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アルダワ魔王戦争3-D〜猛々しき獣の魔王

#アルダワ魔法学園 #戦争 #アルダワ魔王戦争 #大魔王 #レオ・レガリス #オブリビオン・フォーミュラ

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 複雑に張り巡らせた採掘施設のある坑道を抜け、蒸気が噴き出るベルトコンベアエリアをさらに下りた先、ダークゾーンが解除されて現れたのは巨大な大樹を中心とした、生い茂る草木で覆われた森林地帯だった。
 ダンジョンだというのに森の強い植物の匂いが立ち込める。好き放題に生える草を踏みながら進むと、鼻をつくような獣の臭いが漂う。その臭いの元には大樹の枝の上から大地を見下ろす、黄金のたてがみを持つ獣の王の姿があった。上半身は人、下半身は獣のように見える。威圧的な見た目もさることながら、何よりもその恐ろしい程の存在感がこの異形が大魔王であることを見た者に悟らせる。
「この臭い……知性体共め、現れたな……!」
 大魔王が鼻を鳴らし、牙を剥き出しにして怒りを露わにする。
「世界の侵略者ども! この俺が物言わぬ者達の代弁者として……あー、何だったか?」
 小難しく考えて戦おうとするが、そんな理由などどうでもいいと途中で投げ出してしまう。
「まあ理由は何でもいい! ただ汝らが気に入らん! 故に俺の暴力で全てを蹂躙してやろう……!」
 無駄な知恵など不要と、獣らしく咆えた大魔王第二形態『レオ・レガリス』が侵入者を迎え撃とうと大樹から跳躍した。


「ファーストダンジョンの探索は順調に進み、大魔王第二形態『レオ・レガリス』の居場所が判明した」
 森の光景を映し出したグリモアベースで、バルモア・グレンブレア(人間の戦場傭兵・f02136)が大魔王の情報を集まった猟兵達に提示した。
「レオ・レガリスはこの3-Dエリアに居る。草木の生い茂る森林地帯となっていて見通しも足場も悪い。敵は自分の領域だけあって獣らしく機敏に動き回れる。注意して戦わなくては危険だ」
 バルモアがマップを指さし、森での戦いに注意を促す。
「そして何よりも気をつけなくてはならないのが敵の先制攻撃だ。レオ・レガリスは必ず先手を取ってユーベルコードによる攻撃を仕掛けて来る。その対処法を考えておかねば勝利は難しいだろう」
 視界が悪い森で襲い掛かって来る猛獣を相手にしなくてはならない。しっかりと対処を考えておかねば戦いにならないだろう。

「知性は高くないようだが、その分、獣としての身体能力と闘争心は高い。だがそういった敵とは今までも多く戦ってきたはずだ。その経験を活かし獣の魔王を討て」
 猟兵達が既にどうやって討つかと考えている姿を頼もしく思い、バルモアは森林のダンジョンへと繋がるゲートを開いた。


天木一
 こんにちは天木一です。今回はアルダワ魔王戦争で大魔王第二形態『レオ・レガリス』とのバトルとなります!

 このシナリオは、1章だけで完結する戦争シナリオとなります。
 大魔王は必ず先制攻撃を行ってきます。皆様のユーベルコードよりも先に発動します。それに対する対処法を編み出すと、プレイングボーナスを得て有利になれます。
 使ってくるユーベルコードは皆様が設定しているユーベルコードの種類(POW・SPD・WIZ)と同じものです。

 プレイングの締め切り日などは決まり次第マスターページにて。
 では獣の魔王との決戦に挑み、勝利を掴み取りましょう!
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第1章 ボス戦 『大魔王第二形態『レオ・レガリス』』

POW   :    巨大なるもの
【知性体を喰らいたいという渇望】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    オールイーター
自身の身体部位ひとつを【あらゆるエネルギーを喰らう魔獣】の頭部に変形し、噛みつき攻撃で対象の生命力を奪い、自身を治療する。
WIZ   :    王たる脅威
【一瞬のうちに繰り出される爪の連続攻撃】を披露した指定の全対象に【攻撃のダメージに応じた大魔王への恐怖の】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。

イラスト:猫背

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

幻武・極
【フリル(f19557)と共に】
ふう、まったくもって大魔王に挑むってのに、そんな怯え腰でどうするのさ。
さて、相手は大魔王とはいえ野生の獣。
狙ってくるとしたらフリルの方だろうね。
周囲の音に気を配り、襲撃のタイミングを見計らってフリルを庇うよ。
オーラ防御と防具改造で爪の連続攻撃のダメージを抑えるよ。
大魔王への恐怖は勇気で振り払い、
『追加入力』で強化したら反撃といくよ。


フリル・インレアン
【極さん(f00331)と一緒に】
ふえぇ、どうして私なんかを大魔王さんとの戦いに連れてきたんですか?
アヒルさんはそういうのは好きそうですけど、私はそういうの苦手なんですよ。
ふぇ、いつも自分勝手に動き回るアヒルさんが大人しいですし、極さんならいつも一人で戦いに来ていますよね。
つまり、私に回復をお願いしたってことはそういうことなんですね。
大魔王さんがどこから襲ってくるか失せ物探しで方向を特定できないでしょうか?
私の役目は大魔王さんの先制攻撃を耐えて『ナースコール』で極さんの傷を素早く癒すこと。
気を失ったり、大魔王さんの恐怖に怯えるのはその後で構いません。



●獣の魔王
「ふえぇ、どうして私なんかを大魔王さんとの戦いに連れてきたんですか?」
 小動物のようにフリル・インレアン(大きな帽子の物語はまだ終わらない・f19557)がおどおどして、見通しの悪い深い森に怯える。
「ふう、まったくもって大魔王に挑むってのに、そんな怯え腰でどうするのさ」
 対照的にやる気満々の幻武・極(最高の武術?を追い求める羅刹・f00331)が、もっとしゃんとするように声をかけた。
「アヒルさんはそういうのは好きそうですけど、私はそういうの苦手なんですよ」
 フリルはアヒルちゃん型のガジェットの『アヒルさん』をお守りのようにぎゅっと抱いて、どこから敵が現れるのかとビクビクしていた。
「さて、相手は大魔王とはいえ野生の獣。狙ってくるとしたらフリルの方だろうね」
 怯えるフリルには聞こえないように極は呟き、辺りを警戒して襲撃に備える。
「ふぇ、いつも自分勝手に動き回るアヒルさんが大人しいですし、極さんならいつも一人で戦いに来ていますよね。つまり、私に回復をお願いしたってことはそういうことなんですね」
 これから現れる大魔王の強さを想像し、フリルはぶるっと身体を震わせて顔を青くした。
「だ、大魔王さんがどこから襲ってくるか失せ物探しで方向を特定できないでしょうか?」
 フリルが震える手で失せ物探しをやろうとしたところで、しっと極が静かにするように促す。耳を澄ませば森の中を何かが疾走する音が聞こえた。

