アースクライシス2019③〜顔で語るな、心で語れ
「いくら顔が良いからって、他人を貶し傷つけて良いわけがない……そう思いませんか?」
グリモア猟兵、詩音・マコトは少々むすっとした顔で猟兵へ呼びかける。
彼女が猟兵に招集を掛けた理由はほかでもない。ヒーローズアースにて、事件が発生することを予知したのだ。
「今回の事件の首謀者は、肥溜めの王スカムキング……かつてダストブロンクスを恐怖で支配した者。その手下が、彼の命令を遂行しようと企んでいるようなんです」
そして用意していたホワイトボードにすらすらと男性の顔らしきものを描きながら、マコトは話を続けた。
「スカムキングが下した命令は、『ニューヨークの女性を攫うこと』だそうです。いや、もうこの時点で私は許せないのですが……」
ばばん! と。
マコトはペンを離し、空いている左手で思いっきりボードを叩いた。
「その手下というのが……こういう人たちなんですっ!!」
マコトが描いた顔はどれも一般的に『イケメン』と呼ばれる、かなり整ったもの。一見ヒーローズアースの一般市民のようにも見えるが、彼女は間髪入れずに顔を顰めて説明する。
「彼等にとってイケメンは”正義”であり、”何をしても許される”存在。彼等はわざわざカップルを襲い、暴力や暴言などありとあらゆる手段で女性を連れ去って、それからその……ちょっとここでは言えない目に遭わせたりしてですね……」
そこまで言って彼女は顔を赤らめて猫耳を伏せた。この先はあまり言いたくないらしく、話を変えようと首を振る。
「ええっと……つまり、彼等はスカムキングの命令を実行するべく女性を攫おうとしています。それを妨害し、彼等を退治するのが任務です」
そして、マコトはすぐさまグリモアを浮かべた。どうやら襲撃まで時間がないらしく、彼女は今すぐにでも転送ができるよう準備していたらしい。
「顔が良くても悪は悪。皆さんでお仕置きしちゃってください!」
ふんすと鼻を鳴らして彼女が言った瞬間、猟兵はヒーローズアースへと転送されていくのだった。
●
猟兵が降り立つのはヒーローズアースの大都会、ニューヨーク。
人々の行き交う大通りにて二人の男女が手を繋いでいた。そこへ、何やらやけに顔の整った集団が立ち塞がり二人の行く手を阻む。
「ねぇお姉さん、そんなブサメンとじゃなくてー、俺と遊ぼうよー」
バスケットボールを片手に笑顔を振りまくイケメン。カップルは当然イケメンを無視してその場を去ろうとした。
「行こう、ミチくん。こんな人たち放っておこう」
すると今度は香水の匂いを濃く放つイケメンがその進路を塞ぐ。
「そんなどこにでも居そうな顔の男と一緒にいて楽しいかい? ほら……俺の方が何億倍も綺麗だろう? 子猫ちゃん」
イケメンが顔を近づけ、今にも唇が触れそうになる。するとカップルの片割れが間に割って入り、イケメンを突き返した。
「やっ、やめろ! ナナちゃんは僕の彼女だ!」
だが、更に眼鏡姿のイケメンがため息をつきながら近づく。
「おやおや……顔も悪ければ頭も悪い。貴方がたに拒否権があるとでも?」
そう言ってイケメン集団は静かに男に向かって構える。たんたんっ、とボールを持ったイケメンがドリブルを始め、そのまま男性の方へと駆け寄り――ボールを思いっきり顔面へと叩きつけた。
「ふがッ!?」
カップルの片割れは鼻血を流してその場に倒れてしまった。
「ぷぷーっ、だっさーい! ねぇお姉さん、こんな弱いヤツとじゃなくて俺と遊ぼうって!」
イケメンは女性の手を取り、蹲る男性を嘲笑する。さらに周りを見れば、同じようにカップルを襲撃し女性を連れ去ろうとするイケメンの姿がちらほら見受けられた。
一刻も早く、彼等を止めなければ。
みかろっと
こんにちは、みかろっとと申します。今回はヒーローズアースにて、人攫いのイケメン集団から女性を守り退治するシナリオとなります。顔だけ良いってモンじゃないんですよ!
