アースクライシス2019⑱〜繁栄・腐敗・反省~
●三拍子の因果
「繁栄があって、腐敗に気付かず、気付いて反省しまた繁栄、腐敗……」
グリモア猟兵スフィーエ・シエルフィートは、羽ペン型のグリモアを浮かべながら自分の周囲でくるくると舞わせながら呟いた。
繁栄の裏に腐敗があり、それに気づいてまた反省し、繁栄とそれに潜む腐敗――それはグリモアの映し出す腐敗した地下街を示すようだった。
「嫌な三拍子だが、腐敗となる前に断ち斬ってやらなければならない」
グリモアの輝きが示す腐敗の中、それを誇らしげに笑う大男の幻影を叩きながら彼女は静かに語った。
「さぁ語ろうか。舞台はヒーローズアース、戦争も終盤戦だ。君達には肥溜めの愚王を倒し、腐敗を断ち斬って欲しい」
肥溜めの王スカムキング――ジェネシス・エイトが一人にしてダストブロンクスを支配する文字通りの肥溜めの王。
半身にして愛人のアシュリーを体に埋めたこの男は正に超公害が服を着て歩いている存在だ。
「現在は本拠地で逃走の準備を進めている。有力な敵だから逃がさない方がいい、という面もあるのだけど……もう一つ実にクレイジーな理由がある」
場所はナイアガラ・フォール市内は地下にあるラブ・キャナル、汚染による刺激臭と光化学スモッグが立ち込める厄介な場所である。
「君達ならば戦闘自体に支障はないだろう。それ以外は、保障できないが……ともかく」
そこでスーパープルトンのUFOを独自に魔改造して準備している。
だがその魔改造というのが、一人用で環境にも優しかったそれを大規模な輸送を可能とする代わりに、悪質な汚染を大量にばら撒いてしまうそうだ。
そうなる前にスカムキングを倒して欲しいのだと語り、ラブ・キャナルに乗り込めばそちらからやってくるので迎え撃つだけで良いとも語った。
「もう分かってると思うけど……先制攻撃を例外なく仕掛けてくる」
力自慢の者には、愛人にして半身の破壊魔術師アシュリーを分離させ、肉弾戦を得意とするスカムキングとの連携攻撃を。
素早い者には、そのアシュリーが禁断の呪術をかけ続けることで周囲の存在を侵食・汚染する存在となって攻撃してくる力を。
魔力に優れた者には、広範囲の無機物を汚染物質に変えて操る能力を使ってくる。
「真っ向勝負でも構わないが、より上手く闘うつもりなら対策を忘れないようにね」
勿論、どうあったとしても君達は問題なくこなしてくれるだろうと穏やかな微笑みを浮かべながらスフィーエは語った。
「……保身も環境汚染も、やはり業といえばそれまで……かもしれないがね」
一呼吸置いたスフィーエは、どこか遠い目で溜息を一つ漏らしながら語る。
例え地球がどうなろうと己の保身を試みるスカムキングに、多少の理解は示すも。
「だがまあ程度の問題だ。そして彼は完全にアウト。そういうことさ」
何処かやりきれない笑みを浮かべながらも、銀灰色の瞳には所業を許せない静かな怒りが秘められているようにも見えた。
そうして改めて猟兵を見回すと、スフィーエはグリモアを淡く輝かせながら最後の語りを行った。
「さて、戦争の終結まであと少しだ。この世界の今後の為、どうかあと少しだけ力を貸して欲しい……頼んだよ」
裏山薬草
●注意!
このシナリオは、「戦争シナリオ」です。
1フラグメントで完結し、「アースクライシス2019」の戦況に影響を及ぼす、特殊なシナリオとなります。
●注意その2!
戦争の期限が差し迫ってきています。
なので採用人数を成功に足るほぼ最低限と留めさせて頂きます。
もし不採用となられた方は、次の機会に参加して頂けると幸いです。
どうも、裏山薬草です。
これで私のお送りするスカムキング戦は最後になると思われます。
というわけで今回も、肥溜めの王スカムキングと戦って貰います。
撃破が叶わなければ逃走し、説明した通り地球に甚大な被害が及びます。
今回も先制攻撃をしてきますが、対策が無くても無条件で失敗にはなりません。
ですが先制攻撃への対策があればボーナスとなりますので、記入しておいた方が無難かもしれません。
使用ユーベルコードの属性(POW・SPD・WIZ)と同じ属性のユーベルコードを仕掛けてきますし、複数の使用はその分先制攻撃を仕掛けてきます。
先制対策される方は、その辺りに気を付けてください。
それでは皆様のプレイングをお待ちしております。
裏山薬草でした。
第1章 ボス戦
『スカムキング』
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POW : キングアンドクイーン
自身の【体重60kg】を代償に、【体内から飛び出した破壊魔術師アシュリー】を戦わせる。それは代償に比例した戦闘力を持ち、【肉弾戦を挑むスカムキングとの連携攻撃】で戦う。
SPD : スーパートニックナイトメア
【アシュリーが禁断の呪文をかけ続ける】事で【近付くだけで敵を侵食する超汚染存在】に変身し、スピードと反応速度が爆発的に増大する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
WIZ : ダスト・テリトリー
自身からレベルm半径内の無機物を【汚染物質】に変換し、操作する。解除すると無機物は元に戻る。
イラスト:V-7
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
ナギ・ヌドゥー
汚物愚王の掃除は簡単には終わらんな。
汚れ仕事は嫌いじゃない、がね。
【ドーピング・第六感・野生の勘】を駆使し敵UCを察知し【見切り】
血で形状変化できる拷問具ソウルトーチャーを盾にして汚染物質攻撃を防ごう
肉と骨で出来たこの拷問具は柔軟性があるのだ
反撃にUC「禍ツ狂衝」発動
ソウルトーチャーよ、屍肉の巨獣と化しさっきの借りを返してやれ!
そしてオレはこの殺戮衝動を全開放する
尽きる事無きこの欲望は魔獣を際限なく増殖させるのだ!
これで終わりか汚物王?
肉と獣を掻き分けオレに接近できなら【オーラ防御】で受けUC解除
この刃で直接斬り分けてやる【部位破壊・傷口をえぐる・2回攻撃】
●エンドレス
ラブ・キャナルの異臭と目に痛いスモッグの籠る中、幾度目かの相対になるだろうか――汚れの王と黒衣の咎人殺しは視線を向けあう。
「汚物愚王の掃除は簡単には終わらんな」
「嫌なら止めな。楽だぜ? 坊や?」
ナギ・ヌドゥー(殺戮遊戯・f21507)の言葉に、汚泥の身体を揺らしながらスカムキングが嘲笑を以て答えれば。
ナギは僅かに肩を竦めつつ、こう答えた。
「汚れ仕事は嫌いじゃない、がね」
「おう。じゃあ嫌ンなるまで汚してやるよ」
咎人の骨肉で作られし拷問器具をナギが構えれば、スカムキングが拳を握り。
無機質なラブ・キャナルの壁床がどろりと腐れて行き、腐敗と刺激臭に空間が満たされ――壁床であった汚泥が文字通りの濁流となってナギを襲う。
濃密な刺激臭の接近を、薬物で研ぎ澄ました直感で察すれば、携える拷問器具を変化させる。
ナギの血を代価にその身体を自在に変えられるそれは、ナギを護る障壁のように変化し汚染を塞ぐ――が、王の穢れはそれを侵し、淀んだ色となって力を失う、が。
「魔が降りて闇より湧く……猟兵の檻から解き放たれよう。ソウルトーチャーよ、屍肉の巨獣と化しさっきの借りを返してやれ!」
初撃だけを凌いでしまえば、ここで強烈な一撃を加えてやればいい――解き放たれる力。
禍に満ちた霊を穢れに侵された拷問器具に宿せば、その穢れへの怒りをぶつけるかのように屍肉の巨獣と化してスカムキングの身体を押さえつける。
同時にナギの身体より出でた、その凄まじき殺戮衝動――尽きることなき、環境への暴力を厭わぬこの王への衝動が獣の形を成して汚泥に満ちた身を抉っていく。
「これで終わりか汚物王? ……っと、流石だな」
幾度となく身体を抉られ、それでも振り払いナギにその拳を向けたスカムキングだが。
その拳が届くことはなく、仄暗い障壁でそれを受け止め獣達の饗宴を納めると同時。
獣に食いつかれ破られた身体を、大鉈が深く斬り裂き抉っていた。
成功
🔵🔵🔴
栗花落・澪
【呪詛耐性+毒耐性のオーラ防御】を纏いつつ
【破魔】を乗せた風魔法を★Venti Alaに宿しておく事で清浄な風で自身を囲み
破魔+水魔法の【高速詠唱、属性攻撃の範囲攻撃】で
操られてる汚染物質の相殺狙い
魔とは違うとしてもこのレベルじゃもう穢れでしょ
あくまで操作が先制になるだけで攻撃に少しでも間があるのなら
周囲の地形的に盾に出来るもの(看板など)があれば
隠れる事で攻撃の来る方向を絞れるかも
翼と靴の効果での【空中戦】で(あれば物陰に隠れながら)縦横無尽に飛行
時折着地し足場に★花園を生成、破魔で足止め
植物は有機物だから操れないよね
準備ができたら【催眠歌唱】で破魔の花弁を操る【指定UC】の【全力魔法】
●汗拭いの聖女
汚濁の大津波が過ぎ去った後、そこだけ綺麗に抉られたように穢れの存在しない場所があった。
(このレベルじゃあもう、“穢れ”の領域だよね……)
過ぎた科学は何とやら、というがこの溢れんばかりの汚染物質は物質の域を超えた霊的な穢れも孕む領域か。
周囲に張り巡らせていた浄化の風と、文字通りの浄水の迸りで汚泥の流れを受け流していた栗花落・澪(泡沫の花・f03165)は、ややげんなりとした顔で思った。
汚泥の変換と攻撃を同時に行えぬと見て、咄嗟に看板に隠れ指向性を限定することで魔力を集中し穢れの暴力を凌げるに至ったのだ。
「なんだい坊や。かくれんぼかぁ?」
「可愛いねぇ……おばさん遊んであげたい」
「うへぇ、年下趣味かよ」
げらげらと笑うスカムキングとアシュリーの声に不快感を示しながらも、澪は靴に宿した風を紡ぎ翔る。
「どっちかというと……鬼さんこちら、かな?」
清らかな羽を一つ羽ばたかせ、広げられていく汚濁の暴力を優雅に宙を舞いながら躱し。
時にしなやかに、まるで鳥のように優雅に物陰に隠れ凌ぎつつ、地に足を着ければ彼の足を中心に万色の花が咲き広がっていく。
「これは操れないでしょ?」
「汚し甲斐があるぜぇ」
汚泥を広げる力と対照的に広げられた清浄な花の領域は、ある種自然を穢す者への皮肉か。
無機物を幾ら変える力を以てしても、有機体は変えられない――されど、変えた汚泥の瘴気は徐々に花園を侵食していく。
――だが、すぐには自分の元には来れない筈。この清らかなる花園が汚泥の侵略を留めている間に。
「幸せのままに眠れ」
澪が紡ぐ歌声に籠めた、どうか清らかなれという祈りに呼応し咲き乱れた花園より鮮やかな花弁が舞う。
淀みも穢れも、全てを振り払い不快な刺激臭を清らかなる淡い花の香に変える程に花びらは踊り王と愛人の身を深く斬り刻む。
――煌びやかな花園の中に混じる、とても小さな青く可愛らしい花の祈りと共に。
成功
🔵🔵🔴
オリヴィア・ローゼンタール
悪徳と腐敗の主、糞山の王め……!
白き翼の姿に変身
地面に聖槍を突き立て、自身とその周囲に炎と光の加護(オーラ防御・毒耐性)を展開して汚染の波を凌ぐ
利便性の代償に環境を汚染する……人の業ではあるが、それを是とするのは違う!
過去である貴様には分かるまい! いつか人は必ずそれを乗り越える!
破邪の聖槍で汚染を斬り裂きながら吶喊(ランスチャージ)
飛来する破壊魔術は【破魔】――魔を破る力で打ち砕く
聖なる力を聖槍に集中・圧縮し【赫怒の聖煌剣】を創造
全霊を以って振り下ろし、アシュリーもスカムキングもまとめて両断する
腐敗の連鎖は断ち切られる! その化身たる貴様もだ!
●円舞を断つ
荒れ狂う汚泥は大渦のうねりのように、在る者を飲み込み腐食と崩壊に導いていく。
自らの居城を壊す行為であっても、寧ろ王にとっては住み良い環境づくりに他ならず、踊る汚泥が一人の猟兵を飲み込んだ。
だが――硬い床に力強く突き立てられる槍は、地面より眩く、太陽の如く輝く炎を噴き上げさ汚染と廃棄物に満ちた大波を塵に還す。
炎が晴れ、穢れを滅した塵の中、神々しい白羽を舞わせながら燦然と立ち槍を構えたオリヴィア・ローゼンタール(聖槍のクルースニク・f04296)の姿が其処に在った。
「悪徳と腐敗の主、糞山の王め……!」
「はん、何で俺ばっかり責められるかねぇ……誰だってやってるだろうに」
「それを是とするのは違う! 過去である貴様には分かるまい! いつか人は必ずそれを乗り越える!」
利便の代わりに自然を汚すのは人の業、されどスカムキングの在り方は違う。ただ利己に依りて自然に消えぬ傷を残す悪魔の所業。
「おーおー、綺麗事いいやがって……むかつくぜ」
オリヴィアのその清廉にして気高き決意を嘲笑うように再び汚泥を嗾けるも、彼女は真っ直ぐに聖槍を構え突貫する。
纏う聖なる激しい輝きは汚泥を物ともせず斬り裂き、幾度となく嗾けられる汚泥の弾丸を灼きながら王に迫り。
「無窮の光よ! 絢爛たる勝利の煌きで天地を照らし、怒りの刃で遍く邪悪を斬り伏せよ!」
昂る聖槍の柄を強く握り、オリヴィアは槍に烈しい輝きを纏わせる。
纏わせた光は物質の領域に至る寸前にまで凝縮し、その莫大極まりない力の奔流は大剣の姿を象り――オリヴィアはそれを力強く振り下ろす。
放たれた金色の波動は、汚濁の領域を豪快に斬り裂きながらその先に在る穢れし王とその愛人すらも巻き込み、その身体を深く裂く――!
斬り落とされた腕を押さえ蹲る王に、彼女は気高く聖剣を振り上げながら決めた。
「ここに腐敗の連鎖は断ち切られる! その化身たる貴様もだ!」
成功
🔵🔵🔴
シーザー・ゴールドマン
【POW】
オド(オーラ防御×毒耐性)を活性化、オーラセイバーを顕在化させて戦闘態勢へ
先制対策
戦闘経験と直感を元にスカムキングの攻撃を躱し、アシュリーの魔法を斬り落として初期の攻勢を凌ぐ。
(戦闘知識×第六感×見切り)
『シドンの栄華』を発動。
オーラセイバーの威力は『破壊の魔力』でオドは『維持の魔力』で強化される。
(先制攻撃×怪力×鎧砕き)(フェイント×2回攻撃×鎧無視攻撃)等
大技は『創造の魔力』で創り出した疑似太陽の一撃。
(属性攻撃:超高温×破魔×範囲攻撃×全力魔法)
そろそろ骸の海に還ると良い。そこで二人仲良く暮らしたまえ。
数宮・多喜
【アドリブ改変・連携大歓迎】
クソッ、強制的に2対1かよ!
しかも魔法と肉弾戦、両方に対応しろだって!?
ええい仕方ねぇ、やれるだけやってみるか!
あのばっちい身体に接近戦を挑むのは癪だけど、
やるっきゃねぇ!
キング本人へは『衝撃波』を織り交ぜた『グラップル』で応戦し、
立ち回りでアシュリーとの位置を調整し『敵を盾にする』。
それでも奴らの連携の方が上手になる事が多いだろうから、
飛び来る魔法の核を【魂削ぐ刃】で斬り散らす!
そうやってできた連携の穴を突いてターゲットを急変更さ!
アシュリーへ肉薄し、一気にラッシュで畳みかける!
さあ、その後はキング、アンタの番だよ!
