アースクライシス2019③〜Dの氾濫/恐怖を払え
アースクライシス2019、勃発!
ヒーローズアース全土を舞台とした大戦争の反撃は、アメリカ大陸から始まる。
だがすでに、"肥溜めの王"スカムキングは邪悪なる暴虐指令を発令しているのだ。
人々の希望を摘み取るこの悪逆な作戦を、猟兵は断固として阻止しなければならない!
「ヒーローズアースのニューヨークで、恐ろしい作戦が決行されようとしている」
大きな本を手に、グリモア猟兵のムルヘルベル・アーキロギアがそう語る。
舞台となるのはニューヨーク市街、広場や大通りなど人通りの多い場所である。
そこには、オブリビオンがあちこちから捕らえてきた人々が集められている。
「人々は皆、団結や連帯、あるいはヒーローを信じ戦うことを呼びかけた善き者たちだ。
彼奴らはそれを、群衆の目の前で処刑し、恐怖によって屈させようという腹らしい」
宝石賢者は、スカムキングの悪辣な謀に嫌悪の色を露わにした。
このまま放っておけば、善き人々の命が失われ、群衆は恐怖に屈してしまう。
ヒーローを、正義を信じる心が失われれば、蔓延るのは悪徳という絶望のみ!
「敵は『デュランダル騎士』。かつて存在した、高潔なる騎士団の成れの果てである。
生前は正義の心を持っていたのであろうが、オブリビオンとなった今は見る影もない」
これ以上騎士たちの残骸に悪徳を積み重ねないためにも、討ってやるのが慈悲だろう。
「彼奴らはゲリラ的にことをなそうとしておる。が、予知によって居場所は知れた。
急ぎヒーローズアースへ向かい、この邪悪な処刑儀式をなんとしても止めてほしい」
敵はできるだけ人の注目を集めるために、何かしらの目立った行動を取るだろう。
妨害するには、大きく分けて二通りの方法が考えられる。
処刑よりも先に囚えられた人々を救出するか、人々の注目をこちらに集めるか、だ。
猟兵が目立った行動を取れば、敵は処刑を断念しこちらに攻撃を向けてくるはず。
前者であれば迅速な行動が、後者ならば注目を惹きつけるための工夫が試される。
どう打って出るかは、猟兵それぞれに委ねられる。
「"恐怖とは、愛よりも強い感情なり"。とある軍人にして学者の遺した言葉だ。
ならば恐怖と絶望(Despair)を払い、真に強きものを知らしめてやろうではないか」
そう言って、ムルヘルベルは持っていた本をぱたりと閉じた。
それが、転移の合図となった。
唐揚げ
しもつかれです。スカムキングって名前が直球で好きです。
そんなわけで、ニューヨークが舞台の集団戦シナリオとなります。
プレイングボーナスルールなど詳細は下記まとめをご参照ください。
●シナリオ目的
善良なる人々の処刑儀式を妨害し、オブリビオンを倒す。
●敵戦力
『デュランダル騎士』(集団戦)
不条理な正義に苦しむヴィランのために戦っていたという騎士団の成れの果て。
オブリビオンとなった今では、正義も悪も区別せずただ悪逆に振る舞う。
●プレイングボーナスルール
このシナリオでは、敵の作戦を妨害することでプレイングボーナスを得られます。
スカムキングの下した暴虐指令は、『善良なる人々を処刑しろ』。
処刑儀式は、ニューヨーク市街の広場や大通りなどでゲリラ的に行われます。
(予知により、これらの地点は割り出しが完了している)
処刑前に人々を救出する、敵よりも目立って人々の注目を集めるなどすれば、
作戦を妨害できたものとして判定を行い、リプレイに描写します。
と、こんな感じです。
なお、このシナリオは1章で終了する特殊な戦争シナリオとなっております。
完結を最優先する関係上、採用数は普段より少なめになる見込みです。
参加を考えている方はお早めに。では前置きはこのあたりにしましょう。
皆さん、よろしくおねがいします!
第1章 集団戦
『デュランダル騎士』
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POW : デストロイブレイド
単純で重い【量産型魔剣デュランダル】の一撃を叩きつける。直撃地点の周辺地形は破壊される。
SPD : ケイオスランサー
【魔槍】が命中した対象に対し、高威力高命中の【仲間のデュランダル騎士との怒濤の連携攻撃】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
WIZ : 不滅の刃
【量産型魔剣から放たれる光】が命中した対象を高速治療するが、自身は疲労する。更に疲労すれば、複数同時の高速治療も可能。
イラスト:弐壱百
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
●ヒーローズアース:ニューヨーク市
マンハッタンはシヴィック・センター、フォーリー・スクエア。
多くの人々が行き交うそこに、異質な黒鎧の騎士たちが現れた。
『人々よ、聴け!』
頭目らしき個体が大音声を張り上げた。人々はそちらを振り返る。
『貴様らの正義とは間違ったもの。その名のもとに苦しむ者の存在を忘れた独善だ。
見るがいい。そうした弾圧を働く者が、どんな末路を迎えるのか……そのざまを」
おお、なんたることか。温和そうな男性が手足を拘束されたまま地面に転がる!
「ひ、ひい……! わ、私が何をしたというんですか!?
私はただ、少しでも皆が冷静になれるよう、落ち着くように言っただけで……」
『貴様のその性が害悪なのだ。行きすぎた正義の愚かさを知らぬ者め』
兜の下の冷たい瞳。そして振り上げられる凶刃――ALAS!
同時刻、マンハッタン五番街・フラットアイアンビル前のプラザ!
ここにもまた、冷たき鋼の騎士たちが現れ、処刑を遂行せんとしていた!
あるいはチェルシー地区ザ・ハイライン某所!
ミッドタウン、ブロードウェイ通り!
コロンバスサークル、トンプキンス公園、ピット・ストリート……!
急げ猟兵よ! 善き人々の命が今、狂った刃によって処断されようとしている!
稲妻よりも疾く、雷鳴よりも雄々しく、その命を救うのだ!
●業務連絡:19/11/07 04:46
予想以上のご参加を頂けたので、なるべく採用していこうかと思っております。
なおプレイングは現時点で頂いているぶんで、締め切りとさせていただきます。
11/03時点でご参加くださったお客様には、ご連絡のお手紙を送信済みです。
マリークロード・バトルゥール
アラン(f19285)と
身勝手な断罪行為に顔を顰めて零す
許しましょう。わたくしの騎士、アラン
そして命じます。彼等の路を正して頂戴
王族らしく堂々と振舞い≪演技≫し、注意を惹く為声を張る
道を開けなさい!わたくしは旗頭に用があります
≪聞き耳≫で警戒。来た敵の攻撃を音で予測し≪見切り≫
ナイフを抉る様に刺し≪部位破壊≫し動きを鈍らせ、
魔槍の一撃を回避しつつ反撃を行う
相対した堕ちた騎士に「ねえ」と問う
「高潔なる騎士の心はもう残っていなくて?」
守りに気取られている隙に【賢者の影】を這わせ縛り上げる
言の真偽に興味は無いわ
欲しかったのは、わたくしの騎士が準備する為の時間よ
いいえ、結構
路傍の石ほどの価値も無いわ
アラン・サリュドュロワ
マリークロード(f19286)と
騎士の証たる鎧に斧槍を誇示
主の前に立ち、周囲を牽制するよう睥睨する
民を虐げる貴様らが騎士だと?
そう名乗ったことを後悔させてやろう
──殿下、少々私情込みで刃を振るうこと、お許し願います
この場の頭目を目指し
途中主に手を出す者を《串刺し》《なぎ払い》
堂々と大仰に進み注意を引き、市民の退避する隙を作る
騎士の何たるかを教えてやる、感謝しろ
さあこい、と強大な一撃を真っ向から《無敵城塞》で迎え撃つ
騎士は主と民に仕える者
民の血で濡れた刃を誇るなど、賊の言だろう!
構えた斧槍で一気に《ランスチャージ》
ああ…我が主への不敬に、謝罪がまだだったな
殿下、お耳汚しですがお聞きになりますか?
●誇り高きふたり
たとえそれが偽りのものだとして――否、だからこそか。
マリークロード・バトルゥールは、貴き者(ブルーブラッド)たらんとする。
行住坐臥、どんなときであれ。それが、己が忠を捧げし国のためなれば。
たとえ異郷異世界の街であろうと変わらぬ。この状況を見過ごす貴人は居ない。
騎士が正義を謳い、あろうことか何の罪もない人々を"断罪"する。
片腹痛し。斯様な身勝手な行い、いかにして潰すべきか。問うまでもなかった。
「道を開けなさい!!」
いっそ、晴れ晴れとしてすらある怒声だった。
突如として雷鳴のごとく轟いたその大音声に、誰もが身をすくませた。
誰もが――然り、断罪の刃を振り下ろそうとした騎士たちですら。
あるいはそれは、残骸となりても心身にこびりついたかつての高潔さの残滓か。
はたして群衆たちは、貴人の言葉通りにさざ波めいてその身を左右に退く。
黒鎧の騎士たちと、燃え上がるような憤懣を面に浮かべたマリークロード。
にらみ合う両者の間に、マリークロードを背にする形で割り込む男。
「…………」
アラン・サリュドュロワ。その見もまた、騎士たらんとする鎧を纏っていた。
薄氷をたたえし麗しの姫君ジゼルは、誇り高くその鋒を天に向けている。
アランは一言も口にしない。あるじが己の声と言葉をもって語るべき時に、
騎士は語る言葉を持たぬ。ただ、沸き立つほどの怒気を差し向ける。
堕落した騎士たちは息を呑んだ。心臓の拍動ごとに高まる誇りの血を畏れて。
「……結構。人々よ、感謝します」
マリークロードは瞼を伏せ、ただ呆然とする群衆たちに言った。
そして再び、刃のように鋭い目つきで、堕落した騎士たちを睨む。
「わかりますね。わたくしたちは、本来であれば不意を討つことも出来たのです。
それをあえてこうして、あなたたちの前に姿を晒した。その意味が」
『……我らこそが公明正大にして高潔なる者たちである、と?』
「それを謳ったとして、恥じ入る心があなたがたにあるならばそうしましょう」
マリークロードの声音は憐れみすら孕んでいた。瞳に浮かぶのは憫笑。
騎士たちが殺気立つ。真に正義を裁くべき我らを、この娘は否定したのだ。
「…………あるいは」
耐えかね、アランがうっそりとした声で呟いた。
「民を虐げる貴様らが、騎士だと? 貴様らはそのざまで名乗るというのか。
ならば、それを後悔させてやる。否、私が一介の戦士ならば既にそうしていた」
ちらり、と、怜悧なる青年の眼差しがあるじを見やった。
マリークロードはその視線を受け止める。だが無言だ。
「――殿下」
あるじは未だ無言。騎士の忠誠とその言葉の意気を問うように。
「御身の前にて勝手な口を開いた無礼、どうかお許しください。
そして厚顔ながら、もうひとつ……お許し願いたいことがございます」
「申しなさい」
「は。――少々、私情を込みで刃を振るうこと。騎士としては浅はかですが」
もはや、我慢ならぬ。かたり、と怒りに震える氷の姫の音がそれを示す。
マリークロードは再び騎士を見た。ふわりと、姫を演じる少年は笑んだ。
「許します。わたくしの騎士、アラン。そして命じましょう」
つい、と、細い指先が、堕落した騎士どもを指差す。
「――彼らの路を、糺して頂戴」
「御意に」
直後、風のように騎士は奔った。それこそが火蓋を切っさ合図である。
騎士たる名乗りは必要なし。それこそが対手らに対する宣誓だった!
『殺せ! たかがふたり、猟兵であろうとどれほどのものか!』
デュランダル騎士たちはがしゃがしゃと慌ただしく、隊列を並んだ。
だが遅い。既にその時、アランを隠れ蓑にマリークロードも姿を消している。
勇んで来る者があれば、まず龍槍ジゼルの穂がこれを貫き、あるいは砕いた。
「主の邪魔をするな、下郎めがッ!!」
轟然たる大音声。気圧された堕落騎士の兜をジゼルが薪めいて叩きのめす。
『おおォッ!!』
そこへ新手! 魔剣の銘を継ぎし刃を振り上げ、烈しい打ち下ろしの一撃だ!
だが! そこでアランの背を守るようにして、颶風がひとつ。マリークロード!
「――哀れね。その憐れさを自認出来ないまでに堕ちてしまうだなんて」
脇腹の隙間から突き刺さった刃を、ぐいを躊躇なくひねった。騎士は吐血。
崩れ落ちる敵の体を、全身をバネめいてたわませて吹き飛ばす。
転がる亡骸が、ボウリングのピンめいて隊列を崩した。好機!
「押し通る!!」
アラン! 巨人のごとき踏み込みとともに、剛斧をぶんと振り回した!
アスファルトごと騎士の一団を薙ぎ払い、包囲網に風穴を開ける!
「民たちよ、さあ逃げよ! ここは鉄火場だ!」
群衆たちは、その言葉に堰を切ったように雪崩を打って逃げ出した。
無論、その中には囚われていた人も含まれる。縄はマリークロードが切った。
『おのれ、貴様らもいたずらに正義を振りまくか。惰弱なる圧制者め!』
「あなたが旗頭ね」
歯ぎしりする騎士に対し、マリークロードはひそやかに言った。
問答無用、と爆ぜるような大音声。混沌の槍がその身を穿とうとする。
マリークロードは、逆手に構えたナイフを器用に使い、これをいなす。
そのときにはすでに、伸びた影法師が騎士のそれと睦んでいた。
「ねえ。"高潔なる騎士の心は、もう残っていなくて?"」
『小賢しい……! 我を拐かし愚弄するか、愚物めッ!』
答えは是でも非でもなく、狂い歪んだ強情の怒りであった。
マリークロードは呆れたように嘆息し、頭を振って言う。
「残念ね。ええ、もともと真偽に興味などなかったのだけれど」
『なんだと』
そこで騎士は見た。目の前に城砦のごとき立ちふさがる巨躯を。
連携すべき仲間たちは、皆手か足か、さもなくば首がひしゃげて死んでいる。
「騎士とは主と民に仕える者。鋼の如き信念を以て、大義に刃を捧げし者。
――それを忘れた愚かな残骸よ。文句があるならかかってこい」
騎士のなんたるか、応報の一撃を以て教えてくれよう。アランは嘯く。
『――ほざけェッ!!』
怒りの刃が振り下ろされた。だがアランは、それを真っ向から受け止めた。
弾きもしない。いなしもしない。ただ、黒鎧と信念を以て受け止めた。
「感謝しろ、そして識れ。……民の血で濡れた刃を誇るなど、賊も甚だしいッ!」
ザグンッ!! 地面ごと抉りあげるような巻き上げの一撃が騎士を砕く!
どしゃり、と残骸は墜ちて朽ちた。息を整えたアランが、背後を見やる。
「……失礼、殿下。御身への不敬に対し、謝罪をすべきでした」
マリークロードは亡骸を見やり、黙祷めいて目を閉じてから、頭を振る。
「いいえ、結構――路傍の石ほどの価値もないわ」
ここにありしは過去の残骸。かつて在った高潔なる騎士たちの影法師。
それを砕いたのは、弱者の味方を嘯くわけでも正義を謳うわけでもない。
ただ、そうすべきが己らである。――だからこそ、そうしたのだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アテナ・アイリス
デュランダル騎士とは笑わせてくれるわね。わたしが本物を見せてあげるわよ。
UC【不滅の刃】をつかって、白銀色フルプレート姿になり、デュランダルの剣で攻撃する。そんな量産型ではなく、これが本物よ。
「ブーツ」の力で足場に関係なく俊敏に動き回りながら、【武器受け・見切り・第六感・オーラ防御】を使って攻撃を躱し、【カウンター】を使って反撃をする。危険な攻撃は、【第六感】をつかって素早く察知し、「ブーツ」の力で高速で近づき対象を排除する。
わたしの【勇気】の力の前では、偽物では相手にならないわよ。
元騎士の誇りが残っているだろうから、剣をかざし偽物扱いしてヘイトをこちらに集めて、隙をつくるようにするわ。
●黒鉄と白銀
主従らの活躍によって、フォーリー・スクエアの処刑儀式は封じられた。
群衆は逃げ惑い、敵の頭目たる騎士個体は破滅させられた――が。
「皆さん、こっちです! 慌てずに、落ち着いて逃げてください!」
オブリビオンの出現に際し、ニューヨーク市警の刑事らが立ち上がったらしい。
パニックに陥りそうになる人々を落ち着かせ、避難誘導する。
だが、それがまずかった。潜伏していた騎士たちが目をつけたのだ!
『あそこだ! 惰弱なる愚民を生かそうとする、見境なき正義者を許すな!』
剣を振り上げた個体の声に応じ、頭上から降り落ちてくる黒鎧の騎士ども!
処刑儀式が完遂できぬならば、今ここで善良なる者らを血祭りにあげ、
群衆の混乱を頂点に察させようというわけか。短絡的、そして悪辣極まりない!
「そこまでよ!!」
だが見よ! 太陽の虹霓を浴びて、煌めく白銀のフルプレートメイルを!
光輪をいただきし姿は天使めく。颯爽たる声は凛々しき女のものだ。
『……何者だッ!?』
「アテナ・アイリス。それがあなたたちを討つ者の名よ――なんて、ねッ!」
軽やかに跳躍した白銀騎士、いやさアテナは、ビル壁を三角飛びし加速。
迎撃の混沌魔槍を不滅剣によって打ち払い、縦回転しながらの斬撃を落とした!
KRAASH!! ばっさりと振るわれた剣劇が、騎士を真っ二つに斬り裂く!
『囲め! 敵はひとりだ、恐るるに足らず!』
「恐るるに足らず、ですって? それはこっちの台詞、よッ!」
包囲を高い跳躍で脱したアテナは、着地ざまに振り返りながらの横斬撃。
背後から騎士を両断し、そのままくるくるとダンスめいてステップを踏む。
この幻惑的な動きにより、不意打ちめいた魔剣刺突はいなされた!
『バカな!?』
「――あなたたちのような、墜ちた騎士だなんて。それこそ恐るるに足らず、ね」
巻き上げ。腰元から肩口を切り裂かれた騎士はもんどり打ち絶命。
血漿を払い、アテナはその不滅の剣――デュランダルを高く掲げた。
「これこそは不滅の剣デュランダル! あなたたちと同じ銘を持つもの!
さあ、見なさい。堕落したその鎧と、この刃! いずれが本物足り得るか!」
『我らを贋作扱いするだと? 小娘が!』
狙い通りだ。騎士は苛立ちによって浮足立つ!
アテナは再び地を蹴り、稲妻めいたジグザグ機動で包囲網を切り裂いた!
――残心。その背後で騎士たちが斃れ、人々は歓声を上げる!
「悪くないわね、こういうのって」
人々から向けられる敬意と感謝の声に、アテナは兜の下で微笑んだ。
だがすぐに眦を決する。次なる敵を討つために。走れ、白銀の騎士よ!
大成功
🔵🔵🔵
玉ノ井・狐狛
正義だとか処刑だとか、ご大層なこって。“見栄”みてェなモンはそう嫌いじゃないけどよぅ、ちぃとばかし喧しすぎるぜ。おちおち観光もできやしねぇや。
ここは――そうさな、捕まってる連中に向けて“火”を放とう。
もちろん処刑なぞに協力してやる義理はねェ、ハッタリだ。けど、処刑対象がいきなり炎上すりゃァ、予定通りってワケにゃいかねェだろうさ。
アタシの“火”は融通が利くんでな。……ま、熱いくらいは我慢してもらおうかい。
大勢を運んだりするのは、たぶん、得意なヤツがどっかにいんだろ?
行動:UCによる炎を用いた処刑の撹乱
備考:アドリブ/連携など◎
リア・ファル
POW
アドリブ共闘歓迎
無辜の民の明日を奪うなんて許せない
処刑なんてさせないよ!
ヒーローズアース程の文化なら
サイバースペースから攻められるかな
監視カメラやSNS、警察無線、ヒーローの連係情報
「ハッキング」をフル活用して「情報収集」
捕まった人々がスマホでも持ってれば上出来
UC【電子幻想の申し子】でスマホからお邪魔しますっと
モチロン装備も込みで物質化登場
イルダーナに乗せて、逃がしたり、
ボクが暴れている隙に脱出してもらおう
「救助活動」も完了したら、反撃
重い一撃なんて受けてやらない、「破魔」を付与した
『ヌァザ』で魔術側面から鎧無視攻撃で、斬りつける
「こっちはワンオフの魔剣さ、量産型には負けないよ」
●ファイア・スターター
ニューヨーク市各所で巻き起こる、スカムキングの暴虐指令。
当然、それはマンハッタンに留まらず、世界中の人々の注目を浴びた。
此度の処刑儀式を始めとする、わかりやすい残忍な重犯罪から、
はたして何が目的なのかよくわからない、素っ頓狂な珍事件まで、
ヒーローズアースのサイバースペースには多種多様な情報が飛び交っている。
『フォーリー・スクエアで、黒い鎧を着た騎士たちが暴動を起こした』
誰かが発信した情報は、各所でゲリラ的に発生した儀式の情報と繋がる。
もちろん情報は玉石混交だ。その大半は面白半分のデマである。
こういった、他人が困り怯えるさまを面白がる心……それこそまさに悪徳。
スカムキングの狙いはそこにある。人々の悪心をかきたてようというのだ!
『居合わせた群衆が皆殺しにされた』
『猟兵がオブリビオンを倒してくれた』
『処刑されたのは引退したヒーローで、群衆も参加している』
真偽不明の情報が飛び交う。そこは2秒の一瞬すらも過ぎ去る電子の世界。
(――フォーリー・スクエアの儀式は妨害されたみたいだね、けど事件は進行中)
その電子の世界を、誰にも見えず聞かれずして駆け抜ける少女がいた。
(よし、このあたりならいいだろう……って、ウソぉ!?)
少女の名は、リア・ファルと言った。
……同時刻、フォーリー・スクエア!
先遣の猟兵たちの活躍により、儀式そのものは無事に鎮圧された。
だが戦闘に伴い、群衆を逃したことで生まれた混乱に乗じ、
生き残りの騎士たちは無理矢理に人々を血祭りにあげようとしている。
結果がどうあれ、善き人々が無残にも死に絶えたならばそれでいいというのだ。
なんたる悪辣。仮にも騎士を名乗っていた者たちの残骸がこのざまとは!
『さあ歩け! 貴様らの流す血が、偽りの正義を砕く礎となるのだ。喜ぶがいい』
「ひ、ひい! た、助けて、だれか……!」
「イヤよ、離して!」
「ど、どうしてこんなことに!」
拘束された人々を連れ、路地裏から現れる生き残りの騎士たち。
いわばこの"残弾"を、混乱する群衆の目の前に放り込み、そして殺す。
多少、周囲に居合わせた"不幸な市民"にも犠牲になってもらえばなおよかろう。
あるいは、市民自ら、パニックの中で人々を殺してしまった、というのもいい。
筋書きはどうとでもなる。結果があればそれでいいのだ……!
「――おうおう。御大層なこと云う割に、小せえ悪事を働くもんだ」
『『『誰だッ!?』』』
異な光景であった。声音の主は、勝気な言葉と正反対な少女だったからだ。
年頃はまだ18を越えていないであろう、少女といって差し支えない風貌。
獣の耳と尾は、その身が人ならざる妖狐であることを示している。
異貌の際たるは、彼女が着こなす和装であろう。それはどこか博徒めいていた。
「正義だとか処刑とか、そォいう"見栄"みてェなモンはそう嫌いじゃねェよ?
けどアンタら、ちぃとばかしやかましすぎるぜ。おちおち観光も――」
『ええい、邪魔な――ぐはっ!?』
「……出来やしねェ」
はたしていかなる妖しの術を用いたか、少女に斬りかかった騎士が斃れた。
なんてことなさそうに顎を擦り、玉ノ井・狐狛はあくびを一つ。
「そんなに火事場で騒ぎてェってンならよぅ、ひとつ手伝ってやろうかィ?」
『なんだと……な、貴様……これはッ!?』
騎士たちはどよめいた。にやりと笑う狐狛は、狐火を生み出したのだ!
あろうことはそれらは騎士――ではなく、拘束された人々へ向かう!
「ひ、ひいいいいっ!?」
「助けてぇ!」
「い、いやだ! 死にたくないぃ!」
人々は泣き叫ぶ! よもや、猟兵が善良なる人々を手に掛けようとは!
すわ、処刑される前に足手まといを殺そうというのか? それこそ悪徳だ!
狐狛よ、お前はそこまで落ちぶれたというのか。人倫にもとるというのか!?
だが、噫……人々は狐火に包まれ、トーチめいて燃え上がる……!
『き、貴様……』
「おっと。まさか、人様を処刑しようって息巻いてた連中が、アタシを怒るって?
それこそ真逆だわなァ。どうだい、手間ァ省いてやったんだぜェ? ハハ!」
騎士たちは困惑した。残骸としての本能は、その一笑を是とした。
だが熾火めいて遺された高潔なる騎士の片鱗が、憤懣めいたものを揺らす。
その懊悩――あるいはそれに近しいゆらぎ。狐狛はおかしそうに笑う。
「半端だねェ。悪でもねェ、正義の味方ってワケでもねェ。
半端者は一番(いっちゃん)よくねェ。だからほら――」
つい、と狐狛が指を向けた。そこには燃える人々が……否! 見よ!
『『『なんだと!?』』』
炎上していたはずの人々は、みな無事! そして逃げていく!
「おっと、気付かれちゃったか! 悪いけど、それで最後さっ!」
「……な? こうして足元、すくわれちまうってワケなのさ」
狐狛はにやりと笑う。そしてUターンし戻ってきたのは……少女リア!
ふたりは視線をかわし、頷きあった。すべては狐狛のブラフだったのだ!
時間は少しだけ遡る。
狐火による炎上が起きた直後、こぼれ落ちたスマートフォンを媒介に、
バーチャルキャラクターであるリアは現実へと帰還した。
そこで起きている惨状。慌てかけたが、そこでリアは当事者を見た。
狐狛である。彼女はそれを知っている――けして詳しいわけではないが。
永劫の櫻が散る異世界において、袖すり合うも他生の縁とすれ違ったふたり。
共に猟兵でありながら、あの少女は己を占ってくれたのではなかったか。
これはリアの直感であった。あの子が、悪逆をなすはずはない。
……そしてそれは、正解だった。狐火の炎上はそれ自体がカモフラージュ!
その炎は、さながら人々を小さなヴェールめいて覆い隠していたのである!
リアは愛機イルダーナを使い、騎士たちが気を引きつけられている隙に、
人々を安全圏へと救助し、敵の退路を断ってみせたのだ!
「大勢運べる誰ぞ彼が居るたァ思ってたが、こらまた奇縁なこって」
「サクラミラージュぶりだね、占い師さん! これでオッケーかな?」
いたずらめかして微笑むリアに、狐狛は肩をすくめてもう一度頷いた。
ちろちろと燃え上がる炎の残滓が、途端に間欠泉めいて吹き上がる!
『き、貴様ら――!』
「さァて、それじゃあお次はアンタらがお熱いのを我慢してもらおうかい!」
騎士たちは目の前の狐狛を切り捨てようとする。だが炎がこれを阻む!
そしてさらに、狐狛の瞳術! 不敵なる瞳が束の間その精神を縛った!
『『『か、体が……!?』』』
「悪いね、アタシは場合によっちゃイカサマも"アリ"なんだ」
「道義にもとるキミたちに、正々堂々なんてもったいないさ!」
そしてリア! 騎士が動けぬところへ、魔剣ヌァザを翻し肉薄!
「悪党にはご退場願うよ。ここは、そういう世界だからね!」
魔剣一閃。不浄なる堕落騎士の残骸を、虹めいた剣影が両断する!
フォーリー・スクエアの混乱、これにて一件落着。猟兵たちの勝利だ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
大紋・狩人
【WIZ 】★業
無辜の民を守る存在が、
見境なしの処刑とは、恥知らずにも程がある!
ああ、この激昂だけで【灰塗れ】の動力には充分だ!
(業に遭遇)(咄嗟に恐怖)(苦虫顔)
まさかお前に遭うとはな、リンゴ。
否、お前より人々の安全が優先だ。癪な足だが、今は心底助かる。
……民を、喰うなよ?
こいつ……! くそ、言われずとも!
注意がリンゴに向いている間に飛翔、民を[怪力]で抱えて高速で離脱!
リンゴ! 業腹だが騎士共は一旦任せるぞ!
民を逃がし終えたら戦うさ。
上空からの[部位破壊]、装甲の間を狙い、武器持つ腕を落とそうと試む!
