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祈りを呑み込む森

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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●深緑の征服者
 夜の荒野を、一頭の獣が歩んでいく。
 夜空が形を取ったかのような漆黒の被毛に、薄緑色の光を宿した長く弧を描く角。その姿は聖なるもののようであり、同時に狂気を孕んでいるように見えた。
 歩んでいく黒い獣の側に侍るのは、幹を胴体、枝を四肢とした樹木の巨人。みしみしと軋む音を立て、王たる獣に従って歩いていく。
 やがて、獣達の行く先に村が現れた。集落を取り囲むように堀と塀が築かれているが、作りは簡素でこの村が夜盗や魔物に脅かされているわけではないことが見て取れる。
 歩みを止めることなく、獣は進んでいく。
 夜が明けた時、昨日まで村があったはずのそこは、植物に覆われていた。
 木々だけが無言で生い茂る、深い深い緑の園。
 そこは豊穣でありながら命の気配のない「死の森」だった。

●死の森への誘い
 グリモアベースにやって来た猟兵達を見やって、ミレイユ・ダーエ(永遠の森の歌乙女・f01590)は薄く微笑んでみせた。
「こんにちは、猟兵の皆さん。つかぬことをおうかがいしますが、森はお好きですか?」
 脈絡のない問いかけに、猟兵達は戸惑いつつもめいめいリアクションを返した。
「私は好きですわ。暖かな光も、爽やかな風も、緑と土の匂いも。なにより、動物や鳥や虫達、森に棲むものたちの命に満ちた静かなざわめきが」
 どこか遠くを見るような瞳で語っていたミレイユが、その顔を曇らせる。
「アックス&ウィザーズの世界に、ヒューレイオンという名前のオブリビオンが出現いたしますの。彼が歩いた跡は一晩と経たずに森になります」
 そこだけ聞けば害のない幻獣のように思えるが、実際はそうではない。
「ヒューレイオンは自分が生み出した森を傷つける存在を殺します。それが小枝一本、葉の一枚であっても。それはすなわち、植物以外のものが森に生きることを許さないということに他なりません」
 ヒューレイオンの森、そこにあるのは植物だけ。獣も鳥も虫も、その緑の聖域に足を踏み入れることはできない。
「それは正しい森の在りようではありませんわ。森に生きるものは全て等しく、森の一部なのです。植物以外の住人がいなければ、すぐに森は崩壊してしまいます。そして、ヒューレイオンは枯れた森を再び訪れてまた森を生む。……救いようのない繰り返しですわ」
 いつしか、ミレイユの顔は悲しみに沈んでいた。
「本来、ヒューレイオンは森の誕生を司る聖獣だったと私の故郷には伝わっています。なぜ今のように変わってしまったのか知る術はありませんが……せめてこれ以上死の森が広がらないように、オブリビオンとなった彼を討ち果たしていただきたいのです」
 青い瞳を潤ませて、ミレイユは猟兵達に向かって神妙な面持ちで頭を下げた。

●円環を砕く
 ミレイユが猟兵達に提案した作戦は、ヒューレイオンの進路上にキャンプを張り、やって来たところを迎撃するという非常にシンプルなものだった。
 キャンプ設営地点は次に滅ぼされると予知された村から徒歩で半日程の距離がある。これは戦闘の余波で村に被害が及ぶことを避けるためだ。
 現地へは日が昇っているうちに到着することになる。予知されたオブリビオンの到来は夜。それまでに十分な準備と休息を取り、万全の迎撃態勢を整えねばならない。
「というのも、敵はヒューレイオンだけではないからです。『荒ぶる山神』という四肢を備えた動く樹木が行動を共にしており、ヒューレイオンを倒そうとする皆さんの前に立ちはだかるでしょう」
 荒ぶる山神は数メートルにもなる巨体であり、相応の怪力を備えているため激しい戦いが予想される。よほど優れた者でなければ膂力で勝負を挑むのは避けるべきだろう。逆に素早い攻撃で隙を突いていけば戦いを有利に進められるはずだ。
 ヒューレイオンとの戦いでは蹴りと角の連携攻撃には特に注意が必要だ。しかし、植物人間を召喚する時には長く動きを止めるため、そこを攻撃範囲の広い手段で狙えば植物人間を一掃しつつヒューレイオンにもダメージを与えられる。
「荒ぶる山神とヒューレイオン、どちらも力に優れる敵ですわ。しっかりと準備を整えて連戦に備えてください」
 そう説明を締めくくって、ミレイユは立ち上がった。左手の中で空色のグリモアが優しい光を放っている。
「それでは、準備のできた方からアックス&ウィザーズへとお送りいたしますわ。皆さんの旅路に、夕焼けと追い風の祝福がありますように」


中村一梟
 猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
 今回はワイルドなほうのファンタジー世界、アックス&ウィザーズが舞台のシナリオをお届けします。

 第1章はウィルダネスアドベンチャー風のシーンとなります。時刻は昼過ぎ~夕方くらいを想定していますので、POWでの判定をご希望の方は「戦闘の準備をする」みたいなプレイングでどうぞ。

 第2章および3章は戦闘です。今回は各種ボーナスの付与基準を厳しめにしますので、箇条書やシチュエーションを伴わない技能の記述はあまり有効ではないとご留意ください。  これらのシーンでは周囲への被害は考慮しなくてもOKです。また、戦闘は夜間に行われます。

 それでは、皆様と一緒によい物語を作れることを楽しみにしております。
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第1章 冒険 『荒野のキャンプ』

