。ひとまず、9-B区画の戦闘は終了だ。宝石災魔のこともあるが、まずは傷を癒さねば。
この後、『隙あらば誰かのお世話をしている』アマータの手によって、ゆるやかな休憩を取ることになるのは、また別のお話である。
大成功
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