アルダワ魔王戦争6-B〜祈りと懺悔
ファーストダンジョンの奥の奥。
女神像が座すその領域は、災魔の気配すら感じさせず。
ただ清浄な空気に充ち満ちし、探索に疲れた者達の安らぎの場所。
「その場所、元々は大魔王を封印する為に女神像が建立されたらしいんだけど」
アルゲディ・シュタインボック(白金の癒杖・f03929)は聖職者らしくキリッとした佇まいで説明を始めた。
「大魔王がヤンチャしてる現状で解るとは思うけど、この封印は既に破壊されちゃってるのよね。でもこの領域の聖なる力は残っているのか、オブリビオンを寄せ付けない効果は維持してるってワケ」
そんな女神像の御前。祈りを捧げると良い事があるかも知れない。
「人々が神様に強く祈りを捧げるのって、願い事をする時と悔い改める時だと思うの」
クレリックとして、聖職者としてアルゲディが実際に見聞きしてきた経験を元に言っているので、全てがそうとも限らないかも知れないが。
「祈ると共に、今までの自分の失敗や悪事を口にして吐き出して懺悔するの。そうすることで、心のつかえが綺麗さっぱり取れて、新たな気持ちで先に進めるのよ」
告解。祈りと共に己の罪を告白し、祈ることで赦しを得ること。
たとえば、夜ご飯の海老フライを摘まみ食いしたとか。
たとえば、好きな子の机にカエルを入れたとか。
たとえば、お釣りが多かったけど黙ってそのまま去ったとか。
例として上げたものが余りにもあれなのだけれども。
己が罪だと思えば罪。胸の内に秘めたまま苦しむよりも、いっそ思い切って吐露することで、心が穏やかになる。
「まぁ、あんまりにもツッコみどころ満載なのは禊ぎの聖水ぶっかけるんで☆」
アルゲディの横には40℃に調整したぬるま湯入ったバケツ。
さて、悔い改めて祈りなさい――迷える猟兵達よ。
天宮朱那
天宮です。今回はネタ寄り。
プレイングボーナスは「良い感じに祈りを捧げる」
大昔にバラエティ番組でやってた懺悔室ネタ。
懺悔して×だったら上から水が降ってくるアレ。
祈りと共に己の抱えている罪を思い切り吐き出して懺悔しちゃえ、なシナリオ。
基本的に例に上げたような、すごくどーでも良いことで構いません。
むしろ罪と言う名の大喜利。
くだらない事でも罪として告白すれば、大体の方には聖水と言う名のバケツの水ぶっかけられて赦されます。禊ぎです、禊ぎ。
一応、シリアスな告解にはシリアスで返します。その場合は希望無ければ水はかけません。
オープニング公開からプレイング受付します。
マスターページやTwitterなどでも随時告知をしますので宜しくお願いします。
第1章 日常
『女神の祭壇に祈りを捧げよう』
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POW : 女神像に舞踊や歌を奉納して、祈りを捧げる
SPD : お供え物として、美味しいお菓子などを用意して祈りを捧げる
WIZ : 願い事を書いた絵馬等を女神像に奉納して、祈りを捧げる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
筒石・トオル
罪になるのかは分からないけど、最近うさぎをもふもふしたせいか、リミッターが外れてしまって、もふもふが抑えられないんだ。
それで路地裏の塀の上で日向ぼっこしている猫を欲望に耐え切れずもふもふしてしまったんだ。
最初は「うざい構うな」って顔してた猫だったんだけど、しつこくもふもふしてたら拒否反応し始めて…でも猫パンチくらいなら容易くかわせるし、パンチされても肉球はご褒美だからそのまま受け入れていたんだ。
最終的に爪攻撃されるまで、もふもふを堪能しまくってた。猫さんごめんなさい。
※アドリブOK
「大昔のバラエティ番組」って時点で、背後に大ダメージが(笑
ダンジョンを訪れた者を優しく見下ろす女神の像。
その前に簡易な祭壇が設けてみたアルゲディが懺悔の祈りに訪れた猟兵を認めると声をかける。
