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たいようの物語

#アリスラビリンス

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#アリスラビリンス


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●入植は計画的に
 アリスラビリンスに、新しい領域が見つかった。未だ住人のいないその場所に、ウサギ穴が繋がって、新天地を求めていた者達が続々と足を踏み入れる。

 波の音、潮の香り。そこは浜辺で、足元には砂があった。
 当然住人は他に居ない。波の音から遠ざかれば、砂浜はやがて柔らかな土に変わる。
「すごいわ! ここって全然寒くない!」
「風も暖かで、土も肥沃よ!」
 やってきたのは明るい黄色の、二本足で歩くヒマワリのような生き物達。
 自らを『サニーさん』と称するこの愉快な仲間達は、新しい国に足跡を刻んで、わいわいと皆で騒ぎ始めた。

「よーし、ここにワタシ達の国を作りましょう!」

 見たまま、植物に似た好みを持つ彼等が、その結論を出すのに時間はかからなかった。
 ここから始まるはサニーさん達の開拓記。広大な歴史の1ページ目が、ついに描かれる……はずだった。
「――あれ、でもちょっと、おかしくない?」
「なんだか力も入らないし」
「前も全然見えないし」
「ねえ、朝はまだなの?」
「これダメなやつじゃない? 私達死ぬんじゃない?」
 無限に続くかのような暗闇の中、あっという間に、花がしおれていく――。

●暗闇の中
 パチンと一つ指を鳴らすと、立てた人差し指の先に、小さな赤い炎が灯る。
「さてさて皆、はぐれてないかな? 大丈夫?」
 揺らめく炎に照らされて、オブシダン・ソード(黒耀石の剣・f00250)が猟兵達へと笑いかけた。
「どうだい、暗いでしょう? ここがさっき話した、新たな不思議の国さ」
 最近発見されたばかりという、アリスラビランスの新たな領域。ここは前情報通り、全く光の存在しない、真なる暗闇の中にあった。
 グリモア猟兵の熾した魔術の炎によって、かろうじて分かるのは、ここが砂浜であるという事。片側は海で、片側は大地。そして空には墨をぶちまけたようにただただ暗闇だけが広がっていた。

 ――いや、一点。小さな星が見えるだろうか。

「ああ、見つけたかい? あれはね、僕の飴玉なんだよ」
 オブシダンが笑みを深める。ヘタな冗談にしか聞こえないところだが、彼の話によるならば、この国の空は妙な作りをしているらしく。
「どうやら一定より上に行ったモノはね、『空』に張り付いて星になるみたいなんだ」
 果たしてそれを空と呼んでいいのか疑問は残るが、ここは不思議の国だ。他の世界の常識を語っても仕方がない。
 そこで、とオブシダンは手元の光を一同へと向けた。
「この法則を利用して、君達にはこの空に光を生み出してもらいたいんだよ」
 飴玉が星になったように、材料次第でそれは光源になり得る。この黒塗りの空に、星を、月を、できる事ならば太陽を、作り出してもらいたい。
「そうすればこの国のことをもっと知れるようになるだろうし、彼等――このサニーさん達も、元気に活動できるようになると思う」
 そうして指差された猟兵達の足元には、ヒマワリのような姿の愉快な仲間達が、萎れて力無く横たわっている。
 時々「もうダメしぬわ……」みたいな声が漏れてくるものの、命に別状はなさそうだが。
「無理せず帰った方が良いって? まあそれも一理あるけどね。……できれば、手伝ってあげて欲しいな」
 ほら、手元くらいは僕が照らしてあげるから。頼んだよ。
 そう言って、彼は猟兵達の背を押した。

 さあ、この暗闇に、あたたかで眩い光を。


つじ
 どうも、つじです。
 今回の舞台はアリスラビリンスにある、不思議の国の一つ。愉快な仲間達の入植を手伝ってあげてください。
 世界を住みよく、開拓していきましょう。

 こちらは物語背景と、童話系の宿敵フラグメントで合わせたちょっとした合同シナリオのひとつです。並べると綺麗、くらいで連動要素はありません。ご参加は各シナリオご自由にどうぞ。

●第一章
 オープニングの説明通り、黒塗りの空に光を灯してください。
 材料を空に向かって力強く投げれば不思議な法則で大体行けます。
 例として、飴玉は小さな星に、宝石は明るい星に。モノによっては星座が出来たり、恒星が生まれたりするかも知れません。
 アイデア次第なので色々試してみてください。

●第二章
 前章で灯した光に対し、ちょっとしたトラブルが発生しますので、その解決に動いてもらいます。
 この世界のもう一つの特色、『呼吸のできる海』に潜ったり釣りをしたりすることになるでしょう。

●第三章
 前章のトラブルを引き起こした原因、オウガを倒してください。
 オブリビオン『人魚姫』との戦闘になります。

●愉快な仲間達『サニー・アッパーサイド』
 入植者達。アロハシャツを着たヒマワリが歩いているのを想像してください。大体そんな感じです。
 浴びている光の光量によってテンションが上下するらしく、物語冒頭ではとても後ろ向きですぐ「しぬ」って言います。
 猟兵達に好意的で、結構たくさん来ています。

 以上です。それでは、ご参加お待ちしております。
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第1章 日常 『最初の灯』

POW   :    石や菓子を削り出す

SPD   :    不思議な素材を組み合わせる

WIZ   :    光る花や葉を生み出す

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

エドガー・ブライトマン
サニー君……サニー君!
やっぱだめだな。全然元気がないみたいだ
見た目はこんなにゴキゲンなのにな……

サニー君達のためにも、この世界に光を灯してあげよう
これも立派な王子の仕事さ
王子様は、世界に希望をもたらさなくてはね
フフッ 流石にちょっとカッコ良すぎたな……

こんな見た目だけど、宝石は持ってないんだ
祖国にいた頃から私はすぐにうろちょろしては物を落とすから
衣装にも宝石をつけてもらえなかったんだよね……

だから、まずこのポケットに入っていた飴を空へ
遠くにオレンジ色の光が灯るだろうか

これはどうかな
手記から真白い頁を一枚破って
紙飛行機っぽいものを折って飛ばす

周りの光を受けて、きっとあの白も輝くといいな



●つばさ
「サニー君……サニー君! そのままでは間違って踏んでしまうよ、立てるかい?」
 微かな灯りの照らす中、エドガー・ブライトマン(“運命”・f21503)は足元に居た一人を抱き起す。いや、正しくはそう試みたのだが、サニーさんに立つ気は全くないらしく、へにゃりとその腕を逃れてしまった。
「良いのよ……ワタシ達には潰れた押し花がお似合いだわ……」
「いや、見た目はかなりゴキゲンだと思うが……!」
 やはり駄目か、とエドガーは首を横に振る。前情報通り、この状況下では彼等は元気が出ないらしい。困り果てた……というより無気力全開になってしまった彼等の為にも、この世界に光を灯してあげなくては。
「ならば、待っていたまえサニー君!」
 立ち上がった彼は、漆黒の空を振り仰ぐ。自然とそう動けることが彼の美点で、彼の在り方。そしてそれゆえに彼は『王子様』なのだ。
「王子様は、世界に希望をもたらさなくてはね」
 決まった。この世界が暗いのが残念に思えるくらいに決まった。自分でもそう思ったのか定かでないが、フフッと得意げな笑みを浮かべて、エドガーはポケットを探り始めた。
「ああ、それは、宝石……?」
「いや飴玉だよ」
 力無く尋ねるサニーさんに、残念ながらとエドガーが答える。
「祖国にいた頃から、私はすぐにうろちょろしては物を落とすから、衣装にも宝石をつけてもらえなかったんだよね……」
「そのエピソード、言わない方が良かったんじゃないかしら……?」
 しみじみと言うエドガーに、萎れたサニーさんが力無くそう告げた。
「でも、大丈夫、これだってきっと足しにはなるはずさ!」
 そうして放り投げられたキャンディは、高く遠く、天にくっついて、オレンジ色の星となる。
「ふむ……なるほど」
 こんな感じになるのだね、と彼は頷く。
「綺麗ではあるが、やはりあれでは小さいかな」
 それならば、と今度は手記を取り出して、まだ記載の無い白紙のページを一枚破る。折り目を付けて、何回か畳めば――紙飛行機の完成である。
「さあ、飛んでいけ」
 つい、と指先から放たれたそれは、宙返りでもするように大きく上へと弧を描く。円の軌道の頂点で、それはそのまま空の彼方へ上っていった。
 夜空に生まれた新たなそれは、翼を広げた鳥のよう。自らが放つ光もさることながら、それはきっと他の光を受けて、明るく輝くことだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

泡沫・うらら
■リルさん/f10762

帷よりも暗い、暗い夜の空
日向の明かりで生きるあの子らにこの暗さは酷やね

顔を向けるのは、より多く陽の明かりを受ける為
背を伸ばすのは、より近く陽の明かりを感じる為

灯しましょう
彼らにうちらの海(そら)を、気に入って貰えるように

まぁ、素敵
琥珀糖……ってことは、お菓子やろか?
食べられる宝石みたいで、綺麗やねぇ

うちは珊瑚の欠片とシーグラスを用意して来ましたよ
そう、大切な浜辺で見つけてきたんです

このお海に似合うかはわからんけども
きっとうちららしい海になるやろて

海の中で咲く桜はきっと、とても綺麗よ

ふふ、ほな、せーの、で行きましょか
高く、高く
手の届かない場所まで、投げられるように


リル・ルリ
■うらら/f11361
アドリブ歓迎

真っ暗な空は光届かぬ湖底のそれにも似て
飲み込まれそうなその黒が怖くなる
だから灯そう
燿を咲かせて瞬かせて
僕達の海(そら)をつくれたらいいね

うらら、見てみて
僕ね、琥珀糖をつくってきたんだ
きらきら、宝石の欠片のようなそれをみせて笑む
あと、お花の種と桜の花をたくさん!風に乗せて舞わせてみるよ
桜は僕にとって、燿だから……綺麗に星になってくれるといいんだけど

うららは?
わぁ、綺麗な…しぐらす!だ
海で見つけたの?
ふふ
海の欠片を穹に咲かせるなんて素敵だ
似合うに決まってる

どんな星なるのか、楽しみだ
君と灯した燿のそらを一緒に泳げたらきっと楽しい
そうだ!せーので一緒に、投げてみようよ



●浮かぶもの
 真っ暗な空は、光届かぬ湖底にも似て、空を泳ぐ人魚――リル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)は、まるで飲み込まれそうだと感じてしまう。
 星の無い夜よりも、なお暗い。そんな空の下は、きっと日向の明かりで生きる者には酷だろう。
 力無く倒れた愉快な仲間達を一瞥して、泡沫・うらら(夢幻トロイカ・f11361)もまた、リルの隣で空を見上げた。
「それでは――」
「うん、燿を灯そう」
 それぞれの手でともしびを浮かべて、この夜空を彩って、僕達の海(そら)をつくれたらいい。
「そうねぇ、気に入って貰えたら良いんやけど」
 のんびりした調子で答えるうららに、リルはうきうきした様子で掌を広げて見せる。
「うらら、見てみて。僕ね、琥珀糖をつくってきたんだ」
「まぁ、素敵」
 そこに乗せられていたのは、まるで宝石の欠片のようなお菓子だった。透き通ったものに、赤や青、緑が薄く入ったもの。それぞれが、色とりどりに輝いている。
「琥珀糖……ってことは、お菓子やろか? 食べられる宝石みたいで、綺麗やねぇ」
「うん、それとお花の種と桜の花をたくさん! 風に乗せて舞わせてみるよ」
 それも良い、と頷いて、うららは空に描かれるであろう、その光景を思い浮かべる。
「海の中で咲く桜はきっと、とても綺麗よ」
「桜は僕にとって、燿だから……綺麗に星になってくれるといいんだけど」
 そう言ってはにかんだリルは、「うららは何を用意したの?」と興味津々の様子で尋ねる。そうしてうららもまた、掌を広げて見せて。
「うちは珊瑚の欠片と、シーグラスを用意して来ましたよ」
「わぁ、綺麗な……しぐらす、だ! 海で見つけたの?」
 問い掛けに、彼女はそっと目を閉じる。
「……そう、大切な浜辺で見つけてきたんです」
 それは大事な、忘れ得ぬ場所。とはいえ別の海のものだから、このお海に似合うかはわからない、と続けるが。
「ふふ、海の欠片を穹に咲かせるなんて素敵だ」
 大丈夫、似合うに決まってるよとリルが請け負ってみせた。
 それはそれは、頼もしい事。そんな様子にうららも微笑んで、言う。
「そうやろね。……けど、どちらにしても、きっとうちららしい海になるやろて」
 大事に、もう一度両手で包んで、二人は見上げたそこをぐるりと目でなぞる。
 どこが良いかな。どんな風になるかな。まずは頭の中で、それを描いた。
「どんな星なるのか、楽しみだ」
 そうしてできた燿のそらを、一緒に泳ぐことを夢見て。
「ええ、ええ。すぐに形は見えますやろ」
 その夢はすぐに叶うとうららは言う。
「そうだ!せーので一緒に、投げてみようよ」
「ふふ、ほな、せーの、で行きましょか」
 それは海の頂点、空の底。
 虹を描くような星団と、空に咲く桜色の星々、珊瑚の形の桃色の連星。そしてそれらの光を反射して、透き通った輝きを放つ月。
 夢見たそれが現実になるよう、高く、高く。
「せーのっ」
 二人の両手が、そらを向く。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

旭・まどか
陽の無い海辺で入植しようだなんて少し浅慮だったんじゃない?
下調べ、という言葉を知らないのかな

まぁいい
光源を求められているのならば、僕がすることはひとつしかない

――星を、灯すよ
それが求められ、叶えられることだから

手にするのは赤と青の金平糖
それと、二色の倍の数の、白

思い描いた場所になるかはわからないけれど
願って放り投げたのならきっと、

――そう望むくらい、許されたって良いだろう?
……僕の柄ではないのだけれど、ね

少し歪な形をしているけれど、瞬く星の座はいつかにも見た其
より識っている姿に近しい其に、お前は、何を想う?

ゆらり揺れる尾を撫でながら
本物には霞む其を、共に、見上げようか



●想起
「陽の無い海辺で入植しようだなんて少し浅慮だったんじゃない?」
 下調べ、という言葉を知らないのかな。呆れたようにそう言って、旭・まどか(MementoMori・f18469)は砂浜に転がる花々を見下ろす。
 とはいえ、わざわざここまで来たのだからと、彼は役目を全うするために空を見上げた。
 太陽どころか月もなく、猟兵達の手によるもの以外は、光の全く存在しない、黒塗りの空。
 そこに光源が求められているというのなら、やる事は一つしかないだろう。

 そう、星を灯すのだ。
 まどかが掌に乗せたのは、いくつかの金平糖だった。
 赤が一つに青が一つ、それから白をその倍の数。願いを込めて、それを放る。
 ばらばらに飛んだ金平糖は、ある一点を超えたところで天に上る。一つ一つ色を置くのとはまた違う、偶然に任せた一手。空に張り付き星となる、この一群を結べば、きっとそれも星座と呼べるだろう。

 それがどんな形になるかなど、まどかには知る由もない。
 それがどんな願いかさえも、君が知るはずもない。

 ――けれど、望むくらい、許されたって良いだろう?

 誰にともなく心中で問うて、生まれたモノを彼と眺める。ゆらゆらと揺れる尻尾の動きを、掌に感じながら、共に。
 雲無き空に浮かんだ、六つの星。暗闇の中で淡く輝くそれは、少し歪な形で、かすかに色付く花のようにも見えるだろうか。
 それでも、きっと本物には霞むそれを、見つめて。
「お前は、何を想う?」
 傍らへと、問いかけた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

御園・ゆず
夜空を、彩る……?
いえ、闇を取り払う、でしょうか?

とは言え、わたしの持ち物で良いものが無いですね……
うーん、どうしましょ。

サニーさん、大丈夫、ですか?
この空を明るくすれば、元気になります?
……うーん、すこし物騒になりますが、我慢していだだけると幸いです
言いながら、腰の後ろに付けていたホルスターからFN Five-seveNというハンドガンを抜き、石炭袋のようなそらの孔に向けて撃ち込みます
たたん、たん。
長いお耳のうさぎさん座
おっきなおめめのフクロウさん座
ふふ、どうでしょう?

げんき、出ましたか?
しゃがんで、よしよし、優しく聞きましょう



●直径5.7mmの星
「サニーさん、大丈夫、ですか?」
 大丈夫じゃないかもー。
「この空を明るくすれば、元気になります?」
 元気になるかもー。
「……うーん」
 萎びた野菜みたいになったサニーさんの返答は、どうにも投げやりで張り合いがない。
 少しばかり頭を悩ませて、御園・ゆず(群像劇・f19168)は所持品に丁度良いものがないか探る。ポケットや鞄の中のものがそれに相応しいとは思えず、次に彼女が手を伸ばしたのは、腰の後ろのホルスターだった。
「……すこし物騒になりますが、我慢していだだけると幸いです」
 無造作に両手で持ったそれは、飾り気のないシンプルな拳銃だ。猟兵達によって、いくつもの星が生まれた空を、ゆずはぐるりと見渡す。これは、夜空をさらに彩ること……いや、『闇を取り払う』という方が相応しいだろうか。
 ならば、と彼女は空のひととこ、散りばめられた光の合間の、ぽっかりと開いた暗闇を狙う。
 たたん、たん。と軽い、リズミカルな銃声と共に、マズルフラッシュが辺りを照らす。
 続けざまに放たれた銃弾は、暗闇に光を穿ち――。
「長いお耳のうさぎさん座。こっちは、おっきなおめめのフクロウさん座、ですよ」
 繋げばそんな絵が浮かび上がる、新たな星座を生み出した。
「ふふ、どうでしょう。でんき、出ましたか?」
「そうねー、綺麗」
「思ったよりも元気がでるわー」
 振り返ったゆずの問いに、ちょっと艶を取り戻した愉快な仲間達が答える。
「ねえアナタ、ワタシ達のみたいな星座もつくれる?」
 調子が戻ってきたのか、寝転がったままそんなことを言うサニーさんの傍らに、ゆずはしゃがみこんで、よしよしと応じてみせる。
「そうですね、あなたが元気に立ち上がれたら、考えましょう」
 やる気は出ないが、起きるべきか。ウーン、と悩まし気な唸り声を上げて、サニーさんはごろごろと転がりだした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ジョン・フラワー
【花星】
キミは星のアリス? 星のアリスだね!
よーし、一緒に世界を明るくしようじゃないか!

空が真っ暗でも、キミ達は美しく輝いて見えるよお花のアリス
やっぱ明るい方がいい? もっと輝けるならそれがいいね!

要点はわかっているよ! きらきらしたものを投げればいいんだろう!
そうだな例えば……僕とか?
張り付いちゃうのはちょっと困るな! 僕は最後の手段にしておこう!

金平糖が光るなら、このお花も光るかな?
この花冠ならきらっきらじゃない? 僕の持ってる一番だよ!
でもお天道様には及ばなさそう。もっと大きくて熱いもの?
ランタンは暖かいし明るいしいいかもしれないね! 落ちてこないようにしっかり投げておくれよ!


笹塚・彦星
【花星】ジョン(f19496)と一緒に。
何のアリスでもいいよ、オオカミ先輩。
飴が小さい星になって、宝石が明るい星になるんかぁ。不思議だなぁ…。
愉快な仲間達が上向いて貰えるようにしなきゃさね。
月と太陽も作ってやりたいけど…素材は何がいいんだろうかね。いやオオカミ先輩自身はダメでしょ。花ならいいかも。
とりあえず星達から作ろう。金平糖を空に向かって投げてみる。花輪綺麗だもんなー、星座とか出来そうだ。
月…は思い浮かばねぇ。鏡とか?
太陽は、無難に火の玉…?灯りのランタンそのまま投げてみる?よし、思いっ切り投げてみよう。
こうやって考えるのもなんか楽しいな、オオカミ先輩。



●花と星
「さあ出番みたいだよ星のアリス!」
「は? なんで名前のそこだけ取り上げた……?」
 ジョン・フラワー(まごころ・f19496)の呼ぶ声に、どうやら自分の事を言っているらしいと気付いた笹塚・彦星(人間の剣豪・f00884)が半眼になる。
「さあ行こうか星のアリス! 一緒に世界を明るくしようじゃないか!」
「ああ……わかった、何のアリスでもいいよ、オオカミ先輩」
 何を言っても名前は訂正されないのだろう。一早くそう察した彦星は、さっさとそれを受け入れることにした。

「やあ、はじめましてお花のアリス! 空が真っ暗でも、キミ達は美しく輝いて見えるよ!」
「そんな……ダメよワタシ達なんて……」
「ここで萎びていくのが相応しいわ……」
 絵に描いたような後ろ向きな反応に、彦星がこめかみを押さえる。このままでは、文字通り話にならない、ならば、やはり……。
「よし、とにかく上向いて貰えるようにしなきゃさね……」
 暗闇の広がる空を見遣る。雲が出ているわけでもないのに、のっぺりと黒に染まったそれは、どことなく不気味に見えた。
「月と太陽も作ってやりたいけど……素材は何がいいんだろうかね」
「大丈夫、要点はわかっているよ! きらきらしたものを投げればいいんだろう!」
「ああ、飴は小さい星になって、宝石は明るい星になるって話で――」
「それなら、僕を投げたらどうなるかな!?」
「いやオオカミ先輩自身はダメでしょ」
 何を言っているんだこいつは。それに張り付いたら戻ってこれなくなるかもしれない、と彦星はジョンを静かにさせる。
「帰ってこれないのはちょっと困るな! 僕は最後の手段にしておこう!」
「……とりあえず星達から作ってみるか」
「おにはそとーー!!!」
 それは何か違うなぁと思いつつ、彦星はジョンとともに、金平糖を散らすように空に向かって投げてやる。天に向かって登って行った金平糖達は、すぐさま色とりどりの星となった。
「いいねいいね! 金平糖が光るなら、花も光るかな? どうだろう、この花冠なんか、きらっきらになるんじゃない?」
「そうだな、それならいいかも。花輪綺麗だもんなー」
 頭に乗せた花冠を指差すジョンに、彦星が頷いて返す。
「星座とかできそうだけど……ただ、それも張り付いたら戻ってこないかもな」
「んん、じゃあこれも最後の手段で!」
 もっと眩しいものを投げてあげよう、というジョンが言う。だんだんと興が乗って来た彦星も、その方向で思考を巡らせて。
「月……は思い浮かばねぇ。鏡とか? 太陽だったら無難に火の玉……?」
「そうだね! 花冠より眩しくて、大きくて熱いもの?」
「ふぅん、それなら……」
 彦星の掲げたそれに、オオカミも手を打って賛成する。
「それで行こう、星のアリス! 落ちてこないようにしっかり投げておくれよ!」
「はいはい、任せなオオカミ先輩……!」
 一度思い切り振りかぶって、彦星はそれを、真上に向かって高く高く、放り上げた。

 暖かくて、明るいもの。火の入ったランタンは、天頂で一度強く輝いて、オレンジ色の炎を揺らめかせる、小さな太陽を生み出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

シン・バントライン
佐那さん(f00454)と

祖国を思い出す暗闇の中で何とも明るい夢を聞くと思わず笑顔になる。
彼の髪は太陽の様だと常々思ってはいたが、暗闇の中では尚の事。
ひょっとしたら彼を空に飛ばしたら何より明るくなるのではないか…なんて一瞬考えた事は秘密にしておこう。

「鍵ですか、素敵ですね」
物というのは面白い。見方によって使い方も意味自体も全て変わってしまう。
その鍵はきっと、彼の優しい心が作る闇を開く鍵になるのだろう。

自分は色んな色のドライフラワーを空に捧げる。
大好きな彼女から貰った花で作ったものだ。

彼と一緒にサニーさんを癒したUCをそのまま空に打ち上げ祈る。
いつか、あの世界にも太陽を。
そう願ってやまない。


佐那・千之助
シン殿(f04752)と

この世界に来たの初めて…って、懐かしい闇(DS出身
しかし光を作るとは腕が鳴る
私故郷を太陽でばーんと照らすのが夢での
今日はその予行演習と行こう!
…シン殿?考え事?