負傷分は[カウンター]で返すぞ!
(息切れ)(エモとはなんぞ)
ぐっ……余裕だな、悪童め……!
五逆・業
★狩人
やーー!
ボクも目立ちたーーい!
幼稚な【怒り】、承認欲求の権化で当然!ボクの事も見てくれなきゃやーだ!
オーバーロード、怪物の触手体を巨大化させて張り巡らす
スカートの中見えちゃう?♡抑えてチラッ
可愛く《演技》して和ませとこ
えっいらない?
ん?
この間会った鼠ちゃん(狩人)?
元気そうじゃん、人助けしててえらいね〜♡
じゃ、人を潰さないようにするの、キミに任すね
食うかどうか?
キミの頑張り次第じゃない?
巨大化した触手と《怪力》で攻撃を防ぐ
痛みが怒りになって増幅は止まない
文字通り質量任せのワンサイドゲーム、しよ!!!
やっぱ狩人みたいなボロボロ勝利の方がエモくていいなー
うん、キミ程必死じゃないし?真面目ぇ♡
●
マンハッタン五番街、フラットアイアン・プラザ前。
ニューヨーク市の数ある高層ビルの中で、最も古い歴史を持つフラービル。
マディソンスクェアパークの玄関口に当たるこのビル前には、
今日も多くの人々が思い思いの時を過ごしている――いや、"いた"。
「おい、見ろ! 人が捕まってるぞ!」
「なんてこった、あいつらここで処刑でもするつもりか!?」
「中世じゃあるまいに……!」
突如現れた黒鎧の騎士たちと、彼らが囚えた人々、そして鈍く輝く凶刃。
人々は慌てふためき、それでも目を離せない。見ているしか出来ないのだ。
彼らはヒーローではない。堕落した騎士を嘲笑うヴィランでもない。
それゆえに、ついに狂った刃は振り上げられ、そして降ろされようと――。
「お前たち……! そこまでだッ!!」
決然たる声が、首筋にかかりそうになった剣をぴたりと止めさせた。
殺意を漲らせたいくつもの瞳が、兜の下から少年を睨みつける。
――数が多い。独りで相手をするのは……否、そういう問題ではない。
「無辜の民を守るべき存在が、見境なしの処刑とは……恥知らずにも程がある!」
大紋・狩人は、奥底から湧き上がった怒りをねじ伏せ、吠えた。
呆然とする市民たち。狩人はそれを飛び越え、敵に挑む策を想定した。
駄目だ。距離がありすぎる。こちらが辿り着く前にあの民が殺される。
そして己はあの数の騎士どもに迎撃され……いや、よせ、恐れるな。
恐怖を激昂で塗り潰し、狩人は叫んだ。
「これ以上、好きにはさせないぞ! オブリビ――」
その時である。
突如として、マンホールの蓋がひとつ、ふたつ、みっつと"跳ねた"。
「え?」
ぽかんとしていた群衆のなかで、男がひとり空を見上げた。
重いマンホールの蓋が、風船か何かのように跳ね飛んでいる。
一体何が起きた? 下水道の穴を見やる。うねる大蛇……いや、触手?
「モ――」
男は息を吸い込んだ。そして肺が破れそうな声で、叫んだ!
「怪物(モンスター)だぁあああああっ!!」
騒然! 人々は、騎士は、そして狩人すらもその叫びに気を取られた!
「いいよいいよぉ! ボクのことももっと見てくれなきゃやーーーーだっ!」
そしてこの状況にそぐわぬ、いやに少女めかした甲高い声。
見よ。うねる触手の群れを引き連れて現れたのは、場違いな黒セーラーの少女。
それを見た時、狩人は――思わず恐怖を浮かべて、そして苦虫を噛み潰した。
「ん? ……あ~、ちょっと鼠ちゃん、もしかしてスカート覗こうとした~?」
「するかッ!! ……まさかお前に会うとはな、リンゴ……!」
名を呼ばれた少女――五逆・業は、からかうような嘲りの笑みを深めた。
狩人は渋面を強いて深める。こいつ――これの相手は、とても、苦手だ。
根本的に相容れないというか、つまり……とにかく、厭なのだ。
「元気そうじゃん? 人助けしててえらいね~❤」
「茶化すな! お前まさか、この民たちを食おうと……」
「してないよ~? あ、でもそう言われたら食べたくなってきたかなぁ?」
ぞわり。狩人が殺気を一瞬にして膨れ上がらせたことに、業はにんまり哂った。
「イヤなんだ? じゃ、頑張ってもらわないとねぇ~」
「こいつ……!」
「人を潰さないようにするの、キミに任すよ? 正義のヒーローさん❤」
食ってかかろうとした狩人は、反射的に振り返り灼灰の剣を逆手に構えた。
ガギンッ!! 間合いに踏み込んでいた騎士の量産型魔剣が撃ち合う。
『邪魔をするな、猟兵め』
「それはこちらの台詞だ――邪魔を、するなッ!!」
恫喝、そして一閃! 直後、その場に阿鼻叫喚の混乱が訪れた!
地下道を経由する形で張り巡らされたのは、業の"質量"の一部である。
児戯じみた承認欲求の爆発は、文字通りその体を膨れ上がらせたのだ。
あちこちのマンホールが跳ね飛び、騎士たちの退路を進路を物理的に塞ぐ。
さながらパニックムービーめいて、人々を脅かすのも忘れない。
あるいは、本気でやっているのか? 業はけらけらと笑っている!
「はぁ~い、それじゃあ文字通りのワンサイドゲームぅ――しよっ!!!」
KRAAAAAASH!! 密集した騎士団の群れに叩きつけられる巨大触手!
その混乱に乗じ、狩人は走り、翔んだ。光が彼を包み、そして去っていく。
身を包むのは在りし日を思わせる襤褸のドレス姿。背を叩くのは憤懣の熱。
踊るように空を跳躍した狩人は、そのまま拘束者たちを開放し攫う。
群衆を絡め取ろうとする触手を浅く斬りつけながら、救出活動に励むのだ。
KRAAAAASH!! 再びの衝撃! 悲鳴と困惑でカクテルパーティ状態だ!
「おい! 脅かすにしたってやりすぎだろうが!」
「え~? 脅かしてないよ? 本気本気ぃ」
「余計にまずい! ……お前ら、いい加減に消えろッ!」
足並みを見出した騎士どもを、灼灰の燃えるような剣影が切り裂いた。
だが彼はあくまで人間。戦闘巧者たる魔剣が、応報するように襤褸を裂く。
『正義で人々を抑圧する愚物どもめ……!』
「誰がいつ正義を謳った? 堕落した騎士に言われたくはない!」
「あっははは! 亡霊相手に問答してあげるなんて真面目だねぇ?」
「お前が! 不真面目すぎるんだッ!!」
わけても邪魔なのがこの怪物! いちいち気を乱されて負傷が増える!
椅子のように歪曲した触手に腰掛け、業は勿体ぶりながら頬杖をついた。
「やっぱ、鼠ちゃんみたいなボロボロ勝利のほうがエモくていいな~」
「エモ……!? ええい、わけがわからん! 余裕ぶってないでお前も、」
「戦ってる戦ってるぅ! こっちは真面目だしぃ、アッハハハ!」
KRAAAASH!! ……触手は必要なものと不要な破壊を同時にばらまく。
それはまるで、地上に墜ちてきてしまった神界の荒ぶる牡牛めいていた。
カオスが渦巻く。そこには、正義も悪もありはしない――。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ネグル・ギュネス
待ちな
なら貴様の行うそれは、正しいと?
自分が正しいからと処刑カマすのが独善じゃねェってン なら、とんだ狂信者だな
皆、聞け!
正義とは、振りかざすものでも押し付けるもんでもない!
熱く心に秘め、自らが護りたい人や護りたい世界の為にある、強い気持ちだ!
胸に手を当て、隣にいる人を見て、ハートに火をつけろ!
──行くぞ、処刑騎士!
我は強襲部隊が一人、ネグル!
いざ尋常に、勝負しようかァッッ!
敵の技は、ダッシュと残像、迷彩で撹乱し、地形が破壊されたら蜘蛛のように、義手から鎖を放ってアクロバティックに舞う
闇ある所に我はあり
悪ある所正義あり
魂の光よ、神雷となれ
【破魔の断・雷光一閃】!
オレは、オレの信じる正義の味方だ
リンタロウ・ホネハミ
ダメだろ、「騎士」を名乗る者が無辜の民を理不尽に吊るし上げるなんざ……
騎士道の何たるかを語る資格はオレっちにはねぇっす
だが、それでも。あんたらの「騎士道」は絶対に否定させて貰うっすよ
迅速に処刑から人を救出する、敵よりも耳目を集める
両方やったらさらに効果的じゃないっすか?
サイの骨を食って【〇六三番之城砕士】を発動!
そして、この骨剣を、敵と処刑されそうな人との間に、あらん限りの力でぶん投げる!!(投擲)
そんで地面に深々と突き刺さった骨剣を力任せに引き抜き、敵に一閃!(先制攻撃)
人を守る、敵も倒す
楽じゃあなくとも、敵の正義を、騎士ということを否定するなら
オレっちも全力でやるしかないっすからね!
●ファントム・アンド・ボーン・サーカス
フラットアイアンプラザは、突然の狂乱に包まれた。
黒鎧の騎士どもが画策した処刑儀式。それをだいぶ乱暴な方法で妨害した猟兵。
人々はどこへ逃げればいいのかもわからぬままに右往左往し、
結果として不安と恐怖は伝搬し、増幅され、パニックへと変貌しかけていた。
台本は書き換えられた。だがこの極限状況も、見方を変えれば好機か。
あろうことか、猟兵の攻撃を逃れた処刑騎士たちはそう考えた。
そして……無理矢理にも、処刑儀式を敢行しようと決めたのだ。
パニックを落ち着かせようとする、善良なる市民をその場で捕らえることで!
『貴様をこの場で処刑する。覚悟しろ……!』
「そ、そんな!? だ、誰か――」
首根っこを掴まれた男の腕の中には、泣きじゃくる少女がひとり。
ALAS! 男はこの少女の父親でも、ましてや家族でも知り合いでもない。
親かなにかとはぐれたと思しき少女を、彼は保護しようとしていただけだ!
それが騎士の逆鱗に触れた。処刑魔剣が振り上げられる。なんたる蛮行!
だが天は見ていなくとも、ここにやってきた猟兵はひとりふたりではないッ!
――KRAAAAASH!!
『な、がぁああああ……っ!?』
見よ! 男の首根っこを掴んでいた騎士の片腕が、何かに串刺しにされた!
肩口からねじ切れた片腕が、がつん! と石畳に縫い留められる!
これは? なにかの巨大な骨めいた、歪な魔剣である……!
「そこ、いただきっすよぉ!!」
快哉たる声! 巨大な獣を思わせる強烈な突進(チャージ)とともに、
その男は現れ……周囲の騎士どもを吹き飛ばし、骨魔剣を握りしめ抜き放つ。
そして、横薙ぎに一閃! 片腕を喪った騎士の胴体をばっさりと両断した!
「あ、ありがとうございます! あ、あなたは……!?」
男は幼い少女を抱えたまま、その姿を見上げた。陽光を背に立つ男を!
「――名乗るほどのモンじゃねぇっすよ。あっちに聞いたほうがいいっす!」
にやりと笑った男、リンタロウ・ホネハミは親指で彼方を指し示した。
人々は、いやさ騎士ですらそちらに目を奪われた。ああ、そこには!
「――皆、聞け」
ごろごろと稲光を孕んだ雲のような、静かだが荒々しい声に、静謐が訪れる。
ビルの上に立つ男の声は、しかし不思議とその周囲にはっきりと届いた。
「正義とは、振りかざすものでも押し付けるもんでもない!
熱く心に秘め、自らが護りたい人や世界のためにある、強い気持ちだ!」
その言葉は、まっすぐと人々に向けられていた。
そうだ。これはスカムキングが画策した暴虐指令。人心を乱す悪徳!
たとえ猟兵が脅威を払おうと、人々が正義を信じてこそ意味がある。
だからこそ彼は云う。銀髪の男は、ひとりひとりをまっすぐと見つめるのだ。
「胸に手を当て、隣にいる人を見て、その心(ハート)に火をつけろ!
――皆は、俺たちは! こんな奴らに負けるほど、弱くはないッ!!」
おお。ネグル・ギュネス。鋼の身体を持つ男。
義憤と決意を血潮とし、エグゾーストする怒気はもはや陽炎の如し。
そしてその眼差しが……騎士どもを、睨みつけた。
「行くぞ、処刑騎士」
抜き放つは黒刀『咲雷』。日光を浴びてなお刃は輝かず、されど。
その刀身を包み込むかのように、破魔の雷光がばちばちと迸った。
そうだ。彼は正義の稲妻を身に秘めた男。義の雷光とともに走る幻影。
騎士どもは射竦められた。ネグルは大気を震わせる大音声で、叫んだ!
「我は強襲部隊(アサルト)がひとり、ネグル!」
「……あー、騎士のはしくれ、"骨喰"リンタロウっすよ!」
「(頷く)いざ、尋常に――」
「勝負すると、しようじゃないっすかぁ!!」
ネグルは跳躍。それに合わせ、リンタロウも弾かれたように剣を振るう!
KRAAASH!! 嵐のような剣戟ふたつ。それが騎士どもを吹き飛ばした!
『ええい、猟兵ごときが! 我らの邪魔をするな!』
『正義を謳い悪を糾弾する、真に邪悪なる者どもめ……!』
騎士どもは地獄の悪鬼めいて恨み節を漏らし、魔剣を構える。
されど、リンタロウはその守りを、あるいは攻め手の上から斬殺するのだ!
何たる膂力。そして一方、ネグルの義手から鎖が放たれ蜘蛛めいて飛翔!
摩天楼を踊り、予期せぬ角度とタイミングからの雷剣一閃を振り下ろす!
「いやぁ、名口上っすねぇ! ヴィクティムが聞いたら手ぇ叩いて喜びそう!」
「あいつもあいつで、どこかで戦ってくれているさ。ならオレは!」
SLASH!! 背後から襲いかかろうとしていた騎士が両断滅殺された!
「自分に出来る戦いをする。力を貸してくれ」
「いまさらっしょ。"騎士"を名乗る者が、あんなことやってるの見たら、ねぇ?」
リンタロウは悪童めいて笑った。だが気配はさっぱり笑っていない。
そうとも。たとえ傭兵まがいの騎士とて、己は騎士道を語るに足らずとも、
その信念がなんたるか、どうあるべきかは十二分に心得ている。
無辜の民を理不尽に吊し上げ、あまつさえ幼子を守るものを、殺す。
許してはならない。その騎士道だけは否定しなければならない!
「全力でやらしてもらうっすよ、"とっておき"も喰ったっすからね!」
ガキン! その言葉を証明するように、量産型魔剣が――折れた。
然り、折れたのだ! リンタロウを斬ろうとした剣が、折れた!
『馬鹿な!?』
「効かねえんだなぁ、これが。――あんたらの剣じゃ、効かねえっすよ!!」
ザウッ!! 竜巻じみた剣風! その背後でネグルのジグザグ剣閃!
『おのれ、正義に堕落した愚か者が!』
「正義? ああ、そうとも。オレは、オレの信じる正義の味方だ」
言い放つネグルの声は、氷の刃めいて冷えて透き通っていた。
闇あるところにその身はあり、悪あるところに正義はある。
ならば、燃え上がる魂の光よ。今こそ迅雷となり戦場を駆け抜けよ。
背中合わせに立った男たちは、敵を睨みつけ――そして、揃って少女を見た。
泣きじゃくることすら忘れた幼いレディに、男たちはふっと笑いかける。
「安心していてくれ。こいつらはすべて私たちが片付ける」
「もう少しの辛抱っすよ。んじゃま、派手にやるとしますかねぇ!」
悪党ども相手の、ド派手なサーカスの開幕だ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
リヴェンティア・モーヴェマーレ
アドリブ、他の方との絡みOKです
【WIZ】
ニューヨークの街頑張って守りますヨ!
処刑だなんてコトさせませン!
私は頑張って注目を惹きつけようと思うのデス!
リヴェンティアサーカスでース!
(武器やアイテムとしているハムスターやチンチラ達と一緒に、楽し気な音楽を流しながらサーカスを始めて注意を引く作戦)
(可愛い動物さん達がお手玉やら玉乗りやら頑張る。/自分はバニー)
音エレクトロレギオンにはスピーカーを取り付けて各所から聞こえるように細工したり、エキシビジョンでサーカスが見えやすいように工夫してみまス
念の為オーラ防御等で相手の攻撃に備えたい気持ち
出来ない事もあると思うので周囲の警戒は怠らないようにします
永門・ひかり
《存在感》
「宇宙バイク、エンジン音全開!ヒーローらしく騎士と人々の間に飛び込めば視線は集められるはずだよね!」
『それに騎士は黒くてひかりは赤!赤の方が目立つに決まってら!』
《フルアヘッド》
「怯える程僕らは無力だったか!?
捉えられようが脚は動く!震えていようが武器を握れる!歯も爪も飾りじゃない、抵抗の希望は潰えない!
この命は弱くない!
正義の魂が、君にも燃えているんだから!!!」
《騎乗/挑発》
「さあ皆、勇気ある撤退を!
ここは僕達が引き受ける……メテオラ!あの騎士、僕らのバイクで弾き飛ばしてやろう!!」
『ひかりの身体を操るのはオレの仕事!ヒーローは人を守って、カッコよくって、ナンボだもんなあ!!』
リダン・ムグルエギ
人々よ!ビッグニュース!
正義と独善!それを声高らかに叫ぶ悪い奴ら!
彼らは今…多数のヒーローや猟兵によって、その悪だくみを止められているわ!
アタシの作戦は単純
『別の処刑予定地で、処刑が猟兵に邪魔された様子』をドローンで遠隔撮影して
他の処刑地(大型テレビとかのある所)やSNSで放送しちゃう事よ
周囲の目を引き付けるだけじゃなく、処刑される人に希望を与えるし
敵を激高させて他の救出者を動きやすくするし
このオブリビオンを倒すことで『悪しき恐怖に屈服なんてしない』という一大ブームを巻き起こせるの
それが狙い
動画を見てる皆、約束してね
いいねする事と、恐怖には負けない事をね!
いいねがあれば、キマイラは無敵なのよ
●ヒーローズアース・ライブ・ブロードキャスト
その日、ニューヨーク市はいつも以上の喧騒に包まれていた。
無論それは、スカムキングが下した暴虐指令による混乱もある。
だがニューヨークは広い。マンハッタン区ひとつとっても広大だ。
それゆえに、ここブロードウェイ通りも、完全なパニックには陥っていない。
そもそも各地で暴動が起きていることすら知らない人も少なくない。
この世界には、この世界の日常があるからだ。
正常性バイアス。自分には関係がないだろうという無意識の心理補正。
つまるところ、真昼のブロードウェイ通りは、いつも通りの光景があった。
……しかしそれも、さきほどまでの話である。
『この中には、我ら騎士たちの働きをすでに耳にしている者もいよう。
それは事実だ。そして我らもまた同胞と同じく、貴様らに見せてやる』
怯え震える女性を目の前に転がし、頭目らしき騎士はうっそりと言った。
『正義を標榜することが、その無知蒙昧のままに悪を糾弾することが、
どれほどの歪みを生み間違った世界をもたらすか。その真実を知れ」
狂っている。人々は直感した。この騎士どもは狂っている!
だが、そうだとして。誰がそれを糺せる? この場で、あれらを相手に。
……出来ない。今からあそこで震えている女性が、殺されるとしても。
ヒーローでもヴィランでもない自分たちには、何も出来ない――!
「……? なんだ?」
その時である。ふと群衆の中の誰かが、妙な音楽を聞きつけた。
この緊迫した状況にそぐわぬ、いやに軽快で明るい音楽であった。
はた、とそちらを見て、若者はぎょっとした。そして隣の友人の肩を叩く。
「お、おい」
「なんだよ、死にたいのかお前。殺されるぞ?」
「い、いいから。あれ!」
若者が指差した先。そこには……はてな、小動物の群れ?
ハムスターやらチンチラやら、どれも妙に派手派手しく着飾っている。
やけに人間らしい振る舞いをするそれらは、ジャグリングやら玉乗りやら、
どうやらサーカスのつもりらしい。音を出しているのは頭上のドローン群か。
『……何?』
デュランダル騎士たちも、この妙ちくりんな一団に気がついたようだ。
処刑儀式の凄惨さと迫力に恐怖していた群衆も、やがてざわつき始めた。
『ええい、胡乱な連中め。人々よ、こちらを見ろ! そんなものは捨て置け!』
「捨て置けだなんてひどい気持ち! そんなこわくてつまらないコトより、
このリヴェンティアサーカスのほうがずーっとずーっと楽しいでース!」
列をなした小動物たちのあとから現れたのは、バニースーツ姿の少女だ。
青髪のミレナリィドール、リヴェンティア・モーヴェマーレはふふんと笑う。
「可愛い動物さんたちの素敵なショウ! 皆サン、いかがでス?」
それはこれから人が死のうとしている場所には、あまりにも不釣り合いだ。
しかし、だからこそ、恐怖に囚われていた人々の心を解きほぐした。
あどけないリヴェンティアの微笑みは、さながら凍えた体を温めるかのよう。
人々は困惑からどよめきに変わり、やがてその出し物に夢中になった!
『おのれ……貴様、猟兵か! 我らの崇高なる儀式にふざけた水を差すなッ!』
「ふざけた、だって? 誰よりふざけている奴らがよく言うじゃないか!」
颯爽たる声! そして、楽しげな音楽に乗せた強烈なバイクのエンジン音!
はたしてそれは? 人々よ、見ろ! アスファルトを斬り裂き着地した影を!
それは今にも魔剣を抜こうとしていた騎士どもと、群衆の間に降り立った。
意外! バイクを駆る赤髪の少年の両足は……義足ではないか!
『ようし、いい感じだ! あのサーカスの姉ちゃんがいてくれたおかげだな!
いいかひかり、この調子で啖呵を切ってやれ。まっすぐに、誇り高くな!』
「ああ、メテオラ。任せてくれよ」
よく見れば、少年はなにやら妙なキャスケット帽を被っているではないか。
そしてそのキャスケット帽は、ぱたぱたとカートゥーンめいて喋っている!
そう。彼らはふたりでひとり。ヒーローマスクのメテオラと、永門・ひかり!
「こんな恐怖に怯えるほど、僕らは無力だったか!? 違うだろう、皆!
囚えられようが足は動く。震えていようが武器を握れる! それが人間だ!」
ひかりは……一度は光を喪った少年は、人々に向けて叫んだ。
「歯も爪も飾りじゃない、抵抗の希望は潰えない。この命は……弱くない!
正義の魂が、誰かを愛し日常を楽しむ心が、君たちにも燃えているんだ!!」
そうだ。この恐るべき騎士たちを前にして、人々はサーカスに心奪われた。
それはすなわち、人々が恐怖や絶望に完全に屈していない証。
リヴェンティアの率いるサーカス団は、図らずしもその無邪気さを以てして、
人々に明るい心がまだ残っていることを証明してみせたのだ!
『貴様……! 正義だと? 愉快だと? ふざけるな、猟兵どもめッ!
世界は滅びるのだ。この歪んだ正義に守られた世界はすべて滅ぼす。
我らが、そして我らのあるじが。すべて皆、粉々にな!』
騎士たちはあざ笑った。たとえここであがいたところで無駄なのだと。
ニューヨーク市全域を襲う暴虐指令。それはあまりに幅広く捉えどころがない!
「そ、そんなことないでス! 全部ぜーんぶ、やっつける気持ち!」
「…………」
言い返すリヴェンティアに対し、ひかりはぐっと押し黙った。
メテオラは何も言わない。騎士たちの言葉には、たしかに一抹の真実がある。
だが!
『はいはい、そこでこちらのビッグ・ニュース!!』
「「『!?!?』」」
突如として大音声! それは、空から! 人々も、騎士も、猟兵も空を仰いだ!
そこに映し出されているのは……? これは、もしや!
「あれってフォーリー・スクエアじゃないか?」
「あっちはフラービルだ! 戦ってる人たちがいるぞ!」
「もしかして……あれ、みんな猟兵なのか!?」
群衆はどよめいた。然り、そこにはニューヨーク市各地のライブ映像!
『その通り! 人々よ、たしかにそこの悪い奴らはあちこちに出てきてるわ。
けれどね、戦っているのはアタシだけでも。そこにふたりだけでもない!』
ひかりは、リヴェンティアと顔を見合わせ、驚いた。よもやこれほどとは!
『猟兵と多くのヒーローによって、悪党どもの悪巧みは食い止められているわ!
さあ、どう! これを見ても、まだ無駄だとかなんとか言ってられるかしら!』
青空に投影された映像の下、アナウンスを終えたキマイラの女が腕組する。
そして不敵な笑みを浮かべ、ひかりたちにサムズアップしてみせたのだ。
リダン・ムグルエギ! 彼女が見せた映像は合成でも作り物でもない!
今まさにこの時、世界を救うために戦う猟兵たちの勇ましき姿なのだ!
「ああっと、けど忘れないで! 恐怖に負けないことと、もうひとつ!
――動画を見てくれた皆は、いいねをよろしく! それがあれば無敵なのよ!」
キマイラフューチャーで生まれたストリーマーらしい茶目っ気だ。
人々は思わず噴き出し、そして呻く騎士たちのほうを見返した。力強く!
「人を処刑しようとしといて、何が正義だ悪だ、間違ってやがるぜ!」
「そんな風に脅しつけようったって、そうはいかないわ!」
人々の声に、リヴェンティアはぱっと笑顔になり、ひかりのほうを見た。
……少年は、キャスケット帽=メテオラをぐっと目深に被った。
そして一瞬だけうつむいて、顔を上げ、少女とキマイラを見返す。真っ直ぐに。
「そうさ! さあ皆、勇気ある撤退を! ここは僕が……いいや!」
「私たちリヴェンティアサーカスの仲間タチと!」
「宇宙ファッションデザイナー、GOATiaのリダンが引き受けちゃうわよ!」
そして三人と一体(おまけにリヴェンティアの愉快な仲間たち)は立ち並ぶ。
ゴオオウウ……宇宙バイクが排気音を響かせ、頭上のエレクトロレギオンが戦闘態勢に。
騎士どももまた、魔剣あるいは魔槍を引き抜き、殺意を膨れ上がらせた。
「メテオラ! あの騎士ども、僕らのバイクで弾き飛ばしてやろう!!」
『任せな、ひかりの体を動かすのはオレの仕事だ! 姉ちゃん、撮影頼むぜ!
ヒーローは人を守って、カッコよくってナンボだからなあ!!』
ギャルルルルッ!! ロケットスタートを切った宇宙バイクが敵を吹き飛ばす!
「ワオ! これはまた激しいアクションね! あなたはどうする!?」
「もっちろん、皆と一緒にサーカスしちゃう気持ち! でス!」
リヴェンティアは言い、小動物たちからジャグリング道具を受け取った。
そしてくるくると器用にそれを弄び……SMAAASH! 騎士の群れに投擲!
「ひびちゃん、らんらん、きょんくん! ごー! な気持ち!」
「「「ちゅちゅーっ!!」」」
小動物たちの正体は、剣やロッドが姿を変えたものだ。
さながら怒涛の群れめいて、油断ならぬ獣たちが雪崩を打った!
『お、おのれーッ!! 隊列を……グワーッ!?』
KRAAASH!! ひかり=メテオラのスピンが騎士個体を吹き飛ばす!
宙を舞う騎士に、エレクトロレギオンの一斉射撃! KRA-TOOOOM!!
「さあ、世界中の皆! 見ていて、ここからがアタシたちの反撃開始よ!
……もちろん、いいねも忘れずに。アタシたちは皆のために戦うんだから!」
ドローンカメラに目線をくれたリダンは言い、アクションの撮影に専念する。
その映像が、音声が、そして猟兵に救われた人々の声が、世界に広がる。
目ざとい小動物たちは、囚われていた人々を素早く助け出し保護するのだ。
もはや恐怖はない。ここにあるのは――そう、歓声と背中を押す応援の声!
