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ファイヤーボール・ニューカマー

#アポカリプスヘル #一人称リレー形式


●アポカリプスヘルにて
 冬の冷たい太陽が鉛色の雲の中に姿を隠した。荒涼たる大地から聞こえてくる狂気の叫びから逃れるように。
「ハルトリーゲル!」
「ハルトリーゲル!」
「ハルトリーゲル!」
 叫びを発しているのは、何十人もの屈強な男たち。全員がポリタンクやジェリカンを背中と両腰に装備している。それらを満たしている液体は可燃性の燃料であるらしく、何人かの男は叫びに合わせて着火装置付きのノズルから炎を噴出させていた。
 彼らはレイダー。
 そして、信徒。
 もっとも、崇めている対象は神ではない。
「ハルトリーゲル!」
「ハルトリーゲル!」
「ハルトリーゲル!」
 信徒たる彼らの叫びに応じて、神ならぬ神『ハルトリーゲル』が姿を現した。排気音を響かせ、キャタピラの轍を大地に刻みながら。
 それは戦車だった。
 何本もの砲身を有した異形の戦車。
 乗り手はいない。ハルトリーゲルは自らの意思で動くことができるのだ。暗黒の竜巻に巻き込まれ、オブリビオンと化した時から。
「聞こえるか! X型二十四気筒エンジンの鼓動が!」
「YEAHHHHH!」
 リーダー格らしき信徒が問いかけると、他の信徒たちは胸の前で両手を交差させた。『X』を表現しているつもりらしい。
「聞きたいか! 百二十ミリ砲の咆哮を!」
「YEAHHHHH!」
 信徒たちは一斉に右腕を斜め上方に突き出した。砲身を模しているつもりらしい。
「魂と燃料をハルトリーゲルに捧げよ! 蹂躙するために! 虐殺するために! 砲音を地の果てまで轟かせ、砲煙を空の彼方にまで届かせるために!」
「YEAHHHHHHH!」
 オブリビオン化したハルトリーゲルは燃料など必要としていない(燃料も弾薬も内部で生成されるのだ)。しかし、この男たちの奉仕と狂信を拒むつもりはなかった。
 彼あるいは彼女も望んでいたからだ。
 蹂躙を。
 虐殺を。
 砲音を地の果てまで轟かせ、砲煙を空の彼方にまで届かせることを。

●グリモアベースにて
「今回の転送先はアポカリプスヘルだ。オブリビオン化したレイダーどもをやっつけてくれ」
 伊達姿のケットシーが猟兵たちの前でポークビーンズの缶詰を開けていた。
 グリモア猟兵のJJことジャスパー・ジャンブルジョルトである。
 ドリンクを飲むかのように缶詰の中の豆を口に流し込んだ後、JJは猟兵たちに言った。
「でも、いきなりやっつけちゃダメだ。まずはそいつらの仲間になってほしい……いや、無茶振りもいいところだとは思うけど、まあ、最後まで聞いてくれや。そのレイダーどもはかなりイカれた連中でさ。なんと、戦車を自分たちの首領と見做しているんだ。いや、首領というか、もう神のレベルだな」
 その戦車の名は『シュペングラー=デリッチ ハルトリーゲル・ドライ』。通称、『ハルトリーゲル』。半世紀以上も前に作られた旧型の兵器であり、戦争博物館の展示品として余生を過ごしていたのだが、オブリビオン・ストームが初めて発生した時にオブリビオンに変わってしまったらしい。
「古い戦車だからといって、甘く見ちゃいけねえぞ。オブリビオン化した際に攻撃力も防御力も機動力も上がってんだ。とくに攻撃力は凄まじいことになってるぜ。大砲が何本も増えてっから」
 その凄まじい攻撃力を利用して、レイダーたちは各地の拠点を襲撃している。しかし、常にハルトリーゲルと行動をともにしているわけではない。襲撃をする前になんらかの手段で召喚しているのだ。
 つまり、レイダーたちを全滅させることができたとしても、ハルトリーゲルは野放しのまま。どこかでまた(場合によっては別のレイダーの一団と)破壊を繰り返すだろう。
「ここまで話せば、作戦の概要はもう察しがつくだろ? 神出鬼没のハルトリーゲルを呼び出す方法を知るため、レイダーどもの仲間になってほしいんだよ。で、情報を得た後でレイダーどもをやっつける。そして、仕上げにハルトリーゲルを呼び出し、ブチ壊してやるわけさ」
 幸いなことにレイダーたちは常に新たな仲間を求めているという。
 しかし、当然のことながら、誰でも仲間になれるわけではない。
「イカれた連中に仲間として受け入れてもらうためには、イカれっぷりをアピールしなきゃいけねえ。ドン退きしちまうような酷い悪行を自慢したり、車だのバイクだの戦車だのを荒っぽく乗り回したり、レイダーの何人かをノして腕っ節を見せつけたり……とにかく、ヤバい奴だと思わせるんだ」
『ヤバい奴』の振りをしなくてはいけない(地のままでいける者もいるかもしれないが)一同の顔をぐるりと眺め、JJは無責任に笑った。
「なあに、だいじょーぶ、だいじょーぶ。おまえさんたち、そういうの得意だろ? にゃはははは」


土師三良
 土師三良(はじ・さぶろう)です。
 本件は、アポカリプスヘルのレイダースの仲間になった振りをした後に全滅させ、彼らが神のごとく崇める無人の暴走戦車と戦うシナリオです。

 第1章は『ヒャッハー!』なレイダーたちの仲間になるための入団試験です。自分がいかにヤバい奴であるかをアピールして、『ヒャッハー!』なニューカマーになりましょう。

 第2章は集団戦。『ヒャッハー!』なレイダーたち(レイダー・フュエルスピッター)と戦うわけですが、敵はPCたちを仲間だと思っているので無警戒です。夜討ち、不意討ち、騙し討ち、卑怯な手段を選び放題取り放題。『ヒャッハー!』な連中を『ヒャッハー!』なノリで討伐できます。いえ、普通のノリで戦っても構いませんが。

 第3章はボス戦。荒野を疾走しながら、暴走戦車『ハルトリーゲル』と戦います。ちなみにハルトリーゲルは架空の戦車です。ミリタリー系に造詣の深いPCはハルトリーゲルの諸元や歴史等をプレイング内ででっちあげていただいて構いません(リプレイに反映されるとは限りませんが)。

 それでは、皆さんのプレイングをお待ちしております。

 ※第一章のプレイング募集開始は8日(水曜日)の朝8:30からです。それ以前に届いたプレイングは流してしまう可能性が高いです。

 ※章の冒頭にあるPOW/SPD/WIZのプレイングはあくまでも一例です。それ以外の行動が禁止というわけではありません、念のため。

 ※基本的に一度のプレイングにつき一種のユーベルコードしか描写しません。あくまでも『基本的に』であり、例外はありますが。
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第1章 冒険 『ヒャッハー!入団試験だぜぇ!!』

POW   :    すべては暴力が解決する!世紀末を生き抜くパワーを示せ!

SPD   :    逃げるヤツを見ると追いかけたくなる!世紀末魔改造車両の速さを見ろ!

WIZ   :    こんな時代だからこそ知性が光る!この天才の発想を見ろ!

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●幕間
 地面には霜が張っていたが、そこは熱気に包まれていた。
 あるいは狂気か。
「聞こえるか! X型二十四気筒エンジンの鼓動が!」
「YEAHHHHH!」
 燃料タンクを装備したレイダーたちが体の前で両手を交差させた。
「聞きたいか! 百二十ミリ砲の咆哮を!」
「YEAHHHHH!」
 続いて、右腕を斜め上方に突き出した。
 どこか滑稽にも見える一連のパフォーマンスは彼らの信仰の表明。そして、威圧を兼ねた歓迎の儀式でもある。
 歓迎されているのは、彼らの前に立つ入団希望者たち。
「よく来たな。三下どもぉ」
 居並ぶレイダーの中から一人の男が出てきた。入団希望者を『三下』呼ばわりしているが、その男のほうがよほど三下じみている。実際、組織内の底辺にいる雑兵なのだろう。これがフィクションなら、役名は『戦闘員C』といったところ。
「さあ、見せてもらおうか! 俺たちとともに戦えるだけの根性を! ハルトリーゲルに魂と燃料を捧げる覚悟を!」
 男の顔は歓喜に歪んでいる。喜ぶのも当然。新たな仲間が加われば、組織内での彼のポジションはもう最底辺ではなくなる。『戦闘員B』になり、先達として新入りたちをいびり倒すことができる。
 ただし、それは新入りが彼と同レベルの三下だった場合の話だ。
 目の前にいる入団希望者たちは決して三下ではない。
 猟兵なのだから。
 
阿紫花・スミコ
まったく、何が悲しくてこのヒャッハー共の仲間にならないといけないのか。まあ、仕事だからな・・・せいぜい楽しくやろうか。

「スミコであります!」(わざとらしい敬語)
「自分は銃が得意であります!」

「YEAHHHHH!」

ノリノリで叫び、ガンハイダー(光学迷彩ガンベルト)の迷彩を解除すると、黄金に光り輝くリボルバー「精霊銃アヴェンジングフレーム」を引き抜く。腰だめに構え、右手で引き金を引きつつ、左手で撃鉄を高速に弾いた。

ファニングショット!

戦闘員C先輩の顔面スレスレを狙って6発の弾丸を放つ!

「まだやります?・・・先輩。」

ニヤニヤしながら、弾倉に入った薬きょうを地面に落とし、新しい弾丸を込めるスミコ。


ニトロ・トリニィ
アドリブ・協力歓迎です!

POWを選択

なるほどね… 狂気には狂気って事か。
クレイジーなキャラを演じる必要があるね…
僕に出来るだろうか?
いや!俳優になれ、ニトロ!
これも世界を救う為だ!

行動
後で戦う事になるけど… 今は人に被害が出ない様に注意しながら、愛車であるメルカバMk.Ⅴ-FXでド派手に暴れまわろうかな!
AIに運転を任せて、僕は戦車の上で笑いながら軽機関銃【rosé】を乱射だ!
もちろん周りの人に当てない様に〈念動力〉で弾道を調整しながらね!

アハハァ!どうだぁ!僕… 俺の戦車も結構凄… イカしてんだろぉ?
行くぜぇ!ヒャッハァ!

うーん、ヤバい奴を履き違えている気がするけど…
まぁ、何とかなるさ!



●ハージィ・ザ・ブローの人生最悪の日 1
「俺の名はハージィ! ハージィ・ザ・ブローだ!」
 誰かに訊かれたわけでもないのに、三下の戦闘員Cが自分の名を叫んだ。胸を張り、肩をそびやかせて。
「ブロー(強打)という二つ名で察しがつくと思うが、拳闘の腕はプロ並みだぜぇ。てめえらが入団した暁にゃあ、この鉄拳でビシビシ教育してやっから、ありがたいと思いな。もっとも、殴る時は二分か三分の力しか出さねえけどな。俺が本気で殴ったら、てめえらなんぞは間違いなく即死しちまうからよぉ」
 何人かの入団希望者は顔を伏せ、肩を小刻みに揺らしている。戦闘員Cことハージィの言葉に恐怖しているのではない。必死に笑いをこらえているのだ。
 そうとも知らずに入団希望者を見回すハージィ。
「さあて、誰に初っ端を飾ってもらおうか……よし、てめえだ」
 目をつけた相手は、ゴーグルを首にかけた短髪の少女。
 ガジェッティアにして人形遣いのスミコである。
「てめえの根性と覚悟ってやつを見せてもら……ん?」
 ハージィは言葉を切り、四方を見回した。
 どこからともなく奇妙な音が聞こえてきたのだ。
 いや、決して奇妙ではない。
 ハージィも他の団員もそれを聞き慣れている。
 キャタピラが地を削る音。
 そして、その音の発生源が大きな岩の陰から現れた。

●阿紫花・スミコ(ガジェットガール・f02237)
 荒野の試験場にいきなり乱入してきたのは……なんと、一台の戦車!
 だけど、団員たちが崇めているハルトリーゲルとやらとは別物みたい。そう思ったのは勘とかじゃなくて、ちゃんと根拠があるんだよ。三つもね。
 一つ。JJは『ハルトリーゲルには何本もの大砲がついてる』みたいなことを言ってたけど、乱入してきた戦車の大砲は一本だけだから。
 二つ。戦車の砲塔の上で黒服のお兄さんが片膝をついているけど、その人はボクらと同じく猟兵だから。名前はニトロ。種族はブラックタール(黒服と言ったけども、よく見ると、体の表面を服の形にしているだけみたい)。
 そして、三つめは――
「んぎょわぁぁぁぁぁーっ!?」
 ――戦闘員Cくらいのポジション(この試験が終わる頃にはZにまで降格してるかもねー)のハージィ・ナントカってのが腰を抜かさんばかりに驚いているから。
 それに他の団員たちもどよめいている。ハルトリーゲルを見慣れているからといって、未知の戦車に冷静に対応できるわけじゃないみたいだね。
「あはははははははっ!」
 ニトロってば、めちゃくちゃ悪い顔をして笑ってるよ。その間も戦車はキャタピラの音をキュラキュラと立てて走り続けている。ニトロの仲間が中で操縦してるのかな? それとも、自動操縦の類? 実は幻覚とかいうオチ? 意外と戦車型の生命体だったりして。まあ、なんにせよ、凄い迫力。
「どうだぁ! ぼ……俺の相棒は!」
 ニトロが叫んだ。『僕』と言いかけて、あわてて『俺』に訂正してるし。きっと、アブないキャラを演じるのに慣れてないんだね。てゆーか、慣れてる人なんて、そうそういないだろうけど。
「結構、すご……イカしてんだろぉ!?」
 今度は『すごい』を『イカしてる』に訂正。幸いなことにハージィたちは気付いてないみたい。
 やがて、戦車は停止した。砲口を団員たちに突きつける形で。
 同時にニトロが立ち上がり――
「いくぜぇ! ヒャッハァーッ!」
 ――腰だめに構えた軽機関銃を連射した。
 ダダダダダっと銃声が響き、団員たちが一斉に地面に突っ伏し、そこかしこで細い土煙が上がる。血と肉片が飛び散る阿鼻叫喚の地獄絵図みたいなことになってもおかしくない状況だけど、弾丸を食らった団員は一人もいない。たぶん、ニトロはわざと狙いを外してるね。
「わ、判った! もう判った! やめろ! いや、やめてくださーい! 合格ですぅ! 合格ぅーっ!」
 他の団員と同じように地面に伏せていたハージィが悲鳴じみた声をあげた。
 それを聞いて、ニトロはすぐに銃撃を中断……すると思ったら、大間違い。撃って撃って撃ち続けた。
「ヒャッハァーッ!」
 弾帯一本分の弾丸をばら撒き終えて、先程と同じ雄叫びをあげるニトロ。なんだか楽しそうだね。
 よし。ボクもせいぜい楽しむとするか。

●ニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)
 ふぅー。
 これも世界を救うため……と、自分に言い聞かせて、クレイジーなキャラをなんとか演じ切ることができた。
 でも、敵を騙せたのはいいけれど、仲間の猟兵たちにまでクレイジーな奴だと見做されたかもしれないな。任務が終わったら、しっかり誤解をといておこう。うん。
 メルカバMk.V-FX(僕の戦車の名だ)の砲塔に僕は腰をおろした。ここで他の人たちの入団試験を見物させてもらおう。
「よーし! 次は誰だ!」
 ハージィとかいう団員(名前は知ってる。メルカバで乗り込む前、名乗っている声が聞こえたから)が大声を張り上げた。偉そうに振る舞ってるけど、僕が機関銃を乱射していた時は半泣きになって『やめてくださーい』とか叫んでたよね?
「自分に挑戦させてください!」
 と、挙手したのはスミコだ。
「ああ。そういえば、てめえを一番に指名したんだっけな」
 ハージィがスミコをぎろりと睨む。
「てめえ、名前はなんてんだ?」
「スミコであります!」
 良い返事だ。でも、なぜだろう? 一応は敬語を使ってるのに、敬意が微塵も感じられない。
「よーし、スミコ。てめえはなにができる?」
「自分は銃が得意であります!」
「銃だとぉぉぉ? ふざけんじゃねえぞ!」
 眉間に皺を寄せ、顔を斜めにして(どうして、世のチンピラどもは他者を威嚇する時に顔を傾けるんだろう?)、ハージィが怒鳴った。からかわれたと思ったんだろう。見たところ、スミコは銃を携えていないから。
「銃なんざ、どこにもねえじゃね……うぇぇぇ!?」
 ハージィの怒声が驚声に変わった。
 スミコの腰にガンベルトがいきなり出現したんだ。まるで魔法のように。
 ただのベルトじゃなくてガンベルトだから、ホルスターが付いているし、そのホルスターの中には銃が収まっている。黄金に輝くリボルバー。
 スミコはそれを右手で抜いた。目に止まらぬスピードで。
「YEAHHHHH!」
 スミコの叫びに重なったのは六発分の銃声。六発分といっても、銃声と銃声の間隔はとても短かった。右手の指で銃のトリガーを引き続け、左手の掌でハンマーを撫でるように叩いて連射したから。所謂、ファニングだね。
「……!?」
 ハージィは驚声を発した時の表情のまま、硬直して立ち尽くしている。六発の銃弾は彼の顔に向かって放たれ、耳や鬢を掠めて通過したんだ。僕が団員めがけて軽機関銃を撃った時は念動力を使って狙いを外したんだけど、スミコは純然たる射撃の技術を駆使して、スレスレのところを狙ったみたい。
「まだやりますか、先輩?」
 ニヤニヤと笑いながら、スミコはリボルバーのシリンダーをスイングアウトした。
 六つの空薬莢が地面に落ち、軽やかな音を立てる。
 その音が消えると、ハージィがようやく言葉を発した。
「……け、結構です」
 敬語に変わってる。
 だけど、スミコのそれと違って、敬意が感じられるね。
 いや、敬意じゃなくて恐怖かな?
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マディソン・マクナマス
【POW使用】

暴走宇宙ハーレーの排気音を響かせながら、慣性ドリフトで面接会場に乱入する

悪いな、遅刻した。何か問題あるかい?

