アルダワ魔王戦争3-D〜獣はただ爪牙を振るうのみ
「『大魔王』の第二形態が見つかったわ』
グリモア猟兵の田抜・ユウナはお定まりの伊達眼鏡を取り出して、用意した資料を配っていった。
個体名『レオ・レガリス』。使用するユーベルコードは、簡潔にまとめると【巨大化+戦闘力強化】【体の一部を変形+エネルギー吸収】【爪で一瞬攻撃+恐怖付与】の三種。
能力も外見も、第一形態のそれとは打って変わってシンプルだった。分かりやすく、それゆえに格の違いを見せつけられることとなるだろう。
「相手は大魔王、アルダワ魔法学園世界において並ぶものなき唯一最強の存在。能力値でも技能でも、猟兵の最高位を軽く凌駕するわ。よほどの幸運に恵まれなければ勝てないと思う」
ユウナは厳しい顔で言って、しかし幸運を引き寄せる術はあると続けた。
敵は猟兵が使用したユーベルコードに対応する能力値の技で攻撃してくる。戦闘におけるイニシアチブは当然のごとく敵方にあるが、一定の行動パターンが判明しているというのは大きなアドバンテージになる。
わずかな情報的優位を活かし何らかの策を立てて挑めば、圧倒的な実力差を覆すことも可能であろう。
「相手は大魔王としての力をすべて肉弾戦闘のために注ぎ込んだような化け物よ。決して油断しないでね」
最後に念を押すように言って、ユウナは事前説明を締めくくった。
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迷宮の中に、広大な森があった。
中央には何千年を生きたとも知れぬ大樹が聳え立ち、それを取り巻くようにして高さや太さ、葉の形、果実の有無など多種多様な樹木が無秩序に生い茂っている。
大樹の周りには一本の草木も生えておらず、ただ一柱の獣神が鎮座するだけだ。
『……来たな知性体ども。俺はレオ・レガリス、災魔を統べる大魔王が第二形態である。ようやく、ようやくだ。付け焼き刃の知恵を玩ぶ時は過ぎた。後はただ、恐怖と暴虐を振り撒くのみ。さあ存分に喰いあおうじゃないか!』
四つの脚で大地を踏みしめ、獅子のたてがみを振り乱し、魔王は恐ろしい咆哮を上げた。
黒姫小旅
……今から、君を殴る!
シンプルに脳筋なボスって大好き、黒姫小旅でございます。
超強敵とのギリギリな熱戦を描くべく、全力でお迎えする所存であります。敗北上等でシビアに判定するつもりなので、結構な確率でヒドイ目に会うかもしれません、ご注意ください。
なお、以下の条件を満たしたプレイングに限り、成否判定にボーナスが入ります。
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プレイングボーナス……『敵のユーベルコードへの対処法を編みだす』。
(敵は必ず先制攻撃してくるので、いかに防御して反撃するかの作戦が重要になります)
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第1章 ボス戦
『大魔王第二形態『レオ・レガリス』』
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POW : 巨大なるもの
【知性体を喰らいたいという渇望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD : オールイーター
自身の身体部位ひとつを【あらゆるエネルギーを喰らう魔獣】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ : 王たる脅威
【一瞬のうちに繰り出される爪の連続攻撃】を披露した指定の全対象に【攻撃のダメージに応じた大魔王への恐怖の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
イラスト:猫背
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ソラスティベル・グラスラン
姿こそ大きく変わりましたが、感じる力は間違いなく大魔王
退くことは許されません…我々は、勇者なのだから!!
知性を持つ者に対する食欲
ならばわたしも知性を捨て!『勇気の獣』となります!
【盾受け・オーラ防御】で守り、【怪力】で受け【見切り】受け流す
受け流した瞬間、その獣の如き巨大な胴体の下へ飛び込む
捨てた知性を補う【第六感】で敵の動きを読みとって
目的を極限に絞る、大斧を叩き込むことのみに
頭で考える言葉は三つだけ
【勇気】、【気合い】、根性!!
思考を単純化し、鋭化
知性を落とし魔王の渇望を弱くする
前へ、只管に前へ、この大斧が届くまで
応えて、蒼雷の竜よ
我が【勇気】は、奇跡を呼び寄せるーーーッ!!!