「ようこそ。さぁ貴方の罪を告白なさい。そしてその心を清めなさい」
「――はい」
筒石・トオル(多重人格者のマジックナイト・f04677)は膝を着き、指を組んで目を伏せて、小さく息を吐き出した。
「罪になるのかは分からないけど」
「うんうん」
「最近うさぎをもふもふしたせいか、リミッターが外れてしまって――」
もふもふが抑えられないんだ。
「――なかなか業が深いの来たわね」
「そうなんだ。路地裏の塀の上で日向ぼっこしている猫を欲望に耐え切れず……」
最初は『うざい構うな』って顔してた猫だったらしい。だがしつこくもふもふいれば、拒否反応するのは猫であれば当然のことである。
「……でも猫パンチくらいなら容易くかわせるし」
そもそも射程がクソ短いとは思う。
「パンチされても肉球はご褒美だから」
ぷにぷに。あの何とも柔らかな感触。中毒性は言うに及ばない。
「最終的に本気の爪攻撃されるまで、もふもふを堪能しまくってた」
トオルが服の袖をめくれば、そこには割と新しい猫の爪の跡。
だが猫好きに取ってすれば名誉の負傷ではある。
「……まぁ気持ちは解らなくないけど猫にとっちゃ良い迷惑よね」
「それは否定しない」
それじゃ、とアルゲディは促す。
――祈りなさい。
「猫さんごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……!」
必死に女神に、そしてもふもふの犠牲になった猫に懺悔の祈りを捧げるトオル。
――そして。
ずばしゃあっっ!!
バケツの水……もとい、聖水を頭からかけられ、びしょびしょになったトオルがそこにあった。眼鏡もイイカンジに斜めに外れてバラエティ的撮れ高も完璧である。
こうして彼の罪は赦された。服に付着した猫の毛も大分洗い流された事だろう。
大成功
🔵🔵🔵
佐東・彦治
罪、って程のことはなにもしてないはずだけれど……、あ。
えっと、この前姉様や兄様に声をかけられて、逃げました…。
嫌いなわけじゃないけれど、年が離れすぎてて、どうすれば良いのかわからなくて…。後で一番上の姉様からもらったチョコレイトは美味しかったなぁ…。
うわっぷ!?ほんとに水掛けられるんだ…。
え、アキも?部屋の片付けしなかった、っていつものことだよね?
ひゃぁぁ!?なんで僕!?そこは、アキじゃなくて!?
保護者責任?僕は保護者じゃ、うわっぷ!(三度目、アキは楽しそうに笑っている)
アドリブ歓迎
女神の御許、簡素な祭壇は懺悔しに来た迷える子羊の空間。
「ようこそ。さぁ貴方の罪を告白なさい。そしてその心を清めなさい」
罪の吐露を促すアルゲディの言葉に、佐東・彦治(人間の學徒兵・f22439)はそこに跪きながら軽く首を傾げた。無気力過ぎる程無気力に、ぼやくような一言。
「罪……って程のことは、何もしてない筈だけれど……」
「じゃあ何しに来たのよ」
冷やかしは女神の罰を受けるわよ、とろくでもないクレリックが呆れて視線を向けると、ああと思い出したように彦治は告げる。
「えっと、この前、姉様や兄様に声をかけられて、逃げました……」
「え、なにそれ。詳しく、kwsk!!」
この弱々しく見える少年は弟属性を持ち合わせていた。色々納得しつつも、アルゲディは食いつくように問いかける。何故に逃げたのか、と。
「いや、姉様や兄様達が嫌いな訳じゃないけど……年が離れすぎてて」
「え、どのくらい離れてるの?」
「……すぐ上の兄とは8つ」
「待って、何人兄弟よ貴方」
「8人だよ。僕は一番下で……一番上の姉とは18歳離れてる」
はぁ、と大きな溜息を付く。何か尋問されている様に思えなくもないけど、女神の前での懺悔だと言うし、いっそ吐き出したら楽になると言ってたし。
「もう、どうすれば良いのかわからなくて……あ、でも」
「でも?」
「後で一番上の姉様からもらったチョコレイトは美味しかったなぁ……」
ばっしゃぁぁん!!
