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もち、食すべからず

#サムライエンパイア

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#サムライエンパイア


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「お餅、美味しいですわよね」
 ペパシア・ドロキペは、グリモアベースの片隅できなこ餅を咀嚼しながらそう呟いた。
 1月、お餅のおいしい季節である。食べ過ぎには注意しないとなぁ…。一緒にテーブルを囲んでいた猟兵の1人がため息を吐く。
 ペパシアは口の中の餅を嚥下すると、悲しそうな顔をして次のようなことを言った。
「実はサムライエンパイアのある地域での話なんですが……お餅を食べることが禁止されてしまったみたいなんですのよ…」
 な、なんだってー!猟兵達が驚愕の顔で悲痛の叫びをあげる。お正月の時期にお餅が食べられない!こんな悲劇が他にあるだろうか!
「そこのお殿様が直々に出したおふれだそうですのよ…。なんでも、『餅と言うものは喉に詰まり、今までに数多くの民を冥府へと送ってきた。このような危険な食べ物を野放しにしておく訳にはいかない、よって我が領地では餅を食すことを禁ずる。餅を食した者には重罰を下す』…との事ですのよ…」
 たしかにお餅は美味しいが、ひとつ間違えば危険な食べ物へと姿を変える。お殿様の考えることも間違いではないはずだ…。だがしかし、お餅を食べたがっている人々も沢山いる。なんとかしてあげたいものだが…。

「お餅が食べられないなんて…そんな悲しいことありませんわ!…そう思って、独自に調査をしていたのですわよ。そうしたら案の定……オブリビオンの気配がありましたわ!!」
 グリモアベースがにわかに沸き立つ。オブリビオンが関わっているということは、猟兵の関与が可能ということ!
「わたくし達でこのおふれ、撤回させてしまいましょう!」
 猟兵達の歓声がグリモアベースに響き渡った。
「というのも…」
 ペパシアの話が続く。
「なんでも最近、お餅を詰まらせる事故があまりにも増えすぎてるらしいですの。…わたくしの予知によると、これは事故ではなく、何者かの陰謀だということが判明しましたわ!お餅を喉に詰まらせる能力を持ったオブリビオンがいるらしいんですのよ!…皆様、これを退治いたしましょう!そうすればお殿様もわかってくれるはずですわ!」

 ペパシアの話によると、おふれから隠れてお餅を食べた町民達がいて、今まさに喉にお餅を詰まらせている真っ最中なのだという。そこに猟兵達を飛ばすので、まずは彼らを救ってほしい。オブリビオン退治はそれからだ!と、言うことらしい。
 …さて、それでは人助けに出発だ。
「みなさま、頑張ってくださいまし!」


森の人
 森の人です。お餅がおいしい季節ですね。

 一章では、お餅の誘惑に勝てず、おふれにそむいてしまった人たちがいます。オブリビオンの使う呪いによって殺人能力を持ってしまったお餅からサムライエンパイアの町民を救いましょう。危険に陥っている町民を捜索し、救助をどう行うのか、そういったプレイングをお待ちしております。

 2章からは黒幕と戦闘です。さっくりと倒して平和を取り戻し、殿様のおふれを撤回させましょう!
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第1章 冒険 『殿様のおふれ』

POW   :    ごり押しで解決

SPD   :    走り回ってささっと解決

WIZ   :    そうか!このおふれには抜け道が!

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種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

破魔・案山子
お餅、美味いもん
そりゃ我慢出来ないよなっ
餅が食えるなら死んでも本望……って、俺は思いマセン!
なっ、男爵(リュックの中

杵や臼まで殿様は取り締まってねぇのかな
もち米蒸すのも餅つきも外から完全に隠蔽すんの無理じゃね?
その辺の界隈全体で皆が口を閉じてなけりゃさ

家屋から漏れるもち米の匂いや煙を辿って行こー
屋内で杵は振れそうにないし
集会でも始めんのかって人集まる所、ててっと付いて行こ
お子様一人紛れマス
バレたら天下自在符で正直に話そ(最終手段

餅、口に入る前に止めたかった
餅自体に毒なるモンないならダメにすんのは絶対勿体無いし
二次被害起きないよう餅回収(風呂敷詰め詰め
事件解決まで、おあずけにさせて!
後で返すって


有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

禁止されれば背きたくなるのが人の性、というものでしょうか。
確かに、自由にお餅を食べられないのは…可哀想な気はするな。

さて、餅を詰まらせた相手の対処だが……正攻法でいいでしょうか?
背中を数回叩く、これを異物を吐くまで繰り返す。

ところで、餅を食すことが禁止されているのに、この餅はどうやって手に入れたのでしょうか。
オブリビオンが関わっているとのことですし、この餅の入手経路がわかれば、オブリビオンに関する情報が得られるかもしれません。
「今後、お餅を安心して食べられるかどうか……。そのためには、あなた方の情報が必要です」



正月ムードに浮かれるサムライエンパイア。門松や正月飾りがそこかしこに置かれ、山の方向には凧揚げをやっている様子が見られる。だがしかし、この平和な町に死神が潜んでいると猟兵達は知っている。
「お餅美味いもん、我慢できないよなっ」
 ヤドリガミの破魔・案山子(f05592)は、うんうんと訳知り顔で頷く。
「餅が食えるなら死んでも本望……なわけないよな!男爵、みんなをなんとか助けよう!」
 背負っているリュックの中から、男爵と呼ばれた相棒のカラスが顔を覗かせるとカァーと鳴いて相槌を打つ。案山子は相棒の元気いい返事に微笑むと、救助者を探すためにすたこら出発した。
「臼や杵は表に放り出してあるけど、どれもホコリを被っている…。やっぱりみんな大っぴらにはお餅をつけてないってことだよな。」
 町を走り回っていると、おふれの影響で町民はおもち作りをできていないことがわかった。…ならば今町人達を苦しめているお餅というのは、どこからやってきたものなのだろう…?
「……もち米のにおい!男爵、あそこだ!!」
 案山子の鼻に、甘いお餅の香りがヒットする。古ぼけた長屋の裏の広場、数人の男性が倒れているのが見えた。囲炉裏を囲んでさっきまで談笑していたのだろう。それが鬼の形相を浮かべ、炭を蹴飛ばして苦しんでいる。

「…まずい、すぐに処置を開始します」
 案山子を追いかけて着いてきた有栖川・夏介(f06470)。素早く町人達の傍に寄ると一人の体を起こし、その背中を数回叩く。これを根気よく何度も続けると、そのうち「ゲホッ…!」という音とともに男が餅を吐き出した。
「…間に合ったみたいですね。」
 夏介はそう判断して立ち上がると、直ぐに次の患者の下へと向かう。こういう手当はスピードが命である。同じ手段で彼は、全員からお餅を吐かせることに成功した。
「げほげほっ……お、おかげで助かりました」
 町人達が頭を下げる。
「…それで、あなた方、なぜご禁制とされているお餅を食べてしまったんですか?禁止されている物ですし、入手手段も限られているはずですが?」
 夏介にそう問われると、町人は後ろめたい顔をして言いにくそうに答えた。なんでも、餅が禁止されてからというもの、もち米が手に入らなくなってしまった。それに餅つきをするというのは大変大掛かりなことなので、こっそり秘密で餅を手に入れることは出来ない。そういうわけで、お餅は食べたくても食べられない状態にあった。ところが、食べたいという気持ちを止めることは出来ないのである。恋煩いにも似たその感情を抑えるため、長屋の中を大掃除して探し回った結果、たくさんの切り餅が戸棚の上から転がり落ちてきたため、喜んでこれを焼いて食べたのだという。
「戸棚の上から…。消費期限とか大丈夫ですか、そのお餅」
 そう尋ねると町人達は首をひねる。そもそもの話、お餅を戸棚にしまっていた覚えが無いのだという。あの時は興奮していたため気が付かなかったが、今考えるとおかしな出処である。
「…オブリビオンが戸棚にお餅を隠した?なんとも回りくどいような…。とにかくそのお餅、調べる必要がありますね。」
 夏介はそう言って首を捻る。横を見ると、残ったお餅を風呂敷に包んで案山子が回収してるのが目に入った。
「回収しておいたぜっ!後で返すから、事件解決まで俺たちに預けておいてくれ!」
 案山子が風呂敷を手に持ち、町人達にそう声をかける。すると町人達は喉に詰めた時の恐ろしさを思い出し、顔を青くして「要らない要らない」と大きく首を振った。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

蒐集院・閉
折角のお正月、縁起物が食べられないのは酷なものでしょう。
手助け致します。

人々の救助は【POW】を使用し解決します。
餅についての知識はあります。勿論、喉に詰まらせた場合の対処法も。食道に詰まっている場合は水を飲めば意外と簡単に直ったりもするんですよ。(「料理」「医術」)
それ以外で必要な場合は、力技も行使しましょう。(「怪力」)

ただ、とじは未熟者ですので…
痛いのは、我慢して下さいね。(「優しさ」)


キャリウォルト・グローバー
某は機械故、窒息という概念がさっぱりと理解出来ないが…
苦しんでいる者を見て見ぬふりをするわけにはいかぬな。
某に出来ることがあれば手伝わせていただこう。

【POW】
某にも多少だが「救助活動」の心得がある。
確か、このような物を喉につまらせた場合は腹部を突き上げるのがいいと聞く。
ならば、某の拳を以て町民の腹を片っ端からぶん殴るのが一番手っ取り早い治療法であろう。
何、手加減はする。
お前たちもこのまま死んでしまうよりは某の拳を一撃受けるほうが遥かにいいであろう?
(その無機質なレンズの瞳で見られたものに「恐怖を与える」ことが出来たであろう)



 同じ頃、ヤドリガミの蒐集院・閉(f02941)は広場にて餅を詰まらせた集団を見つけていた。老人、女性、子供…多くの人達がみな一様に餅を詰まらせ苦しんでいる。明らかに異常な光景である。
「折角のお正月、縁起物だというのにこれは酷いですね…手助け致しますよ」
 閉は水筒をキュポリと開ける。中には暖かいお茶が入っているのだろう、冬の冷たい空気に水筒から白い湯気が零れた。
「食道に詰まったお餅は、お水を使えば粘りが取れて簡単に飲み込めたりするんですよ。」
 お餅で苦しんでいる少年を引き寄せ、さあお飲み、と水筒を口へと近づける。だがしかし、少年はそれを飲む気力も残っていないようだ。どうやらお餅が詰まっているのは食道ではなく気管。呼吸ができない少年は刻一刻と死期が近づいてきている。
「待つのだ、お餅を飲み込ませてしまっては…それは“おふれ”に背くことになってしまう。なんとかして吐き出させる必要がありそうだぞ。」
 そう言って閉の手を止めるのはキャリウォルト・グローバー(f01362)だ。お殿様が出したおふれの内容は“餅、食すこと禁ずる”である。餅を飲み込むことは、お上に睨まれることに繋がりかねない。少なくとも、今は。
「ええ…そのようですね。だから、こうします。」
 閉は少年をそっと膝から降ろすと、その口を素早くこじ開ける。
「力技ですが…これが確実でしょう。…ただ、とじは未熟者ですので…、痛いのは我慢してくださいねっ?」
 閉は少年にそう言ってほほ笑みかける。少年がコクリと頷いたのか頷かなかったのか…、閉は少年の口の中へと瞬時に手を突っ込むと、餅を素早く引きずり出した。
 ずるりと引きずり出されたお餅を地面へと叩きつける。こんな大きなお餅を子供が丸呑みに?どう考えてもこれはオブリビオン由来の、悪意ある食物に違いない。…その証拠に、叩きつけられたお餅はぶよぶよ動き出すと、茂みに向かって逃げようとし始める。閉はそれを見咎めると、渾身の力でそれを踏みつける。…間もなくそれは動かなくなった。
「なんと奇妙な…!」
 キャリウォルトが赤く光るモノアイを、その奇っ怪な白くぶよぶよしたものへと向ける。お餅そのものがオブリビオンであったのか…!
「…ならば一刻も早く皆を助けなければいかん、某も助けになろう。何、救助活動には多少心得があるのでな。」
 キャリウォルトはそう言って拳を固める。
「物を喉に詰まらせた時には腹部を突き上げるのが良いと聞く。何、手加減はするが…これが一番手っ取り早いであろう。我慢しろ、手早くすませるともさ。」
 ボムン!キャリウォルトが拳を振りかぶり、患者の腹部を殴りつける。うまい具合に手加減されたそれは、患者の胃袋をちょうど良い具合に揺さぶった。苦悶の表情を浮かべた患者は、やがて拳大の大きさのお餅を吐き出す。
「よし、うまくいくようであるな」
 やり方は間違っていないようだと判断したキャリウォルトは、くるりと首を他の患者の元へと向けた。
「…そこに並べ。順番に一撃、見舞いしてやろう」
 表情を読み取れないキャリウォルトのレンズの赤い瞳、それを見た患者たちは恐怖の表情を浮かべ、呑めない息をゴクリと呑んだ…。

 こうして二人の活躍により、多くの町人の命が救われた。危険なお餅を大量に回収し両腕いっぱいに抱え、あとで燃やして退治してしまおう、いや、しかし焼いて食べるお餅に火は効果あるのか?などと二人は話し合い歩いていくのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

クレイン・メニータイムズ
抜け道を探してみましょうか
なんとなくお餅を見ていると親近感がわいてしまうのですが……
食べてしまった人よりも食べようとしている人、これを未然に防ぐ努力をしてみましょうか。
代用品を提示してみましょうか。白玉……では勘違いされてしまうかもしれませんね。
タピオカ……白い大判焼きならお餅を食べたという気分に浸れるでしょうか?データによると昔に流行ったと聞きますしきっとここの世界の人にも受けるのではないかなと思います。
お餅を食べたい人を見つけて配り歩いてみましょうか。
それともタピオカそのものを透明な白玉として甘味処に売り込んでみるのもいいかもしれません
あまり大量にはできませんが、お触れが出ている間だけでも



「なんとなくお餅には親近感が湧きますね…」
 ブラックタールのクレイン・メニータイムズ(f08752)はぷくりとお餅のように自身の体を膨らませて、そう独りごちる。
「…お餅を食べてしまった人達は他の猟兵さんが救ってくれたようですし、私はこれからお餅を食べようとしている…そんな人達のために、何か出来ることがないか考えてみることにしましょう…」
 お餅と似た食感の別のもの…代用品は何かないだろうか。幸いサムライエンパイアには精進料理のように、何かを食べたくても食べられないときにそれに似た食感や味の物を作って満足する「もどき料理」といったような考え方が既にある。きっとお餅に似た何かを流行らせれば、町の人々の助けになるはずだ。
「そうですね……同じ弾力のある…タピオカ粉とか…。白い大判焼きなんてものを作れば流行らせられるかもしれませんね…。もしくはタピオカパール自体も透明な白玉として売れるかもしれません…」
 思いついたならば早速動いてみなければならない。クレインはタピオカ粉を甘味処に持っていき、こうこうこういう理由でそれを広めてほしいのだと話す。甘味処の店主もお餅禁止のおふれには頭にきているものだから、それを二つ返事で了承し、思いつく限りのタピオカお菓子を作り出した。
 もちもちに飢えている町民たち。そんな甘味処があると知った途端わんさと湧き出てきた。おかげで店は大繁盛、町人達も涙を流して美味そうに白い大判焼きを頬張るのだった。
「……お餅禁止の間だけでも…と思って出した代用品でしたが、思いのほか大流行りしてしまいました…。とにかくこれでわざわざお餅を食べる町人さんもいなくなることでしょう。…今のうちにオブリビオンを倒して、町を平和にしなければいけませんね…」

大成功 🔵​🔵​🔵​




第2章 集団戦 『黄泉の本坪鈴』

POW   :    黄泉の門
【黄泉の門が開き飛び出してくる炎 】が命中した対象を燃やす。放たれた【地獄の】炎は、延焼分も含め自身が任意に消去可能。
SPD   :    人魂の炎
レベル×1個の【人魂 】の炎を放つ。全て個別に操作でき、複数合体で強化でき、延焼分も含めて任意に消せる。
WIZ   :    後悔の念
【本坪鈴本体 】から【後悔の念を強制的に呼び起こす念】を放ち、【自身が一番後悔している過去の幻を見せる事】により対象の動きを一時的に封じる。
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍により、危ないお餅達は全て回収された。また、お餅を食べようとする人たちもしばらくは現れないはずである。
 猟兵達は広い土地へと集合すると、集めてきたお餅を一点へばら撒く。油でもかけて焼いてしまおうとしたその時である。
 自分たちを食べようとする者がいない……その事を理解したお餅たち。ならばもう、お餅の体など必要ない!そう判断した白いぶよぶよした餅たちは宙へとふわふわ浮き出した。そして、白いお餅から黒いオブリビオンの正体へと姿を変える!
 その正体は黄泉の本坪鈴。人々を自殺へと導かせようと画策する悪意あるオブリビオンである。
 お餅のひとつひとつ、それらが全てオブリビオンへと姿を変える。そして猟兵達に向かって牙を向いた。おのれ猟兵め!怨みはらさでおくべきか!

 諸悪の根源が姿を現した!さあ、さっさと倒して町の平和を取り戻そう!
蒐集院・閉
餅から鈴へ…オブリビオンとは、よくわかりませぬ。
しかし正体を自ら見せたのならば、最早其処まで。
お覚悟を。

確実に一体づつ、狙いを絞り戦います。
敵の攻撃は鉄塊で防ぎつつ、接近します。(「武器受け」「火炎耐性」「激痛耐性」)
【灼熱地獄】も解き放ちながら、火には火でお返ししましょう。
無論、近づいたならそれだけで終わらせはしませんが。(「怪力」「捨て身の一撃」「鎧砕き」「生命力吸収」)

その程度で地獄など、片腹痛い。
炭にもならず、燃え尽きなさい。



 正体を現したオブリビオン「黄泉の本坪鈴」は、黄泉の門をその鈴の音で開き生者の魂を招き入れることを目的としている。今回の騒動はこの怨霊が手っ取り早く魂を集めるために起こしたものだ。餅に化けて町民たちを殺しにかかるそのやり方は、怨霊の本能によるものか…。はたまた餅を詰まらせて亡くなった何者かの怨念が、怨霊たちを呼び寄せ操ったことによるものか…。
 とにかく一刻も早く奴らを黄泉へと送り返さなければなるまい。お正月には不似合いな存在である。

 蒐集院・閉は鉄塊――自身の武器である巨大な大剣を、正面から見た時自分の体が隠れ、急所を晒すことのないように意識して構える。
「餅から鈴へ姿が変わるとは…、オブリビオンとはよくわかりませぬ。しかし正体を見せたのなら、もはやこれまで」
 化けの皮が剥がれてしまった怪物は退治されるものと相場が決まっている。閉はその無骨な獲物の切っ先をくるりと相手に向ける。…空気を切り裂くかのような迫力が、閉とその巨剣から漂い始めた。
「…お覚悟を」
 閉は百鬼夜行かと見まごうような魑魅魍魎の群れへと一気に加速して近寄る。剣を振りかざしはしない。構えたままぶつかるだけで十分、体の小さな怨霊にとっては致命傷である。鉄塊に触れた本坪鈴は、閉が武器に纏った【生命力吸収】のオーラによって力を失い朽ち果てた。
 それを見た他の怨霊たち、浮遊したまま一斉に閉から距離を取り遠ざかる。
 ちりん。ちりん。怒りに燃えた鈴たちは、その体を勢いよく揺する。これが世に聞く黄泉の門を開く鈴の音である。音に呼応して門…次元の歪みのようなものが現れると、そこから鈴たちは地獄の業火を浴びせかけた。
 ゴオオオッ!凄い勢いで吹き付ける地獄の火炎、それを閉は鉄塊を盾にして正面から受けた。…鉄がみるみるうちに真っ赤に加熱されていく。…が、しかし、閉はそれを顔色を変えず眺める。
「地獄の炎…これがそうだと?…この程度で地獄など、片腹痛い。…炭にもならず、燃え尽きなさい」
 閉の目に写り込んだ地獄の炎…いや、それはオブリビオンの火ではない。閉の目の奥で赤々と輝いて燃える炎…、地獄を知るものだけが宿す、復讐の焔だ。
 それが、閉の体を切り裂き表へと噴出する。茜色に燃えるそれはオブリビオンの出した地獄の炎と同じ種類のものではあるが、その火力の差は歴然だ。閉の炎は黄泉の門から溢れる火炎、そして驚愕の表情を浮かべる本坪鈴達を瞬く間に喰らい尽くしていく。
 …赤々と燃える茜色だけが後には残った。
 鉄塊が、冬の冷たい空気に晒されてまた黒く無骨な姿へと戻る。閉は放出させていた【灼熱地獄】の炎を軽く叩いて消し去ると、軽くため息を吐くのだった

大成功 🔵​🔵​🔵​

有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

まさか、餅そのものがオブリビオンだったとは。
町人の餅に対する思いを利用し、餅に化けるとは卑怯ですね。
手加減する必要はないな。全力でいきますよ。
『お前たちのように危険な餅は、もういらないんですよ』

敵の動きをよくみて、行動。
基本は処刑人の剣で近接攻撃しつつ、【第六感】で危険を察知したら距離をとって様子見。
離れた敵には【ジャッジメント・クルセイド】で攻撃します。

危険なのはオブリビオンであって、餅そのものではない…と、殿様にわかっていただけるでしょうか……?



「まさか餅そのものがオブリビオンだったとは…」
 有栖川・夏介が驚いたように言う。町人達の餅に対する思い…それは純粋なものだ。餅に化けてそれを悪用、黄泉の世界へ送り込もうなどと、許しておけるわけがない。
「お前達のように危険な餅、もうこの世には必要ないんですよ」
 夏介は「処刑」に特化した自身の愛用の剣を抜く。一匹一匹、この剣で首をはねて差し上げよう。
 夏介の動きに気づいた鈴達が、彼を囲むように陣形を変えていく。たとえ相手が十把一絡げの有象無象だとしても、完全に囲まれるというのは避けたい事態だ。そう判断した夏介は地面を蹴るようにして後ろに下がる。反応して追いかけてきた本坪鈴…つまりは陣形を崩し、勢い誤って飛び込んできた個体を見極めると、逃すことなく斬りはらう。
 いち、に…20体ほど切り捨てただろうか。本坪鈴達は憎々しげに夏介を睨みつけるが、用心して飛び込んでは来なくなったようだ。
「うん、賢い判断だ。…でも、そこじゃあまだ私の射程範囲内ですね」
 そう言うと夏介は、集団の中の何匹かを立て続けに指差していく。
「君と、君と…うん、君だ。…【ジャッジメント・クルセイド】!」
 指さされた怨霊、その小さな的めがけて空から破壊の光が降りそそぐ。うめき声さえあげることができず、怨霊はこの世から消え去った。
 どこからやってくるのかわからない破滅の攻撃、それに恐れをなした魑魅魍魎達はもはや陣形を保つこともできない。パニックになって逃げ惑う、もしくは破れかぶれで夏介向かって襲いかかる。…そのどちらをも彼は処刑人の剣を振り下ろして刈り取った。
「…さて、危険なのはオブリビオンであって餅そのものではない、と殿様にはわかっていただけるでしょうか…」

大成功 🔵​🔵​🔵​

キャリウォルト・グローバー
【アドリブ歓迎】

白いもちもちが黒いもふもふになりおった…。
しかし、町の民を苦しめていた悪には変わらぬ。
某が正義を以て退治させてもらおう!
もふもふ…

【POW】
地獄の炎か…。
某には「火炎耐性」があるから大した影響ではないが…
周囲の仲間に影響がないとも限らん。
ここは一つ残らず某の『熱視線(ばぁんげいざぁ)』で逆に焼き払ってくれよう。
「すないぱぁ(スナイパー)」で狙撃もばっちりである。
何ならあのもふもふもついでに狙っておくか。
あれだけのもふもふならさぞかしよく燃えるであろう。



 いまだわらわらと湧き出てくるかのように姿を現わすオブリビオン達。どうやら今まで民家の棚の中などに餅に化けて居座っていた者たちが、打倒猟兵に向けて動き出したためらしい。一匹残さず倒すことができるというわけで、むしろ有難い動きである。
「しかし白いもちもちが黒いもふもふになるとは…あやかしの常とはいえ見事な化けっぷりであったな…」
 キャリウォルト・グローバーが不思議そうにオブリビオンの群れを見下ろす。彼女が立っているのは民家の瓦屋根の上だ。餅を焼くため、離れたところからレーザーで着火をする役目だったのである。
 餅が本坪鈴の妖怪へと姿を変えたのは彼女にとっても想定外の事態ではあったが、それならそれとして殲滅戦をするだけである。
「もふもふ…もふもふ…。いや、町の民を苦しめていた悪には変わりないのだ。某が正義をもって退治させてもらおう!」
 魅惑のモフさに一瞬目を奪われていたキャリウォルトではあるが、いかんいかんと首を振った。そしてウォーマシンらしさ溢れるそのモノアイにエネルギーを集中し始める。
 地獄の炎を扱う本坪鈴たち、熱量の変化には敏感である。自身の頭上から熱量の高まりを感じ、そうして上を見上げると、機械の侍が自分たちを見つめていることに気づいた。
 ならば応戦してやろうとばかりに、鈴たちは体を大きく揺する。黄泉の門が口を開くと、地獄の炎がそこからほとばしり始めた。
「む?…奴ら炎を使うか。見た目通りの、燃えやすいもふもふではなかったのだな」
 いや、しかし今さらこの技を止めることなどできはしない。南無三、効いてくれることを祈るだけよと、キャリウォルトはエネルギー波を放出する。【熱視線(バーンゲイザー)】は、見つめている対象を問答無用で焼き焦がす必殺のレーザー光線である。蒼い光線が一直線に敵集団に向かって伸びていく。青い光に染められたオブリビオン達の顔が驚愕に変わっていき果たして……
 果たして、そのレーザー光線は、門を大きく開けて開かれた黄泉への扉の中に吸い込まれていった。…目をパチクリとさせて何が起こったのかと顔を見合わせるオブリビオン達。
「…焼き尽くせ、ばぁんれいざぁ!」
 キャリウォルトの狙いははなからあの黄泉の門である。地獄の炎に飲み込まれた…いや、違う。地獄の炎を飲み込んで膨れ上がった極大のエネルギー…それが意味するところは…。
 大爆発である。地獄の門を内側から大爆発がこじ開ける。周囲にいた怨霊達は、そのえげつないほどの高温度のエネルギー波に耐えることもできず、蒸発するかのように姿を消した。
 クレーターのようになった跡地。やりすぎたかな…?そう言って地面へと飛び降りるキャリウォルトの表情は相変わらず読めないが、なんとなく苦笑しているかのように感じられた。

大成功 🔵​🔵​🔵​

エクサ・カラーヌド
人魂ノ炎……人魂ノ炎?
ナンダ、生命体カ。
纏メテ消シ飛バセバ良イダケダナ。

宇宙バイク「黄金竜」デ突撃ダ。
騎乗+操縦デ振リ切リツツ、機ヲ見テ見切り+野生の勘デ敵群二突進。ソノママ敵ト人魂ヲ引キ付ケツツ味方カラ離レタアタリデ我影掴不能デ一網打尽二シテヤロウ。

ナアニ、人魂ノママ操ラレルヨリハマシダロウ。多分ナ。



本坪鈴の怨霊たちは恐れおののいていた。大量の魂を黄泉へと連れ帰るだけの楽な作業であったはずなのに、これはどういうことなのか…。
 だがまだ、全滅したわけではない。残っている数十匹の本坪鈴、各々が手に入れたきた魂だけでも持って帰ってしまわねばならない。
 そんな使命感に襲われた怨霊たちは、とにかく逃げることにした。一旦この猟兵とかいう奴らからは離れて、安全な所で黄泉への扉を開き直そう…と。

「逃ゲテイク…ノカ?…ナンダ、ツマラナイ」
 ザザ… ザザザ…
 顔の画面に砂嵐を走らせるテレビウム、エクサ・カラーヌド(f02365)が怨霊たちの後ろ姿を眺める。
「シカシ、アンナスピードデハ…、トテモオレカラハ逃ゲラレナイナ」
 エクサは、騎乗している相棒の宇宙バイク、「黄金竜」の表面を撫でる。スターライダーである彼にとっては、遠ざかっていく亡霊たちとの距離など無いに等しい。エクサはバイクのエンジンを思いっきりひねると、オブリビオンの群れへと猛突撃を始めた。
 ものすごいスピードで自分たちを追いかけてくる物体があることに気づいたオブリビオン達。そのスピードに焦ったのかそれとも敵が一人であることを見くびったのか、亡霊達はともかく相手を認識するとその足を止めた。「決着をつけてやる!」そんなことを思ったのだろう。本坪鈴の怨霊達はその、自身の本体である鈴の中にしまい込んでいたモヤのようなものを表へと取り出した。空気に触れるとそれは発火し、火の玉と化す。…奴らが大事にしまい込んでいた犠牲者の魂、それがその火の玉の正体である。
 鈴達は突進してくる宇宙バイクへと狙いを定めると、その人魂の炎を追撃ミサイルのように連射し始めた。燃え盛る人魂がエクサのバイクへと降りそそぐ。それを、エクサは加速や減速、巧みなハンドル捌きによって回避していく。
「人魂……。犠牲者トナッタ者ラカ。良イヨウニ使ワレ、サゾ悔シイ事ダロウナ」
 そしてエクサは、亡霊達に向けて一気にスピードを加速させる。焦って火の玉をより一層投げつけるオブリビオン、その弾幕をたやすく避けるとエクサは、敵集団の中へと突入した!
「【我影掴不能(ワガザンエイヲツカムコトアタワズ)】……」
 敵らを弾き飛ばして群れの中心へと入り込んだエクサ。こんなにも近くにいる標的を、オブリビオン達は唯の一度も、その影すらも捕らえることができない。
 そしてエクサが群れの中心へと移動したのは、ユーベルコード【我影掴不能】の発動射程に敵を捉えるためであった。エクサの画面に走る白黒のノイズ…、その「砂嵐」が、彼を台風の目として周囲に巻き荒れ始める!白黒の砂嵐は彼を中心にして凄い勢いで吹き回る。高威力の砂嵐に巻き込まれたオブリビオン一体一体、また、それらが保有していた魂達は、自身の姿を保つことはできず粉微塵に、塵となって消えていく。
 嵐が収まった時、後に残っていたのはエクサとその相棒の黄金竜、そして回転する風の流れだけであった。
「人魂ノママ弄バレルヨリ、マシナ終ワリダッタロウ。…多分ナ」
 エクサはそう独りごちると、猟兵達の元へ戻るべくゆっくりとバイクをUターンさせた。

大成功 🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『野生の鏡餅』

POW   :    お年玉(餅)
【投げた紅白餅】が命中した対象に対し、高威力高命中の【巨大鏡餅落下攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD   :    もち肌
自身の肉体を【柔らかいお餅】に変え、レベルmまで伸びる強い伸縮性と、任意の速度で戻る弾力性を付与する。
WIZ   :    今年の運勢
対象の攻撃を軽減する【おみくじ体】に変身しつつ、【今年の運勢が書かれたみくじ紙】で攻撃する。ただし、解除するまで毎秒寿命を削る。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はエミリィ・ジゼルです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 こうして、町民達を苦しめていた「悪魔のお餅」事件は解決した。…だがしかし、今回の目的は「お餅を食べることを禁ずる」というおふれを撤回させることである。猟兵達はお殿様に事件が解決したことを伝えるべくお城へと走った。…すると、城門にはその当人、おふれを出したお殿様が仁王立ちしているのが見えた

「殿様!今回の事件はお餅が悪者ではありませんでした。全部妖怪変化の仕業だったんです!…だから、おふれを撤回してはくれませんか!?」
 猟兵の一人がそう切り出す。すると、殿様はコクリと頷いてこう答えた。
「いかにも。町に放っていた密偵から話は聞いた。其方らが退治してくれたのだな…感謝するぞ。…だがな、まだわしは怖いのだ。確かに今回の件はその妖怪が引き起こしたことに違いない。しかし、またいつ無辜の民達が餅を喉につまらせんともわからん。…わしは、おふれをこのままにしておいたほうがいいのではないかと感じておるのだよ」
 悲しそうな顔でそう告白する殿様を、猟兵達もまた、悲しそうな顔で見つめた。
 決して喉につまらないお餅……そういった夢のような食べ物が存在すればいいのだが…。
「主らの心からの願い…、私が聞き遂げたぞよ…!!」
 その時、天から響くような声が聞こえた。…なんだ?猟兵達、そしてお殿様が思わず頭上を見上げる。すると…

 ズドーーーーーーーーン!!!

 大きな音を立てて、巨大な鏡餅が門の前へ落下してきたのだった。お殿様もびっくり仰天、腰を抜かして座り込む。
「はっはっは!私は野生の鏡餅。私のお餅はな、決して喉につまらせることのないと評判の出来上がりなのだよ!…そこの殿様、私の体を民らに配りなさい。そうしたらきっと、心配する必要もなく楽しいお正月を続けることができるに違いないよ」
 大きなお餅は優しい口調でそう諭す。お餅本人がそう言うなら間違いはない。殿様も嬉しい顔をして、その申し出を受け入れることになった。
「…よし、それなら鏡割りの時間だね。…君たち、私の体をひと思いに砕いてくれたまえ…。ただし……」
 鏡餅の雰囲気が変わる。
「私に勝てたらね!!!」
 ………戦闘が始まった!
蒐集院・閉
…やせいの、かがみもち…おぶりびおん、とは…


……ええ、ええ。そちらがその気であるのならば、こちらも遠慮なく。
とじも本気で参りましょう。ええ、腕が鳴りますとも。(「料理」)

鉄塊で叩き割ります。大きいですから、力を込めて念入りに細かく砕きましょう。(「怪力」「力溜め」「捨て身の一撃」「鎧砕き」)
紅白餅は命中する前に【灼熱地獄】で燃やします。消し炭にしてしまえばそれは最早紅白餅に非ず。当たった所で問題無いはずです。(「見切り」「カウンター」)

雑煮にかき餅、或いは汁粉。最期のご希望は御座いますか?



 野生の鏡餅が現れた!
 未だ混乱に包まれる猟兵一同。そのなかでも蒐集院・閉の復帰は早かった。
「やせいの… かがみもち…」
 ゴクリと閉は生唾を飲み込む。美味しそうだから…といった理由で出た唾きではなく、単純に動揺によるものである。目の前に鎮座する大きな鏡餅。オブリビオンとは一体なんだろうか…。そう思わざるを得ない光景である。

「…ええ、ええ。そちらがその気であると言うのならば、遠慮はいたしません」
 閉は首を振って気を取り直すと、鉄塊を上段に構える。鏡割りと言うならばこれほど適した武器も他にはないだろう。
「とじも本気でいかせてもらいます。ええ、腕がなりますとも」
 そう言うが早いか、閉は大きく跳躍して鏡餅へ接近。上段に構えた大剣を勢いに任せて振り下ろす。
「あまいあまい!そんな一撃で倒されてあげるわけにはいかないなあ!」
 野生の鏡餅は自身の土台となる三方(どう言う理屈かは知らないが移動が可能である) を動かして、後方に下がりその攻撃をかわす。餅とは思えぬ俊敏さである。
 そして餅の体をモニモニと動かし、小さな紅白餅を閉へと撃ち出す。これは何か、お年玉だ!と鏡餅は叫んでいたのでそう言うことなのであろう。
「…弾速は遅いですが、用心するに越したことはありませんね」
 ユーベルコード【灼熱地獄】による地獄の炎。これを閉自身を包むかのように展開する。地獄の炎による茜色の壁、それに阻まれた紅白餅はあたかも大気圏に突入した流れ星のように一瞬瞬くと、燃え尽きて消えてしまった。
「ああ!…私のお年玉がお気に召さなかったと言うのかね!?」
 悲痛な叫び声をあげる鏡餅。
 それを相手にすることなく、閉はゆっくりと敵との間合いを詰める。
「さて、雑煮にかき餅…あるいは汁粉。お好みはどれで御座いますか?」
「選ばせてくれるのかい!そうだなー希望をいうならこしあんの…グハアアッ!!??」
 一閃。閉の渾身の突きが真っ白いお餅へと突き刺さる。大きなひび割れがビキビキと音を立てて鏡餅に広がっていった。鉄塊による一撃、さながら隕石のような威力である。
「…お任せください。とじは料理が得意なのです」

大成功 🔵​🔵​🔵​

有栖川・夏介
※アドリブ歓迎

まさか、鏡餅を相手に戦うことになるとは。
『野生』の鏡餅ってなんなんですか、ってこれ深く考えないほうがいいですね……。
おふれ撤回のため、みなが安心して餅を食べられるようになるためにも。
「……勝ちにいきます」

相手の紅白餅を投げてくる攻撃には【第六感】と【見切り】を駆使して、当たらないように回避。
敵の隙をついて【咎力封じ】を使用し、相手の攻撃を無力化できないか試みます。
無力化・弱体化に成功したら、神殺のナイフで一気に切りつけます。
ところでこれ、敵の体?を分断し続ければ、どんどん小さくなったりするんでしょうか。

……喉につまらないほどのお餅、炊き立ての餡子と一緒に召し上がりたいですね。



 有栖川・夏介も突然のお餅乱入に気が動転していた一人であったが、先ほどの一撃による轟音は気を取り戻すには十分であった。
「『野生』の鏡餅とはいったい…いや、深く考えないようにしましょう…」
 そうして彼は『神殺のナイフ』を取り出し、戦闘態勢に入る。やるとなったら徹底的にだ。切るべき相手をキッと見据える。
「…勝ちに行きます」

「ぐわー!凄い致命傷を受けてしまった!でも大丈夫、なぜなら私は餅だから!!」
 全身がひびわれてしまった野生の鏡餅。だがその口調は楽しげなままであった。
 そう、奴は餅である。硬い鏡餅ボディーから柔らかいもち肌ボディーへと状態を変化させることが可能なようで、そうして柔らかくなると必然的にひび割れも多くがふさがってしまった。お餅の粘着性によるものだ。
 そのままブヨンブヨンと笑いながら跳ねまわる鏡餅。
「こうなった今の私を止めることなど不可能!さあお主たち、私を割ることができるかな!?」
「―――楽しそうにしてるところすいません。動き回られると厄介ですので、失礼ながら拘束させていただきます」
 【咎力封じ】。咎人殺しだけが使える使い勝手のいい技だ。
 手枷、猿轡、拘束ロープ。目にも留まらぬ早業で放たれた三種の神器がお餅を縛り付ける。もちろん有栖川・夏介の手による早業である。
「な、なんと!この私が!もち肌の私が!動けないだと!?」
 ぐるぐるにロープで縛られた鏡餅は、三方から墜落し地べたに転がり落ちてしまう。そのロープの端は夏介が握っている。手枷と猿轡がぺたりとお餅にくっついているのが非常にシュールである。
「…手枷や猿轡は流石に意味をなしませんでしたか。まあいいでしょう。…さて、調理がしやすくなりましたね」
 夏介はそう言ってナイフを構える。衝撃には強いであろうもち肌ボディーも、切れ味鋭い短刀の前では形無しである。
 二、三度ナイフを軽く振る。すると面白いようにスパスパと切れるではないか。大きな鏡餅を端から削り切っていく夏介。切れ端をひょいひょいとつまむと、夏介はそれをしげしげと見つめる。
「…これが喉につまらないというお餅。なるほど言うだけのことはありますね…、柔らかく、弾力があって、なおかつ優しさを感じます」
「ふふふ、わかってくれるかね料理人よ。美味しく料理してくれたまへよ」
 切られていると言うのに嬉しそうにそう言葉を発する鏡餅。料理人ではないのですがね…、と夏介は苦笑するが、切り刻む手は休めない。

「…そしてだいぶ小さくしてくれたな料理人よ!つまりお主の拘束からは解放の時だ!」
 元の大きさと比べると半分くらいの大きさになっただろうか。野生の鏡餅はそう高らかに叫ぶと、拘束ロープの隙間からするりと抜けだした。
 そして懸命にオッチラ走ると、元の三方の上へと飛び乗った。
「さあ、第二回戦といこうじゃないか!」

成功 🔵​🔵​🔴​

破魔・案山子
喉につまらない餅? すっげぇ!
じーちゃまばーちゃまも大好きな餅を幾らでも食えちゃうじゃん
(素直に感動
よっしゃ。砕こうぜっ
UC(本体(器物)は、まあ……カカシです)で囲め囲め
で、捕まえる、殴る
お年玉は特に気をつけよ
その他、敵の攻撃が来る時は、(一網打尽にされないよう)散開!
俺も獣奏器(剣)で斬り込もう

殿様は悪い人じゃなさそうだけどさ
それじゃ「子どもには危ないからハサミや包丁持たせるな」って云う過保護親と一緒じゃん
民人は強い。自分で危ない事は自分で気をつけるし
何より、お楽しみを禁止されるってツライじゃん
今回の事件で、皆よっぽどお餅が好きなんだなーって、俺思ったよ

で、この鏡餅って食えんの?(興味津々


キャリウォルト・グローバー
野生の鏡餅とは一体…そもそも突如現れた此奴を本当に信用して良いのか…良いのか…?
まぁ、殿様がそれでいいというならいいのだろう。
某はただあの餅を倒すのみである。民たちの楽しい正月のために倒させてもらうぞ鏡餅よ。


【POW】
飛んでくる餅に対しては「残像」を利用し回避する。
もしくは所詮餅だ、某の刀で叩き切ってくれようぞ。
万が一に避けきれずとも某の『仙人掌(センニンノテ)」による召喚で現れた巨大腕ならば相手の巨大な餅にも対抗出来うるはずだ。
たかが鏡餅、某の力で押し返してやる!!!
某の「怪力」の見せ所だな!!



 ひとまわり小さくなった鏡餅。大きさは縮んだものの、それが持つ迫力満点のオーラは未だ衰えを知らないようだ。
 破魔・案山子は、キラキラした表情でその鎮座するオブリビオンを見つめる。
「喉に詰まらない餅、夢みたいだよなー。じーちゃまもばーちゃまも大好きな餅をいくらでも食べられちゃうんだぜ!」
 感動した様子で体を震わせる案山子。肩にとまった相棒のカラスが、ゆさゆさと揺らされながらもカーとひと鳴きして相槌を打つ。
「さあ、第二回戦。来ないのならこっちからゆくぞ!」
 鏡餅のオブリビオンはもちもちと体を弾ませる。そして大きく体を沈ませたかと思うと、俊敏な動きで一気に猟兵たちの元へ接近してくる。縮んだとはいえ元が巨大な鏡餅である。そのタックルは岩をも砕く威力であろう。
「うわ!こっちに来た!」
 案山子は身を逸らし、紙一重で鏡餅を躱した。カラスの男爵も、バサバサと安全な上空へといち早く避難していて無事なようだ。
 案山子は身軽なステップでトン、トンと跳ね十分な間合いを確保する。
 そしてにんまりと笑うと、ユーベルコードを発動した!
 すると突然、十数体の人影が案山子の真横にズラリと立ち並んだ。【錬成カミヤドリ】、自身の本体の複製を作るユーベルコードである。案山子の本体はもちろん案山子。案山子は左右に並ぶ案山子達をちらりと確認する。
「よし、みんな整列!そして半分はこっちから、もう半分は逆から、あの鏡餅を挟み撃ちだ!進めー!」
 ぴょんぴょんとキョンシーのように跳ねながら、自分を追いかけてくる案山子達。その光景に流石のオブリビオンも驚愕を隠せない。
「な、なんだ!?奇怪な…これが有名な陰分身の術というやつか!?」
 困惑して動きを止めてしまうオブリビオン。しめたとばかりにこの隙に、案山子達は鏡餅を完全に取り囲んだ。案山子達…そして破魔・案山子本人が加わって作る円陣のフォーメーション。両手を広げて通せん坊というシンプルな立ち振る舞いだが、『相手を逃さない』という目的を達成するためには非常に効果的である。
「うむ、見事な陣形である!だがしかし、的としてはいささか狙いやすすぎるぞカカシ達よ!」
 だがお餅の方も負けてはいない。得意のお年玉砲…紅白餅の投擲によって案山子を攻撃、運動会を思わせる赤白の砲弾が案山子に飛来する。
 慌てて案山子は攻撃を回避するが……
「あっ!まずい!」
 案山子は後ろを振り向く。回避したお年玉砲、その軌跡の先には…腰を抜かしてへたり込んだままのお殿様がいるのである。このままではお殿様があぶない!

 飛来する紅白餅、恐怖から目を思わずつむるお殿様。……そこへ
「ふう、間に合ったか。殿様よ、某が近くにいて幸運であったな。」
 キャリウォルト・グローバーである!
 殿様の前にゆらりと現れたかと思うと、飛んでくる紅い餅をひと突き!餅を串団子にしてしまった。
 紅白餅は二つで1セット。もう一つ、白い餅がキャリウォルトへ迫るが、なんのことはない。
「餅は、所詮餅であるな」
 バクリ!
 目の前に飛来する餅を、キャリウォルトは目にも留まらぬ早業で捕食すると、胃の中に送ってしまった。
「殿様よ、おふれはもう撤回されているということで良かろうな?某のこの行為は、お主の決めた決まりごとに違反していることになるだろうか?」
 赤いモノアイをギラリと光らせ、キャリウォルトが殿様を一瞥する。殿様は助けられた礼を言うのも忘れて、その迫力に顔を青くするとブンブンとかぶりを振るのであった。
「…それは良かった。さて、楽しい正月のためにも倒させてもらうぞ、鏡餅よ」
 目線を正面のオブリビオンに向け、刀でもって相手を指し示す。キャリウォルトのその挑発に、楽しそうな口調でもって鏡餅は答えた。
「見事な剣さばきであるな!…しかしすまない。私の前に、お主にはこの御仁の相手をしてもらわなければならないのだ…。先生、お願いします!!」
 はっとしてキャリウォルトが上空を見上げる。するとそこには、オブリビオンによって召喚された別の巨大鏡餅が浮かんでおり、キャリウォルトに向かって自由落下をしてきている最中であった。腹のなかの紅白餅、それが「命中した」ものと判断された…と言うことのようで、本命のお年玉が姿を現したのである。
「くっ…某だけなら逃げられるが、そう言うわけにもいかぬか!」
 ちらりと殿様を一瞥し、また隕石めいた鏡餅へと視線を戻す。
「…ならば奥の手、もといこの【仙人掌(センニンノテ)】でもってお相手つかまつる!出でよ!」
 キャリウォルトは、ユーベルコード【仙人掌】を落下する巨大餅に対して発動させる。召喚されるはこれまた巨大な機械の手のひら。キャリウォルトが落下するお餅隕石を押し止めるかのようなモーションを行うと、それに連動して巨大な仙人の手も動き出す。
 どしーーーーん!!
 お餅と手のひら、二つの衝突により大きな衝撃音があたりへ響き渡る。そう、巨大鏡餅による一撃をなんとか防ぎ切ったのである!
「よし、それでは返すぞ」
 そう茶目っ気混じりの声のトーンで呟くと、今度はキャリウォルトが、敵オブリビオンに向かってお餅を投擲する番であった。
「わわわわわっ!?なんて荒っぽいことを!!…ぐえ!!」
 自分が召喚したお餅によって押しつぶされてしまう野生の鏡餅。ダメージは少ないようだが、これで今度こそ完全に動けなくなってしまった。
「よかった、お殿様は無事だった!悪い人じゃないからなー…度が過ぎて過保護なのはどうかと思うけど…助かってよかったよ!」
 案山子が後ろの様子を見て、安堵のため息を吐く。そうして前に向き直ると、目をキラリと光らせ潰れたお餅を睨みつけた。
「今だみんな!かかれー!!」
 案山子は剣を振りかざすと、仲間たちと一緒に鏡餅を殴りにかかる。ボコスカボコスカ!
 戦況は猟兵に傾いている。クライマックスだ!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

神威・くるる
野生の鏡餅がいるーいうことは、人口の鏡餅とか、養殖の鏡餅とかもいはるんやろか?

【SPD】
どうでもええけど、もっちもちやなぁ
もっちもちでふっかふかやなぁ
……なぁ、これ、飛び込んでええ?
抱きしめてええ?(うずうず)

縄で縛って拘束具で動けへんようにしてからダイビング!

うち、こういうもちもちに弱いんよぉ(もみもみもみ)
はぁー、猫がダメになるぅー

(もちもちには勝てませんでした)


バッカンボー・パディストロー
大きな鏡餅ですネー……フム、もしやコレは、「カガミビラキ」なるイベントを体験するチャンスではないデショーカ?ミーも微力ながらお手伝いしマス!

先ほど案山子の猟兵の方ガ増えるのを見まシタ!せっかくなので、ミーの案山子達も【案山子分身】で増やしまショウ!イーニィ(守護案山子)、ミーニィ(突撃案山子)、マイニィ(案山子銃士)、出番ですヨー!

イーニィ達に飛んで来るお餅を防いでもらイ、ミーニィ達とマイニィ達が接近して攻撃する、という連携を軸に行動しマス!お餅が固ければミーニィで砕き、柔ければマイニィの銃剣で切り分けマース!増えた案山子達デ、四方八方から攻め立てまショウ!

アドリブ・絡み歓迎デース!



「あややー、可愛らしいもちもちやなあ」
 潰れて動けなくなっている野生の鏡餅。その表面をつつつーとなでるのは、どことなく猫を思わせる雰囲気をした猟兵、神威・くるる(f01129)その人だ。
「うち、こういうもちもちには弱いんよぉ。なあ、なあ、飛び込んで抱きしめても良いやろか?」
 くるるはちょうど隣にいた頭に麦わら帽子を被る男性、バッカンボー・パディストロー(f03764)に話しかける。いきなりそんな質問を浴びせかけられたバッカンボーは困惑しながらも、思いついた答えをかえす。
「アーー…、潰されていてモ相手はオブリビオン。イチオウ注意はしていた方ガいいと思いマスヨ?」
「え~?いけずやわぁ…」
 ぽむぽむとお餅を叩いて抗議の視線を向けるくるる。…そんなことをしていると、ついに潰されていた鏡餅が動きを見せる。
「うむう…お主たち、まさかこれで終わったと思ってるんじゃああるまいなあ!?」
 余裕ある会話劇を繰り広げる猟兵たちに業を煮やした鏡餅。自分を押しつぶしている巨大餅をその怪力でかち割ると、雄叫びを上げて突進してきた。武器の紅白餅をマシンガンのように投げつけながらの、硬い硬質ボディーによる突撃である。
「オット、コレはまずいデスネ! ヨシ、皆サン!出番ですヨー!」
 バッカンボー、ちらりと突進してくるオブリビオンを確認すると、自分の仲間たちに声をかける。麦わら帽子の農家のおじさん然としたバッカンボー、その仲間たちといえばもちろん…そう、案山子たちだ!
 【案山子分身(イニミニマニモア)】、大勢の案山子達を周囲に呼び出すと、それらに声をかけていく。
「イーニィ!紅白餅を何とかしてくだサーイ! ミーニィとマイニィはそのまま敵サンの攻撃に備えまショウ!」
 守護案山子のイーニィはその言葉を聞くと、ぴょんぴょんと一本足で主人の前へと移動する。そして拳をぐっと固めると、目にもとまらぬ早業で紅白餅を打ち落としていく!
「まあ、あんさんなかなかやりますなぁー」
 うふふ、とその光景を後ろから眺めるくるる。案山子が打ち落とした餅や砕けた鏡餅の破片をひょいひょいと身軽にかわしている。
「ハッハー!案山子達が頑張ってくれてる戦場デスカラ。ミーの所の案山子達も少しはイイトコロを見せませんとネー!…イーニィッ!耐えてくだサイッ!」
 …次の瞬間、ミサイルのように迫ってきていた鏡餅と守護案山子のイーニィが激突する。
 そして勢いを殺しながらも、徐々に後方へ押し切られていくイーニィ。やはり地面に踏ん張るのが一本足だけだと分が悪いのか…?バッカンボーがそう思いを巡らす。その時である。
「…もちもちさん隙だらけやわぁ。案山子さんと仲良うしてるとこ悪いんやけど、うちとも遊んでくださります?」
 火花を散らしてぶつかり合う鏡餅と案山子。くるるはそんな戦場をしゃなりしゃなりとマイペースに歩く。そして、悠然と、鏡餅の後ろを取った。
 発動するは【咎力封じ】。ぐるぐる巻きに鏡餅を縛り付けて動けなくしてしまおうという腹だ。
「ええい!鬱陶しい!こんな拘束、軟体ボディーになれば容易く抜け出せるわ!!」
 オブリビオンは高らかに笑うと自分の性質をもち肌柔らかボディへと変える。柔軟な体を使い、縄の隙間から抜け出そうとして…。
 しかし、それこそがくるるのねらいであった。
「待ってました!」
 とばかりに柔らか鏡餅へとダイビング!顔を埋めてそのもちもちと堪能する。
「はぁーー…やらかいわぁ。ダメになるぅーー…」
 くるるのねらいははなからもちふかクッションを思う存分抱きしめること!そのまま頬ずりをすると、そのまま鏡餅をクッションに昼寝の態勢に移る。
「…えっ、ちょ、ちょっと待て!なんで寝ようとしてるのだ!?わ、私を抱きしめるな!おい!放せ!」
 そんなくるるに困惑する野生の鏡餅。このまま放り出してもいいものか…いや、でもそれはかわいそうだし…、困惑してたじたじの鏡餅は、バッカンボーがすぐ近くに立っていることにすら気付いていなかった。
「…鏡餅サン、観念するお時間デスヨ」
 銃剣を構えた案山子のマイニィ、その切っ先がもち肌へと当てられていた。この距離ではもう逃げることはできない。
「…見事である。お主たちは見事力を合わせ、この困難を乗り越えて見せた。私ももう悪あがきは止めよう。…麦わら帽子の男よ、お主に『鏡開き』を頼めるか?」
「…エエ。お任せクダサイ。美味しいお餅料理にすることを約束しますヨ」
 そうしてバッカンボーは、案山子に攻撃のサインを命じた。

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 こうして、長かった戦いは終わりを迎えた。
 細かな四角に切り分けられた鏡餅は、猟兵の手によって町中の人々に配られた。そして殿様のおふれ『もち、食すべからず』は撤回され、『もち、よく噛んで食べるべし』になることが、伸びるお餅を笑顔で頬張る殿様本人の口から皆に伝えられた。
 喜びの涙を流してお餅を食べる老若男女。苦しい日々は終わりを迎えたのだ!
 これにて一件落着!そして改めまして…あけましておめでとう!

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年01月22日


挿絵イラスト