「行くよ、メテオラ!」
『ああ、ヒーローらしくやってやるぜ!』
「ここからが本番な気持ち、でスっ!」
それがある限り……猟兵たちは、どんな相手だろうと決して負けない!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ジャガーノート・ジャック
◆ロクと
(ザザッ)
請け負った。
救済を終えるまでの陽動は君に任せる。
――であれば、本機も誰も傷つけさせはしない。
健闘を祈る。
ミッションを開始する。オーヴァ。(ザザッ)
――彼女が決めたのと同じように、自分もまた誓おう。
"誰一人傷つけさせる事のない"様に、この戦いを終える――そう心に決める。
その想いと共、空間を飛び交い囚われた者らを連れ【庇い】つつ避難させる。
未だ仮初の騎士の身。されどこの想いは偽りなし。
――そして、
(ザザッ)
待たせたなロク。
救助は完了した。
(当然、相棒も護りたい人に含まれる。)
熱線銃展開、照準照合。
(スナイパー×二回攻撃×範囲攻撃×一斉発射)
後はいつも通り、本機達らしくいこう。
ロク・ザイオン
※ジャックと
ジャック。
皆を、任せた。
……大丈夫。
誰も。
傷つけさせないって。今、決めた。
(肺を振り絞り全力の「惨喝」
弱き人々を此処より散らし、鉄の骸を釘付けにする。
誰もお前たちには殺させない。
的は、おれひとりだ)
(単純な剣筋は【野生の勘】で見切り
惨喝により増した力で間合いに飛び込み【早業】で首を狙う。
他の何にも、目を向ける暇のないように)
――十分だよ。ジャック。
やろう。
(ジャックの弾幕に合わせ、死角を塞ぐように立ち回る。
誰もここから逃さない。
お前たちの敵は、おれたちふたりだ)
●ただ、人を守り救うためだけに
突如として、おぞましい獣の雄叫びが群衆と騎士をつんざいた。
それはまるで、幻想文学の中で曖昧模糊として隠喩される怪物めいた、
あまりにも耳障りで生理的嫌悪と恐怖を催す、声だった。
「ひぃっ!?」
「な、なんだ!? バイオモンスターか!?」
「に……逃げろぉっ!」
処刑儀式に視線を奪われていた――正しくは恐怖に縛られていた人々は、
騎士どもの威圧すらもはるかに超える根源的恐怖の前に、散り散りとなる。
『敵襲だと? いや、これは……』
『見ろ、あそこだ! ……女だぞ』
『しかもひとりだと!?』
すわ未確認の怪物かと構えた騎士どもは、その姿を見て逆に驚いた。
然り。左右に割れた群衆――今となってはパニックそのものだが、
人垣から現れたのは、たったひとりの女。怒りに碧眼を燃やす、女だ。
すう、はあ、と肩で息をしている。おそらく全力の雄叫びだったのだろう。
ざわざわと赤い髪を燃えるようにたなびかせ、女――ロク・ザイオンは構えた。
逆手に握りしめた烙印の刃。指先が白くなるほどに強く強く。
それはまるで、ひととしての道具にすがりつくかのようであった。
己の惨喝の声を、人々が怪物だと誤認し逃げ惑う様に、心が乱れそうになる。
否。惑わされるな。これでいい。己は何一つ意志を手放していない。
いつかの宇宙のように、児戯じみた狂乱の中で喘いだわけでも、
いつかの雨のように、ただ憎悪に任せて獣を縊り殺したわけでも、
――あの時のように、抑えきれない炎で全てを塗り潰したわけでもない。
これは、ロク・ザイオンというひとりの人間が、目的を達するために、
必要と決めて行った、ただの行為だ。そうとも。己は――。
「おれは、人間だ」
祈りめいて呟く。瞑目。瞼を開いた瞬間、魔剣を構えた鉄の骸の群れ。
『『『死ね、怪物めッ!!』』』
烙印の刃を振るい、円弧の剣閃でこれを払う。斬影がごう、と燃えた。
「おれは! ――人間だッ!!」
再びの雄叫びは、紛れもなくひとのそれだった。
群衆は皆逃げ出した。
女の孤軍奮闘を見ていたのは、拘束され囚われた人々だけだ。
それですら最初は身が竦み心が萎えた。もとより死にかけていたとしても。
それでも、彼らは、見たのだ。
己を救うため、たったひとりで骸の群れと戦う赤い閃光を。
《――さあ、立つんだ。ここは危険だ、こちらへ》
作戦通りに現れたジャガーノート・ジャックが、人々を促す。
囚われていた人々はよろよろと立ち上がり、それに応じ、しかし言った。
「あ、あの……彼女は、あなたの仲間なのですか?」
《――……そうだ》
その少しの沈黙の意味を、問うた人は知らぬ。
少年が、あの雨の中の人々のように、相棒を愚弄するのかと訝しんだことを。
だが人々は顔を見合わせ、おずおずと、しかしはっきりと言った。
「あ、あの方にお伝えください! あの――」
ギンッ! ギャリリ――ガ、ギィンッ!!
剣と刃がぶつかり合って火花を散らし、続けざまの首薙ぎの一閃。
猿(ましら)を思わせる飛び込みを、騎士どもは連携で受けて凌ぐ。
傷は敵ではなくロクにばかり増え、つまりは劣勢だった。
だがロクは戦う。戦意は萎えるところを知らず、食い下がるように。
『待て! こいつめ、陽動か! 人間ども――がッ』
そしてふたりの意図に気づいた目ざとい騎士の首が、"消えた"。
然り、消えた。熱線により焼滅し、続けざまに別の騎士どもも焼滅した。
降り注ぐ雨あられ。それはあの闇の世界での戦いのようでもあった。
だが、しかし。それを穿つ相棒の銃口に殺意はなく、憎悪はなく、怒りはなく。
あの悩み苦しむ"人でなし"のそれのように、ただただ凪いでいた。
『同時攻撃だと!? ちょこざいな!』
『スナイパーから仕留めろ! 敵は二手――』
「――おれを、忘れるな」
ざぐん。牙めいた剣閃が、狙いをブレさせた騎士を真っ二つに両断した。
もはやここに人はいない。群衆は逃げ出し、囚われた人々は騎士に救われ、
姿を表した鋼の豹――彼は相棒のそばに降り立った――と獣めいた女のふたり。
《――待たせたな、ロク。救助は完了した》
「……十分だよ、ジャック」
ふたりの交わす言葉は少ない。すべて段取り通りだからだ。
『ジャック。おれが、囮になる』
『――……あえて問おう。それで、大丈夫か?』
『…………大丈夫。誰も、傷つけさせないって。いま、決めたから』
『――請け負った。であれば、本機も"誰も"傷つけさせない』
それは誓いだ。人を守り、救うというふたりの誓い。
誰に請われたわけでも、命ぜられたわけでも、定められたわけでもなく、
そうすると決めたからこそ、そうする。
人々を、相棒を、おぞましき過去の残骸どもから守り抜く。
それは気高き騎士と呼ぶには、あまりにも迷いと悩みを孕んだ道程で、
それは正義の味方と呼ぶには、あまりにもおぞましい声ではあった。
だが。
《――それと、ロク。ひとつ伝言がある》
「……伝言?」
《――"あなたにも感謝します、ありがとう"と》
背中合わせに立つゆえ、ロクがどんな表情をしたかはわからない。
だがジャガーノートは確信した。彼女は、微笑んでいるのだと。
再びの瞑目。ふたりはにらみつける。周囲を囲む無数の騎士を。
《――あとはいつもどおり、本機たちらしく行こう》
「ああ」
誰もその戦いを目撃しない。知らない。伝えることもないだろう。だが。
「……やろう」
それでもふたりの瞳は、晴れ渡る青空のように澄んでいた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ヨハン・グレイン
オルハさん/f00497 と
哀れなものですね
オブリビオンと成り果てては、生前の姿も何もあったものではないな
人助けに大いなる意義を見出している訳ではないですけど、
気に入らない者共の企みを阻止するのはそれなりに好きなんですよ
……まぁ、そんな自分なりの理由付けも、今は特に必要ないか
行きましょう
疾く駆けるのは彼女に向いている
救うために翼を広げるのなら、その背を押すに吝かではない
<高速詠唱>で闇を伸ばし騎士どもに刃を向けられた人々の盾とする
より攻撃に晒されそうな者がいれば最優先で割り入ろう
敵との距離を空けさせることを何よりも優先しましょうか
オルハさんと手分けをし効率的に動きましょう
オルハ・オランシュ
ヨハン(f05367)と
可哀想な奴……
でも、かつては正義があったとしても、どうだっていいよ
こんな馬鹿げた真似をするぐらいだもの
死ぬ覚悟くらい、当然できてるんでしょ?
うん、行こうヨハン
無茶したって怒らないでね
私達が今すべきは守ることだから!
【早業】を活かして速さで敵を上回りたい
冷静さを欠いたらまともに逃げることもできないかもしれない
要救出者が大柄な人でなければ抱きかかえて飛ぶ
敵の手が及ばない場所に避難させよう
敵からはUCで防御力を強化しておく
ヨハンみたいに何かを人々の盾にすることはできないから
自分の身を盾にしてでも守り抜く
逃げて!早く!
●稲妻よりも疾く
そこでは、まるで敗残兵の銃殺刑めいた醜悪な光景が広がっていた。
囚われた人々は、ロウブロウアートまみれの壁にひとりずつ立たされて、
その(騎士どもにとっての)罪状と、なぜ死すべきかを読み上げられていく。
老若男女。誰もが震えていた。それを見守る人々も、震えていた。
『……以上16名、我らデュランダルの名においてここに誅戮す』
「ま、待ってくれ! こんなことは馬鹿げてる! いくらなんでも――」
『……貴様から死にたいようだな。いいだろう……!』
口答えしようとした男は、その剣圧にひゅっ、と喉をすぼめた。
そして頸を刎ねるため、ギロチンめいた魔剣が横薙ぎに――振るわれる!
『ぬう、これはっ!?』
だが見よ! その刃を受け止めたのは、皮でも肉でも悲鳴でもない!
それはまるで、騎士と囚われた人々の僅かな間に帳めいて立ち上がった、
薄く……しかし鉄めいてしなやかで強靭な、漆黒の闇の織であった!
『見ろ、あそこだ!』
騎士たちは気づいた。群衆の中から、己らに指輪を向けるひとりの少年を。
ヨハン・グレイン。その瞳は、嫌悪と侮蔑、そして憤懣に碧々と燃える!
『邪魔をするか、猟兵め!』
『殺せ! 相手はひとりだ!』
激昂した騎士たちの注意が、ヨハンに逸れる。打ち付ける殺意。
だがそれでいい。この陽動こそが、彼なりの背中を押す手の代わり。
「――オルハさん!」
軽やかな声に応じるかのように、人々の頭上を、疾風が駆け抜けた。
空を仰いだ人々が見たのは、猛禽めいた翼を広げたひとりの少女である。
ざあっ、と鋭く暖かな風を纏って、稲妻よりも疾く駆け抜けたその影は、
闇の帳が崩れ落ちると同時に、囚われた人々の前に着地。
『貴様――ぐあっ!?』
着地際の隙を狙い振り下ろされた魔剣を、三又の矛でいなし、弾いた!
「そんな穢れた剣を、人に向けないでよね!」
オルハ・オランシュの翠眼に燃えるのは、少年と似た、しかし異なるもの。
すなわち、個人的な憤懣ではなくまったき義憤の炎であった。
少女は時として殺しすらも仕事として処理する身の上ではあったが、
だからといって、人心を乱し踏みにじる悪党への怒りがないわけではない!
『おのれ……陽動か! 女のほうを囲め!』
「この状況で、それをさせるわけがないでしょう。バカですか?」
ヨハンは心底から呆れた声を出し、崩れた闇を糸の形に再収束させた。
それらは蜘蛛の巣めいて編み上げられ、騎士どもの手足に絡みつく!
「ヨハン、ありがと! こっちは任せておいて!」
それでも戒めを抜けて襲い来る騎士を、オルハは力強くしなやかに受け流す。
今なすべきは、この悪党どもを誅戮することではない。
怯える人々をひとりでも多く、一瞬でも疾く救い出すことだ!
だが、いかんせん数が多い。抱き上げて翔ぶのは悪手と見えた。
オルハは即座にプランを切り替え、放射状に風を逆巻かせ敵を吹き飛ばす!
『『『ぐわあっ!!』』』
人々は見た! 細くあどけない少女が、恐るべき騎士たちを退けるのを!
そして吹き飛んだ騎士めがけ、闇の刃が降り注ぎこれを滅殺せしめる。
(――左斜め後ろ、来る。避けられない……!)
その時オルハは、突き刺すような殺意をうなじで感じた。
背後からの不意打ち。狙いはおそらく腹部を貫通する寝かせた刺突だ。
まともに喰らえば内臓を串刺しにされ、即死。想像の苦痛が悪寒をもたらす。
オルハは完全回避を諦め(そうすれば背後の人々が貫かれるからだ)、
ダンスのステップを踏むように、くるくると素早く二回転した。
翼がばさりとはためき、風の魔力が束の間吹き荒れ、剣閃をそらす。
それでも殺しきれない威力が、オルハの脇腹を浅く割いて抜けていった。
「く……っ!」
危なかった。防御と同時にユーベルコードを発動し、
敵の能力を奪っていなければ、いまの剣は皮程度では済まなかったろう。
オルハは勢いを殺さずさらに一回転、地を這う横薙ぎで足を刈りにいく。
『ぬうっ!!』
「――そこまでだ。これ以上やらせるか」
体勢を崩した騎士の首元に、闇の縄が絡みついた。そしてぐいと引く。
さながら西部劇の悪漢めいて、黒騎士は宙を舞った!
「オルハさん、無事ですか!」
「大丈夫、まだやれるよ! そっちも気をつけて――後ろ!」
ヨハンは振り返らぬまま、闇を操り騎士の剣を絡め取り、圧し潰した。
混戦状況。群衆は多く、守るべき人は逃せず、敵は多い。だが。
(動機づけも何もいい。この状況、俺は絶対に見過ごせない)
ヨハンは心のなかでひとりごちた。それは義憤かといえばやはり異なる。
こんなふざけた残骸どもの、冗談にもならない愚行を見逃すのは、
己が辛酸を嘗めてまで積み上げた知識と力を否定するも同然だからだ。
ひとりではない。オルハがいる。だからこそ戦えるし、戦わねばならぬ。
勝つために。人々も、オルハも、必ず生かして帰すために!
「――逃げて、皆! ここは私たちが戦う、だから!」
オルハは叫んだ。拘束は風によって断ち切られ、人々は自由を得た。
騎士どもがさらに殺到する。それを前にふたりは肩を並べ、背を向けた。
「あ、ありがとう――ご無事で!」
逃げていく人々から何気なくかけられた声に、ふたりは瞠目した。
そして顔を見合わせ、ヨハンは困ったように眉根を顰め、オルハは微笑み、
ふたりともに頷いた。――視線を、新たな敵の群れへ。
「やろう、ヨハン」
「ええ。行きましょう、オルハさん」
仕切り直しだ。この戦い、負けられない理由はあまりにも多い!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レイニィ・レッド
【名前】
坊ちゃん/f14904
狭筵サン/f15055
好き勝手やりやがって
気に入らねェですね
何もかも目障りだ
避難誘導は狭筵サンに任せて
自分は目立ちますし騎士モドキどもを引き付けましょ
……前は任されました
高所から
騎士モドキと一般人の間に割り入る様に
裁ち鋏を差し込みおっ始めましょう
目の前に自分の姿を晒したら
『赤い雨の問答』といきましょう
幻覚と一緒に騎士モドキを血祭りにしましょ
槍の一撃は幻覚に受けさせます
何度でも赤い雨で囲ってやりますよ
テメェが満足する回答を寄越すまで
ま、どんな答えを返そうが自分は満足しませんけどね
テメェらは正しくねェ
――皆殺しだ
っつーか自分相手してていいんです?
影が憑いてるぞ
狭筵・桜人
【名前】
矢来さん/f14904
赤ずきんさん/f17810
暴力はあっちのふたりに任せて
私は一般人の救助と避難誘導に向かいます。
エレクトロレギオンを展開。
全機体をバリケードにして守備貫徹。
矢来さんに借りたユーベルコードの
千代紙の立方体……箱ですか?
これを使い人質を回収。便利ですねえ。
手足を拘束された人たちを優先して避難させますね。
周囲の一般人にも避難を呼び掛けて
戦闘の邪魔にならないよう出来るだけ
千代紙の箱にしまっていきますよ。
流れ弾が来るなら庇います。
この人たちよりかは私のほうが丈夫なので。
大丈夫大丈夫、悪者はヒーローがやっつけてくれますからね。
……なあんて、アレじゃどっちが悪者かわからないな。
矢来・夕立
赤ずきんさん/f17810
狭筵さん/f15055
一般人の救護は狭筵さんが主体というか、ワンオペですね。
【紙技・真奇廊】を貸しますから、避難所にするなり担架にするなりご自由に。
前は引き受けますよ。赤ずきんさんが。
【真奇廊】を渡したあとは前衛のバックアップに周ります。
背後からの支援、言葉通りですかね。
《忍び足》で赤ずきんさんの影に潜む。集団戦ならすぐ気づかれるでしょうが、そう長く持たなくてイイんですよ。
《だまし討ち》で、デュランダルの初撃だけ弾ければね。
じゃ、追撃される前に仕留めましょう。
回復する光ですけど…アレ、刀やナイフで反射させられません?
手鏡もありますけど。狭筵さんに当ててみます。
●ア・シャドウ・カムズ・アフター・ザ・レイン
カツンッ! と小気味いい音を立てて、裁ち鋏が石畳に突き立った。
ついで、どしゃり、ばしゃんという物と液体が地面を転がる音。
『が、あああああ……っ!?』
然り。裁ち鋏によって裁断された騎士の片腕が、鮮血とともに脱落した音だ。
『『『誰だッ!?』』』
あそこだ。ビルの上! そこに揺らめくのは赤い幽霊――否、あれは?
「好き勝手やりやがって――気に入らねェですね」
それはまるで、カートゥーンで颯爽と駆けつけるヒーローめいていた。
しかし騎士は、いやさ人々ですら、揺らめく赤いレインコートを不穏に感じた。
ありえない話なのに、それはまるで、ビル風に揺らめく動脈血のようだ。
あるいは、くろぐろと燃える澱んだ炎……とにかく、何か、よからぬものだ。
しかして此処に、過去の残骸というまったき"悪"が存在するならば。
「何もかも目障りだ――だから、邪魔をする」
少なくともレイニィ・レッドの登場は、人々にとって救済であったはずだ。
「"赤ずきん"だ」
呆然とそのさまを見上げていた誰かが、ぽつりと言った。
「にわか雨とともに現れる怪人……"雨の赤ずきん(レイニィ・レッド)"!!」
それは恐怖するようでもあり、快哉を叫ぶようでもあった。
ひきつった声に視線をくれることなく、赤ずきんはぽつりと呟いた。
「アンタらは」
ぽつり。ぽつ、ぽつ――雨が、降ってくる。
彼は遠くのビルにいたはずだ。だがその声は、不思議と騎士どもによく届く。
ぽつり、ぽつ、ぽつ。雨が降る。赤い雨が。そして赤ずきんは目の前だ。
「アンタらは――"正しい"か?」
『な、』
騎士どもは気づいた。周囲、人々の姿が見えなくなっていることに。
ぽつぽつと降り始めた赤い雨は、全てを覆い隠すような土砂降りだ。
どこか遠くから、ドローンめいた機械群の駆動音が聞こえた。
だがそれも聞こえなくなるほどに、ざあざあと雨音がすべてを包み込む。
「答えてくださいよ。アンタらは、"正しい"のか。どうなんだ」
その中で、赤ずきんの声は、いやによく響く。
『だ、黙れ!! 我らは正』
「違う」
ばつん。勇み足を出した騎士の首が、裁ち鋏に刎ね飛ばされる。
赤ずきんがいた。ただしそれは、目の前で問いかける赤ずきんではない。
ひとり。ふたり。三人、四人――雨の中から、滲み出るように。
あるいは、赤い雨が凝り固まって? わからない、だが確実に現れる。
『ユーベルコードの幻覚だ! 体勢を整えろ!』
魔槍を振り回し、騎士が言った。他の個体も続こうとした。
『我らに正義を問うなど、笑止! 我らこそが正しいのだ!』
「……違う」
ばつん。魔槍が幻影を切り裂いたその時、別の"赤ずきん"が鋏を鳴らした。
『正義を断罪することこそが我らの使命!』
ばつん。
『悪を糺す、その目的のもとに暴走する正義こそが誤りなのだ!』
ばつん。
『わ、我らは……我らは、正しいとも……!』
ばつん。
幻影はかき消そうが現れ、雨は止まない。問いかけはエコーし続ける。
――そこでふと、"赤ずきん"が言った。
「っつーか、自分相手してていいんです? ――影が、憑いてるぞ」
その時、鋏の音もなしに、騎士がひとり闇に沈んだ。
誰かが、『いつの間に』と言った。影はこう答えた。
「ついさっき来たばかりですよ――ウソですけど」
どこから声がした。騎士たちは視線をさまよわせる。またひとり倒れる。
初撃だけ弾ければいい。そう長く保たなくとも、2秒もあれば構わない。
"三人"での作戦会議の折、影が――矢来・夕立が言った台詞だ。
「坊ちゃんは相変わらず、ウソつきですね」
赤ずきんは淡々と言った。なにせ影は誰にも見つからなかった。
不可知(インセンサブル)。誰も影の在り処を識ることは出来ない。
魔剣は空を切り、魔槍は地を掘り、そしてまたひとり騎士が倒れる。
雨の中に、倒れる。雨とともに来るのは血のような赤ずきんだが、
雨の後には影が来るのだ。誰一人生存を許さない、恐るべき死神が。
「オレがウソついたわけじゃないんですけどね」
こいつらが雑魚すぎるんですよ、と影は何気なく言った。
騎士は結局、最期まで夕立の姿を見ることは叶わなかった。
彼らのだれひとりとして、雨を止ますに足る答えを出せなかったから。
であれば、そこは影の独壇場だ。何もかもが危険(レッド)な箱庭だ。
ただ後ろを取って、すっと線を一つ引いてやればいい。
「手鏡、なくてもよかったですね」
どさり。首を刎ねられた騎士の残骸が、雨のなかに沈む。
その剣閃は、殺戮ですらない――ただの、ごみ処理めいていた。
そして雨が止む。
そこにいたのはふたりだけ。人々は思わず息を呑んだ。
「……仕事が楽なのはいいんですけど、これ私の出番なさすぎじゃないです?」
「いやいや、狭筵サンがいてくれたおかげで自分ら、仕事に集中出来たんで」
「赤ずきんさん気配りの達人ですね。あ、真奇廊返してもらえます?」
「はいはい。まあ、無事終わったようでなによりです」
雨は止んだ。もう、問う相手も正しくない相手も誰もいないからだ。
一番の悪党がここに三人生きているのだが、まあそこはそれ。
展開したエレクトロレギオンを背に、狭筵・桜人は肩をすくめた。
……三位一体、救護と陽動と不意打ち、それぞれの得手に分かれての作戦。
その連携は、騎士どもにとってはまさに悪夢のようだった。
桜人自身、もう見慣れたとはいえ、このふたりの手際には恐れ入る。
虚(うろ)のごとき男とて、恐れるもののひとつやふたつはある。
雨とともに来たるもの。その影に潜みし死神。敵でなくて実に結構。
「しかし、どうせならもっとヒーローらしく活躍したほうがよかったのでは?
全部雨で覆い隠してひとつひとつ騙し討ちとか、画的にどうなんですかね」
いまさらそれ言うのかよ、という顔をするふたり。
「おっと? つまり皆さんの頭に残ったのは私ひとりなのでは……?
困りましたねぇ、ヒーローインタビューとかちょっと避けたいんですけど」
顔を見合わせ、頭の横でくるくると人差し指を回すふたり。
「せめてツッコミ入れてもらえませんかね」
「いや、そういうモンなのかと」
「弱いんですよね、ボケが」
「嫉妬と捉えておきますね。――ああ」
そこで思い出したように、桜人は囚われていた人々を振り返った。
張り付いたような笑みを浮かべ、いかにも人の良さそうに両手を広げる。
「ご安心ください、皆さん! 悪者はみぃんな、ヒーローがやっつけましたので」
その言葉には、だれひとりとして感謝も、安堵も漏らさなかった。
「……おやぁ? おかしいですねぇ、まあ別にいいですけど」
桜人の言葉には、正義も悪もなかったからだ。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
トルメンタ・アンゲルス
成程、何処に行ってもこういう腐った存在はいるものなんですねぇ。
――OK、潰す。
が、今回は救助を優先しましょう。
ぶっ飛ばすのは後でも好きなだけ出来ますからねぇ。
出力最大だ、俺のコアマシン……!
全てを、置き去りにする速さを!
『TurboBoost Over――』
――OverClock!
『――Acceleration』
時すら追い越すほど加速した今の俺にとって、全て止まっているのと同じこと!
全力のダッシュであらゆる場所を駆け抜け、奴らの傍らから一般の方々を奪い去って行きましょう!
速さは何事にも勝る、というのをお見せしますよ!
余裕があれば、奴らも4、50発ぐらい殴っておきましょうか。
ヴィクティム・ウィンターミュート
へぇ、パンピーの処刑かい?
ダメだな、全然ダメだ。ナンセンス
そんな脚本を観客は望まねえ
分かってねえな三流
ここは一つ、この俺──『ネームレス』がよ
華麗に騙してやる
座標確定
機銃ドローンとホログラムを展開──テレポート、開始!
ハロー、クソ野郎ども!『ネームレス』のご到着だ
オラ邪魔だどけ!5000の機銃ドローンだぜ?分間2000発×5000なんて、考えなくても悪夢だろ?
オラ早く逃げろって
大丈夫、500機は本物だ
そらそら威嚇射撃だ!
──なんてな
俺もホログラムだよ!本物は転移時点で【迷彩】の透明化をして、【罠使い】で作ったホロを矢面に立たせてたのさ!
透明の間、背後に回って数人を仕留めて、電撃作戦大成功ってな
鳴宮・匡
一般人が何人処刑されたところで
俺は何も思わない――思えないだろうけど
それでも、それを救える力があるのなら、そうすべきだと思ってる
……救いたい、なんて思えなくても
そう思うことだけは、……多分、嘘じゃない
大義のない力だってきっと、意味を持てるって
そう思いたいだけかもしれないけど
迅速さがものを言うんだろう
現場全域を目視におさめられる位置を取り
一般人に近い敵から順に狙撃していく
一射で殺すのが一番手っ取り早いけど
一撃で殺せそうにないようであれば
武器を落とさせてまず即時の殺害を防ぐのが第一
怯んだ隙に急所を狙い撃つのが第二
好きにはさせないぜ
お前らがその重そうな武器を振り上げるより
こっちの狙撃の方が幾らも速い
ヌル・リリファ
まずは、アイギスをなげてそこにいるひとたちを保護する。
それから、UCを起動。ひかる武器群は、目をひくだろうし。より相手の注意をひきつけるために、殺すより沢山の敵に当てることを意識する。
治療も、それはこちらに意識をむけないといけないってことだからね。
……わたしは、なにが正義なのかとかはまだよくわからないし、あまり興味もないけれど。
すくなくとも、かつての貴方達はこうなることをのぞんでないとおもうから。
(わたしは、大事なことがわからなくなって主人に牙を剥くなら殺してほしいとおもうから)
ここで全員殺して、とめるよ。
これがただしいことかは、よいことなのかはしらないけれど。
すくなくとも、わたしはそうしたい
●ライツ、カメラ、ファイアストーム!
ニューヨーク市マンハッタン、フィフス・アベニュー!
世界的ブランド店が立ち並ぶこの有名ショッピングスポットすら、
いまや群衆を縛るのは恐怖と絶望であり、騎士たちが君臨していた。
そう、ここは富の象徴。ありとあらゆる欲望とカネが集う場所のひとつ。
思い上がった正義を憎み、悪の糾弾を憎む騎士どもにとっては堕落の温床だ!
囚われた人々は、そのどれもが慈善家や篤志家ばかりである。
『もはや言うまでもあるまい。貴様らもメディアで見たことがあるだろう。
偽りの正義で堕落を覆い隠し、惰眠と私腹を貪るこの豚どもの姿を……!』
怒りに震える拳を握りしめ、デュランダル騎士は言った。
『罪状をあげつらう必要もなし。すべて、ここで、処刑する!』
なるほど、たしかに中には、裏で悪事を働いていた者も居るやもしれぬ。
だが、それで彼らの慈善的行いがなかったことになるわけでも、
そもそも本当に悪人なのかどうかすら、騎士どもは重視していない!
これが堕落した騎士の末路か。救いはないのか。希望はないのか!?
――否!
「わかってねえな三流! そんなナンセンスな脚本、観客は望まねえ!」
『『『!!』』』
突如として響いた声。直後ワイヤフレーム状の格子模様が空中に現れた。
そして現実化したのは、ヴィクティム・ウィンターミュートだけではない!