POW   :    寝ずの番で警戒する

SPD   :    キャンプ技術や美味な料理で環境を整える

WIZ   :    キャンプ場所を探す、敵を誘う細工をする

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

枦山・涼香
狂った聖獣、なのでしょうか。
寂しい話です。

しかし、ただ待ち受けるのも芸がありません。
今のうちに周囲の地形などを【情報収集】しておきましょうか。
夜間によく知らない場所で戦闘を行うのは怖いですもの。

散歩がてら、どのような場所で仕掛けるか考えます。
邪魔な下草などは【なぎ払い】ながら進みましょう。
詳細よりは網羅性優先で広い範囲を見て回ります。

戦闘するならば、速度に優れているわけではなさそうですし、怪力自慢の相手では間合いが取れないと厳しいでしょうから、広い平野が良さそうに思えますね。

実際の遭遇から戦闘は流動的にならざるを得ないかと。
どこで遭遇しそうかを考慮した上で、どこで戦うかの腹案を練っておきます。



 アックス&ウィザーズの原野へとやって来た猟兵達。目下の課題は、どこに陣を敷くか、である。
(速度に優れているわけではなさそうですし、怪力自慢の相手では間合いが取れないと厳しいでしょうから、広い平野が良さそうに思えますね)
 小高い丘の上から周囲を見回して、枦山・涼香(烈華なる黒狐・f01881)はそう結論づけた。
 実際にはある程度流動的にならざるを得ないだろうが、それでも地形を一切考慮せずに作戦を考えることはできない。彼女は予知されたオブリビオンの進路に沿ってあちこち歩き回り、頭の中に戦術を組み立てていった。その様は一見散策を楽しんでいるように見えるが、周囲の地形を観察する金の瞳に油断はない。
(ただ待ち受けるのも芸がありませんし、夜間によく知らない場所で戦闘を行うのは怖いですもの)
 そんな風に探索すること、小一時間。涼香は迎撃戦にお誂え向きの場所を見つけた。
 遮蔽物のほとんどない平原である。唯一の例外は、丘の斜面に茂る木立だ。この向こう側であれば、木々が衝立となってキャンプを隠してくれるだろう。
 ここなら戦闘を有利に運べるに違いない。涼香は仲間達に合流するため踵を返しかけ――ふとオブリビオンがやってくるという方角に目をやった。
(今回の敵は狂った聖獣、なのでしょうか)
 一体何が、森の守護者を狂気に陥らせたのか。骸の海の波の下に眠る真実を突き止めることは、今はできないだろう。
「寂しい話です」
 呟いた涼香の黒髪を、一陣の風が撫でていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナミル・タグイール
森は大好きだけど、植物しかないのはつまらないデスにゃー。
ダンジョンとかお宝までセットで用意して欲しいにゃ!
(敵に向けてです)

行動は【POW】脳筋思考
張り切って敵を待つにゃ!
でもキャンプ作りは苦手デスにゃ。皆に頼みマスにゃ。
力仕事があればナミルに任せるにゃ!
【野生の勘】を使って一応周囲を警戒、食べ物に困るようなら動物を狩ったりもしようかにゃ。
何もなければ暇でウロウロしたり暖かそうな場所でウトウトごろ寝。
さ、サボってないにゃ。力を蓄えてるデスにゃ!

お肉大好き
アドリブ歓迎



 絶好の場所を見つけキャンプの準備を進めていく猟兵達だったが、そうなるとそういった作業が得意でない脳筋族――もとい武闘派の面々は暇を持て余し気味になる。
 ナミル・タグイール(呪飾獣・f00003)もその内の一人だった。
「森は大好きだけど、植物しかないのはつまらないデスにゃー」
 うろうろ。
「ダンジョンとかお宝までセットで用意して欲しいにゃ!」
 ごろごろ。
 敵を待つにゃ! と張り切っていたのは最初だけ。ちょうどいい感じの日だまりで過ごす間にナミルはうとうとと……。
「さ、サボってないにゃ。力を蓄えてるデスにゃ!」
 それでも近づいて来る気配を察知してすぐさま覚醒できるのは野生の勘のなせる業か、一応周囲を警戒していたのが功を奏したのか。
 飛び起きて振り返ったナミル。彼女を見ていたのは他の猟兵ではなく、一頭の鹿だった。
(そういえば、ご飯を作らにゃいといけにゃいにゃー)
 日は少しずつ傾き始めている。手間隙や敵に見つかる危険性を考えれば、日没までに食事を終わらせておかなければならない。
 すなわち、導き出される結論は。
「肉ー!!」
 それまでのだらけた姿はなんだったのか。ナミルは目にも止まらぬ速さで鹿に襲いかかった。グラウンドクラッシャー……は流石に過剰火力なので自粛して、斧で首を一撃。
「ふっふふーん、肉肉肉ーデスにゃー」
 ご機嫌で尻尾を揺らしながら、ナミルは獲物を仲間達の所まで運んでいく。
 この後、鹿は猟兵達が美味しくいただきました。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスト・ペルメオス
(POW)

…とても、嫌な話です。
森を生み出す聖なる獣。それだけで済めば、どんなに良かったことか…。

ともかく、気を取り直して戦いに備えます。
まずは周辺の環境や地形など、戦闘に関わる情報収集を行いましょう。
上手くいけば、敵の迎撃に有効なポイントが見つかるかもしれませんし。

次に、装備や機械鎧の点検。必要があれば可能な限りの整備と調整をします。
可能であれば、軽く機械鎧を動かしておきたいところです。
猟兵用の機械鎧と言っても、まだ地上での作戦行動に慣熟しているとは言えませんし…。
もちろん、あくまで軽くです。戦いの前に消耗するなんてとんでもない。

…キャンプは、その。すみませんが皆さんに頼らせていただきます。



 迎撃予定地点とその周辺を歩き回っていたミスト・ペルメオス(新米猟兵・f05377)は、環境パラメータをデバイスに入力する手を止めた。
(……とても、嫌な話です)
 かの黒き獣が狂った理由が何であるにせよ、オブリビオンである以上は倒さねばならない。そのことが、ミストの足取りを重くさせる。
(森を生み出す聖なる獣。それだけで済めば、どんなに良かったことか……)
 それでも、放置すれば人が死ぬ。ならば戦うしかないと覚悟を決めて、彼は仲間達の元へと戻った。
「すみません、頼りきりになってしまって」
 準備を進める猟兵に、ミストは律儀に頭を下げる。野宿というものが途絶えて久しい世界に生まれた少年にとって、キャンプを設営するというのはなかなか手出ししにくい分野だった。そのため周囲の調査と見張りを買って出たのだが、天幕を張りかまどを作りと忙しなく働く仲間達を見れば、どうにも申し訳ない気持ちになる。
(猟兵用の機械鎧と言っても、まだ地上での作戦行動に慣熟しているとは言えませんし……)
 せめて戦いでは任せきりにはすまいと、ミストは愛用の武具の整備に取りかかる。
 集めてきた情報を元にプログラムを書き換えていく。重力下で運用しても問題のないスペックは備えているが、安心はできない。ほんの僅かな不具合が致命的になるかもしれないのだ。
 続いて試運転。数時間後に戦闘を控えているから、調整した部分を馴染ませる程度に留めておく。
(これでよし。後は……)
 実戦でやれるかどうかだ。ミストは橙色に変わりつつある空を一瞥して、機械鎧を操る自分自身をベストな状態に持って行くため休息を取ることにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノイシュ・ユコスティア
こうやって、皆で協力する旅ははじめてだな。
みんなと仲良くやらないと。