アリウム・ウォーグレイヴ
アドリブ歓迎
あの頭部のおかげで私の冷気が意味を成していませんね。
討ち果たすのは難しい、ですがここで歩みを止めるわけにはいきません。
騎士としての務めを果たしに参りましょう。
冷気がダメであれば、剣戟にて屠れるか試してみましょう。
敵の攻撃をホワイトパスで『見切り』、または『武器受け』をし、『カウンター』を狙います。
敵の体を切り裂き、刺し貫く事で体内から凍らせる事ができれば、か細いですが勝機が見えてくるかもしれません。
そのためにも『覚悟』が必要です。刺し違えるかもしれない『捨て身の一撃』が。
『激痛耐性』があるとはいえ過信はしません。
もし成功したならば『全力魔法』で魔力を開放し凍らせ尽くしましょう。
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『オォォォ!! 食う、喰らう、貪り啜る。ただひたすら、渇望の赴くままに!』
野生と暴力の体現、すべてを喰らう者、大魔王レオ・レガリスは吼え猛った。四足の爪を大地に食い込ませ、獅子の鬣を振り乱して力を解き放てば、元から大きな体が更に巨大化。二倍にも三倍にも膨れ上がった大質量が空気を押しのけて乱風を巻き散らす。
『……まずは、二匹!』
風で視界が霞んだほんの一瞬、獣の王はすでに移動を終えていた。
間合いの内に囚われたのは、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)とアリウム・ウォーグレイヴ(蒼氷の魔法騎士・f01429)の二名。
速い! 大きい! 恐ろしい!!
存在感だけで人を殺しかねないほどのプレッシャーを放ちながら、レオ・レガリスの伸ばした右腕がぐぱぁと割れた。魔物の大顎へと変じた巨腕は肩まで裂けて、獲物たる知性体を二人まとめて噛み砕かんと迫る。
「よろしい、受けましょう。騎士として!」「勇者は前に進むのみ!!」
恐怖で止まりそうになる心臓を叱咤して、アリウムとソラスティベルは果敢に踏み出した。
勇者のスチームシールドが魔獣の上顎を受け、無数の牙とオーラ防御がぶつかり合って火花を散らす。騎士の魔法剣は下顎を、ユーベルコードによって極限まで研ぎ澄まされた五感を活かして巧みに衝撃を殺し、牙を抑える。
バキバキ! 二人の足元が悲鳴を上げて、土が砕けた。盾を支えるソラスティベルの左腕が痙攣し始める。アリウムは魔獣の口腔を凍らせようとするも、片端から魔力を食われてしまって冷気を操ることができない。
強い! 敵わない!
二人がかり、全身全霊をかけてもなお押し負けて――ガヴンッ! 大顎が閉じられ、二人分の鮮血が飛び散った。
……だが、その量は思いのほか少なく。
「よし、凌いだ!」「勇気! 気合! 根ッ性ォォォォ!!」
それぞれ掠めた牙で浅くない傷を負いながらも、二人は掴んだ好機を握り締めて飛び込んだ。
ソラスティベルの大斧が、蒼き稲妻と化す。
相手が知性の持ち主を喰らうならばと思考は棄てて、獣じみた本能に身をゆだねた一撃が魔王を駆り立てる食欲の間隙をついた。
アリウムの刺突剣が風を斬る。
ゼラニウムの花を模した鍔から凍てつく魔力が立ち上り、鋭利な刀身を包み込んだ。
「応えて、蒼雷の竜よ!」「貫き咲け、氷華!」
夜走獣のような素早さで大魔王の足元に滑り込み、四つ足に支えられた胴体部に向けて手中の刃を斬り上げる。
雷鳴とともに打ち込まれた斧撃が、肉を裂きながら焼き焦がした。剣先から流し込まれた冷気が体内で氷塊を形成し、内側から獣皮を食い破った。
『ギャアアァァアアァァァァア!!?』
激しい痛みと驚きで、大魔王は狂ったように絶叫した。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シキ・ジルモント
◆SPD
第一形態とは随分毛色が違うな
油断が出来ないという点は、同様だが
攻撃方法が噛み付く事なら、範囲は変形した部位の可動範囲に留まるはず
こちらは距離を取り攻撃範囲外から射撃で攻撃を行う
…だがこれは、後の行動の為の仕込みだ
それを続ければ当然接近してくるだろう
体勢を崩したフリで隙を見せ、噛付き攻撃と油断を誘いたい
距離を取っておけば敵の全身を視界に入れる事ができる、これを利用し変形箇所を見逃さないよう観察する
変形する部位は一度に一か所
接近する敵のその部位を『見切り』、回避を試みる
油断してくれれば対応も遅れる、次の手を打たれる前にユーベルコードで反撃する
この図体に『零距離射撃』の距離、これなら外さない
●
油断できる相手ではない。シキ・ジルモント(人狼のガンナー・f09107)は十分すぎるほど理解していて、だからなるべく近づかずに牽制射撃を行って安全圏を維持しようと努めていた……が。
『なんだ、ぱちぱち顔に当たってうるさいなぁ』
四足の魔王はまるで効いていない風に笑って、前の足で地面を引っ掻き……――――ドゥン! 大砲のような蹴り音とともに瞬発、一足飛びで徒手空拳の間合いまで踏み込んできた。
「速い……!?」
シキは瞠目しながら、見開いたその目でしかと敵を見据えていた。魔獣の頭部に変形したのは左前足の膝から下。関節の可動域を推測、よろけたフリで隙を晒し、攻撃軌道の誘導と合わせて最適な回避行動を算出する。
――左だ!
