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わたしはひとでなし

#アリスラビリンス #人狼 #人狼・ブランシュ


●アリスラビリンス 絶望の国
「ああああああああああああ!!」
 アリスの少女、ブランシュはおたけびを上げ、真っ白な髪をかきむしる。目の前には自分の世界に辿り着くための扉。だが、彼女は思い出してしまった。自分の『元の世界の記憶』を。
 それは、大好きな家族を傷つけてしまった記憶。爪で引っかき、牙で噛みつき、途中で正気に戻らなかったら命を奪ってしまったかもしれない。だが、家族はそんなブランシュのことを受け止めていてくれた。

 病気のせいなんだからブランシュは悪くない。
 ブランシュは優しい子なのは誰よりも分かってる。だから、気にすることはないわ。
 大丈夫、ブランシュは俺が守ってやるから。心配するな。

 自分にかけてくれる暖かい言葉。だからこそブランシュは辛かった。怖かった。こんな素敵な父や母や兄弟を、いつか自分の手で壊してしまうのではないか。自分さえいなければ、この一家はもっと幸せになれるんじゃないかと。
「わたしは……帰っちゃダメだ。あそこにいちゃいけないんだ」
「あれれー? どうしたのかな?」
 扉の前でうずくまるブランシュに声をかけたのは狸の耳と尻尾をした少女。
「そんなにお耳と尻尾を丸めて震えちゃって。元の世界に帰りたくないの? もしかして、元の世界に帰ったら、お腹に石を詰められて、井戸の底に沈められちゃうのかな?」
 少女はそう語りかけるが、ブランシュからは返事はない。
「それとも、『自分のお腹に誰大事な人を入れてしまうかもしれないから』?」
 その言葉にビクリと体を大きく震わせるブランシュ。少女は「あー、そっちかー」などと呟きながら、話を続ける。
「なら、ここにいた方が断然いいよ。キミはこの世界の方が合っていると思う。それに」
 少女はブランシュの耳元でささやく。

「ここなら傷つけるのを我慢する必要だってない。ここなら誰かのために我慢しなくていいんだよ」

「う……あ……」
 ブランシュには甘い誘惑に聞こえた。でも、心の中で何か踏みとどまらせるものがあった。
「あれ? 決心つかない? キミ、見た目の割に臆病なんだね。なら、丁度いい催し物があるよ」
「……もよおし?」
 ブランシュを立たせると、少女はそう語りかけ、手を引こうとする。その方向には、何か闘技場を思わせるような建物がある。
「アリス同士の殺し合いのゲームさ。負ければオウガに食べられる。決着が長引けば両方食べられちゃうけど。でも、キミだったら食べる側……オウガ側に立つ素質がある。人食いのひとでなしにね」
「……ひとでなし」
 たしかに自分は人でないのかもしれない。なら、元の世界に帰って人として生きるのは間違っているかもしれない。
「アリスを食べるのも、最初を経験しちゃえば、あとはもう怖くないよ」
「わたしは……」
 ブランシュはどうすればいいのか分からなかった。
「姐さん、もうすぐイベントが始まりますぜ」
 突然、狸達が現れ、そう声をかける。先程行っていた催し物を運営しているオウガ達だろうか。
「おっと、じゃあ急ごうか」
 そう言うとオウガの少女、『かちかち山のお染』はブランシュの手を引いて歩き出す。
「そのまま食べるのに抵抗があるなら、あたいに言ってね。美味しく料理しておくからさ」

●グリモアベース
「アリスがオウガにされそうなんす」
 グリモアベースで猟兵達にそう話しかけるのはリカルド・マスケラス(ちょこっとチャラいお助けヒーロー・f12160)だ。
「アリスの名前はブランシュ。服装からして、ダークセイヴァーあたりの出身っすかね」
 彼女はアリスラビリンスの冒険の末、自分の扉の前まで辿り着いたようなのだが、そこでこの世界に来たときに失っていた記憶が蘇ってしまったようなのだ。
「ブランシュは病気にかかっていて、それのせいで自分の意志に関係なく暴れて家族を傷つけたことがあるみたいっす。その過去に絶望して、元の世界に帰ることに躊躇しているみたいなんす」
 そこにオウガが現れ、ブランシュをオウガ側になるように勧誘を始めたようなのだ。
「オウガを倒すのは当然なんすけど、ブランシュを誘おうとしたアリス同士を殺し合いさせるゲームの会場も近くにあると思うんで、そこも潰して欲しいんすよね」
 そこにはブランシュ以外のアリスもたくさんいるようなので、そちらも助けて欲しいとのことだ。
「あとは、ブランシュのことっすね。オウガ達を何とかするのが最低限の目標っすけど、できればブランシュを家族のもとに帰してあげられればって思うんすよね。彼女が救われないのは、その、何か間違ってるんじゃないかと思うんで」
 まあ、最後にことについては猟兵の任務ってわけじゃないんで強制ではないんすけどね、とリカルドは付け加える。
「とにかく、やることは色々あるっすけど、みんな頼んだっすよ」
 そう言ってリカルドは猟兵達を送り出すのだった。


麦門冬
 新年あけましたねおめでとう。マスターの麦門冬(むぎとふゆ)です。新年早々ですが、アリスラビリンスで色々と大変なことになっているようです。彼女は果たして自分の世界へ帰るのでしょうか。
 第一章ではアリスをオウガ側へ勧誘するボスと戦ってもらいます。基本的にアリスはどちら側へ加担することもなく傍観しています。ボスとの戦闘がメインですが、アリスへ語りかけてみるのもいいでしょう。
 第二章では、オウガが誘っていた殺し合いのゲームを潰してもらいます。その過程でアリスに色々と話しかけてみるのもいいでしょう。場合によっては何かするかもしれません。
 第三章では、デスゲームを潰されてご立腹のオウガの残党がアリスの扉の前に陣取っているみたいなんで、蹴散らしましょう。敵自体は強くないようなので、アリスと何か交流したい場合は、戦闘はユーベルコードをどう使うか簡単に書くだけでも大丈夫です。
 一~三章を通しての結果で、アリスが扉をくぐって自分の世界へ帰るか決めますが、シナリオ自体はオウガ達の陰謀をすべて潰した時点でせかうとなるので、アリスの今後はシナリオの成否に影響しません。

 以下、補足事項です。

●ブランシュ
 ダークセイヴァー出身の女の子で、十代前半。ふわっとした白い巻毛が特徴的です。自分を抑えているせいか普段は引っ込み思案。元の世界の家族に父と母と兄がいる。何かの病気にかかっており、それが家族の負担になっていることを悩んでいる。
 アリスなのでユーベルコードは使えるようですが、猟兵ほど強くはないので注意です。

●かちかち山のお染
 ブランシュをオウガに引き入れようとする狸少女のオウガです。普段は背にした猟銃やナイフ以外にも罠や泥を操ったり口先で拐かしたりしてアリスを料理しようとしているようです。

●殺し合いゲーム
 アリス同士で殺し合いをさせ、戦闘が膠着したら観客席からオウガ達がなだれ込んで両者敗北になるという、シンプルなルールです。闘技場のような場所で多くのオウガ(対して戦闘力がない)が、観客としてグルリといるようです。

●三章のオウガ
 催し物が潰されてご立腹な観客たちの生き残りです。ユーベルコードは小細工を使ったものが多いですが、戦闘力自体はそこまでありません。

 それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
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第1章 ボス戦 『かちかち山のお染』

POW   :    つーかまえたー。もう逃さない…一緒に泥に沈も?
肉体の一部もしくは全部を【大量の泥 】に変異させ、大量の泥 の持つ特性と、狭い隙間に入り込む能力を得る。
SPD   :    食材が逃げたじゃん!あたしの邪魔をしないで!
【予め仕掛けておいた多種多様な罠 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【は罠の爆発でメチャクチャな泥地と化し】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
WIZ   :    何料理がいい?丸焼き?鍋物?揚げ物もイイかな!
【アイツをおいしく調理してしまいたい 】という願いを【周囲に詰めかけたおびただしい数のオウガ達】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
👑11
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李・雷
今回のアリスは人食いになるかどうかの瀬戸際なんだな?
面白い……
人間に戻れるか、バケモノに成り果てるか、最高に盛り上がる瞬間じゃねえか!
俺にも一枚噛ませろよ
なぁに、依頼はキッチリこなして見せるぜ


手を繋いで歩く二人の前に、何処からともなく集まる蝙蝠の中から現れ道を塞ぐ

よぉ、ご両人
どっちがブランシュで、どっちがバケモノだ?

一応猟兵やってる俺に反応するのが敵か
確認が済んだら蝙蝠を敵と視認できる範囲の罠へ突っ込ませる

後から俺も戦うが、先ずは時間稼ぎだ
ブランシュに問いたいことがある

おいブランシュ
家族相手に暴れたらしいが、どうだった?
暴力的な衝動に身を任せるのは楽しかったか?

返事は……ま、聞かなくてもいいか


ヴォルフガング・エアレーザー
※アドリブ・共闘歓迎

このブランシュという少女……もしかして俺と同じ人狼病か?
愛する者を傷つけまいと願う優しさにつけこみ、騙し、捻じ曲げる。
オウガ共の欺瞞には本当に反吐が出る。
貴様らの企みを砕き、彼女を救ってみせる。絶対に!

泥の特性……警戒すべきは不定形化による攻撃無効化と、泥に足を取られ動きを封じられるところか
【守護騎士の誓い】を胸に【無敵城塞】を発動、泥化した敵に飲み込まれないよう力溜めと覚悟で踏ん張り耐える
敵が俺の動きを封じたと誤認した隙を突いて、炎の属性攻撃で火力を増した【獄狼の軍団】を召還。泥化した敵の身体を焼き固めて乾燥させ、脆くなったところに鎧砕きの怪力を込めた一撃を叩き込む



●吸血鬼と人狼
「よぉ、ご両人」
 建物へ向かって、手を繋いで歩いているお染とブランシュに前に、何処からともなく集まる蝙蝠の中から現れ道を塞ぐ。
「どっちがブランシュで、どっちがバケモノだ?」
 そして、その中から蝙蝠に噛みつかれながら出てきたのは李・雷(血の衝動に抗え・f24333)だ。
「吸血鬼、しかも猟兵か」
 チ、と軽く舌打ちするお染。
(今回のアリスは人食いになるかどうかの瀬戸際なんだな? 面白い……)
「人間に戻れるか、バケモノに成り果てるか、最高に盛り上がる瞬間じゃねえか!
 俺にも一枚噛ませ……ああくそっ鬱陶しい!纏わり付くな散れ!散れ!」
 二人に向かって語りかける雷だが、【眷属】の蝙蝠達が鬱陶しくまとわりついているので、話が中断される。
「じゃれ合いたいなら、他に当たってよ。あたし達は行くところがあるんだから」

