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劇場版・海よりの脅威

#ヒーローズアース #戦後

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#戦後


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●目指せB級娯楽映画
「映画を創ろうと思ってるんだけど、協力してくれないかな」
 何言いだしたんだこのシャチ、とでもいうような視線を向けられながらも、似合わないサングラスをかけたヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)は台本を取り出し説明を始める。
「アースクライシス2019の後に設立された『イェーガームービー社』によって、その記憶を後世に伝えるって名目で色々なメディア展開がされていることは皆も知ってるよね。無数の平行世界があるとするマルチバース構想――創作としては多少の矛盾とか気にしなくてもいいからやり易いし、夏も近いしで一本協力してくれないかってお誘いがあってね。あの戦いから半年も経ってるからいい感じに記憶も薄れてきてるだろうし」
 そういえばそんな話もあったなあ、と猟兵が思い出す中、ヴィクトルは続ける。
「そこで、猟兵の皆に主役として協力して貰いたい。コストカット……ではなくて、多種多様なユーベルコードとか凄い映像映えするし、奇天烈な画面になってもそれはそれで面白いだろうしね。大ヒットも間違いなし」
 きっと、と小声で付け加えたキマイラに、ジャンルはどうするのかと猟兵の一人が問う。
「サメさんおいしい……じゃなかった。サメ映画だよ。ベースはシンプルな娯楽映画、所々にサメを出しつつ最後に大ボス的なサメを出してどーん、って流れを予定してるみたいだね。まあ皆のアドリブ次第で道中に他の要素も盛り込まれていくかもねー。何か熱意溢れる新人監督みたいだし、欲張っていきたいとか言ってたし」
 どう考えてもこの時点で不安しかない。そんな空気を他所にシャチは台本を捲り大まかな構想を語り始める。
「とりあえず流れとしては、ロサンゼルス海岸から始まってハワイ沖のサーフボードバトル、そしてアトランティスに潜ってサメ怪人を撃破の流れを予定しているみたい。最初は凍結したビーチに出現したビーチスポーツでの勝負を仕掛けてくるオブリビオンをどうにかしつつ、リアルサメの襲撃に大混乱になったり人質にされている人々を助ける感じの映像が欲しいんだって。ヴィランは役者とか本業の人が手伝ってくれるからそこは安心してね。勝負に乗るも乗らないも皆の自由……あ、サメの方はメカだけど、無用に壊しすぎると予算がアレになったり環境破壊だとかのクレームあるかもだから程々に」
 一応終点は決まってるから早すぎる段階でラヴパートだとかやるとフラグになったり後のネタ困るかもだからある程度は配分に気を付けた方がいいかもね、とシャチは言う。
「そこを撮り終えたら本格的なオブリビオンとの戦い。とは言っても本物は呼べないからエキストラとかメカとか……予算の状況次第ではCGになるかも? まあ出たとこ勝負で頑張るれば何とかなるとは思うよ。あとサメはどの段階でも出すつもりらしいから注意してね」
 そう説明しつつ、ヴィクトルは首にかけた鍵型のグリモアを握り、転送の準備を始める。
「あ、それからユーベルコードの使用は基本自前でお願い。演出とかで、多少ならヒーローの皆さんに協力して貰えばどうにかなるだろうけどもね。最後に役者も猟兵も安全第一で、頑張ってね」
 そう言ってヴィクトルはグリモアを輝かせ、猟兵達をヒーローズアースへと転送したのであった。


寅杜柳
 オープニングをお読み頂き有難うございます。
 本格的な夏が来る前に思い出を振り返り(捏造し)つつ撮影してみるのは如何でしょうか。

 第一章は突然の襲撃で凍結させられた(ヒーロー達が頑張って演出の為に凍らせました)ロサンゼルスの海岸での人命救助になります。
 ヴィランやヒーローが扮するオブリビオン、それから凍った海でも元気いっぱいなサメが襲い掛かってくるので、格好よく撃破するなり被害者になるなりしてシーンを作ってみてください。
 ビーチスポーツ競技での勝負も仕掛けてくるようですが、受けても無視しても問題はないようです。
 断ってもただしょんぼりされる程度です。
 繋ぎとか特殊効果は監督が頑張ってどうにかしてくれると思われます。

 第二章はサーフィン対決のアレです。
 別に儀式とかはありませんが派手にやればやるほど人気が出るでしょう。
 第三章はアトランティスでの撮影、海底都市を占拠したサメ怪人との決戦風味になります。
 なお怪人は着ぐるみ、中身は田舎から出てきたばかりの熱意溢れる純朴な農家の青年らしいです。

 第二章以降は断章を追加致しますのでそちらをご確認下さい。
 既に戦争から半年経っている為、フォーティナイナーズ以外の猟兵達も同じくスター待遇となります。
 あとネタシナリオです。基本。
 それでは、皆様のご参加をお待ちしております。
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第1章 冒険 『冷凍ビーチ:人質解放!ヴィランの挑戦状』

POW   :    どんな競技でも真剣勝負。俺の必殺技を見せてやる!

SPD   :    華麗に魅せて、スタイリッシュに勝負を突破。格の違いを見せつける

WIZ   :    隙を突いて人質を解放する

👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

ゼニス・ゲバディ
ほおん、撮影。撮影ね
面白そうじゃねえの

用意は、血糊とかか?
自然に優しい赤色塗料を用意

さて、パニックになりながら役者を逃がす演技。
わざとらしく溺れる感じでもがいて、『在りし日の宝箱』に脚を突っ込んで「あ、脚がっ! 噛まれて!」とか鮫に噛まれたアピールと、周囲に魔法で衝撃波をだして、狂暴さアピール

海中に引きずり込まれるように、『在りし日の宝箱』の中に滑り込んで、派手に死んだフリ
代わりに血糊をばらまく。

海上での変化が分かりやすいと、サメを出さなくて済むからな。

次のシーン?
三つ子設定でいいだろ。同じシーンに出なきゃ合成も要らねえ。
よな、監督?

アドリブ歓迎



●撮影開始!
 すっかり凍結したビーチ、映らぬように設置された撮影小屋に、猟兵と監督、撮影スタッフたちは集まっていた。
「ほおん、撮影。撮影ね」
 面白そうじゃねえの、と台本を読むのはゼニス・ゲバディ(金の向くまま・f27081)。
 冒険商人である彼、当然ながら金の匂いには敏感である。
 だが、まだ足りない。加工前の原石では大した値にはならないのは当然で、だからこそ磨き上げる必要がある。
「ゼニスさん、宜しくお願いします!」
「それじゃ俺のシーン、いくか」
 スタッフの声に台本を閉じ、ゼニスは撮影現場へと向かった。

●SCENE 1
 凍結したビーチ、氷の上を商人の男が走っている。
 突如現れたオブリビオン軍団、カッパのような姿の彼らに金のカトラスで斬りつけ、人質にされかけた人々を逃がす一人の猟兵が居た。
「ちくしょう! 俺はこんな所で死にたかねえぞ!」
 突然の襲撃にパニックになりながらも、ゼニスは氷の上を飛び回りながら活路を見出す為に周囲へと金の瞳を向けていた。
 しかし、突然氷が割れ、ゼニスの右足が海中へと沈む。意外と軽やかに動き避難を促していた彼の動きが何かを堪えるように止まる。
「あ、脚がっ! 噛まれて!」
 叫び声を上げながら沈むゼニス。水中にいる何かに抵抗するかのように暴れる彼の動きと合わせて生じる衝撃波が氷を破壊し、まるで彼を中心とした氷の花のように隆起していく。
 それに巻き込まれるように、サメが氷の上へと弾き出されていく。だけれど、彼に喰らいついたサメを弾き飛ばすには足りないようで、そしてとうとう彼を支える氷の足場も崩れ彼の体が海中に引きずり込まれた。
 ゼニスは派手に暴れ抵抗するも、水飛沫と衝撃波も徐々に弱まり――そして消える。
 花弁に複数のぐったりとしたサメが横たわる氷華の中心には赤い液体、そしてゼニスの弾いていた金貨の輝きが水中に残るだけだった。


 はい、カット!
 監督の声が響くと同時、金貨から飛び出してきたゼニスがざぶんと水中から体を起こす。
 彼のユーベルコードは偽の金貨を彼の受け継いだ宝物庫への入り口にし、任意の対象を吸い込む能力。それで姿を隠しサメに喰われたように見せかけたのだ。
 ちなみに残った血は環境に優しい血糊である。
 サメも動かす必要はないから精巧なぬいぐるみで代用、メカサメと比べかなり安上がりとなっている。
「なかなか上手く撮れてるじゃねえか」
 ぶるりと体を震わせながらゼニスが海岸へと戻り、撮影された映像を確認し、呟いた。
「しかし、次のシーンは出られなくなりませんか?」
「ああ、三つ子設定でいいだろ」
 監督の疑問にゼニスはしれっと答える。同時に映らなければ合成も必要なし、つまり費用が浮く。
 なるほど、と手を叩く監督は次のシーンの撮影へと移る。

大成功 🔵​🔵​🔵​

大神・零児(サポート)
人狼
妖剣士×黒騎士
30歳男
普段(俺、呼び捨て、だ、だな、だろう、なのか?)
怒った時(俺、てめぇ、か、だろ、かよ、~か?)

探索や調査、追跡等は内容に即した使えそうなUCを選択し、技能やアイテムも駆使
またマルチギアイヤフォンという通信機を仲間に配って即時情報共有も可能

戦闘の際は敵のUCにメタ、カウンター、一方的に攻撃ができるようなUCを選択又は状況を技能やアイテムを駆使して作り出し、マルチグレネードの機能を選択して使ったり、妖刀「魂喰」や黒剣「黒鞘」を駆使しての剣士の動き等で戦う

基本戦闘型キャラ
ギャグシナリオはツッコミのような立ち位置
自身に触れられる危険がなければお色気も少々いける

アドリブ共闘等可



●SCENE 2
 エンジン音が凍れる砂浜に響く。バイクに乗った黒き人狼、大神・零児(人狼の妖剣士・f01283)は氷の海を渡り、助けを求める人々へと一直線に加速。
 凍れる海を割り、サメの群が陸の獣と機械獣をその大口で飲み込まんと飛び出し、しかし黒き人狼はバイクを巧みに操りそれらの奇襲を華麗にすり抜けていく。
 ギリギリ放送コードに引っかからない程度に口汚い言葉で罵る怪人、その手に抱えられた少年は如何にも苦しそうな様子で。
 零児はバイクよりグレネードを射出、氷に着弾し弾けたそれは派手に煙幕を広げ、人質の少年と怪人を包み込む。
 その煙幕にバイクごと突っ込んだ零児、そのままバイクは煙幕を突っ切っていくがそこに搭乗者はいない。
 煙幕が晴れた後、そこには黒き鞘に打ちのめされた怪人と、子供を救出した黒狼の姿があった。
 怪人達はすぐさま人狼へと襲い掛かるが、機械獣――バイクに変形していた零児の【C-BA Mk=8】が主の元へと怪人達を蹴散らし向かう。
 零児も奇妙な残光を放つ水晶の剣を振るい、怪人達の攻撃をいなしながら機械獣へと向かい、そして合流。再度バイク形態になった機械獣に騎乗すると、怪人達の集まった地点へと急旋回。
「人狼……メガリス……破壊……い駆ゾ!」
 彼の周囲に炎のエネルギー体が纏わりつき、その騎乗姿はまるで一体の巨大な炎の魔狼のよう。エンジンが唸りを上げ氷の海の表面を溶かしながら一気に加速。
 余波で生じた小柄な炎狼達との一斉突撃に、怪人達は為す術もなく蹴散らされて――。


 はい、カット!
 そこで監督の大声の合図。
 ユーベルコードを解除し炎を消した零児はバイクから降り人質役だった少年を砂浜へと下ろす。
 派手なアクションシーンを撮りたい、そんな監督のオーダーに応えた形だったがどうだっただろうか。
 撮影小屋に戻り、撮られた映像を見れば、中々に格好よく映っていて少しばかりくすぐったい気分にもなる。
 特に最後の炎の魔狼の突撃シーンはCGではこの迫力は再現は難しいだろう。炎に溶ける氷にバラバラに動く炎狼の群、熱気に揺らめく空気等の迫力はカメラアングルも相俟って大迫力となっている。
 そこに怪人役を演じてくれたヒーロー達が戻ってくる。役者の位置情報等を解析しつつ力も加減して怪我等無いように注意を払っていたが、その甲斐あってか怪我一つない元気そうな様子に少し安堵する。
 さて、これが編集されてどのようなストーリーになるのか。
 そんな事を考えつつ、零児は他の猟兵と役者達の撮影風景を眺めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミント・キャラメル
映画の撮影ですかぁ。
寒そうですけど、面白そうなので、お手伝いしますぅ☆

ユーベルコード「ライオンライド」で、ライオンさんと一緒に、冷凍ビーチでのダブルスビーチバレーに挑みますぅ。
服装が、いつもと違ってビキニですから、動きでイリュージョニスト感を出しますぅ。

「ユーベルコード・イリュージョン☆ ワぁン・ツぅー・スリぃー! ライオンさぁーん☆」

ライオンさんのトスを、さらにライオンさんを踏み台にしてハイジャンプ!
「スパイク・イリュージョンですぅ!」
この時わたしの背中には獅子のオーラ(ライオンさん跳躍)が浮かびますぅ。
スパイクを決めて着地……あっちょっと氷の上に着地ってマズ
「はわー!?」
え、NGシーン集?



 撮影小屋の中からミント・キャラメル(眠兎キャラメル・f25338)は先の撮影の様子を眺めていた。
 季節は夏も近く、なのに凍結したビーチの中で演技する役者や猟兵はいかにも寒そうに見える。
 けれどその表情に宿った熱は寒さ等関係なく、真剣なオブリビオンとの戦い――の撮影へと入り込んでいる事を示している。
「寒そうですけど、面白そうなので、お手伝いしますぅ☆」
 そんな風に明るく監督に言うと、ミントは撮影小屋を飛び出し撮影に取り掛かった。
 ビキニ姿で。

●SCENE 3?
『ええい、この人質共が目に入らぬか! 無傷で返してほしければこのビーチバレーで我らと勝負するのだな!』
 ウェットスーツ姿のカッパのような怪人達が、多くの人質を囲み叫ぶ。この状況で上手く救うには少なくとも誰かが要求に乗って相手をする必要があるだろう。
「はぁーい! わたしぃ、ダブルスでお相手させて頂きますぅ☆」
 そう言いながらミントが怪人達の前に一歩踏み出した。
 このビーチの状態でビキニ姿は少々寒そうに見えるが、イリュージョニストなので問題はない。脱出マジック等もあるし。
 ダブルス? と首を傾げる怪人達。どうみてもミントは一人だ。
「ユーベルコード・イリュージョン☆ ワぁン・ツぅー・スリぃー! ライオンさぁーん☆」
 まるで舞台上にいるかのように、大掛かりな仕草と共に彼女はユーベルコードにより黄金のライオンを召喚。
 多少変則ではあるがビーチバレーの勝負に応じた、という事で二人の怪人は手に持つ緑と白の縞模様のボールを緩くトス。
 ビーチボールが怪人とミント達を数度往復、そしてほんの少し甘い軌道になった瞬間を見切った怪人が、強烈なスパイクをミントの足元へと叩き込まんとする。
 しかし召喚されたライオンは俊敏に対応、その真下に飛び込みながらビーチボールを真上に打ち上げる。そしてミントはそのライオンの背に軽やかに飛び乗ると、立ち上がるライオンの勢いに合わせハイジャンプ。更にライオンも追うように高くに飛び上がると、
「スパイク・イリュージョンですぅ!」
 ジャンプの頂点に達したミントが怪人にカウンターのスパイクを叩き込む。黄金の獅子のオーラ――跳躍したライオンでバリバリに実体はあるのだけれども、を背負った彼女の一撃は柔らかなボールでも凍ったビーチを砕く程。
 そしてスパイクを決めたまま華麗に着地を決めれば一シーンの完成、という所で。
(「……あっちょっと氷の上に着地ってマズ」)
「はわー!?」
 氷の砂浜で足を滑らせバランスを崩しこけてしまった。
 ライオンが先に着地し其方に倒れ込んだから特にダメージ等はなかったものの、少々締まらない。


「うーん……撮り直し、お願いして大丈夫でしょうか?」
「ですよねぇ」
 監督が唸りつつ、ミントに言う。ちなみに今回のミントのシーンをはじめ、使えそうなNGシーンは纏められて特典になるらしい。
 一発撮りで上手くいくことは中々なく、それなりにはそういうシーンも溜まっているようで、あまり残念に思わなくても大丈夫との事だ。
 その言葉に気を取り直したミントは、再び極寒のビーチでのリテイクに取り掛かるのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

栗原・獅子丸
サメ…チェーンソー、あったっけ…持ってないや。

出演、がんばる。

サメが出てきて周辺がパニックになってきたら、【モーラット達の応援活動】で避難誘導する。
みんな、慌てないで、モーラット達についてきて…!
言うだけムダかな?パニックなんだし。

あれ?モーラット達の数が少し足りない…。いなくなった子達を探す。

「モキュー!」
今の声…!あ、ビーチバレーのボール代わりに使われてる!(モーラット本人達は楽しそう)
誰がこんなひどいことを…。
あれは…ビーチバレーヴィランズオブリビオン!
あいつらのせいでこんな、はずかしめを…!
倒さなきゃ…!

俺に向かってきたサメ(ぬいぐるみ)をオブリビオンに向かってスパイクする。

倒した。



(「サメ……チェーンソー、あったっけ……」)
 手持ちを確認してみる栗原・獅子丸(片割れフランケン・f16684)だが、残念ながら手元にはない。
 けれども撮影小屋の小道具を確認してみれば、普通のチェーンソーはある。何の変哲もない無骨な工具、それはそれで映画的にはありかもしれない。
「それじゃあ栗原さん! お願いします!」
 監督の声に獅子丸はがんばる、と言葉少なに応え、撮影現場へと向かうのであった。

●SCENE 3
 氷の海を割りサメの群が飛び出してくる。
 サメの前には怪人も人質も関係ない、容赦なく氷上の獲物にアタックをかけその鋭い牙で喰らいつき、海中へと引き摺り込んでいくのだ。
 パニック状態に陥った怪人達の統制が乱れた頃合いに、
「もっきゅう!」
 そんな声で鳴く白い毛玉のような動物? が人質達の元へと向かい、どこかへ誘導するように人質達の服を引っ張り導こうとする。
「みんな、慌てないで、モーラット達についてきて……!」
 その声の先には、紫の肌の巨漢が既に救出された人質を安全な陸の方へ誘導している様子。白い毛玉――名をモーラットというらしいその導きに従い、多くの人質がサメの襲撃や怪人達の追撃を振り切り避難する。
 そして追い縋ろうとする怪人達に、獅子丸は手持ちの武骨な巨大斧を振るい、派手に薙ぎ払っていく。
 その姿は人々を救うヒーローらしい姿に映るだろう。

「あれ?モーラット達の数が少し足りない……」
 避難誘導を完了して呼び戻したモーラットの数を数える獅子丸だが、少し足りない。
 首を傾げながらモーラットの行方を捜してみれば、
「モキュー!」
 と、楽しそうな声がビーチに響く。其方を見遣ればカッパのような怪人がビーチバレー対決をしていて、そのボールの代わりにぽーんと飛ばされていた。
「あれは……ビーチバレーヴィランズオブリビオン! あいつらのせいでこんな、はずかしめを…!」
 倒さなきゃと巨大斧、それからチェーンソーを構えビーチバレー中のオブリビオンに向かって獅子丸は駆け出す。
 だがそんな彼の前に氷を割り巨大なサメが襲い掛かり、喰らいつこうとする。けれどモーラットを助けようとする彼の前には大した障害にはならない。
 サメの鼻先を掴むと水上へと引き上げ、それを空高くへとその膂力で投げ飛ばし、それを追うように獅子丸が跳躍。帰ってきていたモーラットたちの応援を背に、そのサメをボールに見立てて怪人の群にスパイクを決める。
 急に横合いから飛び掛かってきたサメに怪人は反応できない。怪人は巨大なサメに圧し潰され、モーラットはポーンと空を舞い、獅子丸の元へと無事着地を決めて。
「もきゅう!」
 元気そうな様子に獅子丸も一安心だ。

大成功 🔵​🔵​🔵​


「はい、カット!」
 巨大なサメ――のぬいぐるみを獅子丸が怪人達に叩きつけ、モーラットを救出したタイミングで監督の声が響く。
 避難誘導の撮影の際、ビーチバレーの現場にモーラットが紛れ込んだ事から着想を受けて台本変更する形となったが、何とか上手くいったようだ。
 ちなみにモーラットは終始楽しげな様子で、撮影している自覚無いのでは? とほんの少し疑問に思ってしまう程。
 もきゅもきゅと飛び回るモーラット達と共に獅子丸が撮影小屋前から振り返れば、引き続き撮影を続けているビーチバレーの現場でライオンを足場に跳躍した少女が華麗に空中回転を決めて着地している。
 撮影はまだまだ続く。皆の演技がどのように映像となるのか、そんな事を考えながら、クリスタリアンの青年はまず自分のシーンがどうなったのかを確認する事にした。

 そんなこんなでビーチでの撮影は続き。
「OK! これだけ撮れれば十分だ!」
 監督が言うにはシーンの編集は少し時間がかかるが、大詰めの撮影に入る前には一度見せる事が出来るだろうとのこと。
 ヒーローたちの協力により凍結されたビーチも陽射しに随分と晒され、既に元の様相を取り戻している。
 撮影小屋や撮影の為のセットの後片付けを済ませた後、撮影班と猟兵達は次の現場へと移るのであった。


第2章 集団戦 『スポーツチーム『アイオワオブリビオンズ』』

POW   :    『さぁ、このトロフィーを賭けて僕達と勝負だ!』
小さな【トロフィー】に触れた抵抗しない対象を吸い込む。中はユーベルコード製の【あらゆる競技が可能な総合スポーツ施設】で、いつでも外に出られる。
SPD   :    『準備はいいかい?さぁ、配信を開始してくれ!』
戦闘力のない【撮影スタッフと機材、実況者と解説者】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【視聴者の声援】によって武器や防具がパワーアップする。
WIZ   :    『宣誓、我々は正々堂々と戦うことをここに誓う!』
【マイク】が命中した対象にルールを宣告し、破ったらダメージを与える。簡単に守れるルールほど威力が高い。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●シャークライダー!
 撮影班が向かった先はハワイ沖。
 クルーザー(レンタル)の甲板から見える風景は、空と海の二種の青が鮮やかに広がっている。
 史実では特殊な魔術のかけられたサーフボードを用い、邪悪な儀式で大海嘯を引き起こそうとしていたオブリビオン達の野望を食い止めた猟兵達だったが、今回の撮影も邪悪な儀式を食い止めるという部分はそれに準ずるとのことだ。
 目的については。
「……なんでサメ?」
 猟兵達が見たモノは、サメの背に乗ったカッパに扮した役者達。あと水面にちらちらと見える本物の鮫の背びれ。
 監督曰く、想定よりメカサメが壊されなかったので此方で使う余裕も出来たとのことで、鮫については普通に寄ってきたので儀式により召喚されたという設定にするらしい。

 今回の撮影は、海上で好き勝手サーフィンしているオブリビオン達に、サーフィン勝負を仕掛けるなり物理的に海に落としたりするなどして華麗にサーフィンをくい止めるシーンを撮影する事が出来れば監督大喜びだろう。
 波を鎮める為の魔術を使うこともないので、猟兵達も史実通りにする必要もない。もし希望するのなら水上バイクだとか他の道具や乗り物で演技しても大丈夫らしい。
 ただ、イルカだとか鮫だとかの生き物、あと高額な乗り物については撮影側で用意できないので、交渉するなりで自前でどうにかして欲しいとのことだ。
 ちなみにメカサメについては貸し出し大丈夫とのこと。
「それでは中盤戦、お願いします!」
 クルーザーの甲板で監督が告げ、海上での撮影が開始された。
仲佐・衣吹(サポート)
オルタナティブ・ダブル発動!

それじゃ行ってみよー!
分身は僕ことベスト
ルーンソードやカルテを使って精霊属性の連携技で戦うのが好きだよ
僕が先に水属性で戦場をずぶ濡れにしていくから
続けて氷属性でガッチリ固めて動けなくしちゃうってのはどうかな?
愉快な敵だともっと楽しいよね
遊んでるように見える?
僕が一番本気が出せるのは、楽しくて夢中な時だよ!

足ひっぱんなよ!
本体はオレことサーベル
まぁ悪かねぇな
それでも逃げるやっかいなヤツは、ハサミ撃ちで即ぶった斬ってやろうぜ
んくらい根性あるヤツがいなきゃ、オレも楽しめねぇからな

使う精霊属性は敵に合わせて変更可
アイテムや本体が使う攻撃ユーベルコードも好きに選択して下さい



●SCENE 4
 どこまでも広がる青い海を、役者扮したカッパ達が華麗にサーフボードを滑らせ波を制していく。
 カッパ達が波を乗り越えるごとに波はより高く激しくなり、更にはサメまで水面に背びれを覗かせながら活性化していく。
 そこに仲佐・衣吹(多重人格者のマジックナイト・f02831)という名の青年が、同じくサーフボードに乗りながら接近。華麗に波を乗り越える姿は楽しんでいるようにも見える。
 煌めく水飛沫を上げながら、その手に持つルーンソードを振るい海上に氷の塊を次々に作り出し浮かべていく。
 そんな彼のサーフボードを得物と勘違いして喰らいつく鮫の鼻先にボードを当てつつ空へと跳躍、
「それじゃ行ってみよー!」
 そうして高らかに宣言し、ユーベルコードを発動すれば空中で青年の影は二つに分かれて片方は表情に、もう片方はサーフボードと共に着水する。
「足ひっぱんなよ!」
 氷上の青年へと呼びかけるボードの青年は本体、多重人格者たる衣吹の副人格サーベルへと入れ替わった彼は好戦的な表情を浮かべ、カッパ達を薙ぎ払わんとボードと共に突撃。
 ナックルガード付きのサーベルで斬りかかり、次々にカッパ達のサーフボードをひっくり返し水の中へと沈めていく。
 そんな容赦のない猟兵の攻撃に、カッパは(映画の方の)撮影スタッフと機材、実況者と解説者による中継と視聴者の声援を受けて奮い立ち、サーフィンのキレをより高めつつサーベルの攻撃を躱し、そして大波へと巻き込もうとする。
 一方の氷上に降りた分身は楽し気な表情を浮かべる好青年、ベストという人格の彼は氷のルーンを浮かび上がらせたカードを水上に投擲し、カッパ達のサーフィンを妨害してサーベルの援護を行っている。
 当然彼にもサメは襲い掛かる。
 解れた黄砂色の外套を靡かせ、メカサメ達の攻撃を軽快な動きで翻弄するベストはまるで遊んでいるよう。けれど彼の本気はこんな時にこそ出せるものだ。
 カッパ達への視聴者の声援を掻っ攫いつつ、海上の氷塊の上を走りながら次々にカッパを転がし海へと落としていく姿はその整った雰囲気もあり映像にとても映えるだろう。
「これでおしまいだよ!」
 サーベルが斬りかかり、それを高波の壁を上るようにして躱したカッパ、その波に投擲されたベストのカードが飛び込むと、波はたちまち氷結。バランスを崩したカッパが悲鳴と共にサメが待ち構える海へと飛び込んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

虎熊・月霞(サポート)
「まー焦らずのんびり行こー。とりあえず昼寝しよぉ」

 面倒臭いけど、僕とーじょーってねぇ。いつもどーり野太刀でバッサリと斬り捨てちゃうよぉ?
 伊吹流から派生した雷鳴を組み込んだ伊吹"雷切"流、僕の場合は『紫電』を利用した剣術を使ってー雷の速度で近付いてー敵さんを真っ二つにするよぉ。まぁ面倒臭くなったら首刎ねちゃえばいっかぁ、そうすれば大体の生き物って死んじゃうよねぇ?
 首の無い敵さん?……うん、まぁそこは高度な柔軟かつ臨機応変に対応していこー。
 あ、あとお願いされたら他の猟兵さん達と共闘もするしぃ、お手伝いもするよぉ。ご飯一回奢ってくれるならね!

アレンジ・共闘可


リカルド・マスケラス(サポート)
『正義のヒーローの登場っすよ~』
装着者の外見 オレンジの瞳 藍色の髪
基本は宇宙バイクに乗ったお面だが、現地のNPCから身体を借りることもある
得意なのはサポートで、NPCに憑依(ダメージはリカルドが請け負う)して戦わせたりも可能

接近戦で戦う場合は鎖鎌の【薙ぎ払い】と鎖分銅の【ロープワーク】による【2回攻撃】がメイン。
遠距離戦では宇宙バイク内臓のビーム砲で【薙ぎ払い】
その他状況によって【属性攻撃】や【破魔】等使用。

猟兵や戦闘力のあるNPCには【跳梁白狐】で無敵状態を付与できる。
また、無力なNPCが大人数いる場所での戦闘も彼らを【仮面憑きの舞闘会】で強化して戦わせつつ身を守らせることも可能。




 クルーザーの甲板で昼寝をしていた虎熊・月霞(電紫幻霧・f00285)はスタッフに揺り起こされる。
 くあ、と欠伸をしながら女羅刹はカッパ達と格闘する青年の戦いの様子を見、自分の出番かと伸びをする。
 根本的に怠惰な性質の彼女は戦いすらも面倒。けれど撮影中は美味しいご飯がついてくるとかそんな誘い文句に釣られてこの場に来ていた。
「まー焦らずのんびり行こー」
 一通り体を伸ばし、愛用の野太刀『童子切・鬼血』を片手に月霞はボードを海に放り、そして甲板からボードへと飛び降りた。

 さてさて、とクルーザーから海を見遣る白狐面の青年リカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)は手元の台本へと視線を移す。
 この先の展開は少々荒っぽい、というよりもより派手なアクションでなければ映えないだろう。
 それこそ怪我人が出てもおかしくない位にギリギリを攻めるような殺陣が。
 そうなれば、とリカルドは周囲に狐面を召喚する。
 それは彼の本体たる白狐の形に酷似した狐面の分体。装着し、憑依した者に力を与える為のユーベルコード。
「さあ、楽しい宴の始まりっすよ!」
 そしてそれらを周囲に集まった役者のヒーロー達へと装着させ、撮影を開始する。

●SCENE 5
 次々に海へと叩き落されていくカッパ達に、サーフボードに乗る月霞が向かう。
「面倒臭いけど僕とーじょー、ってねぇ」
 緩い雰囲気の女はその雰囲気を崩さぬままカッパ達へと近づき――そして間合いに入った瞬間、紫電がばちっと弾け、ボードごと月霞の姿が消失する。
 同時ボードが両断、その上のカッパ達が左右に大きく弾き飛ばされ、その向こうに月霞が姿を現す。紫電を利用した雷の速度での野太刀の一閃は遠間からならギリギリ視認できるだろう程度には加減はしているようだ。
 そして海上で何やらサーフィンするカッパ達、そして襲い掛かるメカサメを次々に剣鬼の勢いで叩き落し、或いは両断していく。
 弾ける飛沫に振るわれる刃、それらはまさに映画の一シーンのようで。
 そこに八体のカッパ達が恐ろしい速度で海上へと展開していく。それまでの個体とは違い側頭部に狐面を被った彼らはサーフボードのみならずロープも手足のように巧みに操り海上に何かしらの陣を敷いていく。
 元々海上でも動きの鋭いカッパ達だが、狐面を被った彼らは段違いに早く、鋭い。
 月霞の振るう紫電の一閃も相互に連携し、ロープを巧みに操る事で剣の射程から逃れていく。
 数もそれなりに居て全て斬るには少々面倒だ。ならばと月霞は野太刀を上段に構え、
「落ちよ雷鳴、その一切を打ち砕け」
 海面に激しく叩きつける。その一撃は落雷のような勢いを伴い、海面に一時クレーターを創り出す。
 そしてその余波、大きな波が放射状に拡がりカッパ達を飲み込まんとするが、サーフィンを得手とするカッパ達は増した身体能力も合わせそれらを乗り越えていく。
 だが、波を乗り越えたカッパ達を待ち受けていたのは月霞へ集まっていく海流。クレーターを塞ぐように集まっていく海水は、その中心に居る月霞へと集まっていく。
 そして引き寄せられてくるカッパ達に、月霞の紫電の一閃が閃き空へと高く弾き飛ばした。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ミント・キャラメル
カッパさん達の「宣誓、我々は正々堂々と戦うことをここに誓う!」に対し、ユーベルコード「サモニング・ガイスト」ですぅ。

マイクを受け取って、こちらも正々堂々と戦うこと、
つまり妨害なしの純粋な競技サーフィンでの勝負を誓いますぅ。

「ユーベルコード・イリュージョン☆ ワぁン・ツぅー・スリぃー! 古代の戦士さぁーん☆」

サーフィン魔法の部族じゃないかもですけど、彼ならやってくれるはずですぅ☆
あ、直接攻撃は駄目ですよぉ。
すごい技とかサーフィンの腕前で圧倒しちゃってくださいねぇ☆

もちろん、わたしも頑張りますぅ。
「サーフィン・イリュージョはわー!?」
……もう全部彼一人でいいんじゃないでしょうか。



●SCENE 6
 高波に飲まれながらも女羅刹の攻撃から逃れた狐面を側頭部に貼り付けたカッパの一体は、ロープを操り海域に陣を描いていく。
 そんな彼の進路上、やや遠くに大波が見える。その波に乗ろうとするカッパの横に、ビキニ姿のミントがパドリングしながら並ぶ。
「そこの君! 正々堂々とサーフィン勝負だ!」
 カッパが投げつけるように放り投げたマイクを受け取り、ミントは高らかに叫ぶ。
「ユーベルコード・イリュージョン☆ ワぁン・ツぅー・スリぃー!」
 古代の戦士さぁーん☆ と、呼びかければ彼女の正面の海中から靄のようなものが噴き出し、その中から古風な南国風の衣装の戦士の霊が姿を現す。
「こちらもぉ、正々堂々と戦うことを誓いますぅ☆」
 つまり、純粋な競技サーフィンでの真っ向勝負を行おうと、この奇術師の少女は
 召喚した古代の霊――この海域ならではのサーフィン魔法を操っていた部族の霊も、召喚主の声にこくりと頷きサーフボードを操り丁度壁のようにせり上がり迫ってきた高波へとボードを向け、水上を走らせる。
 運よく召喚できた部族の霊は洗練さとは程遠い、けれど力強く波を制するライディングで次々にトリックを決めていく。
 一方のカッパもその向上した身体能力で古代霊に負けじと波を見極め、波を壁のようにし飛び上がり、空中で回転を決めながら着水。砕ける波の勢いを受け加速し、古代の霊を追いかける。
 そんな二者にに負けてはいられない。正々堂々妨害無しの戦い、だからこそ観客の目を惹くポイントを理解しているミントもテイクオフ。この大波を真っ向から乗り越える道を選び、
「サーフィン・イリュージョはわー!?」
 ライディングの途中でバランスを崩し大波に大きく弾き飛ばされた。
 海の上、それも狭いサーフボードでこの高波では、いかに奇術に習熟しているミントでも厳しかった。
 空中に投げ出され、サメ達がうようよ背ビレをのぞかせる海中にダイブ、脱出マジックのお世話になるかと思われたその刹那、古代の霊がサーフボードを滑らせミントを救出、そのままの速度でブレイクする三角波のチューブを加速しながら通り抜け、そして難を逃れる事に成功する。
 そしてミントが三角波の反対側へと視線をやれば、大波を制しきれず敗者の定めとばかりにサメ達に群がられるカッパの姿があった。


 そしてサーフィン勝負の撮影を終えたミントはクルーズの甲板へと戻る。
 映像にするなら。古代の霊がヒーローでヒロイン役のミントの窮地を救うように見えるシーンになるのだろう。
(「……もう全部彼一人でよかったんじゃないでしょうか」)
 そんな事をちょっとだけ思いつつ、けれど気を取り直し編集作業を行っているスタッフの元へと向かうミントなのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼニス・ゲバディ
普通に寄ってきた。
寄ってきた……?

「ざまあねえな、兄貴」
ニタニタ笑いながら、蒼玉黄金の銃を手にメカサメの背にのってサーフィンとしようか。
「ハハ!ロデオみてえだ」
暴れる鮫を乗りこなしている感じで、動き回って発砲(音だけやたらデカイ空砲)してカッパを叩き落とす

鮫も多少怖じけついてくれねえかな。アクターに頼みてえ事があるしな。

カッパの一人に、スーツを脱いで海に落ちた一般人になってもらい、メカサメロデオするゼニスの脚を掴んでもらおう。

放せ!クソヤロウ!だの暴言を吐きながらメカサメの背から落とされて、鮫が嫌う匂いの血糊をまき離脱。
スタッフ共々コインの中へ。

アドリブ歓迎



●SCENE 7
 カッパ達が展開した陣に惹かれるようにして興奮したサメ達が集まってくる。
 それは大いなる何かが現れる事を期待している眷属の姿のようでもあり、禍々しさを感じさせる。
 そんな中、暴れるサメを乗りこなし儀式の中央へと向かう男がいた。
「こんなサメ共に殺られるたあ、ざまあねえな、兄貴」
 ニタニタと邪悪な笑みを浮かべるのは、先の海岸での戦いで人々を救いサメに襲われた男と同じ顔の男。サメの口に手綱を取りつけその腹を両足で抑える乗馬スタイルで次々に発砲していく。
 背に乗られる感覚を嫌がってかやけに暴れるサメをものともせず、男は笑いながらその蒼玉黄金の銃のバカでかい発砲音をこの海域に響かせカッパや鮫達を驚かせていく。
「ハハ! 中々元気いいじゃねえか。ロデオみてえだ」
 暴れるサメは出鱈目に動き回り、サーフィンするカッパ達の間を引っ掻き回すようにして荒らしていく。
 もしサーファーのマナーだとかを問われたなら一発アウトな挙動でカッパ達の儀式を邪魔するその様は西部劇の悪漢のようで、そこかしこに背びれを覗かせる鮫も轟音に怯んでかパニックになったかのようにこの海域から逃れようとしている。
 力を振るう事が楽しい、そんな風に笑いながら発砲するゼニスの足に急に何かがしがみつく。
 目をやれば儀式の生贄としてか連れてこられたような、奇妙なペイントを全身に施した人間が助けを求めるように見上げていた。
 元々暴れるサメを制御するので精一杯な悪漢の顔色が変わり、暴言を吐きながら蹴落とそうとする。
「チクショウ! 離せ!」
 だが、背の男の動揺を察知したかここぞとばかりにサメが暴れ男を海へと振り落とす。そして首を振ったはずみでゼニスの腕に鋭いサメの歯が掠め、海面に血を撒き散らす事となってしまい、
「クソヤロウが!」
 そんな断末魔と共に、悪漢は血の色と匂いだけを残し海へと消えたのであった。 


 数分後。
 メカザメにしがみついたゼニスと全身ペイントの一般人――ウェットスーツを脱いだカッパの役者の一人がクルーザーに共に帰還する。
 手品の種としては先の海岸と同じ、偽の金貨を使い二人で空間に逃れ消失したように見せていたのだ。
 因みに散々発砲していた銃はこけおどしの空砲であるため、鮫が驚いたくらいで問題はない、はずだ。
 そして甲板に上ったゼニスが海を見下ろせば、割と巨大な鮫が普通に寄ってきていた。
 興奮させず注意すれば共に泳ぐことさえも出来る種類もいる鮫だけれども、何を考えているのかを推し量るのはちょっと難しそうだ。
 ただフレンドリーに寄ってきたのか、それとも――それ以上は考えないようにしつつ、ゼニスは休憩に入った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヘンペル・トリックボックス(サポート)
「ヘンペルと申します、しがない紳士です。お茶のついでにちょっとしたマジックでも……如何ですかな?」
【設定】
 UC偽身符で作られた、本物そっくりの式神です。
【イメージ】
 のらりくらりと現れる、紳士姿の胡散臭い奇術師です。胡散臭いの延長線上で、符術も使います。
【性格】
 常に礼儀正しい姿勢ではいますが、要所要所でしれっとボケを入れる剽軽モノ。放っておくと延々戯言を垂れ流します。
【行動理念】
 『誰かの笑顔のために』行動します。水面下で老体に鞭打って頑張るタイプです。
【好き/嫌い】
 笑顔、のんびり、甘いもの/作り笑い、不実、紳士的でない行動
【その他】
 ノリは良い方です。感覚で動かしていただいて結構です。



●SCENE 8
「ふむ、これは……まずいですね」
 カッパ達が海に突き落とされて残されたボードの残骸を足場代わりにし、一人の紳士が海を渡っていく。
 ヘンペル・トリックボックス(仰天紳士・f00441)という名の彼が向かうは狐面のカッパ達が展開していたロープが描きし魔法陣。それはこの海域で行われていた儀式の要となるもの。
「敷かれた陣に贄、そして戦場で荒れた魔力の流れを以て大いなる災厄を顕現させる――そんなところでしょうか」
 陰陽師である彼はその知識と感覚からオブリビオンの意図を推測。
「このまま喰いとめたとしても集まった力は無秩序に暴走する、ならば私の出番だ」
 そしてヘンペルは水行辰星符を取り出し、それを陣の中心に放つ。その符の宿すは水と霊力、冷却と浄化の理。邪悪なる力による力の集積を妨害、そして霧散させるにはうってつけの代物である。
 そして陣の中心に符が落ちれば、水柱が立ち上る。それは唯の海水、本来呼び出されるはずであった災厄には至らない。
 空に立ち上った水柱が崩れ、再び海に還る。描かれた陣も内側からの圧で最早形を成さない。
 後に残るは澄み渡った空と、拓けた水面。鮫もカッパも最早いない平和を取り戻した海の姿があった。


「……水柱を清浄なイメージに見えるようにエフェクトをかけたほうがよいかもしれませんね」
 撮影した映像を確認する監督、その後ろにいつの間にかヘンペルは立っていた。
 驚きの声を上げる監督に、紳士は普段の調子で自分の撮影シーンについて改良の提案をしていく。
 紳士然とし、ときには軽いジョークを挟んだ彼との会話で緊張していた監督も徐々に和らいでいく。
 一通り話し終えたのち、不思議と存在感を感じさせない、まるで彼の放った符術のようなミレナリィドールの紳士はその場から去った。

成功 🔵​🔵​🔴​

アラン・スミシー(サポート)
基本突然現れて仕事を終えたら去っていく人物です。

基本的に【乱戦】か【銃撃戦】での援護がメインとなります。
他の猟兵の手の足りない所に現れては銃で攻撃し、気を引いたり足止めをしたり敵の頭数を減らしたりします。

説得や交渉等が必要ならなんか良い感じの言葉を言います。
例:君の正義は分かった。しかしその正義は君を救ったかい?

ユーベルコードのセリフを参照し、MSの言って欲しい都合の良い言葉をアレンジしてやってください。
大体無意味に格好いいこと言ってます、割と適当に。

状況次第では不意打ちとかもするかもしれません。適当にお使い下さい。



●SCENE 9
 荒れる波、浮かれた様に水面に姿を見せるサメ達と高波を支配するようにボードを巧みに操るカッパ達。
 その中を一人の陰陽師が駆け抜け、儀式の中心へと向かう。
 当然それを妨害するようにカッパやサメ達が群がろうとする。
 ――しかし、その試みは実行されない。
「やれやれ、私は平和主義者(ピースメーカー)なんだがね」
 そう呟きトレンチコートの枯れた様相の男が次々にリボルバーの引鉄を引き、弾丸を発射する。
 彼、アラン・スミシー(パッセンジャー・f23395)の銃弾はまるで数で押し切らんとするばかりに次々と放たれる。その癖的確にサメの急所やカッパサーファーのボードを撃ち抜いていくのは彼の技量の賜物か。
 そして、彼の足止めが功を奏し、陰陽師の向かった先に大きな水柱が上がる。
 澄み渡った空、それを見上げた彼は帽子を被り直し、
「さて、もう一つ仕事が残っているかな」
 水底へと視線を落としながらそう呟いた。


 映画監督――アレンという名の青年は悩んでいた。
 先程の紳士な猟兵との会話で少々心に余裕が出来たものの、彼を悩ませているのはシーンの構成。カメラマンが頑張った甲斐もあって、猟兵達の迫力ある戦いや演技のシーンはしっかりと撮影されている。
 しかし、映画というものの時間は限られている。全てをそのまま、では監督の意味もない上に冗長で面白みもない事になってしまう。
 どこを削るか、どのように編集するか。熱意だけではどうにもならない壁に、青年監督はぶち当たっていたのだ。 
「悩んでいるのかい?」
 戸の開いた気配もないのにかけられた声、またかと振り向いたアレンの前にはトレンチコートの痩せぎすの男。
 先程の封印のシーンでカッパ達を銃弾で次々に撃ち抜き、妨害する役割を演じてくれていた猟兵だ。
「何、長く時間は取らせない。ほんの少しだけ私に時間をくれないかい?」
 そう言うとアランは椅子に隙の無い動作で座ると語り始める。
 何を悩んでいるか、猟兵の質問に監督は素直に答える。どのシーンを残すか、猟兵の皆さんの持ち味を殺さずに映画という形に収め切れるのかが不安なのだと。
 結局は怖いのだと、会話の中でアレンは悟る。何かを選ぶこと、特にそれが全力をかけてくれた物事なのだから、最善を選ばなくてはならないという重圧。
「そうだねえ。ピンチを脱するには一発の弾丸さえあれば問題ない。わざわざ銀の弾丸なんか探さなくても良い」
 一通り聞いたアランはそう言葉にする。
 銀の弾丸、即ち厄介な物事を一発で解決させるような手段はないのだと。
 けれど時間はかかるが解決させるための手段ならばそこに在る。最善の特効薬を求めずとも一つ一つ進めていけばピンチというものからは脱出出来るのだと。
「必要なのは確信と祈り、ハートって奴さ」
 信じて進めばいい、そう言ってアランは穏やかに笑う。
 ――UDCアースでその名は架空の映画監督の名である彼、それと関係があるのかは不明だが、彼のアドバイスは迷える映画監督を後押しするには十分だったようだ。
 映画監督の眼に宿った意志を確認したアランは、満足したように部屋を後にしたのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第3章 ボス戦 『深き野菜の伝道師の鑑ミズニ・フカヒレ』

POW   :    My Life the same
【自身の過去への尽きない後悔と憎悪 】の感情を爆発させる事により、感情の強さに比例して、自身の身体サイズと戦闘能力が増大する。
SPD   :    No more 鮫魚雷(シャークトーピードー)
【サメ映画のディスクを砕く 】事で【手を負傷しつつ、砕いた映画の鮫姿の魚雷】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    やめろ!俺の心を読み取るな!(シャークニサワル)
【環境映像 】を披露した指定の全対象に【電磁波は怖いという】感情を与える。対象の心を強く震わせる程、効果時間は伸びる。
👑7
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠甘甘・ききんです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●これまでのあらすじ
 地上侵攻を目論む海のオブリビオンの襲撃により氷に包まれたロサンゼルス海岸。 
 卑劣にも人質を取りヒーロー達を苦戦に追い込んだ怪人達に、猟兵達は立ち上がった!
 地上侵攻の為の儀式――海に近い場所でのスポーツ、その勝利により高められた海のエネルギーを用いた海の災厄の顕現。
 その為にヒーローにビーチスポーツを仕掛け人質を盾に勝利を狙う怪人の野望を、奇術師と紫の巨漢が阻止する。
 二人の活躍によりビーチスポーツ対決で敗北を喫し、さらに白い毛玉や黒き人狼、そして氷上を走る冒険商人の活躍で人質が解放された結果、ヒーロー達も一気に巻き返していく。
 自棄になったか暴れ始めた怪人達。しかし猟兵達が負けるはずもなく、巨大な炎の魔狼の突撃に怪人達は蹴散らされ、凍り付いた海岸は熱に溶かされ解放されたのであった。
 ――だが、その猟兵達の勝利の影でサメ達も静かに、ヒーローと猟兵、そしてオブリビオンの血で牙を紅く染め上げていた。

 調査の末、儀式の要の地の情報を得た猟兵達は、儀式阻止の為にハワイ沖へと向かった。
 蒼く煌めく大海原と大空の間でサーフィンにより海のエネルギーを高めるのはスポーツチーム・アイオワオブリビオンズ――スポーツを得意とするカッパ達だ。
 サーフボードのみならずサメをも騎乗動物として従え、魔力を高めていくカッパ達。だが、猟兵達はそれらをも凌駕する。
 二人に分裂したトレンチコートの青年や、そして東方の女羅刹が片っ端からサーファーカッパ達を叩き落とし、集まってきていたサメ達の餌食にしていく。
 猟兵達の攻勢に、幹部らしき狐面のカッパ達も参戦する。しかしそれらも紫電纏う豪快な剣技により一網打尽にされ、難を逃れたものも部族の霊の力を借りし奇術師の手により討ち果たされる。
 しかしカッパ達も用意周到であった。彼らの仕掛けた陣は敵味方無差別に犠牲となった者の力を吸い上げ儀式の触媒と為すもの。
 儀式の進行とともに高まる力は、サメを乗りこなさんとしていた悪漢の僅かなミスにつけこみ餌食にしてしまう程。
 儀式の担い手が数を減らしていくにも拘らず、儀式に誘き寄せられ活発化するサメや薄れる事のない異常な気配からそれを察知した猟兵達が陣の中心へと向かう。
 儀式を加速させ、向かう猟兵に抵抗を試みるカッパとサメ達だったが、それらを潜り抜けた紳士的な猟兵が放ちし陰陽の術により浄化する事に成功。
 穏やかなハワイの海は取り戻された――そのように見えた。
「さて、もう一つ仕事が残っているかな」
 痩せぎすの男が水底へと視線を落とし、呟く。
 邪悪な気配はまだ完全には消えていなかった。

●アトランティスシャーク!
 儀式の破綻により殆どの力は大気と大海原に溶けて消えた。
 だがほんの一部、浄化しきれなかった力が海底へと沈んでいった痕跡を発見した猟兵は、深海に栄えし海底都市アトランティスへと至る。
 オブリビオンとサメに支配されたその海底都市は薄暗く、静まり返った廃墟のよう。
 ――そんな都市の中心だけ不思議と明るく照らされている。
『ククク……予定からは随分と外れたが、俺が手に入れた力の前には些事』
 その地に陣取り宣うオブリビオンからは圧倒的な力が発せられている。
 その姿はサメを擬人化したような奇妙な怪人。海の災厄の顕現こそならなかったが、それをただ一人を強化する為の力として利用しているのだ。
『来るがいい! お前達を葬り、そして地上を侵略し尽くしてやろう!』
 サメの怪人がそう叫ぶと、アトランティスのサメ達が一斉に猟兵へと敵意を向け、そして突撃を開始した!

『あらすじとしてはそんな感じですね!』
 以上、これまでの内容は監督が説明した大まかな内容だ。
『どうかよろしくお願いします!』
 冒頭シーンを撮り終え、先程までの雰囲気とはうって変わりフレンドリーに挨拶してくるサメ怪人は着ぐるみだ。ユーベルコードっぽい現象はヒーローが頑張って再現するらしい。
 廃墟じみた海底都市――修復の終わっていない一角を撮影現場として利用し、サメ達はこれまで温存できたメカサメを修理しつつそれっぽく使用。
 ちなみに、一部のカッパのサーフボードをサメに合成して騎乗した画を作っていたりもしていたが、その技術の応用で見た目はまるで無傷で生き生きとした動きも可能だ。
『ここまで凄くいい映像が取れていると思います。繋ぎとかは考えないで大丈夫ですから、映画のラストに相応しい、皆さんなりの最高の演技をお願いします!』
 そう監督は明るく締め括り、慣れた様子の撮影班がそれぞれ持ち場へと移っていく。
 そして、アトランティスでの撮影が開始された。
日東寺・有頂(サポート)
 人間の化身忍者×アリスナイト、19歳の男です。
 普段の口調は長崎弁風+αで「オイ(一人称)・やんね・アンタ・〜や・〜やけん・〜たい・〜と?」などですが
「〜ですー・〜ますー」とですます語尾を伸ばしてみたりもします。
ノリが軽く暢気でマイペース。おとぼけながらも戦いは愉しみます。
化身忍者的な戦術にはまだ疎くシノビな自覚も薄いですが、時にそれっぽく振る舞いたがります。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我は厭わず積極的に行動するばいね。他の猟兵に迷惑をかける行為はせんです。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしませんヨ。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいしますー。


グレース・マクローリン(サポート)
口調 フレンドリーで中性的(アタシ、~君、~さん、だね、だよ、だよね、なのかな? )
怒った時は チンピラ(アタシ、お前、だ、だね、だろう、だよね?)

言動:表向きはフレンドリーな態度を装ってるが実際は狡猾で計算高い。…が直情的なのでその場のテンションの高低や感情に左右されがち。

敵対するなら女子供や愛玩動物類などにも容赦はないが、昆虫や節足動物に対してはやたら感傷的になる。

戦闘時には刀剣や長物に銃火器等なんでも使用する。


シアン・ナアン(サポート)
『まずは自分を壊しちゃお!世界もどーせ壊れてるから!』
『自由こそ真の秩序……』
『シアン難しい話わかんなーい☆』

◆口調
コロコロ変わり、ぐちゃぐちゃである

◆行動
戦闘、遊び、調査等何をするにも分身を使って活動する
分身も意識があり区別がつかない
行動指針に一貫性がなく都度変わる

爆発物好き、派手好き

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、怪我や死ぬことも厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為は多分しません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動は恐らくしません。
 つまりはだいたいおまかせ。よろしくおねがいします!!



『来るがいい! お前達を葬り、そして地上を侵略し尽くしてやろう!』
 サメ怪人がそう叫び、その眷属たるサメ達が一斉に猟兵へと突撃を開始する。
 サメ達のホームグラウンドである海中、
 ――だが、猟兵達の敵ではない。
 適応光線により呼吸と水圧の問題を解決している猟兵達は動きこそ少々鈍りはしているが、海中でも戦闘に支障はない。
 サメ達の突撃を海賊風の格好の少女は船のアンカーから削りだしたような大剣を振るい、真っ向から受け止めそのまま両断する。
 彼女グレース・マクローリン(コスプレ海賊・f12443)が一体切り裂けば、その隙を突いてに二体のサメが群がる。軽い舌打ちと共に大剣を一旦手放し後方へ跳躍、即座に槍を構え喰らいつき損ねたサメ達の腹を連続で刺突、その動きを止める。
「さあさサメさん達を壊しちゃお! どーせ皆ぶっ壊れてるみたいなもんなんだし!」
 とびきり目立つピンクの髪にギョロっとした目玉の髪飾りを付けた少女はシアン・ナアン(自己壊乱・f02464)、サメ達の突撃をきゃあきゃあ言いながらサブマシンガンの銃弾をばら撒き迎撃している。
 さらに追加でばらまく爆弾も水中仕様、盛大に炸裂しサメ達の感覚を潰しその統率を乱している。
 ――それ以前にシアンの性格から来る一貫性のない気まぐれすぎる動きの時点で十分攪乱はできているのだけれども。
 そしてそんな混乱の中日東寺・有頂(ぷてぃんぐ(心結様寄贈)・f22060)は忍者らしい迅速な動きでサメの噛みつきを回避、ナックルガード付きのナイフで切り裂き援護攻撃を行わんと向かってきたサメの鼻面に忍者手裏剣を投擲し、怯んだその隙に回避。
 相当な速度、だがそんな彼らの動きを、ここまで撮影に付き合ってきたスタッフ達は余すことなくカメラに捉えている。
 目標はサメ怪人、敵のリーダーであるアレを討てば戦いは終わる。
 ほんの一瞬、サメ達が泳ぐ隙間を縫って狙い澄ました一投を放つも、サメ怪人は手に持った円盤でそれを弾く。
 更にサメが円盤を砕けば、その全身が魚雷のような形と化し周囲の眷属以上の速度で有頂に突進する。
 距離があったからかその攻撃は難なくかわしたものの、
『シャークックック! どうした猟兵、近づかなければ攻撃にはならぬぞ!』
 高笑いするサメ怪人が言う通り、水の抵抗の影響で遠距離攻撃を通すには少々難しい。
 完全に意識の外から攻撃するならばまた別の結果もあるのかもしれないが。
 だが、そんな道理は思案には通らない。
「ぜーんぶぶっ壊しちゃえばいいんだよォ!!!!」
 急にそう叫んだシアンから彼女そっくりの分身達が召喚され、その中に紛れたシアン本人と共に周囲に散開。
 分身達の動きに反応したサメ達は即座に喰らいつくが、その牙が彼女達に突き立てられた瞬間に自爆。
 サメの残骸が海中にぶちまけながら、シアンとその分身達は無差別に周囲を道連れに自爆し破壊していく。
 一方。
「これだけ数が居ちゃキリがないね!」
 苛立ったようにグレースが叫ぶ。一体一体はそれ程でもないがひたすらに数が多い。周囲を見ればサメだけでなく猟兵達の血も混じり海が赤く濁ったようにも見える。
 サメ達の攻撃は接近しての喰らいつきが主たるもので、元々のファイトスタイルと大して変化はない。だからこそ数の優位もありサメ達は徐々に優勢になってきているのだ。
 迫ってきたサメに小型の手斧を振るい、鮫の刃を叩き折ったグレースは洞簫棒――簫型の鉄笛を取り出すとそれを口に当て、吹く。
 奏でられる音色はまるで伝承にある海底の城のような美しい響きを以て戦場に響き渡り、それに共感した猟兵達の傷口を緩やかにふさいでいく。
 だが数の優位で押し切らんとしていたサメ怪人は、奏でられる鉄笛の音色に苛立ちを隠さない。
 幾ら傷をつけても治療されては計算はすべて水の泡となってしまうのだから。
『ああどうしてどうして! 作戦のどこが間違えていたというのだ!』
 そんな後悔を呪詛めいた怨念と共に叫べば、サメ怪人の体は巨大化しその暴力を猟兵、そして周囲の廃墟に叩きつけんとする。
 だが、
「ちょいとこっち向いてくれんね!」
 海中によく通る声が響く。サメ怪人がその声に迂闊にも視線を向ければ、その瞬間怪人の感覚がブラックアウトしたかのようにきょろきょろと首を振り手足を不安げに振り始める。
 有頂の放った感覚を縛る術、もといユーベルコード。ヒーローズアースの市民的にウケがどうなのかはともかく、シノビっぽくはあるかもしれない。
 巨大化は恐ろしい戦闘能力の強化となるが、動けずその力を振るえないのであればシアンにとっては的を増やすだけ。
「んー、シアン難しい話わかんなーい☆」
 てへっと愛嬌のある声色の同じ顔をした彼女達は、サメよりも恐ろしい悪意の笑みを浮かべ、一斉にロケランを構え発射、連続して炸裂するその爆風に紛れ、巨大化したサメ怪人に一斉にとりつきロケラン以上に強烈な爆発をサメ怪人に叩き付けた。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

天王寺・七海
出たわね、サメ怪人。
あんた達のような輩に、海の秩序を乱させるわけには行かないわ。
まぁ、ここは、群れの仲間と一緒に出てきて、サメを排除しに行くわ。

ちょっと、ここは、サメの行動を乱しながら戦っていくわ。
あと、怪人には、エアロストームよ。
これ使うと、一回、陸上に呼吸に行くけど、群れの仲間にフォローしてもらって、再び水中に潜ってガブガブしていくわ。

あ、機械は壊さないようにしておくわね。どうせ、他の人たちの直接攻撃系のUCで壊されそうだしね。


ヴィクトルさんには、あとでハリウッドの土産でも買っておこうかしらね。

アドリブ歓迎


フィロメーラ・アステール
「捨てるサメあれば拾うサメあり……」
サメにもいいヤツとわるいヤツがいるはず!
つまりラストは怪獣大決戦でどうだー!

【下天あらたむ五行の星守】を使うぞ!
これで辺りの海の水からサメを作り出し、【全力魔法】で巨大化した敵に匹敵するサイズにするぞ!
水っぽい姿だと目立ちにくそうなので【迷彩】魔法を応用し、白いとか光ってるとか【存在感】あふれる見た目に色替え!

あとは【水中戦】でも【空中戦】でも自在にどったんばったん【パフォーマンス】の雨あられ!
あたし自身も「アレはまさか伝説の!」的な解説【演技】するよ!

最後は海に還る所を見送るとかでどうかな!?
自然を傷つければ、あのサメは人にも牙をむくであろう……的な。



 ハワイ沖とは違い、全てのサメが猟兵達に牙を剥けるこの海域、廃墟と化した区画と漂うサメの残骸はとても無残な姿で、それでもサメ達は敵意を向ける事を止めない。
「捨てるサメあれば拾うサメあり……」
 だが、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)は諦めてなどいなかった。
 全てのサメが悪いわけではない。サメにもいいヤツとわるいヤツがいるはずなのだ。
「つまりラストは怪獣大決戦でどうだー!」
 えっ、とその時監督が思ったのかは知らない。

『おのれ……! だが! だが! まだ倒れぬ!』
 無数の爆発を受けてなおサメ怪人は立ち続け、元のサイズに戻ると同時にその傷がみるみるうちに塞がっていく。
 儀式の残滓とはいえ元が世界をサメで満たす程の強大な儀式、サイズを戻せばこの位できるとの事だろうか。
『牙を突き立てろ! 我が眷属よ!』
 そしてサメ怪人が咆哮をあげれば配下のサメ達――サメの念波により凶暴な鮫のイメージ映像を脳に直接注ぎ込まれたサメ達は、主たる怪人を守る為に自身の身を盾にし猟兵達の進行を阻まんとする。
 しかしそんなサメ達の真上、海面付近より白黒のシルエットたちが先行してくる。
「ああっ、アレは伝説の知恵あるシャチの群!?」
 キラキラ戦場を軽やかに飛び回るフィロメーラがそう叫ぶ。
 現れたのはシャチの群、バイオモンスターである天王寺・七海(大海の覇者・f26687)とその仲間達だ。
「出たわね、サメ怪人。あんた達のような輩に、海の秩序を乱させるわけには行かないわ」
 その姿を見た瞬間、サメ達の統率が乱れる。まるで怯えた様に逃げようとし、けれどすぐに戻りうろうろとする姿は恐怖と怒りの二律背反に迫られたかのよう。
 シャチとはサメの天敵だ。横からサメの腹に体当たりしてひっくり返すだけ、それだけでサメは動かなくなってしまう位に肉体的なスペックが違い過ぎる。
 さらには群成して襲い掛かってくるという数の暴力の前に、散り散りに逃げ出さないだけ怪人の支配力の高さが伺えるというもの。
 けれど精神論でどうにかなるような優しい世界ではなかった。
 シャチの群が次々にサメを突撃し、ひっくり返し、動かなくして行く。家族であるその群れの連係プレーは随一、儀式により強化を受けているサメでさえも崩す事は叶わない。
『くっ……こんな所で奴らが現れるとは……はっ!』
 そんな惨状に舌打ちするサメ怪人、けれどその背後から迫っていたのは群の仲間と比べやや小柄なシャチ、七海だ。
 真下に潜り込み海面へとトス、そして頭頂の呼吸器をサメ怪人へと向け、
「空気の有り難味、知っておくのね」
 一気に空気を噴射する。水面へと一気に立ち上る大量の空気はサメ怪人を巻き込みその身を滅茶苦茶な気流、水流により縛り上げて。
 だが、怪人はそれに対し巨大化する事で振り切ろうとする。
「星を廻る命の形……」
 ユーベルコードを起動したフィロメーラの周囲の海水が流れ一つの形を創り出す。それはサメ、巨大化した怪人と同等のサイズのそれはフィロメーラ本人のようにきらきらとした輝きを放ちながら怪人へと喰らいつく!
 それはさながら怪獣決戦。暴れ回るサメ怪人と海水のサメは大迫力。
 そして海水のシャチがサメ怪人の脇腹に喰らいつき、大きく食い千切った。