跳んだ直後の地面を、ずらりと並んだ牙が穿った。
飛散した土くれを頭からかぶりながら、シキは球のように転がった。魔獣の顎が土や地中の木根をまとめて嚥下するさまを視界に捉え、危うくああなるところだったと背筋を冷やす。
「……今度は、こっちの番だ!」
転げたままの姿勢で、シキはずっと離さずにいたハンドガンを構えた。まともに射撃できる体勢ではないし、仮に命中したところで魔王の皮膚を撃ち抜くのが容易でないことは先の牽制で確認済みだ。
しかし、あれだけ的が大きくてこの至近距離ならば……躱される心配もなく全力を叩き込める!
「全弾くれてやる。【フルバースト・ショット】!!」
自分で制御することもままならぬ、超高速の連続射撃。何発もの弾丸は一塊の群れとなり、魔王の右わき腹に喰らいついて無残に肉を抉り散らした。
「今度は、効いただろう!」
シキは手応えをかみしめつつ魔王が苦しんでいるうちに距離を離して、連射の余韻で熱気を立ち上らせるハンドガンから空になった弾倉を外した。
とりあえずダメージは入れたが、まだ油断はできない。さあ、リロード完了。
成功
🔵🔵🔴
冥神・リモル
「第二形態…。第一より、肉が多くて、普通に美味しそうね…」
【暴食】は伊達ではない(
軽く舌舐めずりをしながら、先制攻撃を迎え撃つ
【限界突破】の技能で、身体能力を上げて、敢えて大魔王の前に身を晒す、何も考えてないアホの子のように
わざと攻撃を受け、その隙に【捕食】【大食い】技能により、大魔王に噛みつき、UC発動
「いただきます…。A・I・M・M…!」
大魔王のパワーと俊敏さのデータを獲得し、反撃する
【限界突破】【シールドバッシュ】の技能と共に、ガントレットに変形させた《ゲヘナ》で乱打戦にもつれこむ
※アドリブ連携歓迎です
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『ぐ、オォォ……』
肉体に刻まれた幾多の傷を押さえて、レオ・レガリスは低く唸った。
早く再生を。そのためにも喰らわねば、知性体の血肉を。
魔王は渇望に駆られて顔を上げ、赤く光る双眸をめぐらせて餌となるものを探し……見つけた。
公園でも散歩するみたいに無垢な足取りで、金髪碧眼の幼子が木の陰から姿を表した。まったくの無警戒。格好の獲物である。
……怪しい、罠か? 脳裏で声がささやいたが、知ったことか。知恵を働かせて手を止めるなど、獣王のすることではない。
『ギャアオオオオオオ!!』
雄叫びを上げて駆けだした。
爆発する食欲で身体が巨大化し、一歩の助走で音速まで加速。ソニックブームを起こしながら突撃し……
「――いただきます」
寸前、幼子が笑みを作ったのを見た。
●
冥神・リモル(選ばれし魂の在り処 p.s.【暴食】・f24944)は、手を合わせて敵を迎えた。”食事”の際には当然の礼儀作法である。
「――いただきます」
直後、魔王の拳が激突した。
ガリッと前歯に感触だけを残して、全身を襲った衝撃がすべてを吹き飛ばし、気付いた時には森の中心にそびえる巨大樹の根を枕にして横たわっていた。
「う……ごふっ」
口の中に錆びた鉄のニオいが充満している。リモルは吟味するように舌を回して、不愉快そうに顔を顰めた。
「臭くて不味い……期待外れなの」
自身の血に混じる別の味。殴り飛ばされる寸前に噛み千切ってやった敵の肉片であるが、これまで【暴食】の名のもとに喰ってきたオブリビオンのなかでは最悪に近い。見た目は美味しそうなのに、ここまでユーベルコードの相性が悪いとはガッカリである。
胸焼けのような不快感を覚えながら、リモルは喰らったレオ・レガリスの肉体データを吸収、体得。偽神兵装《ゲヘナ》をガントレット型に変形させ、借りを返すべく戦線復帰するのだった。
苦戦
🔵🔴🔴
鈴木・志乃
……きっつ
唯一救いなのは、私が感情を奪える埒外だったことかな
初手【オーラ防御】展開
毒を塗った光の鎖で【早業武器受け】もしくは毒入り油を敵にぶちまけながら回避を狙う(転倒狙い)
体がデカくなった分隙間をくぐり抜けられるといいんだけどね!!