「来たね……そっちだよ!」
「臭う……見つけたぞ知性体! その全てを喰らってやろう! 俺の血肉となれ!」
 極の警告と共に、木々から飛び出た獣の王レオ・レガリスはスピードを加速して見た目の弱そうなフリルに突進する。その爪は長く鋭い刃物のようで人など簡単に切り裂く凶刃の輝きを宿していた。
「ふえぇ! こっちに向かってきますよ!」
 慌ててフリルは目を閉じて、盾にするようにアヒルさんを押し出した。
「大丈夫。フリルには届かせないよ!」
 そこに極が割り込み、オーラを纏って身体を強化すると、振り下ろされる爪を腕で受け止めた。オーラの上からでも殴られたような衝撃が腕に走る。それでも腕を払い爪を押し退けた。しかしそこで攻撃は止まらず、反対の腕も振るわれ爪が今度は横から襲い来る。それを極は蹴り上げて軌道を逸らした。だが5本の爪の一本がその足を切り裂き血が流れる。
「ゴァアアアアッ!」
 レオ・レガリスはその血に興奮し、さらなる斬撃を放つ。極は背に庇うフリルを護る為にその場を動かず、全ての攻撃を受け止める。
 まともに食らえば一撃で致命傷を受けそうな爪の斬撃。その恐怖を勇気で振り払い、拳や手刀で払い、蹴りで弾く。だがその度にどんどんと身体が負傷し、全身が血塗れとなっていった。
「フハァー……血の臭い、ああ、もっとだ。その血を飲ませろ、肉を喰わせろ……!」
 攻撃の嵐が止むと、爪に付いた血を舐めたレオ・レガリスは興奮して飢えたように目の色を変える。
「こ、怖いですけど……極さんがいるから大丈夫です」
 目の前で恐ろしい攻撃を繰り返す大魔王は怖ろしいが、それでも自分を護ってくれる極の背中に勇気づけられ、フリルは傷ついた極に応急手当を行う。先ほどまでの怯えっぷりからは想像もできない毅然とした態度で、白衣の天使の如くあっという間に出血を塞いで全力で動けるようにした。

「これで応急処置完了ですよ」
「ありがとうフリル。ここからはこっちの反撃のターンだよ!」
 極はゲーム用コントローラーを召喚し、追加コマンドの入力を行い己を強化した。オーラが猛り心身に力が漲る。
「喰わせろォ!」
 レオ・レガリスが肉を裂こうと振り抜く一撃を、跳躍して避けた極は踏みつけて駆け上り、その顔面に拳を叩き込む。牙を何本も折って怯ませると側頭部に蹴りを入れた。ぐらりとレオ・レガリスの身体がよろめく。そこに渾身の力で拳を打ち込もうとする。だがその身体は地面に叩き伏せられた。体勢を崩しながらもレオ・レガリスが腕を振り下ろしていた。
「極さん! すぐに治療します」
 大魔王の目の前だというのに、勇気を出して駆け寄ったフリルがその体を手当てする。
「ガアアアアアオオオッ!」
 獲物を纏めて仕留めようとレオ・レガリスが足を踏み下ろす。
「ふえええっ」
 迫る足にフリルが帽子を引っ張って目を隠すようにして屈み込む。しかしその足は地面につく前に止まった。
「助かったよ。やっぱりフリルを連れて来て正解だったね」
 地にしっかり足をつけた極が腕をクロスして足を受け止めていた。
「もう一撃叩き込んだら引くよ!」
「は、はい!」
 極が足を押し戻し、下に潜り込むと、獣の下腹部に跳躍するようなアッパーを叩き込んだ。拳が深々と食い込み、激痛にビクッと敵の足が止まる。その隙に極はフリルを抱えてその場を離れた。
「ゴォアアアアアッ!!」
 獲物を逃がした怒りの咆哮を上げ、レオ・レガリスは追いかけるように森を疾走し始めた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

死之宮・謡
アドリブ歓迎

ほう…古代の金の次は獅子の王か…随分と趣向が変わったじゃあないか…如何した?徐々に野生に帰っていっているな…まぁ其れは其れで面白いから構わんが?
まぁ良い…貴様が王を名乗るのならば相応の力を見せてくれよ?
愉しい愉しい殺し合いと洒落込もうじゃないか!

枯渇の「呪詛」を込めた黒風(属性攻撃:風)を周囲に吹かせて森林を枯らして視界を確保
接敵後はストライフを怪力で振るって「2回攻撃」で正面から削り合う
…相手の攻撃は保々ノーガードで受けて致命傷を浴びたタイミングで【因果応報】を発動してフィニッシュ


郁芽・瑞莉
第二形態は人と獣の融合体ですか……。
思考力という点では第一形態とは落ちるでしょうが。
こと本能に従っての瞬間の最適解を出すのは得意そうですね。
ですがまだ序盤の段階で躓く訳には、ですね。
行きますよ!

相手の先制攻撃はドーピングから身体能力を限界より上へと突破させて。
動きからの情報収集での見切りと、第六感の感覚もフル活用して最小限の動きで避けたり、苦無で受け流しますよ!
神霊体を降したらそのまま追撃し、相手の攻撃は致命傷以外は避けずにオーラ防御や耐性を駆使して動きを止めずに薙ぎ払い、飛斬を飛ばし、衝撃波を打ち込んで。傷が深まったらカウンターを仕掛けてそのままランスチャージで傷口をえぐるように串刺しに!


ハロ・シエラ
この大きさ。
私の剣では斬り辛いですが、だからと言って止まる訳にも行きません。
全力を尽くします。

まず、敵は渇望のままに大きくなるとの事。
攻撃の範囲も大きくなるでしょうから、敵の射程距離を【見切り】、【ダッシュ】で逃げ回りましょう。
攻撃中に大きくならないとも限らないので【第六感】にも頼るべきでしょうか。

さて、大きくなればなるほど的は大きくなりますが、きっと皮膚なんかは分厚くなるのでしょうね。
もし私を食べようというのであれば、【勇気】を持ってわざと捕まり、気を失った【パフォーマンス】をして【だまし討ち】します。
手でも口内でも構いません、ユーベルコードで一撃加えてやりましょう。



●猛る獣
「ほう……古代の金の次は獅子の王か……随分と趣向が変わったじゃあないか……如何した?」
 大魔王の第一形態とは全く違う姿と正確に、死之宮・謡(狂魔王・f13193)がどのように変化しているのか観察していた。
「徐々に野生に帰っていっているな……まぁ其れは其れで面白いから構わんが? まぁ良い……貴様が王を名乗るのならば相応の力を見せてくれよ?」
 謡の元から禍々しい黒き風が吹き抜ける。それは辺りの生い茂る木々を枯らし、視界を塞いでいた雑草が朽ちて木は萎れるように倒れた。そうして視界を確保して堂々と敵の前に謡が姿を現すと、魔王の獰猛な獣の眼が獲物を捉え猛々しく咆える。
「そこにもいたか知性体よ! 汝らは全て滅ぼす! この爪で! この牙で! その全てを喰らい尽くす!」
 獣の魔王レオ・レガリスの身体が何倍にも巨大化し、一足で間合いを詰めた。
「愉しい愉しい殺し合いと洒落込もうじゃないか!」
 その周囲が震えるような殺気を浴びながらも、謡は口元に笑みを浮かべて冷たく見る者を威圧する闇を凝縮したような大剣を構えた。
「来い!」
「ゴォオオオオオ!!」
 頭から叩き潰すような大きな右手が鋭い剣のような爪を向けて振り下ろされる。それを謡は大剣を下から斬り上げて爪を纏めて弾き、振り上げた大剣を一閃して反対側から振り抜かれた左手を受け止めた。刃が手に深く食い込む、だがその勢いを止め切れずに謡の足が浮いた。
「ガァアアアアッ!」
 レオ・レガリスは謡を傷ついた手で掴み、持ち上げると地面に叩きつけた。
「ぐっ!」
 苦悶の声が口から漏れるが、すぐに謡は地面を転がる。すると上から足が襲い掛かり先程まで倒れていた地面が大きく抉れた。
「オオォッ!」
 追いかけてレオ・レガリスが地面を抉りながら謡に迫ると、片膝をついた謡はその足を大剣を盾にして受け止め、肩で大剣の腹を押し上げ敵の足を押し戻した。
「どうした……獅子の王がその程度ではあるまいな」
 そして謡は立ち上がると、大剣の切っ先を向け敵を挑発する。
「ゴォオオオオッ! 喰らってやろうぞ!!」
 レオ・レガリスは全力で右腕を振り下ろした。すると構えを解いて謡が無防備となる。その刃の如き爪が肩から腰へと深々と謡の身体を切り裂いた。
「……返すぞ、これが因果応報だ」
 その激痛に耐えて謡がユーベルコードを発動する。その傷をそっくり敵に移し変え、レオ・レガリスの左肩から右腰に向かって傷が走り血が噴き出した。
「オオオオオオオッ!!」
「まだ動けるか!」
 だがレオ・レガリスは止まらず左腕を薙ぎ払うと、謡は大剣で受け止めるが、刃が脇腹を抉り吹き飛ばされた。

