アースクライシス2019⑨~怒れし闘神
●戦女神
数数の猟兵たちの見事な手腕で盗み出されたUFOたち。
なれば、使って出撃であろう――何処に。宇宙に。
「皆様にはラグランジュポイントを目指していただきますわ――道のりはご心配なく。米軍が『ビームハイウェイ』という光線を照射してくれていますから」
何が何だか、という表情でジュマ・シュライク(傍観者・f13211)が言う。
「ただ、オブリビオンが黙って通してくれるわけはありませんわね」
行く手を阻む敵は――何故か巨大化していますわ。
ジュマは心底疲れたような吐息を零しつつ、説明を続ける。
オブリビオンは「体高20m近く」に巨大化しており、なおかつ空中浮遊している。巨大化した分だけ攻撃力は増しているが、小回りが効かず、それが弱点とも言える。
「戦い方は色々……一人用UFOに乗るも、自前の飛行能力を何か使うも、或いはUFOを足場にするも――ええ、死ぬ前には戻してあげてよ」
貴方たちが戦う相手は『戦神アシュラのクローン』 ――腕は沢山あるけれど、その分、死角も沢山ありそうだ。
「ああ、けれど、気をつけて。原初の戦の女神の怒りは、半端な速度では捉えられないものですわ」
ビームハイウェイを遮るように、彼女は居た。
六の腕をそれぞれに構え、獰猛に笑う。
「さあ、いよいよ復讐の刻だ! かかってきな、全部粉みじんに斬り刻んでやる!」
全貌が掴めぬほど巨大化した彼女の吐息が空間を揺らした。
黒塚婁
どうも、黒塚です。
UFOに乗りたいかー!乗らなくてもいいんですが。
プレイングボーナス……華麗な空中戦を展開する(UFOは使わなくても可)
空中戦を意識した戦闘への対応が必要となります。
●プレイングに関して
【13日23時まで】のプレイングを基本採用とします。
先着順ではありません。プレイング内容優先です。
採用数もプレイング内容次第となります。
それでは、皆様の活躍を楽しみにしております!
第1章 ボス戦
『戦神アシュラのクローン』
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POW : 神獄斬
【6本の剣を振り回しながらの】突進によって与えたダメージに応じ、対象を後退させる。【心から現れる殺戮衝動の具現アシュラレディ】の協力があれば威力が倍増する。
SPD : アシュラブレイド
【集中と共に踏み込み、一刀】による素早い一撃を放つ。また、【攻撃に使う1本を除いた剣を手放す】等で身軽になれば、更に加速する。
WIZ : 阿修羅六輪斬
【剣の切っ先】を向けた対象に、【炎を纏った剣を次々と飛ばすこと】でダメージを与える。命中率が高い。
イラスト:otomo
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴🔴🔴
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種別『ボス戦』のルール
記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※このボスの宿敵主は
「💠山田・二十五郎」です。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
シズホ・トヒソズマ
※連携アドリブ可
腕の多い戦神が相手ですか
では久しぶりに空を駆けるとしましょう
UFOに乗りUCを使用しぴっちりライダースーツにチェンジ
敵の攻撃は◆早業による◆操縦テクでUFOを◆運転し回避
◆フェイントによるひっかけや◆残像による惑わし
クロスリベルの効果で自身ごとUFOを強化する事で移動速度を上昇させます
攻撃はUFOでの武装の他
UFOの一部に固定したヴァジラ姫本体や小型兵士人形から発射する◆光属性レーザーの◆一斉発射で攻撃し◆空中戦を行います
トドメはここまで待機させ◆情報収集させていたシュヴァルツヴィアイスを出し
予測演算装置で動きを◆見切らせ
◆カウンターで過去喰らいの偽三呪剣の三連撃を決めさせます
トリテレイア・ゼロナイン
…落下したら回収可能と…
ジュマ様
お手数をお掛けしますがお願いしてよろしいでしょうか
空への階を作る為、戦神アシュラ(クローン)、討たせて頂きます
巨人退治と参りましょう
UFOを●操縦
風防を開けての格納銃器や搭載火器での●スナイパー射撃で遠距離攻撃
ですがそれは攻勢の前段階
突進攻撃の速度や範囲をセンサーでの●情報収集で計測が主目的
十分データが取れたらUCを発動し急接近
6本の剣を掻い潜りUFOを●踏みつけ足場にし、ワイヤーアンカーを●ロープワークで絡めて取りつき●怪力で目に剣を突き刺し●シールドバッシュで押し込みつつ反動で離脱
●防具改造で取り付けた煙幕発生装置で●目潰しし追撃を防止
…少し無茶でしたね
エルシー・ナイン
巨大な敵相手の戦いはスペースシップワールドでは日常茶飯事ですからね。この程度の大きさ、驚くまでもありません。
UFOの上に仁王立ちして、全武装を『一斉発射』で『先制攻撃』です。
阿修羅六輪斬による攻撃は、【高火力制圧用重装形態】に変身してUFOの下部に回り込み、UFOを盾にして防ぎましょう。それでも防ぎ切れなければ『サイキックフィールドジェネレーター』による『オーラ防御』で耐え凌ぎます。
攻撃を凌いだら、『残像』を残しながら飛び回りつつ、あらゆる方位から全武装を『誘導弾』で『一斉発射』します。
余裕があれば他の猟兵を『援護射撃』でフォローしましょう。
なんとしてもラグランジュポイントに到達してみせます!
●流星
「腕の多い戦神が相手ですか――では久しぶりに空を駆けるとしましょう」
マスクの下、シズホ・トヒソズマ(因果応報マスクドM・f04564)の青い瞳が輝いた。
否、マスクこそが彼女の本体。
「ぴっちりライダースーツを着た私に乗りこなせない物はありません!」
宣言と共に仮初めの肉体を包むのは、その曲線を如何ともなく強調するライダースーツ。UFOの操縦桿を握る彼女の背には、巨腕のからくり人形が同じ姿勢で侍り、互いの十指を糸で結んでいた。
一見、シズホが拘束されているようにも見える図だ――。
しかし、観るべきはその姿ではなく、彼女が繰るUFO。銀色の帯を昊へ描きながら、光の道を疾走する。
「――ああ、ムカツク。羽虫と良い勝負だな!」
戦神アシュラ――のクローンが、厳めしく眉間に皺を寄せると、深く腕を締めた。
「なんの、この程度、乗りこなして見せましょう!」
剣風が、宇宙風よりも強く吹きつけ、船体を揺らす――それをシズホ技術で巧みに捌き、更に加速する。
凄まじい速度で銀色の粒が、アシュラの剣戟を潜り抜ける。
次々と飛来する猟兵が駆る宇宙船が描くそれは、まるで流星群の如く。
そのひとつの流星に、堂々と人型の何かが仁王立ちしていた。
「巨大な敵相手の戦いはスペースシップワールドでは日常茶飯事ですからね。この程度の大きさ、驚くまでもありません」
鮮やかな色の髪を靡かせ、エルシー・ナイン(微笑の破壊兵器・f04299)はアシュラを一瞥し、軽やかに笑う。だがそれを告げる声音はフラットだ。
彼女とて地上の人間の基準からすれば巨躯の持ち主――アンドロイドゆえに――そして表情と声が与える印象の相違もまた、同じ部分に起因する。
「フルアーマーパーツ装着、全装備火器のリンクを確認。これより、高火力制圧モードに移行します」
淡淡と告げる――装甲が彼女の全身を覆い、構えずとも砲撃を可能とするように武器は彼女の一部と備わった。
エルシー自身が、艇の主砲であるかのように。
「その曲芸で何処まで迫れるんだい!?」
忌々しそうにアシュラは鼻白むと、ふっ、と気合いを籠め直す。それだけで宇宙が震えるような衝撃波が伝わるが――エルシーの足元のUFOは一切揺るがぬ。
発止、アシュラの剣が火花を散らし、突進してきた。
六刀が奏でる剣閃はどれも絡むことなく、滑らかに空間を断つ。
片や、エルシーはくるりとUFOの下部に回り込むと、その姿勢の儘、アシュラへと突撃する。
「そんなものが盾になると思うかい!」
「――『サイキックフィールドジェネレーター』起動、オーラ展開」
嗤いながら、アシュラがUFOへと斬撃を叩き込む。すかさず、淡淡と、エルシーは己に備わる防衛機構を使いながら、剣を辿るようにその懐へと潜り込む。
同時、シズホが反対側から滑り込んでくる。
「小賢しい!」
アシュラは哮ると、くるりと転回し、力強く宙を叩いた。足場がなくとも、彼女の踏み込みは力強く、振るう剣はぐんと伸びる。
巨躯が繰る剣は凄まじい速度でシズホへと向かってくる。
「かかりましたね」
ふ、とシズホが笑みを浮かべる。何処か、恍惚とした、不思議な笑みだ。
彼女の艇の上に乗った小型の兵士人形――姫のような形状をしたそれが、指揮をとるように身じろいだ。
光属性レーザーが一斉にアシュラへ伸びる――。
宇宙が、視界が一気に白んで、眩む。
更にエルシーが追撃する――全武装を一斉解放、誘導弾を放った。
「なんとしてもラグランジュポイントに到達してみせます!」
それは大きく弧を描きながら、戦神を次々捉え、誘爆していく。
煙幕を潜り抜けながらも弾丸の限り掃射を続け、エルシーがアシュラの頭上まで舞い上がる。
シズホはアシュラの後方に回り込むように駆け抜けていた。
白煙を噴き上げていた中央から――突如と起こった剣風が両者の艇を巻き込んで、間合いより遠くへ吹き飛ばした。
そこに更なる一機が飛び込んできたのを、離れ行くシズホとエルシーは確かに捉えた。
風防を解放した白銀の鎧装が黒闇に煌めく。トリテレイア・ゼロナイン(紛い物の機械騎士・f04141)のセンサーアイが鋭く輝く。
二人の戦いはずっと観測していた。無論、自分も肉薄することで、彼の脳裡に閃く数値は理想に近づいていく。
アシュラの動き、及び攻防の情報を蓄積し――トリテレイアの高速演算が解を導く。
「全て見通す……とまではいきませんが、目星は付きました」
不敵に告げると、彼の乗るUFOは急激に高度を落とし始める。
アシュラの頭部へ、錐揉みに落ちるよう、彼の操る艇は大胆な軌道を描く――。
「巨人退治と参りましょう」
「ッ! どの人形も――生意気な口をきくね!」
アシュラの威嚇に、トリテレイアが苦笑――に似た吐息を零す。
受けてみな――彼女は六本の剣を息の続く限り、振り回す。力任せに見えて、正確無比にトリテレイアの艇を狙ってきている。惜しむべくは、その体躯ゆえに。最高速度で落下するそれを掴めぬことだ。
しかしその苛立ちを、彼女は力にできる。幻の如く浮かび上がった殺戮衝動の具現――アシュラレディが剣戟の数を増やし、刃の雨を小さなUFOへ躍らせる。
それは全て回避しきるのは不可能な斬撃であった――アラートが鳴る。警告を示す明滅が赤く彼を照らす。負荷以上の明確な振動は、損傷で制御不能に近づきつつあることを示している――。
併し、トリテレイアはこれでいいと小さく肯く。此処まで近づいたなら、充分だ。
「空への階を作る為、戦神アシュラ、討たせて頂きます」
言うなり、彼は『立った』――UFOを蹴りつけると、彼の躯体から何かが噴出し、アシュラ目掛けて飛来する――ワイヤーだ。
アンカーがその巨大な美貌を捉える。突如身一つで飛び込んできた彼に、驚き、眼を大きくすれば、暁色の瞳に自分の姿がよく映る。
気合いを籠めて、トリテレイアは彼女の瞳へ、長重の儀式剣を叩き込んだ。すべての推進力を利用した渾身の一撃に、戦神は思わず剣を手放し、仰け反った。
すかさず彼の身の丈もある盾で押し込み、反動で離脱する――だが、もう彼を運んだ艇はなく、流星の如く落下していくだけだ。
無論、無防備な自由落下ではなく、煙幕を焚くことで、彼の居所は掴みにくくしているが、追撃の有無を問わず、これ以上は先にも後にも動けぬ。
「……少し無茶でしたね」
まあ、死ぬ前に回収してもらえるという話でしたし――あとは、皆が何とかしてくれるでしょう。
悶える神を眺め、密かに囁いた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
ザザ・クライスト
【狼鬼】
UFOに搭乗、ヤってやるぜ
インカムで繋いだジャスパーに、
「オマエさんのほうが小回りが利く。ヘマだけはすンなよ?」
煙草に火を点けて【ドーピング】
奴の態度は仕方ねェかと背中を見送る
サイバーアイのデータリンク機能でUFOを【ハッキング】
自動操縦モードにする
バラライカをブッ放して【先制攻撃】
適宜ジャスパーを【援護射撃】
「ヘイ、楽しンでるか? いつもみてェに笑ってろ!」
ジャスパーを煽る
弾倉を【呪殺弾】に替えて【鉄血の騎士】を発動
UFOごと紅く染まり凍りつくような音で哭く
「視えたぜ、テメェの動きがな!」
【スナイパー】の【戦闘知識】で予測
突貫してUFOの体当たりから【零距離射撃】
「アッディーオ!」
ジャスパー・ドゥルジー
【狼鬼】
※ザザとは故あって喧嘩中
戦闘に影響を出す程ではないが普段より愛想を欠いている
自分の翼で飛翔
インカムを用いてザザとの連絡は密に
直接顔を合わさない分少し気が楽だ
「俺が囮になる。外すンじゃねェぞ」
言うが早いか【ゲヘナの紅】
派手に燃えて敵の気を引く
奴の顔周辺を至近距離で飛び回ったり
自分の炎を纏わせたナイフを次々に投げて奴の技を鸚鵡返しにしたり
おっと、あの炎剣の直撃は流石に拙いな
命中重視らしいし気をつけねェと
致命傷だけは避けてあとは【激痛耐性】でスルーだ
何だかんだザザの腕は信頼してるし
大事なダチだ
ただ今はどうしても言えねェ
「【まァそれなりに?】俺はいつも通りだぜ」
いつものニヤニヤも無く淡々と連携
●背中合わせ
ラグランジュ・ポイントを遮る――巨大な、神の残像。
相手に不足は無い。状況も面白い――。
「ヤってやるぜ――」
UFOの内部で、唇を笑みに歪めたザザ・クライスト(人狼騎士第六席・f07677)はインカムの電源を入れる。
おい、と無造作に呼ばうと、あー、と素っ気ない返事が返ってくる。
片や船艇、片や宙。同じくインカムを備えたジャスパー・ドゥルジー(Ephemera・f20695)は、自ら――或いは借り物――の翼を広げ、魔炎を燃やし、光の路の上に居た。
(「直接顔を合わさない分少し気が楽だ」)
何となく、今は気まずい。それを戦いに繋げるような青いことはしないが――。
音声だけのザザは、は、と吐息だけの笑みを向けてくる。
「オマエさんのほうが小回りが利く。ヘマだけはすンなよ?」
相鎚は必要以上に返さず、ジャスパーはただ告げる。
「俺が囮になる。外すンじゃねェぞ」
背を向けて、さっさと前へと羽ばたく。その背をただ眺め、煙草に火をつけた。
(「――仕方ねェか」)
かといって、ザザもしおらしく歩み寄るような性格ではない。深く吸い込んだ紫煙が巡る感覚を堪能しつつ、左目――サイバーアイでUFOのシステムをハッキングした。
自動操縦モードがあるんだかないんだか。兎角、彼はハンズフリーでUFOを駆ると、瞬く間にジャスパーに追いついた。
彼は既に力を解き放ち、超高熱の飛行体として、アシュラの鼻先へと迫っていた――。
「来たな猟兵!」
アシュラは六の剣を交差させるようにして、双方の進路を遮っていた。
その片目が痛々しく閉ざされているが、時間経過で癒えそうな気配もある――同時、怒りという名の士気はかなり高そうだ。
挨拶代わり、片手に収まる短機関銃を見舞う。楽しそうに歌う重低音の掃射は、剣に弾かれるが、ジャスパーへと振り翳された一刀が軌道を変えて逸れていく。
偶然などではない。ザザは狙って弾丸をばらまいている。
「ヘイ、楽しンでるか? いつもみてェに笑ってろ!」
「【まァそれなりに?】俺はいつも通りだぜ」
(「ああ、良い腕だ。知ってるぜ……大事なダチだ――だが」)
ただ今はどうしても言えねェ。
――ザザにあからさまに煽られても、ジャスパーは笑わなかった。だが、すべきことも、やりたいことも、常と変わらぬ。
沸き立つままに、皓皓と魔炎を以て自在に飛行し、己が熱を込めたナイフを送る。
ちっぽけな応酬は、アシュラの剣を手繰る腕に僅かな線を刻む。
「そんな程度かッ!」
一声と共に、アシュラが鋒を向け、剣を放つ。彼女の今の体躯に見合う炎纏う剣の投擲は、隕石のようなもの。
ゆらゆらと熱気と剣風の狭間を揺らぐようにジャスパーは躱す。
されど、青白い皮膚が泡立つ。負けず劣らぬ熱を裡に持とうが、アシュラの炎は彼の膚を灼いた。
この程度の痛みならば、程よい。真っ二つに割られるよりは好い。
いくつかの剣を躱した直後、避けきれぬ軌道に剣が来る。直接アシュラが振るった斬撃だった。
何とか空を蹴って身を捩ったが――角に衝撃を覚えて、火花を散らすように視界が白む。だが、両腕は確りとナイフを突きたててやる。腕にピアスを仕込むようなものだろうが、それはそれで、痛いものだ。
「どいつもこいつも、ちょこまかとっ……!」
ついでに、――夢中になってくれンなら、狙い通りだ。
そんなやりとりの少し外。
「鉄と血によってのみ問題は解決する」
恐らくジャスパーにも、アシュラにも届かぬ声音が、そっと力を解放した。弾倉には呪殺弾を籠め、自身の血液を捧げ――この空間で手足となる艇を、最高速度で吹き飛ばす。
「視えたぜ、テメェの動きがな!」
剣の、腕の隙間をザザの乗るそれは一閃で貫き結んだ。
視界も機体も紅に染まる。投げ鉢の特攻か、アシュラがそんな風に嘲るが、全ては狙い通り――、魔弾の射手が狙いを違えるかよ、彼は高らかに笑い、構えたバラライカはより高く吼えた。
「アッディーオ!」
両腕で反動に備え、別れの挨拶と共に吹き飛ばす。
その威力たるや――アシュラの肩を、一部抉りとり――鮮烈な朱が暗き昊に弾けた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
ジャハル・アルムリフ
竜も驚く巨体に手足は合計八本
贅沢なことだ
親戚に蛸でもいるのではないか
流石に反則級であるが
…然し戦神の太刀筋
間近でまみえる機会など二度は無かろう
ならば逃す手はあるまい
一先ずUFOとやらを拝借
敵に接近、用いるは【怨鎖】
振り回す腕のどれでも、何処でもいい
先ずは一本に絡めんとする
突進は直前でUFOと分離
<残像>残し分離、回避試みる
自身の翼と敵に繋いだ鎖を手掛かりに飛翔
許せ、円盤よ
お前のことは忘れぬ
怪力で鎖を引き移動や方向転換の速度を稼ぎながら
敵の、腕から別の腕へと更に鎖を絡め
動きを鈍らせながら隙を狙う
届くならば目や喉
届かぬなら何処でも構わぬ、<部位破壊>にて爆破を
謳われるのは
神より「ひーろー」らしいぞ
ミスト・ペルメオス
【SPD】
神のクローンとは…奇妙だが、ともかく。
ミスト・ペルメオス、ブラックバード。押し通るッ!
愛機たる機械鎧を駆って参戦。UFOは不使用。
空間戦闘は鎧装騎兵の本領、後れを取るつもりは無い。
念動力はデバイス等を介することで機体制御にも活用。
スラスター出力最大、星の重力を振り切るように加速と上昇を繰り返す。
そうして敵に対して【ヒット&ラン】、一撃離脱戦法を仕掛ける。
十分に上昇・加速してから敵目掛けて降下、ビームアサルトライフルや可変速ビームキャノンによる連続射撃を加えつつ離脱。
接近/離脱時は小刻みにフェイントを入れるなどしつつ回避機動も混ぜ、敵の攻撃は基本的に避ける。
※他の方との共闘等、歓迎です
●失われし神
宇宙空間を単独で飛翔するは、黒き鎧装騎兵――輝く道筋に従って加速する――背のスラスターは最大出力に解放し、下からの重力、周囲の引力を引き離して推進する。
「空間戦闘は鎧装騎兵の本領、後れを取るつもりは無い」
自負する声は、存外若い。自在に昊を言葉通り駆って、彼は構えるアシュラの前へと高度を上げる――六の腕と剣持つ、しなやかな体躯の女神。
怒りを滲ませ睥睨する姿には背筋の凍るような迫力がある――物理的に大きい、ということを度外視しても、強敵であることを示していた。
「神のクローンとは……」
ミスト・ペルメオス(銀河渡りの黒い鳥・f05377)はそっと囁く。
オブリビオンとは謂わばそれがクローンのようなものではないのか。否、クローンという言葉そのものが奇妙でもある――意味があるのか、無いのか。
冗談のようなスケールで剣を構える女の姿は、はてさて、神か災害か。
黒髪の隙間より鋭い目を細め、狭い艇内で、ある男が嘆息した。
「竜も驚く巨体に手足は合計八本――贅沢なことだ……親戚に蛸でもいるのではないか」
皮肉を零してみるものの、ジャハル・アルムリフ(凶星・f00995)は眼前に浮かぶ六臂の戦神――の映しを眺め、その立ち回りは見事と感心する点を見出していた。
「……然し戦神の太刀筋。間近でまみえる機会など二度は無かろう――ならば逃す手はあるまい」
仮に崇められぬほど落ちたる身としても、原初の武闘には、彼も学び取れる『何か』がありそうだ。
――これが真の神か、偽りのそれか。思案していても仕方が無い。
戦神アシュラのクローンはこうして彼らの前に立ち塞がっているのだ。ミストは長い呼気を零す。
「奇妙だが、ともかく。ミスト・ペルメオス、ブラックバード。押し通るッ!」
まさしく発射、とでも言えばよいか。
名告り、飛び出していったミストを見やり、ジャハルも続く――残る問題は、ジャハルにこの不思議な乗り物を乗りこなせるか――此処までは幸いなことに、適当にボタンを押せば、前に進み、加速もしてくれた。
ずっと奇妙なアラートは鳴っているが、UFOとやらはこういう鳴き声なのだろうか、と思ってはいたが。
周囲を見渡し、目に付いた装置に触れる。更なる加速を示唆するような操作を、彼は本能的に行うと――艇は更なる悲鳴をあげて、最高速度に至ってくれた。
先んじて、ミストが空を斬り裂き、アシュラへ迫る。広げた両腕にアサルトライフルにマシンキャノン、携行の重量を感じさせぬ疾走に、神は煩わしそうに眉根を寄せた。
「正面から来るとは良い度胸だね」
(「――仕掛ける」)
彼女の踏み込みと同時、スラスターが一気に噴出し、背から光を放つ。
水平に突打された剣の横を、黒き機械鎧が颯爽と躱し、垂直の光帯を残しながら上昇する。
そのまま頂点に至ると、彼は滑空し――鎧装に備えたキャノンも全解放し掃射した。
航路はまるで彼女の腕のラインに沿うように。全射は本体に向け。光の屈折を感じれば、再び急加速して浮上する――彼女の腕は六あって、剣もまた六あるのだから。
盾の如く身を庇うアシュラの腕に赤い筋が刻まれていく。
「ああ、羽虫の分際で、ちょこまかちょこまか。ムカツクね! ――こっちもだ!」
そしてまた――六の腕は。注意がミストに向かっていながら、全方位の護りにも即していた。
隙を見て間合いまで詰めていたジャハルへ、アシュラは半身を翻した。巨躯の一挙一動を、ミストは容易に躱すが、凄まじい剣風に巻き込まれ、僅かに外へと流された。
完全にジャハルを捉える体勢に移るなり、彼女は六閃を一息に放ってきた――剣筋は見えるが、彼に回避の術はない。そのための精緻な操作を知らぬゆえ。
ただ黒瞳を相手から逸らさず、ひたと見据え――黙ったまま、衝撃に備えた。
一つの太刀が、艇を半分で割った。ビービーと酷い音をたてて警告するそれの上に、軽やかに移動すると、彼は拳を突き出すようにして、滴る血を、過ぎゆくアシュラの腕へ放つ。
刹那、双方の間で爆発が生じ――黒く染まりゆく血が鎖となって、神の腕に絡みつく。
ジャハルは僅かに俯く。
「許せ、円盤よ。お前のことは忘れぬ」
別れを告げ、ぐっと踏み込み蹴り出せば、暗い海よりも深い昊に、銀色の輝きが落ちていく――。
鉤爪に白亜の翼を広げ、鎖は戦神と繋いだまま――否、力任せに引き寄せるようにして、ジャハルは飛翔した。
更に空いた片手を突き出せば、また爆発が起こり、新たな鎖が生まれる。それを繋ぐように渡れば、遂にアシュラの喉元へ――。
「羽虫、といったな。羽虫ひとつ満足に斬れぬ戦神など、失笑ものだ」
低く、ジャハルが告げる。無骨な剣に血の雫を纏わせ――刀身に妖しき黒を載せる。
反動で鎖を巻き付けた腕が開き、防御が間に合わぬよう、力任せに躰を振りながら、残る距離を繋ぐべく、彼は高く掲げた剣を真っ直ぐに振り下ろした。
何より、この世界では――。
「謳われるのは、神より『ひーろー』らしいぞ」
喉元が、爆ぜる。斬撃の威力も載せたそれは、深くアシュラの喉を抉り――鎖を、ジャハルは全力で引いている。
辿って更に追撃があるか。或いは神の首に鎖を巻いたか。
「貴様ァァ!!」
いずれにせよ、その事実にアシュラは屈辱で震えた。その眉間に、彼女にとっては小さな銃口が突きつけられた。
此処までの接近に気付かなかったのは――ミストの速さゆえ。
「ああ――型落ちのお前は此処までだッ!」
反動で外へと流れながら、ミストの放った閃光は、強く太く、神と彼を繋ぎ――貫いていた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ロカジ・ミナイ
UFO?乗る乗る!
運転…じゃなくて操縦だっけ?
んなもんオチャノコサイサイよ!
ちょこまか動く鼠みたいに見えるかい?
って事は速さは上等って事だ
上下左右に器用に動いて翻弄し
でっけーネーちゃんが振り回す剣を捉えたら
刀筋に沿ってアクセル全開
そこへ煙管を刺して固定しUFOの上に出る
さながら華麗なサーフライド
宇宙だけど
つま先で操縦桿を操りながら
滑らかな腕の稜線を頼りに首筋まで到達
滑る様な肌をしてる気分になってくれたら大儲けだね
肉薄したら自慢の妖刀を抜刀
刀身をグッと握って血を吸わせ、構え
そうだな…君のお顔の、一番綺麗な部分をもらおうか
瞳、唇か、
はんぶんこがなかよしの秘訣さ
ところでこのUFOって禁煙車?
黒門・玄冬
POW
UFOは経験が無いが
僕も持てる【メカニック】【運転】【操縦】の技能で力を尽くそう
集団で一方から攻めるより攻撃圏内に入る前に散り
敵の攻撃を躱しながら多点攻撃を仕掛けたい
幸い空間に制限はない
巨大なアシュラも面での攻撃でないなら辛くとも隙を生じる
問題は対応出来る速度にUFOが達するかだが
不足なら【ハッキング】で安全装置を解除
【オーラ防御】で最小限守り
増す負荷や負傷ダメージは【激痛耐性】で耐える
以上をもってしても攻撃を躱し切れない
或は背面へ攻撃する好機と判断すれば
【叛逆】の爆弾をUFO外で起爆し、その出力をブースターにして突っ切る
背面を取れば【叛逆】で自爆する
君の怒りの速度に僕等で勝ってみせよう
●双と隻
意気揚々とUFOに乗り込んだロカジ・ミナイ(薬処路橈・f04128)は手を擦り合わせつつ、操縦コンソールを眺める。
「運転……じゃなくて操縦だっけ? んなもんオチャノコサイサイよ!」
本当は、少々意味不明な部分もあるが、感覚的にちょいちょいと弄れば、大体の機械は動くモノ――実際、問題無く操作できている。
比較対象がないけどね、と煙管片手にひとり笑うと、前方に噂の戦神が構えている。
あまりに大きいので遠くからでもよく見える。逆に互いの距離を考えると、かなりスケール感が狂っている。
「おぉ、でっけーネーちゃん」
煙管で大きさを測っていると、そんな彼の動きを彼女は細かに眺めることはできないはずの暁色の瞳がぎょろりとロカジを睨んだ。
「おっと、くわばらくわばら――」
それでも笑みは消さず、彼は操縦に集中した――上下左右と定まらぬ動きだが、それなりに速度は出ている。
「また鼠が一匹迷いこんだかい」
アシュラは深い息を吐いて、剣を構える。油断のない動きだ。
「ちょこまか動く鼠みたいに見えるかい? ――って事は速さは上等って事だ」
あいつらなかなか捕まえられないからね、と商売敵の動きを思って、桿を握る。
アシュラが踏み込む――ロカジの青い瞳は、剣筋を見極め、艇を傾けながら、最大まで加速させた。ぐんと伸びていく銀の軌跡が、昊に線を描く。
相手の剣は五月雨の六連、否、殺戮衝動から生じる幻影を纏い、それ以上に膨れあがる――それをくぐる、もうひとつの銀の筋を彼は視界の隅で捉えた。
シャープな軌道で飛行する、銀色の艇。
それは外からアシュラの動きを見極め、回り込むため一度距離をとって離れていく。
「UFOは経験が無いが……僕も持てる技術で力を尽くそう」
青い光を含んだ紫の瞳が、冷静に戦場を俯瞰し――黒門・玄冬(冬鴉・f03332)の声音は平静に耳朶を打つ。
もっとも、此処での囁きはいずれも独白めいてしまうのが、少々難点だ。
余計な奴が茶々を入れてくる前に、始めてしまおうと、彼はひとたび瞬いた。
「幸い空間に制限はない」
アシュラの斬撃は線。如何に囲い込むように吹き荒れる剣の嵐であろうとも、面を押さえられているわけではない。
ならば必ず抜け道が生じる――後は速度の問題だが、玄冬はハッキングでUFOの安全装置を解除し、限界突破させていた。
乗り心地は最悪だが、それは仕方在るまい。自分のダメージとならぬなら、ただ耐えるのみ。
「甘いッ」
アシュラが素早く斬り返す。握る剣を手放して、前へと駆る速度は、もはや認識出来ぬ。彼女が紡ぐ剣風が機体を酷く揺らし、制御を奪う。
窮地だ――されど、彼は薄く笑う。
「君の怒りの速度に僕等で勝ってみせよう」
構わず、玄冬は耐えて直進した――道筋が見えている。今の速度ならば、突き抜けられる。
UFOが破損したとアラートが告げるを無視して、炎上の気配をも察しながら、彼は彗星の如くアシュラの背面へと至る――。
そこにも、腕はある。正面を定める六の腕だが、逆手に握った剣が、玄冬を追いすがる。
「時が満ち、条件は整った。さぁ、始めよう…」
彼の乗る艇に備わるは、白き玄冬の作った爆弾。
それはあくまで起爆剤のようなものであり――限界を超えて酷使されたUFOは、捉えた腕を巻き添えに、爆発した。
「たーまや……は、不謹慎かな」
ひゅうと宇宙風に髪を靡かせ、ロカジはUFOの上に立ち、身を晒していた。辿るは剣の背から、褐色の膚。
「華麗なサーフライド――宇宙だけど」
爪先で器用に操縦桿を操って、アシュラが伸ばした腕から肩口までを一気に滑る。
何せ完全に懐に入るコースだ。振り払うにせよ、上げた腕に這うように軌道を修正されては、自分の腕を斬りつけるより他にない。
そもそも玄冬の与えたダメージがある。
戦神とて、為す術も無く――ロカジがその視界を独占するような位置まで到達すると、妖刀を掲げて、掌這わす。ぐっと握れば、当然、血が零れ――刀身を濡らす。
昊でも美しく輝く刃紋はロカジの血を吸うと、ぴりりと雷電を帯びた。
流し目一つ、彼は問い掛ける。
「そうだな……君のお顔の、一番綺麗な部分をもらおうか」
瞳、唇か――迷いながら、決めた、と言うなり、艇を跳ねさせる。小高い鼻筋を眺めて、暁に輝く瞳へ。
大上段から、思い切りのよい斬り下ろし。手応えを感じると共に爪先で足場を操り、加速して落ちる。
「はんぶんこがなかよしの秘訣さ」
ウインク残し、華麗なライドで去って行く――片や、再び瞳を傷つけられたアシュラは、片目を押さえて怒りと苦悶の雄叫びをあげた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リオ・フェンブロー
アンサラーを構え、空中戦と行きましょう。
世界は違えど此処は宇宙であれば、私の戦場です
巨大化した方は初めてですが…、この地の文化なのでしょう
怪人、でしたか。的も大きいと思えば良いことです。
移動手段として頂いたUFOですが
最初に一気に距離を詰めるのに使い、後は足場にして突撃させます。
迎撃してくださるならそれで結構、爆炎を隠れ蓑に全力砲撃を行います
小回りが効かずとも、さて気がつかれますか?
ならば一気に鎧機を発動します。
炎を纏え、アンサラー。
…少し、無理をさせます。ですが、これが我らの魔女たる本懐
突進で巨体が揺らげば、一斉斉射を。
レディ、貴方も来ますか?
剣は出来る限り砲撃で避け、足の間を抜けたいですね
早乙女・翼
カレー屋で見かけた女神の絵に似てる。
破壊神だったかなあれ。
この世界壊されても困るしさっさと道除けて貰うか。
宙域まではUFOで。彼女の剣の隙間を縫って近づき、ハッチ開けて外に。
自動操縦に任せて俺は自前の翼で飛び立つ。
この大きな羽根は伊達じゃない。
鎖を放ち彼女の服かどこかにアンカーとして引っ掛け、脇の下――二の腕の隙間を翻弄するように鎖延ばしながら縫って飛ぶ。
時に挑発で胸の小山踏み。おお、柔い。
剣の射程の内側は斬れないだろ? その腕ぐるぐるに縛って纏めてやるさよ。
レディ出て来たら一緒くたに巻き込んで。
最後にUFOに鎖打ち込み、ブン回して女神の顔面にでもぶつけてやるさね。
帰り道? 何とかなる、多分。
●繚炎
見渡す限りの闇。時折瞬く星々の輝き――重力から解放されたというのに、重みすら感じる昊の中、一人しか乗れぬ船艇に身を任せる。
それは彼にとっては不安ではなく、むしろ落ち着く、懐かしい感覚であった。
リオ・フェンブロー(鈍色の鷹・f14030)は光の路を滑るように機を走らせている。
この世界のUFOはスペースシップワールドのものと比べると勝手が異なるが、困惑する程でもない。
どちらかといえば、問題の地点に立ち塞がるアシュラのほうが衝撃的だ。
「世界は違えど此処は宇宙であれば、私の戦場です――巨大化した方は初めてですが……」
戦艦級であると思えば、戦ったことのない大きさでもない。人型そのまま、は希有な例であるが。
「怪人、でしたか。的も大きいと思えば良いことです」
この地の文化なのでしょう、あっさり納得してしまう。
――そして、これをもし聞きつけていれば「いやいや」と突っ込んだだろう青年も、今は軽く口を開き、猟兵たちを睥睨する女神を見つめていた。
記憶に引っ掛かる、既視感を探り、赤い髪を僅かに捏ねる。
「カレー屋で見かけた女神の絵に似てる。破壊神だったかなあれ」
早乙女・翼(彼岸の柘榴・f15830)の感想もまた、聴く者が聴けば「いやいや」と突っ込んだかもしれないが――すっとしたのか、不敵な微笑を湛えて桿を握る。
「この世界壊されても困るしさっさと道除けて貰うか」
破壊のために現れた神のクローンだという事実は変わらぬ。
アシュラは、片目から赤い涙を流していた。貌の半分を流す朱で彩り、怒りでどす黒く染めている。
だが、その肩や、喉元、激しい損傷が見られる腹部――今までの猟兵たちの戦いが、そこに刻まれている。
ゆえにますます殺気を高めた戦神は、六腕を器用に交差させ、構えた。
「ああ――招いてもいないのに来たね! 猟兵!」
言葉短く、踏み込んでくる。たん、と何も無い空間を軽やかに蹴って、二人の艇に巨大なアシュラが急激に距離を詰めた。
その姿が重なって見える――幻覚の腕と合わせて十二の腕と剣が、絡まることも無く次々と昊を断つ。
ぶおん、艇を煽るような風が吹きつける。
「迎撃してくださるならそれで結構」
リオが身を乗り出す。UFOは前進を続けるように操作すると、彼は風除を開けて昊を直接見つめた。
巨大な刃が薙いだ――合わせ、砲台を解放し、斉射する。
爆炎が両者の間に広がるを、それがどうしたとアシュラは斬り伏せてくる。手応えはある――銀色の艇は真っ二つに断たれ、爆発しながら落ちていく。
焔は更に火勢を増して、闇にひとすじの筋を描くを隠す。
漆黒のアームドフォート広げ、炎と共に舞うリオがアシュラに囁く。
「小回りが効かずとも、さて気がつかれますか?」
一瞬にして鋒から貌の横まで飛び立つは、鎧装騎兵の機動力。昊は彼にとって地上よりも自在に奔れる空間。
「――灰たるは炎を扱うが故、いかがですか?」
漆黒の中に青を描くリオの礼装が熱を帯びる。
「炎を纏え、アンサラー」
砲台は魔力によって紅を纏う。
「……少し、無理をさせます。ですが、これが我らの魔女たる本懐」
僅かに躰を傾ければ、火焔の軌跡を残して、その場から彼の姿が消えた。
編んだ銀の髪が揺れる――巨大な神に、彼は怯むこと無く突進する。そして、本来ならば無謀としか思えぬその飛行も、炎の魔力を抱いたアームドフォートの協力があれば、為せる。
衝突音は殆ど無い。ただ、背よりぶつかった鎧装騎兵の力に耐えきれず、その巨体は後退った。
「レディ、貴方も来ますか?」
「こ、の……!」
挑発に怒りで貌を赤くして、アシュラは腕を上げようとしたが――緋色の翼が、視界の片隅に過ぎったことで、躊躇した。
もう一台の忌まわしきUFOは捕捉していたつもりだった。
だが、それに搭乗していたはずの男は羽が美しく揃った大翼を羽ばたかせ、昊を舞っていた。
「主よ、罪深き者に裁きと戒めの業火を」
翼は短き祝詞を口に乗せると、片腕を天に向けるように突き出した。
包帯が自ずと緩み、手首の傷痕から炎が零れる――刹那、炎纏う鎖が彼とアシュラの腕を繋ぐ。
遊ぶように二の腕の裏から、脇を潜って、鎖骨を滑る。
「おお、柔い」
胸元に降り立った彼は、足元の感触に正直な感想を告げた。無論、挑発である。
――アシュラの額に青筋が浮き立つのが見えた。
小さく笑いながら、すぐさま翼はそこを経つと、新たな鎖を紡いで、別の腕へと渡ってしまう。
「剣の射程の内側は斬れないだろ? その腕ぐるぐるに縛って纏めてやるさよ」
古典ではよくある、神を翻弄する不徳者のようだな――と、自分が別の神に仕える一族であることを思い出してまた笑う。少々、苦いものの混ざる記憶だが、文字通り手も足も出せぬ戦神の前に、今は小気味よい。
「とはいえ、時間は有限だ。そろそろフィナーレといくさよ」
赤い視線を上へと投げれば、リオの青とぶつかった。
翼は羽で浮遊すると、両腕の鎖を、何処かへと放つ。
いよいよ剣戟を放てるかという小さな足踏みをとろうとしたアシュラよりも、リオが先んじた。
「払え、アンサラー」
充分に力を蓄えた主砲が吼える――爆炎がアシュラの耳を貫き、広く展開された砲撃の範囲はいずれも彼女を逃さない。
ぶん、と。緩やかな孤を描いて飛んできた、銀色のUFOがアシュラの額を割った――炎鎖が千切れて昊を彩る。爆ぜる艇越しに睨み付ける先には、両腕を高く上げた翼がいる。
鎖を繋いだ艇を、ハンマーよろしく全力でぶん投げて――彼は、自身の見事なスイングに、満足そうに微笑んでいた。
成功
🔵🔵🔵🔵🔴🔴
マリス・ステラ
「主よ、憐れみたまえ」
『祈り』を捧げると星辰の片目に光が灯る
【神に愛されし者】を使用
最高速はマッハ5に迫る速度で宙を翔ける
「灰は灰に、塵は塵に」
星屑で『援護射撃』放つ矢は流星の如く
響く弦音は『破魔』の力を宿して敵の動きを鈍らせる
「復習を求めるならば、私は受けて立ちましょう」
復習は独りではできないから
彼女の攻撃を彗星のような速度から質量を伴う星の『属性攻撃』の『カウンター』で相殺
「今のが本気ですか? 手加減は不要です」
飛来する炎の剣を『存在感』を持つ輝きを散らして、フレアのように『おびき寄せ』て回避
『あなたに魂の救済を』
全身から星の輝きを光線に変えて『一斉発射』
彼女の全ての腕を穿ちます
コノハ・ライゼ
まあアレね、要はぶっ倒せばイイんでしょ
宇宙だろうがドコだろうが、美味しく喰らえりゃ文句ないわ
操縦だけならともかく、戦えってぇとちょいと自信なくてネ
頭上目指しUFOで近付いたら敵目掛けて飛び降りるわ
大人しく着地はさせてくれないでしょうから
攻撃動作を読みつつ『見切り』【彩雨】呼んで中空に氷の足場を作成
蹴りつつ速度調整と方向転換し躱しながら『空中戦』といくヨ
すかさず『2回攻撃』で針を剣状にし敵の喉元狙っていくねぇ
足場に使えるなら他のUFOだって利用するし
剣が飛んで来たら急旋回で敵の手足側へ逃げ自爆を誘発しましょ
着地が叶ったら『生命力吸収』も忘れずに
死ぬ前に戻してくれるっての信じて精々派手に動きましょ
パウル・ブラフマン
どもー!エイリアンツアーズでっす☆
宇宙空間と云えばオレの十八番。
UFOも超気になるけど
今回は愛機Glanzで参戦するよ♪
ノッケからトバしていくぜ、Glanz―UC発動!
磨き上げた【運転】テクを活かして
死角になっている背面から
頭頂部を狙って猛【ダッシュ】で駆け上がるよ!
振り向きざまの刀の一撃は
刀身の上を疾走して躱したいな。
そのまま発射台代わりに大【ジャンプ】!
Krakeを展開し
眉間を狙って全砲【一斉発射】だ!!
猟兵仲間のピンチには
車体を盾にして【かばう】など即座にフォロー。
【誘導弾】を射出して弾幕を張ったり
制御不能になったUFOをGlanzで牽引、救出も承りまっす☆
※絡み&同乗&アドリブ大歓迎!
●神殺しの彗星
金色の輝きが震えて、さらさらと前髪が額をくすぐる。
「主よ、憐れみたまえ」
祈りを捧げば、星辰の片眸は光を宿す。
重ねた指を解けば、彼女の輪郭は星の輝きで包まれていた。
「あなたが感じなくとも、神はあなたを見ています」
指先が空を滑れば、星の軌跡がそれを追う。マリス・ステラ(星を宿す者・f03202)は宇宙空間に光を撒きながら、一瞬で距離を零と結ぶ。
全身傷付き、髪も乱れたアシュラが、隻眼で彼女を睨む――その憎しみを正面から受けてもマリスは平静そのものだ。
見つめるなり、矢を引く。大弓の弦が軋む感覚を確かめながら、すぐに解き放つ。
昊を星が流れていくように。破魔の矢はアシュラの間合いに吸い込まれると、無造作な斬撃で断たれた。
「ここまで無様を晒したんだ。ひとり二人、道連れにしてやらなきゃ気が済まないね」
言い放つと、息を吸い、止める。
その所作をマリスはじっと眺めると、小さく肯く。
「復讐を求めるならば、私は受けて立ちましょう」
彼女の強さを支えるのは、彼女自身の愛――慈愛を以て、彼女はアシュラへ挑んでいる。
軽やかな跳躍から、間を置かず放たれた斬撃は、マリスを撃った。すさまじい烈風は壁の如く――それを、超速の突進で彼女は躱す。
「今のが本気ですか? 手加減は不要です」
涼やかに問い掛ければ、アシュラは不敵に笑った。一閃では済まぬ――傷付いた腕もあるが、六の腕は飾りではない。
次々と畳み掛ける斬撃の檻を、彗星の如く、彼女は潜り抜ける。
――それを、機体の上で見下ろす男が嘆息した。
アシュラは追い込まれたことで、深い集中と、身を省みぬ攻撃をしている。マリスの飛行速度でも、その輝きが時折途切れるように。並大抵の速さでは、競り合えぬ斬撃。
(「操縦だけならともかく、戦えってぇとちょいと自信なくてネ」)
吹き荒れる剣風に前髪躍らせ、コノハ・ライゼ(空々・f03130)はぐっと膝を曲げた。
「まあアレね、要はぶっ倒せばイイんでしょ。宇宙だろうがドコだろうが、美味しく喰らえりゃ文句ないわ」
大きく剣を薙いだ、その一瞬に。
「煌めくアメを、ドウゾ」
万色映す水晶の針をアシュラに向けて放つ――否。
彼はそれをアシュラまでの足がかりに固定すると、針を次々蹴りながら、巨大なる戦神へと距離を詰めた。もしも針の数が切れたら、お終いではあるが――。
「死ぬ前に戻してくれるっての信じて精々派手に動きましょ」
それさえ、愉快と。コノハは口元に笑みを湛えて、両牙を鳴らした。
頭上を跳ねる彼に気付いたアシュラは、きらきらと輝く水晶を忌々しそうに睨めつけると、頭上に向けて剣を掲げる。
「届く前に、破壊してやるよ!」
炎を纏う剣が、迎撃してくる――それをコノハは悠々と跳躍する。だが、砕かれていく針に、小さく舌打ちした。
先の足場が失われれば、回避が難しくなる。ぐっと身を前のめりに、アシュラへ迫る速度を速めるが――。
アシュラが、もう一刀を投げた。残された足場が砕かれて、コノハは行き場を失う。
落ちる先がアシュラの元なら、攻撃もできるだろうが――直接剣に襲われぬよう身構えた彼の横。彗星の如く、白銀が駆けつけた。
「どもー! エイリアンツアーズでっす☆」
パウル・ブラフマン(Devilfish・f04694)が、アシュラと猟兵たちと、両者に朗らかに挨拶した。
「宇宙空間と云えばオレの十八番。愛機Glanzで女神観光ツアーってね――ドーゾ、相乗りも、足場でも!」
「アリガト。使わせて貰うわ」
丁度足場と駆けてきたバイクの背を蹴って、コノハは跳んだ。
すかさず誘導弾を放って、向けられた斬撃から彼を庇うことも忘れない。
「ノッケからトバしていくぜ、Glanz――」
愛機に声かけ、ゴッドスピードライドによって、更に加速する。
宇宙バイクが本領を発揮する空間、僅かな上昇気流に前輪を浮かせ、突きで出迎えてきた剣の腹を滑り、一気に背面へと回り込む。
Glanzの無骨なフォルムは闇に溶けども、艶やかな蒼き光線が残像と刻まれる。
両者を狙う刃の軌道を弾くは、マリスの放つ矢だ。
流れた剣を足場に、コノハは跳躍すると、残っている水晶の針をたぐり寄せ、水晶の路を作り出す。
一歩、二歩。駆けるというよりはそのまま跳躍するに等しく昊を巡って、薄氷の瞳を細めて、アシュラを見やる。
「さて、神のクローンだっけ? どんな味カシラ」
そんな彼を狙い、比較的短い一刀が放たれた――対し、コノハは最後の足場を強か踏みつけ急転回しながら、自ら砕く。
アシュラの喉元目掛けた大跳躍は、彼を追尾する剣を回避するだけではなく――自身の剣を自身に向けることになる。
「……くッ」
それをそのまま喰らうことは流石にないが――炎の剣を、自ら叩き落とした彼女は気付く。すぐ喉元に水晶の剣が突きつけられていることを。
砕かれたすべての針が、剣の形で集約されて、コノハが振るうと同時に、傷付いた喉を更に抉った。
夥しい血が降り注ぐ中、コノハが天を仰げば。
ぐんと足場が激しく動いた。
六臂も、二刀と手放せば、三者を相手に振るうは難しい。ただ、身軽となった分、アシュラの回転も速い――気合いの咆哮と共に、差し向けられた刃を足場に宙へと飛び出す、白銀のバイクの描く美しい弧。
高らかな声をあげるは、パウルとGlanz――そして、その触手が自在に操る砲台たちだ。
その全てがアシュラの額を狙い、火を噴いた。
斉射された弾丸の全て、庇おうとする腕へ。
『あなたに魂の救済を』
静謐なる祈りを以て。マリスの全身から光が放たれ――貫き、穿つ。
様々な光と爆炎が、暗き昊を真白に染めた。柘榴を突き刺し、自分の躰を固定したコノハは、アシュラが受けた衝撃を同じように受け止める。
巨大すぎる神は、その四肢を光に灼かれ、額を鉛で撃ち抜かれ――同時、応戦した猟兵たちが刻みつけてきた全ての傷から、命が抜けていく。
生命を啜るコノハにはその様がよく見えた。終わったのだと――。
「ああ、ムカツクよ、猟兵! 次のアタシがこの屈辱晴らしてくれる――!」
「そいつは悪役の常套句だよ、おねーさん!」
大音量で放たれた負け惜しみに、パウルはからりと笑う。
言ったら負けちゃう魔法の言葉だよ、と。
悔しさを滲ませながら、アシュラは傷口から崩壊していく――いくつかのUFOを牽引しながら、パウルは放り出されるであろうコノハを迎えに、バイクを転回させた。
崩れゆく神を前に、マリスは星辰を宿す眸をそっと閉ざし、祈りを送る。
再び彼女がそれを解いた時、ビームハイウェイを遮る戦神は完全に姿を消していた。
彼女が残した言葉通り、クローンどもはまだまだ増殖するであろうが――なれば、幾度でも猟兵たちは彼女と戦うまでだ。
――この世界から破壊を退ける、その時まで。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