そしてこちらはアースクライシス2019の戦争シナリオで、一章での完結となります。プレイングは頂いた順にどんどんリプレイをお返しする予定です。
皆様のプレイング、心よりお待ちしております。
第1章 集団戦
『イケメン戦隊『ブサメンハンターズ』』
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POW : スポーツイケメン「ボールで遊ぼう。お前が的な!」
【投げつけたボール 】が命中した対象に対し、高威力高命中の【連続ボール攻撃から囲んでの集団リンチ】を放つ。初撃を外すと次も当たらない。
SPD : 高貴イケメン「堕とした女の数こそイケメンの力だ」
【レベル×1人の弄びオトした女性達 】の霊を召喚する。これは【心をずたずたにする罵詈雑言】や【顔を溶かす程の強酸の入った瓶】で攻撃する能力を持つ。
WIZ : 眼鏡イケメン「君は見た目だけでなく頭も悪いね」
自身の【眼鏡 】が輝く間、【隠し持った拳銃で】の攻撃回数が9倍になる。ただし、味方を1回も攻撃しないと寿命が減る。
イラスト:香冬
👑11
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
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種別『集団戦』のルール
記載された敵が「沢山」出現します(厳密に何体いるかは、書く場合も書かない場合もあります)。多くの場合、敵は、あなたが行動に使用したのと「同じ能力値」の戦闘方法で反撃してきます。
それらを踏まえつつ、300文字以内の「プレイング」を作成してください。料金は★0.5個で、プレイングが採用されなかったら全額返金されます。
| 大成功 | 🔵🔵🔵 |
| 成功 | 🔵🔵🔴 |
| 苦戦 | 🔵🔴🔴 |
| 失敗 | 🔴🔴🔴 |
| 大失敗 | [評価なし] |
👑の数だけ🔵をゲットしたら、次章に進めます。
ただし、先に👑の数だけ🔴をゲットしてしまったら、残念ながらシナリオはこの章で「強制終了」です。
※自分とお友達で、それぞれ「お互いに協力する」みたいな事をプレイングに書いておくと、全員まとめてひとつのリプレイにして貰える場合があります。
レイ・アイオライト
また妙な連中が出てきたわね……
早く女性の救助……というかカップルの救助に行きましょうか。
『雷竜真銀鋼糸』で女性に伸びる手を拘束、雷撃で痺れさせるわ。
あたしにも迫ってきたら裏拳叩き込んでやるから。
【真影ノ咒鎖】で形を持たない霊たちを含めてぐるぐる巻にするわよ。(範囲攻撃)
「で、もうやらないって約束してくれるのかしら?」
答えなんて聞いてないわ。自信満々の顔を影の侵食でズタズタにしてやりましょうか。
高慢な態度見てると反吐がでるのよ。さっさと骸の海に還ってくれない?
「また妙な連中が出てきたわね……」
レイ・アイオライトは極悪非道のイケメン集団を見つめながら呟く。攫われる直前の女性、もとい襲われているカップルの救助へ向かおうと、彼女は彼等の元へと駆けて行った。
「さぁ子猫ちゃん。俺と一緒に楽しい所へ――」
イケメンの腕が女性に触れる瞬間、その手は『何か』に拘束される。
「何っ!?」
彼がその正体に気づく前に、腕に絡むレイの武器『雷竜真銀鋼糸』はパリッ、と稲妻のように光った。
「ぎゃああ!!!」
イケメンは突如その場でぶるぶると体を痙攣させて悲鳴を上げる。電撃を纏うその糸をぶんぶんと振りほどき、イケメンはその糸の先――レイの方へと目の色を変えて襲い掛かった。
「邪魔をしないでほしいな!!」
だが、レイは素早く裏拳を叩き込む。彼女は呆れたような顔でイケメンの後ろへ回り込むと、ユーベルコード『真影ノ咒鎖』を発動した。
「影に喰われて死ぬか、全部吐いてから痛みなく死ぬか。選びなさい」
「ひッ!?」
レイの背から無数の鎖が飛び出し、イケメンを縛り上げる。そしてレイは彼に問いかけるように、静かに語りかけた。
「で、もうやらないって約束してくれるのかしら?」
ぐるぐる巻きにされた彼は全く身動きが取れず抵抗を諦めながらも、レイに向かって途端に命乞いを始める。
「しませんしませんっ、だから――」
「答えなんて聞いてないわ」
レイは冷淡にそう言い放つと、鎖から染み出る影をイケメンの顔へと向ける。
影はその顔を蝕み、削り、ズタズタに引き裂いていった。
「高慢な態度見てると反吐がでるのよ。さっさと骸の海に還ってくれない?」
イケメンは肉体的な痛みと顔面を傷つけられたショックで泣き叫びながら、崩れ去っていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵
シャーロット・キャロル
人攫いとは許せません!その行いに顔の良し悪しなんて関係ありませんよ!
