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星のさかなで乾杯を

#スペースシップワールド #お祭り2019 #クリスマス #挿絵

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●Look back over
「やあ、こんばんは。――今年ももうすぐ終わってしまうねえ。貴殿の一年はどのような年だったかな?」

 首を傾いだケビ・ピオシュ(テレビウムのUDCメカニック・f00041)が、モニタ上の瞳を二度瞬きさせ。
 誘なう先はスペースシップワールドの、とある船だ。
 この船の名産は――旨い酒や、ジュースなのだとケビは語り。
 そうしてたどり着いたのは、船の中でも奥まった場所に存在する『星のさかな』を意味する店名を掲げられたバーであった。
 店内へと一歩足を踏み入れば、一番に目に入る大きな窓からは昼も夜もなく満天の星空が広がっているようだ。
 ゆらゆらとホログラムの魚が壁も床もなく、自由に泳ぎ回る姿を目で追って席に腰掛ければ、ゆったりと飲み物を楽しめるようになっている。

 ほろ苦さの奥に深いコクを感じる花絞りのエールに、星が弾けるスパークリングワイン。
 アルコールが飲めない人には、ノンアルコールメニューも勿論充実しているようで。
 蕩けるように香り高い果実そのものようなジュース、水のようにサラリとした喉越しで後から淡雪のような甘さが追いかけてくる不思議なドリンク。
 それにバーテンダーに提供してもらう他にも、自分でカクテルを自由に作れる一隅も存在しているそうだ。

 飲み物に合わせて、食べ物だって沢山用意されている。
 新鮮な星葡萄に、花弁チップスは見た目にも美しい。
 宇宙クラゲの干物に、星欠片のスナック。
 腹ぺこさんには、エールの炊き込みご飯やオムライス。
 それに、何なのかいまいち解らない肉のステーキ!
 おすすめは、サンピラタのナポタだとバーテンダーは言っていた。

 解らないメニューを頼んでみるのもきっと楽しいよ、とケビは小さく笑い。
「さあ、今夜は語り明かそうじゃないか」


絲上ゆいこ
 こんにちは、絲上ゆいこ(しじょう・-)です。
 スペースシップワールドのバー『星のさかな』で、今夜はお話しませんか?

●⚠ご注意⚠
 現実にあるお酒や飲み物は存在しません。全てファンタジーSF食品です。
 それっぽい食べ物や飲み物をそれっぽく想像していただけると幸いです。
 ありそうなものは、きっとあります!

●できること
 ・20歳以上の方はお酒が飲めます、それ以下の方はノンアルコール飲料をご提供!
 ・おつまみも食べられます。
 ・カクテルを頼んだり、自分で作ったりできます。
 ・酔っ払って暴れると、追い出されます。

●迷子防止のおまじない
 ・冒頭に「お相手のキャラクター名(または愛称)とID」または「共通のグループ名」の明記をお願いします。
 ・グループ名等は文字数が苦しい場合、無理に括弧で囲わなくても大丈夫ですよ!

●その他
 ・プレイングが白紙、迷惑行為、指定が一方通行、同行者のID(共通のグループ名)が書かれていない場合は描写できない場合があります。

 プレイング募集、〆切等は、
 『https://tw6.jp/club/thread?thread_id=4073&mode=last50』
 こちらのスレッドで報告させていただきます!

 それでは皆様のご来店、お待ちしております。
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第1章 日常 『スペースシップワールドでクリスマス』

POW   :    スペースシップのクリスマス料理を楽しむ

SPD   :    スペースシップの観光地を散策したり、クリスマスイベントに参加する

WIZ   :    恋人や友人との時間を大切に過ごす

👑5
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

浮世・綾華
オズ(f01136)と

上機嫌
だって此処でしか飲めない酒飲めんだろ
なんか嬉しいじゃんな

あ、そーだ
蒲公英いめーじのカクテルとかってないデス?
できれば、甘い優しい感じの味の――
作ってみる?やった

おお、きれー
飲んでみようぜ、かんぱーい
たんぽぽうまい!

花弁チップスもきれー
これ本物の花弁?
くらげもはむはむ
こっちもうまい
噛めば噛むほどってやつ

ここ、自分でカクテルも作れるんでしょ
なんか作ってみよーぜ

俺はオズに作るよ
お客様――どんな味に致しますか?なんて

いちごで甘すぎないやつ
オズなら俺の好み、分かるでしょー
任せた!

彼の好きなものを考え…雨
透きとおる色に若葉に跳ねる雨粒のようなゼリーを浮かばせる
名前は翠雨の唄


オズ・ケストナー
アヤカ(f01194)と

うんうん、うれしいね
おいしいものもうれしいけど、アヤカの笑顔がうれしい

たんぽぽ?
たんぽぽのおさけ、つくれるの?

わあ、きれいっ
すごいね、たんぽぽのいろ
じぃっと見つめて
のむのむっ、かんぱーい

わ、おいしい
うん、たんぽぽうまいっ
まねっこして笑って

なんの花かな
おいしい
こっちはうちゅうクラゲだってっ

わたしもおさけつくりたいっ
「お客様」に目を輝かせ
かっこういい
ふふ、おすすめくださいな

それじゃあ、わたしはアヤカにつくるっ
アヤカはいちご?
すきなもの、なんでも言ってっ

苺ジュレ
千日紅に似たベリー添え
スパークリングワインを注ぐ
あまずっぱくてさっぱりがアヤカのすきな味
おいしいっていってくれるかな


オニバス・ビロウ
星の海の中で、一風変わった酒が飲めると聞いてきた

うむ、さんぴら…た?きんぴらとはまた違う何かか…?
ともあれ注文をしよう
そのさんぴらとやらと…酒の名がわからぬのだが天の川の源泉の水で造られた酒を所望する
出来れば甘口が良い

…連れの子狐が店の中の魚を追いかけて他の客に迷惑をかけぬようにしておく
具体的につまみを食べさせておく
真珠星を粉にしたものを振りかけた揚げ芋とか好みそうだな
…好むからと言って大量に食わせてはならんものだな、これは

年の瀬にこうした場で飲む酒というものも良いものだな
以前は親族と飲んでいたが…一人で飲む酒もそれはそれで味わいがある
…次は妻と共に来たい、きっと彼女はこういうものも好むから



 ゆうらりゆらり、カウンター席の上を魚が泳いでゆく。
 光の後を残して尾鰭を揺らす魚影を手で掴んだオズ・ケストナー(Ein Kinderspiel・f01136)は、感触も無くすり抜けていった光に空色の瞳をぴかぴかと瞬かせて。
 その横に腰掛ける浮世・綾華(千日紅・f01194)はどこか気分良さげに口角を上げて、ボトルの立ち並ぶ棚を見ている。
「アヤカ、なんだかうれしそうっ」
 魚の尾を追った先で、そんな綾華と視線がぱっちりかち合ったオズは、おひさまみたいに柔らかい笑みを浮かべて。
「うん、だって此処でしか飲めない酒飲めんだろ。なんか、嬉しいじゃん」
「うんうん、そう、そうだねっ。おいしいの、うれしいね」
 勿論それだけでは無い。
 アヤカが笑えば、オズも嬉しい。
 金色の髪を揺らして笑うオズに、綾華は赤い瞳を細めて。
「あ、そーだ。バーテンダーさん、蒲公英いめーじのカクテルとかってないデス?」
「たんぽぽ?」
 バーテンダーの代わりにオズが瞳を瞬かせてオウム返し、こっくり頷く綾華。
「そう、そう。できれば、甘くて優しい感じの味の……」
 承りましたとバーテンダーが応じれば。
「やった、アリガトー。二つお願いね」
「たんぽぽのおさけ、つくれるの?」
 綾華とオズの目の前で、魔法のように酒を取り出したバーテンダー。
 カクテルグラスに緑色の星屑を少量、シェイカーを手早く振るとそうっと注ぎいれ。
 鮮やかな黄色に、くるりと丸めたフルーツを添えて。
 覗き込めば、ぱっと底に緑星が散る。
「おお、きれー」
「わあ、すごいね、たんぽぽのいろ!」
 提供されたカクテルに、瞳にちかちかと星光照り返した二人はグラスを掲げて。
 かんぱーい。
 口の中に広がる甘酸っぱい喉越しに、星屑がちかちかと弾ける。
 沢山広がる花弁をイメージしたのだろうか、果汁の中に残る果肉がぷちぷちと後を追って。
 まるでジュースみたいに、かるーくぺろりと飲めちゃうようなお酒。
「たんぽぽうまい!」
「わ。おいし……うん、たんぽぽうまいっ」
 綾華がグラスをテーブルに置いて幸せそうに言葉零せば、オズも追うように真似っこ。
 次に綾華はつまみにと、頼んでいた乾き物皿の花弁を一枚つまみ上げ。
「これ本物の花弁かな?」
 なんて、綾華は首を傾ぎ。
「なんの花かな?」
 言いながら、既にオズはチップスを齧っている。
「おいしい、あまくてさくさくだ」
「おー、こっちは宇宙クラゲだっけ。ん」
 綾華が半分乾いたイカのような乾物を齧る。
 むちむち、齧れば齧るほど奥から磯の味がしてくる。
 なかなか噛み切れない。
「アヤカ、アヤカ。こっちもおいしいよっ」
 オズはハート型の野菜チップスを食べてにっこにこ、綾華に一枚差し出し。
 まだ噛み切れない綾華は、はむはむむちむち。どんどん味が広がる。
「んー、そういや」
 やっとの事で宇宙クラゲを飲み干したアヤカが、オズの差し出したチップスを齧り。
「ここ、自分でカクテルも作れるんでしょ。なんか作ってみよーぜ」
「わあ、わたしもおさけつくりたいっ」
 立ち上がってカクテルコーナーへと向かう綾華の背を追って、オズも一緒に店内を歩み出す。
 実態のない魚が、彼らを追うように壁に鰭を弾かせた。

 こゃーん。
 奇妙な鳴き声と共に。
「ダメだ、花桃」
 ひょい、と魚を追って飛び上がろうとした白狐――花桃の首根っこを掴んだオニバス・ビロウ(花冠・f19687)は肩を竦めて。動きを止められた狐は、わたわたと前脚で空を掻き。
 オニバスの言うことをよくよく聞く狐だから大丈夫かと思ったが、やはり獣の狩猟本能には逆らえないようだ。――いいや、実際浮いたり飛んだりする狐が本当に狐かと問われれば困ってしまうのだけれども。
 ――ともかく。
 狐の健康の為にと、少しだけ渋っていたが動き回ろうとするのならば仕方が無い。
 テーブルの小皿の上に、なめらかな乳白色の粉――真珠星粉末を振りかけたあまーい揚げ芋を花桃用に取り分けてやると、こゃん、と鳴いた狐がはくはくとイモを上機嫌で齧りだした。
「全く」
 やれやれと肩を下げたオニバスは、瞳を眇めて。
 テーブルに運ばれてきたばかりのサンピラタのナポタと、天の川天然水を使用した醸造酒へと視線を戻した。
「……確か、さんぴらた……だったか?」
 少なくともキンピラとは違ったものだという事は解る。
 皿の上に乗った初めて見る形状の食べ物は、なんと表現をして良いものか。
 どうにも表現しづらい食べ物に、オニバスは小さく首を傾ぎ。
 用意してもらった箸でちょいと摘んで、月明かりのような喉越しの甘い酒で流し込む。
 うむ、悪く無い。
 器用に芋を齧る狐を一度見やって、オニバスはほうと吐息を零してから。大きな窓に視線を向ければ、ぴかぴかと瞬く星々の明かり。
 それはサムライエンパイアでは、絶対に望むことの出来ない光景だ。
 ――星海で一風変わった酒を楽しむだなんて、年の瀬の締めくくりとしてはなかなか乙なものであろう。
 一人で飲む酒は、それはそれで味わいがあるものだ。
 しかし以前は。
 ……脳裏の片隅より、離れる事はけして無い記憶。
 彼の戦う理由。
 妻の笑む表情がが頭に過り、空の色の青を細めてオニバスは酒をもう一口。
 次は彼女と来ようと、オニバスは思う。
 ――きっと彼女はこういう場所も、こういうものも、好むだろうから。
 ころろ、と丸くカットされた氷がグラスの中で転がり音を立て。
 狐がおかわりを請求するように、額でぐいっと彼の腕を押し上げた。

「さ、お客様――どんな味に致しますか?」
 なんて。
 戯けた綾華の言葉に、オズは瞳を輝かせて。
「アヤカ、かっこういいっ、それじゃあ――ふふ、おすすめくださいな」
 おすすめと言われれば、綾華の脳裏に過るオズの好きなもの。
 ――雨。
 透き通る色雨を集めたリキュールを手にした綾華は、濁らないようにあえてシェイクはせず――。
 若葉跳ねる雨粒のようなゼリーを浮かべて、ゆっくりステア。
 きらきらと太陽の光を飲み込んだ雨みたいな色。
「はぁい、名付けて――翠雨の唄なんてね」
「わあ。すごい、きれいっ。ね、ね、わたしもつくるよっ」
 ぴしっとバースプーンを構えたオズがわくわくした表情で、綾華の顔を真っ直ぐに見て。
「……おきゃくさまはいちご? すきなもの、なんでも言って」
 既にオズが手に掴んでいるのは、イチゴジュレのボトル。
 綾華はくすくすと笑って。
「じゃあ、俺はいちごで甘すぎないやつ。オズなら俺の好み、分かるでしょー? 任せた」
「まかされたっ!」
 イチゴジュレに、千日紅みたいなころころとしたベリー。
 ぱちぱち弾けるスパークリングワインは、あまずっぱくてさっぱり。
 きっときっと、綾華の好きな味。
 おいしいって言ってもらえるかな。
 なんどでも、かんぱいしよう。
 ――グラス交わした二人は、何度目かの乾杯を重ねて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

葛籠雄・九雀
アンテロちゃん(f03396)と

そうであるな。オレもその方が良い。
遅れたが、プレゼント感謝である。今日は楽しめたら良いであるな。

ふーむ、本当に興味深いである。どれ、オレもカクテルを頼もうぞ。味はオレもお任せで。
仮面は外せんので、ストローを付けてくれると嬉しい。

ナポタ…オレもわからん。頼んでみようぞ。
足りなければ他も適当に。

顔が見えることがあれば、一言謝って隠す。
ふむ。一応今は、オレの体として動かしておるからな。朧気だが、喜んでいるかどうかもわかる…オレの妄想でなければな! ハッハ!

魚を見る相手に、オレもそちらを見る。
世界が広がるのはよい。
オレが世界を広げる一助になれたなら、それは幸いであるよ。


アンテロ・ヴィルスカ
クジャク君(f17337)と
贈り物は彼への、日頃のささやかな感謝…お誘いありがとう

しかし良い店だ、出来れば静かに飲みたいね
隅の方で照明から遠い、人目につかない席をお願い出来るかな?

食事は摂らなくても平気なんだが、今日は面白いメニューが沢山ある。
折角だから俺はカクテルを…味はお任せ、料理はシェアして楽しもう
サンピラタのナポタ…?ふふ、イメージが全く浮かばないな

猟兵の素性も色々…焼けた素顔に驚きはしない
しかしクジャク君は味覚や満腹を感じるんだろうか。身体君とリンクしているとか?

時折、泳ぐ魚に目を…
味の経験は俺の舌にはまだ少ない。だが君らが美味しそうにしているならコレはきっと“美味しいモノ”、だね?



 それはまるで、月宮殿からの眺め。
 星河瞬く窓辺より離れた照明もあまり届かぬ、細く明かりが差し込む隅の席。
 ゆらゆらと光の魚が尾鰭を跳ねて泳ぎ行く姿を見送ったアンテロ・ヴィルスカ(黒錆・f03396)は、夜色に星明かりの灯ったカクテルグラスに唇を寄せて。
「良い店だね」
「そうであるな」
 いつもの仮面の下に通した細いストローで、花弁の揺れるグラスの中身を啜る葛籠雄・九雀(支離滅裂な仮面・f17337)も頷いた。
 サンピラタのナポタに、星キョタールのチャフ、揚げリリリ。
 不思議な名前からは、想像もつかなかったメニューの並んだテーブル。
「しかし、ふーむ。これは何と表現すれば良いか。本当に興味深いである」
「ふふ、イメージが全く浮かばない料理だったけれど、実際届いてからも不思議なんて面白いね」
 しげしげと仮面の下から摘んだリリリをしげしげと見つめてから口に運んだ九雀に、アンテロはいかにもおかしげに口角を持ち上げて笑い。
 別段食事は取らなくても平気な体ではあるが、面白いモノを体験する事はやぶさかでは無い。
 開けてしまったグラスに残る冷たい星屑を、くるくるとアンテロは回してからテーブルに置き。
「ふむ。ナポタというのはこういうものだったか、なんとも珍しい食べ物であるな」
 お次は仮面を少し擡げて口へとナポタを運んだ九雀。
 そこにふ、とアンテロの視線にさっと仮面を被り直して。
「失敬、――見えてしまったか?」
「いいや、こちらこそすまない」
 孔雀の仮面奥に隠された、焼けた肉。焼けたかんばせ。
 猟兵の素性は様々だ。
 人の姿すらしていない者も少なくはない。
 その素顔に驚きはしないが、孔雀自身が『見せてしまった事』を気にしているのではないかと、アンテロは小さく首を左右に振る。
「……しかし、クジャク君は味覚や満腹を感じるのかい?」
 切り替えた話題は、アンテロの気になった事。
 彼の本体はあくまでも木製の仮面だ。
 身体君とリンクしているとか? なんて、アンテロが首を傾ぐと。
「ふむ。一応今は、オレの体として動かしておるからな」
 赤毛を跳ねて頷いた九雀が、つまみを流し込むようにストローで酒を啜る。
「朧気だが、喜んでいるかどうかもわかるぞ……、それがオレの妄想でなければな! ハッハ!」
 そうしてひどく明るく九雀が笑うと、体に巻きつけた布が揺れて。
 はた、と思い出した様子でアンテロに視線を合わせた九雀は、ケースをとんとんと指先で叩いた。
「そう言えば、――遅れたがプレゼント感謝であるぞ」
「いいや、日頃のささやかな感謝と言う奴さ、――改めて、今日はお誘いありがとう」
「うむ。今日は楽しもうぞ」
 空のグラスを小さく掲げて、乾杯なんて九雀が言葉重ねれば。
 同じく既に空いたグラスをアンテロも倣うように掲げて見せて。
「ふふ、そうだね。それはそうと――もう一杯カクテルを頂くかい?」
「ああ、勿論である」
 バーテンダーに手を上げたアンテロは、すいと泳ぐ魚を再び目で追って。
 空のグラスをテーブルに置くと、九雀に尋ねる。
「ああ、そうだ。君らが美味しそうにしているコレは、『美味しいモノ』だよね?」
「うむ、そう。そのとおりであるぞ」
 アンテロは八端十字架のヤドリガミだ。
 仮初の体は別段食事をせずとも動いてくれる為、普段はあまり食事を口にする事も無い。
 今日はアンテロにとって、食事という気まぐれの働いた日、珍しい日。
 九雀の言葉に、アンテロは満足げに頷いて。
「そうか、覚えておくよ」
 ――アンテロには初めて触れる食べ物に対しての『知識』と『経験』が、圧倒的に不足している。
 だからこそ、彼は同行者に尋ねるのだ。
 『これは美味しいものなのか』、と。
 アンテロの視線の先で光る魚の尾を追って、九雀はくっと喉を鳴らして笑い。
「世界が広がるのはよい。オレが世界を広げる一助になれたなら、それは幸いであるよ」
 そうして九雀は注文を尋ねるバーテンダーに、お任せでカクテルをもう一杯。
 さあ、アンテロちゃんの世界をまた一つ広げてみようぞ、なんて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

望月・舞夜
友達のクラウ(f18226)と

興味本位で店を覗いてみたら、カウンターに知ってる後ろ姿
「隣いーい?」
笑って覗き込んで

「すっごい景色だよね。こういうSFっぽいの初めて。きれー!」って、辺りを見渡しつつ
ペンギンこだわるねぇ!(脇腹を突く)

「っていうか、クラウってお酒とか飲むんだー。美味しい?」って物珍しげに
ボクはジュースね。あとなんかよく分からないステーキと花弁チップス!

