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花緑の宴

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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 大きな大きな、見上げるほどに大きな樹。
 そして、その樹を取り巻くように広がった町。
 何時からその樹があるのか、町の人は誰も知りません。
 知っているのは、町が出来た頃からずっと傍にあり続けていることだけ。
 町の誰をも見守ってきた樹。
 多くの生まれと別れとを見守ってきた樹。
 いつしか、その樹には感謝の念が捧げられるようになりました。
 それが今に至るお祭りの始まり。
 そして、今日、樹への感謝祭が執り行われる日。
 誰もが笑顔で、誰もが町を見守る樹に感謝して。
 そして、また何でもない日が続いていく……そのはずでした。

 街のあちらこちらから上がる悲鳴。
 街を見守ってくれていた樹は、緑の葉を散らしています。
 それを為しているのは、大きな大きなドラゴン。それと、それに付き従う仔竜の群れ。
 仔竜が樹の葉を食む度、その身体が色付いて、大きな大きなドラゴンと似たような色合いになっていきます。
 全ての仔竜がその色を変えて、そして、一斉に口を開いて――私の、私達の意識はそこで途絶えました。
 ただ、濃密な花と緑の匂いだけが最後まで――。

「はぁ~い、皆さん。ドラゴンスレイヤーになってみませんかぁ?」
 猟兵達への挨拶もそこそこに、ハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)は言葉を継ぐ。
 どうやら、アックス&ウィザーズの世界。その片隅にある町へドラゴンの襲来があると予知が出たらしい。
「その街にはぁ、とっても大きな樹がありましてぇ。どうやらぁ、それを狙ってくるみたいですねぇ」
 街の中央へ植わった大きな樹。
 膨大な魔力を宿し、漏れ出す魔力がその周辺の気候を1年通して穏やかなものに安定させているらしい。
 それを知ってか知らずか、遥かな昔にその周辺へ居を構え、街を築いた者達。
 今迄はただ穏やかに日々も過ぎていたが、オブリビオン達が活性化していく中で、どうやらそれが目を付けられてしまったのだという。
「その樹に宿る魔力なんですけれどぉ、それを利用して自分の配下を強化しようっていうみたいですねぇ」
 来るのは息吹の竜たるグラスアボラス。そして、その配下たる仔竜の群れ。
 それらが町に到達し、暴れるのを防いでほしいというのが、今回の依頼内容だ。
「本当ですとぉ、その当日にはお祭りが、感謝祭が開かれる予定だったみたいですねぇ」
 だからという訳ではないが、少なくない観光客――中には戦う手段を持つ者。冒険者も居る。
 そして、その冒険者達を始めとした者達がドラゴン達への防衛線を築いているようだ。
 彼らの存在は、数の多い仔竜を相手にする際には力ともなってくれることだろう。
 だが、グラスアボラスを相手にするには力量不足。
 かの者を相手にする時には猟兵達だけで相手にした方が良いだろう。と、ハーバニー。
「全部が無事に片付けばぁ、お祭りも再開できると思いますのでぇ、見て帰るのもいいと思いますよぉ」
 お祭りの本番は夜。
 その頃になれば、樹より零れ落ちた魔力が燐光となり、町全体を照らし出す。
 そして、人々はそれに照らされながら、樹への感謝を込めて飲めや歌えやと大騒ぎ。
 勿論、樹々の根元近くでは大騒ぎもの声も遠く、静かに過ごすことも出来る。
 猟兵達ならばその力で無事に全てを収め、そういった光景を取り戻すことが出来るだろう。
 ――私も、お祭りには少し興味がありますのでぇ。
 幾分の私情も含みつつではあるが、そういった信頼を向けつつハーバニーは最後を括る。
「それでは、皆さんの武勇伝を期待していますね。ここまでの案内はハーバニー・キーテセラ。皆さん、良き旅路を」


ゆうそう
 オープニングを読んで頂き、ありがとうございます。
 ゆうそうと申します。

 樹の見守る町を竜の進行より守る防衛戦。
 猟兵の皆さんの活躍、プレイングを心よりお待ちしております。
 2章、3章からの参加も歓迎しますので、お気が向きましたらご遠慮なく。

 なお、当方、その時点のプレイングを組み合わせたりもします。
 ですので、もし組み合わせを指定されたい方などいらっしゃいましたら、その旨をプレイングなどで指定して頂けると幸いです。
 また、3章ではお声掛けがあった場合にのみ、僭越ながらハーバニーも御一緒させて頂きます。
 1人で日常パートに参加するのはちょっと……と言う方がいらっしゃいましたら、よろしければご利用ください。
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第1章 集団戦 『戯れる仔竜』

POW   :    じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

リステル・クローズエデン
「ここが斧と魔術師の世界ですか……そして、あれがこの世界の敵。」
「蜥蜴? ではないようですね。」

【穿刃天舞】『先制攻撃4+2回攻撃3。投擲8+毒使い4+マヒ攻撃3』
先制攻撃でマヒ系統の毒を仕込んだ無数の苦無を投擲。
さらに別の方向にも同様の攻撃を行います。
「先制攻撃で、次への布石としましょうか。」

その後は、手裏剣、苦無の投擲をメインに攻撃。
相手の攻撃は
『見切り3+ダッシュ1orジャンプ6+残像2』で回避。
躱しきれない攻撃は『オーラ防御8+激痛耐性3』で耐える。
「小さくても侮れないというわけですか。」
「けれど、だからこそ。その可能性を斬り落とします。」


テリブル・カトラリー
自分達の勢力を強める。
生き残ろうという手段としてはまぁ分からなくもない。
とはいえ、オブリビオンはオブリビオン。
たとえ仔竜だろうと容赦はしない。

フルバースト・マキシマム使用。
援護射撃として共に戦っている冒険者と相対している仔竜を優先的に狙い、
一斉発射、範囲攻撃、二回攻撃、で殲滅を図る。

また視力と聞き耳によるの情報収集も行い
殺られそうな味方にはスナイパー、クイックドロウ併用で時間を稼ぎ
態勢を整えられるよう援護する。
無理はするな。ここで死んでは金も名誉も意味等ないのだからな。



 草原を駆け抜ける風。
 それは普段であれば穏やかで、午睡したりするには丁度良いものであったのかもしれない。
 だが、今日、この時の風は緊迫感を孕み、到来する危機を如実に伝えているかのようでもあった。
 町に住んでいた冒険者、偶然にも足を運んでいた冒険者、故郷である町を守らんと手に武器を持った町人。全てが固唾を飲み、接敵の時に構えていた。
 そして、その中には猟兵達の姿も。
「ここが斧と魔術師の世界ですか」
 流れる風に蒼の髪と藍花を遊ばせて、リステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)は訪れた世界を眺め見る。
 ――失った記憶に、この世界の風景はあったのだろうか。
 空白の過去を振り返り、何か手掛かりはないものかと視線を巡らせる。
 そして、その先に――
「蜥蜴? ではないようですね。あれが……この世界の敵ですか」
 最初は小さな点。次第にその数を、大きさを増して到来しつつある者達を見つける。
 ――来たぞ! ドラゴンだ!!
 リステルと同様、敵の姿を認めた者が居たのだろう。敵の到来を告げる声が辺りに響き渡る。
 だが、その時にはリステルは地を蹴り、宙高くへ。
「天ノ舞は、刃ノ風を呼ぶ」
 くるり。まるで、ムーンサルトの如く、宙に舞う。
 合わせてはためく白雪藍花。深いスリットのスカートが優雅に靡いた。
 だが、これはただ優雅なだけの行動ではない。
 開戦の時を報せるかのように、放たれた手裏剣・苦無の雨が群れの戦闘へと降り注いだ。

 降り注いだ刃の雨。
 それを脅威と脚を止めたのか、刃に塗られた麻痺毒に囚われたのか。
 先頭を行く仔竜達の動きが明らかに鈍る。
 ――出鼻は挫いた。ならば、その勢いには乗るべきだ。
 機を見るに敏たる冒険者達が一斉に動き出した。
 そして、風の音和やかな草原は、瞬く間に剣戟の音が響き渡る戦場へと変化していく。
 その中で、アックス&ウィザーズの世界ではまだ異質な音――明らかな銃撃音が響き渡る。
「自分達の勢力を強める。生き残ろうという手段としてはまぁ分からなくもない」
 その銃撃音の主、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は硝煙の香りを漂わせ、銃撃の結果を冷ややに見つめる。
 視線の先には身体を、脚を、翼を、撃ち抜かれ、地に伏す仔竜。そして、それに留めを刺していく冒険者達。
 ――とは言え、オブリビオンはオブリビオン。たとえ仔竜だろうと容赦はしない。
 その瞳に宿る光はどこまでも硬質。残骸を見つめるような眼差し。
 止めを刺されゆく仔竜達の姿を目の端に留めつつも、視線は次の獲物を探し出す。
 軽機関銃の断続的な射撃音が響き渡る。
 対物ライフルの重い砲撃音が響き渡る。
 自動拳銃の芯に残る発砲音が響き渡る。
 それらを状況に合わせて巧みに使い分け、テリブルは冒険者達の進む道を拓いていく。

 開戦の鐘ともなったリステルは着地と同時、冒険者達を牽引する形で群れへと斬り込む。
 飛び散る血飛沫。
 しかし、その1つ1つすらを認識しているかのように、白と青の衣装には未だ穢れの1つもない。
 走り、跳び、影すらも置き去りにしてリステルは戦場を舞う。
 その姿、色は敵味方を問わず、耳目を集めるのは致し方のないことだったのだろう。
 数匹の仔竜が爪を翳し迫りくる。
 数匹の仔竜が未だ成熟には程遠いブレスを吐き出す。
「これは……躱しきれませんか」
 防御に徹すれば死にはしないだろう攻撃。だが、確実に痛手を被る攻撃。
 痛みに対しての覚悟を決めた、その瞬間――。
「右に跳べ」
 戦場の音に消されず届いた、変声マスク越しの端的な言葉。そして、砲撃音。
 第六感に頼るまでもなく、リステルは反射的に右へと跳ぶ。
 その数瞬後、リステルが居た場所を薙ぎ払う仔竜達。
 だが、それも続く発砲音に次々と堕とされていく。
 態勢を整えるリステル。その視線の先には――
「無理はするな。ここで死んでは、金も名誉も意味等ないのだからな」
 銃口からガンスモークを漂わせたテリブルの姿。
「助かりましたよ。小さいと言えど、侮れないものですね」
「数の多さは厄介と言うしかない――」
 態勢を整え、呼吸を整え、リステルは己が得物を握り直す。
 その姿には間一髪の攻撃に晒されたことへ対しての怯みは毛筋ほども見受けられない。
 それを確認したテリブルもまた手にした得物の弾倉を入れ替え、グリップを握り直す。
「――だが、いけるな」
「ええ、勿論です。あの可能性を実らせる訳にはいきません。ここで、斬り落とします」
 そして、刃と銃弾の嵐が仔竜の群れを蹂躙し始めるのであった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ニコライ・ヤマモト
【SPD】敵の妨害と味方や冒険者たちの支援。

今の俺の力量では、先の二人ほど立ち回れはしまい。竜殺しの英雄になど簡単になれてたまるものか。
だが、戦は一人でするものではない。……そうだろう、冒険者?
自分のできることをしろ。必ず守り抜くぞ!

「クイックドロウ・援護射撃・2回攻撃」で他の仲間や冒険者の切り込む隙を作る。狙われた冒険者を支援する。
竜のブレスの予兆があれば、拳銃をUC用のリボルバーに持ち替え弾を込め、
【詠唱特殊弾】「スナイパー」を駆使し攻撃の無力化を狙おう。


祝聖嬢・ティファーナ
チビ竜たちはボクと同じ『エレメンタル・ファンタジア』を使うみたいなので、【エレメンタル(精霊)】も【ファンタジア(自然現象)】も“意思”と“意図”に力を貸しているに過ぎないので、人々の『感謝の“祈り/念”』を哀しみと苦しみに変えるチビ竜たちに「メっ!!⭐」と『神罰の聖矢(ジャッジメント・クルセイド)』で、しっかりとお仕置きしてあげます!⭐ 
ただし、大樹の葉たちからのチビ竜なので大変な数だと思うので、『クリスタライズ』で“透明化”しますが、近くの1名だけ“透明化”にしてあげれる事を伝えてみます♪ 
町の人も大樹も“何でもない平穏”が自然で通常である日々を守り過ごして頂きます⭐



 爪と刃がぶつかり合い、ブレスと矢弾の飛び交う最前線。
 敵味方が入り乱れるその地に、ニコライ・ヤマモト(郷愁・f11619)の姿もあった。
 その身はケットシーという種族が故、周囲で共に戦うヒト型の冒険者達と比べ、随分と小さい。
 それが故か、力は幾分劣る。しかし、それが故に、機動力は勝る。
 ――今の俺の力量では大立ち回りは出来まい。竜殺しには、まだ遠い。
 冷静な自己分析。
 ならば、何ができるのか。その答えは口に出すまでもなく、行動で示すのみ。
 黒色が戦場を疾駆する。
 尾を引いて見える蒼の残光は瞳の色か、はたまた炉の色か。
 その体の小さきを活かし、冒険者達の影から影へ。
 仔竜の爪を砕き、息するを妨げ、その連携を掻き乱す。
「戦は一人でするものではない――」
 冒険者達が十二分にその力を発揮できるよう立ち回るニコライ。
 乱され、作られた仔竜達の隙を、冒険者達が手にした武器で持って入り込んでいく。
「――そうだろう、冒険者?」
 聞かせる訳でもなく、零れた言葉。
 だが、その言葉は、行動は、確かに冒険者達の耳と心に届き、彼らは獅子奮迅の行動を持って応えるのであった。

 士気上がる冒険者達。
 その動きはまるで1つの生き物の如くとなり、迫りくる仔竜の群れを押し留めていく。
 不意に、周囲の温度が下がっていく。
 町を守る樹があるため、安定している筈の気候ではあり得ない現象。
 ――いや、そうでなかったとしても、急激に気温が下がるなど。
 冒険者達の視界の中、仔竜の鳴き声と共にそれは姿を現した。
 氷を孕んだ旋風。
 竜巻と言うには小さいそれだが、冒険者を呑み込み、地を巻き込み、吹き荒れる。
 身を蝕む冷気と拳大の氷の塊による衝撃。
 それらに動きが鈍れば、仔竜達が止められた勢いを取り戻すかのように暴れ出す。
 揺れる戦場の天秤が傾きかけた、その時――
「光りを怯える闇と悪よ、悔い改めなさい……メっ!!」
 まるで幼子を叱るような、場違いにも思える声が響き渡る。
 だが、それの齎した効果は絶大。
 天を裂き、降り注いだ光の柱が氷の旋風を吹き散らす!
 名残のように涼やかな風が周囲を撫で、吹き抜けていく。
 それを為したのは祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)。
 その姿は正しく、童話の如き妖精。
 しかし、指を突き出し、叱るような仕草は彼女が先程の言葉の主であることを物語る。
 同じようなことを出来るが故か、仔竜のその行いに思うところがあったようだ。
 そして、森を故郷と持つが故、自然を、町を見守る樹を侵さんとする行為を見咎める。
「人々の感謝の『“祈り/念”』を哀しみと苦しみに変えるなんて、駄目なんだからね!」

 ティファーナの齎した成果を糧として、冒険者達は、ニコライは、態勢を整える。
 だが、再びに仔竜の鳴き声が響き、次いで炎の旋風が形成される。
 属性が安定していない。
 暴走はしていないようだが、それは行う者が未成熟な故か。
 その過程の中、ニコライの瞳が、射撃手としての眼差しが、ある者を捉える。
「もう! 何度やっても同じだよ?」
 炎の旋風はティファーナにより再び吹き散らされた。
 そして、その先、炎の旋風が解けた向こう。
 それは仔竜の群れの中において、周囲とは少しばかり大きさの異なる個体。
 それは少しばかり大きく、まるで周りを従えているかのような。
 それがは、鳴いた瞬間に炎の旋風が巻き起こしていた。
「……あれがこの攻撃の元凶か」
 吹き荒れる属性の安定しない攻撃。
 ティファーナが打ち消せると言っても、あれが複数いないとも限らない。
 天秤が再びに拮抗した今、早急に討つべきだ。
 だが、敵の守りは厚く、遠くからの狙撃も効果が薄い。
「姿でも隠して近付ければいいんだが」
 唸る様に漏れるニコライの言葉。しかし――。
「ボク、姿を消せるよ? 抱きついたら、その人もかな」
 答えは案外に近くへ潜んでいた。

 仔竜の群れの勢いが増す。
 その勢いを助長するかのように、炎の雨が降り注ぐ。
 しかし、今回はそれが光の柱に消されることはない。
 それを満足気に、楽し気に眺めるのはそれを齎した仔竜。
 ――今度はうまくいったようだ。
 仔竜の口元が笑みに歪む。
 その目前では、人型の群れが何か叫びながら、必至に耐えている。
「今は耐えろ! 小さき勇者達が、反撃の契機を作るまで!」
 その様を眺め、仔竜の笑みはより一層に深く。
 だが、冒険者達が何を叫んでいたのか。
 それを理解出来ていれば、そんな表情は出来なかっただろう。
「少し、大人しくしていてもらおう」
 そして、様々な属性を操っていた仔竜の意識は闇に沈んだ。

 姿を現すニコライとティファーナ。
 ニコライの手には冒険者達を援護していた時とは異なる得物――特殊弾倉用のリボルバー。
 そして、ティファーナは――
「お仕置きの時間だよ! 何でもない平穏が一番大事だってこと、教えてあげるね!」
 ――姿を現すや光の雨を降らせ、戦線へと戻る道を拓いていく。
 冒険者達が壁となり、囮となり。そして、それを目晦ましに姿を消したニコライとティファーナが心臓を突きさす刃となる。
 それは冒険者達へ少なくない被害を齎すものであった。
 だが、戦線を共にした信頼と見せた力の片鱗への信頼。
 それがあるが故に、被害を承知で冒険者達は2人へ命を託したのだ。
 そして、それを見事になしえた2人の行動は冒険者達の士気を上げ、より町の守りを強固なものへと変えていく。
 仔竜の群れという一つ目の波を乗り越える。それは現実的なものとなりつつあった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

茲乃摘・七曜
心情
双方に疲労が溜まっている、ここからが正念場でしょうか

行動
負傷し疲労した冒険者をシンフォニック・キュアで盛り返し戦線を立て直す
※演奏はAngels Bitに委ねる
「皆さん。支えますので、共に戦って頂けますか?

戦闘
【視力】や【世界知識】を動員し【属性攻撃】【範囲攻撃】【全力魔法】で仔竜の範囲攻撃を阻害するように歌い上げる

以前の戦いの中で見た
炎の雨に対しては流動する水の膜で遮ったり、突風で逸らす等
氷の旋風に対しては堅牢な土の壁で防いだり、熱風で温め被害を低減する等
属性が安定しないのは覚悟し、状況に対応するように歌い続ける
「人を侮っている様子ですが、護るべきもののある人達は強いのですよ、私達以上に



 戦場の音は鳴りやまない。
 剣戟の音は一層に重なり合い、風切り音は乱れ飛ぶ。
 その地で揺れたは黒花の。
 ――双方に疲労が溜まっている。ここからが正念場でしょうか。
 茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)は戦場に立ち、状況の推移を見守る。
 目深に隠されたその視線の先――
 冒険者が手にした斧で仔竜を押し切った姿が見えた。
 仔竜が吐く花の香に包まれ、倒れ伏した冒険者が見えた。
 冒険者が、仔竜が、冒険者が、仔竜が……。
 ――数多の者達が傷つき倒れ、しかし、退けぬとばかりに再び立ち上がろうともがく。
 猟兵達の活躍もあるため、やや冒険者側が優勢。しかし、優勢とは言っても冒険者達の被害は、疲労はどうあっても増え、重なり続ける。
 ――ならば、今、私がすべきことは。
 七曜の左右に浮かんだAngels Bitから勇壮な調べが戦場へと流れ出る。
 スッと小さく吸った空気。
 七曜の胸に戦場の空気と、それに塗りつぶされつつも僅かに混じる草の香り――草原元来の空気が広がる。
 世界が七曜の中へ取り込まれていく。
 そして、――滑らかに零れ出した歌声。
 その歌声は目の前に広がる世界へと響き渡り、耳にした冒険者の心を奮い立たせていく。
 ……否、それだけではない。世界がふるりと震えた。
 ――それは音の波が空気を震わせただけだったのか。それとも、本当にそうだったのか。
 心を震わせる勇壮な歌声に反し、優しい風が吹き抜ける。
 それは冒険者達の傷の痛みを、身体を重くする疲労を遠くへと運びさっていく。
 暖かな日差しが冒険者達の身体を包み込む。
 それは冒険者達の手に、再び武器を握る力を蘇らせていく。
 仔竜達の引き起こす未熟な自然現象が、目に見えて衰えていく。
「皆さん。支えますので、共に戦って頂けますか?」
 決して大きくはない七曜の声。
 だが、それはまるで世界全体から聞こえてくるように、戦場にある全ての命ある者の耳に届いた。
 その時、確かに世界が震えた。
 しかし、それは先程のものと同じものではなく、戦場にある全ての命ある者の鬨の声。
 膝を折ることなく戦っていた者達が、戦う力を取り戻した者達が、七曜の歌声の下で心を1つとしたのだ!
「人を侮っている様子ですが、護るべきもののある人達は強いのですよ」
 ――そう、私達以上に。
 七曜の視界の先には先程見えていたものはもうない。
 揺れ動いていた天秤は、その動きを猟兵達と冒険者の側へ定めたのだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

緋翠・華乃音
見る限り子竜戦の趨勢は決まった様なものだが……まあ、あと一押しってところか。
前線はもう十分に戦力が整っているな。だったら俺は後衛から援護に徹しよう。

「地形の利用」を生かして前線から遠くに陣取り、狙撃(「スナイパー」)にて猟兵や冒険者への「援護射撃」を行う。
敵の動きを「見切り」や優れた「視力」と「第六感」で先読みし、必中の狙撃を行う。
仮に敵の接近を許した場合、ナイフや拳銃を用いて接近戦に応じる。
ユーベルコードは必要と判断した場合のみ使用。

……さて、子竜には悪いが――正直言って単なる的だな。



 戦場の音に紛れ、聞こえる歌声。
 緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)の身を置く丘には剣戟の音は遠く、その分、それがよく聞こえる。
 いや、その身に宿す優れた聴覚があれば、そうでなくとも聞き分けていたのかもしれない。
「見る限り、戦いの趨勢は決まった様なものだな」
 第三の目とも言える演算デバイスを用いるまでもなく、華乃音は現在の状態をそう結論付けた。
 零した言葉が示す通り、既に視界の先で繰り広げられる戦いは仔竜達の掃討戦とも言える状況になりつつある。
 しかし、まだ予知された大物の出現はない。
 ならば、油断するべきではないのだろう……と言っても、華乃音の夜の静寂が如き瞳には波一つなく、油断とは無縁を物語っている。
 そんな華乃音が狙撃手としての嗅覚で定めたスナイプポイント。
 そこには他に誰もおらず、手にした狙撃銃が静かに華乃音の号令の時を待つ。
 ――あと一押し。それで、少しでも数を減らしておくべきだな。
 大物の到来時に仔竜が多く居たでは戦闘へ集中出来ない可能性もある。
 そのため、華乃音はどこまでも冷静に仔竜の排除へと踏み出す。
 聴覚が風の音を読み聞き、見通す眼が獲物の動きを読み取る。
 いずれも常人の域を超えたもの。
 見え過ぎ、聞こえ過ぎるそれは最早呪いと評されるべきものなのかもしれない。
 だが、それが故に狙撃手としての能力に活きるのは幸か不幸か。
「子竜には悪いが――」
 視界の先では悪あがきと言わんばかりにブレスを吐こうとしている仔竜が1匹。
 ――撃鉄が引かれる。
 数瞬の時を待たず、視界の先で紅い花が咲いた。
「――正直言って単なる的だな」
 竜と言えどもまだ未成熟。
 そのため、狙撃手としての腕に優れる華乃音には動きを予測するに容易く、最早止まって見えていた。
 ――特異体質を活性化させるまでもないな。
 狙撃銃越しの視界の中、華乃音は独り言ちる。
 視線は既に次の仔竜へ。
 そして、1つ。また1つ。と、紅い花が咲いては綻んでいく。
 それを見守る様に、右耳で十字架が揺れていた。

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 花の香りが風に乗ってくる。
 ばさり、ばさりと風切り音。
 花の香りが一段と濃さを増す。
 ばさり、ばさりと風切り音がより大きく。
 空から影が種々多様な花弁と共に落ちてきた。
 小高い丘の如き緑の巨躯。その質量は地を揺らし、世界を鎮める。
 そして、緑の竜――息吹の竜『グラスアボラス』――は存在感を示すかのように、猟兵達の前で大きく吠え猛るのであった。
リステル・クローズエデン
(真の姿には設定上なれません。修正は普通に受けます)

花?……綺麗……と言ってる場合ではなさそうですね。

【制限解除・呪腕解放】を発動。
代償は『呪詛耐性3、毒耐性3、激痛耐性3』で軽減。
刃の如き殺気とオーラを身に纏います。

戦闘は『戦闘知識3、投擲9+2回攻撃3+鎧無視攻撃6』による。
手裏剣攻撃から
『ダッシュ1、残像2』で近づき

『戦闘知識3、グラップル7+2回攻撃3、鎧砕き4+呪詛1+マヒ攻撃4』
左手の刀と右腕の呪いを至近距離でたたきこもうとします。
「この距離なら。」

相手の攻撃は
『見切り3、オーラ防御8』で
躱せるものは躱し、むりならオーラで致命傷は避けます。
「多少の無理は、通しませんとね。」


ニコライ・ヤマモト
【SPD】竜の注意を村や樹からそらす。

思ったより可愛い……いやいや。
この図体だ。戦闘が長引けばその分被害が増える。樹や、村や、人々に。
今ここで冒険者たちの信頼を裏切るわけには行かないな。

奴さんの気を引いて冒険者が退く時間を作りたい。
逆へ。いや、せめて向きを逸らして戦えれば被害も少なかろう。
村や樹とは反対方向から近づいて【シーブズ・ギャンビット】。
迷彩用の帽子も外套も脱ぎ捨て、戦闘に関係ない重い装備はなるべく捨てる。
黒のシースナイフで……頭か。できなければせめて翼の骨や筋肉の一つでも奪ってやれ。
奴の体に取り付いて「鎧無視攻撃」、高さが足りないなら……最悪、樹から飛べるか?



 グラスアボラスの咆哮が空気を震わせ、猟兵の、冒険者達の身体を叩く。
 だが、それへ動じる猟兵達ではない。
 各々が各々の役割を理解し、判断し、迅速に脅威へ対しての行動を開始する。
 まず動いたのは仔竜戦と同様に先陣を切ったリステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)。
 そして、それに一拍遅れてニコライ・ヤマモト(郷愁・f11619)が続く。
 黒のニコライと青のリステル。
 巨躯たるグラスアボラスから見れば脅威とも思えぬ大きさの2人。
 しかし、その身に内包する力を感じたかのように、咆哮の余韻をそのままとしてニコライとリステルを睥睨する。
 本来であれば仔竜も壁となり、グラスアボラスへの接近も容易なものとはなっていなかっただろう。
 だが、猟兵の、冒険者達の戦いが、流した血が、グラスアボラスへの道を切り拓いていたのだ!
 そのことに、その道を駆けてくる猟兵の存在に、グラスアボラスは苛立ちを覚える。
 そして、――
「ギャッ!? ギャギャギャ!?」
 グラスアボラスの周囲に残っていた仔竜がその体を崩壊させ、無数の竜胆の花びらへと変じていく。
 それは仔竜の意図するものではなかったのだろう。
 何が起こったか分からないという驚愕。そして、それを為したであろうグラスアボラスへの哀願。
 しかし、無情にもその崩壊は止まらない。
「こいつ、まさか仲間を!?」
「嫌な予感……急いだ方が良さそうですね」
 その様子に驚愕するニコライと宿した第六感が警報を鳴らすリステル。
 そして、――竜胆の花吹雪が2人目掛けて殺到した!

 身体へ纏わりつき、意識を押し流さんとする竜胆の花びら。
 それは身体に重くのしかかり、濃密な匂いはニコライの意識を朦朧とさせる。
 ――竜殺しの英雄になど、簡単になれるものではない。
 ニコライにはそんなことは分かっていた。
 ――ならば、自身より力ある者にそれを託せばいいのか。
 そうした方が良いのかもしれない。と、朦朧とした意識は弱さを吐き出す。
 身体が脱力しかけたその時、――声が聞こえた。
 それは、共に戦場を支えた冒険者達の声。
 それは、己の命を賭して時を稼いだ冒険者の声。
 ばさり。風に吹かれて帽子が、外套が、纏わりついてきた花びらごと戦場の空へと流れ行く。
 ――否! 断じて否!
 その身に纏った重石を脱ぎ捨てたニコライの瞳には、意思の光が強く瞬く。
「今、ここで背負う重石は冒険者達の信頼だけで十分。花びらも、弱さも、今は必要ない」
 身軽となった身体に背負うは冒険者達の、町の、樹の命運。
 物理的なモノとは違う重さを感じつつ、ニコライは力強く、再びに戦場を踏みしめる!

 それと時を同じくして、リステルは花びらに埋め尽くされた視界の中で静かに瞳を閉じる。
 だが、それは決して諦めのためではない。
「多少の無理は、通しませんとね。……リミッター解除、青の封印解放」
 ぞわりと、右腕内部へ組み込まれた呪骨が蠢く。
「――この身は刃――」
 蠢く呪骨から染み出た呪がリステルの身を蝕み始め、激痛を発する。
 しかし、その口からは苦悶の声一つとして漏れない。
「――凍てつく青き刃――」
 それは毒のように体へ回り、流れ出る血のように禍々しいオーラがリステルの体を、花びらを包み込む。
 花びらが、まるで枯れたかのようにはらり、はらりとその身から剥がれゆく。
「――ただ斬り裂くのみ」
 そして、最後を括ると共にそれは臨界を越え、禍々しきオーラは青――リステルの色へと変じる。
 凄烈なまでのオーラの迸り。
 それに残った花びらも剥がれ去り、地へと還っていく。
 リステルの身体を蝕む呪い、そして、痛みは依然としてある。
 だが、その痛みがリステルの五感全てをより一層に研ぎ澄ますのだ。
 そして、心まで刃としたリステルはそれらを一顧だにせず、戦場を再び疾駆するべく足を踏み出した。

 竜胆の花びら彩る血路。しかし、今のニコライとリステルにとってはまさしく花道。
 舞う花びらを置き去りにして、黒と青が遂にグラスアボラスをその刃の届く範囲へと捉える!
「この距離なら」
「せめて、筋の一つでも奪ってやろう」
 刀とナイフが奔り、交差する!
 一太刀で足らぬなら、二つ、三つ……同じ箇所を狙う刃の共演がグラスアボラスの脚に深く深く傷を断ち穿った!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

祝聖嬢・ティファーナ
竜の攻撃を『エレメンタル・ファンタジア』の炎の竜巻で花びらを燃やし散らしながら範囲外へと受け流します🎵 
同時にティファーナ本人と猟兵に“オーラ防御Lv4(申請中)”と“鼓舞”で支援しながら、傷付いた猟兵を『生まれながらの光』と『シンフォニック・キュア』でHPと状態異常を回復します⭐ 

ティファーナ本人は“的”になって足手まといにならない様に『クリスタライズ』で紅葉/猟兵1名を透明化してあげます🎵 あとは、ティファーナに向かう攻撃と竜に『神罰の聖矢』で打ち消したり、攻撃をします❗⭐

ティファーナは勝ったら捲き込まれていたチビ竜たちに「悪い事はしないでね🎵」と諭します⭐


茲乃摘・七曜
心情
なるほど、巨大ですね。ドラゴンというだけはあります。

行動
グラスアボラスの動きを封じる事や息吹の対応による仲間の援護
「見た目に惑わされる…ことはなさそうですが、気を付けましょう

戦闘
Angels Bitsとの輪唱で【歌唱】を強化
敵が息を吸うタイミングを見極めるように注視し
敵の息吹を遮るように土壁の作成や突風による直撃の阻害を実施
※可能なら竜胆での範囲攻撃に巻き込まれない位置を維持
「花畑が出来てしまった場合は風の刃か炎の散弾で対処致しましょう

対飛翔
敵が飛行し攻撃する若しくは攻撃を避けることを警戒し
『流転』で片翼を封じての、飛行阻害の準備する
「翼に不審な動きがないかも警戒しておかないといけませんね


緋翠・華乃音
……子竜のように単純な戦闘にはならなさそうだな。
少しは本気を出さないと……逆に此方がやられ兼ねない。

戦闘中は随時必要と判断した技能を使用。
子竜戦に使用した技能に加え、リロードに「早業」を使用し、「毒使い」を生かして毒の仕込んだ銃弾を使用。ユーベルコードも適時使用を行う。

狙撃では羽根と口腔を優先的に狙う。
羽根は機動力を削ぐ為に狙い、息吹を使用する際にはその口腔内を攻撃。
子竜戦とは違い、機動力を生かされ接近を許す可能性を考慮。
接近戦では二挺拳銃をメインに使用し、敵への攻撃よりも自分の身体を守る事を優先に行動。使う隙があるのならユーベルコード「王は途方に暮れた」を使用。


テリブル・カトラリー
遂に親玉の登場か。
アレの相手は私達がひきうけよう。

付近の冒険者にアレに近づかないよういってから、
銃撃でスナイパーによる狙い撃ちで羽を狙う。
あの巨体なら行けるかもしれないが、まずは機動力を少しでも削る。
一瞬でも良い。此方が確実に一撃当てるだけの隙が有れば良い。

その隙を見て即座にブーストダッシュ、
スクラップフィストを付けた片手を盾にし、グラスアボラスへ突貫。
片腕を換装、杭打ち機へと変え、ダッシュの勢いを乗せたまま
怪力を持ってして杭打ち機をボス目掛けて叩きつけ、
杭を撃ち出す。



 風のように戦場を駆けた2人がグラスアボラスとの激突を始めた頃、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)もまた己の仕事を始めていた。
「アレの相手は私達が引き受けよう。アナタ達は近付かない方がいい」
 変声機越しの声でテリブルは冒険者達に撤退を促す。
 しかし。と、渋る冒険者達ではあったが、繰り広げられる猟兵とグラスアボラスとの戦いへ割って入るには難しいと判断したようだ。
 ――すまない。後はどうか頼む。
 力になれないことへの苦悶を顔へ滲ませつつ、冒険者達は撤退を始めていく。
「……さて、仕事の時間だ」
 そんな冒険者達を見送りつつ、テリブルは静かに時を計り始める。

 竜胆の花びらが群れとなり、グラスアボラスの周囲から外へ向かっても押し寄せ始める。
 しかし、それは外を侵食する寸前で、新たに生じた炎の竜巻へと飲み込まれた。
 仔竜の為したものとは格段の威力差を誇るそれ。
 生み出したのは祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)。
 自身が生み出した炎に照らされながら、ティファーナは底抜けに明るい笑みを維持する。
「キミ達、そこを動いたら駄目だからね☆」
 その背には、竜胆へと変じる直前にオーラで包み込んだ仔竜の姿。
 弱々しく鳴くそれを背に、ティファーナは安心させるように微笑むのだ。
 ――なぜ、護ってくれるのか。
 叩きのめされ、そして、仲間が首魁と信じていたグラスアボラスによって竜胆と化した今、仔竜達に抗う気力は最早ない。
 だが、疑問だけは残っていた。
 しかし、答えは明白だ。
 ティファーナにとって、仔竜達は叱り、お仕置きをする対象ではあっても、打倒しつくす対象ではなかったということ。
 護り隠すのは、本来であれば利敵とも捉えられかねない行為ではあるが、今回に限っては、ティファーナが仔竜を守らなければ、それらもまた竜胆の花びらと化し、猟兵達へと襲い掛かる数多の武器ともなっていたことだろう。
 それ故の行動。
 だからこそ、ティファーナは荒れ狂う炎の竜巻で、降り注ぐ神罰の光で、残る仔竜達も飲み込み一部とせんとする竜胆の波に抗っているのだ。
 そして、それは奇しくも他の猟兵達から竜胆の花びらを引き離し、狙いを逸らす的ともなっていたのであった。

 上がらぬ成果。
 纏わりつく猟兵は確実に己の身を削り、仔竜を分解してまで行った竜胆も炎の竜巻に阻まれ、その数を減じていく。
 グラスアボラスの心に苛立ちが募る。
 ――目的としていたものにも影響が出るかもしれないが、致し方がない。
 グラスアボラスの吐息は地形にすら影響を及ぼすもの。
 それ故に目的の樹に大きな影響を与えたくなかったが、猟兵に取りつかれた今、それを倒すことこそが先決となる。
 ブレスでの薙ぎ払い。
 それを判断したグラスアボラスは翼をばさり一打ち。
 纏わりつく猟兵達を引き離し、その身を空へ。
 そして、息を大きく吸い込み――

「万物流転。有限が作り出す無限の円環――」
 Pride of foolsを構えた茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)の周囲に浮遊する魔導弾が飛ぶ。
 それは日と月。水、金、火、木、土の彩りを持つ杭と変じていく

「少しは本気を出さないと……こちらがやられ兼ねないのでね」
 to be alone.
 孤独なる狙撃手がその瞳に怜悧なる光を宿し、かの翼を視る。

「――幽玄たる時間の監獄へようこそ」
「隙有り、だな」
 ――片翼を封印術式により戒められ、もう片翼を早業からの連射により撃ち抜かれ、グラスアボラスは溜め込んだブレスを吐き出す直前に重力へと囚われる!
 それは、ブレスこそ吐けないが、同じく呼気から様々な声を生み出す七曜の観察眼。
 それは、狙撃手が故に相手の一挙手一動作を見逃さない華乃音の観察眼。
 2人が見出した僅かな隙。それを突いた見事な一撃であった。
 だが、敵もただ落下するばかりでは終わらない。
 溜め込んだブレスを無駄とする前に、僅かでも放たんと口中から拡散するようにブレスを吐き出す。
 狙いも付けられていないそれは威力こそ低くなったものの、あちらこちらにその爪痕を残していく。
 そして、その爪痕――ブレスが生じた後に出来る花畑――は戦場をグラスアボラスのステージへと変えていくのだ。
 花畑より生じる匂いは濃く、近くに居る者の五感を狂わせる。
 より強いものを持つが故に、華乃音には影響が強く、その視界が揺れた。
「流石に、仔竜のように単純な戦闘にはなさなさそうだな」
 ぐらり揺れる視界。
 頭を振り、意識を保つ。
 その時、歌声が耳に届いた。
 それは鋭く、まるで燃え盛る焔のように熱い歌声。
「毒を撒く花であるのなら、それは私が摘み取ってあげましょう」
 じわり。
 歌声の響く度、ブレスの影響で出来た花畑へ、まるで墨を落としたような黒が生じる。
 それは黒百合であり、黒水仙。
 まるで上書きするかのように、花畑の色が、姿が変わっていく。
 それに伴い、五感を狂わせる匂いも消えていく。
 ――看過は出来ぬな。
 生み出した自身の領域を侵されつつあるグラスアボラスは再びブレスを放つべく、空気を吸い込む。
 しかし、――
「目を瞑って、耳を塞いで。……それが叶うのなら、どれだけ幸せな事だろうか」
 鋭い射撃音が響き渡り、グラスアボラスの開いた口の中へ弾丸が入り込んでいく。
 呪いとも言える視覚と聴覚を更に強化し、必中たる一撃を放つは華乃音。
 命ある者の鼓動一つ、動き一つが全て脳裏に刻まれる。その負荷たるや常人には筆舌にし難いものだろう。
 だが、華乃音はそれを欠片も見せず、演算した未来を告げるのだ。
「これで、終止符だ」

 口内で弾けたブレスはグラスアボラスの体内へと逆流し、大きな損傷を刻んでいく。
 巨躯が地響きをあげて倒れた。
 絶好の時。
 そして、彼女は――テリブルは機を逃さずに動き出す!
 身体のブースターが轟音をあげて火を吐き出した。
 それから生み出される推力は超重装甲を纏うテリブルの身を力強く押し出し、その勢いにトレンチコートも強くはためく。
 炎の尾を引き、テリブルは空へ。
 その腕は機を計る内に換装しておいた杭打機――パイルバンカー。
 雄たけびも、最後を告げる宣告もない。
 ただ、あるはずのない残骸を片付けるための眼差し。
 眼下にはグラスアボラスの顔。
 気を失っている訳ではないだろう。
 だが、陽を背にして降下するテリブルの存在へ眩しさ故に気付くのが遅れる。
 そして、気付いた時にはもう遅いのだ。
 テリブルの拳が眉間を撃ち抜いた。
 遅れて響く、二撃目の衝撃音が重く、大きく、戦場へと響き渡る。
 それは、まさしく戦場の幕を下ろす音。終止符を打つ音。
 衝撃に土煙がもうもうと舞い上がり、それが収まった時、全ての人達の目に、命果てたグラスアボラスの上へ静かに佇むテリブルの姿が映るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 日常 『大樹祭』

POW   :    興行への飛び入り参加

SPD   :    露天商・屋台巡り

WIZ   :    祭りの喧騒を遠くに、静かに過ごす

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 燐光のように零れる樹の魔力光。
 それと、人々の光が照らし出す町を、賑わいが支配している。
 その賑わいは例年以上。
 それもそうだろう。
 激戦とも言える時を超え、命を繋げることが出来たのだ。
 その反動が大きくなっても致し方ないというもの。
 ただ、グラスアボラスを倒した後の歓声はこれどころではなかったのだから、ある意味、少しは日常が戻ってきたとも言えるのかもしれない。
 そんな大樹祭の中、武勲を語る者、猟兵達の戦いを讃える者、静かに身体の・心の傷を癒す者。
 過ごし方は様々だが、その顔には一様に明るさがある。
 そう。これは猟兵達が守り抜いたものなのだ。
 大食い大会や飲み比べといった興行に飛び込むもよし。
 露天商や屋台を巡り、時に冷やかして過ごすのもよし。
 もしくは、静かに祭りの喧騒を眺めるのもよいかもしれない。
 戦いを終えた猟兵達は、町の人達の感謝を浴びつつ、思い思いに過ごし始めるのであった。
緋翠・華乃音
……賑やかなのは苦手だ。今の自分が独りだって事を、無意識にでも感じてしまうから。

それでも、祭りは少しだけ歩いて眺めてみよう。
……ほんの僅かでも、寂しさが紛れるかも知れないしな。



(基本的に独りで行動します。アドリブや絡み等は一任しますので適当に行動させて下さい)

何も無ければ、高台か建物の上から静かに祭りを眺めています。



 人々の賑わう声が緋翠・華乃音(prelude finale.・f03169)の耳を打つ。
 その賑やかさはともすれば、華乃音にとっては爆音の如きものなのかもしれない。
 だが、それでも華乃音はお祭りの中を眺め、歩いていた。
「……賑やかなのは苦手だ」
 そう独り言ちながらも。
 それは、常に自分が独りだと感じながらも、どこかで寄る辺を求めていたからなのだろうか。
 
 広場では飲み比べが繰り広げられているのだろうか。歓声があがっている。
 通り道のそこかしこでは屋台から空腹を誘うような香りが漂う。それに子連れの親子が足を止めている。
 脇を駆け抜けていった子供達は目当ての露店で、少ないお小遣いと相談しながら遊戯を楽しんでいる。

 様々な音、色、景色。
 その情報を1つずつ、1つずつ処理しながら、華乃音は歩みを止めない。
 それは暫くの間だけではあったが、確かに華乃音の思考を、自分が独りである。ということから引き剥がしていた。
 しかし、それも賑わう通りを終えれば、元通り。
 気付けば、いつの間にやら淡い光を零す大樹の根元。
 もしかすれば、違う世界にあるという研究棟へ居座る知り合いでも傍に居れば、また違う感情が、行動がそこにはあったのかもしれない。
 だが、今の華乃音の隣にはそれはない。
 冴え冴えと光る月明りと、人々の生み出す暖かな光。そして、大樹の燐光。
 今はただ様々な光に包まれ、見つめ、華乃音は自身が守った世界の一端を、身体全体で感じ取るのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

茲乃摘・七曜
心情
折角ですしお祭りも楽しんでゆきましょう
「でも、身元がばれない様に変装はしておくべきかもしれませんね
※讃えられるのはちょっと気恥ずかしいと身分詐称

行動
燐光のように零れる樹の魔力光を遠くから眺め勝ち得たものを愛おしむ
「人の営みがあってこその未来ですからね
※大食いや余興、露店を巡る人々、普通の人たちの姿を楽しむ

お誘い
ハーバニー・キーテセラ(時渡りの兎・f00548)へ露店巡りのお誘い
「よろしければご一緒いかがでしょう?
「前はハーピィで今度はドラゴンでしたかこの世界は広くて面白いですよね
「私はこの大樹を模した…気のする置物ちょっと面白いなと思うんですけどハーバニーさんは何かいいもの見つけましたか?



 樹より零れる燐光のような魔力光。
 滴り落ちる露のように、しかし、無数に地へ向け落ち続けるそれ。
「人の営みがあってこその未来ですからね」
 人行きかう道でそれを愛おしむように眺め見るのは茲乃摘・七曜(魔術人形の騙り部・f00724)。
 しかし、その服装は戦場で人々の目に焼き付いた黒の衣装とはまた違うもの。
 ――折角のお祭り、楽しむためにも変装ぐらいはしておくべきでしょう。
 戦いが終わった後の熱烈な歓迎と歓待。それを少しばかりの気恥ずかしさと共に思い出し、七曜の白磁の頬が僅かに朱へ染まる。
 今は猟兵としての七曜ではなく、1人のヒトとしての七曜なのだ。
 変装が上手くいったのか、祭りを見て歩く七曜へかかる声は露天商や屋台からの誘惑の声のみ。
 人々が紡ぐ営みもまた楽し。
 繰り広げられる興行や露天の品々、そして、それに目を奪われる人々を映す七曜の瞳。
 その先、人波の中で揺れたは作り物の兎耳。
 キョロリキョロリと辺りを見回すハーバニーの動きに合わせて、それもまた揺れる。
 ふと、興が乗ったのだろう。七曜はそれを目標に人波をすり抜け、近づいていく。
「もし、ハーバニーさん?」
「わわっと……はぁい、なんでしょ~?」
 一瞬だけ、七曜の瞳の中にハーバニーの地金が見えた気がした。
 口の端に僅かばかりの笑みを含め、七曜は手を差し伸べる。
「折角のお祭り。よろしければ、ご一緒いかがでしょうか?」
「おぉ~、1人では人波に溺れるところでしたのでぇ、お誘いは渡りに船ですよぉ~。是非是非ぃ」
 そして、2人の珍道中が始まった。

「前はハーピィで今度はドラゴンでしたか。この世界は広くて面白いですよね」
「ふふふ~。今回も、その節も、共にお世話になりましたねぇ。お蔭で助かりましたよぉ」
 歩く道すがら、猟兵達の活躍が始まった最初期を脳裏に描き、七曜はかつてと今の体験から得たものを語る。
 その中には、七曜自身が猟兵として体験したものは勿論、グリモア猟兵として視た他の世界のことも含まれていた。
 迷宮の奥深くに潜むモノの話、知識の簒奪者の話、護るべきモノのない守護者の話。
 いずれもハーバニーは未だ体験したことのない世界であり、興味深げに相槌を返す。
 他にも、未だ語られぬ因縁や知られざるオブリビオン達の話もあったのかもしれない。
 だが、それは雑踏の喧騒の中で溶け消える。
「世界それぞれで扱うものも違ったり。それを見るのも、また楽しいものです」
 はたと止めた露店の先、置いてある置物を、ほら。と指さし、七曜は楽し気に語る。
 その指の先には大樹を模したと思しきオブジェクト。
 手作りなのだろう。幾つか並べられたそれらはどれも微妙に異なっている。
「ハーバニーさんは、何かいいもの見つけました?」
「私はですねぇ。これなんてぇ、面白いと思いますよぉ?」
 見せたのは『英雄饅頭』なるもの。
 商売人はどの世界も波に乗るのが早いものだ。
 ただのお饅頭に、音符や剣、銃らしき形などの焼き印を付けただけのそれだが、飛ぶように売れているらしい。
「この焼き印、冒険者の中で特に活躍した人達が使っていた得物を題材にしているらしいですぅ」
 ――音符はぁ、誰の事なんでしょうねぇ?
 茶化すように語るハーバニーに、誰の事でしょう? と、返す七曜。そして、響いた互いの笑い声。
 2人は英雄饅頭をもくりもくりと食べ歩きつつ、お祭りに彩られた町を再び歩き始めたのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ニコライ・ヤマモト
■冒険者の様子を見ておきたい。
安堵も喜びも、光に見惚れそうになるのも、なるべく表情に出さないようにする。
正直全身の力が抜けそうだが格好悪いところは見せられん。

祭りって柄でもないし、治療の行き届いていない人がいれば「医術、救助活動、恩返し」で手助けを。
折角守り抜いた自分達の祭りに、怪我で動けず参加できないなんて勿体無いからな。
何なら酒か食い物を取ってきてやってもいいぞ?

無事で良かったとか、お前達の協力のお陰だとか、信じてくれてありがとうとか。言うべきことは沢山あるのだが……どうも上手く言えそうにない。
頑張ったな、英雄たち。

…だが「小さい」って呼んだのは覚えておくからな。



 賑わう町がある一方、それとは別種の賑わいを見せる場所もある。
 そう、救護場である。
 激しい戦いの果て、傷を負った者達は数多いる。
 中には癒しの術を持っていた者も居たことだろうが、全てが全てそうである訳ではない。
 今、ここは新たな戦場の様相を呈していた。
 とはいえ、この救護場では忙しさはあっても、悲壮感といったものとは無縁だったのは幸いか。
 そんな場に足を運んだのはニコライ・ヤマモト(郷愁・f11619)。
 戦場で見せた戦いを知らぬ者はこの場には居ない。
 それが故に、ニコライの登場は場をざわつかせた。
「……折角守り抜いた自分達の祭りだろう。怪我で動けないでは勿体ないからな」
 ――何か手伝えることや、して欲しいことはあるか?
 医術や応急処置の心得を持つニコライ。
 それを証明するかのように、戦闘用装具の中から包帯や止血剤などを広げて見せる。
「で、では……傷の処置や汚れた包帯のまき直しなどをお願いしましす」
 申し訳なさそうに言うのは、この場の責任者だったのだろう。
 それに短く応え、ニコライはテキパキと行動を開始する。
 傷の消毒、保護。包帯を交換し、巻きなおす手は淀みなく。
 実のところ、ニコライの身体は今にも力が抜けそうで。
 しかし、硬派に振る舞っている面目もあるし、素直に感謝を言葉として表せそうにもなかったが故のこの行動だったのだ。
 1人、2人……と処置を続けていくニコライ。
 ふと手を止め、救護場の窓から外を仰ぎ見た
 そこには燐光を零し続ける巨木。そして、祭りの灯り。
「……折角の夜なんだ、何か酒か食い物を取ってきてやってもいいぞ?」
 決して大きく響いた訳ではないその言葉。
 冒険者達は顔を見合わせ―― 
「俺は酒!」「あ、ずりぃぞ!」「俺は食い物! ……肉だと、なお良し!」
 まるで、怒涛のように全員が一斉に喰いつき始める。
 その元気さに安堵するべきか、呆れるべきか。
「こら! ここは救護場ですよ? お酒を飲むなら出て行ってからにしなさい!」
 それには医者や看護する者達も苦笑い。そして、注意されるまでそれは続いた。
 そして、それがまた面白かったのか、1人、2人が思わず吹き出し、いつの間にやらその場に居た者達が一斉に笑い出す。
 鉄火場を共に乗り越えたが故の信頼感。
 それが通り過ぎたことへの安堵感。
 そういったものがない交ぜになったようでもあった。
「ありがとうよ、小さな英雄さん」
「お前さん達のお蔭で、今があるんだ。ありがとうな」
 気付けば、口々に感謝の言葉が零れだしていた。
「……ふん。頑張ったのはお前たちもだろう、英雄達。……だが、『小さい』って2回も呼んだのは覚えておくからな」
 目深に被り直した黒の帽子。
 その奥からニコライは言葉を冒険者達へと返すのであった。
 その下の表情がどうなっていたのかは、ニコライのみぞ知るところ。
 そして、そんな様子を見た者達の朗らかな笑いが、再びに救護場を彩ったのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

テリブル・カトラリー
【POW】
マスクを外し、眼鏡を掛け、エプロンを纏う。
よし、変装は完璧だ。

これで私が猟兵とは気付かないでしょう。多分。
目立つのは恥ずかしいので変装して屋台入りです。

屋台の方に頼み込んで屋台で焼そば作らせてもらいます。
(アックス&ウィザードに焼きそばありますかね?)

味はそこそこかもしれませんが、そこは雰囲気と勢いです。
大量のそばを焦げ目がつくまでしっかりと怪力でかき混ぜます。
ダイナミックに、力づよく!



 賑わう街並みを長身の女性が行く。
 外気に晒されたくすんだ灰色の髪が吹き抜ける風に小さく揺れた。
 すれ違う人々はその長身へ驚き、振り返ることはあっても、それが猟兵であるとは気づかない。
 そう、その人物こそはテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)。
 目立つ変声マスクを今は外し、掛けた眼鏡に知性が光る。そして、その身に纏われていたのはトレンチコートではなく町人風のエプロン姿。
 戦場での出で立ちとは大きく様相を変え、町に繰り出していたのだ。
 ――どうやら、猟兵とは気づかれていないようですね。多分。
 時折に向けられる視線にドキリとしつつ、テリブルは通りを巡り歩く。
 戦場での冷静な仕事人から一転、その実は照れ屋な一面もある穏やかな女性なのだ。
 目立ち、褒めたたえられるのは恥ずかしくて変装を。なんて、戦場のテリブルしか知らない者であれば、想像も付かなかったことであろう。
 そんな彼女が足を止め、立ち寄ったのは香ばしい匂いも漂う焼きそば屋台。
 猟兵達の流入もあり、どこかでそういった知識が流出していたのかもしれない。
「おじさん、焼きそばを1つ」
 響いた声は柔らか。
 屋台の店主も長身には驚いていたものの、物腰柔らかな女性の客とあっては相好を崩しての対応だ。
 受け取り、口に入れれば、香ばしい香りと共にソースの甘辛さが義舌パーツを介してテリブルへ届く。
「……美味しいです」
 食欲を刺激する味に瞬く間、全て平らげれば、店主も更にニッコリ。
 自分の作ってくれたものを美味しく平らげてくれるのは、料理人冥利にも、商売人冥利にも尽きるというものだ。
 そんな彼の様子を見詰めていたテリブル。
「私も、やってみていいですか?」
 店主の手捌きやそこから生み出された先程の味が未だ脳裏を過り、思わず、そんな言葉がぽろり。
「お、姉さんもやってみるかい? いいとも、いいとも」
 先ほどの美味しそうに食べてくれる様子、柔らかな物腰が店主の心を掴んでいたのだろう。
 快く、その場所を開けてくれるではないか。
 であれば、その好意には答えねばならないというもの。
 焼ける鉄板を前に、大量の具材と麺を投入。
 目を丸くする店主を傍らに、テリブルは持ち前の怪力でそれを焼き、混ぜる、焼き、混ぜる。
 その動きはダイナミックに、そして、力強く!
 それはまるでパフォーマンスのようでもあり、少しずつ人目を惹いていく。
 当初は目立たないつもりであったが、長身の女性、大胆な料理方法などなどと、物珍しさもあってか屋台の前で足を止める人が少しずつ増えていく。
 焼きそばが完成し、料理へ集中していたテリブルがその人垣に気付くまで、あと少し。
 そして、思わぬ集客にてんてこ舞いともなるのも。
 テリブルの祭りの夜は、こうして更けていく。

大成功 🔵​🔵​🔵​

リステル・クローズエデン
【WIZ】
「士気を高めるためとはいえ、派手に動き過ぎましたからね」
喧騒を遠くで眺めます。

「この世界は、うん……みんなが生きようとしています。」

戦いが、命のやりとりが身近にあっても。
日常を生きようとしている世界。

「すべての世界が、ここではない。
 けれども、この世界はできればこのままで……」



 祭りの喧騒を遠くに、大樹の傍は揺れる梢の音が聞こえる程の静寂に包まれている。
「士気を高めるためとはいえ、派手に動き過ぎましたからね」
 身体を蝕んだオーラは今はなく、リステル・クローズエデン(なんか青いの・f06520)は静かに身体を休める。
 そこに、戦場での勇猛さは今はない。
 さやさやと揺れ、響く梢の音。
 夜半の空気はまるで戦場の熱を洗い流してくれるかのよう。
 だが、そこには確かに、滅びを迎えず今を続ける1つの世界があった。
「この世界は、うん……みんなが生きようとしています」
 それをリステルは肌で感じつつ、思い出されるのは町を守ろうと武器を取った冒険者達の姿。
 誰もが傷つき、時に倒れようとも、諦めずに今を繋いだ者達。
 それはどこか眩しさを感じさせるようで。
 還るべき世界を持つ彼らの眩しさに、過去を亡くしたリステルの胸がチクリと痛んだ気がした。
 世界だけではない。名前も、年齢も、誕生日すらも、リステルにとっては確かなものではないのだ。
 唯一、確かなものは、リステルがリステルを自覚してからの今迄のみ。
 探し求める答えはどこにあるのか、本当にあるのか。
 僅かばかりの自問自答。
 その自問自答の中で、この世界に限らず、見てきた様々な世界。そして、これからも見ていくであろう世界が浮かんでは消えていく。
「どうあれ、今を続けていく他にありませんね」
 そして、リステルは先程に脳裏に浮かんだ世界の一部を思い出し、願うのだ。
「すべての世界が、ここのようではない。けれども、この世界は出来ればこのままで……」
 ――安寧あれ。繁栄あれ。永久に。
 瞼を閉じたリステルの先に広がるのは暗闇。
 それはリステルの今を示しているようでもあり、穏やかに包み込み休息を促す闇のようでもあり。 
 ただ、揺れる梢の音だけが耳に残り、それはまるで、大樹からの感謝のようでもあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

祝聖嬢・ティファーナ
賑やかなお祭りの様子を見ながら大樹の上に行って「仲良く暮らしてね☆」とチビ竜たちにも伝えて、生肉や果物をお裾分けしてあげます♪

紅葉の元に戻り「チビ竜くんたちも落ち着いていたよ♪」と伝えます☆
賑やかなお祭りも好きなので、ティファーナも『シンフォニック・キュア』で酔いや楽しみを邪魔しない限りで気持ちを落ち着きながら楽しんでもらいます♪
光と雪の桜吹雪でお酒の【肴】にしてみたりもします☆



 大樹に流れる水音が聞こえる。
 未だ、この大樹は生きているのだと感じさせる鼓動のように。
「♪~」
 その枝の1つに座り、鼻歌交じりに果物を持つのは祝聖嬢・ティファーナ(フェアリーの聖者×精霊術士【聖霊術士】・f02580)。
 傍らには戦場で守り抜いた仔竜達。
 しかし、それらは大樹への危害を加えることなく、今は静かにティファーナと共に過ごしている。
 いや、ある意味では彼らなりの宴会を開いているのか。
 ティファーナの持ち込んだ果物や生肉を肴に、騒いでいる。
 それを見守るティファーナの歌声は澄んでいき、大樹から零れる燐光と反応し合う。
 それは、まるで雪のように舞い踊る。
 それは、まるで大樹に咲いた花のように樹々を彩る。
 きゅいきゅいと騒いでいた仔竜達も、いつしか騒ぎを止め、それに魅了されたように見詰めているではないか。
 ――そして、その時は訪れた。
 1匹の仔竜が光の粒子へ溶け消える。そして、また1匹。
 それはまるで、昼間の戦場で竜胆の花びらへと変じた時のよう。
 しかし、仔竜達の顔にはその時のような恐怖や驚愕と言った感情の色はない。
 むしろ、穏やかで、感謝の色すら湛えているような。
「きゅいぃぃぃぃぃ!」
 最後の1匹が大きく、高らかに、鳴き声を夜空へと響かせ、光の粒子へと還っていく。
 残された者はティファーナのみ。
 全ての仔竜は、まだ何者にも染まりきっていなかった仔竜は、世界の中へと還っていったのだ。
「仲良く暮らすんだよ☆」
 最後までを見守ったティファーナはそう告げ、大樹を離れる。
 彼女が帰るべきところは他にある。彼女は彼女が大好きな人のところへと帰るのだ。
 その時には今日の出来事を伝えてみよう。
 そう心の中で決めながら、ティファーナの還るべき場所へと。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月20日


挿絵イラスト