どうやらイケメン集団の一人はスポーツが得意なようで。手にしてるバスケットボールがなによりの証拠です。
そいつに向かって挑発してみましょうか?
「そのボール、私に当てれますか?どうやら腕前には自信があるみたいですけど?どうしました自信無いですか?」
これでこちらに攻撃してきたらしめたもの、ボールを受け止めて反撃といきますよ!
どんな剛速球でも私の※怪力で受け止めてやりますとも!
そしてボールを受け止めたら反撃の【マイティスロー】です!
「残念でしたね、ボール投げとはこうやるんですよ。えーいマイティスロー!」
【アドリブ、連携大歓迎です】
ガーネット・グレイローズ
イケメン無罪、か。そういえば、そんなネットスラングが
あったような気がするが……。
さてと、ではまず奴らをおびき出すとするか。愛車BD.13に乗り込んで
出発し、繁華街で車を停めて待機だ。
「ハイ、そこのお兄さん。ドライブでもいかない?」
ホイホイついて来て車に乗り込んだらこちらのもの。
【サーキットの魔女】で走り屋と化した私の危険運転で限界まで加速、
死の恐怖をとくと味わわせてやろう!
ほれほれ、早く止めないと君が堕とした女の子を轢いてしまうぞ?
と軽く脅しをいれつつ、強酸の瓶をドリフトで躱す。
存分にドライブを楽しんだら首筋に噛みついて<吸血>し、
助手席からつまみ出してやろう。
「楽しかったかい、坊や?」
カーバンクル・スカルン
こんの下衆がぁぁぁぁ! ぜっ、たいぶっ飛ばす。
【置酒高会】を発動してイケメン野郎らを脱出不可能な檻の中に放り込んでから何分で全てのワニを退治できるか質問! あの程度の輩がワニを倒せるわけがないだろうけど、万が一倒された時のことを考えて念のため時間は計っとくけど!
で、下で残虐ショーが行われている間に私はのんびり巻き込まれたカップルに料理やドリンクを振る舞うよ、ノンアルだけどね!
え、食事する気になれない? そっかー、ならあいつらが出てくる前に逃げちゃってー
「人攫いとは許せません! その行いに顔の良し悪しなんて関係ありませんよ!」
正義感と怒りを滲ませながら、シャーロット・キャロルはイケメン集団の一人、バスケットボールを持った男性へと向かっていく。
「あれー、君も俺らと遊びたいの?」
襲い掛かっていたカップルから視線を外し、爽やかな笑顔でシャーロットを見るイケメン。しかしシャーロットはすぅっと目を細め、彼を挑発した。
「そのボール、私に当てれますか? どうやら腕前には自信があるみたいですけど?」
「あっはは、まああるけど……女の子に当てたら、その可愛い顔が台無しだよー?」
イケメンはへらへらと笑って流そうとするが、シャーロットは依然煽り続ける。
「どうしました? 自信無いですか? もしかして……実はバスケ下手?」
その言葉にカチンと来たのか、イケメンはぴくりと眉間に皺を寄せた。
「……困るなぁ、君みたいなかまってちゃんは……ねっ!!」
ズドン! と重い衝撃音が響く。
イケメンが放ったボールはぴたりと止まる。シャーロットの細腕が確かにそれを受け止めているのに気づくと、イケメンは目を丸くして声を裏返した。
「残念でしたね、ボール投げとはこうやるんですよ。えーいマイティスロー!」
シャーロットはイケメンからボールを取り上げ、大きく振りかぶる。そのままびゅんとイケメン目がけて投げつけると、彼は強い衝撃とともに向こうへと飛ばされていった。
「ぎゃああーーーっ!?」
情けない格好で繁華街のど真ん中へと転がるイケメン。襲われていたカップルも何が起きたか分からないような顔で、ただただそれを見つめるのだった。
●
「イケメン無罪、か。そういえば、そんなネットスラングがあったような気がするが……」
