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アルダワ魔王戦争6-A〜魔王に終焉を、魔女に安らぎを

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争 #大魔王 #ラクリマ・セクスアリス #オブリビオン・フォーミュラ


●大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』
 来訪者を捕食しようと糸を引かせた肉々しいまでに奇怪な食肉植物が群生し、この植物が発しているであろう獲物を導く脳を痺れさせるような中毒性のある甘ったるい匂いが充満する迷宮の一角に、黒い塊が蠢きヒトの形を象り始める。

『まさか、この姿までをも晒す事となるとはな……!』
 始めは不定形のスライム状であった『ソレ』は増殖を繰り返し続け、骨のようなモノを突き出して身体を支えると、下半身を蛇のような形へと作り上げていった。

『…まあよい、この世界の生物の胎は既に確保済み。女共の胎から「正解」を探す時間も無さそうだ』
 ファースト・ダンジョンに顕現を果たした大魔王第四の姿『ラクリマ・セクスアリス』の身体が蠢くと、そこには…四肢が大魔王の身体に埋め込まれ、かつ同化しつつある裸の女達の姿が浮かび上がってくる。

『さあ女共……いや、「魔女」共よ! 貴様らの溜め込んだ「永劫回帰力」を寄越せ! 我はそれを遍く喰らい、さらなる災魔を産み出そう。我に大魔王などという蔑称をつけた、この愚かな世界を滅ぼす為に!』
 大魔王が吠えると、魔女と呼ばれた女達がエビのように仰け反らせ、声にならない慟哭の叫び声を冒涜的な迷宮内に響かせるのだった…。

●グリモアベースにて
「皆様方のご尽力により、遂に大魔王の第四の姿が確認されました。連戦に次ぐ連戦の中、まだ疲れが言えぬ中でお集まり頂き感謝致します」
 何処か浮かばない顔のシグルド・ヴォルフガング(人狼の聖騎士・f06428)が集まった猟兵達へ、何時も通りに一礼をした。
 流石の猟兵達も何時もとは違うシグルドの様子にどよめきが起こるが彼は、ご心配をおかけさせてすみません、と謝った上で説明を続けたのであった。

「今回確認されたのは、ファースト・ダンジョンの最奥に待ち受ける大魔王の写し身であり第四の姿…ラクリマ・セクスアリスです」
 そして、シグルドはその意味を説明する。
 セクスアリスはラテン語で『性的』。ラクリマも同じラテン語で『涙』。
 ――『妖艶に涙する者』。
 その言葉とその姿が彼を複雑な心境にする一因であり、シグルドは一呼吸置いて淡々と述べ始めた。

「大魔王は…いえ、奴は『魔女』。即ち『人間』を体に宿し、そこから糧となる力を得ています。そしてですが…彼女らは救える事が出来ません。大魔王共々、彼女らも『過去の存在』なのですから…」
 救える命であれば救いたい。
 彼も、そして猟兵達もその願いは同じであった。

「何故大魔王がそのような手の込んだ人質を取る真似をしたかは、私には到底分かりかねません。ですが、確かなことは…彼女らに刃を向けなければ、大魔王を滅することは出来ない事です。この作戦はお集まり頂いた方々、そして私にとっても忘れぬことの出来ない戦いとなるでしょう…最後に確認を致します。第四の大魔王の討伐に無理に参加しろとは言いません。その手で…第四の大魔王に終焉を、彼女らに安らぎを与えるお覚悟はありますか?」
 例え自らが戦場に赴かず戦わずとも、猟兵達を送り出す自分も十字架を背負うことを告げるシグルドに、猟兵達は頷いて答えた。