「悪循環は食い止めないとな。」

【SPD】能力で行動する。
腹が減ってはなんとかっていうからね。
食材は現地で調達。
釣りをしてくる。
時間がないなら持ってきたパンを分けあって食べる。
あんまり食べ過ぎると動けなくなるから僕は少しでいいかな。
魚や肉を焼く時はしっかり火を通すよ。
テントを張るのは得意さ。
任せてくれないかな。
忙しなく動き回っている。
…緊張をほぐしているつもり。
視力はいいので、外で見ていて敵が来たとわかったら、ハンドサインで伝えるよ。

しっかりやらないと、と思っているので、仲間に声をかけたりする。
アックス&ウィザーズ出身。



 ガサガサと茂みが揺れて、ノイシュ・ユコスティア(風の旅人・f12684)がキャンプへと戻ってきた。片手に釣竿、もう片方の手には蔓を編んだ籠。少し離れた川辺まで釣りをしに行っていたのだ。
「テントを張るのは得意さ。任せてくれないかな」
 獲物を置くやいなや、ノイシュは他の猟兵を手伝ってテントを張る。それが終われば次は食事の準備と、忙しなく動き回っていた。
 そうしていないと、初めて他の猟兵達と共に挑むオブリビオンとの戦いを前に高ぶる心が緊張に押し潰されてしまいそうだったから。
 多少の救いだったのは、戦いの舞台が全く未知の世界ではなく、ノイシュが生まれ育ったアックス&ウィザーズということだろう。おかげで必要なことを見失うことなく、目先のことに集中していられる。
 そうしている間に時間は過ぎ、地平線の向こうに太陽が沈みかける頃。万が一があってはいけないとしっかり火を通した肉と魚、そして持ち寄ったパン等の食料で猟兵達は思い思いに食欲を満たした。
 ノイシュはあまり食べていない。食べすぎると動けなくなるというのもあるが、いよいよ目前となった戦いへの気負いもある。
「悪循環は食い止めないとな」
 紫の瞳で地平線に消えゆく夕日を見つめて、ノイシュは小さく呟いた。

成功 🔵​🔵​🔴​

紫洲川・珠璃
「聖獣ともいわれた獣がどうしてこんなことをしているのかしらね」

とりあえず、夜に来ることはわかっても、具体的にいつ来るかはわからないので
なんとか接近を感知できるような手が欲しいわね

夜だから目視だと高いところに陣取ったりしても見えないのかしら
でも、「薄緑色の光を宿した長く弧を描く角」があるから本体は見えなくても
うまくすれば角は遠くからでも目視できそうなので、それに賭けて見通しのいいところで観測ね

あとは従者の荒ぶる山神が重量級のようだから足音で接近を気付けそうなので
足音のような騒音についても注意しておくわ

ところでヒューレイオンとやらはどの位の大きさなのかしら
もしかして山神と同じ位だったりするのかしら



 荒野の果てに日は沈み、空の青が段々と濃く暗くなっていく。
 紫洲川・珠璃(夜を追う者・f00262)を初めとした猟兵達はキャンプを中心に方々へと散ってオブリビオンを待ち受けていた。
「聖獣ともいわれた獣がどうしてこんなことをしているのかしらね」
 丘の上の岩に登り、暗闇に沈んでいく原野を見つめながら珠璃はひとりごちた。骸の海に沈んだはずの過去、いかなる理由でそれが現在へと舞い戻ってきたのかは定かではない。だが、オブリビオンを放置すれば世界は未来へと向かう力を奪われ、いずれは制止した時間の中に閉ざされてしまう。だから、オブリビオンは倒さねばならない。例えそれが何者であろうとも。
 頭を軽く振り、珠璃は意識を眼前の光景に引き戻した。ヒューレイオンの角が宿しているという薄緑の光を探し、青い瞳が夜の帷を見透かそうと細められる。
 珠璃が探すのは森の神の光だけではない。荒ぶる山神の巨体が大地を踏み締める音も敵の接近を探知する有効な手がかりになるはずだ。
 今のところ、ぴんと立った銀狐の耳は何の音も捉えていない。
 珠璃達猟兵の緊張感を孕んで、夜は静かに更けていく。

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴェル・ラルフ
僕も森は好き。でもやっぱり、生き物がいるからこその魅力だよね…懐の深さが魅力だと思うけどなぁ。

そろそろお出ましの時刻かな。
みんなが用意してくれたキャンプや食料もあることだし…腹ごしらえしたら、
[暗視]をいかして少し遠くまで見回りしながら警戒していよう。
大きそうだし、探せば案外見つかるんじゃないかな。
武器はいつも肌身離さず…ナイフを持って息を潜め、耳を澄まして歩こうかな。