少し離れた地点にて、ガーネット・グレイローズは愛車BD.13に乗り込み待機していた。するとそこへイケメン――ブサメンハンターズの一人が通りかかる。
「ハイ、そこのお兄さん。ドライブでもいかない?」
「おや、積極的なレディだね。良いよ、僕と一緒に最高の時間を過ごそうじゃないか」
イケメンはふぁさっと髪をかき上げ、自信満々の顔でガーネットの車に乗り込む。助手席に座るや否や彼はガーネットに近づこうとするが、ドアが閉まった瞬間その車は勢いよく動き出した。
「――えっ?」
ギュゥゥン!! と、普通の運転ではあり得ないような激しいエンジン音。イケメンは口をぽかんと開けて座席にしがみつくと、ガーネットに向かって止まれ止まれと叫び出す。
「私を本気にさせた、お前が悪いのさ」
ガーネットの愛車はそのまま繁華街を駆け抜けていく。
「ほれほれ、早く止めないと君が堕とした女の子を轢いてしまうぞ?」
そんな脅しにひぃぃと悲鳴を上げながら、イケメンは慌てて何とかしようと懐を弄った。だが、ドリフトで激しく揺れる車内でそんなことをしている余裕などない。
「ちょっ、とまっ……とまってくださぁぁあああい!!」
その瞬間、車はガクン、と急停止する。
繁華街の真ん中、開けた地点でハンドルから手を離すと、彼女はイケメンの首筋からその血を吸い上げる。そして助手席のドアを開け放つと、ガーネットはひょいとイケメンをつまみ出した。
「楽しかったかい、坊や?」
投げ出されるイケメン。地に転がる無様な姿を見下ろしながら、ガーネットはばたんとドアを閉めて走り去っていった。
●
そして、彼等が転がった先では――カーバンクル・スカルンが待ち構える。
「こんの下衆がぁぁぁぁ! ぜっ、たいぶっ飛ばす!」
飛んできた男と車から投げ出された男に向かってカーバンクルは頬を膨らせ、ユーベルコードを発動した。
突如、二人のイケメンを巨大な檻が囲む。
頑丈なその鉄格子は、見れば脱出が容易でないことは明らかだった。さらに閉じ込められ慌てるイケメンの周囲に、ずん、と大きな猛獣の気配が五つ現れる。
「つ、次は何なんだよーっ!!」
牙を剥くのは機械仕掛けのワニ達。きりきりと金属音を響かせながら、イケメンに向かって大きく口を開いた。
「さぁ、あなたは何分耐えられる?」
彼等は狭い檻の中でイケメン達へ容赦なく襲い掛かり、その血肉を貪っていく。カーバンクルは自分の質問通り『何分』かかるかを計りながら、襲われていたカップルの元へと駆け寄った。
彼女はどこからともなく料理やドリンクを取り出してカップルに手渡そうとするが、その近くにはワニに食い千切られ悲鳴を上げるイケメンの姿がはっきりと見えている。
食欲が湧くとは到底いえないその光景に、カップルは顔を青くして首を振った。
「そっかー、ならあいつらが出てくる前に逃げちゃってー」
カーバンクルの言葉にカップル達はぺこりと一礼し、とにかく遠くへと一目散に走っていくのだった。
成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵🔴🔴🔴
栗花落・澪
【星花】※2人
※腰まであるウィッグに冬物のワンピース姿で零さんと男女の友達のフリ
ほ、ほんとにこれでつられるのかなぁ…?
女装に少しもじもじしながら【誘惑+範囲攻撃】
一組だけじゃなくてもいいよ
一気に片付けられれば好都合
えっ、ちょっと…誰ですか貴方達…!
怯える少女のように零さんの後ろに隠れるフリをしつつ
片手で★杖を構え
氷の【高速詠唱、属性攻撃】で敵の足元を凍らせ転倒、凍結狙い
隙が生まれればこっちのもの
残念、僕は…(ウィッグを外しながら)男です…!ていうか気付けバカ!
(杖の角で思い切り眼鏡ぶん殴る。割れろ)
【催眠歌唱】を響かせ動きを鈍らせながら
歌で操る【破魔】の花弁で周囲の敵もろとも斬撃の【範囲攻撃】
天星・零
【星花】
『ふふ…大変だとは思いますが、手筈通りお願いします』
常に【戦闘知識+世界知識+情報収集+追跡+第六感】で状況や弱点や死角を把握警戒
十の死(A)、Ø(B)、グレイヴ・ロウ(C)、星天の書-零-(D)
戦闘前に指定UCを発動しておく
Cを敵の死角から出して一撃など地形や武器を利用し、さらに【暗殺】技能で気配を消し、敵の死角からBで近接
副効果を組み合わせて攻撃を常に変化させ攻撃
『ふふ、貴方方とはお友達になれそうにありませんね。自らの私利私欲の為に人を傷つけ貶めて…いっぺん死んでみますか?』
指定UCの条件が整ったら、Aを解放し
一斉に攻撃してもらう
敵のUC防御はDで【オーラ防御】とCで防御
口調ステシ
「ほ、ほんとにこれでつられるのかなぁ……?」
さらりとした長い髪、ふんわりとした冬物のワンピース。栗花落・澪は少女のような服装に身を包み、繁華街へと潜入していた。
「ふふ……大変だとは思いますが、手筈通りお願いします」
澪の隣を歩くもう一人の猟兵、天星・零はそう言って微笑む。
カップルが狙われ襲われる、つまりカップルのふりをすればブサメンハンターズを一網打尽にできるはずだ。
もじもじとする澪を零がエスコートして道を歩いていくと、案の定そこへ近づく男性の影が現れた。
「お姉さん、一緒にいるのは……彼氏かな? そんな男より僕のほうが楽しませてあげられるよ」
「そうそう! あっちにいい店あるんだけど行かないー?」
零はその気配と自身の直感から、彼らがブサメンハンターズであることを察する。零が静かにユーベルコード『嘆きの秤』を発動し時計を召喚すると、それに気づいた澪は小さく頷いて目を潤ませた。
「えっ、ちょっと……誰ですか貴方達……!」
怯えるか弱い少女を演じ、零の影に隠れる澪。そんな可愛らしい仕草に、イケメン達は笑って零の後ろへ回ろうとする。
「怖がんなくていいよー。怪しいもんじゃな――いしっ!?」
ごんっ、と鈍い音。イケメンの足元はいつの間にかスケートリンクの如く凍り付いており、彼等は情けなくその場に転倒した。
見れば、澪の片手には杖が握られている。地面の凍結が澪の氷魔術によるものであることは明らかなのだが、状況の読めないイケメン達は完全に澪を庇っていた零の仕業だと決めつけ、血相を変えて殴りかかろうとした。
「痛っ……てぇな、何すんだテメェ!!」
しかし、そこに零の姿は既に無い。
「あ、あれ……お姉ちゃん一人? ははっ、馬鹿だなぁ! 女の子置いて逃げるとか――」
そう笑うイケメンの眉間めがけて、澪の杖がひゅんと閃いた。
「ごふうッ!?」
勢いよく打ち込まれた杖はイケメンの眼鏡を叩き割る。
そして澪は――彼は長髪のウィッグを取り去ってイケメン達に言い放った。
「残念、僕は……男です……! ていうか気付けバカ!」
「な……騙しやがったな!! つーかバカじゃねえし!!」
イケメン達は声を荒げて立ち上がる。銃を構えながら凍結した地面を一歩一歩進んでくる彼等へ、澪は辺りに響く声で眠りに誘う歌を歌い上げた。
足元が覚束ないまま、銃口を澪に向けるイケメン達。
その引き金に指が触れる瞬間、イケメンの背後でキラリと何かが光る。
「ふふ、貴方方とはお友達になれそうにありませんね」
イケメン達の死角から飛び出したのは、姿と気配を消していた零。片手に握った刃でイケメンの頬を抉ると、瞬時に別方向の地面から十字架グレイヴ・ロウを突き出し攻撃する。
銃による反撃に数発かすられながらも、彼は自身に纏う気で攻撃から身を護った。
「自らの私利私欲の為に人を傷つけ貶めて……いっぺん死んでみますか?」
「くそ……ッ!!」
イケメンの銃口は零へと向けられ、飛び出した弾丸は確かに何かを掠める。しかし零の姿は再び彼等の視界から消えていた。
焦り、銃をあちこちに向けるイケメン達。
――そして澪と零は同時に、トドメの一撃を放つ。
「この身体に刻まれた数多の痛み……苦しみ……。そして、それは相手にとって地獄の贖罪の糧となる」
カチリ、と零の時計の針が十二時の位置へと回る。その瞬間、力を増幅させた『十の死』、骸の姿がイケメンを囲んだ。
「幸せのままに眠れ」
そして澪の言葉と共に、ユーベルコードの花弁がぶわりと舞う。
イケメン達は判断力を失い、あらぬ方向へと銃撃を放つ。遥か彼方へと銃弾が飛んでいくとともに、彼等は骸と花弁に包まれ切り刻まれていくのだった。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
推葉・リア
……はぁ?イケメン??………貴方達のどこがイケメンなの??(【言いくるめ】【おびき寄せ】【催眠術】を使って蔑みながら言い放つ)
まず雰囲気が駄目ね!顔が良くても雰囲気が貴方達の言うブサメンよ!イケメンの風上にも置けないわ!
