●ポストウォー・レストレーション
「こんにちは、みなさん。集まっていただいてありがとうございます」
そう言って、神楽火・夢瑪(シャイニングナイト・f02079)はグリモアベースに集まった猟兵達に向かって頭を下げた。
「今回お願いしたいのは、ヒーローズアースの『知られざる文明』の復興に関わるお仕事です」
かつては侵略者とされていた地下や海底の住人達。人類とは異なる文明を築いていた彼らはオブリビオン・フォーミュラとその配下に服従させられていたが、先の「アースクライシス2019」の戦いによってクライング・ジェネシスやジェネシス・エイトが倒れた結果、人類文明との共存を目指して再出発することとなったのである。
「オブリビオンの策謀が原因とはいっても、人類と『知られざる文明』が同じヒーローズアースの住人として手を取り合うには様々な努力と、しばらくの時間が必要になると夢瑪は思います」
その橋渡しこそ、新時代のヒーロー達が新たに負うべき役割であった。そして、ヒーローズ・フォーティナイナーズを筆頭とする猟兵達にも、その一助となることが期待されている。
「こちらに、とあるゲームの企画書があります」
プロジェクトの名前は「第一次アースクライシス大戦49」。猟兵とヴィラン――オブリビオンの戦いをモデルとしたSRPGである。そのゲーム内で使用されるキャラクターのモーションキャプチャーデータの作成に協力してほしい、ということらしい。
「収録にはダストブロンクスの方々も協力してくださるそうです。肉体を変形できるバイオモンスターさんたちにはうってつけかもしれませんね」
他にも、登場キャラクターの性格や必殺技のモデルとなるヒーローも募集しているそうだ。フォーティナイナーズに数えられる猟兵であれば実名での出演もありえるだろう。
「けれど、ひとつ問題があるんです」
眼鏡を指先で押し上げながら、夢瑪は言った。
●エグザイル・イン・ダストブロンクス
ブロンクス――すなわち、マンハッタン島の対岸に位置するニューヨーク・シティ北東部、かつての禁酒法時代にはギャング達の根城として知られた街である。
その街の地下に広がる下水道迷宮ダストブロンクスの一角。
「事は進んでいますか、ネウィ」
「はい、女王陛下」
陽光が差しこんだことのない暗がりに、潜むものがあった。
「軍勢の再建は順調であります。この地に眠るヒトならざるものどもの骸を使っております故、精強さは以前に勝ります」
「それはよいこと。失われし我らが故郷を取り戻すために、これからも力を尽くしなさい。期待していますよ、ネウィ」
「はっ。ところで、この地に棲まうヒトならざるものどもが探りを入れてきております。如何いたしましょう」
思案するような息遣いが、数秒の沈黙を投げる。
「わたくしはミャルバの烙印を刻むことを優先します。貴女に任せますよ、ネウィ」
「御意のままに。ミャルバの法と掟と理の下に対処いたします」
その言葉と共に、下水道迷宮の暗闇の中を魂なき肉塊達が蠢き始めた。
●SOS・フロム・アンダーグラウンド
夢瑪が言う「問題」とは、ダストブロンクスの一区画に潜む敵の存在であった。
「敵は『呪法骸操士ネウィ』というオブリビオンです」
死体を己が下僕として操る力を持つ彼女は、アースクライシス2019で倒れたバイオモンスター達の亡骸を集めてリビングデッドの軍勢――『デッドボディバタリオン』を再編しつつある。
「ダストブロンクスの方々も自警団を組織するなどして警戒を強めてはいますが、放置すればいずれ被害が出てしまいます。その前に壊滅させなければなりません」
オブリビオンが潜む区画は狭い水路が入り組んでおり、照明も最低限にしか設置されていない。
攻略の鍵となるのは、主である呪法骸操士から離れるほど動きが鈍り、主が倒れれば動きを止めるというリビングデッドの性質だ。そのため、区画内に蔓延る敵を排除しつつネウィを探し出し仕留めるというのが作戦の基本方針となる。
「ゾンビ軍団が徘徊しているブロックには、すでに何人かのバイオモンスターさんたちが潜入しています。彼らとコンタクトを取ることができれば、もしかするとネウィの居場所を知っているかもしれません」
バイオモンスター達もある程度の戦闘能力はあるが、正直なところオブリビオンに勝利できる程の力ではない。遠からず彼らは苦境に立たされるだろう。
「その前に呪法骸操士ネウィを倒すか、バイオモンスターさんたちを助けに行くか。方法はお任せしますので、どうぞよろしくお願いします」
ヒーローが戦い以外で必要とされる時代のために、と言い添えて、夢瑪は再び猟兵達に向かって頭を下げるのだった。
中村一梟
猟兵の皆様ごきげんよう、中村一梟でございます。
今回はヒーローズアース、知られざる文明を再興するためのシナリオをお届けします。
●第1章
「集団戦」のフラグメント『呪法骸操士ネウィとデッドボディバタリオン』との戦闘です。
ダストブロンクスでバイオモンスターゾンビと戦うというシチュエーションで、狭くて暗くて足元が悪いということを念頭に置いたプレイングを頂きますとボーナスが得られます。
獲得した🔵が5個未満の場合、指揮官のネウィは登場せずゾンビ軍団だけを相手にした戦闘描写となる予定です。この時点ではユーベルコードでの反撃はないので、思う存分無双していただいて大丈夫です。
🔵5個以上でネウィ(と護衛のゾンビ達)との対決が始まります。🔴が多いと敵のユーベルコードが弱体化し、POWの判定が有利になります。
また、先行しているバイオモンスターたちを援護しに行くというプレイングも採用します。大成功と苦戦の結果が出にくくなりますので、手堅く🔵を増やしたい場合は援軍に向かってください。
●第2章
「ボス戦」フラグメントです。引き続きダストブロンクス内部でオブリビオンとの戦闘となります。
ロケーションが変わり狭い場所対策のボーナスがなくなりますが、戦場が広くなるので思い切り暴れてもOKになります。また、引き続きNPCのバイオモンスター達が登場します。ご希望頂いた方法で猟兵を援護しますので、ご希望の方はプレイングでNPCの行動を指定してください。
●第3章
「日常」フラグメントです。ゲーム開発への協力を通じてバイオモンスター達と交流する、というシーンになります。
1章で活躍した方やフォーティナイナーズのメンバーにはボーナスが入ります。フォーティナイナーズのほうは自己申告制とします。プレイング冒頭に【49】とお書き添えください。
また、この章ではグリモア猟兵を同行させることができます。プレイングの冒頭に【神楽火・夢瑪を誘う】等と記載してください。
第1章 集団戦
『呪法骸操士ネウィとデッドボディバタリオン』
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POW : ネクロマンサーズ・カウンターアタック
全身を【呪詛の瘴気】で覆い、自身が敵から受けた【ゾンビ軍団の損害】に比例した戦闘力増強と、生命力吸収能力を得る。
SPD : デッド・ストリーム・アタック
【巨人型ゾンビ兵の】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【他のゾンビ兵達】の協力があれば威力が倍増する。
WIZ : サクリファイス・エスケープ
【雑兵ゾンビを捨て駒にして】対象の攻撃を予想し、回避する。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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エミリロット・エカルネージュ
●POW
ゲームの企画が通ったと思ったら、こんな事が
犠牲者の尊厳を弄んで……何を考えてるんだろうね。
燻り起き様とする戦火と犠牲は……ボクが止めるよっ!
『早業』で光源に両手にUCを発動し、左手の島唐緋餃刀に『属性攻撃(光)』を宿し
右手には
ゾンビにされちゃったバイオモンスター達を弔う意味も兼ねて
ミントには霊的効果等もあると聞くし『属性攻撃(薄荷)』と『誘導弾』を込め
『範囲攻撃』の『乱れ撃ち』で纏めて浄化しちゃおう
包囲されない様立ち回りつつ
相手の攻撃は『空中戦』で飛び回りつつ『第六感』で『見切り』『残像』で回避し『カウンター』
もしネウィと遭遇したら
UC含め攻撃を集中させるね
※アドリブ絡み掛け合い大歓迎
エミリロット・エカルネージュ(この竜派少女、餃心拳継承者にしてギョウザライダー・f21989)が下水道迷宮に踏み入ると、濃密な死の気配が彼女を包みこんだ。
「犠牲者の尊厳を弄んで……何を考えてるんだろうね」
侵入者の前に立ち塞がった死せるバイオモンスター達。死因となったであろう傷痕もそのままに、心なき傀儡へと変容させられた彼らの姿に、エミリロットは闘志を燃やす。
「緋色に燃え上がりし島唐辛子餃子の力、大地の力より顕現せん……超激辛と旨味の饗宴、とくとその身で味わってっ!」
その意志が、ユーベルコードとなって顕現した。緋色の炎を宿した刃が、ダストブロンクスの暗闇に軌跡を描く。
「島唐緋餃刀っ!」
伸びてきたゾンビの腕を切断、焼却。赤竜少女の身が翻り、追随して炎が舞う。
肉汁迸る炎によって、群がってきたゾンビどもが足止めされる。居並んだそいつらに向けて、エミリロットは左の拳を振るった。
闘気の弾丸が射出され、バイオモンスターゾンビの群れを直撃。ほのかな薄荷の香りが漂う。
「燻り起き様とする戦火と犠牲は……ボクが止めるよっ!」
狭く天井の低い下水道迷宮に、ギョウザライダーの宣戦布告がこだました。
成功
🔵🔵🔴
鈴木・志乃
この世界は結構お世話になってるんだよね
微力ながら参戦しますよ
狭いとことか凄く(戦闘的に)苦手だけどね!
UC発動、光の鎖を召喚
全てを繫ぐ神から下賜された鎖
その力は私の心持次第
何があっても絶対に諦めない
必ずバイオモンスター達の所まで向かって見せる
戦闘開始時【オーラ防御】展開、目を保護
初手【早業】で閃光弾ぶちかまし【目潰し】
まぁゾンビ相手にどれだけ効くか分からんけどね
隙が出来た瞬間【祈り、破魔】を乗せた光の鎖で【なぎ払い】攻撃
敵攻撃は【第六感】で見切り鎖で【早業武器受け】
必要に応じて視認し辛い銀の糸を【高速詠唱と念動力】で操作、ゾンビを絞殺
バイオモンスターが襲われかけたら【高速詠唱】で簡易バリア張る
「この命を懸けて、全てを繋いで見せるよ」
ユーベルコード『光の鎖(チェイン・オブ・ホープ)』を発動させ、鈴木・志乃(ブラック・f12101)はダストブロンクスを駆け抜ける。
(狭いとことか凄く苦手だけどね!)
とは言っても、それは心情ではなく戦闘技術の話。ペースを落とすことなく、志乃はそこかしこが水路で分断された狭い迷宮を進んでいく。
「必ずバイオモンスター達の所まで向かって見せる」
その前にどれほどの敵が立ちはだかろうとも。未だ姿を見せぬ呪法骸操士の傀儡達目掛けて、志乃は閃光弾を投擲。かつん、とコンクリート床に跳ねた直後、真っ白い光がチカ通路を漂白した。
死体であるがため肉体的刺激には鈍感なゾンビであったが、強烈な発光を至近距離で浴びてしまえば無反応ではいられない。一瞬、亡者の進行が止まる。その刹那を縫って、無敵の光鎖が舞い踊った。
(全てを繫ぐ神から下賜された鎖……その力は私の心持次第)
それは「希望」と呼ばれるものだから。彼女の心が光を失わない限り、切れることなく伸びる。どこまでも。
「何があっても絶対に諦めない」
右腕が振るわれる。鈍い音を立てて、生きる屍達を破砕。リビングデット退治のお約束――頸部の切断――は、ネウィが作り出したゾンビ達にも有効だった。
まとめて倒れたゾンビの群れの向こうに、何人かのバイオモンスターが顔を覗かせた。彼らが猟兵に先んじて潜入していたというダストブロンクスの住人だろう。
「あんた……何者だ?」
問うてくるバイオモンスターに、志乃は微笑んで答えた。
「この世界には結構お世話になってるんだよね。微力ながら参戦しますよ」
成功
🔵🔵🔴
番野・狛人
●SPD
●こないだの戦争で少し平和になったとはいえ、まだまだオブリビオンは残ってるんだな。俺も元ヒーロー。この世界を守るために働くぜ。
●足場の悪さは四足歩行で対処。視界の悪さは「野生の勘」で補おう。
●敵のUCは突進系か。なら、俺は【猟犬モード】を発動してスピードと反応速度を強化。そこに「野生の勘」を加味して敵の攻撃を避けてやる。
「野生の勘」は敵の隙を察するのにも使用。隙あらば「怪力」でぶん殴ったり蹴っ飛ばしてやる。
●ネウィが出てきても対処は同じ。というか、今の俺にはそれしかできないからな。出来ることを全力でやるだけさ!
●俺はこれが猟兵デビュー戦だ。思いっきり暴れてやるぜ!
(こないだの戦争で少し平和になったとはいえ、まだまだオブリビオンは残ってるんだな)
ダストブロンクスの暗闇の中でうごめくゾンビ達を睨み、番野・狛人(スーパーブルドッグ・f26134)は思う。
「俺も元ヒーロー。この世界を守るために働くぜ!」
ひとつ吠えて、狛人はゾンビ軍団の只中に突入した。改造手術によって強化された剛腕は、屈強なバイオモンスターの肉体をも一撃で吹き飛ばす。
「これが猟兵デビュー戦だからな。思いっきり暴れてやるぜ!」
青い稲妻が飛び、次々とゾンビを薙ぎ倒していく。多勢にも怯まず奮戦する中、狛人はふいに誰かの声を聞いた気がした。
ブルドッグの着ぐるみの中で、狛人の背筋に悪寒が走る。床を蹴って跳躍。次の瞬間、ゾンビの群れを突き破って一際大きな影が巌のような拳を叩きつけてきた。
コンクリートが砕ける。両手両足で衝撃を殺し着地した狛人は幾重にも反響する破砕音に顔をしかめつつ、敵を見上げた。
下水道の隧道を塞ぐほどの巨体。何人もの肉体を切り分け継ぎ接ぎしたことが見て取れるアンバランスなパーツで攻勢された巨人型ゾンビ兵がそこにいた。
「またしても我らの邪魔をするのだな、ヒーロー」
無感情な声が響く。デッドボディバタリオンの指揮官たる呪法骸操士ネウィが、その姿を現していた。
「女王陛下の御手を煩わせるまでもない。死んで我が呪法王国の礎となるがいい」
ネウィがすっと手を上げ、振り下ろす。主の命を受け、巨人型ゾンビが猛進。悪夢のような総毛立つ攻勢も、狛人を怖じけづかせることはない。
「出来ることを全力でやるだけさ!」
なぜなら、彼はヒーローだからだ。
「ブルドッグマン、猟犬モード!」
その身に備えた怪力と動物的第六感を存分に発揮する姿へと変身し、狛人は巨人に挑みかかった。
成功
🔵🔵🔴
アリソン・リンドベルイ
【WIZ 侵略繁茂する葛蔓】
ーーーダストブロンクスに来るのも、昨年の戦い以来でしょうか。…ええ、ええ。飛び回れない狭さかもしれませんが、それならば別の遣り様はあるものです。
ユーベルコード『侵略繁茂する葛蔓』『範囲攻撃、拠点防御、地形の利用』で通路を侵食しつつ進みます。速度より安全優先、細い横道や隘路を葛の蔓で埋め尽くして『ここは安全』と言える範囲を広げていく形で、少しづつ制圧します。「救助活動、奉仕、コミュ力、失せ物探し」で、先行しているバイオモンスターさんの方々と合流できたら、応急治療や退路への誘導、支援に従事します。……ええ、ええ。此処より後ろは安全圏です。皆々様、お怪我はありませんか?
アリソン・リンドベルイ(貪婪なる植物相・f21599)が地下迷宮を行く。その歩みは決して素早いものではなかったが、彼女のユーベルコードも相まって着実に下水道内を制圧していった。
(――ダストブロンクスに来るのも、昨年の戦い以来でしょうか)
いくつ目かの角を曲がりながら、アリソンは心中で呟いた。暗く狭いトンネルの中では翼を広げて飛んでいくことは叶わないが、それならば別のやり方があると彼女はその足で進んでいく。
そんなアリソンの耳に、激しい物音が飛びこんできた。入り乱れる足音、繰り返される何かがぶつかるような音。足を早めその音を追いかけた彼女は、数人のバイオモンスター達とゾンビ共が発生源と知るや、再びユーベルコードを発動させた。
「目を離したら、一瞬で成長しちゃうんだからっ……!」
トンネルのコンクリート壁がたちまち葛の蔓を生やす。地下にあっても青々と繁茂するそれらはアリソンの意のままに動き、ゾンビの手足を拘束。突然の出来事にバイオモンスター達は戸惑ったが、すぐさま事態を把握して反撃に移り、ゾンビ共を撃退した。
「皆々様、お怪我はありませんか?」
「肯定。救援に感謝する。他に敵はいないのか?」
「……ええ、ええ。此処より後ろは安全圏です」
アリソンの言葉に、バイオモンスター達は疲労の混じった息を吐いた。周囲にゾンビ共の姿はなく、むしろ遠ざかっていくような気配がある。
「どうやら、元凶の居場所もわかったようです」
呪法骸操士との戦いは、最終局面を迎えようとしていた。
成功
🔵🔵🔴
シルヴィア・スティビウム
いい環境とは言えないけれど……ここで生きている人たちには、希望がある
その火を絶やす訳にはいかないわ
戦いも大詰めならば、先行したバイオモンスターの人たちを援護しましょうか
環境に適応した人たちにはまぶしいかもしれないけれど、私には少し暗いので、属性攻撃で光線を発して周囲を照らしながら敵を発見したら焦点温度を上昇させましょう
念動力は姿勢制御に徹し、足場の不安に対応しましょう
けが人がいる場合は、ユーベルコードを行使。少し疲れるけれど、人命にはかえられないわ
あなたの死霊と、私の死なずの呪い……どちらがより不死か。試してみましょう
幾度目かの攻防の後、ネウィは十数体のゾンビを盾にして猟兵達の攻勢を凌ぐ形に陣形を変化させた。
おそらくは手駒が尽きかけたためにそうしたのだろう。猟兵達はその間隙を突いて更なる攻撃をかける。
それに追随しようとしたダストブロンクスのバイオモンスター達であったが、積み重なった負傷が重くのしかかり、その膝を屈させた。
「憂き営みぞ呪わしきなれば、暮れる余生もまた妖し。されど暮れなずむを眺むるひと時こそ愛し……」
倒れかけた彼らを、銀色の輝きが包みこんだ。シルヴィア・スティビウム(鈍色の魔術師・f25715)のユーベルコード『アイン・メス・ザオム』だ。
傷を塞ぎ体力を回復させるのと引き換えに、シルヴィアの白い肌に疲労の影が落ちる。それを察したバイオモンスターは彼女を制止しようとした。
「我々のことはいいから奴を――」
「ここで生きている人たちには、希望がある。その火を絶やす訳にはいかないわ」
止めようとする言葉を遮り、シルヴィアは治療を継続する。文明が崩壊した世界に生まれた彼女から見ても、この下水道迷宮は決していい環境とは言えない。だが、だからこそ、ここに生きる命をオブリビオンに蹂躙させるわけにはいかない。
「人命にはかえられないわ」
その一言に尽きるのだ。バイオモンスター達が立ち上がるのを確認すると、シルヴィアは枷を嵌められたように重たい脚を念動力で支えつつデッドボディバタリオンの追撃に向かう。
「あなたの死霊と、私の死なずの呪い……どちらがより不死か。試してみましょう」
成功
🔵🔵🔴
奈月・那由多
●SPD
ま、マジでゾンビじゃん…アタシホラーちょっと…いやびびってなんかねーし!新米なりに頑張ろう!
リモコンとヌンチャク型デバイスを握り直して落ち着ついて、「気合い」を入れる!
此処じゃアタシのゲームキャラと横並びになるのはむりかもなぁ
アタシのゲームキャラ「ドレットノート」は格闘ゲームで愛用する相棒
所謂投げキャラと言われる図体のデカイ奴だし…
「チープウェポン」を使おう、お手製の炸裂手榴弾!
いっぱいあるよ(ニヤ)、やっぱゾンビ物には爆発物でしょ!
味方に気をつけながら手頃な群れの真ん中に放り込んでさらにドレットにしがみついてタックルさせて進撃するよ
雑魚散らしを程々にボスキャラ探しを重点で行う!
「ま、マジでゾンビじゃん……」
出くわした敵の姿に、奈月・那由多(空威張りナードガール・f27090)は低く唸るような声で呟く。
ダストブロンクスの闇の中で、生気のないゾンビの姿は一層不気味に浮かび上がる。にじり寄ってくるそいつを前に、那由多はリモコンとヌンチャク型デバイスを握り直した。
「アタシホラーちょっと……いやびびってなんかねーし!」
自らを鼓舞する声を威嚇と取ったのか、バイオモンスターゾンビが襲いかかってきた。敵が迫り来る数秒の間に、那由多はどう迎撃するか思考する。
(此処じゃアタシのゲームキャラと横並びになるのはむりかもなぁ)
ならば。
「やっぱゾンビ物には爆発物でしょ!」
お手製の炸裂手榴弾だ。投げつけたそれが爆発し、ゾンビ兵の足が止まる。
「いっぱいあるよ!」
ニヤリと笑みを浮かべ、第二投。いつか映画のワンシーンのようにゾンビ達が薙ぎ倒されていき、隘路に十分なスペースが生まれた。
「ドレットノート!」
すかさず相棒の名を呼ぶ那由多。ユーベルコード発動。格闘ゲームで愛用する巨漢の投げキャラが実体化する。
「行け、ドレット!」
百二十キロ超の筋肉の塊が突進。その腰にしがみついて手榴弾を投げながら、那由多はデッドボディバタリオンを追い散らしていく。
はっとして、彼女は相棒から離れた。次の瞬間、一際巨大な体躯を持つゾンビが大きさに見合わぬ速度で突っこんでくる。
巨人型ゾンビ兵の突撃をドレットノートが迎え撃つ。組み合う二つの影。一瞬の膠着の後、怪力と怪力がせめぎ合う。
均衡を破ったのはドレットノートのほうだった。巧みな体捌きでバランスを崩させるや、巨人型ゾンビを高々と抱え上げる。
必殺の切り札、フィニッシュホールド。巨人型ゾンビが床に叩きつけられKOされる轟音が、地下迷宮に響き渡った。
成功
🔵🔵🔴
斉賀・悠
ダストブロンクスに入る前に【覚悟/早着替え】で変身しておいたから、変身バンクはカットです。
「ニューヨークの地下ってこんな事になってたんだ…」
本音を言うと、色々見て回りたいけど、今はそんな暇なんてないから…!
【SPD】
指定UCを使ったら、まじっく☆ましんがんから【属性攻撃(雷)】を宿した【誘導弾】を【一斉発射】して、少しでも動きを阻害します!
突進はなるべく【オーラ防御】とか使いつつ、壁に追突させたりとかして回避したら、えくれーる☆ろっどを退魔サーベル形態(えくれーる☆さーべる)に変化させて、刀身に【破魔】を纏わせたら【斬り込み】で攻撃します!
「ダストブロンクスの人達の為にも…僕も戦うんだ…!」
コスチュームと黄金のオーラを身にまとった斉賀・悠(魔法少年 エクレール・f17889)が、最強のしもべを失った呪法骸操士と対峙する。
「ダストブロンクスの人達の為にも……僕も戦うんだ……!」
決意と共に引き金を引く。まじっく☆ましんがんから電光の弾丸が吐き出され、ゾンビ共を薙ぎ倒した。
ゾンビの壁を貫き一斉射がネウィへと届こうとした瞬間、オブリビオンの体をどす黒い瘴気が覆うや、電撃弾を弾き返す。
倒されたゾンビの残骸から抽出した呪詛でもって、ネウィ自身を強化するユーベルコードである。だがそれは、もう他に戦う手段が彼女に残されていないことを示していた。
悠は愛用の杖を抜いた。瞬く間に剣へと姿を変えた得物を手に、魔法少年 は荒ぶる瘴気へと果敢に挑む。
金と黒、対極の色をまとった猟兵とオブリビオンが激突。ネウィの放つ致死の魔力弾を、破魔の力を宿したえくれーる☆さーべるが断ち斬り、さらに一閃。
黄金に輝く曙光の如き剣が、瘴気ごと呪法骸操士ネウィを吹き飛ばし消し去った。
「――呪法王国に栄光あれ――!」
断末魔が響き、ダストブロンクスが静寂に包まれる。そこでようやく、戦場を疾走してきた悠は周囲を見回す余裕を得ることができた。
「ニューヨークの地下ってこんな事になってたんだ……」
明らかになった知られざる文明を色々見て回りたいという本音を堪えて、悠は下水道迷宮の深部へと続く暗闇を見据えた。
そこに、この事件の元凶たるオブリビオンがいるはずだ。仲間達を振り返って一度頷き、悠は深い闇の中へと踏みこんでいった。
成功
🔵🔵🔴
第2章 ボス戦
『呪法女王フェリータ・ベネデット・ミャルバ』
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POW : チェイン・オブ・ブラスフェミー
【どこまでも伸びる闇でできた鎖】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を穢れた泥に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
SPD : マーシレス・イーヴィルアイ
【普段は隠されている邪眼の視線】を向けた対象に、【トラウマを呼び覚まし心を破壊する呪い】でダメージを与える。命中率が高い。
WIZ : ターミネーター・ワーム
【呪法王国の守護神たる大蛇竜】の霊を召喚する。これは【肉と血を腐らせる猛毒の牙】や【怨念を凝縮した汚濁のブレス】で攻撃する能力を持つ。
👑11
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アリソン・リンドベルイ
【WIZ 侵略繁茂する葛蔓】
ーーーそう。では、遠慮は要りませんね? 【生命力吸収、範囲攻撃】…緑指の杖とヘデラの緑蔓の力を開放。周囲のゴミや無機物を植物に変換して、急成長させます…っ! 打撃力より面制圧の方が得意ですし、他の猟兵の方の援護として相手の足を引っ張ったりしますね。 愛鳥のイスカに、バイオモンスターさんの場所に待機してもらって周囲警戒してもらい、蛇竜や攻撃がそちらに向かうようなら【オーラ防御、かばう、呪詛耐性】…植物の蔓の壁と【空中浮遊、おびき寄せ】で間に割って入り、攻撃を後ろに通さないようにいたします。……ええ、ええ。これくらいしかできませんが…易々と通すわけにはいきませんので。
ダストブロンクス深部。オブリビオンを追ってそこへ進み入ったアリソン達猟兵が見たものは、差し渡し二十メートルはあろうかという円形の広場と、その床一面に描かれた奇怪な紋様だった。
青白く不気味な光を放つ紋様の中央に、ひとりの女が立っている。
「やはり、わたくしの前に立ちはだかるのですね。ヒーロー達」
黒い布で遮られているはずの視線をアリソン達に向けて、女が――オブリビオンが言った。
「この地に眠る幾多の怨念を吸い上げ、直上の都市ごと奈落に沈める我が大呪法は間もなく発動します。もはや抵抗は無意味。大人しく死のさだめを受け入れなさい」
血の色の唇で優しげに告げるオブリビオンに向かって、アリソンは静かに一歩踏み出した。
「――そう。では、遠慮は要りませんね?」
小さな赤い実をつけた杖を振るい、アリソンはユーベルコード『侵略繁茂する葛蔓(エイリアンプラント・バイオニックインベンション)』を発動。下水道迷宮に張り巡らされたパイプ群が常緑の蔦と化す。
「目を離したら、一瞬で成長しちゃうんだからっ……!」
言って、ヘデラの緑蔓の魔力を解放。アリソンの指が踊るのに合わせて蔦が伸び、動き、波濤となって呪法女王へと襲いかかる。
「来たれ我らが守護神、大蛇竜ガイージャ!」
女王が召喚した巨大な蛇竜が牙を剥く。無数の蔦が厚い鱗に覆われた巨体に絡みつき、締め上げて拘束した。
「小賢しい……!」
忌々しげにフェリータが吐き捨て、大蛇竜に手振りで指示を出しだ。攻撃の到来を察知したアリソンの愛鳥が小さく鳴く。
絡みつく蔦を引きちぎり、大蛇竜は自動車ですら丸呑みしそうな顎から致命の毒が凝縮した吐息を吐き出した。射線上にはアリソンと、そしてバイオモンスター達がいる。
アリソンは瞬時に決断した。ありったけの蔦を引き寄せ、防波堤を組み上げる。
「……ええ、ええ。これくらいしかできませんが……易々と通すわけにはいきませんので」
次々と枯れ腐っていく蔦を補い、呪詛に抗するオーラの盾で身を守りながら、アリソンは反撃の機会が訪れるのを待った。
成功
🔵🔵🔴
カグヤ・アルトニウス(サポート)
【第六感】で攻撃を察知して【残像】を残しつつ回避しながら短距離テレポートと【念動力】+【空中戦】+【空中浮遊】に【ジャンプ】や【ダッシュ】を併用しての立体機動で攪乱しつつ攻めるのが基本です
エクストラ・ブルーと真打・紅燕の【二回攻撃】+【衝撃波】が基本で、急所が分かれば【暗殺】や【鎧無視攻撃】で突いて行き、耐性に応じて【精神攻撃】と【封印を解く】で対処します
防御としては各種耐性とディストーションフィールドはありますが、基本的に【第六感】フル活用で直撃は避けます
スタンスとしてはボス戦に関してだけは対象に多少憐れみを感じても油断も容赦も無く冷徹に必要な戦果を求める感じになると思います
バスティオン・ヴェクターライン(サポート)
戦闘は盾群付右義腕による【盾受け】で敵の攻撃の受け止め+気迫と鬼気迫る眼力で【恐怖を与える】事による敵の注意の引きつけ
護りに徹し味方に攻撃が向かないように立ち回る
ボス戦では敵の大技を【ドーピング】によって引き出した【怪力】と右義腕の出力、【激痛耐性】による打たれ強さを活かした【グラップル】で受け止め、そのまま抑えて味方が大技を出す【時間稼ぎ】をしたり握りつぶして【破壊工作】したりする。
UCは【セイズ・アンド・ユーズ】によるUC封印、敢えて攻撃を受けて【ライオンズ・ハート】を発動させる、【タイガー・スープレックス】で敵の大型武器・兵器を奪って振り回す等。
その他お任せ・他猟兵との絡みやアレンジ歓迎
虎熊・月霞(サポート)
「まー焦らずのんびり行こー。とりあえず昼寝しよぉ」
面倒臭いけど、僕とーじょーってねぇ。いつもどーり野太刀でバッサリと斬り捨てちゃうよぉ?
伊吹流から派生した雷鳴を組み込んだ伊吹"雷切"流、僕の場合は『紫電』を利用した剣術を使ってー雷の速度で近付いてー敵さんを真っ二つにするよぉ。まぁ面倒臭くなったら首刎ねちゃえばいっかぁ、そうすれば大体の生き物って死んじゃうよねぇ?
首の無い敵さん?……うん、まぁそこは高度な柔軟かつ臨機応変に対応していこー。
あ、あとお願いされたら他の猟兵さん達と共闘もするしぃ、お手伝いもするよぉ。ご飯一回奢ってくれるならね!
アレンジ・共闘可
神孫子・千歳(サポート)
普段は「あたし、あなた、~さん、だね♪、だよ!、だよね☆、なのかな?」とノリの良い口調です。
天真爛漫で仲間想いのキャラクターです。戦闘はガンガン前に出るよりかは周りの人の行動を見てサポート的な動きをします。
ノリが良いので楽しい事にはすぐ乗っかります。
戦闘の際ユーベルコードはどれを使用して頂いても大丈夫です。
こういったゲームをプレイするのが初めてな為、どのような行動をとるのか見てみたいです!エロや他のプレイヤーにご迷惑をおかけする行動はNGであとはお任せ致します。
インディゴ・クロワッサン
お、面白そーだから乱入しよーっと!
…ん~? 何か、見覚えがあるよーな敵のような…?
【SPD】
【暗視/呪詛/環境/激痛/毒耐性】だけは事前に使いつつ、敵の攻撃は
「トラウマ?僕には記憶無いから問題ないね!」
特に浮かばないからもんだいなーし!(笑)
僕との相性が良いとは言えないけど、藍染三日月に【破魔】を纏わせたら【怪力/第六感/殺気/衝撃波/なぎ払い/フェイント/カウンター】で攻撃しつつ、移動はPiscesを利用した【ロープワーク】で素早くね☆
敵が体勢崩したら、UC:悪しき鬼は羅刹の如く を叩き込むつもりだけど…【吸血/生命力吸収】も忘れずに、ね☆
「ん~ これはこれで美味しいねぇ♪」
斉賀・悠
引き続き変身してるので(以下略)
「何か…恐い…」
会得したての【呪詛耐性】のお陰で、少しだけなら耐えれるから
「でも、放っておくなんて出来ないから…!」
【覚悟】を決めて挑むよ!
【POW】
UC:スーパージャスティス を使って機動力を確保し直したら、鎖は【オーラ防御】で防御しながら【空中戦】で回避して
「こんな僕でも…出来る事があるはずなんだ!」
さーべるをろっどに戻して、ありったけ(【全力魔法/高速詠唱/属性攻撃/破魔/誘導弾】)を全部詰め込んだら…!
「いっ けぇぇぇ!」
【一斉発射】だーーー!!!
黒いマントを翻し、インディゴ・クロワッサン(藍染め三日月・f07157)が呪印の刻まれた床に降り立った。
「お、面白そーだから乱入しよーっと!」
唇の端を持ち上げ笑う藍色の猟兵は、大蛇竜のとぐろの中心に立つ呪法女王の姿を認めて目を細める。
「……ん~? 何か、見覚えがあるよーな敵のような……?」
記憶を辿る。ああ、確かあれは、イングランドでの一件か。確か、このオブリビオンの切り札は――。
「心を破壊する邪眼、だっけ」
インディゴは他の猟兵に警告を飛ばし、しかし自らはフェリータの正面方向に陣取った。
「トラウマ? 僕には記憶無いから問題ないね!」
彼が啖呵を切るのと同時に、先行した猟兵が見事に大蛇竜の放った汚濁の吐息を防ぎ切ってみせた。弾けた瘴気がごうごうと吹き抜け、オブリビオンの攻勢に数秒程の間隙が生まれる。
「じゃあ、行こうか」
小さく言ったのはバスティオン・ヴェクターライン(戦場の錆色城塞・f06298)である。彼の言葉を合図に、猟兵達は反撃を開始した。
「僕とーじょーってねぇ」
戦場にそぐわぬのんびりした口調とは裏腹の鋭さで、虎熊・月霞(電紫幻霧・f00285)が太刀を振るう。
「落ちよ雷鳴、その一切を打ち砕け――まぁ思いっきり振り下ろすだけなんだけどねぇ」
その言葉通り稲妻の如き速度で、伊吹"雷切"流の一閃がガイージャの霊に斬りこんだ。霊体とはいえ鋼鉄のような強度を備えた大蛇竜の鱗と雷刃が激突し、ぎゃりりと耳障りな音を立てる。
「今だっ!」
月霞に向けて反撃の顎を開いた大蛇竜に向けて、神孫子・千歳(妖狐の戦巫女・f25016)が放った狐火が襲いかかる。鱗に覆われていない口腔内を焼かれて、さしもの大蛇竜も苦悶の声を上げた。
「ご飯一回――におやつも足してもらわなきゃだねぇ」
「いいですね! あたしも欲しいです!」
笑みの混じった台詞は誰に向けられたものか。月霞が翻したニの太刀がガイージャの頭を下顎から斬り裂く。鮮血の代わりに吹き出す瘴気ごと、大蛇竜の霊を千歳のフォックスファイアが焼き払った。
呪法王国の守護神、大蛇竜ガイージャの霊が闇に溶け混じって消えていく。守り手を失った呪法女王の下へと、カグヤ・アルトニウス(辺境の万事屋兼宇宙海賊・f04065)が疾走。
『オペレーション・モモタロウ……コード、承認されました。これより支援作戦に移行します』
ユーベルコードを発動させたカグヤは、思考に割りこんだ戦術予報に従って突撃から回避行動へ移行。跳躍したその残像を貫いて、黒い鎖が下水道迷宮の闇を駆け抜けた。
「Tometama、支援射撃!」
ばら撒かれる概念式凍結弾。だが、呪法女王の操るユーベルコードの鎖はそのことごとくを弾き、カグヤの接近を許さない。
戦術予報の警告――よりも早く、カグヤは背筋を走った悪寒に跳び退く。先程とは別の闇鎖が襲来。一つ、二つ、三つ。まだ増える。
鎖の先端が空間遮断防壁に逸らされて床に激突した。次の瞬間、その地点が瘴気を噴く泥土へと変化するや、そこから防いだのと同じ闇色の鎖が飛び出してくる。
避けるだけではじきに限界が来る。戦術予報がサジェストした負傷と引き換えの再突撃案をカグヤは却下して、回避に専念した。
そして、ついに足の止まったカグヤに向けて、冒涜の鎖が八つ首の蛇の如く一斉に襲いかかってきた時。
「後は任せてもらうよ」
割りこんだ背の高い影。バスティオンがその鋼の右腕でもって、八本の鎖を全て掴み止めていた。
「無暗に手を触れない方が良いよ。まあ今回手を出したのは俺のほうだけど。とにかく……忠告はしたからね?」
ぎらりと、銀の瞳が剣呑な輝きを帯びるや、バスティオンの右腕が紫電を迸らせた。
電撃を浴びた鎖が生き物のようにのたうつ。ぎしぎしと闇の鎖が軋む音を立てるが、堅牢なる迎撃城塞と化したバスティオンが微動だにしない。
ついに、フェリータが鎖を手放す。その隙を逃さず、カグヤは光剣と小太刀の二刀を振るい闇の鎖を切り払った。
二つのユーベルコードを破られた呪法女王に、猟兵達は最後の攻勢をかける。
「……あはっ♪」
インディゴの白刃が暗闇の中に三日月を描く。『悪しき鬼は羅刹の如く(マハト・ヴァンピーア)』の一撃が掲げた杖ごとフェリータの前腕を斬り砕き、血の粒が散る。頬に飛んだその一滴を舐めて、ダンピールの黒騎士は笑った。
「ん~これはこれで美味しいねぇ♪」
反撃で放たれた魔法弾を、天井に向けて放ったPiscesの鎖を手繰って回避。追撃しようとするが、破魔の力を宿した剣を奮った反動は思ったよりも強く、オブリビオンに止めを刺すほどの攻撃は放てそうにない。
インディゴが追ってこないのを見て、呪法女王フェリータは己が切り札を発動させようとした。
すなわち、無慈悲なる邪眼『マーシレス・イーヴィルアイ』。見つめたものの傷を抉り毒を注ぐその呪詛に、心あるものは耐えられない。
「何か……恐い……」
戦慄しつつも、悠は決して背は向けなかった。
「でも、放っておくなんて出来ないから……!」
マントに仕込んだ対呪詛の魔法と、胸に秘めた覚悟が悠を支える。
「こんな僕でも……出来る事があるはずなんだ!」
正義の意志は黄金の光となって輝き、ロッドを通じて悪を貫く炎となる。
全力をこめた――否、まだ足りない。脳が焼き切れそうなほどの高速詠唱で、悠は強化に強化を重ねていく。
フェリータは思わず目を逸らした。その邪視を最後の武器として彼らにぶつけようとしていたにも関わらず。呪いと闇黒を力の源とする彼女にとって輝ける黄金の意志は対極にある存在であり、あまりに眩しすぎるものだったのだ。
「いっ けぇぇぇ!」
太陽がそこに現れたかのような輝きが地下迷宮の暗闇を照らし、骸の海からやってきた呪法女王フェリータと、彼女がダストブロンクスに刻もうとしていたミャルバの烙印と、その呪法によって集められていた積年の怨霊とを、まとめて吹き飛ばした、
成功
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第3章 日常
『第一次アースクライシス大戦49』
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POW : キャプチャーで取り込む為ユーベルコードや技能でパワフルな攻撃やスキルのモーションをパフォーマンス
SPD : キャプチャーで取り込む為ユーベルコードや技能でスピーディーな攻撃やスキルのモーションをパフォーマンス
WIZ : キャプチャーで取り込む為ユーベルコードや技能で魔法や術等のスキルのモーションをパフォーマンス
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●For Brand New Days
ダストブロンクスに潜むオブリビオンを打ち倒した猟兵達は、救出したバイオモンスター達と共に「第一次アースクライシス大戦49」を制作するゲーム会社へと赴いた。
ゲーム会社の人々に歓迎され――彼らもまた、世界を救ったヒーロー……猟兵を応援しているのだ――その後「第一次アースクライシス大戦49」のプロデューサーから今回の収録について説明される。
しかしながら、要望は要するに「好きにやってください」ということであった。制作サイドの希望に合わせて演技させるのではなく、ありのままの所作をゲーム内の映像に落としこむことが今回のプロジェクトのコンセプトである、とはプロデューサーの弁である。
好きにやれ、と言われても。どうしたものかと、猟兵達は「本物のヒーロー」を目の前にして瞳を輝かせている制作スタッフを前に頭を悩ませるのだった。
斉賀・悠
※使用技能:お任せ
「ふぇっ!?」
てっきり魔法少女風キャラクターを僕が演じるのかな、とか思ってた…
「と、とりあえず…変身シーンとか…撮ります…?」
必要であれば、一旦変身解除をしてから変身バンクも見せるよ。恥ずかしいけど…(【早着替え/恥ずかしさ耐性/演技】)
UCはモーションの参考になりそうなのがこれしかないって言うか…
「幻影を呼んでも、モーションキャプチャー出来るか分かんないし…雷の矢は見えないし…」
スキルとか…何かそーゆーのもの参考になったら良いな!
「あ、僕は魔法少女じゃなくて魔法少年なので…」
え?魔法少年でも少女でもどっちでも良い?
「…そ、そうですか…」
大人の考える事ってあまり分かんないや…
『第一次アースクライシス大戦49』の収録スタジオにて。
「さあ、それじゃあキミの力を見せてくれ!」
「ふぇっ!?」
拳を握った制作スタッフに乞われて、悠は素っ頓狂な声を上げた。
「どうしよう……。と、とりあえず……変身シーンとか……撮ります……?」
「いいね! そのまま必殺技までの流れを撮ってみようか!」
「必殺技ですか? うーん、幻影を呼んでも、モーションキャプチャー出来るか分かんないし……雷の矢は見えないし……」
考えた末、悠が選んだユーベルコードは『帯電放出(ライトニング・レイディエイト)』だった。
というわけで、撮影開始。
一旦変身を解除して、悠はキラキラと光をまといつつ戦闘衣装に早着替え。くるりと回ってポーズを決めた。変身バンクを称するだけあって乱れのない動きである。
「そこだぁっ!」
そして、かざした掌から放たれる電撃。ターゲットとして設置されていたコンクリートの塊が砕け散る。
「すばらしい! 最高の魔法少女キャラができそうだ! ありがとう!」
「あ、僕は魔法少女じゃなくて魔法少年なので……」
「そうなのかい? まあいいや、魔法少女でも魔法少年でもどっちでも。とにかく、人気キャラ間違いなしさ!」
「……そ、そうですか……」
魔法少年エクレールが大人の世界を垣間見るのは、いささか早すぎたようである。
大成功
🔵🔵🔵
アリソン・リンドベルイ
【49】【WIZ 悠遠なりし植物相】
っと、何から撮影すれば良いのでしょうか。ゲームもあまりしたことがありませんもので…ええ、可能な限り御要望にお応えしたいので、忌憚無く言ってくだされば、と。
説明を頂ければ、いくつかの動作を…【礼儀作法、生命力吸収、オーラ防御、医術、救助活動、ダンス、空中浮遊】…恐縮ですが、私はそれほど攻撃とかは得意ではありませんので…。…もっと派手に動いた方が良いのでしょうか?
ダストブロンクスの方々に演じている姿を見られるのは、ちょっと気恥ずかしく思ってしまいます……だって、本当に戦っている時より、私が格好をつけているのが判ってしまうんですもの! 私も、見栄くらい張るんですっ
ヒーローズ・フォーティナイナーズの一員がモデルになってくれるということで、アリソンの撮影はまずインタビューから行われた。
「願わくば、小さな苗木が大樹となるように。千里の道も一歩から、ですね」
ユーベルコード『悠遠なりし植物相(プロジェクト・フローラ)』の力をこめた一言でインタビューを締め括った後、アリソンはモーションキャプチャーのための打ち合わせに移った。
「ゲームもあまりしたことがありませんもので……ええ、可能な限り御要望にお応えしたいので、忌憚無く言ってくだされば、と」
それなら、と挙げられた案のいくつかに沿ってアリソンは演技をしていく。が、その動きはいささか控えめだった。
「……もっと派手に動いた方が良いのでしょうか?」
流石にこれでは地味すぎるのではないかと危惧したアリソンに、一人のバイオモンスターが助け舟を出した。相手をつけた組み手形式のほうがいいのではないかと言うのだ。
その提案に頷いて、バイオモンスターを相手役に撮影を再開したアリソンであったが。
「確かに、先程よりも見栄えがするようになったが――少し不自然な気がするな」
う、とアリソンは小さく唸った。実戦の時よりも格好をつけた動きをしている自覚があったのだ。
「私も、見栄くらい張るんですっ」
「そういうものか。ヒーローというのも大変だな」
このやりとりとかすかに赤く染まった頬が実際のゲームに反映されないのは、アリソンにとっておそらく幸いなことだと思われた。
大成功
🔵🔵🔵
鈴木・志乃
猟兵で役者で49だけど
モーションキャプチャはやったことありません!
参ったな、好きにやれって……(遠い目)
何はともあれ相手がいた方がやり易い
スタントマンとか先に手配してるか分かんないけど
UC発動 劇団仲間を召喚
殺陣やろう殺陣。この人達なら見栄えも意識してくれるし。
【演技、パフォーマンス】
自分の得物、光の鎖で早業武器受け
念動力で鎖を操作し足払いで転倒を狙う
そのまま縛り上げて捕縛からきゅうううっと締めるよ
高速詠唱での目くらまし、氷漬けでの足止め
そのまま鎧砕き出来る魔改造ピコハンでぶっ叩く……とかかな
ピコハンの衝撃波攻撃とか敵の吹っ飛ばしにいいよ
必殺技?
高速詠唱で光の鎖大量召喚からの捕縛かな
「参ったな、好きにやれって……」
遠い目で天井を見上げて、志乃は呟いた。ヒーローズ・フォーティナイナーズの一員であり、役者でもある猟兵だったが、モーションキャプチャーの収録経験はない。
「何はともあれ相手がいた方がやり易いよね」
しかも、気心が知れた仲間ならなおさら。志乃は呼び出した劇団仲間と共に、収録スペースへと入っていく。
「おはようございます!」
志乃と『Team Squall』の面々で収録するのは、一対多の殺陣だ。
中央に立つ志乃に、黒パーカーを着た劇団員が順番に向かっていく。
振り下ろされる木剣の刀身を光の鎖が受け止める。次の瞬間、念動力に操られた光鎖がじゃらりと踊って相手の足を払い、そのまま巻きついて締め上げた。
次の相手は高速詠唱した光魔法で目くらまし、その次は氷の呪文で足元を凍結させて足止めする。
そして止めの衝撃波。包囲していた劇団員がまとめて吹き飛ばされた。
「流石はフォーティナイナーズ! 鮮やかだ!」
大盛り上がりのスタッフ達。歓声が志乃を包む。
その後もつつがなく収録は進み、 『第一次アースクライシス大戦49』は完成へと一歩近づいたのだった。
大成功
🔵🔵🔵