「第二形態は人と獣の融合体ですか……」
 郁芽・瑞莉(陽炎の戦巫女・f00305)は獣のような敵の姿を見て、知性と獣性の融合を求めたような姿だと思う。
「思考力という点では第一形態より落ちるでしょうが。こと本能に従っての瞬間の最適解を出すのは得意そうですね」
 知性は落ちていても、その本能的な爆発力は決して油断できない。
「ですがまだ序盤の段階で躓く訳には、ですね。行きますよ!」
 ここはまだ迷宮の上層。こんな場所で立ち止まる訳にはいかないと覚悟を決めて瑞莉は木々の間から飛び出した。
「ゴォオオオオオッ」
 大気が震える雄叫びと共に、瑞莉を発見したレオ・レガリスが駆け出す。一息で間合いを詰めると爪が伸びて鋭い刃として襲い掛かる。
「凌いでみせますよ!」
 瑞莉が飛び退いて躱すと、敵はすぐさま反対の腕を振るって追撃する。それを瑞莉は苦無で受け流す。だが予想よりも斬撃が鋭く腕を切り裂かれる。続けて脚が蹴りつけるのを何とか苦無で受け止め、衝撃を逃すように後方に宙返りして着地する。
「神祇を宿し、禍を薙ぎ清めます!」
 神霊体をその身に降した瑞莉は、自分から前に出て反撃に移る。苦無を投げて敵の眉間に突き立てる。そして素早く回り込み、薙刀で脇腹を斬りつける。敵が蹴り上げてくると、足の爪を薙刀の柄で防いだ。
「ガァアッ!」
 だがレオ・レガリスはそのまま力任せに蹴り上げ、瑞莉の身体を宙に持ち上げる。そこへ飛び掛かり、爪で引き裂こうと腕を振り上げた。
「獣らしく獰猛ですね、ですが負けません!」
 頭上から迫るレオ・レガリスの一撃を薙刀で受け止め、瑞莉は地面に叩き落とされた。
「ガアアアアアオオオォ!」
 咆えるレオ・レガリスが上から足の爪で串刺しにせんと迫る。すると受身を取った瑞莉は地面を転がって躱し、薙刀を下から斬り上げて斬撃を飛ばした。それが前脚を深く傷つけた。
「ここで決めますよ!」
 一瞬足が止まった敵に向かって瑞莉は突っ込み、今傷つけた左前脚に薙刀を突き入れる。深々と切っ先が突き刺さり、薙刀を抜くとレオ・レガリスの足から血が噴き出した。
「これで足を止めました。次はその胸を串刺しに!」
 動きの止まったところへ心臓目がけて薙刀を突き出す。すると薙刀の刀身が血に染まる。その刃はレオ・レガリスの左腕に受け止めれていた。
「オオオオオオオォォォォッ!」
 高らかに咆えたレオ・レガリスは、血に染まった腕で瑞莉を薙ぎ払い、木に叩きつけた。衝撃に木が折れ、辺りの虫たちが慌てて逃げ去った。

「この大きさ。私の剣では斬り辛いですが、だからと言って止まる訳にも行きません」
 ハロ・シエラ(ソード&ダガー・f13966)が巨大な獣の王を視認して、その身体に自らの細剣を通すイメージを浮かべる。それは巨大な岩を斬るような困難さだった。
「全力を尽くします」
 それでも斬ってみせるとレイピアを抜いたハロは前に踏み出す。その姿をレオ・レガリスが捉えた。
「喰らう――汝らは俺の獲物! その血肉でこの傷を癒す!」
 すぐさま痛む足で地を蹴って、血の跡を地面に残しながらも飢えを満たそうと、ハロを一飲み出来そうな獣が襲い掛かって来る。
「目の前で見るとまるで巨人ですね。でもそれでは小回りは利かないはずです」
 ハロは横に飛び退くと、振り抜かれた腕が木を薙ぎ倒す。そして敵の射程から逃れるように駆け出し、ハロは木々の並ぶ隙間を疾走する。
「ゴオォオオオオオ!!」
 咆哮を上げてその後ろをレオ・レガリスが追う。巨体になった身体では森の木々が障害物となる。邪魔だとばかりに木を薙ぎ払い、ハロへと真っ直ぐな道を作り出した。
「さて、大きくなればなるほど的は大きくなりますが、きっと皮膚なんかは分厚くなっているのでしょうね」
 チラチラと振り向いて敵を確認し、ハロは方向を何度も変えて駆け続ける。
「ガァオオオオオオッ!」
 背後の声が間近に迫り、ハロは跳躍しながらレイピアを振るう。すると先ほどまでいた場所に大きな手が突き出されていた。レイピアの刃がその手を斬り裂く。だが傷は浅く、骨にまで達しない。
「喰う……その肉を……その血を……その知性を……!」
 レオ・レガリスの手がハロを掴む。そして思い切り握ると、ハロは気を失ってしまったようにぐったりと弛緩する。
「ハァア……」
 それを見たレオ・レガリスは指先で摘まんで頭から丸かじりするように口に運んだ。大きく開けた口から剥き出しの牙が覗き、獣臭い吐息が吹きかけられる。
「――油断しましたね」
 そこで気絶した演技をしていたハロが目を開け、眼前の口に向かってレイピアを突き入れる。切っ先が舌に刺さり、妖狐の炎がレイピアを輝かせほど凝縮すると、切っ先で解放して爆発が起こった。衝撃でハロの身体が放り出され、空中で回転して着地する。それに遅れてびちゃっと大きな舌の先端が地面に落ちた。
「グガアアッアアアアアァッ!」
 舌が千切れたレオ・レガリスが叫び、痛みを発散するように力任せに暴れ出した。
「手が付けられんな……」
 負傷しながらもまだ動けると、その攻撃を謡が大剣で受け止めハロを護る。
「獣の頭が冷えるまで離れたほうがいいでしょう」
 頭に血が昇り今攻撃しても怯みもしないだろうと、瑞莉が衝撃波を放って敵の動きを鈍らせる。
「では離れましょう」
 その間にハロは負傷した謡と瑞莉と共に巻き込まれないようにその場を離れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

