●蒸気幽霊に導かれ
グリモアベースにて、ニコラが呼び集めた猟兵たちに示すのは半透明の生首だった。
「ああ、あまり警戒しないで? こう見えて、彼はオブリビオンではないから」
突然の生首に身構える猟兵たちに、ニコラは蒸気幽霊という存在を説明する。
蒸気幽霊……災魔の扉を抜けた先に広がる旧校舎に遺された、かつて大魔王と戦った英雄たちの霊である。旧校舎に縛られた彼らは実体を持たないが、霊体となってもなお残る知恵を猟兵に貸してくれることだろう。
「彼の名は、教官騎士のハートマン。2つ名は、幾人かの英雄を指導した経験から来ているらしいわ」
生首の事を今回の転移先である旧校舎訓練場に残された蒸気幽霊だというニコラ。映し出された生首からは、ハートマンが学生の中でも比較的年嵩……20台後半から30歳程度であることが察せた。
「今回は、ハートマンとの交流という名目で猟兵同士の模擬戦を開催するわ」
ルールは1対1のガチンコ勝負。訓練場で模擬戦を始めれば、それに釣られて姿を現わすハートマンが自然と審判を請け負ってくれるだろう。
また、教官騎士の2つ名通り指導者としての才もあるハートマンは猟兵が望めば簡単な指導も授けてくれるとのこと。
「もちろん、単に試合をするだけが目的じゃあないわ。ハートマンに実力を示して認められれば、旧校舎内に巣食うオブリビオンの掃討に有利な位置を教えて貰えるはずよ」
今回の最終目的は旧校舎を占拠するオブリビオンの掃討だ。ハートマンの協力を得られれば、掃討の効率も大きく変わることだろう。
説明をそこで区切り、ニコラは猟兵たちをぐるりと見回す。
「旧校舎内にどういった設備があり、どのようなオブリビオンが巣食っているのか……申し訳ないけれど、ニコラの予知ではそこまで知ることはできなかったわ」
オブリビオンの掃討については、実質的に蒸気幽霊であるハートマンの知識頼り――そのような状況に送り出さねばならないことに、ニコラは少なからず悔し気な表情をした。
「説明は以上よ――現地に向かってくださる方はこちらに並んで?」
転移ゲートの用意をしつつ、ニコラは任務説明を終えるのであった。
Reyo
はじめましての方ははじめまして。そうでない方はいつもありがとうございます。模擬戦はダイスに基いたRPをするのが好きなReyoです。
早速ですが、シナリオの補足です。
●第1章:猟兵達の戦闘訓練
OPで示したように、蒸気幽霊ハートマンが審判を務める1対1の模擬戦となります。この形式の都合上、採用人数は必ず2の倍数になる見通しです。
ペア指定のない場合はMS側でペアリングを行います。ペアでご参加の場合、プレイング1行目に判りやすくペア名をご記載ください。
勝敗はペア参加かつ勝敗指定があった場合を除き、レベル・能力値関係なくMS側で2本先取のダイスを振って決定します。
また、ハートマンに何らかの指導を仰ぎたい場合、戦闘上気にしていることや改善したい点をプレイングに併記頂くようお願いします。
●第2章:???(冒険)
ハートマンに実力を示すことによりオブリビオンとの戦闘に都合の良い場所を紹介してもらえます。現地には旧校舎ならではのギミックがありますので、オブリビオンとの戦闘前にギミックを攻略し、優位を確かにしましょう。
●第3章:???(集団敵)
旧校舎に巣食うオブリビオンを掃討します。第2章で攻略したギミックをトラップとして用いることも可能です。
以上となります。
それでは、アルダワ学園地下迷宮に発見された旧校舎の訓練場へと参りましょう!
第1章 日常
『猟兵達の戦闘訓練』
|
POW : 肉体を鍛える訓練をする。
SPD : 速さや技量を鍛える訓練をする。
WIZ : 魔力や知識を高める訓練をする。
|
種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
セシリア・サヴェージ
◎
教官騎士とまで呼ばれる方に指導して頂けるとは光栄なことです。
この模擬戦を通じて皆で力を高め合えればよいですね。
ハートマンさんに認められる為にも手を抜かずに頑張ります。
魔術も扱えますが今回はこの暗黒剣のみを使って戦いましょう。
ハートマンさんには模擬戦終了後に私の剣術に対するダメ出し等あれば是非伺いたいものです。
自分の弱点は自分ではなかなか気が付きにくいですから。
では暗黒騎士の基本の剣技であるUC【暗黒剣技】を使用します。
確実に捉えるために命中率を重視……もちろん寸止めにしますが。
【武器受け】【カウンター】【武器落とし】といった技術も駆使していきます。
では、胸を借りるつもりで……参ります。
草野・千秋
@
ふえっ、生首!
ってオブリビオンではなかったのですか
蒸気幽霊……いつしかこの世界が戦争になった時見守ってくれる存在さんでしょうか
ハートマンさん、いつしかこのアルダワの英雄候補生さんを送り出してくれる存在
模擬戦ですね、受けて立ちましょう
勇気でこの戦いに挑み
あくまでパフォーマンスとして怪力、2回攻撃、グラップル、武器改造による炎属性攻撃を使用します
第六感、戦闘知識で相手の攻撃は避けて
盾受け、激痛耐性で攻撃は耐えます
気絶攻撃は忘れずにー
ここテストにでまーす
UCで歌唱を使用しつつ対戦相手の動きを一時的に封じ
スキをみて怪力パンチ(手加減アリ)です!
ハートマンさん、僕の攻撃方法はどうにも脳筋かもしれません
●剣と拳
アルダワ魔法学園、旧校舎。ダンジョンの基礎となった古の学園は、その佇まいこそ古めかしかったが設備の面では負けず劣らず。人の手が入らずとも動作し続ける蒸気機関の数々はいっそ神秘的ですらあった。
ゲートの開いた先は訓練場と目される広い空間。そこにゲートを潜った猟兵たちの姿が断続的に増えていく。互いに初対面な者も多く、自己紹介したり互いの得物を見せ合ったりして模擬戦の相手を見繕っているところだ。
「蒸気幽霊のハートマンさんを呼び出す……誘い出す? のも目的ですが、この模擬戦を通じて皆で力を高め合えれば良いですね」
「ええ、僕もそう思います! アルダワの英雄を送り出した方、なんでしたっけ?」
その中で、互いの戦闘距離が近いことから初戦を買って出たのはセシリア・サヴェージ(狂飆の暗黒騎士・f11836)と草野・千秋(断罪戦士ダムナーティオー・f01504)の2人である。
「ええ――そして、誰かが試合を始めれば彼は現れるとのこと」
「なら、手早く1戦目を、ですね」
そして、開始の合図を周囲の猟兵に頼もうとしたその時、彼が姿を現わした。
『おやおや、久しぶりにここが賑やかかと思えば』
ふわふわと中空に浮かぶ生首。騎士の兜を被った青年の霊、即ち教官騎士ハートマン。
『諸君らの勝負、我輩が預かろう』
突如として宙に現れた生首に千秋は息を呑んだ。事前に説明を受けていたとはいえ半透明の生首が降ってわけばそうもなろう。
「学園史にも名前の残る、かの教官騎士ハートマンと見受けます」
セシリアもハートマンの姿に僅かにたじろいだが、騎士の精神で礼儀を前面に押し出して言葉を紡ぐ。そのままハートマンの申し出をありがたく受ける旨を伝えれば、ハートマンは笑顔で頷いた。
『では、訓練試合を開催する――両名、開始位置へ!』
ハートマンが霊体とは思えないよく通る声で宣言。セシリアと千秋は互いに目線を合わせて頷き、地面に描かれた枠線に沿って立つ。開始距離はおおよそ10m……猟兵の能力をもってすれば、一触即発の近距離だ。
『試合、開始!』
ハートマンの合図と同時に生ずる動きは2つ。
セシリアの抜剣と、千秋の変身はほぼ同時。初動の意味では武器を手に間合いを詰めるセシリアが僅かに機先を制した形となる。
「我が暗黒剣の閃き――受けてみよ!」
「受けて立ちますとも!」
セシリアの剣――ダークスレイヤーが黒紫色のオーラを纏う。ユーベルコードの力で速度を補強された剣は、そのサイズに見合わぬ素早さでまさに閃光の如く宙を駆けた。
対する千秋は、戦闘に必要最小限なダムナーティオーを召喚装備。培ってきた戦闘勘で迫りくるセシリアの剣を見事にパリィ――弾き避ける。
「今度はこっちの――」
「暇は与えません!」
鋼の響きで攻撃を掻い潜り、今度はこちらの番だとでも言うように構える千秋。しかしセシリアは機先を制したことにより引き寄せた主導権を離さぬよう、矢継ぎ早の剣戟を千秋へと見舞う。拳と剣では、僅かにセシリアの方が間合いで優れることもその攻勢を後押しした。
攻防は拮抗。セシリアの峻烈な連続攻撃を千秋はなんとか防ぎ続ける。
そういった拮抗状態において、勝敗の天秤を傾けるのに大技は必要ない。
「ぐっ……でも、一方的にはやられませんよ!」
それは言霊。歌より来るラドゥとしてのユーベルコード。
「――何もかもを置き去りに、自由に」
「なっ!?」
直接打撃ではなく、半ば魔術的な要素を孕んだ千秋のユーベルコードにセシリアの対応が遅れた。千秋のユーベルコードにより強制的に惹き起こされた感動――精神的動揺でセシリアの剣が鈍る。
つまり――生じるのは一瞬の隙。
「隙あり!」
その一瞬で拳に炎を纏い繰り出すことを千秋は躊躇わない。力強い踏み込みと共に一撃KOを狙って放たれた拳は、アッパーカットの軌跡を描いてセシリアの顎を目指した。
「いや、まだだ……!」
背を逸らすセシリア。千秋の拳から逃れようとしての行動は、同時に大剣を振りかぶる動作にも繋がった。
千秋の拳が辛うじてセシリアの顎を捉えるが――セシリアが咄嗟に軸線をずらしたことにより想定通りの威力とはいかない。セシリアの身体を傾がせることには成功するも、そのまま倒れさせるには足りなかった。
「浅い、のか!」
歯噛みする千秋。全力で拳を放ったが故に、護りは薄く。
「貰いました――!」
揺れる視界の中に千秋を捉えるセシリア。大剣を振るえば、身体に染み付いた技術が刃を首を狩る軌跡へと乗せた。
『そこまでぇ!』
ハートマンが試合終了を告げる。それはセシリアの刃を必殺と判断したが故に。
「一本、とられてしまいましたね」
「いえ、先ほどの拳も十分脅威でした。一歩違えば……」
千秋が悔しそうな、しかしどこかすっきりとした表情で言えば、セシリアは謙遜ともとれる言葉で返す。実際、当たり所次第では千秋が勝利していたという見方はこの場に居る誰もが同意するところであろう。
『勝負は時の運。今回の勝敗に一喜一憂せず、今後の糧とするといい』
その見方を代弁するようにハートマンは2人に声を掛けた。
『セシリア殿。その大剣を振る技量、お見事。剣筋からは真っ直ぐな騎士道精神が見て取れた――が、戦場に於いて卑怯の2文字を嫌い過ぎることは落とし穴でもある。フェイントを始めとする騙す技術をも使いこなすがよろしいだろう』
「ありがとうございます、ハートマンさん」
『千秋殿。守りと攻撃のバランスはよろしい。身体捌きも、拳で戦う者としては十分であろう――が、如何せん手札が少ないように見受けられる。戦い方の選択肢、攻め方の豊富さが貴殿の強さを1つ引き上げてくれるものと愚考するが』
「……確かに、僕の攻めは脳筋で一本調子ですから」
最後にハートマンからの指摘を受け、2人は訓練場の端へと移る。
――そして、入れ替わるようにして新たな猟兵が開始位置へと着くのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
イデアール・モラクス
【ペア指定無し】
ほほぅ、猟兵同士の模擬戦か…なかなか面白いではないか…。
誰ぞ、私の相手をしてもらおうか!勝ったら私の身体を好きにして構わぬぞ!
・戦い方
「模擬戦には模擬戦の作法がある、無差別破壊ばかりが私のやり方ではない」
UC【鏖殺魔剣陣】を『全力魔法』で威力を増し、『範囲攻撃』で空を埋め尽くすほどの数に増やした上で『属性攻撃』で《雷》を纏わせ、『高速詠唱』を用いて『一斉射撃』と『乱れ撃ち』による二種の『制圧射撃』を敢行。
「幽鬼の心さえ震わせる舞、共に舞おうぞ!」
弾雨を抜けてくるなら魔剣ドミナンスで応戦、巧みな『武器受け』や豪快な『薙ぎ払い』など我が剣術の技量を見せてやろう。
※アドリブ大歓迎
エドゥアルト・ルーデル
模擬戦ですって!?新世界に向けてアレを練習しておくか…
基本は全力で小細工を弄し嫌がらせと足止めと奇襲でござる!
序盤は【クイックドロウ】にて牽制射撃、【罠使い】にて足に絡むワイヤーや捕縛ネットといった相手の行動を阻害することに重点を置いて行動
次に上手く相手が足を止めたらスタングレネードと煙幕にて視覚と聴覚を狂わせ反撃を封じるでござる
これでマナイタオンザカープ…仕上げですぞ!
相手の背後から【忍び足】で近づきこの流体金属君を懐に【スリ渡し】でござるよ
つーかまーえた❤相手が鎧を着ていようが流体金属君が隙間から入り込んで弱点をくすぐりあげるゾ!悶える所をじっくり観察DA!
特にアドバイスは要りませんぞ!
●壮年と魔女
新たに開始位置についた2人の猟兵は、先と同じように男女の組み合わせであった。
「さて、貴様が私の相手か……勝ったら、私の身体を好きにして構わんぞ?」
「はっ、おっさんにそんな冗談を言っていいんですかな? 本気にしてしまいますぞ?」
外見から見て取れる年齢は互いに30代半ば。勝敗に己の身体を賭けたイデアール・モラクス(暴虐の魔女・f04845)も、軽口でそれに応じたエドゥアルト・ルーデル(黒ヒゲ・f10354)も、口先に上らせた言葉の半分以上は冗談だ。
「何、せっかくの猟兵同士のタイマンだからな。楽しむにはニンジンの1本くらい吊り下げたほうがよかろう」
「んんー? 随分と余裕でござるな? ……勝負は時の運、油断は大敵でござるよ」
ご両人、とハートマンから制止の言葉が入る。これ以上は実際の戦闘で語り合えということなのだろう。
『雄弁は銀、沈黙は金。それと……イデアール殿。賭け事に己が体躯を供するのは、いささか行儀が悪いかと』
「すまんな、ハートマン――どうにもお喋りが過ぎたようだ」
ハートマンに窘められ、イデアールは肩を竦める。その動作に合わせてブラウスに包まれた豊満な胸部がたゆんと揺れた。
「まぁ、見るだけでも十分でござるがな」
呵々と笑ったエドゥアルトを、ハートマンが半目で見る。
仕切りなおすようにハートマンが咳払いをすれば、さすがに戯れが過ぎたと2人の猟兵は真面目に戦闘姿勢を取った。
『さて……それでは。試合、開始!』
首だけだというのに腹か出したような大声。訓練場全体に響くような声で模擬戦開始が告げられ――動いたのはエドゥアルトが速い。
「拙者の全力でござる!」
コンマ秒で抜き撃つのは10mm弾を使用するオートマチックピストル。それこそコマ回しで見なければ判らないような速度でエドゥアルトの手中に現れた拳銃が、その抜き打ち速度からは考えられない精度でイデアールを狙い撃った。
放たれる弾薬は模擬戦用のゴム弾。とはいえ、直撃すれば良くて打撲、当たり所によっては骨折も免れない威力のもの。
「男の早撃ち、確かに戦場では誇れる技能だろうよ!」
が、攻勢には出遅れたとはいえイデアールも無策ではない。視線をトリガーとする無言詠唱が齎すのは彼女の十八番であるユーベルコード――鏖殺魔剣陣の魔法陣。
「おっと、牽制に対してマジレスでござるか!?」
「せっかくの模擬戦だ、マジでなければ失礼というものだろう?」
エドゥアルトの弾丸1発に、弾丸を撃ち落とした上でイデアールの魔剣3本が返るような弾幕射撃。視線という強力無比な対象指定能力から来る命中精度の高さにエドゥアルトは舌を巻く。
とはいえ、驚いてばかりもいられず。エドゥアルトが咄嗟に選択するのは側転による射線軸からの退避。無論、彼は一歩間違えればそのまま串刺しになるような策を何も考えずに行うような男ではない。
「ごもっともでござるなぁ――なら、本気の本気だ」
側転と同時、エドゥアルトの片手が閃く。最小限の手首のスナップで投じるのは両端に重石の付いたワイヤーロープ。数トンの重量に耐えるそれは、足にでも絡まれば動きを戒めるのは確実だ。
「ハン、たかが糸切れ一本で!」
イデアールの視線が僅かにエドゥアルトから外れる。術者の視線に従い、投射される魔剣の数々がワイヤーロープを寸断し――ロープの切断に要した一瞬ともいえぬ僅かな時間こそがエドゥアルトの狙いであった。
「たかが糸切れ、されど糸切れ。注意を逸らすには十分でござるな」
「なんだとっ」
エドゥアルトが取るは開戦直後に見せたクイックドロウと同じ行動。即ち、目にもとまらぬ速度での抜き撃ち――ただし、抜き放つのは拳銃ではなく投擲物だが。
甲高い音と共に炸裂するのはスタングレネード。強烈な音響に加えて朦々と立ち込める煙幕により敵対者の行動を制限する非殺傷鎮圧装備だ。
「くっ、味なマネを!」
イデアールの攻勢がぴたりと止まった。視線誘導というコードの性質上、目潰しを喰らえば攻撃方向の指定がされずに魔剣の射出が止まるのである。
「小細工に嫌がらせ、それと奇襲が拙者の本分でござるからなぁ!」
そして、直前まで降り注いでいた魔剣の弾雨が無くなればエドゥアルトを押し止めるものは何もない。閃光による目潰しが、煙幕による攪乱が効いているうちにとエドゥアルトは勝負を決めにかかる。
「マナイタ・オン・ザ・カープ……仕上げですぞ!」
足音も気配もなく。煙幕というダメ押しもあり、エドゥアルトはイデアールの後背を確保。片手に持った金属棒をイデアール向けて突き出す。
「間合いを詰めれば勝てるとでも? 我が舞は幽鬼の心さえ震わせると心得よ!」
が、魔術戦だけがイデアールの取り得ではない。
自らの周囲を切り払うように一回転。輪舞曲のステップによく似たその動作に伴うのは異空間から抜刀された魔剣ドミナンスの刃。無類の剣豪とまでは言わずとも、魔術師が己の身を護るには十分すぎる技量の剣戟がエドゥアルトの金属棒を迎撃する。
「いやいや……既に仕掛けは上々、気付いた時には終いでござる」
切断された金属棒が、しかしまるで生き物のように蠢いてイデアールへ襲い掛かる。
「――なるほど、詰みということか」
「ご理解いただければ何よりでござるよ……まぁ、ちょっと遊ばせてはもらいますがな」
流体金属――オウガメタル・Spitfire。自我を持つ金属はエドゥアルトの狙い通りイデアールに絡みつき、足裏や脇腹といった男女を問わない弱点を擽っていた。
最初の数秒は神妙な顔で堪えていたイデアールも、一度決壊するともうダメ。オウガメタルに擽られて過呼吸にも思える笑い声をあげ始める。
『……エドゥアルト殿の勝利』
イデアールの笑い声を決着と見て、ハートマンが勝敗を告げる。
試合前のどこか剣呑なやり取りからは考えられない朗らかな決着に、観戦していた猟兵からも少々の苦笑が零れるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アニカ・エドフェルト
@
さて、わたしの、相手は、あなたですね。
よろしく、お願いしますっ(勢いよく礼)
ええと、UC、使って、大丈夫、ですよね。
《舞踏天使》で、リズムを作りつつ、《転投天使》を、使うタイミング、狙って、行きましょう。
その後は、UCじゃ、ないですが、〈怪力〉で、足周りの関節、極めてみたり、です。
相手の攻撃も、《死闘天使》の為に、受けられるだけ、受けてみます。
…悲鳴が、出ちゃうことも、ありそう、ですが。
・勝った場合
ふぅ…お手合わせ、ありがとう、ございましたっ
っと、大丈夫、ですか…?(《生まれながらの光)》
・負けた場合
(手足を大きく広げた大の字で倒れてる)
負け、ました…お強い、ですね。(悔しそうだが笑顔)
伊美砂・アクアノート
【WIZ 奇術札・紙馘剣】
正直、正々堂々の一騎打ちは苦手でね。本気の遊びだと思って、イイカンジに死なない程度の全力で戦わせてもらおうか…!
大道芸セットの折りたたみ帽子をポンと広げて頭に載せ、タロットカードをふざけてシャッフルしつつ相対。【奇術札・紙馘剣、投擲】でカード投げ連射、接近されたら帽子からアピアリングケイン(手品用の飛び出し杖)を伸ばして、【早業、だまし討ち】、仕込み長靴の蹴り技、ロープダートの振り回し投擲も織り交ぜつつ、けらけら笑いながら意表を突いていくよ。・・・ほら、俺様ちゃんってば意外性のある女っていうかー、全て曝け出すよりミステリアスな秘密があるのも良くない? みたいなっ!
●格闘奇術
ハートマンが次の試合を宣言する。
開始位置に着いたのはどちらも女猟兵。しかも片方はかなり幼い容姿をしていることもあり、回復術や応急手当の心得がある猟兵ははらはらした表情をしていた。
「わたしの相手は、あなたですね。よろしく、お願いします!」
「こちらこそ、よろしくよろしく。本気の遊びだと思って、イイカンジに全力でやり合わせてもらうよ」
勢いよく一礼したアニカ・エドフェルト(小さな小さな拳闘士見習い・f04762)のツーサイドアップがぱさりと揺れる。一方、開始位置を示す線を挟んで対峙した伊美砂・アクアノート(さいはての水香・f00329)の対応は非常に軽い。
『さて、ご両人、用意はよろしいな?』
2人の間で宙に浮かんだハートマンが確認を取る。
アニカは腰を低く落とし、ただでさえ小さな体躯がその高さをさらに落とした。両腕を左右に広げて構えれば、小さな拳闘士に出来る最高のファイティングポーズが完成する。
アクアノートはまさに奇術師を思わせる動作で額を叩き、折り畳みのシルクハットを被る。手慰みで操るタロットカードはユーベルコードのタネだ。
『では――試合、開始!』
ハートマンの声と共に瞬発するのはアニカ。拳という白兵距離を得意とする以上、まずは間合いを詰めなければ戦いにならないのだ。
「引き撃ち、とまではいかないけど……容易く近寄らせはしないとも」
フラリッシュ、スプリング・ワンハンドシングルカット。左掌に撓んだタロットカードを持ち、中空を舞わせて右掌へ。右掌に届いたタロットカードは次々とユーベルコードの力を得て投擲されていく。
「奇術札、紙馘剣――君の運命は、この絵札にて断ち切られる」
「くぅっ……でも、まだまだ、です! あなたの力、もっと、見せて、下さい!」
10mの距離はアニカには遠い。猟兵としての身体能力があっても、そもそもの歩幅や体格が小さい。真正面からアクアノートのカードを喰らう形となるアニカだが、それすら力に変える術が彼女にはあった。
即ち、ユーべルコード死闘天使――相手への興味こそ、闘志の根源。
「さすがにこれだけじゃ決まらないか!」
「簡単には、負けませんっ」
腕はガードポジションに。幼いながらも格闘戦の知識は十分。小さな体躯は投射面積という意味でも有利に働き、ステップも含めて最終的な被弾率は3割程度。少なくない被弾と引き換えに、アニカはついにアクアノートを間合いに捉えた。
「ちょっと、痛かった、ですけど……これで、私の、間合いです!」
地を這うようにしてアニカの拳が伸びる。アクアノートの脚を両サイドから挟み込むことを狙うその一撃は、投げ技や関節技につなげるための布石の一撃だ。
「おや、奇術師の武器はカードだけじゃあないんだぜ?」
しかし、アクアノートは余裕を崩さず。むしろ獲物が罠にかかったことを喜ぶような表情を浮かべて、長靴の踵を鳴らした。
仕込まれた機構が動作に要するのは一瞬。鋭い音と共に爪先から剃刀が飛び出し、アクアノートは凶器と化したその靴を容赦なくアニカへと向ける。
「安心しな、模擬戦ってことでただの鉄板に変えてあるから」
掴もうとしていた脚による逆襲。アニカの意表をこれ以上なく突くアクアノートのカウンター。
「きゃあっ!?」
ドッ、という音はアクアノートの爪先がアニカの胴を捉えた音。純粋な蹴り技として放たれた一撃が、外見通りに軽いアニカを吹き飛ばす――かに見えた。
「絶対に、離しま、せん……!」
「こりゃ、すごいガッツだねぇ」
オラトリオであるアニカは、翼による飛行能力を発揮してアクアノートの脚にかじりついたのである。当初の目的である足の確保を遂行したアニカは、むしろしてやったりという笑みを浮かべていた。
「痛く、しちゃったら……ごめんなさい!」
そしてアニカを蹴り抜いたアクアノートの脚は捕らえられて中空にある。軸足のみの片脚立ちとなっているアクアノートを転かす程度、拳法のイロハを覚えているアニカにとっては容易いこと。
「おっと――!?」
アクアノートの靴が地面を噛み、しかし抗いきれずに引き倒される。トサリ、と音が軽いのはアニカの技術がそれだけ優れていることの証左でもあり。
「これ、以上は、一歩も、動けないと、思って、ください!」
ギリギリと独特な音が訓練場に響く。それは骨と筋肉が軋む鈍い音。
「ッ……! 確かに、これはキツい! けど、ねっ!」
鋭い金属音。アクアノートがシルクハットから取り出したアピアリングケインが伸びたのだ。掌に収まるサイズから1m程まで伸びる勢いは飾りではない。アクアノートの巧みな手捌きにより、伸びる勢いはそのままアニカの額を突く一撃へと転じた。
「んぁっ!?」
鈍い衝突音。頭を背中側へと衝き飛ばすケインの一撃にアニカは間の抜けた呻き声を漏らした。額を後ろへと突き飛ばす一撃が開口を強制し、それ以外の声を許さないのだ。
「そら、力が抜けてるよっ!」
そして一瞬でも力が緩めばアクアノートは縄抜けの要領で強引に関節技から抜け出す。膝裏に僅かな痛みが残るも、アニカに捕らえ続けられることを考えれば必要経費と割り切っての行動だ。
「――これで、チェック。俺様ちゃんの意外性たっぷりの手管、いかがだったかな?」
立ち上がりつつアピアリングケインを突き付けるアクアノート。アニカの首元に置かれたケインの先端は、何らかの動作を行おうとすればいつでも喉元に一撃を叩き込めるという威嚇そのものだ。
アニカの逡巡は数秒。今の位置から逆転できる技を思い浮かべ――しかし、そのどれもが抑え込まれるという結論を出して、彼女は降参を全身で表すことにした。
「わたしの、負け、です……お強い、ですね」
ごろりと手足を大きく広げて大の字に。訓練場の床に寝そべったアニカの姿に、アクアノートもアピアリングケインを収める。
「ふふ、お褒め頂き恐悦至極――ミステリアスな戦闘奇術、演者は伊美砂・アクアノートでお送りしたよ」
倒れたアニカに手を差し出すアクアノート。その手を取り起き上がるアニカ。
『ふむ、良い試合であった!』
ハートマンの言葉に釣られ、観戦中の猟兵からも拍手が湧く。
アクアノートは堂々と、アニカは何処か照れた表情でそれらを受け、次の猟兵へと訓練場の中央を譲るのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジャスパー・ドゥルジー
【狼鬼】
◎
ザザの傷は俺が癒せる
俺は傷つくと嬉しい
つまり何の遠慮も要らねえ
はしゃぐに決まってるだろ?
腹にナイフ奔らせ流れる血で【イーコールの匣】
造り出すのは巨大な鎌
弾雨を弾きながら肉薄
ちょっとの負傷は【激痛耐性】でスルー
その首貰ったぜ!
派手に鎌をブン回し警戒させつつ蹴りを放つフェイントも交え
奴の分析を掻い潜ってやる
模擬戦らしからぬ本気の応酬
きっと俺だけじゃねえぜ
ザザだってああ見えてクソ熱血野郎だからなァ
「殺すつもりで来いよ、死なねえから」
ああ、その目だ
俺の好きな狼の目だ
血塗れの貌で獰猛に嗤ってみせる
「頭フッ飛ばされたって相打ちにしてやる」
鎌が揺らぎ無数のナイフに変形
念動力で操って串刺しにしてやる
ザザ・クライスト
【狼鬼】◎
「ハシャギ過ぎだろォが……」
コイツとヤるのは三度目か
イイぜ、"オレ"を愉しませろよ?
バラライカで【先制攻撃】
奴の頭を【制圧射撃】で抑えながらサイバーアイで【情報収集】
隙を突いて【部位破壊】で機動力を奪う
肉薄する奴の鎌に切り裂かれ、しかし銃床を容赦なく叩きつけて【吹き飛ばし】
ヒートアップすると煙草に火を点けて【ドーピング】
左目は閉じたまま、右目が輝き"狼の目"が顕れる
「オマエ、まだ死なねェつもりだったのか?」
金の尾がザワリと揺れた
【自暴自棄】を発動
力でねじ伏せる
突き刺さるナイフをそのままに顔を掴んで地面を喰らわせる
その後頭部に【零距離射撃】
「何処まで死なねェンだ?」
開いた左も"狼の目"
●血戦
ハートマンは試合開始数秒で中止の声を我慢するハメになっていた。
ザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)の持つ短機関銃バラライカが開戦を告げる咆哮を放ったのは良い。模擬弾とは思えないマズルフラッシュと弾痕についても、百歩ほど譲って良しとしよう。
「えらくハシャいでんじゃねぇか、アァ?」
凶悪な笑みを浮かべたザザが、対戦相手の狂乱を楽しそうに眺めていることも……この際不問とする。
「はっ、あんたの傷は俺が癒せて、俺は傷つくと嬉しい――遠慮が要らねぇんだ、ハシャぐに決まってんだろぉ?」
『なぜ君は試合開始と同時に割腹しているのかね!?』
ジャスパー・ドゥルジー(Ephemera・f20695)の取った初手割腹はハートマンの長い人生(幽霊期間含む)でも初めて。少し世界線を変えれば何かにつけて割腹自殺を良しとする世界もあるのだが、それはハートマンのあずかり知らぬことだ。
「うるせぇよハートマン。オレとジャスパーは愉しくヤってんだ」
「ああそうだ、安心してくれよミスター・ハートマン。死なねぇ限り、死なねぇから」
『何当然のことを誇らしげに言っているのかねジャスパー殿!?』
ハートマンが叫ぶも、当の2人は我関せず。
「てぇわけだ……無粋なレフェリーストップなんざ入れるんじゃねぇ」
「そういうわけだ! さぁ、ヤろうぜ、ザザァ!」
むしろ2人のボルテージは上がりっぱなし。ザザの腰からは金の尾が伸び、ジャスパーから流れ出た血は流体金属の如く武具の形状を取る。
「ハッ、それでこそ! これで3度目、今回もオレを愉しませろよ?」
「ああ、今回も、殺すつもりで来いよぉ!」
バラライカが再び咆える。連続する炸裂音は連なり数十数百の弾丸が雨のようにジャスパーへと降り注ぐ。訓練場の床に弾痕を残すそれは、無論のこと実弾だ。
が、血より錬成した鎌を手にしたジャスパーは初撃のようにやられっぱなしではない。片手に両手に、変幻自在に柄を持ち換え、ある時は薙ぎ払い、ある時は刃を壁に。血の刃は次々と襲い来る弾丸の大半を防いで見せた。
それどころか踊るようなステップでザザとの間合いを詰めてみせるのだから、酔狂な言動を除けばジャスパーは一流の戦士と言って差し支えない。ハートマンもその実力は認めざるをえないらしく、唸り声と共に戦況の推移を見守っている。
「チッ、弾が足りねぇか? それとも――」
「もう俺の間合いだろ、ザザァ! その首、貰ったぜぇ!」
バラライカが沈黙。弾切れの一瞬を突いてジャスパーが間合いを詰め切る最後の一歩を踏み込んだ。無論、その行動には刃が伴っており――先端を引っ掻けるような斬撃がザザの胸元に横一文字の傷跡を刻む。首を狙った一撃を避けたザザの身体捌きに、ハートマンは完全に試合の止め時を見失った。
「甘ぇよ!」
吐き捨てる声と共にザザが選ぶのはバラライカの再装填――ではなく、ストックを用いた鈍器としての一撃。銃身を握ってフルスイングされたバラライカがジャスパーの側頭部を強かに殴り抜いた。
「ぶっは!?」
頬から耳にかけてを派手に打擲され、ジャスパーは堪らず唾を吐き呻く。ぐにゃりと視界が歪むのは、ザザの一撃が脳を揺らしたが故に。
ジャスパーがたたらを踏むのをザザが見逃すはずもなく、間合いを取りなおすためのケンカキックで追撃する。割腹自傷した位置を的確に蹴り抜かれ、ジャスパーは数歩を後退った。
結果として、2人の距離が数mまで戻る。
「さぁ、どれくらい殺せば死ぬ?」
ザザが靴底を床に擦り付ける。ジャスパーの血が乾いた足跡を作った。
「まだまだ、足んねぇよ」
ジャスパーの吐く唾は赤い。口の中が切れているのだ。
「まっ――これで仕切り直しだろう?」
「違いねぇ」
全力フルスイングにより銃身の歪んだバラライカを捨て、ザザが懐から取り出すのは1本の煙草。手馴れた様子で火を付け……一服のために閉じられた目が開かれれば、そこにあるのは光り輝く狼の目。
「ああ、その目だ、その目が見たかったぜぇ!」
ザザの一服を待つのは、ソレを経たザザは死ぬほど痛めつけてくれると知っているが故に。ザザの本気を示す獰猛な右目に、ジャスパーは歓喜の声をあげて吶喊した。
「だが――これで命運の尽きだ」
ぞわり、と。ザザの金尾が逆毛立ち、それと同時にジャスパーの背筋を冷たい死の感覚が駆け上がる。
咄嗟の判断で血の鎌を無数のナイフへと変形させるジャスパー。念動操作され襲い来るナイフの雨を、しかしザザは一顧だにせず。ナイフをものともしないザザが、血塗れの笑顔で突き進んでくるジャスパーの首を横合いから殴り倒し捻じ伏せるまでに要する時間は数秒足らずであった。
「がっ!?」
顔面から地面へ押し付けられたジャスパーが恍惚と苦悶の混じった呻き声を上げる。それを無感動に見下ろし、ザザが引き抜くのはバラライカに並ぶ愛銃――アザゼル。
ジャスパーの後頭部に銃口を押し付け、零距離でトリガー。乾いた銃声は、柔らかな人体の内容物が飛び散る湿った音を引き連れていた。
「……ったく、何処まで死なねェンだ?」
呆れたようにザザが零す。脳漿をまき散らして未だ死に至らぬジャスパーに向けての言葉は、どこか哀れみが籠って聞こえた。
『し、試合、終了……』
ハートマンの声が試合終了を告げる。
暫くして起き上がったジャスパーも含め、2人の猟兵に訓練場の清掃が言い渡されたのは言うまでもない。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第2章 冒険
『巨大なチェス盤』
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POW : チェスボクシングで勝負だ。破壊して突破。
SPD : 襲い掛かる駒を回避して突破。
WIZ : 正攻法にチェスの勝負だ。勝利して突破。
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●戦術訓練場
猟兵たちの模擬戦……とその後の清掃が終わった後のことである。
『そう、そもそも諸君らは何の目的でこの訓練場へ? ここは旧校舎、来るには随分と手間がかかったものだろう』
ハートマンが猟兵たちに問うたのは、来訪の目的であった。
旧校舎に巣食うオブリビオンの討伐が目的である、と猟兵たちが告げればハートマンは思案顔を浮かべる。模擬戦を振り返り、猟兵たちが旧校舎のオブリビオンと対峙できるかどうかを吟味しているのだろう。
そして――
『あい判った。そういう事であれば、ちょうどいい場所がある』
頷くような動作と共に、ハートマンはとある場所を猟兵たちに紹介する。
そこは、1対1ではなく多対多の訓練を行うために用意された場所。チェス盤を模したフィールドと、自律する巨大なチェスの駒の用意された戦術訓練場だという。
『諸君らの実力であれば、各種の駒を御してオブリビオンと戦う際の戦力にも出来よう』
ふよふよと、生首であるが故に指差すという行動が出来ず、ハートマンは猟兵たちを自ら戦術訓練場へと案内する。
案内された先には、模擬戦を行った訓練場より1回り広いチェス盤と、1つ1つが猟兵たちと同じ程度の大きさを持つチェスの駒。ハートマンの言う通り、ギミックの攻略が終わればこれほどオブリビオンを待ち受けるのに適した場所はないだろう。
久々の来訪者に、チェスの駒もどこか嬉し気な稼働音と共に猟兵を迎えるのであった。
伊美砂・アクアノート
@【WIZ 水毒香・迷光死水】
…真面目にやってもいいのかしら? 敵が来る前に駒を壊したくはないですし。それに、この子たちの動きも見ておきたいし。 とりあえず、初手でポーンを2つ前に進める。次手はナイトで追いかけ、盤面中央に展開。ポーンを連続して失う代わりに、数手先から敵のキングを猛追するギャンビット狙い…だけど、乗ってきてくれるかな? 誘いに乗ってこなかったら、盤面は落ち着いちゃうけど端のポーンでも上げておきましょうか…。【時間稼ぎ】ですぐ負けないように駒を動かすけど…駒と戦いたいヒトがいるようなら、そちらも勘案して盤を動かしてみようかな。負けてもいいので、味方の援護として駒を動かしてみよう
アニカ・エドフェルト
@
チェス…と、いえば、コマごとに、動きが、決まって、いましたね。
となると、もちろん、攻略も、狙いますが、
どれくらい、チェスのルールに、縛られるか、試して、みたい、ですね。
あまり、詳しくは、ありませんが、コマの、動き位、なら…。
コマは、つるつるして、掴みにくそう、ですから、攻撃は、《舞踏天使》が、中心に、なりそう、ですね。
自分がコマに、なってしまうのか、とか、いきなりキングを、狙えたりしないか、とか、《空中戦》で、3次元的に、戦えたり、しないかとか、自分側の、コマを、動かす練習とか、いろいろ、やってみます。
なかなか、難しい、ですね…。うまく、操れるか、ちょっと、不安、ですが、頑張ってみますっ
●オープンゲーム
ハートマンは、このチェス盤を模した戦術訓練場の事を戦場だと評した。それも、蒸気魔術の類で半自動化されているが故に教材として最適であるとも。
(どういう意味かしら? 駒の動き方は有限。研究されつくしていない部分も多いとはいえ、チェス盤が戦場と同じくらい千変万化かしら?)
アクアノートは眼鏡のツルを指先で弄りつつ内心の疑問を反芻する。
掃除を命じられて後に合流することになっている数名を除けば、先の模擬戦に参加した大半がこのチェス盤付近へと集っている。が……どう手を出したものか、あるいは攻略したものか、悩んでいるのはアクアノートだけではない。
「どれくらい、チェスのルールに、縛られてるんで、しょうか……」
最も小さなポーンの駒と比べても頭2つほど小さなアニカが首を傾げつつ呟く。その動作と共にアニカはチェス盤へと踏み込み――駒を動かそうとしたのだ――それが、猟兵たちにひとつの糸口を与えた。
「へ……?」
アニカの踏み込んだマスに配されていた白のポーンが、小さくなる代わりに2つへと。そして従者の如く、アニカの左右に付き従う。
「……なるほど、参加者が入った場合は駒としても扱われるわけね」
「あ、アクアノートさん。これ、どう、しましょう」
ふむ、と頷いたアクアノートを、アニカは助けを求めるように見る。模擬戦を1試合経ているが故、他の猟兵より心的距離が近いのだろう。
「とりあえず、他の駒を動かせないかやってみる。ちょっと待ってて」
ダメ元でやってみる価値はあるか、と。アクアノートは棋譜を読み上げる要領で声を上げる。読み出すのは定石のひとつ、ポーンを犠牲にし他方面での優位を確保するギャンビット……その中でも特に早指しで用いられるダニッシュ・ギャンビットの変化形。
アクアノートの声に応じて動いた駒はポーン3本、後にナイト1本。猟兵側の駒が1つ動けば即座に黒の駒も1つ動き、都合4手が進む。
「ナイトによる追走も出来た、ということは動かし方は棋譜で良いみたいね」
定石通りに返してくる黒駒の様子を検めつつ、アクアノートは納得のため息を漏らす。駒同士のやり取りではチェスのルールが保たれていることも確認でき、次第にこの訓練場の勝手が判ってきたのだ。
と、なれば。
「アニカ、動いてみて。とりあえず、前に2マス――もし、チェス盤に止められたりしなければ、そのまま斜め前のポーンを取れるかどうか」
「は、はい!」
とてとて。1辺が5m近くあるマスをアニカが行く。ミニサイズのポーンはアニカの動きに自動的に追従した。
「わぁ、勝手に、動いて、ます」
「……どういう仕掛けかしら?」
アニカがアクアノートの指定したマスへと辿り着く。棋譜による指示ではない故か、自動差しは対応せず。
「そのまま、仕掛けてみて」
「やって、みます!」
アクアノートに後押しされ、アニカはユーベルコードを発動。軽快なステップによる加速の後、ふわりと浮き上がったアニカの足刀が自動差しのポーンへと襲い掛かり――
「ええいっ!」
響いたのは、防御の打音。黒のポーンが一瞬のうちに歩兵へと姿を変え、アニカの蹴りを受け止めたのだ。それだけでなく、僅かな間を置いて槍による一撃を返すほど。
「――わたしの、動き、見切らせ、ません!」
とはいえ、猟兵の相手になる程の力量をいち歩兵が持つわけもなく。アニカの速度に追従できず槍は空を切り、振り落とされた踵落としによりあっけなく決着。
砕けた歩兵がさらさらと盤上に崩れ落ち、消える。本来のチェスではあり得ざる盤上乱闘だが、チェス盤が何らかの異議を申し立てる様子はなかった。
「なるほど。駒同士を使えば戦局を見通す訓練が。人が入れば連携や戦術の訓練が。確かに、これは上手く使えばどんな戦場でも再現できるわね」
そして、駒の破壊を1手と数えたのだろう。アクアノートがしたり顔で呟く間にも黒ポーンが動き、白ポーンが盤面から消える。
盤面中央はアクアノートが当初計画した通りの乱戦模様。
「ほかの、駒とも、戦って、みますね!」
「ええ、お願い!」
故に、アニカはそこへと飛び込むことを選択する。
おおよその流れはチェスに似て、しかし猟兵という駒の参じた盤上は混沌の様相を深めながらも着々とギミックの攻略へと進んでいくのであった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ザザ・クライスト
【狼鬼】◎
「討伐が任務であります。サー!」
クソ、オレ様としたコトがハシャギ過ぎた
軍曹の目が冷たいぜ
先任の話は聞かねェとな
「で、チェスか。ヤりゃァいいンだろ」
ドローンで【情報収集】
敵の位置を探り有利なポイントで【先制攻撃】
「ジャスパー、遠慮はいらねェ、 派手にヤれ」
奴に敵を【おびき寄せ】
ジャスパー自体はビショップで【援護射撃】
惹きつけた雑魚をポーンの【制圧射撃】で黙らせる
乱戦になりゃァ、ナイトとクイーンを投入
ガンビットは嫌いじゃねェ
「キングを捕捉した。いつまで雑魚と戯れてやがる!?」
【狩猟者】を発動
レオンハルトに跨り【追跡】
ア? クイーンが気になる?
オマエはアホか!
レオンにツッコミ、敵に突っ込む
ジャスパー・ドゥルジー
【狼鬼】◎
訓練場に行く前にザザの傷を聖者の光で癒しておく
俺?俺は自分は癒せねえんだ
包帯をキツく巻いて止血ならぬ止脳漿
掃除頑張ったから許して欲しい
自分の肉片をモップで掃くのは流石に初体験だったぜ
「実戦形式で頼むぜ」
チェスは知らんが要はキングの護りを引き剥がしゃいいんだろ?
【ゲヘナの紅】で己を強化
雑兵どもを惹きつけて燃える拳で討伐
UC効果で生命力分けて貰うぜ、流石に今日は死にかけた
キングを捕捉したとの言葉に
「あんたが最強の駒として行きゃいい」
なんてったって“エリザベス”――女王陛下の名じゃねえか
こないだ知った本名でザザを呼んでやる
嫌がられるかね?
レオンの奴、マジで分け隔てねェな
いっそ尊敬するわ
●Gambit
清掃を終えた2人は、他の猟兵から暫し遅れてその戦場を訪れていた。
既にチェス盤中央は1本あたり2m近いサイズのチェス駒が睨み合うギャンビット、駒同士の展開が進みつつある乱戦。ポーンならばともかくナイト・ビショップといった中堅以上の駒が前線に出張ってきたことにより、いかな猟兵とはいえ鎧袖一触では片付かず。
「ハァン、単なるチェス駒じゃねぇってか」
これまでの経緯は、掃除中に放っておいたドローン――Ghost3DVを介しておおよそ把握済みであったザザが呟く。
「――これでヨシ、だ。治療終わったぜ」
「オウ……って、テメェ、自分は治せねぇのは相変わらずかよ」
その傍らには、額中央にシール式の治癒符を張り、その上からさらに包帯をキツめに巻き付けたジャスパーの姿。普通であれば痛々しく映るはずのその姿も、ジャスパーだというだけでそこまで違和感なく感じるのは本人の気質故か。
掃除中には手の回らなかった細々としたザザの手当を終え、当のジャスパーはザザの呆れ声にも良い笑顔で応える。
「こればっかはなぁ」
コツン、と傷痕を小突くジャスパーに対し、ザザは正真正銘の呆れた溜息で応えた。
「ま、自分の肉片を片付けするなんていう珍しい初体験も終わった。お前の治療もバッチリ完了――何か文句でも?」
「強いて言えば、ジャスパー。あれだけやってもテメェが死んでなかったことだな」
クッ、と2人の喉が同時に鳴る。ツボに入ったのだろう、その含み笑いは暫く続き。
「本題だ……遠慮はいらねェ、派手にヤれ」
「ヒュゥ、こっちのお望み通りの実戦形式ってこった」
まさに躍り出るという表現が適切。ザザが3DVによる俯瞰で確認した戦場、その中央に位置する乱戦域へ2人は勢いよく駆け込んだ。
「チェス駒から怒り……はさすがに厳しいか? それとも、あんたらのキングをチェックすればちょっとは怒ってくれるのかい?」
先頭を征くはジャスパー。その勢いの良さが評価されてか、白のルークが即座に左右へと侍る。全身に炎を宿し、燃え上がる腕で貫くは黒のポーン。ポーン同士で睨み合っていたところに横槍を入れた形となった。
「そのまま喰いちぎってやれ、ポーン同士の睨み合いが崩れりゃ駒も動きやすい」
一方、ザザはナイトを引き連れる形で戦場に降り立った後は派手に動かず。棋譜読み上げの形で駒を動かす猟兵と情報交換を行いつつ、静かにチェックを狙う。そのために探すのは黒のキングだ。
「なるほど、駒自体の動きはほとんど定石通りってこった」
そして、棋譜の情報に従って3DVの目を向ければ……キャスリングされたキングをすぐさま発見。通常のチェス盤であれば一目見ればわかる戦況も、この場はサイズが桁違い。ザザのドローンによる広域探査は戦況の把握にもってこいであった。
「ジャスパー! 雑魚とばっか戯れてんじゃねぇ――キングを捕捉したぞ」
「へぇ、そりゃあ!」
紅蓮の殴打で2体目のポーンを叩いたジャスパーの血色は、ユーベルコードによる回復を得て戦闘開始時よりもいくらか良い。そして、多少血の気を取り戻した彼の唇がニィと吊り上がった。
「最強の駒はあんただろう、エリザベス?」
口の端に乗せるのはザザの本名。有名な女王陛下と同じその名を、チェス盤の上でわざわざ呼ばわる。そしてその修飾語は最強の駒。
「――良いぜ、乗ってやるよ」
その詠唱は、ザザという男が相棒を呼び出すもの。獅子心の名を与えられたのは狩猟者たるザザのバディ。ナイトが彼に配された理由の一端。
「オレがチェックを掛けるとこ、指を咥えて見てなァ!」
ザザに侍るナイトもまた、騎兵としての姿を露わに。巨躯を得た狩猟犬と、騎馬2頭からなる一団が乱戦を飛び越えキングの喉元を目指す。
――が、その快進撃は猟犬の気まぐれで僅かに逸れることとなった。
「ッ!? レオン、このタイミングで悪癖を!?」
「……アイツ、マジで分け隔てねぇのな」
猟犬レオンハルトの種族を問わぬ女好きのサガが、突撃の切っ先をキングではなくクイーンへと向けさせたのだ。友の快進撃を見ていたジャスパーが思わず気の抜けた笑いを漏らすのも当然だろう。
故に、ザザの持つ牙――大型のソードブレイカーは、クイーンの持つ杖と火花を散らす形となる。
「……しゃあねぇ、ちょっとばかしオレの相手をしてもらうぜ、黒い女王さんよォ!」
チェックメイトはならず、しかし最強の駒を縫い留めるという活躍は十分。混戦はザザの突出で猟兵優位へと大きく傾く。
猟兵によるチェスギミックの攻略は、既に半ばを過ぎつつあった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
セシリア・サヴェージ
チェスのギミックを利用するためにはまずは私たちがギミックを攻略しないといけない、というわけですね。
後に利用するのであれば駒を破壊する等の強引な方法は避けた方がよいかもしれません。
ここは正々堂々ルールに則って勝利を収めましょう。
チェスの経験はありますが、果たしてどこまで通用するか。
【第六感】【学習力】で序盤のうちに相手の戦法や行動パターンを読み解き、対応した動きで攻略します。
ですが……駒を取られると感じたらUC【呪縛の冷気】で敵駒を凍らせ回避します。
ルールに則ると言いましたが、この場においてユーベルコードの使用を禁止するルールはないので何ら問題ありませんね。
●アイス・ピン
セシリアの目は時折盤外へと向いていた。己が撃破した駒が再利用可能かどうかを確認しているのだ。
「ギミックを利用するためには、まずは私たちでギミックの攻略を。後々の事を考えれば駒の破壊について悩む面もありましたが……」
暗黒剣による一閃で、対峙したポーンを切り崩す。鋭利な断面をセシリアに曝け出しながら崩れ落ちたポーンは、しかし盤面から消えた後に盤外で再生を果たしている。盤上の乱闘で破壊されることも織り込み済みらしい。
「メンテナンスフリー、極まれりといったところですか」
そして、セシリアがナイトを「獲った」ことにより黒の手番。即応の2文字がふさわしい速度で襲い来る黒のナイトに対し、セシリアは空いた左手を翳して応えた。
「私を取るのが目的のようですが――甘いっ!」
セシリアの掌から放たれるのは、駒の黒よりもよほど黒い漆黒の冷気。極限まで冷え重くなったそれらは盤上を舐めるように広がり――接触した個所を瞬く間に凍てつかせた。
「動けぬ体に残された瞳で、真の恐怖を味わうがいい――呪縛の冷気!」
そして詠唱の完成と共にそれらが暴威を揮う。極寒の雪嵐と化した空気が、まさにセシリアに躍りかかろうとしていた黒のナイトを押し包み、一瞬で氷の彫像へと変える。
「ユーベルコードが使えることは確認済み。死兵を増やさせてもらいますよ」
透き通った氷に包まれた黒のナイトは、その動きの一切を封じられる。
ただ凍り付いただけならばまだしも、盤面と繋ぎ合わせる形で足止めをされては駒として動くことも困難。黒のナイトは盤面上にありながらも完全に使い物にならなくなった。
チェスの戦術にもクイーン、ルーク、ビショップのいずれかを用いて対戦相手の駒を一定位置に釘付けにする「ピン」という手法があり、セシリアが見せたのはまさにユーベルコードを絡めたピンであった。
「騙す技術、とはまた違いますが……こういった搦め手をも使いこなしてみせますとも」
黒の手番は既に終了。再び猟兵側の手番となり、局面が進む。
着実にチェックメイトへと向けて動いていくその様子に、そしてセシリアが先の模擬戦での教訓をしかと生かしていることに、観戦中のハートマンも笑顔で頷くのであった。
成功
🔵🔵🔴
エドゥアルト・ルーデル
これは…巨大なチェス盤!拙者達にも駒になれってか
所でなんでござるがこの旧校舎ってこの先に賢者の石とか有ったりしない?
真面目にチェスをするでござるよ
電脳魔術的なサムシングで盤面を読み取りナイトめいた動きで相手を翻弄、徐々に一箇所に集まるように仕向けますぞ!
お楽しみの為にも仕込みは大事でござるからね!
…よし、4分たったな?ここからはボクシングの時間ダァ!
という訳でこれが拙者のグローブ!チェスト【超大型爆弾】!
集まった駒共の中央に向かって超大型爆弾をシュゥゥゥゥッ!超!エキサイティンッ!
炸裂する爆弾!盤上から吹き飛ばされる駒達!空く大穴!
ダハハハハッ!これぞチェス盤をひっくり返す(物理)でござる!
イデアール・モラクス
@
チェスか…面白い、ならばこちらも駒を出そう…人間チェスの始まりだ!
・行動
「勝敗、運命、いつだって司る女神…オンナだと相場は決まっている」
UC【愛欲の軍勢】を『全力魔法』で強化した上で『高速詠唱』にて召喚。
軍勢の戦士を1人、四つん這いにさせた上で腰かけ、私が指し手、軍勢を駒としてチェスに興じる。
「指揮官としての力を示せば、駒どもも言うことを聞くだろう」
だが、仮に敵のチェス駒どもが本気の勝負を望むなら、私は前衛たる騎士達を槍を構え突撃させ敵を『串刺し』にさせ、後衛たる魔術師達には『属性攻撃』で強化した氷の刃や聖なる光線の攻撃魔法を『一斉発射』させ『範囲攻撃』で広範囲に放たせ前衛を援護させる。
●チェックメイト
猟兵を含め、白の駒は残り10個。対して、蒸気魔術に操られた黒の駒はキングとクイーンを含めた6個。盤面は既に白が黒を追い込む局面となっており、黒は駒を固めての防戦を余儀なくされていた。
「さて――そろそろこちらも本気を出させてもらおうか!」
そして、優位な局面を絶対に固定するべくクイーンに扮した大魔女が動く。
「勝敗に運命、いつだってそれらを司るは女神……オンナだ。そしてオンナが顎の先で使うものといえば――あの日の代償、支払ってもらおう。出でよ、ルストレギオン!」
戦場一帯に響き渡るは一部を省略した簡易詠唱。呼び出されるは、かつてイデアールと一夜を共にした男の霊。序盤のギャンビットで捧げられたポーンを始めとし、欠けた6の駒を補うように6体の霊体が盤上に顕現。さらに1体、女王の椅子として伏した霊体はイデアールが腰かけると同時に正真正銘の騎馬と化した。
「おっほ、ただでさえ押し込んでいたのをさらに固めきるつもりでござるか?」
ユーベルコードという盤外戦術で戦力回復を成し遂げたイデアールに、ナイトを引き連れたエドゥアルトが呵々と笑う。
ここまでのエドゥアルトの役割は、いわば陽動。最前線でひょいひょいと動き回り、時に実力行使で黒の駒を盤外へと追いやっていたのだ。
それらは猟兵全体での勝利を目指しての行動でもあるが、エドゥアルトなりの仕込みでもあり。イデアールの取ろうとしている蹂躙戦術は彼の目論見にぴたりと合致した。
「イイカンジでござるなぁ、そのまま相手を押し込んで下されよぉ?」
「はっ、言われずともよ、エドゥアルト! そちらこそ、我がルストレギオンに巻き込まれて怪我など負ってくれるなよ?」
軽口の応酬は模擬戦の時に似て。しかし、相対ではなく同胞として交わす言葉に棘はなく、戦に慣れた熟練者としての余裕を感じさせるもの。
「突撃に合わせ、後方からは私の魔術――さぁ、どう耐える、アルダワの指し手は!」
わざわざクイーンに扮したのは伊達ではない。盤面を俯瞰するでもなく、盤外から棋譜で読むでもなく。前線指揮官として十分な威厳と共に、ルストレギオンへとイデアールが命じるのは突撃の2文字だ。
「おっと、乗り遅れちゃいけねぇでござる。拙者も相乗りさせていただきますぞ」
もはや手番の概念など関係ない、と黒の陣地へと殴り込むルストレギオンに乗じてエドゥアルトがさらに突出する。
ルストレギオンと黒の駒が激突し、生まれ出るのは序盤のギャンビットを遥かにしのぐ乱戦状態。駒と駒の睨み合い、取り合いではなく、ユーベルコードに対応して兵の姿を取った駒がイデアールの軍勢と演じるのはまさに戦場の風景。
「お楽しみはこれからでござる――さぁ、ボクシングの時間ダァ!」
そして、その真っただ中へと踏み込んだエドゥアルトの狙いはただ1つ。
「これが拙者のグロォォォーブッ! チェスト・トールボーイ!」
一体どこに仕舞いこんでいたのやら。途轍もなく楽し気な声と共にエドゥアルトが取り出すのは己の身の丈ほどもありそうな大型爆弾。爆弾と言えば誰もが想像しうる紡錘形の本体部分に、尾部には安定翼。本来ならば爆撃機等に搭載されるサイズのソレをエドゥアルトは軽々と振り回し――
「ボムを相手のキングにシュゥゥゥゥッ! 超ッ! エキサイティンッ!」
振り落とす先は乱戦に巻き込まれた黒のキング。
「はっはっは、自爆戦術とは恐れ入る。ルストレギオン、黒を1つたりとて爆心地から逃すでないぞ!」
エドゥアルトの動作にその意図を読み取ったイデアールは、即座にルストレギオンに円陣を組ませ――そのフォーメーションが完成するとほぼ同時に盤上は爆心地と化した。
轟音、閃光。僅かに遅れて熱波が猟兵たちの頬を撫でる。
朦々と立ち込める土煙。がらがらと崩れる音が聞こえるのは、爆心地付近のチェス盤に大穴が開いた故だろう。
「ダハハハハッ! これぞ必殺、チェス盤をひっくり返す、かっこ物理かっこ閉じでござるぞ!」
数秒で土煙が落ち着けば、爆心地にはわざわざ電脳魔術でアフロヘア―を再現したエドゥアルトの姿。黒のキングは爆発で粉々に砕かれた故か、盤上ではなく盤外でゆっくりと再生を果たそうとしていた。
「……チェックメイトは宣言し忘れたが、さて。これでギミックの攻略は成ったか?」
ルストレギオンを送還しつつ、イデアールは小さく呟く。
何らかの裁定が下るのを待つこと十数秒。再生を果たした黒の駒が、兵の姿を取ると同時に跪いたのを見て猟兵たちはギミックの攻略を確信した。
「……ギミックの攻略も終わったところで1つ質問なんでござるが」
ほう、とひと段落のため息を漏らす猟兵たちから1人離れ、エドゥアルトが問いかけるのはハートマンだ。問われたハートマンも、何かギミックに関する懸念でもあるのかと真面目な表情で対応する。
『何かね、エドゥアルト殿』
「この旧校舎って、奥に賢者の石とかあったりしないでござるか?」
『……いや、すまんがそういった噂に聞き覚えはないな』
そうでござるかぁ、とどことなく残念そうなエドゥアルト。ハートマンは質問の意図を理解しきれず、困惑の表情を浮かべるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
第3章 集団戦
『首無しの熟練騎士』
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POW : 雷鳴刀
【迸る魔法刀の剣筋】が命中した対象を切断する。
SPD : 疾風迅雷
【「炎」と「氷」を無効化する強化魔法】【脚力を上昇させる強化魔法】【物理的防御力を上昇させる強化魔法】で自身を強化する。攻撃力、防御力、状態異常力のどれを重視するか選べる。
WIZ : 怒髪天
【掌を天高く掲げて】から【全方位に向けて高威力・広範囲の雷】を放ち、【電気や雷に対策のないものは感電】により対象の動きを一時的に封じる。
イラスト:仲原
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●生首と首無し
激戦の音に引かれてか。あるいは、猟兵という存在に巡り合うことがオブリビオンの定めであるのか。
猟兵たちがチェスギミックを攻略し終えて間もなく、その場に現れたのはひとりでに彷徨う甲冑であった。本来ならば兜で守られるべき頭部はその鎧に付属せず、首元には漆黒の闇を湛えるソレは首無しの騎士。それも、単独ではなく騎士団と呼べるだけの複数の幽鬼が、鈍い金属の足音と共に迫る。
『あ、あれは――』
そして、それを見て真っ先に驚愕の声を漏らしたのはここまで猟兵を案内した蒸気幽霊、生首の教官騎士ハートマンであった。
『何故、我輩の身体が!! それも、幾つも幾つも!?』
その声に、猟兵たちは思わずハートマンを振り返る。ハートマンの被る兜の側面に記された紋章と、立ち並ぶ首無し騎士のマントに織り込まれた紋章は確かに同じもの。
オブリビオンという、いわば大魔王の手先と化した己の身体を見て悲嘆の声を上げるハートマンの心中は如何ほどのものか。
1人の蒸気幽霊の心を救うためにも、この旧校舎の制圧を進めるためにも。
――猟兵よ、今こそ戦う時だ。
イデアール・モラクス
@
ほぅ…まさに騎士団と騎士団のぶつかり合いとなる訳だ、ならば魔術師たる私の役割は…
・戦術
「古来より魔術師のやる事は決まっている、火力による先制か味方への助力…私はそのどちらも為す!」
UC【隕石招来】に『範囲攻撃』で着弾範囲を広げ、『全力魔法』で隕石を更に巨大化させ威力を高め『属性攻撃』で炎を纏わせた上で『高速詠唱』を用いて唱え、敵陣を『蹂躙』。
そして着弾地点の更地の上に立ち戦闘力を上昇させた上で【広範囲に稲妻を放つ超高威力の攻撃魔法】の術式を『一斉発射・制圧射撃・範囲攻撃・全力魔法・属性攻撃・高速詠唱』により構築して放ち、敵の雷撃を『なぎ払い』相殺して味方たるチェス駒達を守る。
「進軍せよ!」
伊美砂・アクアノート
【SPD オルタナティブ・ダブル】
お前の体かよっ!? …えー、残念ながらー、ちょろーんと体を取り戻すんは難しそうなので…容赦なくブッ飛ばーすっ! 許せハートマン! 【地形の利用、早業、破壊工作】 とりあえず分身してポーン2つは任されますよっ。大駒は他のヒトに譲るーっ。 つっても、基本は猟兵として戦闘。正面にグレネードランチャーをぶっ放して、拳銃とショットガンを撃つのである。弾切れたら武装は柔軟に。 いちおう、ルール適用されてれば最奥列までたどり着ければクイーンに成れるのと、道すがらで前進してくる敵を捕獲(アンパッサン)できる可能性があるので、考えながら進みます。狙ってやるにはキビしいけどねぃ。
●嚆矢を為すは
ハートマンの悲嘆に、真っ先に反応したのはアクアノートであった。
「お前の体かよっ!?」
咄嗟の叫びは短く。ペシリ、と失われて久しいハートマンの胸元をどつくような動作の伴うそれは、果たしてアクアノートのどの人格がこらえきれずに放ったツッコミか。
『如何にも。あの紋章を帯びることは、我輩にしか許されていなかった栄誉……!』
それに応じるハートマンの声は重く、アクアノートの勢いあるツッコミでも悲し気な空気を払いきるには足らず。故に。
「残念ながらッ! ちょろーんと体を取り戻すんは難しそうなので……容赦なくブッ飛ばさせてもらいまーす! 許せ、ハートマン!」
『こうもなれば是非もなし――いっそ、一思いに頼む!』
殊更に明るく言い放ったアクアノートに勇気づけられたのだろう。ハートマンは気分を切り替えることに成功し、猟兵たちに遠慮無用を言い渡す。
「ほう、気前のいいことだな――その言葉、ありがたく頂戴しよう」
そして、ハートマンの許可を耳聡く拾ったのはイデアールだ。
「騎士団同士のぶつかりに於ける魔術師の役割、遠慮なく大盤振る舞いさせてもらおうではないか……!」
イデアールの言う魔術師の役割、というのは2種。1つは騎士と騎士が近接距離で刃を振るうよりも前段階での遠距離先制。他方は自陣を対象とした強化術式の行使。
「アクアノート、先んじて一撃を入れる。巻き込まれるなよ」
「はいはい、それならポーンを2つほど貰いますよっと」
ハートマンと共に前線付近に居たアクアノートへの一言。イデアールの言葉に返事が戻るかどうか、そんな素早さで編まれたのは戦術訓練場の天井を埋め尽くさんほどの巨大さを誇る1つの魔法陣。
「まずは、火力。半数とは言わん、だが1割はこれで獲らせてもらおう!」
イデアールの得意とする魔術のひとつ。ユーベルコードへと昇華されたそれは、巨大隕石を呼び出し敵の直上より放つ質量打撃だ。
もちろん、魔術で呼び出された隕石が、ただ破壊を振りまくだけで終わるわけもない。
「我招く無窮の災厄に慈悲は無く、汝に救いと希望の一切も無し――圧倒的な力の差に怯えて竦め、オブリビオン!」
首無し騎士たちの最前衛を叩いた隕石は、イデアールの宣言通りその総数の1割近くを滅する。隕石の置き土産としてオブリビオンが塵と消えた空間に残るのは、隕石招来とはまた異なる魔法陣だ。
「さぁ、道は作ったぞ……進軍だ!」
「言われずとも! プロモーション狙いでいくよ!」
イデアールがチェス盤に刻んだ魔方陣の上を、アクアノートが駆ける。イデアールの左右からそれぞれ飛び出した2人のアクアノートは、どちらか片方がユーベルコードによる分身だ。ギミック攻略時と同様に、それぞれに2つに分裂した小ポーンが侍っている。
突出したアクアノートたちを狙い、首無し騎士たちが放つのは雷撃。しかし、それらがアクアノートたちを捉えることは無い――イデアールがチェス盤上に用意した魔法陣が、首無し騎士たちの雷撃とほぼ同質の雷撃を放つことで迎撃しているのだ。
「前衛は任せたよ、アタシ!」
「おう、後衛は任せたぜ、私!」
そして、オルタナティブ・ダブルたる2人のアクアノートの連携は交わされる言葉の数倍は濃密なもの。間近へと迫る2人の姿に首無し騎士たちは咄嗟に自己強化のユーベルコードを発動させるも――
「ところで……アンパッサンってご存知かな?」
グレネードによる撹乱と、ショットガンによる必殺の至近射撃。巧みな連携で敵陣深くへと切り込みつつ、アクアノートが口に出すのはポーンにのみ許されたある行動。
「――君たちは、その経路にいるよ?」
敵ポーンが通過したマスに自ポーンを進めつつ駒を取る。本来ならばポーン同士でしか成立しないルールだが――このチェス盤上において首無し騎士はポーンと同等らしい。倒れ伏す数は4つ。アクアノートたちが引き連れた計4つの小ポーンの戦果である。
チェスギミックの活用もあり、猟兵たちは危なげなく優勢を確保するのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
草野・千秋
@
ハートマンさん、まさか、こんな姿に……!
オブリビオンと化してしまったのなら
倒してしまわねばならないのでしょうか
しかし倒すことで心が救えるのならば
英雄を育ててきたというあなたと
戦えると想像すると胸が高鳴ってしまう僕もいます
……不謹慎ですかね
いざ尋常に勝負!
勇気をもって立ち向かいます
多数軍勢なので相手の動きを鈍くしましょうか
こんな時にお菓子を振りまくだなんて
おかしいかもしれませんがお菓子だけに!
動きを鈍く出来たら
2回攻撃、スナイパー、範囲攻撃、一斉射撃で射抜く
ある程度数が減ってきたら接近戦に切り替え
怪力、グラップルを使用
魔法刀が振り下ろされるのなら盾受け、激痛耐性で耐える
セシリア・サヴェージ
ハートマンさん、お気を確かに。
いかに姿形を似せようともあれは過去から染み出た災魔……偽物に過ぎません。
さすがにこの人数を一度に相手するのは骨が折れます。
ですがチェスの駒たちを利用すれば活路が見いだせるかもしれません。
駒はある程度の戦闘能力を有しているようですが、オブリビオンには敵わないでしょう。
しかしそれで結構。敵がおとりの駒を攻撃している隙に私がトドメを刺します。
非情なようですが、チェスではこれも立派な戦略の一つ。
さらに駒と連携を取りながら敵を追い詰めていき、最後はUC【滅びの風】による【範囲攻撃】で一網打尽にします。
両取りなど生易しい。全取りで貪欲に勝ちに行きます。
●胸を借りるつもりで
チェス駒を引き連れた猟兵が、首無し騎士団との乱戦に突入してしばらく。
『無事か、諸君!』
「ええ、まだまだ大丈夫です、ハートマンさん! むしろ、英雄を育ててきたあなたの身体と戦えることに、胸が高鳴りっぱなしです!」
不謹慎かもしれない、と添えながらハートマンに応じたのは千秋だ。
「おっとそうだ、ハートマンさんもこれを! 幽霊の方にお渡しするのは初めてですけれど……持ってもらっているだけで効果があるかもしれません」
『ほう? 良く判らんが、確かに受け取った』
ひょい、とダムナーティオーの姿をした千秋がハートマンへと投げるのはいわゆる駄菓子と称される小袋詰めの菓子だ。霊体ならではの霊力でそれを保持したハートマンは怪訝な表情を隠さないが……千秋がそれを仲間たちに配った理由はすぐに判明した。
「当たりが出たら、あとで教えてくださいね!」
千秋が配り歩いた菓子を目印に、猟兵たちとハートマンを避けるようにユーベルコードの力が戦場に満ちる。菓子を楽しまぬもの――広義に取れば菓子を受け取っていない者に対して大幅な行動制限を掛けるスーパー駄菓子屋タイムの本領が発揮されているのだ。
「なるほど、如何に数が多かろうと、勢いがなければ烏合の衆……!」
「はい、その通りです! お菓子を食べきってしまいそうならいつでも言ってください、おかわりは沢山ありますから」
敵陣の停滞に素直な賞賛を表すのは、模擬戦で千秋と対戦したセシリアである。
まるで水に手足を取られたようにも思える遅さでしか動けない首無し騎士など、セシリアからすればただの的。スーパー駄菓子屋タイムの効果は猟兵に侍るチェス駒たちも避けているようで、当初は囮役として首無し騎士の攻撃を受けていたポーンたちもセシリアの指揮に従い複数体で1体の首無し騎士を討ち取っていた。
「魔術的な強化に、さらにはオブリビオンへの枷まである――ここまでお膳立ての整った戦場はそうそう体験できませんね」
口の中でほとんど形を失いつつある飴玉を転がしつつ、セシリアは千秋からおかわりを受け取って前線へと戻る。そんな暇があるのも、千秋の援護もあってチェス駒が十全に前線を支えられるが故。
「さて、皆さんにお菓子も行き渡りました。僕も前へ出ます、一気に行きますよ!」
「ええ、そちらは任せたましたよ千秋さん!」
行動速度の鈍化により、団子のように一か所にまとまった首無し騎士の一団に対して2人は左右から切り込んだ。それぞれの引き連れたチェス駒もその背に続き、猟兵たちに横槍が入らぬよう戦線を支える。
「僕の駄菓子が尽きぬ限り、お前たちは動けない! ordinis、出力全開だ!」
右翼より首無し騎士団を射抜くのは青白い閃光。
自動詠唱機構の唸りとともに魔術的に威力を増幅されたordinis tabesの光線が、まるで柔らかなプリンを硬いスプーンで崩すような容易さで首無し騎士の鎧を貫いていく。千秋の身体が後退るほどの反動を伴う全力射撃がたかが1つの鎧を貫いて終わるはずもなく、射線上の首無し騎士たちは次々と千秋の射撃の餌食となった。
「お見事――私もまた、暗黒騎士と渾名される所以を披露させていただきましょう!」
高らかな叫びと共に暗黒剣を振るうセシリア。言葉の端々に興奮した様子があるのは暗黒の一端を振るう際に見え隠れする狂戦士としての一面からか。
「吹き荒べ黒き旋風、逆巻く刃となりて我が敵を切り裂け!」
詠唱とともに振るわれた暗黒剣が巻き起こすのは、まさに破壊の嵐。黒紫のオーラを纏った竜巻は、首無し騎士団を左翼から削り喰らって行く。
そして青白い閃光と黒紫の竜巻が交差すれば、それを耐えられるオブリビオンなどこの場には存在しない。
「如何に姿形が似ていようとも、あれらは全て過去から染み出た偽物に過ぎません」
ばったばったと薙ぎ倒されていく元・自分の身体にどこか不安そうなハートマンを慮って、フォローの言葉を投げるセシリア。
「だから、どうかご安心ください。あなたの認めた転校生が、過去の残滓に負けるはずなどないのですから」
キン、という斬撃音は涼やかに。首無し騎士を一刀の元に切り伏せたセシリアに、ハートマンは信頼と納得の目を向けるのであった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ザザ・クライスト
【狼鬼】
「つまり? 教官をヤれば体は止まるカモ知れねェな?」
なんてな? 脅かすだけさ
不在の騎士どもを片付けるぜ
「クイーンを前に出せ。ただし孤立させンなよ、ジャスパー」
ドローンで【情報収集】から【戦闘知識】で陣を敷く
ナイトとビショップで【援護射撃】させる
【狩猟者】を発動
一方で敵陣の側背を突く
「野郎ども、女王様に格好つける時だ!」
レオンの咆哮を合図にポーン達を前線に投入
一気に連中を【吹き飛ばし】てやる
「……イヤァ、どォかね。オレにはもうわからねェ」
半眼でジャスパーに返す
脳漿撒いて生きてたンだぜ?
役不足って話にはニヤリと笑って、
「同感だ。派手に踊るぜ、ロックンロール!」
バラライカを【乱れ撃ち】だ
ジャスパー・ドゥルジー
【狼鬼】
首無しの自分を次々薙ぎ倒すとか楽しいと思うんだけどな?
ハートマン氏の好みじゃなかったか
チェス駒の制御は全体を見渡せるザザに頼んだ
俺がやる事はさっきまでと変わらねえ
【ゲヘナの紅】で派手に目立って雑魚の惹きつけ、掃討
ザザとインカムで遣り取りしつつ
より効率よく「巻き込める」スポットに誘導
「本体でも狩りに来たかい? なら俺らを殺してからにしな」
挑発を交えつつ
――なあザザ、あの騎士どもみてェな状態になったら流石に俺も死ぬかね?
嗤いながらくだらねえ質問をぶつける
試してみる気は流石に起きねえけどな
百歩譲ってザザにヤられんならまだしも
あいつらじゃ力不足も甚だしいぜ
●狼鬼双乱舞曲
戦場のど真ん中で真っ赤な火柱が上がる。どろどろと、チェス盤どころか戦術訓練場の天井すら溶かすその高熱の核はジャスパーだ。
「あんたが取りに来たのはクイーンか? キングか? それとも、この俺か?」
脳が零れ落ちるのを防ぐために巻き付けていた包帯は焼け落ちて久しく。骨の色を覗かせる銃創を首無し騎士たちに見せつけつつ、ジャスパーは戦場の中央で咆えた。
彼の傍らには黒のクイーンとキング。チェスを流用している以上、キングが欠ければギミックは止まり、クイーンが欠けても大幅な戦力喪失は免れず。そこに猟兵たるジャスパーが加われば、オブリビオンを惹きつけるには十分な戦力だ。
故に。
『いい寄せ餌っぷりだ、ジャスパー。ナイトとビショップをそっちに上げるぜ』
オブリビオンの動きはザザの掌の上。
「ああ、早くしねぇと俺が全部ヤっちまうぜぇ!」
戦場全体を俯瞰できる位置についたザザとジャスパーのやり取りはインカムを経て。離れていても抜群のコンビネーションは交信で補強され、首無し騎士たちに付け入る隙を与えない。
そして、ジャスパーのほぼ完璧ともいえる挑発行動によりひとまとまりになった首無し騎士団目掛け、ザザの率いたナイトとビショップが互いを庇い合う布陣で突貫。
「そぉらみろ。クイーン・エリザベス率いる騎士団のご到着だ……俺を殺すにしても、ちょっと遅かったみたいだぜ?」
駒に蹂躙される首無し騎士にきっちり中指立てて、締めの煽りもばっちりだ。
「駒の野郎どもも、女王様に恰好つけたくてやってんだろうよ」
真名を出された当のザザは、戦場中央にキングとクイーンが居たからだと肩を竦める。それが照れ隠しかどうかは――親交の深いジャスパーなら判るだろうか?
『見事な戦いっぷりよの、2人とも』
だんだんと数を減らしていく首無し騎士――己の身体を見て、それでも素直に賞賛の言葉が真っ先に出るのはハートマンが死してなお教官である証。とはいえ、その顔が幽霊ながらも若干青褪めて見えるのは、例え模造品とはいえ己の身体が百体単位で吹き飛ばされているのを目の当たりにしたからだろう。
「おう、教官殿。こういうのは好みじゃなかったか?」
ニカッ、という擬音の似合うイイ笑顔でジャスパーが尋ねる。まるで万人が自分の身体を吹き飛ばしたがっていると信じてやまない語調だが……当の本人は、首無しの自分が敵となったら嬉々として切り刻んだ挙句、どうせなら同じように痛めつけられたかったと嘆くような狂人(聖者)だ。青褪めるハートマンの方が正常である。
『さすがに、我輩の長い人生でも初めての経験故に、な。自分の身体が薙ぎ倒されるのを見ると……その、昇天しそうだ』
「それなら、試合を見てくれた礼にオレらがお送りするぜ? 首から上をヤっちまえば、案外身体の方も止まるかも知れねェ」
死にそうだ、というのを既に死んでいるハートマンなりに言い換えた表現にザザが冗談めかした提案を重ねた。
『ご遠慮しよう。それに、諸君らの訓練を請け負った者として見届ける義務がある』
「さすが、学園史に残る教官殿だ――安心しな、ジョークだからよ」
掃討されつつある首無し騎士団が相手であれば、そういった軽口を飛ばす時間も十分。2人の猟兵は僅かな休憩を終えて残るオブリビオンへと向き直った。
「しかしよぉ、ザザ」
「ンだよ、ジャスパー」
臨戦。前衛は徒手空拳のジャスパー。後衛はバラライカを構えたザザ。
「あの騎士どもみてェになったら、流石に俺も死ぬかね」
死なぬ己を嗤いながらジャスパーが問う。
「……イヤァ、どォかね。オレにはもうわからねェよ」
僅かな沈黙の後、ザザは素直な感想を述べた。
脳漿をぶちまけて生きてた奴がその程度で死ぬのかというのが半分、それで死ななきゃコイツはいったい何者だというのが半分。それに加え、あまりにもくだらない問いと真面目に答えよう一瞬でも考え込んだ馬鹿らしさにザザは半目であった。
「ま、試してみる気もねえけどな。それに、ザザならともかくこいつら程度じゃ力不足も甚だしいぜ」
相棒の答えに今度は嬉しそうに笑い、ジャスパーは両腕を燃え上がらせる。
「力不足についちゃ、同感だ――さァ、派手に踊ろうぜ!」
合言葉はロックンロール。
ザザのバラライカが奏でる銃撃のドラムロールに、ジャスパーのシャウトが重なる。
戦闘音楽のクライマックスは、近い。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
エドゥアルト・ルーデル
@
そういえばハートマン氏生首だったね
どれか一体にパイルダーオンしたら案外復活したりしない?
【飛んでくる電気】対策に防電用ヘルメットと制電服を身につけた上で避雷針を立てて回避でござるよ
その避雷針どっから持ってきたかって?材料は【流体金属君】だYO!
おや?鎧達が歪んでこれは…【物理演算の神】がお怒りでござるよ!電気エフェクトの処理が重かったからかな…
【お戯れのバグ】が来るぞ!気をつけろォ!
ある者は胴体部が異様に伸び、ある者は天高く飛ばされ、ある者は上半身だけブレイクダンス…大惨事だこれ!
特に運の無い奴は世界の裏側でスカイダイビングでござるな
迂闊に近づくとこちらもバグるので処理する時は遠くからですぞ
●Warth of God
地下深くにある旧校舎だというのに、派手な落雷の音が響き渡る。両手で数えられそうな程に減った首無し騎士たちが、全員の力を結集した巨大な雷撃魔術を行使したのだ。
そしてその雷撃はまるで吸い込まれるようにして1人の猟兵へと直撃する。
「あばばばばー!」
わざとらしい悲鳴。雷撃が直撃したのは、エドゥアルトの帽子に突き立った一本の避雷針である。避雷針に吸い込まれた青白い雷光がエドゥアルトを照らし出し――しかし、数秒とせずにそのほとんどが床面へと流れ去る。
「……ってなると思ったでござるか? 残念でござったなぁ! 痺れてるのは拙者じゃなくて流体金属君でござるよぉ!」
バチバチと物騒な音を立てるオウガメタル・Spitfireがうねうねと形を変える。収束雷撃のダメージか、あるいは非道を強いた主への抗議としてか、雷撃を受けたたSpitfireがぽとりと帽子から捥げた。
とことん腹立たしいリアクションで煽ってくるエドゥアルトに、オブリビオンとはいえ腹を据えかねたのか。避雷針を失くしたエドゥアルトへもう1発の雷撃を叩き込むべく首無し騎士たちが動く。
が。
「おやおや、鎧が歪んでござるぞ?」
音も気配も何もなく。エドゥアルトの一言と同時に異変は始まった。
――首無し騎士たちの鎧、その尖った部分だけが奇妙に捻じれて伸びる。
――剣を振りかぶった騎士が、あり得ない反動を得て天井に埋まる。
――挙句の果てに、奇妙奇天烈なブレイクダンスを踊り始める首無し騎士すら。
「ほぉん、これは電気エフェクトの処理が重すぎましたなァ。物理演算の神がお怒りでござるぞ」
怖い怖い、と肩を竦めながらエドゥアルトが騎士たちと距離を取る。
そんな間にも奇妙な捻じれと伸びを得た鎧が砕け、天井に埋まった騎士はもがけばもがく程天井にめり込んでいく。ブレイクダンスを強いられた騎士に至っては、その踊りの軌跡通りに捻じ曲げられて鋼の毛玉になり果てていた。
「あまり近づくと拙者らもバグってしまいますぞ」
顎髭を撫でつけつつ、エドゥアルトが物知り顔でコメントを1つ。その言葉がどこまで真実かはさておき、エドゥアルトのユーベルコードで存在を捻じ曲げられた首無し騎士たちは1体、また1体と確実に骸の海へと呑まれていた。
「……っと、ありゃあ随分と運の悪いのも居たもんですなぁ」
エドゥアルトの視線を辿れば、じたばたともがきながら少しずつ床に吸い込まれていく首無し騎士が1体。
「接地面の定義が上手く行かなかったんでござろうなぁ……世界の裏側でのスカイダイビング、どうぞ冥途の土産に楽しんで下され」
懐からハンカチを取り出し、涙の1滴も漏らさないままウソ泣きでお見送り。
最後に残ったのは、腕を左右に広げてTの字に立った1体の首無し騎士。
「ささ、ハートマン氏。ちょっとパイルダーオンしてみたり?」
『いや、結構』
胡散臭い笑顔で勧めるエドゥアルトに、ハートマンは即座に丁重な断りを入れた。
「あら、残念……それじゃ、コイツも不要でござるな」
仕上げはスナップ1つ。エドゥアルトが1つ指を鳴らせば最後の首無し騎士がぺしゃりと潰れる。世界に顕現する必要最小限のサイズすら下回った首無し騎士が、果たして骸の海へと還元されたのかは定かではない。
●また会う日まで
訓練場を中心とした一帯に巣食うオブリビオンたちは掃討された。
『諸君らの戦いぶり、見事であった。我輩のような老骨でよければ、迷ったときはいつでも頼ってくれるが良い』
ハートマンは、蒸気幽霊故にその場から動けない。だからこそ、此処に来ることさえできればいつでも会うことが出来る。
別れの挨拶は短く。かつての英雄に見送られ、猟兵たちは次々とグリモアベースへの帰還を果たすのであった。
大成功
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