「ならば、ここから先は俺から言わせてもらおう」

 雷を無視していこうとしたお染の前にあられたの人狼の騎士、(蒼き狼騎士・f05120)だ。
(やはりブランシュという少女……俺と同じ人狼病か)
 そう確認するヴォルフガングの視線の先にいるブランシュは、彼女のその名が示す通りの白い狼の耳と尻尾を生やしていた。狼の耳と尻尾は人狼病に罹っている者の特徴である。
「愛する者を傷つけまいと願う優しさにつけこみ、騙し、捻じ曲げる。オウガ共の欺瞞には本当に反吐が出る」
 そして氷のように鋭い眼光をお染に向ける。
「貴様らの企みを砕き、彼女を救ってみせる。絶対に!」
「まあ、つまりはそう言うこった。依頼はキッチリこなして見せるぜ」
 ヴォルフガングの言葉に雷が続く。
「ちょっと待ってよ! 普通、人狼と吸血鬼って敵対し合うものじゃないの!?」
 こちらに相対する猟兵二人にお染はそう抗議するが、
「そんな話、知らんな」
「そもそも俺は吸血鬼じゃなくてダンピールだしな。それとも、時間稼ぎのつもりか? ってな!」
 にべもないヴォルフガングと、そもそもの前提を否定する雷。そして、その言葉と共に雷は自身の眷属である蝙蝠達をけしかける。
「チェッ、バレたか」
 そう言うとお染はユーベルコード【食材が逃げたじゃん!あたしの邪魔をしないで!】で仕掛けておいた罠を起動させ、爆発を起こす。
「きゃあっ!」
 爆発の衝撃で吹き飛ぶブランシュ。ブランシュのいる辺りは加減されたのか、地面が泥地になってクッションになったからかわからないが、とりあえずケガはないようだ。
「キミはここで見ているといいよ。この世界はオウガこそがルール。キミだって上に立つ側になれるんだ」
 そう言うとナイフを抜いて蝙蝠達を追い払う。
「もらった!」
 そこへ蝙蝠の群れを突き破ってヴォルフガングが鉄塊剣を手に斬りかかってくる。
「残念! 【つーかまえたー。もう逃さない…一緒に泥に沈も?】」
「ッ!」
 突如、ヴォルフガングの足元が沈み込む。ユーベルコードにより、体の一部を大量の泥に変えたお染がヴォルフガングを泥地へ引きずり込もうとしているのだ。
「油断しているからそうなるんだよ。さあこのまま……あれ?」
 そのまま引きずり込もうとするが、ヴォルフガングはびくともしない。
「油断したのはそちらのようだな」
 騎士の誓いと覚悟を持って踏ん張るヴォルフガングはお染の引きずり込みに耐える。
「こうまとわりついていれば、用意には避けられまい。忌まわしき魍魎共よ、己があるべき場所へと還れ! 何者も地獄の番犬の顎門から逃れる術は無いと知れ!」
 詠唱とともにヴォルフガングは【獄狼の軍団】により、地獄の炎を纏った狼犬の群れを呼び出す。
「泥も熱で乾けば、ただの土塊だ」
「ッ! 熱ッ!」
 熱に悶えるお染に鉄塊剣の一撃を喰らわせる。化かし合いはヴォルフガングが制したようだ。

「さて、と」
 ヴォルフガングと自身の眷属にお染の相手をしてもらっている間に雷はブランシュへと近づく。
「おいブランシュ」
 突然声をかけられ、ブランシュはビクリと尻尾を震わせる。
「家族相手に暴れたらしいが、どうだった? 暴力的な衝動に身を任せるのは楽しかったか?」
 その質問にぞわりと毛を逆立てる。
「返事は……ま、聞かなくてもいいか」
「嫌だ……嫌だよ」
 思い出した光景を振り払うように頭を振るブランシュ。
「だったらよ……」
 そんな彼女に雷は言葉を投げかける。

「そこから逃げちまったままで本当にいいのか?」

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヘザー・デストリュクシオン
家族が大切だから、壊したくないから帰れないの?
ぜいたくな悩みね。
わたしの家族はもういないの。わたしが殺したから。
だから、死なないともう会えないの。

リボンを解いて素早さを上げてダッシュで一気に敵に近づきながら攻撃して、ブランシュちゃんから引きはなすの。
ジャンプやスライディングで罠を避け、攻撃してははなれてをくり返すの。
あなたじゃまなの。わたしはブランシュちゃんと話したいの。だから壊れて。

わたしはね、お父さんとお母さんのことはどうでもいいの。
でも妹のことは後悔してる。
毎日思い出して、寂しくて仕方ないの。
あなたは寂しくないの?
このままおわかれして、後悔しないの?
まだ会えるのに、ほんとにそれでいいの?


メアリー・ベスレム
あなた、メアリとおんなじね
メアリとおんなじ獣のアリス
メアリとおんなじひとでなし
けど、アリスとはちょっと違うみたい

お料理のご相談?
だったらメアリはキドニーパイが良いわ
たっぷり胡椒を効かせてね
そうすれば狸の臭いお肉でもおいしく食べられるでしょう?

オウガが集まってきてもブランシュが襲われないよう
アリスのおいしそうなお尻で【誘惑】して惹きつけて
【ジャンプ】で跳ねて
【踏みつけ】で踏んで
オウガ達の上を捕まらないよう【逃げ足】ね
それでも捕まりそうになったら【咄嗟の一撃】で切り抜けて

悪い狸には【復讐の一撃】よ
あなた達の仲間になんてさせないし
あなた達のご飯にだってならないわ
だって、殺すのはメアリの方だもの



●猫と兎と狼と狸
「うう……」
 先程の猟兵の問いかけにブランシュがどう答えていいか分からない所にさらなる声が加わる。
「家族が大切だから、壊したくないから帰れないの? ぜいたくな悩みね」
 そう言いながら戦場に現れたのは猫と兎のキマイラ、ヘザー・デストリュクシオン(白猫兎の破壊者・f16748)だ。
「わたしの家族はもういないの。わたしが殺したから。だから、死なないともう会えないの」
 そう言いながら衣装のリボンを解く。これからの戦闘の前準備だ。
「つまり、お前は家族殺しのロクデナシってことだろ? この子はそんなロクデナシにするつもりはないよ」
「あなたじゃまなの。わたしはブランシュちゃんと話したいの。だから壊れて」
 横槍を入れてくるお染にヘザーは自身の爪による【シーブズ・ギャンビット】の一撃を加える。
「チィッ!」
 手に持ったナイフで攻撃を弾くお染。ヘザーは深追いはせず、そのまま飛び退ると、遅めの猟銃の攻撃やユーベルコードによる爆破を跳躍して回避する。そしてブランシュのそばに着地すると、さらに敵から距離を開こうと彼女を連れて、離れる。
「手癖の悪い泥棒猫だね! お前達もアイツを捕まえな! 捕まえたら【何料理がいい?丸焼き?鍋物?揚げ物もイイかな!】」
「あいあいさー!」
 そういうと、お染は周りに控えていた部下のオウガ達をけしかける。捕まってしまえば、彼女に料理させれてしまうだろう。

「お料理のご相談? だったらメアリはキドニーパイが良いわ。たっぷり胡椒を効かせてね。そうすれば狸の臭いお肉でもおいしく食べられるでしょう?」

「ぎゃああっ!」
 だが、ヘザーを襲おうとしたオウガ達は先頭の者がどこからともなく跳んできた少女に踏みつけられ、動きが止まった所を後続の者達がぶつかり、襲撃が妨害される。
「あなた、メアリとおんなじね。メアリとおんなじ獣のアリス。メアリとおんなじひとでなし。けど、アリスとはちょっと違うみたい」
 ブランシュにそう話しかけるのはウサミミフードの少女、メアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)。彼女も人狼だ。
「次から次へと。そんなにお望みなら、お前達をパイにしてやるよ!」
 メアリーに邪魔されてご立腹のお染は再びオウガ達をけしかける。だが、
「悪い狸には【復讐の一撃】よ」
 いつの間にか握られていた肉切り包丁に狸型のオウガ達は切り裂かれていく。
「あなた達の仲間になんてさせないし、あなた達のご飯にだってならないわ。だって、殺すのはメアリの方だもの」
 自身へ向けられた欲望への反撃としてどんどん斬りつけてゆくメアリー。オウガ達の食欲に訴えかけるお染のユーベルコードとは相性が大分良いようだ。
「向こうはもう任せて大丈夫か」
 その様子を見届けると、ヘザーはブランシュに向き直る。
「わたしはね、お父さんとお母さんのことはどうでもいいの」
「ど、どうでも!? そんな……」
 ブランシュの驚いた表情に話の切り出し方をまずったかなと、思うヘザーだったが、それだけ親が大事に育ててくれたのだろうというブランシュの人生も垣間見える。
「でも妹のことは後悔してる」
 いちいち話を止めていたらキリがないので、ヘザーはそのまま続ける。
「毎日思い出して、寂しくて仕方ないの」
「……ッ」
 ヘザーの言葉にブランシュが揺らぐ。アリスラビリンスを旅していた時は、独りでも寂しくはなかった。それは記憶がなかったから。だが、今ははっきりと思い出せる。父の、母の、兄の顔が。思い出すだけで胸がきゅう、となる。
「あなたは寂しくないの? このままおわかれして、後悔しないの? まだ会えるのに、ほんとにそれでいいの?」
「いいわけが……ないよ」
 ブランシュは言葉を絞り出す。
「でも、わたしがあそこにいたら、みんながつらい思いをする。それなら、つらいのは私だけのほうがいいから……きっと……」
 それが家族のためだから。ブランシュはそう自分に言い聞かせるようにつぶやくのだった。
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロ描写NG
POW

ダークセイヴァー、暴れて傷つける病気……なるほどね。
後で助言はしてあげるけど
まずは私の目的……オウガの救済が先よ

ハァイ、可愛い狸さん♪
他の猟兵に食べられないうちに
私の楽園に導いてアゲル❤

守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
【残像】で惑わせつつ【怪力】で抱きしめる。
全身に【オーラ防御】を纏っているから
そんなナイフじゃ傷一つ付かないわ

泥になって窒息死させようとしてきたら
私も『芳しき熱愛』で汚泥となり
彼女と混ざり合いながら【生命力吸収】

私の猛毒と【呪詛】が流れ込み
彼女は身も心も侵食されていくの。
私と一つになる快感が膨らみ
悪臭さえも気にならなくなるわ

共に快楽に沈みましょ❤



●見えない武器
「あいつら、何を遊んでいるんだ」
 部下達が猟兵に翻弄されている様子に呆れるお染。
「ハァイ、可愛い狸さん♪ 他の猟兵に食べられないうちに私の楽園に導いてアゲル♪」
 そんな彼女に声をかけてきたのはドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)だ。
(ダークセイヴァー、暴れて傷つける病気……なるほどね)
 ドゥルールも出身はダークセイヴァー。ブランシュの病気については気づいているようだ。
(後で助言はしてあげるけど、まずは私の目的……オウガの救済が先よ)
「楽園? ここ以外の楽園なんてあるものかい。キミこそ楽園へと連れて行ってあげるよ」
 そう言うと、お染は手に持ったナイフを閃かす。
「あたしと同じオウガになったらね!」
 素早く繰り出す斬撃に、ドゥルールはオブリビオンの霊を下ろすことで、その動きに対応する。
「なかなかのおてんばさんね♪」
 そして残像を残すような動きでお染に近づくと、力いっぱい抱きしめる。
「ふふ、全身にオーラの防御を纏っているから、そんなナイフじゃ傷一つ付かないわ」
「そうかい。なら、これはどうだい?」
 そう言うお染の声とともにズドン、という銃声が聞こえる。脇腹に火の吹いたような痛み。音のした方には、泥から生えたお染の右腕と、握られた猟銃。いつの間にかユーベルコードで腕を泥化して切り離していたようだ。
「っぐ……」
「目に見えるものだけが全部じゃないんだよ。さ、【つーかまえたー。もう逃さない…一緒に泥に沈も?】」
 そのままユーベルコードで全身を泥化してドゥルールを泥に沈めようとするお染。だが、それはドゥルールの望んでいた展開だ。
「なら、一緒に混ざり合いましょ♪」
 その言葉と一緒にドゥルールも【芳しき熱愛】により、肉体を泥へと変える。しかも猛毒の泥だ。猛毒と呪詛を泥化したお染に流し込み、彼女の身と心を侵食してゆく。
「私と一つになる快感が膨らめば、悪臭さえも気にならなくなるわ。さあ、共に快楽に沈みましょ♪」
「ああ、そうだね。だからキミもこっちにおいでよ」
 返ってきたのはドゥルールを受け入れる優しい声。それが侵食しているお染の心から伝わってくる。
「キミは多くのオウガ、いや、オブリビオンを救ってきたんだね。なら、キミはこちらに来るのが相応しいよ。キミもこちら側に来れば、もっと多くの仲間を救うことができるよ」
 ドゥルールの耳朶を打つ言葉。敵としてはねのけているならば、ただの戯言にも聞こえるが、相手の身も心も自分の中に取り入れようとしていたドゥルールには、彼女の拐かしの言葉、精神攻撃が心地よく感じてしまう。
(そう、ここが私の楽園だったのね……ッ!)
 ドゥルールがその言葉を受け入れようとしてしまったその時、強制的に身体の泥化が解除され、お染から身体が弾き飛ばされる。
「……惜しい、邪魔が入ったか!」
 侵食された毒に体を震わせ、憎々しげにドゥルールを、彼女のそばにいる存在を見据えるお染。
「そう、貴方が私を守ってくれたのね」
 それはドゥルールが戦う際に守護霊として身に降ろしていたオブリビオンだった。
「余計な真似をしてくれたもんだ」
 もう少しで人狼の少女以外にも優秀なオウガが仲間になると思ったのに、お染は文句の声を上げる。
「折角のお誘いだけど、ごめんなさいね」
 それに対し、ドゥルールはお染に告げる。
「私は私のやり方で貴方達を救いたいの」