無感情に、表情一つ変えずに言い捨て、レイダー達の目の前でスマートドラッグを数瓶立て続けに【ドーピング】。そのまま無言でトリップしながら自分の番を待つ
自分の番が来たら、戦闘員Cが口を開く前に【先制攻撃】で質問

あんたの後ろにいる下っ端共は使い捨てかい? 

返事を聞く前に【早業】で10mmサブマシンガンを取りだしレイダーを数人射殺。硝煙を上げる銃を構えたまま、戦闘員Cの方も見ずに言う

こいつが俺のプレゼンテーションだ
……つまらねぇ文句は無しだ先輩、この死体共以上の働きはするぜ


ノーラ・カッツェ
…活気があって楽しそうな場所ね。
あ、そういえば試験だったわね。私は乗り物は乗れないのだけれど…。代わりにあなた達の持ってる乗り物と同じかそれ以上の速度で走れたなら見込みありって認めてもらえる?

とりあえずサクッと自分のお腹を細剣で刺して準備を済ませたらあとは適当に面接官とレースでもなんでもいいから自慢のスピードをアピールさせてもらおうかな。
あとは…そうね。
確実に採用されるために…『殺気』を解放しながら挑発もしておこうかしら。
…必要があるのなら戦う力も見せるけど、誰が生贄になってくれる?

これだけアピールしたらヤバイ人認定もらえるかな?
ついでに生贄は私の生命力的に本当にもらえるとありがたいのだけど。


駒鳥・了
【SPD】
YEAHHH!
オレちゃんことアキ、バイクで参上!
鬼イケてる戦車ちゃんに会えるのはココかなッ?
今、テールスライドしすぎて何かふっ飛ばした気がするけど
まっいっか!
簡単に飛ぶよーな根性無しはイラナイんだよね?

で、先輩たちぶっちぎればいーワケ?
オッケーカモン!
何人たりともオレちゃんの前を走らせない!
だってホラ、相手の車輪にナイフ投げて込めば大体止まるし
何ならレーザーでタイヤ焼けばいいし
クラッシュされてもコブを飛ぶ要領でジャンプして躱す!
まーその際に相手とか車両とかを踏みつけてるワケだけど
邪魔されたら蹴飛ばしとこ

あっれー戦闘要素要らなかった?
まーオレちゃん一人で百人力だからいいっしょ!(ぶいっ


アレクサンドラ・ルイス
ゴツいロケットランチャーを背負って
ゴツいオフロードバイクに跨り
いかついタイヤで砂塵を豪快に巻き上げながら
入団試験の会場に乗りつける
なんならド派手にジャンプしてもいい
もちろんお行儀よく乗り降りなんかしない
三下どもの2、3人撥ね飛ばすくらいがちょうどいい

「入団試験とかいうのは、ここでやってんのか?」
いかにもワルそうなサングラス越しに連中を睨みつける
ただし、むやみやたらにガチャガチャした装飾は身に着けない
自分に自信がない奴に限って無駄に着飾るものだ

ロケットランチャーで自分のバイクを躊躇なく吹き飛ばし
こう宣言する

「ハルトリーゲル、無敗の女帝
彼女の美しさ、神々しい咆哮に比べれば
バイクなんざ仔猫のクソだ」



●ハージィ・ザ・ブローの人生最悪の日 2
「お二人とも、たいしたもんですなぁ! いや、実を言いますとね。俺はあなたがたを一目見た時から確信したんですよ。絶対、只者じゃないって!」
 戦車に乗ったブラックタールと拳銃を持った少女に追従笑いを見せているのは戦闘員Cことハージィ・ザ・ブロー。
 しかし、他の入団希望者に振り返った瞬間、表情は一変した。
「それに比べて、てめえらはなんだぁ? どいつもこいつもパッとしねえな、まったくよぉ。とくにそこの場違い極まりない小娘!」
 ハージィが指を突きつけた相手は、確かに場違いな存在だった。ゴスロリのドレスを着て、猫のぬいぐるみを抱いた少女。名前はローラ。
「なんで、てめえみたいなのがここにいるんだよぉ?」
「もちろん、入団試験を受けるためよ」
 臆することなく、ノーラは答えた。
 どこか超然としたその態度に少しばかり戸惑いながらも、ハージィは殊更に凶悪な人相をつくり、脅すような調子で問いかけた。
「で、その入団試験でてめえはなにを披露してくれるんだぁ?」
「そうね……スピードをアピールさせてもらおうかな」
「スピード?」
「うん。私、バイクとかには乗れないけれど、あなたたちの乗り物と同じかそれ以上の速度で走れると思う」
「ふざけんなぁ! なんにも乗ってない状態で俺らのバイクやバギーよりも速く走れるわけがな……ん?」
 ハージィは言葉を切り、四方を見回した。
 またもや、何者かの来訪を……いや、闖入を告げる不吉な音が聞こえてきたのだ。
 エンジンの爆音である。
 しかも、複数。
 そして、それらの音の発生源――三台のバイクが大きな岩の陰から現れた。

●ノーラ・カッツェ(居場所を見つけた野良猫・f17193)
「なんだよ、これ!? さっきと同じパターンじゃねえかぁーっ!」
 三台分のバイクの排気音の合奏に泣き声みたいなボーカルが加わった。
 叫んでいるのは恥だかハージィだかとかいう下っ端さん。よろけるようにして後退し、何歩目かで本当によろけて、無様に尻餅をついた。
 他の団員たちも驚き、慌てふためているわ。だって、三台のバイクはそいつらに向かって飛び込んでいったのだから。
 三台のうちの一台――ゴツゴツしたタイヤをつけた大型のオフロードバイクに至っては、比喩じゃなくて本当に飛び込んだ。派手に土煙を巻き上げてジャンプし、その放物線の終着点にいる団員たちが蜘蛛の子を散らすように逃げ出した直後、空いた場所に豪快に着地。
 後輪でバウンドしたそのバイクにまたがっているのはアレクサンドラ。ツルツルの頭をしたサイボーグのおじさんよ。濃いサングラスをかけて、大きなロケットランチャーを背負ったその雄姿はアポカリプスヘルにとてもマッチしてる。ハージィたちなんかよりもよっぽど。
 アレクサンドラはそのまま団員たちを追い立てるようにして走り回り……いえ、追い立てるどころか、何人かの団員(私の目で確認できた限りでは三人ね)撥ねたり轢いたりした後、バイクを止めた。
 そして、サングラス越しの視線をぐるりと巡らせた。
「入団試験とかいうのは、ここでやってんのか?」
 団員たちがそれに答えるよりも早く(答えられる状態の団員は一人もいなかったけど)、二台目のバイク――UDCアースのアメリカンバイクみたいな感じの宇宙バイクがドリフトで滑り込み、アレクサンドラのバイクの横で急停止した(ぶつかりそうな勢いだったにもかかわらず、アレクサンドラは微動だにしなかった)。
「悪いな。遅刻した。だが――」
 アレクサンドラと同じように宇宙バイクの上からサングラス越しの視線を巡らせたのはケットシーのマディソン。
「――なにか問題あるかい?」
 オーバサイズにも程がある(引きずられてばかりいるから、裾がボロボロになってるわ)革のコートを着た二足歩行の猫がバイクにちょこなんと跨がっている姿は『かわいかっこいい』という言葉がぴったり。でも、世界の加護が働いているから、団員たちの目には人間のおじさん(おじいさん?)の姿に見えてるかもね。
 なんにせよ、アレクサンドラの時がそうだったように、かわいかっこいいマディソンの問いに答えられるような状態の団員はいなかった。
 だって――
「YEAHHHHH! オレちゃんことアキ、バイクで参上ぉーっ!」
 ――三台目のバイクがまだ爆走中だから。

●マディソン・マクナマス(アイリッシュソルジャー・f05244)
「ひょおーっ!」
 奇声をあげて、茶色の髪の小娘がオフロードバイクを走らせてる。
 あいつは俺の旅団(なんて気の利いたもんじゃなくて、与太者の集まりに過ぎないけどな)の一員で、名前は『了』という。でも、本人が名乗ったように今は『アキ』だ。そう、多重人格者ってやつさ。
 膝で地面を抉りかねない急角度でアキはオフロードバイクをテールスライドさせた。
 その際、逃げ遅れた団員を撥ねちまったが――
「あれ? 今、なにかブッ飛ばしちゃった? まっ、いっかー!」
 ――気にしてないつうか、気付いてないみたいだな。
 とはいえ、いつまでも独壇場とはいかない。アキに追い回されてパニくっていた団員たちではあるが、そのうちの三人が自分らのバイク(隅のほうにまとめて駐められてたんだ)にようようたどり着いた。そして、それに乗って、追われる側から追う側に回った。
「いいかげんにしろよ、てめぇ!」
「調子に乗ってんじゃねえぞ!」
「ブチ殺してやらぁ!」
 しっかし、揃いも揃ってボキャブラリーが貧困だこと。
「ん?」
 アキは振り返り、バイクの三人組を見やった。
 そして、無邪気に(それでいて邪気まみれにも見えるが)笑った。
「あの先輩たちをぶっちぎればいーわけ? オッケー! カモーン!」
 おもしろくなってきやがった。じっくり観戦させてもらおうか。このスマートドラッグでも飲みながらな。こいつぁ、すげぇハッピーな気分になれるんだぜ(もちろん、合法だ)。若い頃にベルファストでしこたま飲んだポティーンほどじゃねえけどよ。
「なんぴとたりともぉ、オレちゃんの前は走らせなぁーい!」
 アキはスピードを上げ、三人組との距離を引き離した……と、思いきや、またもやテールスライドさせて急ターン。三人組に正面から突っ込んでいった。
「ビビビっと!」
「……ぐわぁっ!?」
 先頭を走っていたバイクの前輪が浮き、乗っていた団員が悲鳴をあげて吹き飛んだ。アキのバイクから発射されたレーザーを食らったんだ。
「もういっちょ!」
「うぉ!?」
 二台目の後輪が浮き、前方に半回転してクラッシュ。今度は投げナイフを食らったんだ。タイヤのところにな。
 残された最後の一台は果敢に攻め込んだが――
「オレちゃん、さいきょー! アーンド、さぁーいこぉー!」
 ――派手にブッ倒されちまった。アキがバイクをジャンプさせて、後輪を相手の顔面にぶつけたんだ。
 またターンして、三台目に乗っていた団員をわざわざ轢き殺した後、アキはようやくバイクを止めた。
「いっけなーい! ぶっちぎるつもりが、ぶっころしちゃった。まー、でも人数が少しくらい減っても問題ないっしょ。だって――」
 笑顔でVサイン。
「――オレちゃん一人で百人力だから!」

●駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)……の別人格のアキ
「いやいやいやいや! 百人力どころか千人力でさぁ! ぐへへへへ!」
 尻餅ついてガタガタ震えていた大男が笑いかけてきた。めっちゃヒクツな笑顔。正直、キモい。アンド、ウザい。
「俺はハージィ・ザ・ブローといいます。以後、お見知り置きを。ぐへへへへ!」
 見知り置かないっての。どうせ、後で殺すしー。
 まあ、なにはともあれ、オレちゃんは合格ってことだよね。よかった、よかった。さあ、次は誰が試験を受けるのかなー?
「では、改めて――」
 と、ノーラちゃんが口を開いた。
「――私の力を見せてもいいかしら?」
「ふん!」
 ハージィが立ち上がり、ノーラちゃんを鼻で笑った。強い奴にはへりくだって、弱い奴は見下すというチョー判りやすいキャラなんだね。ホント、哀れな奴。ノーラちゃんは『弱い奴』なんかじゃないのに……。
「さっき、スピードがどうこうとか言ってたなぁ? 駆けっこでもするつもりな……にょわぁぁぁーっ!?」
 ハージィ、びっくりぎょーてん。目をまん丸にして、漫画みたいに飛び上がった。
 まあ、驚くなって言うほうが無理だよね。
 ノーラちゃんが禍々しい形のレイピアを抜いて、自分のお腹にいきなり突き刺しちゃったんだから。
「ハラキリだとぉーっ!? イカれてんのか、てめぇは!」
 ハージィの表情とポーズ、ムンクの『叫び』と完全に一致。
 もちろん、ノーラちゃんはハラキリしたわけじゃないよ。あれはユーベルコードに必要なプロセスなんだ。詳しいことはよく判んないけどね。
「あら? イカれてる人材を求めていたんじゃなかったの?」
 と、ノーラちゃんは澄まし顔で言ってのけた。
 ハージィの背後で。
 そう、一瞬にして移動したの。ハージィの前にはノーラちゃんの残像がまだ立っている。
 その残像が消えた瞬間――
「これが私の高速戦闘モード」
 ――今度は十メートル以上も離れた場所にノーラちゃんが出現。ハージィの後ろにいたノーラちゃんは残像に変わってる。
 そして、十メートル先のノーラちゃんもすぐに残像に変わった。
 ハージィの正面に戻ってきたから。
「さっきも言ったけど、あなたたちのバイクや車よりも速く動けると思うわ」
「……」
 陸に上げられた魚みたいに口をパクパクさせるハージィ。合格を告げているつもりなんだろうけど、ショックのあまり、声が出なくなっちゃったみたい。
 それが判らないのか、あるいは判らない振りをしているだけなのか、ノーラちゃんはハージィに詰め寄った。
「なぜ、なにも言わないの? もしかして、スピードだけではアピール不足? だったら、戦う力も見せてあげていいわ。その代わり――」
 ゴスロリドレスに包まれた華奢な体から殺気が解放された。目に見えそうなほど……いえ、手で触れることができそうなほどに濃ゆーい殺気。
「――誰か生け贄になってくれる?」
「か、勘弁してくださぁい!」
 ようやく、ハージィの声が蘇った。
「スピードだけで充分です! 充分ですともぉーっ!」

