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何か寒くね?

#キマイラフューチャー

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#キマイラフューチャー


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●キマイラフューチャーの一角で
 ここはキマイラフューチャーのとある一角、今日も特に大きな問題も無く、平和な時間が流れている。1つ気になる事を挙げるなら、水辺やプールでも無いのに、住人達のほとんどが水着を着用している事だ。

「なぁ、何か寒くね?」
 街角を歩いていた2人組のキマイラ(彼らも例に外れずに水着姿である)の片方がふと疑問を口にした。
「気のせいだろ。ここいらの温度管理は完璧さ」
「いやぁ、その通りなんだけどさ……何となく冷えるというか」
 もう片方のキマイラが、現在気温が表記されている掲示板を指して答える。確かに適温、少なくとも寒気など感じる数値では無い。
「風邪なんじゃないか? 最近、体調を崩してるのが多いみたいだし」
「うーん、そういう嫌な感じでは無いんだけどなぁ」

 最近と言えば、何かと温かい物が減った気がする。コンコンしても店に行っても、冷たい食事ばっかりだ。最後に湯気立つ物を食べたのはいつだっただろうか……。

『エッサ、エッサ!』
 目の前を、頭の大きい男が走り、横切って行った。そういえば、出てくる服も水着か、横切って行った者が着ていた様な下着ばかりな気がする。

「さっきの人の服、フンドシって言ったっけ? 最近増えたよね着てる人」
「うん、最初は面食らったけど、カッコイイ気がしてきた」
 フンドシ男が走り去った後に、一陣の風が吹き抜ける。今度は2人とも身体を震わせた。
「なぁ、やっぱり……」
「あぁ、何か寒くね?」

●怪人め、何とヒレツな……
「キマイラフューチャーでエマージェンシー!」
 グリモアベースで一際大声で話すのは、グリモア猟兵のローゼマリー・ランケ(ヴァイスティーガー&シュバルツシュランゲ・f01147)だ。今回の事件を予知したのは、彼女という事らしい。

「支給される食事や衣服が、暖を取レナイ物に偏ったらしいデース!」
「このままデハ、身体を冷やしてお腹壊シマース! 怪人の仕業に違いアリマセーン!」
 ローゼマリーは一息に語ると、大袈裟に身震いするジェスチャーをした。何とも、緊急性が感じ辛い内容ではあるが、怪人が絡んでいる以上静観は出来ない。集まった猟兵達は彼女が配った資料に目を通す。現場は人通りの多い駅の様な場所で、近くに広場や商店がある様だ。

「こほん……詰まる所、皆様には現地調査の後、怪人撃破をお願い致します」
「調査ですが、聞き込み、実際の品の確認の他、怪人の目撃情報もある様です」
 先程までの騒がしい様子から一転、丁寧な口調に変わった。彼女の副人格ベルに交代した様だ。配られた資料を基に、要点毎に説明を続けていく。
「怪人ですが、もし見つけても最初は調査に専念して下さい」
「何分情報が少ないのです。戦闘は調査後、皆様に万全を期して臨んで頂きたいのです」

 最後に注意点を告げると、彼女はぴしゃりと手を打った。
「説明は以上です。現地までは責任を持ってお送りいたします」
「皆様のご武運、お祈りしております」

 彼女は猟兵達に目配せすると、恭しくお辞儀をするのだった。


foockey
 寒い日が続く中、皆様どうお過ごしでしょうか。
 此度の依頼は、暖を取る手段が無くなったキマイラフューチャーが舞台です。

 今回は柔らか目な内容になるかと思います。
 難しく考えず、怪人のヒレツな思惑を砕いてやりましょう。

 ※第2・3章に入る前に序章を入れます。章の切り替え直後のプレイング送信の際、ご注意下さい。
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第1章 冒険 『ライフライン・パニック』

POW   :    偶然現れたオブリビオンの後を追う。彼らに付いていけば何か分かるか?

SPD   :    実際に住む人達に聞き込みを行う。長く住んでいる人ほど何かを知っている可能性があったり……

WIZ   :    コンコンして出てくる物品を調べてみる。もしかしたら何か手がかりがあるかもしれない。

👑11
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​🔴​🔴​

種別『冒険』のルール
「POW・SPD・WIZ」の能力値別に書かれた「この章でできる行動の例」を参考にしつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。

メーティオル・スター
暖かいものが支給されない、つまりは希少価値が上がっている、と。
ここに暖かいものを持ち込んだらよく売れそうだな。
もしかして、怪人の狙いもそれか?


SPDで判定。
町に住んでいる人に聞き込みをして、最近変わったことがないか聞いてみようか。

「長く住んでいる人は何かを知ってるかも」ってことだけど、どうやって探したものか…。
とりあえず、お年寄りに話を聞いてみるか!
亀の甲より年の功、なんていうしね!
お年寄りを一人見つけたら、その人から昔なじみの人を教えてもらえれば、
どんどん話をきいていけそうだし1



「亀の甲より年の劫と言うし、お年寄りに話を聞いてみるか!」
 転送された場所から歩きながら、気合十分に独り言ちるのはメーティオル・スター(屑鉄漁りの見習い冒険者・f05168)である。情報を得なければ始まらない。彼は人の多い、大通りへと向かっていった。

 半刻程過ぎた頃、メーティオルは商店と反対方向の路地へと足を運んでいた。道行く壮年のキマイラに聞いた話によると、昔からこの通りで手作りの小物を売る露店を出している者がいるらしい。少しの間探していると、それらしい老人を発見した。彼も周囲に違わず、水着姿である。
「おじいちゃん、ちょっと聞きたいんだけど良いかな?」
「ここいらじゃ見ん顔じゃな。今は暇でな、構わんよ」
 メーティオルは最近変わった事や、何か気になることは無いかと尋ねた。
「変わった事か……。見ての通り、今はやたらと水着が流行っておるのぅ」
 老人は、露店で出している商品を指しながら答えると、顎に手をやって何かを思い出すように続ける。

「流行物は人気が出てから、供給が増えるもんなんじゃが。供給が増えてから、人気が出た様な……」
 まぁ爺の記憶じゃ、鵜呑みにせんとくれと締めくくる。メーティオルは、最後に物価の変動が無いかと尋ねたが、これも特に大きな変わりは無いとの事だ。怪人の金儲けの線は無くなったと見て良いだろう。彼は、老人に礼を言うと新たな情報を得る為に再び歩き出した。

成功 🔵​🔵​🔴​

ルフトフェール・ルミナ
寒いのって嫌だよねえ……。
しかも、身体の内から冷やす系って、何か卑怯じゃない? 正々堂々と外の温度下げる系できたらどうなのさ?
まさか、温度計の表示が狂ってて、本当は寒かった……とかじゃないよね?