「荒ぶる山神」って、どんな姿なんだろう…
神っていうくらいだもの、用心しないとね。

得た情報はすぐに仲間と共有
戦いは有利に進めないとね



「そろそろお出ましの時刻かな」
 ヴェル・ラルフ(茜に染まる・f05027)は天頂近くで輝く月を見上げた。彼は夜目を生かして、キャンプからやや離れたところまで偵察に出ている。
 手には抜き身の短剣。砂を踏むわずかな音さえも立てない歩法で、ヴェルは静かな荒野を進んでいく。
 彼も森は好きだ。だが、そこに暮らす生き物がいてこその魅力だと彼は考える。鳥も虫も獣も、あらゆる営みを受け入れる懐の深さこそ森のあるべき姿なのではないだろうか。
「それはそうと、『荒ぶる山神』って、どんな姿なんだろう……」
 予知によれば身長数メートルの木の巨人であるらしい。それなら遮蔽物の少ない荒野では目立ちそうなものだが、今のところそれらしい影は見当たらない。
「神っていうくらいだもの、用心しないとね」
 そう呟いたところで、ヴェルははたと気がついた。
 ――静かすぎる。
 夜行性の生き物も決して少なくはないはずなのに、何の足音も鳴き声もしない。
 これから来るものを察知して逃げ出したのだろうか。
 疑問を胸にヴェルは視線を巡らせ――そして見つけた。
 荒野を進む薄緑色の光と、巨大な影。
「皆を呼んでこよう。先手を取れれば……。戦いは有利に進めないとね」
 素早く身を翻し、ヴェルは仲間達が待つキャンプへと戻っていった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●沈黙の彷徨者
 幹を胴体、枝を腕、根を脚とした樹木の巨人。それが「荒ぶる山神」と呼ばれる魔物の姿である。
 だが、その巨人には欠けているものがあった。
 天に向かって伸びているはずの梢。人で言えば頭に相当する部分がない。太い幹が突如として断ち切られ、年輪を晒している。
 失われた梢と、山神が人々を襲うことに何らかの関係があるかはわからない。だが、一つだけ確実に言えるのは、この巨人達を倒さなければオブリビオンの歩みを止めることは叶わないということだ。
 キャンプに集まった猟兵達は互いに頷きあうと、それぞれの武器を手に飛び出していった。
ノイシュ・ユコスティア
真の姿では、背中に鷹の翼が生える。

「連戦になるけど、気を引き締めて行こう!」

仲間に自分の位置を知らせるため、照明を腰につけて戦う。

月明かりを頼りに、千里眼射ちで2体以上を同時に攻撃できる位置に立つ。
10秒集中できるように、敵からは距離をとる。
仲間の集団から孤立しないように注意する。
敵が近づいてきて10秒集中が無理なら弓の援護射撃で攻撃し、走って敵との距離をとる。
体勢を崩して矢が射てない時は、手裏剣を投げて攻撃する。
自分の負傷が25%以下の時、あと1擊で倒れそうな仲間がいたら、援護射撃で敵の気をひく。

ピンチの時、真の姿になる。
「君を倒すまで、この弓は離さない!」

「険しい戦いだったな…。」



「連戦になるけど、気を引き締めて行こう!」
 敵へと向かっていく仲間達にそう声をかけて、ノイシュは弓を構えた。
 無言で歩む山神達の列をやや右方に望む岩の上に立って、弦を引く。
 月明かりは敵味方を仔細に判別するにはやや心許ないが、幸い的は大きい。まだ距離があることもあって、集中して狙い済ますだけの余裕はあった。
 つがえた矢の先に見える樹木巨人の数は……三体。三角形の隊列を組んでいる。
「……行けっ!」
 夜を切り裂いて、ノイシュが放った矢が飛ぶ。先頭の山神の、人間でいえば右肩と呼ぶべき場所に命中。続けて第二射。今度は左肩。三射目、再び右肩。
 続けざまに矢を受けて、巨人がぐらりと揺れた。そのまま倒れるかと思われたが、たたらを踏みつつ立ち直って、ノイシュ目がけて突き進んでくる。
 荒ぶる山神の足元で土や蹴散らされ、もうもうと砂煙が上がった。ノイシュは岩から飛び降り、走る。
 爆弾が炸裂したような音がした。振り返れば、さっきまで立っていた岩が山神に踏みつけられ、ばらばらに砕けている。
「君を倒すまで、この弓は離さない!」
 素早く弓を構え直し、ノイシュは再び矢を放った。樹木巨人の腕が、脚が、頭のない胴が瞬く間に針鼠のような有様となり、ゆっくりと前のめりに倒れて動かなくなる。
「……厳しい戦いになりそうだ」
 倒れた山神の背に飛び乗って、ノイシュは他の敵と戦う仲間を援護すべく弓を引き絞った。

成功 🔵​🔵​🔴​

ナミル・タグイール
スヤスヤ…にゃ!やっと来たんデスにゃ!
お腹いっぱいでうとうとしちゃったにゃ。
めっちゃでっかいにゃー!倒しがいがありそうデスにゃ。
戦闘は任せろデスにゃー!(キャンプ作りが暇だった分張り切って)
・行動
何も考えずに突撃。パワアアデスにゃ!
でっかい体をよじ登って呪いの斧による【グラウンドクラッシャー】で腕を切り落とし狙い。どっかんデスにゃ!
抵抗されたら斧を突き刺して耐えるにゃ。斧が纏ってる【呪詛】で動きにぶったりしてくれないかにゃー。
ひたすらザクザク頑張るマスにゃ!



「……にゃ! やっと来たんデスにゃ!」
 胃袋が満たされてまどろんでいたナミルは金の斧を引っつかみ、テントを飛び出した。
「戦闘は任せろデスにゃー!」
 木立を駆け抜け、戦場に躍りこむ。立ち塞がった荒ぶる山神を見上げて、ナミルは斧を振りかぶった。
「パワアアデスにゃ!」
 樹木巨人の腿に刃を叩きつける。ナミルは踏み出した脚を斬られて動きを止めた荒ぶる山神の体によじ登り、太い枝そのものの腕に渾身の一撃を打ちこんだ。
「どっかんデスにゃ!」
 大地を砕くほどの一撃が、大男の胴ほどもあろうかという巨人の腕を半ばから斬り落とした。
 片腕を失ったことにうろたえることもなく、荒ぶる山神が残った手をナミルに伸ばす。ナミルはそれをかわして跳躍、失われた梢の切断面に斧の刃を食いこませた。
 斧の刃に刻まれた文字が月明かりを宿して怪しく輝いた。荒ぶる命を呪いに食い荒らされ、樹木巨人が苦悶するように体を激しくよじる。ナミルは木肌に爪を立て、振り落とされまいとしがみついた。
 数十秒の後、生命力を完全に失って巨人がゆっくりと倒れていく。その肩から飛び降りたナミルは空中で華麗に一回転して着地した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスト・ペルメオス
(WIZ)

樹木の巨人。…成る程、恐ろしげだ。
だがッ!

