アルダワ魔王戦争3-E〜下着1枚あればいい
●ヌギヌギンがヒタヒタ
そこには、大量のスライムが生息していた。スライムは床だけでなく、壁や天井、いたるところでヌメヌメとうごめいており、床にはスライムが移動した跡と思しきぬるぬるとした跡がついている。所々にある窪地にはスライムの体液がたまり、溜池のようになっていた。スライムに触れない事には通り抜けられない、そんな洞窟である。
そして、そんなスライムたちの宝庫である洞窟の中央。そこには、炎熱を帯びたゴーレムが鎮座していた。
●ブリーフィング
「ダンジョンの攻略、お疲れ様です。ダンジョンは順調に攻略されています」
草壁・行成(元プロデューサーの戦場傭兵・f04746)はまず集まった猟兵たちをねぎらった。
「さて、皆さんの活躍で徐々にダークゾーンは晴れています。そんな中で、ある洞窟が見つかりました。その洞窟にはスライムが生息しています」
そのスライムをどうにかするのか、と猟兵から声があがる。しかし、それに行成は首を振る。
「そのスライム自体には何も。いえ、対処はする必要はありますが……」
妙な言い回しをする行成。どう表現したものかと頭をかき、やがて意を決して猟兵たちへ告げる。
「このスライムは『ヌギヌギン液』という特殊な液体からできています。このスライムに触れると、【必ず装備を脱ぎたくなります】。肉体的なダメージは一切ありませんが、そういう類の精神汚染を受けてしまうのです。これは性別種族関係なく、あらゆるものが、それこそオブリビオンさえも、です」
そして、その精神汚染は抗えない。例えば、息をずっと止めていると苦しくなって死に至るように、脱ぐのを我慢する事は精神をひどく損なってしまう恐れがあるのだ。
行成の説明に猟兵たちは各々何とも言えない表情を見せる。中には満面の笑みを浮かべるものもいるが……。
「武器や防具、アクセサリーに至るまで、全てを脱いでしまいます。その状態で洞窟を越えなければなりません」
続けて行成はため息をつく。
「それだけならまだ良かったのですが、この洞窟にはゴーレム――オブリビオンがいます。この洞窟を越えて先に進むには、そのゴーレムを倒さねばなりません」
持っていくところへ持っていけば、かなりの金額で取引されてしまうであろう液体だ。そういう意味では、トレジャーであり、それを守るゴーレムがいるのかもしれない。
「皆さんは武器や防具を装備していない状態で、ゴーレムと戦って頂く事になります。それを踏まえた上で戦略を立てる必要があります。無策でいけば苦戦は必至ですが、策さえ用意すれば必ず勝てる相手です」
猟兵たちには知恵と力とユーベルコードがある。下着一枚あればいい。丸腰であるからこそ、最強にもなれるのではないだろうか。
「この苦難、どうか乗り越えてください。皆さんのご武運を祈ります」
ゲンジー
こんにちは。ゲンジーです。
溶けるではなくあえて自ら脱ぐというのは何とも言えない風情がありますね。
さて、今回は第一章のみのボス戦となります。
皆さんは必ず脱いでしまいます。これは絶対です。武器や防具無しで戦う工夫をして頂くことで、プレイングボーナスが発生しますので、プレイングへ記載頂ければと思います。
また、下着等の最低限の装備は必ず装備していますので、ご了承ください(?)。装備品も脱いだ事でなくなることはありません。
それと、プレイングへご自身で脱ぎ描写を記載頂くか、「脱ぎ描写あり」+「(恥)か(豪快)※どれか一つ」を記載頂ければ、こちらで適宜脱ぎ描写を入れます。記載ない場合は最初から下着一枚で挑んでいる事とします。最初から下着一枚で挑みたい場合もその旨記載ください。
お触り描写はいたしませんので、ご認識ください。一応の注意点として、例の歌の歌詞そのまま記載されてしまうと採用できませんのでお気を付けください。
それでは、皆様のプレイングをお待ちしています。
第1章 ボス戦
『トレジャリーガード』
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POW : ロケットパンチ
【剛腕】を向けた対象に、【飛翔する剛拳】でダメージを与える。命中率が高い。
SPD : コアブラスター
【胸部からの放つ熱線】が命中した対象を切断する。
WIZ : マジックバーレッジ
【自動追尾する多量の魔力の弾丸】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【絶え間ない弾幕】で攻撃する。
イラスト:ヤマトイヌル
👑11
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠茲乃摘・七曜」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
灘・岸科
むっ、武器や防具がないのか。これまた良い修行になりそうだ。
それがしは戦闘中、敵の注意を引きつけるオトリ役になる。
「限界を超える」
トレジャリーガードの「マジックバーレッジ(WIZ)」に対し、ユーベルコード「枷外し(カセハズシ)」を使うことで、身体能力を増強し率先して相手の気を引きます。
最大の目的は、戦闘を有利に進め、勝利に導くこと。
その為なら、ダメージはやむを得ない。
最初から脱いでいる。
鈴木・志乃
UC発動第二人格『昨夜』で戦闘
アド連歓迎
何が!! かなしゅうて!!