黒玻璃・ミコ
※美少女形態

◆行動
無差別ではなく知性体を求め捕食すると言う行為が
己もそうだと触れ回る自己矛盾な気もしますけどね

此度の戦場は森林
樹々の葉擦れの動き、大地を踏む微かな音、獣臭
五感全てを研ぎ澄ませて察知し
いくら規格外に巨大化しようとも
骨格や筋肉等を構築するのは物理法則の範疇に囚われます
ならば蓄積した戦闘経験により致命的な攻撃は防ぎましょう

腕の1,2本…最悪身体の3分の1位は
許容範囲として食わせましょう
痛覚や神経は脳内麻薬の過剰分泌で先送りするのです

ですが代償を支払うだけの価値はあります
私の身体を構成する猛毒が獅子身中の虫(どく)となり
そして【黒竜の接吻】を授けましょう

※他猟兵との連携、アドリブ歓迎


鞍馬・景正
最初の姿とはまるで異なる――これも魔王の力ですか。

◆対策
巨大化は脅威なれど、それだけ動きも捉えやすくもなる筈。

獣にとって動作の起点は発達した後ろ足。
故にそこを重点的に【視力】を尽くして観察。

狙いを【見切り】、己の【第六感】も信じてその場から離れるように回避していきます。

木々の間を潜り、障壁代わりにして少しでも距離を稼ぎ、躱しきれぬ場合は刀を盾にしての【武器受け】と【激痛耐性】で持ち堪えましょう。

◆攻撃
反撃の隙を見出せれば、【怪力】で引き分けた【霰】による射撃をお見舞い致す。

【早業】による【2回攻撃】で一撃目をわざと避けさせ、二撃目で頭部目掛けての【破魔】の矢を射掛けましょう。



●巨獣
「無差別ではなく知性体を求め捕食すると言う行為が、己もそうだと触れ回る自己矛盾な気もしますけどね」
 可愛らしい少女の姿を取った黒玻璃・ミコ(屠竜の魔女・f00148)は、敵の矛盾した思考にまだまだ未成熟さを感じる。
「この森は相手の縄張り、不利は否めませんが、五感全てを研ぎ澄ませれば接近を察知できるはずです……」
 ミコは草木の揺れや葉の動き、それに大地に茂る草や枯れ枝を踏む音、そして鼻をつくような獣の臭いを感じ取ろうと意識を集中し、じっと敵の気配を探る。するとその耳に地を蹴る音が、大きく揺れて落ちる木の葉が、そしてむっとするような刺激のある獣臭が届く。
「こちらに向かってきています……見えました!」
 木々の陰から姿を覗かせた獣の王は、木々などまるで苦にせず飛ぶような速さで駆けて来る。
「侵略者め! 森を犯す知性体め! この世界の為……否、喰らいたいから喰い殺す!」
 本能のままに猛り、身体を血で染めたレオ・レガリスの身体がメキメキと巨大化して巌の如く圧倒的な質量で眼前に迫ってきた。
「いくら規格外に巨大化しようとも、骨格や筋肉等を構築するのは物理法則の範疇に囚われます」
 人など一撃で粉砕してしまいそうな巨大な獣の王を前にしても、ミコは冷静に敵の一挙一動を見逃すまいと集中する。
「ガァアアアアアアッ!」
 勢いを乗せて振り下ろされる巨大な手。直撃を受ければ体中が粉砕されるような一撃をミコは掲げた大盾で受け止めた。ずんっと途轍もない重量が掛かり足が地面に食い込む。腕が千切れそうな圧力に耐えると、正面から反対の手が伸び腹を刃のような爪が貫いた。ぐちっぶちっと肉をごっそりと引き千切り、血の滴るそれを口へと運んだ。
「グルルルゥ……」
 口を真っ赤に染めたレオ・レガリスは喉を鳴らし、ぐちゃぐちゃと美味そうに咀嚼する。
「獲物の生死を確認せずに食べるのに夢中になるとは、獣としての本能が強く出ているようです」
 己が食べられている様子を見てもミコは感情を乱さず、腹に空けられた穴は脳内麻薬を過剰分泌させて痛みを麻痺させていた。
「元より多少食われるのは覚悟していました。そして代償を支払うだけの価値はあったようです」
「ぐぅっ!? グアアアアアッアア!!」
 ミコが様子を見ていると、レオ・レガリスが突然だらだらと汗を流して苦しみ出す。
「私の身体を構成する猛毒のお味はどうですか? どれほど強靭な肉体であろうとも、その内から蝕まれては意味を成しません。獅子身中の虫(どく)こそ獣の王を殺すのに相応しいでしょう」
 苦しむレオ・レガリスにミコが軽く口付けする。ほんの一瞬の接触。だがミコが体内で生成した猛毒が侵食し、レオ・レガリスの顔がどす黒く変色し腐り落ちていく。
「アアアアッグッガアアアアアッ!!」
 痛みに叫ぶレオ・レガリスが暴れ、盾を構えたミコを吹き飛ばし、周囲の木々をも薙ぎ払って辺りを更地に変えてしまった。

「最初の姿とはまるで異なる――これも魔王の力ですか」
 巨大な獣の姿をとり暴威を振るう魔王を目にした鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)は、どれほどの力がまだ秘められているのだろうかと想像する。その景正をレオ・レガリスの眼が捉えた。
「顔が、俺の顔がァ!! 知性体を喰らう! 傷を治す! 俺に喰われろォ……ガアアアアアッ!」
 本能剥き出しでレオ・レガリスの巨体が飛んで襲い掛かってくる。
「今はこの魔王を倒す事に集中しましょう」
 腰に差した刀の柄に触れ、神経を研ぎ澄ませて敵の後ろ脚を重点的にしっかりと確認する。
「巨大化は脅威なれど、それだけ動きも捉えやすくもなる筈」
 大きければ見失うこともない。敵が大地を踏みしめ、後ろ脚がバネのように力が溜まった瞬間を景正は捉えた。
 ――来る!
 そう思った瞬間に身体が反射的に動き、景正はその場を横に跳んだ。するとすぐに突風が吹き抜けたように、レオ・レガリスがその場を踏みつけ大地を陥没させていた。
「ガゥオオオオッ」
 レオ・レガリスは木々を薙ぎ倒しながら旋回し、景正を追いかける。
「勢いの乗った状態の魔王とやり合うのは難しいようです。ここは反撃の隙を見せるまで凌ぎましょう」
 景正は木々の間を潜り、障壁代わりに利用する。
「オオオオオオォッ」
 その木々をレオ・レガリスは蹴り倒し、体当たりで粉砕して接近してくる。
「引き離すのは無理ですか――」
 殺気を感じて咄嗟に跳躍すると、その場所にレオ・レガリスの足の爪が刺し貫いていた。今度は上から手が振り下ろされ、鋭い爪が降り掛かる。
「ではお相手しましょう」
 振り返った景正は刀を抜き打ち爪を弾いた。そして荒波の如き威を以って切っ先を敵に向けて正眼に構える。
「その血肉を俺に喰わせろぉおおオオオッ!」
 レオ・レガリスの腕が横薙ぎに振るわれ、剣のような4本の爪が同時に景正の身体をバラバラに切断しようとする。
「喰らう事で力を増すのなら、誰もその餌食にはさせません」
 片膝がつくほど身を低くした景正は、刀で爪を受け流す。しかしすぐさま敵は前脚を蹴り上げ、それを刀で受け止めた景正の身体を宙に蹴り上げた。そして爪を突き入れて仕留めようとする。

「こっちです!」
 その眼前を黒いスライム形態となったミコが木々の間をぽよんと跳ねて横切った。それに気を取られ、レオ・レガリスは攻撃の間を逃してしまう。
「一射お見舞い致す」
 空中で景正は弓を構えて矢を番え、敵の顔目掛けて放つ。その矢をレオ・レガリスは跳躍して回避した。
「矢並み繕う籠手の上――たばしる霰が如く」
 だがその動きは景正の誘導通りだった。すぐさま二射目が放たれ、吸い込まれるようにレオ・レガリスの右目に矢が突き刺さった。
「ガァッアアアアッ!!」
 片方の視界を塞がれレオ・レガリスは血の涙を流して咆えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーフィ・バウム
大魔王第二形態、
まさに獣の王といった姿ですね
ならば、野生の培ったこの体で勝負!