自前の機械鎧を駆って戦う。各部のスラスターを全力稼働させ上空に飛翔。
一定の距離と高度を確保し、射撃戦を挑む。
巨人が得意としていそうな接近戦にも、敵に利がある地上での戦いにも応じてやるつもりは無い。
【バラージショット】、ビームアサルトライフルと可変速ビームキャノンによる連続射撃を叩き込む。
理想としては上空からの一方的な攻撃。
それによりダメージを与えつつ、敵の意識をこちらに向けることで他の猟兵達が上手く動ける好機を作りたい。

一方で、敵にも何らかの対抗手段があるだろうと警戒。
敵の動作には常に注意し、投擲などの反撃も見切って回避出来るように用心する。



 敵襲の声に顔を上げたミストは、素早く機械鎧を装着した。省エネルギーモードで待機していたシステムはすぐさま状況を主に報告する。
「樹木の巨人。…成る程、恐ろしげだ。だがッ!」
 スラスターに点火。プラズマジェットの尾を引いて、ミストは夜空に舞い上がる。そのまま木立を飛び越えて戦場へ。
(――捉えた)
 ミストの視線に従い、FCS(火器管制システム)が荒ぶる山神の一体をロックオンした。姿勢を制御し、最も効率よく敵の戦力を削げる位置と角度を確保。火器選択、可変速ビームキャノン。ジェネレータからエネルギーを供給された砲身が低く唸る。同時に、ミストはビームアサルトライフルの銃口を眼下に向けた。
 キャノンが火を噴いた。着弾を確認すると同時にトリガーを引く。連続発射されるビームが雨のように降り注ぎ、樹木巨人の体に穴を穿っていく。
 荒ぶる山神が手を伸ばすが、格闘戦も地上戦もするつもりのないミストには届かない。全身に空いた穴から煙を立ち上らせ、山神は地に伏した。
 

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴェル・ラルフ
圧巻の姿だね…
山の神、はいい得て妙かも。
でもそこはオブリビオン、危害を加えるのは頂けないな。

SPD
相手はなかなか鈍重そうだから、初手は[ダッシュ][フェイント]で動きを見つつ[力溜め]

隙を狙えそうだったら死角に回って【残照回転脚】を発動
炎をまとった蹴りと爆風で、葉は焼けるかな。

動きを止めるには足元を狙いたいところだけど…他のみんなの動きと合わせながら狙うところは臨機応変に

ばっさり切られているところは痛々しいけれど…
見境をなくした神は、普通の獣と同じだね。ご退場願おうかな。


紫洲川・珠璃
「来たわね。しかし話には聞いていたけど大きいわね」

虚鐵(妖刀)とフォックスファイアで攻撃

手始めに収束したフォックスファイアで一撃して火をつけるわ
夜だし明るくなれば周りも戦いやすくなるでしょうし

あとはこの手の大物は足から切り崩すしかないわね
踏み出してきた足に対して斬撃を繰り返し、まずは膝をつかせて
それから胴体を削る
本命と戦う前に疲弊しきらないように注意しつつフォックスファイアを随時使って焼き討ちよ
敵の「叩き潰す」は拳を大きく振りかぶる動作に合わせて跳躍し、
地震を回避しつつ腕に着地、
そのまま駆け上って胴体の中心に一撃加えるなり腕を切り落とすなりするわ


※アレンジ、他者連携は可能であれば希望



 猟兵達の攻撃によって数を減らしていく樹木巨人。やがて、それまでよりも体の大きい個体が姿を現した。指揮官たるオブリビオンの直衛についていたものが前に出てきたのだろうか。
「来たわね。しかし話には聞いていたけど大きいわね」
 妖刀の鞘を払い、左手の上に狐火を集めつつ珠璃が言う。
「圧巻の姿だね……。山の神、はいい得て妙かも」
 拳を握り、ヴェルが応じた。その身に宿す地獄の炎が戦意に誘われて熱を高めていく。
「でもそこはオブリビオン、危害を加えるのは頂けないな」
「そうね。……じゃあ、私から行くわ」
 より合わされて巨大な火球となったフォックスファイアを、珠璃が解き放つ。その弾道を追いかけるように、ヴェルが地を蹴る。
 火球が一体の荒ぶる山神に直撃した。たちまち炎が燃え移り、攻防を繰り広げる猟兵達の姿を赤々と照らし出す。
 炎に巻かれ倒れた巨人に、大型の山神が拳を叩きつけた。木片が当たりに飛び散るが、珠璃の制御する狐火はその程度では消えはしない。
 その行動は却って、炎に紛れて近づいてきていたヴェルに決定的な隙を晒すことになってしまった。
「染まる緋、灰と化せ」
 地獄の炎をまとって燃え上がるヴェルの蹴撃が巨人の背を抉った。炸裂。巻き起こる爆風が枝を叩き折る。
「ばっさり切られているところは痛々しいけれど……。見境をなくした神は、普通の獣と同じだね。ご退場願おうかな」
 大巨人がヴェルを振り払おうと拳を振るう。それを素早くかわし、珠璃は刃の届く間合いへと踏みこんだ。
 苦し紛れの拳が地を叩き、揺るがせる。しかしそれよりも一瞬先んじて跳躍していた珠璃は巨人の腕を駆け昇り、銅の中心へと影刃「虚鐵」の切っ先を突き立てた。
 心臓があるわけでもないだろうが、荒ぶる山神はその一撃で動きを止める。ヴェルと珠璃は勝ち取った戦果に満足げな視線を交わして、別々の方向へと跳んだ。
 次の瞬間、地獄の炎と狐火がさらに二体の巨人を打ち倒す。
 動く森のようにも思えた荒ぶる山神達の群れは、残すところ数体のみとなっていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

セレスティア・ナイトリー
戦うことで戦いを終焉に導くのが戦斗人形たる我が使命。
災禍を齎すものに鉄槌を。

「通常戦闘プログラム起動」
蒸気推進器で加速しつつ、進攻する敵の前面へ突撃。
【鉄機重破斬】を放ち敵を粉砕する。


紫洲川・珠璃
「あと数体とは言えこの大きさの敵は、なかなかつらいわね」

走りつつフェイントを織り交ぜて敵を誘引
倒した山神の残骸の山(それなりの体積だと思う)に隠れたりして
攻撃を凌ぐ。何体か倒しているので大分攻撃も見切れるはず。
攻撃をさせたら、その隙を狙って膝関節にあたる部分に刀で刺突。
突き刺した、刀の切っ先を基点にフォックスファイアを顕現させて、
傷(?)の内部から焼き体勢を崩し、できれば片膝をつかせるぐらいに、脚を破壊する。
体勢を崩して、胴体の位置が低くなったら、残骸の山を駆け登って跳躍、真上から胴体を断ち切る勢いで刀を振り下ろして止めを刺す。