下着にならにゃならんのか!!!(最初から下着一枚)
志乃、本当……戦争終わったら会議ね会議
しかし私も志乃も、本来こういう戦闘は苦手なんだけどっ……
【第六感】で攻撃を回避、したら器物が破損すると思うからそれを【念動力】で巻き上げて敵にぶつけて通常攻撃と致しましょう
可能ならスライムを巻き上げてあのいけすかないトレなんちゃらを埋め尽くしてやりたいけど、無理なら無理で結構!
【呪殺弾】を生み出して瓦礫と合わせて【念動力】で嵐と化し、敵を嵐の中に閉じ込められれば上々ね
普段アイテム(罠)にばっかり頼ってるから……
戦争終わったら特訓しなきゃ
「何が! かなしゅうて!! 下着にならにゃならんのか!!!」
地団駄を踏むように荒々しく洞窟を進んでいるのは鈴木・志乃(オレンジ・f12101)――のもう一人の人格、鈴木・昨夜である。あらゆる装飾を外し、今や下着一枚となった彼女は、床でもぞもぞと動くスライムをびしゃりびしゃりと踏みつけながらずんずん中央へと歩いていく。精神汚染で装備が外れるのなら、最初から下着一枚で行けばいい、という考えだ。
「志乃、本当……戦争終わったら会議ね会議」
今は眠っているもう一人の人格、志乃へ愚痴るように語りかける。
「武器や防具がない……これまた良い修行になりそうだ」
そんな昨夜の後ろを灘・岸科(人間の剣豪・f25350)が歩いていく。普段の着物は既に脱いでおり、褌一枚の姿だ。こちらも岸科と同様の考えで挑んでいる。
二人はやがて洞窟中央に鎮座するゴーレム、トレジャリーガードの元へたどり着いた。
トレジャリーガードは二人を侵入者と認め、その身に宿す炎をより強める。
「しかし私も志乃も、本来こういう戦闘は苦手なんだけどっ……」
「ふむ。ならばそれがしがオトリ役となろう」
「そうしてもらえると助かるわ」
「心得た」
岸科は一歩前へ歩み出ると、右手を顔の前へと掲げ片手で拝むような仕草を取る。
「限界を超える」
岸科がユーベルコードを発動させる。同時に、トレジャリーガードの元へと一気に駆け出した。トレジャリーガードも岸科を視認、マジックバーレッジを発動すると、多量の弾丸を発射した。絶え間なく発射される弾丸は弾幕となり、岸科へと降り注ぐ。
岸科のが勢いよく見開かれる。【枷外し】より岸科の体感速度は大幅に上昇、自らの能力も跳ね上がっている。岸科はわずかな隙間へ滑り込むように駆け抜け、弾丸を避けていく。本来弾丸へは自動追尾機能があるが、岸科のスピードについていけず、追尾する間もなく床へ着弾していった。
岸科へ敵の意識が向いている間に、昨夜も行動を開始する。【Ms.Yesterday】により強化された念動力を使い、トレジャリーガード周辺の瓦礫となった床や散らばった弾丸を巻き上げていく。今もなお弾丸が放たれており、それを岸科が避け、瓦礫は生み出されている。
「ついでにスライムも……って、すっごいべたついてる……」
周囲で何をするでもなく蠢いているスライムも巻き上げようとしたものの、粘着力のせいか数匹程度しか巻き上げられずにいた。邪魔なことこのうえないが、戦闘の邪魔にならないのは救いか。
大量に生み出された瓦礫昨夜の武器となり、さらに呪殺弾を生み出しその破壊力を上げていく。
岸科はそれらを視界の隅に捉えながら十分な数になったのを見届けると、戦線を離脱するために弾幕の薄いところを探す。だが、敵の気を引くために深く潜りすぎていたようで、隙間が見つからない。枷外しの残り秒数を考え――
(やむを得ないか)
あえて自ら弾幕へと突っ込んでいく岸科。数発の弾丸をその身に受けながら、しかしギリギリ枷外しの効果時間中であったことからそう大したダメージもなく、無事岸科はトレジャリーガードの戦闘範囲を脱した。
「岸科さん、ありがとう!! くらいなさぁい!!」
巻き上げた瓦礫を呪殺弾とともに渦巻かせ、トレジャリーガードへとぶつけていく。嵐となったそれらはトレジャリーガードへとかなりのダメージを与えていく。
よし、とガッツポーズをしようとしたところで、猛烈に嫌な予感が全身を走る。素早く身をかがめると、その頭上を熱線が通過していった。
「あっぶな~! 今のよく避けられたわね……!」
第六感が働いたとはいえ、音速に近いその熱線をなぜ避けられたのか。昨夜がトレジャリーガードへと目を向けると、一緒に飛ばしていたスライムの何匹かが胸部に張り付いていた。そのスライムが切断されていた分、やや【コアブラスター】のスピードが落ちていたようだ。
「普段アイテム(罠)にばっかり頼ってるから……戦争終わったら特訓しなきゃ」
ぐにぐにと床を這っているスライムに目をやりながら、昨夜は決意を新たにするのであった。
大成功
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ユーフィ・バウム
私は蛮人。衣服は最低限あればいいです
武器も、この拳と肉体があれば十分です。
私が脱ぐのは服というより、装飾品ですね
アーマーのビキニ部分だけになり、打ちかかりましょう
さぁ堂々と勝負ですよゴーレム!
ロケットパンチをはじめとする敵の攻撃は、
【見切り】、致命的なダメージを避けたうえで耐え抜くスタイル
装備がないと見えましたか?
私の【オーラ防御】は鎧より頑丈ですっ
【ダッシュ】で間合いを詰め、【グラップル】を軸に
肉弾戦で制して見せます
攻撃しつつも、仲間と連携しより効果的に打ち込めるように
ゴーレムが弱ってきたなら、好機
めいっぱい【力溜め】た《トランスクラッシュ》!
オーラ籠るヒップアタックで、ぺっちゃんこですよ!
メルフローレ・カノン
スライムを突破していけばいいのですね。
それなら簡単です……
あれ?あれれー?
※脱ぎ描写あり(恥)
※シンプルな白のブラ+ショーツの下着姿
こ、こんな状況でゴーレムと戦うのですか!?
と、とにかく、全力で行きますよ!
得物がないなら、素手でやるしかありません!
[怪力][力溜め]の上で、[属性攻撃]で雷を纏って、
敵の腕を取り関節の可動域以上に曲げてへし折ります。
敵のロケットパンチを拾って投げ返してもいいでしょう。
あとは【神の見えざる手】でボコボコに殴りかかります。
「神よ、その奇跡の御手を、暫しお貸しください……」
敵の攻撃は、防具もないので
[見切り][第六感]で回避するか[オーラ防御]で耐えましょう。
レシア・ラミリィズ
脱ぎ描写あり+(恥)
アドリブ共闘歓迎ですわ
ヌギヌギン液、恐ろしい精神汚染の力ですわね…
『鮮血剣』も手放してしまいましたし
なんだか物凄く心許無いですわ
とは言えこの身一つでも、あの人形を何とかしなくては、ですわね
身体を精一杯腕やらで隠しつつもオブリビオンに戦いを挑みますわ
相手を視認でき次第、UC【見蕩れ見惚れよ真紅の魔眼】発動
わたくしの紅き瞳が秘めしは魅了と『誘惑』の力…!
貴方の銃、そして弾
それが放つは相手を追う魔の弾丸だと言うのでしたら…
命じますわ、さあ、自らを撃ち自ら滅びなさい!
