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『トクベツ』に欠かせぬもの

#アックス&ウィザーズ #ハートフル

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●トクベツなお菓子作りに欠かせぬもの
 その村では、主に10代の少女たちが困ったように額を突き合わせて、問題を解決する方法を相談していた。
「この時期、あの森に生えるあの実がないと、『特別なお菓子』作りができないよ?」
「で、でも……今は森の神様がお怒りだって、お父さんたちが言ってたし……」
 先日、狩猟のために村近くの森へと入った男性陣が、動く巨木に襲われたのだ。幸い死者はいないが、怪我をした者はいる。故にしばらく森へ入ることは禁じられてしまった。
「どうしよう、わたしは今年こそ上手に『特別なお菓子』をつくって、告白しようと思ってたのに……!」
「あたしだって、ドニに今年も期待してるって言われちゃったし、お父さんも弟たちも楽しみにしてる……」
「……森に入るのが禁じられてしまったのは、村の皆も知っているのだから、あの実が採れないこともきっと、理解してくれると思うけれど……」
 ひとりの少女が言ったことは正論だ。だが、理解はすれども、一年のうちこの時期だけ採れる実を使った甘いお菓子を楽しみにしていた彼らががっかりするであろうことは必至。
「採りに、行く……?」
「……」
「……、……」
 だが、大の大人ですら怪我を負う巨木のいる森に入る勇気……さすがに普通の村娘である少女たちには湧いてこない。
「……仕方ない、他のお菓子で我慢してもらおうか……」
 しょんぼりとしつつも少女たちが納得しようとしていたその時。
「ねえ、ゲルダを見なかった? あの子、ひとりで森に行っちゃったみたいなの!」
「!」
「!!」
 駆けてきた女性の言葉に、少女たちは固まり、顔面を蒼白にする。
 ゲルダはまだ12歳の普通の少女だ。今の森に入って、無事でいられるとは思えない――。

●森の中、彷徨う
「い、急いでほしいのっ……!」
 グリモアベースに立つオラトリオの少女が、慌てた様子で近くの猟兵達に声をかけている。相変わらず声は小さいが、それでも頑張って声を張っている上に、通りがかった猟兵に近づいて声をかけているようだから、声をかけられた猟兵が他の猟兵を呼んで彼女の周りには猟兵達が集まってきていた。
「あのね、アックス&ウィザードの森を、オブリビオンが拠点にしてしまったの。その森は近くの村の人々の生活圏内で、植物や動物を狩ったり、森の奥の花畑や泉は憩いの場として利用されているんだよ。森の様子の変化に気がついて以降、その森は暫くの間立入禁止になったんだけど……ひとりの女の子が、森へと向かってしまったの」
 このグリモア猟兵――コルネリア・メーヴィス(闇に咲いた光・f08982)によれば、この時期にこの森で採れる実を使ったお菓子は、毎年村の男性が楽しみにするもので、女性たちも張り切って作ったお菓子を、恋人や家族へ贈ったり、好きな人へ想いを伝える時に勇気をもらうアイテムとしているらしい。
「でも今年は森へ入るのが禁じられてしまったから……他の村の女の子たちは別のお菓子を代わりに作ろうって決めたみたいなんだけど、その子――ゲルダちゃんはどうしてもその実を採りたかったみたいで……」
 つまり、ボスオブリビオンが棲みつき、配下のオブリビオン達が徘徊する森へとひとりで向かってしまったというわけだ。
「今から向かえば、ゲルダちゃんが森に到着するよりも早く、森に入れるよ。森には巨木のオブリビオンが何体か徘徊しているから、それらを討伐して、そのあと森に棲みついたボスオブリビオンを討伐してほしいの」
 オブリビオンさえ討伐してしまえば、村の人達もいつもどおり森に入れるようになるだろう。
「みんながオブリビオンを討伐してくれれば、あとからゲルダちゃんが来ても安全だよね。わたしはみんなのこと信じてるからっ……!」
 コルネリアはそう告げてお願い、と頭を下げた。


篁みゆ
 こんにちは、篁みゆ(たかむら・ー)と申します。
 はじめましての方も、サイキックハーツでお世話になった方も、どうぞよろしくお願いいたします。

 このシナリオの最大の目的は、「森に棲むボスオブリビオンの討伐」です。

 第一章では、森の中を徘徊している数体の巨木『荒ぶる山神』と戦い、ボスオブリビオンの元への道をひらくかたちになります。

 第二章では、ボスオブリビオンとの直接対決となります。

 第三章では、第二章が成功していることが前提となりますが、安全を取り戻した森の中でのお茶会を予定しております。
 お自然の中で飲み物を楽しんだり、お菓子の匂いに誘われて来た動物たちと触れ合ったり、お菓子を楽しんだりできます。
 村の女性陣が作った、実を使った『特別なお菓子』も食べることができます。
 『特別なお菓子』は持ち帰りも可能ですが、アイテム発行はございませんのでご注意ください。

 ご参加はどの章からでも、何度でも歓迎いたします。

 現地まではグリモア猟兵のコルネリアがテレポートしたのち、猟兵のみなさまをお喚びする形となります。

 コルネリアは怪我をしたり撤退する猟兵のみなさまを送り帰したり、新たにいらっしゃる猟兵の皆さまを導いたりと、後方で活動しており、冒険自体には参加いたしません。
 お誘いがあった場合のみ、第三章のお茶会に顔をだすことが可能です。

●お願い
 単独ではなく一緒に描写をして欲しい相手がいる場合は、お互いにIDやグループ名など識別できるようなものをプレイングの最初にご記入ください。
 また、ご希望されていない方も、他の方と一緒に描写される場合もございます。

 皆様の行動がどのようなお話へと化学変化するのか、プレイングを楽しみにお待ちしております。
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第1章 集団戦 『荒ぶる山神』

POW   :    握り潰す
【人ひとり覆い隠すほどの掌】が命中した対象に対し、高威力高命中の【握り潰し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    踏み潰す
単純で重い【地団駄】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
WIZ   :    叩き潰す
【大きく振りかぶった拳】から【地震】を放ち、【その振動】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シェーラリト・ローズ
1年に1回なら特別だよね
邪魔は良くないねぇ

「うへぁ…おっきいねぇ
荒ぶる山神とはよくいうというか」
複数いるみたいだし、攻撃に当たらないよう彼らの動作音や移動音に【聞き耳】をしっかり立て、攻撃はしっかり【見切り】で直撃を受けないよう注意していこう
ユーベルコードでの【マヒ攻撃】でマヒを狙い、皆を支援
まずはマヒさせることを優先させて、全てマヒを与えたら【全力魔法】や【2回攻撃】で確実に倒していく。
山神の一撃が重いなら最後まで安心できない分皆で声を掛け合って攻撃に対処していこう
特に叩き潰すから動きを封じられた人がいたらカバーに入れるようにしないとタイヘンだからねー