ご飯食べたり、クラウのおつまみを拝借して楽しんでー
「……そりゃあ未成年だけどさぁー」
なーに、注いであげたりした方がいーの?

え、ごちそうさま……ってちょっとちょっと、ふらついてんじゃん!独りで帰れる!? 肩貸すよ!? いーから、ほら!


クラウ・ソラス
舞夜(f16466)と

オシャレなバーのカウンター
聖剣にふさわしい空気の場所で優雅にのんびりしているところに知ってる声
「……私は構わないけれど」
騒がしくなりそうだ

発達した技術は魔法と似ているというけれど、これは実際に魔法と遜色ないね
ボクは剣だから魔法はイマイチわからないけれど
ペンギンは魚ではないよ? いや、一応ね

お酒? それはもう。ワインは貴族の嗜みだからね
グラスを少し掲げて色を見ながら――このワインは少し親しみやすい味がするから
ああでもまだ子供には早い味かもしれないね(ふぁさ)

1時間後には完全に飲み潰れ、年功序列を主張しながら舞夜の分も支払いを済ませて帰ります
大丈夫大丈夫別に酔ってないから!



 隣をすり抜けて行く、ゆらゆら宙を泳ぐ光る魚。
 窓を隔てた外は朝も夜も無く、星彩瞬く壮大なる宇宙。
 静謐たる雰囲気。そして神秘的な光景は、聖剣に相応しきものであろう。
 星の輝く窓の外に向かって備え付けられたカウンター席で一人、クラウ・ソラス(ナイトベイン・f18226)は、真っ赤なワインの注がれたグラスを燻らせ――。
 そんな空気を斬り裂く、くすくす笑う明るい声音。
「隣いーい?」
 既に横の席へと腰掛けてながら。
 望月・舞夜(魔導英雄ソウルウィッチ・f16466)は、ペンギンのフリッパーにも似たもこもこの手袋を外しながらクラウの顔を覗き込んだ。
「……私は構わないけれど」
 ――ああ、全く。騒がしくなりそうだ。
 それは、クラウの優雅で高潔たる気品のある時間の終了のお知らせの声。
 肩を竦めたクラウは、こっくりと頷いた。
「それにしてもさー、すっごい景色だよね」
 窓の外を見やる舞夜は、新鮮な果物のジュースに、花片チップスを目前に。
「ボクこういうSFっぽいの初めてだな、きれー!」
 そしてなんだか大きいけれど何の肉なのかわからないステーキを頬張りながら、目の前に広がる無限の宇宙にぴかぴかと瞳を瞬かせて、瞳に星宿す舞夜。
 そうだねえと同意重ねたクラウは、茹で鹿貝のクリームソースを優雅にフォークに突き刺し。
「発達した技術は魔法と似ているというけれど、これは実際に魔法と遜色ないね」
 一口ぱくり。
 そうしてクラウは、ボクは剣だから魔法はイマイチわからないけれど、なんて付け足してから、ちらと舞夜を窺うように。
「一応言っておくけれどね、……ペンギンは魚ではないよ?」
「ペンギンこだわるねぇ!」
「いや、一応ね。……い、痛っ、力、力が強い!」
 えいっえいっ。
 笑いながらクラウの脇腹を突いた舞夜は、ジュースを一口。
 予想通り見事終了した、クラウの優雅で高潔たる気品のある時間。突かれ終わった彼はこほんと咳一つ。
「っていうか、クラウってお酒とか飲むんだー。美味しい?」
「それはもう。ワインは貴族の嗜みだからね」
 重ねられた舞夜の問いに、ふふんと胸を張ったクラウはグラスを再び燻らして。
 明かりに昏い赤を照らして、エレガントに言葉を紡ぐ。
「このワインは少し親しみやすい味がするからとても飲みやすいのだけれど――、……ああでもまだ子供には早い味かもしれないね」
 逆の手で髪の毛をふぁさっとかきあげたクラウに、むむむと唇を尖らせる舞夜。
「……そりゃあ、未成年だけどさぁー」
 クラウの茹で鹿貝を勝手につまみながら、肩を竦めて。
 飲めないものを自慢されてもなあ、といった表情。
「なーに、注いであげたりした方がいーの?」
「まあまあ、待ちたまえよ、こういうものには注ぎ方というものがあってね」
「へえー。じゃあ、教えてくれる?」
「……まあ、構わないけれども」
 そうして始まるクラウのしゃらくさいワイン講座。
 なんやかんやで注文重ね――。
 一時間後には、優雅やら静謐やら気品はなんとやら。
 ベロベロに酔っ払ったクラウが出来上がっていた。
「だーいじょうぶ、だいじょうぶ、年功序列だ! 会計は任せて欲しい、まかせてくれたまえよ、うん、うん」
 結構なる金額になった会計に、朗らかに多めに代金を置いたクラウ。
 足元は千鳥足。
 やーだいじょぶだいじょぶ~。
「え、えっ、ご、ごちそうさま、って、ちょっとちょっと、ふらついてんじゃん!」
 いつもとは違った様子の彼に舞夜は、手を差し伸べて。
「ははは、大丈夫大丈夫。別に酔ってないから!」
「酔ってるでしょうー!? もう、独りで帰れる!? 肩貸すよ!?」
「だいじょう、ぶ、ぷえ、……」
「いーから、ほらー!」
 うぷっと何かがこみ上げて飲み込むクラウ。
 そんな彼の腕を強引に肩にかけて、舞夜は店を背に――。
 ……隣をすり抜けて行く、ゆらゆら宙を泳ぐ光る魚。
 窓を隔てた外は朝も夜も無く、星彩瞬く壮大なる宇宙。
 静謐たる雰囲気。
 そして神秘的な光景は、聖剣に相応しきものであろう。
 いやまあ、彼いまベロベロですけれど。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

砂羽風・きよ
ディイ(f21861)と

バーとかあんま行かねぇな
ディイは良く行くのか?

まずは何か軽く作ってもらうか
えー…(やべぇ、カクテルの名前知らねぇ!)

デ、ディイは何にするんだ?
ビショップ?じゃあそれにする
つまみは…お薦めのサンピラタのナポタ挑戦してみるか?
全然想像できないが旨いんじゃね

思えば誘ったの男の俺で悪かったな
…お前ほんと甘いな。あめー

お、マジか。さんきゅ
ってきよしスペシャルってなんだ!?
きよしじゃねぇ!

よっしゃ、俺もディイに何かカクテル作るぜ!

見たことない酒もあるな
星屑スパークリングワインに
このよくわからない酒を混ぜて
深い蒼に星屑がキラキラ輝く

ほら、ディイの目の色にも寄せてみたぜ
どうだ、旨いか?


ディイ・ディー
きよ(f21482)と

游ぐ魚に星と花の肴
良いな、洒落てんじゃん

酒は一人では飲まねえし
偶に知り合いの所に行く程度
だからこういう場所は面白いな

まずキールを一杯と
きよはビショップ辺りでいいんじゃね
飲みやすいぜ
サンピラタの……何? それひとつ

はは、別に男とか女とか関係ないじゃん
旨い酒とつまみがあれば誰と過ごしても楽しいし
俺様はお前と居たいから一緒にいるんだぜ

飲み終えたらカクテルを一杯作るか
ミモザベースに羽のように軽い花弁をひとつ
オレンジを添えて、きよに贈ろう
名付けてきよしスペシャル!

俺の眼、そんな綺麗じゃねーけど
ありがとな、きよ
……少しアルコール強くねえ?
ま、酔っても構わねーや
お前となら何とかなるだろ


神々廻・朏
ユウキ(f05741)と一緒に
星弾けるスパークリングワインで乾杯
こんな綺麗なお酒は見たことないよね
ユウキも一人じゃこういう場所来なさそうだしね
せっかくだから変わったお酒いっぱい飲も
ふと自分でカクテルも作れるコーナーを見つければ
ちょっと待っててとカクテル作りに
作り終われば「はい、どーぞ」
世界に1つしかないお酒だよと、キラキラした物が入った黄色のお酒を誇らしげに差し出し
味を気にしてる様子に、大丈夫だって!早く!と飲んだ感想待ち
見た目はキラキラと金色みたいで綺麗でしょ?まずくはない…はず!
感想を聞けば、よかった!と嬉しそうに。作り方は…内緒だよ!
物が何か分からないから
見映えで選んだだけなんて言えない


ユウキ・ネストラ
朏(f02894)と参加

スパークリングワインで乾杯
「こんな酒があるなんて驚いたな」
普段はガバガバ飲むんだが、これは眺めながら飲んでいたいしゆっくり飲もう
来なさそう、との言葉には
「来ないな、こんなお洒落空間には」同意

待ての言葉に素直に飲みながら待つ
自分用か?と思いつつ作るのを眺めていたが、作ったのを差し出されて
「俺に?」
いいのか?の気持ちと、味大丈夫か?の気持ちが半々
確かに見た目はまあまあ…かなり…綺麗ではある(じっくり眺め)
すんっと嗅ぎ、いい香りである事を確認して思い切ってグビッと一口
「うまい」
どうやって作ったんだ?と驚き尋ね
朏の真意には気がつかずに
「門外不出の味ってやつか。凄いな」
勝手に納得



「こんな酒があるなんて驚いたな」
「うん、うん、こんな綺麗なお酒は見たことないよね!」
 窓の向こうは、数え切れぬ程の星に満ち満ちて。
 グラスに満たされたピンクゴールドの中で瞬く星明かりは、目にも美しい。
 星がぱちぱちと弾けるスパークリングワインを掲げたユウキ・ネストラ(人間のバーバリアン・f05741)と神々廻・朏(三日月・f02894)は、乾杯、と。
 くっとグラスを傾ければ、口で、喉で、弾ける星々。
「喉越しまで珍しいんだね、わー、凄い凄い」
「ああ、凄いな……」
 しとやかそうな見た目とは裏腹、一気にグラスを煽る朏。
 豪快そうな見た目とは裏腹、こんなに綺麗な飲み物を一気に飲むのは勿体ないと。
 ちびと啜ったユウキは、意外と辛口の飲み口に瞬きを一つ、二つ。
「ふふ、ユウキも一人じゃこういう場所来なさそうだし。せっかくだから今日は、変わったお酒いっぱい飲もうよ!」
「……や。まあ、確かに。来ないな、こんなお洒落空間には」
 朏の言葉には、ユウキにとって何処までも図星しか含まれていない。
 さらっと認めたユウキは肩を上げて、ワインをもう一口。
 早速グラスを空けてしまった朏は、次は何を飲もうかとキョトキョト周りを見渡して。
「……あ、ユウキ。ちょっと待ってて!」
「ん? おお」
 そうして突然立ち上がった朏の背を、ユウキはこっくり頷いて見送った。

 空を泳ぐ魚は縦横無尽。
 カウンタに並んで腰掛けるディイ・ディー(Six Sides・f21861)と砂羽風・きよ(屋台のお兄さん・f21482)の合間をすり抜けて、魚は光の鰭跡を残して悠々と。
「なー。俺はバーとかあんま行かねぇけど、ディイは良く行くのか?」
 立ち並ぶボトルを端から端まで眺めたきよは、ぱちぱちと瞳を瞬かせて。
「んー? 俺様は酒は一人では飲まねえし、偶に知り合いの所に行く程度だなー」
 なかなか洒落てて面白いじゃん、なんてディイが周りを見渡す姿に、なんとなくほっと胸を撫で下ろして、きよはメニューに視線を落とした。
「そっかそっか、んじゃ。まずは何か軽く作ってもらうか」
 えー、っと……、えー……。
 ……えー?
 メニューを見ても何がなんだかわからない。
 何を隠そう、きよはカクテルの名前を全然知らない。
 いや、宇宙メニューだから余計ですけれども。
 困る。
 こまった。
 一通りメニューに目を通して指でなぞったきよは何事も無かったかのように、努めて平静を装って顔をあげて。
「――デ、ディイは何にするんだ?」
「えー、そうだな。まずキールを一杯と――きよはビショップ辺りでいいんじゃね? 飲みやすいぜ」
「お、ビショップ? じゃあ、ビショップにしとこうかな」
 彼の様子を察したのか、そうでないのか。
 さらっと応えたディイに、助けられたきよはこくこく頷き。
 どちらもワインベースのカクテルだ。
 バーテンダーは注文を聞くと同時にさっとグラスを用意して。
「つまみは……お薦めのサンピラタのナポタ挑戦してみるか?」
 なめらかな動きで彗星ワインをステアする姿を横目に、つまみを選ぶ事には迷いが無いきよ。
「んー、なんて? サンピラタの……何?」
「サンピタラのナポタ。全然想像できないけど、店のお薦めなら旨いんじゃね?」
「ナポ……? ……ま、それひとつ」
 首を傾いだディイも了承すれば、手早く提供されたカクテルの横にサンピラタのナポタもご案内。
 その説明し難い見た目の一品に、手が止まる二人。
 ナポタはなんとも乳白色で、きらきらとしていて……。
 とりあえずカクテルを掲げ合って乾杯する二人。
「そういやさあ。――思えば、男の俺が誘って悪かったな」
 彗星の溶けたワインに柑橘ジュースの混ざったカクテルは甘くて飲みやすい。
 ふ、と顔を上げたきよは、言葉紡ぎながらディイを見やり。
「はは、別に男とか女とか関係ないじゃん。旨い酒とつまみがあれば誰と過ごしても楽しいし――」
 キールを一口煽った、ディイは恐る恐るナポタをつまみ。
「何より、俺様はお前と居たいから一緒にいるんだぜ」
 一口齧れば、味はとても良かった。
 そうしてディイはナポタをもう一口放り込んで、いつものようににいっと笑った。
「……お前ほんと甘いな。あー、すっげえあめー」
 からからと笑って応じたきよは、肩を竦めて。
「ふっ、……何だよそれ。俺様はいつでも激甘だろ?」
「本当だよ、全く」
 戯けた口調でくっとカクテルを飲み干してしまったきよも、ディイがぱくぱくと口に運ぶ様を見てナポタを一口。
 おや、思ったよしもずっとうまい。
 ぱっと表情を明るくしたきよのグラスを、ディイは覗き込み――。
「きよ、もうグラス空いてんじゃん。――ここ、カクテルを作れるんだろ。作りに行くか?」
「お、マジか、行こ行こ!」
 ひょいっとカウンターチェアから立ち上がったきよは、ディイと星空の道を歩みだす。
 ゆらゆら、空を泳ぐ魚がその背を追って。

 ――朏が自作カクテルコーナーへと歩んで行った背中を、ユウキは確かに見送っていた。
 グラスを空けてしまった朏が朏自身の為に、カクテルを作りに行ったモノだと思いこんでいたが……。
「はい、どーぞ」
「……俺に?」
 ぴかぴかキラキラ、瞬く雫は宝石めいて。
 鮮やかな金色のカクテルを、朏は誇らしげに差し出す。
「うん、世界に1つしかないお酒だよ!」
 当の差し出されたユウキは瞳を細めて、眉を寄せるばかり。
 その心は、本当に貰って良いのか半分、飲んでも大丈夫な味なのか半分。
 大変微妙そうな表情で、じっと差し出されたカクテルと見つめ合い――。
「大丈夫だってー、なんだい、なんだい。僕のお酒が飲めないっていうの?」
 見た目は瞬く金色。
 確かに綺麗だし、不味そうには見えない。……見えないけれど。
 ぐいっと押し付けられて思わず受け取ってしまったユウキが、小さく鼻を鳴らして香りを嗅げば、柑橘系の良い香り。
 ――香りも悪くは、無い。
 腹を括ったユウキは、目を瞑ってえいやっと一口。
「…………うまい」
「ふふ、よかった!」
 嬉しそうに弾む声、朏は紫色の瞳を揺らしてへんにゃりと笑い。
「一体どうやって作ったんだ……? 本当に旨いぞこれは」
 不思議そうにグラスを覗き込んだユウキは、思わず彼女に首を傾ぎ。
「……内緒だよっ」
「……へえ。門外不出の味ってやつか? 凄いな」
 朏の答えに、勝手に納得して頷いたユウキ。
 ――いやあ、朏に答えられる訳も無い。
 だって、なんとなくキレイなモノを見た目重視で混ぜただけ、なんて。
 大丈夫なんていっちゃった手前、口が避けたって言える訳もない。
 うまい、とグラスを煽るユウキ。
 いやあ、美味しくて本当に良かった!