岸科と昨夜とは別ルートでトレジャリーガードの元へ向かう猟兵たち。
「スライムを突破していけばよいのですね。それなら簡単です」
と、メルフローレ・カノン(世界とみんなを守る……かもしれないお助けシスター・f03056)がスライムだらけの洞窟をてくてくと進んでいく。
「ちょ、ちょっとお待ちなさいな! そんな簡単に!」
レシア・ラミリィズ(鮮血剣姫・f24125)がメルフローレへ声をかける。装備を脱ぐ事にやはり抵抗があるため、どうにかスライムを避けられないかと思案していたが、あまりに気軽にメルフローレが歩き出したのを見て慌てて追いかける。
「あははは」
その様子に笑い声をあげながらユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)も二人の後をついていく。
「笑い事ではありませんわ、全く。どうして魔王軍はこんな下品な、ひっ」
ずずず、と急に動いたスライムを踏みそうになり、慌てて避けるレシア。スライムは動かないようで時々動き、一貫性がない。避けながら歩くのは困難を極めた。
「大丈夫ですかー、レシアさーん」
やや離れた位置でメルフローレがレシアへ心配そうに声をかける。
「だ、大丈夫ですわ。……メルフローレ様! 上を!」
ぬるっと天井から落下してきつつあるスライムにレシアが声をあげる。しかし、メルフローレはひょい、とそのスライムを避ける。
「ふふふ、簡単かんた……あれ? あれれー?」
回避したと思った矢先、メルフローレに猛烈な脱衣欲求が芽生えてくる。足元を見ると、そこにはスライムの体液が付着していた。先程落下してきたスライムの体液が落下の衝撃で飛び散り、足に当たってしまったのだ。
「うう、ぬ、脱ぎたくなってきました……」
ヌギヌギン液の精神汚染は凄まじく、メルフローレは帽子へと手をかける。
「メルフローレ様! 気をしっかり……」
レシアがメルフローレへ駆け寄ろうとしたタイミングで、天井から大量のスライムが落下してきた。その量にレシアとユーフィは避ける気力も失せ、その場で立ち尽くすのであった。
●恐るべきはヌギヌギン液
「……神よ、破廉恥な私をお許しください……」
どれだけ敬虔なクレリックであっても、ひとたびヌギヌギン液を浴びれば脱衣からは逃れられない。メルフローレは腰のリボンを解き、首元、手首の裾を緩めていく。首と両腕を通していた上着を脱ぎ、胸元から足元までの白いローブを脱ごうと胸元へ手をかけたところで、動きを止める。一瞬恥ずかしさが脱意欲を上回るが、やはり徐々に脱意欲が増して抵抗できなくなっていく。目を伏せ、深呼吸ののち、意を決して脱いでいく。胸元の白いブラが顕になり、たわわな双丘がたゆんとゆれた。
「うう……どうしてこんな……」
レシアもまた胸元のリボンをゆっくりと解いていく。普段から見せている部分が多いものの、魅せている部分ではないのだから、恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。シルクのふわふわな下着に包まれたレシアの胸もまた、豊かに実っている。脱衣はタイツも例外ではない。レシアは前かがみになりながら、太ももまで覆っているタイツに手をかけ、シュルシュルと衣擦れの音を立てながら脱いでいく。その表情は着ていたドレスのように真っ赤になっている。
「お嬢様たちは大変ですね」
あっけらかんとユーフィが言い放ち、マントや腕輪などの装飾をてきぱきと外していた。
「ユーフィさんは恥ずかしくありませんの……」
「衣服は最低限あればいいですから」
そういって胸を張るユーフィ。慎ましやかな胸はビキニアーマーによりしっかりと守られている。すらりとした肢体だが、お尻から太ももにかけてはむっちりと肉付きが良く、アンバランスのようでいて、目が離せなくなる魅惑的なプロポーションであった。
そうして、三人は脱衣し終えた。
「 こ、こんな状況でゴーレムと戦うのですか!?」
「ヌギヌギン液、恐ろしい精神汚染の力ですわね……『鮮血剣』も手放してしまいましたし、なんだか物凄く心許無いですわ」
メルフローレはシンプルながら、小さなピンクのリボンがあしらわれた白いブラとショーツ姿。レシアは高級そうなシルクのブラとショーツだが、両腕で必死に隠している。