●アレクサンドラ・ルイス(サイボーグの戦場傭兵・f05041)
 ノーラがハラキリと高速戦闘モードを披露している間に俺はバイクをゆっくりと前進させていた。
 横にいたマディソンを巻き込まないためだ。今からやろうとしているパフォーマンスはちょいと派手だからな。
 そのマディソンはといえば、ずっと無表情のまま(腹の中では、この状況を楽しんでいるんだろうが)怪しげなドリンクを呷り続けている。地面に捨てられた空き瓶の数はそろそろ十を超えそうだ。
「あン? なんのつもりだ、てめえ?」
 俺の動きにようやく気付いたらしく、ハージィとかいう三下がこちらを睨みつけてきた。他の団員がそうであるようにこのハージィも燃料タンクを背負っているんだが、それだけでは足りないのか、鋲だの鎖だので全身をデコレートしている。自分に自信がない奴に限って、こうやって無駄に着飾るんだよな。
「あちらのお嬢さんみたいにバイクの腕前を見せるつもりか?」
 アキを指さすハージィ。『お嬢さん』と来たか。
「だったら、やめときな。恥をかくだけだ。てめえがどんなに速くバイクを走らせようが、こちらのお嬢さんのスピードには勝てやしないんだからなぁ」
 今度はノーラを指さした。ここはお嬢さんだらけだな。アポカリプスヘルのレイダーの根城だというのに。
「おい! 聞いてんのかよぉ!」
 聞いちゃいないさ。
 俺はバイクから降りてスタンドを立て、自分の足で歩き始めた。
 そして、背中に回していた使い捨てのロケットランチャーを右肩にかつぎ――
「シカトしてんじゃねえぞ、こらぁ!」
 ――ハージィの怒号にタイミングを合わせるようにして振り返り、先程まで乗っていたバイクめがけて発射した。
 当然、バイクは木っ端微塵に吹き飛んだ。短いつきあいだったな。経費で落ちるといいんだが……。
「ハルトリーゲル、無敗の女帝。彼女の美しさ、神々しい咆哮に比べれば――」
 詩でも吟ずるように語りながら(正直、ちょっと恥ずかしい)俺はハージィを見据えた。
「――バイクなんざ、子猫のクソだ。そうだろう?」
「あ、あ、あ……」
 ガクガクと頭を上下に揺らしながら、呻き声を漏らすハージィ。頭の動きは首肯のつもりなんだろう。これで俺も合格かな。
「おいおい。『子猫』ってのは必要か?」
 と、酒焼けした声で難癖をつけてきたのは、ウン十年前は子猫のように愛らしかったかもしれないマディソンだ。
「ただの『クソ』でいいだろうがよ。ポリティカル・コレクトってやつを考慮しないと、ケットシーの人権団体にクレームをつけられるぞ」
「すまんな。悪気はない」
 俺はニヤリと笑い、ロケットランチャーを投げ捨てた。
 マディソンも初めてニヤリと笑い、十何本目かの空き瓶を投げ捨てた。
「さて、次は俺の番か」
 大きな宇宙バイクから飛び降り、コートの裾をずるずると引きずりながら、ハージィに向かって歩いていく。
 ハージィは我に返り、なにか言いかけた……が、マディソンのほうが先に口を開いた。
「あんたの後ろにいる下っ端どもは使い捨てか?」
 ハージィの返答を待たずにマディソンは足を止め、コートの中からサブマシンガンを素早く取り出した。
 小気味よい連射音。
 重いものが地に倒れる音がそれに続く。
「こいつが俺のプレゼンテーションだ」
 硝煙を漂わせるサブマシンガンを手にしたまま、コート姿のケットシーはそう言った。
「あ、あ、あ……」
 我に返ったはずのハージィがまた『あ、あ、あ』を吐き出し始めた。
 ショックを受けるのも当然だ。マディソンのプレゼンテーションとやらで地に倒れた『重いもの』ってのは、ハージィの後ろでことの成り行きを見守っていた団員なんだから。しかも、一人じゃない。五人だ。
「つまらねぇ文句はなしだ、先輩。俺ァ、あいつら以上の――」
 五人の死体に向かって、マディソンは顎をしゃくってみせた。
「――働きはするぜ」
 もちろん、ハージィは文句など言わなかった。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鞍馬・景正
やばい奴と思わせよ……。
なるほど、精一杯に武威を示しましょう。

◆試験
入団志望者、鞍馬です。
私の取り柄は多少剣が使える事のみ。

是非それを披露したく思いますので、骸を少し融通して頂きたく。
ここですっぱり三つ胴くらい……と思っておりましたが、もし屍が無いと言われれば困ってしまいますな。

これが江戸ならもっと融通がきくのですが、まさか世紀末とやらは江戸より治安が良い……?
いきなり知人二人が殺し合い始めたら、とりあえずどっちも斬っておかねば後から臆病者扱いで切腹とかさせられる事も無い……?

仕方ない、近くにいるレイダー殿を【怪力】で捕まえ、贄になって貰いましょう。

これもすべては入団が為、御免!


ビッグ・サン
いや~どうもどうも
私はビッグと言います
どうぞよろしく

軽い感じであいさつをするビッグ
今回は新しく作った薬の実験が目的できたようだ

このたびレイダーの仲間に入れてもらいたいと思い、お土産を用意してきました

じゃーん♪
と口で言うと、ビッグはガラスの瓶をずらりとレイダーたちの前に置く


この薬を飲めば、全身の不調は解消され、さらに筋肉ムキムキのマッチョマンになれるという素晴らしいものです

ぜひともレイダーの皆さんで飲んでください
で、よければ私を仲間に加えてくださいな


そんなわけで、レイダーを新薬の実験に使おうと思っているようだ


それにしても見知ったクレイジーな人が多いですね
退治するときになったら協力しますかね~


マリス・ステラ
華乃音(f03169)の側に

「ハルトリーゲル。ロマンティックな名前です」

異国の言葉でハナミズキを指します
その花言葉は"私の想いを受け取ってください"
120ミリの想いとは過激ですねとアルカイックスマイル

浮世離れした『存在感』を発揮しながらワクワクしています
華乃音も"ヤバい奴"のフリを忘れずに

「俺はうつくしい化物。人倫を介さないが戦車道は知っている……」

華乃音の真似です
うっすらとした微笑みは冷たく艶めいて

私自身はというと、

「ジーク・ハルトリーゲル!」

叫んで拳を振り上げ、

「アングリフ! アングリフ!」

足を踏み鳴らす
ジークは万歳、アングリフは攻撃や突撃を意味します

「フォイアー!」

撃て!
号令は浪漫です


緋翠・華乃音
マリス・ステラ(f03202)と共に


「……あ、ごめん俺帰るから。あと宜しく」

"共に" ではなかった。
ノリを肌で感じた瞬間にUターン。
けれどマリスにマフラーを後ろから捕まれて仕方なく参加。

戦車道って何?
誰だか知らない人の真似をしているマリスに半眼を向けた。

常のまま静謐に黙していると何人かのレイダーに絡まれる。
――だからまずそいつらを殺した。

いや、殺したが死んではいない。

ユーベルコード"華散"
胸に非穿孔の衝撃を当てる事によって心臓震盪からの心停止を誘発。
手加減したので数分で蘇生するだろう。多分。

「俺は殺す相手を選ばない」

人をゴミのように殺すようなヤバい奴アピール。
――演技では、無い。



●ハージィ・ザ・ブローの人生最悪の日 3
「なんてこった……まさか、死人が出るとは……」
 地面に並べられた十体ほどの死骸を前にして、戦闘員Cことハージィ・ザ・ブローは恐怖に体を震わせていた。
「なんで、あんなにヤバい奴らが……いや、ヤバいかたがたが集まってきたんだよぉ?」
 新たな合格者たち――バイクに乗って乱入した三人とハラキリした少女にハージィは見やった。
 しかし、すぐに視線を逸らした。下手に目を合わせたら、殺されるかもしれない
「いくらなんでも、ヤバいのはもう打ち止めだろう。残りの連中は取るに足らねえザコだ。ああ、そうさ。そうに決まってる」
 小声で自分に言い聞かせながら、『残りの連中』に向き直る。
 その数は四人。
 和服姿の男女。男のほうは羅刹のようだ。
 銀髪の青年。どうやら、ダンピールらしい。
 そして、空飛ぶぬいぐるみ。意味が判らない。
「……絶対、ザコだ」
 もう一度、ハージィは自分に言い聞かせた。
 込み上げてくる絶望の予感を必死に抑え込みながら。

●緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)
「いやー、どーもどーも」
 と、小さなぬいぐるみが軽い調子でハージィに挨拶した。
 もちろん、本物のぬいぐるみじゃない。ビッグという名のこの男(?)は、着ぐるみを纏ったフェアリーに装着されたヒーローマスクなんだ。わけが判らないって? 俺だって判らないさ。
「入団志望者、鞍馬です」
 空中でぺこりと頭を下げたビッグに続いて、景正が名乗った。着物を纏った羅刹の剣士。アポカリプスヘルでは浮いて見えるけど、ビッグみたいに常識の埒外にいる存在じゃない(世界の加護が作用しているから、ハージィたちも違和感は覚えていないはずだ)。
「取り柄といえば、少しばかり剣が使えること……それのみです」
 しかも、奥ゆかしい。だけど、こういう常識人は今回の任務に向いていないんじゃないかな。
「というわけで、骸を少し融通して頂きたく」
 前言撤回。常識人じゃなかったようだ。
「いや、なにが『というわけで』だよ! 死体なんか使って、なにをするつもりだぁ!?」
 ハージィが怒鳴った。逃げるように後退りしながら。
 景正は表情を変えず、ずいと詰め寄る。
「私の剣の腕を見ていただくため、三ツ胴でも……と、思った次第です。あちらに並べれている骸を使わせていただけませんかな」
「仲間の死体で試し斬りをするつもりかよぉ!?」
「なにか問題でも?」
 首をかしげる景正。これが普段通りの言動なのか、それともヤバい奴を演じているだけなのか……俺にはもう判らない。
「これが江戸なら、死体の扱いはもっと融通がきくのですがね」
 首をかしげたまま、景正は独白した。
 ハージィは顔面蒼白になっている。『江戸』という言葉は知らないだろうけど、それが景正の生地であることは察しがついたんだろう。
 それに景正が危険極まりない男だということも。
「四ツ胴や五ツ胴ができなくてもいいじゃないですか」
 と、景正に優しい声をかけたのはマリス。和服を纏った金髪碧眼のヤドリガミだ。
「いや、景正は四ツ胴や五ツ胴とまでは言ってないぞ。胴切りにする死体の数を勝手に増やすよ」
 小声で指摘する俺を無視して、マリスはハージィに笑顔を見せた。謎めいたアルカイックスマイル。
「武技を披露しなくても、ハルトリーゲルに対する深い愛を語れば、団員の皆様も私たちを受け入れてくれるはずです」
『私たち』の中には俺も入ってるのかな。
 帰りたくなってきた……。

●ビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)
 さあ、楽しくなってまいりましたー。
 しかし、華乃音くんはあまり楽しくないようですね。マリスさんのノリについていけないのか、くるりと背を向けてしまいましたよ。
「ごめん。俺、帰る。あとよろしく」
 すたこらさっさと逃げ出す華乃音くん。ところが、『すたこたさっさ』の『すた』くらいで足が止まりました。マリスさんを放っておくことなど、できるはずもないから……というわけではなく、マリスさんのほうが放っておかなかったんです。華乃音くんの白いマフラーの端をむんずと掴んでいますよ。
「……」
 華乃音くん、逃亡を諦めたようです。溜息をついて、マリスさんの横に並びました。
「ハルトリーゲル。なんと、ロマンチックな名前でしょう」
 斜め四十五度を見上げて、モノローグを紡ぎ出すマリスさん。思わずスポットライトを当てたくなりますね。
「それは異国の言葉で『ハナミズキ』を意味します。花言葉は『私の想いを受け取ってください』。百二十ミリの想いとは過激ですね」
 過激ですねー。
「俺は美しい化物。人倫は顧みないが、戦車道は知っている……」
 お? マリスさんが声音を変えましたよ。誰かの物真似でしょうか?
「戦車道って、なんだ? というか、それは誰の真似だ?」
「もちろん、あなたですよ」
 半眼で睨む景正さんにそう答えた後、マリスさんはいきなり声を張り上げました。
「ジーク・ハルトリーゲル!」
 拳を振り上げてます。
「アングリフ! アングリフ!」
 足を踏み鳴らしてます。
「フォイアー!」
 と、一際大きな声で叫ぶと――
「フォイアァァァーッ!」
 ――ハージィさんや他の団員たちも一斉に叫びました。『聞こえるか! ナントカエンジンのカントカが!』とかいうやり取りをしていた人たちですから、こういうノリは大好きなんでしょうね。
 叫びを返した彼らに向かって、マリスさんはにっこり笑いました。冷たくも神秘的な笑みです。
「号令は浪漫ですね」
 そうですね。浪漫ですね。
 一方、華乃音くんは――
「……」
 ――そっぽを向いて、他人の振りをしていますよ。

●鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)
『フォイアー!』(異国の言葉で『炎』もしくは『撃て!』という意味だそうです)の唱和が終わりました。
 しかし、場が静かになったわけではありません。
 ハージィ殿が怒鳴り始めましたから。
「おい、こら! てめえ、ノリが悪すぎるぞ! なんで、一緒に叫ばねえんだよぉ!」
 責められているのは華乃音殿です。『フォイアー!』の唱和に参加していなかったのは彼だけではありません(かく言う私も叫んでいません)が、唱和を促したマリス殿の横にいたので、『ノリが悪すぎる』なる態度が目立ってしまったようですね。
「なんとか言えやぁ!」
「……」
 ハージィ殿が顔を寄せて吠えても、華乃音殿は無言。そうなると、ハージィ殿の怒りは増すばかり。
「この野郎! なめやがっ……てゅわっ!?」
 ハージィ殿がいきなり頽れ、地に倒れ伏しました。
 団員たちがどよめいています。彼らには見えなかったようですが、私の目は捉えました。華乃音殿が手を素早く動かし、ハージィ殿の胸を軽く打ったところを。きっと、あの一連の動きはユーベルコードだったのでしょう。
「おやおや。殺してしまったのですか?」
「ああ、殺した。しかし――」
 こともなげにビッグ殿が尋ねると、華乃音殿もこともなげに答えました。
 そして、奇妙な言葉を付け加えました。
「――死んではいない」
「はて? どういう意味ですか?」
「胸に衝撃を与えて心臓震盪からの心停止を誘発したんだが……手加減したから、数分で蘇生するだろう。多分な」
 その言葉の通り、暫くするとハージィ殿は息を吹き返し、よろよろと立ち上がりました。苦しげに咳き込みながら。
「……けほっ! けほっ!……」
 しかし、華乃音殿にじっと凝視されていることに気付くと――
「さーせんしたっ!」
 ――すぐにまた地に這い蹲りました。土下座という形で。この変わり身の早さと節操のなさはユーベルコードに匹敵するかもしれませんね。
 そんな彼を氷のように冷たい目で見下ろして、華乃音殿は静かに呟きました。
「……俺は殺す相手を選ばない」
「ぎょ、ぎょ、ぎょうきゃっくじゅえっす!」
 言葉になってない言葉を発して(たぶん、『合格です』と言ったつもりなのでしょう)、ハージィ殿は頭を地面にすり付けました。
 それにしても、華乃音殿はたいしたものですな。剣呑な輩を見事に演じていますよ。
 いや、もしかしたら……演技ではないのかも?

●マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)
「私、皆さんのためにお土産を用意してまいりましたよー」
 次に自分を売り込み始めたのは、ぬいぐるみ(の中のフェアリーがつけてるヒーローマスク)のビッグ。
「じゃーん!」
 と、口で言いながら、ガラスの瓶を地面に並べていきます。
「華乃音くんの殺人術はとても素晴らしいものでしたが、私の活人術も負けていませんよ」
「活人術?」
 私が思わず聞き返すと、ビッグはぬいぐるみのぽっこりしたお腹を突き出しました。たぶん、胸を張ったつもりなのでしょう。
「そうです。この瓶の中の薬を飲めば、全身の不調は解消され、更に筋肉ムキムキのマッチョマンになれるのです」
 ……本当でしょうか?
「さあ、皆さんで飲んでください! で、よければ、私を仲間に加えてくださいな」
 当然のことながら、団員たちはビッグの薬にいきなり飛びついたりしませんでした。いくつかのグループに分かれて、ひそひそと小声で協議しています。
 数分後、三人の団員がこちらに近寄り、当惑の表情を見せながらも、瓶を手に取りました。
「どうぞ!」
 と、ビッグが再び促すと、三人は瓶の中身を一気に呷りました。なぜ、こんな怪しげなものを平気で飲めるのでしょう? 臆していると思われるのが嫌なのでしょうか?
「うぉー!?」
「すげぇー!」
「力が漲るぜぇーっ!」
 薬を飲み終えた瞬間、団員たちは口々に叫びました。即効性だったようですね。そして、効果は錯覚ではないようです。一目で判るほど、彼らの肉体が屈強になっていますから。
「はっはっはっ! どんなもんですか!」
 またもや、ぽっこりおなかを……いえ、胸を張るビッグ。
「すげえ! あんた、天才だよ! 俺が見込んだ通りだ!」
 ハージィが感動しています。絶対になにも見込んでいなかったと思いますが。
 まあ、とにかく、これで全員が合格……ではなかったですね。まだ一人だけ残っています。
 その『一人』であるところの景正が――
「では、今度こそ、私の剣技をお見せしましょう」
 ――腰からサムライブレイドを抜きました。
「おいおい。どうしても死体を斬るつもりか?」
「いいえ」
 げんなりとした顔で尋ねるハージィの横を通り過ぎる景正。どうやら、薬で強化されたあの三人に近付いているようです。
「三ツ胴はやめて、変則的な生き胴を試してみたいと思います」
「イキドウ?」
 と、三人のうちの一人が復唱しました。
 それが彼の最期の言葉。
 次の瞬間、景正に首を刎ねられましたから。
「これもすべては――」
 残った二人の間を景正は駆け抜けました。
 舞うように、流れるように。
「――入団が為。御免!」
 景正が立ち止まると同時に二人の団員は地面に落ちました。そう、倒れたのではなく、落ちたのです。上半身だけが。
 下半身はまだ立っています。赤黒い断面を天に向けて。
「江戸の街では、二人の知人が殺し合いを始めたら、『とりあえず、どちらも斬る』というのが定石です。そうしないと、後で臆病者扱いされ、切腹させられるかもしれませんから」
 虚とも実ともつかないことを語りながら、景正はサムライブレイドの血糊を払い、鞘に戻しました。
「そのような世界で生きてきたというだけで、充分に入団の資格があると思うのですが……どうでしょう、ハージィ殿?」
 ハージィはなにも答えませんでした。
 いえ、答えられませんでした。
 気絶していましたから。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『レイダー・フュエルスピッター』