いい?真のイケメンは〜(以外リアのイケメン理論を言い続け攻撃は【第六感】で避けたり炎の【オーラ防御】で防ぐ)
そうよ、イケメンっていうのは…彼らの事よっ!っと言い放ち『推しキャラ達の一斉攻撃』で特に女性人気の高い推しキャラ達を召喚!
どう!彼らは身も心も声も服も戦い方もすべてがイケメンなのよ!貴方達なんかよりずっとずっとね!
言い切ったら一斉攻撃を叩きつけるわ!
【アドリブ共闘歓迎】
シャルロッテ・ヴェイロン
ハイハイ、イケメンだったらなんでもOKとでも思ってるんですか、このファック野郎どもが!(本人、終始ブチギレ気味)
そんなに女が欲しいならこれはどうですか?
・格闘ゲームのクノイチ(男を倒す相手としか見ていない。当然、顔面への攻撃も躊躇なし)
・ホラーゲームの女ゾンビ(当然ゾンビなので、相手を捕食対象としか見ていない)
・恋愛ゲームのヤンデレキャラ(相手を自分のものにするためなら殺人もためらわず実行する)
――で、敵が戦闘不能になったら、顔面を無残に破壊してカイシャクといきましょう。当然、襲われてるカップルにはさっさと逃げるよう忠告しておきますよ。
※アドリブ・連携大歓迎です。
カップルに集り、自分達を良い男と自負するブサメンハンターズ。推葉・リアは訝し気な目で彼等に近づいていくと、蔑むような目で言い放った。
「……はぁ? イケメン?? ………貴方達のどこがイケメンなの??」
「は?」
その場にいた男性たち――一応顔の整った『イケメン』達は、リアを振り向きながら顔を顰める。しかし彼女も命令の対象である女性。イケメン達は笑顔を取り繕いながら、リアに言葉を返そうとした。
――が、リアは機関銃の如く言葉を放ち出す。
「まず雰囲気が駄目ね! 顔が良くても雰囲気が貴方達の言うブサメンよ! イケメンの風上にも置けないわ! いい? 真のイケメンは――」
「こ、こいつ……」
イケメン達はぴきぴきと顔を引き攣らせ、自慢のボールや懐の武器を取り出そうとする。だがその姿を見せてもリアのイケメン談義は続き、彼等は痺れを切らして各々の武器を構えた。
「彼等は顔だけじゃないわ。外見から中身、その存在の全てが完璧なの! そんなこともわからないくせにイケメンだなんて――」
飛び交うボールや銃弾。リアはそれらを避け、身に纏う気で防ぎながらくどくどと話を続けていく。
「じゃあお前の言うイケメンって誰なんだよ!!」
そんな問いかけに、リアはきらんと目を光らせユーベルコードを発動した。
「イケメンっていうのは……彼らの事よっ!」
ずばばっ、とその場に現れたのは、リアが好むキャラクターの中でも女性に人気の高い男性キャラクターの面々。
顔こそブサメンハンターズと同等かそれ以上だが、リアの”推しキャラ”達は召喚されるなりリアに礼儀正しく一礼したり、彼女を護るように体を広げたりととても慇懃な行動を取る。
「どう! 彼らは身も心も声も服も戦い方もすべてがイケメンなのよ! 貴方達なんかよりずっとずっとね!」
びしっとブサメンハンターズに言い放つリア。そして彼女が推しキャラ達に声を掛けると、彼等は一斉に”自称”イケメン達へと立ち向かっていくのだった。
●
そしてもう一方、懲りずにカップルに手を出そうとするブサメンハンターズへ、シャルロッテ・ヴェイロンは怒りを滲ませながら駆け寄っていく。
「ハイハイ、イケメンだったらなんでもOKとでも思ってるんですか、このファック野郎どもが!」
「あぁ!?」
イケメン達は少々荒々しく返事をして振り向く。
彼等が話しかけていたのはやはり女性。それを見るとシャルロッテはさらに眉間に皺を寄せて、すぐさまユーベルコードを発動した。
「そんなに女が欲しいならこれはどうですか?」
ヴン、と電子的な起動音。カップルに詰め寄っていたイケメンの前に現れたのは、何とも可愛らしい女性キャラクター達だった。
動きやすそうでありながらも露出の高い衣装や、少し破損や汚れの見られる衣装、そして親近感を感じさせる女学生制服。
どれも一見、男性に需要のありそうなキャラ――だが。
「キィェエエエアアア!!!」
露出の高い衣装のキャラクターは、真っ先にイケメンへと殴りかかった。すかさず汚れた衣装のキャラクターと学生服のキャラクターも続き、イケメン達を一瞬のうちにその場に押し倒す。
「ア……ア……」
「ねえ、こいつらより私の方が可愛いよね!?」
なんとも混沌とした状況。だが、イケメン達は冷静に彼女等を観察し――そして、気づいた。
露出の高い女性は、格闘ゲームの戦闘狂キャラクター。汚れた服はゾンビゲーム、制服はヤンデレギャルゲームのヒロインだ。
「ちょ、待てって! 一人ずつ遊んでやるから!」
窘めようとするが、シャルロッテに選ばれたキャラクター達は揃って一切聞く耳を持たない。急所や顔面関係なく殴られ、皮膚を齧られ、そして会話の成立しないヤンデレヒロインが包丁を片手に不気味な笑みを浮かべる。
「私だけのものにしてあげる!!」
「ひぃぃぃ!!!」
そんな中、シャルロッテは襲われていたカップルを解放し逃げるよう促す。
そしてイケメン達が泡を吹いて動けなくなっているところへ近づくと、彼女は彼等ご自慢の顔面を容赦なくぐしゃりと踏みつけた。
大成功
🔵🔵🔵🔵🔵🔵
姫守・刻煉
「顔の造形が整っていようと、内面が醜悪極まりないのは、「良い殿方」とは思えませんね」
この事件に対してこう感じ、猟兵として参加します。
戦闘中、戦いながらも、戦場全体や仲間の状態に常に気を配ります。
イケメン戦隊『ブサメンハンターズ』の「眼鏡イケメン「君は見た目だけでなく頭も悪いね」(WIZ)」に対し、ユーベルコード「巫覡載霊の舞」を使うことで、衝撃波による銃撃の相殺と反撃を試みます。
最大の目的は、いち早く敵の群れを殲滅することです。
その為なら、ある程度のダメージはやむを得ないものとします。
「少なくとも、私は貴男方の様な方には靡きませんし、何を言われようと動じません。」
ヴィサラ・ヴァイン
んー、何というかイラッとする人達…
因みに私の容姿はどうでしょうか…? かわいいですか…?
ふーん、そうですか。じゃあこれならどうです?(《ただの帽子》を外して蛇髪を晒し[恐怖を与える」)
そんな茶番を繰り広げた後に戦闘を開始しますね…うわめっちゃ女の人の幽霊が出てきた。こわっ。
【死霊化】して強酸の瓶を回避[第六感]
霊達と同じ土俵に立って直接毒で攻撃し除霊するよ
心をずたずたにする罵詈雑言…?