「武器は、この拳と肉体があれば十分です」
ユーフィは左の手のひらへ右手の拳を打ち付ける。装飾をのぞけば、ビキニ部分は普段の状態とあまり変わらない格好であった。
ユーフィの言葉に、レシアとメルフローレはうなずく。
「と、とにかく、全力で行きましょう!」
「この身一つでも、あの人形を何とかしなくては、ですわね」
下着一枚となった三人は決意を新たにするのであった。
●対・トレジャリーガード
洞窟を進み、三人はいよいよトレジャリーガードへと対峙する。たとえ恥ずかしさで両腕がふさがり動けずとも、戦いようはいくらでもある。
「さあ、手早く終わらせてあげますわ」
恥ずかしさも相まった涙目により、普段以上に魅惑的な瞳でもってレシアがトレジャリーガードを見据える。トレジャリーガードは攻撃の予兆を読み取り、弾丸を三人へ向けて撃ち放った。
「貴方の銃、そして弾。それが放つは相手を追う魔の弾丸だと言うのでしたら……」
迫りくる弾丸を視界に捉えながら、レシアはユーベルコードを発動させる。
「命じますわ、さあ、自らを撃ち自ら滅びなさい!」
弾幕となって三人へと向かってきていた弾丸たちはゆっくりとその速度を落としていき、やがては反転、トレジャリーガードへと向かっていった。予想し得なかった弾丸の挙動にトレジャリーガードは為す術もなく、自身の弾丸の攻撃をその身に受ける。
「わたくしの紅き瞳が秘めしは魅了と『誘惑』の力……!」
剣を使わずとも、その身に宿すダンピールの力は強大であった。
そして、その隙を逃さずメルフローレとユーフィが接近戦をしかけるべく駆け出していく。
弾幕により怯んでいたトレジャリーガードだが、向かってくる二人に反応し、自身の巨大な右腕を二人へ向ける。
「来ます!」
「はい!」
ユーフィがひらりと前へ出る。
トレジャリーガードは耐えられるものか、とでも言いたげにゴオッと身にまとった炎を猛らせ、右腕を発射した。巨大な豪腕による【ロケットパンチ】はまともに当たれば相当なダメージを追うだろう。ぐんぐんと近づいてくる右腕は、より威圧感を増しながらユーフィへと向かってくる。
「装備がないと見えましたか? 私の【オーラ防御】は鎧より頑丈ですっ」
身にまとったオーラが可視化できるほどに濃密となっていく。右腕がユーフィに到達するが、強大なオーラで身を固めたユーフィは真正面からそれを受け止める。衝撃でやや後ろへ引きずられるが、しっかりと耐えてみせた。
「こっちですよ、ゴーレムさん!」
その合間にトレジャリーガードの足元までメルフローレがたどり着く。慌ててトレジャリーガードが左腕を足元へと向けるが、それをメルフローレは両腕で掴んだ。
「全力で! 行きますよ!」
全身に力を込めながら雷を纏うメルフローレ。そのまま全身を使って関節とは逆方向へと回転し、トレジャリーガードの関節をへし折った。
声の代わりに全身から炎を吹き上げ苦痛を叫ぶトレジャリーガード。だが、メルフローレは止まらない。
「神よ、その奇跡の御手を、暫しお貸しください……」
ユーベルコード【神の見えざる手】を発動させる。すると、トレジャリーガードの右側面の装甲が急に音を立ててへこんだ。続けざまに左側面、真正面などが次々とへこんでいく。その勢いに負け、ついにはトレジャリーガードがバランスを崩して倒れ込んだ。
そこへユーフィが助走をつけながらトレジャリーガードへと向かっていき、勢いよく飛び上がった。
「さぁ堂々と勝負ですよゴーレム! 【トランスクラッシュ】っ!」
鍛えられた肉体と豊満な臀部をトレジャリーガードへと叩き込む。単純であるが重いその一撃は、凄まじい衝撃を放ちながら床へ放射線状にヒビを走らせる。これまで蓄積されたダメージに加え、これほどまでの重い一撃に耐えられるはずもなく――トレジャリーガードは完全に駆動を停止した。
ヌギヌギン液というある意味で禁忌の宝物を守っていたゴーレムだが、その最後が身体そのものを武器とした一撃であった事を思うと、なんとも皮肉なものである。また、猟兵たちも武器を使わない戦い方を身にしみて学んだのであった。
大成功
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