 星屑シャンパンに、柑橘ジュース。
 羽根のように軽い花弁にオレンジを添えて――。
「――名付けて、きよしスペシャルだ!」
 ぱんぱかぱーん。
 ディイに差し出されたシャンパングラスを、半目で見やるきよ。
「きよしじゃねえ! きよしスペシャルってなんだ!?」
 そりゃ『屋台のきよし』の主だからだろうけれども。
 まあさんきゅ、なんて受け取ってしまうきよはちょろし。
 一口飲めば、爽やかな甘みが広がり。
 グラスを置いてよっしゃ、なんて。小さく腕まくりしたきよは、八重歯を見せてにっと笑んだ。
「俺もディイに何かカクテル作るぜ!」
「おー、頼むぜきよ。楽しみ」
 別段、酒は出しちゃいないけれど。
 屋台で鍛えたきよの御業を見せる時。
 見たこともないボトルが立ち並ぶ中、きよが選んだのは星屑スパークリングワイン。
 こいつをベースに、このよくわからないけれど綺麗な酒をゆっくり注ぎ。
 あえてステアしない事で、深い蒼に星屑がキラキラ輝き瞬くキレイなお酒の完成だ。
「ほら、ディイの目の色にも寄せてみたぜ」
「……は。俺の眼、そんな綺麗じゃねーけど。ありがとな、きよ」
 まるで口説き文句だ、とディイは笑って。
 くっとグラスを一口煽る。
 ぴかぴか瞬く星屑が、喉奥で弾けて――。
「……少しアルコール強くねえ?」
「そうか?」
「ま、酔っても構わねーや。お前となら何とかなるだろ?」
「おー、そうだろ」
 ディイの言葉に、おかしそうに笑うきよ。
 ならば、もう一杯ディイの為に腕を振るってみせようか、なんて。

 ――星煌めくバーの夜は、まだまだ続くのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リル・ルリ
🐟櫻沫
アドリブ歓迎

ばー、初めて
大人の雰囲気、隣には僕の櫻(男の姿
なんでだろう
いつもの櫻のはずなのにドキドキ
かくてるを一緒に飲む
櫻宵!お酒はダメだぞ!お酒を飲むと見境がないんだから
どうって…(赤面
お、覚えてないの?

僕のは春の宵穹をそのまま閉じ込めたみたいなかくてる
弾ける泡がまるで舞い散る桜花弁のようで桜の宵に誘われるよう
どきどきしながら飲めば、
ぱちりと弾ける炭酸と甘い桜が香り広がり
美味しさに笑顔が咲く

櫻のもおいしい?一口頂戴
わぁあすご、甘い!よく飲めるね

星桜の花弁ちっぷすを齧りながら櫻を見やる
悔しいけどかっこいい
大人、なんだなぁ
僕もはやく大人になれたら、なんて
そうかな
君の隣にいられるなら
それで


誘名・櫻宵
🌸櫻沫
アドリブ歓迎

星のさかな
リルみたいね!
どうしたの?
もしかして…BARの雰囲気に緊張してるのかしら
大丈夫よ、リル
うふふ!お酒ー!
……わかってるわよう
どうして?
あたしそんなに酒癖悪い?
……ちょっと記憶がなくなって
目が覚めると隣に知らない人がいたり
今はリルと一緒だから心配しなくても
……え?
知らない
何かあった?

気を取り直してカクテルよ!
あたしのは、深い水底の青に揺らぐ白の人魚のような氷
しゅわりと泡になるそれを飲み込めば蕩ける程に甘く
嗚呼…其れはあなたの血のよう
…リルのが美味しいわ

飲んでみる?
そんなに見つめられると照れるわ
あたしは少し大人なの

リルはそのままでいいのよ?
もちろん
そばにいて
離さないから



 ゆらゆら泳ぐ、光る魚。
 店の端から端まで立ち並ぶ、たくさんのボトル。
 窓の外に瞬く沢山の星々の明かりと、抑えられた光源。
 そして。
 カウンターチェアに腰掛けて、落ち着かない様子で尾鰭の先をゆらゆら揺らすリル・ルリ(想愛アクアリウム・f10762)。
「星のさかな、なんてリルみたいね、……って、どうしたのリル?」
 そんな落ち着かない様子のリルの鰭に気づいた誘名・櫻宵(屠櫻・f02768)は首傾ぎ。
「もしかして、BARの雰囲気に緊張してるのかしら? ……うふふ、大丈夫よリル。あなたはお行儀悪く成ったりしないでしょう?」
「む、むうう。そ、それはそうだけど」
 リルの鰭がぴるぴるするのは、バーの大人の雰囲気に緊張している事も一つ。
 そして。
 口元を隠して上品に笑う櫻宵の姿が普段とは違い、男装――いいや、普段が女装しているだけなのだけれども。
 ともかく。
 櫻宵が男らしい装いをしている事も、一つであった。
 なんだか不思議と胸がとくとくと跳ねて、どうにも落ち着かない。
 しかし。
 こんなに大人の雰囲気のお店の中で、落ち着きがない人魚だと思われる事もリルにとってはイヤな事であった。
 もう、いつもの櫻と同じはずだぞ! おさまれ、どきどき!
 ふるふると小さく顔を左右に振ってから背をぴいんと伸ばして、堂々とバーカウンターに腰掛ける櫻宵にふさわしいように。
「うふふ、沢山お酒があるわね、素敵だわ」
「あっ、櫻宵。君はお酒を飲んじゃダメだぞ!」
 お酒を飲むと見境がないんだから、と肩を下げたリルに。
「……わかってるわよう。……ねえ、リル。どうしてかしら。あたし、そんなに酒癖悪いかしら?」
 改めて、じっとリルを見つけて尋ねる櫻宵。
「えっ、ど、どうって……」
 ぱっと頬を朱色に染めたリルは、どんぐりみたいにまん丸に目を見開き。
 脳裏に過る出来事に、おもわずきゅっと息を飲む。
 そんなリルを更にじっと見つめて、言葉を次ぐ櫻宵。
「……ちょっと記憶がなくなって。目が覚めると隣に知らない人がいたり、知らない場所に居たりするけれど……、今はリルと一緒だから心配しなくても……」
「……え? 櫻宵。お、覚えてないの?」
「……え? 知らない、何かあったの?」
「し、知らないっ!」
 慌ててぷいっと顔を背けたリルに、櫻宵は心底不思議そうに首を傾げて。
 ほんとうに、……櫻宵はお酒を飲むと見境がないのだから。
 今後も絶対にあるこうるを摂取させてはいけない、と決意を新たにするリル。
 そこにバーテンダーが頼んでおいた『ノンアルコール』(強調)カクテルと、星桜の花弁チップスを持って現れ、テーブルの上に提供を。
「わ、綺麗だ」
 リルの前に置かれたグラスは、弾ける泡がちらりちらりと舞う桜花弁のよう。
 春の宵穹をそのまま閉じ込めた、ふわふわとあまい香りで桜の宵が誘うカクテル。
 櫻宵の前には、昏い水底の青。
 白氷が揺らぐ様は、人魚が泳ぐよう。
「ふふ、気を取り直して頂きましょうか」
「うん」
 グラスを掲げた二人は同時に唇を寄せる。
 ぱちぱち弾ける炭酸から、香り立つ桜。
「……おいしい! 櫻のもおいし……」
 花のように笑んだリルが、櫻宵を見やれば。
 ――櫻宵のグラスを傾ける姿に思わず見惚れて、言葉を失ってしまった。
 それは、リルの想像する『大人』の姿。
 しゅわ、と泡のようにとろけた白氷。
 それは恰も、泡と溶けた人魚姫のよう。
 愛しい人魚の血程、甘いカクテルは――。
「……リルの方が美味しいわ。……あら、リル、こっちも飲んでみる?」
 まじまじと自分を見やっていたリルに、櫻宵はグラスを差し出し。
「う、うん。……わぁあ、甘い!」
 一口分けてもらったリルは、こんなに甘いのよく飲めるな、なんて。
 グラスを返して花弁チップスを齧って。
 そうしてリルは、横目で櫻宵を見やる。
 ああ、……悔しいけどかっこいい。
 グラスが似合う様をみれば改めて、大人なんだなぁ、なんて考えてしまう。
「……僕もはやく大人になれたら、いいのに」
 思わずぽつり、と零れる言葉。
「――リルはそのままでいいのよ?」
 くすくすと笑った櫻宵が、柔らかく応える。
「そうかな……?」
 だって、こんなに櫻宵は大人なのに。
 だって、僕はまだまだ子どもなのに。
「もちろん。――傍にいてね、決して離したりしないから」
「――君の隣にいられるなら、それでいいや」
 でも、櫻宵がそう言ってくれるなら。
 まだ、もう少しこのままでいいのだろう。
 もう一枚花弁チップスを齧って、リルは尾鰭をぴるぴるする。
 ああ、やっぱり。
 今日の櫻宵の横にいると、不思議と胸がとくとくと跳ねてどうにも落ち着かない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

霧島・ニュイ
華座敷

故郷じゃ見えない空模様に感動

星野菜と花チーズのスパゲッティください!

クロトさんの飲み物
火星オレンジのホットワイン…これ!
華やかで魅力的な味で、底に溜まる蜂蜜をかき混ぜて飲むみたい
スパイスが効いてるらしいよ?

すっきりとした甘さの人当たりの良さで、優しいのに
甘さを知れば知るほど分からなくなる中毒性は、まさに蜂蜜じゃないかな
ほんと毒みたいな人だって思ってるんだから(むー

わぁぁ、カクテル綺麗!!
まるで僕の瞳の色みたい
きらきら綺麗で、兄さんの想いが伝わってきて、胸がじんわり
うん…いつか記憶戻るといいな…
ありがとー!!
美味しい…(感動

Σ
もー、クロトさん冗談きついんだからー!
頼りにしてるんだからね!


佐那・千之助
華座敷

陽の恵みを享けずとも幸な世界に
追い求める物も形を変えそうで
真に人を照らすものは…
今彼らへ目が向く理由は…

弟に選ぶカクテル
グラスを包む薄藍の霧が晴れれば
煌の星雲いだく翠の宙

いま眺め得る星々は
何光年何百光年前から到達した光の集合体か
時を越え、いつか在りし日の光が弟へ届き
願わくば優しく懐けるものであるよう

花咲く杯に釘付け
郷に花は僅か、憧れが強く
紫、赤、桜、花火に琥珀…
今年盛り沢山の思い出と彩をくれて有難う
もし淋しくなっても笑えるだろう
折角の夜、先の事はさて置き
幸溢れる笑みを杯へ
今だけの綺麗に眸を蕩かす
好きじゃよ
乾杯

飲めば酔う躰
常なら吸血衝動ある筈が
紅宿す瞳も物静か
胸満たす最上の美味があるから


クロト・ラトキエ
華座敷


未知のメニューの中。
千之助へ選ぶのは、
外気に触れると花弁状に泡踊る、向日葵色のスパークリング。

乾杯♪
って、理由まで言う流れです?
…ただ、好きそうだと、思…っ、
すみませんねぇ、捻りが無くて!
…お気に召したなら、光栄。

平静装い、頂いた杯に口付け。
毒とあまり仰らずに。
蜜の甘さに喉焼く酒と香辛料が潜む様に、
呑めば呼吸を止めるもの
…だったら大変!
何て。酔えぬ身の癖、冗談風。

星の海。艦は魚で、
未来へ向かうひとは船乗り。
荷が重ければ沈むから、
捨てられぬものとゆくしかなくて。
ならせめて淋しく無い様…
回想も夢想も優しさとも縁遠い己は、
二人にそう祈るのみ。

ご安心を。
疲れても潰れても、今日は連れて帰りますから



 光揺らして宙を泳ぐ魚は、実態はあらず。
 窓の外に瞬く幾千幾億もの、瞬く光は何光年何百光年前から到達した昔の光。
 遠く近く輝く星々の煌きは、宇宙にあって空にあらず。
 ――佐那・千之助(火輪・f00454)は常闇の世で宵を照らす陽光でありたかった。
 しかし。
 この世界と言えば、陽の恵みを享けずとも幸な世界であるようで。
 それは、彼自身の追い求める物も形を変えてしまいそうな事実でもある。
 ――ならば、真に人を照らすものは?
 ――今、彼らへ目が向く理由は?
 ぐるぐると回る思考の中、千之助が紫瞳を細めれば――。
「星野菜と花チーズのスパゲッティください!」
 ぴっかぴか笑顔でメニューを見ていた霧島・ニュイ(霧雲・f12029)が、元気よく注文一つ。
「では、私はこれで――」
 何を見ても未知のメニューの中、注文を選ぶにも一苦労。
 クロト・ラトキエ(TTX・f00472)も、やっとの事で注文を選び終えて。千之助とニュイに向き直った。
「うむ、皆無事注文を終えたようで一安心じゃの」
 憂い残る表情は上手に隠してしまい、顔を上げた千之助。
「兄さんが選んでくれたカクテル、楽しみだなー」
 手早くバーテンダーが注ぐ液体は、星の如き煌き。
 ニュイの言葉通り。――彼ら3人は、互いに飲み物を選び合っていた。

 ……千之助へとクロトが選んだ飲み物は。
 空気に触れた瞬間泡が花弁状に舞い踊る、向日葵色のスパークリング。
 ……ニュイへとクロトさんの選んだ飲み物は。
 火星オレンジのホットワイン。
 ……そして、千之助がニュイへと選んだ飲み物は――。
 グラスを包む薄藍の霧が晴れれば、煌めく星雲を抱く翠の宙の如きカクテルであった。

 ――グラスが行き渡れば、乾杯の言葉交わして。
「わぁあ、すごい、すごい、素敵なカクテルだねぇ!」
 へにゃっと笑んだニュイは、とても大切な宝物を掲げるみたいにグラスを持ち上げてじいっと見上げる。
 星光を浴びてきらきら星を抱いたキレイな翠は、自らの瞳と同じ色。
「うむ。――あの星々のように時を越え、いつか在りし日の光がニュイに届き、願わくは優しく懐けるものであるように、……なんてのう」
 千之助が口角を上げて選んだ理由を語れば、ニュイは何度もこくこくと頷き。
「……うん、うん。ありがとう兄さん。そうだね、――いつか、記憶が戻るといいな……」
 覚えていない。――欠けがえのない記憶と家族だったのは解る。
 それでも思い出せる事は、最後の最後に自らを拒絶した羅刹の少女の事ばかり。
 喉を小さくならしたニュイは沈んで見えなくなってしまった記憶を追うように、一度だけ目を閉じて。
「うん、……すっごく美味しい!」
 そうして唇にグラスを寄せて、感動した様子で微笑んだ。
「……って、理由を言う流れです?」
 ぎょっと一瞬、眉を寄せたクロトは瞬きを一度、二度。
 その様子に、ぱっと顔を上げたニュイが、悪戯げに笑った。
「んっとね、クロトさんに選んだホットワインは……、華やかで魅力的な味で、底に溜まる蜂蜜をかき混ぜて飲むみたい。スパイスが効いてるらしいよ?」
 理由を重ねてしまえば、クロトだって言わざる得なくなるだろう。
「すっきりとした甘さの人当たりの良さで優しいのに、甘さを知れば知るほど分からなくなる中毒性は、まさに蜂蜜じゃないかな?」
 唇に指を押し当てて、くすくすと本当におかしげにニュイは笑って、クロトを見やった。
「――ほんと毒みたいな人だって思ってるんだから」
 直に努めて平静を装ったクロトは、ニュイの重ねる言葉に肩を竦めて。
「――毒とあまり仰らずに」
 眼鏡の奥で柔和に深海の色の瞳を揺らしたクロトは、じっとニュイを見やって。
「蜜の甘さに喉焼く酒と香辛料が潜む様に、呑めば呼吸を止めるもの」
「……!」
 本当に毒であるとしたら。
 ニュイが肩をぴっと跳ねると――。
「――だったら大変! なんて、ね」
 クロトが戯けて、唇を笑みに歪めると、もう! とニュイが唇を尖らせて。
「もー、クロトさん冗談きついんだからー!」
「して、クロト。私のスパークリングはどういった意味があるのか?」
「……えっ、っと。…ただ、好きそうだと、思……っ」
 一転。
 言葉を詰まらせるクロトにくつくつと笑んだ千之助は、陽光に似た髪を掻き上げて。
 グラスをじいと見やれば、花弁が咲いては散る。
 紫、赤、桜、――花火に琥珀。
 笑い声に小さく頭を振ったクロトは瞳を眇め。
「すみませんねぇ、捻りが無くて!」
「いいや、――今年盛り沢山の思い出と彩をくれて有難う。このように華やかな一杯ならば、もし淋しくなっても笑えるだろう。――好きじゃよ」
 先の事なんて、解りはしないけれど。
 今ここで咲く一杯は、とても美しくて綺麗で。
 眦緩めた千之助は、くっと一口。
 見た目通り、華々しい味が千之助の口内で弾け――。
 そうして彼は紅色に染まった瞳で、二人を見やった。
「……お気に召したなら、光栄」
 肩を擡げたクロトは、瞳を細めて笑う。
 普段ならば、酔ってしまえば千之助の肚奥より湧き上がる吸血衝動。
 しかし今日は、不思議とその気持ちすら穏やかで。
 嗚呼。
 胸満たす最上の美味があるから、だろう。
 紅の瞳で千之助は、心許す仲間たちを見やる。
 視線に気がついたクロトは、ふっと顔を上げて。
「――ご安心を。疲れても潰れても、今日は連れて帰りますから」
「そりゃあ、安心だの」
 千之助は、くすくすと笑った。
「僕もいるからねー」
 なんて、スパゲティを食べながらニュイも片手を上げる。

 ――星の海。
 艦は魚で、未来へ向かうひとは船乗り。
 荷が重ければ沈むから、捨てられぬものと行くしか無いもの。
 ならば、せめて淋しく無い様、なんて。
 回想も、夢想も、優しさとも。
 縁遠いクロトは、祈ることしか出来ないのだから。
 せめて、せめて、二人が――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

エンティ・シェア
【死霊館】

とても素敵な雰囲気だねぇ。ゆったりと過ごすにはぴったりだ
メニューも色々あるのだね
孤檻はスパークリングワインが気になるのか
それなら私は花絞りのエールを飲んでみよう
違う味が気になるからね
花弁チップスで花揃え。うんうん、随分と可愛らしい

泳ぎ回る魚たちを横目に、お喋りしながらのんびりと
今年は夏にもお祭りにでかけたり出来て、楽しかったよ
それに、酒を飲み交わせる友人が増えたというのも喜ばしい
そうだ、折角だからカクテルを作ってみようか
素人だからまぁ無難に果汁と色の良いお酒を混ぜてね
ははは、さまになっているなら何よりだ
振る舞うというのをしてみたかったんだ
悪いものは混ざっていないはずだよ、召し上がれ


鬼灯原・孤檻
【死霊館】

これは魚のホログラムか。窓からは無数の星が見える。まるで深海のような、宇宙の中のような不思議で美しい場所だな。
ふむ、メニューは……色々あるが、この星が弾けるスパークリングワインというものは飲んでみたいな。どんな味だろうか?
星欠片のスナックをつまみに、宙を漂う星と魚を肴に、話を楽しもう。
夏祭り、楽しかったな。あの時取った金魚は、今も部屋で大事にしているんだ。
…エンティはカクテルを作れるのか? それは楽しみだ。
素人というが、様になっているぞ。

ああ、今宵も、良い夜になりそうだ。

<アドリブ改変可>


クローネ・ハルトマン
【死霊館】
SSWかぁ…そういえば来るのはあの戦争以来か。ふふ、何だか感慨深いねぇ…。
私はどうしようか。確かジュースも名産、と言っていたね。
それじゃあ、この淡雪のような甘さのジュースを頼んでみようかな。
お酒も珍しいものがあれば頼みたいねぇ。原材料は何を使っているのだろう。バーの人に聞けば多少分かるかな?

ふふ、夏祭りかあ。楽しかったねぇ、誰かと出掛けるのは久し振りだったから…。周りを泳ぐ魚を見ていたら、今度は海に行くのもいいかもしれないなぁと思えてきたよ。
おや、カクテルかぁ。エンティ君が作ってると絵になるねぇ…。
…うちの館にカクテルに使えそうなお酒はあったかな。後で探してみよう。



 ――決して明るくはない店内。
 大きな窓の向こう側には、瞬く煌星。
 ひらひらと尾を揺らして、光る魚影がするりと足元をすり抜けて行き。
 その姿を目線だけで追った鬼灯原・孤檻(刀振るう神・f18243)は、銀の瞳を細めた。
「魚のホログラムか」
 それはどこか自室の金魚達を思い出させる魚影。
 宇宙の只中にあって、深海のようにも見える店内。
「……うん、不思議で美しいな」
「やぁ、とても素敵な雰囲気だ。ゆったりと過ごすにはぴったりだね」
 メニューも色々あるようだね、なんて。
 長い足を組んでカウンターチェアに腰掛けたエンティ・シェア(欠片・f00526)はメニュー片手に、うっそりとした髪の間から緑色の視線を向ける。
 ――この世界にクローネ・ハルトマン(ペストマスクは傍観する・f11617)が訪れるのは、先の戦争以来だ。
 すっかり平和になった世界だからこそ、バーだって平和に営業ができるもので。
「何だか感慨深いねぇ……」
 ペストマスクを被った――否、ペストマスクのクローネと意識の繋がっている彼を被る男がくすくすと笑い。
 そんな彼の横でメニューを覗き込んでいたエンティと孤檻が、頭を上げた。
「ふむ、では俺はこのスパークリングワインをいただこうかな」
 星が弾ける飲み物を飲むのは初めてだな、と孤檻はメニューを指先でなぞって。
「それなら私は、こちらの花絞りのエールを飲んでみよう。どうせならば色んな味を楽しみたいからねぇ」
「ん……? もしやそれは、俺の酒を飲むと言っているか?」
 エンティの言葉に、首を傾ぐ孤檻。
 そんな彼の銀瞳を覗き込むと、エンティはなんでも無いように笑って。
「良いじゃあないか、シェア。孤檻も色々味わってみたいだろう?」
「まあ良いが……」
「ふふ、山分けの相談かい。なら私は……そうだね、確かジュースも名産、と言っていたねぇ」
 メニューに視線を落としたクローネが、これにしようかとジュースを指差し。
「後はつまみも適当に……、ああ、珍しいお酒はあるかな?」
 それに原材料、味はどうなのか。
 気になる事は、確認したい事。知らぬ事を知る事は、楽しい事。
 クローネはバーテンダーに質問を重ねるのであった。
 ――手早く提供された乾き物。
 星の欠片のスナックは、甘じょっぱく味付けされた齧ればころりと砕けるもの。
 甘い花弁はさくさくとした食感。
 その名の通り花を絞ったというエール。
 エンティの手元のグラスの中で、ほろ苦さの中に花の香りがふわりと漂う。
「そう言えば、――皆で行った夏祭りも楽しかったな」
 星屑がぱちぱちと弾けるスパークリングワインを、孤檻は一口。
 その口で語る言の葉は、今年の思い出だ。
「ふふ、そうだね。楽しかったねぇ。それに、誰かと出掛けるのは久し振りだったから……」
 浴衣を着た事も久々だったなあ、と。
 クローネは、淡雪のような甘みのジュースを一口。
「あの時取った金魚は、今も部屋で大事に育てているんだ。しかし、……中々アクアリウムというのも、奥深い世界だな」
 星の欠片を、カリコリ、サクリ。
 孤檻の脳裏に過っているのは、自室の水槽の事。
「あの時食べたりんご飴も、愛らしいものだったね。――それに、何より。酒を飲み交わせる友人が増えたというのも喜ばしい事だったよ」
 小さく頷いたエンティが、花揃えだ、なんて。
 齧った花弁チップスをエールで煽った、その瞬間。
 光る魚がざあと壁を駆けたかと思うと、ひときわ大きな魚影がぴかぴかと瞬いた。
 それはまるで海中の出来事の様にも見える、ホログラム上の出来事。
 ふ、と鼻を鳴らして笑ったクローネは、肩を小さく上げて、下げて。 
「――来年の夏は、海に行くのもいいかもしれないねぇ」
 水族館も良いかもしれない。
 ――来年の思い出も、仲間たちと一緒ならばきっと事欠かないだろう。
 そこに、くっとエールを飲み干したエンティが立ち上がり。
「ああ、そうだ。そこでカクテルを自由に作れるそうじゃあないか。折角だからカクテルを作ってみようかな」
 そのままカクテルコーナーへと歩んで行くエンティの背を見やった孤檻が、一枚花弁をつまみながら。
「うん? エンティはカクテルを作れるのか?」
「それはすごいねえ」
 クローネもこっくり頷き、ボトルを選ぶ背を見た。
「ははは、そうはいっても素人さ。無難に果汁と綺麗な色のお酒を混ぜて……っと」
 エンティは朗らかに笑いながら、材料をシェイカーに丁寧に注ぎ入れると手早くシェイク。
「素人というが、様になっているぞ」
「いやいや、絵になるねぇ」
「ははは、様になっているなら何よりだ」
 一度振る舞うという事をしてみたかったんだ、なんて。
 シェイカーからカクテルをグラスに移し、花弁や星屑を散らして見た目を整えれば。
 エンティ特製カクテルの完成だ。
「さて、悪いものは混ざっていないはずだよ、召し上がれ」
「……うん、美味しい」
 早速振る舞われたカクテルを一口、孤檻は華やかな味わいに瞳を細め。
「……うちの館にカクテルに使えそうなお酒はあったかなあ」
 ペストマスクの表情は解らないけれど、クローネもきっと気に入ったのであろう。
 後で探してみよう、なんて彼は言葉を継ぐ。
 気の置けない仲間と語らう夜は、穏やかに更け行く。
 ――きっと今宵も、良い夜になるのであろう。
 光る魚が尾を跳ねて、壁をするりと泳いで行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

終夜・嵐吾
せーちゃん(f00502)と

これは……良いバーじゃな
夜空を見て美味い酒も飲める…うちで見上げる空もええけど、ここまで満天ではない、宇宙ならではじゃな
それに魚がゆるゆる泳いどるのも楽しいの
…せーちゃん、そのお魚とはお話しでき……(気づいておらんし)まぁええか
そじゃね、照れ屋さんじゃ

さて何飲むか…
手始めにきらきらスパークリングにしよかな
そのあとはバーテンさんにお勧め作ってもらお
つまみもお勧めでええかな?
せーちゃんなんか気になるもんある?
…甘味は最後にしよ、わしは酒んときは甘いんもええが塩気が恋しい…
謎フルーツ生ハム頼も!

友と過ごす宇宙の夜はこれまた新鮮
そじゃね、どこでも楽しいが今夜も佳い夜じゃ


筧・清史郎
らんらん(f05366)と

ふむ、満天の星空を眺めながら、友と酒を酌み交わせる店か
とても良いな(微笑み
まずは、店内を行き交うお魚さんにご挨拶せねばな
動物と話すで、今宵は楽しませて貰う…と伝えるも反応なく
宇宙のお魚さんは照れ屋さんのようだ、らんらん(ホログラム気付いてない

星が弾けるスパークリングワインは、確かにこの店に良く似合う
友と過ごす楽しい今宵に乾杯しようか
お勧めのつまみや酒も楽しみだ
俺はやはり甘い物が欲しいところだが…
甘味は最後か…ではこの謎肉をいただこう(雅に

満天の宙を酒の肴に友と語らう、とても良い時間だ
らんらんとならば、いつまででも話も尽きないしな
今宵もとことん付き合って貰うぞ、らんらん



 窓の外には灯火の様に、数え切れぬほどの星々が燦めいている。
 美しき宇宙を臨む大きな窓に向かったカウンタ席に陣取った二人は、とろりとしたピンクゴールドの中で星屑が弾けるスパークリングワインの注がれたフルートグラスを手に。
 小さく乾杯を交わして。
「ふむ。満天の星を眺めながら、友と酒を酌み交わせると言う訳か」
 柔く眦を緩めた筧・清史郎(ヤドリガミの剣豪・f00502)は、床を泳ぐ光る魚を目線だけで追って。
「これはとても良いな」
「うむうむ、ほんに良いバーよの」
 瞳を瞑ってグラスを口に運んだ終夜・嵐吾(灰青・f05366)は、灰青の毛並みの狐耳をぴんと立てたまま。
 ぱちぱち。口で喉で、果実感の強い炭酸に混じって、星屑が甘く弾ける。
 これは旨い酒だ。
「うちで見上げる空もええけどここまで満天では無いものな、こりゃ宇宙ならではじゃなぁ」
 そうして嵐吾はグラスを一度置き、吐息を零して何処までも続く星々の連なりを見やり。
「そうだな。宇宙で無ければ見れぬ光景、……そう言えば、このお魚さんたちも宇宙で無ければ会えぬ者達であったな」
「……えっ、せーちゃん?」
「お魚さん達、今宵は楽しませて貰おう」
 よろしく、と清史郎が光る魚達に話しかけるも、相手はホログラム。
 当然魚達の反応があるわけもなく、魚影は尾鰭を返して壁を泳ぎゆく。
「そのお魚とはお話でき……」
 バーテンダーお勧めの乾物盛り合わせから、星くらげの干物を齧りつつ。
 嵐吾は清史郎へと大切な事を伝えようとするが――。
「ふむ……宇宙のお魚さんは照れ屋さんのようだ、らんらん」
 振り返った清史郎が、あまりにいつもどおりの表情だったものだから。
「……そじゃね、照れ屋さんじゃ」
 まあいいか、なんて。
 嵐吾は干物を飲み込むと、ゆるーく笑って肩を上げた。
 そうしてメニューを手にすると。
「あ、せーちゃんなんか気になるもんある?」
「おお、つまみの追加だな。そうだな、俺はやはり甘い物が欲しいところだが」
 清史郎が超の付く甘党の事は、嵐吾も承知の所だが。
 しかし甘めのワインに甘味は――。
「……甘味は最後にしよ? わしは酒んときは、甘いんもええが塩気が恋しい……」
 ぱたぱたと狐の尾の先を揺らした嵐吾は、ノーのか前。
「ふむ。……甘味は最後か……ではこの肉をいただこうか」
 花笑んだ清史郎の指差したメニューはミットラム・タタラーの肩肉のステーキ。
「ふふ、そしたらこっちのも頼もか」
「あとは……、そちらの枝豆っぽいものも欲しいな」
 謎の肉にくつくつと笑った嵐吾は、謎の果物メニューの並ぶ一覧から、ピリカフルーツの生ハム添えを指差して。
 軽く頷いて承諾した清史郎が、更に注文を重ねる。
 不思議なメニューで冒険するのも、友と一緒だからこそ楽しいもの。
 満天の宙を酒の肴に友と語らう、良き時間。
「――今宵もとことん付き合って貰うぞ、らんらん」
「うむ、うむ。勿論じゃよ、せーちゃん」
 さあ、次は何を飲もうか。
 花の香りがするエール?
 それとも量が減るたびに色を変える蒸留酒だろうか?
 彗星の水だけを使ったワインも良いだろう。
 ――気の置けない友人とであれば、朝まで語り合っても話題が尽きる事は無いのだから。
 空を背にゆるゆると泳ぐ魚は彼らを気にすることもなく、尾鰭を跳ねて泳いでゆく。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ヴィリヤ・カヤラ
【爪痕】 (4名での参加)
呼び方:基本は「名前+さん」
メール(f05874)→メルちゃん
アドリブ等歓迎

今日は真さんの奢りだし楽しんじゃおう!の、前に…
後から何か請求されるとか無いよね?
請求してやろうかと言われたら首を振って、
請求が無いならそのままで!

他の世界では見ないメニューが多いね、
アルコール弱めのさっぱり系カクテルってあるかな?
あと、食べ物は…甘い感じで皆でつまめる物が良いかな。

こういう所にデートで来たら盛り上がりそうだよね、
店内も食べ物も綺麗なのが多いし。
っと、皆の食べてるのもどんな味か気になる…美味しい?

グラスを掲げるのを見たら同じように掲げるね。
皆で一つのテーブルで楽しむのも良いね。


久澄・真
【爪痕】
呼び:名前呼び捨て

ファンタジーな場に似合わぬ相貌の男曰く
今夜は発散の日なのだと
煽る酒は度数強めのバーテンのオススメ

あー確かに好きそうな
あ?んだお前らそんなに何か請求してほしいなら喜んで請求するが?
散財する日くらい俺にもあるわ

お、宇宙クラゲの干物うめぇ
新食感ってやつ?

デートなぁ…盛り上がるか?
感性の違いだろうかヴィリヤの言葉に理解及ばず
まあ、どっちみち今日ここにいるのは独り身の集まりだけどな
レジー、そのスナック菓子俺にも
くつり笑いながら強請る態度も割とふてぶてしく

メールの言葉に唇は弧を描きながらも
へいへい、と面倒そうに口にする言葉はグラスを掲げ

Merry Christmas


メール・ラメール
【爪痕】名前+ちゃん呼び

はーい、メルちゃんイイコだからぼったくりとか言わないです!
ありがとう真ちゃん遠慮なくイタダキマス!!

とりあえずカクテル、あまいのがいいな
くらくらしちゃうと困るから、度数はほどほどで
あと、つまみ?
クジラっぽいお菓子とかあるかしら、わたがしみたいなふわふわの
あっ!レジーちゃんちょっと待って、写真はぜひ撮りたい!
こんな面白い食べ物、そうそう出会いないものね。ふふ

せっかく楽しいのに、独り身の集まりとか悲しいこと言わないでよ…
発散するのと同じくらい現実から目を逸らすのも必要なのよ
見てなさい、来年にはきっと独り身じゃなくなってるから!
……まあ来年も同じようなこといってるんだろうな…


レジー・スィニ
【爪痕】

星空の中を魚が泳いでいるんだって。
女の子は好きそうだよね。
あれー?もしかして後でぼったくられるパターン?
つけといてよ。そのうち返すから。

何を飲もうかな。
星空ならやっぱり星空みたいなアルコールがいいよね。
ある?濃紺の。
甘くていいよ。

つまみは花弁チップス。
見てこれ、本物の花弁みたい。
味はちゃんと塩辛いけど。
写真におさめなくていい?
もう一つは星欠片のスナック。

酒も星空にしたからつまみも星にしようかと思って。
皆も食べていいよ。
俺の奢りじゃないけどさ。
はい。写真もつまみもどーぞ。
美味しいだろ。
これは当りだね。

ああ、そういえばまだしてなかった。
乾杯。
それから、メリークリスマス



 ちりりと冷たく昏い宇宙に、銀砂を撒いたかのように数え切れぬほどの光が瞬いている。
 テーブルを囲む一団の上を、光る魚がゆらゆらと泳ぎ。
 ぷっくりとしたクラゲが、波もない宙を流れて行く。
「こういうの女の子は好きそうだよね」
 昏い昏いグラスの中には、窓の外と同じ光景。
 燈火の様に瞬く星屑を宿した暗い色の甘いカクテルを唇に寄せたレジー・スィニ(夜降ち・f24074)は、青空の色の瞳を細めて言った。
「あー、確かに好きそうな」
 褐色の肌。
 そのかんばせには、真一文字に刻まれた裂創。
 とろみのある透明感の高い蒸留酒をグラスの中で転がした久澄・真(○●○・f13102)は、キシと椅子の背を軋ませ酒精の香り濃い吐息を吐き出し。
「そうだね、こういう所にデートで来たら盛り上がりそう! 店内も綺麗だし、食べ物も綺麗で面白いしね」
 暑い気候を再現した船の特産品。キーロという名の酸っぱい柑橘をたっぷりと絞ったカクテルに満たされたグラスを手に、ヴィリヤ・カヤラ(甘味日和・f02681)は楽しげに笑い。
「なんだぁ? デート? ……盛り上がるか?」
 酒屋は酒屋だろう。
 酒が飲めればそれで良い。
 デートが盛り上がるかと言えば、デートなんざ酒を飲む邪魔にしかならないもの。
 感性の違いであるのだろう。真はヴィリヤの言葉に眉を寄せて、首を傾げて。
 は、と小さく顎をしゃくってまた、アルコールそのモノに近い酒を煽る真。
「まあ、どっちみち今日ここにいるのは独り身の集まりだけどな」
「せっかく楽しいのに、独り身の集まりとか悲しいこと言わないでよ……、発散するのと同じくらい現実から目を逸らすのも必要なのよ?」
 もう、と肩を大きく竦めたメール・ラメール(砂糖と香辛料・f05874)の大きなリボンがふさふさと揺れた。
 甘い甘いミルクリキュールにベリーがたっぷり落とされたカクテルをくっと啜ったメールが、細く生きを吐いて。
「でも今日は真さんの奢りだし、デートとか独り身も忘れて楽しんじゃおうよ」
 ポテト下さーいなんて、手を上げて店員にお願いしたヴィリヤが言葉紡いだ。
 そう。
 真曰く、今夜は発散の日だそうで。
 本日は、彼が奢ると宣言されていたのだ。
 しかし、ヴィリヤはふ、と思い出したように天井を見上げ。
「……後から何か請求されるとか、無いよね?」
「えっ、あれれ。もしかして後でぼったくられるパターン?」
 重ねられたヴィリヤの言葉に、レジーはぴっと獣の耳の先を揺らして花弁チップスをさくりと齧る。
 本物の花弁みたいだけれど、ちゃあんと塩辛くて面白い。
 まあ、でも。それはそれで。
「ぼったくるならつけといてよ。そのうち返すから」
 まあまあ返す気の無さそうな表情で、花弁チップスを飲み込んだレジー。
「あ? んだ、お前ら。そんなに何か請求してほしいなら喜んで請求するが?? つーかお前は宇宙まで来てまたそれかよ」
 そんな皆を見やった真の視線は、普段以上に目つきが悪い。
 散財する日くらい俺にもあるわ、と悪態をめいて言葉紡いだ真がついでにヴィリアの注文に文句をつける。
 あいつはいつもポテトフライたべてる。
「はーい、メルちゃんイイコだからぼったくりとか言わないです! ありがとう真ちゃん遠慮なくイタダキマース!!」
 ぴしっと手を上げたメールが、ぷるぷると左右に首を振り。
「あっあっ、請求が無いならそのままで! でもポテトって美味しいよね。あるとやっぱり頼んじゃう」
 メールと同じように頭を振ったヴィリヤも瞬き一つ、二つ。
 目の前に置かれている、色とりどりのフルーツが一口大に盛られた皿を小さく擡げて。
「でもちゃんと、ポテト以外にもみんなで摘めるように特産フルーツ盛り合わせも頼んであるよ」
「やっぱり普段見たこと無いような違うつまみも沢山あって面白いよね、ほら見て。これなんか本物の花弁みたい」
 先程からさくさく齧っていた花弁チップスを指先でくるくる回すレジー。
 俺の奢りじゃないけれど、みんなも食べなよ。
 ――俺の奢りじゃないけどさ。
 ふ、とカクテルを傾けるメールに、レジーは思い出したように。
「そういえば、写真におさめなくていいの?」
「あっ、忘れてた。まって、ちょっと待ってレジーちゃん。こんなに面白い食べ物きちんと真に撮っておきたいわ!」
 星欠片のスナックと、白くじらの形をしたふかふかのふわふわのお菓子の皿。
 それに果物の盛り合わせもきゅっと寄せて。
 慌ててスマートフォンをとりだしたメールは、ぱしゃぱしゃ撮影。
 映える~。
「レジー、その菓子俺にも頂戴」「あ、私も欲しい。どんな味?」
「はいはい、どーぞ」
 噛み切れない宇宙クラゲを延々と齧っていた真が、集められた菓子に手を伸ばして。
 ポテトを早速齧っていたヴィリヤも、その手を止めて星屑を一口ぱくり。
「……ん、ウメェ」
「あ、これすっごい美味しいね」
「だろ。これは当りだね」
 口の中で直に砕ける星屑、瞳の奥でぱちぱちと星が瞬くようだ。
 自分の功績では無いし。
 なんなら真の奢りだけれど、勧めたレジーがどこか誇らしげに言葉を重ねて。
「見た目も華やかだし、やっぱりデートは盛り上がると思うけどなあ」
 うん、と顎先に指を寄せたヴィリヤはもう一度頷いた。
「そうよ。見てなさい、来年にはきっと独り身じゃなくなってるから!」
 独り身の集まり、なんて言葉を思い返したメールは、真に宣言するようにぴしっと指を立てて。
 ……まあ。
 来年も同じようなこといってるんだろうな、なんて後ろ向きな言葉も付け足されていたけれど。
「へいへい、精々がんばりな」
 決意表明と共に敗北表明を同時に行うメールに、口角を笑みに擡げた真は受け流すように言葉返して。
 手向けにと、メールへとグラスを掲げてやる。
「……そう言えば。乾杯の事、すっかり忘れてたよね」
 その様子を見て思い出したレジーも、カクテルグラスを掲げて。
 乾杯。
 それから――メリークリスマス、なんて。
 今更のように乾杯の音頭が取られれば、ヴィリヤとメールも合わせてグラスを擡げる。
 ――デートでなくたって、仲間と顔を突き合わせて飲む酒は楽しいもので。
 それが奢りなら、尚楽しいだろう。
 瞬く星々。
 泳ぐ魚。
 綺麗な飲み物に、素敵な食べ物。
 ――ヴィリヤは上機嫌で、ポテトを一口齧った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ザッフィーロ・アドラツィオーネ
宵f02925と

宵と酒を楽しむ事はあるがバーは初めてだなと周囲を見回しつつカウンターへ
悩みながらも花のエールと聞けば宵と初めて会った際集めていたヒースを思い出しそれを頼もう
ヒースエールは完成したのだろうか…とついぞ思考を巡らせて仕舞えばついぞペースが速くなってしまうやもしれん

酒を煽る内に顔が熱くなればマフラーを解き襟元を寛げよう…と
大丈夫だ宵、俺は酔っては居らん
宵こそ頬が赤いぞ?と宵の頬を指でなぞろうと手を伸ばしながらも
常より緩んだ表情にどこか胸が騒げばその宵の顔を隠さんとマフラーを巻かんとしてみよう
他の誰にも見せたくないと思ってしまった等、口が裂けても言えんが
ああ、慌てる宵も本当に愛らしいな


逢坂・宵
ザッフィーロ君(f06826)と

ええ、バーという場で酒を楽しむのは初めてですねと
頷きながらカウンターの彼の隣の席へ
彼の言葉を聞けば少し悩んで
では僕は星がはじけるというスパークリングワインにしましょう

そう言えば成果を伺っていませんでしたね 今度一緒に聞きに行きましょうと伝えるも
どこかぼんやりし始めた彼に酔っているのではと声をかけ
酔っていないという人ほど酔っているんですよ
僕は少々気分がいい程度なので大丈夫です……と
ちょっ、何を……もご
マフラーを巻かれれば息がしづらくなり慌てて引き下げようと
でも楽しそうに、愛おしそうに見つめてくる彼の眼差しが優しくて
まぁいいかな、と思えてくるのが不思議です



 カウンターに並んだ逢坂・宵(天廻アストロラーベ・f02925)とザッフィーロ・アドラツィオーネ(赦しの指輪・f06826)は、冴え冴えとした澄んだ宇宙に瞬く星明かりに照らされながら、グラスを傾けていた。
 花絞りのエールと聞いてザッフィーロの脳裏に過るは、宵と初めて出会った時の事。
「……あのヒースエールは完成したのだろうか?」
 エールを口に運びながらふ、と訪ねたザッフィーロに。
 ぱちぱちとまばたき重ねた宵は、ああ、と肩を竦めて。
 彼と初めて出会った時、宵はたしかにヒースを集めていた。
「おや、そういえばそう言えば成果を伺っていませんでしたね。今度一緒に聞きに行きましょうか」
「ふむ、……そうか」
「……ザッフィーロ君、少し酔っていませんか?」
 常に比べると、ザッフィーロの杯を開けるペースは随分早いように思える。
 星屑がぱちぱち弾けるワインのグラスを置いた宵は、少し眉を寄せて。
「大丈夫だ宵、俺は酔っては居らん」
 ザッフィーロの褐色の肌は、頬が赤くなっても分かりづらい。
 しかし、確かに熱は回っているのであろう。言葉紡ぎながら、ザッフィーロはマフラーを解いて襟元を開け。
「酔っていないという人ほど酔っているんですよ」
「いいや、大丈夫だ。――宵こそ頬が赤いぞ?」
 断固として認めないザッフィーロ。
 エールのジョッキを置いて、宵の頬へと大きな掌を伸ばして。
 酒気に少し上気した頬をなぞる指先。
 酔っ払っているのなら仕方がない、と宵はその指先を受け入れて。
「僕は少々気分がいい程度なので大丈夫ですよ」
 そうして。
 継いで言葉を紡ごうとした宵は、目を丸くして頭をくっと引いた。
「と、ちょっ、何を……っ、むぐ、もご」
 なんたってザッフィーロの先程まで身に着けていたマフラーを、突然口元に巻きはじめられたのだから。
 息がしづらい。
 慌てて制止する宵を、ザッフィーロはじいっと見つめて。
「……、むぐ」
 そんな視線の奥に揺れる色に、楽しさと愛おしさを見つけてしまえば宵は抵抗を止めてしまった。
 ぐるぐる。
 巻きつけられるマフラー。
 あんなに優しい視線に射止められてしまえば、何をされても良くなってしまうだろう。
「……ふむ、これでどうだろうか」
「……完成しましたか?」
 どうもこうも無い。
 顔を覆うマフラーをぐっと下げた宵は、ぷはっと顔を出して。
 その様子にザッフィーロは少しだけ眦を緩めて、肩を上げた。
 ――ああ、困ったな。
 そんな表情を、他の誰にも見せたくないと思ってしまっただけなのに。
 それでは隠せなくなってしまう。
 本当に愛らしくて。
 本当に愛おしくて――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ワン・シャウレン
鞍馬(f02972)と

日頃隙あれば酒飲んどるのは知っとったが……
お主、それはかなりダメなやつでは……
……ここで踵を返すのも惜しい
その件はまた後程として、まずは予定通り楽しもうの
お主もしっかり楽しんでおくんじゃぞ

流石に見知らぬものばかりじゃな
わしはこのスパークリングワインを
星が弾ける心地というものを楽しませて貰い
これもその星葡萄というもので作っておるのかな
そちらも頂けるかのう?

思えばこの一年も方々世界を飛び回ったもの
お主の世界も一段落ついて良かったの

言うて世界についてわし自身あまり気にしたものではないが…
まぁ、その時は、かの

ともあれ良い巡りを期待し、乾杯じゃな
それ来年も引っ張る気じゃなかろうな…


鞍馬・景正
ワン嬢と(f00710)と。

隠す事でもないので白状すれば、酒は大好物です。
というか、飲まないで二日もいると視力が落ちて平衡感覚は失って頭痛が止まらなくなるのですよな。

ではワン嬢も、折角ですのでお付き合い願いましょう。


頼むのはこの銀河カクテルというものを。
よくは分からないのでお任せで。

見目は壮麗ですが口当たり軽く、果実水のように甘い。
洒落た酒もあるものですね。

飲みながら後は四方山話でも。

あの時の戦では多くの猟兵に助太刀を頂きました。
ワン嬢の――アルダワでも変があれば、微力を尽くしましょう。

来年も良き年である事を祈って、乾杯。

ところで兄者が恥ずかしければ兄さまとかでも良いのですが。



 空中を泳ぐ光る魚が鞍馬・景正(言ヲ成ス・f02972)をすり抜けて。
 星彩に照らされながら、景正は銀河を宿したカクテルのグラスを手に。
「――隠す事でもないので白状致しますが、酒は大好物です」
 横に腰掛けたワン・シャウレン(潰夢遺夢・f00710)のみ空色の瞳と、瑠璃色の視線がしっかりと交わされる。
「……ほう」
 ぱちぱちとグラスの中で弾ける星屑。
 スパークリングワインのグラスを手に、ワンが彼の言葉に相槌を打ち。
「というか、飲まないで二日もいると視力が落ちて平衡感覚は失って頭痛が止まらなくなるのですよな」
「……お主、それはかなりダメなやつでは……?」
 日頃より、隙あらば酒を飲んでいる事は知っていた。
 しかし、そこまでとは。
 その告白に思わずこめかみを抑えたワンは、眉根をきゅっと寄せて。
 よくよく考えてみるも、やはりどう考えてもダメなやつ。
 かといって、今このワインを味わう事無く帰るかと言えば、それはどうにも惜しい。
 眇めた瞳に葛藤の色を揺らしたワンは、景正に手を差し出して制止するように。
「……その件はまた後程として、まずは、今日は。そう、今日は、予定通り楽しむのじゃ。その件は後日慎重に検討するとしよう」
 そういう治療ができる場所を調べた方が良いだろうか。
 大変な告白を聞かされてしまったワンは、改めてグラスに唇を寄せて。
 口内で弾ける星屑。
 さっぱりとした甘さに、ぱちぱちと弾ける星々が蕩けて消えて。
「これは星葡萄というものから作られているのじゃろう? そちらも頂けるかのう」
 ワンがバーテンダーに声をかければ、ふっくらとした綺麗な桃色をした葡萄が提供され。
 その横でほう、と景正は吐息を零した。
「……ふうむ。洒落た酒もあるものですね」
 銀河の名の通り。
 荘厳な見た目をしてはいるが、口当たりは軽く。果実水のように甘いカクテル。
 ひどく飲みやすくスルスル入って行くアルコールに、視力も回復平衡感覚も整って頭痛もさよならだ。
 葡萄を摘んだワンは、そんな彼の横顔を見やり。
「思えばこの一年も方々世界を飛び回ったものよ。――しかし、お主の世界も一段落ついて良かったのう」
「はい。先の戦では多くの猟兵に助太刀を頂きました。未だ別世界より訪れた脅威は見えるとは言え、エンパイア自体で言えば平穏を取り戻したと言って良いものでしょう」
 瑠璃色を眇めた景正は、さらりと髪を揺らして。
 ワンを見る視線は真剣な色。
「ワン嬢の――アルダワでも変があれば、不肖私めも微力を尽くしましょう」
「……ま、言うて世界についてわし自身あまり気にしたものではないが……」
 彼が真剣に言葉紡ぐのならば、ワンも少しばかり背を正して。
「その時は、かの」
 頼んだぞ、とグラスを掲げるワン。
「ええ。来年も良き年である事を祈って」
 重ねて景正はグラスを掲げ――。
 乾杯。
「ところで」
「む?」
「兄者が恥ずかしければ兄さまとかでも良いのですが」
「……お主、それ来年も引っ張る気じゃなかろうな……?」
 ワンのジト目に、景正はそれは綺麗に笑った。

 来年も――共に良い巡りが訪れるように。
 瞬く星々の元、杯に祈る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

夏目・晴夜
アンリエットさん(f11616)と


あの魚より私の方が上手に泳げますけど
なんて話はさておき
今日は特別にエスコートしてあげますよ

メニュー、知らなすぎて逆に面白いですね
いっそ飲み物に合う料理でお任せしますか
お、これは相手のを作る流れですね
冷凍ベリー類に透き通る飲料を注いで色付かせ
ヨーグルトのアイスにハーブも添えます
勿論飲みますとも、乾杯してから

しかし尻尾触るの面白いですか?
貴女も美しい毛並みをお持ちですのに
そんな毛並み違いますかね…といっても私が触ったらアウトですが
枕とかダメですよ、アンリエットさんファンに殺されます

え、本当に耳いいんです?
…いや、やっぱダメですね。ハレルヤは紳士なので
男って世知辛い


アンリエット・トレーズ
はれるや(f00145)と一緒です
おさかなが宙を泳いでいますよ、はれるや
おや
上手にしてくださいね
差し出す手、座る位置は彼の隣

吃驚するほど知らないメニューたちですね…
名案ですはれるや、えらいので作ってあげましょう
彼の顔を見つめて
深い青から澄んだ紫へ、鮮明な黄色を数滴と白い花弁を一枚落とし
材料はよくわかりませんがきれいにできました
味もよくわかりませんので飲んでみてください

ずっと彼の尻尾に手を伸ばしふかふか
アンリエットにもお耳と尻尾と脚の毛並みはありますが、こんなにふかふかしていません
枕にして眠りたいくらいです
だめでしょうか
自分以外の毛並みは妙に楽しいものですし
…お耳くらいなら触ってもよいのですよ?



 ぷかぷか浮かぶ光る魚。
 亜麻色のかっちりと切りそろえられた髪より伸びる、垂れた犬の耳。
 アンリエット・トレーズ(ガラスの靴・f11616)の相異なるアオは、光る尾鰭を追って。
「おさかなが宙を泳いでいますよ、はれるや」
 アンリエットとは違って、ぴんと立った獣の耳。
「あの魚より私の方が上手に泳げますけど」
 夏目・晴夜(不夜狼・f00145)は菫色の瞳を細めて、謎の対抗宣言。
「なるほど、お上手なのですね。それはいつかアンリエットに披露していただきましょう、きっと宇宙だって泳げる事でしょうから」
 肩を竦めた晴夜は、手を伸ばして。
「けれど今日は地上を行く日です。特別にエスコートしてあげますよ」
「おや、アンリエットを歩ませてもらえるのですね、上手にしてくださいね」
 引いてもらった椅子に、晴夜の手をとってアンリエットは腰掛ける。
 窓に広がる宇宙は、昼も夜もなく、ずっと同じ色。
 花束をほぐしたみたいに、綺麗に広がった星々の明かりは冴え冴えと瞬いて。
 並んで腰掛けた二人は、メニューを眺め――。
「吃驚するほど知らないメニューたちですね……」
「ここまで知らないメニューですと、知らなすぎて逆に面白いですね」
 ピピラやら、ラウドンやら、サンピラタやら、リリリやら。
 知らない単語ばかりのメニュー。
「……いっそ飲み物に合う料理でお任せしますか?」
「それは名案です、はれるや。かしこいですね」
 ぴょい、と立ち上がったアンリエットが自作カクテルコーナーへとつま先を向けて。
「えらいので作ってあげましょう」
「お、これは相手のを作りあう流れですね、分かりました。受けて立ちましょう」
 こっくり頷いた二人は、カクテルコーナーへと歩み行く。

 じいっと晴夜の顔を見つめたアンリエットは、名前も知らぬ綺麗な色のジュースのボトルを手に。
 深い青から澄んだ紫へ、鮮明な黄色を数滴。
 まっしろな花弁を一枚真ん中に落とせば、見た目は綺麗なノンアルコールカクテルの完成だ。
 そんなアンリエットの視線を感じながら、晴夜は彼女を見る事も無く。
 ――なんたってあんまり女性の顔を見つめると、晴夜は紳士なので色々憚りがでてしまうので。
 冷凍のベリーからは色が良く出る。
 透き通った彗星ソーダを注げば、土星の輪っかのように綺麗に円が生まれ。
 ヨーグルトのアイスに、ハーブを一枚。
 これにて晴夜による、多分甘くて美味しそうなスイーツ・ドリンクも完成。
「はれるや。材料はよくわかりませんがきれいにできました、味もよくわかりませんので飲んでみてください」
「勿論飲みますけれど、どうにも飲む気を失う説明ですね」
 カウンターへと戻って晴夜がグラスを掲げれば、アンリエットも合わせてグラスを掲げて。
 ――乾杯。
「……すっぱっ」
 晴夜のカクテルに落とされた白い花弁が、やたら酸っぱい事を除けばなかなか上手に出来たようで。
 彼が飲み終えるまでアンリエットが何をしていたかと言えば、晴夜の尾をふかふか揉んでいた。
「……そんなに尻尾を触るの面白いですか?」
「はい、とても。アンリエットにもお耳と尻尾と脚の毛並みはありますが、こんなにふかふかしていません。できれば、毎日枕にして眠りたいくらいです」
「貴女も美しい毛並みをお持ちですのに……、枕にするなんて絶対にダメですよ。私がアンリエットさんファンに殺されます」
 彼女の切りそろえられた髪より伸びる耳と、すらりと伸びた鹿の脚。
 ウサギの尾だってさわり心地は良さそうだと言うのに。
 いや、どれだけさわり心地が良さそうでも、晴夜は触らない。
 紳士としてアウトでしょうし。
 おさまれ右腕。
「ううん。だめでしょうか。自分以外の毛並みは妙に楽しいものですし」
 むむう、と顎に手を寄せたアンリエットは、そうだ、と晴夜に顔を上げて。
「――なんでしたら、アンリエットのお耳くらいなら触ってもよいのですよ?」
「えっ、本当に?」
 いや、ダメですね、と晴夜は即自分で自らの掌に制止をかけた。
 なんたって紳士ですし。
 嗚呼、なんとも男って世知辛い。
「よいのですよ?」
「…………いえ」
 おさまれ、私の左腕。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鴇沢・哉太
錦(f10148)と

成人を迎えた錦にお酒を御馳走しようっていう約束
叶えるのが遅くなってごめんね
今更だけど、大人の仲間入りおめでとう

不思議なメニューに嬉々が零れる
あまりお酒に慣れてないなら酒精が強すぎないものがいいかな
錦の好みを聞きながら、バーテンダーに相談しようか
ああこれ、金魚が大海に泳ぎ着いたような綺麗な色だよ
俺は三日月が夜の底に沈んでいるようなカクテルを
宇宙クジラのチップスを摘まみ錦の感想を待とう、おいしい?