POW   :    フュエルバースト
自身の【持つ燃料タンク1つ】を代償に、【タンクを投げつけ膨大な爆発力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって持つ燃料タンク1つを失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    フュエルイグニッション
【ノズルから発射した燃料】が命中した対象を燃やす。放たれた【燃料は外れても地形に残留、衝撃で発火。】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
WIZ   :    スティッキーフュエル
【ノズル】から【可燃性を失った代わり粘性を高めた燃料】を放ち、【対象の身体に絡みつかせること】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:麻風

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

※ 第2章のプレイング募集開始は14日(火曜日)の朝8:30です。それ以前に届いたプレイングは流してしまう可能性が高いです。



●幕間
「南のほうに虫ケラどもの拠点がありましてね。明日、皆さんの歓迎会を兼ねたパーティーをそこで開くことになりました」
 小高い崖の上で戦闘員Cことハージィ・ザ・ブローが発煙筒を並べていた。
 その後ろにいるのは、入団を認められたニューカマーたち。彼らや彼女らを先輩のハージィが教育し、指導している……というシチュエーションのはずなのだが、ハージィのほうが敬語を使っている。入団試験で思い知ったからだ。ニューカマーたちの恐ろしさを。
「大規模な拠点じゃないんで、パーティーもこぢんまりした感じのものになると思いますが……まあ、皆さんには優先的に獲物を回しますから、好きなだけブッ殺してくださいよぉ」
 どうやら、拠点を襲撃することを『パーティー』と呼んでいるらしい。
「パーティーを開くからには、ハルトリーゲルを呼ばなくちゃいけませんよね」
 地面に並べられた発煙筒からカラフルな煙が次々と噴き上がっていく。
「こうやって七色の発煙筒を焚けば、だいたい半日後にハルトリーゲルがやってくるんですよ。俺らはこの合図を『バビロンの城門』と呼んでます。由来は知りませんが、なんかカッコいいでしょ?」
 ハルトリーゲルは視覚的なもので発煙筒の合図を察知しているわけではないだろう(移動に半日もかかる距離から発煙筒が視認できるとは思えない)。パーティーを前にして興奮する団員たちの邪悪な思念をキャッチしているのかもしれない。
 なんにせよ、猟兵たちにとって、ハルトリーゲルが即座に現れないのはありがたいことだった。
 たっぷり時間をかけて、団員たちを始末できるのだから。

 猟兵たちは崖の縁まで移動した。
 眼下に見えるは、団員たちのキャンプ地。
 夕闇が迫る中、ある者は武器やバイクの手入れをして、ある者は焚き火の前で食事をかきこみ、ある者は明日に備えて早々にテントに入っていく。
 彼らのうち、誰一人として知らないだろう。
 今夜、この地で、猟兵たちの『パーティー』が開かれることを。
「あー! はやく明日にならねえかなぁ! ヒャッハー!」
 昏い空にのぼっていく煙を見上げて、ハージィが楽しそうに叫んだ。
 
マリス・ステラ
華乃音(f03169)の側に

「華乃音たちが脅かすからハージィが怯えています」

主よ、憐れみたまえと『祈り』を捧げる
全身に輝きを纏いながら、

「私は友人になれるかもしれないと思いました」

共に叫び、足を踏み鳴らしたことは思い出です
しかし、オブリビオンは骸の海に還さなくてはなりません

「灰は灰に、塵は塵に」

【光をもたらす者】を使用

蝶の姿をした星霊達が羽ばたく

弓で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
せい達も光線を『一斉発射』
それは光の奔流となって降り注ぐ

「華乃音、この場に相応しい台詞があります」

厳かに告げて彼を見つめる
その台詞は──

「汚物は消毒だ、です。さあ一緒に叫びましょう」

恥ずかしがらなくても良いのですよ?


緋翠・華乃音
マリス・ステラ(f03202)と共に


「……こういう奴らは嫌いじゃないんだけどな」

俺は猟兵で彼等はオブリビオン。
依頼されている以上、殺し合う理由はそれだけで充分だ。

「さて……燃やすか」

どうやら彼等は複数の燃料タンクを携行している様子。
だったらそれを武器として使われる前に自滅して貰った方が良いよな。

崖上から "星焰の柩" を発動し、瑠璃の蝶の群れを呼応。
キャンプ地へ飛ばして放火。
燃料には事欠かないから良く燃えるだろう。

「――be burnt to ashes.」

混乱の渦に陥ったら崖上から狙撃銃を構えて戦闘開始。
居ないとは思うが猟兵との戦闘から逃げ出そうとする個体から優先的にヘッドショトを喰らわす。


ニトロ・トリニィ
アドリブ歓迎です!

おぉー、油断してるねー。
今からあそこがパーティーされる訳だね。
フフ… あいつらをどうしてやろうか?
考えるだけで楽しみだよ。

行動
僕は《複製武器ノ召喚》で軽機関銃【rosé】を増やし、圧倒的な弾幕であいつらと戦うよ!
味方には〈援護射撃〉で行動を支援しつつ、〈念動力〉で弾道を調整した〈制圧射撃〉で熱々の銃弾をプレゼントしてやろう!
遮蔽物に隠れても撃ち抜いてあげるさ!

この弾幕を潜り抜けて来た敵には敬意を表して、UCを受けてあげようか。
多分大丈夫さ!
僕はブレイズキャリバーだし、〈火炎耐性/激痛耐性〉も持っているからね。

UC製とは言え… 燃料で焼き殺されるほど柔じゃ無いんだよねぇ!


鞍馬・景正
知らぬ事とは言え、まったく緊張感のないもの。
桶狭間で酒宴に耽っている今川勢を捉えた織田軍なども、斯様な気持ちだったのかも知れませぬな。

とまれ、後は予定通りに。

◆戦闘
崖から飛び越えて着地次第、近くにいるレイダー殿の首を【羅刹の太刀】で刈らせて頂きます。

奇襲から立ち直る隙を与えぬまま、【早業】の斬撃を繰り出し、纏まっていれば【衝撃波】で一人でも多くを薙ぎ払い、【蹂躙】させて頂きましょう。

誓って裏切りではなく、元々こうする予定でしたので悪しからず。

日が暮れて視界が悪くなるようなら【暗視】の術で周囲を観察。
燃料タンクを投げつけようとしている者の動きを【見切り】、回避して直撃は避けましょう。



●ハージィ・ザ・ブローの人生最期の日 1
「あー! はやく明日にならねえかなぁ! ヒャッハー!」
 遠足の前日の小学生のごとくはしゃいでいたハージィであったが――
「……え!?」
 ――ニューカマーたちに目を向けた瞬間、顔を強張らせた。
 いつの間にか、彼らや彼女らが不穏な空気を発していたからだ。
「フフフ……あいつらをどうしてやろうか?」
 キャンプ地を見下ろしながら、ブラックタールのニトロが軽機関銃に弾帯をセットした。
「考えるだけで楽しくなってくるよ」
「いや、『あいつら』って誰のことですか!?」
 そう問いかけるハージィを無視して、ニトロは仲間たちに声をかけた。
「準備はいいかい?」
「はい」
 景正が頷き、サムライブレイドを抜いた。
「……」
 華乃音は無言。武器は手にしていないが、全身から殺気が放射されている。
「華乃音たちが脅かすかものだから、ハージィが怯えてるじゃないですか」
 マリスが微笑を浮かべ、他の猟兵たちを窘めた。その優しい微笑もまたハージィに恐怖を植え付けたが。
「主よ、憐れみたまえ」
 笑みを浮かべた口から祈りの言葉が漏れると、オーラの輝きがマリスの体を包み込んだ。

●マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)
「ああいう奴らは嫌いじゃないんだけどな」
「はい」
 華乃音の言葉に私は頷きました。並んでキャンプ地を見下ろしながら。
「違う状況なら、いい友人になれたかもしれませんね」
 ともに叫び、足を踏み鳴らしたことは楽しい思い出です。アングリフ! アングリフ! 叫び讃えている対象がオブリビオンでなかったら、そして、彼らがまっとうな人間だったなら、もっと楽しい思い出になっていたでしょうね。
「しかし、『違う状況』など望むべくもないのですから、私たちがやるべきことは一つ……そう、彼らを骸の海に還すこと」
「ああ」
 今度は華乃音のほうが頷きました。
「俺たちは猟兵で、奴らはオブリビオン。殺し合う理由はそれだけで充分だ」
「殺し合う? それはちょっと違うな」
 ブタックタールのニトロが異を唱えました。人間を模した顔が笑み崩れています。
「僕たちが一方的に殺すんだよ。あいつらが言うところの『パーティー』ってやつさ」
「では、パーティーを始めるか。まずは――」
 崖下に目を向けたまま、指をパチンと鳴らす華乃音。
「――燃やそう」
 すると、パーティーを盛り上げるためのパフォーマーの集団が現れました。
 どこから? 華乃音の頭上から。
 どうやって? 瑠璃色の羽をはためかせて。
 そう、そのパフォーマーは人間ではありませんでした。
 ユーベルコードで召喚された蝶の群れです。
 宵闇の中を無数の蝶が舞い降りていく様は幻想絵画を思わせましたが、そんな印象を抱くことができたのはほんの数秒だけ。蝶をモチーフにした幻想絵画は、地獄をテーマにした凄惨な宗教絵画へと変わりました。蝶たちがテントに、停められたバイクやバギーに、冷たい地表に、時には団員そのものにぶつかり、燃え始めたからです。
 あちこちで巻き起こる火柱。
 羽と同様、それらも瑠璃色です。
 不思議な色の炎が闇に半ば同化するかのように滲み、揺らめいている光景は、まるで地上に星空が映し出されているかのよう。
 嗚呼、恐ろしく、惨たらしいけれど……綺麗です。
 とても、綺麗です。

●ニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)
 何百羽だか何千羽だかの蝶がいきなり降ってきて、そこら中で青い炎が燃え上がる――そんな状況に冷静に対処できるほど、団員たちの精神はタフじゃなかったみたい。
「な、なんだ!? なにが起こったんだぁ!?」
 おろおろと四方を見回している奴がいる。
「他のレイダーどもが襲ってきやっがったのか!?」
 武器(といっても、背中や腰のタンクに繋がったノズルだけど)を手にして、走り回っている奴がいる。
「ぎゃあぁぁぁぁぁーっ!」
 火達磨になって転げ回っている奴もいるね。ご愁傷様。
 そんな惨状を僕はすぐ傍から見ていた。崖の上からこのキャンプ地に……いや、パーティー会場に降りてきたんだ。
 僕だけじゃなくて、他の猟兵たちも降りてるよ。そのうちの一人――景正が悠然とした足取りでパーティー会場の奥へと進んでいく。肩に担ぐようにして持っている武器は野太刀だ。彼の身長(百八十センチ前後かな?)の二倍ほどの長さを有した代物。崖の上で抜刀した時は普通の長さだったんだけどね。ユーベルコードを使って、変形させたのかな?
「おい、新入り! なにボサっとしてんだ!」
 団員の一人が景正に近付いていく。
 でも、景正が野太刀を無造作に薙ぎ払うと――
「さっさと火を消しぇぉ……っ!?」
 ――団員の言葉は途中で切れた。
 言葉だけじゃなくて、首も切れた。勢いよくポーンと空に上がり、綺麗な曲線を描いて、地面で何度かバウンド。コロコロと転がっていた先には別の団員がいた。
「な、なんの真似だ、てめぇー!?」
 団員二号は目を剥いて景正に怒鳴りつけた。
「裏切りやがったのか!?」
「裏切る?」
 野太刀を構え直しながら、首をかしげる景正。後ろにいる僕からは彼の背中しか見えないけど、その語調から表情を察することができる。さも心外だといった表情だろう。
「滅相もない。誓って、裏切りなどではありません。私は――」
 景正は団員二号に向かって踏み込み、野太刀を振った。今度は垂直に。
「――最初から、こうするつもりだったのです」
 そして、なにごともなかったかのように横を通り過ぎて行った。
 でも、団員二号は景正を追いかけようとしない。その場に棒立ち。
 数秒後、彼の脳天から股間にかけて朱色の線が走り、体が二つにばっくり割れて、左右に倒れ落ちた。

●鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)
 野太刀と化した愛刀『濤景一文字』で三人目の団員を袈裟斬りにして、駆け抜けざまに四人目の胴を両断し、五人目の心の臓を刺し貫き、間を置かずに六人目、七人目、八人目……状況を把握できずに右往左往するばかりの団員たちを私は手当たり次第に仕留めました。
 なんと、手応えのないことか。桶狭間で今川勢を捉えた織田の軍も今の私と同じような心境だったのかもしれません。
 敵の中には何人かで固まっている者たちもいましたが――
「……!」
 ――声なき気合いとともに『濤景一文字』を横薙ぎに払い、一丈ほどもある長大な刃から生じた唸りの波(なんでも『衝撃波』と呼ばれるものだとか)を浴びせ、まとめて吹き飛ばしました。
 その見えざる斬撃が届かぬ距離にも、固まっている団員たちはいました。しかし、仔細はありません。戦っているのは私だけではないのですから。
「せっかくのパーティーなのに壁の花になってどうすんの? そんな引っ込み思案な君たちには熱々の銃弾をプレゼントだ!」
 ニトロ殿が銃を乱射しておられます。入団試験でも撃っていたUDCアースの連発銃。試験の時は一丁だけでしたが、今は同型の銃が数十丁も宙に浮かび、弾丸を吐き出しています。おそらく、ユーベルコードの力で銃を複製されたのでしょう。先程、この奇襲を桶狭間に例えましたが、ニトロ殿のユーベルコードはさしずめ長篠の三段撃ちですな。
「テントだのバイクだのの後ろに隠れても無駄だよ」
 ニトロ殿の言葉を証明するかのように、四方八方に飛んだ無数の弾丸は天幕や鉄騎を紙のように貫き、その陰に身を潜めていた団員たちを穴だらけにしていきます。しかし、『四方八方』といっても、私や他の猟兵たちに命中することはありませんでした。ニトロ殿は念力のようなもので弾丸の軌道を操作しているのでしょう。
 その間隙を見抜いて利用したのか、あるいはただの僥倖か、一人の団員が弾雨をすり抜けて、ニトロ殿に迫りました。
 私はニトロ殿を守るべく、傍に駆け寄ろうとしましたが――
「大丈夫、大丈夫」
 ――と、彼はそれを制しました。
 そして、すべての銃撃を中断し、団員を真正面から見据えました。
「この弾幕を潜り抜けてきたことに敬意を表して、君の攻撃を受けてあげるよ」
 団員が手にしているノズルから燃料が放たれ、ニトロ殿の体が燃え上がりました。

●緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)
 ニトロが炎に包まれるところを俺は崖の上から見ていた。
「...be burnt to ashes」
 無意識のうちに呟いてしまったが、べつにニトロの状態を言い表したわけじゃない。
 彼は灰に変わってなんかいなかった。
「燃料なんかで焼き殺されるほどヤワじゃないんだよねぇ! 僕はブレイズキャリバーだからさ!」
 炎をものともせずに(実際はダメージを受けているのかもしれないが、そんな様子はおくびにも出さなかった)ニトロは銃撃を再開し、燃料を吹きかけた団員をたちまちのうちに蜂の巣に変えた。
 そして、敵を攻撃するだけでなく、仲間たちの援護射撃も始めた。それを受けて、景正も掃討を再開。銃弾の群れと伴走するかのように駆け回り、おそろしく長い刀(並の槍や矛よりも長い)で敵を斬り倒していく。
 他の猟兵たちも暴れ回っていた。魔法で炎の竜巻を起こす者もいれば、手を獣の頭に変えて団員に食らいついている者もいるし、ドローンで爆撃をしている者もいる。
 もちろん、瑠璃色の蝶が生み出した炎も燃え続けている。ちょっとやそっとのことでは消えないだろう(ユーベルコードで発生させた炎なので、俺の意思で消すことはできるが)。それどころか、燃え広がっていく一方だ。燃料には事欠かないからな。
「灰は灰に――」
 俺の横でマリスが弓を構えた。
 彼女はオーラを纏っていたが、それがなかったとしても、輝いて見えたかもしれない。何百もの光源が頭上に浮かんでいるのだから。
 それらは星ではない。蝶の形をした精霊たちだ。もちろん、召喚者はマリス。
「――塵は塵に」
 弓から矢が放たれた。
 同時に蝶たちが光線を発射した。
 一本の矢と何百本もの光線が眼下の団員たちを射抜いていく。
 その様子をマリスは無表情で見つめていたが、やがて俺のほうに視線を向けて、神託を告げる巫女のごとき厳かな声で言った。
「華乃音、この場に相応しい台詞があります」
「台詞?」
「『汚物は消毒だ』です」
 ……いや、意味が判らない。
「さあ、一緒に叫びましょう」
 俺の返事を待つことなく、マリスはキャンプ地を見下ろして叫んだ。
「汚物は消毒だぁーっ!」
「……」
「なぜ、叫ばないのですか?」
「なぜ、叫ばなくちゃいけないんだ?」
「恥ずかしがらなくてもいいのですよ?」
「恥ずかしいとか、そういうことではなく……」
 また帰りたくなってきた。
 だが、入団試験の時と同様、マリスは俺のマフラーの端をしっかりと握っている。もう諦めよう。彼女に合わせるしかない。
「いきますよ。汚物は消毒だぁーっ!」
「汚物は……消毒だ」
「声が小さい!」
「汚物は消毒だ!」
「もっと魂を込めて!」
「汚物は消毒だぁーっ!」
 俺はなにをやってるんだろう?
 おや? そういえば、あのハージィとかいう奴の姿が見えないな。どさくさに紛れて逃げ出したか……まあ、いい。逃げ切れやしない。きっと、消毒されるさ。
 哀れなハージィのことを頭から追いやり、俺は何度目かの叫びを発した。
 マリスと声を揃えて。
「汚物は消毒だぁーっ!」
「汚物は消毒だぁーっ!」
 俺たちの叫びに答えるかのように、地上にいる景正も声を張り上げた。
「消毒御免!」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ビッグ・サン
【ローグス】

おやおや、マディソンさん達も来てたのですね
ここは一つ協力してレイダーを倒すとしましょうか
(IFFがあると言ってるがICチップ的なものも持ってないので、ドローンの攻撃があれば巻き込まれて吹っ飛ぶ)

実はこの世界で見つけた薬の量産化に成功しましてね
この薬を飲めば、戦闘力が6倍にも跳ね上がるのです
そういってビッグが栄養ドリンクのような瓶を見せる

しかし効果時間が短いのが欠点でしてね
この薬を飲んだレイダーたちは、一分もしたら倒れると思うので、その時を狙って倒してくださいな

では薬を配ってきます
最初にちゃんとした薬を配ってるので、きっと次も疑いなく飲んでくれると思うのですよ♪

【アドリブOKですよ】


駒鳥・了
【ローグス】だよっ!
あっははははは
マクさんおっかないもん準備してるぅ!
じゃあさくっと突っ込もっかなー誰か後ろ乗る?
カッツェちゃんオッケー!大丈夫だろーけどよく捕まってね!