腕組をし、さながら天上の軍勢を率いる大天使めいて睥睨する彼の背後には、
数え切れないほどの武装ドローン軍団が並んでいるではないか!
「ハロー、クソ野郎ども! 『ネームレス』のご到着だ。
ダメだな。パンピーの処刑なんざ、全然ダメだ。クソにも劣る!」
"名無し"を名乗っておきながら、なんと派手で傲慢な登場ぶりだろうか。
その名、その姿を見た群衆の中から、驚きの声が上がった。
「"ネームレス"だって? 聞いたことがあるぞ! 名無しのヒーロー!」
「いや、ヴィランだって俺は聞いたぞ。瞬殺無音の暗殺者だって」
「違うよ、猟兵だろ! あちこちで活躍してるって話だ!」
嘘か真か、はたしてどこから噂が出て誰が言い出したのやら、影は踊る。
ヴィクティムはそんな人々を見下ろし、そして騎士どもを鼻で笑った。
「さてクソ野郎ども! ここに並べたるは自慢のドローン、その数5000だ。
分間2000発のマシンガン、食らったらスイスチーズどこじゃないぜ?」
ガシャン! ヴィクティムが片手を上げると、ドローン群が銃口を構える!
なんたることか、まさに悪夢めいた兵隊――だが、それはまやかしだ。
そのうち9割以上はただのホログラム。あまりにも大胆なこけおどし!
『ふざけたペテンを吐くな、三流役者はそちらのようだな!』
それを見抜いたか、あるいは強がりか、騎士の一体がそう吐いた。
『その数の弾丸をぶちまければ、貴様が護りたい群衆とて無事では済まんぞ!』
「ハッ、たしかに――だが、そいつが"どうにかなる"としたら、どうだね?」
謎めいたヴィクティムの笑みは、恐ろしく不敵。信じてしまいそうなほど!
騎士たちは混沌の魔槍を生み出し、その鋒をヴィクティムへ――否!
『いいだろう、ならば邪魔そうな人間どもを片付けてやる……構え! 抛て!』
ALAS! 敵は群衆に矛先を変え、ヴィクティムを動揺させようとしている!
だがヴィクティム――否、謎の男ネームレスはアルカイックスマイルのまま。
どうしたネームレス、人々を守るつもりはないのか? 非情に墜ちたか!
……その時。眩い閃光が、人々と騎士の目を灼いた!
『め、目くらましか!? 構わん、穿けぇ!』
だが魔槍は擲たれる――おお、見よ。しかしてその鋒は!
空中に浮かぶ巨大な光の盾と、無数の武器によって弾かれたではないか!
『な、何ぃ……!?』
瞠目する騎士。そこへ、向きを変えた光の武器が、雨のように降り注ぐ!
「ハッハハハ! 残念だったなクソ野郎ども! 言っただろ?
てめえらの四流脚本なんざ、このネームレスに書き換えられちまうのさ!」
"ネームレス"は大きく手を広げてアジテーターめいて言い、人々を見た。
「さあみんな逃げちまえ! 邪魔だ邪魔だ! 怪我したくなきゃどいてな!」
群衆は逃げ惑う。直後、"ネームレス"は――BRRRRRTTTTTT!!
足並みを乱した騎士どもめがけ、ドローン軍団の飽和射撃を叩き込む!
銃声と混乱! あたりは阿鼻叫喚に陥り、騎士たちもまた気圧される。
いや待て。そもそも先の――そして今、弾丸から人々を守るあの盾は一体!?
「全員、にがさないよ。ここで殺して、とめるから」
その答えは彼女……銀髪の人形少女、ヌル・リリファが握っている。
然り、光盾アイギス! そのサイキックエナジー拡大強化版である!
そしてヌルは得意のユーベルコード"死斬光雨"によって無数の武器を生み、
"ネームレス"の挑発に乗じる形で、騎士どもの不意を突いたのだ!
BRRRRRRTTTT!! 無数の弾丸と、混沌の魔槍が戦火めいて交錯する。
"ネームレス"……いやさヴィクティムとて、無策で発砲してはいない。
ヌルの援護があらばこそ、敵に対する威嚇と牽制も含めて口火を切ったのだ。
人々は逃げ惑う。光の武器の一部は、それを導くように地面に突き立ち、
それを追おうとする騎士どもに対する馬防柵めいた剣呑な守りを作り出した。
(……わたしは、なにが正義7日とかはよくわからないし、興味もないけど)
それでもこの状況を見て見ぬふりするのは、彼女にとって"したくない"こと。
そして人々を守り、あの見る影もない騎士たちを終わらせることこそ、
ヌルにとっての"やりたいこと"であった。だから、そうするのだ。
(きっとほかにも――そうやって、なやんでいるひとはいるはずだから)
空色の瞳が彼方を見やる。ヌルははたして、知ってか、知らずか。
その視線の先――ひときわ高いビルには、ひとりの男が潜んでいたのだ。
その男もまた、ヌルとある意味で似たような懊悩を抱いていた。
人形少女と異なるのは、彼にとってそれは"したいこと"ではなく、
"そうすべきこと"だと考えている、という点だ。
……大いなる力には、大いなる責任が伴う。
すべての死を見通し魔眼をもたらす力。"人でなし"の忌まわしき力。
それを以て数多の命を奪い、生きるために生き続けた己は義務がある。
たとえ救いたいだとか、護りたいだなんて人らしい感情を持てずとも、
失われるかもしれない命に対して、何の慚愧すらも抱けぬとしても。
(そう思って、実行している限りは、俺は"踏み止まって"いられるはずだ)
スコープを覗く死神――鳴宮・匡は、心のなかでひとりごちた。
その弾丸は、光の武器とドローン群の飽和射撃に被さり紛れ込む形で、
それを掻い潜ろうとする目ざとい騎士の機先を制し、息の根を止めていく。
彼には見えている。"ネームレス"のハッタリのトリックが。
あの突然の一斉射撃は、おそらくヌルと自分の攻撃を通すためのブラフだ。
ここにいる、とわかってはいまい。ただ確信しているのだろう。
自分は、必ずどこかから影(シャドウ)のように潜み見つめているのだと。
(俺に人らしい暖かさも、思いも、何もかも欠けていたとしても――)
狙いをつけ、トリガを引く。コリオリ効果も風の影響もすべて計算済みだ。
悪魔的な動体視力と反射神経、そしておぞましいまでに蓄積された経験は、
以てドローンにすら再現不可能なレベルの精密狙撃を可能とする。
トリガを引く。そのたびに死体は増える。痛みはない、感慨もない。
――何もないことに対する、茫洋とした寂寥感めいたものがあるだけだ。
(……俺のこの気持ちだけは、そう思うことだけは、多分、ウソじゃない)
確信はない。きっとそうだと、彼は経験則から推測しただけだ。
己を己たらしめる確固たる信念は、ぞっとするほどの冷たい方程式だけで、
血を通わせ魂を震わせる人と呼ぶには、あまりにもそれは機構めいている。
それでも――そう、それでも。己は、戦うのだ。戦うことは出来る。
「……好きにはさせないぜ」
ぽつりと呟く。それははたして、誰に向けた言葉であろうか。
己か。敵か。あるいは、己を死神たれと押し流す運命に対する宣告か。
またトリガを引く。放たれる弾丸の音は、涙の滴が跳ねるよりもか細い。
「さあどうだ? こいつが一流の脚本さ! てめえらは――」
"ネームレス"が大手を振って言った時、そこめがけ魔槍が飛来!
アイギスの守りをかいくぐったそれは、"ネームレス"の土手っ腹を貫いた!
おお、ネームレス、いやヴィクティムよ。お前はついに倒れるというのか。
否。貫かれたその悪童は、驚愕から皮肉めいた笑みを浮かべ――ブレた?
『まさか……ホログラムか!?』
「気づくのが遅ぇんだよ、雑魚野郎(スクィッシー)」
声は背後。それを認識した時、騎士は死んだ――心臓を貫かれて。
然り。"ネームレス"は張子の虎。存在するドローンは合計500機。
それだけでも十分戦力にはなるが、こけおどしは所詮こけおどしだ。
だから彼は、その間に影に潜んでガラスの欠片を振るった。
彼はヒーローではない。ヴィランでもない。呼ばれる名無きただの端役。
称賛はなく、名誉もなく、それでいいと彼は言う。そして笑う。
『あそこだ! 殺せ!!』
「おっと――まったく、とことんてめえらは頭の中身がガラクタだな」
目ざとく見つかったヴィクティムは、しかし肩をすくめてみせた。
「"これすらもプランのうちだ"って、思わないのか? え?」
『な――に、ぃいいいっ!?』
直後……KRAAAAAASH!! 嵐の如き突風が戦場に吹き荒れた!
鳥か? 飛行機か? いや違う!
囚われていた人々を一瞬にして安全地帯まで運び、立ち上がるあの姿!
しなやかで強固な蒼銀のボディ、陽光に煌めくさまはまさに戦天使。
我々は彼女を知っている。そのマスクの下の剽げた笑みを知っている!
「ごきげんよう、腐った方々。挨拶があとになって申し訳ないですね。
――ま、どのみち全員潰すので、要らぬお世話かもしれませんがね」
トルメンタ・アンゲルス! 先の突風は彼女が起こした西風か!
だが、数十人はいるだろう囚われたの人々を一瞬で運ぶなど神業並の芸当だ。
『貴様、いつの間に!? どこに潜んでいた!?』
「潜んでいた? ――ハハハ! 俺は"いましがた到着した"んですよ?」
『なんだと……!?」
トルメンタの言葉はブラフではない。その証拠にその体が緑の光を放つ!
「信じられないなら教えてあげましょう。俺も4、50発ほど殴りたいんでね!」
「いいよ。そのぶんは残しておいてあるから、トルメンタさん」
ヌルの言葉に頷き、トルメンタはマシンベルトを操作!
《TurboBoost Over――》
「OverClock!!」
《――Acceleration》
直後、再びの突風……そして騎士どもが、放射状に吹き飛んだ!
バカな! 刹那ですらない、それはもはや時間すら超えた超加速!
だが、それすらも可能にするのが、トルメンタという女の境地である。
音も光も、天使に追いつくには遅すぎる。いわんや堕落した騎士をや!
ボコボコに叩きのめされた騎士の頭蓋を、狙撃弾が精密に貫く。BANG!
「……これが、超一流の脚本ってやつなのさ」
名もなき男は、冥土の土産とばかりに冷笑をくれてやった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
露木・鬼燈
迅速な行動が必要、ね。
だったらこれ、<黑鐵>の出番っぽい。
広場に高高度から全速力で侵入。
着地時に救出対象に被害が出ない位置を算出。
その付近の騎士の上に着地するのです。
この速度で踏みつければジャンクに早変わりってね。
足元のジャンクに重力制御を加えてシュート!
逃走ルートを強引に作り出すですよ。
とりあえず一人の拘束を解除したら刃物を渡すのです。
これで他の人の拘束を解いてもらうのです。
僕はその間に邪魔な騎士たちを排除するですよ。
魔剣を戦槌に変形。
重力制御と合わせて殴り飛ばすのです。
人々が逃げるまでは時間稼ぎでいいのです。
逃げやすいように騎士をどけて道を作らないとね。
さぁ、早く逃げるのですよ。
●屠龍忍者、ニューヨークの空に舞う
ニューヨーク市郊外、市民の憩いとなる自然の多い森めいた公園。
そこにすら、黒き鎧の堕落した騎士どもは魔の手を伸ばしていた。
そしてまさに処刑剣が振り落とされようとしたその時!
『空から何かが来るぞ!』
『何ッ!?』
騎士たちは見た。青空を貫く流星めいた一条の影を。
露木・鬼燈だ。その身を覆うは呪炎を纏いし異形の外骨格!
「化忍、推参! なーんちゃって、なのですっ!」
KRAAAAASH!! 冗談めかした言葉と裏腹の隕石じみたストンピング!
まともに受けた着地地点の黒鎧騎士は、見る影もない残骸に成り果てた。
そして鬼燈は衝撃をムーンサルト跳躍で殺し、さらに……SMASH!!
『き、貴様、我らの同胞を……ぐわっ!』
「こんな処刑儀式なんてやらかしておいて、いまさらすぎるのですよ?」
鬼燈は"残骸"を蹴り飛ばし、敵に叩きつけたのだ!
すさまじい速度で散弾めいて飛散した鎧の破片を浴び、騎士は怯む。
それこそが鬼燈の狙いだ。そのときにはすでに、拘束の縄は断たれている!
「これ使って、残りの人よろしく! 僕はあいつらを相手するっぽい!」
しゅっ、と小振りな短刀を投げ渡し、拘束を逃れた人々に言う。
彼らがぽかんとしているのをよそに、鬼燈は身を翻し着地。
瞬時に魔剣は戦鎚へと姿を変え、ぶうん、と威圧的な風切り音をあげた。
『猟兵が……我らの正義を邪魔するか!?』
「正義? うーん、僕そういうのあんまり興味ないけど、それは違うっぽい?」
正義だ悪だを標榜するつもりも、バカ真面目に議論するつもりもない。
それでも、騎士たちの行いが正義であるはずはない!
互いに手に手を取り逃れる人々を背に、鬼燈は不敵に笑った。
「それでも正義だなんていうつもりなら、かかってくればいいっぽい!」
『『『ほざけえっ!!』』』
いくつもの魔剣が襲いかかる! 鬼燈はこれを戦鎚の長柄で受けた。
そしてびきびきと全身を隆起させ……SMAAAAAAASH!!
土をえぐり吹き飛ばすほどの、鬼神じみた殴打一蹴!
「さあさあ、早く逃げて! 路は開いてあげるっぽい!」
ウィンクをして笑顔で呼びかける男を、人々はヒーローのように感じた。
悪党どもを軽やかに蹴散らす姿は、カートゥーンのヒーローそのままだからだ!
大成功
🔵🔵🔵
セルマ・エンフィールド
※方針:先に救出
直接的な手を取ってきましたね……戦争がなくとも、させるわけにはいきません。
人々を捕えているのは檻でしょうか。いずれにせよ、おそらく「無機物」でしょう。
ならば【吹雪の支配者】で檻を吹雪へと変換することで捕らえられた人を救出します。
吹雪の支配者の範囲は半径60m、接敵し戦闘が始まるより前、あるいは敵がこちらに気付くより前に救出ができるはずです。
敵もむざむざ逃がしはしないでしょうが……これは無機物を無力化するだけの技ではありません。
変換した吹雪を操作し、敵の足から凍結させて足止めしつつ撃破を。
また、必要であれば檻以外の無機物も変換し、吹雪で光を遮ることで治療を防ぎます。
●救いの手は吹雪とともに
騎士たちは、どうやら相当の数の人々を囚えていたらしい。
この広場に集められたのは、数十人ちかい若者の一団だった。
群衆は知る由もないが、彼らはこのアースクライシスに際して、
被害を受けた人々や建物の復興を手助けするために集まったボランティアだ。
それが騎士の逆鱗に触れた。結果がこの、鉄檻に閉じ込められるという末路!
『さて、処刑はひとりずつ順番に始末していく……と、考えていたが』
頭目と思しき騎士が、群衆に恐怖を与えるためもったいつけて言った。
『この際だ、堕落した人間に時間を煩わされるわけにもいかん。
檻に火を放ち、全員まとめて火炙りにする! ……始めろ!』
な、なんたる悪辣! だが群衆にはどうすることも出来ない!
捕らわれた人々は、嗚咽や恐怖の悲鳴を上げ、ゆらめく松明に怯えた……。
しかし、その時である。ふと、松明の火が強く強く揺れた。
『なんだ? みょうに寒気が……こ、これは!?』
そして、火の手を点けようとした騎士は気づいた。異様な寒波に。
それは檻から――否、檻そのものから発されている冷気のせいである!
はたして巨大な鉄の檻は、溶け崩れるようにして吹雪へと変じた。
そして捕らわれた人々を"台風の目"のような空白に抱きながら、
つむじとなった吹雪が、驚いた騎士たちを絡め取り、凍えさせ吹き飛ばす!
『これは……ユーベルコードか!?』
『敵だ! 散開し、警戒を……な、何ぃ!?』
見よ! 騎士たちの両足が霜を張り、凍りついて地面に接着している。
そこで飛来するスローイングナイフ。そして……BLAMBLAMBLAMN! 銃撃!
「さあ皆さん、今のうちに逃げてください!」
颯爽と現れたのは、セルマ・エンフィールドだ。
両手にデリンジャーを構えた彼女は、人々に呼びかける。
助けが来たのだ。群衆も、捕らわれた人々も、みな一目散に逃げ出した。
敵が無理矢理に氷の戒めを解き放つが、もはや時既に遅し。
デリンジャーを投げ捨て、セルマは愛銃フィンブルヴェトを構えたいる!
『おのれ、猟兵め……!』
「私を悪となじりますか? いいでしょう、どう罵ってくださっても結構。
あなたたちのような輩の蛮行を止めることこそ、猟兵である私の義務です!」
BLAMN! 弾丸が騎士の兜を貫通し、一撃で射殺!
いまだ渦巻く吹雪は、騎士同士の回復による連携を阻害する。
それに乗じて降り注ぐ弾丸、そして銃剣の斬撃。為す術もない!
「戦争があろうと、なかろうと、そんな行為を私は許しません。
堕落したのはあなたたちのほうです、騎士の残骸よ。ここで潰えなさい……!」
冷徹なる少女にすら義憤を燃やさせるほどの蛮行。
少女の鷹の目じみた瞳が澄んでいる限り、それが実行されることは絶対にない。
大成功
🔵🔵🔵
アダムルス・アダマンティン
かつては栄華を誇り、名誉でその身を浴したつわものどもも果てはオブリビオンか……
諸行無常は世の常なれど、栄誉あるつわものに対して酷な仕打ちだ
汝らの刃は処刑人の刃にあらず。戦場にて振るうに相応しきもの
構えよ。これより戦場に立ちうるは戦士のみ
我が胸に刻まれし数字は“Ⅰ”
我が創めるは“原初”
我が担う刻器は“破壊と創造”を冠せし“ソールの大槌”
長針の“Ⅰ”、アダムルス・アダマンティン
武器を交えんとするならば、名誉にかけて名乗りをあげよ!
名乗り上げることで存在感を発し、騎士らの注意を俺へと向ける
刻器、神撃
攻撃を受けてから振るう槌は、騎士の鎧を砕くに能うか
戦神ならぬ身なれど。貴様の戦技、見事であった
●せめて最期は騎士として
広場には、異常な緊張と殺意、そして敵意が充満していた。
十数体の騎士が相対するのはたったひとりの猟兵……そう、独りだ。
「かつては栄華を誇り、名誉でその身を浴した兵(つわもの)どもも、
果ては残骸(オブリビオン)、か――諸行無常と云うにはあまりにも酷だな」
巌を削り出したような筋骨逞しい巨漢、アダムルス・アダマンティンは言った。
その表情は不動。されど、その声音には憐憫めいた色がある。
幾星霜を閲した神として、高潔なる騎士たちの末路に思うことがあるのか。
……ともあれ彼はたったひとりで、広場を支配した騎士たちの前に現れた。
いかに堕落しねじれたとはいえ、デュランダル騎士団は精鋭の戦士たち。
ゆえに彼らもわかったのだ――アダムルスの、その腕前が。
「汝らの刃は処刑人の刃に非ず。戦場にて振るうに相応しきモノ……」
厳かですらある神の瞳は、慈悲深くそして不思議と暖かい。
「汝らが残骸と成り果ててなお、騎士を名乗り、剣を振るうならば。
――構えよ。さもなくば、汝らは戦士ですらなきモノとして屠られよう」
群衆は、捕らわれた人々すら息を呑んだ。何も口を挟むことが出来ない。
騎士たちはアダムルスを包囲している。だが……手出し出来ぬ。
そしてその一団の中から、明らかに手練と解る個体が一歩、前に出た。
『挑戦、甘んじて受け入れよう。我らの騎士たる矜持を問うならば』
アダムルスは頷いた。そして、己の相棒たる刻器を高く掲げる。
「我が胸に刻まれし数字は"Ⅰ"」
大地がにわかに揺らいだ。
「我が創(はじ)めるは"原初"――」
天が身動ぎした。
「我が担う刻器は、"破壊と創造"を冠せし"ソールの大槌"」
みしりと、空気が重みを増す。極度緊張がもたらすゼラチンめいた凝固だ。
「――長針の"Ⅰ"、アダムルス・アダマンティン。
さあ、武器を交えんとするならば、名誉にかけて名乗りを挙げよ。
これよりこの場は鉄火飛び交う戦場となる。立ちうるのは戦士のみ!!」
『……我が名はデュランダルの名のもとに置いたり。ゆえに我は一振りの剣。
廃神アダムルスよ、仕るぞ。我が剣、すなわちデュランダルの刃と知れ!』
手練の騎士が魔剣を掲げ、迅雷の如き速度で踏み込む。
アダムルスは不動。巌めいた唇が紡ぐ口訣は短く、簡潔に。
「――刻器、神撃」
直後、ソールの大槌が地獄じみた炎を吹き上げた。
大気を焦熱によって灼き、神の怒りすなわち稲妻のように振り下ろされる!
轟音、そして閃光――! 人々は天地創造の如き輝きを見た。
それは魔剣と大槌がぶつかり合う衝撃波。……時間流がもとに戻る!
『が……ッ!』
「戦神ならぬ身なれど、戦士よ。手向けとしてこの言葉を送ろう。
――貴様の戦技、見事であった。誇りを抱き、骸の海に眠れ……!!」
再びの槌擊! 魔剣を砕かれた騎士は、全身を激甚たる衝撃で叩かれる。
兜が、鎧がひび割れて砕け――KRAAAAAAAASH!!
その衝撃は蜘蛛の巣めいて伝搬し、包囲していた騎士をも捉え、穿つ。
BOOOM……炎が放射状に吹き抜け、砕け散った兵どもの跡を灼き去る。
「……眠るがいい、戦士たちよ」
その言葉は、祈りめいて深く、静かだった。
大成功
🔵🔵🔵
ジャスパー・ドゥルジー
処刑されそうな奴がいたら
【イーコールの匣】で作った物品で妨害
流した血で作った巨大な斧が
奴らの得物を受け止めるぜ
インパクト重視、巨大にな
ハン、独善だって?
それが何だ?
正義なんてェのはもともと独り善がりの自己満足だ
それにイチャモンつけるとか
ちゃんちゃらおかしーしカッコ悪いぜ
挑発文句並べ立て
まッさか高名な騎士様がこーんなやっすい売り言葉買わねーよな?
じゃー俺から仕掛けちまおうっと!
妨害に使った斧をブン回して奴らを薙ぎ払う
このジャスパー様に正義もクソもねェぞ!
あんたらのやり方が弱いものいじめでみっともなくてカッコ悪くて気に食わねェ、そんだけだ!
さっさとくたばって骸の海で反省会してきな、ばいばーい♪︎
●我が生涯は独善(エゴ)のもとに
ガギンッ!! と音を立て、処刑の魔剣が妨げられた。
それは動脈血で編み上げたような、異様な色合いの斧であった。
あまりにも巨大、そして鉄を鍛えたにしては色も形もねじ曲がっている。
石畳に突き立ったそれを、騎士と人々の間に擲ったのは、
悪魔めいた異形を隠しもしない痩せぎすの男――ジャスパー・ドゥルジーだ。
『何者だ』
「"何者だ"、だってよ。ヘ、ハハハ!」
口をすぼめてオウム返しにからかい、ジャスパーは引きつけめいて笑った。
兜の下で、騎士どもが鼻白む。ジャスパーはくっくっと笑い、言った。
「誰だっていいだろうが。名前を聞かなきゃ殺しも殺されも出来ねェのか?
だったらお笑い草だ。あんたら、いちいちそいつに名前聞いて回ったのかよ!」
『煙に巻くような物言いを……貴様、猟兵か? 胡乱な輩め。
なんであれ我らの正義の執行を邪魔するような独善、認めはせんぞ』
「…………?」
ジャスパーはことさら露悪げに片眉を吊り上げ、首を傾げてみせた。
「独善? ハン、独善だって? ――それがなんだ?」
『何ィ……?』
「正義なんてェのは、もともと独り善がりの自己満足だろうがよ。
それにイチャモンつけるとか、ちゃんちゃらおかしーし……カッコ悪いぜ?」
じわりと殺意が空気を重くした。ジャスパーはこれみよがしに肩をすくめる。
「オイオイオイオイ! まッさか高名な騎士様が、徒党を組んでェ?
こーんなやっすい売り言葉買ったりは……しねーよな? ン? どうなんだ?」
とことん挑発的。騎士たちはいよいよ怒りを膨れ上がらせた、その時!
石畳に突き刺さっていた斧が、なんらかの力によりジャスパーの手元へ!
巨大なそれをこともなげに受け止め、サイケデリックな色合いの男は言った。
「じゃー俺から仕掛けちまおうっと!!」
なんたる軽薄! ジャスパーは機先を制し、翼をはためかせ翔んだ!
そして騎士どもが突然の"裏返り"に生んだ間隙を、斧でまるごと斬り裂く!
『貴様ッ!!』
「卑怯なんつーなよ? このジャスパー様に正義もクソもねェんだよ!」
ことさら悪辣に笑い、ジャスパーは斧を振るう。ひとつ、ふたつ!
『貴様、ならばなぜ我らを……!』
「とことんバカ揃いだな! 言わなきゃわかんねーのか、あァ!?
あんたらのやり方が弱いものいじめで、みっともなくてカッコ悪くてよォ」
みっつ! 問うた騎士を両断して吹き飛ばし、ジャスパーは唾を吐き捨てた。
「つまりは気に食わねェ、そんだけだ!」
『バカな……!』
「――ったく。どこまでもお決まりの文句しか言わねーの」
ばつん。最期の騎士の首を刎ね飛ばし、ジャスパーは首をこきりと鳴らした。
「揃って骸の海で反省会でもしてな。ばいばーい♪」
人々から感謝の言葉が出ることはない。彼らが見たのは悪魔だからだ。
肩越しに悪魔が振り返る。その瞳は笑っているようでも、愉しんでいるようでもあった。
大成功
🔵🔵🔵
イリーツァ・ウーツェ
【POW】
敵をリボルバーで撃ち殺す
UCを発動し、全速力で移動
処刑しようと動く者を優先して殺す
どうしても間に合わねば代わりに刃を受ける
人間は守ると約束した
ならば果たさねばなるまい
此の身は力強く、頑丈だ
銃で穿ち、杖で砕き、翼を盾としよう
敵は皆殺す
人は皆守る
地形を破壊する程度の攻撃で、私の戦意を折れると思うな
逆に圧し折ってやる
●その意味を理解できずとも
龍とは、強大であり傲岸不遜であり、そして人ならざるものだ。
イリーツァ・ウーツェとて例外ではない。彼は本質的な意味での"人外"ゆえに。
だから彼は、人の情緒を理解しない。人が尊ぶ倫理を理解しない。
正義や善、悪、あるいは道徳、教義、信念、意地、思いやり、優しさ――。
およそ人と似たようなものは備えれど、向けられる対象はごくわずか。
ゆえにイリーツァは、本質的に人のなんたるかを理解できない。
そんな彼が、なぜこの場に現れ、騎士どもに銃口を向けたのだろうか。
よく知らぬ者であるならば、困惑しあるいはしたり顔で頷くことだろう。
怪物にも理解できるものはある。大切なものを識っているのだ、と。
違う。イリーツァが人間を守るのは、あくまでも家族との約束あらばこそ。
護りたいから、だとか、護らねばならない、という義憤など欠片もない。
ならば、自らの身すらも厭わず凶刃の前に飛び込んだその行いは、
偽善あるいは欺瞞と呼ばれるべきものだろうか?