【WIZで】
自分は温かいお茶入り水筒を用意。
僕は事件の起こってる辺りの色んな所でコンコンして、何処で何が出るか調べてみようと思う。
コンコン・マップとか作ってみたら、見えて来るものあるかなあ。
温かい物出る場所を隠したり、一見分かり辛くしてるって線もあるから、そういう死角的な場所も調べられたらいいな。
微妙に冷たい物が出るエリアと普通のエリアの境界ってどこなんだろうねえ?
意外と範囲狭かったりして。


ワルゼロム・ワルゼー
ふむ、暖を取れない状況とはいうのは、いささかつらい状況であるの。一体何が原因なのか、調べてみる必要があろうな。

【WIZ】を生かし、コンコンして出てくる物品の調査に取り掛かるとしよう。物品の情報に関しては他の猟兵と内容を共有し、迅速な解明を図ろうぞ。あるいは、住んでいる人に物品について聞いてみるのもありだの。

さてさて、我が教団の信者獲得のきっかけになればよいがな…

(アドリブ・連携歓迎)



「寒いってのは、嫌だよねぇ。しかも、何かやり口が卑怯じゃない?」
「ふむ、怪人の思考は理解できんが……暖を取る事が出来ぬというのは辛い状況だの」
 広場でこう会話しするのは、ルフトフェール・ルミナ(空を駆ける風・f08308)とワルゼロム・ワルゼー(枢機卿・f03745)だ。2人とも、コンコンによる現地の物品調査をするとの事、協力して調査するらしい。具体的には、影響下にあると思われる範囲を手分けする事になった。ブリーフィングで支給された地図によれば、その範囲はこの広場が中心となっている。
「じゃ、僕は北側でワルゼロムさんは南側という事で」
「ウム、では1時間後、ここに集合であるな」
 後で共有するとして、それぞれ調査へと向かった。

 ルフトフェールは、水筒から温かいお茶を飲みながら、調査を進めている。表記されてる気温よりも寒く感じるのは、気のせいだろうか。
「いやぁ、親切な人が多いねぇ」
 道中で会ったキマイラに地図を見せ、コンコンプレイスを教えてもらいながら進めていた。実際に出て来たものといえば……。
「アイスキャンディ、炭酸飲料、フンドシ、ビキニ水着と予知通りだねぇ。それにしても……」
 冷たい、涼感のある飲食物に、薄い服。特に服の方はデザインも奇抜で、フンドシに至っては大漁旗を模している。時間いっぱいまで、残りの範囲、目の付きにくい箇所と地図の範囲外を調査して合流しよう。

「ここで成果を示して、信者獲得としようぞ」
 ワルゼロムも我欲を推進力に、調査にも力が入る。彼女も場所を聞きつつ、出てくる物品を確認する。食べ物はともかく、服の方は凄く尖っている。
「冷やし中華、かき氷、フンドシとムタンガ……」
「なぁ、本当にこれらが流行っておるのか?」
 彼女は実際に、この衣服を着用している若いキマイラ達に尋ねる。
「皆が着てるし、流行ってんじゃね?」
「んで、流行ってんなら、カッコイイんじゃね?」
 この若者達が流されやすいのか、ここの風土なのかは計り切れないが、流行という物に影響されやすい様だ。そろそろ時間か、合流しなければ……。

 ルフトフェールとワルゼロムは広場で落ち合い、互いの情報のすり合わせを行った。その中で以下の点については、間違い無いという事で報告する事にした。
 
 ・コンコンして出てくる飲食物は、全て冷たい物
 ・出てくる衣服はフンドシか水着ばかりで、奇抜なデザインも多い
 ・支給された地図の範囲外は、上記の影響は無い
 ・住民達が知らない、見つかりにくいコンコンスポットは無い
 ・ここの住民は(個人差はあるものの)流行に影響されやすい

「何となくだけどさ、怪人が温度計の表記を狂わせてるとか無いよね?」
「可能性はあるだろうが、怪人調査の情報待ちであるな」
「(怪人の調査と言えば……殿は上手くやっているだろうか?)」
「ワルゼロムさん、報告に行こう!」
 ルフトフェールは何やら思案していたワルゼロムに声を掛けると、彼女は頷き、共に報告へと向かうのだった。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

マロン・チェスナット
【POW】

寒い?寒いのかな?
適温なんだよね
寒くないはずなんだけどな
この程度で寒いだなんて軟弱者って言いたい

極寒の地を故郷に持つマロンにとって多少の寒さはどうって事ない
このくらいの寒さならへっちゃらなのである

ちなみに水着姿
コンコンしたら出てくるのだからこれを着るのが普通だと思っている
コンコンしたら出てくるシステムには疑問をもっていない


しかし、オブリビオンが出現してるとなると由々しき事態
原因を追究し解決をしないといけないね
すぐにでも倒したいところだけど今は我慢
水着なだけに泳がせて様子を見て後を追いかけよう

マロンは他のキマイラに比べるとワイルド
システムに頼っていると軟弱になるのではと危惧している



「ひっくし! おかしいね、寒くは無いんだけどな?」
 くしゃみをしたのは、マロン・チェスナット(インフィニティポッシビリティ・f06620)だ。彼もキマイラ、勝手知ったるといった様子で、現地で仕入れた競泳水着を着用している。さらに言えば、極寒の地の出身、寒さには特に強いのだ。
「あっ!」
 マロンはくしゃみで移した視線の先に、荷車を引く怪人を発見、尾行を開始する。

『ちわー、本日分ッスー』
 どうやら、怪人は商店へ品物を配達していたらしい。店員へ挨拶し、品物を運び入れ始める。荷車が空になると、今度は裏通りの方へ向かって行く。マロンも用心しながら、これに続く。
「(人気が無いな……気を付けないとね)」
 
 怪人は人気のない路地裏に着くと、何やら配線が集まっている箱を開け、何やらいじり始めた。
『表示はそのまま、設定温度を0.1℃下げるッスー!』
『通算で表示温度から、マイナス3℃ッスー!』
『少しずつなら、絶対バレないッスー!』
 やたら大きな声の独り言のおかげで、距離を取っていても何をしているのかはよく分かった。それにしても……。
「(ずいぶんと、気の長い話だなぁ)」

 深入りしない程度では、この辺りが潮時だろう。そっと路地裏から抜けると、ふぅと大きく息を吐いた。
「やっぱり、システムに頼りきりだと良くないよね」
 マロンは以下の情報を持って、帰路につくのだった。

 ・商店への入荷は怪人が行っている
 ・怪人が空調システムをいじり、少しずつ気温を下げている

成功 🔵​🔵​🔴​

フローライト・ルチレイテッド
SPD分野で挑戦ー

また変なことになってるー!

ある意味うちの世界では何時も通りのような気もするけど。
兎に角住んでる皆に話を聞いてみよー!

【コミュ力】【世界知識】【野生の勘】を駆使しつつ、カレーパンあげたりしながら、長老的な人を探すよ!
何人かに聞いて、話を総合すればこの場所が長い人が見つかるはず!
動物がいたら、【動物と話す】も使って動物にも聞いてみよう!

うちの地下も出るものずっと同じだし、何か原因があると思うんだよね。

長老的な人を見つけられたら、その人にも話を聞いてみようー。



「事件解決に向けて、話を聞きに行ってみよー!」
 元気よく意気込んでいるのは、フローライト・ルチレイテッド(重なり合う音の色・f02666)だ。彼がいつもの事と思いつつも、異変と感じ取れるのは、世界を股に掛ける猟兵故であろうか。

 フローライトは、大通りから離れた薄暗い家屋に足を運んでいた。持ち前の知識や勘で、出会った活動中のバンドマン達から得た情報によると、ここに目当ての人物がいるらしい。かつては、パフォーマンスに定評のある配信者だったとか。

「こうも、他所からの客が続くのは、珍しいさね」
「僕以外にも、あなたを訪ねた人が?」
「あぁ、何かこう……頭のデカい奴さね」
「(これは、大当たりかな?)」
 上手い受け答えで、気分を良くしたのか、元配信者は快く話を聞かせてくれた。何でも今の流行が始まる少し前に、怪人が訪れ『何が何でもムーブメントを起こしたい』と相談されたそうだ。

「言ってやったんだ。周囲に引かれる様な奇抜な事でも、強引に目立ちゃぁ流行になるさねって」
「そしたら、どうだい。想像以上のタマさね、ありゃ!」
 このアドバイスをどう受け止めたのかは不明だが、怪人はこれを基に活動を始めたらしい。それから、関係ない世間話にシフトしていったので、切り上げようとすると……。
「そういや、明日の正午に広場で何かやるって言ってたさね。ヒマなら覗いてみたら?」

「あんなアドバイスで、結果を出しちゃうんだもんな」
「強引のレベルが違うんだろうけどさぁ」

 フローライトは以下の情報を得て、皆の下に持ち帰った。

 ・怪人は明日の正午、広場で何かをするらしい

大成功 🔵​🔵​🔵​

サイファ・ロックハート
☆ミモザ(f00333)と一緒に行動
彼女のことを「妹」と呼ぶ

■心情
さむいのはやだなあ…
あったかいと、それだけ幸せになるもんね
必ず元凶を探して、捕まえよう!