さってバイクのビームちゃんでぴよぴよ鳴いてもらおっか!
最初はヒット&アウェイ宜しくさくっと反対側に突き抜けて退避する!
二度目の突撃はドローンの攻撃が落ち着くの待つかな

ココまで派手に燃えたら、普通に火災旋風起きそうだね!
無いなら起こして見せようホトトギスだけど!
ってコトで唸れオレちゃんのUC!
カッツェちゃんとは反対の方向で!
一応、巻き込み過ぎないよーに小規模に抑えとこ!
攻撃来たら第六感で逃げてカウンターにナイフお見舞いしとくね!


ノーラ・カッツェ
【ローグス】で参加するね。

アキの後ろ…しばらく乗っててもいい?
後ろに乗ってる間にドライブを楽しみつつ狂気に呑まれないように【狂気耐性】で気持ちを落ち着けようと思うから。

アキが二度目の突撃チャンスを待っている間にバイクを降りて私はドローン攻撃の中に飛び込んでもぐもぐタイムといこうかな。
ドローンの攻撃が当たっても捕食出来れば【生命力吸収】で回復も出来るからドローンの攻撃で慌ててたり、ビッグの薬の効果切れで動きが鈍ってたりしそうなこの捕食チャンス…活かさせないともったいないもの。

獲物を見つけたら右腕を大きな黒猫の頭部に変えて突撃するね。
パーティー料理のオードブル…。思う存分に楽しませてもらうわ。


マディソン・マクナマス
【ローグス】で参加

夜陰に紛れ、UCに使うドローンを満載した暴走アメリカントラックを拠点近くに隠しておく

後はドローン操作アプリの設定を暗視モードにして……ってビッグさんじゃねぇの
一緒にやるかい? 駒鳥さんとノーラさんも来てるぜ

そんなに燃やしてぇならもっと燃やしてやっかね
味方が戦闘を開始次第、スマホでUC【自爆特攻中古ドローン】を起動。自分たちのいる敵拠点を爆撃する
無差別に爆撃してるように見えて、ちゃんとIFF(敵味方識別装置)は動作して……あっやべIFF切ってあったわ(小声でIFF起動)

後は混乱に紛れて味方と共に敵を掃討
周辺警戒しつつ、10mmサブマシンガンの【援護射撃】で味方のカバーに専念する



●ハージィ・ザ・ブローの人生最期の日 2
 ハルトリーゲルを崇める他の団員たちと同様、ハージィもまた愚かな男だった。
 だが、不穏な空気を漂わせるニューカマーを前にして身の危険を覚えぬほど鈍いわけではない。
 崖の上の猟兵たちが行動を起こす寸前、彼は背を向けて逃げ出した。全速力で。
 しかし、平地に達したところで――
「やあ!」
 ――別の猟兵に行く手を塞がれた。
 もっとも、その猟兵はハージィを攻撃しなかったが。
「なにやら大変なことが起きたようですね。でも、大丈夫。君にいいものをあげましょう」
 猟兵が差し出したのは小さな薬瓶。
「これさえ飲めば、この窮地から脱することができますよ」
 ハージィは決して鈍い男ではない。
 しかし、間違いなく愚かな男だった。
 そうでなければ、目の前にいる怪しげな猟兵の言葉を真に受けるはずがない。

●ビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)
 蝶の雨が降り、そこかしこで瑠璃色の炎が燃え上がる――その幻想的な光景を遠巻きに眺めつつ、私は歩いていました。
 サボっているわけじゃありませんから、誤解のなきように。自分の仕事はもう済ませました。後は他の皆さんにお任せ。
 おや? 『他の皆さん』の一人であるところのマディソンがいましたよ。装甲をたっぷりと盛った黒いトラックの傍でスマートフォンを操作されてますね。
「お掃除の準備ですか?」
 冗談半分にそう尋ねたのは、トラックのコンテナに『マディソン清掃サービス』と記されているからです。
「まあ、そんなところかな」
 マディソンさんは私をちらりと見て、すぐにまたスマートフォンに視線を戻しました。
「爆薬を満載した中古のドローンを使って、ここいら一帯を火の海にしてやろうと思ってね。いや、既に火の海になってっけど――」
 トラックからドローンが飛び立ちました。
「――もっと激しく燃やしたほうが団員どもも喜ぶだろ。燃やすのが大好きみたいだからな」
 ドローンを見送り、ニヤリと笑うマディソンさん。
 中古というだけあって、ドローンの動きは少しよたよたとしています。なんだか頼りないですが……まあ、爆撃くらいはこなせるでしょう。
「しかし、既に他の猟兵さんたちも崖から降りてきていますよ。爆撃に巻き込んでしまう恐れがあるのでは?」
「問題なし。ちゃんとIFFを……あ? やべっ!」
 マディソンさんは慌ててスマートフォンをまたいじり始めました。IFFとやらの作動をお忘れになっていたようです。うっかりさんですなぁ。はっはっはっ。
「ふぅ……間に合った」
 と、マディソンさんが息をついた直後、『ひゅるるる~』という音が聞こえてきました。爆弾の投下音でしょう。
 その残響に爆発音が被り、炎が派手に上がりました。今度のそれは瑠璃色ではなく、紅蓮です。
「打ち上げ花火ならぬ打ち落とし花火だねー! あはははははー!」
 爆発音に負けないほどの元気な笑い声も聞こえてきました。
 あれはアキさんですね。

●ノーラ・カッツェ(居場所を見つけた野良猫・f17193)
「じゃあ、さくっと突っ込もっかなー」
 了が……いえ、アキがバイクにまたがり、エンジンを激しく吹かした。
「アキの後ろ……乗ってもいい?」
「ん?」
 私が声をかけると、アキは振り返った。
 そして、にっこり笑った。
「オッケー、オッケー! カッツェちゃんのことだから、大丈夫だろーけど、しっかり掴まっててね!」
「うん」
 シートの後部に乗り、アキの腰に両腕を回す。
 次の瞬間、私たちは風になった。
 爆音と奇声を轟かせて、死を撒き散らす風。
 爆音を発しているのはバイク。
 奇声を発しているのはアキ。
「きゃっほぉぉぉぉぉーい!」
 そして、死を撒き散らしているのは両者。アキの操作に従って、バイクがレーザー銃を発射してるの。正面に捉えた団員めがけて。時には、正面にいない団員も強引に捉えて。レーザー銃を使わずに撥ね飛ばすこともあった。その度にガクンと衝撃が来て、お尻が一瞬だけシートから浮いた。ちょっとした絶叫マシンね。
 蝶のユーベルコードで生まれた青い炎が、ドローンの爆撃で生まれた赤い炎が、レーザーで小さな(でも、致命的な)焦げ穴を穿たれて倒れる団員たちが、次々と通り過ぎていく。いえ、通り過ぎているのは私たちのほうなんだけれど。
 混沌とした戦場を疾走しているうちに胸の底のほうから狂気の靄がじわじわと沸き上がってきたけれど、私はそれを押し戻した。自分自身の意思の力で。ひっきりなしに顔面を叩く突風の冷たさで。アキに密着させた腕と胸から伝わってくる温かさで。
「いち抜けた! 駆け抜けた! 突き抜けたぁーっ!」
 炎上するキャンプ地の外側にまでバイクは飛び出した。
『いち抜けた』と言ったアキだけれど、当然のことながら、そのまま走り去ったりはしない。急スピードかつ急角度でターンを決め、キャンプ地に向き直ったところでバイクを停止させた。
「はい、折り返し! 帰りも乗ってきますかぁ、お客さーん?」
「いえ。今度は自分の足で行くわ」
 私はアキから腕を解き、バイクから降りた。
 さあ、胸の底に押し戻した狂気の靄を別のものに変えて吐き出しましょうか。

●駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)……の別人格のアキ
 それにしても、マクさんのドローンの爆撃は派手だなー。あっちでドカーン! こっちでボカーン! ヘタすっと、味方のオレちゃんたちまで巻き込まれて吹き飛ばされそー。
 でも、そこはそれ、ローカイなマクさんのことだから、敵を判別するハイテクな装置とかをドローンにつけてるよね。
 つけてる……よね?
 うーん。なんか心配になってきたから、爆撃が一段落つくまで待機しよう……と、思ってる間に一段落しちゃった。よーし!
「待たせたね、テレビの前のちびっ子たち! 新シーズン第一話『帰ってきたオレちゃん』の巻き、始まり始まりぃ~!」
 愛機の『Iron bird』を駆り、キャンプ地に再突撃。でも、さっきみたいに突き抜けたりしない。そこらじゅうをぐるぐる回って、一回目の突撃の時に取りこぼした団員たちを撃ったり、撥ねたり、轢いたり、ありとあらゆる手段で始末しちゃったりして。
 でも、オレちゃんだけで獲物を独占しちゃいけないよね。ちょっぴり手を休めて、他の猟兵の奮闘振りも見させてもらおうか。
 おうおう。みーんな、元気に殺ってるじゃん。三メートル以上もある刀を振り回しているお兄さん、何十丁もの軽機関銃を浮遊させて撃ちまくってる別のお兄さん……そして、我らがカッツェちゃん!
「もぐもぐタイムといこうかな。まずはパーティー料理のオードブルから……」
 赤と青の火の粉が舞う中、ゴスロリな衣装の裾をはためかせて歩く姿はめっちゃカッコいー。
 しかも、可愛い。なぜなら、ユーベルコードを使って、右手を黒猫の頭に変えているから。にゃ~ん♪
「こ、このガキィ!」
 あらあら。カッツェちゃんの姿を捉えた団員がなんか息巻いてるよ。
「なにが目的か知らねえが、てめえらはもうお終いだ! たとえ俺たちを倒すことができたとしても、絶対に生きて帰れやしねえぞぉ! なぜなら――」
 団員は胸の前で両手で交差させて、バツをつくった。いえ、バツじゃなくてエックスだっけ?
「――ハルトリーゲルが俺たちの仇を討ってくれるからだ! X型二十四気筒エンジンの鼓動に怯え、百二十ミリ砲の咆哮に震えて、みじめに死ぬがいい!」
「うるさいオードブルね」
 カッツェちゃんはステップを踏むような動きで団員の背後に素早く回り込み、右腕を突き出した。
 可愛い黒猫ちゃんが団員の喉笛をガブリ!
「うるさい上に不味いわ」
 と、カッツェちゃんは言い捨てた。
 団員の首からぴゅーぴゅー噴き出る血を顔に浴びながら。

●マディソン・マクナマス(アイリッシュソルジャー・f05244)
 爆撃終了。次は銃撃といくか。
 俺は愛用のサブマシンガンを構えて、絶賛炎上中のキャンプ地へと足を踏み入れた。ビッグさんも一緒だ。
 周りを警戒しつつ、コートの裾を引きずりながら、時にはフルオートで、時には三点バーストで、団員どもを撃ち殺していく。視界に入った敵にマイナーな十ミリ弾をブチ込むだけの簡単なお仕事でーす。
 しっかし、あまり派手に撃ちまくったりせずに仲間の援護役に徹するつもりでいたんだが……どいつもこいつも援護なんか必要としてないんじゃないか? とくにアキこと駒鳥さんの暴れっぷりは凄い。
「こんだけ派手に燃えまくってるから、普通に火災旋風が起きると思ってたのに、なーんにもないね。でも、起きないのなら――」
 駒鳥さんはバイクを止めて、腕をぶんぶんと振り回した。
「――起こしてみせよう、ホトドキス! 唸れ、オレちゃんのユーベルコォードッ!」
 腕の動きに合わせて炎の竜巻が生まれ、戦場をジグザグに走り出した。それに飲み込まれて、焼き殺されていく団員たち。
 おまけに、光る蝶の群れ(最初に降ってきた蝶とは別物だ)が空に出現して、一斉に光線を発射した。他の猟兵がユーベルコードを使ったらしい。その猟兵のものらしきハイテンションな叫びが崖の上から聞こえてきた。
「汚物は消毒だぁーっ!」
 名ばかりの清掃サービスとはいえ、消毒作業で負けるわけにはいかねえな。気合いを入れ直し、汚物どもを始末するか。

 数分後。
 ある者は炎に焼かれ、ある者は弾丸や光線を浴びて、ある者は野太刀でぶった斬られ、ある者は黒猫に噛まれ……動いてる団員は一人もいなくなった。
 どこもかしこも死体だらけ。死屍累々ってやつだ。
 いや、よく見ると、転がっているのは死体だけじゃない。まだ生きてる団員も何人かいる。泡を吹いて気絶してるけどな。
「もしかして、これはビッグさんの仕業かい?」
 俺が尋ねると、ビッグさんは勢いよく頷いた。
「はい。戦闘力が六倍に跳ね上がる薬を調合して、事前に団員さんたちに配っておいたんですよ。全員に配ることはできませんでしたが、渡された団員たちは皆、疑うことなく飲んでくれたようですねぇ」
 まあ、疑わないのも当然だ。ビッグさんのちょっとアブない薬の効果は試験の時に証明済みだからな。
「その薬って、本当に戦闘力が六倍になるのか?」
「もちろん! ただし、一分もしないうちに昏睡状態に陥ってしまいますがねぇ。はっはっはっはっ」
 ……訂正。このアブなさは『ちょっと』どころじゃねえわ。
 俺らは、気絶している団員たちにとどめを刺して回った。さっきまでの派手な戦闘と違って、流れ作業みてえな単調な仕事だ。でも、最後の一人にとどめを刺す段になって、少しばかり盛り上がった。
 そいつが見知った奴だったからだ。
 そう、試験の時に俺らの相手をしてくれた、あのザコ野郎だ。
「やはり、君も薬を飲んでくれたのですね」
 気絶しているザコ野郎の顔をビッグさんが覗き込んだ。
「被験者になってくれてありがとう。君のことは忘れませんよ、イージィくん」
「いやいやいやいや! 忘れないって言ってるそばから名前を間違えてるしー。イージィじゃなくてジャージィだよ」
 と、駒鳥さんが苦笑まじりに訂正した。
「ん? ロージィだったと思うけど……」
 ノーラさんは首をかしげてる。
 やれやれ。誰もこのザコ野郎の名前を覚えてないのか。可哀想にな。
 せめて、俺だけは覚えておいてやろう――そう誓いながら、俺はそいつの頭に十ミリ弾を撃ち込んだ。
「あばよ、パンジー」
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『暴走戦車』

POW   :    オーバーキャノン
自身の【戦車砲のうち1本】を代償に、【ビルを消し飛ばす程の爆発力】を籠めた一撃を放つ。自分にとって戦車砲のうち1本を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
SPD   :    全門発射
【何本もの戦車砲から砲弾の連射】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    セメント弾
【主砲】から【速乾性セメントを詰めた特殊砲弾】を放ち、【空中で炸裂した砲弾から降り注ぐセメント】により対象の動きを一時的に封じる。

イラスト:8mix

👑11
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●幕間
 狂乱の一夜が明け、東の空が白み始めた頃、西の地平線の一角で土煙が上がった。
 なにかが近付いてくる。
 もちろん、猟兵たちにはその『なにか』の正体が判っていた。
 ハルトリーゲルだ。
 キャンプ地が焼かれて信者が死に絶えたことに気付いていないのか、あるいは気にしていないのか(おそらく、後者だろう)、神として崇められいていた戦車は引き返しもしなければ、速度を落とすこともなく、一直線に走ってくる。
 X型二十四気筒の鼓動とやらが聞こえるほどの距離ではないが、ハルトリーゲルが放つプレッシャーのようなものを猟兵たちは感じ取った。
 しかし、ただ感じ取っただけだ。
 プレッシャーに怯む者は一人もいなかった。
 
マリン・ルベライト(サポート)
明るい性格で社交的。
目上の人に対しては敬語で接する。
基本目上の人は名前+さん、それ以外の場合は名前+ちゃん(くん)で呼ぶ。
剣も弓も扱うが単騎での強さはそこまででないのでサポートに回りがち。
魔法も扱えるが召喚や強化がほとんど。
戦闘以外の調査などは猫を召喚して一緒にだったり透明化を利用したりなど状況に応じて様々。
年齢的にもまだ未熟なところもありたまにドジを踏むがいざという時の集中力はかなりのもの。
可愛いものや綺麗なものが好き。

正義感がまあまあ強めですがそれで暴走したりはありません。
ちょっとお茶目な感じです。
歳が近ければ○○だね、○○なのかな?といった感じの口調です。
あとはお任せします。


ベガ・パイシース(サポート)
 賢い動物のサバイバルガンナー×シーフ、21歳、オスの犬です。
 普段の口調は「 語尾が~ッス系」(オレ、~さん、~っす、~っすよ、~っすね、~っすか?)」
演技時は 「普通のしゃべり方になる(私、あなた、~さん、です、ます、でしょう、ですか?)」です。

 ユーベルコードは指定した物をどれでも使用し、多少の怪我は厭わず積極的に行動します。他の猟兵に迷惑をかける行為はしません。また、例え依頼の成功のためでも、公序良俗に反する行動はしません。
 あとはおまかせ。よろしくおねがいします!