成功 🔵​🔵​🔴​

ヴィヴィアン・ランナーウェイ
【狼送り】で連携
相変らずオウガのすることは悪趣味極まりないですわね。

ムカつくので貴女を倒すのは最後にしてあげますわ(敵の背後から光り輝き現れる)
そして、そこの貴女。ええ、貴女です。目を逸らさない、この輝きを見て私という存在を目に焼き付けなさい。

正直なところ、だいたいのことはエルディーさん達がおっしゃいましたので私からは一言。
立ちなさい。周りを見なさい。これでは二言ですわね。

さて、言いたいことも言いましたし、他の方々と連携してオウガを打倒します。
最後に倒すと言いましたね、あれは嘘です。
洗いざらい情報を吐いてから消えなさい。
今の私の槍は少しばかり痛いですわよ?
仲間の攻撃の隙を文字通り突きましょう。


エルディー・ポラリス
【狼送り】で連携

子供を誑かすのは……
──お前かァァ!!!(メアリの上で激おこ)
泥なんて、メアリちゃんのぶっとい脚で沈む前に駆け抜けます!
むしろ罠を起動させてしまう勢いで全力疾走! 地面を操る仲間もいますもん!

貴女もなんです! 可愛いナリでひとでなし気取りとか、十年早い!!
私も、子供の頃に兄妹に噛まれたりしましたが!
ウチの弟妹はベッドで抱っこするとぬくいのです!
兄さんはまあ、迷子になった時とか迎えに来てくれます、ハイ。あとこの人狼装束作ってくれた。

いっそソレも無くていいです! 家族ですもの、一緒に居てくれればそれで幸せなのです!
それを邪魔する奴はァ……チャージ完了、メアリちゃんビームを喰らえ!


胡・佳莉
【狼送り】(計四名)で連携

甘い誘惑で道を外れさせる、しかも家族を引き裂き戻れないようにするなんて…
その狸が示すものはどう考えたって駄目でしょう!
離れなきゃいけないって思い詰めるほどブランシュさんにとって大事な物なんですよね、ご家族は!なら、安易な道に逃げないでください。

「見切り」「第六感」などで罠を回避し【時翔】で一気に間合いを詰めて妖刀一閃。

「取り返しのつかない事ってあるんです。今はまだ何とかするために、あがくことが出来ます。だからブランシュさん、どうか諦めないで。私たちはその為に来たんです」


アリス・レヴェリー
【狼送り】(計四名)で連携

嫌な人ね、あなた
わたしでは彼女に酷いことを言われたブランシュさんに届く言葉を送れなそうだから、それは皆に任せましょう。その分お話の邪魔はさせないわ

【友なる金獅子、勇猛の調べ】を発動して、大地と炎の力を自在に御する黄金の獅子、ダイナを召喚。騎乗するわ
この子なら地面に存在する罠なら大地の力で探れるし、火による爆発なら抑え込める。もし爆発で泥地になってしまった場所も元に戻せるからね
そして狸さんの罠を片っ端から潰しながら彼女のもとに詰め寄って、猛火による攻撃を仕掛けるわ。

ね、狸さん。あなたのフードも尻尾ももこもこしてて、その火はなかなか消えなそうね?



●本当の気持ち
「どいつもこいつもあたしの邪魔をして……」
 猟兵達の度重なる攻撃で満身創痍の『かちかち山のお染』。部下も大分倒され、オウガへと勧誘していた少女も猟兵のそばにいる。敗色も濃厚だ。撤退することも頭をよぎる。
「子供を誑かすのは……」
 だが、もう遅い。
「──お前かァァ!!!」
 そう叫ぶのは巨大なダチョウっぽい鳥『メアリ』にまたがるエルディー・ポラリス(Au delà de les larmes・f11010)だ。
「甘い誘惑で道を外れさせる、しかも家族を引き裂き戻れないようにするなんて……」
「嫌な人ね、あなた」
 エルディーに続いて現れるのは妖刀を手にした剣士、胡・佳莉(星花の剣・f21829)とミレナリィドールの少女、アリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)。
「これはまたぞろぞろと……」
「相変らずオウガのすることは悪趣味極まりないですわね。ムカつくので貴女を倒すのは最後にしてあげますわ」
 そして、辟易した表情のお染の背後から光り輝きながら現れたのはヴィヴィアン・ランナーウェイ(悪役令嬢?・f19488)だ。
「うおっ眩し!!」
「そして、そこの貴女。ええ、貴女です。目を逸らさない、この輝きを見て私という存在を目に焼き付けなさい」
 この光はヴィヴィアンのユーベルコード【悪役令嬢は光り輝く】の効果なのだが、光を直接ぶつけられたお染にはたまったものではない。
「お前達、アイツラをやっちゃえ! 【何料理がいい?丸焼き?鍋物?揚げ物もイイかな!】」
 数の減った部下のオウガ達に命令を出すお染。少女を取り戻すにも、ここから逃げるにも、まずは目の前の猟兵達を処理する必要がある。
「あいあいさー!」
 部下の狸型オウガは猟兵達を倒さんと襲いかかってくる。さらにお染自身もユーベルコード【食材が逃げたじゃん!あたしの邪魔をしないで!】で罠を設置してゆく。
「わたしでは彼女に酷いことを言われたブランシュさんに届く言葉を送れなさそうだから、それは皆に任せましょう。その分お話の邪魔はさせないわ。猛る金獅子、気高き王よ、勇みて謳う、わたしの友よ!」
 オウガ達の前に立ちはだかるのはアリスだ。【友なる金獅子、勇猛の調べ】により黄金の獅子『ダイナ』を召喚し、その背にまたがる。
「この子なら地面に存在する罠なら大地の力で探れるし、火による爆発なら抑え込める。もし爆発で泥地になってしまった場所も元に戻せるからね」
 アリスの言葉に呼応するかのように大地と炎の力を自在に御する黄金の獅子がひと吠えする。それを合図にオウガ達へと飛び込み、罠を踏み潰しながら蹴散らしてゆく。
「では、わたくしも華麗な槍捌きをご覧に入れますわ。今の私の槍は少しばかり痛いですわよ?」
 アリスランス『烈火』を構え、ヴィヴィアンも続く。ダイナの攻撃の隙を文字通り突くように攻撃を加え、オウガ達の反撃を許さない。

「なかなかしぶとい狸さんみたいですね……」
 一方で、ブランシュへと声をかけるべく彼女のそばへと寄っていたエルディーは戦いの様子を見そうつぶやく。そして、ブランシュの方を向き直ると、
「それにしても、貴女もなんです! 可愛いナリでひとでなし気取りとか、十年早い!!」
「……え?」
 ブランシュへとお説教を始める。突然のことにぽかんとするブランシュ。
「そうです。その狸が示すものはどう考えたって駄目でしょう!」
 佳莉もエルディーに続いて彼女に注意する。
「離れなきゃいけないって思い詰めるほどブランシュさんにとって大事な物なんですよね、ご家族は! なら、安易な道に逃げないでください」
「で、でも……私がいたら……」
 佳莉の言葉にブランシュが口ごもる。大事だからこそ傷つけたくない。その気持はブランシュの中からどうしても拭えない。そんな彼女の手を佳莉は優しく握る。
「取り返しのつかない事ってあるんです。今はまだ何とかするために、あがくことが出来ます。だからブランシュさん、どうか諦めないで。私たちはその為に来たんです」
 そこへエルディーが畳み掛ける。
「私も、子供の頃に兄妹に噛まれたりしましたが! ウチの弟妹はベッドで抱っこするとぬくいのです!」
「え?」
「兄さんはまあ、迷子になった時とか迎えに来てくれます、ハイ。あとこの人狼装束作ってくれたのです」
「もしかして……」
 エルディーの言葉にブランシュはおそるおそる尋ねる。
「はい、私の兄弟は私以外みんな人狼です!」
 血の繋がらない……が付くが、その部分はどうでもいい。
「で、私は色々兄弟のいい所を言ってみたわけですが……」
 一呼吸置く。
「いっそソレも無くていいです!」
「ええっ!?」
「家族ですもの、一緒に居てくれればそれで幸せなのです!」
「!!」
 エルディーから語られる。人狼を家族に持つ側からの意見。その言葉にブランシュは衝撃を受ける。
「正直なところ、だいたいのことはエルディーさん達がおっしゃいましたので私からは一言」
 その様子を戦いながら見ていたヴィヴィアンはブランシュへ言葉を重ねる。
「立ちなさい。そして周りを見なさい。……これでは二言ですわね」
「……」
 微妙に締まらない感じにはなったが、それでもブランシュの心には響いた。もしかしたら、つらい思いをさせて申し訳ないと自分ばっかり思っていて、相手がどう思っているのかをちゃんと自分は見ていなかったのかもしれない。
「……帰りたい」
 ポツリと呟く。
「帰りたい! 帰って、ちゃんとみんなとお話しないと!」
 堰を切ったように涙が溢れてくる。
「帰りたいよぉ……父さんと、母さんと、兄さんのところへ帰りたい……」
「ちょっと、何してくれてんのさ! 彼女はこの世界にずっと残ってもらうはずだったのに!」
 そんなブランシュの様子を見て、慌てたようにお染が声を荒げる。
「この子は、今、ようやく自分の気持ちになって、帰りたいって言ったんです」
 そして、その水を差すような行動に怒りを覚えたのはエルディーだ。
「それを邪魔する奴はァ……チャージ完了、メアリちゃんビームを喰らえ!」
 メアリの口から【Sainte Amitié】が放たれる。その聖なる光線は途中にいた部下達も灼きながらお染に直撃する。
「ぎゃああああ!!」
「ね、狸さん。あなたのフードも尻尾ももこもこしてて、火とかはなかなか消えなそうね?」
 そこへ追い打ちをかけるようにアリスがダイナをけしかけ、猛火による攻撃をを浴びせる。
「熱ッ! 炎はマジで洒落になんない!」
 炎を浴びてのたうち回るお染。
「これ以上、見苦しいものを彼女に見せるわけにもいきませんね」
 そして佳莉はサイバー愛を赤く光らせ妖刀を構えると、ユーベルコード【時翔】で超加速し、お染へと妖刀を一閃する。
「あっ」
 遅め自身が気づいた時には上半身と下半身が泣き別れになっていた。
「さて、最後に倒すと言いましたね、あれは嘘です。洗いざらい情報を吐いてから消えなさい」
 もはや風前の灯火となったお染にヴィヴィアンは令嬢然として語りかける。
「……そうか」
 そう問われ、お染はニヤリと笑った。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​




第2章 冒険 『不審と不信のパーティー会場』

POW   :    会場や処刑機械をぶち壊し、心が折れかかったアリスを勇気づける

SPD   :    会場の窓から颯爽と現れ、犠牲になりかけているアリスを救出する

WIZ   :    己の智謀を活かし、デスゲームの正解に導いてアリスを生還させる

👑11
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●最期の悪足掻き
 猟兵達の攻撃により、炎に包まれ上半身だけの状態になったお染。仲間の情報を訊かれた時、不意にニヤリと笑う。
「ああ、訊いちゃうか。ならば言わないとなあ」
 死の間際だと言うのに流暢に口が動くオウガだ。
「あたしの仲間は捕らえたアリス達を連れて、あの建物にいるよ」
 そう言って一瞥するのは闘技場のような建物。
「あそこでアリス達の殺し合いをやってもらうのさ! 敗者はオウガに喰われるデスゲーム! あたしはそこの料理人だったけど、あたしが時間通りに来なくても始めるだろうねえ、堪え性のない奴らだから」
 そう言ってお染はそして顔を青くしているブランシュを見てクックッと笑う。
「知らなければ、このままお家に帰ってハッピーエンドだったのにねぇ。家族のためにこの世界に残ろうとしたキミのことだ。自分のような境遇の子達が命の危機にあっていると言うのに、そのまま帰れないんじゃないかな? 見殺しにしたって一生後悔するんじゃないかな?」
 服の裾をギュッと握るブランシュを楽しそうに見ながらお染は話を続ける。
「まあ、助けに行っても今回は観客も多い。何も出来ずに見殺しにするだけかもしれないけどね! ああ、残念だ。キミの絶望する顔も見たかったけど、そんな絶望するアリスを食らう歓びに溢れるキミをもっと見てみたかった」
 そう言うと、お染の身体は崩れ、骸の海へと還っていった。
 
「……みなさん、助けていただいてありがとうございました」
 人狼の少女、ブランシュはペコリと猟兵達にお辞儀をして礼を述べる。そして、言おうか言うまいか悩んだ末、意を決して言葉を出す。
「その、さっきあの子が言っていた、囚われてるアリス達がいるって……。だから……その……助けることって、出来ないでしょうか!」
 猟兵達の顔を見て、彼女は話を続ける。
「きっと、このままだと、家に帰ることが出来ても、家族に顔向けできないと、思うんです」
 きっとそれはお染の言葉に踊らされる結果となるだろう。それでも、彼女は見過ごすことはできなかった。
「それで、私なんかが皆さんのお手伝いできるかわからないですけど、せめて、見届けたいんです」
 おずおずと、それでもって強い意志を込めて、彼女はそうお願いするのだった。
 
 
●アリスラビリンス とある闘技場
「お染ちゃん遅ぇなあ。特別ゲストを連れてくるって言っていたんだが」
「だが、そろそろ時間だ。もう待ちきれねえ」
「あの子のアリス料理、楽しみにしてたんだが、仕方ねえな」
 観客席にひしめくオウガ達。闘技場の中央には戦場となる舞台。そして、そのすぐ外側にこれから戦わされるであろう十数人のアリス達が集められていた。目の前の、同じ苦境を乗り越えるべき仲間と殺し合いをしなければならず、それができなければ、どの道オウガに貪られる。これから待ち受ける運命にアリス達は誰しも絶望していた。

(※猟兵達はアリス達が殺し合いを始める前に乱入可能です。オウガ達は数は多くいますが、通常の集団敵などよりも弱いと思ってください。1対1でアリスといい勝負をしますが、圧倒的人数差で押し切れる感じです。
 ブランシュは人狼である分、通常のアリスより強いようですが、猟兵には及びません。また、以下のユーベルコードを使用できるものとします
『人狼咆哮:【激しい咆哮】を放ち、自身のすぐ近くにいる全員を高威力で無差別攻撃する。』
『狼月(オオカミツキ):予め【満月の時のような暴走状態になる】事で、その時間に応じて戦闘力を増強する。ただし動きが見破られやすくなる為当てにくい。』
 それでは皆様のプレイングをお待ちしております)
ヴォルフガング・エアレーザー
※アドリブ・共闘歓迎

ブランシュ、俺も君と同じ「人狼病」だ。
幼い頃から戦場を彷徨い、ただ生きるために憎くもない相手、昨日までの友とも殺し合いをせねばならない傭兵稼業。
孤独と闘争、それが当たり前の日々を送っていた。

そんな俺を救ってくれた女性(ひと)がいたんだ。
君と同じ白い髪と、世の救済を願う優しい心を持った人が。

その日から俺は誓った。彼女の騎士として共に生きると。
君も、アリスたちも、理不尽な悪意に泣く者を決して見捨てはしない!

闘技場突入後【獄狼の軍団】を召喚し見張り役のオウガにけしかける
アリス達をかばうように陣取った後、ブランシュや他の仲間の所に誘導し避難を呼びかけ、可能な限り敵オウガのみを殲滅


メアリー・ベスレム
ふぅん
やっぱりあなた、アリスとは違うのね
アリスには帰りたい場所なんてないし
逢いたい家族だっていないもの

いいわ
あなたがそうしたいなら助けてあげる

と言っても、メアリはオウガを殺すだけだけれど
アリス達の救出は他の猟兵にお任せるわ
さっきと同じようにお尻で【誘惑】してオウガ達の注意をこっちに惹きつけて
【九死殺戮刃】の手数で【部位破壊】して手っ取り早く首を刎ねていく
アリス達を攻撃すれば寿命を減らさずに済むかも知れないけど、しない

メアリは確かにひとでなしだけど、そういうのは好きじゃないの
それより、あなた達みたいな反撃されると思ってもいないヤツを殺す方がずっと楽しいもの



●おなじだけどちがうもの
「ブランシュ、俺も君と同じ「人狼病」だ」
 闘技場へと向かう最中、ブランシュにそう声をかけたのはヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)だ。
「幼い頃から戦場を彷徨い、ただ生きるために憎くもない相手、昨日までの友とも殺し合いをせねばならない傭兵稼業。孤独と闘争、それが当たり前の日々を送っていた」
 物心付いた頃から戦場にいたヴォルフガング。故に彼には家族との思い出がない。
「……寂しかったりしたんですか?」
「かもな。そんな俺を救ってくれた女性(ひと)がいたんだ。君と同じ白い髪と、世の救済を願う優しい心を持った人が」
 そう話す彼の口元がフッと緩んだようにも見えた。その言葉にどこかホッとしたような顔をするブランシュ。
「ふぅん。やっぱりあなた、アリスとは違うのね」
 そのやり取りを見て、そう口にしたのはメアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)。
「アリスには帰りたい場所なんてないし。逢いたい家族だっていないもの」
 人狼でありアリスであるメアリーはブランシュと共通点は多いように見えるが、彼女はダークセイヴァーでは修道院とは名ばかりの牢獄に隔離されていた過去を持つ。その為、ブランシュのような家族はいない。
「あ……」
 その言葉にブランシュはすまなそうな表情になる。自分の環境がどれだけ恵まれていたのかを改めて思い知らされたのだろう。ダークセイヴァー世界において人狼は迫害されることも多く、親の顔を知らない者も決して少なくない。普通の人間と同じように家族に愛情を注がれて育つ方が稀なのだ。貴重なのだ。だからこそ、
「いいわ。あなたがそうしたいなら助けてあげる」
「その日から俺は誓った。彼女の騎士として共に生きると。君も、アリスたちも、理不尽な悪意に泣く者を決して見捨てはしない!」
 だからこそ守ってあげねばならない。自分達のように寄る辺もない生き方をさせるような必要などないのだと。
「ありがとうございます」
 そう、ブランシュが礼を言う頃には、目的の建物は目と鼻の先だった。

「忌まわしき魍魎共よ、己があるべき場所へと還れ! 何者も地獄の番犬の顎門から逃れる術は無いと知れ!」
 闘技場のオウガ達が異変に気づいたのはヴォルフガングの【獄狼の軍団】により、囚われたアリス達が逃げないよう見張っていたオウガ達が焼かれ、爆炎が上がった時である。
「な、なんだ!?」
「あそこを見ろ! 猟兵だ!」
「俺らの玩具を横取りってのか!」
 騒然とするオウガ達。だが、
「猟兵に食べられれるくらいなら、ゲームなんて関係ないわ。食べてしまいましょ」
「お、おう、そうだな! こうなったら横取りされる前に食っちまえ!」
「この数だ! 猟兵だろうと関係ねえ!」
 わあ!っと観客席から飛び出し、アリスへと殺到するオウガ達。
「ここは俺たちに任せて、君たちは避難を! ブランシュ、任せたぞ!」
「あ、はい!」
 バスタードソードを右手に構え、左手でルーンの障壁を展開するヴォルフガング。障壁でオウガを押し留め、獄狼達に仕留めさせる。
「ちっ、回り込め!」
 障壁のない部分へと回り込もうとするオウガたちだが、そこに立ちはだかるのはメアリー。
「あなたたちにアリスを食べることなんてできるかしら?」
 そう言って相手にお尻を向け、ペンペンと挑発する。
「クソガキが! まずはテメエのゲカ尻から貪って、や、る……?」
 その仕草に誘発されて襲いかかろうとしたオウガだったが、喋っている途中でドシャリと倒れる。メアリーの【九死殺戮刃】により、周りのオウガもろとも首を跳ね飛ばされたのだ。瞳を輝かせ、オウガ達を屠ってゆくメアリー。そして、その輝く瞳が不意に避難しているアリス達を捉える。【九死殺戮刃】は味方を1回も攻撃しないと寿命が減るユーベルコードだ。
「メアリは確かにひとでなしだけど、そういうのは好きじゃないの」
 だが、メアリーは味方を斬り刻みたいという狂気の衝動に耐える。
「それより、あなた達みたいな反撃されると思ってもいないヤツを殺す方がずっと楽しいもの」
 そう言いながらオウガへと肉切り包丁をふるい続けるメアリーの後ろ姿をブランシュは目で追っていたのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヘザー・デストリュクシオン
だからこの世界には来たくなかったの。
アリス、アリス、アリス。
わたしの妹と同じ名前ばっかりで、妹もここにいるような気がしてしまうの。
川に流されて帰ってこなかったあの子が、生きてるはずないのに。
…妹と同じ名前の子たちに、殺し合いなんてさせないの。

殺し合いが見たいなら、自分たちでやればいいの!
っていいながらリボンを解いて敵のいる客席に飛び込んで攻撃するの。
相手がこんらんしてる間にジャンプやダッシュ、スライディングで素早く立ち回ってなるべくたくさん壊すの。
アリスたちのことは他の猟兵に任せるの。
きっとわたしは冷静でいられないから。

この程度なの?
もっと楽しませてよ!つまんないの!


李・雷
アリス同士の殺し合いってのも、俺は興味があったんだけどね
仕方ない
依頼は依頼だ
オウガどもが猟兵にぶち殺されていく蹂躙劇で満足するさ

オウガひしめく観客席のど真ん中で足を組み優雅に座り込む
この猟兵たちとブランシュの戦いを、闇に紛れて最高の席からニヤニヤと見物させてもらう

っと、流石にオウガどもにも気付かれたか?面倒くさいな…

騒がれる前に一手先んじて行動しよう

俺に気付いた察しの良いオウガを掴んで怪力任せに握り潰し、流れた血液を操って周囲に血の糸を張り巡らせ、一息に引き斬る
オウガどもの腕や足、胴や首をスッパリと両断
血の海で嗤いながらブランシュへ話しかける

よぉ、バケモノってのはこういうヤツの事を言うんだぜ?