「そうですか…。いえ、ありがとうございます。私もいくらか気が紛れました」
 再びシグルドが一礼をすると、彼はグリモアを操作してゲートを展開させた。

「それでは、皆様を送ります…大魔王を討伐する勇者達にご武運を」


ノーマッド
 ドーモ、ノーマッドです。
 早くも大魔王戦も四形態となりました。
 話は変わりますが、こういう人の心を揺さぶってくるタイプの敵は結構好みです。

●シナリオ概要
 今回のシナリオ難易度は「やや難しい」となります。
 そして、プレイングボーナスは『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』です。
 先制UCの対処法を編み出さずに攻撃したり、相手のUCをこちらのUCで対抗すれば、苦戦や失敗扱いとなります。
 いかに防御して反撃に繋げるかな作戦が重要になりますのでご注意下さい。

●戦場の情報
 奇怪な食肉植物が群生し、甘ったるい匂いの充満しています。
 特に不利な判定はないので、フレーバー的な物だとお考えください。

●敵の情報『大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』』
 大魔王の第四形態です。
 毒性を帯びた体表面にはかつて大魔王に取り込まれた『魔女』達が複数出現し、大魔王のためその強大な魔力を振るいます。
 また、このシナリオの成功数は、大魔王最終形態との決戦に影響を与えます。

 シナリオの性質上、大魔王や彼女らの表現がグロかったりゴア寄りになるかもしれませんが、そのような表現が苦手な方はプレイングにその旨を一筆頂ければ対応します。
 それでは、皆様の熱いプレイングをお待ちしています。
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第1章 ボス戦 『大魔王第四形態『ラクリマ・セクスアリス』』

POW   :    未来は涙の中に
【『魔女』の子守歌】【『魔女』の予知能力】【『魔女』の運命操作能力】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    祝福されぬ子供達
【『魔女』から生まれる豹獣人の軍勢】【『魔女』から生まれるイカ獣人の軍勢】【『魔女』から生まれるバッタ獣人の軍勢】を対象に放ち、命中した対象の攻撃力を減らす。全て命中するとユーベルコードを封じる。
WIZ   :    魔女狩りの一撃
【『魔女』を封じた巨腕による叩きつけ攻撃】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を、敵の動きを封じる魔の毒沼に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。

イラスト:和狸56

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木常野・都月
甘ったるい匂い…
支障ないと言われてるけど、なんか嫌だな。

野生の狐でも、相手が望まなければ求愛ダンスを諦めて手を引くのに…
大魔王とか言ってるけど、やってる事は獣以下じゃないか。

食われてるのもオブリビオン…とはいえ、オスの俺でも見ていて気分いいものじゃない。

微力だけど全力を尽くしたい。

敵の先制攻撃には、[野生の勘、第六感]をフル稼働させて、[カウンター、高速詠唱、属性攻撃]で迎撃を試みたい。
対処し切れないなら[オーラ防御]も使用したい。

UC【黒の狐火】を使用、出し惜しみはしない。
戦闘に支障ないギリギリまで精気を乗せたい。

余力があるなら[属性攻撃、2回攻撃]に[全力魔法]で追撃を行いたい。



『来たようだな…イェーガーよ』
 肉壁を思わせる食肉植物群の中心に第四の大魔王『ラクリマ・セクスアリス』が不定形の身体より3つの目を浮かび上がらせ、自らの宮殿内に侵入した猟兵達を睨んだ。

「甘ったるい匂い…支障ないと言われてるけど、なんか嫌だな」
 木常野・都月(妖狐の精霊術士・f21384)は、このフロア内に漂う『臭い』に目を細めた。
 そして、彼は唾棄する。
 
 ――大魔王とか言ってるけど、やってる事は獣以下じゃないか。

 魔王の姿を象る不定形の黒い粘液状の身体の至る所に、裸同然の姿である女の人間達…魔女達が拘束されている。
 その四肢は黒い粘液と同化しつつあり、もはや本当は猟兵達を惑わせる為この黒い粘液に作り出された醜悪なオブジェにも見えると、都月は思うのであった。