●ハルトリーゲルの人生最良の日 1
 幾筋かの弱々しい煙がレイダーどものキャンプ地から立ちのぼっている。
 センサーの感度を上げるまでもなく、ワタシは悟った。
 それらが朝食の焚き火などではないことを。
 火災の名残りであることを。
 どうやら、何者かの襲撃を受けたらしい。全滅したと考えていいだろう。そうでなければ、生き残りがワタシを出迎えているはずだ。
 戦場への導き手たる奴らが死に絶えたのなら、ここにはもう用はない……が、ワタシは引き返さなかった。
 襲撃者が残っているかもしれないからだ。
 だからといって、べつにレイダーどもの仇討ちがしたいわけではない。ワタシの望みは蹂躙すること。虐殺すること。砲音を地の果てまで轟かせ、砲煙を空の彼方にまで届かせること。
 はたして、しばらく走り続けると、いくつかの人影が攻撃圏内に現れた。『人影』といっても、人でないもの――犬も含まれていたが。
 ワタシの姿は視認できているはずだが、誰一人として逃げようとしない。レイダーだけでなく、ワタシも倒すつもりでいるらしい。愚かなことよ。
 奴らに聞かせてやろう。
 X型二十四気筒エンジンの鼓動を!
 百二十ミリ砲の咆哮を!

●ベガ・パイシース(賢い動物(犬)のサバイバルガンナー・f24724)
 雷鳴のような轟音が立て続けに響き、地面が激しく震動し、あちこちで爆煙が上がり、岩の破片や土塊が飛んできて……しっちゃかめっちゃかな状況の中、オレは四本の足を必死に動かして、ジグサグに走ったっす。轟音や震動や爆煙やその他もろもろの原因であるところの砲弾を避けるために。
 なにが起きてるかは言うまでもないっすよね?
 そう、ハルトリーゲルが大砲を連射してるんすよ。オレだけをピンポイントに狙ってるわけじゃなくて、目についた(『目』と呼べる物があいつに備わっているのかどうかはさておき)すべての猟兵を標的にしてるみたいっす。それとも、標的なんか定めず、バカみたいにひたすら撃ちまくってるだけっすかね?
 十数秒が過ぎたところで、砲撃はやみました。幸いなことにオレは無傷。『犬も走れば、砲弾には当たらず』という諺が生まれた瞬間っす。
 ハルトリーゲルが新たな砲撃を始める前に、オレは小さな岩の陰に飛び込んだっす。
 そこには先客がいたっす。弓を持った女の子。クリスタリアンのマリンさんっすよ。
「怪我はない、ベガくん?」
「なんとか大丈夫っす。マリンさんは?」
「私も大丈夫。それにしても、怒濤の連射だったねー。あれがハルトーリゲル流の挨拶なのかな? だったら、こっちも――」
 マリンさんは岩陰からサッと飛び出し、綺麗な赤い宝石がついた弓を素早くシュタッと構えて、矢をビューンと飛ばしたっす。
「――お返しの挨拶をしないとね!」
 かっこいー!
 でも、そこまででした。矢はハルトリーゲルに命中したけれど、厚い装甲に跳ね返されちゃったっす。
「やっぱ、通用しないかー」
 肩を落として溜息をつくマリンさん。
「まあ、上手くいくとは思ってなかったけどね。だって、ほら、私は正面からぶつかっていくタイプじゃないから。どちらかというと、仲間をサポートするほうが得意だし」
「そんなこと言ってる場合じゃないっすよ!」
 ハルトリーゲルが砲塔を回して、こっちに向けてきたっす!

●マリン・ルベライト(禁忌に生み出されし姉妹・f08954)
「ヤバいっす!」
 賢いワンちゃんのベガくんが慌てて逃げ出した。もちろん、私も。
 直後にハルトリーゲルの大砲が吠えた。そして、砲弾の炸裂音が後ろから……あれ? 後ろじゃないね。空から聞こえたよ。
 思わず振り返ると、さっきまで私とベガくんのいた場所に灰色のセメントのようなものが降り注いでる光景が見えた。空中で炸裂してセメント(のようなもの)を浴びせる砲弾だったのね。あんなものを食らってしまったら、セメント(のようなもの)に取り込まれて動けなくなっちゃうよ。
 私は、横を走ってるベガくんを見下ろした。長い鉄砲(アサルトライフルって言うのかな?)がアニマルアーマーにくっつている。
「ベガくんは射撃が得意だったりする?」
「そこそこっす。でも、ドッカンドッカンとひっきりなしに砲弾が撃ち込まれてくるような状況では、まともに狙いがつけられないっすよ」
「じゃあ、敵のほうが狙いをつけられないようにしようか」
 私は足を止め、クリスタライズを発動させた。自分の体や装備を透明にするユーベルコード。クリスタニアンの十八番よ。
 腰を屈めてベガくんを抱きしめると、たちまちのうちに彼も透明になった。さっき、言ったでしょ? 私は仲間のサポートのほうが得意だって。
「うわっ!?」
 と、ベガくんは驚いたけれど、すぐに状況を把握して、鉄砲の銃口をハルトリーゲルに向けた(透明ではあるものの、私にはベガくんの姿を見ることができた)。
 一方、私たちを見失ったハルトリーゲルは砲塔を左右に動かしている。周りをきょろきょろと見回すかのように。
 そして、ベガくんが慎重に狙いを定め――
「これがオレの挨拶っす」
 ――そう呟いて、透明の鉄砲から銃弾を撃ち出した。
 次の瞬間、ハルトリーゲルの砲塔で小さな火花が散り、きょろきょろとした動きが一瞬だけ止まった。
 どうやら、装甲の隙間に命中して、ちょっとしたダメージを与えることができたみたい。やったね!
 

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニトロ・トリニィ
アドリブ・協力歓迎です!

おぉー。
あれが例の戦車だね。
砲身が六つもある… 砲の口径は確か120mmだっけ?
僕の戦車と同じで滑腔砲?それともライフル砲なのかな?
うーん、ここからじゃ見えないなぁ…
じっくり分解して調べたい所だけど… それは無理そうだね。
撃破するしか無いか…

行動
僕は《複製武器ノ召喚》で自分の戦車を増やし、〈援護射撃/制圧射撃〉を行いながら圧倒的な物量で奴を砲撃してやろう!
もし味方がピンチになったら、近くにいる戦車で〈かばう/盾受け〉かな!
撃破される可能性もあるけど、数には余裕があるからね。
それに、仲間の為なら戦車の一輌や二輌安い物なのさ!

フフ… 僕達の攻撃にどこまで耐えられるかな?


阿紫花・スミコ
「きたきた」

舌なめずりをしながら、腰のガンハイダー(迷彩ガンベルト)の迷彩を解き、黄金に輝く精霊銃アヴェンジングフレイムを引き抜く。

「くらえ!」

ファニングショット。
腰だめに銃を構え、引き金を引きながら、左手で撃鉄を高速に弾く。刹那に放たれた6発の弾丸。

「く・・・これが、戦車か。やっぱり固いな。だったら・・・だ!」

腰の暖帯から赤いマーキングのされた6発の特製の弾丸(徹甲弾)を取り出す。

「これなら・・・どうだ!」

再びファニングショット。
放たれた弾丸は、空中で青い光を帯びて、急激に加速。魔力によって速度を増した弾丸で装甲をぶち破ろうというコンセプトだ。

「どうだい?・・・君のために用意したんだぜ!」


鞍馬・景正
あれが戦車、なるものですか。
成る程、国崩しを抱えた鎧武者が、悍馬と一体になれば斯くあらん。

――生き試しの次はあの装甲がどれだけ堅いかも試させて頂きましょうか。

◆戦闘
夙夜(※装備欄参照)を呼び出し、【騎乗】。
そのまま全速力で駆けさせ、砲塔が此方を向けば回避運動――などはせずそのまま直進。
多少躱しても、爆風で諸共吹き飛ばされるのが関の山でしょう。

ならば――馬上で刀を担いでおき、発射と同時に斬撃の【衝撃波】で砲弾を切り払い、弾道を逸らす事で窮地を脱させて頂く。

無事乗り切って車体に取り付ければ、【無明剣】で当たるを幸い、【怪力】を込めた【鎧砕き】の剣で薙ぎ払って参ります。

ははは、気分は一寸法師ですな。



●ハルトリーゲルの人生最良の日 2
 ほほう。このワタシに傷をつけるとはな。
 どうやら、奴らはただの襲撃者ではないらしい。
 新手のレイダーか? ……いや、違うな。レイダーなどではない。
 本能のようなものがワタシに告げている。
 奴らは『猟兵』と呼ばれる輩だ、と。
 オブリビオンとして第二の生を得たワタシの敵なのだ、と。
 ふむ。猟兵か……面白い。実に面白い。
 猟兵たちよ、おまえたちの力を見せるがいい。ワタシにぶつけてみせるがいい。
 代わりに聞かせやろう。
 X型二十四気筒エンジンの鼓動を!
 百二十ミリ砲の咆哮を!

●鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)
 またもや、轟音が鳴り響き、地面が揺れ始めました。
 落雷でもなければ、地震でもありません。
 ハルトリーゲルが大筒の釣瓶撃ちを再開したのです。いえ、単騎なので、正確には釣瓶撃ちとは言えないのですが……そのような言葉を使いたくなるほどの速さと威力を有した砲撃です。いやはや、戦車というのは凄まじきものですな。
「国崩しを抱えた鎧武者が悍馬と一体になれば、斯くあらん……」
 砲弾を避けるために駆け回りながら、なんとはなしに私は独りごちていました。
「クニクズシって?」
 と、問いかけてきたのはスミコ殿。彼女もまた戦場を駆け回っていたのです。
「私の生国――皆さんが『サムライエンパイア』と呼ぶ世界における、大筒の俗称です」
「ふーん」
 踵で地を抉るようにして、スミコ殿は立ち止まりました。ハルトリーゲルのほうは砲撃を中断し、鉄の帯がついた車輪を回して、移動しています。
「さて、敵が新しい攻撃ポジションを探してうろうろしている間に反撃開始といこうか」
 舌なめずりしながら、腰に手をやるスミコ殿。
 すると、そこに『ガンベルト』なる西洋の帯が忽然と現れました。入団試験の時と同じ光景です。
 それに続く光景も入団試験の時と同じ。スミコ殿はガンベルトから黄金の短筒を抜き放ち、腰だめに構え、六発の弾丸を次々とハルトリーゲルに撃ち込みました。
 目に止まらぬ早業です。
 しかも、全弾命中。
 しかしながら――
「くっ……やっぱり、硬いな」
 ――スミコ殿は悔しそうな顔をしています。
 そう、ハルトリーゲルの鋼の体は彼女の弾丸をすべて弾き返したのです。
 ハルトリーゲルが車輪を止めて、大筒をこちらに向けてきました。
「今の銃撃で目をつけられたようですね。一旦、ここを離れま……」
「ちょっと待って!」
 退避を促す私の言葉を遮り、スミコ殿は黄金の短筒に新たな弾丸を込めました。先程までガンベルトの脇に並んで差し込まれていた赤い弾丸です。
「その弾丸は?」
「ボクのクニクズシだよ」
 スミコ殿は私を見やり、刹那だけ片目をつむってみせると(これは『ウインク』と呼ばれる習慣だそうです)、すぐにハルトリーゲルに向き直りました。
 そして、弾丸を撃ち出しました。
 短筒の後部にある突起を左の掌で何度も叩くようにして。
「くらえ!」
 弾丸は赤く塗られていたにもかかわらず、空中に引かれた軌跡の色は青でした。おそらく、魔力のようなものが注入されており、それが発動して、青い光を発したのでしょう。
 六本の青い線はハルトリーゲルに到達すると、今度は弾かれることなく、装甲にめり込みました。
 私たちの耳に届くほどの音を立てて。
 鈍い音ですが、心情的には快音です。敵に一矢(どころか六弾も)報いることができたのですから。

●阿紫花・スミコ(ガジェットガール・f02237)
 攻撃成功!
 でも、ちょっぴり残念な気がしないでもない。相手が無人の戦車じゃなかったら、中にいる操縦者に銃弾が命中して、この時点で勝負がついたかもしれないのに……いやいや、ダメージを与えることができただけでも充分。ここは素直に勝ち誇っておこう。
「どうだい! 特製の徹甲弾の味は!」
 黄金の精霊銃『アヴェンジングフレイム』を空に掲げて、ボクはハルトリーゲルに叫んだ。
「わざわざ君のために用意したんだぜ!」
 その語尾に砲声が被った。ボクの挑発に怒ったハルトリーゲルが大砲をブッ放してきたから……じゃないんだなー。
 砲声が轟いたのはボクらの後ろから。
 そして、砲弾を食らったのはハルトリーゲル。
 ボクと景正は同時に振り返った。
 そこに鎮座していたのは一台の戦車。砲塔のハッチからはニトロが上半身を出している。そういえば、彼は入団試験の時も戦車に乗ってたっけ。
「援護射撃……というか、援護砲撃は僕に任せて。君たちは横手から回り込んでよ」
 そう言って、ニトロは砲塔の中に戻った。
「承知」
 景正が走り出し、ボクも別方向に走り出した。
 ニトロの戦車がまたもや大砲を発射!
 ハルトリーゲルも負けじと発射! 発射! また、発射! 次から次へと、途切れなく、絶え間なく、間断なく撃ち続けてるよ。
 これはニトロのほうが分が悪いね。大砲の数が違いすぎるんだから……って、あれ? ニトロの戦車の後ろから別の戦車が現れた!? しかも、一台だけじゃない。二台、三台、四台、五台……あっという間に五十台を超えた!
 なんだかよく判らないけど、この戦車軍団は敵の新手じゃないと思う。どれもニトロの戦車とまったく同じ形をしているからね。
 ……あ? そっか! 戦車軍団の正体が判っちゃった! きっと、ニトロがユーベルコードを使って、自分の戦車をコピーしたんだ。とんでもないことしでかすねー。
 いや、ただコピーしただけなら、なんてことはないか。本当に『とんでもないこと』が起きるのは、このコピー戦車たちが本領を発揮した時だよ。
 次の展開を悟り、ボクは耳を塞いだ。
 それを待っていたかのように、五十台以上のコピー戦車軍団が大砲をハルトリーゲルめがけて発射! 発射! また、発射! 次から次へと、途切れなく、絶え間なく、間断なく撃ち続けてるよ。
 ここまで来ると、砲撃というよりも爆撃だね。戦いが終わった時には、この辺りはクレーターだらけになってるだろうな。