【念動力】で油ぶちまけたらUC発動
その感情を滅してやる……っ!
【高速詠唱】【全力魔法】で急いで燃え上がらせて【念動力】も合わせて敵を炎の渦にまきこむよ【焼却、罠使い】
逃げ出そうとしたら【早業念動力】で鎖を操ってスッ転ばせたいね!【ロープワーク】
本当は捕縛してそのまま焼き殺したいけど、多分上手く行かないだろうな
作戦とタイミングは第六感での見切りを頼りにするよ!
●
……まずは仕込み。
鈴木・志乃(オレンジ・f12101)は用意してきた油瓶を取り出すと、宙に放った。念動力を送って瓶を砕けば、中に入っていた液体とガラスの破片が迷宮の照明を反射して煌めきながら散乱する。
『オオォォォァァァアアアアッッ!!』
撒かれた油を気にも留めず、魔王が突っ込んできた。地を揺るがして駆ける四足が油溜まりを踏んで、爪が上手く土を掴めずに滑る。重心バランスが崩れて転倒、激しくスピンしながら慣性の法則に従って前へと飛んで……
「って、危ない!?」
慌てて飛び上がった志乃の真下を、魔王の巨体が通り過ぎて行って、森の木々を十数本ばかり薙ぎ倒してようやく停止した。
「……なんて勢い」
驚きあきれるばかりの被害状況に、交通事故を間一髪で回避した志乃は胸を撫でおろし、くるくると回転しながら光の鎖を投げた。
両手から伸ばす二本の鎖で束縛しつつ、自身の左足に意識を集中。太ももに刻まれた聖痕から火炎を放つ。
「その感情を滅してやる……っ!」
渦巻く業火が魔王を包み込んだ。毒油が付着した体はたちまちに燃え上がり、渇望する巨獣は束縛のせいで逃げることも叶わずもだえ苦しむ。
『グオォォォ!? おのれ、この程度でェェェ!!』
レオ・レガリスは憤怒の相を浮かべ、己を縛る鎖を引きちぎろうと力を振り絞った。隆々たる筋骨がさらに膨れ上がり、張りつめた鎖がビリビリと震え……異変は唐突に始まった。
『ぬっ、これは!?』
大魔王は狼狽した。巨大化していた体が、見る間に縮んでいく。いやそれだけでなく、力の源泉である渇望は消えていくではないか。
志乃のユーベルコード【浄化の炎】。癒しと破魔の力を宿した聖痕より噴出する断罪の炎は、敵の肉体のみならず精神をも焼き尽くすのだ。
『ええい、味な真似を!』
大魔王は歯噛みし、後ろへ退いた。体が縮んだことで鎖が弛んだ一瞬をつき拘束から脱出。地面を転げ回って消火を図る。
「抜けられたか。……でもダメージは上々、悪くないね」
鎖を手元に回収して、志乃は確かな手応えに微笑んだ。
成功
🔵🔵🔴
ナイ・デス
例え、どれ程に圧倒的な力の差があるとしても
私は、諦めない、です
……それと。ただの力では、死ねないものがいると
教えましょう
圧倒的力量差から、先制に反応できない
けれど【覚悟、激痛耐性、継戦能力】耐える
私は、ヤドリガミ
どこかにある本体が『いつか壊れるその日まで』
『私は、死なない。私は、死ねない』
倒れ、再生し、一人生き延びていたなんて、もう嫌だから
聖者の力で、瞬時に再生し
負傷(恐怖)に比例して、強く輝き(戦闘力増強)
一番恐ろしい、誰かの死を、起こさない為に
私は、屈さない、です!