■行動
妹と一緒に調査に向かうよ!
お手てつないで…お出かけみたいでたのしいな

まずは
【WIZ】で壁をトントンして
出てくるものを調べる
やっぱり冷たいものしか出てこないのかな?
よくわからなかったら飲んだり食べてみる
服なら着てみる
寒いかなぁ?
出てきたものは【学習力】でちゃんと覚えておく

その後は妹の調査について行くね
一緒に聞き込みしてみる
いっぱい寒がってる人がいたら
【祈り】であったかくなりますようにってお祈りするね
気持ちだけでもあったかくなりますように!


ミモザ・クルセイル
※サイファ(f00773)と共に行動
彼を敢えて「姉様」と呼んでいる

他猟兵達との協力、アドリブ行動も勿論歓迎

◆心情
この世界は確かに快適ですが
良い場所【だから尚更】悪事を企む者も絶えないのですね

◆行動
姉様のコンコン!調査現場を「撮影」して資料片手に調査開始です
手を繋いで仲良し姉妹です

【SPD】地元民に話を聞きに行く

なるべく年長の方、長く住んでいる方を探す

技能の「礼儀作法」「コミュ力」と「優しさ」を活用し

丁寧な態度を崩さずに
「何時から薄い服や冷たいご飯ばかり出てくる様になったのか」や
「その前後で何か気になった事は無かったか」等を
会話に混ぜながら伺う

お礼に暖かいラーメンを渡して感謝の意を伝える



「姉さま、何か変ったところはあります?」
「うーん、聞いてた通りの物が出るみたいだね」
 一組の男女が、コンコンして出た品を調べている。ミモザ・クルセイル(倒花・f00333)とサイファ・ロックハート(珠花・f00773)だ。中性的な見た目であるが、サイファのはれっきとした男である。

 サイファがコンコンし、ミモザが出て来た品を撮影して回った。ある程度の品が手に入ったのでそれぞれ検めてみる。
「水着、下着、清涼飲料にカップアイス……うん、美味しい」
「飲食物に異常は無しで、衣服のデザインは、奇抜ですね」
 サイファはアイスを食べ、ミモザは衣服を広げている。下着は鯛が海を跳ねるイラストや『男』と大きくプリントされたフンドシ等、奇抜な物ばかりだ。
「後は水着ですが……姉さま、着てみます?」
「ぼく? いいよ、ちょっと待ってて」
 サイファは更衣室で着替え、水着にも特に異常は無い事を確認。元の衣服に着替えるのだった。

「(お手てつないで……たのしいけど、さむいのはやだなぁ)」
「(こう、良い場所だからこそ、悪事もまた絶えないのでしょうね)」
 物品調査から、聞き込みへと切り替えた2人は、仲良く手をつないで歩いている。それぞれ、今回の事件に思う所はあるが、解決しようという意思は変わらない。公園の隅でベンチに座っている老人を発見する。さぁ、情報収集だとミモザは姉さまの手を引いた。
「あそこに、ご老人がいます! 早く行きましょう!」
「引っぱらないでー、妹よー」

 ミモザは礼儀正しく挨拶し、優しい笑顔で話しかける。
「おんや、嬢ちゃん達何か用け?」
「初めまして、ミモザと申します。少しよろしいでしょうか?」
 彼女の礼儀正しさやコミュ力を持ってすれば、2、3のやり取りを交わす頃には、既に良好な関係を築けていた。
「嬢ちゃん達、ワシに何が聞きたいのけ?」
「えぇ、実はですね……」
「(ぼくの妹ながら、すごい特技だなぁ)」
 彼女は会話の中で、何時から薄い服や冷たいご飯ばかり出てくる様になったのか、また、その前後で何か気になった事は無かったかをそれとなく聞いてみた。

「少しずつ増えて行ったが、完全に切り替わってからは1週間といった所かね」
「えー、変わったとこか……そうだ」
 老人は手荷物から、何やら端末を出して動画を再生させた。視聴者層のほとんどが高齢者のエリアのローカル情報を配信しているチャンネルらしい。その動画では、頭のデカい……怪人が映っていた。何でもこの人物が良く出て、冷たい食べ物や薄着を推し始めたとの事だった。

「後は、なぜか腰の調子が悪い気がする」
「腰が冷えたんじゃないかな? 良くなりますように」
 サイファは、生まれながらの光を宿した手で、老人の腰をさすり、祈った。
「ほっ、そう言えば最近は冷えるかな? 何だか良くなった気がするわい。ありがとうよ」
 最後にお礼代わりにと、カップラーメンを渡し、老人と別れた。

「ぼくが言うのは、変かもだけどさ」
「何です? 姉さま」
「指摘されるまで、寒さが気にならないって、すごいのんびり屋さんだね」

 怪人の手口の妙なのか、単なる人柄なのかはともかく、ミモザ達は以下の情報を持ち帰るのだった。

 ・怪人は動画を通じて流行を煽っていた

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

鈴木・志乃
SPDかなー?

(屋台をガラガラひきながら)
豚汁~豚汁はいらんかね~
お代は無料だよ~
今ならあったかいおにぎりも付いてくるよ~
(屋台から温かい湯気が出ている。遠くからでも視認できればなおよし)

寒い中の豚汁は定番ですよね
適当にSNSで拡散もしとこうかな
集まった人達に【コミュ力】で聞き込み開始だ

ふんふん、いつからこんな感じに?
なんか流行ってるものとかってありますか?
へ~……でもやっぱり寒いですよね~
ささ、どうぞ、何杯でも~
お友だちも家族もカップルもどーぞどーぞ~

や、フンドシ一丁は寒いですよ流石に
水着も寒いですよ、この時期ですもの
皆さんお家に上着は……?(自分は黒パーカーと帽子でぬくぬく)



「(確かに宣伝はしたけど、ここまでとはね~)」
 大きな道路が交わる交差点の一角、大量の人だかりにあっているのは、鈴木・志乃(ブラック・f12101)だ。時を遡る事10分前、彼女は屋台を引いていた。

「豚汁~豚汁はいらんかね~。お代は何とタダ!」
「今なら、おにぎりも付けるよ~。あったかいよ~!」
 前日に配信の伝手を使っての宣伝効果もあってか、彼女の下へ一気にキマイラ達が集まった。ワンオペにも関わらず、手際よく客を捌きながら、少しずつ話を聞いていく。

「みんな水着だけど、いつから……へ~1週間前?」
「最近はフンドシも流行り? 寒くないんです?」
「あ、おかわり? どうぞどうぞ~」
「へ~、ところで上着とかは……あ、家にある?」
 器用に情報収集するも、人毎に大きくバラつきがあったり、決定的な情報は得られなかった。屋台で提供していた品も売り切れ、人もまばらになった。志乃が片付けをしていると、不意に声を掛けられた。その声の主は、老婆であった。髑髏のアクセサリーやら、意味ありげな刺青だらけで、何とも雰囲気がある。

「あんさん、噂の検証でもするつもりかい?」
「え、何それ? 聞かせて聞かせて!」
「何だい、知らないのかい」
 都市伝説の様なゴシップが趣味らしい老婆が言うには、最近の流行に逆行していると怪物に襲われるらしい。現に彼女の仲間が怪物の姿を配信しようとして、襲われたのだとか何とか。
「まぁ、あれさね。もし怪物に会えたら、動画取って配信しとくれよ」
「あ~、私が怪物にやられてなかったら、そうしましょう」
 怪物にやられない様、気を付けるんだよと言い残すと、老婆は去って行った。

「んー、怪人が流行の障害になる人を襲ってるって事かなー?」
 他の仲間達の情報と合わせれば、何か分かるだろうか。彼女は屋台を引いて、撤収するのだった。

 ・怪人は流行に逆行する人を襲うらしい

成功 🔵​🔵​🔴​




第2章 集団戦 『マグロ怪人ツーナー』

POW   :    止められない止まれない
【食べられるという恐怖心から無限のスタミナ】を発動する。超高速連続攻撃が可能だが、回避されても中止できない。
SPD   :    そんなことより助けて欲しい
レベル分の1秒で【腕を振り払うことで自らに噛み付いてる猫】を発射できる。
WIZ   :    水を得たお魚
【水鉄砲】が命中した対象にダメージを与えるが、外れても地形【を水浸しにし】、その上に立つ自身の戦闘力を高める。
👑11
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種別『集団戦』のルール
 記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達は各々の調査を終え、それぞれが持ち帰った情報を共有した。現地で物品の調査と聞き込みによって以下の様な事が分かった。

 ・供給の増加と流行の順序が逆
 ・コンコンや商店の物品の物品の干渉は、このエリアのみ
 ・出てくる衣服はフンドシか水着ばかりで、奇抜なデザインも多い
 ・ここの住民は(個人差はあるものの)流行に影響されやすい
 ・怪人は動画を通じて流行を煽っていた
 ・(恐らく)怪人は流行に逆行する者を襲っている
 ・怪人は明日の正午、広場で何かをするらしい

 これらの情報から、怪人は意図的に流行を操っている事は明らかだ。また、尾行して得た情報から、なんと空調システムにまで干渉し、徐々に気温を下げている事が分かった。何を企んでいるかは不明だが、放置したら被害の深刻化等が懸念される。幸い、次に現れる場所と時間が分かった。ここで怪人を叩き、企みを阻止するのだ。

 翌日の正午、猟兵達は広場に集まっていた。広場の中央には何やらステージの様な物が設置され、周囲にキマイラが集まっている。ステージ上に怪人が出てくる。
「皆様、良くぞ集まってくれたッスー! 今日は新しいトレンドを持ってきたッスー!」
「寒さも吹き飛ばすその名も『魚介覆面パンイチマラソン』ッスー!」
 怪人は魚介類を模した被り物が入った箱を置くと、ステージを飛び出し広場の周囲を走り出した。キマイラ達はその光景に目を輝かせ、被り物へと殺到し始める。猟兵達は唖然としていたが、収拾を付けなければならない。気を取り直して、怪人へと相対するのだった。
フローライト・ルチレイテッド
SPD分野にて。
UC【歌~Ride on Sound】で来るスピーカー付ステージで飛んできて、
危ないから避難してねー
と猫に【動物と話す、言いくるめ、コミュ力】で避難勧告して、一応周りの人たちにも勧告を出した後、
ギターをかき鳴らし【歌唱、楽器演奏、パフォーマンス、マヒ攻撃、催眠術、早業、援護射撃、範囲攻撃】
でマグロの群れを攻撃します。

「さあ、ゲリラライブ開始だよっ!!」

飛んでくる攻撃へは【視力、野生の勘、第六感】で対処しつつ【パフォーマンス】の軽業で回避を試みます。
当たったら【激痛耐性】でなんとか。

ここはキマイラ世界…とにかく派手にやったものがちな面のあるうちの世界…!



「ふっふっふ、早くこの輪に入るッスー! うわっ、猫は呼んでないッスー!」
 広場をグルグルと走り回るマグロ怪人達に、追従する小さな影が多数。何処から来たのか、猫の集団が怪人たちを追いかけている。海と陸との違いはあれど、正に鮪の魚群である。

『どいてどいてー! 危ないよー!』
 上空から降り注ぐ声に、猫もキマイラも空を仰ぐ。鳥か? ドローンか? いや、ステージだ! 猫もキマイラ達も避難した所で、音を立てて着陸する。

「さあ、ゲリラライブ開始だよっ!!」
「フザけるんじゃないッスー! って、イターッス!」
「やめるッスー! 離すッスー!」
 フローライトがダブルネックギターをかき鳴らすと、マグロ怪人が2体向かって来る。彼らは攻撃をしようと構えたが、2体同時に、再び腕やら頭やらを猫に噛まれた。怪人達はそれぞれ、腕を振り払いながら、高速で飛ばしてくる。

「(流石に巻き込め無いよねー)」
 フローライトは、飛んでくる猫を身を反らし、あるいは捻って、避けていく。猫達は、ぶつかる事が無ければ、綺麗に着地できる様だ。最後に、頭と足を目掛けて跳んで来た猫達をバク宙で避け切った。所々、爪が掠めて傷を作ったが、この位でへこたれる訳にはいかない。2体の怪人を見据えて、再度ギターをかき鳴らす。

「お届けするのは『ウタゴエ:ドリー夢: LOVEFUL』!」
 前奏が始まり、歌が始まる。想いを込めた歌と演奏は、ユーベルコードに昇華する。通常は視認できない音は、光を伴った嵐となって怪人を襲う。

「お、おのれ……猫の標的を住人どもに向ける計画がーッス!」
「つ、ツナー!」
 曲が終わると同時に、怪人達は断末魔を上げて爆発する。周囲のキマイラ達は、この演奏とパフォーマンスに喝采を送る。派手に目立ったもん勝ち……そんな面があるのが、この世界なのだ。フローライトは、喝采に手を挙げて応えるのだった。

成功 🔵​🔵​🔴​

メーティオル・スター
うわあ、マグロだ…。名前もツナだし、隠す気ゼロだね。
なんだか猫に噛みつかれてるけど、猫っぽいキマイラにも襲われたりしないのかな。

とりあえず、SPDで勝負。
マラソンを流行らせたいみたいだけど、オレはそんなの興味ないし。
暖かい恰好でバイクにのって、怪人に並走してやろう。

っていうか、寒さを吹き飛ばすって言いながらパンイチになるのはなんでさ。
寒さを吹き飛ばしたいのか、寒くしたいのかどっちかにしなよ!


え、猫が飛んでくる?
短く持ったウィップをさ、猫じゃらしみたいに振ってたらそっちに気を逸らせないかな。
猫に罪はないし、手荒な真似はしたくないしね。


マロン・チェスナット
絡み歓迎、アドリブ歓迎、連携歓迎

【POW】
競泳水着を着用
広場でキマイラの集団に紛れ込んで潜入
怪人が広場の周囲を走り出したら追いかける
「わぁい、マラソン楽しいね」
その目は捕食者の目
怪人は恐怖でおののくであろう
止められない止まれない捕まったら食べられる
「ワイルドハントの始まりだ」
暴食のベルセルクを発動させ尻尾をサーペントに変えて追いかける

サーペントで銜えて釣り上げる
「マグロの一本釣り」
「食べてもいいよね」
容赦なく尻尾のサーペントで噛みつく

ところで気にもせず噛みついたけど
怪人って食べられるの
狩ったなら感謝の意を込めて食べるのがモラルだと思うけど
食べられないなら仕方がないよね



「何スか、こいつ!? 猫と同じ目をしてるッス!」
「わぁい、マラソン楽しいね」
 競泳水着でパンイチもとい、水着マラソンをしているのは、マロンだ。怪人の魚群に紛れてマラソンに参加していたのだ。彼のフードファイター的な何かに火が付いたのか、物凄い気迫を放つ彼に、怪人は怯えて全速力で逃げる。

「こっちに来るなッスー!」
「もうマラソンは終わり? なら、ワイルドハントの始まりだ」
 怪人は連続で猫を飛ばしてくる。何匹かは被弾するが、マロンは負けじと、UC「暴食のベルセルク」を発動。リスの様な尾は、大蛇へと姿を変え、飛び交う猫の間を縫いながら怪人へと向かう。怪人はというと、向かい来る大蛇に恐れをなして、攻撃から逃走へと切り替えていた。彼らの間では、マラソンは既に獲物と捕食者の追走劇へと変わっていた。
「これぞ、マグロの一本釣りだよ」
「ギャーッス!」

「寒いのに良くやるなぁ」
「マラソンには興味無いし、オレの好きにやらせてもらおう」
 怪人やマロンとは対照的に、温かい恰好で様子を見ているのは、メーティオルだ。彼はぽつりとつぶやいた後、宇宙バイクに跨り、エンジンを掛けた。

「ねぇ『寒さを吹き飛ばす』のに、パンイチなのは何でさ?」
「うわぁ、何スかコイツ!?」
「寒さを吹き飛ばしたいのか、寒くしたいのかどっちかにしなよ!」
 メーティオルは、マロンより前を走る怪人に追い付き、並走しながら怪人へ問い掛ける。怪人は呆気に取られた様子だが、彼は相手に構わずに続けて問い掛ける。怪人は苛立った様子で答え始める。

「パンイチ状態で寒くするッス! 住民達は病気になって絶滅するッス!」
「……秘密を知ってしまったッスね! 生かして帰さないッス!」 
 勝手に自らの目論見まで吐露した怪人は、激昂してメーティオルに襲い掛かる。先程見ていた猫の弾丸を飛ばしてくる。
「(猫に罪は無いし、嫌な攻撃だなぁ……そうだ!)」
 メーティオルは、アクセルワークを駆使して、飛んでくる猫を避ける。怪人に噛みついてる猫は、まだ多そうだ。猫を見ていてある事を思いついた彼は実行に移す。
「ほれほれ、どーだ?」
 短く持ったウィップを猫じゃらしの様に動かし、猫の注意を引こうとする。目論見通り、猫達は視線をウィップに移した様だ。彼は戦闘に巻き込まない方向へ、ウィップを投げてやると、怪人に噛みついていた猫達は、一斉にその方向へと跳んで行った。

「ばっバカなッス! 弾切れッスー!」
「じゃあ、こっちの番だな!」
 猫を巻き込む心配がなくなったメーティオルは、怪人へスピードを載せたバイクの体当たりをお見舞いする。
「あ、アカミーッ!」
 吹き飛ばされた怪人はもんどりうつ様に転がって、近くの怪人を巻き込み、断末魔を上げて爆発した。

「釣ったら、食べて良いよね」
「ウガー」
「モガー」
 マロンと決死の追走劇を繰り広げていた怪人は、魚の頭部を丸々と銜えられた状態で吊り上げられていた。先程の爆発でこちらに寄って来た怪人もついでに銜え、都合2体分の身体が宙に浮いてもがいている。UCの効果で生命力を奪っていくと、マロンの傷は癒え、怪人は動きが鈍くなり、終いにはピクリともしなくなる。

「おーい、そいつら爆発するぞー。ペッしなさいペッ」
「えー、もったいないなぁー」
 メーティオルがマロンに向かって、銜えてる怪人をリリースする様に促す。マロンは少し渋っていたが、怪人を高く放り投げると、花火の様に空中で爆発するのだった。

 猟兵達の活躍で、魚群は数を減らし、当初の半数程になっていた。この様子では、この騒動の鎮静化もそう遠くないだろう。

成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​🔴​

ルフトフェール・ルミナ
ええ~……魚介覆面パンイチマラソン?
こんなに回りくどく街を寒々しくしといて、それやりたかったの?
いや、魚介の覆面でパンイチによる羞恥心を誤魔化し、参加しやすくする……これは、群集心理を知り尽くした知能犯かもしれないか……。
……そんなわけないよね。

【POWで】
僕はね、きっちり厚着をして、マフラーや手袋の小物も忘れず身につけておく。さあ、僕を狙うがいい。
そして、ゴールデンハムスターを呼ぶんだ。一緒に【耀星の杖】でぶん殴る。
めっちゃ高速攻撃してくると思うけど、それは【カウンター】か、食いついてる猫を盾にして【敵を盾にする】で阻むよ。
それで連続攻撃を中断するか、標的をずらせたら、ぼっこぼこにするよ!


ワルゼロム・ワルゼー
【WIZ】
フンドシ履いたマグロの群れとな…、嗚呼、見苦しいにも程がある
それにしてもこのキマイラ達のノリの良さ…、流石はキマイラフューチャーといったところ、であるか

とりあえず数が多いので、闇の【属性攻撃】や【範囲攻撃】でどんどん蹴散らしていこう。可能なら【2回攻撃】も織り交ぜていくぞ
水鉄砲は【オーラ防御】でガード、水浸しにするポイントで強化を図るなら、そのポイントに向かってUC原罪のフラクタルを叩きこんでくれよう

しかし敵の意図がイマイチ読めないな。早々にこやつらを蹴散らし、黒幕を引っ張りだすぞ



「何スかお前!? 邪魔するなッスー!」
「僕? 見ての通り、厚着をした一般人かな?」
 ルフトフェールは、怪人の進路に立ち、少しばかりお道化た調子で相対する。怪人は付き合ってられないと、迂回して彼を避けて行こうとする。彼はその方向へ、呪文を唱えながら耀星の杖を振る。眩い光と共に、怪人の迂回先に何かが召喚される。

「な、なんスか!?」
 それは、長い前歯に鋭い爪を備えた全長3メートル程の……巨大なゴールデンハムスターである。その手には、その身の丈に合ったサイズの耀星の杖が握られている。
「隙あり、それそれっ!」
「うぎゃぁ、痛いッス!」
 事態を飲み込み切れていない怪人へ、彼とハムスターは、そのまま杖で殴りかかる。怪人は何とか攻撃から逃れると、ルフトフェールへ、両腕を振り回しながら突撃してくる。

「もう許さないッスー! ……ってギャーッス!」
「ほらほら、かわいいよねぇ」
 彼はいつの間に捕まえたのか、両手で抱えた猫を怪人へ向けて突き出す。怪人は止まろうとしても、自らの勢いを止められない。何とか方向を変えるが……。

「それ、ホームランだ!」
 行く先は、ゴールデンハムスターの正面。ルフトフェールが杖を振るうと、ハムスターも同じ動きで杖を振るう。怪人の腕が届く前に、棍棒の様な杖は、カウンターで怪人の頭部を捉え……悲鳴を上げさせる間もなく、星とした。
「さぁ、次へ行こうか!」
 ルフトフェールは、ハムスターと共に、次の相手を求めて動き始めた。


 ワルゼロムは、残りの怪人達に囲まれていた。戦闘がある中、無害そうな方へ集まって来た様だ。彼女は事を有利に進めようと、怪人へ語り掛ける。
「一応聞いておくが、この催しの意図は何であるか?」
「この被り物が流行れば、住民に紛れて侵略するッス!」
「(本当に出来そうなのが何とも……)」

 怪人の1人がお前も被れと、被り物を差し出してくる。彼女はそれを受け取ると、関心がある様に観察し始め、被り物を指して、近くの怪人へ手招きをする。
「え、どうしたッス?」
 怪人が覗き込んだ瞬間、被り物ごとUC原罪のフラクタルで攻撃する。掌から放たれた闇刃は、怪人を貫いた。

「卑怯者ッス!」
「侵略だとか企む輩に言われても、何とも思わんぞ」
 激高する怪人達に反し、ワルゼロムは悪びれずに答える。怪人達は、ワルゼロムを中心に旋回し始める。

「覚悟するッスー!」
「当てる気が無いのかの?」
 怪人達は水鉄砲を放つが、狙いがでたらめである。標的を逃した水鉄砲は周囲を水浸しにしていく。

「本番はこれからッスー!」
 怪人達はスピードを上げ、再び水鉄砲を放つ。ワルゼロムは避け切れず、被弾する。どうやら、水浸しになった地の上では、力が増すらしい。怪人達は、連続して水鉄砲を撃ち続ける。ワルゼロムは全身に魔力の防壁を張りながら、掌を敵の進路に向ける。

「我が慈悲と憐憫を刻め!」
 ワルゼロムは再度、闇刃を放ち、その腕を薙ぐ様に動かす。掌から放たれる刃はその動きに従って、鞭の様にしなる。1体、2体と、進路を塞ぐ線の攻撃で、怪人を倒すも、最後の1体を取り逃がす。

「もう、謝っても許さないッス!」
 感情が伺い辛い顔だが、憤怒の相を浮かべる怪人が迫ってくる。ワルゼロムは両手を上げ、後ろを見ろとジェスチャーするが、怪人は無視する。

「もう、騙し討ちは通用しないッス!」
「痛めつけてから『あの方』に引きわた……」
 言葉を言い切る前に、怪人へ流れ星が落ちる。ルフトフェールのハムスターの杖の一撃だ。無警戒の後方から攻撃された怪人は、為す術無くダメ押しの追撃を受け、そのまま力尽きる。

「ワルゼロムさん、大丈夫?」
「助かったぞ、ありがとう。ルフトフェール殿」
 ワルゼロムは、ルフトフェールに礼を言い、周囲を見回す。周囲に怪人の姿は無い、確かに今のが最後だった様だ。

「『あの方』がどうとか、言ってたみたいだけど?」
「多分、黒幕がいるという事であろうな」

 広場を荒らしていたマグロ怪人達は全滅した。しかし、黒幕の存在に、2人は改めて警戒するのであった。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​




第3章 ボス戦 『怪人アルパカマッスル』

POW   :    ポージング
自身の【肉体美の誇示】の為に敢えて不利な行動をすると、身体能力が増大する。
SPD   :    鋼の筋肉
全身を【力ませて筋肉を鋼の如き硬度】に変える。あらゆる攻撃に対しほぼ無敵になるが、自身は全く動けない。
WIZ   :    つぶらな瞳
【つぶらな瞳で見つめること】により、レベルの二乗mまでの視認している対象を、【瞳から放たれるビーム】で攻撃する。
👑17
🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔴​

種別『ボス戦』のルール
 記載された敵が「1体」出現します。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
 それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
 プレイングが採用されたら、その結果は400文字程度のリプレイと「成功度」で表現されます。成功度は結果に応じて変化します。

 大成功🔵🔵🔵
 成功🔵🔵🔴
 苦戦🔵🔴🔴
 失敗🔴🔴🔴
 大失敗[評価なし]

👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
 ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。

※このボスの宿敵主はニィ・ハンブルビーです。ボスは殺してもシナリオ終了後に蘇る可能性がありますが、宿敵主がボス戦に参加したかつシナリオが成功すると、とどめを刺す事ができます。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。


 猟兵達の活躍により、広場のマグロ怪人達は全滅した。猟兵達は集まり、各々の戦闘時の情報を共有する。
 猟兵達が聞いた怪人達の発言から、今回の流行や空調を弄った理由は、住民達を弱らせ、侵略するという点に集約されそうだ。非常に回りくどいが、住民達の流されやすさを見ると、効果的な方法に思えてくる。
 供給者が居なくなったので、流行については、一段落するだろう。しかし、猟兵達には心懸かりが残る。ある怪人が残した『あの方』なる個体。恐らくは、今回の黒幕であろうが……。

『前座諸君! ご苦労パッカー!』

 怪人が設置したステージのスピーカーが鳴り響き、スモークが焚かれる。帰り支度をしていたキマイラ達の視線も釘付けになる。

『ツーナー共は頭はキレるし、流行作りは上手かったパカ』
『……しかし、最後に物を言うのは、圧倒的な筋力(チカラ)パッカー!』

 スモークが薄れ、徐々に全貌が見えてくる。筋骨隆々な身体に、アルパカの頭部。周囲に見せつける様にポージングを取る。

『回りくどい事は終わりパカ!』
『お前ら全員叩きのめせば、ボディビルは流行るし、侵略成功パッカー!』

 早口に言い切ると、アルパカの怪人はステージから飛び降り、猟兵達へ歯を剥いて威嚇する。色々と理解できない事は多いが、ターゲット直々に出て来てくれた。こいつを倒せば終わりだろう。猟兵達は改めて戦闘体勢を取るのだった。
メーティオル・スター
うわあ、なんだか(顔以外が)寒そうな奴が出てきたぞ。
マグロがオレたちに倒されなくて、
寒いままだったらどうする気だったんだろう?

とにかく、SPDで判定。
とりあえず銃でも突きつければ硬くなってくれるだろうし、
その間に扇風機やら氷嚢やらでアイツの周囲だけ寒くしてやろう。

その脂肪の少ない体でどこまで耐えられるかな?
硬化を解いて暖かい所に行きたいだろ?

それでも我慢するっていうなら、ナイフで顔周りの毛を剃ってやろう。
ほらほら、アルパカ怪人のアイデンティティが剃られていくぞーみたいなこと言いながら、ゆっくりと。


んで、我慢できなくて動き出したところをばっさり。
敵の前で固まってたら、そりゃこうなるって。



「何とも、寒そうな恰好した奴が出て来たぞ」
「マグロ怪人達がもっと寒くしていったら、アンタも辛いだろうに」
「お前らと一緒にするなパカ! 鍛え方が違うパカ!」
 メーティオルは、騒々しく表れたアルパカ怪人の様子を見て、正直な感想を呟く。怪人は耳聡く聞き付けると、激しく反論する。毛皮とか皮下脂肪とか、言いたい事はあるけど理屈では無いのだろう。

「そんなに筋肉に自信あるんだ?」
 言うが早いか、メーティオルはパイレーツマグナムを発砲する。胸や腹に着弾するも、銃弾は金属質な音を立てて弾かれてしまう。
「パカカッ、何かしたパカ? 今度はこっ……」
 反撃に出ようとする怪人へ、再度発砲する。先程同様に弾かれてしまうが、怪人の動きが止まる。どうも、全身を力ませる為、動けなくなるらしい。

「(なるほどね)」
「ひっ卑怯パカ! こっちの番パカ!」
 メーティオルは、動くなとは言ってないしと答えると、銃を構えたまま、怪人へ近づいて行く。いよいよ、互いの腕が届く距離にまで詰める。

「確かに凄い筋肉だ。けど、寒さにはどうかな?」
「パカカカカカカ……」
 メーティオルは保冷剤や、氷嚢を取り出すと、アルパカ怪人の頭部、毛の中に突っ込んでいく。見た目通りに密度のある毛の中に、どんどんと収納されていく。怪人は、プルプルと震えるも、動く気配は無い。
「うーん、強い。この毛もウェイトトレーニングしてるのかな?」
 彼はナイフを取り出し、怪人の筋肉に沿わせて、毛を剃らんと近付けていく。

「いい加減にするパカーッ!」
「敵の前で固まってたら、そりゃこうなるって」
 寒さか怒りか、その両方か、耐えきれずに怪人は激昂し、メーティオルに腕を伸ばす。メーティオルは、UCの域に達したナイフ捌きで、怪人の腹部に刃を突き立てる。そして、伸びて来た腕を払う様に、数条の傷を付けつつ離脱した。

メーティオルは、怪人の姿を確認する。ダメージは与えたが、まだまだ元気そうだ。地団駄を踏みながら、保冷剤を取り出している怪人を横目に、彼は仕切り直しの為に距離を取るのだった。

大成功 🔵​🔵​🔵​

フローライト・ルチレイテッド
変な人がきました!
とりあえずこの変な出来事の幕を引きましょうー。
UC【Crazy Wonder Wonderland】を使ってそのへんで倒れているマグロ怪人をバンドマン化します。
意味もなくマグロを加えてバンド人数を増やし、自分の衣装をヒラヒラしたライブ衣装にチェンジ。
【歌唱、楽器演奏、パフォーマンス、マヒ攻撃、催眠術、早業】を駆使し
ギターを掻き鳴らしUC【Phantom Ignition】を使用、アルパカを攻撃します。

アルパカビームは【視力、野生の勘、第六感、見切り】あたりで確認、【早業、パフォーマンス】の軽業で回避を試みます。

当たった場合は【激痛耐性】で耐える方向で。



「変なヤツだけど、結構な実力者の様だね」
 フローライトは、地団太を踏む怪人を見据える。どんな相手であろうと、この騒動の幕を引かねばならない。深呼吸をすると、マイクを口に近付け、歌い始める。

「踊れ! 歌え!――」
 彼の演奏や歌は、時としてUCと化する。今その力は、マグロ怪人達の亡骸に仮初の命を吹き込んだ。怪人の亡骸は、各々の楽器を持ったバンドマンとして立ち上がり、演奏を始める。その一部始終をみていたアルパカ怪人は、警戒の視線を送る。

「かわいい顔して、良い趣味してるパカ」
「ふふ、本番はこれからさ!」
 いつの間にか、ライブ衣装に着替えていたフローライトが指を鳴らすと、バンドマン達の演奏する曲が変わる。彼もギターを弾き、演奏に加わる。

「君に贈るのは……Phantom Ignition!」
「残念ながら、趣味じゃないパカ! 男は黙って、目で語るパカ!」
 アルパカ怪人は、その身体に不釣り合いなつぶらな瞳でフローライトを睨み付ける。瞬間、視線を辿る様にビームが放たれる。フローライトは歌いながら、ビームを避ける。ビームは、演奏するバンドマン達を捉え、薙ぎ払う。

「パカカッ、耳障りな演奏も終わり……パカァッ!?」

 ……しかし、演奏は止まらない。フローライトの背後に、ロックバンドの霊が憑いており、演奏を引き継いでいる。先程、曲を変えた時、既にUCの効果も変わっていたのだ。

「――獣のように吼えてやれ!」
「何度でも、潰してやるパカァー!」
 視線と音、本来なら干渉し合わない物でも、UCならば例外。光線と音の塊は、両者の中間地点でぶつかり合う。拮抗していたが、臨界を超えた力は爆発を起こす。

「パ、パカァー!」
「(くっ、互角か……)」
 爆発による衝撃波が、両者にダメージを与え、痛み分けという結果になった。フローライトは、激痛耐性で平静を装うも、すぐに戦闘に戻れそうに無い。万全でないのは怪人も同じ。仕掛けるとしたら、次の機会だ。

「サンキュー!」

 フローライトは、今までの戦闘で沸いているキマイラ達に、手を上げて応えると前線から離脱した。

成功 🔵​🔵​🔴​

マロン・チェスナット
※絡み・アドリブ・連携歓迎

【SPD】
この状態だと普通に攻撃したんじゃ通らないよね
動かざる山の如く構えているから
山を動かせばいけそう
先ずは相手の周りを円で囲むように
風の如く〔ダッシュ〕でぐるぐる回り様子を見る
風吹けど山は動かずか
敵に気付かれない様に林のように静かに接近し
火のように勢いに乗じて攻撃
翡翠月歩でどのような動きに出るか判らない様に飛び回り
想定外を突いて雷のように静電気を帯びた攻撃〔属性攻撃〕

山が動いた・・・今だ
渾身のプレデターによる〔串刺し〕

流石に静電気を帯びた攻撃は予想外だったよね
キミたちが静電気の発生しやすい環境を作ったんだよ
知らなかったでしょ低温で湿度が低いと発生しやすいだよ


ワルゼロム・ワルゼー
(連携・アドリブ歓迎)
【WIZ】
うむ…そのまま隠れていればよかったものを。見てるだけで寒くなる格好よな
ともあれ、この筋肉ダルマを疾く始末し、ミッション終了といこう

つぶらな瞳によるビームは、第六感と残像で回避。回避が難しいようならオーラ防御でガード。カウンター気味に原罪のフラクタルを高速詠唱で打ち込もう。二回攻撃による連続ヒットも狙っていくぞィ

抉った傷口に、呪詛を込めた闇の属性攻撃を打ち込み、さらにダメージアップを図ろうかな



「教祖様、マグロより強いみたいだね」
「うむ……だが、頭は良くない様であるな。マロン殿」
 マロンは、アルパカ怪人について話すと、ワルゼロムは所感を加えて答える。今まで見た能力は、身を硬直させる防御と光線。何れも強力だが、上手く揺さぶれれば破れそうだ。要はその方法なのだが……。ワルゼロムが思案していると、マロンが何か思いついた様に耳打ちをする。その手で行こうか、2人は手筈を確認し、それぞれ行動へ移るのだった。

「やぁやぁ、筋肉ダルマよ! 疾く、我らに討たれて貰おうぞ!」
「お前、騙し討ちしてた奴パカ! 問答無用パカ!」
 ワルゼロムは、芝居がかった台詞、大仰な身振りでアルパカ怪人へ掌を向ける。アルパカ怪人は、先の戦闘を見ていたのか、問答無用とばかりに光線を放つ。ワルゼロムは光線を避け、怪人へとUCの闇刃を伸ばす。
「その攻撃は、さっき見ていたパカ!」
 アルパカ怪人は、視線を移すと光線の軌道は闇刃を捉え、相殺に成功した。しかし、背後から殺気を感じ取り、咄嗟に全身の筋肉を緊張させる。次の瞬間、金属音が響く。

「ちぇっ、気付かれたか」
 マロンが突き立てたプレデターが弾かれた音である。ワルゼロムの陽動に乗じ、背後から奇襲を掛けていていたのだ。アルパカ怪人は、辛くも防御のUCへ切り替え、これを防ぐ形となった。
「パカカッ、何をしようと、鋼の肉体には通じないパカ!」
「動かざること山のごとしかな? なら、こっちは……」
 マロンは武器を構えたまま、怪人の周りを駆け始める。徐々に加速していき、UCの域まで達した体裁きで空中を蹴って、文字通り縦横無尽に撹乱する。
「いくら動こうとも、無意味パカ!」
「寒くて、乾燥してる時に発生しやすくなる物は何でしょう?」
 マロンは問い掛けながら、再度攻撃を試みる。狙うは胸板、プレデターの切っ先が近づき……触れようかという時に、大きな火花が走る。先程のマロンの問いの答えは静電気。属性攻撃としてプレデターに溜めていた力は、火花相応の音を立てて炸裂した。
「パカァッ!?」
 刺突の攻撃に備えていたアルパカ怪人は、想定外の現象に、思わず後ずさる。
「山が動いた……今だ!」
 三度目の正直、マロンが突き出したプレデターは、アルパカ怪人の厚い胸板に深々と突き刺さる。
「ググ、今度はお前が動かない番パカ!」
 肉を切らせて骨を断つか、アルパカ怪人は苦悶の表情を浮かべるも、プレデターをマロンの腕ごと掴む。そして、憤怒の炎を灯した瞳でマロンを見つめ、照準を合わせる。

 ……が、光線が放たれることは無かった。
「マロン殿、お見事である! おかげで狙いやすいぞィ」
 ワルゼロムが怪人の死角から、プレデターの刺さる傷へと闇刃を突き立てたのだ。怪人はマロンを放し、片膝を突いて視線を地に落とす。
「おのれ、またしても騙し討ちパカァ……!」
「人聞きの悪いことを言うで無いわ。我の事を失念したおぬしの落ち度よ!」
 アルパカ怪人は膝を付いたまま、不意に顔を上げてワルゼロムへと光線を放つ。
「騙し討ち、おぬしも上手いではないか。通じぬがな!」
「パカガガ……」
 ワルゼロムは横っ飛びに避けると、そのまま闇刃を放ち、再度傷口を抉る。今度は掌から呪詛を込めた闇の属性攻撃のおまけ付きだ。アルパカ怪人は、たまらず吹き飛ばされる。

「とは言え、少々疲れたのぅ。マロン殿、一先ずは体勢を立て直そうぞ」
「はーい、教祖様」
 ワルゼロムは、怪人が吹き飛ばされたのを確認するとマロンに声を掛け、一時離脱する。2人が離脱し終える頃、吹き飛ばされた先からアルパカ怪人が立ち上がる。
「こ、この逆境! 乗り越えられたら、必ずボディビルが流行るパカァー!」
 恐ろしいほどのタフネスも、続く負傷で陰りを見せている。決着への時は着々と近付いている。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​

フィロメーラ・アステール
「よーし怪人! だったら真っ向勝負するぞー!」
逆境を乗り越える気みたいだし、苦難は多い方が怪人も喜びそうだぜ!
乗り越えさせてやる気はないけどな!

【スーパー流れ星キック】を発動だ!
光の【属性攻撃】の【全力魔法】オーラを纏い、【残像】が出るほどに急加速!
そのまま空中を【スライディング】して、【気合い】を込めた【踏みつけ】攻撃をお見舞いするぞ!

真っ向勝負だから! ビームにも真っ直ぐぶつかるつもりでいくぜ!

あっ、でも『見つめる時間がない』とか『視認していたのは残像だった』とか『纏った光の【オーラ防御】で弾いてしまう』とか!
不幸な事故は起こるかも!
まあ戦場では何が起こるかわからないから、しょうがないな!


ルフトフェール・ルミナ
回りくどいことは終わりとか……。
ボスならさ、せめてツーナーちゃん達の健闘を認めてあげなよ。結構頑張って回りくどく周りを寒くしてたんだからさ。

そして、ボスとして出て来た以上、倒させてもらうよ!
僕は魔術師だ。僕の魔術とそっちの筋肉と、どっちが凄いか勝負だよ!
正面切って魔術『渦雷』でバッリバリのビッリビリにするからね!
僕を中心に雷が落ちまくるけど、僕はこの吸雷石があるからピリっとする程度【雷撃耐性】。けど君に耐えられるかなー!
筋肉が鎧代わり? 残念だったね、魔術が生み出す力は、物理の守りなど凌駕するッ【鎧無視攻撃】。
おっと、つぶらな瞳から怪光線? この手袋から発する魔力力場で撥ね返す!【カウンター】



 アルパカ怪人は自らを鼓舞して立ち上がるも、猟兵達との連戦で受けたダメージは隠しきれていない。
「奴さんさ、ツーナーちゃん達の働きを認めてあげて良いと思うんだよね」
 怪人の様子を見て、ルフトフェールはフィロメーラ・アステール(SSR妖精:流れ星フィロ・f07828)に語り掛ける。
「予知された異変は、全部マグロ怪人の仕業だったもんな!」
 フィロメーラは、頷きつつ答える。相手の言動を見るに、手の込んだ企み自体はマグロ怪人達を倒した時点で阻止できたのだろう。しかし、ボスが脅威である事に変わりは無い。人間とフェアリーの身長差コンビは、事件の幕を引くべく戦線へと向かう。

「いくら手負いでも、筋肉に劣るお前らに負ける訳ないパカ!」
「よーし言ったな怪人! だったら真っ向勝負するぞー!」
「僕は魔術師だから、魔術で対抗しよう。きみの筋肉とどっちが凄いか勝負だよ!」

 フィロメーラは宣言通りに、アルパカ怪人へと真っ直ぐ突っ込んでいく。怪人は向い来る真昼の星へ光線を放つ。光線はフィロメーラの星屑の軌跡を追うも、狙いに精彩を欠いている。負傷の他、晴れた正午の下で輝くフィロメーラを見続ける等の条件が怪人に不利に働いているのだ。彼女に言わせれば『あたしを見た時、運を使い切ったんだ!』といったところだろうか。

「あはは、ざんねーん!」
「パカカァー!」
 怪人は半ばむきになって、フィロメーラへと光線を撃ち続ける。あわや命中という場面もあったが、身に纏うオーラが弾いて決定打とならない。

「うーん、後ろからでもチカチカするなぁ……おっと!」
「パカァッ!」
 フィロメーラの後方から付いてきていたルフトフェールは、飛んできた光線を手袋から発する魔力力場で怪人へと弾き返す。これは大した痛手にならず、頭に血が上っていた怪人をクールダウンさせた。

「お前、真っ向勝負って言ったパカ! 正々堂々とぶつかって来るパカ!」
「良いぜ! 準備運動は終わりだ!」
 フィロメーラは怪人に答えると、太陽を背に大きく飛び上がる。彼女は全身に光のオーラを漲らせながら、高度を上げていき……太陽と1つとなった。
「スーパー! 明けの明星!! キィィィック!!!」
 フィロメーラは全身に溜めていたオーラは彼女の靴へと集約し、急降下しながらキックを放つ。どんどん加速し、光の矢となって怪人へと向う。
「まともにぶつかり合えば、負けないパカアアア!!」
 怪人も負けじと、渾身の力を込めて光線を放つ。2つのUCがぶつかり合い、火花を散らす。
「もう少しで、勝てるパカァ……!」
 拮抗していたが、次第に光線がフィロメーラを押し戻していく。

「僕の魔術ときみの筋肉で勝負、とも言ったよね」
 ルフトフェールの声と共に、周囲の様子に変化が起きる。局地的な雲が発生し、太陽を覆う。彼はいつの間にか、怪人の目と鼻の先に位置して杖を構えていた。目を逸らせない怪人は何かを言おうとするも、ルフトフェールには届かなかった。
「己が身を標として、雲海の内にて荒れる雷を導かん!」
 雲から発生した雷は、渦を巻いてルフトフェールを中心に降り注ぎ、全て怪人に命中する。ルフトフェールにも雷の余波が襲い掛かるが、彼の持つ吸雷石のおかげで被害を最小限に抑えられる。
「パパパ……」
 雷をまともに受けた怪人は、全身を焦がして震えている。自慢の筋肉の鎧も雷には通用しなかった様だ。
「君の敗因は、筋肉以外の力を認めなかった事……かな?」
 ルフトフェールは怪人へ一言残すと、その場から飛び退く。数秒後、フィロメーラのキックが命中し、怪人は爆発の中消えていった。

●報告書
 マグロ怪人と、ボス格のアルパカ怪人を戦闘にて撃破。その後、気候や流通の異変は、継続した工作が無ければ正常に戻る事を確認した。怪人の起こした流行は、まだ継続するかも知れないが、そう遅くない内に廃れるであろう。

・追伸
 帰還間際に、怪人が残した被り物を付けての追いかけっこが流行し始めた。恐らく長続きしないし、事件性は皆無である事をここに記す。

大成功 🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​🔵​



最終結果:成功

完成日:2019年03月23日


挿絵イラスト