【野生の勘】を軸に、
頭で考えるのをやめ本能で打ちかかる
知性体を喰らいたいというなら、知性を捨てた者には
食らいたい渇望は下がるでしょう

相手の攻撃を天性で【見切り】、【ダッシュ】で懐に飛び込んで
【力溜め】た【怪力】の拳を打ち込む
蹂躙してやりますっ!

当然無傷とはいかないでしょうが、
【オーラ防御】に【激痛耐性】、何より
頭ではなく心に灯した【勇気】と【覚悟】で耐える!

拳が振るえなくなっても、頭や足での【鎧砕き】の打撃を打つ
そして、最後はオーラをめいっぱい込めた、
【空中戦】からの《トランスクラッシュ》!
全部を乗せた体でどうだー!


ユリウス・リウィウス
大魔王よ。お前が物言わぬ自然の代弁者を気取るなら、俺はオブリビオンに蹂躙され倒れていった無言の死者達の代行者となろう。

両の双剣を構え、向かってくるオールイーターを「武器受け」し、「生命力吸収」と「精神攻撃」を加える。
どちらが多く相手を食らえるか、我慢比べだ。
魔王の気を引いている間に、亡霊騎士団を顕現。数をもって群がらせ、魔王の身体に組み付かせる。必要なら荒ぶる亡者として巨大化させる。

どこを見ている、魔王? この場の知性体は俺だけだぞ?
亡者達の対処に魔王が手を取られ始めたら、双剣撃で痛打を与えよう。

俺と亡者と、片方に対処すればもう一方が攻め立てるぞ?
魔王が全力を出すなら、俺も最後の力で応えよう。



●喰らう魔獣
「大魔王第二形態、まさに獣の王といった姿ですね」
 ユーフィ・バウム(セイヴァー・f14574)は本能のままに暴れ回る敵を見て、この森を支配する王者の貫禄を感じ取る。
「ならば、野生の培ったこの体で勝負!」
 敵が頭を使わないのならこちらもと、本能に従い闘気を纏ったユーフィが飛び出す。
「知性体めええええ! ――ん? 獣か? ……何でもいい、喰らってみれば分かる事だ!!」
 血の涙を流しながら激高し、片目でユーフィを見て一瞬首を傾げたレオ・レガリスは、すぐに喰うという思考で頭を埋めて襲い掛かる。切り裂くような爪が伸びてユーフィを捕えようとする。
「運動力で負けるつもりはありません!」
 それを飛び退いて躱し、ユーフィは懐に入り込もうとする。だが嫌な予感に背筋が冷たくなり、慌てて地面に伏せた。すると勢いよく蹴りが上半身のあった場所を通り過ぎる。避けなければ上半身が失っていたかもしれない一撃だった。
「簡単には近づけませんね」
 しかしそんなものは最初から分かっていたと、ユーフィは前へ前へと近づこうとする。
「喰わせろォ!」
 一回り大きくなったレオ・レガリスが串刺しにしようと放つ貫手がユーフィの脇腹を掠める。肉を抉られ血を流しながらも、ここが好機とユーフィは突進して懐に飛び込んだ。
「ここならわたしの拳が届きます! 蹂躙してやりますっ!」
 ユーフィはずっと力を溜めていた拳を打ち放ち、眩いほどの闘気を宿した拳が敵の腹を貫く。
「グッガァッ」
 腹と口から血を流したレオ・レガリスがその腕に爪を突き刺して掴み、引き抜くとユーフィの身体を持ち上げ、地面に叩きつける。そしてもう一度持ち上げ、まだ息があるのを確認してまた振り上げる。だがその手をユーフィは蹴り飛ばし、傷が深くなるのも気にせず無理矢理腕を振り払って飛び退いた。

「世界を破壊するもの……自然を破壊するもの……俺を傷つけるもの……その全てを喰らい尽くす……!」
 レオ・レガリスがユーフィを追いかけようとするが、その行く手に人影が立ち塞がった。
「大魔王よ。お前が物言わぬ自然の代弁者を気取るなら、俺はオブリビオンに蹂躙され倒れていった無言の死者達の代行者となろう」
 ユリウス・リウィウス(剣の墓標・f00045)が呪われた禍々しい双剣を左右に構えて対峙する。
「ガアアオオオオオッ!」
 大きく森を震わせる咆哮と共にレオ・レガリスが駆け出した。左腕が魔獣の頭となり、大きな口でユリウスを喰らおうとする。それをユリウスは剣をクロスして受け止め、逆に口を切り裂く。だが剣ごと噛み砕いてやるとばかりに、鋭い牙で剣を押し戻し、魔獣の牙がユリウスの左肩に突き刺さった。
「大魔王と名乗るだけのことはあるな」
 傷口から生命力が奪われるのを感じながらユリウスは、自らの剣を敵の顎から突き入れる。その剣を伝い相手から生命力を吸い戻した。
「どちらが多く相手を食らえるか、我慢比べだ」
 さらにもう一本の剣も魔獣の右目に突き立てた。
「ギャオオオオオオゥッ」
 苦悶に顔を歪ませ魔獣がユリウスを銜えて持ち上げ、レオ・レガリスが左腕を振るって放り投げ木に叩きつけた。そこへ追撃しようとするが、ユリウスに気を取られている間に、レオ・レガリスの周りをゾンビやスケルトンで構成された亡霊騎士団が取り囲んでいた。それが一斉に襲い掛かる。
「喰らう……知性体を……全て……知性体?」
 レオ・レガリスは襲い掛かって来る亡霊騎士団を振り払い、捕まえて噛みついてみるが渋い顔をして吐き捨てた。
「どこを見ている、魔王? この場の知性体は俺だけだぞ?」
 敵の注意が逸れている間に体勢を立て直したユリウスは、背後に回り込んで双剣の斬撃を浴びせた。
「ガアァアッ!」
 レオ・レガリスが背後に向けて左腕を振るうと、ユリウスはそれを剣で受け止め後退する。
「俺と亡者と、片方に対処すればもう一方が攻め立てるぞ?」
 ユリウスに注意が向くと、囲む亡霊騎士団が敵の全身に組み付き自由を奪おうとした。
「オオオォオオオッ!」
 咆えたレオ・レガリスの左腕の魔獣がさらに大きくなり、一口で亡霊騎士団を10体以上呑み込んでしまった。バリボリと噛み砕き嚥下する。
「長引かせるのはこちらが不利か」
 ユリウスは魔獣が食事中の間に踏み込み、双剣を幾重にも振るって脚から胴を切りつけた。
「喰わ……せろぉ!」
 そのユリウスを頭から呑み込もうと左腕の魔獣が迫る。

「そうはさせません!」
 そこへ高々と跳躍したユーフィが頭から突っ込み、全てのオーラを込めて頭突きを放つ。
「全部を乗せた体でどうだー!」
 体当たりするように魔獣の頭に頭がぶつかった。ぐちゃりと魔獣の頭がへこみ、眼が飛び出して血が流れ落ちる。
「ギャウォオオオゥッ」
 悲鳴のような声を魔獣が上げる。それでも傷を癒そうとユーフィに向けて顎を開く。
「その腕は貰っていく――」
 跳躍したユリウスが魔獣の根本であるレオ・レガリスの左腕に双剣を走らせる。下からの一撃が肉を裂いて骨まで届き、そこへ上からも刃を振り下ろして左腕を二の腕から叩き斬った。
「ガオォッオアアアアッ」
 背を向けたレオ・レガリスは尻尾を振るい、ユーフィとユリウスを薙ぎ払って大きく跳んで逃げるように間合を開けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

司・千尋
連携、アドリブ可

気に入らないから倒す、というのは同感だな
悪いがここで消えてもらおうか


常に周囲に気を配り敵の攻撃に備える
少しでも戦闘を有利に進められるように意識しておく

先制攻撃されたら『錬成カミヤドリ』で複製した本体の飾り紐を引っ掛けて攻撃をそらし回避

近接武器での攻撃も混ぜつつ
基本的には攻防ともに『錬成カミヤドリ』で全方位から攻撃し、手足や頭部等に紐を絡めて行動の阻害を狙う

足元や背後等の死角、敵の攻撃の隙をついたりフェイント等を駆使
周囲の地形等も利用して確実に当てられるように工夫する

敵の攻撃は可能なら相殺か回避
難しいならシールド防御でダメージを減らす
ある程度のダメージは覚悟の上で攻撃を優先


フィオレッタ・アネリ
魔王さんの第一形態さんと戦ったし、二度目まして…かな
ふーん、さっきの姿とぜんぜん違うんだね…衣替えってカンジ?

そんなにお腹が減ってるんだ?
だったら、どれが本当のわたしか当ててみてね!

花の神性で周囲一帯を花園に!
そしたら花精の齎す幻影で分身たちを創り出して翻弄しちゃう
目立たないよう存在感を消してそこに紛れ、花園に溶け込み待避

幻影に噛みついてきたら樹精に呼び掛け、幻影から棘だらけの樹槍を突き出して次々にカウンター

敵が冷静さを欠いたら姿を現し、向かってきたトコを蔦縛りで行動を阻害

そろそろ、とっておきのごちそうをあげるね

《春の祝福》
増幅した精霊力で巨大な樹精の槍を撃ち出して、お腹いっぱいにしてあげる!



●手負いの獣
「ここは俺の庭だぞ! 侵入者め! 知性体め! 何故俺が傷を負わねばならんのだ! 気に入らん気に入らんぞおおオオオ!!」
 左腕を失ったレオ・レガリスは大きく咆え、怒りにギラギラと左目を輝かせる。
「気に入らないから倒す、というのは同感だな。悪いがここで消えてもらおうか」
 待ち構えていたように、司・千尋(ヤドリガミの人形遣い・f01891)は退避してきた敵の前に立っていた。
「そこにもいたか! 知性体! やはり汝らは全て喰らい尽くさねばならん! この世界に存在してはならぬものだ!」
 猛る獣はその尻尾の先端を魔獣の頭部に変え、飛び掛かりながら魔獣が喰らいつく。
「直情的だな。心も獣に近いか」
 それに対し千尋は己の本体である飾り紐を複製したものを牙に引っ掛け、横に引っ張って攻撃を逸らした。だが大きな顎は肩を掠め、右の肩を牙で抉られる。
「ギャォゥッ」
 魔獣は嬉しそうに舌なめずりして、さらに喰らおうと尾がゆらゆら動く。
「俺を食べるつもりのようだが、もうその口で何も食べさせるつもりはない」
「ギャゥ?」
 千尋の飾り紐がいつの間にか魔獣の口を縛るように括られ、辺りには50を越える飾り紐が浮かんでいた。
「獣の身体能力が武器なら、身体の自由を奪ってしまえばいい」
 飾り紐が右腕や四つ脚にも絡み付き、自由を奪い取っていく。だが顔に巻き付こうとしたものが、レオ・レガリスの牙に噛み千切られる。
「ガアアアアアッ!」
 その顔が倒れ込むように千尋に迫る。それを小太刀で受け止めるが、体当たりされるような衝撃に千尋の身体が後方へ飛ばされた。
 間合いを開けその間に、レオ・レガリスは飾り紐を引き千切って身体の自由を取り戻す。

「魔王さんの第一形態さんと戦ったし、二度目まして……かな。ふーん、さっきの姿とぜんぜん違うんだね……衣替えってカンジ?」
 獣の姿をした魔王を前にフィオレッタ・アネリ(春の雛鳥・f18638)が恐れず近づく。
「喰らう……汝らでこの飢えを満たす!」
 尻尾の魔獣がアネリを見て涎を垂らした。
「そんなにお腹が減ってるんだ? だったら、どれが本当のわたしか当ててみてね!」
 フィオレッタは花の神性で森に影響を及ぼし、周囲が一面の花園へと変化する。すると花の甘い香りが満ち、花精の齎す幻影がフィオレッタの分身達を創り出した。
「知性体が増えたっ! 喰らうぞ! 全て喰らってやるぞ!」
 幻影に向かって魔獣が喰いつき、消し飛ばす。さらにレオ・レガリスは右腕を薙ぎ払い、蹴り飛ばして花園を荒らし回る。
「このままだとすぐに花園が荒地になっちゃいそうだね、それは困っちゃうかも」
 だがそうなる前にこちらも反撃に移る。フィオレッタは樹精に呼び掛け、幻影が喰われた瞬間、棘だらけの樹槍を突き出して魔獣の顔に突き刺した。
「ギャオオゥッ!」
 魔獣が叫び尻尾が引き戻される。
「喰えない……喰えない……喰えない……ゴォオオオオアアアッ!」
 幻影を食べようとするたびに樹槍で突かれたレオ・レガリスは、咆えて辺りを蹴り飛ばし、地形を変えるように花園を薙ぎ払う。そうして強引に幻影を消し去り、フィオレッタの姿を露わにした。

「オオオオオォッ!」
 尾が長く伸びて魔獣の顔がフィオレッタに迫る。大きな顎が頭から喰らいつく。その牙がまさに突き刺さろうというところで、魔獣の頭が引っ張られ牙がガチンと空を噛んだ。
「言っただろう、何も食べさせないとな」
 千尋の飾り紐が魔獣に幾重にも巻き付き、猿轡のように口を塞ぐ。
「汝から先に喰らってやろうか!」
 レオ・レガリス本体の口が大きく開かれ、千尋に向けて顔を近づける。
「冷静さを欠いてるみたいだね、それなら簡単に翻弄できそう!」
 そこへフィオレッタが蔦を伸ばして身体を縛り上げる。
「ガァアッ」
 強引にレオ・レガリスはそれを引き千切ろうと暴れる。
「まだ動けるか、ならこれでどうだ」
 さらに千尋が飾り紐を手足に絡め、拘束を強化した。
「そろそろ、とっておきのごちそうをあげるね」
 フィオレッタが精霊達を祝福すると、樹精の精霊力が増幅し巨大な樹槍を創り出した。
「たっぷり食べてね」
 射出された樹槍が敵の胸を狙う。だがそこへ尻尾の魔獣が拘束をつけたまま喰らいつく。しかし拘束によって噛みつくことが出来ず、頭部を貫通し尻尾が根本から千切れ飛んだ。
「ギアアアアオオオッ!!」
 尾を失った痛みにレオ・レガリスが叫んで暴れ、拘束が解かれていく。
「あれだけの拘束を解くか、暴れる手負いの獣は厄介だな」
 なら完全に自由になる前に一太刀浴びせると、千尋は背後から近づき、後ろ足に向けて小太刀を振るい深々と骨が覗くほどの傷を刻んだ。
 そしてすぐに千尋とフィオレッタは拘束を解いて暴走する敵から離れた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ソラスティベル・グラスラン
第一形態とは違い、随分と力のみ追求したようですが…
何だか少しおバカさんですね!わたしに言われてしまう程ですよ!

