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闇へ誘う魔刻卿

#スペースシップワールド

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#スペースシップワールド


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●渦巻く陰謀
 スペースシップワールド。そこは、かつての悪辣な銀河帝国との戦いで、全ての居住可能惑星を失った宇宙世界。
 広大な宇宙を漂う巨大な宇宙船が、この世界に生きる者達の新たなる希望。
 だが、そんな希望の中にあっても、よからぬことを企む輩はいるものだ。宇宙船内の、どことも知れぬ薄暗い場所にて、彼らは漆黒の衣を纏った不気味な騎士を前にしていた。
「……計画の進み具合はどうか?」
 低く、押し殺したような声で、騎士が尋ねた。その問いに対し、頭を垂れていた男の一人が、視線はそのままに答えを返した。
「順調でございます。既に、内部の者を何名か懐柔し、我らの協力者として動かしております」
「そうか……だが、我々に残された時間は少ない。一刻も早く、我が彼岸を……『魔刻の騎士団』を再興するのだ」
「ハッ……。魔刻卿の、仰せのままに」
 部屋の中に漂う不穏な空気。銀河帝国の末裔を名乗る者達の恐るべき計画は、水面下で着々と進行していた。

●魔を刻む帝国騎士
「……と、いうわけで、今度はスペースシップワールド世界で、オブリビオンが事件を起こそうとしていることが予知されたわ」
 大至急、現場に赴いて事件を未然に阻止して欲しい。そう言って、パトリシア・パープル(スカンクガール・f03038)は、事件の詳細について説明を始めた。
「今回、事件を起こそうとしているのは、銀河帝国の末裔を名乗る人達ね。まあ、本当に末裔なのかどうか、かなり疑わしい部分もあるんだけど……」
 彼らはオブリビオンではなく、あくまで一般の人間に過ぎない。恐らくは、怪しい宗教団体や過激な思想家、もしくは自分が帝国の末裔と信じて疑わない狂信者のような集団なのだろう。
 彼らは巨大な宇宙船のどこかに潜伏し、内部から破壊工作を目論んでいる。その一環として、どうやら何も知らない住人達を言葉巧みに騙し、自らの手駒にしようとしているようだ。
「こんな計画、いくら帝国の末裔を名乗る人達とはいっても、そう簡単に実行しようとは思わないはずよ。背後には、帝国騎士のオブリビオンがいるのは間違いないわね。きっと、手駒にした人達を教育して、戦力の拡大をするつもりなのよ」
 スペースシップを内部から破壊する工作も、そのステップのひとつに過ぎないのだろう。あくまで憶測の域を出ないが、仮にこれが本当だった場合、放っておける事態ではない。
「彼らの拠点がどこなのかまでは、残念だけど予知できなかったのよね。でも、諦めたら駄目よ。拠点が分からないなら探せばいいし、親玉が出てこないなら、こっちから見つけに行けばいいんだから」
 まずは、とにかく帝国の末裔を名乗る者達や、彼らに協力する住民を見つけ出し、敵の拠点を発見せねばならない。見つけ次第に叩き伏せて強引に居場所を聞き出すも良し、尾行して拠点を見つけ出すも良し。その上で、協力者を偽って拠点へ潜入し、内部から破壊工作を試みるのも良いだろう。
「拠点を突き止めたら、次は帝国騎士の居場所を探らないといけないわ。なかなか用心深い性格みたいだから、帝国の末裔を名乗る人達の拠点とは、別の場所に身を隠しているみたいなのよね」
 だが、それでも見つけ出す方法はある。敵はこのスペースシップに潜入する際、強引なクラッキングを試みたらしい。その際の痕跡を辿るか、あるいは拠点付近の張り込みや聞き込みなどで怪しい者を見つけ出すかして、帝国騎士の居場所を突き止めることは可能なはずだ。
 もっとも、見つけたからといって、当然のことながらそれだけで事件は解決しない。事件の黒幕である帝国騎士を倒さない限り、スペースシップに平和は訪れない。
「今回の事件……裏で糸を引いているのは、『魔刻卿』とか名乗ってる帝国騎士みたいね。剣だけじゃなくて、念動力を使った技も得意な上に、したたかで狡猾なところもある厄介な相手だわ」
 その力は念動力を帯びた斬撃を飛ばして遠くの相手を斬り裂いたり、赤いオーラを纏って俊敏に動きながら放電攻撃を仕掛けたり、果ては念動力の帝国旗を使って自らを強化しつつ戦ったりと、実に厄介で多種多様。
「何も知らない人達を騙して、悪者の手先にしちゃおうなんて、許せないわよね! そんなこと、絶対にさせちゃ駄目なんだから!」
 悪辣なる銀河帝国による、暗黒時代の到来を防ぐのも猟兵の仕事。そう続けて、パトリシアは猟兵達を、スペースシップワールドへと転送した。


雷紋寺音弥
 こんにちは、マスターの雷紋寺音弥です。

 帝国軍の末裔を名乗る者達が、帝国騎士のオブリビオンと手を組んで、スペースシップ内部での破壊工作を目論んでいます。
 第一章では、まず敵の拠点を見つけ出し、制圧してください。
 なお、各能力値で行える行動は、以下の通りです。

 【POW】協力者又は末裔を名乗る者見つけ出し、力付くで隠れ場所を聞き出す。
 【SPD】協力者又は末裔を名乗る者見つけ出し、跡を付ける。
 【WIZ】協力者又は末裔を名乗る者見つけ出し、協力者と偽り内部侵入する。

 続く第二章で、拠点に残された痕跡や、拠点周囲の聞き込みなどを通して、事件の黒幕である帝国騎士の居場所を突き止めます。
 第三章で、事件の黒幕である帝国騎士『魔刻卿』との戦闘になります。
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第1章 冒険 『仇なすレジスタンスに鉄槌を』

POW   :    協力者又は残党を見つけ出し、力付くで隠れ場所を聞き出す

SPD   :    協力者又は残党を見つけ出し、跡を付ける

WIZ   :    協力者又は残党を見つけ出し、協力者と偽り内部侵入する。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

シャレム・アルカード
【POW】
かつての帝国の末裔か……過去の栄光にすがる愚か者よな。
あ、今我の発言ブーメランだろって言った奴は後でコンテナ裏だからな。

こほん。
我はシップ内部で末裔共に挑発行為を行い、関係者を人気のない場所に誘い出すぞ。【存在感】
業腹だが、この我の容姿を見れば子供と侮ってしかけてくる者もいよう。
だが、襲われることは折り込み済みよ。
物理攻撃は【霧化】で回避し、すかしたところをすかさず【怪力】で押さえ込んでやろう!

後は適当に締め上げて情報を吐かせるだけというわけだな。強情な者もいるかもしれんが、根気よく締め続ければいずれ吐こう。


テリブル・カトラリー
【POW】
帝国は既に滅んだ。ああそうだとも、
いまさら残党などと、そんなモノ、受け入れる訳にはいかない。

まず極力目立たない用に変装等も駆使して行動し
破壊工作に適している場所を中心に
聞き耳等も使って情報収集。

怪しい者を発見したならば即座に取り押さえ力づくで隠れ場所を聞き出す。
お前達の拠点は何処だ?と良いつつ包帯で腕と縛りあげ、口を割らなければ
私はウォーマシンだ。それがどういう事か、分かるか?
と怪力で片足を折れない程度に掴み恐怖を与える。

口を割ったなら足も縛り上げ仲間の猟兵にも報告、
拠点場所を共有し拠点へ殴りこむ。

もし嘘だった場合、
とりあえず足を折ってからまた聞き直しか、別のを見つけ出そう。


マハティ・キースリング
元帝国兵の経歴が役立ちそうだな
酒場行こうか
我こそが真の帝国親衛隊だと、末裔を騙る者など名ばかりの無能力者共だと騒ぎ立てる

こんな才無き、クローン騎士にすら適さない人型が帝国兵…?
暫く見ないうちに随分と質が落ちたな

掛かったら人気の無い場所に連れ立ち
威嚇としてUCで星を落とす

口だけで帝国騎士になれるのなら誰にでも出来る
力こそ全て、それが誠だと言うのなら身を以って示してみろ

出来ないのか?
では皇帝の威光を貴様らに見せよう
今ここに星を落とす、個の意思で宙のチリさえ操る
それが遍く星々に君臨する暴君、銀河帝国軍だ

勿論ここは宇宙船
船外に設置した砲塔で迎撃するか、掠める軌道を取らせる

似非に用は無い、奴等は何処だ



●銀河帝国の残滓
 かつて、この宇宙を恐怖と暴力で支配した銀河帝国。だが、そんな帝国の存在も、今となっては遠い昔。彼らの残した爪痕は宇宙の各所に存在すれど、人々の記憶としては、既に御伽噺か寝物語に等しいもの。
 しかし、そんな帝国の末裔を名乗り、あまつさえ勢力の拡大を試みる者達がいる。人知れず、水面下で力を増す不気味な存在。破壊と殺戮の歴史を繰り返さんとする反乱分子を見つけるべく、猟兵達はスペースシップの酒場へと向かった。
「かつての帝国の末裔か……。過去の栄光にすがる愚か者よな」
「ああそうだとも。いまさら残党などと、そんなモノ、受け入れる訳にはいかない」
 シャレム・アルカード(小さな暴君・f09897)の言葉に、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)が静かに頷いて答える。だが、その隣に立つマハティ・キースリング(はぐれ砲兵・f00682)は、どこか複雑な表情のまま押し黙っていた。
 そう、帝国は滅びたのだ。それも、遠い遠い、遥かな過去に。帝国の末裔を名乗ることは、即ち古代王族の末裔を名乗るに等しい程に。
 だが、それならば、自分はいったい何者なのだろうと、マハティはしばし考えた。
 帝国など、今の時代にはオブリビオンとしてしか存在していない。それでは、自分の知る帝国もまた、オブリビオンとして悠久の時の彼方より復活を遂げた者達だったのであろうか。
 まあ、考えていても仕方のないことだ。帝国の末裔を騙る者達を締め上げ、その裏で糸を引くオブリビオンと対峙すれば、何か判ることがあるかもしれない。
 まずは情報収集もかねて、酒場へ行くことが先決だろう。それも、大通りにあるような酒場ではなく、賞金稼ぎや胡散臭い商人などが常駐している裏通りの酒場へと。

●末裔を騙る者
 酒場の扉を開けると、そこにいる者達の視線が一斉に猟兵達へと向けられた。
 余所者が、こんな場所に何をしに来た。言葉には出さずとも、その場にいる誰もが視線でそれを訴えている。
 だが、ここで怯んでは話にならない。それに、この状況は考えようによっては都合がいい。良くも悪くも、相手の興味を引いている以上、先に動いた者がイニシアチブを握ることになる。
「フハハハ! どいつも、こいつも、シケた面をしておるのう!」
 開口一番、シャレムは酒場で屯す者達を、小馬鹿にするような態度に出た。
「なんだぁ、テメェは? ガキが調子に乗ってんじゃねぇぞ!」
 案の定、血気盛んな者達が食いついてきたが、しかし彼らが帝国の末裔を名乗る者かどうかまでは、残念ながら分からない。ならば、より分かり易く彼らの神経を逆撫でしてやれば、自分から名乗り出るだろうと踏んでマハティが仕掛けた。
「黙れ! 我こそは、真の帝国親衛隊だ! どうやら、この酒場には末裔を騙る不埒な者がいるようだが……そのような連中こそ、名ばかりの無能力者共に違いない」
 帝国は既に滅びたと、笑うならば笑えばいい。それでも帝国親衛隊として培った力は、未来永劫消えはしない。
 普通の者が聞いたのであれば、単なる狂言として一生に付したまま相手にもしなかっただろう。しかし、そんな彼女の言葉を聞いて、何人かの男達が徐に立ち上がった。
「帝国の親衛隊だぁ? ……その話、本当なんだろうな?」
「嘘は感心しねぇぜ? もし、本当だって言うのなら、その証拠を見せてもらおうじゃねぇか」
 とりあえず、外で話を聞かせてもらおうか。そう言って凄む男達の様子に、シャレムとマハティは確信した。
 間違いない。この男達の背後には、帝国騎士のオブリビオンがいるはずだ。
 そちらが望むのであれば、証拠とやらを見せてやろう。それだけ言って、マハティは男達を酒場の外に連れ出すと、テリブルの待つ路地裏へと案内して行った。

●騙りの代償
 路地裏へ男達を誘導し、それから先は早かった。
「おい、こんな場所へ連れて来て、いったい何を……ぐぁっ!?」
 男達が何かを訪ねるよりも先に、物陰から飛び出して来たテリブルが、その内の一人の腕を包帯で縛り上げたのだ。
「この野郎! 何しやがる!!」
 残った者が近くにいたシャルムに、半ば八つ当たり的に拳を振るった。だが、一瞬にして霧となったシャルムの身体は、何度殴っても拳が素通りするだけで手応もなかった。
「フハハハ! 効かぬなあ!」
「くそっ! このガキめ、妙な技を……うげっ!?」
 シャルムに気を取られていた男もまた、テリブルによって後ろから拘束された。その上で、テリブルは改めて、動けなくなった男達を問い質すが。
「お前達の拠点は何処だ?」
「…………」
 やはりというか、男達からの返事はなかった。彼らは歯噛みしつつも案内役のマハティを睨みつけている。もっとも、彼女は男達に哀れみの視線を向けることはおろか、何ら手を差し伸べる素振りさえも見せなかったが。
「こんな才無き、クローン騎士にすら適さない人型が帝国兵……? 暫く見ないうちに随分と質が落ちたな」
「ふざけるな! てめぇら……こんな真似して、魔刻卿が黙っているとでも思うのか!?」
 挑発に乗って、魔刻卿の名前さえも軽々と出してしまう男達。どうやら、彼らは組織の末端らしく、頭もさして回らないようだ。
「口だけで帝国騎士になれるのなら誰にでも出来る。力こそ全て、それが誠だと言うのなら、身を以って示してみろ」
「くっ……な、なにを……」
 マハティに促され、拘束を解こうと暴れる男達だったが、当然のことながらできるはずもない。ならば、今から皇帝の威光を見せてやろうと、マハティは更に畳み掛けた。
「出来ないのか? では、皇帝の威光を貴様らに見せよう。今ここに星を落とす。個の意思で宙のチリさえ操る。それが遍く星々に君臨する暴君、銀河帝国軍だ」
 無論、この宇宙船内で星など降らせようものならば、それは大惨事に繋がり兼ねない。あくまで、小惑星やデブリなどを破砕する砲塔で砕けるレベルのものを呼び寄せんとするマハティだったが、男達は懐疑的な視線を向けるだけだ。
 まあ、それも無理のない話だろう。本当にこの場で星を降らせるわけにはいかず、かと言って宇宙船の外に星を引き寄せたという事実を、今の彼らに伝えるための術もないのだから。
 やはり、ここはよりシンプルで、分かり易い力の差を見せつける他にない。それも、抵抗することさえ馬鹿らしくなるような、圧倒的な力の差を。
「私はウォーマシンだ。それがどういう事か、分かるか?」
 それだけ言って、テリブルが男の足を圧し折れんばかりに掴み上げた。
「ぎゃっ!!」
 思わず悲鳴を上げて足を押さえる男だったが、それでもテリブルは力を弱めない。このままでは本当に折れてしまい兼ねない程に、指を食い込ませて締め上げる。
「わ、分かった! 俺達の拠点に案内する! それでいいんだろう!?」
 もはや、完全に降参した様子で、男は早々にして心が折れたようだ。もっとも、少しでも帝国のことに詳しい者であれば、、ウォーマシンの恐ろしさもまた知っているのは当然のこと。
「さて……私は他の者にも連絡をさせてもらう。拠点で落ち合う戦力は、大いに越したことはない」
 敵の戦力が不明な以上、今のメンバーだけで突入するのはあまりにも無謀だ。そう、制するように告げるテリブルの言葉に、異論を挟む者はいなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

花巻・里香
末裔と言っても一般人なのね
ということは殺傷はしない方が良いのかしら?
殺っても良いのなら制圧手段に色仕掛けからの蟲惑魔法(もげろの呪詛も込めて)も挙がるけれど

方法:
私は協力者又は末裔を名乗る者を色仕掛けで誘惑し、魅惑の外装人形で誑かしましょ。
酒場など鬱憤を晴らす場所で末裔等と漏らしている人が見つかれば良いのだけれど。
そうして魅惑の外装人形のフェロモンで協力者を自由に操る魅了に成功したなら協力者と共に堂々と拠点への侵入するわね。
(操らずとも誘惑だけの方がより自然かもしれないわね。抵抗するならの一押しに)
同席理由?そうね勿論楽しむためよ?あなた達(拠点内の協力者達)も一緒にどうかしら?。(色仕掛け)



●花蟷螂の誘惑
 酒場に屯す胡散臭い連中の中から、シャルムやマハティ達が帝国の末裔を名乗る者を連れ出していた頃。
 同じく、酒場にて情報を集めていた花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)は、しかし彼らと同行することをしなかった。
(「末裔と言っても一般人なのね……。ということは、殺傷はしない方が良いのかしら?」)
 下手に暴れて騒ぎを大きくし、帝国騎士に気付かれてはならないというのが彼女の判断だった。それ故に、彼女は酒場に残ったのだ。未だこの場所に潜伏する、帝国騎士への協力者を見つけ出すという目的も含めて。
「騒がしい連中だったわね。折角のお酒が、不味くなっちゃうわ」
 そう、誰に告げるともなく呟いたところで、一人の男が彼女の隣に腰を掛けた。
「まったくだ。だいたい、帝国の末裔を名乗るのであれば、もう少し品格と知性というものをだな……」
 こちらから何も聞いていないのに、男は里香に向かって愚痴を零し始めた。どうやら、かなり飲んでいるらしい。先程の荒くれ者のような連中に比べ、見た目だけはキザな色男といった感じだが。
「あら? もしかして、あなたも帝国の末裔を名乗る人なのかしら?」
「無論だ。しかし、あのような連中と一緒にされては不愉快だな」
 里香の問いに、男は不機嫌そうな顔のままグラスを置いて答えた。やはり、この酒場には、まだ帝国の末裔を名乗る者が残っていたようだ。
「お気に障ったのなら、ごめんなさい。実は、私も少し帝国に……いえ、あなたに興味があってね。よかったら、この後もご同席させていただけるかしら?」
 相手が食いついて来たところで、里香は一気に押しにかかった。この手の男は一見して攻略が難しそうに思えるが、しかし飲んでいるなら話は別だ。好奇心旺盛で刺激を求めるような女を演じれば、組織の同士というよりは、男の個人的な相手として内部に入り込むことも容易いはず。
「君のような女性が、帝国に興味があるとはな。見たところ、特に何らかの思想を持っているわけでもなさそうだが……」
「同席理由? そうね、勿論楽しむためよ? それに、あなたとだったら、素敵な時間を過ごせそうな気もするし……」
 そう言って里香が身体を寄せたところで、男の表情が一変した。
 今までの緊張が嘘のように解かれ、まるで彼女の操り人形と化したかの如く、キザな優男が女を口説く時のそれに変わっており。
「……君は、なかなか面白い女性だな。いいだろう。私と一緒に、来るがいい」
「うふふ、感謝するわ。帝国の……いえ、なによりも、あなたの同士として、色々と楽しませてちょうだいね」
 男が会計を済ませたところで、里香は彼の腕を取り、そのまま店の外へ出る。傍から見れば、一夜の恋に燃える男女にしか思えなかったが……しかし、既に里香の仕掛けた罠は、男の腕だけでなく心までをも絡め取っていた。
 蟷螂は、美しい花に化けて鎌を研ぐ。自分の喉元に刃が迫っていることも知らず、男は里香を連れて、夜の街へと消えて行った。

大成功 🔵​🔵​🔵​

レイチェル・ケイトリン
わたし、背は高いほうだし、ちょっとおとなびたお化粧して、
むかしのことを勉強してる、大学の歴史学部ってとこをまわってみるね。
そういう人たちならむかしのことに興味ありそうだし。

「先日、亡くなりました母が言い遺したんです」
「あなたは『銀河帝国の騎士』に仕えた誇り高き『炎の戦乙女』の血筋」
「こんな時代だけどそれはおぼえていて……と」
「でも、調べてみてもなんのことかわからなくて……」

と言って相談してまわるね。

へんなひとがでてきてこころあたりをきかれたら
念動力技能とパイロキネシスで炎をいろいろとだすよ。

「なぜかつかえます。お料理くらいしかしたことないのですけれど」

そういって、さそわせて内部潜入してみるね。


テリブル・カトラリー
取り押さえた男達から情報を聞き出しつつ拠点へ乗り込み開口一番。

お前達が銀河帝国の末裔を名乗るテロリストである事は分かっている
大人しく御縄につくなら良し、そうでないのなら力づくで取り押さえる。
と言いつつ視力と聞き耳も併用で情報収集。
一番強そうな者、もしくは一番頼られている者をマーク。

士気を下げるには上を倒すのが一番だろう。
制圧するにあたってまずそいつらの無力化から始める。
邪魔する者は怪力で地面や床に叩きつけ、
攻撃はスクラップフィストで武器受けか掴んだ敵を盾にして防ぎながら
ブーストダッシュでなぎ払い突き進み
必要ならUCも使い実力者を死なないよう気をつけつつ制圧。
敵集団の士気を挫きながら制圧を続行



●戦乙女の血
 他の猟兵達が場末の酒場に目を付ける中、別の視点から事件を探っていたのはレイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)だった。
 彼女が向かったのは、スペースシップ内で歴史を研究している施設である。そもそも、反乱だの革命だのというものは、インテリを自称する者が扇動することも多い。遥か昔に滅びた帝国の名を騙るのであれば、史学にも詳しいはずであると。
 果たして、そんな彼女の勘は正しく、帝国の名を出すことで食いついて来た者達がいた。その大半は何の関係もない学者の未習いであったが……一人だけ、妙にインテリ風を吹かせる、選民的な考えの青年が混ざっていた。
「それで……君はどうして、帝国に興味を持ったんだい?」
 場所をカフェに移したところで、眼鏡を掛けた青年は慇懃な態度を崩さずに尋ねた。
「先日、亡くなりました母が言い遺したんです。あなたは『銀河帝国の騎士』に仕えた誇り高き『炎の戦乙女』の血筋。こんな時代だけどそれは覚えていて……と」
 それだけ言って、レイチェルは青年から視線を逸らし、俯いた。何も知らない者を装うための素振りも相俟って、青年のレイチェルに対する警戒心は、徐々にだが確実に崩れて行った。
「調べてみてもなんのことかわからなくて……歴史に詳しい方なら、何かご存知かと……」
「なるほど……。そういうことなら、力になれるかもしれないね」
 何故なら、何を隠そう自分も帝国の末裔なのだから。そう、小声で囁くように告げた青年の瞳には、いつしか淀んだ闇が広がっており。
「君さえ良ければ、僕達、帝国の末裔の集まりに顔を出さないか? そこでなら、詳しい話を聞かせてあげられるよ」
「ほ、本当ですか! 是非、お願いします!」
 青年の言葉に、レイチェルは晴れやかな表情になって顔を上げた。それを見た青年は心の中で邪悪な笑みを浮かべつつも、一緒に来るようレイチェルに促した。
(「どうやら、上手く行ったようね……。他の人達も、ちゃんと接触できているといいけど……」)
 単身、敵の拠点へと踏み込むことに少しばかり緊張を覚えつつも、レイチェルは他の猟兵達の行動を信じて、青年の後を追って行った。

●拠点制圧
 敵の拠点に辿り着いてしまうと、そこから先は早かった。
「おい、どうした? いったい何があ……ぐぇっ!?」
「し、侵入者だ! 応戦し……うごっ!!」
 酒場で屯していた連中をしばき倒して案内させた者達が、正面から拠点を潰して行く。見張り役の者達を一瞬にして無力化したのを皮切りに、更に拠点の奥へ、奥へと攻め込んで。
「フハハハ! どうした? 帝国の末裔とやらの実力は、そんなものなのか?」
「……下らない。この程度の力で、帝国軍を名乗るんじゃない!」
 残りの抵抗勢力も、次々と叩き伏せられて行く。末裔を名乗っているとはいえ、所詮は一般人に過ぎない者達。ユーベルコードの類も使えず、大した武器も持たないとなれば、猟兵達との実力は雲泥の差。
「ふむ……しかし、全てを相手にするのも面倒だな。できれば、この組織のリーダーを捕えたいところだが……」
 巨大なアームで飛び交う銃弾を防ぎつつ、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は辺りの様子を見回した。見たところ、単なる烏合の衆に過ぎないが、しかし必ずどこかで指揮を執っている者がいるはずだと。
「くそっ……ここまで来て、邪魔者に感づかれるとはな……」
「仕方ない。ここは一度、魔刻卿のところまで退くとしよう」
 果たして、そんな彼女の考えは正しく、組織の士気を執っているのは二人の青年だった。
 眼鏡をかけたインテリ風の男と、キザな雰囲気を漂わせるイケメンの二人。しかし、彼らは気付いていなかった。組織の中に猟兵の牙をもたらしたのは、自分達も同様であったということに。
「あら、逃げるのかしら? でも、残念ね。あなた達は、もうチェックメイトを外せないわ」
 気が付けば、細く鋭く伸びた光の糸が、青年達の身体を拘束していた。
 目の前で妖艶に微笑む美女の姿は、まるで蜘蛛か蟷螂の如く。それでも強引に振りほどいて逃げようとする二人だったが、そこはレイチェルがさせなかった。
「もう、逃げ場はないよ。わたし達を誘った時点で、あなた達の負けだから」
 唯一の逃げ道である裏口を、彼女の放った炎が包み込む。これでは、もはや退路としては意味を成さず。
「くそっ! やはり、遊び半分で話に乗ってくるような女を信用するべきではなかったか!」
「まさか、僕達に近づくためだけに、帝国の末裔を騙る者がいるとはね……」
 歴然たる実力差を前にして、組織の長を務める青年達も、完全に降参したようだった。
「こちらの制圧は完了した。そちらはどうだ?」
「もんだいないわ。ちゃんと、殺さないで捕まえたから、安心して」
 アームに敵を掴んだまま問い掛けるテリブルに、レイチェルが青年達を指差して答えた。
 これで、作戦の第一段階は成功だ。しかし、まだ全てが終わったわけではない。
 彼らを扇動し、自らの戦力を増強しようと目論む魔刻卿。その居場所を掴み、撃破せねば、脅威を完全に払拭することにはならないのだから。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 冒険 『クラッキング未遂事件』

POW   :    船内で聞き込み。場合によっては聞き込みの対象を脅してでも情報を集める。

SPD   :    関係者の身元調査や怪しい者の尾行などで潜入者を特定する。

WIZ   :    ハッキングや魔法でクラッキングの痕跡を探る。

👑11
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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●魔刻卿の居場所
 帝国の末裔を名乗る者達の拠点を制圧し、猟兵達は彼らのテロ行為を未然に防ぐことに成功した。
 だが、それで全てが終わったわけではない。この事件の裏には、間違いなくオブリビオンが関与している。魔刻卿の名を持つ帝国騎士。その居場所を探ろうと尋問を続ける猟兵達だったが、しかし末裔を名乗る者達は、頑なに口を割ろうとはしなかった。
「我々とて、腐っても帝国の末裔だ。忠誠を誓った者を、そう簡単に売るわけはなかろう」
「だいたい、俺達は魔刻卿殿がどこにいるのか、本当に教えられていねぇんだ。だから、どれだけ痛めつけたところで、な~んにも教えてやれねぇぜ!」
 反抗するための力を奪われているとはいえ、それでも心は折れていないということか。彼らの尋問を続けても良いのかもしれないが、それだけに頼っていては埒が明かない。
 まず、最初に考えられるのは、地道に船内を捜索すること。時には少しばかり強引な手段を使うことも覚悟して聞き込みを続けるか、もしくは船内で怪しい者を発見したら、その後を気付かれないよう注意して尾行するか。
 あるいは、敵がこの船に乗り込んだ際に行った、クラッキングの痕跡を逆に辿るのも良いだろう。少しばかり技術がいるが、上手く行けば一気に敵の居場所を割り出すことも可能かもしれない。
 帝国の復活を目論む魔刻卿。その企みを阻止すべく、猟兵達はそれぞれの思い付く限りの方法で、新たに捜索を開始した。
テリブル・カトラリー
【POW】
私は…捕まえた奴らから情報を聞き出すか。
(帝国の末裔を名乗る者がウォーマシンに捕まる、か。笑い話にもならんな)
脅しや痛みつける前に、一応説得を試みておこう。

帝国は既に滅んでいる。
今更、帝国を再興する事は、
少なくない無辜の人間の血が流れるという事だ。
その中にはお前達の家族や隣人もいるかもしれない。
そうまでしてお前達は帝国の再興を目指すと?

言い淀むようなら、まだ戻れる筈だ。
だが誰が死のうが構わないというのなら、
それも良いだろう。こちらも、それなら尋問がしやすい。

下っ端から順番に怪力で持ち上げ別室へ隔離し尋問に入る。
荒っぽい仕方になるが、その方が他の奴らにも恐怖を与えやすいだろう。


花巻・里香
尋問:
【魅惑の外装人形】の対象を自由に操るフェロモンで、ペラペラと素直にさせてみましょ。
魔刻卿のことだけでなく気になるところはないかしら?。
隠し部屋のようなものがあれば、何がヒントなるかわからないものね。
ホントに何も知らないようだったら、フェロモンを散らし船内の動物達(昆虫含む)を誘き寄せて、動物達にも話を聞いてみましょ
帝国のテロは爆弾騒ぎだったりと広範囲に巻き込むものあなた達(動物)だって関係のない話ではないわよ。

探索:
尋問の成果もなく動物もいないようなら【蘭花の饗宴】で呼び出した無数の蜂達を船内に散らして探索、随時誘引フェロモンで誘き寄せた蜂達(動物)と会話で船内の様子を探るわね。



●尋問と誘惑
 帝国の末裔を名乗る者達を打ち倒し、猟兵達は見事に彼らの拠点を制圧した。
 だが、本当に面倒なのはこれからだ。彼らは所詮、末端の兵に過ぎない。背後にて指示を出していたのは帝国騎士。魔刻卿を名乗るオブリビオンを倒さねば、この戦いは終わらない。
(「帝国の末裔を名乗る者がウォーマシンに捕まる、か。笑い話にもならんな」)
 制圧時に捕縛された者達の姿を横目に、テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)は皮肉気な視線を送りながらも、心の中で呟いた。
 ウォーマシンは、かつての大戦で活躍した、人型戦闘兵器である。帝国の末裔というのであれば、ある意味では彼女達、ウォーマシンの方が相応しい。
 そんなウォーマシンの手によって、帝国の末裔を騙るテロリスト達が制圧される。これを皮肉と言わず、なんと言おうか。もっとも、そうしているだけで情報が手に入るのであれば、こんなに楽なことはないわけで。
「帝国は既に滅んでいる。今更、帝国を再興する事は、少なくない無辜の人間の血が流れるという事だ」
 その中には、もしかすると自分の家族や隣人が含まれるかもしれない。それでも、帝国の再興にこだわるのか。自らの野望のために、親しい者や身内さえも、犠牲にすることを厭わないのかと、テリブルは尋ねた。
 これで言い淀むようであれば、彼らにはまだ希望が残されている。しかし、そんな彼女の予想に反し、返ってきたのは非情なる言葉。
「……ハッ! 家族なんて、とうの昔に死んじまったよ。今では、ここにいる連中が、俺にとっての新しい家族さ!」
「その通りだ! 我らの結束を甘く見るな! 帝国に従わぬ者には、死、あるのみ!」
 いったい、何が彼らをそうまでして突き動かすというのだろうか。半ば呆れ気味に溜息を吐いたテリブルだったが、ある意味では尋問がしやすくなったとも言える。
「……なるほど。そういうことなら、こちらも尋問することに躊躇いはなくなった」
 その新年、その決意、どこまで保てるか見せてもらおう。目の前にいた男を別室へと連行し、テリブルは中から鍵をかける。その後、扉の向こう側から男の悲鳴が聞こえたような気もしたが、それはそれ。
「なるほどねぇ……。まあ、私は私のやり方で、情報を聞き出してみようかしら?」
 部屋の中で行われていることを想像しつつ、花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)が、にやりと笑った。
 自分には、男の口を割らせるほどの腕っぷしがあるわけではないが、しかし女の武器は力業だけとは限らない。外装人形を纏うことで発するフェロモンを周囲に放ちつつ、里香は捕えられている者の頬を、そっと指先で撫でながら顔を近づけて。
「うふふ……。ねえ、あなた……よかったら、これから私とご一緒してくれるかしら?」
「ひ……ひへっ!?」
 意表を突かれ、顔を紅潮させている男に、甘い吐息をかけつつ誘惑する。
「その代わり……私の質問には、なんでも答えるって約束して?」
「は、はい……。お、仰せのままに……」
 もはや完全に骨抜きとなった男は、今や里香の思うがまま。妖艶なる花蟷螂の人形遣いは、時に本物の人間ですら、人形と同様の存在に変えて操ることができるのだ。
 これで少しは、帝国の情報が手に入れば良いのだが。未だ姿を見せない魔刻卿の手篝を求め、それぞれの得意技を生かした尋問が始まった。

●魔刻卿の影
 尋問に使っていた部屋の扉を開き、テリブルは重たい雰囲気のまま里香に尋ねた。
「そちらの首尾はどうだ?」
「う~ん……あんまり、良かったとは言えない感じね。知ってることは、洗い浚い喋らせたけど……本当に、詳しいことは何も知らないみたい」
 こちらも同じだ。そう結んで、テリブルは少しばかり部屋の中へと視線を戻す。果たして、その中には尋問……というよりも、もはや拷問に近い形で情報を引き出された男が、完全に失神したまま椅子の上で伸びていた。
「どうも、やつらは本当に末端の構成員に過ぎない存在のようだな。中には、帝国軍との関連も、何ら見いだせない者まで混ざっていた」
「こっちも似たようなものね。分かったのは、せいぜい魔刻卿が身を隠していしそうな場所の見当くらいかしら?」
 さすがの里香も、腑抜け状態で倒れている男達を横目に、呆れ顔にならざるを得なかった。なにしろ、今回のテロ集団に参加した者の中には、自分の虚栄心を満たす目的の者や、単に反社会的な行為を繰り返した挙句の行動だった者も多かったのだ。
 帝国の末裔というのも、恐らくは魔刻卿とやらに仕えるに当たって、勝手に名乗り始めたことなのだろう。もしくは、魔刻卿により吹き込まれ、煽られた可能性もある。
 どちらにせよ、彼らから得られた情報だけでは、魔刻卿の居場所は突き止められそうになかった。だが、ここで諦めるのは、まだ早い。人間に尋ねて駄目ならば、それ以外の者達を、こちらから呼び寄せて尋ねればよい。
「私の方で、船内にいる動物達を呼び寄せて、知っているだけの情報を尋ねてみるわ」
 もっとも、人間に尋ねるよりは数段信用度が劣るため、あまり期待できるものではない。だから、最後は自ら魔刻卿を探しに行かせると、そう言って里香はいつしか多数の蜂を呼び出して。
「この子達にも、魔刻卿の居場所を探させるわ。手に入れた情報を基に、怪しい場所を片っ端からね」
「すまない、助かる。……これで少しでも、敵を追い詰めることができれば良いのだがな……」
 こちらでも、引き続き情報の収集は行うつもりだ。そう、里香に告げて、テリブルもまた他の者達と共に、拠点に残された魔刻卿の足跡を探るべく歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

レイチェル・ケイトリン
関係者の身元調査するね。

帝国の末裔とかいうひとたちはなにもしらない……帝国騎士のてがかりをなんにも持たされてない。

なら、どう操ってたのか……

帝国騎士は関係者をいつも見張って都合がいいとき出てきて命令してたんだとおもうの。

やりかたは船にはいりこんだときとおんなじクラッキング。

通信や位置情報をコンピュータが自動的にあつめてまとめてればいろいろわかるよね。

携帯電話とか勝手にうごかせば盗聴もかんたんだし。

なら、サイコリンクデバイスを念動力とハッキングと情報収集の技能でつかってユーベルコード管理権限取得で関係者の個人認証がかかわる電子システムをぜんぶしらべるよ。

情報の流出先に帝国騎士がいるとおもうから。



●逆探知
 テリブルや里香が、拠点の者達から情報を聞き出そうとしている頃。
 レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)は、まったく異なる視点から、魔刻卿の居場所を見つけ出そうと奮闘していた。
「帝国の末裔とかいうひとたちはなにもしらない……帝国騎士のてがかりをなんにも持たされてない……」
 関係者の身元を確認しつつ、レイチェルは改めて、彼らが帝国と直接の関係がないことを突き止めていた。
 だが、それでも彼らが魔刻卿の指示を受け、水面下でテロ活動の準備を進めていたのもまた事実。それは即ち、彼らと魔刻卿が、常にどこかで繋がっていたという証拠に他ならず。
「帝国騎士は関係者をいつも見張って、都合がいいとき出てきて命令してたのね、きっと……」
 方法は、この船に潜入した際と同じくクラッキング。そのために必要なのは、各種電子端末の類である。そこまで検討を付けた上で、レイチェルは拠点の中に設置されたコンピュータや、他にも通信機器の類を集め、アクセス情報からの逆探知を試みていた。
「さあ、わたしの心にこたえて……」
 全ての電子端末の管理権限を一時的に自分の支配下に置いた上で、アクセスしてきた場所や種類を検索する。それこそ、表に出ないものまで含め、電子の海の裏の裏。徹底的に管理された深層領域まで足を踏み入れて行く。
「……凄い情報量。でも、この中に必ず手掛かりはあるはず……」
 正直なところ、全てを調べるにはあまりに時間が足りな過ぎた。ならば、一般的な種類のアクセスには敢えて目を瞑り、明らかに怪しいものだけをピックアップした上で、位置情報を探って行くが。
「……あった。でも、これって……」
 やがて、情報の洪水の果てに彼女が到達したのは、市民が使わぬ謎のコードからのアクセス情報。しかし、その位置を特定しようとした矢先、軽い眩暈を覚えることになってしまった。
「……なるほど。帝国騎士は、この船の閉鎖領域に身を隠しているのね。それも、一ヶ所じゃなくて、いくつかの領域を移動している……」
 艦内の階層を隔てる閉鎖ブロック。それらの内のいくつかを転々としつつ、魔刻卿は巧妙に身を隠しながら、末裔を名乗る者達へと指示を出していたのだ。
「これはちょっと面倒ね。でも、諦めない……。見つけ出すわ……必ず」
 最新のアクセス情報から、ここ最近で魔刻卿が立ち寄った場所を割り出した上で、敵の行動パターンを予測すれば、必ず捕捉できるはず。未だ完全なる足取りを掴ませぬ魔刻卿ではあったが、しかしレイチェルの投じた一石は、確実に魔刻卿を追い詰め始めていた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

紫谷・康行
流れがあるだろう
情報と人の流れが
なら、それを辿ればいい

エサは撒かれている
猟兵に捕まったものがいるとなれば様子を探りに来るものもいるだろう
ならその者を逆に着けていけば彼らがどこに潜んでいるかわかるだろう
恐らく情報は首謀者たる魔刻卿まで行くはず

【グラッハルゥの眼】を使い様子を見に来た相手の手のものを尾行する
情報はより重要な立場の者に集約されると思うので情報伝達の行方を観察し情報を伝える先を追っていく
グラッハルゥには情報を伝えられた人間を順に追うように指示し、指定した相手が何か情報を漏らさないかを見ていてもらう
うまく魔刻卿の居場所がわかれば儲けもの、できれば近しい存在までは探れるといいのだけれど


テリブル・カトラリー
POW

構成員達はやはり大した事はしらなかったか…
指揮官であるあの2人も本当に何もしらないのか?
そこの所、どうだ?(軽く尋問室を指差しながら指揮官達にも聞いてみる)
情報が出ないのなら、仕方ない。確か拠点を探る時に連中を見つけた
酒場があった筈。そこでなら、何か情報を聞き出せるだろうか?

酒場へ行き閉鎖領域関連で情報収集。
必要ならば力付くでも良いし、先ほど末裔を名乗る連中の
拠点を潰してきたばかりだと言い武装をチラつかせ、
恐怖を与えて情報を聞き出す事も考える。
暴力沙汰にはしたくないが、必要ならば戦争腕で脅そう。

これもダメなら自分の足で探してみるか?



●出る者と待つ者
 拠点を潰し、帝国の末裔を名乗る者達から情報を得ようとした猟兵達であったが、しかし大した収穫が得られなかったことが、静かな焦りを生ませていた。
「構成員達はやはり大した事はしらなかったか……。指揮官であるあの2人も本当に何もしらないのか? そこの所、どうだ?」
 テリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)が先の戦いで捕えた二人に尋ねたが、やはり彼らは何も答えない。
 まあ、それも無理のない話だろう。レイチェルの調べによれば、彼らは常に情報端末にて魔刻卿とやり取りをしていたと言うのだから。
「仕方ない。確か拠点を探る時に連中を見つけた酒場があった筈。そこでなら、何か情報を聞き出せるだろうか?」
 戦いを制するものは情報だ。魔刻卿の居場所が分からずとも、潜んでいる閉鎖領域についての話が聞ければ儲けもの。だが、その一方で紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)は、敢えて拠点から出ることをせず。
「流れがあるだろう? 情報と人の流れが……。なら、それを辿ればいい」
 この拠点で戦った者だけが、帝国の末裔を名乗る者の全てとは思えない。ならば、仲間を奪還しに現れた時が好機だと、傍らに大鴉を携えつつ呟いた。

●駆け引き
 酒場の扉を開けると、ムッとした熱気が溢れ出した。
 相変わらず、胡散臭い連中の屯している場所だ。しかし、そういう場所だからこそ、アングラな情報の宝庫でもある。
「失礼するぞ。この中に、閉鎖領域について詳しい者はいるか?」
 唐突に尋ねてみるも、周囲の反応は微妙な感じだ。訝しげな視線を向けて来る者から、何やらよからぬことを企んでいそうな者まで、様々な好奇と悪意の入り混じった視線が、テリブルに集中した。
 さすがは、海千山千のならず者達といったところか。しかし、そういう相手であれば、むしろ話が早い。
「先程、帝国の末裔を名乗る者達の拠点を潰して来たばかりでな。残党が潜んでいそうな場所を探している。知らないか?」
 そう言いながら、テリブルは武装をちらつかせ、酒場の男達に凄んで見せた。ともすればハッタリにしか思われない行動だったが、それでも中には関心を持った者がいたようで。
「おう、姉ちゃん。そんなに知りたきゃ、教えてやってもいいぜ。だが……タダってわけにゃ、行かねぇな」
 情報が欲しければ、その対価を支払え。金がないなら、女としての自分を売っても構わない。そんな下劣で低俗な提案を持ち掛けて来る男達に、テリブルは辟易した様子で溜息を吐き。
「悪いが、支払えるのは鉛の弾だけだ。嘘だと思うなら、誰か試しに撃たれてみるか?」
 換装した武装を装着した腕を見せつけ、男達の眉間に狙いを定めた。
「帝国の末裔を名乗る者を放っておけば、いずれこの船も沈められる。それを止めようというのだ。これ以上の対価はあるまい」
「……なかなか、クソ度胸が据わってるじゃねぇか、姉ちゃん。気に入ったぜ」
 そういうことなら、今回はタダで情報をくれてやろう。そう言って、男は何やら小さな電子記憶媒体のようなものを取り出した。
「こいつに、この船の閉鎖領域に関する詳しい内部情報が入ってるぜ。なにしろ、閉鎖された領域だからな。一般人は立ち入り禁止ってやつだが……まあ、こういう商売をしていると、色々と動き回るのには便利な場所だぜ」
「……いただいておこう。情報の提供に感謝する」
 メモリーを受け取り、テリブルは踵を返して酒場を出る。閉鎖領域の内部に関する情報であれば、魔刻卿を追い詰めるのにも役立つだろうと。

●監視する赤眼
 テリブルが酒場で情報を集めているのと同時刻。拠点の裏手にある路地では、怪しげな男達が腕の通信端末で、何者かと連絡を取り合っている姿があった。
「どうした? 連絡は、こちらからするまで待てと言っておいたはずだが?」
「そ、それが……なんだか、妙な連中が押し入って来て、あっという間に拠点が制圧されてしまったんです!」
 端末の向こう側から聞こえてくる声に、男の内の一人が答えた。
「妙な連中だと? 船の守備隊とは異なるのか?」
「は、はい! しかも、それだけじゃありません! 今度は酒場に変な女が現れて、閉鎖領域の情報に関して探っていたみたいで……」 
 このままでは、そちらの居場所が気取られるのも時間の問題。なんとか撹乱工作に出たいところだが、それをするには人員が圧倒的に足りないと、男は悲痛な声で端末の向こう側にいる者達に叫んでいる。
「……仕方がない。捕らわれた者達は捨て置き、お前達は一度、私と合流しろ」
「合流、ですか? 場所は、どちらで?」
「エリアD-3ポイントの、第2閉鎖領域だ。くれぐれも、その『妙な連中』とやらに、勘付かれることのないようにな」
 通信が切れた。男達は互いに無言で頷くと、取る物も取らぬ様子で一目散に駆け出して行く。その後ろ姿を、先程から赤い瞳をした鴉が、じっと見つめていたことも知らず。彼らの跡を追い掛けて、鴉が大きく羽ばたいた音も、路地裏の空調機の音によってかき消された。

●突入、閉鎖領域!
 閉鎖領域に関する情報と、魔刻卿の詳細な居場所。その二つに見当を付けた猟兵達は、改めて敵の拠点跡で合流し、互いの情報を交換していた。
「……魔刻卿は、閉鎖領域に隠れている。レイチェルの調査からも、それは間違いのない情報だ」
 それならば、このデータが役に立つはずだと、テリブルは自身の入手したメモリーを取り出して見せた。
「なるほど、これが閉鎖領域の詳細なデータってわけね。要するに、地図みたいなものなんでしょうけど、こういうのがあると助かるわ」
 潜入するポイントに関しては、事前の艦内の動物や、自分の操るハチの群れを介して得た情報が役立ちそうだと里香が告げ。
「連中が魔刻卿と落ち合う場所は、俺の方で目星が付けられたよ。先周りして奇襲でも仕掛けるかい?」
 テロリスト達の残党は、今の自分の大鴉が監視している。仕掛ける機会を失わないためにも、行動は早い方が良いと康行が述べた。
 帝国の復興を望み、自らの手駒を増やさんと暗躍する魔刻卿。だが、それでも彼に辿り着くための鍵は出揃った。後は、こちらから打って出るのみ。今までの鬱憤を晴らすべく、猟兵達の瞳に闘志が宿る。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『帝国騎士』

POW   :    インペリアルブレイド
【念動力を宿した「飛ぶ斬撃」】が命中した対象を爆破し、更に互いを【念動力の鎖】で繋ぐ。
SPD   :    ダークフォースバリア
自身に【鮮血の如きオーラ】をまとい、高速移動と【赤黒い電撃】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    インペリアルフラッグ
【念動力で形成した帝国の旗】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を『帝国の領土』であると見る者に認識させ】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠山田・二十五郎です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●冷徹なる帝国騎士
 入手した数々の情報を繋ぎ合せ、ついに猟兵達は、魔刻卿の居場所に王手をかけた。
 場所は、D-3ポイントの閉鎖領域。地図を入手し、果ては残党の男達の後も尾行する形で、猟兵達は包囲を固める。およそ、一般人が立ち入れるような場所ではないが、しかし潜入するためのポイントを押さえておけば、話は別だ。
 パイプやコードが幾重にも絡み合って走る天井。そこを抜けると、今度は工場か動力室のような雰囲気の場所に出る。物々しい機械がひっきりなしに動き回り、稀にメンテナンス用の小型ロボットが確認できる以外は、およそ人がいそうな気配はないが。
「……顔を上げよ」
「は、はい!」
 物陰で跪く男達の前にいるのは、他でもない漆黒の鎧に身を包んだ帝国騎士。恐らく、あれが今回の事件の首謀者である魔刻卿なのだろうが。
「貴様達も、帝国の末裔を名乗る者であれば、覚悟はできていよう。我らが帝国に、無能な人間は必要ない」
「……へ?」
 狐につままれたような顔をしている男達へ、魔刻卿が横薙ぎに振るった光の刃が襲い掛かる。それは飛翔する斬撃となって男達の首を刎ね飛ばすと、そのまま跡形もなく亡骸を粉砕して見せた。
「……いるのは解っている。さあ、出てくるがよい」
 魔刻卿が、猟兵達の方へと向き直って告げる。どうやら、下っ端には気取られずとも、彼には気付かれていたらしい。
 末裔を名乗る者達を始末したのは、さしずめ拠点を潰されたことや、後を付けられたことに対する見せしめだろう。目的のためであれば、協力者であれど躊躇いなく殺す。その所業は、もはやまともな人間の成せる業ではない。
 こんなやつを野放しにすれば、やがてより多くの命が弄ばれ、奪われて行くことになる。それだけは決して許してはならないと心に刻み、猟兵達は改めて魔刻卿と対峙した。
レイチェル・ケイトリン
出てくるがよい……じぶんもこそこそかくれてたのにね。
そして、必要ないから殺す……これが銀河帝国。

必要ないだけならほっとけばいい。でも、銀河帝国は殺す。
それもそのときの、じぶんのありかたもかんがえないひとりの判断で。
だから、あとで必要になったらうばうしかない。
抵抗されたらうばえないから、たりなくなってこまる。
そりゃまけてほろびるよね。


念動力と吹き飛ばしの技能でサイコエッジを放ち、
敵を攻撃してふっとばし、敵の斬撃もふっとばすよ。
鎖も旗もバリアも斬り裂いてふっとばすの。

ほかの人をおそうならかばう技能もつかって
斬り裂いてふっとばすよ。

わたしのたたかいは必要ないからじゃない、
危険な敵だから殺すんだから。


花巻・里香
色仕掛けが効くような相手でもなさそうね。
それならあくまでも私は弱者、見せしめに恰好の獲物として誘惑し誑かしましょ。
油断を誘い、誘き寄せたら十指に結んだ糸でだまし討ち抵抗する間も与えずに【蟲惑の小部屋】へ送るわ。
そこは犠牲となった協力者の呪詛を宿し、協力者に擬態した蟲達の小部屋。
魔刻卿への呪詛を、喰われる恐怖を、少しでも長く小部屋に、旗も何もかも喰らい尽くしなさい。

これが私にとっての必殺なのだけれど、そう簡単にはいかないわよね。
脱出してきたなら【擬態の外装人形】大技狙いの猟兵を対象に擬態させ見切りで時間稼ぎするわ。
一度だけの転移をチャンス作りやバトンタッチに使い、擬態を解いたスピードで釘付けに。


テリブル・カトラリー
かつての帝国の軍人か…態々末裔を名乗らせていたのならば
帝国が既に滅んでいるのは知っているだろう。
お前も他の銀河帝国も既に過去の残骸でしかない。

敵の攻撃に注意し適度の距離をとって、
フルバースト・マキシマム。クイックドロウ、二回攻撃、スナイパー、範囲攻撃併用の一斉発射。
敵の行動を見切り、回避や迎撃をする。
またインペリアルフラッグはスクラップフィストで武器受け、
ついでに掴んで怪力で握り潰す。

だからこそ、私はお前達を破壊できる。
この地に帝国の領土はもう存在しないのだから。


紫谷・康行
居場所を突き止められたなら後は倒すだけ
とは言え敵地へ乗り込むわけだ
まずは慎重に

【消えない空色のカネンカ】を使い姿を消して様子を窺う
物陰に潜み、必要なら位置を変え、気取られないように気を付ける
魔刻卿の行動パターン、癖を観察しながら機を窺う

チャンスを見つけたら覚悟を決めて姿を現し炎の魔法を放つ
「100万の目を持つ魔界の怒りの炎よ。かの者の怒りを炎に変えその身を焼き尽くせ」
詠唱は戦いの音に紛らせてこっそりと行う
言葉は意志によって力を持つ

うまくいけば儲けもの
うまくいかなくても隙を作れれば良し
何か仕掛けてくると思わせられればそれでいい
策に溺れなければ、囚われなければよい

その後仲間に魔刻卿の癖を伝える



●魔を刻む騎士
 無機質な機械音だけが響く閉鎖領域。およそ、人が訪れることのない場所にて、対峙する猟兵と帝国騎士。
「出てくるがよい……時分もこそこそ隠れてたのにね。そして、必要ないから殺す……これが銀河帝国……」
 床に残る赤い染み。帝国の末裔を名乗る者達の残滓に目をやって、レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)は侮蔑と失望の入り混じった表情で呟いた。
 必要のない人間であれば、放っておけば害もないはず。しかし、銀河帝国は、それさえも殺す。たった一人の、つまらぬプライドと虚栄心を満たすために。だから、いざという時に何かが足りなくなれば、それは他者から奪うしかない。
 そんなことだから、滅びるのだ。一時であれば栄華を誇るかもしれないが、しかしそれは奪う相手がいなくなったが最後、自壊してしまう砂上の楼閣。
「かつての帝国の軍人か……。態々末裔を名乗らせていたのならば、帝国が既に滅んでいるのは知っているだろう?」
 どちらにせよ、勝ち目などないと告げるテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)だったが、魔刻卿は彼女の言葉を鼻で笑って返す。
「……機械風情が、帝国騎士に説教をするつもりか? ならば、それがどれ程に愚かなことか……貴様達の死を以て教えてやろう」
 その言葉が終わり切らない内に、魔刻卿の身体を異様な気が包んで行く。フォースナイト達が用いる光の念とは対極にある存在。暗黒面とも呼べる力を解放し。
「さあ、後悔するがよい。そして、帝国の強大さを思い知りながら死んで行け……」
 抜き放たれる、鮮血の如き色をした光の刃。ここから先は、もはや問答は意味を成さない。
「色仕掛けが効くような相手でもなさそうね。さて、どうしようかしら?」
 油断なく間合いを計りつつ、好機を見出さんとする花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)。だが、さすがは帝国の騎士を名乗るだけあって、魔刻卿には隙らしい隙が見当たらず。
(「追い詰めることはできた。後は倒すだけ……とはいえ、ここは慎重に行かないと拙そうだ」)
 その身を文字通り透明にし、紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)は物陰から様子を窺っている。
 こいつは強い。だが、自分を強いと思っている者は、時にその強さに溺れることもある。
 畳み掛けるのであれば、その隙を狙うしかない。指先に魔法の炎を揺らめかせながら、康行は静かに息を飲んだ。

●紅き簒奪者
 閉鎖された領域の中、人知れず激突する猟兵達と魔刻卿。数の上では猟兵達に分があったが、しかしそれでも魔刻卿の実力は、彼らの力を合わせたものさえ上回っていた。
「どうした? 貴様達は、その程度の力で我を倒そうなどと思っているのか?」
 重厚な鎧に身を包んだ外見に反し、魔刻卿の動きは実に俊敏かつ変則的だ。曲芸さながらの体術で相手を翻弄しつつ、光の剣で急所を狙う。およそ、武士道や騎士道といったものとは無縁の動き。徹底的に、敵対者を殺すためだけに磨き上げられた、殺人術とでも言った方が正しいか。
「わたしのたたかいは必要ないからじゃない。危険な敵だから殺すんだから」
「ならば、その力で我を退けてみせよ。それが敵わぬのであれば、貴様は我の呪縛から逃れられぬ運命よ」
 遠間から刃を振るい、魔刻卿は念動力を斬撃へと変えてレイチェルに飛ばす。が、対するレイチェルは避ける素振りさえ見せず、真っ向から敵の攻撃と対峙して。
「自由がほしいわたしの心、その力で未来も道も切り開くよ」
 同じく、自らの念を刃に変えて、魔刻卿へと打ち出した。
「……ほぅ。人形風情と思ったが、少しはできるようだな」
 空中で衝突する念と念。光と闇の刃が互いに凄まじい干渉を引き起こし、閉鎖領域に稲妻と嵐が吹き荒れる。
 相反する力を源としながら、互いに技の性質は同じ。正と負の力が真正面からぶつかり合えば、その結果として待っているのは対消滅。
 全身全霊の一撃で、レイチェルは魔刻卿の技を掻き消した。無効化するだけで精一杯だったが、それでも隙としては十分だ。
「……補足した。この距離ならば、逃げられまい」
 狭苦しい閉鎖領域の中に身を隠していたのが失敗だと、テリブルが魔刻卿へ持てる限りの武器で一斉射撃。逃げ場など与えぬ程に弾幕を張れば、さしも魔刻卿とて避けることも容易ではないはず。
「……む?」
 やはり、この状況では回避困難と判断し、魔刻卿はマントを翻して自らの盾とした。
 炸裂する多数の火器。爆風と煙が周囲に広がり、中の様子は解らない。
「……やったの?」
「いや、腐っても帝国の騎士だ。ダメージは負っているだろうが、あの程度で死ぬことは……!?」
 そう、テリブルが里香の問いに答えようとした瞬間、煙の向こう側から光の旗が飛んで来た。
「……やはり、そう簡単に死ぬはずもないか」
 煙の向こう側から姿を表した魔刻卿。肩に突き刺さった旗に手をかけつつ、テリブルはその姿を睨み付け。
「お前も他の銀河帝国も、既に過去の残骸でしかない。だからこそ……」
 そのまま力任せに引き抜くと、力任せに握り潰した。
「だからこそ、私はお前達を破壊できる。この地に帝国の領土は、もう存在しないのだから」
 帝国は滅びた。それも、御伽噺で語られるような、遠い遠い遥かな昔に。
 そんな過去の存在が、現世を脅かすなどあってはならない。過去の残滓は、大人しく残滓のまま眠っていろと、旗の残骸を放り捨てるが。
「貴様がどう叫ぼうと、既にここは我が領土。帝国の治める地において、我ら帝国騎士は無敵なり」
 旗の残骸が周囲へと拡散し、その場所へ足を踏み入れた魔刻卿の力が増して行く。一度でもユーベルコードが発動してしまったら最後、後は地形諸共に破壊せねば、その効果を無効にはできないということか。
 敵の纏う闇の念が、いよいよ力を増して行く。だが、それでも退くことは許されない。ここで彼を見逃せば、それは即ち、この船に住まう全ての命を危険に晒すことに繋がるのだから。

●魔蟲の罠
 旗の効果によって力を増した魔刻卿。その力は、先程まで戦っていた時のそれとは比べ物にならない程に強力だ。
「さて……いつまでも、遊んではいられぬな。まずは余計な登場人物から、早々に退場願おうか」
 赤い刃を振り上げて、魔刻卿が狙ったのは里香だった。先程から、彼女は戦闘に参加せず、ともすれば後方で脅えるような素振りさえ見せていた。
 それ故に、狩り易い獲物だと思われたのだろう。もっとも、それこそが里香の狙い。擬態に擬態を重ね、嘘と嘘の狭間に敵を誘い込んで挟み潰す、彼女ならではの戦い方。
「力無き者よ……我の前から消えよ」
 魔刻卿の刃が、無抵抗の里香へと振り下ろされる。すぐにでも罠に嵌めたいところだが、ここで反撃しては相手の油断を誘えない。
 こうなれば、肉を斬らせて骨を断つ覚悟をするしかないか。思わず唇を噛み締める里香だったが、しかし赤き刃は彼女の身体を斬り裂くことはなく。
「100万の目を持つ魔界の怒りの炎よ。かの者の怒りを炎に変え、その身を焼き尽くせ」
 唐突に襲い掛かる紅蓮の炎。康行が放ったものだ。今まで物陰に隠れ潜んで様子を窺っていたが、この好機に仕掛けないはずもなく。
「……小賢しい。この程度の炎で、我を謀ったつもりか?」
 漆黒のマントで炎を振り払う魔刻卿。しかし、それでも康行は動じない。
 元より、直撃など期待もしていなかった。ただ、仲間の仕掛ける隙さえ作れれば、それでよい。果たして、そんな彼の行動を知ってか知らずか、いつの間にか里香の指先から伸びた糸が、魔刻卿へと絡み付き。
「蟲惑の小部屋――」
 意味深に微笑む里香が呟けば、糸は魔刻卿の身体を覆い尽くし、そのまま繭玉となって黒き鎧諸共に吸い込んだ。
「これで、今度こそ終わりかな?」
「さあ、分からないわよ。確かに、これが私にとっての必殺なのだけれど……」
 破ろうと思えば、意外に容易く破れるものだ。糸の中の世界は対象を瞬く間に食らい尽くす虫で溢れているが、しかし脱出しようと思えば、それほど労せずとも逃げ出せるのだと。
「……どうやら、敵はまだ健在のようだな」
 繭玉の中から赤い光が溢れ出し、白き壁が四散したことで、テリブルは再び銃を構える。魔刻卿は、身体の各所こそ虫に齧られた跡があったが、それでも全身を食われる前に力技で拘束を振り切ったのだ。
「小細工をしてくれたようだな、娘よ。だが……同じ技が、二度は通用すると思わぬと知れ。貴様達にあるのは、絶対的な死の未来だけだ」
「へえ、そうかい? でも、今までの戦いで、君の癖は見切ったよ」
 怒りに震える魔刻卿に、もはや勝機はないと告げる康行。しかし、そんな彼の言葉でさえも、魔刻卿は仮面の裏で不敵な笑みを浮かべて一生に伏し。
「……確かに、そうかもしれぬ。だが、我が太刀筋を見切ったところで、身体がそれに追い付かねば、どうにもなるまい?」
 溢れ出す鮮血の如きオーラが、魔刻卿の身体を包んで行く。これは拙い。嫌な予感を覚え、咄嗟に仕掛けるレイチェルとテリブルだったが、彼女達の攻撃を、魔刻卿は残像さえ残さぬ程の凄まじいスピードで、今まで以上に軽々と避けてみせた。
「……っ! 速い!?」
 その動きは、もはや瞬間移動に匹敵する領域だ。お返しとばかりに、魔刻卿の手から発せられる赤い稲妻。それは収束するようにしてテリブルを狙い宙を走るが。
「……残念ね。それは偽物よ」
 いつの間にか、里香とテリブルが入れ替わっていた。外装人形を用いた擬態技のひとつ。それに転移を加えたことで、里香の速度もまた増して行く。
「さあ、ここからは根くらべかしら? 私とあなた……どちらが速いか、スピード勝負と行きましょう?」
「一度だけでなく、二度も我を謀るとはな……。良いだろう。ならば望み通り、貴様から無限の地獄へと送ってやる」
 互いの武器をぶつけ合い、複雑に入り組んだ機械を足場に飛び回る里香と魔刻卿。果たして、勝利の女神は猟兵達に微笑むか否か。戦いの行く末は、まだ見えない。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

レイチェル・ケイトリン
人形風情……そう、わたしはただの人形。
念動力で自分をうごかしていただけ。
でも、表情がきえ、手足がぶらさがる……
それが、わたしの真の姿の解放、そして……


念動力技能と吹き飛ばし技能で刹那の想いをつかう。
一秒間を26分割した中でうごくわたしの心。
遠隔操作はわたしが起点じゃなくてもつかえるから
敵の攻撃を真上からふっとばし床にたたきつける。

敵は爆発した床とつながれる、まあ敵はすぐ破壊するだろうけど。

敵の高速も今のわたしの目には見える。
そして、今のわたしの体はそう、人形。
ただの器物として自由にうごかせる。

そして領土……爆発し、繋がりを断つために破壊される床。

そう、帝国の支配は帝国自身の愚かさで崩壊するの。


花巻・里香
今度は【魅惑の外装人形】からくり人形を纏いフェイントとだまし討ちで応戦するわね。
攻撃を見切りながら距離が近ければ近い程、対象を自由に操るフェロモンで惑わしましょう。
こちらもそう都合良くは魅了効果を発揮できないでしょうけど、一部分でも動きを奪い阻害出来れば十分ね。
更に踏み込めるなら剣を突き立てる等の自害や自傷行為の命令でダメージを与えていくわ。

怒り等で魅了を脱しそうだけれど…あえて受けてみましょうか【捕食の外装人形】、あなたにとって好機とみるかこれまでの経験から罠とみるかよね。
例え罠と気づいでも、捨て身であることには変わりないわ。女は度胸。
色香に惑え、捕食者たる花蟷螂はあなたの傍に。


紫谷・康行
早い必要はない
もとより無かったことになるだけなのだから
おまえの信じるもの「帝国」もなかったこととなるのだから
虚無を告げる言葉によって

【無言語り】を使用して魔刻卿の信じるものを虚無によってそぎ落とそうとする
「お前は果たして何の上に立っているのか、虚ろな足下に何があるというのか。
果たしてお前の信じる国はあるのだろうか、果たしてお前の心にある国は確かだろうか。
お前はこの宇宙で見たはずだ、お前の信じる国はないと言うことを。
お前の信念など永劫に続く時間の見せる幻でしかない。
思い出せ、思い出せないことを。そして忘れられることも無く無に帰するのだ。」

心が揺らげば早くとも意味を成さない
存在は揺らいで消えていく


フィロメーラ・アステール
「待たせたなー! 幸運の流れ星が到着したぞー!」
なかなか白熱した戦場みたいだな!
しかし、あたしが到着した以上、もう敵に勝ち目はないぜ!
万が一のチャンスなんて、絶対くれてやらないからな!

【生まれいずる光へ】を発動!
くるくる踊る【パフォーマンス】で光の粒子を振り撒き、味方にパワーを与えるぞー!
この光は悪しきオブリビオンを祓う【破魔】の【属性攻撃】としての性質も持った【全力魔法】だ!
闇の力なんか一気に掻き消してやるぜ!

うまくいったなら後はみんなにお任せ!
「さあいくぞー、未来の栄光が待ってるぜ!」
要するに、余計な過去の残骸は退場する時間ってワケだ!


テリブル・カトラリー
言いたい事はだいたいもう言った。後は殺すだけだ。

速い、か。
私ではその動きには対応できないが、チャンスはある筈だ。

味方の攻撃や爆破工作を利用し周辺を爆破。目立たない様に行動し、
身を隠してから大型ブースター内蔵の戦争腕に換装。
機を見て一気に至近距離まで接近。殴りかかる。

これでどうにかなるとは思っていない。フェイント発動。
敵のカウンターに対して腕をパージ、武器受けで腕を身代わりに爆破させ
その瞬間に無くした腕をドリルに換装、
爆炎を突き破ってドリルを騎士に突き立て、ブーストと怪力で抉り抜いて
床に叩きつける。



●幸運の流星、見参!
 閉鎖領域に迸る赤い稲妻。本気を出した魔刻卿の実力は、帝国の精鋭を名乗るに相応しいものだった。
「どうした? 貴様の戦いとは、敵の技を捌いて避けるだけか?」
「……さあ、それはどうかしらね? あなたこそ……油断していると、今に首を刎ねられても知らないわよ?」
 魔刻卿の問いに不敵な笑みで返す花巻・里香(クリスタリアンの人形遣い・f05048)だったが、しかし余裕がないのは傍から見ても明白だ。闇のオーラに地形の効果。2つの力によって速度とパワーを強化されている魔刻卿と比べれば、同じく肉体の強化を以てしても、今の里香では敵の動きに追従するだけで精一杯。
「ふふふ……半端な力を持った獲物は、無駄に足掻くから苦しみも増す。貴様達の力では、今の私の影を捉えることさえできまい」
 防戦一方の里香に余力が残されていないことは、既に魔刻卿も気付いていた。そして、常軌を超えた俊足により、他の猟兵達がまともに手を出せないことも。
「速い、か……。別に速い必要はない。虚無を告げる言葉さえあれば、もとより無かったことになるだけなのだから」
 スピードだけが、戦いの行末を決める全てではない。あらゆる存在を無に帰す言霊が決まれば、それで終わる。そう告げる紫谷・康行(ハローユアワールド・f04625)だったが、しかし魔刻卿は怯むどころか、むしろ興味深げに彼のことを見据え。
「ほぅ……貴様、虚無の力を使うか。面白い……が、我を捉えることができねば、虚無に還すこともまた不可能だ」
 漆黒の仮面に覆われた奥で、魔刻卿は不敵な笑みを浮かべて言った。
 当たらなければ意味はない。単純明快だが、それ故に速さは時に最強の武器となる。
(「速い、か。私ではその動きには対応できないが、チャンスはある筈だ」)
 冷静に状況を分析するテリブル・カトラリー(女人型ウォーマシン・f04808)。しかし、彼女が打開策を見つけるよりも早く、魔刻卿は凄まじい威力の稲妻で、猟兵達を迎え撃つ。
 このままでは反撃の糸口をつかむ前に、全員纏めてやられてしまう。そう、誰ともなく嫌な考えが頭を過ったが、それでも運命は未だ猟兵達を見捨てておらず。
「待たせたなー! 幸運の流れ星が到着したぞー!」
 戦場に舞い降りる小さな光。一瞬、蛍と見紛うそれは、フィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)に外ならず。
「なかなか白熱した戦場みたいだな! しかし、あたしが到着した以上、もう敵に勝ち目はないぜ!」
 戦いとは、武器を持って殺し合うだけが全てではない。それを今から教えてやると、力強く息巻いた。

●虚無への誘い
 圧倒的な力で迫り来る魔刻卿。しかし、勝ち目のない戦いと思われた戦場は、フィロメーラの登場によって一変した。
「さあいくぞー、未来の栄光が待ってるぜ!」
 踊りながら光の粒子を振り撒くことで、それを受けた者の力を強化する。それこそが、彼女の十八番。幸運の流れ星を名乗る所以に他ならない。
「これは……出力が上がっている? ならば……」
 仕掛けるなら未だ。好機を逃してはならないと、テリブルは周囲を爆破して攪乱しつつ、煙に紛れて腕を換装。そのままブースターを点火させると、一気呵成に魔刻卿の懐へ飛び込み、殴り掛かった。
「ほう……我を捉えたか。ロートルとはいえ、腐っても我が帝国の開発した戦闘兵器ということだな」
 顔を覆うマスクを半分割られながらも、魔刻卿は微動だにせずテリブルへと返す。この程度の攻撃を当てたところで、勝ったと思うな。それだけ言って、赤き光の刃を抜き放つと、そのままテリブルへと斬り掛かるが。
「……っ! 待っていたぞ、それを!」
「なにっ!? 貴様、腕を……!」
 刃の食い込んだ右腕を、テリブルは何の躊躇いもなくパージしたのだ。これには、さすがの魔刻卿も驚きを隠せない様子だったが、しかし彼女の攻撃はまだ終わらず。
「……換装完了。これより、突貫する」
 爆散する右腕。その爆風を貫くようにして、ドリルに換装した腕を魔刻卿へ突き立てた。
「……ぬぅっ! 貴様……さては、最初からこれを成すために、自らの腕を捨て駒にしたというのか!?」
 ドリルを光の刃で受け止めんとする魔刻卿だったが、それでもテリブルの勢いは止まらなかった。そのまま床に叩き付けられ、衝撃は轟音となって閉鎖領域を駆け抜ける。強引に刃を振るってテリブルを払い除ける魔刻卿だったが、それでも彼の受けたダメージもまた、今までになく深刻だった。
「おのれ……機械風情が小癪な真似を……」
 落下の際に打ち付けたのだろう。左肩の鎧が砕けた場所を押さえつつ、魔刻卿は猟兵達を睨みつけながら立ち上がり。
「ガラクタ人形如きが、我を地につかせるとはな。……その罪、万死に値する!」
 そんなに死にたいのであれば、まずは一番最初に破壊してやる。恐るべき闇のオーラの出力を更に上げつつ叫ぶ魔刻卿だったが、それに対して返したのは、テリブルではなく。
「人形風情……そう、わたしはただの人形。念動力で自分をうごかしていただけ。
でも……」
 そこまで告げた時、レイチェル・ケイトリン(心の力・f09500)の身体から唐突に力が抜けた。瞳が光を失い、表情さえも消え失せて、手足はだらしなくぶら下がる。
 だが、それこそが彼女の真の姿。今やレイチェルの肉体は単なる器物に過ぎず、それに宿りし魂は、何者にも束縛されぬ純粋な念を抱いた存在となる。
 心のなかで時間よ、とまれ。そう、彼女が呟いた瞬間、魔刻卿の身体が宙に浮いた。
「……っ!」
 自分の身体を操られる。そんなことは、夢にも思っていなかったのだろう。慌てて振り払おうとする魔刻卿だったが、時既に遅し。
 レイチェルの念が作用するのは、時間にして26分の1秒。遠隔操作で吹き飛ばし、床に叩き付けて爆破したところで、魔刻卿の力の源である帝国の領土もまた消えて行く。
「き、貴様……。我らの領土を、人形風情が侵食するなど……!」
 パワーソースを失って、さすがの魔刻卿にも焦りの色が見え始めた。残る力は闇のオーラによる強化だが、しかしこれは長時間の使用には適さない。フィロメーラの光の粉によって猟兵達も強化されている以上、能力的にはイーブンな状況。しかも、光の粉による洗礼は魔刻卿のオーラとは異なり、寿命を削る心配もない。
 ここに来て、形勢は完全に逆転した。疑似領土から得る無限の力。それに頼り過ぎたが故に、失ってしまえば後は脆い。
「……そう、帝国の支配は帝国自身の愚かさで崩壊するの」
 それは、まさしく砂上の楼閣。銀河帝国が滅びた歴史は変わらず。そんなレイチェル言葉が、魔刻卿にとっての終わりの始まり。
「さあ、行くわよ。あなたにとって、これは好機? それとも、危険な罠かしら?」
 魅惑の外装人形を纏い、里香が静かに魔刻卿へと近づいて行く。一見して無防備を晒しているようにも見えるが、そう思って気を許したが最後、敵は危険な花蟷螂の餌食と化す。
「ぬ……ぅ……。ば、馬鹿な……我が……このような小娘に……操られるなど……」
 懸命に抗う魔刻卿だったが、それでも肉体は彼の意思に反し、ともすれば刃での自害を試みようと腕を振るわせている。辛うじて抗えてはいるものの、それに意識の全てを集中せねばならない時点で、既に魔刻卿は詰んでいた。
「虚ろなる眼窩に見出された全き無。お前は世界に在る真なる虚。在ることは無く、虚ろにして全。残るはただ静寂のみ」
 これで終わりだ。過去の残滓より生まれし災魔は、今こそ虚無に還るべし。康行が紡ぐ言葉は危険な言霊となって、魔刻卿へと降り注ぎ。
「お前は果たして何の上に立っているのか、虚ろな足下に何があるというのか」
 砕かれた己の足下を見よ。それこそが、帝国の歩んだ末路だと。
「果たしてお前の信じる国はあるのだろうか、果たしてお前の心にある国は確かだろうか」
 この宇宙、この時代に再び現れたことで、魔刻卿も帝国が滅びたという現実には直面したはず。もはや、帰るべき国はない。信念ですら、悠久に続く時間の見せる幻でしかない。
「思い出せ、思い出せないことを。そして忘れられることも無く無に帰するのだ」
 そう、康行が告げた瞬間、魔刻卿の身体が微細な粒子と化して、徐々に崩壊を始めて行く。光は光に、闇は闇に。あるべき場所へ還らんと、過去の残滓は溶け堕ちて行く。
「ふ……ふふ……これまで、か……。だが、忘れるな……我が帝国は不滅なり……。皇帝陛下は、既に行動を開始された……。この世界に……貴様達に、安息の未来はないと知れ……」
 消滅する瞬間、意味深な言葉を呟きながら、魔刻卿は消えて行く。
 戦いは終わった。帝国の末裔を名乗る組織は壊滅し、その首魁たる魔刻卿も討伐された。
 だが、魔刻卿を倒しても、オブリビオンとの戦いが終わったわけではない。彼の残した最後の言葉。新たに大きな戦いが迫っていることを、猟兵達は予感せずにはいられなかった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​🔴​



最終結果:成功

完成日:2019年02月02日


挿絵イラスト