サニーさんをUCで癒し、蝶を灯りとし。
大丈夫?水いる?
やたら愛着湧く。かわいい

朽ちた鍵を取り出し、暫し眺め。
嵌め込まれた金の宝石を一欠片、剥がして天へ
これは私が過ごした城の鍵
もう開くべき扉もないのに手離せない欠片
此処で光となるなら、何よりの幸い

舞う花々に目を瞠る
なんて綺麗な空を作るひと
貰った花を枯れてなお大事にし続けた想い、優しさに胸が詰まり
彼女にも見せてあげたいな
故郷への重なる思いに、近しい微笑みを浮かべながら



●いつか陽の光を
 転移を終えたそこで、佐那・千之助(火輪・f00454)は心待ちにしていたように目を開ける。彼にとっては初めてのアリスラビリンス。その眼に最初に飛び込んできたのは――闇そのものだった。
「ははは、懐かしい光景じゃのう」
 光なき場所、と言えばダークセイヴァーである。共に降り立ったシン・バントライン(逆光の愛・f04752)もまた、似たような感想を抱いていたが。
「光を作るとは腕が鳴る。何を隠そう、私は故郷を太陽でばーんと照らすのが夢での!」
 今日はその予行演習と行こう、と述べる千之助の姿に、思わず破顔した。
「それはまた、剛毅な話ですね」
 祖国に似合わぬ明るい話。――ああ、この男の髪色もまた太陽のようだとは思っていたが、いっそここで彼を打ち上げれば、良い太陽となるのかも知れない。
「……シン殿? 何か考え事を?」
「いや、いや。何でもありません」
 浮かんだ想像をなかったことにするシンの様子に首を傾げながらも、千之助はまず、倒れ伏した彼等の元へと進み出た。
「おぬしらも、まだ生きておるか?」
「まもなくしぬわー」
 はいはい、とそれを受け流しながら、UCを発動。光りと熱を宿した炎の蝶が、千之助の指先からサニーさんの鼻先へとぱたぱた飛んでいき、明りを生み出すついでに彼等を癒す。
「あ、あたたかい……」
「水も飲むかえ?」
「飲むわー」
 うんうん、としばらく面倒を見たところで。
「……鍵、ですか?」
「うん? ああ……その通り」
 シンの問いに、懐から取り出したそれを見つめていた千之助が答える。
「素敵ですね」
「そんな良いものでもないじゃろう」
 ははは、と笑って、千之助はその古びた鍵から、嵌め込まれていた宝石を外してしまう。
 ……これは、自分が過ごした城の鍵なのだ。そう彼は語り始めた。長い話ではない、ただもう開くべき扉もなくなったこれが、自分は手放すことができないのだと、それだけの。
「……なるほど」
 物と言うのは面白いものだと、対するシンはそう頷いていた。使い方も、意味自体も、見方によって変わってしまう。
 もう鍵として使われることはないであろうそれも、きっと、彼の優しい心が作る闇を開く鍵になるのだろう。
「そう大げさなものではない。ただ、此処で世界を照らす光となるのなら――」
 それはそれで、悪くない。そう言って、千之助はそれを力いっぱい放り上げた。
 小さいけれど、黄金に輝く眩いそれ。新たに生まれた星をしばし眺めた後、シンもまた、手にしたものを空に捧げた。
「ほう、それは――」
「……ええ、大好きだった彼女から貰ったものです」
 ドライフラワー、色とりどりの花弁が、風に乗って飛んでいく。舞い上がるそれを見送って、千之助はそっと目を閉じた。
「彼女にも、見せてあげたいな」
 願い、祈るように、そう呟いた。

「……そうだ。どうです、佐那さん。癒しの力を、この世界にも」
「なるほどのぅ。やってみるか」
 そう頷いて返し、二人は共に、ユーベルコードを空に向けて発動する。
 いつか、あの世界にも太陽を。そう、これはいつか訪れるその日の、予行演習だ。
 瞬く光と、炎の蝶。二人の放つそれは天に上り、暖かく、優しく、地表を照らす光となった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ウーナ・グノーメ
【やすらぎの館】
大丈夫。一段落したら、わたしたちもお昼寝する?

●心情
「少しばかり海岸の砂を拝借するのです。砂の扱いなら任せるのです」

●行動
海岸の砂を拝借し、【念動力】で天へと放り投げて、天の川を鏤めるのです。
そして砂を【念動力】で押し固め、砂岩の像を作り出し、煌めくそれも天に向かって放り投げる。
モチーフは黄道十二星座。この世界にも射手座や天秤座ができるかも?
小石や小さな礫も放り投げ、箒星や惑星も作るのです。

あと、同時に小さな砂の精霊たちに、もうダメ死ぬとかネガティブなことを言っているヒマワリたちへと応援をさせるのです。

『大丈夫大丈夫できるできる絶対できる!』
『気持ちの問題です、なせばなる!』


レフティ・リトルキャット
【やすらぎの館】※詠唱省略OK
足元に気を付けて、ウーナ。僕(子猫)の背中に乗るかにゃん?。それにしても良いぽかぽかスポットになりそうなところにゃあ。

流石は砂の女王様。子猫の魔法使いは星を創りましょう。
レフティは子猫に変身し、周囲が十分な明るさになるまで暗視で行動をサポート。そして【子猫の魔法使い】に変身し、太陽や月の核代わりに巨大な肉球魔法弾を生成。ウーナの砂で魔法弾の外殻を固めて貰い、空へ放つよ。
大丈夫大丈夫。コレは爆発するものでもないし、ぷにぷにの気絶魔法にゃん。
……いつかあの肉球の月へ行ってぷにぷにする夢を抱いてもいいかもにゃあ。(サニー達に対する砂の精霊の応援を聞いて)



●砂の肉球
 砂浜に降り立った、小さな影が二つ。輝く翼のウーナ・グノーメ(砂礫の先達・f22960)に、子猫の姿のレフティ・リトルキャット(フェアリーのリトルキャット・f15935)が問いかける。
「足元に気を付けて、ウーナ。僕の背中に乗るかにゃん?」
「大丈夫」
 こちらは仮にも砂のフェアリーである。それに、これから行うことを考えれば、自らの足で地に立っておきたいところだ。
「それにしてもあったかい……良いぽかぽかスポットになりそうなところにゃあ」
「一段落したら、わたしたちもお昼寝する?」
 レフティの言葉に、ウーナが砂浜に寝転んでいる……ようにも見えるサニーさん達を見回す。まあ、それにしたって、今の状況では日向ぼっこもできないが。
「少しばかり海岸の砂を拝借するのです」
 砂の扱いなら任せてほしい、と彼女は念動力を発揮する。てのひらで掬い上げた砂は、その場で停止し、次に広がりながら、上空に向かって舞い上がって行った。
「うん、流石は砂の女王様」
「でも……思ったより難しいのです」
 ウーナが首を傾げる。思ったようにいかない、と感じるのは砂の操作そのものではなく、生まれた星の輝きだ。広範囲に広げた砂粒は、とてもとても薄い輝きしか放っていない。ぼんやりと広がる光は星雲のようだと言えなくもないが……。
「ただの砂では、ダメなのですかね?」
 念動力で砂岩の像をいくつも生み出し、空に上げては見たものの。射手座、天秤座、牡羊座……どれも、薄い星雲が生まれるばかりだ。
「やっぱりこの国の素材じゃだめなのかもー……」
「ずっと闇の中に居たんだものね、輝きなんて残ってないわ」
「どうせワタシ達もそうなるのよー」
「しぬー」
「ネガティブにもほどがあるにゃん……」
 呆れたようにレフティが呟く。その傍らで少し頭を悩ませながら、ウーナは手慰みに砂の精霊たちを召喚し始めた。
「しぬなんて言うなよ!」
「大丈夫大丈夫できるできる絶対できる!」
 やたらとテンションの高い精霊達は、口々に愉快な仲間達の応援を始めた。これで少しは静かに、もとい元気が出るだろう。
「……そうだ」
 手伝うように要請するウーナに従って、レフティが魔法使いへと姿を変える。
「ふーん、星の核を作れば良いのかにゃん?」
「そう、外殻はこちらで準備してみるのです」
 生み出された魔法弾にウーナの操る砂塵がまとわりついていく。
 すっかりとそれを覆ったところで、二人はせーのとタイミングを合わせて、空へとそれを解き放った。
 高く高く、闇の向こうへ。天頂付近に至ったそれ――肉球型のそれは、内側からの光を放つ、かわいらしい月となった。
 やった、と手応えを得てウーナが頷く。
「この調子で、惑星とかも増やすのです」
 それにこちらも同意して、レフティはまた魔法弾を準備し始めた。
 それから、生み出された月を改めて見上げて。
「……いつかあの肉球の月へ行って、ぷにぷにする夢を抱いてもいいかもにゃあ」
 この不思議の国であれば、それも可能なのかもしれない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
真っ暗くらー。
アァ……サニーサンが困ってる?困ってる?
賢い君、賢い君、助ける?
イイヨー。助けようそうしよう。

真っ暗くらに光。何を投げよう。
そうだそうだ、ココは砂浜。
貝殻。貝殻を投げてみよう。
だって貝殻はまーっしろ!
たぶん白い光になるサ。たぶん。

サニーサン、サニーサン、見てる?見てる?
せーの!
沢山の貝殻を一気に投げた!
どう?どう?

うんうん、じゃあ次は宝石。
賢い君の宝石。
真っ赤な宝石なンだ。綺麗だろうそうだろう。
賢い君、賢い君、いこう。
せーの!

ちょーっと毒があるケド大丈夫大丈夫。
もっともーっと綺麗に見えるはずサ。

サニーサン、満足したカ?



●毒持つ赤石
 新たなに訪れた真っ暗な世界を楽しむように、エンジ・カラカ(六月・f06959)が独特の足取りで歩む。まっさらな場所を行くのはいつだって楽しいもの。しかしそんな楽しい場所も、死屍累々と転がる彼等が居ては、色々と台無しではあるので。
「アァ……サニーサンが困ってる? 困ってる?」
 昼寝をしているわけではない、という結論は早々に彼の中でも出ていたらしい。
「賢い君、賢い君、助ける?」
 彼の抱いた深紅の輝きがそれに答える。にい、と彼は笑って。
「イイヨー。助けようそうしよう」
 そう結論を出して、エンジは砂浜へとしゃがみこんだ。
「いいのよ、ワタシ達なんて放っておいて……」
「ここで流木みたいになってるのがお似合いなんだから……」
「アー、わかった、わかった」
 呻く愉快な仲間達を適当にあしらって、エンジは砂の合間を探る。掬った砂を指の間から落として、残った大粒の石の中から、貝殻らしきものを拾い上げていった。
 少しばかり時間をかけて、両手いっぱいにそれを集めて。
「サニーサン、サニーサン、見てる? 見てる?」
「はいはい、見てるわよー」
 どうしたの、という問いを完全にスルーして、エンジは高く高く、貝殻達を投げ上げた。
 クラッカーの中身みたいに飛び出したそれらは、全て余さず重力から脱する。暗い天井へと舞い上がったそれ等は――。
「貝殻はまっしろ。白いからなァ、たぶん白い光になるはずサ」
 たぶん、ともう一度繰り返した彼の言葉通り、貝殻は白い光となる。
「どう? どう?」
「ウーーン……」
「あんまり……ごめんなさい、あんまり来ないわねぇ」
 アレェ? とエンジが首を傾げる。どうやら素材が弱かったか、空に浮かんだ霞のような薄明りでは、まだまだ元気は出ないらしい。
「うんうん、じゃあ次はもっとまぶしいやつだ。光るやつ」
 さあ出番だ、と呼びかける。それは彼が真っ先思い浮かべた、赤く輝くもの。
「賢い君、賢い君、いこう」
 血の雫のように真っ赤で、ああ綺麗だろう、そうだろう、それが毒持つ赤い宝石だ。
「せーの!」
 美しく、どこか不吉な印象を感じさせるそれを、エンジは空に向かって放つ。天上へと突き刺さったそれは、さそり座の星のように、赤く眩い光となった。
 先程の貝殻との差は歴然。燦然と輝くそれを満足気に見遣って、今度はどうだとエンジは胸を張ってみせた。
「サニーサン、満足したカ?」
「ええ、すごいわー」
「妖しくてきれい、うっとりしちゃうー」
 反応は上々。それに、さすがに毒持つ宝石だからといって、赤く降り注ぐ光にまでその影響はないだろう。
 ……たぶん。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オニバス・ビロウ
花には光がなければ、頑張る事も遣り遂げる事も出来ぬだろう
なればこそ、手助けをしようではないか
…だから死にそうとかもうだめとか言うのではない
復活するには足りぬだろうが、光る花を呼ぶUCを使って彼?らに渡しておく…もうちょっとしゃきっとせい

さて、投げるものはちりめんで和柄模様のお手玉五つにしてみようか
五つも投げる必要はあるかと聞かれると困るが…お手玉ならば五つは欲しいところであろう?
ちなみに中身は小豆なのでしゃらしゃらと良い音が鳴るぞ

では一個ずつ同じ方向へ投げるとしよう
同じお手玉がばらばらの方へ向いてしまったら…それは、少し寂しいからな
故に出来る限り等間隔に、兄弟の様に近くにあるように投げるのだ



●五連星
 金色の髪を揺らす潮風と、足元の砂の感触、波の音。どこか懐かしいものを感じながら、オニバス・ビロウ(花冠・f19687)は目を開いた。
 薄明りの中ぼんやりと浮かび上がるのは、砂浜に死屍累々と転がったサニーさん達の姿だった。
「はあ……あたたかいけど、暗いわね」
「しぬぅー」
「ええい、もうちょっとしゃきっとせい」
 へなへなの彼等に喝を入れるべく、オニバスはユーベルコードを放つ。『いろは唄・天花照覧』、その名の通り闇夜を照らす小振りの花が、彼を中心に咲き乱れる。俄かに生まれた輝きと、花畑の光景に、愉快な仲間達が歓声をあげる。
「すごいわ、楽園よー」
「ワタシ達、天国に来たのかしら?」
「えっ、やっぱりしんだの?」
 いや死んではいないが、と彼等を落ち着けて、オニバスは準備に取り掛かった。どうやら少しばかり元気を取り戻したらしき彼等だが、このユーベルコードの効果は、当然永遠に続くものではない。一時しのぎの利いている内に、次の一手を打たなければ。
「……こんなところか」
「なぁに、それ?」
 問いかけるサニーさん達に、取り出した五つのそれを見せてやる。それは、ちりめんで和柄模様をしたお手玉だった。
 軽く、リズム良くそれを投げ上げれば、中の小豆がしゃらしゃらと、心地良い音を鳴らす。
「ワタシ達にくれるのー?」
「違う、そうではなくてだな」
 起きたら起きたで口数が多いなこいつらは、などと思いつつ、オニバスは空の一点を狙った。
「行くぞ……!」
 暗黒の帳、その中心目掛けて、手にしたそれを一つずつ、順に投げ込んでいく
 せっかく揃いのお手玉だ、ばらばらに向けてしまっては、少しばかり寂しい。だから近くに、できるだけ等間隔に。そうして投げたお手玉は、空の彼方へ吸い込まれ――。
 赤く、煌びやかに輝く星が五つ、兄弟のように並んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

城野・いばら
たいへん…たいへん!
ああ、みんな…気を確かに
お水…!不思議の国の美味しい水、飲む?
いばら達は元気になれるのよ
みんなにもドーピング効果あればいいけれど

お日様が無いの、辛いわね…わかる、わかるわ
だけどいばらは光るモノないの
…この裁縫箱の材料くらいしか…
そうだ!ないなら、作ればいいわ
すこし時間はかかるけれど、アリスがくれた灯もあるもの

暖色系の布切れをお日様の形に縫い合わせ、
ビーズパーツを布に接着して、毛糸を詰めれば完成なのよ
…もっと布やキラキラがあれば、おおきくできるのになぁ
アリス達やサニーさんにも聞いてみましょう

お日様は、元気のみなもとだものね
…まっていて、サニーさん達!

*アドリブ、合作も歓迎です



●サンフラワー
「たいへん……たいへん! ああ、みんな……!」
 ぱたぱたと砂浜を走って、城野・いばら(茨姫・f20406)は萎びかけたサニーさん達へと駆け寄る。
「そうだ、お水……! 不思議の国の美味しい水、飲む?」
 自らもアリスラビリンスに住まう『愉快な仲間達』である彼女の持ち物、その水は、栄養豊富で丈夫な花が育つという特製ドリンクだ。
「ああ……美味しい……」
「とっても染みるぅ……」
「よかった……。いばら達はこれで元気になれるのよ。みんなにも、ドーピング効果あればいいけれど……」
「おいしすぎてしぬー……」
「ま、待って! 気を確かに!」
 永遠の眠りに付きそうになった一人をどうにか叩き起こして、いばらは闇の空へと目を向けた。
「こんなに疲弊してしまって……お日様が無いの、辛いわね……わかる、わかるわ」
 茨にだって、日光は重要だもの。けれど……といばらは言い淀む。
 光り輝くものとなると、所持品には思い当たるものがない。あるとするなら、大事な秘密の裁縫箱くらいで――。
「――そうだ! ないなら、作ればいいわ」
 そう、針と糸、それにアリスのくれた灯と、使えるものは揃っている。
「すこし時間はかかるけれど……まっていて、サニーさん達!」
 気合のこもった声と共に、いばらは早速作業に取り掛かった。

 選び取った暖色系の布を、縫い合わせて丸い形に。ビーズパーツもくっつけて、毛糸を詰めれば、小さなお日様の出来上がりである。
「……うーん」
 片手で持ったそれを頭の上にあげてみて、空に浮かんだところを想像する。なかなか良い出来だとはおもうけれど、いばらの眉間にすこしだけ皴が寄っていた。
「もっと布やキラキラがあれば、おおきくできるのになぁ」
 そう、ちょっと物足りないのだと。助けを求めるように、いばらは力無く転がっているサニーさんに視線を向ける。
「サニーさん、サニーさん。何か使えるものないかなぁ?」
「えー、ここ砂浜しかないわよぉ」
「そうねぇ、だったら……これつかう?」
 示されたのは、サニーさんの顔に付いた黄色い花弁だ。
「えっ、良いの?」
「ほんとは痛いからしたくないんだけどー」
「また生えてくるし? このままだと枯れちゃうだけだし?」
「アア、でもワタシ達なんかの花弁じゃ、綺麗になるわけないわよね……」
「ま、待って! ありがとう、使わせてもらうから!」
 提案から即ネガティブに落ちかけたサニーさんを止めて、いばらは大きな花弁を一つ受け取った。少し萎れているけれど、まだ色鮮やかなそれを最大限に利用して――。
「……よーし」
 お日様は元気のみなもと。だからきっと、この太陽は、みんなを笑顔にしてくれるだろう。

 いばらの手から、力いっぱい放たれたそれは、黄色くて眩しい、小さな太陽を形作った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

マリアドール・シュシュ
【泡沫】
アドリブ◎
星等の詳細お任せ

黒い空
まるで今の霞架のよう
ならマリアは
あなたを照らす太陽に
果て無き宵闇に寄り添う星に

ねぇ霞架
一緒に不思議の国の太陽を咲かせましょう

服の釦投げ様子見
次に自分の宝石の髪を軽く削る
蜜金色の星砂を息吹き掛け星座に

霞架は何を投げるのかしら
大丈夫
太陽と雨が編めば

最後に白の茉莉花を優しく飛ばす
祝福の陽光を
謳う

夜空に架かる虹
もしも挫けても
二人でなら
素敵な未来を切り拓けると信じているから

霞架の質問にきょとん

…顔も憶えてないけれど
昔誰かに言われた事があるの

疑いからは何も生まれない
どんなに裏切られ傷ついても
信じると決めたのなら
最後まで貫き通せ

マリアは怖くないわ

愚直にも(育て親の影響


斬崎・霞架
【泡沫】
アドリブ歓迎

向日葵ですね。
服を着ていますが。
…向日葵らしからぬテンションですが。
(【唄う小舟】でサニー達を照らしつつ)

黒い空に光を、ですか。
(次々に光を灯すマリアを眺める)

さて、何を投げるか、ですか。
自前で出す事が出来るものなど、呪詛くらいのものですが。
それでは、良くないモノが降って来そうですね。

僕ではマリアさんの様にはいかない。
彼女の様に優しい光を灯すなど。
…ですが、多少の色を加える事ならば。
(海の水を手で掬い、空に向かって投げ放つ)
雨くらいにはなりますかね。

…マリアさん。貴女は何故、そこまで人を
…信じる事が出来るのですか。怖くは、ないのですか。
(思わず、と言った感じで口に出し)



●プリズム
 見上げたそこに光はなく、全き闇が広がっている。この黒い空は、まるで今の霞架のようだと、マリアドール・シュシュ(蜜華の晶・f03102)はそんなことを考える。
 ならばそれを照らす太陽として、果て無き宵闇に寄り添う星として。そう在るべき姿を定めて、彼女は斬崎・霞架(ブラックウィドー・f08226)の方を振り返った。
「ねぇ霞架、一緒に不思議の国の太陽を咲かせましょう」
「黒い空に太陽を……ですか」
 ランプの光で愉快な仲間達の様子を窺っていた彼は、直接的な答えを避けて、呟く。
 見れば返答を待つ様子もなく、マリアドールは光を生み出す作業に勤しみ始めていた。
 投げ上げた服のボタンが一等星のように輝くのを見て、自らの髪を削った欠片をその周りに吹き掛ける。細かなそれは、遥か遠くの星雲のように空に広がる。
 黒いキャンバスに乗せたそれらの光に目を細めて、彼女は霞架を促す。
「霞架は何を投げるのかしら」
「……自前で出す事が出来るものなど、呪詛くらいのものですが」
 そんなもの、空に浮かべるには相応しくないと、彼はそう首を振った。手伝いたい気持ちはあれど、それが呪いの嵐にでもなったら目も当てられない。
「僕では、マリアさんの様にはいかない」
 マリアドールの新たに生み出した光を目で追って、霞架は言う。黒い衣服に、漆黒の髪。それらを空に放ったところで、彼女の星を覆う事しかできないだろう。
「……ですが、多少の色を加える事ならば」
 砂浜を少し歩いて、彼は海の水を両手で掬う。高く、それを投げ上げれば。
「雨くらいにはなりますかね」
「……うん」
 それでいいの、とマリアドールは肯定する。続けて雨粒の中へと投げ上げられた、白の茉莉花は、その中心で白く輝く恒星となる。
 太陽と雨、その二つの組み合わせが、虹の輪を編み上げた。
「もしも挫けても、二人でなら素敵な未来を切り拓けると信じているから」
 七色の光となったそれをしばし眺めて、霞架は口を開く。
「……マリアさん。貴女は何故、そこまで人を」
 口を突いて出たと思しきそれは、光と共に生まれた影の中で、苦し気に響く。
「……信じる事が出来るのですか。怖くは、ないのですか」
 その問い掛けは随分と、マリアドールにとっては意外だったようで。きょとんとした顔をした後に、答えを探す間が空いた。
「……顔も憶えてないけれど、昔誰かに言われた事があるの」
 彼女が口にしたのは、かつての話。薄まった記憶の中でも、しっかりと色の残った言葉。
「疑いからは何も生まれない。どんなに裏切られ傷ついても、信じると決めたのなら、最後まで貫き通せ――」
 そう、信じると決めたのだから。
「マリアは怖くないわ」
 迷いも憂いも追いつけない、そんな微笑みが虹の下で輝いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メリル・チェコット
ひまわりさん……しなないで……
(彼らなりに深刻なんだろうけど、ちょっと面白い光景だ……)
とはいえ早く助けてあげたいな

バケツいっぱいに、大小サイズの色とりどりの飴玉達
お空に何があったら嬉しいかなぁって考えたんだけどね
やっぱり甘いものだと幸せだなって
いろんな味、いろんな色彩のキャンディを持ってきたんだ!

そしたら、雨が降ったときも、
キラキラきれいであまーい幸せな雨が降りそうだよね
そんな世界、すっごくステキだと思うの!

どうかな?
これで少しは元気になってくれるといいんだけれど……



●光る雨
「ひ、ひまわりさん……しなないで……」
 倒れたサニーさんの手を取り、メリル・チェコット(コットンキャンディ・f14836)はその葉の萎びた様子を悟る。人生を投げ出したような姿勢で転がっているこの愉快な仲間達は、どうも立ち上がる気力もないようで。
「もう、だめなの……ワタシ達の事は忘れて……」
「お嬢さんは幸せになるのよ……」
「ひ、ひまわりさん? ひまわりさん……!」
 何だか幸せを祈られてしまった。しかしこの打ち上げられた流木が並んでいるようなこの光景は、ちょっとだけ面白い……。
 いや、彼等にとっては深刻だし、不謹慎かも知れないと、メリルは頭を振ってその感想を追い払う。そして事態の元凶と言えなくもない、黒塗りの空を振り仰いだ。
「大丈夫、すぐに何とかするからね」
 そうして彼女は、傍らに置いていたバケツへと手を伸ばす。じゃら、という手応えと共に、掬い上げられたのは掌いっぱいの飴玉だった。
 空に浮かべるのなら、何があったら嬉しいか。そう考えた末に、彼女の至った結論がこれだ。
 大小様々、色とりどりのキャンディ。やはり、甘いものとは幸せの象徴なのだから。
「えーいっ」
 両手で高く投げ上げれば、花火のように散ったそれが、同じ数の星となって空を彩る。一つ一つは小さいけれど、バケツいっぱいのそれはサイズを覆すだけの数がある。豊かな色彩も相まって、黒く広がっていた空は鮮やかにその色を変えていった。
「まあ、段々明るくなってきたわ」
 力無く倒れ伏していたサニーさん達が、顔を上げ始めるのが分かる。
「そうねえ、でもああして星になっちゃうと、食べられないのが残念かしら」
「それは仕方ないんだけど……」
 彼等と共に空を見上げて、メリルは七色の星団を指差した。
「でもね、雨が降ったときを想像してみて!」
 この国の雨の様子は定かでないが、空から降るというならば、その雨粒は、光がとけて甘く輝く――そんな雨になるのではないか。
「ああ……それはステキねェ」
「でしょう?」
 愉快な仲間達の声に、わたしもそう思う、とメリルは微笑んだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

九之矢・透
こんなハッピーそうな見た目してんのに、しおしおしてるな……
やっぱ光が無いと腹減るのかな?

ポケットの中にあった取って置きのメロンパンを投げてみるか
丸くってふわふわで、
上にクッキー生地に格子模様がついてるヤツ

メロンパンって所によっちゃあ「サンライズ」って言うらしいぞ
何になるかは兎も角、昇って光になるにはピッタリな名前の気がするし
あー良い匂い……お腹空いて来たな
食べちゃう前に投げないと

軽くて投げにくいからフリスビーみたいにやってみよう
面か裏か、照らしてもらった明りで確認して……投げる!!

もし高さに届かない時は『鵲』、手伝ってくれな?

この世界が光に満ちる時が楽しみだ
やっぱヒマワリは空を見上げてないと



●サンライズ
「おーい、大丈夫か?」
「大丈夫じゃないわー……」
「塩揉みにされたみたいな気分よー」
 横たわる愉快な仲間達の傍らにしゃがみ込んで、九之矢・透(赤鼠・f02203)は彼等の様子を窺う。
「こんなハッピーそうな見た目してんのにな……」
 恐らく、普段はこうではないのだろう。やはりこの手の種族は光がないとお腹がすくのか、と萎れた彼等を気遣いながら、透はポケットに手を伸ばした。
 彼等もまた空腹であるのなら、これもまた致し方ない選択だろう。大きなポケットから出てきたのは、とっておきの一品、メロンパンである。
 丸くてふわふわ、格子模様の付いたクッキー生地は香ばしいかおりを印象付けるような、きつね色をしている。食べたらおいしいのは目に見えているのだが、今回はお預け。
「メロンパンって所によっちゃあ『サンライズ』って言うらしいぞ」
「さんらいず……?」
 状況が状況だけに、縁起の良い名前だ。名前通りに輝いてほしいと祈りを込めながら、透は包みからそれを取り出す。
「こっちもお腹空いてくるな……良い匂い……」
 手元を照らしてくれる淡い灯の下で、メロンパンの表裏を確認。それからああでもないこうでもないと投球フォームをサニーさん達と話し合い、最終的には円盤投擲の構えで振りかぶった。
「せーのっ」
 軽い助走と共に、フリスビーのように投げる。横向きに弧を描くような軌道で、メロンパンが宙を舞う。
「あっ、ちょっと低い!? 『鵲』!」
 落ちてきそうになったそれを、不可視の鳥が下から叩く。衝撃で大きく上に跳ねたメロンパンは、そのまま空に吸い込まれるように昇って行った。
 サンライズ、これもまた昇る太陽と言っても良いものか。黄色く柔らかな光を放つ恒星が、空の一点に生み出された。
「んー、太陽と呼ぶにはちょっと弱いかなぁ」
 手で庇を作って、生まれた星を眺める。眩しいけれどちゃんと直視できる程度なのは、良いのか悪いのか。
「でも、おかげでちょっと明るくなったわー」
 五体投地状態だった愉快な仲間達の声が聞こえる。顔を上げたその様子に、透は満足げに微笑んだ。
「やっぱ、ヒマワリは空を見上げてないと、な」
 この調子ならば、この国はすぐに光で満ちていくだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

夜暮・白
わあ!? まっくらだ!

どんよりしてると、もっと暗くなりそうだね。
サニーさん達には聖なる光でちょっと元気を出してもらおう。
あのね。空の高いところに星を作りたいんだ。手伝ってくれない?

まずは連珠から石を一つ外して。
この開拓地にふさわしいもの…… ヒマワリの花びら、は痛そうだね。アロハシャツの切れ端を貰っていい?
それを短冊のように、願いを込めて括り付けて完成。

あとはサニーさん達に台になってもらって、助走をつけて葉を足場にジャンプ!
石を思いっきり高く投げるよ。

着地は気が抜けたのとUCの疲れで失敗するかも。
いたた…… これできれいな空になったかな?



●踊る流星
「わあ!? まっくらだ!」
 転移した場所のその風景に、夜暮・白(燈導師見習・f05471)は思わず声を上げた。いつか宇宙船から見たのとも違う、のっぺりとした一面の黒。仲間の灯した火の光で、打ち捨てられた野菜のようになったサニーさん達が見える。
「どんよりしてると、もっと暗くなりそうだね……」
 そう言って、白は生者たるものが抱く、聖なる光を表に出した。
「はあ、明るい……癒されるわ……」
「尊い……光ってこんなにも大切なものなのね……」
 彼の光にはもちろん回復効果もついている。若干元気になったのか、口数の増えてきた彼等に、白は協力を頼むことにした。
「あのね。空の高いところに星を作りたいんだ。手伝ってくれない?」
「もちろんよ、助けてもらったものね。でも、どうすればいいのかしら?」
 問いかけるサニーさんに応えるべく、白は手にした連珠から、珠を一つ取り外す。あとは、この開拓地に相応しいものをつけたい、と辺りを見回して……その視線が行き着いたのは、やはりサニーさん自身だった。
「ヒマワリの花びら、は痛そうだね。アロハシャツの切れ端を貰っていい?」
「ん~、お気に入りなんだけど、アナタの頼みなら仕方ないわね」
 花弁でもいいけど、と考えたようだが、結局サニーさんは少し考え、来ているシャツの端を破いて渡した。
「ありがとう。それじゃこれに願いを込めて……」
 白は受け取ったそれを短冊のようにして、先程の珠に括り付ける。それから、と声をかけて、数人のサニーさん達に集まってもらい――。
「行くよー?」
 合図と共に助走をつける。砂浜を蹴立てて、集まったサニーさん達の葉を足場に、跳ぶ。
 葉を振り上げるサニーさん達の動きも合わせて、空高く跳んだ白は、さらに上へと短冊付きの珠を投げ上げた。それが空に吸い込まれていくのを見送って、光を放ち始めるのを目の当たりにする。
 生まれた星は、アロハシャツの色合いによるものか、赤や緑にその色を変えながら、暗闇の空をくるくると踊り出した。
 止まる事ない不思議な流れ星の放つ、眩い光を眺めながら、白は重力に従って落下していった。
 うまくいった、という安心感と、自ら放っていた光による疲労で気が遠くなりかけた彼を――。
「きゃーっち!」
「危なかったわねぇ」
 ちょっとだけ元気を取り戻したサニーさん達が受け止めた。
「あ、ありがとう」
 葉の感触を背に受けながら、礼を言った白は、もう一度改めて空を眺める。
「……これで、きれいな空になったかな?」
 他の猟兵達の打ち上げる光が次々と灯り、空は、光で満ちていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祓戸・多喜
天井…っぽいけど空?
変わった世界、でも真っ暗なら皆を照らす光を頑張って作っちゃおう!

倒れてるサニーさん達にまず元気出してと励ましを。
もうちょっとで明るくなるから前向きガンバ!とJKらしく?
そして飛び切り大きな矢を取り出し、その先に布巻き油染み込ませて着火、空に向かって思いっきり放つ!
星と言えば燃えてるもの、火矢が張り付いたならいい感じになるんじゃないかなって。
当然近くの何かを燃やしちゃわないように他に空に張り付いた物からは離れた所を狙う。
いい感じに明るくなりそうなら何発か空に放って星団にでもしちゃえばロマンティックな気がする!
余裕あったら弓矢の形に見立て配置してみる!

※アドリブ絡み等お任せ🐘



●炎の弓座
 祓戸・多喜(白象の射手・f21878)は空を見上げる。天井っぽいけれど、それはこの国の空なのだ。
 ここもまた変わった国――などと思いながらも、彼女は弓を引いた。

「元気ないなー、大丈夫?」
「むりよー、こんな状態で生きていけるわけないわー」
「生まれてきたのが間違いだったのよー」
 声をかけた相手のあまりのネガティブさに、うわあと思わず声を上げる。
「もうちょっとで明るくなるからね!」
 前向きガンバ! などと萎れたサニーさん達に声をかけたのが先程の事。皆を照らす光を、と願いを込めて、番えられたのがこの一射だ。
 引き絞られた弓の前で、特大の矢の先に巻き付けられた布が、赤く燃えているのが見える。
「――!」
 集中力を高め、放つ。真っ直ぐに空へと飛んだ火矢は、暗闇の一点を見事に射抜いた。
 空に刺さった矢と、それに運ばれた炎が輝きを増す。そう、恒星とは常に燃えているもの。ゆえに炎は分かりやすく恒星としての特性を露にする。
「よーし、調子良いから次も行っちゃおう!」
 燃える光が辺りを薄く照らすのを感じながら、多喜はまた同じものを弓に番えるべく、準備を始めた。
「このまま星団にしちゃおうかな? ロマンティックで良いよね!」
 手持ちの矢を全部使えばそれも可能だろうか。それが無理でも星座くらいは作りたい、と空を見上げて、黒いキャンバスにこれから描くイメージを作る。
 そうして次々と放たれた光は、空に炎の弓矢を描き出した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
オレンジ色に光る星形のランプ手に
サニーさん、おてつだいしにきたよ

ひろってきたきれいな石をえいっ
わあ、ほんとうだ
星になったよっ
サニーさん見える?
ありゃ、やっぱりもっと光がなくちゃだめみたい

じゃーん
折り紙もってきたんだ
いろいろ折り方おしえてもらったんだよ
みてて
ちょうちんをえいっ
鶴をえいっ
星が鶴の形を描けば
せいざだっ

このランプは空にあげちゃだめなんだよ
ともだちといっしょに買っただいじなものだから
にてる星なら、こんぺいとうがあるよ
これもね、ともだちと見つけたおうさまのこんぺいとうなんだ
ちょっとだけ空にわけてあげるね
うんと輝くように、きいろいのっ

うん、もうランプはいらないね
灯りを消して
空の光をながめよう



●折り紙の星座
「サニーさん、おてつだいしにきたよ」
「あらー、ありがとう猟兵さん」
「でも大丈夫よー。ワタシ達みたいな生き物はここで朽ちていきますからねー」
 オズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)の掲げた星型ランプのオレンジの光に、サニーさん達の自暴自棄な笑顔が浮かび上がる。
 これは重症だ、と一人頷いて、オズはまず拾ってきた綺麗な石を空に向かって投げ上げた。そのまま天に上ったそれは、白く光りを放ち始める。
「わあ、ほんとうだ、星になったよっ」
 サニーさん見える? と歓声をあげて問うてみるが。
「ええ、どこ……?」
「見えないわ……もうしんだ方が良いのかしら……」
 ううん、ダメそう。もう少し明るいものを用意しないと、と彼が次に取り出したのは。
「じゃーん、折り紙もってきたんだ」
 色々折り方を教わってきたのだと、オズは砂浜に腰を下ろして折り紙を始めた。
 折り目を付けて、それをなぞって紙を畳んで……ランプの照らす灯の傍で、一枚一枚丁寧に。
 やがてそれらは形を変えて、提灯に鶴、兜に、そこから一捻りして金魚、と色とりどりの作品になっていく。
「――えいっ」
 出来たそれらを順番に空に上げれば、それぞれの色の星座が生まれていく。
「どうかな、あかるくなってきた?」
「ええ、すごいわーとっても綺麗だし……」
 少し元気を取り戻してきたようなサニーさんの視線が、手元の灯に行っているのに気付いて、オズは困ったように笑う。
「あ、このランプはね、ともだちといっしょに買っただいじなものなんだ」
 だから空には上げないんだよ、と伝える。
「あら、宝物だったのね」
 それはごめんなさい、というサニーさんに、オズは「その代わり」、と別の光源を取り出した。
「これもね、ともだちと見つけたおうさまのこんぺいとうなんだ」
「それも大事なものなんじゃないの?」
「うんっ。でもちょっとだけ、空にわけてあげるね」
 王冠を模した独特の形の瓶から、きらきらしたそれをいくつか掌に乗せる。
 空でうんと輝けるよう、黄色く輝くそれを選んで、もう一度天に向かって。

 下から上へ、逆に駆ける流星が、空の一点に留まった頃には、周りはすっかり明るくなっていた。
 もうランプは要らないだろう。つまみを捻って明りを消して、オズはしばし、空に広がる無数の光を眺めることにした。
「ふふ、みんなすごいなぁ」
 色とりどりで、大小様々。最初は真っ黒だったこの国の空は、今では随分にぎやかなことになっていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 日常 『お伽噺の世界』

POW   :    元気よく楽しむ

SPD   :    知的に楽しむ

WIZ   :    優雅に楽しむ

イラスト:nemi

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●世界は光に満ちて
 猟兵達が天に描いたそれぞれの光は、一面の黒でしかなかった空を鮮やかに彩った。星、月、そして太陽……いくつもの輝きが、空からこの地を照らし出す。
「まあ、本当にありがとうございます、猟兵の皆さん!」
「やっぱり思った通り素敵な場所ね!」
「さあ、ワタシ達のお花畑を作るのよー!」
 つやつやと、生き生きと、元気を取り戻した愉快な仲間達は、口々に猟兵達へ感謝の言葉を伝え、本来の開拓作業へと入って行った。
 波打ち際から少し行けば、手付かずの肥沃な大地がある。このまま開拓が続けばきっと、ここは彼等のような明るい花に囲まれた、賑やかな国になるに違いない。
 楽し気にはたらく彼等をしばし見守って、猟兵達はそれぞれの場所へと帰還した。


●一日経過
 その翌日。グリモア猟兵の案内でこの国に戻ってきた猟兵達は、ぐったりと倒れたサニーさん達の姿を目にする事になる。
「ああ、暗い……どうしてこうなっちゃったの……」
「所詮ワタシ達には無理だったのよ……」
「もはやしぬしかないわ……」
 国の様子は、最後に見た状態から変わり果て……というより、ほとんど元に戻っていた。あんなに賑やかだった空の光はごっそりと失われ、またしても暗闇が大地を覆っている。
「これは……?」
 そこで、猟兵達はもう一つの変化に気付く。
 暗闇に落ちた大地と対照的に、砂浜の向こう、海の底が、ぼんやりと輝きを放っていた。

「光がね、上って来ないのよ……」
 サニーさんの一人が、沈んだ様子で話し始める。
 先日の出来事で、猟兵達の内の何人かも気付いていたが、この国の空はゆっくりと回っている。UDCアースで見上げる空のように、天にある星達は、大地側――地平線から上って、反対側の海――水平線へと沈んでいく。
 そうして沈んだ星が、月が、太陽が、そのままほとんど上って来なかった結果、こうなってしまったものらしい。
 また訪れた長い夜。いくつかの星はまた昇ってきていることから、この淡く光る海の底で、何かが起きているのは確かだろう。

「お墓になんて書く?」
「野晒しで良いんじゃないかしら」
「そうね、皆で肥料になりましょう……」
 嘆き続けるサニーさん達は、どう見ても水中に行くには適さない身体をしている。彼等に代わって、海の中を調査する必要があるだろう。


●大洋の物語
 淡く光を放つ海へと入れば、猟兵達はすぐに状況を理解できることだろう。
 不思議な事に、この海の中では息ができる。そして泳ぐことも、その気になれば海底を歩くことも可能である。
 地上から見えた光は、海の中へと行くほどに増し、海底はまるで昼間にように明るい。
 その原因は明らかで、上って来なかった星や太陽――猟兵達の浮かべた光は、『空』から引き剥がされて、海底に捕まっていたのだ。

 いくつかは海底の砂に埋められ、またいくつかは洞窟に隠され、他には岩を乗せられたり、海藻で縛り付けられたりと、様々な形で固定されているのが見つけられるだろう。
 誰がこんなことをしたのか、なぜこうなったのか、それは今の段階ではわからないが、何にせよこれらを取り返す必要がある。

 では、行こう。沈んだ光を求めて、輝く海の中へ。
城野・いばら
これがうみ?…しょっぱい水溜り!
のみ込んでしまうなんて、キラキラが好きなのかしら

日傘の風に乗って、空中浮遊で光を覗き込む
はじめての海にドキドキしちゃう
泳ぎ方わからないけど…アリスの真似したら大丈夫かなぁ
空気をいっぱい吸ってどぼんとダイブ

蔓に変えた両手でお岩や珊瑚さんを掴んで進むわ
光を目印に、怪力とグラップルで動かしたり退かして探すね
お魚さんにあえたらお日様を知らないかきいてみるの

わぁ!アリス達が作った光も沢山できれい
…取っちゃったらお魚さんさびしいかな
でもサニーさん達のためのお日様だから…
ごめんね、いばらの花弁と交換しよう?
気に入ってもらえるかわからないけれど
頭のシロバラ、かわりに置いていくね



●おひさま
 海に向かう風を待って、いばらは真っ白な日傘を開いた。傘の裏側で風を捕まえ、星無き夜空に舞い上がる。
「わあ……!」
 陸地を離れ、沖へ沖へと運ばれながら、彼女は海面から底を覗き込む。
 これが、うみ? 風に吹かれて水面が波打つ、大きな大きな水たまり。真っ暗な空とは違って、その向こうにはきらきらとした光が見える。
「こんなにいっぱいのみ込んでしまうなんて……キラキラが好きなのかしら」
 いばらにとっては初めての海だ。おそるおそる、と言った調子で光を探していた彼女だが、あるところで意を決したようで、一度大きく息を吸い込んだ。
 ぱたんと日傘を閉じれば、身体は風から離れて、海面の方へと落ちていく。
 そういえば、泳ぎ方とか分からないけど、大丈夫かしら?
 浮かんだ疑問に答える前に、どぼんと音を立てて、彼女は光る海へと着水した。

 こぽ、と吐いた空気が水面に上って行くのを見送って、いばらはそれでも息が続くことに気付く。それは彼女の知識からしても不思議な事だったけれど、今はそれが丁度良い。少し両手を動かして、頭を下に、海底に向かって彼女は進む。
「わぁ! すごい沢山の光!」
 きれい、と思わず歓声を上げてしまう。先日夜空に浮かべたものを、片っ端から沈めた海は、あの日の星空と同様に光り輝いている。
「……あれ、お魚さん?」
 そんな彼女の鼻先に現れたのは、赤い魚。けれどよく見ると、その魚自身も光を放っているのが分かる。
「もしかして、あなたもアリスの作った光なの?」
 首を傾げて問うてみたが、光る魚に応える術はないようだ。
「うーんと、それなら……お日様を知らない? 黄色くて小さいけど、かわいい太陽なのだけど」
 重ねた問いは伝わったのか定かでないが、その魚はいばらに背を向けると、海底に向かってすいと泳いでいった。
「あっ、待って……!」
 慌てて少しばたばたしてから、彼女はその両手を使うことにした。
 伸ばした両手は蔓になって、水を掻き分け進んでいく。その先端で飛び出た岩を掴むと、それを支えに身体の方を進ませ始めた。
 先程の魚の尾鰭の放つ、赤い光を追いかけていけば、辺りが黄色い光に照らされている事にいばらは気付く。
「もしかして、この辺り……?」
 一度引き寄せた蔓を使って、目の前の大岩に巻き付ける。
 よいしょ、と怪力を駆使してそれを持ち上げれば、その下には黄色く輝く太陽が見つかった。
「ふふ、ここにあったのね」
 良かった、と手を伸ばして、それを拾い上げる。やわらかな感触とビーズの輝き。毛糸を詰めて、愉快な仲間達の花弁を塗い合わせて作ったそれは、ふたつの意味で、『サニーさんの太陽』だ。
 元気の源、そう呼んだそれを、いばらはじっと見つめる。

 見つけ出し、取り返せたのは嬉しいけれど……ここにこれを隠した誰かは、太陽を失って寂しがるのだろうか。
 うーん、と少し考えて、彼女は髪の間を飾るそれ――白薔薇の花弁を一つ取った。
「気に入ってもらえるか、わからないけど……」
 太陽に代わって、それを浮かべる。
 真っ白なそれは、波の揺れに合わせて、ふわりと踊った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

シン・バントライン
【日向】の3人で

光とは何だろうか。

海で溺れた時、水面がどちらかも分からなくて苦しかったのを覚えている。
明るい方が水面だと覚えたばかりだというのに今度は底の方が明るいという。困る。
早く光を返して貰おう。

UCで海底を隈無く探す。
空に飛ばした筈の花々は海の花畑になっているだろうし、佐那さんの宝石は一際輝く心の鍵だ。
怪しい場所を見つければ日東寺さんに岩など退けてもらおう。

溺れたあの日、自分を助けてくれたのは人魚の様な彼女で、さながら海の花だった。
やはり彼女は自分の光だなと見つけた花を拾いながら改めて思う。

ナイフで自由になる星と再び海に贈られる宝石を見れば、想いが光になる事を知った。
どうか末永く光れ。


佐那・千之助
【日向】

…私の光、探しにくっ…!
大洋で一粒の宝石探すの極めて困難では??
彼らに苦労を掛ける訳にいかぬ
かくなる上は!(鍵から更に宝石を剥がして隠し持つ
これ持って「見つかったー」と言うか…!?

花畑はシン殿に似合ってて
彼女を想う姿をこっそり堪能
あ!有頂殿、藻の中にあるの私のやつー!すごい、プロの腕前!
彼の優しい思いに石が引き寄せられたか

綺羅びやかな光達が昇る
その分暗くなった水底を見つめ、思う
もしも光がほしくて海が光を閉じ込めたのなら
かつて炎の力を喝求した私と、同じ

ささやかで済まぬが、と手に隠していた方の宝石を海へ
悪巧みの証拠隠滅…なんて
代わりに綺麗な砂をひとつまみ頂き
戻る路は、彼らが残した光の軌跡


日東寺・有頂
【日向】の3人で

こいは正しく不思議の海やねぇ。
海底歩いて宝探しなん繰り出せるとは思わんかった。
やぁ俄然ワクワクしてきよりましたばい。こん国ば永く遍く照らしよる光を、必ず取り戻したるけんね!
花と宝石と。唯一無二の輝きであろうそいらを探して歩くとよ。暗がりに隠されとっても水中暗視で見つけたる。岩や何や乗せられとるんならUC使うて除いたる。藻が絡みついとんならナイフでえいやと解放したる。
オイはごっそり取りこぼしてもうた、お二人の大切な『あの時』
どがんして海ん底囚われてもうたんかは分からん。誰ぞの思惑なんかも知らん。
ばってん、お二人の想いば灯る光
何度だってお空へ上げたるばい。



●光とは
 海底に向かって沈んで行きながら、シンはかつて海で溺れた日の事を思い出す。
 水面がどちらかもわからず、もがいた結果沈んでいるのか浮かんでいるのかもわからなくなって、苦しい思いをしたものだ。そういう場合は明るい方が水面だと、覚えたばかりだというのに……。
 向かう先、海底を見遣る。猟兵達の浮かべた光があちこちに沈んだ海は、なんと底に行くほど明るいのだという。
 困ったものだと彼は思う。この話を彼女にしたら、さて、何と言うだろうか――。
「ああ、こいは正しく不思議の海やねぇ」
 シンと、それから千之助に先立って、海中に至った日東寺・有頂(手放し・f22060)は感嘆の息を吐く。
 ダイビングやら素潜りやらとはまた違い、この海ならば底を歩ける。海底の宝探しともなれば、自然と胸も躍るというもの。
「こん国ば永く遍く照らしよる光を、必ず取り戻したるけんね!」
 気合十分な彼の後方で、一方の千之助は手元の鍵を見つめていた。
 彼が先日空に上げた光、それはこの鍵から一つ外した小さな宝石である。それを取り戻したいという思いはあるのだけれど。
「砂漠の中の針……みたいなものか?」
 海底でこんな小さいもの探せる? 同行者に迷惑では? そんな思いから、彼は鍵に付いていた宝石をもう一つ外して、こっそりと隠し持つことにした。
 最悪の場合はこれで「見つかった!」と言えば良い。
「なあに、お二人の輝きは唯一無二であろう、すぐに見つけられるばい!」
 そんな千之助の内心を知ってか知らずか、有頂は励ますようにそう言って歩き出した。
 呼吸が出来るとはいえ、水を掻き分けて歩く感覚は独特のもの。癖のあるそれにも有頂はすぐに順応し、探索行を楽しんでいた。
 泳ぐように、飛ぶように、海底から突き出た岩のてっぺんに飛び乗って、有頂はぐるりと辺りを見回してみる。
 一口に沈んだ光と言っても、それは大小さまざまで、色もまたそれぞれ違う。目的のものをイメージすれば、無数の光の中からそれを見つけるのも、不可能ではないだろう。
「では、私も手伝いましょう」
 『萬徑人蹤滅』、シンの胸元に現れた小さな黒竜が、海中へと放たれる。自由自在に飛ぶその竜は、シンと五感を共有し、『視界』を広げる役割を担う。
 大岩を越えて、水底の谷間に至った彼等は、そこに隠れていた洞窟を発見した。
「ははあ、これは……」
 入り口をふさぐように置かれていた岩を、不可視のなんか霊的なアレでどけた有頂は、中を覗き込んで二人を呼ぶ。薄暗い洞窟の角を曲がれば、そこには小さな光る花畑が出来上がっていた。
「こんなところに隠されていましたか」
 それは間違いなく、先日シンが空へと浮かべたもの。『彼女』にもらったドライフラワーが星になったものだった。
 光る花畑と踏み入ったシンは、それを手折るためにと手を伸ばし、指先でそれに触れる。
 頭に浮かぶのは、思い出の続き。溺れたあの日、自分を助けてくれたのは、人魚のような彼女。
 その姿は、さながら青い海の花。明るくて眩しく、温かみを感じる、ならば彼女は自分にとっての光に違いない。そんなことを考えて――。
「……」
「いや、ゆっくりやってくれれば良い」
「おお、オイはしばらく周囲を調べておりますばい」
 こちらを微笑まし気に見守る二人に気付いて、咳払いを一つ。止まっていた手を動かし始めた。
 すると。
「んん? ここの茂み……」
 いや、茂みと言うか、藻だが。足を止めた有頂と共に、千之助がそこを覗き込む。
「あ! 有頂殿、藻の中にあるの私のやつー!」
 これに勘づくとはさすがプロ、と褒める言葉に満更でもない顔をしながら、有頂はナイフで絡み合う藻を裂き、その真ん中へと手を伸ばした。
 そうして千之助は、手渡されたそれ――黄金の光を放つ星を掌に乗せた。これこそは彼の思い出のひとかけら。この空に贈ると決めたそれが見つかって良かったと、握りしめて。
「さて、そいじゃあ上に戻るとよ」
 有頂の言葉に、うむと頷く。
「もう一度、空に上げてやるとするかのう」
 洞窟を立ち去ろうとしたところで、千之助がそこを振り返った。
 花に宝石、光の源を失ったその洞窟は、元の暗闇に沈んでいる。さて、これが何者の仕業かはわからない。しかしもしも、光が欲しくてこのような所業を為したというのなら……。
(かつて炎の力を喝求した私と、同じか)
 どうしても、そう考えてしまう。
 だから、ささやかで済まぬが、と誰にともなくそう言い置いて、千之助は隠し持っていた宝石を、そこに置いた。
「良いのですか?」
「ああ、これで良い」
 覆いの向こうで目を細めたシンに、千之助はそう頷き返した。

 海中に僅かな光を残し、三人はもう一度、集めたそれを空に上げる。
 これこそは、二人の想いが灯る星。新たな星空を有頂は眺める。シン、そして千之助もまたそれを見上げていた。
 今度こそ末永くあれと、そう願って。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ルーチェ・ムート
【光縁】アドリブ◎

煌めき探しに海中へ
わあわあ!息が出来るよ!すごい!
憧れ続けた海の中
歌詞に祈りを乗せ歌う

変われや 人の足
淡く光る桃色の鱗 転じて
ゆうるり尾鰭の人魚へと

今だけはボクも焦がれた人魚
夢の気分を味わうよ
えへへ、ありがとう!あいどる?には心結みたいな可愛い子が似合うよ!

ゆらり尾鰭を揺蕩わせ游ぐ
海底がきらきら
宝石が埋まってるみたい

あの陽だまりみたいなお星さまは誘だね!
ふふ、嬉しい
みんなに似たお星さまを集めちゃおう

誘の舞に吹雪く牡丹の花
なんて幻想的なんだろう
蝶々が加われば、もっと綺麗な彩に

焉夜と誘の手を取って真似っこ!
くるり一転出来るかな?

とっても素敵だね
犯人は海を宝石箱にしたかったのかな?


祝・誘
【光縁】アドリブ◎
在るべき物を在るべき場所へ
さあ、煌きを集めに行きましょう

ルーチェは人魚になれるの?
其の姿も麗しいわね

この海は不思議
皆でお話しながら海の中を游げるなんて
流石御伽の国ね

海を游げば
海藻や砂に捕まった煌きが瞳に映り

煌きを絡める海藻は【天香国色の舞】で絶ちましょう

あの薄桃色の星はルーチェのよう
蒼く涼やかに光る星は焉夜のようだし
金の柔らかに光る星は心結のよう

星を見つけては大事に集めて

海に舞う蝶、とても幻想的ね
…焉夜は、違う蝶に見惚れているかしら
焉夜の様子をみて微笑み

綺麗な場所ね
ルーチェに手を引かれて
心結のようにくるり、海穹を舞う

宝石箱、素敵な喩えね
犯人は空の煌きが羨ましくなったのかしらね


音海・心結
【光縁】アドリブ◎

きらきら溢れる海の探検なのですかっ
みゆも頑張るのですよーっ!

人魚さん
海の中のアイドルなのです♪
ほら、
お魚さんが寄ってくる気がしませんか?

ぱたぱた足首をしならせ
息が出来る海なんて、夢のようなのです♪

わぁ
海を揺蕩う牡丹、とっても綺麗ですねえ
誘の放ったUCから牡丹の花びらを一摘まみ

深く、もっと深く
一筋のきらきらが見えたら、
そこを目指してレッツゴーなのですっ

……星がたくさんあるのです
UC【幻想夢現】
たくさんのちょうちょさんと一緒に星集め
綺麗な風景にほんわか

煌めきスポットを見つけ
そこでくるり一回転
えへへ
綺麗で可愛らしいのです
まるで宝石箱のようですねぇ


星蝕・焉夜
【光縁】アドリブ絡み◎

「海の中の探索か……
水中というのは経験はあるが、煌めく海というのも風情があるな……
とりあえず原因を探るとするか……」

逸れない様に海の中を泳ぎ周辺を見渡す
煌めきが絡まった海藻は【ブラッド・ガイスト】で切断
その他にも洞窟に隠されているなら探すとしよう

「海底の宝石箱か……
光る物を集める動物も居ると聞くが……」

泳ぎながら同行してくれてる3人と話しつつ
残りの煌めきも探し集めるとしよう

「……いかん、見惚れている場合では無いな……
俺は俺のやれる事をしっかりとやるとしよう……」

煌めきだけで無く同行する者に気を取られ過ぎない様に気を付けよう



●きらきら
「わあわあ! 息が出来るよ! すごい!」
 光る海へと飛び込んで、ルーチェ・ムート(无色透鳴のラフォリア・f10134)は明るい歓声を上げる。憧れ続けた海の中、夢見たそれとは上下逆さの、しかし美しく輝くそこを目指して、彼女はゆっくりと降りていく。
 此処こそは相応しき場所、変われや人の足。祈りを乗せてルーチェが歌えば、桜色の鱗も持った両足が、人魚のような尾鰭へと変じた。
「ルーチェは人魚になれるの? ……ふふ、其の姿も麗しいわね」
 そんな桜色の尾鰭を目で追って、祝・誘(福音・f23614)が賛辞を口にする。隣の音海・心結(ゆるりふわふわ・f04636)も、それに同意して。
「まるで海の中のアイドルなのです♪ ほら、お魚さんが寄ってくる気がしませんか?」
「えへへ、ありがとう!」
 ゆらゆらと、夢見心地で游ぎながら、くすぐったげにルーチェが微笑む。くるうりと、彼女等の周囲を回るように一つ尾鰭を振って。
「でもあいどる?には心結みたいな可愛い子が似合うよ!」
「本当ですか! みゆにもお魚さんが!?」
 寄ってきてくれますか!? と勢い込んで辺りを見回すが、アイドルを追いかけるファンのような魚は、どうやらここには居ないようで。
「み、みゆではダメですか……!?」
「はいはい、落ち着いて。そもそもお魚がいないみたいよ」
 何か衝撃を受けている様子の心結を宥めながら、不思議な海ねと誘は言う。そもそもが、こうして皆と話しながら潜って行ける時点で特殊ではあるのだけど。
「そういわれてみると……ちょっとさみしい場所なのです」
「住む人を増やすのは、これからなのかも知れないわ」
 だって、この国の開拓はまだ始まったばかり。
「しかし、水中というのは経験はあるが、煌めく海というのも風情があるな……」
 星蝕・焉夜(終焉よりランタンを燃やす者・f00030)もまた、潜っていく彼女等に続く。とりあえずは、そう。逸れないように。
「そうね、それじゃ……」
「光を集めに行こうね!」
 ルーチェの声を合図に、一行は改めて海底の光へと目を向けた。

 ゆらりと尾鰭で水を扇げば、ルーチェの身体は滑るように海中を進む。僅かな揺らめきも思うまま、星空を見下ろすような心地で、彼女は進む。
「海底がきらきら……宝石が埋まってるみたい」
 光放つ水底には、砂に埋もれている様子の星がいくつも見える。
「あっちにあるのは、森……ではないようね」
 海中にあって一際暗い場所を見遣って誘が言う。そこでは海底の砂だけでなく、黒い海藻らしきものが、光を絡め捕っていた。
 捕まっているのならば、それを解放しなくては。『天香国色の舞』、誘の手により生まれた牡丹の花弁が、海藻の間を舞う。
「わぁ、海を揺蕩う牡丹……とっても綺麗ですねえ」
 その花弁の一枚を手に取った心結がうっとりと言う間に、花の嵐は海藻を切り裂く。ブラッド・ガイストを放った焉夜の協力もあり、一帯の海藻はどんどん細切れに、切り拓かれていく。
「……わ、星がたくさんあるのです!」
 そうして残骸が流れていった後には、色とりどりの星達が残されていた。
 ぱたぱたと足首をしならせて、その場所へと潜って行った心結は、その胸の高鳴りから『幻想夢現』……煌めく蝶の群れを呼び出す。
「……とても幻想的ね」
「うん、幻想的で、とっても綺麗」
 蝶を引き連れて星を集め始めた彼女の様子に、誘が思わずそう口にする。牡丹に蝶と、舞い踊るそれらに見惚れて、ルーチェも頷いた。
「……いかん、見惚れている場合では無いな……」
 頭を横に振る焉夜の様子を微笑ましく見ながら、誘も海藻から解放された星を拾い上げる。
 手にしたそれは、何だか見覚えがあるような気がして。
「この薄桃色の星はルーチェみたいね」
 視界の上で、摘まんだ星とルーチェとを並べて見る。良く似た色だと見回せば、そういったものは幾つもあるようで。
「あの蒼く涼やかに光る星は焉夜のようだし、金色で柔らかに光る星は、心結かしら」
「ふふ、ならあの陽だまりみたいなお星さまは誘だね!」
 そう言って指さすルーチェと共に、笑い合って。
「よーし、みんなに似たお星さまを集めちゃおう!」
 一行はしばし、星集めに興じる事にした。

 その辺りに散らばっていた星を集めたところで、心結が手にしていたものを一つ、取り落とす。
「あっ……」
 ころりと転がったそれを、焉夜が追っていくと、岩の影にさらなる深みがあることを発見した。
「みんな、こっちに……」
 転がり落ちたものが溜まったようで、その海溝の底はこれまでで一番眩く輝いていた。
「すごい、煌めいているのです……!」
 蝶をお供にそちらに向かった心結は、そこでくるりと一回転して見せる。楽し気なそれにつられるように、ルーチェもまた焉夜と誘の手を取って。
「ボク達も行こう!」
「私達も?」
「わわ……っ!」
 困ったように笑う誘と、慌てる焉夜を先導し、星の海をくるりと一回転してみせた。

「まるで宝石箱のようですねぇ」
「宝石箱、素敵な喩えね」
 満足げに笑う心結の言葉に、誘もつられて笑みを浮かべる。そして、それならば、と思考を進めて。
「……誰がやったか知らないけれど、その人は、空の煌きが羨ましくなったのかも知れないわね」
「ふうん……それじゃ犯人は、海を宝石箱にしたかったのかな?」
「光る物を集める動物も居ると聞くが……」
 首を傾げてルーチェと焉夜が言う。とっても綺麗なこの光景を見れば、その気持ちは分からないでもない。
 さて、その犯人はどんな相手か。彼女等はともに、沈んだ星空の先を眺めた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九之矢・透
ありゃりゃりゃりゃ、まーたすぐ萎れる
しょーがねえな、そこで待ってろよ!

滅多にできない事だし、海底を歩いていこうかな
うわ、本当に海の中なのに息が出来る!不思議だ
ウトウト寝てる一部の魚を見たり、海の中の草原を歩いたり
サニーさん達にゃ悪いけど、夜の海ってのも面白いモンだな

うーん、アタシが投げた光は元々メロンパンだからね
輝いている今も良い匂いがするかもしれない
水の中のアタシには分からなくっても、魚になら分かるかも
沢山魚が群れてる光を探そうか

……あれ、あの光る砂の中、盛り上がってる所にめっちゃ魚がいるな?
ごめんよ、コレは食べちゃだめだよ
魚たちを傷つけない様にそっと払って掘り起こす

…ふやけてないよな?コレ



●もう一度夜明けを
「まーた萎れてやがる……おーい、起きれるかー?」
「大丈夫……たぶん起きようと思えば起きれるわ……」
「でもワタシ達みたいなやつは、こうして陰干しされているのが似合いなのよ……」
「塩揉みの次は陰干しか……」
 横たわる愉快な仲間達の傍らにしゃがみ込んで、様子を窺っていた透は、どうしようもない既視感にこめかみを押さえる。先日同様、サニーさん達は使い物にならない状態らしい。
「しょーがねえな、そこで待ってろよ!」
「海に行くの? 気を付けるのよー」
 そう言い置いて立ち上がり、透は光る海へと踏み入った。
 情報自体は得ているとはいえ、最初の一歩は勇気が要るもの。胸のあたりまで水に浸かったところで、透は帽子を押さえながら、思い切って海の中へと飛び込んだ。
「うわ、本当に息が出来る!」
 口から吐く泡がなくなった後も、何故か呼吸は出来ている。不思議だな、思いながらも、彼女はそのまま海底を歩いて行くことにした。
 海岸線近くはただただ暗い砂地のようだったが、進むごとに、その様子は違ってくる。
 沈んだ星達の放つ光があちこちに灯っており、岩場や海藻の草原など、地上とはまた違う光景が広がっていた。
「夜の海ってのも面白いモンだな……」
 サニーさんには悪いけれど、ここを散歩するのは中々に面白い。
 そうして小高い丘の上に登ったところで、透は一息ついて、辺りを見回す。
「んー……でもアタシの光ってどこだろ?」
 アレは元々メロンパンのはずだから、輝いてる今もきっと良い匂いが……。
「……えっ」
 するわ。
 水中だからと自然と意識から外していたが、息のできるここだと話が違うのか。
 とにかく、先日嗅いだのと同じメロンパンの香りにつられて、透はそちらへと歩き出した。
「それにしても……」
 辺りをぐるりと見回しても、魚の姿は見られない。泳いでいるのは猟兵達と、彼等の解放した光――金魚や蝶、それに翼もつ星くらいだろうか。
「ちょっと寂しいとこだよなぁ」
 この国の開拓が進んだら変わるのかも知れないが、現状では、沈んだ星々が無ければそれこそ、ただただ暗闇の広がる静寂の海となっていただろう。

 たとえば、自分がそんな場所に放り込まれたとして、どうするか。
 そこに思考が及びそうになったところで、透は足元の砂の中から出ずる淡い光に気付く。
 黄色い光、甘い匂い。ああ、これは、と砂を掘り進んだ彼女は、光放つメロンパンだったものを発見した。
「こんなところに埋まってたかー」
 持ち上げたそれは、より一層明るく輝く。
 さわった感触からしてふやけているような気も……いや……気のせいだろう。
 とにかく、空を照らす大きな光を一つ、彼女はしっかりと取り戻した。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祓戸・多喜
テンションの上下激しい!?
空がぐるぐる回るのはツッコまないけど海から星が上がらない…?
何か蛸とかワカメが絡まってるのかな。
ともかく暗いのはノーサンキュー!
原因まずは探らないとね!

海底じっくり歩く。
…泳げない訳じゃないけどさー、やっぱり底を探る人もいた方がきっと確実に原因見つけられると思うし!
息ができるなら猶更、海底散歩楽しんじゃおう!
…よく考えたらこんな景色滅多にないからシャッターチャンス!
防水したカメラ取り出してあちこち撮ってみたり。
捕まえられた光たちも神秘的できれーい…でもこれ、自然現象じゃない?
作為を感じるというか…難しいのは後回し、まずは光を解放していこっか!

※アドリブ絡み等お任せ🐘



●海底散歩
「海から星が上がらない……? 何か蛸とかワカメが絡まってるのかな」
 サニーさん達の話を聞いて、多喜が首を傾げる。
 このまま暗いままでは開拓が進まないのは明らかだ。引っ掛かる元が水中にあるのなら、探ってみる必要があるだろう。
 空とは対照的に、光を湛えた海の方へ、彼女は視線を向けた。

 泳ぐか潜るか、という選択肢の中、彼女は海底を歩むことを決めた。
「いや……泳げない訳じゃないけどさ?」
 誰にともなく呟いて、海底の砂を踏みしめる。探索において視点の高さは大事な要素だ。泳ぐ者ばかりでなく、海底を行く者が要れば効率はより上がるはず。
 ……という理屈も勿論あるけれど。
 水に沈んだ岩場に、群生する海藻。そこかしこから照らす光は、通常とは違い下からのもので。
「あれ……? よく考えたらこんな景色見られることって滅多にないんじゃない?」
 ふと、気付いてしまった彼女は、すかさず防水のカメラを取り出す。
「シャッターチャンスよねこれって……!」
 そこからは海中散歩がメイン。いかにも映える感じのスポットを見つけると、多喜は次々とそれをカメラに収めていった。
「わーすごーい、捕まえられた光たちも神秘的できれーい」
 感性の赴くままにシャッターを切っていた彼女は、最後に捉えたその写真に、首を傾げる。
 砂に沈む、海藻に絡まる……そうして海中に捕らえられた星達だが……。
「自然とこんな風になるもの?」
 明らかに後から岩を乗せられたものや、縛られたものもあるように見える。
 これは……と引っ掛かりを感じながらも、彼女はそれらの光を解放していくことにした。

大成功 🔵​🔵​🔵​

笹塚・彦星
【花星】
空に付けた星とか落とすなんて無粋な事するやつがいたもんだ。
そんな物理的に夜が海の底にいるもんかなぁ…ここの世界ならなんでもありか。

沈み方はわかっても昇り方知らん空とかあんのか…いやこれか。
まってオオカミ先輩、龍さん呼ぶから背中に乗って移動楽にしよう。波に揺られるのは俺も好き。
龍さんよかったね、別嬪さんだとよ。友達ってゆうか、なんというか。刀に住み着いてる龍…かなぁ。友達…かな?花は好きかも。

息ができんの、すげぇな。夜の明るさなんて知らない…この世界ほんとへんてこ。
折角真っ暗闇な世界に作った太陽とか、返してくんない?返してくれないとまずい奴がいんなら、引きずり出すか。


ジョン・フラワー
【花星】
空って夜になったら海の底にいるんだね
だから昼と夜があるんだ。面白いなあ!

このお空はできたてだから、お昼になってるのに気づかなかったのかも
それか泳ぎ方がわからなかったとか?
任せて! 海は僕知ってる!
海は波がたくさんできるから楽しいんだよ!
龍サンのアリス乗せてくれるの? わあ、ありがとうアリス!
キミ可愛いね。お花は好き? 星のアリスとはお友達?

海の中で息ができるのは知らなかったなすごいなあ!
夜は明るくなるのも知らなかったなあ。星のアリスは知ってた?
海も明るいのがいいかもしれないけど、今は上が明るい時間なんだ
ほら、隠してたってぴかぴか光って見えてるよ!
またお空は沈んでくるから待っててね!



●海底より空へ
 浮かべられた星はほとんどが失われたらしく、空に広がるのは、一面の暗闇。光の当たらぬこの状況を、昼か夜かで言うのなら、やはり夜という事になるのだろう。
「空って夜になったら海の底にいるんだね! だから昼と夜があるんだ。面白いなあ!」
「んん? そういうもんなのか……?」
 何もかも理解した、と言った様子のジョンの言葉に、彦星は首を傾げる。そんな、物理的に海の底に行くとかそんなことは……と疑うものの、この世界ならないとは言えない。むしろアリスラビリンスであるのなら、ジョンの方にこそ馴染みがあるはず。
「このお空はできたてだから、お昼になってるのに気づかなかったのかも!」
「いやいや……」
 たとえ『空』さんが居たとして、沈み方はわかるのに昇り方がわからないなんてことがあるだろうか。
「いや、でもそれなら辻褄は合うのか……?」
 何かもうわからなくなってきた、と頭を悩ませる彦星を他所に、ジョンは海の方へと駆けていく。
「それじゃあ僕らで迎えに行こうか!」
 海は知ってるから任せて、と胸を張る彼は、堂々とそう宣言した。
「海はねぇ、波がたくさんできるから楽しいんだよ!」
「いやまってオオカミ先輩。波に揺られるのは俺も好きだけどさ」
 色々と心配になる彼を引き留めて、彦星は腰に差した刀に手を遣る。『降雨招来』、微かに覗いた黒い刀身が輝き、龍がその姿を現した。
「龍さんの背中に乗せてもらおう」
「わあ……!」
 移動を楽にしよう、という彦星の提案に、ジョンが目を輝かせる。
「はじめまして龍サンのアリス! 乗せてくれるなんて親切だね、それにとっても可愛いよ!」
「龍さんよかったね、別嬪さんだとよ」
 などと言い合いながらその背に乗って、二人は海の中へと向かっていった。
「ところで龍サンのアリスは星のアリスとお友達なの? それからお花は好き?」
「友達ってゆうか、なんというか。刀に住み着いてる……えーと」
「つまり?」
「友達……かなぁ?」
 まぁお花は好きかもね。

 一向に口を閉じる気配の無いジョンと共に、彦星と龍は海底へと進む。
 水面から潜るのは中々衝撃的な出来事だったが。
「海の中で息ができるのは知らなかったな、すごいなあ!」
「ああ、すげぇなほんとに」
「夜は明るくなるのも知らなかったなあ。星のアリスは知ってた?」
「夜の明るさ? いやそんなの知らないけど――」
 光放つ海底を見下ろして、大きめの光源を探しつつ、彦星は一旦瞑目する。
「オオカミ先輩」
「何だい星のアリス?」
「相槌ちょっと疲れてきたんだけど」
「大変じゃないか! 大丈夫かい? ちょっと休む? お茶淹れようか?」
「いや、まだ大丈夫、それにここ水中だしお茶は無理じゃねぇかな……」
 ダメだ伝わってない。そんなこともあったが、ともかく。
「隠してたってぴかぴか光ってるからすぐわかるよね!」
「あぁ……アレ俺が投げた奴?」
 谷間に放り入れられていたようなそれ、ランタンから生まれた揺らめく太陽に向かって、二人はゆっくりと降りていく。
「よし……返してもらうとしようか」
「空に行っちゃっても、またお空は沈んでくるから待っててね!」
 きっとその光を求めた誰かにそう言って、ジョンと彦星は太陽を空へと返した。
 また少し明るくなった空を眺めて、彦星は思う。
 あれを落とすなんて、そんなことをする奴が居るとしたら――。

 そう、これを黙って見ているわけがない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリアドール・シュシュ
【泡沫】◎
アドリブ歓迎

二人で作った虹輪見て
往く輝きの未来を案じてる様で微咲(わら)う

今はとにかく海底に沈む光達を集めればいいのね
行きましょう、霞架

手を握り海の散歩へ
銀河の髪と服が揺れ
楽しく進む
魚達と泳ぎ歩く
光景を目に焼き付ける
ダンスの一時を霞架と

綺麗…
霞架、少しだけ…マリアの我儘に付き合ってくれるかしら
深海の舞踏会で踊ってみたいの(手を引き踊り出す
まるで泡沫の一時のよう
でも霞架はちゃんと、ここにいるのだわ
ありがとう
…楽しかった?(微笑くれて安堵
お仕事に戻るのよ

洞窟内を探索
小瓶に封された光や岩壁に灯る光を拾い掬う
竪琴演奏で子守歌を謳い優しい導きの旋律を奏で、
海藻や珊瑚礁を眠らせ呪縛から解き放つ


斬崎・霞架
【泡沫】

海の中で息が出来る、と言うのも特殊ですが、
底に近づくほど明るいと言うもの変わっていますね。
さて、光を解放して…
?何でしょうか。
…は?舞踏、会…?
急に何を…ちょっと、マリアさん!
(手を引かれ、仕方なしに踊り出す)

(マリアの振る舞いと言葉から、自分を気遣ってのモノでもあるのか、と察し)
…全く、そういう所ですよ、マリアさん。本当に。
(水に揺れる銀の髪、優しい金色の瞳、その表情と心を感じ。
少しばつが悪そうに、だが観念した風に、確かな微笑みを浮かべて)
(最後は確りとリードし、恭しく礼をして)
ええ。サボっていては、向日葵たちにも悪いですから。
(一応周囲を警戒しつつ、重量物を優先して退かすように)



●海の底の一時
 光る海の中へ、マリアドールは一歩一歩、足跡を刻んでいく。
 彼の手を引き、海底へ、光へ向かって。星を散らしたような髪が靡いて、水の中で広がる様子に、霞架は思わず目を細めた。
「息が出来る、と言うのも特殊ですが、底に近づくほど明るいと言うもの変わっていますね」
 頭に浮かんだ言葉を避けて、あえて口にしたそのセリフに、マリアドールが振り向いた。
 輝く海の底の光景に見惚れていたはずの、金の瞳が霞架を見つめる。
「霞架、少しだけ……マリアの我儘に付き合ってくれるかしら」
「? ……何でしょうか」
「深海の舞踏会で踊ってみたいの」
 ……は?
 何を言っているのか、と理解が及ばない内に、彼の手はマリアドールに強く引かれる。体勢を崩した霞架の足取りに合わせて、彼女は軽やかにステップを踏む。
「急に何を……ちょっと、マリアさん!」
 立ち止まってしまうことも出来たけれど、何故かそうする気にはならなくて、霞架はマリアドールの先導に逆らう事無く踊り始めた。
 戸惑い揺れる金の瞳に、優し気な同じ色の瞳がその視線を絡ませる。
 光る海の中でのダンスは、水の抵抗もあってゆったりと続く。とんと水底を蹴れば、その落下すらもゆっくりで、地を離れて揺れる不思議な心地を、二人は共に楽しんだ。
 最後は霞架がリードを引き受けて、締めくくりに、恭しく頭を下げる。
 星の沈む夜の海中での一時、これは言うなれば、過ぎれば消える泡沫のような時間だったけれど。
 あの日の虹も、海に沈んだ今では、きっと消えてしまったのかも知れないけれど。
「――ああ、でも霞架はちゃんと、ここにいるのだわ」
 二つ合わされば、きっとまた素敵なものが生まれるのだから。
 顔を上げた霞架の頬に、確かめるように手で触れて、マリアドールは言葉を紡ぎ――。
「ありがとう」
 そして、悪戯っぽく問う。
「……楽しかった?」
 花咲くような柔らかな笑顔に、自らへの気遣いを感じ取った霞架は、ばつが悪そうに、そして観念したように微笑みを返した。
「……全く、そういう所ですよ、マリアさん。本当に」
 咎めるような言葉だけど、そこに責めるような色がないことを、二人は共に知っている。
 仕方ないわね、とマリアドールは言って。
「それじゃ、お仕事に戻るのよ」
「ええ。サボっていては、向日葵たちにも悪いですから」
 そうして二人は共に、沈んだ光を解放するため、さらに奥へと歩んで行く。
 大岩をどける力強い腕と、海藻や珊瑚を眠らせる優しい歌声。二人の手により、いくつもの光が空へと戻されていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オニバス・ビロウ
海から上がって来れぬならば致し方なし
こちらから迎えに行かねばならぬ

先日の五連星はそれぞれ別のイソギンチャクに括り付けられているようだ
互いの姿が見えぬからか、昨日見た時よりも星達の光が弱くなっている
早く連れて帰らねばならんのだが、イソギンチャク達が星を手放そうとせん

ううむ…星の代わりにこちらの海の泡のような色合いをしたビー玉を進呈しよう
星で飾るのは確かに美しいかもしれぬが、海に住まう者ならばこちらの海の泡が似合うぞ
しかもこの海の泡は消えぬというすごいものだ!
どうだろう、こちらと交換してくれぬだろうか?

…うむ、かたじけない
では確かにこちらの星たちと交換した
喜んでもらえたようで何よりだ



●海の泡
 海から上がって来れぬというなら、迎えに行かねばならないだろう。
 躊躇なく海中へと向かったオニバスが目にしたのは、海の底にて捕まった五連星――先日「兄弟の如くあれ」と願って放った五つの星達だった。
 それぞれ別の場所で、海藻……いや、イソギンチャク? それと似たような何かに捕まった星達は、連なる者達から引き離されたためか、弱々しい光を放っていた。
「これは……早く連れて帰らねばなるまい」
 早速とばかりに手を伸ばすが、星そのものを包むように、きつく絡みついたそれはなかなか外せそうにない。
 これでは、そう。まるで手放すのを拒んでいるような。
「ううむ……」
 容赦なく切り取って持っていくこともできるのだが、さすがにそれは忍びない、とオニバスはしばし頭を悩ませる。
 揺れる海水、風ではなく波にもまれながら、考え込んでいた彼は、やがて偶然自分の持っていたそれに気付いた。
「ふむ、ではどうだろう。このビー玉と交換と言うのは」
 取り出したのは、薄い青のガラス玉。掌に乗せたそれを差し出して、オニバスは相手の反応を窺う。
「星で飾るのは確かに美しいかもしれぬが、海に住まう者ならばこちらの海の泡が似合うぞ」
 アクセサリーとして魅力的、その上この海の泡は浮かんで消えていくこともない優れものだと力説する。
 光り輝く星とは言えど、元はオニバスのお手玉である。価値としてはそう劣らぬはず。
「どうだろう、こちらと交換してくれぬだろうか?」
 反応は鈍い。というかそもそも言葉が通じているのかも怪しい。
 しかし、オニバスは、光に絡みつくそれが、僅かに緩むのを見た。
 重ねられた説得に、心が揺れ動いている――。

 その後もどうにか交渉を重ね、オニバスは星の一つを手にし、代わりにビー玉を握らせるのに成功した。
「……うむ、かたじけない」
 これを後四つ、と考えると中々に大変な気がするが、やるしかないだろう、と彼は前を向いた。
「それにしても……」
 本当に、光を捕まえたのはこのイソギンチャクのような何かなのだろうか。
 もしかすると、他に――。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レフティ・リトルキャット
【やすらぎの館】※詠唱省略OK
ふんふん、海の中かにゃ?どれどれ(海の中に突っ込んで)うん、ダメだったら水中適正のある【ガイアキャット】の力を借りるところだけど大丈夫そうだね。
星探しには魚達がいれば、ゆらゆら尻尾でおびき寄せ、情報収集に魚達(動物)と話すにゃん。障害は爪で切り裂き、肉球バッシュで押しのけるにゃあ。
コレはコレでチャンスかにゃ?やっぱり1つぐらいは僕達の太陽を作りたいのにゃん。解放した肉球の星の1つが空に戻る間に【白炎狼猫】を発動。
白き炎の放出で複雑に絡み合う航跡を描きながら、星の周りを加速飛翔し星を燃やすのにゃあ。
上手く太陽が出来たら海の中に戻り、水の中でお日様ぽかぽかするにゃあ。


ウーナ・グノーメ
【やすらぎの館】
●判定
WIZ

●心情
「海というものは……やはり慣れないのです。オアシスよりもずっと広くて、深くて。レフティは平気なのです?」
「大丈夫。レフティと一緒なら、怖くはないのです」

●行動
最初は【オーラ防御】を展開して水中に入るのですが、レフティが生身でも大丈夫で息もできることを告げれば、解除するのです。
【念動力】を持つわたしにとって、海も空も勝手は同じようなものなのです。
海の中では砂の精霊たちにも手伝って貰って探索し、拘束されている星々を解放していくのです。
二人の肉球星を解放して、一段落ついたらレフティと一緒に海の中でお昼寝でもしてみようかと思うのです。そんな経験、一度もないのですから。



●海底の眠り
 波打つ海面の下に見える、微かな光。沈んだ星々の放っているであろうそれを見下ろし、ウーナは意を決してそれに飛び込んだ。
 オーラ防御を駆使して周りの水を掻き分け、生み出した球状の空間と共に、潜行していく。
「海というものは……やはり慣れないのです。オアシスよりもずっと広くて、深くて……」
 徐々に上がる水圧、そして揺らめく水面を透かして見える光景に、彼女は眉を寄せた。
「うん、水中適正のあるガイアキャットの力を借りる必要があるかと思ったけれど……」
 一方、同行していたレフティの方は、生身でその後を追ってきている。
「……レフティは平気なのです?」
「意外と平気。息もできるみたいだにゃあ」
 水を嫌う猫は多いけれど、と要らぬ連想をしてしまうウーナだが、レフティに限ってはその辺りの問題はないようだ。
「そうですか……でしたら、わたしも」
 レフティが一緒なら、と防御を解いて、真の意味で海中へと飛び込んだ。
 全身を濡らす奔流に身を任せれば、すぐにレフティの言う通り、呼吸も問題ない事がわかる。
「大丈夫かにゃ?」
「はい……」
 気遣う声に、ウーナが頷いて返す。卓越した力で念動力を操る彼女にしてみれば、海の中だろうが、『飛ぶ』要領は変わらない。
 光景にこそ慣れないようだがすぐに順応して、彼女は探索に集中することにした。
「それでは……」
 目覚めて、というウーナの言葉に反応して、海底の砂から、下級精霊達が立ち上がる。
「見つけに行きましょう」
 捕まった光を。それから、あの日に二人で上げたあの星を。
 召喚した彼等の手を借りて、ウーナとレフティは海底を歩く。立ち塞がる障害物は、レフティの肉球バッシュで押し退けて、皆の浮かべた光を次々と取り戻していった。
「レフティ、あれは……」
「ようやく見つけたにゃあ」
 そうしてウーナの指差す先、絡みつく海藻を鋭い爪で切り裂いて、二人は肉球の月を取り返した。
 得られた星たちを、空に戻していく中で。
「良い機会だにゃ、僕達の太陽も作りたいのにゃん」
 レフティはそう言って、空に向けて『白炎狼猫』を発動、白く輝く恒星を、新たに一つ生み出した。

「太陽が増えたおかげか、ぽかぽかしてきたにゃあ」
 ここは水中だというのに。この国の気温は元から暖かかったうえに、これである。日向ぼっこや、風を感じるのとはまた違う、不思議な心地に任せるようにレフティは丸くなった。
 ふわふわのそれを枕かクッションにするように、ウーナもそこで横になる。
 見上げたそこにはゆらゆらと揺れる水面があって、その向こうに、二人で浮かべた太陽と月を透かし見て。
「こんな経験、初めてなのです……」
 海の底のお昼寝は、何だかとてもよく寝られそうで。
 心地良い揺れを感じながら、ウーナもまた、目を瞑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

メリル・チェコット
どうして……?
昨日はみんなのおかげであんなに明るかったのに
メリルがお空に散りばめた星達も、全部なくなっちゃってる……

ひまわりさん……サニーさんっ
お墓の話なんてしないで……!
大丈夫、すぐにまた明るい空を取り戻してみせるから!ね!

海の底で何が起こっているんだろう
泳ぐのが得意なララとシドも一緒に調査に来てもらって
海底の砂が、ところどころ光ってる……?
シドがいち早く掘ってくれると、求めていた光が
これを集めれば…!

掘り起こすのは犬達の得意分野
わ、すごい速さで掘っていってくれてる!
二匹が掘ってくれた光達をあつめて、ふわりと布でくるんで
ひとつでも多く持って戻ろう
一刻も早くサニーさんたちを安心させてあげなきゃ



●シープドッグ達
「ど、どうして……?」
 世界を渡ってきたそこで、メリルは愕然とする。昨日、この国を後にする時は、猟兵達の浮かべた星が眩しい程で、愉快な仲間達も文字通り愉快に踊り回っていたというのに。
「メリルがお空に散りばめた星達も、全部なくなっちゃってる……」
 バケツいっぱいの、甘く輝くキャンディが、七色に輝く虹の星団がすっかり空から姿を消してしまっていた。
「ひまわりさん……サニーさんっ」
「あらー、昨日振りじゃないのお嬢さん」
「どうしたの、お墓参りならもうちょっと後くらいが丁度良いわよぉ?」
「お、お墓の話なんてしないで、元気を出して……!」
 がくがくと揺すってはみるが、やけになったような笑顔は変わらず、サニーさんはがっくんがっくんと首を揺らすばかりである。
「うふふダメよ、首が折れたら今度こそ燃えるゴミになっちゃうわー」
「でも……アナタにやられるなら本望かしら……?」
 謎のウインクに閉口して、メリルは引き起こそうとしていた一人を寝かせなおす。
「大丈夫、すぐにまた明るい空を取り戻してみせるから! ね!」
 待っててね、と言い置いて、彼女は急いで海へと向かっていった。

「ララ、シド、行こう!」
 彼女の昔からの友人達、牧羊犬のララとシドと共に、暖かな海底へと進んでいく。最初は犬掻きしていた二匹も、潜っていくメリルの様子に状況を悟って、すぐに彼女を追い越しかねないところまで海中を走って来ていた。
「海底の砂が、ところどころ光ってる……?」
 地上とは違い、薄く広がる光の中で、メリルはそう首を傾げる。そんな彼女に先んじて、駆けていったボーダーコリーが前足で砂を掘り始めた。
「シド、どうしたの? ……あっ」
 思わず口元を押さえる。掘り起こされた砂の中から、あの時上げた星の一つ、多分レモン味の黄色い光が顔を覗かせた。
「これを集めれば良いのね! よーし、ララ、シド、お願い!」
 それぞれに一声吠えて、二匹の牧羊犬が星を求めて駆けていく。恐らくは、光のほかにもそれ自体が放つ、甘いキャンディの香りに引かれているのだろう。
「わ、すごい。掘るの得意だったものね……」
 しゅばばば、と砂を掘っていく二匹によって、散らばった星々は手際よく、集められていった。
 砂の上に露出し、輝きを放つそれらを、メリルは一個一個丁寧に拾って、広げた布でくるんでいく。せっかく見つけてくれたのだから、一つでも多く持ちかえらなくては。
「サニーさん、これで元気になるかな?」
 できれば、すぐにしぬとか言い出さないと欲しいものだ。そう考えながら、風呂敷を持ち上げるように、メリルはその集めた大小の星達を抱え持った。
 あとはこれを、空に帰してあげるだけのはず……。

大成功 🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
サニーさんっ
たいへんだ

明るいと思ってランプ持ってこなかった
ええとええと
ガジェットショータイム
等身大のひまわり
つつけばぱっと輝く集魚灯に

どう?このちかくにいたらちょっとはげんきになる?
またあかるくなるからそれまでまっててね
すぐだよっ

わたしは星とたいようをとりもどしてくるねっ
ドボン

すごい、空と海がぎゃくになっちゃったんだ
あっ、わたしのおりがみ
海底を歩きながら大事にひとつひとつ拾い上げて
わあ、きんぎょさん待って
魚影をおいかけていった先
みつけた黄色のこんぺいとう

つれてきてくれたの?
ありがとう、と手の中に迎え入れる

せっかくみんなが作った空なんだもの
ちゃんともどして、サニーさんに元気になってもらわなくちゃ



●折り紙たち
「サニーさんっ」
 大変だ、と倒れ伏した愉快な仲間達へオズが駆け寄る。
「あらー、昨日振りねぇ猟兵さん」
「見苦しいとこを見せちゃってごめんなさい、でももうすぐしにますからねー」
 一日前と似たようなことを言う彼等に、オズは自分の持ち物を探り始める。先日はランプを掲げられたけれど、まさかこんな風になるとは思っていなかったため、灯の準備なんて――。
「ええとええと……あっ、これでどう?」
 取り出したのは大斧型のガジェットだ。複雑な変形のかかったそれは、良い感じに等身大のヒマワリへと形を変えた。
「ああ……墓標を作ってくれるのね? ありがとう……」
「ち、違うよっ」
 そうじゃなくて、とオズがヒマワリを指で突けば、ぱっと明るく輝きを放つ。
「このちかくにいたらちょっとはげんきになるよね?」
 せめて、しぬとか言い出さないくらいには。
「またあかるくなるから、それまでまっててね」
 後ろ向きな反応をさせないように畳みかけるように言い置いて、オズは海へと向かっていった。

「はやく、星とたいようをとりもどさないと……」
 ぶくぶくと沈んでから、オズは海底を歩き始める。夜空を映した水面は暗く、岩や海藻の見える水底は星々の光で明るい、まるで空と海が逆さになったようだと彼は思う。ひっくり返った現状を、もう一度元に戻すのが猟兵達の仕事になるだろうか。
「あっ、この光は……」
 洞窟内から漏れる赤い光を追っていくと、そこには提灯の形の残った星が一つ仕舞われていた。
「わたしのおりがみ……?」
 摘まみ上げたそれを掲げれば、灯台のように、遠くまで赤い光が届く。手持ちの明かりとしては丁度良いだろうか。
 よーし、と気合を入れなおし、オズは星の提灯を手に探索を再開する。
 砂の中の光を、岩を乗せられた星を、順に解放していけば、他にもオズの用意した星達も姿を見せてくる。尾をくねらせた金魚と、翼を広げた鶴が連れ立って泳いでいくのを、オズは慌てて追いかける。
「わあ、きんぎょさんたち待ってー」
 幸い光るそれらを見失うことはなく、無事に追いついたそこで、オズは岩の間に隠された黄色の星を発見する。
「つれてきてくれたの?」
 おうさまのこんぺいとう。強い輝きを放つ、大事なそれを手の中に迎えて、オズは彼等にありがとうとお礼を言った。
 もう一度空にこれらを浮かべて、元の空に戻せば、サニーさん達も元気になるだろう。そう考えて、オズは弾む足取りで地上へと戻って行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エンジ・カラカ
エドガー(f21503)

アァ……サニーサンが消えてしまうなァ……。
サニーサンの為に光集め頑張ろうそうしよう。

コレは水が苦手なンだ。
だから釣る。釣りは教えてもらったカラ出来るヨー。
エドガー、エドガー、コノ針に餌を引っ掛けるンだ。
でも今日は光を引っ掛けるカラなーんにも無くてイイヨー。
たぶんネー。

こうやって、投げてー
それから引っかかるのを待つンだ
上から覗き込むと光が見えるだろ?
アレに針を引っ掛けたら光が捕まる!

こうやって、こうやって。
思ったよりもいーっぱいあるなァ。
そんなトキは網!
コノ網で掬うとたーっくさん入るヨー。

大漁ダー!
魚は跳ねるのに光はぴちぴち跳ねないネ。
これでサニーサンも元気になる、なる?


エドガー・ブライトマン
ウンウン、そうだねエンジ君(f06959)
サニー君には名前の通り、ぴかぴかと笑っていてほしい
頑張らなくては!

水が苦手だなんて意外だなー
私は釣りを(多分)したことがないから、エンジ君に教えてもらう
へえ~変わったかたちの針だね
上手くできるかなあ
オスカー、私の勇姿をちゃんと見ててね

彼に倣い、針を海へ放り込む
すうと海の底へ溶けるよに沈む針を見つめ

――ウンウン、なるほど?光に針を…
難しくないかい??エンジ君上手いなあ
竿を揺らしつつ苦戦する
実は私、ちょっと不器用みたいで…

……アッ釣れた!出来たよエンジ君!ウワッ眩しッ

網に纏められた光球はとても眩しくて
これならサニー君も大満足だろうと私は確信したのだった……



●光漁
 夜の海……とは少し違うだろうか。月明かりではなく下からの星明かりを頼りに、エンジとエドガーは海中へと釣り糸を垂らした。
「……エンジ君、今回は何で釣りなんだい?」
「アァ……コレは水が苦手なンだ」
「そうなのか、それは意外だなー」
 流れとしては、そんなところ。少なくとも記憶の上では釣りをしたことがないというエドガーに、その辺りを教わったことがあるというエンジが手解きをして、二人の星釣りは始まった。
「エドガー、エドガー、コノ針に餌を引っ掛けるンだ」
「へえ~変わったかたちの針だね」
 しげしげと、意図の先のそれをエドガーが見つめる。
「それで、エサというのは?」
「今日は光を引っ掛けるカラ、なーんにも無くてイイヨー」
「本当かい!?」
「たぶんネー」
 まぁ、自分から食いついてくる光なんてそうそう存在しないだろう。恐らくエンジの言うことは正しい。
「こうやって、投げてー、それから引っかかるのを待つンだ」
「よ、よーし、オスカー、私の勇姿をちゃんと見ててね」
 肩に止まったツバメに一度声をかけて、エドガーはエンジを真似て釣竿を振るった。ひゅる、と弧を描いて飛んで、釣り針が静かに着水する。海底からの光を映して輝いていた釣り針が、すうと海中に溶けていくように沈んだ。
「どうだい、中々上手くいったんじゃないかな」
「ウンウン、そうだなァ」
 胸を張るエドガーに、エンジが頷いて返す。
「これであとは、引っ掛かるのを待てばいいのだね?」
「アァ……それだと多分ダメだ」
「えっ」
 さっきと話が違う。振り向いたエドガーの様子を気にした様子もなく、エンジは次のステップへと続く。
 海面のさらに下、海底から滲む光を指差して。
「上から覗き込むと光が見えるだろ? アレに針を引っ掛けたら光が捕まる!」
「――ウンウン、なるほど? 光に針を……」
 手元を見て、海底の光を見て、最後に沈んだ針先を探す。なるほどなるほど。
「それかなり難しくないかい??」
「そんなことはナイ。こうやって、こうやって――」
 エドガの問いに応えて、エンジが実演とばかりに釣竿を操る。何度か上下させて、流れに乗せるように左右に揺らして、そして――。
「ホラ、釣れた」
「え、エンジ君上手いなあ……」
 実際の様子を見たが全然コツが掴めない。そのままチャレンジを繰り返したエドガーだったが。
「これは、中々……、そうだエンジ君。実は私、ちょっと不器用みたいで……」
「ン、大丈夫、後は根気だ」
「えぇ……」
 もしくはこれだ、とエンジがごそごそやり始めた横で、エドガーが悪戦苦闘を続ける。
 けれど、やがて彼もコツを……掴んだのか掴んでないのか定かでないが、とにかく釣竿に何かかかった。
「あッ、かかった!? ちょっと待ってくれたまえよ過ぎに引き上げて――!」
 ちゃぷ、と音を立てて、釣り針が水上に上がる。先端の釣り針には、白い鳥のような光がかかっていた。
「釣れた! 見たかい、出来たよエンジ君! ――ウワッ眩しッ」
 喜び勇んで振り向いたところで、エドガーは激しい光量を喰らって目を塞ぐ。
「いやー、大漁ダー!」
 こちらでは、エドガーのためにと投網を放っていたエンジが、水の底の大量の光を網で掬い取っていた。
「魚は跳ねるのに光はぴちぴち跳ねないネ」
 生きが良くない? と首を傾げるエンジに、眩しすぎる光から目を背けながらエドガーが答える。
「いや、これだけあればきっと大満足さ……!」
 素晴らしい釣果と共に、二人は海上から去ろうとし――現れたそれに、遭遇することになる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

御園・ゆず
……海中探索?
うん、普通の世界では体験できないことですね
…申し訳ないけれど。少し、楽しそうだな、なんて

ざぶざぶと海へ入り、探索探検
浮力が働いて、身体がふわふわと軽い
スカートを押さえながら、とんとんふわり
…うん、ちょっと楽しいな
パーカーホールを携えて、見て回りましょう
遠くに何かがあるようなら、パーカーホールのライフルスコープを覗いて

んん?
この光を捕えている障害物をどうにかすればいいのかな?
絡みつく海藻はプッシュダガーで斬って
奥へ追いやられた光は迎えに行こう

……いったい、だれが?
何のために?

……少しの好奇心
ライフルを持って、光の居ない奥へと進んでみよう
なにかが、居るかもしれない



●水底より
 海中探索、世界によってはそれを売りにしているレジャー施設もあるだろう。しかし着の身着のまま、呼吸も問題ないとなると、これはこの世界ならではと言ってしまっても良いのでは。
「良いのよ……ワタシ達の事は捨て置いて……」
「元気に暮らすのよ……」
 何視点だかわからない台詞を吐くサニーさん達に一声かけて、ゆずは海へと入っていく。
 いかにも弱々しく震える彼等には悪いけれど、これは少し、楽しそうで――。
 呼吸が出来るとはいえ、やはりその感覚は地上とは違うもの。風の代わりに揺れる波は、厚みと重みを感じさせて、一歩一歩に緩く水の抵抗がかかる。
 体が軽くて重い、不思議な心地。
 とんとんと砂に足跡を付けて、スカートを押さえて跳びあがれば、ゆっくりと体が宙を舞う。
「……うん」
 ふわふわと、文字通りの浮遊感が少しだけ愉快。
 口元に小さく笑みを浮かべた後、ゆずは持ち込んだライフルをその手に構えた。
 警戒ではなく、今回は探索のため、銃身に頬を寄せるようにしてスコープを覗く。
「んん……?」
 こうして見回すだけでも光源はいくつか見つかる。赤や緑に光る星は、誰かの投げた宝石や飴玉の類だろうか。それならば、規則的に並んだ白い星は――。
「――うさぎさん座」
 星の並びからそれを読み取って、海藻の中に半ば呑み込まれたそれを目指して歩いた。
「この海藻をどうにかすればいいのかな?」
 プッシュダガーを取り出して、邪魔になるものを切り落としていく。先日の記憶から、この先にもまだ星の並びがあったはずと、ゆずはさらに奥へ、深海へと進んでいく。

 いくら不思議の国とはいえ、こんなことが自然に起こるものだろうか。
 一歩一歩、歩を進めながら彼女は考える。地上と同様、先日まで暗闇だった海の中には、命の気配はほとんどない。そもそもここは『新しい国』なのだから、先住民が居ては話がおかしい。
「いったい、誰が? 何のために……?」
 それでも何かが居るとするなら、それは例えばサニーさん達や、猟兵達と同じ頃に、別の場所から来たことになる。

 ふとそれに気が付いて、ゆずはもう一度ライフルを構え、スコープを覗いた。
 肌で感じる渦巻く水流、迫る気配。こちらが見ているのと同様に、相手もこちらを見ているのが分かる。
 微かな歌声。泡の音。

 ――それで? あなたは誰?

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『人魚姫』

POW   :    【自滅型UC】ヘル・ダイバー
【自身の身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】を代償に自身の装備武器の封印を解いて【身体を、接触した存在を泡に変換する身体】に変化させ、殺傷力を増す。
SPD   :    【自滅型UC】堕水の契約
自身の【身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】を代償に、【契約した、海の魔女】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【強大な魔術を駆使する事】で戦う。
WIZ   :    【自滅型UC】懐かしき骸の水底へ
【自身の身体(戦闘終了後、泡になって消滅)】【を代償に、敵対者のUCに対して耐性を獲得】【、同時に全ステータスを大幅に向上させる事】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。

イラスト:ひえのひろ

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はアララギ・イチイです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 ああ、王子様、王子様。
 こうして光を集めていれば、気付いてくれると信じていました。
 太陽の下でお会いできるなんて、夢のようでございます。

 ご覧ください、王子様。
 この国ならば、私はあなたと語らえる。
 この海ならば、私はあなたと泳いで行ける。
 きっとこれなら、今度こそ、違える事はないでしょう?

 ねえ王子様、お願いです。
 ずっと私と居てくださいな。


●歪な童話
 こちらを見ているのか居ないのか、『王子様』へと彼女は語る。
 童話から抜け出してきたかのようにも見える彼女だけれど、やはりその在り方は歪んでいる。
 乞い願うような言葉を吐いてはいるが、彼女はオブリビオンであり、人喰いのオウガである事に変わりはないのだ。
 うっとりとしたその表情には、同時に昏い影が浮かんでいた。


●たいようの国の人魚姫
 ねえ王子様、王子様。
 これが叶わぬ願いであるのなら、せめて旅路を私と共に。
 泡と消えて、融け合って、一緒に風になりましょう。
エドガー・ブライトマン
いくよ、エンジ君!(f06959)
人魚かい?どうだったかな
あ、手記に書いてある。見たことあるみたい

どうして人魚はいつだって悲しむのかな
まあ、私達はサニー君の味方だから
人魚姫君には剣を向けることしか出来ないよ

エンジ君の支援のもと、まっすぐキミに立ち向う
ご機嫌よう、人魚姫君
呼んだかな?王子様だよ
キミのものにはなれないけど

エンジ君がいるなら泡になりそうもないな、助かるよ
エンジ君に攻撃が及びそうな際は《かばう》
助け合いの精神こそ大事なものさ

人魚姫君と間合いを詰められたなら“Jの勇躍”

キミと泡になることは出来ない
私にはキラキラ輝くような未来が待ってるんだよね

まずはサニー君たちの世界の光を返してもらう


エンジ・カラカ
エドガー(f21503)

人魚。人魚ダー。
エドガーは人魚知ってる?ヘェヘェ、すごいなァ……!
コレは初めて見た見た。
人魚は怖いケド、カナシイカナシイお姫様なンだ。
賢い君が言ってた。

カナシイケド仕方無いねェ。
この国に平和を取り戻そう。そうしよう。
サニーサンたちの国

コレは支援に徹する
薬指の傷を噛み切って、君に食事
毒のアカイイトは人魚の命をじわじわと蝕む

アァ……泡にならないようにしなきゃなァ
エドガー、エドガー、いけいけー
後ろから応援しながら賢い君の糸を操るサ
エドガーが戦いやすいように立ち回る

サニーサンたちの国はキラキラしてた方がイイ
人魚もキラキラすればイイのにねェ。ネー

コッチ、コッチ
鬼サンこーちら



●海の中
「人魚。人魚ダー」
 水底に現れた人魚姫。その姿から状況を悟りながらも、エンジはエドガーに問いかける。
「エドガーは人魚知ってる?」
「人魚かい? どうだったかな……あ、手記に書いてある。見たことあるみたい」
「ヘェヘェ、すごいなァ……!」
 ぱら、と捲った手元の手記。いつか書き留めたそれに、エドガーが目を通す。
「人魚は怖いケド、カナシイカナシイお姫様なンだ。賢い君が言ってた」
「ああ、そうだね……どうして人魚はいつだって悲しむのかな」
 その時出会った人魚もまた、愛する者を喰らったなどと、物騒な記録が残っている。水底へと視線を移したエドガーは、こちらを見上げる人魚姫と目が合う。昏く、しかしうっとりとした、きっと『王子様』なら何度も向けられたであろう、魔性の瞳。
「まあ、私達はサニー君の味方だから」
「カナシイケド仕方無いねェ」
 そう、相容れることなどないのだと、エドガーとエンジは共に船の縁へと――。
「……サニー君達のために」
「アア、この国に平和を取り戻そう。そうしよう」
 視線で促すエドガーに、エンジは自分に言い聞かせるようにしながら続く。渋々といった調子なのは、別に戦うのが嫌なわけではなく、そう。正直水はあんまり。
「では私が先行しよう!」
 爽やかな笑みで飛び込んだエドガーに、エンジは引っ張られるようにして続いて行った。
 アア、どうせあのまま戦いになれば転覆するのだ、それならせめて、自分から。

「――ご機嫌よう、人魚姫君。呼んだかな? 王子様だよ」
「ああ……私のために、降りてきてくださるなんて」
 船から落ちたあの日とは違うのですね。そんな風に謳いながら、するりと人魚姫が浮上してくる。『王子様』へと伸ばされる両手、頬を包み込むように、抱擁をねだるように。しかしその手の秘める力を察したか、エドガーの左手が人魚姫の手首を掴む。
「……すまないね、私はキミのものにはなれないんだ」
「そんな、どうして?」
 悲しそうな言葉を吐いて、人魚姫はその眼を見開いたまま、エドガーへと顔を寄せる。
「会いに来てくれたのでしょう? 今度は私を見てくれているじゃあ、ないですか。それでもあなたは、『向こう』を選ぶの?」
「ああ――」
 記憶には無いけれど、多分それ私の事じゃないね? そんな返事の半ばで人魚姫が牙を剥き、咄嗟に身を引いたエドガーの首元で歯が打ち鳴らされる。こちらも反射的に引き抜いたレイピアが、人魚姫の伸ばした腕を切り裂いた。
 両者の距離は離れるけれど、殺気はどんどん近づいてくる。嫌な感覚を覚えながら、エドガーは敵に剣の先を向けた。
「ごめんなさい。ごめんなさい、王子様。もう私は耐えられないの。何度も何度も失って、何回繰り返しても変わらなくて。この国でも無理だと言うのなら、もう――今度こそ、共に泡になってもらうしか」
「エドガー、エドガー。話通じてる?」
「微妙なところだよエンジ君。だが決裂にはなったようだ!」
「ウン、まァ、それは知ってたナー」
 尾鰭の一打ちで体勢を変えて、人魚姫が急速に迫り来る。その両手が致命的な攻撃になることは、エドガもエンジも経験からして察している。
「アァ……泡にならないようにしなきゃなァ」
 薬指の傷を噛み切って、エンジは海中に赤を滲ませる。溢れ出たそれは細く繋がり、赤い糸を形作った。
 『君の食事』。毒性のそれを人魚姫の両手に絡みつかせて、接触される前に押し留める。その間に、エドガーの刃が真っ直ぐに人魚姫を狙う。正確な刺突はしかし、糸を赤い泡に変えてしまった人魚姫に、するりと躱されてしまう。
「――エンジ君がいるなら泡になりそうもないな、助かるよ」
「泡になられるとコレも困る。がんばれー」
 そんな軽口とも本気ともつかない言葉に、「任せてくれ」と真っ正直に答えて、エドガーは続けて人魚姫の手に応戦した。

「コッチ、コッチ、鬼サンこーちら」
 合間に向けられる攻撃から逃れながら、エンジはさらなる赤糸を駆使して攪乱に努める。糸の持つ毒性に蝕まれながらも、一向に有効打を与えられない人魚姫は、それに焦れたか。
「ああ、海の魔女、海の魔女よ――」
 オブリビオンである彼女の、共に墜ちた影を呼ばう。
「私は泡と消えても良いの。だから、手を貸して」
 いつまで経っても変わらない、愚かしい申し出をせせら笑うようにしながら、魔女はその力で以て求めに応じた。
「おおっと……!」
「水の中はこれだからなァ……」
 突如海中に発生した大渦に、二人は翻弄されながらも敵を見失わないよう努める。エンジが海底の岩と自分、そしてエドガーを糸で繋いで、流されるのを防いだそこで。
「ねえ、王子様――!」
「何度言われても、キミと泡になることは出来ないよ」
 一人自在に泳ぎ回る人魚姫が迫る。
「――さあ、ご照覧あれ」
 と言っても、見えないかな。直前で脱ぎ去ったマントを敵に被せるようにして、視界を失った人魚姫に、エドガーの剣閃が向けられる。
「あぁ――!」
 裂けたドレスの下から生じる血が、赤い泡となって消えるのを、エンジとエドガーは共に目にした。

 凄まじい海流が敵味方を分かつ。海底の岩に捕まってそれを凌いだ二人は、海面を、その先の星空を見上げる。
 サニーさん達が居るあちら側は、大分光を取り戻し、キラキラとした星に照らされているはずだけれど。
「……ここは暗いね」
「コッチもキラキラすればイイのにねェ」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オニバス・ビロウ
生憎だがお前の王子様とやらではない、ただの侍であり、世に仇なす存在を斬るだけの者だ
覚悟せよ、海から生まれた者よ

だがその前に魔女なる者を切り伏せねばなるまい
魔女は狂わす事も呪う事も自在ゆえ、それに耐えねば斬る事も叶わぬ
妻の名を冠した脇差を握り締め、呪詛と狂気に耐えてみせよう
耐え切ったのならば脇差と己が名を冠した刀を抜き、二度三度と斬りつけよう

…傷を負えば負うほどに苦しみの解放から遠ざかる地獄を味わうが良い
光を奪うという事はとても重い罪なのだから

だが…せめて旅路を私と共に、か
彼女はまかり間違っても言わない言葉だな
どんなに言ったとしても「共に地獄を生き抜こう」で落ち着く
まぁ、それでこそ我が妻であるが



●誓い
「生憎だが、俺はお前の王子様とやらではない、ただの侍であり、世に仇なす存在を斬るだけの者だ」
 覚悟せよ、海から生まれた者よ。迫る敵へとそう告げて、オニバスは佩いた太刀へとその手を添える。
「――そうまでして私を拒むのですか、王子様?」
 それが通じているのかいないのか、見開いた目で人魚姫は彼を見た。言外の意図を察したように、人魚姫の従える影――海の魔女がその力を発揮する。
「……!」
 ぎし、と全身に圧力がかかるのを、オニバスは感じる。まるで周りの水が、海が、彼の動きを拒むように圧し掛かり、締め付けてくる。呼吸さえも妨げられたようで、動きも語りも出来ぬその状態で、オニバスはかろうじて動く指先を、脇差へと伸ばした。
 手に馴染むその刀。銘は『楓』、妻の名である。それは共に在ろうという誓いの証。万に一つ、ここで泡と消えればその誓いもまた霧散するか。
 ……そんなことを許すわけにはいかない。ああ、そうだ。彼女ならば、共に消えることなど望みはしないだろう。どんなに言ったところで、「共に地獄を生き抜こう」で落ち着くはずだ。
 それでこそ我が妻だと、そう口元が綻んだ矢先に、刀は抜けた。

 圧し掛かる力を撥ね退けるように、切り裂くように刃は走り、目の前まで迫っていた人魚姫へと手傷を負わせることに成功する。
 止められていた息を一度深く吸って、オニバスはさらに敵の方へと踏み込んだ。
「……傷を負えば負うほどに苦しみの解放から遠ざかる地獄を味わうが良い」
 光を奪った罪の重さをその身で知れと言い放ち、さらに刃を重ねていく。
 たまらず声を上げた人魚姫に応え、魔女の一撃、今度は先ほどとは違う、爆ぜる衝撃波によって、オニバスは大きく敵から引き離された。
 追撃は断たれたが、しかし。
「逃がしはせん」
 鋭く細められたその眼は、変わらず敵の姿を捉えていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

マリアドール・シュシュ
【泡沫】
アドリブ◎

光を集めていたのは…そうだったの
「王子様」はあなたにしか見えていないのね

戀に乞い焦がれ
愛も求め

…本当の童話のよう
けれど成り立ちは似て非なるもの
もしも別の生き方…転生が出来ていれば…

この悲しみも
いずれ星芒の眸に隠され
忘れてしまおうと
今だけは
本当の最期まで見届けましょう

霞架、攻撃の担い手はどうかマリアに任せて頂戴(敵との相性の問題
ひゃっ!(抱えられ少し赤らむ
…霞架はずるいわ(心臓の高鳴り

敵の攻撃は霞架ごとケープで和らげ(オーラ防御
竪琴で麻痺の糸絡めた旋律奏(楽器演奏・マヒ攻撃
音の誘導弾で遠距離攻撃

泡になる敵へ【透白色の奏】使用
不可視の静流の音で追跡
容赦無く音の制圧射撃
攻撃手休めず


斬崎・霞架
【泡沫】

あれが光を捕らえていた元凶、でしょうか。
何を見ているのかわかりませんが、
ここに貴女の“王子様”は居ないと思いますよ。

息は出来るとは言え、水中で動きが制限されるのは厄介ですね。
加えて、相手のあの攻撃…。触れたものを泡に変えている?
あれに捕まる訳には行きませんね…。
…マリアさん、ちょっと失礼しますよ。
(マリアを抱き上げる)

移動はこちらで担当しましょう。
攻撃の方は、お任せしますよ?
(マリアを抱えたまま、刻死:蹄による【ダッシュ】【ジャンプ】と、尾に可変しての【串刺し】【ロープワーク】を応用しての移動を繰り返し攻撃を避け続ける)

報われぬ虚ろな人魚姫、せめて今だけは眠らせて差し上げましょう。



●二人の旋律
「あれが光を捕らえていた元凶、でしょうか」
 ゆるゆるとこちらへ泳いでくる影を目にして霞架が言う。他の猟兵達と戦う素振りからも、青い髪と青い尾鰭のあの人魚は、間違いなくオウガなのだと読み取れる。
「何を見ているのかわかりませんが、ここに貴女の“王子様”は居ないと思いますよ」
「あら、どうして? ここに居るではありませんか」
 すう、と細められるその眼には、霞架とマリアドール以外の誰かが映っているのだろうか、それとも。
「……そう、『王子様』はあなたにしか見えていないのね」
 マリアドールが小さく呟く。戀に乞い焦がれるその様は、まるで本当の童話のようにも見えるけれど。
 成り立ちが似て非なるものであるのか、何にせよその転生は、童話とは全く別の結果となっている。その身が泡と溶けたところで、この人魚姫はきっと骸の海へと帰るだけ。その違いはもはや決定的なものと言っても良いだろう。
 ――この悲しみも、いずれ星芒の眸に隠され忘れてしまおうと、せめて今だけは。
「霞架、攻撃の担い手はどうかマリアに任せて頂戴」
 金の瞳に決然とした光を宿らせ、マリアドールは言う。そんな彼女に霞架は首肯して。
「……マリアさん、ちょっと失礼しますよ」
「ひゃっ!?」
 有無を言わさず横抱きにする。
「移動はこちらで担当しましょう。攻撃の方は、お任せしますよ?」
「……霞架はずるいわ」
 薄く頬を染めるマリアドールの様子を知ってか知らずか、霞架は手甲を尾を持つ獣のような鎧へと変え、強化された脚力を駆使して水底を蹴った。
 息が出来るとはいえ、水中では動きが大きく制限される。そんな中で触れれば即死に繋がるような攻撃を捌くつもりなら、これくらいのことが必要だろう。
 水中を跳び走る二人を追って、人魚姫もまた泳ぎ出す。その迫る腕から逃れるように、岩を次々と蹴って霞架は駆けた。
「報われぬ虚ろな人魚姫、せめて今だけは眠らせて差し上げましょう」
「ええ、触れられぬのなら、これで――」
 マリアドールの指が竪琴に伸びて、透白色の旋律を奏でる。柔らかな音色は不可視の糸のように、人魚姫を絡め捕り、動きを鈍らせる。そして時には魔弾の如く、その身を打ち据えていくが。
「ああ、素敵な音色ね。ただ聞き惚れてしまいそう。おかげで――」
 見なくても、あなたを追っていけそうよ。人魚姫が海底に手を伸ばせば、彼女の触れた石が、砂が、瞬く間に泡へと変わる。
 次いで尾でも一打ちすれば、溢れ出した無数の白は、マリアドールの目から人魚姫の姿を覆い隠してしまう。
 追跡を断ちに来た相手に、マリアドールは一帯を制圧するように応戦するが、泡と消えゆく体で耐性を得た人魚姫は、それを掻い潜り、迫る。
 目くらましを活かした奇襲、喉元へ伸びる死の指に、霞架は咄嗟に尾を伸ばす。鋭い先端を水底へと突き立て、それを支えに自らの身体を引く。そうして僅かに距離を取った合間に、マリアドールはケープで霞架と自分を包み込むことで攻撃に抗い――。
「――離れて」
 爪弾く弦からの一音で、敵をそこから弾き飛ばした。
「……ありがとうございました」
「ええ、無事でよかったわ」
 一旦の離脱。霞架は自然と腕に入っていた力を抜いて、人魚姫の泳ぐ上方を見上げた。光る水面の向こうには、取り戻した星が空に瞬いているはずで。
「中々、あの時の虹のようにはいきませんね」
「そう? 悪くはなかったと思うけれど」
 身を寄せる形になったそこで、マリアドールはそう微笑んだ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ジョン・フラワー
【花星】
待つんだ星のアリス!
彼女は悪いやつじゃないかもしれない
好きな気持ちに悪はないからね!

やあ素敵なお嬢さん!
ここで何をしているの? 王子様と内緒の話?
僕いい場所知ってるんだ! 見に行ってみない?
空は星がよく見えて、きらきら光ってるの!
これから大きなお花畑になる場所もあるんだ
王子様もきっと気に入るさ!

だから魔女たちに喧嘩をやめるようにお願いしてもらえないかな
星のアリスも叩かれたら痛いんだ!
話ができてもできなくても、水面まで手を引いていこう
一目見たら忘れられないはず!

お花はね、海だからちょっとしかないんだけどね
キミはどれが好きかな。空に投げるとお星さまになるんだ
おひとつどう? 楽しいかもよ!


笹塚・彦星
【花星】
【WIZ行動】
あぁ、こいつが星とか太陽とか隠してたのか。
……オオカミ、先輩?いやまあ郷に入れば郷に従えとはいうしこの世界ならオオカミ先輩に任せるけどさぁ。

あっこら、殴んな斬るぞ。龍さんどうどう。
人魚が大人しくオオカミ先輩に手を引かれてくれるんならいいけど、どうしても危なくなったら龍さん呼ぶし斬るから。龍さん入ってる刀がガチガチ鳴って煩いけど、耐えてよ龍さん。先輩に任せよう。
もし人魚が俺を警戒してるんなら少し離れておこうか。オオカミ先輩の邪魔したくないし。

オオカミ先輩、餞別に花でもやって。きっと喜ぶよ。



●人魚姫の見る地平
「あぁ、こいつが星とか太陽とか隠してたのか」
 泳ぎ来る人魚姫の影を目にして、彦星は竜と共に迎え撃つ構えを取る。が。
「待つんだ星のアリス! 彼女は悪いやつじゃないかもしれない!」
「……オオカミ、先輩?」
 ジョンからの制止が入る。好きな気持ちに悪はないと説く彼の言葉に、困惑しながらも彦星は刃を収めた。一応、郷に入れば郷に従えという言葉もある。
「まあ……この世界ならオオカミ先輩に任せるけどさぁ……」
 とはいえ、それで敵が攻撃を緩めてくれるわけでもなく。人魚姫の我が身を捨てた契約に従い、現れた海の魔女が水流の槍を展開、真っ直ぐに叩き付けてくる。
「やあ素敵なお嬢さん!」
 貫き穿つ巨大な槍は、しかしジョンの身体に当たったところで弾け飛び、霧散した。
「……え?」
「何だこれ……」
 人魚姫と彦星が、どこか呆然とした声を上げる。当のジョンは、特に動じた様子もなく。
「ここで何をしているの? 王子様と内緒の話?」
 引き続き人魚姫へと話しかけ続ける。『オオカミさんも話したい』、とにかく相手と話したいというジョンの欲求が終わらない限り、彼は外部からの攻撃をすべて遮断することが可能だ。
「僕いい場所知ってるんだ! 見に行ってみない?」
「はあ……」
 完全に毒気を抜かれた様子の人魚姫は、ジョンに手を引かれるまま、海の中を漂っていった。
「龍さん、龍さん落ち着いて。いざといなったら任せるからさ」
 先程の流れで刀に仕舞われた龍が、警戒を促すようにガチガチと鳴り続けている。敵の接近を察知しているが故、当然の反応なのだろうが……。
「耐えてよ龍さん。先輩に任せよう」
 そう言って、彦星は刀を押さえながら、距離を置いてジョン達の後を追った。
「上手くやってくれよ、オオカミ先輩……?」
 彼等の背中に視線を送る。上から降ってくる光が眩しい。ああ、水面が近い。

 手を引く相手、人魚姫が動きを止めたのに気付いて、ジョンは彼女の方を振り返った。前を歩く彼の胸が、水面の上に出るくらい。そこで彼は、砂浜を、輝く空を、両手を使って示して見せた。
「どうだい、お嬢さん! 空は星がよく見えて、きらきら光ってるだろう?」
 彼の言う通り、一度は海に沈められた、眩い星達が空に煌めき、朝の光を思わされる輝きが、そこに降り注いでいる。
「あら、どうしたの猟兵さん」
「お客さんかしらー?」
 そこにはそれなりに元気を取り戻したサニーさん達が居て、砂浜の向こうの大地に、せっせと花の苗を植えていた。
「あれはえーと、お花のアリス? まぁこれからここに住む人達さ! それからお花はね、海だからまだちょっとしかないんだけど、ああやってお花を植えて育てていけば、いつか大きなお花畑になるはずだよ!」
 楽し気なその言葉に嘘はない。そしてこの場所のすばらしさについて、人魚姫も理解してくれるだろう。
「どうだい、素敵なところだろう? 王子様もきっと気に入るさ!」
「ええ、そうですね。とても素敵……」
 きっとその素晴らしさは共有されて、この国に広がる明るい未来もわかってくれて。
 だから海から光を剥奪された人魚姫は、このあと泡と消える事が決まっている人魚姫は、全て壊すことを選択した。
「えーと、お嬢さん?」
 魔女の唱えた呪文は、海中の大渦の代わりに海上の嵐を巻き起こす。喋り続ける限りジョンは無事だろうけれど。

 咄嗟に魔女を、人魚姫を、ジョンが水中へと引き摺り込んだ直後に、追いついていた彦星がその刃を一閃させる。
 防御しながらも手傷を負った人魚姫に、解放された雨龍王が凄まじい水流を伴いながら追撃にかかった。けれどそれらに耐性を得ているのか、人魚姫は悠々とそれを迎え撃ち――。

「……オオカミ先輩」
「いやー……フラれちゃったよ、星のアリス」
 龍と交戦しながら、追い付けない速度で遠ざかっていく人魚姫を見遣って。
 困ったなあと笑うジョンの肩を、彦星は二回ほど叩いてやった。
 うん、まぁ、元気出しなよ。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ウーナ・グノーメ
【やすらぎの館】
●心情
「あれは……人魚姫ではない。悲哀の残滓」
「悲しい。あなたが笑っていることが。悲しみの涙を流せないあなたが。この悲しい物語を、わたしたちが終わらせる」

人魚姫は悲劇だ。
だからこそ、それは再演されてはならない。

●行動
無機物を「砂」に変えるUCによって、レフティを補佐。
海水を砂、引いては水と混ざり合った泥に変えることで敵の視界と動きを制限。
敵が攻撃力を優先したならばこちらも、周囲の石や岩を【念動力】で礫のように弾き飛ばして応戦。
防御力を重視したなら【念動力】による不可視の拘束を試みる。
いずれにせよ、自らの消滅と引き換えにした彼女の攻略は、一筋縄ではいかない…全霊をもって迎え撃つ。


レフティ・リトルキャット
【やすらぎの館】※詠唱省略OK
うにゃ?お昼寝してたら、にゃんかヤバいのきたにゃあ。(王子様、王子様かぁ思案し)守りなら任せて、ウーナ。【君を守ると誓う】

レフティは子猫に変身し、ウーナのダメージを僕に転化する守護を与えるにゃあ。
本能や髭感知で動きを見切り、呪いのオーラ防御で底上げされた盾にして武器の肉球や爪で攻撃を受け捌き、時にはダンスを踊る様におびき寄せてウーナをかばうにゃ。例え泥臭くてもまだまだ己を鼓舞し限界突破!(今日の王子様役は譲らないにゃん/ぼそりと後々悶絶)
隙を見て、反撃の一手、人形姫の目の前で肉球同士を打ち合わせて、ねこだまし!(実は爆音のミュージックエナジーを叩きつける気絶攻撃)



●大海の砂
 数多の星は既に遠く。暗がりに寄った海を人魚が行く。
 青く染まったその姿を見上げ、乞い願うようなその声を聞いて、ウーナは羽を動かし、浮かび上がった。
「あれは……人魚姫ではない。悲哀の残滓」
 僅かに、物憂げに目を細めた彼女は、敵がこちらに向けた笑顔を思う。ああ、本来ならば、あなたは嘆き悲しんで然るべきだと言うのに。
「憐れんでくださるの? それとも、怒らせてしまったかしら」
「いいえ、ただ……」
 人魚姫の問いに、ウーナは答える。飾らず、率直に。
「悲しい。あなたが笑っていることが。悲しみの涙を流せないあなたが。この悲しい物語を、わたしたちが終わらせる」
 そんな彼女の声と、迫る気配に耳をぴくりと揺らして、レフティもまたその身を起こした。
(お昼寝してたら、にゃんかヤバいのきたにゃあ……)
 人魚姫の声の、王子様と言う単語を捕まえて、少しばかりに思案に暮れた後。
「守りなら任せて、ウーナ」
 そう言って、彼は彼女を『守ると誓う』。この加護があれば、ウーナの負傷はレフティが肩代わりすることができる。こうすることで、彼女は憂いなく動くことが可能なはず。
「――全ては塵」
 『塵への回帰』、ウーナを中心とする一帯の海水が凝固するように、彼女の司る砂へと姿を変える。
「な――」
 息を吐く間もあればこそ、当然人魚姫もそれに巻き込まれ――海中に突如生まれた砂の領域は、すぐに流れ込む海水と混ざり合い、泥の海と化していく。
 砂も泥も、ウーナの操るものであるがゆえに、彼女とレフティを避けてはいるが。
「これで……」
 敵の動きと視界は制限した。そう言いながらもウーナに警戒を解く様子はない。こうなってしまってはこちらからも敵を見通せないが、彼女の第六感は危険を告げ続けている。その身の消滅を厭わない人魚姫を、甘く見るべきではないと。
 そうして案の定、泥の海から汚れを知らない白の手が突き出される。UCへの耐性によるものか、泥を突破してきた人魚姫の腕は、そのままウーナを抱擁するように伸びるが。
「にゃあ!」
 レフティの肉球がそれを打ち払った。その間に、念動力を駆使したウーナは、砂に変えずに残しておいた岩や石を大小の弾丸として撃ち込んでいく。砲弾のようなサイズのそれを叩き付ける事で距離を取り、ウーナは自分の前に進み出るレフティへと声をかけた。
「気を付けて。捕まると泡にされるかも」
 実際に泡へと変えられる岩を目にしながら、レフティはそれに頷いた。
「それでも……今日の王子様役は譲らないにゃん」
 ぼそりと小さく、彼女に背を向けたまま呟いた彼は、もう一度迫る人魚姫を迎え撃った。

 ねえ王子様、王子様。この手があなたに触れることは、もうないのでしょうか。
 恐らくはUCによる強化を攻撃力に差し向けているのだろう、激しさを増す人魚姫の攻勢に、レフティは徐々に押されていくが。
 ウーナの操る砂が、今度は泥の竜のように人魚姫を絡め捕り、絞めつけていく。視界を、動きを巧みに制限すれば、二人の連携には十分な隙が生まれるだろう。
「レフティ、お願い」
「いくにゃあ!」
 限界を突破したレフティがその隙を突いて、両手を素早く敵の前で打ち鳴らす。
 一見すればただの猫だまし。だがそれによる爆音は人魚姫を大きく吹き飛ばした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

オズ・ケストナー
…王子様
どんな人だったんだろう

わたしの声がきこえる?
王子様のためにあつめていたんだね

そうか
この海なら、王子様が人間でもいっしょに海を歩けたし
お話しだってできた
だから、ここにきてほしかったんだね

この子に王子様がみえてるなら
そのままおくってあげるのがきっといい

春麗を構えて
この鍵は、やさしいまほうがかけてあるんだって
痛まないように
王子様が微笑みかけてくれるみたいに、やさしく鍵で触れるね
攻撃は武器受け
だいじょうぶ
王子様とおはなししていて
笑ってくれてる?

ねえ、次は空の光をつかまえるんじゃなくて
いっしょに太陽のある海を作ろうよ
きみが作った方が、きっとよろこんでもらえる

そこで、今度こそ王子様に会えるといいね


メリル・チェコット
王子様……?
その王子様とやらに会いたくて、
あの子たちから光を奪ったの?

会いたい人に会えない寂しさはよくわかるけど
光を独り占めしてしまうのは、ひどいよ
たいようはあなただけのものにしちゃダメ

ララとシドは後ろにいて
わたしたちで集めたこの光
ひとつ残らずきちんとサニーさんに届けなきゃ
ララに託して、敵に向かい合う

敵の攻撃には魔法の矢を召喚して応戦
通常の矢と違って、物質を持たない光の矢なら
水の中でも速度・威力は変わらない、よね
後ろの家族たちを守るように、自身の前に光の矢を展開
よく狙いを定めて

この海じゃなくて、向こうの海で、王子様に会えるといいね……



●人魚の心臓
「王子様……? その王子様とやらに会いたくて、あの子たちから光を奪ったの?」
 警戒心を露にして、メリルは人魚姫を睨む。頭に浮かぶのは、地上で萎れた様になっていたサニーさん達の姿だ。
 牧羊犬、ララとシドと共に掘り起こした光を背に庇う。せっかく取り返したそれを、また渡してしまうわけにはいかないだろう。
「そう、それはあなた達の作った光だったのですね。ごめんなさい、知らなくて……」
「……本当に、そう思ってる?」
 殊勝な事を言う相手に、メリルは訝し気に眉根を寄せる。
「じゃあ、光を独り占めしようなんて思わない? あれは、あの子たちに返してあげたいの」
「それは、できません」
 きっぱりと、そう人魚姫は答えた。
「王子様は陸のお方。陸に太陽が昇るなら、こちらに来るなんて考えないでしょう?」
 事実、光が海になかったなら、海に入ろうなんて、そこで呼吸ができるなんて、気付く者が何人居るというのか。そう指摘する彼女に、メリルはじり、と一歩下がる。どうやら、この話の行く末は見えてきた。
「だからって、たいようをあなただけのものにしようなんて……」
「それでも、そうしなければ、わたしの願いは叶いませんもの」
 決裂だ。メリルの飛び退いたそこを、打ち振るわれた人魚姫の尾が通り過ぎた。海流が俄かに、逆巻く。
「ララとシドはわたしの後ろにいて!」
 水底に再度着地しながら、メリルは弓に指を添えた。素早く、真っ直ぐに弦を引けば、そこに無数の光の矢が生み出される。
 『牡羊座流星群』、実体を持たぬ光ならば、この水中でも勢いを殺されることはない。弓に番えられた矢に続くように、光の雨が人魚姫へと降り注いだ。
「まあ……美しいですね」
 感嘆の声を、体をくねらせ被弾を最小限に抑えながら人魚姫は口にする。傷口から生じる赤い泡と共に、彼女は呪いの言葉を吐いた。
「逃がさないで、王子様のための光がなくなってしまうわ」
 それに応えたのは、人魚姫の影から現れた海の魔女。それの放つ魔術はその場に幾つもの細い渦を生み出し、メリルを、そしてその後ろで星を確保した牧羊犬達を囲み、そこに留める。
「ああ、ごめんなさい。先に、泡になって待っていて」
 海中における人魚姫の動きはメリルのそれを凌駕する。彼女が弓を構え直す間もなく通り抜け、牧羊犬達へと人魚姫が向かう。伸ばされた五指は、しかし目的のものを掴むには至らず。
「ねぇ、わたしも、ひとりじめはよくないと思う」
 寝かせた大斧の刃、オズの構えたそれが、人魚姫の指がその先へ行くのを防いでいた。
「いまのうちだよっ」
「う、うん! ララ、シド、走って!」
 もう一度光の矢を番えて、放つ。流星群が狙ったのは、今度は人魚姫本体ではなく海の魔女だ。光り輝くそれ等に射抜かれ、魔女が苦鳴を上げる。すると魔女の生み出していた海流が弱まり、そこを牧羊犬達が走り抜けていった。

「よーし……!」
「ま、まって」
 今度は人魚姫を、と動くメリルを制止して、オズは人魚姫へと向き直った。
「わたしの声が、きこえる?」
「――ええ、聞こえています」
「そう、よかった……」
 手の圧力が緩むのを感じて、オズはさらに言葉を重ねる。
「王子様のために、光を集めていたんだね。ここならお話もできるし、いっしょに歩くこともできるから、それで――」
「ええ、ええ。きっと、あなたも喜んでくださいますでしょう、王子様?」
 そう言ってうっとりと、夢見るように人魚姫は目を細めた。こちらを見ているような、見ていないような……その様子から、オズは悟る。この子には王子様が見えている、それならば――。
「うん、きっと……楽しいよね」
 その言葉に人魚姫の表情が綻ぶのを見ながら、オズは大斧を置いて、代わりに魔鍵を手にした。
 友人から贈られたこの鍵には、不思議な魔法がかけられている。痛まないように、傷つけないように。外傷をつけぬまま、そのカギは生命力だけを吸収できる。
「だいじょうぶだからね、そのまま王子様とお話していて?」
「はい、こんな……夢のようでございます」
 オズはそれに頷いて返す。そう、王子様が見えているというのなら、そのままおくってあげるのがきっと良いはずだ。
「……ねえ、次は空の光をつかまえるんじゃなくて、いっしょに太陽のある海を作ろうよ」
 きみが作った方が、きっとよろこんでもらえる。オズの言葉にも、人魚姫は嬉しそうに首肯した。
「王子さまは、笑ってくれてる?」
「ええ、笑って……でも、少しだけ哀しそう」
 人魚姫の掌が伸びて、気遣うように、オズの鍵を持つ手を包んだ。

 ――気遣うように? 手を包んだ?

 違和感に顔を上げる。視線が合う。彼女はこちらを見ていないけれど、ずっとこちらを見てもいた。
 手が引かれて、より深く鍵が人魚姫の胸に刺さる。一緒にいたいと彼女は言った。そして、それが無理なら旅路を共にと。
 少なくとも今、彼女の言う『王子様』とは。
「笑ってください、王子様。これからずっと、わたしと――」
 彼女の言葉が熱を帯びたそこで、側方から飛来した光の矢が、人魚姫の腕を射抜いた。
「い、行こう!」
 メリルがオズの腕を引っ張って、体勢を崩した人魚姫から引き剥がす。
「うん……!」
 かろうじて頷き、オズがそれに続いた。
 「共に泡になってほしい」と、つまり人魚姫はそう言っていたのだ。置いて行かないでください、王子様、と。
 振り返ったそこに、人魚姫が迫ってくる――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

日東寺・有頂
呼び声がする。
切のうて背筋が粟立つような声や。
せがらしか。どがん嘆いたって、王子なんきやせんたい。
あの輝きはな、アンタが奪っていいモンじゃねえんだよ。

一先ずはお二人ん攻撃の合間に隙ば突いて手裏剣での乱れ撃ち食らわせ、尾ひれへの部位破壊や武器落としば狙っとこ。
魔女が出しゃばって来よったらオーラ防御展開してお二人ば庇うばい。アンタ一人でも気味悪いんに、似たよなメンヘラ呼び出すなや!
シンさんの牡丹が舞ったら合図。気配ば殺して、標的ばようく狙えるポイントに位置取り。千之助さんが炎で花弁払えば神経研ぎ澄ませ、そん心臓にぶっ刺さるよう一投。
こいでアンタもお星様。
…想い人に届くよう、ようく瞬いて眠るといい。


シン・バントライン
【日向】の3人で

海に光を招いたのは王子の為だろうか。
でも本当は暗い海が寂しかったのかもしれないな、なんて思う。

UCで作り出した花弁を煙幕にして仲間を隠す。
盾の様にしたり、主に防御に使用。
攻撃は花弁に変えず残した剣で。
仲間の準備が整ったタイミングで花弁を佐那さんの炎で燃やして貰い、それを合図に煙幕解除。
後は可能なら敵の攻撃を邪魔をするサポートに回す。

これから人魚が潜る事になる海は暗いだろうか。
いつだったか魂は星になると聞いた。
もしそうなら骸の海はこの世のどこよりも煌めく明るい場所だ。
だから今度こそ望む世界で、ゆっくりおやすみ、人魚姫。


せめてもと星を蒐めた思い出は切なからずや君は泡沫


佐那・千之助
【日向】

よいよい、姫に三対一は後ろめたかった
武器は自在に変形する黒剣と相手の生命力による回復
死角を庇い合い
護ってくれたオーラの下から、攻撃直後の敵が立て直す前に
獄炎纏うハルバード(黒剣)で突き崩す

光の海、綺麗じゃったよ
別嬪さんに心尽くされて幸せな男もおったもの
邪魔してすまぬが、選ぶのは未来
あの向日葵らを包む光

代わりに渡せるのは、餞の光
牡丹の帳を、掃う焔華に、奔る彗星。
次から次へ眩しすぎる?
もうたくさんと思うたら
目、閉じて

結ばれえぬひとと暮らせる、可能性の世界
此処はそなたに甘すぎる夢を見せて…よくなかろ
これから還る海のなかでは
愛した人との思い出を、あたたかな夢だけを、見られますように



●牡丹、焔華、流星
 光を、そして猟兵を追って海中を行く人魚姫に、海底からの刃が迫る。鱗を、ドレスを傷つけるそれの直撃を躱して、人魚姫は下方に居る三つの人影へと視線を向けた。
「邪魔をするのですか? わたしはただ、王子様を――」
「せがらしか。どがん嘆いたって、王子なんきやせんたい」
 先程投げたのと同様の手裏剣を構えながら、有頂がきっぱりと言い放つ。王子様、と、その名を呼ぶ時の響きには怖気が走る。これ以上は聞きたくないというように、遮って。
「あの輝きはな、アンタが奪っていいモンじゃねえんだよ」
 そう告げる彼の言葉に対して、人魚姫の表情が悲し気に、悩まし気に歪んだ。
(海に光を招いたのは王子の為だろうか。でも本当は――ー)
 その表情から、シンはその心の動きを察しようとする。確かに話に出てきた王子様のため、というのは間違いないのだろう。けれど、光を地上に返した結果、暗がりへと戻ったこの海は酷く寂しい。別の猟兵の手によるものだろう、走り去っていくあの光。それを求める気持ちもあったのだろう。
「魔女よ、魔女。わたしの願いを聞いて頂戴」
 どろりと、零れ落ちた言葉に応えるように、人魚姫の影からそれが現れる。彼女の身体を泡と変える契約の下、海の魔女は人魚姫の敵を退けるためにその力を行使した。せせら笑うような詠唱と共に、渦巻く水が螺旋を描き、槍と化す。
 刺し貫く一閃、それに身を晒したのはやはり護衛に向いた化身忍者、有頂だった。オーラを纏わせた縛霊の手でそれを受け止め、衝撃に押されながらもそれを逸らし、千之助やシンへの直撃を避ける。
「アァ! アンタ一人でも気味悪いんに、似たよなメンヘラ呼び出すなや!」
「よいよい、姫に三対一は後ろめたかった」
 苛立ち混じりに罵声を投げる有頂に、小さく礼を言いながら千之助が答える。その声は既に有頂の後ろではなく、前方から。防御に回った有頂の下を潜る様にして敵へと迫り、水底を蹴った千之助がハルバードを振りかぶる。海中でも構わず燃え盛る地獄の炎が、その刃を包んで。
 炎の軌跡が魔女へと襲い掛かり、魔術によるものであろう障壁すらも切り裂いて、手傷を負わせた。
「――!」
 怒声と共に叩き付けられる水弾を武器で受けながら、後退。しかし敵の血を啜る刃の力で、千之助の負傷はすぐに塞がっていく。
 この場の打開に時間がかかる事を悟った人魚姫は、この場を魔女に任せて去ろうとするが。
「東風不爲吹愁去、春日偏能惹恨長……我が心を春嵐と成す」
 シンの振り撒く赤い牡丹の花弁、武器から変じたそれが、障壁のように、目くらましのように、一帯を包み込んだ。
「逃がしやしねぇってことさね」
「ああ、決着つくまで相手してもらおうかの」
 千之助の後退した合間を、有頂の手裏剣が繋ぐ。水中でも鋭さを失わない刃は、しかし側面からの水流に煽られ、逸れていってしまうが。それを機に再度千之助が強襲、炎が眩く海中を照らした。
 敵を追い、反撃を避け、刃を叩き込んでいく。そんな身も神経も削る戦いの中で、千之助は思い出したように言葉を紡ぐ。
「光の海、綺麗じゃったよ」
 別嬪さんに心尽くされて幸せな男もおったもの。件の『王子様』とやらに思いを馳せながらも、命の取り合いは続く。
 邪魔をするのか、接触時に人魚姫はそう問うたが。
「――邪魔してすまぬが、我が選ぶのは、未来じゃ」
 既に終わり、ただ繰り返す過去ではなく、あの地上で待つ、向日葵らを包む光を。

 そんな彼の言葉を契機に、シンの操る赤い牡丹が、両者の間を吹き荒れる。それはさながら、赤い帳。
 ――これから人魚が潜る事になる海は暗いだろうか。赤一色の海を見上げて、シンはその先へ思いを馳せる。
 魂は星になると、そんな話を聞いたこともあっただろうか。もしもそれが本当ならば、骸の海は、この世のどこよりも煌めく明るい場所だ。
 だから今度こそ望む世界で眠ると良い。そんな風に彼は願った。

 赤く染まった海の中、千之助のハルバードの刃が振るわれ、円を描いた。焔華、日輪の如き炎の軌跡、それは赤い花弁に燃え移り、瞬間、辺りを光で染めた。
「あァ――」
 人魚姫は感嘆の声を、海の魔女は悲鳴を、それぞれ口にする。
 それがきっと、現実に挑む認識の違いなのだと、神経を研ぎ澄ませていた有頂には分かる。想い人のことを常に考え、夢見心地で。それならば――。
 赤い花弁が視界を包んだその瞬間に、距離を取り、回り込み、その一点を狙い、有頂はそれを投擲した。
 それならば、想い人に届くよう、強く瞬く星になれと。
 放たれた毒手裏剣は、炎の残滓を映して流星のように輝いた。

 光の乱舞を切り裂く彗星。眩しければ目を閉じてしまえば良い。千之助はそう願うような気持で、人魚姫を見る。
 ここは、この海は、彼女にとって、結ばれえぬひとと暮らせる、可能性の世界。――甘すぎる夢は心を蝕む。だからこそ、終わりにしなければ。
 これから還る海のなかでは、愛した人との思い出を、あたたかな夢だけを、見られますように。

 三者三様の思いを乗せて、流星が、敵の身を貫いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

星蝕・焉夜
【光縁】アドリブ歓迎

「恋に溺れる人魚姫か……
他者に迷惑をかけなければ別にいいと思うが……
何にせよ、仲間を傷付けるのであれば容赦しない……」

オルタナティブ・ダブルを使用
別人格の自分『ダ・カーポ』を出し「楽器演奏」による「催眠術」で援護
俺自身は刀を用いて接近戦
人魚姫の攻撃は「第六感」「見切り」をしつつ「オーラ防御」
刀による「なぎ払い」「生命力吸収」を行なって攻撃する

「『ダ・カーポ』、仲間の歌に合わせてくれ……」
『奏者(焉夜)の頼みでしたら断る理由は無いですねぇ
それでは楽章を奏でると参りましょう』

武器による不思議な音楽を奏でながら援護と
俺は接近戦で対処していく


ルーチェ・ムート
【光縁】アドリブ◎

悲しい、悲しき人魚姫
王子様が好きだったんだね
でも此処に王子様は居ない
太陽を求めても、その人は来ない

その心を、愛を、纏めてボクが奪ってあげる
誘惑纏わせ月の人魚が歌う

歪だけれど、その気持ちは本物だから
否定はしない
でも、ボクの大切な仲間たちを傷付けないで
攻撃の歌声を時折外し、ドーピング
白百合咲き誇らせ
鼓舞の祈りも込めようか
支援が増せばボクの力も増す

赫縁で人魚姫をがんじがらめに
誘と共に行動阻害して焉夜の補佐を
心結の歌声とカーポの演奏
素敵なメロディだ
ボクたちの音楽を聴いていてよ
ボクが鎖で抱き締めていてあげるから
王子様じゃなく、目の前のボク達が孤独の海から掬って(おわらせて)あげる


祝・誘
【光縁】アドリブ◎
青玉の様な人魚姫
あなたが、穹に煌く星々を奪ったの
どんな理由であれ、それは赦されない事

あなたがゆくべき場所は、骸の海
そして、其処へは一人でゆくの
誰かと共にゆく旅路など、無い

心結の歌声の加護を感じながら
景雲飛で【なぎ払い】【範囲攻撃】
皆と敵の距離を一定に保つ

敵からの攻撃は【第六感】【オーラ防御】で
避けることができれば

【高速詠唱】で【祓魚の禍】発動
敵を閉じ込める様な水の竜巻を

UC耐性が有効で閉じ込められなければ
祓禳の名の鞭で【2回攻撃】【衝撃波】
ルーチェと共に行動阻害が出来れば

後は、焉夜にお願いするわ

可哀想な人魚姫
歪んだ心は此処に置いて、綺麗な貴女に戻って
どうかゆっくり、おやすみ


音海・心結
【光縁】アドリブ◎

ふぅん
アレが人魚姫
恋に溺れ、恋に一途な人ですねぇ
……想いは一方通行みたいなのですが

なるべく早くUC『応援歌』使用
みゆの大好きなお友達を傷つける人からみんなを守るのです
貴方の身勝手な想いから、みんなを傷つけはしない
聖母のようなみんなを包み込むような歌声で
【優しさ】【祈り】を込めて【歌唱】するのです

攻撃からはくまぬいのマイくんに
【シールドバッシュ】で守ってもらうのです

ねぇ、人魚姫
貴方の行動は正しいのですか?
どこにいるか分からない王子様はこれを見て
悲しまないでしょうか
みゆの大切な人がこんなことをしたらとっても悲しい

今なら、まだ間に合う
貴方の好きな王子様の元へ
綺麗な姿で戻りましょう?



●ハーモニー
 水底からは空が遠い。天から降り来る光を透かし見ながら、心結は人魚姫の姿を視界に捉えた。
「ふぅん、アレが人魚姫」
 泳ぐ姿は度重なる戦闘ゆえか、どこかぎこちなく、それでも何かを探し求めるような姿が印象的だ。
「恋に溺れ、恋に一途な人ですねぇ……想いは一方通行みたいなのですが」
 そんな憐みにも似た呟きに、焉夜もまた視線を上げる。
「恋に溺れる人魚姫か……他者に迷惑をかけなければ別にいいと思うが……」
 言っても詮無い話ではある。もしもそうであるならば、きっと猟兵達は人魚姫と出会う事すらなかっただろう。結局のところ、目的がぶつかり合うからこそ、この邂逅は成ったのだから。
 こちらに気付き、迫る彼女の瞳は憂いを帯びて、その上で破滅を求めるような、昏い色を宿していた。それもそのはず、既に戦うことを選び、泡と消えることが運命づけられた彼女は、道連れを求めているのだから。
「……そんな身勝手な想いから、みんなを傷付けさせはしないのです」
 大好きな友達を、そんな風に奪わせはしない。守るために、支えるために、心結は聖母のような慈愛の歌声を紡ぐ。
 『応援歌』、あなたに届けと彼女が歌えば、聞く者に戦う力が与えられる。
「……素敵な歌声ね」
「ええ、でも……これはボク達のための歌だよ」
 うっとりと言う人魚姫……この場でただ一人、心結の歌声から力を得られない彼女に、ルーチェがそう告げる。
 歪に見えるけれど、きっと乞い焦がれるその気持ちは本物で、名前を呼んでも、太陽を求めても、その人は来ないという変わらぬ現実が待っている。それは悲しいことに違いないけれど。
「ボクの大切な仲間たちを、傷付けないで」
 いまに慮ろうと、その結論は変わりはしない。心結のそれに合わせて、月の人魚は『夢幻イノセント』を歌う。その音色は海の水を揺らし、広がり行くそこで白百合の花を紡ぎ出した。

 俄かに白く輝く海底で、もう一つ鈴の音が響く。誘の振るった扇は風ならぬ水流を纏い、人魚姫の居た場所を大きく薙ぎ払った。
「聞き入る事も、許してくれないのかしら?」
「そんなつもりないわよね?」
 敵の動きを探りながら誘は言う。負傷を抱え、身体は泡と消えるのを待つばかり、そんな人魚姫が、ただその時を待っているはずなどないだろう。
「あなたがゆくべき場所は、骸の海。そして、其処へは一人でゆくの」
 誰かと共にゆく旅路など、無い。改めて告げられたその言葉に、人魚姫の表情が歪むのが分かる。
 けれどそれで惑わぬように、躊躇わぬように、誘は再度扇を振るった。
 ――王子様のためと言うけれど、この青玉のような人魚姫は、望むまま穹に煌く星々を奪った事は変わらない。
 これは、もはやそういう存在なのだから。
「手を借りれるか……?」
「ええ、奏者の頼みでしたら断る理由は無いですねぇ」
 『オルタナティブ・ダブル』、焉夜とダ・カーポ、二つの人格はそれぞれに別れ、誘の作った間隙へと進んだ焉夜が刀を振るう。近接戦闘を仕掛けた彼は、人魚姫の伸ばす手に触れぬよう立ち回る。その中で放たれた人魚姫の尾の一撃を、心結の手から飛び出したくまのぬいぐるみがその身をクッション代わりに押し留め、その間に。
「『ダ・カーポ』、仲間の歌に合わせてくれ……」
「それでは、楽章を奏でると致しましょう」
 もう一つの人格が、武器による不思議な音色を奏で始めた。それは僅かな催眠効果をメロディへと加えていく――。

 微かに鈍った敵の動きに、誘は機を見出す。
「あまり、暴れないで?」
 『祓魚の禍』、高速の詠唱により、瞬時に水の竜巻が巻き起こり、人魚姫の身体を包む。身体を拘束する水流と圧力、水の中の人魚にそれがどの程度有効なのか、未知数ではあるが。
「――!」
 ルーチェの歌声の色が変わり、広がる音が白百合ではなく、赤い糸を創造していく。
 心結の仲間を奮い立たせる歌声に、ダ・カーポの音色が響く中、誘の作った流れにルーチェの赫縁が溶け込んでいく。
 人魚姫を包む彼女等のメロディは、心とその身を確実に絡め捕っていく。

 ――さあ、ボクたちの音楽を聴いていてよ。
 水面漂う花のように優しく甘い無垢な歌声を紡ぎながら、ルーチェが人魚姫を見つめる。
 ボクが鎖で抱き締めていてあげるから。そう、王子様ではないけれど、孤独の海から掬ってあげる――。

 一方で、仲間のための歌を途切れさせる事無く紡いだ心結も、心の内で人魚姫に問う。
 貴方の行動は正しいのですか、と。
 誰かの光を奪い集め、果ては道連れを求めて彷徨っている。そんな様子を、王子様が見たらなんと言うだろうか。
 ――みゆの大切な人がこんなことをしたら。その想像だけで心が痛む。
 ならばまだ、今のうちに。貴方の好きな王子様の元へ、綺麗な姿で戻りましょう?

 歌声も、それぞれの思いも、人魚姫の元にどれだけ届いているのかは定かでない。
 けれど、彼女は首を横に振った。いや、と。

「焉夜、後はお願い」
 誘の声に応えて、焉夜が刀を手に水の竜巻の中心へ、動きの止まった人魚姫へと向かう。
 流麗と名の付いた太刀は水中でもなお鋭さを失わず、敵の身を切り裂く――はずだった。
 生じたもう一筋の水流が、焉夜の身体を弾き飛ばす。その魔術の主、人魚姫の契約した海の魔女は、憐れむような声でもう一つ詠唱を行い、人魚姫を連れ去って行った。

 歪んだ心は此処に置いて、綺麗な貴女に戻って――胸中に抱いた願いを反芻して、誘は急速に離れていく人魚を見遣る。
 この願いの叶うそんな日が、いつか彼女にも訪れるのだろうか。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

九之矢・透
ずっと待っていたんだろうか
確かに此処なら声が出せる
足有るヒトが海を歩いて会いに行けるな

けど残念だね
太陽を独り占めしたって王子様はいないよ

【WIZ】

歩けるとは言え、人魚相手じゃあ分が悪いな
『鯆』を使ってイルカを呼ぼう

背びれにつかまって移動は任せて
敵の攻撃から掻い潜りダガーで切りつける
地の利は向こうにあるだろうから深入りはしない
ヒット&アウェイを心掛けよう
尾や武器持つ手など、人魚姫の動きを阻害出来そうな所を狙うよ

なァ、アンタがこれから独りで還るのは別の海かもしれないけど
いつか本当の風になる事が出来たンならこの世界に来てみなよ
地上にいる太陽みたいな見目のヤツらの側で
あったかい風を届けられるといいな


夜暮・白
わ。人魚さん? ……本物の王子様は来れないこと、知っていたのかな。彼女が灯りを手に探しに行かなかったのは、この国にとって幸いだったかもしれないね。

戦いになったら偵察機を召喚。サニーさん達のお話が終わらないように、僕達へ注意を引き付けよう。距離に合わせてダガーと杖の銃の攻撃を使い分けながら、怪我は覚悟の上で戦うよ。

偵察機はいくつか落とされてもまだあるし、通信が妨害されるなら直接回収する手もある。それに僕自身の学習力も。とにかく攻撃を捌いて相手を見極め、他の猟兵のためにも反撃のチャンスを作ります。

人魚さんが骸の海へ還ったら、視線は陸の方へ。開拓地、大丈夫だったかな?


祓戸・多喜
あれが原因のオウガね!
王子様…いるの?いたら怖いけど近くにはいなさそう?
とにかくサニーさん達の為に邪悪に邪魔する人魚姫は蹴散らしちゃうんだから!

可能なら他の猟兵と連携。
基本は弓で援護射撃、泡に変換する体に対して矢で吹き飛ばして味方を守る。
魔術に対しては海の中だから水流操作の物が多そうだから太い矢を錨のように海底に撃ち込んでしっかり持って流されないようにして対応。
召喚された海の魔女には弓で迎撃しつつ距離をこっそり詰め、念動力の範囲まで近づいたらUC発動!
念動力で操る刀と弓の連射で一気に魔女を削ってその勢いで人魚姫に攻撃を仕掛ける!
ここはもう貴女の場所じゃないんだから!

※アドリブ絡み等お任せ🐘



●大渦
 ゆらゆらと、風よりも重く揺らめく波の中を、傷つきながらも人魚姫は泳いでいく。剥がれ落ちた青い鱗と、赤色に溶けた泡を残し、進む彼女の前を、見慣れぬ物体が横切った。
 『諍い遊ぶ群舞の偵』、白の放った偵察機に当たるものではあるが、それを彼女がきちんと認識する前に、赤く一筋ドレスに線が引かれた。
「ッ……い、イルカ?」
 今のは明らかに刃によるもの、その元を辿れば、傍らを通り過ぎていったイルカが目に付くだろう。
 つい先日まで暗闇でしかなかったこの海に、イルカが居るとするのなら、それはきっと外部から持ち込まれたか、呼び出されたもので。
「残念だね、ここに王子はいないよ」
 その背鰭にしがみついていた透が、赤く糸を引くダガーを手にそう声をかける。通り抜け様に切りつけたのは、あの刃だ。
「そんな、ことは……!」
 けれどそんな傷よりも、透の言葉に人魚姫は苦悶の表情を浮かべる。ああ、王子様、王子様。そう呼んでみたところで、応える者は誰もいなかったのだから。
 聞きたくない言葉を吐く彼女を止めて、新たな道連れを得るために、人魚姫は尾を振るって、イルカを追う。そこで。
「動いた。今だよ」
「ええ、サニーさん達の為に、邪悪に邪魔する人魚姫は蹴散らしちゃうんだから!」
 偵察機を介した情報を白が伝え、多喜の弓から放たれた矢が、人魚姫に命中する。触れたものを泡へと変える、そうした力を得た彼女ならば、刺さった矢を即座に消してしまうことは可能だ。しかし、これまで受けてきた攻撃と同様、『突き刺さった』というその事実をなかった事にはできない。さらなる赤い泡を零しながら、人魚姫は苦鳴を漏らす。
 これならばこのまま追い詰めることも可能かと、そう猟兵達が判断するが。
「あ、あれ?」
「何この……竜巻!?」
 海の魔女。契約の下、何度も人魚姫に手を貸してきた存在が、またしてもその魔力を解き放つ。
 大洋を揺るがす大渦は、偵察機は勿論、透の乗るイルカ達も翻弄する規模のもの。しかし巨大な矢を海底に突き立て、錨代わりにした多喜はその場に踏み止まって見せた。
「スゴイ規模ねー」
「うん……でも、すぐに弱まるよ」
 同じ錨に捕まる事で難を逃れていた白は、範囲外まで逃れていた偵察機の情報からそう判断する。こちらも猟兵達との戦いによる疲弊が見えているのだろう、大渦を生み出していた力は、先の一度を契機にどんどん弱まってきている。
 頃合いを見て錨から手を離した白は、水の流れに乗って渦の中心、魔女へと短剣を打ち込んだ。ただでさえ勢いの緩んでいた大渦に、さらなるほころびが生まれ――。
「溢れ出るこの想いこそ青春の力!」
 そこに『野性の証明』……多喜が念動力で操る刀が、弓矢が、殺到した。
「ここはもう貴女の場所じゃないんだから!」
 魔女を切り裂いた勢いをそのままに、多喜の攻撃は人魚姫まで及ぶ。しかし、疲弊しながらも、人魚姫はそれを見切るだけの力を残していたものらしい。余勢を駆った攻撃を捌き、後退した人魚姫は、そこで。
「ねえ、人魚さん。……本当は、本物の王子様は来れないこと、知っていたのかな」
 新たな偵察機を足場代わりに、飛び込んできた白と接近する。用いられたのは、刃ではなく銃弾。胴を何度も撃ち抜かれた人魚姫は、たまらずその場を離脱しようとして、通り過ぎるイルカの群れに囲まれた。
 白と黒が通り抜けていく中で、紛れていた透のダガーがその尾鰭を切り裂いた。
「痛――!」
 深追いはせず、即座に離脱を。そうしてイルカと共に通り抜けようとしていた透の手を、細い五指が掴んだ。
 冷たい指先、人魚姫。彼女と目が合って、透はそれを覗き込むことになる。

 此処でなら、人魚姫も声を出せる。足有る人がこちらに来れば、人魚姫は不自由な足を求める必要もない。
 けれど、と透の思考はそれを否定する。ずっとこんな場所を待っていたのかもしれない、けれど。
 人食いのオウガが、誰かと一緒にいつまでも居られるわけがない。
 オブリビオンが、共に泡になったところで、彼女は独り骸の海に還る事になるだろう。
 歪んでしまった彼女の願いは、どうやったって叶いやしない。

 多喜の矢と、白の銃弾が人魚姫を狙い、透を掴んだ手を離させることに成功する。
 ゆらゆらと、不安定に揺れながら逃れていく人魚姫を、透は見遣る。そして、もう届かないかもしれないけれど、口を開いた。
「……なあ」
 いつか、あのお話みたいに、本当の風になる事が出来たなら、もう一度この世界に来てみなよ。
 地上にいる太陽みたいな見目のヤツらの側で、あったかい風を届けられたなら、きっと――。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

御園・ゆず
わたしは貴女の王子様ではありません
…でも、束の間の夢を、見てください

王子様の演技をしよう

嗚呼、会いたかったよ
ぼくの為に、たくさん集めてくれたんだね
ありがとう
ぼくもきみに会いたかったよ
ずっと、ずうっと一緒に居よう
もうぼくらを分かつものは無い
死すら、分かつことは出来ないよ
共に溶け合おう
何処かの海で、永遠に一緒に居よう
だから『少しだけ大人しくしていておくれ?』

芝居がかった仕草で従わせ
右袖中からプッシュダガーを滑り出させ、握りしめる
両手を広げて、彼女を抱きしめ、その背中に突き立てよう

本当は、貴女が持つべきだった銀のナイフ
愛するが故に、使えなかった美しいナイフ
わたしなんかでごめんなさい
どうか、幸せに


城野・いばら
王子様?
アリス達がアナタの王子様なのかしら?
あえたのならよかったね…違うの?
え、ムリにアナタの王子様にしようとするのはいけないわ!
アリスを困らせるなら、いばら怒っちゃうの

泳ぎはあのコ達の方がじょうずよね
追えないなら、捕まえれば…バラさん、手伝って!
うみの中だって土があれば育つのよ
UC発動して、美味しい水でドーピング
丈夫な茨をたくさん、ながーく伸ばすわ
海底の凸凹を柱にして地形の利用
茨で通せんぼして、攻撃範囲内へおびき寄せたり、時間稼ぎしたり
アリス達への攻撃も武器受けでかばうわ

捕まえたなら、もうはなさない
生命力吸収で活力を奪って
どうか、そのままおやすみなさい

さぁ、サニーさん達にお日様とどけなきゃね



●茨の森
 満身創痍、今にも消えてしまいそうになりながら、人魚姫は海底を泳ぐ。速度の落ちた彼女の身体は、泡へと変わりいく箇所を覗いて、徐々に水の底へと沈んでいた。それでも体を前へと進ませるのは、先程『王子様』と呼んだ猟兵を追うためだろうか。
 もはや姿も見えない彼を追って泳ぐ中、人魚姫は目の前に広がる茨が、行く手を塞いでいるのを目の当たりにする。
「これは……?」
 先程まで、この海には海藻程度しかなかったはず。蔓を岩の間に絡ませ、白い花を咲かせる、こんなものが、いつの間に。
 そう戸惑う人魚姫の後ろから、声がかけられた。
「バラさん達、綺麗に咲いたと思わない?」
 日傘を手に、進み出でた彼女は、その場に刺した薔薇の挿し木へ、小瓶から特製のドリンクを振りかける。
 たとえ海の中であっても、土があるのならば。
 バランスの良い栄養素に、いばらの魔力。それらを与えられたこの不思議な薔薇は、急速に根を張り、蔓を伸ばし始めた。凹凸ある地形を這った茨は、それぞれの場所をより強く繋ぐように伸びて、そこは瞬く間に薔薇の生垣へと姿を変える。
 小気味良く成長し、花を咲かせる様子に少しの間見惚れれば、気付けばそこは籠の中。
「……わたしを、ここに閉じ込めるつもり?」
 問われ、いばらは頷いて返す。だって、いばらは知っているのだから、と。
「アナタの追いかけているアリスは、王子様ではないのよね?」
 彼女の魔力を込めた、頑丈な『茨の揺り籠』を形作りながら、いばらは言う。完成しつつあるそれの、まだ埋まっていない綻び――いばらの立っている場所の向こうへと、人魚姫は突き進もうとするが。
 その害意に反応したように、茨の蔓が人魚姫へと伸びて、その手をいばらの前で絡め捕った。
「……ムリにアナタの王子様にしようとするのはいけないわ、アリスを困らせないであげて」
 じゃないと、いばらも怒っちゃうの、と。そんな言葉を裏付けるように、さらに伸びた蔓は人魚姫をきつく縛り付けていく。
 このままぎゅっと抱きしめて、活力を奪って眠らせてあげる。
 いつもならば、そうするところだけど。
 一歩横に動いて、いばらは彼女に道を譲った。

「……ねえアリス、わからないわ」
 相手をムリに自分の王子様にするのは、いけないことだと思うの。先程人魚姫へと向けた言葉を、いばらはもう一度繰り返す。
 ……でも。
「アナタのしようとしていることは、その反対なのよね? でも、それって――」
 問いかけるいばらに、彼女の後ろから進み出た彼女……ゆずは、困ったように微笑んだ。

●『王子様』
 すう、と息を吸い込んだのが、はじまりの合図だったのだろう。
 ゆずの猫背気味だった背中がしゃんと伸びて、小さな歩幅がぐんと伸びる。堂々と、気高く、足音も高らかに刻む一歩。

「嗚呼、会いたかったよ」

 『ファウスト悲劇第一部』。舞台の幕が上がった。
「……王子様、会いに来てくださったのですか」
「ああ、もちろんだ。ぼくもきみを探していたんだよ」
 茨の揺り籠に半ば沈んだ人魚姫へ、『王子様』が駆け寄って、その頬へと手を触れる。
「こんなに傷付いてまで、僕のために……。ありがとう、それから、すまなかったね」
 その感触に、うっとりと甘く息を吐いて、人魚姫はその指にてのひらを重ねた。
「王子様、王子様。お願いが、あります。どうか……」
「良いんだ。わかっているよ」
 おずおずと口を開く人魚姫に、『王子様』は微笑みかける。
「ずっと、ずうっと一緒に居よう。
 もうぼくらを分かつものは無い。死すら、分かつことは出来ないよ」
 共に溶け合おう、そしていつの日か、辿り着いた場所で、永遠に――。
 両手を広げた『王子様』の胸に、人魚姫は額を埋める。もう言葉もないようで、すすり泣く声と共に、涙は海へと溶けていく。
 ――そうして、『王子様』は傷だらけの彼女を抱き締めた。右手に滑り込ませたナイフを握りながら。

 ごめんなさい、と。『王子様』ならぬゆずは、胸中でそう呟く。
 本当は、貴女が持つべきだった銀のナイフ。
 愛するが故に、使えなかった美しいナイフ。
 それを、わたしなんかが。
「ああ、……おうじ、さま……」
 最後の吐息と共に、人魚姫の身体が、徐々に泡へと変わっていく。
 空っぽになった腕の中から、浮かび上がり、どこかへ消えていく泡を、ゆずは見上げた。
「……どうか、幸せに」


●世界は光で満ちて
 茨の揺り籠でも、泡を捕まえておくことは難しい。――もっとも、捕まえておく理由もないわけだが。
 蔓の間を抜けていくそれを、いばらもまた見送った。
 あの泡は海を抜けて、風になる事はきっとないのだろう。望む望まないに関わらず、還る海があるのだから。
「この海ではない場所になると思うけど、王子様に会えるといいね……」
 ここではない、別の場所で。そんなメリルの言葉に、オズもまた頷いた。
「そうだね、いつかきっと……」
 平和で穏やかな場所を願って、目を細める。泡の消えていった水面の向こうには、淡く空の光が見えていた。
 胸中に浮かんだそれを沈めるように、いばらは頭を横に振って、
「……さぁ、サニーさん達にお日様とどけなきゃね」
「うん、そうしようっ」
「きっと帰りを待ってるよね!」
 星を背負ったララとシドに追いついて、オズやメリルは光を抱えて、地上を目指す。
「……開拓地、大丈夫だったかな?」
 途中で合流した白も、海の上、砂浜の向こうで待つ者達の居る方へ、視線を向けた。
 あの明かりの下ならば、サニーさん達もきっと立ち直っていることだろう。

「あらあらおかえりなさい、猟兵の皆さん!」
「光を取り戻してくれたのねえ、本当にありがとう!」
 ぱっと開いた黄色い花が、陸に上がった猟兵達を暖かく迎える。大方の予想通り、彼等はようやくいつもの元気を取り戻したようで。
「疲れたでしょう? 一休みしていくと良いわ」
「それともお祝いに踊る? ダンスする?」
 しにかけていたとはいえ、転がっていただけの彼等は存外に元気だ。
 この調子ならば、新たな光に包まれたこの国は、鮮やかな花が咲き乱れる、そんな場所になっていくことだろう。

「そんなぐったりしないでよオオカミ先輩。……ああ、餞別に花でもやったら? 喜ぶかも」
「んー、それはできればあのお嬢さんと一緒にやりたかったんだけど……」
 彦星の言葉に、ジョンが唸る。あの空に、一緒に花の星を上げられたなら、また結果は違ったのだろうか。
「でも、いいや! もっと立派な花が咲いてからにした方が、きっと喜んでくれるよ!」
「ふうん……」
 そういうものか、と納得するような声を出して、彦星もまた空を見上げた。

 そこは、優しく、暖かな光が降り注ぐ世界。
 植えられたばかりの小さな花を、風がそっと揺らした。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年02月13日


挿絵イラスト