知性を持つ者に対する食欲…成程
ならばわたしは知性を捨て!真なる【勇気】の権化となります!!

【盾受け・オーラ防御】で守り、【怪力】で受け【見切り】受け流す
捨てた知性を補う為、【第六感】で敵の動きを感じ取る
目的を極限に絞る、近づき大斧を叩き込むことのみに
頭で考える言葉は三つだけ
【勇気】、【気合い】、根性!!

思考を単純にし、鋭化
知性を落とし、わたしに対する魔王の渇望を弱くする

前へ、ただ只管に前へ
この大斧が届くまで
此処に誓うは不退転の意思、勇者とは愚直なる者

これがわたしの【勇者理論】!!


ナイ・デス
言葉は、不要、ですか?
では、大魔王さん
暴力では、どれだけ強くても、屈さない力があること
教えましょう

先制攻撃受け、塵も残さず消し飛ばされても
『私は、死なない。私は、死ねない』
【覚悟、激痛耐性、継戦能力】『いつか壊れるその日まで』
光が人型となって、再生する
その光は、恐怖(負傷)の大きさに比例して、輝きを増し
更なる暴力に襲われても、再生し。不死身だと【恐怖を与え】

私は、勇者のパートナー
どんな恐怖にも、絶望にも、屈しない、です!

【カウンター】
【念動力で自身吹き飛ばし】突撃して
【鎧無視攻撃】筋肉とか無視して刃【串刺し】
【2回攻撃零距離射撃】
【生命力吸収】する光、刃通して大魔王体内から
【範囲攻撃】喰らう!



●勇気の力
「第一形態とは違い、随分と力のみ追求したようですが……何だか少しおバカさんですね! わたしに言われてしまう程ですよ!」
 相手の言動にソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は同じ脳筋として少々親近感を覚える。
「ガァアアアアッ! 知性体め! 喰らう! その身の一片も残さず喰い尽くしてくれる!」
 左腕と尾を失い、怒りに牙を剥き出しにしたレオ・レガリスが駆け出し、飛ぶようにソラスティベルに向かって来る。
「知性を持つ者に対する食欲……成程。ならばわたしは知性を捨て! 真なる勇気の権化となります!!」
 勇気に知性など不要と、ソラスティベルは考えるのを止めて蒸気を噴き出す盾を構える。
「ゴォオオオオオオオ!!」
 咆えるレオ・レガリスが一瞬にして眼前に迫ると、その胸から大きな魔獣の顔が飛び出すように現れ、上半身を呑み込むような巨大な顎で噛みつく。
「勇気、気合い、根性!!」
 三つの心に響く言葉を胸に、ソラスティベルは盾で攻撃を受け止める。牙が盾に喰い込み、穴が穿たれるが、それでもソラスティベルは勢いに負けぬように力を込め、地面に食い込んだ足が土を削って後退しながらも、敵の突進に耐える。その背に木がぶつかり強い衝撃が走る。だがそれでも盾を掲げ続け、その牙が身体に届かぬように押え込んだ。
「勇気を!」
 敵の勢いが止まると、ソラスティベルは逆に全力で押し戻し、背後の木を蹴るように盾を魔獣の顔に叩き込んで怯ませた。
「此処に誓うは不退転の意思、勇者とは愚直なる者」
 そして盾を捨て雷纏う巨大な斧を両手で構えた。
「これがわたしの【勇者理論】!! 跳躍すると全力で斧を振り下ろし、胸から生えた魔獣の頭を叩き込む。
「ゴガァアアアアッ!」
 魔獣はそれを牙で受け止めようとするが、ソラスティベルが体重込めて振り下ろし、魔獣の頭部は両断された。

「ギィアアアアアッ!」
 胸に抉れたように傷が残り、獣のように咆えるレオ・レガリスは手当たり次第に辺りを破壊する。その右腕は鉄槌のように木々を折り、その脚は嵐のように森を薙ぎ倒した。
「言葉は、不要、ですか?」
 そんな獣の王にナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)が言葉を投げかけるが、暴力の化身と化したレオ・レガリスはナイを見つけて牙を剥き出しにして駆け出した。
「では、大魔王さん。暴力では、どれだけ強くても、屈さない力があること、教えましょう」
「ゴォオオオオオッ!」
 レオ・レガリスが右腕を振り抜き、剣のようにするどい4本の爪がナイを捉える。太腿に食い込んだ爪は脚を切断し、脇腹から入った爪が胴を両断する。そして胸を抉る爪は心臓を潰し、最後の爪は首を掻き切った。一瞬にしてズダボロになった全身から血が噴き出す。
『私は、死なない。私は、死ねない』
 明らかに即死と思われる負傷。気が狂いそうな苦痛に耐えるナイの身体が聖なる光を放ち、温かさを感じる光が人型となってナイの新たな身体を一瞬にして再生した。
「ガァオオオオオ!!」
 その新たなナイに向かってすぐさまレオ・レガリスは襲い掛かる。ただ喰らうという本能に従い右腕を振り下ろす。鋭い爪の凶刃がナイに届く前に止まる。そこには大斧で受け止めるソラスティベルの姿があった。

「勇気は仲間を助ける力にもなる!」
 ソラスティベルは爪を大斧を振るって爪を切り飛ばす。
「私は、勇者のパートナー。どんな恐怖にも、絶望にも、屈しない、です!」
 その隙にナイは自分の身体を念動力で敵に向かって突撃させ、手首から刃を出して抉れた胸に突き立てる。分厚い筋肉を刃が貫く。だが肉が再生するように密度を高め刃の進行を押し留めた。
「人を喰らう獣を、私が、喰らう!」
 ナイは反対の手首からも刃を出し、同じ場所に突き刺した。鎧のように護っていた胸板を貫き、刃は深々と胸の中央を貫き背中に突き出た。
「ガァ――グガアアアアアアッ!」
 胸の中央に穴を空けながらレオ・レガリスは咆える。そして巨大化して右腕を突き出すが、ナイとソラスティベルは息を合わせたように左右に飛び退き、どちらを攻撃するのかと敵を迷わせるように距離を取った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

白斑・物九郎
●POW



王の器量は在り方と立ち居振る舞いで決まる
デカけりゃイイってモンじゃないんスよ


●対先制
・回避に専心
・周辺地形を確認、巨大な敵からの視線を切り易そうな木々の陰等を【野生の勘】で見出し、そこを伝い機動(ダッシュ+地形の利用)

・敵の走法やストロークの他、捕捉した猟兵を攻撃する際の優先度設定や視界の巡らせ方といった「癖」を観察(情報収集)


●反撃
・「衝けそうな隙」の内【野生の勘】で最も高成功率と感じた所を狙う
・敵巨体の死角移動やドローン「茶斑の三毛」を囮に放つ等の方途を駆使し接近、【ドリームイーター】発動(精神攻撃)

・『渇望』という精神活動を極端に毀損すると共、敵から獣の群れを創出し畳み掛けさせる


霧島・絶奈
◆心情
獣の方が、まだ賢いのではないでしょうか?

◆行動
先制攻撃対策として【オーラ防御】を展開
負傷は【生命力吸収】で回復
加えて【聞き耳】を立て索敵

更に【罠使い】として持ち込んだ「匂い袋・アンカー状の重りを付けたワイヤートラップ・発煙弾」の複合罠を【衝撃波】に乗せ周囲の木々に散布
敵は匂いで索敵する様ですから、一帯に様々な匂いを撒く事で私自身の匂いを【目立たない】様に細工し潜伏
匂いに釣られてやって来た所を罠に嵌め、視界を閉ざす事で披露を封じ、物理的にも攻撃を妨害
さて…何かしましたか?

先制攻撃を往なしたら『涅槃寂静』にて「死」属性の「濃霧」を行使

私も【範囲攻撃】する【マヒ攻撃】の【衝撃波】で【二回攻撃】



●王の器
「王の器量は在り方と立ち居振る舞いで決まる。デカけりゃイイってモンじゃないんスよ」
 戦っていた二人と入れ替わるように白斑・物九郎(デッドリーナイン・f04631)が敵の前に姿を晒す。
「ガアォオオオオオッ!!」
 もはや言葉など失ったように、自らの血で染まった巨大な魔王レオ・レガリスが物九郎に突進してくる。
「しかも怒りで我を忘れるなんてね、王を名乗るには役者不足ってモンでさァ」
 物九郎は単純に突っ込んでくる敵を撒こうと木々の陰に飛び込む。それをレオ・レガリスが追って木々を薙ぎ倒す。
「力任せじゃ獲物なんて狩れないっスよ」
 視線を切るように倒れた木々も利用して物九郎は距離を取る。
「ガアオオオオオアアアアッ!!」
 むきになって我を忘れたレオ・レガリスは、目ではなく匂いを頼りに物九郎を追い回して距離を詰め始めた。それはまさに獣そのものの姿だった。

「獣の方が、まだ賢いのではないでしょうか?」
 そんな様子に霧島・絶奈(暗き獣・f20096)が呆れたような声を漏らした。
「どれほど強い力を持とうとも、知性が宿らなくては宝の持ち腐れと言うものです」
 絶奈は獣を仕留める為、進行方向上に衝撃波を放ち、それに乗せて森に匂い袋を仕込んだワイヤートラップを散布する。ワイヤーのアンカーが木々に引っ掛かり罠が仕掛けられていった。
「さて準備は出来ました。後は罠に掛かるのを待つだけです」
 さまざまな匂いを撒いて自分の匂いを目立たぬようにした絶奈は、ちらりと姿を見せて手振りで物九郎に誘導先を指し示す。
「ほらほら、俺めはこっちっスよ!」
 挑発するように声をかけながら、物九郎は追って来る敵を罠の場所へと誘導する。
「グルルルルゥッ」
 レオ・レガリスが鼻をひくひくと動かし、辺りのさまざまな匂いに反応する。そして匂いの元が何なのかを調べに木に近づいた。すると足にワイヤーが引っ掛かり、発煙弾からもうもうと煙が上がり視界を塞いだ。
「これで嗅覚も視覚も封じました。これでもまだ私に攻撃できますか?」
 匂い袋で鼻を、煙で目の探知を塞ぎ、敵の索敵能力を封じる。
「ガアアアアアッ!」
 それでもレオ・レガリスは本能で動き、絶奈の隠れる木へと飛びついた。メキメキと木が倒れ、絶奈が飛び退く。そこへ腕を伸ばすが、絶奈は剣で巨大な爪を受け止め勢いを逃すように後退した。その間にレオ・レガリスは腕を振り回し、突風を起こし煙を振り払って視界を確保した。

「流石は魔王と言ったところでしょうか、ですが精彩を欠いているようですね」
 絶奈は手負いを越え、敵が既に満身創痍であることを見抜く。
「ならココで決めてやりまさァ」
 物九郎は茶斑の三毛猫型ドローンを飛ばして敵の視線を引き付ける。それが囮になっている隙に側面から接近し、モザイク状の空間から巨大な鍵を取り出し、非物質化させて敵の獣の身体に突き刺す。そして捻ってガチリと回すと、『渇望』という精神活動を極端に毀損すると共に、そのドリームエナジーを元に獣の群れを創り出した。
「グガアアォッ!」
 レオ・レガリスが右腕を振り下ろすと、物九郎は鍵を抜いて飛び退く。
「さァ、畳み掛けるっスよ」
 そして獣の群れに指示を出し、一斉に襲い掛からせた。獣は足に喰らいつき肉を引き千切っていく。
「ガァオオ!」
 レオ・レガリスはそれらを蹴り飛ばすが、すぐに纏わりついてまた肉が喰われる。
「自分が喰われるってのはどんな気分なんスかね」
 その様子を眺めながらも物九郎は油断なく鍵を構える。すると纏わりつく獣を無視して蹴散らし、レオ・レガリスが本能的に物九郎が原因だと悟って牙を剥く。
「ガアアアアッ」
 頭から丸呑みできる巨大な口が物九郎の頭上に降ってくる。だがその視界が黒い霧に包まれた。
「魔王であろうとも、こうして存在している以上ただの獣と同じ。死からは逃れる事ができません」
 絶奈が森羅万象へと干渉し、死の属性を持つ濃霧を生み出した。物九郎は口を塞いで飛び退く。そこへ霧を大きく口に含みながらレオ・レガリスが地面に牙を立てた。
「ガァ、ギガァッギギガアアッ!」
 喉を掻き毟るようにレオ・レガリスが苦しみ出す。
「貴方は此処で終わりです。其のまま獣らしく喰われて朽ち果てなさい」
 濃霧がレオ・レガリスの身体を麻痺させ、そこへ獣たちが喰らいついた。
「ガ……グギ……ギィアアアアッ!」
 悲鳴のような声を上げ、レオ・レガリスは最期の力を振り絞って地を蹴って全てを喰らわんと口を大きく開く。
「こいつで終わりでさァ」
 そこへ物九郎が大きな鍵を突き出し、飛び込むように口の中に突き入れた。鍵が後頭部から突き出て、レオ・レガリスは崩れ落ちるように力尽きた。

「王を名乗るにゃまだまだ器量が足りやせんね」
 物九郎は王というには威厳が無さ過ぎたと、獣の王が消え去るのを見下ろす。
「そうですね。まだ進化途中という事でしょうか。此の後に現れる魔王がどれほど強くなっていくのか、それによって戦争が激化しそうですね」
 絶奈はまだ未熟な獣の心を持った魔王でもその肉体のポテンシャルは高かったと戦いを振り返り、これから新たに現れる魔王はどんどん強力になっていくのだろうかと想像する。
「そりゃ後の楽しみってことで、討伐報告に戻るっスよ」
 さっと戦闘モードから切り替えた物九郎の言葉に頷き、猟兵達は魔王討伐を成功させ、意気揚々と迷宮からグリモアベースへと帰っていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月10日


挿絵イラスト