まー、とにかく、まずは前哨戦がんばろー


グラデウス・ミースミ
急ぐのですね?承知いたしました、早速参りましょう。
先行する形なので時間との勝負、ですが急いては事を仕損じるとも言いますし、確実な仕事が必要ですね。

ウィザード・ミサイルは全部当てるつもりで狙いを定めて解き放ちます。
流れ弾で思わぬ被害を出すのは望みませんから。
接近されたらロッドでひっぱたいて零距離で撃つことも考えます。


アウレリア・ウィスタリア
森の中ということは荒ぶる山神と同じぐらい大きな樹がたくさんあるはずですよね
ボクは木々に飛び乗りそこから空想音盤:追憶を起動
空から敵を切り裂きます

空だけでなく木の幹を駆け抜け
大きな枝の間を飛び跳ね
敵の死角をつくように動き回ります

薄暗い森の中でも
ボクの目にはちゃんと見えてますから
それに木々のざわめきと山神の動く音、その差も判断してみせます
ボクが不意打ちをしても不意打ちされることは避けてみせましょう

地震も空を舞えば避けれますから
ボクは山神たちにとっては相性の悪い相手でしょうね

それでも油断はしません
特別なお菓子が何かはわかりませんけど
村の人にとって大切なものなんですよね
それを守るのもボクの役目です


レイ・アイオライト
ダガーで一箇所を集中攻撃……そうね、足の付根なんていいんじゃないかしら。自重を支える足をやれれば、デカブツなんて後は簡単なものよ。


アルバ・ファルチェ
女の子達が困ってるなら、期したるもの見過ごす事なんか出来ないよね!

【救助活動】の一環として、オブリビオンと出会った地点なんかの【情報収集】をしてから急いで向かうよ。

オブリビオンを発見したら、攻撃は【おびき寄せ】【かばう】なんかで僕に引きつける。
攻撃は【盾/武器受け】も良いけど、なるべく【第六感】を駆使して【見切り】で回避するよ。
後はドラゴンランスの『コルノ』に【援護射撃】の要領で【槍投げ】【串刺し】のような体当たりをしてもらおうかな。

コルノだけじゃなく、仲間もいれば攻撃は頼るよ。
かわりに防御に関しては任せて!


ネラ・イッルジオーネ
少女が着く前にあらゆるモノを処理すれば良いのですね。
それと……私の魔法はすごく派手なので、少女に気づかれなければ良いですが……

敵が行動をする前に『高速詠唱』でユーベルコード『プニツィオーネ・ディ・ディオ』を発動させます。時空を越えて現れるは神の力。『範囲攻撃』で全ての山神を一時的に止めましょう。

そうする事で他の猟兵が動きやすくなって、戦いやすくなるでしょう。


ハロルド・グレナディーン
特別なもの、という言葉を聞くのは
誰しも心が躍るものだろうね
どんなお菓子か気になる
ケットシーの好奇心は、さて置いて
せっかちなゲルダ嬢を助ける為にも
森の安全を取り戻しに頑張るとしようか

序盤から【ライオンライド】に騎乗して戦闘を
敵の数が多い内は動きをよく見て
からくり人形達を操り、攻撃を躱したり防御もする
弱点や弱った個体が分かれば
数を減らすためにも狙いを集中させる
攻撃に威力が必要そうだと判断した際には
指揮者も見ているだけではないぞ、と
黄金に輝く獅子からの猫パンチもくらうが良いさ

戦闘経験が不慣れなため
アドリブやアレンジ大歓迎



●巨木彷徨う
 森の外に降り立った猟兵達は、緑の中に入らずともオブリビオンたちの気配を感じ取っていた。
 カサカサ、ガサガサ、ザワザワ――風による葉ずれの音の中に、明らかに別種の音が混じっている。
「急ぎましょう」
「はい。少女が着く前にあらゆるモノを処理しなければなりませんから」
 真剣な表情のグラデウス・ミースミ(将来の夢は安眠。・f12178)の言葉に、二色の髪を揺らしてネラ・イッルジオーネ(サンツィオーネ・ディ・アニマ・f06949)が頷く。
(「……私の魔法はすごく派手なので、少女に気づかれなければ良いですが……」)
 内心そんな不安を抱えてもいたが、森の方から大きな音や光などの常ではない様子が伺えれば、案外自分が思っていたよりも危険な場所だとゲルダは思ってくれるかもしれない。
 グラデウスとネラの言葉に頷いたレイ・アイオライト(人間のシーフ・f12771)は銀色のポニーテールを揺らして森へと走り入る。それを、黒猫の仮面を付けたアウレリア・ウィスタリア(瑠璃蝶々・f00068)が追った。
「1年に1回なら特別だよね。邪魔は良くないねぇ」
「女の子達が困ってるなら、騎士たるもの見過ごす事なんか出来ないよね!」
 シェーラリト・ローズ(ほんわりマイペースガール・f05381)に同意するようにアルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)も言葉をかぶせて。
「特別なもの、という言葉を聞くのは、誰しも心が躍るものだろうね」
 もふもふしっぽのハロルド・グレナディーン(ケットシーの人形遣い・f06123)はケットシー故に人一倍好奇心が強い。村人達が特別に思っているお菓子がどんなものなのか気になるが、実物を拝むためにも先にやらなくてはならないことがあるのはもちろん承知している。
「せっかちなゲルダ嬢を助ける為にも、森の安全を取り戻しに頑張るとしようか」
 約80cmほどの黄金のライオンを喚び出したハロルドは、それに騎乗してシェーラリトとアルバを追った。