ふーん。(無言で[恐怖を与える] [毒使い]での幽霊の[暗殺」を続ける)
いえ、別にキレてないですよ?(いい笑顔)
ちょっとここらの幽霊を根絶やしにしようと思っただけですよー
「顔の造形が整っていようと、内面が醜悪極まりないのは”良い殿方”とは思えませんね」
姫守・刻煉はふうと呆れたようにため息をつきながらブサメンハンターズへ近づいていく。すると彼等は刻煉に気づき、飄々とした笑顔で彼女に話しかけた。
「やぁレディ、俺達の美しさに釣られてやってきたのかな?」
香水の匂いを漂わせ、はははっと高笑いをするイケメン。同じく駆けつけていたヴィサラ・ヴァインも、何とも言えない呆れ顔で彼等を見る。
「んー、何というかイラッとする人達……」
そうぼそりと呟くヴィサラ。一方刻煉は毅然とした態度で、イケメン達へ言い放つ。
「少なくとも、私は貴男方の様な方には靡きませんし、何を言われようと動じません」
「釣れないなぁ、でも、そういう子ほど……好きだよ?」
その瞬間、二人の猟兵は苦笑いで黙り込んだ。
ヴィサラはなんとなくイラッとしながら、イケメン達へ問う。
「私の容姿はどうでしょうか……? かわいいですか……?」
「勿論! 俺達と同じくらい美しくて、花のように可愛らしいレディだ」
大げさに手を広げながらそう宣うイケメン達に、ヴィサラは静かに目を細め、深く被っていた帽子へと手を伸ばした。
「ふーん、そうですか。じゃあこれならどうです?」
すっと取られた帽子の下。
隠れていた緑髪の先には、うねうねとした蛇の頭が蠢いていた。
「ひぃっ!?」
恐怖に小さく悲鳴を上げるイケメン。彼等は途端に身構え、懐から銃や液体入りの瓶を取り出す。
「さて、茶番はこれくらいにして……」
そう言ってヴィサラは刻煉と共に戦う構えを見せる。
するとイケメン達は猟兵の攻撃を警戒してか、銃弾を放ち先手を打ってきた。だが同時に刻煉はユーベルコードを発動し、”神霊体”へとその身を変化させる。
ブン、と刻煉が薙刀を振るえば、イケメンの放った銃弾を受け止めるように衝撃波が放たれる。銃弾はみるみるうちに減速し、イケメン達の方へと踵を返して飛来していった。
「うわっ!?」
身を反らして躱すイケメン達。反撃にわなわなと拳を握り震わせながら、彼等は更に攻撃を返してくる。
「堕とした女の数こそイケメンの力だ……思い知れッ!!」
イケメン達の周囲をよく見れば、少し華美な衣装に身を包んだ女性の霊がぶわりとその姿を現していた。するとヴィサラはユーベルコードを発動し”死霊”と化した。
「彼女達の為、せめて彼女達と同じものに」
ヴィサラは彼女等と同じ”霊”となり、その身から生み出す毒を直接叩き込みに飛び掛かる。彼女は女性の霊から放たれる瓶を躱して突き進む。
途中、霊達がヴィサラを口汚く罵る。物理がダメならと思ったのかそんな精神攻撃を仕掛ける女性霊たちへ、ヴィサラは無言でにっこりと笑いかけた。
霊達ですら黙り込むその笑顔。ヴィサラは女性霊を何なく除霊してイケメン達の目の前へ降り立つと、笑顔を絶やさぬまま首をこてんと傾げて蛇髪を蠢かせる。
イケメン達はすっと手を上げ、青ざめてヴィサラの顔を見つめた。
「あ、その……」
「いえ、別にキレてないですよ? ちょっとここらの幽霊を根絶やしにしようと思っただけですよー」
イケメン達は悲鳴を上げ、猟兵に背を向けて一目散に駆け出す。
だが怯えていようと彼等を逃がすわけにはいかない。ヴィサラと刻煉はすかさず確実に、トドメの一撃を放ちイケメンの息の根を止めた。
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そして、猟兵達が降り立った繁華街からブサメンハンターズの姿は消え去った。
カップル達は平穏を取り戻し、再び幸せなデートへと戻っていく。
今日の彼等はきっと話が弾むことだろう。何せ様々な光景を目にし、そして――改めて、目の前のパートナーの良さを再確認したのだから。
顔がどうであろうと、背丈や服装、運動神経がどうであろうと、人の良さはそれだけでは決まらない。舞い上がった彼等のちょっとクサいセリフが飛び交う繁華街は、いつもよりなんだか幸せそうに見える気がした。
大成功
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