●
その森は、魂を求めている。
風になびく草も。木に巻き付いた蔦も。咲き乱れた花も。
囀ずりを奏でる鳥、地を這い忍ぶ蛇、土を踏み鳴らす猪。
それらは、魂の味を知っている。
それらは、肉の味を知らない。
この森では、常に魂を狙われ、奪われたら最後。
朽ち果てるその瞬間まで、その体は森を護るための器と成り果てる。
●
グリモアベースの片隅に、肆陸・ミサキ(孤独に苛まれる者・f00415)は居る。
持ち込んだ椅子に座り、脚を組んで手を重ねて置き、やって来た猟兵にニヤリと笑った。
「や、待ってたよ。仕事、探してるんでしょ?」
ぴょい、と降りて、ぴしっと指を立てたミサキは言う。
「空に浮かぶ島、興味ない? 丁度、アックス&ウィザーズにそんなのがあるんだけどさ」
そこは、群竜大陸と言った。
かつて滅ぼされた竜と共に甦ったとされる、呪われた大地だ。
「まあ嘘か真か、は置いといて。開拓しない手はないよね……ということで、どうかな。今なら送っちゃうよ?」
クスッと笑い、ミサキは続ける。
「大層な名前が付いてるのに相応しく、そこは結構な難所だよ。まず送った先には森があるのだけれど、そこでは全ての存在が君達の魂を狙っている」
それは猟兵も、オブリビオンも関係ない。確立した魂喰らいの森という土地が、外的存在の魂を狙っているのだ。
「だが安心してくれたまえ! きちんと対策は用意しておいたよ!」
魂喰らいに対抗する手だて。それは、楽しい気持ちだ。
例え森が君達の魂を奪い去ろうとしても、心に描いたポジティブな気持ちはきっとそれをはね除ける事だろう多分。
「たぶん!」
と、不確定ながら、対策出来ることはしておいて損ではない。
故にまず、到着したらそれはもう騒いで欲しいと、ミサキは言う。
「食べ物とか飲み物とか、なんかその他宴会芸に使えそうなのも一緒に送るからさ。十分盛り上がってから森に挑んで、ね?」
じゃーよろしく! と比較的軽い感じで、白い少女は世界を繋いだ。
ぴょんぴょん跳び鯉丸
というわけで森にいきましょう。
第一章ではちゃめちゃに楽しい気持ちになっておくのは大事です、内容よりも楽しい気持ちになったというのが大事です。
たのしいは最強なのですよ、多分。
第二章で集団、第三章でボスです。
それではプレイングをお待ちしてます。
第1章 日常
『魂の祝祭』
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POW : 大いに食べて飲んで、力の限り騒ぎ楽しむ
SPD : 記憶に残る華麗な芸や踊り、話術などを披露する
WIZ : 魂が力強くあれるよう、歌や祈りを捧げる
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種別『日常』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
目の前に肉。肉。肉。ちょっと野菜。
太鼓やリコーダーや古くさいギター。
本当に、とりあえず引っ張り出してきたというような道具の雑場がそこにあった。
じゃあ、焼く?
食べる?
やる目的は一つ、しかしたどり着くための方法は色々で。
思い付く限りなんでもしてしまえば、いいのではないでしょうか。
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【SPD】(連携アドリブ可)
「ついに群竜大陸まで到達できたのね」
■作戦
弟と一緒に歌って踊りながら料理して美味しく肉を食べる
■行動
「ま・ず・は~トマトをカットして♪ 次はアスパラ、パプリカ~♪」
弟の軽快な演奏にあわせてリズミカルに[料理]する
くるりと回りながら肉を一口大に斬りわけて[パフォーマンス]
「お肉にパパっと塩コショウ~♪」
鉄串に肉と野菜を彩りよく[串刺し]したら、炭火でじっくり焼き上げる
「♪は~い、ケバブ風串焼き完成よ~♪」
弟とハイタッチして完成。[ダンス]しながらでもハーブ塩をきかせた自信策
「美味しいでしょ、フォルセティ?」
自然と美味しい料理と仲良し二人。最強だわ
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(共闘/アドリブ可)
「群竜大陸イッチバン乗りー」
フィオ姉ちゃんと一緒になって、歌って踊りながら肉料理を作って
美味しく楽しく戴いちゃうね!
【行動】()内は技能
「それじゃあクッキングスタート♪」
銀月琴ルーナ・プラータを取り出して、軽快な音楽を奏でるよ(楽器演奏)
「トマトをカットして♪ アスパラ、パプリカ~♪」
明るい大きな声で料理の手順を歌にするよ(歌唱)
フィオ姉ちゃんがお肉を準備する間に火をつけるのはボクに任せてよね
ウィザード・ミサイルで「ちょこっとファイヤ~♪」
「わーい、完成やったね♪」
ハイタッチしたらケバブ風串焼きを味わうよ
「すごーい、ジューシーで美味しいよ♪」
「群竜大陸イッチバン乗りー」
スタッ。
と、転移の浮遊から着地したフォルセティは、目の前に広がる緑を見た。
静かな森だ。動植物の気配が濃く、しかし友好的な物ではないと、そう感じ取れた。
「ついに、群竜大陸まで到達できたのね」
一拍遅れてフィオリナが隣に降り立つ。
同じように森を見上げた彼女は、よし、と一声入れる。
それから、来るときに手渡された薪を地面に転がす。
「森の物資は信用出来ないもの、ね」
情報では、一歩踏み込んだ時点で、外界からの侵入者にとって自然生成されたものが危険な物であることは明白だ。
故に、用意した、と案内役が言っていたスペースへと足を向ける。
「……うわ雑だね」
長机だ。
長辺1m程のそれは幾つか連なっていて、その上に食材とか玩具とか、手当たり次第に乗せられていた。
種類で分けられているのは、最低限、衛生に配慮しているのか? と、そういう風に感じ取れる。
「でも豊富だわ」
苦笑いのフォルセティにそう言いながら、フィオリナは空いた長机に大きめのまな板を置いて、備えられた包丁を手に取り、指に挟む動きで小振りの野菜を回収した。
「始めましょうか!」
「それじゃあ、クッキングスタートっ」
フォルセティの指が、ハープの弦上を流れる。
軽く流れた音色を合図に、トマトの上へとフィオリナは刃を乗せた。
「ま・ず・は~トマトをカットして」
トン。
「トマトをカットして」
と、包丁がまな板を叩く音に合わせた爪弾きが鳴る。
半分、からもう半分。へたを取って四等分したトマトを横に除け、緑と黄色の野菜を滑らせる。
「次はアスパラ」「パプリカ~」
トン、トンっ、トンと変わるリズムに音色を重ねて、彩りを揃えたら次はメインの登場だ。
くるりと隣の机に回り、包丁の先を肉塊へ。刺し込んだそれを上へと放ってまな板の上にビタンと落とす。
「ちょこっとファイヤ~」
フィオリナの動きの合間に、フォルセティが薪へと火を着ける。
焼きの赤に照らされながら、肉は一口大の細切りへ変わっていった。
軽くまぶす様に塩と胡椒を振り掛けたら、長めの串へと波打つ様に肉を刺し、トマトを挟んで肉、アスパラ、肉パプリカ。最後に肉でサンドして、それらを幾つか作り上げる。
後は火が移った薪の炭上に脚と金網を乗せ、さらにその上に串を置いて暫く待てば。
「は~い、ケバブ風串焼き、完成よ~!」
「わーい完成やったね!」
いぇーいとお互いの手を打ち鳴らし、二人は出来上がりの串焼きを皿に盛り付け机に乗せた。
向かい合うように着席したら、両手を合わせて、
「いただきます」
かじりついた。
「どう、美味しいでしょフォルセティ?」
「すごーい、ジューシーで美味しいよフィオ姉ちゃん!」
「ま、当然よね!」
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
天御鏡・百々
群竜大陸……空の上にこれほどの大地が浮かんでいるとは
これもオブリビオン・フォーミュラの力によるものなのであろうか?
ともあれ、帝竜ヴァルギリオスへ続く道となるはずだ
調査を進めるとしよう
【WIZ】
ヤドリガミとはいえ、いや、だからこそというか
我にも魂は存在する
故に対策は万全にせねばな
「荒魂静琴」(武器:和琴)のよる楽器演奏5を奏でよう
神へ奉納する琴の音だ
琴の演奏で我のみならず
他の猟兵も鼓舞14で精神を高揚させられると良いな
●神鏡のヤドリガミ
●参考イラスト
https://tw6.jp/gallery/?id=58602
●アドリブ連携歓迎
いい香りがする。
スパイスを焼いた香ばしい匂いだと、百々は思う。
長らく神社に居たが、神聖な場でその様な匂いを感じることはなかった。知ったのは、ヒトの姿を得た最近だ。
「群竜大陸……空の上にこれほどの大地が浮かんでいるとはな」
ふい、と視線を地平線へと向ける。ずいぶんと視点が高いそこは、大地を眼下にする大地なのだ。
それは、オブリビオンフォーミュラと目される帝竜と関連している。
筈だ。
「さて、調査を始める為に、やれることをやろうか」
その確信を得るために今、彼女達はここにいる。
魂を喰う森だ。
対抗するための策──というよりは、準備があって、百々は持ち込んだ琴を前にして膝を折る。
座り、目を閉じて、静かに一礼。
指を弦に乗せて、呼吸を整えた。
「捧げます」
爪弾く。
独特の音階を示す琴を震わせ、落ち着いたテンポで音楽に変えていく。
それは、神への供え物。奉納するべく奏でていくモノだ。
目には見えないが確かにそこにある、感じ取れる存在へ献上し、今より踏み入る魔から護りを得る為の音。
百々の魂が、何物にも侵される事など、決してないように、と。
大成功
🔵🔵🔵
小宮・あき
魂喰らいの森。
何とも響きだけで、邪悪な感じがしますね…。
私は聖職者。黙って見過ごすわけにはいきません!
●WIZ行動
UC【主の祈り】と、同じ内容の歌を歌います。
(UC発動はしません)
技能「歌唱」
動物会話で小鳥にも聞こえるように歌おうかな。
存在感、コミュ力、パフォーマンス、ダンスも併せて。
ふふ、ミュージカルみたいになるかしら。
そして歌には忘れず、心からの「祈り」を込めて。
ええ、この祈りと歌は、きっと戦闘で役立ちますからね。
(ボス戦で祈り技能がベースになる戦闘技を予定)
…おっと、邪な感情は良くないですね。
うんうん、有利とか、不利とかではなく、敬愛する神に祈るのです。
アーメンっ。
「──」
聴こえるリズムに、あきは音を作った。
単音から始まり、キーの上下で抑揚を付けながらの声だ。
(……魂喰らいの森)
不吉で、凶禍で、邪悪な響きのある名だと、そう思う。
聖職者という身分に位置する自分は、魂をどうこうするモノを見過ごすわけにはいかないだろう、とも。
肉体を離れた魂は主の元に導かれるものなのだから。
「祈りましょう」
手を握る様に合わせて顔の前に持ち上げる。同時に片膝を折ることでゆっくりと腰を落とし、捧げる為の姿勢を取った。
「天に召します我らの父よ」
きっと、この声は届くだろう。
そうすればこの後、強敵との相対に際して、役立つ効果を得られる筈だ。
「……おっといけません」
祈りに邪念が混ざってしまいましたね、訂正です。
と、胸中で誰に断る訳でもなく付け加えて、祈りの歌を続ける。
戦いに有利になるとか。不利を得ない様にするためだとか。
(……ええ、そのような邪の感情などありませんよ、欠片も、全く、です、うんうん)
そんなつもりはこれっぽっちも挟まれてはいないのだ。
「敬愛なる神へ……アーメン」
それから、森の上を飛ぶ小鳥たちへの挨拶で。
と、そう思いながら、あきは歌を締める。
まさか、その鳥を含めた森のすべてが、自分達に牙を剥く脅威だなどと。
その時には露とも思わずに。
大成功
🔵🔵🔵
第2章 集団戦
『病をばらまく妖精』
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POW : あなたをむしばむ毒
【毒液】で対象を攻撃する。攻撃力、命中率、攻撃回数のどれを重視するか選べる。
SPD : あなたをこわす香
【甘い毒の芳香】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ : わたしたちをいやす薬
【鱗粉】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
イラスト:エル
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
|
種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
森へと踏み入った猟兵達は、自身を囲う全てからの注目を感じていた。
狙われている、と。そう言い換えても良い。
だらりと落ちてくる蔦に触れた瞬間。根に引っ掛かった体を支え様と樹に手を付いた瞬間。羽ばたいて来た小鳥が羽を休める為に肩へ降りた瞬間。
抜け落ちる感覚が襲い掛かってくる。
魂喰らいの森は、そこに住まう全てが一つの意思で統一されていた。
侵入する全ての魂を奪って喰らえと。
だがまだ耐えられる範疇だ。
進むに支障無く、森を攻略するために猟兵は歩を進めていく。
だが、そんな彼らの前に、躍り出る存在があった。
蝶のようで、小鳥のようで、しかしどちらでもない。
「──」
自我を持たないフェアリーの一団が、明確な殺意をもって襲いかかる。
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
「そんな可愛らしい存在ではないみたいね」
フォルセティに注意を促しながら銀翼杖を構えて臨戦態勢をとる
■作戦
弟とWIZ攻撃を次々に繰り出し、病をばらまく妖精を殲滅する
■行動
「あの鱗粉でお互いに回復するみたいね」
ならそれを上回る攻撃で圧倒するまで。
妖精達が近づく前に[先制攻撃]から【フィンブルの冬】を発現
氷雪の竜巻の[範囲攻撃]で妖精達を攻撃する
「治療はできても疲労は抜けないみたね」
動きが悪くなった妖精達に対して更に攻撃を繰り出す。
「フォルセティ、行くわよ」
弟と阿吽の呼吸で【ロンギヌスの槍】を発動
無数の巨大な槍で妖精を[串刺し]にして殲滅する
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(アドリブ・共闘可)
「あれ、森の妖精さん?」
と思ったら悪い妖精さんみたいだね。フィオ姉ちゃんと一緒に病をばらまく妖精を殲滅するよ
【行動】()内は技能
「悪い妖精さんはお仕置きだ!」
フィオ姉ちゃんの攻撃に続いて、聖箒をビシッと突き付けて(全力魔法)でカラミダド・メテオーロだね
(範囲攻撃)でみんなまとめて大ダメージだよ
「回復させる暇なんて与えないよ」
フィオ姉ちゃんとアイコンタクトを取って、タイミングばっちりのロンギヌスの槍を放つよ。
これで残った病をばらまく妖精も殲滅だね。
「それにしても、このオブリビオン。魂を奪われちゃったのかな?」
この森って本当に不思議だね
ふわりとした風が、フォルセティの頬を撫でた。
微かに漂う甘い香りを感じて、彼はその感触に振り返る。
「……あれ、森の妖精……さん?」
そこに、小鳥よりほんの少し小さな存在が居た。
蝶の様で、しかし人の体を持ち、出で立ちはまるで拘束された囚人に近く、
「そんな可愛らしい存在じゃないみたい、ねっ」
髪から覗かせた見上げる視線に殺意が見えた。
体当たりの一直線を、フィオリナは杖を一振りして弾く。回避出来ずに、先端で叩かれた妖精は、体をひしゃげさせて宙をクルクルと回った。
「脆い……」
「けど、数はいるみたいね」
それを止めたのは、同一個体の妖精だ。
羽ばたきの翅に、鱗粉のきらめきが散って、死にかけだった個体の体が一瞬で復元される。
……回復するのね?
フィオリナは理解した。目の前の、紫の壁となって並ぶ大群を掃討するには、生半可な攻撃ではいけないと。
だから。
「回復量を上回る位に攻めるわよ、フォルセティ」
「うん、悪い妖精さんはお仕置きだ!」
彼女は弟より一歩、前へ出た。
その前進に合わせて体は白銀の光を纏い、同時に正面の空間を凍てついた空気が流れ込んだ。
掲げるように突き付けた杖は、妖精達を指し示して。
「氷の檻に、閉じ込めてあげる」
巻き込み、絡めとる。渦を仕上げる風の中に、暴れ狂う氷雪の礫が踊る。
「──なるほど、そう来るのね」
その領域に閉じ込められたのは、全体の約3分の1と言った所だ。
激しい流れの中では、妖精の翅では上手く飛べないだろう。
