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愛しき君よ、死に給え

#UDCアース

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#UDCアース


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 UDCアース、日本。かつて、その山村部には隠し村があった。異国から入ってきた邪教を崇拝していた者達が作った村であり、迫害から逃れるために作られたはずの村だった。

「しかし、それは今は昔。ふふっ、今となっては本尊だけが残された廃村か」

 とある喫茶店。そこで携帯端末を眺めていた男が、薄く微笑する。

「愛によって世界を滅ぼす邪神か。人を愛する事がもっとも世界を滅ぼす毒となる……いいね、皮肉なまでに美しく、僕好みだ」

 男――戦争屋『カミル』は携帯端末に映った黒い女神像を見て、上機嫌に呟いた。そのままコールすると、通話越しに語る。

「――僕だ。ああ、今、日本にいてね。鬼戦車を使おうと思ってね……ああ、それで――」

 同じ喫茶店にいる者達は気付かない。その通話が、まさに死を意味する会話である事を……。

「UDCアースの日本、その潰れた隠し村にある女神像を回収してほしくての」
 ガングラン・ガーフィールド(ドワーフのパラディン・f00859)はそう切り出すと、1枚の写真を猟兵達に指し示した。
 それは、黒曜石のように真っ黒な女神像だった。

「UDCはこれは世界を愛するがゆえに滅ぼす邪神の祭具で、回収してほしいとの事じゃ」

 ただ、猟兵にお鉢が回って来たのには理由がある。それはオブリビオンが動いているからだ。

「戦争屋『カミル』と名乗る傭兵が、狙っておるらしくてな。戦争屋、と呼ばれるようなヤツじゃ。どうやら、鬼戦車なるオブリビオンを使って、回収しようとしておるようでな……」

 鬼戦車とは文字通り、邪神の影響を受けて死亡した搭乗員と一体化して復活した戦車だ。この鬼戦車をかいくぐり、あるいは倒しながら女神像を確保しなくてはならない。

「今も山間のどこかに廃村があるらしくての。そこにある隠し祠に女神像は祀られておるらしい。向こうより先に場所を見つけ、入手する必要がある」

 とはいえ、向こうも簡単に逃してくれるとは限らない。戦闘も視野に入れて、動く必要がある。

「曰くの女神像じゃが、その力はまだどういうものかわかっておらん。オブリビオンに渡る前に、確保してくれい」


波多野志郎
愛ゆえに――どうも、波多野志郎です。
今回はUDCアースで隠れ村を発見、探索。オブリビオンと女神像を巡って派手に戦っていただきます。

第一章は隠れ村を発見、敵よりも速く女神像を発見・確保が必要になります。皆様のアイデア次第です、どうかよろしくお願いします。

それでは、隠れ村にてお会いしましょう。
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第1章 冒険 『祭具を確保せよ』

POW   :    力を生かして祭具を奪い取る、または敵対者を排除する。

SPD   :    技を生かして祭具を掠め取る、または敵対者を排除する。

WIZ   :    知恵を生かして祭具を騙し取る、または敵対者を排除する。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エル・クーゴー
●WIZ



躯体番号L-95、UDCアース指定座標に現着
オーダー、隠れ村位置捕捉_及び_重要オブジェクト『女神像』の入手

>作戦行動を開始します


・【空中戦】用バーニア展開、山間部上空を飛翔し周囲一帯を俯瞰
・体表に周辺風景を取り込み生成した迷彩を展開(撮影+迷彩)、会敵率減を期す

・山中に「人が往き来していた歴」を感じられる痕跡を認め次第【ウイングキャット『マネギ』】マックス315体召喚、自身に施しているのと同様の迷彩を施し人海戦術での探索に放つ

・ゴーグルの中に電脳世界を運営
・マネギ達の視覚情報を電脳世界の中に巻き取り(撮影+情報収集)探索進行状況を整理、また味方猟兵間の情報授受や連絡中継も買って出る


リュアン・シア
愛するがゆえに滅ぼす――ね。なかなか意味深。大っ嫌いよ、そういうの。
戦争屋もロクでもなさそうだし、さっさと行きましょ。

ヒーリングチューナーを鳴らして山の動物たちとコミュニケーション。鳥とかリスとか狸とか蛇とか熊とか。彼らに隠れ村の場所を教えてもらうわ。かつて村近辺に餌を探しに行ったこともあるでしょうし、廃村に居着いてるコもいるかも。地形で村の位置が分かるかもしれないし。
女神像(動物にとっては冷たくて黒い石の塊? 何らかの邪な気を発していたりするかしら)の位置まで知っていたら心強いけど、無理でも【真実を映す幻】で幻影を呼び出して、皆で隠し祠を捜索するわ。幻影なら岩の向こうの空洞にも滑り込めるし。


鳴夜・鶯
捜索は他のみんなに任せて
ボクは「攪乱」に回ります

「UDC」に連絡を入れて山間の地理情報を習得

鬼戦車をかいくぐる?
そんなめんどくさいことしないよ
戦車というぐらいだから進軍を始めれば居場所はモロばれだしね
むしろ掌の上で踊らせるつもり
さぁはじめましょうか♪

ユーベルコード【魑魅魍魎】を使用
山の岩石や土などを材料に
複数体の「視覚情報を共有する機動力重視の人型の式神」と
付属品で「真っ黒な女神像のレプリカ」を作成

各式神を「操縦」しながら鬼戦車の方角に突撃
すれ違い際に、レプリカを見せつけ奪取されたと誤認させ
問題の山村部の隠し村から引き離し
また習得した情報から
予め決めて置いた戦いやすい場所へ誘導を狙います



●隠されたモノは――

 UDCアース、日本。国土の約七割が山であるこの国にとって、山間部というのは当然のようにあったものだ。

「躯体番号L-95、UDCアース指定座標に現着。オーダー、隠れ村位置捕捉_及び_重要オブジェクト『女神像』の入手――」

 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)はL95式バトルスーツの飛行用バーニアで上空から山間部を見下ろす。木々に覆われたそこは、まさに天然の迷彩だ。何かを隠すのには、確かにもってこいの場所と言えるだろう。

「――作戦行動を開始。友軍を展開します」

 エルが放つのは、大量のウイングキャット『マネギ』――羽生やしたデブ猫みたいなドローンだ。大量の『目』を森の中に放ちながら、エル自身は体表に周辺風景を取り込み生成した迷彩を展開。敵と出会う確率を下げるため、身を隠す。

(「人が往き来していた痕跡を見つけなければ……」)

 隠れ村を山間部にこさえた理由が、まず身を隠すためのものだ。だが、どんなに手を尽くしてもそれを完璧にこなす事は不可能だ。

 読み取った情報から、L95式電脳ゴーグルの電脳世界に立体映像で『地図』を構築していく。必要なのは情報であり、また『目』であり『耳』――または『口』だ。

「探索進行状況を整理、味方猟兵間での情報伝達の準備を」

 四方八方に散った『マネギ』が、エルの指示を受けてそれぞれの役目を果たしていく。探索という意味において、エルのこの物量作戦は大きく仲間達の動きに貢献する事になった。

●動物達の『視点』

「愛するがゆえに滅ぼす――ね。なかなか意味深。大っ嫌いよ、そういうの。戦争屋もロクでもなさそうだし、さっさと行きましょ」

 森の中を進みながら、リュアン・シア(哀情の代執行者・f24683)は気配に気を配る。森、自然とは命を育む場所だ。植物は草食動物を、草食動物は肉食動物を、そして肉食動物の屍はいつか植物を繁らせる――どんな場所にも食物連鎖があり、命があるものだ。

「さて、いらっしゃい」

 キン――と、美しい音叉の音が森に響いていく。リュアンのヒーリングチューナーは、音、周波数、波動に動物が共鳴して意思の疎通が可能となる獣奏器だ。その音叉の共鳴音は、ほどなくして森に潜んでいた動物達を呼び寄せた。

 鳥やリス、狸などの獣が一同に近づいてくる姿はリュアンの容姿もあってまるで御伽噺の一節を思わせる光景だった。

「動物にとっては冷たくて黒い石の塊? 何らかの邪な気を発していたりするかしら……」

 女神像を、何と表現すべきだろう? そう、リュアンが考え込んだ時だ。

「そっちの子が何かを知ってそうよ」

 リュアンの傍らに現れた、真実を映す幻(オルタナティヴ・ファントム)による主人格シアの幻影が一羽のカラスを指差した。

「カァ!」

 カラスというのは知能の高い生き物だ。ヒーリングチューナーから伝わるイメージは明確で、山間部の川沿いに人工物がある事を教えてくれる。

「行ってみましょうか?」
「――少し、待って」

 シアの提案に、リュアンが制止する。山に轟く、小さな音を聞いたのだ。そして、それをヒーリングチューナー越しにリスから何が原因か伝えられて、リュアンは呟いた。

「鉄の塊……これが、鬼戦車?」

 ウイングキャット『マネギ』が、ちょうどそこに舞い降りた。リュアンが状況を『マネギ』に伝えると、それが仲間達へと伝達されていった。

●撹乱する、そのために

(「鬼戦車をかいくぐる? そんなめんどくさいことしないよ。戦車というぐらいだから進軍を始めれば居場所はモロばれだしね」)