 下半身の半ばを吹き飛ばされた樹木巨人が倒れる。夜の荒野に重々しい音が響き、砂塵が舞い上がった。
「あと数体とは言えこの大きさの敵は、なかなかつらいわね」
 横たわった荒ぶる山神の上半身の陰に身を隠し、珠璃はふう、と息を吐いた。巨体に見合った頑丈さを備えた樹木巨人と戦い続け、目立った傷は受けていないものの剣筋に疲労が滲むのは隠せない。
 それでも目前に迫った勝利に向けて、彼女は愛刀の柄を握り直した。
「……っ!」
 鋭い気息と共に珠璃が飛び退くや、轟音と衝撃が寸前まで彼女が隠れていた山神の残骸を粉砕した。群れの中でも一等巨大な山神の拳が打ちまれたのだ。
 これが敵戦力の要であり、最後の切り札だ。そう直感した珠璃は、もう一振りの妖刀を抜いた。拳が再び振り下ろされる前にと素早く踏みこみ、二刀で斬りつける。刃金が樹皮を削るが、浅い。反撃の拳を樹木巨人が掲げた。
 ドォン、という音が珠璃の鼓膜を震わせた。だが、それは巨人が拳を叩きつけた音ではない。駆けつけたセレスティア・ナイトリー(流転の機士・f05448)が放った蒸気圧縮砲が命中した音だ。
「通常戦闘プログラム起動」
 推進器が圧縮蒸気を噴き出す。彼女自身が砲弾になったかのようにセレスティアは戦場を翔けた。その手の中で武装が組み合わさり、一振りの長大な剣へと姿を変える。
「全兵装の蒸気回路連結を確認、最大の一撃を以て敵を粉砕する」
 大地まで断ち切れとばかりに、セレスティアが大剣を振り下ろした。技ではなく圧倒的な力でもって、山神が斬り砕かれる。
「戦うことで戦いを終焉に導くのが戦斗人形たる我が使命」
 半身を削り取られてなお、この樹木巨人は倒れなかった。残った手を伸ばし、セレスティアを掴み握り潰そうとする。
「そうはさせない!」
 巨人の膝に珠璃が刃を突き立てた。次の瞬間、妖刀の切っ先から放たれた狐火が樹の内部を焼き焦がす。自重を支えられなくなり、荒ぶる山神の脚が折れ砕けた。
 珠璃が地を蹴り、後方に跳んだ。跳躍の先には樹木巨人の残骸。それを足場に、彼女はさらに高く飛ぶ。
 月明かりを反射してぎらりと鋭い銀色に輝く刃が振り下ろされ、巨人の胴を縦一文字に斬り裂いた。
 真っ二つになった荒ぶる山神は、沈黙のまま倒れる。それを見届けて刀を収めた珠璃は、何者かの視線を感じて振り返った。
「…………」
 闇の色をした獣が、じっと猟兵達を見つめていた。
「災禍を齎すものに鉄槌を」
 獣の碧玉の瞳をまっすぐに見返し、セレスティアが武器を構える。
 オブリビオンとの決戦が、今始まろうとしていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『ヒューレイオン』

POW   :    ディープフォレスト・アベンジャー
【蹄の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【自在に伸びる角を突き立てて引き裂く攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    チャイルド・オブ・エコーズ
【木霊を返す半透明の妖精】を召喚する。それは極めて発見され難く、自身と五感を共有し、指定した対象を追跡する。
WIZ   :    サモン・グリーントループ
レベル×1体の、【葉っぱ】に1と刻印された戦闘用【植物人間】を召喚する。合体させると数字が合計され強くなる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ミレイユ・ダーエです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●命という名の悲劇
――ぽつり。
 黒い獣の足元に雫が一粒落ちて、大地に吸い込まれていった。
――ぽつり、ぽつり。
 猟兵達と山神の戦いを見つめながら、ヒューレイオンは静かに涙をこぼす。
 何者も、ただそこにあるだけでは生きていけない。何かを犠牲にし続けて、最後には他の誰かの犠牲になって死ぬ。
 ゼロが一になり、再びゼロになる。
 その繰り返しに意味はあるのか?
 いずれは全て過去になって、世界の外――骸の海の底へと沈んでいくのが運命だというのに「今、生きている」ことがそれほど大切か?
 命など、生まれてこないほうがいいのではないか?
 黒い獣は瞳を閉じた。
 そう、世界に命など必要ないのだ。痛みしか産まない命などというものは。
 だから全てを滅ぼして、静寂の世界を創る。悲しみのない静かな世界を。
 そのための旅を妨げるというのなら、死をもって報いる。
 悲しむことはない。どうせいつかは、みんな死ぬのだから。
 再び瞼を開けて猟兵達を見すえるヒューレイオンの瞳は、氷の色を湛えていた。
ナミル・タグイール
真っ黒にゃ。聖獣ってオーラないデスにゃー。
黒ケモバトルデスにゃ!
・真の姿を解放して少し膨らんでケモ度が上がる

・行動
突撃にゃ!正面バトルにゃー!
【呪詛】を纏った斧で【グラウンドクラッシャー】するにゃ。
綺麗な角ねらいにゃ!へし折るマスにゃー!
聖獣っていうなら呪詛に弱そうだったけど…なんか既に呪われ感あるにゃ?
呪詛で動き鈍ったりしてくれるといいんだけどにゃ。
すばしっこく動き回られると斧が当てれないデスにゃー!
そうなったらもう完全にカウンター狙うにゃ。
攻撃食らうの覚悟で【捨て身の一撃】しにいきマスにゃー!