「うわっぷ!?」
「何よもう、ただのろけてるだけじゃない!」
「ほんとに水掛けられるんだ……」
ある意味幸せ自慢に聞こえなくも無かったのは気のせいか。それに思わずツッコむようにアルゲディがバケツ――聖水をぶっかけたような気がしない訳でもなく。
ずり落ちたモノクルをドテラの袖で拭っていると、その横でふわふわ浮かんでケラケラ笑っていた小さな金髪の少年が、彼の耳元でこそこそ何か囁いた。
「え、アキも?」
「ああ、その子も何かあるのかしら? いいわよ、懺悔なさい。そして悔い改めなさい」
何言ってるか解らないから通訳お願いね♪と言うので、その告白を彦治は聞いてやると、怪訝な表情でアキに言い返した。
「部屋の片付けしなかった……? っていつものことだよね?」
「まぁ、それは重罪だわ」
ざばーっ!!
「ひゃあぁっ!? いやなんで僕!? そこはアキじゃなくて?」
「その子実体あるのか良く解らないし、保護者としての連帯責任で良くない?」
「いや、僕は保護者じゃ――」
「はいはい、保護者責任遺棄はダメよー」
ざっぱん。
「ぅわっぷ!」
通算三度目のバケツ水――もとい、聖水をその身に浴びた彦治は小さくクシャミをし、その横で管狐のアキは楽しそうにケラケラ笑っているのであった。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
懺悔します
完全な私怨で戦争参加してます
ごめんなさい
…………私と恋人の誕生日があるんですよ、今月
バレンタインもあるんですよ
邪魔されて心底腹が立ったというか
全部撲滅してやると本気で誓ったというか
いや元から戦争……というより諍いごとが嫌いで
出来れば毎日縁側で茶を飲む生活してたいですけど
オブリビオンのせいで安心出来ないというかなんというか
……はい、ごめんなさい
誠心誠意世界の為に戦うと誓います
すみません
……誕生日ぐらいへいわにすごしたかったなぁ
「ようこそ。さぁ貴方の罪を告白なさい。そしてその心を清めなさい」
また一人、迷える子羊が贖罪を求め――アルゲディが設置した簡素な祭壇の前に姿を現すと、上から見下ろす様に立つ女神像を一瞥して跪いた。
「懺悔します。完全な私怨で戦争参加してます」
ごめんなさい――鈴木・志乃(オレンジ・f12101)は頭を垂れてそう告げた。
「……どういう事か、詳しく懺悔なさい?」
どっちかと言うと好奇心で聞いているように見えなくもないけれど。アルゲディは神妙な表情で促すと、はい、と志乃は言葉を続けた。
「私と恋人の誕生日があるんですよ、今月」
おまけにバレンタインもある。つまり、恋人達にとっての重要イベントがみっしり詰まっているのが彼女達にとってはこの二月と言う訳である。
「邪魔されて心底腹が立ったというか、全部撲滅してやると本気で誓ったというか」
殺る気がパネェ。
「いや元から戦争……というより諍いごとが嫌いで、出来れば毎日縁側で茶を飲む生活してたいですけど、オブリビオンのせいで安心出来ないというかなんというか」
割と平穏望んでいた。
「まぁ、うん、割と私怨と言うか、動機が自分本位だわよね」
全く否定して差し上げるという事をしないクレリックもどうかと思うのだが。
「……はい、ごめんなさい。誠心誠意世界の為に戦うと誓います。すみません」
指を組み、目をぎゅっと閉じて志乃は懺悔する。真摯に祈るその様子を見て、アルゲディはバケツを手に取りながら、ふと彼女に問うた。
「ねぇ、実際誕生日って何日なの貴方」
「2月27日です。……誕生日ぐらいへいわにすごしたかったなぁ」
そう答える志乃。ふぅ、と溜息が聞こえたと思いきや。
ちょろ……っ。
志乃の頭に注がれた水は、アルゲディが両手に掬っただけの分。
「月末じゃないの。その日までに戦争終わるかも知れないし、貴方の活躍次第では平和な誕生日を祝えるんじゃない?」
禊ぎはこれで充分。後は行いで示せば良い――。
その言葉に志乃はこくりと頷き、残る戦いに身を投じる決意を新たにしたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
レン・デイドリーム
女神像にお祈りしに行けばいいんだね……えっ、懺悔?