大人って気が付けばなってるものだと思うし
錦はきっといい女になるよ、俺が保証する

実はお酒は結構強いんだ
もしお気に召したらまた新しい約束をしようか
錦のこれからの予定表に星をひとつ、贈ろう


一色・錦
哉太くん(f02480)と

ふふ、約束はちょっと遅れたけれど
それを補って余りある素敵なお店に誘ってくれて大感謝よ
今日は全部哉太くんとバーテンダーさんに任せようかしら
あたし赤色好きだから、とびきりキレイな赤色のカクテルをお願い!

なんだか不思議なカクテルよね、お互いに
でも、この味も見た目もとても好みよ
チップスも美味しいし、お土産に買って帰れないかな
なんて、どうにも大人っぽく振る舞えないわね、あたしってば

でもこんなにキレイなお酒を真っ先に知ってしまったら、
もう他所の世界のお酒を楽しめなくなってしまうかも
だから、ちゃんと今後も責任とって良いお店紹介してね?
それが約束よ♪

※アルコール耐性はダイスにおまかせ



 成人を迎えた一色・錦(金魚鉢・f10148)にお酒を御馳走すると約束した、いつかの日。
 窓の外は昏い昏い宇宙。
 数え切れぬほどの燈火のように色づいた星彩が、ちかちかと瞬いている。
 泳ぐ光る魚が足元をすり抜けて行くカウンターテーブルの前へと、鴇沢・哉太(ルルミナ・f02480)は、初めてのお店に背を少しばかり張った錦と並んで腰掛けて、見慣れぬ単語ばかりの並ぶメニューに楽しげに眦を緩めた。
「うーん、今日は哉太くんにご馳走をされるのだもの。哉太くんとバーテンダーさんにぜーんぶ任せちゃおうかしら」
 そんな彼の横で、錦はウィンクを一つ。
「あたしは赤色好きだから、とびきりキレイな赤色のカクテルをお願いね!」
「了解」
 くすりと笑んだ哉太は、本日のお姫様の望みのままに。
 頷くと、バーテンダーに声を掛けた。
「彼女、あまりお酒に慣れていないんだ。酒精が強すぎない綺麗な赤のカクテルってどんなのが作れるかな?」
 ――そうして提供されたのは夕焼け空に似た紅色に、赤い魚を模した星屑が弾けるカクテルであった。
「まるで、金魚が大海に泳ぎ着いたような綺麗な色だね」
 昏い藍色の底にぴかぴか瞬く、三日月のような光る果実氷の沈んだカクテルを手に。
 哉太は錦のカクテルを見やって言葉を紡ぎ。
 カクテルの中の星屑と同じくらい瞳に星を宿した錦が、じいっとカクテルを見やった。
「なんだか不思議なカクテルね……」
 きっとこれは、この世界でしか飲めないお酒だろう。
 くっとグラスを唇に寄せると、ぱちぱちと瞬きを重ねる錦。
「不思議な味……、初めて飲む味だけれど。……この味も見た目もとても好みよ」
 きゅっと肩を擡げて笑った錦に、哉太もグラスを傾けて。
「これを一緒に食べると、倍美味しくなるらしいよ」
「えっ、倍は凄いわね……!」
 車麩の輪切りのような形をした、宇宙クジラのチップスをつまむと。
 成程、その絶妙なしょっぱさが更に甘さを引き立てるよう。
 もう一口。
 こくと喉を鳴らした錦は、やわい熱が灯った吐息を零して。
 少しだけ頬が熱い気がする。
「ふう……、これも美味しいし、お土産に買って帰れないかな……?」
 と。
 哉太の鮮やかな桃色の瞳と視線交わしてから、はっと肩を錦は跳ねた。
「……どうにも大人っぽく振る舞えないわね、あたしってば」
 ふるふる、と首を左右に振る。
 お土産、なんて。きっと大人の女性はバーで気にしたりしないだろう。
 眉を寄せて苦い笑いを浮かべた錦を見る、哉太の視線の雰囲気は変わらず優しく。
「んー。大人って気が付けばなってるものだと思うし。錦はきっといい女になるよ、それは俺が保証する」
 甘いかんばせ、甘い言葉。
 それは哉太を王子様足らしめる瞳。
「――叶えるのが遅くなってごめんね。今更だけど、大人の仲間入りおめでとう」
 そんな王子様の言葉へ、擽ったげに錦は笑んで。
「ふふ、約束はちょっと遅れたけれど。……それを補って余りある素敵なお店に誘ってくれて大感謝よ!」
「それなら良かった」
 でも、と言葉を彼女は重ねて。
「こんなにキレイなお酒を真っ先に知ってしまったら、もう他所の世界のお酒を楽しめなくなってしまうかもしれないわね」
 ふふふ、と肩を竦め、唇に指先を寄せた錦はとびきり悪戯げな表情で哉太を見あげる。
「だから、……ちゃんと今後も責任とって良いお店紹介してね? それが約束よ♪」
「成程。それは責任重大だね。……でも良かった。――俺、実はお酒は結構強いんだ」
 彼女と同じように唇に指先を寄せた哉太もまた、悪戯げに口角を上げて。
 お姫様がお気に召したならば、また新しい約束を一つ重ねようか。
 ――彼女の予定表に、星を一つ贈りましょう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

瀬名・カデル
恭介(f14065)と一緒!

このお船の名産を飲みに来たんだけど…バーなんだね。
ボク1人ではいれるのかなってうろうろとしていたら恭介が!
どうやったらこっそり入れるかな?って相談したら一緒に入ってくれるって。わぁい!恭介って先生みたい!

注文は、お酒じゃ無いので何がいいんだろうって迷っていたら恭介が「レディープレアデス」っていうのを進めてくれたからそれと、お店の人のおすすめな「サンピラタのナポタ」!
サンピラタも、ナポタも一体なんだろう…?

恭介は何を頼むのかな?って来たものを見たらとっても美味しそう!
飲み物はお酒みたいだけどお酒に見えないね!

もしかしたら本当はジュースなのかも?
一口くらい飲めないかな?


仁科・恭介
瀬名・カデル(f14401)と。

名物のモサモが食べたくなってバーの前にくると、カデル君がうろうろしている。
首根っこを捕まえて話を聞くとバーに入りたいようだ。
忍び込みそうなので監視がてら一緒に入店
カデル君には星ブドウの果汁を炭酸で割ってパールタピオカをちりばめたカクテル(レディープレアデス)を勧める
自分は肉の食べ過ぎを注意されているので、ビッグバンマンゴーのスムージーにお酒を入れたものをチョイスし、モサモを肴に楽しむ
カデル君が飲んでいるものに興味を持ちこっそり飲もうとしたら、【輝石の鼓動】でアルコールをナイフに変える
「これは大人になってからだ」
と取り上げ、ババナの甘いスムージーをカデル君に。



 仁科・恭介(観察する人・f14065)が店の前に訪れると、見覚えのある小さな少女が落ち着かない様子で、覗き込んだり、戻ったり。行ったり来たりしている姿を発見してしまった。
 ……それにしても不審な動きだ。
「……」
 少しだけその様子を眺めてから、後頭部をかり、と掻いた恭介は、そっと彼女に近づき――。
「何をしているんだい?」
「わああっ!?」
 掛けられた声にびくっと肩を跳ねた瀬名・カデル(無垢なる聖者・f14401)は、油の差されていない機械人形みたいな動きで振り返って――。

 大きな窓より望む宇宙は、広く、広く。
 銀砂を撒いたような白白をした星々に、瞬く流星。
 ゆらゆら泳ぐホログラムの魚が壁にすうと飲みこまれ、すこし向こうから悠々とその姿を現した。
「でも、恭介って先生みたいだよね!」
 カリッと揚げられたモサモを齧りながら、恭介は横に腰掛けるカデルが重ねる言葉に耳を傾けて。
「名産のジュースを飲みたかっただけなのに、バーだから入りづらくって困ってたんだよね」
 恭介の勧めてくれた星葡萄の果汁のソーダ割り。
 7つのパールタピオカを散らしたノンアルコールカクテル『レディープレアデス』を飲みながら、カデルはねえ、と人形のアーシェに同意を求めるように、翼をきゅっと畳み。
「あの時のカデル君は、私が先生なら迷わず補導している動きをしていたよ」
 小さく首を振った恭介が、正直な言葉を紡いだ。
「え、ええーっ、そんなに怪しかった?」
「とてもね」
 きらきらとした乳白色のサンピラタのナポタをフォークで掬ったカデルは、ほんとにそんなに?と首を傾いで。
 ほんとにそんなに、と恭介は視線を落とした。
「それにしても、恭介の飲み物はお酒みたいだけどお酒に見えないねー」
「うん、ベースがビッグバンマンゴーのスムージーだからね。でもお酒が入っているからカデル君はまだダメだよ」
 と、モサモを一口齧る恭介のグラスに、カデルの相異なる瞳は疑いの色。
 もしかして格好をつけているだけで、本当はジュースなのかもしれないよね……?
 一口くらい飲めないかなあ。
 彼が魚を眺めている内に――、そうっと、そうっと。
 恭介のグラスに手を伸ばして――。
「……ダーメ、これは大人になってからだ」
「あっ!」
 ひょい、と恭介がグラスを擡げれば、掌の中でソレはナイフと化していた。
 飲みそこねたカデルは瞬きを重ねて、すこしだけバツの悪そうな表情。
 そんな彼女に肩を竦めた恭介は、瞳を細めて。
「カデル君にはもっと飲んでもらいたいお勧めがあるんだよ」
 と、バーテンダーにババナの甘いスムージーを一つオーダー。
「わああ、これも美味しそう! 恭介の飲んでるのに似てるね!」
「スムージーだからね」
「あまーい!」
 なんだかんだでカデルは上機嫌。
 まるで先生みたいに笑った恭介は、ユーベルコードを解いたグラスを口に寄せて。
 しかし。
 ……肉の食べすぎを注意されているけれど、やっぱりサンピラタのナポタは魅力的だなあ、なんて。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アプリコット・リクリアロット
【絡み可・SPD】
ハローワールド。星の銀河に思いを馳せて、私世紀末の真っ只中。
アポカリプスな地獄より参りました。
超有能ソーシャルディーヴァ、アプリちゃんです。

流石宇宙は広くネットワークも届いたり届かなかったりなので、
出来るだけ多くの方にアプリちゃんと繋がって頂きたく
「さあ皆様。年越し1人でお酒に酔うのも結構でございますが、
より大勢と繋がれたら楽しいとは思われませんか?」
「そんな時はこれ、アプリちゃん専属小型端末!
今すぐ電脳世界で同好の志と繋がってみては如何でしょう」
「案外食わず嫌いも克服してみれば、
幸福な未来が待っているかもしれませんよ?」

明るく楽しく元気よく、今宵もアプリちゃんは行くのです。



「ハロー、ハロー、ハロー。ハロー・ワールド」
 よってらっしゃい、みてらっしゃい。
 ぴかぴかぴかぴか瞬く星彩の下。
 星の銀河に思いを馳せて、アプリコット・リクリアロット(純真極壊アルゴリズム・f24496)は世紀末の真っ只中。
 まあるい卵状のマスクに顔を包んだアプリコットは、楽しく酒を飲む皆様にお知らせがございまして本日は足を運びました次第。
 ふかふかとしたミルク色の髪を揺らして、彼女は大仰に腕を広げると言葉を紡ぎ出す。
 スペースシップワールドは猟兵が猟兵だと知られた世界だ。
 だからこそ、新鮮な地獄より訪れた彼女は軽やかに語る。
「アプリちゃんはアポカリプスな地獄より参りました。超有能ソーシャルディーヴァです」
 何事かと彼女に注目した『市民』達に、アプリコットは言葉綴り。言葉重ね。
「さあ皆様。年越し1人でお酒に酔うのも結構でございますが、より大勢と繋がれたら楽しいとは思われませんか?」
 宇宙は広い。
 ネットワークが途絶えている場所だって多い。
 ――だからこそ超高性能ソーシャルディーヴァとして、人々に『通信網』を与える事はアプリコットの責務であった。
「そんな時はこれ、アプリちゃん専属小型端末! 今すぐ電脳世界で同好の志と繋がってみては如何でしょう?」
 酒も飲まずにこのテンション。
 端末を持つだけで、あなたもわたしもきみもぼくも、幸福な市民となれることでしょう。
「案外食わず嫌いも克服してみれば、幸福な未来が待っているかもしれませんよ?」
 明るく楽しく元気よく。
 偏執狂系平和嗜好の世界一幸福なミレナリィドール。
 他の飲みに来た猟兵達に止められるまで、アプリちゃんの端末営業トークはもうしばらく続くのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

都槻・綾
f09129/ユルグさん

新たな歳の幕開けを針路とし
星の航路に漣立つのは馥郁たる甘露

ひととせの仕舞いに
共に紡いだ日々に――乾杯

掲げる酒杯へ
泳ぎ来たる魚の幻影が偶然にも口付け

寿ぎを貰ったよう、と笑って含む最初の一杯は
乙女達の内緒話の如く気泡弾ける葡萄酒
若やいだ青い香りが胸を擽る心地

知り得ぬ青春を垣間見ました

なんて
悪戯な嘯きに肩を揺らす

今の姿で顕現した身には
あながち偽りではないのだけれど
想いに浸るには未だ早いとばかり
あれもこれもと品書きへ瞳を輝かせて
お勧めの酒と肴を余さず注文

やぁ
楽園ですねぇ
もしや此処が高天原?

常と変わらぬ面差しなれど
密やかに酩酊しているのかもしれない

美酒に
あなたと過ごす此のひと時に


ユルグ・オルド
f09129/綾と

泳ぐ魚に手伸べてみて
擦り抜けてった掌を不思議に見遣り
追った先の眼差に笑う

まだ一年、もう一年?
楽しい分あっという間
まァ今こうしていられるんなら上々、――乾杯

爆ぜる星を呑んだなら口づけ交わす艶姿
色男め、なんて軽口
魚の乙女の心も奪うとは知らなかったなァ
喉奥で笑った心算も溢れて杯揺らし
今から試したらと追加注文と一緒に唆す

天降石の清酒に真空の泡、それから
空になったら継ぎ足して
満ちないなら溢れる程に
いやいや潰したいだなんてそんな
そうだけど

さかながいるから儀来かもよ
揺らぐのは酩酊か船の心地か

永遠だなんて信じてないからこうして幾度とも
褪せるならば何度でも
付き合ってくれる限りの杯を鳴らして



 窓の向こう側は、大気を介さぬ宇宙空間。
 昏い宇宙に遠く瞬く天漢、煌星の輝きが差し込むカウンターテーブル。
 その前に腰掛けた都槻・綾(夜宵の森・f01786)とユルグ・オルド(シャシュカ・f09129)は、馥郁たる甘露でまずは一杯。
「ひととせの仕舞いに、共に紡いだ日々に」
 まだ一年、もう一年。
 楽しい時間は、あっと言う間に過ぎゆくもの。
「まァ、今こうしていられるんなら上々、ってな」
 今宵もあの夏の様に杯を、言葉を交わして。
 ――乾杯。
 もう少し夜を重ねれば、新たなる年の幕開けも近い。
 気泡弾ける葡萄酒に、爆ぜる星屑の瞬き。
 それはまるで、乙女達の内緒話の如く。
 甘く若やいだ青い香りが胸を擽れば、留まること無く密やかに、密やかに。
 そこに、宙を行く光る魚がゆうるりと泳ぎ寄り。
 確かめるようにユルグが手を伸ばせば、ホログラムの魚影は掌をすいと、すり抜けて行き。
 そして。
「おや」
「……ふは」
 そんな魚影の尾を目線だけで追って行けば、光る魚は綾の唇を奪って。
 そのまますいすいと鰭を揺らして進む。
「……んふふ、色男め。魚の乙女の心も奪うとは知らなかったなァ」
「何と言うことでしょう、寿ぎを貰ってしまったようですね」
 悪戯げに笑んで軽口叩いたユルグに、綾も喉を鳴らしてくつくつと笑って肩を竦めて。
「しかし、そうですね。何とも知り得ぬ青春を垣間見ました」
「そーね、知り得ぬ、なんて言うのならば。今から試してみるのはドウ?」
 そうしてユルグの視線の先は、再び光る魚へと。
 とびきり意地悪な響きで言葉紡いだ彼は更に笑みを重ねて、乙女の口づけの祝福を与えられた杯を傾ければ、ぐに空けてしまった。
 悪戯な呟きに肩をふくふく揺らした綾は、次なる甘露を頼むべく。手を軽くバーテンダーに向かって上げて。
 ――知り得ぬ青春。
「……今の姿で顕現した身には、あながち偽りではないのですけれどね」
 想いに浸るには未だ早い、と。
 綾はバーテンダーの勧めのままに、肴も酒もたっぷりと注文を重ねて。
「ま、ま、ま。ドーゾドーゾ」
 直に届けられた天降石の清酒にも、泡沫がぷくぷくと弾けている。
 ユルグは綾が空けてしまったグラスになみなみと、甘い香りの透明な酒を注ぎ入れ。
「やぁ、楽園ですねぇ。もしや此処が高天原でしょうか?」
「そうかな。さかながいるもの、儀来河内かもよ」
 潰さんばかりの勢いで注がれる酒に、綾の面差しこそ常と変わらねど。
 密やかに、密やかに、綾を酒精に蕩けさせているのかもしれない。
 そして。
 ユルグだって他人事では無い。
 なんたって彼も、綾と同じ配分で飲んでいるのだから。
 ゆらゆら揺れる船のように、心地良く揺れる世界は二人を包み込む。