●ニトロ・トリニィ(楽観的な自称旅人・f07375)
 ぼっち戦車のハルトリーゲルめがけて、僕の戦車『メルカバMk.V-FX』とそのコピーたちは百二十ミリ滑腔砲を撃って撃って撃って撃って撃ちまくった。
 とはいえ、ただ闇雲に撃ってるわけじゃないよ。仲間を巻き込むわけにはいかないから。
 で、その仲間はというと……お? 景正がハルトリーゲルに突進してるね。だけど、自分の足で走っているわけじゃない。馬に乗ってるんだ。そういえば、さっき、砲音に紛れて『ピィー』って音が聞こえたような気がしたけど、あれは景正が馬を呼ぶために鳴らした指笛かなにかの音だったのかもしない。
 アポカリプスヘルの荒野で馬を駆るサムライっていうのはミスマッチながらもカッコいいね……おっと、見入ってる場合じゃない。ちゃんと援護しないと。撃て、撃ち続けろ、コピーたち。景正の活路を開くために。
 ハルトリーゲルめ。あっちこっちに蛇行して、こちらの砲撃をなんとか凌いでいるな。いや、『なんとか』をつけるほど余裕がないわけでもなさそうだ。生意気に反撃もしてる。既に何輌かのコピーは直撃を受けて破壊された。まだ結構な数が残ってるけど。
 それにしても、ハルトリーゲルの砲の威力はたいしたもんだね。口径はメルカバと同じで百二十ミリだっけ? あっちも滑腔砲なのかな? それとも、旋条砲? 気になるなぁ。分解でもして、じっくり調べたいところだけど……無理だよね、やっぱり。撃破するしかないか。
『生き胴の次は――』
 突然、無線機から声が聞こえてきた。
 どうやら、コピーの一輌が景正の呟きを集音センサーで拾ってきたらしい。
『――あの装甲がどれだけ硬いのか試させていただきましょう』
 景正の声が聞こえたのかどうかは判らないけど、ハルトリーゲルがコピー軍団への反撃を中断した。自分に向かってくる砲弾を避けつつ、砲口を景正に向けている。気のせいかな? その砲撃準備は今までとはちょっと違う感じに見える。
 景正はそれを察して、馬首をめぐらせ……ない!? 真っ直ぐに突っ込んでく! 正気か?
 僕は慌ててコピーの一輌を念動力で前進させた。
 半秒後、いっぺんに沢山のことが起こった。
 まず、ハルトリーゲルが砲弾を発射した。
 その途端、砲身が粉々に砕け散った。自身の砲を壊してしまうほどの爆発力を伴った攻撃。
 それに対して、馬上の景正は刀を水平に振り、衝撃波を放った。キャンプ地で複数の団員をまとめて吹き飛ばした時と同じように。
 そして、砲弾が爆発!
 景正は無傷だった。
 なぜかって? 強力な衝撃波によって、砲弾の軌道が逸らされたからだよ。
 砲弾の破片や爆風も景正には届かなかった。
 なぜかって? 僕が前進させたコピーが盾になったからだよ。
 そのコピーは大ダメージを受けた挙げ句に爆風でひっくり返っちゃったけど、べつに構いやしない。仲間のためなら、戦車の一輌や二輌は安い物さ。数に余裕もあるしね。
『もっかい、ファニングショット!』
 無線機がまた声を拾ってきた。今度はスミコの声だ。
 彼女の放った徹甲弾がハルトリーゲルの左側の装甲に穴を穿った。
 ほぼ同時に、馬に乗った景正がハルトリーゲルの右側を通過。
 一瞬、なにかが閃いた。
 きっと、その『なにか』は景正の刀だったんだろう。
 彼が走り抜けた後、ハルトリーゲルの砲身のうちの一本が本体から離れ、地面に落ちたんだから。
 そう、すっぱりと切り落とされたんだ。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マリス・ステラ
華乃音(f03169)の側に

「主よ、憐れみたまえ」

『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯り全身に輝きを纏う
輝く光の『存在感』で敵を『おびき寄せ』る

「ハージィに手向ける鎮魂歌です」

鏑矢を天に放ち戦闘開始
味方に『援護射撃』放つ矢は流星の如く

「華乃音、砲身を狙えますか?」

砲弾は私が引き受けます

【星の導き手】を使用

攻撃を迎撃して相殺
華乃音への攻撃を『かばう』
六禁を手に『武器受け』します

「あなたを護ります」

『オーラ防御』の輝きを膜状に広げて勢いを削いだ上で防御する
炸裂する砲弾に輝きが星屑のように散る

「魂の救済を」

聚楽第の白い翼がぎこちなく広がり輝きを束ねる
星の『属性攻撃』は質量を伴う巨大な光弾

「光あれ」


緋翠・華乃音
マリス・ステラ(f03202)と共に


「それは愚問だな、マリス。相手がアレなら眼を瞑っていても "視える" 」

戦場を広く見渡せる場所(可能な限り遠距離且つ高所が望ましい)に気配を消して目立たぬように潜伏し、彼女の鏑矢を合図に戦闘を開始。

装甲の繋ぎ目や無限軌道、上部装甲などの脆弱点を狙いつつ、砲頭を弾いて射線を狂わす。
彼女の防御を頼りに、可能な限り狙撃ポイントは変更しない。

「だが、こういう相手は正直苦手だ。決め手に欠ける」

――人なら簡単に殺せるのに。
――が、それも悪くない。

鋭利で冷ややかな薄笑みの気配を漏らす。



●ハルトリーゲルの人生最良の日 3
 なんということだ! 嗚呼、なんということだ!
 得体の知れぬ戦車どもに囲まれるわ、ちっぽけな拳銃で傷つけられるわ、刀なんぞで砲身を切断されるわ……これほどの屈辱を味わうとは!
 しかし……しかしだ。
 屈辱ではあるものの、少しばかり痛快でもある。
 恐れる様子を見せずに誰かが挑んでくるというこの状況は実に新鮮だ。考えてみれば、オブリビオンとして生まれ変わってからこのかた、本当の意味での戦いというものをワタシは一度も経験してこなかった。そう、ただ一方的に殺してきただけ。
 力なき者たちを蹂躙して虐殺するのは心躍ることだが、力ある者たちと戦うのもなかなかどうして悪くない。
 うむ、悪くない。
 新たな喜びを教えてくれた猟兵どもに礼をしよう。
 命を奪うという形で。
 死を与えるという形で。
 さあ、死ね。
 X型二十四気筒エンジンの鼓動を聞きながら。
 百二十ミリ砲の咆哮を聞きながら。

●緋翠・華乃音(終ノ蝶・f03169)
 小高い丘の上から俺はキャンプ地を見下ろしていた。
 茶色の靄が地表を覆っている。
 大量の土煙だ。
 その煙の海から砲塔を覗かせて、何十台ものコピー戦車(他の猟兵がユーベルコードで生み出したんだ)が走り回っている。まるで、牛の群れが暴走しているかのよう。
 牛と違うのは各々が大砲を備えて、それをひたすら撃ち続けているということ。
 砲声に次ぐ砲声。爆発に次ぐ爆発。
 集中砲火の標的となっているのはハルトリーゲル。だが、当然のことながら、一方的にやられているわけじゃない。コピー戦車たちの砲弾を時には避けながら、時には食らいながら、何本もの(そのうちの一本は自壊し、別の一本は切り落とされた)大砲で反撃している。
 気のせいだろうか? 獅子奮迅の戦い振りを見ていると、ハルトリーゲルにも人間と同じように自我や感情があるように思えてくる。そして、その心の中で燃えている感情が伝わってくるようにも思えてくる。
 傲慢で、不遜で、尊大な感情が。
「主よ、憐れみたまえ」
 傍らでマリスで祈りを捧げた。彼女もハルトリーゲルの思念を感じ取ったのかもしれない。
「華乃音――」
 オーラの輝きを全身から発しながら、マリスは俺を見た。
「――敵の砲身を狙えますか?」
「愚問だな。相手がアレなら、目をつむっていても視える」
 手にしてた武器を俺は掲げてみせた。『to be alone.』と名付けた狙撃銃だ。頼れる仲間がいるこの状況では皮肉な名前に思えるが。
「では、砲弾は私が引き受けます」
『頼れる仲間』であるところのマリスも武器を示した。大きな和弓。
「任せる。そして、任せろ」
 マリスをその場に残して、俺は丘の更に高い位置に移動した。
『to be alone.』を地に横たえ、俺自身も這い蹲り、伏射の姿勢を取る。
 スコープを覗き込むと、天に向けて矢を構えるマリスが見えた。弓に番えられているのは鏑矢だ。
「ハージィに手向ける鎮魂歌です」
 いや、手向けるもなにも、ハージィを死に追いやったのは俺たち猟兵なんだが……まあ、いいか。
 銃の位置を調整。スコープの奥にいる対象がマリスからハルトリーゲルに変わった。
 さっき、『目をつむっていても視える』と言ったが、あれは大言壮語というわけじゃない。狙いをつけて撃つのは最初の一発だけ。二発目以降は『視る』という行為は不要だ。
 人ならざる者の知覚を持つ俺ならば。

●マリス・ステラ(星の織り手・f03202)
「ハージィに手向ける鎮魂歌です」
 弓弦から手を離すと、鏑矢が天を舞いました。鎮魂歌の代わりの風切り音を鳴らしながら。天国(あるいは地獄でしょうか?)のハージィに届くといいですね。
 ハルトリーゲルが方向転換し、コピーの戦車たちの猛射を掻い潜って、こちらに近付いてきました。立て続けに砲声が響くような状況でも鏑矢の音を聞き取ったのか、私が放射しているオーラを見て取ったのか……どちらにせよ、作戦通りです。私の役割は囮にして盾。ハルトリーゲルの注意を引きつけつつ、華乃音を守りましょう。
 もちろん、攻撃もしますが。
「天と地にあまねく魂の救済を」
 詠唱とともに再び弓弦を鳴らしましたが、矢は飛びませんでした。そもそも、今回は矢を番えていませんから。
 我が弓『星屑』から放たれたのは、流星にも似た光。ユーベルコード『星の導き手(イテ・ミサ・エスト)』が生み出した実体なき矢です。
 その数、およそ三百。
 流星の雨が降り注ぎ、ハルトリーゲルが穴だらけになっていきます。いえ、命中したのは流星だけではありません。私の後方で銃声が響き、ハルトリーゲルの砲身で小さな火花が散りました。華乃音が狙撃しているのです。ダンピールの尋常ならざる知覚力を活かして。
 しかし、ハルトリーゲルの耐久力もまた尋常ならざるもののようですね。ダメージを受けながらも、果敢に前進を続けています。
 そして、一本の砲身の角度を上げ、砲弾を発射しました。先程まで撃っていたものとは違う砲弾に見えます。最初に一度だけ撃ったセメント弾でしょうか? あれが頭上が炸裂すれば、私も華乃音もセメントを被ってしまうかもしれません。
 またもや、後方で銃声。華乃音はセメント弾の炸裂を恐れることなく、同じ場所で狙撃を続けているようです。『任せる』という言葉も『任せろ』という言葉も嘘ではなかったのですね。
 では、私も任せ、任されましょう。
「光あれ」
 私はオーラを幕状に広げました。天に届くほど。
 その半透明の障壁にセメント弾がぶつかって勢いが削がれた瞬間を狙い、もう一度、『星の導き手』を発動。三百本の流星がセメント弾を打ち据え、破壊しました。弾殻の中に詰まっていたセメントのような粘液が無数の星の煌めきを伴って落ちていきます。私と華乃音のいる丘ではなく、その手前のほうに。
 そうしている間も華乃音は狙撃を続けていました。振り返らなくても判ります。何度も銃声が聞こえましたし、ハルトリーゲルが被弾する様子も見えましたから。
 もちろん、全弾命中。
「お見事です」
 ハルトリーゲルに目を向けたままの姿勢で私が賞賛を送ると、華乃音はそっけない言葉を返してきました。
「ああいう相手は苦手だ。決め手に欠ける」
 そして、呟きを付け足しました。
「人なら、簡単に殺せるのに……」
 視界の中にいなくとも、その声を聞いただけで私には確信できました。
 華乃音が薄笑いを浮かべていることを。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

信楽・黒鴉
【ローグス】
呼ばれて援軍として駆けつけたは良いものの……あんなデカいのを相手にどうしましょうね。
おっと、そういえば丁度お誂え向きの刀が一振りありましたっけ。
さてさて、あるのか無いのかよく分からないその目でとくと御覧じよ。

馬鹿でかい戦車だろうが、スペースシャトルだろうが、怪獣王だろうが……何だって斬って見せますよ、僕のムラマサは。
後でなんか奢ってくださいよ、マディソンさん。

【目立たない】ようアキさん(了さん)の巨大武器の陰から(迷彩、忍び足)接近、『一刀伊勢村正其ノ身ニ祟ル殺人刀』発動。
敵の攻撃を【見切り】、戦車砲の爆発するより先に【カウンター】の【盗み攻撃】で引きちぎり、強烈な一閃を叩き込む。


駒鳥・了
【ローグス】だよっ!
オレちゃんも近づく必要があるよね
オフ車で親玉戦車にレッツゴーだ!
安全のためにマクさんのハーレーとは距離取っとこ

操縦では第六感と残像を駆使して兎に角避けてよけまくる!
オレちゃんの射程距離に入ったら左手だけでナイフの投擲&乱れ撃ち!
飛んでくる弾に対するカウンターも込めてね!
もっちろん普通サイズじゃお話にならないだろーけどさ
UCで巨大化すればオッケー!
でもって一旦離脱!
かーらーのUターン!
一撃離脱するマリちゃんを拾ってく!
カッツェちゃんとラキさんは身が軽いしダイジョーブでしょ
サンさんはうん、サンさんだ

仕上げが必要なら魔法剣に属性攻撃で雷纏わせて駆動部に電撃でもお見舞いしとこ!


マリアンナ・イレブン
【ローグス】です。

遅れての合流ですので伏兵として動きます。
アキ(了)、マディソンさん、サンの3名の攻撃を隠れ蓑として標的に接近します。
私の武装では頑健な装甲を撃ち抜けないので、そのまま隠れて敵の反撃まで待機。
標的は砲撃による攻撃に特化している様なので、発射される砲弾を《ヘッドショト》で撃ち抜き、誘爆を狙います。
ヘッドショット後はアキが回収しに来てくれるので、ハーレーの後ろに乗りつつ牽制射撃して離脱します。
「回収ありがとうございます。完璧なチームワークでしたね」



●ハルトリーゲルの人生最良の日 4
 もし、人と同じように痛みを感じることができるなら、ワタシは激痛でのたうち回っているかもしれない。
 それほどまでに多くの傷を受けた。
 移動にも攻撃にも差し障りが出始めている。
 しかし、猟兵どもに圧されているわけではない。そう、決して圧されているわけではない。
 ワタシがこの身に受けたダメージよりも、奴らが被った被害のほうが大きいはずだ。嘘だと思うなら、この戦場を見回してみろ。何十輌分もの戦車の残骸が転がっているだろう? すべて、ワタシが仕留めたのだ。このワタシが!
 生身の敵はまだ一人も仕留めていないが、それも時間の問題だ。
 奴らは死ぬ。
 ここで死ぬ。
 X型二十四気筒エンジンの鼓動を聞きながら。
 百二十ミリ砲の咆哮を聞きながら。

●駒鳥・了(I, said the Rook・f17343)……の別人格のアキ
 すぐそばでドカーンと戦車が爆発した。
 ハルトリーゲルじゃなくて、味方の戦車だよ。ユーベルコードでコピーされた戦車だから、中には誰も乗ってないと思うけど。
 そのコピー戦車の残骸の後ろに身を隠して、オレちゃんはハルトリーゲルの様子を伺った。おっと、オレちゃんだけじゃなかった。サムライのラキさんとフラスコチャイルドのマリちゃんも一緒。もちろん、愛車の『Iron bird』もね。
「さて……あんなデカいのを相手にどうしましょうかね」
 ラキさんが首をひねった。思案顔だけど、ちょっと楽しそうにも見える。ずらりと並べられた玩具を前にして、どれで遊ぼうか悩んでる良い子みたい。
『あんなデカいの』であるところのハルトリーゲルは、コピー戦車の軍団(けっこうな数がブッ壊されちゃったけど、二十輌ほど残ってるよ)と激しく撃ち合ってる。光線だの銃弾だのを雨霰と食らったもんだから、装甲が穴だらけになってるけど、まだまだ元気いっぱいかな?
「私はここで皆さんの援護をします」
 マリちゃんがブルバップ型のアサルトライフルに弾倉をセットした。彼女、オレちゃんやラキさんと同じく十代後半っぽい見た目(ただし、背はちっちゃい)なんだけど、落ち着いたオトナの雰囲気を漂わせてるんだよねー。でも、実年齢は十歳にも満たないんだって。
「マリちゃんのカバーがあるなら、オレちゃんは安心してブッこんでいけるね」
『Iron bird』のセルスイッチをオン。エンジンがいい感じで唸り出したよー。
「そういえば、お誂え向きの刀が一振りありました。では、僕も――」
 方針を決めたらしく、ラキさんがニヤリと笑った。
「――ブッこみ役でいきましょう」
 うわー。なんか悪い顔だー。玩具を選んでた良い子が、イタズラを思いついた悪い子になっちゃったよ。

●信楽・黒鴉(刀賊鴉・f14026)
「いくよ、悪い子のラキさん! レッツゴォーッ!」
 了さんがバイクで走り出しました。いえ、今は了さんじゃなくて、アキさんでしたね。
『ラキさん』ことこの僕も走り出しました。バイクではなく、自前の足で。
 白いマフラーをたなびかせて駆けながら、腰に差した業物をスラリと抜き放ち……と、カッコよく決めたいところですが、抜刀するのはもう少し後にしておきましょう。そもそも、アキさんとマリアンナさんの前で口にした『お誂え向きの刀』ってのは、腰の業物のことじゃありませんしね。
 ハルトリーゲルはコピー戦車たちとやりあっていましたが、アキさんのバイクが接近していることに気付いたらしく、彼女に向かって砲塔を旋回させました。
「カモォーン! 遠慮なく撃っちゃっていいよぉ!」
 左手をハンドルから離し、人差し指をちょいちょいと動かすアキさん。
 その挑発に応じて、ハルトリーゲルは大砲を撃ってきました。それも一発や二発じゃありません。続けざまに十数発。
 それらを浴びて、アキさんは何度も消し飛ばされました。
 そう、何度もです。
 一度で終わらかったのは、消し飛ばされたのがどれも残像だったから。
「どーこ狙ってのぉ? 本物のオレちゃんはこっちこっち!」
 挑発を続けながら、バイクを走らせるアキさん。縦横無尽の軌跡の後に生まれるのは残像だけじゃありません。土煙が巻き起こり、排気ガスが立ち込めています。それらに紛れて、僕もハルトリーゲルに接近。
 さて、そろそろ『お誂え向きの刀』を抜くとしましょうか。
 ユーベルコード『一刀伊勢村正其ノ身ニ祟ル殺人刀(カゴツルベ)』を発動させれば……ほら、手の中に現れました。想像の力で創造された名刀が。これさえあれば、なんだって斬れます。スペースシャトルだろうが、怪獣王だろうが、オブリビオン化したバカでかい戦車だろうがね。
 そして、アキさんも武器を取り出しました。刀じゃありませんよ。左手で鈍い光を放っているのはバタフライナイフ。
 そんな物が戦車に通用するとは思えませんが、ハルトリーゲルはなんらかの脅威を感じ取ったらしく、少しばかり後退しました。大砲のうちの一本をしっかりとアキさんに向けたまま。
 その大砲が火を――
「どっかーん!」
 ――噴くかと思いきや、アキさんの叫びに合わせて砲口の先端で爆発が起きました。
「ありがと、マリちゃーん!」
 アキさんの二度目の叫びは、後方のマリアンナさんに向けられたもの。
 僕は反射的に振り返りました。
 コピーの戦車の残骸からアサルトライフルの銃身が覗いています。
 なるほど。ハルトリーゲルの放った砲弾をマリアンナさんが狙撃したんですね。ナイスシュート!

●マリアンナ・イレブン(№11・f24832)
 またもや、ハルトリーゲルが砲弾を発射。
 タイミングを合わせて、私もアサルトライフルの銃弾を発射。
 数デシ秒後、砲弾は銃弾に撃ち抜かれて爆発しました。
 とはいえ、私が対処できる砲は一門のみ。
 その一門の砲弾を狙撃している間に、他の砲も次々と砲弾を吐き出しました。
 先程までと同様、それらの標的となっているのはアキ。
 しかし、彼女の行動までもが『先程までと同様』だったわけではありません。
「はい! カウンター一丁!」
 アキの手からバタフライナイフが飛び出したかと思うと、それは一瞬にして巨大化(おそらく、ユーベルコードの作用でしょう)し、数発の砲弾をまとめて吹き飛ばしました。
 それによって生じた爆煙の中から――
「あるのかないのかよく判らない目でとくと御覧じろ、ハルトリーゲル! このマサムネの切れ味を!」
 ――黒鴉が飛び出し、刀を振り下ろしました。
 残光を空間に焼き付けるようにして弧を描く白刃。
 それが叩きつけられた場所は、数ある砲身のうちの一本の根本です。
「まあ、御覧じることができなかったとしても、痛みで実感できただろうけどな」
 現れた時よりも素早く、黒鴉は飛び退りました。名前の通り、黒い鴉を思わせる動き。
 ハルトリーゲルは彼を追撃することができませんでした。
 刀が打ち込まれた場所で爆発が起き、そこから伸びていた砲身が引きちぎれたからです。
 そして、すぐにまた新たな爆発が起きました。
「ダメ押し一丁!」
 バイクに乗ったアキがすれ違いざまに斬撃を浴びせたのです。バタフライナイフではなく、雷のような色をした細身の剣で。
「はい。一端、離脱しまーす。続きはCMの後!」
 爆風を背に受けながら、アキはハルトリーゲルの前から走り去り、私が身を潜めていたコピー戦車の残骸の横を猛スピードで通過しました。
 しかし――
「かーらーのーUターン!」
 ――戻ってきてくれました。
「回収ありがとうございます」
 牽制のために残弾をフルオートで撃ち尽くし、私はシートの後ろに座りました。途端にバイクが再発進。
「完璧なチームワークでしたね」
 アキにそう言いながら、私は後方を振り返りました。
 ハルトリーゲルは私たちを追わず、群がるコピー戦車たちに応戦しています。
 残り少なくなった砲を総動員して。
 ヒステリックな怒号のような砲声を響かせて。
 いえ、『ような』ではなく、本当に怒っているのかもしれませんね。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ビッグ・サン
【ローグス】
いやはや、沢山死んでくれましたね~
これでようやく戦えるというものですよ

ビッグが呪文を唱えると、むくりむくりと死体が起き上がる

薬で昏睡させてから殺したので実に状態が良いですね

このゾンビなら、死後硬直もまだ先ですし、走ったりするのも簡単でしょう

突撃させるのは良いですね
パンジー君も、地縛霊のように死体に霊が残ってますので、わかりやすく爆発四散させてあげてくださいな
それなら死んだ事に気がつくでしょう

さて、他のゾンビにもマディソンさんの爆弾つけて突撃させましょう
キャタピラに巻き込まれて爆発してくれると良いですね

薬の実験台から、特攻隊まで、実に役にたつ人達でしたねー

最後は花火のようでしたし♪


マディソン・マクナマス
【ローグス】

死霊術師のビッグさんにパンジー(戦闘員C)をゾンビにして貰い、パンジーをUC【手軽で便利な殺害方法】の簡易爆弾とワイヤーで簀巻きにして暴走宇宙ハーレーに乗せる

目が覚めたかよパンジー君?
そんじゃ、ドライブといこうか

暴走宇宙ハーレーに【騎乗】し、機動力を生かして蛇行運転を繰り返しつつ砲撃を誘って囮となる
砲身が減ったら射角外から全速接近、戦車の前面装甲を坂に見立ててジャンプ
その際にパンジーをノーラさんが破壊したハッチに飛び込ませ、手榴弾を放り込んで爆弾簀巻きになったパンジーを戦車内で起爆

大好きな戦車が棺桶だなんて最高だろ?
じゃあなパンジー君

尚、予めビッグさんには蒸気爆発手榴弾を渡しておく


ノーラ・カッツェ
【ローグス】で参加するね。

なるほど、メインディッシュに相応しいだけの敵みたいね。
どう戦うのがいいかしら…。
あら?マディソンとビッグはなにか楽しいこと考えてるみたいね。
それじゃあ…私はそのサポートをしようかな。
戦車のハッチ…あれを斬り開く事が出来たらロージィ(戦闘員C)をもっと楽しいことにも使えそうだし…私はハッチの【部位破壊】を狙ってみるからマディソンもよければそこを狙ってみて。

戦車までは防御も回避も考えずに突撃をして、細剣の攻撃範囲にハッチを捉えたら殺気の解放と同時に全身全霊の一撃を放ってハッチを斬り開いて見せるわ。
全力での攻撃だけに…攻撃の余波で周囲に被害が出たらその時はご愛敬で。



●ノーラ・カッツェ(居場所を見つけた野良猫・f17193)
 満身創痍のハルトリーゲル。百二十ミリ砲とやらも三本か四本くらい失っている。
 だけど、闘志までは失っていないみたい。壊れかけたキャタピラの爪痕を地面に刻みながら、コピー戦車たちに向かって砲弾を撃ち続けてるわ。
 さすがね。メインディッシュに相応しい敵だわ。
 さて、どう戦おうかしら……あら?
「いやはや、たくさん死んでくれましたねぇ。これで、ようやく戦えるというものですよ。はっはっはっ」
 ビッグがまたなにか楽しいことを考えてるみたい。
「アレをやるのかい、ビッグさん?」
 アメリカンバイク(に見える宇宙バイク)にまたがったマディソンが手榴弾型のガジェットらしきものをビッグに投げ渡した。もちろん、ピンは抜いてない。まあ、ビッグの場合、ピンの抜かれた手榴弾を投げられたりしても、まったく動じないような気がするけど。
「はい。アレです」
 ビッグは手榴弾を受け取り、怪しげな呪文を唱え始めた。
 すると――
「あ゛あ゛あ゛……」
「ゑ゛ゑ゛ゑ゛……」
「を゛を゛を゛……」
 ――地球上の文字では正確に表記できないような呻き声を発しながら、周囲に転がっていた死体たちがゆっくりと立ち上がった。
 ゾンビというやつね。
 ホラー映画なんかに出てくるゾンビはチープな感じが拭えなかったりするのだけれど、ビッグの魔法で動き出した現実のゾンビたちは……ごめん。やっぱり、チープだわ。だって、死体が皆、例の団員たちなんだもの。下手なB級映画よりもよっぽどB級くさく見える。
 だけど、ビッグは御満悦。
「薬で昏倒させてから殺したので、実に状態が良いですねぇ。やはり、ゾンビの素材は活け締めに限りますな。はっはっはっ」
「こういうのもイケジメって言うの?」
 と、私は小声でマディソンに尋ねた。
「いや、俺に訊かれてもなぁ……」
 さすがのマディソンも首をひねってる。

●マディソン・マクナマス(アイリッシュソルジャー・f05244)
 活け締めの定義については後でじっくり話し合うとして――
「目が覚めたか、パンジー君?」
 ――俺はゾンビの一体に声をかけた。
「パンジーじゃなくて、ロージーじゃなかった?」
 ノーラさんがなにやら言ってるが、聞こえない振りをして(間違いを指摘するのは野暮ってもんさ)、パンジー君との楽しいコミュニケーションを続ける。
「調子はいいか?」
「ん゛ん゛ん゛……」
 よしよし。いい返事だ。生きてた頃に比べると、ちいとばかし滑舌が悪くなってっけどな。
「そんじゃ、ドライブといこうか」
「ん゛ん゛ん゛……」
「おっと、俺のハーレーに乗るのは後だ。まずは特製のライダーズジャケットを着てくれ」
「ん゛ん゛ん゛……」
 ユーベルコードで生み出した大量の簡易爆弾を俺はパンジーの体に括り付けた。ワイヤーを使って、ぐるぐる、ぐるぐる、ぐるぐると……はい、爆弾簀巻きの出来上がり! 身近にある材料で作れるお手軽ながらも高威力な一品。腐敗が進んだゾンビを使えば、化学兵器にもなりまーす。
「生前、ロージィは――」
 ノーラさんが凶悪なデザインのレイピアで爆弾簀巻きを突っついた。なんか、小動物の死体(もしくは死にかけの獲物)をぺしぺし叩く猫みたいだな。ケットシーの俺がそんな例えをするのもヘンかもしれないが。
「――拳闘が得意とか嘯いてたけど、今回はパンチを披露する機会はなさそうね」
「いや、こいつの存在そのものがKOパンチみたいなもんさ。もっとも、相手のガードを崩さにゃあ、そのパンチも当てられないが……」
「それは任せて」
 ノーラさんはレイピアの切っ先を簀巻き爆弾から離し、唇をミリ単位で動かして微笑を浮かべた。
「私にもお任せください」
 パンジーとは別のゾンビの手に蒸気爆発手榴弾(俺が渡したやつだ)を握らせながら、ビッグさんも笑った。センチ単位で大口を開けて。
 いやー、二人とも本当に頼りになる……っつーか、絶対に敵にしたくないタイプだよなぁ。

●ビッグ・サン(永遠を求める研究者・f06449)
「いくぜ、パンジー君。おまえにとっちゃあ、人生最後のドライブだ」
 マディソンさんがハーレーを発進させました。ワイヤーでぐるぐる巻きにされたイージィ君(マディソンさんは名前を間違えて覚えているようですが、指摘するのは野暮というものです)を後ろに乗せて。
 エンジン音をけたたましく響かせ、『オブリビオン殺します』だの『料金応相談』だのと記された幟をはためかせながら、コピー戦車たちの間を疾走するハーレー。ハルトリーゲルの注意を引きつけているのです。
 その間にノーラさんも走り出しました。
 では、私も参りましょう。もっとも、私自身が動くわけではありませんが。
「さあ、突撃のお時間ですよ。いっち、にぃ、さんし! いっち、にぃ、さんし!」
「ゐ゜ゐ゜ゐ゜……」
 私の声と手拍子に合わせて、ゾンビ君がよたよたと歩き始めました。マディソンさんから託された手榴弾を右手にしっかりと握り、左の人差し指をピンにかけています。
「どうした、ハルトリーゲル? 御自慢の大砲をブッ放してこいよ!」
 マディソンさんの挑発が聞こえてきました。声が行ったり来たりしているのはハーレーが蛇行しているからです。
「もしかして、本数が少なくなった大砲を温存しておきたいって肚か? 意外とチキンだな……おっと!?」
 一度に二箇所で爆発が起きました。
 一箇所はハルトリーゲルの砲塔。砲身が自壊するほどの大威力の攻撃を放ったのです。
 もう一箇所はその着弾点。しかし、マディソンさん(とイージィ君)は無事。巧みにハーレーを走らせて回避しました。
「おいおい、その程度かよ? 若い頃にロンドンデリーでブチ壊してやった装甲車のほうがまだ手強かったぜぇ!」
 嘘か本当か判らぬ挑発を続けるマディソンさんに向けて、ハルトリーゲルは再び自壊砲を発射。マディソンさんも再び回避。傍にいたコピー戦車が巻き込まれて吹き飛ばされましたが。
 主砲を二本も失ってしまったのは、ハルトリーゲルにとって大きな痛手でしょうな。
 しかも、痛手はそれだけではありません。
 マディソンさんに気を取られている間に私の忠実なゾンビ君が接近していたのです。
 ゾンビ君はハルトリーゲルの前面に回り込み――
「ゐ゜ゐ゜ゐ゜……」
 ――あっさりとキャタピラに巻き込まれましたが、なんの問題もありません。
 数秒後にキャタピラが爆発しましたから。
 轢き殺される寸前にちゃんと手榴弾のピンを抜いていたようです。感心、感心。薬の実験台から特攻隊まで、実に役に立つ人たちでしたねー。
 そして、ゾンビに続いて、ノーラさんがハルトリーゲルに肉迫し――
「足りない……タリナイ……満たシテ……わたシをもっト……ミタシテヨッ!」
 ――強烈な殺気を全身から放射しながら、レイピアの斬撃を浴びせました。
 その攻撃によって、ノーラさんがご希望通りに満たされたかどうかはさておき……いやはや。実に凄まじいですな。殺気にあてられて、周囲のコピー戦車たちまでダメージを受けてますよ。
 もちろん、ハルトリーゲルも致命的なダメージを受けています。
 何故に『致命的』なのかというと、レイピアによって斬り裂かれたのが操縦室のハッチだから。
「今よ、マディソン!」
「おう!」
 マディソンさんのハーレーがハルトリーゲルに突っ込み、前面の装甲をジャンプ台にして空を舞いました。
 ハッチを失って剥き出しになった操縦室めがけて大小二つの荷物を投下して、ハルトリーゲルの後部に着地。
 大きいほうの荷物はイージィ君です。
 小さいほうの荷物は手榴弾です。
 勝負は決しましたね。ゾンビ君がフットワークを封じ、ノーラさんがガードを崩し、マディソンさんがパンチをぶつけ……後はエンドゴング代わりの爆発音を待つばかり。

●ハルトリーゲルの人生最良にして最期の日
 キャタピラを破壊され、ハッチを斬り裂かれた挙げ句、汚らしい死体を操縦席に投げ込まれ……えーい! 忌々しい! 実に忌々しい!
「大好きな戦車が棺桶だなんて最高だろう、パンジー君?」
 後方に着地した猫がほざいている。棺桶? パンジー? なんのことだ?
 まあ、いい。戯れ言を抜かしていられるのも今のうちだ。
 覚悟しろ、猟兵ども。お遊びはもうお終いだ。ワタシの本当の力を見せてやる。
 聞け、X型二十四気筒エンジンの鼓動を!
 聞け、百二じゅ……



 ハルトリーゲルが内側から爆発し、戦車一輌分の破片とゾンビ一体分の肉片を含んだ炎の花が荒野に咲いた。
 

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月26日


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#アポカリプスヘル
#一人称リレー形式


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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト