おにーちゃんになってほしくて
#アポカリプスヘル
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●奇妙な奴隷生活
荒涼とした風が吹き荒ぶ。容赦のない日射に照らし出され、大地は色あせる。
『アポカリプスヘル』──荒廃を極めた、乾いた世界。
オブリビオン・ストームによって抉り取られた都市の中央部。ほとんどが荒野と化したその場所に、未だ奇跡的に佇む百貨店廃墟は、すでにオブリビオンの要塞と化していた。
「おにーちゃんいないなー♪ どこにいるのかなー♪」
かつて食料品売り場だった地下フロアを、幼い少女の調子っぱずれな歌が行き来する。周囲の暗がりから飛んでくる、敵意も露わな無数の視線を歯牙にもかけず。
彼女は知っているのだ。辺りに闊歩する機械の獣たちが、彼等を逃すことも、無謀な行為に走らせることも、決してないのだと。
サンタよろしく肩に担いでいた身の丈に不釣り合いな巨大布袋を、少女はどさりと床に下ろした。
「はいこれ、今日のぶん!」
緩んだ袋口から零れ落ちたのは、缶詰やシリアルバーなどの大量の保存食。
それらがどうやって調達されてきたのかは、布袋をべったりと変色させている赤色と錆びた臭いが如実に語っている。
「たくさんたべてね、だってそれがおにーちゃんなんだから!」
くすくすと忍び笑いを響かせながら、少女の姿は闇の向こうに消えた。
すかさず機械の獣たちが保存食を漁り、奴隷たちへと次々と放って寄越し始めた。一食分にしては多すぎるほどの食糧が一人一人へと分配されていく。
食べろ、ということだ。拒否することも食べ残すことも、彼等には許されていない。
奴隷にしてはいい身分だが、単純に喜べる状況ではなかった。
「……昨日より量が増えてるぞ」
「くそっ、貴重な食糧をなんだと思ってるんだ!」
「このために、どれだけの拠点が犠牲になったんだろうな……」
機械の眼差しに監視されながらの食事は、まともな味がしなかった。
●グリモアベース:ゲネ
「新たな世界『アポカリプスヘル』での依頼だ。力を貸して欲しい!」
ゲネ・ストレイ(フリーダムダイバー・f14843)は荒廃した大地をホロモニターに映し出した。
その中央には、幅が広く背丈の低い、寸胴なビルの廃墟が佇んでいる。
「アポカリプスヘルの人類滅亡は待ったなしの状態だ。そこで諸君には人類を再建する一助として、オブリビオン化した野盗の要塞攻略を頼みたい」
さらに展開されるホロモニターが映し出したのは、野盗という印象からはかけ離れた、天真爛漫そうな少女の笑顔。
「敵首魁、名を『アルテミシア・アビス』。れっきとしたオブリビオンだ」
敵が根城にしているのは、かつて百貨店だった建物である。
内部には多数の人々が奴隷として囚われている。その全てが、十代中盤から二十歳手前の少年奪還者たちだ。
奴隷と言っても定期的に大量の食糧を与えられているだけ。食べ盛りの少年たちには悪くない待遇にも思えるが、ここはアポカリプスヘルだ。食糧の浪費は人類の死活問題。奪還者として志ある少年たちにとって、罪悪感の募る辛い状況だろう。
「アルテミシアは兄を探しているようだが、想い昂じて欲望が暴走しているらしい。兄はよく食べる人だったからと少年たちにも大食いを強いて、兄に囲まれている気分を味わっているんだろう」
その奇妙なハーレムを実現するための食糧は、当然周辺の拠点から略奪されたものだ。これを放置すれば犠牲者は増え続け、ただでさえ貧窮している人類をさらに疲弊させることになるだろう。
「敵拠点は見通しの良い荒野に立っているから、外から近づこうとすると万全の態勢を整えられてしまう。囚われている奴隷の安全を考慮しても、隠密での潜入がベターだ」
そこで、と展開された三枚目のホロモニターに、薄暗い地下道が映し出される。
百貨店廃墟の地階は、過去の地下鉄跡や地下街廃墟と繋がっている。そこから潜入すれば少年たちが囚われている地下食料品売り場に直接乗り込めるという寸法だ。
少年たちは多数の『マシンビースト』に見張られていて身動きが取れない。猟兵は少年たちをかばいながら、この敵の群れを排除する必要がある。
安全が確保できたあとはアルテミシアとの戦闘になるはずだ。奴隷たちを救出できていれば、彼等も武器を手に取り支援してくれる。
「アポカリプスではごくありふれた、局所的な事件に過ぎないが、みすみす犠牲を看過するわけにはいかない。こういう事件をこつこつ解決していくことが、巡り巡って人類の再建に繋がるかもしれないしな」
ゲネがホログラスを弾くと、モニターいっぱいに転移術式が燦然と輝き始めた。
「さあ、荒廃したアポカリプスヘルに出発だ。地下からの要塞潜入、少年たちの救出、敵首魁撃破! よろしく頼むぞ!」
そらばる
アポカリプスヘル、レイダー要塞攻略。
囚われた少年たちを救出し、ブラコン少女をぶっ飛ばしましょう!
●第一章:冒険『地下を行け』
地下鉄や地下街の跡地を通って、百貨店廃墟へ向かいます。
オブリビオン・ストームで大地に亀裂が入った影響で、一部で崩落が起きていたり、道が寸断されていたりします。
状況的に、敵に見つからないような行動を意識すると良いでしょう。
●第二章:集団戦『マシンビースト』
オブリビオン・ストームによって死んだ獣が、機械と融合して蘇った存在です。頭部に内蔵された装置で通信し、同族と相互に意思疎通して群れをなしています。
この要塞ではアルテミシアに従順に従います。
地下の旧食料品売り場での戦いになります。
奴隷にされている少年たちを庇いながら戦う必要があります。
●第三章:ボス戦『アルテミシア・アビス』
兄に会いたいと願うあまり、色々とたがの外れているオブリビオン。
少年奪還者たちに大食いをさせて兄に囲まれている気分を味わっている模様。
奴隷たちを救出できていれば、武器を手に取って支援してくれます。戦闘力はさほど強くはないものの、地形を熟知しているため役に立ちます。
執筆の進捗やプレイング締め切りなどは、マスターの自己紹介ページで呟いております。目安にどうぞ。
それでは、皆さんの自由なプレイングをお待ちしています!
第1章 冒険
『地下を行け』
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POW : 目的地までの最短距離を力技で突き進む
SPD : 遠回りでも安全かつ確実に進む
WIZ : 隠された通路もしくはショートカットできそうな道を探す
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
紅月・美亜
何故姉ではないのか。お姉ちゃんも良い物だぞ。お姉ちゃんをもっと胎児にするべきだ。お姉ちゃんは大事だ。私がお姉ちゃんだ!
……おっと、つい五段活用してしまった。さて、仕事だ。
「Operation;UNCHAINED、発令」
この偵察機は偵察に必要な情報を全部持って来る。それは無論、崩落の危険がある場所や歩いて通れない場所の情報などもだ。後の猟兵の為にもマッピングは有益である。まあ、
「大体の猟兵はちょっとした悪路なら余裕で通るのだが」
私もちょっとしたワイヤーアクションは出来るし、壁にも貼り付けるし。アクションは苦手なんだがな。
「妹の為とあらば是非も無い」
●お姉ちゃんが征く
地下鉄の線路廃墟に降り立った紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)には、アルテミシア・アビスに物申してやりたいことがあった。
何故姉ではないのか。と。
お姉ちゃんも良い物だぞ。お姉ちゃんをもっと大事にするべきだ。お姉ちゃんは大事だ。つまり私がお姉ちゃんだ!
……おっと、つい五段活用してしまった。
「さて、仕事だ。──Operation;UNCHAINED、発令」
先の見えない暗闇へと召喚されたのは、熱光学迷彩搭載早期警戒機。
主たる美亜以外には認識するのも難しいこの偵察機は、陽の光の届かぬ地下を自由自在に飛び回り、必要な情報を全てかき集めてくる。それは無論、崩落の危険がある場所、歩いて通れない場所の情報などもだ。後に続く猟兵の為にも、マッピングは有益になるだろう。
とはいえ。
「大体の猟兵はちょっとした悪路なら余裕で通るのだが」
偵察機と五感を同期しながら、美亜も探索に乗り出した。
集積されていく情報から最適ルートを割り出し進む。多少の障害物なら造作もない。土砂崩れで半ば塞がった道も、壁に貼り付いていけば、天井際のわずかな隙間を潜り抜けて踏破していける。
一応、これでもアクションは苦手だと自認しているのだが。
「この程度の障害……」
隙間を抜けた先は奈落にも等しい巨大な亀裂が広がっていたが、美亜は慌てず騒がずワイヤーを撃ち出した。見事なワイヤーアクションで天井や堅牢な柱を乗り継いで、不安定な暗闇の中を一気に踏破していく。
進むにつれて選べる選択肢が狭まっていく。いちかばちか、最後にワイヤーを巻き付けた配管が危険な軋みを上げる。しかし美亜は自信に満ちて迷いなく突き進み、しゅたっ、と亀裂の対岸へとたどり着いてみせた。
「妹の為とあらば是非も無い」
譲れない信念に突き動かされて、美亜の姿は威風堂々とさらなる闇の向こうへ消えた。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
年齢的にはターゲットとして捕まるのが手っ取り早いのですが…少し年下に見えますから難しいかもしれませんね。大人しく潜入しましょう。
UCを発動し全身をUDC化します。脱出時に備えてダクト類は使わず通路の端を移動します。崩落した場所は金属属性の触手でスロープや橋を作っておきます。UDC化した状態なので私自身の身体から触手を生やして触手式魔導兵器を発動します
「相手は無線通信しているのでしたか。戦闘に備えて妨害方法を確立したいですね」
電気属性の触手で通信を傍受しハッキングで解析。まだ妨害はしませんが偽通信を飛ばして警備に隙を作りましょう。少しは他の方の手助けになるかもしれません。
●静かなる触手の侵略
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)は十六歳。
年齢も性別も対象の奪還者にぴたりと合う……はずであったが。
「ターゲットとして捕まるのが手っ取り早いのですが……少し難しいかもしれませんね」
自身の外見が若干幼く見られる傾向があるのを、怜悧の中に存在する人格『ロキ』は自覚していた。
「では、大人しく潜入することにしましょう。──侵し、受け入れ、喰らい、……ひとつに」
たちまち怜悧の全身が溶けだし、UDC化していく。黒々として、玉虫色の光沢を帯びる流体金属へと。
怜悧であった流体は、通路の端をしずしずと這い進んだ。埋もれかけの道は瓦礫の隙間を縫って抜け、土砂で脆くなっている足場も流体の特性を活かしてあっさりと踏破。確実に地下街を侵攻していく。
途中、寸断された道にも出くわした。人型に戻って飛び越えるのも困難だろう巨大な亀裂だったが、わざわざ遠回りをする選択肢はない。
「後で使わないとも限りませんし、橋をかけておきましょうか」
ロキは流体の身体を変形させて、触手式魔導兵器を発動した。金属属性の触手がするすると伸びながら整然と編み上がり、亀裂の対岸へと簡易の吊り橋が築かれていった。
亀裂を渡り切った先を行き、さらに角を折れた先。荒廃した道の中央に、百貨店の地階入り口への案内板が天井から脱落した形で地面に突き刺さっていた。
目的地が近い……つまり、マシンビーストの巣が間近ということになる。
「相手は無線通信しているのでしたか。戦闘に備えて妨害方法を確立したいですね」
ロキは百貨店の並びの壁際に貼り付き、ジジジ……と電磁波を帯びた触手を辺りに伸ばした。
何もない空中をまさぐるように蠢かせて、しばし。触手が何かを捉えてピンッ!と棒を呑んだように固まった。通信傍受成功だ。ロキはすかさず電波を遡ってハッキングによる解析を開始した。
まだ妨害はせず、それとなく偽通信を飛ばして軽く警備の隙を作る程度にとどめ置く。少しでも後続の猟兵の助けになるように。
ひどく静かに、色も香りも味もない遅効性の毒のような侵攻が、着々と敵要塞へと触手を伸ばしていった。
大成功
🔵🔵🔵
ジフテリア・クレステッド
※アドリブ・連携歓迎
●SPD
首魁の目的がイカレ…狂って…ごほん、変なこと以外は普通の野党退治。この世界ではよくあることだね。奇をてらわずセオリー通りに行こう。
ゲネが見せてくれた地下道の映像はフラスコチャイルドとしての高い【学習力】で覚えてる。崩落箇所や寸断された場所の位置も覚えたから、通れない場所に行ってしまうことなく進めるはず。労働時間は削減しなくちゃ。
とは言っても、無理はしないけど。ショートカットを狙って敵に見つかると、それこそ時間のロスだからね。
【忍び足】で音を立てないよう、こっそりと、焦らずに潜入行動を続ける。急がば回れが最短の近道、ってね。
●密かな侵攻
「首魁の目的がイカレ……狂って……ごほん、変なこと以外は普通の野党退治」
真っ当かつストレートな評価をマイルドに言い直して、ジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)は地下に広がる暗闇へと視線を馳せた。
「この世界ではよくあることだね。奇をてらわずセオリー通りに行こう」
その脳裏には、グリモアベースで見せられた地下道の映像が再生されている。
予知で見通せた限定された範囲ながら、崩落個所、寸断箇所やその周辺地形など、要所要所の状況はしっかりと記憶している。フラスコチャイルドならではの類まれなる学習能力のたまものだ。
「ここの地形は……右奥は行き止まりのはず。労働時間は削減しなくちゃ」
とはいえ、無理にショートカットを狙うようなことはしない。大胆な動きをすることで敵の目を惹いたり、想定外の音を立てる羽目になっては、それこそ時間のロスになってしまう。
焦らず慌てず、足音を立てずに。極力気配を消して、記憶を頼りに行き止まりを回避しながら進む。そうするうち、地下街の構造や崩落・寸断の起きやすい地形パターンも次第に身に馴染み、いつしか理論と直感を組み立ててある程度安全なルートを構築するまでに至っていた。
そろそろ目的地である百貨店が近いことに気付き、ジフテリアはふと足を止めた。
(「私が敵なら……」)
次の角の先。あそこを曲がったところに……
息を潜めてそっと角際から通りの向こうを窺うと、果たして、暗がりの向こう側に蠢く影があった。野生動物と機械の動きを組み合わせたような、独特な挙動。
獣らしきシルエットがこちらを振り向くのに合わせて、ジフテリアは再度角際に引っ込んだ。
(「……やっぱり、いるよね」)
予想通りだ。慎重な動きを心掛けていなければ、気づかないまま敵に補足されていたかもしれない。
ジフテリアはそのまま静かに踵を返し、別ルートの模索を開始する。
「急がば回れが最短の近道、ってね」
一歩一歩を着実に踏みしめて、ジフテリアは敵の懐へと踏み込んでいった。
大成功
🔵🔵🔵
リオ・ウィンディア
そうね、私には不利な状況かもしれない…
でも狭いところなら任せてと言いたいわね。体格的に
これ(得物)を使ったら、見つかってしまいそう
楽器のベルトを後ろに回して
「よーい、どん…」
静かに自らに気合いを入れる
「妹は可愛い。なんていったってうちの妹は…あら、私が妹だったかしら。まぁいいわ。だったら姉が可愛いということになるわね。本当にどうしようもなく可愛いの、閉じ込めておきたいくらい」
輪廻の記憶を辿りながらシスコンにヤンデレという【呪詛】を呟き静かなる闇の嵐に変換
時に舞い、時に障害物そのものを嵐に変えて
もともとストームが荒れ狂うこの世界
風の音など大したことがないと思うけれど、出来るだけ静かにね?
●嵐がとおる
「そうね、私には不利な状況かもしれない……」
誰にともなくそう呟いて、リオ・ウィンディア(墓地から来た歌い手・f24250)もまた地下に降り立った。
辺りは闇に塗りつぶされ、閉塞感に満ちた空間。
「でも狭いところなら任せてと言いたいわね」
敵に察知されることを考えると得意の楽器は使えないが、小柄な身体はここでは武器になるはずだ。
リオは得物をベルトの後ろに回し、己の内に静かに気合いを満たした。
さらり……と傍らに積もっていた砂の小山が、不自然に崩れ、かすかな黒い霧へと変じた。
「よーい、どん……」
呟くや否や、リオの小さな身体はぐわと膨れ上がった闇に攫われた。
地下に闇の嵐が吹き荒れる。辺りに転がる小石に砂、コンクリートに鉄骨等々、様々な物質が次々と闇の粒子に変じ、逆巻きながら、リオを地下道の奥へ奥へと連れ去っていく。
リオはその身を完全に嵐に委ねていた。呪詛さえ渦巻く闇の中を、どうということもなく舞うように。
その眼差しはどこか遠くを見るように細められている。
「妹は可愛い。なんていったってうちの妹は……あら、私が妹だったかしら。まぁいいわ。だったら姉が可愛いということになるわね。本当にどうしようもなく可愛いの、閉じ込めておきたいくらい」
つらつらと呟かれるのは、輪廻の記憶を辿り引き出した、シスコンとヤンデレという合わせ技の呪詛。
呪詛に晒された周辺の無機物が途切れることなく闇へと変じ、嵐を巻き起こす。障害となる土砂崩れすら嵐に変えながら。
……闇吹き荒れる地下鉄の遥か先。地下道外縁で警戒に務めていたマシンビーストの一体が、キュイン、と電子的な音を立てて顔を上げた。
遠くに反響する、通常よりも強度の高い騒音。
音の成分を分析して出た答えは……ただの強風。
アポカリプスヘルはオブリビオン・ストーム荒れ狂う世界。またぞろどこかの天井が抜けたか横穴から吹き込んだかして、地下道内部に空気が流動しているのだろう。
そう結論づけ、マシンビーストがあっさりと立ち去ってしばしのち、同地点を黒い嵐が通り過ぎていく。
中央に舞う少女の口から垂れ流される歪んだ姉妹愛もまた、無味乾燥な風音にかき消されていった。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
ふーむ…つまり妹の部屋にこっそり侵入するって事でござるね?
美少女ゲームにステルスアクションを組み合わせた新しいナニカ…拙者なんだかワクワクすっぞ!
せっかくだから拙者は地下鉄を進むぜ!世紀末で地下鉄探索は基本だからな…
まず全身を【ドット絵】に変換!崩落した通路だろうが閉まって動かない扉だろうが隙間があれば楽々侵入できますぞ!
ドットと言えど迂闊に走るのは厳禁でござるね!今だと足に陽気なSEがしそうだし!基本は【忍び足】で進行し途中に端末があれば適時【ハッキング】して構内の見取り図やら仕入れるでござるよ
職人が丹精込めて一つ一つ打ったドットだ…決して簡単クロヒゲなどと言ってはいけないでござるよ!
●ドット絵潜入作戦
グリモアベースでの説明を聞いて早々、ある意味ギリギリのコメントを吐いた人物が約一名。
「ふーむ……つまり妹の部屋にこっそり侵入するって事でござるね? 美少女ゲームにステルスアクションを組み合わせた新しいナニカ……拙者なんだかワクワクすっぞ!」
エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)(35歳)である。
「せっかくだから拙者は地下鉄を進むぜ! 世紀末で地下鉄探索は基本だからな……」
意気揚々と地下への道を降りるエドゥアルト。放置され形骸化した線路の上に降り立つや、
「拙者はフリーSOZAIですぞ」
忍者めいた印を結んだ瞬間、全身を一瞬にしてドット絵へと変換!
くるりと一回転して顕現したのは、迷彩服の傭兵のシンプルなドット絵である。特徴的なヒゲのおかげで、タルに詰められ剣に突かれ最終的にどこかへ吹っ飛んでいきそうなオジサンになんとなく見えないこともないが……
「職人が丹精込めて一つ一つ打ったドットだ……決して簡単クロヒゲなどと言ってはいけないでござるよ!」
……ともあれペラペラの平面かつ質量なぞあってないようなこの形態は、潜入にはうってつけだった。崩落した通路だろうが閉まって動かない扉だろうが、わずかな隙間さえあれば楽々侵入可能である。
ただし注意すべきは、足音。足から陽気なSEが飛び出してはたまらないので、迂闊なジャンプ・ダッシュは厳禁、忍び足の徐行運転でこっそりこそこそ進むのである。
線路脇の壁際を慎重に進んで、やがて到着したのは駅のホーム。
「さぁて、情報が抜けそうなものは、と……発見でござる!」
割れたガラスや瓦礫をするりと躱して駅員室に入り込むと、大量の端末の中にまだ生きているものを発見。エドゥアルトは早速ハッキングをかけて必要な情報を高速で引き出していった。
「……うむ。これで構内と敵本拠周辺の見取り図は万全でござる!」
堂々と攻略マップを入手したドット絵傭兵は、抜き足差し足意気揚々と、さらなる攻略にとりかかるのだった。
大成功
🔵🔵🔵
蜂須賀・美緒
アタシは激怒した!
必ずかの邪知暴虐なブラコン女を殲滅せねばならぬと決心した!
と、いうわけで人質救出作戦開始
地下を進むにしてもここは敵地!
身長に慎重を重ねた行動をとらねばならない!
というわけでUC発動!
(小型の戦闘用機械兵器を50体出しながら)
Soldier!散開して敵に気付かれずに接近できるルートを割り出しなさい!
崩落しそうなところは避けること!
他の猟兵の人たちもいたら最適なルートを教えてあげなさい!
作戦開始!ビー...ハイヴ!
(手をクロスして決めポーズしながら)
●蜂の進軍
蜂須賀・美緒(BeeHive・f24547)は激怒した!
必ずかの邪知暴虐なブラコン女を殲滅せねばならぬと決心した!
そんなわけで人質救出作戦開始である。
まずは、敵の本拠にたどり着かねば話にならない。
「地下を進むにしても、すでにここは敵地! 慎重に慎重を重ねた行動をとらねばならない! というわけでエレクトロレギオン発動!」
威勢の良い掛け声に応じて召喚されたのは、五十体にも及ぶ小型の戦闘用機械兵器。
兵隊型、ずんぐりした一つ目型、蜘蛛めいた見た目の多肢型、四枚羽で飛ぶ昆虫型など、種類は様々。ただ、それら全てに共通して、ミツバチの身体的特徴である縞模様がポイントにあしらわれている。
きびきび動いて整列していく精強な自軍に満足げに頷くと、美緒は勇ましく号を発した。
「Soldier! 散開して敵に気付かれずに接近できるルートを割り出しなさい! 崩落しそうなところは避けること! 他の猟兵の人たちもいたら最適なルートを教えてあげなさい!」
イエス・マァム!とでも聞こえてきそうな一糸乱れぬ敬礼。
美緒は大仰に頷くと、オーケストラの指揮者のように、威厳に満ちた仕草でゆっくりと手をもたげ……
「作戦開始! ビー……ハイヴ!」
勢いよく胸の前でクロスさせて、ビシィッ、と決めポーズをキメた。
途端、一斉に飛び出し方々へ散っていくミツバチ印の機械兵器たち。
寸断された足場は昆虫型が難なく飛び越え、一足先に先行。多肢型は壁や天井を伝って縦横無尽自由自在。土砂崩れを見つければ兵隊型が器用に土砂を掻き出して隙間を広げ、仲間を奥へと送り出す。そうして攻略し通過した場所の情報を、しんがりの一つ目型がしっかりと集積していく……。
瞬く間に機械の斥候隊は地下中を把握し、幾許としないうちに『女王』の元へと吉報がもたらされた。
ふっふっふ、とご満悦の笑みが美緒の口許から零れ落ちた。
「数はすなわち、力!」
かくて女王蜂とその軍団は、割り出された敵本拠への最適ルートを、迷いなく侵攻していくのであった。
大成功
🔵🔵🔵
ナイ・デス
ソラ(f05892)と
オブリビオンの出現から、まだ数年、らしいですが……
こうも、荒廃とするのです、ね
『エクストリガー【ディリゲント】』発動、イグニッション
『』は防具初期技能
獣耳をぴょこんと生やし『野生の勘』で警戒しながら
『地形の利用』【情報収集、学習力】電脳ゴーグルにマップを表示
オブリビオンにみられたら、その本能で私達、猟兵、敵だと理解される、ので
ソラに抱えてもらい外套着てもらい『迷彩』で二人の姿隠して
音は消せないので、慎重に、ですよ。ソラ
ソラ、あそこの瓦礫、退かして進みましょう
『怪力』と【念動力】で静かに、帰路も作りながら、進みます
無事に連れて帰るまでが、今回の冒険、ですね
必ず、助けましょう
ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と
ここがアポカリプスヘル…命の気配が感じられません…
…こんな世界もあるのですね、ナイくん
色褪せた世界に少し呆然しつつも、新たな冒険を求め前を向く
ナイくんを抱え、彼のナビゲートを頼りに進みます
崩落個所は瓦礫を運び退けて【怪力】で対処
寸断されている道はナイくんを抱えて、竜の翼でひとっ飛び
敵に見つからないよう静かに、慎重にー慎重にー…
僅か数年でこんなにも荒れ果ててしまうなんて…
でも、まだ人々は懸命に生きています。ならば手遅れではありませんっ
この世界でも、我々は『勇者』です!
帰りの為に安全なルートも探しておきましょうね、ナイくん!
なにせ帰りはわたしたちだけではありませんからね!
●身を寄せ合って
初めて降り立った世界を、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は呆然と見渡した。
「ここがアポカリプスヘル……命の気配が感じられません……」
一面の、荒れ果て色褪せた大地。風は乾いて砂と埃の匂いしかしない。
「……こんな世界もあるのですね、ナイくん」
傍らへ声をかけると、ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)も途方に暮れたような眼差しをしながら、こくりと小さく頷いた。
「オブリビオンの出現から、まだ数年、らしいですが……」
刺すような直射日光も、冷たく硬い空気の質感も、靴底から伝わる枯れ果てた感触も。全てが生物に優しくない。
「こうも、荒廃するものなのです、ね」
オブリビオンにまみれた世界は他にいくらでもあるはずなのに、この世界の状況は他のどこよりも深刻に思えた。
おそらくこの荒廃の速度こそが、オブリビオン・ストームの、単純な災害としての側面の脅威を示しているのだろう。
そしてそれは、地下においても例外ではなかった。壁材や天井が崩れ落ち、あちこちが寸断され、猟兵の歩みを容赦なく阻む。
無防備に進むべきではないと、ナイはユーベルコードを発動した。
「『エクストリガー【ディリゲント】』発動、イグニッション」
たちまち、身に纏う防具や手に抱えた外套にふわりと力が宿る。
ソラスティベルはナイから受け取った外套をかぶるように着ると、ナイの幼い身体を外套の内側に隠すように抱えて前を向いた。
「……では、新たな冒険に踏み出しましょうか!」
「音は消せないので、慎重に、ですよ。ソラ」
「もちろんですっ」
慎重に、慎重に、と歩みを開始するソラスティベル。オブリビオンは本能的に猟兵を見分けてくるだろうが、外套の迷彩能力ならば二人の姿を隠してくれるはずだ。
抱きかかえられたナイの頭の左右にぴょこんと獣耳が生え、野生の勘を働かせて警戒に務める。赤い瞳を覆う電脳ゴーグルには周囲の地形情報が絶えず集積され、複雑な地下街のマップが構築されていった。
しばし進むうちに、天井から店舗の壁まで巻き込んだ、比較的小規模な崩落跡が目の前に立ち塞がった。迂回してもいいが、この程度なら対処しておいたほうが後のためにもなるだろう。
「ソラ、あそこの瓦礫、退かして進みましょう」
「ですね。力仕事は任せてください!」
ソラスティベルは周囲を確認してナイを下ろすと、見た目に似合わぬありったけの怪力を込めて瓦礫の山を取り除き始めた。ナイも念動力を駆使しつつ、極力音を立てぬよう二人で協力して作業を進めていく。
ほどなく開けた道の先を進むと、今度はいくつもの亀裂が互い違いに地面を食い破っている、痛々しいほどの光景と出くわした。
ナイを抱えて、竜の翼で亀裂の群れをひとっ飛びに難なく飛び越えながら、ソラスティベルは吐息をついた。
「僅か数年でこんなにも荒れ果ててしまうなんて……」
しかしソラスティベルはもう、感傷に浸ることはしない。
「でも、まだ人々は懸命に生きています。ならば手遅れではありませんっ。この世界でも、我々は『勇者』です!」
見事に対岸に着地を決めると、ソラスティベルは腕の中の相棒へと笑いかけた。
「敵を倒したあとも地上ルートが帰路に使えない可能性もありますし、安全なルートも探しておきましょうね、ナイくん! なにせ帰りはわたしたちだけではありませんからね!」
「無事に連れて帰るまでが、今回の冒険、ですね」
ナイはたどたどしく答えつつも、はっきりと頷き返す。
「必ず、助けましょう」
外套の下で身を寄せ合う二人の姿は、徐々に、そして確実に地下深部にある敵本拠へと潜入していくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『マシンビースト』
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POW : ワイルドビースト
【野生化モード】に変化し、超攻撃力と超耐久力を得る。ただし理性を失い、速く動く物を無差別攻撃し続ける。
SPD : 同型機との経験共有
【頭部に内蔵した高熱の刃】で攻撃する。また、攻撃が命中した敵の【行動パターン】を覚え、同じ敵に攻撃する際の命中力と威力を増強する。
WIZ : 光学迷彩
自身と自身の装備、【自身と同型の】対象1体が透明になる。ただし解除するまで毎秒疲労する。物音や体温は消せない。
イラスト:柿坂八鹿
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●兄ハーレムの檻
暗い地下に、マシンビーストたちの無機質な眼光が点々と浮かび上がる。
そこはかつて百貨店だった施設の地階、食料品売り場。
広大なフロアだ。多種多様な弁当屋や惣菜屋、洋菓子・和菓子店などの出店ブースが立ち並び、調味料を並べて売っていたであろう棚、大きなパン屋、生鮮食品専門の広々としたスペースなどもあるが、どれも形骸化している。
当然、食品の類はとうの昔に朽ちたか運び出された後。辺りに見当たるのは、中身をすっかり食べ尽くされて放置された袋や缶などのゴミと、それらを無遠慮に蹴散らしながら闊歩する複数のマシンビースト。
……そして、その監視下で息を殺すように座り込んでいる、少年奪還者たち。
彼等は身体的な拘束は受けていない。皆、マシンビーストから極力距離を取るように壁際に寄っている。壁を背にして警戒を切らしていないようだが、武器の類は全て取り上げられているため動きようがないようだ。
広大なフロアの壁際に分散する形で点々と貼り付いている奴隷たち。そしてその中央部を行ったり来たりしながら壁際に睨みを利かせる機械の獣たち。
フロアは広大。そして侵入口は複数。地下街に直接通じているものもあれば、従業員用バックヤードに通じる裏口もあり、地下鉄の改札から直接乗り込める部分もある。天井裏のダクトも、上手く使いようがあるかもしれない。
まずは、奴隷たちの身の安全を確保しつつ、マシンビーストを駆逐する。それが猟兵の使命だ。
ジフテリア・クレステッド
※アドリブ・連携歓迎
見つからないようにフロア近くまで来れたことを利用してライフルでの【先制攻撃】の【暗殺】でマシンビーストの頭部を【部位破壊】する。【毒使い】らしく汚染毒弾でね。
そしたら地下道に逃げる。敵首魁の目的を考えるとマシンビーストが人質を害することはないはず。となると向こうの次の行動は何体かを見張りに残した上で私を追走しての排除、だと思う。
地下道のマップはここに来るまでの行程で分かってるし【目立たない】ように【忍び足】で気配と足音を消して隠れやすい場所に潜伏。追ってきた奴を暗殺して、また潜伏。それを繰り返す。追ってきた連中を全部倒したらフロアのヤツをまた暗殺。そして同じことを繰り返す。
●潜む狙撃手
ジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)は、闇に潜みながらライフルのスコープを覗き込んでいた。
その照準が捉えているのは、百貨店地階の入り口付近にうろついているマシンビーストの頭部だ。
(「見つからずにここまでこれたんだし、この状況、利用しない手はないね。まずは少しでも数を減らさないと」)
容赦なく引かれる引き金。子供用サイズのスナイパーライフルから放たれた弾丸が、それと感じさせない高威力で見事マシンビーストの頭部を撃ち抜いた。
マシンビーストは雷に打たれたように痙攣したのち、パタリと横倒れになって動かなくなった。穴の開いた頭部には毒素らしき汚染が広がっている。
周辺にいた他の個体たちがわらわらと集まり、仲間の死体を確かめるまでもなく、機械的な仕草で一斉に、射線の先の暗がりへと首を向けた。
ジフテリアはあえてその視線が自分に集まるのを待ってから駆け出した。敵の本拠である百貨店内……ではなく、侵入路に利用した地下街へと。
(「敵首魁の目的を考えるとマシンビーストが人質を害することは避けるはず。となると向こうの次の行動は……」)
思惑通り、追ってくる複数の気配。かなりの数を引き付けられたようだ。
この場合の敵の最善手は、目撃者でもある侵入者の確実な排除。少年たちの見張りは残した戦力に任せて、こちらの追走に集中するはず。
が、ジフテリアとて、往路において地下の構造は十分に把握している。
地下街の最も入り組んだ区画へと滑り込むや、ジフテリアは通りを寸断する陥穽に迷いなく身を躍らせ、崖っぷちが抉れてできたわずかな足場に気配を消して身を潜めた。
直後、多数の獣の足音が頭上を叩き、機械の獣の身体が勢いのまま次々と陥穽を跳び越えて通り過ぎていった。
全ての個体が跳び越え終えたのをしかと見届け、ジフテリアは音もなく道上に復帰すると、走り去っていくマシンビーストたちのしんがりの後頭部に弾丸を撃ち込んだ。一撃にして沈むしんがり。
銃声と仲間の脱落に気付いた他のマシンビーストたちがすぐさま引き返し、暗殺者を追う。
暗殺者は再び逃げる。敵群の死角を巧みについて、物陰や天井裏で敵をやり過ごし、あるいは一匹ずつ釣り出し、一体一体確実に『処理』していく……
「釣り出された時点で、あなたたちの負けだよ」
容赦のない銃声が、幾度となく地下道をこだました。
大成功
🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
(これならおそらく見つからずに奥まで行けますね、なるべく入り口から遠い場所の子達を護りましょうか)
UDC化したまま物陰を目立たないように移動します。少年達に近づいたら彼等を背にして人間に戻り、即UC『機械仕掛けの妖精』を発動。20cmほどの妖精に意識を移します。UDC(妖精の羽)から電波を出してなるべく多くの敵をアノンの近くにおびき寄せつつ、少年達に話しかけます。
「すぐに沢山助けが来ますから、もう少し待っていてくださいね」
人格:アノン
「機械とか喰えねェな…まァイイか」
黒狼の姿になり、少年達の居ない部屋の中央方向へ移動。電気属性の触手で前足に電気を纏い殴りつける
●妖精と黒狼
水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)はロキの人格と流体金属の姿を維持したまま、食品売り場入り口に到達していた。
(「これならおそらく見つからずに奥まで行けますね、なるべく入り口から遠い場所の子達を護りましょうか」)
暗がりから暗がりへ、物影から物陰へ、死角から死角へ。流体金属は慎重に内部への潜入を試みた。音もなく這い進む流体物に、マシンビーストはおろか少年たちすら気づかない。
やがてロキはあらゆる出入口から遠い区画へとたどり着いた。かつては外国産の酒類が置かれていたのだろう、瀟洒な棚が据え付けられた袋小路だ。その足元には、点々と少年たちが背を預け、苦々しくマシンビーストたちを睨みやっている。
少年たちの視線の先で、突如、何もない空間が七色がかった淡い輝きを放ち始め……ぽんっ、とファンシーな音を立てて何かが唐突に現れた。
「な……っ」
「よ、妖精!?」
息を詰めて成り行きを見守っていた少年たちが、思わずざわめいた。
突然出現したそれは、ありていに言えば、妖精だ。玉虫色の光沢を帯びた美しい蝶の羽を少年たちを守るように細かに震わせる、体長20センチほどの愛らしい少女の姿。
その内にある意識は、ロキのものである。
「すぐに沢山助けが来ますから、もう少し待っていてくださいね」
「救援……!?」
ロキの言葉に、少年たちの瞳にようやくかすかな希望の光が差していく。
と同時、異常に気付いたマシンビーストたちが、妖精を取り囲むように動き始めていた。
が、敵が攻撃態勢に入るより早く、妖精の真下から黒いシルエットが立ち昇り、みるみる獣のシルエットを描き出した。
それは流体金属から変じた凶暴な黒狼の姿。
ロキは身体を妖精に変じたわけではなく、召喚した妖精に意識を移したに過ぎない。すなわち、抜け殻になった本体は、即座に別の人格が引き受けている。
黒狼と化した人格の名を、アノン。
「機械とか喰えねェな……まァイイか」
アノンはぼやくや否や、俊敏に飛び出した。妖精の羽の電波に釣られて集まってくる敵を引き寄せ、少年たちを巻き込まぬ距離を確保すると同時、急激に身を翻し、敵の爪が紙一重をかすめすぎていくのを尻目に高々と跳躍──
「グルゥ……ガアアァァッ!!」
触手を巻き付け電撃を帯びた前肢が、マシンビーストの群れを蹂躙していった。
大成功
🔵🔵🔵
蜂須賀・美緒
まずは人質の安全を確保しつつ敵を殲滅すること
敵をおびき寄せる必要があるわね
あと戦うときは各個撃破が望ましいわ
となると...
UC発動!(小声)
Soldier!50体ずつ3つグループを作りなさい!(小声)
2グループは東と西、北と南、みたいに離れた場所でそれぞれ音を立てるか散発的な攻撃をするなどして敵を引き付けなさい!(小声)
引き付けられた連中と残った連中、少なくとも3グループにはわかれるはずよ!(小声)
数の少ないグループから一気に叩き潰すわ!(小声)
引き付け役は生き残ることを最優先で動きなさい!(小声)
作戦開始!ビー...ハイヴ!(小声)
(腕をクロスして決めポーズ)
●二方向陽動作戦
敵本拠を目前にして、蜂須賀・美緒(BeeHive・f24547)は暗がりの中で思案する。
まずは人質の安全を確保しつつ敵を殲滅すること。
それには敵をおびき寄せる必要がある。さらに戦うときは各個撃破が望ましい。
と、なると……
(「エレクトロレギオン発動!」)
出来うる限り声を潜めて、しかし語尾を張るのは忘れずに、美緒は再度機械兵器の大群を召喚した。今度は軽く前回の三倍の数だ。
(「Soldier! 50体ずつ3つグループを作りなさい!」)
命令通り、たちまち三つの集団を形成する機械兵器たち。美緒はこれらにそれぞれ、A・B・Cの記号を割り振った。
(「グループA・Bは東と西、あるいは北と南、みたいに離れた場所でそれぞれ音を立てたり散発的な攻撃をするなどして、敵を引き付けなさい! まずは南北対岸スタート、あとは状況に応じて臨機応変に!」)
音もなく一斉に敬礼するA・B兵器群。
(「そしたら引き付けられた連中と残った連中、少なくとも3グループにはわかれるはずよ! グループCは私と一緒に、遊撃隊として数の少ないグループから一気に叩き潰すわ!」)
C兵器群も負けじと敬礼。
美緒が満足げに頷くと同時、他の猟兵たちも動き出した気配があった。遅れをとってはいられない。
小声のまま少し早口に、美緒は号令を発した。
(「作戦開始! ビー……ハイヴ!」)
もちろん、腕クロスの決めポーズは忘れない。
三つの塊となって一斉に散開していく兵器群。奇しくも他の猟兵たちの突入と重なるタイミングで、フロア全体に機械兵器たちが広がっていく。
瞬く間にあちこちから響き始める戦闘音。挑発を受けた南北のマシンビーストたちは、小さな機械とはいえ数十体に及ぶ戦力を捨て置けることはできずに、次々と対処に動き始めた。
南北の衝突が思いのほか上手くいき、残された中央の陣営が最も手薄となり始めた。
美緒はここぞとばかりに号を発する。
「グループC、突撃ッ!」
潜める必要のなくなった声が気持ちよく響き渡ると共に、小さな機械たちが一斉に内部へ雪崩れ込み、機械の獣たちを蹂躙していった。
大成功
🔵🔵🔵
紅月・美亜
たまには弟も悪くない。妹には劣るが、その次には良い。
引き続きUNCHAINEDで綿密に索敵を行いマシンビーストの位置を捕捉。
「もう大丈夫だ! 何故かって? ……姉がここに居る! Operation;RAY、発令!」
大胆に姿を晒す。だが、その言葉に偽りはない。私の戦法は私の近くが一番安全なのだからな。
同時に出撃したRAYで敵を次々と撃ち落す。事前にパターンを把握していながら撃ち漏らす様なミスをしてはSTG布教者の名折れだ。
「同時撃墜ボーナスでポイント倍点! クックックッ、これではボーナスステージだ……さあ、姉を称えよ! STGを称えよ!」
●イエス!STG!
紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)は熱光学迷彩搭載早期警戒機からリアルタイムに伝わる情報越しに、百貨店地階内部の敵配置を把握していく。
それと同時に、壁際に点々と身を潜め、息を殺す少年たちの姿もまた視覚に飛び込んでくる。今のところ困惑の色が濃いものの、急激に動き始めた状況にどう対応すべきか、事態を凝視する賢明な眼差し。
「たまには弟も悪くない。妹には劣るが、その次には良い」
呟いて、美亜は躊躇なく内部へと突入した。少年らを背に庇うようにして、大胆に敵前へ身を晒す。
「なっ、あんたは!?」
「もう大丈夫だ! 何故かって? ……姉がここに居る!」
「は、はあ……?」
大丈夫なのかこいつ、という空気が言外に入り混じる。
事実、じりじりと歩み寄るマシンビースト達は、攻撃の間合いに入りつつある。
だが、美亜の言葉に偽りはない。彼女の戦法において、最も安全なのは彼女の傍なのだ。
「Operation;RAY、発令!」
たちまちAR表示のロックオンカーソルがマシンビーストの一体一体を瞬く間にマーキングし尽くした。
「捉えたぞ……もはや逃げられはしない!」
同時に出撃した光学兵器搭載戦闘機のレーザーが、飛び掛かってきた先頭のマシンビーストを一瞬で焼き貫いた。
間を置かず幾度も瞬く閃光。めげずに襲い掛かってくるマシンビーストを次々に撃ち据えていく。
事前に敵パターンは把握した。これで撃ち漏らすようなミスをしてはSTG布教者の名折れである。
敵の攻撃は一切通さない。時に手前の敵を葬ることで奥の敵の動きを阻害し、時に複数を同時に巻き込み、見事なスナイプスキルを遺憾なく発揮する美亜。
「同時撃墜ボーナスでポイント倍点! クックックッ、これではボーナスステージだ……さあ、姉を称えよ! STGを称えよ!」
八面六臂のトリガーハッピーの背中を、少年たちは呆然と(人によってはちょっと引き気味に)見守るのであった。
大成功
🔵🔵🔵
リオ・ウィンディア
アドリブ・絡み歓迎よ
自分の範囲攻撃の間合いを鑑みて
天井或いは地下からひょっこり現れる
奪還者達は固まっているようだから守りやすいわ
「¿Cómo estás?…元気そうには見えないわね
気晴らしに余興でもいかがかしら」
可愛らしく微笑みかける
が、その音は…
UC発動、【楽器演奏】でどこかの国の呪歌を奏でる
異国の【歌唱】も行って【呪詛】をたっぷり含ませた音色を嵐に変換させて奪還者と自身を【目立たないように、闇に紛れ】させる
狙ってくるマシンビーストに対しては
闇の嵐とは違う音を頼りに【忍び足】で近づいて隠し持ったダガーで【早業、盗み攻撃、二回攻撃】
あなた方の立てる音は【見切った】わ
「闇の一幕ご覧あれ」
エドゥアルト・ルーデル
もしもしお兄ちゃんだよ!なんだ捕まった連中か…
こういう時は四の五の言わずささっと片付ける方が合ってるでござるな
とりあえずせっかくだから拙者は天井裏のダクトを選ぶぜ!
気づかれないように【忍び足】にてダクトを進み大体フロアの中心ぐらいから動きを見つつ観察でござるね
大雑把に犬が集まったらレッツダイブ!
落下しながら戦闘支援ツールと【早業】の会わせ技により16体までの敵をまとめてスナイピングでござるよ!
狙うのは頭部もしくは脚のどれか一本ですぞ!四脚の内の一本でもやれば満足に動けまいて
着地後はまだ元気がある敵から弾丸をぶちこんで処理でござるよ
人質は知らん!死にたくなければ端に寄ってろとしか言えませんな
●天井から弾丸、床下から闇
「とりあえずせっかくだから拙者は天井裏のダクトを選ぶぜ!」
エドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)は誰にともなく宣言すると、暗く狭いダクトに潜り込んだ。
音と気配を消してじりじりと進む。時折据えられた通気用の網から内部の様子を見つつ、フロア中心へ。
周縁から他の猟兵たちの攻撃が始まり、敵陣が慌ただしくなり始めた。中央部には、見張りに残った個体や戦線から脱落した個体が態勢を立て直そうと群れを形成し始めている。
「集まってきたか……今でござる、レッツダイブ!」
通気網を豪快に蹴破り内部へと突入するエドゥアルト。
素早い手さばきと腕部に装着した戦闘支援ツールの合わせ技が火を噴き、落下しながらも正確無比な弾丸が次々に吐き出される。計16発。
そしてエドゥアルトの着地と同時に地面に転がったマシンビーストも、16体。
エドゥアルトは満面の笑みで振り返り、
「もしもしお兄ちゃんだよ! なんだ捕まった連中か……」
ぽかんとしている少年たちの姿を認めるや、しらっと表情を無にして次弾を装填した。
辺りに転がるマシンビースト達は、頭部を撃ち抜かれ一瞬で機能停止した死体が八割。残りは四肢の一つを正確に撃ち抜かれており、満足に動けない状態にある。
「こういう時は四の五の言わずささっと片付ける方が合ってるでござるな」
侵入に気付いた他の個体が援軍にやってくるまえに、まだ息のあるマシンビーストを次々仕留め、処理していくエドゥアルト。
あまりに唐突かつ置いてきぼりの状況に、少年たちが我に返って声を上げた。
「あんた一体……」
「た、助けにきてくれたのか!?」
少年たちの必死の呼びかけにエドゥアルトは、
「──貴様らなど知らん!!」
……取り付く島もなし。
ええー……とドン引きする少年たちの視線も無視し、エドゥアルトは新たに向かい来る機械たちへと銃口を向けた。
「死にたくなければ端に寄ってろ」
すげない忠告と共に、さらなる弾丸が敵へとぶち込まれていく。
その背中を呆然と見守りつつ、少年たちはエドゥアルトの背後に回るようこっそり身を寄せ始めた。
……その足元、配電点検用と思しきハッチが開き、突如ひょっこりと童女が顔を出した。
少年たちの仰天声を浴びながら床下から姿を現したリオ・ウィンディア(墓地から来た歌い手・f24250)は、まず真っ先に奴隷たちの様子を確かめた。
「¿Cómo estás?……元気そうには見えないわね」
いよいよ混乱極まり声もない少年たち。食は確保されていたとはいえ、健全とは到底言えない環境で、各々の顔には疲弊の色が濃い。
彼等を安心させるように、リオは微笑みかけた。
「気晴らしに余興でもいかがかしら」
世にも可愛らしい微笑みにほっこりと力を抜く少年たち。
しかし、彼女が奏でるその音は……
「Bienvenidos! 私の舞台を見せてあげましょう」
手巻きオルガンと共に幼い喉が奏でるのは、いずことも知れぬ異国の呪歌。
呪詛をたっぷりと含ませた音色が闇の嵐を呼び込み、少年たちとリオの姿を包むように闇に紛れさせていく。
突如周囲に広がった闇に、殺意を漲らせ突撃してきたマシンビースト達はたちまち目標を見失った。センサー類を盛んに瞬かせるが、闇の音の嵐の中ではほとんど使い物にならない。
この吹き荒れる音の中で、違う音を聞き分ける耳を持つのは、術者であるリオのみ。
「あなた方の立てる音は見切ったわ」
闇のどこかで少女の呟く声。
瞬発的に振り向いたマシンビーストの頸部に、軽い衝撃が、二回。
焼き切れた回路を激しく放電させながら、機械の獣の首がその場に落ちる。
「闇の一幕ご覧あれ」
獣の首を狩ったダガーを悠々と後ろ手に隠すと、リオは芝居気たっぷりに会釈し、いきり立つ他のマシンビースト達を尻目に再び闇に紛れて姿を消した。
マシンビースト達の警戒も虚しく、闇の嵐の中、幾度となく刃が閃き、そのたびに首と胴の斬り離された機械の死体が転がっていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ナイ・デス
ソラ(f05892)と
発見、ですね
助けに……ここからは派手に、ですね。ソラ
ソラが壊し天井裏から部屋へ
私は『迷彩』で姿隠したまま【忍び足】『ダッシュ』
奪還者さんに一番近い敵へ奇襲『暗殺』
迷彩解いて【念動力ジャンプ】『地形の利用』棚や天井蹴って、空を蹴るよう力も放って『空中戦』翻弄
『野生の勘で見切り』避け【カウンター】『怪力』と、黒剣鎧の刃での【鎧無視攻撃】
裂いて、僅かな傷でも、接触時【生命力吸収】もしていて、命を奪う
避けられずとも『オーラ防御』が軽減【覚悟、激痛耐性、継戦能力】慣れてもいる。命に別状ないと無視
速く動いて、行動パターンも覚えられて?狙われたら、それは
ソラ
敵はソラに対して、隙を晒す形
ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と
食も、安全も揃えど…ここには『自由』がありません!
ナイくん、打ち合わせ通りに!
通ってきたダクトを大斧で粉砕しフロアの真ん中に着地
先制して周囲を【範囲攻撃】で薙ぎ払い敵を【おびき寄せ】ます!
さあ、侵入者はここですよ…わたしの【勇気】、恐れぬならば是非どうぞ!
勇気と気合と根性、全霊の【勇者理論】で全身強化!
【盾受け・オーラ防御】で守りを固め、【見切り】攻撃を受け流す
【怪力・鎧砕き】の一撃で敵を破壊しつつ奪還者の皆さんを【鼓舞】
皆さん、まだ諦めてはいませんよね!
絶好のチャンスをお届けに参りました、ここはお任せを!
今こそ【勇気】を振り絞り、武器と自由を取り戻す時です!!
●覚悟と勇気
ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)の二名は、天井裏のダクトの中から通気網を挟んで内部を覗き込んでいた。
「発見、ですね」
呟くナイに、ソラスティベルが頷く。
外側から戦線を押し下げられ、マシンビースト達は中央部に追い詰められつつある。
が、この期に及んでも奴隷の身柄の確保は上位の優先事項であるらしく、猟兵の助けを得られていない少年たちは未だ壁際から動けないでいる。
「食も、安全も揃えど……ここには『自由』がありません! ナイくん、打ち合わせ通りに!」
憤然と言い放つソラスティベルに、ナイが頷く。
「助けに……ここからは派手に、ですね。ソラ」
互いに腹を決めると共に、ソラスティベルは大斧を振るってダクトに打ち下ろした。
粉砕され、失われる足場。
ナイとソラスティベルは大量の瓦礫ごとフロア中央に降り立った。
外套の迷彩を纏ったままのナイは、巻き上がる粉塵に紛れて一気に壁際へと駆ける。
その動きを悟らせまいと、ソラスティベルが大仰に大斧を振るう。刃が鋭く粉塵を引き裂き、周辺のマシンビースト達が一気に薙ぎ払われた。
「さあ、侵入者はここですよ……わたしの勇気、恐れぬならば是非どうぞ!」
駄目押しに声を張り上げるソラスティベル。その全身は勇気と気合と根性、全霊の勇者理論で大いに活性化されていく。
ソラスティベルが敵を引き寄せているその隙に、壁際へと急速接近したナイは、少年たちを威圧しているマシンビーストの一体を音もなく背後から念動力で床に押し潰し仕留めた。
当然、周囲のマシンビースト達が暗殺者の存在に気付く。ナイがあえて脱ぎ去るように迷彩を解いて姿を現すや、機械の肢体が次々と襲ってきた。
ナイは構わず念動力で高々と跳躍した。棚を蹴り、天井を蹴り、空さえ蹴って、敵陣をかき乱す。敵は翻弄されながらも爪と牙で対抗してくるが、ナイは研ぎ澄ませた野生の勘でそれらを悉く見切り、手首足首の防具型黒剣によって強力な反撃を繰り出し次々と目標を沈めていく。
その動きには、躊躇も恐怖もない。無謀なほどに深い踏み込み、大胆な立ち回り。怪我など、痛みなど、とうに慣れていると、命さえここにあればいくらでも取り返しがつくと、腹に決めた覚悟がナイを死線から死線へと運んでいく。
しかし集団で情報を共有するマシンビーストは、瞬く間にナイの動きを学習し、攻撃の精度を増していく。牙が手足をかすめる。爪が頸動脈をかすめる。着地の瞬間を狙って集団で襲い掛かろうとしているのが、空中を舞うナイの視界にはっきりと映る──
「ソラ」
ナイは、ぽつりと、友の名を呼んだ。
──瞬間、疾る影。重く高く軋むような金属の激突音。
ナイに襲い掛かった姿勢のまま、停止するマシンビースト達。不規則に放電する獣の群れの背後には、大斧を真一文字に払いきったソラスティベルの姿があった。
薙ぎ払われたマシンビースト達が一斉に床に沈む。しかし休むことを許さず新手が襲い来る。
飛び掛かってきた敵の牙を、ソラスティベルの掲げた盾が受け止め、蒸気を噴き上げながら弾き飛ばした。
「──皆さん、まだ諦めてはいませんよね!」
装甲を砕く強烈な一撃で追い打ちをかけながら、ソラスティベルは声を張り上げた。固唾を呑んで事態を見守っていた少年たちが、はっと身体を揺らす。
「絶好のチャンスをお届けに参りました、ここはお任せを! 今こそ勇気を振り絞り、武器と自由を取り戻す時です!!」
見開かれた少年たちの瞳に、濁りかけていた生気がきらりと輝く。互いに顔を見合わせ、力強く頷きあい、戦場に背を向け駆け出す。
取り上げられた武器の在処に見当がついているのだろう、迷いもなくしっかりとした少年たちの足取りに力強い笑みを送り、ソラスティベルは改めて敵群へと対峙する。
「さあ、あとは存分に仕上げをしますよ、ナイくん!」
「うん。やろう」
盾が蒸気を上げ、小柄な身体が宙を舞う。大斧が打ち下ろされ、黒剣の刃が閃く。
息をつかせぬ二人のコンビネーションが、マシンビーストの群れを瞬く間に平らげていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『アルテミシア・アビス』
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POW : 願い星
【兄に会いたい】【もとの姿に戻りたい】という願いを【骸の海の存在達】に呼びかけ、「賛同人数÷願いの荒唐無稽さ」の度合いに応じた範囲で実現する。
SPD : 想い花火
自身の【兄との記憶】を代償に、【超高速かつ、大質量の火薬】を籠めた一撃を放つ。自分にとって兄との記憶を失う代償が大きい程、威力は上昇する。
WIZ : ま だ で す ! !
【やせ我慢・ド根性・気合い】で受け止めたユーベルコードをコピーし、レベル秒後まで、やせ我慢・ド根性・気合いから何度でも発動できる。
イラスト:葛飾ぱち
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「アポリオン・アビス」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●『アルテミシア・アビス』
最後の一体の死体が地に伏し、地階食品売り場の制圧は完了した。
奴隷として囚われていた少年たちは、全員五体満足での救出に成功。
彼等はバックヤードに詰め込まれていた武器を手に取り、猟兵たちに同行を申し出た。
「救助は本当にありがたいけど、このままじゃ俺たちの気が済まない。アイツとの戦いに参加させてくれ!」
もとより一角の奪還者である彼等は戦いに心得がある。オブリビオンへの戦力としてはさほど期待できないが、足を引っ張ることはないはずだ。その上デパートの構造に詳しいため、上手く使えば頼りになるだろう。
かくて猟兵たちは地上への階段を駆け上がった。目指すは敵首魁がいるであろう上層階──
「あれあれ~? おにーちゃんたち、どうしてあがってきちゃったのぉ~?」
百貨店の中央広場に到達した時、笑いを含んだような、無邪気の中に小狡さを潜めたような、子供の声が頭上から降ってきた。
十階層近くをぶち抜く巨大な吹き抜けを見上げると、最上階の手すりの上から覗き込む童女の姿が目に飛び込んだ。
間違いない、あれが敵首魁、『アルテミシア・アビス』だ。
「アイツだッ!」
「畜生、よくも今までやってくれたな!」
「こんなくだらないことのために、オレの拠点を、よくも……!」
色めき立つ少年たち。
怒りや憎しみの視線を一身に浴びても、アルテミシアはどこ吹く風と愛らしく首を傾げる。
「もー、おにーちゃんはおにーちゃんらしくしてなきゃだめなんだよー? じゃないと……」
ニッコリと、稚い笑み。
「おにーちゃんじゃなくなっちゃったひとは、もういらないからね?」
瞬間、幼い少女にあってはならぬ、禍々しい殺意が降り注いだ。
……いよいよ決戦。舞台は整った。
少年たちの力を借りて、猟兵は敵首魁へと立ち向かう。
リオ・ウィンディア
SPD
奪還者さんたち、くれぐれも私に近づかないでね?
えぇ、できれば思いっきり離れてくれるとありがたいわ
あらあら、お兄様との思い出は素敵なもの?
どんな人だったのかしら
でも、どうせ大したことがないんでしょう??
むしろあなたのこと鬱陶しく思ってたりして、ね
兄弟の悪口という【演技、呪詛】を使い挑発行為
想いの花火の威力は大きい方がいいから
青筋立てるくらい挑発するわよ
敵の攻撃が確認できたら【早業、見切り】で回避
多少の負傷は厭わない
焼け焦げた悪臭の中、ニヤリと妖艶に笑って
怯まずすかさずUC発動
「あなたのおにーちゃんってどんな人?」と
あなたの想いと私の怪我の代償よ
とびっきりのカウンター質問をしてあげるわ
ジフテリア・クレステッド
※アドリブ・連携歓迎
【スナイパー】ライフルによる【先制攻撃】で急所を【部位破壊】するように撃ち抜く。【毒使い】として、もちろん汚染毒弾を使って。
今度はもう1回別の急所を汚染毒弾の【鎧無視攻撃】で撃ち抜く。【2回攻撃】だね。
向こうの攻撃?こうして簡単に切り捨てられる兄との記憶を失う代償が大きいわけないでしょ。大した威力じゃない。【激痛耐性】で充分耐えられるよ。【継戦能力】でそのまま戦い続ける。まあ、そもそも食らわないように敵が火薬を準備したら【武器落とし】するけど。
正直、私にとってはマシンビーストの方がよっぽど厄介だったよ。さっさと終わらせよう。なるべく苦しんで死んで、二度と出てこないでね。
●兄への想いは火薬に消えて
戦端は一発の高らかな銃声で開かれた。
「あいたっ」
悠長な声を上げて、手摺を掴んでいた右手を遠くへ離すアルテミシア。
掲げた掌には弾痕が見事な穴を開けており、その周辺がみるみる毒素に侵食され始めていた。手摺ごと、銃弾に貫かれたのだ。
「ありゃりゃ、ひどいなぁ。だれが──」
アルテミシアの視線が狙撃手を捉えるより早く、第二射がその左肩を貫いた。きゃうんっ、とまた冗談みたいな悲鳴が上がる。
「むぅぅ……そこだなっ!」
ご立腹のアルテミシアの視線が、硝煙を上げる銃を構えたジフテリア・クレステッド(ビリオン・マウスユニット・f24668)を正確に射抜いた。
敵の戦意が高まるのを見極めて、リオ・ウィンディア(墓地から来た歌い手・f24250)は背後に声を投げかけた。
「奪還者さんたち、くれぐれも私に近づかないでね?」
「傍に寄らなければいいんだな」
「えぇ、できれば思いっきり離れてくれるとありがたいわ」
少年たちは指示通り散開した。敵の攻撃に備えるためにも、全員が吹き抜け周辺の店舗やエスカレーターの陰に身を潜める。
「なぁんかムカついちゃったぁ。……ぜーんぶつぶしちゃお!」
アルテミシアが杖を掲げた瞬間、足元に魔法陣が解放され、おもちゃのロケットに似た飛行物体が複数飛び出した。
「火薬か……させないよ」
飛びまわるロケットを一機ずつ撃ち落としていくジフテリア。散開した少年たちも物陰から地道に射撃で援護してくれる。
飛び交う弾丸の中を、アルテミシアはロケットたちを引き連れて駆けずり回った。手摺の上を身軽に駆け抜け、吹き抜けを袈裟斬るエスカレーターの手摺を滑り降り、空中をダイナミックに幅跳びして対岸へ。撃ち抜かれたロケットが爆発して、花火のように彼女の周囲を彩る。
「きゃははははッ! たのしいねッ、たのしいねおにーちゃんッ!」
無邪気な笑い声が吹き抜けのホールに響き渡る。
「あらあら、お兄様との思い出は素敵なもの? どんな人だったのかしら」
はしゃぐアルテミシアを見上げ、リオはいっそ親しげなほどにこやかに語り掛けた。
「でも、どうせ大したことがないんでしょう??」
語尾に、少し意地悪な響きが滲む。
アルテミシアは「んんっ?」とリオを空中で振り返り、自ら作り出した魔法陣の上に着地した。
「おにーちゃんはすごいんだよっ! えっとね、えっとね、やさしかったきがするし、つよかったきがするし……」
……すでにかなりの記憶の欠落があるのか、アルテミシアの力説は曖昧に浮ついている。
ジフテリアは残るロケットに照準を合わせながら、やっぱりね、と肩をすくめる。
「こうして簡単に切り捨てられる兄との記憶なんて、言うほど大した価値じゃないでしょ。代償がそれなら、大した威力じゃない」
弾丸が命中、最後のロケットも派手な爆発を巻き起こし、アルテミシアの姿を隠す。
「むしろ、お兄様もあなたのこと鬱陶しく思ってたりして、ね」
リオの駄目押しが、爆発の煙の向こうに突き刺さる。
数拍の、不気味な沈黙。
「……わたしのきもちを、おにーちゃんのきもちを……」
ひどく唐突に、煙を切り裂きながら、先ほどまでとは比べ物にならない量のロケットが飛び出し、姿を現したアルテミシアの周囲を不規則に飛行した。
アルテミシアは凍てつくほど凄絶な怒りを燃え上がらせる。
「おまえたちが、きめるなァァァァァッ!!」
たちまち一斉に宙を疾る大量のロケット。それらはまるで魚群のように一塊となって階下の猟兵たちへと降り注ぐ──
爆音、衝撃、炎。
物陰に退避していた少年たちが固唾を呑んで見守る中、煙と炎の向こうに二つのシルエットが浮かび上がる。
焼け焦げた悪臭の中、ジフテリアは淡々と銃を構え、リオはニヤリと妖艶に笑う。その足元で、炎に炙られた影が暴れるように蠢き始める……
「あなたのおにーちゃんってどんな人?」
リオの影は質問が放たれると同時に宙を駆け、質問と同じ速度でアルテミシアへと到達する。
挑発によって極限まで高まったアルテミシアの兄への想いと、爆発による破壊の代償として、とびっきりのカウンター質問。あまりにも簡単すぎるがゆえに、真実を答えられなければ……
「おにーちゃんは……おにーちゃんは……ッ!!」
『大食いだ』と、少し前まで確かに覚えていた真実を、大量の記憶を忘却した今のアルテミシアは答えられない。
「わたしのこと、たすけにきてくれるもんッ!」
……真実は提示されなかった。
嘘つきを影が捉え、動きを縛る。その瞬間を狙ってライフルの銃口が輝く。
「正直、私にとってはマシンビーストの方がよっぽど厄介だったよ。さっさと終わらせよう」
ジフテリアが引き金を引く。疾駆する銃弾。血を噴く童女の腹。
「なるべく苦しんで死んで、二度と出てこないでね」
鮮血と絶叫は、膨れ上がった影に無慈悲に覆われた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
紅月・美亜
「駄目だ、可愛い……」
何をどうすれば妹に出来るかばかり考えてしまう……相手はオブリビオン、殺さなければならないのは分かってはいるのだが。
だが、弟達の前で無様を晒す姉ではない!
「なら、協力してもらおう。お前達の想いを、私が力に変える」
弟達に銀ノ銃を向ける。割と、自分以外に使うのは初めてだったりするが……
「来い、シキガミッ!」
次々とその魂を撃ち抜き、思いを乗せたシキガミを解き放つ。
「ついでにもう一つ、来い! シキガミッ!」
最後に自分からも一つ。どうにかこうにかして妹に出来ないかと言う思いを乗せたシキガミを出す!
……どうするんだろうな、コレ。監禁とかだろうか。
蜂須賀・美緒
あれが例のブラコン女ね!
(UC発動)
Soldier、アタシが敵の気を引き付けるから背後に回り込んで、ここに叩き落としなさい(小声)
(敵を睨みつけながら)
アンタの滑稽な「ごっこ遊び」のせいで、いったい幾人の血と涙が流れたことか!
(ビシッと敵を指さし)
今、ここで!アンタにはその報いを受けてもらう!
(『メカニック』で作ったスポットライトを自分に当てる)
その穢れた魂に刻みなさい!
アンタを滅ぼす者の名を!
我が名は蜂須賀・美緒!
誇り高き蜂皇族の女王よ!
その名に懸けて!アンタを骸の海へ叩き落してやる!
ビー...ハイヴ!
(腕をクロスして決めポーズしたと同時に、敵の背後に回り込んだSoldierが強襲する)
●煩悩と統制
「あれが例のブラコン女ね!」
蜂須賀・美緒(BeeHive・f24547)は現れたアルテミシアにキツイ一瞥を送ると、他の猟兵に注意が行っている隙に敵の視線から外れ、静かにユーベルコードを発動した。たちまち物陰に現れる大量の機械兵器たち。
「Soldier、アタシが敵の気を引き付けるから背後に回り込んで、ここに叩き落としなさい」
小声の命令に応じ、機械たちは一斉に散開、静かにして密かな行軍が始まった。
一方、美緒とは対照的に、紅月・美亜(厨二系姉キャラSTG狂・f03431)はメロメロだった。
「駄目だ、可愛い……」
うっとり呟いて、血を噴きそうな鼻ごと口許を覆ったまま絶句する。
身の程知らずに強気なアルテミシア、兄に固執して激怒するアルテミシア、自爆して猟兵にしてやられるアルテミシア、もう全部可愛い。何をどうすれば妹に出来るかばかり考えてしまう……相手はオブリビオン、殺さなければならないのは分かってはいるのだが。
だが、今の美亜の後ろには弟達がいる。弟達の前で無様を晒す姉ではない!