しかし、それでも相手は動じなかった。いや、と言うよりは、動じるだけのモノを持っていない、と感する方が正しいだろうか。
ともかく妖精は、吹き荒ぶ風の中で鱗分を飛ばし、ダメージとヒールがごちゃ混ぜになる空間を作り出していた。
そして逃れた妖精達は、外から鱗粉を嵐にぶつけている。大きく吹き飛ばされて撒き散らされるそれは、回復する為の物ではない。
「毒だね」
けほっ、と咳をしたフォルセティは、腕で口元を覆い、フィオリナの掲げに倣って聖箒を竜巻へ指して、
「回復の効果は活かさせない。押し潰すよ!」
上空に召喚の陣を敷く。竜巻の芯を中心に、円形の陣だ。
そしてそこから呼び出されるのは、灼光を纏った巨大隕石だ。
渦へ、導かれるように墜ちて、上昇気流で昇って来た妖精達を踏み焼きながら潰していく。
だがそれでも、囚われの大群は全滅してはいない。
回復と破壊のサイクルの中で、運良く回復が最後にあった者達だ。
生き残りはすなわち反撃の行動へ繋がり、竜巻は隕石で消えた今、彼らを邪魔するものは居ない。
「行くわよ、フォルセティ」
「任せて、フィオ姉ちゃん」
だが、自由にしてやる者も、そこには居ない。
姉弟は並び、同時発動させる術式は、正面へと無数の光を生み出し、
「全てを貫け、ロンギヌス」
圧倒的な物量を以て、塵も残さない一撃で妖精を飲み込んだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
小宮・あき
この森、焼き払った方がいいのでは(もごもご)
いえ、何でもありません。何でもありませんよ。
自我を持たない妖精ですか。
なんと悲しい事でしょう。解放して差し上げますね。
次はオブリビオンではない妖精さんとして、生まれてきてくださいませ。
あなたと同種と戦った事があります。
甘い毒を使って攻撃してくることは知っていますよ。【世界知識】【学習力】
呼吸を浅く、毒を吸い込まないよう注意します。【毒耐性】【呪詛耐性】
UC【愛雨霰】
「私、愛されていますから」
マスケット銃(64本)を【念動力】操作。
【一斉発射】【援護射撃】【零距離射撃】【スナイパー】
銃を回転させ妖精を【吹き飛ばし】や地面に叩きつける【気絶攻撃】等
まとわりが過ぎる。
しなだれ掛かってきた蔦を払い除けながら、あきは思った。
「この森、焼き払った方がいいのでは?」
そこそこ乱暴な思考だが、概ね、ここにいる目的に沿っているとも言える。
ただ、そう言い切ってしまうには、小宮あきという人物像的にあまり、よろしくない。
だから。
「いえなんでも。なんでもないですよーぅ?」
誰に言い訳するでもなしに、パッパッと払いながら更に進んだ。
すると、既に交戦状態の猟兵と妖精の姿が見えてくる。
動きは纏まっていて、しかしどこか機械的であり、明確な殺意はあれど敵意は感じない。
「……自我を亡くしましたか」
森の特性を考えれば、想像に難くない結論だ。
意思もなく、ただ目的のために使い潰される存在。そんな道具の様になってしまったのだろう。
「悲しい事です。解放、してあげないといけません」
決意を新たにして、深く息を吸う。
それから吐き出して、再度吸い込んだら、次からは浅い呼吸に切り替える。
(いきます、よ!)
あきは、似たような存在との戦闘経験がある。小さな体躯の存在が主に取る手段は、状態異常であることが多い。
蝶に似た姿ならば、それは燐粉であるだろう。
だから、息は浅く、間隔は長く空ける。それに多少ならば、毒の進行を凌げる筈だと、そう思う。
「──私、愛されてますから」
マスケット銃を64丁造り出す。壁のように並べて、一斉射だ。
出来るだけ、妖精には近付きたくはない。間合いに踏み込めば踏み込む程、毒の濃度は濃くなるからだ。
だから、
「吹き飛んで……!」
間隙無い射撃の乱打で、あきは妖精を削り散らして行った。
大成功
🔵🔵🔵
天御鏡・百々
ここが魂喰らいの森か
なるほど、確かに悍ましき意志を感じるな
喰らわれぬよう、心を強く持って進むとしよう
あれは……妖精か?
しかし、随分と蝕まれているようだ
話し合いの余地もなさそうだ
倒して進むしかないようだな
『合わせ鏡の人形部隊』を使い、数多の人形兵を呼び出すぞ
回復されるとしても
数の利にてそれ以上の傷を与えればよいのだ
人形相手には毒も香も効果はさほどないだろう
我が破魔82を分け与えた人形兵達で、妖精を攻撃だ
仲間の猟兵が毒や香に苦戦しているようならば
『生まれながらの光』にて
彼らを癒やし援護するとしよう
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ連携歓迎
「は──」
百々は、地を強く蹴った。
背後からの多数の気配から逃れる為だ。
前方へ向かい跳んで浮かせた体を、樹の幹を蹴り飛ばして弾き、大きく軌道を変えて振り返りながら着地。
「これが魂を喰らう森、か」
悍ましき意志を、周囲から感じていた。
目の前の妖精群にしてもそうで、周囲の存在からもそれはひしひしと伝わる。
だから安易には触れず、ある程度の広さを持った空間に飛び込んだのだ。
「随分と蝕まれているようだ。話し合いを出来るほどの自我も、残ってはいなさそうだな」
仕方ないと、思考を切り替える。
元々、倒さなければ進めない。ここは経過点でしかないのだ。
「行くぞ、我が眷属」
だから、人形兵を浮かせて出す。
その左右を挟み込むように鏡を配し、合わせ鏡は無限の奥行きを見せ、映したそれらの姿が実体となってその場に存在を始めた。
残存する妖精の数を、悠に越えた数を一瞬で現した百々は、手を翳して命じる。
「行け」
往け。
征け。
「彼らは決して怯まない」
同等の大きさを持った軍隊が衝突する。
物量の代わりに、一撃で粉砕される兵達はしかし、複数体で確実に一体を屠るという戦略を取った。
「彼らは、決して毒に侵されない」
飛び散る輝きの燐粉の中にあっても、その動きに鈍りは無い。
ひたすらに圧し、潰し、掃討の役目を果たしていく。
そうして。
「うむ、では、行こう」
障害の消滅を確認して、百々は前へ進んだ。
大成功
🔵🔵🔵
第3章 ボス戦
『リザ・トレゾア』
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POW : マーベリック・ローズ
自身の装備武器を無数の【様々な毒を持つ薔薇】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
SPD : ファントム・バタフライ
【背に大きな蝶翅を持つ姿】に変身し、武器「【スピリットローズ】」の威力増強と、【死を呼ぶ嵐風】によるレベル×5km/hの飛翔能力を得る。
WIZ : ファクターコア
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
イラスト:和狸56
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「十六夜・巴」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
「──あら」
彼女は、久しく忘れていた声を発した。
一瞬、それが自分から出た音だと思わず、小さく笑んで、ふぅ、と息を吐き出す。
「お客さん、なのね」
彼女は、魔法の研究者であった。
備わっていた膨大な魔力に任せるのではない。それをいかに扱うのか、という部分への探求を怠らずに過ごしていた。
そして同時に、魂への関心が一際大きかったのだ。
故にこの魂喰らいへ辿り着くのは必然だった。
他の者と同様に洗礼を受け、自分自身の魂を削り取られながらも、しかし。
魂に関して秀でた知識と技量を持った彼女は、森に適合した。
森の番人として留まり、訪れる者達の魂を奪い、そうして識っていった彼女は、
「ふふ、久しぶりに、楽しもうかしら」
ゆっくりと、腰を上げた。
煌燥・燿
よし、風上から森を焼こう。
森の全てを焼き払うのに気象や植物の条件が揃うとは限らないが。
まず大事なのは毒の花弁を焼却する事だ。
火は空気を膨張させて上昇気流を起こす。
巻き起こる気流に花びらなんて軽い物も巻き上げられるだろう。
使うユーべルコードは不死鳥降臨・再誕。
技能、属性攻撃、焼却、地形の利用、世界知識を使用。
どんなに歴史を積んだ大樹があろうと
可愛い花が咲いて居ようとも関係ねえ。
命を循環させない森なんざ魂の檻だ。
一遍灰に還ってやり直して来な。
芦屋・晴久
成程、成る様にして成った者ですか。
己が知識欲の為に魂を扱う……何とも非道な方だ。
さて、途中参戦で出しゃばりすぎるのも宜しくない。私は妨害に回ると致しましょう。
呪詛を説き祈りを捧げ、轟天の符を依代とする事で周囲の死霊……精霊に協力を仰ぎます
敵も魂に精通していると仮定し、念には念を入れて数で押します。死霊達に送る呪詛を強め、オブリビオンの動きを阻害するべく足元、腕、首等へ掴みかかって頂きましょう。相手のUCで吹き飛ばされる前に接近できれば、制御の難しい奴のUCでは己以外を吹き飛ばすのは難しくなる筈
味方の攻撃を通す為にフェイントを交えつつ死霊での妨害を続けるとしましょう
アドリブ連携お任せします
まず感じたのは、臭いだった。
それも、喉が拒絶を示す様な、咳を伴う臭いだ。
永らく、感じる事のなかったその正体を、リザは思い出した。
そうだ、これは。
「燃えているのね」
燃えていた。
燿の手に握られた、炎を灯す剣に因って、森の植物は瞬く間に赤く燦々と猛りだす。
「焼き尽くそう」
風に乗り、それは段々とリザに迫っていく。焼き尽くすとは口で言ったが、実際、この広大な森を焦土と化すには少々、力不足がある。
だとしても。
「どんなに歴史のある大樹であろうと、健気さを見せる可憐な花だろうと、関係ねぇ」
燿は剣を振るう。炭化した塵を振り払い、佇みのリザに向けて炎を放つ。
「命の循環を為さない森なんて、魂の檻だ。そんなの、俺は認めねえ」
「ならおいでよ、取り込んであげる」
その憤りも、信念も、意識も根こそぎだ。
そう示す様にリザは杖を兼ねた槍で、燿を指し示す。
すると瞬間、砕け散る音を立ててそれは弾ける。無数の破片へ変わり、色とりどりの花弁へ生まれ変わったのだ。
それらが、ふわり、ひらりと宙を舞い、
「……あら」
何故か上空へと飛び上がった。
「知らないのか? 炎は自分の熱によって、周りに上昇気流を発生させる」
物理の話だ。魔術が専売のリザからしたら、それは意外な話なのかもしれない。
ただ、巻き起こった現象に眉一つ動かさない彼女は、ふぅんと一息を吐いて、
「そうそう、火は止めなければいけないわ」
自ら炎を発生させた。それも、向かってくる炎に対して迎える様な範囲で、だ。
当然リザの炎も森を焼く事になる。が、それが燿の炎とぶつかると、そこにはもう延焼するだけの物体が無くなるということだ。
さらに、巻き上がった花弁がピタリと動きを止める。
「さて。花弁は、私が操作出来るの。そよ風みたいな流れでは、止めることなんて出来ないわ?」
合図をする様に、リザの手が上がる。
「いいかしら」
確認の言葉ではない。宣告だ。
間をおかず、振り下ろされた手に合わせ、鋭い花弁は驟雨となって注がれた。
「成程、凄腕だ」
しかし、それが燿を傷つける事は無かった。
晴久の召喚した式神が盾となって受け止めたからだ。
「自我を保ちながらも森に生きる……成るべくして成ったと、そう言えるでしょう」
五芒を宙に切って晴久は思う。
何とも、非道である方だ、と。
魔術に傾倒する者の多くは、何かを識る為に動く事が多い。それがリザの場合は魂という概念であり、今、知識欲の為にこの森と共生して、あらゆる魂を好きに扱っているのだろう。
「いけませんねぇ」
死霊を約50体。仮初めの肉体を与えて式神と化した彼はそれらを殺到させた。
ちらりと盾に使った個体を見れば、至るところが変色し腐り落ちているのが見える。
「過度にでしゃばるつもりもありませんが……動きは私が止めましょう」
「なら、俺が全部焼き尽くす」
一手遅らせて燿は踏み出した。
囲う動きで式神は配置され、リザの手足や首に組み付こうと狙っている。
……行けますかね!
周囲の死霊、及び精霊への呼び掛けは、芳しくない。相手との相性もあるだろうが、この森、あらゆる存在が魂を喰らうという意思の元に統一されている。
こうなると、自分の力量次第で、勝敗は決するだろう。
だから。
「かかりなさい!」
飛び掛かる。
四方、八方、囲んだ式神がリザを捕まえる為に。
「ああ、怖いわね。離れて欲しいなぁ」
だがそれは、渦巻く風に阻まれる。目に見える風、暴風が下から吹き上がり、その中心にいるリザを上空へ押し上げたのだ。
それに伴い、式神達は揉まれながら飛ばされていく。しかも、その暴風域の中には毒の花弁が舞っていた。
「迂闊に近付く事も、攻撃を通すことも難しいなぁ!」
燿の放つ炎が渦に飲まれて行く。
届かせられない、その事実に、リザは見下す視線で一息。
「もう終わりね」
手を広げて突き出す。その前面に展開した魔方陣を起動して、魔力を注ぎ、強大な魔法で二人を倒そうと準備を始めた。
「──?」
だがその時、異変に気付く。
晴久の式神達が、目の前にいたのだ。いや、そのことはおかしくはない。問題なのは、それらが地上から一直線に、連なっているということだ。
楔の代わりに大地へ根ざした個体が数体に、そこから手繋ぎで伸ばされて、暴風に飛ばされない堅さを得ていて。
「陰陽道にて繋がれた路です」
「お前を焼き尽くす、導火線だよ」
燿が放つ、渾身の炎撃をリザへ到達させる為に、彼らは猛々しい燃え盛りを見せた。
「しま──」
そして、直撃の寸前、風と炎が爆発し、三人は吹き飛んだ。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
天御鏡・百々
貴殿がこの森の主だな
妖精のように理性を失っているわけではなさそうだが……
やはりオブリビオンか
討伐してこの大陸に橋頭堡を築くとしよう
ここは仲間の援護を重視して動くとするか
敵の「ファクターコア」に対して
「幻鏡相殺」を使用して無効化してやろう
対処しきれぬようであれば、
神通力(武器)によるオーラ防御85を重ねて護ろうぞ
我らの魂、貴殿やこの森に渡すわけには行かぬ
●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ、連携歓迎
エクサ・カラーヌド
「映ラヌテレビ」二価値ナドナイ。
「喋ルバイク」ニ意味ナドナイ。
記憶無キガラクタナレバ、奴ニハ見エニクイカモ知レンナ。
森林ノ中ダロウガ、バイク「ガロンド」デ駆ケ抜ケテ機動戦ダ。逃ゲルヨウナラ追イ、留マルヨウナラヒット&アウェイカ援護射撃ヲ繰リ返ス。
ソノ時二我背立不能ヲ「見セテ」オク。
ヤツガ飛ブヨウナラ「ジャンプ」デ追随、迎撃ヤ回避ヲシヨウトシテルトコロニ隠シ玉「我影掴不能」ノ範囲攻撃デ迎撃等ヲ諸共、「砂嵐」二呑ミ込ンデヤル。
鯉澄・ふじ江
POW判定
・行動
ゾンビの特性として毒の利きが悪いので気にせずに近寄る
腐敗、溶解系の毒も激痛耐性で我慢しつつ
相手を掴んだまま笑顔で話しかける
「この森に迷い込んだ人たちの魂を開放してもらえませんか~?」
(断られたら)
「それじゃあ仕方ないですね~、これ以上被害が出ないように
お仕事させてもらいます~」
相手を掴んだまま力任せに殴り続ける
「えい、えい、えーい」
例え振りほどかれそうになっても
つかんだ手は切り離されて残り相手を締め上げ続ける
耐久力と怪力任せで雑に殴る感じ
爆風で吹き飛んだリザは、柔らかい枝の重なりで受け止められた。
「ん」
浅い吐息で地上に降りる。
目の前には広く焦げ均された森があって、やれやれ再生に時間がかかると、そう思う。
「あ~いた~」
だが再建計画を考える暇は無い。リザの前に、間延びした登場をするふじ江が居たからだ。
もう容赦はしない。
余裕を持つのは大事だが、それでは足元を救われる。それを味わったからこそ、リザは即座に毒の花弁を撒き散らした。
「ねえね~? この森に迷い込んだ人達の魂……開放してとらえませんか~」
「!?」
張り付いた花弁が、ふじ江の肌を毒々しい色に染め上げる。
しかし彼女はそれを意に介さない。まるで気付きもしていない様にも見えた。
それもその筈だ。彼女の体は今、生と死の間にある。
「そう……貴女、死んでいるわね?」
リザは理解する。この相手は、動いているが死んでいるのだろうと。主に細胞の辺りと、それから血流の部分だ。
毒が回る様に調整した花弁の効能は、主にそういった生きている者の機能を利用したものが多い。
「ん~? とにかく、開放してもらえない……ですぅ?」
「無理ね。貴女、食べた物はどうなるか知らないのかしら。消化された栄養源なんてもうこの世にありはしない」
「ですかぁ~。じゃあ、仕方ないですね~」
目と鼻の先。近すぎる距離で、ふじ江はリザの腕を掴んだ。
そうして逆の拳を握って振りかぶり、
「……あれぇ?」
障壁に阻まれた。二度、三度と殴るが、それが壊れる気配は無い。
「さて」
と、リザが自分を掴む腕を掴み返した。互いに握り合う様な形になる。
「付き合ってもらうね」
そして瞬間、空を飛んだ彼女の下を、猛然とバイクが通過していった。
「敏イナ」
急ブレーキで即反転。エンジンを吹かし見上げるエクサだ。
「見エニクイカトモ思ッタガ、ダメカ」
「森にとっての異物だもの、侵入した時点でわかっていたわ」
ふい、と、リザは森を見る。
「貴女もね」
「そのようだな」
木陰から百々が現れる。とはいえ別に、隠れていたわけではなく、今しがた到着した、という方が近い。
まあ、様子を伺っていたのは、間違いないのだが。
「行クゾ」
エクサが行く。
フルスロットルの回転をぶちこんだエンジンで加速し、緩い弧を描かせてリザに向かう。
相手は空中だ。通常の走行では到達出来ない高度にいる。だから彼は前へ重心を乗せ、盛り上がって露出した木の根にホイールがぶつかる瞬間、ハンドルを引き起こす動きで上側へベクトルを操作した。
行く。
「ソノ程度、逃ゲタ内ニモ入ラン!」
リザを飛び越す程の跳躍だ。
見上げる視線に、見下ろす視界が入る。
相手の背に映えた翅は、飛行を可能とするものだ。空での自由さという点では、余りに分が悪い。
……手ガ無イ訳デハナイガナ。
バイクに納めたアサルトウェポンを抜き、照準を定めて引き金を引く。
「危ないわ」
「ッ」
しかしあろうことは、リザはそれを手にした杖やり方ではなく、腕に繋いだふじ江を振り抜く事で弾いた。
「コノ──!」
それだけではない。跳躍の最高点に到達し、一瞬の滞空を得たエクサの直上に、リザは刹那で移動した。
速度が違いすぎる。
見上げた視界に、見下ろす視線があった。
先程とは逆だな。等と、そう思いつつ、
「ソレデ上ヲ取ッタツモリカ?」
そういう事態も、想定内と言うように、エクサは白と黒に包まれた。
それは、砂嵐だ。
小粒大の砂が暴れまわるモノクロの領域を広げ、リザへと襲い掛からせる。
「止めてよね、肌が荒れてしまうじゃない」
横殴りの嵐と、纏う流れをした嵐がぶつかり合った。
その間にもエクサは自由落下で距離が開き、結果、自動的に射程距離外。
「じゃあ、こちらの番」
着地の反動を堪えながら振り返った空に、可視化された雷が滞留していた。
マズイ、という感情と、間に合わない、という思考が、エクサの頭に入り乱れる。
広範囲の電撃が雨の様に降れば、逃れるのは困難だ。
だから、どうするのかという考えに体は動きを鈍らせ、そして。
「幻なれど、鏡は鏡よ」
リザは、稲光を見た。
魔力で編み上げた術式の発動で、自分の操る雷の光を、だ。
だがそれは、一つだけではない。
「鏡像だとて、虚像ではない。映すモノは同じ力だ」
大きな鏡があった。
不思議と、風景を写さない鏡。それが、放つ先に現れて、リザの放った雷だけを捉えている。
「いや、違うわね」
写しているだけではないと理解する。
鏡の裏側で、百々が言う。
「同じ力がぶつかり合えば、道理としてはこうであろう?」
反射ではなく、再生。ユーベルコードだけを写し、全く同じモノをその場に出現させる力。
衝突に音は無く、ただ大気の震える轟音だけが響き渡って、刹那の間に光は消え去る。
「さて、貴殿がこの森の主、でいいのだな? 成程、先の妖精と違って自我の喪失はなさそうだが……」
「別に納めているわけでは無いのだけれど、そういうことになるのかしら」
成程、と、百々はまた頷く。
「オブリビオンに変わり無いのであれば、致し方ない。この大陸に橋頭堡を築く為、倒させてもらおう」
「出来るかしら。悪いけれど、あなた達の底はもう見え──」
そして、リザは何度目かの理解をする。
いや、気付いたと言うべきか。
それは、掴んでいた重さの喪失。それから、胴体への違和感。
「……あ~、バレた~?」
腕を肩から引きちぎったふじ江が、脚でリザの腰回りをガッチリと挟み込んでいた。
かちあう視線にふじ江は笑んで、上体を強く下方へ振り、反動付けてから思いきり下半身を縦に振り子する。
そうすることで、無理矢理にリザを空中投げの形に持っていった。
「この、馬鹿力……!」
墜ちる。風と翅の操作は、イレギュラーの発生で制御が難しい。
だから、墜ちる。
高みから地上へと高度を下げられ、
「でも、墜落より早く建て直しは出来る……ッ」
羽ばたきで浮力を得ようした翅が、礫に剥がされる。
「悪イナ」
地上20m、エクサの間合いだ。
「モウ遅イ」
横殴りの砂嵐が、魔女を捕らえた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
フォルセティ・ソルレスティア
【ペア/f00964】【WIZ】(アドリブ・共闘可)
「わわ、なんかほとんど裸の女の人だよ」
おっぱいが大きいけど油断せずにリザ・トレゾアと戦うよ
【行動】()は技能
「それじゃあ、ボクに任せてよね」
リザ・トレゾアが行動する前に(先制攻撃)でラビリント・ネプトゥノだね
自らを中心に展開して、氷壁の迷宮の通路で対峙する形に持ち込むよ
「森に適合した力を好き勝手に使わせないよ」
多少なりとも効果はあるはず。フィオ姉ちゃんに褒められて嬉しいな
そしてフィオ姉ちゃんのUCが激突する隙に、聖箒を構えて(全力魔法)からの
カラミダド・メテオーロだね
迷宮の天井をぶち抜いてリザ・トレゾアに叩きつけるよ!
「まだまだこれからだよ」
フィオリナ・ソルレスティア
【ペア/f05803】【WIZ】(アドリブ/連携可)
弟の教育にも悪し胸が大きいのも気に食わないけど
「この森で平気で過ごしている時点で油断ならない相手だわ」
■作戦
氷壁に囲まれた狭い空間でリザ・トレゾアで戦い、大掛かりな攻撃を封じる
■行動
「真面目な話、地の利だとこちらが不利だわ」
かなりの魔力の使い手と見て警戒を強めるも、弟の攻撃で戦闘開始
「フォルセティ、良い判断よ。これで五分よね」
ファクターコアに対して[高速詠唱]から【フィンブルの冬】をぶつけ
威力を軽減、消滅を狙う。
多少の攻撃なら[オーラ防御]と各種[耐性]で乗り切る。
そして反撃とばかりに[全力魔法]の【バベルの光】でリザ・トレゾアにとどめを刺す
「うわわ、なんかほとんど裸になって──見えないよフィオ姉ちゃん」
度重なる戦闘によりダメージを重ねたリザの姿は、元々薄い衣服を更に削っていた。
大変教育に悪い。
フィオリナは、目を丸くするフォルセティを目を後ろから手で塞いで思う。
「おっぱい大きいね」
「フォルセティ?」
やはり教育が必要な様だ、と。
というかオブリビオンに大きさは必要なのだろうかいや必要ないだろう。全くもって不合理な存在だ。
まったく。まったくもう。
「気に食わないわ」
腹立たしい。
とはいえ、いつまでも二人、仲良く敵を前にしながらじゃれていられない。
第一。
「この森で平然としていられるのだから、実力はあるのよね」
森の力を使えるというのだから、地の利は完全に向こうだ。
まずはそこの対処から始めないと──
「うん、それじゃあボクに任せてよ」
思案するフィオリナに、フォルセティは屈託無い笑顔で告げる。
そうして一歩進み、巨大な魔方陣を展開した。
「ん」
気配に、リザが目を向ける。だが動きは緩く、ダメージを少しでも回復しようとしている風に見えた。
このチャンスをみすみす逃すフォルセティではない。魔方陣に沿わせた魔力は霧となって立ち上ぼり、瞬間、その場の熱を奪い尽くす。
「捕まえた」
出来上がるのは氷室。二人と一人を繋ぐ凍てつきの通路だった。
「良い判断よフォルセティ。これで」
今度はフィオリナが前に出る。
「五分よ」
白銀を纏った姿に変じた彼女は、リザが反応するよりも速く、前方、通路を満たす様な氷の渦を産み出した。
「ああ、そう?」
はぁ。
吐く息が白く消える。
杖にしていた槍を抜いたリザは、迫る攻撃にもう一つ息を吐いて、コツン。
「!」
穂先を氷床な刺した瞬間、壁となる様に盛り上がってそれを防いだ。
「誤解しないでほしいのだけれど」
と、魔女は言う。
「私が森を操ってるわけじゃないの。森は元々、"こういう"性質だから」
ミチリと言う軋みの音が通路に響き始め、うっすらとヒビの兆候が見える。
恐らくは、森の侵食だ。焼き払われたり、空中戦であったり、比較的脅威から逃れていた前戦とは違う。
猶予は、あまりない。
「だったら!」
フォルセティが箒を掲げた。
「その前にぶち抜く!」
フィオリナは薄氷越しの的に照準を合わせる。
「ん……!」
直後、リザの真上、天井に凄まじい衝撃が起こって、一瞬のたわみを経て貫きの二撃が行った。
レーザーと、隕石の二つだ。
「止まれ……!」
それに対し、リザは氷室を利用した。
一重、二重、いやもっとだ。何重にも阻む為の壁を出現させ、攻撃を受け止めさせた。
「──」
拮抗は、一瞬だった。
決着が着いたのは、三人を覆う迷路が、外からの侵略に破壊されたことに依る。
崩壊に弾けた霧が辺りを包み、フィオリナとフォルセティがそれを払う頃にはもう、リザの姿はそこになかった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
小宮・あき
1章の「祈り」を胸に。
私は敬虔な聖者。祈りは常に、胸の中に。
UC【神罰】
「神罰を与えましょう」
祈りの力によってレベルm半径の光の柱で攻撃するUC。
スポットライトのように物体を伴わない光属性の【属性攻撃】。
現役聖職者である私の【祈り】は常に神に注がれています【早業】【先制攻撃】。
【全力魔法】の半径「64」m、直径128mの柱は、【範囲攻撃】になるでしょう。
敵が蝶になり飛翔能力を得ようと、この範囲を早々抜ける事は出来ないでしょう。
耐性:電撃・毒・火炎・呪詛・氷結
周囲の様子は【視力】【聞き耳】【第六感】【野生の感】で気を配る。
【回避】は脚武器の【ダッシュ】と併せて軽やかに。
木漏れ日の中だった。
膝を着いたリザを、両手を胸に重ねたあきが見ている。
辺りは静寂が占めていて、そよ風に葉の揺れる音と、二人の微かな息遣いが鮮明に聞こえた。
「貴女」
口を開いたのは、リザだ。目を閉じて祈る様な相手に向かって言う。
「理解っているの? それとも、偶然?」
問い掛けの意味は、あきには解らなかい。
ただこの状況、魂を喰らうという森の中、なにも起こらず普通に立っているという事を言っているのだろうか、という推測は生まれた。
「……いえ、どちらでもいいわね。どうやら、貴女が一番厄介な相手だという事実は変わらないもの」
苦笑と共にリザは立ち、破れのある翅を背に作る。
杖槍の柄をクルリと回し、脇に締めて構え、一息。
「──!」
あきを取り囲む動きで翔んだ。
中心に彼女を。周囲に嵐流を。
生み出し、閉じ込め、風の中から斬り刻む。そういう戦術だ。
「私は」
頬を穂先が掠めた。
浅く一文字の傷から、明るい赤色が垂れる。
それが脚、腕と続き、線の傷があやにいくつも刻まれた。
「私は敬虔な聖者……この胸にあるのは、常に祈りの力です」
それでも怯まない。振るわれる刃を、前後左右への揺れとステップ、最小限の動きで回避。
重ねた握る手を少し上げ、森へ踏みいる前に捧げた祈りを思い出す。
そう。もしも、先程のリザの問いに答えるなら、これしかない。
理解か偶然かではなく、神のご加護ですよ、だ。
だから。
「神の摂理に外れた貴女に、神罰を与えましょう」
手を離した。軽く腕を拡げ、目を開く。
その、瞬間。
「ジャッジメント」
名を示す様に、光が満ちる。
丸く、大きく、高い光。それが、リザの作り出した渦を巻き込み空間まるごと打撃する。
「こ……の……!」
防御に出した両手が浄化されていく感覚がリザを襲った。不思議と痛みの伴わないそれは、逆に、抗えない結末を確信させてしまう。
消える。
手が、腕が、脚が、体が、視界が、感触が、思考が、消去されていく。
ああ なんて なつかしい
胸に露出した、透き通った赤い結晶。
魂喰らいの森を形成するコアは、塵も無く消えたリザの居た場所に落ちる。
ピシリ、バキッ。
小気味良く音を立て、砕けると、今まで冒険を果たした森は全て消滅した。
後に残るのは、遥か遠くの別の森と、群竜大陸の内地へ続く道だ。
「──アーメン」
指で十字を切ったあやは、果てた全てに祈りを捧げ、そうして踏破への第一関門を突破したのだった。
大成功
🔵🔵🔵