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憤怒のR/神の鋼を打ち砕け

#ヒーローズアース #【Q】 #鋼神ウルカヌス


●グリモアベース:ムルヘルベル・アーキロギアはこう言った
「……鋼神ウルカヌスの潜伏場所が判明した」
 少年めいた賢者の言葉に、集まった猟兵たちの間に緊張が走る。
 鋼神ウルカヌス。ヒーローズアースを侵略せんとしたジェネシス・エイトの一柱。
 彼奴は先の戦争を生き延び、『センターオブジアース』某所に潜伏していた。
 そして自らの神力を使って、『神鋼兵団』を結成。大規模な反抗作戦を企てている。
 野望が実現してしまえば、この世界に再び戦火が吹き荒れるだろう。
 叩くチャンスは、今しかない……!

「儀式魔術【Q】により、彼奴に先んじることが出来た。これは大きな優位である。
 彼奴が動くより先に、ウルカヌスとその配下を叩き、今度こそ滅ぼし尽くすのだ」
 ようやく手に入れた平和を、これ以上邪悪な神に乱させるわけにはいかない。
 当然、ウルカヌスもまた神たる存在として最大最強の体勢を整え迎え撃つだろう。
「とはいえ、彼奴の配下には例の"神鋼の鎧"の供給が間に合っていないらしい。
 転移と同時に、敵は数でオヌシらを圧そうとするだろう。まずはこれを叩くのだ」
 敵は『オブリビオンソルジャー』。集団戦に特化した、一体一体は脆弱な存在である。
 神鋼の鎧がない以上、所詮は尋常のオブリビオンだ。セオリー通りに戦えばいい。
「無論、鎧を装着した敵が居ないわけではない。が、その対処方法はすでに割れておる。
 加えて戦争中のケースと異なり、聖地によるオブリビオンの強化は存在していない」
 ゆえに、神鋼の鎧は絶対無敵の防具ではない(それでも高い耐性はあるだろうが)
 先の戦争における戦いのように、どこかに存在する"鎧の隙間"を集中して攻撃すれば、
 撃破はより容易になるはずだ……と、ムルヘルベルは語る。
「それを終えれば、ようやくウルカヌスとのご対面だ。彼奴は一筋縄ではいかぬぞ。
 強力なオブリビオンゆえの絶対先制。それにいかにして対策するかを怠るな」
 ユーベルコードによる攻撃を躱し、あるいは防ぐための方策。そこからの反撃。
 ふたつの条件が揃った時、強大なる鋼の神は地に堕ちることだろう。
「とある哲学者は、"人間が自由であるためには、神があってはならない"と言った。
 神という存在そのものを否定するわけではない……が、彼奴はもはや、不要であろう」
 世界を侵略せんとする過去の残骸――オブリビオンであるがゆえに。
「強敵ではあるが、オヌシらならば勝利できると信じよう。……健闘を祈る」
 そう言って、少年めいた賢者は本を閉じた。
 それが、転移の合図となった。


唐揚げ
 プレス機です。てなわけで、ウルカヌス追撃戦です。
 戦争の禍根を遺さないよう、ここできっちりと仕留めましょう!
 以下のシナリオまとめとルール説明を、忘れずにご一読ください。

●シナリオの目的
『鋼神ウルカヌスとその配下を襲撃し、滅殺する』

●各章の概要
 1章:『オブリビオンソルジャー』(集団戦)
 ウルカヌスの配下。数は相当に多く、集団での連携行動に特化している。
 が、時間がなかったため"神鋼の鎧"が行き渡っていない。つまり通常と同じ戦力。

 2章:『オールドスパーキー』(ボス戦)
 通電刑を受けた死刑囚がヴィラン化した……モノの末路。"神鋼の鎧"を装備。
 "神鋼の鎧"はあらゆる攻撃に高い耐性を持つが、突破は不可能ではない。
 また、どこかにある鎧の隙間を見極め、これを突けばより有効な攻撃が可能。

 3章:『鋼神ウルカヌス』(ボス戦)
 アースクライシス2019の有力敵、ジェネシス・エイトのうち生存した一柱。
 幹部級オブリビオンにふさわしい強大な力を持ち、必ず猟兵の攻撃に先制する。
 敵の攻撃をいかに凌いで反撃するかを考えねば、撃破は難しい。

●プレイング採用について
 今回は章ごとに最大で20~30名様ほどのご案内の予定です。
 シナリオ難易度は『やや難』となりますので、その点ご注意ください。
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第1章 集団戦 『オブリビオンソルジャー』

POW   :    バトル・アクション
【準備しておいた集団での連携攻撃作戦】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    デンジャラス・スローイング
【仲間達に全力で投げてもらう】事で【特攻モード】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    サポート・リクエスト
戦闘力のない【情報伝達用撮影ドローン】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【後方部隊から届く援助物資】によって武器や防具がパワーアップする。

イラスト:森乃ゴリラ

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●ヒーローズアース:センター・オブ・ジ・アース某所
 もはや名すらも忘れられた、巨大なる神の体……その残骸が積み重なる、
 さながら人間の街におけるスラムめいた荒廃空間に、恐るべき鋼神は潜んでいた。
『おのれ……私が斯様に身を潜め機を伺わねばならぬとは……!!』
 ふつふつと怒りが燃え上がる。呼応するように、ウルカヌスの周囲が陽炎めいた。
 揺らめく大気とその熱量は、すなわち奴の憤怒の証。
『必ずや……必ずや逆襲(Revenge)を果たしてくれるぞ、人類、そして猟兵!!』
 しかして、その怒りが実を結ぶことはない。
 そうはさせじと、世界を越えて駆けつける者たちがいるからだ。
『!! ええい、もう嗅ぎつけられたか。忌々しい!!』
 転移の気配を超自然的感覚で察知したウルカヌスは、苛立ち混じりに吼えた。
『ここに来るものをすべて殺せ。決して逃がすな!!』
 雷のごとき大音声のもと、有象無象のオブリビオンが胎動を開始する。
 立ちはだかるは無数の軍勢。炎と稲妻が荒ぶる神の亡骸の上で、
 行く手を阻む雑魚どもを駆逐し、神の喉元にその刃を突き立てろ。
小日向・いすゞ
【狐剣】
残党狩りって奴っスねえ!

遠からんものは音に聞け、近くば寄って目にも見よ!
あっしは小日向の娘、いすゞ
あっ、待って
余り集まられるとそれはソレで困るっスー

なぁに言ってンスか、センセ
戦にあって名乗りは大切なモノっスよ

センセの背中はあっしが護ってあげるっスから
とにかくブチ抜いて、先に進むっスよォ
こんなにいちゃァ、キリも無いっスしね

いわゆる後衛って奴っス
狐火を沢山生んで、ドローンへと叩き込み
援助物資を焼き討ちっスよォ

逃げる訳じゃ無いっスが、足にゃちょいと自信があるっス
身軽に跳ねて、跳んで
コンと下駄を高らかに響かせ

向かい来る攻撃は狐杖で受け、敵を引っ掴んで盾に
はぁい、はい
全部燃やしてあげるっスよォ!


オブシダン・ソード
【狐剣】
勝ち取った平和を台無しにはされたくないよね
ここ、通らせてもらうよ

……その名乗り、必要なやつ?

器物の剣を手に、人間体として戦闘参加
役割としては主に前衛、迫る敵を迎え撃つ形で、後ろには通さないよう努める
数からして剣だけでは抑え込めないと思うので、包囲されそうなタイミングで炎の魔術、ウィザードミサイルを周囲に向けて解き放つ
はいはい調子に乗らないで、ね?

ある程度視界が開けたら、僕も魔法の火矢を敵のドローン、そして敵の補給物資にも差し向けていく
放っておくと切りがないからね

緊急時にはオーラ防御の炎の壁

余裕があれば敵集団を一箇所に固めるように戦いたい
それじゃあまとめて焼いてあげてよ、いすゞ



●威風堂々、朗々と
「遠からんものは音に聞け、近くば寄って眼にも見よ!」
『『『!!』』』
 出し抜けに戦場に響いた鬨の声。敵集団の視線は否応なしにそこに集中する。
 見ればそこには飄々とした妖狐がひとり。にやりと笑って言葉を続けた。
「あっしは小日向の娘、いすゞ。小日向・いすゞ! 残党狩りに只今参上!」
「……その名乗り、必要なやつ?」
 彼女の隣にいたヴェールをかぶった男、オブシダン・ソードが冷静に言う。
 たしかに、いすゞのキャラらしからぬ口上だ。少女はへらっと笑った。
「なぁに言ってンスか、センセ。戦にあって名乗りは大切なモノ……っとと!」
 BRATATATA! いすゞの言葉を切り裂くように飛来する無数の銃弾。
 空気を読まない敵の横槍だ。いすゞは慌ててバックステップを踏んだ。
「あっ、待って! あまり集まられるとそれはソレで困るっスー!」
「やれやれ……ま、せっかく勝ち取った平和を台無しにされたくないよね」
 入れ替わるようにオブシダンが前に出て、器物の剣を軽やかに振るう。
 カキキキン! と音を立てて弾幕が斬り捨てられ、応報の魔弾が飛んだ。
 ゴウッ! 猛火が敵を灼き、一瞬にして趨勢が切り替わった!
「――そういうわけだ。ここ、通らせてもらうよ」
「センセの背中はあっしが守ってあげるっス! ブチ抜きましょう!」
「はいはい。さっきみたいに調子に乗らないように、ね?」
 そしてふたりは突き進む。大海を割って進む預言者のように!

 敵は数の利を活かし、オブシダンといすゞを包囲圧殺しようとした。
 徒手空拳と銃器による射撃戦。並の猟兵ならば防御するだけでも骨である。
 しかし練度の高い敵の多重攻撃を、オブシダンは剣一本で凌ぎ切った。
「なるほど、さすがは鋼神直属の部下……残党でも練度はなかなか、かな?」
 涼しげに言い、間合いを踏み間違えたソルジャーの首を一刀で刎ね飛ばす。
 血を払うように残心すると、振り抜いた剣閃が赤く虚空に焼き付いた。
 それはたちまち魔力の礫――ウィザード・ミサイルに変じて敵へと飛来する。
「さっすがセンセっス! あっしも支援するっスよ!」
 後方で援護するいすゞが指先をなぞるように滑らせると、狐火が発生。
 人型大の熱量はぽつぽつと音もなく分かたれ、炎の魔弾を追って飛んでいく。
 狙いは敵――ではない。奴らの間を駆け巡る小型の戦術ドローンである。
 敵の武器防具を調達、そして強化する厄介な伏兵。彼らはそれを看破済みだ!
「こんなとこで持ちこたえられても、メンドいっスからねェ。キリがない」
 コン、と狐の鳴き声よろしく下駄を響かせて、くるり毬めいて後方跳躍。
 オブリビオンソルジャーの拳はあえなく空を切る。敵の背後には黒曜石の男。
「できれば僕を相手してほしいな。でないとほら――斬ってしまうよ?」
 言葉が紡がれた瞬間、ソルジャーの胴体は縦に両断されずるりと崩れた。
 斃れた死骸が薪めいて燃え上がり、地面を伝って高らかな炎の壁を生み出す。
「きりがないというのは同感だ。さあ、まとめて灼いてあげてよ、いすゞ」
「はぁい、はい」
 ここん、こん。ステップを踏むように下駄を鳴らし、歩法で魔力を高める。
 こつんと狐杖の石突が地面を突いた瞬間……特大の狐火が背後に生まれた!
「全部燃やしてあげるっスよォ!」
 ごぉう――炎の壁によって避けること能わず。敵集団の中央に極弾飛来。
 飛沫もそこそこに熱量が燃え上がり、雑魚どもを塵へと還す――!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フェルト・フィルファーデン
こんなところにいたのね。大人しく降伏する、という様子でもなさそうだし……ええ、人々の恐怖を拭い去るためにも、手早く片付けましょうか。

集団にはこちらも集団でお相手するわ。
妖精人形の兵士を呼び出し、わたしの騎士人形達と共に戦うの。さあ、総勢二百の人形兵士達よ、わたしに続きなさい!
5体1組で撹乱し一体ずつ確実に敵の数を減らしなさい。数が減ったのなら別の組と合流し、孤立しないように動くのよ。お願いね?

……ええ、本当はあと90の兵がいる。この子達には援助物資の妨害及び撃墜を任せるわ。物資が来ない理由を確認しに行く暇は与えない。全員足止めさせてもらうわよ。

これ以上の蛮行は二度と許さないわ。覚悟しなさい!


ハロ・シエラ
まずは前座と言った所でしょうか。
ですが油断せず、素早く倒して次に備えるとしましょう。

今回の相手は後方から装備を取り寄せる様ですね。
敵の数が多い分、ドローンも沢山あるでしょうからそちらを封じるのは面倒です。
【先制攻撃】を仕掛けて援助物資を使う側を優先して倒す様にしましょう。
まずはユーベルコードで風を起こし、敵が援助物資を使う動きを邪魔します。
手間取っている隙に私自身は風に乗り【鎧無視攻撃】で敵を倒して回りましょう。
敵の攻撃はなるべく【見切り】たい所ですね。
物資を得てパワーアップした敵もいるでしょうが、私も風のお陰でよく動けます。
【ダッシュ】や【残像】で撹乱しながら彼らと戦いたいですね。


亜儀流野・珠
諦めの悪い奴は好きだが、平和を乱す奴は好かん。
戦争では殴られ足りなかった様だしな。今回は目一杯殴ってやろう!
お前達に構っている暇は無い、早々に道を開けて貰うぞ兵たちよ!

連携に長けているらしいからな。
戦闘開始早々に敵集団に飛び込み、手当たり次第に木槌「砕」にて殴り、突き、時には足で蹴り!
連携を崩しつつ数を減らしてやろう!

……んん、仲間を投擲してくるのか?面白い!
投げられた物は打ち返すのが礼儀だよな?
奥義「大薙ぎ」にて木槌「砕」を巨大化し一振りだ!
飛んできた奴も他の奴等も纏めて吹き飛ばしてやる!

他の猟兵はなるべく巻き込まんよう先行し切ってから使うが……もし巻き込みそうになったらすまん、避けてくれ!


カタリナ・エスペランサ
炎と雷に満ちた空間か
悪くないね、プライベートで稽古場代わりに使いたいくらいだ
勿論オブリビオンを駆逐した後で、だけど!

敵の動きは《第六感+戦闘知識+見切り》で先読み対処、適宜《先制攻撃》で連携の起点を崩しておこう
使うUCは【暁と共に歌う者】、不死鳥と共に響かせるは《歌唱+全力魔法》の歌声。
《ハッキング+地形の利用+拠点防御》の要領でこの空間を掌握しつつ敵には《精神攻撃+催眠術+誘惑》の幻惑を、味方には《鼓舞+ドーピング+オーラ防御》の加護を与えるよ
後はアタシ自身も歌を維持したまま《空中戦》を展開、支配した空間から力を取り込みながら《早業+怪力》を発揮して敵を《薙ぎ払い》殲滅していくとしようか



●炎と雷の交わる場所で
 大地の裂け目から、マグマじみた超高温の猛火が逆巻き吹き上がる。
 それはまるで、巨大な滝を逆さにしたかのような怒涛の勢いだ。
『行け! 猟兵どもを殺せ、水も漏らすな!』
 怒りに震える鋼神ウルカヌスの指揮のもと、オブリビオンソルジャーが迫る。
 それを一気呵成に飛び込み逆に叩き潰すのは、巨大な木槌を振るう少女だ!
「諦めの悪い奴は好きだがなぁ! 平和を乱す輩は、好かんっ!!」
 KRAAAAASH!! 亜儀流野・珠の振るった木槌"砕"が、敵の胴体を捉えた。
 あまりの威力に、それだけでソルジャーは四散して消滅する。なんたる腕力。
「殴られ足りなかったようだしな。今回は目一杯殴ってやろうではないか!」
「まずは前座――ですが、油断せず素早く倒しましょう。続きます」
 圧倒的なパワーで戦線をかき乱す珠に続き、黒衣の少女ハロ・シエラが跳んだ。
 常人ではありえない飛距離の跳躍。それは彼女が生み出した風の力である。
 "嵐の出撃(ライディングオンザウィンド)"。空を切り裂く一撃が齎す暴風。
 小狐の霊力宿すレイピアが虚空を切り裂き、やがて剣風は暴風へと変わる。
 戦列を整え武器を補給しようとする戦術ドローンが逆巻く風に囚われて、
 破壊されたドローンを飛び石めいて蹴り渡り、ハロは敵の頭上を取った!
「あまり長々と相手をしていられません。早々にご退場ください!」
 SLASH! カミソリめいた鋭い一撃が鎧の上からソルジャーを真っ二つにした。
 ルビーのような赤い双眸が敵を震え上がらせる……戦意は研ぎ澄まされていく。
「征きなさい、人形兵士たちよ。わたし達に続きなさい!」
 そして切り裂かれた戦線の空白に飛び込むのは、妖精の王女とその親衛隊。
 フェルト・フィルファーデンが操る騎士と兵士の人形――その総数200以上!
 一体一体の能力はそこまででもない。しかしこの兵隊の真価は連携にこそある。
 絡繰人形に与えられたかりそめの電脳人格は、誇り高き姫を守るため、
 己の身が砕かれることも厭わずに、勇敢に敵へと突き進むのだ。
「五体一組で敵を撹乱しなさい。確実に数を減らすのを徹底すること。
 絶対に孤立してはいけないわよ。わたしの人形たち――どうか、お願いね?」
 高貴なる少女の可憐な微笑みは、兵士たちの士気を高揚させる最高の材料だ。
 たとえ人形であろうと、フェルトの頼もしき兵士であることは変わらない。
 オブリビオンソルジャーは包囲を諦め、猟兵たちの先を塞ぐように正面に集合。
 文字通り肉の壁となり、連携防御によって攻撃を凌ごうとする……が!
「"我在る限り汝等に滅びは在らず、即ち我等が宿願に果ては無し――"」
 高らかに響く歌声。敵は見た。頭上に広がるプラズマ化した虹の翼を。
 それは大地から噴き上がる神の炎よりも煌々と、天上を勇ましく照らし出す。
 魔神の魔力を宿した恐るべき翼――広がったその根元に女がひとり。
「"来たれ我が眷属、焔の祝福受けし子らよ!"」
 不敵に笑い、暁の歌を響かせるのは金髪の乙女――カタリナ・エスペランサ。
 幻惑の歌声が虚空を揺らめかせ、やがて鏡面から現れたのは劫火の不死鳥だ。
 これぞ灼熱を齎す不滅の歌、"暁と共に歌う者(カーディナル・ファミリア)"!
 神話に謳われる海の魔物セイレーンのように、その歌声は敵を惑わせる。
 しかして彼女とともに戦う猟兵たちには、背中を押す鼓舞と加護となるのだ。
「こんな素敵な場所に、キミたちのようなオブリビオンは似つかわしくない。
 世界の中心から疾(と)く消え去るがいい、アタシの歌声に送られてね!」
 プラズマの翼がはためく。舞い落ちるのは羽根ではなく灼熱の斬撃だ。
 羽ばたきごとに敵集団をランダムに切り裂く斬撃は、まさに神の雷めく。
 連携防御は一瞬にして"斬り"崩され、敵は烏合の衆と化した!

「さて、それじゃあアタシたちも突き進むとしよう。殲滅の始まりだよ!」
「応! 盛大にやらせてもらうぞ――どいつもこいつも、うまく避けてくれ!!」
 珠は溌溂と言い、おもむろに木槌に有り余るほどの魔力を籠めた。
 途端にそれは巨大化し、吹き飛ばされたソルジャーを弾丸めいて殴殺!
 KRAAAAAAAAASH!! 周囲を顧みない攻撃はあまりにも暴威と呼ぶべき規模だ!
「めちゃくちゃしますね……!? まあ、当たりはしませんがっ!」
 猟兵をも巻き込みかねない攻撃だが、珠はその実精妙にコントロールしている。
 ハロは振るわれる巨大木槌の攻撃の間隙を読み、風を纏って鋭く奔った。
 弾丸めいた速度で一直線に疾走し、剣を振るった瞬間背後の敵が吹き飛ぶ。
 残されたソルジャーは、ドローンを使って態勢を整えようとするが……。
「ここがタイミングね――兵士たちよ、足止めなさい!」
『『『!?』』』
 その時である。突如、フェルトの号令とともに現れた90の伏兵!
 この瞬間に備えて潜伏させていた人形兵士たち。ドローンを攻撃、撃墜!
「はっはっは、実に派手でいいな! さあ、道を開けてもらうぞ!」
 グォン――BOOOM!! 叩きつけられた珠の巨大木槌が衝撃波を起こす。
 ついにソルジャーの群れが左右に吹き飛ばされ……神への岐路が開かれた!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
神だろうがなんだろうが、見逃す道理はないよ
身勝手で悪いが、折角守った世界を荒らされるのも据わりが悪い

敵集団の動きはよく観察しておき
それぞれどの個体がどんな役割を果たしているかを把握

連携行動には起点がある
合図を出すやつだったり、指揮を執るやつ
あるいは先鋒を担うやつってこともあるか

相手が攻勢に入ろうとした出鼻を挫くように
その「起点」になっている敵からまず殺すよ
起点さえ潰してしまえば敵の行動は一瞬なり統率を欠く
その状態なら、集団を相手取るのはそう難しくないからな

足を狙った狙撃でバランスを崩させて
【死神の咢】で頭を狙う
無駄なく迅速に、一体ずつ落としていくぜ
本命はまだ先だ、時間をかけたくないんでね


ヴィクティム・ウィンターミュート
アースクライシスでの心残り、ウルカヌス
テメェもちゃんと殺さなきゃ、決着にはならねえ
まぁそういうわけで、死んでもらうんだが…
なんだよ、前座か?そこまで心遣いしなくていいぜ
どうせオブリビオンは、全員殺すんだしさ

反撃すらさせず、一人ずつ、一発で仕留めて回る
『Ferryman』、セット──ランを始める
まず一人、ステルス状態で【暗殺】
ここで奴らはいきなり一人死んだことに気が付く
だから俺は、直ぐには動かない
恐怖、不安、緊張…それが全身に回り、冷静さを失った時に──
また一人、殺す

他の奴も対処しなきゃいけねーのに、見えない死神がいるせいで身動きもできねえ
戦場を支配するのは、俺だ
さっさと引っ込め、三流役者ども



●姿なき死神たち
 猟兵たちによる劇的な攻撃が、敵集団を警戒させた。
 ウルカヌスの座す拠点を守るように、オブリビオンソルジャーは防御を徹底。
 どんな方角から攻め込まれようと、これ以上の敵を通さぬように、
 数に物を言わせた多層の防衛陣形を固め、次なる敵の襲来に備える。

《こちらポイントK-7、エリアCの部隊は全滅。オーヴァ》
『了解。そちらは警戒を続けろ。エリアCには追って増援を送る』
 ザザッ、と音を立てて通信が終了する。ソルジャーの武器は密な連携だ。
 もはや敵の手の内は見えた。生半な範囲攻撃でこの防衛網は崩せまい。
『こちらHQ。ポイントA-2、定時連絡が遅れているぞ。どうした?』
《…………》
 だが。あるはずの定期報告が返ってこないことに、連絡役の兵士は訝しんだ。
 まさか、敵の襲撃か? だが、その際にはまず報告するよう徹底している。
 どれだけの快進撃を成し遂げたとて、来襲を察知できないはずはない。
《こ、こちらポイントA-2……!》
 その時である。ドローンから聞こえてきたのは、切迫した兵士の声だった。
『どうした。状況を報告しろ。敵の襲撃か?』
《そうだ。だ、だが姿が――がッ》
『……? ポイントA-2、応答しろ。応答しろ!』
 ブツン。出し抜けに通信が途切れる。連絡役の兵士は繰り返し電波を送った。
 だが、もはやレスポンスはない。一体何が起きている……?

 その時。連絡役の兵士は、ぞっとするような冷たい殺意を背後に感じた。
 素早く銃器を構えて振り返る。だが、そこには何もいない。
「――ハズレだな」
『!!』
 声は背後から! 何者かが後ろに忍び寄った上であえて挑発してきたのか。
 360度反転しようとする兵士――その首が、横薙ぎに掻っ切られた。
『……! ……!?!?』
「だが察知したのは見事だ。ご褒美に一撃で殺してやるぜ。喜びな」
 喉元を掻っ切ったナイフを手でもてあそぶ少年が、皮肉げに笑う。
 ヴィクティム・ウィンターミュート。先の大戦で活躍した、姿なき名無しの影。
("ネームレス"! こいつが、暗殺を……!!)
 連絡役の兵士はそれを伝えようとした。だが手から通信機がこぼれ落ちる。
 かつん――と地面に跳ねたその音は、ノイズとなって全体に伝わった。

『て、敵が忍び込んできただと? いつのまに!』
『どこにいるんだ。こちらポイントD-9、敵の姿は発見できない!』
 当然のようにそれはソルジャーらに知れ渡り、奴らに混乱と警戒を呼んだ。
 すべてヴィクティムの脚本通りだ。あえて、わかりやすくひとり殺す。
 見せしめめいた死は疑心暗鬼と恐怖を敵にもたらし、連携を乱すのである。
『とにかく防衛網を再構築しろ。襲撃を警戒して――ぐッ!?』
 チュンッ! と、地面に弾丸が跳ねた。ソルジャーの心臓を撃ち抜いた弾丸が。
 どさりと斃れる兵士。突然の狙撃! 一体どこから!?
『どこだ! 探せ、敵はこちらを見ているはずだ!』
『連携作戦プラン-αを展開! こちらから燻り出して攻撃、をッ』
 チュン! 再びの弾丸。指揮役の兵士の脳天を捉えた見事な射撃である。
 どこだ。敵はどこからこちらを見ている。狙撃ポイントはあらかた潰したはず。
 警戒する兵士たち――だが、敵は見つからない。無理もないだろう。
 なにせその弾丸をもたらした男……鳴宮・匡は、敵の想定から二倍距離にいる。
 常人では到底不可能な超・長距離射撃。それをこの男はやすやすとこなす!
(どれだけ密な連携をしていたとしても"起点"を潰せば瓦解する)
 リロード、トリガ。死神の咢(デストラクション)が新たな獲物を捕らえた。
 澄み渡った双眸は金剛の鎌だ。それと定めた獲物を逃しはしない。
 無駄なく、迅速に、姿を現さぬままに一体、また一体と敵を殺すのである。
 あるいは冷静に対応していれば、ソルジャーは彼を発見したかもしれない。
 それだけの練度を有する。なにせ、相手はウルカヌスの配下なのだ。
 しかし。ヴィクティムのもたらした恐怖が、敵の脳を麻痺させていた。
 ゆえに――匡によっては、赤子の手をひねるより簡単な弱敵であった。
《ハロー、"シャドウ"。そっちの調子はどうだ?》
 ザザッ、と入電。ヴィクティムからだ。匡はトリガを引きながら答える。
「いつもどおりだよ。一体ずつ減らしてる」
《グッド。ならこっちも、そろそろ"刈り入れ時"といくか》
「はりきりすぎるなよ。本番はこのあとなんだ」
《言われるまでもないさ。それじゃ、ランのスタートだ》
 通信は切れる。匡はヴィクティムの鋭い殺意を声音から感じていた。
 ウルカヌス。先の戦争において猟兵たちが逃したジェネシス・エイトの一柱。
「……逃さないさ。絶対にな」
 スナイパーの声音には、殺意すらない。ただ、ごみ処理めいて殺すだけ。
 神の喉元に、今、死神(にんげん)たちの刃が王手をかけつつあった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】

へぇ、『神』ねぇ
御大将がやる気を出すわけだよ
アレは捨て置くわけには、いかないものね
ならば私も、付き合うとしようじゃないか
何より奴のアカシック・レコードには興味もあるし、ね

さぁバロウズ、たっぷりお食べ
形態変化──『ラスト・メモリー』
スナイパーライフルと化したバロウズを握り、狙撃できるポイントへ
この銃に撃ち抜かれたという、最後の記憶を作るのさ
まずは一射、急所狙いで射貫いてあげよう
そしてその『銃撃したという記憶』をその場でリピートし、次の狙撃ポイントへ
これを繰り返し、狙撃でありながら弾幕を展開しよう
御大将の後ろを取ろう者があれば、確実に殺す

さぁさ、ウルカヌスへの道を、疾く空けたまえよ!