●アリスかバケモノか
(アリス同士の殺し合いってのも、俺は興味があったんだけどね。仕方ない、依頼は依頼だ)
 オウガひしめく観客席のど真ん中で足を組み優雅に座り込んでいるのは李・雷(血の衝動に抗え・f24333)だ。闇に紛れ、気配なく座った彼はニヤニヤと騒動を見下ろす。
「オウガどもが猟兵にぶち殺されていく蹂躙劇で満足するさ」

「アリスを逃がすな!」
「アリスを捕まえろ!」
 逃げようとするアリス達に追いすがるオウガ達。二人の猟兵の人狼達が食い止めてはいるが、それでも別方向から襲いかかってくるオウガ達までは押し止めることはできなかったか。
「みんな、逃げて!」
 アリス達を先導していたブランシュはそう言ってオウガ達の前に立ちはだかる。
「ハ、たかがアリス一人に何が……」
「ガルルルゥ……ガァ!」
 そう言って見下ろしていたオウガの喉笛をブランシュは噛みちぎる。ユーベルコードで満月の時のような高揚感を得てオウガ達へと襲いかかる。
「く、アリスのくせにやるじゃねえか!」
「囲め! 多少強かろうと所詮はアリス。囲んでぶっ叩けば問題ねえ!」
 だが、徐々にオウガ達に追い詰められるブランシュ。
「へ、手こずらせたが、こうすりゃ後はじっくりなぶっ!」
 不意にブランシュを追い詰めようとしていたオウガ達の一角が崩れる。
「ガアアアアア!」
 崩れた所が抜け出すチャンスと見て飛びかかるブランシュ。そしてそこに現れたのはウサ耳の少女。ブランシュは動く相手に思わず爪を振り下ろしてしまったが止めることができず……

「だからこの世界には来たくなかったの」
「きゃんっ!?」

 次の瞬間、爪を振り下ろした相手に後方へ投げ飛ばされるブランシュ。そこには胸元のリボンを解き服をはだけさせたヘザー・デストリュクシオン(白猫兎の破壊者・f16748)がいた。
(アリス、アリス、アリス。わたしの妹と同じ名前ばっかりで、妹もここにいるような気がしてしまうの。川に流されて帰ってこなかったあの子が、生きてるはずないのに)
「…妹と同じ名前の子たちに、殺し合いなんてさせないの」
 先ほどブランシュを囲んでいたオウガと同じように、【シーブズ・ギャンビット】で周りにいるオウガ達を猫の爪で斬り刻む。
「殺し合いが見たいなら、自分たちでやればいいの!」
 そう言って、切り落としたオウガの首を無造作に観客席へと投げつける。
「ここからはなれた方がいいの。きっとわたしは冷静でいられないから」
 投げられて呆然としていたブランシュにヘザーはそう声をかける。
「この程度なの? もっと楽しませてよ! つまんないの!」
 そして、その言葉を残し、突然の奇襲に混乱しているオウガ達の群れへと飛び込んでいった。

「っと、流石にオウガどもにも気付かれたか? 面倒くさいな……」
 そう言う雷の手にはオウガの頭。先程ヘザーが投げつけられたものだ。自分だけ高みの見物をするなという警告か、単に強そうな相手を気配を感じて投げつけたのかは不明だが、雷がオウガ達に紛れていたのが周囲にバレてしまったのは明らかだ。
「仕方ない。一手打つか」
 そう言うと雷は持っていたオウガの頭を握りつぶす。グシャリと潰れた頭から迸る鮮血が糸のように飛び出し、周囲のオウガを捕らえる。
「諦めるんだな。足掻けば足掻くほど絡まるぜ? そらっ!」
 ユーベルコード【餌場】によって生み出された血糸から逃れようするオウガ達だが、雷が一気に糸を引くと、オウガ達身体がバラバラに切断される。
「よぉ、ブランシュ。調子はどうだ?」
 自らが作り出した血の海を悠然と歩きながらブランシュに嗤いかける雷。
「貴方は……」
 先程もお染が戦っていた時に話しかけてくれた……。そう言おうとして、雷の周りの凄惨さに息を呑む。
「バケモノってのはこういうヤツの事を言うんだぜ?」
「……」
 雷はそんな様子に構わずブランシュの前まで歩み寄り、顔を覗き込む。
「お前の中にいるものなんざ、ちょっとした子犬みたいなもんなんだよ」
「子犬……」
 自分が苦しんでいる原因をそのように例えられ、どこか憮然としないブランシュだが、
「だから、胸張って帰りたいならちゃんと躾けてみろってことだ。そうすりゃ向こうに帰っても誰も傷つけずに済むだろ?」
 そこでブランシュは、自身の殺戮衝動を抑えた人狼の少女や、『冷静でいられない』と言いつつも襲いかかってきた自分を攻撃しないでいたヘザーの姿を脳裏に浮かべる。
「……そんなことできるの?」
「できるかどうかじゃなくて、したいかどうかだろ? ま、ここもう大丈夫だ。アリス達と合流しとけ」
 雷はそう言うとブランシュに背を向け、オウガ達へと歩いていく。
(ま、できるかどうかなんて俺には関係ないんだがな)
 ブランシュが人として留まるか、バケモノに落ちるか、雷が興味があるのはそこだ。そして、その場合に最も避けたいのは、自分の目の届かないところで結果が出ることだ。
(アリスに覚醒したとしても、猟兵の人狼に比べて精神的にもまだ未熟。さて、どう転ぶやら)
 発破をかけた雷は、人狼の少女に見えないようほくそ笑むと、オウガの掃討へ身を投じるのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヴィヴィアン・ランナーウェイ
【狼送り】
さあ、この悪趣味な遊戯を終わらせましょうか。
どこもかしこもオウガだらけ、虫唾が走りますわね。

まず、アリス達に声をかけましょう。
顔を上げなさい、絶望するにはまだ早い。私達が、助けに来ましたわよ。

傷ついた子もいるみたいですし、UCを放って敵を燃やしつつアリス達を癒しましょう。
オウガに容赦はいりません。片端から倒してしまいましょう。
どんな気分です?狩られる側になった気分は。最悪ですわよね、ええ。私もそうでしたから。

場が落ち着いてきたらブランシュさんへ。
アレがホンモノの醜悪な怪物。貴女とは全然違うでしょう?
さあ、胸を張って帰るためにも、ここでアリス達を救いましょうか。


エルディー・ポラリス
【狼送り】
引き続きおこな私です!
え、ブランシュ様も戦う? うーん、猟兵でもないお子様を連れていくのは……でも、ここで離れても気に病むのはそうねぇ。
よーし、お姉さん達から離れないように、頑張ってくださいね!

……さて、オウガよ。
メアリちゃんビームの次なるユーベルコードが何か、分かりますか?
勿論、私ビーム!! 指を鉄砲の形にして、ユーベルコード発射ァ!!
ま、オウガには当てませんけど。
──捕まってるアリス様たちに、回復の光を当てていきます! 捕まった時に負傷しているかもしれませんしね。
さあさあ、怪我は治しますよ! いざ、反撃の時です!!


胡・佳莉
【狼送り】(4人で連携)

ブランシュさん、言いましたよね。「そのために来た」って。貴女が諦めないように、前を向いていけるように。私たちは貴女の力となりますから。

私に傷を癒す力はないので、アリス達のフォローと救出に回ります。
「視力」「第六感」で周囲を見回し危ういアリスを見つけたらUCを使用して即座に駆け付けます。敵の数が多く手こずりそうなときは、「見切り」「残像」で翻弄。
アリスが怪我をしていたら癒せる仲間に投げます。

どんなに苦しくても、どんなに辛くても、私たち猟兵が助けます。かつての私がそうしてもらったように。
絶望し倒れそうになっても、きっとこの手で掴んでみせますから。


アリス・レヴェリー
【狼送り】(4人で連携)

あら、本当にオウガが沢山ね。
まずは観客から当事者になって貰いましょうか。

狸さんとの戦いの時に召喚した金獅子、ダイナと一緒にそのまま闘技場に突入して【灰砂の鬣】を発動するわ。
隔てる壁を、彼らの席を、武器を、鎧を、身にまとう全てを、砂と灰に変えてあげる。
そしてそのままその砂灰でオウガをそれぞれ取り囲んで圧し潰すわ

捕らえられていたアリス達を救出するのは胡さんが、癒やすのはエルディーさんやヴィヴィアンさんが対応してくれているし、わたしはこのオウガ達がブランシュさんやアリス達に近寄らないように留めたりお掃除したりしておきましょう。



●護るは命、そして希望
「ブランシュさん、ここにいたんですね」
 避難しているアリス達に合流しようとしたブランシュに声をかけたのは胡・佳莉(星花の剣・f21829)だ。彼女は仲間たちと分担してアリスの護衛をしており、逃げ遅れたり危機に陥っているアリスを見つけて保護する役割を担っていた。
「他のみんなは?」
「ブランシュさんがオウガをひきつけてくれたおかげで無事です。さあ、みなさんのところまでついてきてください」

「さあ、この悪趣味な遊戯を終わらせましょうか。どこもかしこもオウガだらけ、虫唾が走りますわね」
「あら、本当にオウガが沢山ね。まずは観客から当事者になって貰いましょうか」
 場所は変わって、闘技場の一角、逃げるアリス達を守っているのはヴィヴィアン・ランナーウェイ(悪役令嬢?・f19488)とアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)だ。
「顔を上げなさい、絶望するにはまだ早い。私達が、助けに来ましたわよ」
 アリス達を勇気づけようと、そう声をかけるヴィヴィアンだったが、
「猟兵か! つべこべ言わずにアリスを食わせやがれ!」
「絶望がお前らの終着点だ!」
 数に物を言わせ、オウガ達が襲いかかる。
「無粋ですこと。私、一度火がつくとなかなか消えませんの。貴方が付けた火ですもの。共に楽しみましょう?」
「揺らぎて靡く、纏いて踊る」
 ヴィヴィアンの【悪役令嬢の火は絶えない】による炎がオウガ達を容赦なく焼き、アリスが乗る黄金の獅子『ダイナ』と起こすユーベルコード【灰砂の鬣】が会場席を砂と灰に変えてオウガ達を砂灰で押しつぶす。
「どんな気分です?狩られる側になった気分は。最悪ですわよね、ええ。私もそうでしたから」
 ヴィヴィアンの悪役令嬢然とした風格にオウガ達が圧されている気配が感じられる。
「引き続きおこな私です!」
 次々蹴散らされるオウガ達にエルディー・ポラリス(Au delà de les larmes・f11010)はそう声をかける。
「……さて、オウガよ。メアリちゃんビームの次なるユーベルコードが何か、分かりますか?」
 先程の、とは言ってもお染との戦闘のことを知らないオウガたちには何のことだか分からないが、エルディーはそのまま話を続ける。
「勿論、私ビーム!! 指を鉄砲の形にして、ユーベルコード発射ァ!!」
 エルディーは捕らえられた際の負傷だろうか、怪我をしたアリス達を癒す。
「ま、オウガには当てませんけど」
「ブランシュさんを連れてきました」
 そこへブランシュを連れた佳莉が合流する。
「これで全員ね。わたしはこのオウガ達がブランシュさんやアリス達に近寄らないように留めたりお掃除したりしておきますから、このまま脱出しましょう」
「あの……!」
 アリスが砂灰を操り、オウガ達を牽制する中、ブランシュが猟兵達に呼びかける。
「私も、戦いたい。迷惑はかけないように、頑張るから」
 先程の吸血鬼の猟兵に言われたように、自分の人狼としての凶暴性を制御できるようになればもしかすると……希望が見えたのだ。
「え、ブランシュ様も戦う? うーん、猟兵でもないお子様を連れていくのは……」
「……ダメでしょうか?」
 エルディーがその提案に難色を示す。確かに目の前の猟兵達に比べればブランシュは足手まといだ。アリスまで助けてもらっておいて、そんなことまでお願いを聞いてもらうのはいささか都合が良すぎるか……
「ブランシュさん、言いましたよね。『そのために来た』って」
 だが、そんな彼女に手を差し伸べるたのは佳莉だ。
「貴女が諦めないように、前を向いていけるように。私たちは貴女の力となりますから」
「ブランシュさん。あそこにいるのがホンモノの醜悪な怪物」
 オウガ達を指差し、佳莉の言葉にヴィヴィアンが続く。
「誰かの為を思って戦おうとしている貴女とは全然違うでしょう?」
「その、誰かのためという訳じゃなくて」
「だとしてもオウガ達と違うことが変わりありませんわ。さあ、胸を張って帰るためにも、ここでアリス達を救いましょうか」
 そう言うと、ヴィヴィアンは炎を操り、オウガ達を見据える。
「こちらはこちらでアリス達を守るから、そっちは任せたわ」
 ブランシュのフォローは十分だと判断したアリスは捕らわれていたアリス達をオウガ達から守るため、オウガ達を掃除することに意識を向けることにしたようだ。
「ここで大人しくしてもらって気に病むのもよくないですからね。よーし、お姉さん達から離れないように、頑張ってくださいね! さあさあ、怪我は治しますよ! いざ、反撃の時です!!」
 エルディーの号令で戦闘を再開する猟兵達。
「ブランシュさん、私についてきてください」
 ユーベルコード【時翔】で高速戦闘モードとなった佳莉が残像を残すような動きでオウガ達を翻弄して斬り刻む。
「は、はい! ガルルルルゥ……ガウ!」
 ブランシュが狼のような四足歩行になってそれに続き、爪や牙でオウガ達を攻撃する。
「ブランシュ様、前に出過ぎです!」
 ブランシュが人狼の本能に身を任せて目の前のオウガ達を倒しに突出しようとした時、いち早く気づいたエルディーが声をかけ、さらそこへブランシュにヴィヴィアンの炎が飛んでくる。
「熱いっ! ……あれ?」
 炎が当たった瞬間に熱を感じて正気に戻ったが、特に火傷はない。
「この炎は敵を屠りますが、味方は癒やす、覚悟の炎ですわ。人狼の力に意識が持って行かれそうになったら、何度でも引き戻して差し上げましてよ」
 そう言ってヴィヴィアンは赤い髪をかき上げる。
「どんなに苦しくても、どんなに辛くても、私たち猟兵が助けます。かつての私がそうしてもらったように」
 そして、佳莉がブランシュに言葉をかける。
「絶望し倒れそうになっても、きっとこの手で掴んでみせますから」
 そして、妖刀をオウガ達へと向ける。
「ですから、共に戦いましょう」

 程なくして、猟兵達の活躍により、殺し合いのゲームをさせられそうになっていたアリス達を全員無事救出し、オウガ達のひしめく闘技場からの脱出に成功するのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 集団戦 『墜ちたアリス』

POW   :    アリスラビリンス
戦場全体に、【過去のアリス達の「自分の扉」】で出来た迷路を作り出す。迷路はかなりの硬度を持ち、出口はひとつしかない。
SPD   :    永遠のお茶会
【アリス達が手づから注いだ紅茶】を給仕している間、戦場にいるアリス達が手づから注いだ紅茶を楽しんでいない対象全ての行動速度を5分の1にする。
WIZ   :    地獄の国のアリス
自身の【記憶と身体】を代償に、【自身を喰べたオウガ】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【鋭い爪や牙】で戦う。
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●立ちはだかるのは
 闘技場から救出したアリス達は、近くにあった愉快な仲間たちの国へ保護してもらうこととなった。いずれは自分の扉を探しに旅立たねばならないだろうが、現状の安全は確保できたようだ。そして、扉の場所が分かっているアリス……ブランシュは猟兵達と自分の世界に戻る扉へ向かうことになる。
 その道すがら、ブランシュは語った。自分は人狼病であり、それに関わらず自分を受け入れてくれる家族がいること。そして、満月の夜に発作で凶暴化し、家族に怪我させてしまったこと。そして、それでも家族は自分を受け入れてくれて、それがどこか申し訳なく心苦しかったこと。
「最初は、もう自分はあそこへ帰るべきじゃないって思っていたんです」
 でも、今は違う。
「こんな私でも待ってくれている家族がいるんです。だから、帰らないと」
 そう言ってはにかむ人狼のアリス。
「それに、頑張れば、みんなを傷つけなくて良くなるかもしれないかもしれないって」
 アリスとして覚醒した彼女は人狼の凶暴化を引き出すユーベルコードを身に着けたらしい。それを制御できるようになれば、満月の夜も暴れなくて済むようになるかもしれない。
「まだ、思うように制御できるには、時間がかかるかもしれないですけれど」
 明るい見通しが出来、彼女の顔は明るい。
「これも皆さんのおかげです。本当にありがとうございました」

 しかし、ブランシュがお礼を言うのは少し早かったようだ。
「あら、随分遅かったわね」
 ブランシュの帰る扉の前にいたのは、ブランシュと同じくらいの歳の少女達。だが、猟兵達は気づいている。彼女達がオウガであることを。『墜ちたアリス』、かつてオウガに喰われ元の世界に戻ることのできなくなったアリスの成れの果て。そんな彼女達が扉の前でお茶会をしていた。
「せっかく新しい仲間ができると思ったのに残念。デスゲームも滅茶苦茶にされちゃったし」
 どうやら、先程の闘技場の観客の中にいたようだ。
「オウガに、この世界の住人になってしまえば、永遠にこの世界で楽しく暮らすことができるのに」
「それを拒むなんて信じられないわ」
「これも全部、猟兵が来たせいだわ。私達の楽しい日々を滅茶苦茶にするなんて許せない!」
 彼女達は口々に勝手な物言いをしてくる。
「だから決めたの。ここでお茶会を開こうって」
「お茶請けは猟兵に、そこの狼のアリスよ」
 そして獰猛な視線を猟兵とブランシュへと送る。
「皆さん……」
 ブランシュは少し不安げな顔をするが、スッと真剣な表情になる。
「私は、家族の所に帰りたいです。また父さんと母さんと兄さんと暮らしたいです。だから……」
 そして猟兵達を見回す。そして言葉を続ける。
「お願いです。もう一度、力を貸してください」

(※第二章に続き、ブランシュは戦闘に参加します。使用可能なユーベルコードは第二章の断章をご確認ください。また、シナリオの成否には影響はありませんが、ユーベルコード【狼月】の制御を頑張ることで、今後の彼女の満月による凶暴化を抑えられる可能性は出ています。
 それでは皆様のプレイングをお待ちしております)

 
ルベル・ノウフィル(サポート)
やぁやぁ、通りすがりのサポート猟兵でございます

味方がいればこの身を呈して庇いましょう
僕を肉壁とお呼びください
星守の杯で回復要員もできますぞ

ソロ戦ならリザレクトオブリビオンで死霊騎士を前に出し自身は蛇竜に乗って霊符彩花を念動力で放ちましょう

接近戦なら妖刀墨染、隠し芸のトンネル掘りで敵の足場崩しもできますぞ

ん?探索と日常?クイズ?
それは困りましたね
僕は頭がふわふわしているとよく言われます
しかし、わかりました!
そちらのサポートも僕に任せてください
現地の人と友好的に話して世間話風に質問したりして探索しますとも

あと僕、白い狼になれます

NGなし、口調も性格もキャラブレ楽しむ派なので全て好きにしてください


ロマネ・カーディナル(サポート)
『恋の悩みはロマねーさんにお・ま・か・せ・よ♥』
 神の精霊術士×スターライダー、28歳の男です。
 普段の口調は「オトメモード全開のオネエ(ワタシ、相手の名前+ちゃん、ね、よ、なの、かしら?)」、時々「ゴリラ(俺、お前、呼び捨て、か、だろ、かよ、~か?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!




●通りすがりの……
 場所はブランシュの扉と別の場所に移る。
「急がないとお茶会に遅れてしまうわ」
 歩いているのは『堕ちたアリス』の一団。仲間達が闘技場でのゲームを滅茶苦茶にした猟兵達を仕留めようと、人狼のアリスが変えるための扉の前でお茶会の準備をしているのだ。これに乗らない手はないと、合流しようとしているのだが、
「悩める女の子の為にロマねーさんにさ・ん・じょ・う・よ♪」
「やぁやぁ、同族のピンチと聞いてただいま馳せ参じました通りすがりのサポート猟兵でございます」
 堕ちたアリス達の前に現れたのは全面にオネエ感漂う美形の青年、ロマネ・カーディナル(恋するオトメはムテキなのっ★・f19210)と柔らかな物腰の人狼の少年、ルベル・ノウフィル(星守の杖・f05873)だ。
「猟兵……!」
「私達の邪魔をするの!」
 突然立ちはだかった相手へ戦闘態勢をとるアリス達。
「あらあら。大好きな家族の元へ帰りたいって子がいるのに、お邪魔なのは貴女達の方でしょ? あの子も結構可愛いから、お兄さんも美男子かしら?」
「貴女達はオウガに食べられ、元の世界に帰れなくなったアリス達ですね。境遇は理解しますが、他のアリスが元の世界を帰るのを邪魔する理由にはなりません」
 堕ちたアリス達の主張をピシャリと斬り捨てる猟兵達。
「なら、いいわ。それならまずは貴方達から食べてあげる!」
「そうね! もしお肉が余ったら向こうの子達のお土産にしましょう」
 アリス達の肉体がオウガのそれへと置き換わってゆく。【地獄の国のアリス】で自身の肉体を代償に、自身を食べたオウガたちのものへと肉体を置き換えているのだ。
「心だけでなく、身体の方までオウガに変えてゆくなんて、どんどんおブスになってゆくわよ。んもう、見てられないわね。貴方達、出番よ!」
 そう言うと、ロマネは【エレメンタル・ファンタジア】で精霊の美男子達を召喚する。
「それでは僕も。アルトワイン、出番ですよ」
 ルベルも【聖女の願い】によって、エルフの聖女を召喚する。
「させるものか!」
 何かをさせようとしているのを察知し、鋭い爪で襲いかかるアリス達だが、
「僕を肉壁とお呼びください。多少なりとも時間稼ぎのお役に立ちましょう」
 そう言って妖刀『墨染』を手に、アリス達の攻撃をいなしてゆくルベル。
「あらん、いいわね刀で戦う美少年って。ワタシ達も負けていられないわ。ルベルちゃんを助けるのよ」
 ロマネが美男子精霊達に呼びかけ、更にアルトワインが「お願いをきいてください」と周囲の精霊に呼びかける。
「あらあら、他にも精霊さん達がこんなにも。これなら、おねーさんフンパツしちゃうわ☆」
 アルトワインの呼び出した精霊からも力を借り、ロマネが呼び起こしたのは炎の竜巻。
「ロマねーさんとこのコ達の情熱の炎、受けるといいわ」
「きゃああああああ!!!」
 巻き起こった竜巻に堕ちたアリス達はひとり残らず呑み込まれてゆく。そして、竜巻が消えた後には、彼女達は既に骸の海へて消えており、何も残っていなかった。
「やあ、見事なお手前でした」
 妖刀を収めつつもその様子に感嘆するルベル。
「このこのサポートもあったからよ。ありがとうね」
 そう言ってアルトワインの頭を撫でるロマネ。
「ここはもう大丈夫ですから、あとは向こうに任せて問題なさそうですね」
 周りを見てルベルがそう言うと、
「だったら、これからお茶でもどうかしら? ルベルちゃんとアルトワインちゃん。二人のお話、ロマねーさんとっても聞いてみたいですもの」
 などとロマネが提案する。
「喜んでお受けいたします。レディのお誘いには断るわけには行きませんから」
 ルベルも笑顔で受ける。
「もう、この子ったら。そうと決まったら行くわよ♪」
「ええ、行きましょうか」
 そう言うと、三人は戦場をあとにするのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ヘザー・デストリュクシオン
アリス?
わたしが、アリスと壊しあう?
…ちがう。この子たちはオブリビオンで、もうアリスじゃない。
わたしのアリスは妹だけなの。

わたしの家族は妹だけだった。
お父さんは毎日気持ち悪くて苦しくて痛いことしてきたし、お母さんはぜんぶ知ってて何もしてくれなかった。だれも助けてくれなかった。
ブランシュちゃんはちゃんと家族と家族してるみたいだし、きっとだいじょぶ。家に帰してあげるの。

敵も帰りたかっただけで、でももう間にあわない。
ならわたしは、彼女たちの攻撃を避けずに受けて、近づいてきた子をUCで生命力吸収するの。
いろんな世界に行くから、いつかあなたたちの世界にも行くかもしれないの。
だから、いっしょに行こう?


李・雷
あーあ、同じアリスだったはずなのに、この違いはなんなのかね?

ハッ!お願いなんてされなくともやってやる
何故って?
連中が最ッ高にダセぇからだ!

バケモノに食われる力の無さは悲劇的だ。同情してやる。
けどな、衝動に負けるような脆弱さは目障りだぜ!
消え失せな!

鋭く伸びた爪で手首を切って血を流し、腕を振って飛沫を飛ばす
空中に散ったそれらから無数の太い杭が飛び出して敵を貫いて身動きを封じる
こうして、見るも哀れなバケモノ”だった”連中の出来上がり、だ
後はいつも通り、青い剣でじっくりと連中を吸い尽くせばいい

ついで気紛れにブランシュへ声を掛けておくか

我慢なんて長続きしねーよ
コツを教えてやる
”抗う事を楽しめ”!さ!


メアリー・ベスレム
哀れでみじめなアリス達
死んだ後までオウガのおやつだなんて
そんなのメアリはまっぴらごめんよ

全身を覆う血の臭いでオウガ達を【誘惑】して
捕まらないよう【逃げ足】で立ち回りながら【咄嗟の一撃】で反撃
【部位破壊】【傷口をえぐる】戦い方で大きな出血を狙って
返り血を浴びながら戦う

お茶会もいいけれど
赤くて甘い血の方がメアリは好きよ
あなた達だってそうでしょう?

優しい言葉はきっと誰かが掛けるから
メアリは必要な事を言うだけ

ねぇブランシュ
もしもあなたがメアリやあの子達みたいなひとでなしになって
大切な家族を殺しそうになったら

メアリがあなたを殺しに行くわ
あなたがひとでなくなる前に
だってメアリはひとでなしのひとごろしだもの


ヴォルフガング・エアレーザー
※アドリブ、共闘歓迎

闇に閉ざされたあの世界で、それでもなお愛する人、信じてくれる人がいる。
それは何ものにも代え難く尊いものだ。
ブランシュ、俺は君の想いと願いを叶えよう。
騎士として、そして何より同胞として。

哀れな……絶望に堕ち、自ら搾取する側に寝返った者の成れの果てか。
ブランシュの生きる希望を奪わせるものか。

俺たちは迷わない。
いかに強固な壁が立ち塞がろうとも、自らの手で道を切り開く。
この鉄塊剣の一撃は、敵を屠り鎧をも砕く意思の力。
気合いを込め、鍛え上げた継戦能力で、諦めずに叩き続ける。
何度でも、何度でも!

しかと見よ。苦難に立ち向かう覚悟がある限り、【守護騎士の誓い】は決して折れることはないと!



●アリスとアリスだったもの
「哀れでみじめなアリス達。死んだ後までオウガのおやつだなんて、そんなのメアリはまっぴらごめんよ」
 ブランシュが帰るための扉、その前で待ち構えていた『堕ちたアリス』達を見て、メアリー・ベスレム(Rabid Rabbit・f24749)の感想はそれだった。
「あーあ、同じアリスだったはずなのに、この違いはなんなのかね?」
 堕ちたアリス達の様子を嘲るようにして見ているのは李・雷(血の衝動に抗え・f24333)だ。そしてヴォルフガング・エアレーザー(蒼き狼騎士・f05120)はどこか憐れむような目で彼女達を見据える。
「哀れな……絶望に堕ち、自ら搾取する側に寝返った者の成れの果てか。ブランシュの生きる希望を奪わせるものか」
 彼女達はオウガに喰らわれ、帰ることのできなくなったアリスの成れの果て。今の彼女達にあるのは、アリスを喰らい、自分達と同じ存在に引き込もうという妄執だけである。
「アリス? わたしが、アリスと壊しあう? …ちがう。この子たちはオブリビオンで、もうアリスじゃない。わたしのアリスは妹だけなの」
 そう自問自答するのはヘザー・デストリュクシオン(白猫兎の破壊者・f16748)。目の前の相手はもうアリスではなく、ましてや自分の妹などではない。
(わたしの家族は妹だけだった。お父さんは毎日気持ち悪くて苦しくて痛いことしてきたし、お母さんはぜんぶ知ってて何もしてくれなかった。だれも助けてくれなかった)
 ふと脳裏をよぎる家族との過去。ろくな思い出ではなかったが、ヘザーはちらりと白い人狼の少女を見やる。
「ブランシュちゃんはちゃんと家族と家族してるみたいだし、きっとだいじょぶ。家に帰してあげるの」
「ああ。闇に閉ざされたあの世界で、それでもなお愛する人、信じてくれる人がいる。それは何ものにも代え難く尊いものだ」
 ヘザーの言葉にヴォルフガングと雷が続く。
「ブランシュ、俺は君の想いと願いを叶えよう。騎士として、そして何より同胞として」
「ハッ! お願いなんてされなくともやってやる。何故って? 連中が最ッ高にダセぇからだ!」
「言ったな!」
 雷の挑発に激昂してか、何人かのアリスの身体が【地獄の国のアリス】の効果により、自身の肉体を代償に自身を食べたオウガたちのものへと肉体を置き換わってゆく。
「選べよ。前衛的なオブジェになるか、ビクビク震えて嵐が過ぎ去るのを待つか」
「甘い甘い血の臭い、メアリにもっと嗅がせて?」
 雷が自身の爪で手首を裂き血をほとばしらせ、メアリーが濃厚な血の匂いを纏う。
「喰らわせろ!」
 その血の匂いに惹かれ、オウガと化したアリス達が二人へ襲いかかる。
「さあ、貴方達の血は……ッ!?」
 メアリーと雷はそれぞれ迎撃に移ろうとするが、不意に体の動きが鈍くなる。
「アハハハハ! 貴女達はお茶会のお茶請けなんだから!」
 後方に控えていたアリスがカップに紅茶を注ぎ、お茶会の準備を進めていた。それによりユーベルコード【永遠のお茶会】が発動し、猟兵達の動きが鈍くなる。獲物を狩り、その血肉とともにお茶会を楽しもうとするオウガ達の速度は止まらず、そのまま襲いかかろうとする。が、
「貴方達も帰りたかっただけ。でももう間にあわない」
 ヘザーがメアリーと雷の前へ出て、敵の攻撃を受ける。
「ならわたしは、貴方達を受け入れる。密着していれば、どれだけ動きが遅くなっても問題ないでしょう」
 そう言うと、ヘザーの体の所々が【ガチキマイラ】により、猫の頭部へと変化する。
「フシャー!」
 猫の頭部達がオウガの身体に噛みつき、その生命を貪り食らう。
「なっ!」
「バケモノに食われる力の無さは悲劇的だ。同情してやる。けどな、衝動に負けるような脆弱さは目障りだぜ! 消え失せな!」
 ヘザーの行動にオウガ達が気を取られているうちに雷が腕を振り、手首から流れている血液を飛ばす。その飛沫から無数の太い杭が飛び出し、ヘザーに食らいついたオウガやお茶会の準備をしていたアリスを貫いて身動きを封じる。
「こうして、見るも哀れなバケモノ『だった』連中の出来上がり、だ」
 そう言うと、細剣『ブルーブラッド』を手にし、敵へと斬りかかる。
「お茶会もいいけれど、赤くて甘い血の方がメアリは好きよ。あなた達だってそうでしょう?」
 後方で支援していた堕ちたアリスの動きが止まったことで、猟兵達の動きは元に戻る。メアリーも肉切り包丁で横臥たちを斬り刻む。返り血を浴びる度に【血塗れメアリ】の効果で攻撃の力強さが増してゆく。
「っく、このままでは……!」
 後ろで杭に貫かれていたアリスはとっさに【アリスラビリンス】で扉で出来た迷宮を生み出し、自身と猟兵たちとの間に隔たりを作り出す。まずは杭を抜いて体制を整え、改めて仲間の支援をしなければ……だが、
「俺たちは迷わない。いかに強固な壁が立ち塞がろうとも、自らの手で道を切り開く」
 かなりの強度を持つはずの迷宮の壁が砕かれる。
「この鉄塊剣の一撃は、敵を屠り鎧をも砕く意思の力」
 ヴォルフガングの鉄塊剣が何度も壁に叩きつけられ、壁を砕き続け、敵への道をこじ開ける。
「しかと見よ。苦難に立ち向かう覚悟がある限り、【守護騎士の誓い】は決して折れることはないと!」
 また動きを遅くされては、敵に攻撃を許してしまう。無辜の民を守護するという誓いが、一見無謀な行いに力を与え、壁を突き破らせる。
「今だ! ブランシュ!!」
「カァルルルルゥ!!」
 そしてヴォルフガングのそばから飛び出したのは、この時まで彼がそばで守り続けていたブランシュ。自身のユーベルコードの力で暴走状態になった彼女は、本能を開放し、それでいて己の意志を以て爪を振るう。
「ああああっ!」
 爪で切り裂かれ、思わず悲鳴を上げる堕ちたアリス。
「そっちの方に仕上がってきたか……おい、ブランシュ」
 その様子を見て、雷はブランシュに声をかける。
「我慢なんて長続きしねーよ。コツを教えてやる」
 そして、ニィッと笑って言葉を続ける。
「『抗う事を楽しめ』! さ!」
 自身の制御をすることを辛いものではなく、楽しむためのもの、と。例えばそれはダンスのステップが思い通りになるような、楽器が自分の思った音を出せるようになるようなポジティブなこととして捉えるようにとのことだ。
「はい! 分かりました!」
 気まぐれに雷がかけた言葉だったが、ブランシュにとってはこの発想の転換は目のさめるような思いだった。暴走しないよう『我慢する』ではなく自由に身体が動かせるようになることを『楽しむ』。その意識の切替だけでも、ブランシュは今まで以上に身体が軽くなった気がした。
「ねぇブランシュ」
 そして、メアリーも続く。
「もしもあなたがメアリやあの子達みたいなひとでなしになって、大切な家族を殺しそうになったら」
 ブランシュへの優しい言葉はきっと誰かが掛けるから自分は必要な事を言うだけ。
「メアリがあなたを殺しに行くわ、あなたがひとでなくなる前に。だってメアリはひとでなしのひとごろしだもの」
「はい!」
 その言葉をブランシュは受け止める。万が一、自分が家族を手に掛けようとしても、私を殺してでも家族を守ってくれる人がいる。それができる人達がいる。
「ありがとう、やさしいひとごろしさん」
 ブランシュをそう言って、自身の意志で爪を振るい続けた。

 自身の周りにいた堕ちたアリス達を倒した後、ヘザーは胸に手を当てる。
「いろんな世界に行くから、いつかあなたたちの世界にも行くかもしれないの」
 その身には彼女達から食らった生命力がある。もしそこに彼女達の魂のひとかけらでもあれば、彼女達を元の世界へと帰してあげられるかもしれない。
「だから、いっしょに行こう?」

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

胡・佳莉
【狼送り】(4人で連携)

速度が落ちようと問題ないぐらい速くなればいい。これでも貴女たちの相手をするには十分です。「見切り」「残像」「第六感」「オーラ防御」、対抗する手段もあります。

ですがやはり、私は遅いのでしょう。
貴女たちを助けることは出来なかった。絶望の中で伸ばした手を掴めなかった。

だけど、それでも足を止めることはありません。ブランシュさん達の手を掴めたから。一緒に来た仲間達がいるから。(「勇気」「祈り」「優しさ」「破魔」「覚悟」)

手を掴むことが出来た人たちと、変わり果ててしまった貴女たちに今できることをやります。私は、私たちは猟兵ですから。


エルディー・ポラリス
【狼送り】
真の姿であるロボットモードへ!
ブランシュ様を『かばう』ようにオウガへ相対しますよ!
アリス達の記憶と身体を糧に蘇ると言うのなら!
イマジナリーフレンド、アリスを巻き戻してオウガを押し返してしまいましょう!

さあ、ブランシュ様もやっておしまいなさい!!
暴走? むしろその境界を掴んでやるくらいにドーンと構えてなさい! ……私のユーベルコードで呼び出されるのは、あくまで貴女の、過去の思い出でしかありませんが。
貴女が、愛する人達の下へ帰ろうと、戦おうと立つのであれば。
──きっと、彼らが月の狂気からも引き戻してくれるのです!


アリス・レヴェリー
【狼送り】(4人で連携)
あら、その姿は……模して造られたご同輩か、それとも似せただけか……ま、いいわ

それよりもブランシュさん、【狼月】を練習してみたら如何かしら?折角彼女たちが紅茶を用意してゆっくりにしてくれているし、その状態なら咄嗟に暴れてしまっても抑えやすかったりするかもしれないわ

どうせなら満月があったほうが練習になるかしら
【真鍮の轍】でかつて雲の上で見た、何も遮るもののない星空と満月の思い出で空を塗り替えるわ
わたしはブランシュさんについていって、妨げたり、攻撃してくるオウガ達を遅くなっても瞬時に展開できる『刻命の懐中時計』の12枚の結界を使って弾き返したり、秒針の細剣で貫いて退けましょう


ヴィヴィアン・ランナーウェイ
【狼送り】で連携
ここまで来たらやることは1つですわね。
ブランシュさんを笑顔で御家族のところに送るために、あのオウガを打倒するのみ。
さしづめ送り狼ではなく、狼送りでしょうか。(ドヤ顔)

迷宮でもなんでも出しなさいな。あえて、踏破して差し上げますわ。
さぁさぁ、道は私が開きましょう。
ブランシュさん、皆さん、出口でお待ちしてますわよ。

迷宮内を駆け巡り、ブランシュ、そして他の皆さんの行く道を開きましょう。
過去のアリス達の扉?
生憎と私、扉をまだ見つけられていませんので!!
ぜんっぜん羨ましくありませんわ!!!
オウガを見つけたら、さっさと攻撃。
別に、皆さんが来る前に倒してしまっても構わないでしょう?(ドヤ顔2)



●狼送り
「アリスも猟兵も生きて帰さない! 永遠にこの世界で私達と一緒にいるんだから!」
 数は減ったものの、『堕ちたアリス』達はまだまだ数が残っている。
「ここまで来たらやることは1つですわね。ブランシュさんを笑顔で御家族のところに送るために、あのオウガを打倒するのみ。さしづめ送り狼ではなく、狼送りでしょうか」
 そう言ってドヤ顔を披露するのはヴィヴィアン・ランナーウェイ(悪役令嬢?・f19488)である。そして、『革命剣・共振』を抜き放ち、オウガ達へと宣戦布告する。
「さあ、お覚悟はよろしくて?」
「あら、その姿は……模して造られたご同輩か、それとも似せただけか……ま、いいわ」
 いずれにせよ倒すだけなのですから、とアリス・レヴェリー(真鍮の詩・f02153)は彼女達を見据える。そしてアリスが気にかけるのは目の前のオウガではなく、
「それよりもブランシュさん、【狼月】を練習してみたら如何かしら? 折角彼女たちが紅茶を用意してゆっくりにしてくれているし、その状態なら咄嗟に暴れてしまっても抑えやすかったりするかもしれないわ」
 ブランシュにそう声をかける。
「ええ! ブランシュ様もやっておしまいなさい!!」
 そしてそうけしかけるのはエルディー・ポラリス(Au delà de les larmes・f11010)だ。
「はい! ガルルルル!」
 先程、猟兵達から力を振るう際の気の持ちようを教わり、ブランシュの動きは良くなってきている。だが、
「あなた達はこのお茶会の捧げものよ」
 後方に控えるオウガが【永遠のお茶会】によって、カップに紅茶を注ぎ、自分達以外の時間の流れを遅くさせる。
「さあ、お茶会を楽しみましょう」
 そして、猟兵とブランシュを喰らわんと【地獄の国のアリス】で肉体をかつて字bンを食べたオウガのものへと変貌させて襲いかかる。
「速度が落ちようと問題ないぐらい速くなればいい」
 だが、その中で胡・佳莉(星花の剣・f21829)は【時翔】で己の動きを加速させ、襲いかかるオウガ達と斬り結ぶ。
「これでも貴女たちの相手をするには十分です」
 そして、オウガ達の姿を見てつぶやく。
「ですがやはり、私は遅いのでしょう。貴女たちを助けることは出来なかった。絶望の中で伸ばした手を掴めなかった」
 もし自分の手が、もっと早く差し伸べられたら、彼女達はオウガに喰らわれて過去の存在、オブリビオンになることもなかったのかもしれない。
「だけど、それでも足を止めることはありません。ブランシュさん達の手を掴めたから。一緒に来た仲間達がいるから! 手を掴むことが出来た人たちと、変わり果ててしまった貴女たちに今できることをやります。私は、私たちは猟兵ですから」
「アリス達の記憶と身体を糧に蘇ると言うのなら! イマジナリーフレンド、アリスを巻き戻してオウガを押し返してしまいましょう!」
 佳莉の言葉に重ねるようにエルディーが真の姿を解き放ち、まるでロボットのような姿になる。そして、【友よ、今でも望むのならば】により、骸の海の門が開かれる。
「何っ!?」
 捧げた代償が過去から戻ってきたことにより、堕ちたアリス達の姿がオウガのものがからアリスのものへと戻ってゆく。
「今ですブランシュ様! 暴走? むしろその境界を掴んでやるくらいにドーンと構えてなさい! ……私のユーベルコードで呼び出されるのは、あくまで貴女の、過去の思い出でしかありませんが。貴女が、愛する人達の下へ帰ろうと、戦おうと立つのであれば」
 その言葉の通り、エルディーのユーベルコードはブランシュの心にも作用した。それによって浮かぶのは家族との思い出。それがブランシュの心を獣へ堕ちないよう、つなぎとめる。
「きっと、彼らが月の狂気からも引き戻してくれるのです!」
「はい!」
「どうせなら満月があったほうが練習になるかしら」
 更にアリスが【真鍮の轍】により、自身の思い出の中にある風景、何も遮るもののない星空と満月の思い出で空を塗り替える。
「ッ! アアアアアアアッ!!」
 満月を見たことにより、ぞわりとブランシュの心が沸き立つ。だが、ここには何かあれば自分を止めてくれる人達がいる。その想いが、ブランシュを前へ進ませる。そして、思い通りに身体を動かせることを楽しむ。そう考えることで動きはさらに加速する。
「アアアアアアオオオオオオオオオン!!!」
 飛び込んだオウガ達の中心で咆哮を放ち、オウガ達を吹き飛ばす。
「これは、大分良い仕上がりになりそうね」
 何かあればとっさに結界を張ろうとしていたアリスだったが、この様子であれば、大丈夫なようだ。このままアリスとエルディーはブランシュをサポートしながらオウガ達を倒してゆく。
「っく! こんなはずでは!」
 思った以上の劣勢にオウガは【アリスラビリンス】により、自分の扉でできた迷宮を作り上げ、猟兵達をそこへ閉じ込めて逃走を図ろうとする。
「迷宮でもなんでも出しなさいな。あえて、踏破して差し上げますわ。さぁさぁ、道は私が開きましょう。ブランシュさん、皆さん、出口でお待ちしてますわよ」
「動きの鈍化を解いたのが運の尽きです」
 だが、ヴィヴィアンと佳莉が逃げたオウガへと追いすがる。佳莉は高速戦闘モードでのスピードで迷宮内を駆け巡り、そしてヴィヴィアンは迷宮を構成する扉を突き破り、仲間たちの道を切り開く。【悪役令嬢は曲がれない】により、その行いが彼女の進む力を増大させる。
「過去のアリス達の扉? 生憎と私、扉をまだ見つけられていませんので!! ぜんっぜん羨ましくありませんわ!!!」
 ヴィヴィアンもアリスラビリンスへ呼び出されたアリス適合者。猟兵としての力に目覚め、アリスラビリンスの外へ出ることも可能になったが、未だ自分の扉を見つけていないので、自身の元いた場所に帰る手段がまだ見つからない上、アリスラビリンスに来る前の記憶も戻っていない。
「ふん、この程度ハンデにもなりませんわ! 私を止めたければ、この10倍は扉を分厚くしなさい!」
 だが、彼女は止まらないし、振り返らない。それが記憶がないとしても彼女の生き方なのだろうから。
「ほーっほっほ! 別に、皆さんが来る前に倒してしまっても構わないでしょう?」
 逃げるオウガに追いつき、そのまま革命剣で斬り伏せる。ドヤ顔を決めてかなりノリノリである。
「無駄に死亡フラグっぽいものを建てるのやめたほうがいいですよ」
 別ルートでオウガ達を掃討していた佳莉もヴィヴィアンに合流する。
「ふ、悪役令嬢は砕けない、ですわ」
 大丈夫だと言わんばかりにドヤ顔を決めるヴィヴィアン。
「それにもう、ここが出口みたいですわね」
 出口から見えるのは外の光景。そして、オウガ達のものではない扉、ブランシュが帰るための扉が見えていた。

「みなさん、今までありがとうございました」
 ペコリと猟兵達に頭を下げるブランシュ。
「私、還ったら、ちゃんと家族とお話しようと思います。自分が思ってきたことを伝えて、家族の思いもちゃんと知って……」
 そして猟兵一人ひとりの顔を見て、言葉を紡ぐ。
「それと、皆さんが私に色々してくれたみたいに、私も困っている誰かに助けてあげられるようになりたいです。だから、もしまた会えた時は……」
 みんなに色々と自慢できるようになりたい。そう言って彼女は笑うのだった。
 笑顔とともに扉の向こうへ帰っていったブランシュは今後どのような人生を歩んでゆくのかは猟兵達は知る由もない。未来は白紙(ブランク)なのだから。だが、困難が立ちはだかることがあっても、今の彼女ならば立ち向かって乗り越えることだってできるだろう。そんな確信めいたものが猟兵達の胸の中にはあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月23日


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#アリスラビリンス
#人狼
#人狼・ブランシュ


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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は月・影勝です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト