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アースクライシス2019⑲〜灰色の道化師と怪異譚〜

#ヒーローズアース #戦争 #アースクライシス2019 #ジェスター #ラグランジュポイント

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「皆さん、ハロウィンパレードの時に変な輩が混じっていた……というお話は聞きましたか? 自分は確認出来なかったのですが」
 そんな会話を突然放ってきたルウ・アイゼルネ(マイペースな仲介役・f11945)は咳を一回して本題に入った。
「防衛軍の調査によりラグランジュポイントの島の一つが、巨大輸送船に改造され、様々な文書や物品が地球から運び込まれている事実を発見しました」
 偶然謎のUFOを追っかけている時に見つけた情報らしいが、それを詳しく調べるととんでもない事実が発覚した。
「その中に『ジェスター』と名乗っている道化師の姿をしたジェネシス・エイトの1人が潜伏していることが確認されました。ヒーローズアースが滅んでもその文化はトロフィーとして残します……みたいな悪趣味な考えからそのようなことをやっているのではないか……と自分は考えております」
 輸送船はスーパープルトンの乗る船同様、複数のブロックに分かれており、地球上の様々な動物や植物、鉱物などの自然物品や、文明の成果としての書物、機械などが、種類ごとに分別されている。
「それらも寒帯なのか熱帯なのか、恋愛物かファンタジー物かなどなどなど……詳しく分別されているようで謎にマメです」
 そして肝心のジェスターはどこにいるのか、といえば世界にあるホラーに関する作品や商品を集めたブロックにいるらしい。ハロウィンの時に現れたのもそういうのが好きだからだったかもしれないが、真偽は不明である。
「ラグランジェ・ポイントにずっといるならまだしも逃げられたら非常に面倒くさいことになるのは目に見えております。まだ詰め込み作業をやっている間に問題の区画に突入し、ジェスターを討ってきていただきたいです」
 ラグランジェ・ポイントを解放したことによりそこへ向かうにはもうUFOの力はいらない。
 ルウは門を開くと猟兵達に向き直った。
「こちらも限界まで足掻いてやります、皆さんも余力がありましたらよろしくお願いします!」


平岡祐樹
 emergency! emergency! 総員、ラストスパート乗り越えるぞ!

 皆様お疲れ様です、平岡祐樹です。

 このシナリオは戦争シナリオとなります。1章構成の特殊なシナリオですので、参加される場合はご注意ください。

 今案件の敵、ジェスターは「必ず」先制攻撃をしてきます。そのためいかに『敵のユーベルコードへの対処法を編みだして』防御し、反撃するかが重要になります。

 おどろおどろしい物品や作品が立ち並ぶ区画での戦闘。「trick and attack!」で全く容赦しないプレイングをどうかお願いいたします!
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第1章 ボス戦 『ジェスター』

POW   :    力押しもたまには悪くないデスね
単純で重い【魔法金属製のメイス】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD   :    古い馴染みの仲デシて
レベル分の1秒で【意志持つ魔剣『レギオスブレイド』の群れ】を発射できる。
WIZ   :    別に見捨てても良いデスよ
戦闘力のない【名も知らぬ一般人の人質】を召喚する。自身が活躍や苦戦をする度、【呪詛により人質が傷つき、悲鳴や苦痛の声】によって武器や防具がパワーアップする。

イラスト:シャル

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

アララギ・イチイ
ふむ、群れには群れてで対応して上げるわぁ

敵の先制攻撃に対して【早業】で複数のチェーンガンを【念動力】操作で展開して敵の群れに対して、【一斉発射】の【乱れ撃ち】、弾幕を展開して【時間稼ぎ】するわぁ

その間に【選択UC】発動ぉ
今度は敵の群れにUCで展開した、自動防御シールドの群れを割り当てて、【盾受け】させるわぁ
で、敵の攻撃に上記の防御を割り当てている間に、【武器改造】で砲身+砲機関部+動力炉を合体させて、大型砲を構築、大幅に強化された大口径ビーム砲の【範囲攻撃】を敵の群れ+ボスに叩き込むわぁ
敵が回避する様ならビーム照射中に砲身を動かして【なぎ払い】する様に攻撃よぉ



「オヤ、こちらがバレてしまいまシタか……。ではホラーらしくポルターガイストを味わってもらいマショウ」
 アララギ・イチイ(ドラゴニアンの少女・f05751)の姿に気づいたジェスターが手を挙げるとどこからともなく大量の長剣が棚の隙間から飛び出してきて、アララギに刃先を向ける。
「……ふむ、群れには群れで対応して上げるわぁ」
 複数のチェーンガンを念動力で展開し、通路を埋める。そして飛びかかってきた刃の群れに対して、一斉に乱れ撃った。
 激しい弾幕を刃こぼれしながら剣達は突破し、次々と切り掛かっていく。
 金属と金属がぶつかり合い、落ちていく音を聞きながらアララギは落ち着いて第二の矢を構えた。
『ふふふ、この防御システムを簡単に抜けるとは思わない事ねぇ』
 敵の攻撃を遮り続ける、600個以上の浮遊盾が展開される。
「オヤオヤ、これはまた壮観デスね。では、コチラもおかわりと参りマショウ」
 チェーンガンに割り振ったメンバーでは突破出来ないと判断したのか、ジェスターは新しい剣を呼び出して突撃させていく。
 その剣を新しく呼び出し、交代させる時間はアララギに第三の矢を完全な状態にするには充分過ぎる時間だった。
 複数の兵装を搭載した大口径のビーム砲の機関部と動力炉を繋げ、砲身を大火力に耐えられる物へと交換する。
 そしてエネルギーが充填し終わったところでアララギは盾を操作し、つばぜり合っている物は勢いをつけて跳ね飛ばしてから一気に撤退させる。
「さぁ、お待たせしました。これがあなた達を殺す機械よ」
 大幅に強化された大口径ビーム砲が火を吹き、周囲にあるコレクションごと剣の群れとその奥にあるジェスターを焼き払いにかかる。
「ヌオッ、これは非常にマズそうデス!」
 とっさに避けたものの、僅かにかすってしまった服が消しとんでしまったのを見てジェスターが焦りの声を上げる。
「ここにプレミアがつくような品物が無くてほんっとうに良かったわぁ」
 動かない品々と動きの鈍い剣の群れが次々と灰塵と化す中、ジェスターは持ち前のフットワークで曲芸のように光線を避けていく。
 その逃げる方向へアララギも念動力を使って素早く動かしていくが、その姿を真ん中に捉えることは中々出来なかった。

成功 🔵​🔵​🔴​

バーン・マーディ
ジェスター…貴様は何者だ
このヒーローズアースに生き続けた者なのか?

バイオモンスターとも違う…寧ろ…神族に近い存在か…

まぁいい

それが破滅を齎す存在ならば須らく粉砕するのみだ

貴様の行為は無為に終わる
ノアの箱舟を浮かべる洪水等起させはせん

対POW
【オーラ防御】展開
更に車輪剣と魔剣による【武器受け】で受け止めダメージを軽減
可能な限り致命だけは避けぬく
例え二刀が弾かれたとしてもだ

安心しろ
我が下すは唯の一撃だ

大いなる叛逆発動!
【カウンター・怪力・二回攻撃・生命力吸収・吸血】により破壊力を増幅させ

拳を握りしめ

その顔面に叩き込む

力押しは悪くない
まさにその通りだ
その力を以て
砕け散るが良い(逆十字を切る



「ジェスター……貴様は何者だ。このヒーローズアースに生き続けた者なのか? バイオモンスターとも違う……寧ろ……神族に近い存在か……」
 バーン・マーディ(ヴィランのリバースクルセイダー・f16517)はジェスターの姿を見て困惑していた。
 確かにヴィランの中には道化師の姿やメイクをして犯行に及ぶ者はいる。しかし正義の騎士としてもヴィランを護る騎士としても戦い続け、そのような者達を何十何百と見てきたバーンはジェスターの姿から違和感を覚えていた。
「まぁいい。それが破滅を齎す存在ならば須らく粉砕するのみだ……。貴様の行為は無為に終わる、ノアの箱舟を浮かべる洪水等起させはせん」
 だが、今は気にすることではない。目の前に敵意を持っているのであれば全力で叩き潰すのみである。
「オロロロロ、威勢がヨロシイことで! デスガ、私の一撃を耐えきれマスかね?」
 ジェスターは楽しげに笑いながらどこからともなく取り出したメイスを手の内で回してからバーンに飛びかかる。
 バーンは口を真一文字に結ぶと車輪剣と魔剣を交差させ、正面からその一撃を受け止めた。
 メイスと両剣から火花が散り、バーンの足元が徐々に床に沈み込んで周りにもヒビが入る。
「グググ……アナタもシツコイです、ネ!」
 歯を食いしばったジェスターがより一層力を込めると交差していた剣が押し込まれていく。
 頭に突き刺さることを嫌ったバーンの手から剣が離れ、地面の上を回りながら勢いよく滑っていった。
「これで武器は無くナリました! とりあえずマズは丸腰になったアナタから死んでもらいマショウ!」
「誰が我の武器は剣だけだと言った?」
 そう言って逆十字を切ったバーンは空っぽになった拳を握りしめる。
『その力……その弾圧に今こそ叛逆しよう。味わえ……それが貴様の咎である!』
「ン?」
「安心しろ、我が下すは唯の一撃だ」
 一切の躊躇なくバーンは丸見えになった顔面に拳を叩き込んだ。
「力押しは悪くない、まさにその通りだ。その力を以て砕け散るが良い!」
 あらゆる破壊力を増幅させた拳を真正面から受けてしまったジェスターは勢いそのままに頭を下げ、反動ですぐに頭を上げながら足元をふらつかせた。

成功 🔵​🔵​🔴​

ウィルヘルム・スマラクトヴァルト
ホラー、ですか。「殺戮道化師」らしく
恐怖を振りまくネタにでもしようというのですかね。
ともあれ、逃がしたくないところなのは同感です。
ここで、討ちましょう!

先制攻撃は真正面から突撃すると「フェイント」をかけた上で、
「第六感」で予知して軌道を「見切り」、「残像」を残して回避します。
「それは残像だ! 私はここだ!」
万一攻撃を受けてしまった場合は、「オーラ防御」でダメージを抑えて
「激痛耐性」と「気合い」、「覚悟」で耐えきります。

先制攻撃を耐えたらハイパー・ガーディアン・モードを発動。
破壊された足場から飛翔して、マッハ5強で緑の斧槍による
「ランスチャージ」を敢行し、ジェスターを「串刺し」にします。



「ホラーらしく、ですか。『殺戮道化師』らしく恐怖を振りまくネタにでもしようというのですかね?」
「チッ……コチラにもいましたカ……」
 脳震盪でふらつきながら逃げて来た先に構えていたウィルヘルム・スマラクトヴァルト(緑の騎士・f15865)に向けて、ジェスターは頭痛をこらえながら鈍い銀色に光るメイスを構える。
「ともあれ、逃がしたくないところなのは同感です。ここで、討ちましょう!」
 ウィルヘルムはその場で斧槍を一回しすると真正面から突っ込んでいく。
「ソコを……どきなサイ!」
 振り下ろされたメイスが凄まじい轟音を立てて突っ込んできたウィルヘルムの体ごと宇宙船の床を凹ませる。
 しかしジェスターの目にはウィルヘルムがメイスが振った瞬間に後ろに飛び、残像を作りながら素早く避けたのを見逃してはおらず、素早くメイスを構え直し、辺りを見回した。
「それは残像だ! 私はここだ!」
 変形した床に引きずられる形で周囲にあった棚が倒れ、中に入っていたホラーでよく見る怪物のマスクが地面にばら撒かれる。
 倒れた棚から飛び散ったガラス片や木片を盾で全て受け止めたウィルヘルムに向けてジェスターは手近な所に転がっていたホッケーマスクを投じた。
 すると先程まで叫んでいたはずのウィルヘルムの姿もホッケーマスクが通過した瞬間に消滅した。
「フム、逃げ足が早いデスね。今度はどこからヤッテくる気デショウ?」
 ジェスターは慌てず騒がず、落ち着いた様子でメイスを掌の上で叩きながら口元を歪ませる。
 すると頑丈な棚の上でエメラルド色のオーラが生じたのを見つけた。
「ソコにいましたカ!」
 オーラを発現した時点で居場所がバレることを覚悟していたウィルヘルムは世界や他人を護ろうとする意志の強さが生んだマッハ5を超える速さで一気に接近する。
「アナタのような重い方が放つ一撃はさぞ痛いのデショウね!」
 勢いをつけたウィルヘルムは斧槍を一旦引いてから突き出し、ジェスターが固めた防御を正面から打ち抜く。
 お互いが黙って見つめる中、衝撃を全て受け止めたメイスの柄が折れて落ちた金属部分がゴトリと音をたてて転がった。

成功 🔵​🔵​🔴​

シホ・エーデルワイス
アドリブ&味方と連携歓迎


いたぶるのが好きだなんて…酷い…
でも…そこに付け入る事はできないかしら?


…分かりました…
好きにして下さい…

直接殴って痛めつけたくなる様に<コミュ力で誘惑>し
目を閉じ脱力して投降する<フェイントの演技>

近づいて来たところで袖から光<属性攻撃>の閃光弾手榴弾を落とす

私自身閃光はエリカの瞳をサングラスモードにして軽減しながら
<ダッシュとスライディングによる捨て身の一撃で人質に近づき
救助活動で手をつなぐ>事により身柄を確保


<破魔の祈り>で人質の呪詛を解呪後
<優しさとコミュ力>で安心させてから【救園】へ匿う

同時に【救園】から取り出した聖銃を連射して攻撃
貴方には何一つ奪わせません!



「オロロロロ、これはマズイですね……。ここはアナタ方の良心に訴えかけるとシマスか」
 そう言ってジェスターが指を鳴らすともう片方の手に全く見覚えのない女性の姿が現れた。
「ひっ、こ、ここは、ぐえっ……」
「アナタ方は別に見捨てても良いデスよ? この方が苦しめば苦しむホドワタクシは強くなりますがネ?」
 そう語りながら黒いモヤを手に漂わせながら女性の首を掴んで持ち上げたジェスターの姿にシホ・エーデルワイス(捧げるもの・f03442)は悲痛そうな面持ちで目を細めた。
「いたぶるのが好きだなんて……酷い……」
 助けを求める女性の視線に屈したシホは目を閉じ脱力し、足元に黒い聖銃を落とした。
「人の命に替えられる物はありません。分かりました……好きにして下さい……」
「オロロロロ、素直な方は大好きデスよ?」
 白旗を挙げたシホの様子にジェスターは満足そうに頷きながら近づく。そして首を絞めようと人質を握っていない方の手を伸ばした。
 しかし、手がシホの肌に触れようとすると同時に服の袖から手榴弾が一つこぼれ落ち、3人の体を眩い光が包み込んだ。
「グッ、目眩しデスか!」
 ジェスターが目を庇う中、エリカの瞳をサングラスモードにして光を防いだシホは
捨て身の覚悟で走り出して滑り込むと人質の手を取って引っ張り、ジェスターの拘束から救い出す。
「大丈夫でしたか?」
「は、はい……」
 破魔の祈りで女性の呪詛を解除したシホが笑顔で話しかけると視界を取り戻したジェスターがその辺に転がっていた消防斧を持って近づいて来た。
「逃しはシマセンよ……!」
『このペンダントに触れて、中にある食べ物でも食べて待っていて下さい。私が呼ぶまで決して外に出てはいけませんよ』
 シホが差し出した小さな十字架のペンダントに女性が触れた瞬間にその姿が消える。その代わりにシホの手には白い銃が握られていた。
「貴方には何一つ奪わせません!」
 丸腰だと油断していたジェスターに向けて光の属性が込められた弾丸が放たれる。
 斧槍の傷が残る脇腹に弾丸を食らったジェスターは苦悶の表情を浮かべてその場で膝をついた。

成功 🔵​🔵​🔴​

黒城・魅夜
ええ、見捨てますよ?
私は殺し屠り滅ぼすものであり、救うものではありませんから
……とはいえ
得意満面の下衆の顔を凹ませてあげるのも私は好きなのです
あなたのような、ね

あなたの召喚の方が早いのは已むを得ません、けれど
人質もろともあなたを鏡の迷宮に閉じ込めます
この鏡は心を映し出すもの
目標はあなたではなく――人質です
ほら、出てきましたよ、人質の皆さんの……「名前」がね
あらあら、『名も知らぬ人質』というあなたの術の前提は解除されてしまいましたね

既にあなたは裸の王様
ついでにあなたの内心も明かしてもらいましょうか? 「持ち帰る」という言葉の意味をね
それに答えられないなら、鏡の魔力があなたの心身を斬り裂くだけです



「見捨てますよ?」
 同じように人質を見せつけられた黒城・魅夜(悪夢の滴・f03522)はそう冷淡に返した。
「私は殺し屠り滅ぼすものであり、救うものではありませんから……とはいえ」
 絶望の表情を浮かべた人質の隣で笑みを浮かべたジェスターの顔が黒城が話を続けようとしたところで怪訝な物へと変わる。
「得意満面の下衆の顔を凹ませてあげるのも私は好きなのです。あなたのような、ね」
 鏡で出来た迷路が床から飛び出し、ジェスターと人質を分断する。
『時より遠く記憶より遥かにただ見つめよ狂気と哀を』
 黒城がゆっくりとした足取りで辺りを見渡すジェスターに近づいていく。
「この鏡は心を映し出すもの」
「オロロロロ、ワタクシの心を覗き見ようとでも言うのデスか?」
「目標はあなたではなく――人質です。ほら、出てきましたよ、人質さんの……『名前』がね」
「名前……?」
 ジェスターが鏡に視線を向けると見覚えのない人名が浮かび上がる。これが人質の名前なのか、とジェスターが認識すると同時に呪詛が解かれていく感触がする。
「あらあら、『名も知らぬ人質』というあなたの術の前提は解除されてしまいましたね」
 素知らぬ顔で笑う黒城にジェスターは燃えるような視線を向ける。
「既にあなたは裸の王様、ついでにあなたの内心も明かしてもらいましょうか? 『持ち帰る』という言葉の意味をね」
 しかしいくら待ってもジェスターが心のうちで考えている目論見に関する情報は鏡に表示されない。
 鏡の迷路の魔力に抵抗できるだけの精神力があるのか、何かの物理的要因で防がれているのか、そもそも何も考えてないのか、現時点の情報と材料だけでは判断し切れなかった。
「ダレが、教えるとデモ?」
「それに答えられないなら」
 笑顔を浮かべていた黒城は真顔で目を細めると先程ジェスターがしていたように指を鳴らす。
「鏡の魔力があなたの心身を斬り裂くだけです」
 鏡から突き出したいくつもの反射する刃がジェスターの体を八つ裂きにした。

成功 🔵​🔵​🔴​

荒谷・ひかる
人質……しかも呪詛がかけられてるだなんて、酷いんだよ。
……ごめんね、みんな。
いま、楽にしてあげるから。

人質に構わず【本気の光の精霊さん】発動
自身から半径62mの範囲に、容赦なく光の花弁を吹き荒れさせる
ただし、攻撃対象は『ジェスターの呪詛』
光の精霊さんの光は、全ての『光』のイメージを内包する
そこには勿論、呪詛を灼き尽くす『神聖』の属性も含まれる
それをわたしの聖者としての素質で増幅
人質を呪いから解放すると共に、術者であるジェスターを聖なる光の嵐で灼き尽くすんだよっ!

大丈夫ですか?怖くなかった?(「ごめんね」の理由)
もう呪いはないから、大丈夫ですよっ!(「楽にしてあげる」の意味)



「人質……しかも呪詛がかけられてるだなんて、酷いんだよ。……ごめんね。いま、楽にしてあげるから」
 悲痛な面持ちで謝る荒谷・ひかる(精霊ふれんず癒し系・f07833)の姿に、吊り上げられた人質は絶望する。その様子を横で見ていたジェスターは今までの鬱憤を晴らすかのように大声で笑い出した。
「オロロロロ、コレは傑作ですね! まさか偽りの降伏すらもせず、見捨てる宣言を通り越して殺害宣言をスルとは! ああ、この人質の絶望がドンドン伝わってキマスよ!」
『光の精霊さん……あなたの本気を見せてあげてっ!』
 ジェスターの演説を無視した荒谷が天井に向けて構えた、精霊石が先端にはめられた杖が無数の光の花弁に変わって辺りを包み込む。
 全身を焼き尽くすような痛みにジェスターは悲鳴を上げながらも、人質から伝わる悲鳴や苦痛の声さえあれば自身の肉体は耐え切ることが出来る。
 しかしいつまで経っても体の痛みは治ることなく、むしろ激しさを増していく。
 ふと視線を横に逸らすと、一緒に苦しんでいるはずの人質の表情は苦悶の表情から穏やかな物に変わり始めていた。
「光の精霊さんの光は、全ての『光』のイメージを内包します。そこには勿論、呪詛を灼き尽くす『神聖』の属性も含まれます」
 その疑問を察したかのように、荒谷は口を開いた。
「それをわたしの聖者としての素質で増幅させました。攻撃対象は『あなたの呪詛』! 人質の子を呪いから解放すると共に、術者であるあなたを聖なる光の嵐で灼き尽くすんだよっ!」
 荒谷の呼びかけに応じて、精霊はさらに自身の光の魔法の威力を強くさせていく。
 凄まじい光の中で浄化されていくジェスターの握力は落ち、人質の体が床に落ちる。その体を素早く救い上げると荒谷はジェスターから充分に距離を取ってから心配そうに話しかけた。
「大丈夫ですか? 怖くなかった? もう呪いはないから、大丈夫ですよっ!」
「ア、アナタ……さっきの、コトバの、意味は……!」
「え? 強い光で包み込むことに対して『ごめんね』で、これから呪いを解いてあげることで『楽にしてあげる』んですよ?」
 何一つおかしなことは言ってません、と胸を張る荒谷にジェスターは自分の勘違いに遅ればせながら気付き、痙攣しながら光の海に溶かされていった。

大成功 🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年11月30日


挿絵イラスト