アダムルス・アダマンティン
哀れ、今は亡きまつろわれぬ神らよ
我らが地にあって葬られず、骸を晒し続けねばならぬとは
同胞でありながらこれを看過するウルカヌスを、先達とはいえ咎めねばならぬ

小粒からだ。始末するぞ
存在感で敵からの注意を引き付け、激痛耐性でもって攻撃を庇う

我が名はアダムルス!
かつてはこの地で鍛冶を司っていた一柱!
我こそはと自負する者は前へ出よ!

敵が矢面に立たせるのは恐らく鎧持ちであろう
鎧持ちの攻撃のタイミングに合わせ、生まれた隙に捨て身で強引に鎧砕きの一撃を叩き込む

待っていろ、鋼神。必ずや貴様を討ち果たす



●鋼なる神を討つために
「…………哀れなり」
 戦場に降り立った巨漢、アダムルス・アダマンティンは端的に言った。
 凋落した身なれど、一柱の神たる彼は鋼神の存在をしかと感じている。
 当然だ。なにせアダムルスもまた、鍛冶の炉を司りし鉄と火の神なれば。
 鋼と炎を操るかつての巨神、その堕落した残骸の存在は嫌でも感知する。
 たとえるならそれば、家族の間に生まれる、ある種霊的な繋がりに似ていた。
 根源的に似通った超自然的存在ならばこその、一種の霊感である。
「御大将、いつになくやる気だね?」
「……そう感じるか。貴様は」
 傍らに立つビリウット・ヒューテンリヒを、アダムルスはじろりと睨む。
 女魔術師はおののくでもなく肩をすくめ、その威風を受け流した。
 "結社"の中でも古株であるふたりの間には、どこか気安い空気がある。
「なにせ"神"だろう? まあ、私もアレを捨て置くつもりはないよ」
「然り。ここは我らが地。神の骸を葬るには最適の場所であろう」
 死してなお醜態を晒し続ける同胞に対し、アダムルスが向けるは哀愁か。
 あるいは憤怒……巌の如き渋面からは、それを推し量ることはできなかった。
「まずは小粒からだ。始末するぞ」
 アダムルスはそう言って、無造作に一歩を踏みしめた。
 オブリビオンソルジャーの群れが、弾かれたように視線を集中させる。
 たかが一歩である。されど、その足踏みは超自然的な大音声となって響く。
 まさに神々の歩み。みしりと音を立てて、戦場の気配が緊迫した。
「我が名はアダムルス!!」
 朗々たる槌の音めいた声が響き渡る。
「かつてはこの地にて、鍛冶を司っていた者。誇りある神の一柱なり!
 堕落した鋼神に仕えし、哀れなる残骸どもよ。汝らに神に挑む気概はあるか!」
 オブリビオンソルジャーたちは、麻痺したように硬直していた。
 威風である。神の威風が、雑魚どもを射竦めていたのだ。眼光が鋭く燃える。
「我こそはと自負する者は来るがいい。滅びを恐れぬ者は前に出よ!!
 我が名、そして我が"刻器"の銘のもとに、誇りある死をくれてやろう!!」
 静寂――返ってきたのは、地の底から響くような鋼神の声であった。
『不遜なり。肉ある身に堕ちた者など、神を名乗るには値せず。所詮は小物よ。
 我が兵どもよ、このウルカヌスの矢となりて、愚か者を早々に始末せいッ!!』
 硬直していたソルジャーたちが、武器を手に動き出す。轟く鬨の声!
「我が身を矮小と謗るか。ウルカヌスよ」
 アダムルスの双眸が燃えるように輝く。それは憤怒の色である。
「ならば教えてやる。……来い、ビリウット。結社(われら)の戦いを見せる時だ」
「アイ、アイ、サー。さあバロウズ、食事の時間だよ!」
 二歩、三歩。神が歩みを進める。魔銃が起き上がり咆哮した。
 スナイパーライフルと化した魔銃のスコープが、迫りくる敵を捕らえた時、
 神の大槌と無双なる兵団は、ついにぶつかりあったのである!

 ZZZZZZZTTTTTTT!!!
 センター・オブ・ジ・アースに、恐るべき神の雷の音が響き渡る。
 それは刻器が轟かす神擊の音。地獄の炎が燃え盛りプラズマ化して敵を灼く。
「まったく、御大将らしくもない。まあ、サポートするのがわたしの仕事だけど」
 スコープ越しに戦況を見守るビリウットは、呆れめいて言った。
 照準の先、アダムルスは血まみれになりながら戦場を突き進んでいた。
 敵の攻撃を避けず、防がず、守りの上から叩きのめすような暴威の捨て身。
 この程度何するものぞ、我を滅ぼすには足りぬと言わんばかりの猛進である。
 アダムルスの力量をもってすれば、的確な防御の上での反撃は可能なはず。
 それをあえてしない――あれは、ウルカヌスへの挑発なのだ。
「まあいい。あいつらに、人類が生み出した火の力を教えようじゃないか」
 BLAMN!! トリガを引けば銃爪が咆哮し、死の弾丸を矢のようにもたらす。
 ビリウットは素早く立ち上がり、次の狙撃ポイントへと急いだ。
 空間そのものに焼き付いた記憶が、二つ、三つと弾丸を"再演"する。
 BLAMN! BLAM――BRATA! BRATATATATATA!!
 狙撃でありながら弾幕。戦術の根底を覆す、非常識なる現象。
 されど、それを起こすのは刻器の本懐である。有象無象を食らう魔銃の本領。
 後ろは取らせぬ。敵に、反撃など赦しはしない。魔術師としての誇りだ。
「さあさ、うちの御大将がお怒りだ。さっさと、とっとと、どいてもらおう!
 ウルカヌスへの道を、疾く空けたまえよ――雑魚(きみ)たちに用はない!」
 BLAMN! BRATATA! BRATATATATATA!!
 魔銃が吠える。獲物を射殺す歓喜にバレルを震わせて高揚する。
 快進撃ここにあり。神の従僕に、抗える道理などありはしない。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

逃げたつもりかウルカヌス、やっと見つけたぞ
お前はこのヒーローズアースからは絶対に逃がさん
急場凌ぎに雑兵を差し向けて、それで時間稼ぎのつもりか

カガリが【神都落城】で炎の瓦礫で敵のドローンを撃ち落とし補給を断ってくれる
俺は【大地晩鐘】を発動し、黄金都市に降る炎のを避けようとするソルジャーを足下から槍を無数に生やし串刺しに
磔刑にされ炎に焼かれる……さながら地獄絵図だな

それでもなお逃れるのなら、その時は俺が行く
距離のある敵には【碧血竜槍】を槍投げ
近くの敵は【魔槍雷帝】と【山祇神槍】を手にダッシュ
雷撃とランスチャージで討ち取る

行くぞカガリ
戦いはこれからだ


出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

先の戦いで、討ち損ねたものか
鋼の神、鉄門にとっては縁も深いというものだ

まずはこの雑兵、早々に片付けてしまおう
完膚なきまでに、だ
……神都落城。現世の地獄よ顕現せよ。
炎上都市とまるの大地の槍とを合わせて、地獄の再現を
援護を求めるどろーんごと焼き尽くそう
地獄ではな、乞うても、助けは来ないのだ
逃げようとする敵はまるに任せつつ、カガリも【命の篝火】で潰しにかかる

この炎は、カガリの都の終わりの日
この城門を焼いた炎だ
カガリにとっての、終わりの炎で
鋼の神をも焼き尽くしてみせよう
行こう、まる
ここで足止めされている場合ではない



●落城の炎、神の兵どもを焼き尽くす
 ここはセンター・オブ・ジ・アース。神の炎渦巻く世界の中心。
 されど今、戦場を蹂躙するのは神の炎――ウルカヌスの権能ではない。
 ならば、世界の中心から湧き上がる原初の炎か。否。それも、否。
『陣形を整えろ! 敵が来るぞ!』
『だ、駄目だ! 降ってくる! 瓦礫が――ああっ!!』
 阿鼻叫喚。精強たるオブリビオンソルジャーの練兵たちが浮足立っていた。
 炎が渦巻く。薙ぎ払われるのは絢爛業火たる黄金都市の残骸。
 半径65メートル。再現されし神都落城のとき。常世の都を滅ぼした篝火。
 炎上する都市は崩れ落ち、その残骸がオブリビオンを飲み込む暴威となる。
 出水宮・カガリが再現召喚せし、あまりにも忌まわしい崩壊現象だ。
(敵にとっては)輪をかけて不幸なことに、この現象は文字通り"延焼"する。
 崩れた瓦礫は火種となって大地を、空間を侵食し、逆説的にそこを都市とする。
 ユーベルコードによる滅びの再演は、とどまるところを知らない。
「見えるか、ウルカヌス。これは、カガリの都の終わりの日、滅びの灯火だ。
 この城門を灼いた炎。忘れ得ぬ終わりの輝き。顕現せし現世の地獄だ」
 燃え盛る滅びの風景の中に、カガリは峻厳たる面持ちで屹立していた。
 そしてこの惨状を見下ろしているであろう、ウルカヌスに向かって言い放つ。
「鋼と炎の神よ。この炎は、お前のしもべたちを灼き尽くすぞ。
 そして次はお前だ。もう逃げられるとは思わぬことだ。なぜなら――」
 焼けたドローンの残骸を踏みしめて、恐るべき死したる龍が咆哮した。
 "大地晩鐘(ドラゴニック・クルスフィクション)"。
 朽ちたる王をここに呼ばい、その槍爪と大顎でもって敵を滅殺する術式。
「闘志を槍に変えて大地に屹立せよ。地に立つ悪を地下へと招いて閉じ込めよ」
 地面から生えた突起=龍槍に穿たれ、百舌の早贄めいて兵士たちが倒れていく。
 磔刑だ。されど即死することはなく、滅びの炎がじわじわと練兵を灼くのだ。
「あまねく大地を統べる地龍の王の力を今ここに――逃しはしないぞ」
 鉄面皮に、しかして燃えるような敵意を称えた男が言う。
 マレーク・グランシャール。城門と立ち並ぶその姿は神話の英雄のようだ。
 炎に照らされるかんばせは、この地獄絵図を見ても些かも揺るがない。
「……カガリと、まるがここにいる。お前を討つためにカガリらは来たのだ」
「ああ。ウルカヌスよ、お前はこの世界から絶対に逃さん。何があろうとも」
 大地が揺らいだ。それはおそらく、鋼の神が屈辱に地団駄を踏んだのだろう。
 唸る大地に恐れを見せることもなく、兵士なき荒野をふたりは歩む。
「いくらでも出してくるがいい。たかが雑兵ごときに、俺たちは止められん」
「……行こう、まる。ここで足止めされている場合ではない」
 カガリの視線に応え、マレークは頷いた。……再び大地が揺らぐ。
 それは君臨せし神の怒りというよりは、大敵を恐れる哀れな獲物の震えめいた。
「戦いはこれからだ。眼にもの見せてくれよう……」
 龍と門、恐るべき戦士たちが災禍たる炎を伴として屹然と歩む。
 神を討つために。残骸に、疾く滅びをもたらすために――。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

【Q】に同意した以上、僕も直接前線に赴く
見つけたからには確実に撃ち取らないと

仲間たちに投げられればスピードと反応速度が増大するなら
投げられる前に数を減らせばいいか?

【魂魄解放】発動
仲間を投げようとしている個体を「視力、戦闘知識」で見極め
「早業、ダッシュ」+高速移動で接敵
「2回攻撃、怪力、なぎ払い、吹き飛ばし」+衝撃波で周囲の敵ごとまとめて吹き飛ばして阻止だ!
お前らにかける時間はないんだよ!!

逆に投げられた個体に接敵されたら
「第六感、見切り、ダッシュ、残像」を駆使して回避を試みるが
無理なら「武器受け、オーラ防御、激痛耐性」でなんとか押さえ込もう



●一秒でも疾く
 黒き呪いの剣が震える。それは獲物を前にした肉食獣の唸りめいた響きだ。
 館野・敬輔は柄を強く強く握りしめた。荒ぶる獣を御するかのように。
 然り……彼の振るう剣は斬った者の魂を喰らい、使用者の力とする。
 だがそれは危険な力だ。なにせ、担い手の魂を……寿命すらも食らうのだから。
「お前らにかける時間は、ないんだよッ!!」
 裂帛の気合とともに一閃。斬撃の軌跡は墨汁を流したかのように黒ずむ。
 真っ二つに切り裂かれたオブリビオンソルジャーの残骸が大地を転がり燃える。
 神の炎。本来、死者を送るためのその灯火すらも、邪悪な魔力を放っていた。
 これこそが鋼神ウルカヌスの権能なれば。それはあってはならぬ篝火なのだ。
「もう二度と、逃しはしない……!」
 脳裏に蘇るのは、アースクライシス2019における激戦の数々。
 あの戦いに勝利したことすら、今となっては奇跡にしか思えない。
 何かがひとつでもボタンを掛け違えていれば、世界は滅んでいただろう。
 ゆえにこそ。もう二度と、オブリビオン・フォーミュラを生んではならない。
 なんとしてでもウルカヌスを倒さねばならない。儀式魔術の成功は好機だ。
 敬輔の心は逸る。それを煽るように、呪われた剣は嗤笑めいて震えた。
(ッ……駄目だ、落ち着け。こいつらはまだ、前座に過ぎない……!)
 生命を刃に焚べよ――裡なる声なき声がそう囁くのを感じ、冷静さを保つ。
 いたずらに寿命を捧げたところで、待っているのは戦い半ばの死である。
 己の魂を、そして喰らわれた魂を、生命啜る呪いの力を御するべし。
 青髪がゆらめき、敬輔の体を墨のような黒いオーラがヴェールめいて包んだ。
 必要最低限の消費で最大限の効率をもたらす。敵を切り裂き、前へ。
 一秒でも疾く、前へ。飛びかかってくる兵士を切り裂き、走る!
「邪魔を……するなッ!!」
 スピードを載せて放たれた斬撃衝撃破が、周囲の敵を薙ぎ払った。
 活路が生まれた。敬輔は音よりも疾く地を蹴って戦場を駆け抜ける。
 討つべき敵を倒すため。戦いはまだ、これからなのだ……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
こんな時期に出てくるなんて。
でもあの人....人?....人達に季節なんてあるのかどうか?
話して一旦帰ってもらえない?
新年になって少ししてから来てもらえれば。

駄目ならしょうがないし、還ってもらうしか。
分かりあえないのは悲しいこと。

相手が支援を頼んでいるならそれをもらおう。
半分は相手に。残った皆で物資をもらいに。
横取りが目立たない様にこっちで目立つ様にしないと。
符雨、信号弾か閃光弾の在庫はある?
意識をこっちに向ける様に派手に、ね。
相手からのクリスマスプレゼントは皆でちゃんと分けあうから。
量が一杯になったら他の人にもあげよう。
....サンタの格好が実は必要に?



●戦場でもいつも通り
 シュパァアアア……バンッ!!
 と、戦場のど真ん中で炸裂した大きな光。信号弾だろう。
『なんだ? 敵襲か!』
『一斉攻撃の合図の可能性もある! 総員、備えろ!』
 猟兵たちの波状攻撃に否定していたオブリビオンソルジャーたちは、
 それが敵のなんらかの合図と判断し、前線を退いた上で防御を整えた。
 ……戦術的に見れば正しい判断である。彼らには何の落ち度もない。
 しかし、知っておくべきだった。猟兵とは十把一絡げではないということを。
 ときには、奇想天外な戦術で撹乱する輩もいるのだということを……!

『……なんだ?』
 守勢に回ってから一分ほどしてから、ある兵士が気付いた。
『ドローンがいないぞ。それに、支援装備もだ』
『どういうことだ? ……まさか!』
 指揮官級のオブリビオンソルジャーが、気付いた。敵の意図に。
 だがそのときにはもう遅い。虚を突いて殺到する大量の戦術器たち!
『『『う、うわぁああああっ!?』』』
 そしてそれを指揮するのは……なぜか白い大袋を背負った神元・眞白である。
「クリスマスプレゼントの調達はこれでよし」
 間違っていた。彼女はこの戦場の目的をだいぶ間違えていた。
 まあこの年の瀬、クリスマスだ年越しだで忙しい師走の最中にあくどいことをやらかしているオブリビオンも大抵なのだが、
 それはそれとして、眞白は季節のイベントか何かのつもりでやってきていた。
 そんなわけで、眞白は信号弾を目くらましとして密かに敵の背後を取り、
 戦術ドローンを片っ端から撃墜して支援物資を強奪していたのだ。
「ふたりとも、あとはよろしく」
 メイド姿の戦術器たちが頷き、各々の武器を取り出す。
 BLAMBLAMBLAM! BRATATATA、BRATATATATATA……!
 浮足立ったオブリビオンソルジャーに、容赦なき銃撃と斬撃が襲いかかる……!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ヌル・リリファ
アドリブ連携歓迎です

捲土重来をきそうとするのはべつにきらいではないけれど。
どんな覚悟をもっていようと敵なら、わたしのすべきことはかわらないから。

後方部隊とはあんまり連絡とらせたくないかな。
団体行動が得意な相手は、できるだけうまく撹乱したいから。

ひかりの武器でドローンを優先的に破壊。
そのばにいる相手は、まずはうまく連携がとれないようアイギスで分断。混乱したところを各個ルーンソードで撃破していく。

個のつよさが普通でも、うまく連携をとられたらそのつよさはひろがるものだから。そうならないよう、妨害を重視。

……貴方達のたたかいかたにつきあって消耗するわけにはいかないんだ。まだメインがひかえてるからね。



●光雨、炎を切り裂きて
 おびただしく降り注ぐさまを"雨のように"と形容することがある。
 多くの場合それは比喩だ、なにせ本当に雨の如く降り注ぐことなど滅多にない。
 そもそも、水でもない物質を大量に降らすこと自体、非常識なのだから。
 ――が、その"非常識"を成し遂げる力こそがユーベルコートである。
 そしていま、ヌル・リリファが起こした光の暴威はまさに"雨"だった。
『な、なんて数の攻撃だ、まさかこれをたったひとりで……うわああっ!!』
 怯えたオブリビオンソルジャーが、防御用のバリアドローンごと穿たれた。
 ズドドドドドッ!! と大地を煮え沸き立たせる勢いの光の雨。
 それらは、サイキックエナジーで構成された恐るべき武器の数々である。
「じぶんたちのほうからたちはだかったのに、最期はおびえるんだね」
 塵も残さず消え去った兵士の残骸を、人形少女は冷たく一瞥した。
 否、正しく言えば冷徹さすらない……倒した敵のことなどどうでもいいからだ。
 それはけして、彼女を冷酷無情とそしるのは話が違うだろう。
 敵は、オブリビオンである。世界を脅かすために生まれた残骸だ。
 この戦場に戦士として立った以上、そこには生死の意義が生まれる。
 ヌルは敵に容赦しない。そういう機能を彼女には求められていない。
 立ちはだかる相手ならなおさら、である。ここは敵の不覚悟を謗るべきだろう。
「あなたたちのたたかいかたに付き合って、消耗するわけにはいかないんだ」
 ヌルは戦場を駆ける。光の雨を目くらましとして敵を蹂躙する。
 戦術ドローンを破壊し、浮足立った敵を光の盾で物理的に分断。
 一瞬でもこちらから目をそらしたなら、ルーンソードで両断する。
 仮にヌルを迎撃しようとしても、そもそも彼女の戦闘能力は非凡である。
 連携能力を削ぎ落とされたオブリビオンソルジャーでは、抗いようがない。
 神のしもべとて哀れなものだ。死の間際には怯えて震える者もいる。
 ヌルは敵に容赦しない。むしろそれを好機としてばっさりと斬り伏せる。
「……覚悟がないなら、こんなところにいなければいいのに」
 侮蔑、というよりは不思議そうな声音だった。戦闘人形にとってはそうだろう。
 だが彼女は識っている。"それこそがオブリビオンなのだ"ということを。
 その存在そのものが世界に対する害悪であり、マイナスの存在。
 世界を"破壊せずにはいられないモノ"。倒すべき純粋悪。
「――はやく、おわらせないと」
 空色の瞳は戦場の彼方を見る。倒すべき巨悪、鋼と炎を司る神を。
 こぼれた言葉は、あくまで戦闘人形としての冷徹な戦局判断がゆえか。
 あるいは少女なりの、そうせずにはいられない残骸たちへの慈悲の現れか。
 こたえはおそらく、ヌルにすらもわからないだろう。

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼイル・パックルード
やられてるクセに、まだ自惚れられる傲慢さは大したもんだね。
反面部下は面白味のない面をしてやがるね。

投げられたら反応速度もクソもないだろうに。全力で投げるってことはそれだけモーションもでかくなるだろ。見切りやすい。

相手の投げに合わせて風斬りのかまいたちを二刀で行う。
複数人が向かってくるならそいつらだけを迎撃。
一人だけなら向かってくるやつと投げ役をそれぞれ狙う。

投げられた奴をが方向転換できるようなら、ダッシュで離れて引き寄せつつ風斬り。

それでも捉えられないようなら、立ち止まって早業を利用したカウンターの一撃を狙う。

一匹仕留めたら、死体を盾にするのもいいかもね。



●風斬る刃
 鼬の鳴き声めいた、チッ、という甲高い音が響いた。
 直後、空中に投擲されたオブリビオンソルジャーの体がバラバラに分断。
 ごとごとと音を立て、残骸が転がる。先の音の正体は神速の斬撃だ。
「遅いんだよ」
 ゼイル・パックルードは吐き捨てるように言い、身を低く落とした。
 直後、その姿がブレる――視認不可能なトップスピードで駆けたのである。
 オブリビオンソルジャー五体。銃を構えようとして、叶わずに斃れた。
 首が斬り落とされたのだ。切断面は、鏡のように艷やかですらある。
「うぬぼれ屋の部下は、力量差も分からない無貌の兵士どもか」
 ヒュンッと刃をふるって残心したゼイルは、周囲の"戦果"を確認する。
 接敵からわずか五秒。先遣のオブリビオンソルジャー十五体は全滅。
 他愛もない戦いだ。こうも張り合いがないと楽しむことすらできない。
 雑魚は所詮、どれだけ徒党を組もうが雑魚である。
 この急ごしらえの兵隊そのものが、ウルカヌスの追い詰められっぷりを示す、
 いい材料だ――だのにあの神とやらも、よく強がったものだと彼は思う。
(あるいは、本気でそう思ってるのかね。だとしたら笑えるが)
 傍目から見れば理由の定かならぬ冷笑を浮かべ、ゼイルは首を傾げた。
 チュンッ! と、直前まで彼の頭があった場所を弾丸が通り過ぎる。狙撃だ。
「新手か? いいぜ、来いよ。どのみちお前らは皆殺しなんだ」
 ゼイルは脇差しと大刀を抜き放ち、皮肉げな笑みを浮かべて手招きしてみせる。
 突撃銃を構えた小隊が、合計で二十人――仕留めるには十秒もあればいいか。
(せいぜい、予想を覆してくれりゃいいんだがね)
 ゼイルの姿が消えた。まず三体、無造作な斬撃で両断する。
 敵はフォーメーションを組んで、突撃役を投げ飛ばそうとしていた。
「前の奴ら見てなかったのか? ――見切りやすいんだよ」
 一秒。飛び込んできた敵を縦に両断し、死体を蹴り飛ばして銃撃の盾とする。
 リロードの僅かな隙を突き、地を這うほどの低姿勢で疾走。二秒。
 敵のど真ん中に飛び込んだゼイルは、ぐるりと円を描いた。どさりという音。
「面も強さも面白みがない。残党なんざ、こんなもんか」
 死体は地獄の炎に灼かれて塵へと還る。揺らめく陽炎のなか、男は孤影。
 その姿もすぐに消えた。次の獲物を求め、次の死地へ向かうために。
 ゼイルの戦いは終わらない。ただ残骸が積み上がっていくだけだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

桜雨・カイ
連携・アドリブ歓迎
先日の戦争でつけられなかった決着を今度こそつけたいです。
まずは今目の前にいる敵を相手にしないと。
連携されると厄介ですね…でも連携ではこちらも負けません。
数が多くても少しづつでも倒していけば、その先へつながるはずです

【錬成カミヤドリ】発動
まずは一部の錬成体を使い場をかき乱しつつ手にした「念糸」を張り巡らせ、糸で敵の連携や動きを妨害します。
特攻モードで襲ってきた時は他の錬成体で受けます(「盾受け」)

あとは残りの錬成体で攻撃です。「二回攻撃」「早業」などて手数を増やして一気に攻撃します!


アルトリウス・セレスタイト
始末は付けておかねばな

敵へは顕理輝光で対処
常時身に纏う故、準備不要
攻撃へは『絶理』『刻真』で異なる時間に自身を起き影響を回避
攻撃分含め必要な魔力は『超克』で“外”より汲み上げ、行う行動は全行程を『刻真』で無限加速し即座に終える

天楼で捕獲
対象はオブリビオン及びその全行動
原理を編み「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に閉じ込める
『解放』を通じ全力で魔力を注ぎ迷宮の強度と自壊速度を最大化
内より外へは何もできず、逆は自由な理不尽の檻だ。存分に憤れ

出口は自身に設定
俺か迷宮を破壊せねば未来は無いぞ
最も、攻撃も自壊する。容易ではないと言っておこう

もたもたすると試す間も無くなるぞ
さあ急げ


ベネラ・ピスキー
ハッハッハッハッハッハッハ。
オブリビオン側についた神が苦境に立つ様を見ているのは健康に良いな!うむ、オレ様封印されて零落した身だが痛快な様を見ると寿命が伸びるな!まあ寿命なんぞ元から無いんだが。
さて、弱った所を攻めるのがセオリーだ。特等席で力があるからこそ思い上がった奴の歪んだ面も見たいしな。
まずは雑魚掃除だが、ユーベルコードは金輪奈落だ。
隙間を狙えば良いのだろう?隙間を見つけた瞬間にそこをオレ様が視認すれば、それで攻撃は完了だ。
ハーハッハッハッハッハッハッハ!
(なおどっからどう見てもツーサイドアップで魔法少女のコスプレした痛い人が高笑いしてるのでご自由に弄ってください。)


メイスン・ドットハック
【WIZ】
やはり戦争で倒しきれんかったのは厄介じゃのー
じゃけどこのまま残しておくわけにもいかんからのー

情報伝達用撮影ドローンに対して、電脳魔術による【ハッキング】を仕掛け、その映像を【暗号作成】で制作しておいたプログラムによる映像(何も変化のない風景)に差し替えて、活躍も苦戦もみせず援助物資の到来を防ぐ
そしてUC「深淵の水、混沌の渦となる」を発動させて、周囲の無機物を精神汚染させる黒いスライムに変えて、敵に襲い掛からせる
他の敵を、猟兵に見せる幻視を見せて同士討ちを誘発させ、さらに深度の高いものは発狂させて手あたり次第攻撃するようにさせて、敵の統率を乱す
戦争は冷静さが大切じゃのー

アドリブ絡みOK


月宮・ユイ
アドリブ・連携◎
器に誘惑の呪詛宿す呪<呪詛>操るヤドリガミ

(神々の墓場とは、また凄い場所ね)
なるほど、ここで力を蓄えているのですか
いかに聖地の強化がなくとも鎧量産されてはたまりませんね
決着をつける為にも挑ませて貰いましょう

《捕食兵装》圧縮成形<呪:生命力吸収>付与<捕食>力強化
・杭:<念動力>射出し止めの追撃や遠距離攻撃
・衣:武装を呪で染め同化圧縮
<怪力>[ステラ:斧槍]にて近接戦
<風属性>のせ吹き飛ばしや体勢崩し、数で囲まれない様注意する。
併せ<第六感>含め知覚研ぎ<情報収集>
【ドローンや救援物資】優先し破壊<捕食>敵UCを妨害。
力溜めしつつ継戦
機を見て杭<早業>多数成形、一斉発射し制圧狙う


天御鏡・百々
折角平和が訪れたというのに
またこの世界を争いの中に戻すわけには行かぬ
悪神ウルカヌスよ! 我ら猟兵が成敗してくれる!

『合わせ鏡の人形部隊』を使用し人形兵を呼び出すぞ
数が多少多くとも、それ以上の数で攻めればよい
多数の人形兵で敵を囲んで攻撃だ!
一撃で倒される弱点は
我の神通力(武器)の障壁(オーラ防御85)で
護ることでカバーしよう

人形兵のうち50体ほどは別行動
ドローンの破壊及び、
援助物資の配送を妨害させる
強化がなければさほどの脅威ではあるまい

我自身も真朱神楽(武器:薙刀)のなぎ払い35で
敵を攻撃するぞ

●神鏡のヤドリガミ
●アドリブ連携歓迎



●猟兵たちの快進撃
「ハッハッハッハッハッハ。ハーハッハッハッハッハッハ!」
『『『誰だっ!?』』』
 突如戦場に響き渡る哄笑。オブリビオンソルジャーたちの視線は、
 高台に立つ声の主に否応なく注がれた。逆光を浴びて佇むシルエット。
 やがて炎が落ち着くとともに現れたのは……!
「ほう、このオレ様を知らぬのか? ならば刮目して見るがいい!」
『『『…………』』』
 と、自信満々に胸をそらすのは、美を司る神、ベネラ・ピスキー。
 己という存在をオブリビオンどもに見せつけるその様、実に威風堂々たるもの。
 なの、だ、が……オブリビオンソルジャーたちは顔を見合わせた。
『魔法少女だ』
『魔法少女だな』
『あんなヒーローいたか?』
「…………ッッッッ!!!」
 ウカツ! ベネラはそこではたと思い出した。己のいまの惨状を。
 ツーサイドアップに魔法少女めいたヒラッヒラのコスプレ衣装であることを!
(しまった! ウルカヌスのざまがあまりに愉快なものだから……!)
 思わず気分が全盛期に戻ってしまった。彼の今の格好は好き好んだものではない。
 彼。然り、彼である。ベネラの今の姿は、魔法少女姿の少年なのだ……!
「く、くそっ! だがお前たち、オレ様にうつつを抜かしていていいのかっ!?」
『何を……グワーッ!?』
 その時である。オブリビオンの群れに飛び込んだのは、大量の人形兵たちだ。
 合わせて250体以上の人形兵部隊。それを率いるのは薙刀を携えた巫女少女!
「ここは戦場ぞ。よそ見をしているなどずいぶん余裕な輩どもよな!
 さあ参るぞ、我が"合わせ鏡の人形部隊"よ。我のもとに続くのだ!」
 神鏡のヤドリガミたる古風な乙女、天御鏡・百々は高らかに言い、刃を振るう。
 オブリビオンソルジャーたちは慌てて突撃銃のトリガを引いて迎撃するが、
 巨大な鏡めいて展開された不可視の障壁が弾丸を妨げ、人形たちを守る。
 人形兵の一体一体の戦力はそこそこだ。さすがに敵の練度には見劣りする。
 しかし、数! そして、百々という指揮官のもと統率された動きが武器なのだ。
 敵の不意を打ったこともあり、一瞬にしてイニシアチブは猟兵のものとなった!
「悪神ウルカヌスよ。見ていよう、聞いていよう! この惨状を!
 ならば覚悟せよ。我ら猟兵が、必ずや貴様の喉元にたどり着いてみせるぞ!」
 百々は小柄な体の頭上でぐるぐると薙刀を振るい、遥か彼方の神を指し示した。
 まるで鋼神の屈辱の呻きに呼応するように、大地が、空間が揺らぐ。
 燃え盛る炎……それが示すことはただひとつ。奴の怒りだ。憤怒の感情!
「この好機を逃すわけにはいきません。推し通りますっ!」
 そして百々の人形兵部隊に続き、桜雨・カイとその分身体が戦場を駆ける。
 実のところそれらは、人形のヤドリガミである彼自身の錬成体である。
 すなわち、動きは自由自在。いわんや、一流の人形遣いたるカイの操作ならば、
 オブリビオンソルジャーの動きなど比較にならぬ連携で敵を圧倒するのだ!
 身軽な錬成体たちが一気に敵陣に突っ込んで、軽業師めいて上下左右に跳び、
 敵がその軽妙さに浮足立ったところで、張り巡らせた念糸をぐいと引く。
 誰も知らぬ間に展開された糸の結界――それが狭まることは敵の死を意味する。
 鋭い刃めいた糸がオブリビオンソルジャーをバラバラに引き裂き、
 あるいは守りの固い個体であっても雁字搦めにすることで動くを拘束して、
 続く本体と本隊が早業の二回攻撃を繰り出し、その素っ首を叩き落とすのだ。
『な、なんて動きだ……! 我らを連携で凌駕するなど!』
「驚きましたか? ですが、これが私の――そして、私たち猟兵の戦い方です。
 世界を破滅させようとするあなたたちに、手を取り合う力で負けはしません!」
 驚愕するオブリビオンソルジャーを蹴倒し、カイは決然と敵を睨んだ。
 そう、オブリビオンは所詮相互理解の不可能な過去の残骸に過ぎない。
 真の意味で互いの動きを把握し、息を合わせることは猟兵にしか出来ない!

『く、くそっ! こうなったら一時撤退し、支援物資を補給して立て直しだ!』
 圧倒的な攻勢に対し、オブリビオンソルジャーは戦略的撤退を選んだ。
 前線をあえて退くことで戦況をリセットし、腰を据えて迎え撃つ構えらしい。
 この練兵たちの厄介な点は、単なる猪武者ではないということだろう。
 場合によっては退却し、長期的な戦闘をも辞さない高度な戦略的判断。
 それは、猟兵にとってよからぬ展開である。時間は敵の味方なのだから。
 もしも仮に、ウルカヌスの鎧が奴らに与えられてしまったならば……まずい!
「――いまさら、どこへ逃れられると思っていた?」
『『『!?!?』』』
 しかし。はじめから、オブリビオンソルジャーに逃げ道などなかったのだ。
 反転して撤退しようとした個体は、見えない壁に阻まれ動けなかった。
 はたして何が起きたのか。推察したところで、奴らにその理由はわからない。
 ただ声の主――アルトリウス・セレスタイトの冷たい瞳が、彼らを見下ろす。
「お前たちは思い違いをしている。俺たちの目的は、あくまでウルカヌスだ。
 つまり……お前たちは、本来"敵ですらない"。踏み越えて当然の道程に過ぎん」
 アルトリウスの瞳には、慈悲や憐憫といった感情や躊躇は見られなかった。
 それはけして、彼が冷徹無情な人物であるという意味ではない。
 すべて彼の言葉通り――雑魚など、一蹴する障害物に過ぎぬという自負。
 そして、そうするだけの力が彼にはある。世界の原理に通じた術式が。
「論理の牢獄に囚われたお前たちは、もはや下がることも進むことも出来ない。
 解放されたいならば、この俺を殺してみるがいい。出来るかどうかともかくな」
 原理の術式、"天楼"。論理の迷宮に敵を囚え、自壊させる必滅の力。
 蒼き燐光は獲物を照らす。アルトリウスの双眸もまた、同じ色に輝く――。
『ほざけ! ならば、貴様を殺してやる! 撃ち方、構え!』
 だが愚かなオブリビオンソルジャーたちは、絶望せずに彼を狙った。
 彼らが取るべき行動は、速やかな自死以外にはなかったというのに。

 ――そして直後、オブリビオンソルジャー十体が一気に薙ぎ払われた。
 まるでそれは、巨大な大蛇が、大地もろとも尾で削り取ったような暴威だ。
 大地が揺らぐ。はたして、これほどの強力な一撃をもたらしたのは何者か。
「決着をつけるためにここへ来ました。これ以上、時間は取りたくないの」
 見よ、土煙の中から現れたのは、小柄な黒髪の少女ではないか。
 その名を月宮・ユイ。恐るべき捕食兵装を使いこなすヤドリガミの戦士である。
 いかに見た目が華奢で可憐だとしても、その見た目に惑わされてはならない。
 彼女もまた、ひとかどの猟兵。あまたの戦いを駆け抜けた歴戦の強者なのだ。
『こ、このガキ……』
「……退くつもりはないようですね。ならば、押し通ります」
 声音は冷徹ですらあった。直後、ユイの小さな体がブレて消えた。
 分身すら生じさせかねない速度で大地を蹴り、一瞬で敵部隊の背後を取る。
 そして自慢の斧槍を振るう。先の暴威じみた一撃はこれによるものだ。
 必殺の概念を付与された捕食兵装が唸りを上げ、物理法則を屈服させる。
 もたらされるものは破滅。見た目では計算し得ぬ、すさまじい衝撃と破壊。
 ズゴンッ!! と音を立てて大地がえぐれ、敵部隊を空中に吹き飛ばした。
「――食らいつけ!」
 ガコン、と音を立てて斧槍が変形し、圧縮成形された兵器群を解き放つ。
 たとえるならば餌に食らいつく微生物の群れ。獲物を引きずり込もうとする闇。
 過去の残骸すら取り込み己のものへと変える連星の破滅兵器が形を得て、
 嵐を吹き荒ばせながら敵に噛みつき、へし曲げ、ごきごきと滅殺する……。
『こ、攻撃だ! 攻撃しろ! 全員殺せーッ!』
 狂乱した指揮官役の個体が叫び、目についた猟兵の影を徹底攻撃させた。
 しかし、おかしい……背後を晒していたはずの猟兵は、攻撃を受けると霧散し、
 影も形もなくなってしまう。……いやそもそも、なぜあんな不覚を晒していた?
 あんな、"攻撃を誘うかのような姿の猟兵"が、いつの間にこんなところに?
 冷静に戦況を俯瞰していたのだとしたら、その違和感に気づけたかもしれない。
 だが、猟兵たちの快進撃は、その思考能力をすら敵から奪っていた。
 付け加えるに――"彼女"の生み出したホログラムは、本物と寸分違わぬ精巧さ。
 そう、敵が好機と見て攻撃したのは、電脳魔術が生み出した虚像である。
 混迷の戦場を安全地帯から見下ろす、メイスン・ドットハックの仕業だった。
「まんまと引っかかっておるのー、まあ所詮一山いくらの雑魚ではのー」
 クリスタリアンの少女は、電脳ゴーグルを装着して戦場を俯瞰しながら、
 現実を改竄する無数の電脳プログラムを走らせ、敵の連携をかき乱す。
 本物の猟兵さながらのホログラムは、敵兵を包み込むように展開している。
 つまり、同士討ちだ。しかも相手は同士討ちしていることにすら気付かない。
 あるいは、後方からドローンによる支援物資があれば話が違っただろう。
 ゆえに、メイスンはそちらにも手を打っている。ドローンが来ることはない。
 ハッキングされたそれらの無機物は、精神汚染を誘発する黒いスライムになり、
 背後からオブリビオンソルジャーたちを襲って滅殺しているのだから。
 悲鳴と混乱が混声合唱めいて響き、やがて少しずつ静まっていく。
「ま、恨むなら自分らの指揮官を恨むんじゃのー。これは殲滅戦じゃけー」
 然り。先のアースクライシス2019における、数少ない猟兵たちの"やり残し"。
 ジェネシス・エイトの完全殲滅。それこそが今回の作戦目的である。
 ゆえに――はじめから、見逃すという選択肢は存在しないのだ。

「ハッハッハッハッハ! まったく、雑魚どもがいいざまだな!」
 そして戦端を切って落とした少年ベネラは、相変わらず呵々大笑していた。
 が、逃げ延びようとしている最後の敵部隊に向け、ちらりと視線を向ける。
「――おとなしく滅んでおけばいいものを」
 直後、異界の門が開かれ、巨大な質量がエネルギーとなって飛び込んできた。
 "極小顕現・金輪奈落(リトルゴッズ・グラビテーション)"。
 遥か彼方、金星の有する質量そのものを召喚し叩きつける豪快な術式だ。
 星の一部をぶつけられて、およそ無事でいられる生命体は存在しない。
 いわんや、追い詰められたオブリビオンの群れなど……論ずるに値せず。
 文字通り四散した敵の残骸をつまらなそうに一瞥し、ベネラは笑った。
「さあて。それでは次の獲物を見て、健康的に笑わせてもらうとするか!」
 かくして敵部隊は殲滅されり。猟兵たちは戦局の駒を前へと進める。
 ……そして彼らを威圧するように、第二の敵のプレッシャーが立ち込めた……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 ボス戦 『オールドスパーキー』

POW   :    ハンマースパーク
【身体】から【発電された高圧電流を纏った一撃】を放ち、【感電】により対象の動きを一時的に封じる。
SPD   :    ボルカニッカー
【全身から火山の噴火のような激しい空中放電】を放ち、自身からレベルm半径内の全員を高威力で無差別攻撃する。
WIZ   :    イートタイム
戦闘中に食べた【引きちぎった電線から取り込む電気】の量と質に応じて【全身の細胞に電力が充電され】、戦闘力が増加する。戦闘終了後解除される。

イラスト:もりさわともひろ

👑11
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●第二戦:神の鎧を纏いしモノ
『ふしゅるるるる……』
 獣じみた吐息を蒸気のように吹き出しながら、見上げるような巨体が身じろぎした。
 元死刑囚ヴィラン"オールドスパーキー"。知る者は知る、古い悪党だ。
 その罪状から電気刑に処されるも、逆に電撃を取り込むことでオブリビオン化。
 巨大な肉体の膂力と、有り余る電気のパワーを操る強大な存在となった。
 そして今。奴の全身を覆うのは、ウルカヌスが手ずから鍛え上げた神鋼の鎧!
『オールドスパーキーよ。なんとしても猟兵どもを皆殺しにせよ!!』
 轟くようなウルカヌスの大音声が響き渡り、大男は応じるように咆哮した。
 ビキビキと音を立てて鎧が軋む――裡なる筋肉の緊張ではちきれかけているのだ。
 バチバチと空気が放電し、オゾンの灼ける臭いがあたりに立ち込めた。
 聖地の加護はあらねど、神が鍛え上げた鋼はあらゆる攻撃に高い防御性を有する。
 効率的に敵を倒すには、どこかにある"隙間"を突くのが最適だろう。
 あるいは神の鋼何するものぞと、あえて正面から挑みこれを打ち砕くか。
 いずれにせよ、先の雑兵どものようにはいくまい。
『ハハァーハハハハッ!! かかってこい、全員消し炭にしてやるッ!!』
 猿(ましら)じみた絶叫が木霊する。待ったなしの第二ラウンド開幕だ!
マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

雷撃だけでも厄介なのに、ウルカヌスの鎧まで纏っていると来たか
厄介ではあるが電撃させ防げればやりようはある
不落の決意がある限り、無二の友が如何なる攻撃も通しはしないだろう

カガリが【駕砲城壁】で電撃を光弾で跳ね返したら、カガリの後ろから敵めがけて【碧血竜槍】を槍投げ
狙いは鎧の隙間、接続部だ
部位破壊と鎧砕きを効果に乗せ鎧に罅を入れる
攻撃の本命は【流星蒼槍】で召喚した双頭竜
如何なる強固な鎧も罅が入れば脆くなる
それならば双頭竜の顎でも砕けよう

俺自身も攻撃の手は休めない
投げた槍が竜に戻り手元に返ったら、もう一度槍にして投げ続ける

ウルカヌスの鎧を砕けるか、ここで試させて貰うぞ


出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

鋼の神の鎧か、ついに来たな。
まるの槍は、かのクエーサービーストさえ穿ったのだ
相手にとって不足はないぞ

雷撃はこちらに任せろ
それが、脅威であるならば。カガリの壁は通さない。
拡がれ籠絡の(【籠絡の鉄柵】)、不落の城壁となれ(【不落の傷跡】)
鉄柵を大型化させてまるとカガリを囲ったら、敵の一撃を【駕砲城壁】で受け止めよう
電撃耐性でもある程度耐えられるようにしておく
まあ、その能力が必要になる状態なら、カガリも結構なダメージを食らっていそうだが。その時はまあ、その時だ。倒れさえ、しなければいい。
まるの槍が、生きてさえいれば

まるの槍なら、きっと刺さるだろう
いけ



●その切っ先、神へと届け
「まる、カガリの後ろで待て。奴の花火は、すべてカガリが止める」
 全身にすさまじいまでの稲光を纏い、練り上げた一撃を放たんとする敵を前に、
 出水宮・カガリは言った。視線を受けマレーク・グランシャールはこくりと頷く。
「ああ。お前が守り、俺が貫く。この力、合わされば怖いものなどない」
『てめぇら……!! このオールドスパーキー様の電撃を止められるつもりかぁ!?』
 全身の細胞を励起し発電に回したヴィランの姿は、もはや発光していた。
 絶えず破裂する火花はオールドスパーキーの周囲の大気を焼き焦がし、
 陽炎を揺らめかせるほどだ。触れるどころか近づくだけでも致命的だろう。
「どうした。そんな大口を叩くならば、さっさとカガリを貫いてみせろ」
 自らの周囲を大型の鉄柵で覆った万全の体勢で、カガリは敵を挑発する。
「己の不足を晒すのが怖いのか。であれば、仕方ないな」
『……!! その減らず口、後悔させてやるぜぇええっ!!』
 バチバチバチバチ……!!
 目もくらむほどの閃光を放つ超高圧電流が、オールドスパーキーの片腕に集中。
 プラズマ熱を篭手のように纏い、鎧を纏った大男は深く深く腰を落とす。
 相対するは不落の城壁。カガリに、マレークに、"もしも"という言葉はない。
「たとえそれがなんであれ、人に仇なし害する脅威であるならば――」
『おぉおおおおらぁああああああっ!!』
 だんっ!! 重装備とは思えぬ意外な敏捷さ。戦車のような猛突進!
 スピードと質量を載せた全力の一撃が、稲妻のごとき電流を纏い繰り出される。
 危険だ。超級のオブリビオンですら直撃を厭うであろう極大破壊力。だが!
「……カガリの壁は、通さない!!」
『…………!?』

 バチィ――!!

 大地をも砕くほどの威力と、どんな金属も融解させるだろうプラズマ熱。
 破滅を併せ持った拳は、しかし……止められている。強固なる城壁に!
『な、なぁにぃ!? バカなぁ……!?』
「反撃せよ。砲を撃て――!」
 カッ! と城壁そのものが光り輝き、閃光は球体状に収束した。
 ぶちまけられたエネルギーを、壁が受け止め、凝縮しているのだ。
 そして力は放たれる……愚かにも不落の盾に挑んだ敵に応報するために!
『うおおおっ!!』
 巨大エネルギー弾を食らったオールドスパーキーの巨体が大きく吹き飛んだ。
 しかし、さすがは神が手ずから鍛え上げた鋼鎧か、ダメージは軽微である。
 だが問題はない。攻撃を受け止め、凌ぐ……その結果があればよいのだ。
「行け、まる」
「応――その鎧、砕き穿たせてもらう……!」
 カガリの背後に待機していたマレークが、手に持つ竜槍を勢いよく投擲した。
 狙いは関節部……矛はしかし、がぎんっ!! と音を立てて鋼に阻まれる。
 しかし、擲たれた竜槍はただの矛ではない。二段構えの流星。
 弾かれたと見えた槍はそれ自体が稲妻を纏い、蒼雷の双頭竜に変じた。
「星を穿て、碧眼の双頭竜よ!」
 ゴオオオウウン――大地を揺るがす咆哮、そして大顎が鋼鎧に食らいつく。
 マレークはカガリを飛び越えて疾走し、くるくると堕ちてきた槍を掴んだ。
 鎧に食らいついているのは、エネルギーによって生み出された幻影の竜だ。
『へ、へへ! そんな攻撃じゃ、この鎧は――』
「穿けないと思ったか? 俺は言ったはずだ、"砕き穿たせてもらう"と」
『!?』
 双頭竜ごと敵の被弾箇所を貫く、マレークの全体重をかけた全力刺突!
 立て続けの追撃によって罅割れた鎧が……KRASH!! ついに貫かれた!
『がああああっ!?』
「わが友が全力を以て盾の役割を果たしたのだ。ならば俺は槍として敵を貫く。
 お前はウルカヌスを討つための試金石に過ぎん。ここで果てろ……!」
 いかな神の鎧とて、ふたりの連携から放たれた攻撃にはひとたまりもない。
 のたうつ獲物を睥睨し、マレークは次の一撃に向け新たな力を練り上げる……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アルトリウス・セレスタイト
自慢げなのも良いが
頼り切ると痛い目を見るぞ

敵へは顕理輝光で対処
常時身に纏う故、準備不要
攻撃へは『絶理』『刻真』で異なる時間に自身を起き影響を回避
攻撃分含め必要な魔力は『超克』で“外”より汲み上げ、行う行動は全行程を『刻真』で無限加速し即座に終える


特に何をする様子もなく目標へ接近
自慢の電撃を見せてみるが良い

最も、何をされようと何の痛痒もない訳だが
何もしない相手に対して、何をしても通じないとなれば少なからず動揺しよう
それで此方へ意識が向けば他の者が鎧の隙間を狙いやすくもなる

そして同時に条件も満たす
空理で消去する
障害は全て「無視」される。つまり鎧は役に立たん

※アドリブ歓迎



●その名は空理
 アルトリウス・セレスタイトは、何の武器も持たず身構えもしなかった。
『ふしゅるるるる……なんだぁてめえはぁ? 度胸試しのつもりかぁ?』
「どうした。無駄口を叩かずに、なんとなりと攻めてくればいいだろう」
『あぁ!?』
 オールドスパーキーの額に青筋が浮かび上がる。アルトリウスは平然とした顔だ。
 彼も挑発をしたわけではない。思ったことをそのまま述べたまで。
 だからこそ癪に障るものだろう……特に、己を強者と奢る下衆にとっては。
「与えられた力に阿り、敗残の神の使い走りとなった輩に身構える必要などない」
『――!! てぇめええぇええええっ!!』
 バチバチバチバチッ!! 天雷と見紛うほどのすさまじい放電!
 鋼鉄すら炭化させるであろう超光熱を前に、アルトリウスは徒手空拳のまま。
 むしろこちらから近づいて、彼はこう言うのだ。
「自慢の電撃を見せてみるがいい。せめて、滅び去る前にはな」
 オールドスパーキーは怒りのあまり、言葉にならぬ雄叫びをあげ、
 増幅したプラズマを光線のように収束させ、解き放った。
 感電など生ぬるい。融解・消滅せしめる破滅の光である。
 おお……だが、見よ。ガラス状に焼け焦げた大地の上、アルトリウスは無傷!
『ばっ……バカな!?』
「終わりか。ならば、こちらから行かせてもらうぞ」
 オールドスパーキーは、空気が数十倍に重くなったような錯覚を得た。
 それは、アルトリウスが攻撃の意志を持ったことで生まれたプレッシャー。
 蛇に睨まれた蛙が動けなくなるように、巨人もまた息を飲み硬直する。
 だが、案ずるな。この神鋼の鎧はいかなる攻撃をも弾くのだ。
 ……弾く、はずだ。だが、あの男の平然ぶり、まさか――。
「凪げ」
『!!!???』
 KRAAAAASH!!
 いつの間にか、アルトリウスはオールドスパーキーの眼前に居た。
 そして自然な動作で差し出した掌が、強固な鋼鎧の表面に触れた瞬間、
 さながら武道の達人が神秘的な力で門下生を投げ飛ばすパフォーマンスのように、
 筋骨たくましいオールドスパーキーは吹き飛んでいたのである!
 ズズンッ!! 大地に弓なりに落下した大男は、全身を襲う苦痛に呻いた……!
「ただ与えられ、偶然に得た力を居丈高に誇り、驕り高ぶってみせる。
 ……そういう輩のことを、増上慢と呼ぶ。その足りない頭で覚えておくがいい」
『ぐ、おおおお……!!』
 オールドスパーキーには、減らず口を叩く余裕すらなかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

ゼイル・パックルード
消し炭に、ねぇ。ハ、どうせ戦争のときにも同じような口上言ってたんだろ?
それで何人の猟兵を消し炭にできたんだか、猟兵に犠牲者が出たとは聞いちゃいないけどな。

とか挑発して怒らせる。まぁ、挑発っていうか本心だけど。
こういうタイプは勝ったと思うとすげぇ油断するタイプだと思うんだよなぁ。
敵に近づきながら、相手が雷を放射したところを鉄塊剣で武器受け。当たる直前で手を放したりして関電は避けれるようにはしてみる。

放電を防御したら、UCコードを発動。全身を、まるで消し炭のような実態のある影に変化させる。
相手が油断したところを、UCの隙間に入り込める特性を利用して、炎や体術で攻撃する。



●灼影
 超光熱の雷火が、横向きの嵐のように大地を薙ぎ払った。
 暴れ狂う大蛇めいた極太のプラズマ攻撃を、ゼイル・パックルードは跳躍回避。
 鍛え上げられた彼の体躯と反射神経があれば、電撃そのものは視認出来ずとも、
 敵の視線や体の動きを予兆とし、軌道を予測して回避することが出来る。
『ちいっ!! ちょこまかと逃げ回りやがってぇ!!』
 オールドスパーキーは苛立ち、遠距離戦から近接戦に思考を切り替えた。
 ドウ、ドウ、ドウ! と大型肉食獣のごとき足音でダッシュすると、
 着地したばかりのゼイルを叩きのめそうと、ハンマーパンチを振り下ろした!

 ガギンッ!!
『……!! こいつ……!!』
「どうした? 消し炭にすんじゃなかったのか?」
 ゼイルは、ハンマーパンチを受け止めていた。鉄塊剣を盾のように掲げて。
 その切っ先は地面に突き刺さっており、表面に炸裂した電撃を受け流している。
 こうすれば、感電することはない。バチバチと電光の飛沫が大地に散った。
「どうせあの戦争でも、お前は同じような口上を垂れてたんだろう?
 猟兵に犠牲者が出たとは聴いちゃいないがね。キルマークはどのぐらいだ?」
『…………!!』
 ぷしっ、と、オールドスパーキーの額に浮かんだ青筋がちぎれた。
 血を吹き出して激昂する大男を前に、ゼイルは皮肉げに笑ってみせる。
 それが、敵にとってはこの上なく憎たらしい。……叩き潰したいほどに!
『死にやがれぇえええええっ!!』
 怒りとともに全身の発電細胞を励起し、雷の輝きを纏う。まるでタワーだ。
 天を衝くほどの光が収束し……今度こそ、ゼイルに叩きつけられた!
 バチチチチッ!! と大地が裂け、哀れゼイルは消し炭に……否!
『!?』
 真っ黒に炭化したゼイルの体が、まるで崩れるようにして消失した。
 一体どこに? ……答えは背後だ。亀裂を伝って移動したのである。
 あれは、炭化した姿などではない……全身を実体ある影に変異させたのだ!
「お前みたいなタイプは、勝利を確信した瞬間油断しちまうもんだよな」
 SMASH!! 振り返ろうとしたオールドスパーキーの顔面にソバット命中!
 水のような軟性を持つ蹴りは、それゆえに先端速度が音を超える。
 鎧の内側に浸透した衝撃が、今頃奴の全身を駆け巡っていることだろう……!

成功 🔵​🔵​🔴​

夷洞・みさき
咎という物は巡り巡って必ず追いつくモノなのだろうね。
既に死刑を受けていて、まだ現世の人のままなら君は僕の管轄外だったけど。
オブリビオンになってしまったのなら、気にする必要は無いね。

【WIZ】
出遅れていたので船から車輪に乗って大急ぎで現場に飛び込む。
ついでに轢く。

雷は金属を伝導を目論見、船の錨を絡み付け放電を船に流す。
船員達は大変かもしれないが、これもお仕事お仕事。

隙間が判明するまでは【車輪】による直接攻撃
ダメージは無理でも、音、圧迫感、纏う呪詛により【恐怖を与える】

【隙間】
雷と鋼の組み合わせから隙間は放電箇所、放電発生時と想定。
隙間への攻撃は釘を使用して【呪詛】を浸み込ませる。

アドリブ絡み歓迎


天御鏡・百々
戦争の時ほどの力は感じぬが、神鋼の鎧とは厄介な
しかし、その攻略手段は既知にして、幾度も実践されている
なれば、それをなぞればよいのだ

神通力(武器)によるオーラ防御85の障壁を展開
敵の攻撃を回避、防御しつつ鎧の隙間を見極めるぞ
念動力10を利用して普通の鏡も動かし
死角となる場所が無くなるようにして観察だ

隙間を発見したら
「神鏡破魔光」にて、その隙間を貫こうぞ
同じく念動力で操る鏡にて反射させれば
敵の防御をかいくぐって当てることも出来るだろう

このセンターオブジアースに電線があるとは思えぬが
落雷などの利用はあり得るか?
先ほど倒した兵士の武装を念動力で操り
避雷針のようにして電気の取り込みを妨害しよう


カタリナ・エスペランサ
当然、今回も正面突破を決めるとしようか!

【天災輪舞】を発動して加速、《ダンス+空中戦》を展開。
敵の動きは《第六感+戦闘知識+見切り》で先読み対処しつつ《属性攻撃+鎧無視攻撃+マヒ攻撃+制圧射撃》、雷を纏ったダガーの《投擲》と羽弾を全方位から浴びせていくよ
この蒼雷は神殺しの粛清権能、キミ自身の電撃はもちろん大層な鎧も貫いてその身を痺れさせ焼き焦がす
…それと、もう一つ特性があってね
《ハッキング+地形の利用+力溜め》、標的が滅びるまで消えない蒼雷はそこに在るだけで空間ごと侵食を続ける
《カウンター+先制攻撃》、敵のUC発動に合わせ初動を潰す形で《全力魔法》。蓄積した蒼雷を束ねて極大の一撃を叩きつけるよ


メイスン・ドットハック
【WIZ】
随分マッチョで頭が悪そうな奴がきたのー
そういうやつこそ、肝っ玉は小さいものじゃのー

放電対策として、電脳魔術で避雷針をそこら中に創造し、電気誘導していく
さらにその電力を逆利用し、高熱の針を創り出し、鎧の間隙に向かって放出する
その際、電磁力を利用してレールガンのように高速で飛ばす
そして、引きちぎった電線を食べる瞬間に、UC「深淵の水、混沌の渦となる」を発動し、電線を電脳黒スライムに変化
そのまま体内に入らせ、精神を汚染し発狂を起こさせ、金属アレルギーと電気恐怖症を引き起こさせ、自滅に誘導させて、味方の攻撃タイミングを演出する

自分の力に恐怖する瞬間というのはどうかのー?

アドリブ絡みOK


ハロ・シエラ
随分と全身に電気を漲らせていますね。
鎧もありますし、剣で攻撃するのは難しい。
ですが、相手も同じ様に考えているはず。
まずは【物を隠す】技術で魔銃に気付かれない様にし、レイピアやダガーでは攻めあぐねている様に見せて【だまし討ち】を狙います。
相手が電気を取り込んだり放出したりする様子を見て、攻撃を躊躇して見せれば敵もそれを勝機と見るでしょう。
私は攻撃を回避しながら鎧の隙間を【見切り】折を見て魔銃を【クイックドロウ】し、ユーベルコードでそこを撃ち抜く事にします。
隙間の場所は敵の動きと【第六感】で見抜きたい所ですね。
当てられるかどうかは私の【スナイパー】としての腕次第ですが。


館野・敬輔
【SPD】
アドリブ連携大歓迎

僕らを消し炭にしたいか
なら、僕は炭の大きさになるまで斬り刻むだけだ

神鋼の鎧が厄介だな
まずは「早業、ダッシュ」で周囲を走り回りながら
もしくは他の猟兵の戦いぶりを見ながら
鎧の隙間を「第六感、視力、暗視」で目を凝らして見極め、探す

…鎧に覆われたまま、電撃が撃てるとは思えない
頭か拳か、どちらかに隙間があるのだろうか?

発見したらフェイントを織り交ぜつつ接近
隙間と見極めた場所に「先制攻撃、早業、2回攻撃、怪力、鎧砕き」+【憎悪と闘争のダンス・マカブル】で18連撃
憎悪のまま徹底的に斬り刻んでやる
鎧があっても強引に力で叩き割る!

敵の攻撃は「第六感、見切り、ダッシュ」で範囲外に逃げる



●神鎧貫く六擊
『ハハァハハハハッ!! 効かねえ、効かねえなァッ!!』
「く……っ!」
 哄笑するオールドスパーキー、一方攻撃を打ち込んだハロ・シエラは歯噛みする。
 彼女の放ったレイピアの一撃は、神鋼の鎧に見事に弾かれた。
 予想していたとはいえ、聖地の守護がなくとも超防御力は健在らしい。
『ぬぅううおおおおっ!! 吹き飛べぇえええっ!!』
「……させるかッ!」
 全身から強力な空中放電攻撃の気配を察知した館野・敬輔が割り込み、
 神速の斬撃によって飛来する電光を切断、攻撃範囲を強引に切り開く。
 乱舞する電撃を切り裂き、蒼い雷を纏ったダガーが投擲される……が。
「へえ、これも弾くか。なるほど自信満々に誇るだけはあるようだね」
 七色の翼を広げ頭上を翔ぶカタリナ・エスペランサは、眉を顰めた。
 いかに神殺しの粛清機能を持つ蒼雷であろうが、真正面から鎧を貫くのは難しい。
 しかし羽ばたきとともに舞い散る羽根もまた、ダガー同様に攻撃力を持つ。
 ジャマーのように撒き散らされたそれは、敵の電光を阻む壁となるのだ。
 はたしてどう攻める。鎧の隙間を見切るにはひとつふたつ手が足らないか?
 その場に居合わせた猟兵たちが、攻め手をあぐねて思案したその時である。

 ――突如として、虚空から朽ちたガレオン船が現れた。
「なんだ、あれは! ユーベルコードで召喚されたのか……!?」
 驚く敬輔、そして響き渡る砲声。ガレオン船から放たれた砲撃である。
 弾丸は着弾しながらも神鋼の鎧に阻まれるが、それは仔細ない。
 衝角はさらにぐんぐんと近づいてくる。質量攻撃で敵を轢殺するつもりなのだ!
「無茶なことをする方もいたものですね……っ!」
 ハロは巻き添えを喰らわないようバックステップし、距離をとった。
 オールドスパーキーも回避しようとする、そこへ飛来する蒼雷のダガー。
『ちっ、てめえ!!』
「キミが避けたら意味がないだろう? ありがたく喰らいなよ!」
 くすりと笑うカタリナに、オールドスパーキーは吠え返そうとし……KRAAAASH!!
 大質量が真正面から直撃し、ガレオン船は竜骨をへし折りながら座礁した……。
「宴もたけなわ、なんとか間に合ったようだね。しかし……」
 ガレオン船を召喚した当人、夷洞・みさきは戦場を見渡し、船から飛び降りた。
 直後、バチバチバチバチ!! と稲妻が飛び散り、船の残骸を灼く。
 オールドスパーキー、ほぼ無傷である。神鋼の鎧がもたらした超防御力!
『ふざけた真似しやがって、てめぇも消し炭にしてやらぁ!!』
「咎人殺しが禊の前に殺されては本末転倒だろう? そうはいかないよ」
 怒り狂うオールドスパーキーめがけ、みさきは巨大な車輪を投げ放った。
 敵は電撃を纏った両腕をクロスさせ、この質量攻撃を受け止める!
『ぬう……!?』
 だが、重い。なぜならばみさきの車輪は、彼女の同胞たちそのものである。
 無数の呪詛と怨嗟を纏った、咎人の罪を禊するための処刑道具。
 罪深きヴィランならば、いかに鎧の守りがあろうとその重圧は確実に高まる。
 可視化された呪詛がその体にまとわりつき、巨体の動きを鈍らせた!
「さぞかし体が重いだろう? 咎というのは巡り巡って必ず追いつくモノ。
 一度裁かれたにもかかわらず残骸としてこの世にへばりつく君は、僕の管轄だ」
『ぐ、うおおおお……嘗めんじゃ、ねぇえええっ!!』
 オールドスパーキーは力づくで呪縛を跳ね除けようと、電撃を高めた。
 体内で増幅されたプラズマが、オールドスパーキーの全身を太陽めいて輝かせる。
 放たれればその威力と超光熱は、すべてを融解させるだろう。
 そして――目をくらめかせるほどの閃光とともに、熱波が放たれた……!

 だが、見よ!
 周囲のすべてを融解してほとばしると思われたプラズマは、止められている。
 一瞬の間に出現し、オールドスパーキーをドーム状に取り込んだ鏡によって!
『何っ!? なんだこいつは……ぐ、があぁぁあっ!?』
 そして、逆にオールドスパーキーのほうが苦しんでいる。はたして何が起きた!?
 その理由はまず、無数の鏡が放つ清浄なる破魔の輝きにある!
「愚かなり罪人よ。お前の誇るその鎧、すでに我らは打開したものぞ。
 戦争を乗り越えた我らにとっては、不壊の盾にあらず……驕慢に溺れよ!」
 神鏡のヤドリガミである、天御鏡・百々が展開した一種の障壁だ。
 鏡は迸った電撃の威力をそのまま跳ね返し、内側に……つまり当人に注ぎ返した。
 しかしそのダメージですら、ウルカヌスの鎧は防いでしまうだろう。
 だが、百々の天鏡は、悪しきものを浄化する破魔の光を放つ矛でもある。
 全方位を囲った輝きは、攻撃後の無防備なオールドスパーキーに降り注ぎ、
 その輝きによって……見事に鎧の隙間を暴き出す、というわけだ!
「さあ、我が破魔の力は貫くべき場所を見出したり。もはや逃れる術はないぞ!」
『……この程度で、俺様を縛ったつもりかぁ!? ふしゅるるる……!!』
 オールドスパーキーは、しかしなおも悪あがきをするつもりのようだ。
 この地に渦巻く炎と雷のエネルギーそのものを取り込むことで、
 さらに電撃の威力を高め、無理矢理に拘束を破ろうというわけだろう。
「そのぐらいのこと、僕らが読んでなかったと思うのかのー?」
『!? な、んだ、これ、は……!?』
 エネルギーを吸引する力に引き寄せられ、突如無数の針が地面から飛び出した。
 それは声の主――メイスン・ドットハックが仕込んでいたトラップだ。
 無秩序にばらまかれた電撃そのものを逆利用し、白熱するほど高められた針は、
 オールドスパーキーが力を取り込もうとする行動に反応し、鎧に突き刺さる。
 いわば杭だ。そして奴の集めた電撃エネルギーは避雷針から逃げてしまう!
「ご自慢の自分の力で恐怖する瞬間というのは、どうかのー?」
『!!!!!! あ、ああああああっ!!』
 そして亀裂から入り込むのは、メイスンが召喚した電脳黒スライム。
 無機物を食らうことで成長・増幅する黒き汚泥は、生物の精神を汚染し、
 恐れ知らずのヴィランですら、ネズミめいて震える小心者に変えてしまうのだ。
 すなわち、電撃恐怖症。奴は自分が生み出す力そのものを恐れている!
「もらった……! お前が炭の大きさになるまで、切り刻んでやる!」
「私の剣など通用しない――そう見くびっていたのでしょう? 愚かですね」
 そこへ飛びかかる敬輔、そしてやや後方で身構えるハロ。
 少女の手に手品めいて現れたのは、彼女が隠し持っていた魔銃であった。
 先のうかつな一撃はこのための布石。はじめから彼女はレイピアではなく、
 慢心したオールドスパーキーを弾丸で撃ち貫くつもりでフェイントしていたのだ。
 そして今、呪縛と恐怖と破魔の輝きで縛られたヤツに、回避は不可能!
『ク、ソ、がぁああああっ!!』
 BLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! 魔力で構成された弾丸が筋肉を、骨を貫く!
 そして敬輔の振るう憎悪の剣が、鎧を切り裂く。切り裂く。切り裂く!
 銃弾と剣戟の雨嵐、それは神鋼をも貫くほどに鋭く、そして恐ろしい……!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

小日向・いすゞ
【狐剣】
でっかいスねェ
さあさセンセ
出し惜しみしてる場合じゃないっスよ

センセの器物を手に、逆手で全ての管を取り出すと管狐を呼び出し
さあ管達
卜占の時間っス
あっしがおっ死ぬ内に、奴を丸裸にするっスよ

隙間を探してくるっス!

ひゅるりと姿を消す管を駆けさせ
追うように自分も駆け出す
身軽に跳ねて、跳んで手数で勝負

ぶっ飛ばされてもセンセが癒やしてくれる
武器受けの良い女なモンで
受け止め躱し攻撃を受けりゃァ
エーン
センセ器物壊したらごめんっス~
壊す気は無い

はぁい、はい
解ってるっスよ
あっしの今の願いは一つ
馬鹿しようとする神様とやらを断ち斬ってやる事だけっスよ

後、そう
さっさと終わらせてこたつで鍋を食べたい位っス
あいすも


オブシダン・ソード
【狐剣】
うわあ、でかいのが出てきた
鎧がミチミチしてる…

器物の剣をいすゞの手に
良いとも、それじゃ全力で援護してあげよう

僕としてはもう一本、魔杖剣を手に戦闘
炎の魔術の属性攻撃を組み合わせて、斬撃と一緒に炙ってあげる
炎は目くらまし、時には防御用の壁としても展開
君が弱点を探り出せる時間を作ろう
…なんとか!器物が壊れる前に!!

ピンチに応じてUCを発動

さあさあ、心折れてないだろうね相棒
この先にもボスが居るし、僕等にはまだ斬るべき相手が山ほど居るんだよ
ここで立ち止まってらんないでしょう?

大丈夫、僕等ならできるさ
さあ、君の願いは?

…いいねそれ

いすゞが狙うべき箇所を読み取れたなら、協力してそこに刃を突き立てる!



●双剣の舞踏
 しなやかな毛並みを持つ管狐たちが、ひゅるりと地を駆ける。
 敵の鎧の隙間を探るため、小日向・いすゞが放った従者たちだ。
 ほんのりと輝く管の群れが巨体の周囲を舞うさまは、鬼火めいていた。
『ハッ! こんな雑魚に構うこたぁねえ、てめえを殺せば終わりだろうがぁっ!!』
 どうっ――KRAAAASH!! 跳躍からの電撃を纏った強烈なストレートパンチ!
 強固な岩盤をも砕くほどの威力と、肉を焼き焦がす電撃のあわせ技である。
「おっとっと、こいつはおっかないっス~」
 だがいすゞは本気かどうか怪しい声をあげながら、ひらりと身軽に跳ねて回避。
 曲芸的軌道で敵の背後を取ると、手に持った器物の剣で牽制の斬撃を放った。
 その間に、管狐たちは周囲の風景に溶け込むように姿を消失。
 敵の視線はいすゞに釘付けになる――そこに割り込むのがオブシダン・ソードだ。
「まったく力任せの筋肉バカは嫌だなぁ。暑苦しくてたまらないよ。
 君もそんな鎧を纏っていたら暑くて仕方ないだろう? だから燃やしてあげよう」
 魔杖剣を振るえば、その剣閃を魔力の炎が焼き焦がし、鎧を熱する。
 揺らめく陽炎は目くらましであり、敵の放つ電撃を弾くヴェールめいた障壁。
 攻められれば退き、敵が体勢を整えようとすれば肩を並べて攻め込む。
 狐剣のコンビネーションここにあり。入れ替わり立ち代わりの舞踏めいた攻防!
「センセ、出し惜しみしてる場合じゃないっスよ!」
「出し惜しみしてるつもりはないよ? ……ていうか、器物を壊さないでね!」
「……努力はするっス、よっ!!」
 言った矢先、オールドスパーキーの破城槌めいた殴打がいすゞを襲う!
 彼女は預けられた器物の剣を巧みに操り、その威力をかろうじて受け流した。
 ズシンッ!! と大地をえぐるほどの威力。まともに喰らえば破砕は必至。
『ちょこまかくねくねと逃げ回りやがってぇ……!!』
「おやおや、あっちはずいぶんお怒りだねぇ。おっかない、おっかない」
「ぞっとしないっスね~、トマトみたいに潰されそうで怖いっスよぉ」
 ふざけているのかもともとそうなのか、いすゞの声は敵にとって耳障りだ。
 それがオールドスパーキーを怒らせ、冷静さを失わせる。
『まとめて消し炭にしてやる! おおおぉおおおお……!!』
 奴は大地に渦巻くエネルギーそのものを取り込み、超攻撃を放とうとする。
 今のふたりの装備では、仮に放たれたならば防御するのは不可能だろう。
「あ~、こいつはさすがに……」
「さあさあ、呆気にとられてる場合じゃないよ、相棒。まだ緒戦なんだから」
 オブシダンの言葉に、いすゞは半笑いで肩をすくめてみせた。
「倒すべき敵はやまほどいる。ここで立ち止まってらんないでしょう?」
「……はぁい、はい。わかってるっスよ」
「なら、僕は問おう――相棒、君の願いはなんだい?」
 いすゞは狐めいた細い瞳で敵を睨み、言った。
「あっしのいまの願いは一つ――バカなことしようとする神様とやらを、
 この手で断ち斬ってやることだけっスよ! あとはおこたで鍋を食べたいっス!」
「いいねそれ。アイスも一緒に食べるとしようか!」
 ふたりは駆けた。嵐めいて舞い散る電光が、突き進むいすゞの体を灼く。
 しかしオブシダンの力が彼女の傷をその場で癒やし、立ち向かうための活力となす。
 管たちの占術が、彼女に進むべき道を……切り裂くべき隙間を示すのだ!
『さあ、消し飛びやがれ――ッッッ!?』
「残念――あっしらを殺すにゃ、ちょいと時間が足りなかったっスねぇ?」
 声は背後から。オールドスパーキーに集めた電光が、傷口から迸った。
 遅れて神速の剣閃が駆け抜け、臓物まで届くほどの一撃をもたらす!
 巨人の絶叫――膝を突き苦悶するさまを、オブシダンは静かに見つめる。
 ふたりの力と意志が合わさったとき、神鋼の鎧であろうと斬り裂けぬ道理はないのだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

月宮・ユイ
アドリブ・連携◎
器に誘惑の呪詛宿す呪<呪詛>操るヤドリガミ

お次は元死刑囚、ですか
(なんとしても、ね。少なからず焦りがあるのかしら)
彼の神への道を阻む最後の障害、突破します

<オーラ>に<属性雷:電撃耐性>付与
耐えきれぬ分は一部の通電性調整地面に流す
《永劫捕食》
・斧槍:成形継続
・衣:オーラと武装を染め同化圧縮
敵の電撃はオーラで耐え電撃<捕食>力溜め
敵が電線用意しようと、脅威が上昇した分此方も戦闘力上がる
<怪力>斧槍で打ち合いつつ<念動力:第六感>ぶつける
体勢崩し狙いと演技しつつ、
本命は全身撫でる様探り<情報収集>隙間見つけ出し
<呪詛>針<早業>圧縮成形、射出串刺し<捕食:生命力吸収>
内より喰らえ…


神元・眞白
【SPD/割と自由に】
これが前回の第六猟兵、ヒーローズアース――。
…符雨、ちゃんと録画してた?なんだか画面が乱れて良く見えない。
せっかくプレゼント用意できたしちゃんと配るまではやらないと。

隙間を狙えば効果的。……隙間。どこかにあるみたいだけどどこだろう。
プレゼントを渡せば教えてくれる?教えてくれそうにない?うーん。
それなら教えてもらう様にしてみよう。符雨、煙幕弾の準備を。
こちらの手に気づかれる前に進行していかないといけないから。

電気を使ってくるみたいだからゴム手袋と…長靴も必要?
増える人数分集めるのは今からだと大変だし、私だけでいいかな。
教えてくれないなら色々な方法で聞いてみよう。色々と。


フェルト・フィルファーデン
邪魔よ、退きなさい……と言って退くような相手ではないわよね。
ならば、力尽くで通してもらうわよ。

敵の攻撃の隙を突き、連携攻撃を仕掛けましょう。
いくら体内から電気を放出出来るとはいえ、その力は無尽蔵ではないはず。
ならば、電気が弱まったその一瞬を突くわ。

さあ、わたしの絡繰の騎士達よ。わたしの思うがままに動きなさい!

双剣の騎士、大剣の騎士、鉄槌の騎士は正面から突撃。

その隙を突き闇夜の騎士、狼の騎士は背後から奇襲を。

槍盾の騎士、給仕の騎士はわたしを守って。反撃は執事の騎士に任せるわ。

そしてここまでの攻撃に気を取られたその隙に魔女の騎士が呪詛を込めた矢で、弓矢の騎士が鎧の隙間を狙い撃つ……!【スナイパー】


亜儀流野・珠
んん、戦争でも此奴っぽい奴と戦った気がするな?
その時の隙間は頭頂部だったが……まあ同じじゃないだろうな!

一撃が重そうだからな。距離を取り慎重に避けていこう。
だが此方の攻撃は雑に行こう!
「フォックスファイア」……狐火で全身を包み蒸し焼きにしてやる!
これならどこかにある隙間も焼けるだろう!

などとやりつつ隙間も探すか。
目か?口か?関節か?頭の放電部か?
隙間らしき所が見つかったらそこから狐火を流し込んでやろう!

隙間が突けても突けなくても、最後は俺らしく力で押すか!
木槌「砕」で正面から思い切り殴り付けてやる!
刃は鎧に阻まれるが、重い衝撃は鎧を突き抜けるもんだ!
効かんなら効くまで何度でも殴り付けてやろう!