僕は清廉潔白、清く正しい猟兵、懺悔することなんて……
ん、シュエ?謝った方がいい人がいるって?
…………はい、正直に懺悔します
僕はサモニング・ガイストで呼び出す古代戦士の霊さんをめっちゃ酷使してます
いやだって、とりあえず前衛を任せられるし?
僕は魔術師だし?
「水中での戦い方が思い付かないので、戦士さんに船がわりになってもらう」とか「荷物運びをお願いする」とか「書類仕事を手伝ってもらう」とか「買い物にいってる間に洗濯物を片付けてもらう」とかは……やりすぎだと言われたら、はい
ぐうの音も出ません……自覚はありました……
これが僕の……懺悔だよ……!
「ええと、女神像にお祈りしに行けばいいんだね……?」
レン・デイドリーム(白昼夢の影法師・f13030)が女神像のフロアに到着し、その案内をした金髪のエルフを見かけてその近くに寄ってみれば。
「ようこそ。さぁ貴方の罪を告白なさい。そしてその心を清めなさい」
とって付けたような簡素な祭壇の前でアルゲディが足下に水溜めたバケツと共ににこやかに出迎えた。
「えっ? 懺悔……?」
「そうよ。贖罪の祈りは案外強いものなのよね、経験上」
「いや、僕は清廉潔白にして清く正しい猟兵だし」
「自分で堂々と言ってのけるのもなかなかだと思うわ」
変な事に感心しつつ、つまらないわね、と肩を落とすアルゲディ。まぁレンの性格を思えば当然かしらと苦笑いしたところ。
何やらレンの後ろでうねうねしていた半透明の触手が、何やら二人に訴えるように一本の手をぱたぱたしてアピールしだした。
「あら、どうしたのシュエちゃん」
「ん、シュエ? ……謝った方がいい人がいるって?」
もにょもにょとレンの耳元で囁くような仕草を見せる触手ちゃん。そんなことをしなくても彼女の意志は伝わるはずなんだけども、それはそれ。
「……はい、正直に懺悔します」
改めて己の罪に気がついたレンは祭壇の前に跪き、その指を組んで告白する。
「僕はサモニング・ガイストで呼び出す古代戦士の霊さんをめっちゃ酷使してます」
「え、死霊術士なら普通じゃ無いの……?」
「そうかも知れない。とりあえず前衛を任せられるし、僕は魔術師だし」
そこまではアルゲディの言う通り、普通なのだ。戦闘に使役する分には。
しかしこの先が実にブラックな労働状況であった。
――水中での戦い方が思い付かないので、戦士さんに船がわりになってもらう。
――普段の生活の中で重たい荷物運びをお願いする。
――色々と細々として肩が凝るレベルの書類仕事を手伝ってもらう。
――買い物にいってる間に洗濯物を片付けてもらう。
「……日常生活に使いすぎというか、ほぼほぼ家政夫軍団と化してない!?」
「やりすぎだと言われたら、はい、ぐうの音も出ません……」
自覚はありました……そう項垂れるレンに、呆れてそれ以上言葉の出ないアルゲディ。
「これが……これが、僕の……懺悔だよ……!」
「良く正直に話してくれたわ」
――さぁ、祈りなさい。
促すアルゲディの言葉に、指をしっかり組んでしっかり目を瞑るレン。
シュエになるべく後ろに下がって、と手で合図をしたアルゲディは容赦無くバケツを手に取って――。
ばしゃあぁぁっ!!