 木々の上、魑魅魍魎で生み出された機動力重視の人型の式神と視覚共有していた鳴夜・鶯(ナキムシ歌姫・f23950)は見た。

 山間の道を進む、戦車とよく似た異形の存在。UDC鬼戦車――かつての大戦で使われた戦車がUDCによって異形化した存在だ。それが三体、森の中を進んでいた。

「むしろ掌の上で踊ってもらおうかな。さぁ、はじめましょうか♪」

 鬼戦車達は、慎重に進んでいる。おそらくは痕跡を残さないように、という探索をしながらだろう。だからこそ、鶯は自身と同調する人型の式神を隠れさせながら走らせた。

 不意に、鬼戦車の一台がその気配を察知する。砲門が式神に向いた瞬間、木の枝から式神が跳んだ。

(「――来る」)

 鬼戦車達の反応は、素早い。上という戦車の弱点を熟知しているからこそだ、仰角が確保されている間に撃とうとして――動きを止めた。

 式神が小脇に抱えていた、黒曜石のように真っ黒な女神像に気付いたからだ。式神は射線から逃れると、鬼戦車を足場に更に森の奥へと駆けていく。

 鬼戦車は、即座にそれを追った。へたな砲撃は、女神像を破壊しかねない――それを理解しているのだ。

「うん、うまくいったね」

 鶯は、小さく微笑む。式神が抱えていた女神像は、もちろん本物ではない。彼女が作った偽物だ。ある程度鬼ゴッコをしたら、敢えて偽物を向こうの手に渡す――そうすれば、こちらが本物を探す時間が稼げるという寸法だ。

「さてさて、次はこっちだよ♪」

 簡単に奪われては、怪しまれる。鶯は、傍らに浮かぶ羽生やしたデブ猫みたいなドローンから仲間たちの位置情報を聞きながら、探索場所から引き剥がすべくチェイスを続けた……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

春乃・結希
まいちゃん(f20801)と一緒っ

愛は人を狂わすって言いますよね
居なくなったらもう会えないのに…

とりあえず村を見付けないとですねっ
まいちゃんを後ろから【怪力】で抱えて空に上がり
走るくらいの速さで飛びながら、カメラマンまいちゃんの腕前に賭けます
戦車に気付かれて弾が飛んできたら、纏う風を操って逸らします
それでも駄目なら…奥の手まいちゃんガード!
…うわぁ!まいちゃんそれ大丈夫なんっ!?

撮ったら一旦下に降りて写真を確認
何かいいもの写ってるかなー…?
手掛かりが見つかったらまた空へ飛び
今度は超音速で一気に目的地に向かいます
まいちゃん落ちないでね!

戦車はwithとwandererでべこべこに凹まします!


宮入・マイ
春乃ちゃん(f24164)とっス!

愛ゆえに滅ぼすってどういうことなんっスかねー?
マイちゃんには難しいっス…滅ぼされるのは困るっスからなんとか防ぎたいっスけど。

とりあえず抱っこしてもらって…飛ぶっス春乃ちゃん!
うまく飛べたら【赤いカメラ】を構えて連写しまくるっス!
カメラの腕はまぁまぁっスけどめーっちゃ真面目に【執行錯誤】するっスからねー、きっと何かの手がかりが写り込むはずっス!

敵の弾はー…マイちゃんが蹴り返して春乃ちゃんを【かばう】っス!
…まーマイちゃんは最悪上半身があればいいっスしね。

一旦着地して手がかりが見つかったら…また抱っこされて目的地まで一直線っス!
ゴーゴー春乃ちゃん!

きゃっきゃ。


波狼・拓哉
祭具がある…ってことくらいしかわかってねーのか。ふーむ、長い事放置されるだけの理由があったのですかね。
まあ、その辺は後で、今は探し出すこと先決ですわ。
で、隠し祠か。うむむ、地下なのか、山際に掘られてるか…どっちかだと思うんですけど…崇拝されてたってなら行きやすいほうかな。地形の利用の観点から行きやすさ、十分な広さがあるってとこ探して衝撃波込めた弾で破壊工作して回りましょう。…放置されてたのなら隠し扉とかも動き辛いでしょうし、下手に解除したりするより早いでしょう。
まあ、第六感も使いつつ怪しいとこは全部潰す感じで行きましょうか。
(アドリブ絡み歓迎)


葛籠雄・九雀
SPD

正直、その女神像はオレが欲しいのであるが。
…持ち帰るのは…いかんであるな。うむ。わかっておるであるぞ。
近頃、蒐集が捗らぬなぁ…。無念である。

さて廃村か。カミルはまだとして、鬼戦車は既に配置されておるのであるか? 他の敵は。…流石にわからんな。

ふーむ…【忍び足、ダッシュ、ジャンプ】で廃屋へ隠れるようにしながら内部を調査するである。気付かれそうになった場合、【投擲、おびき寄せ】で小石などを別方向に投げて注意を引き、【逃げ足】で逃走。相手の鈍さに期待であるな。
出来なければ、諦めて戦うか。ワイヤーで【武器落とし】、【投擲、2回攻撃、毒使い】+ペルシカムで行動不能にできれば良いが。

アドリブ連携歓迎


メンカル・プルモーサ
ふむ……隠し村に隠し祠……なかなかの念の入りよう……
ひとまず山間部に【夜飛び唄うは虎鶫】により偵察ガジェットを召喚…各地に放って全体をカバーするように配置…
センサーを総動員して「廃村らしき場所」をピックアップしていくよ…
この情報は猟兵全体で共有…私は【彼方へ繋ぐ隠れ道】を使って当たりと思しきガジェットの元へワープ……精査していこう…
…廃村の情報を収集しつつ隠し祠についてはハッキングや物隠しの応用…大事な物を隠すならセキュリティ的にどうするかを考えて当たりを付けて探索をしよう…
…ついでにセンサーにオブリビオンらしき何かが引っかからないかにも注意しておくね…


天泉・青花
邪神の祭具が放置されてるなんておっかないなぁ
しかもそれをオブリビオンが狙ってるときたか
ほっとく訳にはいかねーな!

目的の村は山の中か
大人しく登山道を歩いてても、オブリビオンが先に行っちまう可能性もある
それなら道なき道を突き進むだけだな

崖や急な坂道なんかも突っ切って進んで行こう
ブーツでしっかり地面を踏みしめ、【怪力】や義肢で掴めそうなものを掴んで支えにしつつ強行突破だ
【クライミング】の技術も使えば、急な場所も通れるんじゃないかな

それから高い所に着いたら周囲も確認してみるか
かつては村にも人が住んでいたなら、人工的な痕跡が残ってないかを観察してみよう
木の生え方とか残ってる道とか
何かヒントはねーかな?



●隠された意図

「我が従僕よ、集え、出でよ。汝は軍勢、汝は猟団。魔女が望むは到来告げる七つ笛」

 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)の詠唱に召喚されたのは、通信・索敵機能のついた戦闘用ガジェットの群れだ。既に動いていた仲間のドローンと情報を交換しながら、メンカルはガジェット達を山の中に展開していった。

「ふむ……隠し村に隠し祠……なかなかの念の入りよう……」

 夜飛び唄うは虎鶫(セブン・ホイッスラーズ)のガジェット達から集められる情報に、メンカルは小さくこぼす。
 山間の隠し村、というのはこの国の歴史を紐解くと、そう珍しいものではない。どこの世界、どの時代にも追われる者は跡を絶たないものだ。思想、権力、闘争――上下や勝敗が決まる何かがある限り。

「……だからこそ……位置は、限られる……」

 どんな場所でも、生きるための利便性というものは限られる。ましてや、隠れ住むのに適した場所となればなおさらだ。

「秘されし標よ、拓け、導け。汝は道程、汝は雲路。魔女が望むは稀人誘う猫の道」

 メンカルがあたりをつけたいくつかの場所へと、彼方へ繋ぐ隠れ道(ロード・コネクト)で飛ぶ。それをガジェット越しに仲間達にも報告し、メンカルは探索を続けた……。

●愛とは何か?

「愛ゆえに滅ぼすってどういうことなんっスかねー? マイちゃんには難しいっス……滅ぼされるのは困るっスからなんとか防ぎたいっスけど」

 宮入・マイ(奇妙なり宮入マイ・f20801)がしみじみとこぼすと、春乃・結希(寂しがり屋な旅人・f24164)も困ったように小首を傾げる。

「愛は人を狂わすって言いますよね。居なくなったらもう会えないのに……」
「あ、飛ぶっス春乃ちゃん!」
「はーい」

 結希が森の中を疾走、マイの言葉に跳躍する。その腕にマイを抱えたまま、眼下に森を見下ろす形だ。マイはそのまま、赤いカメラで周囲を連写した。

「ん~……?」

 赤いカメラが撮った画は、すぐにその場で写真になる。ズザァ、と着地した結希が腕の中のマイに問いかけた。

「何かいいもの写ってるかなー……?」
「これ、何スかね?」

 写真の一枚に映っていたのは、奇妙な影だ。木々に覆われた何か……おそらくは、建物か。それを結希も確認し、グッと足に力を込めた。

「よーし飛ぶぞー! 吹き飛ばされそうなものはしまってくださーい」
「了解ッス!」

 赤いカメラをしっかりとマイがしまうのを確認すると、結希が一気に飛んだ。強大なエネルギーを持つ風を全身にまとった結希が写真に映った場所に飛ぼうとしたその時だ。

「――ッ!?」
「させないッスよ!!」

 唐突な横合いからの砲弾を、マイの蹴りが強引にそらす。ドォ! と森の木々を着弾した砲弾が砕くのを結希は見た。

「ゴーゴー春乃ちゃん! 戦車を引き離すッスよ!」
「まいちゃん落ちないでね!」

 へたに目的地に近づいて、悟られても面倒だ――そう判断した二人は、鬼戦車の方へと飛ぶ。きゃっきゃ、とはしゃぐマイをしっかりと抱きしめて、結希は傍らに近づいてきたドローンとガジェットへ掴んだ情報を告げた。

「あの鬼戦車は、こっちで引き受けます!」

 withを片手で引き抜くと、結希は鬼戦車へと襲い掛かった。

●女神は誰に微笑むのか?

「祭具がある……ってことくらいしかわかってねーのか。ふーむ、長い事放置されるだけの理由があったのですかね。まあ、その辺は後で、今は探し出すこと先決ですわ」

 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)の言葉に、天泉・青花(シンプル・ハート・f17570)も肯定する。

「邪神の祭具が放置されてるなんておっかないなぁ。しかもそれをオブリビオンが狙ってるときたか。ほっとく訳にはいかねーな!」
「正直、その女神像はオレが欲しいのであるが」

 唸るようにこぼす葛籠雄・九雀(支離滅裂な仮面・f17337)に、拓哉と青花が無言で視線を送る。そこに込められた感情に、九雀も当然のように気付く訳で。

「……持ち帰るのは……いかんであるな。うむ。わかっておるであるぞ。近頃、蒐集が捗らぬなぁ……無念である」

 好奇心が強く収集癖がある九雀にとって、黒い女神像は十分に収集する価値のあるものだった。誰が、いつ、何のために、どうして作られたのか――その謎に、興味が惹かれないはずもない。

「お、ここか」

 青花がガジェットから伝えられた場所にたどり着くと、そこにあったのは文字通り廃村だった。五棟ほどの平屋は、恐ろしく時間が経っているのだろう事が偲ばれた。どれほど長い歳月そこにあったか知らないが、木々や蔦に覆われたその建物達は崩れる事なく、その場にあり続けたのだ。

「何かヒントはねーかな?」
「……隠し祠か。うむむ、地下なのか、山際に掘られてるか……どっちかだと思うんですけど……崇拝されてたってなら行きやすいほうかな。地形の利用の観点から行きやすさ、十分な広さがある……」

 青花の疑問に、拓哉が考え込む。ここが隠れ村だとすれば、何かしらの手がかりがあるはずだ、と。

「ふーむ……ん?」

 九雀は小さく呟くと、ふと建物の『異質』な部分に気付いた。

「どうした?」
「いや、何故この建物の……ここだけ枠があるのかと思ってな」

 五棟の建物、その内四棟は扉以外の窓枠はなかった。しかし、一棟の一箇所だけに枠があったのだ。恐らくは、元は障子が張られていたのだろうが――。

「……ちょっと、いい……?」

 その時、彼方へ繋ぐ隠れ道(ロード・コネクト)によってこの場所にやって来たメンカルが、ガジェットの一基のライトを点す。

「……ちょうど、この枠は西側だから……うん」
「これは――」

 メンカルの意図に気付いて、青花が建物を覗き込む。ライトの明かりで照らされた暗い室内、部屋の床に枠の形――逆十字形の影が刻まれていた。

「なるほど。隠れキリシタンとかであった手法だね」
「ああ、十字架やマリア像を崇めていたら罰せられるから、十字架の影に祈りを捧げていたというアレであるな」

 拓哉の言葉に、九雀の声が弾む。UDCアースに限らず、この日本という国の人間は制限をかけられると途端にその『抜け道』を編みだす事に長けていた。これもその工夫の一つだとすれば、この枠自体が遺物のようなものだった。

「……多分、その床下……」
「よし、剥がしてみるか」

 うなずくメンカルに、青花が建物に踏み込む。床板を引き剥がすと、そこにあったのは地の底に続く木製の階段があった。

「おお、これであるな!」

 九雀が、喜色の声を上げる。階段の下、その女神像は鎮座していた。黒曜石のように真っ黒な女神像は、抱えればひどく軽い。黒曜石のような光沢であるが、触れれば温もりさえ感じられた――むしろ、その事に背筋が冷たくなりそうだった。

「さて、カミルはまだとして、鬼戦車は既に配置されておるのであるか? 他の敵は――」

 目的の物は手にした、そう九雀が先の事を考えようとした刹那。鈍い爆発音と衝撃が、建物を揺るがした。

「……戦車が、集まってる、みたい……」
『潰しても潰しても、出てきますよ!』

 結希からの報告に、メンカルが呟く。どうやら、本格的に戦力を投入して来たらしい――ここから猟兵達とUDC達の戦争が、始まった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『鬼戦車』

POW   :    レッド・ウェーブ
【自身と同じUCが使用可能な同型戦車をLv】【×1体の増援として召喚する。また、増援の】【戦車と連携して攻撃(戦車砲や機銃)する事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
SPD   :    タンク・コルホーズ
自身が戦闘で瀕死になると【自身と同じUCが使用可能な同型戦車】が召喚される。それは高い戦闘力を持ち、自身と同じ攻撃手段で戦う。
WIZ   :    マルクスの亡霊達
戦場で死亡あるいは気絶中の対象を【自身と同じUCが使用可能な同型戦車】に変えて操る。戦闘力は落ちる。24時間後解除される。

イラスト:FMI

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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●戦争をしよう

「……偽物か。なるほどねぇ」

 持ち帰られた女神像の偽物を握り潰して、戦争屋『カミル』は携帯端末へと告げた。

「喜べ、戦争だよ。戦争が出来るよ、一機残らず戦いへ向かうがいい」

 甘く楽しげな声だった。カミルは再び携帯端末を懐にしまうと、砕けた偽物を踏みつけた。

「いいね、しっかりと敵をしてくれてるじゃないか。僕は大好きだよ、敵は。愛おしい怨敵、殺すべきモノ、潰すべきモノ、一切合切残らず蹂躙すべきもの」

 口の端が、持ち上がる。いっそ優しく、愛を込めたその笑みを浮かべてカミルは歌うように言った。

「さあ、殺し合いだ。戦争だ。勝ったり負けたり、殺したり殺されたりしよう。愛して、愛されて――存分に」
エル・クーゴー
●SPD



敵影多数捕捉
狙撃モードに移行
>交戦を開始します


・体表に周辺風景を取り込み生成する電子迷彩(撮影+迷彩)を展開しつつ山間を移動

・アンチマテリアルライフル展開
・【ロングレンジ・ファイアワークス・ドライブ】発動
・【スナイパー】として、最大射程半径3,969mを活かしつつ敵勢に対し撃ち下ろしで挑めるポジショニングを期す

・まず、比較的孤立した布陣の敵一機を探し狙撃
・残骸目掛けサーチドローン『マネギ』を隠密裏に射出(迷彩+吹き飛ばし)、残骸を検分させる(ハッキング+情報収集)

・鬼戦車の主要な回路が格納された位置を調べ上げ、以降、敵を「瀕死にさせず・一撃死させる」狙撃を敢行する為に役立てる(学習力)



●ロングレンジ・ファイアワークス

 山に、無数の機械音が鳴り響く。鬼戦車――戦車と呼ぶには、あまりにも生物のソレに近いUDCが、雪崩のように山へと溢れ出した。

『ギギギギギギ――』

 レッド・ウェーブ。かつての大戦で亡国の戦車は、トラクター工場で作成されたとも言われる。凄まじい量を持って戦場を埋め尽くした過去を再現するように、赤い波となって鬼戦車は蹂躙していく――はずだった。

「敵影多数捕捉、狙撃モードに移行――交戦を開始します」

 ヴン、と蒼穹に人型の歪みが生じる。体表に周辺風景を取り込み生成する電子迷彩を展開したエル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)だ。

 ロングレンジ・ファイアワークス・ドライブ――エルの電脳魔術は、周辺地形や環境情報を解析。装備から各種射撃兵装を展開した。

 L95式アームドフォートから展開されたガンラックから、L95式アンチマテリアルライフルを引き抜く。「全世界」対応型電脳世界展開機能を搭載したエル専用超高度コンピューター内蔵ゴーグルL95式電脳ゴーグルに、電脳魔術によるフォログラムが映し出される。

「――――」

 風速、気温、天候、地形、大気の流れ――狙撃とは、あらゆる環境に左右される繊細な『作業』だ。エルはゴーグルの中で展開された世界ですべての計算を終え、ただ引き金を引いた。

『ギギ!』

 ダン! と鬼戦車の装甲を、アンチマテリアルライフルの銃弾が撃ち抜いた。鬼戦車達はすぐに狙撃場所を計算、伏せた一台に覆いかぶさるように射角を確保――角のごとき二門の砲門が火を吹いた。

 ヒュオ――という砲弾は、何にも触れず山の斜面に着弾した。撃ったら移動する、狙撃の基本だ。エルは既に、狙撃場所から移動を終えている。

「友軍を展開します」

 ウイングキャット『マネギ』(エレクトロレギオン・オルタ)によって羽生やしたデブ猫のようなドローン達を展開、エルは迷彩を施したそれらを目や耳にするために山へと放つ。

 瀕死にさせず、一撃死させる――その作戦を敢行するために、姿を消したエルの狙撃が続いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

宮入・マイ
春乃ちゃん(f24164)とっス!

ありゃー戦車がいっぱい来ちゃったっスねぇ…
なんか戦車っていうにはちょっと生っぽいっス、鬼って生だったっスね。
まぁそのことは置いといて…全部倒さないと先には進めなさそうっスね!
でもマイちゃん知ってるっス!
いっぱいにはいっぱい…こっちもいっぱい味方を用意したら楽々勝てるってわけっス!

というわけで…【全因集業】っス!
唸れ!マイちゃんボディ!
ぽこぽこマイちゃんベビーを産んじゃうっスよ〜!

…まぁ、あんまり言うこと聞かないっスけど盾とか囮で春乃ちゃんのサポートはできるはずっスよ!
戦場がしっちゃかめっちゃかになってるうちに戦車を片付けるっス春乃ちゃん!

きゃっきゃ。


春乃・結希
まいちゃん(f20801)と

本物の女神像はもうこっちのものです
諦めが悪い人は嫌われるって、あなた達のご主人に伝えてあげてくださいっ

ま、まいちゃんがいっぱい…!どれが本物…っ?
…って今は、まいちゃんを探せしとる場合やない!
まいちゃんごめんっ、盾にさせて貰うね…っ
まいちゃんの影に隠れて銃撃を防ぎつつ、接近してwithを叩きつけます
でもこのままだとキリがない…それなら!
…まいちゃんっ避けてね!
周囲に敵が集まって来たらUC発動
敵を薙ぎ払います
…ほ、本物は無事…っ?

これがカミルさんの愛なら、数が多くて浮気性ぽいし、一つ一つの気持ちも軽そうで全然駄目ですね
ひとりに大きな愛をあげる方がかっこいいと思いますっ


天泉・青花
戦争かぁ
規模は小さいとはいえ猟兵とオブリビオンがぶつかり合うんだもんな
こいつを潰さないと親玉も出てこないだろうし
さっさとやらせてもらうか

基本的に使う武装は右腕につけた『穿ち釘』だ
敵の数も多いみたいだし、命中率を重視して確実に潰していこう

増援を呼ばれた時に気をつけたいのは連携だな
相手の攻撃は腕で受け止められそうなら義肢で【武器受け】していこう
威力がでかそうだったり危険な攻撃は【見切り】で回避だ

攻撃の合間に【ダッシュ】で接近
UCで一気に相手の装甲を【鎧砕き】していこう
【怪力】や【2回攻撃】も乗せられれば美味しいな

この戦車は搭乗員が一体化しちまってるんだっけか
……せめてその人は安らかに眠れるといいな


メンカル・プルモーサ
…戦車…戦車?がまあうじゃうじゃと……でも、同型で固めたのは悪手だね…
…箒に乗って低空を飛びつつ…周囲の地形、樹や岩を利用して時間稼ぎと共に戦車を誘導…なるべく1カ所に集まるように…
…そして集まった所に重奏強化術式【エコー】で強化した【連鎖する戒めの雷】をぶっ放すよ…
…鬼戦車がUCで呼び出す増援も瀕死になって呼び出す増援もすべて同じ同型戦車…
……同じ性質をもつならこれは覿面に効果を発揮する…何処まで機械か判らないけど動きを封じれば関係ない…
…雷鎖が絡みついている間に【尽きる事なき暴食の大火】によって雷鎖を導火線としながら絡みついている戦車を焼き尽くすよ…



●量対量……と言ってよいのだろうか?

 戦端が開かれた山で、鬼戦車達は増殖していく。一台、また一台と生まれていく異形の戦車達――その光景は、まさに地獄の窯が開いたような有様だった。

「ありゃー戦車がいっぱい来ちゃったっスねぇ……」

 溢れ出すような勢いで増えていく鬼戦車を見て、宮入・マイ(奇妙なり宮入マイ・f20801)がぼやく。

「なんか戦車っていうにはちょっと生っぽいっス、鬼って生だったっスね」

 マイが言うよろうに、そこにいたのは文字通り鬼のごとき異形の戦車だった。中の操縦者と融合した生物の要素を兼ね備えた鬼戦車は、一台見たら三十台はいると思えのノリで増殖していく。

「まぁそのことは置いといて…全部倒さないと先には進めなさそうっスね! でもマイちゃん知ってるっス! いっぱいにはいっぱい……こっちもいっぱい味方を用意したら楽々勝てるってわけっス!」
「え?」

 得意げに語るマイに、思わず春乃・結希(寂しがり屋な旅人・f24164)が振り返る。言葉だけではない、唐突に大量のマイ――を模した蟲達が現れたからだ。

「唸れ!マイちゃんボディ! ぽこぽこマイちゃんベビーを産んじゃうっスよ〜!」
「ま、まいちゃんがいっぱい……! どれが本物……っ?」

 結希が目を白黒させた瞬間だ。ドン! と鬼戦車達の砲弾が着弾した。しかし、その砲弾もマイの姿をした蟲達が盾となって防いだ。

「「「ぐわーっす!?」」」
「ま、まいちゃん!? ……って今は、まいちゃんを探せしとる場合やない! まいちゃんごめんっ、盾にさせて貰うね……っ。……まいちゃんっ避けてね!」

 全因集業(アバドン・ゴー)によって地にあふれかえるマイの群れに紛れて、結希がかける。相手の砲弾も多いが、蟲達の数も尋常ではない。言うことは聞かない分、数のよって盾となり結希の疾走を助けた。

「本物の女神像はもうこっちのものです。諦めが悪い人は嫌われるって、あなた達のご主人に伝えてあげてくださいっ!」

 光速に匹敵する速さで『with』の刀身を巨大化し、結希は気合で薙ぎ払う! 切り払われた鬼戦車と蟲達が、面白いぐらいに宙を舞った。

「……ほ、本物は無事……っ?」
「大丈夫っスよ~!」

 ぴょんぴょんと手を振って跳ねるマイが、かすかに見えて結希が安堵の息をこぼす。蟲の何体かが嘘をついて自分が反応したら面白そうっスね、と思ったがしなかった。さすがに、空気は読むようだ。

「これがカミルさんの愛なら、数が多くて浮気性ぽいし、一つ一つの気持ちも軽そうで全然駄目ですね。ひとりに大きな愛をあげる方がかっこいいと思いますっ」
「「「「「「「「「「「きゃっきゃ」」」」」」」」」」」

 数対数、量対量。マイのあまり言うことは聞かないため盾として使った蟲達の暴力と結希の豪腕が鬼戦車の群れをちぎっては投げ、ちぎっては投げ蹴散らしていった。

●戦争のために――

 瞬く間に山を埋め尽くさん勢いで増えていく鬼戦車が、各所で撃破されていく。その激しい戦闘を目の前に、天泉・青花(シンプル・ハート・f17570)は呟いた。

「戦争かぁ。規模は小さいとはいえ猟兵とオブリビオンがぶつかり合うんだもんな。こいつらを潰さないと親玉も出てこないだろうし、さっさとやらせてもらうか」
「……戦車……戦車? がまあうじゃうじゃと……でも、同型で固めたのは悪手だね……」

 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は飛行式箒【リントブルム】へと跨り、宙に浮く。それを見て、青花はその背中へ告げた。

「頼むよ」
「……ん……」

 青花の言葉に、メンカルはひとつうなずいて加速する。低空飛行するメンカルに、鬼戦車達はすぐに反応した。砲弾を撃ち込み牽制、その砲弾が届く前にメンカルは大きく回避し掻い潜っていった。

「……こっち……だよ……」

 そのまま、メンカルは加速。鬼戦車達もそれを追いかける。上を取られれば射角が取れない、それが戦車の弱点ではあるが生体部品を持つ鬼戦車はその弱点をいくらか補える――だからこそ、決して逃がそうとはしなかった。

 メンカルが目的地としたのは、山間の谷間だ。流れる川を横切り、箒で上昇しようとする――それを追いかけてきた鬼戦車達に、不意にメンカルは振り返った。

「「「「紡がれし迅雷よ、奔れ、縛れ。汝は電光、汝は縛鎖。魔女が望むは魔狼封じる天の枷」」」」

 重奏強化術式【エコー】――メンカルの多重発動する事で強化を重複する術式が、トンネル状に膨大な数の魔法陣を描いた。その魔法陣のトンネルの中で、鬼戦車達へと連鎖する戒めの雷(ライトニング・チェイン)が炸裂する!

 鬼戦車を誘い込み、一度に殲滅する。それがメンカルの狙いだった。その狙い通り、鬼戦車達は囲まれて雷撃によって打ち砕かれていく。

 唯一の逃げ場は、魔法陣のトンネルの先――抜けた先だけだった。鬼戦車の何台かが抜け出そうとするが、そこに待ち構えていた青花が許さない。

「お、おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお――ッ!!」

 戦闘用義肢『穿ち釘』。右腕に装着して使う戦闘用義肢の一つであるソレに搭載されたのは、一撃必殺の威力を誇るパイルバンカーだ。真正面から一台の鬼戦車を貫いた穿ち釘によって、鬼戦車が内側から破裂。青花はそこで止まらず、そのまま振り抜いた勢いを利用して横回転した。

 そして、再び放たれる二撃目のパイルバンカーの杭が二台目を粉砕する! 硬い金属を貫いた先に肉の感触を感じて、青花はこぼす。

「この戦車は搭乗員が一体化しちまってるんだっけか……せめてその人は安らかに眠れるといいな」

 冥福を祈り、次の、また次の一撃を叩き込んでいく。数が多いからこそ確実に、青花によってトンネルの出口は鬼戦車の弔いの場となった。

 それと悟り、鬼戦車の群れが散解しようとする。その上空で、メンカルが唱えた。

「貪欲なる炎よ、灯れ、喰らえ。汝は焦熱、汝は劫火。魔女が望むは灼熱をも焼く終なる焔」

 連鎖する戒めの雷(ライトニング・チェイン)の雷鎖を導火線に、メンカルの尽きる事なき暴食の大火(グラトニー・フレイム)が鬼戦車達を飲み込んでいき――その大爆発が、逃げようとした鬼戦車も巻き込んでいった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

波狼・拓哉
鬼…というかなんだ。生体?生きてる戦車?
…なんかこう色々冒涜された感じしますけど、今はここを抜ける事が先決ですね。

じゃミミック!化け明かしな!(空中に向かって投擲する)何されようがユベコ使われるのは面倒だし封じときましょう。あ、眩しいだけで味方に被害はないから安心してね?死ぬほど眩しいけど。

自分は衝撃波込めた弾で牽制しつつ、戦闘知識、視力、第六感からタイミングを見計ろう。
地形の利用、ロープワーク使い早業で戦車の上に陣取って零距離射撃で装甲の上から中身を撃ち貫こう。
砲身の後か、口っぽいとこの上辺りが脳に当たりそうだしそこ狙う感じで。
(アドリブ絡み歓迎)


鳴夜・鶯
この攻撃って…
もしかして、ゆぅ(春乃・結希)が参加してるの?
あはは、楽しくなってきた!!ゆぅなら悟ってくれるかな?

ギターケースからギターを取り出して掻き鳴らします
この感じは…なるほどね倒したら増える能力なんだね?
あはは、そんなことボクが許さないよ!!
悪夢みたいな現状だけど解決できないことなんてない!!
勝利に向かって叫ぼう!!
いくよぉ~~~!!『Daybreak』!!!

演奏技能を載せて味方を鼓舞する演奏と
「鬼戦車」向けて合わせて四方八方に飛んでいく
夜明けを連想させる光量の光線が能力を封して行きます

さぁ~~~じゃんじゃん行くよ♪
ボクのワンマンライブはまだまだ終わらないからね♪
みんな頑張れ~!!!


葛籠雄・九雀
SPD

戦争なぁ。あまり好かんな。
怪我をした者を庇って回収するのも億劫であるし、まあ何より痛い。痛いのはつまらん。血もなぁ。落としにくいのであるよな。
何者であろうと、死んだら終わりであるしなぁ。

まあ…相手がやりたいと言うのならば一応付き合うが。仕事であるしな。
それが彼奴は楽しく、愛しいのであろう。それを否定する気はない。

さて戦車か。毒は…やめておくか。【投擲、見切り、カウンター】+ダチュラで正気を失わせたいが。上手く錯乱してくれぬものか…同士討ちでもしてくれれば最高であるがな。
攻撃は【ジャンプ、ダッシュ、逃げ足】で避ける。必要があれば、【かばう、おびき寄せ、挑発】で引き寄せるか。

アドリブ連携歓迎



●絶望を希望に変える曲

 鬼戦車が、巨大な刃に両断され宙を舞う。その刃の切っ先と断ち切られた破片が自分の方へ飛んで来たのを見て、鳴夜・鶯(ナキムシ歌姫・f23950)が呟いた。

「この攻撃って……もしかして、ゆぅが参加してるの? あはは、楽しくなってきた!! ゆぅなら悟ってくれるかな?」

 鶯がジャズベースギターをギターケースから取り出し、かき鳴らす。目の前の瓦礫から鬼戦車の軍勢が次から次へと現れる光景に、鶯が呟いた。

「この感じは……なるほどね、倒したら増える能力なんだね? あはは、そんなことボクが許さないよ!! 悪夢みたいな現状だけど解決できないことなんてない!!」

 その絶望的な光景でさえ、鶯の笑顔を曇らす事はできない。鬼戦車の一部が気付き、鶯へ砲門を向けた瞬間――鶯が、叫ぶ!

「勝利に向かって叫ぼう!! いくよぉ~~~!! 『Daybreak』!!!」

 かき鳴らされるギターの音色と共に、鶯を中心に夜明けを連想させる光量の光線が四方八方に乱れ飛んだ。その音色の鼓舞こそが、明けない夜は無いのだと信じさせてくれる――!

 ヒュオン! と鶯に砲門を向けた鬼戦車達が巨大な刃に切り伏せられる。絡みつく光が、マルクスの亡霊達の効果を打ち消し残骸を消滅させていった。

「さぁ~~~じゃんじゃん行くよ♪ ボクのワンマンライブはまだまだ終わらないからね♪ みんな頑張れ~!!!」

 手を伸ばせば届く。終わりのない絶望はない。絶望を希望に変える曲――鶯のDaybreak(ディブレイク)が戦場へと鳴り響いていった。

●そして、絶望は明ける

「戦争なぁ。あまり好かんな」

 葛籠雄・九雀(支離滅裂な仮面・f17337)は目の前の騒乱を前に、ため息まじりに呟いた。

「怪我をした者を庇って回収するのも億劫であるし、まあ何より痛い。痛いのはつまらん。血もなぁ。落としにくいのであるよな。何者であろうと、死んだら終わりであるしなぁ」

 九雀は迫る鬼戦車の軍勢を一瞥し、投げ針を手に取った。戦車の砲弾に対してあまりにもか細い武器だ――しかし、そこに怯えはない。

「まあ……そっちがやりたいと言うのならば一応付き合うが。仕事であるしな。それが彼奴は楽しく、愛しいのであろう。それを否定する気はない」

 ドドン! と鈍い爆発音が轟いた。鬼戦車の砲撃に九雀が投げ針を合わせ、迎撃したのだ。体に巻いた布が爆風で飛ばないように押さえながら、九雀が駆けた。

「その彼岸にて、幻と共に踊れ」

 己の正気を代償とした相手の正気を失わせる針による幻惑攻撃――ダチュラを、九雀は繰り出す。戦車の群れに生身で挑む、狂気としか思えない蛮行と共に九雀は舞い飛ぶ。

 本来の戦車であったなら、別だったかもしれない。しかし、彼等は生体部分がある。かつての乗組員が融合した箇所だ――だからその幻覚は、驚くほど効いた。

 鬼戦車達が、我先にと互いを狙って攻撃し合う。殺し、殺され、死なせ、死なされ――甲高いエンジン音や金属音は、狂った笑い声のようだった。

 楽しい、楽しい――正気を失った九雀には、そんな大爆笑に聞こえた。

「鬼……というかなんだ。生体? 生きてる戦車? ……なんかこう色々冒涜された感じしますけど、今はここを抜ける事が先決ですね」

 その狂乱の宴を前に、波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)が言い捨てる。拓哉は取り出した箱を、高く放り投げた。

「じゃミミック! 化け明かしな! 全ては夢幻、虚空と散る!」

 拓哉の偽正・門超最極(ラスト・ボイド)によって、ミミックが無数の太陽へと化けていく。その眩い光は、鶯のDaybreak(ディブレイク)と共に戦場を白く白く染めていった。

『――――!?』

 その鬼戦車達の頭上を、拓哉はフック付きロープを操って取った。空中でとてもカラフルな二丁拳銃のモデルガン――MODELtypeβ・γ バレッフ&ノットを引き抜いた。ドンドンドン! とバレッフの引き金を引き、衝撃波を生み出す銃弾で牽制。拓哉は一台の鬼戦車へと飛び乗った。

「ここですかね?」

 そして、ノットの銃口を押し付け発射。零距離から放たれた極近用のノットが撃ち込んだ銃弾が、鬼戦車の脳に当たる部分を撃ち抜いた。

 鬼戦車達は、即座にそこに群がっていく。同士討ちに躊躇いなど無い、鬼戦車ごと拓哉に砲弾を集中させるがロープワークによって拓哉は上空へと逃れ、回避した。

「――遅いですよ」

 鬼戦車達を足場に、拓哉は駆ける。カンカンカン! と鉄の足場を蹴りながら、正確にノットを至近距離で撃ち込み、鬼戦車達を沈黙させていった。

 ――戦場の光は、時と共に薄れていく。

 本来であれば無限に殺し合うための鬼戦車達の能力だが、それももはやない。光が明けた時、残されたのはそこに激しい戦いがあったという痕跡のみだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『戦争屋『カミル』』

POW   :    導く者
【かつて利用していた少年兵たち】の霊を召喚する。これは【銃】や【爆発物】で攻撃する能力を持つ。
SPD   :    赦す者
【君を救いたいという想い】を披露した指定の全対象に【この人になら殺されてもいいという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
WIZ   :    愛する者
【愛】を向けた対象に、【召喚した様々な銃器から放たれる弾丸】でダメージを与える。命中率が高い。

イラスト:瓶底

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はマルガリタ・トンプソンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●愛を持って相対す

「……やれやれ。面白い兵器であるが、もう少し戦術を練る必要があるな」

 戦争屋『カミル』は、携帯端末に送られてきた戦況を見届けそうこぼした。ただただ、数で圧殺する。それは戦争の一つの正解だ。

「だけど、戦争は数式じゃない。一つの正解はあっても、正解は一つじゃない」

 だから、愛おしい。己の命を、大事な者の人生を、懸けるのに値するのだ。カミルは薄く微笑すると、少年兵達の亡霊を従えて告げた。

「さぁ、僕らも行こう。愛おしき戦場へ。愛おしい怨敵の元へ――」
モイ・トリー(サポート)
囮役で前衛に出る事が多い。味方が多ければ多いほど、妨害役に徹する率が高くなる。ユーベルコードで敵を挑発して、回避に専念することも厭わない。

・キャラについて
用心深いがチャレンジャー精神のあるシーフ×UDC エージェント。相棒の「レカ」とは無駄な会話はしない。普段はモイの内側にいるが、話は聞こえている。
・レカの口調
普段は爽やか青年系の口調だが、敵を前にすると、乱暴な口調に変化する。
爽やか青年系(私、あなた、呼び捨て、だね、だよ、だよね、なのかな? )
乱暴(私、お前、呼び捨て、か、だろ、かよ、~か?)


ヴィリヤ・カヤラ(サポート)
「やるなら頑張らないとね。」
ユーベルコードは指定内の物を適宜使用。
武器は黒剣の宵闇、鋼糸の刻旋、媒介道具の月輪を良く使うかな。
戦場の状況は出来る限り確認しながら動いて、
誰かが攻撃されそうなのに気付けたらフォローに入るかな。

吸血行為は無理矢理にはしないけど、敵に対しても同様で
相手の許可が無ければしないよ。
父様から同族(ダンピール)と
自分の血を吸うのはダメって言われてるからNG。

一般人は依頼内で救助の必要性があると
明言されているならなら助けるけど、
そうでない場合は状況によっては見捨てる判断もするかな。

楽しめそうな事は思いっきり楽しむけど、
夏の強い日光は苦手かな。
味覚は苦い物と酸っぱい物は苦手。



●――導く者

 鬼戦車が沈黙し、戦場に静けさが戻った――そんな森の中でモイ・トリー(記憶と相棒との絆を取り戻したシーフ・f15633)が小さく呟いた。

「違うな」
「ああ、違う。静すぎる」

 モイの言葉を継ぐように、相棒のレカがモイにだけ届く声で補足する。ただの静寂ではない、この森の中を潜んで進む『何か』がいる――その事を、モイとレカは敏感に察していた。

「来るぞ、行け」
「だね」

 モイが、地面を蹴った。何もない森の中へ駆け込んだ――はずだった。しかし、モイとルカは見逃さない。こちらに向かって藪に隠れ、銃を構えていた少年少女の亡霊を。

「お届け物でーす」

 撃ち込まれる銃弾を跳躍でかわし、モイがダガーを引き抜く。少年兵達の背後に着地と同時、モイのダガーが閃き、亡霊達をかき消した。

「っと」

 だが、それで終わりではない。気配を殺して移動していた少年兵達に、モイは素早く横へ跳ぶ。自分へと意識を集中させる――いわば、囮だ。

「させないよ」

 そこに割り込んだのは、カーボン製の鋼糸だ。編み込めば銃弾を弾く盾となり、また解き震えば敵を切り裂く刃となる――ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)の刻旋だ。

 少年兵の一人が、腰に下げていたグレネードを手に取る。森の木々に隠れる形で弧を描き放つ、森林内での戦闘を熟知した爆弾の使用法だ。

 しかし、シーフであるモイはその動きを見逃さない。

「上だよ!」
「任せて」

 ヴィリヤが操る刻旋が編み込まれ、頭上にカーボンの壁を作成。そこに落ちたグレネードが、鈍い音を立てて爆発した。

「戦争屋ってのもろくなものじゃないね」

 少年兵の亡霊、死んでもなお戦う彼等の姿にモイが言い捨てる。それを聞いて、ヴィリヤが宵闇を引き抜き、言った。

「やるなら頑張らないとね」

 敵が何者であれ、倒さなくてはならない――何より、おそらくはこの少年兵達は奇襲が目的だ。それを許せば、仲間の猟兵が危険に晒される。

「終わらせてあげるよ」

 血統覚醒による、ヴィリヤがヴァンパイアとして覚醒する。モイもまた、ダガーを構え直した。

 少年兵達が、突撃してくる。タイミングをずらす銃撃は、あえて前に出て射撃を誘ったモイには当たらない。

「右だ」
「了解!」

 レカの指摘に、視線を送るより先にモイは地面を蹴る。横からグレネードを投げようとしていた少年兵の手から、不意に爆弾が消えた。真横に回り込んだモイが、掠め取ったからだ。

「はい、返すよ」

 そして、放り返したグレネードに少年兵は巻き込まれかき消える。

「―――!」

 その爆発に紛れ、ヴァンパイアが疾走する。月輪――自身の血液と影に潜ませているUDCが周囲の少年兵達の手足を絡め取った。

「さようなら」

 そして、ジャガガガガガガガガガガ! とヴィリヤは鞭状の蛇腹剣へと変えた宵闇で、動きの止まった少年兵達を一掃した。

 ――この森の片隅で起きた不意の遭遇戦は、戦争屋『カミル』には計算外の損失を生む。それが明らかになるのは、カミルと遭遇した猟兵達との戦場であった……。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

波狼・拓哉
さてさて…本丸の登場ですかね。戦争なぁ。…ぶっちゃけ無駄に殺して無駄に消耗して無駄に疲れるだけでは?まあ、どっちかが蹂躙するってなら話は変わりますが。
ま、そういう押問答しに来たわけではないので。化け喰らいな、ミミック。動き止めてやりましょう。あ、行けそうなら食べていいですよ。美味しくないと思いますが。取り敢えず狙いは足で。動きを阻害しましょう。
自分は衝撃波込めた弾で召喚された銃器を狙って武器落としと部位破壊を。後はミミックが動き止めてくれた瞬間に傷口をえぐるように追撃与えてダメージをかさねましょうか。…男に愛何て貰ってもうれしくねーんだよ。もっと綺麗所連れて来い。
(アドリブ絡み歓迎)


宮入・マイ
春乃ちゃんと改めてチーム【かたつむり】でっス!

愛とか救いとかよくわからんっスな…マイちゃんにとっての面白みたいなもんっスかね?
考えてもしょーがないっスね、マイちゃん達は面白おかしく楽しむだけっス!

というわけでー春乃ちゃんこれ持ってっス!
【Xとの邂逅】用の寄生虫をマイちゃんの殻で覆ったカプセルっス!
隙を見てべちゃってぶつけて欲しいっスよ〜!

後は…少年兵を引きつけとくっス!
囮っス!
銃と爆弾でマイちゃんをやっつけようなんて甘いっス!
次は火炎放射器でも持ってくるっスよ!

む…何やら黒い影。
おーあんなのがやってくるとはマイちゃん驚きっス。
春乃ちゃん齧られないうちに戻ってくるっスよ。

きゃっきゃ。


春乃・結希
【かたつむり】

私は救いを求めていません。私は最強なので
私は愛を求めていません。withが居てくれるだけで充分です

UC発動
銃弾や爆風をオーラ防御、纏う風、激痛耐性で耐えながら
邪魔する霊達を斬り伏せ蹴り飛ばし接近します
いくら子供でも本物や無いなら興味ありません
邪魔しないでくださいね

近づいたらwithで一撃…と見せかけて!本命は私では無いのです!
ここでまいちゃんに貰ったカプセルを叩きつけますっ
まいちゃんもよくわからんって言ってたけど…な、なんか来たっ、こわいこわい…!
私まで巻き込まれそうなら逃げます…っ
まいちゃんなんなんあいつ!大丈夫なんっ?

猟兵と戦争するには、あなたの愛は小さ過ぎたみたいですね


エル・クーゴー
●SPD



最終撃破目標を目視で捕捉しました
これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します


敵は強力な精神干渉を用いるものと類推されます
対抗手段の準備が推奨されます

躯体番号L-95
当機は、電脳世界の運営――電脳魔術による万象への無線接続介入_及び_改竄に高い適性を発揮します

後衛に布陣し【万象改竄:電脳天球儀(ハッキング)】展開
平時の電脳ゴーグルの処理速度のリミッターを解除(限界突破)
敵ユーベルコードに対しリアルタイム解析を実行(情報収集+学習力)、効果圏内に入った自身及び友軍に及ぶ精神干渉に対する減衰_ないし_無効化を期すワクチンプログラムを周辺大気に敷設します

・味方の攻撃機会を確保する


天泉・青花
胸くそ悪いヤツだとは思ってたが、何てもの連れてやがる
何が愛だ、お前の好き勝手に他人を……死んだ子供達まで巻き込むんじゃねぇよ

幽霊に俺の攻撃がどの程度通じるかは分からねぇけど、やるしかない
呼び出された少年兵達の周囲にUCを使うぜ
これは攻撃というよりは、地面を抉って足止めしたり目眩ましをしたりだな
彼らの周囲の地形を壊して、戦いにくくさせるぜ

全力で殴りたいのはオブリビオンの方だ
少年兵の対処をしつつ【ダッシュ】で接近
攻撃が飛んできても義肢で【武器受け】して足は止めない

相手に接近出来たら【怪力・2回攻撃】も乗せたUCでぶん殴る!
戦争が好きならやられるのも好きか?
どっちにしろ二度とこんな事はさせないけどな


メンカル・プルモーサ
戦争屋、ねぇ……向こうから来てくれるならありがたいところだけど…
…さて、どうも敵を愛すると嘯く手合いのようだから…
…こちらに向けられた銃器からの弾丸は迷彩や地形を利用して回避や防御…
これでも不足ならオーラ防御による障壁で身を守るよ…
…そして、隙間をついて【縋り弾ける幽か影】によりステルス自爆ガジェットを召喚…
こっそりカミルへと向かわせよう…
ガジェットは発見されづらいけどさらに念を入れて少年兵の霊を浄化復元術式【ハラエド】で浄化…を試みて攻め手を減らす…
…それを嫌ってこっちに狙いが向けば逆に好都合…防御に徹して時間を稼ぐよ…


葛籠雄・九雀
SPD

ふむ。
戦に唯一の解がないのと同じように、オレは愛にも唯一の解はないと思っておるのであるよ。

【ジャンプ、ダッシュ、逃げ足】で逃げつつ、【毒使い、投擲、見切り、カウンター、2回攻撃】+ペルシカムでカミルの動きを止めたい。少年らが邪魔をするようであれば【挑発、精神攻撃、武器落とし】で戦意を削ぎつつ武器を奪う。
心酔しておりそうだが、できるか。

…む、まさかオレを『救いたい』のであるか?
流石に無駄であるぞ。何者も、虚無に干渉することなど出来ん。
そしてその虚こそが、きっと、オレの愛なのである。
愛を知るなら――解るであろう。

もしそれを否定するなら、オレは戦の解を否定する。それだけである。

アドリブ連携歓迎



●戦争屋

 まるで散歩するような気楽さで、戦争屋『カミル』は姿を現した。その表情は戦場だというのに、薄い微笑さえあった。

「……ふむ、君達が敵か」

 どこか楽しげでさえあるその言葉に――否、カミルの周囲を見て天泉・青花(シンプル・ハート・f17570)が言い捨てる。

「胸くそ悪いヤツだとは思ってたが、何てもの連れてやがる」
「何てもの? それこそひどい言い様だね。彼等は僕の大事な、愛すべき兵士さ」

 カミルが両手を広げ、芝居がかった口調で言い切る。そこにいたのは、銃を構えカミルを守るように陣形を取った少年兵の亡霊達だった。

「何が愛だ、お前の好き勝手に他人を……死んだ子供達まで巻き込むんじゃねぇよ」
「意見の相違だね、彼等は死なない。僕がいる限りね」

 青花は分かっていた、決して会話が噛み合う事はない、と。いや、噛み合った方が最悪だ。目の前の青年を理解したいとは、とても思えなかった。

「愛とか救いとかよくわからんっスな…マイちゃんにとっての面白みたいなもんっスかね? 考えてもしょーがないっスね、マイちゃん達は面白おかしく楽しむだけっス!」
「私は救いを求めていません。私は最強なので。私は愛を求めていません。withが居てくれるだけで充分です」
「――うん」

 宮入・マイ(奇妙なり宮入マイ・f20801)と春乃・結希(寂しがり屋な旅人・f24164)の言葉に、カミルはうなずく。うなずいてから、熟考して言った。

「……脳筋だね」
「いや~、褒められると照れるッスね~」
「うん、それでいいんじゃないかな?」

 カミルも理解を求めていない。だからこそ、だ。携帯端末を手に、カミルは一歩後退した。

「口で言っても伝わらないよね、うん。だから、行動で示そう」
「戦争なぁ……ぶっちゃけ無駄に殺して無駄に消耗して無駄に疲れるだけでは? まあ、どっちかが蹂躙するってなら話は変わりますが」

 波狼・拓哉(ミミクリーサモナー・f04253)の言葉は、ある意味真理だ。戦争とは、この世でもっとも盛大な浪費である――だが、カミルは一部分だけ訂正した。

「いや、無駄ではないよ。無駄になる事はあってもね。この差は大きいんだ」

 だから、とカミルの指が携帯端末を操作し――膨大な数の銃器が、その背後に生み出された。

「この愛を持って、それを教えて――」

 あげるよ、と続くはずだったカミルの言葉は、不意に上空から振ってきた声に阻まれる。

「最終撃破目標を目視で捕捉しました。これより、敵性の完全沈黙まで――ワイルドハントを開始します」
「いいね、馬鹿騒ぎといこう」

 エル・クーゴー(躯体番号L-95・f04770)の宣言と、カミルの銃器の発射音が重なった……。

●戦争

 愛を向けた対象に降り注ぐ銃弾が、猟兵達を襲う。それはカミルが嘘偽り無く敵である猟兵に愛を注ぐおぞましい証拠に他ならなかった。

「戦争屋、ねぇ……向こうから来てくれるならありがたいところだけど……さて、どうも敵を愛すると嘯く手合いのようだから……」

 メンカル・プルモーサ(トリニティ・ウィッチ・f08301)は銃弾を森の木々を盾に回避していく。そして、森に溶け込むように迷彩で姿をかき消した。

「ふむ。戦に唯一の解がないのと同じように、オレは愛にも唯一の解はないと思っておるのであるよ」

 九雀が跳躍し、木々の枝を足場に疾走。カミルへ向かって投げ針をカウンターで投擲した。しかし、その針が届く寸前、少年兵の一人が我が身を盾にカミルを庇う。

「むぅ」

 九雀が唸り、枝を足場に降り立つ。少年兵達の陣形は、かなり厚い。何より亡霊だからか、あるいはカミルの教育の賜物か、我が身を顧みず庇ってくるのだ。

「幽霊に俺の攻撃がどの程度通じるかは分からねぇけど、やるしかない」

 青花が右腕を振りかぶり、駆ける。そして、ガキン! と火花を散らし、パイルバンカーを装填。渾身の力で地面に振り下ろした。

「砕け、壊れろ、道を開け!」

 青花の戦闘用義肢『穿ち釘』による一撃、陸穿ちを破壊した。飛び散る土、足場が砕かれ、少年兵達は素早く陣形を組み直――そうとした、刹那。

「……今……」

 メンカルの浄化復元術式【ハラエド】が、少年兵達の一部を浄化したのだ。それに、カミルが視線を向ける――その間隙に、拓哉がミミックを放り投げた。

「さあ、化け喰らいなミミック……! 噛み/咬み/神/守/皇/神 殺せ」

 偽正・神滅迫撃(スコル・プレデター)によって狼に変身したミミックが、幾つもの巨大化した黒く染まった影の顎を放つ。その牙に脚を噛みつかれ、カミルの動きが止まった。

「はは、これは――!」

 その狼へ、少年兵達は即座に銃撃。カミルもその支援があって、強引に脚を引き抜いた。

「いくら子供でも本物や無いなら興味ありません。邪魔しないでくださいね」

 そこへ、結希が巨大なエネルギーを秘めた風をまとって突撃。マイもまた、少年兵達を引きつけようと走り出した。

「銃と爆弾でマイちゃんをやっつけようなんて甘いっス! 次は火炎放射器でも持ってくるっスよ!」

 放たれる爆弾を、皮膚代わりの殻で受け止め耐えきってマイは挑発を繰り返す。その一部始終を上空から観察し、エルは告げた。

「敵は強力な精神干渉を用いるものと類推されます。対抗手段の準備が推奨されます」

 導き、赦し、愛す。それがカミルだ。戦争屋だ。この状況でなお、カミルの顔から笑みは消えない――まるで、その3つしか知らないかのように、カミルは言った。

「いいね、これでこそだ」

●導きはいらず、赦しもいらず、愛もまたいらず――

 ――ふむ、奇襲組は失敗かな?

 カミルは戦況を眺めながら、現れたはずの奇襲戦力がやって来ない事に笑みを浮かべた。だとすれば、どこかで敗れたのだろう……目出度いことだ、と心から思う。

「そう、全力の闘争の果てに――生きたという実感の果の終わり。それはとても、意味のある素晴らしい事だよ」
「言葉を喋ってくれません?」

 思わずツッコミを入れてしまった、と拓哉は後悔した。この世には言語とは別の次元で言葉ではないものがある――それは自分の意図を伝える気があるかどうかだ。

「一方的に言いまくらないでくれません? それに……男に愛何て貰ってもうれしくねーんだよ。もっと綺麗所連れて来い」

 MODELtypeβ・γ バレッフ&ノットの銃弾による衝撃波が、カミルの銃器を薙ぎ払い吹き飛ばす! そして、狼となったミミックがカミルの肩へと牙を突き立てた。

「は、はは……うん、これだって一つのコミュニケーションだ。殺し、傷つけ合う事だって――後に許す事ができれば、とても意味のあるものなる」

 カミルは微笑む。この後に及んで――それが嫌悪や怒り、不条理な心理への拒否感であろうと感情は感情。心を強く、震わせてしまう。

「――赦そう、君達を」

 赦す者、カミルに殺されても構わないと洗脳するユーベルコード――しかし、その赦しを拒絶する者がいた。

「……む、まさかオレを『救いたい』のであるか? 流石に無駄であるぞ。何者も、虚無に干渉することなど出来ん。そしてその虚こそが、きっと、オレの愛なのである。愛を知るなら――解るであろう」

 九雀の、強い否定。それは赦しを拒絶する……いや、赦しや救いを許さないという強固な意志によるものだ。

「……いや、違う!」

 カミルは、それが強い意志による抵抗だと認めながらも別の要因を見ていた。その視線の先にいたのは、エルだ。

「事象改変率、ユーベルコード認証ラインをマーク」

 万象改竄:電脳天球儀(ニューロスフィア)――エルのハッキングは、カミルの洗脳に対してリアルタイム解析を実行。効果圏内に入った自身及び仲間に及ぶ精神干渉に対する減衰――ないし無効化――を期すワクチンプログラムを周辺大気に散布したのだ。

 電脳世界の運営――電脳魔術による万象への無線接続介入、及び改竄に高い適性を発揮する躯体番号L-95だからこその、裏技だ。

「忍び寄る破滅よ、潜め、追え。汝は炸裂、汝は砕破。魔女が望むは寄り添い爆ぜる破の僕」

 そして、その隙にメンカルの縋り弾ける幽か影(ステルス・ボム)が発動。自爆機能付きドローンが、カミルの視覚で大量に爆発した。

「ぐ、ぬ……!?」
「ここです!」

 風の砲弾となった結希が、カミルへと突っ込む。そして、手の中の物を迷わず投擲した。

 ――というわけでー、春乃ちゃんこれ持ってっス! 【Xとの邂逅】用の寄生虫をマイちゃんの殻で覆ったカプセルっス! 隙を見てべちゃってぶつけて欲しいっスよ〜!

(「まいちゃんもよくわからんって言ってたけど……!?」)

 渡された時の事を思い出した結希は、不意に息を飲む。Xとの邂逅(ネクスト・ノックアウト)による特殊なフェロモンに誘われて、おぞましい黒い影が現れたからだ。

「おー。あんなのがやってくるとはマイちゃん驚きっス。春乃ちゃん齧られないうちに戻ってくるっスよ」
「な、なんか来たっ、こわいこわい……! まいちゃんなんなんあいつ!大丈夫なんっ?」

 感心したようにマイが呟き、結希が必死に逃げる。そこへ少年兵達が必死に食らい付くが、黒い影は鎧袖一触の勢いで蹴散らしていった。

「戦争が好きならやられるのも好きか? どっちにしろ二度とこんな事はさせないけどな」

 少年兵達の陣形が崩れたそこへ、青花が突撃。戦闘用義肢『穿ち釘』を怪力で振り回しカミルへ杭を叩き込むと、その勢いで横回転。更にもう一撃、渾身の一撃を文字通り打ち込む!

「く、は、はは、は……!」
「オレの愛を否定するなら、オレは戦の解を否定する。それだけである」

 そして、九雀が踏み込んだ。ズタボロとなったカミルの心臓へ突き立てられる針状の刺突短剣。その柄に仕込まれた猛毒が、心臓へと針を通して流し込まれた。

「ああ、終わる……とも。殺したんだ……殺されも、する、さ……」

 カミルが、崩れ落ちる。最後まで笑みを消す事無く、今回も戦い抜いた、とカミルは消えていく。

「猟兵と戦争するには、あなたの愛は小さ過ぎたみたいですね」

 結希の言葉に、どこか苦笑を残したのは気の所為だったろうか? ただ、戦争屋と呼ばれた男はここに消えたのだけは確かだった。

「ふむ、では帰るのである」

 九雀は漆黒の女神像を見て、そう仲間達へ告げる。愛による滅びは、少なくとも今回は回避された。あるいは、愛によって滅ぶ未来があるのか――それを知る者は、まだいない……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月30日
宿敵 『戦争屋『カミル』』 を撃破!


挿絵イラスト