●剣拳剛豪
硬い床を容赦なく撃ち砕く程に強烈な踵落としが振り下ろされた。
寸での所でそれを後方に跳躍しながら躱すも、避けた女の目に映るのは、汚泥を纏った裸体の女が掌に炎を灯らせていた姿だった。
裸体の女が放った火炎弾の連射がよろけた身体に迫るも、咄嗟に床を転がりながらそれを躱し立ち上がる。
「クソッ、強制的に2対1かよ……!」
数宮・多喜(撃走サイキックライダー・f03004)はゆっくりと立ち上がりながら、相対するや否や二人に分かれたスカムキングとアシュリーの猛攻に歯噛みした。
その歯噛みの一瞬の隙ですらアシュリーは見逃さず、すぐさま破壊の雷を放つが。
「ならば加勢しよう。文句はあるまい?」
その雷を斬り裂き、颯爽と現れた大男シーザー・ゴールドマン(赤公爵・f00256)の姿に場の三人が僅かに驚き。
多喜を一瞥すれば彼女は頷き、軽い礼を交わすように手を互いに軽く上げた。
「負けた時の言い訳用意してやってんだぜ俺ぁよ?」
「良いじゃないかあんた。これで負けりゃ恥ずかしいって寸法さ」
現れた加勢に対しても特に動ずることもなくスカムキングは肩を竦める。
しかし高まる闘気は情け容赦を伺わせず、多喜はシーザーに提案を持ちかけた。
「スカムキングの方は任せな。あのばっちい身体に接近戦を挑むのは癪だけど、やるっきゃねぇ!」
「ではアシュリーの方は任せたまえ」
狙い通り、スカムキングは多喜へ、アシュリーはシーザーへ向かう。
直接触れるのは若干の嫌気が指しながらも多喜は衝撃を織り交ぜた手を以て、圧倒的な剛力に卓越した技で抗い剛拳をいなしつつ。
保有する魔力にモノを言わせた連撃をシーザーは光剣で難なく斬り伏せていく。
このままでは相性が悪いと考えた汚泥の王と愛人は一瞬、目を躱し合うとターゲットを変えて。
アシュリーがくるりと向き直り、多喜に莫大な魔力による光弾を解き放つが。
「……見えたよ、魔法って奴の核が……」
よくぞ狙い通りにやってきてくれた。
静かに、朧気に輝くサイキックの奔流を掌に束ね、必殺の魔力弾を目掛け。
「引き裂け、アストラル・グラインド!」
振り抜かれた多喜の手刀は、膨大な魔力によるアシュリーの破壊弾を容易く斬り裂き、真っ二つに割れた光球が静かに霧散していく。
「――んなっ!?」
「アタシが魔法に対抗できないと思ってたかい!?」
まさか魔法を避けるしかないと思われていた多喜が、避けるのも間に合わぬ規模で放った筈の弾を文字通り斬り抜ける光景に衝撃は隠せず。
呆気に取られたアシュリーの身体を多喜は容赦なく殴りつけ、術の行使も許さない拳の連撃を叩き込む。
それにスカムキングは怒り、飛び蹴りを食らわそうとしてきたが。
「おっと、横槍は無粋というものだ」
鋭く汚泥の大足を斬り飛ばしていた光の刃。
それこそは、破壊の魔力を纏ったシーザーの光剣に依るものであり、無粋な横槍を入れんとしたスカムキングの足を盛大に斬り飛ばしていたのだ。
相手を変えての対処も、シーザーと多喜は元より一人で二人を一度に相手にする手立てはあった以上、愚策と言う他なく。
脚をくっ付け立ち上がる前に、三種の魔力を纏った暴君の如き容赦のない無数の光が閃き、汚泥の身体を斬り刻んでいく。
反撃に拳を打ち付けても、維持の力は纏う光を崩さず拳の威力を完全に殺してしまうばかり。
「それパース! 頼んだよ!」
やがて全身を殴りつけられ、酷い腫れ上がりを見せたアシュリーを多喜がシーザーの元へ巴投げの要領で投げつければ。
その声に静かに頷くと、纏う三種の魔力の最後の一つ――創造の魔力を以てシーザーは掌の上で数多の核を融合し莫大な熱を作り上げ。
「そろそろ骸の海に還ると良い。そこで二人仲良く暮らしたまえ」
その熱の正体に気付いた時にはもう遅く――汚泥の暴君とその愛人は、解き放たれた太陽の圧倒的な熱と光の中に包まれた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
北千住・シャオリン
【北千住・ちくわちゃん(f17794)】
「本体、スカムキングは任せましたよ!」
本体(ちくわちゃん)の穴から上半身を出して
MN-PDW90でアシュリーを牽制して連携を邪魔します
自分が狙われたら本体の穴の中に隠れます
本体が戦闘不能になるくらいダメージを受けるか
攻勢に出られそうならUCを発動します
「分かれた魂ひとつに束ね。力を合わせて悪を討つ。一蓮托生一心同体、心身合体ちくわちゃんG!」
ちくわちゃんGの最大パワーで格闘戦を仕掛けます
スカムキングをアシュリーの方に押して行って二人まとめて相手にします
「砕け必殺ちくわちゃんパーンチ!」
「ビームちくわちゃんキャノン、マキシマムレベルシュート!」
北千住・ちくわちゃん
【北千住・シャオリン(f23171)】
地球の汚染を防いで、いいねをたくさん稼ごう☆
シャオちゃんを穴の中に匿って、二人分の先制攻撃をちくわちゃんボディで受けるよ☆
ウレタンボディは肉弾戦の衝撃を軽減して、内部の鋼鉄フレームは破壊魔法にも対応する盾になるはず
自分が戦闘不能になっても、遮蔽物兼武器として役立てるようにしっかり立ってるよ
敵の攻撃を耐えながら、出来る限り早いタイミングでベルセルクトリガー発動
これなら目に入るものは敵しかいない状態。いっぱい暴れちゃうよ☆
重いボディを活かして、肉弾戦で攻撃!
もし攻撃に耐えられなくても、最後の力を振り絞って根性でUCは発動
これならシャオちゃんが強く戦えるもんね☆
●本日のタイトルは「地球環境の汚染を防いでみた」です
――敵が汚泥で出来た身体の大男の中に、裸体の美女が埋もれているというならば。
その前に現れたのは、中心を空洞とした魚肉の筒の如き巨体の、その穴の中に一人の少女がすっぽりと収まっていた。
現れたどこか対を為しているようにも見える猟兵の姿に、スカムキングとアシュリーは目を数度瞬かせてその姿を見ていた。
「……という訳で、早速地球の汚染を防いで、いいねをたくさん稼ごう☆」
少女を空洞の中に納めている巨体こと北千住・ちくわちゃん(愛よりもいいねが欲しい・f17794)は彼女を突き動かすそれを求めて親指を立てた。
こいつら何か得体のしれないモノを感じる――スカムキングはすぐさま愛人を体の中から出すと、その剛腕を以て殴り掛かり、愛人は両掌から破壊光弾の弾幕を張る。
その狙いはちくわちゃんの穴から顔を出している少女、北千住・シャオリン(ちくわちゃんのヤドリガミ・f23171)――しかしシャオリンはすぐにちくわちゃんの中に隠れると、真っ向から王の拳を受け止めた。
柔軟にして弾力に富み、図らずとも中空式構造は下手に硬い装甲よりもしなやかに汚泥の剛拳を受け止めその衝撃を受け流す。
追い打ちの破壊光弾が幾度となく、ちくわちゃんの身体に打ち付けられても、内部に仕込んだ鋼鉄のフレームはそれをシャオリンに通すことは無く。
とはいえ、ちくわちゃん自身は流石に幹部格の攻撃に多少のダメージを受けているようではあるがまだ問題はない。
愛人アシュリーはいっそのこと焼いてしまおうと詠唱を始めるも。
「本体、スカムキングは任せましたよ!」
咄嗟に穴から顔を出したシャオリンが、連射性に優れた機関砲の弾丸を以てアシュリーを牽制しつつ。
その弾丸を物ともしない汚泥が剛拳でシャオリンの首を圧し折ろうとしても、ちくわちゃんがその体の中に彼女を隠ししなやかな身体を以て護り抜く。
スカムキングの猛攻を必死で受けるちくわちゃんだが、やがてはその柔軟な身体にも限界が来たか。
「後はお願い……!」
ここが潮時と一つ吠え、全ての理性と引き換えに力を解き放つ。
余すところなき巨体の力を以て、スカムキングを吹き飛ばしながら、別たれた魂に全てを託す。
その魂は……何も言わずに、ただ頷いた。
「分かれた魂ひとつに束ね。力を合わせて悪を討つ。一蓮托生一心同体、心身合体ちくわちゃんG!」
――かつて銀河帝国での喧伝用に作られし機体があった。
何の因果かそれは世界を渡り歩き、時の流れを得て魂が宿り。
その魂とそれが宿った機体は――今、ここに一つとなり強力無比な戦闘機士となって降臨す!
「天上天下一機当神! 私達を阻める敵なんていません!!」
「「む、無茶苦茶だぁー!?」」
「砕け必殺ちくわちゃんパーンチ!」
余りにも予想外――その光景に恐れを為す王と愛人に構うこともなく。
動きはどこまでもしなやかに、されど打ち付ける拳は何処までも重く、アシュリーの身体をその衝撃で複雑骨折に追いやり、果てぬ衝撃はスカムキングの所まで彼女の身体を吹き飛ばし彼ごと壁際に追いやる。
それを確認すると、スーパーロボットはアタッチメントを取り付けて変形する……!
「エネルギー充填100.090(ちくわ)%! システム・オールグリーン、ターゲット・ロックオン!!」
ちくわちゃん自身を砲身として発動する必殺の砲撃。
天上天下、この力に晒され無傷で要られる者、何処にも無しと謳われる膨大なエネルギーを激しい痛みで動きを止められたスカムキングとアシュリーに向けて。
「ビームちくわちゃんキャノン、マキシマムレベルシュート!」
目を見開き、その処刑宣告に気付いた時には最早手遅れに他ならず。
シャオリンが引鉄を一気に引くと、ラブ・キャナルに満ち溢れた淀んだ空気すらも滅する程に凄まじき波動が迸り。
互いの名を呼び合う悲鳴をも掻き消し、汚泥の王とその愛人を吹き飛ばすのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ウィーリィ・チゥシャン
確かにキリのない堂々巡りかも知れない。
それでも少しずつ前に進む事でいつかこの連鎖も終わる時が来る。
だから、その『いつか』へ繋がる『今』を守るために戦うまでだ。
二人の油断を誘うために敢えて一人で挑戦する。
鉄鍋の【盾受け】でアシュリーの魔法攻撃を防御し、身動き出来ないところへキングの一撃をマトモに喰らう
…ように見せかけてその攻撃を【見切り】、【フェイント】でボロボロになった鉄鍋を【シールドバッシュ】で投げつけるように奴の拳に叩きつけ、それを囮にキングの懐に飛び込み【カウンター】で炎の【属性攻撃】を付与した大包丁の【二回攻撃】を叩き込み、至近距離から【神火の竈】の業火で汚染物質ごと奴を焼き払う。
●ワルツとマーチ
「お一人様かい?」
「ああ。だが俺一人で十分だ。地球を汚すお前のような奴はな」
嘲笑うスカムキングの声にウィーリィ・チゥシャン(鉄鍋のウィーリィ・f04298)が答えた。
相棒の少女はいない、だが勇気はこの胸に――汚泥の身より分離したアシュリーの放つ無数の破壊光弾を真っ向から鉄鍋で受ける。
負傷で弱ってるといえど流石というべきか、衰えを知らぬ光弾の衝撃に動くことすら叶わず、次第に鉄鍋にヒビが入っていく。
「諦めな! 俺一人倒したって変わらねぇよ!」
「確かにキリのない堂々巡りかも知れない」
繁栄の裏にある腐敗。
腐敗を省みて、繁栄しまた腐敗が潜む無限の円環、それはこの汚染の王を幾度となく倒しても蘇るように。
「それでも少しずつ前に進む事でいつかこの連鎖も終わる時が来る」
腐敗を断ち斬り、繁栄と反省の二拍子とする為に。
「だから、その『いつか』へ繋がる『今』を守るために戦うまでだ」
「なっ」
スカムキングの拳をそのまま喰らうと見せかけて、破壊の光弾を幾度となく受け続け悲鳴を上げていた鉄鍋を彼の拳に投げつける勢いで叩き付ける。
ヒビの入った鉄鍋が汚濁の拳に腐食し、崩れ落ちるが、予想外の反撃に慄いたスカムキングのその懐に――覚悟を決めて潜り込み。
新たに魔手がその身体に迫る前に。
大包丁より業火を噴き上げ、昇り竜の如き盛大な斬り上げを以て腕を斬り飛ばし、踊る業火が汚泥の身を蒸発させる。
「て、てめぇ……一体……がふっ」
「最初に火を手にした人類が叫んだ存在(モノ)だ」
斬り飛ばされ、熱傷に苦しみつつも腕を抑える王の問に静かにウィーリィは答える。大包丁に更なる爆炎を盛らせながら……即ち。
「『我こそは料理人なりィィイイイーーーッッ』!!」
紅き炎は二度燃える。
迸る原初の火炎<プロメス>は人の幸福を望む少年料理人の意志に呼応し、天すらも焼き払う程に舞い踊り。
穢れに満ち溢れた愚王とその愛人を灰塵に――否、その灰塵すらも焼き尽くすほどに盛っていき、身勝手な王は骸の海に還っていくのだった。
大成功
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