景気良く、それでもシュエにはなるべくかからないように、レンの後ろ頭からバケツ聖水をぶっかけて清めと贖罪の禊ぎとしたのであった。
「……うん、戦士さん達には今度お詫び考えておくよ……」
「その方が良いと思うわ」
大成功
🔵🔵🔵
ペイン・フィン
【路地裏】ファンと
(……なんだろう、すごいこと聞いた気がする)
ともあれ、懺悔……、ふむ……
……自分には、八兵衛という、飼いオコジョがいるよ
まあ、ペットと言うよりは、友人枠
一緒に遊んだり、のんびりしたり、いつも一緒
……ただ、懺悔、するよ
最近、その八兵衛のおやつ、多めにあげてしまっているよ……
……確認はしているから、太ったりはしていない、と思う
本人が言うには、運動も多くしているみたいだし……
それに、おやつ食べるときの八兵衛、すごく、かわいい
ご飯食べた後、なんとなく、毛並みが艶めいていたりもするし…………
……でも、うん
ほどほどにしないとなって、思っているよ……
ファン・ティンタン
【SPD】懺悔をしよう
【路地裏】
あれは今から36万……いや、1万4000秒前だったかな
まあいいや、私にとってはつい昨日の出来事だけれど、ペインにとってはたぶん、明日の出来事だね
精霊には幾通りも名前があるから、なんて呼べばいいのか……
確か、私が喚んだ子は……フラウ
そう、あの子は悪戯な子だった
みんなの言うとおりにしていれば
まあ……悪い子ではなかったよ
ファン「(バレンタインの贈り物、)こんな氷菓子(で出来た等身大ペイン氷像)で大丈夫?」
フラウ「だいじょーぶ、問題ないよ!」
(室温で)どろっ
(氷像の首が)ぽきり
(床で破砕音)バキッ
ファン&フラウ「家主は思うことだろう、ここを掃除しなければならないと……」
ファーストダンジョンの奥の奥。女神像の守護を受けたそのフロアにおいて、簡素な祭壇と共に祈りと懺悔の場が設置されていた。
「ようこそ。さぁ貴方の罪を告白なさい。そしてその心を清めなさい」
金髪エルフのクレリックがそれっぽい事を言いながら、次の猟兵達を迎え入れる。
そこにやってきたのは二人連れ――ペイン・フィン(“指潰し”のヤドリガミ・f04450)とファン・ティンタン(天津華・f07547)。
「さて、それぞれの懺悔――で良いのかしら」
アルゲディの問いかけに、ファンはこくりと頷いた。祭壇の前に跪き、指を組んでゆっくりと彼女は語り出す。
「あれは今から36万……いや、1万4000秒前だったかな」
時に換算すると4時間を少し切る程度の過去の話である。
「まあいいや、私にとってはつい昨日の出来事だけれど、ペインにとってはたぶん、明日の出来事だね」
「……壮大に良く解らないこと言っているってのは間違い無いわね」
続けて、と言う促し。ファンはそのままその妙な語り口で続けて行く。
――以下、モノローグ。
「精霊には幾通りも名前があるから、なんて呼べばいいのか……」
「確か、私が喚んだ子は……フラウ。そう、あの子は悪戯な子だった」
「みんなの言うとおりにしていれば、まあ……悪い子ではなかったよ」
そしてある日というかついさっき。
「(バレンタインの贈り物)こんな氷菓子(で出来た等身大ペイン氷像)で大丈夫?」
「だいじょーぶ、問題ないよ!」
ファンの問いかけにフラウが元気一杯答えたものの。
上昇する室温。どろどろ無慈悲に溶けていく氷。
氷像の首は無造作に折れる。ぽきり、と。
バキャアアッ!!と、床に響く破砕音と散らばる氷片。
「家主は思うことだろう、ここを掃除しなければならないと……」
「それが貴方の懺悔、なのね」
色々ツッコみどころが多すぎて、どこから攻めたら良いか解らず頭を抱えるアルゲディ。
(「……なんだろう、すごいこと聞いた気がする」)
今の懺悔の内容だと、自分の頭が落ちて割れたように聞こえなくもないんですけど。ペインはひとまず自分のすべき罪の告白に思考をシフトする。
「ともあれ、懺悔……ふむ……」
「ええ、気を取り直して。そっちのお嬢さんは少し待ってて」
纏めて水ぶっかけ――聖水で清めるから、とアルゲディはペインの独白に耳を傾けた。
「……自分には、八兵衛という、飼いオコジョがいるよ」
ペットと言うよりは友人枠だと語るその存在は、一緒に遊んだり、のんびりしたり、いつも一緒。
「まぁ微笑ましいわね。で?」
「……懺悔、するよ」
最近、その八兵衛のおやつ、多めにあげてしまっているよ――。
「……確認はしているから、太ったりはしていないと思う。運動も多くしているみたいだし」
「みたい……?」
「本人に聞いたから……」
そもそも動物に健康状態の自己管理をさせて良いものだろうか。
「それに、おやつ食べるときの八兵衛、すごく、かわいい。ご飯食べた後、なんとなく、毛並みが艶めいていたりもするし……」
ただのノロケになってきた――ところで。
ばっしゃあっっ!!
とうとうアルゲディも言葉では無くバケツ水――聖水による物理的なツッコみを入れざるを得ないレベルに達したらしい。
有無を言わさずに水をぶっかけられたペインは、ぽたぽたと水滴を滴らせながら項垂れて頷いた。
「……うん、ほどほどにしないとなって、思っているよ……」
「そうね、メタボオコジョなんてその子の為を思うと良くないわ」
ニコッと笑ってアルゲディはファンの方に振り返る。
「そしてそっちも、まぁどう考えても禊ぎを受けるの一択なのよね」
――心の準備はオッケー?
その問いとほぼ同時に思い切り水がぶちまけられる音がダンジョンフロアに響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
勘解由小路・津雲
ふむ、品行方正ゆえ、懺悔することなどまったく何も心当たりがないのだが、そうだなぁ。……おれは勘解由小路家の呪具の鏡のヤドリガミで、先代の姿を真似ている。
勘解由小路家自体は途絶えてしまった。お屋敷はおれが管理しているのだが……なにぶん、お屋敷が広すぎてな。掃除するのがめんど……とても手間がかかるのだ。
だから……いっそのこと、ちょっと……燃えないかなぁ、と。いい感じに。そういうことは考えたことがある、かなぁ。いや、あくまで願望でな、火をつけたことはまだないんだが。
なに、こんなのは世に数ある巨悪と比べたら物の数ではなく、こんな程度で反省となったら聖水も枯渇するのではと思うのだが(以下言い訳が続く)
「ようこそ。さぁ貴方の罪を告白なさい。そしてその心を清めなさい」
女神像の前に設置された祭壇の前は既に多くの猟兵達が清めの聖水をぶっかけられて地面がびしょびしょになりつつあったが。エルフのクレリックはそんな事を気にせずに迷える子羊達を出迎える。
「ふむ、品行方正ゆえ、懺悔することなどまったく何も心当たりがないのだが」
勘解由小路・津雲(明鏡止水の陰陽師・f07917)がうそぶけば、アルゲディは呆れた表情で首を傾げる。
「つまらないわね。一つや二つあるでしょ? ろくでもない事、したとか考えたとか」
「そうだなぁ……」
津雲は首を捻って少し考え、嗚呼と思い出したように語り出す。
「……おれは勘解由小路家の呪具の鏡のヤドリガミで、先代の姿を真似ている」
「元の主の姿を取っているってことね。故人の姿を取るヤドリガミはいるとは知ってたけど」
「だが、その勘解由小路家自体は途絶えてしまった」
寂しげに語るその様子に、聞くに徹していたアルゲディの尖った耳も思わず神妙に下を向く。
「お屋敷はおれが管理しているのだが。なにぶん、お屋敷が広すぎてな。掃除するのがめんど――とても手間がかかるのだ」
「なんか急に世知辛くなってきたわね」
「だから、いっそのこと――」
――ちょっと……燃えないかなぁ……いい感じに。
「待って待って、何かいきなり凄く不穏な事言い出すんじゃないわよオッサン!!」
「まだ(見目は)三十代なんだがなぁ。まぁそういうことは考えたことがある、かなぁ」
あくまで願望で、火をつけたことはまだないんだが――そうぽつりと呟いた津雲に対してのアルゲディの動きは早かった。
ざっぱあぁぁぁっ!!
有無を言わさず、真正面からバケツ水をぶっかけたアルゲディは息をつく暇無く叫ぶ。
「その邪念、全部ここに置いて行きなさい! さ、おかわり行くわよ!!」
「なに、こんなのは世に数ある巨悪と比べたら物の数ではなく、こんな程度で反省となったら聖水も枯渇するのではと思うのだが――」
「やかましぃぃっっっ!!!」
ざっぱぁぁぁん!!
言い訳がましい津雲に対し、これでもかと水をぶっかけるクレリックの姿がそこにあり。少なくとも火に当たりたくなるレベルまで禊が続いたのだった。
大成功
🔵🔵🔵
落浜・語
懺悔はわかる。でも、なんで聖水、基お湯をかぶらないといけないのか
ほら、俺扇子だから濡れるのh…(仔龍とカラスの連係で扇子は避難)
大人しくかぶって来いってか
うーん…。この前お席亭…世話になった人の所に顔出しに行って、駄弁ってた時なんだが。
俺もお席亭もカフェオレ飲んでて、おかわりいります?って持ってきてくれた人がいたけれど、お席亭のだけ麦茶の牛乳割だった。
持ってきた人の悪戯でお席亭が雷落としたけれど、そそのかしたのは俺でした。
いや、そそのかした訳じゃない。悪戯仲間に麦茶と牛乳って混ぜるとカフェオレに近いんだってな、って言っただけなんだ。やれとは言ってない。
まぁ、彼なら多分やるだろうなぁとは(以下略
「ようこそ。さぁ貴方の罪を告白なさい。そしてその心を清めなさい」
女神像の前に作られた簡素な祭壇。既に多くの猟兵達が禊ぎを済ませ、周囲が水浸しになったのをとりあえずモップで拭いた後が見受けられる。
落浜・語(ヤドリガミのアマチュア噺家・f03558)は軽く女神を見上げてから、目の前に立つエルフのクレリックに怪訝な顔で問うて見た。
「懺悔はわかる。でも、なんで聖水――もとい、お湯を被らないといけないのか」
「水は流れるもの。汚れを流し浄化するものよ。それは悪しき心とて例外じゃないの」
にっこりと微笑みながらアルゲディは答えた。何だかまともにそれらしい理由なだけに、なんか悔しいと思いつつも語は反論を続けた。
「でもほら、俺は扇子だから濡れるのは――」
そこまで言った所で、使役する仔龍とカラスが彼の懐から本体たる高座扇子を掻っ攫うとすいっと祭壇の上の安全地帯に避難した。
「――大人しく被って来いってか」
「ふふ、ご主人思いの子達じゃないの」
仕方ない。語は肩を落とし、腹をくくった。
「この前、お席亭――世話になった人の所に顔出しに行って駄弁ってた時なんだが」
手元に扇子が無くとも、噺家の持ち物故かその語り口は滑らかで。
「俺もお席亭もカフェオレ飲んでて。おかわりいります?って持って来てくれた人がいたんだけれど……」
――お席亭のだけ麦茶の牛乳割だった。
「……ぶふっ」
「持ってきた人の悪戯で、お席亭が雷落としたけれど――」
「そりゃ怒るわよね。でもそれと貴方の懺悔とどう言う関係が?」
「いや、その……」
――そそのかしたのは俺でした。
「ちょっ……!」
「いや、そそのかした訳じゃない……! その悪戯仲間に『麦茶と牛乳って混ぜるとカフェオレに近いんだってな』なんて言ってみただけなんだ! やれとは言ってない」
「……女神の前よ? ちゃんと正直に白状なさい」
「まぁ、彼なら多分やるだろうなぁとは――」
ざばあぁぁぁっっ!!!
「ここに麦茶と牛乳とが無くて良かったわ、本当に」
「え、いや、禊って聖水でやるものだよな!?」
水浸しになって反省とし、贖罪を果たしながらも。とんでもな事をうそぶく聖職者に抗議の声を上げざるを得ない語なのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ファリス・エクナーネ
今まで願ってきたことは数あれど、明確に懺悔をしたことは無いかもしれないわね。
する必要も感じていなかったけど、もしかしたら今の私に足りないものなのかも?少し考えてみようかしら。
……あれ?そもそも私、どうしてこんな事になってるのかしら。私の罪について、我が主は何と言っていたっけ。確か勝手が過ぎるとおっしゃっていたわよね。
あの方が別の者に出していた指示を勝手に終わらせたのが拙かったのかしら?
あの方の目に入りそうなゴミを無断で全部排除したことが問題だった?
それとも――
ハッ。もしかして、主への想い自体が罪なのかもしれませんね。
(「そういうところだぞ」という気配を監視役の低位精霊が発している)
「さて、貴方が最後かしらね?」
女神の像の前に設置された簡素な祭壇。その前で金髪エルフのクレリックが問う。
多くの猟兵達がここで罪を吐露し、禊を受け、そしてその心のつかえを綺麗さっぱり落としていった。
「見た感じ、貴方も神に仕えし職にある者のようだけど」
「今まで願ってきたことは数あれど……」
その言葉にファリス・エクナーネ(ポンコツ修道女・f25090)は軽く頷きを返した。
白と桃色を基調とした修道服は見目こそ派手だが、ファリスがクレリックの職にある事を示すには充分だった。
「そうね、明確に懺悔をしたことは無いかもしれないわね」
「己を見つめ直すにはキッカケが大事だとも思うのよ」
「――する必要も感じていなかったけど」
そう、良い機会だと受け止めるべきなのかも知れない。ファリスはそう考える。もしかしたら今の自分自身に足りないものが悔い改める事なのかも知れない。
「少し……考えてみようかしら」
「それじゃ――コホン。さぁ貴方の罪を告白なさい。そしてその心を清めなさい」
アルゲディが口上を述べ、告解を促す。
膝をつき、手を合わせて指を組み、目を瞑ってファリスは祈りながら思考を巡らせる。
(「……あれ、そもそも私、どうしてこんな事になってるのかしら」)
彼女は本来、とある神に仕える存在だった。しかし今は堕とされ、人間の猟兵として存在している訳なのだが。
自身の罪。我が主は何と言っていたっけ――。
「……確か、勝手が過ぎるとおっしゃっていたわ」
「あら、誰かに怒られたの?」
懺悔の聞き手であるアルゲディは、その深い意味は知らずとも何となくで察して問う。
――あの方が別の者に出していた指示を勝手に終わらせたのが拙かったのかしら?
――あの方の目に入りそうなゴミを無断で全部排除したことが問題だった?
「それとも――」
「まだあるの……?」
なかなか自分勝手な業の深いのが来たわね、とバケツ二杯を準備していたアルゲディは呆れた声で呟いた。
「――ハッ! もしかして、主への想い自体が罪なのかもしれませ――」
ずばしゃあぁぁっ!!
「うん……今日聞いた懺悔で一番酷かったわ。聖水浴びたし反省しときましょ?」
空になった二つのバケツを手にして微笑みながらアルゲディはファリスに向けてそう言うと、祭壇の撤収準備を開始した。
「うう……私の何が酷かった、と……」
『……いや、そういうところだぞ?』
ファリスの監視役である低位の精霊がぼそっと呟いたその言葉、本人に聞こえたかは定かではないのであった。
大成功
🔵🔵🔵