(「時間との勝負、ですが急いては事を仕損じるとも言いますし、確実な仕事が必要ですね」)
 数m先に見える山神は巨木と言うだけあって大きく、太い。ゲルダが来る前に全てのオブリビオンを撃破しなければいけない以上、迅速さが求められるが……速度のみを重視すればどこかに歪みが生じる。グラデウスは心中で自身に言い聞かせて、意識を集中させる。目の前の巨木はこちらに気づき、向かってこようとしている。だったらなおさら、全部当てるつもりで――!
 ヒュヒュヒュヒュヒュッ!
 彼女の放った数多の炎の矢は、多くが目の前の巨木に突き刺さったが、何割かは狙いから逸れてしまった。それでも巨木は足を止めて、燃え盛る枝葉に慌てているようだ。その隙を見逃さずにレイが巨木に迫る。そして躊躇わずにダガーを振り下ろしたのは、巨木の足の付根。ガッガッと素早く何度も同じ部分を斬りつけた。すると。
 ぐらぁっ……巨木が傾ぐ。自重を支えられなくなったそれは、そのまま他の木々にぶつかり、あるいは押し倒してどぉんっと地に伏した。
「自重を支える足をやれれば、デカブツなんて後は簡単なものよ」
 倒れたまま起き上がれぬのだろうか、炎に喰われつつもがく巨木を一瞥し、言い放ったレイ。追い打ちとばかりにその横を、グラデウスの放った炎の矢が駆け抜けていく。
 樹の、燃える臭い。生木のそれと枯れ木のそれが混じった臭いの中に、巨木が上げる醜い悲鳴のようなものが混入して――それは徐々に弱々しくなっていった。
「んー、聞いていた目撃地点よりだいぶ森の外に近いね。やっぱり徘徊してるみたいだ」
「そうですね。そして、来ますよ」
 最初の一体に出会った場所は、アルバが予め聞いていた、村人達と巨木との遭遇地点とは明らかにずれている。同意を示したアウレリアが視線で注意を促すのは、森に入ってきた方向を背にして前方と左右。おそらく先ほどの戦闘音を聞いて他の巨木達が集まってこようとしているのだろう。しばらくすると、他の猟兵たちにも明らかに何かが近づいてくる音が聞き取れた。アウレリアは素早く木の上へと飛び乗る。
「うん、聞こえるね。あっちから来てくれるなら、探す手間が省けるよ」
 そう告げたシェーラリトもであるが、多数の巨木を同時に相手にする事を考えて準備をしてきた猟兵達は多い。時間が惜しい今回、ある程度まとめて対応したいのも事実だからだ。
「うへぁ……やっぱりおっきいねぇ。荒ぶる山神とはよくいうというか」
 一番に姿を見せた巨木を見て、シェーラリトは心の底から湧いた感想を漏らす。
「僕が引き付けよう。攻撃は任せるよ。かわりに防御に関しては任せて!」
 告げるが早いか、アルバはドラゴンランスを小型のドラゴンへと戻して。
「行くよ、コルノ!」
 コルノと呼ばれたドラゴンは、もふもふしていて一見犬っぽく見える。けれども自慢の小さな翼と立派な角で、左から出現した巨木を突き刺す。アルバは右から出現した巨木へと剣を振り下ろし、すぐさまその場から引く。一番に姿を見せた巨木がアルバに向けて巨大な掌を向けてきた、が。
「時を刻む古の歯車。狭間より再来しは神の万雷。放たれし閃光は汝に戒めの時を与えん。プニツィオーネ・ディ・ディオ」
 素早く唱えられたネラの詠唱により天空に出現したのは、巨大な門。門から放たれるのは、時空を超えて現れる神の力――稲妻。アルバに近づいて、あるいは近付こうとしていた三体と正面後方から姿を見せた一体に落ちた稲妻は、巨木たちの動きを一時的に止めた。これで他の猟兵達も動きやすくなるはずだ。
 早速この好機を逃すまいと、アウレリアは『空想音盤:追憶』を発動させる。
「ここにはない記録を追憶し、空想で奏でる……。遠い世界の絆の証、愛するもの全て護る勇気の象徴」
 樹上から放たれた無数のネモフィラの花びらが、巨木達を切り裂いた。ここはネモフィラの花畑だったかと錯覚してしまいそうになるが、その花びらは巨木たちには情け容赦なく凶器となって。
 レイとグラデウスは互いに同じ巨木を狙った。その動きをしっかり見ていたハロルドは、ライオンに騎乗したままその巨木との距離を詰め、人形を繰る。
(「まずは弱った個体から。数を減らすのが定石だろう」)
 それでもまだ巨木が揺らがないと察したハロルドは。
「指揮者も見ているだけではないぞ」
 黄金に輝く獅子に、その前足を振り上げさせて――猫パンチ!
 ヴヴヴヴヴヴヴヴヴ……名状しがたい声を上げて目の前の巨木が消えていく――だが、巨木たちもやられるばかりではない。動けるようになってすぐに拳を振りかぶる巨木。
(「薄暗い森の中でも、ボクの目にはちゃんと見えてますから」)
 だがそれを察知したアウレリアは、木の枝から羽ばたいた。その羽ばたきを聞いたシェーラリトも、一拍遅れて羽ばたいて。

 ドンッ……!!

 振り下ろされた拳に揺れる地面。その振動でアウレリアとシェーラリト以外の猟兵達は、体勢を維持するのに意識を持っていかれた。その間にも、他の巨木が拳を振り上げ、第二撃第三撃を繰り出そうとしている。
(「させないよ!」)
「星も花も望むは平穏の世界。星よ、花を導いて。花よ、星となり、平穏の世界の道を拓いて。さぁ、わたしと往こう!」
 響く詠唱はシェーラリトの『空に星を、地に花を』のもの。何の花びらともわからぬ花びらが、巨木たちを傷つける。
「アウレリア、奥の一体頼むよ!」
 二体は麻痺が効いたようで動かない。だが奥の一体には効かなかったようだ。シェーラリトは声を張り上げる。
 その声に応えるように、アウレリアは飛んだ。そしてそのままざわりと動く巨木に、手にした『ソード・グレイプニル』を振り下ろす。
(「油断はしません」)
 足を上げた巨木から距離を取るべく再び飛んで、アウレリアは木の枝の上から再びネモフィラの花びらを舞わせた。
(「特別なお菓子が何かはわかりませんけど、村の人にとって大切なものなんですよね」)
 それを守るのも自身の役目だ――花びらに切りつけられて葉や枝を落とす巨木たちを見て、強く思う。
「これ以上、好きにはさせない」
 いち早く体勢を立て直したハロルドが、獅子と共に接敵し、人形で、前足で巨木を傷つける。しかしすぐ側に発現した巨大な掌からは、逃れられないように見えた――だが。
 ガッ。
「守りは任せてって宣言しちゃったからね! 今のうちに!」
 素早く掌とハロルドの間に滑り込んだアルバが、『Scudo di Orgoglio』で掌を受け止める。ぐいぐいと押される白銀の盾を構えたまま、軽くアルバは告げた。
「みんな動けるようになったんだね。あの山神からいこう!」
 シェーラリトの声と花びらとほぼ同時に、グラデウスの炎の矢とネラの炎の矢がその巨木を襲った。炎に包まれて、まるで巨大な篝火のようになった巨木の声を、断末魔と判断したレイはまだ動けない別の巨木に接近し、素早くダガーを振るう。アウレリアも、枝から飛び降りることで勢いをつけて巨木を斬りつけ、的確な状況判断で移動をしたハロルドは、獅子と共に巨木を襲う。それがとどめとなったのだ、醜い声を上げる巨木。
 残る巨木は一体。
 最初の一体と同じように、それが消えるまでそう時間はかからなかった。