……言うまでもない、それは否。それは紛れもない善行だ。
当事者が、人を理解できぬ異形の怪物であろうとも、
たとえそこに、義憤も信念も、憐憫も優しさも非ずとも。
『貴様! 我らの正義を邪魔するか!?』
激昂した騎士の言葉は続かない。悪魔じみた速度の拳が頭部を"消し飛ばした"。
疾風迅雷は比喩に過ぎぬ。命を護ると決めたその身はもはや時のよう。
常の百倍の速度に達した今、イリーツァの一挙一投足はすべてが致命的。
もとより龍の体は堅牢である。魔剣ごときで砕けようものか。
「どうでもいい」
イリーツァはただ静かにそう言って、再び銃のトリガを引く。
身を挺して庇われた人が、慄きながらもその背に感謝を述べようとした。
――轟音。魔杖が、殺到した騎士どもを横薙ぎに吹き飛ばしたのだ。
男の背に翼が広がり、降り注ぐ魔槍から人々を護る盾となる。
感謝の言葉はかすれて消えた。イリーツァはそれを耳にしていたが、
振り仰ぐことすらせずに一歩前へ。重く、決断的で、迷いがない踏み込み。
「正義など興味がない。敵は皆殺す、人は皆護る。ただそれだけだ」
『なんたる盲目的な正、義……ッ!?』
ぐしゃん。なおも囀る騎士が、真上から押し潰されて"ひしゃげた"。
「貴様らの言うことはよくわからん。なぜ正義だのにこだわる?」
それは嘲りでも侮蔑でも、呆れでもない。心底の疑問だ。
刃を振るうのに何を理由を求める。オブリビオンの分際で。
戦い、殺すことに意味を求めるのは、それこそ人間のやることだろうに。
「理由がなければ戦えないか? 貴様らの剣とやらはその程度か。
――その程度の攻撃、その程度の殺意で、私の戦意を折れると思うな」
騎士たちは恐れた。睥睨するような龍の双眸を。
「かかってこい。全て弾き、砕き、圧し折ってやる」
魔剣も魔槍も、騎士どもの如何なる攻撃の何ひとつも、
盾たる龍のその身を貫くには、あまりにも脆く軟かった。
大成功
🔵🔵🔵
レイチェル・ノースロップ
・POW
あっちゃー、エゲツない事をするものね
では…サイコーな【パフォーマンス】でその計画を挫いてやりましょうか
ビルの上からエンブレムデバイス・ザ・インローを天に向けてかざし、映し出したホログラフティのバタフライ・エンブレムを大きく空に投影させるわ
ドーモ!デュランダル騎士=サンと市民の皆さん
スワローテイルです
派手に名乗りをあげて【鼓舞】をするわ
スーパーヒーローのスワローテイルここにあり、ってね
そのまま処刑しようとしたらクナイ・ダートの【投擲】で【救助活動】
その隙に【ジャンプ】して飛び降り、【スーパー・ジャスティス】で市民の歓声を浴びながら黄金のニンジャオーラを纏いザンテツブレードで真っ二つよ!
●バタフライ・エンブレム・イン・ザ・スカイ
ニューヨーク市郊外。ビジネス街を恐怖で支配する騎士の群れ。
捕らわれた人々のかちかちという歯の鳴る音が、一層の絶望をもたらす。
逆らえば、代わりに殺されるのは自分たちかもしれない。
いやそもそも、見逃されたところで何があろう?
オブリビオンは強大で、ああやって捕まってしまえば為す術もない。
ならば正義など、もはや信じる必要はないのではないか――。
『見るがいい、これが愚かなる堕落者の末路だッ!!』
処刑剣が振り上げられる。群衆はそれが振り下ろされぬことを望んだ。
だがどうにも出来ぬ。彼らは無力であるがゆえに。しかして!
ぴたりと剣が止まる。目を瞑っていた処刑者は、生きていることを訝しんだ。
そして恐る恐る顔を上げる。すると騎士たちは空を見ていた。
いや、群衆も同じく。彼もまたそれに引き寄せられるように空を見上げる。
――そこには、蝶(バタフライ)を思わせるエンブレムが浮かんでいた。
「なんだありゃ?」
「まさかヒーローが来てくれたのか……?」
群衆も困惑した。そして何かを見つけた騎士が、ビルの屋上を指差す。
『見ろ、あそこだ! 妙な女がいるぞ……奴は、ヒーローか!?』
然り! 空にデバイスをかざしエンブレムを投影させるマスクの女あり!
豊満な肢体を包んだカラフルなコスチュームはニンジャめいている。
「あれは、まさか!」
「知ってるぞ、蝶のマスクのニンジャヒーロー! 名前は――」
群衆がそれを言い当てるより先に、女は両手を胸の前で合わせ、オジギ!
「ドーモ、デュランダル騎士と市民の皆さん! スワローテイルです……!」
レイチェル・ノースロップは、己のヒーロー名を名乗りアイサツした。
騎士たちは困惑する。だが彼らはかつて過激なヒーローを狩った騎士団だ。
ゆえにニンジャの流儀を心得る。騎士たちもまたオジギ!
『『『ドーモ、スワローテイル=サン。デュランダル騎士団です』』』
「そう、スーパーヒーロー・スワローテイル、ここにありよ!
デュランダル騎士=サン、その処刑――待ったをかけさせてもらうわ!」
スワローテイルは明るく派手な声音で言い、軽やかに跳躍した。
そしてクナイ・ダートを投擲。騎士の手元から魔剣を弾く!
『ヌウッ!!』
「ヒーローだ! スワローテイルが助けに来てくれたんだ!」
「頼む、スワローテイル! みんなを救ってくれ!」
「あんな奴ら、やっつけちまえー!!」
片膝をつき着地したスワローテイルの体が、まばゆい金色のオーラに包まれる。
市民の応援と歓声を浴び、ヒーローたる闘志は炎のように輝いた!
「お安い御用よ! さあ覚悟しなさい、デュランダル騎士=サン!」
『『『死ね! スワローテイル=サン、死ねーッ!』』』
「そうはいわないわね、イヤーッ!」
ハヤイ! マッハをもたやすく超えた踏み込みは誰にも追いつけない!
その手には逆手に構えたザンテツブレード――直後、黄金の剣閃が輝く!
『『『グワーッ!?』』』
吹き飛ぶデュランダル騎士! スワローテイルは厳かにザンシンした。
「他愛もないわね。人々を苦しめる騎士なんてその程度よ、反省なさい。
――皆、もう大丈夫よ! スワローテイルと猟兵の皆が、戦っているからネ!」
チャーミングでセクシーなウィンクに、人々は歓声を上げて湧き上がった。
正義はなされた。またひとつ、絶望の帳が払われたのだ!
大成功
🔵🔵🔵
アリシア・マクリントック
罪なき人々を処刑だなんて……許せません!この私が止めてみせます!
そうですね……目立って敵の注意をこちらにひきつけましょう。変身!
ゆうに5メートルを超える大きさのティターニアアーマー。突然現れれば無視はできないでしょう。そして敵に向かって歩きながら口上をあげて更に注目を集めます。
「何が罪かを示すことなく、罪人を処刑するなど……まさに貴方の言う『行き過ぎた正義』そのものではありませんか。たとえ貴方のなそうとしたことが正義であったとしても……貴方の間違った手段によってそれはただの悪へと堕ちるのです。」
堕ちた騎士などおそるるに足らず、です!正面から叩き伏せるのみ!
グレイス・リリィ
また肥溜め大王ね
いいわ、飽きるまで相手してあげる
処刑が目的なら処刑道具を全部巻き上げてやるわよ
空中から衝撃波を纏って敵の中心へ
可能な限り数が多い所にね
ハァイご機嫌いかが? こっちは最悪よ
挑発を交えつつ戦闘態勢を整えて
だから精々――楽しませてもらうわ!
中心でクライシスゾーンを発動すれば
敵の得物を一時的でも無効化出来る筈
超次元竜巻で相手の陣を崩す事が出来れば
そこから各個撃破――一人ずつ切札の黒で首を跳ねてやるわよ
高速詠唱で次元切断弦に鏡の属性を付与
魔剣の光を弾き返して、間合いを詰めて一閃!
超次元竜巻で敵の連携を崩せていれば猟兵の支援にもなるはず
出来るだけ長く、出来るだけ確実に――ここで食い止めるわ
ミハエラ・ジェシンスカ
堕ちた騎士か
ああ、ご同輩などと笑いはすまい
何せ私は初めから「堕ちていた」
どちらが無様かなど語るまでもあるまい
篝火でも掲げるように【対艦魔剣】を起動する
無論ここは宇宙ではない
扱いは最大限慎重に、最長での形成は最初だけだ
そうしてこちらへと意識を向けた民衆に【催眠術】
と言っても意識を大きく弄るような真似はしない
ただ、彼らが既に持っている正義を信じる心とやら
それを失わぬようにするだけだ
……全く、悪の所業とは言えんなこれは
そうして敵がこちらへと向かってきたら
通常の長剣程度にまで縮めた対艦魔剣とドローンで相手をしてやる
この世界の魔剣がどの程度のものか、見せて貰おう
【見切り】からの【カウンター】【2回攻撃】
●聖女と魔剣士は旋風とともに
「お待ちなさい!!」
『『『!!』』』
晴れやかな空のような、澄みきった少女の声が、高らかに響き渡る。
今まさに無辜の民を処刑しようとしていた騎士たちは、そちらを見やった。
するとそこには、身の丈5メートルを超える巨大な重機めいた甲冑!
もはや人型機動兵器とでもいうべきシルエット、その正体は?
驚くなかれ、それこそは可憐で気高き金髪の少女なのである。
名をアリシア・マクリントック。これこそは彼女が纏う"セイバークロス"、
その強化版たる妖精王の名を冠した機動甲冑、ティターニアアーマー!
「罪なき人々を処刑するだなんて、許せません。悪逆はそこまでです!」
『悪逆だと? 我らの行いは正義だ。貴様に何が解る!?』
「わかりますとも。何が罪かを示すことなく、一方的に罪人と誹り処刑する。
それこそ、まさにあなたたちの言う"行きすぎた正義"そのものではないですか」
アリシアはわかっている。相手はオブリビオン、歪んだ過去の残骸。
それでもなお、語らずにはいられない。それが彼女の正義であるがゆえに。
「たとえあなたたちのなそうとしたことが正義であったとしても……。
その間違った手段によって、あなたたちの掲げたものは悪へと堕ちるのみ!」
『わかったような口を叩く……それこそが不要な圧制をもたらす真の悪なのだ。
我らこそが正しい。我らこそが真の正義! 賢しらな言葉を並べるなッ!!』
ぎりり、と。兜の下でアリシアは唇を噛んだ。
彼らはオブリビオンであるがゆえに、和合不可能の悪へと堕ちている。
それでも、言葉が届かぬことの、歪められた正義のなんと歯がゆきことか。
……しかしてアリシアは顔を上げた時、鎧の下で大きく目を見開いた。
そして、騎士たちに言う。
「ならばご覧なさい。あれこそが、あなたたちを裁く刃の輝きです……!」
騎士たちは訝しみ、振り仰いだ。そして驚愕した!
『なんだ、あれは……!?』
それは、あまりにも巨大な魔剣。否、剣というよりもはや光の柱だ。
騎士も、群衆も、捕らわれた人々ですら目を離すことの出来ない輝きである。
まるで篝火めいてそれを掲げる女を、アリシアは知っている。
ミハエラ・ジェシンスカ。反逆の悪心を刻まれし鋼の魔剣士だと……。
「はじめから"堕ちていた"私と貴様らとで、"ご同輩"などと言いはすまい。
かつて高潔であった騎士たちよ、正義を謳うならば、覚悟は出来ていよう?」
ウォーマシンたる異形の女は、魔剣を不穏にきらめかせてそう言った。
その輝きは、恐怖に囚われかけていた人々の瞳を魔剣らしく魅了する。
一種の催眠術……何かを改竄するのではなく、むしろ"護る"ものだ。
絶望の闇に囚われ、正義を信じる尊き心が失われぬように。
……これから繰り広げられる、凄惨な戦いを真に目の当たりにしないように。
それは悪心を誇る魔剣士としては、あまりにも慈悲深き輝きだった。
「悪はいずれ討たれる。それが世界の、人々が築き上げた摂理だ。
貴様らがここで滅びるように――私がいずれ戦場で朽ち果てるように」
魔剣の光が凝縮される。大きさこそは非常に縮小されたが、弱まってはいない。
むしろ逆だ。そのぶんだけ、力と魔性は凝縮されているのだから。
「さあ、せめて悪の騎士らしく、貴様らを一思いに斬り伏せてやろう。
――と言いたいところだが、どうやらまだ来訪者はいるようだな?」
謎めいた言葉。騎士たちもアリシアもそれを訝しみ、彼女だけが理解した。
ティターニアアーマーを走らせる。騎士たちは魔剣を鞘走らせた!
「そら来るぞ。嵐に備えろ!」
ミハエラがそう言った、その時!
言葉通りに、嵐が――超次元の竜巻が、戦場のど真ん中に生まれた。
それは人々を傷つけることなく、騎士たちだけを飲み込み、
彼奴らが構えた魔剣、あるいは混沌の魔槍を取り込んでしまうのだ。
『こ、これは!?』
「ハァイ、ご機嫌いかが? そんなもの持ってたら、あぶないでしょう?」
竜巻の中心、台風の目に降り立ったのは、乳白色の髪の女。
挑発的な微笑みは、しかして嫌悪と侮蔑の渋面にすり替わる。
「――ちなみに言えば、こっちの気分は最悪よ」
そう言って女――グレイス・リリィが担いだのは、糸鋸を思わせる異形の武器。
これこそは古代文明の秘術を孕みし禁断の武装、銘を"切札の黒"。
時空間をも操る恐るべき魔具。竜巻を引き起こしたのはこの弦の力か!
グレイスはアリシアを、そしてミハエラを見やり、ふんと鼻を鳴らした。
好機を伺っていた彼女にとって、ふたりの陽動はいいタイミングだったのだ。
特に同胞であるミハエラのそれは、騎士たちの注意をよく惹いた。
人々が魔剣の光に魅入られ混乱を起こさない以上、ここが攻め時と見て、
降り立つと同時に竜巻――クライシスゾーンを引き起こしたのである!
『女め……! おのれ!』
「お定まりな台詞ね。せめてやられるときは潔く散りなさい。
この最悪な気分を晴らすため、せいぜい――楽しませてもらうわよ!」
そして超次元の斬撃が吹き荒れる。処刑ギロチンめいた断頭の刃!
魔剣を、槍を奪われた騎士たちでは、それを防ぐことは敵わない。
そして竜巻に乗じ、アリシアとミハエラもまた接近を終えている!
「普段ならばこのような戦い方はしたくありませんが、今回は話が別です。
さあ、受けよ巨人の一撃! 骸の海へと還り、悔い改めなさいっ!!」
KRAAAAAASH!! 妖精王の名を冠した鋼の拳が大地もろとも騎士を砕く!
正反対では、ミハエラの魔剣とソードドローンが死の舞踏を踊るのだ!
「この世界の魔剣も大したことはないな。いや、オブリビオンだからか?
いずれにしても、貴様らの悪行はここまでだ。最期は一思いに滅びるがいい」
まったくこの口上の、なんと悪らしからぬことか。
心の裡で冷笑を浮かべつつ、ミハエラはアリシアとグレイスと視線を交わす。
「すべて片付けるぞ。時間をかけるつもりはない」
「了解です、ミハエラさん! おまかせください!」
「ただの気晴らしよ。こんな雑魚どもに身構える必要なんてないわ」
竜巻とともに来たりし三乙女は、背中合わせに構え、敵を見据える。
堕落した悪を斬り裂き打ち砕く――それこそが、彼女らの信念だ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
銀山・昭平
何の罪もねぇ人々を処刑するとは、騎士団とやらも堕ちたもんだべな……
というわけでおらはとにかく救出作戦のために行動するべ。
ユーベルコードでからくり人形を出せるだけ出して、とにかく一人でも多くの人を救出しようとするべ。救出するまで戦闘はできるだけ避けるべ!
囚われてる檻や拘束具は【破壊工作】でなんとか早めにこじ開けてやるべな。
その後、人々の安全がある程度確保できたら戦闘だべ。
生き残った人形たちを全員合体させて一体のからくり人形にして豪快に笑って【存在感】を見せつけるべ!そして向かってくる相手は手裏剣による【マヒ攻撃】や鉄梃による【気絶攻撃】で一人ひとり無力化しながら戦っていくべな!
レン・ランフォード
蓮:処刑なんて絶対に阻止します!
錬:んじゃ派手に騒いで
れん:注目をかっさらちゃおうか…
蓮:え?
ランフォードサーカスの始まりだよー
【絡繰覇王・大典太】は立ってるだけでも十分目立つ
たまに動いてさーびすさーびす
次は【口寄・数珠丸太郎】だ
【駆爪】も使って空中を走らせるか
さらに【式神・鬼丸兄弟】式鬼たちが組体操に「ダンス」
「パフォーマンス」で湧かせるよー…
仕上げはオブリビオン退治です
攻撃を「第六感」に「野生の勘」も動員して「見切り」ます
残念、そちらは「残像」です【分身殺法・陽炎舞】
虚と実混ざった(フェイント)手裏剣を「投擲」
気をそらしましたね?後ろから「串刺し」です「だまし討ち」「暗殺」
アドリブ等歓迎
ルエリラ・ルエラ
悪い人って無駄に大勢の前で処刑とかが好きだよね
それで人質を助け出されちゃうまでがお約束
まぁそれもモノにはよるけど、ここはヒーローズアース
そのお約束が守られてこそだからね
さて、私は人質救出にまわろうかな
場所が広場か大通りなら下水が使えそうだから、それを利用して近づかせてもらおう
「メカ・シャーク号」で下水に突入。近場までいったら、「狼耳デバイス」で音を感知しつつ人質のいる場所を探って、下水から救出するよ
救出中に見つかったらナイフで応戦しつつ、【ルエリラの勘】で敵の攻撃を避けに避けて私に敵を引き付けて人質が逃げる時間を稼ごう
みんなが避難し終わったら、後退しながら距離をとって狙撃スタイルに移るよ
●オペレイション・レスキュー!
処刑剣が無辜の人々の首を刎ね飛ばそうとした、まさにその時。
魔剣を振り上げた騎士はその手を止め、訝しむように群衆を見やった。
『どうした? さっさとそいつの首を刎ねろ。まさか臆したか?』
『いや……見ろ。人々の反応が、何かおかしくはないか?』
言われた騎士もまた、目の前に集めた群衆のほうを見やる。
……たしかに、何かおかしい。人々はこちらのほうを見てはいる。
しかし、注目しているのは自分たちではない。そのわずか上、背後を見ている。
『なんだ? 一体何、が……!?』
広場の中央に誂えられたモニュメントの向こう、それを見上げ、騎士は驚いた。
そこには……おお、身の丈の三倍、いや五倍はあろうかという巨躯!
腕組して聳え立つシルエットは、さながら武者あるいは忍者めいている!
「ランフォードサーカスの始まりだよー」
『『『な……!?』』』
巨大な鋼のシルエット――絡繰覇王・大典太の肩に乗る少女が言うと、
その足元からぴょんっ、と3メートルはあろうかという白い狼が飛び降りる。
明らかに霊体と思しきそれは、物理法則に支配されることなく空を駆け回り、
続けて式神と思しき二頭身の鬼たちが、コミカルにダンスを踊る!
『な、なんだあれは!?』
『猟兵か!? 一体何をやっている!?』
騎士たちが困惑したのも無理はない。だがそれが効果の程を知らせている!
群衆は度肝を抜かれ、もはや処刑儀式どころの話ではない。
……絡繰覇王の肩に乗る少女、レン・ランフォード。
その脳内では、三つの人格による思考速度の対話が行われていた。
(す、すごい、本当にうまくいきました……!?)
主人格である蓮は、我が目を疑った。まあそれも無理はないというものだ。
別人格の"錬"と"れん"が、この作戦を言い出したときは思わず聞き返した。
しかし、まさか思ったとおりに注目を奪えてしまうとは……。
(派手に騒ぐと言えばサーカスだろ! エンジョイ&エキサイティングだ!)
(大典太もたまに動いて、さーびすさーびす……パフォーマンス、大事……)
(あ、あの、遊びじゃないんですよ? 楽しんでないです!?)
(そんなことあるよ!)
(あるよー……)
(あるんじゃないですかぁ!?)
完全にノリノリの"錬"と"れん"に、主人格の蓮は脳内で頭を抱えた……!
しかし実は、サーカスの出し物は式神や絡繰覇王だけではなかったのだ!
突如として広場の下水から現れたのは……あ、あの特徴的なヒレは!
『鮫? 鮫だと!?』
『どうしてこんなところに鮫が!?』
ばしゃんっ! と下水を撒き散らしながら跳躍したのは、鋼の鮫だ。
それにまたがるのは青髪の少女。騎士たちがその姿を視認した、直後。
少女の姿はかき消えた――否、背後だ。振り返ったところにナイフの一撃!
「せっかく楽しい出し物がやってるんだから、そっちに夢中になっていてくれよ。
それに、悪い人の人質が助け出されちゃうのって、こういうののお約束だろ?」
ルエリラ・ルエラはそう言って、肩をすくめて小首をかしげた。
いかにも、ここはヒーローズアース。カートゥーンめいた正義と悪の世界。
そんな世界で企てられる悪事は、荒唐無稽なヒーローによって打ち砕かれる。
ルエリラは相棒であるメカ・シャーク号を操り、人々の拘束を解除。
すれ違いざまに騎士たちをナイフあるいは自慢の弓矢で攻撃し、
処刑されようとしていた無辜の人々を救助していく!
『くそっ、あいつから仕留めろ! 隊列を組んで』
『ま、待て! まだ新手だ! 今度は人形の群れが来たぞ!』
『まさかあれも、あの小娘の式神か!?』
えっ、そんなの知らないんですけど、みたいな顔をするレン。
そのとおり。わんさかとどこからか現れたからくり人形の群れは、
レンが口寄せしたものでもなんでもない。
だが騎士たちがそれを知る由も、物量で勝る人形を妨げられるわけもない。
ドワーフめいた見た目の人形たちは、人波めいて騎士を遮り押し返し、
ルエリラによって拘束が解かれた人々を安全圏へと運ぶのだ!
「よーし、救出作戦成功だべ! ふたりともグッジョブだべさ!」
にかっとサムズアップするのはからくり人形……いや違う、その本体(?)だ。
ドワーフの銀山・昭平と人形たちはとってもそっくり。これがまた紛らわしい。
人々を取り戻すのが先か、からくり人形部隊を蹴散らすのが先か、
一瞬でも迷ってしまったのが騎士団の運の尽き。趨勢は逆転する!
「そっちが多勢に無勢でかかってくるなら、こっちもコンビネーションで勝負さ」
「えっ……あ、そ、そうです! すべて織り込み済みですからね、ふふん!」
若干テンションのブレているレンが、ルエリラの言葉に頷いた。
『おのれ! あの黒髪の娘を殺せーッ!!』
擲たれる魔槍の雨! レンはあわや槍の串刺しに……いや、姿が消えた!
『残像だと!?』
「よく気づきましたね。ですがもう後の祭りですよ?」
背後に着地したレンが残心を決めると、どさり、と騎士が倒れた。
さらに手裏剣の投擲。分身を織り交ぜた虚実転換法の如き鉄菱の雨だ!
さながら雨に浮かぶ陽炎めいて、レンの姿は浮かんでは消えていく!
「よーし、銀山式絡繰人形部隊、全員合体だべー!」
『『『あらほらさっさー!』』』
ドワーフ人形たちが組体操めいて積み重なり、ひとつの融合!
絡繰覇王と肩を並べた巨体が、腰に手を置いてガハハと豪快に笑う!
「それじゃあここから逆転開始と行こうか。セオリー通りにね!」
「はい、こんな処刑儀式を起こした以上、ひとりも逃しません!」
「デカブツ相手にどこまでやれるか、楽しませてもらうべさ!」
騎士たちは慄いた。多勢に無勢はもはやこちらの話だ!
絡繰覇王と巨大昭平人形が、並んで拳を振り上げ……KRAAAAASH!!
衝撃が、堕落した騎士たちを放射状に吹き飛ばす。アクション映画のように!
群衆はいつのまにか、猟兵たちの活躍ぶりに歓声を上げていた……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
神元・眞白
【SPD/割りと自由に】
なんだか急ぎのお話?.....そう、確かに急ぎのお話。
急ぎすぎても失敗するし、焦りすぎずに。
飛威、先行して準備を。
二方向からつついて相手の視線の分散を。
向かれた方で一旦お相手。片方で救出を。
飛威には高い所から降りてもらって角度をつけた急襲を。
降りるときは少し派手に?
ワイヤーでも使ってみる?
落ち着けば素直に相対できるし、周りとの連携も視野に。
相手の攻撃が連続攻撃なら受けたと思ってもらおう。
避けたなら構えられるし、当たったと思ってもらう様に演技を。
確認できるまでは油断せずに、ね
三咲・織愛
善良な人々の処刑など……断じて許しません
救出は他の方々に任せましょう
ノクティスを手に、刃を振り下ろそうとする騎士に一投食らわせます
正義とは人それぞれに違うもの!
間違いなどと断じる事こそが愚か極まりないのですよ!
狭量で押しつけがましい、……あなた方こそ独善でしょう!
人の命は簡単に奪っていいものではありません
喪っては二度と戻らない
オブリビオンとなって、そんな当たり前の事すら忘れてしまったあなた方は可哀想……
奪おうとした報い、その身に受けなさい
攻撃を喰らうことは厭いません
見切りながらカウンターを試みます
鎧であろうと関係ありません、ありったけの力を籠めて拳を叩き込みましょう
【想駆星穿】、打ち抜きます
●ガールズ・オン・ザ・ヒーローズ・アース
三咲・織愛は憤っていた。元より彼女は善を尊び正義を愛する。
心優しき少女だからこそ、騎士たちの堕落ぶりと蛮行は許しがたい。
ゆえに……あろうことか織愛は、人々の救出の可能性を自ら棄却した。
正しくは、そこに集うであろう猟兵に仮託した、というべきだろう。
彼女が睨みつけるのは、すなわちデュランダル騎士の成れの果てのみ!
とある広場で、今まさに凶刃が振り下ろされようとしていたその時。
転移とともに駆け出した織愛は、龍槍ノクティスを力強く擲つ!
『がはっ!?』
魔剣を振り上げていた騎士は、恐るべき槍に貫かれ地面に縫い留められた。
即座に絶命。目の前で騎士が死亡したことに、殺されかけた人は悲鳴を上げる。
『何者だ!?』
「あなたたちに名乗る名前などありません。しかし言わせていただきます!」
逃げも隠れもしない。織愛はその双眸に若き怒りを燃やし、敵を見据える。
おお、その姿の勇ましきこと。だがたったひとりはあまりに無謀だ!
「正義とは人それぞれに違うもの! それを間違いなどと断じることこそ、
愚か極まりない"間違ったこと"なのですよ! あまつさえ……」
ぎゅっ、と握りしめた拳が、義憤に震えた。
「何も悪くない人々を捕らえ処刑しようなどと、度を超えています!
狭量で押し付けがましい……誰よりも、あなたがたこそ独善的でしょう!」
その言葉はまっすぐで、若者だからこその熱に溢れていた。
あるいは騎士団がただの人であったならば、心動かされただろう。
しかし、敵はオブリビオン。彼奴らはそれを一笑に付すばかり……!
『面白い! ならば貴様から血祭りに上げてやろう、娘!』
騎士たちは魔剣を鞘走らせ、たったひとりの乙女を取り囲む!
上等とばかりに、織愛は眦を決した。傷を追おうが敵を討つ覚悟だ
その意気やよし。敵の注意も惹けている。だがやはり、無謀!
しかし織愛の期待――あるいは信じた――通り、彼女はひとりではない。
高所と物陰から、サッと同時に飛び出した素早い二つの人影。
目ざとい騎士がそれを見咎める。だが遅い。それはメイド姿のからくり人形!
「あれは……眞白さんの……!」
そう、神元・眞白が従える戦術器、飛威と符雨である!
ワイヤーアクションで駆けつけたふたりは騎士たちの不意を打ち、織愛を援護。
そして人々を背に並び立ち、騎士たちが手出しできぬようにしてしまう!
『伏兵だと……!?』
「急ぎの話だから駆けつけたけど、間に合ってよかった」
織愛の傍ら、いつの間にいたのやら、眞白は涼しい顔で言う。
表情を明るくしてはにかむ少女に対し、眞白は無表情のまま頷く。
「これでもう、大丈夫。あなたはひとりじゃないし、一緒に戦えるから」
「……はい! こんなふざけた処刑儀式など、叩き潰しましょう……!」
力強く頷いた織愛の体が、彗星めいた眩い白いオーラの輝きで覆われる。
それこそは、彼女自身の心の力。強く、正しきために燃やす怒りの輝き。
"想駆星穿"の輝きは、文字通り星をも穿つ。いわんや堕落した騎士をや!
『お、おのれーッ! 女子供ごときがァッ!』
「女だ子供だと、嘗めないでください――私は、私ですっ!!」
KRAAAASH!! 金剛石をも砕くほどの剛拳が、魔剣ごと敵を砕く!
アクション映画めいた派手な立ち回りのもと、戦術器たちも交戦開始。
見守ることしか出来ない群衆は、勇気ある少女たちの背中に声援を送る!
「……この世界は、やっぱり不思議。こんなふうに応援されるなんて」
「人々も、何が正しいのか、何を護るべきかを本当はわかっているんです。
戦えない人たちの代わりに、私たちが頑張りましょう。ね、眞白さん!」
人形少女は無表情ながらに頷き、あえて騎士の投げた混沌魔槍を受ける。
すると貫かれたその傷口から、エネルギーの槍がほとばしり応報する!
『た、たったふたりの小娘に、蹴散らされるというのか! 我々が!?』
「あなたたちのやっていることは、根底から間違ってる。だから――」
「……私たちには、何があろうとも決して勝てません!」
SMAAAASH!! 愚かなる騎士の残骸を、怒りの鉄拳が叩き砕く!
最期の騎士が倒れた時――人々は、歓声を上げてふたりを称えた!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
ルーナ・ユーディコット
なら、その刃が振り下ろされるより速く突っ込んで処刑人を吹っ飛ばせばいい
……そういう甲冑で人を手にかけようとする光景、
観るのも起こると知らされるのも嫌で仕方が無くて……
見過ごす気にはなれないんだ
妨害:剣狼を発動し、一般人を処刑せんとする敵を始末する
そのうえで着弾の衝撃で敵より目立つ
生前がどうであったにしろ、その正義が私にとっては憎くてたまらない
気分が悪い、飲まれたくない憎悪や狂気がうちで滾るよう。
私の心の安定の為だけなら見向きもせずに避けるべき戦いなのは分かっている
わかってるから見過ごせるものでは……無い
可能な限り最速で切り捨てる
その腐った正義に
気分の悪さのはけ口にでもなってもらうよ
●光よりも疾く、刹那のごとき一瞬で
ニューヨーク市の至るところで、凶行が下されようとしている。
そしてこの広場でもまた同様。だが――ガギンッ!!
『ぐうっ!?』
振り下ろされると見えた魔剣は、突然の迅風によって遮られた。
否、風ではない。風よりも疾く鋭き、たったひとりの猟兵によって。
騎士をその速度によって吹き飛ばし、冷たい瞳で見下ろす少女のシルエット。
「……そうやって甲冑を身に纏って、敵うはずのない人を痛めつけ恐怖させて。
最期には手にかけようとする……本当にうんざりだよ、その光景も、やり口も」
ルーナ・ユーディコットは、心底からの嫌悪を浮かべて言った。
脳裏に蘇るのは、生まれ故郷である黄昏の世界の醜悪なる光景。
己が味わったトラウマが蘇り、苦虫を噛み潰したような面持ちになる。
見過ごせない。見過ごせるはずがない。
これ以上、己のような犠牲者を増やしてはならないのだ。
『ぬう、猟兵か……! なにゆえ我らを邪魔立てする!? それが貴様の正』
ざんっ、と、剣風が鋭く吹き荒れた。
騎士の言葉は最後まで紡がれることなく、両断された残骸が地に伏す。
……刃を手に駆け抜けた剣狼の双眸が、怒りと侮蔑に燃え上がる。
やがてその身を覆うのは、太陽のように眩き、生命の赤炎だ。
「正義だの、断罪だの、気に入らない。憎い。気分が悪い」
身の裡で狂気が、憎悪がくろぐろと燃え上がり暴れるのを感じる。
手綱を握るのは己自身、呑まれることなく御するべし。
それでもあえて己の心を焔に焚べるように、ルーナは双眸を見開いた。
「だから、絶対に止める。――それ以外に理由なんてないよ」
再びその姿が色付きの風となった。魔剣をも断ち切るほどの凄絶な斬撃!
腐った正義を、堕落した騎士の成れの果てを、一秒でも疾く消し去るため。
正義を謳うつもりはない。悪の味方などと嘯くつもりもない。
己が己であるため、こんな惨状を、その歪んだ正義を、認めてはならない。
だから、斬る。狼のごとき孤高なる、そして崇高なる決意であった。
「――せいぜい喚いてあがいてよ。そのほうが気も晴れるから」
静かなる言葉のあと、騎士の全てが倒れ伏すに時間はさしてかからなかった。
人々の瞳には、その太陽のごとき輝きと軌跡だけが、強く強く刻まれる。
大成功
🔵🔵🔵
セゲル・スヴェアボルグ
注意を引くといっても、それによって処刑が中断される保証はないからな。
上空から急降下して割り込んだ方が良かろう。
最悪、処刑の対象が俺になったところで構う必要もない。
とはいえ、流石に人が多いと庇うのにも限度がある厄介だ。
拘束などされてたら、なお間に合わん。
兵を呼んで解放と避難の対応に当たらせるとしよう。
それが終わるまでは、俺もダメージは受けられんからな。
ある程度は護衛に当たらせる。
敵が回復することを加味するなら、首謀者に一気に畳みかける方がいいな。
兵が残っているならば、そのまま一斉攻撃。
居なければ俺自身が攻撃を叩きこんでやるとしよう。
武器ならいくらでもある。
ダメ―ジソースには事欠かんぞ。
コルチェ・ウーパニャン
ヒーローズアースのみんな、来たよ!
コルチェたちみんなが、みんなを助けに、来たよ!
コルチェは知ってるよ……ヒーローは誰かのピンチに駆け付けて、
そして……光るものだって!!
生まれながらの光でピカピカー!!おケガした人を治療します!
おケガしてる人は注目されてるだろうし、そのそばで光れば…
へへへ、コルチェったら賢いなー!(髪の毛ピカピカ)
騎士の人達も、騎士のおともだちを守るために光るんだね。
コルチェ、光の強さでは負けたくないな。頑張れるかな?…がんばらなきゃ!
治し終わったら戦えない人からは離れて、注意をひきながら戦うね。
ピカリブラスターの誘導弾で、手の空いてる騎士さんがいないように、牽制をいれるよ。
●フォールダウン・イェーガーズ!
――ずしんッッ!!
空から隕石あるいは流星めいて堕ちてきたのは、巨躯だった。
然り、人ならざる巨躯の龍である。蒼い鱗を持つ強靭なドラゴニアン。
「ぬうん……ッ!!」
着地衝撃で騎士を退けたセゲル・スヴェアボルグは、続けざま槍を横薙ぎに。
広場の石畳をまるごと抉るような、荒波じみた力強い一撃であった。
ゴッ!! と迸った衝撃が、まさしく波濤のように一団を叩きのめすのだ。
注目を集めるだの、救助するだの、セゲルの好む手ではない。
どのみち処刑儀式を潰すならば、はじめから奇襲を仕掛けたほうがいい。
実に豪放磊落な彼らしい、シンプルで確実な強襲戦術である!
『貴様! 何者だ!?』
「名を誰何しとる暇があったら、騎士らしく自分から名乗ったらどうだ?
ま、名乗られたところで聞くつもりも、覚えておくつもりもないがな」
王のごとき傲岸不遜。騎士たるがゆえに、その残骸は気圧された。
セゲルは片眉を釣り上げるような仕草をし、手のひらを上向けて招いてみせる。
「それほどまでに血を流したいならば、俺が相手をしてやろう。
さあ、かかってこい。だが――俺の首は、そう簡単には落とせんぞ!」
咆哮! 龍の威風を纏いし海の男が、地を鳴らして騎士へと挑む!
応報する魔剣と魔槍。処刑儀式に代わり、吹き荒れるのは血風だ……!
しかしその時である。セゲルは、急に体が明るくなるのを感じた。
敵が回復して体勢を建て直さないため、彼は前のめりに戦っていたのだ。
必然的に負った手傷が、まるで逆回しの映像めいて癒えていく。
「これは……お前さんも来たのか!」
剽げたような言葉の先、聖者の光をピカピカを纏う少女あり!
晴れやかな笑顔で手を大きく振るさまは、いっそあどけないくらいだ。
「うん、来たよ! ヒーローズアースのみんな、コルチェが来たよー!
みんなを助けに! 悪いやつをやっつけに……ね、セゲルさんっ!」
「まあそんなところだが……お前さん、なんで出てくるなり光っとるんだ?」
セゲルの言葉に、コルチェ・ウーパニャンはきょとんと首を傾げた。
「え??? だってヒーローって、誰かのピンチに駆けつけるものなんでしょ?
そして……光るものだって見たことあるよ! コルチェ知ってるよ!!」
「…………まあ、間違っておらんが」
セゲルはツッコミを諦めた。実際、負傷が癒えたという意味では助かったし。
「それにね、ピカピカ光れば注意も惹けるし、みんな助けられるよね!」
「そんなことのために光るやつがあるか。その必要はないから安心しろ」
「えっ!? どういうこと、セゲルさん!?」
コルチェの驚いた顔に、セゲルはにやりと不敵な笑みを浮かべた。
そして騎士どものほうをこれみよがしに見やる。挑発的な眼差し!
「俺がたったひとりで、何の考えもなしにここまで来たと思ったか?
お前さんたちがこっちに手を焼いた時点で、もう仕事は終わっとるんだよ」
『……バカな!? 捕らえていた連中がもぬけの殻だ!』
「えーっ!? いつのまに!?」
コルチェは両手を口元に寄せて、大げさなくらいに驚いた。
そんな彼女の疑問に応えるように、ずらりと現れる百人以上の兵たち!
『これほどの数の兵隊、一体どこに!?』
「ユーベルコードで召喚したに決まっておろうが。お前さんらは間抜けか?
ま、おかげで滞りなく済ませることが出来た。そういう意味では感謝するぞ」
騎士は訝しんだ。あれほどの数の兵隊を召喚するのは相当に骨なはずだ。
だが、術者であるセゲルは、負傷を厭わず自分たちに挑んできた。
……そう、それこそが一種のブラフ。彼はひとつの確信を持っていたのだ。
自分が孤軍奮闘していれば、必ず同じように猟兵が駆けつけるだろうと。
あとはその混乱に乗じ、戦闘が止んだ隙に密かに軍勢を召喚。
注意を集めている間に隠密行動させ――そして、今に至るというわけだ!
避難を終えた兵士たちは、コルチェと王であるセゲルのそばに侍る。
これで趨勢は逆転した。兵士たちはただのひとりとて欠けてはいない!
「場合によっては護衛をつけるつもりでいたが、フン。その必要もなかったか。
さあて、騎士を名乗る愚か者どもよ――我が軍と、力比べといこうじゃないか」
セゲルが咆哮し、号令をあげる。兵士たちは怒涛となって騎士へ挑んだ!
「おー、やっちゃえやっちゃえー! コルチェ、いっぱい光るからねー!」
「光る以外に何もせんのか?」
「あ!! あるよあるよ、ピカリブラスターあるよ! ばんばーんっ!!」
はしゃぐ児童めいた楽しげに言い、コルチェは援護射撃で兵士たちを鼓舞する。
セゲルは苦笑めいて肩を揺らし、そして武器を担ぎ、ぎしりと牙を剥いた。
「殲滅作戦の開始だ――さあ、騎士の矜持とやら、見せてみろ!!」
黒鎧の外道どもに、今、後光を背にした戦士たちが襲いかかる。
それは、悪党どもに下される正義の裁きのように、容赦なき滅びの刃だ!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
非在・究子
こ、今回は、悪逆騎士団から、NPCの、救出系、ミッション、か。お、オブリビオンは、倒す。え、NPCも、守る。りょ、両方やらなくっちゃ、ならないのが、『猟兵』の、辛いとからだな……なんて、な。
ぐ、ぐひひっ。あ、悪辣な、奴らは、悪いこと、する前に、ゆ、UCの、力で、アタシが趣向を、こらした、楽しい、楽しい、迷宮に、ご招待、だ。こ、このUCは、戦場全体に、迷宮を、形成して、オブリビオン、だけを、選択的に、取り込める、から、な。こ、こう言う時には、オブリビオンと、NPCを、分断、できる。
あ、あとは、回復が、追いつかなく、なるまで、トラップアタックで、消耗させて、やろうじゃ、ないか。
フェルト・フィルファーデン
ここまで外道に堕ちるとは、哀れなものよね。ええ、騎士とは何なのか、その身に叩き込んで思い出させてあげるわ。
これだけ大きな街では人手が足りないわ。ならば、人手を増やせばいい。
UCを発動。対象はもちろんデュランダル騎士達よ。
さあ、わたしの傀儡の騎士達よ!処刑されそうな街の人々を救い、護り、騎士としての本文を果たしなさい!
わたしも人形の騎士を連れ共に戦い、人々を救うわ。【盾受け】で人々を庇い大剣で【薙ぎ払って】操れなかった敵を片っ端から片付けましょう。
ええ、アナタ達が無辜の民を傷付けるのならば、世界を滅ぼすのならば、わたしはそれを正し、護り、助けて救う。そのためならば、容赦はしない……!
六六六・たかし
【アドリブ歓迎】
自分達こそが正義であると声高々に言いいながら人々を処刑しようとしているお前らに正義を語る資格など一欠片もない。
悪魔の俺がまとめて蹴散らしてやる!
【SPD】
まずは人々の注目を集めるために
[地形の利用][存在感][パフォーマンス]で高いところに仁王立ちする。
そして大きな声で住民たちに避難を促す。
怪しまれても「なぜなら俺はたかしだから」でゴリ押す。
避難が完了したら
あとは雑兵たちを蹴散らすのみ
魔槍の攻撃を[第六感]で回避しながら
メダルをセット、必殺技『六六六悪魔の絶技』を使用!
まとめて吹き飛べ!
デビル!たかし!スタイリッシュ!!!
●死のワナの超迷宮
「待てぇい!!!!」
『『『何者だッ!?』』』
ヒーローズアースらしい、絵に描いたような台詞の応酬である。
だが仕方ない。処刑寸前に響き渡る謎の声など、まさにカートゥーンだ。
そしておあつらえむきに、ビルの屋上に佇む謎のシルエット! あれは!?
「自分たちこそが正義であると声高に言いながら、人々を処刑しようなどと……。
手段と目的を履き違えたお前らに、正義を語る資格など一欠片もありはしない」
逆光のシルエットが薄らぎ、フードを被った少年の相貌を映し出す。
「ヒーローの手にかける価値もなし! ならば悪魔である俺が、
全員まとめて蹴散らしてやる! 人々よ、今のうちに逃げるがいい!」
はたして彼は何者だ? ヒーローではないというならヴィランなのか?
誰もが困惑し、そして群衆の中の誰かが言った。
「あ、あんたは一体……!?」
「細かいことは気にするな。なぜなら俺は――たかしだからだ!!」
くわわっ。六六六・たかしの有無を言わせぬ決め台詞が炸裂だ!
群衆はわけも分からず逃げ出す。騎士たちがこれを見逃すはずはない!
「とうっ!!」
たかしはビル屋上から跳躍し、騎士たちの眼前に着地した。
しかし多勢に無勢、いかな彼とデビルズナンバーたちとはいえ、
これほどの数のデュランダル騎士を相手では荷が勝つのではないか?
『たかがガキひとり、数で圧すれば恐るるに足らず!』
「たかがひとり、だと? フッ、わかっていないな」
腕組したまま、たかしはフードの下で不敵な笑みを浮かべた。
「――今ここにいる時点で、お前らはもはや俺"たち"の術中なんだよ……!」
『『『何……? こ、これはッ!?』』』
騎士たちは周囲を見渡し、驚愕した。風景が一変している。
そして、目の前にいたはずのたかしの姿も消えている。これは一体!?
……一方、先の広場にカメラは戻る!
拘束されていた人々は、突然の事態に呆然とせざるを得なかった。
「あ、あの恐ろしい騎士たちが、ひとり残らず消えてしまった……」
サラリーマン風の男性がぽつりと呟いた言葉に、フェアリーの少女が応える。
「大丈夫、あなたたちが気にする必要はないわ? さあ、これでもう自由よ。
あいつらはわたしたちが相手をするから、今のうちに逃げてちょうだい?」
フェルト・フィルファーデンは絡繰の騎士たちに拘束を解かせ、微笑む。
猟兵はその特性ゆえに、世界の人々に見た目で訝しませることはない。
人々は少女の言葉に頷き、安全な場所へ避難することとした。
「で、でも本当に、あいつらはどこへ行ってしまったの?」
しかしやはり気になるのか、先程のサラリーマンとは別の女性が問う。
フェルトはもったいつけるように謎めいた笑みを浮かべ、小首をかしげた。
「さあ? ――悪者に相応しい、恐ろしい迷宮にでも閉じ込められたかしら?」
彼女の言葉は、ユーベルコードを知らない人々には理解不能なものだ。
しかしその答えは正しい。では騎士たちは今、どこにいるのか……その答えは!
恐ろしい迷宮。それこそが、騎士たちを呑み込んだ異空間の全てである。
まるで数十年前のレトロゲームめいた、無限に続く石畳とすえた匂い。
古典的ダンジョンめいた風景。デュランダル騎士たちは困惑して周囲を見渡す。
『なんらかのユーベルコードで、我々を分断させたのか……!』
『慌てるな。迷宮であるならば、どこかに出口があるはずだ』
『すぐに脱出し、奴らを皆殺しにしてやる……!』
この場に閉じ込められた騎士は三人。スクラムを組み周囲を警戒する。
どこから不意打ちされてもいいように、魔剣を構えて慎重に出口を探すのだ。
……しかし、先頭を行く騎士が踏み込んだ石畳が、がこんと凹んだ!
『!? う、うわぁああああっ!!』
『どうし……なっ!?』
遺されたふたりは戦慄した。突然足元に間口を広げた落とし穴!
先頭の騎士の悲鳴は、底さえ見通せぬ暗闇に飲み込まれていく。
しばしのドップラー効果のあと……ぐしゃり、という生々しい音がした。
さらに、ごおおおおおっ!! という、おそらくは焔が吹き出す音!
とてつもない深さの落とし穴、底には獲物を焼き尽くす焔の罠が?
だが、騎士たちに訝しむ暇も、出口を探す暇もありはしなかった。
『おい、今なにか重いものが落ちるような音がしなかったか?』
『……あ、あっちだ! 見ろ、大岩が転がってくるぞ!!』
騎士が指差した先、通路の暗闇の向こうから迫る巨大な岩!
ふたりは悲鳴をあげ、落とし穴を飛び越えて通路を走る。
準備のいいことに、大岩が通り抜ける瞬間落とし穴の間口は閉じられ、
ゆるい傾斜のついた通路をごろごろと転がってくるのだ……しかも、加速して!
『が、ぁあああっ!?』
さらに見よ。不用意に走っていた騎士の足を貫く鋭利なスパイク!
痛みにしゃがみこんだ騎士は、迫りくる大岩に悲鳴をあげた……!
「ぐ、ぐひひっ。と、トラップコンボ発動。スコア倍点、だな」
迷宮全体を電脳魔術で見通し、ダンジョンマスターである非在・究子は笑う。
監視カメラめいたいくつもの立体投影映像には、分断された騎士たちが、
致命的デストラップに引っかかって絶命していくさまが映し出されているのだ。
「ひ、非戦闘NPCを捕まえて、しょ、処刑なんて、最悪のイベント、だろ?
お、オブリビオンは斃す。え、NPCも守る。両方やるのが猟兵の辛いとこ、だ」
この迷宮は、究子が自ら設計しトラップをこしらえた特製のダンジョンだ。
騎士どもの散りざまを陰気な笑みで鑑賞するさまは、まるでドラゴンのよう。
しかし中には、これをことごとくかいくぐる手練もいなくはない。
「お、オブリビオンのくせに、なまいきだ。そ、そういうやつには……」
ぽちり。明らかに危険そうな赤いボタンを押す究子。すると!
「フン、出番が来たか。この程度で終わってもらっては困るからな」
手練の騎士の前に転送されてきたのは、腕組したたかしである。
敵が体勢を整え、魔槍を擲つのを待つという余裕ぶりだ。
弾丸めいた魔槍を軽くかわし、たかしはデビルメダルをセット!
「お前らの墓場はここだ。さあ、潔くまとめて吹き飛べ……!
デビル! たかし! ――スタイリッシュッ!!」
ギュンッ! 色付きの風となったたかしの連撃が騎士を襲う!
『が、はあっ!!』
「誰にも看取られず、顧みられることなく散れ。お前に似合いの最期だ」
背中を向けたたかしが言った瞬間、騎士は盛大な爆発に呑まれた……!
そして別の通路。出口と思しき光を目指し、堅強な騎士が注意深く進む。
『……? なんだ、あれは?』
しかし、何かが出口からやってくる。猟兵か? いや、あれは……!
ゾンビめいて物言わずに魔剣を構える、同胞たる騎士ではないか!
「さあ、わたしの絡繰の騎士たち。そして、眠りに落ちし傀儡の騎士たちよ!
人々を救う役目は終わり。ここからは、寝付きの悪い子たちを仕置しましょう」
騎士たちを侍らせるのは、フェアリーの王女。浮かべた笑みは酷薄。
その可憐なる号令に従い、騎士たちは剣を掲げた。
『バカな、我らの仲間を洗脳したのか……!?』
「わたしはアナタたちの暴虐を許さない。それを糺し、人々を守り救うわ。
そのためならば、なんでもしましょう。そして、決して容赦しない……!」
王女は指を差し向ける。
「行きなさい! この世界を冒そうとする愚か者を滅ぼすのよ!」
騎士たちが殺到する。響き渡る悲鳴……そして、断末魔。
死のワナの迷宮に囚われたら最期、もはや脱出は不可能なのだ。
悪党どもの死に様は、誰にも看取られることなく闇に消えていく。
それはまさに、人々の死を以て絶望を振りまこうとした者に、似合いの末路だった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
浅倉・桜雅
アドリブ歓迎
さて、あの捕らえられている人々を救わねばなりませんか。
敵は数が多い、ともすればまずは奴らをあの場所から引き剥がしましょう。
さあ、頼みますよ牛鬼!
対価?あのオブリビオン達であればいくらでも食べて構いませんとも!
西洋の剣士達のようですし、貴方も体験したことない味なのでは?
よっしやる気出しましたね!さあ、まとめて薙ぎ払いましょう!
というわけで大声を張り上げつつ敵の多い方へ突っ込みます!
いっくぞおおおおおおおおおおおおおお!!!
引き剥がしたらそのまま牛鬼の力を借りた一撃で敵を叩き潰します!
さすがにまとめて、とは行かないでしょうけれど、何体かなら!!
己の正義を忘れたものに、負けはしません!
ティオレンシア・シーディア
※アドリブ掛け合い絡み大歓迎
まったく…凄まじくタチの悪い手段に出てきたわねぇ。
…ホント、こういう時ほど予知能力がありがたいって実感できることもなかなかないわねぇ。
目立つのは得意じゃないし、救出に回ろうかしらねぇ。
○ダッシュで走りこみつつ○クイックドロウからの●封殺で〇武器落とし。
作る隙は一瞬で十分。人質を○怪力で引っ掴んで○逃げ足で離脱するわぁ。
離脱ついでにスモークやスタングレネードを〇投擲でバラ撒けば逃げやすいかしらねぇ。
人質さんを避難させたら○鎧無視攻撃の封殺を○一斉発射。立て直す時間を与えず○先制攻撃の○乱れ射ちで一気に潰すわぁ。
余計な事されたらたまんないもの。きっちり仕留めきるわよぉ。
ヨナルデ・パズトーリ
ふむデュランダル、なあ
ま、コンキスタドールに民を滅ぼされた身としては余り彼奴等は好かんが己の
意志に反する所業をさせられる状態は同情する故止めてやろう
広場という注目を集め易い広場という『地形を利用』
『目立たない』様に動く時とは逆に気配を強め『存在感』を強めた上で某教徒達への
怒りを『恐怖を与える』様な『殺気』に変えて一般人や騎士の目を此方に向けさせる
其の上で広場にある物や『地形を利用』して一般人と騎士を分断する様に『先制
攻撃』を騎士に叩き込む
一般人を巻き込まない様に『呪詛』を込めた『鎧無視攻撃』の『二回攻撃』を
叩き込む
敵の攻撃は『野生の勘』で『残像』で回避
流れ弾が一般人に行きそうなら『オーラ防御』
ヴィヴ・クロックロック
下された指令は目立て、あるいは処刑を止めろ。しかし時間がないと来た。では同時に行うのが一番手っ取り早い、幸い私は一人ではないしな……。
現場のなるべく高いところに陣取り私は全力で歌う!私は音楽の力を信じている、ならば絶望の中でこそ歌は鳴り響くべきだ、奏でられるべきだ。しうして私が目立っている間にUCを使いだしておいた兄弟(ゾンビ)たちに善良な人々の避難誘導をしてもらうというわけだ。騎士たちが動きだしたら歌いながらでも戦ってやろう。歌へのクレーム?来るわけがないがもしも来たのなら飲み込むしか……。
※共闘協調アドリブ大歓迎です
シャーロット・キャロル
罪なき人々の処刑とは絶対に許せません!このマイティガールが阻止してみせます!
予知により処刑が実行される地点は割り出されてるとのことなのでその現場に急行、到着しだい派手な登場で敵の目を引き付けますよ!
出来るだけ高い場所からビシッと名乗りです!
「処刑なんてこの私がいる限り許しません!このマイティガールがお前たちを成敗します!」
そのまま一気に敵と戦闘開始です!処刑する暇なんて与えませんよ!
【マイティスパークキャプチャー】で相手を捕まえてはぐるぐるぶん回しては叩き付けてド派手に立ち回りますよ。
派手に動けばさらに処刑に対する陽動にもなるでしょうし。
【アドリブ、連携大歓迎です】
ユースティ・アストライアー
◇アドリブ、絡みOK
◇一人称「私」、二人称以上「名前+さん」
地味な格好(スーパーウィッシュ・アイギスウェア)で登場
処刑儀式のターゲットになる
処刑されそうになった瞬間
スーパーウィッシュガールの衣装に変身
UCスーパー・ジャスティス使用で空中を飛ぶ
スーパーウィッシュガール、ここに参上です!
何と惨いことを!私の故郷で悪事はさせません!
故郷を踏みにじられた思い、殺された人々の無念、そして湧き上がる正義の意思によって強化された戦闘力と【怪力】を用いてアイテム、スーパーウィッシュ・アテネソードで攻撃します!
アテネソードやアテネランスで近距離攻撃
アームドフォートで遠距離攻撃
●ヒーローズ・カーニバル!
マンハッタンが誇るスポーツアリーナ、マディソン・スクエア・ガーデン。
渡航経験のない者でも、その名を耳にした者は少なくないはずだ。
ニューヨーク市に数多く点在する観光名所の中でも、特に有名であろう。
だが……そこはいままさに、オブリビオンの大群によって制圧されてしまった。
場所が場所なだけに、デュランダル騎士の規模も他のスポットを大きく上回る。
百人をゆうに超える騎士たち、そして引き連れてこられた多くの"罪人"……!
(さすがにあれほど巨大なアリーナの前では、敵の数も異常ですね……)
學徒兵の少女、浅倉・桜雅は群衆に身を潜め敵の隙を伺う。
だが、騎士たちの警戒は強く、人々を救出するような隙は見当たらない。
いっそ自らが注目を集め――いや、それはガラではないし命知らずの行いだ。
今は悔しさと怒りをこらえ、チャンスを待つしかない。それが歯がゆかった。
(! あんな若い人まで……!)
桜雅が見咎めたのは、憔悴した様子の金髪の少女であった。
両手首を腰後ろで拘束され、恐怖すら枯れ果てた様子でうつむいている。
必ず救い出さなければなるまい。しかし一体、どうやって……?
「……まったく同情しか湧いてこないな。騎士ともあろうものが情けない!」
『『『!!』』』
(! 私以外に猟兵が……?)
騎士は、そして桜雅を含む群衆は、突然の大音声に視線を奪われた。
アリーナ前の広場、100cmほどの小さな背丈の少女がひとり仁王立ちしている。
無表情ながら、その双眸に籠められたものはまったき怒り、そして殺意。
小さな体躯と裏腹に、全身から溢れる威圧感めいたものは筆舌に尽くしがたい。
それが神たる身が持つ一種の神気であると気づいた者は皆無であろう。
『貴様……そこのガキ、何者だ!』
「妾の名はヨナルデ・パズトーリ! 異教の徒どもよ、聞くがいい!!」
幼い少女とは思えぬ、不思議とよく響く声音で、ヨナルデは名乗った。
「我ジャガーにして煙吐く鏡、テスカトリポカにしてケツァルペトラトルたる者!
その蛮行、見るに耐えぬ。ここで止めてやるのが神たる身の慈悲である!」
『フン、侵略され滅んだ弱小の化身がよくほざく。貴様ひとりに何が出来る!』
己のアイデンティティであり最大の慚愧。いわば竜の逆鱗。
それを踏みにじるような物言いに、ヨナルデはカッと双眸を見開く!
「囀ったな! ならば民とともに在ったかつての妾の猛き力、見せてやろう!
神意の刃にその身を断たれ、その痛みと後悔を魂に焼き付けるがいい……!!」
ぞわぞわと黒い霧めいたものが集まり、ヨナルデの姿を変じさせる。
それはジャガーを思わせる黒曜石の鎧。手にするは巨大な黒曜石の斧。
背中からは血なまぐさい骨の翼が生え、神たる身を示すように広がった!
なんたる威風。しかし数を揃えた騎士たちはおののくことなく剣を構える!
『前衛はそいつを殺せ! 我々はこのまま処刑を強行する……!』
「ほう? ――なるほど貴様ら、どうやら気づいておらぬようだな?」
『何……ぐわあっ!?』
その時である。ヨナルデの言葉を訝しんだ騎士が、何かに吹き飛ばされた!
それは今まさに、魔剣の錆にされそうになっていたはずの金髪の少女だ。
だが何の変哲もない少女めいた姿は、一瞬にして変わっている。
そう、変身している! 赤と青を基調とするヒーローらしいコスチューム!
一変した少女は、赤いマントを翻らせて高く高く空を翔んだ!
「あ、あれはなんだ!?」
「鳥か!?」
「飛行機か!?」
「いや、違う! あれは――スーパーウィッシュガールだ!!」
状況を見守っていた群衆が口々に叫ぶ。太陽を背に空に屹立するその姿!
ヒーローズアースの人々は知っている。希望の星たるその姿、その輝きを!
「人々の幸せを護るため、スーパーウィッシュガールここに参上ですっ!!
どうやら、私の変装を見破ることは出来なかったようですね。騎士たちよ!」
スーパーウィッシュガール――いやさユースティ・アストライアーは、
正義の怒りを燃やした双眸で、堕落した騎士たちを睥睨した。
そう、彼女はあえてそれとわからぬように変装し、囚われの人々に紛れ、
敵の不意を打つチャンスを虎視眈々と伺っていたのである!
(……わ、私もわからなかった……!)
群衆のなかで、さりげなく桜雅がショックを受けているのは置いておこう。
「ですがもはやこれまで。これ以上、私の故郷で悪事はさせません!
……そう、故郷を悪によって奪われる痛みは誰もが同じ。違いますか?」
スーパーウィッシュガールの言葉は、ヨナルデにも向けられたものだ。
神の力を斧にたたえた少女は、苦笑めいた表情で肩をすくめる。
「この場で遺恨を語るつもりはない。オブリビオンを滅ぼす、そうであろう?」
「よかった……ですが、戦うのは私たちだけではないのですっ!」
スーパーウィッシュガールは謎めいて言い、空の彼方を指差した。
おお、青空をすさまじいスピードで翔ぶ謎のシルエット。あれは一体!?
ツインテールに結った金髪、青を基調としたコスチュームと赤いマント。
スーパーウィッシュガールとよく似た、しかし全く異なる新たなヒーロー。
何よりもふたりに共通しているのは、その瞳に燃える正義の輝きだ!
「どうやら間に合ったようですね! ふふっ、ヒーローは一人ではないですから!
正義の心胸に秘め、マイティガールただいま推参、ですよ!!」
鋼の体に強き心を宿した正義の乙女、シャーロット・キャロルの登場だ。
ふたりのスーパーガールは互いの瞳を見つめ、力強く頷いた。
悪あるところに正義あり。この世界はヒーローズアースなのだから!
「罪なき人々の処刑……たとえ天が許そうと、このマイティガールが、いいえ!
私たちヒーローと、猟兵の皆さんが許しません! 覚悟してくださいっ!!」
まさしく希望の象徴。心強き味方の登場に、群衆は沸き立った!
「これは……妾も負けられぬな? さあ参るぞ、騎士どもよ!」
ヨナルデは不敵に笑い、口火を切った。黒曜石の斧が地面を穿つ!
KRAAAAAASH!! アスファルトを叩き割るその衝撃と轟音が、戦いのゴングだ!
「と、登場するタイミングを逸してしまいましたね、これは……!」
人波にさらわれないようこらえながら、桜雅は言った。
ヨナルデの強烈な先制攻撃により、地割れが人々と騎士を分断した。
だが、囚われた人々はまだ救出されていない。今こそ動くときだ!
「浅倉・桜雅、義によって助太刀いたします! いっくぞぉおおおおおお!!」
『新手だと!? どこに潜んでいたのだ!?』
「最初からここにいましたとも! ヒーローには負けていられません!
――悪魔憑依、来たれ牛鬼! 人々を恐怖させたかつての力を私に貸して!」
桜雅は退魔刀で虚空を斬り裂き、ダイモンデバイスを高く掲げた。
切り裂かれた空間の向こう、この世ならぬ異界より現れる異形の悪魔!
『我が力を求めたる者よ……差し出す対価はいかに?』
「あのオブリビオンたちであれば、いくらでも食べてかまいませんとも!
西洋の剣士たち……東洋の悪魔であるあなたは体験したことない味でしょう?」
『……面白い! 興が乗った。契約に従いて、我が力を貸し与えん……!』
異形が揺らめく妖気に変じ、桜雅の体に吸い込まれていく。
悪魔憑依は危険な術式だ。悪魔憑きである桜雅だからこそ扱える。
カッ! と両目を見開いた桜雅は、迫りくる騎士を一刀のもとに吹き飛ばした!
KRAAAAAAAASH!! アスファルトを剥がすほどのすさまじい剣圧だ!
「す、すごい力……!! 私達も行きましょう、スーパーウィッシュガール!」
「ええ、ここはふたりの力を合わせる時よ、マイティガール!」
空飛ぶダブルヒロインの体を、金色のオーラが覆う。
スーパーウィッシュガールが高めた意志の力を、マイティガールが共鳴させ、
相乗効果によってさらに増強しているのだ。輝く姿は太陽の如し!
『くっ……! ここは撤退し、再起を……』
「逃しません! マイテイスパークキャプチャー!!」
シャーロットの両手から電撃の網が放たれ、逃げる騎士を絡め取る。
そしてぐるぐると砲丸投げの砲丸めいてぶんまわし……KRAAAASH!!
『グワーッ!?』
「人々の怒り、その身で味わいなさいっ!」
そこへスーパーウィッシュガールが大剣アテナソードを振り下ろす!
騎士は一撃で粉砕され、微塵に散る。すさまじいヒーローパワーだ!
『囲め! 数はこちらのほうが上だ、一体ずつ仕留めろ!』
「ほう……たかが騎士ごときが、妾を囲んだ程度で仕留められると?」
四方を包囲され、しかしヨナルデは不敵に笑う。
黒曜石の斧を担ぎ、鎧袖一触吹き飛ばそうとした……その時!
キィイイイイン……! 突如として響き渡る謎の強烈ノイズ!
「な、なんじゃこのすさまじい不協和音は……!?」
『『『グ、グワーッ!?』』』
思わず耳を抑えるヨナルデ。だがそれは騎士たちも同じだった!
では、これは敵の攻撃ではない……? まさか!
カメラをマディソンスクエアガーデンの頂点付近に移そう!
そこに立つのは、緑色の髪を風になびかせ力強く歌うダンピールの女である。
……そう、歌っている。頭を割らんばかりのこのノイズ、歌声なのだ!
サウンドソルジャーだのに、すさまじい音痴なのである。
その当事者……ヴィヴ・クロックロックは、息継ぎとともに眼下を見やった。
苦しむ騎士たち。……と、猟兵たち。ついでに群衆と囚われた人々。
「なんだ!? まさか、敵の秘密兵器か何かか……!?」
ありがちなことに、ヴィヴは自分の音痴ぶりを自覚していなかった。
見た目にそぐわぬ35歳独身ダンピール、間違った方向に意気込みを深める。
「こうなったら、絶望を払えるように私が全力で唄わねば……!
兄弟たちよ、その間に人々を頼むぞ! 私は唄の力で運命を変えてみせる!!」
四体の武装したゾンビたちは、顔を見合わせて肩をすくめて頭を振った。
言っても無駄だこりゃ、みたいな顔をしている。ゾンビなのに。
「ちょ、ちょっと! あなたですか!? いまの音波……う、歌声は!」
「? そうだが? 案ずるな、私は君たちの心の強さを信じている。
私には歌うことしか出来ないが……それを支えに、どうか戦ってくれ!」
「いや、いいですから! 歌わなくていいですから!!!!」
目の前に飛んできたマイティガールの言葉に、ヴィヴは首を傾げた。
「……え? もしかして私、また何かしてしまったか……?」
「前科ありなんですか!? とにかく唄はいいですから、お気持ちだけで!」
「しかし唄の力が」
「いい! です!! から!!!!」
スーパーヒーローのものすごい"圧"に、しょんぼりマイクをしまうヴィヴだった。
なんだかてんやわんやの戦場、その裏では。
「ようやく収まったわねぇ、なんだったのかしら今の音波兵器ぃ……」
人質を安全域に離脱させたティオレンシア・シーディアが、
まだガンガンと続く頭痛を振り払うように、頭を振った。
彼女は(少なくとも自身の認識では)魔術も使えないただの人間だ。
スーパーヒーローのように空を飛ぶことは出来ないし、
あんな神のパワーを振るうことも、悪魔を召喚することもできない。
……もちろん、とてつもない音波兵器を撒き散らすこともできない。
そんなわけでティオレンシアは隠密行動に徹し、人質を救出していたのだ。
なにやら妙なゾンビたち(敵意はなさそうなので信用した)にあとを任せ、
ティオレンシアは愛用のリボルバーを構える。……追っ手の騎士たちへと!
「あらぁ? 出し抜かれたからっていまさら追いかけてきたのかしらぁ?
あいにくだけどぉ、しつこい男は嫌いなのよぉ――だから死んでくれるぅ?」
BLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAMBLAM!! リボルバーとは思えぬファニング!
魔剣を、槍を振るう前にそれを銃弾によって撃墜する見事な業前だ。
そして弾丸は、続けざまに強固な鎧と兜を撃ち抜いて敵を絶命させる!
「……ま、派手なおかげでこっちは裏方に回りやすいのはなによりねぇ」
アリーナの入り口から、ティオレンシアは空を見上げた。
「逃しません!」
スーパーウィッシュガールのアームドフォートが騎士を撃滅し、
「民に手を出そうなどと恥を知るがよい!」
人々を庇ったヨナルデの斧が、愚かな残骸を吹き飛ばし、
「これ、私も案外ヒーローやれるんじゃないでしょうか?
……だったらもっと目立たないと! さあ、まだまだいきますよおおお!!」
牛鬼の力を振るう桜雅が、敵の退路を断ち、
「……やはり歌うしかない。あのクレームはきっと何かの間違いだ!」
例にもよってマイクを構えたヴィヴをゾンビたちが全力で制止し、
「これで最後です! マイティ・ハイキーーーック!!」
マイティガールのスーパーパワーが、オブリビオンに終わりをもたらす!
ティオレンシアにはそぐわない、お祭り騒ぎめいた大立ち回り。
「――けど、明るいとこにほど影って伸びるものなのよねぇ」
そして女フィクサーもまた、新たな弾丸を装填し銃を構えた。
敵は一匹たりとて逃さない。それが猟兵たちの、強き決意の答えなのだ……!
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
アルトリウス・セレスタイト
計画が露呈しない工夫もすべきだったぞ
天楼で捕獲
対象は戦域のオブリビオン及びその行動全て
「迷宮に囚われた」概念で縛る論理の牢獄に捕らえて内より外への干渉を阻み、同時に存在消去での殲滅を狙う
目標の位置と状況は『天光』で常時把握
出口は自身に設定
抜けるなら迷宮を踏破し俺を超えるか、或いは破壊するか
最も攻撃も自壊し消える。急げよ
捕獲中も魔力を溜めた体内に迷宮を構築、保持しておき、脱出もしくは破壊に至れば即座に次の迷宮を展開し逃さない
必要な魔力は『超克』で“外”から汲み上げ供給
抜けられぬ限り処刑の実行は不可能
囚われた人達は他の猟兵が逃がすだろうが、手近に動ける者がいなければ自身が解放しておく
●その蒼光、逃れられるものはなく
小規模・大規模問わず、ゲリラはニューヨーク市全域に広がっている。
場所によっては、他の騎士たちの処刑儀式を陽動としている連中もいるのだ。
正義を謳いそれを糺そうとする騎士には、あまりにもそぐわぬ所業。
それこそが、オブリビオンと成り果てた騎士たちの矛盾を示していた。
――だがどれほど隠れ潜もうと、その男の目は逃れられない。
処刑儀式のため、囚えた人々を密かに輸送していた部隊。
その騎士たちはいま、白く染まった無機質な空間に囚われている。
『なんだ、これは……!?』
『我々の隠密行動が、感づかれたというのか!?』
『一体誰が、どうやって……!』
慌てふためく騎士たちは、頭上から注がれる視線に気づいた。
見上げれば、そこには焼け付きた灰のように白い肌の男がひとり。
見下ろす藍色の双眸には、憐憫はおろか侮蔑も嫌悪すらも浮かんでいない。
まるで路傍の石を見やるかのような、無機質で無慈悲な眼差し。
それは、騎士たちを取るに足らぬものとみなした者の瞳であった。
「御大層なお題目を掲げる割に、やることはこそこそ隠れて人さらいとはな。
その信念も杜撰な計画も、何もかも三流以下だ。よくもまあ実行したものだ」
『貴様……! 我らを嘲るか!?』
「事実を述べたまでだ。そもそもお前たちはもう"終わっている"」
アルトリウス・セレスタイトは、淡々と言った。そこに感情はこもらない。
すべて事実であり、この空間――天楼に標的を捕らえた時点で、
彼が為すことはすべて終わっているからだ。
「俺はお前たちの言う、正義だの悪だのにあまり興味はない。
だが、道義にもとる行いを見逃すつもりはない。ましてやオブリビオンならば」
騎士たちは魔槍を構えようとして、気づいた。
手足が……その指先から、ボロボロとほつれて崩れていることに。
『う、うおおおあああっ!?』
「……思ったよりも疾いな。噂の騎士団もこうなっては雑魚も同然か」
アルトリウスは双眸を細める。
「この迷宮は俺を破壊しない限り逃れられん。だがすでに"次"は準備済みだ。
もう一度言う。――お前たちは、"終わっている"。それでもなおあがくか」
騎士たちは応えない。そのための力すらも存在原理が滅ぼしていく。
「……誰にも知られぬまま、何一つなせぬまま、無為と後悔の中で滅びろ。
人々を苦しめ、恐怖させたお前たちには、その末路が似合いだ……」
冷たい方程式は、捕らえた者に別け隔てなく降り注ぐ。
超克の魔力を操る男は、もはや崩壊する獲物を振り返らず姿を消した。
淡い燐光だけが、憐れな残骸の末路を照らし出していた――。
大成功
🔵🔵🔵
ナイツ・ディン
「人助けも冒険者家業だよな!人質を奪ってやろうじゃないか!」
『ふん、力で支配せずに心から支配とは脆弱な。気に食わん。』
竜槍で紅竜の『ディロ』的にはあまり好きではないご様子。
目立たない、ダッシュ、聞き耳で素早く移動。足音すら惜しいので翅で低空飛行。小柄な体躯を生かして潜り込むぜ。
余裕があるならユーベルコードの《紅竜の夢見た世界》で人質を『ディロ』で喰ってしまおう。余裕がなければ咄嗟の一撃、武器受けで敵の攻撃を防ぐぜ。
「冒険者――いや、ヒーローの登場だぜ!」
と安心させるようなことを言っておこう。目立つことも出来る発言だしな。
槍使いとして負ける気はないぜ?俺の槍は竜の牙だ、鎧無視攻撃で貫いてやるぜ!
●ドラゴンライダー・ハズカム!
猟兵は、世界の守護によって様々な恩恵を受けている。
そのひとつが、"どんな外見であろうと違和感を持たせない"というものだ。
たとえ鋼の異形であろうが、手のひらサイズの妖精であろうが、
それと違和感を持たせることなく、言語の壁を越えて世界を渡り歩ける。
ヒーローズアースでもそれは変わらない。が……。
「あ、あれはなんだ?」
「ドラゴンだ! どうしてこんなところに!?」
突然姿を現した男と、彼が背に乗る赤き龍に、群衆はどよめいた。
しかしもっとも激烈な反応を見せたのは、言わずもがな騎士たちである。
『貴様か! 我らが囚えた人間どもを奪い去ったのは!』
「奪い去った? 人聞きの悪いこと言うじゃねえか! だがその通りさ!
もっとも、最初っからお前らのモノじゃあないだろ? 悪党ども!」
ナイツ・ディンは、その小さき体に自信と不敵を漲らせて笑った。
彼を背に乗せる紅龍ディロは、呆れたようにため息をつく。
「おい、なんだろディロ。いまさら乗り気じゃないなんて言うなよな。
人助けも立派な冒険者稼業だろ? こうして大成功したんだし! な!」
『……ふん。そのことはどうでもよい。我が気に食わぬはあやつらよ』
誇り高き紅龍は、ふんすと鼻を鳴らして眼下のオブリビオンを睥睨する。
『力で支配せずに心から支配するとは、なんと脆弱な。だがそれだけではない。
いかに我が手を貸したとはいえ、こうも簡単に出し抜かれるとは惰弱の極み!』
然り。ナイツは騎士たちの隙を突き、人々を完全に救出せしめたのだ。
囚われていた人々はいま、紅龍の口の中に取り込まれている。
……何も喰ったわけではない。それが彼のユーベルコードなのだ。
きっと今は、平和な青空の下で安堵のため息をついているだろう。
「さあて。それじゃあお前らを倒して、そろそろ仕上げといこうか!」
ナイツはにかっと笑い、状況を見守る群衆に高らかにこう言った。
「冒険者――いや、ヒーローの登場だぜ! クライマックスを楽しんでくれ!」
『ほざけええっ!!』
怒りの騎士が魔剣を振り上げる。ディロは羽ばたきで敵を退けた!
そしてナイツが跳躍すると、その体を槍に変じさせ彼の手の中へ。
『あのような雑魚どもに遅れを取るなよ!』
「言われなくても心配無用さ! 今日の俺は――ヒーローだからなっ!!」
魔槍を弾き、ナイツは速度を乗せた槍の一撃を叩き込む。
鋭く振り下ろされたその矛は、まさに龍の牙そのものだ!
『が……ッ!?』
一突きで強固な鎧を貫き、オブリビオンを絶命せしめる。
「ひとりひとりじゃ埒が明かねえ、一気に行くぜっ!!」
周囲を取り囲む騎士たちを、強烈な横薙ぎの振り払いで吹き飛ばす!
魔剣も、混沌の槍も、何一つとして彼には通用しないのだ。
それは彼がフェアリーだからか? あるいは猟兵だから?
それもある、だがそれだけではない。最たる理由は彼の言うとおり。
「覚えときな――悪党がヒーローに勝てることは、絶対にないんだぜ!」
人々の期待と応援を背に受けて、悪を糺すために戦う戦士だからだ。
最後の騎士をその槍が貫いた時、群衆は歓声を以て彼を称賛した!
大成功
🔵🔵🔵
穂結・神楽耶
善とは、恐怖と悪意の前には容易く摘み取られる感情。
ですが、それが尊いものであることはよくよく知っています。
だから、守らねば。
何を賭してでも、斯様な儀式は止めねばなりません。
【朱華残焼】──
欲しいのは飛行能力だ。
上空から、最高速度で処刑儀式場へと突貫。
囚われていた人を《かばう》位置へ降りよう。
炎を纏っているからな、貴様らより目立つろうよ。
さて、鋼の騎士よ。
貴様の嫌う正義を守りに、猟兵が此処に来たぞ。
無辜の民を襲うなら、まず我を倒してからにするがいい!
そう人々を鼓舞し敵を挑発。
騎士たちを存分にこの身に引き付け、刀と炎で相手仕ろう。
何。
ひとを守る場で、我は二度と負けるものか。
ヘンリエッタ・モリアーティ
処刑ねえ。派手なことやってくれるじゃない
でも公の場でやるあたり、発想が三下よ
――出直してらっしゃい、坊やたち
【苦界包よ円環竜】でまず人質の救助を
眼鏡に仕込んだA I「応龍」で相手の行動を解析、ルート上で救出可能な人数を割り出し対象を絞ります
なによりも人命の救助を優先すべきでしょ?
私は「私が」助けられる範囲でしか助けませんが
こんにちは。ダークヒーロー・「ウロボロス」です
記憶に刻んで死ね
騎士たちとの交戦は真面目に行いますよ
永縁刀「紫衣紗」を怪力で奮ってギッタギタに派手に散らかしてあげましょう
そうしたほうが他の人も助けやすいでしょうし、ヘイトはもらうわ
――なんで助けるかって
そりゃあ、仕事ですもの
ゼイル・パックルード
●プレイング
その性が悪?そういうのは俺みたいなヤツのことを言うんだぜ?
善悪じゃなく、自分の欲のためにお前らみたいなヤツと戦えるヤツをな。
人助けは趣味じゃないが、思惑を潰すのは大好きでね。
儀式をやるっていうなら、派手に彩らなきゃな。ってことで炎の竜巻を起こして人の注目をこっちに集めるようにする。なんて、邪魔しちまったかな?
後は焔で人と敵を分断させるようにするかね。
基本的には周りを高速で動きながら鉄塊剣で敵の槍を武器受けで捌きつつ、崩す。そうしたら槍の振りづらい間合いに入って、UCの蹴りと竜巻で攻撃する。
囚われた奴らは、ある程度敵が減って、余裕ができたら逃がしてやるさ。
●双炎に揺らぐは輪廻の龍
ニューヨーク市マンハッタン五番街、セントラルパーク東端。
大階段の上に佇むのは、世界最大級として知られるメトロポリタン美術館だ。
アメリカ全土のみならず、この世界中の多くの人々から愛される美の殿堂は、
いまや血なまぐさい処刑儀式の執行場へと変貌していた。
正しくは、これから変貌する――と、言うべきところだろう。
集められた群衆は、大階段の下から美術館を恐怖とともに仰ぎ見る。
そこには、さながら人身御供の祭壇めいて君臨する騎士たち。
そしてこれから頸を刎ねられる運命にある、憐れな無辜の人々である。
まだ。かろうじて血は流れていない。騎士たちがもったいつけている。
しかしほどなくして、その首は落とされ血が大階段を汚すだろう。
誰もがその運命を確信していた。しかし誰にも、どうにもできなかった。
常人でしかない群衆に何が出来よう? 相手は過去から蘇りしオブリビオン。
ヒーローやヴィランならばいざしらず、徒党を組んだ相手に挑むなど……。
義憤に衝き動かされたところで、待っているのは死の憂き目だ。
いや、一思いに殺されるだけならばまだいいだろう。
この場で歯向かえば……それはつまり、あの処刑者の列に加わるということ。
無関心ではいられない。救われることをただ願わずにはいられない。
その無力さと後悔こそが、恐怖とともに絶望を刻みつける最高の滋養なのだ。
『そうだ。恐れろ。そして畏れよ。真なる正義の執行者たる我らを。
そして識れ。正義など仮初のものに過ぎず、何の意味も持たぬことを……!』
この世の帝王か何かにでもなったつもりか、騎士のひとりが講釈を垂れる。
なんたる悪辣。そして見るに堪えぬオブリビオン化による歪みだろうか。
心正しき者ならば義憤を燃やし、怒りとともに憤激したことだろう。
しかしてここに降り来たのは、"そんな生易しいもの"ではなかった。
――まずはじめに現れたのは、炎である。
ひとつではない、二つだ。騎士の正面と背後、それを囲むように。
かたや燃えるのは地獄の炎。くろぐろと闇に揺らめく恐ろしき輝き。
それによって鍛えられた人型の鉄めいた、浅黒い肌の金眼の男。
……男は笑っていた、何がおかしいのか、軽薄ですらある笑みを浮かべていた。
狂っているのだろうか? あるいは、そうかもしれぬ。
ゼイル・パックルードは、どうしようもなく戦に焦がれた狂人なのだ。
「なあ。そんなただの人間を捕まえて、悪だなんだと云うのはおかしいだろ?
――"性根が悪"ってのは、もっと我欲に正直なヤツのことを言うんじゃないか」
たとえば、俺のようにな……と、ゼイルは獰猛な笑みを浮かべた。
正義、正義、正義。己には無縁の言葉だ。嫌悪も沸かぬほどにどうでもいい。
ただ思い上がった輩の思惑を潰すことは、それほど悪くない。
――過去の残骸を焼き尽くし滅するのは、輪をかけて楽しい戯れだ。
そしてもう一つ。空から降り来たった、人々をかばうような炎の輝き。
されど燃え上がる朱の華は、正義の炎とはあまりにも言いがたい。
揺らめく陽炎を見つめていると、不思議と体の芯がぞっと冷えるのだ。
それは錯覚ではない。なぜならその炎は破滅の炎、終わりをもたらす炎。
あるべき幸せを薪として燃え上がる、何一つ生み出さぬ虚無の揺らめきだ。
「……さて、鋼の騎士よ。ご覧の通りだ。猟兵がここに来たぞ」
赤黒の炎に右目を焼かれた、白装束の女がうっそりと言った。
彼女を――穂結・神楽耶のことを"浅く"知る者がそのさまを見たのなら、
あまりの変貌ぶりに瞠目せざるを得ないことだろう。
人のよい穏やかな笑みも、艷やかなぬばたまの黒髪も枯れ果てて、
それはまさに残骸めいていた。オブリビオンに限りなく近い、異なるモノ。
人のねがいを叶えるために戦う、けなげな乙女の真なる姿。
ねがいを叶えられなかった、あわれな神の残骸である。
「貴様の嫌う正義を守りに。貴様らが罪人と嘯く無辜の民を護るために。
苛立つか。憎らしいか。ならば、我を打ち倒してみせるがいい」
決然たる言葉。それは群衆の心に少なからぬ救いをもたらした。
ただ、なぜだかあまりにも……か弱く脆く見えたのは、気のせいか。
「もっとも――我らの炎と、"龍"を屠れたらの話、だが」
神楽耶の謎めいた物言いは、その直後に証明された。
ぞっとするような殺意とともに、"龍"がそこに現れたからだ。
その姿を見た時、ゼイルは片眉を吊り上げて笑みめいたものを浮かべた。
驚いたような、納得したような、なんともつかぬ表情である。
現れたのはただの女だ。そうとも、見た目こそは理知的な女である。
しかし騎士たちは理解した。理屈ではなく本能によって。
彼女こそが――ヘンリエッタ・モリアーティこそが"龍"であると。
「ああ、ああ、だらしない」
現れるなり、ヘンリエッタは呆れたように頭を振った。
「こんなわかりやすい公の場所で、処刑だなんて派手なことをやらかして。
着眼点は悪くない。けれど発想が三下よ。これでは何もかも台無しだわ」
眼鏡を外し、ふうと憂いを帯びたため息をつく。そして一言。
「――出直してらっしゃい、坊やたち。名乗りはしてあげましょう。
ダーク―ヒーロー"ウロボロス"です。その記憶に刻んで、さっさと死ね」
ヴィランではない。だがヒーローというには、あまりにも。
思い出したようにヘンリエッタは背後……怯えた人々を振り返り、言った。
「逃走経路の安全は確保済みです。どうぞご自由にお逃げください」
彼方を示す。拘束はいつのまにか解かれていた。
人々は得も知れぬ迫力に慄きながら、当惑しつつも逃げ去っていく。
それを見送ってから、ヘンリエッタはたゆまなき銘刀を鞘走らせる。
「一番槍、頂いても?」
ヘンリエッタはふたつの炎をちらりと見やり、伺うように言った。
視線で答えを得た龍は、迅雷じみた速度で踏み込む。三日月じみた斬影!
いつ攻め込まれようと反撃できるよう備えていた騎士が、たったい一撃で、
胴体を両断され、紙くずか何かのように吹き飛んだ。残骸は塵すら遺さない。
「せっかく来たんだ、俺も楽しませてもらうぜ」
鉄塊剣を手に踏み込んだゼイルの炎と、
「――欠片も遺さぬ。疾(と)く滅びろ」
結ノ太刀を振るう神楽耶の滅びの炎が、残骸を呑み込んだゆえに。
『か、構えろ! 数はこちらのほうが』
「数"だけ"でしょう? どこまでも三下なんですね」
ぐしゃんッ!! 平然と振るわれた龍の太刀が騎士三体を"粉砕"した。
ならば退こうとすれば、両目を爛々と燃やしたゼイルが間合いを詰めている。
振り返りざまの魔槍刺突。鉄塊剣でこれを受け、巧みに体勢を崩す。
よろめいたところへ業火の一撃。回転によって生まれたのは紅蓮の竜巻。
「所詮はその程度か。――他愛もない」
紅蓮の竜巻を意に介さぬ神楽耶の神刀が、撫ぜるように鎧を割いた。
ただそれだけで、斬撃痕が燃え上がり、破滅の炎が騎士を呑み込んでいく。
阿鼻叫喚すらもない。あまりにも一方的で、淡々とした殺戮であった。
『な、なぜだ』
炎に呑まれるなか、憐れな騎士がうわ言めいて言った。
『なぜ、お前たちのようなものが、我らに相対する』
神楽耶は何も言わぬ。その誓いは口にするものでないがゆえに。
ゼイルも同様。いちいち言の葉で示すことを彼は嫌う。
だからヘンリエッタが、何をとばかりに肩をすくめて答えた。
「――そりゃあ、仕事ですもの」
騎士は何一つ理解できぬまま、恐怖に呑まれて焼滅される。
絶望をばらまこうとした輩には、それ以上の絶望を以て裁くのが相応しい。
焼け跡には、騎士たちがいた痕跡は何一つ遺らぬまま消えていく……。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
花開院・月下
はぁぁぁぁぁい!!!!!騎士の皆さァァァァん!!!!!!こーーーんにーーーちはぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!
今日はぁぁ!!!あたし達と一緒に遊びましょうねぇぇぇぇ!!!!!
善良な人々を襲うとは何事かぁ!!正義の忍であるこの花開院月下の目が黒い内はその様な外道許さーーーん!!!
名前……?お前らに名乗る名なぞ無いっっっ!!!!!
できるだけ高い、目立つ所に登って名乗りを上げるよ!【UC】敵の視線を此方に向けたら……向けたら……えー……頑張って避けます!!!皆それまでに騎士達倒してね!!!!
なんとか短刀でバシュバシュ時間稼ぐからさぁ!!
ぐえー!!!こえーー!!たすけてぇぇぇ!!!!あ、剣先掠った!!!!!
アリス・レヴェリー
思いっきり派手に動きましょう。処刑なんかを見せている場合じゃないくらいに。
まずは【友なる白鯨、悠然の調べ】でシロナガスクジラによく似た白鯨の幻獣のお友達、ムートを召喚するわ
そして彼に乗って街の空を回遊。普段は彼自身の魔法でそのサイズを抑えているけど、今回はフルサイズよ
相手が攻撃に転じてきた時への反撃用の魔法の魔法陣を大げさに幾つも展開しながら空を練り泳ぐわ
数多の輝く魔法陣とシロナガスクジラの最大サイズ程の大きさのムートなら、少なくとも暫くは目を惹ける筈
こちらに相手がやってきたら魔法陣から多様な魔法を一斉に射撃
相手の攻撃は魔法結界とわたしの【刻命の懐中時計】の12枚の結界も併用して遮断するわ
弓塚・紀昌
場所は既に割れている。相手がどこにいるかも分かってる。で、あれば後はど派手に壊すのみ。
相手が処刑のために大立ち回りしてる最中に煙幕玉を仕込んだ矢を捕まった民間人の周囲に放ちやしょう。
そして煙紛れて民間人を解放し煙管を咥えながら相手の間に立ちやすぜ
彼らの希望はここにおりやすぜ?彼らを殺すよりもあたしを殺した方がよっぽど絶望には堕とせると思いやすがね。ですがそりゃあんたらなんざにゃ無理な話だ。……試してみやすかい?
なんて挑発しやすな
戦闘は打根で相手を牽制してUCで穿ちやしょう。何、避けられても地面壊して妨害を。
そしたらあとは中距離から矢をばかすか射つと致しやしょう
●絶望への堕とし方
「はぁぁぁぁぁい!!!!! 騎士の皆さァァァァん!!!!!!
こーーーんにーーーちはぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
……その場にいた全ての人々とオブリビオン(そう両方だ)が、
なんだこの大声は、といううんざりした顔でビルの屋上を見上げた。
その視線を浴びて、なにやら妙な少女がふんすとふんぞり返っている。
「今日はぁぁ!!! あたし達と一緒に遊びましょうねぇぇぇぇ!!!!!」
『『『…………』』』
「返事がぁあああああ!!!! 聞こえないよぉぉぉぉ!!!?!?!?」
『『『…………』』』
「おやぁああああああ!!!!! もしかしてぇえええ!! スルー!!!??」
ならば仕方ない、と、なぜか威厳ぶった仕草で咳払いする花開院・月下。
そして思いっきり息を吸い込むと(この時点で群衆は耳を塞いだ)、
さっきよりもバカでかい声量で啖呵を切るのだ。……うるせえ!
「善良な人々を襲うとは何事かぁ!!!!!
正義の忍であるこの花開院・月下の目が黒い内は;ああああああ!!!!」
『やかましい!!』
「………その様な外道、許さーーーーーん!!!!!!!!」
我慢しきれなかった騎士の恫喝を完全スルーしての啖呵。いっそ見事だ。
『……で、貴様は何者だ』
「名前……? お前らに名乗る名なぞ、無いっっっ!!!!!」
決まった……! 忍者であるはずの少女はドヤ顔で腕を組む。
さあ、敵の視線はこちらに向いた。矢でも鉄砲でももってこいや!
『『『…………』』』
「……………(わくわく。そわっそわっ)」
『『『……さあ人々よ、罪深き者たちの最期を目に焼き付けろ!』』』
「あれぇぇぇぇぇぇl!?!?!? どうしてスルーするのぉぉぉぉ!!!!」
む、無視だ! さすがのデュランダル騎士たちもスルースキルはあった!
色々なかったことにして処刑が始まろうとしていた、その時!
まず最初に飛来したのは一本の矢、そして着弾と同時に、ボフンッと煙幕!
『新手だと!? どこだ!』
『待て、アレを見ろ!』
騎士が指差したのは大声を出す月下……ではなく、別の方角!
そこに浮かんでいたのは、空を埋め尽くすような超巨大な純白の大鯨である!
まるで、空に浮かぶ雲をあちこちからかき集めてこねたような、
非現実的に過ぎるほどの巨体。群衆も唖然と空を見上げた! 声は無視!
だが、騎士たちははっと我に返る。よもやあれは、陽動!?
「おやまぁ、注意散漫なことで。あいにくもう終いでやすよ」
煙が晴れてみれば、騎士たちが囚えていた人々はそこにいない。
代わりに人々をかばうように立つのは、渡世人めいた三度笠の男である。
『猟兵かッ!!』
「いかにもその通りでございやす。騎士様相手なら名乗りいたしやしょう。
あたしは弓塚・紀昌。さしずめ……彼らの希望、ってとこでやすかね?」
これみよがしに煙管を吹かし、剽げた男は軽薄な笑みを浮かべてみせた。
空舞う白鯨の背から顔をのぞかせたのは、幼い金髪の少女だ。
「所詮、あなたたちの企てなんてそんなもの。小さな小さな悪事なのよ。
悔しいなら、わたしたちを倒してみれば? どうせ無理でしょうけどね」
アリス・レヴェリーは、天真爛漫な笑みを浮かべて騎士たちを嘲る。
「そうそう、あたしら猟兵を殺したほうがよっぽど絶望に堕とせやしょう?
……ああ、しかしあちらのお嬢の言うとおり、あんたらなんざにゃ無理な話だ」
試してみやすかい? 三度笠の下から、挑発的な笑みが覗く。
『ほざけえっ!!』
『連携して潰せ! 数は我らのほうが上だ!』
騎士たちはあっさりと挑発に乗った。
紀昌へは魔剣の斬撃が、上空のアリスへは魔槍の一斉投擲が襲いかかる!
「おっと。こいつは危なっかしい」
しかし紀昌はひらりとこれを躱し、打根によるコンパクトな打撃を見舞う。
一方頭上にはアリスの展開した無数の巨大魔法陣が魚群めいて輝き、
混沌の魔槍もろとも騎士を飲み込むような、魔力の集中砲火が降り注ぐ!
反撃を許さぬ苛烈な攻撃。飽和攻撃と大地をも穿つ怒りの風めいた矢。
騎士たちの怒りは一瞬で雲散霧消し、猟兵たちがその趨勢を握る……!
「ってぇぇぇぇぇ!!!! このまま終わりですかぁぁぁぁぁ!!!!!
あたしの出番!!!!! ないんでーすけどぉおおおおおおお!!!!!」
『『『うるせぇえええ!!!』』』
のこのこビルから降りてきた月下に、怒りの魔剣が襲いかかる!
「ぐえー!!! こえー!!!! たすけてぇぇええ!!!!!」
短刀で慌てていなしつつ、威勢はどこへやら、怯えて逃げ惑う月下!
「だったらなんで降りてきたんでやすか!?」
「そんなに注目してほしかったの……?」
「違ぁぁぁぁぁう!!!!! それもあるけどぉぉぉぉぉ!!!
敵の注意を引き……ひぃぃぃぃ!!! 死ぬ死ぬ死ぬぅぅぅぅ!!!!」
まったくやかまして敵わない。アリスも紀昌も心底ため息をついた。
「終わらせるわ。ムート、力を貸して!」
「小悪党にゃ勿体ねえですが――大地削りし荒ぶる風よ、ここに!」
魔力の雨と、引き絞られた矢の一撃。そのふたつが波濤となった。
足並み乱れた騎士たちは、連携攻撃によって滅殺され骸の海へと消えていく!
「おっ!?!?!? よっしゃぁぁぁぁぁ!!!! 勝ったぁぁぁぁあ!!!」
最後までやかましい月下の大声に、猟兵すらも辟易したという。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵
レナ・ヴァレンタイン
――不条理に怒り武器をとった貴様らが不条理を敷く側になってどうするのだ愚か者め
現場到着後、敵にまとわりつかせるように鴉を展開
敵の振るう攻撃の軌道に鴉を割り込ませ、攻撃を明後日の方向に変えて体制を崩す
後は【スナイパー】【乱れ撃ち】【援護射撃】その他組み合わせられる技能で鎧の隙間や目が覗く位置を撃ち抜く
此方に接近戦を仕掛けるなら、ガトリングとアームドフォートで反撃
弾幕と火力で鎧ごと叩き潰す
一般人を守るときも鴉たちを向かわせ、攻撃を相手自身に跳ね返すことで一時防護。その後は銃撃で敵を排除し、早急に救護と避難指示を行う
40羽も居れば周辺まで余裕をもって守り切れる、か?
まあ、油断せずにいこうか
祇条・結月
処刑だ、断罪だって言えば聞こえはいいかもしれないけど
……あなた達が行き過ぎた時に、あなた達が自分を裁くかって言ったら
そんなことは、ないんでしょ?
戦うよ。戦って、止める
……僕は普通の学生だから
がんばらなきゃいけなかったときに、頑張れなかったから
だから。今、ここでこうして自分の力で戦おう、って人を見殺しにはできない
絶対に
処刑のためならその場ですぐ、ってことはない。見せしめだよね
【目立たない】一般人みたいに捕まってる人のところへ接近して
大丈夫。家へ帰ろう? 絶対、あなたが居たい場所へ連れて帰るから、って手に触れて保護する
【見切り】と【武器受け】でいなしながら咎人の鍵の【精神攻撃】で反撃してくよ
パーム・アンテルシオ
周りの人の注目を集める行動をすれば、いいんだよね?
ふふふ。それなら、私に案がひとつ、あるよ。
ゲリラには…ゲリラで対抗する。
ゲリラライブで…ね。
ライブ用の場所なんて、考えなくてもいいよね。
良い場所に無いなら…作っちゃえばいいんだから。
ユーベルコード…歌唐桃。
歌と音楽は、大音量で。観衆の声も、怪人の声も、聞こえなくしちゃうぐらいに。
歌はもちろん、炎を使ったパフォーマンスとか、花火を上げたり。
ヒーローというか、アイドルっぽい感じかもしれないけど…
思いっきり、目立つことだけを考えて行動するよ。
私は、それだけしかできないかもだけど…
私は、皆を応援してるから。
ふふふ。がんばってね、猟兵の…ヒーローの、皆。
兎乃・零時
アドリブ絡み大歓迎
え、処刑!?処刑すんの!?
そそ、そんなことさせるもんか!
【勇気・気合・覚悟】決めて!行くぜ!
全員の救出にゃ時間がかかる…なら俺様がとる行動は!注目を集める事、だ!
【全力魔法・属性攻撃】…そう!光魔術の光源〈ライト〉の魔術を杖から天高くへ放射!
光源の大きさは凄く大きく皆の視線をこっちに向け
名乗りを上げながらUCをやるぜ!諦める道理は、当然!無い!
聞け―――!
俺様は、何れ全世界最強の魔術師となる男、兎乃・零時!!
貴様らの悪行もこれまでだ!
かかってきややがれー!!
「紙兎パル」の【援護射撃】にも頼りつつ、自身は【全力魔法】…魔力放射で応戦だ!
危ない攻撃は【逃げ足・ダッシュ】で避ける!
パウル・ブラフマン
UCを発動させ愛機Glanzで現地へ急行!
自慢の【運転】テクを駆使して蹴散らしてやるぜ。
オレさぁ
信じてくれてるヒトを殺されんの
―大ッッッ嫌いなんだよね!
展開したKrakeで最寄りの個体から狙撃しつつ
緊急であれば
車体を【スライディング】させ【なぎ払い】だ!
助けた民間人はGlanzの後部座席へ。
万一にも被弾しないようFaustも併用するね。
シェルターがあれば、救助者をそこへ搬送。
間に合わなければ後ろ背に【かばう】ようにしながら
敵に向けて【制圧射撃】で対抗。
アハッ、独善?
断罪者気取ってるアンタの方がよっぽど身勝手じゃね?
上等だよ、今ココで白黒付けようぜ!
全砲門【一斉発射】ァ!!
※絡み&アドリブ歓迎!
●タイムズスクエアの激闘
タイムズ・スクエア! 世界的に知られるニューヨークの代名詞スポット!
多くの観光客と、ニューヨーク市の市民で賑わうこの大規模交差点も、
いまや無数のデュランダル騎士と猟兵が交戦する死闘の舞台と化していた!
「聞けーーーーっ!! 俺様は、いずれ全世界最強の魔術師となる男っ!!」
繁華街をあまねく照らす光魔術の輝きを、杖先から迸らせて、
小柄な少年……兎乃・零時が、恐れをねじ伏せるように叫んだ。
「悪党どもめ! 貴様らの悪行もこれまでだ、かかってきやがれぇーっ!!」
注目を集めるには十分だろう。しかし裏を返せばすなわち敵の的だ!
百を超える騎士たちが、怒りと殺意の眼差しで零時を睨みつけた。
(あっ!! やべえ、俺死ぬ!!)
少年が死を覚悟するには、十分な物量差と言える。魔力放射では足りない!
しかし! その間に割って入るマシンのシルエットがあった!
ギュガガガガッ!! 無骨な白銀のモーターサイクルが路面を焦がす!
火花を散らしてドリフトした巨体が、最前線の騎士を撥ね飛ばしたのだ!
「いーい大見得だねぇ! 派手だし主語デカいしサイコーじゃん!!」
マシンを駆るのは隻眼のキマイラ、パウル・ブラフマン。
零時の方をにっと気持ちのいい笑みで見やり、その勇気を称賛した。
「お、おう!! あ、ありがとう……!!」
「で、逆にめちゃくちゃヤなことがあってさぁ」
ギュオンッ! 威圧的モーター音とともにモンスターマシンが反転!
その体からタコを思わせる触手が生え、さらに砲台を固定し構えると、
ジェット機じみたエグゾーストを吹かせながらパウルは言った。
「オレらを信じてくれてるヒトを殺されんの――大ッッッ嫌いなんだよね!!」
悪党どもへの嫌悪と侮蔑を吐き捨て、マシンがロケットスタート!
「お……俺様だってそうだし! 派手さで負けてられるかぁーっ!!」
気を取り直した零時は、パウルを援護するように魔力の雨を降らせた!
KBAM! KA-BOOOM!! いくつもの爆炎が、混沌の魔槍を吹き飛ばす!
『ええい、邪魔をするな! 我らの正義を理解出来ぬ愚か者どもめ!
その独善のもとに、どれほどの人々が抑圧されたかを知らぬ分際で!』
「アハッ、独善? 断罪者気取ってるアンタラのがよっぽど身勝手じゃね?」
激昂した騎士の罵倒を鼻で笑い、パウルが鋭角的ドリフトを決める。
スピードと質量を併せたライドアタックが、アスファルトごと敵を突破!
さらに放たれる砲火が、零時のそれと合わせてあちこちの敵を吹き飛ばす!
しかし、パウルが人々のもとへ辿り着くには、あまりにも敵の数が多い。
騎士たちはどうやら、積層陣形を組むことで防御力を増し、
猟兵の猛攻を防ぎきって反撃で仕留める構えのようだ。
『隊列を乱すな! 数はこちらのほうが上だ、じきに相手はジリ貧になる!
そこを突けば勝利はたやすい! 我らの正義が正しきことを示せッ!!』
頭目と思しき個体が檄を飛ばす。騎士たちの統率は鉄壁である。
……しかしおかしい。足並みがいまいち揃わない。
『どうした!? 陣形を崩すな! 敵を――くそっ、なんだこの音は!!』
そう。どこからか響き渡る大音量の歌声と旋律が、指示を妨げているのだ。
群衆の怯える声も何もかも、刻み込むようなロックのビートが飲み込む!
『あそこか!?』
見れば気づくも同然、シアター・ディストリクトに設営された即席ライブ会場!
そのステージ上にひとり立ち、ビートに合わせて謳い踊るのは桜色の少女!
九つの尾をふさふさと揺らした可憐な乙女、パーム・アンテルシオである!
『ええい、あの小娘を殺せ! あんなふざけたものはあってはならん!』
『者ども、かかれ……うおおおっ!?』
BOOOM!! ステージ演出の一環か、狐火がステージ端から吹き上がった!
おあつらえ向きに花火まで空を埋め尽くす。まるでロックフェスだ!
「ふふ……ゲリラには、ゲリラで対抗。ゲリラライブ、大舞台で開催、だよ」
タイムズスクエアといえば、娯楽の殿堂ブロードウェイ・シアターが有名だ。
そんな場所でライブを開催するなど、まさにサウンドソルジャー冥利。
そこはかとない役得にほくそ笑みつつ、パームは力強く胸を張る。
「怖い怖い騎士の言うことなんて、最初から聞く必要……ない、もんね。
だから、戦えない皆。私のことをしっかり、じっくり見ていてほしいな」
可憐な妖狐の乙女が微笑み、神獣すらも魅了する歌声を披露したとあらば、
群衆が熱狂し心奪われるのは無理もない。騎士の中にすらそれはいる!
歌姫……いやさ、もはやアイドルか? とにかく目立てばそれでいいのだ。
そしてパームの歌声は、猟兵たちを鼓舞するものでもある!
「私は、歌うことしか出来ない。応援することしか出来ない……けど。
ここにいるよ――だから、がんばってね。猟兵の……ヒーローの、皆」
ヒーロー! その響きこそをデュランダル騎士は憎み、嫌悪する!
しかしなおもパームのライブを阻もうとする徒党を襲ったのは、
その視界を塗りつぶす漆黒の渡り鴉(レイヴン)の群れであった!
『ぬうっ!? なんだ、くそっ、視界が……!』
BLAMN! 鴉の群れのなかでもがく騎士を、狙撃弾丸が貫き絶命させる。
さらに……BRRRRTTTTTT!! ダメ押しとばかりのガトリング一斉砲火!
「不条理に怒り武器を執った貴様らが、不条理を敷く側になってどうする?
……などと言ったところで、もはや貴様らの耳には届くまいな」
硝煙を揺らめかせる銃器を手に、ポークパイハットの女が静かに言った。
銃手……すなわちレナ・ヴァレンタインの双眸に、慈悲という文字はない。
凶報を運ぶ黒き死神の使い手を手足のように操り、弾丸の終焉をくれてやる。
それはまるで、闇夜から忍び寄り魂を刈り取る嵐の王めいている!
「だが貴様らは運がいい。これだけ派手派手しい戦いの中で、
戦士として戦って死ねるんだ。まあ、誇る矜持もないだろうが」
『あそこだ! やつがスナイパー――』
BLAMN!!
「……だから、潔く散るのを勧めるよ。もう勝ち目はない」
狂乱めいた騒ぎのなかで、いっそ涼やかに、静かにレナは云う。
それは、終わりを喪った残骸たちに対する、少なからぬ手向けなのだろうか。
そして、猟兵たちが巻き起こす騒ぎに乗じて密かに動くのはレナだけではない。
囚われた人々のもとへ一足疾く駆けつけたのは、鍵使いの少年であった。
「ひっ。た、助け……っ」
「……大丈夫。僕は助けに来たほうだよ。猟兵だから」
怯える少女に対し、祇条・結月は目線を合わせて静かに諭した。
手足を拘束する縄を切り落とし、ぽんぽんと肩を叩いてやる。
「聞こえるでしょ? 僕だけじゃない。みんなが君たちを助けに来たんだ。
だから、安心して。もう少し我慢してほしいけど……必ず家へ帰すから」
「……ほんとう?」
「うん。僕にはね、そういう力があるんだ」
ほのかに微笑んで、結月は少女に手を差し出した。
少女はその優しい微笑にほだされ、おずおずと手に手を重ねる。
手のひらに上に乗せられた古びた鍵がほのかに輝き、少女は光に包まれた。
今頃、彼女の安らげる思い出の場所で憩っていることだろう。
「……これで、十人目……でも、まだまだ足りないな」
結月は小さく息を吐いた。地道な救助作業は思った以上に堪える。
もともと平凡な少年であった身には、根を詰めるのは色々と毒なのだ。
しかし、やめるつもりはない。こんな状況を見過ごしてはならない。
……頑張るべき時に、出来ることを成し得なかった後悔が己の中にある。
それが原動力であり原点であり、拭い去れぬ苦い記憶であるならば。
『いたぞ、猟兵だ! 殺せ!!』
結月を見咎めた騎士たちが、人質を取り戻そうと殺到する。
咎人の鑓を手に立ち上がり、結月は深呼吸してマインドセットした。
彼らの正義は歪んでいる。きっと己らを裁くことは永遠にありえない。
それがオブリビオンというものだ。戦い倒さねばならぬ敵。ならば。
「……戦うよ。戦って、止めるさ」
誰に云うでもなくひとりごち、結月は決然と振り返った。
「あなたたちのやることは、全部――必ず、止めてみせる!」
普通であった少年の、すがるような矜持の叫びだ。
そして、混迷はやがて猟兵たちの優勢へと変化していく。
「こっちは大丈夫、救助はだいたい終わったよ!」
「ナーイス! ならオレんとこで全員かなぁ? アハ、反撃だね!」
ギャルルルルッ! 結月の言葉に、パウルは猛スピードで反転した!
頭目と思しき騎士が、陽炎めいた怒りを伴い猛進してくる!
『いたずらに正義をばらまく独善者め! 裁くべき悪は貴様だ!!』
「いつまで言ってんだよウスノロ、そんなに気に食わねぇならさぁ!!
いま、ココで! 白黒つけようぜ! タイマンなら上等だよッ!!」
グオオオオオオオ――ギャリリリッ、BRRRRRTTTTTTT!!
魔剣の斬撃を紙一重でかわしたパウルが、すれ違いざまに砲撃を叩き込む!
騎士の夜降りがひび割れ、砕けかけ、膝を突いた。そして……焼滅!
「諦めないぞ、やると決めたら絶対やるんだ! 俺様は! 絶対!!」
そして他方、徒党を組んだ騎士たちに零時が真正面から飽和攻撃!
その心が生み出した魔力が、破滅の雨となって残骸を灼く!
「――ここまでだな。さようなら、いい夢を」
撃ち漏らした残敵は、レイの魔弾の餌食に。ゲエゲエと渡り鴉たちが鳴く。
人々は歓声をあげた。その歓声をも旋律に取り込んで、パームは歌う。
応援するためのものではない。人々の正しき心と、猟兵を称える凱歌を。
「――まだまだ、戦いは続くから。ね?」
この戦争の勝利を願うように、力強く――世界に向けて、謳い続ける。
大成功
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バーン・マーディ
事前
コロンバスサークルと周辺の見取り図と避難経路に気づかれずに突入し処刑を止められる経路の把握
更に彼らよりも目立てる立ち位置の確認
デュランダル騎士団招来発動
騎士二人に処刑を妨害し救出を命じ
直前で凶刃を防ぎ救出敢行
お前達の言葉は正しい
「行き過ぎた正義」が行う愚は無意味な血を流し続ける(低いながらよく響く音声。彼らは忘れてしまったか覚えているか
今のお前達が行うはヴィランを虐殺する正義と変わらぬ
故に…同胞よ…我らはお前達を止めに来た(騎士の英霊達を率いる黒騎士が対峙
【オーラ防御】展開
【戦闘知識】で敵の陣形を把握
【武器受け・カウンター・二回攻撃・怪力・生命力吸収】で引き受け反撃しながら複数の騎士と連携
●Dの氾濫/恐怖を払え
かくして、ニューヨーク市を襲った暴虐指令は完膚なきなまでに叩き潰された。
間違った正義を標榜した騎士たちの残骸は、その歪んだ生を終わらせたのだ。
滅びは慈悲だろう。なぜならば彼らは、かつて高潔であった正義の弾劾者。
行きすぎた正義を糺し、救われるべき悪を守らんとした黒鎧の守護者たち。
――その団の名をデュランダル。不滅の魔剣の銘を冠したいさおしの者ども。
残骸と成り果てた騎士たちには、ひとりの統率者がいた。
騎士たちとその信念が忘れ去られたように、その者の名もまた同様である。
コロンバス・サークルは、マンハッタンで初めて作られた交差点だ。
アメリカ建国史に於いて重要な航海者、クリストファー・コロンブスに因み、
命名された。当然、コロンブスその人の銅像がランドマークとなっている。
……他方、コロンブスは残忍にして無慈悲な略奪者、簒奪者という面もある。
それはまるで、アメリカという複雑怪奇な超大国のようだ。
光あるところに影はある。正義と悪が対立するように。
華やかな正義は、その裏に悪よりもどす黒い澱みを孕むことも珍しくない。
当然のようでもある、しかし人々は忘れがちなその真理。
……いいや、忘れているわけではない。見て見ぬ振りをしているだけなのだ。
人はそこまで高潔には在れない。己を律することが出来るのはごく一部だ。
ヒーローと謳われる者とて同様。多様性はすなわち腐敗と堕落の許容である。
それをよしとしない男がいた。神たるその身は不滅であった。
誤りの刃をせき止めた黒騎士の相貌には、ただ無表情だけが浮かんでいる。
『……あなたは』
さしものオブリビオンに成り果てたとて、彼らもまた騎士たる者か。
己らの振るう魔剣。そのオリジナルを、そして使い手を前にしたならば、
傲然は消え失せ、敬服と驚愕の感情が騎士たちの心を満たした。
「お前たちの言葉は、正しい」
……黒騎士バーン・マーディは、深く静かで、重く厳かな声で言った。
声音に籠められたものはなんだろうか。憐憫? 後悔? 諦観?
はたまた、堕落し残骸に成り果てた同胞に対する侮蔑と嫌悪か。
それを斬らねばならぬことへの悲嘆か。熾火めいて止まぬ正義への怒りか。
わからぬ。あまりにも多きそれは、鎧めいて黒く、昏い。
まるでそれは、炎に焦がされて黒ずんだ、古めかしい炭のようでもある。
「"行きすぎた正義"が行う愚は、なまじ悪よりも無意味な血を流し続ける」
『…………』
「だが」
黒騎士は瞼を開く。深海の底めいて、漆黒の瞳は光を映さない。
「いまのお前たちが行うのは、ヴィランを虐殺する"行きすぎた正義"そのものだ」
『何を』
「わからぬか。――忘れたのか。覚えているのか。そのどちらでもないか」
『……我らの長よ、何を云うのです!? 我らは、我らは……!』
「噫」
みなまで言うなと、黒騎士は頭を振った。そして魔剣を一閃する。
困惑する騎士が、斃れた。残骸を一瞥し、"残敵"を睨めつける。
「同胞よ。かつて共に正義を糺した騎士たちよ。我はお前たちを止めに来た。
……この狂った企みは、これまでだ。お前たちを糺すべきは――」
ちきん、と鋒を返すと、黒騎士の背後には同じ黒鎧の騎士たち。
残骸に成り果てることなく、その信念を貫いた気高き霊。
「同じ魔剣に他ならぬ。――さあ、来い」
戦いは短く、そしてあっけなく終わった。
魔剣の担い手、そのオリジナルに残骸が敵うはずもない。
いわんや、歪んだ信念をや……黒騎士は、空を仰いだ。
「……ままならぬものだな、神たる身とは」
その声音もまた、炭のように黒く、ただ……昏かった。
大成功
🔵🔵🔵