「野生の狐でも、相手が望まなければ求愛ダンスを諦めて手を引くのに…大魔王とか言ってるけど、やってる事は獣以下じゃないか」
『獣以下、か。ならば、人にも獣にも属さぬ者よ。その獣以下の存在に、貴様は滅せられるのだ…魔女共よ! 我に力を寄越せ!』
 大魔王が吠えると『魔女』達に電流が迸り、苦痛から逃れるように叫び声と共に身体を捩らせる。
 そして、都月は見た。
 彼女らの頬を伝って雫として落ちる、涙の一滴を。
 その直後、大魔王の身体から突き出ている骨の大足が、都月目掛けて振り下ろされたと同時に…彼の中で何かがプツンと弾けた。

「…大魔王ッ!!」
 鋭い骨の先端の一撃を都月が叫び声を上げながら、野生の勘によりすんでの所で躱すと、その衝撃で食肉植物の破片が糸を引きながら周囲に降り落ちる。
 この大振りの一撃を躱し、高速詠唱のカウンターとして、精霊の力ではなく自らの精気を集めて杖の先に集中させる。

「全力でいく。当たったら…少し痛いぞ?」
 果たしてそれは大魔王にか、それとも『彼女』らにか。
 迸る黒の狐火が大魔王の一部となった『魔女』の1人に命中し、身体が黒い体液と入れ替わりながら燃え尽きようとしている。
 最後に上半身だけとなった『魔女』が、燃え尽きるのを見守る都月へ顔を向けさせながら口が僅かに動かせる。

 ――あ…が…とう。
 
 黒の狐火が消えると、そこには黒い塊が不気味に動いているだけである。
 だが、確かにそこへ存在していた事を、頭の中で響いた微かな声を、都月は忘れないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

水貝・雁之助
アレンジ連携歓迎

うん、本当に反吐が出る下種だね
・・・お前みたいな奴に未来は犯させない!
全力で叩き潰すよ!


事前に他の第四形態を相手どった際の経験を元に簡易的且つ手早く『地形の
利用』をして罠に流用できる仕掛けやマキビシ等を『罠使い』の知識を元に作成

到着後は食肉植物という『敵を盾にする』様に動いたり『地形の利用』をし
ロープに引っかかった敵が食肉植物に捕らわれる様な簡易な罠やマキビシ等を
『罠使い』の技術を用い仕掛けつつ

敵の数を利用し狭い道を通り敵の動きを阻害したり敵が他の敵の攻撃の盾に
なる様な位置取りもして凌ぐ

UC発動後は獅子に搭乗
食肉植物等の『地形の利用』をし獣人を交わしつつ敵に肉薄
獅子の牙を叩込む


イヴ・クロノサージュ
アドリブお願いします



●心情
この形態魔女を解き放てば運命が悪い方に変わる
だから必ず阻止しないといけません


力には搦め手、速さには軍団で攻めてくる強力なのに対し
WIZはなんだか単純ね
これまでの形態もそうですが
知恵や考える事を苦手としているのでしょうか

●行動
基本的に【空中浮遊】による【空中戦】で戦闘をします
床の毒沼は当たらないでしょう

巨腕は【第六感】による直感で
攻撃を【見切り】回避します
【継戦能力】で予知しても追いつかない程、回避力を向上し続けます

回避後の行動はUC使用して
フローラルな領域に変えます
お花畑とかしたフィールドは
薬草による治療効果、精神的な癒し、毒沼でかかった毒を癒すでしょう
🌼🌸💐


水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:アノン
「毒か…埋まってるヤツなら喰えるかなァ」
(力を削ぐためには有効そうですが、危なそうなら吐き出して下さいね)
「わーってるって」
ロキの言葉に軽く答え、UDCを纏って黒狼の姿になる。野生の勘を研ぎ澄まし、隙が出来るまでは避けることに集中。多少の毒は毒耐性で耐え、隙が出来たらUCを発動。風属性の触手で圧縮空気の足場を作り、風を纏って高速移動しながら回り込み、浮き出てる魔女を触手で掴んで怪力で引っこ抜き(部位破壊)、ついでに大魔王本体には雷属性の触手で電撃の属性攻撃によるマヒ攻撃。魔女は千切れても構わず掴んで移動し、大魔王から距離を取って、喰う。