 他にあの巨木と同じものはいない、聴覚を頼りにそう判断したシェーラリトの言葉に、同じく風の揺らす葉音と巨木の動く葉ずれの違いを聞き分けることに成功していたアウレリアは、同意を示した。
 一行はこの森にいるという、今相手にした巨木よりも強大なオブリビオンを探して森の奥へと進むのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●花に座す竜
 視界が開けたかと思うと、そこは花で満ちていた。
 元々この時期にこれだけの花が咲く場所だったのかは、猟兵たちにはわからない。
 だが、花畑の真ん中に座す緑の体躯の竜が、元からここに棲み着いていたわけではないことは、誰よりもよくわかった。
 ヴヴヴヴヴヴ……。
 威嚇のような唸り声を上げて、竜は桃色の翼を広げる。
 あちらもまた、猟兵達を敵であると正しく認識したようだ。
アウレリア・ウィスタリア
困りました
息吹の竜、この敵はボクのネモフィラでは有効打になりそうにありません
……なので咎人の剣で対抗しましょう

手首を切り裂き血を滴らせ、血糸レージングを起動
地を駆け空を舞い
敵の攻撃を回避しつつ隙をみて血糸による捕縛を敢行
血糸はすぐに引きちぎられるでしょうけど
それが血のマーキングになる
そしてその僅な隙に血を吸わせたソード・グレイプニルによる斬擊を打ち込む

最後の一手が一番難しい

だから、ともに戦う猟兵たち
ボクに力を貸してください

猟兵たちの攻撃の合間を縫い
竜の爪でも翼でも、背ビレでも何でも良い
呪いの枷を撃ち込めば、竜の力は大きく削がれる

みんな、チャンスです
ボクが力を抑えているうちに攻撃を

アドリブ歓迎


シェーラリト・ローズ
「君がどんなルーツか知らないけど、過去が未来を縛るのは駄目」
だから、はじめましてでばいばい

広範囲にブレスを吐くなら直前に息を吸い込むかもだし【第六感】【聞き耳】で音に注意
うまく気づけたら周囲にもちゅーいって言わないと
お歌のマイクで単純にちゅーいって大声出すのってできるかな?
それ以外にも竜胆の花びらは【見切り】で攻撃動作を見ていこう
このあたり皆と連携できたら

【セイクリッドランス】は基本的に敵の妨害、皆の接近支援、攻撃直後の隙を埋める目的
【マヒ攻撃】でマヒ付与は狙ってくー
大技きそうな時は【全力魔法】だけど、マヒ付与の確率を上げる為に【2回攻撃】優先ー

大変そうだけどがんばってこー


アルバ・ファルチェ
女の子の敵は僕の敵。
女の子達のためにも早々に退場して貰うよ。

全ての対象を攻撃するというならその全てを防ぎきるだけだ。
『盾の騎士』の名は伊達じゃないんだよ。

基本的にユーベルコードを使用して仲間全員を【盾受け】で【かばう】。
範囲攻撃なら盾をそれぞれ仲間の前に、単体攻撃なら複製した盾を集めて、ね。
【各種耐性】と【オーラ防御】で僕自身のダメージも最小限に抑えるよう努力するよ。
あぁ、でも初撃を外した方がいいものであれば【見切り】や【第六感】で避けよっか。

花畑で力が増すのであれば、綺麗に咲いてる花は可哀相だけどコルノに【援護射撃】と称して花を散らせて貰おうかな。
花を散らせ終わったら敵にも攻撃よろしくね?


ハロルド・グレナディーン
森の奥に棲みつくは…花の主のようなこの竜か
竜とは宝を護る門番と、物語でも定石な訳ではあるが
美しい花畑に、傷つける者の姿はやはり似合わぬよ
平和のためにも潔く退いて頂こうか

ボスとの戦闘だ、我輩の本気をお見せしよう
【ライオンライド】に騎乗して戦闘を
手数の多そうな攻撃には
からくり人形を駆使して躱したり防御する
花を散らして、花畑までも荒らすとは…
我輩の価値観とも合わぬ相手、ないしは敵のようだ
散りゆく時まで美しき咲き誇るのが花というもの
此方の想いも存分、其の爪に乗せさせて貰おうか

戦闘経験が不慣れなため
アドリブやアレンジも大歓迎です


グラデウス・ミースミ
その場所が気に入ったのですか?
でしたら独り占めなんてしないで仲良くすればよいと思いますよ。

と、話しかけます。
敵と認識されているのは承知の上ですが、まず声をかけてみたいのです。
いくらファンシー(?)な姿とは言え、オブリビオン相手には無謀かなぁと思いつつ。
なぜ花畑なのか?というちょっとした好奇心もあります。

戦闘を避けられればラッキーですがきっと避けられないでしょうから、
ジャッジメントクルセイドで攻撃します。
ウィザードミサイルでは花畑を荒らしてしまいそうですし、
極力景観は守りたいところです。
なので回避する方向も戦闘前に見ておければなと思います。


レイ・アイオライト
全く、こんなのがいるんじゃ、猟兵以外が森に入ったら一巻の終わりだっての。

……とりあえず、飛ぶことだけは避けなきゃいけないわね。空に逃げられたらどうしようもないし、回り込みながらダガーで翼を集中攻撃するわ。
ブレスだけは絶対に避けるようにする。
ヒットアンドアウェイの戦法よ。
近接攻撃しか手札がない私には、誰かが隙を作ってくれないことにはどうにもならないわね。
もし大きな隙ができたなら、篠突ク雨(サムライブレイド)で「剣刃一閃」、かなり危険だと思うけど、一撃にかける!
……それにしても、花を踏みながら戦うするのはちょっと気がひけるわ。後でここらへん、手入れ出来れば良いんだけど。



●花の園にて花弁舞う
 花の中に座す竜――それはまるで一枚の絵画のような光景だ。真に絵画であったのなら、どれほど良いだろうか。
「全く、こんなのがいるんじゃ、猟兵以外が森に入ったら一巻の終わりだっての」
 はぁ、とレイ・アイオライト(潜影の暗殺者・f12771)がため息をつく。
「森の奥に棲みつくは……花の主のようなこの竜か」
 確かに美しい光景ではあるけれど。ハロルド・グレナディーン(望見日和・f06123)はひとつ頷いて。
「竜とは宝を護る門番と、物語でも定石な訳ではあるが……美しい花畑に、傷つける者の姿はやはり似合わぬよ」
 だがやはりその存在を否定する。
「その場所が気に入ったのですか? でしたら独り占めなんてしないで仲良くすればよいと思いますよ」
 そんな中、グラデウス・ミースミ(将来の夢は安眠。・f12178)は竜へと問いかけた。敵と認識されているのは承知の上。けれども、試してみたくて。
 猟兵とオブリビオンという関係である以上、姿を捉えられた時点でオブリビオンは、本能的に相手が猟兵という敵だと認識してしまう。いくらファンシーな姿をしているとはいえ相手はオブリビオン。無謀だったかなぁと思いつつも、なぜ花畑なのかという好奇心由来の疑問があって。
「ガヴ……グアァァァァァ!!」
 それが竜の返答だったのかはわからない。だが相手は無数の竜胆の花びらを舞わせて、こちらへと向けてきた。避けられないか――そう思ったその時。

