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花咲く竜の軌跡

#アックス&ウィザーズ

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#アックス&ウィザーズ


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「大変大変、大変だよーっ!」
 おやおや? またメッティ・アンティカ(f09008)がぴょんぴょんと跳ねているぞ。今度はなんだ? どんな夢を見たんだい。
「今度はね、竜の夢を見たんだ!」
 そういうメッティの瞳は、心なしかきらめいていた。

「でも、優しい竜じゃないんだ。オブリビオンなんだけど……大きな竜が率いる竜の群れがアックス&ウィザーズの村を襲う夢を見たんだ!」
 優しい見た目だったんだ、お花の色をしてたよ! あっ、でも優しくないんだよ!
 優しいと優しくない、どっちなのだろう。メッティは魔女帽子を直しながら続ける。
「だから君たちには、村で竜たちの迎撃をして欲しいんだ! でも、村の防壁は長い間使われてないからボロボロで……その素材を集めるところから始めて欲しい! そばにはたしか、ワイバーンの巣があったはず。そこからいろいろ骨とかを取ってくるのもいいけど、……戦う前に怪我をするような事は、駄目だよ?」
 それに、ワイバーンの巣に続く洞窟には、骨でなくとも鉱石がたくさん埋まっている。それらを掘って運び出すのもいいし、何より周りの草原は素材だらけ。鉱石にこだわらずとも、木を切ったり石を拾ったりするだけでもいい、とメッティは続けた。
「竜が現れたら連戦になるから気を付けて。敵はとってもかわいいけど、かわいさに惑わされたら駄目だよ!」
 じゃあ、お願いします!
 そう締めくくると、メッティは手のひらの上にグリモアを発現させた。


key
 こんにちは、keyです。
 今回はアックス&ウィザーズで防衛戦を行っていただきます。
 1章では村の防壁を増強するための素材集め。
 2章で集団戦、3章でボス戦となっております。
 可愛い見た目に惑わされてはいけません。相手は竜ですよ。
 それではお気をつけて。
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第1章 冒険 『砦の素材集め』

POW   :    洞窟から有用な岩や鉱石を大量に掘り出し、気合で運び出す。

SPD   :    敢えて危険なモンスターの跋扈する地に赴き、身を隠しながら落ちている竜鱗や竜骨を拾い集める。

WIZ   :    森や草原にて高い粘性を持った草や強度の優れた木材などを見定め、それらを集める。

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●護りを厳に
 アックス&ウィザーズ。村の傍に降り立った猟兵たちが目にしたのは、成る程、使われずぼろぼろになった村の防壁だった。
 昔はモンスターが襲ってきていたのか、それとも直近で襲われて修復が間に合っていないのか。どちらなのかは判らないし、おそらくどうでも良いことだ。
 村人は安穏としているが、防壁の修復を始めれば自然と手伝ってくれるだろう。怪しまれる事もないので、安心して素材集めと修復に励んでほしい。
ゼット・ドラグ
「よっしゃ、採掘は任せろ!行くぞお前ら、うおおおおお!」
【ワンダレイ機械化歩兵部隊】を使用し、ロボット軍団を可能な限り召喚(出来れば100体ほど)して、洞窟が広くなるほど採掘しまくった後に全員で運び出す。
軽い石やそれほど固くない石は土と一緒に袋に詰めて土嚢にし、硬いのは防壁に使用する。


マーガレット・リーヴ
WIZ……知識を、活かしましょう。
精霊よ、どうかお力をおかしください。
あ、いえ。出来るだけ頑丈なのを。はい、そうです。え、嫁に来ないか?
そういうのは、ちょっと……

木々を集めるとともに……少しばかり、罠の類を仕掛けたいと思います。
いえ、罠と言っても……鳴子のような、相手の接近を察知できる類のものを、ですが……

それと、村内をはじめとした地形の把握を。
いざと言う時の最短距離を理解し、共有しておきたいと思います。
村人の皆さん、あのぅ……いろいろ、教えて頂けると、助かるのですが……

その、力、には、自信が無いので……こういう形で、貢献したいと、思います。



「よっしゃあ! 採掘は任せろ!」
 意気揚々と叫ぶのはゼット・ドラグ(f03370)。その後ろには召喚した機械化歩兵が……その……100体近くいるんですが……
「掘れるだけ掘る! でも自然は大切にだ! 行くぞお前ら!」
 とんてんかんてん。つるはしの音が慎ましく鳴る。しかし数の暴力はその慎ましささえ暴風に変えた。使えそうな硬い石はもちろん運び出し、軽い石やそれほど硬くない石は土と一緒に袋に詰めて土嚢にする。しかしこのユーベルコード、一つだけ厄介な点があって。
「俺が一度やらないとダメなんだよなぁ……はぁ。この辺も自動化しねぇかなー」
 そう、あくまでゼットの行動をトレースするので、ゼットがやらなければ100人の誰もやらないのである。せかせかと土を麻袋に詰めながら、ユーベルコードの改良に思いを馳せるゼット。

「ええと……すごい音が、洞窟からするんですが……」
 とん! てん! かん! てん!
 傍の坑道から聞こえるすさまじい音は、マーガレット・リーヴ(f09726)の耳にも届いていた。きっと誰かが頑張って石を掘っているのだろう。よし、自分も頑張らなければ。
「精霊よ、どうか力をお貸しください……」
 風と共にさすらっていた精霊たちが、マーガレットの呼び掛けに答えて集う。どうしたの? 何か困ってる? 君カワイイね、お嫁にこない?
「木を探しているんです。人を守るために必要なんです……あ、お嫁にはちょっと……」
 その辺は流されたりしないマーガレットである。
 硬い木々の場所を聞いて頷き、村へと一旦帰る途中。マーガレットは一つ、仕掛けを施した。
 相手の接近が判るように、糸と鳴子を使った簡単なもの。だが、いつ相手が来るか判らない以上、仕掛けておくに越したことはないだろう。
「村人さん……あの、木こりさんはいらっしゃいますか?」
 村内の地形を把握しながら、自分では木を切れないので村人の助けも借りて、頑丈な木材を手に入れる事に成功した。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ボゴ・ソート
※改変・アドリブ歓迎です。
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「なにか盗ってきて欲しいのかい? それなら俺の出番だね」
白髪の巨人はにやりと笑うと、お気に入りのワークキャップを深くかぶり直した。
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【SPD】で判定します。
"多少のリスクは顧みず、おたからを狙うのがシーフの流儀である"と言わんばかりに、モンスターのうろつく危険地帯へと忍び込んで、自慢の【逃げ足】で怪物を翻弄しつつ、拾い集めた貴重な資材の数々を【フック付きワイヤー】で束ねて持ち帰ります。
私以外に【SPD】判定に挑戦する方がいた場合は上記に加えてモンスターを引き付ける囮を担当します。



「よっ、と」
 やたら広く感じた洞窟を抜けて、同業者に手を振りながらボゴ・ソート(f11583)が狙うのはむろんお宝。シーフならここは外せない。多少のリスクを負っても、それごと飛び越えてみせると言わんばかりにワイバーンの巣へまっしぐら。
 たどり着けるかが一つの懸念ではあったものの、そこはシーフの勘というべきか、坑道が簡単なものであったからというべきか、すぐに巨大な巣らしきものは見つかった。主の飛竜はまだ帰ってきていないようだ。
「ちょうどいいタイミングだね。じゃあちょっと拝借するよ」
 ワークキャップをきゅっとかぶり直すと、巣の中へそっと忍び入って骨などを拾い集めていく。中には使い古された剣のようなものもあったが……深入りはやめておこう。
 卵も子竜も見当たらないので、産卵期ではないのかもしれない。だとしたら、帰ってくるのには余裕があるはず。考えながらも素早く手を動かして、大きな骨を幾つか拾い集めてはフック付きワイヤーで縛る作業を繰り返す。ついでに剣も資材になりそうなので回収しておく。
「これくらいにしておこうかな。また来るかもしれないから、その時はヨロシクね」
 ばいばい、と手を振り、ボゴはそっと坑道の闇に消えた。タイミングがいいのか悪いのか――ばさり、とはばたきの音を背後に聞きながら。

成功 🔵​🔵​🔴​

稲宮・桐葉
つくづくわらわの故郷エンパイアとは、また趣の違う世界よのぅ

それにしても、防壁の随分な壊れっぷりよ
此度の事にとどまらず、先々の事も考え、しっかりと直しておいた方がよさそうじゃ

わらわの様な、かよわい乙女に力仕事は務まらぬゆえ、草原を中心に使えそうな物を探すとしようかの
ある程度はわらわの故郷の産物の知識が役に立つかもしれぬが…
《ムラサマブレード》の【世界知識】が役立たぬかのぅ?
何時も無駄口や上げ足取りばかりじゃから、たまには役立ってほしいものじゃ

やはり森にも足を延ばそうか
《機巧大狐ちゃん》がいれば、多少は重いものも運べよう
建材に向いた丈夫な木材を《ムラサマブレード》で切り出し運び出すとしようかの



「ふむ……つくづくわらわの故郷とは趣の違う世界よのう」
『全然違うね! いやー、天と地くらい違う!すごい!』
 稲宮・桐葉(f02156)は草原にて、使えそうな樹木や石がないかと地道に探している。茶化すように言うのは彼女の愛刀(?)ムラサマブレードだ。
「のうムラサマよ。お主の【世界知識】でなんとかならんかの?」
『ええ? うーん。そういわれてもなあー。何が知りたいの?』
「堅牢な樹木の種類…それから、木の効率的な運び方。ないかのぅ?」
 やり取りをしながらも、桐葉は石を拾ってはポケットに詰めていく。土嚢の足しになれば万々歳、そうでなくとも何かの役に立つかもしれない。あのぼろぼろの防壁には、枯れ木さえ足しになるだろう。
『そうだねー。木だけに気になる~って訳か~』
「……本当、お主は無駄口ばかりじゃの」
『ヒャー怖い! 怖いよー!』
「決めた、木はお主を使って切るとしよう。少々刃こぼれしても構わんな?」
『ヒャー!』
 といいつつも、ムラサマブレードは樫の木に似た樹木のある場所を教える。桐葉はそこへ赴くと宣言通りムラサマブレードで木を伐採し、大型ロボット【機巧大狐ちゃん】にて村へと運んだ。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と連携して当たる

【POW】で肉体労働に従事

「強力な資材もイイモンだが、そーいうのは他に得意な奴がいるだろ。なァ、フラウ・レイヴァス?」

台車などで大量に運びつつ彼女に話を振る
こういう状況ならフラウの傀儡はうってつけなんじゃねェのか?
そもそもフラウ自身も採掘などが得意そうな雰囲気がある

「竜どもが来るまでに最低限は整えるぞ。住民の生命線だ」

花の竜ってイメージだけなら可愛らしいかもしれねェが、

「竜は何処まで行っても竜だぜ。ナメちゃいけねェ」

村人にも声を掛けて手伝わせる
「ボサっとすんな! テメェらの村は、まずテメェら自身で守るモンだ!」
まァ荒事になったら任せとけ


フィラメント・レイヴァス
ザザ・クライスト(f07677)と連携して動くよ

【SPD】で何かレア物を探し当ててみせようかな

「君に頼られるとはうれしいね。わたしの傀儡は重労働には不向きだから…その代わり、かくれんぼは得意なんだよ。……見つけて持ち帰ってみせるとも。」

そう言って、貴重素材の採掘に向かう
危険な場所や状況になっても
「地形の利用」や「忍び足」で、気配を潜めながら行動
足場が悪くても【絡新婦】や、ワイヤーを使って器用に
最低限の物音で移動したり、採掘に当たる

「さあ、どんなものが集まったかな…。はやくザザのところに届けてあげないとね」

しかし、花の竜
まあ、可愛いその姿には興味あるけど
……可愛いだなんて、タチが悪いよね。



「よっと」
「おっと兄さん! 力持ちだねえ!」
「まあこれくらいはな」
 ザザ・クライスト(f07677)は木材をまとめて運び、指定の場所に積み上げる。此処では木材職人が資材を組み上げて、簡易な櫓にするつもりらしい。
「もうちょっと強力な資材が欲しいな。さっきもってきてくれた分は防壁に回しちまった」
「強力な資材か。――そういうのを得意な奴なら知ってるぜ。まァ待ってな、しばらくしたら帰ってくるからよ」
 そうだろ? フラウ。

 君に頼られるとは嬉しいね。わたしの傀儡は重労働には不向きだが、かくれんぼは得意なんだ。
 フラウ――フィラメント・レイヴァス(f09645)は坑道の奥、魔物が巣にしているらしき場所へと辿り着いていた。ところどころ地面が崩れて、穴のようになっている。絡繰り人形【絡新婦】、更にワイヤーで足元を確保し身軽に跳躍しながら、慎重に進んでいく。
「さて……ここまで来たからにはイイモノ拾って帰らないと、……ん」
 何かある。煌くものではないから、鉱石の類ではない。その生白さは――
「これは、……竜の骨かな」
 頭蓋の形状を見てそう推測するフィラメント。大きさは然程ではないが、持ってみると非常に重く、密度が高いのが伺える。一本折ろうとしてみたが、曲がりもしない。
「ふむ。これは何かに使えそうだ。真っすぐなものを選んで帰ろう」
 頭蓋骨はさすがに使えないけど、他なら使えそうだ。
「それにしても、花の竜か。可愛いっていうのは興味あるけど、……」
 可愛いだなんて、質が悪いよね。ねえ、ザザ?

 竜ってのは何処まで行っても竜なんだ。ナメちゃいけねェ。
「敵が来るまでに最低限は整えるぞ。出来るか?」
「組み上げるだけならまあなんとか。君の仲間が帰ってきたら、戦利品を組み込めるように、隙間を作っておくよ」
「よし。 ほら、ボサッとすんな! テメェらの村は、まずテメェら自身で守るモンだ!」
「は、はい! でも、竜だなんて……どうして……」
「それは竜に聞くしかねェだろう。答えが返ってくるかは知らねェがな。ま、荒事になったら任せとけ。一暴れするからよ」
「お願いします、……村を守ってください!」
 ああ、と頷くザザ。
 やがて、手を振りながら帰ってきたフィラメント。彼女が持ち帰った貴重な竜骨は、櫓と防壁の基礎に使われることになった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『戯れる仔竜』

POW   :    じゃれつく
【爪 】による超高速かつ大威力の一撃を放つ。ただし、自身から30cm以内の対象にしか使えない。
SPD   :    未熟なブレス
自身に【環境に適応した「属性」 】をまとい、高速移動と【その属性を纏わせた速いブレス】の放射を可能とする。ただし、戦闘終了まで毎秒寿命を削る。
WIZ   :    可能性の竜
「属性」と「自然現象」を合成した現象を発動する。氷の津波、炎の竜巻など。制御が難しく暴走しやすい。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●竜の戯れは即ち天災なりて
「来たぞ!」
 組みあがった櫓の上、見張りをしていた村人が叫ぶ。たくさんいる、数えきれない! と悲鳴のような声を上げた。
 防壁は組み上げたものの、これは最後の防衛線だ。猟兵たちはそれより前に立って、敵を殲滅していかねばならない。
 果たして彼らの前に現れたのは――幼い竜の群れだった。キュウ、と愛らしい声を上げ、通して通してと見つめてくる。
 通してやりたい気持ちは山々。だけれど……この数を通せば、村は間違いなく全滅だ。
ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と連携して当たる

【POW】前衛として、盾・壁役として立ち回る

「どこのどいつだッ? 連中をかわいいとか言ってたのはァ!?」
メッティだ。あの小僧、この数はどう考えてもヤバいだろ
囲まれないように注意して、バラライカで先頭の奴を叩いて頭を抑えにいく
「援護射撃」を余念なく、フラウはもちろん他の猟兵の援護もする

「突出し過ぎるなよ! 孤立したら袋叩きになるぜ!」

注意を促しつつ、こまめに位置を変えて中距離での射撃戦闘を試みる
ブレスは厄介だが、爪ほど危険性はない
耐えていればフラウたちがなんとかするだろうさ

「一体ずつ確実に仕留めて数を減らす!」

いざとなれば【戦場の亡霊】だぜ


フィラメント・レイヴァス
ザザ・クライスト(f07677)と連携して動くよ

【SPD】を軸に敵陣の撹乱や不意打ちで数を減らす

「……可愛くは、ないよねえ。個体は小さいけど、あの数は確かに脅威だね。
ザザ、足止めはお願いするね。その隙に、わたしの糸で束ねてみせるとも」

「フェイント」を駆使しながら、傀儡の絡新婦と拷問具のSireneを操ることで、複数の個体を捕捉
効率よく戦う為に敵との距離感が重要な為、常に意識
危ない時は「敵を盾にする」など、臨機応変
鋼糸とワイヤーを張り巡らせ、竜の行動を妨害し、確実に仕留めるべく拘束する

「残念、かかってしまったら最期……わたしの巣からは逃れられないよ。
ザザの援護射撃は良い誘導だったよ、ありがとう」



「ッたく、どこのどいつだ! 連中をかわいいとか言ってたのはァ!?」
 ザザは憎々し気に言う。自分たちを此処へ転送した、黒毛のケットシーを思い出す。確かにまァ、一体一体を見りゃ可愛い。だけどこの数はヤバいだろ。
 とにかく囲まれたら終わりだと、バラライカの引き金を迷わず引く。可愛かろうが敵は敵で、敵なら風穴を開けてしまえば終わりだ。鉛玉の雨を降らせて、じゃれついてくる竜の凶悪な爪を弾く。あの鋭い切っ先で遊ばれたらどうなるだろうと、恐ろしい未来が見えてくるようで。
「まあ……可愛くは、ないよねえ。小さいけどこの数は確かに脅威だ」
 足止めはお願いするね。その隙に、わたしの糸で束ねてみせるとも。
 後方の竜が何かを吸い込むような仕草をして、土の属性を纏う。セイレーンの形をした拷問傀儡「Sirene」と、愛用の傀儡「絡新婦」。二つの傀儡を十指で操り、更にワイヤーを展開して竜たちの動きを阻害する。
 ぷくり、と頬を膨らませた竜が、フィラメントに向けてブレスを吐き出した。土くれのようなものを口端から落としているのを見受ける限り、土の属性を手に入れたのだろう。およそ竜には戯れであっても、猟兵の身には痛いそれを、Sireneの肋骨を開いて盾にする事で受け止める。
「やれやれ。こうやって使うものじゃあないんだけどね」
 本来Sireneの胸部は、アイアンメイデンと同じ用法だ。そう、こんな風にね。と、一匹をつまんでSireneに抱かせた。凶悪なセイレーンが竜を抱き、悲鳴さえ閉じ込めて、静かに血が流れる。
「突出しすぎるなよ! 孤立したら袋叩きになるぜ!」
「ああ、判っているよ。そのまま援護射撃を続けてくれるかな、とてもありがたいから」
 対単を得意とするフィラメントには、ザザの面攻撃はありがたい。その分、一匹一匹を丁寧に確実に、ある者は傀儡に抱かせ、ある者は傀儡に食わせて仕留めていく。時間はかかるが、仕留め損ねの一撃ほど怖いものはない。張り巡らせたワイヤーで飛べない竜は、一体一体前進するしかなく、そこにザザの援護射撃が加われば、自然とフィラメントのところへ並ぶ事になる。つまり、死への行軍だ。
「残念。かかってしまったら最期……わたしの巣からは逃れられないよ」
 さながら、蜘蛛の巣の主のように。フィラメントとザザは己の役割を果たし、竜を慈悲なく斃していく。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マーガレット・リーヴ
【WIZ】です。

綺麗な花には棘がある――……あれ、毒、でしたっけ……?
愛らしい見た目に騙されるわたくしではありません。
えぇ、えぇ、騙されませんとも。…………お手。
あ、いえ。齧らないでください。ホント。あの、引っ掻かないで。



死ぬかと思ったのでやっつけます(意外に短気)。
とはいえ――攻撃力は自信がありません。
……土の精霊、地割れで足止めを。
風の精霊、大気を巡らせて。空に逃がしてはいけません。
火の精霊、あの、ちょっと寒いので暖を取りたいです。
水の精霊、喉が渇きまし――すいません。

やるべきは、足止め。わたくしの力は、あくまで補助ですので……
みなさま、どうか、よろしくお願いいたします。


ゼット・ドラグ
「可愛い奴らがたくさん来たな。死ねえええええええええええ!」
戦闘狂に慈悲は無い。
どれだけいるか知らんがロボット軍団を更に呼び寄せて、敵陣へ突撃。
黒剣で竜の爪を切ってあげたり(指や腕もろとも)、高い高いしてあげる(上に吹き飛ばして黒剣で突き刺す)。


稲宮・桐葉
うぬぅ…やりにくい相手じゃな…
あぁ…そのようにつぶらな瞳で見つめるでない!
駄目じゃ…その声も…凶器なのじゃ…!

…そうじゃ、凶器…
仔竜は愛らしさが武器なのじゃ!
み、見た目に…声に…惑わされてはならぬのじゃ…!

《雷上動》を構え、射程に入ったら【早業】【範囲攻撃】で矢の雨を降らせ迎撃じゃ
《機巧大狐ちゃん》は自律行動させ、矢の雨を掻い潜った敵を攻撃し【吹き飛ばし】【踏みつけ】で応戦させるぞ

弓矢で応戦しきれない距離になったら、UC《フォックスファイア》を使用じゃ
レベル分の狐火を出現させ攻撃するのじゃ

他の者たちと協力、連携し、村には1体の敵すら通さぬ覚悟で戦うぞ



「可愛い奴らがたくさん来たな。よし、死んでもらうぜ」
「そうですね。愛らしい見た目に騙されてはいけません……お手とか、出来るでしょうか」
「うぬぅ……やりにくい相手じゃな……!」
 ゼットは戦闘狂である。戦闘狂というものは、可愛さや大きさより強さをみるものだ。彼の目は確かに竜を捉え、数にものをいわせた強者として捉えていた。つまり、可愛いとは思ってもあくまでそれだけ、である。
 一方マーガレットと桐葉はその愛らしさに心を揺らしていた。可愛い。ちょっと触ってみたいかもしれない。つぶらな瞳でこちらを見ないで欲しい。決意が揺らぐから!
 ふらふらとマーガレットが竜に近づき、お手を試みて……その無謀の代償か、手酷く引っかかれた。更に鋭い嘴のような口で噛みつかれかけて、あわあわと二人のもとへ戻ってくる。
「お主、すごい傷じゃぞ!?」
「駄目です、死ぬかと思いました。やっつけましょう」
 ばたばたと腕から血を流すマーガレットはあくまで冷静である。しかし短気でもある。懐かないならやっつけてしまえ、の精神である。
「わたしは足止めします。お二人は前へ行かれますか」
「ああ!」
「わらわも出るぞ! 見た目や声には騙されぬ!」
 ゼットと桐葉、そして機巧大狐ちゃんが前線へ出る。マーガレットは静かに精霊に呼び掛けた。
「土の精霊、地割れで足止めを――」
 びきり、と土にひびが入る。その細微なるクレバスは、竜たちの足を引っかけるには十分にすぎる。時折躓きながら押し寄せる軍勢に、ゼットが容赦なく刃を振り落とした。
「よし、お前ら! 行くぞ!」
 ゼットが呼び出し、現れたのは採掘のときと同様の機械化歩兵。ゼットのそれより大きな刃を用い、彼の動きをトレースして、より冷徹に無感情に、竜たちを両断せしめる。
「あれ便利そうじゃな……」
 多くの機械化歩兵を率いて数対数を仕掛けるゼットを見て、桐葉が言う。なんか文句でもあんの? と言いたげに軋んだ機巧大狐ちゃん。すまぬすまぬと宥めながら、一人と一機も進撃する。重藤の弓「雷上動」を構え、放つ。その矢はまるで幻影のように一つ、二つ、と増えて――雨のように竜に降り注いだ。
「キュウ……!」
「ううっ……! その鳴き声は卑怯なのじゃ……!」
 まだ惑わされている桐葉の代わりか、自立行動に入った機巧大狐ちゃんが竜をどーん! と吹き飛ばし、ずしーん! と踏みつけてぺったんこにする。
「風の精霊、大気を巡らせて。空に逃がしてはいけません」
 マーガレットが精霊を指揮する。風が吹き荒れ、遠くを飛んでいた鳥がバランスを崩すのが見えた。翼を羽撃かせ、今にも飛翔しようとしていた子竜たちが、風に乗り損ねて大地に落下し、クレバスに足を取られる。
「よしよし、いい子だな!」
 高い高いをしてやろう!
 ゼットが長い脚で竜を蹴り飛ばすと、その落下地点に黒剣を突き出す。その動きをトレースした機械化歩兵たちも、同じように竜を数匹蹴飛ばして、宙に黒剣を突き出した。
 あとはもう判るだろう。耳を塞ぎたくなるような、肉を貫く音。剣に貫かれた子竜たちは暫しの間抜け出そうともがいて、やがてその力も失せ、命を落とした。
「キュウウウウ!」
 怒りに哭く子竜たち。土の属性を纏い、どん! どん! と数度大地を踏み鳴らす。それは小さくとも竜である証左か。精霊の悪戯を上回る幻想種の御業か。大地が隆起し、津波のようになり、一気に三人の方へ押し寄せてくる。
「な、なんじゃとー!?」
「お前ら! 食い止めろ!」
「っ……!」
 ゼットの仕草に合わせて、機械化歩兵たちが土の津波を上から押す。幸いにも津波の規模は小さく、機械化歩兵数十体だけで進行を留められる程度ではあった。が、子竜たちはその津波から段差を飛び降りるように、一気に猟兵たちに押し寄せてくる。
「村には行かせぬ! 一匹たりとも!」
 桐葉の狐火が輝く。数十の炎は竜の数には程足りないが、機械化歩兵をすり抜けて大地を穿ち、その足止めをするには十分。
「風の精霊よ! 彼らの歩を止めて!」
 マーガレットも精霊と戯れている場合ではないと判断したのか、更に風精に命じて竜へと向かい風を起こす。敢えて後ろへ距離を取り、桐葉がそこへ弓引けば、追い風に乗った矢が更に竜へと雨の如く降りしきる。

 竜の数は確実に減っている。しかし、先程のような攻撃がいつ来るとも限らない。
 一気に張り詰めた空気の中、猟兵はつむじ風のように舞う。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​

ボゴ・ソート
※改変歓迎です。

先輩猟兵たちのそれぞれの特技を駆使した活躍は、幼竜の群れに圧倒されていた俺の心に勇気を奮い起こした。
今こそ奥の手を使う時だ。
[ベルセルクトリガー]を起動する前に、俺は軽く胸に手を当てて機械の神に祈りを捧げた。
生還を、ではない。
熟練の猟兵と肩を並べて戦う栄誉を与えてくれたことへの感謝の祈りだ。
祈りを終えた俺は[ダガー]の柄に手を伸ばしながら、幼竜に向かって[挑発]的に叫ぶ。
「こっちにおいでよ! 村の中へ入りたいんだろう?」

■具体的な行動
生き残りの幼竜を[挑発]してボゴを襲うように仕向けて、集まってきたところを[ベルセルクトリガー]を使い、[ダガー]で正面から殴り合います。



 これが、戦い。これが猟兵の――
 ボゴの心は燃えていた。先輩猟兵の活躍が、己にも何か出来るかもしれないと小さな火を熾し――竜の群れという敵が、その火を一気に燃え盛らせた。
 何か出来るかもしれない。いや、出来る。違う。――やってみせる。決意にキャップをかぶり直すと、上がる鼓動を抑えるように胸に手を当て、信奉する機械の神に祈りを捧げる。それは感謝の祈り。先達と共に立つことが出来る事が、何より嬉しい。
 生還出来るかどうかは、己が決める事。神に祈る事ではない。ダガーに手を伸ばし、確かめるように握る。一気に引き抜いて、竜たちに声を上げた。
「やあ! こっちにおいでよ! 村の中へ入りたいんだろう?」
 何を、と前線で戦っていた幾人かが振り返る。けれど止めるものがいないのは、同じ猟兵であるボゴを信じているから。その信頼を感じるたびに、高揚が止まらない。このまま鼓動が奔って走って、何処かへ行ってしまいそうだ。
 キュウキュウと可愛らしい声をあげながら、竜がボゴの方へ向かってくる。彼の言葉を信じた訳ではなく、単純に敵対行動としての接近。それでよかった。その方が、都合がよかった。周りに敵だらけの方が、今から取る行動には、ちょうど良いのだ!
「そう、もっとこっち……! そう! はああああああァァァァァッ……!!」
 ボゴが吠える。高らかに打ち鳴る鼓動のままに。ベルセルクトリガーを発動させた彼は、もう止まらない。攻撃と耐久に潤沢な助けを得たボゴは、ただ戦闘本能のままに、目の前の子竜をダガーで殴り切り付け、吹き飛ばした。
「キュウッ!」
 常のボゴがこの声を聴いたなら、多少は心を痛めていたのかもしれない。竜であれ、可哀想にと。けれど今のボゴには、それは可哀想には聞こえない。敵を仕留め損ねた落胆しか心のうちに湧いてこない。
 殴る。殴る。殴る。蹴り、斬って、殴る。真正面から切り込んで、囲まれないように確実に殺していく。一匹たりとも村には入れない。絶対に、防壁は超えさせない――!!

 ゆっくりと血が頭から引いていき、ボゴが常の己に戻るころには――周りには子竜の死骸が累々と積み重なっていた。
 そして、羽音を聞いた。大きな――何か、大きなものがやってくる――

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『息吹の竜『グラスアボラス』』

POW   :    フラワリングブレス
【吐き出された息吹 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【咲き乱れるフラワーカッター】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    ガーデン・オブ・ゲンティアナ
自身の装備武器を無数の【竜胆 】の花びらに変え、自身からレベルm半径内の指定した全ての対象を攻撃する。
WIZ   :    フラワーフィールド
【吐き出された息吹 】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を花畑で埋め】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑17
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種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主は💠ナイツ・ディンです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


●花咲か竜
 何か、大きなものがやってくる。猟兵たちはそれを呆然と見上げていた。パステルカラーの体躯、舞い落ちる花。やがて子竜が場所を空けるように退き、その場所に降り立つ。――紛れもない、竜だった。子竜のサイズではない。
 ふすう、と竜が吐息した。花が舞い、突風のように吹き付ける。草原の緑色には、パステルカラーの竜はよく目立った。それでも此処まで大きいのは、実力によるところが大きいのだろう。
 油断は出来ない。猟兵たちは、再び武器を握り直し、竜と睨み合った。
ボゴ・ソート
※改変・連携歓迎です。

花だ。花畑だ。
理性を取り戻した俺の嗅覚センサーに、幼竜の血の臭いに混じって、実にリラックスする香りが飛び込んでくる。
目前に迫るのは俺の何倍もの巨体。どことなく優しい見た目に美しい体色をしている、
これこそがメッティ・アンティカの言っていた竜だろう。
「これ倒したら俺も晴れてドラゴンスレイヤーだね」
花の香りで肩の力が抜けた俺は、軽口を叩きながら迎撃の準備を整える。

■具体的な行動
[フック付きワイヤー]でグラスアボラスに[クライミング]して、[シーブズ・ギャンビット]で[ダガー]による一撃を加えます。
振り落とされて墜落したところに追撃を受けたりしたいです。



 花畑だ。と、ボゴは思った。
 その優しい色合いは、さながらとりどりの花が咲き乱れる花畑に似ている。屠った子竜の香りに混じって、優しい香り。それは余りにも優しく強く、血の香りを掻き消そうとしていた。
「……これを倒したら、俺も晴れてドラゴンスレイヤーだね」
 なんて言えるくらいには、理性も戻ってきていて。けれど、だから、その理性が訴える。この敵を侮るなと。花の香りに掻き消される血の香りを思い出せと。

 ――けれど、倒さなければ意味がないんだ。せめて傷をつけなければ。俺は、猟兵になりたいから。

 ボゴが駆け出す。ワイヤーを一気に伸ばし、花竜の存外硬いうろこに引っ掛けると、ワイヤーを引き戻す勢いを利用してその背中に駆けあがる。飛ばせるな。翼を狙え。闘争本能がささやきかけるままに、降りぬくようにダガーで翼に一撃お見舞いした。
 ふおおおおん、と優しい声がする。これは竜の声か。痛みに苦しんでいるのか。それでも、なんて優しい――
 ボゴはもがいた竜から滑り落ち、中空を舞うままにそんな事を考えていた。しかし、竜は攻撃者を許すほど優しくはない。翼を羽撃かせ、ふおおおん、ともう一度哭いた。
 痛い。――何だろう。何かが頬をかすめている。大地に落ちる寸前に、ボゴはそれを知覚し……その直後、一気に体中が血を噴いた。
「……っ、な、ん……」
 かろうじて握りしめた手、そのまま大地にぼろきれのように転がる体。手を開いて見てみると、それは竜胆の花びらだった。すぐにさらりと幻のように消えたそれが、彼の全身を引き裂いたのだ。
 ――駄目だ。俺は立たなくちゃ。見とれてちゃ、いけない。
 まるで夢と現の狭間にいるような感覚に襲われながら、ボゴはかろうじて立ち上がる。作業服のあちこちが切れ破れ、その下の皮膚までも切り裂いているが、彼はまだ、生きている。

成功 🔵​🔵​🔴​

ザザ・クライスト
フィラメント・レイヴァス(f09645)と連携

【POW】前衛、盾役として立ち回る

「クソ、本当に竜じゃねェか」

エルダー(老竜)じゃないにしてもマトモに正面からは危険過ぎる

「って言ってもなァ、信じてるぜ、フラウ?」

集中しろ、神経を研ぎ澄ませ
弾をばら撒いて挑発、竜を引きつける
「勇気」を持って前へ
カッターは「武器受け」で逸らしつつ姿勢を低く懐に
「零距離射撃」でデカい図体に叩き込む

「グワァァァーッ!!」
容赦なく吹っ飛ばされて花畑を転がる
アバラを一、二本持っていかれたか? まだ動けるなら問題ねェ

「チャンスを作るぜ、もう一度だ!」

フラウや他の猟兵が大技を使う時間と隙を作る
いざとなれば【戦場の亡霊】だァッ!


フィラメント・レイヴァス
ザザ・クライスト(f07677)と連携

【SPD】を主軸に
敵の隙を狙い動きを縛る

「…そんな風には期待をされたら張り切っちゃうな。
チャンスは…逃さないとも。絶対にね。」

それだけの巨体、そう素早くは動けまいと
ブレスに細心の注意を払い
自身の周りに張り巡らせた鋼糸とワイヤーを活かし距離を保ちつつ戦闘
「フェイント」や「地形の利用」を交えながら竜を翻弄

「……ザザ。言ったよね、君の痛みは無駄にしないと」

「ーー喰い荒らせ、絡新婦。
君に仕込んだ毒牙で、花が乱れるさ」

【絡新婦】を操り
竜が芽吹かせた花園を蹴散らすように暴れさせ、得意の領域を作らせないようにする
牙に仕込んだ「毒」で「傷口をえぐり」ながら確実に花を喰らう



 竜の前に立つ、ザザとフィラメント。
「クソ、本当に竜じゃねェか」
 そう毒づくザザ。老獪な竜とは見受けられないが、正面から突っ込めるほど簡単な相手でもない。なら、自分が盾となり、矛であるフィラメントを守り通すまで。
「信じてるぜ、フラウ?」
「そんな風に期待をされたら張り切っちゃうな。――…チャンスは逃さないとも。絶対にね」
 頷き、ザザは駆け出す。フィラメントは己の周囲にワイヤーを張り巡らせ、まずはドラゴンに入られない致死領域を作り出す。それはさながら、蜘蛛が巣を張るかのようだ。
 その美しき蜘蛛を守るのは、猛々しい狼。狼の武器は爪牙だけではないと「バラライカKBN18」から弾丸の雨を降らせる。それは致命傷とはいかずとも、花竜に掠り傷を与え――その怒りを買う。
 怒りを買った。戦場に幾度も立ったが故の直感が、ザザに下がれと命じてくる。しかしここで引く訳にはいかない。自分は守るのだ。唯一無二の矛を、守ると誓ったのだ。勇気を奮い、前へと踏み出し、竜の息吹を浴びる。息吹自体に殺傷性はないが、問題はその後に飛来する花の刃。
「クッソ……!」
 身を低くして武器で受け流しても、確実に狙ってくる刃をさばききる事が出来ない。まして、ザザ一人に攻撃が集中しているなら尚更。フィラメントがワイヤーで援護し刃を切り裂いて、数えきれない切り傷がやっとというところだ。
「流石はドラゴン様ってところかァ……? ざけんなよ!」
 ――村を襲おうだなんて、やることがみみっちいんだよ!!
 ザザは辿り着く。ドラゴンの胴体で。フィラメントがワイヤーを張りながら予想した通り、その動きは鈍重。しかし零距離で弾丸をブチ込めるほどの近距離となると――その危険度は跳ねあがる。
「ザザ!」
「!」
 フィラメントが警告するが、もう遅い。
 大きな柔らかい色の尻尾が、まずザザの背をしたたかに打った。めぎり、と骨の軋む音がする。そして、ピンボール宜しく弾き飛ばされたザザを、前足が思い切り叩き付けた。
「がっ……は……!!」
 柔らかい瞳が、殺意を持ってザザを見ている。前足がみぢみぢとその体に食い込み、爪が心臓を狙ってゆっくりと肉に差し込まれ――

「……ザザ。言ったよね。君の痛みは無駄にしないと。そして、」

 チャンスは絶対に逃さないとね。
 竜の前足がザザから離れ、何かを迎撃した。意識の混濁しているザザには、それがまるで救いの女神のように思えた。何だったっけ、そんな話があったよなァ。罪人を助ける、蜘蛛の糸……
「……クソ、」
 ザザは此処で切り札を切る。戦場の亡霊、高い攻撃力と己の戦術を備えた文字通りの切り札が、フィラメントの絡新婦と共に竜を押し返す。
 この隙にと、ずるずるとザザは戦場の後方へと下がる。痛みすらない。これが、死を間近にした代償か。
「大丈夫……ではないね」
「あァ、…だが、休めばまだいけるぜ」
「まだ、君の死ぬところは見たくないんだけどな」
「死なねェよ。大体、俺が前にいねェとお前が危ねェじゃねェか、フラウ」
 フィラメントは黙する。確かにそうであるからだ。ザザが前に出たからこそ、己は絡新婦をもって竜と拮抗できている。
「……わかったよ。君は全く、強情だ」
 絡新婦の牙が竜の銃創を抉り、新たな銃創を戦場の亡霊が作り出す。
 ワイヤーを新しく張り巡らせながら、フィラメントは呆れたように嬉しそうに、笑った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

稲宮・桐葉
うぬぬ…大きいが…邪悪とは程遠い姿じゃの…
しかし仔竜ですら土の津波を引き起こしたのじゃ、油断など出来ぬな

全力で事に当たろうぞ!
「真の姿」を解放するのじゃ
妖気が膨れ上がり、尻尾は9本に
言葉遣いは威圧的になるのじゃ

小細工は不要!
長引けば生き残った仔竜たちが勢いを取り戻し、村に向かいかねん…一気に叩く!

UCを使用しグラスアボラスを攻撃するぞ
艶やかに舞い踊りながら攻め立ててやろう
《機巧大狐ちゃん》には仔竜の牽制と、味方を【かばう】よう指示を出すぞ

我が尻尾にかけて村を救う!



「うぬぬ。大きいが……邪悪とは程遠い姿じゃの……」
 桐葉は竜の柔らかな色合いを見て、複雑そうな顔をしていた。だって、とても綺麗な色。花畑で寝ていたら一枚の絵にもなりそうなのに、何故に村を襲うのか。それは竜に聞いてみなければ分からないし、人語が通じる相手でもない――
「うむ、しかし油断など出来ぬ。子竜でさえ土を操ったのじゃ、もっと手ごわいとみるべき……ならば、こちらも全力で事にあたろうぞ!」
 ゆらりと桐葉が揺らした尻尾。黄金色をしたそれが、みるみるうちに9本へと数を増やし、妖気を増していく。きっ、と竜を見つめた葡萄色の瞳は鋭く。
「小細工は不要! 子竜がいっとき退いている今こそ好機、一気に叩くぞ!」
 それは命を懸けた宣言。高らかに歌い上げ、桐葉は舞い踊る。

――此れより舞うは高貴なる太陽の女神を言祝ぐ舞……八百万の神々よ、我が舞奉納奉る。共に舞い、禍事罪穢祓い清め給もうこと……恐み恐み申す!

 桐葉の身体が輝き、その体構成を変えてゆく。肉体から神霊体へと変化した桐葉は、神々へ奉ると舞い踊りながらその比礼から衝撃波を放ち、花竜を攻撃する。それは陽光の暖かさを持ち、桐葉の寿命を背負い、放たれる。
 ふおおん、と竜が哭く。それは痛みにか、暖かさにか、桐葉には判らなかったが――
「機功大狐よ、ゆけい!」
 からくりに銘じる桐葉。そのお役目は、子竜の牽制と味方をかばう事。こそこそと花竜の陰で動いていた子竜へと目標を定め、その動きを封じる。
「通さぬ、絶対に通さぬ! 我が尻尾にかけて村を救う!」
 たとえ、九度命を落とす事になろうとも!

大成功 🔵​🔵​🔵​

ゼット・ドラグ
「ここまで来たらもう策なんていらねえ。殺し合おうぜ」
バイクのドラゴンチェイサーに跨り、グラスアボラスに突撃。
敵の攻撃をかわしつつ、接近したらドラゴンチェイサーを竜殺しの大剣に変形させて、足に【一刀竜断 頭落とし】を放ち、4つの足の切断を狙う。
全て切断出来たら決め台詞。
「一刀竜断 達磨落としってな。俺のユーベルコードは戦いの中でその姿を変えるのさ。」



 ドラゴンチェイサーに跨り、ゼットは花竜を見据えていた。その青い瞳は爛々と燃えている。
「此処まで来たらもう策なんていらねえだろ」
 ドラゴンチェイサーを噴かす。それはゼットの心も同じ、唸り鼓動して、戦意を吐き出す。
「殺し合おうぜ! ドラゴンさんよ!!」
 そして一気に駆け出した。数秒でトップスピードに乗るドラゴンチェイサーは、周りでうろちょろしていた子竜を容易く跳ね飛ばす。血肉が散る、されどゼットは止まらず、寧ろ高揚さえしていた。血と肉をかき分けて命を勝ち取るあの瞬間がたまらない。感じさせてくれ、この心に!
 ふうっ、とドラゴンが吐息する。それは攻撃への前触れだが――ゼットは一気に機体を横に引き倒し、急カーブすることで避ける。ぢりぢりと髪の先が地面に擦れて、火が付きそうで。ドラゴンの追撃がない事を確認すると一気に跳躍し、ドラゴンチェイサーを大剣型に変え、その柄をしっかりと握り、慣性から引き戻す。
「俺のユーベルコードは、戦いの中でその姿を変えるのさ。――いくぜ…!」
 ―― 一刀竜断、頭落とし!
 一気に肉を引き裂き、骨を断つ感触。血飛沫が頬に散り、ゼットの白い頬を彩った。空気が抜けるような咆哮――しかし、掠れている――と、重いものが大地に墜ちる音。片足を落とされた竜が、大地に縫い留められる。
「このまま全部落として、達磨落とし、ってな」
 ゼットは大剣を握り直して、花竜を見上げた。言ってはみたものの、この巨体。四肢全てを落とすには、相応の時間がかかりそうだ。

大成功 🔵​🔵​🔵​

青葉・颯夏
ルーナ(f01357)と同行

見た目に騙されそうかもしれないけど、ルーナ、大丈夫?
今日も頼りにしてるわよ

花風を撃ったら《雪紐》を操って攻撃
【フェイント】をかけながら【時間稼ぎ】をして
ルーナが効果的に攻撃できる隙を作る
花畑は《黒紅》で【なぎ払い】
ルーナが凍竜を呼び出すのがわかったら
それに合わせて《弓曳落星》を【一斉射撃】


ルーナ・リェナ
颯夏(f00027)と同行

うん、大丈夫だよ
可愛くてもちゃんと戦える

ソルを持って、颯夏と別方向からの連携攻撃
竜胆の花びらが舞うなら逃げ足早く上空へ
花畑ができたらソルと左腕のジャーマから炎を呼び出して焼き払う
……ごめん、って思った分、あとでお花を植えられればいいな
そうするために、今は倒すことだけ考える
颯夏とタイミングを合わせてイエロで攻撃
倒せるまで、何度でもね


ザザ・クライスト
【POW】盾役、前衛として踏みとどまる

神羽・リオン(f02043)と共闘
青葉・颯夏(f00027)と他一名に救援要請をしている

「クッ、このままおねんねしてる場合じゃなさそォだ……」
フラウ・レイヴァスはこれ以上動けそうにない
『アイツら』が来るまでまだ少しかかりそうか?

「フラウ・神羽! 竜の姿は見えてるか!?」
近くまで来ているはずの嬢ちゃんに無線で声をかける
「オレが竜の気を引く。なんとか撃ち抜いてくれ」

【ブラッド・ガイスト】でバラライカを強化
クラクラするぜ、お花畑がチラついてやがる

ドラゴンに再度銃撃で「挑発」「おびき寄せ」る
自己犠牲は趣味じゃねェ、防御重視で耐えつつもフッ飛ばされる
首がもげそうだぜ


神羽・リオン
【WIZ】
ザザ・クライスト(f07677)と共闘

ザザからの無線に応答しながら
固定砲台へと変形させたKBN18‐00Diabolosで竜に狙いを定めて。
狙うなら頭か首、心臓ね。
「ええ、見えているわよ。ザザさん、あなたの死にそうな顔もハッキリとね!」
彼は私の会社の武器を使っているのよ。
貴重な実践データは私よりも彼の方が多く集めてくれる……
そうよ、だから――!
「その武器を手にしたまま死んでもらっては困るわ!任せなさい。――武運を」

ザザの動きをよく見て命中させることに尽力
フォックスファイアは武器を経由して使用【2回攻撃】【一斉発射】
じわじわ殺すなんて趣味じゃないのよ。だから遠慮なく撃ち込むわ。



「クッソ、おねんねしてる場合じゃなさそうだなァ……!」
 あちこちに出来た傷が傷む。胸は押しつぶされそうに痛く、呼吸もまともにはままならない。それでもザザは立ち上がった。目の前の竜に集中する。
「フラウ・神羽! 竜の姿は見えてるか!?」
 痛みを緩和するために放たれた脳内物質のせいか妙にくらくらする。己の血の香りのせいだろうか。わからないが、わからないなりにやるしかない。声をかけたのは無線機に向けて。砂嵐のような音が少しして、女性の声が返ってきた。神羽・リオン(OLIM・f02043)だ。
「ええ、見えているわよ。ザザさん――あなたの死にそうな顔もハッキリとね?」
「るせェな、まだ死んでねェよ!」
「それだけの口か利けるなら上等。あなたにその武器を持ったまま死なれては困るのよ」
 ザザが持っている武器は、リオンの会社「KBN Machina」によるものだ。これからの発展のためにも、貴重な実戦データを集めてきてくれるザザを無為に死なせる訳にはいかない。同社開発の「KBN18‐00Diabolos」を固定砲台へと変化させる。それはさながら、翼を広げた鳥のよう。
 狙うなら頭か首、もしくは心臓。なら――片足を失ってあまり動かない心臓部を狙うのがベストだろう。照準を合わせながら、リオンは力強く述べる。
「後ろは任せなさい。絶対に当てて見せるわ。――武運を(グッド・ラック)!」
「いいぜ、フラウ。自己犠牲は趣味じゃねェが、報酬が竜の首となりゃァ話は別だ」
 バラライカを構えるザザ。血液が指向性をもって機関銃に集まり――禍々しい形状へと変化する。ブラッド・ガイスト――ああ、クラクラする。血が足りない。もうすこしもってくれ――
 銃撃の音が戦場に響き渡る。片足を落とされた花竜は怒りに息を吹く。やがて大きく息を吸い込み、狙いを定めるための吐息を噴いた。それは優しく、或いは抜け目ない。その吐息に触れれば危険だとザザの経験が告げている。
「二度目はねェぞ!」
 経験の警告に、ザザは是と頷いた。横に走りながら銃撃を続け、吐息を避ける。己の役目は囮。だが、ドラゴンがこちらを認識しなければ囮の意味はない。もっとだ、もっと、やつが四肢を使うくらいに気を引かねェと……!
「どうしたァ? 腕一本落とされてビビってんのか!」

 ――ふぅおおおおおぉぉ……んん……!

 ザザの挑発に竜が吠える。すると、竜胆の花弁が中空に舞い踊り、大地がにわかに変動を始めた。竜の足元から湧いて出てくる花、花、花! まるで早回しの映像を見ているかのように、竜の足元に芽吹き、育ち、咲き開く花々たち。竜はそのうえで痛みをこらえるようにその表情を歪め、怒りと花を戦闘力に変える。優しい雰囲気は既になく、まさに、手負いの竜――幻想種の頂点たるに相応しい闘気を纏った。
「本気になるのが遅すぎるぜ……! ったくよォ!」
「ザザさん! 相手の動きを止めて! 微妙に動くから狙いが絞り切れない!」
「難しい注文だぜ、フラウ・神羽。 だが……やってやらァ!」
 凶悪な弾丸を打ち出すバラライカ。その弾丸を追うように、ザザが動く。竜は一番近くにいるザザを追うように僅か身じろぎ――再び尻尾で彼を打ち据えようとした。
 見える。ザザは心中で呟いた。避けるのは簡単だ、しかし――避ける訳にはいかない。これは数少ないチャンス、掴まなければ意味がない!
 尻尾に打ち据えられて、見事にザザは吹っ飛んだ。先程よりもはるかに威力が勝る打撃に、まるで紙切れのように。くるりと飛んだザザを竜の牙が捕まえて、大地に叩き落とす。世界が回っている。
 今度こそ逃がさぬ、と花竜がザザの頭部を噛み砕こうとしたその時。
「――ッ、ファイア!」
 遠距離からの炎の群れと、弓矢の雨、そして竜の牙が一気に花竜へ食らいついた。

 時間は少し前に遡る。
「あれが花竜。見た目に騙されそうかもしれないけど、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ。可愛くてもちゃんと戦えるし、倒せる」
 青葉・颯夏(悪魔の申し子・f00027)とルーナ・リェナ(アルコイーリス・f01357)は二人、ザザとリオンの援護に来ていた。頼りにしてるわよ、と颯夏が言うと、ルーナは任せて、と頷き、乗り物にしていたドラゴン“ソル”を赤熱した槍へと変えて携える。二人は左右別方向に分かれ、それぞれに攻撃を始める。
「逃がさないわ。――もっとも、逃げられないでしょうけどね……!」
 颯夏が剣を手放す。それは降伏の意ではない。剣はまるで魔法のようにほどけてラナンキュラスの花びらとなり、周囲を駆け巡り、創を与える。

 ――ふぅおおおおおぉぉ……んん……!

 竜が怒りに吼える。バチバチと2種の花弁が相殺して、まるで火花のような音を立てる。ルーナは小柄な体で素早く上空へと舞い上がり、花弁の戦闘圏内から離脱し、大地を見下ろした。竜の咆哮で、周囲に花畑が生まれている。事前情報を知らなかったら、綺麗だと見とれていたかもしれない。けれどそうはいかない。今の自分がすることは、この美しい花を屠る事だ。
「この……っ!」
 花弁を器用に避けながら、左腕の紋様から炎を呼び出して花々を焼き払う。心中で花々に謝りながらも、やめることはしない。この花畑の上では、竜は格段に強くなるからだ。
「厄介な能力ね」
 颯夏も絡繰り人形“雪紐”に持たせた刃“黒紅”で周囲を薙ぎ払い、花のか弱い頭をすらりと落とす。竜はどうやら三人目――ザザに夢中らしい。なら、それを利用しない手はない。
「ごめんなさいね、ザザさん」
 ――あなたを助けるより、竜を倒すのが先決。そうよね。
「行こう、颯夏! あと少し!」
「ええ。援護するわ」
 花弁が収まってきた頃合いを待って、ルーナが一気に竜に突撃する。颯夏は後方――こちらを見ているだろうもう一人に頷いて見せて、絡繰の準備を始めた。
「イエロ。イエロ……! そいつを、喰らいつくして!!」
 小さなフェアリーの腕が、凶悪な竜の頭部へと変わる。氷をつかさどるその鋭い牙が、花竜の柔らかい皮膚に無慈悲に突き立った。
「っ、いくわよ! “弓曳落星”!」
 一気に攻勢をかける。颯夏の手繰る絡繰が、弓矢を花竜へ流れ星のように落とす。
 そして――

「今ね」
 冷静にそう呟いたリオンの砲弾が、花竜の心臓部を的確に撃ち抜き、爆裂させた。


 ――。
 …………。
「……終わった、か……?」
 世界が回っている。血をバラライカに捧げすぎたせいか、さっき花竜にブン回されたせいか。
「ええ、終わったわよ」
「大丈夫? いま応急処置をするわね」
「すごい怪我。わー」
 女三人寄ればかしましいとはよくいうもので。リオンと颯夏、ルーナがそれぞれザザを見下ろしていた。
「来てくれてたのか……わりィな」
「良いのよ。これが猟兵の仕事でしょう」
「まァそうだけどよ……毎回これじゃ身がもたねェぜ」
「あら。そういう風に立ちまわるのが得意なんだから仕方ないでしょ?」
 くすくすと笑うリオンに、返す言葉もない。そう、盾役に己を仕立て上げたのは紛れもない己自身。ならばそれに文句を言っても、結局己に帰ってくるのだと。
「花畑、焼いちゃった……お花を植えてもいいかな」
 寂し気にいうルーナに、颯夏とリオンが竜のいた跡を見る。灰となって消えた竜だったが、その名残である花畑は半分焼かれながら残っていた。
「……いいんじゃない? せっかくの綺麗な花畑だものね」
「そうね。村人にも安全を伝えにいかなくちゃいけないし、ついでに手伝って貰っても良いんじゃないかしら」
「うん、じゃあそうする。焼かれたままは可哀想だもの」
 花、ね。とザザは笑う。その哀愁はどうにも理解し難かったが――花畑のおかげで振り回された恨みも含めて――ザザはようやく猟兵の日常に戻ってきたのだと、口端を上げた。

 かくして花竜は灰と消え、オブリビオンの脅威は去った。
 猟兵はまた、次の戦場へと赴くことになる。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月20日


挿絵イラスト