アルダワ魔王戦争2-E〜回る回る時計の謎
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「うぅ……」
牢の中で朦朧とする少女。彼女はかつてアルダワの迷宮を探索している内に行方不明となり、死亡したとされていた学園生徒である。
中の少女は既に限界と言った様子で、自力で抜け出すことは不可能そうに見えた。
牢獄を開ける術は――と見回しても鍵穴の類は見当たらない。
その代わり、牢の外側にはただ一枚のモニターが問いかけるようにぴかぴかと光っていた。
近づけば、モニターは赤い文字で文章を映し出す。
『さぁはじまりだ。謎解きをしよう。
トーチの火ももうすぐ消える。
もう時間は無いんだ。早速始めよう。
我らがオロロージョは、『三つ目』を指してこう言った。
インコは飛ぶがワニは飛べない。
その他の答えを選べばどうなるかは分かっているね。
いつエントランスは開くのか? さあ、答えて』
そしてぽん、とモニタの下にアナログ時計が現れた。
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「……うーん」
グリモア猟兵、ネルウェザ・イェルドットは首を傾げて考える。彼女がモニターに映すのはアルダワの迷宮、満身創痍の少女が囚われた牢獄であった。
猟兵が近づけば、ネルウェザははっとして顔を上げる。
「ああ、失礼。ちょっとのめり込んでしまった。皆はこれ……解けるかい?」
そう言って彼女が見せたモニターには、謎解きと称された奇々怪々な文章がはっきりと映し出される。更にその下、針がぴくりとも動かない時計が一つ置かれていた。
「オロロージョ、というのがどこかの言葉で時計を意味するところまでは知っているのだけれど、如何せん頭が回らなくてねぇ。三つ目って何さ。インコになんの意味があるのさ……」
ぐぬぬ、と唸るネルウェザ。
彼女は少し苛立ち気味にモニターを指して言葉を続ける。
「こんな問題解かずにさっさと牢を壊してしまえ、と思うだろう? 駄目なんだよ。牢を無理に壊そうとすれば、中に捕まってる子が蒸気トラップを喰らって殺されてしまうんだ」
だから、皆にこの問題を解いてほしい。ネルウェザは未だ出てこない答えにうんうん唸りつつ、グリモアを掲げて猟兵へ向き直った。
「問題文の通り、間違えればトラップが発動してしまう可能性が高い。皆で正解を導き出しこの子を救えるよう、なんとか頑張ってほしい」
ネルウェザは時間がない、と告げてグリモアを起動する。何時もより駆け足でグリモアの光が彼女を包めば、猟兵の姿はアルダワへと転送されて行くのであった。
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迷宮で猟兵が目を開ければ、出発前に見た通りの問題文と時計がすぐに目に飛び込む。時計は針がむき出しになっており、どうやらこれで時間を示しモニターに触れることで『答え』と認識されるようだ。
牢の中の少女の息は浅く、意識を保つのがやっとというところ。
一刻も早く謎を解き、この牢を開けなければ。
みかろっと
こんにちは、みかろっとです。
今回は戦争シナリオ、謎解き依頼となります。
謎が解決した時点でクリアとなる関係で、必要👑は一つとなっております。正答できた方がある程度出た時点でプレイングを締め切らせて頂きますので予めご了承ください。
謎は文章を読めば難しくない……はずです。
プレイングお待ちしております!
第1章 冒険
『迷宮牢獄の謎』
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POW : 総当たりなど、力任せの方法で、迷宮牢獄の謎を解き明かします。
SPD : 様々な技術などを利用して、迷宮牢獄の謎を解き明かします。
WIZ : 異世界の知識を駆使して、迷宮牢獄の謎を解き明かします。
👑1
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
比良坂・逢瀬
女子生徒は大丈夫でしょうか?
直ぐに御助け致しますので少しだけ御待ち下さいね
しかし、この謎は一筋縄では解けなさそうです
orologioは確かイタリア語でしたか
もしや同国の言語に答えを導くヒントがあるのでしょうか?
イタリア語ですとインコはcocoritaでワニはcoccodrillo
そして『三つ目』……どちらも三つ目の文字はcではありますが、それが時計の針と一体何の関係が?
……あら。どうしましたか『光源氏』?
確かに一刻を争う、この状況、猫の手ならぬ猫の知恵さえ借りたい状況ですが、人命が懸かっている以上、軽々に動いては……
……あら? 八時が答え……ですか?
私は難しく考えすぎですか……そうですか……
甘甘・ききん
トーチ……倒置……インコがコインでOKとしてもワニもニワで成り立っちゃうし……オロロージョ?倒置?ジョオロロー?ないないないこれ絶対ない!文字の色が赤……。最初の三行は状況を現してるだけ?必要?
んー三つ目三つ目。チ、ロ、コ、ワニは二文字で三つ目の字がないから飛べない?三つ目の字……は、き、チ、時、始……むっ!……八時!八時が答えだ!
はい開いた!生きてますか!生きてますかー!生徒さん生きてますかー!謎の美少女転校生は救いの女神様だった!そんな素敵なエピソードを貴方の青春の一ページに刻みに来ました。無事帰れたら家紋を狐にして末代まで祀ってね。それじゃとりあえず聖者ビーム(UC)撃つから元気出そ?
パルピ・ペルポル
何のために生徒を牢獄に閉じ込めたりしたのかしら。
おおむね時間稼ぎ…あたりが理由かしら。って閉じ込めた奴に聞かないとそこはわからないけどね。
早く助けて手当てしてあげないとね。
それはともかく。
問題文読む限りでは『三つ目』がカギになる気がするんだけど…。
これがどこを指すか、なのよね。
こういう場合はとりあえず前から3番目の文字を縦読みしてみろって昔誰かが言ってたし。
は、チ、時、が、コ、他、エ……はちじがこたえ。
……えっマジなのこれ?でもこれ以上の見当もつかないし…。
他の人とも話し合って、他になければ時計の針を8時ちょうどに合わせてみることにするわ。
ファルシェ・ユヴェール
ただの謎掛けであれば割と好きなのです
何かを賭けさせられるのも、嫌いな趣向ではないのですが
ひとの命をコイン代わりにするのは頂けませんね
嗚呼、でも
彼女が死亡したとされた時
学園ではどれだけの方が悲しんだことでしょうか
学友も、先生方も
――彼女が無事に戻れば、どれだけの方が喜ぶことでしょう
その為に
…3番目
知恵の石、フローライトを小鳥に変えれば
淡く光りながらモニターの文字の3番目を縦になぞり
この場で共に謎に挑んだ方々と答え合わせ
…『8時』で、間違いありませんか?
応急処置程度なら可能です
生徒さんを無事に送り届けましょう
…この子の無事を喜ぶのは学園の方だけではありません
ネルウェザさんにも良い報せを持ち帰らねば
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牢獄は赤い文字を光らせるのみで、罠が作動するカウントダウンらしきものが動いている様子は見受けられない。『時間がない』というのはつまり――牢の中の少女の息が絶えるまでの、という意味にほかならないのだろう。
これがただの謎掛けであれば。賭けるものがチップやデザートといった可愛らしいものであれば。ファルシェ・ユヴェール(宝石商・f21045)は微笑を僅かに顰めつつ口を開く。
「……ひとの命をコイン代わりにするのは頂けませんね。――嗚呼、でも」
嘗てこの少女が死亡した、と断定されたその瞬間。学園ではどれだけの友人や教師が悲しんだことだろう。この少女が無事に戻れば、どれだけの人々が喜ぶことだろう。
呟いた声に、少女がぴくりと反応する。猟兵達の姿を見た途端、彼女は汚れた制服を僅かに擦らせ、助けを求めるように手を伸ばしていた。
比良坂・逢瀬(影斬の剣豪・f18129)はそっと少女を安心させるように微笑み、声を掛ける。
「直ぐに御助けしますので少しだけお待ちくださいね」
すると少女は頷いて震える手を下げ、奥の壁に背を預ける。きっとこの人たちがここを開けてくれる――そう信じて、少しでも長く持ち堪えようと呼吸を続けていた。
しかし蒸気トラップなどという物騒なものを設けておきながら、この牢を閉じた者が猟兵を邪魔しようと襲い掛かってくる気配はない。
ならば一体何の為の牢獄なのだろうかとパルピ・ペルポル(見た目詐欺が否定できない・f06499)が首を傾げるが、それは閉じ込めた本人しか知り得ぬことなのだろう。
「おおむね時間稼ぎ……あたりが理由かしら。兎に角早く助けて手当てしてあげないとね」
彼女がそう呟けば、周囲の猟兵も頷いてモニターに近づく。
光る問題文に沈黙が走る中、甘甘・ききん(可哀想な 人の振りをする狐・f17353)はぐるぐると思考を巡らせて口を動かしていた。
「トーチ……倒置……インコがコインでOKとしても……」
ききんが文字を並べ替え、眉を顰めて読み上げる。
「オロロージョ? 倒置? ジョオロロー? ないないこれ絶対ない!」
その他にも文字の色に目を向けたり、そもそも最初の三行の必要性を疑ったり。
「んー三つ目三つ目。チ、ロ、コ、ワニは二文字で三つ目の字がないから飛べない?」
そうききんが考え込む中、逢瀬は『オロロージョ』という音が『時計』を意味する国の言語に目を向ける。
「……もしや、同国の言語に答えを導くヒントがあるのでしょうか?」
そう思い立った逢瀬は、問題文の中の単語を翻訳していく。
まず『インコ』は『cocorita』、『ワニ』は『coccodrillo』――そこにオロロージョの指す『三つ目』を照らせば、導かれる答えはどちらの三文字目にも共通する『c』といったところだろうか。
しかし、答えを示すには時計の針を動かす必要がある。アルファベットの一文字を確定させたところで、『何時』を指すのが正解なのかは解らない。
――ふと、推理がつまりかけた逢瀬の足元。
彼女のユーベルコードの力を借りて現れた黒猫が、その尾を揺らして逢瀬の顔を見上げていた。
「……あら。どうしましたか『光源氏』?」
少女の命が懸かった、猫の手ならぬ猫の知恵さえ借りたい状況。とはいえ軽々に動いては――そう逢瀬が光源氏を窘めようとした、その時だった。
パルピがじっとモニターに顔を近づけ、真っ赤な文字を見難そうに眺めて口を開く。
「問題文読む限りでは、『三つ目』がカギになる気がするんだけど……」
――そう。何の、どこの『三つ目』を指しているのか。
それが分かれば答えも判るはずなのである。
「……こういう場合はとりあえず前から三番目の文字を縦読みしてみろって」
そんな事を昔誰かに聞いた、とパルピが呟けば、ふとファルシェが『知恵の石』フローライトを取り出して。
「縦読み、ですか……それでは」
ふわり、とフローライトがユーベルコードの淡い光を帯び、暖かな小鳥となってファルシェの手から飛び立つ。
小鳥がそれぞれの行の三文字目だけをほわりほわりと光らせて舞い降りて行くのを見つめ、パルピが詠み上げていけば。
「は、チ、時、が、コ、他、エ……」
パルピの声に、ききんがむっ! と目を輝かせて。
「……八時! 八時が答えだ!」
「……えっマジなのこれ?」
パルピは思わず、小鳥の辿った箇所に視線を往復させる。
――縦読みという単純、しかし確実に『時間』を指す答え。
逢瀬の黒猫、光源氏もその答えに頷くように目を瞬き、そして主を見上げた。
「……私は難しく考えすぎですか、そうですか……」
そう逢瀬は顔を僅かに俯けながらも、光源氏を軽く撫でて礼を述べる。
答えが纏まり始める中でも、この牢を仕掛けた何者かが飛び出す気配はない。寧ろ、その推理を称賛するようにくすくすと笑う声が聞こえた――ような気がした。
モニターの前、ファルシェはフローライトの小鳥を手に戻して周囲の猟兵に問いかける。
「……『八時』で、間違いありませんか?」
異論はない。その場の全員が頷き、時計の針は――『八時』に合わせられた。
ぽん、とモニターの画面に触れれば。
――○。
真っ赤な文字で、正解を示す丸が光る。瞬間、牢はごごごと震えて左右に分かれ、少女も猟兵もゆうに出入りできるほどの穴を開けた。
「はい開いた! 生きてますか! 生きてますかー! 生徒さん生きてますかー!!」
真っ先に牢へ飛び込み、ききんが少女を抱き起こす。少女が虚ろな目に光を返せば、ききんは笑顔で口を動かし続けた。
「謎の美少女転校生は救いの女神様だった! そんな素敵なエピソードを青春の一ページに刻みに来ました。無事帰れたら家紋を狐にして末代まで祀ってね」
少女がえ、え、と回らない頭でリアクションを考える中、ききんは早速聖者ビームと称したユーベルコードで治療を始める。
パルピとファルシェも軽く応急処置を施せば、少女は自力で立ち、歩ける程に回復できたようだった。
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猟兵達が少女を連れて迷宮から帰還し、学園へと帰る中。
一人の生徒がその姿に気がつけば、彼は目を丸くして少女の顔を二度見する。そして急いで死亡した筈の彼女が戻ってきたと周囲に伝え、少女は沢山の生徒や教師達の「おかえり」を受けて――無事に、アルダワ魔法学園へ帰っていくのであった。
大成功
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