「僕の前では誰も傷つけさせないよ」

 告げて『Molti Scudi』を発動させたアルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)。手にした『Scudo di Orgoglio』が瞬く間に複製され、仲間たちを庇うように配置されてゆく。
「全ての対象を攻撃するというならその全てを防ぎきるだけだ」
 竜胆の花びらは、虚しく銀の盾を切りつけていくばかり。
「『盾の騎士』の名は伊達じゃないんだよ」
 紫の瞳を向けて告げるアルバ。攻撃を防がれたことが気に入らないのか、花畑に足を踏み入られたことが気に入らないのか、その両方か、竜は不満げに唸りを上げた。
「君がどんなルーツか知らないけど、過去が未来を縛るのは駄目」
 だから、はじめましてでばいばい――告げてシェーラリト・ローズ(ほんわりマイペースガール・f05381)が竜に指先を向けた。

「太陽、月、星……生者の味方の光よ、滅びの運命を貫き、砕き───彼らに安息を与えたまえ!」

 現れたのは光の槍。神聖なるその槍は、狙い過たず竜へと向かい、その胴に突き刺さる。追い打ちをかけるようにレイが接近しながら背後に回り込み、『黒檀のダガー』で翼を斬りつけた。飛んで空に逃げられたらどうしようもない。だから、片翼だけでも早く、飛べぬように――。
(「困りました息吹の竜、この敵はボクのネモフィラでは有効打になりそうにありません」)
 竜の姿や先ほどの攻撃を見て、アウレリア・ウィスタリア(瑠璃蝶々・f00068)は何をもってすれば敵に効果的かを考える。もちろん長考している時間などないのは分かっているから、頭をフル回転させて。
(「……ならば、咎人の剣で対抗しましょう」)
 結論を出すとほぼ同時にアウレリアは動き出していた。竜との距離を縮め、近づき過ぎぬ間合いで飛ぶように動き回り、何かを繰る。その手から紡ぎ出されるのは、切り裂いた手首から滴る血でできた、細く鋭い魔法の血糸。竜がその血糸を目視できたかはわからぬが、自身を縛ろうとする何らかを感じ取ったのだろう、暴れるごとに血糸は引き裂かれる――だが血液に戻ったそれは、アウレリアの目的どおりに竜の体に付着して。更に、血糸を引きちぎったその動作の隙に、手首からの血を吸った『ソード・グレイプニル』で斬りつけた。
「花畑で力が増すのであれば、綺麗に咲いている花は可愛そうだけど、コルノに散らせようか?」
 花を踏みながらの戦闘はこちらも同じだ。その一歩一歩に罪悪感がないとはいえない。だがその花が竜の力を強化しているのであれば、散らすのもやむないと考えたアルバではあるが。
「いや、花を散らして、花畑までも荒らすのは、我輩の価値観と合わぬ」
「そうね。花を踏みながら戦うのはちょっと気が引けけるから、あとで手入れしたいわ」
「極力景観は守りたいです」
 ハロルドとレイ、グラデウスの言葉からは、余計な花を散らしたくないという気持ちと、共に戦えば、あえて花を散らさずとも勝てるはず、勝ってみせる――そんな意思が感じとれて。
「オーケイ。なら、守りは任せて」
 アルバはドラゴンのコルノを傍で待機させて、戦況を見据えた。
 その時、シェーラリトの第六感に響いたものと、その耳に届いた息遣い。それを総合して判断した彼女は、取り出した『お歌のマイク』に叫ぶ。
「ちゅーい!!」
「!!」
 マイクを通したその大声に素早く反応し、レイとアウレリアは竜と距離をとる。反対にアルバは皆の前に出て、盾を構えた。
 竜が吐き出した息吹はアルバの盾によって防がれた。けれどもその息吹は、あたりに咲く花の量を増やす。竜自身の力も増したようだ。だが。
「ボクたちが力を合わせれば、大丈夫です。ボクに策があります。だからともに戦う猟兵たち、ボクに力を貸してください」
 アウレリアの真摯な声に皆、頷いて。一番に駆け出したのは黄金の獅子に乗ったハロルド。
「我輩の本気をお見せしよう」
 竜の周囲を俊敏に駆け回りながら、獅子はその体を爪で引っかき、ハロルドは人形を繰り、竜の傷を増やしてゆく。
 それを援護するかのように、グラデウスとシェーラリトは竜に指先を向けて、天からの光と聖なる光槍で貫いた。
(「!! 今です!!」)
 猟兵たちの怒涛の攻撃に、竜は苦しみ、僅かに身体を捻った。それを好機と見たアウレリアは、見事に呪いの枷を撃ち込んで。

「我が血に染まった斬撃の呪い。魔力も体力も全てを貪り喰らい、神さえ捕縛する奇跡の呪い」

 3つの条件、全てを命中させた『貪り喰うもの』は、竜の技を封じた――!
「みんな、チャンスです。ボクが力を抑えているうちに、攻撃を!」
 アウレリアの言葉より早く、竜の異変を感じ取ったグラデウスとシェーラリトがその体へと光と槍を降らせる。
「女の子の敵は僕の敵。女の子達のためにも、退場してもらうよ」
 アルバはいつでも防御に移れる体勢を維持しながら、コルノとともに竜へと迫る。
「散りゆく時まで美しき咲き誇るのが花というもの。此方の想いも存分、其の爪に乗せさせて貰おうか」
 力と思いを乗せた、ハロルドと獅子の爪が竜の身を深く抉る。
「――!」
 瞬く間に再び竜との距離を詰めたレイのその手には、『魔刀・篠突ク雨』が。近接攻撃しかできない彼女は、誰かが隙を作ってくれるのを待っていた。
 この竜に接近するのはかなり危険だ。だが、今ならば。
(「一撃にかける!!」)
 放たれたのは『剣刃一閃』。黒く濁った刀身が、竜の巨体を見事に斬り裂いて。
 そして。

 ドウッ……花畑に落ちた竜の一部は、元々座していたその体とともに、花に溶けるように消えていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『森のお茶会』

POW   :    紅茶や珈琲といった飲み物を楽しむ。

SPD   :    お茶菓子を楽しむ。

WIZ   :    動物達と触れ合う。

👑5
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●『トクベツ』を召し上がれ
 乱れた花畑に出来る限り手を入れ終わった頃、恐る恐る姿をみせた少女――ゲルダに森が安全になったことを告げ、猟兵たちは『トクベツ』なお菓子作りに使うという実を採取する手伝いをした。
 本当は、内緒なんだけどね――そう告げて少女が案内してくれた場所の低木に成っていたのは、木の実というには表面が柔らかい小さな赤い実だった。聞くところによれば、この実を下処理してチョコレートと合わせると、普通のチョコレート菓子より深いコクと、不思議と他のものでは出せぬ繊細な甘さが得られるのだという。
「みんなでお菓子を作るから、あの花畑でごちそうするね!」
 ゲルダの話を聞いた村の女性達が、ケーキやマドレーヌ、クッキーやプリンなど、様々なチョコレートのお菓子をつくってごちそうしてくれるという。
 紅茶や薬草茶、コーヒーに果実水やジュースなどの飲み物は、村の男性たちが花畑まで運んでくれるそうだ。
 平和を取り戻した花畑には、お菓子の匂いを嗅ぎつけた動物たちが姿を現すこともあるという。
 空はおあつらえ向きに晴れ渡っている。
 自分たちが掴んだ平和を味わったり、自分たちの行動から生じた感謝の気持ちを受け取って、のんびり過ごすのも悪くはないだろう。
アルバ・ファルチェ
うんうん、みんな…特に女の子達の笑顔が無事に守れてよかった。

お茶会のセッティングを手伝ったら、僕は動物…特に犬がいたら一緒に遊びたいなぁ。

犬好きなんだよね、特に大型犬。

花を散らしたら可哀想だし、少し離れた所でいいからボール遊びとか出来たらいいな。

…あんまり他の子ばっかり構ってるとコルノが嫉妬するかな?
大丈夫、コルノが1番可愛いよ。

遊び疲れたら、お茶やお菓子を楽しみたい。
普通に食べてもおいしいんだけど、みんなの笑顔が最高のスパイスになってより美味しく感じられそうだな。

僕はこれが見たいから、『盾の騎士』として頑張れるんだよね。
もっともっと…沢山の笑顔を見れるようになれたらいいなぁ。


グラデウス・ミースミ
竜胆・・・。
数ある花の中で意味ある選択だったのか
あるいは無作為だったのかもはや謎ですね。

さて、お菓子に興味がないわけではありませんが
寄ってくる動物たちと戯れたいものです。
どんな動物でも構いませんがそうですね、
銀狼が出てくることを期待したいですね。
この辺には居るのかな?

と、どうぶつ図鑑を片手にそわそわしています。


セフィリカ・ランブレイ
颯夏(f00027)と行動

……っと、既にドンパチ片ついちゃってるかあ
事件解決には遅れちゃったけど折角来たんだし、楽しんでいこっか
後片付けのお手伝い位は、していこうかな

今度は事件解決からご一緒しようよ、そういうのもよくない?

けど、こういう花畑、いいなぁ。うちの故郷は結構森、拓いちゃってるからさ
……ちょっと、落ち着く

さってと!浸るのもいいけどチョコレート!あの実を使ったチョコレート菓子、あるんでしょ?
食べたことあるけどあれはホントに甘さがきめ細やかなんだよね。特にチョコレートクリームにするともう……
というわけで、私はチョコクリームたっぷりのケーキをですね
あ、チョコプリンもいいね、私も狙っていこ!


青葉・颯夏
セフィリカさん(f00633)と同行

うちのあたりじゃないけど、美味しそうな話を小耳にはさんだからどうかと思ったんです
そうですね、今度ははじめから行ってみましょうか

いろいろあるみたいで、どれも美味しそうで悩みますね
あたしはチョコプリンと紅茶にしますけど、セフィリカさんはなににします?
よかったらプリンはあたしのを分けるから、他に気になるものがあればそっちを頼んでも大丈夫です
あ、もちろんひとつをまるごと食べるほうがよければそれでも、って
……ごめんなさい、普段大食いの友人と出掛けることが多くて
いつもの癖です


シェーラリト・ローズ
「綺麗なお花畑でお茶会、いいねぇ」
だってここキレーだもん

まずはケーキかな
個人的にはガトーショコラあると嬉しいんだけど
それと、ブラックコーヒーがいいなー
トクベツな甘さをしっかり楽しみたいし、その方がいいかなって
ケーキの後はクッキーも食べてみよう
村の人や他の皆の他のお菓子のお勧めないか聞いてみてみたいね
合う飲み物なんかも聞いたら試すのもいいねぇ

一通り食べ終わったらお花の皆へ声をかける
わたし達と違ってずっとここにいるし
戦いもあって、痛かったり怖かったりもあったかもだし
「ホントよく頑張ったよねぇ
あと、キレーで可愛くてありがとー」

わたしからもお礼に歌を
慈悲深きコンソラトゥールを
癒されてくれたら嬉しいなぁ


亞東・霧亥
【POW】
平和を取り戻した花畑には、甘い匂いに誘われた亞東・霧亥が 姿を現す事もあるだろう。

趣味の秘境巡り。
世界を越えて、山を越えて、やや疲れを感じ始めた頃に辿り着いた花畑。
見れば甘いお菓子の他には、紅茶や珈琲もあるようだ。

華やぐ御茶会にお邪魔して、甘めの紅茶でホッと一息。
古びた探索ノートに、この場所を書き記す。

「はぁ・・・落ち着く。心地良い風も吹くし、良い場所だ。」


アウレリア・ウィスタリア
ボクの故郷では、ダークセイヴァーでは
甘いお菓子なんて食べる機会も少なくて
知識では知ってますけど、ケーキやマドレーヌなんて……
とても気になりますね

仮面をはずしてぎこちない笑顔で対応しつつお菓子にてを伸ばします
甘い、でもこれはやさしい?
そんな感想を持ちつつもうまく言葉に表すことも表現することも叶わない
だから、ボクはお礼に歌いましょう

愛すべきこの平和がいつまでも続きますように
そう思いを込めて
ボクにできる表現は歌うこと、それだけだから

アドリブ歓迎です



●お茶会の甘い香りに誘われて
 花の甘い香りとはまた別種の甘い香りが、花畑に広がっていく。
 敷布の上には、村人の用意してくれたたくさんのお菓子と、飲み物が並べられていた。
「綺麗なお花畑でお茶会、いいねぇ」
 シェーラリト・ローズ(ほんわりマイペースガール・f05381)は敷布の上で足を伸ばす。少しはみ出した足に伸びた草が触れ、少しばかりくすぐったい。
「どれでもお好きなものをどうぞ!」
 村の女性達がバスケットに詰め込んできたお菓子を並べ終わり、笑顔で手を差し出した。
(「まずはケーキかな」)
 きょろきょろと並べられたたくさんのお菓子の中にお目当てのものがないかと探すシェーラリト。そのそばに座ったアウレリア・ウィスタリア(瑠璃蝶々・f00068)は、少々緊張しているのかあるいは圧倒されているのか、じっとお菓子を見つめている。
(「ボクの故郷では、ダークセイヴァーでは、甘いお菓子なんて食べる機会も少なくて」)
 知識では知っているものの、アウレリアにとってケーキやマドレーヌなんて未知の存在に近い。
「やっぱり最初はガトーショコラかな。それとブラックコーヒーがいいなー」
 シェーラリトの要望通り、ガトーショコラとブラックコーヒーが木の食器で差し出される。彼女は礼を言ってコーヒーを置き、ガトーショコラにフォークを入れる。硬すぎないしっとりとした絶妙な柔らかさがフォークから伝わってきて、早速一切れ口へ。
「ん、んん!?」
 口内でほろほろと崩れ落ちてゆくケーキ。広がるチョコレートの香りと甘さ。砂糖特有の、普通ならあまり気が付かないくらいのちょっとツンとした甘さはなく、ふんわりとした優しい甘さがチョコレートの風味を引き立たせて。なおかつ『濃い』と口に出してしまいそうになる深いコクがあって……あえて比較するならば、UDCアースのパティシエが最高級の食材と腕でもって仕上げた、大きさの割にお値段が張るのも納得できるようなスイーツの味と比較しても遜色がない味がする。しかもこれを作ったのは、普通の村の女性であるからして。
 ブラックコーヒーで一度口内をリセットして、シェーラリトは息をつく。
「これ選んで正解だったよ。トクベツな甘さをしっかり味わいたかったから」
 コーヒーの入ったコップを少し上げて告げれば、女性たちはころころと笑う。
「あの実がないと、ここまでの味は出せないのです。だからみんな、この時期を心待ちにしているんですよ」
 期間限定ともなれば特別感も増すというもの。女性の言葉にシェーラリトは頷き、次は何を食べようかと目を動かす。
「あの、ボクも同じものをもらってもいいでしょうか?」
 シェーラリトの反応を見ていたアウレリアがおずおずと声を上げた。
「これ食べたら、普通のガトーショコラじゃ満足できなくなるかもね?」
 甘味に触れる機会が少なかったら尚更だろう。シェーラリトの言葉に固唾をのみ、仮面を外したアウレリアはぎこちない笑顔で皿を受け取って。フォークでそっと、口へ。
「……、……。甘い、でもこれはやさしい?」
 まるで花の蜜のような優しい甘さ。けれども感じた甘さや美味しさを含む感想を、うまく言葉にするすべも表現するすべも持たぬ彼女。それでも。
「お姉ちゃん、これも食べてみて! 私が作ったの!」
 無邪気に差し出されるお菓子へ、断ること無く手を伸ばせば、食べてくれる、ただそれだけで村人達は笑顔になるのだ。
「うんうん、みんな……特に女の子達の笑顔が無事に守れてよかった」
 設営を手伝ったアルバ・ファルチェ(紫蒼の盾・f03401)は、その後に咲く沢山の笑顔を見て満足気に頷いた。その時耳に届いたのは、森側の葉が揺れる音。村人が来たのかとも思ったが、村とは方向が逆だ。ふと、音のした方へと視線を向けてみれば――茶色い毛並みの犬と。
「……!」
 ひょこ、ひょことその犬の足元から姿を現す子犬数匹。
「コルノ、行ってみようか」
 愛竜に声をかけたアルバ。駆け出す前にその肩を叩かれて振り返れば、村の女性が紙包みを差し出した。動物用に作った甘さ控えめの菓子を包んでくれたようで、礼を言ってアルバは犬たちの方へと駆け出した。

(「竜胆……。数ある花の中で意味ある選択だったのか、あるいは無作為だったのか、もはや謎ですね」)
 グラデウス・ミースミ(将来の夢は安眠。・f12178)の意識は、まだ先ほどの息吹の竜にあった。あの竜が息吹で花を咲かせるのは実際に目にしたが、なぜ竜胆の花びらを武器としたか、その理由はわからないままだ。もしかしたら、あの竜自身にも分かっていないのかもしれない。
 竜胆の花言葉は複数ある。『勝利』『正義感』、『あなたの悲しみに寄り添う』『寂しい愛情』、『固有の価値』『愛らしい』……『満ちた自信』『貞操』。中には花の色によるものもあるが、もし花言葉の意味をもって選ばれたのだとしたら――想像と思考は尽きぬ。
 そんなグラデウスの思考を引き戻したのは、キャンキヤンという子犬の鳴き声。視線をやれば、花の密集していない場所でアルバが犬たちにお菓子をやっていた。
「……、……」
 お菓子に興味が無いわけではないが、どんな動物が姿を見せるのか気になるのは動物好きの性。どうぶつ図鑑を取り出して、そわそわと視線を動かしている彼女に、村の女性が動物用のお菓子の紙包みをくれた。
「花畑の外周――葉や木々の茂っている森側から、動物はやってくるわよ」
 ありがとう、礼を言ってグラデウスはアルバとは別方向へと向かう。どんな動物でも構わないが――そう思って気配に注視したグラデウスの肩に、枝から何かが飛び降りてきた。
「!」
 そっと右肩を見れば、きょとんとした顔のリスが彼女の様子をうかがっていた。と思えば、手にしている紙包みに何かが触れる気配。二頭の子鹿が包を開けろとばかりに鼻先でつついていたようだ。
「食べたいの? 順番」
 花畑と森の境に座り、肩からおりてきたリスと目の前の子鹿に包みの中からお菓子をあげて。
「全部は、だめ」
 他にも動物が来るかもしれない。二頭のうち食いしん坊な子鹿に催促されるのを、なんとかかわしたその時。
 がさっ……。
 茂った低木と低木の葉の間に見えたのは、銀色の毛並み。
「!!」
 まさか――グラデウスはどうぶつ図鑑が膝を滑り落ちたことに気づかず、身を固くする。
 すっ……、木々の隙間から見えた鋭い瞳とその毛並みで答えはわかる。だが、それは一定の距離を保ったまま近づいてくることはない。また、リスや子鹿が警戒していないことからして、それは森の動物達と互いに信頼関係があることが知れた。
 ふわっ……優しい風が落ちた図鑑のページを繰る。開かれたのは『銀狼』のページだ。
 キュン……そんな声を耳にして膝元を見れば、そこには小さな銀色の――顔を上げれば、鋭い瞳はグラデウスをしっかり捉えていて、このちいさいものに何かあれば、一跳びでグラデウスの喉笛を噛みちぎれる距離にいるのだと理解して。
「食べる?」
 震える手でそっと菓子を差し出せば、小さい銀色のそれは他の動物達と同じように嬉しそうに、グラデウスの手から菓子を食べた。

「ちょっと休憩! 休憩させて!」
 大型犬とその子犬数匹とじゃれ合うようにボールで遊んでいたアルバは、喉の渇きをおぼえて犬たちに懇願する。
「コルノ、みんなのところでお茶とお菓子を貰おうか?」
 愛竜に声を掛ける。だが、その反応がなんだかそっけないような。
「……あんまり他の子ばかり構ってたから、嫉妬しちゃった?」
 アルバの問いかけに慌てたようにぺしぺしと翼で主を叩くコルノ。そんなコルノをそっと抱き上げて、アルバは囁く。
「大丈夫、コルノが1番かわいいよ」

「おーい、お客さん連れてきたぞー」
 足りなくなった飲み物を補充するために村へ戻っていたおじさんの声に、アウレリアやシェーラリトが顔を上げる。
「……っと、既にドンパチ片ついちゃってるかぁ」
 おじさんと共に花畑に足を踏み入れたのは、セフィリカ・ランブレイ(蒼剣姫・f00633)と青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)、そして亞東・霧亥(冒険野郎若作りなおっさん・f05789)の3人。
「事件解決には遅れちゃったけど、後片付けのお手伝いはするから、混ぜてもらってもいい?」
「美味しそうな話を小耳に挟んだので」
 セフィリカと颯夏のふたりは連れ立って来たようだ。
「甘い匂いに誘われて、な」
 霧亥もまた、お茶会の香りに誘われた様子。
「もちろん、たくさん作ったのでぜひ食べていってください!」
「このチョコスコーンと搾りたてのミルク、おすすめだけあっておいしいよー」
 村人達に歓迎されてお菓子の前に座った3人に、シェーラリトは先ほど村人に聞いたおすすめの組み合わせを勧める。
「お、見ない間に増えたね! じゃあ僕にそれちょうだい」
 ちょうどいいタイミングで戻ってきたアルバが、シェーラリトのおすすめを口にする。チョコの味がミルクに乗って体中に広がって、疲れが飛んでいきそうだ。
「今度は事件解決からご一緒しようよ、そういうのもよくない?」
「そうですね、今度ははじめから行ってみましょうか」
 セフィリカと颯夏は頷き合い、小さな約束を交わす。風が、お菓子の甘い匂いとは別に、草の香りと花の香をふたりに運んできた。
「けど、こういう花畑、いいなぁ。うちの故郷は結構森、拓いちゃってるからさ……ちょっと、落ち着く」
 エルフのセフィリカにとって、やはり自然は身近で大切なものなのだろう。ふう、と浸るように息をついてしばらく。そして。
「さってと! 浸るのもいいけどチョコレート! あの実を使ったチョコレート菓子、あるんでしょ?」
「いろいろあるみたいで、どれも美味しそうで悩みますね」
「食べたことあるけどあれはホントに甘さがきめ細やかなんだよね。特にチョコレートクリームにするともう……」
 トクベツなチョコレート菓子を食べたことのあるセフィリカは、勢い良く気分を切り替え、そして前に食した時の記憶を呼び戻してうっとり。その横で颯夏は目の前に広げられたお菓子たちからどれを選ぼうか、迷ったのち。
「あたしはチョコプリンと紅茶にしますけど、セフィリカさんはなににします? よかったらプリンはあたしのを分けるから、他に気になるものがあればそっちを頼んでも大丈夫です」
「というわけで、私はチョコクリームたっぷりのケーキをですね……あ、チョコプリンもいいね、私も狙っていこ!」
 セフィリカが選んだのは、お目当てのチョコクリームをたっぷり使ったケーキ。けれども颯夏の提案も実に魅力的だ。
「あ、もちろんひとつをまるごと食べるほうがよければそれでも、って……ごめんなさい、普段大食いの友人と出掛けることが多くて」
 いつもの癖です、そう苦笑する颯夏。
「謝らないでいいよ。むしろ気遣いありがと! シェアして色んな種類食べると得した気分になるよね!」
 ふたりのやり取りが微笑ましかったのだろう、村人達はくすくす笑いながらも嬉しそうにふたりの前に希望の品を置いていく。
 一方、これまでの移動でやや疲れを感じ始めていた霧亥は、敷布の隅の方に座り、花の蜜を入れた甘めの紅茶を口に。甘さとちょうどよい暖かさの紅茶が、身も心も解きほぐしてくれるようだ。
「はぁ……落ち着く」
 紅茶の入った木製のコップを手にあたりを見渡せば、美しい花々が視覚からも心を癒やしてくれるようだ。
「心地良い風も吹くし、良い場所だ」
 取り出したのは古びた探索ノート。秘境巡りが趣味の彼は、そのノートにここの場所を記す。記憶と別に記録を刻むのだ。
「よかったら、これ。おすすめを少しずつ乗せてきました」
 村人に差し出された木製の皿の中からクッキーを一枚つまみ、礼を言って口に含む。その甘さがまた、疲れを癒やしてくれるようだった。

「みんな、ホントよく頑張ったよねぇ」
 一通りお菓子を堪能したシェーラリトは、花畑の花たちを見て回って声を掛ける。自分たちと違ってずっとここにいる彼らは、戦いもあったことだし痛かったり怖かったりしたかもしれない。だから、いたわりの心を。
「あと、キレーで可愛くてありがとー」
 告げて息を吸って、紡ぐのは言の葉と旋律。

「我ら手の届かぬ遙かなテール・プロミーズ。
 久遠なりし豊穣の地より恵みの雨を風にて運び慈しみの陽光と安寧の夜を。
 此の歩みに勇気の火を」

 お礼の気持をこめた『慈悲深きコンソラトゥール』は、村人だけでなく花や木々、動物たちにも向けたもの。
 一通りメロディーを紡ぐと、そこに別の声が加わった。シェーラリトの紡ぐ旋律に寄り添い、時には引き立てるように奏でられるのは、伸びやかなアウレリアの声。
 始めは許可を得ず声を重ねることに戸惑いを感じていたアウレリアだが、お礼に歌いたいという気持ちは同じだったから。
(「ボクにできる表現は歌うこと、それだけだから」)
 込めるのは希い。愛すべきこの平和が、いつまでも続きますようにと――。

 ふたりの歌声が紡ぐその旋律に、誰もが穏やかな笑顔になっていく。それを確認するように、アルバはひとりひひとりの表情を見て。
(「僕はこれが見たいから、『盾の騎士』として頑張れるんだよね」)
 皆の笑顔が、このお菓子を更に美味しくする最高のスパイスだと思う。
(「もっともっと……たくさんの笑顔を見れるようになれたらいいなぁ」)

 村人たちの笑顔、花が咲き、動物たちが穏やかに過ごす平和な森。
 これらは確かに猟兵達が、その手で取り戻したものに他ならないのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月07日


挿絵イラスト