雷田・水果
SPD
「見えなければ当たりませんよね?」
予め【アリスランス】を【光学迷彩のガン・シールド】に、想像力で進化させる

目立たないように行動し、ユーベルコードを発動
アリスランスをレベル×1個複製し、制圧射撃を試みる
自分はスナイパーとしてラクリマ・セクスアリスの狙撃を試みる


クリナム・ウィスラー
取り込まれた魔女達ごと攻撃しないといけないのは申し訳ないけれど
あのまま彼女達を過去に捕らえておく方がずっと残酷だわ
……出来るだけ早く片付けましょう

気持ちは焦るけれど、まずは落ち着いて
最初に来るのは大きな腕での叩きつけね
相手の身体の大きさや動きの速度をしっかり見て【見切り】しましょう
毒沼も踏まないように距離を取るわ
魔女狩りの一撃で魔女であるわたしを殺せなかった気分はどうかしら?
あとは出来るだけ遠くから魔法で戦いましょう

こちらが動けるようになったらすかさずUC
【全力魔法】も乗せて、壊れた床や毒沼を変換していきましょう
そしてあの魔王の大きな身体を【範囲攻撃】で切り裂く
……あいつだけは許さない、全力よ


シホ・エーデルワイス
≪宿命≫

アドリブ歓迎

敵の攻撃は第六感と聞き耳で見切り
迷彩属性攻撃の煙幕弾を張りつつ翼で飛び
残像で回避

女性達の中に私と似た姿を見て
依頼『信じるモノなき独奏者』の事が脳裏を過ぎる

例え穢され恥辱の死を迎えても
私一人の犠牲で大勢が救われるなら
この身を捧げる覚悟はある

オブリビオンになって友達を悲しませても
猟兵なら乗り越えると信じている

けど

もし囚われ霊装を使われたら犠牲は私だけですまない
命を捧げ人々を救うはずが
世界が滅べば本末転倒

恐怖に震える

燦…
私怖い
私の力が悪用されたら大勢の人が死んでしまう

ありがとう
燦の励ましに勇気が湧き【霊装】
<毒耐性と呪詛耐性付き破魔のオーラ防御を張ってかばう>

どうか安らかな眠りを


四王天・燦
《宿命》

「ごめん」
残像を発生させながら逃げ足で間合いを取り大腕を避けるぜ。
女にも被害が行くならアークウィンドを投擲し介錯

悩むシホの前に立ち神鳴の武器受けで庇う。
シホが犠牲にならないか心配なんだ。
冷静なことに安堵し手を握って鼓舞。
「取り込まれたら被害甚大だ。でも、その力は正しく使えるシホのものだぜ」
魔王が何言おうとアタシが保証する。
魔王より親友を信じる簡単な仕事さ

「さあ風紀を乱すエロ魔王の退学処分だ」
霊装で術の媒体たる四王稲荷符の霊力上昇。
属性攻撃全開のフォックスファイア・陸式による爆熱のダウンバーストだ。
猟兵仲間が離れていれば制御を気にせずブチかます。
女たちが一瞬で彼岸の向こうに逝けますよう―



『ちぃ…小賢しい真似を』
 身体の一部となっていた『魔女』を失う事となった大魔王であったが、道具のひとつを失った程度の反応であった。

「うん、本当に反吐が出る下種だね…お前みたいな奴に未来は犯させない! 全力で叩き潰すよ!」
 水貝・雁之助(おにぎり大将放浪記・f06042)の言葉に、『ラクリマ・セクスアリス』は高らかな嘲笑いを上げる。

『未来は犯せない? 全力で叩き潰す? 笑止! それは我の言葉だ!!』
 大魔王が雁之助に見やると、3人の『魔女』が叫び声を上げる。
 『魔女』の身体がガクガク痙攣すると、口から塊のような物を嘔吐した。
 地面に落ちたそれらが、人の形を形成しながら、食肉植物群を取り込み糧としながら急成長を遂げる。
 3人の『魔女』より生まれし、豹獣人、イカ獣人、バッタ獣人の軍勢は、悪魔の産声としか形容できない物を叫びながら、大魔王を護衛するかのように猟兵達と対峙をする。