「おいあんた! 攻撃しないのか!?」
「大したことはできないかもしれないが、俺たちも力を貸すぞ!」
無難な援護射撃に終始している少年たちが、ほぼ棒立ちになっている美亜へと話しかけてきた。
美亜は気を取り直し、キリリと銀ノ銃を少年たちへと向けた。
「なら、協力してもらおう。お前達の想いを、私が力に変える」
「──は?」
銃口を向けられ、わけがわからず硬直する少年たち。
その心臓を、次々と弾丸が撃ち抜いていく。抵抗する間もない一瞬の出来事。
一拍ののち、ようやく状況を理解した少年たちが脂汗を噴き出しながら己の胸部を確かめるが、そこに弾痕はない。全員が無傷だ。
「な、なん……!?」
「ふむ。自分以外に使うのは初めてだったりするのだが、上手くいったようだな」
満足げに呟くと、美亜は高らかに声を張り上げた。
「来い、シキガミッ!」
心臓を撃ち抜かれた少年たちの胸から、たちまち白く透ける影がするりと抜け出していく。撃ち抜かれた心から解き放たれたシキガミだ。当然、少年たちの心身に一切の欠損はない。
「ついでにもう一つ、来い! シキガミッ!」
大量のシキガミを戦力に加え、美亜はどうにかこうにかして妹に出来ないかと言う思いを乗せて駄目押しの一発を撃ち出した。……生まれ出でた最後のシキガミの利用方法については、ツッコまぬが吉であろう。
後方の態勢が着々と定まる中、美緒は相変わらず上階に陣取るアルテミシアに向けて、なぜか演説をぶっていた。
「アンタの滑稽な「ごっこ遊び」のせいで、いったい幾人の血と涙が流れたことか!」
ビシッ!とアルテミシアを指差す美緒。
「今、ここで! アンタにはその報いを受けてもらう!」
と、その姿が煌々と白い明かりに照らし出された。メカニック技術を駆使して美緒が作り上げたスポットライトである。
「その穢れた魂に刻みなさい!
アンタを滅ぼす者の名を!
我が名は蜂須賀・美緒!
誇り高き蜂皇族の女王よ!
その名に懸けて! アンタを骸の海へ叩き落してやる!」
もはや吹き抜け広場は美緒の独壇場である。少年たちも、アルテミシアすら、ぽかんとその様子を見守るばかり。
それらの視線を一身に集めながら、美緒は大仰に両腕を持ち上げた。
「ビー……ハイヴ!」
腕をクロスする決めポーズが、ひときわ燦然と輝いた、その時。
背後に回り込んで身を潜めていた大量の機械兵器たちが、一斉にアルテミシアの背中めがけて雪崩れ込んだ。
「はにゃっ!? ……ぇぇぇぇぇぇえええええッ!?」
素っ頓狂な悲鳴を上げながら真っ逆さまに高所から落ちてくるアルテミシア。魔法陣を作り出す余裕もなく、一階に墜落。轟音、盛大に舞う粉塵。
即座に指揮者二人の指示が飛ぶ。
「妹が墜ちた! ゆくぞ、シキガミッ!」
「Soldier! 仕上げよ!」
殺到する大量のシキガミ、上階から降り注ぐ大量の機械兵器。
あたかも津波の如き攻撃に、アルテミシアの小さな身体は瞬く間に呑まれていった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
水鏡・怜悧
詠唱改変省略可
人格:ロキ
勇気と蛮勇は違いますが……彼らの意志は尊重しましょう。妖精人形で少年たちを護衛しつつ、戦闘が始まりアルテミシアさんが降りてきたら目立たないように上階へ移動します。
「場所やタイミングはお任せします。少女を狙撃してください。狼に当たっても大丈夫ですので落ち着いて」
人格:アノン
引き続き黒狼の姿。圧縮空気の足場を作って空中を駆け、風の刃を飛ばして手すりや足場を刻んで下層へ落とす。
「オレの身体(UDC)なんだ、オレに従え」
相手UCで増えたUDCに干渉し、相手を締め上げ近づいて噛みつく。効果が切れても残るように自分のUDCと混ぜ、狙撃の流れ弾は身に纏った液体金属(UDC)で弾く
●複製の弱点
「ううー、ひっどいなぁっ」
怒涛の攻撃からなんとか抜け出て、アルテミシアは魔法陣や手摺を乗り継いでまた上階へと逃れようとする。
それを追う黒い影。黒狼の姿をした水鏡・怜悧(ヒトを目指す者・f21278)の一人格、アノンだ。圧縮空気の足場を作って空中を駆け上がり、後をぴたりと追いかける。
「あっ、おおかみさん!? かわいいねッ! でも……しつこいのとあぶないのはキライ!」
小さなロケットを飛ばして黒狼を牽制するアルテミシア。
黒狼は足場から足場へと跳躍してロケットを躱しながら、風の刃を飛ばして応戦する。
敵の牽制が途切れると同時、アノンは一気に複数の風の刃を疾らせた。アルテミシア本体ではなく、その足元の手摺へと。
「ひゃうっ!? またぁぁぁぁぁ!?」
重心を置いていた足場を派手に破壊され、再度落下していくアルテミシア。
それを見届けるや、密かに上階に上がっていた少年たちが一斉に吹き抜け間際に展開していく。
指揮を執るのは怜悧の人格の一つ、ロキの意識を宿した妖精人形だ。
「場所やタイミングはお任せします。少女を狙撃してください。狼に当たっても大丈夫ですので落ち着いて」
「わかった、任せてくれ」
少年たちは指示に従い、冷静に射撃を開始した。勇気と蛮勇は違うが、彼等はそれを理解できているようだ。その意志を尊重した甲斐はあっただろう。
一方、一階に落下し瓦礫に埋もれかけていたアルテミシアは、頭上に差した影にはっと息を呑んだ。ほとんど反射と本能に任せて、カウンターのユーベルコードを発動する。
「ま だ で す ! !」
大量に襲い掛かる黒狼の触手を、アルテミシアはそっくりそのままコピーし、全ての触手をコピー触手で絡め取って拮抗する。
が、コピーされた触手は、そもそもはUDCでもある。
「オレの身体なんだ、オレに従え」
獣の瞳をぎらつかせアノンが凄むと、コピー触手がわずかにたじろいだように蠢いた。
と同時、上階から降り注ぐ援護射撃。銃弾の雨に撃ち抜かれ、コピー触手の勢いが一気に萎んだのを捉え、アノンの触手がコピー触手と混ざり合いながら一気にアルテミシアを巻き付き締め上げた。降りしきる銃弾は身に纏う流体金属があっけなく弾いていく。
「触手でオレ達に勝とうなんざ、甘ぇんだよ」
狼の牙が容赦なく輝き、幼い肉体に深々と突き刺さった。
大成功
🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
これが件の…ブラコンヤンデレ系ケモミミ妹とか属性盛り過ぎじゃない?
100ポインツッ!
ヤンデレの妹に死ぬほど愛された少年隊はすっこんでろ!一人で堪能するんじゃい!頭だけならもぐら叩きめいて出してもいいけどな
まずこっそりとUCを使い銃撃や吹き抜けの壁を爆破したりとじわじわ攻撃でござるよ
アルテミシア氏に体当たりする新たな人影が…【知らない人】だこれ!
結果アルテミシア氏も知らない人を召喚してこれは…戦場がカオスに!
無駄撃ちさせる為にワザとそういうUC使ったんだがね
驚きで動きが止まったら足元に手榴弾でも転がしておきますぞ
爆風が吹き上がったらなんか良い感じになるかなって思ってね!
まあズタボロになったんだが
●カオスはこの手で創るもの
「これが件の……ブラコンヤンデレ系ケモミミ妹とか属性盛り過ぎじゃない?」
アルテミシアの姿を間近に目撃したエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)はごくりと喉を鳴らした。
そして厳かに右手を正面に持ち上げ……
「100ポインツッ!」
ごくごく自然な生理現象として、そり立ち輝く親指。
幼女へと最上級の称賛を送るエドゥアルトの背中に、少年たちの白々とした視線が突き刺さる。
「あー、あのー。おっさんさ……」
「ヤンデレの妹に死ぬほど愛された少年隊はすっこんでろ! 一人で堪能するんじゃい!」
「えぇー……」
「頭だけならもぐら叩きめいて出してもいいけどな」
「出さねぇよっ」
少年たちと愉快なやり取りを交わしつつも、エドゥアルトは敵を銃撃していく。
「いたたたたっ、もう、だれっ!?」
アルテミシアが鋭く狙撃手へと視線を流すが、その時にはすでにエドゥアルトの姿は離れた遮蔽物の裏。代わりにアルテミシアの背後の壁を突如爆発させてやる。
どこから来るともわからぬ銃撃、爆発。じわじわと攻めるいやらしい手管に翻弄され、アルテミシアは頬を膨らませると杖を大きく掲げた。
「むむぅっ、そっちがそのきなら……たすけて、あいにきて! おにーちゃ──……」
杖の三日月のモチーフが回転し、夜空の星の如く輝いた、その瞬間。
ドスンッ、とアルテミシアの横っ腹に衝撃が走った。
生暖かい不吉な感触に、アルテミシアがそろりと視線を落とせば……幼女の腰に抱き着いてハァハァしている謎のおじさんが一名。
名誉のために明言しておくが、どの猟兵でもない、誰もが見たこともない、ごくごく平凡な見た目というだけの『知らない人』である。
「──Σ×▲◇$☆────ッ!?」
当然、アルテミシアは人の聴覚を超越した絶叫を上げて大パニック。しかし願い星は止まらない。結果実現されたのは兄の召喚でもなくアルテミシアのかつての姿でもなく。
『知らない人』、大増殖。
もはやカオス、阿鼻叫喚である。そこにささっと手榴弾を転がすエドゥアルト。
身動き取れずに泣き叫ぶアルテミシアの足元で盛大な爆発が上がり、アルテミシアも、大量のおっさんも、みなみな盛大に吹き飛ばされた。
ついでにいい感じに吹き上がった爆風に巻き込まれ、なぜかエドゥアルト自身もきっちりズタボロになったが、やり遂げた男の顔はこれ以上もなく満足げだったという。
大成功
🔵🔵🔵
ナイ・デス
ソラ(f05892)と
……せめて、生者の過去がオブリビオン化した存在で
今もどこかで生きて、探していたり、再会していて欲しいと、願いましょう
……過去(オブリビオン)のあなたは、過去(骸の海)に、戻ってもらいます
奪還者さん達、やる気なので
……力を、かしてあげましょう
【動物と話す】にゃーん
と鳴いて『猫の手』発動
私と、ソラに。奪還者さん達にも、精霊の加護を
猫精霊さん達、サポート、お願いです……にゃー?(抱き上げられた猫状態に
と、花火放たれたら、ソラの腕からするりと抜けて
【念動力ジャンプ】前にでて【生命力吸収】する光放つ【範囲攻撃】
花火威力軽減しつつ、どかん
爆発【覚悟、激痛耐性、継戦能力】耐え
今、です!
ソラスティベル・グラスラン
ナイくん(f05727)と
兄との再会を望みつつも、他者を兄に仕立てそれで満足する
貴方はオブリビオンと化して歪んでしまったのですね…
故に貴方の願いに『否』を叩きつけましょう!
そして何より、『弟くん』が至高です!!(ナイくんを抱き上げ)
【盾受け・オーラ防御】、常に【かばう】ことを意識
奪還者さんを守る為、彼らのフォローに回ります
わたしが彼らの盾に、ナイくんが彼らに矛を与える!
共に【勇気】の御旗を掲げましょう、我らは全員が勇者です!
願い星の効果は分かりませんが…
骸の海に呼びかける間に、奪還者さんを【鼓舞】し共に一斉攻撃します!
花火が来れば全員を後ろに呼び戻し、黒竜の盾を展開!
ナイくん、無事でいて…!!
●竜の盾と猫の矛
ボロボロになったアルテミシアは、感情の堰を切ったように、うわあぁぁぁん、と泣きだした。
「おにーちゃんいないぃぃ……たすけ、きて、くれないぃぃぃ……」
見る者に哀情を喚起させるその姿に、ソラスティベル・グラスラン(暁と空の勇者・f05892)は胸を痛める。
「そうやって動く感情がありながら……兄との再会を望みつつも、他者を兄に仕立てそれで満足する」
矛盾している。何かがねじれている。
「貴方はオブリビオンと化して歪んでしまったのですね……」
指摘されたアルテミシアが、目元を両手の甲で抑えた姿勢のまま、ぴたりと泣くのをやめた。
ただの泣き真似だったのか、瞬間的に情緒が切り替わったのか、読み取ることはできない。
ただただ彼女は圧倒的に壊れているのだと知る。
「故に貴方の願いに『否』を叩きつけましょう!」
高らかに宣言を突きつけられた瞬間、アルテミシアの杖の三日月が燦然と輝き始めた。
固唾を呑んで事態を見守っていた少年たちに緊張が走る。が、そのリーダー格の少年の袖口を、ついつい、と誰かが引いた。
見下ろすと、そこには幼い子供……ナイ・デス(本体不明のヤドリガミ・f05727)の姿があった。
「奪還者さん達、やる気なので……力を、かしてあげましょう」
「ち、チカラ?」
困惑する少年たちには答えず、ナイはどことも知れぬ虚空を見上げて、
「にゃーん」
と鳴いた。
途端、にゃーんにゃーんと共鳴するような鳴き声と共に、猫の姿をした精霊たちが集まり始めた。唖然としてのけぞる少年たち。
「猫精霊さん達、サポート、お願いです。私と、ソラに。奪還者さん達にも、精霊の加護を……にゃー?」
精霊の光に彩られながら、ナイの身体が突如横からソラスティベルの腕に掻っ攫われた。抱き上げられた猫状態で、見せびらかすようにアルテミシアに向けて掲げられる。
「そして何より、『弟くん』が至高です!!」
堂々たる一連の宣言は、アルテミシアにとってはある種の宣戦布告に聞こえただろう。
ゆるやかに下ろされていく幼い両手。現れた大きな瞳に宿るのは……怒りに満ちた、殺意。
しかし瞬き一つで幼い少女は満面の笑顔になる。殺気だけはそのままに。
「あはっ、なんかむかついちゃったぁ~。だから……しんで?」
回転した杖の三日月が願い星の輝きを放つ──
骸の海への呼びかけが始まる。そう判断し、ソラスティベルはナイを抱えたまま、少年たちを背にして漆黒の盾を掲げた。
「さあ皆さん、ナイくんに与えられた矛を振るう時です! 敵の攻撃には私が盾となります。共に勇気の御旗を掲げましょう、我らは全員が勇者です!」
ソラスティベルの鼓舞に、おう!と威勢の良い返事を返し、少年たちが一斉に射撃を開始した。精霊の加護を得た弾丸が、杖から照射される幾つもの「おにーちゃん」の虚像を、実体化する前に次々撃ち抜き消滅させていく。
上手く術の発動にこぎつけられないアルテミシアは地団駄を踏んだ。と同時に、足元で魔法陣が燦然と輝き、無数のロケットが飛び出した。
「皆さん、わたしの後ろに──っ!」
咄嗟に少年たちを呼び戻したソラスティベルの腕の中から、するりとナイの感触が消えた。
ナイは、猫の如く跳躍し、敵前へと躍り出た。
(「……せめて、今ここにいるのは生者の過去がオブリビオン化した存在で、本人は今もどこかで生きて、探していたり、再会していて欲しいと、願いましょう」)
大量のロケットと激突する寸前、燦然たる光輝がナイの内より溢れ出す。
「……過去(オブリビオン)のあなたは、過去(骸の海)に、戻ってもらいます」
全てを塗り潰す光の中で、激しい爆発が巻き起こる──
膨大な光と衝撃を、竜の翼へと変えた黒盾で受け止め少年たちを庇いながら、ソラスティベルは胸中で必死に祈る。
(「ナイくん、無事でいて……!!」)
想いに呼応するかのように爆風が退いたそこには、爆発を耐え抜いたナイの姿。
「今、です!」
力強い号令と共に、猫の精霊の加護を乗せた弾丸が一斉に疾る。
弾丸の雨を浴びた幼い悲鳴が、一帯に響き渡った。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ドゥルール・ブラッドティアーズ
共闘NG
グロ描写NG
SPD
守護霊の憑依【ドーピング】で戦闘力を高め
【オーラ防御・火炎耐性・激痛耐性・気合い】で攻撃に耐え続け
ピンチになったら自分の左腕に噛みつき『侵食』発動。
相手の左腕が私の頭部に変形し、首筋に噛みつき【生命力吸収】
私の傷が癒えるだけでなく、彼女の体内に【呪詛】が注がれ
兄との記憶を薄れさせていくわ
彼女のUCを受け続けたのも
記憶の空白を増やし、付け入る為
貴女が探していたのは、お姉ちゃんでしょう?
彼女の記憶の空白を【催眠術】で
私との想い出に改変し【誘惑】
もう離れる事は無いわ。ずっと一緒よ
抱きしめて頭を撫でながら【生命力吸収】
探し人に会えないまま果てるよりは
救いのある最期のはずよ……
●せめて安らかに
傷つき消耗に覆われたアルテミシアは、肩で息をつきながらも、必死に杖にすがりつく。
「おにーちゃん……おにーちゃんにあわせてよぉ……、──こないでッ!」
歩み寄る気配に敏感に反応し、アルテミシアの足元から大量のロケットが溢れる。
しかし守護霊を憑依したドゥルール・ブラッドティアーズ(狂愛の吸血姫・f10671)はその毅然とした歩みを止めなかった。ロケットの直撃も爆発も、オーラで凌ぎ、熱と痛みを耐え、気合いでただ愚直に進み続ける。
攻撃を浴びながら一向に歩みを止めないドゥルールの姿に、アルテミシアは戦慄する。さらに畳みかけるロケット爆撃。
「こないでってば──っ!?」
拒絶のために突き出したアルテミシアの左腕に、鋭い痛み。
瞬時にして距離を詰めたドゥルールの牙が、童女の柔肌に深々と突き刺さっていたのだ。
短い悲鳴を上げてドゥルールを振り払うアルテミシア。
しかし次の瞬間、今度はその幼い首筋に同じ痛みが食い込んでいた。
アルテミシアの首に噛み付いていたのは、ドゥルールの頭部に変形した、アルテミシア自身の左腕だった。
悲鳴は上がらなかった。牙から体内に注がれゆく呪詛がその思考力を削ぎ、アルテミシアの両目に紗が下りていく。
ドゥルールの策略は、すでに成っている。
先ほどのロケット連打で、アルテミシアの記憶の忘却はよりいっそう進行しているはず……
「貴女が探していたのは、お姉ちゃんでしょう?」
断言に等しい問いかけに、アルテミシアが震えるように息を呑んだ。
ちがう。反射的にそう答える声も、上擦って定まらない。
ドゥルールは構わず言葉を重ねる。
「小さな頃、よく一緒に遊んだでしょう。貴女はお人形遊びよりもヒーローごっこやロケット遊びが好きだったわね。懐かしいわ……ね、そう思うでしょう?」
「ち、ちが」
「大丈夫、もう誰のことも探す必要なんてないの」
記憶の空白に、偽りの想い出が浸透していく。残っていた微かな残滓さえ塗り替えられていく。
「お、ね、え……ちゃ……?」
耐えがたい事実から、救いある偽りへ。誘惑されるがままに、アルテミシアは手を伸ばす。
その手を、ドゥルールが優しく握り締めた。
「もう離れる事は無いわ。ずっと一緒よ」
全身で抱き締められ、愛おしげに頭を撫でられながら、尽きるまで生命力を吸い上げられる。
それでもアルテミシアの心は、これ以上なく満たされていた。
大成功
🔵🔵🔵
アポリオン・アビス
●アドリブ・改変歓迎
●使用能力値SPD
お、前……は……ッ誰だ……!?
クソッ……頭がッ……割れる……ッ!
GLuRaaaAAAAAAA!?!?(UC【貪食王】発動)
技能『封印を解く』を経由してUC【微睡みの目醒め】が発動
よう、アル
お前や弟達が死んで以来か……久しぶりだな
お前にはいつも寂しい思いをさせていたな……ごめんな、不甲斐ない兄ちゃんで……
今の俺は記憶があるが、またすぐに記憶のない化け物の体に戻っちまう
だから本題だけ言うぜ
また、家族一緒に暮らさないか?
UC【2.M.H.】発動
UCによる攻撃を受けた場合は技能『補食』『大食い』とUC【GLATNEY HAZZARD】【貪食の胃袋】の合わせ技で処理
●おにいちゃん
優しく横たえられた彼女は、吹き抜けの遥か先にある天井を力なく仰いでいた。
もう指一本動かない。ひどく満ち足りた幸福感の中で、今にも命が燃え尽きようとしている。記憶が、自我が、消えていく。
何を……誰を探していたのだったか。兄……いや、姉?
どうして探していたのだったか? 自分はなぜこんなところにいるのか……もう、どうでも……
「──お、前……は……ッ誰だ……!?」
絞り出すような叫びが上がった。
辛うじて動く眼球で流し見れば、ぼやける視界に映り込んだのは昆虫のようなフォルムの人影。
「クソッ……頭がッ……割れる……ッ! GLuRaaaAAAAAAA!?!?」
昆虫男は頭を抱えて膝をつき、絶叫した。
どこか遠くで、封印が砕ける音がした。
いつの間にか絶叫はやんでいた。
昆虫男がゆっくりと立ち上がる。こちらへやってくる。逆光に浮かび上がるそのシルエットは、明らかに昆虫の特徴を失っていた。
「よう、アル」
彼女の顔を覗き込み、男は親しげに言った。
「お前や弟達が死んで以来か……久しぶりだな」
彼女の視覚はもう、男の顔の細部を見分けることはできない。ただ、思ったより若そうだと感じた。
「だあれ?」
たどたどしい問いかけに、男の顔が歪んだのだけはわかった。
「お前にはいつも寂しい思いをさせていたな……ごめんな、不甲斐ない兄ちゃんで……」
「……に、いちゃ? ……って、なんだっ、け……?」
視界が暗くなっていく。
男がかぶりを振る。
「今の俺は記憶があるが、またすぐに記憶のない化け物の体に戻っちまう。だから本題だけ言うぜ」
彼は、手を、差し出した。
「また、家族一緒に暮らさないか?」
静かな言葉が、余韻を引いた。
……彼女は押し黙ったまま、いつしかその頬を濡らしていた。
滂沱たる涙に顔をぐちゃぐちゃにしながら、彼女は手をぎこちなく伸ばし、せいいっぱい微笑んだ。
「いいよ」
──淡き記憶よ。儚き絆よ。消えぬ希望を、奇跡をここに。
手と手が重なり合った次の瞬間には、アルテミシア・アビスの姿は吸い込まれるように掻き消えていた。
微かにぬくもりの残る掌を、アポリオン・アビス(貪喰王・f21964)は、静かに握り締めた。
●未来への解放
長い長い余韻があった。
「かっ……勝った、のか……」
誰かが呟いたのを皮切りに、少年達の緊張が解けていく。
素直に感情を爆発させる者、感極まって泣きそうになるのを堪える者、それを笑いながら小突いたり慰めたりする者。色とりどりの喜びが広がっていく。
かくして、いびつに歪み、奇妙に切ない兄探しは幕を閉じた。
囚われていた少年達はこの経験を経て、一角の奪還者としてより精強にこの終末の大地を渡り歩いて行くことだろう。
いつか復興が成されるその日を目指して。
大成功
🔵🔵🔵
最終結果:成功
完成日:2020年01月16日
宿敵
『アルテミシア・アビス』
を撃破!
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