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目指せ!商売繁盛招きイェーガー

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 群青色の空、白く点々と輝く星。澄んだ空気に包まれた夜空はどこまでも美しく広大であった。夜空に寄り添う静寂はその下で暮らす生き物全てに安らぎと癒しを与えている。
「グギャオォォォォ!!」
 しかしその静寂もけたたましい咆哮、広げる翼、明らかに周辺の動物よりも巨大な体躯が羽ばたく音によって無残にも破られてしまう。巨大な影は空中でもう一度吼えた後、グライダーのように滑空しながら人里目掛けて飛んで行く。その一部始終をただ月だけが静かに見守っていた。


「お店の売り子さん募集中です」
 エルデラント・ズィーマ(ロストメモリーズ・f02581)は無表情で店の売り子を募集していた。手には手作りらしいチラシを何枚も抱えている。
 は?何言ってんのコイツ。と言わんばかりの視線を向ける猟兵たち。呆れて通り過ぎる者もいればグリモア猟兵が呼び掛けてるしオブリビオン関係なのだろうと推測して話だけはと聞きにくる者もいた。
「あっ、すみません。こちらは本筋ではございませんでした。実はアックス&ウィザーズで夜中にオブリビオンが周辺の村を狙う予知を確認しました。なので夜になる前に退治したいのですが……」
 そこまで続けてから言い淀むエルデラント。どうやら場所をド忘れをしてしまったらしい。どこからか罵声が飛ぶ。当然だ、世界の命運をド忘れで片付けてはいけない。エルデラントは声音だけは怯えた様子で続ける。
「で、ですが手掛かりがあります!実は現地で何日も前からオブリビオンを目撃したという商人の方がいらっしゃったんですよ!なのでその方から聞けばすぐに場所は特定可能です!」
 だがそれには条件があるという。それは店の客引きとして力を貸してというものであった。商人故にギブ&テイクを重んじているらしい。
 店の商品は冒険者向けの道具から日常道具、中にはちょっと珍しい嗜好品まで幅広く取り扱っているのでとにかく人さえ集められればある程度の収益は見込めるという。
「やり方はお任せします!ですけどお店の商品は壊したり勝手に使って実演販売とかはダメです。客引きに徹してくださいね」
 例えば手当たり次第声かけをしたり、特技を披露して注目を集めたり、店の陳列や看板をより魅力的なものにしたり……と、彼女は続ける。
「すみません。ちなみにワタシは接客業に向かない表情らしいのでお手伝いできません……ご迷惑をおかけしますがよろしくお願いします」
 無表情のまましょんぼりして声だけは泣きそうになりながら、エルデラントは参加を決めた猟兵たちを現地へ転送するのであった。


ぷっさん
 招き猫の発祥地は諸説あるそうですね。MSのぷっさんです。
 今回はオブリビオン退治となりますが、その場所が分からない状態となっています。
 唯一の手がかりをもっている商人から情報を聞き出すためにお店の客引きの手伝いをしてください。
 舞台となる村は小さいコミュニティなのでちょっと目立てばすぐに人は集まります。接客は商人に任せてパンクするくらい人を呼んでしまいましょう。
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第1章 冒険 『店の売り子手伝い』

POW   :    とにかく通りかかる人に声をかける

SPD   :    自分の特技を披露して衆目を集める

WIZ   :    商品の配置や看板などを魅力的なものに改善する

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🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

結城・蓮
招き猫なら任せておくれよ。
人目を惹くのは得意なんだ。
黒猫の招き猫と思って侮ってもらっては困るよ?

それじゃあ本業のマジックで集客と行こうか。
世紀のマジシャン、RENのマジックをご堪能あれ。
さて、それではお立会い。

取り出しましたるはただのトランプ。
これを一枚抜き取ってこの帽子に入れまして。何もおかしな所はありませんね?
ではこの帽子をくるりと一回転すると。あら不思議、綺麗なお花に早変わり。どう、びっくりした?

このお花はそこの商人さんからお買い物をしてくれた人に差し上げよう。
今ならお花に変えたこのサインつきトランプもあげちゃおう。
何なら握手もしていくかい?




「さぁさぁそれではお立ち会い。世紀のマジシャン、RENのマジックショーが始まるよ」
 クールな声音でありながら、聞き取りやすい通りの良い声で呼び込みをする黒猫のような姿のキマイラは結城・蓮(チキチータ・マジシャン・REN・f10083)である。
「まじっく?なんだいそりゃ」
「その紙でなんかするのかい」
 村人はマジックという聞き慣れない単語に興味を持ったのか、通行人はちらほらと蓮の元へと集まって来た。蓮の両手には一枚のトランプカードとシルクハットが握られている。
「その通り。これは中身の無い帽子とただの紙。この紙を帽子の中に入れてっと」
 蓮はシルクハットの中を観客に見せ何も無いことをアピールする。続いてトランプのカードを1枚、観客の男に触らせる。男は最初は訝しんだが、表を見ても裏を見てもただの紙であることを確認すると再び蓮の元へカードを返した。
「そしてこの帽子を一回転させるとー……はいっ!」
 掛け声と共に帽子からこぼれ落ちたのは小さなサイズの赤い花束だった。一瞬の変化マジックは瞬く間に観客を魅了していく。
「おい!一瞬にして紙が花になったぞ!?魔法か?いやしかしこんな魔法は見たことない」
「錬金術かもしれないぞ。お前さん一体何者だい?」
 観客は各々が驚きの声を口にする。彼女のマジックの手腕は最早魔法と見間違えても不思議ではないくらい手際よく鮮やかなものであった。
「ふふっ、ボクはしがない旅芸人だよ。さぁこの花束を……」
 蓮はギャラリーを見渡してお店で道具を買ったついでにショーを見にきた女性の観客に目を付ける。橙と蒼の澄んだ瞳が女性の金の瞳を捉えるとニコリと微笑んだ後、その女性客へ静かに歩み寄った。
「お嬢さん。今日はお買い物とボクのショーを見てくれてありがとう。そのお礼にこの花束は貴女にあげよう」
「まぁ素敵!ありがとう、大切にさせてもらうわ」
 女性客はとても嬉しそうに花を受け取る。今回は猟兵として仕事をこなしているが、何よりも自分の芸が驚きや喜びをもたらす。そのことが蓮にとって芸人冥利に尽きると改めて感じられた瞬間であった。
 良いものを見せてもらったと観客が店の品物を購入していく。マジックという新しい刺激は観客にとっても商人にとっても、大きく実のある出し物であった。

成功 🔵​🔵​🔴​

御狐・稲見之守
ふむ、ワシ商売繁盛の神様でもあるし力を貸そうではないかの。ところでふりふりの売り子服とかあるのかの? ワシ着てみたいんじゃが。

[WIZ]商いをするならば風通しは大事ぞ。金運は流れゆくもの、通り道を作ってやらなくてはな。窓は開けておきなされ。建物の西に黄色のモノを置き、鬼門の東北には水物は置かずキレイにすること。この世界に風水があるかって? 知らん。

あとは客の買い方を「目的買い」と「衝動買い」の分類に分け、衝動買いされる傾向にある小物、消耗品、菓子などは店内で目立つ・手に取りやすい場所に配置すること。目的買いの者は、それを探して見つけるゆえにあまり消費されづらいモノは店の奥の方に置いてよかろ。


リヴィア・ハルフェニア
出来るかぎり頑張るとしましょう。

まず思いつく事といえば、沢山のお客様に来てもらう為にも看板は大きくて、何処からでも見えやすく分かりやすい物の方がいいと思うわ。
もしくは人の目を引く何かインパクトのある看板に変えるかね。

あと、通りかかる人にも目立ちやすい場所で大きな声でお店の宣伝をしましょうか。【パフォーマンス、優しさ、誘惑】
もちろん礼儀正しくね。どこかで商売ではお客様は神様とたしか聞いた事があったわ!

他はお客様が買い物をしている時にもし商品が見づらそう、探しづらそうなら陳列を改善するのも良いわよね?【学習力】

一先ず思いつく限りはしてみたけれど、お客さん沢山来るといいわね‥。

≪アドリブ、絡み歓迎≫




「ではわしらは店そのものに手を加えて集客をしてみるとするかの。リヴィア殿、手伝ってはもらえぬかえ?」
「勿論よ。私も協力するわ」
 店改造計画に意気揚々と声をあげるのは御狐・稲見之守(お稲見さん・f00307)とリヴィア・ハルフェニア(歌紡ぎ、精霊と心通わす人形姫・f09686)であった。しかし、稲見之神はいつもの巫女装束ではなく、フリルのついたウェイトレスのような格好をしている。どうやら店のアルバイト用のものを店主に頼んで借りたようだ。
「ふふふ、フリフリの服じゃ。気分が高鳴るのう」
「そんなに気に入ったのね……」
 リヴィアは妙にテンションの高い稲見之守を見てちょっとだけ付いていけるか不安に思いながらも、二人は順調に打ち合わせを進めていくのであった。


「では表は私の担当ね。すぅー……こんにちはー!冒険道具から日用品まで取り揃えた道具屋、営業中でーす!」
 表を担当するのはリヴィア。人通りの多い道の脇で大きな看板を両手に持ちながら大きな声で人々に呼び掛けをする。その声は雑多な中を駆け巡り、人々の注目を集める。しかし、声以上に視線を釘付けにする要素が彼女にはあった。それはーー

『あなたの生活に寄り添う一品。道具屋良いとこ一度はおいで』

 彼女の手に持つ看板。配色は極彩色……といえば聞こえはいいが、有り体に言えばサイコチックな配色で彩られており、文字に至っては太陽の光に反射して都会のネオンサインのようにピカピカと無駄に輝いていたのだ。
「お嬢ちゃん、まぁ何ともデカくてケバ……いや、目立つ看板持ち歩いてんなぁ。というかこの先に道具屋なんてあったのか」
「あら、こんな重そうなもの持って客引きなんて頑張るわねぇ。折角だし寄ってみようかしら」
 だが見た目が非常にインパクトがあったこと。加えてリヴィアが猟兵であることを知らない町人にとっては明らかに大きく重そうな看板を持った女性、という絵図がどことなく健気に見えたのだろう。いつのまにかリヴィアの周りには人集りができており、集客という意味では大成功と言える状態であった。
「はい!品揃えも質も凄く良いものが揃ってますよ。私がご案内しますのでついてきてくださいね」
 リヴィアが歩けばハーメルンもかくやという側から見れば怪しい行列が町の中を闊歩する。先頭でこんなド派手な看板を持つのはちょっとどころかかなり恥ずかしい。そんな風にも思っていたリヴィアだったが、上手く行ったから我慢しよう。そしてインパクト勝負は程々にしておこうかな……と心の中でこっそり思うのであった。