「さながら、祝福されぬ子供達…ですね。」
 イヴ・クロノサージュ(《機甲天使》感情と記憶を代償にチカラを得た少女・f02113)は、憐れむような目で大魔王の手駒とて生み出された『軍勢』を上空から見下ろす。

「取り込まれた魔女達ごと攻撃しないといけないのは申し訳ないけれど、あのまま彼女達を過去に捕らえておく方がずっと残酷だわ……出来るだけ早く片付けましょう」
 クリナム・ウィスラー(さかなの魔女・f16893)は、大魔王の身体に囚われている彼女らをこのままにしておけば、さらなる災厄を産み出す為の道具になってしまう。
 その事を危惧して、一刻も『ラク』にしてやらねばと、焦る気持ちを静めようとした。
『痴れたことを。貴様らは『魔女』共同様、我の一部となり、闇に飲み込まれるのだ!』
 黒い粘液の集中させ、巨大化した大魔王の巨腕が猟兵達に振るい落とされる。
 そして、その巨腕には『魔女』も何人か封じられいていた。

「ごめん」
 その刹那、囮となる残像を発生させながら間合いを取り離れていた四王天・燦(月夜の翼・f04448)が放ったアークウィンドが『魔女』の1人の眉間に突き刺さり、彼女は痛みを感じる間もなく粘液へと変わる。
 その燦に寄り添うように、シホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)が翼を羽ばたかせながら、煙幕弾による煙幕で大魔王の視界を塞ぐ支援を行う。
 だが、シホは『魔女』達の姿に己の姿を重ね合わせ、とある『出来事』が鮮明に蘇って脳裏を過ぎたのであった。

『馬鹿め。我の一撃をこれで躱しきったと思ったか?』
 含みを持たせた大魔王の言葉と共に巨腕が肉食植物の絨毯に直撃すると、それは巨大な敵の動きを封じる魔の毒沼と化して、猟兵達の足場を失わせつつ飲み込もうとする。
 そして、獣人達は魔の毒沼をすり抜けるように、雁之助へ狙いを絞り追撃を行う。
 だが、彼は食肉植物に身を隠し、簡易な罠やマキビシ等の仕掛けで様子を伺ているが、見つかるのも時間の問題だろう。
 獣人が吠え、雁之助の姿を捉える。
 八つ裂きにしようと襲いかかったその時、空気が揺らぎ歪んだ。

「アリスダンス」
 今まで想像力で進化させた光学迷彩のガン・シールドで隠れていた雷田・水果(人派ドラゴニアンの姫騎士・f19347)がその姿を表し、複製したアリスランスによる制圧射撃を獣人達に奇襲したのだ。
 これを機に、雁之助が黄金のライオンに騎乗して獣人達の群れを蹂躙して制圧に打って出たのだった。

「毒か…埋まってるヤツなら喰えるかなァ」
(力を削ぐためには有効そうですが、危なそうなら吐き出して下さいね)
「わーってるって」
 人格の一部であるロキの忠告に軽く答えた水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)…いや、アノンがUDCを纏って黒狼の姿に変わることで、研ぎ澄まされたや野生の勘で巨腕の一振りは避けれたが、この毒沼には参るしかなかった。
 多少であれば自らの毒耐性で防げるが、何せ大魔王の毒だ。
 下手に自身の能力に過信するよりは守りに徹せよと、人格らが訴えかけたのだった。

 ――例え穢され恥辱の死を迎えても、私一人の犠牲で大勢が救われるなら…この身を捧げる覚悟はある。
 オブリビオンになって友達を悲しませても、猟兵なら乗り越えると信じている。
 けど、もし囚われ霊装を使われたら犠牲は私だけですまない。
 命を捧げ人々を救うはずが、世界が滅べば本末転倒…。
 『魔女』の姿を見てしまったシホの脳裏に良くない考えが次々と浮かび上がってくる。
 意識がそちらに向いた虚を疲れ、意識を持った毒沼が彼女を飲み込まんとばかりに襲いかかったが、既の所で燦が紅の電撃を帯びさせた神鳴で蒸発せしめた。

「燦…私怖い…私の力が悪用されたら大勢の人が死んでしまう」
 恐怖に震えるシホの手を、燦は安心させるよう優しく握った。

「…シホが犠牲にならないか心配なんだ。取り込まれたら被害甚大だ。でも、その力は正しく使えるシホのものだぜ。魔王が何言おうとアタシが保証する。魔王より親友を信じる簡単な仕事さ」
 嘘偽りのない親友の本心を受け、シホの瞳から涙が浮かぶと隠すように俯いて答えた。
 ――ありがとう。

「私謳う――! この詩を! Fordern->{große}=>Call{Kurono_Nosurge!}=>Auf{earth};」
 突如、上空より声が響く。
 上空に逃れることで時間を稼いでいたイヴが《超越次元想界詩》アース・クロノサージュを発動させたのだ。
 神のような神々しさを持つイヴから放たれる後光が毒沼を照らすと、フローラルなお花畑と変え、薬草や花の香が甘ったるい空気を清浄させ、毒沼をも浄化した。

「人々の祈りに応える為に私、イヴ・クロノサージュが謳い、大魔王を抑えます…この隙にUCを!」
 イヴの姿に勇気を貰ったシホが意を決し、彼女もUCを展開する。

「あなたが願い私を受け入れるなら、この身は未来を切り開く剣となるでしょう。この身は剣、この身は鎧、この身は翼、あなたに祝福を」
 聖霊体となったシホが燦の神鳴へと宿り、オラトリオの翼を受けた彼女を浮遊させた。
 
『ぐぅ…! おのれ、忌々しい光を放ちおって…!』
 大魔王が太陽の如く輝くイヴを落とそうと腕を振るったが、風属性の触手で圧縮空気の足場を作り、風を纏って高速移動しながら回り込んだ。

「悪ぃな、その腕貰っていくぜ?」
 触手を絡めると同時に電流を放って溶断すると、魔女が1人付いた腕をアノンは触手で絡めて引きずりながら、何処かへと走り去り姿をくらました。

『…ッ! おのれ、おのれ、おのれぇ!!』
「魔女狩りの一撃で、魔女であるわたしや仲間を殺せなかった気分はどうかしら?」
 花畑の中を歩みながら、クリナムが大魔王を蔑む目で見つめ、仕上げにかかる。
 
「さあ、風紀を乱すエロ魔王の退学処分だ」
 そして、『親友』を鞘に納めた燦が、指を慣らしながらクリナムと並ぶ。

「……あいつだけは許さない、全力よ…クライシスゾーン!」
「奇遇だな、アタシもだよ…御狐・燦の狐火をもって此処に劫火の煉獄を顕現せん。舞えよ炎、天変地異を巻き起こせ!」
 2人が放った超次元の竜巻とフォックスファイア・陸式による爆熱のダウンバーストが組み合わさった炎の竜巻が、大魔王を、『魔女』を焼き斬り裂いていく。
 大魔王の絶叫が轟く中、鞘の中ではシホが静かに祈りを捧げていたのであった…。

 ――どうか安らかな眠りを。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

フェルト・ユメノアール
人の命を奪って利用する
そんなひどい事、絶対に許す訳にはいかないよ!
キミがどれだけ強大でも関係ない!ボクたちが必ず倒してみせる!

その為にも、まずは相手の攻撃を何とかしないと!
『ワンダースモークを投擲』視界を煙で遮り攻撃の精度を下げ
さらに相手の叩きつけ攻撃に合わせて後ろに飛び退きガード
ダメージを最小限に抑え、すぐさま反撃に移行

『トリックスターを投擲』毒沼に突き立て、足場を作る事で魔王の元へ素早く接近
そのまま間合いの内側に入り込み、一閃する!
でも、それだけじゃないよ!
現れろ!【SPウィングウィッチ】!
煙は攻撃を避ける為だけじゃなく、ウィングウィッチの召喚を気づかせない為の策でもあったのさ



『まだ…だッ! まだ…還らんぞ!!』
 爆炎の竜巻が晴れた跡に現れた大魔王の姿はまだ健在であった。
 先の攻撃で『魔女』の大半が消失したようだが、残された『魔女』から再び力を取り入れようと黒い粘液に沿って電流が迸ると、弱った呻き声に近い叫びが『魔女』から漏れ出す。

「人の命を奪って利用する…そんなひどい事、絶対に許す訳にはいかないよ!」
 再び『魔女』から力を搾り取ろうとする『ラクリマ・セクスアリス』に、フェルト・ユメノアール(夢と笑顔の道化師・f04735)が対峙した。

『ならば、我を滅せてみせよ!』
 なりふり構わぬ大魔王の言動と行動は追い詰められた証であり、それは力を吸い取り切れていない『魔女』を封じた巨腕を大きく振りかぶって叩きつけようとする、フェルトへの返答が物語っていた。

「キミがどれだけ強大でも関係ない! ボクたちが必ず倒してみせる!」
 フェルトが叫ぶと、ワンダースモークによる煙幕で自身や魔王の周囲を取り囲む。
 小賢しい真似を、と大魔王が叫んだと同時に腕が振り落とされ、黒い粘液は弾けながら周囲に再び毒沼を広がらせた。
 煙幕で身を隠したフェルトはすぐに後方へ飛び引くことで叩きつけの直撃を免れたが、彼を飲み込まんとする毒沼が眼前へと迫りつつあった。

「これも、計算通りさ!」
 にやりとフェルトが勝利を確信したように口元を吊り上げ、トリックスターを毒沼から大魔王の元まで一列に並ぶよう投擲する。
 彼の足元に毒沼が来ようとした時に彼は跳び、突き立てたトリックスターを足場にして大魔王の間合いの内側にまで迫り、煙幕の外へ飛び出た。

「大魔王、覚悟!」
『馬鹿め! 毒沼も『我』なのを忘れていたか!!』
 一擲乾坤を賭した両者の戦いは、大魔王が迫ってきたフェルトの一閃を防いだことで大魔王に軍配が上がった…に見えたが、まだ漂う煙幕の中から何かが突き抜け大魔王の背後に一撃を見舞った。

『ぐっ…まさか、貴様は…ッ!』
 煙幕が薄れていくと、大魔王の背後にはフェルトが煙幕の中で召喚していた【SPウィングウィッチ】が、翼で飛行しながら杖を大魔王に向けていた。
 
「煙は攻撃を避ける為だけじゃなく、ウィングウィッチの召喚を気づかせない為の策でもあったのさ!」
 不意の一撃を与えられた大魔王の力が徐々に失われつつあり、毒沼が地面に吸い込まれて行くかのように消えていくのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

リミティア・スカイクラッド
『魔女』の生命と尊厳を冒涜した報い、その身で受けてもらいます

予知と運命操作を避けられないのなら
敵が見るであろう未来を限定しましょう

宝石剣と魔女の刻印の「封印を解く」と
子守歌と攻撃を防ぐ「オーラ防御」の魔力結界を展開
この時、結界の一部にあえて脆い箇所を作っておけば
予知も攻撃もその一点を突くことに集中するはずです

結界を貫いた攻撃を風神の靴の「空中戦」三次元機動で躱し
一気に敵の懐まで飛び込みます
避けきれなくても構いません、剣を握る腕さえ繋がっていれば

UC発動、この世界を守り『魔女』達に安息をもたらす誓いを籠めて
「全力魔法」の斬撃を魔王に浴びせます

ここがあなたの終焉です
『過去』と共に滅びなさい、大魔王



『女共…『魔女』共! 我に力をもっと寄越せ! この愚か者ごと、この愚かな世界を滅ぼす力を!!』
 猟兵達の活躍によって、第四の大魔王『ラクリマ・セクスアリス』の姿は既に維持できなくなり、毒性を帯びた黒い粘液で作られた身体が崩れようとしている。
 だが、最後の悪あがきと言うべきか。
 大魔王の頭部に埋め込まれた宝石が強い光を放ちながら残った僅かな『魔女』の魔力を吸い取り、一部の魔女は自身の魔力が枯渇して叫び声が止むと同時に事切れて、艶やかな身体がどす黒い粘液へと変わっていく。
 それは金の卵を産むめんどりを殺す行為であるのは、大魔王も承知の上であろう。
 それだけ追い詰められた大魔王の前に、1人の猟兵が歩み出た。

「『魔女』の生命と尊厳を冒涜した報い、その身で受けてもらいます」
 古より歴史の影でオブリビオンと戦い続けてきた「魔女」の一族の末裔、リミティア・スカイクラッド(勿忘草の魔女・f08099)が剣身を赤い宝石で作り出された魔剣の『エリクシル』を、大魔王の頭部に輝く同じ色味の『宝石』に向けて突きつける。

『貴様…『魔女』だな? これはいい。貴様を取り込み、その力で我は再度復活を遂げようぞ! 『魔女』共! 唄え! 視せろ! 約束された運命を我に手繰り寄せよ!』
 渡りに船とばかりに、大魔王は新たな活力源を取り込もうと『魔女』達を操り、彼女らの力を行使する。
 猟兵を惑わす子守唄を。猟兵の動きを予知する未来視を。猟兵の運命を操作する力を。
 しかし、リミティアはそれを見越していた。
 未来を見る予知と未来を確定する運命操作を避けられないだろう。
 ならば、それを『狭めてしまえ』。
 『魔女』が高らかに唄うと同時に、宝石剣と魔女の刻印の封印を解き、魔力結界を展開させた。

『はははは、大口を叩いていたが手も足も出まいか! そのようなあがきをしても…無駄だッ!!』
 大魔王は『視た』…結界を破る未来を。
 大魔王は『知り得た』…結界の僅かな綻びを。
 ピック状の骨が結界の僅かな一点を貫こうと、彼女を突き刺そうと振り落とされた。

「…面白いぐらい、その通りになったわね」
 リミティアは呟き、風神の靴に風を纏わせると同時に結界が破られた。
 そして、彼女は飛んだ。三次元機動で躱した大魔王の骨を足場にして。
 彼女はわざと結界の一部を脆くし、予知も攻撃もその一点を突くように大魔王を誘導させたのだ。
 大魔王が万全な状態であれば見抜かれていたかもしれないが、今はその余裕すらない手負いの状態もあり、全ては彼女の予想通りとなった。

「…エリクシルの輝きに誓って、全ての過去に終焉を」
 この世界を守り『魔女』達に安息をもたらす誓いを籠めた宝石剣が輝き始め、大魔王の頭で輝く『宝石』に、光り輝く斬波をリミティアは与えた。
 UC『魔女の誓剣(マギア・ブレイド)』の一撃を与えられた頭部は斬られてもいなかったが、徐々に宝石に亀裂が走り始め、表面から欠片が崩れ落ちては塵となって虚空に消え去る。

『貴様…貴様ァ!! よくも、よくも…我の…に…ッ!!』
 あの宝石が大魔王の本体か、それとも弱点なのか。
 最後の言葉は聞き取れなかったが、大魔王の身体に取り込まれていた『魔女』たちが次々と同化していた四肢が千切れ地面に叩き落ちると、安堵の笑みを浮かばせながら粘液となって消滅する。
 大魔王も身体を構成していた粘液が崩れ落ちながら徐々に小さくなり、最初の姿であった僅かな『それ』になっていくのを、リミティアは上空で見下ろしていた。

「ここがあなたの終焉です。『過去』と共に滅びなさい、大魔王」
 その言葉とともに、第四の大魔王『ラクリマ・セクスアリス』の『始まり』は骸の海へと還ったのであった…。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月16日


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト