アースクライシス2019⑭〜過去の在るべき場所~
●冥府への招待
「諸君。あの馬鹿げた放送は見たかね?」
グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、場に集まった猟兵の前で肩を竦めつつ、どこか呆れた様子で溜息を吐いた。
その馬鹿げた放送、というのが地球を覆った立体映像なのは明白だろう。
「だが所業を見過ごす訳にもいかない。力を貸して欲しい」
銀灰色の目を僅かに細め頷くと彼女はグリモアを輝かせ始めた。
「さぁ語ろうか。舞台はヒーローズアース、戦争もいよいよクライマックスだ! 君達にはギザの大ピラミッドへ赴き、この世界のオブリビオン・フォーミュラを倒して欲しい」
この世界のオブリビオン・フォーミュラこと、『クライング・ジェネシス』がいよいよ顔を出してきた。
現在はカタストロフに向けての準備を着々と進めているという。
「大体のことはあの技術の無駄遣いで分かっただろう。12月が始まる前に奴を倒さなければ全てがお終いだ」
『骸の海発射装置』などという、猟兵ならば聞いただけでとんでもないと思う内容の兵器が発射されてしまう。
12月1日にエネルギーチャージが完了しヒーローズアースは飲み込まれてしまうので、そうなる前に倒して欲しいと語る。
「待ち受けているのは、ギザの大ピラミッド。クフ王のピラミッドとも呼ばれていたがね」
グリモアの輝きが示すのはエジプトにある有名な巨大な四角推。
王の墓として有名なこのピラミッドの近くで戦場は行われるようで、クライング・ジェネシスはピラミッドの頂点でポーズを決めながら猟兵を待ち構えているようだ。
ただしピラミッドを破壊する心算はなく、飽く迄目立つ為の場所として選んでいるに過ぎないそうだ。
「強敵の例に漏れず、先制攻撃をしてくる。対策はあった方が良いね」
力に優れた者に対しては、胸からオブリビオンを延々と出し続け、動けない状態となる代わりに無敵となる力で。
敏捷を得意とする者に対しては、骸の海発射装置によって猟兵のコピーのようなものを作り出して攻撃してくる力で。
霊的なものに秀でた者に対しては、骸の海発射装置から強力な砲撃を放ち、外れても漆黒の虚無に戦場を変え己を強化する力で攻撃してくる。
「……まさか骸の海そのものを使ってくるとはね」
オブリビオンとその由来を知るなら、それがどれほど凄まじいことか分かるだろう。
強力な技揃いであるが、何とか上手く凌いでそれ以上の強さを見せて欲しいのだと語った。
「……必要な説明は以上だ」
僅かに顔を青くしているスフィーエが語りを終える――敵の途方もなさに緊張が隠せないようで。
それでも映し出したピラミッドを一瞥し、深呼吸して場の猟兵を見回すと転送の結界を作り出しながらこう締めた。
「……あの形は死の世界に導くためとも言われている。どうか哀れなこの亡霊を改めて死の世界に送り返す為に……力を貸して欲しい。頼んだよ」
裏山薬草
●注意
戦争の期限が差し迫ってきています。
なので採用人数を成功に足るほぼ最低限と留めさせて頂きます。
もし不採用となられた方は、次の機会に参加して頂けると幸いです。
どうも、裏山薬草です。
最終決戦ですね、張り切っていきましょう。
今回はこの世界のオブリビオン・フォーミュラ、クライング・ジェネシス(CG)と戦って貰います。
戦場となるのはギザの大ピラミッドで、その頂点でCGはポーズを決めています。
猟兵の皆様はピラミッドの傍で飛び降りてきたCGと戦うことになります。
避難等は完了しておりますので、思い切って戦ってください。
今回も先制攻撃をしてきますが、対策が無くても無条件で失敗にはなりません。
ですが先制攻撃への対策があればボーナスとなりますので、記入しておいた方が無難かもしれません。
使用ユーベルコードの属性(POW・SPD・WIZ)と同じ属性のユーベルコードを仕掛けてきますし、複数の使用はその分先制攻撃を仕掛けてきます。
先制対策される方は、その辺りに気を付けてください。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 ボス戦
『クライング・ジェネシス』
|
POW : 俺が最強のオブリビオン・フォーミュラだ!
全身を【胸からオブリビオンを繰り出し続ける状態】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
SPD : 貴様らの過去は貴様らを許さねェ!
【骸の海発射装置を用いた『過去』の具現化】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【相手と同じ姿と能力の幻影】で攻撃する。
WIZ : チャージ中でも少しは使えるんだぜェ!
【骸の海発射装置から放つ『過去』】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を丸ごと『漆黒の虚無』に変え】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
イラスト:yuga
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
|
種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
アルフレッド・モトロ
胸の穴から敵がポコポコ出てくるワケか
よし!うまく行くかは分からんが
いっちょやってみっか!
UCの大渦召喚!出てきたオブリビオンを巻き込みつつ
CGの足元の砂を水流で【吹き飛ばす】!
前の方の砂だけ多めに削って、奴をうつ伏せに倒すんだ!
全く動けないCGと潮水で固められた砂の間で
繰り出され続けるオブリビオン…
UCを移植し過ぎて自滅したぐらいだ
内側からバーン(破裂)みたいな感じにならねえか?
ダメそうなら上から渦潮を叩きこんで地中深くに埋める
UC解かねえとどこまでも埋まるぜー?
無敵を解いた時が奴の最期だ
砂から顔出す瞬間を【野生の勘】で察知
【怪力】でワンダレイアンカーをぶち込んでやる!
(連携アドリブ歓迎です)
フレミア・レイブラッド
くだらない存在である貴方の死に場所としては上等過ぎる程上等な場所よね。
【念動力】の防御膜を纏い、繰り出してくる敵へ【念動力】による拘束と多属性の魔力弾【属性攻撃、誘導弾、高速詠唱、全力魔法】の連射で足止めし、時間を稼ぎつつ【吸血姫の覚醒】を発動。
発動後も【念動力】や魔力弾で繰り出される敵を一掃しながら、覚醒の超高速でCG本体へ接近。
オブリビオンを繰り出す胸の穴を真祖の魔力を注ぎ込んだ封印術【高速詠唱、全力魔法】と【念動力】、更に凍結魔術で封鎖して封印。
敵が能力を解いた瞬間を狙い、残った全体力、魔力を注ぎ込んだ魔槍による一撃を叩き込み仕留めるわ
魔槍による槍術【怪力、早業】等を駆使して敵を跳ねのけ
四季乃・瑠璃
緋瑪「クフ王には悪いけど、ここを貴方のお墓にしてあげるよ!」
瑠璃「貴方には勿体ないけど、ここで確実に殺してあげる」
繰り出してくるオブリビオンを両手の【範囲攻撃、鎧無視、早業】接触式ボムで爆破排除。すぐに凍結の魔力を付与したK100による早撃ち【ドロウ、早業】で胸の穴に撃ち込み凍結させて塞ぎ、一時的でも時間を稼いでUC発動&シスターズで第3人格翡翠を召喚。
分身後は3人で連携し、敵CG本体を巻き込む様にボム中心に繰り出してくる敵を爆殺し続け、敵の胸の穴や骸の海と繋がってそうな四肢等へ攻撃して弱点やダメージの有無を確認。
弱点へ根気よくボムや3人掛かりの【力溜め】ジェノサイドノヴァを叩き込んでいくよ
月待・楪
…ピラミッドの使い方を盛大に間違えた例みたいになってるな
先制で出てきたオブリビオン共をこれまで培った猟兵としての【戦場知識】を元に行動や攻撃を予測して【見切り】回避
つっても重傷にならねーなら多少のダメージは【覚悟】してる
オブリビオンが出続けるなんざ普段は遠慮したいが
敵は、その間ほぼ無敵らしいしお誂え向きに全く動けないと来た
…オブリビオンでテメェのためのピラミッドを作ってやるよ!
【Cat'stail】をいくつもの大きい手の形に変形、それを使ってオブリビオン共を【敵を盾にする】勢いでジェネシスに投げまくる
ほら、積みあがれオブリビオン共!
ほぼ無敵なら、どれか一体くらい攻撃が有効なやつが出て来るだろ!
ナギ・ヌドゥー
クライング・ジェネシス、王の墓で戦う気か。
つまりそこに埋葬されたいのか?
アンタに墓標などいらんだろ、すぐに骸の海に還るんだからな。
【ドーピング】により身体能力・反応速度アップ
そしてまず……逃げる!
無敵で攻撃が通らないんだから仕方ない
スピードを生かし【殺気】を込めた【残像】を作りながら逃げて幻惑
そのUCはいつまで続けられる?
【第六感・野生の勘】でそのUC時間を【見切り】
そろそろか!?
UCが切れる直前に大勢のオブリビオンを連れて
まだ動けないクライング・ジェネシスに接近
前後から攻撃が来たらUC「無驍」発動
全ての攻撃を反射する
無敵時間が過ぎたクライング・ジェネシスごと吹き飛べ!
●ここに墓を建てるというならば
砂漠の四角推で誰もが思い浮かべるこの代表的なピラミッド――その頂点で、腕を組み高笑いを挙げている存在がいた。
それこそクライング・ジェネシス――この世界のオブリビオン・フォーミュラの下品な姿に、思わず月待・楪(Villan・Twilight・f16731)は呟いた。
「……ピラミッドの使い方を盛大に間違えた例みたいになってるな」
「クライング・ジェネシス、王の墓で戦う気か。つまりそこに埋葬されたいのか? アンタに墓標などいらんだろ、すぐに骸の海に還るんだからな」
続くナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)の挑発めいた言葉に、CGはハッと馬鹿にしたように猟兵達を嘲笑うと、ピラミッドの頂点から盛大に降り立った。
「――貴様らの墓だよ。バーカ」
仮に目玉と舌が在れば、片目の瞼を下げて舌を出し大いに馬鹿にしていたであろう。
尤も、その代わりというものは胸に空いた穴より湧き出る湧き出る、異形、異形、異形の数々というのが笑えないモノであるが。
「普段は遠慮したいところだ……」
嗾けられる攻撃を楪は歴戦の経験からそれを躱していく。
集団戦とカテゴライズされる格下から、ボス戦と称される格上まで玉石混合。
「よし……逃げる!!」
これだけの数、一度に相手にしては堪らない――薬物で強化された身体の身体能力を駆使しながら、ナギはまず最初に呼び出された圧倒的な軍勢を引き受ける。
殺気と言う敵意と存在感を放つ残像を生み出しつつ、誘蛾灯のように圧倒的に繰り出される亡霊を躱していく。
「くだらない存在である貴方の死に場所としては上等過ぎる程上等な場所よね」
「おいっ! 貴様らの墓っつたろうが!!」
咎人殺しを追うことを諦めた百鬼夜行の一部は、皮肉めいた笑みを浮かべるフレミア・レイブラッド(幼艶で気まぐれな吸血姫・f14467)の放つ念力によって動きを止められ、追い打ちに放たれる魔力弾が突き刺さる。
秘められた拘束の術式が数多の亡霊の手数を牽制し、その動きを留めていく。
時に槍の柄で攻撃を受け止め、鋭く槍の穂先を以て穿った敵を吹き飛ばしながら応戦していくフレミアであったが。
「ギャーハッハッハッハ!! 我慢比べといこうぜェクズ共よォ!!」
猟兵の奮戦もあれど、繰り出される軍勢の数はあまりにも圧倒的。
アルフレッド・モトロ(蒼炎のスティング・レイ・f03702)は正に無尽蔵と呼ぶべき虚空より出現する亡霊の数々に慄いた。
「胸の穴から敵がポコポコ出てくるワケか……」
何しろ敵はオブリビオンの材料である骸の海の「過去」を自在に引き出すことができる。
無尽蔵に繰り出される玉石混淆の亡霊達に、このままでは場の猟兵はやられてしまう――と考えるも。
「よし! うまく行くかは分からんが、いっちょやってみっか!」
「させねぇよ!!」
「うおっ!?」
この場に対応するに相応しいユーベルコードを発動せんと一瞬、集中したその僅かな隙を目掛け、CGよりの数多の軍勢が繰り広げられた。
数々の異形がアルフレッドの身体に、技の発動に先んじて爪を突き立てんとしてくる……が。
「下がって!」
響き渡ったのは、四季乃・瑠璃("2人で1人"の殺人姫・f09675)の声だった。
高く響いた声に素直に下がると同時、入れ替わるように投げ放たれたのは彼女の両手から放たれていく、彼女の保有するありったけの爆弾。
爆ぜる熱風が亡霊の勢いを次々と押し留め、熱風が吹き飛ばす――その隙にCGの胸部へ大型拳銃を打ち込む。
それは凍結の魔力を秘めた銃弾――刺し込まれた弾を起点に生じた方陣が一瞬で凍てつき、物理的に文字通りの穴を塞ぐも。
「効かねえよ!」
蓋として放った筈の氷が徐々に打ち震えヒビの入っていく姿――だが、全ての好機は今こそ整った。
「我が血に眠る全ての力……今こそ目覚めよ!」
亡霊の出現を僅かに止めた隙に、真祖の――旧き鬼の血を最大限に目覚めさせフレミアはその身に莫大な魔力を迸らせる。
八枚の悪魔の如き翼を生やし、僅かに時を経た姿となり竜を捻じ伏せ天魔を退ける魔力を持ちて、先ほどは比べ物にならない魔力と膂力を以て嗾けられる亡霊の数々を薙ぎ払う。
「行くよ、緋瑪、翡翠」
「行こう、瑠璃、翡翠」
「「さぁ、わたし達の殺戮を始めよう」」
同時に瑠璃は己が内に眠る半身の緋瑪と身体を二つに分け、命を削る代償に限りなく力を高め。
同時にもう一つ眠る人格の翡翠を、精巧な等身大の人形に宿す。
破壊と殺戮の三面鬼神の如く、彼女達は駆け抜けていく――単純な数にして三倍。
高まった力は質に於いても限りなく高め、その精度を何倍にも高めながら嗾けられていく亡霊の数々を相手取る。
解き放たれた爆弾の勢いは、たじろがせるにとどまっていた亡霊を纏めて吹き飛ばし塵も残さずに消し飛ばし。
爆風の勢いは容赦なくCG自体をも巻き込むも、不動の体勢を保ったままの彼は一切揺るがず化け物じみた下品な嗤いを響かせる。
「――準備完了だぜ」
このまま何もできない膠着状態が続くのか――無尽蔵の戦力を呼び出せる相手にやがて猟兵が力尽きてしまうのか?
否、そんなことはない――それを打ち破る第一歩が、今唸りを挙げたのだから。
「さあ、ここからが "クライマックス" だ!」
今こそが反撃の好機――発動されるアルフレッドの奥義。
日差しの照り付ける砂漠にそれを放つは何の因果か、生み出された海と渦巻く潮は湧き続ける亡霊を飲み込み勢いを削ぎ。
渦巻く流れは、CGの立つ砂をも吹き飛ばす――そう、前方の砂だけを巧みに削り、その自重でCGの身体を前方に倒す形と持っていき。
「……オブリビオンでテメェのためのピラミッドを作ってやるよ!」
それと同時に楪が掌を突き出せば、サイキックによって形作られた巨大な掌が、大渦に巻き込まれ意識を混濁させた亡霊を次々に引っ掴み。
この湧き続ける亡霊達、それを沸かせる存在は身動き一つ取れず転んだならば猶更にお誂え向きだ。
「ほら、積みあがれオブリビオン共! どれか一体くらい攻撃が有効なやつが出て来るだろ!」
CGの呻きが攻撃の効果があるか無いかを示すことはなくも。
戦場とする砂漠に聳え立つピラミッドにも劣らぬ勢いで、意識の混濁する亡霊を次々とCG目掛けて投げつけて重ねていく。
象られる亡霊の塔の形は四角推――死後の世界に死人を導く、ピラミッドの形。
無敵に近いは絶対に無敵という訳ではなく――上から積み重なっていく重量と、偶々相性の悪い亡霊の激突に終には防護を破られ始めていく。
「おーい、ユーベルコード解かねぇと何処までも埋まるぜー?」
アルフレッドの声にもCGは答えることはない――下は固まった砂、ついでに倒れ伏すと同時にフレミアの封印と凍結の術によって入口を塞がれ、上は楪によって重ねられた亡霊の重圧がかかる。
どちらにしろこの状況は詰み――亡霊の一部を引き受けていたナギが、その様子を見ると、砂の騒めきから何かを察した。
(――そろそろか!?)
「……チキショウめー!!」
そもそもユーベルコードの持続時間すらも限界を迎えていたCGが勢いよく飛び出す――内部より爆ぜるように亡霊に裂かれ、圧し潰された身が痛々しい。
しかしそれでも動き脱出を選んだ――が、間違い。
「さぁ返すぜ……クライング・ジェネシスごと吹き飛べ!」
何故ならば、前方よりの亡霊の攻撃をその身に全て受け止めていたナギが、その力を全てCGに差し向けていたから。
駆け抜けながら殺気を放つ残像を置き、攻撃を躱し抜いたが故に亡霊の憎悪(ヘイト)は十二分に高まったか。
一斉に放たれた亡霊の攻撃は限りない殺意に満ち、その殺意は何よりも凶悪に――だからこそ、良い。
その強力無比な攻撃を受け止め取り込み、それを返す身体となっていたナギより放たれた、数多の亡霊の力を結集した一撃は亡霊とCGを吹き飛ばし。
「これで終りよ……消えなさい!」
吹き飛ばされたCGが次に見たのは、太陽を背にしながらも灰となることなき吸血姫の姿。
八枚の翼を広げた真祖の吸血鬼の計り知れぬ剛力と、超魔力を乗せた真紅の剛槍がその身を指し穿ち。
開けられた風穴と、それを為した刺突の衝撃は吹き飛ばされ叩き付けられた砂漠の砂を舞い上げる。
「クフ王には悪いけど、ここを貴方のお墓にしてあげるよ!」
「貴方には勿体ないけど、ここで確実に殺してあげる」
腹部に風穴を空けつつ、地面に転がり落ちたCGを舞っていたのは命を削りながらも刹那の力に全てを賭けて爆弾を構えた死神。
二つの魂を二つの身体に、もう一つの魂を一つの人形に分けた瑠璃、緋瑪、翡翠の三人の――超新星爆発もかくやの爆弾の光が身を一気に包み込む。
「追加注文か? ……良いぜ」
転がってもそれを更に押さえつけるように新たに積み重なっていく異形の数々。
それは楪のサイキックの手が容赦なく運び、積み上げていくオブリビオン製のピラミッド――闘争もこれ以上の攻撃も許さないための楔。
戦場として選んだ場所からすれば、皮肉な形状の墓に埋もれ、呻きながら顔を出すCGが目にしたのは。
「ようこそ!」
「ま、待ッ……!」
――良い笑顔で錨を振り上げていたアルフレッドの姿であり。
命乞いの言葉を出す暇もなく、その脳天に容赦なく錨が叩き込まれていった
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
北千住・シャオリン
【竹輪】
まず先制攻撃に備えて本体(ちくわちゃん)の穴の中で
対衝撃態勢を取ります
UCが使えしだいUCを最大展開
「そちらが具現化できる本体の幻影は1体ですが、私が複製できる本体は43体です」
複製を展開したら素早く本体の下から抜け出し
複製の1体の中に入って念動力で操ります
「念動集中ちくわLINKミサイル!」
本体を援護しつつ複製を敵に体当たりさせます
損傷が激しい複製は動力炉を暴走させ体当たりと同時に自爆させます
私が潜んだ複製が敵の死角に入れたら
外に出て複製をビームちくわちゃんキャノンに接続します
「こっちが本命ですよ。ビームちくわちゃんキャノン、フルバースト!」
死角から最大出力の砲撃をお見舞いします
北千住・ちくわちゃん
【竹輪】
敵の攻撃は敢えてシャオちゃんのぶんまで受け止めるよ
シャオちゃんが中に隠れてれば、SPDユベコもちくわちゃんを対象として発動するよね☆
発動可能なタイミングで【指定UC】発動して、受けたダメージの分は骸の海から吸収するよ!
ちくわちゃんの過去は、銀河帝国のプロパガンダロボ
きっと幻影はクライングジェネシスを鼓舞しようとするんだろうけど、当時の自分の言葉はただ用意された台本を読むだけのつまらないもので
「そんなココロのない応援されても、アイツの心は満たされないだろうね!」
ボディをフルスイングして幻影を吹っ飛ばしたら、本体へ体当たりアタックだよ☆
●HTB(ハイパーちくわブッチギリ)
砂漠の趣ある砂の色を、黒い虚無に塗り替えられた。
骸の海に捨て去られた筈の過去による圧倒的な砲撃の影響か、ウォーマシンの身体は仄暗い何かに侵食されたようにも見えた。
「いるんだろ! 出て来やがれッ! このチキンがッ!」
「ちくわちゃんはちくわだよ☆ ちくわは鶏肉じゃ……」
北千住・ちくわちゃん(愛よりもいいねが欲しい・f17794)はかつて時を経て宿った北千住・シャオリン(ちくわちゃんのヤドリガミ・f23171)をその身に隠し過去の砲撃を一身に引き受けていた。
シャオリンの気配を感じ、CGは彼女の幻影を作り出し抗わんとするもその技の弱点は――視認している対象のみしかコピーできないこと。
故にすっぽりとその身体――いわゆる「竹輪」の穴の中に隠れたシャオリンの姿を模せぬ苛立ちにCGは叫んでいた。
「そういうこと言ってンじゃねぇッ! あー分かった分かった! もう貴様でいいよ!!」
痺れを切らしちくわちゃんの姿を過去の力を以て模して嗾けようとするも、既に中に潜むシャオリンの準備は整っていた。
「そちらが具現化できる本体の幻影は1体ですが、私が複製できる本体は43体です」
「ウゼェ!?」
たった一体のちくわちゃんの幻影に対抗するように広げられる43にも及ぶちくわちゃんの複製。強力な幻影に抗い、地に広げられた虚無に傷つけられながらも複製は立つ。
ちくわちゃんに宿るヤドリガミであるからこそ為せる妙技――本物のちくわちゃん自身が幻影と組み合う間にシャオリンは穴から抜け出て複製の一体に潜り込み。
「念動集中ちくわLINKミサイル!」
損傷の激しい個体を一斉にCGへ突撃させ――触れるや否やの動力炉を暴走させ爆発に巻き込む正に特攻。
余りにも凄まじい猛攻に、CGも煙を噴き上げながら胸を押さえ蹲るが。
「こっちが本命ですよ。ちくわLINKプロテクト解除! ハイパーちくわエンジン、オーバー・ドライブ! ターゲット・ロックオン!」
複製と言えど本体に劣るものではない――アタッチメントパーツを取り付け、砲撃形態へと変えるとその体の穴を勢いよくCGへと突き付ける。
語る言葉のプロセスと同時に高めに高められたエネルギーは既に十二分、見通しは既にその体の如く。
「ビームちくわちゃんキャノン、フルバースト!」
「ぬがああああ!?」
解き放たれた爆発的な光の奔流は、何処か柔らかな甘さを含む香ばしさすら感じさせる匂いも孕み悪魔の如き姿の悪漢を飲み込む。
ほぼ完全に不意を突かれた莫大なエネルギーの奔流による攻撃――これがオブリビオン・フォーミュラでなければその場で決していた程に。
「ちっ……オイ! 突っ立ってねぇでオレを援護しろや!」
それでも白煙を体中から噴き上げつつ、八つ当たり気味に隣に立つちくわちゃんの幻影を蹴り付ける。
「フレー、フレー、くーらーいーんーぐーじぇーねーしーすー」
幻影は蹴り付けられても、その表情を一切変えず立ち上がり両手を振りながら言葉を――文字通り機械的に発した。
「がんばれー、まけるなー、いだいなるー……」
「……」
響く間の抜けた、されど人間的な影響の一切感じられない声。
――懐かしいといえば懐かしいな。
最初に受けた砲撃で掠った過去から思い出した、大昔の――ヤドリガミ<シャオリン>が宿るその前の記憶。
プロバガンダとして使われた過去のように主となったCGを――プログラムされた台本のままに、機械的に感情の籠らない、温かみも一切ない虚ろな言葉で。
「そんなココロのない応援されても、アイツの心は満たされないだろうね!」
「あっ、貴様ッ……!」
纏う黒い粘液じみた輝きは、CGが迸らせる過去の海の力にも似て。
闇の逆襲と言わんばかりに、再度解き放たれる過去の海を取り込みその身を癒しつつ――ちくわちゃんの繰り出す突撃が。
空虚な幻影の笑顔諸共、CGの顔面に陥没し――CGの身体をそれは見事な背面跳びへと導くのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
シャーリー・ネィド
【かまぼこ】
出遅れちゃったけど黄金コンビ復活だよっ!
傍のパートナーの【手をつなぐ】事でお互いを【鼓舞】し、【勇気】を分け合う
そしてボクたちの偽物の先制攻撃に備える
防御はウィーリィくんに任せて、ボクは彼の偽物が攻撃しようと接近してきたところを【罠使い】&【ロープワーク】で仕掛けておいたスネアトラップで転倒させ、そこへ【スナイパー】で仕留める
あとはボクの偽物と戦うウィーリィくんを【援護射撃】でフォロー
残るはボスだけ!
【ゴッドスピードライド】でウィーリィくんを後ろに乗せたまま一気にボスに突っ込み、彼が飛び降りたらそのままボスの周りを走り回って【クイックドロウ】+【スナイパー】で二人の攻撃の雨あられ!
ウィーリィ・チゥシャン
【かまぼこ】
差し出された手は拒まない。
一人じゃダメなんじゃない。俺達は二人でいたいから。
先制攻撃が来たら、まずシャーリーへの攻撃を鉄鍋の【盾受け】で【かばう】。
そして俺の幻影がトラップで転倒したところへ大包丁の【二回攻撃】を叩き込み、続けてシャーリーからの援護を受けながら鉄鍋を構えてシャーリーの幻影に接近、そのまま【シールドバッシュ】でバランスを崩して炎の【属性攻撃】。
幻影を片付けたらシャーリーのバイクに相乗りしてCGの元を目指し、奴の近くに来たら脱ぎ捨てた上着を投げつけると同時に飛び降り、スピードを増した【指定UC】の早業で炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】を繰り出す!
●黄金コンビ復活!
結界を通りやってきた少年と少女の前に現れたのは、これ以上となく見慣れた光景だった。
如何な強敵を相手にしようと、この光景のように勇気を分け合いそれを無限に燃え盛らせて立ち向かってきた記憶。
少年ウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)と少女シャーリー・ネィド(宇宙海賊シャークトルネード・f02673)にとっては余りにも見慣れた光景。
何故ならそれは――到着するや否や呼び出された過去が形を成して、ウィーリィとシャーリーの形を作り手を繋いでいたから。
「ウィーリィくん」
――だから、差し出す。
「黄金コンビ、復活だよ!」
「――ああ!」
差し出された手は拒まない、一人じゃダメなんじゃない……ただ彼女といたいから。
握った掌に交わす温もりから、何度やっても冷めない勇気を燃やし現在と過去が手を離し合い駆け出す。
過去の少年が大包丁を構えシャーリーに斬りかかり、それをアシストするように過去の少女が熱線を放つ。
幾度となく見慣れた連携攻撃を一身に、鉄鍋を以てウィーリィが受け止めて弾けば。
過去の少年はそれでも退かず、シャーリーに斬りかかる――が、その身体が盛大に横転する。
それはシャーリーが足元に仕掛けていたスネア・トラップ。
転び砂塵に埋もれた過去の少年にウィーリィは躊躇いもなく、大包丁で脚の腱を断ち斬り、そのまま勢いよく斬り上げ――立ち上がらんとした脳天を正確にシャーリーからの熱線が撃ち抜く。
断末魔を挙げる間もなく黒き靄となって消えゆく過去を見送りながら、次に狙いを定めるのは過去の少女。
それが熱線を放たんとした銃を、シャーリーの研ぎ澄ました狙いから放たれる熱線が正確に打ち抜き落し。
焦りを浮かべ一瞬硬直する過去の幻影目掛けてウィーリィは――勢いよく、重たい鉄鍋を打ち付けてピラミッドの壁に叩き付け。
石壁に背中から叩き付けられ、よろめく過去の少女へ同様に脳天を熱線が穿ち、ウィーリィの大包丁が袈裟斬りに斬り伏せる。
そうして過去の幻影を物ともせずに乗り越えた二人は、
「頼むぜシャーリー!」
「頼まれたッ! 飛ばすよッ!!」
鮫を象ったバイクのカウルが僅かに開き、牙を向けるような意匠に転じ。
シャーリーがスロットルを最大限に回し、その後ろに乗せたウィーリィを伴いながら音速にも迫る勢いで、黄砂を巻き上げながらCGの元へ迫る。
「チィ……役立たずがッ! あーいいよいいよ! オレが直接相手にしてや……うぶっ!?」
呼び出した過去を破られた憤りに地団駄を踏むCGの顔面に叩き付けられたのは赤い上着だった。
疾風と表現するにも遅きバイクの速度と、そこから飛び降りる勢いを乗せて投げ放たれた上着の勢いは砲丸のそれにも比肩しCGの文字通りの鼻っ柱を圧し折り。
CGが叩き付けられたウィーリィの上着を乱暴に捨て、怒りに打ち震えた身体より、全てを過去の海に消し去る砲撃を放たんとすれば彼の身に突然のスコールのように降り注ぐ熱線。
砂漠地帯に於いての慈悲に非ず、砂漠の気候に相応しい、焦熱の光線による大雨が幾度となくCGの身体に細かい風穴を通す。
それを放ったシャーリーを追おうとしても、砂の海を縦横無尽に駆け巡る怪物鮫の如きバイクの機動――旋回を繰り返すそれに、知らず知らずの内にCGの目が狂い始めていく。
「あだっ、おいっ、貴様ッ! タイムタイムッ……!」
「タイム? もう充分好き勝手やれただろ、お休みの時間だ!」
「骸の海に還って! カタストロフはボク達が止めてみせるッ!」
シューティングスターを超えた流星群(メテオストリーム)の如き熱線に穿たれたCGの身体を炎が走った。
脱ぎ捨てた上着の分だけ――否、それを遥かに超える程に、地を縮める如き俊足で走ったウィーリィの繰り出した大包丁の斬撃だった。
秘められたルーンより、砂漠の太陽よりも熱く苛烈な紅蓮の業火を纏った大包丁が再び、最初に刻んだ炎と共にXを描くように斬り付けていた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
セツナ・クラルス
いよいよ大詰めといったところかな
気負わずいつも通りにした方が結局最適な行動ができると信じているよ
「虚無」を生み出すのかい?
…ふむ、不思議だねえ
生きることに貪欲になるのは虚無どころか、希望の表れのように見えるのだからだね
ふふ、意地を張らなくていいのだよ
生きたいのならば堂々と宣言するといい
心からの願いを端から否定する程、この世界は厳しいものではないよ
「虚無」そのものを打ち消し
灯火の温かな灯りで敵を包み込もう
私はあなたがたを否定したい訳ではないのだよ
手を取り合い、助け合うことはできなくとも
互いに関わることもなく、密やかに共存することができるのが理想だと思っている
…ふ、まあ、理想論だがね
わかっているよ
●輪廻転生
「『虚無』を生み出すのかい? ……不思議だねぇ」
いよいよ大詰め、気負わずに――足元に広げられた虚無を見ながら、それを撃ちだしたCGにセツナ・クラルス(つみとるもの・f07060)は問いかけた。
「生きることに貪欲になるのは虚無どころか、希望の表れのように見えるのだからだね」
「……おい、オレを理解しようとするなって」
「ふふ、意地を張らなくていいのだよ。生きたいのならば堂々と宣言するといい。心からの願いを端から否定する程、この世界は厳しいものではないよ」
――ハッピーバースデー、灯りを灯してあげよう。
黒衣の聖者はその身体の傍に温かな炎を灯し、ゆらり、ゆらりと泳がせて生み出された虚無を照らす。
「オレの心からの願いは! この世界を! ぶっ潰す!!」
セツナの赦し、それは過去の恨みに届くことは敵わず――なればと聖者は静かに炎を照らす。
始りを祝い楽園を果てなく探す原初の火は、生み出された虚無を「灼き」て元の砂漠に戻しながら、盛り盛りてCGを包む。
由来を考えれば相対する苦難でしかない業火に包まれ、悶え身体を押さえ蹲るCGに柔らかな笑みを浮かべながらセツナは語る。
「私はあなたがたを否定したい訳ではないのだよ」
「ハッ……結局、オレ達は、……フン」
温かな生誕を祝う祝福の火は、棄てられし過去より生まれ停滞と破滅を齎す者にとっては呪われた業火にも似て。
灯火に照らされ身体を灼かれ、身体から染み出す過去諸共、黒い霧のような姿に――骸の海に還る過程となったCGは怨みの籠った顔でセツナの顔に手を伸ばし。
ただその掌は、セツナの顔を握り潰すには至らず消え去る掌は空しく彼の顔を通り過ぎる。
それを見送りながら、セツナはふっと口元に自嘲の笑みを浮かべ。
「……分かってるよ」
助け合えなくとも、適切な距離を取る共存。
それは出来ない――存在するだけが世界の害悪となるならば……それでもいつかはと、生誕を祝う火の傍で聖者は消え去った存在を思い、冥府に続く道の四角推の頂上を見上げるのだった。
大成功
🔵🔵🔵