●立ちはだかる敵を越えて
「そうれ、もらった!!」
 極太の電撃光線を回避した亜儀流野・珠は、敵の頭部めがけ木槌を振りかぶった。
 すさまじい怪力を載せたフルスイング……SMAAAAAAAASH!!
『がはあっ!! ……ハ、ハ、ハ! 効かねぇなぁ……!!』
「むう。やはり前のヤツとは違うか……まあ仕方なし!」
 どうやら、珠は"オールドスパーキー"と交戦した経験があるらしい。
 隙間の場所がその時と同じという可能性に賭けて頭部を集中攻撃してみたが、
 敵はほぼ無傷。もっとも、彼女とて絶対視していたわけではない。
『黒焦げにしてやるぜ、ふしゅるるるぅ……!!』
 オールドスパーキーは巨大な掌を鉤爪めいてこわばらせ、電撃を纏い突き出す。
 珠を掴み、直接体内に電撃を流すことで内側から焼き焦がそうというわけだ。
 しかしそこに、電撃対策を施した月宮・ユイの斧槍が割り込む!
「させない……! 全員無事に、あなたを乗り越えてみせるッ!」
 距離を取ろうとする珠に代わり、ユイはその場に残って白兵戦を挑む。
 ガン、ガン、ガギンッ!! 斧槍と拳が打ち合うたび、火花と電光が飛び散った。
 鎧を頼みとした前のめりの攻撃は、それゆえに一撃一撃が非常に重い。
 敵の攻撃を第六感で先読みし受け流すユイだが、正面戦闘は極めて危険だ。
「……符雨。煙幕弾、撃って」
 シュポンッ! と、後方から神元・眞白による目くらましが投擲された。
 着弾した煙幕はスモークを撒き散らし、オールドスパーキーの視界を遮る。
『ふしゅるるるる……!! 邪魔臭いぜ、てめぇから死にたいのかぁ!?』
 噴煙をかき消し、オールドスパーキーは全身に稲妻を纏い疾走する。
 だがその時にはすでに、フェルト・フィルファーデンの騎士達が戦列を組んでいた!
「さあ、わたしの絡繰の騎士達よ! わたしの思うがままに動きなさい!
 邪魔なオブリビオンを退け、討つべき神のもとへ辿り着くために……ッ!」
 フェアリーの王女には、その小さな体躯に反比例した威風が備わっていた。
 号令とともに双剣・大剣・鉄槌を振るう騎士が最前線を担い、正面から迎え撃つ。
 巧みな陣形で電撃をいなし、横合いから襲いかかる闇夜と狼の騎士たち!
 攻撃は鎧に弾かれて有効打となりえないが、時間を稼ぐには十分だ。
(さきほどのウルカヌスの声……"なんとしても"という言い回し)
 そこへ再び挑みかかりながら、ユイは心の中で沈思黙考した。
 自信に満ち溢れているようで、あの鋼神は確実に焦燥している。
 追い詰められているのだ。奴は……猟兵の存在を、脅威に感じている。
(なんとしても、通り抜けなければ……こんなところで、足は止めてられない!)
 ガ、ガ、ガガガッ! 斧槍の連続刺突を、オールドスパーキーは両腕で弾く。
 最初は鎧の防御力に任せノーガードで反撃していた。明らかな変化。
 やはり、聖地における超防御ほどではないのだ。衝撃は確実に蓄積している!
「ねぇ、あなた。教えて? あなたの弱点はどこにあるの……?」
 そのとき、気がつけば敵の周囲には、何人もの眞白が無表情で取り囲んでいた。
 召喚符によって複製された分身だ。稲妻が何体かの分身を薙ぎ払う。
「教えてくれないのね。なら、"いろいろな方法"で聞かなきゃ――符雨」
 BRATATATATATATA!! 号令に応じ、メイド人形・符雨が一斉射撃を再開!
 騎士人形達の波状攻撃ゆえに徐々に攻撃のリズムが崩れ、ユイの刺突を許す。
 そこにさらに降り注ぐ弾幕……オールドスパーキーは、出し抜けに苦悶!
『がっ!? し、まった……!!』
「そこか! 下手な鉄砲――というわけでもないが、数撃ちゃ当たる、だな!」
 珠はカッと見開き、妖力を一瞬で練り上げ無数の狐火として顕現させた。
 燃え盛る妖しの炎は虚空を滑り、奴が劇的に反応した着弾箇所へと一気集中!
 そこに隙間あり。炎はさながらエアポケットに吸い込まれる大気のように、
 亀裂めいた逆鱗になだれ込み、鎧の内側にトーチめいて燃え上がった!
『うおぉおおおおおっ!! お、俺様の体がぁああああっ!!』
「今度こそダメ押しだ、喰らえぃっ!」
 SMAAAAAAAAASH!! 苦悶するオールドスパーキーの顔面に再度のフルスイング!
 木槌の衝撃は今度こそ骨肉に響き、大男の大絶叫が響き渡る……!
「内より喰らえ……出し惜しみは、しない!」
 続けざま、巨体を蹴立てて肩の上に乗り込んだユイが、斧槍を振り下ろす。
 燃え上がる隙間に矛が突き刺さり、呪詛を孕んだ威力が体内に叩き込まれた。
 鎧から吹き出す大量の血。オールドスパーキーが……膝を突く!
「――力づくで通してもらうわよ。立ちはだかったことを、後悔なさい」
 王女たるフェルトの怜悧な視線は、底冷えするほどに凍てついていた。
 そして彼女が振り上げた腕の号令に応じ――騎士の放った呪詛矢が、突き立ったのである。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

鳴宮・匡
相手がなんだろうと、立ち塞がるなら殺すだけだ
見える禍根は断つに限るしな

鎧の隙間を狙えばいいんだろ
ならまずは、その場所を確定させないとな

肌に感じる熱などから相手の攻撃を予測
回避行動をとりながら狙撃していく
狙うのは主に二つ
ひとつは、首、背中、腹部、関節など
鎧ってものの構造から考えて継ぎ目がありそうな場所
もう一つは、心臓、眼窩、眉間など
人体にとって致命となる急所

上記二点を中心に、少しずつ狙いをずらしながら
銃弾に対する相手の反応を見て狙いを調整していく
もし明らかに特定箇所に攻撃が当たるのを避けるようなそぶりがあれば
そこを重点的に狙っていくよ

お前、仕える神を間違えたんじゃないか?
ま、どうでもいいけどな


ヌル・リリファ
このさきにいる相手を殺さないといけないから。貴方程度であしをとめてるひまはないんだ。

すこしわるいとはおもうけど、周囲に電線があるならある程度もやす。できるだけ相手の強化につかわれたくはない。

とてもつよいといってもよろいはよろい。【衝撃波】は、なかの本人にはダメージがなかったとしてもそのいきおいでうしろにさがらざるをえないだろうから。サイキックエナジーをぶつけるそれで、自由にうごきまわれないよう牽制をする。
そのあいだに、右眼の【視力】でよろいの隙間をさがして、ひかりの武器をそこにぶつけるよ。

もともと死刑囚だったんでしょう?なら、ちゃんと刑をうけなよ。いま、ここでね。


ヴィクティム・ウィンターミュート
なんだよ、ウルカヌスじゃねーのか
こんな木偶の坊を寄越して来やがって…いよいよネタが尽きたかい?
まっ、ウルカヌス相手の準備運動と思えばいいかね
んじゃ始めようか

さぁ、来い──『影』
あぁ、いい具合だな…よーく視えるぜ
仕込みクロスボウ展開、【クイックドロウ】で射撃
隙間を狙う必要は"まだ"無い
どうせ鎧着て防御力に慢心してんだ…まともに避けては来ない

これでテメエのことは理解できた…ここから精度は急激に上がるぜ
鎧の隙間があるんなら、当然それを隠したいはず
動きから位置を絞り込み、向上した知覚で特定
放電の予備動作を瞬時に確認したら接近
隙間に仕込みショットガンの銃口突っ込んで【零距離射撃】だ
痺れるような衝撃だろ?



●リーパー・アンド・デス
『ぐぅうううう……おおぉおおおあぁあああああっ!!!!』
 大地を揺るがすほどの咆哮。オールドスパーキーがすべての力を解き放つ。
 生体細胞が死滅するほどの熱量で発電された稲妻が、超熱量となってほとばしり、
 バチバチバチバチ!! とのたうつ蛇めいて四方八方に広がっていく。
 たとえるならばそれは、巨大な雷雲が地上に降りてきたかのよう。
 火山雷もかくやという電光はドーム状に広がり、敵対者を強制的に退かせるのだ。
「もうボロボロなのに、まだわるあがきするんだね。そんなに神がだいじなのかな」
 ヌル・リリファはその空色の瞳で敵の攻撃予兆を察知し、バックステップで回避。
 入れ替わりにサイキックエナジーを武器状に収束させ、電撃の嵐に叩き込んだ。
 エネルギー体である光の雨は稲妻に妨げられることなく、思考速度で飛来。
 ボロボロになった鎧に突き刺さるが、かろうじて肉体までは届かない。
「追い詰められたばかりにモンキーみたいに叫んで暴れ狂うか、木偶の坊だな。
 ウルカヌス相手の準備運動にゃちょうどいい。匡、間違っても食らうなよ!」
 注意深く距離を取るヴィクティム・ウィンターミュートが、鳴宮・匡に云う。
 当の青年は、慌てふためくことなく冷静に三点バースト。
 タタン、タタン、タタン。銃弾が地面を削り、岩くれを弾き浮かび上がらせた。
 岩盤は盾あるいは壁のように彼の前に立ちはだかり、ほとばしる電光を遮る。
「あんなの食らうと思うか? 全部見えてるさ、問題ない」
「ハ! ベストコンディションなようでなによりだぜ、チューマ。
 こうなったらスリーマンセルで攻めるぜ。おおよそ叩き方は理解できた」
 ヴィクティムは謎めいて言い、クロスボウを抜き撃ちした。飛来するボルト。
 強大な稲妻をバリアめいて纏うオールドスパーキーは、回避する仕草すら見せない。
 追い詰められつつあるとは言え、神鋼の鎧はボルト程度では貫けないからだ。
 打ち込まれたボルトは、アンテナのように突き立ちそれきりとなる。
「予想通りだな。――さて、誰から攻める?」
「俺が動きを止めてもいいけど……ヌル、足止めできそうか?」
「うん、まかせて匡さん。数をふやせばかんたんだよ」
 言った瞬間、ヌルの頭上に先ほどの倍近い数の光の武器が出現、滞空した。
 それらはヌルの思考によって制御され、同時に複数の方向から襲いかかる。
『そいつはもう見切ったぜぇ! ふしゅるるるる……!!』
 オールドスパーキーは両手を鉤爪めいてこわばらせ、足元に突き刺す。
 大地に渦巻くエネルギーを直接汲み上げ、電撃に変えるつもりか!
「――それ、予想ずみだよ」
『!?!?』
 しかし! 割り開かれた亀裂から飛び出してきたのは、伏兵の光刃!
 ヌルは敵がエネルギーを補給することを先読みして、足元に刃を潜ませていたのだ。
 ブーメラン状に回転する刃は腕を切り裂きながら、頭部へと迫る!
『う、うおおおお……!?』
 オールドスパーキーは咄嗟に飛び退ろうとするが、その着地地点には光の棘。
 軟化していた地面が罅割れ砕け、オールドスパーキーは着地をし損ねる。
「もともと死刑囚だったんでしょ? ちゃんと刑をうけなよ。いま、ここでね」
『そんなの御免だなぁ!! 全員ブチ殺して生き延びてやるぜぇ……!!』
「出来ると思ってんのか? テメェはもう"見切られて"んだよ」
 オールドスパーキーは瞠目した。ヴィクティムがいつのまにか眼前に!
 彼は敵の攻撃予兆を察知し、亜音速でスプリントして間合いを詰めていた。
 そして仕込みショットガンの銃口を、解析した隙間に……突っ込む!
「避けもしねぇ、防ぎもしねぇ。借り物の力で驕り高ぶって暴れるだけ。
 そういうスクィッシー相手にな、俺のプランを見せてやるのも勿体ねぇ」
 BLAMN、BLAMN、BLAMNッ!!
 容赦なく引かれたトリガが散弾を体内に吐き出し、巨人は面頬から血を吐き出す。
「しびれるような衝撃だろ? ――さあ匡、畳み掛けちまえ!」
 オールドスパーキーの主観時間が極度集中によってスローモーになり、
 はるか後方で銃を構える死神を――匡の双眸と、噛み合った。
 そして男は怖れた。見返す瞳に、何も映さぬ水面のような無機質な輝きに。
 それは匡が無感情であることを意味しない。彼は引き金に感情を乗せないのだ。
 殺すときは、殺す。彼にとってのアイデンティティは決して変わらない。
 慈悲も、容赦も、躊躇も、憐憫も――怒りも、憎悪も、殺意もない。
「お前、仕える神を間違えたな」
 BLAMN――音なき銃声。放たれた銃弾はゆっくりと裂け目に吸い込まれていく。
「――ま、どうでもいいけどな」
 遅れて、主観時間がもとに戻った。一度と思われたクイックドロウは無数。
 一直線に叩き込まれた弾丸が、死刑囚の体内を駆け巡り命を削る。
『が、ぁあああああ……ぁあああああああっ!!』
 ついに斃れ断末魔をあげた怪物を、戦士たちは静かに見下ろす。
 所詮は道程。そこに凱歌も、嗤笑すらもありはしなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

アダムルス・アダマンティン
【結社】
神鋼の鎧――
俺がまだ神として生まれて間もない頃、第一の目標として据えたもの
神性の残った内にそれに匹敵する鎧を打ち出すこと叶わなかった、我が夢の残滓
ああ、かの鎧は確かにおよそ一般的な防具としては理想的だ。鍛冶の権能がいまだ宿っていたとしても、俺に創り出すことはできぬだろう

だが、よく覚えておくことだ、囚われし者よ
道具とはただその力が強大であるだけで我々に利するものではない

封印を解く
策を弄しはせぬ。正面から、捨て身にて相手取ろう
敵の攻撃を激痛耐性でもって受けきり、その攻撃で生じた隙間を突いて、鎧を砕く

囚われし者よ
貴様が神の鎧に真に選ばれし者か、この俺が確かめてやろう!


ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】

へぇ、なるほどそれが神鋼の鎧か
確かに一見すれば隙の無さそうな護りだけど…
付け入る隙は万物にあるものだ
メインディッシュである御大将とウルカヌスの戦いがあるんだしさ
君はさっさと消えてもらうよ

バロウズ、形態変化───『ロスト・エデン』
連射性能を極限まで削ぎ落した代わりに、一射の威力を高めたマグナムだ
これで隙間を撃ち抜く──一発で十分だね

鎧の隙間を探すには、アカシック・レコードにアクセスすればいい
『鎧』に限定して参照すれば探すのも速いはずだ
鎧の制作工程なんかを見ることが出来れば御の字だね
隙間を特定できたら、行動の後にできる隙を狙って、撃つ
抉るように肉体をぶち抜く一射だ…とてもとても、痛いだろう



●かつての目標、いまの敵
 アダムルス・アダマンティンが、まだ強大なる鍛冶の神として君臨していた頃。
 炎と鋼を司る神、ウルカヌスの鍛造する鎧はひとつの目標だった。
 あらゆる害意を跳ね除ける不壊の防具。偉大な英雄に相応しき逸品……。
 幾度となく槌を振るった。いくつもの金属を試し、また混ぜ合わせた。
 明晰な人間が新たな鋳造法を編み出したとあらば、躊躇なく取り入れた。
 一日は瞬きのように過ぎ、
 一月程度では何も変わらず、
 一年をかけても入り口さえ見えなくて、
 一世紀を経てなお、到達することは出来なかった。
 世界は移り変わり、神々は表舞台から去りて人の時代がやってきて、なお。
 結局は、アダムルスが神性を失い凋落するほうが早かった。

 BLAMBLAMBLAM、BLAMN!!
「御大将、本当にやるつもりかい!?」
 迫りくる巨体めがけ牽制の弾丸を放ちながら、女魔術師は改めて問いかけた。
 ビリウット・ヒューテンリヒのこめかみには冷や汗が一筋。
 目の前の敵……オールドスパーキーの見せる、鬼神のごとき猛攻がゆえだろう。
 もはや死に体。破るには易いと思われた……だが、余裕はすぐに消えた。
 追い詰められた獣のように、オールドスパーキーはすさまじい力を見せたのだ。
『ふしゅるるるる……!!』
 鎧の中からぼたぼたと血を噴き出しながら、奴は凄絶な笑みを浮かべる。
 おそらく、体中の骨と筋肉がずたずたに砕けて裂けているはずだ。
 それを電撃の高熱で無理やり融解させ、いわば繋ぎ止めているのだろう。
「メインディッシュの前にと高をくくっていたけど、これは手間がかかりそうだ。
 ……それを相手に捨て身でかかるだなんて、いくら御大将でも無謀じゃないかい」
「だからこそだ」
 ビリウットとて、アダムルスの力量を信頼していないわけではない。
 しかし、このあとにはまだ大敵が待ち受けるのだ。鋼神ウルカヌスが。
 ジェネシス・エイトを相手にした戦いは、万全でようやく五分といったところ。
 下手な消耗は避けたいというのが本音である。だが……。
「ウルカヌスが待ち受けている"からこそ"、俺は正面から挑まねばならぬのだ。
 ――ビリウット。貴様の魔弾ならば、あれを一撃で仕留めることは出来るな」
「それが御大将の頼みとあらば。やってみせるさ、私もバロウズも」
 その言葉を肩越しに振り返って受け止め、アダムルスはこくりと頷いた。
 あらゆる敵を打倒しうる力が、"刻器"には秘められている。
 ならばそれを引き出し実現することこそ、担い手たるナンバーズの使命、義務。
 傷を怖れて武器を振るうことをやめたなら、それが終幕のときだ。
「バロウズ、形態変化――"ロスト・エデン"」
 バキ、ゴキゴキ……いびつな音を挙げて、魔銃が然るべき形態に変化する。
 人間が撃つことを想定されていない、超・大口径のシンプルなマグナム型だ。
「隙間の特定は時間があれば簡単だけど……その必要はないんだろう?」
「然り。……さあ、征くぞ。囚われし者よ」
 電光を纏い屹立するオールドスパーキーの前に、アダムルスが立ちはだかる。
『真正面からだとぉ? 俺様を殺せるつもりかぁ……!?』
「無論だ。よく覚えておくがいい――道具とは、どれだけ優れていても所詮は道具。
 ただその力が強大であるというだけで、我々に利するものではないということを」
 極限の緊張が空気を張り詰めさせる。ビリウットとて、横槍は入れられない。
「我らはナンバーズ。"刻器"に選ばれたる誇りある担い手にして振るい手なり。
 それと相対する貴様が、神の鎧に真に選ばれし者か、この俺が確かめてやろう!」
『ほざけぇえええええっ!!』
 バチバチバチバチ――ZZZTTTTT!!!
 両拳を胸の前でがつんと打ち、全身で発生させた高圧電流を一点に収束させる。
 一方のアダムルスは刻器の封印を解き、真正面から電撃の嵐へ挑んだ!
「創造の前には破壊がある――受けてみるがいい、トールの創槌の力をッ!!」
『オォオオオオオ――!!』
 ふたつの電撃がぶつかりあい、閃光があたりを――包んだ。

 ……そして!
「!!」
 ビリウットは見た。白熱の中、アダムルスがオールドスパーキーを押し返すのを。
 真正面から叩き伏せた神鋼の鎧に、亀裂を――粉砕の穴を穿つのを!
「さあ、それじゃあとどめの一撃(クー・デ・グラ)だ――とても痛いよ?」
 BLAMN……大砲並の弾丸が放たれ、スローモーションでゆっくり飛んでいく。
 そう見えるのは、極限の緊張とアドレナリンの過剰放出によるものだ。
(俺様は、死ぬのか)
 オールドスパーキーは、鈍化した主観時間の中でそうひとりごちた。
 声は誰にも届かない。その悪辣な生命を守るための鎧は、もはや――ない!
『う、うぉおおおおおおああああああっ!?』
 その巨体を、心臓を、脊髄を、頭部を、脳を!
 研ぎ澄まされた魔弾が打ち砕き……電撃の飛沫とともに、滅殺した!
「…………さあ、征くぞ。ここからが本番だ」
 びゅう、と渇いた風が吹く。満身創痍のアダムルスは、静かに言った。
 見据える先はひとつ。もはや守るものなき、ウルカヌスの玉座である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​




第3章 ボス戦 『鋼神ウルカヌス』

POW   :    超鋼神装
無敵の【金色に輝く『神の鎧』】を想像から創造し、戦闘に利用できる。強力だが、能力に疑念を感じると大幅に弱体化する。
SPD   :    鋼と炎の神
自身の身体部位ひとつを【自在に液体化も可能な超高熱の金属】に変異させ、その特性を活かした様々な行動が可能となる。
WIZ   :    原初の神炎
自身からレベルm半径内の無機物を【使用者以外の全てを焼き尽くす原初の炎】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。

イラスト:あなQ

👑11
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●憤怒のR/神の鋼を打ち砕け
『…………よかろう』
 強大な門番を打ち砕き、秘密基地の最奥へと到達した猟兵たち。
 古めかしき玉座に腰掛ける神は、重々しい声とともにゆっくり立ち上がった。
『そこまで死にたいか。猟兵、天敵、オブリビオンフォーミュラを討った者ども!
 ならば、この私が! 貴様らに速やかなる死をくれてやろうではないか!』
 それをただの強がりと見る者がいれば、命という代償を支払うことになるだろう。
 そもそも本来、彼奴に他の残骸は必要ない。単一にして強大であるがゆえ。
 神鋼の鎧を与えるのは、すべて己の手を煩わすことなく、数を満たすためだ。
 なぜならば、彼奴は神の一柱。恐ろしきジェネシス・エイトのひとつ!
『貴様らの屍に我が炎を灯し、滅びた世界を照らす篝火としてくれるわ!!』
 神の炎がマグマのように噴き上がる。金色の鎧がその身を包む。
 いまこそ決戦の時。絶対先制を約束された強大なる神をその手で堕とせ!
アルトリウス・セレスタイト
どうせなら自分が松明となって世界を照らしてみてはどうだ
きっと役に立つぞ

敵へは顕理輝光で対処
常時身に纏う故、準備不要
先制含む攻撃へは『絶理』『刻真』で異なる時間に自身を起き影響を回避
必要な魔力は攻撃分含め『超克』で“外”より汲み上げ、行う行動は全行程を『刻真』で無限加速し即座に終える

破界で掃討
高速詠唱での魔弾生成を『刻真』『再帰』で無限に加速・循環
星の数程の魔弾を誘導し目標を包む包囲攻撃

狙うのはウルカヌス自身
障害は無視される故、炎も鎧も無意味
加えて他の猟兵にも影響は皆無

この程度の理不尽が無くば世界を破壊などと言えぬに決まっていよう
憤慨するが良い

※アドリブ歓迎



●破界と神炎
 万物を否定し支配する原理の顕現、すなわち蒼き燐光が世界を包み込む。
 アルトリウス・セレスタイトの双眸もまた、同じ深碧に煌めいた。
「どうせ燃え盛るならば、お前自身が松明となって世界を照らしてみてはどうだ」
『ハ! ほざけ、定命の者ごときが。私はウルカヌス、鋼と炎の神ぞ!』
 ほぼゼロ時間詠唱から繰り出された無数の魔弾に対し、鋼神は片手をかざす。
 瞬間、その神気によってこのセンター・オブ・ジ・アースに渦巻く炎が活性化、
 大地からマグマのように噴き上がり、魔弾を飲み込む障壁となった。
 ユーベルコードはあらゆる法則を越えた奇跡の力、超自然の現象である。
 根源抹消の術式を刻み込まれた原理の力とて、同じユーベルコードが相手ならば、
 斯様に防がれ飲まれることもあるか。アルトリウスは魔弾生成術式を循環させ、
 星の数と見紛うほどの輝きを背負い、これを威力として降り落とす。
『こざかしいッ!!』
 神炎が爆ぜた。原初の魔力を以て周囲領域を支配、すべてを灼き尽くさんとする。
 自らを異なる時間軸に置くことでその影響を逃れようとするアルトリウスだが、
 原初の炎は無慈悲である。魔力の帳を抜け、アルトリウスの体は炎に呑まれた。
「……!」
『言ったはずだ、私はウルカヌス! 炎と鋼を司る全き神ぞ!
 たかが定命の者ごときが、小手先の術式で私をどうこうしようなど――ぬ!?』
 見よ。炎を内側から切り裂く燐光。アルトリウスは傷つきながらも生存!
 再びその双眸が燃えるように輝き、無数の魔弾を星となして繰り出した!
「……この程度の理不尽、踏破せずして世界を守るなどとは言えぬに決まっている。
 俺を滅ぼしたくば、この十倍の熱量は持ってくることだ。あまりに温いぞ、鋼神」
『…………!!』
 神炎と燐光の魔弾がぶつかり合い、やがて魔力は炎を貫いた。
 矢の如くに先鋭化した輝きは、ついに神鎧を貫き邪神を穿孔せしめる。
「お前がふんぞり返る時代はとうに終わった。それを認めて滅びて逝け」
 満身創痍でありながら、アルトリウスは憤然たる敵意を剥き出しにする。
 鋼神は認識を改めた。ここにいるのは見下していい雑魚などではない。
 世界を破滅させんとする神をも堕としにやってきた、天敵だということを。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

館野・敬輔
【POW】
アドリブ連携大歓迎

絶対先制の法則がある以上、超鋼神装を纏うのは阻止できない
能力に疑念を抱かせて弱体化を狙うのが賢明だな
…舌戦は自信がないが、「覚悟」を決めてやるだけやろう

その神の鎧には絶対的な自信があるんだろ?
だがな、その自信はどこから来る?
そもそもクローンを悉く薙ぎ倒し、さらにオブリビオン・フォーミュラを倒した僕たちを前に、その鎧は「絶対」無敵だと言い切れるのか?

「視力」で鎧の隙間を見つけるか舌戦で神の鎧が弱体化したら「早業、ダッシュ」で接近
「2回攻撃、怪力、マヒ攻撃、捨て身の一撃」+【魂魄剣・一撃必殺】を隙間か鎧に叩き込み、鎧を破壊するぞ!

絶対なんてあり得ないんだよ!



●"絶対"を否定する「不可能」
 放たれる金色の輝きは、さながら天地を染める暁光のようである。
 しかして輝きの意味するところ、それは誕生ではなく滅びと死の凶運。
 ウルカヌスの纏う神の鎧の煌光は、神聖でありながら邪悪だった。
「……その神の鎧には、絶対的な自信があるんだろ?」
 惰弱な者ならば、その輝きを目にしただけで戦意を喪失するだろう。
 しかし館野・敬輔は、きっと敵を睨み、不敵な減らず口を叩いてみせる。
「だがな、その自信はどこから来る?」
『……何?』
「そもそもクローンをことごとく薙ぎ倒し、さらにオブリビオン・フォーミュラを倒したボクたちを相手に、その鎧は"絶対"無敵だと言い切れるのか?」
 ウルカヌスは眉根を顰めた。敬輔の言は事実に拠って立つ論理的な指摘だ。
 ジェネシス・エイトという大軍が惨敗を喫した以上、ウルカヌスひとりが生きていたとしても、オブリビオンが猟兵に負けたという事実は変わらない。
 いわんや、彼奴らが支配者として仰いだクライング・ジェネシスは、
 その破滅の力を解き放つことなく斃れたのである。
(奴の想像力に枷を嵌めるだけでいい。それで……!)
 敬輔は意を決して地を蹴り、神速の斬撃を胴元めがけ放った――だが!
『……語るに落ちたり。その程度か、猟兵ッ!!』
「!!」
 ウルカヌスはその斬撃を真正面から受け止め、弾いた!
 そしてたたらを踏んだ敬輔に、強烈なハンマーパンチを振り下ろす!
「ぐ……ッ!?」
『いかにもその通りよ。我らは負け、クライング・ジェネシスは地に堕ちた!
 しかし! それはこの私が凋落したことを意味せぬ。そもそもだ!!』
 SMAAAASH!! 続けざまの殴打が敬輔の腹部をカウンターめいて打つ!
『斯様な舌鋒で私を惑わそうとするやり方そのものが小賢しい小手先に過ぎぬ!
 すなわちそれは、貴様が私を畏れていることの証左よ……ゆえに恐れはなし!!』
「……なるほど、神を名乗るだけあって大した傲慢だな」
 ざりざり、と地面を滑りながら踏みとどまった敬輔は、血を吐き捨てた。
「けど――お前は思い違いをしている」
『何? ……これは!?』
 見よ。先の斬撃が命中した部位に、歪が生じている。
 絶対無敵であるはずの鎧が、たしかに傷を受けているのだ。
「どれだけ傲岸不遜に振る舞ったところで、お前の無意識は認めているのさ。
 俺たちが恐るべき敵であり、そうやって鎧わなければ負けてしまうのだと……!」
『ええい、黙れ小僧が!!』
 激憤したウルカヌスが迫る。敬輔は意識を集中させフラットな精神を整えた。
「教えてやる――絶対なんてありえないってことをな!」
 そして放たれた覚悟の一撃が、歪を生じさせた箇所を叩き――KRACK!!
 破砕音とともに、神の鎧を損壊し、肉体に強烈な斬撃を刻みつけたのだ!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ハロ・シエラ
なるほど、恐ろしいほどの威圧感ですね。
しかしここまで来て怯む訳にも行きません。
【勇気】をもって進むのみです。

さて、敵は相当の高熱を発する様子。
恐るべき技ですが、私の【第六感】ならその輻射熱や気流への影響を感じ取れるかも知れません。
それなら超高熱になり、液体化する部分を【見切り】回避する事も出来るでしょう。
近付くだけで身を焼く熱は【オーラ防御】で凌ぎます。
とは言え、そんな相手に剣を突き立てようとすれば剣の方が溶けてしまいそうです。
それを覚悟で突きを、と言う【フェイント】をかけ、ユーベルコードで生み出した雷剣を【投擲】します。
鎧は電気を散らしそうなので、【鎧無視攻撃】でその肉体を狙います。



●雷剣、光熱を貫きて
 ハロ・シエラの黒髪が、一房ほど熱に持っていかれて炭化、焼滅した。
 はらはらと髪の切れ端が散る中、少女は表情を変えぬまま身を翻す。
 紅い双眸は太陽めいた輝きの向こう、片腕を超高熱の金属に変じさせた鋼神へ。
 鞭めいた打撃が大地を抉る。つい先ほどまでハロがいた場所を融解させて。
『ええい、ちょこまかと……! 逃げ回るだけが貴様の仕事かッ!?』
「そんな挑発に足を止めてやられるほど、やわではないつもりですよ」
 憤るウルカヌスの挑発をしなやかに受け流し、ハロはバックステップした。
 一瞬あと、横薙ぎの金属腕が空気を灼き焦がしながら彼女の眼前を通り過ぎる。
 ちりちりと肌が悲鳴を上げる。これ以上の接近は自殺行為だろう。
(――ですが、ここまで来ていまさら怯むわけにもいかない)
 ハロは覚悟を決め、踏みしめた両足の力を前方に向けて解き放った。
 小柄な体躯がロケットエンジンで射出されたかのようにまっすぐ飛び出し、
 まず頭上を狙い定めた金属腕によるストレートパンチをかろうじて受け流す。
 流体化したウルカヌスの片腕は、通常の間合いを無視しての戦闘が可能である。
 加えてそれ自体の放つ熱量が、近づく者を焼殺し飛び道具を防ぐのだ。
 無論、直接触れるなどもってのほか。遠近の攻撃は完全に無効化されてしまう。
 すなわち求められるのは、どうにかして高熱を防いだ上で最適距離に近づき、
 飛び道具でも白兵戦でもない攻撃方法によって、敵の守りを貫くこと……。
『愚かなり。我が神炎を、鋼神のなんたるかをその身で味わえいっ!!』
 熱量が爆裂した! センター・オブ・ジ・アースの大地すらも融解する超高熱!
 ハロは全魔力を前方にオーラ収束させこれを防ぐが、保って数秒。
 剣を突き立てたとして、先端から溶解して無効化されるのがオチだろう。
 ならば、目には目を。高熱には高熱を――ただし、かの如き熱量は彼女には不可。
「それでも……この一撃に、全てを賭けますッ!」
 フェイントの一撃から繰り出されたのは、魔術陣から生まれた雷の短刀。
 雷。身近な天体現象である稲妻だが、それが瞬間的に到達する高熱は、
 地球上のあらゆる物質を熱傷する、まさに『神の領域』である。
 だからこそ、古代の人々は稲妻を天の神の御業とみなして信仰したのだ。
 たった一秒にも満たぬ煌めき、されどその輝きは一瞬だけ神の熱量を超える。
 それはまるで――短命でありながら、世界を動かす人の生き様のように。
『馬鹿な……!?』
 白熱した稲妻の短刀が、金属腕を貫いて神の体に突き立った。
 ZZZZZTTTTT……!! すさまじい轟音とともに雷光が飛沫めいて飛び散る!
「……神(あなた)の時代は終わりです。私たちは、過去を越えていきます」
 神の威風にも怯まない少女の眼光は、高熱の輝きの中でなお凛と煌めいていた。

成功 🔵​🔵​🔴​

カタリナ・エスペランサ
大したものだね。神サマの矜持って奴かな?
――くだらない
ヒトも世界も救ってこそ神様だろうに
潔く骸の海に還るといい、神紛い

自在の身体か
熱に硬度に速度に怪力、多少面倒ではあるけれど
先制には展開した《念動力+情報収集》の力場で《第六感+戦闘知識+見切り》の先読みを補強、《空中戦》の機動力をフル活用して対処するよ
動きを誘導して隙を作り【神狩りし簒奪者】で《属性攻撃+早業+カウンター》。
視界を封じる黒炎は《目潰し+フェイント》、注意を逸らした隙に異能封じの影鎖で拘束し《2回攻撃》から白雷槍の《鎧無視攻撃+スナイパー》で撃ち抜こう
仕上げはUCを封じてる内に《早業+怪力》を発揮して炎雷合わせた一撃を叩き込むよ



●神を喰らうはヒトの業
 展開された力場の障壁が、ガラスのように砕けて飛び散った。
 目に見えないチカラの奔流の前には、かりそめの足場などひどく脆い。
 カタリナ・エスペランサは七色の翼をはためかせ、砕け散る力場を飛び渡る。
 それを追うように地面から噴水のように神炎が巻き上がり、大気を貪った。
(動きを読んでから対処していたのでは間に合わないね、伊達に神ではないか)
 神嫌いのカタリナをして、ウルカヌスの実力は業腹ながら認めざるを得ない。
 彼女の第六感と敵の攻撃到達はほぼ同時であり、油断すれば狩られるだろう。
 これまで積み重ねた戦闘経験と獣じみた彼女の反射神経があらばこそ、
 立て続けの攻撃に対応し回避を重ねることが出来ている。
 しかし、それも所詮は場当たり的なリアクションだ。長くは続くまい。
(そして相手も、こちらのスタミナ切れを待っている――忌々しい)
 舌打ちし、カタリナは飛行軌道を変えた。超高熱の流体金属が眼前を通過。
 ウルカヌスの能力によって金属化した片腕による打ち下ろしである。
『神の頭上を飛び回るなど不遜極まる。貴様に似合うのは地べたの底だ!!』
「それはどうかな? 凋落した神にこそ似合いだと思うけどね……ッ!」
 角度を変えて急降下したカタリナを、地上のウルカヌスが迎え撃つ。
 片腕から両足に金属化部位を変化させ、超高熱で自らを撃ち出したのだ。
 神の豪腕が破城槌もかくやの威力を込めて握りしめられ、引き絞られる。
 放たれる正拳突きをまともに喰らえば、カタリナの頭部はスイカめいて爆ぜよう。
「――かかったな」
『!?』
 しかし、ここまでが彼女のプラン通りであった。
 カタリナは物理的に不可能な急制動によって落下経路を無理やり捻じ曲げ、
 上昇するウルカヌスの攻撃を紙一重で回避。敵の真横に陣取る。
「神紛いは潔く骸の海に還るといい、世界(ここ)にキミの居場所はない――!」
 縛鎖、黒炎の嵐、そして亜光速の速度にすら到達する白雷の槍。
 異能封じの力は神炎で灼かれ、黒炎の嵐ですらも鋼に阻まれ散っていくが、
 それらも布石。ようは神狩りの一撃さえその身に通ればよいのだ。
『がは……ッ!!』
 神話の獣めいて貫かれたウルカヌスは、地面を砕きながら落下し射止められた。
 バチバチと帯電する槍を引き抜いて握りつぶし、カタリナをにらみつける。
「ほら、言っただろう? 偽神(キミ)には地べたがお似合いだって」
 七色の翼を背負う女の表情は不敵。それは神を驕るヒトが持つ傲岸不遜。
 神を狩る簒奪者の、呪わしいまでの絶対的敵意である。

成功 🔵​🔵​🔴​

佐那・千之助
護るためならこの身を焦がすのも厭わぬが
ひとを大事に思うほど、護りたくて、世界を救いたい理由は増えるばかり
燃え尽きるにはまだまだ早いようで

液体化した金属が広範囲なら
少しでも量の薄い部分を獄炎の衝撃波で相殺
液状化した部位、なんなら気体になるまで焼き尽くす
敵へ掛け突破を計り
防ぎ切れぬ分は盾に変えた黒剣で受け、接する液体から生命力吸収
あとはオーラ防御と火炎耐性で凌ぎ
突破したら衝撃波で目眩まし
盾を剣に戻して目を狙う攻撃を囮に

本命は自分の魔力に上掛けした敵の生命力とで放つ、渾身の千華乱墜
超高速の2回攻撃で敵の身体中に炎の華を大量に咲かせ
敵の速度が半減して炎華が収束したら、獄炎纏う黒剣で装甲薄そうな所を貫く



●ひとを守り、世界を救う
 ぶくぶくと液状金属が泡立つ。
 佐那・千之助が放った、獄炎の衝撃波によって熱されているのだ。
 超高熱を孕んだ神の鋼をして、気化させかねぬほどの燃え盛る業火。
 何がそうさせる。怒りか。憎しみか。はたまた世界を焦がすほどの哀しみか。
 ……否。それは覚悟だ。世界を救済するという猟兵としての責務、覚悟。
『わが炎を拒むか! 呪われた血の申し子が!!』
「拒むとも。この身など、誰かを守るためならば焦がれても構わぬ……だが」
 憤然たる神を睨みつけ、千之助は決然とした面持ちで言った。
「この心がひとを大事に思うたび、護りたいと願うたび、理由は増えていく。
 それがある限り、私は死ねぬ。燃え尽きるにはまだまだ早いゆえな……!!」
 神をして、鬼気迫るほどの戦意に呑まれかけ、そして怯んだ。
 気化させることは叶わねど、その身は鋼がもたらす超高熱を押しのけ、
 肌を灼かれながらも熱波を黒剣で払い、熱量を生命力へ変えて再生をなす。
 振るわれた剣の起こした衝撃が、ウルカヌスの巨体を押しのける。
 それはまるで、神話において荒ぶる巨人を征する英雄のように。
「その目、貰ったぞ……!」
『ぬうっ!!』
 ウルカヌスは咄嗟に、液体金属化した片腕で己の顔面を防御した。
 そして気付いた。これは千之助の、命がけのフェイントだということに!
「おぬしが炎と鋼を統べる神と驕るならば、我が身が放つ炎華を見せてやろうぞ。
 闇にこそ咲きまされ――これなるは、神を乱れ堕とす獄炎の刃よ……ッ!!」
 ぐるりと体を一回転させた千之助は、速度を乗せて斬撃を放った。
 彼を中心として、花びらが咲き誇るかのように黒い炎の花弁が舞い散る。
 渦巻く神炎を喰らい、獄炎の華は鎧を、いやさ神の肉体を冒し、そして灼き焦がす!
『ぐ、うおおおお……ッ!?』
「……猟兵(われら)を嘗めてくれるでないぞ、鋼神よ」
 放たれた針のような細く研ぎ澄まされた刺突は、怒る神を穿ち傷をもたらす。
 灼けた千之助の口元には、不敵なる笑みが浮かんでいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

天御鏡・百々
この世界を脅かす悪神め! 我らが成敗してくれようぞ!

炎そのものを生み出すのでは無く、変換して作り出すのであれば、まだ対応の手はあるな
初撃を神通力(武器)による障壁(オーラ防御85)にて押しとどめて時間を稼ぎ
『真実を映す神鏡』を発動するぞ
周囲の物質を変換して作りだした炎であれば
これで元に戻すことが出来るはずだ

攻撃手段を封じることが出来たならば
真朱神楽(武器:薙刀)にて斬りかかろう
鋼の鎧は堅固なれど、隙間を狙えば刃を通すことも出来よう
(鎧無視攻撃6)

●神鏡のヤドリガミ
●本体の神鏡へのダメージ描写NG
●アドリブ、連携歓迎



●神鏡が映す未来
 ごう、ごう――砕けた大地の欠片が、割れた空の残骸が、神の御業の残照が、
 悪に堕ちた神の息吹によって炎と変わり、炉から噴き出す熱のように燃え上がる。
「万物を焼滅せし原初の神炎、しかしオブリビオンとなったその身では、
 もはや往時の神気は絶えたようだな――見よ! これが神炎の本性なり!」
 天御鏡・百々の全身がまったき輝きを放ち、渦巻く神炎を退けた。
 なるほど、いかに原初の神炎があらゆるものを焼尽滅殺するとはいえ、
 ユーベルコードとしてのそれは"無機物を変化させる"というもの。
 あらゆる偽りを暴く百々=神鏡の輝きは、その本髄を見逃しはしない。
 炎は逆回しの映像めいて大地の欠片へと戻り、熱波は嘘のように消えてしまった。
『何!? ……私の炎を偽りと抜かすか。たかが器物の霊ごときが!!』
「ならば言わせてもらおう、悪神よ。世界を侵す者と成り果てた過去の残骸よ!
 いかな守りを鎧おうと、所詮貴様は世界の敵。滅びたものの残滓に過ぎぬ!」
 ウルカヌスは再び神炎を生み出す。だが、百々の動きのほうが早い!
 その身を焦がす炎を薙刀で切り裂き、踊るような踏み込みとともに一閃!
 がぎん!! と神鋼の鎧が刃を阻む。しかし斬撃はふたつ、みっつ!
『ぬうっ!!』
「我らは数多の世界を渡り歩き、そうしたオブリビオンを滅してきた。
 此度も同じ。もはやその悪運尽きたり――我らが成敗してくれようぞ!」
 五つ、六つ……KRASH!! ついに鎧がひしゃげ、斬撃が肉体に到達した!
 ウルカヌスは屈辱と苦痛に呻き、雄叫びをあげながらさらなる炎を燃え上がらせる。
 太古の無垢なる人々ならば、その熱を恐れ暴君を崇め畏れただろう。
 だが。今の百々は神と崇められ、霊性を得た鏡の化身でありひとりの猟兵。
 天敵たるオブリビオンを前に、抱くのは畏れではなく怒りと戦意である。
「何度でも、その偽りを剥ぎ取り誅伐してくれるわ!」
 誇らしげですらある言葉とともに、神鏡が再び煌めいた。

成功 🔵​🔵​🔴​

マレーク・グランシャール
【壁槍】カガリ(f04556)と

神の鎧か……確かに超鋼と呼ぶに相応しい硬度だ
だが果たして本当に無敵か!? 否!!
無二の友、カガリの盾こそが絶対無敵、不落の城壁
それ以外はただ硬いだけのもの

ましてや俺には槍がある
鎧を砕く碧血竜槍、鎧さえも通す電撃の魔槍雷帝、神をも殺す山祇神槍
我が友の期待に応え、その鎧、俺が砕いて見せよう

【雷槍鉄槌】を成就し、三槍を豪槍に変えたらウルカヌスを穿つ
例え鎧に阻まれようが構わずにな
互いの強さを絶対のものとして信じる、この友情こそが無敵だ

猛攻を受けて攻勢に出るか逃げようとしたその時が好機
機動性を上げようとすれば関節部は柔軟に動く
つまりそこが狙い目だ
捨て身の一撃で討ち取るぞ


出水宮・カガリ
【壁槍】まる(f09171)と

カガリの前で、篝火にしてくれる、とは。言ってくれるではないか。
篝火が、何のためのものか、神でありながら存ぜぬとみた

無敵の、金色の鎧か。全く恐るるに値しない。
そちらは、所詮、鎧を纏わねば無敵になれないのだろう?
カガリは、カガリ自身が不落の黄金城壁だからな(全力魔法、オーラ防御、【泉門変生】)
城壁よりも堅い鎧があるなら、出してみろ
強度を優先させれば、機動は死ぬがな
それで我らをどう攻略するのだ?

籠城するほどの鎧を出すなら、敵に呪詛を
力の巡りを鈍らせ、穏やかな眠りに至るものだ
無機物さえ自ら風化する、静寂の呪詛を
敵が防御を解いたら、まるの好機だ
まるの槍なら、きっと



●アンストッパブル・ヴァーサス・アンブレイカブル
 超鋼神装!
 それはウルカヌスが持つ最大最強の力。
 神としての権能を存分に発揮した、決して壊れず破られぬ無敵の鎧。
 術者の想像力によって担保されるその防御力は、
 ウルカヌスの傲岸不遜なまでの神らしいエゴによって補強され、
 以て誇張抜きの超・防御力を発揮するに至る。
 これまでの戦争で猟兵たちが打ち破った、神鋼の鎧とはわけが違う。
 隙間などない。わかりやすい弱点などない。理不尽な寓話に等しい虚構の産物。
 しかし、それを可能にするからこそ、ウルカヌスは"神"足り得るのだ。

「……!!」
 KRAAAAASH!!
 城壁(からだ)全体を揺さぶるすさまじい衝撃に、出水宮・カガリは呻いた。
 耐えきってみせたのは、彼がなるほど不壊の城壁を謳うが所以だろう。
 しかし、重い。鎧を纏ったウルカヌスの一撃は、ただの拳があまりにも重い。
 近づき、ただ殴る。それだけで、もたされる破壊力は神の怒槌じみていた。
『小賢しい!! 神を計るだと? 神を謗るだと? それ自体が不遜、傲慢よ!』
 KRAAAAAASH!! 怒りとともに立て続けの殴打、殴打、殴打!
 ぶつかり合うのは黄金の鎧と黄金の城壁、放たれる輝きは稲妻の如く。
 ただ硬いだけの鎧など、神が無敵を謳うに値するようなものではない。
 強固でありしなやか、かつ俊敏であり同時に攻撃力すらも強化してみせる。
 非の打ち所がないゆえの"無敵"。そして約束された絶対先制……!
 "敵が猟兵をどう攻略するか"ではない。"いかにしてそれを打破するか"。
 そこをこそ突かねば、つまりはウルカヌスの暴威がそのままに猟兵を襲う……。
「……御託は、それだけか。ほざくならば、カガリを破ってみせるがいい」
『ハ! この期に及んでよく吠える。耐えるが関の山の木偶の坊の分際で!!』
 SMAASH!! 並の防壁ならば十度は砕けているであろう立て続けの連撃。
 カガリは全能力を防御に回し、けして敵を通すまいと城壁の存在力を強固とした。
 霊力は封印の呪力に変わり、穏やかな眠りを齎す呪詛を与えるが、
 邪悪なる神の黄金鎧はそれをすら跳ね除け、引きちぎり、否定する。
「敵はカガリだけではないぞ。お前は、見落としているのだな……」
「然り! その超鋼……友の期待に賭けても!」
 カガリの防壁から、マレーク・グランシャールが疾風めいて飛び出した。
 はじめに振るうは碧血の龍槍。大木をもなぎ倒すであろうすさまじい一撃を、
 ウルカヌスは片腕を盾めいてかざすことでガギンッ!! と弾く。
「――俺が砕き、貫き、滅ぼしてみせよう……!」
 さらに雷帝の唸りとともに魔槍が放たれた。金色の鎧を蒼き稲妻が叩く!
 さしものウルカヌスもその衝撃にざりざりと地面を削り後退するが、無傷!
『どうした! 大言壮語を吐くだけでは神を討つことは出来ぬぞ!?』
「ならば――!」
 三手目。山祇神槍――神を討つことに特化した三振り目の矛。
 だが見よ。繰り出された一撃は、龍と魔の槍を取り込み力の奔流へと変じた。
 "雷槍鉄槌(トリニティ・トールハンマー)"! 三位一体の超弩級剛槍擊!
『……!!』
 ウルカヌスですらこれには瞠目した。なんたる恐るべき勝利への執念!
 マレークは防御を考えていない。この好機を掴むためにカガリは耐えたのか。
 ならば見事と称賛してやろう。業腹だが、ふたりの力量は認めざるを得まい。
 神は歯噛みしながらも獣じみて吠え、自らをひとつの砲弾へと変えた。
 黄金と剛槍が炸裂――KRAAAAAAAAAAAASH!!

「……ッ!!」
『ぬうう……!!』
 衝撃が拡散し、両者はそれぞれ弾かれた。ともに満身創痍である。
 三位一体の剛槍は、その宣言どおりに黄金の鎧を貫き不壊の不在証明をしてみせた。
 だがマレークも無傷ではない。カウンターに叩き込まれた神の連撃は、
 その全身に裂傷を及ぼし滂沱の血を流させていたのだ。
「……まる……」
 友の傷に、カガリは様々な感情をこみ上げさせ、そして噛み締め、飲み込む。
「……いや、神よ。やはりお前の無敵などありえない。カガリとまるのほうが上だ」
 ウルカヌスの凝視がカガリを捉える。彼自身もけして無傷ではなかった。
 城壁にして門扉たるその身が、無理を圧して守りを固めようとすれば、
 当然そのバックファイアはカガリ自身に帰ることになるのだから。
 しかし、それでも立っている。立って、守り抜き、ついには貫いたのだ。
「篝火がなんのためにあるのか。真の無敵とはなんなのか」
「……我が槍と、友の無敵たる城壁を以て。教えてやろう」
『……猟兵、我らの天敵……!!』
 オブリビオンは呻く。目の前のふたりはけして弱敵でも卑小な存在でもない。
 神に比肩し、ついには超えるほどの、強敵であると認めざるを得ないのだ……。

苦戦 🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

月宮・ユイ
アドリブ◎
器に誘惑の呪詛宿す呪<呪詛>操るヤドリガミ

流石は此度の戦争で単一戦力最強と謳われる存在ですね

[コスモス:外套]と<念動力>纏い飛翔
回避と斥力発生させ防御。
更に<オーラ>に<属性風・火:火炎耐性>付与<呪:破魔>重ね強化
風操り真空の層作り炎防ぎつつ断熱。
攻撃凌ぎ時間稼ぎ
《連環捕食》成形<呪:生命力吸収>付与
・斧槍
・衣:武装やオーラを力で染め圧縮強化
炎<捕食>強化回復と対策と併せ被害軽減

隙間なく炎に包まれた空間
<第六感>含め知覚研ぎ澄ませ<情報収集>
僅かでも薄い箇所を<早業>突破
<怪力>勢い乗せ打ち込み、打ち合う。
貴方の炎も糧に
命を、心を燃やし
鍛え上げし刃、今一度届かせてみせましょう



●破滅の炎を切り裂いて
 多重付与した火炎耐性防御呪文が、紙くずのように燃やされ無力化されていく。
 月宮・ユイに、足を止めることは許されない。一瞬の思考停止もあってはならない。
 常に体を動かし、全方位から襲い来る危険の予兆を感知して対応し、
 かつウルカヌスの上を行く――無謀にも等しい綱渡りを強要されるのだ。
 原初の神炎。現れれは最後、あらゆるものを燃やし尽くすまさに神の御業。
 それを相手にするということがどういうことか、否応なしに痛感させられる。
『どうした! 時間稼ぎが関の山か、小娘め!』
(挑発に乗ってはダメ。圧縮強化まで時間を稼がないと……!)
 ユイはハルバードをふるって真空の壁を作り、迫りくる炎を拒む。
 だが原初の神炎は、本来炎が存在できない真空をも貪り侵食し、
 敵対者を灼き尽くそうと森林火災めいた速度で空間を制圧していく。
 竜巻のように回転しながら繰り出した薙ぎ払い、その勢いが神炎を退けた。
 ユイは後方に跳躍して距離を――否! ウルカヌスが疾い。炎を目くらましにした殴打!
「……そっちから来てくれるだなんて、嬉しいわね」
 しかし、それはユイにとっても好機であった。
 このまま神炎で焼殺されるならば、突破の必要性が生じてしまう。
 インファイトでなければ敵を攻撃できない彼女に取って、間合いを詰めるのは絶対的前提。敵から近づいてくれたならば好都合だ。
 破城槌めいた勢いで放たれた敵の殴打をハルバードの柄でいなし、
 その勢いを乗せた刺突を繰り出す。ガギンッ!! と、鎧とかちあい火花を散らした。
『もはや貴様に退路はないぞ!? 焼け死ぬか、砕け死ぬか、選ぶがいい!』
「どちらも……お断りですッ!」
 ガギ、ガ、ガ、ガ、ガガガガガガッ!!
 炎渦巻く超接近距離のリング上で、ユイとウルカヌスは幾度も撃ち合った。
 探せ。攻めるべき間隙、神を討つための弱点、貫くべきアキレス建を。
 たとえどれほどこの体を砕かれようと構わない。最後に勝てればそれでいい。
 決死の覚悟を乗せた一撃が、神炎を貪り……そして、ウルカヌスに届いた!
 KRAAASH!! 鎧が破砕し、肉体を斧槍の刃がぞぶりを切り裂く。
『ぬうっ!』
「かは……っ!!」
 代償として腹部に叩き込まれたカウンターは、ユイの小柄な体を吹き飛ばした。
 もしも彼女が兵器を喰らう兵器の化身足らねば、炎がその身を灼き焦がしたことだろう。
 よろめきながらも少女は立ち上がる。……戦うために!

苦戦 🔵​🔴​🔴​

ゼイル・パックルード
もっと怒り狂ってるかと思ったが、案外冷静だな。神の柱ってのは伊達じゃないか。
ま、そうじゃなければ面白くないか。

致命傷を受けないようにしながら、刀で鎧を狙いつつ、合間に顔や拳の鎧の隙間を狙っていく。命中したら、UCで発火する。

「大した攻撃だが、防御を気にしない分精細にかけるな。安全な鎧を身にまとった代償か、力は一流でも技量は二流がいいとこだ。そうだろう?それだけの力がありながら、あんたはまだ猟兵の一人でも殺せたか?」
そういって挑発して、怒らせつつ、自身の強さに疑念を抱かせよう試みる。

実際どうかはともかく、嘗めてかかる真似はしないがね。

もし鎧が弱体化したなら、鉄塊剣で一気にダメージを狙う。



●神の喉元へ食らいつけ
 戦いにおいて、敵の戦力を下に見ることほど愚かなことはない。
 傭兵であるゼイル・パックルードは、そんな当然の事実を身に沁みて知っている。
 過剰評価はそれはそれでいただけないものだが、一番悪いのは見くびることだ。
 "我らが負けるはずはない"という傲りは誰の足元にも存在する。
 そう、神ですら。だからこそゼイルは挑発を口にしながらも冷静に状況を俯瞰し、
 どのような相手であれ見くびることはない。彼の炎は冷えているのだ。
『……貴様、面白い男だな』
「へえ、戦いの最中に褒めてくれるのが、この世界の神の流儀なのかい?」
 幾度か打ち合ったあと、ウルカヌスはぽつりと言った。
 ゼイルは攻撃を叩き込む隙を伺いながら、皮肉げに笑ってみせる。
『私を激昂させようと立ち回りながら、しかし常に私の首を狙い続けている。
 獣の獰猛さとヒトの冷静さを併せ持つとは、なかなか矛盾しているではないか』
「……そいつはどうも。だが俺の言葉は事実だろ?」
『忌々しいがその通りだ。ゆえに、私が怒り狂うこともない』
 神の自我は熱されて膨れ上がった鉄のように傲慢不遜であり、
 同時に冷やされた鋼のように強固でしなやかでもあった。
 矛盾した精神こそ、定命の存在を超越し人知を超えたモノの在り方だろうか。
(弱体化を狙うのは難しいな。――俺が面白いだって?)
 ゼイルは深く身を落とす。面白い、と言いたいのはこちらのほうだ。
 実にいい。怒りに任せて無鉄砲に仕掛けてくる猪突猛進な敵ではなく、
 こそこそと逃げ回ってこちらのスタミナ切れを狙う小賢しい相手でもない。
 これだ。同格以上の敵と相対した時の、このひりつくような死線の気配。これこそ。
「――そうでなくちゃあ、殺し合いをする甲斐がないッ!」
『!!』
 ゼイルが仕掛けた。地を這うほどの低い姿勢からの弾丸めいた疾走。
 足元を鎌めいて薙ぐ横斬撃か? 否、それをフェイントとした巻き上げ!
 ウルカヌスは両足で大地を踏みしめ、逆袈裟の刀斬撃を無敵の鎧で弾いた。
 そして思い至る。それこそも目くらましであったということに!
「果てな……ッ!!」
 本命は三打目。両手に握りしめた鉄塊剣による全力の撃ち下ろし!
 速度と体重を乗せた渾身の一撃が、天から降り注ぐ雷めいて……KRAAAASH!!
『ぐお……ッ!?』
「‥…チッ」
 神の鎧を歪ませ、砕いた。だが同時にカウンターがゼイルの胴を撃っている。
 両者は血を撒き散らしながらたたらを踏んで離れ、そして留まった。
「……この程度じゃ、死んでやれないね」
 口の端からこぼれた血を拭いつつ、ゼイルは獰猛に笑ってみせる。
 苦痛に揺らめく視界は、陽炎に包まれたかのようにおぼつかない。……心地よい。
 命を奪うか、奪われるか。この瞬間こそが、彼に生の充足を与えてくれるのだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

メイスン・ドットハック
【WIZ】
神というだけあって威圧感たっぷりじゃのー
じゃけど死ぬのはそっちじゃけどのー

原初の神炎は【ハッキング・迷彩】で風景をジャミングホログラムを展開して目くらまし、さらに【ハッキング・残像】でホログラムアバターを作り攪乱
【第六感・情報収集】を駆使して回避

先制後、UC「隠れ家への小道」を発動させ、電脳窓を設置して、電脳空間に逃げ込み、また別の窓から出たりして攪乱
さらに鎧の隙間に電脳窓を張り付けた電脳ナノスパイダーを潜り込ませて、内部に窓を設置
設置完了したら窓を拡張して、電脳空間に置いていた二足歩行戦車「KIYOMORI」の兵装を電脳窓の外に向けてフルバースト【一斉発射】し、内部肉体を直接攻撃



●電脳魔術士、メイスン・ドットハック
 電脳魔術によって形成された無数のジャミングホログラムが、
 さらにはホログラムアバターすらも、一瞬にして燃やし尽くされ消えていく。
 原初の神炎。それは範囲内のあらゆる存在を焼き尽くす神の劫火。
 一度発生すれば、ウルカヌスが制御する必要すらもない。野火とはそういうもの。
 近づいた敵を自動的に襲い、喰らい、貪り、焼き尽くす。それが炎である。
「これは……まずいかのー」
 十体目のアバターを射出しながら、メイスンは冷徹な未来予測に呻いた。
 避けきれない。あと数秒で神炎は自身に到達し、全身を灼き焦がすだろう。
 彼女は一流のハッカーである。ゆえに、諸処のデータが導き出した予測は絶対だ。
 しかし、それならばそれでやりようはある。布石はすでに打っておいたのだ。
『どうした、出てこい! それとも姿を晒さないまま灼き尽くされて死ぬかッ!?』
「正々堂々真正面から、というのは僕の流儀じゃないんだがのー」
 最後のホログラムアバターが灼かれたと同時に、メイスンはあえて姿を晒した。
 ウルカヌスの凝視が少女を捉える。常人ならばそれだけで脚がすくみ、
 最悪心停止すらしかねない。不敵な少女はそれを真正面から受け止めた。
「勝ち誇るのはいいんじゃがのー、蜘蛛はもう仕込んであるんじゃがー?」
『!? ……貴様、私の鎧の内部に……!?』
 然り。ホログラムによる撹乱は、メイスン自身を守るためではない。
 目に見えないほど小型の、電脳蜘蛛を滑り込ませるための目くらましだったのだ!
「肉体を直接灼かれる気持ち、お前も味わうといいじゃー!」
『……!!』
 電脳蜘蛛を"窓"とした二足歩行戦車のフルバーストが、鎧の中で炸裂した!
 たとえるなら、榴弾を放り込まれた強固な鉄壁のようなものだ。
 破壊力はそのままウルカヌスにほとばしり、神は苦悶の呻きとともに爆炎に呑まれた。
 制御を失った神炎は、バックドラフトによって外側にほとばしった火災のように、
 ホログラムを、電脳魔術を、そしてメイスンを飲み込んでいく……!
「神だろうが悪魔だろうが、オブリビオンは斃すのが僕らの仕事じゃからのー……!」
 熱波に呑まれあちこちを焦がされながら、メイスンは身を丸くした。
 反撃の代償は重い。だが、今の一撃は確実にウルカヌスにも入ったはずだ。
 ゆえに少女は笑ってみせる。その攻撃が敵を討つための一矢になり得ると信じて。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

神元・眞白
【WIZ/割と自由に】
大きい。それと眩しい。眼鏡をかけてちゃんと見える様にしないと。
符雨、今回は録画する暇がないと思うしカメラはしまっておいて。
先んじて動くのが分かるのは重畳。対策を取って、1歩先に。

炎の攻撃って聞くけどちゃんと防火対策(火炎耐性)しておいてよかった。
死霊蛇竜をまずは壁にして騎士と私の盾に。最近寒いし丁度良さそう。
あ、大変。あの炎で焼き払われたら死霊蛇竜の精神まで燃え尽きちゃう。
……でも死霊だしそれはそれで。一段落するまでは待機。

私が戦えない分騎士はそのまま前進を。戦いはできるならしておいて。
騎士がいなくなれば私も前線に出られるし。指示はするけど前に出てはいけない訳じゃないし?



●炎を越えて前へ、前へ
 原初の神炎が燃える。ありとあらゆるものを焼き尽くすためだけに。
 かつての鋼神が司っていた炎ならば、きっとそれは新たな命を生み出したはずだ。
 生命は輪廻する。燃えた灰の中からは、次に繋がる何かが萌え出る。
 それが摂理であり、神々がこの世界を作り出した時に定めたルールであったはず。
 炎とはそういうものだ。……だが、ここに現れた"それ"は、違う。
 なぜならば。今の鋼神ウルカヌスはオブリビオン。かつて滅びた過去の残骸。
 世界を侵し、蹂躙し、破壊し、滅亡させるためだけに在るモノ。
 神炎はすべてを焼き尽くす。それは虚無の炎だ。何も生み出しはしない。
 あとに遺るのはただの残骸であり、つまりはけして触れてはならぬ暴威だった。
「……死霊蛇竜よ、私と騎士を守って」
 召喚された死霊の蛇竜は、神元・眞白の命令に躊躇なく従った。
 竜の咆哮をあげ、向かう先には壁のように燃え上がる原初の神炎。
 ユーベルコードによって蘇生召喚された死霊の蛇竜は、一瞬で炭化し焼滅する。
 眞白は僅かに柳眉を顰めた。炎の勢いが――あまりにも、強すぎる。
「……行って」
 眞白は死霊の騎士を送り出した。炎は容赦なくふたりを飲み込もうとする。
 騎士は分厚い大剣を振るい、吶喊するための路を無理やり作り出す。
 ドッシ、ドッシ、ドッシ……重量が地面を揺らし、騎士はまっすぐ突き進んだ。
 炎が鎧を焦がし、融解させ、すでに滅びた死霊の肉体を、骨を、滅ぼす。
 騎士は止まらない。腕組して屹立する鋼神はそれを一瞥すらしなかった。
『たかが使い魔ごときが、私の神炎の妨げになるとでも思ったか? 笑止!』
「……私は、はじめから後ろで指示だけ出しているつもりなんてない」
 騎士が内側から炎に侵食され、がらんどうになる。一歩ごとに崩れ去る。
 それを踏み越えて、眞白が走った。そして彼女の戦術器たちが。
 神の視線が彼女らを捉え、原初の神炎が津波のように押し寄せる。
 まだだ。足を止めてはならない。ようは敵のもとにたどり着きさえすればいい。
 騎士の残骸が崩れ去り、その痕跡さえも炎に灼かれたとき。
 半身を炎に包まれた眞白は、ウルカヌスの眼前に到達していた。
『貴様――』
「……飛威、符雨。お願い」
 内部骨格が剥き出しになった腕でウルカヌスの体を掴み、眞白は言った。
 主すらも踏み台として到達した戦術器たちが、弾丸と符を吐き出す。
 神に一矢報いるため。その一撃を以て、敵に滅びをもたらすために!

成功 🔵​🔵​🔴​

亜儀流野・珠
追い詰めた……が、流石の落ち着き様だな。
だが俺達も怯まんぞ。その鋼、砕かせて貰う!

全てを焼くかの様なその炎!
貼った物を壁に変換する「金璧符」を自分を囲むように地面に貼り全方位に壁を作り初撃を防御!

頭上に「隙間」はできるがまあ仕方無し。
攻撃に転ずるまでの一時を稼げればいい!
いざとなれば持ち前の【火炎耐性】で我慢しながら作戦続行だ!

その一時、又は一瞬の間に超圧縮狐火「焔弾」の発射準備、及び発射だ!
一発目は爆発させ奴の炎を散らし視界確保、
二発目は全力を籠め、直撃・爆発にて奴の鎧を、いや奴を砕く!
俺の炎弾をお前の逆襲劇のピリオド代わりにしてやろう!



●双炎激突
 八卦図めいて貼り巡らされた金壁符が、妖気注入と同時に淡く発光し励起。
 呪文が放った輝きがそびえ立つ壁に変わり、亜儀流野・珠を守る障壁となる。
『そんな仮初の障壁で、私の炎をしのげると思っているのか!?』
「どうだろうな、試してみないとわからないならやってみな、ウルカヌス!」
『よかろう……その大言壮語と驕慢を、消し炭となって後悔するがいいッ!!』
 ウルカヌスの全身が異常なまでの力で二割近く膨れ上がり、筋肉が緊張した。
 そして鋼神は両手を突き出し、裂帛の気合とともに神気を解き放つ。
 見よ、噴き上がる炎を。噴火した火山のマグマじみた炎の奔流を!
「防いでみせるさ……いや、防げなくとも構わない!」
 ごぉうっ!! と、嵐のように燃え盛る神炎が障壁と激突した。
 使い手であるウルカヌス以外の全てを焼き尽くす神の炎は、妖力で構成された障壁を凄まじい勢いで貪り、一枚一枚灼き尽くしながら侵略する。
 何層にも重ねて展開された金壁符が外側から炭化して焼滅していくのだ。
 もはや逃げ場はない。珠は自身に残されたすべての妖力を狐火に変え凝縮する。
(眼には眼を、炎には炎を――その鋼、砕かせてもらうッ!)
 最後の一層が……消滅する! 炎と熱波が珠の肌を焦がした!
「貫き通せ、焔弾ァッ!!」
『!!』
 こぶし大まで凝縮された狐火が、神炎を吹き飛ばして炸裂した。
 だが、おお……ウルカヌスはさらなる炎を現出させ、狐火の弾丸を相殺!
『愚かなり……この私を相手に、炎で戦おうなど!』
「――どうだがね」
『何……!?』
 珠は片手を伸ばし、もう片方の手を脇腹のあたりで握りしめていた。
 その拳を開けば……なんと、もうひとつの焔弾がぐるぐると燃えている!
 二段構えの攻撃。一撃目はその火力で神炎を吹き飛ばすための布石!
 ドォン――!! 炸裂した狐火が神炎を吹き飛ばし、貫くべき活路を拓く。
「俺の炎弾をピリオド代わりに受け取っておけ、ウルカヌス……ッ!!」
 己が灼かれるのも厭わず、珠は必殺の狐火を投げつけた。
 音を越えた炎弾はウルカヌスの鎧を貫き……肉体を、その存在を灼き焦がす!

成功 🔵​🔵​🔴​

ヌル・リリファ
貴方は、とてもつよいけど。
わたしはマスターの人形だから。
どれほどつよくても、まけるつもりも、道理もない。
……いくよ。

これは相手がつよいほど強化されるから。ながくはもたないけど、おいつけはする。

それに鎧が無敵なら隙間をぬってさすだけ。鎧が無敵でも本人が無敵なわけじゃないよ。

とはいえ、魔力は有限だし簡単にかてる相手でもないから、すこし無理する。

一度だけ攻撃をうける。そのとき相手はかったっておもうし、一瞬だけは油断する。
不可視の鎧があってもわたしも無傷ではないとおもうけど、怪我をした部分を構成していた魔力結晶を一気に魔力にもどして強化に使用、【カウンター】で【捨身の一撃】。
鎧のない部分を斬り裂くよ。



●己の存在理由
 視界が明滅する。思考がまとまらず、意識がブラックアウトしては再起した。
 網膜上に無数のエラーメッセージが表示され、ノイズ混じりに消えていく。
 何が起きた。ヌル・リリファは、自身の脳内記憶を手繰り寄せて映像再生した。
 ウルカヌスと対峙し、打倒の意志を伝えた。
 負傷しながらも意気軒昂の神は、黄金の鎧を纏いそれに応えた。
 そこまでは覚えている……それで、自分はどうなった?
『……驚いたな。なるほど、吠えるだけはある』
 忌々しい敵の声が、ヌルの混乱した思考を現実に引き戻した。
 そして彼女は、瓦礫の中に埋もれている自分の体と現在の状態を理解した。
 ああ、そうか。敵が鎧を構成した瞬間、自身が不可視の双璧を鎧うより先に、
 黄金の拳が自身に叩きつけられた――そして、吹き飛ばされたのだ。
 疾い。あれがオリジナルであるウルカヌスの纏う、神の鎧の真価か。
 防御力だけではない。ありとあらゆる能力を強化するまさに"無敵の鎧"。
(……まだ、稼働できる)
 当然だ。自分はマスターの最高傑作。これでは破壊されはしない。
『立つのか? 哀れなり。そのまま斃れていれば慈悲をくれてやろうものを』
「……たつよ。だってわたしは、あなたをたおしにきたんだから」
 ヌルは立ち上がり、空色の瞳でウルカヌスを見据えた。
 神は不服そうに顔を顰め、悠然と、傲然と、そして重々しく歩み寄る。
 凝縮された神気は陽炎のようにそのフォルムを歪めていた。恐るべき神威。だが。
「わたしはまけないよ。マスターの人形がこのていどの性能しかないなんて――」
『では、死ねッ!!』
 踏み込みの威力で大地が砕ける。すべての力を籠めた神の拳。
 それは城を崩す槌。大木を割る雷。あるいは民を死滅させる山火事めいた災禍。
 ヌルは真正面から受けた。不可視鎧がひずみ、ひしゃげ、悲鳴をあげて砕けかかる。
 ――グシャンッ!! と、足元に受け流された衝撃が地面を砕く。
 ヌルの全身あちこちが割れて血が吹き出した。だが――まだ、生きている。
「わたしはまけない」
 砕けた片腕の構成要素を魔力化し、残された片腕に収束させる。
『貴様……!?』
「わたしは……マスターの、人形だから」
 そして。勝つのだ。皆で守ったこの世界を、その平和を守り続けるために。
「……あなたをたおすものだから。絶対に、わたしは、まけない――!」
 すべての魔力を籠めた手刀が、音を越え空気を灼きながら放たれた。
 指先は鎧をこじ開け、ウルカヌスの腹部を抉る。神の肉を。骨を。臓物を!
『がは……ッ!!』
「……あなたがどれだけつよくても。わたし"たち"は、決してまけない」
 カウンターの一撃がヌルを吹き飛ばす。だがウルカヌスも重傷だ。
 砕けた地面をバウンドしながら転がり、しかしヌルは立ち上がった。
 空色の瞳が敵を見据える。割れず、砕けず、汚れることなく、敵を見据える。
 ただ敵を斃すために。己の存在理由を、勝利を以て証明するために。

苦戦 🔵​🔴​🔴​

オブシダン・ソード
【狐剣】
神の鎧だってさ、斬り甲斐がありそうだねぇ

敵の先制攻撃にはオーラ防御を駆使
この時点では無敵の鎧はどうにもならないので、相棒を守り切る事を優先
我が身を盾に、いなすか防ぐかできるよう努める

時間を稼げたならUCを発動
人間体を消していすゞの剣として戦う
軽口と、敵の攻撃に対するアドバイスで相棒を鼓舞
…大丈夫、君の手にある間は無敵の剣で居てみせるさ
できるだけね

さて、砕けぬ刃と無敵の鎧、どっちが上かな?
傷の一つでもつけられれば御の字
ダメなら苦戦することになるだろうけど
削れた刀身や血の跡で、鎧に傷がついたように見せられない?

鎧への信頼が揺らげばこっちのもの
さあ、相棒
君の願いを叶えてみせよう

神殺しの時間だ


小日向・いすゞ
【狐剣】
センセったら
神とかそういうの本当に好きっスねぇ

先制攻撃を庇う彼には符で防御を重ねて
彼が剣と化せば手に

指先を噛み
刃に破魔を籠めた血紅にて戦化粧を施しながら駆ける

あっしはまま武器受けの良いオンナっスからね
攻撃はセンセで受けて流して

アンタの鎧は無敵らしいっスが
あっしの剣は決して砕ける事が無いンスよ
ほうら
こんなに叩こうが刃零れ一つないでしょう

金剛石を砕くのは金剛石っス
傷つくことの無いモノをぶつけ合えば、いつかは傷つくに違いないっス
無いっスよね?
無敵ってセンセが言ったから無敵っスよ

軽口の応酬をしながらも
あっしの今の願いは一つ
馬鹿しようとする神様とやらを断ち斬ってやる事だけっス

ええ、ええ
斬るっス!



●血紅の決斗
「かは……ッ!」
「センセッ!」
 小日向・いすゞにしては珍しく、色を失った叫びだった。
 だが彼女は自らを守るオブシダン・ソードの背中を見て、すぐに我を取り戻す。
 "慌てなくていいよ。見てのとおり僕は無事だもの。心配しないで"。
 きっと、オブシダンに振り返る余裕があるならそんなキザなセリフを言ったろう。
 少なくとも背中はそう語っている。それが強がりであることもいすゞには解った。
 役割を間違うな。こちらが守るのだからそちらは機を伺え――。
 そう語る相棒の背に、いすゞは頬をはたかれたような気持ちになった。
 気を取り直し、術式を練る。符がぱらぱらと散ってオブシダンを包み込んだ。
 かりそめの障壁の上から、稲妻じみた速度のウルカヌスの拳が迫る。
 オブシダンはいすゞの助けを受けた上で、これをかろうじていなした。
 逸らされた衝撃が大地を削り、裂け目を生み出す。ぞっとするような威力だ。
『クネクネと鬱陶しい猟兵だ。女を背にして騎士道ぶるつもりか?』
「それは僕のキャラじゃないな。それとも君にはそう見えるのかい」
 おどけてみせるオブシダンの顔面めがけ、岩のような鉄拳が飛来。危うく躱す。
 直撃は避けられている。避けた上でこれほどの重傷なのだ。
 いなし、躱すたびに、風圧が、体を震わす威力の残滓が化身を揺るがし砕く。
 耐えられているのは、ひとえにふたりのコンビネーションがゆえだろう。
「神かなんか知らないっスけど――調子、乗りすぎっスよ!」
『ちっ、小娘が……!!』
 追い打ちの殴打を繰り出そうとしたウルカヌスに、符の雨が襲いかかった。
 ウルカヌスは舌打ちしながら拳を繰り出す。手応えが浅い。仕留めそこねたか。
 その読み通り、威力にあえて乗ったふたりは、大きく後方に退いていた。
「……僕が時間を稼ぐ手はずだったと思うんだけど?」
「ごめんっス……けど、手ぇ出さずにはいられないっスよ」
 いすゞの言葉にオブシダンは肩をすくめ、わかったよ、とだけ言った。
「けど、おかげで助かったのは事実だ。そしてもう、これだけあれば十分だろう」
 オブシダンの人像がぐにゃりと曲がり、黒曜石の剣へと変じる。
 この上さらに剣となりてあれと撃ち合う――いすゞに不安がないわけではない。
「そうっス。ここからは一蓮托生っスよ」
 しかしいすゞはにやりと笑い、片手で剣の柄を握りしめた。
 空いた手の親指をがぶりと噛みちぎり、滴る血を刃へと滑らせる。
 描き出すのは血紅の戦化粧。妖力を籠めたそれはひとりでにうねり紋様を描いた。
『たかが剣一振りで何が出来る? この私と我が鎧を相手に』
「強いて言うなら、アンタのその鎧をたたっ斬ることぐらいっスかねぇ?」
 みしり――ウルカヌスの怒気が、空間をひずませるほどに凝縮された。
 いすゞは噛みちぎった指先の傷をちろりと舐めながら、笑ってみせる。
「あっしの剣(センセ)は決して砕けることが無いンスよ。試してみるっスか」
『……よかろう。身の程というものを教えてくれるわ!!』
 ウルカヌスが消えた。否、すさまじい速度の踏み込み。敵は頭上!
 振り下ろされた拳をオブシダンの刃で受け、弾く。ぎぃん、と澄んだ相殺音。
「ほうら、こうやって受けても! 撃ち込んでもっ!!」
 がぎ、ぎ、ぎ、がぎぎぎんっ!!
 立て続けの斬撃。黄金の鎧はそれを厳かな父性めいて受け止め弾いた。
 だが、刃は毀れていない。その事実はウルカヌスにとって瞠目に値する。
「無敵の鎧と無敵の剣! ぶつけ合えばいつかはどちらかが傷つくに違いないっス!
 さあ、まだまだ行くっスよ? 自慢の鎧で受けきってみればいいっスねぇ!」
 がんっ! がぎんっ!! ぎゃりんっ!!
 趨勢は一瞬で変わった。いすゞの剣戟は軽い。軽いが、その分疾い。
 ウルカヌスの鎧はひたすらに斬撃を受け止める。無敵の鎧は決して砕けない。
 ……本当に? その攻撃が鎧を歪ませないという保証はどこにある?
 否。否。神である己が生み出したものは絶対無敵。揺らぐことなき永遠である。
 ウルカヌスの心に渦巻いていたのは疑念。それは己ではなく敵への疑念だ。
(なぜだ? なぜこいつらは、ここまで自信満々に私に挑むことができる?)
 あれ程に痛めつけ、威圧し、追い詰めたはず。
 この女も、剣に変じたあの化身も、けして無傷ではない。
 合間合間に叩き込むカウンターは、たしかにふたりを傷つけている。
 だのに、なぜ? ――なぜそこまで胸を張って無敵を誇れるというのだ?
 疑念は不安に代わり、そして見よ。鎧の放つ金色が、僅かに陰った!
『――ウルカヌス。なるほど神というだけはある。今回ばかりは本当にしんどかった』
 オブシダンの声がした。刃が震え、化身の声を紡ぐ。
『けれど、根比べは僕らの勝ちだ。さあ相棒、君の願いを叶えてみせよう』
 黒曜石の刃はけして毀れず砕けない。あらゆる攻撃に対して"ほぼ"無敵。
 限定的な無敵。それはどこまでだ? 完全の絶対ではない。永遠不朽ではない。
 "だからこそ逆説的に無敵足り得る"。彼は、彼女は、その儚さを知っている。
 この世に永遠などはなく、絶対などはなく、されど人は"決して"と口にする。
 傲慢にも。愚かにも。傲岸にも。それを求める限り、おそらくきっと――!
「……馬鹿しようとする神様とやらを、断ち斬ってやるのがあっしの願いっス!」
『いいだろう。ならば』
「『神をも斬ってみせようとも!』」

 剣閃が、虚空をまっすぐに駆け抜けた。
『……がはぁっ!?』
 ウルカヌスは膝を突く。ぼたぼたと、"傷口"から大量の血が溢れた。
 勝てぬと理解した上での決死の防御。その先に見据えた起死回生の一撃。
 命を彼方に預け、一瞬の間隙に奪い返す大博打が可能としたその一撃。
 ――それはたしかに、無敵であるはずの神の鎧を砕き、
 傲慢なる神の肉体に、誤魔化しようのない剣閃を刻みつけたのである!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

アレクシア・アークライト
鋼と火を司り、生命をも生み出した大いなる神。
けど、オブリビオンとして現界した時点でその心はこの世界への破壊衝動に満たされている。

貴方が作った世界、貴方を騙る紛い物から守ってみせるわ。

・3層の力場を情報収集用に展開し、敵の動きを把握。残りの力場を防御に回し、鎧での攻撃を逸らし、又は威力を減衰させる。
・念動力で敵の行動を阻害しつつ、雷霆や氷結で攻撃。しかし、こんな攻撃で倒せないことは分かっている。
・タイミングを見切って接近し、顔面や破損部位から鎧の内部に対しUCを放ち、歪まされた心ごと分解する。

神話時代の――本当の貴方はどんな神様だったのかしらね。
いつか私が骸の海に行ったとき、教えてくれるかしら?



●かつての神へ愛をこめて
 アレクシア・アークライトの展開した九層の力場が、ガラスめいて歪んだ。
 外側からの強烈な力の圧迫。それは黄金の鎧で強化されたウルカヌスの力である。
「鋼と火を司り、生命をも生み出した大いなる神……伊達ではないわね」
 不可視の力場が可視化され、バチバチと電光を放ち拮抗しようとする。
 しかし一層目の力場が圧力に耐えきれず、甲高い音を立てて砕け散った。
『ならば早々に己の無力を認め、滅びるがいい。貴様に勝ち目はないぞ!!』
「……それはどうかしら?」
 バギン、バキン! 二層、三層、四層……重なり合った不可視の盾は次々に砕け、
 そのたびにアレクシアは吹き飛ばされそうな斥力を踏みとどまりこらえた。
「オブリビオンとなったあなたに、もはやかつての神としての愛はないのでしょう。
 ならば私たちは、せめてあなたの世界を贋物(あなた)から守ってみせる……!」
『否! 我こそウルカヌス。この世界は破滅するために生まれたのだ!!』
 なんと破綻した論理。いや、あるいはこれこそが神の傲慢さなのか?
 ヒトの尺度では測れぬモノが神であるならば、その矛盾こそが――いいや、違う。
 仮にそれが真実であったとしても、すくなくとも アレクシアは否と叫ぶ。
 だからこそ彼女はオブリビオンを紛い物とみなし、世界を守るのだ。
「私が現在(いま)を生きる猟兵である以上、あなたの理屈は認められないわ」
 バキンッ! 八層目の力場がひしゃげ、砕けた!
 最後の力場を――アレクシアは、逆に収束させ爆発させた。
 両者は見えない破壊力によって吹き飛ばされ、アレクシアが一瞬早く体勢を整える。
 脳内で描き出したイメージに従い、念動力が雷霆に変じ空気を焦がす。
 ZZZZZTTTT!! 光の速度で飛来した稲妻を、ウルカヌスは無造作に弾く!
『ならば世界とともに滅びよ――我らの天敵よ!!』
「それはお断りよ。私が滅びるのも、この世界を滅ぼされるのも」
 一瞬にして両者は間合いを詰め、ウルカヌスの拳がアレクシアの顔面を狙う。
 アレクシアは致命的ストレートを紙一重で避け、敵胸部に触れた。
 これまでの戦闘でひしゃげた鎧の隙間から、分解の魔力が内部に炸裂する。
『ぐう……ッ!?』
 存在そのものを分解せしめる魔力を浴び、ウルカヌスはたたらを踏んだ。
 手応えはあった、だがまだすべてを破壊するには足りないか。
 アレクシアは氷結の魔力を練り上げながら、泰然自若を身構える。
「本当のあなたがどんな神様だったのか、もはや私に確かめるすべはないわ。
 けれど……そんなあなたが作り出した世界を、私たちは守ってみせる」
『おのれ、猟兵め……矮小なる人間ごときが!!』
 怒れる神の気に応じ、センター・オブ・ジ・アースの炎が燃え上がる。
 戦いはまだ続く。一瞬の油断もあってはならない……!

成功 🔵​🔵​🔴​

龍之・彌冶久
おう、おう。一度なあ、お前のようなものと刃金を交えてみたかったのだ!
何、お互いヒトにあらぬ身。加減はいるまい。

刃の神を拝命せしモノが参るぞ、鋼の神。
いざ尋常に勝負。

雄々しき"地"の脈を孕んだ鎧よな!お前さんの"焔"もしかと感じる。
故にその気脈の流れを読み
神鋼神炎にての先制を紡いだ"刻"の刃にて受け流そう。

然し真に見事な鎧よなあ、呵々!
――そして其でこそ斬り甲斐がある。

集え十の脈、則ち
天・地・陽・陰・焔・濔・颯・霆・魄・刻。
十脈を束ね連ね
虚空より尚薄く研ぎ澄まし
万の象と理とを内包せしこの刃にて勝負を挑もう。

さあ、さあ。
鋼神の盾が勝るか、俺の刃の矛が勝るか!
知るのは――最後に立ったもののみよ!


フェルト・フィルファーデン
さあ、アナタはここで終わりよ。もう逃げも隠れもさせはしない。これまでの蛮行、その命で償ってもらうわ。

先制攻撃へは【盾受け】で身を守りつつ【早業】で速やかに距離を取って躱すわ。その流れでUCを発動。電子の蝶の幻で景色に紛れ一旦身を隠しましょう。

その後60体の蝶それぞれが生み出した幻のわたしと騎士人形でタイミングをずらして四方八方から突撃よ。当然攻撃能力は無いし簡単に燃え落ちるでしょう。でもそれで構わない。ええ、わたしはただの囮。陽動出来ればそれで充分。
五感を共有してるから痛みもあるけど、最後まで耐えてみせるわ。【激痛耐性】

後は仲間に託すわ……さあ、わたしの蝶よ。その者の姿を隠し、助けなさい……!



●一撃を以て勝利となす
 ガ、ガ、ガ――ガギンッ!!
 黄金の鎧を纏ったウルカヌスと、龍之・彌冶久の刃が幾度となくぶつかり合う。
 想像力に担保された無敵の鎧。そして術者は傲慢なる鋼神。
 つまり神のエゴに比例した鎧の力は、すなわち文字通りの無敵であった。
 砕くは難く、出し抜くはさらに難い。いかに彌冶久の剣気をもってしても、だ。
 ――だからこそ、剣神たる男は呵呵と笑いながら応酬を挑んでいた。
「おう、おう! お互いヒトに非ぬ身。加減なしの立ち回りは実に心地よい!」
『神でありながら肉の身に堕落したか。貴様のような惰弱者に我が守りは砕けぬ!』
「は、そう囀るとあとが辛いぞ? 俺は構わんがな、鋼の神よッ!」
 ガガガガガッ! 一瞬の間におよそ十を超える剣戟。神域である。
 ウルカヌスはそれを無造作に黄金の鎧で弾き、強化された拳を繰り出す。
 ゴウッ!! と、拳圧がジェット噴射めいて吹き抜け、大地を砕いた。
 その時にはすでに、彌冶久は身を翻して敵の直上を取っている。剣の振り下ろし。
 稲妻じみた速度で降ろされた兜割りを、クロスガードが出迎えた。KRASH!!
「ふむ。まことに見事な鎧よなあ。これはなかなか手がかかる」
『チィ……ちょこまかと小賢しい……!!』
 一瞬でも気を抜けば即・死を免れぬ修羅場。それにあって彌冶久は笑う。
 しかして彼に油断はない。実のところ全霊を注いでの立ち回りであった。
(――このままでは矛盾の寓話の通りよな。いや、俺が根負けするか)
 彌冶久は冷静に彼我の戦力差を計る。フラットな視点に驕慢や油断はなかった。
 なにか、この状況を変える一手が必要だ。さてどうするか……思案した矢先。
『ならば、我が神威の焔に灼かれて死ぬがいい!!』
「むーー鋼の次は神炎と来たか。これはなかなか……!」
 周囲の支配された無機物が原初の神炎に変わり、彌冶久を襲う!

 ――その時。突如として両者を、無数の蝶が包み込んだ。
「ほう!」
『何っ!? これは……幻か!?』
 然り。インタラプトをかけたのは、妖精の電脳魔術士であった。
 彌冶久は蝶の彼方にその少女――フェルト・フィルファーデンの姿を認め、
 覚悟を決した彼女の視線にうなずき、あえてバックステップして身を隠した。
 おびただしい蝶は神炎に灼かれながらも、ウルカヌスの視界を遮る。
『小賢しい……!! それで私の炎を妨げたつもりか!?』
「ええ、この程度であなたの力は減じないでしょう。だからこうするわ!」
 そして蝶の中から現れたのは、フェルト――たち、である。
 幻の蝶が投影した多数の幻、フェルト自身と彼女が率いる騎士人形たちだ。
 四方八方からの同時攻撃。ウルカヌスは当然にように、これを炎で迎え撃った。
 所詮は幻。ほとんどの幻影は焼け落ちる都市めいて、炭化して崩れ去る。
『そこか! 見つけたぞ、小娘!!』
「く……っ!」
 そして、幻に紛れていたフェルトも同様に。少女は人形たちを盾とした。
 ウルカヌスはフェルトを自らの拳で打ち砕こうと、大地を深く踏みしめる。
 そこで気付いた――フェルトが浮かべているのが苦悶でなく笑みであることに。
「まだわかっていないのね? ……わたしは、あなたの力をよく知っていてよ。
 わたしの幻が灼かれることも。すぐに見破られることも。そして……」
 妖精の王女はにやりと笑う。不思議と、神は背筋が冷えるような思いをした。
「アナタが、脆弱なわたしを自らの拳で打ち砕きに来るであろうことも」
『……!! 貴様、まさか自分を囮として……!?』
「気付いたところでもう遅いわ。さあ、蝶たちよ。今一度幻を生み出しなさい!」
 周囲を警戒しようとしたウルカヌスを、再び電子の蝶が包み込んだ。
 炎がその翼を焼き払い、鋼神の怒気が灰となった蝶たちの残骸を吹き飛ばす。
 そして見た。幻にまぎれて機を伺い、十の剣脈を練り上げた彌冶久の姿を。
「さあ、御覧じろ」
 天・地・陽・陰・焔・濔・颯・霆・魄・刻。万物より紡ぎし脈による十束の刃。
 万物万象、その刃の前に耐えられるものはなし。ゆえにその銘、"絶"なり。
「これが、すべてを"斬る"ことに捧げしモノが辿り着いた極致よ」
『貴様ぁああああっ!!』
「――さあ、さあ。盾か、矛か。どちらが勝るか、決めようぞ!」
 薄く笑った彌冶久の姿が消えた。そして――暁光のごとき剣閃が走る。
(ああ――まるで朝焼けのよう。とても綺麗)
 耐え抜いたフェルトは、痛みに揺らぐ視界の先にそれを見た。
 斬撃は黄金の鎧を断ち、神の肉体を切り裂き……そして、苦悶の絶叫。
 無敵を謳う鋼神の黄金をすら、剣神の一刀は断ち斬ってみせたのだ……!

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鳴宮・匡
神だろうがなんだろうが
目の前に立つなら、殺すだけだ

真の姿を解放して戦闘に臨むよ
目で捉えた動きだけでなく、耳に届く体動音
大気の灼けるにおい、肌に届く熱
全て取りこぼさないようにして回避の助けにするよ
動きを見切るための要素は多ければ多いほどいい

下手に反撃で飛散されても困る
先制を凌ぐ間は回避に徹しておく

武具に影を纏わせて反攻に転じるよ
呪わしい力だろうと、死を招くことしかできなくとも
今は、それが助けになるなら構わない
反動は覚悟して捻じ伏せる

金属になったからって容積は変わらないだろ
液状化していてもあの巨体だ
動きをよく視て先を読めば、当てられない道理はない

――集中して、確実に急所を射抜くよ
必ず、ここで滅ぼす


ヴィクティム・ウィンターミュート
ハロー、ウルカヌス
いや、敗残兵って呼んだ方がいいかな?哀れなカミサマ
そろそろ楽になれよ…皆あっちでお前を待ってるぜ?


──さて、一丁前に言っては見たが強敵なのは間違いない
最後まで詰めを誤るなよ…

炎が来るか
食らえば危険な状況に陥ることは間違い無い
だが"敢えて"食らう
【ダッシュ】と【見切り】で高速機動しつつ炎を動きを見逃さない
頃合いを見て指先や手先をわざと炎に近づける
ここからは速さが命だ…急いで構成情報を読み取り、ニューロンへ送信
炎が体にまわる前に…"腕を切り落とす"
紛い物の腕だ。失っても痛くねぇ

解析完了、上方修正
待たせたな!オリジナルを越えたフェイクの炎だ!
お前はどれくらい良く燃えるんだろうなァ?



●ブレイズ・アップ
 海のように澄んだ深い碧の双眸から、ごぽりと赤黒い血が溢れた。
 鳴宮・匡の視神経が悲鳴を上げ、物理的限界に達した証である。
 涙めいて流れる血を拭うこともせず、匡は敵を見据える。鋼神ウルカヌスを。
 ――必ず。必ず、ここで滅ぼす。なんとしてでも、絶対に。
 先の戦争における"やり残し"のひとつ。絶対に逃してはならない敵。
 こうして居場所を突き止め喉元まで到達した今、必滅は前提とすら言えた。
 ならば、あとは"どうやるか"の話だ。だから、その一挙一動を決して見逃さない。
 目で見、耳で聴き、鼻で嗅ぎ、肌で感じ、舌で殺意を転がす。
 燃え盛る炎のゆらめきが、あらたな神炎が生まれるさますらも、
 ナノセコンド単位で知覚し演算し対応する……およそ人間業ではない。
 ただでさえ研ぎ澄まされた匡の感知能は、真の姿を解放したことで倍加し、
 深い影がその銃器を包み込んだことで、ついに彼の限界を越えていた。
 液体金属化した超高熱の拳が迫る。質量に見合わない音を越えたスピード。
 かつ、その軌道は液体金属にふさわしい不可解かつ不規則なものになっている。
 いくつものフェイントとブラフを織り交ぜた、実にいやらしい打撃だ。
 それが瞬き一つの間に四、五は繰り出される。回避するのは非常に困難。
 ましてや、感知能はともかく、匡の身体能力はあくまで人間のそれに依存する。
 ゆえに彼は、"見てから避ける"だとか"あえて正面から受ける"といった、
 アクション映画のスーパーヒーローのような芸当は許されない。
 見て、聴いて、感じた上で、それを刹那の間に吟味し、予測し、思考し、
 己の経験に照らし合わせてどうするかを弾き出さねばならないのだ。
 容易いことではない。だが、これまで幾度も重ねてきた難行である。
 特に、肩を並べたヴィクティム・ウィンターミュートとの戦場では。
「ハッ! 敗残兵が燃えてるじゃねぇか! そんなに死ぬが怖いのかい、カミサマ」
 サイバーパーツのオーバークロックと、コンバットドラッグの過剰投与により、
 ヴィクティムの身体能力は通常時の数十倍以上に引き上げられている。
 匡が人知を超えた予測能力を使って、あくまで常人の域で足掻いているとすれば、
 ヴィクティムは未来をチップに現在を前借りし、常人の分際で超絶に至っている。
 正面――からと見せかけた背後からの歪曲金属打撃を残像混じりに躱し、
 がら空きのウルカヌスの胴体へ刺突――断念。新たな神炎が燃え上がり妨げた。
『どうした? 強がりを言っているのは貴様のほうではないか?』
「乗るなよ。カウンターで一網打尽にするつもりだぜ、あいつ」
 ウルカヌスの言葉を遮るような匡の声に、ヴィクティムはおどけてみせた。
「ご忠告感謝するぜ、チューマ。だが心配ねえさ――近いことはするがな」
「……わかった」
 匡はヴィクティムの意図を察し、彼をよく知る者にだけ判る程度に眉根を顰めた。
 しかしすぐに表情を消し、敵に視線を戻す。神が大地を踏みしめ疾走する。
「そのご自慢の炎で、俺を灼き尽くせるか試してみればいいんじゃねえか!?」
『ならばその通りにしてくれる! 灰と化して消えされいッ!!』
 神炎が燃え上がる! 足元の地面を変化させマグマのように噴き上がらせたのだ!
 わざとらしくストレートに接近しようとしたヴィクティムが炎に包まれた。
 ――否、違う。"わざとらしく"ではない。"わざと"なのだ。
 彼はあえて炎に呑まれた。その神の炎を分析し、解析し、凌駕するため!
「――俺とも少し遊べよ、ウルカヌス」
 あえてらしからぬ台詞を言いながら、匡は牽制の弾丸をばらまいた。
 液体金属化した豪腕が無造作に薙ぎ払い、応報の拳を縦横無尽に繰り出す。
 トップスピードがマッハを超えるその打撃を視認し躱し、牽制を続けながら、
 匡は囮に徹する。主観的には長い、客観的には数秒の間隙を得るために。
 同じ頃、ヴィクティムの片腕が炭化して脱落した――サイバネ化された義肢だ。
『小僧!! 次は貴様を』
「"次"って台詞は、この状況にはそぐわないんじゃないか」
『――何?』
 訝しむウルカヌスに対し、匡は言った。
「あいつは、死んでないぜ」
 そして神は驚愕して見る。然り、ヴィクティムはあちこち灼かれているが無事。
 同時に視界を覆ったのは、己の権能であるはずの――炎!!
『ぬおおおおおおっ!?』
「待たせたな! 真作(オリジナル)を越えた贋作(フェイク)の炎だ!」
 炎が燃える。神を包み込み、トーチのようにその巨体を燃え上がらせる。
「お前はどのくらいよく燃えるんだろうなァ? スクィッシー。
 ……そろそろ楽になれよ。"みんな"があっちでお前を待ってるぜ?」
 もはやウルカヌスには回避も防御も不可能。黄金の鎧も召喚できまい。
 匡は術式を集中させ、影を深め、殺意を弾丸に集中させるイメージを育てた。
 魔術を識らぬ己に出来るのはこの程度が関の山、だがそれで十分だ。
 影はよく従う。集い、凝り、破滅の因果を引き寄せ束ね、敵を滅ぼす。
 己を一個の銃とし、裡に育てた殺意を弾丸として吐き出す。影がそれを成す。
 ぞっとするような死の気配が背筋を叩いた。死神がすぐ側で笑っているような。
 ――いいや、違う。死を与えられるのは己ではない。
(俺が死を与える。死神は、俺の方だ)
 それは自嘲めいたアイロニー。
「神だろうがなんだろうが、敵になるなら、目の前に立つなら殺す。
 ――そろそろ延長戦は終わりだぜ。さっさと骸の海に還りな」
 BLAMN――弾丸は吸い込まれるように神の急所を貫いた。
 燃え盛る炎を貫くのは、深海の水のように冷たく昏い影の魔弾である。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

アダムルス・アダマンティン
【結社】
鋼神よ、ウルカヌスよ、ジェネシスエイトが一柱よ
神の時代はとうに終わった
不死の怪物から、貴様が鉱物と共に生命の礎を取り出した時に、この世界は人と共に歩み始めたのだ

変わり果てたな、鋼神よ
オブリビオンとして堕ちた貴様に俺ができることは、ただ救済(Salvation)のみだ

限界を突破する
満身創痍なれど我が生命の篝火、未だ尽きず
神鋼の鎧を着たウルカヌスへと、刺し違える覚悟の捨て身にて一撃を見舞おう

刻器、真撃
貴様の鎧を作ることは叶わなかったが
我が創槌、必ずや貴様の鎧を打ち砕かん


ビリウット・ヒューテンリヒ
【結社】

残党とはいえ凄まじい気迫…これが神の暴威か
だけど退かない、決して
御大将が死地に赴くというのなら、最後まで付き合うのが『忠義』だ
立ち向かう覚悟は、出来た

あの鎧は確かに無敵の力を秘めているのだろう
だったら、猶更おかしな話じゃあないか
『どうしてお前はオブリビオンになった?』
答えは決まっている──滅んだからだよ
無敵なんて嘘、最強なんて虚勢だ
お前は、敗北してここにいる

さぁおいで──『バロール』
偽りの無敵を食い破る魔獣の咢をここに
バロールの弾丸はね…被弾したものの記憶を"食い破るんだ"
その鎧に刻まれた記憶の悉くを貪り、空っぽにしよう
無敵などという幻想を、飲み干せ
さぁ御大将──どうぞその力で、終焉を



●静かなるS/あるいは、忠義と信念の在処
 燃えていた。
 傷つき、穿たれ、斬られ、斃れかけ、それでもなお立ち上がった神が。
 不屈を謳い、不撓を誇り、不敵を信じ、不滅と驕った神が。
 燃えていた。トーチめいて燃え上がり、苦悶と屈辱の雄叫びをあげていた。
「……あれだけの傷を受けて、まだ滅びぬか。まだ、最期を受け入れぬか」
 そのさまを見て、アダムルス・アダマンティンは静かに言った。
 傍らに立つビリウット・ヒューテンリヒは、アダムルスの横顔を見やる。
 彼女としても、彼のこんな複雑な表情は初めて……あるいは久しぶりだった。
 苦痛。
 悔悟。
 悲嘆。
 同情。
 憐憫。
 憤怒。
 諦観。
 憎悪。
 ――あるいは、憧憬。
 あまりにも多くの感情がないまぜになって、しかし理路整然としているような、
 たとえるなら、そう……幾千年を閲した古めかしい岩の紋様めいた、そんな貌。
「まだ終わっていないなら、終わらせるしかない。そうだろ、御大将?」
「…………ああ」
 ばちり、と創槌がプラズマを纏う。魔銃が、とびきりの獲物の気配に飢えた。
 刻器たちは闘争を求め震えるが、担い手たちまでもが鋼なわけではない。
 畏れがあり、恐れがあり、怖れがある。なにせ相手は"神"なのだ。
(立ち向かう覚悟は、とうに出来てるさ)
 逃げ出したくなる弱い己を冷笑し、ビリウットは魔銃を構えた。
 ……ずしゃり。アダムルスが一歩を踏み出す。同時に、炎が爆ぜた。
『…………私はウルカヌス。鋼と炎を司る者。神なる存在!!』
 轟くような大音声。まばゆいほどの、しかし絶望的にくすんだ黄金の輝き。
『私は死なぬ。人を駆逐し、世界を破滅させ、私が次の一(フォーミュラ)となる。
 私は死なぬ!! 私を殺せると思うな。私を滅ぼせると思うな――猟兵ッ!!』
「そうだろうとも、ウルカヌスよ」
 ずしゃり。アダムルスはさらに一歩。
「なぜならば"貴様はとうに滅んでいるし、神の時代も終わっている"からだ」
『…………何?』
「他ならぬ貴様が生命の礎を取り出した時、この世界は人とともに歩み始めた」
 ずしゃり。さらに一歩。
「ここに在りしはその残骸。変わり果て、堕落し、凋落した神の影(アヴァター)。
 ……そんな貴様(オブリビオン)に俺が出来ることは、ただひとつきりだ」
 ずしゃり、ずしゃり、ずしゃり。
「――救済(Salvation)のときだ、ウルカヌスよ。我が創槌にて葬送しよう」
『…………アダマンティン』
 その声は、吹き抜ける風が起こした音叉のように虚無的だった。
『貴様に、砕けると? 私の、我が鎧を。我が力を。我が肉体を』
「出来るとも。なぜならば、俺は最強たる刻器の担い手であり、そして」
「――お前は、敗北してここにいるからさ。ウルカヌス!!」
 背後。ビリウットの魔弾が吠えた。バロールの咆哮が神を捉える!
 ウルカヌスは怒りで大地を歪ませ、鎧の黄金を解き放ち大地を蹴った。
 疾い。接近したアダムルスの胸郭を殴り砕き、顔面に一撃、さらに腹部に一撃。
 常人なら一撃ごとに粉砕即死。アダムルスは頑強な肉体でこの打撃に耐える。
 魔弾到達まで残りコンマゼロ3秒。神のさらなる一撃――創槌がこれと撃ち合う。
 轟音。魔弾到達――鎧が弾く。弾丸は飛散し、そして二手目が到達した。
 全く同じ箇所、全く同じ速度、全く同じ威力、されど結果は異なる。
『なんだと?』
 神は訝しんだ。鎧は耐えきれなかった。飛散した魔弾はそれを穿てはしなかった。
 しかし拡散した魔力が、打ち込まれた呪詛が、"無敵"を否定した。
 唐突に――たとえるならば夢のさなかに、ぽかりと床が抜けてしまうように、
 ウルカヌスは理解した。自覚した。"己が滅びて此処に居る"と云う意味を。
 偽りで塗りつぶされた記憶は食い破られ、自負は砕かれ、自尊は果てた。星のように。
 魔弾着弾――三つ目のそれは蜘蛛の巣めいて鎧にヒビを走らせた。
 ウルカヌスは拳を繰り出そうとする。出来ぬ。そのための力が消えていく。
『なんだ、これは』
「言っただろう、ウルカヌス。お前は滅んだ。"だからここに残骸として在る"」
 女魔術師は言い聞かせる。眠りの浅い幼子を寝かしつけるように。
「最強も、無敵も、全て偽りさ。お前は結局、ただのオブリビオンに過ぎない。
 ならばオブリビオンらしく、ありふれたように、当然のように、滅びるがいい」
 神は神を見た。滂沱の血を流し、されど屹立し、槌を掲げるアダムルスを。
「刻器、真撃」
 かつてこの世界を創始した者に、終焉の一撃をもたらすために、電子が燃える。
 地獄の炎が噴き上がり、高まり、宇宙の始原を思わせる紫電がバチバチと舞った。
「貴様の鎧を創ることはついぞ叶わなかった。だが」
『アダマンティン』
「ウルカヌス。あるいはムルキベル、ヴァルカンと呼ばれしものよ」
 慈悲深き最期。槌は音を越え光に至った。
「――さらばだ」
 天地創生を思わせる轟音と閃光、そして衝撃。始原の地に亀裂が走る。
 炎が乱舞し荒れ狂い、大地は裂け、天は鳴動し、やがてそれらも去った。
 屹立するのはただひとり。ビリウットは何も言わずその背中を見つめた。
「…………さらばだ、かつての我が同胞よ」
 もはや、この地に神は居ない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2020年01月12日


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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠レイチェル・ノースロップです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


挿絵イラスト