何でも歓迎



「突撃にゃ! 正面バトルにゃー!」
 普段よりも一回り大きな真の姿となったナミルが、斧を掲げてヒューレイオンの前に立ちはだかった。
「真っ黒にゃ。聖獣ってオーラないデスにゃー」
 呪われた品々を身にまとう彼女は、オブリビオンの異様な気配を鋭敏に感じ取った。あるいは、ヒューレイオンは既に呪われているのかもしれない。そんな推測を脳裏に浮かべつつ、ナミルは斧を振り下ろした。
「へし折るマスにゃー!」
 狙いは最大の武器である角。呪詛を帯びた刃と燐光を宿す角が激突し、鈍い音を響かせる。
 ナミルの剛力に押し負け、ヒューレイオンが後退する――否、斬撃の勢いを殺すために自ら後ろへ跳んだのだ。距離を取った聖獣は小さく跳躍を繰り返し、ナミルの間合いのぎりぎり外を素早く動き回る。
(これじゃあ斧が当てれないデスにゃー! ……こうなったら)
 ヒューレイオンが地を蹴った瞬間を狙って、ナミルは飛び掛かった。二つの黒い影が空中で交錯する。
 ばきり。
 枯れ枝が折れるような音を立てて、ヒューレイオンの角が半分折れ砕けた。
「綺麗な角、もらったにゃー。……けど、痛いデスにゃ」
 斧を振り抜いた姿勢で着地したナミルが苦悶の声を漏らす。前足の蹄で蹴りつけられたのだ。だが、初手で最も危険な武器を奪えたという結果を見れば、痛み分けではなくナミルの勝利と言って差し支えないだろう。
 ナミルは一人ではなく、後に続く仲間達がいるのだから。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミスト・ペルメオス
(WIZ)

アレか。
…潰させてもらう。

敵を発見し次第、スラスターを全開にして上空へ飛翔。
念動力、最大。機体や照準の制御、敵の動きの見切りなどに活かす。
敵を捕捉し次第【バラージショット】、各武装による連続射撃を開始する。
樹木の巨人を相手にした時と同様、一定の距離を保ちつつ上空から射撃を行うことで一方的に攻撃するのが理想。
敵が対抗策を取ってきた場合は、着地と跳躍を織り交ぜた立体的な機動に移行。
機動で攪乱しつつ射撃で応戦し、召喚された植物人間を優先的に撃破していく。
…あの敵は、機械鎧を以てしても易々とは仕留められまい。
まずは牽制と攪乱。注意を引き付けつつ力を削ぐことにする。

※他の方との共闘等、歓迎です



 ヒューレイオンと仲間の激突を、ミストは上空から見ていた。黒い獣の角が折れるのを見届けるや、彼はスラスターを全開にして加速する。
「念動力、最大」
 放出されたサイキックエナジーが空気を押しのける。加速を妨げるものがなくなった機械鎧はさらにスピードを上げ、猛禽のようにオブリビオンへ襲いかかる。
「……潰させてもらう」
 立ち尽くすヒューレイオンに狙いを定めたその時、地面から表れた人型のものが割りこんできた。
(アレか)
 ヒューレイオンのユーベルコードが召喚するという戦闘用植物人間だ。空中への攻撃手段を持ち合わせているとは思えないが、四十体を超える軍勢がいては思うようにオブリビオンを狙えない。ミストは火器管制システムに素早く指示を下し、ターゲットの優先順位を変更。再び上空へと舞い上がった。
 目標の再設定を完了。自動追尾セット。
「私の為すべき事を為す」
 ミストは引き金を引いた。機械鎧の各部に装備された武装が火を噴き、弾丸とビームの雨を降らせる。
 予想通り、植物人間は上空のミストにさしたる反撃もできず、次々に撃ち抜かれて倒れていった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ノイシュ・ユコスティア
●ヒューレイオン=敵、と略す。

●泣いている獣を射つのは気が引けてくる、でも…
「オブリビオンを放っておくことはできないんだ。
悪いけど、射たせてもらうよ。」

基本は、視認できる範囲で敵からなるべく遠くに布陣。
暗殺の要領で敵の背後に回り込み、矢を放つ。2回攻撃を試す。

敵が【POW】攻撃でこちらに向かってきたら走って距離を取り、最初の一撃を受けないように立ち回る。
「ギリギリセーフだね。」

敵が【WIZ】で動きを止めたらこちらも集中し、植物人間を巻き込み千里眼射ち。
「一気に決める!」

他、援護射撃でサポート。
「これ以上悲しみを生まないように…。」

技能:援護射撃、暗殺、2回攻撃
使用武器: ロングボウ


紫洲川・珠璃
「その考え方は、共感するところも無いわけじゃない。だけどそれを決めるのはそれぞれであって、あなたがほかの人の分も決めて、ましてや従わせていいわけじゃないわ」

妖刀虚鐵のみで戦う
基本戦闘指針は大振りな一撃よりも手数を多くした連続攻撃を中心とし
フェイントを織り交ぜた攻撃を行う

四つ足の機動力に対抗するために妖剣解放を使用
機動力で撹乱、それができないくらいに早く相手も動くならその動きに食らいつきつつ、
攻撃の機会を計る

角がある生物は角が弱点、という話を聞いたことがあるので
オブリビオンにその概念が通用するか不明だが
攻撃は角を切り落とすべく仕掛ける

アレンジ可、他者連携希望


ヴェル・ラルフ
あの獣が、ヒューレイオン…
植物しか許さない獣、か。
どうしてそうなったのかは知らないけど、狭量なのは創造主には相応しくないね。

真の姿
犬歯がとがり、肌はより白く隈が出て、血に飢えたヴァンパイアそのものへ

他の猟兵と協力
蹴りと角の連携技は要注意、ってことだったから、誰か特攻するなら[早業]を活かして【残光一閃】で敵の動きを止めよう

反対に、誰かが足止めに成功したらまず【残照回転脚】で中距離攻撃

近接攻撃では[ダッシュ][フェイント][2回攻撃]でナイフを使って[暗殺][傷口をえぐる]