【念動力で自身吹き飛ばし】突撃
【鎧無視攻撃】で刃刺し【零距離で生命力吸収】する光を放って
消滅させる……!
光が、大魔王を喰らう!
サンディ・ノックス
魔王の言葉には反応しない、正しくはその余裕がない
一瞬で繰り出される攻撃を急所で受けることだけは何が何でも回避しないといけないから
動きだす瞬間を【見切る】ことに集中、敵が動いた=急所を突かれるという前提で回避行動
体のどこかで受ける攻撃の痛みは【激痛耐性】で抑え痛みによる戦意低下を防ぎ、すぐにUC『黒化装甲』を発動、内包する悪意の魔力を解放し体を包みこむ
これは傷を受ければ受けるほど力になる鎧だ
これによって負傷は恐怖の対象ではなく力の源、やれるものならやってみろという気持ちで戦える
一撃で戦闘不能に追い込む力が魔王にあることは忘れずに、続く猛攻は回避できるものは回避
増強した戦闘力を活かし黒剣で斬り込む
●
巨大化も異形化も解け、元の姿に戻ってもなおレオ・レガリスは王たる威厳に満ち溢れていた。
『オォォォ――――!』
呼吸深く、全身に闘気を漲らせて、そして……――――消える。
――ギャリリリリリリンンッッ!
獣王の巨躯が霞んだかに見えた瞬間、斬撃の嵐が吹き荒れた。無数の爪痕が木立や地面に刻まれて、その延長線上に立っていた二人の猟兵が餌食となる。
「あうっ!?」「ぅが!?」
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の白髪が鮮血の赤に染まり、サンディ・ノックス(調和した白黒・f03274)の青眼が激痛にゆがんだ。
神速の連撃に切り刻まれた二人は、糸の切れた操り人形のように倒れ伏す……寸前で踏みとどまる。
「わ……私は、死なない。死ねない、です!」
流れ落ちる血と同じ赤の瞳に強い光を宿して、ナイは絞るように顔を上げた。
ナイはヤドリガミ。人としての肉体は仮初の器で、どんな目に合ったところで死ぬことはない。たとえ頭蓋が割れようと、心臓が潰れようと、時間とともに再生する。
ならば痛みも苦しみも捨て置け! 他人はお前と違うのだ、一度の重傷で二度と戻らないこともある。取り返しのつく我が身を犠牲にして彼らを救えるなら、いかなる苦痛も甘受しよう!
「………………」
対してサンディは人間だ。怪我によっては命に関わる。まだ立っていられるのは、予備動作を見切って急所を守ることに成功したからだ。もっとも辛うじて命をつないだだけで、言葉を発する余裕もない。
……だが、それでよし。彼が全身に纏う『悪意』の魔力は、傷を受けるほどに力を増す鎧だ。痛みを抑え込み、手足を動かすことさえできれば問題はない!
『おのれ矮小なる者どもが。畏れひれ伏せ! 我は災魔の王なるぞ!!』
折れぬ猟兵たちを、レオ・レガリスの怒号が打ち据えた。
傷口から染み入るような恐怖の感情によって心身が凍り付いていくが、その程度で勇者たちは止まらない。
「私は、屈さない、です!」
ナイは再生能力を全開、一瞬にして傷を消し去り突撃した。
並んで、サンディは己を奮い立たせる。肉体を抉った爪傷も心に刺さった恐怖も、『悪意』を燃え上がらせる燃料に変えて、足を前へと動かした。
「さあ魔王よ、これが見られること光栄に思え。【黒化装甲】!」「いつか治る、じゃなくて今この瞬間。それで誰かが救えるなら……【いつか壊れるその日まで】、リジェネレイター!」
『ぐぐ、オオォォォオオォォォォ!!?』
それぞれが放った刃が、陰陽二色の閃光となってレオ・レガリスの巨躯を刺し貫いた。
大魔王はその圧倒的な肉体でもって受け止めようとするものの、どっぷり『悪意』に染まったサンディの黒剣が、ナイの放つ生命喰いの光が、徐々に圧力を増して押し込んでいく。
『ば、馬鹿な……!? 俺が負けるというのか!? 世界最強たる、この俺がァアァァ!!?』
大魔王が第二形態レオ・レガリスは断末魔の絶叫を上げながら、聖光と悪意の渦に飲み込まれて、ついには跡形もなく消滅した。
【END】
大成功
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