「さて、店主よ。これからわしの言うように店の状態と品物の配置を変えてくれぬかの」
 店の中を担当する稲見之守。彼女は現人神としての知恵と経験を活かして指示をしていく。窓を開けて風通しを良い状態にし、店の西側に黄色い商品を纏めて置く。北東には水物を避けるようにしてもらい、南東にはオレンジ色の商品を纏めさせた。いずれも金運や商売運に基づく配置である。
「ふうすい……ってのはよくわからねぇがこうすると人が集まるっていうまじないかなんかってことだろ?これで人が来るならアンタの言ってることは正しいってことだよな」
 風水という習慣がこの世界には無いのか店主は初めこそ良く分からなさそうな雰囲気ではあったが、色に統一感があると見栄えも良くなるし悪くはないと納得して商品の配置を変えてくれた。
「そしたら次じゃな……これは店主殿にも分かる理屈じゃろう」
 続いて商品の傾向別に陳列位置を変えるようにする。稲見之守自身も商品を一つ一つ手に取って確認しながら安価で買いやすい小物や化粧品、纏め買いされやすい傾向のある冒険者向けポーションなんかも店内の目立つ位置や手に取りやすい位置に配置していく。
 逆に消費量がそこまで多くない日常雑貨や珍しい骨董品などはやや奥まったところに配置し、その商品を買いに来た客がじっくり選びやすいような環境を整えた。
「後はリヴィア殿の呼び込みと合わせてどの程度集客が見込めるかといったところかの」
 一通り陳列を終え額を拭う稲見之守。商売繁盛の神として崇められてる彼女にとってはプライドのかかった仕事であった。


「稲見之守さーん!店長さーん!連れて来たわよー!」
「おお!すげーお客さんの数じゃねーか!二人とも助かるぜ!」
「相変わらずド派手でサイケデリックな看板じゃのう。いやだからこそ上手くいったんじゃろうけど」
 ツアーガイドのようにゾロゾロと引き連れて来るリヴィア。店の前まで到着すると重たげに看板をおろして町人に改めてお店の説明をする。店を見た町人の反応もとても綺麗な店、品物の置き方が見やすいなど非常に好評であり、内と外。二人の呼び込み連携は集客として抜群の効果を発揮したのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

明石・鷲穂
楽しそうだなあ。
俺こんな身体してるけど大丈夫か?店の売り子なんて初めてだ。
俺はビーストマスターだからな。【SPD】でその特性を生かそうか。

「空の隣人。秋晴れの空を駆ける俺自身。ちょっと、手伝ってくれ。」
3羽の鷲を呼び出そう。使役して客寄せ。お店に呼べるよう、鷲に店のチラシとか持たせるか。

「日常品から旅の用意までなんでもあるぞ。はたまた世にも珍しい物品もあるかもしれん。」
「さあ、旦那。日常でお困りは無いか。それを解決する物がこの店にはあるかもしれん。何しろ色んなものを取り扱う随一の商人の店だ!」

客にぶつからないよう気をつけながら、鷹を四方へ飛ばし旋回させる。
俺自身も目立つように翼を広げておこう。




「店の売り子なんて初めてだけど大丈夫か?……なんて言ってる場合でもないか。俺に出来ることでやってみよう」
 口で憂いて見ながらも周りが呼び込みに勤しんでいる姿を見て内心楽しそうだなぁと心踊っているのは明石・鷲穂(門前の山羊・f02320)である。彼はビーストマスターであることを活かし、動物を使った呼び込みをしようと考えていた。
「空の隣人。秋晴れの空を駆ける俺自身。ちょっと、手伝ってくれ」
 ピィッと指で笛を吹くと、何処からともなく鷲が三羽現れ鷲穂の腕や肩に止まる。そのどれもが雄々しく立派な体格をしており、じっと指示を待っている。
「よし、いいかい。これを持って町中を飛び回って来て欲しいんだ」
 鷲穂の手には手作りのチラシが握られている。三羽それぞれに飛ぶように指示をしてから飛び立つ鷲の足にチラシを掴ませ飛ぶ方角を指差す。
 鷲は一声鳴くと大きな翼を羽ばたかせながら小さな黒い影となるほど遠くまで飛んでいった。


「後は俺の方も頑張るとするかな」
 鷲を見送った後、鷲穂はふぅっと一息吐き心を落ち着かせる。初めての客引きパフォーマンス、緊張しないといえば嘘だがそれでも動物達となら何とかなるだろう。そんな自信と楽観的な思考が入り混じった気持ちで指笛を鳴らした。
「よってらっしゃい。日常品から旅の用意までなんでもあるぞ。はたまた世にも珍しい物品もあるかもしれん」
 鷲と同じく空の彼方から今度は鷹が数羽飛来し、腕や肩に止まってくる。先程から彼の周りには鳥が群がるのを不思議に思った人々が少しずつ集まっていく。
「さあ、旦那。日常でお困りは無いか。それを解決する物がこの店にはあるかもしれん。何しろ色んなものを取り扱う随一の商人の店だ!」
 その言葉を合図に鷹が四方へ飛び立つ。鷲穂自身も翼を大きく広げ、周囲にアピールをしながら鷹へ指示を出す。鷹は人々の間を器用に抜けながら鷲穂を中心に旋回運動を始めた。
 湧き上がる歓声、そして自然界の強者である鷹を思うがままに操る鷲穂。その姿は人々にとって自然からの遣いの様な神聖さを感じさせるのであった。
 鷲の宣伝したチラシを見て集まった人も幾ばくか訪れ始め、動物を使った鷲穂の呼び込みは店主を満足させるのに充分な成果となった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ミケ・ナーハ
【歌唱】【誘惑】で衆目を集めます♪

「色んなものが売ってます〜♪」
私はすごく歌が上手いというわけではないので
もっと歌が得意な吟遊詩人さんは、たくさんいると思いますけど
耳に心地よい、かわいらしい歌声で【歌唱】して注目を集めます♪

歌声を聞いて、思わずこちらを見た男の人たちが目にするのは
豊満な胸が目立つ、踊り子のようなビキニ衣装姿のスタイル抜群な私です♪

「素敵なもの、素敵な貴方に買って欲しいの♪」
衣装からこぼれそうな豊満な胸を揺らしながら色っぽく踊り
かわいくて色っぽい声で、おねだりするように【歌唱】し
こちらを見た人たちに、かわいい笑顔で微笑み【誘惑】して
お客さんたちを集め、お店を大繁盛させちゃいます♪




「色んな物が売ってます〜♪」
 即興で作ったメロディに即興で作った歌詞を乗せて一生懸命歌うのはミケ・ナーハ(にゃんにゃんシーフ・f08989)歌唱の技能を持つミケは謙遜しながらも魅力的な歌声を店前で披露する。
 綺麗な声に魅せられてついつい足を止める客も現れた。妙に際どい衣装のせいか、はたまた可愛らしい声のせいか、心なしか男性客の比率が高い様にも見える。
「おいおい朝からすげーな……」
「ちょっと刺激強過ぎるんじゃないの?」
 観客が増えても動じることなくミケは歌い舞い続ける。中には少々刺激的なためか立ち去る者もいたが、確かに集客の効果はそこにあった。
「素敵なもの、素敵な貴方に買って欲しいの♪」
 視線が釘付けとなる観客へと笑顔を振りまく。妖艶なミケの声、身体、仕草の全てを武器としてこれでもかと見せ付ける。朝からまさかの踊り子ショーになるとはと店主もやや意外そうではあったものの、プラス効果にはなっていたのでそのまま続けてもらうことにした。
「ふぅ、皆さん私の歌はどうでしたか?もし、気に入ってくれたらお店の物を買ってくれると嬉しいです」
「うぉー!ミケちゃーん!」
「店の物買うからアンコールしてくれー!」
 最後に仔猫が如くあざとくお願いし、ショーは幕を閉じる。周囲が妙な熱気に包まれるものの、男性客のハートはバッチリ掴んでいたようであった。

成功 🔵​🔵​🔴​

真田・さな
ふははー、世界の命運のために私も一肌脱がせて貰うわ!
*POWを使用します
*アドリブ等、大歓迎です
【実演販売しながら沢山の人に声をかけます】
まず、店長様の許可が出たらポーションを一つ頂く様に説得します。
それから、町の中で特に人目に目立つところまで移動して、頂いたポーションを飲んで、魔法を使用するわ!
なるべく、人に危害を加えない、それでいて派手な魔法を使いながら多くの人達の印象に残るようなショーパフォーマンスを行いますね!
それで、、、此方のお店で並んでいるポーションが他のお店のものと比べてひじょーに効能ばっちりな事を説明してお客さんをお店に呼び込みます




「ふははー!私も頑張っちゃうわよー!」
 店の売り子一つにもやる気を燃やしている真田・さな(捨てられ王女・f05145)は魔法を使って引きつけながら通る人に声掛けをすることを考えた。派手なパフォーマンスなら自分も負けていないと思い、商人からポーションを一つ借りて実演販売をしようとしたが、数がギリギリらしく実演販売は叶わなかった。
 しかし、だからといってパフォーマンスに影響が出るわけではない。集客さえ出来ればいいのだ。魔法を使いつつ集まってもらえる方法をさなは模索していた。
「だとしたらこの方法が一番ね!」
 その時、人気がなく距離も程よく離れた場所からズドン!と何かを穿ち爆発する音が炸裂する。あまりに唐突な爆音に辺りにいた人達がぎょっとして音のする方向を見やる。
 犯人は他でもない、さなが手頃な岩に魔法で生成した落雷を落としたのである。岩は硝子細工のように粉々に砕け、小さく焦げた地面と焼けた臭いが辺りに微かに漂っていた。
「ここのお店の商品は私も愛用していまーす!皆様もお一つどうですか?」
 一瞬空気がどよめく。一般人からしたら小さな小さな天災のようなパフォーマンスではあったが冒険者を志す者、純粋な子供からはウケがよかったのか興味を持つ者も現れ始めた。
「実は明日この村を出発しようと思っててな、道具を調達しようと思っていたのだ。強そうな君のお墨付きなら買ってみてもいいだろう」
 戦士であろうか、片手剣と盾を腰に据えた男が店の商品を手にとって店主に話し掛ける。おっかなびっくりな演出だったが興味を持つ人は少なからずいるようだ。
(ひゃー……よかった。怒られたらどうしようかと思っちゃった)
 パフォーマンスをした本人が一番ビクビクしていたのは胸の内に押し込みつつ、お客さん一人一人に商品の良さを語っていくさななのであった。
 

 猟兵たちの働きによって店にはお客さんで溢れかえる。店主も次から次へとお客さんの対応で休む暇さえない程であった。
「おおすまない!忙しいから手短にはなるがヤツを見た場所を教えるよ!」
 猟兵たちが得たのはこの村のすぐ近くにある岩山でオブリビオンを見たという情報。メモを取る者、地図を広げる者、アクションは三者三様であったが目的は同じだ。
 猟兵たちはオブリビオンが鎮座するという山を見据えると麓に向けて足を運ぶのであった。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 冒険 『そこに山があるから』

POW   :    体力や気力で山登り

SPD   :    技や早さで山登り

WIZ   :    魔法や知力で山登り

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。



 目の前に聳え立つは山。まごう事なき山である。山と一口に言うものの、視界に広がるのは、所謂木々が生い茂る様な自然のある山ではなく岩肌が露出したゴツゴツした山である。
 この山の上にいつからか大きな影が動いているらしい。もしかしなくてもオブリビオンである可能性が高い。しかし、まずは目の前の山を攻略しなければ会うことすら叶わない。猟兵たちは各々のやり方で山登りに挑戦するのであった。
御狐・稲見之守
(ふりふりの格好のまま)このカッコ、中々動きやすくてよいな。少々、脚回りが涼しいが……ふふっ(くるり)

さてまあ、さすがに山道はこの体ではキツイの。使役している大狐に乗って行くとしよう。来い、野越――山野を駆ける足となれ。足場を【地形の利用】で見通しながら大狐・野越を【騎乗】【動物会話】で御して進んでいくこととす。

……そういえば今回討伐する敵の姿がまだ今一つ見えんでいたな。どれ、山の上にいる奴の姿は見えるかの?




「くふふ、あまりに気に入ったのでそのまま借りてきてしまったが存外動きやすくていいのう。脚回りが少しスースーするが……」
 山よりも服を気にしている御狐・稲見之守だが、その目はしっかりと山の上を見据えていた。これからどうやってこの山を越えていくかを服を弄りながら考えている。
「しかし生身で登るにはちと堪えるの。来い、野越。山野を駆ける脚となれ」
 稲見之守はユーベルコードを唱え、自分の身長の2倍はある大狐を召喚する。そのままヒョイッと狐に騎乗すると、狐は弾かれた様に大地を蹴り上げ、フサフサの身体を大きく揺らす。
「できるだけ足場が硬めのしっかりした所を選ぶんじゃぞ。落ちてしまっては元も子もない」
 狐は主人を乗せても身軽な様子でトン、トンと岩場を駆け抜けていく。その足取りは軽くどんどん山頂を目指して登っていくのであった。その上で目を細めながら稲見之守は思案するーー敵の姿がない、あるとすれば山頂だろうか。
 しかし、西日に照らされ黄金色に輝く岩肌に遮られ頂上は未だ見える兆しがない。稲見之守はふぅ、と一息吐くと再び狐へ指示を出す。
 猟兵達の山登りはまだ始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

リヴィア・ハルフェニア
なんか大変そうね。
オブリビオンにたどり着くまでに疲労しないといいけれど…。

WIZ:最初は徒歩で行き、【学習力、世界知識】で比較的安全な場所を見つけながら登る。
途中で大変になったら【属性:風】で浮遊して登っていくわ。

それか最初からルトに大きめの杖か箒のような姿に変身してもらって、それに【属性:風】の効果で飛んで行ってもいいわね。
この方法ならたぶん一人位なら一緒に行けると思う。

どちらの方法も必要なら【全力魔法】を使用するけれど、使わずに済むならボス前なので温存ね。

登り切り皆が疲れていたら、ボスと戦う前に回復。
皆さん後はオブリビオンだけよ。頑張りましょう。

≪アドリブ、絡み歓迎≫


明石・鷲穂
【POW】
岩肌の見える山……懐かしいなあ。生まれ故郷と少し似てるな。
俺はこの身体だからな。久々の山の空気だし全力で駆け上がって見たいんだよなあ。

麓から少し距離をとり、脚力に[力溜め]をしてから一気に助走。
危ない岩肌は[気合い]で駆け上がり、落ちそうになった際には、使えるから分からんが[グラップル]で岩にしがみ付く計画だ。

「頂上に敵がいるっつーのは分かってるんだが……やっぱりこういう所は良いな。」
故郷を懐かしむように顔を綻ばせ、景色を眺める。
岩肌を駆け上がっては、途中止まって一息。また[力溜め]で駆け上がるということを繰り返して、確実に山を登っていこう。




 夕陽に染まる岩山を登る二つの影。一つは山を跳ぶかの様に岩肌を蹴って進む者、一つは、風の精霊を呼び出し箒に姿を変えさせて飛行で山頂を目指す者、それぞれ異なる方法でありながらも同じ目的地に向かって駆け登っていく。
 やがて、どちらからともなく歩みを止め休憩に入る。既に麓は遥か下であり、かといって山頂まですぐという高さでもない、山の中腹の比較的安定した岩場に座り込んで今一度登り続けるための体力を回復させようとするのであった。


「ふぅ、ようやく真ん中辺りってところか。頂上に敵がいるっつーのは分かってるんだが……やっぱりこういう所は良いな。」
「あら、明石君は山育ちだったの?」
 あぁ、と返事を返す明石・鷲穂。彼は橙色に染まるアックス&ウィザーズの景色を見てふっと顔を綻ばせる。元々自然に囲まれた場所で育った鷲穂にとっては荒々しい岩山もどこか優しさに包まれている場所に感じているのであった。


「ステキね。私が生まれて初めて見た景色とは全然違うけど、こういう世界もあるのね」
 リヴィア・ハルフェニアが歌声で周囲を癒すユーベルコード、シンフォニック・キュアを発動して二人の山登りの疲れを癒す。自分が初めて見たのは雪の日の夜明けだったか、あの神秘的な光景に負けないほど今の景色は美しく、彼女の金色の瞳に焼き付けられるのであった。


「さぁ、夜になってしまうしそろそろいくとするか」
 鷲穂の岩を握る力がこもる。【力溜め】の技能もあってか今なら登り始めと同じくらいガッチリとホールドが出来る。確かな疲労回復を感じた彼は体力を温存しつつも駆け上がり、一刻も早くオブリビオンのもとに辿り着こうとする強い意志をその心に燃やすのであった。
「ルト。私たちもいきましょ」
 リヴィアもまた【属性:風】の技能で身体を宙に浮かせ、浮遊して登っていく。この山を越えればいよいよ決戦。自分に出来ることは何か、先に登る鷲穂の背を追いかける彼女はオブリビオンと戦う仲間を相棒と共に癒し守り支えることを強く誓うのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

結城・蓮
山登りか……久しくしてないなあ。
ま、今なら前より楽に上れる、気がするな。
さて、それじゃあ挑戦してみようか!

【SPD】
斜面じゃなく岩肌だっていうなら、コイツの出番かな。
フック付きロープを放り投げて、岩の隙間とかに引っかけて、それを使いながらクライミングだ。
「よ、っと。ふぅ、中々重労働だね、これは」

ロープを使わずに登れるところがあれば普通に上っていこう。
こういう時飛べる人たちはうらやましいね、っと!

さぁて、何が待ってるやら……ま、それをお目にかかるためにも今は落ちないように気を付けないとね。


真田・さな
*台詞・行動などのアドリブ大歓迎ですっ!
●POWを使用します
ふははー! 眼の前に山があったら登るのみよ! ここはあえて魔法を使わないで、肉体一つで頑張りますっ。。

でも...私はそれ程体力は無いし山登りなんてハイキング以外したことないので、、絶対に途中で弱音を吐いちゃうと思います。
もしも、一緒に山登りされている方がいたら、わたしの愚痴で少し嫌な気分にさせちゃうかもだし、最悪泣きついちゃうかもです。。。
そのかわり、山頂での戦いでは頑張って戦うので許してねっ!




「よっ、と。中々重労働だね、これ」
 小さく小刻みに息を吐きながらロープを手繰り寄せる結城・蓮。空を飛ぶ手段も取り分け筋力もあるわけでもない彼女はフック付きのロープを岩の隙間に引っ掛け、クライミングをしている。
 何度も引っ掛け直して自重を支えられるか慎重に確認しながら登っているためか、進みはゆっくりではあるが、確実に山頂を目指している。半ばを過ぎた辺りで一旦休憩のためにフックを外して岩場に腰をかけた。
「ふぅー。腕が痛いや。まぁ、ボクも随分苦労して登ってはいるけど……」
 蓮はチラと視線を横に流す。勿論、オブリビオンを倒すために自分の他にも山を登っている猟兵がいるのは知っている。その大半は力自慢か、自分の様に道具や魔法を駆使するかのどちらかだと思っていたがーー。
「こんな岩場大したことないわ!この北の王にかかればこんな岩山一つ……もう無理よー!いやーっ!」
「お姉さんなんで生身一つで登ってるのさ……」
 そこには蓮と同じ様に華奢な身体でありながら、無謀にも身体一つだけで山登りに挑戦し、敢え無く挫折しかかっている真田・さなが一人で泣き伏していたのだった。


「ほら、頑張って。もうすぐ頂上だからさ」
「うぅ……ありがとね蓮さん。私もうダメかと思ったわ」
 休憩後、登山を再開しようとする二人だったが、さなが早々にギブアップをしてしまったため、蓮が登ってはさなをサイキック能力を組み合わせて引っ張り上げを繰り返していた。クライミングには多少の自信があった蓮だが流石に二人分となると時間を一層かけざるを得なかった。
 日はすっかり落ちて暗くなり、より危険度が増した岩山だったが、さなが掌の上で灯した炎のおかげで灯りに困ることがなかったのが幸いである。
「ごめんね、余計な苦労かけさせちゃって」
「困ってる人は放っておけないよ。だってボクはーー」
 人を愉しませるのが仕事でそれが生き甲斐なんだから。蓮はそう続けようとしたが、言葉を止める。気が付けば目の前は山頂だ。辺りには既に登り終えていた猟兵や自分達と同じくらいのペースでやってきた猟兵が続々と集まって来ていたが、不思議と皆が皆、空を見上げている。
 さなも少し遅れて猟兵の視線に気付き、顔を上げると弱音を吐いていた顔を引き締め、これから倒すべき『敵』をじっと見つめる。

 山頂で猟兵達を待ち受けていたのは月夜に照らされ巨大な黒い影と化したオブリビオンだった……。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『ワイバーン』

POW   :    ワイバーンダイブ
【急降下からの爪の一撃】が命中した対象に対し、高威力高命中の【毒を帯びた尾による突き刺し】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    飛竜の知恵
【自分の眼下にいる】対象の攻撃を予想し、回避する。
WIZ   :    ワイバーンブラスト
【急降下】から【咆哮と共に衝撃波】を放ち、【爆風】により対象の動きを一時的に封じる。
👑11
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 巨大な体躯にそれを支える仰々しい翼。ドラゴンの亜種であるワイバーンこそが猟兵達の倒すべきオブリビオンの正体であった。
 猟兵達は己の獲物を握る手に力が篭る。ワイバーンは翼で羽ばたきながら上空から見下ろすだけで何もしてこない。しばしの間、張り詰めた緊張感が辺りを支配している。
 その刹那、ワイバーンが猟兵達に向けて咆哮をあげた。そして猛スピードで突進を仕掛けてくる。

暴力的なゴングの音を合図に猟兵達も一斉に戦闘行動に移るのであった。、
御狐・稲見之守
野越、ご苦労であった……さて、翼竜であるか。古来より天は人の手が及ばぬところ、ゆえに天を行く翼を持つことは強さの証とされる。されどその道理、我ら猟兵には通じぬよ。

[WIZ]ワシは真の姿に……しまった、ふりふりの制服着たままじゃ真の姿なれない! しょうがないのう、荒魂権限。風雷の竜巻を起こして思うように飛べなくしてやろう。我成す一切万事是神事也……ふふっ、“風起こし”ならワシも得意ぞ。その自慢の翼でいつまでも飛んでいられるかな?

おっと、すかぁとがめくれてしまうの。




 急降下したワイバーンが再び咆哮をあげる。耳をつんざく様な爆音と衝撃波が激しい暴風と共に山頂の地面の一部を抉り取った。
 稲見之守は暴風に押されそうになりながらも後ろへバックステップをすることでいなし、再び上空へと舞うワイバーンを見やる。
「翼竜……さしずめ天の王者と言ったところかの」
 とっとと片付けてしまおうと真の姿への変化を試みようとするが一つ大きな誤算があった。

 ……制服姿のままでは真の姿になれなかったのである。

「しまった!忘れておったゾ。しょうがないのう。で、あればわしも一つ神と呼ばれた意地があるでの。ここは一つ力比べといこうか」
 暴風の名残か、風が頬を撫でる。ワイバーンは稲見之守を睨みながら空中で輪を描く様に旋回している。
「我なす、一切万事是神事也ーー」
 稲見之守を中心に螺旋状に風が吹く。ワイバーンは旋回をやめ、頭を下に向け急降下をする。
「天裂き地割る神業ーー」
 空を黒雲が包み、白い閃光が隙間を迸って大地へ穿たれる。ワイバーンは口を大きく開け、息を深く吸い込む。
「畏み畏み奉願祈るべし!これが荒魂顕現(アラミタマケンゲン)じゃあ!」
 稲見之守の周りを漂っていた風がドーム状にドン! と放たれるのとワイバーンが空中で吠え立て羽ばたき暴風の衝撃波を飛ばしたのはほぼ同時であった。
 両者の風がゴウゴウ音を立てて山を包む。猟兵でなければ目を開けているのも困難な程荒々しく鋭い空気が全身を殴りつける。
 その時、ワイバーンの態勢が崩れ、落下していく。慌てて羽ばたき態勢を戻すが空を支配する翼竜といえど四方から吹き荒れる風の中を高さを保ちながら完全に御するのは到底不可能に近かった。
「概ね上手くいったようじゃの!……すかぁとがめくれそうじゃがな」
 完全に大地に縛り付けることは出来ずとも明らかに高度が落ちている。空を飛べない猟兵にもいくらか攻撃のチャンスが増えた。
 自然の力が支配する戦場での戦いは始まったばかりだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

結城・蓮
やれやれ。
山登りをさせられた時点でいやな予感はしていたけど、やはり飛龍か。
ま、仕方ない、これも仕事だ。
しっかりと引きずり落とさせてもらうよ!

《泡沫の鏡像》で鏡映しの幻影を生み出して、《炎熱の手札》で目眩しをさせておくよ。
もちろんダメージになればなお良いけど。
その間に本体のボクは、《幻影の姫君》で透明になって《幻想の跳躍》で高く飛び上がるよ。
狙うは飛龍の上、その無防備な背中に一撃食らわせてあげよう!
上に乗られるとは思っていないだろうからね。
「悪いけど……上なんだよね!」

一緒に墜落するわけには行かないから、幻想の跳躍は1回分残しておくよ。
地面に叩きつけてあげられればこいつをクッションにするけどね。


ミケ・ナーハ
店の客引きの時と同じ、際どい踊り子姿ですが
登山の際、衣装の飾り布をはずし
身軽になると同時に、露出度も増しています♪

「これは本気でいかないとですね♪」
真の姿になって戦います♪
背中から猫耳とお揃いの、右は真っ白、左は真っ黒な翼が生えます♪
もともと美しかった姿は、さらに妖艶な雰囲気に♪
何でもない言葉も、色気があふれます♪

「見下ろされる気持ち、味合わせてあげます♪」
『シーブズ・ギャンビット』で攻撃!
敵の眼下からの攻撃は回避されやすいので
翼で飛び、【念動力】も使って自身の体を空中で制御し
敵の頭上から片目を狙い、ダガーを素早く投げます!
片目だけでも潰したいです♪
ダガーを投げるのは返り血で汚れないためです♪




「うっわ!こりゃまた凄い風だね!手品道具が飛んでっちゃうよ!」
「そうですね。あまりに風が強くて寒いくらいです」
 吹き荒ぶ風に耐えながらも、なお空を我が物にせんとするワイバーン。そして結城・蓮とミケ・ナーハはそれぞれの思惑を持ってワイバーンを地面に引きずり落とす算段を狙っていた。
「種も仕掛けもないマジックショーの始まりだ!これは見破れるかな?」
 先に動き出したのは蓮だ。蓮がシルクハットから畳まれた布を取り出し、風に煽られながら勢いよく広げ投げ捨てるとその一瞬で鏡に写したようにそっくりなもう一人の蓮が現れる。
 二人の黒猫は更に燃え盛るトランプを自在に操り、幾十もの火の粉が散弾銃の如く空のワイバーンへ向けて放たれた。
 下からの攻撃に対してワイバーンは多少の被弾を無視してその巨体を器用に動きかわしていく。
「そしたら次のネタだね」
 二人の蓮は透明になってから 『幻想の跳躍』で空を何度も蹴り上げ天を登っていく。目指すはワイバーンの背、ここに天の王者墜落作戦が始まったのである。


 ミケもまた動いていた。山登りの過程で衣装の一部を外して身軽になった上に、真の姿を晒し一対の翼を生やしたミケはワイバーンの領域とも言える空中戦の構えに出た。
「これは本気でいかないとですね。……とはいえ嵐が凄すぎますー!?」
 念動力のおかげで姿勢は保てているし動きの自由も利く。だがワイバーンですら制御の難しい嵐の中を身体一つだけで飛ぶのには無茶があった。
「いきますよ!落としてあげます!」
 眼下の攻撃がダメなら上から、ふらつきながらもワイバーンより高い位置を陣取ったミケはワイバーンの眉間を目掛けて、くノ一の苦無の如くダガーを投げつける。真の姿で増した力に衣服を脱いだことでの加速。まさに韋駄天と呼ぶに相応しい速度であった。
 一方ワイバーンも本能で小さな炎よりも上空から来る殺気の方が危険と感じたのか、身を翻して上からの襲撃に備えようとする。しかしーー

グチャッ

「……嵐の中軌道修正するのは大変だよ」
 ワイバーンの回避行動によって逸れたダガーを蹴り飛ばしたのは蓮だ。透明になっていたためワイバーンにも気付かれず潜んでいた蓮のシュートによりその刃はワイバーンの顎へと突き刺さる。
「悪いけどもう一人いるんだよね!」
「追い討ちをかけてあげます!」
 上から落とすはもう一歩のダガー。そしてそのダガー目掛けて落とされるかかと落としだ。ミケの投げた一本に鏡写しの蓮による強襲攻撃。
 ワイバーンは押さえつけられるかの様に墜落しドスン、と鈍い音を立てて墜落した。しかし、クレーターのように窪んだ地面から聞こえるは竜の咆哮。まだ息がある。更なる追撃が必要であると猟兵たちは武器を構えた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リヴィア・ハルフェニア
後方からのサポートに徹しましょう。

ワイバーンを【全力魔法、属性:風、属性:毒、2回攻撃、誘惑】で邪魔しながら攻撃はミレナリオ・リフレクションで相殺するわよ。【学習力】

怪我した仲間はシンフォニック・キュアですぐに回復し応援するわね。【歌唱、鼓舞、オーラ防御】

みんなの後ろは私が守るわ。

≪アドリブ、絡み大歓迎≫


真田・さな
●仲間との連携を特に気をつけます
●龍鱗砕きはワイバーンとの戦いの中で咄嗟に体が動いて閃いた技の様に描写して頂けたら幸いです

ふふふ、山登りでは足を引っ張っちゃった分はここで挽回しなくっちゃ!


初手はウィザードミサイルで相手を牽制しながら、回避を優先しつつ動きます。
相手が弱るまでは基本的には様子見しながら戦います。
もしも、ワイバーンに隙や怯みがあった場合は、龍鱗砕きの使用を試みます




 地に墜ちた天の王者、その絶対的な好機に即座に対応したのはリヴィア・ハルフェニアであった。すぐさま武器をワイバーンへ向けて魔力を集中させる。
「ルト、ここを逃さないで」
 今は杖へと形を変えているリヴィアの相棒、ルトが呼び掛けに呼応するように先端を淡く輝かせる。ボール状の風の塊が押し出されるように放たれワイバーンの身体を包み込む。
 幾十にも切り裂かれる風の刃が硬い鱗に何度も傷を付けバキバキと音を立てて割れていく。
 ワイバーンは風の球を振り払い、お返しとばかりに吹き荒れる強風を翼であおり爆風として吹きかける。爆風には爆風をぶつけ相殺させるが身動きが非常に取りにくい環境となっていた。
「くっ……こうも強烈だと動きにくい。それにこれではまた空へ逃げられてしまう」
「だったら抑えつければいいのよ!」
 そう啖呵を切ったのは真田・さなだ。山登りの疲れと強風で遅れを取ったがすぐに持ち直して炎の矢を次々と上空へ放つ。
 黒く包まれた空に煌々と光る紅い矢が放物線を描いてワイバーンの背中に刺さる。しかしそれを物ともせずワイバーンは一度だけ吠えると再び空へ舞い上がるのであった。


「さなさん大丈夫ですか?」
「私は大丈夫よ!ごめんね、その歌声とっても素敵よ!」
 これで何度目か、矢を放ち、風の刃で攻めては相手からの空からの爆風や急降下の爪の攻撃によって地面はボコボコに抉れていた。
 ワイバーンも少しずつ弱っているが、二人の回避や相殺も必ず上手くいくわけではなく、主に前に出るさながダメージを負ってはリヴィアが美しい声で歌い癒すのを繰り返していた。しかしここまで粘り強く戦えているのもサポートがあってこその動きである。
 このままではジリ貧ーーそう思いながら爪の一撃を避けていた時にさながある事に気づく。
(鱗にヒビ……?それに風……そうだわ!)
 頭に電撃が走るような衝撃。脳内で何かの結論がついた感覚。半ば直感とも言えるが考えるよりも身体が動いた。
「リヴィアさん!今すぐ風を上から下に抑えつけるように起こせますか!?」
「ええ、やってみるわ!ルト!」
 地面に着地したワイバーンへすかさず風を送り込むリヴィア。再び飛ぼうと翼を広げた瞬間を狙われ地面へと叩きつけられた。
 そのタイミングと同時にさなが上空へ跳躍する。風の影響で高くは跳べないが、ワイバーンの頭を越せれば十分であった。

「てやぁぁーーっ!!」

 風の勢いを借り、振り下ろすはルーンソード。その剣身を寸分違わずに地面でもがくワイバーンの頭部の鱗の『ヒビ』目掛けて落ちる。
 鱗のヒビは蜘蛛の巣状に広がって砕け、剣が堅牢な自然の鎧を破り内にある皮と肉を縦に割く。ワイバーンは断末魔をあげることすら許されることなく生き絶えたのであった。


 嵐も落ち着き、黒雲も何処へと消えていく。いつしか白く美しい月が優しく山を包み込んでいた。
(綺麗……私はこれからもこの景色を守るために戦い続けたい)
 リヴィアは静かに胸の中で誓う。猟兵として相棒と共に守るために戦うのだ、と。
「やったわ!なんだかよく分からないけど上手くいったわ!新しい技だし名前つけなくちゃ!」
 えーとえーと、と悩むさな。これから技の名前付けに悩むのだろうか。うんうんと頭をひねって考え込んでいる。
 こうしてまた一つオブリビオンの危機は去った。束の間の平和を噛み締めながら猟兵達はそれぞれの帰路へつくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月30日


挿絵イラスト