 宝石めいた魚を干したもの、星を模した葡萄。
 見たこともないような沢山のご馳走。
 花弁の散る甘露酒、星屑瞬く夜の甘さ。ほろ苦い花の一番搾り。

 高天原も、儀来河内も。
 ――永遠だなんて信じていないから。
 こうして幾度でも、杯を重ねよう。
 褪せるならば何度でも、何度でも。
 付き合ってくれる限りの杯を鳴らして。
 あなたと過ごすこのひとときに、乾杯をしよう。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

呉羽・伊織
【花守】
この面子だと聖夜ってよか、完全に食道楽忘年会って様相だな!
(残念ながら甘い空気も浪漫の欠片もない顔触れ見て)
まぁソレも悪かないケドも――姐サン手厳しいって!魚に負けた!
くっ、来年は見返してみせるからなー!
にしてもこりゃホント未知との遭遇だらけな品書きだな
星葡萄ってどんな食感なんだろ
悩むな~…って流石太腹!胃袋がぶらっくほーる!あっウン勿論褒め言葉デス!
酒も見たコトない品揃えだし――何てーか、銀河って凄いな(序でに姐サンも色んな意味で銀河級…と、また滑り掛けた口を何とか噤み)
んじゃ乾杯用はオレもソレに乗っかろう

そんじゃ、まぁ――一年アリガト!
そーだな
新年もこんな風に色鮮やかになりゃ幸いで


千家・菊里
【花守】
星の海に魚と肴が煌めく空間とは、いやはや贅沢ですねぇ
お品書きにも未知の文字が踊っていて、思わず心も踊ってしまうというものです
(伊織を尻目にわくわくメニュー広げ、既に幸せそうな食道楽)
サンピラタのナポタなるものは是非味わってみたいですねぇ
それにあれもこれもそれも気になりますし――ええ、此処は全部頼んじゃいましょうか
ふふふ、どんな逸品達と出会えるのか楽しみでなりません
そして何と言っても欠かせないのは名産の――
ああそれも楽しいですね
バーテンさんお願い出来ますか?

(出揃った品々に更に至福の顔で)
ではでは――一年お疲れ様でした
次の年も、この空間や食事の様に美味しく楽しく明るいものとなりますよう


花川・小町
【花守】
これは間違いなくお酒も食事も進みに進んじゃうわね、ふふ
忘年会も出来てなかったし、丁度良いじゃない
(澪ちゃんの言葉に、ねぇ?と笑い、泳ぐ魚にエスコートされるように席に着き――更に悪戯っぽく笑み深め)
伊織ちゃんは甘い聖夜も味わってみたいなら、先ずはこのお魚でも見習うと良いんじゃないかしら?
さて、魚は勿論、肴にも本当に心踊るわね
悩むなら、いっそぱぁっと豪勢に味わい尽くすが吉よ
あら――それは褒め言葉と受け取っておくわね、伊織ちゃん?
(無論名酒も全て楽しむまで帰る気はない笑顔)
乾杯は澪ちゃんに大賛成よ
一等明るくいきましょ

――この一年に感謝を
ええ、次なる一年も星々の如く輝かしいものにしましょう


鳳来・澪
【花守】
星も魚も肴もほんま綺麗で新鮮…!
浪漫は周囲に満ち溢れてるし、聖夜会でも忘年会でも楽しんだ者勝ちよねぇ
(魚や姐さんに誘われるまま席につき、色々敵いも叶いもしそうにない伊織ちゃんにころころ笑いつつお品書き覗き込み)
うちはこの花弁のとか星欠片のも気になるなぁ、絶対可愛いよね
わ、姐さんはやっぱ気前がええねぇ!
伊織ちゃんもほんま色々見習うたらええと思うの
乾杯は折角やし華やかに――皆に見立てた創作カクテル(うちは勿論ジュースのモクテル)とかってお願い出来るかな…?

(賑やかな料理や煌めく飲物に目を輝かせ)
――ほんまおおきに、お疲れ様!
ふふ、新たな一年もきっと明るくて楽しいものになるって信じてる!



 数え切れぬ程の星々の瞬きが、窓の外を鮮やかに彩っている。
 大きな尾に寄り添って、光る魚がゆらりと尾鰭を跳ねて。
 それを払うように千家・菊里(隠逸花・f02716)の尾が揺れた。
「いやはや、贅沢ですねぇ」
 星の海。
 店内を縦横無尽に泳ぎ回る光る魚。
 そして『肴』。
 メニューに並ぶ見たこともない単語達は、弥が上にも食道楽たる菊里の期待を膨れ上がらせる。
「星々も、店内も本当に綺麗やねぇ」
「これは間違いなくお酒も食事も進みに進んじゃうわね、ふふ」
 普段生活する世界では見慣れぬ光景に、右瞳の上に一筋の刀傷が奔る少女――鳳来・澪(鳳蝶・f10175)はきょときょとと周りを見渡して。
 彼女を促すように横へと腰掛けた花川・小町(花遊・f03026)は花のように笑んだ。
「つーかこの面子だと聖夜ってよか、完全に食道楽忘年会って様相じゃね?」
 この年末に浮いた話も無い面々だと。
 整ったかんばせとは裏腹、紡ぐ言葉は舌長に。呉羽・伊織(翳・f03578)はへらへらと笑って椅子を引き。
「あら。忘年会も出来てなかったし、丁度良いじゃない」
「浪漫は周囲に満ち溢れてるし、聖夜会でも忘年会でも楽しんだ者勝ちよねぇ」
 小さく肩を竦めた小町に、澪もこっくりと頷いて。
 くす、と澪の言葉に口角を綺麗に擡げた小町は、伊織を真っ直ぐに見据えて――。
「それに伊織ちゃんも甘い聖夜を味わってみたいなら、先ずはこのお魚でも見習うと良いんじゃないかしら?」
 雰囲気だけならば、伊織よりもよっぽど心踊る上にロマンチックだと小町は笑う。
「いやま、忘年会も悪かないけど――……え、マジ? 魚に負けた!? 姐サン手厳しいって!」
 完全に言い負けて、肩を跳ねた伊織はぐぬぬ、と席に腰掛け。
「……くっ、来年は見返してみせるからなー!」
 なんて、捨て台詞一つを吐いてみせれば。
「伊織ちゃんもほんま色々見習うたらええと思うの」
 澪と小町は鈴を転がすように、コロコロと笑った。
「いやいや、しかし。サンピラタのナポタなるものは是非味わってみたいですねぇ」
 ふかふか揺れる尾。
 小町の言葉を借りるのならば、このメニューでも見習うと良いと、言った所か。
 ――そんな一連の流れを尻目に、菊里はメニューを上から下までじっくりと眺めていた。
 知らぬ食べ物の名が並んでいるのは、それだけでとても楽しく心踊るものだ。
「それにあれもこれもそれも気になりますし、……あっ、これも気になりますね、何でしょう。リリリ?」
「あ。うちはこの花弁のとか、星欠片のも気になるなぁ、……絶対可愛いよね」
 ウキウキと菊里がにらめっこしているメニューを、澪も指差し確認。
 伊織も覗き込めば、ふうんと鼻を鳴らして。
「星葡萄ってどんな食感なんだろな。……にしても、こりゃホント未知との遭遇だらけな品書きだなー」
「悩むなら、――いっそぱぁっと豪勢に味わい尽くすが吉よ」
 そこに響くは、小町の鶴の一声。
 赤い瞳に星を散らして、両手を合わせた菊里が優雅に微笑んだ。
「ふふふ、良いですねぇ。此処は全部頼んじゃいましょうか」
「わ、姐さんはやっぱ気前がええねぇ!」
 少しばかり驚いた声音を零した澪であったが。
 確かにこの面々ならば食べ尽くしてしまうのだろうと、納得半分、瞬き重ねて。
「流石太腹! 胃袋がぶらっくほーる!」
 そして我らが伊織サンは、また適当な野次を飛ばしていた。
 やいのやいの。
「あら……――それは褒め言葉と受け取っておくわね、伊織ちゃん?」
 小町はそれは綺麗な笑顔で、その野次を受け止める。
 名酒も全て楽しむまで帰る気は一つもないけれど、と。
 紡がれる言葉以上に良く語る、小町の笑顔の圧。
「あっ、ウン、ハイッ! 勿論褒め言葉デス!」
 負ける事を理解していての戯言だ、女王様の言う通りと言わんばかりにコクコクと頷く伊織。
「さてさて、どんな逸品達と出会えるのか楽しみでなりませんねえ」
 そんなやり取りの横でも菊里はマイペース。
 酒メニューに心踊らせながら、獣の耳の先をぴぴぴと揺らして――。
「そして何と言っても欠かせないのは名産の……」
「じゃあ折角やし、一杯目は皆に見立てた創作カクテルなんてお願い出来るかなぁ……?」
 彼が言葉を紡ぎ終える前に、はた、と気がついたように澪が顔を上げると。
「お、良いねえ」
「ああそれ、絶対に楽しいですね。頼んでみましょう」
「まあ、大賛成よ! 一等明るくいきましょ」
 彼女の提案には、反対するものも居らず。
 早速バーテンダーへとお願いを重ねて――。
「しっかし本当に見たコト無いモンばっかで――何てーか、銀河って凄いなー」
 ついでに姐サンも、色んな意味で銀河級――、なんていらぬ口を滑らせる前に。
 小町の圧を感じた伊織は、口を噤む事に無事成功。
 えらい。
 星散る昏い夜を思わせるカクテルの底は、朱。
 雲を絞った軽い口当たりの透明な酒に、様々な果物を絞り混ぜ合わせた果汁を混ぜたカクテル。
 花を使ったふくよかで華やかな口当たりの蒸留酒をベースに、艶やかな果物を添えたカクテル。
 そして、甘い甘い果実のスムージーに星の雫を数滴。ぴりっと味を整えたモクテル。
「ではでは――、一年お疲れ様でした!」
 乾杯の音頭に一年に感謝を捧げる言葉を重ね、グラスを掲げた四人はまずは一口。
 テーブルの上を並ぶ、沢山の肴達。
 乳白色のナポタに、花弁と星のチップス。
 雨の雫を思わせる果物に、もぎたての雲綿飴。
 ぴりりと辛いチリソースの掛かったメーメー。
 ――テーブルの上は、美味しい香りと楽しげな雰囲気に華やかに彩られている。
 次の一年も、星々の如く輝かしく。
 このテーブルのように色鮮やかで楽しいものとなるように、と願いを籠めて。
 気の置けない仲間たちと過ごす毎日は、きっときらきらと輝くような日々となる事だろう。
「あっ、バーテンさん、これおかわり下さい」
「こちらの早咲き花のエールも頂けるかしら?」
 ワッ、めちゃくちゃ食べるのも呑むのも早いですね!?

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

サヴァー・リェス
【Folklore】アドリブ歓迎
「リンセ、足許…気を、つけて」
景色に見とれるリンセは、年相応の、男の子で
ユーンの目も輝いていて、…たぶん、私も
三人で机を囲んで、普段より…おしゃれな、食事
畏まった二人に倣い、礼をして
「今年…色々、あった」
去年、出会って、…本当に、色々
でも、嬉しいという言葉は、祝宴の酒瓶の栓の、開く音
「ええ」
メニューの文字は…ユーンが、少し判る、だけ
ユーンらしい、少し悪戯っぽい、楽しい提案に、頷く
「『リン・フェアン・サナン』を…見た目も綺麗、よ、きっと」
乾杯
ユーンと二人でした事、思い出すと
胸が…少しだけ、鳴るけれど
三人で過ごすの、いちばん、好きよ
…どの料理も、食べてみたいと思う…


ユーン・オルタンシア
【Folklore】アドリブ歓迎
「はい、凄い所まで参りました」
リンセに頷き景色を楽しみつつお二方をエスコート
「今年は沢山お世話になりました」
礼と共に皆に去来するだろう記憶は私も同じ
「お二方と出会えて嬉しいです」
世界知識で辛うじて判る言葉のメニュー
「どの食材も興味深い」
自分で調理出来ないのは少し残念ですが楽しもうと
「音を読みますから、響きの気に入った物を注文するのは?」
迷惑にならない様にメニューを読み上げれば快い反応
「はい、承りました
私は『ストコル・ハルラウザ』と参りましょう
重厚な味がしそうです」
料理を待ち三人で乾杯
お二方との愛しい永遠の一瞬が私の長い時の中また一つ
シェア用の小皿も頼みましょうか


リンセ・ノーチェ
【Folklore】アドリブ歓迎
窓の外は星の海、お店の中は宙の海
「凄い所まで来ちゃいましたね…」
見惚れながらテーブルにつく
「とってもお世話になりました」
恩返し、きっとしきれないけど、良いんだ
「僕も!」
元気一杯メニューを開く
「うん。わからない!」
わからないのが凄く楽しい
ユーンさんの提案に頷いて、お祈りの詩のような言葉を聞いて
「『ヴァクリア・コラッタバルスリメ』。香辛料が利いてる、気がする!」
当てずっぽうに予想し合って料理を待つ間に乾杯
大人達はお酒で凄く大人っぽいけれど
僕の小さなグラスに本当に幸せな顔で合わせてくれるから
猫糸目で喉まで鳴らしちゃう
出て来た料理は皆おいしそう
笑顔引っ込める暇がないよ!



 窓の外に広がる昏い昏い闇を、数え切れないほどの光が照らしている。
 あの硝子球のような瞬きも、銀砂を無造作にばらまいたような小さな輝きも。
 全て、全て、遠く輝く星明かり。
 ぷかりと宙に浮かぶ光る魚達が、自由気ままに空を掻いて泳いでゆく。
「わあ……」
 相異なる輝き宿した瞳に、窓の外に負けないくらいの光を宿し。
 好奇心に耳をピンを立てたリンセ・ノーチェ(野原と詩と虹のかげ・f01331)は、ぱちぱちと瞳を瞬かせた。
「凄い所まで、来ちゃいましたね……」
「はい、凄い所まで参りました」
 店内に見惚れた様子のリンセの言葉に、柔らかく眦を緩めたユーン・オルタンシア(森の声を聴く・f09146)。
 しかし、サヴァー・リェス(揺蕩ウ月梟・f02271)はいつもどおりにも見えるユーンの瞳の奥に、好奇心の輝きがぴかぴかと揺れている事に気がついていた。
 ――それはもちろん、サヴァー自身だって。
「リンセ、足許……気を、つけて」
 小さな身体の彼を気遣いながらも、ちらちらと泳ぎ来る光る魚に目を奪われ。
 歩む先でつんのめり――。
「……あ」
「サヴァーも気をつけてなければ、ですね」
 笑みを深めたユーンに身体を受け止められれば。
「……そう、ね……」
 小さく頭を振ったサヴァーは梟の翼をきゅっと畳んでより慎重に、テーブル席へと向かう。
 ソファ席に沢山のクッションを積んだ、リンセ用の特製席。
 囲むようにサヴァーとユーンが腰掛ければ、目の前に広がる広大なる星海。
 改めて二人の顔を見たユーンは、降り注ぐやさしい雨のように微笑んで言葉を紡いだ。
「今年は沢山お世話になりました」
「こちらこそ、とってもお世話になりました!」
 感謝の言葉をリンセは重ね、畏まった雰囲気に背を正したサヴァーは礼を一つ。
「今年……、色々、あった」
 二人と出会ったのは去年の事。
 それから、時を重ねて。縁を重ねて。心を重ねて。
 きっと三人の脳裏に過ぎっているのは、三人で紡ぎ編んだ思い出達だろう。
 長い睫毛の影を、菫色の瞳に一度落として。
 顔を上げたユーンの金糸の髪がサラと揺れた。
「時を重ねて改めて、――お二方と出会えて嬉しかったと思います」
「僕も!」
「……ええ」
 彼の言葉に異論などある筈も無く。
 ぱっと答えたリンセに、サヴァーも同じ色の答えを重ねる。
 沢山の思い出を重ねて。
 沢山助け合って、助けられて。
 ――きっとこれは、恩返ししきれるような縁では無いけれど。
 きっとそれで良いのだろう、とリンセは思う。
 そうして胸の奥で揺れる暖かいものを感じながら、メニューを開くと――。
「うん。わからない!」
「……本当に、わからない、ものばかり、ね」
 リンセは元気一杯、ぴかぴか笑顔。サヴァーは不思議そうに、ぱちぱちと瞬き。
「それでは、私が音を読みますから、響きの気に入った物を注文するというのはどうでしょう?」
 人差し指をぴんとたてたユーンは悪戯げに口角上げて、提案一つ。
 二人が賛成に声をあげれば、ユーンは一つ一つ呪文のようなメニューを読み上げてゆく。
 サンピラタのナポタに、揚げリリリ。
 星キョタールのチャフ、ピピラに、ラウドン。
 不思議な響きからは、どのような食べ物かだなんて分からない事がまた面白くて、楽しくて。
 リンセはくすくすと笑って――。
「僕は『ヴァクリア・コラッタバルスリメ』にしようかな。香辛料が利いてる、……気がする!」
「そう、ね……、『リン・フェアン・サナン』を。……見た目も綺麗、よ、きっと」
 サヴァーも名前から見た目も味も想像してみたり。
「はい、承りました。私は――『ストコル・ハルラウザ』と参りましょう。重厚な味がしそうです」
 どの食材も、どの飲み物も興味深く。
 読み上げながらいつか自らの手で調理してみたい、なんて夢想しながら。
 ユーンも名前の響きだけでオーダーを決めた。
 リンセは花雲を絞った甘いジュースに、星葡萄の果汁を落として。
 大人の二人は、星宿すスパークリングワインを合わせて。
「――乾杯!」
 リンセのグラスは、本当に本当に小さいけれど。
 ユーンもサヴァーも合わせて掲げてくれるものだから、リンセは嬉しくなってしまっておもわず喉がごろごろと。
 少し遅れて届いた料理達は、蜂蜜のたっぷり掛かったパンの様なものにスパイシーな花サラダが沢山、魚介をゼリーで寄せて砕いた星屑と白いソースを添えたモノ。
 それに、濃厚な濃いシチューのようなよく煮込まれた――何か。
「シェア用の小皿の頼みましょうか」
「わあー……、どれも美味しそう! 何から食べようかな」
 くるくる喉を鳴らしたまま、リンセは瞳を細めて花みたいに笑って。
 ユーンも楽しげに皿へと手を伸ばす。
 こんな風に三人で過ごす時間が、サヴァーはとてもとても、愛おしくて、いちばん大好きで。
 ――それでも、何故か。
 ユーンと二人の時の事を思い出すと、少しだけ。
 胸がつきんと、音を立てるけれど。
 その音にサヴァーはまだ、名前をつけることができていない。
「サヴァー、どうぞ」
「見て、見て。これ真ん中にこーんなに伸びるチーズが入ってる!」
 差し出された料理の皿に、美味しそうに料理を頬張るリンセ。
 ――やっぱり、私は、三人で過ごすのが、いちばん好き。
「……ありがとう、来年も、……よろしくね」
 そうして眦を緩めたサヴァーは、こっくりと頷いた。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ユーノ・ディエール
アドリブ歓迎POW

ふらりと白いドレス姿で現れる
この世界では戦い以外の記憶は余り無い
それでも死力を尽くして銀河帝国を打倒し
ミディアの力で新たな航路を開拓し続けている
私達の行いに意味はあったのだ

そう――理解してはいるのですが
宇宙の担い手として、戦争以外に私が出来る事とは
一体、戦い以外に何が出来るというのだろうか

バーテンさん、銀河コーラを
食べ物は――そうですね、何かお勧めはありますか?
辺りを見渡せばカップルに家族だろうか
賑やかな雰囲気はこちらまで心を躍らせる

もう一人は嫌だ――心の奥底ではずっと祈っていた
今は新たな仲間達がいる。そうじゃなくて……私は
私は一体、どうしたいのだろう

星は瞬き、時代は移ろう


ヴィクトル・サリヴァン
今年ももう終わりか。色々あったねえ。
一年を振り返りながら呑むのもたまにはいいだろうし、ちょっと楽しもうかな。

ケビ君(f00041)誘うね。
星のさかな、名前通りいい感じの雰囲気。
壁を抜けて来るようなホログラムにはついつい驚いてしまうかもだけども、慣れればうん、奇麗。
まずはスパークリングワインをくいっと。
一年間お疲れさまーとケビ君を労うよ。
一年の締めって感じですっきりしたい気分、追加で頼むのは果物や果汁使ったような爽やかなカクテル。
話す事は廻った世界の楽しかった事を中心に。
辛い事を来年に持ち越すのもアレだしねー。
まったりお酒や料理の味を期待し楽しみつつ、のんびりと夜を過ごすかな。

※アドリブ等お任せ



 上品なレースをあしらった、裾がふわふわと広がる白と青が彩るドレスを纏ったユーノ・ディエール(アレキサンドライト・f06261)は、通路をこつりこつりと歩む。
 付き添うように泳ぐ光る魚影達。
 窓の外に広がる暗く冷たい宇宙を、燦燦と広がる星の瞬きが照らし出している。
 ユーノのこれまでの人生は、銀河帝国に狂わされ続ける人生であった。
 憎き銀河帝国への復讐を誓い、鎧装に身を包み、傭兵として過ごした日々。
 銀河帝国を打破した今、ミディアの力で新たな航路を開拓し続けている。
 この世界は救われ、この世界は豊かになって行く。
 ユーノ達の行いに、意味はあったのだ。
 あった、筈なのに。
 ――この世界での記憶は、戦いの記憶以外があまりに少ない。
 あの戦いを終えたこと、世界を救えた事。
 それは確かに、大切な事であった。
 念願であった。
 しかし、今。
 ユーノはなにか、空っぽな気持ちを抱えてしまっている。
 宇宙の担い手として。
 ユーノは戦う以外に出来る事が、思いつかなかったのだ。
 戦っている途中は夢中で、きっとしたい事だって考えていた筈なのに。
 今となっては、何も言葉として出てこないのだ。
「――銀河コーラをお願いします。食べ物は――そうですね、何かお勧めはありますか?」
 それならば、と。
 バーテンダーは、星屑の芯をじっくり寝かしたソースで甘く味付けしたハムと雪野菜を使ったブルスケッタを勧め。
 ユーノは言われるがままにオーダーを一つ。

 腰掛けたカウンターテーブル。
 隅では大きな身体のシャチ――ヴィクトル・サリヴァン(星見の術士・f06661)が、小さなテレビウムと並んで杯を傾けている。
「はーい、一年間お疲れ様ー」
「ウム、ウム。お疲れ様」
 スパークリングワインを一気に開けてしまったヴィクトルに、真っ赤なグラスを持ったケビは頷き、頷き。
「今年も色々あったねえ。最後の最後に、こんなに綺麗な店を知れたのはちょっと良かったかな。名前の通りいい感じの雰囲気の店だね」
「私もお気に入りでね、なんたって品揃えが良いのだ」
「へえ……、確かに色んな食べ物も飲み物もあるね」
 バーテンダーに軽く手を振って、聞いたこともない果物の果汁をたっぷり使ったカクテル、と説明書きのある酒を頼むヴィクトル。
 肴として揚げたポテトのようなものと、花野菜を使ってサラダ。あと肉。
 ひょい、と摘んで、齧って。
 カクテルを煽って流し込んで。
「……辛い事を来年に持ち越すのもアレだしねー。戦争の後処理も残ってる所もあるけれどさ」
「ウウム、今年は本当にあらゆる場所で世界の危機が訪れたものだからねえ。しかし、徐々に落ち着いて往くだろう。なんたって猟兵達は優秀だからねえ」
「違いないね」
 く、と笑ったヴィクトルに、ケビもきっと笑ったのであろう。
 肩を上げて、ヒゲを撫でて。
 色々会った一年を振り返って、労って。
 ――和やかで、のんびりとした時間を過ごす二人。

 カップルに、仲間たちに、家族連れ。
 笑顔で食事を突き、酒を呑む彼らは。
 ……きっと彼らは、戦い以外を知っている人たちなのだろう、とユーノは思う。
 戦いの最中、もう一人は嫌だ、と。
 心の奥でずっと祈っていたように思える。
 確かに、猟兵という仲間たちをユーノは得た。
 しかし、そうではない。
 そうではないのだ。
 ユーノは……――私は、一体、どうしたいのだろう。
 分からない、想像もできない。
 それでも、星は瞬き、時代は移る。

「――ねえ、君。一人ならこっちにきて飲まないかい?」
 そこに、ふ、と掛けられた声。
「袖触れ合うも他生の縁、なんて言うだろう?」
 ――そんなに難しい顔でバーは、きっと楽しめないだろうからね、なんて。
 にいっと笑ったヴィクトルにモニタの中の瞳を瞬きさせたケビが、ユーノに向かってグラスを掲げた。

 ――星は瞬き、時代は移る。
 新しい年を越えても、時はその歩みを止める事は無い。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月舘・夜彦
【華禱】
UDCアースやキマイラフューチャーも最初は驚かされましたが
スペースシップワールドは次元が違いますね
食べ物や飲み物の説明は半分程しか分かりませんでした

食べ物は花弁ちっぷすと星欠片のすなっくの盛り合わせ
あとは宇宙鮫のから揚げ
お酒は人気のあるものということで此方
「すたーくえいくおぶです」と言うそうです
意味は分かりませんが、星空のように綺麗なお酒です

少しだけ飲んでみたのですが、とても心地が良くなってきました
りんたろどのが何故かジュースで薄めてくださっておりますが……?
甘い方が好きですが大丈夫です、酔っておりませんよ

りんたろどの、今年も沢山色々なものを見ていきましょうね


篝・倫太郎
【華禱】
ホログラムは夏に体験済みだから
少しは余裕あんのかね

店内を泳ぐ魚を穏やかに眺めてる夜彦の姿に
思い返せば夏に体験済みデシタネ

でもまだ……
不思議つか、わくわくした感じがすっから
アルコール強めなのは避けて、ペースも気を付けとこ
だって!酔ったらこの人物凄く可愛い……
自覚ないし、言ってもそんな事言うのは俺だけとか言う……
から、言わずに決意しとくわ

俺は酒も肴もお薦めでお任せ
夜彦の頼んだ酒が強そうなら、甘めのジュースで割ってや……
……手遅れだな?
(りんたろどの呼びに総てを察してがっくりしつつもジュースで割る)

勿論?覚悟しとけよ
今年はもっと沢山色んなもの、見に行くつもりだからな?
ダンナサマ?(※尚素面)



 音も無く宙を泳ぐ魚達が幾匹も連れ合って、ボトルの前をすり抜けてゆく。
 競うように目前を駆けていった魚影に月舘・夜彦(宵待ノ簪・f01521)は、動じた様子も無く。
 メニュー片手に頬杖を付いていた篝・倫太郎(災禍狩り・f07291)が、ふうんと小さく鼻を鳴らして瞳を眇めた。
 いつだって彼は自らの知らぬ技術や知識に、童女のように驚きに瞳を輝かせているものだが、――夏にも見たホログラムにはもう慣れたと言う所だろうか?
 余裕ありげな態度の彼の姿。
 ――そう思えば今年は様々な世界を、一緒に手を引いて駆け回ったものだ。
「倫太郎殿どの、注文は決まりましたか?」
「ん、あ、ああ。夜彦は?」
「そうですね、――花弁ちっぷすと星欠片のすなっくの盛り合わせに、あとは宇宙鮫のから揚げ……」
 少しばかりぼんやりしてしまっていた倫太郎は、はっと瞳を見開き、言葉に応じて。
「お酒は、此方――『すたーくえいくおぶです』に致しましょう」
 人気のある、星空のように綺麗なお酒なそうですよ、と花のように笑んだ夜彦に肩を竦めて。
「そったら、俺は酒も肴も店員サンにお任せすっかな」
 否。
 知らぬ名前の立ち並ぶメニューには、夜彦はいつもどおり瞳の奥に好奇心を揺らしているようであった。
 わくわくしすぎた彼が飲み過ぎぬように、ペースにも気を配ってやろう、なんて。
 倫太郎は考えながら、オーダーを重ねる。
 ――なんたって、自らの恋人は酔うと凄く凄く可愛くなってしまうのだから。
 ま、そんな事言ったって、夜彦に自覚がある訳でも無く。
 伝えようが『そんな事を仰るのはりんたろ殿だけですよ』、なんて言われてしまうのだろうけれど。
 倫太郎はすぐに提供された、彗星の水を使った蒸留酒を傾けながら――。
「りんたろどの、これ、とても美味しいですよ」
 へにゃ、と笑う夜彦の姿を目の当たりにして、その決意が手遅れである事に気づいてしまった。
 スタークエイク オブ デス。
 星空の瞬きの美しさ、するりと喉をすり抜けてゆく甘さに油断していると、直にその意識を持って行かれてしまうであろう。とてもアルコール度の高い酒だ。
「はー……、心地が良いですね」
 手遅れだろうと思いながらも、月果実のジュースでドボドボに夜彦の酒を薄めてやる倫太郎。
「甘い方がたしかに私は好きですが……、だいじょうぶですよ、酔っておりませんよー」
「そうだろうなあ」
 首を傾ぐ夜彦を倫太郎は、はいはい、と受け流し。
 そうですか、と一度窓の外を見やった夜彦は、柔らかく眦を緩めて倫太郎へと視線を戻して――。
「りんたろどの、今年も沢山色々なものを見ていきましょうね」
 その言葉に、肩を竦めた倫太郎。
「勿論、覚悟しとけよ。今年はもっと沢山色んなもの、見に行くつもりだからな。――ダンナサマ?」
「……ふふ、ええ、覚悟致しましょう」
 薄まった酒を唇に寄せて、夜彦は笑う。
 来年の事を思って、倫太郎も笑う。
 ああ、今日は良い夜。
 それはきっと、来年も――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

リリヤ・ベル
【ユーゴさま(f10891)】と

おとなは、お酒を飲んで一年おつかれさまでしたをするのです。
わたくしはかしこいので知っているのですよ。
今日は、ユーゴさまにおつかれさまでしたの日。
――というきもちは、内緒の話。

このまえのうちゅうせんは海で、今度は空なのですね。
ふしぎで素敵な場所、……でも、はしゃぎません。
わたくしはいつもレディですけれど、今日はとくにレディなのです。

えぇと。わたくしは、お花の香りのする飲みものを。
お料理は、星っぽいものやおすすめを幾つか注文。
どんなお味がするのでしょう。
! ユーゴさま、ユーゴさま、オムライスがありますよ。

ふふ。はい、かんぱいです。
朝までお付き合いしてさしあげますね。


ユーゴ・アッシュフィールド
【リリヤ(f10892)】と

空の上の世界か、随分と文明が進んでいるんだな。
酒や食事の方はどうだろうか、楽しみだ。

とりあえず花絞りエールで。
あとは、この宇宙クラゲの干物?食えるのか?
オススメの……サンピラタのナポタ?なんだそれは。
……分からんな、リリヤの好きな物を頼んでくれ。
ああ、うん、オムライスだな。頼むか?
おれはひとまずエールがあればいい。

店内をぐるりと見渡すと未成年も居るが、基本は大人の利用する洒落た店なのだろう。
リリヤが行きたいと言ったから来たが、いつもの背伸びだろうな。
仕方ない、今日のところは付き合ってやろう。

さぁ、リリヤ。乾杯だ。
今日は楽しもう。



 年の瀬におとなはお酒を飲んで、一年をおつかれさまするのです。
 リリヤ・ベル(祝福の鐘・f10892)はかしこいレディなので、よくよく知っている。
 おめかしをしたリリヤはミルクティ色の獣の耳をぴんと立てて、ユーゴ・アッシュフィールド(灰の腕・f10891)と並んで店内を歩んで行く。
 大きな窓の外には、昏い宇宙の燈火に星彩がぴかぴか瞬いて。
 先程から光る魚が、リリヤの尾と並んでひらひらと宙を泳いでいる。
 この素敵なお店で、今日はユーゴさまにおつかれさまでしたをするのです。
 それは、彼には内緒なのだけれど。
 案内されたソファ席にリリヤが腰掛けると、ユーゴの空色の瞳とぱちりと視線があった。
「……空の上の世界か、随分と文明が進んでいるんだな」
 くたびれたアッシュブロンドの前髪を少し掻き上げて、メニューを手にとるユーゴ。
 彼の言葉にこっくりと頷いたリリヤは、努めて胸を張って。
「はい。このまえのうちゅうせんは海で、今度は空なのです」
 リリヤはレディ。身長だってもうすぐ120センチが見えてきた。
 小さくたって立派なレディは、ふしぎで素敵なお店でも決してはしゃいだりしない。
 おしとやかに足を揃えて、ユーゴの持ったメニューを覗き込む。
「へえ、メニューも見たことが無いようなものばかりだな、――とりあえず花絞りのエールを一つ」
「えぇと。わたくしは、お花の香りのする飲みものを」
 飲み物の注文を聞き届けたバーテンダーが席を離れると、メニューをテーブルの真ん中に置き。
 揺れそうになる尾をきゅっと押さえつけたリリヤが首を傾ぐ。
「お料理はどうしましょう?」
「宇宙クラゲの干物に……オススメの……サンピラタのナポタ? なんだそれは」
 それは本当に食べ物なのか?
 ずらりと並ぶ事は、見覚えの無い単語ばかり。
 ――こういう時は。
「……分からんな、リリヤの好きな物を頼んでくれ」
「はい、ユーゴさま。そうですねえ、こちらの星屑チーズと、お勧めのサンピタラのナポタと……」
 ――!
 メニューを指差しながら考えていたリリヤは、大きな瞳をどんぐりみたいにまん丸にして。
「ユーゴさま、ユーゴさま、オムライスがありますよ」
「ああ、うん、オムライスだな。――頼むか?」
「ええと、そうですねえ……」
 むむう、とリリヤは少しだけ悩む。
 レディは素敵なお店でオムライスを頼んだりしないかもしれない。
 でも、メニューにあると言うことは……。
 むむむ、と難しい顔をしたリリヤに、ユーゴは届いたエールを手に少しだけ瞳を細めて。
 まあ俺としては、エールがあれば十分ではあるが。
「ああ、俺もオムライスが食べたい気分だった。一つ頼めるか?」
「まあ、そうですか。ユーゴさまがそういうのならばしかたがありませんねえ、頼みましょうか」
 くすくすと笑ったリリヤが、飲み物を持ってきたバーテンダーにメニューを伝え。
 一度瞳を閉じてしまってから肩を竦めたユーゴは、エールを掲げる。
「さぁ、リリヤ。乾杯だ。――今日は楽しもう」
「ふふ。はい、かんぱいです。朝までお付き合いしてさしあげますね」
 レディですもの。
 華やかな甘さと苦さが特徴的なエールに、甘やかな花弁がジュースに蕩けた瞬間に泡と化すモクテル。
 ぐうるり店内を見渡せば、光る魚に、瞬く永久の夜。
 未成年らしき者たちもいるが、基本は大人が利用する洒落た店なのだろうとユーゴは判断する。
 ――リリヤに引かれて訪れはしたが、きっと彼女のいつもの背伸びだろう。
  仕方ない、今日のところは付き合ってやろうか。
 口角を擡げて笑ったユーゴは、エールを喉へと流し込み。
「ユーゴさま、おいしいですか?」
 彼が笑っているということは、そんなに美味しいのだろうか。
 リリヤは耳をぴっと立てて、首を傾げて――。

 常闇の宇宙の只中にあれば、ちっぽけな船の中。
 宇宙にとって年の移り変わりだなんて、きっとちっぽけな出来事。
 それでも、それでも。
 暖かな食事を囲んで過ごす時間は、小さな人々にとって大きくて大切な時間。
 今年も一年、おつかれさまでした。
 来年も一緒に、がんばりましょうね。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2020年01月07日


挿絵イラスト