●終幕
 そして戦場は静まり返り、ボロボロになったサメ怪人が海底に横たわっている。
 水面へと一度浮上し一息ついた七海が再び潜航してきた。彼女が一時戦場を離れている間も群の仲間はサメ達を次々に蹴散らし、喰らいついて引き裂いていた。今は残党がいないかアトランティスの廃墟を巡っているよう。
『……敵わぬか』
 サメ怪人の体が崩れ出す。その身体はまるで海に溶け込み還っていくかのよう。
『だが覚えておけ。自然を傷つけるものある限り、サメはお前達に反撃の牙を向け続けるのだと――』
「そうならないようにあたし達が頑張るんだから!」
 フィロメーラがその言葉に力強く返す。その言葉を聞いたサメ怪人は満足げにサメの口元を歪め、そしてその身体全てが崩れ去り海へと溶け込んでいったのであった。
 いつの間にか周辺に集まったシャチの群達は、それを見届けた後大海へと再び泳ぎ出す。
 言葉は交わさない、けれど何となく心が通じ合ったような感覚がそこにはあった。

 かくしてロサンゼルスより続いていた一つの儀式に関する戦いは幕を閉じたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ミント・キャラメル
クライマックスですねぇ。
最後はきっちり決めたいですぅ☆

「やめろ!俺の心を読み取るな!」に対し、ユーベルコード「ガラスのラビリンス」ですぅ。
ガラスの配置や角度を微妙に歪めた状態の迷宮で、環境映像をサメ怪人さんに全反射しちゃいますぅ☆

「確かに地上の歴史は、人間が汚染してきたものかもしれませんねぇ。ですけど、地上を愛している気持ちは、きっと同じなんですぅ。その気持ちを力に変えられるのが、ヒーローであり、猟兵なんですぅ。だから、わたし達が、この地上を、世界を守ってみせますぅ」

「コズミック・イリュージョンですぅ☆」
コズミックリングのエネルギーでフィニッシュですぅ。
トドメなら、力を使い果たして倒れますぅ。



 海水のシャチが巨大化した怪人の脇腹に喰らいつき、ごっそりと削り取る。
『かくなる上は……!』
 そして呟くと同時、シャチや猟兵達と戦っていたサメが一斉に怪人へと向かい泳ぎ出す。
 サメの群に身を隠そうとでもいうのか――それを察した猟兵が追撃にかかるが間に合わない。
 巨大化を解除した怪人をサメ達が完全に隠そうとしたその瞬間、サメが何かに衝突したかのようにその鼻面をひしゃげさせる。
 そこにあったのは透明な見えないガラスの壁。
『な、なんだこれは!』
「――クライマックスですねぇ」
 少女の声、奇術師の格好をしたミントが怪人の前に姿を現しそう告げる。
『まだ終わりではない! 穢された地上を侵略するまではこの力を継承せねばならぬのだ!』
 そう叫び、周囲に念波で環境映像を投射する。それはどこかの地の悍ましく穢された下水道、或いは人のいない地底楽園。
 ――或いは、この怪人の動機はそれなのかもしれない。
 そしてそれらを生み出した人類を喰らい尽くすサメの群、血を撒き散らし文明を破壊し、穢された地を海で満たすアジテーション映像。
「確かに地上の歴史は、人間が汚染してきたものかもしれませんねぇ」
 しかし、ミントはそれらを前に怯まない。
「ですけど、地上を愛している気持ちは、きっと同じなんですぅ。その気持ちを力に変えられるのが、ヒーローであり、猟兵なんですぅ」
 この時点でミントの仕込みは終わっている。ガラスの迷宮は微妙に配置や角度が歪められ、光を内側へと反射し返す構造となっていた。
 故にその映像は外のサメには届かない、それどころか自分自身の恐怖心を煽る結果となってしまう。
 その恐怖心に動きを止めた瞬間をミントは見逃さない。
 大宇宙の力を秘めたリングが輝き、その貯えたエネルギーを一気に放出する。
「コズミック・イリュージョンですぅ☆」
 そのエネルギーは迷宮を反射し、収束点であるサメ怪人を一気に貫いた。
 プリズムを通したような七色の輝きはまさにイリュージョンと呼ぶに相応しいだろう。
「……だから、わたし達が、この地上を、世界を守ってみせますぅ」
 言い終えるとミントはふらつき、きゅう、と倒れ込む。全ての力を込めた一撃、本当に力を使い果たして倒れてしまったようだ。
 けれどもサメ怪人も倒れ伏したまま動かない。
 そして迷宮が解除されたそこに、きらきら星の輝きを纏うフェアリーと小柄なシャチが駆けつける。

●オールアップ!
 ――はい、カット!
 その声と共にサメ怪人とミントはむくりと起き上がる。
『あー怖かったですー!』
 映画撮影用に猟兵達が手加減していたとはいえ、爆発やら巨大シャチやらの攻撃を着ぐるみの中から間近で見ていたサメ怪人役の青年。
 被り物を取り安堵の息を漏らす。
『このシーンはさっきの終幕の直前に差し込む形で……それからこの部分は此方に回した方が……』
 監督も映像を確認しながらよりよく映像作品として見せる為に調整を始めている。
 半端に残っていた廃墟もすっかりと更地に近い状態となり、復興作業もやり易くなっているだろう。
『えーと巨大撮影用の着ぐるみ、結構派手にダメージ喰らってますけれどどうします? 補修はイケそうですけど』
『あー……もしかするとまだ会社で使うかもしれないからできる限りで補修しておいて』
 十数メートルはある巨大化サメ怪人撮影用の巨大着ぐるみも脇腹に噛み跡、全身に爆発による破れ目が所々に見えるものの、修理は可能。
 そして猟兵達の猛攻に加えシャチ達にあれだけ牙を突き立てられ、引き裂かれたメカサメ達もそこまで大きな故障はないようだ。
 致命的な故障にならない部位を狙っている辺り、猟兵のみならずシャチの方も上手く加減していたのだろう。
『怪人の巨大化とか派手に斬られるサメの補正とかCG使いそうだが……予算あるのか?』
『ええと、心配してくれていた猟兵の方がいたおかげでまだ予算も十分あります!』
 そんな風に相談しながら後片付けを済ませ。
『これで撮影終了です! 猟兵の皆さんありがとうございました!』
 監督の宣言と共に歓声が沸き上がる。
(「あとでハリウッドの土産でも買っておこうかしらね」)
 そんな事を考えながら、小柄なシャチの猟兵は群の仲間と共にヒーローズアースの大海へと泳ぎだしていった。


 ――アトランティスの決戦は、サメとの戦いであった。
 一体のオブリビオンに集束させた巨大儀式の力は残滓であってもすさまじく、周囲の海域のサメを集め猟兵にすら匹敵する程に強化して操る怪人。
 汚染された地上の歴史、自然――それらを憎むかのようなオブリビオンとその眷属達はヒーローズアースの未来を喰い尽くさんとする。
 だが、猟兵達は負けなかった。
 無数のサメを驚くべき戦闘技術で掻い潜り、切り伏せ、そして巨大化までした怪人を援軍としてやってきたシャチ達の力を借りながら致命傷を与える。
 そして更なる足掻き、悪意の継承も力を振るう自身の醜さを映し返される事で封殺。
 完全に力尽きた怪人は自然を穢す人間達への警告を残し、それへの返答に満足した様子で母なる海へと還っていった。
 そして猟兵達は次の戦いへと向かう。
 一つの海の儀式を潰したとはいえ、ヒーローズアースを狙う悪意はまだ完全には討ち果たされていないのだから。
 ――この場ではその戦いを描く事は叶わない。
 それはいつかまた、他のスクリーンで描き出される事だろう。

 暑い夏の始まりに公開されたこの映画は、ヒーローズアースの人々にはパニックアクションとして受け入れられた。
 特に海でのオリエンタルな猟兵達のアクション、今年新たに加わった知られざる文明の一つであるアトランティスでの映像は好評で、売り上げの方もそれなりに期待できそうとの事であった。
 監督も役者もこの映画の撮影で多くを得、学んだからにはきっと大きく成長しのし上がっていくのだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年07月30日


挿絵イラスト