…どうして生きるものを許容しないの?
僕は、血が通ってる生き物すべて、美しく見えるのに。



「一気に決める!」
 ノイシュが鋭く声を上げる。速度を活かしたユーベルコードを使う三人の猟兵が、援軍を失ったヒューレイオンに向けて攻めかかった。
「植物しか許さない獣、か。どうしてそうなったのかは知らないけど、狭量なのは創造主には相応しくないね」
 疾走しながらのヴェルの独白に、答えるものがいた。
――相応しくないのはお前達だ。
 遠くから呼びかけられているようにも、耳元で囁かれているようにも聞こえる幽かな声。見れば、彼らの周囲に半透明の妖精がつきまとっている。
――互いに傷つけあうだけの命は、この世界には相応しくない。
「その考え方は、共感するところも無いわけじゃない」
 妖刀虚鐵の放つ怨念をまとい、他の二人に先んじてヒューレイオンを間合いに捉えた珠璃が言葉を返す。
「だけどそれを決めるのはそれぞれ」
 夜気を切り裂く刃。重さよりも速さを重視した斬撃が縦横無尽に走り、衝撃波で木霊の妖精を吹き飛ばした。
 ヒューレイオンの角が伸びる。育っていく植物のように枝分かれを繰り返し、無数の穂先を備えた槍となって珠璃を貫かんとする。
「あなたがほかの人の分も決めて、ましてや従わせていいわけじゃないわ」
 隙を晒したと見えたのはフェイント。珠璃は素早く虚鐵を振り上げ、黒い獣の角を断ち斬った。
――お前達には聞こえないのか? 殺し合わなければ生きていけない命の嘆きが。
「そうだね。泣いている獣を射つのは気が引けてくる、でも……」
 木霊の妖精の言葉を振り切って、ノイシュは弓を構えた。十分な集中に研ぎ澄まされた紫の瞳に、聖獣の薄緑色の角が斬り飛ばされ宙を舞う光景が映る。
「オブリビオンを放っておくことはできないんだ。悪いけど、射たせてもらうよ」
 矢が放たれる。ヒューレイオンの背中に矢が突き刺さった。
「これ以上悲しみを生まないように……」
 再び放たれた矢が命中。黒い獣は苦悶するように角の折れた頭を振る。
――命を悲しませるものが命だ。ならば死の静寂こそが救いとなる。
「……どうして生きるものを許容しないの?」
 尖った犬歯で唇を噛み締めて、ヴェルが問いを吐き出した。解放された真の姿はヴァンパイアそのもの。だが、その瞳は血に飢えた怪物のものではなかった。
「残照回転脚……!」
 地獄の炎をまとったヴェルの片足が鞭のように唸る。蹴撃が獣の首を捉え、爆裂。爆風がヒューレイオンを吹き飛ばした。黒い聖獣が大地を転がる。
「僕には、血が通ってる生き物すべて、美しく見えるのに」
 黒い聖獣が大地を転がる。紅蓮の炎に毛皮を焦がされ、よろめきながらもヒューレイオンは立ち上がった。
 ぽつり、と一雫の血がこぼれた。それが傷から溢れたものなのか、瞳から落ちたものなのかは判別できない。
――お前が美しいと呼ぶものが、悲しみの涙も流すのだ。美しいものが傷つき壊れていく様を見たいものなど居るまい。
 地獄の炎に焼かれながら、幽玄の声が囁く。ぽっと小さな音を立てて、最後の木霊の妖精が燃え尽きた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

クラーラ・ストルイピン
ラーラは苦しいことが嫌いです。
痛いことも、悲しいことも、イやなことはたくさんあります。
でも、それと同じぐらいスキなこともたくさんあります。イヤなことを消したらスキもなくなるなんて、それが一番かなしいです。
聖獣さんのお話はむずかしくてよく分からないけれど、ラーラは部屋に戻ってバタークッキーを食べるために頑張ります!

傷ついていても獣。その動きの速さに翻弄されないようカウンターを狙います。[武器受け]で攻撃を受け止めてから、[2回攻撃]で一気に仕留めます。なるべく苦しめないよう、できるなら急所を狙います。
[武器受け]できない攻撃や突撃は、【無敵城塞】で受け止めて隙ができるのを待ちます。


ヴェル・ラルフ
――生き物は、悲しんだり、苦しんだり、それでも限られた時間を懸命に生きるから、美しいんだよ。

だから…限られた時を無視してまで、今を生きるものを破壊する君は、美しくないね。

【シーブズ・ギャンビット】で最期の一撃
狙うは眉間

苦しみを除かないでよ。
それでも生きていきたいから。



 ヒューレイオンとの決着の時が来た。傾きかけた月を背に、猟兵達とオブリビオンが対峙する。
「痛いことも、悲しいことも、イヤなことはたくさんあります。でも、それと同じぐらいスキなこともたくさんあります」
 言いながら、クラーラ・ストルイピン(ミセリコルデ・f14091)は左右の手に光の剣を現した。黒の聖獣へと、切っ先を向ける。
「イヤなことを消したらスキもなくなるなんて、それが一番かなしいです」
 命の意味がどうとか、そういう難しいことはわからなくてもいいのだ。部屋に戻ってバタークッキーを食べる、そんなささやかな幸せだけでも、人は生きていける。笑っていられる。
 だから。
「ラーラは頑張ります!」
 輝きを手に駆ける少女を、ヒューレイオンは角を振り立てて迎え撃った。
 サイキックエナジーの刃と聖獣の角が打ち合う。手負いとはいえ、体の大きさの差はいかんともしがたい。ヒューレイオンが後脚だけで立ち上がり、蹴り上げられたクラーラの軽い体が宙を舞った。
 聖獣の角が少女を磔刑に処すべく伸びる。だが、復習者の一撃はクラーラの全身を覆った光の鎧に阻まれた。
 一瞬の隙が生じる。超防御モードを解除し、クラーラは剣を突き出した。胴を貫かれたヒューレイオンの口から血泡がこぼれる。
 だがそれでも、黒の獣は前進を止めようとはしなかった。少女を踏み潰そうと前脚を持ち上げる。
「悲しんだり、苦しんだり、それでも限られた時間を懸命に生きるから、美しいんだよ」
 茜色の疾風が吹いた。ヴェルがヒューレイオンの背に飛び乗り、逆手に持った短剣を振りかざす。
「限られた時を無視してまで、今を生きるものを破壊する君は、美しくないね」
 全身の力を込めて、白い刃をヒューレイオンの眉間に突き刺す。至近距離で、ダンピールと幻獣の視線が交錯した。
 緑の瞳が「なぜ」と問いかけている。なぜそこまでして辛苦の時を望むのか、と。
「それでも生きていきたいから」
 短い答え。苦しむことが生きることなら、それを取り除いてほしくなどない。その想いに答えるように、ヒューレイオンは瞳を閉じた。
 獣の体から命の息吹が抜け、大地に崩れ落ちる。
 その亡骸の周囲には、いくつかの新芽が顔を覗かせていた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月11日


挿絵イラスト